2019年1月に地震保険料が改定されます。この改定では、保険料が値上げとなる値域と、値下げとなる値域があるのをご存じでしたか?我が家のある東京都は、値上げ値域に該当したので、地震保険の保険期間を変更して、保険料の節約をしました。今回は、簡単にはわかりにくい地震保険料に関してご紹介させていただきます。■ 2019年1月に改定される地震保険の保険料はどうなる?CORA / PIXTA(ピクスタ)昨年の2017年1月に改定された地震保険料ですが、2019年1月に再度改定されます。さらには時期未定で3回目の改定も予定されています。昨年1月の改定では全国平均5.1%、来年は3.8%の値上げ。つまり2年で8.9%の値上げと公表されています。■ 全国平均よりも上がる値域と下がる値域全国平均で3.8%の値上げとありますが、実は都道府県によって、数値はバラバラ。さらには、全国一律値上げではなく、値下げになる値域もあります。それでは、イ構造(主としてコンクリート造、鉄骨造の建物)で具体的に見てみましょう。ABC / PIXTA(ピクスタ)値上げとなる都道府県(値上げ率順)福島14.9%茨城、徳島、高知14.8%埼玉14.1%宮城、山梨、香川、大分、宮崎、沖縄12.6%千葉、東京、神奈川、静岡11.1%岩手、秋田、山形、栃木、群馬、富山、石川、福井、長野、滋賀、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島4.4%値下げとなる都道府県(値下げ率順)愛知、三重、和歌山▲15.8%大阪▲4.5%北海道、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良▲3.7%値上げ額で見ると高いのは千葉、東京、神奈川、静岡。Sunrise / PIXTA(ピクスタ)値上げ率が高くなくても、金額で見ると値上げ額が高くなるのが千葉、東京、神奈川、静岡で、2,500円(※)。値上げ率が最も高い福島県は金額にすると、1,100円(※)の値上げとなっています。MASA PARK / PIXTA(ピクスタ)木造住宅では、もっと大きな値上げ幅の地域もここまで、イ構造(主としてコンクリート造、鉄骨造の建物)についてみてきましたが、ロ構造(主として木造の建物)で見ると、徳島、高知は4,600円(※)もの値上げになります。ysnature / PIXTA(ピクスタ)次いで、埼玉、茨城も4,100円(※)のアップでした。※保険期間1年、地震保険金額1,000万円あたり、割引適用なしでの年間保険料例■ 長期契約がお得!地震保険料を安くする方法地震保険は、保険期間1年~5年で契約することができます。もし1年ごとに更新をしているのなら、保険料一括支払いの長期での契約を検討してみると保険料が抑えられるかもしれません。たとえば、地震保険料が最も高い千葉、東京、神奈川、静岡の木造の建物で見てみると、保険期間1年の保険料が36,300円(地震保険金額1,000万円あたり、割引適用なし)。これを5年間で支払う金額で見てみます。1年ごとに更新すると36,300円×5=181,500円。保険期間5年で契約すると、36,300円×4.45=161,535円(5年間の保険料を一括支払い)で、19,965円の差が発生します。makaron* / PIXTA(ピクスタ)保険期間5年で契約の場合の保険料を計算したときに使った数字“4.45”は長期係数と呼ばれるもので、実はこれも、来年の1月にはアップし、4.6となります。■ 長期契約できない場合もある!?ただし、地震保険は単独で加入できる保険ではなく、火災保険に加入していなければ契約できない保険です。それゆえに、保険期間も火災保険にリンクします。CORA / PIXTA(ピクスタ)保険の保険期間を5年にするためには、火災保険が5年を超える長期契約でなければなりません。契約できるかどうか、また保険料も自宅の構造や、契約内容で金額は変わってきます。まずは我が家の場合を確認するために、加入している保険会社や代理店に確認してみることをオススメします。【参考】※2019年1月 地震保険制度改定の概要
2018年07月04日■乳幼児医療費助成とは?子どもにかかる医療費を、自治体が助成してくれる制度。各自治体が運営している制度なので、名称や助成内容などはさまざま。詳細は、住民票がある市区町村の役所やHPで確認を!■乳幼児医療費助成もらえる金額は?助成額は、自治体によって違う。たとえば、かかった医療費全額を助成する自治体もあれば一部の場合もあるし、助成の対象年齢も乳幼児に限らず、中学生まで対象にしている自治体も増えている。■乳幼児医療費助成もらえる人は?国民健康保険や会社の健康保険など、健康保険制度に加入し、乳幼児医療費助成の加入手続きをした人。加入の手続きが遅れた場合、さかのぼって助成が受けられるかも自治体によって異なる。■乳幼児医療費助成 手続きの概要①住んでいる市区町村の助成内容・手続き方法を確認する自分が住んでいる市区町村の助成内容や手続きの方法を、役所の窓口や自治体のHPで確認しておく。市区町村の境目に住んでいて、他自治体の医療機関を使う可能性がある人は、「他自治体の医療機関を受診した場合」もチェックしておく。②赤ちゃんの健康保険に加入手続きし、健康保険証を受け取る赤ちゃんが入る健康保険に加入手続きをする。加入の手続きをする際に、「いつごろ健康保険証が届くのか?」の目安を確認しておくと、乳幼児医療費助成の申請タイミングの参考になる。扶養者が国民健康保険の場合は、出生届を出した後で、乳幼児医療費助成の手続きができるのが一般的。③役所で手続き後、乳幼児医療証を受け取る赤ちゃんの健康保険証を持参して役所で助成を受ける手続きをする。健康保険証が届いていない場合でも、手続きできる自治体もある。手続き後、しばらくすると乳幼児医療証が届くので、これを医療機関の窓口に提示することで助成が受けられる。■乳幼児医療費助成 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日■医療費控除とは?1年間に10万円を超える医療費がかかった場合、確定申告をすることで、支払った税金の一部を戻してくれる制度。■医療費控除でもらえる金額は、いくら?戻ってくるお金 = 医療費控除額 − 所得税率たとえば医療費合計額が60万円で所得が320万円の場合なら、確定申告をすることで、税金がおよそ1万6000円程度(※)戻ってくる。※医療費60万円 − 出産育児一時金 − 足切り額10万円= 医療費控除額面8万円医療費控除額面8万円 × 所得税率10% =戻ってくる税金8千円住民税率10%=戻ってくる税金8千円■医療費控除を受けられる人は、どんな人?家族全員で1年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額)を超え支払い、確定申告をした人。■医療費控除 手続きの概要●還付申告だけなら1年中受け付けている確定申告というと2月中旬~3月中旬のイメージがあるが、(医療費の)還付申告は、1年中受付している。対象となるのは、申告する前の年1年(1月1日~12月31日)なので、たとえば2017年の分の確定申告(医療費の還付申告)であれば、税務署が混む前に提出すれば、相談窓口も込みあわないので、確定申告初心者にはオススメ。■コラム「保険金等で補てんされる金額」について知っておこう◆医療費控除で間違えやすいのは、「保険金等で補填される金額」。じつは、私も初産の確定申告時に間違えて、税務署の方に指摘され、とても焦った記憶がある。この話を簡単に言えば、「公的制度や民間の保険会社からもらったお金は、医療費から差し引いて計算しなければならない」ということ。「差し引く必要がある費用」と、「差し引く必要のない費用」を下記の表にまとめた。ちなみに私は「出産育児一時金」を差し引くのを知らず、金額が40万円くらい違っていた(激汗)。私のように慌てないよう、ご注意を!●「保険金等で補てんされる金額」差し引く必要があるもの、ないもの■医療費控除 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日この4月、新たに京都府と埼玉県が「自転車保険の義務化」に踏み切りました。その流れを受け、自転車保険への加入を検討しはじめたという方も多いのではないでしょうか?自身もそうですが、自転車に乗る子どもの保険についても気になるところですよね。そこでフィナンシャルプランナーの加藤葉子さんに、義務化に対応した自転車事故に備える方法と、選び方のポイントについて解説していただきました。自転車による加害事故に備える3つの方法1【自転車保険で備える】自転車向けに用意された、いわゆる「自転車保険」は、他人の体や物を傷つけたときの法律上の賠償責任を補償する「個人賠償責任保険」と、自分がケガをしたときの治療費を補償する「傷害保険」と、の2つがセットになった保険です。保険料は月に数百円から高くても1000円程度。車のようなロードサービスの付いたものなど、多くのものから選べるようになってきました。2【TSマーク付帯保険で備える】TSマークとは、自転車安全整備士が点検整備(有料)した自転車に貼付されるもので、これにサービスで傷害保険と個人賠償責任保険、被害者見舞金が付いています。払うのは保険料ではなく、整備費ですので自転車の状態により必要額は変わります。ほか特徴としては、一般的な保険が契約者または契約時に定めた対象者につくのに対し、TSマーク付帯保険は自転車を対象としていること。有効期間内(1年)であれば、誰がその自転車に乗っても保険の対象となります。なお、青色TSマークとより補償の充実した赤色TSマークの2種類があります。加入(整備)の際は、自転車店で確認を。3【火災保険などの個人賠償責任保険特約で備える】日常生活で他人に対しての賠償が発生した時に備える「個人賠償責任保険」は、「自転車保険」を銘打った保険に限らず火災保険や自動車保険、各種共済、勤務先で加入する各種団体保険等にあわせ「特約」として加入することもできます。また、クレジットカードに付帯されている場合も多くあります。保険料の目安は、火災保険などに付帯させ補償額1億円を特約で加入した場合で月80円~200円。自転車事故に限らず、他人や他人の持ち物を壊してしまった様々な事故に対応し、高額な補償限度額が割安な保険料で確保できるので、コスト効果は高いといえます。自転車の事故に備えて保険に加入する際は、まずは補償額をチェック。次に、保険料と対象者の範囲、そして示談交渉の有無をチェックしてみてください。まとめ自転車事故でも、数千万円の高額賠償が必要となった実例もありますし、いずれかの方法で「個人賠償責任保険」は加入しておきたいところ。子どもむけの保険を探している方もいるかもしれませんが、この保険は契約者のほか、配偶者や子ども、同居の親などの家族も対象となるので親が入れば自動的に子どもも含まれることになります。よその車に傷をつけてしまったとか、お店の商品を壊してしまったなどなど。こうした子どもが起こしがちな賠償事案に対応することができるので、保護者としては安心ですよね。万が一に備えるなら、補償額は1億円以上がおすすめ。そして他の保険の「特約」として加入するのが、コスト的に有利です。ただし、本体の保険を解約した場合は自動的この保険も解約したことになるので、うっかり無加入状態にならないように注意が必要です。また「個人賠償責任保険」の支払いは実際の損害額が限度ですので、重複させるのは単なるお金の無駄となってしまうことにも注意してください。加入を検討するならばまずは、現在加入している保険契約に個人賠償責任保険が特約としてついていないか、使っているクレジットカードに付帯されていないか確認することが。保険証券を見てわからなくても、直接保険会社に問い合わせれば大丈夫です。(文・宇都宮雅之)
2018年06月03日介護保険料はそれなりの負担額で、特に年金生活者にとって重い負担となります。私も初めて介護保険料を徴収された際は「かなりの金額」と思いましたが、安心して老後を送るために必要なものであれば仕方がありません。そのためできるだけ公平に負担し、適正な使われ方をしているかを注視し、いざ利用する側になった場合は節度ある利用を考えたいものです。今回は保険料の仕組みについて理解していきましょう。○介護保険制度と介護保険料の関係下図は以前にもご紹介した介護保険の仕組みの図ですが、介護給付に必要な資金の構成を赤い点線部分に追記して示しています。その部分を見ると、介護サービスに必要なお金の原資の構成がわかります。税金と保険料が50%ずつなのは、老齢基礎年金と同様です。問題は、この税金や保険料を「誰」が「どのくらい」負担しているかです。制度を存続させるには、収入に応じて適切な負担割合であり、生活が苦しくても何とか負担していける額であることが必要です。○第1号被保険者の保険料の仕組みとは「第1号被保険者」とは上記の図でいうところの65歳以上の方々で、保険給付に必要な費用の21%を保険料として負担しています。保険給付に必要な費用の半分は税金で、残りの半分は保険料です。そのため、保険料のおよそ40%を第1号被保険者が負担している計算になります。この配分がベストであるか、どこか問題点があるかを最終的に判断するのは国民の役割です。当事者、またはそれに近い年齢の方ですと実感しやすいのではないでしょうか。○第2号被保険者の保険料の仕組みとは40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」の保険料の仕組みと流れを下にまとめました。ポイントとなる部分に赤い点線で囲んであります。保険料は医療保険に上乗せして徴収されますが、加入している医療保険の種類(国保、協会けんぽ<※1>、組合健保<※2>)、共済健保<※3>)により、金額が異なります。また、地域やそれぞれの組合によっても違います。※1協会けんぽ(全国健康保険協会管掌)……2008年に政府管掌健康保険制度より移管し、健康保険適用事業所である中小企業の従業員とその扶養家族が加入する医療保険で、保険料率は都道府県単位で異なります。※2組合健保(組合管掌健康保険)……社員数700名以上の企業は国の認可を受けて、自社独自の健康保険制度を設立でき、組合健保と称されます。※3共済組合……公務員らが加入する制度です。組合健保については、国による一定の基準はあるものの、各組合によって異なる部分も多いと考えた方がよさそうです。そのため、会社の組合に詳細を確認した方が確実です。特に通常とはやや違った下記のようなケースに該当する場合は、ご注意ください。(1)海外在住の場合(2)本人が海外在住で、扶養家族が介護保険の第2号被保険者に該当する場合(3)本人が40歳未満または65歳以上で、扶養家族が介護保険の第2号被保険者に該当する場合(特定被保険者)(4)育児休業に該当する場合○自身で確認しましょう私自身、若い頃は医療保険の制度など、全く関心がありませんでした。今の若い世代も同じかもしれません。しかし、これからの時代はレールの上に乗っていれば安心という時代ではありません。少なくとも保険料を徴収されている以上、自分たちの今後の生活に大きく影響する制度については、直接生のデータに触れてほしいと思います。末端の雑多な情報に振り回されずに、ぜひ直接会社の組合制度を調べてみたり、国の介護保険制度の詳細を直接確認したりしてください。今ではインターネットで国の制度や条文など、いくらでもチェックできます。本稿がそのきっかけになればと思います。※写真と本文は関係ありません○■ 筆者プロフィール: 佐藤章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2018年04月19日「こども保険」って知っていますか?「保険」という言葉がついているため、つい学資保険などの、子どもに関する保険商品の一種だと考えてしまいがちですが、実は違うんです。「こども保険」というのは、小泉進次郎衆議院議員など若手議員で構成されている「2020年以降の経済財政構想小委員会」が提言した、社会全体で子育て世帯を支援するという社会保障の案のこと。あなたはこの「こども保険」についてどう考えますか? 1. 「こども保険」とは「こども保険」というのは、未就学児1人当たり月額5000円を支給して、将来的に保育・幼児教育を実質無償化するなど、子育て世帯の負担を軽減することを目的とした社会保障の案です。気になる財源ですが、年金保険料(厚生年金や国民年金など)の保険料率を上乗せすることで、資金を集めるのだそうです。今まで集めた資金は、高齢者向けの社会保障に使われていましたが、今度からは子育て世帯も社会全体で応援していくということですね。ただし、この「子育て世帯」というのは、小学校入学前の子どもがいる世帯です。未就学児に月額5,000円支給、保育・幼児教育を実質無償化などは、小学校に入学した子どもたちには関係のないこと。未就学児のいる世帯・これから子どもを産もうと考えている世帯にとっては得になる社会保障制度ですが、そのほかの世帯は負担が増えてしまいます。ただ、少子化対策として将来的に良い影響を与える可能性もあるため、社会全体で取り組むことが重要であると考えられます。 2. 「こども保険」知ってますか?それではどのくらいの人が「こども保険」を知っているのでしょうか。しゅふJOB総研が働く主婦層を対象に「こども保険についてご存知ですか」と質問したところ、以下の結果となったそうです。知っている(16.4%)少しは知っている(31.8%)知らない(51.8%)詳しく知っている人は少なく、全く知らない人が過半数という結果に。案の段階とはいえ、まだまだ認知度は低いようです。こちらは子どもがいる・いないに関わらず、「働く主婦」に聞いたものなので、独身のかたに聞くともっと認知度は低くなると考えられます。ただ、年々少子化や待機児童が問題になる中で、「こども保険」のような、子育て世帯を対象とした社会保障が提言されていることを知らないままだと、「いつの間にか決まっていた」ということになりかねません。まだこちらは案の段階です。どのくらいの保険料が上乗せされるのか、どのような保障内容なのかを詳しく知ることで、不満点や疑問点が出てくると思います。「そんな保障内容では納得できない」「もっとこうしてくれたらいいのに」など、国民全体で声が上がれば、より子育て世帯に寄り添った保障内容となってくれるのかもしれません。また、将来の日本を支えてくれる子どもを支援するということは、今の私たちの老後にも関わってきます。子どもがいる・いないに関係なく、「こども保険」という社会保障のことを考え、議論していくことが大切なんだと思います。 3. 「こども保険」に否定的な人も元大阪府知事である橋下徹氏は、プレジデントオンラインの橋下徹通信にて、「こども保険」に大反対だと述べています。その意見を同サイトより引用します。保育所や幼稚園の仕事は地方自治体、特に市町村の仕事と位置付けて、就学前の子供は希望すれば保育所でも幼稚園でも全員無料で入れるようにする。これを法律で定めればいいだけなんだ。小中学校と同じように、域内の子供たち全員のために市町村は保育所・幼稚園を確保しなければならないと法律上義務化すればいいだけ。就学前児童の問題は市町村の仕事。高校は都道府県の仕事。もし国会議員が教育支援のためにお金を用意するというなら、それは大学の領域なんだよ。つまり、就学前の児童のことは国ではなく市町村で取り組むことを義務化するようにすれば、保育園・幼稚園無償化や待機児童問題も解決するのかもしれないということですね。やはり国の予算は限られていますし、待機児童以外にも問題は山積みです。地域の子どもたちと密着している市町村なら、より地域と子どもたちにあった対策ができるのかもしれません。保険料を上乗せすることでの国民からの反発を防げる可能性もありますね。 子育て世帯を支える社会保障である「こども保険」。自分なりのメリットとデメリット、どういうふうになればより子育て世帯の負担が軽減するのか、恩恵のない世帯が少しでも良い影響を感じられるにはどうすれば良いのかなどいろいろ考えてみてくださいね。夫婦で議論してみたり、ちょっとママ友と話してみたりなどして、社会保障に興味を持ってみると良いかもしれません。「子どものこと」は将来にもつながること。身近な問題として議論を深めることで、より過ごしやすい社会へと変化していくのではないでしょうか。 参考:幼児教育無償化、待機児童解消、少子化対策・・・働く主婦にメッセージは伝わっているか? こども保険「知らない」51.8%橋下徹“僕は「こども保険」に大反対!”
2018年04月05日登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。 最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。 「一般的な損害保険は1年間に4,000〜5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300〜500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」 電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。 「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん) では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。 【病気の母をコンサートに連れていくとき】 「要介護で落ち込みがちな母を元気づけるため、母の大好きな歌手のコンサートのチケットを取りました。日付は半年先。でも、1週間前に母が体調を崩して入院し、チケットも無駄になりました」 そう残念がるのは、母親を介護中のB子さん。急だったために母のチケットは売ることもできず、B子さんは1人でコンサートに参加した。 「先々の予定を立てづらい介護中や療養中、出張が多い人などは、『キャンセル保険』が付いたチケットを購入していれば、行かれなくてもチケット代が戻ってきます」(風呂内さん・以下同) 「チケットぴあ」のホームページで購入し、購入完了画面からキャンセル保険に加入できる。ただし、対象外の公演もあるので事前に確認を。 【ぬれる場所や高いところにデジカメを持っていくとき】 買ったばかりのデジタルカメラが壊れても「メーカーの1年保証があるから大丈夫」と安心している人も多いだろう。ところが、水ぬれや砂かぶり、破損などの故障は対象外というケースがほとんどなのだ。昨年11月にサービスを開始した「ワランディ・ナウ」は、発売から3年以内のデジタルカメラが壊れたときに、購入価格上限に修理費を補償してくれる。 「専用のアプリをスマホにダウンロードし、保険をかけたいカメラを登録するだけ。保険料は1日39円からで、修理してくれます」 ただし、ほかの保険に入っている場合は「携行品補償」とかぶることも。必ず事前にチェックしよう。
2018年04月04日登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。 最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。 「一般的な損害保険は1年間に4,000〜5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300〜500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」 電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。 「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん) では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。 【国内旅行に行くとき】 旅行に行くときに日帰りでも加入できるのが「国内旅行保険」。海外旅行保険は多くのクレジットカードに付帯しているため、国内旅行に特化したオンデマンド保険が登場した。補償内容は、旅行中のケガに対して手術代や入院・通院費が出る。 「1日の保険料が100円プラスされるごとに、補償金額も高くなる仕組みです。各社とも金額に差があるので、加入する前にはチェックしておきましょう」(風呂内さん) 旅に関するユニークな保険も出ている。雨が降った時間に応じて旅費が返金される「お天気保険」だ。1泊2日以上に限られるが、雨が降ったら台無しのビーチリゾートや、遺跡見学などのツアーに参加するときに、加入を検討してみては。 【実家の車を運転するとき】 実家に帰省したとき、久々に父の車を使おうとしたら、「お前はダメだ!」と止められたというA子さん。 「自動車保険を安くするために、去年から運転者を父だけに限定していたんです。私が運転して事故を起こしたら保険が下りないと言われました」(A子さん) こういう場合に便利なのが「1日自動車保険」。 「最近は保険料の見直しで、運転者を加入者本人に限定することが増えました。ほかの家族が運転して事故を起こしたら保険が下りないので、多額の修理費や賠償金を自腹で支払うことに。他人名義の車を運転する場合、コンビニやスマホからでも加入できる1日自動車保険を利用することをおススメします」(風呂内さん)
2018年04月04日登山や旅行に出かけるとき“もしも”のケガには備えたい。でも、毎年の保険料は抑えたいから、年間契約の保険には入りたくない……。 最近、このようなニーズに応え、1日単位で加入できる「オンデマンド(需要に応じた)保険」が相次いで発売されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう説明する。 「一般的な損害保険は1年間に4,000~5,000円の保険料がかかりますが、オンデマンド保険は、1日300~500円程度ですむので、場合によってはかなりおトク。種類も豊富で、スポーツや日帰り旅行に対する備えだけでなく、コンサートのチケット代を補償してくれる保険まで登場しました」 電話やインターネット経由で契約できるなど、手続きもかんたん。ただ、おトクに使いたいなら注意も必要だ。 「すでに加入している医療保険やクレジットカードの付帯保険のサービスと、補償の内容がかぶる場合もあります。すでに入っている保険でカバーされない分を、オンデマンド保険で補うのが賢い使い方です」(風呂内さん・以下同) では、オンデマンド保険をおトクに使えるのはどんなシーンなのか、風呂内さんに解説してもらった。 【山登りやスポーツをするとき】 登山は、たとえ低山でも大きなケガにつながりやすい。そんなときに便利なのが「1日レジャー保険」。テニスやサッカーなど激しいスポーツでのケガなども補償される。 「補償の内容は、ケガをしたときの手術代や入院・通院費用が中心です。しかし、医療保険ではカバーされない救援者費用が出るのが大きい。高額になりがちな遭難時の捜索費用、さらに親族が現地に向かう費用や、他人にケガを負わせたときの賠償責任が手厚いのがポイントです」 1泊以上の場合は、アウトドア総合ブランド「モンベル」の会員が加入できる「モンベル野あそび保険」がおススメ。保険料はわずか250円からで、山登りが趣味の人はこちらがおトクだ。 また、ゴルフに特化した「ゴルフ保険」は、付き合いでたまにプレーする人にはおトク感がある。レアケースながら自分が「ホールインワン」などを達成したとき、自ら周囲の人に記念品などを振る舞う習慣があるが、その費用も保険で補える。ただし、ゴルフが趣味で毎週行くような人は、3,000円から入れる年間契約の「ゴルフ保険」のほうがおトクだ。
2018年04月04日「4月から各生保会社が、生命保険料を改訂します。一般的に、死亡したら保険金が支払われる死亡保険の掛金が若干安くなり、医療保険や就業不能保険など、生きているうちに給付される保険は、若干値上がりする傾向にあります」 こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの加藤梨里さん。保険料は、標準生命表という国の統計データを基に算出されている。11年ぶりに改訂された同統計で、長生きの人が増えたために、死亡率が下がったことが理由だ。加藤さん、そして生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが、4月に変わる医療・保険費のルールについて解説してくれた。 「“長生きリスク”による料金改正となりました。医療保険に関しては、1%弱の値上がりが多いようです。値上げの対象となる人は、4月以降に新たに加入する人です。しかし、すでに保険に加入している人でも、更新型の場合は更新時に新料金が適用される場合が多いので、確認が必要。保険の見直しの機会にもしたいところです」(加藤さん) 国民健康保険料の上限額引き上げも予定されている。 「これまで国保の年間保険料は上限額73万円でしたが、77万円までに引き上げられるというもの。ただし、対象は年収約1,000万円以上の人たちで、国保加入者の2%弱です」(加藤さん) むしろ医療費や介護費のほうが、家計に影響を与えそう。 「4月に診療報酬の改定があります。かかりつけ医としての基準を満たした診療所などで初診料が800円値上げされます。医療費3割負担の人は240円、1割負担の人は80円の値上げとなります」(加藤さん) 在宅医療の往診費用も値上げされる予定だ。24時間態勢であることなどの条件を満たした医療機関が、診療費を加算できるようになる。 「月に約2,000〜4,000円の値上げ。その1〜3割が患者の負担となります」(加藤さん) 1カ月に上限額を超えた医療費の自己負担分が返金される、高額療養費制度も、70歳以上の人を対象に8月に変更される。 「年収約156万〜370万円の一般家庭では、これまでは1カ月の外来費用がどれだけかかっても、1人あたりの支払い上限額は1万4,000円まででしたが、これが1万8,000円に引き上げられます。また、年収約370万円以上の家庭は、1カ月に支払う外来・入院費等の総医療費の上限額約8万円が、収入によって段階的に引き上げられ、最大で約25万円以上になります」(加藤さん) 40歳以上が支払う介護保険料も、4月から負担増だ。たとえば65歳以上(第1号被保険者)の場合。 「新宿区の場合、これまで月5,900円だった介護保険料が6,200円、札幌市は月5,177円が5,773円、大阪市にいたっては、6,758円が7,927円と、1,000円以上の値上がりです」(柏木さん) 介護サービスの自己負担額の割合も、8月に変更される。 「年収が約340万円以上の世帯は、これまで自己負担額2割で利用できた介護サービスが3割負担に引き上げられます」(加藤さん)
2018年03月26日4月から「診療報酬」が改定され、病院の窓口で支払う医療費が変わる。医療報酬とは、診察や検査、薬などの料金や、それに伴う手数料などを決めているもので、2年に1度見直される。 今回の改定のうち、家庭に影響が大きそうなポイントは、おもに2つ。1つ目は、「初診は大病院ではなく『かかりつけ医』で受ける」体制を、さらに推進している点。2つ目は、「看護・介護から看取りまでを在宅で行う」よう推進する見直しだ。 4月からの「診療報酬」改定を踏まえ、医療費をどう節約したらいいのかを荻原さんが教えてくれた。 【1】信頼できる「かかりつけ医」を見つける 「『有名な病院のほうが安心』などと、安易に大病院を受診すると、初診料の5,000円加算と合わせ、窓口で1万円近く請求されることもあります。重篤な病気が疑われる場合も、まず『かかりつけ医』に相談し、専門病院を紹介してもらいましょう。また、経済的にも体にも負担が重い“はしご受診”は避けましょう」 【2】薬は病院に近いほど安い 「薬そのものの値段は、どこでもらっても同じ。しかし、薬をそろえるなど施設を維持するための『調剤技術料』は、薬局により異なります。今回はこれも見直され、病院の敷地内にある“門内薬局”は院内処方と同程度の100円に、病院近くにある大手チェーンの“門前薬局”は150円に引き下げられました」 【3】薬の多い人は、薬剤師に相談して減薬してもらう 「複数の病院にかかり6種類以上の薬を飲む方は、薬剤師に減薬の相談をしてみましょう。2種類以上減薬できると『服用薬剤調整支援料』が加算されますが、薬が減る分、節約効果は長く続くはずです」 【4】病院受診は時間内に 「休日や夜間の診察は割高です。初診の場合、休日だと2,500円、深夜だと4,800円が加算されます。支払いは、3割負担の方なら休日750円、深夜1,440円の加算ですが、そもそも時間内に受診すれば払わなくてすむお金です」 【5】高額療養費制度を利用する 「高額療養費の利用を勧めてくれる病院も増えていますが、すべてというわけではありません。払戻し制度があることを覚えておきましょう」 高齢者がいる家庭では、訪問診療も行う「かかりつけ医」を持つと安心。また、看取りまで担う介護福祉施設の情報も集めておこう。
2018年02月23日「最近はうつ病などで、やむなく休業する人も増加中です。そんな背景もあり、“働けない”リスクに備える『所得補償保険(就業不能保険ともいう)』が注目されています。所得補償保険とは、入院や自宅療法などで働けないとき、加入時に設定した保険金が毎月支払われるというものです」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。病気やケガなどで働けず収入が減っても、生活費や住宅ローン、子どもの教育費などは必要だ。ところが、これらの備えとなる保険商品は、これまで手薄だった。 また、以前より入院できる期間が短くなり、外来で治療を受けながら自宅療法する人が増えている。しかし自宅療法では、「医療保険」からの保険金給付はほとんど望めない。そのため、2年ほど前から、保険各社が所得補償保険を相次ぎ発売している。 ライフネット生命の就業不能保険「働く人への保険2」を例に、どんな保険かを荻原さんが解説してくれた。 「Aさん(40歳・男性)は、所得補償保険を検討しています。年収が約480万円。月収に換算すると約40万円なので、『保険金が毎月30万円あると安心だ』と思っていました。しかし、所得補償保険の保険金額には、月収の60%程度という上限があります。Aさんの場合、最大24万円ですが、5万円単位でしか設定できないため、20万円でした」(荻原さん・以下同) 保険期間は、定年退職する60歳までを選択した。 「Aさんが実際に働けなくなったとき、病気などの発症から一定期間は免責期間のため、保険金は受け取れません。免責期間を長くすると、保険料は安く抑えられます。Aさんは60日の免責期間を選んだため、月々の保険料は5,716円でした」 このように、加入時の年齢や保険金額、免責期間などによって、保険料は変わる。 「保険会社によって規定がさまざまで複雑ですが、総じて言えるのは“働けない”認定が厳しいこと。自宅で内職のような軽作業ができると『働けるから、保険金は打ち切り』となるものもあります」 保険の商品数や種類が増え、注目度が上がると不安があおられる。保険での備えは必要なのだろうか。そこで、荻原さんが公的支援や保険の上手な活用法を教えてくれた。 【1】まずは公的支援を確認 「会社員の場合、病気などで休業しても、『傷病手当金』が給料の約3分の2、最長1年半、支給されます。その後もまだ重篤な場合は、障害年金を申請できます。障害年金はがんや精神疾患なども、支給対象に含まれます。ただし、自営業など国民健康保険の方は、傷病手当金がありません。貯蓄や保険など、独自の対策が必要です」 【2】加入済みの保険内容を確認 「自分の保険の特約などを、きちんと覚えていない方が多いです。再度確認しましょう。たとえば病気になった際、医療保険から多額の一時金が出るなら、それで生活を支えることもできるでしょう」 【3】支払い要件を確認する 「所得補償保険では、精神疾患を保険対象外とするものが多いです。働けないと認定される基準も千差万別。いろいろ比較してください」 【4】ほかの選択肢を探す 「働けないリスクへの備えは、保険だけではありません。たとえば、自営業者の方なら『小規模企業共済』に加入し、自分の退職金を積み立てて準備することもできます。病気などで廃業したら、その退職金を受け取って、生活費に充てる方法もあります」
2017年11月03日「最近、大手保険会社がターゲットにしていないようなニッチな分野で、『こんな保険が欲しい』という需要に応えた『少額短期保険』と呼ばれる保険が増えてきました。たとえば、ジャパン少額短期保険の『痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険』は、痴漢の被害を受けた際、あるいは、加害者だと疑われた際に、無料で弁護士に電話相談ができます。月々の保険料は590円で、事件直後の電話相談、交通費などの接見費用を含め、事件発生から48時間以内にかかった弁護士費用は、全額保険で補償してくれます」 こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今年3月以降、痴漢を疑われた男性が線路に降りて逃走する事件が相次ぎ、その後、『痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士費用保険』には、申し込みが殺到したという。 「また、アイアル少額短期保険がSOMPOホールディングスと共同で開発した『明日へのちから』は、介護度改善を目指すための保険です。対象は、介護認定を受けた要支援1〜要介護5までの方。1年間の保険期間中に、介護度が改善されると、祝い金が受け取れます。年間保険料が5,000円なら祝い金は2万5,000円と、どのプランでも、保険料の5倍の祝い金が用意されています。祝い金獲得が、リハビリに励む動機づけになればいいですね。今は、SOMPOホールディングスグループの介護施設利用者しか加入できませんが、今後はほかの介護施設利用者にも広げていくようです」(荻原さん・以下同) 注目が集まっている『少額短期保険』。その理由を荻原さんが解説してくれた。 「少額短期保険は、見込める収益が少ないため、大手の保険会社による開発がなかなか進みません。そこに活躍のチャンスを見いだしたのが、『少額短期保険会社』です。少額短期保険会社は、’06年に施行された『改正保険業法』によって誕生しました。扱えるのは、保険金額1000万円以下、保険期間も最長で2年で、掛け捨て保険のみです。実は、法改正以前は、無認可で保険商品を扱う悪質な業者もありました。そこで、資本金が10億円以上必要な一般の保険会社とは別に、資本金は1,000万円以上の少額短期保険会社の基準を設け、登録制にして、悪質業者の一掃を図ったのです」 法改正から10年以上たって、悪質な業者は減り、今年3月末の少額短期保険の契約件数は、前年より50万件増えて687万件に。保険料収入も89億円増えて815億円と、順調に推移している(日本少額短期保険協会調べ)。 そんな、契約件数を順調に伸ばしている少額短期保険だが、注意点が1つあると荻原さんは言う。 「少額短期保険には魅力的な商品もありますが、注意点が1つ。一般の保険とは違って、『保険契約者保護制度』の対象外なのです。万が一、保険会社が破たんすると、十分な補償が受けられないケースもあります。注意してください。なお、保険商品が増えてくると、玉石混交になりがちです。きちんと調べたうえで選ぶようにしましょう」
2017年09月29日病気の時やケガで働けない時に、途絶えてしまうお給料の代わりに給付金として支給される「就業不能保険」が、最近保険会社の各社から相次いで発売されています。今回は「就業不能保険」って、何?というテーマでお話します。「就業不能保険」って、どんな保険?【はぴマネレッスン】vol. 50就業不能保険とは、病気やケガ、心の病気などさまざまなケースで職場復帰ができない場合に給付金が支給されるという保険商品のひとつです。各社で「給与サポート保険」、「収入サポート保険」などさまざまな呼ばれ方をしています。また、「どんな症状や状態で保険金が出るか?」という点も各社異なっているのが特徴で、割と新しいタイプの保険商品のためまだ浸透しきっていないのも事実です。まずは、就業不能保険のメリット、デメリットについて考えてみましょう。就業不能保険のメリット、デメリットって?メリットさまざまな原因(病気やケガ、ストレス性疾患等)から長く働けない、かつ入院などでなく在宅での治療のケースには、収入の減少に加えて治療費の増加など、さまざまな支出が増えてしまいます。このため、貯金を取り崩さないと治療費が払えないケースも。就業不能保険では、「どんな状態で給付対象となるか?」という点がまず重要とはなりますが、もし該当のケースとなるようであれば、現状で取り崩すだけの貯金がない方や、会社員ではなく自営業で休んでいる間の収入が一切なくなってしまう方、貯金はどうしても取り崩したくない方にとって、万が一の際の安心感に繋がります。デメリット「公的医療保険」や「職場で受けられるサポート」でまかなえるケースも多い、ということと、「対象外のケースも多い」ということは頭に入れておきたいポイントです。一般的に会社員の方で病気やケガで働けない場合、公的医療保険から「傷病手当」として最長1年6か月まで給料の約3分の2程度が補償されるなどの手当があります。医療費の自己負担も収入に応じて変動はあるものの、一般的な収入として当てはまる現役世代の場合であれば一か月間で約8万円程度が自己負担限度額となり、それ以上は高額療養費として戻ってきます。まずチェックしたいのは「公的医療保険」、「職場のサポートはどこまであるか?」、そして「検討している保険のサポートはどこまでの状態が当てはまるのか?」の3点。加入前に確認すべきポイントです。各社で出ている「就業不能保険」をチェックアフラック「給与サポート保険」入院以外に、在宅療養(医師による治療が続いている場合で外出が困難な場合、障害等級1級2級に認定する場合、またアフラックが定める特定障害状態)が60日以上続いた場合に、毎月×6回は給付金を受け取れ、その後は生存しており、就業不能状態が続いていることを条件に60歳または65歳まで自分で定めた期間は毎月給付金が受け取れるという内容です。例えば慢性腎不全で人工透析となり治る見込みがない場合などがあげられます。ライフネット生命保険「働く人への保険2」入院、または病気やケガにより医師の診断を受けて在宅で治療に専念している場合が60日または180日続いた場合に毎月一定額が支払われます。こちらもアフラック同様症状が回復したり、万が一死亡のケースには支給は終了します。また、所定の高度障害になった場合には一時金が支払われ、また保険料の払い込み免除があります。チューリッヒ生命「くらすプラス」こちらは特徴として、うつ病などのストレス性疾患をはじめ、がん、脳卒中をはじめとする5疾病に該当し、かつ就業不能状態が60日間継続した場合に240万円〜1200万まで自分で指定した額を受け取れます。受け取り方は「毎月」のほか「最初に一括」、または「一部を一括」などを選べます。うつ病や摂食障害を始めとするストレス性疾患で働けないケースも対象となるのは大きな特徴です。住友生命「1UP」特徴として、「公的介護保険制度の要介護2以上」、「公的年金制度の障害年金1級・2級」、そして「住友生命所定の就労不能状態該当した時」に該当する場合、いったん就業不能となった場合、生存している限り契約年齢までずっと保険金が支給されます。また、特約で特定の状態になった際に保険料の払い込みが免除となる特約もあります。このように、収入が途絶えた!というリスクに対する「生きるための保険」が各社から続々と登場していますが、会社員で手厚い会社のサポートがある方や、現在備えがしっかりとある方にとっては保険料の負担も大きくなってしまう可能性もあるため、むやみに加入するのは考えもの。ご自身の今おかれている環境での公的医療保険、会社の制度、そしてご自身の貯金等の備えにプラスして「本当に必要か?」を見極めて検討してみてはいかがでしょうか。以上、はぴマネレッスンvol. 50でした。(C)gpointstudio/Gettyimages(C)KatarzynaBialasiewicz/Gettyimages(C)AntonioGuillem/Gettyimages
2017年09月05日医療技術を取り入れた化粧品2017年6月13日、株式会社ココカラファインは自社のプライベートブランド「VIVCO(ヴィヴコ)」をリニューアル発売した。このブランドは九州大学の後藤教授が開発したS/O高浸透技術を採用している。このS/O高浸透技術は薬効成分を肌から浸透させる医療技術。この技術により、これまで注射等で薬剤を注入しなければならなかった患者の負担を軽減させることができたのだ。どこがリニューアルするの?これまではヒアルロン酸とビタミンCをS/O化して配合していたのだが、「もっと高機能なエイジングケア化粧品が欲しい」というユーザーの声に応えて、今回のリニューアルでエイジング成分であるヘスペリジンもS/O化して配合することになった。高機能で低価格がウリの同商品であったが今回は製造工程を見直すことで、これまでよりの容量が増えたのにお手頃価格を実現。また、「売り場で商品がどこにあるかわからない」という声に応えてパッケージも変更に。今回から配合される美肌成分「サトザクラエキス」をイメージしてパッケージデザインを桜色に変更した。さらに、これまで14品目あったラインナップを5品目に厳選。豊富なラインナップは細かく使いこなせる人には嬉しいが、多くの人はどれを使ったらいいのか悩んでしまうだろう。5品目程度なら自分に必要なアイテムを選びやすい。リニューアルによってさらにパワーアップして使いやすくなった同化粧品をあなたのお手入れに加えてみてはいかがだろうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社ココカラファインプレスリリース
2017年06月20日「小泉新次郎氏を中心とする自民党の若手政策集団が、先月『こども保険』の創設を提言しました。提言によると、こども保険は公的保険で、介護保険と似ています。介護保険は、介護にかかる費用を介護保険料とし、健康保険に上乗せして徴収して、集めた資金で介護サービスの利用料を補助しています。こども保険も同様に、社会保険に上乗せして保険料を徴収し、集めた資金を就学前の子どもがいる家庭に支給するようです」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。与党若手グループ提言の「こども保険」は、社会保険料を0.1%上乗せして、就学前の子ども1人当たり月5,000円を支給するという構想だ。荻原さんは、そんな「こども保険」に疑問を呈する。 「根本には『社会全体で子どもを育てる』という考え方があるようですが、それ自体に異論はありません。しかし、『社会全体で』というなら国民全員が負担する税金でまかなうのが本筋でしょう。増税は世論の反発が大きいので、社会保険なら実現しやすいと考えたのではと、うがった見方をしてしまいます。なにより、必要な資金を国民から徴収しようと考える前に、国は天下り問題をはじめとするムダを排除するなど、やるべきことがあるはずです。安易に“取りやすいところから取る”政策は言語道断です」 そうでなくても、子育てには莫大なお金がかかり、特に女性は働くことも制限されがちだ。場当たり的な対策では未来は開けないと荻原さんは言う。 「『自分の人生を犠牲にしてまで、子育てはしたくない』と考える若い世代も現れており、私たちは説得するすべがありません。国の教育費負担は、OECD加盟国の中で最下位レベルが続いています。政府には『国立大学を無償化する』くらいの大ナタを振るっていただきたい。待機児童問題にも、抜本的な改革が必要です」
2017年04月17日発生した地震によって、建物や家財が何らかの損害を受けたときに補償してくれる地震保険。地震保険では地震以外に、津波や噴火によって発生した損害も対象となります。また、自然災害によって火災が発生した際にも、火災保険ではなく地震保険がその被害を補償します。日本に住んでいるならば、ぜひとも加入しておきたい保険の1つと言えるでしょう。ところで、そんな地震保険の査定方法をご存じでしょうか?今回は地震保険の査定方法などをご紹介します。■補償の対象となる家財は?家財とはいわゆる「家具」のことであり、テレビやソファ、冷蔵庫、電子レンジなどが当てはまります。また、机や本棚、衣類、仏壇、骨董品なども家財に含まれます。地震保険では、これら家財に関して補償対象と補償対象外の2つに分けられています。基本的には家にある家具のほとんどが補償対象ですが、自動車や300,000円を超える家財は補償対象外です。自動車については、自家用・社用問わず補償してもらえません。300,000円を超える家財としては宝石や骨董品、美術品、有価証券などが挙げられます。また、店舗や事務所にある家財も地震保険の補償対象外です。例えば店舗の商品や製品、設備などに関しては地震保険が適用されません。これらの補償対象の基準は、保険会社の規定ではなく「国の規定」により定められています。【家財査定による分類】地震保険の家財査定は以下の5つのジャンルに分けられています。・食器陶器類・電気器具類・家具類・その他身の回り品・衣類寝具類そして上記それぞれを細分化して、さらに項目ごとに分けられています。電気器具類であれば以下の項目が挙げられます。・テレビ・パソコン・冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機・エアコン・掃除機・ステレオなど上記のように項目ごとに分けて、「いくつ損害が生じているか?」といった加算方式で数えます。加算方式に関しては、後述で詳しくご紹介していきましょう。家財では購入金額や購入時期ではなく、「家財が何種類壊れてしまったのか?」という部分が重要になってくるので覚えておきましょう。■地震保険の仕組みを把握しよう!保険金に関する基礎知識地震保険では、一定の基準に達した場合にのみ保険金が支払われます。2016年12月までは、一定の基準が以下の3区分に分けられていました。・全損・半損・一部損しかし、2017年1月に制度が改定されたことによって、上記の3区分が以下のように変更されています。・全損・大半損・小半損・一部損【保険金支払いの目安】それでは上記の区分のいずれかに認定された場合、保険金は実際にいくら支払われるのでしょうか?・全損地震保険の保険金額×100%(限度額は時価額の100%)・大半損地震保険の保険金額×60%(限度額は時価額の60%)・小半損地震保険の保険金額×30%(限度額は時価額の30%)・一部損地震保険の保険金額×5%(限度額は時価額の5%)上記の時価額については、以下の式によって算出することができます。■時価額=(家財の再購入に必要な金額)-(経過年数などにより劣化した家財の価値)【家財の4区分認定】どのような家財であっても、被害を受ければ上記の区分に認定されるわけではありません。認定されるには、以下のように損害額と時価額の比率が重要なポイントになります。・全損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の80%を超えた場合・大半損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の60%~80%未満になった場合・小半損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の30%~60%未満になった場合・一部損…損害額が家財全体(保険の対象に含まれるもの)の時価額の10%~30%未満になった場合つまり、地震保険では損害額が家財全体の時価額の10%を超えない限りは、補償の対象外になってしまいます。このようなケースでは、仮に地震保険に加入していても保険金が支払われないため注意してください。【保険金が支払われないケース】上記の区分に該当しても、保険金が支払われないケースもあるので要注意です。地震などの災害が発生した翌日から11日が経過している場合は、その後に損害を受けても補償の対象には含まれません。つまり、災害発生から10日以内が補償の対象です。例えば、1月1日に地震が発生したと仮定します。この場合は翌日の1月2日から数えて10日後が1月11日となりますが、それまでは損害補償の期間です。1月12日以降に家財が壊れても、地震保険の損害対象外となってしまいます。また、紛失や盗難によって生じた損害の場合でも、保険金が支払われません。緊急事態であっても、このようにきちんと保険金支払いの条件が定められています。泣き寝入りしないように十分気を付けてください。【保険金が削減されるケース】地震の規模によっては、保険金が全て支払われない場合もあるため覚えておきましょう。2016年9月時点では、損害保険会社全社で算出された1回の地震等による保険金総額が「11,300,000,000,000円」を超えた場合、保険会社は保険金を削減できることが定められています。また、頻繁に起こった地震による損害に関しては、72時間以内の地震をまとめて「1回」と数えられます。複数回の地震による影響で家財が損傷しても、72時間以内ならば1回とカウントしてチェックされるのが地震保険です。■建物の査定ポイントを把握しておこう!地震保険の加入対象は居住用の建物です。したがって建築物にも保険は適用されますが、家財とは査定方法が異なるので注意が必要です。査定の上限については建物が50,000,000円、家財が10,000,000円となります。【建物の査定方法】柱や外壁、屋根、基礎など、主要構造部の損害が「各主要構造部においてどれくらいの割合で損害を受けたのか?」がチェックされます。以下では、一戸建ての建物を例に挙げて見ていきましょう。例えば「地震により外壁に亀裂が入った」と仮定します。このとき、「外壁全体と比較して、亀裂の大きさはどの程度なのか?」を確認するのが建物の査定方法です。損害が主要構造部の3%以上に及ぶと一部損と判断されます。【建物の4区分認定】家財の場合と同様に、地震保険では建物に関しても以下の4区分に分けられています。■全損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の50%を超えた場合2.延床面積の70%以上の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合■大半損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の40%~50%未満になった場合2.延床面積の50%~70%未満の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合■小半損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の20%~40%未満になった場合2.延床面積の20%~50%未満の床が、災害によって流失や焼失してしまった場合■一部損1.主要構造部の損害額が、建物の時価額の3%~20%未満になった場合2.地盤面より45cmを超える浸水が発生し、建物に損害を受けたとき3.床上浸水によって建物に損害を受けたとき【建物査定の注意点】門や塀、給排水設備など、主要構造部に該当しない部分だけが損害を受けても、残念ながら補償されません。地震保険の補償対象となるのは、建物を支える主要構造部です。主要構造部に問題がなければ、それ以外の構造部が損害を受けても保険が適用されないため注意してください。【家財の査定方法】では、次からは査定の際に行われる「加算方式」について以下で詳しく見ていきましょう。例えば「地震によりテレビ1台、パソコン1台が壊れてしまった」と仮定します。電気器具類には以下の項目がありました。・テレビ・パソコン・冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機・エアコン・掃除機・ステレオなどこれらの項目のうち、何か1つでも使用不能になっていれば損害割合を2.5%と計算します。今回のケースではテレビ1台とパソコン1台が壊れてしまったため、「2.5%×2=5.0%」が損害割合です。次に、テレビとパソコン以外にも「お皿が2枚割れてしまった」「食器戸棚1つが壊れてしまった」と仮定します。電気器具類は損害割合を1つ2.5%で計算していましたが、食器陶器類なら1つ1.0%、家具類なら1つ4.0%で計算します。お皿は食器陶器類のため「1.0%×2=2.0%」食器戸棚は家具類のため「4.0%×1=4.0%」と計算できます。以上より、上記の例の損害割合は「5.0%+2.0%+4.0%=11.0%」となります。損害割合の合計が10%以上30%未満であれば、「一部損」として地震保険金額の5%が適用されます。今回のケースでは11.0%のため、一部損として認定されるはずです。【家財査定の注意点】家財の査定はその場で行われます。説明や保険金の支払い額に問題がなければ、必要書類に署名して地震保険金支払いの手続きへと移ります。損害認定については、鑑定人によって基準が変わることもあるでしょう。大したことのない被害であっても、鑑定人によっては一部損の認定基準を満たす可能性があります。そのため地震保険に加入している方は、とりあえず家財査定を申請してみることが望ましいでしょう。また、損害状況を撮影しておくことも大切です。家財では紛失や盗難の補償が適用されません。保険金の請求にも役立つため、映像としてしっかり残しておきましょう。■マンションの地震保険での査定基準・査定方法は?マンションは一戸建てとは異なり、同じ建物内に複数の居住者がいます。では、マンションはどのような方法で査定されるのでしょうか?まずは、マンションの「専有部分」と「共用部分」について理解を深めましょう。【専有部分】専有部分とはいわゆる居住空間のことです。厳密に言えば、コンクリート表面から部屋側の空間を指します。【共用部分】共用部分は専有部分以外の場所であり、エントランスやエレベーター、屋上などが該当します。ベランダやバルコニー、窓、サッシ、玄関ドアも共用部分です。マンションの地震保険が適用されるのは専有部分であり、査定箇所が限定されるため注意しましょう。【一戸建てと異なる査定ポイント】共用部分の損害に関しては、原則話し合いが求められます。また、注意しなければいけないのが「共用部分の損害区分が決まると、専有部分も同じ損害区分になる」という点です。マンションの地震保険ではマンション全体の損害状況、すなわち「共用部分の損害の程度」によって判定されます。もし建物の自分の専有部分が「大半損認定」であったとしても、共用部分が小半損の認定をされた場合、専有部分も「小半損」と判断されてしまいます。一戸建てと大きく異なる特徴なので気を付けてください。【マンションの保険適用部分】マンション居住者が各自で保険契約をするのは、「建物の専有部分」と「家財」です。共用部分に関しては、マンションの管理者が火災保険に加入しているケースが一般的です。地震保険に加入しているかどうかは、各自で確認しなければなりません。各自で保険契約をしており、建物の専有部分と家財に保険金が発生した場合は、契約者本人が保険金を受け取ります。共用部分で発生した保険金に関しては、マンション管理者を通じて居住者に分配されます。専有部分と共用部分で契約者が異なるため、きちんと覚えておきましょう。【マンションの査定方法】建物の査定方法は一戸建ての場合と同様です。主要構造部ではない門や塀、ガラスだけの破損などは補償対象外です。家財の査定方法も、一戸建てと同様に計算します。建物のほうは共用部分の査定結果に左右されますが、家財ならば損害区分の変更も少ないでしょう。【マンション内での取り決め】マンションの保険金は、1棟単位で分けられます。割り振られた保険金に関して単純に戸数で割るのか、面積などによる持分で分けるのか、きちんと決めておきたいところです。マンション内での取り決めがなければトラブルに発展してしまいます。【すぐに支払い手続きをしない】地震保険では一部損の基準に満たなければ、被害があっても保険金が発生しません。マンションでは特に専有部分と共用部分の問題があるため、鑑定結果によって大きく左右されます。鑑定結果に関してはその日のうちに判明します。よく説明を聞いて、納得がいかなければ再鑑定を依頼しましょう。すぐにその場で支払い手続きをすると、「実は損をしていた…」なんてこともあり得ます。泣き寝入りしないように十分注意してください。■まとめ一戸建てとマンションでは、地震保険の査定方法が若干異なります。地震により被害を受けた後に、まずは映像に残しておいたほうが良いでしょう。また2017年から、地震保険料が支払われる区分が細かくなりました。大した被害ではなくても、申請すれば建物や家財を補償してもらえるかもしれません。鑑定結果に納得できなければ再鑑定も依頼できるため、時間をかけて見てもらいましょう。
2017年04月13日「来春『標準生命表』が改定されて、影響を受けるのは、“掛け捨て”の死亡保険の保険料。これは安くなります」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーで「家計の見直し相談センター」代表の藤川太さん。標準生命表とは、性別、年齢別の平均寿命(死亡率)などをまとめたもの。生保各社が加盟している公益社団法人「日本アクチュアリー会」が、保険料の算出基準となる標準生命表を来春、11年ぶりに改定する見通しだ。改定の理由は“ご長寿化”。長生きする人が増えれば、そのぶん保険会社が支払う死亡保険金の負担も減り、保険料の値下げが可能になる。 「前回(’07年)の改定で、下げ幅は生保会社によって違いましたが、8~16%ぐらい掛け捨ての死亡保険の保険料が下がりました」(藤川さん) 掛け捨てではない「終身保険」の保険料についても藤川さんが解説する。 「終身保険は来春も若干値上がりする可能性がありますね。実際、今年の4月2日から、終身の保険料は大幅に上がりました。日本生命は、20%以上の値上げを公表しています。ただこの値上げに関しては、標準生命表の改定よりも、予定利率の変動が大きく影響しています」(藤川さん) 私たちが毎月支払っている保険料の一部は、保険会社が株式や不動産などに投資して運用している。その運用で見込める利回りを表す予定利率が低ければ、保険会社の運用利益は減っていくので、保険料は高くなる。 現在はマイナス金利政策によって長期金利の低下が進んでいる。国債の利回りも大幅に下がり、4月から標準利率は1%から0.25%に引き下げられたことで、予定利率が低くなった。今月から終身保険などの保険料が値上がったのは、これが原因だ。 そして来春、標準生命表が改定されれば、長寿化によって増える医療保障などの保険金の負担を、保険会社は保険料に反映するかもしれない。つまり、今年だけでなく、来春にも終身の保険料が“再値上げ”する可能性があるのだ。 今回、大手生保5社(日本生命、アフラック、かんぽ生命、第一生命、明治安田生命)に、「標準生命表改定に合わせて、来春にも保険料を改定する予定はあるか」と質問したところ、各社「未定です」という回答だった。とは言うものの、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、値上げに備えて「これから定期保険に入るなら、保険料が下がるまで待ったほうがいい」と語る。 「貯蓄性のある商品や、長生きしていくうえでのリスクをカバーできる終身医療保険も値上がりするでしょうから、今後は終身より定期保険に見直したほうがいい。定期保険は値下がりすると思います。保険会社も損をしたくないので、まさにいま掛け捨ての商品を勧めてくるかもしれませんが、焦りは禁物。『もうちょっと待てば安くなる』と自分に待ったをかけてあげて」(柏木さん) 生涯保障の終身保険は、一昔前までは魅力的な商品だった。マイナス金利やご長寿化の影響で、保険の常識は変わってきているという。 「値上がり、値下がりする商品をしっかりと見極めて、新しい視点で保険を見直すことが必要です」(柏木さん) 入ったらもう安心、というわけではなくなってきた保険。「見直しありき」で考えるべきなのかも。
2017年04月07日火災保険と言えば、火災や台風、水漏れ、雷など様々な被害に遭った時に補償される安心できる保険です。現代では多くの方が火災保険に加入していますが、この火災保険に年末調整の控除は適用されるのでしょうか?火災保険に加入している方、これから加入する予定のある方は、家計にも関わってくるのでぜひ知っておきたいポイントです。そこで今回は、火災保険と控除の関係についてご紹介していきます。■火災保険は保険料控除の対象になる?中には、「そもそも保険料控除が何なのか分からない…」と疑問に感じている方もいることでしょう。生命保険や損害保険に加入しており、保険料に関する一定の条件を満たした場合に税金の一部が控除される制度のことです。この保険料控除が適用されると、所得税と住民税の一部が軽減されます。2006年の12月31日までは、火災保険料も「損害保険料控除」の適用範囲内とされていました。しかし、この損害保険料控除は2007年1月1日の税制改正により、年末調整の控除の対象外となっています。つまり、2017年現在では火災保険料は控除の対象ではありません。火災保険と似た商品に「火災共済」と呼ばれるものがありますが、こちらも控除の対象外となっているので注意しておきましょう。■地震保険料は控除の対象建物や家財を守る保険は火災保険だけではありません。代表的な保険としては地震保険が挙げられますが、こちらの地震保険は2017年3月現在でも控除の対象に含まれています。では、地震保険料の控除について以下でもう少し詳しく見ていきましょう。【地震保険料の控除はどんな制度?】地震保険料の控除は、各家庭で地震災害に備えてもらうことを目的として2007年1月1日に新設されました。こちらの制度では地震保険料を支払っている場合に、その保険料の一定額が所得から差し引かれます。つまり、この制度により地震保険加入者の所得額が減るので、その分税金が安くなるのです。この控除制度は1年間に支払った地震保険料が対象となり、具体的には1月1日~12月31日に支払った保険料に応じて、所得から差し引かれる金額が変わってきます。2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震が発生したことで今後ますます地震保険加入者が増加すると予測されていますが、この地震保険料の控除を利用する場合には注意するべきポイントがいくつかあります。以下では、地震保険に加入している場合に押さえておきたい控除のポイントをご紹介していきましょう。【ポイント1】最大控除額をチェック地震保険料の控除が適用されると所得税と住民税が安くなりますが、所得税と住民税で最大控除額は以下のように変わってきます。■所得税…支払った保険料の全額控除が可能であり、最大控除額は50,000円■住民税…支払った保険料の2分の1が控除され、最大控除額は25,000円※いずれも2017年3月現在控除額の計算に関しては、後述でさらに詳しくご紹介しましょう。【ポイント2】申請に必要なものをチェック地震保険料の控除を受けるには「控除証明書」が必要です。この書類は保険会社から郵送されるものであり、毎年9月~11月頃になるとハガキで送られてくるので、内容を確認してきちんと保管しておきましょう。なお、地震保険の契約が1年未満の場合は、保険証券と一緒に郵送されるケースが一般的です。年末調整時に控除を申請する場合は、この控除証明書の原本を提出します。年末調整時に証明書が見つからない場合は、すぐに保険会社に問い合わせましょう。再発行は基本的に無料ですが、郵送までに時間を要する可能性もあるので早めに問い合わせることが大切です。保険会社によっては、ホームページ上で再発行を受けることも可能です。【ポイント3】地震保険は単独では加入できない2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震が発生したことで、これから地震保険への加入を検討する方もいることでしょう。ただし、一般的な地震保険は火災保険とセットで契約する必要があるので、地震保険は単独で加入することはできません。ここで注意しておきたいのが、控除の対象になる保険料です。2017年現在では火災保険料の控除を受けられないため、「地震保険も控除を受けられないのでは?」と勘違いしてしまう方も中には見られます。前述の通り地震保険料は控除の対象に含まれるので、加入している方はきちんと控除を申請するようにしましょう。なお火災保険は住居単位で加入するため、地震保険料の控除では契約者本人だけではなく、「配偶者や生計を共にする親族」も申請できます。■火災保険料や長期損害保険料でも控除を受けられる?長期保険契約の経過措置とは?前述では税制の改正以降、火災保険料は控除の適用範囲外になったとご紹介しました。しかし、実は火災保険や長期損害保険料でも控除が適用される例外が存在します。火災保険の損害保険料控除は2007年から適用されなくなりましたが、2016年12月31日までに加入した保険については、条件を満たすことで控除を受けられる可能性があります。このように、法律の改正により生じる損害を極力減らす対応のことを「経過措置」と言います。では、具体的にどのような条件を満たしていれば、火災保険料や長期損害保険料における控除を受けられるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。【条件その1】長期保険契約に該当する契約長期保険特約とは保険期間が10年以上のものを指します。つまり、2006年12月31日以前に契約した保険のうち、2017年1月1日以降も継続して加入している保険については控除が適用される可能性があります。ただし、契約を2006年12月31日までに行っていても、保険期間の始まりが2007年1月1日以降のものは控除の対象外となるので注意しましょう。【条件その2】満期返戻金が発生する契約満期返戻金が支払われる契約であることも、控除を受ける条件のひとつです。満期返戻金とは、保険料の全額を支払って満期を迎えた際に、契約者が保険会社から受け取れるお金のことを指します。【条件その3】保険料変更に関する内容変更をしていないこと火災保険や長期損害保険の中には加入後であっても、支払う保険料などを変更できる商品が存在しています。これは加入者にとってメリットと言えますが、2007年1月1日以降に内容変更で保険料を変更していると、控除の対象に含まれないので注意が必要です。上記3つの条件に該当するのは、「満期返戻金のある積立タイプ」の損害保険です。満期返戻金のある積み立てタイプとは、設定した時期(満期)までに毎月保険料を支払い、途中で解約した時や満期の時にお金が戻ってくる保険のことを指します。一方、満期返戻金がない代わりに月々の保険料が安く抑えられている「掛け捨てタイプ」の保険は、2006年以前に加入していても控除の対象には含まれません。また、上記でご紹介した経過措置の対象となる保険は、「火災保険」と「長期損害保険」です。たとえ移行期間であっても、自動車保険や財形貯蓄の損害保険などは経過措置の対象外です。ちなみに事業用資産の火災保険に関しては、損害保険料の控除がなくても「事業所得」、もしくは「不動産所得の経費」として計上できます。■地震保険料控除における控除額それでは、地震保険料の控除が適用されると、実際に税金はどれぐらい安くなるのでしょうか?所得税と住民税に分けて、所得税が10%の方の具体的な控除額を以下で見ていきましょう。【所得税】地震保険料控除の適用限度額(年間)■50,000円までは保険料の全額■50,000円超は一律50,000円【住民税】地震保険料控除の適用限度額(年間)■50,000円までは保険料の2分の1■50,000円超は一律25,000円【ケースその1】最大控除額所得税率が10%の方は、最大で以下の金額が控除されます。所得税…50,000円×10%=5,000円住民税…25,000円×10%=2,500円合計額…5,000円+2,500円=最大で7,500円【ケースその2】地震保険料を年間20,000円支払った方所得税では保険料の全額にあたる20,000円、住民税では保険料の2分の1にあたる10,000円が控除の対象となります。したがって、このケースでは以下の金額が控除されます。所得税…20,000円×10%=2,000円住民税…10,000円×10%=1,000円合計額…2,000円+1,000円=3,000円【ケースその3】12月頃に地震保険に加入した方地震保険料の控除では、1月1日から12月31日までに支払った保険料がその年の対象となります。そのため、地震保険に加入した時期が年末に近い場合は、保険料控除が翌年以降になる可能性があります。11月まで別の地震保険に加入しており、12月から新しい保険に変更した方も翌年以降に控除される可能性があるので、12月頃に地震保険に加入した方は保険料の支払い時期を調べるなどして、年末調整ができるのかについて事前に確認しておきましょう。■長期損害保険料における控除額次に、長期損害保険料の控除額について見ていきましょう。同じく所得税が10%のケースを例に挙げますが、地震保険料控除よりも少し計算が細かくなります。【所得税】長期損害保険料控除の適用限度額(年間)■10,000円までは保険料の全額■10,000円超~20,000円までは保険料の2分の1+5,000円■20,000円超は一律15,000円【住民税】長期損害保険料控除の適用限度額(年間)■5,000円までは保険料の全額控除■5,000円超~15,000円までは保険料の2分の1+2,500円■15,000円超は一律10,000円【ケースその1】最大控除額長期損害保険料控除では、所得税は最大15,000円、住民税は最大10,000円が控除されます。したがって、長期損害保険料の最大控除額は以下となります。所得税…15,000円×10%=1,500円住民税…10,000円×10%=1,000円合計額…1,500円+1,000円=2,500円【ケースその2】長期損害保険料を年間10,000円支払った方所得税では「保険料の2分の1+5,000円」にあたる10,000円、住民税では「保険料の2分の1+2,500円」にあたる7,500円が控除の対象となります。したがって、このケースでは以下の金額が控除されます。所得税…10,000円×10%=1,000円住民税…7,500円×10%=750円合計額…1,000円+750円=1,750円なお、地震保険料と長期損害保険料の両方を支払っている場合は、上記の方法で計算した各金額の合計が控除額となります。ただし、その場合でも所得税では50,000円、住民税では25,000円が適用限度額となるので注意が必要です。例えば、以下のようなケースに該当する場合であっても、適用限度額を超えることはありません。地震保険料における適用限度額…所得税が50,000円、住民税が25,000円長期損害保険料における適用限度額…所得税が15,000円、住民税が10,000円実際の適用限度額…所得税が50,000円、住民税が25,000円また、保険料を月払いではなく一括払いにした場合は、支払った金額のうち「1年間分に該当する保険料」がその年の控除対象になります。例えば3年分の保険料をまとめて支払うケースでは、支払った保険料を3で割った金額がその年の控除対象になるので覚えておきましょう。■まとめ2017年3月現在では、火災保険は年末調整の控除対象外となっています。しかし、火災保険の契約の際に「地震保険」にも加入した方であれば、地震保険料のほうで控除が適用されます。また、2007年より前から火災保険に継続加入している方も、条件によっては控除を受けることが可能です。火災保険だけでは節税できませんが、調べてみたら意外と控除対象になっているかもしれません。損害保険に加入した日付を確認して、可能であれば年末調整で控除を申請しましょう。
2017年04月04日自動車保険の乗り換えどきは、今加入している保険を高いと感じたとき。しかし、いざ乗り換えようと思うと気になってくるのは、いま加入している自動車保険の解約です。実は保険が満期を迎える前に乗り換えると、思いがけないところで損をすることがあります。そこで今回は、自動車保険を満期前に解約する際の注意点と、ベストな乗り換えタイミングについて解説していきましょう。自動車保険を途中解約すると返戻金はある?任意加入の自動車保険は、1年間まとめて前払いする契約で加入している人が多いのではないでしょうか?加入から1年経っていない満期の前に保険を解約すると、一般的な保険ではお金が返ってきます。これは加入していない保険期間の前払い分が返金されるものであり、「返戻金」と呼ばれています。新しい保険に加入するときの元手にもなるため、保険乗り換えのタイミングでお金を受け取れるのは嬉しいところです。しかし、払戻金は「月割り計算」にはなりません。例えば、年間100,000円の自動車保険に加入した6ヶ月後、満期まであと半分のところで保険を解約する場合は、月割りで半分の50,000円が戻ってくるはずです。しかし、実際に払い戻しされる金額は30,000円程度になるでしょう。これには、自動車保険の中途解約にかかるペナルティ「短期率」が関係しています。短期率とは短期率とは、全ての自動車保険で適用される中途解約に対する返戻金の計算方法です。満期前の解約の際、保険会社は前払いされた金額から短期率をかけた分を取り、残りを保険加入者に払い戻します。短期率は加入期間に合わせて、階段式にパーセンテージが上がります。掛け率は保険会社によって変わりますが、全ての保険会社で共通するのは「早く解約したほうがより損をする仕組み」になっていることです。加入7日後の解約の場合、短期率は10~15%であることが多くなっています。6ヶ月後の解約の場合は、70%程度。11ヶ月後には90~95%になります。例えば、年間100,000円(1日あたり保険料274円)の保険に加入すると、返戻金は以下のようになります。・加入の7日後(短期率15%)に解約する場合…返戻金85,000円、保険会社への支払い金額15,000円、1日あたり保険料2143円・加入から6ヶ月(短期率70%)で解約する場合…返戻金30,000円、保険会社への支払い金額70,000、1日あたり保険料383円・加入から11ヶ月(短期率95%)で解約する場合…返戻金5,000円、保険会社への支払い金額95,000円、1日あたり保険料285円携帯電話の2年縛り契約を解約するときなどに請求される「違約金」とはお金の流れが異なるため、負担している実感がわきにくいのですが、「予想より返ってくる額が小さい」ということは「予想外の出費」を意味するでしょう。自動車保険の中途解約には、金銭的なペナルティがあると考えることが大切です。さて、ここで短期率だけを見ると「満期が近づけばいつ解約しても構わない」ような気がしてきませんか?しかし、「ほとんど満期」のタイミングでの中途解約には、短期率以外のデメリットが見られます。自動車保険を途中解約するデメリット返戻金の短期率以外にも、自動車保険の満期前解約にはデメリットがあります。以下で詳しく見ていきましょう。【その1】新保険に加入できない可能性もある具体的な例としては、現在の契約中に等級ダウンとなる事故を起こしていた場合です。特に直近で事故を2回以上起こした人や、3等級以下の「割増等級」になっている人の場合、保険会社から引き受けを断られる可能性があります。割高でも現在の保険契約を継続し、無事故での満期更新を何年か繰り返して、等級が6以上まで戻ってからの乗り換えを検討しましょう。【その2】保証内容の変更に注意過去に入っていたお得な特約が、現在の保険で販売されていない場合があります。過去の契約を継続している期間中は特約も適用されていますが、保険の乗り換えによって新しく契約するときに、廃止された特約をつけることはできません。具体的な例をあげると、事故を起こしても等級が下がらないようにする「等級プロテクト特約」や、同居する子どもに合わせて運転者全員の年齢制限を引き下げなくても済むようにする「子供特約」などです。これらはかつて人気の高い特約でしたが、保険会社にとって収益性が悪いため、現在では販売が終了している可能性があります。【その3】等級アップが遅れる自動車保険料の負担額に大きく関わるのが「等級」です。保険の契約期間中、無事故で満期を迎えると次回の更新で等級が上がり、等級に応じた保険料の割引を受けることができるようになります。特に保険に入りたてで等級が低い人は、一刻もはやく等級を上げて割引を受けたいところでしょう。自動車保険の等級は、保険加入のタイミングからカウントが始まり、満期をもって反映されます。つまり、自動車保険を満期前に解約すると、等級のカウントがリセットされてしまうのです。等級が上がって保険料の割引を受けられるのは、新しく加入した保険が満期となる一年後になるでしょう。では、割引を受けられない期間の保険料を出費として具体的に計算すると、差額はどの程度になるでしょうか?等級割引はすべての保険会社で共通して、以下のように設定されています。・6等級…19%・7等級…30%・8等級…40%・9等級…43%たとえば6等級で100,000円の保険に加入する場合、6等級と7等級の差は11%、つまり11,000円です。保険の満期前乗り換えによって等級のカウントがリセットされると、この割引が受けられなくなります。等級は満期のたびに1つずつしか上がらないため、翌年以降も影響は続き、4年単位で見ると24,000円ほどの差が出ます。さらに、万が一事故を起こしてしまったときの、等級ダウンによる保険料値上がりの影響も大きくなるでしょう。「速やかに保険を乗り換えたい、ただし等級アップも急ぎたい!」という場合は、乗り換え先の保険に「保険期間通算特則」という特約があるかを確認しましょう。この特約をつければ、等級のカウント期間を通算できます。乗り換え前の保険が満期になるタイミングに合わせて新保険を短期契約することで、乗り換え先での等級アップを最速化できます。自動車保険を中途更改したときの扱いは?等級の引き継ぎはどうなる?自動車保険を満期前に中途更改した場合、それまでの等級は引き継がれます。ただし、解約前の等級によって、引き継がれる期間や条件が異なります。以下で詳しく見ていきましょう。【ケース1】等級が6以上の場合6等級以上の「割引等級」の場合は前契約を解約した後、7日間に限って等級の引き継ぎができます。8日目以降の新規加入は基本的に「6等級」にリセットされてしまいます。無事故無違反の状態で長期間自動車を運転し、最高の20等級で割引を受けていた人でも、特別な手続きをせずに無保険状態が7日間を過ぎると、次の契約からは6等級になってしまいます。それでは、20等級から6等級にリセットされた場合、割引率の違いによる保険料の差はどの程度になるでしょうか?6等級の割引率は19%、20等級の割引率は63%です。100,000円の保険に加入する場合、6等級の場合の支払い金額は81,000円、20等級の場合は37,000円です。その差額は44,000円であり、実に2倍以上の差になります。また、等級は1年に1つしか上がりません。6等級から20等級に戻るためには、最短でも14年間は無事故で更新を続ける必要があります。その間の出費をずっと20等級で割引を受け続けた場合と比較すると、トータルの差額は246,000円にもなります。日頃から生活の中でクルマを使っている人は、無保険期間を作らないためと等級引き継ぎを確実に行うため、現在の保険の解約日と新しい保険の契約日を必ず揃えましょう。【ケース2】等級が5以下の場合5等級以下の場合、解約後7日を過ぎても6等級へのリセットはされません。保険解約後13ヶ月間は履歴が残り、他社の保険に乗り換えるときも引き継がれます。14ヶ月目以降には悪い等級の履歴が消えるため、6等級に戻って新規で保険に加入することができるようになります。悪い等級を引き継ぎたくない場合は、13ヶ月間車に乗らないことを検討してみましょう。【ケース3】7等級以上の特別な処置「中断」7等級以上のドライバーで「海外への長期赴任」や「車を手放す」といった事情のある方に向けて、保険会社は「中断証明書」を発行しています。中断証明書とは、名前の通り「保険の一時中断」を証明する書類です。中断証明書は保険を解約する時点で、保険をかけていた車が「車検が切れている」「すでに売却済み」などの理由から乗れない状態になっていることを条件に、保険解約から13ヶ月以内の申し込みによって発行されます。中断証明書の有効期限は10年間です。発行から10年以内に車を買い替えれば、中断されていた等級からの保険加入が可能になります。自動車保険を満期前に解約してメリットがあるケース以上から、自動車保険の解約はよほどのことがない限り、満期で契約更新をするタイミングに合わせたほうが良いことが分かります。しかし、上記のペナルティを受けたとしても、中途更改によってメリットが生じる場合もあります。では、どのようなメリットが生じるのか詳しく見ていきましょう。【その1】見積の結果、とても大きな差が出た返戻金の短期率や等級アップの遅れによる損を考えても、トータルの出費が抑えられるのであれば、それは乗り換えても全く問題のない「お得な保険」です。目安としては、概算見積で現在の保険料から15%以上の値下がりがある場合は、満期前の乗り換え検討をしても良いでしょう。6等級(19%割引)で中途更改した際、等級アップが遅れて20等級(63%割引)になるまでに支払うおおよその差額は、年額保険料のおよそ45%となります。返戻金の短期率にもよりますが、乗り換え後の保険料が15%以上安くなれば、その契約を3~4年程度継続することで中途更改のコストをペイできる計算になります。なお、満期前に乗り換えることで、保険契約やその後の対応に差が出ることはありません。「高いけれど、お世話になってきた保険会社に申し訳ない…」といった人情は、この際忘れてしまいましょう。【その2】車を買い替えた車の買い替えで新車を購入した場合、保険乗り換えのメリットが増します。新車は大切に乗る人が多いことから事故率が低く、保険の使用率も抑えられています。新車ドライバーは保険会社にとって優良な顧客ということになり、保険会社によっては「新車割引」がつきます。新車割引は「購入後25ヶ月以内の保険契約」を対象にしているので、車の購入と同時に保険契約をすれば、最長で3年間の新車割引を受けることができます。細かい内容は保険会社によって異なりますが、5~10%程度お得になります。車の乗り換えに合わせて、保険の乗り換えを検討してみても良いでしょう。【その3】等級が高い、満期が近い現在の等級がすでに充分高く、等級アップを焦らなくても良い場合は、保険乗り換えのハードルが下がります。目安としておすすめしたいのは、11等級(47%割引)以上です。11等級(47%割引)から19等級(55%割引)までは、割引率の伸びは1%ずつになります。100,000円の保険に加入したとすると、11等級から19等級まででお得になるのは「年間1,000円」ずつ。11等級で保険を乗り換え、20等級(63%割引)まで無事故で等級が上がったときの差額は16,000円です。これは10年間かけて等級が上がったトータルの差額なので、実際に負担を意識することはほとんどないはずです。また、等級の高い人は前払いしている保険の金額も低いため、短期率の影響を受けにくいようにできています。例として、18等級(54%割引)の人が100,000円の保険に入り、6ヶ月(短期率70%)で解約したときのケースを計算すると、以下のようになります。・支払い金額…46,000円(100,000円の54%引き)・返戻金…13,800円(短期率70%)・短期率による出費…9,200円(6ヶ月分の実質保険料-返戻金)・等級アップ遅延による割引額の差…10,000円(2年間トータル)・合計の負担額…19,200円この程度の差額であれば、乗り換え先の保険料によっては充分に元が取れてしまうのではないでしょうか?まとめ以上、満期前に自動車保険会社を乗り換える際のデメリットと注意点について解説しました。テレビCMやネットの一括見積などで様々な自動車保険を目にしますが、目先のお得感につられて予想外の損をしてしまわないように気をつけるようにしましょう。
2017年03月27日「『少額短期保険』は文字どおり保障額が少額で、保険期間が短期の保険です」 そう話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん。保険の定番といえば医療保険や死亡保障。柏木さんがいう「少額短期保険」はあまり聞き慣れない保険だが、非常にピンポイントでユニークなものがそろっているという。 「コンサートチケットを購入しても、当日、急用やインフルエンザなどでいけなくなってしまった場合にチケット代を保障してくれるというユニークな商品が多くあります」(柏木さん) 海外旅行の際、旅行先で雨が降った時間によって、旅行代金を返還してくれる商品。登山やキャンプの際、救助が必要になった場合にその費用をカバーしてくれる保険、痴漢のえん罪に遭遇したときに無料で電話相談を受けられ、弁護士費用をカバーしてくれる保険など、多種多様。 「死亡保障に特化した商品もあります。死亡時に300万円が受け取れる少額短期保険は、1年更新で30歳男性で年間わずか9,120円ほど。“子どもの教育費がかかる3年間だけ入る”という方法も。生涯をかけて1,000万円、2,000万円の保障を組み込む通常の定期付終身保険などよりも、手軽といえます」(柏木さん) 通常、死亡保障のついた生命保険は69歳で加入できなくなるというが……。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんは次のように語る。 「少額短期保険は70代でも加入できるものも。月額保険料数千円で、死亡時に100万円が支払われるので、自分の葬儀代として加入する人もいるようです」 このように少額短期保険は手軽で安く、使い勝手がよいのが特徴だ。保険は、これからも保障の幅がどんどん広がっていきそう。
2017年03月22日最近、テレビCMなどで「実費型医療保険」という言葉を耳にする機会が増えた。実費型医療保険は「実際にかかった医療費」を保障する保険。保険料は安く、合理的に見えるが、本当に安心でお得な商品なのだろうか? そこで、実費型医療保険のメリットとデメリットについて、代表的な実費型医療保険であるソニー損保の「Zippi(ジッピ)」を例に、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。 【1】入院治療費の3割を保障 「受け取る保険金は、入院治療費の3割負担分です。通院治療費は対象に含まれません。保険金は、医療費の領収書にある『診療報酬点数』を基に計算されます。自己負担の上限額を超えると払い戻しなどが受けられる『高額療養費制度』を利用した方も、70歳以上で自己負担が2割や1割の方も、保険金は3割相当額で変わりません。ただし、保険金には、1カ月に20万円まで支給などの上限があります」 【2】保障対象は公的健康保険の範囲 「差額ベッド代や、先進医療などの保険外診療は対象外です。別途オプションに加入すると、保障対象が広がります」 【3】5年定期保険 「保険料は従来型より比較的安めに設定されています。ただ5年定期ですから、更新のたびに保険料は上がります。たとえば20歳女性の保険料月額は975円ですが、50歳になると2,052円に、60歳では3,305円、65歳では4,871円と、中年以降は急激に値上がりします」 実費型医療保険は、損害保険会社が提供している。なので、火災保険や自動車保険で被害額に応じた保険金が支払われるのと同様に、“実際にかかった医療費”が保障される。いっぽう、入院日額を設定する従来型は、生命保険会社が提供している。医療費を含めた生活全般を支えることが目的だ。 「両者を比較すると、損害保険会社は保障を限定する分、保険料は安く抑えられます。ある意味、合理的な考え方だといえるでしょう。とはいえ、先述のように中年以降は保険料負担が重くなりがちです。医療保険は月々の保険料だけに注目せず、解約までに払う保険料総額を、電卓をたたいて計算することも大切です」
2017年03月20日住宅ローンの借入を検討している人であれば、「団信」あるいは「団体信用生命保険」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。団信とはどのような生命保険なのでしょうか。またどのようなことに注意すればいいのでしょうか。今回は住宅ローンと深いかかわりのある団信について解説します。■団体信用生命保険とは?団体信用生命保険、通称「団信」は、住宅ローンの返済中に、ローンの契約者が死亡したり高度障害になったりした場合に、生命保険会社が住宅ローン残高に相当する保険金を支払う制度です。民間金融機関の多くは、団信の加入を住宅ローン借入の条件としています。団信の加入が住宅ローン借入の条件である場合は、保険料は金利に含まれることが一般的です。保険料として、0.3%程度金利が上乗せされます。掛け金が安く、また年齢によって保険料が変わらない点が特徴です。ただし、別途保険料を支払う必要のある金融機関もあるため、よく確認しましょう。たとえばフラット35の場合は、住宅ローンの返済額とは別に保険料を年に一度支払います。保険料はローン残高によって決まり、10,000,000円あたり年間36,000円の割合で計算される仕組みです。したがって、繰り上げ返済をして元金が減れば、団信の保険料も下がります。さらに早期にローンを完済した場合には、支払い済み保険料のうちで未経過の保障月数があれば、払い戻しがある点も特徴です。なお団信の保険料は保険金の受取人が金融機関であるため、生命保険料控除の対象にはなりません。年末調整や確定申告の際には申告できませんので注意しましょう。【団信に加入できる条件】団信に加入できるための条件には、「満15歳以上満70歳未満であること」および「生命保険会社の加入承諾があること」が挙げられます。「生命保険会社の加入承諾」は、契約者の健康状態が良好であるかによって可否が決まります。病気をしていて通院、投薬をしている場合は団信に加入できないことがあります。たとえば高血圧症やがん、糖尿病といった生活習慣病にかかっていると団信に加入できない可能性が濃厚です。またうつ病といった精神疾患についても、通院中・投薬中の場合は団信加入の支障になります。【ワイド団信】もし健康上の理由から通常の団信に加入できない場合には、引受基準が緩和された「ワイド団信」に申し込んでみるのも手です。金利が0.2~0.3%程度高くなりますが、加入できる場合があります。ワイド団信の告知項目は通常の団信とほぼ同じです。「3か月以内に医師の診察を受けていないか」、「3年以内に2週間以上の治療をしていないか」、「障害はないか」といったことを問われます。「一般の団信に比べてこの程度入りやすい」というはっきりとした基準はありませんが、引受範囲が広いため通りやすいという認識を持っていてよいでしょう。ワイド団信は、年齢制限が50歳までと狭まっている点が特徴です。条件が合えば活用してみるとよいでしょう。【団信と連帯債務者の関係】夫婦共働き世帯や親子で住宅ローンを借りる際は、ローン契約の仕方と団信の入り方に注意が必要です。夫と妻、または親と子がそれぞれ住宅ローンを借り、それぞれが団信に加入した場合は、たとえば夫に万が一のことがあった場合、夫の分のローンは団信で完済されますが、妻の分のローンは残ってしまいます。親子の場合も同様です。夫または妻がローンを借り、もう片方が連帯債務者となって、主債務者のみ団信に加入している場合は、主債務者に万が一のことがあった場合は、住宅ローンは団信で完済されますが、連帯債務者に万が一のことがあっても住宅ローンはそのまま残ります。親子の場合も同様のことがいえます。以上2つのケースでは、収入合算などをして多めのローンを組んでいる場合、片方の収入がなくなるとローンの返済が苦しくなったり、生活が圧迫されたりする可能性があります。共働き世帯でローンを組む際のリスクとして認識しておきましょう。夫婦共働き世帯でローンを組み、団信に加入する場合のリスクについては、フラット35を借入れ、機構団信の「デュエット(夫婦連生団信)」に加入することで対処可能です。この場合だと、主債務者・連帯債務者のいずれかに万が一のことがあった際には、不動産の持分や返済額にかかわらず、住宅ローンがすべて相殺されます。ただし、保険料は単独加入の約1.56倍になる点は留意しておきましょう。以上2つのケースでは、収入合算などをして多めのローンを組んでいる場合、片方の収入がなくなるとローンの返済が苦しくなったり、生活が圧迫されたりする可能性があります。共働き世帯でローンを組む際のリスクとして認識しておきましょう。【他の生命保険との兼ね合い】すでに他の生命保険に加入している場合は、そのなかに住宅資金の保障額が含まれているかどうかをチェックしましょう。もし含まれている場合は保障が重複していることになります。住宅ローンの借入を機に、生命保険の見直しも行っておいてください。■就業不能状態になった場合はどうする?団信で気をつけるポイント冒頭で述べたとおり、住宅ローンの契約者が死亡したり高度障害状態になったりした場合は、団信が支払われてローンは完済になります。ただしその他の理由で長期間働けない状態になった場合には、団信は支払われません。就業不能状態にあっても住宅ローンを返済し続けなければならない点に注意が必要です。以下で、就業不能状態になった場合の住宅ローン対策についてご紹介しましょう。【疾病特約付きの団信】最近では、通常の団信の保障に加え、特定の疾病に対する特約付きの団信も多く出ています。たとえば、三大疾病保障は「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」になった場合、住宅ローンの残高を団信が支払ってくれるものです。ほかにも七大疾病特約や11大疾病特約といったものがあります。保険金の支払いについてはいくつかのパターンがあります。ひとつは、指定の病気になったらすぐに保険金が支払われ、住宅ローンが完済されるものです。一方、一定期間は毎月のローン返済額分だけ保険金が支払われ、その状態が続いたらローン残高が清算されるものもあります。なお一般の生命保険とは違い、あくまでローン残高を支払ってもらえる制度ですから、入院や手術の際に保険金は出ません。一般の生命保険・医療保険における補償内容との違いをはっきりさせておきましょう。【傷病手当金】協会けんぽや共済組合の加入者であれば、病気やケガで仕事を4日以上休んでいる場合に、傷病手当金を受け取れます。生活費を工面しつつローンを返済するのに役立つでしょう。傷病手当金の受取額は、以下のように計算します。1日当たりの金額=(支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×3分の2なおひとつの病気やケガについての傷病手当金支給期間は、支給を開始した日から最長1年6か月間です。やや期間が短い点には注意しておくべきでしょう。【債務返済支援保険】債務返済支援保険とは、病気やケガのため長期間就業不能状態になった場合、住宅ローンの契約者を被保険者として、一定期間、契約で定められた金額を補償する制度です。保険契約者は銀行などの金融機関、被保険者は住宅ローンの契約者であり、団体契約であることから、保険料が割安になっています。なお、「就業不能状態」とは入院の場合だけでなく、医師の指示による自宅療養の場合も指します。債務返済支援保険は、一般的に保険の対象外となる免責期間が30日程度設定されています。したがって保険金が支払われるのは、就業不能状態になってから30日を過ぎたあとです。支払われる保険金の額は、契約時に被保険者が設定し、それによって月々の保険料も変わってきます。なお団信の疾病特約とは違い、保険金はローンの返済以外の生活費などにあてても問題ありません。債務返済支援保険は住宅ローン加入時だけでなく、返済の途中でも加入が可能です。健康であることが必須ですが、家計が落ち着いてから加入を検討してもよいでしょう。【就業不能保険】一般の保険会社が展開している就業不能保険も、傷病による就業困難状態に備える対策として有効です。就業不能保険における就業不能状態については、入院または自宅療養している期間の指定などが保険会社によって異なります。よくチェックしてから加入するようにしましょう。就業不能保険の特徴は、最長支払期間が65歳までとなっていることが一般的です。最長支払期間が2年程度の所得補償保険よりも支払期間が大幅に長い点がポイントだといえるでしょう。就業不能保険では、60日程度の支払対象外期間ののち、保険金の支払いが開始されます。保険金の額は契約時に設定しましょう。返済額が増えた場合にも備えて保険金を設定しておくのがおすすめです。■住宅ローンを団信なしで借りる方法はある?健康状態などが理由で、団信に加入できないこともあるかと思います。その場合にも住宅ローンは借りられるのでしょうか。以下で、団信なしで住宅ローンを借りる方法とその注意点をご紹介します。【フラット35など】一部の民間金融機関とフラット35では、団信への加入が任意となっています。つまり加入が必須条件ではないということです。フラット35には、団信加入が不要であるほかにも、借入者の勤続年数などが問われなかったり、年収が低めでも借りやすかったりするという特徴があります。また借入に際して保証人および保証料は必要ありません。ただし、一般的な住宅ローンよりも担保評価が厳しくなっています。建物の土台・基礎の安全性や住宅の耐久性といった、住宅金融支援機構の技術基準をクリアしなければなりません。フラット35を借入れることを検討する場合は、購入を予定している物件が技術基準を満たすかどうか、不動産業者や施工業者に確認しておきましょう。なおフラット35の技術基準に加え、耐震性や省エネルギー性などにすぐれた住宅を購入する場合には、「フラット35S」が利用できます。一定期間フラット35の金利を引き下げられるため、基準をクリアできそうな場合は活用してみるとよいでしょう。【団信に加入しない場合の注意点】団信に加入しない場合は、万が一のことがあっても、住宅ローンは相殺されない点には注意しておきましょう。ローン契約者が死亡または高度障害になった場合にも、住宅ローン遺族が返済し続けなければなりません。団信に加入しない場合に、万が一に備えるための対策としては、まず加入済みの生命保険が十分あるかを確認することが必要です。万が一のことがあった場合も、生命保険の保険金で住宅ローンを返済できるでしょう。団信なしで住宅ローンを借りる場合は、どれだけの保険があるかを確認してから申し込むようにしてください。また返済にあてられる貯蓄をしておく必要もあるでしょう。さらに世帯で収入を増やせるよう考えておくことも必要です。このような対策に加え、誰が責任を持って返済の継続を行うのかといったこともはっきりさせておくべきでしょう。■まとめ今回は、住宅ローンを借入する際に加入が条件となっていることの多い団体信用生命保険(団信)について解説しました。いかがでしたか。団信は加入できないこともありますし、また加入してもすべてをカバーしてくれるわけではありません。今回ご紹介した内容を参考に、団信にきちんと入れるかどうか、団信がカバーしてくれない部分にどう備えるか、また団信には入れなかった場合はどうするかといったことを考えて、住宅ローンの借入に臨んでください。
2017年03月16日住宅購入後にかかる費用は、おもに税金、保険、修繕費の3つに分かれます。税金は、固定資産税と都市計画税の納付が毎年1回必要です。保険は火災保険と地震保険について、それぞれ保険料がかかります。補償内容を吟味して保険商品を選びましょう。修繕費は5年~10年に1度、塗装やシロアリ防除などの対策が必要です。すべてを合算すると、30年間で13,000,000円程度維持費がかかる計算になります。積み立てを行うなどして意識的に資金繰りをしましょう。■住宅にかかる税金住宅購入後にかかる税金には、固定資産税と都市計画税があります。毎年市町村に納める必要のある税金です。【固定資産税】固定資産税は以下の計算式で算出します。税額=固定資産税評価額をもとにした課税標準×1.4%(標準税率)なお税率は1.4%を標準としていますが、市町村が独自に定める場合があるため、地域によって異なることに留意しておきましょう。固定資産税評価額とは、固定資産税の税額を決めるための基準のことです。市町村が3年に1回更新します。土地の固定資産評価額は一般的に、地価公示価格(国が定める土地の価格)の70%が目安です。建物の一般的な固定資産評価額は、新築時の価格から経過年数分を引いた額になります。ただし「住宅用地」、つまり住宅に使われている土地については課税標準が減額されます。住宅用地は家屋の床面積だけでなく、庭などの面積も含まれる点がポイントです。住宅用地と認められる限度は、家屋における床面積の10倍までの面積であることには注意しましょう。住宅用地に適用される課税標準は以下の通りです。■小規模宅地(住宅1戸当たり200平方メートルまで):課税標準の6分の1■一般住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートル超で床面積の10倍まで):課税標準の3分の1なお3年に一度の評価で固定資産評価額が大きく変わったとしても、「固定資産税が大幅に増えてしまった」ということがないよう、負担調整の措置が取られています。また負担調整は、地域によって課税標準の差が開くのを防ぐことも目的です。負担調整は、「(前年度課税標準)÷(新年度評価額に住宅用地における課税標準減額の特例を適用した金額)」の計算式で算出する「負担水準」を基準として行われます。負担水準が100%以上の場合、つまり新しい評価額によって算出された金額が前年度の課税標準額より低かった場合は、課税標準は新年度固定資産評価額に住宅用地における課税標準減額の特例を適用した額となります。一方負担水準が100%未満の場合、つまり前年度課税標準額より新しい評価額によって算出された金額のほうが高かった場合は、以下の計算式で課税標準額を定めます。■小規模宅地の場合:課税標準額=前年度の課税標準額+(新年度固定資産評価額÷6×5%)■一般住宅用地の場合:課税標準額=前年度の課税標準額+(新年度固定資産評価額÷3×5%)ただし、上記の計算式によって出された課税標準が、住宅用地特例によって減額される課税標準の100%を超える場合は100%相当額、20%を下回る場合は20%相当額が課税標準額になります。さらに新築家屋については、固定資産税が3年分(認定長期優良住宅の場合は5年分)減額されます。要件は、床面積が50平方メートル以上、280平方メートル以下であることです。減額される税額は、120平方メートルまでの居住部分に相当する固定資産税額の2分の1です。【都市計画税】都市計画税は以下の計算式で算出されます。税額=固定資産税評価額をもとにした課税標準×0.3%なお税率は0.3%を上限に市町村が定めるため、地域によって異なります。住宅用地の都市計画税にかかる課税標準については、固定資産税の場合と同様に減額されます。適用される課税標準は以下の通りです。■小規模宅地(住宅1戸当たり200平方メートルまで):課税標準の3分の1■一般住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートル超で床面積の10倍まで):課税標準の3分の2また土地の負担調整についても、固定資産税の場合と同様に行われます。計算の際には留意しておくとよいでしょう。■住宅にかかる保険住宅購入後にかかるおもな保険には、火災保険と地震保険があります。【火災保険】ローンを組んだ場合は、多くの金融機関で加入が義務化されている保険です。火災保険が補償する事故には、火災だけでなく、落雷や風災、水害、水漏れ、盗難などがあります。保険によって補償する事故が異なるため、注意して見てみましょう。なお地震やそれに伴う津波による損壊などについては、火災保険では補償されません。火災保険の対象は、家屋などの「建物」と、建物のなかにある家具などの「動産」です。住宅そのものが損壊した場合だけでなく、家具や家電、什器などが壊れた場合も対象となる点は覚えておきましょう。保険料は、「建物の評価」「建物の構造区分と所在地」「補償内容」の3つの要素で決まります。建物の評価は、新築の場合は新築価額で行われます。また中古の場合は、新築時の新築価額をもとにした評価方法と、基準の1平方メートル単価にのべ床面積をかけて算出する評価方法で評価されます。建物の構造区分については、おもに鉄筋か木造かで判断されます。燃えにくい鉄筋のほうが保険料が安く、燃えやすい木造のほうが保険料が高いというのが基本です。地域については、火災の発生状況や被害状況を鑑み、都道府県によって異なる保険料が設定されています。たとえば住宅の密集している地域は延焼のリスクが高いとして保険料が上がる傾向にあります。とはいえ、都市部はすべて保険料が高いかというとそうではありません。都市部は消防署の数が多く、火災への対応力が高い点については評価されるためです。このように火災保険料の地域差について一概に法則性を示すのは困難ですが、仕組みについては以上のようなものであると理解しておきましょう。補償内容については上記の通りです。どのような事故まで補償するかによって保険料が変わります。唯一保険料を調整できる部分といえますので、予算や補償してほしい内容を吟味して選択するようにしましょう。【地震保険】地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、保険金における支払責任の一部を政府が再保険として引き受けている保険です。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約することになります。火災保険とは違い、ローンを組んだ場合も加入は任意であることが一般的です。地震保険が補償する事故には、地震や噴火、津波などによって発生した火災、損壊、埋没、流失があります。この部分は通常の火災保険では補償されないため、補償を希望する場合は地震保険への加入が必要です。地震保険の対象は、居住用の建物と、その建物に収容されている家財です。火災保険と同様、家具や家電なども補償されることを覚えておくとよいでしょう。対象となる建物または家財が、全損、大半損、小半損、または一部損となったときに、それぞれの状況に応じた保険金が支払われます。保険料の額は、所在地と建物の構造によって決まります。建物の構造の区別については、火災保険の場合と同様、おもに木造か鉄筋かによって判断されます。なお地震保険料は、以下の4つの割引制度が適用されます。お住まいの住宅が適用されるか確認しておきましょう。■建築年割引対象の建物が昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合、10%割引されます。■耐震等級割引一定の耐震等級を満たしている場合、10~50%割引されます。■免震建築物割引対象の建物が「免震建築物」である場合、50%割引されます。■耐震診断割引建築基準法における耐震基準を満たす場合、10%割引されます。■住宅にかかる修繕費住宅の修繕では、おもに以下のものが必要です。【外壁塗装】見栄えをよくするためだけでなく、耐久性や防水性を高めるために行う必要があります。塗装をしないと外壁が劣化し、雨漏りなどの原因になります。また塗料によっては、断熱効果や遮熱効果のあるものもあるため、省エネのためにもよいでしょう。7~10年に1回が目安で、1回1,000,000円程度かかります。【屋根塗装】外見がよくなるだけでなく、防錆性、抗菌性が高まるなどのメリットがあります。外壁の場合と同様、塗装をせずに放っておくと雨漏りなどの原因になるため注意が必要です。スレート葺の場合、15~20年に1回が目安で、1回500,000円程度かかります。【軒先、軒裏塗装】軒天塗装と呼ぶこともあります。外壁塗装のオプションとなっていることが一般的です。風雨にさらされやすく劣化しやすい部分であるため注意しましょう。15~20年に1回が目安で、1回300,000円程度かかります。【樋、床下メンテナンス】カビや害虫、湿気によって劣化している部分を修繕し、家の耐久性を高めます。特にキッチンや風呂場、トイレの下は湿気がこもりやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。15~20年に1回が目安で、1回300,000円程度かかります。【シロアリ防除】シロアリの被害を受けてしまうと、住宅が劣化してしまいます。それを防ぐため、土壌や木部を薬剤処理し、シロアリの除去や予防をすることが必要です。5年に1回が目安で、1回200,000円程度かかります。【クロス張替】煙草のヤニによる汚れやペットのひっかき傷、日焼けによる劣化などを修繕します。壁だけでなく、天井も張り替えることが一般的です。7~10年に1回が目安で、1回200,000円程度かかります。【サッシまわりコーキング】コーキングとは、気密性や防水性のために、壁などの隙間を目地材でふさぐことを指し、「シーリング」と呼ばれることもあります。サッシまわりのコーキングが劣化すると、雨が降った際に水が入ってくるなどしてしまうため、適度なタイミングでの修繕が不可欠です。7~10年に1回が目安で、1回300,000円程度かかります。■住宅の維持費はどのくらい?30年間でかかる費用を試算以下で、住宅を維持するために30年間でかかる費用を試算してみましょう。【税金】固定資産税、都市計画税を合わせて、年間100,000円~150,000円が目安です。30年間で3,000,000円~4,500,000円かかる計算になります。【保険】火災保険料、地震保険料あわせて、年間10,000~20,000円程度が目安です。30年間で300,000円~600,000円程度かかる計算になります。【修繕費】■外壁塗装1回1,000,000円を30年間で3回行うと考えると、3,000,000円かかる計算になります。■屋根塗装1回500,000円を30年間で2回行うと考えた場合、1,000,000円の計算です。■軒先、軒裏塗装1回300,000円を30年間で2回行うと計算すると600,000円になります。■樋、床下メンテナンス1回300,000円を30年間で2回行うと考えると、600,000円の計算です。■シロアリ防除1回200,000円を30年間で6回行うと考えた場合、1,200,000円の計算になります。■クロス張替1回200,000円を30年間で3回行うと考えると、600,000円の計算です。■サッシまわりコーキング1回300,000円を30年間に3回行うと考えると、900,000円の計算になります。以上を合計すると、修繕費だけで、30年間で7,900,000円程度かかる計算です。【税金、保険、修繕費の合計と資金繰りのアドバイス】税金、保険、修繕費を合計すると、30年間で12,000,000円~13,000,000円かかる計算になります。年額にすると単純計算で370,000円~430,000円程度です。税金は毎年1回必ず支払うものであることを考え、毎年その分を確保しておくようにしましょう。毎月積み立てておくと安心です。保険については、月払いや年払い、一括払いなど支払方法を選べることが一般的です。家計状況にあわせて支払方法を工夫するとよいでしょう。また地震保険は所得控除制度が適用されます。所得税が最高50,000円、住民税が最高25,000円を総所得金額から控除できるため、年末調整や確定申告の際には忘れずに申請しましょう。修繕費についても急な出費に備えるため、毎月10,000~20,000円程度積み立てておくことをおすすめします。また緊急性のない修繕の場合は、ボーナスのタイミングを有効に使って行うとよいでしょう。■まとめ今回は、住宅を購入したあとにかかる維持費について詳しく解説しました。いかがでしたか?税金、保険、修繕費と、マイホームを持つには意外とお金がかかることがわかりますよね。住宅を購入する際には、今回ご紹介した内容を参考に入念に資金計画を立て、しっかりと維持費にも備えましょう。
2017年03月01日■乳幼児医療費助成とは?子どもにかかる医療費を、自治体が助成してくれる制度。なので、名称や助成内容などはさまざま。詳細は、住民票がある市区町村の役所に確認を!■乳幼児医療費助成制度でもらえる金額は、いくら?助成額は、自治体によって異なる。たとえば、かかった医療費全額を助成する自治体もあれば一部の場合もあるし、助成の対象年齢も乳幼児に限らず、中学生まで対象にしている自治体もある。■乳幼児医療費助成制度でもらえる人は、どんな人?国民健康保険や会社の健康保険など、公的医療保険に加入し、乳幼児医療費助成の加入手続きをした人。加入の手続きが遅れた場合、さかのぼって助成が受けられるかも自治体によって異なる。■乳幼児医療費助成制度の手続きの概要①住んでいる市区町村の助成内容・手続き方法を確認する自分が住んでいる市区町村の助成内容や手続きの方法を、役所の窓口や自治体のWEBサイトで確認しておく。市区町村の境目に住んでいて、他自治体の医療機関を使う可能性がある人は、「他自治体の医療機関を受診した場合」もチェックしておく。②赤ちゃんの健康保険に加入手続きし、健康保険証を受け取る赤ちゃんが入る健康保険に加入手続きをする。加入の手続きをする際に、「いつごろ健康保険証が届くのか?」の目安を確認しておくと、乳幼児医療費助成の申請タイミングの参考になる。③役所で手続き後、乳幼児医療証を受け取る赤ちゃんの健康保険証を持参して役所で助成を受ける手続きをする。健康保険証が届いていない場合でも、手続きできる自治体もある。手続き後、しばらくすると乳幼児医療証が届くので、これを医療機関の窓口に提示することで助成が受けられる。■乳幼児医療費助成 DATA※この記事は2016年11月末現在の法令・情報に基づいて書いています。(監修:ファイナンシャルプランナー 畠中雅子/文:楢戸ひかる)
2017年01月10日■医療費控除とは?1年間に10万円を超える医療費がかかった場合、確定申告をすることで、支払った税金の一部を戻してくれる制度。■医療費控除によって、戻ってくる金額は、いくら?戻ってくるお金 = 医療費控除額 − 所得税率たとえば医療費合計額が60万円で所得が320万円の場合なら、確定申告をすることで、税金がおよそ8千円程度(※)戻ってくる。※医療費60万円 − 出産育児一時金 − 足切り額10万円 = 医療費控除額面8万円 × 所得税率10% = 戻ってくるお金8千円■医療費控除によって、お金が戻ってくる人は、どんな人?家族全員で1年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額)を超えて医療費を支払い、確定申告をした人。■医療費控除の手続きの概要還付申告だけなら1年中受け付けている。確定申告というと2月中旬~3月中旬のイメージがあるが、(医療費の)還付申告は、1年中受付している。対象となるのは、申告する前の年1年(1月1日~12月31日)なので、たとえば2017年の分の確定申告(医療費の還付申告)であれば、税務署が混む前の2018年の1月中に提出すれば、相談窓口も込みあわないので、確定申告初心者にはオススメ。■コラム:「保険金等で補てんされる金額」について知っておこう医療費控除で間違えやすいのは、「保険金等で補填される金額」。実は、私も初産(16年前)の確定申告時に間違えて、税務署の方に指摘され、とても焦った記憶がある。この話を簡単に言えば、「公的制度や民間の保険会社からもらったお金は、医療費から差し引いて計算しなければならない」ということ。「差し引く必要がある費用」と、「差し引く必要のない費用」を下記の表にまとめた。ちなみに私は「出産育児一時金」を差し引くのを知らず、金額が40万円くらい違っていた(激汗)。私のように慌てないよう、ご注意を!●「保険金等で補てんされる金額」として差し引く必要があるもの、ないもの。(エキサイト編集部で作成)■医療費控除 DATA※この記事は2016年11月末現在の法令・情報に基づいて書いています。(監修:ファイナンシャルプランナー 畠中雅子/文:楢戸ひかる)
2017年01月10日DeNAが運営する医療・健康情報WEBメディア「WELQ(ウェルク)」が11月29日の夜に全ての記事を非公開としました。背景には、不確かな情報を元にした医療・健康系の記事を大量に公開していたことに対する批判が集まったことがあります。問題は、都の福祉保健局がDeNA担当者を呼び出す事態にまで発展しています。本件ではどのような点が具体的に問題とされたのか考えてみましょう。*画像はイメージです:■認められた効果・効能等以外を表示してはいけないWELQでは、医学的根拠が必ずしもないにもかかわらず、効果や効能を謳う内容が掲載されていました。薬機法68条は、1項で「何人も」虚偽又は誇大な記事を広告・記述・流布してはならないとし、2項で「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事」の広告等も禁止しています。医薬品の販売をしているわけではないから問題ないのでは?と考える方もいるかもしれませんが、禁止されている主体は「誰でも」であり、また禁じられるのは「広告」に限りません。したがって、ウェブ記事であってもこれに当たることになるのです。なお、記事には「ようです」といった形で結論を断定していないものも多かったようなのですが、記事全体としてみれば効果・効能等を表示しているとみなすことができるのであれば、これに抵触する可能性があります。 ■他の記事からの盗用はいけないまた、記事はインターネット上にある記事をほとんど丸々コピーして、語尾だけ変えるといったことをしているようですが、この点は著作権法に抵触しています。インターネット上に公開されているからといって、それを勝手に使って良いかというと、当然そのようなことはありません。私的使用は許されますが、インターネット上に公開することは公衆送信権という権利を侵害するため、許されません。そのため、侵害にならないためには、適切な「引用」といえることが必要です。裁判実務上、引用された部分が明確であること(明瞭区別性)、引用する側が「主」で,引用される側が「従」といえる関係にあること(主従関係性)が重視されています。語尾だけ変えた記事は、このいずれも満たしていないため、適切な「引用」とはいえませんので、この点も問題といえます。なお、しばしば「無断利用」といわれたりしますが、適切な「引用」は事前・事後に許可を求めることは不要なので、「無断」かどうかという点は問題になりません。 *著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)【画像】イメージです*studiostoks / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月02日医療は日進月歩。その進歩はニュースになりやすい一方で…出典 : 医療は日進月歩です。他の領域に比べて、新しい発見や新開発の治療法の情報がニュースになりやすいのは、医療領域の一つの特徴であると言えるでしょう。けれども本人やご家族は、その新しいニュースを見聞きする度に一喜一憂することになります。また、ニュースで報じられるような新しい治療法は、受けられる機関がとても限られています。本当に新しいニュースを追い続ける必要は果たしてあるのでしょうか。医療で採用される新しい診断法、治療法などは、とても慎重に、何度もその有効性と安全性が確かめられてから、一般的な医療機関に採用され、また日本では健康保険が適用され、安価に利用できるようになります。この数年でも発達障害に含まれる障害に対して、新しく正式に適応が承認されたお薬がいくつかあります。その一方で、ニュースになった多くの新しい発見や治療薬は、まだまだ開発のごく初期段階に留まっているものがほとんどです。その後の研究の中で、実はあまり有効ではないことがわかったり、思ったより安全ではなかったりすることがしばしばあります。自閉スペクトラム症の領域では、これまでにも数多くの薬剤が颯爽と登場しては消えていくという経過を繰り返しています。こうした新しい診断法や治療法に期待することは悪いことでありません。また新たな方法の開発を担当するような医療機関に通院している方には、ぜひその研究に協力していただいて、新しい支援の道を開くことを助けていただきたいという思いもあります。けれどもそれはむしろボランティア、社会貢献という位置づけです。残念ながら本人やご家族に利益をもたらすとは限らない、それが研究途上の新しい医学的手法なのです。サプリメントを使っても良い?判断の基準は安全性・コスト・併用可能性出典 : もう一つ、残念ながら現在の日本の状況では、医学による厳密な効果や安全性の検討を受けない、あるいはあえてそうした検討を避けて、宣伝されたり使われたりする物質や薬物も少なくありません。医師の処方箋を必要としない多くのサプリメントや薬物などが、発達障害への有効性を謳って、あるいはより巧妙にそれをほのめかして宣伝されていたりします。診察室でそうした物質を使ってみてもよいか、相談されることもしばしばあります。自分の場合にはこのようなとき、それがかなり安全であることがはっきりしていて、家計の負担になるほど高価ではなく、標準的な他の支援を受けることを妨げないのであれば、それを使ってみることを検討してもよいのではないか、とお伝えしています。このうち、安全であることを確かめるのは実はなかなかやっかいです。物質そのものは安全そうであっても、製造過程で混じり物がないかどうか、そもそも能書き通りの物質が含まれているのか、それを確かめるのはなかなか難しいことも多いのです。またこうした有効性と安全性の検証を経ていない治療法というのは、実はお薬に限りません。心理社会的介入と呼ばれるような薬物以外の様々な支援の中でも、しっかり研究が進められているものと、確からしい証拠がほとんど見つからないものが、世の中で入り混じっています。このときにも判断の原則は、安全性、価格や時間などのコスト、標準的な支援との併用可能性ということになります。貴重な時間やお金、気力や体力を上手に使っていくためにも、筋のよい情報を収集することが必要ですね。迷ったときは、主治医に相談を。これからも上手に医療と付き合って出典 : 全ての医師がこうした、標準的な医療以外の支援に詳しいわけではありませんが、迷ったときに主治医に相談してみるのは、悪くないかもしれません。そして主治医がまったくそれを知らなかったら…、それはその方法についてほとんど研究が進んでいない証拠かもしれません。さてここまで10回の連載では、医療による支援そのものの詳しい説明ではなく、どのようなスタンスで医療とつきあってゆくと物事がうまく進みやすいのか、できる限り踏み込んで書いてみました。実は自分のスタンスは必ずしも平均的な医師とは重ならないところもあるかもしれず、そこはたいへん申し訳ないのですが、皆様の今後の医療サービスの利用に際して、少しでもご参考にしていただけたらとても嬉しく思います。
2016年10月21日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。皆さんは万が一の病気やけがに備えて、どんなタイプの保険に入っているでしょうか?現在加入中の保険の見直しは定期的に行っていますか?ライフスタイルが変化すれば必要な保険も変わってきますし、 保険商品も日々進化しています。今回ご紹介する“ミニ保険”についても、そのニーズにはまる人がきっといるはずですよ!●ミニ保険とは?正式には『少額短期保険』 といいます。保険金額が少額で、保険期間が1年以内となっているのが特徴です。具体的には、・死亡保険……300万円以下・医療保険……80万円以下・損害保険……1,000万円以下などという上限付きの保障内容になっています。普通の保険会社ではなく、主にミニ保険専門の事業者が取り扱っている ため、一般的にはあまり知られていないかもしれません。しかしその種類は極めて多様で、たとえば・ペットの医療費や葬儀費用・家財や店舗の賠償責任・盗難・家賃、リフォーム費用・旅行、チケットのキャンセル料など、病気やけが以外についても保障してくれる保険商品があり、あらゆるリスクに備えることができます。●ミニ保険のメリットは?まずは先ほども触れた、種類の多さと手広さがミニ保険のメリットのひとつです。普通の保険会社では取り扱っていないような商品がたくさんそろっています。他にも、保険金額が少額なので保険料が安いことも魅力 です。ミニ保険の中には生命保険や医療保険、介護保険などもありますので、「病気やけがの保障は最低限でいいから保険料をできるだけ抑えたい」という人にはぴったりです。また、一般的な保険では加入条件が合わなかった人も、ミニ保険であれば加入できる ということがあります。過去に病気や入院手術をした人、持病のある人、さらには障害を持っている人、妊娠中の人なども入れる商品があります。今まで大手の保険会社に入れる商品がなかったという人は、ぜひ一度ミニ保険の事業者へ相談してみることをおすすめします。----------いかがでしたか?現在加入中の保険の掛け金が高い、または入れる保険が見つからないという人は、今回覚えたミニ保険(少額短期保険)を検討してみてください。ただし、ミニ保険にも、・事業者が破綻したときの保護制度がない(普通の保険は一定範囲内で保護される)・所得税にかかる保険控除の対象外であるなどの注意すべき点がありますので、加入を検討する際は事業者の経済状況や所得控除とのバランスも考えて選んでくださいね。それでも、ミニ保険は異業種(大手ショッピングモール、ネットサイトなど)からの参入も増えて年々活気づいている保険分野 です。2016年以降、ますますその存在感と必要性が高まっていくことが予想されるので、今後も引き続きチェックしてください!【参考リンク】・一般社団法人 日本少額短期保険協会()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2016年10月17日はじめに平成26年7月、損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」が改定されました。(参考純率についてはコラム「 火災保険の値上げ 」をご参照ください。)改定概要は、以下の2点です。(1)住宅総合保険(火災保険)の参考純率を平均で3.5%(※)引き上げる。(2)火災保険の参考純率の適用は保険期間が10年までの契約とする。※この値は、現存するすべての契約の改定率を平均した値です。したがって、契約条件(保険金額や建物の構造など)によって改定率(引上率・引下率)は異なります。この改定に伴い、平成27年10月以降、各損害保険会社が販売する火災保険も見直しが行われました。以下、長期火災保険の見直しの内容についてみていきます。長期契約の保険期間は最長10年に短縮平成27年9月末日まで、住宅総合保険(火災保険)などの、保険期間は最長36年でしたので、ほとんどの住宅ローンの完済期間まで1回の保険契約で済ませることができました。今回、損害保険料率算出機構の行った改定により、平成27年10月以降の住宅総合保険(火災保険)などの長期契約は最長10年までの保険期間となりました。住宅ローンの返済期間によっては、ローンの返済期間中に当初加入した火災保険が満期となり、契約の継続(更新)や新しい保険に加入するなどの見直しを行う必要があります。改定の背景損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率の適用を保険期間10年までと改定した背景の一つとして、「地球温暖化により自然災害の将来予測に不確実な要素が増している」との、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による研究成果を挙げています。つまり、今後発生する災害の規模や頻度の予測がしづらく、予測期間が長くなるほど、災害の規模や頻度のブレ幅が大きくなるため、10年を超える契約(保険期間)では、リスク評価が難しくなったということです。また近年、台風や台風以外の風災、雹(ひょう)災、雪災などの自然災害による支払保険金の増加や、建物の老朽化による水濡れ事故の増加による支払保険金の増加も、今回の改定の背景として挙げられています。長期契約のメリット長期契約のメリットは、保険料を一括して支払うことによって1年ごとに更新するより割り引きになる点です。割引率は一般的に、長期係数を使って算出されます。保険料は、長期係数を保険期間1年の保険料に乗じたものになります。仮に1年の保険料が1万円、保険期間5年の長期係数が4.50であるとすると、保険料は1万円×4.50=4万5,000円となります(保険期間5年の保険料を一括して支払う場合)。また、長期契約をすることにより、その保険期間内に参考純率の引き上げがあった場合でも、保険料が上がることはないというメリットもあります。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年10月07日