視界がぼやける、かすむ……よくあると放置しがちな目のトラブル。ある日突然、目覚めたら目が見えないなんてことになる前にーー。都心では、100年ぶりに11月の最高気温を更新し、各地で異例の暑さが続いていたが、師走の足音が近づいたら、急激な冷え込みが訪れた。「今年のように寒暖差が激しい冬は、例年以上に注意すべき目の病いがあります。処置が遅れると“失明”につながることもあるので、十分な注意が必要です」そう警鐘を鳴らすのは、医学博士で眼科医の平松類さん。寒暖差が激しい冬に注意すべき目の病いと予防法について聞いた。「脳梗塞や心筋梗塞が冬に起きやすいことからもわかるように、寒暖差が大きいと、血圧の急激な変動や血管の収縮などにより、血管の詰まりが生じやすくなります。目の病いには“目の心筋梗塞”と呼ばれる“網膜動脈閉塞症”があり、目の網膜動脈に“動脈硬化”が起きることで、網膜に血液を送っている動脈が詰まったり血栓ができたりして、目に酸素が行き渡らなくなります」そうなると、突然、片方の目が見えなくなるという。「発症から6〜8時間以内に血栓を溶かす点滴を行わないと失明することもあります。しかし、この病いは夜の就寝前に発症しやすいため、《疲れ目だから眠ったら治るだろう》などと自己判断して、床についてしまう人も少なくありません。朝になったら失明……ということになりかねません」国内での網膜動脈閉塞症の発症率は、10万人あたり5.7人と少ないが、その分、認知されておらず、手遅れになりがちだという。どんな人がなりやすいのか。「いわゆる“メタボ気味”の人や、痩せていても、高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病がある人です」ではどういったことに気をつければいいのだろうか。■「目の動脈硬化」は寒暖差をやわらげ、暴飲暴食を減らすことで病を防ぐ「とくに冬場の入浴時に注意が必要です。脱衣所や浴室が冷えているのに、急に熱い湯船につかることで血管閉塞が起きやすくなります。脱衣所にも温風機を置くなどして入浴前に暖めておくこと。また、浴室は、湯船に湯をためるときにシャワーを使うと、浴室に湯気が満たされて暖まります」暴飲暴食が引き金になることも。「年末年始は飲酒量が増えたり、外食が多くなったりして塩分過多になりがち。血管が詰まる要因になります。適度な運動を心がけ、血圧の管理をする。飲みすぎ、辛いものの食べすぎを控える、などを心がけましょう」突然、片方の目が見えなくなった場合は、《疲れ目だろう》と放置せず、夜間でも救急対応してくれる眼科を受診しよう。また、網膜動脈閉塞症と同様のメカニズムで起きる疾患に“網膜静脈閉塞症”がある。「網膜静脈閉塞症は、酸素を運ぶ“動脈”ではなく“静脈”が塞がれます。動脈閉塞症のように突然目が見えなくなることはありませんが、飛蚊症のように視界に黒い点がたくさん現れたり、視界がぼやけて視力低下が起きたりします」このような症状が出た場合もすみやかに眼科を受診し、網膜動脈閉塞症と同じ寒暖差対策、暴飲暴食対策をとろう。■緑内障は目のまわりを温めて血行促進失明原因の第1位となっている“緑内障”は、そもそもは強い近視がある人、40歳以上で遺伝的な要因がある人、高脂血症、高血圧、糖尿病がある人がなりやすい。そのうえで、寒暖差の大きさも一因となる。「緑内障は、眼圧が上がって視神経がダメージを受けることで失明に至る病いです。はっきりした原因は解明されていませんが、冬場は眼圧が上がりやすく、とくに寒暖差が大きいと眼圧の変化も大きくなりがちに。眼圧の急激な上昇を防ぐには、日ごろから体を冷やさないようにする工夫も必要です」日常的に、冷えないように体を温め、ウオーキングなどの適度な運動を心がける、ホットタオルやホットアイマスクで目の周りを温めるなど、血流を促進するようにしよう。■湿度40〜60%キープが“ドライアイ”“アレルギー性結膜炎”予防のカギ“ドライアイ”も、寒暖差の激しい季節の変わり目や、空気の乾燥などで悪化しやすい。涙の分泌量が減り、角膜などを傷つけることも。「とくにエアコンの温風で部屋を暖めている場合、空気が乾燥しやすくなります。乾燥しにくい石油ストーブやオイルヒーターなどを使うか、加湿器を使用して乾燥を防ぎましょう。湿度は常に40〜60%くらいを保つのがベスト」ポイントとなるのは、“湿度計”の設置場所だ。「床に置くタイプの暖房器具には、湿度計が付属しているものもありますが、水分は下にたまりやすいため、床に近い場所で湿度が高くても、目の位置では低いということになりがちです。湿度計は、必ず目の高さに設置しましょう」また、パソコンやスマホを長時間見ていると、瞬きが減ってドライアイになりやすい。空気が乾燥する冬ならなおさらだ。1時間に1回は、目を休める工夫をしよう。ドライアイに付随して起こりやすいのが“アレルギー性結膜炎”。「アレルギー性結膜炎は、寒暖差によって生じる疾患ではありませんが、ドライアイによってアレルギーが生じやすくなります。通常は目にダストや花粉が入っても涙が流してくれますが、ドライアイの方は涙が出にくいので、異物が流れていかないためです」ひどくなると、目のかゆみや充血、目がゴロゴロするといった異物感のほかに、目やにや涙が増加。かゆくてこすってしまい、角膜を傷つけ視力が低下することも。■40歳を超えたら、年に一度は眼底検査を急な寒暖差にも負けない健康な目を保つためには、日ごろから定期検査を受けておく必要がある。「40歳以上の方は、年に一度、眼底カメラによる検診を受けるようにしましょう。眼底カメラは、網膜や視神経、血管の状態なども診ることができるので、網膜動脈閉塞症や緑内障などのいわゆる“目の生活習慣病”も重篤になる前に処置できます」目の生活習慣病を予防して、寒暖差にも負けない健康な目を維持しよう!
2023年11月29日バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:傳 幸諭、以下 バイオジェン・ジャパン)は、多発性硬化症(以下 MS)の当事者の方、ご家族・ご友人、MSに関わる医療関係者の皆様を対象にMSとの多様な向き合い方を俳句で詠む「想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」を実施いたしました。昨年に引き続き、二回目の開催となった本コンテストは、MSの当事者の方をはじめ多くの方にご応募いただき、応募数は175句となりました。それらの中から、第一回選者である夏井いつき先生とのYouTubeも話題の、俳人 家藤正人先生より審査いただき、この度、特選4作品・秀逸6作品・佳作21作品を、当社が運営するWEBサイト「多発性硬化症サポートナビ」にて公開いたしました。指定難病の1つに認定されているMSですが、症状や程度は人によって異なることからご自身の病気や人生と向き合う姿勢や考え方、悩みもまた人それぞれです。そんな多様な向き合い方を「俳句」で表現することで、ご自身が抱く想いに改めて気づくきっかけとなり、またほかの方が詠む句の背景にある想いに触れることが、新たな気づきや共感、連携につながると考え、MSに関わる方を対象に本コンテストを実施いたしました。2023年6月24日(土)には受賞作品を発表するオンラインイベントを開催いたしました。当日は、家藤先生による講評、さらに、MSの専門医である東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学教授の中島一郎先生や、テレビ番組の俳句コーナーでも活躍中の東国原英夫さんに出演いただき、作品が生まれた背景となるMSにまつわるエピソードに触れながら、疾患に関する理解を深めるトークセッションを行いました。イベント当日の録画映像は、当社が運営する疾患啓発ウェブサイトである「多発性硬化症サポートナビ」およびYouTubeチャンネルでご視聴いただけます。・多発性硬化症サポートナビ( )・バイオジェン・ジャパン 公式YouTubeチャンネル( )家藤正人先生からは、175句全体を通して以下の選評を頂きました。「皆様の投句をひとつひとつ、句の背景にあるエピソードも含めて読ませていただき非常に新鮮な驚きを覚えました。多発性硬化症を罹患する方の現況と、そして難病と付き合いながら生きていく精神のしなやかな逞しさに対してです。そしてまた、闘病を傍で支える人々のあたたかな真摯さにも。俳句はたった十七音しかない小さな詩の器です。難病と生きる悲喜こもごもの全てを事細かに述べることはできません。しかし小さな器だからこそ、エッセンスのように抽出された各人の在り様が見えてきます。時にその心の核のようなものは、雄弁に語るよりも受け手の胸へと飛び込むでしょう。多発性硬化症が多くの人に理解されるため、俳句が少しでもお役に立てるなら喜ばしく思います。」バイオジェン・ジャパンは、本コンテストを通じてMS当事者とその周囲の方々が、よりお互いの理解を深め、MSを中心とした大きな輪が生まれていくことを願っています。2023年6月24日(土)開催 受賞作品発表イベント12023年6月24日(土)開催 受賞作品発表イベント2※各句の受賞者のコメント及び家藤先生の選評は添付のプレスリリースをご覧ください。【特選】■ご本人による作品作品 :車いす降りて鳥雲仰ぐ馬上詠み手:俳号 藤村 一寿作品 :ふらふらのパルス三日目ゼリー揺る詠み手:俳号 千瑛■ご家族・ご友人・医療関係者による作品作品:爪磨くずっと跣の清清し詠み手:俳号 ニャー次郎(家族・友人)作品 :へたりこむ玄関あゝ満月が遠い詠み手:俳号 ぐ(家族・友人)【秀逸】■ご本人による作品作品 :春の昼さぼってるとはどの口が詠み手:永山 浩子作品 :我が左眼ビスクドールや桜桃忌詠み手:小田桐美穗作品 :フォークしか持てぬ日もあり冷素麺詠み手:俳号 はなゑ■ご家族・ご友人・医療関係者による作品作品 :白靴で歩ける今日を今を生く詠み手:俳号 くぅ(家族・友人)作品:流れ星母の望みを1億個詠み手:俳号 めぐみ(家族・友人)作品 :金継ぎのカップを春日つつみをり詠み手:俳号 嶺乃森夜亜舎(家族・友人)■佳作 ※作品/詠み手鰯雲風に押される車椅子/俳号 りばーじゅ(当事者)見えぬけど春の匂は見えてきた/俳号 みっちょん(当事者)右腿の注射の跡や冬終る/俳号 林理(当事者)夏近し打ち易くなる自己注射/山口 ゆかり(当事者)春分の切ない夜にふるいたつ/俳号 な。(当事者)冷えピタでウートフ防ぐ夏浅し/俳号 恵萩(当事者)ひたひたと滴数える秋の月/俳号 coo(当事者)朝曇病院食を静か待つ/野口和代(当事者)白靴の紐はゆるりとしびれ足/俳号 コミマル(当事者)五月雨や車椅子には家の中/松野加奈子(当事者)帰宅の途妻背負いたり初詣/俳号 中野花菜(当事者)愛だとか希望を抱え夏が来る/柘植雅一(その他)カレンダーの歪む赤丸夏近し/俳号 丹波らる(医療関係者)喪失は絶望じゃない春の月/貴田雄介(家族・友人)麻痺側の位置整えて桔梗挿す/俳号 近江菫花(その他)握り合ふ手の暖かき君眠る/貝田ひでを(家族・友人)車椅子家族と共に紫陽花を/俳号 ひろみ(その他)推しはかる難病同士冬の風/俳号 ゆかりん駄(その他)五月雨や爪先ずつと揺れゐたり/俳号 磐田小(医療関係者)良薬を待つ生涯や春の月/岡田小夜子(家族・友人)行く春や「あきらめないで」子らへ手話/俳号 井上右彩(その他)特選・秀逸を受賞された方には、夏井いつき先生・家藤正人先生のサイン入り著書を、佳作含む受賞者の皆様には、各作品を認めた色紙を記念品としてお送りいたします。【審査員】家藤正人先生1986年生まれ。愛媛県出身。大学卒業後、本格的に俳句に携わる。夏井いつきの句会ライブにてアシスタント経験をつむ。愛媛新聞カルチャー教室、学生を中心として県内外で単独句会ライブも行っている。2016年からは南海放送ラジオ「夏井いつきの一句一遊」にてアシスタントを務め、2019年より南海放送ラジオ「家藤正人『一句一遊』虎の巻」ではパーソナリティを務める。そのほか、松山市公式俳句投稿サイト「俳句ポスト365」初心者欄選者。香川県宇多津町「令和相聞歌」企画参加および選者ほかさまざまな企画に携わる。句集『磁針』(夏井&カンパニー)[審査員]家藤正人先生【多発性硬化症について】MSは慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能及び身体機能に影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷およびその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。MSの有病率は人種間および地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています※1)。日本でのMS患者数は増加傾向にあり※2)、罹患率は10万人当たり10.8~14.4人と報告されています※3)。MSは、手足のしびれ、感覚機能や判断力の低下など患者さんによって症状が多様で診断が難しく、疾患としてもまだまだ理解が進んでいないのが現状です。2017年にバイオジェン・ジャパンが「全国多発性硬化症友の会」と共同で実施した調査※4)によると、最初にMSと思われる症状が現れてから、確定診断されるまでに平均3.7年、3つの医療機関を受診しているということが示されました。また、一見しただけでは病気であるとわかりづらいため、周囲の理解が得られず、就労や日常生活で困難が強いられることもあります。バイオジェン・ジャパンは、MSとともに生きる方々を中心とした疾患啓発活動を通じて、一人でも多くの方にMSという疾患について、また当事者の方々が抱えている課題を知っていただくことで配慮や支援につながり、MSになってもその人らしい生き方ができる社会づくりの一助となることを願っています。【バイオジェンについて】1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。「神経科学の不可能を、可能に。」をビジョンに掲げ、日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、 、およびSNS媒体Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、LinkedIn、LINEをご覧ください。※1) 堀内泉, 吉良潤一.多発性硬化症.田村晃, 松谷雅生, 清水輝夫編.EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針.メジカルビュー社; 2002:276-79※2) 公益財団法人難病医学研究財団:難病情報センター 特定疾患医療受給者証所持者数 ※3) Kinoshita M, Obata K, Tanaka M. Latitude has more significant impact on prevalence of multiple sclerosis than ultraviolet level or sunshine duration in Japanese population. Neurol Sci. 2015;36(7):1147-51.※4) バイオジェン・ジャパン株式会社 多発性硬化症の患者さんの実態調査(2017年5月30日発表) Biogen-216928 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年07月28日動脈硬化・肥満・高血圧の予防にも無理することなく、健康的にやせられるレシピ集『しっかり食べる!ゆっくりやせレシピ』が成美堂出版から発売された。A5判、160ページ、定価は1,540円(税込)となっている。女子栄養大学名誉教授の田中明氏が監修を担当。編集はフードコーディネイトや撮影、コンテンツ制作、動画制作などを行う「食のスタジオ」が担当しており、動脈硬化、肥満、高血圧の予防にも役立つ健康レシピが多数収録されている。量を減らすダイエットの落とし穴ダイエットといえば、食べる量や糖質量を減らす方法が主流だが、ただ量を減らすダイエットは太りやすくなる。たんぱく質、脂質、糖質は3大栄養素と呼ばれ、そのバランスが崩れることで基礎代謝量は低下し、かえって太りやすくなる可能性があるのだ。過度な糖質制限はエネルギー不足を招き、体はかわりに筋肉などからたんぱく質を分解してエネルギーを得ようとするが、その結果、筋肉量が減少、太りやすくやせにくい体になってしまう。さらに、エネルギー量ばかりを気にしていると、たんぱく質が不足しがちになってしまう。新刊では無理な食事制限をせずに健康的にやせられるレシピを掲載。朝食、昼食、夕食のおすすめのほか、レシピを食材別に紹介し、「ゆっくりやせる!ダイエットの新常識」、コラム「中年期の女性が太りやすいのはなぜ?」などの知っておきたい知識も掲載されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※しっかり食べる!ゆっくりやせレシピ ‐ 成美堂出版
2023年07月23日コレステロールと聞くと、メタボ、肥満、動脈硬化といったネガティブなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。アンチエイジング専門医の黒田愛美先生によれば、コレステロールは美と健康に欠かせない成分であり、少ないことで問題も起きると言います。具体的にどういうことなのか聞いてみました。教えてくれたのは…監修/黒田愛美先生(Zetith Beauty Clinic副院長)美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。★関連記事:1年後の健診で驚きの結果が!悪玉コレステロール値の改善のため、飲み続けてよかったもの【体験談】コレステロールは多くても少なくても問題コレステロール値が高いといろいろな病気の原因になるらしい……ことは多くの人が知っていると思いますが、低いことも問題だそうです。「コレステロールは女性ホルモンのエストロゲンを含むホルモン、細胞膜、コエンザイムQ10、ビタミンDなど、女性の美容に必要な成分を作る原料です。コレステロールは多いことばかりが問題視されますが、総コレステロールが不足すると虚血性心疾患、脳内出血、精神障害の誘因となることもわかっています。コレステロールは美容と健康に必要な成分であることを知った上で、必要以上に増えた分を減らす意識を持つことが大切です」(黒田先生)。コレステロールは「使えていない」ことが問題コレステロール値が増えると、食生活の乱れや運動不足ばかりが指摘されますが、「体の変化」の影響が大きいと言います。「コレステロールは、体に必要な成分を合成するときに使い切れば増えることはありません。コレステロール値が高いということは、原料として使われていなくて余っているということです。余った分は悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールとなり、過剰に血液中にあることでさまざまな病気の原因になってしまいます。コレステロールを使えていない原因にはさまざまなものがありますが、更年期女性の場合は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が少なくなることも一因です。健康診断や検査でコレステロール値が上がっていたら、体がコレステロールを使えていない可能性があることに気付いてほしいですね」(黒田先生)。「筋トレ+有酸素運動」で中性脂肪を消費それでは、コレステロールを余らせないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。「コレステロールを消費するには、中性脂肪を減らすことが大切です。そのためには、大きな筋肉を鍛えて、代謝を上げる必要があります。大きな筋肉とは、大腿四頭筋や大殿筋といった太ももやおしり周りの筋肉です。いろいろな運動で鍛えられますが、わかりやすいのはスクワットでしょう。さらに、それに有酸素運動をプラスすることで脂肪燃焼効果を高めることができます。スクワットを10回×3セット以上をした後、有酸素運動を30分以上おこなえるとベストです。普段運動をしていない人はできる範囲で始めて、少しずつペースを上げると良いでしょう」(黒田先生)。まとめエストロゲン分泌が減る更年期こそ、筋トレが必要であるということです。黒田先生によれば、運動は毎日おこなわなくても良く、週に2~3回でも効果があるということ。スクワット+ウォーキングは一例です。自分が楽しめる運動を組み合わせてはいかがでしょうか。取材・文/mido(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。イラスト/村澤綾香著者/監修/黒田 愛美 先生美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic副院長(東京都中央区銀座4丁⽬2-17銀座111レジャービル13階)。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
2023年06月22日暴飲暴食をしているわけでもないのに、40代後半になると体重が増えた、コレステロールの値が増えたといった悩みが聞かれます。今回は、その中のLDLコレステロールに注目。LDLコレステロールと更年期との関係と、LDLコレステロール値をできるだけ上げないためにできることを産婦人科医の駒形依子先生に聞きました。★関連記事:コレステロールが高くなってきたら! 脂肪分を抑えるだけでは不十分。食事に取り入れるべき3つの栄養素更年期とコレステロール上昇は関係がある?コレステロールは女性ホルモンの材料コレステロールと聞くと、「肥満」「メタボリックシンドローム」と関連しているような、あまり良くないイメージがありますが……。「コレステロールは、人間の体に存在する脂質の一つです。 有害物質のように見られていますが、コレステロール自体は細胞膜・各種のホルモン・胆汁酸を作る材料となり、体に必要な物質です。女性ホルモンであるエストロゲンを産生するときにもコレステロールは必要です」(駒形先生)。女性ホルモンが減るとコレステロールが余る更年期になると女性ホルモンの分泌が減ることは知られています。女性ホルモンの分泌が減るならコレステロールも減るような気がするのですが?「女性ホルモンが減るということは、あまり作られないということです。作られないのに材料のコレステロールが過剰にあれば余ってしまいます。余った分は悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールとなり、過剰に血液中にあることでさまざまな病気の原因になってしまいます」(駒形先生)LDLコレステロールが増えるとなぜダメ?コレステロール自体は体に必要な成分ですが、過剰になると害になるということです。どんな病気の原因になるのでしょうか。「余ったLDLコレステロールが血管の壁にくっついて血流が悪くなり、動脈硬化を引き起こしてしまいます。いわゆる血液ドロドロ状態です。動脈硬化が進行すればさらに血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患のリスクが上がります。動脈硬化を引き起こすということは、心臓や脳血管の病気になるリスクも格段に上がってしまうということです。LDLコレステロール値は、値そのものに異常があったとしても自覚症状が現れることがほとんどありません。ですから、定期的に健康診断や検査をおこなったり、生活習慣に気を付けたりすることが大切なのです」(駒形先生)。更年期世代が気を付けたい生活習慣とは?具体的には、どのように生活習慣を変えていくと良いのでしょうか。脂肪分を減らすために間食を見直して!やはり重要なのが食習慣です。脂肪を控えた食事にすることが大切ですが、脂肪を減らすというと揚げ物や油っぽい食べ物を控えると考える人が多いのではないでしょうか。でも、そもそも揚げ物を毎日食べる40代、50代は少ないですよね。それよりも気を付けて欲しいのが……油っぽく見えなくても実は意外に脂肪が含まれている食品です。それは乳脂肪分を含む食品です。まず、牛乳です。牛乳には動物性脂肪が豊富に含まれています。そして、バターやマーガリンを使った加工食品です。クッキーやケーキ、パンなど、何げなく口にしている人は多いのではないでしょうか。手作りをする人ならおわかりと思いますが、前述のお菓子類には大量のバターやマーガリン、砂糖が含まれています。そのため、LDLコレステロールが気になる人は洋食よりも和食を、と言われるのです。同じおやつでも、カフェオレとケーキよりも、緑茶と和菓子のほうが良いと言われるのは、脂肪分が少ないからです。LDLコレステロールの値が気になるなら、間食を見直すことも大切です」(駒形先生)。まとめ一見、ギトギトしていないクッキーやビスケット、パンといった洋菓子は何げなく食べてしまう人も多いでしょう。そして、健康に良いと思って飲んでいる牛乳も、飲み過ぎると脂肪のとり過ぎになるリスクが。私も毎日カフェオレを何杯も飲むのですが、牛乳を低脂肪乳に変えてみました!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/mido(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/駒形 依子 先生2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
2023年06月12日若いころは気にならなかったコレステロールも、健康診断を受けるたび上がってくると心配になってしまうもの。動脈硬化の原因ともなるコレステロール値が上がってきたら、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。栄養外来で食事指導をするアンチエイジング専門医・黒田愛美先生に聞きました。教えてくれたのは…監修/黒田愛美先生(Zetith Beauty Clinic副院長)美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。★関連記事:1年後の健診で驚きの結果が!悪玉コレステロール値の改善のため、飲み続けてよかったもの【体験談】脂肪分の多い食品を控えるだけでは不十分!コレステロールを下げるというと、揚げ物など脂っこい食品を控えるという対策がまずは思い浮かびます。しかし、黒田先生はそれだけでは不十分だと言います。「コレステロールの多くは肝臓で合成されるもので、暴飲暴食をしていない限り、食品から分解して合成される量はそれほど多くありません。コレステロールは細胞膜やホルモンなどを合成するための原料であり、体には欠かせない成分です。本来なら原料として使われた後、胆汁酸となって排出されれば体内にたまることはありません。しかし、40代以降になると女性ホルモンの分泌が少なくなることも関係して、コレステロールが使われずに悪玉コレステロールとなります。それが問題なのです」(黒田先生)。腸内環境を整えることが大事栄養外来に訪れる人の中には悪玉コレステロール値が高い患者も。そのような人に対してはどのようなアドバイスをしているのでしょうか。「悪玉コレステロール値が高い患者さんに対しては、一般検査に加えて、腸内環境の検査(遅延型アレルギー検査)をおすすめしています。悪玉コレステロール値が高いということは、本来排出されるべき胆汁の在庫を腸に抱え込んでいるということとイコールです。ですから、まずは腸内環境を整えて、腸の胆汁を一掃するようにアドバイスしています。コレステロール値が高いという悩みに限らず、体調不良の多くは腸内環境が関係しています。まずは検査で、自分の腸内環境の状態を知ってほしいと思います」(黒田先生)。3つの栄養素を意識しようそれでは、腸内環境を改善するためにはどのような栄養をとると良いのでしょうか。食物繊維EPAMCT「きのこや海藻などに含まれる食物繊維は、汚れた腸内をお掃除してきれいにしてくれます。青魚などに含まれるEPAは悪玉コレステロールを低下させ、MCTオイルに含まれるMCTには、たまった胆汁の排出を促す働きがあります。この3つの栄養素を意識してとり、腸内環境を整えることが大切です」(黒田先生)。これにプラス、一般的にいわれる甘い物や脂っこい物、お酒などはできるだけ控えるよう心掛けると良いということです。まとめコレステロール値が増えている人は、食物繊維とEPA、MCTの3つの栄養素を意識にとってみてはいかがでしょうか。普段の食事からとるのは難しいという方は、信頼できるメーカーのサプリメントを利用しても良いということです。取材・文/mido(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。イラスト/きびのあやとら著者/監修/黒田 愛美 先生美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic副院長(東京都中央区銀座4丁⽬2-17銀座111レジャービル13階)。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
2023年06月06日バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:傳 幸諭、以下 バイオジェン・ジャパン)は、この度、多発性硬化症(MS)の当事者の方、ご家族・ご友人、MSに関わる医療関係者の皆様を対象とした、「想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」において特選・秀逸作品を決定し、6月24日(土)に開催するオンラインイベントで発表いたします。多発性硬化症俳句コンテスト毎年5月30日は、MSの認知度向上などを目的にMS世界連合と世界各国のMS協会により制定されたWorld MS Day(世界多発性硬化症の日)です。バイオジェン・ジャパンは、MSを一人でも多くの方に正しく理解いただくことを目的に様々な啓発活動を継続的に展開しています。MSの症状や程度は人によって様々であり、それゆえにご自身の病気や人生と向き合う姿勢や考え方、悩みもまた人それぞれです。そんな多様な向き合い方を「俳句」で表現することで、ご自身が抱く想いに改めて気づくきっかけとなり、またほかの方が詠む句の背景にある想いに触れることが、新たな気づきや共感、連携につながると当社は考え、第二回となる本コンテストを実施しておりました。3月31日(金)の応募開始から5月14日(日)の締め切りにかけて、昨年の投句数を上回る計175句の応募がありました。それらの句の中から、第一回選者である夏井いつき先生とのYouTubeも話題の俳人 家藤正人先生より、特選・秀逸作品を選定いただき、6月24日(土)のオンラインイベントにて発表いたします。また、イベントでは、テレビ番組の俳句コーナーでも活躍中の東国原英夫さんにゲストとしてご出演いただき、受賞句を読み上げていただく他、MSの専門医である東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学 教授の中島一郎先生をお招きし、作品が生まれた背景となるMSにまつわるエピソードに触れながら、疾患に関する理解を深めるトークセッションなども行います。【イベント概要】イベント名: 第二回「想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」受賞作品発表オンラインイベント日時 : 2023年6月24日(土)12:00~13:00内容 : 特選・秀逸作品の発表および受賞作品を軸としたトークセッション視聴方法 : バイオジェン・ジャパン公式YouTubeチャンネルにて配信(無料:どなたでも視聴いただけます)URL : (WEBサイト) 登壇者 : 家藤正人先生中島一郎先生(東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学 教授)東国原英夫さん(スペシャルゲスト)審査員:家藤 正人先生[審査員]家藤正人先生:1986年生まれ。愛媛県出身。大学卒業後、本格的に俳句に携わる。夏井いつきの句会ライブにてアシスタント経験をつむ。愛媛新聞カルチャー教室、学生を中心として県内外で単独句会ライブも行っている。2016年からは南海放送ラジオ「夏井いつきの一句一遊」にてアシスタントを務め、2019年より南海放送ラジオ「家藤正人『一句一遊』虎の巻」ではパーソナリティを務める。そのほか、松山市公式俳句投稿サイト「俳句ポスト365」初心者欄選者。香川県宇多津町「令和相聞歌」企画参加および選者ほかさまざまな企画に携わる。句集『磁針』(夏井&カンパニー)■多発性硬化症についてMSは慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能及び身体機能に影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷およびその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。MSの有病率は人種間および地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています1)。日本でのMS患者数は増加傾向にあり2)、罹患率は10万人当たり10.8~14.4人と報告されています3)。MSは、手足のしびれ、感覚機能や判断力の低下など患者さんによって症状が多様で診断が難しく、疾患としてもまだまだ理解が進んでいないのが現状です。2017年にバイオジェン・ジャパンが「全国多発性硬化症友の会」と共同で実施した調査4)によると、最初にMSと思われる症状が現れてから、確定診断されるまでに平均3.7年、3つの医療機関を受診しているということが示されました。また、一見しただけでは病気であるとわかりづらいため、周囲の理解が得られず、就労や日常生活で困難が強いられることもあります。バイオジェン・ジャパンは、MSとともに生きる方々を中心とした疾患啓発活動を通じて、一人でも多くの方にMSという疾患について、また当事者の方々が抱えている課題を知っていただくことで配慮や支援につながり、MSになってもその人らしい生き方ができる社会づくりの一助となることを願っています。■バイオジェンについて神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業のひとつです。バイオジェンは多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する最初で唯一の治療薬を提供しています。また、生物製剤の高い技術力を活かしてバイオシミラーの製品化を行い、業界内で最も多様な神経科学領域のパイプラインに注力し、進展させており、アンメットニーズが高い疾患領域の患者さんの治療水準に変化をもたらしています。2020年、バイオジェンは、気候、健康、公平さが深く相互に関連する課題に対して、20年間に2億5000万ドルを投資する大規模な取組みを開始しました。Healthy Climate, Healthy Lives (TM)は、ビジネス全体で化石燃料の使用をゼロにし、著名な研究機関とのコラボレーションを構築して科学研究を進展させ、人類の健康を改善し、発展途上のコミュニティをサポートすることを目的としています。バイオジェンに関する情報については、 およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。「神経科学の不可能を、可能に。」をビジョンに掲げ、日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、 、およびSNS媒体Facebook, Twitter, Instagram, YouTube, LinkedIn, LINEをご覧ください。1) 堀内泉, 吉良潤一.多発性硬化症.田村晃, 松谷雅生, 清水輝夫編.EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針.メジカルビュー社; 2002:276-792) 公益財団法人難病医学研究財団:難病情報センター 特定疾患医療受給者証所持者数 3) Kinoshita M, Obata K, Tanaka M. Latitude has more significant impact on prevalence of multiple sclerosis than ultraviolet level or sunshine duration in Japanese population. Neurol Sci. 2015;36(7):1147-51.4) バイオジェン・ジャパン株式会社 多発性硬化症の患者さんの実態調査(2017年5月30日発表) Biogen-211564 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年06月01日バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:傳 幸諭、以下 バイオジェン・ジャパン)は、多発性硬化症(MS)の当事者の方、ご家族・ご友人、MSに関わる医療関係者の皆様を対象に、「想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」の募集を開始しましたのでお知らせします。昨年にも開催された本コンテストは、MSの当事者の方をはじめ多くの方にご応募いただき、第二回目の開催となります。多発性硬化症俳句コンテスト毎年5月30日は、MSの認知度向上などを目的にMS世界連合と世界各国のMS協会により制定されたWorld MS Day(世界多発性硬化症の日)です。バイオジェン・ジャパンは、MSを一人でも多くの方に正しく理解いただくことを目的に様々な啓発活動を継続的に展開しています。MSの症状や程度は人によって様々であり、それゆえにご自身の病気や人生と向き合う姿勢や考え方、悩みもまた人それぞれです。そんな多様な向き合い方を「俳句」で表現することで、ご自身が抱く想いに改めて気づくきっかけとなり、またほかの方が詠む句の背景にある想いに触れることが、新たな気づきや共感、連携につながると弊社は考え、昨年に引き続き第二回を開催する運びとなりました。応募作品は、俳人 家藤 正人先生に審査いただき、特選、秀逸作品を選出し、6月24日(土)実施予定のオンラインイベントにて発表いたします。オンラインイベントでは、審査員の家藤 正人先生、MSの専門医である東北医科薬科大学医学部 老年神経内科学教授の中島 一郎先生に加え、テレビ番組の俳句コーナーでも活躍中の東国原 英夫さんに出演いただき、作品が生まれた背景となるMSにまつわるエピソードに触れながら、疾患に関する理解を深めるトークセッションなども行います。【募集概要】■応募期間:2023年3月31日(金)~5月14日(日)■応募対象:MS当事者/当事者のご家族・ご友人/MSに関わる医療関係者に該当する方。■日本国内にお住まいで、応募時に満18歳以上の方。■俳句ならびにその俳句の背景となったエピソードも合わせてお寄せください。おひとり最大で3作品まで応募可。※応募方法詳細は、バイオジェン・ジャパンがMSの疾患啓発のために情報提供を行っているウェブサイト「MSサポートナビ」( )をご覧ください。■発表:6月24日(土)実施予定のオンラインイベントにて発表。その後、「MSサポートナビ」サイトにて、受賞作品を公開予定審査員:家藤 正人先生[審査員]家藤 正人先生:1986年生まれ。愛媛県出身。大学卒業後、本格的に俳句に携わる。夏井 いつきの句会ライブにてアシスタント経験をつむ。愛媛新聞カルチャー教室、学生を中心として県内外で単独句会ライブも行っている。2016年からは南海放送ラジオ「夏井 いつきの一句一遊」にてアシスタントを務め、2019年より南海放送ラジオ「家藤 正人『一句一遊』虎の巻」ではパーソナリティを務める。そのほか、松山市公式俳句投稿サイト「俳句ポスト365」初心者欄選者。香川県宇多津町「平成相聞歌」企画参加および選者ほかさまざまな企画に携わる。句集『磁針』(夏井&カンパニー)<多発性硬化症について>MSは慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能及び身体機能に影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷およびその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。MSの有病率は人種間および地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています(*1)。日本でのMS患者数は増加傾向にあり(*2)、罹患率は10万人当たり10.8~14.4人と報告されています(*3)。MSは、手足のしびれ、感覚機能や判断力の低下など患者さんによって症状が多様で診断が難しく、疾患としてもまだまだ理解が進んでいないのが現状です。2017年にバイオジェン・ジャパンが「全国多発性硬化症友の会」と共同で実施した調(*4)によると、最初にMSと思われる症状が現れてから、確定診断されるまでに平均3.7年、3つの医療機関を受診しているということが示されました。また、一見しただけでは病気であるとわかりづらいため、周囲の理解が得られず、就労や日常生活で困難が強いられることもあります。バイオジェン・ジャパンは、MSとともに生きる方々を中心とした疾患啓発活動を通じて、一人でも多くの方にMSという疾患について、また当事者の方々が抱えている課題を知っていただくことで配慮や支援につながり、MSになってもその人らしい生き方ができる社会づくりの一助となることを願っています。<バイオジェンについて>1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。バイオジェンに関する情報については、 およびSNS媒体Twitter、LinkedIn、Facebook、YouTubeをご覧ください。バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。「神経科学の不可能を、可能に。」をビジョンに掲げ、日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、 、およびSNS媒体Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、LinkedIn、LINEをご覧ください。1) 堀内 泉, 吉良 潤一.多発性硬化症.田村 晃, 松谷 雅生, 清水 輝夫編.EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針.メジカルビュー社; 2002:276-792) 公益財団法人難病医学研究財団:難病情報センター 特定疾患医療受給者証所持者数 3) Kinoshita M, Obata K, Tanaka M. Latitude has more significant impact on prevalence of multiple sclerosis than ultraviolet level or sunshine duration in Japanese population. Neurol Sci. 2015;36(7):1147-51.4) バイオジェン・ジャパン株式会社 多発性硬化症の患者さんの実態調査(2017年5月30日発表) Biogen-205228 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月31日中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防血液をきれいにして心身の不調が改善するというスープを紹介している新刊『中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防 1日1杯血液のおそうじスープ』が発売された。著者である栗原毅(くりはらたけし)医学博士は、栗原クリニック東京・日本橋院長で、慶應義塾大学大学院や東京女子医科大学で教授を歴任。さらに、日本肝臓学会専門医、日本内科学会認定医でもある。同書はアスコムから1360円(税別)の価格で発売中である。まずは2週間 身近な食材を混ぜてお湯を注ぐだけ栗原氏が院長を務めている栗原クリニック東京・日本橋では、脂肪肝、C型慢性肝炎・B型慢性肝炎、肥満症などの診断と治療を行い、予防医療にも力を入れている。食べ物から得た栄養や、呼吸で取り入れた酸素は、血液により全身に届けられ、老廃物なども血液により体外へ排出されることになる。同氏によればいつも体がだるい、肩こりが続く、冷えやむくみといった病院に行くほどではない不調には、血液の汚れが関係しているという。新刊では、身近な食材を混ぜて、お湯を注ぐだけという手軽で体調を改善するスープを紹介。著者は「1日1杯、まずは最低2週間続けてみること。いつの間にか、血液がきれいになり、心身の不調が改善されて行くはずだ。」と述べている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※株式会社アスコム
2022年10月05日コレステロール値の上昇や動脈硬化のリスクとなることが知られている飽和脂肪酸。さまざまな食べ物に含まれていますが、具体的にどの食べ物に多く含まれているか、ご存じですか?今回は飽和脂肪酸の摂りすぎにつながりやすい「おかず」をご紹介します。どのようなものが望ましいかの例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。飽和脂肪酸を摂りすぎに繋がる「おかず」飽和脂肪酸の目標量はエネルギーの7%未満とされています。日本人の食事摂取基準のエネルギー目標量から計算すると、成人女性では約13g、成人男性では約17gが飽和脂肪酸の目標量になる計算です。この飽和脂肪酸の量をもとに、摂りすぎに繋がりやすい食べ物を紹介していきます。肉・肉加工品肉や肉加工品などは、ほかのおかずに比べると飽和脂肪酸が多く含まれています。上記グラフの肉などを100g食べると、1日の目標量を超えるか、ほぼ近い量を摂る計算です。ほかの食べ物からも飽和脂肪酸を摂ることを考えると、確実にオーバーしてしまうため、飽和脂肪酸の量が気になるときは控えた方が良いでしょう。中でも牛は、鶏や豚に比べると脂質が多く、飽和脂肪酸の量も多くなっています。鶏か豚を選ぶ方が飽和脂肪酸の量を抑えられやすいでしょう。魚介類魚介類は肉類に比べると飽和脂肪酸の量は少なくなります。あゆの内臓、あんこうの肝、うなぎの白焼き、かき燻製油漬缶詰など、食べる機会が少ない方は、魚介類から飽和脂肪酸の摂りすぎを心配する必要は少ないでしょう。魚介類には、コレステロールを減らしたり動脈硬化を予防したりする不飽和脂肪酸が含まれます。とくに青魚(さば・さんま・いわし・あじなど)に含まれるため、意識して取り入れましょう。乳類乳類の中でも、クリームやチーズに飽和脂肪酸が多く含まれています。生クリームを使った料理やお菓子を良く食べる方、チーズを好んで食べる方は摂りすぎに気をつけましょう。また普通牛乳は100gあたり2.3gほどではありますが、毎日たくさん飲むと飽和脂肪酸を摂りすぎる恐れもあります。気になる方は低脂肪や無脂肪のタイプを選ぶと良いでしょう。その他(卵類・豆類)卵類や豆類は、ほかのおかずに比べ飽和脂肪酸の量が少なく、摂りすぎの心配が少ない食べ物です。豆類は、油で揚げた油揚げ、がんもどき、厚揚げはやや飽和脂肪酸の量が多くなっていますが、たくさん食べすぎなければ、避ける必要はないでしょう。卵や大豆製品は、肉類に比べ脂質が少なくカロリーも低いため、ダイエットや健康づくりに役立つ食べ物です。毎日のおかずのレパートリーに、ぜひ取り入れましょう。料理最後に料理別の飽和脂肪酸の量を比較しましょう。脂身の多い肉類を使ったステーキや焼肉の盛り合わせ、とんかつや生姜焼きは飽和脂肪酸の量が多くなっています。一方で、魚や豆腐、卵を使った料理や、皮を外したチキンソテーは飽和脂肪酸の量が抑えられていることがわかります。メニュー選びの参考にしてくださいね。飽和脂肪酸を控えたいときに選びたいおかず飽和脂肪酸を控えたいときは、上記でお伝えした通り、魚介類や卵、大豆製品を中心におかずを選ぶと良いでしょう。魚介類からは不飽和脂肪酸、卵からは良質なタンパク質や鉄、ビタミンD、ビタミンE、大豆製品からはカルシウムや鉄など、さまざまな栄養素が補給できるのも魅力です。肉類を選ぶときは、脂身の少ないモモなどの赤身の部位や、皮を外した鶏肉などを選ぶと飽和脂肪酸の量を控えられます。脂身の多い部位を食べたいときは、量や頻度を控えて楽しみましょう。飽和脂肪酸の摂りすぎは、健康へさまざまな影響を及ぼします。摂りすぎているかどうかは、食事管理アプリなどで自身の摂取量をチェックしてみるのもおすすめです。カラダに良い油を取り入れ、健康づくりに役立てましょう。 【参考・参照】文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版) 【執筆者】広田千尋/管理栄養士これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
2022年07月17日GSアライアンス株式会社は、植物、天然バイオマス由来のUV(Ultraviolet:紫外線)硬化型ハードコート材料を開発しました。植物、天然バイオマス由来のUV(Ultraviolet:紫外線)硬化型ハードコート材料人口爆発に伴う地球温暖化、資源枯渇、プラスチック汚染問題などの地球環境破壊は深刻になりつつあり、生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつあります。地球温暖化の原因の1つに二酸化炭素(CO2)が挙げられていますが、植物が成長段階で、周りの環境からCO2を吸収して、廃棄、分解後にCO2の排出量が差し引きされて、石油由来のものより結果として少なくなる植物由来、天然バイオマス由来の化学製品を作ることも、地球温暖化を抑制しうる1つの手段と考えられます。GSアライアンス株式会社は、脱炭素、カーボンニュートラル社会に向けた具体的な技術を提供することをビジョンとしており、2020年、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指すスタートアップ企業としても採択されました。次世代型二次電池、燃料電池、人工光合成など種々の最先端の研究開発を行っていますが、具体的な技術のうちの1つとして、世の中の石油由来の化学製品を天然バイオマス由来に置き換えるという目標もあり、これまで100%天然バイオマス生分解性プラスチック、生分解性樹脂、バイオマスコーティング材料、バイオマスインクなどを開発してきました。この度、GSアライアンスは、天然バイオマス組成のUV硬化型ハードコート材料を開発しました。トウモロコシや大豆といった植物由来のバイオマス原料を一部使用したUV硬化型のハードコート材料となります。UV硬化型ハードコート材料は、紫外線により硬化して固まる樹脂コーティング材料であり、液晶関連デバイス、光学フィルム、各種ディスプレイ、携帯電話、パソコンなどの表面、そして自動車内装加飾など種々の用途があります。UV硬化型の利点は、水、溶剤系コーティング材料の使用に伴う溶剤の蒸発を回避でき、水、有機溶剤の使用量を削減することができ、環境に優しい印刷法であることです。これまでのUV硬化型コーティング材料は、石油由来のものですが、この度、バイオマス度20-35%のUV硬化型ハードコート材料を開発することができました。今後さらなるバイオマス度の向上を検討します。また今後は、天然バイオマス由来のUV塗料、UVインク、UV接着剤の開発などにもチャレンジしていく予定です。今後は、この環境に優しいUV硬化型ハードコート材料を国内外に事業展開していきます。■会社概要商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)代表者 : 代表取締役 森 良平博士(工学)本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11事業内容 : 脱炭素、カーボンニュートラルの課題に取り組む環境、エネルギー分野の最先端技術の研究開発(国連のスタートアップ企業支援プログラムUNOPS GIC KOBEに2020年に採択)URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月31日今や日本人の国民病ともいえる糖尿病。動脈硬化や腎臓病、アルツハイマー型認知症など、さまざまな疾患につながることが知られているが、その大きな原因のひとつに「体の糖化」があると昭和大学医学部の山岸昌一教授は指摘する。「『糖化』とは体内でタンパク質に糖がくっつくことにより、タンパク質が劣化する現象のこと。糖化タンパク質は体の中でもはや使いものにならなくなった燃えかすのような物質で、正式にはAGE(終末糖化産物)といいます。いわゆる“体のコゲ”です」血糖値が基準値以上に上がると、体内に断続的にAGEを発生させ続けることになり、これがまた血糖値を上げてしまうというのだ。さらに、この厄介なAGEは老化の原因にもなるという。「体内でタンパク質の働きが落ちると、臓器にも悪影響が及びます。私たちの体内ではさまざまな化学反応が起こっていろんな臓器が適切に機能しているのですが、その化学反応を媒介しているのは酵素です。酵素はタンパク質からできているため、酵素が糖化するとその働きが悪くなってしまうのです」糖化が進むと、血管や骨、心臓、脳など全身にその影響が及び、さまざまな病気の原因になる。■AGEがもたらす体への悪影響〈認知症〉:老人斑(アミロイドβタンパク質の凝集)促進、神経原線維変化促進、酸化ストレスの増大など〈見た目の老化〉:黄ぐすみ、くすみ、たるみ〈皮膚の老化〉:皮膚コラーゲンの硬化、代謝異常〈弾性線維の硬化〉:大動脈、腎臓皮質などの機能低下〈動脈硬化〉:粥状化の進展〈不妊〉:受精率の低下〈骨粗しょう症・骨関節症〉:骨質の劣化、骨の脆弱化、骨芽細胞・破骨細胞の活性異常〈糖尿病合併症〉:神経障害、網膜症、腎症※『やせる!肌も血管もキレイになるレモン若返りレシピ』よりそんなAGEだが、実は体内で発生するだけでなく、食事から取り込まれていることもわかった。「AGEを多く含む食べ物というのは、てんぷらやから揚げ、焼き肉のように、タンパク質に直接強い火を加えて調理したものです。AGEをため込むような食事を続けていると、たとえ今は健康であっても、徐々に骨がもろくなったり、血管がボロボロになってしまったりということが起こりえます」中高年以降の世代にとって、筋肉を維持するためにも大切なタンパク質が、取り方によっては体に害を及ぼすかもしれないのだ。■レモンのさまざまな働きがAGE値を抑える切り札に山岸先生によれば「AGEはコゲですから、焼いたり揚げたりといった調理法ではなく、ゆでたり蒸したりといった調理法で値を下げることができる」という。たとえば、同じギョーザでも焼きギョーザでは6個で4190AGEに対し、水ギョーザは1625AGEと、半分以下の値になるというのだ。とはいえ、焼き肉やてんぷらを一切食べないのは現実的ではない。何かいい手はないのだろうか。「AGE値を抑えるのにおすすめしたいのがレモンです。レモンには、活性酸素を除去するほか、代謝促進や抗酸化作用、降圧作用などさまざまな健康効果が期待できるのですが、実は糖化を抑える働きも抜群なのです。焼き肉やから揚げなどAGE値の高い料理の場合、下ごしらえの段階でお肉を15~30分ほどレモン汁に漬けておくと、そのまま調理したときに比べてAGE値を40~60%も抑えることができます」これは、レモンに含まれるクエン酸が糖とタンパク質の結合を抑えてくれるからだそうで、あらゆる肉料理に応用できる。たとえばとんかつなら、肉をレモン汁に20~30分漬けて下処理することで、AGE値が約60%も減少するのだという。「ほかにもブロッコリースプラウトやまいたけには、AGEを吸収しにくくしたり、作りにくくしたりする働きがありますので、積極的に食べてほしい食材です」また、レモン汁は酢の物に入れたり、食べるときにかけたりするのもよいそう。「食事にレモンやお酢が入ると、腸の動きがゆっくりになります。食べ物がゆっくりと消化、吸収されると血糖値が上がりにくくなりますから、体内でAGEが作られるのを抑えることもできます」レモンには唾液の分泌を促す働きもあるので、食欲増進にもつながるし、腸の働きを活発にする作用もあるので便秘解消も期待できそうだ。さらに、レモンのスッキリとした香りにはリラックス効果があり、食事そのものだけでなく、気持ちを切り替える作用も。■レモンに含まれる「元気」と「長寿」に役立つ成分〈ビタミンC〉:活性酸素の除去、免疫力の増強/血管の強化、美肌効果/ストレス緩和/ホルモンの分泌促進〈クエン酸〉:代謝の活性化、疲労の回復/骨粗しょう症や貧血の予防〈ポリフェノール〉:抗酸化作用〈カリウム〉:血圧の改善〈食物繊維〉:便秘解消作用更年期以降の年代の女性にとってはレモンを取ることで骨粗しょう症の予防にもなるそう。「現在、日本では約1,300万人もの人が骨粗しょう症とされており、そのうちの9割以上が女性です。骨は体の中でもコラーゲンが多い臓器なのですが、コラーゲンに糖がくっつくとコラーゲンのしなやかさが失われて、骨がもろくなり、骨粗しょう症につながります」足腰や骨の健康のためにも、AGEを抑える“抗糖化”を心掛けることが大切なのだ。そして、女性ならもっとも気になる美容の観点からも、AGEはできるだけ避けたいもの。「コラーゲンは糖化すると骨だけでなく、肌のくすみや、しみ、しわ、たるみ、さらには薄毛なども招いてしまいます。よく『アンチエイジングには抗酸化作用が大切』といわれますが、抗酸化を促している酵素もタンパク質が成分なので、体内で糖化が進むと抗酸化力も働きません。つまり、抗糖化は健康維持だけでなく、若さを保つためにも必要だということです」■レモン果汁効果的な取り方〈1〉レモン果汁30mlを、水や炭酸水などで薄めて食前に飲む(飲みにくい場合は控えめに甘味をつけてもよい)〈2〉レモン果汁を料理に使い、食事の最初のほうでそれを食べるトータルで30mlほどのレモン果汁を、食前または食事の最初のほうに取れば◎。レモン果汁は、市販の瓶入りのものでもOK。標準的な大きさのレモンから約30mlの果汁が取れる。糖尿病や骨粗しょう症の予防からアンチエンジングまで、まさに若々しく健康な老後を迎えるために欠かせないAGE対策。その切り札ともいえるレモンは、毎日の食生活に積極的に取り入れたい。【PROFILE】山岸昌一昭和大学医学部教授。循環器・糖尿病の専門医として診療に携わるかたわら、「AGEを抑え、老化を防ぐ方法」について啓蒙活動を行っている。山岸先生も登場する『やせる!肌も血管もキレイになるレモン若返りレシピ』(マキノ出版)は好評発売中
2022年05月04日胎児動脈管早期収縮とは?胎児ならではの循環システム大人は鼻や口から取り込んだ空気を肺で酸素と二酸化炭素を交換し、再び体外へと排出しています。肺の中で酸素を取り込んだ血液は、肺静脈を通って心臓の左心房(さしんぼう)から左心室(さしんしつ)へと送られ全身に運ばれていくのです。全身をめぐり二酸化炭素や老廃物を回収した血液は心臓の右心房(うしんぼう)から右心室(うしんしつ)に戻り、再び肺へ送られます。こうして大人は血液を循環させていますが、胎児は臍帯(さいたい)を通じて胎盤で酸素と二酸化炭素を交換しているため、大人とは血液の流れが異なります。このような胎児特有の循環を「胎児循環」といいます。胎児循環では、臍帯から送られた血液は胎児の心臓にそのまま運ばれます。そして肺を経由せずに、卵円孔(らんえんこう)や動脈管(どうみゃくかん)という通り道を使って全身へと送り出されます。※臍帯(さいたい)…へその緒出生前に動脈管が収縮することで起こる胎児循環で使われる卵円孔は、右心房と左心房を隔てる心房中隔(しんぼうちゅうかく)という壁に生じた孔(あな)の名称です。左心房と右心房を卵円孔がつなぐことで、血液の循環が行われるのです。動脈管は肺動脈と大動脈をつなぐ血管を指します。出生後に肺呼吸が開始されると、卵円孔と動脈管は役割を終え、数日かけて閉鎖されるのが通常です。しかし、なんらかの要因で出産前のママのお腹にいるあいだに動脈管が収縮し、完全閉塞もしくは狭窄(きょうさく)が起こることがあります。この病状を胎児動脈管早期収縮(たいじどうみゃくかんそうきしゅうしゅく)といいます。胎児動脈管早期収縮は胎児水腫(すいしゅ)、子宮内胎児死亡、新生児遷延性肺高血圧症(しんせいじせんえんせいはいこうけつあつしょう)などの原因となることがあるため(※1)、発症を予防するための注意喚起がなされています。※狭窄(きょうさく)…十分に開かず、狭いこと※胎児水腫(たいじすいしゅ)…胎児の全身がむくんでしまっている症状※新生児遷延性肺高血圧症(しんせいじせんえんせいはいこうけつあつしょう)…肺に十分な量の血流が行きわたらず、血流中の酸素量が不足してしまう症状胎児動脈管早期収縮になる原因は?妊娠中の薬物投与胎児の動脈管が閉じずに開通した状態なのは、プロスタグランジンという生理活性物質と一酸化窒素(NO)などの血管拡張作用によります。このプロスタグランジンの産生を抑える作用を持ち、胎児動脈管早期収縮を引き起こす可能性があるのが解熱鎮痛などに使われる非ステロイド性抗炎症薬です。胎児動脈管早期収縮が認められた症例では、インドメタシンやアセトアミノフェンを服用していたケースがありました。ケトプロフェンを含む外用湿布剤を大量に使用していた症例も報告されています(※1)。ポリフェノールの過剰摂取近年になり、ルイボスティーやプルーンなどの食品に含まれるポリフェノールが原因と考えられる症例がいくつか報告されています。実際の症例では、妊娠36週から2週間、毎日ルイボスティーを煮だして飲み続けていた妊婦さんの胎児に動脈管の早期収縮の兆候が見られました(※2)。胎児動脈管早期収縮は母体に自覚症状はある?胎児動脈管早期収縮はママ自身が自覚するような痛みや体調の変化に乏しいものですが、赤ちゃんの胎動が普段と比べて弱く感じられたことで産科を受診し、診断につながったケースがあります。通常は妊婦健診などのエコー検査で異常が発覚することが多く、異常がみとめられた場合は、より詳しく調べるために胎児心臓超音波検査が行われます。胎児動脈管早期収縮の予防方法は?薬を服用するときは医師や薬剤師に相談する市販されている解熱鎮痛剤などの経口薬をはじめ、湿布剤などの外用薬でも胎児動脈管早期収縮を引き起こす可能性があります。薬を使用するときは医師や薬剤師に相談するようにしましょう。アセトアミノフェンのように妊娠中でも安全に使用できるといわれている薬も、服用に際しては自己判断を避け、医師や薬剤師に相談してから薬を服用すると安心です。ポリフェノールの過剰摂取を避けるポリフェノールは玉ねぎやトマトといった一般的な食品に含まれる成分で、通常量であれば赤ちゃんへの影響を気にしすぎることはないでしょう。そうなると、気になるのは一日の摂取量の目安です。これまでのところ妊娠中の目安となるポリフェノールの摂取量は定められていませんが、ルイボスティーが影響を及ぼしたとされる症例では、1日500mLを毎日飲用していたことが報告されています(※3)。胎児動脈管早期収縮を防ぐためにも、ひとつの食品にかたよって毎日過剰に摂取し続けることは控え、食事や飲料はバランスよくとることを心がけたいですね。妊婦健診を定期的に受診する胎児動脈管早期収縮は早期に発見して治療すれば、その後は比較的良好な経過をたどります(※4)。早期発見に有効なのが、妊婦健診などで行われるエコー検査です。定められた妊婦健診は必ず受診し、赤ちゃんの状態を定期的に確認していきましょう。赤ちゃんの胎動が普段と違うように感じたときは、妊婦健診のタイミングではなくても早めに医師の診察を受けることが大切です。胎児動脈管早期収縮はバランスの良い食事で対策をルイボスティーにしてもアセトアミノフェンにしても、妊婦さんに安全であると紹介されているため、どの情報に従えば良いのか迷ってしまいますね。特にポリフェノールは身体に良いものとされ多くの食品にも含まれていることから、摂取量の明確な基準がないことを不安に感じる場合もあるでしょう。ポリフェノールの影響が疑われる症例は近年に入り報告がまとめられるようになったもので、発症のメカニズムは明確になっていません。ポリフェノールの摂取や薬剤の服用歴がない場合の症例も報告されていることから、心配しすぎないことも大切なポイントです。食品を制限しすぎると栄養がかたよってしまい、精神的にもストレスになります。気になることは主治医に相談しながら、バランスよく食事をとり普段通りの生活を意識していきましょう。※この記事は2022年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
2022年02月17日健康診断や人間ドックの結果を見ると、意外に高いコレステロールの値。「特に暴飲暴食をしているわけでも、体重が急激に増えたわけでもないのになぜ?」と思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、このコレステロールの値、女性は50代になると急激に上昇するというデータがあります。産婦人科医の駒形依子先生に50代女性の体とコレステロールの関係について聞きました。★ウーマンカレンダー更年期のお悩み記事をもっと読む50歳代に総コレステロール値は急上昇(厚生労働省 2000年 第5次循環器疾患基礎調査の概要より)上の表は厚生労働省が2000年に実施した「第5次循環器疾患基礎調査」のなかの「性・年齢階級別 総コレステロール値の分布(割合)」です。グラフの黄色い部分に注目してください。これは、脂質異常症の基準である総コレステロール値220mg/dl以上の人の割合です。40代が22.6%であるのに対し、50代になると44.4%と、約2倍も脂質異常症の基準値を超えている女性が増えていることがわかります。これはなぜなのでしょうか。コレステロール値の上昇は閉経後の体と深く関係50歳代に総コレステロール値が上昇する割合が増えるのは、閉経と深く関係があると駒形先生は言います。「コレステロールは体に必要なホルモンの原料でもありますが、閉経後はエストロゲンを生成する量が激減するため、何もしないとコレステロールが過剰になってしまいます。閉経前の更年期前期から、コレステロール値は少しずつ増える人が多くなります。それまでの数値より上がっていることがわかったら、脂質異常症の予備軍の可能性があります」(駒形先生)。脂質異常症を放置すると…「総コレステロールが高いということは、細胞に運ばれず血液中に残ってしまったコレステロールが多いということになります。取り残されたコレステロールが血管の壁にくっついて血流が悪くなり、動脈硬化を引き起こしてしまうこともあります。動脈硬化が進行してしまえばさらに血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患のリスクが上がります。コレステロール値は、値そのものに異常があったとしても自覚症状が表れることがほとんどありません。ですから、定期的に健康診断や検査をおこなったり、自主的に生活習慣に気を付けることが大切なのです」(駒形先生)。次の章では、食生活での注意点をお伝えします。食生活で特に注意したいことは?現在は脂質異常症の基準値を超えていなくても、閉経に向かうにあたり、これまでと同じ生活をしているとリスクが高まってしまいます。「まず気を付けて欲しいのが食生活です。よく、体のことを考えて揚げ物は控えているという方を見るのですが、揚げ物を毎日食べる人はほとんどいないと思います。むしろ大切なのは、毎日何げなく口にしているものに脂肪が含まれているのを知ることです。特に多いのが、乳脂肪を多くとり過ぎているパターン。朝はトースト、昼はピザ、間食にクッキー、ドリンクはカフェオレ……といった場合、かなりの乳脂肪をとっています。パンやお菓子を手作りする方はわかると思いますが、かなりのバターやマーガリンを使用しているからです。一切とってはいけないということではなく、毎日食べているものに乳脂肪が多く含まれていることを意識して、頻度を減らすだけでも効果があると思います」(駒形先生)。まとめ体が大きく変化する50代女性。これまでの生活習慣で問題なかったことが、問題が出てくる可能性があるということです。コレステロールの値が気になるという方は、毎日食べている食品を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。取材・文/mido(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重あごが悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/駒形 依子 先生東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
2022年02月11日若いころは気にならなかったコレステロールも、健康診断を受けるたび上がってくると心配になってしまうもの。動脈硬化の原因ともなるコレステロール値が上がってきたら、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。栄養外来で食事指導をするアンチエイジング専門医・黒田愛美先生に聞きました。脂肪分の多い食品を控えるだけでは不十分!コレステロールを下げるというと、揚げ物など脂っこい食品を控えるという対策がまずは思い浮かびます。しかし、黒田先生はそれだけでは不十分だと言います。「コレステロールの多くは肝臓で合成されるもので、暴飲暴食をしていない限り、食品から分解して合成される量はそれほど多くありません。コレステロールは細胞膜やホルモンなどを合成するための原料であり、体には欠かせない成分です。本来なら原料として使われたあと、胆汁酸となって排出されれば体内にたまることはありません。しかし、40代以降になると女性ホルモンの分泌が少なくなることも関係して、コレステロールが使われずに悪玉コレステロールとなります。それが問題なのです」(黒田先生)。腸内環境を整えることが大事栄養外来に訪れる人のなかには悪玉コレステロール値が高い患者も。そのような人に対してはどのようなアドバイスをしているのでしょうか。「悪玉コレステロール値が高い患者さんに対しては、一般検査に加えて、腸内環境の検査(遅延型アレルギー検査)をおすすめしています。悪玉コレステロール値が高いということは、本来排出されるべき胆汁の在庫を腸に抱え込んでいるということとイコールです。ですから、まずは腸内環境を整えて、腸の胆汁を一掃するようにアドバイスしています。コレステロール値が高いという悩みに限らず、体調不良の多くは腸内環境が関係しています。まずは検査で、自分の腸内環境の状態を知ってほしいと思います」(黒田先生)。3つの栄養素を意識しようそれでは、腸内環境を改善するためにはどのような栄養をとると良いのでしょうか。食物繊維EPAMCT「きのこや海藻などに含まれる食物繊維は、汚れた腸内をお掃除してきれいにしてくれます。青魚などに含まれるEPAは悪玉コレステロールを低下させ、MCTオイルに含まれるMCTには、たまった胆汁の排出を促す働きがあります。この3つの栄養素を意識してとり、腸内環境を整えることが大切です」(黒田先生)。これにプラス、一般的にいわれる甘い物や脂っこい物、お酒などはできるだけ控えるよう心掛けると良いということです。まとめコレステロール値が増えている人は、食物繊維とEPA、MCTの3つの栄養素を意識にとってみてはいかがでしょうか。普段の食事からとるのは難しいという方は、信頼できるメーカーのサプリメントを利用しても良いということです。取材・文/mido(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。★関連記事:知っておきたい!更年期とLDLコレステロール上昇との意外な関係【医師監修】★関連記事:コレステロールは美と健康に不可欠ってホント? 多いだけでなく「少なくても問題」という真実【医師監修】★関連記事:「もう少し早く知っておけばと後悔ばかり…」更年期とLDLコレステロールの関係【体験談】著者/監修/黒田愛美先生美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic副院長。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
2022年01月24日コレステロールと聞くと、メタボ、肥満、動脈硬化といったネガティブなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。アンチエイジング専門医の黒田愛美先生によれば、コレステロールは美と健康に欠かせない成分であり、少ないことで問題も起きると言います。具体的にどういうことなのか聞いてみました。コレステロールは多くても少なくても問題コレステロール値が高いといろいろな病気の原因になるらしい……ことは多くの人が知っていますが、低いことも問題だそうです。「コレステロールは女性ホルモンのエストロゲンを含むホルモン、細胞膜、コエンザイムQ10、ビタミンDなど、女性の美容に必要な成分を作る原料です。コレステロールは多いことばかりが問題視されますが、総コレステロールが不足すると虚血性心疾患、脳内出血、精神障害の誘因となることもわかっています。コレステロールは美容と健康に必要な成分であることを知った上で、必要以上に増えた分を減らす意識を持つことが大切です」(黒田先生)。コレステロールは「使えていない」ことが問題コレステロール値が増えると、食生活の乱れや運動不足ばかりが指摘されますが、「体の変化」の影響が大きいと言います。「コレステロールは、体に必要な成分を合成するときに使い切れば増えることはありません。コレステロール値が高いということは、原料として使われていなくて余っているということです。余った分は悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールとなり、過剰に血液中にあることでさまざまな病気の原因になってしまいます。コレステロールを使えていない原因にはさまざまなものがありますが、更年期女性の場合は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が少なくなることも一因です。健康診断や検査でコレステロール値が上がっていたら、体がコレステロールを使えていない可能性があることに気付いてほしいですね」(黒田先生)。次の章では、コレステロールを消費するために必要なことをお伝えします。「筋トレ+有酸素運動」で中性脂肪を消費それでは、コレステロールを余らせないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。「コレステロールを消費するには、中性脂肪を減らすことが大切です。そのためには、大きな筋肉を鍛えて、代謝を上げる必要があります。大きな筋肉とは、大腿四頭筋や大殿筋といった太ももやおしり周りの筋肉です。いろいろな運動で鍛えられますが、わかりやすいのはスクワットでしょう。さらに、それに有酸素運動をプラスすることで脂肪燃焼効果を高めることができます。スクワットを10回×3セット以上をしたあと、有酸素運動を30分以上おこなえるとベストです。普段運動をしていない人はできる範囲で始めて、少しずつペースを上げると良いでしょう」(黒田先生)。まとめエストロゲン分泌が減る更年期こそ、筋トレが必要であるということです。黒田先生によれば、運動は毎日おこなわなくても良く、週に2~3回でも効果があるということ。スクワット+ウォーキングは一例です。自分が楽しめる運動を組み合わせてはいかがでしょうか。取材・文/mido(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重あごが悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。★関連記事:「もう少し早く知っておけばと後悔ばかり…」更年期とLDLコレステロールの関係【体験談】★関連記事:1年で悪玉コレステロール値が改善!飲み続けてよかったもの【体験談】★関連記事:体が芯から温まる!冷え性対策・免疫力アップ・腸内環境・疲労回復に良い「鍋レシピ」4選【ビタミン外来医師監修】著者/監修/黒田愛美先生美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic副院長。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
2022年01月18日「近年の健康志向などから消費が拡大し、ブーム到来中の『サバ缶』。動脈硬化や高血圧、糖尿病の改善、筋力維持、免疫力アップなど、たくさんの健康効果が期待できます。しかも、肌や髪を美しく保ち、ダイエット効果もあるなど、女性にうれしい効果が詰まった栄養抜群の万能食材なんですよ」そう教えてくれたのは、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生。サバなどの青魚の脂肪には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれている。オメガ3系脂肪酸は血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させ、動脈硬化を予防・改善する働きがある。「DHAは脳や目の網膜などの神経系に多く含まれ、脳神経や視神経の健康維持に効果的。アレルギーやうつ病などの予防・改善も期待でき、そのほかにも多くの健康効果があります。EPAは血栓をできにくくしたり、高脂血症を予防したりするため、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを予防する働きが。特にサバはアジの3倍ものEPAが含まれています」(石原先生・以下同)特に最近注目されているのは、EPAにGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンを増やす働きがあること。GLP-1は通称「やせホルモン」ともいわれ、血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌を抑制して糖質の吸収を緩やかにしたり、脳の満腹中枢に働きかけて過食を防いだりするなど、ダイエットの強い味方に!「サバ缶は低糖質で血糖値の上昇を防ぐので、糖尿病の方の血糖コントロールにも活用したい食材。筋力維持に欠かせない良質なタンパク質も豊富です。缶を開ければ身も骨もそのまま食べられるため、魚の調理で敬遠しがちな手間も面倒くささもありませんよ」そのほかにも、サバ缶は豊富な栄養素に恵まれている。昨今のコロナ禍でも免疫力を向上させることが重視されているが、サバ缶には免疫機能の調整や維持に効果的なビタミンDが含まれる。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、骨ごと食べられるサバ缶は骨の健康維持にも大いに役立つ。脂質の代謝を助けるビタミンB2、皮膚の抵抗力を増進するビタミンB6、貧血予防に効果的なビタミンB12など、ビタミンB群も豊富だ。
2021年08月14日「だいたい40歳を境に老化現象として動脈硬化が進んでしまい、脳の血流が悪くなってしまします。脳の血流が悪くなると脳の働きも悪くなり、そうなると脳に疲労がたまってしまいます。その状態が続くと、物忘れなど認知症の初期症状を引き起こしてしまうことがあります」こう話すのは、多くの認知症患者を診てきた脳神経外科医の竹内東太郎先生。「脳の血流が減ってしまうと、脳の神経細胞のエネルギーとなる酸素やブドウ糖の供給が滞り、エネルギー不足となった脳は働きが鈍くなります。それが、脳が疲れているという状態です。疲労が蓄積すると認知症の初期症状である物忘れや頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、不眠などがサインとなって現れてきます。それを放置しておくと、本格的な認知症に進んでしまう危険があります」そこで竹内先生が考案したのが、自宅で簡単にできるトレーニング「OK指体操」だ。この体操は「音楽(“O”NGAKU)に合わせて健康(“K”ENKOU)になろう」という竹内先生の考えから先生自身が考案したもので、手足の指を動かすだけで脳の血流が増えるというものだ。今回は「手のパッパ運動」をはじめとする4つの手を使ったトレーニングを紹介。脳の疲れをためないためにも、生活に取り入れてみたい。■手のニギニギ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。【2】親指だけ伸ばしたまま、親指以外の4本の指を曲げたり伸ばしたりする。曲げて伸ばすのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のパッパ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。指同士の側面がしっかりつくように。【2】5本の指を閉じたり開いたりする。閉じて開くのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のキラキラ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指を軽く開く。【2】肩と腕の力を抜き、手の甲を外側に向けて回転させる。また戻す。回転させて戻すのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のグッパー運動【1】両手をグーの形にして胸元に引きつける。【2】手のひらを正面にパッと開きながら、腕を前方に突き出す。指をひらくときは、折り曲げた指をしっかり伸ばす。突き出して戻すのを1回として、両手同時に4回繰り返す。音楽に合わせて手足の指を動かすことで、聴力と記憶をつかさどる側頭葉と、思考・判断をつかさどる前頭葉の反応が活発になり、脳の半分以上の領域が活性化するという。竹内先生が行っているリハビリでは童謡の『ふじの山』に合わせて体操しているが、自分の好きな音楽に合わせて楽しみながらやってみるのもいいだろう。
2021年06月24日「超悪玉コレステロール」がたまると、動脈硬化だけでなく、がんや認知症、脳梗塞、心筋梗塞のリスクも高まるという。菓子パン、スナック菓子、インスタント食品など、危険食品は身の回りにあるものばかり。取りすぎないようご用心ーー。「コレステロールは、私たちの体の細胞壁やホルモンの材料となるなど、生きるうえで必要不可欠なものです。ところが、誤った食生活によって悪影響をうけると、血管壁に蓄積して動脈硬化の原因となり、逆に体に悪影響を与えてしまうこともあるのです」こう話すのは内科医で動脈硬化に詳しい池谷敏郎先生。偏った食生活はコレステロールの“暴走”を起こすという。「コレステロールは体内でLDLコレステロールとして血管壁に運ばれます。このLDLコレステロールが酸化されて変性するとマクロファージという免疫細胞に取り込まれて処理され、血管壁にたまり、プラークというコブになってしまいます。これが動脈硬化です。LDLコレステロールが悪玉コレステロールと呼ばれるゆえんです。ちなみに、LDLコレステロールには大型、小型サイズとあるのですが、小型のものほど血管壁に取り込まれやすく、活性酸素による酸化もされやすいため、小型のLDLコレステロールは超悪玉コレステロールとよばれています」(池谷先生・以下同)LDLコレステロールが酸化すると次のような問題も。「LDLコレステロールが酸化した途端、体内で“異物”として認識されます。すると、私たちの健康のバランスをとろうとしてくれるマクロファージが“異物”を食べて処理してくれるのですが、このときに起こる現象が“炎症”です。炎症は、血管の老化や動脈硬化だけでなく、肌荒れやアレルギー疾患の悪化にもつながります。さらに、がん認知症、脳梗塞、心筋梗塞などの疾患のリスクも上げます」体内での炎症を起こりやすくする一因が、オメガ6系脂肪酸(リノール酸)を多く含む食品だ。オメガ6系脂肪酸の過剰摂取によって、炎症が引き起こされやすくなるというのだ。逆に、オメガ3系脂肪酸を多く取ることによって炎症にブレーキがかかるという。つまり、過剰な炎症をふせぐためにはオメガ6系と3系の脂肪酸のバランスが重要だ。オメガ6系脂肪酸は、サラダ油、キャノーラ油、ベニバナ油など、揚げ物に使われる油に多く含まれる。オメガ3系脂肪酸は、魚油やえごま油、アマニ油などが該当する。「体内の炎症を抑えるためには、オメガ6系脂肪酸を減らし、オメガ3系脂肪酸の摂取量を多くすることです。しかし、現代の食生活では、オメガ6系脂肪酸を過剰に摂取する傾向があります。脂質の摂取は必要なのですが、摂取する脂肪酸の種類については、もっと注意をしてほしいものです」揚げ物や天ぷら、炒め物、ドレッシング、豚肉や鶏肉の脂肪部分など、オメガ6系脂肪酸の油を使った食品は、私たちの周りにあふれている。「家庭で調理して食べる分には極端な量にはならないと思うのですが、外食や弁当、スーパーやコンビニで売られているお総菜などにはオメガ6系脂肪酸を多く含む油が使われていることが多いため、外食やコンビニ弁当が多いという人は要注意です」「女性自身」2020年3月17日号 掲載
2020年03月08日「高血圧は、動脈硬化のほか、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病のリスクも高めてしまいます。しかし、高血圧には自覚症状がほとんどありません。静かに病気を進行させ、ある日突然に心筋梗塞や脳出血といった深刻な病気を引き起こすため、“サイレントキラー”とも呼ばれています」こう話すのは、循環器疾患が専門で「ミスター血圧」の異名をとる渡辺尚彦先生だ。’17年に厚生労働省が行った健康調査によると、日本で高血圧と診断を受けている人は約994万人。しかし、実際は約4,300万人が高血圧だという推測もされている。渡辺先生は常に血圧計を腕につけ、自身の血圧をじつに24時間32年以上にわたって測り続けている。患者さんに対しても、エビデンスとなるデータをとりながら、薬に頼らないさまざまな降圧方法を模索している。高血圧の原因には、加齢、塩分の取りすぎ、肥満、喫煙、ホルモンの変化、などが挙げられる。「日本人の場合、高血圧の最大の要因は塩分の取りすぎだといわれています。そのため塩分コントロールは極めて大切です」(渡辺先生・以下同)また、女性は更年期を迎えるころから、血圧の変化に気をつけるべきだと渡辺先生は指摘する。「更年期の女性は、女性ホルモンが減少すると同時に血圧が上がり始める傾向にあります。女性ホルモンは血管を拡張させる働きをしてくれるため、『若いころは低血圧気味だった』という人も少なくありません。しかし、そういう人でも、更年期を経ていつの間にか血圧が上がっていたということがよくあります。自覚症状がありませんから、血圧を測定するしか変化に気づく方法はありません。家庭用血圧計で構いませんので、40代以降は日常的に血圧を測ることをおすすめします」家庭で血圧を計測する際には、いくつか気を付けることがある。日本高血圧学会では正常域血圧を140mmHg/90mmHg未満としている。上の血圧が140以上、あるいは下の血圧が90以上だと高血圧を診断される。「できれば一日の中でも、起床後、睡眠前など複数回計測すると変化がわかるようになりますし、自分の血圧の傾向も把握できるようになるでしょう」早朝だけ数値が高い「早朝高血圧」や、寝ているときだけ高い「夜間高血圧」などがあるように、血圧は一日の中でも常に変化していて、精神的・身体的な活動状況によっても数値が変わりやすい。朝の目覚めとともに血圧は上昇し、日中は比較的高く、夜になると下がり、睡眠時はさらに降下する。ほかに、室内と室外の気温差や、ストレスを受けることでも数値が上下する。また、ふだんは正常値なのに、病院で血圧を測ると数値が高く出るという人は、白衣高血圧の疑いが。逆に、病院では正常値なのに、家庭では高血圧だという人は、仮面高血圧が疑われる。これは薬を飲んで血圧がコントロールされている間に診察を受ける人に多い。ほかに、血圧をあげてしまう生活習慣には次のものがある。□喫煙□入浴時の極端な寒暖差□硬いものを食べる□締めつけのある下着をつける□イライラする□肥満体形である「煙草を1本吸うと、収縮期血圧(上の血圧)が4mmHg上がるとされています。ところが、2本立て続けに吸うと収縮期血圧に10mmHg以上の上昇が見られるのです。そして、上がった血圧はなかなか戻りません。つまり、ヘビースモーカーは血圧の高い状態が長時間続いてしまうことになります」急に冷たいものを飲んだり、冬場のトイレや脱衣所など、室温の低い所で着衣を脱ぐこともリスクを上げる。そのほか、女性が着用するガードルやボディスーツなど、強く体を締めつける下着なども血圧を上げるという報告があるという。「きつい締めつけは、血圧だけでなく、内臓を圧迫して呼吸器官や消化器官に負担をかけることにもなります。過度の使用は避けるべきでしょう」一般的に、高血圧の治療には、減塩、運動、節酒、禁煙といった生活習慣の指導を行いながら、降圧剤を服用する。治療薬は、大きく4つのタイプに分けられる。(1)血管を広げるカルシウム拮抗薬、(2)血管を収縮する体内の物質をブロックするARB、ACE阻害薬、(3)血中の食塩と水分を減らす働きをする利尿薬、(4)心臓の過剰な働きを抑えるβ遮断薬だ。とはいえ、薬を一生服用し続けなければならないわけでもないと渡辺先生は言う。「減塩の食生活を中心に、日常的に運動したり、降圧する生活習慣を心がけることで、血圧のコントロールは可能です」「女性自身」2020年2月11日号 掲載
2020年02月02日胸の痛みや息切れを引き起こす狭心症。それと同様の状態が足に生じると、さまざまな異変が。その小さな変化を見逃すと、さらに深刻な病気を招くことになりかねないーー。「足に慢性的な痛みや冷えが出る人は、足に動脈硬化が起こっている可能性があります。動脈硬化は血管の内側が詰まって血流に障害のある状態のことで、心臓の血管にこれが起こると、胸の痛みや息切れなどを起こします。これが狭心症の症状です。足先の痛みや冷えは、いわば“足の狭心症”ともいえるのです」こう話すのは、下北沢病院副院長で血管外科医の長崎和仁先生だ。足の狭心症は、高齢化が進むにつれて、注目度が高まっている疾患なのだという。「足の狭心症が重篤化すると、足の組織が腐ってしまう壊疽となり、足切断のリスクも高くなります。やがて心筋梗塞や脳梗塞を招く恐れもあります。さらに、女性は男性より血管が細いため、一度症状が出ると急速に悪化し、予後もよくない傾向にあるので注意が必要です」(長崎先生・以下同)足の狭心症は、いわば心筋梗塞の前ぶれでもある。冒頭の異変は、その症状が疑われるものだ。「足の動脈硬化の段階は大きく4つに分けることができます。第1段階では冷え、しびれといった症状が現れます。第2段階では、歩いているうちにふくらはぎが重だるくなったり、痛みが出るようになります。200メートルを休まずに歩けるかどうかが1つの目安です。さらに進行した第3段階では、寝ているときなど足を動かしていないときにも痛みが出ます。ここまでくると、日常生活にもかなりの支障が出てきます。そして、最終の第4段階が壊疽です。ここまでくると末期で、足の切断の可能性が高くなります」健康な人の足の裏はピンク色をしているが、血流が滞ると赤、青、白色になり、ひどくなると黒色になる。足で脈拍をとれるかどうかも、1つの目安だ。「足の甲には太い血管が走っています。健康な足は血管に触れるとドクンドクンと脈を確認できるのですが、それを感じられないと動脈硬化が進んでいる場合も考えられます。また、上腕と足首で血圧を測り、上腕の値より足首の値が低い(9割以下)と、足の狭心症が疑われます。家庭用血圧計では正確に計測できない場合もありますので、医療機関で測ってもらうようにしてください」痛みやしびれが慢性化しているようであれば、血管外科や足を専門にする医療機関での診断を長崎先生は勧めている。「治療をせずにいると、痛みや不快感で歩くのをやめてしまったり、外出するのがおっくうになりがちです。行動範囲が狭まると、症状はさらに進行し、いつのまにか壊疽になることも。こうなると足の切断が避けられないだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクもかなり高まってしまいます」一般的に動脈硬化の治療には薬物療法と運動療法があるが、足の狭心症もその点は同様だ。治療薬は血管を広げる血管拡張薬と血液を固まりにくくする抗血小板薬や抗凝固剤を用いる。また、糖尿病や高血圧、高脂血症、不眠などの基礎疾患の有無も進行度合いに関係するため、基礎疾患があればきちんと治療しておこう。「運動では、日ごろからふくらはぎをよく使う動きを心がけるようにしましょう。歩くときは、大きい歩幅を心がけるとふくらはぎのポンプ作用を活発にするうえ、アキレス腱や足首をやわらかくするのにも有効です」ほかに、かかとの上げ下げや足の指先を使ったエクササイズも足先の血流を促進するのに効果的だ。■対策のための基本エクササイズ5【1】1日30分(または8,000歩)歩く【2】アキレス腱伸ばし【3】つま先立ち運動イスの背につかまってまっすぐに立ち、かかとを上げて10秒静止、かかとをおろして10秒静止。これを、3回を1セットとして1日に3セット行う【4】足首回し【5】足指タオルづかみ(1)床にタオルを置き、足をのせる(2)片方の足の指を曲げてタオルをつかむ〈親指から小指まで全体的に使う〉(3)タオルをつかんだまま足先を少し浮かせ、タオルをはなす。(2)、(3)を繰り返し、タオル全体を引き寄せる。左右の足で5セットずつ行う。「足の狭心症は高齢になるほどリスクが高まる疾患です。一般的には65歳以上から患者数が増加します。基礎疾患がある人は進行が早いので、より注意が必要です」健康長寿は丈夫な足元から。自分の足のコンディションを、こまめにチェックするよう心掛けたい。「女性自身」2020年2月4日号 掲載
2020年01月29日TRFのリーダー・DJ KOO(58)が12月17日に、『とくダネ!』(フジテレビ系)に生出演。インタビューVTRとともに、脳動脈瘤による闘病生活を振り返った。17年にテレビ番組で初めて全身ドックを受けたところ、直径9.8ミリの脳動脈瘤が発覚。主治医によると、「いつ血管が破裂して死んでもおかしくない」という危険な状況だった。医師から「カテーテル」、もしくは「開頭手術」の治療方法を提示されたKOO。初めはどちらを選ぶか迷ったが、「この先もずっと生きていける方を選んで欲しい」と妻から告げられたという。この妻の後押しによって、KOOは6時間半にも及ぶ開頭手術を受けた。術後は眠れぬほどの痛みで苦しんだというKOO。その辛さを支えたのは、当時高校3年生の長女だったと告白。KOOは「何でもいいから音楽をかけて」と長女にリクエスト。すると、長女はTRFのヒット曲『寒い夜だから』を選曲。KOOはその時初めて、長女がTRFの楽曲を聴いていたことを知ったという。そんなKOOは、17年11月24日にブログで退院を報告。家族について思いをこう明かしていた。《家族の愛情がどれだけ救いとなったか、、病気以上に大きい家族の愛情に自分は新しい命と人生をもらったと自負しています》さらに12月14日付の読売新聞『ヨミドクター』のコラムでは、今後の“夢”をこのように語っている。「今、力を入れているのは、来年の東京五輪・パラリンピックを前に、日本の伝統的なお祭り文化『盆踊り』を世界へ紹介することだ」放送終了後、KOOはSNSを更新。《皆さん #健康診断 #人間ドック 特に脳ドックは受診して下さい!!》と呼びかけ、《僕は2年前 #脳動脈瘤 の開頭手術を受け首もこんなに切りましたが(破裂を防ぐために首から血を逃がす)でも破裂前に発見出来き家族にも支えられ元気に復帰が出来しました!!健KOO第一です!!》とし手術跡の写真を投稿した。ファンからは安堵の声が寄せられている。《ホント、健康なカラダがあってこそですよね!!私も気をつけます》《早期発見でよかったです!!!健KOO第一!!》家族に支えられ、健康を取り戻したKOO。夢に向かって邁進し続けるだろう――。
2019年12月17日「現代は飽食の時代ですから、昭和のころに比べて、肥満や高血圧、糖尿病の女性は増えています。とくに女性ホルモンの分泌が低下する50代以上は動脈硬化が進みやすいので、心不全による突然死、『急性心臓死』に注意が必要です」そう話すのは、心臓血管研究所所長で医学博士の山下武志さん。先月も、俳優の木内みどりさん(享年69)が、急性心臓死によって突然死したことは記憶に新しい。木内さんは仕事先での夜の懇親会後、歩いてホテルに戻った数時間後に亡くなったとみられる。急性心臓死とはどんなものなのか。山下医師はこう語る。「症状が出てから24時間以内に亡くなることを突然死と言いますが、病院に着いたときには、だいたい亡くなっています。診たところ、くも膜下出血などの脳の病気ではないので、原因は心臓にあると判断することが多いのです。そんな急性心臓死につながる不全の原因は、不整脈や弁膜症、狭心症などいろいろ。なかでも、50代以上で多いのは心筋梗塞です。木内さんの場合も、その可能性が高いと思います」心筋梗塞は、初期の段階で心臓の冠動脈が詰まったり硬くなったりして、心臓のポンプ機能が低下する。そうすると必要な酸素や血液が心臓の筋肉に送られにくくなり、心筋の一部が壊死して発症する。「水道管が少しずつ錆びついていくように、動脈硬化も加齢とともに20~30年かけて徐々に進行していきます。しかし、目立った症状がないことも多く、気づきにくいのです」とくに、冬場は血圧が上昇しやすく、暖かい部屋から寒い場所へ移動する際にかかる心臓へのストレスにより、心筋梗塞になりやすくなるから注意が必要。心筋梗塞が突然死につながるのは、次のようなケースだ。「心筋梗塞が起きると急に胸やみぞおちが圧迫されたように痛くなりますが、安静にしていれば治まることが多い。突然死に至るのは、心筋梗塞によって“心室細動”という不整脈が起きた場合です」心室というのは、心臓から血液を送り出す小部屋のこと。そこが小刻みに震えて血液を送れない状態になることを心室細動という。「心室細動が起きて1分経過するごとに生存率が10%下がります。10人に1人が医療機関にたどり着く前に亡くなってしまいます」心室細動が起こると、ただちに意識がなくなるため、自分で救急車を呼ぶこともできない。「おそらく木内さんも、すぐ意識がなくなってしまったのではないでしょうか……」つまり、急性心臓死を避けるためには、心室細動が起きる前の心筋梗塞の段階で、治療を受けるしかないのだ。怖いのは心筋梗塞のリスクが高まっていても、自覚しにくいことだ。そのなかでもわかりやすい予兆を、山下医師が教えてくれた。「心筋梗塞を起こす直前の心臓は、だんだんパワーが落ちてくるんです。そうすると息切れしやすい、歩くスピードが落ちてきた、などの症状が出てきます。これは、心臓の冠動脈が詰まって、十分に酸素や血液が送り込まれなくなっているからです」「女性自身」2019年12月24日号 掲載
2019年12月16日手軽にフルーツの栄養を取れる健康的なイメージの果汁100%ジュース。ところが、ゴクゴク飲んでいるとさまざまな疾患のリスクにつながると専門医は警鐘を鳴らす。《フルーツジュースを飲む人は、死亡リスクが24%上がるーー》先日、こんな驚きのデータがアメリカの研究機関から報告された。研究は、ハーバード大学の研究チームがアメリカの医療誌『JAMA(The Journal of the American Medical Association)』に発表したもので、甘い飲み物を摂取することと死亡リスクの関連性を1万3,440人の成人を対象に調査したという。結果は、冒頭のとおり。さらに長期にわたる研究が必要とされるも、「フルーツジュースの摂取と死亡リスクに関連がある」という結論だった。研究の対象となったフルーツジュースには、果汁100%のものも含まれる。果汁100%のジュースといえば、清涼飲料水などと比べて健康的というイメージが強いので、いささか意外なニュースだ。このことに関して、栄養やダイエットに詳しい、一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長で医学博士の永田孝行先生は次のように話す。「たとえ果汁100%のジュースであっても、1日に何杯も飲んでいると糖分の取りすぎを招きます。果物には果糖をはじめ、ブドウ糖、ショ糖などの糖分が含まれており、それはジュースに加工した場合も同様です」体によいというイメージがあり、手軽に取れることから、毎日飲んでいるという人も多い。「果糖は本来、血糖値を上げにくく、満腹感を感じさせないもの。さらに甘いため、ジュースになるとついゴクゴクといくらでも飲めてしまいます。じつは、これこそが果汁ジュースの落とし穴なのです」通常、果糖は小腸で代謝される。そのため、ゆっくりと糖が分解されて、血糖値を上げず、インスリンの分泌も抑えられる。ところが、一度に大量の果糖を摂取すると、小腸では十分に処理しきれずに肝臓へ流れこみ、肝臓に負担をかけてしまう。これを慢性的に繰り返していると脂肪肝の原因にもなるという。では、果物自体も健康を害するリスクをはらんでいるということなのだろうか。「たしかに果物にも果糖は含まれていますが、1個当たりの果糖含有量を見るとたいしたことはありません。たとえば、みかん1個を搾ったところでせいぜい果汁は数十ml程度です。果物から200mlの果汁を取ろうと思ったら、食べきるのが大変な量になってしまいます。また、果物にはビタミンやミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養がバランスよく含まれています。ですから、デザートに果物を食べることは理にかなっているのです」市販されている果汁100%ジュースの多くは「濃縮還元」という製法によるものだ。濃縮還元のジュースは、輸送しやすくするために果汁を搾ったジュースを加熱濃縮することで水分を飛ばしてペースト状にし、移送した後に再び水分を加えて作る。加熱濃縮されてコンパクトになった濃縮還元のジュースのほとんどは海外から輸入されたものだという。私たちが日ごろ飲んでいる果汁100%ジュースの多くは、この濃縮還元製法によるジュースだ。「“果汁100%”をうたっていても、国内で水分を加える際に果糖ブドウ糖液糖などの生成された異性化糖を添加する場合があります。パッケージに『砂糖』や『ブドウ糖果糖液糖』などが表記されていれば、何らかの糖が添加されています。しかも、果物に含まれていた食物繊維は搾汁でほぼ取り除かれ、ビタミンやミネラルは加熱処理される過程で壊れてしまいます。このように、果実と果汁ジュースでは、栄養のバランスがまったく違ったものになっているのです。果汁100%のジュースであっても、1日に飲む量はコップ1杯程度にとどめておいたほうがよいでしょう」思わぬ病気のリスクを避けるためにも、くれぐれも飲みすぎには注意しよう。
2019年11月07日動脈硬化、心筋梗塞など、私たちが恐れる重大な疾患を引き起こす「内臓脂肪」。それを落とすには「食べ方が9割」。苦労せず続けられる画期的なメソッドがあった!「内臓脂肪が体に有害であることは、医療者の間では長年知られていることです。そもそも、内臓脂肪を改善してもらうために、2008年から『メタボ健診(特定健康診査)』を導入したのに、人々の間で危機感がなく、なかなか本気で痩せようとしていません。これが、内臓脂肪の注意喚起を訴えようと思ったきっかけです」池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。今年4月に出版した『内臓脂肪を落とす最強のメソッド』(東洋経済新報社)は注目を浴び、ベストセラー本となったが、いまだにその人気は衰えていない。「内臓脂肪は、腸の周りにつく脂肪ですが、特に怖いのは、肝臓や心臓の周りにつく脂肪です。メタボによる脂肪肝は肝硬変や肝臓がんのリスクとなりやすく、心臓周囲の脂肪は、毛細血管を伸ばして炎症の原因となる物質を送り込み、動脈硬化を急速に進め、心不全や心筋梗塞を引き起こすのです」(池谷先生・以下同)通常の動脈硬化は、血中コレステロール値や血糖値、血圧が高いなど、血管の内側の異常が原因となって進行する。ところが、内臓脂肪による動脈硬化は、血管の外壁側から心臓表面を走る冠動脈に悪影響を及ぼして、動脈硬化を急速に進めるのだ。さらに、心臓の機能をも低下させ、心不全の要因ともなるというから恐ろしい。ちなみに、脂肪肝を診断される人はほぼ、心臓周りにも内臓脂肪がついている可能性が高いという。内臓脂肪は、動脈硬化の原因となる糖尿病や脂質異常症、高血圧などに悪影響を及ぼす。ではどうすれば内臓脂肪を減らせるのだろうか。そこで、自身もダイエットに成功した経験を持ち、独自のダイエット理論を持つ工藤内科の工藤孝文先生、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚先生に、無理なくできる「内臓脂肪の落とし方」を聞いた。「内臓脂肪を減らすには『ミートファースト』を提案します」というのは工藤孝文先生。「ミートファーストは、肉を食べることによって分泌されるインクレチンというホルモンが、血糖値を穏やかに上昇させます。肉は胃の中での停滞期間が長いので、腹持ちがいいし、赤身肉には脂肪を燃焼する働きのあるL-カルニチンが多く含まれています。こうしたさまざまな観点から、内臓脂肪を減らすのにミートファーストは最適なのです」この方法の唯一のルールは食べる順番を守るだけ。肉→野菜→炭水化物の順番で、肉を最初に食べることと、炭水化物を最後に食べるということさえ守れば、食べる量を変える必要はない。しかし、「ミートファースト」にすることで、自然と食べる量が減るという。さらに、ベジファーストよりミートファーストのほうが、ダイエット効果が高いという結果もある。「ミートファーストにすることで、高タンパク、低糖質で栄養が吸収されるようになり、その結果、脂肪が減少し、筋肉がしっかりつくようになったのです」ほかにも、タンパク質には血管年齢を若く保つ働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防につながり、肌のハリを出してくれる若返り効果も期待できる。1日に摂取したいタンパク質の量は女性で1日50g。実際に50gが吸収されるためには、赤身肉を100〜150g程度食べること。目安としては1食の量が片手のたなごころくらいだ。食べる量を変えなくてもいいし、食べるものも気にしなくていい、食べない時間をつくる「12時間断食」を提案するのは青木厚先生。「1日3食が当たり前のように提唱されていますが、それでは食べすぎです。摂取カロリーが消費カロリーを上回っているから、肥満になるのですから」食べすぎは血糖値の乱高下を起こすだけでなく、内臓脂肪の蓄積にもなる。食べない時間をつくることで、内臓を休ませることができるうえ、脂肪燃焼もできるのだ。「空腹の時間は、肝臓や筋肉に蓄積されたグリコーゲンを分解することで体脂肪を燃焼させてエネルギーを作ります。だいたい食後12時間くらいで肝臓や筋肉に蓄えられていたグリコーゲンは枯渇して、その後、内臓脂肪をブドウ糖に変換します。この仕組みは『糖新生』と呼ばれる代謝状態で、私たちの体が“飢餓状態”に耐えられるように作動するものです。糖新生の時は、細胞の掃除も行われます。理想は16時間の断食ですが、まずは12時間から始めるとよいでしょう」(青木先生・以下同)糖新生が始まると、内臓脂肪が燃焼するだけでなく、細胞が活発に生まれ変わる、血糖値が下がる、免疫力が上がる、記憶力・認知力がアップするなど、私たちの体を若返らせてくれるさまざまなうれしい効果も期待できる。「12時間断食」の基本は、1日のうち連続した12時間を「食べない時間」として守ることだ。1日8時間の睡眠をとっているとすれば、睡眠の前後数時間を「食べない時間」に設定すればいい。一方、「食べてOK」の12時間は何をどれだけ食べてもかまわない。「こう考えると『食べてOK』の時間にドカ食いをすると思われるかもしれませんが、意外とそんなに食べられないものです。結果として、1日に食べる量が減ることになります。際限なくいつでも食べられる状態から『食べない時間』をつくることで内臓を休める時間を持つと、体のリセットにも」「空腹の時間」は、水、お茶、コーヒー(ブラック無糖)以外は口にしないこと。どうしてもおなかがすいたらナッツ類、無糖ヨーグルトなら食べてもいい。最初のうちは慣れるまでおなかがすくかもしれないが、数日で体が慣れてくるという。「ただし、糖尿病で投薬治療を受けている人は、低血糖のリスクがありますので、専門医の指示に従って行ってください」内臓脂肪を減らすためのダイエット法は、各先生によって異なるものの、共通しているのは「いかにして食べる量を減らすか」だ。それぞれ1〜2週間もすれば、体重が減少し始めたり、腰回りが細くなるなど何らかの結果が見えてくると、先生たちは声をそろえる。早速試してみよう!
2019年11月06日動脈硬化、心筋梗塞など、私たちが恐れる重大な疾患を引き起こす「内臓脂肪」。それを落とすには「食べ方が9割」。苦労せず続けられる画期的なメソッドがあった!「内臓脂肪が体に有害であることは、医療者の間では長年知られていることです。そもそも、内臓脂肪を改善してもらうために、2008年から『メタボ健診(特定健康診査)』を導入したのに、人々の間で危機感がなく、なかなか本気で痩せようとしていません。これが、内臓脂肪の注意喚起を訴えようと思ったきっかけです」池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。今年4月に出版した『内臓脂肪を落とす最強のメソッド』(東洋経済新報社)は注目を浴び、ベストセラー本となったが、いまだにその人気は衰えていない。「内臓脂肪は、腸の周りにつく脂肪ですが、特に怖いのは、肝臓や心臓の周りにつく脂肪です。メタボによる脂肪肝は肝硬変や肝臓がんのリスクとなりやすく、心臓周囲の脂肪は、毛細血管を伸ばして炎症の原因となる物質を送り込み、動脈硬化を急速に進め、心不全や心筋梗塞を引き起こすのです」(池谷先生・以下同)通常の動脈硬化は、血中コレステロール値や血糖値、血圧が高いなど、血管の内側の異常が原因となって進行する。ところが、内臓脂肪による動脈硬化は、血管の外壁側から心臓表面を走る冠動脈に悪影響を及ぼして、動脈硬化を急速に進めるのだ。さらに、心臓の機能をも低下させ、心不全の要因ともなるというから恐ろしい。ちなみに、脂肪肝を診断される人はほぼ、心臓周りにも内臓脂肪がついている可能性が高いという。内臓脂肪は、動脈硬化の原因となる糖尿病や脂質異常症、高血圧などに悪影響を及ぼす。ではどうすれば内臓脂肪を減らせるのだろうか。そこで池谷先生に無理なくできる「内臓脂肪の落とし方」を聞いた。「9割は食べ方で改善できます。内臓脂肪が原因で通院されている患者さんを見ていてもわかりますが、とにかくみなさん、食べすぎです。なのに、ほとんどの人は自分が食べすぎていることを自覚していません」特に女性の更年期世代は、エストロゲンの分泌が急激に減少する。エストロゲンには体重をコントロールしてくれる働きがあるので、若いころはちょっとダイエットをすれば痩せていたが、エストロゲンという“助け船”がなくなると、以前のような方法では痩せない。「中年期からは、ある意味、チャンスともいえます。痩せて内臓脂肪のないすっきりした体形になれば疲れにくくなりますし、スタイルを維持していれば、人目を気にすることもなく、いろいろなストレスから解放されます」そして提案するのは、「プチ糖質制限」。血糖値を上げる直接の原因となる炭水化物(ご飯、パン、麺類、いも類、フルーツ、スイーツ)を半分の量にするのだ。「糖質は体内に入ると内臓脂肪のもととなる中性脂肪に変わります。ですから、体内に糖分が残らないように糖質を半分にしていると、内臓脂肪が減っておなか回りがスッキリしてきます」ただ単純に食べる量を減らすとそれまで食べていた量が減るので、おなかがすぐに減って、かえって間食が増えかねない。そこで、おかずに野菜やきのこ類、蒸し大豆などを加えてたっぷり食べる。たとえば、焼きそばを2人分作るときは、麺1人前に野菜と肉を3人前加える。ボリュームがあって、おいしいが低糖質という1品になる。さらに池谷先生がオススメするのが大豆食品から食べる「ソイファースト」。大豆食品を最初に食べることで大豆タンパク質、食物繊維、ミネラルなどが効率よく吸収できる。大豆には、更年期以降の女性にうれしいイソフラボンの働きもある。最近は、スーパーにパックや缶入りの蒸し大豆が販売されている。納豆でもOK。食べるとおなかにたまりやすく、血糖値の上昇を抑える働きもある。早速試してみよう!
2019年11月06日納豆、豆腐などに加え、豆乳を使った飲料や手軽に食べられるバーなど、大豆を使った製品の品数はますます増えている。最近では大豆缶や大豆のパックも数種類がスーパーの棚に並んでいて、簡単に手に入るようになった。ところが意外にも、私たちが実際に1日あたりに摂取している豆類の量は、健康上の目標にまだまだ足りていないようだ。厚生労働省が推奨している1日の豆類摂取量の目標値は100g。しかし、「平成27年国民健康・栄養調査」によると、40代、50代の女性の摂取量は約40g足りていないのだ。「若い世代ほど、“大豆離れ”が進んでいるようなのです」そう指摘するのは、栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長。「大豆には、タンパク質、脂質、炭水化物の『三大栄養素』のほか、カルシウム、カリウム、鉄といったミネラル、さらにビタミンE、葉酸、食物繊維、イソフラボンなど、実に多くの栄養素がバランスよく含まれていて、ズバ抜けて優秀な食品と言えます。健康寿命をのばすためにも、私たちは毎日の食事で、もっと積極的に大豆を食べるべきです」(栗原先生・以下同)栗原先生が特に注目しているのが「大豆タンパク」の働きだという。近年、日本人の筋力低下が著しく、その主な原因はタンパク質の摂取量が不足していることにあると栗原先生は話す。「今の日本人が直面している筋力不足の問題は、メタボよりも深刻と言えます。筋肉量が十分でないと疲れやすく、免疫力が下がり、高齢になったときに身体機能が低下してしまう『サルコペニア』に陥りやすいのですが、最近では、若い層でも筋肉が不足した『新型栄養失調』状態の人が増えています。これは明らかにタンパク質の不足からくるものです」私たちの体に大切なタンパク質だが、筋肉を作るのに必要な量の目安は、体重分のグラム数だ。体重50kgの人であれば、1日に50gのタンパク質の摂取が必要となる。タンパク質を50g摂取するには、肉であれば100g、卵だと5個分だ。大豆製品だと豆腐1丁、納豆なら3パック程度にあたる。タンパク質以外にも豊富な、健康効果をもたらしてくれる大豆の栄養素とその働きを見ていこう。【食物繊維】有害物質を体外に運び出す水溶性食物繊維、便の材料となる不溶性食物繊維が共に豊富に含まれていて、腸内環境を整える働きをする。【カルシウム】大豆に含まれるカルシウムは吸収率もよく、骨を作ってくれる。骨粗しょう症の予防にも大切だ。【脂肪】大豆の脂肪は植物性なので、悪玉コレステロールになる成分ではなく、血液をサラサラにする効果の高いリノレン酸が豊富に含まれる。【イソフラボン】ポリフェノールの一種で、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることでも知られている。それ以外にも、血圧を低下させる、血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らしバランスを整える、更年期障害の症状を抑える、乳がん予防、ビタミンEとの相乗効果で血管を若々しく保つ、骨の破壊を抑えるなど、働きは多い。【オリゴ糖】乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌のエサとなり腸内環境を整え、便を増やして便通をよくする。免疫力アップにも。「国立がん研究センターが行った大規模追跡調査では、みそ汁を1日に3杯飲む人は、1杯未満の人に比べて乳がんを発症するリスクが約40%低いという結果が発表されています。ほかにも、女性で大豆製品を多く摂取するほど心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患のリスクが34%低くなるという研究結果もあります。さらに、大豆製品の摂取量が多い女性は、少ない女性に比べて10年後に認知機能が衰えるリスクが低下するという報告もされています。海外でも大豆への関心は高く、アメリカのデザイナーフーズプログラムでは大豆はにんじんやにんにくなどとともに最も重要な食品グループに入っており、その働きが注目されています」また、日本の長寿地域は昔から大豆食品をよく食べているという研究もある。「魚が捕れない山村部や、米もあまり収穫できない村でも、大豆を栽培してたくさん食べた村の人々、また豆腐を食べる習慣のある村の人々は長生きの傾向があることがわかっています」そして、これらの栄養素を取りこぼさないためにも大切なのが、大豆を使ったものから食事を始めること、すなわち「大豆ファースト」だ。「大豆は消化吸収率の高い食材です。大豆から食べ始めることで、さまざまな栄養素を効率よく吸収することができます。同時に大豆は食物繊維も含むため、食後の血糖値の上昇を抑えることができるのです」
2019年09月18日無事に出産して退院する当日、医師から「赤ちゃんの心音に雑音が聞こえる」と言われ、まったく予想していなかったできごとに戸惑いました。検査や経過観察をした結果は……? 幸せの絶頂から一気に不安へわが子が生まれて、母子ともに経過良好で順調な入院生活を送っていたのですが、いざ退院の日。最後の回診で医師から「赤ちゃんの心音に少し雑音が聞こえるから病院を紹介しますね」と言われました。 「心雑音てどういうこと? 心臓の病気? この子に何かあったら……」と不安に押しつぶされそうで頭が真っ白になりました。 現時点で考えられること紹介された病院で検査をしなくてはわからないと知りつつも、「どのようなことが考えられますか?」と質問をしました。すると医師は「理由はさまざまだけど、検査をしてなんともなかったってこともよくあることだよ」とおっしゃっていました。 検査をしないことには結果は分からないけど、私は少し希望を持てたことにほっとして、張り詰めていた糸が切れるように涙が溢れました。 心電図、超音波検査をした結果…退院して間もなく、紹介された病院で検査をしたところ「肺動脈弁狭窄症」と診断されました。肺動脈弁狭窄症とは肺動脈の弁が通常より狭く、血液を送るポンプの働きをする右心室に負担がかかるため、狭さの程度により運動制限や手術が必要になるとのことでした。 そして、血流の速さ、右心室に加わる圧負荷を数字で説明され、わが子の場合は軽症で運動制限もなく、定期的に検査をして経過をみましょうということになりました。 経過と現在の様子医師から「体が大きくなるにつれて弁が広がることもあります」と言われていたとおり、生後3カ月の健診で少し弁が広がる変化がありました。現在は年に1度検診を受けており、このまま悪くなることも良くなることもないと言われています。 「肺動脈弁狭窄症」は完治することはないため、病名はずっとついてしまうとのことでした。しかし、現在小学生になったわが子は運動会で毎年リレーの選手に選ばれる、そこそこのスポーツマンです。運動制限なしと言われても心配というのが本音ですが、その心配がわが子の邪魔になってしまわぬよう、大好きな運動を全力で応援していきたいと思っています。著者:高橋四葉四児の母。自然分娩二回、帝王切開二回を経験。現在子育てに奮闘しながら自身の体験をもとにした記事を執筆中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年05月17日「これまで血管にかかわる病気というと、動脈硬化などの太い血管の閉塞が危険視されてきました。しかし、それらにつながっている毛細血管の劣化が、がんと関係しているということが最近の研究でわかってきているんです」そう語るのは、『ゴースト血管をつくらない33のメソッド』(毎日新聞出版)の著者、大阪大学の高倉伸幸教授だ。「毛細血管は、いわば動脈・静脈などの主要な“幹線道路”につながり、市区町村や自宅前(周辺の細胞)まで続く道。全身に約37兆個ある細胞に酸素や栄養を運び、さらには二酸化炭素や老廃物を排出、免疫力も活性化させる機能を持ちます。毛細血管が機能しなくなると、必要な物質も届かず、人も住まなくなる。まるで“ゴーストタウン”となった周辺組織には、正しく栄養が行き届きません」もともと血液・腫瘍内科の臨床医として治療にあたっていた血管研究の第一人者である高倉教授は、がん患者の毛細血管は血流が悪く、老化で機能が衰えた毛細血管に似ていることに気づいたという。「がん細胞は健康な人にも生まれ、自分で細胞を増大させてバリアをつくります。免疫細胞がそれを見つけると退治してくれていますが、血管がゴースト化すると、免疫細胞がこのバリアに入っていけなくなり、がん細胞が増殖してしまうのです」それだけでなく、血管ゴースト化したままでは、抗がん剤もがん細胞に届かなくなってしまうという――。「毛細血管は、加齢によって衰えていきます。40代を過ぎると、老化とともに壁細胞が変形したり、なくなったりしてしまい、内皮細胞の機能も低下する。これらをさらに加速させるのが、高血糖と、喫煙や飲酒、ストレスによる酸化。血糖値が上がり、体が酸化していくと、壁細胞がダイレクトにダメージを受け、ゴースト血管になってしまうのです」高倉教授は著書の中で、ゴースト血管をつくらないための方法として血流アップや、自律神経のバランスなどを挙げているが、その中で今回は高倉教授が実践している、「血管を高める」5つの習慣を教えてくれた。■壁細胞を強める食材を取る「内皮細胞どうしと壁細胞の結びつきを強めるものに、『タイツ―(Tie2)』という分子があります。このタイツーを活性化する食材を、日常に取り入れることが重要です。2週間摂取を続けたことで、消えかけていたゴースト血管が復活したことも実証されています」代表的な食材として、高倉教授は次の2つを挙げる。【1】スパイスに「ヒハツ」を使う「ヒハツはロングペッパーとも呼ばれ、沖縄料理のスパイスとして使われてきた食材です。近ごろではその機能に注目が集まり、スーパーのスパイス売場などでも見かけるようになりました。ふだんの料理に使っているコショウを、ヒハツで代用することで、タイツーを活性化させることができます。私は、そばやうどんに10ミリグラムほどかけて食べていますよ」【2】「ルイボス茶」を毎日飲む「健康茶として知られるルイボス茶にも、血管構造の安定化を助ける作用があります。クセがなく、飽きのこない味なので、日本茶や紅茶のように、毎日の習慣にしたい飲み物です」体内に余分な脂肪を増やさないため、食事の際には「腹八分目まで」を心がけるのもゴースト血管予防になるという。■運動で内皮細胞の結束を強める「日常に運動する習慣がない人は、血管がゴースト化するリスクが高いといえます。適度に運動することで内皮細胞どうしの連結が強くなり、消えてしまった壁細胞も復活。強い血管をつくることができます」【3】かかと上げ運動1)両足のかかとをゆっくり上げ、5秒間キープする。2)ゆっくりとかかとを下ろして、5秒数える。※1日30回。【4】スクワット1)肩幅に足を広げ、足先をやや外側に。2)息を吸いながらゆっくり腰を落とし、3秒間キープ。息を吐きながら元の体勢に戻る。※1日10回。【5】腕血管マッサージ1)上腕に手をあて、上下左右にねじるように動かす。2)下腕も同様に。3)ひじの外側と内側をよくもみほぐす。※1日1回。「体の中でいちばん毛細血管が多いふくらはぎを刺激するかかと上げ運動から始めましょう。デスクに座っても、立ちながらでもできます。1日30回行ってください。スクワットは足の血流を活性化させるためのものです」同じく毛細血管が集中している腕のマッサージも忘れずに。また、ゆっくりとした入浴、ぐっすりと眠ることも、ゴースト血管の予防には効果的だそう。どれかひとつでもよいので、自分にできそうなことを見つけて継続させていこう。
2019年03月13日「これまで血管にかかわる病気というと、動脈硬化などの太い血管の閉塞が危険視されてきました。しかし、それらにつながっている毛細血管の劣化が、がんと関係しているということが最近の研究でわかってきているんです」そう語るのは、『ゴースト血管をつくらない33のメソッド』(毎日新聞出版)の著者、大阪大学の高倉伸幸教授だ。「毛細血管は、いわば動脈・静脈などの主要な“幹線道路”につながり、市区町村や自宅前(周辺の細胞)まで続く道。全身に約37兆個ある細胞に酸素や栄養を運び、さらには二酸化炭素や老廃物を排出、免疫力も活性化させる機能を持ちます。毛細血管が機能しなくなると、必要な物質も届かず、人も住まなくなる。まるで“ゴーストタウン”となった周辺組織には、正しく栄養が行き届きません」もともと血液・腫瘍内科の臨床医として治療にあたっていた血管研究の第一人者である高倉教授は、がん患者の毛細血管は血流が悪く、老化で機能が衰えた毛細血管に似ていることに気づいたという。「がん細胞は健康な人にも生まれ、自分で細胞を増大させてバリアをつくります。免疫細胞がそれを見つけると退治してくれていますが、血管がゴースト化すると、免疫細胞がこのバリアに入っていけなくなり、がん細胞が増殖してしまうのです」それだけでなく、血管ゴースト化したままでは、抗がん剤もがん細胞に届かなくなってしまうという――。「毛細血管は、加齢によって衰えていきます。40代を過ぎると、老化とともに壁細胞が変形したり、なくなったりしてしまい、内皮細胞の機能も低下する。これらをさらに加速させるのが、高血糖と、喫煙や飲酒、ストレスによる酸化。血糖値が上がり、体が酸化していくと、壁細胞がダイレクトにダメージを受け、ゴースト血管になってしまうのです」ゴースト血管になると、壁細胞が失われ、内皮細胞どうしが無秩序に連結。酸素や栄養が正しく運ばれなくなるという。しかし、「何歳からでも、がんと闘う血管をつくることができる」と高倉教授は語る。「ゴースト化してしまった毛細血管は、生活習慣を改善することによってまっすぐに伸ばすことができ、本来の機能を取り戻せます。酸化を防ぐために喫煙やアルコールを控えるのはもちろん、血糖値を急激に高めるようなジュースの一気飲みは厳禁です」
2019年03月13日