「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」153話は、口蓋裂手術もずいぶん落ち着いたので、言語治療を再開することにしたときのお話です。言語治療を再開することに! 今まで同様、言葉の貯金を増やすために、動物カードやそろばん・パズルなどを使った発達の促しと合わせて、指に貼った付箋や付箋を丸めて息を吹きかけて動かしたり、水の入ったコップにストローを入れ吹きぶくぶくさせるなど、「吹く」ということを重点的に練習をおこなっていくことになりました。 今までも病院の言語訓練で使用している100玉そろばんやカードを用意したりしましたが、家庭ではなかなか興味を示してもらえず。また、今回教えてもらった「吹く」練習も目の前で実践し、声かけをおこなっても、家ではほかのお気に入りのおもちゃに夢中で、ほとんど興味を持ってもらえませんでした。 今回から取り入れていったこの吹くという動作は、唇を使う破裂音の「パ行」や「マ行」などの発声の基礎になります。 発音のベースになると聞いていたので、こればかりはできるだけ練習を重ねたい! どうにか娘が練習をしてくれる方法がないか、いろいろ試行錯誤を重ねました。 そして……! 吹いても吸っても音が鳴る赤ちゃん用のラッパを渡すと、呼吸によって音が鳴るというのが新鮮で楽しかったようで、とても喜んで遊んでくれました。 その楽しそうな姿を見たときに、あることに気付かされました。 「唇を意識する」……それは私たちにとっては当たり前のことでも、まだ慣れない娘にとって初めてのこと。いきなり訓練を取り入れるのではなく、「あれはなんだろう? 」「楽しそう! 」という興味を作ることから、始めなければ戸惑うのは当たり前。 今後の正しい発音・発声の基本となる大事なことと聞いて、思わず焦ってしまいましたが……。娘の気持ちを考えるという最も大切なことに気付くことができたので、まずは夫婦でハーモニカや吹き戻しや吹き上げパイプのおもちゃを使って見せて、「おもしろい! 」と徐々に興味をもってもらえるよう、楽しい空気を作ることから取り組むことにしました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年09月21日「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」152話は、退院後の生活のお話。出血や創部のトラブルを防ぐため、飛び跳ねたり大泣きしたりしてはいけないなどの制限はありましたが、食事に関しては気を付けることがあっても、基本的には普通の食事を食べることができました。口蓋手術後の食事で気を付けるべきこと 娘はもともと偏食気味なこともあり、手術前の食材の大きさやご飯の固さのままでは、あまり食べてくれませんでした。 なので、以前に市の保健師さんからもらったレシピをもとに、カミカミ期くらいの離乳食のような固さを目安にして食べやすいように工夫をしました。 病院の歯科衛生士さんに指導をしてもらって、歯ブラシでの歯磨きも徐々に再開しました。 創部のケア・薬の服用、運動の制限や食事など、多少気遣うことはあっても、この退院後のケア一つひとつが娘の今回の口蓋手術の結果を確実なものにするため、いろいろと気を抜くことはまだできません。 しかし、退院して半月が経ち、お家で歯磨きができるようになったことでようやく日常が戻ってきたなあと感じました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年09月14日「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」151話は、退院後の最初の外来のお話です。体重の変化や創部を確認したあと、閉鎖床の調整や口内の撮影などさまざまな診察を終えたのですが、どれも問題なかったほか、創部の異常などもなくホッとしました。そして、診察の最後に先生から退院後の様子を聞かれたのですが……。レチナについて、先生から鋭い質問が…! 鼻の形を維持するために大切なレチナ(※1)。前回の手術後、レチナをなかなか日常的につけることができなかったせいで、口蓋手術のときに鼻の形があまりにも崩れてしまっていたほか、鼻腔にも大きなできものができていたので、それを取り除く処置もおこないました。 今回の手術後からはレチナをつける習慣を取り入れるため、当初は退院後の初外来の日までレチナを鼻に縫い付けておく予定でしたが、退院直前になってレチナを縫い止めていた糸が外れてしまいました。 さらに、その日のうちに擦れて創部が赤く腫れたりするなどのトラブルが重なり、今度こそはと心を鬼にしてレチナをつけるよう、夫婦で取り組んでたのですが……。 相変わらず激しく抵抗して嫌がる娘に2人して苦戦しっぱなしで、安定してレチナをつけられていませんでした……。(※1)レチナ:鼻の形を維持する目的で使用するシリコン製の装具 以前に同じ口唇口蓋裂児の親御さんと話したとき(口唇手術後に再会したお母さん)からは2歳をすぎたあたりで自分でつけてくれるようになったと聞いていたので、それを期待したのですが……。 どれだけお願いしても、無理やりつけてもすぐ外してなげたり、つけてもずっと機嫌が悪く1日ぐずったり。さらには、風邪を引いてつけられなくなったりと、親子ともにレチナによる疲弊。 先生からは修正手術など大きく影響が出でてくるので、本人を説得してレチナをしっかりつけるようにと念を押されていることもあり、今回ばかりは多少泣かれてつらくても娘のためなんとかしてレチナをつけなければならない! そのためにはどうしたらいいか夫と相談して考えた結果……。 本人が起きているうちは特別難しいので、娘が寝たあとに夫と連携してレチナを素早くつけることで、夜の間だけはつけられるようになりました。 暗い中、小さな鼻につけるので、レチナの向きが逆でうまくつけられなかったり、起きられたりすることもありましたが、当時の娘の睡眠時間が9時間から10時間くらいだったので、起きてすぐ外される日中よりは、長くつける時間を確保できるようになりました。 正直、これで劇的につけてくれるようになった! というわけにはいかず、朝には簡単に取ってしまうので、そのときにどこにはずして放ったのかわからくなり、寝室の大捜索をして焦ることもありました……。 それでも、この寝ている時間から少しずつ鼻にレチナをつけることに慣れさせ、最終的には本人が納得して自らつけてくれるようになるまで、レチナをつけている時間を少しずつ定着していくことにしました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年09月07日「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」150話です。前回の口唇手術同様、鼻頭周辺の創部に軟膏を塗ったり、傷口のケロイドを防ぐために薬を服用したりするほか、今回からは軟口蓋裂の創部を保護する閉鎖床のケアが加わったというお話です。保護床が「ホッツ床」から「シーネ」に! 生まれてすぐに作ったホッツ床(※1)から2年、口蓋裂部分を保護する閉鎖床もずいぶんと素材も大きさも形も変わりました。 今回から使うこの保護床、口蓋裂手術後の出血や創部を保護するだけではありません。 (※1)ホッツ床(しょう):口の中の型を取って作るプラスチック製のプレート。上あごの口蓋裂部分を覆うことで、哺乳を助けたり、舌の機能を正常化することができる。 これから始まる本格的な言語訓練をする際に発音や発声の補助としても、大事な役割を担います。 手のひらに収まるこの小さな装具が、娘のこれからの治療にそんなに大きく影響すると聞いてとてもビックリしました。 しかしこの閉鎖床、つけるにあたって最も重要な問題があります。それは……。 特に硬口蓋部分の塞がっていない穴の部分など食べかすが残りやすく、口内環境が悪くなってしまい虫歯ができやすくなるとのこと。 医師からは、食事をしたあとは必ず保護床を取り外して洗浄し、今後は今まで以上に口腔内の清潔を保つように言われました。 この大事な役割を多くもつ保護床、初めて作ったホッツはあんなに口に入れつづけるのを嫌がっていたので娘がちゃんとつけてくれるかが心配でしたが……。 娘も2歳になり、保護床をつけることで口の中の調子がよいと感じているのか、赤ちゃんのころとは違い積極的につけてくれました。最初のホッツ床に比べると、だいぶ小さく薄くなった新しい保護床は、頻繁に取ったり外したりするので、そのたびに創部に触れそうになりつけるのが怖かったです。 また、娘の言語や矯正にもいろいろと影響すると聞いたので、保護床の管理とケアは今まで以上に気を付けなければと感じました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年08月24日「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」149話は、退院日のときのお話です。ようやくお家に帰れることをくぴこちゃんに伝えると、ニコニコ笑顔に! じぇにこさんはこれまでの出来事を振り返ります。手術を受ける際の必要体重に足りていなかったり、術前検査の直前で風邪を引いてしまうなど、不安だらけのなか始まった入院生活も終わり、とうとう退院の日を迎えました。 いろいろあった入院生活も今日で終わりに! 口唇手術よりも厳しい手術と聞いていただけあって、たくさん汗をかき、涙を流して痛みと怖さに立ち向かった娘。 血を吐いて熱を出し、痛みに泣いている娘の姿は前回の手術のときよりも痛々しく、苦しそうで、そばで付き添っていた私から見ても胸が苦しくなるほどでした。 赤ちゃんのときよりも物事が理解できるようになった娘にとって、今回の手術はよりいっそう怖くショックなことの連続だったと思います。 つらい診察やおいしくない薬を飲んで幼いながらも1日でも早く元気になるために治療に向き合う力強い姿勢は、不安と心配が絶えなかった私たち夫婦が逆に励まされたくらいでした。口唇口蓋裂になりたくてなったわけではないのに、本人の意思とは関係なく、受けざるを得なかったとてもつらくて怖い手術に、小さな体で今回も本当によく立ち向かい、乗り越えてくれたと今でも感謝と尊敬の念が絶えません。 退院後は術後のケアを怠ることないよう心がけるとともに、まだまだ続く言語の治療、治療の状態に合わせた修正手術……。 そして娘自身も家だけでなく、幼稚園など外部との関わりが増えていき、成長や環境の変化に沿って治療を進めていかなくてはいけません。 以前からぼんやりと意識していましたが、大きくなった娘本人が口唇口蓋裂のことを自覚するようになったとき、親としてどう向き合うべきかという問題に直面するのも時間の問題だなと思いました。 そのときに、私たちは本人が望むようなことをすべてできないかもしれません。 何をどのようにするのが娘のためなのかはわかりません。 それでもまず娘の気持ちをできる限り受け止めて、一緒に一歩ずつ今よりも少しは良くなるようにとこれからも治療をおこなっていこうという覚悟が改めて強くなりました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年08月17日次女は「口唇口蓋裂」という先天異常で生まれてきました。娘の将来を考えて不安にかられた私を救ってくれたのは、娘自身でした。今回は、そのときの体験をお伝えしたいと思います。 口唇口蓋裂で生まれた娘わが家の長女は、33時間にもおよぶ難産の末に生まれました。一方で、次女の出産にかかった時間は8時間ほど。長女のときと比べるとだいぶラクな出産でした。 生まれてきた次女はすぐに大きな産声を上げましたが、出産に立ち会った先生たちは「あっ」と驚いた顔。「ちょっとお口が……」と言う先生たちの様子を見て、私は不安にかられました。抱っこをした娘の口にはテープが貼られていました。 娘のくちびると歯茎、上あごに隙間が産後、少し落ち着いてから、「あなたの娘さんは口唇口蓋裂です。でも、今はきれいに治りますよ」と医師に言われました。長女の出産時は命に関わる状態だったので、それに比べると不安は少なくもありましたが、どのような状態で生まれてきたのか、娘の口を何度も見て様子を確かめました。 娘のくちびると歯茎、上あごには隙間があったのですが、痛みはないようで安心しました。また、出生体重が3,300g以上だったからか、体つきはしっかりとしていました。 “娘の笑顔”が私を救ってくれた最初は不安が少なかったものの、全身麻酔をして手術を何度も受けねばならないことや歯科矯正が必要なこと、言語や耳に少なからず障害が出てくるということがわかり、娘の将来を考えた私は急に不安にかられました。 そんなときに私を救ってくれたのは、娘の笑顔でした。生まれて3日後に「にこっ」と笑顔を見せてくれたのです。最初は偶然かと思いましたが、何度もにっこり。「心配ないよ。私は大丈夫」と言ってくれているようで、私の不安は吹き飛びました。 娘は現在6歳。これまで2回の手術を無事に終え、元気に成長しています。治療はまだまだ続きますが、あのときの笑顔を思い出すたびに、娘と一緒に乗り越えていこう、そんな気持ちと勇気が湧いてきます。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:石原みどり知的障害を持つ子どもと口唇口蓋裂を持つ子どもの母。波乱万丈で大変なこともあるが、子どもたちと幸せいっぱいに生活している。経験を踏まえ、子育てに関する情報を発信中。
2021年08月16日「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」148話です。抜糸手術を無事に終えたくぴこちゃん。先生からは、「口の中の型を取って、装具ができたら退院です」と告げられます。抜糸手術が終わった翌日、保護カバーを外した部分に新しい装具を付けるために、口の中の型取り処置をしました。その際、先生にレチナについて、このように言及されました。 抜糸手術も終わり、いよいよ退院と思ったら……? 今回はレチナによる固定を徹底し、鼻の形を維持するためにレチナを縫い付けている糸は、退院後もしばらくはそのままにすると言われました。 前回の手術で退院後はレチナに苦戦し、結局うまくつけられず鼻腔が倒れてしまったので、娘のためと思い私もそれに同意したのですが……。 なんと、口の中の型取りの最中に縫い付けていた糸が取れてしまいました! 泣いて鼻水で取れやすくなり、泣き止んで落ち着いたと思ったらレチナの違和感でムズムズするらしく、無意識に鼻から押し出したりしてしまい、まったく安定してつけること事ができません。 「これをつけると、痛い痛いしなくていいよ! 」など言い聞かせても、小さな娘には通じるわけがなく……。 そして、縫い付けていた糸が取れて半日、レチナを出したり入れたりを繰り返しているうちに鼻の中の傷がこすれて腫れてしまい、何もしなくても押し出されるようになってしまいました! 抗生剤入りの軟膏を使って対処したのですが、鼻に入れた痛みや刺激で鼻水が出て余計に滑りやすく、テープを何枚も貼っても固定がままならないほどに……。 この様子には思わず先生も苦笑いの様子で……。 幸先が不安なレチナの状況に不安いっぱいな私に、翌日の退院の許可と励ましの言葉をかけてくれました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年08月10日不安と心配のなか、いよいよ抜糸手術当日を迎えました。 体調も問題なく朝の健診を終えたあと、娘が処置室に入っていきます。 抜糸手術当日。子どもの叫び声が聞こえて……。 カーテン越しに泣き叫ぶ娘の声を聞いたときは、思わず涙が出ました。 しかし、先生から説明を受けたように手術自体はあっという間に終り、しばらくすると処置室に呼ばれました。 そこには開口器をつけ、暴れてけがをしないようにタオルでぐるぐる巻きになりながら、汗と涙でいっぱい泣いている娘の姿がありました……。 口蓋手術直後は血だらけで、その後はずっと保護プレートが縫い付けられていたため、それまで直接見ることがなかった上顎の様子を初めて間近に見ることができました。 今まで喉の奥まで避けていた軟口蓋部分に、ピンク色の筋肉が膜のように覆っていて、そこは娘が泣くたびに振動していました。 裂部分の縫い目は少し盛り上がっていましたが特に問題なく、つなぎ合わせた軟口蓋裂部分の筋肉はしっかり繋がれていると説明を受けました。今までなかった部分に新しくできた筋繊維と術直後あんなに真っ赤で血だらけだった口内もピンク色の組織が定着していて、その回復の速さにも大変驚きました。そして、見えている骨とそこににじみ出てくる血が、改めてこの手術の難しさをあらわしているようで、こんな壮絶な手術を小さな体でよく乗り越え、頑張った娘は本当にすごいと尊敬の気持ちがこみ上げました。大泣きの処置を終え、きっとこの日は1日中娘は泣いて不安がるだろうと思い、慰めるため1日抱っこする思いで覚悟していたのですが……。 娘は病室に戻るなり落ち着くと、泣きべそをかきながら許可の下りたベビーせんべいとたまごぼーろ、そして麦茶をたくさん口に入れ、怒りながら自分の身に起きたそのストレスを解消していたので、このたくましい立ち直りの速さにも驚きました。 しかし、明日は口の中の型取りがあるので、また泣いてしまうと思うと少し複雑でしたが、今日の山場を乗り越えた娘ならもう大丈夫だと思い、少しでも気持ちが晴れるようにこの日は娘のご機嫌を取ることに専念しました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年08月03日最初は検温をしに来た看護師さんのことを怖がり、泣いていた娘でしたが、術後1週間近くになって、体調や環境にすっかり慣れたようで……。 娘がたくましくなっていく姿に圧倒され…… 小児科診察でも自らおなかを見せたり、朝の処置でも泣かずに口を自ら開いて術後ケアをさせてくれるようになったりと、すっかりたくましくなりました。 実は抜糸手術の説明を聞いたときに驚いたのが、当時通っていた病院では口唇裂手術のときとは違い、口蓋手術の抜糸処置はあまり暴れるなどの危険な場合を除いて、基本的に麻酔なしで処置することになっていました。 不安のまま痛みと怖さにショックを受けた手術を終えて、ようやく笑顔を見せてくれるようになったのに、またも娘が怖い思いをするのかと思うと、とても憂うつでしかたありませんでした。そのため、麻酔を使用しての処置を相談しましたが、その場合はまた全身麻酔をするのでその処置後の麻酔の影響がないか様子を見る必要があり、退院がのびるとのこと。先生や看護師さんたちから娘を見たかぎりでは、口の中のカバーの糸を外すだけの処置に「わざわざ全身麻酔を使う心配はない」と言われてしまい、大丈夫か不安でしたが……。 先生たちからも「問題なし」と太鼓判を押してもらうほどの娘の元気な姿に、それまでの不安だった気持ちもなくなり、安心して明日を迎えられそうとホッとしていたのですが、その矢先……。 ちょうど抜糸処置を受けている子の大きな悲鳴が聞こえてきました! 泣き叫び「いたいよぉぉぉ! 」と響き渡る悲痛な声をカーテン越しに涙を抑えながら見ている付き添いのお母さんの様子を見て、安心した気持ちが一気に不安に逆戻り……。 その泣き叫ぶ声はあまりに痛々しく悲痛で、大人の私でもとても恐怖を感じました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年07月27日口蓋手術を終えて6日目。 娘の発声に変化があることに気付きました。 手術後、娘の発音に変化が……! 手術前までの「アンパンマン」の発音の状態は、どこかはっきり聞こえず、特に「パとマ」は、間の息が抜けたような声の張りが感じられないぼんやりした発音でした。 それが術後は、発音が前に響くようにはっきりと聞こえるようになりました。 先生いわく、上顎の軟口蓋部分が塞がったことで発声・発音に厚みができたとのことで、以前よりも言葉の一文字一文字がはっきりと聞こえるようになりました。 娘のひと言ひと言が聞き取りやすくなり、大変な手術を乗り越えた成果を感じられたことが親としてとてもうれしかったです。 そして、なによりも……。 「イエーイエー」とよく歌ったり、本や番組を見てても「ワンワンねんね(寝んね)?」など私に話しかけてくれたり、絵本も自分で読むようなそぶりで「まんまおーしー」と話すなど、明らかに術前よりもたくさんお話をするように! 発達の影響も手伝っていたのかもしれませんが、娘自身も声の変化を楽しんでいるように見えました。 今回の口蓋裂手術では、見た目の変化はないものの、軟口蓋裂部分が塞がったことで言葉がはっきりと響くようになり、発音に大きな違いを感じることができたので、驚くとともに感動しました。また、それ以上に本人自身も発声の違いをわかっているのか、楽しそうに声を出してお話をしていました。私はその様子を見ているのがうれしくて、改めて手術を乗り越えることができたんだなと娘の成長と体の回復に感動しました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年07月20日術後しばらくは痛みによる高熱や、思わぬトラブルで出血するなどがありましたが、今は術後の変化を実感するまでに落ち着きました。 そして、口の中の保護カバーの抜糸をおこなううため、抜糸手術について先生から説明を受けることに。 抜糸後の注意点を説明され、自信喪失に…! 抜糸自体は何も問題なければ30分もかからないので、主に処置後の注意についての説明でした。 術後の生活やケアが今後に大きく関わってくるというのは、前回の手術のときに経験しているので、退院しても一切気を緩めることができないと緊張が走りました。しかし、それよりもまだ小さく言い聞かせるのも難しい幼子を相手に対し、なかなか難しい約束ごとばかりなのもあって、育児2年目の未熟な私にできるのか自信が持てずとても不安でした。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年07月20日今回も引き続き、プレイルームでのお話です。 娘と軟口蓋裂の手術で入院しているお友達が遊んでいる様子を見て、不全唇裂をもつ赤ちゃんのお母さんがポツリと話し始めました。 「どうしてうちの子が…」と落ち込む日々もあったけど… 傷の程度など、どうしてもほかの子と比べてしまい、そのたびに申し訳ない気持ちと「どうしてうちの子が……」という悲観的な気持ちになってしまい、病院に来るたびに重い気持ちになるとのことでした。私も通院や治療のなかで娘が泣いている姿を見ると、どうしてうちの子が……という気持ちがぬぐえませんでした。 さらに今回、不全唇裂、軟口蓋裂という同じ口唇口蓋裂でもこんなにも症例の差があるものがあるとは知らなかったので、その気持ちには深く同意しました。 しかし、それを聞いていたもう1人のお母さんはこう言いました。 「病院に行くと周りにも同じ口唇口蓋裂を持つ子がいて、それぞれ頑張っているので、ひとりじゃないと子どもに教えやすい」と前向きに話していました。 その考えも深く納得できました。 口唇口蓋裂を持って生まれた以上、この先当事者である子どもたちがどのようにそれを受け止めていくかはわからない。 症例も程度もそれぞれのなか、子どもたちがどう捉えるか、そんなときに自分たち親の在り方も子どもに影響があるんだろうなと気づかされました。 対照的でしたが、私はどちらの考えもとても理解できました。 これから先、娘がどんどんいろいろなことを理解していくなかで、口唇口蓋裂について親子でどう向き合っていくべきかを考えさせられるキッカケになった出来事でした。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年07月13日今回もプレイルームで知り合った口唇口蓋裂の子の付き添い入院をしているお母さんたちとのお話です。 軟口蓋裂の付き添い入院をしているお母さんは、おなかが大変大きく、聞けば妊娠7カ月を過ぎたところだということでした。 何気ない会話から意識し始めた2人目… くぴこが生まれてからもうすぐ2年。 治療や育児に手一杯で日々追われていていた私は、このときまで2人目という考えをまったく意識していませんでした。 2人目という意識が持てないほどに余裕がない自分。そして、もし次の子もまた……そう思うと淡い憧れの気持ちに、急ブレーキがかかりました。 あらゆる面で自信がない。そして、どうなるかわからなくて怖い……。そう思ったからです。 正直にその気持ちを話すと、軟口蓋裂のお母さんはこう言いました。 どちらにしても子育ては簡単じゃない。 いろいろ心配はあるけれど、家族みんなで楽しみにしている。そして、それが大事だと思って生まれるのをまちわびていると、うれしそうに話していました。 今は娘の治療や育児に専念したい気持ちが強いので、すぐに私も……というわけにはいきませんでしたが、この日から初めてひそかに娘と並ぶもう1人のきょうだいの景色を意識するようになりました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年07月06日私の娘は、口唇口蓋裂という先天異常を持って生まれてきました。今回は、今まで受けてきた治療と就学後の治療についてお伝えしたいと思います。 これまでの治療と現在の治療口唇口蓋裂の治療におけるメインの診療科は形成外科でした。生後5カ月ごろ、唇を閉じ、鼻の形を整える手術を受け、1歳過ぎに口蓋裂を閉じる手術を受けました。それから6歳の現在まで、半年から1年毎に定期的に受診しています。 歯茎の裂があり、上の歯並びが悪いため、4歳ごろから矯正歯科に毎月通っています。また、鼻にかかった話し方のため、耳鼻科での聴覚検査をしたあとに、毎週近所の学校で開催している言葉の教室に通っています。そして、中耳炎になりやすいため、耳鼻科も定期受診しています。 多くの場合、唇再形成の手術が必要娘の場合、口唇裂手術後、最初は唇が少し引きつっている様子でした。手術した部分はピンク色で、痕が少しわかる状態が2歳ごろまで続いていました。けれども、成長とともにきれいな形になってきており、よく見ると多少違いがわかりますが、周りの人からは「まったくわからない」とよく言われます。 多くの場合は、小学校入学前に唇の形を整える手術が必要になるそうです。ただ、娘の場合は幸い、「見た目に問題がないから手術は必要ない」と主治医の先生からお話がありました。 口蓋裂の状態に応じて、骨移植が必要口蓋裂手術は、両脇の皮を縫い合わせておこなわれるため、手術後に上あごに穴が開いてしまう場合があるそうです。そのような場合、その穴を塞ぐ手術が必要になります。 また、娘は歯茎にも裂があり、当初は「小学校中学年くらいに腰の骨を移植する手術が必要になるかもしれない」とのお話でした。ただ、成長とともに歯茎の裂がどんどん狭くなり、今は歯茎の隙間がなくなりました。そのため、手術は必要ないかもしれないと言われています。 娘の場合、口唇口蓋裂ではあるものの、ありがたいことに経過は順調です。今後も主治医の先生と相談しながら、できるだけ娘に負担がかからないよう治療していけたらと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:石原みどり知的障害を持つ子どもと口唇口蓋裂を持つ子どもの母。波乱万丈で大変なこともあるが、子どもたちと幸せいっぱいに生活している。経験を踏まえ、子育てに関する情報を発信中。
2021年07月05日落ち着かない状態のピークを終えたことで、くぴこは再びプレイルームで遊べるようになりました。 今回は、プレイルームで出会ったお友達のお話です。 体調も落ち着き、プレイルームで遊んでいると…? 前回の口唇手術のときに出会ったのは、娘と同じ口唇裂も口蓋裂もある子たちでしたが、今回はまた同じ口唇口蓋裂でも少し違うようで……。 それまで両側口唇口蓋裂程度しか知らなかったので、どちらか一方という症例は、このとき初めて知りました。妊娠中にわかったわが家のような場合もあれば、生まれてからしばらくして軟口蓋裂が見つかったなど発見や治療の工程、さらに手術の回数もそれぞれ異なることも知り、本当に一人ひとり症状が違うのだと、とても驚きました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO ★♡★♡ベビカレ夏のマンガ祭り★♡★♡マンガ家100人突破を記念して『べビカレ夏のマンガ祭り』開催中!大人気のマンガコンテンツを増量し、レギュラー連載に加え、新たにスペシャルゲスト24作品を配信♪ 無料でザクザク読めちゃう!ぜひチェックしてくださいね!著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年06月22日痛みによる高熱や乾燥による出血など、術後からさまざまなことが続き、ずっと機嫌が悪い状態が続いていましたが、さらにくぴこの機嫌を悪くする問題が……。 それは……!? 体調が落ち着かず、シャワーに入れない日が続いたある日… ガーゼを使ってこまめに清拭をしていましたが、高熱が出ると汗がたくさん出て、さらに新陳代謝がよすぎて拭いても追いつかず……。もともと肌は強いほうでもないので、このままではかき壊してしまうのでは?! と思うほどに、首や背中がボロボロになっていきました。 そこで看護信さんに相談したところ、術後4日目にして沐浴を浴びることに。 すると、体の汚れと一緒にまるでつきものも落ちたようで、その後の夕食を1日ぶりにすべて完食すなど、様子がすっかり落ち着つきました。 そして、この日が不調のピークだったようで、少しずつ笑顔になる回数が増えていきました。 術後4日目にしてようやく穏やかな表情を見せてくれるようになった娘に、私も安心して心からうれしく思いました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO ★♡★♡ベビカレ夏のマンガ祭り★♡★♡マンガ家100人突破を記念して『べビカレ夏のマンガ祭り』開催中!大人気のマンガコンテンツを増量し、レギュラー連載に加え、新たにスペシャルゲスト24作品を配信♪ 無料でザクザク読めちゃう!ぜひチェックしてくださいね!著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年06月15日お見舞いに来た夫に、深夜に起きた娘の流血騒動を話しました。 昨日の出来事でママ、げっそり……。 入院してから、毎日欠かさずお見舞いに来ている夫でしたが、術後から4日しても毎日熱や痛みなど、大変な思いをしている娘に胸を痛めていました。 術後、なかなか容態が落ち着かない娘を見ているのは、親としてもつらかったです。 また、情けないですが、お互い疲れもあってか、この小さな体で痛みや恐怖に耐えることを見守ることしかできないことに、夫婦で親って一体なんなんだろうという大きな無力感に苛まれました……。この子を支える。私たちは本当にそれがちゃんとできているのか? 考えても正解のわからない思いになりました。 しかし、今は何が正解かわからないけど、わからないなりに、一生懸命やるしかない! 今はまだ小さなくぴこの口からは、何をしてほしいなどの具体的なことを聞くのは難しい。だけど、娘がひとりではできないことを私たちがサポートし、痛かったり怖がっているくぴこのそばにいて寄り添っていることは、きっと無駄じゃない……!!家族みんなで、一つひとつのことをそれぞれの持てる力で乗り切っていこう! と、暗くなった気持ちを励まし合い、お互いの協力を改めて感謝しあいました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO ★♡★♡ベビカレ夏のマンガ祭り★♡★♡マンガ家100人突破を記念して『べビカレ夏のマンガ祭り』開催中!大人気のマンガコンテンツを増量し、レギュラー連載に加え、新たにスペシャルゲスト24作品を配信♪ 無料でザクザク読めちゃう!ぜひチェックしてくださいね!著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年06月08日妊娠初期の切迫流産、妊娠後期の妊娠高血圧症候群など妊娠中のトラブルを乗り越え、ようやく会えたわが子は、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)ということが判明しました。周囲は私の産後のメンタルに気をつかい、さまざまな配慮をしてくれました。でも、そうだとわかりつつも、周囲のちょっとした言動が、私の心にはグサリと刺さりました。 なぜカーテン?出産当日は体を休めるため、私が赤ちゃんに授乳することはありませんでした。そのため、翌日から授乳がスタート。 娘が入院している新生児科の看護師さんと一緒に新生児室へ向かう途中、看護師さんからこんな質問がありました。「以前、口唇口蓋裂の子を持つ親御さんに、他の子と別室にしてほしいと言われてからカーテンを用意するようになったんです。どうされますか?」と。 この質問に、私は不要と答えました。そのときは、どうしてカーテンをする必要があるのかわからなかったのです。母の言葉で質問の意味を知るでも、面会にきていた母の言葉で、私はカーテンの質問の意味を理解しました。母は私に「写真を撮っても人に見せてはだめ」という言葉をかけてきたのです。「興味本位で見たり、心ない差別的な言葉をかける人もいるんだから」と。 たとえそれが、私や娘のことを思って言ったのだとしても、私はその言葉を理解するのに苦しみました。極めつけには「なんで羊水検査しなかったの?」という見当違いな問いかけに、この子を産んではいけなかった、と言われたように感じてしまったのです。 娘に会えてうれしいはずなのに…母の言葉を聞いてから、授乳の時間がとても苦痛になりました。他のお母さんたちは、みんなが同じ場所で並んで授乳。仲良くおしゃべりをしている人もいます。それにもかかわらず、私だけ少し離れた場所で、壁に向かって授乳しているのです。 カーテンはないものの、ひとりだけ孤立しているような状態。その状態に、私はひどく寂しい気持ちになってしまいました。 安心できたのは、やっぱり夫のひと言日に日に元気をなくしていく私。それを救ってくれたのは夫でした。「僕とみいちゃんのところなら、安心して生きられると思ったからきてくれたんだよ」。母に言われたひと言がグサリと胸に突き刺さっていた私に、温かい言葉をかけてくれました。 この先、娘は手術や通院以外にもつらい経験をしてしまうかもしれません。でも、私と夫のところなら大丈夫だと思ってくれたんだと、傷ついていた私にはその言葉がとてもうれしくてたまりませんでした。 身内の言葉というのは、自分自身のメンタルにとても大きく影響すると思っています。私の場合、理解者であってほしい実母からの言葉に一番傷ついてしまいました。でも、パートナーである夫がしっかりと支えてくれたため、沈んだ気持ちを持ち直すことができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO 著者:ライター いとう みい夫と娘、猫1匹と暮らすフリーの事務員兼デザイナー。娘は産後に口唇裂が判明。主に妊娠・出産・子育てや趣味のコレクション、ダイエットレシピについて執筆している。
2021年06月06日不安な術後3日目を終えた深夜。隣で寝ている娘のいびきがあまりにも寝苦しそうだったので、看護師さんを呼んで吸引してもらうことに……。 手術3日目の夜、くぴこちゃんに異変が…! 娘の前歯が真っ赤になっていました! 固定具もしっかりついていたので、外した手で口を触った感じもなく、看護師さんと一緒に大慌て。 先生を呼んで、急きょみてもらったところ……!? 幸い今回手術した口蓋の手術部分からの出血ではなかったようで、ひとまず安心しましたが、思わぬ流血事だったので、このときは心底びっくりしました。 その後病室に戻り、くぴこを寝かしつけたあと、くぴこの眠るほうのベッド柵に枕(病院のもの)を置いてぶつからないようにし、桶やコップに水をなど、乾燥対策をおこないました。 ぶつける心配に関しては、動く気配がするたびに様子を確認し続け、ヒヤヒヤしながらも注意深くみていれば、問題ありませんでしたが……。 乾燥対策に関しては、電気を使う加湿器などは病院に持ち込めず。そのため、洗濯用に持参していた簡易物干しに、つるした濡れタオルを干していたのですが、3~4時間もするとすっかり乾いてしまうほど、なかなか難しく、退院するまで地道におこない続けました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年06月01日術後翌日には食事も口にできることから、良好な様子だったくぴこ。 手術後の経過は良好だったはずなのに…!? しかし、術後3日目は朝の処置から戻って以降、機嫌が戻らず、泣いてぐずってとても難しい様子が午前中ずっと続きました。そして、何かを思い出したように泣きすぎてむせてしまい、少し多めの血が混じった分泌液を出してしまうくぴこ。とうとう熱を出してぐったりしてしまいました。 朝からくしゃみも続いていたこともあり、もしやこれは風邪ではないかと心配になり、小児科診察で確認してもらいますが……。 手術から1日あけてもまだ思っていた以上に、赤い分泌液がよだれや痰とともに出たことに加え、小児科の先生から「特に異常は見られないけれど、まだ小さいのでどうなるかわからない。何かあればすぐに言ってください」と言われ、ますます不安に……。 結局その日、くぴこは一度も笑顔を見せないまま昼、夜のごはんもほとんど食べず。熱が38度をこえたところでまた坐薬を入れ、熱と痛みに泣いて1日を終えました。 手術から1日経過したにも関わらず、いまだ体調が不安定で気が抜けない状態が続いていました。 連日熱でうなされ、ベットに横になりながら時に涙を見せて、大きく胸を動かし苦しそうにしているくぴこに、もし何かあったらと思うと、内心穏やかではなかったですが……。 私が不安そうにしていてはいけないと、「娘は頑張っている、落ち着くにはまだ時間が必要なんだ、焦らない! 」と今度は自分にも言い聞かせながら、様子を見守り続けました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年05月25日点滴ははずれましたが、固定具については基本的に入院中はつけているよう指示されていました。特に夜は無意識に手を口に持っていってしまい、思わぬ事故につながる危険が高くなります。 そこで、今回も前回の口唇手術のときに活用した医療用テープを使い、服の裾に固定具をしっかり固定することに。 術後直後は抱っこした状態で寝かしつけていたので、固定具が取れることをあまり気にすることもなかったのですが、術後2日目の夜は熱も出ず、点滴の心配もなくなったので、消灯時間に合わせてベットにくぴこを寝かしつけました。 固定具をつけるよう、医師から指示されたものの… 様子が気になり深夜に目を覚ますと、つけたはずの固定具が両腕とも取れていました!! もう一度固定具を付け直すために、ぐっすりねむっている娘を起こさないように気を付けながら、今度はもう少し多めにテープを貼って固定します。次に看護師さんの見回りで目を覚ますと……。 また両腕とも固定具がはずれていました! 一体どうやって取っているのかわからず、テープを付け直しますが、また外れて今度は気づかず思わぬ事故を招いてしまったらと思うと、そればかりが気になるように……。 心配から結局明け方4時に看護師さんが見回りに来てくれるまで起きて見張ることに。 その際看護師さんに「2~3時間おきに見回りにくるのでそのとき外れていたらつけておきますよ」と言っていただいたのでようやく横になることができました。 起きているときは言うことを聞き、固定具を外さないでくれていたのでよかったのですが、夜になると無意識に取ってしまいます。 前回成功したテープで固定作戦も点滴が取れたこと事に加えて、去年よりも腕が伸びて手首を自由に動かせるようになったたためか、簡単に外してしまうので、この就寝時間の固定具の心配は退院するまで続きました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年05月18日ベビーカレンダーでは、「子どもがいるっていいな」と思えた瞬間について、実際のママへのインタビューをスタート。今回は、ベビーカレンダー で育児漫画を連載しているイラストレーターのじぇにこさんにお話を聞きました。 じぇにこさん愛知県出身。デザイン学校を卒業、社会人生活を経て結婚。2013年に長女を、2017年に次女を出産。口唇口蓋裂を持つ長女のこれまでの治療の過程の記録やその時の自身や家族の様子を綴るためブログを開始。現在はベビーカレンダーにて「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」を連載中。 「口唇口蓋裂」と診断されたときは本当につらかったー1人目のお子さんが口唇口蓋裂ということですが、今までで一番大変だったことや辛かったことはどんなことでしょうか?【じぇにこさん】一番つらかったのは、お腹の中の娘が口唇口蓋裂だと診断されたときです。初めての妊娠がほんとうにうれしくて、赤ちゃんのためによかれと思うことは積極的に取り組んでいました。ですが、妊娠5カ月の妊婦健診でエコーにはっきり鼻の下に縦線が入っているのが見え、口唇状態であることが確認されました。 その瞬間、頭が真っ白になってしまいました。医師から言われたことは、口唇口蓋裂は治る病気であるということ、そして、妊娠中は何もすることができないし、生まれてきてからしか手術はできないということでした。 ただ、生まれてきてくれた娘はその不安を吹き飛ばしてしまうくらい可愛くて、口唇口蓋裂が気にならないくらい可愛くて小さくて、「この子にしっかり治療をうけさせてあげよう」という強い決意に変わりました。ー旦那さんと衝突することもあったようですが、具体的にどのようなことなことがあったのでしょうか。 【じぇにこさん】これは今でもなんですが……。口唇口蓋裂の原因ははっきりわかってはいないと、頭ではわかっているんですが、私自身「健康に産んであげられなかった」という気持ちがあり、そのバランスが取れないことがあります。 特に最初の手術を受けるまでは、「早く手術をしてこの子を治してあげないと!」と焦っていました。将来子どもになんて言われるだろうとか、この子は自分自身でどんなふうに思うのだろう?と先走っていろんなことを不安に感じていました。 一方、夫はすぐに病気を受け入れて、目の前のことを1つずつクリアしていこうという考えでした。今考えると、夫がこんがらがっている私の思考をときほぐしてくれようとしていたのかもしれないのですが、当時は「どうしてそんなお気楽でいられるの?」「本当にこの子のこと可愛いと思っているの?」と思って、衝突してしまっていました。 でも、娘が手術を受けたときに付きっきりの私だけじゃなく、パパの姿が見当たらないことにもとても不安がって泣いている姿を見て、娘にとって私たち二人が必要なんだと強く感じました。そのあと徐々に、夫は夫の方法で娘のことを考えているんだとわかり、今の娘自身を愛しているんだということもわかりました。 ー1回目の手術の前と後では気持ちの変化が大きかったんですね。 【じぇにこさん】そうですね、見た目の変化も大きいので。それまでは基本的に抱っこひもでの移動。娘にも口元を隠すような帽子をつけて電車に乗ったり、自宅から離れたところの公園で人のいのない時間を選んで遊んだりしていました。お家でも楽しく過ごせるように、台所セットやブロックなどを用意してお部屋を工夫しました。 でも、1回目の手術の前夜は「もうこの口元の姿は見られないのか」と思うと、どこか寂しい気持ちにもなりました。私たち夫婦にとっては、口唇口蓋裂の娘の顔が生まれたときからのお顔で、その顔の娘がそのまま可愛いし、そのままが好きなんです。なので、「今の顔もよく見ておこうね」と夫婦で話したことを覚えています。 口唇口蓋裂を知ってほしいというより、子どもに残したい!ーベビーカレンダーで連載することになった経緯を教えてください。 【じぇにこさん】口唇口蓋裂のお子さんを持つ親は、基本隠される方が多いと思います。娘が生まれて2013年ごろは情報がほどんとありませんでした。口唇口蓋裂は人によって状況も違ければ、治療も違います。それでも、情報が欲しくてすごく苦しかった当時の自分と同じような人がいたら、こういう一例もあるよと知ってもらい、参考にしてもらえればいいなという気持ちがあります。また、口唇口蓋裂という病気を知ってもらえるキッカケになればという思いで描いています。 ただ、最終的に読んでほしいのは娘自身。娘は赤ちゃんのときから、力強く手術を乗り越えてくれているので、「私よりもあなたのほうがすごいんだよ」と伝えたい。「あなたがどれだけがんばったか、もう忘れてしまっているかもしれないけど、こんなにすごいことをしてきたんだよ」という記録を残しておきたかったんです。 今は小学生ですが、私が漫画を描いていることや、自分のことが描かれているということはなんとなくはわかっているみたいです。今後、大きくなってから見てもらえればいいかなと思っています。そのときに、私たち夫婦がどういうふうに思って治療を見守ってきたのかというのが伝わればいいなと思ってます。 ー2人目のお子さんの育児はどうでしたか? 【じぇにこさん】次女の育児は新鮮なことばかりでした。彼女が生まれてきてくれたことで、私も本来の自分を取り戻せた部分もあります。次女がいることで、ゆっくりとした赤ちゃん時代を過ごすことができましたし、ミルク育児も母乳育児も経験させてもらい、二人そろって眠ってくれる姿を見守る瞬間が、今は一番幸せな気持ちになります。 あなたの気持ちはわかってあげられないけど、あなたは宝物ー妊娠中に口唇口蓋裂と診断されて、今もやもやと悩んでいるママに伝えたいことなどありますでしょうか?【じぇにこさん】戸惑う気持ちから原因を探ったりいろいろと調べたり、ご自身を責める気持ちやお腹の赤ちゃんの将来に不安を持たれる人も多いと思います。ですが、口唇口蓋裂を発生する原因はハッキリわかっていないと現状では言われています。同じ口唇口蓋裂でも今まで私が見聞きしてきた症状も軽度から重度と程度も異なり、治療の進め方も一人ひとり違う事が多かったです。 なので、他の人のケースはあくまで参考としてとどめ、誰かと比べるのではなく目の前の我が子の治療をひとつひとつ乗り越えるしかないと感じています。まずはお腹の中の赤ちゃんの成長を見守りつつ、生まれてくるその子に向き合いながら、治療を一緒に乗り越えようという気持ちで迎え入れてあげてほしいです。 ー今、娘さんのことで不安に思っていることなどはありますか? 医療関係の方からは「口唇口蓋裂は治る病気」と言われていますが、当事者本人からすると「治る」という感覚とは少し違うようです。その穴埋めは今のところ難しいので、いつか娘がそのことを悩むのではないかと思うと、はがゆい気持ちになります。私自身は健康で、病気などの経験もないので、その気持ちがわかってあげられないのではないかと不安でした。 でも、例え親子であっても、仮に自分が口唇口蓋裂だとしても、治療の工程がひとりひとり異なることが多い口唇口蓋裂という病気の場合、お互いの気持ちが100%理解しあえるということは難しいことだと気づいたんです。 いつか娘に「ママに私の気持ちなんてわからない!」と、言われたらどうしようと思っていました。でも今は、「思いの全てをわかってあげることはできないけれど、一人じゃないよ。パパもママもあなたのぶつけたい気持ちにも全部寄り添って、支えさせてほしいと思っている。あなたは私たちにとってかけがえのない宝物だよ」というの気持ちを伝えながら娘たちと向き合っていきたいと思っています。 口唇口蓋裂の話が多くなってしまいましたが、じぇにこさんとお話ししてわかったことは、親にとって子どもは目の前のたった1人のその子しかいないということ。子どもひとりひとりに目を向けて向き合っていくことが大切なんだと実感させられるインタビューになりました。 著者:ライター サトウヨシコ大学卒業後、大手食品会社に勤務。未経験から編集者を目指し転職。その後、結婚と出産を経て妊娠・育児雑誌のディレクターに。WEBメディアの新規事業立ち上げをし、2017年に株式会社フラミンゴミンゴを設立し、現在は数々のメディアに携わっている。
2021年05月16日無事点滴が外れたと同時に、プレイルームで遊ぶ許可も下りたので、うれしそうに遊ぶくぴこ。 許可がおりたので、プレイルームで遊んでいると…!? しかし、すぐに体調を崩して部屋に戻ることに……。 点滴が外れてあっという間に自由になったものの、まだ自分の体調が万全ではないことがわからず、まだ遊びたかったとつらそうにしながらぐずり続けました。 せっかく点滴が外れたのに、思い通りにならない体の状態に戸惑って泣いている娘の姿を見ていると胸が苦しくなりますが、こればかりは仕方ありません。 落ち着かせるように「まだ遊びたかったね、でも今はくぴちゃんの体からがらねんねしたいよーって聞こえるよ。いっぱい食べていっぱいねんねしたら、今度はもっと遊べるようになるからね。大丈夫だからね」とあやし続けると、抱っこされながらうん、うん、と頷いて納得するように目を閉じて、次第に大人しくなるくぴこ……。 本人も小さいなりに必死で治そうとしていることは、術後直後からずっと伝わっていたので、最初の口唇手術のころに比べると今の状況をどうにかしようと必死のようにも見えました。 「くぴこはとてもよく頑張っているよ、大丈夫だよ、ちゃんと元気になるよ」と励ます私の言葉に泣きながら頷く健気な姿は、まだ小さくても赤ちゃんのときとは違う力強さを感じて胸を打たれました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年05月11日熱にうなされつつも夜が明け、術後2日目を迎えました。 朝一番の採血で大泣きはしたものの、心配していた熱も朝は落ち着き、朝食(ペースト粥)を5、6口ほど食べてお茶も子ども用のコップ半分飲むまでに。 思ったより良好な食事の進み具合に先生も感心し、大泣きしながらも前向きな娘に対してにこやかに。 お昼ごはんもこの調子で食べ進めていけたら、点滴を抜いてもいいかもしれないということを打診されました。 この言葉を泣きながらも理解したのか、ずっと点滴のチューブのわずらわしさに機嫌を損ねていた娘はなんと……。 お昼ごはんまでに口で溶けるボーロを5つ、お昼は6割も平らげるというハリキリぶりを見せてくれました。 そして……。 なんと、手術翌日には点滴を外す許可がおりることになったのです!! もともと少食なのに一生懸命必死でごはんを食べて頑張る姿は、昨年とは違う成長を感じて感動し、自由になった両手に喜ぶ姿を見て、私もとてもうれしく思いました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年05月04日術後すぐに、口から食事を取ることができたくぴこにホッと胸をなでおろし、少し安心していました。 くぴこはぐったりしてはいるものの、横になって大人しく持参したDVDを見ています。 このまま順調に良くなってほしい……! そう思っていましたが……。 唾液が多く、喉にからまる痰(分泌液)がからまりむせてしまい、看護師さんにより吸引してもらうと大泣きして大暴れ。その後、興奮と痛みにより40度の高熱が出てしまい、泣き暴れるたびにどんどんぐったりしていきました。 高熱のため坐薬を処方してもらい、寝かしつけようとしましたが、横にすると怖かったことを思い出してしまうようで、熱も手伝って目をつぶってもうなされっぱなしでうまく寝られない様子でした。 抱っこひもで抱っこしていると少し落ち着くことがわかり、その恐怖が和らぐならと娘が完全に寝付くまで抱っこしながら、そのまま手術初日を終えました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年04月27日くぴこの熱が一旦治まり、HCUから病室へ戻ることになりました。 戻ってきたときにはちょうど夕飯の時間だったので、病院食が用意されています。 口の中の違和感やつらさを考えると、食べられないだろうなとは思いつつ、一応与えてみたところ……!? まさか食べるとは思わず、ビックリ!!飲み込むたびに痛そうに顔をゆがめていたので、逆にこちらが無理しないでほしい……と心配になるほどでしたが、それでも3口も口に運んでくれました。 スープに近いペースト状のおかゆやプリンなど、やわらかいものが出ているとはいえ、口の中を手術したばかりのくぴこ。 いまだ口の中が血だらけでつらいはずなのに……。その状態で物を食べるというのは、大人でもなかなか勇気がいると思うので、一生懸命飲み込んで食べたことに大変驚いてしまいました。 その後、口腔衛生のため様子を見に来た担当の先生にも伝えたところ、先生もビックリして「普通は喉や口腔の腫れのせいで食べられない子が多いですが、くぴこちゃんは食べられたなんてすごいですね!」と驚いていました。 術後すぐの娘のこの様子に、これは幸先が良いのでは? と思うと、少し胸をなでおろしました……。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年04月20日娘が眠りについたころ、手術の担当の先生がいらっしゃいました。 入院初日に説明を受けた軟口蓋の閉鎖処置は、滞りなく済みました。 ただ、手術中に先生から「左鼻腔の奥に肉の塊が生じていて、軟口蓋を塞ぐと完全に鼻腔を閉じてしまうことから、その部分の切除とレチナを直接縫い付ける処置をおこないます」という連絡があったのですが、そのことを改めて説明されたほか、術後の口腔状態についても説明をしてくれました。 術後の口腔は手術による傷に包帯やテープを付けることはできません。そのため、術後の傷が治るまで、上顎全体を覆う保護床というものを装着します。 術後大体3カ月程度は必ず付けて様子を見るのですが、食べかすなどがつきやすく虫歯になりやすい環境になるので、徹底して口腔内の清潔を保つように言われました。 さらに……。 と強く念を押されました。 実際目の前で口元を血だらけにしながら横たわっている娘を見ると、それが大袈裟とはとても思えませんでした。 ここまでひとりで頑張ってきた娘のために、また娘が元気で笑えるようになるために、今度は私がしっかりとそばで支えなければ! 先生の言葉をしっかり聞き入れ強く決意しました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年04月13日3時間半という長時間の手術を終えたくぴこの姿に動揺し、涙したのも束の間。 看護師さんからは、HCUでの術後ケアについて説明されました。 口唇手術のときと同じように、口腔内から血の混じった分泌液が出るとの説明を受け、口を拭う用のティッシュと吐き出したとき用にガーグルベースンを渡されたのですが、その次の瞬間、娘が泣いた勢いで分泌液を吐き出してしまいました。 そして、その吐き出す分泌液の量は口唇手術のときの比じゃなく、こちらが驚くほどの量を吐き出したので、ガーグルベースンはすぐに満杯に。 吐き出したこと自体にも怖がって暴れ、その都度ゴボッという勢いで分泌液を吐き出すので、ベッドのシーツやくぴこが着ていた術着の首元は血だらけに……。 様子を見に来る看護師さんに、怖がって暴れてはまた分泌液を多く吐き出す、という繰り返すくぴこ。 それをひたすら抱っこして、あやし続けました。 この1年、病院の先生たちに「口蓋裂手術は口唇手術よりも難しく厳しい手術になる」と説明を受けてきましたが、1時間以上吐いて怯えて暴れるを繰り返し、気絶するようにぐったりとする目の前の娘の姿を見て、その意味を強く実感しました。 疲れ果てて眠る小さな娘の姿に抱っこしながら、詫びても詫びきれない思いでいっぱいでした。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年04月06日鼻の穴にレチナを直接縫い付けるという追加処置の連絡を受け、動揺が走りましたが、3時間半の手術を終え、くぴこが手術室から戻って来ました。 小児用ストレッチャーに乗って病棟に戻ってきたくぴこ。 昨年のような泣く声など聞こえないので、名前を読んで駆け寄り覗き込んで見ると……!? HCUへ先回りし、ようやくくぴこを抱っこして迎えることができました。 ですが……。 粘ついた分泌液を口内いっぱいに出し、血だらけのような口元で目にいっぱい涙を浮かべて泣きながら、「おんも……おんも」とか細い声で訴えてくる姿は、手術前との姿とあまりに違いすぎて思わず夫婦で言葉を失いました。 昨年の口唇手術のことを踏まえて、術後に動揺しないよう覚悟をしていたつもりでした……。 しかし、戻ってきた娘の姿は想像以上に痛々しく、あまりに弱々しく、か細く泣いてすがる姿を前に、その手を取りながら夫婦ともに涙が止まりませんでした……。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年03月23日無事を祈るように見送り、とうとう口蓋裂手術が始まりました。 ところが……。 娘が手術室に入ってから1時間半が過ぎたころ、手術室にいる担当の先生から連絡が入り、ナースセンターに呼ばれることに。 娘に何かあったのかと急いでかけつけ内線の電話を受け取りました。 その内容は……!? この1年不安定な状態のままレチナがうまくつけられなかったために、左側の鼻穴が横型になるくらい鼻の形が潰れているということでした。 また、鼻腔の奥で肉の塊のようなものができていてしまっているので、このまま軟口蓋部分を塞いでしまうと、鼻腔が完全に塞いでしまうという知らせでした。 突然の連絡に動揺していると、先生はこう続けます。 鼻腔の中の肉の塊を切除し、倒れきってしまった左の鼻の穴にはレチナを直接縫い付けるという処置をおこなうとのことで、その旨を確認を受け、頭を下げてお願いし、そのまま会話は終了。 術前に説明された処置に加え、追加の処置が必要になるという連絡に動揺したあと、この1年、レチナに関して厳しくても娘のためには必要なことだということをもっと自覚するべきだったと深く後悔し、反省しました。 2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター じぇにこ1986年生まれ愛知県在住。 2013年生まれの長女と2017年生まれの次女、二児の母。デザイン学校卒業後、社会人経験を経てお絵かき主婦へ。 口唇口蓋裂や夫婦のこと、日々の育児で翻弄される様子を絵日記ブログで公開中!
2021年03月16日