この春からお子さんがサッカーを始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。サッカーを通して身に着けてほしいものは何ですか?運動能力をアップさせることだけでなく、心も成長させてくれるサッカー。サッカーを通じて子どもがどう変わっていくか。前回に引き続き、シンキングサッカースクールのコーチたちに聞きました。サッカーをすることで身につくは自分で考える力、チャレンジする精神、それ以外にも社会に出るまでに身に着けたいスキルがたくさんあります。ぜひご覧ください。(取材・文:前田陽子)サッカーで身につくこととは(写真は少年サッカーのイメージ)<<前編:サッカーを通じて「自分で考えて動く力」が身につく理由とは?■チャレンジする力がつく親御さんが子どもに求めることのひとつにチャレンジ精神があります。菊池コーチは「サッカーはミスが多いスポーツで、ミスが起こるのはチャレンジをしているから。そして、ひとつひとつのミスにその都度落ち込んでいては練習や試合は進まないので、すぐに気持ちを立て直して次のチャレンジをする必要があります。チャレンジを続けることで得られる成功体験が次のチャレンジにつながります」とサッカーは常にチャレンジの連続であることを教えてくれました。プレイをすることは=たくさんのチャレンジをすること。そして成功をして、褒められる・認められるという経験をすると、授業などでも手を上げて発言ができる子になれるはずです。■周囲に気配りができるようになるまた、サッカーはボールのあるところ以上に、ボールを持っていない人の動きが重要です。自分がボールを持っている選手の守備をしているなら、その選手に注目しながら、反対側にいる相手選手とチームメイトの動きも考えなければなりません。彼らが何を考えどんな動きをしようとしているのかを想像することがいいプレイにつながります。「ピッチ上で日々、チームメイトや相手選手が何をしようとしているのか、何をしたいのかを考えるようになると、ビッチの外でもお友だちの思いを想像することができるようになります。それによってどう声をかけよう、どう動いてあげようという気配りが生まれます」と柏瀬コーチが子どもたちの変化を明かしてくれました。■負けず嫌いになって集中力も高まる近頃の学校生活では平等が基本で勝ち負けのシチュエーションは多くありません。けれどスポーツには勝ち負けがあり、勝ちたい、負けたくないという気持ちが自然と芽生えてきます。「大人の世界には順位があります。子どものころからサッカーを通じて勝ち負けを経験することは、いずれ必ずためになります。また、勝つためや上達のためには目標を立てる必要があります。目標に向かって何かを取り組むときの子どもの集中力や爆発力には本当にすごいもの。普通ではちょっと無理だろうと思えるほどの力が発揮されます」と菊池コーチ。普段家庭では見せない顔を、ピッチ上では見せてくれることをコーチたちは知っています。■自分の意見が言え、話の折り合いをつける力がつくまた、チームスポーツでは、自分の気持ちや意見を伝える必要があります。話し合いができるようになるには、自分に自信がつくことが必要。チャレンジをして、成功体験を積むと自分を表現できるようになります。プレイ中には、引っ張ったり、押したりという小さなトラブルもよく起きます。点を取り合うスポーツなので、理不尽と感じる場面もないとは言えません。ピッチ上にはコーチも監督もいないので、そこを話し合うのも子どもたちです。さまざまなシチュエーションを経験することで、話し合いができるようになり、折り合いの付け方がわかるようになります。サッカーはチームメイトとの話し合いを通じて、考えて意見を言う力が付きます(写真は少年サッカーのイメージ)■学校外の友達ができるスクールなどに入ることの利点として、学校とは違うコミュニティのお友だちができることもひとつです。「多少、学校でイヤなことがあってもスクールに行くことで気分転換ができたり、悩みの相談ができたりします。居心地がいいことばかりではないかもしれませんが、いろいろな価値観、いろいろな立場の人と知り合えるのは、社会に出る前の経験としてとても素晴らしいことだと思います」と菊池コーチ。■自分の意見が言え、話の折り合いをつける力がつくさらに、スポーツにはルールがあり、守ることが大原則。ルールの大切さが理解できるようになると、生活面でもルールが守れるようになります。また、あいさつをする機会も増え、自然とあいさつも出来るようになります。「子どもたちは大好きなサッカーをするために時間をどのように使うのがいいのかを考えて、実行していますね。スクールでは練習前に宿題をする子もたくさんいます。高学年になるころには、どう1日を過ごすと快適なのかを考えて、時間をコントロールする子も多いです」と菊池コーチがスクール生の様子を教えてくれました。サッカーにはプレイを通じて子どもが成長できる要素がたくさんあります。そのベースは子どもたちがサッカーを楽しむこと。そのためにコーチたちも日々切磋琢磨しています。スクール生の親御さんからは「子どもたちの扱いがとてもうまくて安心して通わせられます」という嬉しいご意見もたくさんいただいています。そんなコーチたちの元でサッカーをはじめてみませんか?考える力が身につくサッカースクール「シシンキングサッカースクール」の詳細はこちら
2021年04月09日この春からお子さんがサッカーを始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。数あるスポーツの中からサッカーを選んだ理由は何でしょう。サッカーを通して身に着けてほしいものは?それらはご家庭ごとに違うかもしれません。運動能力をアップさせることだけでなく、心も成長させてくれるサッカー。サッカーを通じて子どもがどう変わっていくかを、日々子どもたちと触れ合っているシンキングサッカースクールのコーチたちに聞きました。楽しんでプレーしたりチーム活動をするなかで体力やコミュニケーション力など、様々な力が自然と身に付くサッカーの魅力を存分にお伝えします。お子さんのサポートに役立ててください。(取材・文:前田陽子)サッカーで身につくこととは(写真は少年サッカーのイメージ)■楽しく身体を動かしながら運動能力が高まる子どもにとってのスポーツの魅力は「身体を動かすことの楽しさや勝つことの喜びなど、スポーツの楽しさが体験できること」とコーチたちは口を揃えます。その中でも「サッカーはボールひとつがあればできるスポーツ。バスケットボールのように手でボールをつくのは子どもには難しく、野球は複雑なルールがありますが、サッカーはボールが蹴れればOKというシンプルさです。遊びの延長のようにできるので、子どもの最初のスポーツにぴったりです」と黒滝コーチは言います。加えて、サッカーは身体全てを使うスポーツで、前後にはもちろん、横にも斜めにも走り、ジャンプもして、スローインでは手も使います。ボールを蹴りながら走ることを筆頭に、バックステップを踏んだり、相手を追いかけたりという非日常の動きの連続。その動きを続けることで、五感で察知したものを判断して筋肉を動かす過程をスムーズに行う、コーディネーション能力も身に付きます。■ボール遊びもままならない現代だからこそまた、暑くても寒くても一年中行うのもサッカーの特徴。持続的に運動するので自然と体力がつき、風邪などを引きにくくなります。近所の公園では遊具も限定され、ボール遊びもままなりません。スクールに入ればコーチたち大人が見守っているという安心安全な環境も得られます。外で遊ぶ時間が減っている現代だからこそ、オンラインではなく実際に人と会って一緒に運動することで得るものがたくさんあるはずです。■「ごめん」「ありがとう」が言える子になる、周りを思いやる力がつくサッカーは圧倒的にミスの多いスポーツで、誰かに補ってもらったり、誰かを助けたりしなければ成り立たちません。常にチームメイトはもちろん、対戦相手のことを考えてプレイしなければならないので、最初はひとりよがりのプレイばかりでも続けているうちに協調性が身に付きます。また、自分も仲間もミスをすることが当然なので、ありがとう、ごめんねが自然と言えるように。自分を反省して、感謝する心が育つのです。そういったことを重ねてチームメイトや周囲の人を思いやれる子になります。■常に状況が変化するスポーツだから、自分で考えて判断する力がつくサッカーは、野球のようにセットポジションに入るという場面がなく、プレイが切れるタイミングがありません。ピッチにいる間は常に状況が変化し、その場面場面で瞬時に最善の判断をしなければなりません。助言を求める時間はないので、ドリブルをするのかパスをするのか、右に行くのか左に行くのかなどを自分で判断することを繰り返し行います。「日常生活でも、朝と昼、昼と夜では状況も変わります。いつも同じ判断でいいという場面は滅多にありません。状況を判断してどうすればいいのかを常に考え、最善だと思う判断ができるようになりたいですよね。サッカーをすることで、判断力、決断力、そして行動力が身に付きますよ」と柏瀬コーチが普段の生活での変化を教えてくれました。サッカーは常に自分で考えて動くスポーツ(写真は少年サッカーのイメージ)大人になるにつれ、自分で考えて行動できることの大切さを実感する保護者の方も多いと思います。それらは、ある年齢に達したらいきなり身につくものではありません。子どもの頃から徐々に身に着けさせることが必要です。プレーが途切れず常に自分で考える事が習慣化されるサッカーを通じて、自分で決めて行動できるようになるのです。そして、ミスのスポーツなので仲間にフォローしてもらう場面も多いため、自然と「ごめん」「ありがとう」が言えるようになり、相手を思いやることができるようになります。学校でも社会でも活きる力をつけることができるスポーツなのです。お子さんの「楽しい」を応援しながら、人間的な成長をサポートしてあげる参考にしてください。考える力が身につくサッカースクール「シシンキングサッカースクール」の詳細はこちら
2021年04月07日今社会が求めているのは、変化の激しい社会を生き抜く力を持つ"自立した子"。ということは親御さん達も体感しているのではないでしょうか。平成29・30年に学習指導要領が改訂され、「生きる力~学びの、その先へ~」というリーフレットが学校などで配布されましたよね。子どもがもらってきた、というご家庭も多いのでは。サカイク読者の多くの親御さんも、「子どもにはちゃんと年齢なりに自立していってほしい」と願っていらっしゃいます。自立とは、自分のことを自分でできるのはもちろん、自分がやりたいことを自分で見つけ、それを実現するために試行錯誤しながら探求できることです。そんな自立した子にするためには、親のサポートが必要不可欠。どんなサポートができるのかを、親子向けのサッカー教室や外遊び教室を実施しているkid’s dream プロジェクトの西脇和治さんに聞きました。(取材・文:前田陽子)外遊び経験が少ない現代の子どもたち■「自由にしていいよ」と言われると思考がフリーズする現代の子どもたちひと昔前の子どもたちは、近所の公園でかくれんぼや鬼ごっこ、木登りなどを子どもたちだけで遊んでいました。親御さんたちも子ども時代にそのような遊びをしたことがあるのではないでしょうか。その中で熱中したり、喜んだり、ケガという失敗をたくさんしながら、体力や創造性、判断力、社会性を育くんできたものです。ですが、現代の子どもたちはゲームなど室内で遊びが中心で、外で走り回る時間はぐっと減っています。未就学児の時点で保護者が「うちの子、体力ないな」と気づくことも少なくないのだとか。自宅のみならず、幼稚園や保育園で他の子とのかかわりをみて気づくパターンもあるようですが、体力以外に遊び方にも課題があるようです。「今の子どもたちはまず体力がないです。保育園や幼稚園の園庭での遊び方も画一的。提案された遊び方は上手にできるけれど、自分で遊び方を考えるということをしたことがないんですよね」と西脇さんは現在の子どもたちの様子をこう話します。例えば、いくつかの輪っかで遊ぶ時。順番に輪っかを飛んでいこう、と言われたことは楽しんでできます。けれど、輪っかを使って自由に遊んでいいよ、となると身体が止まってしまう。この輪っかは片足で、こちらは両足でジャンプしようなどと、遊び方を想像することができません。「未就学の子もびっくりするほどたくさん習い事をしています。どこかに行って教えてもらう、こういう風にやるという道順があってやることばかりです。なので、自由に好きなことをやる経験がない。大人の水先案内がないと遊べない原因でしょう」と西脇さん。まして親世代も豊かで便利な時代に生まれ、ものごとには決まった手順やマニュアルがあるのが当たり前、言われたことをやるのが良いとされる環境で育ってきたので、「自由に」と言われてどんなことができるか、わが子に教えられなかったりするのだとか。なのでついわが子にも方法などを示して、その通りに動かそうとしてしまいますが、大人が先導をする「教える」ことをちょっと減らすことで、子どもが自ら考えるようになるのではないでしょうか。■昔と今では子どもを取り巻く環境がこんなに違う先述したように、昔と今では子どもたちの外遊びや様々な環境が異なっています。日本サッカー協会のキッズプログラムのハンドブックによるとU-6年代では下記のような違いがあるとされています。外遊び【昔】鬼ごっこ、木登り等の外遊びが中心。グループ(年齢、性別の違った仲間)遊びの中で喜び、熱中、成功、失敗が原動力となって、からだ、精神、創造性、判断力、社会性が育てられました。大人の出る幕はありませんでした。【今】テレビ、ビデオ、コンピュータゲーム等の室内でかつ少人数(同性、同年齢)での遊びが台頭。リセットして何度も繰り返すことのできるゲームには悔しさや痛みを感じる場面がありません。時間や内容も大人がコントロールしなければなりません。強制されない自由なスポーツの減少【昔】こどもたちが空き地や広場でボールを蹴ったり野球をしたりしていました。そこでは強制されることなくのびのびと自由にスポーツを楽しんでいました。【今】空き地や広場の減少と、交通事情の変化にともなって、自由な遊びの延長であるスポーツからクラブでプログラム化されたスポーツに変わってきました。他人への無関心【昔】社会的意識が高く、年代を超えた交流やつながりがありました。学校の先生も責任持って、こどもに厳しく規律やモラルを指導する環境がありました。【今】(諸事情がありますが)注意したり、叱ったりする人が特別視され、他人のこどもに無関心な大人が増えてきました。規律やモラルを指導する場が減り、学校の先生も厳しく接することが難しくなってきました。家庭環境の変化しつけの低下【昔】兄弟も多く、縦の組織がはっきりした大家族でした。全員での食事の機会を通じて、家庭内でも日常的に競争や協調が必要とされていました。また親の責任やこどもに対する要求も多く求められていました。【今】少子化によって、兄弟が少なく、個室が与えられる等、家族の間での刺激が少なくなりました。一人のこどもに対する親の期待が大きかったり、自分の基準でこどもに接するため過保護になったり、逆に放任になってしまうケースも出てきました。子どもを取り巻く環境の変化(出典:JFAキッズ(U-6)ハンドブック)■結果や成果の評価ではなく、やろうとしたことを褒める西脇さんが主催する親子プロジェクトでは、最初に親子で遊ぶ時間を設けています。キッズプロジェクトでは親子で遊ぶ時間を設けています親御さんには遊ぶ間、次の言葉や行動は無しでと約束してもらうのだそうです。・批判する・責める・文句を言う・がみがみ言う・脅す・罰する・目先のほうびで釣るそのようにすると、親はじっとわが子を見る時間が増えます。子どもが何かに挑戦しようとしているところを親が見つけ、挑戦した姿勢を認めてあげると子どもたちがどれだけいい顔をするかを見ることができるからだそうです。と同時に、普段どれだけ「やりなさい」などの指示命令が多く、子どもたちがやろうとしているところを見つけていないのかもわかるのだとか。講習で言われるだけではぼんやりとしか理解しませんが、目の前でわが子が良い顔、嬉しそうな顔をする瞬間を見る体験をすることで大きな気づきになるそうです。■やる前から「無理」「やらない」という理由親をはじめ、先生やコーチたちも「できたね~」「あ~、○○が出来たらよかったのに」など結果や成果、順位で判断することが多いため、子どもは目の前の課題を見て出来そうじゃないと感じると自分から「やらない」「挑戦しない」という選択をしてしまうのだそうです。また、大人の手が足りすぎていると失敗を恐れることが多いのだとも。わが子に頑張ってほしい、挑戦してほしいと思っているのに、声かけで挑戦する意欲を削いでしまっている、それどころか挑戦が怖いと思わせているのは非常に残念なことですよね。大切なのは結果ではなく、やろうとする過程です。やろうとする素振り、やろうかなという言葉を聞いたら「いいところに気が付いたね」とやろうとしていることを褒めると良いと西脇さんは言います。そして思い切って取り組んだら、結果はどうあれ「ナイストライ」「ナイスチャレンジ」と声かけをしてあげて、と語ります。そういった事を繰り返し子どもの背中を押してあげることで、それまで無理と言っていた子がびっくりするぐらいチャレンジするようになるのだそうです。親御さんはわが子の不安を取り除いて、安心してチャレンジできるようにしてあげてください。さらに親御さんへも西脇さんからの提案をいただきました。「親御さんにも自分が親として頑張っていることを誰かに認められたい、褒められたいという欲求がありますよね。親も初めて親をしているので、これでいいのかという不安を持っているのは当然のこと。大人になると、『頑張っているね、それでいいんだよ』と他者から言ってもらう機会はなかなかないので、ご友人間や夫婦間で言い合ってみるのも良いと思います」。夫婦は横並びでテレビを見たり、食卓でも並んで座ることが多いですよね。時には目を見て正面に座って、お互いを褒める時間を作ってみてはいかがでしょうか。■「遊びに行く」のはモールや名前のついている施設に行くことではないこれまでの活動でたくさんの親子に接してきた西脇さんは、最近の保護者の傾向をこう語ります。「親子で遊びに行くことを、子どもをどこかに連れて行くことだと思っている親が多いです」これには「確かに」と感じた方もいるのでは。「遊びに行く」と言うと、どこかの施設、名称のついている場所に行くことだと考える方は少なくない世代ですよね。テーマパークに行くことも悪くはないですが、子どもたちが求めているのはそれより手を繋いで歩いてくれること。自分の方を見てくれることの方が大事です。お出かけも素敵な思い出ですが、「遊ぶ」のはその辺の自然でもできる親子の触れ合いです。また、公園に出かけて親がシートに座ったままは子どもだけ「遊んできなさい」というのは良くない、と西脇さん。子どもの年齢にもよりますが、公園では手を繋いで歩くなど親子の触れ合いをたくさんした方が良いと言います。子どもは親と手を繋いでいることで安心感が満たされ、そうすると興味が変わって急に手を放して走って行くことも。安心することで、他方に興味がわいてそこに向かうことができる、この繰り返しがとても大事なのだそうです。その中で感性の元となる五感が刺激を受けて、次の第六感になるインスピレーションや創造性に広がって行きます。■協調性や思いやりを育むためには親子のかかわりが大事子どもが失敗しても怖くない環境を作ってあげることが大事そして子どもが「あのね」と話し出したら、遊ぶことや家事などから手を止めて話を聞いてあげて「そう思ったんだね」と受け止めることが大事だと言います。忙しい中毎回そんなの無理、という親御さんもいると思いますが、できるだけ子どもの話しに耳を傾け、しっかり聞いている態度を示してあげてください。協調性や思いやりは親子の関わりが多く子どもの心が満たされれば自然と育まれるもので、そのために親がストレスを抱えては良くないと西脇さんは指摘します。親がストレスをためると、子どもの些細な事が気になってガミガミ言ってしまったりと、しわ寄せが子どもにいってしまうことがあるので、周囲の人に協力を求め、親も積極的に気分転換をしてほしいとアドバイスを送ります。ストレスを軽減して子どもと1対1で向かい合う時間を作ることが大切です。子どもが一歩踏み出すためには、子どもと向き合い、十分に安心させてあげること、失敗することが怖くない安心環境を作ってあげることが大事です。甲斐甲斐しく子どもの面倒を見る親が「良い親」と見なされる風潮もあるようですが、いつまでも親が子どもの世話をし続けますか?いつまでも親が世話をし続けるより、徐々に自立してくれた方が、親も自分の時間を作れたりして楽になるのです。わが子を成長させたいなら、子どものやる気を見つけてたくさん「ナイストライ」「ナイスチャレンジ」と声をかけてあげてください。西脇和治(にしわき・かずはる)一般社団法人エルソル / Elsol y TresTesoro代表社会において、自主自立した人間となれるよう支援、向上心を持って「考動する」人づくりなどのコンセプトを掲げ、ジュニア、ジュニアユースのクラブ運営、未就学児~小学生対象のスクール運営、親子の外遊び教室や保護者・指導者向け講演会を行うKid’s dreamプロジェクトなどの活動をしている。一般社団法人エルソル・エルソルKids dream プロジェクトJr、JrユースサッカークラブElsol y TresTesoro
2021年04月02日保護者は少年団にさまざまな「お当番」という形で関わります。リーダーとなった人は当番を公平に割り振らなければならず、受ける方もできるだけ手伝いたいと思っていても、家庭の事情などでどうしても断らなければならないときもあります。そんな際に「無理です」「できません」と突っぱねてはチームの空気も悪くなってしまいます。できない時はできないとカドを立てずうまくお断りをする「スキル」を身につけておくことも大事です。前回に引き続き、元テレビ朝日のアナウンサーでコミュニケーションインストラクターの渡辺由佳さんに教えていただきました。「なんで私がそんな言い方をしないといけないの」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、お子さんがチームを気に入っていてサッカーを続けたいなら、親も上手く立ち回ることも大事です。あくまで「スキル」なので、ぜひ今度から使ってみてください。(取材・文:前田陽子)■お願いするときの基本はクッション言葉と「いただけませんか?」保護者同士だけでなく、人にお願いをするときはまず「もしできれば」「申し訳ありませんが」「もしよろしければ」といったクッション言葉をつけるものですよね。特に職場などではそういった指示を受けてきた方が多いと思います。そして「~ください」を言わないことが大事なのだとか。「~ください」という言葉には丁寧語であると同時に、軽い命令の意図を含むためだそうです。「次回のコーチのお弁当を用意してください」はNGです。渡辺さんは、「実は『~ください』はある雑誌のアンケートで上司が部下から言われたくない言葉のTOP5に入っています。会社で1日中『ハンコをください』『会議室にお越しください』『●時までに資料に目を通しておいてください』とずっとくださいと言われていると、命令されているようでイヤだと答える方が多いんです」と教えてくれました。渡辺さんが講師を務めるビジネスコミュニケーションの場でも、「~ください」は使わないようにと教えているそうです。さらに、絶対にやってほしいことでも「見守りのお当番をお願いできますか?」「車を出していただけますか?」と丁寧に。最も丁寧に相手の意思を確認できるのが「車を出していただけませんか?」になります。場面や相手によって使い分けてもいいでしょう。何かを頼むときは前述の3つを守れば、「どうして私が命令されなければならないの」と相手を不快にすることはないのです。同じチームの保護者同士に上下はありません。自分のことを大事に思ってもらっている(尊重されている)と感じられ、そういう思いを持っていることが伝えられる言葉遣いを心がけることが大事だと教えてくれました。全ての人に100%効果があるものではないかもしれませんが、押し付けない、命令しない、相手に選んでもらえる選択肢があると、相手に引き受けてもらいやすくなります。■断るときはお詫びの言葉から。具体的な理由と代案の提示をするまた、失礼のない断り方として、お詫びの言葉から始めるのが良いそうです。送迎係を頼まれて「車がないから無理です」といきなり言わず、「申し訳ございません」とまずは手伝いたい気持ちはあることを表現します。そして、「家に車がないので」というように具体的な理由を続け、可能な限り代案を提示しましょう、と渡辺さんは言います。打診された当番に対応できないとしても、「車は出せないけれど、お茶当番ならできます」など、やる気を見せることが大事です。自分の子はほかの保護者のサポートを受けるのに自分はまったく関わりたくない、関わらずにいたいというの、はボランティアで運営されている少年団では好ましくありません。それぞれ家庭の事情などもあり、できることとできないことがあるので、役員さんにはそのあたりを考慮する度量を持つことも求められます。また、一度引き受けた当番が急に都合が悪くなったときも同様の対応をしましょう。ただし、一度は受けたことなので、自分が対応できなくても他の家族(夫など)にお願いするなどまずは家庭内で調整を検討する姿勢が大切です。それでもどうしてもできない場合は、それ相応の努力をしたことを含め、周りの方が納得できる理由を伝え、「この日は無理だけど、○日なら大丈夫です」など前向きで積極的な代案を用意してお断りをし、ほかの方にお願いしてもらうなどの交渉をするとカドが立ちません。■LINEで連絡するときは絵文字を使って柔らかく最近はチーム内の連絡もスマートフォンでやり取りされることが多いと思いますが、プライベートのメールとは違うので、どこまで砕けて良いものか、絵文字使用などを迷うこともあるのでは。「ビジネスではNGとされていることが多いと思いますが、プライベートの連絡では絵文字やスタンプを使うのが当たり前の世代ですよね。きちんと連絡事項が伝われば、保護者同士なのでサッカーの連絡の際には絵文字を使っていいと思います。お詫びのマークや水滴マーク、意思の強さを見せるエクスクラメーションマークなどを使うと、気持ちが伝わるやすくなって効果的だと思います」と渡辺さん。スタンプは送る側、受け取る側の性格にもよるので、使うときはよく考えて送るようにしましょう。スタンプだけでは軽く感じるので、きちんとした言葉があって最後に絵文字を入れるなどの配慮も必要です。頼まれたことを受けられますという返事ならOKのスタンプだけでもいい時もあるでしょう。結局は相手とのコミュニケーションなので、相手がどう感じるかを考えられることが大事なのです。■お願いごとは1対1ではなく全体に対して話す保護者間のやり取りは、1対1にするとプライベートな話になりがちなので、対面でもLINEでも全体に対して行うのが良いのだそうです。1対1ではカドが立ちがちな内容でも、全員に周知するというスタンスにするともめ事にならないからなのだとか。例えば送迎の際に車内マナーの改善をお願いしたいとき、メールやチームのSNSで伝える際に「すごく汚されて迷惑だという意見があります」と書いてしまうと、言っているのは誰か、汚しているのはどの子なのかと犯人捜しが始まってしまいますよね。そんな時は、誰かが言い出したからではなく「いつも送迎してくださる方に迷惑が掛からないように、車内マナーを徹底しましょう」、「こういう経緯でこのルールができました」と説明をするのではなく、ルールだけをバンと提示したほうが収まりやすいのだそう。「ルール○か条」などとして「車に乗るときは靴の汚れをはらう」「乗車時はよろしくお願いします」「降車時はありがとうございます」など、送迎時のルールを決めて子どもたちに徹底してしまったほうが問題も起きにくくなるのだそうです。「コロナの自粛もそうですが、日本人は個別に言われるとイヤなのにルールには従う傾向にあります。気になることを個別に注意するのではなく、全体のルールとして提示するといいですね」と渡辺さんは言います。ルールは感情を乗せずに文書化して渡したり、無機質にルールだけをLINEで流すのも保護者間の付き合いをうまくやる方法なのだと教えてくれました。「子どものサッカー」という共通項で知り合った、年齢も育ってきた環境も違う人たちとのつきあいは、学校や職場のつきあいとも異なりストレスを感じることもあるかと思います。イラっとして返した言葉で雰囲気が悪くなったり、ご自分が嫌な思いをするより、今回ご紹介したような、カドの立たないお願い、お断りの「スキル」を身につけて、チームの保護者、指導者とうまく付き合っていくことも、保護者間のやり取りは、1対1にするとプライベートな話になりがちなので、対面でもLINEでも全体に対して行うのが良いのだそうです。1対1ではカドが立ちがちな内容でも、全員に周知するというスタンスにするともめ事にならないからなのだとか。例えば送迎の際に車内マナーの改善をお願いしたいとき、メールやチームのSNSで伝える際に「すごく汚されて迷惑だという意見があります」と書いてしまうと、言っているのは誰か、汚しているのはどの子なのかと犯人捜しが始まってしまいますよね。そんな時は、誰かが言い出したからではなく「いつも送迎してくださる方に迷惑が掛からないように、車内マナーを徹底しましょう」、「こういう経緯でこのルールができました」と説明をするのではなく、ルールだけをバンと提示したほうが収まりやすいのだそう。「ルール○か条」などとして「車に乗るときは靴の汚れをはらう」「乗車時はよろしくお願いします」「降車時はありがとうございます」など、送迎時のルールを決めて子どもたちに徹底してしまったほうが問題も起きにくくなるのだそうです。「コロナの自粛もそうですが、日本人は個別に言われるとイヤなのにルールには従う傾向にあります。気になることを個別に注意するのではなく、全体のルールとして提示するといいですね」と渡辺さんは言います。ルールは感情を乗せずに文書化して渡したり、無機質にルールだけをLINEで流すのも保護者間の付き合いをうまくやる方法なのだと教えてくれました。「子どものサッカー」という共通項で知り合った、年齢も育ってきた環境も違う人たちとのつきあいは、学校や職場のつきあいとも異なりストレスを感じることもあるかと思います。イラっとして返した言葉で雰囲気が悪くなったり、ご自分が嫌な思いをするより、今回ご紹介したような、カドの立たないお願い、お断りの「スキル」を身につけて、チームの保護者、指導者とうまく付き合っていくことも、子どものサッカーで親がストレスをためないための方法です。ための方法です。渡辺由佳(わたなべ・ゆか)フリーアナウンサー。慶應義塾大学卒業後、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。「こんにちは2時」「ザ・ニュースキャスター」など、報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に同局を退社後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を開始。テレビ朝日アナウンサースクールなどで話し方講座を担当するほか、大学や企業でも講師を務める。著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)、『好かれる人が絶対しないモノの言い方』(日本実業出版社)などがある。
2021年03月23日子どもはチームを気にいっているけど、親の自分が面倒なお当番や古い習慣に付き合うのが嫌でサッカーをやめさせたい。または少年団に入ってほしくない、という保護者の声は少なくないもの。特にお当番制は保護者のストレスNo.1ともいわれています。地域の少年団などでは、保護者がボランティアで関わることが多々あります。試合会場への送迎や、練習の見守り、お昼の当番など団によってやることは様々ですが、当番を巡って親同士に亀裂が入り、子どもがサッカーを続けられなくなることもあるようです。子どもが大好きなサッカーを続けるために、普段の交友範囲にはいないタイプの親御さんとも表面上円滑に付き合うスキルを身につけるのも大人として大事なこと。あくまで「スキル」なので参考にして実践してみてください。会話における保護者同士の心がけなどについて、元テレビ朝日のアナウンサーでコミュニケーションインストラクターの渡辺由佳さんにお話をうかがいました。(取材・文:前田陽子)■保護者同士は礼儀を欠かず、深入りをしない。人の好き嫌いを口にしないが大前提少年団に関わらず、学校のPTAなど、子どもの学校生活に保護者のサポートは必要不可欠。何かあるごとに親たちが集まって話すことになります。現在は父親の参加も珍しくありませんが、まだまだ多くの場合、母親たちが参加することが多いかと思います。「子どもたちと同様、ママたちも自然とグループが出来上がります。そういったグループで誰かの悪口合戦になるのが一番良くないですね。組織社会でもグループでもそうですがどうしても声が大きな人になびいてしまいます。まずは人の好き嫌いを口にしないということを前提としましょう」と渡辺さん。「あの人の●●が気に入らない」「お当番をしてくれない」「気遣いが足りない」などということを話題にしないこと。グループでは自然発生的にリーダーが生まれますので、声の大きいリーダー格の方々には特に気を付けてほしいところです。■カドが立たない質問返し!「かわし術」を身に付けると気が楽になる「○○さんのことどう思う?」「ご主人何されているの?」「△△君はどこを受験するの?」など、答えにくいことや家庭の事情を詮索してくる人もいますよね。答えたくなくてもつい真面目に答えてしまうと、「□□だって」とあっという間にみんなに広まってしまい、不快な思いをしたことがある方も少なくないのでは?聞かれたことにすべて返事をするのではなく、かわす方法を身に付けることでそんなストレスがグッと減ると渡辺さんは教えてくれました。たとえばお子さんのことを聞かれた際は、「子どものことを外で話すとあの子に怒られちゃうの」と「言いたいけれど言えないんです」という意味を含んで言えばカドが立たないそう。上記のような言い方で「私が言いたくない訳ではないのだけど、言っちゃうと子どもがね......」というニュアンスが含まれると相手もそれ以上聞けなくなるのだとか。正論ではありますが、真正面から「そういうことを聞くのは失礼じゃない?」「どうして家庭の事を詮索なさるんですか?」などと言うと、人によっては亀裂が入って、関係性が悪くなり、時として自分が居心地悪くなってしまうことも。また、質問に質問で返すのも一案だそうです。「お子さんのテストの結果はどうだった?」との問いに「●●さんこそ、どうでしたか?」と返すような形式です。学生同士の会話の例になりますが、部活やサークルの春合宿に行きたくないと考えている時に「春合宿は来るの?」と聞かれて、相手が先輩だったりして「行きたくない」と素直に言えない状況なら「その前に追試が来そうで怖くて」などと「合宿に来る」と「追試が来る」というように、動詞にかけて主語を替えるという質問返しも有効なのだそうです。「かわす技は慣れないと難しいかもしれません。少年団のお母さん同士の会話では、聞かれる質問はだいたい想像がつくと思うので、事前にこう聞かれたらこう返そうと準備しておくといいのですね。かわし技とカドが立たない範囲の質問返しの術を考えておくと、気が楽になるのでは。会話の力があれば、多少の人間関係は乗り越えていけると考えています。人間関係を円滑にするにはのらりくらりとかわす術はどんな場面でも強いですよ」と渡辺さんはアドバイスを送ります。■話の中身と同時に顔の表情や声色が重要心理学の法則に「メラビアンの法則」というものがあります。話し手が相手に与える影響を数値化したもので、その伝達の割合は以下だと言われています。視覚情報:外見、しぐさ、表情など55%聴覚情報:話し方、声の大きさなど38%言語譲歩:言葉の意味、会話の内容7%それほど人の印象は外的なものが大きいとされています。自分が伝えたいことを的確に伝えるにはまず「お願いしたい」という顔の表情と、「あなたにお願いしたいんです」という音の調子が必要で、最後に言葉の中身が生きくるのだとか。「外見だけが大事ということではありませんが、人は外見から信頼を築いていきます。顔が見えなければ信頼もできず、話し方に自信がなさそうだったり発音が悪かったりすると説明が耳に入りません。伝えたいことが明確であればいいのではなく、表情や声色もメッセージを伝えるときには大切になります」と渡辺さん。これはスキルであり、顔の造形や服装は関係ありません。相手の目を見て、表情と声でお願いの気持ちを届けるのです。上手なお願いは後天的に身につけられるスキルなのです。ぜひ実践してみてください。■ママ同士、立場は平等であるべきだけれど年長者を敬うことも忘れずに「同じ年ごろの子どもを持つ親という立場は同じですが、若いお母さんが年上のお母さんと話すときは、最初は敬語にしましょう」と渡辺さんは言います。年上のお母さんから「同じママ同士だから敬語使わなくて良いよ」と言われて初めて言葉を崩すのが礼儀です。また若い人が最初から友達言葉で声をかけるのも、なかなか難しいものなので、年上のお母さんも若い人に寛容な心を持ちましょう。お母さんが他のお母さんの悪口を言うと、聞いていた子どもが悪口を言われている家庭を見下すようになります。子どものためにも悪口は言わない、上下関係を作らないこと。女性はついマウンティングをしがちです。子どもにマネをされないように自分の言動に注意しましょう。子どもたちがサッカーを楽しむためには、保護者同士がお互いを尊重し上手く関係性を築くことでチームの雰囲気をよくすることも大事です。よほど気が合う方は別として、ほとんどはプライベートまで深く付き合うことは無いのです。親御さんも疲れてしまわないよう、お願いの仕方やかわし術の「スキル」を使って楽しく子どものサッカーを応援しましょう。渡辺由佳(わたなべ・ゆか)フリーアナウンサー。慶應義塾大学卒業後、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。「こんにちは2時」「ザ・ニュースキャスター」など、報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に同局を退社後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を開始。テレビ朝日アナウンサースクールなどで話し方講座を担当するほか、大学や企業でも講師を務める。著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)、『好かれる人が絶対しないモノの言い方』(日本実業出版社)などがある。
2021年03月18日サッカーノートがいいことは知っているけれど、続かなかった...。というお子さんも多いと思います。新学期が始まるこの春から再チャレンジしてみませんか?ノートを渡したからと、誰でもがひとりで書けるものではありません。続けるために親ができるサポートを、サカイクサッカーノートの開発に携わったしつもんメンタルコーチの藤代圭一さんに話を聞きました。(取材・文:前田陽子)書くことが習慣化してくると自らたくさん書けるようになります。子どもの考えを知ったり、親子のコミュニケーションを深めるのにも役立ちますサカイクサッカーノートお得な12冊セットを期間限定で販売中!【3月18日19時まで】>>■自分の思考を整理するものだから自由に書いて楽しく続けるサッカーノートを自分から書きたいと思って、書くためにはノートの良さを実感できることが必要です。自分で立てた目標を振り返ると繰り返してきたことが、試合に生かせたと感じたり、本当に役になったという体験をすると、子どもたちは自分からノートを書こうという気持ちになれるのです。子どもの中には承認欲求が高く、最初のうちは、これを書くとほめてもらえる、見てもらえる、愛情をもらえるという感覚がモチベーションになる子も多いと藤代さんは教えてくれました。ですから、親御さんはノートを渡すだけでなく、声かけなどで関わってあげましょう。毎日10分間ノートを書く時間を決めて、その後5分間、親も一緒にノートを見ながら何を書いたのかを話し、その際「どうしてこう書いたの?」「どうしてそう思うの?」などと質問できると良いそうです。そして、5分たったら質問をスパッとやめるのだそう。時間を制限すれば親もストレスにならず、スケジューリングもしやすくなるからだと藤代さんは言います。習慣化するためには、サッカーノートを書く時間と場所を決めるのが良いそうです。練習に行く前に10分間、お風呂に入る前に10分間など、その時間になったらやると決め、そしてできれば親御さんも一緒にノートタイムにすると良いそうです。「私も今日の目標を考えよう」など、やりなさいではなく、一緒にやれば子どもも続けやすくなるそうなのでぜひ実践してみてください。■お友だちと一緒にやることで思考の幅がぐっと広がるノートを続けるためにはお友だちと一緒にノートを書くのもおすすめだそう。自分だけでも思考整理はある程度できますが、深く考え思考の幅を広げるためには他者の意見も欠かせないためだそうです。自分を知るためには振り返り+他者との関わりが大事なのです。他者との触れ合いの中で反射的に自分を知ることができます。「他の選手がうまくいかなかったと言っていることを聞いて、確かに自分も!と思うことがありますよね。そうすると、そういう視点で考えられるようになります」と藤代さん。そのベースとなるのが会話です。他者の意見を聞くことで多様性を知り、価値観が違う人と知り合うと、なぜこの選択をするんだろうと考えるようになりますよね。一度、自分で振り返った後は、他者の意見も取り入れやすくなるのだそうです。藤代さんからはこんなアドバイスも。「お友だちとはもちろん、チームみんなで一緒にノートを書けるといいですね。練習のプログラムに入れて練習前後にノートを書くことを習慣化できるとベストです。ノートで実現したいのは『自分で決断する』こと。サッカーはそういうスポーツです。ピッチの中で自分で決断できるように、ノートでたくさん練習をしてほしいと思っています」ノートで実現したいのは「自分で決断すること」だと開発に関わったしつもんメンタルコーチの藤代さんは言います。ピッチの中で決断することの練習になるのだそうです■自分で決断することで言動に責任が持てる大人になれる成長するにつれて、高校受験、大学受験など、子ども自身が決断しなければならないシチュエーションが増えていきます。その時に自分なりのベストな決断をするために、今から小さな決断をたくさんして決断の練習をしておくとよいそうです。自分で決断をすると、その決断について自分で責任が取れます。自分で選んだから失敗も引き受けることができますが、自分で選んでいないものは責任が負えません。練習試合、公式戦、セレクションなど、サッカーでもステージが上がれば上がるほど決断のレベルも上がって行きます。決断力はその過程で身に付けた自信があるから発揮できるもの。いきなり大舞台でいい判断はできません。子どもたちの決断は自分で選んでいるようで、大人が誘導したり、選ばせようしたりとしてしまうことが多いものです。「どうしてこっちを選ばないの!」とジャッジするのはNGです。親が決断して納得のいかない結果になった時、子どもは「お父さん/お母さんのせいだ」と他責になります。皆さんはお子さんを他責的な考えを持つ子にしたいですか?子どもの決断は子どもの責任です。失敗した時も「だから言ったじゃない」とダメ出しをするのではなく、子どもの決断を受け止め「じゃあどうすれば良かったと思う?」と声かけをしましょう、と藤代さんは言います。親は様々な選択肢を与えながらも、子どものどんな結論も受け止めるとい心構えで、子どもの決断を尊重してあげてください。子どもが自分で判断、行動をし、その責任を自分でとれるようになると、子育てがグッと楽になり、子どもとの関係もさらに強くなりますよ。これまでのサッカーノートでは続けることが難しかった子たちも、頭の中を整理して考えを書き出せる工夫が詰まったサカイクサッカーノートならきっと続けられるはず。そのためには前編でお伝えしたように、すべての項目に書けなくても良しとし、「10分だけやってみよう。よーい、はじめ!」などゲーム性を持たせたりして親御さんも楽しみながらサポートしてあげてください。これまではサッカーとが続かなかった子にも、サカイクサッカーノートのように自分の考えを整理して書きやすく工夫しているノートを用意して、ゲーム性を持たせたりしながら関わることで、毎日ガミガミ言い続けなくても、楽しみながら続けることで習慣になっていくはずです。サカイクサッカーノートお得な12冊セットを期間限定で販売中!【3月18日19時まで】>>藤代圭一(ふじしろ・けいいち)一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。全国優勝チームや日本代表選手など様々なジャンルのメンタルコーチをつとめる。2016年より全国各地に協会認定インストラクターを養成。その数は350名を超える。選手に「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意とする。新刊に「教えない指導」(東洋館出版)がある。「教えない指導」出版感謝企画 2つの特典紹介>>
2021年03月15日これからサッカーを始めようと思っている子には、シューズやウエアなどの道具の用意とともにサッカーノートも用意していただくことを勧めます。少しサッカーが上達してからでもいいのでは?低学年では早すぎない?と思っている方もいるかもしれませんが、サッカーノートは考える力をつけてくれるのでプレーの上達にもつながるのです。サッカーノートはサッカーの上達をサポートするもので、元日本代表の中村俊輔選手や本田圭佑選手なども子どものころから書いていました。サッカーノートをつけると、子どもにどんな変化があるのかを、サカイクサッカーノートの開発に携わったしつもんメンタルコーチの藤代圭一さんに話を聞いてみました。(取材・文:前田陽子)サッカーノートを書くことで思考が整理され上達につながるので、サッカーを始めた時からの習慣にしたいものサカイクサッカーノートお得な12冊セットを期間限定で販売中!【3月18日19時まで】>>■サカイクサッカーノートは質問に答えるだけで、自然とサッカーがうまくなるサッカーは自分でその場その場で考え、最善のプレイを選んでそれを実行するスポーツ。監督やコーチから「考えてプレイしろ」と言われることもたくさんあります。ですが、サッカーを始めたばかりで考える経験をしていない子どもにとって、ピッチで瞬時に考えてそれを表現するのは難しいものですよね。その練習のためにサッカーノートが役立ちます。「真新しいノートを一冊用意して、さあ書いてみよう!と思っても、何を書いていいかわからないですよね。サカイクサッカーノートには、質問という形式で書く項目が配置されているので、それに答えるだけ。サッカーを始めたばかりで初めてのノートという子どもにおすすめです」と藤代さんは言います。ノートは「どうしてサッカーをはじめましたか?」という質問から始まります。今の自分を書き出すページが用意されているのです。「サッカーを続けていくと好きで始めたのに、いろいろと評価をされることが増え、誰かから良く思われたい、うまくならなければだめだという感情が生まれ、サッカーをつまらなく感じる子が出てきます。サッカーを好きという気持ちを忘れてしまうんですね。振り返ったときにサッカーを始めた時の新鮮な気持ちを思い出してもらいたいという思いを込めて、最初にこの質問を用意しました」と藤代さんが開発の意図を教えてくれました。サッカーを続けていくと、先発に選ばれる、セレクションに受かるなど誰かに評価される場面も多くなり、サッカーが辛いと感じることも出てきます。ずっと続けるために"好き"は最強のモチベーション。その思いを忘れない工夫がされているのです。今日の「自分」を知るページ※拡大できます■振り返りと目標設定はセットで。練習の質が向上し、技術面でも上達するサッカーでは練習や試合ではたくさんの失敗と成功をします。練習や試合のたびにサッカーノートを使ってなぜ失敗したのか、どうして成功したのかを振り返ることを習慣化すると良いそうです。振り返りをしないと今日は運がなかった、たまたまうまくいっただけで終わってしまい、悪かったプレイを繰り返し、良かったプレイも再現できません。結果、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるというムラのある選手になってしまうのだと藤代さんは教えてくれました。振り返りをすると、うまくいったことも含めて次に生かすことができます。また人は悪いことを指摘されると何もやりたくなくなりますが、うまくいったことを見つけられるとできなかったことにも目を向けることができるもの。「適切な振り返りをすると気持ちに余裕が生まれ、視野が広がります。サカイクサッカーノートは最初にうまくいったことを探すことを質問として用意しているので、自然とその後に改善点にも気づけるはずです」と藤代さん。練習や試合が終わったらサッカーノートを書いて、次の練習や試合の前にそのノートを見返す習慣が大事です。前回どんなチャレンジをしたのか、どこがうまくいって、何がダメだったのかを整理せずに練習や試合をしても、目的がないままになってしまいます。練習や試合の課題を決めると集中力も高まり、やる気も出て、練習の質も高まり、いいプレイが出来るというサイクルが出来ます。そのためにどんな時にどんなことを感じたのかをノートを見て確認し、課題や目標を考えましょう。サッカーノートを書くことで思考の整理ができ、サッカーにより深く取り組めるようになるのですサッカーノートを書くことで、思考の整理ができると同時に、自分のことがわかります。人は周りの人のことは知ろうとしますが、自分を知ろうとはなかなかしません。特に低学年の子どもでは、普段からご家庭でそのような習慣があればできるかもしれませんが、ほとんどの子はそういった意識はしていないでしょう。自分のことを客観的に振り返ることで頭の中が整理され、新たなチャレンジに向かうことができるようになるのです。■完璧に記入しなくても大丈夫。三日坊主でも継続できればOK練習や試合の後、毎回ノートに記入する習慣ができるのが理想です。そういう習慣になってほしいと願う親御さんも多いでしょう。サッカーノートを使うことで自分がなりたい姿と現在のギャップを感じられ、自分がなりたい姿になるためにどうすればいいか考えて、努力することができます。ですが、ノートを書くことが子どもにとってやらされている、やらなければいけない事(=義務)になると続けられません。「連続と継続は違います。親御さんは連続365日やってほしいと思っていると思いますが、1週間に3日しか書かないけれど、翌週また3日間と三日坊主を繰り返して、1年間続けられればそれでもいいと思います。子どもには日々新しい好奇心が芽生えていきます。その中でやるべき理由がよくわからないものを続けるのは無理なこと。完璧にやろうとせず、1日10分だけなどと時間を区切って、時間内に書けた分だけをやるのでも十分です」と藤代さんが続けるコツを教えてくれました。時間を区切るのは、そうすることで「ここまで書こう」と言うよりゲーム性が生まれるためだそうです。10分間で書けたところまでとして良いのだとか。1日目はたいして書けなくても、続けていくと書ける分量も増えていきます。時間を区切ると集中力もUPするそう。サカイクサッカーノートには、楽しく続けれるようにいろいろな工夫がされていますが、取り組み方にゲーム性を加えるとより継続しやすくなるということです。楽しくサッカーを続けることが何より大切ですが、「何となく」続けるのと常に自分の現在地を知り、思考しながら続けるのでは、取り組みの深さもコーチの指示の理解も変わってくるもの。いきなり真っ白いノートを渡しても、子どもたちが自ら書き出すのは難しいので、思考を引き出すガイドがたくさん仕掛けられたサカイクサッカーノートを使って、お子さんの上手くなりたいをサポートしてみませんか。サカイクサッカーノートお得な12冊セットを期間限定で販売中!【3月18日19時まで】>>藤代圭一(ふじしろ・けいいち)一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。全国優勝チームや日本代表選手など様々なジャンルのメンタルコーチをつとめる。2016年より全国各地に協会認定インストラクターを養成。その数は350名を超える。選手に「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意とする。新刊に「教えない指導」(東洋館出版)がある。「教えない指導」出版感謝企画 2つの特典紹介>>
2021年03月04日子どもも大人も疲労回復のためには良質な睡眠をとる事が大事です。そして良質な睡眠をとるためには何と言ってもお風呂が欠かせません。毎日の習慣なので特にこだわりなく済ませる方も多いかもしれませんが、お風呂の入り方ひとつで睡眠の質が変わって来るのです。しっかり疲労回復をして元気にサッカーをするためにも「正しい入浴法」を習慣にしませんか。前回は、入浴と睡眠の効果についてお話しを聞きましたが、今回は正しい入浴の方法を日本健康開発財団の温泉医科学研究所所長で東京都市大学人間科学部教授の医師・博士の早坂信哉さんに教えていただきました。すぐにできることばかりなので、今夜から実践してみてください。(取材・文:前田陽子)入浴剤も疲労回復効果があります。炭酸系は筋肉疲労に効くそうなので、サッカー少年少女におすすめです<<前編:最近の子どもたちは疲れている!?元気にサッカーするために知っておきたい、疲労回復効果を上げる「正しい入浴と睡眠」の知識■40℃のお湯に10分が基本、汗が出たらいったん湯から上がる正しい入浴のポイントは温度と時間だと早坂さんは言います。温度が表示される機能がある場合は小学校高学年であれば大人と同じ40℃に10分程度入浴するが良いとの事です。40℃で熱いと感じるなら38℃ぐらいに設定しても問題ないそうですが、それより低くなると温熱作用(※)が得られなくなってしまうのだそうです。※温熱作用とはお湯に浸かり体があたたまること。温熱作用により皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がり、血流が良くなる。それにより体内の老廃物や疲労物質の除去、コリがほぐれ疲れが取れる。逆に42℃以上では交感神経が刺激されて良質な睡眠につながらなくなるため、熱くても40℃までにしたほうが良いのだとか。お風呂に浸かるときは全身浴が良いそうです。美容やスタイルキープのために半身浴などが良いと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、半身浴は心臓など身体にかかる負担が少ないので全身浴より長時間入っていることができるだけで、ダイエット効果などは無く、体温を上げるためには全身浴の方が手っ取り早く効果的なのだそうです。湯船には10分間連続で浸かっている必要なはく、汗が出たらいったん湯船から上がってもいいのだと早坂さんは言います。湯船に入る、出るを繰り返し、トータルで10分浸かっていれば温熱効果は十分得られるのだと教えてくれました。■入浴中は500~800mlの水分が失われる!入浴「前」も水分補給の習慣をまた、入浴によって失われる水分は500~800㎖と言われているので、入浴前と後に必ず水分補給をした方が良いとアドバイスをいただきました。飲み物は水でもいいそうですが、ミネラル分を含む麦茶、タンパク質を含む牛乳、イオン飲料などでも大丈夫だそうです。それらの水分をコップ1~2杯摂取することで脱水を防ぐのだそうです。脱水予防として「入浴前」の水分補給も大事なのです。夕食はできれば入浴の1時間前までに済ませておくと良いのだそうです。お風呂の水圧で胃腸にかかる負担が軽減されるのと、入浴することで血液の分布が皮膚表面に移ってしまうと、胃腸に行く血液の量が減って消化が悪くなるためだそうです。可能な限り食後、入浴するまでの時間を空けるようにしましょう。前編でもお伝えしましたが、入浴後は、温熱効果を持続させると同時に、睡眠に向かうためにある程度体温が下がることが必要です。ですが、扇風機やクーラーなどで急速に体温を下げてしまうと、せっかく得た温熱効果が失われてしまうことになるので、自然と体温が下がってくるのを待った方がよいのだそうです。■入浴剤は積極的に使いましょう。炭酸系なら疲労回復に効果も「入浴剤は温熱効果を高め、塩素を除去する効果もあるので使うことをおすすめします」と早坂さん。疲労回復には炭酸系がおすすめだそうです。炭酸の効果でぬるめのお湯でも血管を広げて、血流を良くしてくれるためだと教えてくれました。アトピーの子なら保湿系のものを利用するのも良いのでは、との事です。入浴後、保湿クリームやアトピー性皮膚炎の薬などを塗るなら、皮膚が乾燥する前の入浴後10分以内に行うのが良いそうです。お風呂の中では、マッサージやストレッチも疲労回復の助けになります。足首から膝にかけてなど下(末端)から上(体の中心)に向かって血流を促すようにやさしくマッサージするのが効果的です。低学年の子どもではうまくできないかもしれませんが、足をもむだけでも効果はあるそうですので、身体が温まった、入浴後に親子で一緒に行うのもいいのではないでしょうか。■試合後の強い疲労には温冷交代浴も効果あり試合後など、特に疲れを感じるときには温冷交代浴を試してみるといいかもしれません。多くのトップアスリートが疲労回復を目的に行っている入浴法で、文字通り温かい湯船と冷たい湯船に交互に入る方法です。家庭で実践する際は、40℃に3分、ヒヤッと感じる冷たい25℃ほどのシャワー1分を3回繰り返すと温冷交代浴の代わりになるそうです。最後は40℃の湯に3分入浴したら上がります。「インターネットなどでは、最後を冷水にする例が掲載されていますが、それでは温熱効果を得られないので、最後は40℃にしてください」と早坂さん。また、ケガ予防などのために試合の2日前に熱いお風呂に入る、ヒートショックプロテインを増やすという入浴方法もあるのだそうです。・42℃に10分・41℃に15分・40℃に20分(炭酸系入浴剤の併用で15分)いずれかの方法で入浴することで、ヒートショックプロテインと呼ばれる身体を守るタンパク質を生成するのだそうです。体温を1.5度くらい上げることで自身を守るために特殊なタンパク質が作られるという入浴法なのだとか。筋肉の障害を抑える効果や傷を修復する作用などがあり、試合でのパフォーマンスを上げることが期待できるのだと早坂さんは教えてくれました。この入浴法を実践しているアスリートもいるようです。ただし、この入浴法は身体への負荷も強いので、のぼせに注意が必要なことと、毎日行っていては効果が悪くなるそうなので、ここぞという試合の前限定で行ってみるといいかもしれません。正しい入浴方法・40℃にトータル10分入浴する・入浴の前後で水分補給をする・炭酸系入浴剤を使うと疲労回復の手助けになる・入浴中のマッサージやストレッチも効果あり毎日のお風呂の入り方ひとつで疲労回復やパフォーマンスが変わってくるのです。元気な毎日を過ごすためにも、サッカーを思い切り楽しむためにも、今日からできることをみなさんも実践してみませんか。早坂信哉(はやさか・しんや)東京都市大学教授/ 博士(医学)、温泉療法専門医大学医学部卒業後、1998年より自治医科大学大学院医学研究科にて入浴に関する調査研究を開始。現在は東京都市大学人間科学部教授東京都市大学大学院総合理工学研究科教授、総合研究所子ども家庭福祉研究センター長を務める傍ら企業等との協働や講演活動も行っている。テレビ、雑誌など各種メディア出演も多数。著書に「たった1℃が体を変えるほんとうに健康になる入浴法」(KADOKAWA)、入浴検定 公式テキスト お風呂の「正しい入り方」(日本入浴協会)、「最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案」(大和書房)がある。
2021年02月15日あなたのお子さん、疲れていませんか?毎日しっかり疲労回復できていますか?子どもは元気なもの、学校やサッカーで疲れても一晩眠ればシャキッと元気に起きてくるもの。と思っている親御さんも多いかもしれません。ですが、学校にサッカーに、ほかの習い事や友達との遊ぶ時間など何かと忙しい現代の子どもたち。睡眠時間はしっかりとっているつもりでも、じつは良質な睡眠がとれていなくてしっかり疲労回復していない可能性も。疲れを回復させ良質な睡眠をとるために入浴は欠かせませんが、毎日の習慣とはいえ正しく入浴ができていない人も多いようです。入浴は疲労回復はもちろん免疫力アップにも効果があります。良質な睡眠につなげ、疲労を回復するための入浴について日本健康開発財団の温泉医科学研究所所長で東京都市大学人間科学部教授の医師・博士の早坂信哉さんにお話しを聞きました。(取材・文:前田陽子)入浴は疲労回復効果があります(写真は2017年夏のサカイクキャンプより)■入浴は疲労回復に効く!血流が良くなることで免疫力アップにもサッカーをはじめ、スポーツをする人たちの疲労は筋肉系の損傷が要因のことが多いと思います。筋肉痛の原因は疲労物質がたまることと、筋肉が細かく断裂して筋肉に傷がつくことで、いずれの場合も「入浴によって改善が促進される」と早坂さんは言います。疲労回復には必要なのは、正しい入浴と質のいい睡眠です。早坂さんはどちらかだけでは効果が減ってしまうので、セットで考えるのが良いと教えてくれました。湯船につかり身体を温めることで血管が拡げられ、血流が良くなります。血流が良くなることで疲労回復のために必要な酸素や栄養分を運んだり、いらなくなった老廃物を除去したりしてくれるのだそうです。血流を良くするために一番簡単な方法が入浴なのです。さらに血流が良くなると、免疫力もアップすると早坂さんは言います。骨髄などで作られた免疫細胞は、体内をパトロールしリンパ節で働き、免疫細胞も血液の流れで移動するので、血流が良くなることは免疫力アップにとても大事なポイントなのだと教えてくれました。また、入浴によって唾液の中のIgAというウィルスをやっつける抗体が増えるという研究もあるのだそうです。浴室で湯気を吸うことによって鼻の中の線毛細胞の動きも活発になるのだとか。線毛細胞は異物を外に出すも働きをするので、ウィルスが侵入する入口に近い部分を強化できるというのは風邪などの予防に重要ということなのだそう。入浴のタイミングは、寝る1時間30分から2時間前がおすすめだそうです。睡眠に入るためには「体温を上げて、下げる」必要があり、それにかかる時間から逆算すると、1時間30分から2時間前という事になるのだとか。良い睡眠をとるために、ぜひ入浴のタイミングも意識してみてほしいものです。■良質な睡眠のためには室内温度も大事子どもたちを良質な睡眠にいざなうために大事なのは「まずは家を静かにすること。親がテレビを見ているのに子どもに寝なさいと言っても寝ないですよね」と早坂さん。家全体が寝るモードになることが必要で、そのためには、テレビや電気を消して静かに過ごすことが大事だとアドバイスをいただきました。さらに、室温を暑すぎず、寒すぎない温度を保つことも良質な睡眠のために重要なのだとか。「室温は18℃が目安です。冷えた空気を吸うと眠りは浅くなってしまうので、いくら布団の中が温かくてもダメ。寝ている間に冷たい空気に触れると交感神経が刺激されてしまい眠りが浅くなると考えられます。寒いと睡眠の質が悪くなるので、ヒーターなどを使って室温を18℃以上にキープしましょう」また、眠りに入るためには、入浴によって温まった体温が下がることが必要ですので、電気毛布などを使うのも良くないのだそうです。電気毛布を使用すると体温が下がりにくくなってしまうからなのだそう。寒くて寝付けないので布団を温めたいなら、湯たんぽを使うのがおすすめだと早坂さんは言います。湯たんぽは自然に冷えていくので入眠の妨げにならないためなのだそうです。足が冷たいからと靴下を履いて寝る方もいらっしゃると思いますが、布団に入るときには脱いだ方が良いそうです。手の平や足裏から放熱することで、体温が下がっていくことで入眠するので、履いたままだと足先から熱が放出されず、良質な睡眠がとれないためです。足元が冷たいのが気になる方は、湯たんぽなどでふとんの表面を温めて、靴下を脱いでふとんに入りましょう。<疲労回復のポイント>・入浴と睡眠のセットで疲労は回復する・入浴は寝る1時間30分から2時間前に・寝室の温度は18℃以上を朝までキープ後編では、正しい入浴時間やサッカー少年たちにおすすめの入浴剤の効果などをお送りします。早坂信哉(はやさか・しんや)東京都市大学教授/ 博士(医学)、温泉療法専門医大学医学部卒業後、1998年より自治医科大学大学院医学研究科にて入浴に関する調査研究を開始。現在は東京都市大学人間科学部教授東京都市大学大学院総合理工学研究科教授、総合研究所子ども家庭福祉研究センター長を務める傍ら企業等との協働や講演活動も行っている。テレビ、雑誌など各種メディア出演も多数。著書に「たった1℃が体を変えるほんとうに健康になる入浴法」(KADOKAWA)、入浴検定 公式テキスト お風呂の「正しい入り方」(日本入浴協会)、「最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案」(大和書房)がある。
2021年02月04日元AKB48で女優の前田敦子さん(29)と俳優で夫の勝地涼さん(34)が離婚協議に入ったことがサンケイスポーツで報じられ、世間を賑わせています。前田さんといえば“不動のセンター”と呼ばれ、”神7”の中で1番早くに結婚と妊娠を発表した人物でもあります。常にAKBのアイコン的な存在であり、アイドルとしての先陣を切り続けてきた前田さん。離婚というチャレンジも1番最初にするとは……。とはいえ、ニュースを読んだ人のリアクションの多くは「すると思っていた」「逆にやっとなんだ」「2年は持ちこたえたほうだと思う」と比較的想定内といった声が大きいのも特徴です。正直筆者も結婚当初から不穏な未来を若干予想していましたが、そもそもプライベートをまったく知らない一般人の外野すら離婚を予想する夫婦ってそういません。人は一体どこに、離婚しそうな空気を感じるのでしょう。■スピード婚×情緒×実家関係そもそもスピード婚と離婚率は連動しているとのこと。交際1年未満で結婚したカップルは3年以上交際した上で結婚したカップルよりも離婚率は39%高く、交際1~2年のカップルよりも20%高いことがアメリカのエモリー大学の研究で明らかになっています。前田さんと勝地さんは交際期間4カ月ということで、そもそも結婚報道時から「早すぎでは」という声が漏れていました。その上で他の要素をみていくと、前田さんのイメージや前評判にも離婚を想起させる要素が2つほどあったのかもしれません。・情緒的なイメージ前田さんといえば、AKB在籍時代からやや感情的で情緒的な性格であることが報じられていました。たとえば卒業直後に泥酔して泣きじゃくり、俳優の佐藤健さんにお姫様だっこをされたこと。昨年夏には前田さんが自宅近くで癇癪を起こし、勝地さんがなだめるといったシーンがスクープされています。それぞれ起きた原因はどうあれ、前田さんは気持ちが高まると感情的になるというイメージは周知されていました。この感情のアップダウンと子育ての大変さが相まって、「離婚を決めてしまうのでは……」と当初から多くの人に思わせていたかもしれません。・母親と仲良しすぎる前田さんは母親と非常に仲が良いと言われていました。出産後も一時期は同じマンションに家族を呼び寄せ、サポートを頼むなどの濃い関係性が築かれていたようです。一般的に、育児を実家がサポートしてくれる体制はありがたいこと。しかし同時に実家が子ども(今回であれば前田さん)と近すぎると、家の中には夫婦と実家という2つの判断軸が生まれることに。今回であれば、勝地さん側は難しい立場に置かれることとなります。常に2つの判断軸があると例えば何か意見が別れた際、多数決で実家側の意見が通ることが多くなりがち。その結果、夫婦の関係がギクシャクすることもあるのです。前田さんと勝地さんの実際の関係はわかりませんが、報道によると勝地さんが前田さんに合わせる形で生活が成り立っていたようです。その苦労も、かなりのものだったのかもしれません。現時点では協議に入ったとの報道ですし、記事内で前田さんの事務所は「事実ではありません」と否定。勝地さんの事務所は「聞いていない」と答えているとのこと。まだ離婚が成立しているわけでもありません。果たして、これからどうなるのでしょうか。■離婚してもイメージダウンのない不思議さそんな「離婚しても仕方ないかもね~」というイメージを抱かせている前田さん。興味深いのは今回の離婚協議報道やその前の夫婦不仲報道が出ても、前田さんのイメージがあまり落ちていない点です。なぜだろうと考えてみると、そもそもアイドル時代からあっちゃんのセンターとしての魅力は“今にも倒れそうな必死さや危うさ”。めちゃくちゃ輝いているのに、どこか影を感じる奥深さだったからかもしれません。今後も主演映画が控えている前田さん。離婚してもしなくても、らしさをより輝かせてほしいもの。でも同時に、情緒の激しさはちょっと心配もしちゃう……。ただ結局、この心配させちゃうほどの要素が“あっちゃんの魅力”なのかもしれません。(文:おおしまりえ)
2021年01月31日「私、本当は何がしたいのかな?」働いていれば誰だって、一度は考えたことがあるはず。アナウンサーとして活躍していた前田有紀さんも悩みを抱える一人だった。「仕事はやりがいもありましたが、5年ほど過ぎてから迷いが生じてきて。自分が夢中になれることを見つけようと必死でした」彼女を変えたのは、スーパーのレジ横で何気なく購入した花。「玄関に花を飾ったら、空間がパッと明るくなり、疲れて帰った時にすごく癒されて。もっと植物と触れ合う時間が持てたらと考えるようになりました。その気持ちが強くなり、花にまつわる仕事がしたいと思うように。会社を辞めることは人生のレールから外れる気がしてなかなか決断できませんでしたが、不安よりも好奇心が上回り、転職を決意したんです」会社を辞め、イギリスのガーデナーの下でインターンを経験。「想像以上に重労働で、毎日泥だらけになっていました。少し前までは身なりをきちんと整えて、カメラの前に立っていたのに、すごい変わりようですよね」周りの目も気にせず、植物に触れていると心が満たされていたという。修業を経て、帰国後は自由が丘にある生花店に就職した。「会社員を10年間やっていたので、世の中のことを知っているつもりでしたが、レジ打ちも梱包もまともにできなくて。でも、日々植物に囲まれ、気持ちはとても前向きでした。また、店に立っていると、想像以上に、限られた人しか花を買わないということもわかって。特別な日だけじゃなく、もっと日常で自然の息遣いを感じられる暮らしを多くの人に楽しんでもらいたいと思うようになりました」約2年半、勤務した後、独立。“都会の暮らしをもっと花と緑に溢れたものにすること”をテーマにオリジナルブランド『gui』を立ち上げた。店舗は持たず、オンラインで注文を受け、フラワーロスを抑えながら、花や緑のある暮らしを提案。また、カフェやアパレルブランドなどに積極的にポップアップショップを出店するなど、植物と触れる機会の少ない人にも出合いの場を創出している。転職後、着実にキャリアを進めてきた前田さんだが、起業する時には大きな葛藤もあった。「当時、妊娠していたので、“子育てしながら会社の経営なんて難しいんじゃない?”と、周囲から心配されました。でも、やってみなきゃわからないと思ったし、事実、大変なことはあったけれど、周りに助けてもらいながらできたこともたくさんありました」やりたいことを叶えるためには、周りの人に助けを求める姿勢も大切だと気づいたという。「昔は“できない”と言えなかったんです。今思えば、会社員の時は受け身で仕事をしていたし、周りの目が気になって、選択肢も消極的になっていたと思います。でも、好きなことを見つけてからは、人生の舵を切るのは自分しかいないと思えるようになり、やりたいことがクリアになって、すごく強くなったと思います」順調に仕事も増えていったが、コロナ禍の影響も受けたという。「イベントの装花の案件はほぼなくなってしまいました。そんな時、花を出荷しても値段がつかないと困っている農家さんもいると知って。もともと関心があった“農家さんの花の直送サービス”をスタートすることに。購入してくださる方が徐々に増え、新たな手応えを感じました」また、花の農家を取材し、記事を執筆したり、農園の人とインスタライブをして、花作りの現場を伝える取り組みも行っている。「どういう人がどういう環境で育てているのか、フラワーロスの実情など、知られていないことがこの業界にはたくさんあって。メディアの世界にいた私だからできることがあると思っています」花を飾る提案以外にも、花を使ったアクセサリーを作ったり、廃棄寸前の植物を活用してドレスを製作するなど表現の幅も広げる。「全く違う業界から入ってきたので、“花屋さんってこうだよね”っていう常識に縛られずに活動していきたいなと思います」HISTORY22歳:テレビ局入社。アナウンサーとして多くの番組で活躍。スポーツ番組を中心に担当。現場に出向いて、直接話を聞き、感じたことを自分の言葉で伝える大切さを学んだ。25歳:家に花を飾り、植物のある暮らしの心地よさに開眼。深夜に帰宅することも多く、不規則だった会社員時代。スーパーで購入した花に癒されている自分に気づく。32歳:会社を退職後、イギリスのガーデナーの下で修業。コッツウォルズでホームステイをしながら、中世の古城で庭を管理するガーデナーの下で下働き。泥だらけになりながらも花の仕事が好きだと再確認。33歳:自由が丘の生花店に勤務。店舗に立ちつつ基礎を学ぶ。店頭に立ち、花屋の仕事を基礎から学ぶ。「不慣れなため、怒られることもありましたが(笑)、できることが一つずつ増えていき、充実していました」34歳:花屋の仕事を応援してくれていた彼と結婚。大学の同級生とパートナーとして歩むことに。36歳:初めての子供を妊娠。生花店を退職し、独立。妊娠がわかり、花屋を退職して独立。起業し、ブーケや祝い花など個人向けのオーダーを中心に受ける。37歳:オリジナルフラワーブランド『gui』を立ち上げる。自身のフラワーブランドをスタート。育児と両立しながら商業施設のイベントの作品提供や企業コラボなどを行う。39歳:オンラインサイトで農家の花の直送サービスを強化。コロナ禍の影響で花を出荷できない農家を支援するため、直送サービスを強化。全国から多くのオーダーを受ける。まえだ・ゆき1981年生まれ、神奈川県出身。2003年、テレビ朝日入局。2013年に退社し、イギリスで見習いガーデナーとして修業。帰国後、都内の生花店に勤務し、独立。オリジナルブランド『gui』を立ち上げ、草花の魅力をさまざまな角度から発信中。※『anan』2021年1月13日号より。写真・大内香織取材、文・浦本真梨子(by anan編集部)
2021年01月07日医師として休めない日々を送る池袋大谷クリニックの大谷義夫院長。前編では免疫力のお話をうかがいました。私たちの家庭でもすぐできる、先生が実践している生活様式や、最近子どもたちの間にも増えている「喘息」について呼吸器の専門家である院長に予防策などを教えていただいたのでご紹介します。サッカー少年にも多い喘息。なるべく発症しないよう、家庭でできる対策とは?写真は少年サッカーのイメージ<<前編:風邪、インフルエンザ流行前に知っておきたい、免疫力キープの方法■ウィルス対策には喉のケア、部屋の湿度が重要前編でお伝えしたように免疫力とは、ウィルスなどの病原体を身体の中に入れないために防御する力です。免疫力があるから、風邪のウィルスを撃退するために扁桃腺が腫れるのです。免疫力が低下するとウィルスが気道の奥まで侵入して肺炎を生じてしまうリスクもあるのです。喉の免疫を保つために重要なのは喉を潤す事。そのために室内は50~60%の湿度を保つといいのだそう。喉の線毛の働きが良くなり、ウィルスを排出しやすくなります。また、ウィルスをエアロゾル化しにくくなるので、長く浮遊せず、飛沫も小さくなりません。湿度を保つことで、喉の免疫に有利な状況が作れるのです。また、喉の乾燥予防に飴をなめたり、水分を取ることも効果的だそうです。■歯磨きは毎食後+寝る前、朝食前で1日4回以上。口腔ケアも大事また、口腔ケアも大事なポイントなのだそう。毎食後はもちろん、寝る前と朝起きて朝食の前にも歯磨きをすることで口腔内から細菌を追い出すことができるそうです。中でも大切なのは寝る前なのだと大谷院長は言います。夜間は唾液が減って細菌が増えるので、口の中の細菌を減らすことがポイントなのだとか。それでも朝には細菌が増えているので、朝起きてからの歯磨きも習慣にしてほしいとも提唱します。さらに、ビタミンD値を保つために、日光に当たることも大切なのだとか。子どもたちは通学時間などで十分日光を浴びる時間がありますが、大人も散歩などで日光浴をしましょう。■風邪は喘息の天敵!喘息の子は治療を続けることこの50年ほどで喘息患者は増加しています。今では咳だけでの喘息である咳喘息を含めた喘息有病率は、全人口の10%と言われているそうです。喘息の子にとって特にこの時期は注意が必要です。今年は新型コロナウイルスの感染予防策として常にマスクを付けているため、喉の湿度が保たれるのか、喘息の発作が出にくくなっているようですが、体調がいいなどといって、治療をやめてしまわないことだと大谷院長は言います。喘息発作のリスクも上がるので予防薬は続けることが大切なのだそうです。喘息の発作の原因は、風邪、寒さ・寒暖差、ホコリ、疲労・ストレスなど多岐にわたります。風邪から喘息に移行、という経験を持つ方も少なくないのでは。喘息の発症を抑えるためにも風邪をひかない体調管理が大事と言えるのです。家の中でできる注意として、冬場は脱衣所やトイレなど家の中でも寒暖差が激しくなると、発作のキッカケになりますので、可能であれば家の中のどの場所も温度を一定にできると良いそうです。また、小児喘息の2/3は治りますが、1/3は大人の喘息にそのまま移行。いったん治っても大人になって再発するケースもたくさんあるのだとか。そして大人の喘息は完治できるのは2割程度で、多くの人にとって喘息は治らない病気なのだそう。咳が続くのは苦しいので喘息はできれば発症しないか、症状が軽く済んでほしいもの。ですので、今年の冬は体調管理や寒暖差など、出来る範囲の対策をして予防に努めましょう。今年は咳が出たら新型コロナウィルスを疑うことになります。PCRで陰性にならないと診察もできないので、出来る限りの予防をすること。咳の予防のためにも治療を続けることが大前提です。大谷義夫(おおたに・よしお)医学博士、池袋大谷クリニック院長東京医科歯科大学第一内科、呼吸器科、睡眠制御学講座において21年にわたり内科疾患、呼吸器疾患、アレルギー疾患、睡眠医療に従事。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。2009年に東京医科歯科大学呼吸器内科兼睡眠制御学講座准教授就任。呼吸器内科の専門医として2009年に呼吸器とアレルギー領域の診療に特化した池袋大谷クリニックを開院。「絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理」「疲れやすい、痩せにくいは呼吸が原因だった」など著書多数。テレビなどのメディアでも呼吸器内科の専門家として医学的知見からアドバイスを送っている。(取材・文:前田陽子)
2020年12月17日12月に入り、風邪やインフルエンザが気になるようになりました。今年はさらに新型コロナウィルスもあり、免疫力への関心が高まっています。そこで、呼吸器内科のスペシャリストである池袋大谷クリニックの大谷義夫院長に免疫力のために何をしたらいいのかを聞きました。写真は少年サッカーのイメージ■これからの季節、まずインフルエンザの予防接種を医師である大谷先生は、たくさんの患者さんのために毎日診察にあたっています。そのため、自らが風邪をひいて診療ができなくなっては困ると、様々な体調管理を行っています。特に今年は風邪やインフルエンザに加え、新型コロナウィルの感染予防対策を取った生活をする必要がありますよね。読者の皆さん、お子さんたちに向けたアドバイスをいただきました。これからの時期、どうしても増える風邪やインフルエンザの予防についてお伺いすると、大谷先生は「インフルエンザの予防接種が基本のき」と答えます。例年と異なり、今年は発熱すると新型コロナウィルスを疑い、PCR検査となることもあります。そうすると、風邪やインフルエンザであっても、かかりつけの医者に診てもらえないこともあります。完全に予防することは難しいものですが、体調管理に注意して、かかっても重症化しないよう気を付けることはできます。そのため、まずはインフルエンザのリスクを減らすために予防接種をしておくとよいのだそうです。■免疫力とはそもそもどんな機能なのかマスク、手洗い、消毒に加え、入ってきてしまったウィルスを退治するために免疫を高めることが不可欠です。風邪やインフルエンザ予防でもよく聞かれる「免疫力」とは、ウィルスなどの病原体の侵入や増殖を防ぐ力のことで、じつは身長や体重のように明確に測定できるものではないそうです。この免疫力が下がることで病気が重症化しやすくなるので、体調管理のためには生活習慣などに注意して免疫を維持することが大事なのです。■免疫力をアップするには好きなことを楽しくすることがいい免疫力をアップ、維持するに必要なのはまず睡眠です。大人の睡眠では7時間睡眠に比べて、6時間を切ると風邪の引きやすさが4.2倍になるそうで、先生もそれについて書かれた論文を読んでから睡眠を6時間以上取ることを厳守されているそうです。必要な睡眠時間には個人差もあるので明確な基準や根拠はないのですが、目安として小学生年代は9~11時間程度の睡眠をとる事が推奨されていることが多いようです。さらに15分~30分のお昼寝をすると午後のパフォーマンスを上げることができます。寝ることができなければ、目をつむって脳を休めるだけでもOKだそうです。次に大切なのは食事。3食きちんと食べる事が大事です。どうしてもご飯や麺などの摂取が多くなりがちですが、炭水化物に偏ることなく、たんぱく質もしっかりと摂取してください。バランス良く食べることが大事で、炭水化物を避けるのも良くありません。ヨーグルトなど乳酸菌を摂って腸内環境を整えることも、免疫力アップが期待できる方法のひとつだそうです。そして適度な運動と、ストレスをためないこと。適度な運動の量は、人それぞれです。普段から運動をしている方にとっては15~20分のジョギングは適度な運動かもしれませんが、全く運動習慣がない方にとっては負荷が大きく適度とは言えないので、注意してください。ストレスをためないためには、好きなことをするのが一番。「楽しむことでさまざまな免疫細胞値が上がることがわかっています」と大谷先生。■免疫力キープのための4つのポイント・睡眠をしっかりとる・バランスの取れた食事・適度な運動・ストレスをためないサッカーが大好きな子どもたちにとっては、サッカーをするのが一番のストレス解消かもしれませんが、激しい運動をすると免疫力が下がることも確認されているので、サッカーの後はバランスのいい食事をして、たっぷりと睡眠をとるようにして、冬場の体調管理に努めましょう。後編では呼吸器の専門家でもある大谷院長に、喘息についてお話を伺いましたのでお楽しみに。大谷義夫(おおたに・よしお)医学博士、池袋大谷クリニック院長東京医科歯科大学第一内科、呼吸器科、睡眠制御学講座において21年にわたり内科疾患、呼吸器疾患、アレルギー疾患、睡眠医療に従事。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。2009年に東京医科歯科大学呼吸器内科兼睡眠制御学講座准教授就任。呼吸器内科の専門医として2009年に呼吸器とアレルギー領域の診療に特化した池袋大谷クリニックを開院。「絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理」「疲れやすい、痩せにくいは呼吸が原因だった」など著書多数。テレビなどのメディアでも呼吸器内科の専門家として医学的知見からアドバイスを送っている。(取材・文:前田陽子)
2020年12月15日リーダーシップというと、以前は付いて来い!という強い人物像を描きました。今は仲間と協力しあえる、人のことを気遣うことができる、フォローし合える人のことだとサカイクキャンプのライフスキル講習では伝えています。サカイクキャンプではリーダーシップとは「相手の立場に立って行動できること」を念頭に子どもたちと接しています。キャンプを過ごす中で子どもたちがどう変わるのかを菊池健太コーチに聞きました。(取材・文:前田陽子)サカイクキャンプで選手同士話し合う姿■強いキャプテンシーから気遣いの人へ。リーダーシップ像が変わった「リーダーシップ」というと保護者世代のみなさんは、強い精神でみんなを引っ張る、組織の上に立つといった、強さや行動力、対人コミュニケーションに長けた人だとイメージする方もいるかもしれません。サッカーでいうと、うまい子がキャプテンのように指示を出すようなことを考えるかと思いますが、じつはサカイクキャンプに参加する子たちは、自分から前に出て思いを伝えることが苦手な子が多いのだと菊池コーチは言います。元日本代表の中田英寿さんや本田圭佑選手のような、強い意志で選手を鼓舞するようなリーダー像もありますが、現在のリーダーシップは協力し合え、人のことを気づかうことができ、互いをフォローし合える人だとサカイクキャンプのライフスキル講習では伝えています。1人でみんなを引っ張り、重責を一身に担うのではなく、自分の得意分野は精一杯頑張って、不得意なところはできる子に任せて協力して勝利を目指す、そんな人が現代のリーダーシップと考えているのです。元鹿島アントラーズの内田篤人さんも「プレイ中の気配りが大切」だと言っていましたが、近年はJFAのトレセンでも同様で足元の技術だけでなく、気配りのできる子が評価されています。菊池コーチはこんなエピソードを教えてくれました。以前、サカイクキャンプの練習中にコーチやトレーナーさんが重いジャグを抱えているのを手伝ってくれた子がいたそうです。その子はピッチの中でリーダーシップをとるような子ではなかったそうですが、そういうことも素晴らしいいリーダーシップだとコーチたちは考えているのだそう。「相手の立場に立って行動してくれることもリーダーシップだよ」と、みんなの前で伝えるとその子は嬉しそうな表情を見せ、同時に自信もついたようだったとコーチは振り返ります。自発的に行った行動を褒められ、認められて、「こういうこともリーダーシップなんだ」と気が付いたその子は、以降の練習中も少しずつ声が出せるようになったそうです。■思いは伝えなければ、伝わらない。そのために自信をつけるもちろん旧来の「言葉や行動でみんなを引っ張るリーダーシップ」も発揮できればいいのですが、できない子の方が圧倒的に多いものです。思いはあってもどう伝えたらいいのかわからないのです。でも、大人やまわりの人が行動や言葉を認めて評価することで、自信が付きます。そうすると自信をもってプレイができて、自信をもって話せるようになると菊池コーチ。些細な事でも認められる、受け入れられることで、その自信が人に思いを伝えることの糧になるのだそうです。ですが、すべてを褒めたたえればいいのではなくメリハリが必要なのだそう。「褒めて伸ばすことはいいと思いますが、今の子はどんなプレーでも褒められているので、その子の『特にいいところ』を指導者に伝えてもらっていないように感じます」と語るコーチ。「幼少期から始める子が多いので何となくサッカーはうまくできている子は多いです。キレイにボールもつながるし、サッカーの形はできています。けれど、そういった足元の技術だけでなく自分の考えを持ってプレイの意図は何なのか、『僕はこうしたい』ということを伝えることがサッカー選手には大切だと考えます。それを伝えることで仲間からも意見が出て、前向きな話にしようというコミュニケーションになります。リーダーシップもそうですが、まずは自分の思いを伝える力が大事だと思います」と、サッカーではボールコントロールだけではなく、自分の考えを伝えることが重要なのだと教えてくれました。■自分を知ることで自信がつき、積極的にプレイできるようになるサッカーの技術向上と自信はリンクします。サカイクキャンプでは、例えば守備の時に、積極的にボールに向かって行けたことを良かったと認めたうえで、「行き過ぎると抜かれるから、どこまで追うかタイミングがポイントだよ」などと具体的なことを示すそうです。すると子どもは、まず褒められたことで自信が付き、きちんと話を聞く耳が持てます。「頭の中で理解してトライ&エラーで続けてもらい、うまくいったところで褒めます。そこ子の判断を認めて、そのうえでチャレンジしようと言い続けることが大事」だと菊池コーチ。サッカーはミスの多いスポーツなので、ミスは当然あるもの。たくさんのトライ&エラーが子どもたちに自信を与えることができるのです。ライフスキルをキャンプに導入するにあたり、コーチたちはまず学ぶことからスタートしたそうです。どうしたら子どもたちが心からサッカーを楽しめるんだろう、どうしたらいきいきした顔で過ごせるのか、子どもたちが考えながらプレイするようになるのか、どういう風に声をかけると子どもたちにわかりやすいのか、その辺りの考えを深めていったのだそうです。以前はコーチたちそれぞれの感覚でやっていたことが、ライフスキルプログラムで共通認識ができたので、指導の中で同じワードが出てくるようになりました。そのおかげで、子どもたちも迷いなくキャンプを楽しむことができるようになったと感じるそうです。「今の子はみんな技術がすばらしい」と技術面で以前よりうまい子が増えているとコーチは言います。真似をすることが得意で、動画で見ているのかリフティングなどは低学年の子でも放っておいたらずっとやっているそうです。ですが、キャンプが始まってサッカーをやったらうまくいかない子も多いのだとか。リフティングなど、ひとりで行う自分の世界ではうまくても、サッカーは人と関わって成立するスポーツなので、足元でボールを扱う個人の技術だけでは不十分なのです。チームメイトがいて、対戦相手の仲間がいて、みんなで意見を出し合い勝ちに向かって協力する、本来のサッカーをサカイクキャンプで体験することができます。自分で考え行動すること、上手くいかなくても再度チャレンジする姿勢、周囲の状況を理解し、自発的に協力できることは、サッカーのプレーにもつながっているのです。家では親に甘えてしまって、指摘されるとふてくされてしまう子も、大好きなサッカーを楽しみながら過ごすキャンプでは、同じことをコーチに指摘されても素直に聞く耳を持てたりするもの。サッカーも普段の生活でも一回り成長してほしいなら、この機会にサカイクキャンプに参加させてみませんか?
2020年12月07日サカイクキャンプ独自のカリキュラム、サッカーを通じて社会を生きる力を育む「ライフスキル」プログラム前回はサカイクキャンプで身に付くライフスキルの中から「感謝の心」と「コミュニケーション力」を中心に菊池健太コーチにお話しを聞きました。いずれもピッチ上ではもちろん、学校など普段の生活でも必要な力です。具体的な言葉や方法を示すのではなく、自分で考えさせる伝え方をすることで、感謝の心とコミュニケーション力を引き出しつつ、考える力も同時に身に付けられます。(取材・文:前田陽子)サカイクキャンプでは練習中や試合のハーフタイムに子どもたちどうしで「何ができるか」「何をすればいいか」を話し合う機会がたくさんあります<<足元の技術習得より「ごめん」「ありがとう」が言える、人を気遣えることがサッカー上達につながる理由■サッカーができるのは親のおかげ。子どもたちはそう思っていますサカイクキャンプではまず「サッカーは何人でするスポーツ?」と聞きます。そして「誰がいるからサッカーができると思う?」と。すると子どもたちは「親」と口を揃えます。普段子どもたちが親に対して「サッカーをできること」についてお礼を言うことは少ないと思いますが、本当はちゃんと感謝しているのです。でも、気持ちは言葉に出して伝えなければ相手に伝わりません。サカイクキャンプのライフスキル講習では、伝えることの大切さも話しているので、キャンプから帰った時に親御さんに「ありがとう」が言える子になっているはずです。次に、サッカーをできる理由を問うと、一緒にプレーする仲間や審判の声が上がります。子どもたちは相手チームのことを敵と言いがちですが、敵ではなくサッカーをする仲間です。「相手がいないとサッカーはできないから、相手選手だよね」と話します。相手選手をリスペクトすることも感謝の心に通じます。相手選手と同時に大切なのがチームメイトです。子どもたちの中でもどうしても上手い下手で優位が付いてしまい、うまい子が全体を仕切ってしまうことがよくあります。その際には「サッカーを楽しむ権利は全員が持っている。唯一それがみんなに均等にあることでそれを奪う事は許されないことだよ」と伝えるそうです。「下手だからチームに入れないとか、Bチームだからあっち行っていろとか。少なからずまだこういう態度があるので、それは絶対にダメなことで、してはいけないことだ」ということをきちんと理解できるまで伝えると菊池コーチは教えてくれました。サカイクキャンプは、初めての子からトレセン活動の子まで誰でも参加できます。できる子に「サッカーはみんなで楽しむスポーツだから、誰かのミスをカバーしてあげることが大事。誰かのミスをつついているようでは勝つことはできないよね」と声をかけると、「よし、やろう!」と士気が高まることも多いのだとか。中には「あいつのミスじゃん、なんで俺がカバーしないといけないの」といった他責的な発言をする子もいるそうですが、「サッカーがうまい子は、このキャンプ以外の場所にもたくさんいて、その時々によっては君も"上手じゃない方"になるかもしれない。その考え方は間違っているよ」ということを言い聞かせるそうです。そして、そういった子をわざとうまいチームにいれてみたりするのだそう。そうるすことで考え方を変えてほしいし、サッカーの本質を理解してほしいと考えているからだと菊池コーチは言います。■コミュニケーションは"目的のために前向きな話をする"こと試合中に声を出してコミュニケーションを取ろうと言われても、どんな声かけがいいのか、どうしたらいいのか分からない子が多いのが現実です。「どんなコミュニケーションがあるの?」と聞くと、どうしても言葉にすることが多く出てきます。今年は新型コロナウイルスの影響で難しいですが、ハイタッチや抱き合って喜んでいるシーンなどの写真を見せて「これもコミュニケーションだよね」とコミュニケーションの方法は様々あることを伝えています。サカイクキャンプのコーチたちが考えるコミュニケーションは、目的のために前向きな話をするということ。何でもかんでも伝えていいよとなると、「おまえちゃんとやれよ」「今のボール取りに行けよ」「シュート決めろよ」など味方にダメ出ししてしまいがち。これもコミュニケーションのひとつと言えるかもしれませんが、後ろ向きでマイナスなこと。前向きな話をすると雰囲気も良くなって結果も良くなります。ですが、その際に具体的な言葉を教えることはありません。サカイクキャンプでは、試合のハーフタイムには必ずコーチたちが「どんな話をしようか」と声をかけます。負けているとマイナスな言葉が多くなるので、「うまくいかないなら逆転するためにどうすればいいだろう、何ができるかを話すといいよ」とアドバイスをすると前向きな会話が増えてくるそうです。ですが、残念なことに負けているとどうしてもあら捜しになってしまい、ダメだったところを見てしまう子が多いのだとか。子どもたちは、普段接している人が話しているように言うのでしょうね、とコーチたちは見ています。子どもたちが発する言葉を聞くと、「チームで結構厳しく言われているんだろうな」とか、周囲に前向きな言葉をかけられる子は「チームでもいい声をかけてもらっているんだな」というのはわかるものだそうです。子どもは体験からしか言葉が出ないので、周囲の会話の質が自然と身に付いてしまいます。親御さんたちにもいつもどんな言葉をかけているのかを、振り返ってもらえるといいかもしれません。キャンプでは「伝える」ことを大事にしていますが、それは声に出すことだけではありません。時に目線やしぐさ、アイコンタクトでのコミュニケーションをとることもあります。コーチから子どもたちへ親指を立てて「今のプレーはグッドだよ」とジェスチャーも。どの子もグッドサインを出してもらえると嬉しくて笑顔になるものです。高学年になるとコーチがしていることをマネしてくれるなど、コミュニケーションのレパートリーも増えていくことも多いそうです。■環境ができれば、子どもたちは自然とコミュニケーションをとるようになるキャンプで泊まる宿舎は、他の利用者も泊っています。施設内でほかの利用者に出会った際や施設の方へ「おはようございます」「こんにちは」など、コーチたちが積極的にコミュニケーションをとるところを見せることで、子どもたちも自然とあいさつができるようになるそうです。感謝の心にも通じますが、宿舎の人へ「ありがとう」が言えるのはとても喜ばしい光景です。うまくいかない事に対して前向きな意見を言うなど、自分のチームの戻ってからも発言できることを期待しているとコーチは言います。サカイクキャンプに来た時は引っ込み思案でもじもじしている子もたくさんいますが、3日間で確実に変わるそうです。子ども同士が慣れてくるというのもありますが、初日と最終日では全く違う表情、態度になると言います。最終日はずっと一緒にやっていたチームのような雰囲気になり、住所を交換して年賀状のやり取りをしたりする子たちもいるそうです。コミュニケーションは無理やり取らせるものではありません。どんなことをしたらいいかというヒントを与えてあげることが大事だと菊池コーチは言います。大人が環境を整えてあげれば子どもたちは自然とコミュニケーションが取れます。ですので、子どもがいろんな人とお話するようにあれこれ口をだしたり、演出してみたりする必要はありません。大人はあまり介入しないことが一番だとサカイクキャンプでは考えています。<<足元の技術習得より「ごめん」「ありがとう」が言える、人を気遣えることがサッカー上達につながる理由
2020年11月24日サカイクキャンプ独自のカリキュラム、サッカーを通じて社会を生きる力を育む「ライフスキル」のプログラムでは、子どもたちが生きていく中で必要なスキルとされる「考える力」「リーダーシップ」「感謝の心」「チャレンジ」「コミュニケーション」の5つの力をサッカーをしながら学べます。親御さんたちもライフスキルの概念に賛同してご参加いただいている方も多いのですが、では具体的にライフスキルが高まるとサッカーにどう影響するのか、まではいまいちよくわからない、という方もまだまだ多い様子です。そこで今回は、子どもたちを指導しているサカイクキャンプの菊池健太コーチに「ライフスキル」とはどういうものなのか、子どもたちがどう成長できるのかを聞きました。(取材・文:前田陽子)サカイクキャンプでコーチの話に耳を傾ける子どもたち■ピッチ上で仲間をフォローできる人が求められている以前は足元の技術など個人技を磨くことが推奨されましたが、今はチームにいかに貢献できるか、チームのためにプレイできるかが求められる時代。そのためには、一緒にプレイする仲間を知り、自分のことを仲間にわかってもらう必要があります。そこで必要になるのがライフスキルです。ピッチ内外で考え、サッカーができることに感謝し、いろいろなことにチャレンジして、コミュニケーションを取り、リーダーシップでチームを導く。技術の習得に比べて、パッと見て変化がわかることではありませんが、ここを磨くことで技術も向上していくのです。JFAでも"判断も含めてテクニック"と言っています。育成年代の選手たちに求めるスキルとして「仲間をフォローすることができる選手」を高く評価するとも言っています。元日本代表の内田篤人さんも、その判断力の早さ、仲間との連携意識やプレーの正確性に定評がありました。サカイクキャンプではこれからのサッカーや人生に必要なライフスキルを知り、体感することができます。■サッカーというスポーツの本質を知る「チームプレイであるサッカーは、勝つことを目的に仲間同士が互いをフォローするもので、それがサッカーというスポーツでフォローし合うことが当たり前であることを子どもたちに伝えています」と菊池コーチ。すると自然とミスをフォローするプレイが増えていきます。自分のタイミングでボールを蹴っていた子が、コミュニケーションを知ると仲間を思ったパスが出せるようになります。俺が活躍すればいいという、独りよがりのプレイが減っていくのです。サッカーはミスのスポーツであり、助け合いが必須です。ミスをしたら「ごめん」と謝ること、味方がフォローしてくれたら「ありがとう」とお礼を言えること。その瞬間に口にすることは難しくても、普段からごめんなさい、ありがとうが言える習慣が身に付いている子は、ピッチの中でも助けてもらいやすかったりして、結果として試合が上手く回るのです。親御さんたちはどうしても個人技のところに注目してしまい、何点取った、何人抜いたで褒めたり残念に思ったりしますが、子どもたちの中には目立たないけれど丁寧なパスが出せたりする子もいて、そんな子はとても技術が高いとコーチたちは評価します。菊池コーチは「足元の技術は後からついてきます。ボールを扱う技術は大事ですが、丁寧さや気遣いができる選手はすごいんです」とも。一概に技術と言っても個人のものとチームの中でのものの2種類があります。もちろん、どちらも伸びるといいのですが、まずはサッカーの本質であるチームプレイを学ぶことが小学生年代には大切だとサカイクでは考えています。■キャンプに参加することが、チャレンジの第一歩キャンプは初めての場所、初めての友達、初めてのコーチ。泊りで行くのは子どもにとってすごく大きなチャレンジです。これは大人でもなかなか難しいこと。まずはキャンプに行こうと決断した子どもの勇気を褒めてあげましょう。その上で、キャンプへの持ち物は自分で何が必要かを考えて判断させて持たせてください。サカイクキャンプでは支度から子どもに任せてほしいという思いもあり、細かく持ち物を提示していません。3日間必要なものを自分で考えてほしいのです。寒い時期ならピステ持ってくる子もいますし、洗濯するから少しでいいという子もいます。そういう様子を見ていると親御さんは手をかけずにやってくれているなと思います。反面、「一日目の上はコレ、下はコレ」とセットしたものを持ってくる子もいます。親御さんなりの子どもへのサポートかもしれませんが、そういった子は柔軟な発想ができず、2日目に雨が降ったりして、翌日分(キャンプの最終日)を着替えに使うと、最終日の朝に「もう着る服がない」と大騒ぎすることもあるのだとか。子どもたちが準備した上での忘れ物はコーチたちは想定済みです。シャンプーや洗剤などの細かなものから、サッカーに必要なボールなどもサカイクキャンプでも準備しているので、忘れ物をしても安心してください。もちろん、忘れ物をしない方が良いのですが、忘れてしまったときにどうするかが大事で、その過程をコーチたちはどう解決していくかを見守っています。レガースやソックスなど借りれるものならチームメイトに「貸して」と言えること、チームメイトが忘れ物をして困っていたら「貸してあげようか」と提案できること、そういったお互い助け合って協力することが大事なのです。そのようなことが自然にできるようになると、例えばボールを奪われそうな時など、ピンチの際に仲間にヘルプを求めること、味方がピンチの時は自分が助けに行くことなど、サッカーの動きにもつながっていきます。ピッチの外での行動が変わるとピッチの中の行動も変わります。ライフスキルが身に付くと、技術も伸びてくるのです。■キャンプに来た子どもたちは、必ず成長しますサカイクキャンプに参加する子には、すべてにおいて、自分で考えて行動できる子になって欲しいとコーチたちは考えています。サッカーもコーチや周り仲間に何かを言われてプレイするのではなく、自分の判断でプレイを選択できる子になってほしい。いずれ社会に出てからも自分の意見をしっかり持って、自分で考えて判断ができる、そんな子になってくれたらと思っています。そのために小学生の間はサッカーは自由で楽しいと感じてもらいたい。中学高校に行けば自然とサッカーも厳しくなり、社会人になれば仕事もしなくてはなりません。なので、根底に楽しさ、仲間と協力するすばらしさを蓄えてほしいと考え、コーチたちは子どもたちと接しています。
2020年11月17日スポーツの現場での暴言、暴力、ハラスメントは世界中で大きな問題とされています。7月20日、調査機関ヒューマン・ライツ・ウオッチが、来年開催される予定のオリンピック、パラリンピックに向け「日本のスポーツにおける子どもの虐待」というレポートを発表しました。これは子どものころにスポーツをしていた50人以上へのインタビュー、400人以上へのオンラインアンケート、スポーツ団体へのデータ提供などで調査を行ったもので、日本の子どもたちがいまだにスポーツの場で暴力・暴言などの被害を受けていることがわかりました。また、この問題に対する対処と予防の遅れの原因となっている制度上の不十分な点も明らかに。サカイクではこの調査結果を受け、サッカー界での現状・対策方法などについて、日本サッカー協会(以下JFA)リスペクト・フェアプレー委員会、委員長の山岸佐知子さんにお話しを聞きました。2008年度にリスペクト宣言をし、暴力根絶に向けてとりくんできたJFAの現状とは。(取材・文:前田陽子)親は「我慢が足りない」などと言ってはいけません■サッカー界は他競技に先駆けて2013年に相談窓口を設置ヒューマン・ライツ・ウオッチのリサーチを受けて、山岸さんは「正直そうだと思います」と話します。ただ、日本も少しずつ改善されているとも。JFAでは、暴力行為の早期発見と是正および再発防止をするために2013年に暴力等根絶相談窓口を設置しています。2018年に寄せられた相談総数は120件、2019年は243件と増えています。増えた要因はさまざまなスポーツでの暴力暴言が報道されたことも一因。世間が関心をよせ、暴力や暴言に敏感になったことで相談数も増えているようです。「件数が増えることは決して悪いことではありません。悩みを抱えている人が、内にこもることなく相談というアクションを起こすことができているのは、いいことだと思います。」相談内容は暴力、暴言、そのほかのハラスメントと大きく分けていて、2019年は暴力が43件、暴言が127件と暴言の相談が増えています。「手を上げることはいけない、よろしくないという認識が大分浸透してきていますが、それまでは暴力をしていた指導が暴言にシフトしている可能性もあるのではないかと考えています。受ける側からすると暴力も暴言も同じこと。特に年齢が低いお子さんにはダメージが大きいです。暴言は暴力と同等、もしくはそれ以上の凶器になってしまうと考えています」■選手の安全や安全を確保する『ウェルフェアオフィサー』JFAでは2013年からウェルフェアオフィサーの設置に取り組んでいます。ウェルフェアオフィサーの主な役割は、サッカーを楽しむために選手の安心や安全を確保すること、リスペクトやフェアプレーを推進することにあります。全試合とはいきませんが、一部の主要な試合でマッチ・ウェルフェアオフィサーを置き、試合でのチームのマナー、声かけの仕方などをアドバイスしています。ウェルフェアオフィサーは規律委員ではないので、罰則を下すことで排除するのではなく、気づきを与え自ら改善するように促すことが役目です。「仲間同士で気づいて、お互いに指摘しあってほしいです。仲間内で改善されていくことが一番いいと思っています。暴力や暴言を続けていくと、監督さんやコーチもいずれはその立場を失うことになるかもしれない。そういうことを互いに話せる環境になっていくと暴力、暴言指導なども自然となくなっていくのではないかと思います」さらに、JFAではクラブで問題が起きた時にクラブ内で解決できるようにする仕組みづくりの一環として、クラブ・ウェルフェアオフィサーの設置を推進しています。■親は子どもの話をよく聞いて、解決ができなければ相談窓口へ子どもが暴力・暴言を受けていると思っても、監督やコーチに直接話をするのは難しいところ。子どもに「あなたがいけないんじゃない?」、「我慢がたりないのよ」などの声かけは絶対にNGです。そんな風に言われたら、子どもの言葉は続かなくなってしまいます。まずは子どもの話をきちんと聞くこと。そして、問題だと感じたらJFAの暴力等根絶相談窓口へ連絡することです。相談は匿名でも受け付けて、必要であれば調査をします。相談は昨年までは電話、FAXの手段でしたが、今年からはJFAのホームページ内にある暴力等根絶相談窓口通報受付フォームから通報が出来るようになりました。「これまでにライセンスの一次的な停止などの処置をしたケースもありました。ですが、起こしてしまったことをしっかりと反省をして、心を入れ替えて再度サッカーに携わるという道もないといけないと思っています。大切なのは過ちを理解して、繰り返さないこと。そのための教育的なプログラムは必要になってくると思います」と山岸さん。■サッカーをプレーしているところに笑顔があふれるようにJFAでは、自分たちの環境を自分たちで守るウェルフェアオフィサーのような役割の人を増やしていく予定です。サッカーに暴力も暴言も必要ありません。プレーしている選手たちが笑顔でサッカーを楽しめることが重要で、そういう環境を守るのは、サッカーに携わる私たち大人です。また、指導者には暴力暴言を使って指導をしていてもいいことはないということを、しっかりと認知してもらくことが大事です。「ただし、古い体質は長い歴史の上にあるもので改善までには長い時間がかかるのではないかと思っています。コツコツと努力を続け、グラスルーツのチームまで浸透させていくことが我々の役割だと思います」■子どもたちは大人の背中を見ています山岸さんは、以前はレフェリーとして多くの試合を担当していました。そんな山岸さんから貴重なお話をうかがいましたので、ご紹介します。「サッカーはコンタクトスポーツです。当然、フェアにチャレンジしていてもコンタクトすれば倒れる場面もあります。その際にすぐに立ち上がってプレーを続けることを促すチームと、倒れたことをアピールするチームでは、特に下の年代ですが、冷静なチームの方が強いです。コーチがレフェリーに対して倒れたことをアピールすることで、選手も煽られてしまい、プレーに集中することを忘れてしまうのです。それが当たり前だと、自分たちがミスをしたりうまくいかないと人のせいにしてしまうようになります。練習の中でレフェリーにアピールするようにという指導はしていないと思いますが、子どもたちは大人の背中を見ている。せっかくいいプレーをする力も持っているのに残念です。倒れてもすぐに起き上がってプレーする習慣があるチームは、仮にその時に優勝する力がなくても、そういう習慣が身に付いている選手は年齢が上がるに連れてたくましくなり、優勝争いができるようになります。自分のやるべきことがちゃんとわかるようになるので。子どもたちは大人の様子を見て、真似ます。大人はそれを自覚して接してほしいですね。」大人になると中々自分を変えることは難しいものです。ですが、選手たちが安心、安全な環境の中でサッカーを楽しむために、JFAへの啓蒙を続けていきます。後編では指導者養成の面でどのような活動をしているのかをお送りします。日本サッカー協会暴力等根絶相談窓口対象となる行為の詳細、通報フォームはこちら>>
2020年09月08日元AKB48の前田亜美が、10月7日に『前田亜美1stフォトブック AMI』を発売する。11歳から芸能活動をはじめ、2016年にAKB48を卒業。女優やタレントとして活動する中、以前よりファンから「写真集を出してほしい」と熱望されてきたことから、今年25歳を迎えた節目のタイミングで初のフォトブック発売を決意した。タイトル、表紙から中面まですべての写真セレクト、配色から構成に至るまですべて自らプロデュース。様々な表情を見せながらすべてのシーンにおいて好きな花を添え、「最初で最後」というランジェリーカットにも挑んだ。また、これまで語ることのなかった「AKB48時代の葛藤やつらさ」「ファンや家族に対する思い」などを、「孤独」「悲しみ」「愛」「家族」「夢」という5つのエッセイに込めた。前田は、「11歳から芸能活動を始めて、今年で25歳。1stフォトブックで、産まれてから今に至るまでの過去や未来を赤裸々にお話します。華やかな世界にいながらも、誰にも言えなかったあんなことやこんなこと。花が好きなので花と共に作り上げた1冊になっております」とアピール。帯にはAKB48時代から前田をかわいがっていたという篠田麻里子が、「すっかり大人の色気も出てきた25歳の前田亜美ちゃん。様々なお花のような可愛らしさ・美しさ・儚さ・・・芯が強く魅力的な少女から大人になった渾身の一冊です」と絶賛コメントを寄せている。(C)KADOKAWA PHOTO/MAKINO SHOTA
2020年09月07日2020年9月5日に、俳優の前田敦子さんがInstagramを更新。いきすぎた取材や報道の在り方について、苦言を呈しました。前田敦子「面白おかしく物語を作らないで」「真剣な内容を失礼します」という1文とともに、前田さんは同日起きた出来事について投稿。幼い我が子を連れてスーパーマーケットへ行く道中、記者に後ろから突然声をかけられたといいます。取材を断っても記者はついてきて、前田さんの行く先にはカメラを持った人が待ち構えていました。今朝子供を抱っこしながらスーパーに向かって歩いていたら、記者の方に声をかけられました。後から突然でびっくりしましたし、お断りしてエスカレーターに乗っている間もずっとで、エスカレーターを降りた先にはカメラを構えた方がいて。。子供が一緒だったのでとにかく危ないなと冷や冷やしました。子供との写真はもちろんやめてほしいです。atsuko_maeda_officialーより引用 この投稿をInstagramで見る 前田敦子(@atsuko_maeda_official)がシェアした投稿 - 2020年 9月月5日午前1時27分PDT前田さんは、生活をおびやかされるような取材の在り方について、胸の内をつづっています。スーパーもコンビニもいきますし、毎日普通に生活しています。面白おかしく物語をつくらないでほしいな。。切実に思います。自分の心の奥の気持ちは言ったり書いたりしたことはありませんでしたが、、今日はとにかく悲しかったですし、危ない目に遭いかねないと危機感を感じましたので、今まで思っていた事を含めて初めて書きました。毎日安全に穏やかに過ごせますように。atsuko_maeda_officialーより引用前田さんはいきすぎた取材に対し「面白おかしく物語を作らないでほしい」「悲しいし、危ない目に遭いかねないと危機感を抱いた」と訴えました。切実な呼びかけに対し、ネット上では労わりの声が上がっています。・子供が一緒にいる時に、そういう取材は本当に控えるべき。・最低限の配慮は持ってほしい。プライベートはそっとしてあげて…。・ほかの芸能人も同じような被害に遭っていそうなので、前田さんが声を上げてくれてよかったと思う。いうまでもなく、芸能人も私たちと同じ人間です。プライベートな領域を侵すような過度の取材に、不安や恐れを抱くこともあるでしょう。この呼びかけが然るべき相手のもとに届き、芸能人を取り巻く状況が少しでも改善されることを願います。[文・構成/grape編集部]
2020年09月06日元AKB48で女優の前田敦子が5日、インスタグラムを更新し、過度な取材を控えるよう訴えた。前田は、「真剣な内容を失礼します」と切り出し、「今朝子供を抱っこしながらスーパーに向かって歩いていたら、記者の方に声をかけられました」と説明。「後から突然でびっくりしましたし、お断りしてエスカレーターに乗っている間もずっとで、エスカレーターを降りた先にはカメラを構えた方がいて。。子供が一緒だったのでとにかく危ないなと冷や冷やしました」とその状況を伝えた。「子供との写真はもちろんやめてほしいです。スーパーもコンビニもいきますし、毎日普通に生活しています。面白おかしく物語をつくらないでほしいな。。切実に思います」と吐露する前田。「自分の心の奥の気持ちは言ったり書いたりしたことはありませんでしたが、、今日はとにかく悲しかったですし、危ない目に遭いかねないと危機感を感じましたので、今まで思っていた事を含めて初めて書きました」と今回の投稿の経緯に触れ、「毎日安全に穏やかに過ごせますように」とつづっている。
2020年09月05日今年の夏休みは新型コロナウィルスの影響で短縮傾向と言われてます。短い休みだからこそ、より充実した時間にしませんか?一般的なサッカーキャンプでは技術の向上がメインですが、サカイクキャンプではサッカーの練習だけでなく、子どもたちが成長する際に身に付けたい「ライススキル」をプログラムに導入しています。なかなかチャレンジができなかった子が積極的になって帰ってきたと、親御さんからも好評です。キャンプでチャレンジを促すためにどのような工夫をしているか、サカイクキャンプの菊池健太コーチにお話を伺いました。(取材・文:前田陽子)クーラーボックスに氷を常備、いつでも適温の水分補給ができるよう準備しています<<【熱中症対策】子どもたちを守るためサカイクキャンプが実施する万全の対策-オンザピッチ編-■キャンプに参加すること自体が、子どもたちにとってはチャレンジサカイクキャンプは、初心者でもサッカーを始めて何年か経つ子でも誰でも参加できます。年齢を対象に分かれているので参加してくれる子どもたちのレベルは様々です。保護者の方にキャンプ参加の動機についてうかがうと「消極的でチャレンジができないので、キャンプを通してチャレンジすることを身につけてほしい」という声が多くあります。「キャンプは親元を離れて、まだ知らない友達やコーチ、初めての場所で生活するという大人でも大変なことだと思います。そこに参加してくれるということ自体、子どもたちにとってはチャレンジだと思います」と菊池コーチ。キャンプでは子どもたちの経験値などを見て、キャンプに慣れている子と初めての子にはそれぞれに合ったチャレンジを提案できるようにしているのだそうです。トレーニングでは、個々のキラリと光る部分を見つけてその部分を評価。自分のしたことを認められると、子どもたちはもっとチャレンジしようと頑張ります。最初の段階では得意なプレーを見せてもらい、「こういうこともするといいよね」と提案をしてその子の苦手なことでも取り組めるように促しています。■ミスした経験の少なさが、チャレンジの邪魔をする最近は、やる前から「絶対ムリ」「下手だから出来ない」とチャレンジする前からあきらめてしまう子もたくさんいるという声も聞きます。そうなってしまう要因のひとつは、ミスした経験の少なさです。親が先回りしすぎてミスした経験が少ないので、失敗に対する免疫がなく「どうしよう、どうしよう」という考えが頭の中に先行する子がたくさん見られるのです。チャレンジしてほしいと考えている親が、先回りして子どもがチャレンジする機会を奪っているのはとても残念なことですよね。また、サッカーの現場では指導者が指導をしすぎる点があるようだとコーチは言います。キャンプで練習していると、プレーが終わるたびにコーチの顔を見る子がよくいるのだとか。「指導者はミスを正してあげよう、欠点を補ってあげようとしているんだと思うんです。けれどそれではどうしても子どもたちは窮屈ですし、コーチは次に何を言うんだろうと顔色を見てしまいます。僕たちサカイクキャンプのコーチたちは常に笑顔を見せ、どんなプレーであっても『やるじゃん』という気持ちで子どもたちを見ています。いいタイミングでシュートを打っても入らないことはたくさんあります。シュートを外そうと思って打っている子はいないので、『いいシュートだったね。でもこうするといいよ』とひとつヒントを与えます。そのとき具体的にこうしろとは言いません。そうすると自分で考えて次にいいプレーをしてくれます。そんな声かけからチャレンジが出てくるかなと思います」と菊池コーチは言います。■サッカーはミスが多いスポーツ。キャンプではミスしてもいい雰囲気を意識サカイクキャンプでは最初にサッカーはミスが多いスポーツだということを子どもたちに伝えるのだとコーチは教えてくれました。先述したように、普段の生活の中で失敗経験の少ない現代の子どもたちは、チャレンジしようとすると「失敗したらどうしよう」という気持ちが先に立ってしまいます。コーチたちもその気持ちは理解しているので、キャンプでは「ミスしていいよ」という雰囲気を作るようにしているのだそうです。指導者はどうしても、パスが通らなかった、シュートが入らなかったという結果に着目してしまいますが、サカイクキャンプでは結果だけでなく過程も見ているといいます。「たとえシュートが決まらなくても、その子なりのちょっとしたチャレンジに良かったよと、Goodサインを出してあげるととてもいい笑顔を見せてくれます。そうやって過程を認めてあげることを続けていると自己肯定感が高まり、キャンプ2日目、3日目になると、僕らもびっくりするくらいいいプレーをしてくれるんです」と菊池コーチ。菊池コーチは、子どもたちのサッカーは上手い下手ではなく、経験が多いか少ないかだと考えているそう。「どうせ下手だから出来ない」ではなく、いろいろなことをやってみる。経験が積み重なってサッカーは上手くなっていきます。リフティングの出来る回数が3回から5回になった。そいういう経験をしてほしい。ボールを取られたら、取り返せばいい、シュートを外したら次に入れればいい。サッカーとはそういうスポーツだとコーチは語ります。■キャンプの主役は子どもたち。短期間でも必ず成長して帰りますご自身もサッカー少年の親でもある菊池コーチ。親の視点でもサカイクキャンプの魅力を語ってもらいました。「サカイクキャンプの主役は子どもたちです。子どもたちのことは、様々な面をしっかり見ていますが、大人が必要以上に手を出すことはしません。道具の忘れ物などちょっとした失敗が予想できる場合も先回りはせず、こういう失敗もするだろうなと見守っています。そうやって失敗してみて気づくことがあったり、次回から注意しようと意識するようになるので」と、子どもたちが失敗できる環境を用意しているのも成長を促すきっかけになっているといいます。もちろん、大きな失敗にはならないように、これ以上は危険だなという時には声をかけています。例えば水筒を忘れてずっと飲料がないのは危険なので、練習に入る前に声かけをします。その時も「水筒忘れているだろう?」とは言わずに、「何か心配なことない?」と気づきを促します。そして一緒に取りに行きながら、こんな会話をするそうです。「荷物の準備はいつも誰がしているの?」「お母さん」「そうか、今回は自分で準することができたね。いい経験になったね」水筒を忘れたことをダメなことにせず、サッカーの準備を自分ですることを意識するような会話にしているのだそう。そういう経験を経て、人間的にも成長できるといろいろなことにチャレンジできる。自己肯定感を高めてあげることも必要だと思っているとコーチは教えてくれました。サカイクキャンプでは熱中症だけでなく新型コロナウイルス感染予防の対策を徹底して行っています。キャンプは数日ですが来れば、間違いなく何かきっかけをつかんでもらえるはずです。子どもたちにとってキャンプに参加してくれることが大きなチャレンジ。親御さんにも子どもをキャンプに行かせるというチャレンジをぜひしてください。帰ってきた子どもはキラキラしているはずです。<<【熱中症対策】子どもたちを守るためサカイクキャンプが実施する万全の対策-オンザピッチ編-
2020年07月13日元AKB48で現在女優の前田敦子さん(28)と夫で俳優の勝地涼さん(33)が別居中であると、7月1日発売の週刊文春が報じました。前田さんは2019年3月に第一子を出産。現在は子育てをしながら女優として復帰していますが、国民的アイドルの元センターは子どもを生んでも人気健在のようです。そんな彼女の尻に敷かれていることが夫の別居原因……と記事では書かれていましたが、個人的に1つ気になることがあります。それは前田さんと前田さんのお母さまがすごく仲良しで、ご実家が同じマンションの別フロアに住まうほどであるという点です。結婚後の実家との距離感は、一般的に両者の物理的な距離に比例する傾向があります。今回のように意図的に自分の親と距離を詰め、夫婦関係が悪くなるというのは、そこに何かしらの弊害が起きることもあります。母親と娘の距離感というのは、いくつになっても難しいものです。とさらりと書きましたが、ここで言う「難しい」に納得した方は今現在で自分の母親との関係にネガティブなモノを感じているか、はたまた好きすぎて依存的になっているかもしれません。前田さんのご家庭がどうか、記事には詳細は書かれていませんでした。ただ一般的に必要以上に実の母親と近すぎる距離に住もうとする場合、両者の間には共依存的な愛情のつながりが続いている可能性があります。いつまでも母娘が仲良しといった表現は一見すると微笑ましく思えますが、それも程度問題。本来、結婚したら妻が1番に優先していくべきは、夫との家族を築くことです。しかしここで母娘の距離が近すぎると、夫婦の関係性に母の存在が割って入ることになり、パワーバランスが崩れます。例えば夫と妻が話し合って決めるというシーンにおいて、母親が横から「こうした方がいいんじゃない?」と口出ししたとしましょう。その結果として夫の意見が不本意に押し込められるというのは、よくないやり取りの代表です。はたまた物理的な干渉が母親側になくとも、妻が何かと実家にばかり寄り付いているような関係は夫からすれば面白くない部分があるものです。三者でのやり取りが基本となると、夫は2人の依存関係を壊す要因になる。そうするとだんだんと関係性から排除されていくか、夫側が強引に抵抗してきます。具体的には空気のように扱われたり、いつも言いなり的な役割になったり……。逆に夫が妻に対して、モラハラにも似た強引な態度で自分をアピールしてくるなどもあるでしょう。どちらにせよ、母親が過剰に間に入った関係は健康的な夫婦円満とはなりにくいのです。母と娘の関係がべったりで、夫は傍観者としてそれを眺めている。それを「バランスが取れているんだし、良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、人間関係に近すぎて良いことはありません。ここでの本当の問題は、母も娘も相手を求め続けるあまり、いつまでも心の隙間が埋まらないことが問題です。例えば娘の中には、いつまでも母親からの愛への渇望があります。「母親にべったりなのに?」と疑問に思うかもしれませんが、ありのままに母から愛されている感覚がないため、それを欲して母親にいつまでも執着するのです。その根底には母親の期待に答えられない自分への罪悪感や、長年愛されてこなかったという感覚への後ろめたさなど、いろんなものが蓄積されています。べったりすればするほど心の穴が満たされるわけでもないから、娘としては辛い状態が続きます。ではそんな不憫に見える娘に対して母親はどうなのかというと、実は母親も心のどこかでは同じようにありのままに愛されることを渇望しています。つまり母と娘、お互いがお互いの目線で「私を愛して」というメッセージを発し続け、そして見当違いのエネルギーを出しまくっている。なので、いつまでも関係は発展しません。ああ辛い。前田さんと勝地さんご夫婦がどういう関係性で成り立っているかは、これから明らかになっていくのでしょう。現在、夫婦は別居中とのこと。ただ今回ご紹介したような母娘の依存関係が根っこにある場合、別居を続けても根本的な解決にはなりにくいものです。AKB48の“神7”としては初めて結婚したあっちゃん。神7で初の離婚も、やはりあっちゃんなのか……。それだけは、避けて欲しいところです。(文:おおしまりえ)
2020年07月08日気象庁によると、今年の夏は暑いという予報が出ています。ただでさえ年々暑くなるように感じる日本の夏は熱中症の危険がいっぱいです。今年は特に新型コロナウィルスの影響で外出ができない日々が続き、多くの人が暑熱順化できていないので、熱中症には特に注意が必要です。そんな中でも、せっかく参加してくれた子どもたちが思い切りサッカーができるようサカイクキャンプでは、さまざまな熱中症対策をして子どもたちが健康で楽しく過ごす事ができるように工夫しています。トレーニングの環境だけでなく、練習以外の場所で行っている安全策をご紹介しますのでぜひご確認ください。(文:前田陽子)クーラーボックスに氷を常備、いつでも適温の水分補給ができるよう準備しています<<前編:【熱中症対策】子どもたちを守るためサカイクキャンプが実施する万全の対策-オンザピッチ編-■練習の前と後に体重測定前編でもご紹介しましたが、体内の水分が不足すると、脱水症や熱中症を引き起こす原因になります。また、体内の水分が低下すると徐々に動きが鈍くなり正しい判断、動きができなくなってしまいます。そうならないためには、運動中に発汗する分の水分を摂取することが大切です。運動前後の体重を測定することで、水分補給が適切に行われているかを確認することができます。体重の3%以上の水分が失われると体温調節に影響が出るといわれているので(※)、体重の減少が2%以内に収まるように水分補給をさせています。その確認のために、子どもたちの体重を練習の前と後で測定をしています。※独立行政法人日本スポーツ振興センター学校災害防止調査研究委員会「体育活動における熱中症予防調査研究報告書」より■練習前に氷の準備を徹底する水分補給とは、水分を口に含むことではなく体内に吸収することです。口に入れた水分は胃を通過して腸で吸収され、血管に入り全身に運びます。ですから、胃から腸へ水分が速やかに移動することが重要なのです。そのためには、水分の温度管理が重要になります。運動中に摂取する水分は5℃~15℃が適温だとされています。サカイクキャンプでは、子どもたちの摂取する水分の適温をキープするために、グランドに向かう前に各自のボトルに氷を入れることを徹底しています。また、クーラーボックスに氷を常備し、いつでも適温の水分を用意できる状況にしています。■水・清涼飲料水を用意汗は99%が水分で、残りの1%にナトリウムと塩分を中心にカリウム・カルシウムなどのミネラル分が含まれます。汗をかくということは、水分だけが喪失するのではなく、ナトリウムなどもなくなっているということ。ですから炎天下での発汗の際には、水の他に電解質(イオン)などが含まれている清涼飲料水も用意しています。清涼飲料水は塩分濃度0.1~0.2%、糖分濃度3~5%が理想なので、水2リットルに対して1リットル用のパウダーを溶かし清涼飲料水を作っています。水分は一度に大量にとるのではなく、こまめに少しずつ飲むことが大事なので、練習中に自由に水分が摂取できるようにしています。■水分・エネルギーの必要量を確保熱中症を予防するためには運動中はもちろん、運動前の事前飲水が大切です。ですのでサカイクキャンプでは、グラウンドに出る30分前までに、スポーツドリンク500mlを飲むことを義務付けています。これによって、体内に水分が十分ある状態で練習をスタートできます。また、熱中症対策には栄養バランスのいい食事も必要。過不足ない量をきちんと食べ、かつ5大栄養素をバランス良く食べられるように、昨年のキャンプでは食品に栄養素がわかるシールを貼るようスタッフが促しました。このように可視化したことで子どもたちは毎回何を食べたら良いか考えながら取り組めました。バランスよく栄養素をとることも熱中症対策として大事なことです(写真は過去のサカイクキャンプ)■練習後のリカバリー練習後なるべく早い栄養補給を心がけております。また水分補給だけでなくサカイクキャンプでは「熱中症対策には食事も大切だよ」と伝えています。トレーナーやコーチたちが体重が2%以上減少した子を把握することで食事の指導、水分補給を積極的に促し、熱中症を予防します。このようにピッチの外でも熱中症予防に取り組んでいます。練習前後の体重測定をはじめとした施策を行うなど、コーチ、スタッフ全員が子どもたちの様子に目を配り、体調の変化をすぐにキャッチできるように努めているので、安心して参加ください。<<前編:【熱中症対策】子どもたちを守るためサカイクキャンプが実施する万全の対策-オンザピッチ編-
2020年07月07日最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている、それは大人に原因がある。ということを前編でお送りしました。子どもが忘れ物をしてツライ思いをしないようにと、いつまでも学校の道具やサッカーの準備を親がすべてやってあげていませんか?進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんは、子どもの自立には勉強でもサッカーでも普段の生活の部分がとても大事だと言います。後編では、わが子を徐々に自立させるために保護者に意識していただきたいことを伺いました。(取材・文:前田陽子)(写真は少年サッカーのイメージです)<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと■親に大切なのは我慢する勇気――子どもを甘やかしてしまう原因は何だと思いますか?子どもを子ども扱いして甘やかしてしまう原因のひとつに、SNSをはじめとする情報収集ツールがあると思っています。親御さん世代の人は盛んに使っていて、そこから典型的なマニュアルを入手している方もいるようですね。今の小学生の親世代は、ちょうど厳しい教えがNGとされてきた変換期で育っているため、教育への観念が同じ世代でも大きく異なります。そういった背景から親自身が結論を持っていないので自分の指針となるマニュアルを求める方が多いように思います。結果、「まだ子どもだから」「子どもを傷つけたくないから」など自分に都合のいい意見だけを切り取って子どもに対峙するので、子どもに甘くなるのだと思います。――親世代がちょうどマニュアルがあることが当たり前な世代ですよね。どうしても指針を欲してしまいます。親がブレると子どももブレます。親が真偽不明な情報に惑わされると子どもも混乱してしまうのはわかりますよね。また、甘やかされた子は勉強でもスポーツでも中途半端になってしまいます。自立させなければいけないことに、親は早く気が付かなければいけません。失敗した経験は子どもをおのずと成長させます。ですので早いうちにたくさんトライをして、たくさんエラーを経験させましょう。例えば、子どもが考えて実践した勉強のやり方で結果が出なくてもその方法を否定してはいけません。そのまま続けるのか、勉強法を変えるのか。それは子どもがまた考えて、トライすればいいのです。勉強なら、そんな経験を受験にまだ間に合う小学5年生、中学2年生の段階でたくさん失敗することは大切だと思います。失敗している間は、親は極力口出しを控えることも大事なことです。失敗を子どもに負わせ続けることを我慢する勇気が親に必要なのです。さらに、今は結果を見る時期なのか、経過を見るべき時期なのかを見極めること。勉強なら小5は過程を学ぶときで、小6は結果を見るときです。もっと短いスパンで考えてもいいですね。今度のテストは算数は結果を見て、苦手な国語はこれまでやってきたプロセスが良かったかどうかを見るとか。結果と過程のどちらに着目するかの基準を持っていると良いと思います。親が子どもにその時、何を学ばせたいかをはっきりすること。それをしないと、結局あれもこれもになってしまいます。■ゼロか100ではなく、徐々に手を放す――子どもの自立を考えたときに大切なのは日々の生活なのかなと思います。そう思います。現在海外で活躍しているサッカー選手の多くは、練習以外の時間を現地の言葉を習得するための勉強などに多くの時間を割いています。そういった努力はほとんど報道されませんが、一流選手たちは練習以外で努力していることがたくさんあります。親御さんにはそこに気づいてほしいですね。勉強にしてもサッカーにしても、上を目指すなら生活の部分がとても大事です。親が口を出し、手を出すことのすべてがダメではないと思いますよ。たとえば九九ができない子に割り算をしろと言っても無理なことです。ベースとなる知識は教えてあげないといけません。教えるステップと手を放すステップが重要なのですが、子どもが失敗することを心配して手を放せない親がとても多いと思います。いきなりすべてのことから手を放す必要はありません。部分ごとに手を放せばいいのです。例えばサッカーなら、練習場は試合会場まで一緒に行くけれど、準備はひとりでやらせる。試合会場へのアクセスを考えさせて、一緒に行くとか。少しずつで良いのです。いろいろな自立のさせ方があると思います。付くのと離れるのを段階的にすることを意識してほしいですね。中学生になったから、高校生になったからと、いきなりすべてをつき放すのではなく、子どもの様子を見ながら徐々にでいいと思います。そして親もトライ&エラーを繰り返していくこと。親がエラーする様子を見せることも、子どもにとっては「失敗してもいいんだ」という教訓になります。■親もアップデートが必要――子どもたちの習い事のスタートが低年齢化していると思います。やはり早く始めないとダメなのでしょうか?ひと昔前に比べて、塾もサッカーなどの習い事も、スタートする年齢が下がってきています。その結果、小1の段階でうまい子がたくさんいます。小学校から始めようとクラブに入った子が同じ練習をしたときに、幼稚園から始めていた子はできて、小学校から始めた子はできないということがたくさんあります。そんな時に小学校から始めた子が「自分はダメだ」とあきらめてしまう子がいるんです。できないのではなくて、やり方を知らないだけなのに。それなのに子どもも親も諦めてクラブを辞めてしまう、これはとても不幸なことだと思います。正当な競争をさせないことでつまづきやチャレンジがないので、ぬるい環境で甘えが出てきてしまうのです。そして甘えが多いと精神的に幼い子が増えます。そういった子を増やさないためには、正当な競争が必要だと思います。過度な椅子取りゲームは精神的にもきついですが、適度な刺激を子どもに与え続けると考え方は変わってくるはずです。一生懸命挑戦してみて、それでも思ったような結果が出なかったり、別の目標をに向かうことを決断することもあるかもしれません。ですが、目標を変えることは挫折ではなく新たなことへのチャレンジなのです。親はつい挫折をさせたくなくて手を出してしまいますが、チャレンジととらえられれば、応援することができるのではないでしょうか。今回のコロナ禍で実感された方も多いと思いますが、10年後どころか、少し先の将来は予想がつかない社会に変化する可能性もあるのです。大人が考えている以上に子どもを取り囲む環境は進化して、これまで以上に変わっていきます。AI、プログラミングなどを小学生時代から学ぶことは、親世代には経験がなかったこと。ですから、親もアップデートが必要です。向上心を持っている親は、子どもへの植え付け方がとても上手ですよ。子どものためにも、自分たちが変わることに躊躇しない親がいいですね。<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)などがある。進学塾「VAMOS(バモス)」ホームページはこちら>>
2020年06月30日今年は新型コロナウィルスの影響で学校が休校になったり、チーム活動の停止でサッカーの練習も思うようにできていないと思いますが、もうすぐ夏キャンプの季節がやってきます。休校の延長などによる運動不足により、身体が暑熱順化できていない上、気象庁の発表では今年の夏は暑いという予報も出ていて、例年以上に熱中症が心配です。保護者のみなさんとしては、大事なお子さんを預けるキャンプでどんな対策をしているのか、気になるものですよね。サカイクキャンプでは、安心・安全にサッカーに取り組めるようにさまざまな熱中症対策を実施していますので、まずは子どもたちがプレーをするピッチ上ではどんな対策をしているのかご紹介します。(構成・文:前田陽子)クーラーボックスに氷を常備、15分に一度を目標に水分補給タイムを設けています■気温の高さだけではない。WBGTを基準に熱中症対策熱中症とは、高温多湿の環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体内の調整機能が破綻して発症する障害のこと。めまいや大量の発汗、こむら返りなどの初期症状(I度)、頭痛・嘔吐・倦怠感などの疲労感(Ⅱ度)、体温調節ができなくなる熱射病(Ⅲ度)の三段階に分かれます。初期症状の段階では日陰やクーラーの効いている部屋へ移動して、着衣を緩め、水分補給をするなどしますが、Ⅱ度以降は医療機関での診察が必要になります。(引用:熱中症環境保健マニュアル 2018「熱中症になったときには」より)消防庁の調べでは、7~9月の熱中症による救急搬送者数は2018年がピークとなっています。2019年の搬送者数は減少していますが、気象庁の発表によると今年は昨年より暑くなると予想されています。また、新型コロナウィルスの影響で暑熱順化できないまま夏を迎えるので、例年以上に注意が必要と言えます。熱中症の予防に活用するのがWBGT(湿球黒球温度)という暑さ指数。気温、湿度、輻射熱などを取り入れて計測するもので、25℃以上になると屋外活動の警戒指数になり、28~30℃になると熱中症の発生、死亡数が多くなります。8月などの真夏はほとんどの日で25℃を超えるので、屋外活動の際には積極的に休憩を取り、充分な水分補給が必要です。■熱中症にならないように、サカイクキャンプのピッチで実施していること1.屋外での練習時間を工夫キャンプ中はWBGT測定器を用い、数値を確認しています。9時から16時まではWBGT(暑さ指数)の数値が28℃を超えることが増えるので、夏のキャンプ時の屋外練習は朝から9時までと、16時以降に実施するように計画。日中の時間は座学などに充てています。数値は随時計測するので、状況に応じて臨機応変にプログラムを変更し、子どもたちが安全に練習できるように工夫しています。2.グラウンドに日陰を設置、帽子の着用サカイクキャンプではテントを持参し日陰の準備をしており、水分補給の際などは、出来るだけテント内(日陰)で行っております。休憩時間や試合の合間には直射を避け、こどもたちの体の負担を軽減しています。また、練習中も帽子の着用をルール化。頭を直射日光から防ぐことにより、10℃前後、頭の温度上昇を防ぐと言われていますので、帽子を推奨しています。ピッチへの散水なども熱中症対策として挙げられますが、これは気化熱効果で地面温度を下げることで、サッカーがしやすい環境造りになるためです。サカイクキャンプでは、速やかに体温を下げられるようにホース、ビニールプールを用意し体調に異常があった選手にすぐに対応できる準備をしております。3.水分補給の時間を確保ジュニア期のラグビー選手の発汗量と飲水量の実態調査(2011年)によると、WBGT21℃の環境でも1時間で1kg当たり12gの水分量が減少することが報告されています。少年野球チームを対象に行った夏期スポーツ活動における発汗量と水分補給量の年齢差(2002年)の調査でも、WBGT31℃で体重当たりの発汗量は4.54%。40kgの選手が1回の練習で1,816mlの水分を失うことがわかりました。これらの調査により、WBGT21℃以下でも練習1時間の間に500mlの水分補給が必須なことが判明しています。WBGT28℃以上では水分喪失量がより多くなるので、サカイクキャンプでは15分に一度250mlの水分補給を目標としています。ピッチの外にはプールを用意しています。※写真は練習が終わった後にプールで楽しむ子どもたちサカイクキャンプでは、上記のような指標をもとに練習メニューをその日の状況に合わせて臨機応変に実施。つねに子ども対の安全に配慮して進行しています。また、コーチをはじめ、スタッフ全員が子どもたちの様子に目を配り、体調の変化をすぐにキャッチできるように努めているので、安心して参加ください。次回は、体重管理やピッチ外での準備についてご紹介します。
2020年06月26日みなさんのお子さんは、年齢なりに自分の事を自分でできますか?親御さんがあれこれ手をかけたり、「こうしなさい」と先回りして口出ししてしまっていませんか。わが子がつまづいて挫折してほしくないばかりに親がつまづきそうな要因を取り除いてしまう......。そうすることが子どもの自立を阻んでいるとしたら?「最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている」と、進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんは言います。はたしてそれはなぜでしょうか。子どもを年齢なりに自立させるために親はどうすればいいのかを伺いましたのでご覧ください。(取材・文:前田陽子)(写真は少年サッカーのイメージです)■以前に比べて、子どもたちは実年齢より4歳幼い!?――大学入試に親が同行することが普通となりつつありますが、どう思われていますか?受験のみ、住まい探しなどは別の機会に行う前提ですが、保護者世代の方々の経験として、遠方に入試に行く際に、子どもが女子だとまれに親御さんが会場まで一緒に行く方もいたと思いますが、男子の場合はなかったですよね。最近は男女問わず親がついていくことも増えつつあり、子どもの方も親と一緒に行くのが安心という子もいるようです。そういった、自分で行動する面なども含め、今の子たちは実年齢より4歳くらい幼い印象です。ここ5~6年、特に男の子に幼さが残っていると感じることが多いですね。同様の事は、同業者の中でも聞くことが増えました。「幼い」と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、悪いことばかりではないと思います。どの子もずっと幼いままでいるわけではなく、成長が緩やかなだけで、どこかで追いつきますので、たとえ今お子さんが他の子より精神的に未熟だとしても心配しすぎないでください。では、どうして今の子どもたちが幼いかというと、子どもたちがダメージを受けると立ち上がれないからです。「挫折したら立ち上がれない」「レールを外れたら戻れない」という空気があり、それでも立ち上がれる子はいるのですが、多くの場合は自分の子が大きな挫折をしたら立ち上がれないことがわかっているから、わが子にダメージを与えないようにと親が先回りをして、つまづく要素を取り除いてしまう。その悪循環が突き進みすぎていると感じています。――確かに。子どもたちを守ってあげたいという気持ちはわかりますが。それで社会に出て大丈夫かと心配になります。生物の世界には生存競争があって、勝ち残らなければいけないという本能があります。少し前から「徒競走で順位をつけない」「サッカーでレギュラーを決めない」「成績をつけない」という動きがあります。サッカーで選手全員にチャンスを与えようという主旨はわかりますが、社会に出て全員が同じ条件で同様なチャンスが与えられることは100%ありません。子どもの幼さを増長している要因のひとつは、大人がチャンスを強制的に与えるからだと考えています。昔の部活では、部内の競争を経て18名のメンバーが決められ、そこからスタメンの11名を目指す。全員に与えられたチャンスを生かせるか、生かせないかは個人の努力や力で、その過程が子どもたちを成長させました。けれど、今の子どもたちはチャンスが過度に与えられることで競争する必要がない=無理やり成長をしなくて良くなっているのです。■子どもが幼いのではなく、大人が幼い子どもを作っている――プロとして活躍している選手たちの子ども時代はもっと大人だったと思いますか?近年様々なジャンルでトップ層の子どもは考えがしっかりして成熟している子も多いと思います。サッカーでいうと、今、スペインで活躍している久保建英選手は18歳ですが、20年前の18歳に比べて格段と大人です。インタビューの受け答えなども、とてもしっかりしていますよね。勉強でも東大に入って「東大王」などに出ている子たちは、勉強だけでなく、幅広い知識や柔軟な発想が求められるクイズもできる。どの子も非常に要領が良くて、セルフプロデュースに長けているんです。天が二物を与えた子がたくさん出てきている一方で、前述したように幼い子どもたちも増えているという状況です。――同年代の子どもたちで差が出るのは、なぜでしょう。今の子どもたちは自分で選択せず、大人が与えた環境の中で過ごしています。それは子どもにとって言い訳しやすい状況です。そういう状況を大人が用意し続けた結果が、子どもの成長を妨げていると感じています。『親が出すぎる→過度な公平な機会を与える→順位を付けない→厳しくしない→成長しない』そんな循環ができてしまっています。順位付けをしない、厳しくしないというのは、指導者からするととても楽なことなのです。チームを強化する必要がないので、子どもたちを公平に扱うことさえすればいいだけですから。プロセスに重点を置いて楽しもうという方針にも利点はたくさんありますが、結果を求められないことは指導者にとって非常に楽という側面もあるのです。今の子どもたちはいろいろなことから守られすぎている結果、幼さが残っているのかなと思いますね。何でもかんでも厳しくしなければいけないとは言いません。けれど、競争をさせたら出来る子はたくさんいます。子どもは頑張れるのに、大人がその環境を取り除いてしまうので、頑張り方を知らない子が多すぎるのです。■親は現実を直視しよう――親はどう接していくべきだと考えますか?親御さんの多くが、現実を直視できていないと感じています。日本代表やオリンピック代表を見れば、おのずと過保護で伸びる子が少ないというのはわかるはず。サッカーは飛び級が許されているので、高校生でプロになる子も少なくありません。プロになったら何歳であろうと大人と一緒にプレーをします。15~16歳で大人扱いをしてあげなければいけないことに、親が早く気が付くことが重要です。プロを目指しているのではないので......。と思う人もいるかもしれません。けれど、自分の学年より上のカテゴリーの試合に出る機会がサッカーには多くあります。上の年代の人たちと一緒にプレーをして、自分の意見を言う。そういう環境は身近にあると思います。子どもは勝手に大きくなりません。親の関わり方によって、子どもの成長が変わることを肝に銘ずること。親が周囲の人たちにどう接していくべきかを考え、実行することで子どもの今後が左右されるのです。富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)などがある。進学塾「VAMOS(バモス)」ホームページはこちら>>
2020年06月22日日本を代表するチェリスト・長谷川陽子が2020年、精力的に新たな試みにチャレンジする。2月21日(金)に東京オペラシティコンサートホールにて、バンドネオン奏者の三浦一馬、ギタリストの大萩康司とのトリオによる「情熱と哀愁のリベルタンゴ」を開催。それに先立つ1月10日(金)には、同会場のホワイエにて0歳児を育児中の保護者を対象にしたコンサート「0歳児とおでかけ応援プロジェクト」を実施する。【チケット情報はこちら】「情熱と哀愁のリベルタンゴ」は、ピアソラの「リベルタンゴ」、ハチャトゥリアンの「剣の舞」をはじめ「踊りや歌に関する曲を選んだ」と“情熱”を前面に出した曲目になっており「私自身の気質としてもラテンの血わき肉おどるようなノリがあるので(笑)、熱いコンサートになります!」と力強く語る長谷川。三浦、大萩それぞれとの共演経験はあるが、3人が揃うのは初めて。「バンドネオンの特徴は、情感に訴える哀愁を帯びた音色。タンゴのイメージが強いけど、実はオルガンの要素が強いんです。この分厚く奥行きのある音に対し、チェロがどう舞い踊れるのか? 非常にスリリングです」と三浦のバンドネオンとの共演への期待を膨らませる。一方、ギターについては「数年前に福田進一さんとデュオCDを作って以来、ギターに魅了されました。ギターは弓で弾くチェロと違って、弾いた瞬間から音が消えていく儚さと美しさがある」とその魅力を熱く語り「それぞれの楽器によって私もチェロの弾き方、音の立ち上がりを変えていきます。信頼する2人との共演ですが、私にとっても挑戦になると思います!」と未知なるチャレンジへの意気込みを口にする。「0歳児と――」は、授乳やオムツ交換、ベビーカーでの移動などの苦労を懸念し、外出を躊躇してしまいがちな育児中の保護者に本格クラシックを楽しんでもらえるよう、2000円のチケット1枚で“0歳児”と保護者の大人2名が入場できる。託児室に預けるのではなく赤ちゃんと同じ空間でコンサートを楽しめる企画だ。自身も子育て経験があり「子どもが0歳の時はテーブルにマットを敷いて寝かせて練習していた」という長谷川。家族や周囲のサポートを受けながら演奏会も行なっていたと明かし、恩返しの思いも込めて参加を快諾したという。曲目はバッハの無伴奏チェロ組曲、武満徹の「翼」などで、あくまでも大人向けのクラシック演奏会となっており「赤ちゃんを育てていても、時に自分の時間を楽しんでいいし、明日への糧になれば。子育てを“希望”にしたい」と意気込みを口にした。チケットは両公演とも発売中。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年12月06日これからを「生き抜く」力となるライフスキル。サカイクでは、サッカーを通じて「生き抜く」力を育むことを目的に、2017年の春キャンプより、ライフスキル研究の第一人者である慶應義塾大学・東海林祐子先生の監修のもとライフスキルプログラムに基づいたトレーニングをキャンプで行っています。ライフスキルに共感してキャンプに参加してくれる親御さんから「家庭でもライフスキルを伸ばす方法が知りたい」とのお声をいただくことも多いので、サカイクキャンプのヘッドコーチ・高峯弘樹さんに、家で実践できる5つのライフスキル(考える力、チャレンジ、コミュニケーション、リーダーシップ、感謝の心)を伸ばす方法を教えていただきました。第四回目は、リーダーシップ力についての提言です。子どもたち本人はもちろんですが、親がすべきこと、できることを教えていただきました。(取材・文:前田陽子)<<第三回:大人しいからコミュニケーション力低い、ではないこれからの社会では旧来のようなリーダー気質のある子だけでなく、「みんな」に求められる力なのです(写真はサカイクキャンプ)■周りにいい影響を与えることができるのもリーダーシップリーダーシップのある人と言うと、日本代表の長谷部誠選手などが思い浮かぶかもしれません。ですが、「もともと長谷部選手のような資質を持っている子は少ないので、それを子どもに求めるのは難しいです」と高峯コーチは言います。サカイクキャンプで実践しているのは、まずは自分に対してリーダーシップを持つことだそうです。例えばキャンプで、朝起きてコーチに挨拶をするのが恥ずかしいけれど勇気を出して「おはようございます」と言ってみる、など自分を引き上げることからリーダーシップは始まるのだそう。また、「周りにいい影響を与えることもリーダーシップのひとつ」だと言います。声を出すのが苦手なら、得意なプレイでチームメイトを鼓舞することもリーダーシップだと考えているそうです。プレイ中はボールを持っている人が、次のプレイを決めることになります。ですから、ピッチにいる選手全員にリーダーシップが必要になります。その力を養うためには、自分で決断してアクションを起こせる状況を作ることが大切なのです。そのためには、さまざまな局面で子どもに決めさせることが大事になります。■自分に自信が持てると人の前に立つことが容易になる何か一つ、ほかの人には負けない強みを身につけると自信が持てる(写真はサカイクキャンプ)10年後、子どもが社会に出るころには、世の中はもっとグローバルになっているでしょう。日本企業で日本人だけに囲まれて働く、というこれまでの働き方自体が少なくなることが考えられます。その時に必要なことは何だと思いますか?仕事も、プロジェクトごとに得意分野を持つ人材が集まって、それぞれの強みを活かしながら共同で進めていくやり方なども増えると予想されます。そんな社会を生きるためには、「何かひとつ自分に自信があるといい」と高峯コーチは言います。他の人には負けないという強みは、生きていく上でとても力になります。それがサッカーに関することでも、まったく違うことでも構いませんので、子どもがやりたいと思ったことをやらせてあげて、自信が持てるほど探求できるものを探させましょう。以前、サカイクキャンプに参加した子の中に、プレーはそれほど目立たないけれど、Jリーグの「サンフレッチェ広島」についてとても詳しい子がいたそうです。その子は何年の第何節でどの選手がどんなプレイで得点をしたのかを覚えているようなサンフレッチェファンで、彼の話に回りのみんなが引き込まれていたのだそうです。子どもの世界でもプレーの上手下手で力関係ができてしまうこともありますが、その子は自分の「これだけはほかの子よりできる」という自信を持っているものがあったので、臆することなく話せたし、周囲の子も「すごい」と一目置いたのです。ご家庭でリーダーシップを身につけるためには、サカイクキャンプでも実践しているように何か当番などの役割を持たせるのもいいと高峯コーチはアドバイスします。食器を片付ける、靴を揃える、洗濯物を畳む......など、家庭の中で自分に何ができるかを考えさせて、役割を持たせます。そしてそれを責任を持ってやり続けさせると小さなことでも積み重ねることが大事で、続けられたという事実がとても自信になります。忙しい親御さんたちが、子どもに一発で効果が出る「魔法」を求めたい気持ちはわかりますが、このようなことには特効薬はないので、時間をかけて自信を育んでいきましょう。責任をもってやり続けること、自分の得意なことに自信を持つことで少しずつリーダーシップも育まれていくのです。<<第三回:大人しいからコミュニケーション力低い、ではない
2019年11月29日これからを「生き抜く」力となるライフスキル。サカイクでは、サッカーを通じて「生き抜く」力を育むことを目的に、2017年の春キャンプより、ライフスキル研究の第一人者である慶應義塾大学・東海林祐子先生の監修のもとライフスキルプログラムに基づいたトレーニングをキャンプで行っています。ライフスキルに共感してキャンプに参加してくれる親御さんから「家庭でもライフスキルを伸ばす方法が知りたい」とのお声をいただくことも多いので、サカイクキャンプのヘッドコーチ・高峯弘樹さんに、家で実践できる5つのライフスキル(考える力、チャレンジ、コミュニケーション、リーダーシップ、感謝の心)を伸ばす方法を教えていただきました。第三回目は、コミュニケーション力についての提言です。子どもたち本人はもちろんですが、親がすべきこと、できることを教えていただきました。(取材・文:前田陽子)<<第二回:「チャレンジする力」の育て方相手の言い分を理解して、自分の意見を口にできることが大事なのです(写真はサカイクキャンプ)■大人しい、内気=コミュニケーションが苦手、ではない!サッカーはチームでプレイする競技なので集団の力を上げることが最重要です。もちろん個の力があってこそですが、その個の力をつなげるための力=コミュニケーション力が必要不可欠です。サカイクキャンプには、恥ずかしがりやで自分から声をかけられない子もたくさん参加してくれています。高峯コーチは、キャンプでライフスキル講座も行っていますが、「声をかけられない=コミュニケーション力がないわけではありません。人の話を聞けて、それについての意見を口数の多い少ないではなく、発言できたり態度で示すことができれば、コミュニケーションができていると考えていいと我々は考えています」と断言します。お父さんお母さんの中にも、コミュニケーションスキルというと「明るい」「社交的」などのイメージを持つ人も少なくありませんが、コミュニケーションの本質はそうではないことを理解してください。これまで「親自身もあまり社交的ではなくて......」と自信がなかった方も、子どものコミュニケーション能力を家庭で高められる方法ですので、ぜひ実践してみてください。コミュニケーション力とは、思っていることを伝えることができる力です。思いや考えていることは、伝えなければ相手に届きませません。それは態度でも構いませんが、言葉で伝えるのが一番わかりやすいはず。思いを伝えることは、サッカー以外でもこれから先、生きていく上でても大事になってきます。グローバルな社会になればなるほど重要とされるスキルですが、多種多様な人材が働く企業などで働く方々を見ても、内容が正しい、間違っているではなく、相手の言い分を理解して、自分の思いを伝えることに長けていて、そこは見習いたい部分です。自分の思いを他者に伝えるためには、やはりベースとなる「考える力」が大事だと高峯コーチは言います。■リアクションは大げさに。興味を持って話を聞く口数の多い少ないではなく、自分の意見を言えることがサッカーにおいても大事なことなのです(写真はサカイクキャンプ)家でおしゃべりの中心が親御さんになっていませんか?一方的に話しをするのではなく、親子でディスカッションをしましょう。子どもは時に的外れな事を言うかもしれませんが、それでも興味を持って聞いてあげることが大事なのです。「すごいね」「そうなんだ」「それで、どうしたの?」などと話しについてリアクションを取ってあげると、話も盛り上がります。高峯コーチは、「どういう質問をしたら子どもが答えやすいかを考えてあげてください。そして言っていることに対してリアクションをしっかりと取ってあげることが大事です」とアドバイスを送ります。わかりやすい例でいうとTVの司会者などです。たとえば明石家さんまさんのように大げさなリアクションで上記した「相手への興味を伴う質問」をすると、相手は話しやすくなるのだそうです。自分の話しを聞いてくれていると実感すれば、話はどんどん盛り上がるのです。そのために、親は話を聞く体制を整えることが大事だとコーチは言います。親御さんも毎日忙しいとは思いますが、家事をしながらやスマートフォンの画面を見ながらの対応でなく、きちんとお互いの目を見て話す時間を作っては、とアドバイスを送ります。時間に追われる日々の中では難しいかもしれませんが、1日1時間ぐらい時間を作って子どもの目を見て、大げさなぐらいのリアクションを取りながら子どもの話を聞く。そうすることで、話を聞いてもらっている実感ができ、積極的に話ができるようになるはずです。自分の意見が言えないと、プレイにも影響が出ます。ボールが欲しいと言えなかったことで、得点チャンスを逃すこともあるでしょう。大人の世界でも、不満を持ちながらも「誰かがやってくれる」と意見を言わない人はたくさんいるのが現状です。けれど、なりたいもの、欲しいもの、変えたいこと、叶えたいことなど要望があるのに何も意思表示せず行動もしなければ、希望を実現することはできません。これからはその「誰か」に自分がなることが大事だとサカイクは考えています。会話がポンポン弾む、会話のキャッチボールがコミュニケーション能力ではないのです。口数は多くなくてもきちんと相手の言い分を理解し、自分の考えを示すことができる。これは日常の会話の中で実践できることなので、ぜひご家庭で習慣にしてみてください。<<第二回:「チャレンジする力」の育て方
2019年11月25日これからを「生き抜く」力となるライフスキル。サカイクでは、サッカーを通じて「生き抜く」力を育むことを目的に、2017年の春キャンプより、ライフスキル研究の第一人者である慶應義塾大学・東海林祐子先生の監修のもとライフスキルプログラムに基づいたトレーニングをキャンプで行っています。ライフスキルに共感してキャンプに参加してくれる親御さんから「家庭でもライフスキルを伸ばす方法が知りたい」とのお声をいただくことも多いので、サカイクキャンプのヘッドコーチ・高峯弘樹さんに、家で実践できる5つのライフスキル(考える力、チャレンジ、コミュニケーション、リーダーシップ、感謝の心)を伸ばす方法を教えていただきました。第二回目は、チャレンジする力についての提言です。子どもたち本人はもちろんですが、親がすべきこと、できることを教えていただきました。(取材・文:前田陽子)<<前回|連載一覧|次回>>失敗を恐れてチャレンジしないことは、成長もしないということです(写真はサカイクキャンプ)■成果だけを見ないこと!チャレンジしないのは本末転倒チャレンジできないことの要因のひとつが、「失敗したくない」「ミスをしたらどうしよう」という気持ちです。チャレンジをしなければ失敗することはありませんが、人はミスや失敗からたくさんのことを学んで成長します。成長を望んでいるのにも関わらず、失敗を恐れてチャレンジしないのは本末転倒ということ。「こっちの方がいい」「それは良くない」と、子どもが選んだことを否定したり、親があれこれ関わってしまうと「じゃあいいや」とチャレンジしなくなってしまいます。親は子どもの失敗を避けようとせず、たとえ失敗するとわかっていてもその決断を尊重して背中を押してあげることが大事。そして、子どもと一緒に喜んだり、残念がってあげましょう。そうすることで子どもは「失敗してもいいんだ」と感じることができるはずだと高峯コーチは言います。成功や失敗という結果より、チャレンジしたという過程が大切です。勇気をもって挑戦したこと、その際に考えたことやとった行動を「よくがんばった」「そういう方法があったんだ」とほめてあげます。ほめられてうれしくない子どもはいません。ほめられることで、自分に自信を持つことができ、目の前のことにチャレンジする勇気がでるのです。高峯氏がヘッドコーチを務めるサカイクキャンプでも、コーチたちはチャレンジの過程や、その際に考えていた事を肯定し、子どもたちに自信をつけさせています。■誰かと比較するものではない「できている子」やチームメイト、兄弟など他者と比較して優越感を得たり落ち込んだりするのは親の事情。子どもの「楽しいからやる」気持ちを大事にしましょう(写真はサカイクキャンプ)チャレンジは、誰かと比較をするものではなく、自分の中で完結するものです。「お友だちや兄弟はできるのに......などと他者と比べることは絶対にしないでください。誰かと比べられることで、チャレンジする気持ちが高まることはなく、むしろ子どものやる気を削いでしまうことになります」と高峯コーチは警鐘を鳴らします。お父さんお母さんの中にもついつい周りの子と比較してしまう方がいると思いますが、それで気持ちよくなったり落ち込んだりするのは「親」の事情であり、子どもの成長を阻害するものです。チャレンジする力の基本は、「楽しいからやる」ということ。誰かに何かを言われてやるのではなく、自分がやりたいと思って楽しむことがベースです。なので、「子どものためにとチャレンジする何かを親が用意する必要はありません」とコーチは言います。親は子どもが何に興味を持つか、わが子をよく見て「これやってみたい」と子どもが思ったことを「危ないからやめなさい」などと理由を付けてやめさせないことが大事だそうです。「楽しそうだね」と共感して、一緒にチャレンジするのもいいでしょう。新たなことへのチャレンジに心配はつきものです。親が子どもの心配をするのは当然のこと。ですが、口出しは禁物です。「チャレンジする力を育むためには、考える力と同様、親の我慢が重要なポイント」と高峯コーチ。親が「この子には無理」と子どもの可能性の芽を摘んでしまわないことが、チャレンジする力を身に付けさせる第一歩なのです。<<前回|連載一覧|次回>>
2019年11月21日