日本のホラークイーン“貞子”が登場する「日本怪談歌舞伎(Jホラーかぶき)『時超輪廻古井処』」が、2022年10月3日(月)から25日(火)まで大阪松竹座で上演される。ホラークイーン“貞子”が歌舞伎に!貞子は、“観た1週間後に死ぬ”という「呪いのビデオ」を巡る鈴木光司の小説『リング』シリーズに登場する怨霊。ジャパニーズ・ホラーブームの火付け役として国内外問わず高い知名度を誇るキャラクターだ。片岡愛之助、今井翼、中村壱太郎が出演そんなホラークイーン“貞子”が、400年の長い歴史を持つ日本の伝統芸能“歌舞伎”の舞台に初登場することに。新作「日本怪談歌舞伎『時超輪廻古井処』」として上演され、出演者には片岡愛之助、今井翼、中村壱太郎らが名を連ねる。作品概要日本怪談歌舞伎『時超輪廻古井処』脚本・構成:G2演出:今井豊茂出演:片岡愛之助、今井翼、中村壱太郎<公演情報>上演期間:2022年10月3日(月)~25日(火)場所:大阪松竹座住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-19観劇料:1等席 14,000円、2等席 7,000円、3階席 4,000円チケット一般発売日:2022年8月24日(水)10:00~電話予約・WEB販売開始
2022年06月30日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/12/9(月)イラストレーション:高松啓二この週末に公開の作品は22本(ライブビューイングを除く)。全国のシネコンで拡大上映されるのが『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか』『ジュマンジ/ネクスト・レベル』『屍人荘の殺人』『カツベン!』『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』5本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が17本です。この中から、おとなの映画ファンにオススメしたい4作品をご紹介します。『カツベン!』活動写真と呼ばれた無声映画に、芝居がかった解説をつけて上映する、この日本オリジナルスタイルから生まれたスターが活動弁士、略して「カツベン」です。いまもその芸を受け継ぐ弁士がいますし、坂本頼光のようにお笑いライブで活躍する人もいて、ひそかな人気になっています。それはさておき。その活動弁士を主人公に、無声映画黄金時代の大正から昭和初期の映画館を舞台にした極上のドタバタコメディに仕立てたのは『Shall we ダンス?』の才人、周防正行監督です。とても凝っています。劇中で使われる無声映画をまず、オリジナルで製作するところから始まり、撮影場所も、全国の古い芝居小屋、映画館、日光江戸村、東映の京都撮影所など、らしく見える場所を探しまわったそうです。中心になったロケ地は福島市にある旧廣瀬座という、国の指定重要文化財の劇場です。カツベンがどう演じられていたか、欠かせなかったという楽隊がどこに配置され、どんな風に演奏したか。この辺りの再現には力が入っています。サイレント映画の上映なのに、まるで寄席か大衆演劇のような話芸あり、ヴォードヴィルのようなライブありと、音に溢れていたのです。活動弁士を目指す染谷俊太郎役に成田凌、女優志望の栗原梅子役に黒島結菜、この若いふたりを中心に、周防組らしく芸達者が顔をそろえています。カツベンの先輩弁士に永瀬正敏、高良健吾。竹中直人と渡辺えりは映画館の気のいい館主夫婦。そのライバル館の社長で悪玉が小日向文世など、名前を挙げるとキリがないですが、特に徳井優、田口浩正、正名僕蔵の楽士三人組がてんやわんやの狂言回しふうな役割で、大笑い。スラップスティック・コメディっぽいといいますか、アクションで楽しませてくれる、最近には珍しい映画です。『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』ガウディのサグラダ・ファミリア、アンコールワット遺跡など、写真で見るだけでも、ただひたすら感嘆し、凄い!とうなるしかない建造物があります。この映画にでてくる、フランスの片田舎に建つ「宮殿」にも驚きます。シュヴァルという郵便配達員が、33年かけ、たった一人で手造りした理想宮です。実際にあった話で、この建造物はその後きちんと修復管理され、いまもフランス南東部の小さな村にあり、観光名所になっているのだそうです。郵便配達で1日32キロ歩き、仕事を終えてから10時間が宮殿作り。配達の途中も、理想宮のことを考え、路傍でみつけた石を拾い、これはあそこに使おうとか……。19世紀の終わりから、世紀をまたぎ、第1次大戦もほぼ無縁に、1920年代の半ばまでこつこつと作り続けたのです。実直を絵に書いたような彼が、なぜこういうことを始め、何をめざしたのか。きっかけは、娘に喜んでほしい、娘を驚かせたい、という不器用な男の愛の表現だったのですが。しかし、それにしては抽象的でぶっとんだ着想というか想像力の産物です。ジャック・ガンブランという役者が演じるシュヴァルは、日本でいうとまるで若い頃の笠智衆のようなたたずまい。彼をあたたかく見守り、ともに人生を歩んだ妻フィロメーヌ役のレティシア・カスタの、複雑な表情が印象的です。『再会の夏』フランスの忠犬物語。予告を観たときからうるっときましたが、もうこの黒いワンちゃんがけなげで……。第1次世界大戦後、レジオンドヌール勲章まで受勲した戦争の英雄ジャックが、軍を侮辱したと逮捕、収監されます。弁明を拒絶した彼を尋問するため、軍判事の少佐が留置所を訪れると、その中庭で何かを訴えるように、吠え続ける一匹の黒い犬がいたのです……。第1次大戦では、多くの動物たちが戦場で、地雷処理や攻撃などに参加したといいます。そんな史実もふまえたジャン=クリストフ・リュファンの、仏ゴンクール賞受賞小説を映画化した作品です。監督は86歳の名匠ジャン・ベッケル。軍に忠誠を尽くしてきた、退役間近のランティエ少佐を演じるのはフランソワ・クリュゼ。『最強のふたり』の名優です。かたくなに口を閉ざすジャックに向き合い、彼と暮らしていた女性を訪ね、彼が栄誉を捨ててまでして守ろうとしたのは何だったのか、を探っていきます。この少佐の存在が、心温まる映画、を支えています。もちろん、ボースロン犬(ドーベルマンの一種)、イェーガー君の活躍も特筆ものです。『つつんで、ひらいて』本の装幀、手がけた数は1万5千冊という、この世界の第一人者、装幀家・菊地信義さんを描いたドキュメンタリーです。大江健三郎、吉本隆明など文芸書が多い菊地さんの仕事。一冊一冊、どんなカバーをつけるか、どんな書体でタイトルを表現するか。タイトルがプリントされた紙を、くしゃくしゃにまるめ、それを広げ、またくしゃくしゃにし、広げて、コピーを取る。 文字がかすれた感じになって。うん、これでできた、とうなづく。文字を切り取り、レイアウト通りに貼り込む。それで実際のカバーのように本を包んで、眺めてみる。映画のこのタイトルは、そんな菊地さんの仕事ぶりそのままです。それから、文字を、例えば0.5ミリ右に、とか動かして調整する。もちろん最後はパソコンでの作業になり、そちらは助手の方がやられるので、菊地さんのデスクは筆記具とカッター、のりの手仕事道具のみ置かれています。芸術家でもデザイナーでもなく、本の職人さんです。お弟子さんにあたる、若い装幀家・水戸部功さんの「パソコンでスケッチしている感覚」という、パソコンで完結する仕事の仕方とは好対照です。ものを「こしらえる」ことを、神田生まれの菊地さんの祖母は「こさえる」といっていたそうです。「デザインってそういうことです。“こさえる”なんですよ」と菊地さん。原稿を読み込み、あらゆる手法を試み、著者のイメージを羽ばたかせる装幀。小説家・古井由吉さんによれば「自己模倣したくない、ということでしょう。常に何かちがう」。こういう時代だからこそ、手に取りたくなる、開いてページを繰ってみたくなる本はあります。そんな本と出会いたい、本好きの皆さんにオススメの映画です。是枝裕和さん率いる映像クリエーター集団「分福」の製作、監督は劇映画『夜明け』でデビューした広瀬奈々子さん。首都圏は、12/14(土)から渋谷・シアター・イメージフォーラムで公開。中部は、名古屋シネマテークで近日公開。関西は、1/11(土)から第七藝術劇場で公開。
2019年12月09日ドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』が、2019年12月上旬シアター・イメージフォーラムほか全国の劇場で順次公開される。是枝裕和の愛弟子・広瀬奈々子よる最新作『つつんで、ひらいて』は、現在75歳の装幀者・菊地信義の仕事を約3年間追いかけたドキュメンタリー映画。2019年1月に柳楽優弥主演の映画『夜明け』が公開された、是枝裕和の愛弟子・広瀬奈々子よる最新作となっており、今回の作品では監督だけでなく、編集、撮影も務める。装幀者・菊地信義の仕事に迫る菊地信義は、広告代理店などを経て、独立から40年、中上健次や古井由吉、俵万智、金原ひとみなど、1万5000冊以上の本の装幀を手がける装幀者。日本のブックデザイン界をリードし続けてきた存在だ。紙と文字を触りながら、あくまで"手作業"で本を1冊ずつデザインしている。『つつんで、ひらいて』は、菊地の指先から、印刷、製本に至るまでの工程を見つめ、ものづくりの原点に迫っていく。インターネットが日常のものとなった今だからこそ、物への愛着、紙の手ざわりに焦点を当てた作品となっている。菊地は、約3年間にわたる撮影を許可した理由について、「紙の本。その装幀という仕事を撮りたいという。言葉を、目から手へ、そして心にとどける仕事。思い掛けない若い監督の、本への思いに絆された。撮られる事で、新たに意識化できることもあるはず。どうあれ、紙の本の魅力を伝えるためにと引き受けた。」と語っている。広瀬奈々子コメント広瀬は、映画の公開にあたり次のようにコメント。「初めて菊地さんとお会いしたのは、銀座の樹の花という喫茶店でした。『僕は映像は好きじゃない』と言われて意気消沈して帰ってきたのを覚えています。言葉のプロで、ある意味演出家でもある相手に毎回何をどう撮りたいのか説明し、説得するのには大変苦労しました。この映画に映るもの全てが菊地さんとの共作です。今もなお菊地さんへの尊敬の念は深まるばかりですが、これは菊地信義を賞賛するための映画ではありません。本とは何か、自問自答するための映画です。言葉と五感に対する欲求は、作り手にとってだけでなく、誰にとっても重大な問題なのだと思います。」【詳細】ドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』公開時期:2019年12月上旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開監督・編集・撮影:広瀬奈々子企画制作:分福配給:マジックアワー
2019年02月04日