歴史的名作『ウエスト・サイド・ストーリー』でヒロイン、マリア役を演じる伊原六花さんに、作品に対する思いを伺いました。作品の時代背景を伺って、マリアの愛の深さが理解できました。バブリーダンスからもうすぐ3年。昨年は主演映画のほか、朝ドラ『なつぞら』にも出演するなど活躍の幅を広げる伊原六花さん。実は幼い頃から、バレエはもちろん映画や舞台が好きで、ミュージカルスクールに通っていたことも。「子供の頃から本が好きで、友達に誘われてミュージカルを観た時、絵本の世界が目の前に広がっていることに感激したんです。もともと目立つのが好きだったというのもあって、自分も登場人物になってみたいって思って始めたんです」そんな伊原さんが、ついに本格的にミュージカルの舞台に立つ。しかも作品は、歴史的名作ともいえるブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』のヒロイン、マリア役。「映画は何回も観ましたし、中学の時には劇団四季さんの舞台も観に行ったくらい、すごく好きな作品だった」そう。「最初に観た時は、セリフのないダンスだけのプロローグがなんだかわからなくて…。でも、観ているうちに、2つのチームが対立するところを描いたシーンだとわかって、引き込まれたんです。年を重ねてからは作品の根底にある深いテーマも見えてきて…そこにハマりました」舞台は1950年代のNY。ポーランド系移民のトニーとプエルトリコ系移民のマリアが恋に落ちるが、移民同士の抗争に巻き込まれていく悲恋物語。いまマリアとして作品と向き合う日々をおくる伊原さん。「観客として観ていた時は、マリアって家族に大事にされて育ったピュアで愛情深い女性だという印象でした。そこはいまも変わらないけれど、演出家の方から作品の時代背景とか、人種によっての文化や考え方の違いなどについても教わったんです。マリアは先入観で人を判断したり嫌ったりするんじゃなく、自分の目で確かめたものを信じる女性。その強さや愛情深さを理解して演じてみると、トニーがお兄さんを殺してしまっても、彼女の愛が変わらないのがなぜかわかる気がします。起きた事実は事実として受け止めながらも、未来の子が自分たちみたいな思いをしないためにどうするか、未来につなげていく方法を考えるような人。私は人の意見に左右されがちなので、自分を貫く彼女に憧れます」今回、トニーは浦井健治さんと柿澤勇人さん、マリアは伊原さんと桜井玲香さんとのWキャストになる。「私たちの前に、いろんな方が演じたマリアを拝見しているんですが、見え方も違うし、人によって響いてくる箇所も違うんです。同じ作品でもこんなに違うんだと思ったら、私が好きなマリアを演じればいいんだって思えたんです。ふたりのトニーもタイプが真逆で、ハッピー感に溢れた浦井さんといると、諭すようなマリアになりますけれど、もう少し冷静な柿澤さんとは自然に寄り添う感じになる。いまはその違いを楽しめるようになりました」大好きな作品だからこそ、そこに向かう思いは深く強い。「観る方に、深いテーマができるだけ伝わればいいなと思っています」ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3偶然の出会いで一瞬で恋に落ちたトニー(浦井健治/柿澤勇人)とマリア(桜井玲香/伊原六花)。しかしその恋は、以前から対立を繰り返していた彼らの周囲を巻き込み悲劇を生んでいく。豊洲・IHIステージアラウンド東京出演/浦井健治/柿澤勇人、桜井玲香/伊原六花、ソニン/夢咲ねね、加藤和樹/木村達成、Oguri/有澤樟太郎(それぞれWキャスト)ほか全席指定1万5000円ほか(税込み)ステージアラウンド専用ダイヤル TEL:0570・084・617(10:00~18:00)いはら・りっか1999年6月2日生まれ。大阪府出身。大阪府立登美丘高校ダンス部キャプテンとして注目を集め、2018年にドラマ『チアダン』で女優デビューを果たす。※『anan』2020年4月29日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年04月28日今年の公演がキャンセルとなってしまった朗読劇「私の頭の中の消しゴム」が、完全リモート、テレワークによる音声配信を企画。ニコニコ動画にて4月下旬から5月上旬に配信される予定だ。読売テレビ・日本テレビ系連続ドラマ「Pure Soul」として生まれ、リメイクした韓国映画『私の頭の中の消しゴム』は大ヒット。この永久不滅のラブストーリーを豪華俳優陣による朗読劇として蘇らせ、2010年に初演、大反響を呼び続けている。超ロングランを記録し10万人以上を動員した本作だが、12回目の上演となる今年、残念ながら公演はキャンセルに。そこで今回、完全リモート&テレワークによる音声配信を企画。キャストには、梶裕貴×高垣彩陽、加藤和樹×生駒里奈、廣瀬智紀×竹達彩奈、福山潤×愛加あゆの4組が参加。チケットは、1公演につき3000円(税込)となっており、4月下旬から5月上旬に配信予定。詳細は公式ブログにて発表されるという。脚本・演出の岡本貴也は「幸いにしてこの戯曲はほとんどがモノローグ(独白)で、また、劇場であっても最後まで互いに顔を見ない演出が付いています。ですのでこの配信で二人が別々の場所にいても、演劇として上手く行くことでしょう」と今回の企画に関してコメント。「脚本も配信用に新たに書き足されました。その新しいパートも楽しんでいただけたら幸甚です。『お客様に何かしら"楽しみ"を提供したい』。そんな風に強く思っております。皆様のお力添えを、何卒宜しくお願い申し上げます」と語っており、また新たな楽しみが追加されているようだ。朗読劇「私の頭の中の消しゴム」Special Letterは4月下旬から5月上旬、ニコニコ動画にて配信予定。(cinemacafe.net)
2020年04月22日テレビ朝日系「徹子の部屋」の4月22日放送回に「NEWS」の加藤シゲアキがゲスト出演。梅干し作りが趣味だという加藤さんの自作梅干しに「グッズで売って」の声や、故・ジャニー喜多川氏との最期の会話にも驚きの声が上がっている。番組は「NEWS」のライブ映像からスタート。トーク番組として親しまれてきた本番組でライブ映像が流されたことに「ライブ映像嬉しいな~!」「徹子の部屋でNEWSのライブ映像流れてた」など喜びの声がSNSに上がる。プライベートでは自炊することが多いという加藤さん。自ら梅干しを作っているという話題から、自作の梅干しをスタジオに持参、MCの黒柳徹子に進呈したのだが、梅干しをソファの裏側からいきなり取り出したことに視聴者からは「梅干しどっから取り出してんねん!!びっくりしたよ笑」「クッションの下に自前の梅干しを隠し持つシゲちゃん」など驚きの声が。また「梅干しひと粒がデカいね」「シゲの梅干しいいなぁ美味しそう」「頼む~梅干しグッズで売ってください!!」など“販売希望”のツイートも多数。その後トークは、昨年亡くなったジャニー喜多川氏からかけられた“最期の言葉”に関するエピソードへと展開。ジャニーズJr.時代はジャニー氏からかわいがってもらっていたという加藤さんだが、高校時代にデビューしてからは会う機会が減ってしまったとか。そんな加藤さんが久々にジャニー氏としっかり会える機会ができたところ、ジャニー氏は加藤さんがJr.だった当時を覚えておらず、「あの時のYOU? こんなんなっちゃって最悪だよ!」と言われ、それが結局最後の会話になったという。そのことについて加藤さんは「いま思えば、僕を叱るような、喝を入れるように励ましてくれたのかな」と語っていた。2003年にCDデビューしてから17年、一線で活動を続けるトップアイドルのメンバーにも関わらず、ジャニー氏とはなかなか話す機会がないことに驚いた視聴者も多かった様子で「結構、ジャニーさんとは会えないんだね」「そんなに会えないんだ」などの声も数多く投稿されていた。(笠緒)
2020年04月22日感染が拡大し、人類の脅威となっている新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)。各国は外出自粛を要請し、多くの人たちの生活が一変しました。テレビ収録の方法も問われている中、2020年4月13日放送の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)では、ニュース番組『報道ステーション』(テレビ朝日系)でメインキャスターを務める富川悠太アナウンサーが、コロナウイルスに感染したことについて言及。これだけコロナウイルスが蔓延しても、日本の会社にはまだ休みづらい風潮があることを、MCを務める加藤浩次さんが指摘しました。コロナ判定なしの発熱では休めない現状番組では、テレビ朝日広報部が発表した富川アナウンサーの症状を紹介。初期は朝方に38℃の発熱があったものの、すぐに平熱に。その後、痰(タン)が絡む症状となり、さらに息切れを感じるようになっていったとのことです。入院してからは、検査で肺炎の症状が見つかり、コロナウイルスの感染が判明。症状の経緯を聞いた加藤さんは、『初期の段階での判断の難しさ』について次のように述べました。今ちょっと多いと思うのは、1日ポンって熱が出る…37℃とか8℃とか。次の日下がる、その時に病院に行く。行った時に、熱が出てないから「自宅療養してください」って、「ちょっとコロナかどうか分かりません」って(医者にいわれて)家に帰される。そういう方っていうのがすごい多いと思うんですよ。スッキリーより引用初期症状だけでは風邪と見分けがつかない危険性を加藤さんは指摘。さらに、コロナウイルスの感染を疑って休みたくとも、上司から理解が得られない可能性について、このように語っています。やっぱり発熱が1日でもあった場合は自分がコロナに感染してるんだという風に考えて行動して、家にいるないし、しなきゃいけない。これいうのは簡単なんですよ、僕も今いいましたけど。仕事している人は、熱が出て下がって、じゃあ休みます。「お前コロナの判定受けたのか」って会社の上司にいわれた時に、「いや、受けてないです。PCR検査受けてないんで」(と答えたとする)。「熱下がってるのか、熱下がってるんだったら来いよ」(と上司にいわれてしまう)みたいな状況ってあると思うんですね。スッキリーより引用「発熱で会社を休んでいい。そして発熱した場合は2週間は家にいてもらうんだ」と、上司が意識を変えていくことの重要さも加藤さんは述べました。加藤さんのコメントに、ネットで共感する声が相次いでいます。・上司にいいづらいから、発熱してもいえないし休めない。・夫の会社でも、平熱に戻ったら出社しないといけない。・『発熱を知った段階でしっかりと休む』が常識の社会になってほしい。上司本人の意識が変わっても、会社からの要求が大きければ部下を休ませることが難しいでしょう。上司だけでなく会社の体制から変わっていくことが重要。社会に根付いた『常識』を変えるのは困難かもしれません。しかし、変わっていかなければ、社員が命を落とし、会社の存続が危ぶまれることさえあります。非常時の今だからこそ、働き方を根底から考え直すことが必要なのかもしれません。[文・構成/grape編集部]
2020年04月14日ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3にリフ役で出演する加藤和樹&木村達成がぴあに登場!共にミュージカル『テニスの王子様』のOBであり、今やミュージカル界に欠かせない存在に成長したふたり。互いへの友情と信頼がにじみ出る先輩後輩トークを楽しんでほしい。※このインタビューは2月に行われました。ダンスでどれだけリーダー感を見せられるかお申込みはこちら(dpia-app://marupi?isLocked=0&marupiId=122e0970-5917-47d3-aabd-e33bde859cec)(撮影/岩田えり、取材・文/横川良明、ヘアメイク/(加藤さん)江夏智也(raftel)(木村さん)馬場麻子、スタイリング/(加藤さん)立山功 (木村さん)部坂尚吾(江東衣裳)衣装協力/(加藤さん)ジャケット、パンツ/The Viridi-anne(The Viridi-annetel 03-5447-2100)、カットソー、靴/CHORD NUMBER EIGHT(GARDEN TOKYO & THE OPEN ATELIER tel 03-3405-5075 )(木村さん)ニット¥20,000(BATONER / BATONER 03-6434-7007)、パンツ¥36,000(T-MICHAEL / UNIT&GUEST 03-5725-1160)※価格はすべて税抜き表示)
2020年03月25日お笑いコンビ・極楽とんぼの加藤浩次が4日、都内で行われたモバイルルータ「THE WiFi」メディア発表会に登場した。スマートモバイルコミュニケーションズは、「データ容量無制限・速度制限なし」などの機能を備えた「THE WiFi」を3月4日より提供開始する。同日より、加藤が出演する新CMが放送スタート。“スゴイ”がつまった「THE WiFi」の魅力を伝えるため、力士たちが登場して“どスゴイ”とアピールする内容となっている。CMでは、加藤が力士役に挑戦。力士の体と加藤の顔を合成させ、迫力のあるビジュアルが完成した。加藤は「なんで僕なのかなって。僕が力士になるということだったので、あれっと思ったんですけど、面白いなと。相当インパクトあるなと思った」とオファーを受けたときの心境を明かした。また、「顔だけだから、(顔だけ)撮ればいいと思うじゃないですか。監督とか演出の方のこだわりが強くて、すり足でやれとか、四股を踏んだり、力士の方と同じ動きをしないといけなかったのがけっこう実は大変だったんですよ」と撮影時の苦労を告白。「難しかったですけど、楽しくやらせていただきました」と振り返った。そして、「速度制限なし、データ通信容量無制限」、「ドコモ・au・ソフトバンクエリア対応」、「海外132カ国でも利用可能。現地で電源を入れるだけ」など、「THE WiFi」の“どスゴイ”ポイントが紹介されると、加藤は「どスゴイね!」と絶賛。「すごいなって本心で思っています」と語った。イベント冒頭では、「どスゴイ」を連呼する力士6人が登場。その力士の間を通って加藤が登場するというパフォーマンスが行われ、加藤も“どスゴイ”ポーズを披露した。
2020年03月04日小宮有紗と加藤玲奈(AKB48)がW主演を務める密室サスペンス・コメディ『体育教師たちの憂鬱』が4月に東京・シアタートラムにて上演される。小宮と加藤に話を聞いた。【チケット情報はこちら】「ラブライブ!サンシャイン!!」出演のスクールアイドルユニット・Aqoursメンバーとして活躍しながら、女優としても活動する小宮。舞台に立つのは約5年半ぶりとなるが「舞台はデビュー当時に何作か立たせていただいたのですが、実はなかなか自信が持てずにいて。でも今、このお話をいただいたときに、新しい自分にチャレンジするチャンスかなと思い『やりたいです』と言いました」と明かす。出演を決めた理由は「Aqoursでライブなどをするようになって、ステージに対する気持ちが変わったからです。生でお客様の反応をいただくことが楽しいなと思うようになってきたので、今ならと思えました」。加藤は、AKB48のメンバーで、「劇団れなっち」の主宰もしているが、自身の舞台出演は2作目。「まだ舞台に慣れていないので、素直にドキドキだなという気持ちはあります。でも普段、舞台を観に行くことは多いですし、演技をしたいという気持ちはあるので、今回を楽しみにしていました」と語る。本作は、作・演出の金沢知樹が主宰する「劇団K助」が2019年に初演した作品で、舞台はスポーツ名門校の女子校。体育倉庫で教師と生徒の恋のやり取りが記された交換日記が見つかり犯人探しが始まるが、その中でさまざまな事件や過去が明らかになっていく――という内容だが、小宮は「みんながイメージする“学校もの”を裏切る展開になると思います」、加藤も「舞台だからこそ面白い話です。これがリアルだと怖すぎる(笑)」と話すストーリー。その中でふたりが演じるのは全国大会に出場を果たすような強豪スポーツ部のキャプテン役。「舞台が女子校なのですが、女の子だけの中で生まれる絆って強い。私も玲奈ちゃんも女性グループで活動しているので、その設定にはスッと入っていけるかなと思っています」(小宮)。役柄も書き換えられるといい、「先日、私たちと金沢さんでお話しする時間があり、どんなことを話すのかなと思っていたら、世間話でした(笑)。脚本のために人となりを見られていたんだと思います」(加藤)と、当て書き要素もありそう。最後にファンに向けて、小宮は「私が生でお芝居をしているところを見たことがない方も多いと思うので、いいところを見せられたら」、加藤は「前回の舞台を観に来てくださった方が“またやってほしい”と言ってくれたりしていたので、その期待にも応えられるようにがんばりたいです」とコメント。開幕をお楽しみに!公演は4月3日(金)から19日(日)まで東京・シアタートラムにて。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2020年02月17日IHI ステージアラウンド東京で公演中のブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」日本キャスト版。この度、4月から始まるSeason3のメインビジュアルが到着した。昨年11月からスタートし、長い公演期間を3つに分けて上演中の本作。メインキャラクターのトニー、マリア、アニータ、リフ、ベルナルドをそれぞれWキャストで上演し、Season1では人気声優の宮野真守と蒼井翔太が、現在上演中のSeason2では村上虹郎と森崎ウィンがトニーを演じ話題に。そしてラストとなるSeason3では、主役のトニーを浦井健治と柿澤勇人、ヒロインのマリアを桜井玲香と伊原六花が演じる。ほかにも、アニータ役にソニンと夢咲ねね、リフ役に加藤和樹と木村達成、ベルナルド役にOguriと有澤樟太郎。モロ師岡、中村まこと、コング桑田、やついいちろう、槙尾ユウスケが出演する。そんなSeason3のチケット一般発売直前、メインキャストたちを写したメインビジュアルがお披露目された。お互いにひと目惚れしたトニーとマリアが歌う「トゥナイト」の中で、美しい星空に包まれていく幻想的なシーンを彷彿とさせるビジュアルとなっている。ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season3は4月1日(水)~5月31日(日)IHI ステージアラウンド東京にて上演。(cinemacafe.net)
2020年02月15日タレントの加藤紗里(29)が1月21日、自身のInstagramを更新。マタニティ用の下着姿を公開し、つわりと胸の張りに悩んでいると吐露した。加藤は、今月19日にYouTubeで妊娠を発表。出産予定は6月~7月で、動画ではシングルマザーとして子どもを育てていく決意を語っていた。この日は「一気に下着もマタニティ用に!!」と白い下着姿を公開。「弱音は吐きたくない紗里だけど正直つわりの中仕事辛い、、、つわりは前からあったんだけど体調崩してるのかと思ってたの。。。あと胸が張って痛い」と体調の変化に悩まされていることを明かした。つづけて「ママさんたちはみんなこんな経験をしてるんだなー、、ママ紗里を生んでくれてありがとう」と母親への感謝をつづり、ハッシュタグにも「#マタニティ#妊婦#シングルマザー」の文字が並んだ。妊娠発表の動画で、父親について「わからない」と答え、炎上した加藤。フォロワーからは《シングルマザーになるのにそんな弱音吐いてたらやっていけないよ》と厳しい意見があるいっぽうで、《冷やかし半分でフォローしてましたが、今は純粋に応援してます!》《なんとなく顔が優しくなりましたね》《元気な赤ちゃん産んで下さいね》と応援するコメントが数多く寄せられている。
2020年01月22日タレントの加藤紗里が19日、自身のYouTubeチャンネルを更新し、妊娠を報告した。昨年9月に不動産会社経営の男性と結婚し、今月10日に離婚していたことを発表した加藤。この日は「加藤紗里 ママになる!?」と題した動画で、病院に行った様子を紹介し、「妊娠してました」と報告した。そして、「離婚報道出たばっかりですけど、シングルマザーとして産むという決意で病院で手続きはしてきました。産みます」と決意を述べ、「シングルマザーとして頑張っていくしかないんで」と話した。出産予定時期は「初夏予定と言われたので、6月か7月ですね」とのこと。「やっぱり紗里も29なので決めました。シングルマザーとして頑張ります。仕事も頑張ります。Youtuberも頑張ります」と気を引き締めた。「誰の子ですか?」と聞かれると、「それはわからないです。離婚してたんで『誰の子や?』というコメントは殺到すると思う。(元)旦那の子ですよね? ですよね。元旦那の子ですね」と考えながら回答。「強い加藤紗里でいたいんで、Youtuberとしても仕事も子供のために頑張っていこうと思います」と話し、「加藤紗里ママになります」と宣言した。その後、インスタグラムでも妊娠を報告。「みんなーーーYouTubeアップしたけど妊娠が発覚しました!夢だったママになります!!厳しいお言葉あると思います。シングルマザーがどれほど大変か、、、未熟すぎる紗里です。でも子供のために今までやってこなかった自立。遅すぎるかもですがこれからは真面目に仕事と向き合っていこうと思っています」とつづった。
2020年01月19日2017年に日本初演され、大熱狂を巻き起こしたミュージカル『フランケンシュタイン』が、3年の時を経て1月8日、待望の再演の幕を開けた。初日を目前にした1月7日、東京・日生劇場でメインキャストの中川晃教、柿澤勇人、加藤和樹、小西遼生が取材に応じた。【チケット情報はこちら】19世紀のヨーロッパを舞台に、科学者ビクター・フランケンシュタインが、生命創造への飽くなき探求の果てに怪物を生み出してしまう……という誰もが知る物語を骨子に、友人・アンリとの悲しい絆、ビクターの孤独な過去などオリジナル要素を大胆に絡めたスリリングかつ切ないストーリーが、このミュージカル版の魅力。さらに畳み掛けるようなドラマチックな楽曲の数々も印象的な作品だ。日本版は初演に続いてビクターを中川と柿澤、アンリ/怪物を加藤と小西がダブルキャストで演じている。オリジナルキャストが再集結した3年ぶりの公演となるが、「初演時に経験したものをひとつひとつ深めていく、充実した稽古を送れました。お客さまに“今のこの物語”の素晴らしさを早く観ていただきたい」(中川)、「再演は、満を持してです。やることは全部やってきた。あとは(舞台上に立って)やるだけ」(柿澤)、「深めるところは深め、無駄なものをそぎ落とし、より観易くなったと思う。よりお客さんが夢中になれるミュージカルになったんじゃないかな」(加藤)、「本当に全身全霊でやる作品なんだってことを思い出しました。間違いなくみなさんの心に衝撃を与える作品になると思う」(小西)と、それぞれ充実の稽古期間を過ごしたようで、口々に自信のほどをコメント。サスペンスフルな物語ゆえ、小西が「正月明けにやる作品なのか…」と苦笑しつつ「正月あけのちょっとボーっとした頭を、すっきりさせにきてください」と言えば、加藤も「人間が持つ力、生命の力をこの2020年の始まりに感じていただければ」と上手くアピールにつなげたところで、柿澤が「2020年のスタートピッタリの、縁起のいいハッピーエンディングミュージカルとなっていますのでお待ちしています!」とコメントし共演の面々からツッコミを受ける一幕も。それぞれの個性も垣間見れる会見となった。中川のコメント「ふたりのビクター、ふたりのアンリがいます。ここに注目しないともったいない! ふたつの魅力、ふたつの面白さ、ぜひ体感していただきたい」に尽きるだろう。ぜひ様々なキャストで観比べてほしい。東京公演は1月30日(木)まで日生劇場にて。その後2月14日(金)から16日(日)に愛知芸術劇場大ホール、2月20日(木)から24日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。取材・文・撮影:平野祥恵
2020年01月09日2017年に日本初演され、熱狂的なファンを多数生んだ韓国産ミュージカル『フランケンシュタイン』が再演される。知らぬ者はいないゴシックロマンの名作を、大胆な脚色と、難解がゆえに癖になる音楽によって舞台化した作品。また、メインキャスト全員が一人二役を演じるというトリッキーな趣向も人気の秘密で、今回は中川晃教と柿澤勇人(Wキャスト)、加藤和樹と小西遼生(同)、音月桂、鈴木壮馬、相島一之が続投するほか、ミュージカル初挑戦の露崎春女がエレン/エヴァ役として新たに名を連ねる。舞台は19世紀のヨーロッパ。科学者のビクター・フランケンシュタイン(中川/柿澤)は、戦場でアンリ・デュプレ(加藤/小西)の命を救い、ふたりは固い友情で結ばれる。“生命創造”に挑むビクターに感銘を受け、研究を手伝うようになるアンリ。だが彼は、殺人事件に巻き込まれたビクターを救おうとして命を落としてしまう。自らの研究のすべてを注ぎ込み、アンリを生き返らせようとするビクター。だが誕生したのは、アンリの記憶を失った“怪物”だった……。人類の飽くなき探究心、そして愛と友情の物語がスピーディに繰り広げられるミュージカル『フランケンシュタイン』は、本日1月8日から30日(木)まで東京・日生劇場、2月14日(金)から16日(日)まで愛知県芸術劇場 大ホール、2月20日(木)から24日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。文:町田麻子
2020年01月08日2017年日本初演のミュージカル『フランケンシュタイン』が待望の再演。厳格な父親と金と女に目がない強欲な守銭奴の2役を演じる俳優の相島一之が、自身初のミュージカル出演となった初演の興奮と、再演への意気込みを語った。ミュージカル「フランケンシュタイン」チケット情報舞台は19世紀ヨーロッパ。非業の死を遂げた親友アンリ・デュプレ(加藤和樹・小西遼生)を救うため、科学者ビクター・フランケンシュタイン(中川晃教・柿澤勇人)は長年研究してきた“生命創造”を今こそ実行する。だが、蘇ったのはアンリの記憶を持たない“怪物”だった――。相島は初めて台本を読んだ時「その時点では面白さがつかめなかった」と明かす。「それが最初の本読みでピアノが入り、曲が流れてキャストが歌ったら、物語の世界観が立体的にたちのぼってきた」と驚嘆。「歌の偉大さを、ものすごく感じた!」と一瞬でミュージカルの虜となった。本番直前の通し稽古で、ベテランの鈴木壮麻が演技プランを変えたことも印象に残った。「佇む芝居で完成していたのに、急遽ダンスシーンに変えたんです。ふわりと即興で踊る姿がミュージカル俳優としての年輪から醸し出されるカッコ良さだなと感動して。同時に、僕の芝居を見て同じように感じてくれるお客さんがひとりでもいれば幸せだなと。それが30年間演劇を続けてきた自分が、この作品に呼ばれた理由でもあると思うので。再演でも新たな楽しみを見つけて、次に繋げたいです」。最大の見どころには「正と悪、美と醜など、相反する2役をメインキャスト全員が演じるところ」を挙げる。「役者としてはストイックな芝居から、すべてをさらけ出すような悪を演じる解放感、気持ち良さは全員が味わっていると思う。その上、ダブルキャストのイケメン4人の役の関係性はボーイズラブのようにも見えるわけですから(笑)。意図せず発散された役者のエネルギーが素晴らしい楽曲に乗って劇場中に満ち渡り、物語の暗さまでも凌駕する。いやはや拍手、すごい作品です」。ビクターとアンリ、それぞれダブルキャストによる組み合わせの妙も楽しんでほしいとも。「役者が持っている何かが匂い立つんでしょうね。演出は同じでも役へのアプローチが違うから、このペアが好みとか、お客さんそれぞれに“推し”があるみたい。とにかく科学者が人造人間を作るという日常ではない設定なので、救いはあるのかと思うほど暗い話なのに、不思議な勢いがある作品。昼ドラのような濃厚さ。暗闇に咲く花のようなダークファンタジー。この世界観はちょっと、虜になるんじゃないかな」。公演は1月8日(水)から30日(木)まで東京・日生劇場、2月14日(金)から16日(日)まで愛知県芸術劇場大ホール、2月20日(木)から24日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年12月27日2017年に日本初演され人気を博したミュージカル『フランケンシュタイン』が2020年1月に開幕する。その稽古場に抽選で当選した参加者20名が“潜入”するという企画が開かれた。【チケット情報はこちら】ラフな稽古着のキャスト達が揃う稽古場。まず鈴木壮麻と相島一之が登場し、参加者に「こんにちは!」と声をかけると、参加者より先にキャスト陣が「こんにちはー!」と大盛り上がりで応答。初演からの続投キャストが多いカンパニーならではの和やかさだ。早速、演出の板垣恭一が稽古の進め方などを解説し、「初演をご覧になった方は見覚えがあるかと思います」とセットを紹介すると、参加者は興味津々な様子に。「後でこのセットに皆さんをご案内します」と発表されると、「ひゃー!」と声が上がった。さらに小道具の紙幣を実際に触るなど、『フランケンシュタイン』の世界を体感する機会が多く用意されていた。そして遂に実際の稽古へ。披露されたのは、2幕のとある場面。板垣が「ダンスと歌と殺陣が同時進行する、かなり忙しいシーンです」と紹介した通り、動きが入り組んでいるため、まずは遅めのテンポで動きや殺陣を確認し、その後に本番同様の速度で通すという流れ。遅いテンポでも迫力を感じたが、本番の速度だと何倍にも膨らむのが面白い。加藤和樹と小西遼生がWキャストで演じる怪物も登場するシーンであったため2パターンで披露されたが、Wキャストの芝居を立て続けに観ると、それぞれの個性の違いがクッキリと感じられて楽しい。さらにこのシーンでは、今作からの参加そして初ミュージカル出演となる露崎春女による『欲と血の世界』の歌唱も。直前に露崎は「ひえー」と緊張を見せながらも、強く美しい歌声を響かせた。稽古後は、中川晃教、柿澤勇人、加藤和樹、小西遼生、音月桂、鈴木壮麻、相島一之、露崎春女から挨拶も。今回の稽古では出演がなかった主演の柿澤は「皆さんの前でやりたかったな」とつぶやきつつ「個人的には1年ぶりのミュージカルなので体力面と精神面、そして歌も必死で練習して、正月にピッタリな(笑)作品をお届けしたいと思います!」とコメント。柿澤と共に主演を務める中川は参加者に「いかがでしたか?」と話しかけ「今はミュージカルが身近になっていっている最中。稽古場に足を運んでくださった皆さんがいろんなことを感じて、ミュージカルがさらに盛り上がっていく要素になったら本当に幸せです」と笑顔で語った。最後に参加者はセット内部へ!キャスト達に話しかけられながら、セットに立つ役者の気分を味わった。ミュージカル『フランケンシュタイン』は2020年1月8日(水)から30日(木)まで東京・日生劇場で上演後、愛知、大阪を巡演。取材・文:中川實穂
2019年12月25日城田優が演出を手がけ、自ら主演するミュージカル『ファントム』が、11月9日に東京・TBS赤坂ACTシアターにて開幕した。【チケット情報はこちら】ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」を原作に、アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を担当した本作は、1991年に米で初演されたミュージカル。日本では2004年から宝塚歌劇団が公演を実施しているほか、2008・2010年には大沢たかお、2014年には城田の主演で上演された。今回は加藤和樹もタイトルロールを務める。初日を控えた囲み取材にはW主演ふたりのほか、クリスティーヌ・ダーエ役の愛希れいかと木下晴香、フィリップ・シャンドン伯爵役の廣瀬友祐と木村達成(ともにWキャスト)が参加。それぞれ城田の演出家ぶりを「大変なポジションにもかかわらず、エネルギッシュにカンパニーを引っ張ってくれた」「作品に対する愛情を、誰に対しても平等に伝えていた」などと紹介し、感謝の気持ちを述べた。城田はその言葉に恐縮しつつ、「演出と主演の両立は初めての経験で、人生でいちばん大変でした」と稽古期間を振り返る。演出に多くの時間を費やした結果、「僕自身の稽古が足りていない」と不安を吐露するも「作品としては完璧です!」とコメント。「希望と絶望が入り混じった最高のエンターテインメントが完成しました」と続き、ファントムの仮面越しに自信を覗かせた。作品の舞台となるパリの街並みを想像させるオルゴールや街灯など、劇場ロビーのいたるところに『ファントム』の世界観が現れているのも本作の特徴といってよいだろう。このほか、開演前の客席でアンサンブルキャストが“2,000円フラン”の写真集を販売する趣向も。観客は本編スタートを前に、自然と劇空間へいざなわれていく。取材日のゲネプロは、加藤・愛希・廣瀬の組み合わせで上演された。城田は客席後方に設けられた演出席から舞台の様子を見守る。加藤は、悲しい過去を背負って地下に幽閉されたファントム(エリック)の純粋さを少年のようなあどけなさで造形。その彼を“先生”と慕い、音楽を通じて次第に心を通わせていくクリスティーヌを、愛希は可憐に演じた。劇中でリプライズされ、時に楽しく・時に切なく歌い上げられるふたりのデュエット『You are Music』は作品を象徴する必聴ナンバーだ。上演時間は約180分(休憩含む2幕)。東京公演は12月1日(日)まで。その後、12月7日(土)~16日(月)に大阪・梅田芸術劇場メインホールへ巡演する。東京公演の「当日整理番号券」を公演希望日の前日10:00~23:59まで予約受付中。取材・文:岡山朋代
2019年11月11日ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を原作とする舞台といえば、イギリスのアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲による同名のミュージカルが広く知られるが、実はほかにもいくつものバージョンが存在する。11月9日に開幕したミュージカル『ファントム』は、怪人ファントムの人間像に焦点をあてた秀作として、そのなかでも特に大きな成功を収めているバージョン。アーサー・コピット(『ナイン』)の脚本と、モーリー・イェストン(『ナイン』『タイタニック』)の音楽によりアメリカで1991年に初演されて以来、世界各地で上演されている。日本への上陸は2004年で、宝塚歌劇団による初演を経て、2008年に鈴木勝秀演出による男女混合キャスト版が誕生。以来、鈴木版の再演(2010)、ダニエル・カトナー演出版(2014)と上演が重ねられてきた人気作が、カトナー版でファントムを演じた城田優の演出により5年ぶりに蘇るのが今回だ。城田は演出だけでなく、Wキャストのひとりとして再びファントム役にも挑むという意欲的な試み。これにはイェストンも、「親愛なる優が演出すると聞いて、それは良いアイデアだととても嬉しく思いました。演出家は登場人物の感情を事細かに把握しなければいけませんが、その点、既に演じているから心強い」と期待を寄せる。もうひとりのファントムは加藤和樹、クリスティーヌは愛希れいかと木下晴香、シャンドン伯爵は廣瀬友祐と木村達成、キャリエールは岡田浩暉と、城田以外のキャストは一新される形。城田が「これまで20年間エンタテインメントの世界で培ってきた想像力の限りを尽くし、全く新たな『ファントム』を、最高のキャスト、スタッフ、チーム一丸となって、創りあげていきたい」と意気込む新生『ファントム』、一体とんな舞台になったのだろうか。文:町田麻子
2019年11月10日新作ミュージカル『怪人と探偵』が、9月14日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて開幕した。江戸川乱歩の推理小説を原案に、森雪之丞が作・作詞・楽曲プロデュースを、同劇場の芸術監督である白井晃が演出を手がける本作。キャストには中川晃教、加藤和樹、大原櫻子らが名を連ね、“世界で一番綺麗な宝石”をめぐる大怪盗・怪人二十面相(中川)と名探偵・明智小五郎(加藤)の対決が繰り広げられる。取材日にまず報道陣へ公開されたのは、オープニング20分。二十面相と明智による最初の対決は、東京スカパラダイスオーケストラのテーマ音楽「憂愁モダン」で彩られ、ジャズテイストのアップテンポな楽曲に乗せたダンスやアクション満載のステージングで華やかに幕を開けた。続く第6場の冒頭では、慈しむべき大切な“愛”の存在に気づいた二十面相が「世界で一番綺麗な宝石」を高らかに歌い上げる。中川は、盗めず・奪えず・探せない愛の尊さをのびやかな歌声で情感たっぷりに表現。ネコ夫人(高橋由美子)らも加勢する壮大なバラードへ発展した。抜粋シーンの上演後に行われた初日会見で、森は日本発のオリジナルミュージカル完成にいたった感慨を口にする。目指したのは「日本語の美しい歌」。森とタッグを組み、構想5年をともに駆け抜けた白井は「永遠のライバルである二十面相と明智が奪い合うのは、世界の財宝を超えたもの──という人間ドラマが本作のおもしろさ」と見どころを紹介した。「音楽・脚本が次第にできあがり、白井さんと対話を重ねて作品のピースがひとつずつ揃っていく過程に立ち会えたことは貴重な経験」と実感を込めて語るのは中川。対する加藤は、ミュージカル『フランケンシュタイン』(2017年)以来の2度目の共演となる中川について「アッキーさんと向き合う度に気持ちが高揚する」と刺激を受けた舞台裏を覗かせる。ヒロイン役の大原は初日を迎えた嬉しさを噛みしめつつ、本作を「千秋楽に向けて変化する作品」と分析。「何度もご覧いただきたいです!」と観客に呼びかけた。昭和モダンの世界を背景に、乱歩作品の登場人物が躍動する170分(休憩含む2幕)。東京公演は9月29日(日)まで。その後、10月3日(木)~6日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールに巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2019年09月17日日本フィルの東京定期演奏会の新シーズンは、今年も世界を翔ける山田和樹のこだわりのプログラムからスタートする。フランス音楽と、日本フィルの創立指揮者、渡邉曉雄がはじめた「日本フィル・シリーズ」の新作初演と再演という意欲的なプログラムだ。【チケット情報はこちら】9月6日(金)・7日(木)にサントリーホールで行われる第713回東京定期演奏会<秋季>でフォーカスされているのは、酒の神バッカス。ローマ神話に登場する神でありながら、どこか人間味をも感じさせるバッカスの豪快さをフランス近現代音楽の魔法を使って導き出す。邦人作品では日本の民謡を芸術作品にまで昇華させた、当時30歳の間宮芳生のヴァイオリン協奏曲を現在90歳になった同氏の立会いのもと再演する。ソリストには、9月より日本フィルの新・コンサートマスターに就任する田野倉雅秋を迎え、新シーズンを彩る。そして世界初演となる大島ミチルの新作。映画音楽の分野で世界的に有名な大島が、あえて純粋なコンサートと向き合った作品だ。もう引き戻せないところまで来た人や自然環境・・・そしてそれを越えた先に何が待っているのか?その思いを作品にしたという、管弦楽曲『Beyond the point of no return』。大島は「後戻りできない地点を越えた先が悲観的なものではなく、人間の力によってきっと素晴らしいものであって欲しいとの願いも含めて作曲しました。私にとって純音楽は人そのものなのだと・・・音符ひとつひとつが細胞であり、全てが綿密に絡み合い・・・それらが指揮者やオーケストラによって命を吹きこまれる瞬間を楽しみにしています」と語る。日本フィルからは、「多くの人々に愛され、これからも何度も再演される作品を!」と依頼をした作品。新しい音楽が生まれる瞬間を、見逃せない。そして続く10月の第228回サンデーコンサートでのプログラムにはベートーヴェンをはじめとする超名曲がラインナップ。山田×日本フィルのベートーヴェンといえば、2倍にした管楽器、自由なボウイングなど、遊び心あふれ、躍動感に満ちた演奏の交響曲第1番が記憶に新しいが、今回は交響曲第5番「運命」に挑む。そして2020年のオリンピック・パラリンピックイヤーに向けて山田が東京混声合唱団、日本フィルとともに取り組んでいる「山田和樹アンセム・プロジェクト」にちなみ、日本フィルのテーマソングともいえるシベリウスのフィンランディアも取り上げる。日本フィルとは挑戦的なプログラムが多い山田マエストロとの古今東西で愛される名曲プログラムも、お聴き逃しなく。全公演、マエストロ・プレトークが行われるところも見逃せないポイントだ。文:山本円
2019年08月28日近年、高い歌唱力を武器に数々の大型ミュージカルでヒロインを務める20歳の新星、木下晴香。「自分を高められるような作品を前に、奮い立つような気持ち」と、またもやオーディションを勝ち抜き、ミュージカル『ファントム』のヒロイン、クリスティーヌ役を射止めた。この冬、元宝塚歌劇団月組トップ娘役、愛希れいかとのWキャストに挑戦する。ミュージカル「ファントム」チケット情報自らを「オペラ座の怪人」と名乗り、精神世界に閉じこもる青年エリックが、父親との関係性を軸に人間性を取り戻す物語。ガストン・ルルー原作のミュージカルとしては、すでにアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲版『オペラ座の怪人』が先行していたが、作詞・作曲したモーリー・イェストンは「それでも創りたいと思ったのは、まったく新しい解釈の作品を創れると確信したから」と語っている。事実、奥深い人間心理に迫った愛と再生の物語は、1991年の初演以来世界中で親しまれ、日本でも宝塚歌劇団などが繰り返し上演するなど、人気作として定着している。今回、城田優が加藤和樹とのWキャストで主演し、同時に演出を務めることでも話題の本作。オーディションで木下は、城田から「怖がらずにすべてを出して」と背中を押されたという。「まだ頭で考えた範疇でしか表現できない自分にとって、城田さんはその考え方さえも広げてくださるような方。本作で自分の知らなかった自分が見つかるんじゃないかな」。Wキャストは役を客観視できるのが利点という。「負けず嫌いな性格なので、相手のすごさを見ることで力が沸くし、逆に自分はこうだなと演技の軸が定まりやすい」。相手役がWキャストの場合も自らの軸はぶらさず、その都度沸き起こる感情を大切にしている。「加藤さんは優しさの中にも憂いを感じる方なので、エリックの悲劇性をどう表現されるのか楽しみ。城田さんは歌の言葉がすごく心に入ってくる方なので、聞いていて力をもらったり、気づいたら泣いていたこともありました。最近表現者として、お客様に伝わったものがすべてだなと感じることが多く、城田さんには心に響く表現の仕方をいろいろと教わりたいです」。進路に迷っていた学生時代、ミュージカル『レディ・ベス』を見て進むべき道が定まった。「力強いヒロインの姿が、本来の自分を目覚めさせてくれました。ミュージカルにはそういうパワーや熱量があると思うので、今回も『こんな衝撃を受けたのは初めて!』と言っていただけるような作品にしたいなと思います」。公演は11月9日(土)から12月1日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアター、12月7日(土)から16日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。ともにチケットは9月7日(土)発売開始。チケットぴあでは8月26日(月)10時より2次先着先行を受付。取材・文:石橋法子
2019年08月23日異形の人物表現を特徴とする加藤泉の個展『加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL展』が、東京・品川にある原美術館と、群馬・渋川にある別館ハラ ミュージアム アークにて開催されている。加藤泉は、1969年に島根で生まれ、現在は東京と香港を拠点に活動するアーティストだ。武蔵野美術大学を卒業後、1990年代半ばから絵画作品を発表し、2000年以降は木彫も制作。2007年に行われたヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展への参加を機に国際的にも注目を集めている。加藤作品の主なモチーフは、奇妙な姿をした人物像。原始美術を思わせる力強さとミアステリアスさを併せ持ち、ひとり静かに佇んでいたり、集団で同じようなポーズをとっていたり。そんな異形の「人」たちの存在感が不思議な魅力を放つ。近年はソフトビニール、石、ファブリックなど、多様な素材を用いたダイナミックなインスタレーションを展開する一方で、新たに版画制作にも取り組むなど、意欲的な創作活動を行っている。原美術館での展覧会では、加藤の新しい試みの一つである、大型ファブリックを用いたインスタレーションがお目見えするほか、絵画や彫刻などの最新作約70点を展示。また、群馬・渋川にある別館のハラ ミュージアム アークでは、初期の絵画作品から近作まで、未発表作品も含む約145点を紹介する。どちらも会期は2020年1月13日(月・祝)まで。加藤泉の約25年におよぶ表現の全貌を展観することができる、またとない機会になっている。【関連リンク】原美術館ハラ ミュージアム アーク( )【画像】「無題」カンヴァスに油彩 103.5 x 73 cm 2019年 Photo: Kei Okano (c)2019 Izumi Kato (原美術館に展示)「無題」皮、布、パステル、アクリル絵具、刺繍、石、リトグラフ、チェーン サイズ可変 510 x 120 cm (布部分) 2018年 Photo: Yusuke Sato (c)2018 Izumi Kato (ハラ ミュージアム アークに展示)「無題」木、油彩、アクリル絵具、石 185 x 167 x 110 cm 2008年 原美術館蔵 Photo: Ikuhiro Watanabe (c)2008 Izumi Kato (ハラ ミュージアム アークに展示)「無題」木、アクリル絵具、木炭 205 x 56 x 52 cm 2004年 高橋龍太郎コレクション蔵 Photo: Tsuyoshi Saito (c)2004 Izumi Kato (ハラ ミュージアム アークに展示)
2019年08月11日所属する吉本興業上層部に退陣を求め、自らの退社を示唆していた極楽とんぼの加藤浩次(50)。そんな“加藤の乱”の行方が注目されていたが、吉本への残留を表明。騒動が収束した。そんな加藤に賛同の意志を表明していたロンドンブーツ1号2号の田村淳(45)が10日、文化放送「ロンドンブーツ1号2号田村淳のNewsCLUB」に生出演。その発言が注目された。淳は「めまぐるしいボクの中の2カ月ぐらいがようやく騒動が終わりに近づいてきてますけど」とコメント。加藤の騒動が勃発後、同番組から支払われるギャラについて会社との取り分の割合を公表すると宣言していた。しかし、この日の番組内では「秘密保持みたいなのが条文に組み込まれちゃうんですよね。だから口外できないんですよ」と事情を説明。「意味深な帽子をかぶりますからそれで察してほしいんです」と急にトーンダウンしてしまった。「加藤の騒動が収束したのに、ここであおったら吉本の上層部からいたずらに睨まれるだけ。淳さんの判断は賢明だったといえそうです。ほかの加藤派芸人も含め、加藤から余計なことをしないようクギを刺されているのかもしれません」(テレビ局関係者)ほかには加藤と同じ北海道出身の平成ノブシコブシ・吉村崇(39)、タカアンドトシのタカ(43)らが賛同する意志を表明していた。
2019年08月10日2020年1月8日(水)に開幕するミュージカル『フランケンシュタイン』のファン感謝祭イベントが、7月29日に行われた。会場には抽選に当たった150名と報道陣が集まり、出演者、演出家、プロデューサーらのトークや歌唱を楽しんだ。【チケット情報はこちら】登壇したのは、2017年の日本初演に引き続き出演する中川晃教、柿澤勇人、加藤和樹、小西遼生、そして演出の板垣恭一。東宝の篠崎勇己プロデューサー司会のもと、約40分のトークが行われた。2役を演じる魅力について、中川は「俳優としてはふたつの役をどう生きるか、お客様は2つの顔を見られる」と紐解く。同役を演じる柿澤は「1幕では新しい命を創造する天才科学者。ある意味一本筋の通った役です。2幕は180度違う役。カロリー的にはしんどいですが、楽しんでやれた」とコメント。ダブルキャストについて、相手役のひとり、加藤は「アッキー(中川)は共に進んでいく、カッキー(柿澤)は支えてあげなきゃ」と違う印象を持つ。また同役の小西がふたりの違いを「カッキーは目で芝居と目で表現し、アッキーは歌ですごく表現する。(表現の)飛ばし方は違うけれど、同じところに来る」と説明すると、加藤も大きく頷いた。板垣は「韓国版の初演と再演を見て、良いとこどりをした。日本版はシーンを追加したので上演時間が長くなっていたが、韓国メディアから「どこをカットしたんですか?」と聞かれて嬉しかった。短く感じたんだな」と嬉しそう。途中、なんと熊カレーが登場!会場に良い香りが漂う。劇中の「クマ、オイシイ」という台詞が人気で、初演時も急きょロビー販売がおこなわれた熊カレー。「食べやすい」「美味しい」と食べる5人を眺める不思議なトークイベントに……。小西は「俺のは肉がない」とぼやいていたが、全員ペロリと完食した。登壇者ばかり食べていては悪いと、抽選で熊カレーの缶詰をプレゼント。それぞれが2枚ずつクジを引き、10名に熊カレーが当たった。トーク後に新キャストとなる露崎春女が歌唱を披露。音楽とともに登場し、すぐに『その日に私が』を歌い上げた。緊張もしていたようだが、まっすぐな声が心地よい。歌い終えると「ミュージカル出演は初めてで楽しみ」と言う露崎を、他の出演者が温かく向かえた。最後にそれぞれがコメントを述べ、中川が「この作品からミュージカルがもっと広まってくれたら」と締めくくった。ファン達の拍手に見送られ、再演への熱気を強く感じるイベントだった。取材・文:河野桃子※篠崎勇己の「崎」は立つ崎
2019年08月07日70年ものキャリアを誇る俳優・加藤茂雄さん(94)。しかし、その名を聞いても、多くの読者はピンとこないことだろう。それもそのはずで、加藤さんは決してスターではない。いわゆる「大部屋俳優」の1人だ。戦後、日本映画が隆盛を極めた時代。加藤さんは東宝の専属として数多の名作に出演してきた。専属を解かれて以降は、テレビドラマにも活躍の場を広げた。これまでに演じた役は、優に千を超す。とはいえ、そのほとんどはセリフが一言でもあれば御の字という端役。エンドロールに名前が載らないなんてことも、少なくなかった。そんな加藤さんが、93歳にして映画の初主演を果たした。ギネスブックには未申請ながら、世界最高齢の初主演俳優と、各方面から注目を集めている。その映画というのが、8月2日まで東京・新宿ケイズシネマで上演中の『浜の記憶』。妻に先立たれた老漁師と、写真家志望の若い女性が、70歳という年の差を超えて心を通わせていくストーリーだ。加藤さんは1925(大正14)年、とび職の父と、豆店を営む母のもと、鎌倉に生まれた。’46年、作曲家のいずみたくや、映画監督・鈴木清順らを輩出した私立学校「鎌倉アカデミア」が開校。加藤さんは鎌倉アカデミア演劇科の1期生になった。2年生で、舞台に立つ機会が巡ってくる、演劇科の学生たちによる、日劇小劇場での公演『春の目ざめ』に校長役で出演を果たしたのだ。以降、加藤さんは演劇の魅力にとりつかれていった。「天下の日劇で初舞台だよ。しかも、お客さんもぎっちり入ってた。その満杯のお客さんの前でセリフをしゃべり、万雷の拍手をもらって。気持ちよかったねえ。人に感動を与える演劇って、素晴らしいなと思った」’49年、鎌倉アカデミアを卒業。加藤さんは一時、地元で漁師をしていたが、映画の助監督の職に就いていた同期生の勧めで’50年、東宝と準専属契約(’54年から専属契約)を結ぶ。こうして加藤さんの、長く続く俳優人生が幕を開けた。「同じ大部屋俳優でも、背が高くて二枚目なやつは主役を食いかねないから、使いにくい。その点、僕は小柄で、顔もこんなもんだからね。それで、つぶしが利いたんだな。いろんな監督さんから、たくさんお声がかかったよ」『宮本武蔵』(’54年)では稲垣浩監督と、『ゴジラ』(’54年)では本多猪四郎監督と、『独立愚連隊』(’59年)では岡本喜八監督と、きら星のごとき名監督たちのもとで芝居を続けた。なかでも、加藤さんが「この人は別格」と話すのが、あの黒澤明監督だ。「僕は最初、黒澤監督の『生きる』でセリフをもらったんだ。市役所の下っ端職員の役だった」出演者全員で台本を読み合わせる「本読み」。初のセリフがある役に、加藤さんは少々気負っていた。「ほんの短いセリフのチョイ役だというのに、挙手して演技プランをぶち上げてね。黒澤監督や主演の志村喬さんも笑ってたと思うな。あれは、いま思い出しても恥ずかしくて汗が出てくるよ(苦笑)」青くさい大部屋俳優を、巨匠は気に入ったのかもしれない。’52年の『生きる』以降、立て続けに加藤さんを自作の現場に呼んだ。「’54年の『七人の侍』では農民役で、有名な雨の中の死闘の場面に使ってもらった。でも翌年の『生きものの記録』では大失敗しちゃって。俺の俳優人生もここまでか、という思いが頭をよぎったよ」主役の三船敏郎にバイクで速達を届ける郵便配達員という役どころ。ところが、加藤さんは無免許、バイクの運転も初めてだった。むかえた本番直前のテスト。緊張のあまり加藤さんは、停車するべき場所を誤ってアクセルを強くひねってしまう。無人のバイクが、うなりを上げて飛んでいった。青ざめた三船の顔が目に飛び込んできた。「焦ったよ。並みの監督なら、そんなヘマした大部屋俳優なんて二度と使いたがらない。『はい、ご苦労さん』の一言でお払い箱にされても仕方ない。でも黒澤さんは違った。僕に駆け寄ってきて『大丈夫か?どうしたんだ?』と。事情を話すと、納得した様子で『よし、じゃ本番いこう!』って」お払い箱どころか、黒澤監督は以降の作品でも、加藤さんを起用し続ける。’60年代後半。各家庭にテレビが普及し始めると、日本の映画産業は急速に縮小。各映画会社は専属契約で加藤さんのような俳優を抱えておくことができなくなる。「当時はボウリングがどんどん盛んになってきたころで。東宝もボウリング場やテニスコートを運営する子会社を持っていた。そこで、会社は僕ら大部屋俳優に『役者やめてボウリング場で働けば、給料もボーナスも出す』と、子会社への異動を迫ってきたんだ」それは俳優引退を意味していた。映画が好きで、演技力にたけた仲間が1人、また1人と引退していった。ゴジラのスーツアクターで名をはせた中島春雄さんも、ボウリング場に移った1人だ。「いちばん多いときで150人、最後のころも70人はいた東宝の大部屋俳優は、みんな会社の方針に従って辞めちゃった。でも、僕は役者って仕事がますます好きになって、たった一言、セリフ言うだけでも楽しくて。時代の流れだからって、好きな仕事を手放すなんて、できなかったよ。僕ひとりだけプロダクションに移って、俳優を続けていく道を選んだんだ」専属契約が解かれ、加藤さんはテレビドラマにも出演した。46歳の挑戦だった。「結婚が39歳と遅く、まだ子どもが小さかったから、仕事を選んでる余裕もなかった。だから、子ども向け番組だろうが、なんだろうが、最初の1年はちょい役ばかり100本ぐらいテレビに出たよ。でも、当時はテレビのギャラは安くて。100本出ても、年収は100万円に届かなかった」食べていくため、加藤さんは撮影がない日は漁に出た。船に乗り、地引網も引いた。さらに、タイル張りや警備員などのアルバイトも。ときおり大部屋時代の仲間に会うと、皆が同じことを聞いてきた。「加藤、役者で食えるか?」俳優を辞めた彼らは、加藤さんの何倍もの安定した収入があった。それでも皆、芝居への未練があったのだろうと思う。そして、加藤さんは決まって、笑顔を浮かべてこう答えた。「食えるとか、食えないの問題じゃない。それに、やってるうち、どうにかなるよ」実際、テレビのギャラも少しずつ上向き始めた。『太陽にほえろ!』『赤い衝撃』など、誰もが知るドラマにも顔を出すようになった。一方、勝手知ったる映画の仕事も途切れることなく続いた。そして、あの巨匠も大部屋時代と変わらず彼を自作に呼び続けていた。とくに思い出深いのは、黒澤監督が最晩年に撮った2つの作品だ。加藤さんは遠くを見つめながら、こうつぶやいた。「黒澤さん、とてもいい場面を用意して、使ってくれたんだよね」’91年の『八月の狂詩曲』で加藤さんが絡んだのは、ハリウッド・スターのリチャード・ギアだ。「僕が般若心経を上げていると、リチャード・ギアとパッと目が合うんだ。それで、僕は一瞬お経を止めて、2人は互いに挨拶を交わす、そういうカットだった」同じ『八月の狂詩曲』でのこと。出番を待っていた加藤さんに若い助監督がまったく別のシーンで声をかけた。「加藤さん、ここで背を向けてカメラ前に座っててください」。セリフがないどころか、顔も映らない。すると、それを聞きつけた黒澤監督が声を荒らげた。「おい、うちの人をそんなところで使っちゃダメだよ!」加藤さんのことを「エキストラの1人」ぐらいの認識でしかなかった若い助監督は、まさかの叱責に、目を丸くするばかりだ。それまで飄々と俳優人生を振り返っていた加藤さんの目に、光るものが浮かんで見える。「うれしかった。黒澤さんは『うちの人』と、身内のように僕のことを呼んでくれたんだよ。ちょい役ばっかりだった僕を、この人はそんなふうに見てくれていたのかと思うと、本当にうれしかった」遺作となった『まあだだよ』(’93年)にも、黒澤監督は「うちの人」をためらうことなく使った。「主役の松村達雄さんの回想シーン。夜の駅で僕は駅長役だった。スタジオの隅で撮影開始を待っていると、黒澤さんが僕のところまで来て。『私ももう84歳になるが、もう1本ぐらい撮れそうなんだ』と、話しかけてくれた。スタジオのスタッフは皆、びっくりさ。まさか、あの黒澤監督が自ら歩み寄って、大部屋俳優に身の上話をするなんて、と。若いスタッフがすっ飛んできて、立って待っていた僕に椅子をすすめてくれたよ(笑)」しみじみと思う。あの日、安定した生活を求めて俳優を辞めずによかったと。一方で、加藤さんにはこんな矜持もある。「まあ『生きる』のころから生き残ったのは僕だけだから。いちばんの底辺だけど、僕はずーっと生き残ってきたんだ」
2019年08月05日世界3大スポーツ大会のひとつ、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕まで残り約2か月。姫野和樹選手に大会への意気込みやファンへの思いを語っていただきました。サポーターあっての僕ら。感謝の気持ちは常に忘れずにいたい。外国人選手にも負けない堂々とした体格と、代表きってのイケメンぶり。完全無欠に見える姫野和樹選手だが、壁に当たったことも。「入社1か月で所属チームのキャプテンをやれと言われたときは、チームをどうしていくのか、考えすぎて悩みました。悩んだ末に、まず自分を理解する、と決めて自分を徹底的に見つめ直したら、徐々にチームや他の選手のことも見えてくるように。その経験があるから、代表チームでも、ワールドカップを楽しみに思えます」そんな彼を試合中に支えているのが、大切なサポーターの存在。「姫野コールや応援看板を見つけたりすると、絶対に活躍しようって思える。プレーの合間、会場を眺めて元気をもらっています」日本代表の試合では、総合的なスキルが必要なNo.8を担当。「真っ先に体を張っていくプレーを見てほしいですね。’15年大会の南アフリカ戦の勝利を見て、日本でラグビーをやっててよかった、と感じました。だから、次は自分がグラウンドで代表のプライドを示したい。そのためには、自分たちらしいラグビーをいかに遂行できるかにかかっていると思う。結果を出して、ラグビーをもっと知ってもらいたいですね」ひめの・かずき1994年7月27日生まれ。愛知県出身。187cm、108kg。トヨタ自動車ヴェルブリッツではキャプテンを務める。代表キャップ数は9。マイブームは料理。「昨日もハヤシライスを。なかなかうまいんですよ」※『anan』2019年7月31日号より。写真・小笠原真紀取材、文・野村紀沙枝(by anan編集部)
2019年07月29日城田優が演出を手掛けるミュージカル『ファントム』が11月・12月に上演される。その製作発表会見が開かれ、ファントム/エリック役の加藤和樹と城田優、ヒロイン・クリスティーヌ役の愛希れいかと木下晴香、ファントムの恋敵・シャンドン伯爵役の廣瀬友祐と木村達成(それぞれWキャスト)が出席した。ミュージカル「ファントム」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を原作に、アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を手掛け、アメリカで1991年に初演されたミュージカル。今回の上演は、2014年にファントム/エリック役を演じた城田が演出を手掛ける新演出版。城田はファントム役も演じる。加藤、城田、愛希、木下による劇中歌『You are music』の美しいハーモニーからスタートした会見では、モーリー・イェストンから「(今回の新演出版では)今まで観たことのない、城田優ならではのオリジナリティが生きた『ファントム』を期待しています」というメッセージも。城田は今回の演出について「歌を歌いあげるミュージカルではなく、心情を歌い上げるミュージカルをつくりたい。いかに“心”に届けられるかが一番大事だと僕は思っています」と語る。城田とWキャストでファントム/エリックを演じる加藤は「城田優とは僕の初舞台でご一緒しました。僕を知っている彼だからこそ、一緒につくり上げられる役だと思います。城田は『「今までで一番加藤和樹がいい」と言わせる作品にする』と言いました。この言葉は自分にとってもプレッシャーです。演出家・城田優に最後までついていきたい。ご期待ください」と熱く語った。愛希は「この作品、そしてクリスティーヌという役にはずっと憧れがありました」と明かし、木下は「自分の新しい一面を出して、衝撃的なクリスティーヌを皆様にお届けできるよう精一杯つとめていきたいです」と意気込み、廣瀬は「プレイボーイでもあるシャンドンがいかにクリスティーヌに惹かれていくか、そこにある純粋さもみせていきたい」、木村は「こんなに勉強させていただける座組はなかなかない。いろんなことを吸収しながら、作品の一員として素晴らしいものにできるようがんばっていきたい」とそれぞれコメントした。城田が「オペラ座の怪人…つまりオペラ座に住んでいるお化けがどうして誕生したのか、彼がどうしてそうならなければならなかったのかを描いたストーリーに心打たれる」と語る公演は、11月9日(土)から12月1日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアター、12月7日(土)から16日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。取材・文:中川實穗
2019年07月25日日本テレビ系情報番組「スッキリ」の視聴率が急上昇している。きっかけは、MCをつとめる極楽とんぼ・加藤浩次(50)の発言だ。かねてより加藤は複数の芸人の闇営業問題で揺れる所属先の吉本興業を真っ向から批判。そして22日の放送では現体制を批判したうえで、「これからもそれが続くと思ったら、僕はこの会社にいれない。僕は辞めます。この体制が今の社長、会長の体制が続くんだったら、僕は吉本興業を辞める!」と退社の覚悟を口にした。さらに23日の放送では夕方から大崎洋会長(65)と話し合うことを明かし、「僕は会社を辞めると昨日言ったんで、その旨を伝えようと思ってます。そこで僕が芸能界でどうなるのかは、それからかなと思っています」と改めて退社の覚悟を表明した。前週19日の放送は1部(午前8時から同9時半)が6.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、2部(同9時半から同10時25分)が5.3%と低調な数字だった。ところが22日の放送は1部が10.4%、2部が7.5%で大幅にアップ。23日は第1部が12.0%、第2部が7.5%となっている。「“加藤の乱”とも言える新たな騒動ですが、当事者が出演している『スッキリ』の注目度は他局と段違いです。このところ同じ時間帯では『とくダネ!』と2位争いを繰り広げていますが、視聴率アップのためにリニューアルの話も浮上していたそうです。しかし今回の視聴率急増により、現体制での存続は濃厚になったといえるでしょう。とはいえそれも、加藤さんが吉本を辞めてもMCのままでいられればの話ですが…」(日テレ関係者)
2019年07月24日日本時間6月10日(月)、アメリカ演劇界で最も権威のある「第73回トニー賞授賞式」が開催。WOWOWではニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールから生中継し、WOWOWスタジオのナビゲーターの井上芳雄、スペシャル・ゲストの堂本光一も大興奮の結果となった。世界最高レベルの歌と踊りのパフォーマンスが繰り広げられる華やかな授賞式の模様を、今年もニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールから生中継。トニー賞は、該当期間中にアメリカ・ニューヨークのブロードウェイの劇場で公演開始された作品が対象となり、演劇部門とミュージカル部門それぞれで作品賞やリバイバル作品賞、主演男優・女優賞などが授与される。“ダイバーシティキャスティング”の象徴作品がミュージカル助演女優賞今回の司会者は大人気トーク番組の司会であり、『オーシャンズ8』などに出演しているマルチ俳優ジェームズ・コーデン。2016年の第70回に続き2度目の抜擢となった。前回、歴史に残るオープニングパフォーマンスを披露したコーデンには今年も高い注目が集まり、約10分にも及ぶ圧巻のパフォーマンスを披露。オープニングからスタンディングオベーションが起こる大盛り上がりの幕開けとなった。近年は社会情勢や各種ムーブメントを踏まえて、壇上での政治的な発言に注目が集まりがちだが、今年は、努力が実った喜びや演劇人としての誇り、仲間や身近な人への感謝、演劇を人生になぞらえるといったような、等身大で心温まるスピーチが目立った。そんなスピーチでも特に喝采を浴びたのはミュージカル助演女優賞を受賞した「オクラホマ!」のアリ・ストローカー。1943年初演作のリバイバルである同作は、現在のブロードウェイで定着しつつある、人種やハンディキャップにこだわらない“ダイバーシティキャスティング”という手法が採用され、パフォーマンスでも大きな存在感を見せつけた。彼女は、壇上で「ハンディキャップのある子供たち、いつかこの舞台に上がりたいと思っている子供たちにこの賞をささげたいと思います」とスピーチし、大きな喝采を浴びた。同作はミュージカル・リバイバル作品賞と合わせて2部門で受賞した。13部門14ノミネートを果たしていた「ハデスタウン」が最多8部門受賞ミュージカル部門では、気鋭の女性演出家レイチェル・チャフキン演出の「ハデスタウン」が13部門14ノミネートという圧倒的な強さを見せつつも、「トッツィー」「ビートルジュース」と80年代の大ヒット映画のミュージカル化も多部門にノミネートされ、混戦が予想されていた。そんな中、「ハデスタウン」がトニー賞の象徴ともいえるミュージカル作品賞やオリジナル楽曲賞など最多8部門を受賞したほか、女性演出家による作品に多く賞が渡るなど、“ダイバーシティ”を感じさせる結果に。今年のアカデミー賞や「メットガラ」でその衣装が大きな話題となったビリー・ポーターの衣装にも注目が集まった。ギリシャ神話の世界を個性ある楽曲で綴り、政治的なメッセージ性も込められた同作の女性演出家レイチェル・チャフキンは、ミュージカル作品賞受賞を受けて「ハデスタウンという言葉には、どんなに暗い中でも光は注がれるということを意味しています。愛、魂に心を揺さぶられ、上演の場所が変わっていくにつれどんどんスタッフが増えていきました。この舞台、劇場の力を私たちは信じたいと思います」と喜びを語った。堂本光一「エンターテイメントって素晴らしい」日本のスタジオでは午前8時に、ナビゲーターの井上さんによるオープニングパフォーマンスで放送がスタート!井上さんは本年度ノミネート作品から、「キス・ミー・ケイト」より「Another Op’nin’ , Another Show」、「オクラホマ!」より「Oklahoma!」、「ハデスタウン」より「Way Down Hadestown」の特別メドレーを披露した。さらに、N.Y.に渡り本年度のノミネート作品の数々を鑑賞してきた井上さんとスペシャル・ゲストの堂本さんは、演出や舞台裏にまで興味津々で幅広いトークを展開。2人は「ハデスタウン」の主演女優エヴァ・ノブルザダとN.Y.で直接対面していることもあり、彼女に大注目。堂本さんは、「『ハデスタウン』は本当に魅力的で、とにかく観て!」と熱弁をふるい、最後には「ああ終わっちゃったって感じがしてさみしいですね。エンターテイメントって素晴らしいなと改めて思いました」と改めてコメント。井上さんは、オープニングパフォーマンスに圧倒されたようで、「今年のオープニングは秀逸でしたね!」など終始興奮気味にナビゲート。「ああエンターテイメントをやっててよかったと思いました。どの作品にも必ず希望がある。そこが素晴らしかったです」と熱く語った。また、今年は新作ミュージカル「怪人と探偵」より、メインキャストの中川晃教、加藤和樹、大原櫻子による楽曲「微笑みの影」を本邦初披露!さらに、ミュージカル俳優の海宝直人は、ミュージカル「ノートルダムの鐘」より「陽ざしの中へ」を生熱唱。「今年はノートルダム大聖堂の(火災の)こともあったし、“願い”ということを意識しました」と自ら行った選曲のポイントを紹介した。「第73回トニー賞授賞式」(字幕版)は6月15日(土)19時よりWOWOWライブにて放送。WOWOWメンバーズオンデマンドにて見逃し配信。(text:cinemacafe.net)
2019年06月10日中川晃教、加藤和樹、大原櫻子、そして海宝直人が、WOWOWで生中継される「第73回トニー賞授賞式」でスタジオ生パフォーマンスを披露することが分かった。今年もWOWOWでは、アメリカ・ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで開催される演劇・ミュージカルにおける世界最高峰のトニー賞授賞式の模様を生中継。1年のブロードウェイを総括するアワードだが、授賞式の見どころは、賞レースの行方だけではない。舞台上で展開される、豪華スターの競演による圧巻のパフォーマンスも大きな注目シーン。そこでWOWOWが放送する日本のスタジオからも、注目俳優たちによる生歌唱パフォーマンスが決定!今秋よりスタートする新作ミュージカル、大怪盗・怪人二十面相と名探偵・明智小五郎が華麗に対決する「怪人と探偵」から、メインキャストの中川晃教、加藤和樹、大原櫻子が「微笑みの影」(杉本雄治作曲、森雪之丞作詞、島健編曲)を初披露する。また、「レ・ミゼラブル」でマリウスを演じるほか、「アラジン」「ライオンキング」など数々のミュージカルで主演を務めるミュージカル俳優・海宝直人も、主演ミュージカル「ノートルダムの鐘」より、「陽ざしの中へ」を披露する。「生中継!第73回トニー賞授賞式」は6月10日(月)8時~WOWOWプライム(二/同時通訳)にて放送。ミュージカル「怪人と探偵」は9月14日(土)~KAAT神奈川芸術劇場<ホール>、10月3日(木)~兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。「海宝直人 CONCERT 2019 『I hope.』 in TOKYO」は8月10日(土)、11日(日)Bunkamuraオーチャードホールにて上演。(cinemacafe.net)
2019年05月31日ビートルズの創成期を描いた舞台「BACKBEAT」が5月25日に開幕。それに先がけフォトコール(プレス向け撮影会)と囲み取材が行われ、取材には戸塚祥太(A.B.C-Z)、加藤和樹、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、JUON(FUZZY CONTROL)、上口耕平、夏子、鈴木壮麻、尾藤イサオ、翻訳・演出の石丸さち子が出席した。【チケット情報はこちら】本作は、1994年に公開された伝記映画『バック・ビート』をイアン・ソフトリー監督自身が舞台化した作品の日本初演。ビートルズ結成時のベーシストで、デビュー目前に21歳で夭折したスチュアート・サトクリフ(戸塚)を中心に、親友ジョン・レノン(加藤)、ポール・マッカートニー(JUON)、ジョージ・ハリスン(辰巳)、ピート・ベスト(上口)、そしてスチュアートの恋人となる写真家アストリッド・キルヒヘル(夏子)ら若者たちの揺れ動く心を繊細に描く。今回の見どころのひとつは約20曲にものぼる舞台上での生演奏。しかし演奏ははじめ、戸塚が「絶望からスタートしたといっても過言ではない」と明かすほどのレベルから始まったそう。しかしこの日、前半の2シーンが披露されたフォトコールでの演奏は抜群の仕上がり。音楽が楽しい!5人で演奏するのが嬉しい!という思いが真っ直ぐに伝わる姿そして音を届けた。そこに至るまでをJUONは「だけど初めて5人で音を出したとき、すぐグルーヴしたよね」、上口も「初めての会話が“音”だったのでそれがすごくよかった」と、このメンバーだからこそ生まれた音があったと振り返る。さらに辰巳も「稽古の間ずっと(5人が)近くにいた。ビートルズさんの当時の映像を観ても常に距離が近いけど、僕たちも近い距離感でワイワイ作品をつくっていった」と本作で描かれるビートルズの姿に自分たちを重ね、笑顔を交わした。そうやって生まれた5人の演奏を加藤は「ライブなので何が起きるかわからない。でもそのライブ感はこの作品でしか味わえないものなので、そこをぜひ体感してほしい」と語る。そんな5人を翻訳・演出の石丸は「ビートルズは目指すには大きすぎるのですが、私たちは観客にビートルズを伝える架け橋。その架け橋は立派にできあがっています」と絶賛。1966年にビートルズの初来日公演で前座を務めた尾藤も「皆さんの成長がすごくて驚きました。ビートルズに負けない!」と太鼓判を押した。石丸が「長いこと演劇をやっていますが、こんな作品は観たこともないし、つくったこともない。細かなみんなの努力やコミュニケーションがあって、こんな素敵な作品が生まれた。このメンバーを誇りに思います」と語る本作は、6月9日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演後、兵庫、愛知、神奈川を巡演。取材・文:中川實穗
2019年05月28日舞台『BACK BEAT』のフォトコールが東京芸術劇場 プレイハウスで25日に行われ、戸塚祥太(A.B.C-Z)、加藤和樹、辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、JUON(FUZZY CONTROL)、上口耕平、夏子、鈴木壮麻、尾藤イサオ、石丸さち子(翻訳・演出)が取材に応じた。同作は20世紀を代表する伝説のロックバンド・ビートルズが、もともと5人編成のバンドだったという、同バンド創成期のハンブルク時代を描いた、1994年公開の伝記映画『BACKBEAT』をイアン・ソフトリー監督自身が舞台化した作品。戸塚はビートルズ結成時のベーシストで、画家としても才能を発揮しながらメジャーデビュー目前の1962年に21歳で夭折したスチュアート・サトクリフを演じ、加藤はジョン・レノン、JUONはポール・マッカートニー、辰巳はジョージ・ハリスン、上口はピート・ベストを演じる。初日を前に戸塚は「準備万端です。バッチリです」と自信を見せ、「僕たち、スタッフさんから『ビートルズのみなさん』って呼ばれるんですよ。すごい気分が良くてなりきらせていただいています」と語る。辰巳も「令和のビートルズです」と新たなキャッチコピーを作っていた。「最初は絶望からスタートしていたといっても過言ではない」(戸塚)、「学生バンドかなみたいな」(加藤)というバンド演奏だが、今は戸塚も「不思議な感覚があったかもしれないですけど、今はこのスタイルに完全にフィットしている」という。上口が「初めての会話が音だった」と振り返ると、戸塚も「詩人だわ」と感心していた。「全国を回ってみなさんにみていただきたい」とライブツアーも希望した辰巳だが、「ほぼ弾けない状態から始まって。本当に最初に石丸さんの前で披露した時に『お前、まじか』という。目の奥が『本当に、ジョージ・ハリスンをやるのか』って」と苦笑。全員不安を抱えていたものの、できなさで言えば「トップ」と石丸に言われた辰巳は、「トップです!!」と訴える。しかし努力を重ねバンドとして成長したメンバーに、石丸は「すっごい努力でした。バンド同士でグルーヴを産んでからが、早かったですね。観客にビートルズを伝える架け橋なので、架け橋は立派に務めている」と太鼓判を押した。加藤は「毎回がライブで、20曲くらい生演奏なので、何が起こるかわからない。弦が切れたり演奏を間違ったり、ご愛嬌で許してもらって、このステージでしか味わえないので、体感してもらいたい」とメッセージ。戸塚も「とにかくロックに始まり、一時も速度を落とさずに最後の最後まで駆け抜けていきたいと思います」と意気込んだ。
2019年05月25日