歌舞伎俳優・中村勘九郎の長男・勘太郎(12)、そして次男・長三郎(10)。幼い頃から舞台に立ち続け、歌舞伎ファンの期待も大きい2人にインタビュー。2人は宮藤官九郎×中村勘九郎の強力タッグで2022年10月・11月に上演された新作歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』に出演しており、1月5日からは全国の映画館で「シネマ歌舞伎」としての上映を控えている。古典落語「唐茄子屋政談」に「不思議の国のアリス」の要素を織り交ぜた同作では、父・勘九郎が役をつとめる自己愛強めな若旦那や、叔父・中村七之助による花魁の傾城桜坂らとともに舞台に。不思議の国で子供の姿になってしまった若旦那(小)を勘太郎、長屋に住む貧乏親子の子供・イチと若旦那(超ミニ)を長三郎がつとめた。インタビューでは、ふだんの古典とは違う内容に苦労も多かったという同作について、また兄弟の性格の違いやお年玉の使い道などについても話を聞いた。○出演した新作歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』が「シネマ歌舞伎」として全国上映――『唐茄子屋 不思議国之若旦那』は宮藤官九郎さんが脚本・演出をつとめた新しい作品で、ふだん出演される作品とは違ったと思いますが、いかがでしたか?勘太郎:今までは昔からある古典の芝居をやっていたんですけど、今回はゼロから作らなければいけないので、稽古では毎日のようにセリフを変えたりして大変でした。長三郎:いつもの僕たちがやっている古典の歌舞伎とはまた別に宮藤さんの演出が入ることによって、難しくて、稽古も大変でした。――宮藤さんの面白さは感じましたか?勘太郎:感じました。長三郎:演出のしかた、「お芝居をこうやりたい」というところが面白かったです。勘太郎:若旦那のポーズとか、「あざーす!」というセリフとか、ふだんあんまり言わないので、難しかったです(笑)――お父さんの勘九郎さんが若旦那、勘太郎さんが若旦那(小)、長三郎さんが若旦那(超ミニ)と、3人で1人の役をつとめて、相談したことなどありましたか?勘太郎:まんじゅうを食べて池に飛び込むと姿が変わる演出なんですけど、その時の入り方や出方とか、どう変わるのかとか、みんなで相談しました。長三郎:お兄ちゃまが言った通り、池の場面の話し合いが多かったです。――そういう時の勘九郎さんは、優しいですか? それとも厳しいですか?長三郎:優しいし、怖いし、両方です! お家とは一緒じゃなくて。1つの役をやるから、みんなで合わせる演出の時は、間ぐらいの感じでした。――今回の『唐茄子屋』の好きなシーンを教えてください。勘太郎:冒頭のお祭りの場面で後ろの扉を開けるところ(舞台奥が開いて外の景色と一体となる平成中村座ならではの仕掛け)があるんですけど、扉を最初から使うので、面白いなあと思います。長三郎:見どころということですね。僕は2つあるんですけど、1つ目は、最初の橋のところです。始まる前に僕はおじじ(七之助)と一緒にいて、幕が開いてから橋の上とか色々と行くんですけど、そこをしっかり見ていると、僕とおじじは(わざと)避けてる人がいるんです。そこも映ってたら見てほしいです。勘太郎:そんなことしてたの!? あともう1つは?長三郎:あともう1つはパラレルワールドの吉原。たぶん昔あんな感じじゃないと思うんですけど、面白いです。勘太郎:歌舞伎というと、どうしても古典のような硬い感じだと思っちゃうかもしれないんですけど、『唐茄子屋』は笑えるところがあって、演出が面白いので、そこを見てほしいなと思います。長三郎:古典だと決まっている演出だけど、新作で宮藤さんが作っていて色々と変わっているから、そこが面白いので楽しみにしていてほしいと思います。――今回は「シネマ歌舞伎」として上映されますが、最近観て面白かった映画などはありますか?長三郎:僕が1番楽しみにしてるのは『ウィッシュ』かな。あと『ミュータント・タートルズ』(映画『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』)面白かったです!勘太郎:『マリオ』(『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』)は?長三郎:『マリオ』も面白かった。今年(2023年)めちゃくちゃ観てるじゃん! 『BLUE GIANT』って今年?勘太郎:『BLUE GIANT』、面白かった。長三郎:家族で観ました。――家族4人で映画に行くことが多いんですか?勘太郎:多いです。長三郎:みんなで帰りの車で曲を聴きます。勘太郎:主題歌の曲とかを聴きます。――勘九郎さん、七之助さんと一緒にお芝居をする機会も多いですが、憧れたり感謝したりすることはありますか?勘太郎:おーわん(勘九郎)がやったことがあるお芝居と、おじじ(七之助)がやったことあるお芝居が違うので、その時々に教えてもらうことができます。長三郎:2人ともいろいろと違うお芝居をやってきてるので、たとえば「連獅子」はおじじもお父ちゃまもやってるということは2つアドバイスをもらえるし、どちらかがやっていてもアドバイスをもらえるし、いいなと思いました。――歌舞伎の家に生まれたことについてはどう思っていますか?長三郎:びっくりしてます。勘太郎:びっくりしてるんだ。長三郎:やっぱりお芝居やってると大変だなあと思うこともある。そういう歌舞伎の家の子として生まれたから偉いってわけでもないし、偉くないってわけでもないので。勘太郎:そんなに気にしてないってこと?長三郎:気にしてないです。――お父さんが歌舞伎俳優で、自分も舞台に立つということについてはいかがですか?長三郎:緊張があります。勘太郎:責任は感じます。でもあんまり意識してないです。長三郎:してないよね? 2人とも。――ちなみに、長三郎さんの前髪はこだわりですか?長三郎:こだわりじゃないです。結構前だけど、ちっちゃい時に切ったのがずっと続いてるんだよね。これ、寝癖がついても水とブラシだけで一瞬で直っちゃうんです。勘太郎:それは、髪がつるつるだからだよ。長三郎:そうなの?勘太郎:そうです。長三郎:お気に入りというわけでもないし、似合ってるというわけでもないので、あんまり気にしてないです。(答えが)「気にしてない」ばっかりだったらだめかな?勘太郎:本心だからいいんだよ。長三郎:違う髪型でもいいし、あんまり気にしてないです。でも坊主はやだ!――勘太郎さんは、中学生になって変化はありましたか?勘太郎:やっぱり成長期なので、身長は伸びてきて、もうママは抜きました。161cmくらいです。長三郎:みんな抜くよね! 足の長さも半端ないよね? ぐっと伸びていくじゃん!○長男と次男、性格の違いは?――お話を聞いていると、兄弟でもお二人の性格が違うのかなと思ったんですけど、お互いにどういうふうに思っていますか?勘太郎:短気!長三郎:怒りっぽい!勘太郎:ポジティブです。長三郎:僕はポジティブですね。――やっぱりお互いに「違うな」と感じるんでしょうか?勘太郎:はい。僕はおとなしい方の性格だと思います。長三郎:内弁慶で、借りてきた猫。あなたは内弁慶で外弁慶。勘太郎:どういうこと?――これまでのお話の様子でも、勘太郎さんは穏やかなのかなという印象がありましたが…長三郎:穏やかではないなあ、それが!勘太郎:穏やかです。――いろいろ物語を自分で書かれることもあると聞きました。長三郎:それはこっち(勘太郎)です。お芝居を作って、総監督、演出家です。で、僕はおもちゃを貸したり、道具を集めたりとか。かわいい人形で文楽をします。勘太郎:動かせるやつならなんでも。長三郎:僕はごくごくたまにしか書かないです。(勘太郎に)最近ね、めちゃくちゃいいの作ったんだよね。2つも! 面白かったですよ!――たとえば、大きくなった時に、今回のように新しい歌舞伎の脚本を書いたりするのはどうですか?長三郎:もしあったら、演出は(勘太郎に)頼みます! 今のちっちゃい頃に作った芝居を思い出して書く可能性もありますね。――最後に、お正月ということで、お年玉で買いたいものはありますか?長三郎:お年玉で買いたいもの、何かな〜?勘太郎:お年玉は預かられちゃってるから、使えないです(笑)。貯金してます。長三郎:お年玉、ママに渡したらずっとママが預かってる。 使おうとする気持ちと、使いたくない気持ちがある。大人になったら、うわ〜っ! と。勘太郎:そんなに好き放題にやったらダメだよ。長三郎:「ガリガリ君」買いまくる!■三代目 中村勘太郎2011年2月22日生まれ、東京都出身。父は六代目中村勘九郎、母は女優の前田愛。2017年2月歌舞伎座『門出二人桃太郎』の兄の桃太郎で三代目中村勘太郎を名のり初舞台。2月は十八世中村勘三郎十三回忌追善「猿若祭二月大歌舞伎」に出演。■二代目 中村長三郎2013年5月22日生まれ、東京都出身。父は六代目中村勘九郎、母は女優の前田愛。2017年2月歌舞伎座『門出二人桃太郎』の弟の桃太郎で名のり初舞台。2月は十八世中村勘三郎十三回忌追善「猿若祭二月大歌舞伎」に出演。
2024年01月03日中村勘九郎と中村七之助ら中村屋一門が2005年から毎年行っている全国巡業公演。今年は『春暁特別公演』に続き、10月に『錦秋特別公演』が開催される。元々はファンから「地方にいるとなかなか歌舞伎を観に行くことができない」という手紙をもらったことで、「自分たちで全国各地に足を運ぼう」と始まった公演。2022年には47都道府県制覇も達成し、歌舞伎初心者でも楽しめる公演としてすっかり定着した格好だ。見どころについて勘九郎と七之助に聞いた。幕開きは、人気の「トークコーナー」から。勘九郎と七之助が演目を解説し、3年ぶりに質問コーナーも復活する。「歌舞伎の題名は漢字ばかりで難しいと思われがちなので、まずは分かりやすく解説して、心の垣根を取り払いたいなと(笑)。久しぶりの質問コーナーでは、やっとお客様とじかにやりとりできるのが嬉しいですね」と勘九郎。隣の七之助も「以前、お客様に『この後ごはんを食べに行きたいんですけど、どこがオススメですか?』と“逆質問”したことも(笑)。実際に2人で伺ったお店もあるんですよ」と笑顔を見せる。続いての『女伊達』は、江戸っ子の女伊達が上方の男伊達たちを前に威勢の良さを見せる、華やかな舞踊。注目の若手、中村鶴松が女伊達を演じる。「鶴松は最近メキメキと実力をつけていて踊りも達者。今回はあえて、スッと立っているだけでかっこいい女性の役をやりたいと言うので驚きました。彼のそんな役どころをあまり観たことがないので、私も楽しみなんです」と七之助は頼もしげに語る。最後は『天日坊』の一場面として描かれた浦島太郎と乙姫の物語を舞踊劇にした、『桑名浦乙姫浦島』(くわなのうらおとひめとうらしま)。舞踊としての上演は実に156年ぶりというから驚きだ。浦島役の勘九郎は「資料が残っていないので、浦島が題材の舞踊を皆で調べながら作っているところ」と苦労を語りつつ、「ご家族で楽しんでいただけるものを、という気持ちは毎回変わらないので、今回はタイやヒラメに加えてタコも出すことに。お子様も無理なく楽しめますよ」と話す。乙姫役の七之助も「皆で一所懸命作って、それをお子様から年配の方まで楽しんでいただくのが特別公演」と口を揃えた。歌舞伎ファンにとっても、特別公演は貴重な演目が観られる機会だ。勘九郎は「出来上がるまでは大変ですが、作品をうまくお客様に届けられた瞬間は格別。今後もずっと続けていきたい」と意気込んだ。取材・文:藤野さくら
2023年07月13日歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助が16日、兵庫県姫路市で開催される『平成中村座姫路城公演』(5月3日〜27日)の大阪・カンテレ本社で行われた取材会に出席した。2000年に東京・浅草にて初公演、日本国内はもとより海外でも開催されてきた『平成中村座』が、世界遺産登録30周年を迎える国宝・姫路城で初上演される。天守閣を望む三の丸広場に江戸時代の芝居小屋を再現した劇場が設けられるほか、伝統工芸や姫路の特産品などの店が軒を連ねる“三十軒長屋”も出店。勘九郎は「江戸にタイムスリップして芝居を楽しんでいるかのよう」と話す。今回は姫路城が舞台の「播州皿屋敷」、「天守物語」など『平成中村座』では初上演の演目も。なかでも七之助が演じる「天守物語」の妖かしの姫・姫路城の天守閣に棲む天守夫人富姫は、当代随一の女形といわれる坂東玉三郎が何度も演じてきた役とあり、「この姫路城公園がなければ、自分からやりたいと言えるような作品じゃなかった」と語る。そんな大きな覚悟を持って臨む今作品では、玉三郎が演出を担当。七之助は「玉三郎おじさまが付きっきりで稽古をつけてくださっている。そんな熱い思いを受け取っているので、身を引き締めてやらなければ」と意気込み、「僕の力だけでなく、姫路城のすばらしいパワーを借りて演じたい」と力を込めた。『平成中村座』を立ち上げた2人の父で歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが亡くなってからおよそ10年。「大きな喪失感を覚えていましたし、父がいない、後ろ盾がないことでいろんなことがありました」と振り返った勘九郎は「それでもめげずに突き進めたのは、父を愛してくれたみなさまのサポートがあってのこと。その恩返しのためにも、いいものを作り続けなければならない」としみじみ。「父が残してくれた『平成中村座』は、僕たちが一生をかけて発展させていかなければならないという宝物で、宿題をもらったと感じています」と公演にかける思いを語った。今回の姫路城公演の前売りチケットはまもなく完売。今後立ち見席の発売も予定されているというが、勘九郎は「チケットをお持ちでない方に朗報です」と前置きし、『平成中村座』恒例のある演出について説明。「なので、タイミングを見計らって劇場の後ろに回ると……(笑)」と、思わぬものが見えてしまうかもしれない“裏技”をぶっちゃけて笑わせていた。
2023年03月16日2005年から毎年、中村勘九郎・中村七之助ら中村屋一門が全国を巡業、初めて歌舞伎を観る人も楽しめる演目で人気の『春暁特別公演』。元々は若いファンから“地方にいると交通費や宿泊費がかかって、なかなか歌舞伎を観に行くことが出来ない”という手紙をもらったことから、「自分たちから全国各地に足を運ぼう」とスタートした公演。今回も勘九郎がドラマで演じて話題となった「中村仲蔵」ゆかりの舞踊や美しい姫君の毛振り、素顔が垣間見えるトークコーナーなど見逃せない舞台となりそうだ。それぞれの見どころを勘九郎と七之助に聞いた。幕開けは、勘九郎と七之助、そして中村鶴松によるトークコーナーから。「客席の地元の方たちと、その土地ならではのお話ができるのが楽しみ。飾らない素の僕たちを見ていただけたら」と顔をほころばせる勘九郎。七之助もうなずきながら「何度も行っている土地ですと、必ず行く神社やなじみのお店もできるので、そこにまたうかがえるのも楽しみなんですよ」と話す。続いては、澤村國久や中村いてうをはじめとする中村屋一門が華やかにそろう『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』。桜が満開の上野の山に、武士や町人、若衆、遊女などが花見に集う様子を描く。勘九郎が「まずは華やかな衣裳を見て楽しんでいただいて」と言うと、七之助も「一緒にお花見をする気分でね」と微笑む。3つめの演目は、『仲蔵狂乱』。ドラマ『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』で勘九郎が仲蔵役を圧巻の迫力で演じきり、大きな注目を浴びたことは記憶に新しい。本作はその仲蔵ゆかりの演目だが、今では上演されることが少なくなっているのだという。「手前味噌なんですが、ドラマは歌舞伎関係者にも良かったと言っていただくことが多くて、すごく力になっています」と勘九郎。「ただ、この演目は仲蔵さんが出てくる作品ではなくて(笑)、人気の彼が踊ったからその名前が付いてしまったというもの。僕は、娘の小野小町を悪人から逃すため狂人の振りをする小野良実を演じます。当時の仲蔵さんが踊っていた振りというのが、今の舞踊とは少し違っていてなかなか難しいのですが、今回は貴重な機会と思って挑戦します」と表情を引き締める。最後は、七之助と鶴松の『相生獅子』。姫君が花や蝶に戯れる獅子の姿を踊るうちに獅子の精に取りつかれ、勇壮な毛振りでクライマックスを迎える。「お姫様の扮装で毛振りをするのは、バランスが取りにくくて大変ですね。姫君ですので脚を踏ん張るわけにはいかないですし(笑)。それでも鶴松と共に美しくお見せできれば」と七之助。その鶴松には「自主公演も見事にやり切って、今とてもいい時期。1つひとつの役に丁寧に挑んで、これからますます活躍していってほしい」と期待を寄せる。2023年も波に乗る勘九郎、七之助ら中村屋一門の華やかな『春暁特別公演』。ぜひ春の訪れを舞台と共に客席で味わってほしい。取材・文:藤野さくら
2023年01月04日2023年3月に全国12カ所で行われる『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2023』のオンライン合同取材会を12月14日(水) に実施。毎年恒例となった巡業への思い、そして各演目の解説、見どころを中村勘九郎、中村七之助が語った。2005年からスタートした〈春暁特別公演〉は、時期によって〈錦秋〉〈新緑〉〈陽春〉と銘打ち回を重ねながら、来春で18回目を迎える。これまでに行った公演を含めて、2022年の春には全国47都道府県を制覇するという偉業も成し遂げた。始まった当初は「こんなに長く続くとは思っていなかった」という勘九郎は、「過去の芸談コーナーで〈継続は力なり〉という話をしたこの巡業ですが、私たちはもちろん、中村屋の弟子たちも含め、みんなの力になっていますし、特別公演をきっかけに、歌舞伎座や中村座、他の劇場に足を運んで下さる新たなお客様が増えたことも、続けてきたおかげだと感じています。コロナがまだ不安定な状況ではありますが、来年も全国を巡業ができることは、本当にありがたいことだと思っております」。七之助は「今回も含めてコロナ禍で巡業を行うこと自体が難しかったり、歌舞伎座や東京、大阪といった大都市に行きづらいという地方のお客様も多いなか、私たちがいろいろな場所へ伺い、歌舞伎を見る機会を作ることできるのが、本当に嬉しいです。中村屋一丸となって、一生懸命良い舞台をみなさまにお見せできたら」と、思いを語る。中村勘九郎今回の『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2023』は、「トークコーナー」「元禄花見踊」「仲蔵狂乱」「相生獅子」で構成。勘九郎、七之助、鶴松が参加するトークコーナーについて、勘九郎は「全国どこに行っても歌舞伎に縁があったり、史跡があったりするので、地元の方たちとお話できることが和気藹々として楽しいですね。歌舞伎は伝統芸能で、堅苦しくて敷居の高いイメージがあるので、まずはお客様の心の壁を取っ払って演目を見ていただきたいという気持ちがあります。ですので、できるだけ素の部分というか、飾らないことを意識してお話をするように努めています」。七之助は「兄が言った通りで、地元のお客様と出会えることはもちろん、何度か伺った土地には、馴染みの店や必ず行く場所があります。私事ではありますが、私がMCを務めているラジオ番組のInstagramのために、劇場の近くの名所や神社、歌舞伎に縁のある場所に行くようにしてるので、トークの幅は広がったと思います。事前に頂いたお客様の質問を通じていろいろなコミュニケーションが取れるのがいいですね」とコメント。以前のように手を挙げた方と直接話すことは叶わない時期ながら、その土地ならではの話題が飛び出すトークコーナーを楽しみにしている様子だった。中村七之助「元禄花見踊」は春にぴったりの華やかな演目となる。七之助は「トークコーナーを経て〈春暁特別公演〉の歌舞伎、その踊りの一発目なので、何も考えずに綺麗なものを見ていただいて、その歌舞伎の世界観に入っていただこうかなと思うような踊りです。一緒に花見をするような気分でご覧いただければ幸いです」、勘九郎は「元禄期の男と女が華やかに踊るので、まずビジュアルが見どころ。衣装の美しさや当時の頭のかつらのゆい方を、目で楽しんで頂ける演目です」と紹介した。「仲蔵狂乱」の上演は、本興行では昭和35年の歌舞伎座以来。2021年にNHKで放送された「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」で中村仲蔵を演じた勘九郎にとっても縁のある演目と言える。出演する勘九郎は「なかなか本興行で出ない珍しい踊りを披露するのも、この特別公演のいい部分。仲蔵さんが出世をしていくサクセスストーリーは、落語や講談でも有名ですが、彼は志賀山流の養子になった踊りの名手です。いまでも〈仲蔵振り〉は受け継がれている、なかなかいない歌舞伎役者の一人でもあります。〈狂乱雲井袖〉という本外題ですが、中村仲蔵さんが出てくるわけではなく、でも仲蔵さんが有名だから仲蔵狂乱という名前が入ってしまうぐらいの狂言なんですね。とてもしっとりとした、私もあまり手掛けたことのないような踊りだと思います。気が狂っていると偽っている役なので、踊りの中でその部分と正常な部分を踊り分けて見せるのが見どころのひとつなのですが、すごい細かいんです(笑)。この難しい踊りを、現代のお客様にどれだけ楽しんで頂けるかが、踊り手の腕の見せ所。久しぶりの演目、そして仲蔵さんという私たちにとっても縁のある人物が演じた役ということで、楽しんでいただければと思います」と意気込んだ。ラストを飾る「相生獅子」は、七之助と鶴松が二人の美しい姫を演じる。七之助は「石橋物のなかでも古い作品で、前半はお姫様が二人出てきて華やかに女心だったり、口説きを見せる、品良く綺麗な格式高い踊りをご覧いただき、最後は獅子になって出てきます。お姫様の恰好で毛を振るという珍しい形の踊りなので、一つの相生獅子という演目のなかで、いろんなバージョンの二人が見れる作品です」と説明。「鶴松と二人でがっつり踊ることもなかなかないんじゃないかと思います」とのことで、そこも見どころとなりそうだ。公演を楽しみにしている方へのメッセージを求められた勘九郎は「コロナという流行り病が出てから早三年、日頃から何かに気を付けなければいけなかったり、これまでと勝手が違ったりするなかで、鬱々とした気分を持たれている方もいらっしゃると思います。本当に短い時間ではございますが、劇場で芝居を見ている間だけは、その気分を忘れて頂けるよう美しい世界に誘いたいですし、一生懸命私たちも切磋琢磨しようと思っています。春爛漫のひとときを楽しんで頂ければ嬉しいです」。七之助は「毎年恒例の巡業が今回もできる喜びを噛みしめながら、私たちの体調面やスタッフもコロナ対策バッチリで、安全安心に見ていただけるよう気を引き締めて参りたいと思います。全国12カ所24公演、一つ一つの公演を一生懸命踊りたいと思っておりますので、ぜひ足をお運びください。よろしくお願いします」と締めくくった。取材・文=長澤香奈撮影=福岡諒祠(株式会社GEKKO)<公演情報>『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2023』『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演 2023』ビジュアル【演目】※上演時間約2時間予定1. トークコーナー中村勘九郎/中村七之助/中村鶴松2. 元禄花見踊 長唄囃子連中門弟 一同3. 仲蔵狂乱 長唄囃子連中小野良実(おのよしざね) 中村 勘九郎4. 相生獅子 長唄囃子連中姫 中村七之助姫 中村鶴松【日程・開催地】■2023年3月6日(月) 東京・北とぴあ さくらホール3月9日(木) 千葉・千葉市民会館 大ホール3月10日(金) 埼玉・川口総合文化センター・リリア メインホール3月11日(土) 東京・ティアラこうとう 大ホール3月12日(日) 長野・まつもと市民芸術館 主ホール3月13日(月) 神奈川・相模原女子大学グリーンホール 大ホール3月15日(水) 大阪・サンケイホールブリーゼ3月18日(土) 岩手・盛岡市民文化ホール 大ホール3月19日(日) 宮城・名取市文化会館 大ホール3月21日(火) 福岡・キャナルシティ劇場3月22日(水) 広島・広島文化学園HBGホール3月23日(木) 愛媛・松山市民会館 大ホール公式HP:
2022年12月24日歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部『安政奇聞佃夜嵐』が8月5日から東京・歌舞伎座で上演されるのに先駆け、物語の主人公となる青木と神谷を演じる松本幸四郎、中村勘九郎のコメントと2ショット写真が到着した。本作は明治の初めに実在した脱獄事件をもとに、大正3(1914)年に古河新水(十二世守田勘弥)が、時代設定を世情不安定な安政期に改め、書き下ろした世話物。人足寄場(監獄)で苦役の日々を過ごす青木と神谷の2人が隅田川を渡る脱獄を計画するところから物語は始まり、2人が隅田川を泳いで脱獄するシーンは、青木と神谷による面白味あふれるやりとりが人気の名場面となっている。本作について幸四郎は「曽祖父の初代吉右衛門と六代目菊五郎で上演しているのに、知っているのは島抜けの泳いでいくところくらいで、そこが昔からすごく気になっていました(笑)。その場面の写真は「菊・吉」といえば必ず出てくるものだったので。勘九郎さんと一緒にやりたいお芝居の最たるもので、その機会がきて本当に良かった!なんでかは分からないけれど(笑)」とコメント。勘九郎は「『島抜け』というワードが出てきた時に、子供の頃に六代目(菊五郎)の曽祖父の写真集で、おじい様の泳いでいる姿と播磨屋さんが水を怖がっている写真を見て、子供心にも面白くて惹かれたのを思い出しました。子別れや敵討ちもありますが、歌舞伎ならではのばかばかしさもあって、『歌舞伎』が詰まった作品ですよね。引いて見るとちょっと間抜けな人たちの話ですが、頑張って生きている人の姿が短いなかに詰まっている気がします。」と語った。(C)松竹また「島抜けの場面の、泳げる青木と泳げない神谷の関係性をどう見せるか。『〇〇島からの脱出!』みたいな壮大な感じではないけど(笑)。やっぱりこの二人ならではの息であったり、お客様がそこで安心する、共感する意味での反応を貰える芝居にしたい。上演をあまりいろんな方でやられていない作品だからこそ、これは二人でしかできないだろというところを目指したいですね。勘九郎さんと僕の二人の芝居で歌舞伎を堪能してもらいたい!季節感をさしおいてでも、今一番そこを楽しんでいただける作品ではないかと思っています。役者が生で、舞台で、お芝居をする、芸をお見せする、それをお客様に堪能していただくというところを目指して選んだ作品です。」(幸四郎)、「幸四郎さんと僕には『かわいらしさ』があると思うんですよね(笑)。悪いやつなんだけど、どこか憎めないチャーミングさが出せたらいいなと。僕が演じる神谷は水がだめなんですが、川を渡る場面で幸四郎さん演じる青木が神谷を『安心させる』とト書きがあるので、今回は青木がいったいどう安心させてくれるのか楽しみにしてます(笑)」(勘九郎)とそれぞれ意気込みを寄せている。(C)松竹<公演情報>歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部『安政奇聞佃夜嵐』8月5日(金) ~30日(火) 東京・歌舞伎座出演:松本幸四郎(青木貞次)、中村勘九郎(神谷玄蔵)ほか歌舞伎座 公式サイト:
2022年08月04日中村勘九郎主演の“スペクタクルリーディング”『バイオーム』が6月8日(水)、東京・池袋の東京建物Brillia HALLにて開幕する。本作は、宝塚歌劇団で多くの名作を生み出してきた上田久美子による書き下ろしの戯曲を、NHK『麒麟がくる』『精霊の守り人』を手がけた一色隆司が演出する“五感を揺さぶる”と銘打たれた朗読劇。物語の舞台はとある政治家一家の庭。一家の8才の長男・ルイは夜な夜な庭に抜け出し、家政婦の孫・ケイと共にクロマツの下でフクロウの声を聴きに来る。そんなふたり見守る庭の一重の薔薇と竜胆(りんどう)、クロマツ、セコイア、クロマツの芽はゆったりと会話する。しかし人間たちは……。息子の行動が理解できず心を病み、怪しげなセラピーに没頭する母親と家庭を顧みるいとまのない父親、政治家一族の家長としてルイを抑圧する祖父、花療法士、いわくありげな老家政婦とその息子の庭師。それぞれの思いが渦巻き悩み続ける。主演の中村勘九郎をはじめ、花總まり、古川雄大、野添義弘、安藤聖、成河、麻実れいという豪華キャスト全員が2役を担う本作。なかでも8歳の男の子と女の子を演じる勘九郎は、繊細で庭の植物やフクロウと対話し安らぎを求めるが、時に暴走してしまうルイと、天真爛漫だけれど冷静なケイの2役を見事に演じた。勘九郎以外のキャストはそれぞれ人間と植物の2役を演じるが、本音を押し殺し、様々な思惑を抱える人間たちは緊張感ある演技で表現、植物を演じる時は、勘九郎が製作発表時のインタビューで「植物同士の会話がとても楽しいんです」と語っていた通り、大らかな、そして時にコミカルな演技で観客の笑いを誘った。(参照: 「五感を揺さぶる朗読劇と銘打つ公演に、中村勘九郎が8歳の子どもになって登場。どんな驚きが待っているか!」() )舞台上に設えられた白いストリングカーテンには場面ごとに映像が映し出され、植物を演じる時のキャストの動き、音(またはハミング、歌)など、観客の想像力を掻き立てる演出は従来の朗読劇とはスケールも趣も異なる。まさに五感が刺激される朗読劇をぜひ劇場で体感してほしい。公演は6月12日(日)まで。【キャストコメント】「スペクタクルリーディング」を目の当たりにし、震えました。中村勘九郎(ルイ・ケイ役)最初は朗読劇として進めていたのですが、稽古を進めていくうちに作品がどんどん進化していき、ついていくのが大変でした(笑)。今でも難しく感じておりますが稽古中は皆様に助けていただきながら進められたので、短い期間で充実した稽古でした。本作は配信もございますので、映像ならではの美しさをおうちでも楽しんでいただけること間違いなしです。大変な状況下ではありますが、メッセージ性の強い作品になっておりますので、是非ご覧いただき、多くのものを感じ取っていただけたらと思います。花總まり(ルイの母親怜子・クロマツの芽役)スペクタクル・リーディングって?と頭にはてなが飛んだ当初から気がつけば2週間余りのお稽古期間はアッという間に過ぎて、初日は目の前。まだ迷いや不安との闘い中ですが、今までに経験したことのない2つの対照的な役に全力で立ち向かっております。素晴らしい共演者の方々と共に千穐楽まで全集中で駆け抜けたいと思っておりますので、ご覧になるお客様には濃密でセンシティブな舞台時間を共に味わっていただければと思っております。古川雄大(庭師野口・一重の薔薇役)稽古の一瞬一瞬がとても刺激的で、あっという間に過ぎていきました。それと同時に、上田さん一色さんという最高のタッグに、尊敬する先輩方と共に過ごす時間は濃密に感じました。そして、わずかな時間で着実に出来上がっていく「スペクタクルリーディング」を目の当たりにし、震えました。僕も野口・イングリッシュローズとしてこの世界に立てることを幸せに思いながら、これから千穐楽まで役を全う出来るように努めます。皆様、ご期待ください。野添義弘(ルイの祖父克人・クロマツの盆栽役)スペクタクルリーディングという言葉は、今回初めて目にしました。スペクタクル? どうなるのか? 全く予想がつかなかったのですが稽古に参加する度に、なるほど! なるほど!と思えるようになりました。まさにスペクタクルリーディングです。これがスペクタクルリーディングです。皆様同様、私も初めての体験です。ドキドキワクワクしながら演じたいと思います。皆様もスペクタクルリーディングの世界にドップリと浸かって下さい。安藤聖(花療法士ともえ・竜胆役)経験したことも目撃したこともない朗読劇に仕上がっています。タイトル通り、スペクタクルなリーディング劇です。なので稽古中は、これか? これか!!と、様々な課題に頭がフル回転していました、頭も身体も疲れ切っているはずなのに楽しんで稽古に参加できたのは、素晴らしい共演者の皆さま、スタッフの皆さまがいてくれてのことです。迎える本番では、ここまでのプロセスをしっかりお客さまに観ていただけるよう、そして作品を存分に楽しんでいただけるよう、思いを込めて舞台に立ちます。成河(ルイの父親学・セコイア役)試演としての朗読劇からは随分とはみ出して欲張ったものになっていると思います。3週間あるんだったら覚えませんか、などと焚き付けてしまった責任の一端も感じつつ、これは吉と出るか凶と出るか、ドキドキしております。ミクロな視点とマクロな視点を行き来する非常にダイナミックな戯曲です。この戯曲の持つスケールと繊細さを損なわないよう、細心の手付きと集中力で5日間、お客様と共に作品を育てて行ければと思います。よろしくお願いします。麻実れい(家政婦ふき・クロマツ役)頂いた本に初めて目を通した時、私にはとても難解な作品と感じましたが読み込んでいくうちに、ふきと植物たちを通して、生きていく強さと温かさが私の中に広がり始めました。この気持ちを最後まで育み、皆様にお渡しできたらと願っています。スペクタクルリーディング『バイオーム』2022年6月8日(水)~12日(日)◎6月11日(土)17:00公演は国内・海外ライブ配信あり※6月14日(火)までアーカイブあり会場:東京建物Brillia HALL作:上田久美子演出:一色隆司出演:中村勘九郎/花總まり古川雄大/野添義弘安藤聖/成河/麻実れい
2022年06月08日スペクタクルリーディング『バイオーム』の公開ゲネプロが7日に東京・東京建物 Brillia HALLで行われ、中村勘九郎、花總まり、古川雄大、野添義弘、安藤聖、成河、麻実れいが登場した。物語はとある屋敷の庭を舞台に繰り広げられ、主人公は8歳の男の子・ルイ(中村勘九郎)。政治家一家の婿養子である父(成河)は家族を顧みるいとまがなく、心のバランスを欠いた母(花總まり)は怪しげたセラピーに逃避と、さまざまな思惑が渦巻く家族の行く末を植物たちが取り巻く物語となっている。宝塚歌劇団を退団した上田久美子が脚本、ドラマ・舞台等多岐にわたるジャンルの作品を手掛ける一色隆司が演出を務め、キャストは全員が2役を演じている。公演は東京建物6月8日〜12日。6月11日17時公演の国内・海外ラィブ配信も決定した。○ルイ・ケイ役:中村勘九郎 コメント最初は朗読劇として稽古を進めていたのですが、稽古を進めていくうちに作品がどんどん進化していき、ついていくのが大変でした(笑) 今でも難しく感じておりますが稽古中は皆様に助けていただきながら進められたので、短い期間で充実した稽古でした。本作は配信もございますので、映像ならではの美しさをおうちでも楽しんでいただけること間違いなしです。大変な状況下ではありますが、メッセージ性の強い作品になっておりますので是非ご覧いただき、多くのものを感じ取っていただけたらと思います。○怜子・クロマツの芽役:花總まり コメントスペクタル・リーディングって? と頭にはてなが飛んだ当初から気がつけば2週間余りのお稽古期間はアッという間に過ぎて、初日は目の前。まだ迷いや不安との闘い中ですが、今までに経験したことのない2つの対照的な役に全力で立ち向かっております。素晴らしい共演者の方々と共に千穐楽まで全集中で駆け抜けたいと思っておりますので、ご覧になるお客様には濃密でセンシディブな舞台時間を共に味わっていただければと思っております。○野口・一重の薔薇役:古川雄大 コメント稽古の一瞬一瞬がとても刺激的で、あっという間に過ぎていきました。それと同時に、上田さんー色さんという最高のタッグに、尊敬する先輩方と共に過ごす時間は濃厚に感じました。そして、わずかな時間で着実に出来上がっていく「スペクタクルリーディング」を目の当たりにし、震えました。僕も野口・イングリッシュローズとしてこの世界に立てることを幸せに思いながら、これから千穐楽まで役を全うできるように努めます。皆様、ご期待下さい。○克人・クロマツの盆栽役:野添義弘 コメントスペクタクルリーディングという言葉は、今回初めて耳にしました。スペクタクル? どうなるのか? 全く予想がつかなかったのですが稽古に参加するたびになるほど! と思えるようになりました。たのですが稽古に参加する度になるほど!まさにスペクタクルリーディングです。これがスペクタクルリーディングです。皆様同様、私も初めての体験です。ドキドキワクワクしながら演じたいと思います。皆様もスペクタクルリーディングの世界にドップリと浸かって下さい。○ともえ・竜胆役:安藤聖 コメント経験したことも目撃したこともない朗読劇に仕上がっています。タイトル通り、スペクタクルなリーディング劇です。なので稽古中は、これか? これか!! と、様々な課題に頭がフル回転していました。頭も身体も疲れ切っているはずなのに楽しんで稽古に参加できたのは、素晴らしい共演者の皆さま、スタッフの皆さまがいてくれてのことです。迎える本番では、ここまでのプロセスをしっかりお客さまに観ていただけるよう、そして作品を存分に楽しんでいただけるよう、思いを込めて舞台に立ちます。○学・セコイア役:成河 コメント試演としての朝読劇からは随分とはみ出して欲張ったものになっていると思います。3週間あるんだったら覚えませんか、などと焚き付けてしまった責任の一端も感じつつ、これは吉と出るか凶と出るか、ドキドキしております。ミクロな視点とマクロな視点を行き来する非常にダイナミックな戯曲です。この戯曲の持つスケールと繊細さを損なわないよう、細心の手付きと集中力で5日間、お客様と共に作品を育てて行ければと思います。よろしくお願いします。○ふき・クロマツ役:麻実れい コメント頂いた本に初めて目を通した時、私にはとても難解な作品と感じましたが読み込んでいくうちに、ふきと植物たちを通して、生きていく強さと暖かさが私の中に広がり始めました。この気持ちを最後まで育み、皆様にお渡しできたらと願っています。
2022年06月07日中村勘九郎、七之助を中心に中村屋一門が出演して、2005年から毎年全国を巡業してきた『春暁特別公演』『陽春特別公演』。2020年には一度中止になったものの、2021年の「春暁」には勘九郎の息子である勘太郎と長三郎が巡業公演に初参加、大きな話題を呼んだ。元々は、若いファンから“地方に住んでいると、交通費や宿泊費がかかってなかなか歌舞伎を観に行くことが出来ない”という手紙をもらったことから始まったという、兄弟ふたりが中心の巡業公演。今年も趣向を凝らした演目を用意し、「全国の皆様に楽しんでいただけるように」(勘九郎)と意気込んでいる。まずは勘九郎と七之助、さらに中村屋の部屋子で十八代目勘三郎から「第三の息子」と呼ばれた鶴松を中心に、3月6日から全国16ヶ所を回る『春暁特別公演 2022』。勘九郎と鶴松が出演する「高坏」は、コミカルなストーリーと、次郎冠者(勘九郎)が高下駄で軽快に“和製タップ”を踏むのが見どころだ。七之助が4役を演じる「隅田川千種濡事」も、わずか数秒の早替り(舞台上での早替りも!)で毎回盛り上がる人気の演目。勘九郎は「『高坏』は、父も祖父も踊ってきた中村屋を代表する作品。高下駄で踊る技術も必要ではあるのですが、まずは桜満開の下で踊る春の雰囲気を楽しんでいただけたら」と話す。そして3月30日から全国5カ所を巡る『陽春特別公演 2022』は、勘太郎・長三郎の「玉兎」と、勘九郎・七之助が出演する「色彩間苅豆」の2演目。「玉兎」は元々ひとりの舞踊で、勘太郎が歌舞伎座でも魅せてくれた演目だ。今回は長三郎が加わり二羽の兎に扮する珍しいバージョン。一方の「色彩~」は男女の因果因縁を描いた物語で、百姓与右衛門、実は浪人久保田金五郎を勘九郎が、悲しい運命に翻弄される腰元かさねを七之助が演じる。「親の怨念から顔が醜く変わってしまう哀しい女性ですが、与右衛門への気持ちを大切に」と七之助。勘九郎も「今の女性にも共感していただけるのでは」と語る。また、毎年オンエアされているテレビ番組でも微笑ましい成長ぶりが注目されている勘太郎と長三郎。今年11歳と9歳になるふたりながら、舞台上では芝居心あふれる姿をしっかりと見せてくれる。「最近はいっそう稽古事に身が入っていて、とても心強いですよ」と勘九郎も“共演者”として頼もしげだ。「春暁」「陽春」共にトークコーナーとミニ歌舞伎塾もあるので、歌舞伎ファンはもちろん、歌舞伎ビギナーも盛り上がり必至。楽しみな本番に期待したい。取材・文/佐藤さくら
2022年01月24日『十二月大歌舞伎』が12月1日、東京・歌舞伎座で開幕した。この度、第二部『ぢいさんばあさん』に出演する尾上菊之助と中村勘九郎からのコメントが到着した。歌舞伎座12月公演『十二月大歌舞伎』の第二部で上演される『ぢいさんばあさん』は、森鷗外の短編小説を原作に劇作家の宇野信夫が作・演出を手がけ、昭和26(1951)年に初演された新歌舞伎である。変わらぬ夫婦愛を描いた名作に今回初役で挑戦するのが、尾上菊之助と中村勘九郎。歌舞伎はもちろん、連続テレビ小説への出演や大河ドラマなど映像ジャンルでの活躍も記憶に新しい両者だが、今回は約5年ぶりに夫婦役での共演となる。演じるのは、それぞれの父、そして祖父も勤めてきた伊織とるんというおしどり夫婦。1年を締めくくる12月にほっこりと心あたたまる愛情物語を堪能してほしい。尾上と中村からのコメントは以下の通り。――『ぢいさんばあさん』の思い出、作品の印象菊之助:若夫婦のきくという役でこれまで2回出させていただいて、その時は父(尾上菊五郎)がるんを勤めておりました。お互いのことを「思う」、「偲ぶ」、「慈しむ」という、なかなか今では感じづらくなっている日本人の大事にしなければいけない心というものがこの作品にはこもっていると感じておりました。今回は勘九郎さんと一緒に勤めさせていただきますけれども、ふたりでこの心を大切にしながら、先人たちが築き上げてきた心を大事にしながら勤めていきたいと思います。勘九郎:私は弟の久右衛門を勤めさせていただいたことがあります。その時は父(十八代目中村勘三郎)が伊織を演じており、るんを玉三郎のおじさまが演じておりました。久右衛門は最初の場面で出番が終わってしまうのですが、そのあとの二場面を毎日のように拝見して、演じていないのに毎日涙が出ていた記憶があります。すごくあったかい作品でもありますし、父や祖父のようにチャーミングで可愛らしい伊織や夫婦像というのを菊之助さんとともにできればいいなと思っております。――久々の夫婦役での共演、若手との共演について菊之助:5年ぶりなんですね、勘九郎さんと夫婦を演じさせていただくのが。その時も色々お話をさせていただきながら作り上げていった思い出もありますので、今回もふたりで話し合いながら作り上げていければという風に思っております。今回若手の歌昇さんや尾上右近さんたちとも一緒に舞台を作っていますが、みんな本当にこの作品を良くしようという心意気が一つの方向に向かっています。一場面一場面、みんなで作り上げていくお芝居だという風に改めて感じています。勘九郎:5年前演じさせていただいた時もバカップルというか…イチャイチャが激しい夫婦を演じさせていただいて、今回の伊織とるんも上品ではありますけれども負けず劣らずのおしどり夫婦です。今、稽古をしながら2日間とも違った感じというか、毎回新鮮にできるというのがすごく幸せです。本当に信頼しきっている方なのでとても楽しいです。――意気込み菊之助:ばあさんのるんを勤めさせていただきます。結婚して赤ちゃんも生まれたばかりの夫婦が別れ別れになって、今度会うときには姿形はおばあさんとおじいさんになっている…。勘九郎さん演じる伊織との日々の舞台での化学反応を楽しみながら、37年という時間をかみしめながら日々勤めたいと思っております。勘九郎:今、まだコロナ禍ということで大切な人、会いたい人に会えない時代で、とてもお客様の心に刺さる作品になっているなと思います。先人たちが築き上げてきたすばらしい演出や、技というものを受け継ぎながら、今の私たちの心を入れて勤めたいと思っております。ほっこりできる作品ですのでぜひ劇場へ足をお運びください。『ぢいさんばあさん』 あらすじとみどころおしどり夫婦を描いたあたたかい愛情物語江戸番町に住む江戸大番役の美濃部伊織と妻るんは評判のおしどり夫婦。子どもも生まれ幸せに暮らしていた矢先、伊織は喧嘩で負傷した義弟の宮重久右衛門に代わり 1 年間単身京都で勤めをすることになる。翌年の桜時の再会を誓い別れる二人。ところが、伊織は京でふとした弾みから同輩の下嶋甚右衛門を誤って斬ってしまい、越前にお預けの身となって江戸への帰参が叶わなくなってしまう。月日は流れ、二人が離れ離れになってから37 年 、罪が許された伊織とるんはようやく再会の日を迎える。前半の心浮き立つ若夫婦の初々しいやり取り、後半の時が流れお互い白髪となった二人が寄り添って交わすしみじみとした会話に胸を打たれる、変わらぬ夫婦愛を描いた名作。『十二月大歌舞伎』は12月26日(日)まで、東京・歌舞伎座にて午前11時~(第一部)、午後2時30分~(第二部)、午後6時~(第三部)の三部制(各部総入れ替え、幕間あり)で上演。
2021年12月01日歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助が9月24日、オンライン発表会見を行い、TBS赤坂ACTシアターで上演されるTBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」(11月11日~)への意気込みを語った。十八代目中村勘三郎が2008年にスタートさせた名物シリーズ「赤坂大歌舞伎」。2013年からは中村勘九郎、中村七之助兄弟が亡き父の遺志を継ぎ、公演を重ねてきたが、昨年5月に予定されていた6回目の上演は、コロナ禍の影響で中止を余儀なくされ、演目も新たに今秋の上演が改めて決定した。今回上演される演目は『廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと』、『越後獅子(えちごじし)』、『宵赤坂俄廓景色(よいのあかさかにわかのさとげしき)』の3作。『廓噺山名屋浦里』は笑福亭鶴瓶の落語をもとに、「この落語を歌舞伎にしたい」と熱望した勘九郎が七之助らとともに舞台化し、今回が5年ぶりの再上演となる。勘九郎は初演を振り返り、「ラストは大団円というより、美しさと幻想の中で終わるので、カーテンコールが起こる演目ではないが、実際にはカーテンコールが起こって、拍手も鳴りやまなかった。鶴瓶さんとタモリさんがいらっしゃっていて、おふたりも舞台にあがって一緒にご挨拶してくださった」としみじみ。昨年の中止については「あとは稽古に入るだけという段階だったので、とても残念でしたし、悔しい思いをした。去年の分も今年にかけている」と闘志を燃やしていた。七之助も「花魁浦里は女形の後輩に人気があって、終わった後、ここぞとばかりに『やりたい、やりたい』とみんな楽屋にやって来た」と初演での印象的なエピソードを回想。「女形は一生懸命汗水たらしても、途中で出なくなって幕切れもあるが、花魁浦里はとってもメインで、いろんな色を見せながら、最後まで残るので“得”なんですよね(笑)」とやりがいを熱弁していた。『越後獅子』は長唄にのせて、手おどり、足拍子、布さらしと、様々な踊りの表現を披露。舞台を締めくくる『宵赤坂俄廓景色』は、赤坂がかつて花街だった時代を想起させるような華やかな作品で、勘九郎の長男・勘太郎、次男・長三郎が初登場することも話題を集める。勘九郎は「父が遺してくれたものですし、僕としても出てほしい思いがある」といい、「大人になって、どれくらい覚えているかはわかりませんが、『出た』という記憶や劇場の空気を味わうのと、そうでないかは全然違いますから、ありがたいですね。堂々と踊ってほしい」と目を細めていた。劇場は大規模な改修工事に入ることが決定しており、その大きな節目の作品として「赤坂大歌舞伎」が華を添える形になる。加えて、コロナ禍での上演となるが、勘九郎は「まだ探り探りの状況が続くと思うが、お客様が満席になっている風景を子どもたちに伝えたいですね」と希望を示し、「以前の熱狂を味わえる日は来ると思うので、需要がある役者として、需要がある作品を積極的にやっていきたいです」と決意を新たにしていた。チケット発売は9月25日(土)より。取材・文:内田涼▼公演概要TBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」日程:2021年11月11日(木)~11月26日(金)会場:TBS赤坂ACTシアター(東京都港区赤坂5-3-2 赤坂サカス内)一、『廓噺山名屋浦里』出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀原作:くまざわあかね脚本:小佐田定雄演出:今井豊茂美術:中嶋正留二、『越後獅子』長唄囃子連中出演:中村勘太郎『宵赤坂俄廓景色』長唄囃子連中出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村長三郎 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀
2021年09月24日江戸時代の伝説の歌舞伎役者・初代 中村仲蔵の下克上物語を、忠臣蔵を軸にドラマ化した「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」が今年12月に放送決定。主演は中村勘九郎が務め、上白石萌音、中村七之助、尾上松也、藤原竜也、段田安則、市村正親ら豪華キャストが共演する。落語や講談で人気の「中村仲蔵」は、初代 中村仲蔵(1736ー1790)が裸一貫からはい上がる実話をベースとした下克上物語。今回、その物語を国民的人気を誇る「忠臣蔵」を軸にドラマ化。大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」以来の映像作品主役となる勘九郎さんが、その傑出した身体表現力で天才俳優の一代記を演じる。また、もうひとつの主役ともいえるのが、江戸の芝居小屋。初代 中村勘三郎が興した中村座(猿若座)に始まるとされる芝居小屋は、江戸時代を通じて庶民最大の娯楽場となった。日の出から日没まで熱気に満ちていたという当時の芝居小屋を巨大セットで再現。小屋に生きる裏方や地方(歌舞伎音楽の演奏家)、稲荷町(いなりまち)と呼ばれた大部屋役者たちなど、芝居小屋を取り巻く人々も生き生きと描き、江戸歌舞伎の熱狂と魅力を伝えていく。超人気演目「仮名手本忠臣蔵」の五段目で、全く見せ場のない地味な役を割り当てられた仲蔵に一発大逆転はあるのか?厳しい階級制度で縛られた当時の歌舞伎界で、貧困やいじめに苦しみながらも、血の滲むような努力と才智でスターの座をつかんだ仲蔵の痛快な出世物語を、年末にエンターテインメント巨編として放送する。仲蔵の才能を見抜いて抜擢をする当時の大スター・四代目 市川團十郎、それを妬んで敵対する人気歌舞伎役者や座付き作者など、ひと癖もふた癖もある実在の江戸の演劇人たちを演じるのは現代の演劇界のオールスター。今回、勘九郎さんら5名のキャスト陣からコメントが到着した。中村勘九郎/初代 中村仲蔵 役「不思議な縁を感じます」中村仲蔵のことは父(十八代目中村勘三郎)が三代目仲蔵の伝記「手前味噌」に大変感銘を受け愛読していたので、よく聞いていました。仲蔵ゆかりの志賀山三番叟を踊ったこともあります。江戸時代、初代勘三郎が興した中村座に出演し、中村座を救った人でもあるので、その役を演じられることに不思議な縁を感じます。今回とても素晴らしい芝居小屋のセットに足を踏み入れ、思わず泣きました。持って帰りたい!仲蔵は差別を受け大変苦労した人ですが、芝居が好きという情熱に支えられていたと思います。「好き」こそ人を奮い立たせ、上達させ、信念を与えるものです。そんな情熱を感じていただけたら本望です。上白石萌音/仲蔵の妻・お岸 役「朗らかに務めたい」「令和元年版 怪談牡丹燈籠」以来、再び源(孝志)監督のもとでお芝居ができることが心底うれしいです。脚本はやはり本当に面白く、夢中で読んでしまいました。お岸は、こんな女房が家で待っていたら愉 しいだろうな、というような女性です。三味線と唄で仲蔵さんを癒やし、励まし、勇気づけられるよう、朗らかに務めたいと思います。これ以上ないほど豪華な出演者の皆様による「芝居」の真髄。もうすでに完成が待ち遠しいです。ぜひご期待ください。藤原竜也/謎の侍 役「もっと一緒に演っていたい」僕の撮影は2日間だけでしたが、内容の濃い2日間でした。勘九郎さんと空気を合わせて、芝居を作っていく感じがとても楽しかったです。「もっともっと一緒に演っていたいな」って思わせてくれるような人ですね。刀や傘のさばき方は非常に難しかったですが子供のころから厳しく作法を仕込まれている歌舞伎俳優さんから直接教えてもらえたのは貴重な経験でした。最初から最後まで楽しめる贅沢な作品になると思います。段田安則/狂言作者・金井三笑 役「演じがいがあります」勘九郎さんが仲蔵を演じられるのは、ピッタリだと思いますが、その仲蔵をいじめる狂言作者の役ということで演じがいがあります。今も昔も嫌味な演出家やプロデューサーはいて、大人の事情で配役が決まったりとかあったのでしょうね。みんな芝居が心底好きでそのためなら命がけというのも一緒でしょう。ヒエラルキーの厳しい世界で成り上がっていくサクセスストーリーですが、そうそう簡単に成功はさせませんよ。大きな障害として立ちはだかって仲蔵をいじめたいです。(笑)市村正親/四代目 市川團十郎(二代目 松本幸四郎)役「歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび」歌舞伎は昔から演技の勉強のために拝見していました。勘三郎さん(十八代目)の芝居に感激してファンレターを送ったこともあります。今回歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび。天国で勘三郎さんもびっくりしていることでしょう。歌舞伎は見るとやるとでは大違い!ミュージカルでも「歌いすぎるな、芝居しろ」と言いますが、歌舞伎独特の語調の心地よさを感じさせながら、ぐっと 芝居心を入れるのにはどうすればいいのか、悩みながら一生懸命演じています。ドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」は12月、NHK BSプレミアム・BS4Kにて前・後編放送(各89分)。(text:cinemacafe.net)
2021年07月20日3月4日(木)より上演される歌舞伎座『三月大歌舞伎』の第1部『猿若江戸の初櫓』に、『二月大歌舞伎』に引き続き中村勘九郎と中村七之助が出演する。『猿若江戸の初櫓』は、新年を迎えた江戸の町を舞台に猿若の機転を利かせた働きが奉行に認められ、江戸で初めて官許の櫓をあげた芝居小屋の開場を許されるまでが描かれる、江戸歌舞伎の幕開けをモチーフにした作品。歌舞伎座では1987(昭和62)年1月に江戸歌舞伎360年を記念した「猿若祭」で初演された舞踊劇だ。上演中の『二月大歌舞伎』第3部で三十三回忌追善が行われている十七世中村勘三郎の“勘三郎”の名跡の始まり、初世勘三郎ゆかりの演目で、勘九郎が猿若、七之助が出雲の阿国を勤める。平成29年2月歌舞伎座『猿若江戸の初櫓』より、猿若=中村勘九郎(c)松竹平成29年2月歌舞伎座『猿若江戸の初櫓』より、出雲の阿国=中村七之助(c)松竹上演に際し、作品ゆかりの地「江戸歌舞伎発祥之地」記念碑を訪れたふたり。「父が子供の頃に“ここに中村座があったんだよ”、と教えてくれたのを思い出します。」と在りし日に思いを馳せた勘九郎は、「(初世勘三郎は)江戸の真ん中に(中村座を)建てるというプロデュース能力、座元としての手腕に優れていた人、祖父も父もプロデュース能力に優れていた人でした。これは不思議な“中村勘三郎”という名前に宿った魂なのかな、と思います」と語り、七之助も「ここから始まったんだ、という思いです。本来なら父がここに立って写真を撮っているはずであろうと思いますが、改めて兄弟で中村屋を背負うこと、また今月立派に勤めている勘太郎と長三郎のふたりも背負っていくんだなというプレッシャーと楽しみと、半分半分な気持ちです」と語った。中村勘九郎『猿若江戸の初櫓』について勘九郎は、「私たちが初舞台の時(1987年1月)に初演した踊りで、父の襲名など区切り区切りで踊らせていただきました。(中略)397年歌舞伎が続けられているというのも先人たちや歌舞伎を愛する人々の思いが詰まったパワーがあってこそ。このコロナ禍に於いて、再出発というような気持でめでたく舞えたら」と意気込みを語り、七之助も「中村屋にとって所縁のあるものを兄弟で歌舞伎座の序幕からやらせていただけるのは本当に幸せ。」と感慨深げ。「(演じる出雲の阿国は)華やかさもありつつ、途中厳かに踊るところもあって、とても緩急があります。振付も面白くて、賑やかで綺麗ですので、まだまだいろいろある時期ですが、何も考えず明るく楽しんでいただけたら」と活気あふれる舞踊劇の見どころを語った。『三月大歌舞伎』は3月4日(木)から29日(月)まで東京・歌舞伎座にて、3部制で上演。中村七之助歌舞伎座『三月大歌舞伎』演目【第一部】11:00開演一、『猿若江戸の初櫓』二、『戻駕色相肩』【第二部】14:00開演一、『熊谷陣屋』二、『雪暮夜入谷畦道』【第三部】18:30開演一、『楼門五三桐』二、『隅田川』(Aプロ)二、上 『雪』(Bプロ)下 『鐘ヶ岬』(Bプロ)2021年3月4日(木)~2021年3月29日(月)会場:東京・歌舞伎座
2021年02月22日1月に続き3部制で行われる2月の歌舞伎座の第3部は、「十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言」の2演目。十七世勘三郎は、現在の勘九郎が6歳、七之助が4歳の時に亡くなったふたりの祖父で、立役(男役)も女方も自在、78年の生涯につとめた役の数がなんと800以上という、正真正銘の歌舞伎界のレジェンドだった。勘九郎は、「祖父は父(十八代目勘三郎)に、『歌舞伎座で追善ができるような役者になっとくれ』とずっと言っておりまして、三十三回忌は父が必ずやるものと、僕たちも思っていたんですけれども……」と、一瞬だけうつむいた後、「その父の遺志を引き継いで、(コロナ禍の)大変な時期に追善ができるという喜びと感謝の気持ちで、一生懸命やらせていただきます」と、きっぱり言って覚悟を見せた。父はすでにないが、心強い弟の七之助と、芝居心いっぱいで頼もしい長男・勘太郎と次男・長三郎。若き中村屋ファミリーが一丸となって、多才で偉大、かつチャーミングだった十七代目の当たり役に挑む。『連獅子』親獅子の精:中村勘九郎、仔獅子の精:中村勘太郎撮影:篠山紀信『連獅子』は、厳しい獅子の子育てのさまが、幼い頃から父に教えを受ける歌舞伎俳優の親子の姿に重なる人気舞踊。中村屋では、十八世勘三郎が歌舞伎座で仔獅子役を初めて踊ったのが13歳、勘九郎と七之助が10歳と、最年少記録を作ってきた。七之助は、「(初役の兄が踊るのを)大変そうだなあ。がんばれ! という気持ちで観ていました。自分が踊ることになるとはあまり思っていなかったんですが、その2年後に踊ってみて、本当に苦しかった思い出があります。父からは、『ぜんぶ出し切れ。うまい下手じゃない。火の玉みたいに踊りなさい』と言われたことが、すごく耳に残っています」。今回仔獅子を踊る勘太郎は9歳で、父の最年少記録を更新。「抜かれた!」と悔しそうな勘九郎は、「七之助が言ったとおり、うまい下手ではなく魂で踊るのが大切なんですが、その前にまず、踊りの基礎がなっていないといけない。形があって、その中に心を入れるという作業が重要なんです。父もよく言っていましたが、お客様は後ジテの毛振りを喜んでくださるけど、それはおまけみたいなもの。前ジテがとても大事な踊りだということを、肝に銘じて踊ってほしいですね」と親獅子らしい威厳。体力をつけるためにランニングや腹筋をしているという勘太郎は、「お父ちゃま達が軽そうに踊ってたから、あんまり重くないんだなと思っていたんですけど、(衣裳や鬘を)着てみたらものすごく重くて、写真撮影が終わった後に踊ったら、死にそうになりました」と告白(泣きそうになったらしい)。『袖萩祭文』袖萩:中村七之助、お君:中村長三郎撮影:篠山紀信『袖萩祭文』は、盲目となり雪のなか門付け芸で三味線を弾きながら勘当された親に許しを乞う袖萩と、そんな母をかいがいしく労る娘のお君の姿が、涙を誘う義太夫狂言。七之助が初役で袖萩をつとめ、7歳の長三郎が、しどころの多いお君に挑戦する。「奥州で最強とされた安倍一族の話ですが、ここは一族の成り立ちや絆、プライドなどの要素が詰まった素晴らしい場面で、袖萩はそのキーポイントになる役。お君ちゃんはいろいろな仕事をしなければなりませんが、それが仕事に見えず、袖萩と深い愛情で繋がっている母娘と見ていただけるよう、一生懸命につとめます」と甥っ子を慈しむように話す七之助に対し、いつも周囲をハラハラさせながら、本番には強いという実績がある長三郎は、「緊張と楽しみがくっついてます」と、大物らしい含蓄に富むコメント。泉下の十七世と十八世が、大きな力で4人を見護り、一段と成長させてくれることだろう。後列左から、中村七之助、中村勘九郎、前列左から、中村長三郎、中村勘太郎(c)松竹取材・文:伊達なつめ歌舞伎座『二月大歌舞伎』2021年2月2日(火)~2021年2月27日(土)会場:東京・歌舞伎座
2021年01月30日2021年1月25日、歌舞伎役者の中村勘九郎さんと、息子である長男の勘太郎さん、次男の長三郎さんがトーク番組『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演しました。中村さん親子は、4年前にも同番組に3人で出演。2021年1月現在、9歳になった勘太郎さんと、7歳になった長三郎さんの成長ぶりに、MCを務めるタレントの黒柳徹子さんは頬を緩ませていました。歴史好きは隔世遺伝?中村勘太郎と亡き勘三郎の共通点2人の成長ぶりに触れながら、それぞれの好きなことについて黒柳さんが質問。すると、勘太郎さんは、「歴史が好きで、歴史博士になりたい」と回答しました。その後、勘太郎さんは黒柳さんに、オリジナルの武将クイズを出題。黒柳さんも答えが分からないほど難題なクイズを出題し、博識ぶりを見せつけたのです。父親の勘九郎さんによると、亡き十八代目中村勘三郎さんも歴史が大好きだったのだとか。(勘太郎さんは)本当に好きなんですよ、歴史が。これ、隔世遺伝で。うちの父が史学科出身で、歴史が大好きだったので。もし生きていたら彼と、とてもマニアックな話で盛り上がってるんだろうなと思いまして。徹子の部屋ーより引用中村勘太郎と長三郎、『BTS』にドハマり中また、勘太郎さんと長三郎さんは「歌とダンスも大好き」と話し、現在、韓国のアイドルグループ『BTS』に夢中になっていることを明かしました。勘太郎さんと長三郎さんは黒柳さんの前で、『BTS』の楽曲『Dynamite』の歌と踊りを披露。母親が歌うのを聞いて、英語の歌詞も完ぺきに覚えてしまったのだそうです。2人のなめらかな英語の発音と、勘太郎さんの完ぺきなダンスは視聴者を驚かせています。・何気なく見ていた『徹子の部屋』で勘太郎くんと長三郎くんの、英語の発音のよさにびっくり。・突然の『BTS』がかわいすぎて癒されましたー!さすが、歌もダンスも上手ですね。・勘九郎くん、長三郎くん、かわいすぎてもう胸がいっぱい!話し方から、所作から、本当に素敵だなあ。『BTS』の歌と踊りも、もっと見ていたかった。・勘太郎さんと長三郎さんの『BTS』が、インパクト強すぎて思わず目がくぎ付けになった!とっても上手!番組の最後に黒柳さんは、「今度は、勘太郎さんと長三郎さんの2人でいらしてね」とひと言。父親の勘九郎さんが「もう僕はいらないですか!?」と反応すると、「もうその頃には2人でお話しできるでしょうから」とスタジオを笑わせていました。これからの勘太郎さんと長三郎さんの成長ぶりが楽しみですね。[文・構成/grape編集部]
2021年01月25日歌舞伎役者の中村勘九郎が都内で取材に応じ、歌舞伎座『十二月大歌舞伎』(12月1日開幕)への意気込みを語った。勘九郎が出演するのは、第三部『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』。夫婦の絆と深い情愛が、奇跡を巻き起こす義太夫狂言の名作で、勘九郎は実直な夫で絵師・浮世又平を演じる。――緊急事態宣言が解除されて以降、8月第二部『棒しばり』、10月第二部『双蝶々曲輪日記 角力場』に続く歌舞伎座出演となりますが、現在の心情を教えてください。8月から大規模な公演を毎日行っているにも関わらず、(新型コロナウイルスの)感染者が1人も出ていないですし、歌舞伎役者の意識の高さ、関係者の皆さまの注意力というものは本当に誇らしいです。徹底した感染予防対策は、お客様に安心・安全に観ていただくため。これから寒さも厳しくなりますが、より一層気持ちを引き締めて、この状況を続けていくことが、未来の歌舞伎につながることと信じてやっていきたいです。――又平の女房・おとくを演じるのは市川猿之助さん。そもそも『傾城反魂香』は平成20年1月に浅草公会堂で上演された演目で、おふたりは当時勘太郎、亀治郎として同じ夫婦役を演じていました。浅草時代には本当にいろんな役を演じ、修行させていただきましたし、それが今につながっています。(「傾城反魂香」での共演は)もう12年前になりますが、毎日楽しかったのを思い出しますね。お互いに名前が変わってから、また上演できるのは、とてもうれしいこと。それに『傾城反魂香』はファンタジー要素が強く、子どもの頃から大好きな芝居。非日常と言いますか、摩訶不思議な世界に入り込むのが、古典のもつパワーなんだなと思いますね。――稽古も普段通りとはいかないと思いますが……。猿之助さんとはまだ顔を合わせての稽古が全然できていませんし、感染リスクを下げるため、稽古自体も2回ですからね。スタッフ、役者が一丸となって「これで完成させなければ」という集中力でやっている感じですね。猿之助さんは、やっぱり熱いんですよ!秘めたるパワーと爆発力、それに魅せる力。安心感もありますし、目指す方向性が同じ役者と芝居できるのは、やっぱり楽しいことなんだと。――猿之助さんはドラマ『半沢直樹』でも注目を浴びました。これ言っていいのかわからないけど、(今回の共演が決まって)すぐにLINEが来てですね。「うれしいDEATH」って(笑)。普段でも使っているんだと。すごくかわいい人だなって、改めて。――改めて2020年は歌舞伎をはじめ、エンタテインメントにとって波乱の1年となりました。病気(感染症)で歌舞伎が上演されなかったって、歴史上初めてじゃないですかね。だから悔しいですし、これで負けてたまるかと。病気は治せないですが、皆さんの心を癒すのがエンタテインメントなわけで、やはり「必要なものなんだ」と思っていただける説得力を発信しなければいけないと思っています。諦めたり、怠ったり、くじけてしまったら、終わりですからね。8月はイヤホンガイドもなかったですし、筋書きも売り出せなかった。今は、観劇ならではの楽しみも徐々に戻りつつあるので、情勢を見つめながら、柔軟に進んでいければと思います。その上で“慣れ”が一番怖いものですし、安心・安全にご覧いただくことをモットーですから。――コロナ禍では上演時間にも制限がありますが。ピンチはチャンスじゃないですけど、お客様に楽しんでいただくために、想像し、知恵を絞りだすことこそが、歌舞伎なんじゃないかなと。先輩方が築き上げた、従来の優れた演出があるからこそ、わたしたちが名作を名作として上演できる。そのなかで“工夫”もし続けないといけないなと。『傾城反魂香』についても、今、案を練っているところです。先日亡くなった上方歌舞伎の第一人者で人間国宝、文化勲章受章者の坂田藤十郎氏については「楽屋にご挨拶に伺ったときに感じたオーラと温かさを今も思い出します。とにかくかっこいい方で、本当にスターなんだなと」と振り返り、「あの湧き上がってくる感情や迫力は……、到底かなわないと言えば、それで終わりで(ご本人も)望んでいらっしゃらないと思うので、目指して信じてやっていかなければ」と背筋を伸ばす。「夫婦愛と奇跡。壁にぶつかった者がそれを乗り越えて、先には明るい未来が待っている…。今の日本、そして世界を表しているような作品なので、ぜひ目に止めにご来場いただければ」と力強くアピールしていた。取材・撮影・文:内田涼歌舞伎座『十二月大歌舞伎』第一部(11:00~)『弥生の花浅草祭』出演:片岡愛之助 / 尾上松也第二部(13:30~)『心中月夜星野屋』出演:中村七之助 / 市川中車 / 他第三部(16:00~)『傾城反魂香』出演:市川猿之助 / 中村勘九郎 / 他第四部(19:15~)『日本振袖始』出演:坂東玉三郎 / 尾上菊之助 / 他2020年12月1日(火)~2020年12月26日(土)会場:東京・歌舞伎座
2020年11月17日9月27 日(日)に浅草寺 五重塔 特設舞台にて、中村勘九郎 中村七之助歌舞伎生配信特別公演が開催されることが決定した。【チケット情報はこちら】中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村勘太郎、中村長三郎、中村鶴松も加わり東京・浅草の浅草公会堂の舞台から歌舞伎を無観客ライブ配信する同公演。中村勘九郎、中村七之助による『連獅子』を浅草寺 五重塔 特設舞台にて披露する。チケットは9月11日(金)10時より発売。■中村勘九郎 中村七之助歌舞伎生配信特別公演9月27日(日)19 時 配信※見逃し配信10月4日(日)24時まで (期間内は何度でも視聴可)野外特設舞台のため、雨天の場合は中止いたします。当日9月27日(日)17 時に開催か中止かを決定いたします。中止の場合は、10月31日(土)19 時配信に、日程変更いたします。料金: 3,500 円(消費税込み)
2020年09月10日新型コロナウイルスの影響で公開が延期され、初めて冬に公開される最新作『劇場版ポケットモンスター ココ』。この度、ゲスト声優に上白石萌歌と中村勘九郎が決定。ポケモンと人間の種族を超えた親子を演じる。今回、第23作目となる本作は森を舞台に、ポケモンに育てられた少年・ココと、ココを育てた幻のポケモン・ザルードの親子の愛を描き、これまでにないカタチの絆の物語。ポケモンに育てられた少年・ココ役には上白石萌歌。映画『未来のミライ』(2018)では声優初挑戦ながら、4歳の男の子を見事演じ切った上白石さんが、今作ではポケモンと人間の狭間で揺れ動く10歳の少年を演じる。「ポケモンという文化にずっと触れてきたので一緒に育ってきた感覚」という上白石さんは、「メキシコに住んでいた時も、現地の学校ですごく流行っていて、これが日本発信の文化なんだというのを身に染みて実感しましたし、ここまでみんなポケモンが好きなんだというのを海外に住みながらもずっと感じていました」とふり返る。「大人になった今、こんなに深いメッセージが込められていたんだと感じるようになりました。今回私が演じるのは“ポケモンに育てられた少年”ですが、血が繋がっていなくても親子だということだったり、人とポケモンとの絆など、色々なつながりがテーマの作品なのかなと思いました。ザルード役の勘九郎さんはザルードにどう息を吹き込むんだろうと楽しみにしています」と期待を寄せる。そして、そのココを育てた幻のポケモン・ザルード役にはアニメの声優初挑戦となる中村勘九郎。2012年に6代目・中村勘九郎を襲名し、映画『銀魂』(2017)では体を張った演技で幅広い観客の心を掴み、昨年は上白石さんも出演したNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に主演するなど、歌舞伎のみならず、活躍の場を広げる勘九郎さんが、森で見つけた人間の赤ん坊を、森の掟を破って育てる幻のポケモン・ザルードに挑む。『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を「高校生の時に映画館で観ました」と言い、「昨年公開した『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』も子供たちと一緒に観に行きました」という勘九郎さん。「ゲスト声優に抜擢されたときは、アニメの声優をやりたいとずっと思っていたのに加えて、初めて挑戦する声優のお仕事がこんなに長く愛されている『ポケモン』だというのが嬉しかった」とコメント。「子供が生まれてから、子供を見て学ぶことが本当にたくさんありますが、今回の物語はココを育てながら自分のことも見つけていくザルードの成長物語だと思います。“親子愛”の物語ですが、僕がとても涙もろいので、脚本を読んだ時もずっと泣いていました。歌舞伎俳優は、伝統を代々繋いでいく中で絆が生まれてくるものですが、ザルードも掟を守り続けているポケモンなので、共感できる部分も多くてグッとくるものがありました」と、明かしている。さらに、サトシが訪れる森で最先端技術を研究する「ビオトープ・カンパニー」のゼッド博士役に、今年で連続出演23年目を迎える山寺宏一、さらに女性研究員・カレン役に、今年で13作目の出演となる中川翔子の参加も決定。山寺さんは「ここ数年は、人間の役とポケモンの役を交互に演じさせて頂きましたが、本作で僕が演じるゼッド博士には中川さん演じるカレンが助手としてついているようなので心強い限りです」と語り、「今回も矢嶋(哲生)監督が新しい風を届けてくれそうだなとワクワクしました」と楽しみにしている様子。そして、中川さんは「本作で私が演じるカレンは、私からすると憧れの大人の女性!しかもリケジョ!! 矢嶋監督が描く新しいポケモン映画で、私もたくさんチャレンジしたい」と決意のコメントを寄せた。ストーリー人里から遠く離れたジャングルの奥地。厳しい掟で守られたポケモンたちの楽園、オコヤの森があった。そこで仲間たちと暮らしていた頑固者のザルード(声:中村勘九郎)は、ある日、川辺で人間の赤ん坊を見つける。「ニンゲン、これが…」見捨てられないザルードは、森の掟に反して、赤ん坊をココ(声:上白石萌歌)と名付け、群れを離れてふたりで暮らすことを決意する。ポケモンが人間を育てる生活が始まって10年。ココは、オコヤの森にやってきたサトシとピカチュウに出会う。初めてできた「ニンゲンの友達」。自分のことをポケモンだと信じて疑わなかったココの胸の中に、少しずつ疑問が芽生え始める。「父ちゃん、オレはニンゲンなの?」自分はポケモンなのか?それとも人間なのか?悩むココだったが、ある日、招かざる人間の足音が森に近づいてきて、平穏な日々が一変する――。『劇場版ポケットモンスター ココ』は今冬、全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:劇場版ポケットモンスター ココ 2020年冬、全国東宝系にて公開予定©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon©2020 ピカチュウプロジェクト
2020年07月31日『中村勘九郎 中村七之助 歌舞伎生配信特別公演』が、ライブ動画配信サービスのPIA LIVE STREAMにて配信される。歌舞伎界にとって初の取り組みとなる、実際の劇場を用いた無観客生配信に挑む勘九郎・七之助の兄弟に話を聞いた。【チケット情報はこちら】9月に全国17ヵ所で開催予定だった『中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演2020』の中止を受けて企画された本公演。東京・浅草公会堂から世界に向けてリアルタイムで歌舞伎が届けられる試みは、勘九郎いわく「制約があって大劇場に足を運びづらいお客様の声を受け、中村屋自ら全国各地へ出向く」という“錦秋”15年来の構想と重なる。出演者には勘九郎と七之助のほか、勘九郎の長男・中村勘太郎、次男・中村長三郎、そして中村鶴松らが名を連ねた。演目には、舞踊「お祭り」を再構成した新作の舞踊「猿若揃江戸賑(さるわかそろうえどのにぎわい)厄祓浅草祭(やくはらいあさくさまつり)」がラインアップされた。見せ場で大向こうから「待ってましたっ!」と掛け声がかかり、役者が「待っていたとはありがてぇ!」と応じる活気に満ちたやり取りが特徴だが、オンライン視聴している観客とどうやって双方向のコミュニケーションを図るのか──。七之助は「合図にあわせて配信のチャット機能に、テキストで“待ってました!”と書き込んでもらえたら」とコメント。なおチャット機能に寄せられたメッセージは、舞踊後に行われる勘九郎・七之助による芸談(トーク)に即時反映される。「錦秋で設けている質問コーナーを配信でも」と企むのは勘九郎。「相互的なやり取りでライブ感を味わっていただけたら」と続く。カメラは手持ち・固定合わせて4台が稼働し、「シネマ歌舞伎」のようなズームアップや多様なアングルにも対応する予定だ。カメラクルーは稽古に密着し、スイッチのタイミングを検討して本番に臨むという。七之助は「劇場で捕らえることが難しい役者の表情や細やかな所作、小道具に着目してご覧になるのがポイントでしょうか」と映像における歌舞伎の楽しみ方を紹介した。「僕たちの仕事は生活に必要じゃない」「ノアの方舟に絶対乗れない職業」──。勘九郎はコロナ禍における役者の“業”を痛感する一方で、「医療従事者の皆さんをはじめ、方舟の乗客を笑顔にして見送るのが僕らの役割」と自負する。七之助も「兄と甥、4人揃って初めて舞い踊る姿をリラックスして楽しんでもらえたら」と続き、インタビューを結んだ。配信は7月18日(土)13時、19日(日)11時の2回。チケットはそれぞれ当日22時まで販売され、24時まで見逃し配信が視聴できる。ぴあでは16日(木)23:59まで、海外在住者に向けた英語の販売ページも設けられる。取材・文:岡山朋代カメラマン:源賀津己
2020年07月10日藤原竜也の「カイドウ」シリーズ第3弾「藤原竜也の三回道」に中村勘九郎と溝端淳平がゲスト出演することが分かった。藤原さんの素顔に迫り、多忙なスケジュールの合間を縫って冠番組にふさわしく様々な企画にチャレンジする姿は、バラエティーでありながらドキュメントドラマのような、普段は見ることのできない姿が見られる本番組。そして今回、藤原さんとプライベートでも親交の深い、“「カイドウ」シリーズ準レギュラー”の勘九郎さんと溝端さんが引き続き登場。「藤原竜也の三回道」では、沖縄が舞台。そこで藤原さんが勘九郎さんに“ある対決”を挑むという。さらに、仲良し後輩・溝端さんも駆けつけ、3人で珍道中を繰り広げる。ドラマパラビ「藤原竜也の三回道」は4月15日より毎週水曜日深夜0時58分~テレビ東京、テレビ大阪にて放送(全6回予定)。(cinemacafe.net)
2020年04月08日10月4日、都内のホテルでNHK大河ドラマ『いだてん』の打ち上げが行われた。宮藤官九郎(49)が脚本を手掛け、中村勘九郎(37)と阿部サダヲ(49)のW主演。中村の妻役は綾瀬はるか(34)で母役は大竹しのぶ(62)。それ以外にもビートたけし(72)や役所広司(63)、薬師丸ひろ子(55)、小泉今日子(53)、竹野内豊(48)、星野源(38)、生田斗真(35)、松坂桃李(30)などなど書き切れないほどの超豪華メンバーが脇を固めていた。にもかかわらず視聴率は終始、低迷。8月25日にはついに5.0%となり、大河史上最低記録を更新することとなった。それだけに打ち上げも超質素になるかと思いきや……なんと600人が参加する超巨大パーティとなっていたのだ。これだけ大人数となれば、スケジュール調整も困難を極めるはず。だが、ほとんどのキャストが出席していたという。会はNHKの上田良一会長(70)のスピーチに始まり、その後は制作統括が挨拶。そして脚本家の宮藤官九郎と続く。その後は歓談タイムとなったが、すぐに第1部主演の中村勘九郎が挨拶を始めた。「勘九郎さんは『やっぱり1年間は長かったです。個性的な演出陣も多くて、たいへん苦労しました』と語っていました。というのも彼は宮藤さんの作品に出るのが初めてで、当初はかなり不安だったそうです。撮影が始まってからも、阿部さんに相談していました。ほかにも主演として現場を切り盛りしようと考えて、スタッフや出演者に必ず挨拶することを心がけていました。でも人数が多すぎて『挨拶するだけで疲れます』と漏らしていたこともありました」(芸能関係者)それだけ頑張っていても、視聴率はいっこうに振るわない。“史上最低視聴率の大河”といわれるなど、プレッシャーも大きかったようだ。そんな彼を支えていたのが、妻の存在だった。「勘九郎さんは続けて『やっぱり、家族の支えがいちばんでした』と一言。そして『実は、今日は妻の誕生日なんです!』と明かしたんです。前田愛さん(36)は梨園妻として、慣れない大河の現場で奮闘する夫のことを献身的に支えてくれたといいます。勘九郎さんはそのことに感謝していました。最初はガヤガヤしていた会場の人たちも、次第に彼の言葉に耳を傾けるように。そして彼が『愛ちゃん、おめでとう!そして、ありがとう!』と涙ながらに叫んで挨拶を締めくくると、会場からはこの日いちばんの拍手が湧き起こっていました」(前出・芸能関係者)その後も挨拶は続いたが、出演者が多いこともあって持ち時間は1人1分ほど。あっという間に1次会はお開きとなった。だが、多くの出演者はそのまま近くのイタリアンレストランで行われた2次会に参加。最後まで、“いだてんの絆”の固さを見せていた。「今回の作品は宮藤さんの持ち込み企画だったそうで、かなりの重圧を感じていたといいます。実際、彼は今年だけで2回も胃カメラの検査を受けていたそうです。数字だけを見ると惨憺たる結果だったでしょう。でも彼の作品は後になって評価されることも多い。再放送やDVD販売など、まだ期待できるはず。スタッフも一丸となって、巻き返しを図ろうとしています」(ドラマスタッフ)いだてんの奮闘は終わらない!
2019年10月08日NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』に出演している中村勘九郎が来阪。弟・中村七之助とふたりが中心となり、中村屋一門で行う毎年恒例の全国巡業公演「錦秋特別公演2019」の会見に臨んだ。今回、関西では堺、京都、神戸で上演、全国14か所を巡演する。歌舞伎を観る機会の少ない地方に「自分たちが全国各地に足を運び、たくさんの方に歌舞伎を観てもらおう」とスタート、15周年を迎えた今年で47都道府県制覇となった。「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演 2019」チケット情報今回のプログラムは『芸談』から始まり3演目を上演。幕開きは、勘九郎と七之助がスーツ姿で登場し、素顔で語る人気のトークショー『芸談』だ。観客の質問コーナーもあり、芸談からプライベートな話まで楽しく盛り上がる。「初めて歌舞伎をご覧になる方の緊張を少しでも和らげ、リラックスした状態で後の演目をご覧いただきたい」。そして、まずは中村屋の門弟一同でにぎやかに踊る『艶紅曙接拙 紅翫(いろもみじつぎきのふつつか べにかん)』を上演。「江戸の風物詩を織り込み、物売りもたくさん出て来て、さまざまな役が登場する、ビジュアルで楽しんでいただける演目です」。次に『三ツ面子守(みつめんこもり)』。背負った子供をあやすため、子守の娘がおかめ・えびす・ひょっとこの3つのお面を素早くかけ替えて軽妙に踊る。「歌舞伎を代表する舞踊のひとつで、子守の役として踊り分けをするというテクニック的にも難しい踊りです」。この公演でおなじみの中村鶴松が修行を重ね、「うまくなってきました。大抜擢で踊ってもらいます」。最後は、羽衣伝説をもとにした『松廼羽衣(まつのはごろも)』。松の枝にかけられた天女(七之助)の羽衣を取った漁師の伯竜(勘九郎)が、羽衣を返す代わりに舞を所望し、天女は優美に舞いながら天へと帰って行く。「ファンタジーにあふれたお話を、常磐津でしっとり踊ります。常磐津舞踊の中でも本興行でかかることが少ない演目。この公演ではそういうものも大事にしていきたいと、チョイスしました。七之助とふたりでしっかり踊るのは約1年半ぶりなので、楽しみです」。錦秋特別公演をきっかけに、歌舞伎に興味を持ち、南座や大阪松竹座へ足を運ぶようになった人も増えている。「続けてきてよかった」と言いつつも「どの劇場でも、初めて生で歌舞伎を観る方が7割ぐらいいらっしゃるので、まだまだだな、と。今年、15周年を迎えましたけれど、やはり初心を忘れずにやってくことが一番ですね。マラソンランナーの役をやっていたので持久力がつき、体力的には結構上がったんじゃないかな。番組をきっかけに来てくださるお客様も多いと思いますので、いい意味で期待を裏切りたいと思っています」。公演は10月18日(金)大阪・フェニーチェ堺 大ホール、10月19日(土)京都・ロームシアター京都 メインホール、10月20日(日)兵庫・神戸国際会館 こくさいホールにて上演。その他、全国を巡演。取材・文:高橋晴代
2019年09月12日「海老蔵さんと勘九郎さんは5年4カ月前の歌舞伎座での『陰陽師』公演以来、共演はありません。舞台や映画、ドラマなどの共演オファーは多数来ているようですが、話が進んでいないのが現実です」(歌舞伎関係者)来年5月の十三代市川團十郎白猿の襲名を発表した市川海老蔵(41)と、今年の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の主演を務める中村勘九郎(37)。実父を同時期に亡くし、自らの子供も襲名、また大河ドラマの主演経験など共通項の多い歌舞伎界のプリンス2人。彼らの間に“深刻な溝”ができているという。「海老蔵さんの屋号『成田屋』は成田山新勝寺に由来していますが、その成田山節分会の豆まきに今年は5年ぶりに海老蔵さんが登場します。通例、大河ドラマの主役も登場しますが、今年の『いだてん』では阿部サダヲさんが出席。勘九郎さんの名前はありません」(別の歌舞伎関係者)2人の間にいったい、何が――。成田屋と中村屋の因縁は2人の祖父の代に遡ると話すのは、歌舞伎に詳しい作家・中川右介氏だ。「そもそも、十一代目團十郎と十七代目勘三郎は犬猿の仲でした。公演は基本的に別々に行っていましたが、同じ歌舞伎座に出ることになった際、楽屋を巡ってけんかになったのです」双方の父親、市川團十郎(享年66)と中村勘三郎(享年57)が亡くなった13~14年ごろは、海老蔵と勘九郎は特に親密だった。2人の間でプライベートな交流がうかがえるのは、3年前の海老蔵の誕生日、15年12月6日付が最後だった。《さっき勘九郎くんと藤原竜也くんからおめでとう電話が。嬉しかったな。一緒に舞台やテレビしたいです》共演したい、と綴っていた海老蔵だが…前出の歌舞伎関係者は言う。「2人の間に亀裂が入ったのは、両家の海外公演にまつわる海老蔵さんの一言だったと聞きます」それは、勘九郎が14年7月に弟・中村七之助(35)、中村獅童(46)らとともに、亡き父が心血注いで築き上げた「平成中村座ニューヨーク公演」を成功させた話題が出たときだったという。「海老蔵さんが周囲に『平成中村座?こちとらオペラ座だ!』と“軽口”を叩いたというんです。その話が、廻り回って勘九郎さんの耳にまで届いてしまった。勘三郎さんの志を揶揄したと怒り心頭の勘九郎さんは先輩である海老蔵さんに直接、文句を言ったというんです。みんな驚いてました。勘九郎さんが声を荒らげるのは、息子への教育以外は聞いたことがないほど、ふだんは温厚な方。その勘九郎さんが、意を決したというんですから……」(前出・歌舞伎関係者)海老蔵としても、言い分はある。海老蔵は、07年に父・團十郎さんとともにパリ・オペラ座での初の歌舞伎公演を成功させている。「“こっちは由緒あるフランスの宮殿で初めて歌舞伎をやったんだ”という自負からの言葉だったわけで、本人に聞かせようと言ったわけではなかったと思います。ただ、2人は距離を置くようになりました」(前出・歌舞伎関係者)“格下”放言の舌禍は周囲にも波及したと話すのは、舞台関係者。「本人同士の感情に加え、周りの人々が特に気を使うようになりました。いまや2人は『成田屋』と『中村屋』の家長。これ以上、お互い悪影響が及ばぬようにといった配慮から、共演させないようにしていると聞いています。2人は17年の俳優祭『六歌仙容彩』の際、一列に並んだ端と端に立ったことはありますが、舞台上で直接の会話はありませんでした。今回の襲名披露で共演することで、2人の“冷戦”関係に良い変化が出ることを周囲は願っているようです」実力で人気を勝ち取った「中村屋」と、四百年の歴史を誇る「成田屋」の、先々代から続く火花散る戦い。團十郎襲名で勢力図はどう変わるのだろうか――。
2019年01月22日混沌として複雑。だけど心に響く、松尾スズキ流時代劇『ニンゲン御破算』。「初演の印象というと、みんながやたらと水の中に入ってビショビショになっていたとか、荒川(良々)君が黒人の役をやっていたとか、出てくるのはそんなのばっかり(笑)」苦笑か、思い出し笑いか、阿部サダヲさんがおかしそうに話すのは、所属する大人計画の主宰・松尾スズキさんが2003年に手がけた舞台『ニンゲン御破産』のこと。「出演していた僕らも説明できないくらい複雑な脚本だったんです。でも、15年経って読み直してみるとすごいんです。書いた当時の松尾さんは30代。いまの僕より若いのに、こんなに難しくて面白いものを書いていたかと思うと本当にすごいです」物語の舞台は幕末。歌舞伎好きが高じ、侍ながら狂言作者を志す、阿部さんが演じる加瀬実之介と、彼をとりまく人々が描かれる。複雑と評されるだけあって、時空は縦横無尽に行ったり来たり。次々とアクロバティックな展開を見せていく。「実之介の目線で読むと、狂言作者の弟子志願としてしゃべっているところもあれば、自分の語る物語に入っている場面もあったり。物語が多重構造になっていて、面白いけれど、やる側は相当難しい。すごくふざけた話のようにも見えるんだけど、物語が展開していくと、じつは悲しさもあるんですよね。でも、出てくる人たちがみんな狂ってるから、悲劇っぽくはならないし、笑いの要素もたくさん入っているのが、さすが松尾さんだなって思います」曰く、「一回観ただけじゃ、どんな話かわからない」。けれど、そこも松尾作品の面白さだとも。「僕、松尾さんの世界って、全部わかる必要なんてないと思うんです。むしろ、全部わかっているのって…嫌。“なんで?”ってのみ込めないまま観ていると、たまに“わかる”っていうセリフが急に出てきて、それがズシンって残るものがある。正直、演じている僕らが、わからないままやってることも多いです。でも、わかってやっている人のお芝居が面白いのかといったら、そうとも限らないですよね。大人計画の俳優がテレビに出始めた頃、僕らは普通にやってるつもりなのに、世間からは、おかしな人たちの集団だと思われていたのと同じ。計算してやっているより、無意識なのに面白いほうがいいのかなって」15年前の初演で実之介を演じたのは、歌舞伎界でも屈指の人気を誇った故・十八代目中村勘三郎(当時は勘九郎)さん。「歌舞伎っぽい言い回しのセリフも多く、脚本は完全に勘三郎さんへのアテ書きですが、今回もそこは変わりないです。でも考えてみれば、実之介は狂言作者を夢見ている人だから、“歌舞伎っぽく”でいいのかな、と。前回との大きな違いは、稽古で松尾さんがミザンス(舞台での立ち位置)という演劇用語を頻繁に使うこと。最近覚えて、使いたくて仕方がないんだと思います(笑)」あべ・さだを1970年生まれ、千葉県出身。グループ魂のボーカルとして9月にはライブも決定。主演映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』が10/12公開。狂言作者を志し、鶴屋南北(松尾スズキ)、河竹黙阿弥(ノゾエ征爾)に弟子入りした加瀬実之介(阿部サダヲ)。成り行きから、南北たちの前で、自らの人生を語り始めた彼は…。6月7日(木)~7月1日(日)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作・演出・出演/松尾スズキ出演/阿部サダヲ、岡田将生、多部未華子、荒川良々、皆川猿時、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙、菅原永二、ノゾエ征爾、平田敦子ほかS席1万500円A席8500円コクーンシート5500円(すべて税込み)Bunkamuraチケットセンター TEL:03・3477・9999(10:00~17:30)大阪公演あり。初演時の阿部さんの役は、侍を夢見るマタギ・灰次。今回は岡田将生さんが演じる。写真左が、勘三郎さん演じる実之介。©細野晋司※『anan』2018年6月6日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年06月08日銀魂WEEKとして、ムロツヨシやキムラ緑子ら続々とキャスト情報を発表している小栗旬主演映画『銀魂2(仮)』。先ほど、また新たに中村勘九郎が真選組局長・近藤勲役で続投していることが公式SNSにて発表された。銀魂WEEK4日目の今回発表されたのは、2019年放送のNHK大河ドラマ第58作目「いだてん~東京オリムピック噺~」にて、阿部サダヲとリレー形式で主演を務めることが発表されている歌舞伎役者の中村勘九郎。幕府の特殊警察である“真選組”を率いる局長・近藤勲役で、前作から続投という形に。発表前日にシルエット画像が公開されると、「ゴリラ」「近藤さん」とキャスト解禁前から、ファンの間では予想はほぼ近藤勲一択だった。■中村勘九郎「この今回は、初日に服を着ていた」続投に関して勘九郎さんは、「今回は、初日に服を着ていた時点で(前作とは)大きな違いがありましたね(笑)。デザインが前作と違っているのでこの衣装を着られるだけでとても嬉しいです」「近藤はとても純で無垢なキャラクターなので嘘がなく演じられたらと思っています。ぜひ引き続き楽しんで頂けると嬉しいです」とコメント。また「真選組メンバーは本当に信頼できる仲間で、近藤のような気持ちで接しております」という勘九郎さんは、「今回も土方、沖田、本当に格好いいですよ! またモてますよ、あの人たち。すでにモテてるのにまたモテますよ!(笑)」と、現時点では出演が発表されていない「真選組」“土方十四郎”と“沖田総悟”の名も!真選組は全員続投なのか…?■真選組キャストをまさかのフライング発表!?そんな勘九郎さんの続投の発表に、Twitterでは「近藤さんも続投~」「ゴリラ待ってた!」「近藤さん来た~」「中村勘九郎さんまた出るんだ!やったー!」「前回より、近藤さんに似てる気がするw」「中村勘九郎さんもう近藤さん(笑)」「新ビジュアルの中村勘九郎の近藤さんの表情、近藤さんすぎる」と続投に喜ぶファンやビジュアルへの反響も。そして、今度発表されるキャストのシルエット写真も公開されており、ネット上では「沖田君かなー」「沖田ぁァァァァァ」「吉沢総悟…だったらいいのになぁ」と“沖田総悟”ではないか?というファンが多くみられる中、「シルエットは沖田なんだけど、近藤さんのとこのコメントで、沖田土方2名の情報も解禁されちゃってるんだよね…誰だ!!!!!?」「土方さん、沖田さんは近藤さんの情報解禁コメ欄で名前出ちゃってるから高杉様なのかしら?」と今回の発表を受けて、こんな予想も。真選組なのか、別の新キャラクターなのか。そして演じるキャストは…?引き続き新たな発表に期待したい。『銀魂2(仮)』は8月17日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:銀魂2(仮) 2018年8月17日より全国にて公開©空知英秋/集英社 ©2018 映画「銀魂2(仮)」製作委員会
2018年05月24日歌舞伎役者の中村勘九郎が、小栗旬主演の映画『銀魂2(仮)』(8月17日公開)に続投することが24日、明らかになった。同作は、漫画家・空知英秋が『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中の同名コミックを原作に、福田雄一監督が実写化のメガホンをとる。パラレルワールドの江戸を舞台に、宇宙からやってきた"天人(あまんと)”と侍・坂田銀時(小栗旬)の間に起こるさまざまな事件を描く。2017年に公開された映画『銀魂』は、最終興行収入38.4億円、2017年の実写邦画ではNo.1の成績を記録した。中村が演じるのは、前作に引き続き江戸の治安を守る特殊警察・真選組の局長・近藤勲。前作では撮影シーンはほぼ裸、前貼りなしで撮影に挑むなど、体を張ったシーンの連発で話題を呼んでいた。先日解禁となった銀時(小栗)、新八(菅田将暉)、神楽(橋本環奈)の『銀魂2(仮)』にちなんだ”ピースポーズ”ビジュアルに合わせて、歌舞伎ではなかなか見られないピースポーズを披露した。ほか、佐藤二朗(役柄不明)、ムロツヨシ(平賀源外役)、キムラ緑子(お登勢役)の出演が発表されている。○中村勘九郎 コメント今回は、初日に服を着ていた時点で(前作とは)大きな違いがありましたね(笑)。デザインが前作と違っているのでこの衣装を着られるだけでとても嬉しいです。前作から思っていましたが、真選組メンバーは本当に信頼できる仲間で、近藤のような気持ちで接しております。今回も土方、沖田、本当に格好いいですよ! またモてますよ、あの人たち。すでにモテてるのにまたモテますよ!(笑)。原作知っている方はご存知ですが、局長は大体投票のランクは下の方ですので……(笑)。近藤はとても純で無垢なキャラクターなので嘘がなく演じられたらと思っています。ぜひ引き続き楽しんで頂けると嬉しいです。(C)2018映画「銀魂2(仮)」製作委員会
2018年05月24日中村勘九郎、中村七之助兄弟らによる全国巡業公演が今年も開催される。「春暁特別公演2018」と銘打ち、3月中旬の埼玉を皮切りに全国12か所を巡るふたりに、話を聞いた。春暁特別公演2018 チケット情報普段、歌舞伎の舞台を生で観ることができない全国の人たちに、歌舞伎の楽しさを届けたい、と2005年より毎年開催、兄弟ふたりが中心になってのこの巡業は、「最初の頃は不安でした。が、継続は力なり。この公演を見て歌舞伎を好きになったという方が多く、やってきて良かったなと思います」と話す勘九郎。上演演目も、初めて歌舞伎を観る人も存分に楽しめるものをと工夫を重ねてきた。今回、勘九郎が演じる「浦島」は、かの昔話の主人公の後日談。「海から戻ってきた浦島が、竜宮城での思い出を踊りで見せます。その後玉手箱を開けたらどうなるか──、皆知っていることですが(笑)、これが意外と古風な早変わりで、楽しく観ていただけると思います」(勘九郎)。いっぽう、七之助が踊るのは華やかさに満ち満ちた「枕獅子」。「『鏡獅子』の元となったとても古風な踊りです。僕が演じるのは傾城で、その切ない女心を格式高い曲調で踊ります。『鏡獅子』よりもさらに華やかなところもあり、春にぴったりですね」(七之助)。中村屋門弟らによる「鶴亀」も、春にふさわしい、おめでたい雰囲気に溢れた舞踊だ。この巡業公演ならではのお楽しみ、「芸談」の時間も。「芝居のことも、プライベートのこともざっくばらんに話すトークショーです」と勘九郎。この時間はいつもスーツ姿での登場だが──「いまだに『おおーっ!』と声があがる。あれは絶対、『着物じゃない?スーツだ!』『普通の人だ!』ということでしょう(笑)。生で観る歌舞伎は初めてという人は?と聞くと、半分以上の方が手を上げられる。まだまだ、ですね」と七之助も言葉に力を込める。質疑応答のコーナーでは、「どんなニックネームで呼べばいいか」という斬新な質問も。「屋号以外で?じゃあ何か考えてください、と返すと、『カン』と『シチ』って(笑)──」と七之助。「そんな掛け合いもできるんです」と勘九郎も楽しげだ。都市によってシャイだったり積極的だったりとか客席の雰囲気は様々だが、客席との直接の交流が生まれるかけがえのない時間といえるだろう。2019年の大河ドラマ主演を控える勘九郎だが、これを逃すと勘九郎の生の舞台はしばらくお預けとなるだけに、兄弟揃っての公演は見逃せない。公演は3月17日(土)さいたま市文化センター 大ホールから4月5日(木)鎌倉芸術館 大ホールまで全12か所で開催、チケットは発売中。取材・文加藤智子
2018年01月30日2月の博多座は、中村勘九郎、中村七之助、尾上松也といった人気花形揃い踏みで「二月花形歌舞伎」を上演。昼の部は、幕末の鹿児島を舞台に運命に翻弄される若者を描いた『磯異人館』、早替りを交えながら七役を見事に演じ分ける様が魅力の『お染の七役』。夜の部は時代物の勇壮さと様式美が堪能できる『義経千本桜 渡海屋・大物浦』、一目惚れの恋をテーマにした三島由紀夫作の喜劇『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』といったバラエティに富んだ名作揃いだ。2月2日(金)の開幕を前に、中村勘九郎、中村七之助に話を聞いた。二月花形歌舞伎 チケット情報博多座は5年ぶりの出演となるふたり。勘九郎が「父(故・中村勘三郎)との思い出が多い劇場ですので、来たかったんですよ」と語る博多座での公演だけに、演目にもかなり気を配った。博多の友人が多い七之助はリサーチも入念に行なったとか。「わかりやすくて派手なものがいい、という声が多かったんです。表面的にわかりやすいだけではなく、情愛の深いものや、様々な感動がある演目ばかり。歌舞伎にもいろいろなジャンルがあるんだと思って頂けると思います」(七之助)父、祖父が演じてきた思い出深い演目『鰯賣~』は夜の部で上演。2014年の「中村勘三郎三回忌追善公演」で初めて兄弟でやり、今回は2回めとなる。「九州では父も祖父もやっていないので、九州初上陸の演目となります。三島由紀夫先生が六代目歌右衛門と私の祖父に当てて書いてくださった作品で、逆シンデレラストーリーの超ハッピーエンドな物語。残念ながら直接父から教わる機会はなかったのですが、大好きな作品だったので父が演じていた時の息づかいなどもしっかり覚えています。ふわっとした愛嬌や色気が漂うような空気感が出せれば」と勘九郎。そして七之助が七役を演じ分ける『お染の七役』は昼の部で上演される。「早替りはもちろん楽しんで頂きたいのですが、実は今回台本も少し変えようと思ってまして。お家騒動に至るまでの登場人物の思惑や背景をもう少し詳しく表現します。冒頭に関してはほとんど新作になってますね。新しくなった『お染の七役』は博多座が初上演。しかも今回は兄も早替りするんです。同じ演目でふたりの役者が同時に早替りするのはあまりないので、お楽しみに!」と七之助。「え?今、初めて聞きました(笑)」と驚く勘九郎に、「大丈夫、大丈夫(笑)」と七之助が笑顔で返すなど、兄弟ならではの率直なやりとりが微笑ましく、どんな舞台になるのか期待が高まる。同世代であり、子どもの頃からの仲である尾上松也が全演目に出演するのも話題。「気楽に楽しんで騒いで頂いて。あ、他のお客様にご迷惑にならない程度に(笑)。熱い博多の気質で、どんちゃん騒ぎながら観て頂けたら嬉しいです」(七之助)「今回出てくださる先輩方は皆さま寛容な方ばかりなので、騒いでもきっと許してくださると思います(笑)」(勘九郎)2月2日(金)から25日(日)まで博多座で上演。チケット発売中。
2018年01月17日俳優の石黒英雄(28)が8日、自身のブログを更新。歌舞伎俳優の中村勘九郎(36)と『ウルトラマンオーブ』の"オーブポーズ"をした写真を公開し、話題を呼んでいる。「ごめんなさい。。」と題して更新されたブログで、「吉例顔見世興行 勘九郎さんが舞台上で、僕の為にオーブポーズして下さったのに、気付かなかった、自分。本当にごめんなさい、勘九郎さん」と京都の歳末の風物詩『吉例顔見世興行』を見に行った時の裏話を披露し、楽屋でのオフショットを公開。さらに、2人で石黒が主演を務める『ウルトラマンオーブ』の"オーブポーズ"ショットも披露。「勘九郎さんいつもありがとうございます」とつづった。ファンから「勘九郎さん、イイ人そう」「お二方、楽しそうでいいな」「スッゴい楽しそう」「私も、ポーズやってみます」「仲良しさんッ可愛いッ!」「勘九郎さん…お茶目な方ですね」「今度写真撮るときオーブポーズやってみます笑」「優しくてユーモアある方ですね英雄くん私服かっこいい」などとコメントが寄せられている。
2017年12月08日歌舞伎界の次世代を担う中村勘九郎、中村七之助兄弟が、普段から交友のあるゲストの面々とトークを展開する番組「座・中村屋(仮)」が、2018年1月4日(木)にフジテレビ系にて放送されることが決定した。勘九郎さんと七之助さんが贈る、珠玉の新春トーク番組「座・中村屋(仮)」。ゲストと様々なことをざっくばらんに語り合う2人の表情は普段、なかなか見ることのできないもので、話す言葉のひとつひとつに、彼らの素顔が垣間見られる貴重な機会に。そして気になるゲストは、俳優・藤原竜也、女優・大竹しのぶ、そして、脚本家・俳優・監督など様々な顔を持つ宮藤官九郎の3人。勘九郎さんが藤原さんと、七之助さんは宮藤さんと対談。さらに、父親で故・中村勘三郎のかけがえのない友でもあり、まるで身内のような存在だという大竹さんと3人のトークを展開していく。■中村勘九郎×藤原竜也、出会いから演劇人としての熱い想いを語る勘九郎さんが藤原さんとの対談の場所に選んだお店は、中村屋にとっても大切な場所のひとつ。勘九郎さんと藤原さんは、2004年の大河ドラマで共演して以来、互いに信頼を寄せる仲。そんな2人対談では、出会いの頃のエピソードから、演劇人としての熱い想い、ともに師匠を失ったときの心情などを素直な言葉で語り合う。大河ドラマ出演時、20代前半だった2人。それから10年以上の時が経ち、いま、若き役者時代の“やんちゃ”な思い出を笑顔で競うように話す彼ら。時折、勘九郎さんが「新春特番ですから」とその場を仕切り直し、演技への向き合い方や、最近の歌舞伎界、演劇界を見て思うことなども語られる。■中村勘九郎×中村七之助×大竹しのぶ、「まるで中村家のリビング」プライベート感満載の対談にまた大竹さんとのトークでは、ホスト役の2人はやや緊張の面持ち。大竹さんは「ふたりが進行役なんて大丈夫?ちゃんとやってね」と軽くジャブを繰り出す。そして、勘九郎さんと七之助さんを本名から“雅ちゃん”“隆ちゃん”と呼び、2人の母親や、勘九郎さんの妻子を交えた中村家の日常のエピソードを披露。さらに、中村家がとても大切な存在にしている、ある生き物にまつわるエピソードも語られた。ここでは故・勘三郎さんを偲ぶ秘話が語られ、尽きない話の中で大竹さんは「まるで中村家のリビングで話しているみたい」と、プライベート感満載の濃密な対談になっている。■中村七之助×宮藤官九郎、亡き勘三郎さんについて語らう七之助さんと宮藤さんの対談では、中村家ひいきのお店に宮藤さんを招待して行われ、亡き勘三郎さんの話で大いに盛り上がった。息子から見て、いかに勘三郎さんが厳しい人だったのか、七之助さんが語る驚きのエピソードの数々に、宮藤さんも「そんな父親が待っている家に帰りたくない」と笑顔で思わず一言。また、七之助さんはこの場に“飛び道具”を用意。この“飛び道具”に宮藤さんは驚くやら、恥ずかしがるやら。笑いあふれるトークが展開される。■ホスト役勘九郎さん&七之助さんからコメント到着!中村勘九郎そもそも、僕らがホストの対談番組が放送できるなんて、と驚いています。大竹さんや竜也くん、さらに宮藤さんをお迎えして、普通のトーク番組ならカットされがちな話がオンエアされることでしょう(笑)皆さん、普段から親しくしているからこそ聞き出せる、魅力ある話ばかりです。反面、竜也くんとはただただお酒を飲むばかりでした。かなりマニアックな話もしたので、もしかしたら視聴者の皆様には不親切な番組かもしれませんがお許しください(笑)中村七之助僕たちもあまりトーク番組に慣れていないので、ゲストの皆さんと自分たちの間で通じていることをあまり説明せず話を進めてしまいました。視聴者の皆さまには、僕らの楽しい雰囲気をぜひ“感じて”いただきたいと思います(笑)テレビの前で兄弟そろって話をするのはそうないことですし、大竹さんからは父の恋愛観など初めて聞く話もあり、非常に良い機会となりました。兄と藤原さんの対談はかなりめちゃくちゃだったとか(笑)そのため、宮藤さんとは真面目なトークをお届けしたいと思います。「座・中村屋(仮)」は2018年1月4日(木)13時45分~東海テレビ・フジテレビ系全国ネットにて放送。(cinemacafe.net)
2017年11月28日