Coccoさんが待望のニューアルバム『アダンバレエ』をリリースし、5年ぶりとなる全国ツアーを行うことを発表した。そのアルバムは予想以上にポップで、生命力に満ち溢れた力強い作品。インタビューに応じてくれた彼女自身も、とても明るく、再び音楽と向かい合う喜びをおおいに感じさせてくれた。そのきっかけとなったのが、昨年撮影され、今年公開された映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』だった。「映画の撮影が楽しすぎたの。だって全てがアンダーコントロールで、監督がスタートもストップも言ってくれるし、そんなことって音楽をやっている時にはないことだから。歌に関しては、自分でコントロールできない。翻弄されるし振り回されて、ちょっと疲れる。私が悲しい時も明るい歌を歌わなければならないこともあるし。でも、映画が楽しい半面、毎日こんな楽しいことばかり続くのが許されるわけがないと、怖くなってきた。このままではヤバイって(笑)。そうか、辛いこともしなくてはいけないな、アルバムを作らないと、きっとバチが当たるって思いました」楽しい撮影の最中から、頭の中で音楽が鳴っていたそう。収録曲「花も咲いたよな」は、箱根でのロケの帰り道で歌っていた曲だとか。「忘れてしまう歌もあるけど、撮影が終わってからも、頭の中は歌でいっぱいだった。はいはい、やりますよ、と一曲ずつ向き合って、アルバムができ上がりました。結局、私は歌うことになるんだな、って思いました。鎖につながれ、毎日鞭で打たれていた気分だった<音楽>の世界にまた戻ってきた。2年前に『プランC』を出した時は、このアルバムを最後に、もう歌なんかやめてやる、と決めていたのにね」というのも当時は、その時が自分の人生のピークで「もうこれ以上、嬉しいことも悲しいことも起こらない。今が人生の最先端だ」と信じていたからとか。「だけど2年経つうちに、もっと嬉しいことも悲しいこともあって、また学んでしまった。まだ学ぶのかよ、と思いながらアルバムができてしまったのね。昔は、学ぶことはいつか尽きると思っていたけど、39歳まで生きても、まだ学ぶことがあるんだ、と少々呆れてもいる。だから人生って愛おしいし、だから私は生きるんだな、って。こういう話を20歳の子に言っても、今は分からないだろうけど、いつかこのアルバムがいい参考書になればいいな、と思う」◇9th album『アダンバレエ』【初回限定盤CD+フォトブック】¥3,700沖縄で撮影した写真やレコーディング風景をとらえた56ページの写真集付き。【通常盤CD】¥3,000(Colourful/Victor Entertainment)◇こっこ1977年、沖縄県那覇市生まれ。1997年にメジャーデビュー。9月13日のZepp Nagoyaを皮切りに、5年ぶりとなる全国ツアー「Cocco Live Tour2016“Adan Ballet”」を開催。※『anan』2016年8月31日号より。写真・内山めぐみコスチューム・前嶋章吾文・北條尚子
2016年08月26日