今回は、抱っこと抱き癖、そして泣き止ませについてお話しします。 「抱っこ」は、ごく自然な行動です親が赤ちゃんの欲求に応じて触れ合うことは、赤ちゃんの体の発育、知能や精神的な発達、心の安定、人格の形成に大きな影響を及ぼすことが、多くの研究によって明らかになっています。親やお世話をしてくれる人との触れ合いが少ないと、赤ちゃんの情緒面に影響するという研究もあるので親子の触れ合いを大切にしていきましょう。赤ちゃんの欲求に応じて触れ合うには「抱っこ」が基本です。遥か昔から、安全のために母親が赤ちゃんを「抱っこ」してきました。赤ちゃんの脳には親に抱っこされたいという欲求があり、母親は赤ちゃんの泣き声に反応するように進化してきました。人間の暮らす環境は変化していますが「抱っこ」することは人間の本能的行動です。 「抱っこ」は自然な行いですが、親には負担になることもあります。生まれて間もないころや赤ちゃんが自分で動き回れるようになるまでは、泣き止ませるために「抱っこ」以外の方法を親が見つけ出すのに苦労することもあります。赤ちゃんの成長と共に、話しかけたり、絵本を読み聞かせたり、おもちゃで遊ぶなど「抱っこ」以外の方法で泣き止むように成長していきます。 赤ちゃんの欲求に応じるには、親やお世話をする人の心身に余裕が必要です。母親だけが悩んだり、家族の誰か一人に無理強いするものでもありません。抱っこひも・スリング・ベビーラップなどを活用する、おすわりできるようになったら抱っこからおんぶへ切り替えるなど赤ちゃんの成長に合わせて方法を変えてみるのも良いでしょう。 抱き癖って何?妊娠・出産・子育てをテーマにした書籍や雑誌、webサイトには、抱き癖に関する情報が数多くあります。「抱き癖がつくのはいつから?」「抱き癖を治す方法は?」という見出しがあふれ、日常的に抱っこすることが悪いことのように印象を与える情報が目につきやすいでしょう。しかしながら、「抱き癖」には医学的根拠はなく、言葉自体も医学用語ではありません。「抱き癖」という言葉は、1946年にアメリカで出版された「スポックマン博士の育児書」に書いてある理論をもとに使われるようになった時代的背景があります。この育児書では、子どもの自立を促すために、泣いても抱っこせずに泣かせたほうがいいとする理論を推奨していました。世界的なベストセラーになりましたが、この育児書にある多くの理論に医学的根拠はなく、子どもの成長発達にとって有害であることが近年の研究でわかっています。 この育児書が和訳され、日本国内で出版された1960年代以降、子どもの自立を促すための育児論が正しい育児方法かつ一般的な育児方法として、子育て世代へ広がりました。そのため、当時の子育て世代から現代の子育て世代へ、抱き癖は悪いものという認識が引き継がれているところがあります。抱っこに奮闘する子育て中の親に対して、祖父母世代から「抱き癖がついたら大変だよ」と言われることもあるかもしれませんが、やさしいおせっかいとして受け取って聞き流しましょう。 抱き癖とサイレントベビーは関係ある?時代は移り変わり、1990年代に入ってから、親子の触れ合いや絆は大切で抱き癖は悪いものではないと認識されるようになりましたが、今度は「赤ちゃんが泣いているのに応じないとサイレントベビーになる」という育児論が国内で浸透し始めました。 しかしながら「サイレントべビー」も「抱き癖」と同様に医学用語ではなく、医学的根拠のない育児論のなかで作られた言葉です。抱き癖やサイレントベビーの責任が母親だけに押し付けられる理論も間違っています。「抱き癖」が子どもの自立が妨げるわけではありませんし、「サイレントベビー」になることを防ぐために「抱き癖」をつける必要があるわけでもありません。 赤ちゃんの抱っこや泣きについて悩んだときは?抱っこしないと泣き止まなくて困っている、泣き止まないことが病気ではないかと感じる、あまり泣いたり笑ったりしないから心配など、赤ちゃんの抱っこや泣きについて思い悩むときは、小児科、居住地の保健所や保健センターの保健師や助産師、子ども家庭支援センターなどの相談窓口へ相談しましょう。 まとめ過去の育児論や医学的根拠のない育児方法を持ち出して、子育ての不安を煽る情報に振り回されないように気をつけましょう。抱っこや赤ちゃんの泣きに関する困りごとや悩みごとは、小児科、居住地の保健所や保健センターの保健師や助産師、子ども家庭支援センターなどの相談窓口へ相談しましょう。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年08月27日子育て中は「子どもの体って不思議だなあ」と思うこと、たくさんありますよね。例えば、世のママたちの多くが口をそろえていうのが「子どもの寝相の悪さ」についてです。枕に頭をのせて寝たはずなのに、朝には足が枕の上に…。毎日のことなので、寝相の悪さについては当たり前のことになっているかもしれませんね。それから、赤ちゃんがウトウトして眠りにつく前、急に手足がポカポカしてくるように感じますよね。子どもの手足があたたかくなってきたら、「そろそろ寝るかな…」と予想がつくことも。また、大人と比べて大量にかく寝汗なども、子ども特有の不思議な現象です。子どもはどうして寝相が悪いのか、どうして眠りにつく前に手足があたたかくなるのか、どうして寝汗が多いのか? 小児科医でありお茶の水女子大学名誉教授・榊原洋一先生に「子どもの睡眠」にまつわる不思議をいろいろと教えてもらいました。お話をうかがったのは…医師・お茶の水女子大学名誉教授榊原洋一先生お茶の水女子大学人間発達教育研究センター教授。東京大学医学部卒業。専門は小児科学、小児神経学、発達神経学など。小児科医として発達障害児の治療にかかわる。著書は『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社)など多数。■子どもの寝相はどうして悪い?――どのお母さんも口にすることだと思うのですが、子どもって本当に寝相が悪い! 夜眠ったときと朝起きたときの姿勢がまったく違います。この寝相の悪さ、何か理由があるんでしょうか?榊原洋一先生(以下、榊原先生):子どもの寝相が悪いのは「睡眠の質」が大人と違うからなんですね。――質ですか…?榊原先生:人間には「睡眠パターン」というものがあります。このパターンは年齢とともに変わっていきます。特に睡眠時間と睡眠リズムに大きな変化が起こるんです。まず大人になると、乳児のときと比べ睡眠時間が短くなりますよね。それから睡眠中に見られる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の割合も変わります。どう変わるかというと、成長していくにつれてレム睡眠の割合がどんどん少なくなっていくんです。――先生! レム睡眠とノンレム睡眠とは何でしょう?榊原先生:レム睡眠とノンレム睡眠はどちらも睡眠状態のことを指しています。ただし、レム睡眠中の脳波は起きているときとよく似ています。眼球がきょろきょろと左右に速く動くこともあるし、体もよく動きます。睡眠中の様子を脳波とビデオカメラで同時に記録すると、レム睡眠のときに寝がえりや手足を動かす様子が多く見られるんです。――よく動くのはレム睡眠中だからなんですね。榊原先生:そうです。一方、ノンレム睡眠は深い眠りなので、こうした動きがほとんど見られません。子どものころはレム睡眠の割合が多いので、寝ている間にたくさん体が動くんですね。――覚醒状態と似たレム睡眠の割合が多いから、自然と寝相が悪くなるんですね…。ちなみによく動く時間帯などはあるのでしょうか?榊原先生:レム睡眠は明け方、目が覚める前に多く出る睡眠パターンです。だから夜中は寝相が良かったけれど、起きる時間近くになったら急に寝相が悪くなっていた…なんてことがあるかもしれませんね。■寝る前、子どもの手足が急にあたたかくなるのはなぜ?――赤ちゃんを抱っこしていて「あれ、なんだかポカポカしてきたな」と思ったらすやすや眠っていた…ということがよくあったのですが、手足があたたかくなることと眠ることに何か関係はあるのでしょうか?榊原先生:実際に手足の先の皮膚温度をはかってみると、子どもは眠くなると温度が1.5度くらい上昇することが分かっているんですね。でも、脇の下の体温をはかっても変化がない。このことから、子どもの手足があたたかくなることには、体の中の血液の流れが関係していると考えられます。――血液ですか…?榊原先生:普通、熱が発生するのは筋肉や臓器なんです。でも、手足の先には大きな筋肉も臓器もありませんよね。では、なぜ皮膚温度が上がるのか。温度を上昇させる方法としてほかに考えられるのは、血液です。血液は熱を運ぶことができます。子どもの手足の先があたたかくなったのは、体の中心部からたくさんの血液が流れてきたから、と考えることができます。――血液が手足のポカポカを生んでいるんですね…! でも、子どもの血管は細そうなイメージがあります。たくさんの血液を手足の先に運ぶことってできるんでしょうか?榊原先生:血液量が増えるのは、細い血管が広がるからなんです。血管が広がるのは交感神経と、副交感神経といった自律神経が関係しています。――交感神経と副交感神経?榊原先生:交感神経は獲物を追う、敵から逃げるといったときに優位になるもので、皮膚の血管を収縮させます。血管を細くすることで、万が一傷を負うことになっても少ない出血ですむんですね。――生き抜くための反応ですね…!榊原先生:反対に副交感神経は休息しているときに優位になるもので、血管は広がります。そのため、熱を持ったたくさんの血液が手足の先にまで運ばれて、体がポカポカしてくるというわけです。眠る前に子どもの手足があたたかくなるのは「休息モード」に入っているからなのです。お母さんに抱っこされて、安心した状態になることで、より眠りやすくなったからでしょうね。――なるほど。赤ちゃんの手足が急にあたたかくなってくるのはリラックス状態に入った、ということなんですね。■朝起きると寝汗でびっしょり…子どもが汗かきなのはどうして?――寝ている子どもでびっくりするのが、大人と比べて寝汗がすごい…! 子どもはどうしてあんなに汗をかきやすいのでしょうか?榊原先生:1日に必要な水分量で比較すると、子どもは大人の倍量が必要になります。子どもの体は大人と比べ、水分の割合がすごく多いんです。――大人の倍量も必要なんですね…!榊原先生:その理由として、腎臓の機能によることと、失われる水分量が多いことがあげられます。子どもは腎臓の機能がまだ未熟で、尿としてたくさんの水分を排出します。それから新陳代謝も活発なので、汗や呼吸によって、どんどん体の外に水分が出てしまうんですね。失われる水分量は大人の1、5~3倍近くになるといわれています。――そんなに…! 子どもはそもそも水分を失いやすいものなんですね。榊原先生:そうですね。それと、単純に大人は汗をかくとハンカチで拭きますよね。でも、子どもは拭きません。よだれが多いのと同じで、出てくるものに構わない…(笑)。子どもは大人のように汗を拭いたりしないから、いっそう汗が目立って見えていることもあると思います。今回は、子どもの睡眠にまつわる不思議について、お話をうかがいました。子どもの寝相が悪いのは、子どもと大人で睡眠の質が違うからということが分かり、長年の謎がようやく解けました(笑)。また、赤ちゃんの手足があたたかくなるのは、交感神経・副交感神経が状況に応じて優位になることで、体の中でさまざまな反応が起こっているから。「人の体はなんて複雑でおもしろい仕組みなんだろう」と感心するインタビューとなりました。引き続き、榊原先生に「子どもの体の不思議」について、お話をうかがっていきます。参考図書: 『大人が知らない子どもの体の不思議』 (講談社)榊原洋一著子どもと大人はどう違うのか。それは単に大きさだけの違いではありません。どうして夜泣きをするの? どうして寝相が悪いの? どうして落ち着きがないの? 子育て中に親が抱く「答えが見つかりにくい質問」にエビデンスの精神で解答することを試みました。子どもの心と体の不思議を理解する、手助けとなる一冊。
2019年02月06日質問:父が糖尿病と高血圧の既往歴あり。糖尿病などは遺伝性のものが多いと聞いたことがあり不安です。父が、糖尿病、高血圧の既往歴があり、現在も内服コントロールをしています。最近、これらの病気は心疾患のリスクも高めることを知りました。糖尿病などは、遺伝性のものが多いと聞いたことがあり、私も結婚して親になり、自分がかかる可能性の高い病気には気をつけていかなければと考えるようになりました。甘いものが大好きで、外食も多く食生活が偏りがちです。これから先、どのように気をつけていくべきでしょうか?静岡県:nocchiさん(27)回答:「糖尿病」の遺伝についてお答えします。――「糖尿病」とはお父さまが糖尿病、高血圧をお持ちで、内服でコントロール中ということですね。確かに、これらの病気は心筋梗塞など重篤な疾患を含む心疾患の大きなリスクファクターになることが知られています。お子さんであるご相談者さまも、遺伝的な面、あるいは生活習慣の面でお父さまがお持ちの傾向を受け継がれている可能性は十分に考えられ、お若いうちに気をつけていこうというお気持ちになられたことは非常によいことだと思います。さて、ご心配されている糖尿病の遺伝について、少しお話をさせていただきたいと思います。よく誤解されがちですが、糖尿病自体は遺伝性の疾患ではなく、あくまで遺伝するのは「糖尿病にかかりやすい体質」であると考えてください。2型糖尿病にかかりやすい遺伝子はいくつか同定されてはいるようですが、多くの小さな遺伝素因が複雑に組み合わさってできる「複合遺伝」の形式をとると考えられており、いわゆる「糖尿病のなりやすさ」も人によってさまざまであると考えられています。<日々の生活のなかでできることから始めましょう>2型糖尿病の発病には遺伝的な素因以外に生活習慣が大きく関係してきます。糖尿病を防ぐためには、まず肥満にならないことが大切です。BMIにして18.5~25.0の普通体重を目指しましょう。そのためにはまず、食生活の改善が必要です。甘いもの、脂っぽいものはできるだけ控え、味は薄味に調味するよう心がけます。できるだけ決まった時間に、ゆっくり食べることも大切です。野菜に多く含まれる食物繊維は肥満を防いでくれますので、一日350g(うち緑黄色野菜120g以上)を目標にします。また、肥満を防ぐもう一つの柱は、やはり運動です。運動は、カロリーを消費するだけでなく、筋肉をつけて脂肪を減らしたり、中性脂肪を低下させたりする役割もあります。もちろん、定期的に時間を決めて運動ができればそれもいいのですが、一日一万歩を目安に、少し早足で歩く、エレベーターを使わず階段を使用するといった心がけでも十分、糖尿病にかかりにくくする効果があります。お子さんもいらっしゃるということで、なかなかご自身の健康のためにまとまった時間はとりにくいかと思いますが、日々の生活のなかでできるところから始めていけるといいですね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:子育てでのイライラが多く、疲労感あり。胸の中央に違和感を感じることもあります。普段、特に子育てでいらいらすることが多く、身体がどっと疲れるのを実感します。子どもを叱った時などは胸の中央に違和感を感じることもあります。今はどんな時でも至適血圧(してきけつあつ:理想的な血圧の値のこと)で、血族にも血圧の高い人はいませんが、このようなことが続くと血圧が上がったり、さらに下がりにくくなったりするのでしょうか?また、高血圧になる前に、心臓の病気にかかることもあるのでしょうか?岩手県:あいす2119さん(35)回答:イライラしたときの胸の違和感についてお答えします。――心臓とストレスの関係子育て中でいらっしゃるとのこと、いろいろ手もかかるでしょうし、大変ですね。おっしゃるように、心臓とストレスの関係は深く、ストレスがたまった状態だと心臓にさまざまな不調が出ることがあります。そのメカニズムを簡単にご紹介しましょう。ヒトが肉体的、精神的にストレスを受けると、ストレスを受けたという情報が大脳を介して脳の視床下部という部分に伝わります。ここで、ストレスに対処するために交感神経と呼ばれる自律神経が興奮します。交感神経は「闘争と逃走の神経」などと呼ばれるように、身体は戦闘モードに入ります。具体的には、心拍数が増し、末梢血管が締まることによって血圧は上昇、瞳孔は拡がって緊張状態になります。通常であれば、この交感神経の興奮は、逆の働きをする副交感神経の働きによって心拍数は落ち着き、血圧も下がるものなのですが、ストレスが長期間続いたり、あるいは極めて強いストレスを受けたりすると、交感神経と副交感神経(合わせて自律神経といいます)のバランスがおかしくなってしまい、なかなか交感神経の興奮が収まらなくなることがあります。こうなってしまうと、常に緊張していて身体全体がリラックスできず、いつも戦闘モードになってしまい、心臓にも大きな負担がかかってしまいます。心臓本体には特に病気がないのに、胸が苦しくなったり、痛みが出たり、動悸や不整脈が生じたりするものを「心臓神経症」と呼びます。これは、自律神経の乱れによる心臓の働きの異常と考えることができます。<胸の違和感の原因は?>現在、ご相談者さまが経験されている胸の中央の違和感などは、この心臓神経症によるものである可能性があります。ただ、ストレスによる心臓神経症と思っていたら、実は心臓本体の病気が隠れていたということもあるので、胸の痛みが続くようであれば、念のため、一度病院で心電図の測定を含め、診察を受けられることをおすすめします。また、どんな時でも血圧が至適血圧で安定しているというのは非常に良いことですが、今後加齢に伴い動脈硬化などが進行して、同じ生活をしていても血圧が上昇しやすくなる可能性もありますから、定期的な血圧測定を続けていきましょう。精神的なストレスは、心臓だけでなく万病のもとになります。楽しめる趣味を見つけたり、たまには家族に協力してもらって、ご友人と外出する時間を設けたりして、うまくストレスを解消していきましょう。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:不整脈だと診断されました。悪化すると心筋症になると聞きましたが、どの程度の運動なら取り入れてよいのでしょうか?先生にお尋ねいたしたく相談させていただきます。ずっと健康で特に大きな病気はしてこなかったため、自分は健康なのだと思っていました。それが昨年、心臓のドキドキがひどく病院へ行ったところ不整脈だと診断されました。これが悪化すると心筋症になると聞き、塩分を控えた食事などを心がけていますが、心臓の鼓動が早まるのが怖くて運動などは避けています。どの程度の運動なら取り入れてよいのでしょうか?宮城県:さきさん(48)回答:「心筋症」についてお答えします。――塩分の制限は有効な手段昨年、心臓のドキドキがあって受診をされたところ、不整脈だと診断されたということですね。また、その不整脈の悪化により心筋症につながる可能性がある、という説明を受けた、ということでよろしいでしょうか。今まで健康だと思ってこられたということで、さぞ驚かれ、ショックを受けられたことと思います。さて、受診の際、主治医の先生から日常生活や運動についての具体的な説明はなかったでしょうか。心臓の病気の場合、個々の患者さんの状況(現在の心臓の状態や肥満や合併症の有無、今までの生活歴・運動歴、年齢など)によって指導内容が異なることが多々あります。今回の私の回答は一般的なことを述べるにとどめますので、あくまで参考程度に読んでいただけると幸いです。心筋症は原因のほとんどが未だに特定されていない、非常に難しい病気です。日常生活を送る上で、ご相談者さまがなさっているような塩分の制限は、体内の水分を増やし過ぎたり、血圧を上げ過ぎたりしないために、非常に有効な手段です。目安としては食塩量にして一日6g程度を目指すことで心筋症を防ぐ効果があるといわれています。ただ、日本人の平均食塩摂取量は多く、一日12gを超えているといわれています。ごく日常的に食べられている漬物や麺類の汁、かまぼこなどの加工食品類などにも多くの食塩が使われていますので、汁は残す、しょうゆをかけないといった工夫をするとよいでしょう。<適度な運動は心臓にも良い>また、ご質問にあった運動についてですが、軽度から中等度くらいの有酸素運動を習慣的に行うことは、心臓に対してよいばかりでなく、気持ちの面でもポジティブな気持ちになれるといった素晴らしい効果があります。目安としては、週に3回、30分程度の軽い歩行から始めてみてはいかがでしょう。改めて道具をそろえて、ウォーキングを開始するということでなくても、通勤途中にちょっと回り道をして歩いてみる、といったことでもよいかと思います。今までに運動経験をお持ちで、それ以上の運動を希望される場合は、主治医と個別に相談されることをおすすめします。肥満は心臓に負担をかけますので、体重維持の意味でも軽い運動は好ましいと思います。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:5年ほど前から胸が締め付けられる症状があります。突然やってくるので心配です。5年ほど前から胸が締め付けられる症状があります。突然やってくるので心配です。心不全になったらどうしよう、という思いが先に立ち、痛みが遠のくまで横になり、30分ほどでなくなるということを繰り返しています。1月末には救急車を呼びましたが、レントゲンを撮っただけで帰され、「精密検査を受けたほうがいい」とも言われました。子どももまだ小さいですし、どうしようかと迷っています。千葉県:みおママさん(45)回答:胸の痛みについてお答えします。―――「狭心症」と「心筋梗塞」について5年ほど前から、突然やってくる胸の痛みを繰り返しているとのこと、ご心配ですね。1月末に救急車を呼ばれたとのこと、かなりつらい痛みのようですね。心臓に痛みがある場合に、最初に気をつけなくてはいけないのは「狭心症」と「心筋梗塞」だと思います。まず、狭心症の症状としては発作的に胸の圧迫感や痛みなどを起こす疾患で、動脈硬化や血管けいれんのある患者さんに起こりやすいとされています。動脈硬化の多くは高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症によって起こるとされており、これらの病気をお持ちの場合は特にリスクが高くなります。通常、狭心症の発作は数秒から10分程度といわれていますが、ご相談者さまの発作は30分ということですので、狭心症の発作としては非常に長いといえるかもしれません。次に、心筋梗塞は、冷や汗や吐き気を伴うがまんできないほどの痛みが30分以上続くとされています。心筋梗塞の場合は、血の塊で完全に冠動脈が詰まってしまうことで起こり、詰まった血管より末端の心筋は壊死してしまいます。リスクファクターとしてはやはり、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症などが挙げられ、狭心症よりさらに深刻な、死に至ることも多い非常に重篤な病気です。<循環器内科での精密検査をおすすめします>今回のご相談者さまの症状の持続時間や、その後の経過を見ると、狭心症と心筋梗塞のどちらとしても典型的ではないのではないかと考えますが、可能性がないわけではもちろんありませんし、例えば危険な不整脈などを含め、何らかの心臓の異常がないか、循環器内科で精密検査を受けることはとても大切なことと思われます。また、心臓に異常が認められなかった場合には、例えばパニック障害などの病気の可能性もあります。パニック障害によって起こるパニック発作は、突然胸が苦しくなったり、息苦しさや震え、このまま死ぬのではないかという恐怖感が襲ってきたりして、10分から1時間程度持続することもあるものです。まず、心臓の精密検査を受けられた上で、特に異常が見つからなければ、こういった病気も考えなければならない疾患に上がってくるのではないかと思われます。ご参考になれば幸いです。どうぞお大事にしてくださいね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:子どもに不整脈が見つかり、出産後は投薬治療で経過観察中です。家庭でできる改善・予防法はないでしょうか?私の子どもの相談をさせてください。胎児期より不整脈が見つかり、出産後は投薬治療で経過観察中です。手術をする予定等は今のところありません。現状特に問題なく成長もしており、投薬のおかげか不整脈が出ることもないです。ただし、今後不整脈が全く出ないという確約もありませんし、万一手術になる可能性もあるかもしれません。食事や生活習慣の改善など、薬以外で何か効果的な予防法や、家庭でしてあげられることはないでしょうか?滋賀県:mihomihoさん(33)回答:お子さんの「不整脈」についてお答えします。――子どもの「不整脈」で気をつけることお子さんの不整脈に関するご相談ですね。胎児期からの不整脈があり、投薬治療中ということですね。現在は不整脈も出ず、順調に成長しているとのことで何よりです。ただ、もちろん親御さんとしては大切なお子さんのことですから、今後不整脈が出たらどうしようと不安になったり、食事や生活習慣などご家庭で何かしてあげられることはないかとお考えになったりすることも当然のことかと思います。お子さんの心臓の主治医の先生からは食事や生活上の注意点に関して、何か説明はありましたでしょうか?もし、特に説明や制限を受けていないということであれば、健康なお子さん同様、十分な睡眠時間を確保すること、規則正しい生活を送ること、バランスの取れた食生活を心がけること、肥満にならないこと、といったことを守るということでよろしいのではないかと思います。子どもの場合、大人とは違って発育段階にありますから、医学的に特に制限されていない場合に、食事内容や運動を制限すると、成長に思わぬ障害が出ることがあります。<周囲の大人で情報を共有し、観察してあげましょう>一方、不整脈があるとのことですから、もしものことがないよう、周囲の大人が十分に注意して観察をすることが大切です。ストレスが強くかかったり、過労があったりすると不整脈が起こりやすくなります。特に運動をする時など心臓に負担がかかることが予測できる場合には、ひどい動悸や息切れ、意識を失うようなことがないか、学校であれば担任の先生、プライベートであればお父さん、お母さんなどが必ず付き添って見てあげてください。また、学校や習い事などの先生とはお子さんの不整脈について、きちんと情報を共有し、いざという時の対応などについても十分に協議しておくことがとても大切です。お子さんの成長につれ、忙しくなってくることから、なかには不整脈が長期間ないとつい気が緩んで、お薬の服用を忘れたりする方もおられます。そういったことがないよう、お子さんが自分で完全に管理できる年齢になるまでは、不整脈のお薬は親御さんが管理して、必ず服用させるようにしてください。不整脈といっても、心臓の状態は人それぞれです。繰り返しになりますが、運動や食生活など不安に思うことは必ず主治医に確認し、指示を仰ぐようにしてください。どうぞお大事に。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:夫の父親が昨年夏に心臓のけいれんを起こして入院。遺伝の有無と予防策について教えてください。夫の父親に心疾患の持病があり、昨年夏に心臓のけいれんを起こして入院し、今はペースメーカーをつけて生活しています。現在、夫は健康体で、年一回の健康診断でも心電図に異常があったことはありません。しかし、夫の父親が患った病気が遺伝するのではないかと、とても心配しております。遺伝の有無と予防策について教えてください。島根県:トマトマさん(38)回答:心臓のけいれんの遺伝と予防策についてお答えします。――「心房細動」について義理のお父さまが昨年心臓のけいれんを起こされ、現在ペースメーカーをお使いになっているということですね。心臓のけいれんは一般に、心房細動に関して使われることの多い表現ですので、ここからは「心房細動」といい換えてお話ししたいと思います。心房細動は、心臓にある心房と呼ばれる部分がまるでけいれんのように細かく不規則に震える病気です。高齢者に多いことから、心房の筋肉の老化が原因の一つとして考えられています。心房筋に異常があると、そこから本来はないはずの電気活動が発生したり、異常な電気が伝わる回路ができてしまったりします。左心房の中にある肺静脈の周囲からは特に強い電気が発生しやすいことが知られていて、その部分から出た電気が心房の中に異常な電気の流れを起こして、1分間に300~500回にも及ぶ細かい不規則な震えを発生させると考えられています。ただ、この心房の異常な興奮(震え)は房室結節である程度調節されてから心室に伝えられますので、心室に伝えられる興奮は不規則に毎分60~200回程度となります。心室の興奮を伝える心拍数もやはり、不規則で速い脈になってしまうと考えられます。心房細動の治療はお薬によって行われることが多いのですが、効果が不十分であると考えられるときなどに非薬物治療として、高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術=しんきんしょうしゃくじゅつ)やペースメーカー治療、心臓外科治療が選択されることもあります。ペースメーカーは心房細動とともに徐脈性(脈が遅くなる)の不整脈がある場合に用いられることがある治療法です。<「心房細動」の遺伝について>また、心房細動の遺伝については、心房細動は発症に遺伝子の関連もあると考えられていますが、原因遺伝子の多くははっきりしておらず、多因子遺伝も多いと考えられています。加えて、遺伝以外の因子として高齢や高血圧、虚血性心疾患のある方は心房細動になりやすいと考えられています。これらの点から、適正な体重を保ち、糖尿病・高脂血症などに気をつけ、動脈硬化を防ぐことは心房細動の予防にも役に立つといえるでしょう。ご参考になれば幸いです。お大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:ケガを負った場合、病院に行った方がいいかどうか判断基準はあるのでしょうか?ちょっとしたケガなどの場合は病院に行く必要はないことも多いと思うのですが、病院に行った方がいいという判断基準はあるのでしょうか?骨折などの場合はすぐに病院に行くべきだと思いますが、治るまで何回か通院しなくてはいけないのでしょうか?ちなみに、骨折したら骨を作るためにカルシウムをたくさん摂取すれば治るのが早いというものではないのでしょうか?東京都:たもさん(32)回答:ケガなどの場合に病院に行く目安についてお答えします。――病院に行く目安確かに、おっしゃるように日常におけるケガのなかには、必ずしも病院に行く必要のないものも数多くありますね。ケガといっても、身体のどの部分か、あるいはどのような状況下でのケガであるかなどによっても病院を受診する目安は異なってきます。もちろん、対応はケースバイケースになりますので、その時々で判断をしていただくことにはなりますが、一応の目安としては次のようなことが挙げられます。■ケガをした場合傷が大きかったり、出血量が多かったり、圧迫しても出血がなかなか止まらないといった場合。顔色が悪いとか、気分が悪そうな場合。また、特にケガをした人が子どもの場合は、もともと身体が小さく血液の量が少ないので、少しでも出血量が多いな、と思ったら早めに受診する方がいいでしょう。■どこかから落ちたり、頭などをぶつけたりした場合ボーっとしていたり、吐き気や嘔吐がある、意識がない、身体の一部が動かなかったり、動きがおかしい、けいれんがある、目の動きがいつもと違ったり、どこか一点を見るような様子が見られる、といったときは、救急車を呼ぶなどして早急に病院を受診する必要があります。また、頭を打った場合、すぐには症状が出ず、後になって症状が出ることもありますので、48時間は注意して観察することが必要です。<「骨折」について> また、ご質問中にあった骨折についてですが、どこの骨が折れたのか、骨が中でずれてしまっているのかどうかで治療法は異なります。一般にずれていなければ、その形のままギプスや添え木などで固定を行い、骨が修復するのを待ちますが、もしずれていれば、けん引や整復を行う場合や、手術を行う場合もあります。通院回数や、治療法、治癒に要する期間も、部位や状態によりさまざまです。カルシウムを適量摂取することに関しては、もちろん骨粗しょう症の予防や精神を安定させるといった目的ではおすすめできますが、多く摂取することで骨折の治りを早めたりするというものではありません。以上、ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?現在、第一子を妊娠中の30歳です。夫の母がぼうこうがんに、私の母が卵巣がんになり、手術は成功したものの、転移の恐怖や、後遺症で苦しんでいます。がんは遺伝するとも聞いたことがあります。実際のところ、生活習慣が異なっても遅かれ早かれがんは遺伝するのでしょうか?愛知県:とちおとめ♪さん(30)回答:「ぼうこうがん」と「卵巣がん」の遺伝性についてお答えします。――「ぼうこうがん」の遺伝性ご妊娠中とのことで、おめでとうございます。また、義理のお母さまがぼうこうがん、実のお母さまが卵巣がんにかかられたということで、大変でしたね。がんの原因に関しては、さまざまな研究が進められていますが、子宮頸がんなどのようにウイルスとの関連がある程度明らかになっているものもありますが、多くは遺伝的なものと生活習慣の組み合わせで生じるものとされています。義理のお母さまがかかられたぼうこうがんに関しては、遺伝性のものは少ないとされており、喫煙との関連性が非常に高いといわれています。それ以外に、特定の染料を使う職業や皮革製品の製造などに携わる人の発症率が高いことも指摘されていて、職業による発がんも見られるとされています。<「卵巣がん」の遺伝性>一方、お母さまがかかられた卵巣がんに関しては、一部遺伝性があることがはっきりしています。およそ5~10%の卵巣がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」によるものと考えられており、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子という遺伝子の変異が関与するといわれています。これらは、遺伝子検査で調べることができます。遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる場合としては、若くして乳がんを発症していること、両方の乳房に乳がんを発症すること、乳がんと卵巣がんの両方を発症すること、家系内に乳がん・卵巣がん・すい臓がん、または男性の乳がんの患者さんがいるなどといったケースが挙げられます。ご相談者さまの場合は、家系内に卵巣がんの患者さんがお母さまだけであり、ある程度お年を召してからの発症ということならば、遺伝性のものである可能性はそう高くはないでしょう。ご心配であれば念のため検査を受けてもよいかもしれません。また、卵巣がんは原因がはっきりしないものが多くを占めますが、初経(初潮)が早かった人(12歳以下)、閉経が遅かった人(55歳以上)、30歳以降に出産した人、妊娠や出産経験がない人、排卵誘発剤による不妊治療を受けた人などが、相対的にリスクが高いとされています。がんの多くは遺伝性ではありませんし、その後の生活習慣が発症に大きな影響を与えると考えられています。食事のバランスや運動習慣、生活のリズム、禁煙などに気をつけて生活することで多くは予防できると思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:車や電車に乗ったときや、仕事中など一時間ともたなくなるほどの頻尿になり悩んでいます。普段はなんともないお小水の感覚が、車や電車に乗ったときや会合などの集まりのとき、仕事中(接客業で行きたいときに行けない状況)などは一時間ともたなくなるほどの頻尿になり、悩んでいます。あらかじめトイレに行っていても、漏らしてしまうんじゃないかというほどの感覚になります。もちろん、トイレに行ってもほとんど出ません。どうしたら改善するでしょうか?東京都:monch0612さん(37)回答:「頻尿」についてお答えします。――「心因性頻尿」とは普段は特に問題のない尿の間隔が、乗り物に乗ったときや仕事中などトイレに行けない状況で頻回になるということですね。ご相談の内容としては、心因性の頻尿が疑われます。行こうと思ってもトイレに行きにくい状況、というのが一つのストレス要因になっているのかもしれません。「心因性頻尿」は、心の面での不調や不安定な気持ちが身体の症状、つまり頻尿という形で現れる、いわゆる心身症の一つと考えられています。一般的には、日中起きている時間の排尿回数が10回程度以上であり、膀胱炎や前立腺炎といった下部尿路の感染症その他、頻尿の原因となるような器質的な異常が認められないものをいいます。また、通常、心因性頻尿の場合、夜間睡眠中に頻尿は認められず、何かに集中している間は頻度が減少することが多いとされています。ご相談者さまの場合のように、特定の状況でのみ頻尿が出るケースも見られます。尿が漏れそうな感覚が強くても、実際に漏れてしまうことはほとんどありません。<「心因性頻尿」の改善法>改善する方法としては、やはり誘因となる心理的なストレスを取り除くことが大切になります。現代はストレス社会で、仕事上の問題、友人間の問題、家庭内の問題などさまざまなことが誘因として考えられます。時として、症状を経験しているご本人も何が主な誘因となっているか、わからないこともあります。そのような場合は、思い当たることから順に少しずつ負荷を軽くしていくとよいと思います。例えば、仕事が誘因になっている場合は、完全にオフの週末を作る、家庭内や友人の問題の場合は、信頼のおける相談相手に話したり、カウンセリングを受けたり、といったことで症状が軽くなることがあります。自分にそれだけ負担がかかっているのだ、と認識して、引き受ける仕事の量を少しコントロールしたり、人間関係の問題から心理的に距離を置いたりするだけでも効果的なことがあります。また、少し矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、頻尿、あるいは排尿に行くということに関しては、できるだけ気にしないようにしましょう。回数を数えたりすることも逆効果です。無理に我慢せず、行きたくなったら行けばいいといった程度に考えることが、改善への近道になります。なかなか自分ではうまく力が抜けない場合には、改善の助けになる薬を泌尿器科で処方してもらったり、気分を落ち着かせる薬を精神科で処方してもらったりするのもよいでしょう。どうぞお大事にしてくださいね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:疲労骨折の分かりやすい判断基準はありますでしょうか?子どもが格闘技を習っていますがケガが心配です。時折、足や腕の痛みを訴えることがありますが、骨折というほどのことは無さそうです。ただ、疲労骨折は分かりづらいと聞いたことがあるのですが、分かりやすい判断基準はありますでしょうか?病院に連れて行く基準がいまひとつ分かりません。これから練習もハードになっていく年頃ですので、気をつけることなどあれば教えてください。山形県:LLママさん(39)回答:「疲労骨折」についてお答えします。――「疲労骨折」とは最初に、「疲労骨折」について簡単にご説明したいと思います。疲労骨折とは、外から大きな力が一時的に加わったことで起こる一般的な骨折とは異なり、骨折を起こさない程度の力が身体の同じ部分に繰り返し加わったことによって起きる骨折です。熱心にスポーツをされている方が、身体の同じ部分を繰り返し使うことによりその部分が「疲労」してしまい、ついには骨折に至るということです。年齢的に最も発生しやすいのは15~16歳くらいとされており、身体も徐々に大人に近づいて、クラブ活動などでも負荷の多い、レベルの高いトレーニングを長時間行うことが多くなることが原因の一つと考えられています。<「疲労骨折」の症状の特徴>気になる疲労骨折の症状の特徴としては、“運動を始めると痛くなる”ことが挙げられます。お子さんが「格闘技の練習を始めるとその部分が痛み、終わるとスッと痛みが引いていく」といった症状を示し、何週間も続くようであれば、疲労骨折の疑いがあります。この時点で、整形外科やスポーツ整形などの病院で診察を受けることで、もし疲労骨折だと分かれば、症状がこれ以上悪くなるのを食い止めることができます。本人はスポーツに夢中で意識をしないこともありますから、周囲の方が「疲労骨折かもしれない」という知識を持って、見守ることが大切です。疲労骨折を起こしやすい部位、イコール、そのスポーツで負荷がかかりやすい部位ということになりますので、競技種目によって異なります。格闘技でも、例えば蹴りを伴うような競技であれば、右足指の疲労骨折などが見られることがあるようです。ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:会社の健康診断で生活習慣病と言われました…会社の健康診断で生活習慣病と言われました。私には高脂血症と糖尿病があり経過観察項目がありました。55歳という年齢で、いつ何が起こっても不思議ではないなと思うようにもなり、脳のMRIを撮ったところ画像には白い点が4つ並んでいて、すぐにも精密検査と言われています。この年齢から具体的にどのようなことに気をつけて生活すればよいでしょうか?千葉県:かずこさん(55)回答:「高脂血症」と「糖尿病」についてお答えします。―――生活のなかでできること現在、高脂血症と糖尿病は内服薬なしで経過観察ということでしょうか。脳のMRI所見では小さな梗塞巣(こうそくそう)があり、精密検査の予定なのですね。精密検査は頚(頸)動脈の超音波検査を行って動脈硬化を調べたり、脳内の血管をCTで表現する3DCTなどで狭窄(きょうさく)や石灰化がないか確認したりすると思います。高脂血症と糖尿病に対して、生活のなかでご自身でも実践できることがありますのでご紹介します。・減量まず、肥満があるかチェックしましょう。BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められた数字が、22±2であれば標準です。それ以上であれば肥満ということになります。標準体重は身長(m)×身長(m)×22で求められます。肥満と分かれば適正体重を目指して、減量していきましょう。・食事前述の標準体重に25~30kcalをかけたものが1日の摂取カロリーの目安となります。例えば、身長175cmの場合、1.75×1.75×22×25(~30)となり、おおよそ1,700~2,000kcalとなります。こう書くと難しく感じるかもしれませんので、まずは表示されているカロリーを気にすることから始めてみましょう。商品のパッケージの裏面や側面に、成分表がありカロリーが記載されています。それも面倒という場合は、間食をやめる、寝る2時間前からは食べない、お酒は飲まないといったように食生活の改善を始めましょう。・運動ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を始めてみましょう。強さの目安は多少息切れはするものの、人と話しながら続けられる程度です。なお、運動療法を始める前に、運動が可能か心臓の状態を調べる必要があります。・禁煙ニコチン自体が強力な血管収縮作用を持つため、血管が狭くなり、血圧が上昇し血流は低下します。また、煙に含まれる一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、全身の組織が酸素欠乏状態になってしまいます。このため二次性の多血症が起こって血液粘稠度(けつえきねんちょうど)が増し、血栓ができやすい状態になります。たばこに含まれる活性酸素も血管内皮を害するため、さらに血栓や塞栓症の発症を促します。活性酸素により酸化変性を来たした脂質は、動脈硬化を悪化させます。施設によっては禁煙外来を開設しています。喫煙されていて、自力で禁煙するのが難しい場合はご利用ください。<生活習慣の見直しを実践していきましょう>やはり、生活習慣を見直すことが一番の治療です。見直したら実践する、文字にすると簡単ですがなかなか大変です。頑張っていきましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日『人間は、人を助けるようにできている』(服部匡志著、あさ出版)の著者は、開業することなく、どこの大学や病院にも属してもいないというフリーの眼科医。14年にわたり、ベトナムで無償の医療活動を続けているのだといいます。その取り組みは、テレビ東京系列のドキュメンタリー番組『カンブリア宮殿』でも取り上げられたばかりなので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。「フリーの眼科医」というポジションを貫き続ける人がいること自体が驚きですが、1ヶ月の半分は、北は盛岡から南は鹿児島まで、約10ヶ所の病院を渡り歩き、診察と手術を行っているのだとか。そして残りの半分は、ベトナムの首都ハノイと地方に足を運び、貧しい人たちのために働いているというのです。自宅で丸一日過ごせるのは年に1日か2日だけだという話にも、十分納得できます。■お金はすべて「持ち出し」そういう話を聞くと、つい頭をよぎるのは「どうやって生活しているの?」という純粋な疑問ですが、その答えは意外なくらいにシンプルでストレート。つまりは日本全国の病院で働いて得た収入で、家族の生活はもちろんのこと、ベトナムでの活動費用もすべてまかなっているということ。しかもベトナムでは、患者さんからは一切の金銭を受け取らず、渡航費、滞在費、医療品代などもすべて持ち出しなのだとか。■医者は特別な存在じゃない「白衣が患者さんに与える威圧感が好きじゃないから、もう何年も白衣を着ていない」「権力、金銭欲、嫉妬、憎しみ、裏切りが渦巻く環境で、そんなふうに染まるのが嫌だった」「変なプライドなんか必要ない。困っている人がいたら助けてあげたい」「目指すは“医者らしくない医者”。医者は特別な存在じゃない」著者の言葉はそれぞれが真っ当なもので、だからこそ強い説得力があります。とはいえ、ここまで献身的になれるということにはただ驚くばかり。近年は「人のためになる」ことの価値が再確認されていますが、そうはいっても簡単にできることではないはずです。■父親を侮辱した医師の言葉著者が医師になる決意をしたのは16歳のころ。がんのためみるみる衰弱していく父親についての、医師と看護師との会話を偶然耳にしてしまったことがきっかけだったのだといいます。「82号室のあのクランケ(患者)は文句ばかりいって本当にうるさいやつだ。そうせもうすぐ死ぬのに」病気を治して命を助ける存在だと思っていた医師が、死と戦っている父親を侮辱した……。その怒りが、「こんな医者が世の中にはびこっていては、世の中は良くならない。だったら僕がいい医者になってやる。そして病気で苦しんでいる人を救いたい」という思いにつながったということ。そして結果的には、1万人以上のベトナム人を、無報酬で失明から救ってきたというわけです。父親の遺書には「お母ちゃんを大切にしろ。人に負けるな。努力しろ。人のために生きろ」と書かれていたそうですが、その約束を守ったことになります。■大切なのはいまこの瞬間!そんな著者が尊敬しているのは、マザー・テレサ。少しでも彼女に近づきたいと思ってきたそうですが、それでもまだ半人前だと、ストイックに自身を評価しています。しかしそれでも、暗く沈んだ顔をした患者さんや、その家族の人たちに笑顔が戻る瞬間に立ち会えることが、最高の幸せなのだといいます。患者さんたちのこれからの人生に関わっていくことはできないけれど、ただ、この瞬間のために活動しているのかもしれないとも。大切なのは、いま、この瞬間。ひとりひとりが、それぞれの場所で、「いまできること」を精一杯やること。著者だけではなく、どんな環境で、どんな立場にいようとも、すべての人にとってそんな姿勢が大切だという考え方です。*これらのエピソードからもわかるとおり、著者はとても純粋な人柄。お世辞にも器用なタイプとはいえないかもしれませんが、だからこそ、多くの人が忘れかけていたことを再確認させてもくれます。人間関係に疲れた人、人生に迷っている人、挫折した人などに、強い力を与えてくれる一冊だといえます。ぜひ読んでみてください。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※服部匡志(2015)『人間は、人を助けるようにできている』あさ出版
2016年05月19日『患者は知らない 医者の真実』(野田一成著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、NHKの記者から医師に転身したという異例の経歴の持ち主。きっかけは、事件や事故の取材に明け暮れるなかで、しばしば医療問題に接する機会があったことだといいます。記者の立場から見た医療界は、専門性を壁として外部の目をシャットアウトする、閉鎖的な世界だったのだそうです。そしてそんななか、以前からあったという医療への関心がどんどん高まっていくことに。そこでNHKを辞めて医学部へ編入学し、医療を学んだ末に医師になったというのです。しかし現場に足を踏み入れてみ実感したのは、医療状況がさまざまな問題を抱えているという現実。たとえばそのひとつが、「よりよい治療を受けたい」という患者さんと、理想の医療を目指して奮闘している医師との間に「溝」ができてしまっていることです。そこでその溝を少しでも埋めたいという思いから、本書を上梓したのだといいます。ところで医療について考えるとき、私たちにとって切実な問題は「時間」です。特に大病院では、時間どおりに診てもらえないことが常識化しつつあるということ。なぜ、そんなことになるのでしょうか?■大病院では予約時刻が守られない理由せっかく予約しておいたのに、予約時刻をすぎても一向に呼ばれなくて次第に苛立ってくるということはよくあるもの。当然のことながら、医師の数が十分でないこと、もしくは大病院を受診する必要のない患者さんも大病院に集中してしまうことが。患者さんを長時間待たせてしまうことの一因だと、著者も認めています。医師のがんばりと患者さんの忍耐がギリギリのバランスをとることで、なんとか成り立っているというのが現状なのだそうです。ちなみに著者は都内の公立病院に勤めていたころ、15人から20人の患者さんを病棟で受け持っていたそうです。みんな、がんや肺炎の患者さん。しかもそこは臨床研修指定病院という、研修医を育てる病院でもあったので、医学部を卒業したばかりの研修医とともに患者さんを診察していたといいます。本書のなかでは、そのころの状況の一例が紹介されていますが、これがなかなかハード。■遅れても無理はない診察スケジュール・外来がはじまる8時半、一緒に回診していた研修医に、その日行うべきことを記したメモを渡して指示を出し、外来へ。・外来の診療枠はほとんどが予約で埋まっているものの、近隣のクリニックから紹介状を持参して来院する患者さんや当日突然受診する患者さんもいるため、診療スケジュールは次第に遅延していくことに。・予約時間をすぎて苛立つ患者さんへ、受付の事務員や看護婦が対応。・診療室に入ってきた患者さんに医師からもう一度遅れた理由を説明して頭を下げ、診療開始。・午前10時半に病棟から、長らく診療していた進行肺がんの患者さんの心拍が止まりそうだとの連絡。・診療スケジュールはすでに1時間遅れとなっていたものの、いったん診療を中座して病棟へ上がり、ご家族が見守るなかで死亡宣告を行う。・死亡診断書を記載し、外来診療部門に戻るが、結局11時の予約患者さんを診察室に呼び入れることができたのは午後1時前。たしかにこんな感じなら、予約時刻に遅れてしまってもむしろ当然かもしれません。■ランチは時間どおりに食べられない!ちなみに著者の場合、平日の外来診療で、昼食を食堂や医局で食べることができるのは週に一度程度。なんとか外来を抜けることができ職員食堂にたどり着いたとしても、定食がすでに品切れなので、コンビニでおにぎりとお茶を買うということも珍しくないのだとか。それは著者に限ったことではなく、多くの勤務医も同じような状況だそうです。・そんな昼食後は複数の検査をこなし、すべてが終了したのは午後4時。・その後は病棟に戻り、研修医と夕方の回診(家族との面談も)。・研修医が姿を消した午後5時以降は、彼らの記載した診療録(カルテ)のチェックと追加の記載。・入院患者に翌日の点滴や処方を出し終えると午後7時すぎ。そこからが自分の時間で、学会発表のためのプレゼンテーション資料を準備したり、論文を読んだり。その後、午後9時半に病院を出て、帰宅は10時半。ただし、がんや重症の患者さんを担当しているときは、自宅にいても看護婦さんから相談の電話がかかってくることが。緊急の場合は病棟に戻らなければならず、深夜でも容赦なく携帯がなるのだといいます。そこで緊急の出勤ができるよう、枕元に着替え一式とカバンを常に置き、連絡を受けてから10分以内に出られるようにしていたのだそうです。医師が多い大学病院や一般病院の一部の診療科では、夜間や休日の呼び出し当番をつくって対応しているものの、著者の所属する呼吸器科のように医師が不足している科では、このように勤務は決して楽ではないのが現実。しかし著者も書いているとおり、それは「医師にとっても患者さんにとってもむしろ害悪」であるはず。なんとかして、こうした状況を改善していくことが急務であるようです。*他にも医師としての立場から、治療や投薬など、さまざまな角度から医療の現実を切り取っているため、とてもわかりやすい内容。医師との間によりよい関係を築くためにも、読んでおいたほうがいかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※野田一成(2016)『患者は知らない 医者の真実』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年04月22日趣味として、または健康のためにと、せっかく始めたランやウォーキング。続けるうちに、足に何らかのトラブルを抱えてしまう人も少なくない様子。そんな方々の駆け込み寺、「足のクリニック 表参道」の院長である桑原靖先生にお話をお聞きしました。足の痛み、そもそもの要因は、“アーチ” の崩れ「ランニングやウォーキングで足のトラブルといえば、ナンバー1は “足の裏側” が痛い人でしょうね。痛い場所は人によって違いますが、長距離を走ったり歩いたりしている人は、概ねアキレス腱からつま先までの裏側に痛みを訴えています。特に多いのは『足底筋膜炎』です」(桑原先生)「足底筋膜とは足の裏に膜のように張っている “腱組織” のことですが、部位を表しているだけなので、足裏の痛みは大抵この病名をつけられます。そもそもの要因となっているのは、アーチの崩れ。それに気がつかず、放置したまま長距離を走ったり歩いたりすると、足の裏でうまく衝撃吸収ができずに炎症が起きてしまうのです。特に女性の場合は、カカトの骨が内側に倒れる『過回内』によって、アーチが崩れていることがほとんどですね」(桑原先生)過回内によるアーチの崩れ以外にも、土踏まずのサポートが悪い靴や、柔らかすぎるシューズを履き続けている人、ふくらはぎの筋肉が硬くなっている人、毎日下り坂やでこぼこ道を走っている人なども、足底筋膜炎になりやすいもの。不思議なことに、朝起きたとき最初の一歩が痛むのも足底筋膜炎の特徴です。でも、長距離を走ったり歩いたりすることは、そんなに足に悪いことなのでしょうか?「歩く、走る、はとても原始的な運動で、特にウォーキングはそれ自体が悪いわけではありません。痛くなる人は、オーバーユース、使いすぎでしょうね。もちろん、人によって程度はさまざまで、一定のラインを超えて酷使しても痛みが出ない人もいれば、オーバーラインが低く、ちょっと走っただけで痛くなる人もいます。残念ながらこの個人差はなんとも言えませんね」(桑原先生) 重要なのはシューズより「インソール」!とはいえ、炎症が起きる前に、せめて痛みが出る前に、予防策はないのでしょうか? よくシューズが合っていないと痛みが出ると言われますが…?「シューズも大事ですが、もっと大切なのはインソールでしょうね。アスリートなどはインソールが命と言われるほど。健康のために痛みが出る手前でやめる程度ならいのですが、レベルアップしたり、パフォーマンス向上のためには、インソールはとても重要なんです。インソールにもいろいろありますが、身体機能を向上させるために開発されたスポーツ用のものを選ぶこと。また、アドバイザーがきちんといるお店で購入するのが鉄則です。市販のインソールは足に合わない場合もあるので、自分の足に合ったオーダーメードのインソールを作成することをおススメします」(桑原先生)そのレベルのインソールは土踏まずやかかとの部分が非常に硬く、アーチも驚くほど立体的にできています。インソール自体で足をガッチリホールドしてくれるといった感じです。「インソール」を選ぶときのポイントランやウォーク用のシューズは、つま先に1〜2cm余裕があるものがよいとわれますが、インソールだって同じこと。それどころか、シューズよりインソールを先に選んでも全く問題ないのです。というのも、シューズを選ぶときには、シューズ内が見えるわけではないので、つま先にどの程度余裕があるのかはわかりません。でも、インソールはサイズが目に見えているので意外にわかりやすい! 自分の足裏のアーチが合うインソールを床に置いて足を乗せ、いちばん長い指より先に1〜2cm余裕があり、横幅など、インソールからはみ出していないかどうか、確認しながら選びましょう。きちんとしたインソールを装着することで、足底筋膜炎だけでなく、タコやウオノメなど足のさまざまなトラブルは治癒することが少なくありません。「私のクリニックでは、オーダーメイドのインソールを処方しています。痛みなどの症状が強い場合のインソールは、保険適用になることもありますよ」(桑原先生) ランナーを痛みから救う「体外衝撃波」治療とは?足底筋膜炎の患者が多いことから、桑原先生のクリニック「足のクリニック 表参道」では、いち早く「体外衝撃波」による新治療を導入しました。体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy : ESWT)とは、体外衝撃波を足底筋膜炎の痛みのある部位にあてることで、痛みの除去と組織の修復を促すもの。実際の衝撃波治療は素足になって、寝た状態で行われます。寝ながらできるので身体の負担はほとんどありません。麻酔の必要もなく、約30分程度で終了します。基本は1回の治療ですが、1回で効果が得られない場合、医師と相談の上で期間をあけて再度行うこともあるようです。痛みの神経終末を変性させるとともに疼痛伝達物質を減少させて中枢への疼痛伝導を抑制する(「痛い」という刺激が脳へ伝わるのをブロック)。そして、衝撃波を当てることで、患部の血流を増やして組織のダメージを早く修復する効果が期待できるのだそう。国際衝撃波治療学会では、足底腱膜炎以外にもアキレス腱炎、アキレス腱付着部炎、膝盞腱炎、上腕骨外上顆炎、石灰沈着性腱板炎、腱板炎、大転子部痛、偽関節、疲労骨折、早期の無腐性骨折壊死、早期の離断性骨軟骨炎などにも適応するとしています。「平均的な効果は60%〜80%でしょうか。足を酷使するアスリートより普通に生活をしている患者さんの方のほうが治りが良いという報告もあります。でも、足底筋膜炎は結果としての病状であって、本当の原因は日常生活や足の構造そのものにある可能性が高いもの。ですから私の診療所では、なぜ足底筋膜炎になったのかを検査や問診で突き止め、再発予防のためのアドバイスを行なっています」(桑原先生)「アキレス腱ストレッチ」で、足の痛みをケア「足の痛み予防のためには、必ず行っていただきたいストレッチがあります。それはとても簡単なアキレス腱ストレッチなんですが、運動前後にやることで足の疲れを解消し、痛みを軽減する効果が期待できます。足底筋膜炎の痛みのある方だけでなく、かかとの痛み、日頃ハイヒールを履いている女性にもオススメですよ」(桑原先生)では、桑原先生のストレッチをご紹介しましょう。 【アキレス腱ストレッチ】1) 両腕を真っすぐに伸ばし、壁に両手をつけます。2) 伸ばしたいほうの足を後ろに引き、前の膝をゆっくり曲げていきます。つま先は斜めにしたりせず、壁に対して垂直に。かかとは必ず床につけておきます。3) アキレス腱が突っ張る程度の状態で、ゆっくり気持ちよく伸ばします。20秒ほど動かずに。反動をつけずに行うのがポイントです。4) 反対側の足も同じようにストレッチします。これなら、毎日でもできそうですね!桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月15日冬のコーディネートに欠かせないブーツ。意外にブーツを履く期間は長いので、できるだけ快適に履きこなしたいものです。でもブーツを履いた時に、足の痛みや違和感、蒸れやかゆみなどが気になっていませんか? 今回は、「足のクリニック 表参道」院長である桑原靖先生に目からウロコの足知識と冬のフットケアを指南していただきました。あなたの靴、足の甲をしっかりホールドしていますか?「ブーツを含め靴というものは、本来、足を保護して衝撃を吸収したり、足の機能を引き出して歩行の補助をする役目を果たします。そこからすると、基本的にヒールは高くないほうがいい。高さがあることの他にも、ヒールによってつま先が前にズレていくことがよくない。ファッション性もあるでしょうけれど、医師の立場上、足によくない靴はやはりオススメできないんですよ」(桑原先生)ヒールがないと言えば、ここ数年ムートンブーツがカジュアル派に人気です。履きやすさも手伝ってすっかり定番化していますが、先生、これはよい傾向ですね?「いいえ。あのブーツが履きやすいというのは、おそらく幻想でしょう。いわゆる長靴のような形のブーツは、正しい歩き方ができている人には履きにくいはず。なぜかというと、あの形では足にフィットしない。特に足の甲の部分は、しっかりホールドされているべき。グニャグニャしたタイプは、ブーツの中で足が動き放題だから、先に挙げた靴の役目を全然果たせてないんです」(桑原先生)先生によれば、靴の部位で動いたり曲がってもいい部分は、足の指のつけ根のみ。それ以外は曲がってはいけないのだそうです。その上で、足首がしっかり固定されていることも大事。革製の細身のブーツなどは足首がフィットしているのでOK。ブーティでも、足の甲をしっかりホールドできる形であれば問題ありません。 あなたのブーツの中で、何が起きているの?間違った靴選びが、足のためにどんなによくないことなのか。「特にアラフォー以降の女性に多いのが『回内足』。これは、足が地面に着いたときカカトの骨が内側に倒れている状態のことです。そもそもカカトの骨は左右に倒れやすい構造をしているのですが、足をしっかりサポートしてくれない靴をはき続けたりした結果、このような変形につながることも往々にしてあるんですよ」この回内が進むことで、骨格の配列が崩れ、土踏まずがなくなってしまう『外反扁平足』も少なくないそうです。土踏まずがなくなると、長時間の歩行が疲れやすくなったり、外反母趾の悪化、足底筋膜炎を発症させることにもつながります。あなたが今日履いたブーツを見てみましょう。真後ろから見て、ゆがんでいませんか? かかとの片側だけ極端にすり減ってはいませんか? 靴底が傾いていませんか? そんな状態になっていたら、足が変形している証拠。一度きちんと診てもらうことをオススメします。大人になると、足のトラブルが増える?!なぜアラフォーでこういったトラブルが多くなるかと言えば、10代20代は体がまだ柔らかく、調整機能があります。合わない靴を履いていても、膝や股関節がフォローし、変形やゆがみが出ないように調整してくれていたのですね。それが40歳になる頃には、体も硬くなってしまいます。足の変形をそのまま放っておけば、今度は膝や股関節に負担がかかり、さらに大きなトラブルを招きます。年を重ねて関節が痛いと言う人、多いですよね? ゆくゆく手術に発展してしまうのもよくある話。「靴が原因で人工関節に… などということは、やはり避けたいじゃないですか。足を見くびってはダメです。変形に気がついたら、とにかく足を診てくれる病院を受診をして、レントゲン撮影などで骨格構造の歪みをチェックしてもらうことをお勧めします」(桑原先生)カカトのひび割れが「水虫」につながるって、どういうこと?!ブーツを履く期間は、乾燥しやすいシーズンでもあります。ブーツと関連したトラブルとして、桑原先生はカカトのカサカサやひび割れを挙げています。確かにストッキングが引っかかるのはイヤですが、ブーツとどういう関係があるというのでしょうか?「カカトのひび割れを放っておくと、水虫になりやすいんですよ。水虫だけでなく、イボなどが移ることもあります」(桑原先生)えっ、水虫やイボが移る??「水虫は、カビの一種である水虫菌(=白癬菌)に感染すること。水虫菌は水虫にかかっている人のはがれた皮膚から、スリッパやバスマットなどを介して他の人に移ります。きちんと毎日お風呂で足を洗えば、普通は菌も一緒に洗い流せるのですが、カカトの角質がめくれていたりひび割れていると、そのすき間から水虫菌が入り込む可能性が高くなるわけです。すると水虫特有のかゆみやカサカサ、発赤などの症状が出てくる人もいれば、無症状で水虫に感染したままにしてしまう人もいます。水虫菌は高温多湿の環境が大好き。ブーツは普通の靴やスニーカーよりも蒸れやすいうえ、ストッキングやタイツを履いていたらなおさら通気性が悪くなります。1日ブーツをはき続けている人などは、水虫菌を増やす原因となります。イボもヒトパピローマウイルスが皮膚に入りこみ、感染するのが原因。思ってもみない原因かもしれませんが、冬の乾燥を見くびってはいけませんよね」(桑原先生)冬のカカト、そのお手入れ方法は?かかとがカサつき、ひび割れるのは、乾燥して硬くなった皮膚に荷重がかかることにより、皮膚が引っ張られてしまうため。角質ケアとしては、クリームを朝晩なじませるのが基本。特に効果的なのは尿素入りのクリーム。尿素は角質を柔らかくして溶かす働きがあります。少し固めのクリームは、手のひらの体温で温め、柔らかくしてからなじませましょう。「軽石でこすって落とすのも悪くはないのですが、必ず清潔なものを使いましょう。バスルームに置きっ放しの軽石は、細菌が済んでいる可能性もあるので要チェックです」(桑原先生)安心してブーツを履くために、今日からしっかり水虫対策を!そして、ブーツを履き続けても清潔な足を保つためには、何より菌が育たない環境をつくること。足をよく洗うことや、ブーツの中の湿気をそのままにせず、風通しをよくすることです。特に汗をかきやすい人は気を使ってみて。ポイントとしては・・・◎ブーツを履く時間を減らすよう、職場では靴を履き替える。◎同じブーツを2日続けて履かない。◎履いたブーツはその日のうちに、新聞紙などを詰めてよく乾燥させる。◎銀や銅入りなど、デオドラント効果の高いソックスなどを履く。◎抗菌作用のあるインソールを入れる。◎足専用の制汗剤を使用する。◎ブーツを履いた後は抗菌石鹸で指の間までしっかりと洗う。特に、1日8時間以上履き続ける人は、少しでもブーツから足を抜くなどの工夫をしましょう。欧米人に比べ靴の文化が短い日本人は、いったん外出したら、その靴を履き替えることがほとんどありません。欧米の働く女性は、1日のうちで何度も靴を替えるのも普通で、例えば通勤ではスニーカー、オフィスでは仕事用パンプス、ジムではスポーツシューズ、レストランでハイヒール、自宅ではフラットシューズ…といった具合。家では靴を脱ぐ日本人がそこまでする必要はありませんが、履きっ放しを避ける意識を持つだけで、靴の傷み具合も、水虫のかかりやすさにも差が付きます。これって水虫?! と思ったら、まずやるべきことそして、水虫菌が付着してしまった場合のこと。すぐに定着&感染してしまうわけではないので、菌が付いてから24時間以内にきちんと石鹸で洗い流せばよいとのこと。要するに、普通に毎日お風呂で足を洗っていれば、感染することはあまりないのだそうです。では、足の指の間などがかゆい、ジクジクする、皮がむける、かさつく、赤くなる、水膨れができる… などの症状が出て、水虫かもしれないと思ったらどうすればよいでしょう?「みなさん、自己判断で水虫だと思い込み、市販薬を使ってしまう方も少なくありません。でも、水虫と似た症状の皮膚病はいくつもあるうえ、水虫かどうかは、医療機関で顕微鏡検査をすることでしか判断できません。水虫だと思い込み、別な病気に水虫薬を塗ってしまうのも困りものですが、自己判断で水虫に市販薬を使い、水虫菌が弱まっているために一時的に顕微鏡で菌が見つからないこともあるかもしれません。とにかく、水虫かなと思ったら、市販薬を買う前に皮膚科を受診しましょう。水虫菌がいるかどうか、必ず検査をしてもらいます。水虫は自然に治ることは決してありません。でも、正しい薬を使えば治りますし再発もしませんからね!」(桑原先生)桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月14日医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」を運営するメドピアはこのほど、会員医師を対象に募集した「医学界・医師界における今年の漢字一文字」の結果を発表した。「2015年 医学界・医師界における今年の漢字一文字」は、11月23日~30日にかけて、同サイト内の「ポスティング調査」コーナーで募集していた。有効回答は2,936人。1位となった漢字は「偽」(107票)だった。「偽」は2013年、2014年に続き、3年連続で1位となっている。2014年末にSTAP細胞論文について報告書がまとめられ、STAP細胞の存在が否定されたことや、特定機能病院の取り消しにつながった大学付属病院でのずさんな医療・医療事故への対応、東京五輪エンブレムの白紙撤回などの世相も反映されたようだ。会員医師からは「STAP細胞騒動、杭(くい)打ちデータ偽装など、人の心をあざむく出来事が多すぎると感じる」(50代、消化器外科)、「群馬大学病院での手術後の死亡の件など、信頼を失った感じがする」(50代、一般内科)などのコメントが寄せられた。2位は「乱」(106票)で、1位の「偽」とはわずか1票差だった。世界各地でのテロ行為に加えて、医療事故調査制度や新専門医制度など医療制度改革での混乱を反映しているものとうかがえる。「精神保健指定医の申請において虚偽が見つかったことが思い出されました」(30代、精神科)という会員医師の意見があった。3位は「忍」(102票)。会員医師からは「勤務医の厳しい労働環境がますます悪化し、消費税の影響で病院収支も厳しく、ひたすら忍耐を強いられているため」(50代、呼吸器内科)などのコメントが寄せられている。医療費削減や厳しい勤務環境が反映した結果となった。4位は「戦」(97票)、5位は「変」(68票)、6位は「賞」(63票)、7位は「新」(56票)、8位は「安」(52票)、9位は「争」(50票)、10位は「爆」(47票)だった。
2015年12月17日医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」を運営するメドピアはこのほど、会員医師を対象に実施した「がん以外の病気でのセカンドオピニオン」についてのアンケート結果を明らかにした。調査機関は2月19日~25日。がん以外の病気において、患者から「他の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞きたい」と言われたことはあるか尋ねたところ、59.9%が「言われたことがある」と回答した。言われたことに対してどう思うか聞くと、87.4%が「言われたことがあるが、不快に感じない」と回答した。その理由としては「セカンドオピニオンは患者の当然の権利だと思う」「納得して治療を受けてもらいたい」などが挙げられた。また、「患者に勧めることもある」「むしろ他の医師の意見を知りたい」という意見も多かった。「不快に感じる」は12.6%。理由は「信頼されていないと感じる」というものが多いが「患者側の言い方にもよる」「紹介状を書く手間がかかる」といった意見もあった。セカンドオピニオンを聞きたいと言われたことがない医師は40.1%だった。もしも「セカンドオピニオンを聞きたい」と言われたとしたらどう思うか聞くと、84.0%が「不快に感じないだろう」と回答した。「自分が患者なら、他の医師の意見も聞きたい」「より客観的で多角的な診療が可能となると思う」といった意見が寄せられた。患者から「セカンドオピニオンを求めたい」と告げられた場合、その後の患者との信頼関係に影響があると思うか尋ねたところ、78.9%が「影響はない」と回答した。「悪い影響があると思う」は10.6%、「良い影響があると思う」は10.4%だった。「悪い影響があると思う」と回答した医師にその理由を聞くと、「本音をいえば他院に通院してほしい」「不快感はずっと残る」「十分な説明を何度も繰り返して行ったあとでのセカンドオピニオンは、信頼されていないと感じてしまう」などが挙げられた。「良い影響があると思う」の理由としては、「患者の不安に親切にこたえてあげられたら、より一層信頼関係が増すと思う」「セカンドオピニオンを受けた後、大多数は帰ってくるので、面倒でも信頼関係を悪くすることはないでしょう」といったものだった。
2015年07月21日メドピアはこのほど、同社が運営する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」に参加する7万人の医師ネットワークを対象に特別に実施した「医師の声」アンケート結果を明らかにした。同調査は4月24日~5月1日にかけて実施し、1,643名の有効回答を集めた。まず「梅雨の時期に気をつけた方がいい病気」について尋ねたところ、52.5%が「食中毒」と回答した。2位は「うつ病」(9.7%)、3位は「気管支喘息」(7.6%)となっている。1位となった「食中毒」について医師からは、「睡眠不足や過労で疲れている人だと少しの菌でも症状が重くなりやすい(40代、一般内科)」「食材や総菜の買い置きをよくする方は注意(50代、循環器外科)」「手洗い、消毒の徹底のほかに、加熱が無効な原因菌がいることも再認識する(30代、麻酔科)」などの注意点が挙げられた。「はじめて行く病院。ホームページのどこを見れば良い病院だとわかる? 」という問いに対して、最も多くの回答を集めたのは「症例数(診療実績)」(22.8%)だった。「病院の規模や医師数も大事だが、実際どれだけ診療しているかは大事な要素(30代、呼吸器内科)」といった理由が医師から寄せられている。健康診断で見つかりにくい危険な病気について尋ねたところ、「進行するまで症状が無く、一般の健康診断でも早期がんは見つからない(30代、救急医療科)」といった理由で、1位は「すい臓がん」(59.3%)だった。2位は「精神疾患(うつ病など)」(7.9%)、3位は「脳動脈りゅう(くも膜下出血)」(7.4%)となっている。すい臓がんに気づくための対策や予防策について聞くと、「健診の項目以外で腹部エコーやCTを追加で検査する(50代、腎臓内科・透析)」、「飲酒、肥満による糖尿病を避ける、禁煙。(60代、一般内科)」「背部中央の違和感が続くようなら、CA19-9を含めて検査する(50代、一般内科)」などが挙げられた。
2015年06月09日メドピアはこのほど、「医師自身の花粉症対策」についての調査結果を発表した。同調査は2月13日~19日、医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」の会員医師を対象にインターネット上で実施。1つ目の質問では3,916名、2つ目の質問では3,928名、3つ目の質問では3,900名より有効回答を得た。まず「いつ頃から花粉症の治療を始めるか」について聞くと、「2月」と回答した医師が最も多く、36%を占めた。2位以下には「何もしない」(25%)、「3月」(17%)が続いている。「2月」と回答した人のコメントには、「花粉飛散の2週間前で十分だと思います」(40代・耳鼻咽喉科)、「2月よりゴールデンウィークまで飲んでいます」(50代・産婦人科)などがあがった。また「何もしない」と回答した人からは、「マスクを着用するなどの予防だけで経過をみています」(40代・感染症科)、「症状がひどいときのみ、点鼻薬などで対処」(50代・一般内科)などの意見が寄せられた。続いて、「最も重要視している花粉の除去対策」について質問。その結果、「マスク」と回答した医師が最も多く、全体の41%にのぼった。次いで「空気清浄機」(16%)、「洗濯物を外干しにしない」(7%)があがっている。1位に選ばれた「マスク」には、「マスクでかなりの花粉を防ぐことができます」(60代・放射線科)、「各人の症状に応じてと思いますが、基本はこれでかなり違うと思います」(50代・小児科)、「物理的なシャットアウトなので、実効性があると考えています」(30代・整形外科・スポーツ医学)などの強い支持が集まった。最後に「自身で行っている、もしくは花粉症の家族に勧める花粉症の治療法」について聞いたところ、「薬物療法」と回答した医師は71%と大半を占めた。差をつけて2位以下には、「治療は何もしない」(11%)、「アレルゲン免疫療法」(1%)が続いている。中でも、抗ヒスタミン薬などを含む「ケミカルメディエーター受容体拮抗(きっこう)薬」を服用している医師が最も多く、57%。次いで「治療は何もしない」(11%)、「ステロイド薬」(5%)、「点鼻用血管収縮薬」(3%)があがった。「薬物療法」と回答した人からは、「基本的には抗ヒスタミン剤の内服。症状によってステロイドの点鼻の併用。重症の場合は手術療法も考慮」(40代・耳鼻咽喉科)、「抗ロイコトリエン薬が有効性が高く、何より副作用が少なく使いやすい」(50代・循環器内科)、「第二世代以降の抗ヒスタミン薬は眠気も少なく使いやすい」(60代・一般内科)など医師ならではの専門的な意見が見られた。
2015年03月03日医系専門予備校「メディカルラボ」を運営するキョーイクはこのほど、全国の現役医師300名を対象に実施した「医学部受験と医師生活」に関する調査結果を発表した。調査期間は2014年11月25日~27日。○医師を志したのは「人を救う仕事に興味」を持ったから調査ではまず、医師を志す動機について質問したところ、「人を救う仕事に興味を持って(33.0%)」が最多となり、次いで「親など、身近な医療関係者が働いている姿をみて(23.0%)」、「成績が良かったので (22.7%)」が2割強で続き、職業としての魅力や成績の良さが、医師を志す後押しとなったことがわかった。また、「生物など、学問から興味を持って(17.7%)」、「(親や教師から)助言・アドバイスがあって(17.7%)」、「病気や怪我、死などを身近に経験して(14.7%)」、「収入面など、待遇に惹かれて(14.3%)」といった動機も1割台あったほか、少数ながら、ブラックジャックなどの「医療マンガをみて(5.0%)」と、漫画作品から影響を受けたという人も見受けられた。○現役医師9割超が、労働環境改善の必要性を実感次に、"医師の不足・偏在"と呼ばれる状況について、どの程度危機感を抱いているのか調査したところ、「医師の不足感・偏在感を感じるか」という質問に対して、「非常に感じる(34.0%)」「やや感じる(49.3%)」と、83.3%の人が「感じる」と回答した。また、"医師不足は深刻な課題だ"という問題意識についても、70.3%が「感じる」とのこと。医師の不在・偏在問題について、実感や危機感を抱いている人が多くいることが明らかとなった。では、医師の不足・偏在を改善するために、労働環境の改善や整備が必要だと感じている医師はどのくらいいるのだろうか。「"医師の労働環境改善"の必要性」を問う質問に対して、「感じる」と回答した人は91.7%にのぼった。また、「"女性医師が働きやすい環境整備"の必要性(出産後に復職しやすい環境づくりなど)」では82.0%が「感じる」とのこと。特に、女性医師は90.7%と非常に高く、男性医師の81.0%を10%近く上回った。○オフは、旅行やおいしいものを食べてリフレッシュ!医師の「オフの過ごし方」について尋ねたところ、「旅行に出かける(50.3%)」や「おいしいものを食べる(48.0%)」という人がそれぞれ5割近くとなり、日頃のストレス発散や気分転換のために、休日に旅行やおいしいものを食べたりしている医師が多いことがわかった。○女性医師の43.7%が、結婚後の復職に不安次に、医師の結婚事情について調べた結果、「医師の結婚相手探しは苦労することが多い」と感じている人は31.7%となり、「そう思わない(68.3%)」と考えている方が多数派であることが判明。また、医師同士で結婚したカップルは離婚しやすいと思うか聞いたところ、「そう思う(55.4%)」「そう思わない(44.6%)」と、「そう思う」派がやや多い結果に。そのせいもあってか、「医師以外の人と結婚をしたい(したかった)」人は66.6%と3人に2人の割合となった。続いて、「結婚相手には、専業主婦(主夫)になって欲しい(欲しかった)か」と質問したところ、およそ半数が「そう思う(48.3%)」と回答した。しかし、20代・30代の医師では、「そう思う」が26.6%に対し、「そう思わない」が73.3%と圧倒的に多く、若い医師はそのような希望が薄いことがわかった。さらに、結婚後、医師生活を続けられるか不安(不安だった)と思っている人は全体で15.6%だったが、女性医師に限って見てみると43.7%という結果に。女性医師の多くが、出産などで一度職場を離れてしまうと、なかなか復職できないイメージを抱いているようだ。(「メディカルラボ」調べ)
2015年01月14日医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」を運営するメドピアは、11月28日から12月7日、会員医師2,492人を対象に「医学界・医師界における今年の漢字一文字」を募集。調査の結果、「iPS細胞」研究に注目が集まったことにちなみ、”再生医療”を示す「再」が、最多の208票を得た。1位に選ばれた「再」に対するコメントでは、「2012年は、iPS細胞による再生医療元年だと思います。医学・医療界に与えたインパクトは最大ではないでしょうか(50代、一般内科)」や、「iPS細胞の研究で日本人がノーベル賞を獲得し、いよいよ再生医療の実用応用に拍車がかかり始めたので(50代、一般内科)」などの声があがっている。また、2位「賞」の主な選択理由は、山中伸弥(やまなかしんや)の京大教授のノーベル賞受賞から、3位「幹」は、iPS細胞の和名である「人工多能性幹細胞」からで、同教授の研究成果・ノーベル賞受賞に関連する上位3文字で、得票率の約20%を占めることとなった。2位「賞」には、「今年の唯一と言ってよい明るい話題が、山中教授のノーベル賞受賞だったので(30代、整形外科)」、3位「幹」には、「iPS細胞にちなんで、すべての細胞の根幹をイメージできるので(50代、呼吸器内科)」といったコメントが寄せられている。なお、4位以下は、「忍」「迷」「乱」「耐」と続き、慢性的な医師不足をはじめとする、過酷な医療現場や、医療を取り巻く社会情勢を反映する文字が選ばれた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月13日メドピアはこのほど、同社が運営する医師コミュニティサイト「MedPeer」において、全国のMedPeer会員医師を対象に実施した「麻酔科医師の確保状況」に関する調査結果を発表した。調査期間は6月8日~14日で、有効サンプル数は2,637。「勤務施設での麻酔科医の確保状況について、最も近い選択肢はどれですか?」と尋ねたところ、「常勤医がいるので、確保に苦労していない(35%)」という回答が最多。「大学病院なので」「東京近辺では麻酔科医は飽和状態で、フリー麻酔科医の居場所は減少。が、実態は偏在化が激しいよう」などのコメントが挙げられた。「常勤医がいるが、足りないのでアルバイト医師がいる」は21%。「緊急は自家麻酔」「先行きの見えない状況」「なんとか調整している」「麻酔科医の少なさが手術数に影響している」といったコメントが見られた。「常勤医がいないので、すべてアルバイト医師」は13%。「大学病院や他院の医師にその都度依頼している」という声が多く、常勤医の確保が難しくなっているようだ。「その他」と回答した25%については、「常勤医がいるが、不足している」「本格的に麻酔医が必要な手術は、他の施設に依頼している」などのコメントを見られ、やはり厳しい状況がうかがえる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月21日メドピアはこのほど、同社が運営する医師コミュニティサイト「MedPeer」において、全国のMedPeer会員医師を対象に実施した「麻酔科医師の確保状況」に関する調査結果を発表した。調査期間は6月8日~14日で、有効サンプル数は2,637。「勤務施設での麻酔科医の確保状況について、最も近い選択肢はどれですか?」と尋ねたところ、「常勤医がいるので、確保に苦労していない(35%)」という回答が最多。「大学病院なので」「東京近辺では麻酔科医は飽和状態で、フリー麻酔科医の居場所は減少。が、実態は偏在化が激しいよう」などのコメントが挙げられた。「常勤医がいるが、足りないのでアルバイト医師がいる」は21%。「緊急は自家麻酔」「先行きの見えない状況」「なんとか調整している」「麻酔科医の少なさが手術数に影響している」といったコメントが見られた。「常勤医がいないので、すべてアルバイト医師」は13%。「大学病院や他院の医師にその都度依頼している」という声が多く、常勤医の確保が難しくなっているようだ。「その他」と回答した25%については、「常勤医がいるが、不足している」「本格的に麻酔医が必要な手術は、他の施設に依頼している」などのコメントを見られ、やはり厳しい状況がうかがえる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月20日医師コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピア株式会社は、4月18日~24日にかけて会員医師に対し「医師の喫煙と禁煙指導」についてのポスティング調査を実施した(科目限定)。1,597件の有効サンプルが寄せられた。今回の調査では、回答者の医師全体の約78%が非喫煙者で、喫煙者は全体の約21%。「患者に禁煙指導をしているかどうか」についての質問では、医師が非喫煙者の場合「禁煙指導を行っている」が一番多い割合で48%。理由については、喫煙指導を積極的に行っているというコメントよりも「患者さんの個性もあるのでケースバイケース」「禁煙を決意したら外来で相談にのれると伝えている」というものが多かった。続いて多い意見は医師が非喫煙者の場合「患者へ禁煙指導は行っていない」が30%。「しっかり説明してもほとんどの人はやめない」「喫煙は個人の嗜好の問題」といった意見が目立つ。一方、医師が喫煙者の場合「患者へ禁煙指導を行っている」は14%。「強くは言えないが、推奨はする」「禁煙外来で禁煙指導している」というコメントのほか、産婦人科医が「妊婦は絶対に喫煙をしてはいけないので指導している」、循環器内科医が「循環器的疾患がある人や悪性腫瘍がある人には特にすすめる」など、診療している科目ならではの理由も寄せられた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月12日メドピア株式会社は、同社が運営する医師コミュニティサイト「MedPeer」の会員医師に対して「外来患者の香水」についてアンケートを行った。8割以上の医師が「外来患者の香水について注意しない」という結果が出た。調査は4月16日~4月22日にかけて、MedPeer会員医師を対象にオープン回答型の「ポスティング調査」で実施。2,781件の有効サンプルが得られた。「外来患者の香水がきつい場合に注意しますか?」という問いに対して、82%が「注意しない」と回答。その理由として「個人の嗜好(しこう)の問題」、「医学的に問題無ければ、注意する理由がない」という意見が多かった。一方、「トラブルの原因になるので無視する」「職員なら注意するが、患者さんにはできない」というコメントも寄せられた。一方、「遠回しに注意する」は10%。その方法としては「看護師に注意してもらう」「注意書きを提示する」というものがあった。「はっきりと注意する」は3%で、理由は「ぜんそく外来なので発作を起こすことがある」「産婦人科ではつわりや化学療法でにおいに敏感な患者さんがいる」など、診療する科独特の事情があるようだ。また、香水のほかに、困ったにおいとして、タバコや体臭などを挙げた医師もいた。対策としては、「マスクをする」「消臭スプレーを使う」などのコメントがあった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月07日メドピアは、同社が運営する医師コミュニティサイトMedPeerにて、同サイトの会員で、かつ麻酔に従事している医師を対象に「筋弛緩拮抗薬の使用状況」に関する調査を実施。その結果、29%の医師が「ネオスチグミンのみ使用している」と回答した。同調査の結果によると、「筋弛緩拮抗薬の使用状況」については「ネオスチグミンのみ使用」が29%で最多。「使い慣れている」「スガマデクスの使用経験がまだない」といった回答が多くみられた。「スガマデクスのみ使用している」は17%。「迅速に確実に筋弛緩状態から回復できる」「安全性に優れている」「薬価は高いが、効果は圧倒的に優れている」といったコメントが目立った。また、スガマデクスとネオスチグミンを併用していて、「ネオスチグミンの方が多い」は14%、「スガマデスクの方が多い」は13%。スガマデスクの薬価が高いので、状況によって使いわけているという声が多かった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月01日メドピアは、同社が運営する医師コミュニティサイトMedPeerで、会員医師を対象に「NCD(※)への症例登録」について調査を実施した。調査の結果、半数以上がNCDに登録したことがないことが明らかになった。※NCDとは、臨床に関連する学会が連携し、医療の現状を把握するため設立された一般社団法人。調査は4月4日から10日まで、MedPeer会員医師を対象に「ポスティング調査」と呼ばれるオープン回答型のインターネットリサーチで実施。703件の有効回答が得られた。今回は診療科目を限定し、一般外科、人工臓器・移植外科、循環器外科、消化器外科、呼吸器外科、脳神経外科、乳腺・内分泌外科、泌尿器科、腫瘍外科、整形外科・スポーツ医学、形成外科、美容・アンチエイジング、小児外科、口腔外科、血管外科の医師対象に実施した。調査の結果、「NCDへの症例登録」について、「登録したことがない」と回答した医師が51%。泌尿器科、整形外科、脳神経外科の医師が目立つ。「要求されるデータ量が膨大で登録期限も短い。悪戦苦闘されている先生が多いと聞く」「かなり大変のようで正確に入力されるかどうかが問題」などの理由のほか、「NCD自体を知らなかった」というコメントもあった。一方、「自分で入力している」という回答は16%。「自分で管理しているがなかなか登録しにくい」「サイトの反応が遅い」といった不満があり、改善を求める声は多いようだ。「医療秘書など医師以外が入力している」も16%で「手術の片手間でできる仕事量ではない」「細かすぎる」「医師だけではとても無理」などの声が寄せられた。また、「途中であきらめた」と回答する医師も2%いた。その理由としては「大事なことなのだろうが、かなり負担になるので諦めた」「正確で詳細なデータには細部に及ぶたくさんの入力が必要で医師に余裕なない」などがあった。NCDとは、臨床に関連する学会が連携し、医療の現状を把握するため設立された一般社団法人。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月22日医師コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは、会員医師に対して「新薬の情報はどのように集めていますか?」というアンケートを行った。その結果、50%の医師が「MR」から情報を得ていると回答した。調査は、3月21日から3月27日に、MedPeer会員医師を対象に「ポスティング調査」と呼ばれるオープン回答型のインターネットリサーチで実施。2,561件の有効回答が得られた。「新薬の情報はどのように集めていますか?」という質問に対して、50%の医師が「MR」から情報を得ていると回答。その理由として「情報が早い」「聞きたいことが効率よく聞ける」「自分で調べる手間が省ける」といった意見が寄せられた。その一方、「自社の宣伝に偏りがち」「客観性に欠ける」といった意見もあった。MR以外から情報を収集すると回答した50%は「講演会」「製薬企業のホームページ」「学会誌」などから、能動的に情報を収集すると回答。全体的に、「新薬をすぐに使うわけではない」という意見が多く、採用までじっくり様子をみている様子がうかがえる。まずMRから情報収集し、その後、学会や講演会で調べるといった方法で多角的に情報を入手しているようだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月09日