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茅ヶ崎エフエムの開局1周年記念コンサート『BEGIN Specialコンサート in 茅ヶ崎』が、9月28日に神奈川県・茅ヶ崎市民文化会館大ホールで開催された。本コンサートは、茅ヶ崎エフエムが10月1日で開局1周年を迎えるにあたっての1周年記念イベント。オープニングでは茅ヶ崎エフエムのパーソナリティとして活躍する元フジテレビアナウンサーの石本沙織が登場。茅ヶ崎エフエムが駆け抜けた1年間を振り返り、「心の準備はいいですか?」とBEGINのメンバーを呼び込んだ。拍手の中ステージに立った比嘉栄昇(vo)は、大盛り上がりの観客に向けて「子供たちも騒いでくれて構いません」「リビングでくつろぐように、最後まで一緒に楽しんでいきましょう」と声をかけ、名曲「恋しくて」で幕を開けた。続いて島袋優(vo&g)が作曲を手がけた「海の声」、そして「三線の花」と続き、会場は早くもひとつになった。比嘉栄昇(vo)「石垣島の曲は茅ヶ崎にも合うと思う」と「夏の花火」を披露すると、茅ヶ崎の先輩アーティストの楽曲として「想い出の渚」(ザ・ワイルドワンズ)、「お嫁においで」(加山雄三)、そして「YaYa あの時代を忘れない」(サザンオールスターズ)をカバー。茅ヶ崎へのリスペクトを感じる選曲とBEGINらしさあふれるアレンジに、会場は歓喜した。続くアップテンポナンバー「ハイサイ California」で、観客はますます大盛り上がり。両手を左右に振り、まるで湘南の海のようなうねりを見せる客席に比嘉が「酔うからやめて〜!」とリアクションすると、会場は笑いに包まれた。島袋優(vo&g)「アサイーボウル」「砂糖てんぷら」「Churrasco」と続き、「竹富島で会いましょう」、そして「オジー自慢のオリオンビール」で観客は総立ち。指笛を鳴らしたり、カチャーシーを踊ったり、まさにBEGINの真骨頂。まるでここが沖縄かのように楽しく温かな時間が流れた。また、「オジー自慢のオリオンビール」の曲中では、比嘉の長男で、この日はドラマーとして参加している比嘉舜太朗が自身のバンド・HoRookies(ホルキーズ)の楽曲「結の唄」を披露。透き通った歌声が、茅ヶ崎の夜に響いた。上地等(pf&vo)そして、コンサートもいよいよクライマックス。ここからは、盆踊りの定番曲「東京音頭」「炭坑節」、「お祭りマンボ」(美空ひばり)、「自動車ショー歌」(小林旭)、「好きになった人」(都はるみ)、さらに「勝手にシンドバッド」「銀河鉄道 999」「笑顔のまんま」を含むマルシャメドレーを披露。マルシャメドレーでは、BEGINファンにはおなじみのマスコットキャラクターの“マルシャンちゃん”だけではなく、茅ヶ崎市特別観光大使・えぼし麻呂も出演。キャラクターたちがステージ上で思い思いに踊りを披露すると、“振りコピ”するファンも多く、会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。興奮冷めやらぬまま、アンコールに突入すると「ウルマメロディー」「涙そうそう」を地元のフラダンススクール「Kalokemelemele Hula Studio(カロケメレメレ・フラスタジオ)」のダンサーたちと披露。茅ヶ崎の海が、沖縄、そしてハワイ、さらには世界へとつながっていることを、音楽を通じて再認識させてくれた。最後に「この曲を披露せずには石垣島へ帰ることはできない」と彼らの代表曲「島人ぬ宝」を演奏すると、会場からは大きな拍手と歓声が。大人から子供まで、老若男女が自由に楽しむ様子にBEGINのメンバーも目を細めた。「今日はありがとうございました!」とステージを去るBEGINのメンバーたち。目を閉じると石垣島の景色が見えてくるようなBEGINらしさを存分に発揮しつつ、最後はBEGINのメンバー全員と茅ヶ崎エフエムのパーソナリティ・フラダンススクール「Kalokemelemele Hula Studio(カロケメレメレ・フラスタジオ)」と会場に集まったファンと記念撮影。地元の茅ヶ崎と沖縄の魅力を見事に音楽で融合させた2時間半だった。また10月2日(水) には、この日マルシャメドレーで披露された「東京音頭」「炭坑節」「お祭りマンボ」「自動車ショー歌」「好きになった人」に「涙そうそう」を盆マルシャアレンジにした6曲のメドレーに加え、moonriders・鈴木慶一が盆踊りアレンジを手がけた「盆・島人ぬ宝」「盆・笑顔のまんま」、メンバーが“第二の故郷”と語る「渋谷」への恩返しとして書き下ろした楽曲「渋谷百年総踊り」が収録されているニュー・アルバム『ビギンの盆マルシャ』が発売された。さらに同日21時からは『ビギンの盆マルシャ』発売記念として、先日渋谷金王八幡宮で行われたライブの模様がYouTubeでプレミア公開される。『ビギンの盆マルシャ』発売記念プレミア公開『金王八幡宮例大祭BEGIN奉納ライブ』※10月2日(水) 21:00〜プレミア公開<公演情報>『BEGIN Specialコンサート in 茅ヶ崎』2024年9月28日(土) 神奈川県・茅ヶ崎市民文化会館大ホールセットリスト1. 恋しくて2. 海の声3. 三線の花4. 夏の花火5. 想い出の渚6. お嫁においで7. YaYa あの時代を忘れない8. ハイサイ California9. アサイーボウル10. 砂糖てんぷら11. Churrasco12. 竹富島で会いましょう13. オジー自慢のオリオンビール(結の唄)14. マルシャメドレー東京音頭炭坑節お祭りマンボ自動車ショー歌好きになった人勝手にシンドバッド銀河鉄道 999国道 508 号線笑顔のまんまラストダンスは私に15. ウルマメロディー16. 涙そうそう17. 島人ぬ宝<リリース情報>『ビギンの盆マルシャ』2024年10月2日(水) リリースBEGIN『ビギンの盆マルシャ』ジャケット●通常盤(CD):3,000円(税込)●通常盤(CD+DVD):4,000円(税込)【CD収録内容】1. 渋谷百年総踊り2. 盆・島人ぬ宝3. 盆・笑顔のまんま■盆マルシャメドレー4. 東京音頭5. 炭坑節6. お祭りマンボ / 美空ひばり7. 自動車ショー歌 / 小林旭8. 好きになった人 / 都はるみ9. 涙そうそう10. 渋谷百年総踊り(カラオケ)【DVD収録内容】■『BEGIN お天気祭りツアー2024』2024.6.22 LINE CUBE SHIBUYA・東京音頭・国道508号線・炭坑節・笑顔のまんま・お祭りマンボ・涙そうそう・自動車ショー歌・好きになった人・渋谷百年総踊り 踊り方配信リンク:<ライブ情報>『NEW ALBUM「盆マルシャ」発売記念!かりゆしネットpresentsマルシャライブ2024』10月9日(水) 大阪・BIGCAT開場18:15 / 開演19:0010月11日(金) 神奈川・クラブチッタ開場18:15 / 開演19:00【チケット情報】一般:7,700円(税込)小学生:2,200円(税込)※全席指定・ドリンク代別途※BEGINオフィシャルファンクラブ「かりゆしネット」会員のみのチケット販売 35周年記念公演『さにしゃんサンゴSHOW!!』2025年3月22日(土) 大阪・大阪城ホール開場16:00 / 開演17:002025年3月30日(日) 東京・日本武道館開場17:00 / 開演18:00【チケット情報】FC優待一般料金:10,000円(税込)一般(26歳以上):12,000円(税込)高校生以上〜25歳以下:7,000円(税込)小中学生:3,500円(税込)チケット先行受付中()公式サイト:
2024年10月02日石山雄三/ A.P.I.『(NO W)AVE』が2024年1月7日(日)~1月8日(月・祝)にR’ s アートコート(東京都新宿区大久保 1-9-10)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて11月7日(火)0:00よりチケット発売開始です。カンフェティにて11月7日(火)0:00よりチケット発売開始 公式ホームページ アーティスト・コレクティブ "A.P.I." は、2024年1月、パフォーマンス・メディア・アーティスト/振付家・石山雄三の新作パフォーマンス『(NO W)AVE』(読み:ノーウェイヴ)を、「R’s アートコート」(新大久保)で発表する。◆ 「ダンサーは音楽に合わせて踊る」という「常識」を、完膚なきまでに粉砕してみせるダンス作品出演者はワイヤレスデバイスを装着して、自らの動きをサウンドトラックに変換しながら、作品を進行させる。つまり彼らはダンサーであり、同時に楽器を演奏するミュージシャン。『(NO W)AVE』はアートのカテゴリーを軽々と越境する作品なのだ。◆ 現代社会に潜む、数多くの「孤立」に、光を当てるパフォーマンス今、至る所で、コミュニケーション不全や、属するコミュニティから否定されることへの過剰な「怯え」がまん延していると、ディレクターの石山は感じている。他者とのコミュニケーションは問題ないと思い込んでいる人達でさえも、「無視される」、「孤立」といった状態に、いとも簡単に陥ってしまうことは、この状況下では不思議な事ではない、とも彼は語っている。これが2020年代のリアルなのだ。本作品では、石山のソロダンスが全体を通して展開され、様々な「孤立」の情景がステージ上に立ち現れる。作品タイトルの『(NO W)AVE』とは「波風(WAVE)も立たないところ」、すなわち「孤立」を暗示している。また『(NO W)』(=今)という単語も内側に含んでいる。まさに「いま」を語ろうとする「コンテンポラリー」なライブ作品が、この『(NO W)AVE』なのだ。前回公演『S.S.S.S.』舞台写真プロフィールA.P.I.についてパフォーマンス・メディア・アーティスト/コレオグラファーの石山雄三を中心とする、アーティスト・コレクティブ。ダンス作品『QWERTY』は、フランスのデジタルアート・フェスティバル "Bains Numériques" や、南米最大級のダンス・フェスティバル、リオデジャネイロの "Panorama Festival" 等に招聘されている。2016年から、『0dB』プロジェクトをスタート。出演者も観客もヘッドホンをつける「無音」ダンス作品を連続発表。「臨場感とは、一体何なのか?」と観る側に問いかけた。「マシンとヒトとの’対話’」を考えるシリーズ・クリエーション『./ [dot slash]』では、2020年にドローンを、翌年にはムービングライトの振付を試みている。また石山は、内外問わず様々なプロジェクトにクリエイターとして参加してきており、新国立劇場バレエ団にもゲスト・コレオグラファーとして招聘されている。 CRZKNY(オリジナル・サウンドトラック担当)広島在住。GOODWEATHER 所属。2011年よりシカゴ発祥のダンスミュージック JUKE、FOOTWORK を独自解釈した楽曲を作り始める。毎年100曲前後、現在までに1200曲超の楽曲リリースを行なっている。2017 年にリリースした 3 枚組 CD のサードアルバム『MERIDIAN』は、サニーデイ・サービス曽我部恵一からボアダムス∈ Y ∋まで、各界のトップたちをも魅了、絶賛された。サニーデイ・サービス作品には今まで計 5 回のリミックス提供や共作、公式ブートレグ作成などを行なっている。2020 年、自身のレーベル『DONTKILLMYVIBE』を設立。同レーベルにて一年間毎月アルバムをリリースするプロジェクトを『死都調布』シリーズでおなじみの漫画家・斎藤潤一郎とコラボし 12 枚のアルバムを発表、また " 架空のテクノレーベル " の楽曲を 100 日で連続リリースするプロジェクト『dog on death』シリーズなど、ハイクオリティな作品を尋常ならざるペースで日々生み出し続けている。好きな言葉は "I SPIT ON YOUR GRAVE" 公演概要石山雄三/ A.P.I.『(NO W)AVE』■公演スケジュール2024年1月7日(日)18:00 開演2024年1月8日(月・祝)15:00 開演+ 18:00 開演■会場R’ s アートコート(東京都新宿区大久保 1-9-10)■チケット料金前売・予約:4,000 円/当日:4,500 円(全席自由)*全席自由/整理番号順入場/整理券は開演 30 分前から配付予定主催:A.P.I.コンセプト/ディレクション:石山雄三オリジナル・サウンドトラック:CRZKNYライティング:畠中泰正(Lighting ETHNOS)サウンド:遠藤幸仁(LSD Engineering)コスチューム・デザイン:るう(ROCCA WORKS)コスチューム製作:井上のぞみ舞台監督:下谷高之共同演出:坂本貫太プロデューサー:田畑 "10" 猛(もらすとしずむ)出演/共同振付:石山雄三、平多理恵子特別協力:BOSS 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年10月24日株式会社ベストフィールド(本社:東京都新宿区、代表取締役:添田弘幸)は、創立20周年記念企画第8弾として、加山雄三主演の名門女子高を舞台にした青春ドラマ「高校教師」を、放送から50年を目前に初ソフト(DVD)化を決定。また、吉川英治の少年冒険小説を当時の特撮技術をふんだんに盛り込み実写化した冒険時代劇「神州天馬侠」を、55年以上の時を経てHDネガスキャンによる高画質で初ソフト化(Blu-ray)を行い、2作品を2024年1月31日に発売します。DVD&Blu-ray【リリース情報1】高校教師 コレクターズDVD <HDリマスター版>■作品名ベストフィールド創立20周年記念企画 第10弾加山雄三主演 高校教師 コレクターズDVD <HDリマスター版>URL: ■発売日2024年1月31日(水)■価格27,500円(税込)/25,000円(税抜)■封入特典解説書■キャスト加山雄三、村松英子、荒谷公之、山内えみこ(山内絵美子)、桃井かおり、四方晴美、須藤リカ(すどうかづみ)、愛田純、春日まち子、藤江リカ、沢田亜矢子、青木英美 ほか■スタッフ脚本:鴨井達比古、田波靖男、長野洋、安斉あゆ子、四十物光男、宮下教雄、笠原良三監督:石田勝心、鈴木英夫、金谷稔、岩内克己音楽:松山祐士 ※「祐士」の「祐」の左側は「示」制作:東宝株式会社■作品内容出版社に勤めるも会社が倒産し、私立白雪女子高校に勤務することになった新任英語教師・北山浩一郎(加山雄三)が、数多くの問題を抱える生徒たちとの交流を通し、教師として成長していく姿を描いた青春ドラマ。教員免許が役にたち教師になったものの、もともと教育の理想に燃えて教師になったわけではなく、どこか割り切っていた北山だったが、彼が担任することになった3年A組の女子生徒5人組を中心とする生徒たちや同僚教師たちとの関わりにより、社会や家庭の問題に鋭く切り込んでいく…。初回放送:1974年4月2日~9月24日/東京12チャンネル(現・テレビ東京)■DVD仕様1974年/日本/カラー/本編約1222/4:3/音声:モノラル/片面2層/第1話~26話(全26話収録)/6枚組(C) 1974 TOHO CO., LTD.発売元:株式会社ベストフィールド販売元:TCエンタテインメント【リリース情報2】神州天馬侠 Blu-ray■作品名神州天馬侠 Blu-rayURL: ■発売日2024年1月31日(水)■価格28,600円(税込)/26,000円(税抜)■封入特典解説書(咲耶子姫役・松木路子スペシャルインタビュー掲載)■キャスト黒田賢、聖みち子(松木路子)、沼田曜一、林真一郎、青山隆一、里井茂、津島道子、明石潮、菅原文太 ほかナレーター:柳川清■スタッフ原作 :吉川英治(講談社版 吉川英治全集)脚本 :松原佳成、岸生朗監督 :松村昌治、船床定男音楽 :木下忠司美術 :川村鬼世志特撮監督:田辺満特撮 :ピー・プロダクション制作 :松竹テレビ室、朝日放送■作品内容織田・徳川の連合軍に滅ぼされた武田勝頼の遺子・伊那丸が、忠義の士とともに、武田家再興を志し京都へ旅立ち、次々と行く手を阻む敵と死闘を繰り広げていく。初回放送:1967年(昭和42年)6月18日~12月31日/ABC・TBS系■Blu-ray仕様1967年/日本/モノクロ/本編約672分/4:3(Pillar Box)/音声:モノラル/片面2層/第1話~29話(全29話)/2枚組(C)松竹発売元:株式会社ベストフィールド販売元:TCエンタテインメント【その他】・購入キャンペーンについて購入レシート(領収書)で、もれなくAmazonギフト1,000円分プレゼント! ・ベストフィールドYouTubeチャンネルでは、各作品のプロモーション動画を公開しております。映像チェックにも是非ご活用ください! ・毎月新作を続々とリリース!昭和の名作、想い出のアニメ、甦るヒーローをテーマに約500作品はホームページからご覧いただけます。 ・ベストフィールド創立20周年記念企画第1弾 美しきチャレンジャー Blu-ray美しきチャレンジャー Blu-ray第2弾 レモンの天使 コレクターズDVD <HDリマスター版>レモンの天使 コレクターズDVD <HDリマスター版>第3弾 エイトマン Blu-rayエイトマン Blu-ray第4弾 ジキルとハイド コレクターズDVD <HDリマスター版>ジキルとハイド コレクターズDVD <HDリマスター版>第5弾 あしたのジョー Blu-ray <4Kリマスター版> Vol.1・Vol.2あしたのジョー Blu-ray <4Kリマスター版> Vol.1あしたのジョー Blu-ray <4Kリマスター版> Vol.2第6弾 あの橋の畔(たもと)で コレクターズDVDあの橋の畔(たもと)で コレクターズDVD第7弾 九重佑三子のコメットさん Blu-ray九重佑三子のコメットさん Blu-ray第8弾 探偵 神津恭介の殺人推理シリーズ コレクターズDVD Vol.1・Vol.2探偵 神津恭介の殺人推理シリーズ コレクターズDVD Vol.1探偵 神津恭介の殺人推理シリーズ コレクターズDVD Vol.2第9弾 女の顔 コレクターズDVD第10弾 高校教師 コレクターズDVD <HDリマスター版>■会社概要商号 : 株式会社ベストフィールド代表者 : 添田弘幸所在地 : 東京都新宿区四谷三栄町15-4 第一原嶋ビル803号設立 : 2004年3月10日事業内容: DVD・Blu-rayの企画、発売URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年10月20日2023年10月16日、『若大将』のニックネームで知られる、歌手で俳優の加山雄三さんが、ウェブサイトを更新。同日、亡くなっていたことが公表された、フォークグループ『アリス』のメンバーである、歌手の谷村新司さんへのメッセージを公開しました。「本当にいつも楽しかったよ」谷村新司さんへの想いを語るともに歌手であり、1992年には日本テレビ系のチャリティ番組『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』(以下、『24時間テレビ』)放送中に、全国から寄せられたメッセージから楽曲『サライ』を共作するなど、親交のあった2人。加山さんは「ショックと悲しみで正直混乱しています」としつつ、次のようにつづっています。ちんぺいとは「サライ」をはじめたくさんの思い出があります。ヤンチャーズ楽しかったよな。たくさんの場所で一緒に歌ったよな!陶芸に誘ってくれた兄弟子でもあるし、いつもちんぺいには「加山さん勝負じゃないんだから!」って言われてたっけ。ほんとの兄弟のように慕ってくれて一緒にいる時は本当にいつも楽しかったよ。その兄想いの弟が先に逝ってしまった。今、気持ちをまとめてくれと言われても、彼に伝えたいことはたくさんあって、言い切れないよ。一言だけ彼に伝えるなら、やっぱり「ありがとう」この感謝の言葉しか見当たりません。加山雄三 オフィシャルサイトーより引用谷村さんへのあふれる想いを語った、加山さん。ネットでは、「2022年の『24時間テレビ』で、2人で歌っている姿を見て泣いたのを思い出す」「もう二度と、加山さんとの『サライ』を聴けないのがさびしい」などのコメントが投稿されています。「永遠の『サライ』を谷村くんとともに…」という加山さんの結びのコメントは、2人の関係性を物語っているようですね。[文・構成/grape編集部]
2023年10月16日加山雄三が9月9日に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催するラストホールコンサート『加山雄三ラストショー~永遠の若大将~』の模様が、全国の映画館でライブビューイングされることが発表された。年内をもってコンサート活動からの引退を発表した加山。このたった1公演しかないラストホールコンサートに「行きたくても行けない!」という声が本人に届いたことがきっかけとなり、生の歌声を1人でも多くの方に届けるべく、ライブビューイングが実施されることとなった。なお本公演の売り上げの一部は、2019年に加山が海洋環境の汚染と若者の「海ばなれ」を危惧し公益財団法人日本セーリング連盟と共に設立した「海 その愛基金 海洋環境クリーンプロジェクト」に寄付される。また、ラストホールコンサートを盛り上げるべく、加山の出世作である映画若大将シリーズ『大学の若大将』『エレキの若大将』『ハワイの若大将』が、8月26日から9月8日までの2週間限定で全国の映画館にて復活上映されることが決定。さらにファンが選んだ人気曲を収録した最新ベストアルバム『若大将ベスト』が9月7日に発売されることが発表された。アルバムには、昨年4月に配信シングルとしてリリースされ、初CD化となる「紅いバラの花」を含む全21曲が収録される予定だ。■『加山雄三ラストショー 永遠の若大将』ライブビューイング情報:■映画「若大将シリーズ」復活上映情報サイト:<リリース情報>加山雄三『若大将ベスト』2022年9月7日(水) リリース価格:3,300円(税込)※全21曲収録※20Pのブックレット付加山雄三『若大将ベスト』ジャケット加山雄三「紅いバラの花」MV加山雄三 オフィシャルサイト:
2022年07月19日2022年6月19日、歌手や俳優として活躍する加山雄三さんが、年内でコンサート活動から引退することを発表しました。同年12月に開催する、船上ライブが最後の公演になるそうです。同年6月現在、85歳の加山さんは、年齢や体力面を考慮し、「まだ歌えるうちにやめたい」と、コンサート活動からの引退を決意しました。また、コンサート活動は引退しますが、公演以外のアーティスト活動や芸能活動は継続します。家族やスタッフらとも協議し、今後のパフォーマンスや年齢、体力面などを考慮。「歌えなくなってやめるのではなく、まだ歌えるうちにやめたい。最後までいつも通り歌う。それが一番」との思いから、歌手活動の継続を最優先した形となった。サンケイスポーツーより引用加山さんは、同年7月に名誉船長を務める豪華客船『飛鳥Ⅱ』の恒例船上ライブ『若大将クルーズ』に出演予定。また、同年9月には東京国際フォーラムで『加山雄三ラストショー~永遠の若大将~』を開催し、その後同年12月にラストライブである船上ライブ『若大将クルーズ』に出演します。ネットからは、加山さんのコンサート活動引退の理由を称賛する声が多く上がりました。・加山さん、もう85歳なのか。歌えるうちに、元気なうちに引退を決断するのは、本当に素晴らしいしかっこいい。・コンサート活動の引退はとても残念。ラストライブのチケットをなんとか入手して、加山さんの最後の公演を見たい!・この年齢まで、表舞台でやってきた加山さんだからこそ、きちんとピリオドを打ちたかったんだろうね。まさしく『有終の美』だと思う。素敵。・音楽活動からは引退しないのですね。ほっとしました。これからもテレビ番組などで、元気な姿や歌声を聞けるのが楽しみです。1961年に歌手デビューし、2022年現在まで広い世代から愛され続けている、加山さん。コンサートに足を運び、加山さんの姿をその目に焼き付けてはいかがですか。[文・構成/grape編集部]
2022年06月20日加山雄三が、年内をもってコンサート活動を終了することを発表した。1960年東宝より映画『男対男』でデビューした加山は、翌年映画『大学の若大将』に主演し、その後「若大将シリーズ」がスタート。劇中で歌った「君といつまでも」「夜空の星」「旅人よ」などが大ヒットし、名実共に日本を代表するアーティストとなった。その後現在まで様々な試練にみまわれるも、その度に奇跡的な復活を遂げコンサートに復帰してきた。しかし今年4月に85歳を迎え、アーティストとして100%満足いくコンサートを提供し続けていくことへの葛藤を経て、「歌えなくなってやめるのではなく、まだ歌えるうちにやめたい。最後までいつも通り歌う。それが一番なんだ」との思いで、今年の12月をもって、長年続けてきたコンサート活動から引退することを決断した。一般のコンサートとしては9月9日東京国際フォーラムホールAでの『加山雄三ラストショー 〜永遠の若大将〜』、12月豪華客船飛鳥Ⅱでの船上ライブ(若大将クルーズ)が最後のコンサートとなる。■加山雄三 コメントみなさん、長きにわたる応援本当にありがとうございます。感謝しております。活動を始めて60年もの間、音楽を作り歌い続けてきました。そしてたくさんの人との出会いと、幸せをいただきました。歳をとることで様々なことを続けていくことの大変さを実感しております。しかしながら、その時々で精一杯目の前のことに真摯に向き合ってきました。コンサート活動は年内をもってケジメをつけようと思いますが、これからも音楽は親友であり大切にしていきたいと思います。最後のライブ、みなさんで楽しみましょう!『加山雄三ラストショー 〜永遠の若大将〜』告知動画<コンサート情報>『加山雄三ラストショー 〜永遠の若大将〜』2022年9月9日(金) 東京国際フォーラム ホールA開場 15:00 / 開演 16:00『加山雄三ラストショー 〜永遠の若大将〜』告知画像【チケット料金】プレミアム席:30,000円(プレミアムチケット付き / VIPゲート入場 /「しあわせだなぁ」NFT付き)記念チケット ※楽天チケットのみ発売S席:12,000円A席:8,000円※枚数制限:お一人様4枚※入場制限:3歳以下入場不可、4歳以上チケット必要一般発売日:2022年7月18日(月・祝) 10:00〜問:キョードー横浜 045-671-9911(日・祭日を除く 11:00〜15:00)加山雄三オフィシャルホームページ
2022年06月20日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。ひとり旅のすすめ3〜警戒心という鎧〜仕事に一区切りをつけて、飛行機に乗り、シートベルトを締めた瞬間に、あー、解放された!と全身から力が抜けます。自由だー!大袈裟に聞こえるかもしれませんが、これが目の前に人参をぶら下げて仕事をしている自分の情けなさもあるのですが。目的地へ着くまでの自由。ところが目的の空港に着き、タクシーに乗るときから『警戒心』という鎧を纏います。いまでは改善されたかもしれませんが、早朝にロンドンやパリに到着すると、白タクの運転手がまとわりついてきたものでした。ローマではスカーフから生々しい首の傷痕が見える運転手に遭遇したり。乗って行け、という言葉にガンとして打ち合わず、無視するに限ります。地下鉄はスリの仕事場です。バッグをしっかりと前に抱える。そして怖い顔で。全身、セキュリティー万全に。それでも相手の方が百戦錬磨ですから、一瞬の隙を狙ってきます。大好きなアンティーク市も油断なりません。冬の旅であれば、バッグの上にコートを羽織る。人混みを歩くときも要注意です。あるとき、マドリッドの銀座通りのような道を歩いていたとき、ショルダーバッグをツンツンと突いているような感じがあって、見てみると若い女の子がスカーフで手元を隠してバッグのファスナーを開けようとしていました。思いきり肘鉄と睨みです。常に警戒心、緊張感を拭うことはできないのです。パリではいつも小さなホテルに泊まります。外出から戻り、部屋でくつろいでいると、コンコン、コンコンとノックの音が。レセプションの男性でした。「何?」と聞くと「開けてくれ、花を持ってきた」というのです。かなりしつこくて、怖くなりました。相手は合鍵を使えます。夜中に襲われたらどうしよう。途端にいろいろなことを想像してしまい、怖くなりました。すぐに違うホテルを予約し、その日のうちにホテルを移りました。もしかしたら過剰な反応だったかもしれませんが、自分が感じた怖さに正直に行動することが大切なのです。見知らぬ場所、ひとりで行動するときは特に、動物的な直感を澄ましておくことです。警戒心が強すぎて、恥ずかしい思いをしたこともありました。ニューヨークでタクシーに乗ったときのこと。遠回りをしている感じがしたので、「道、違っていませんか?」と聞きました。すると白人の初老の運転手さん、「君は何年ニューヨークに住んでるの?」と。「3日」と答えると、「僕は30年以上この街に住んでる」と言いました。一方通行の多いニューヨークでは、回って回って、反対方向から目的地に向かうこともあるのです。忘れられない、運転手さんの言葉でした。警戒心という鎧、纏うべきところで纏う。命と財産を守り、旅を楽しむのは、訪問先の国に対するマナーでもあるのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年06月20日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。ひとり旅のすすめ2〜旅日記で本音と出会う〜家庭内仕事部屋の引っ越しをしました。本、CD、資料、原稿、写真……紙類の山の中に、30年近く前に書いた旅日記が出てきました。A5ほどの大きさで、表紙には天使たちがバイオリンを弾いている絵。確か、パリの書店で見つけたノートです。旅日記を書くノート、日頃の雑記帳でも、紙とペンの相性が大切です。書きやすさはもちろんなのですが、書き手を超えたところでペンと紙のコラボレーションが文章に現れるのです。もうひとつ大切なことは、「自分を制限しない」ということ。うまく書こうとか、こんなことは書けない、などと思わないこと。思うまま、自分の中から思いが淀みなく流れ出るように。旅という非日常の時間と空間の中で自由になることが、ひとり旅の大きなギフトです。自分を制限しないで書き始める。それをさらに滑らかにするのが相性のいいペンと紙なのです。私の好みは、インクを瞬間で吸い取り、そして吸い取った余韻のある紙。ほんのりざらつき感がある紙が好きです。そして当時愛用していたのはシェーファーのカリグラフィー用の万年筆。1000円か2000円くらいだったか。インクはblue-black。ペン先から、思ってもみなかった言葉や思いが流れるように綴られるのでした。ひとり旅は、『自分自身』というバディと一緒に旅をすることです。それがひとり旅の醍醐味です。旅の間に感じる淋しささえも味わうことで、どんなにか自分の感性を育み、自分を成長させることか。気づかなかった自分の思いを知るのは、少々勇気がいることもありますが、それも必要な出会いだったのだと思うのです。好きな場所に好きなだけいる、というのも、自分の無意識が求めていること。それに素直に寄り添えるのが、ひとり旅なのです。さて、1995年、ハワイに滞在したときの日記から一節を。「Pali Hwyで車の事故を見てしまう。結構、暗い気持ちになる。KQMQ(オアフのFM局)からジャネット・ジャクソンの『Any Time, Any Place』が流れてくる。いろいろなエピソード、気づき、そういうものがどっと溢れてくる。ちょっと待って。覚えきれない。マイクロカセットテープの準備をしておけばよかった。でもこの瞬間が作家にとっては快感であり、これが待ち望む一瞬なのである」ひとり旅に、出なくては。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年06月13日6月9日、加山雄三(84)が東京五輪の聖火ランナーを辞退したことが発表された。今月28日に神奈川県藤沢市内を走る予定だった加山だが、オフィシャルサイトを通じて辞退を決めた思いを明かしている。《僕はスポーツが大好きです》と切り出し、64年に開催された東京五輪では黒澤明監督の映画『赤ひげ』を撮影していたことから、《観戦したり応援することがほとんど出来ず悔しい思いをしました》と振り返った加山。《今回の東京オリンピックこそ、心から応援し、また自らも盛り上げたい気持ちでいっぱいでした》と綴るも、《しかしながら今改めてこの世界の状況を見た時、手放しに開催を喜ぶことが僕は出来ません》とコメント。続けて《一度はお引き受けをした聖火ランナーですが、そして直前になってしまいましたが、勇気を持って僕は辞退いたします。今は、することもやめることも勇気が必要だと思います》と、その決意を記している。「ひとつの夢」だったという聖火ランナーを、コロナ禍による深刻な世情を理由に辞退した加山。さかのぼると今年2月から、藤井聡太二冠(18)や五木ひろし(73)、常盤貴子(49)など多くの著名人らが相次いで聖火ランナーの辞退を発表。辞退した著名人らが挙げた理由の大半は、「スケジュールの都合」によるものだった。「大会組織委員会は2月25日に、感染対策を盛り込んだ聖火リレーのガイドラインを発表しました。聖火ランナーは走る2週間前から、『会食や密集する場所への外出を避けること』『体調情報は組織委員会に報告すること』といった要請が出されました。実質的に“隔離”を命ずるような要請は、多忙な著名人にとってハードルが高かったようです」(プロダクション関係者)■「スケジュールの都合」から変化しつつある辞退理由そして時が経つにつれ、その理由にも変化がーー。「スケジュールの都合」ではなく、加山のように“コロナ禍による影響”を辞退理由に挙げる著名人が目立ってきたのだ。3月に聖火ランナーの辞退を発表した黒木瞳(60)は、「自分が走ると沿道で密集した状態を避けるといった感染防止対策が困難になるのではないか」と危惧し、辞退に至った。4月に辞退を発表したイモトアヤコ(35)も、その理由をインスタグラムで《私が公道をランナーとして走ることで人がたくさん集まってしまうのではないかということがわたしの一番の懸念点です》と綴っていた。今月4日に岩手県の聖火ランナー辞退を発表したばかりの、のん(27)も「岩手に行くことで、不安とご心配をおかけしてしまうとしたら、本意ではありません」とコメントしていた。現在、福島県を除いた東北5県を走っている聖火リレー。しかし青森県ではむつ市や三沢市など10市町村で中止になるなど、当初の予定を変更するケースが各地で相次いでいる。大会組織委員会が「安心・安全」を謳ういっぽう、「絶対大丈夫」と言い切れる確証はない。「どの地域も感染防止策に気を配っていますが、聖火リレー関係者の感染も報告されています。またランナーが通る瞬間は沿道が密状態になりやすく、ソーシャルディスタンスは観覧者の“良心頼み”。加山さんは宣言解除後に走る予定でしたが、感染者のリバウンドも懸念されています。さらに五輪開催まで50日を切った段階で、政府分科会の尾身茂会長が『普通はやらない』と警鐘を鳴らしてほど。そんな状況で走ったことでむしろマイナスイメージがついてしまうことを、著名人サイドも懸念した上での辞退なのでしょう」(全国紙記者)
2021年06月10日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。ひとり旅のすすめ1〜憧れに出会う〜20代、30代、ひとりでヨーロッパを旅したものでした。それは私にとって『馬ニンジン』。旅を目標にすると、仕事も充実させることができたのです。ひとり旅をすると言うと、多くの人が「淋しくない?」と聞きます。それが少しも淋しくない。食事をするときには誰かとお喋りしたいと思いますが、慣れてしまうと何でもなくなります。それよりも、好きな場所で、好きなだけ時間を過ごしたい。わがままが許される、それがひとり旅の醍醐味です。ミラノからパリへ発つ朝。ホテルでチェックアウトするときに日本人の素敵なご夫婦と一緒になりました。「おはようございます」と、ご挨拶を。お二人とも洗練されていて、奥様は可愛らしさとゴージャス感をお持ちでした。そんなお二人と空港の搭乗口で、また出会います。「一緒の飛行機だったのですね」と、そんな言葉を交わしました。パリに到着し、バゲージクレームで荷物が出てくるのを待っているとき、「空港に車を置いてあるので、一緒に市内まで行きませんか?」とお二人から声をかけていただき、ご一緒することになりました。ご主人はヨーロッパのブランドと日本を繋ぐ仕事をされているとのこと。旅に出ると、ホテルでは別々の部屋に泊まり、それぞれの時間を独立して過ごすのだそうです。ご主人は昼間は仕事、奥様は買い物をしたり美術館へ行ったり。そして夕食のときに、その日あったことをお互いにシェアする。そして、素敵なところがあれば、後日一緒に訪れる。この旅のスタイルはいい距離感を保つことができ、それぞれの過ごし方を楽しめるのだそうです。まさに大人の旅です。ふたり旅の中で、それぞれが思うように過ごす。そしてその時間で感じたことを分かち合う。この頃、私はまだ20代の後半でしたが、こんなパートナーシップに憧れ、素敵な大人になりたいと思ったことをよく覚えています。旅で出会うもの。それは見たこともない自然、文化、もの、人々、ライフスタイル、そして憧れにも出会います。憧れは、成長するエネルギー。生活を豊かに彩り、審美眼を高めます。今でもときどき、無性にひとり旅をしたくなります。それも海外へ。解放感と孤独感は、創造の源になり、憧れは日常の生活の中に息づくのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年06月06日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。『整えること』から未来が見える家の中で、仕事部屋の引越しをしました。これが、とてもとても大変。これまでの作品たち、CD、本、掲載誌、そして資料……そこに娘の作文や連絡ノートなどが混在し、まさにカオス。なぜこんなものをとっておいたのだろう……というものから、なんでこんな大切なものをこんなところに!というものまで。なんだ、ここにあったのか……と安堵したこと、若い頃の書き物を読み返して速攻で破棄したものまで、それは自分が歩んできた道を辿るような片付けでした。カオスの中から、デビューした頃のアーティスト写真を見つけました。今と同じボブスタイルの髪、少し上目遣いで写っているモノクロの写真。何枚かあったと記憶していたのですが1枚、本の間から出てきました。25歳の自分の未来は、すっかり私の過去になりました。実は、しばらく前からこの写真を探していたのです。なぜだかわからないのですが、未来を知らない自分に会ってみたくなった……というのでしょうか。たくさんの歌詞を書き、小説やエッセイを書き、よくひとりで旅をしたもの。時に悩んで、落ち込んで、でも立ち上がることを諦めずに。いいとか悪いではなく、今の自分にとって何が最善なのだろうかと模索しながら生きた未来が、そのモノクロの写真の中にあるのです。これからの自分への勇気づけでしょうか。いま、この瞬間の自分の中にも、これからの未来があることを確認するために。25歳、作詞家デビューした頃。素敵な未来しか思い描けなかった頃です。ものを整理する。自分のいる場所を整えるというのは、心を整えていくことでもあります。本当に必要なもの、心が湧き立つものはなんなのか。執着していたモノと共に、心の執着を手放す。ものを減らしていくことは、本当に必要なもの、大切なものを知ることでもあります。自分が亡き後を考えると、ミニマリストであることが望ましいかもしれません。自分自身にとっても、残された人たちにとっても。今回仕事部屋を整え、ごっそりと不要な書類や本などを処分して思ったのは、自分が心地いいと思う空間に身を置くことの大切さ、そして自分が好きなものと共にあることの楽しさです。心地よく、楽しんで、自分を生かしながらこれからの未来を創っていく。本の間から出てきた『25歳の私』は、示してくれました。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年05月30日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。喜ばせ上手、喜び上手もしもこの世界にたったひとりきりだとしたら。その世界には必要とするもの以上の豊かさがあり、誰にも束縛されない自由があるとしたら……。ありえない仮定ですが、極端に考えることで改めて気づくことがあります。どんなに豊かで自由であっても、人はひとりでは生きていけません。決して豊かでなくても、わかちあえる人がいて、ささやかなことも喜び合える人と共にいられること、プレゼントをする人がいるというのは、本当に幸せなことです。その人を喜ばせたい。誕生日やクリスマス、記念日だけでなく、ちょっとしたお礼のものを選ぶときも、どんなものが喜んでもらえるか考えます。喜んでもらいたい……これは『愛』だと思うのです。喜ばせたいという思い。相手のことを思い、何かを差し出す。プレゼントもうれしいですが、その思いがさらにうれしいものです。サプライズも、喜びと驚きが倍増します。2年前、夫が還暦にお祝いに何を贈ろうかといろいろ考えました。記念になるもの……それは形のあるものでなくてもいいのではないか。二人で食事に行くという設定で、実はレストランには夫の親しい友人たちに内緒で集まってもらいました。山口県の徳山から、神戸から、名古屋、福井から、東京の忙しく仕事をしている友人たちも集まってくれました。当日出席できなかった友人たちのメッセージのスライドショー。夫のこれまでの歩みをまとめたスライドショー。その夜鍋仕事は、とても楽しかった。夫に喜んでもらいたくてやっていたのですが、実は私も大いに楽しみました。サプライズやプレゼントが愛だとしたら、与えている私も愛を受け取っていたのでした。つまり、「与える」ということは、「与えられる」こと。また「与えられている」から、「与える」ことができるのです。「自分が蒔いた種は自分が刈り取る」という言葉があります。ネガティブな意味で語られることが多い言葉ですが、逆もまた真なり、良い種を蒔けば良いものが実るのです。相手を褒めることも、ユーモアで人を和ませるのも愛です。ささやかな心遣いも、ちょっとした親切も愛です。そう考えていくと、愛は私たちの日常の中に散りばめられている。気づかないうちに、言葉にしないうちに、やっていることなんですね。喜ばせ上手、喜び上手になりましょう。喜ばせることも、喜ぶことも愛です。それは私たちの中でくるくるとめぐり、社会全体をふわりと優しくするでしょう。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年05月23日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。そこは坂道だった〜小さな発見の大きな気づき駅前の銀行に行こうと、信号待ちをしている時のことでした。その小さな交差点は5叉路になっていて、横断歩道から続く道は狭い道です。郵便局がその先にあるので、これまで何度となく歩いた道でした。信号が変わるのを待っているとき、ハッと気づいたのです。目の前の狭い道は、緩やかな坂道でした。緩やかなので気づかなかったとは言え、この交差点で何度も信号待ちをしています。この街に住んで30年、そこが坂道だったことにも驚きましたが、今になって気づいたことに驚きました。「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人たちは、見たいと欲する現実しか見ていない」ユリウス・カエサルの言葉です。人間の脳は、いま興味のあるもの、意識していることしか見えないようにできている。つまり、見たくないものは視界に入らないようにできているそうです。例えば、お腹が空いていたら食べ物屋さんの看板ばかりが目についてしまうということはないでしょうか。これは実際に目に見えることだけではなく、無意識のうちに避けている問題もあると思います。さて、30年目にして初めて郵便局への狭い道が坂道だと気づいたわけですが、改めて「物事を見る、感じる」ということについて考えさせられました。見ているようで、見落としていることがたくさんある、ということです。カエサルの言葉を気づきのきっかけとするならば、見たくないものの中に大切なことがあるかもしれません。先延ばしにしてしまうことも、必要なことであったりします。これは、『ものの見方』にも通じます。小学校受験の勉強の一つに『四方見』というものがあります。ものを正面から見る。上から見る。斜めから見る。下から見る。それぞれに違う形をしています。日々、私たちが体験することも同じように、自分の立場からだとこう思う。でも相手の立場に立てばどうなのか。自分の人生においての意味はどうなのか。などと様々な角度から眺めてみると、その体験したことの意義が見えてくるのです。自分の可能性を広げる意味でも、見識を広める意味でも、目を転じてみよう。5月の朝の、駅前の交差点での発見は、大きな気づきになりました。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年05月16日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。無理せず、自分に優しく「好きなこと」を気づくと、多くのことを求めていない自分がいます。「気づくと……」というと唐突ですが、あるときふっと思ったのです。こんなことも、あんなことも……とアイディアをめぐらせていた自分はどこへ行ったのか。制限が多くなっているこの状況の影響なのか。今はできるだけ心地のいい環境に身を置こうと努めている自分がいました。つまりそれは、心のざわつきから自分を守ることでもあるのです。自分のいる場所を『楽園』にする。家だけでなく、自分がその都度いる場所を『楽園』にする。一年以上続いているコロナ禍は私たちの生活を一変させました。この不自由さの中で自由にできることは何か。それは、まず自分が変わり、自分で環境を変えていくこと。自分のいる場所……仕事場、人間関係、気持ちの持ち方を心地のいい『楽園』にすることです。自分にかかっている負荷を取り除き、ささやかでも楽しめることの中に身を置いてみる。困難なことを抱えている中で『楽しめる環境』を作る。それにはまず家、部屋を整えることから始めます。無理はしない。とても簡単にできることから始めます。たとえば、掃除をして、花を一輪でも飾る。花は美しいだけでなく、生きているエネルギーがあります。花を見て、嫌な気持ちになることはありません。ふっと疲れたときに花に目をやることで、気持ちも目も安らぎます。花を選び、自分で生けるとき、雑念が取り払われます。花と向き合い、花がさらに美しくなるように試行錯誤する。花に寄り添う感覚が生活を活性化させるのです。おいしいものを食べる。これも生活を楽しくする一つです。おいしいものをおいしく。美食をするということではないのです。ささやかな料理でも、好きなお皿にのせて。一手間をかけて。テイクアウトの料理でも、お皿に移し替えるだけで、ご馳走に見えてきます。音楽を聴く、アロマを焚く。きれいな花が咲いている道を選んで散歩する。公園でぼーっとする時間を持つ。美術館に足を運ぶ。好きな音楽を聴く。自分がリラックスできること、楽しめることに集中する。中でも、五感を働かせることは、感性を高める刺激になります。いまの状況を嘆くばかりでなく、新しい楽しみ方を見つける機会に変えていきましょう。とにかく元気でいること。おいしいものをおいしく楽しくいただけること。家族が仲良く、元気でいること。細々でも自分を生かせる仕事をし、いまだからこそ感じることを作品にしていくことに心を向けています。料理やインテリアなどの動画を見て生活に取り入れてみたり。多くのものを求めずとも、人生が少しでも素敵になるアイディアを取り入れていくことで、私のいる場所は『楽園』になりました。無理をせず、自分に優しく。そうすることで、人との関係も優しくなっていくのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年05月02日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。思い出をつくる時間3ヶ月に一度、父の病院の検査、診察に付添います。待ち時間の長い二つの科を受診するので、その日はほぼ1日仕事になることは覚悟です。そんな病院通いの日のお楽しみは、帰りにおいしいものを食べること。外食しづらいこの状況の中、一人暮らしの父の気分転換にもなるようです。これまで何度か病院に付き添い、食事をして帰りました。あるとき、ふと思ったのです。もしかしたら、これは父と過ごせるいい時間なのかもしれない。もしかしたら、かけがえのない時間なのかもしれないと思いました。時間は限られています。お互いに、いつ何があるかわからない。私たちはそんな不確実な時間を生きているということを忘れてしまいます。90歳の父は、おそらく自分に残された時間について切実に考えているでしょう。「ママの七回忌の法要は自分の手でやりたい。十三回忌はできないだろうから」あるときふと漏らした父の言葉に淋しさを感じたと同時に、人生を生ききる矜恃を感じたのです。その矜恃に寄り添うこと。それが90歳の父が安心していられることだと思いました。思い出してみると、母が元気だった頃、母と出かけるたびに『限りある時間』を感じていました。もう30年前ですが、母と上高地へ行き、梓川沿いを歩いたことがあります。その頃母はまだ50代だったか。うれしそうな笑顔の写真を見返してみると、あの時間がかけがえのないものだったことを思います。人生、楽なことばかりでない。次々と困難を乗り越えていくこの人生という流れの中で、ささやかなことにも感動し、うれしく思い、大切にできる時間を過ごせること。そんな思い出たちは、生きていく力の一つなのかもしれません。今月の父の付き添いの帰り、父の大好きなうなぎを食べ、サントリー美術館で開催されている『日本絵画の名品』展を観ました。日頃芸術に触れることのない父は、ゆっくりと、一枚一枚の絵をじっくりと鑑賞していました。その後ろ姿を眺めながら、私と父の時間を思い出が刻んでいくのを感じました。思い出をつくっていく。私も振り返る時間がずいぶん多くなりました。人生という物語、たくさんの思い出で豊かであるように。いま、この一瞬を大切に過ごしていくことです。それが病院の待合室であっても、一枚の絵の前であっても。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年04月25日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。苦手なことが夢につながる好きなことを、思う存分楽しめたら……。きっと一人ひとりの人生はもっと輝く。先日、参加している合唱団の発表会で、ソロでイタリア歌曲を歌う体験をしました。この体験は、私にとって40年の年月を超えた夢の実現でした。夢は叶う、叶えようと思って行動すれば叶うということを実感したのです。私は、40年間、歌うことを封印してきました。中学の音楽の試験で失敗し、とんでもない成績を取りました。私は音楽が苦手。絶対に人前で歌わない。15歳の時に、こう決めたのです。作詞という音楽制作の世界にいながら、本当にもどかしい思いをしました。もっとも、その思いも、自分の『思いこみ』に過ぎないのです。恥をかくことから自分を守る『封印』は、心と行動を萎縮させたのでした。何の本で読んだのか、出典は忘れたのですが、「自分の本当の声は、体全体を使う声楽の発声による声である」という文言に出会いまいました。……ということは、私はまだ自分の声に出会っていない。このとき、自分の声に出会いたいと思ったのです。それが6年前。ちょうどそのタイミングで友人がコーラスを始めるということで、合唱団にお誘いいただいたのでした。最初は、それはもう……惨憺たるものです。声は出ない、音域は狭い。声はかすれる。音程は取れない。それでも、声を出すことの楽しさに惹かれました。グループレッスンの前に個人のレッスンを受け6年、やっとやっとお客様の前でひとりで歌うことができたのです。苦手なことほど、実は心からやりたいと思っていること。苦手だと思い込んでいるということは、それができたらどんなに素敵だろう、と思っているのです。私は絵も下手です。絵心がないのか、空間認知がうまくできないのか。でも、絵を描けたら素敵だろうなあと思います。憧れているにもかかわらず、ネガティブに思いこんでしまうことで自分の世界を狭めているのですね。やりたいと思うことをする。楽しいと思うことをする。やったことのないことにチャレンジしてみる。やってみなければわからないことがたくさんある。苦手だと遠ざけていたことが、夢の入口なのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年04月18日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。寄り添うという距離感人はみんな孤独。こんな言葉をよく聞きます。孤独という言葉には、抗うことのできない深い闇がありそうで、受け入れられないと思う人もいるでしょう。孤独とはどういうことか。例えば、自分の肉体的な痛みを、誰とも分かち合うことはできません。どんなに痛くても、わかってもらえないし、わかってあげられない。悲しみも、寂しさも、その人のものです。ひとりで引き受けなければならない。そこに孤独を感じます。私は昨年の夏に右手首を骨折し、プレートを入れる手術をしました。右手を使えるようになりましたが、10ヶ月近く経った今も痛みがあります。それも、ちょっとした手首の角度とか衝撃で、叫びをあげたいくらい、痛いのです。誰にもわかってもらえない痛みを通して、人の痛みに寄り添うことの大切さを学びます。その痛みも悲しみも丸ごとわかることはできないけれど、痛みや悲しみがあることをわかって心を寄せることはできるのです。これが命に関わること、また深い悲しみであれば、その孤独感は想像を超えるでしょう。ひとり息子を病気で亡くした友人がいます。友人を慰める言葉は見つかりません。何を言っても、それは友人の心には届かないからです。ただただ、彼女の涙を受けとめるだけです。悲しみを語る言葉に耳を傾けるだけ。その語る言葉さえ、悲しみの欠片でしかないのです。「神様と約束した時間だったんだね」最愛のパートナーを亡くした友人にそう声をかけたことがあります。彼女は、その言葉に慰められ、そう思えるようになったと後に話してくれました。『神様と約束した時間』……数年前に親友が亡くなったとき、こう思うことで、喪失感を受け入れることができたのです。これは、私が、私の中で作った『物語』です。このように解釈することで、悲しみを癒すことができる。心は、悲しみから守るように、このような『物語』を作るそうです。生きていくために私たちに備わった心の機能なのですね。自分と同じように、誰もが誰とも分かちあえない思いを抱いている。従兄弟が亡くなったときのこと。自分が気づいてあげていればよかったと自分を責めて泣いていた従兄弟のお嫁さんを思わず抱きしめていました。二回しか会ったことがないのですが。抱きしめながら、彼女の悲しみではなく、悲しんでいる彼女をしっかりと感じたのです。寄り添うという距離感。分かちあえないからこそ、その距離感に愛をこめる。そこに優しいつながりができていくのではないかと思うのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年04月11日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。高齢の父を支える言葉「役に立っていたい」90歳でひとり暮らしをしている父の言葉です。朝、5時には目が覚めてしまう父は、6時には私の家に来てカーテンを開け、新聞を取り込み、ゴミの日にはゴミを出してくれます。植木に水をやり、玄関先を掃除して。1日5000歩歩くことを決めているので、散歩がてら私の家、妹の家をまわるのです。6時には起きられないので、滅多に朝いちばんで父に会うことはないのですが、父のルーティンは生存確認。カーテンが空いていないと胸騒ぎがして、すぐに電話をするのです。これも、父の「役に立っていたい」という思いの現れ。冬の寒さが厳しい時期に、無理して朝早く来なくても大丈夫と伝えても、まだ暗いうちにやって来ます。「暖かくして出るから大丈夫」と言って、こちらの心配を受け取ってくれません。「決めたことをやらないと、一気に弱っていく気がする」役に立っていたい。決めたことをする。これが、高齢の父を支えるルールなのです。マンションの小さな庭に畑を作り、夏にはプチトマト、なす、ピーマン、ゴーヤ、オクラなど、秋から冬にかけては水菜、小松菜、ほうれん草など。自分が食べる分だけではなく、私の家、妹二人の家にたくさん分けてもらいます。小さな畑作りも父の楽しみ、生きがい、そして私たちに食べてもらいたいという思いがエネルギーになっているのだと思います。生きているということ。ここにいるということ。これが私、ということ。若い頃に『存在証明としての何か』を求めていたように、年齢を重ねるほどまた『生きている証』を求める。若い頃は外に向けての思いだったのが、高齢になると自分に向けての思いになる。私も、作詞をしたり文章を書いたり外に向けて発信していますが、と同時に自分自身に向けての言葉を綴りたい衝動を覚えることがあります。いつか、肉体的に人の支えなしでは生きられない時が来る。その時であっても、生き方を見せていくことはできるのではないか。どんなふうに老いていくのかわかりません。昔の自己愛の強い、時に無茶苦茶なことをした父の姿が幻のような、優しく穏やかな父を見ながら、一生懸命に自分を支えながら生きることを学ぶのです。あ、父のことをこうして書いていたら、父が来ました。植木の手入れをしてくれるそうです。こんな小さな時間が宝物になり、私のことも支えてくれるのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年04月04日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。旅と料理と日常と〜ぼーっと観る動画なら海外に行くことが、すっかり夢のようになってしまいました。昨年、成田空港に迎えに行くことがあったのですが、ゴーストタウンのようでした。今もその状況はあまり変わらないのではないかと思います。ボードに『欠航』という文字が続いているのを見ると胸が痛みます。そんな中、YouTubeでいろいろな旅をしている人の動画を見つけました。鉄道マニアの男性が寝台列車を紹介する動画。設備やサービスのレポートも何ということはないのですが、ついついぼーっと観てしまいます。船旅愛好家の動画も同じように、ただ目的地へ着くまでの淡々としたレポートを。そこに特別な何かがあるわけではないのですが、寝台列車でどこか行きたくなり、フェリーの旅をしたくなる。なぜか旅心を誘われます。飛行機に乗っているだけの動画もあります。ビジネスクラス、ファーストクラスのレポートだけで、観光案内などはありません。海外のガイド的な動画よりもそこへ向かうまでの動画を観てしまう。自由に動けないこの状況の中、目的地はあまりにも遠く感じます。そこへたどり着くまでの列車、船、飛行機に、旅の『ロマン』を感じるからでしょうか。空港に着いたとき、新幹線に乗ったときのちょっとした高揚感。そんな旅の始まりをわくわく感が、いまの私には心地いいのです。また、淡々と朝のルーティンをこなしている動画や、きちんとした毎日の暮らしを紹介している動画もついつい観てしまいます。登場する女性たちの暮らしぶりは実にシンプルで、流れるように家事をこなし、仕事に出かけていく。自分の暮らしぶりの何と雑なことか!反省しつつ、大いに暮らし方、時間の使い方の参考になります。また料理研究家やレストランシェフの料理動画もよく観ました。面白いことに、このような暮らし方や料理の動画を観た後、家事の手際がよくなるのです。私なりに流れるように動いている。使ったそばから調理道具を洗い、段取りも無駄がなくなっている。やはりイメージが意識の中に取り込まれているからなのでしょう。ぼーっと観ている動画、ポジティブになるのも時間の無駄にしてしまうのも……自分次第です……。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年03月28日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。伊勢丹に香水を「伊勢丹に香水を買いに行きたい」母が脳梗塞で倒れる前、何度もこんなことを言っていました。その頃すでに一人で歩くのが難しく、介護老人ホームでお世話になっていました。耳下腺あたりに悪性リンパ腫ができ、骨を1センチほど切除しました。そのために顔が少し歪んでしまいました。整形手術をしたい。入れ歯を作り直したい。高齢の母が再度手術をするのは負担が大きすぎます。顔のバランスが左右で違ってしまったので、入れ歯を作り直しても合わないのです。本当にかわいそうだったのですが、母の希望を叶えることはできませんでした。一つ一つの願いをあきらめていったのだと思います。そんな母が倒れる前に言い始めたのが「伊勢丹に香水を買いに行きたい」でした。介護老人ホームから伊勢丹まで車で1時間少しかかります。妹も私も忙しく、なかなか時間が取れずにいました。また、母が我がままを言っている感もあり、ああ、またか……と思ってしまったのも正直なところです。伊勢丹で香水を買いたい……そんな本当にささやかな願いを叶えてあげることもできないまま母は脳梗塞で倒れ、2ヶ月後に旅立ってしまいました。なぜ香水だったのか。老いと、不本意であっただろう術後の外見のこと。美しい香りを纏いたかったのかもしれません。小さな個室に残っていたエルメスの香水瓶は、ほとんど空になっていました。この母の願いを思い出すたびに、胸が痛みます。老いていく自分をどう支えるか。老いてみなければわからない心情であり、それぞれに見いだしていくことなのでしょう。それは、一生懸命に生きようとしている姿勢でもあるのです。自分を支えようとしている親の気持ちを尊重すること。香水を買いに行きたがった母が教えてくれました。90歳で一人暮らしをしている父は、毎日5千歩歩くこと、週に2回体操に行くこと、本を読むことを日課にしています。少し前までは1万歩だったのですが、さすがにそれは多すぎます。父は頑ななまでに、このルールを守るのです。冬の極寒の朝6時からでも、暗い中を歩くのです。父は、決めたことをできなくなるのが怖い、と。この思いを尊重することが、高齢の父の人生に寄り添うことだと今は思っています。老いていく自分を支えるために……。それは、「生ききる」ための覚悟なのかもしれません。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年03月21日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。旅の始まりに〜豊かさは心の中に羽田から2時間の南の島。レンタカーを借り、さらに南へ走ること2時間。ほぼ一本道の国道を海沿いに走り、さとうきび畑が広がる中を走り、ただただ長閑な風景の中を走っていきます。国道沿いにぽつぽつとカフェがあったり、お土産屋さんがあったり。どのお店も閉まっていたのは、このご時世だけの理由ではないかもしれません。平日だったからか、大型のスーパーマーケットの駐車場も閑散としていました。友人に会うために初めて訪れた島。到着し、荷物が出てくるのを待っているとき、観光案内のビデオの中で青年が歌う島唄に、なぜか懐かしさで胸がいっぱいになりました。遠い郷愁のような。三線の音色に、胸の奥の弦が弾かれるような。不思議な気持ちになりました。3、40分走るとその島の中心地近くに差しかかりました。建物は風雨にさらされ、コンクリートは黒ずみ、壁のタイルも剥げ落ち、人もあまり歩いていない。寂れた感が漂っています。時の流れから置き去りにされてしまったような町。でもそのときふと、(この島に住めるかもしれない)と思ったのです。なぜか、そんな思いが湧き上がりました。そして、住める可能性を考えてみました。何を不足と思うか。究極、そういうことなのではないか。都会で生まれ育ち、何もかもが手に入る、何もかもが便利で、刺激的で、友達もいて、仕事もしやすい。そんな日常を送っている私が、この寂れたような町を中心に抱く島に住めるとは思えない。でも、「何を不足と思うか」と問いかけてみると、この島には豊かに暮らすことに必要なものが十分にあるように思えたのです。ものに溢れ、便利さの中で生活をしている中で、「何を不足に思うか」と考えてみる。携帯を忘れた。Wi-Fiが繋がらない。それだけで気持ちはざわざわします。ただそれだけのことで。私たちは多くの便利さを享受している一方で、許容する心の幅を狭めているのではないか。持っているものに頼り過ぎているのではないか。そんな気がしてなりません。もちろん、それが悪いというのではないのです。豊かであることは素敵なことです。でも、たとえ望んでいるような豊かさでなくても、そこにあるものの中に豊かさを見いだしていく。かたちのあるものにも。かたちのないものにも。そのような感性の柔軟性が、幸せ感につながるのではないでしょうか。町を過ぎ、山道へ。いくつもの長いトンネルと抜け、いくつもの原生林の山道の急なカーブを回りながらたどり着いたのは、初めて会ったのに「お帰り」と言ってくれる人たちの住む小さな町でした。不足どころか、胸からあふれんばかりのぬくもりに包まれた場所でした。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年03月07日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。VS食洗機〜自分を笑うと楽になる食洗機にお皿を並べるとき、なぜか挑戦的になっている自分がいます。「この油汚れは落とせるか?落とせるものなら落としてみよ」もちろん、汚れはさっと水に流してから食洗機に入れます。ご飯茶碗はスポンジで洗ってから。あともう少し頑張れば、普通に洗い終えるくらいでしょうか。でも、少し、食洗機のために汚れを残します。一方夫はほとんど汚れを洗い落としてから食洗機に。食洗機の一つのメリットは、手で洗うよりも少ない水の量で洗えること。それを考えると、夫の洗い方は水の量、労力ともに無駄が多いと思いつつ……甘えてお願いしています(笑)。まったく、意味不明な挑戦です。なぜそんなテンションになるのか自分でも理解不能なのですが、そんな自分の滑稽さを自覚しつつ、毎回挑んでしまいます。ここで大切なのは、自分の滑稽さがわかっている客観性です。日々の中で、私たちの中でさまざまな感情が湧き起こります。胸の奥を風が吹き渡るような寂しさもあれば、弾むような喜びや、あたたかい気持ちがあふれそうになることもあります。そんなとき、しっかりと感情を味わうことが大切だと思うのです。湧き起こる感情をコントロールすることはなかなかできません。コントロールするのなら、しっかりとその感情を味わった後でしょう。そのとき大切なことが客観性です。自分のことを眺めているもうひとりの自分。感情のみならず、自分の行動も眺めてみることです。(なんでこんなことしているのだろう)と自分と距離を取ってみることで、自分を知ることができ、必要があれば軌道修正することもできるのです。食洗機への意味不明な挑戦。本当に滑稽です。そして、自分の滑稽さを笑います。自分のしていることを笑えるのは、困難に陥ったときに大きな助けになります。感情や混乱した状況の渦に巻き込まれずに済むのです。食洗機の例から大きなテーマになりましたが、自分を眺めるという習慣を日常の中に根付かせると、ちょっと生きることが楽になります。さて、食洗機への挑戦。油汚れがピカピカになると「さすが!」と食洗機の勝利を讃えます。そして汚れが残っていたときは敗北感があり……この挑戦によって私が勝利するということはないのであります。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年02月28日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。言葉は心〜新しい価値を生み出すやまとことば『兆し』という言葉が好きです。兆し:物事が起ころうとしている気配どんな物事なのか。吉凶合わせた『物事』とは思いますが、どこか希望を感じるのです。見えてはいないけれど、勘がする。冬の寒さの中にほんの少しだけ明るさを感じる。風の片隅にふっと温かみを感じるような。あ、春に向かっている。葉を落とした木々も、寒さの中で芽吹くための準備をしている。そんなことに思いが至ると少しうれしくなる。そんなささやかな変化を捉える感性を大切にすると、日常の中に少し彩りが生まれます。『きざし』には、『萌し』という言葉もあります。『萌し』は、植物の芽生えのこと。季節を感じるやさしい言葉です。このような言葉も季節の変化を楽しみ、心を豊かにするものです。白か黒か。善か悪か。成功か失敗か。合理的な思考、合理的な解決法は確かに経済や工業に発展をもたらしたかもしれませんが、二元論だけでは解決しないことがあります。いまの世界、日本の状況を考えても、このような二元論は限界にきていると思います。限界とは、人が寛容さを失うこと。失敗を許さない世界は、人と人とを分断していく流れになるのではないかと危惧しています。言葉は心です。人の思考、心を和らげる助けになるのがやまとことばです。漢語や外来語に対する、日本の固有語です。言霊といって、言葉にはその心が宿っていると言われています。白か黒だけではない。灰色があってもいい。玉虫色もあるのではないか。曖昧と言われる空間にある人間らしさであったり、余裕、余白、味わい、心の機微がやまとことばにはこめられています。『きざし』もそんなやまとことばの一つです。『前兆』『兆候』というよりも『きざし』と言ったほうが、まろやかさがあります。または目に見えない危うさも。白か黒、善か悪だけを見るのではない、他の価値。やまとことばで考えると、新しい価値を見いだしていけると思います。たとえば『感動』という言葉。『感動』ではどのような感動だったのかは伝わりません。しかし、「心を打った」「心がふるえた」「胸を打った」「胸がふるえた」と表現すると、それがどんな感動だったのか伝わります。言葉から世界を変えられるでしょうか。言葉は心の表れ。少なくとも丁寧な言葉を心がけることによって自分の周りはまろやかになり、それは波紋のように広がっていくのではないでしょうか。その『きざし』を表すのは、いま、私たちが口にする言葉にあるのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年02月21日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。『この瞬間』の思いを大切にすることある日の夕方、ふと窓を見るとレースのカーテン越しに雲がピンク色に染まっていました。写真を撮ろうとスマホを取りに行き、外に出てみると、すでにピンク色は褪せ、雲はほとんどグレイになっていました。縁にうっすらとピンク色の名残り。それも瞬く間にグレイになっていきました。その瞬間でないと掴めないものがあります。ピンク色の雲を見た瞬間の感動やときめくものを、その瞬間に味わいきる。それが、心に、そして記憶に刻まれる感動やときめきなのだと思います。写真に残すよりもそのほうが『人生の一部』になるように思います。振り返ってみると、その瞬間に選ばなかった大切なものがいくつもありました。心は掴もうと思っていても、ためらいや欲や世間体のようなものが頭をよぎっていきます。こんなとき、心に従えば良いものを、頭で判断してしまう。そして悔やむことがあっても、いろいろな理由をつけて頭で納得しようとする。でも、心にはずっと残念な思いが残っていたりするのです。もうすぐ母が亡くなって五年目を迎えます。最後に会ったあの日から丸四年の月日が経ったのですが、いまもまだ最後に私を見ていた母の顔を忘れることができません。大きな手術をしてすっかり弱ってしまった母は、療養病院から介護ホームに移り、そしてクリスマスイブの朝に脳梗塞を起こし、右半身が動かなくなり、言葉も出なくなりました。急性期の病院での治療が終わり、リハビリの病院へ移りました。しばらく落ち着いていたのですが急速に弱くなり、また病院を移ったその日。病室を整え、帰ろうとしていたときでした。「ママ、じゃあ明日も来るからね」と言うと、母は置いてきぼりにされてしまう子どものような顔をして私を見ました。「明日ね、ゆっくり休んでね」そう言って病室を出るときも、母はそんな顔をしていました。もう少しいようかな、と思ったのですが、仕事が残っていたので帰ることを選びました。それが、生きている母を見た最後でした。その瞬間の心を選ぶ。そして味わいきる。多くの情報があり、多くの知識があり、そこに欲や世間体が割って入り、頭の中はとても忙しい。合理的な方法を選択することが、より快適で、より生活を高めると信じている……そんなことはないでしょうか。『いま、ここ』の自分の声を聴くこと。思いを置き去りにすることなく、『いま、ここ』を味わいながら過ごす。それは、自分を大切にすることでもあるのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年02月14日おとな向け映画ガイド人生、最期はこうありたいー『痛くない死に方』と、ISによる監禁からの解放を描く『ある人質 生還までの398日』をオススメします。ぴあ編集部 坂口英明21/2/14(日)イラストレーション:高松啓二今週末(2/19・20)に公開する映画は15本(ライブビューイング、映画祭企画を除く)。全国100スクリーン以上で拡大公開されるのは『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』『ライアー×ライアー』『あの頃。』の3本、中規模公開とミニシアター系の作品が12本です。そのなかから『痛くない死に方』と『ある人質 生還までの398日』の2本をご紹介します。『痛くない死に方』臨終の席。息を引き取ったばかりの祖母を家族が囲み、医者も入って、「おばあちゃんありがとう、お疲れ様でした」と記念写真を撮る。これはあり?痛くない治療をめざしたはずが、患者に苦しみの最期を迎えさせてしまうことが続き、思い悩む若い在宅医療医が、先輩医師に同行して見た看取りのシーンです。痛みもなく、生を全うし、家族に見送られての最期なら、故人も家族もきっと喜んでくれるんじゃないか。白衣を身に着けず普段着で在宅診療を続ける型破りな先輩医師はそういいます。悩める若い医師・河田役は柄本佑。先輩医師・長野は奥田瑛二が演じています。河田は長野のクリニックで働くようになります。「大病院の医者は臓器という断片を見る、俺たち町医者は物語を見る。患者の人生と向き合うんだ」と語る長野の治療法は、河田にとって驚くことの連続です。実は、長野にはモデルがいます。日本の在宅医療のスペシャリストで尼崎市の町医者、長尾和宏さん。彼の著書『痛くない死に方』『痛い在宅医』がこの映画の原作です。脚本も担当した高橋伴明監督は、長尾さんご自身ではなく、『赤ひげ』で加山雄三が演じた新米医師・保本を彷彿とさせる河田を主人公にし、彼の成長物語のなかで、医師はどうあるべきか、人はどう死と向き合うのか、平穏死、尊厳死を問います。長野のもとで2年がたち、河田は、大病院から在宅医療に変更したステージ4の肝臓がん患者・本多さんを担当します。演じているのは、高橋監督の代表作『TATTOO〈刺青〉あり』で主演した宇崎竜童。その妻役は大谷直子です。彼らの視点で、直面する在宅医療、延命治療、リビング・ウィル(生前意思)、もっと具体的に食べること、待ってくれない痛みといった問題も描かれます。ラスト近く、息をひきとったあとで、妻が夫にかけた言葉。こんなことをいわれたら最高だな、と思いました。ぜひ、映画館できいて下さい。首都圏は、2/20(土)からシネスイッチ銀座他で公開。中部は、2/20(土)からミッドランドスクエアシネマ名古屋他で公開。関西は、3/5(金)からテアトル梅田他で公開。『けったいな町医者』『痛くない死に方』で奥田瑛二が演じた医師長尾和宏を描いたドキュメンタリーが同時公開されています。兵庫県尼崎市の在宅医、2500人を看取り、幸せな最期とは何か、を追求する長尾医師に密着し、その日常を追います。監督・撮影・編集は毛利安孝。ナレーションを柄本佑が担当しています。『ある人質 生還までの398日』イスラム過激派の人質となり、13ヶ月拘束されたデンマーク人写真家の、実話をもとにした、いわば再現ドラマです。拷問、監禁の想像を絶する様子と、彼を救いだすために奔走する家族の行動が並行して描かれます。日本人ジャーナリストの拘束や、時には処刑されるというショッキングなニュースで断片的に伝わるこの種の事件の真実に迫る映画です。2013年から14年のシリア。イスラム過激派組織のIS(イスラム国)は活動の初期段階です。このあと、16年にかけて支配拡大していく、その前段階で数十名の西欧人を人質にとりました。この映画の主人公ダニエルも人質のひとりでした。22歳。デンマーク体操チームの一員でしたが、怪我をしてリタイア。もともと憧れていた写真家の道を選び直し、キャリアを積み始めたばかりの新米です。戦場を撮ろうとしたわけではなく、紛争下の庶民の暮らしがテーマでした。取材は非戦闘地区で、夜になれば隣国のトルコに引き上げる。自由シリア軍の許可もとり、現地の人にエスコートもされて、安全なはずでした。が、過激派にあっというまに捕らえられます。デンマーク政府はテロリストとは交渉しないという方針。窮地に立たされたダニエルの父母と姉は、何とか彼を救おうと人質救出のプロと連絡をとります。実行犯とのコンタクト、交渉、そして何より大変なのは法外な身代金の調達です。最終的に、約2億8500万円まで膨れ上がります。監督は、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』で世界的に知られるデンマークのニールス・アルデン・オブレヴと、人質解放のプロ役で出演もしているアナス・W・ベアテルセン。デンマークのジャーナリスト、プク・ダムスゴーが『ISの人質 13カ月の拘束、そして生還』としてまとめたノンフィクションを原作にしています。生死の狭間で、人質たちが必死で助け合う姿も感動的です。究極の恐怖を受けながらも、「ヤツらの憎悪に負けたくない。僕の心にあるのは愛だけだ」と語り皆を励ますアメリカ人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリーもつらい死をとげます。拘束されたダニエルはもちろんですが、「無力という精神的拷問に何ヶ月も耐えなければならない」(監督のコメントから)一般人である家族の日々に心が痛みます。あってはならないことです。
2021年02月14日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。自分を大切にする『紙』と『ペン』のある時間旅に出ると、なぜか手紙を書きたくなります。あるときはひとり、部屋で。あるときはカフェの小さなテーブルで。今ならメールやLINEなどが手軽なのかもしれませんが、ペンで字を書くという行為が、自分の中にある伝えたいことを引き出すスイッチを入れるのです。それも、仕事などで考えていることとは違う次元のことを。自分でも気付いていなかった本音や、少々センチメンタルなことであったり。ときどき、そんな自分に出会ってみたくなるのです。今、海外はもちろんのこと、国内でも気軽に旅に出ることがむずかしいときなので、気に入ったカフェの、気に入った席で書き物をしています。たとえばご近所の並木道に面したファミリーレストラン。窓際のボックス席は落ち着きます。なぜかこの席だと、仕事もはかどるのです。紙とペンの相性はとても大切です。たとえば、歌詞を考えているとき。いつも鉛筆を使うのですが、柔らかい芯の、2Bから4Bの鉛筆でないと思考がスムーズに動いていかないのです。柔らかい心の書き心地が、なんとも気持ちがいい。そして下書きの紙はA4のコピー用紙を横にして。これは『儀式』のように、デビューしたときからの慣わしです。若い頃によく一人旅をしていた頃、必ず持って行ったがシェーファーのカリクラフィー用の万年筆でした。1500円くらいのリーズナブルな万年筆です。文字に少し表情が出て、なぐり書きでも『味』が出ます。インクはBlue-black。この色も、イマジネーションをそそるのです。今、愛用しているのはuni ball SigNonoの太字、インクはdeep blue。滑るような書き心地、そしてこのペンのインクは紙にほどよく滲みます。紙も柔らかいものを。インクを吸い取るような紙が好きです。ペン先からこぼれた思考や思いを受け止めるノートも、吟味して吟味して選びます。文筆を生業としている私にとって、自分のために文章を書くモチベーションはとても大切なものです。誰にとっても「自分のために書く」のは、「自分と一緒にいる」ことでもあるのです。思考も思いも記憶も、そのままにしておくといつか薄らいでいく。そのとき、その瞬間の自分を記録する。日記でも雑記帳でも、手帳の片隅にでも、『自分』を残しておく。それは、自分を大切にすることにもつながると思います。そして、せっかくですから思いを記していく水路となる紙とペンは、自分の手に、気持ちに馴染んだものを選びたいものです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年02月07日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。落ちこみの際で止まる先日ちょっとショックなことがあり、久しぶりに落ち込みました。これまで何度も落ち込みを経験しているので、(あー、こうしていると落ち込むなあ)と、モヤモヤした心の片隅で思っています。モヤモヤとしている自分と、それを眺めている自分。二人の自分が心の中でせめぎあっています。精神状態としては混沌としているのですが、眺めている自分がいることで落ち込みのどん底に落ちずに済んでいる……という感がしています。ショックなことがある。それは人からの批判かもしれないし、仕事や人間関係のことかもしれません。自分自身のことが嫌になることもあるし、大切なものを失うこともあります。何かそんなきっかけは……爆弾を落とされたような、心の中で何かが粉々に割れてしまったような、そんな混乱があります。それから心はぐるぐると廻り始めます。(どうしてこうなってしまったのか)という思いに始まり、相手を責めたり、自分を責めたり、自分を落ち込ませた原因を何処かに探そうとします。そして次に、自分をかわいそうに思い始めます。つまり、自分を被害者のように思うようになるのです。たとえば(一生懸命にやったのに認めてもらえない)(自分のことを全否定されてしまった)(誰もわかってくれない)といった気持ちから、(私ってかわいそう)となります。これがself-pity、自己憐憫です。落ち込んだときに嵌ってはならないのが、この自己憐憫です。自分を憐れだと思うことで、一時的に楽になります。誰かのせい、社会のせいにしてしまえば、落ち込んでいることを正当化できます。落ち込むこと自体は悪いことではありません。愚痴を言いたくなることもある。人生、うまくいくことばかりではない。ですから、落ち込んだら、まず落ち込んだことを肯定する。(ああ、私いま、落ち込んでいるんだ)と認める。そして混沌とした感情をどこかで眺めている自分を獲得する。そして、ネガティブのスパイラルに入り込まないようにチェックする。さまざまな感情が入り交じり、堂々巡りをするのです。その堂々巡りをしっかりと見る。特に自己憐憫と相手なり社会への強い批判に気をつける。なぜ落ち込んでいる自分を眺める視点が大切かというと、落ち込みが強まると鬱状態になる可能性があるからです。これだけは避けたい。自分の力ではどうにもならないことがあります。落ち込んでも仕方がない。でも大切なことは、落ち込んだところで、さらに底に落ちないようにすること。落ち込みの際で止まることです。止まっているイメージをしてみましょう。ここで踏ん張る力が、落ち込みから脱する力の源になるのです。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年01月31日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。手をつなぐ 〜見えない絆を育てる時間街で手をつなぎながら歩いている親子連れを見かけると、ふっと懐かしいような、淋しいような気持ちが胸をかすめます。娘が15歳でアメリカに留学してから8年。ずいぶん時間が過ぎました。まさか15歳で手放すとは思っていませんでしたが、考えてみると親子で一緒に暮らす年月というのはそんなに長いものではないのです。留学するのは、なかなか勇気のいる決断だったと思います。生半可な気持ちや、憧れではなく、人生を賭ける覚悟だったことは確かです。ですから親が淋しいとか淋しくないとか、つまらないことを言ってはいけないと思いました。娘がこれから自分のステージをゼロから作ろうとしているのを応援するだけです。親から離れる解放感もあったでしょうし、同じくらい不安もあったでしょう。でも、娘が覚悟を決めて巣立って行けたのは、小さいとき、どんなときも手をつないでいたからではないかなと思うのです。娘が手をつなぎたいだけ、手をつないで、そして自分から手を離していった……そんな感じがします。いつも手をつないでいること。そしていつも会話をすること。会話が成立しなくてもいいのです。空がきれいだね。風が気持ちいいね。そんなことでいいのです。そして子どもの話を聞くのです。それでどう思ったの?そんなことがあったんだ……。ジャッジを求められない限りジャッジすることなく、子どもが話すそのままをそっと手にとって愛でるように、話を聞くのです。そんな時間が確かに私の人生の一時期に流れていたのです。遠い日のことですが、それらは何ものにも替えがたい美しい時間でした。ですから若いお母さんと子どもが歩いているのを見かけると、そんな時間を大切にしてほしい!と思ってしまうのです。子育ての悩みはあったし、仕事と両立させることがきつかったこともありました。それでも、過ぎてしまうと何もかもが夢物語のような気がしてくるのです。娘と遠く離れていると、ときどき本当にゆめまぼろしだったのかしら、とふと思います。妙な感覚なのですが、これまでの人生すべてがゆめまぼろしだったような。振り返る年月が多くなるにつれ、何か確かだったものが指の間をすり抜けていくような感があります。「いま、ここ」の自分の中から、母としての自分が薄らいでいくことの淋しさがあるのかもしれません。それもまた人生の1ページであり、流れなのでしょう。もう少ししたら、私の方から手をつないでほしくなるのかもしれません。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年01月24日吉元由美の『ひと・もの・こと』作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。癒しのスープ風邪をひきました。毎年、冬になると一度はかかる喉風邪です。いま、このご時世に風邪を引くのは不安です。だるさはあるものの熱はないのでとりあえず様子を見ることにしました。まず、喉元を暖かく。タートルネックのセーターにさらに薄手のスカーフを首に巻きました。そしてヒートテックシャツの背中、ちょうど肩甲骨の間あたりにホカロンを2枚。お腹にも1枚。足元も暖かく。そして、オレンジジュースをたくさん飲む。ビタミンC摂取です。白湯も飲みます。食事は消化のいいものを。風邪引き1日目は鳥の骨つきもも肉とキャベツのお鍋。薬味は生姜と葱。たっぷり入れます。2日目は鍋焼きうどんに。ただただ体を温めます。仕事をしながらの養生ですが、3日目に少し気力が湧いてきました。何かを作りたくなる……これが私の回復のバロメーターです。そこで朝から作ったスープ2種。とろとろ白菜鍋とオニオングランスープです。とろとろ白菜鍋は、白菜半分をざく切りにし、大きなお鍋に。そこに塩をぱらりぱらり。オリーブオイルを2回し。4003くらいの水を入れ、蓋をして火にかけます。ことこと沸騰してきたそのまま数分、白菜がしんなりとして、白菜の水分も少しずつ出てきます。この『蒸し炒め』によって白菜の甘みが引き出されるのです。それから白菜がひたひたになるくらいだし汁をはり、白菜がくったりとするまで煮込みます。このとろとろ白菜、土鍋に移して鳥のつみれを入れながらポン酢でいただきます。生姜、葱をたっぷり。柚子の皮を薄く千切りにし、薬味にしても。果汁も使いましょう。そしてオニオングラタンスープ。玉ねぎ3個の薄切りを根気よく炒める。かなり色づいたところで、4003の野菜出汁、またはチキンスープを入れ、スープを乳化するようによく炒める。それから玉ねぎがひたひたプラスαほどのスープを入れ、味を整える。スープを耐熱の容器に入れ、焼いたフランスパン、そしてグリエールチーズをたっぷりとのせてオーブンで焼く。体調によって、チーズはなくても美味しくいただけます。スープには、何とも言えない優しさがこもっています。作る人の祈りがこめられているような。そして口にしたときに、優しさが体に染み渡っていく。何よりの滋養です。体調が優れないときはもちろんのこと、心が疲れたときにも、癒しのスープで自分に優しく。※記事中の写真はすべてイメージ作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー[文・構成/吉元由美]吉元由美作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。⇒ 吉元由美オフィシャルサイト⇒ 吉元由美Facebookページ⇒ 単行本「大人の結婚」
2021年01月17日