俳優の岡本健一が、東京・東京芸術劇場で行われた舞台『Le Fils 息子』の公開ゲネプロと初日前会見に岡本圭人、若村麻由美、ラディスラス・ショラー氏(演出)とともに登場した。同公演は、フランス演劇界を牽引する稀代の劇作家フロリアン・ゼレールが手掛けた『La Mere 母』『Le Pere 父』『Le Fils 息子』の“家族三部作”から『Le Fils 息子』『La Mere 母』の2作を同時上演。キャストの3名は、全く異なる2作品を同じ役名(母×息子×父)で演じることとなる。○■岡本健一、息子・圭人の成長にしみじみ「子どもの成長は早いなぁ」2021年に圭人が舞台初主演を務め、日本初演を迎えた同作。健一は「3年前は圭人が初舞台だったから。(今回は)参加した感じ、全然別の次元というか……かなり成長していた。子どもの成長は早いなぁという風にすごく感じました(笑)」と息子の成長を実感したことを明かす。これには圭人も笑顔も見せ、「ふふふふ(笑)」と喜びの表情を見せていた。2作同時上演となる今回。同じ役名を演じる3人(母×息子×父)に、2作品の家族の違いについて質問が飛ぶと、健一は「観にくりゃわかる(笑)」とコメントし、笑いを誘う。続けて「口で説明したりとかしても伝わらない。劇場に来て体感しないと説明できないのが舞台のおもしろさだと思うんですよね。ゼレールの脚本のすごさと、ラッドの演出が本当に世界最高レベルで、日本で観ることができるのがすごく贅沢」とアピールした。さらに、「もう圭人と(一緒に舞台を)やることもないと思う(笑) 最後ですね!(笑) なので見逃してほしくない」と最後の親子共演になる可能性をほのめかしていた。これに圭人は大笑いしつつ、「最後らしいです(笑)。自分はやりたいんですけど……」と共演に意欲を見せるも、健一は「もういいでしょ(笑)」と照れたように返していた。『La Mere 母』は東京芸術劇場シアターイーストにて4月5日~29日、『Le Fils 息子』は東京芸術劇場シアターウエストにて4月9日~30日まで上演。
2024年04月09日俳優の岡本圭人が、東京・東京芸術劇場で行われた舞台『Le Fils 息子』の公開ゲネプロと初日前会見に若村麻由美、岡本健一、ラディスラス・ショラー氏(演出)とともに登場した。同公演は、フランス演劇界を牽引する稀代の劇作家フロリアン・ゼレールが手掛けた『La Mere 母』『Le Pere 父』『Le Fils 息子』の“家族三部作”から『Le Fils 息子』『La Mere 母』の2作を同時上演。キャストの3名は、全く異なる2作品を同じ役名(母×息子×父)で演じることとなる。○■岡本圭人、父・健一に無茶振り「最後に父親が……」4月1日に31歳の誕生日を迎えた圭人。父・健一からプレゼントをもらったそうで、その中身について聞かれると、圭人は「(言って)いいんですか……?(笑) 『息子』のチラシがあるんですけど、そのチラシに包んであるお金でした(笑)」と回答し、笑いを誘う。健一も「言わなくていいだろ(笑) まぁ現金ですよね……これで好きなものを買ってくださいと……(笑)」と説明していた。お金の使い道について圭人は「カンパニーの皆さん全員に渡すカバンを買いました」と明かし、そのカバンは健一の手にも渡ったそうで、圭人は「(父から)こう来たものが、こうまわっている(笑)」とジェスチャーを交えて話した。また、演出のラディスラス氏からもプレゼントをもらったといい、「招き猫のマトリョーシカをもらいました。開けるとまたもう1つ招き猫が出てきて、最後は金色のマトリョーシカが出てくる。いま飾っています」と笑顔を見せた。会見の最後に、キャストを代表して圭人が締めの挨拶をすることに。圭人は「この作品は生きるか死ぬかがテーマになっている。そういった問題は生きていれば、誰でも考えたりとかすると思うんです。なのでこの作品を上演することで皆さんに生きることの大切さというものを知っていただいて、また考え直してもらいたいなという風に今思います」とまとめるも、「最後に父親が締めてくれるそうです……自分じゃ無理だ(笑)」と父・健一に無茶振りをし、笑いを誘っていた。『La Mere 母』は東京芸術劇場シアターイーストにて4月5日~29日、『Le Fils 息子』は東京芸術劇場シアターウエストにて4月9日~30日まで上演。
2024年04月09日俳優の岡本圭人(31)、岡本健一(54)が8日、東京芸術劇場で行われた舞台『Le Fils 息子』の囲み取材に登場した。3年前に上演された同舞台でも父子役として共演していた健一が、役として、そして実の親として圭人の成長を語った。今作は、フロリアン・ゼレールが『Le Fils 息子』、『Le Pere 父』、『La Mere 母』という家族三部作として書いた作品。今回は『La Mere 母』とともに、4月の東京公演を皮切りに6月まで各地で同時上演される。親と子の苦悩や孤独を描く本作は、両作品とも若村が母親、圭人が息子、健一が父親を演じている。アメリカの名門演劇学校での武者修行を経た圭人が、2021年に初舞台として挑んだのがこの『Le Fils 息子』。圭人は「3年ぶりに再演するんですが、この物語は本当に届けるべき作品で、たくさんの方々に知っていきたい。またこうしてお客様に届けられるのがすごく楽しみです」とあすの初演への思いをコメント。3年前との違いについて、圭人は「当時は自分の初舞台だったんですが、そこからいろんな舞台を経験させていただいた。改めて息子を演じて、原点に戻ったよう」といい、「あとはやっぱり『La Mere 母』との同時上映ということですかね。『息子』の稽古をしながら『母』の稽古をするっていうのが大変でした」と語った。健一も3年前を振り返り「当時は圭人が初舞台だったから、3年たって全然もう別の次元というか、成長したなと思います。それこそ、子どもの成長は早いなと感じました。同じように大人も成長してないといけないなとも思いました」とやさしい笑みを息子に向けた。また、同作の見どころを聞かれた健一は「世界最高のレベルの演出が、日本でこうやって見れることがすごく贅沢な時間。これを逃しちゃうと、もう圭人ともやることはないんじゃない?(共演は)最後ですね(笑)」と今作限りだとアピールすると、圭人は「自分はやりたいけどね(笑)」と仲睦まじい親子のやりとりも見せていた。囲み取材には、俳優の若村麻由美、演出のラディスラス・ショラーも登場した。同舞台は9日~30日まで東京芸術劇場シアターウエストにて上演される。
2024年04月09日歌舞伎の舞台を撮影し、映画館で楽しむ“シネマ歌舞伎”最新作『刀剣乱舞 月刀剣縁桐(とうけんらんぶ つきのつるぎえにしのきりのは)』が5日より東劇・新宿ピカデリーほか全国62館で公開される。同作は審神者(さにわ)と呼ばれるプレイヤーが刀剣の付喪神(つくもがみ)である刀剣男士を成長させ、歴史改変を企む時間遡行軍(じかんそこうぐん)との戦いに挑む、ゲーム『刀剣乱舞 ONLINE』の歌舞伎作品。2023年7月に上演され、十三代将軍足利義輝が討たれた“永禄の変”を、歌舞伎ならではの発想で大胆に脚色し好評を博した。今回は本作に企画から携わり、演出にも初挑戦した三日月宗近役の尾上松也、そして足利義輝/小狐丸役の尾上右近にインタビュー。改めて感じた『刀剣乱舞』の面白さや、役に対しての思い、反響をエゴサした感想などについても話を聞いた。○尾上松也&尾上右近から見た『刀剣乱舞』の魅力とは――今回改めて感じた『刀剣乱舞』の魅力を教えてください。松也:『刀剣乱舞』自体は、メディアミックスの各ジャンルでオリジナル作品を作っているのが非常に特徴的なコンテンツです。今回もゼロから物語を創作して新作歌舞伎として上演させていただき、自由度が高いという素晴らしさもありながら、ゼロから作る難しさ、大変さも感じました。ですが、物語を作っていくだけではなく、刀剣としてのあり方や、歴史との関係性という『刀剣乱舞』でしか描けない感情や世界観が自然とあふれてきましたし、今回“シネマ歌舞伎”として見て、改めて唯一無二の色艶を持つコンテンツである『刀剣乱舞』の仲間に加えていただけたことを実感しました。右近:日本人は、例えば桜のように「その時にしか見られない刹那だからこそ、美しく心惹かれる」ところがあると思うんですけど、刀剣男士も常に時代を旅しているが故の刹那があり、その中で関わりが生まれる部分がある。今作でもその刹那が深く描かれたと思います。それから、歌舞伎は長年の付き合いのある人同士で作品を作ることが一つの魅力でもあるんですが、「月刀剣縁桐」にも、僕が子供の時から松也さんを兄貴として慕っている関係性が写し出されるところがあったと思います。そこは歌舞伎ならではでもあり、僕自身、松也さん初の新作歌舞伎演出・主演に参加できた喜びがありました。――反響もすごかったとですが、感想などは“エゴサ”されましたか?右近:最初の記者会見の時にも言ったのですが「小狐丸としては顔が長いんじゃないか」という意見があって、非常に悩みましたね(笑)。でも、あるXユーザーの方が「右近さんは非常にお芝居ができる人だから、顔が長いのは気にならないと思います」とフォローしてくださっていたのが、エゴサにおける最大の思い出です。松也:公演が始まる前ですね、それは(笑)右近:始まる前でしたね(笑)。始まった後は「たしかに気にならなかった」という声、多数でしたよ!松也:1番心に残ったのが、顔の長さの問題だったんだね(笑)2人:(笑)松也:『刀剣乱舞』を新作歌舞伎で上演させていただくという発表をしただけで、大変な反響がありました。配役が発表されたら、それにもとても反響があって……。僕自身はSNSをやっていないのですが、そんな僕にも伝わってくるぐらい反響が大きかったので、わくわくしたのと同時に「あ、これは下手なものを作ったら、誰かを傷つけるのではないか」というような恐怖もありました。ですので、最初のビジュアルを解禁した時はものすごく緊張しましたし、ドキドキしながら皆さんの反応を見ていた思い出があります。おかげさまで反応が良くて、あとは「いい作品を作って納得していただくしかない」と思っていましたので、初日のお客様の反応は一生忘れられないぐらい感動的なものになりました。そこから1カ月上演させていただいて、千穐楽は大団円。僕の俳優人生において、本当に忘れられないひと月になりました。――松也さんはSNSをやってなくても、エゴサはされていたんですか?松也:しましたね。もうこればっかりは、気になって気になって仕方がなくて。自分が俳優として舞台に立って評価していただくということだけではなくて、ビジュアルから何からゼロからいろいろ考えて作ってきた世界ですので、どのような評価をされるのか不安でもありながら、興味もすごくありました。そんな経験は今までしたことがなかったです。傷つきやすい方なので、見すぎないようにしながら、少しずつ見ました。あとは公演を観に来てくれた友達や関係者の方からの意見も積極的に取り入れて、1カ月の間で変えられるところを変えてみたりもしました。長く携わっていると見えなくなってくる部分も必ず出てきます。僕は上演までに約2年半関わっていましたから、出演者の目、お客様の目というのも、しっかりと受け止めるようにしていました。○右近は、松也の煽りが「忘れられない思い出」――演じた役については、どう感じられていましたか?松也:今回は三日月宗近と、かつての主人・足利義輝との物語を描き、主人公という立場で出させていただきました。刀剣男士は歴史を守る任務に対して忠実なので、あまり感傷的にならないというのが基本なのですが、あえて歌舞伎の演出技法を用いて、情愛を主従の関係に寄せて描いてみたところがありました。三日月宗近は義輝と向き合う時は感情が出てしまうけれども、それ以外の場面では誰よりもクールで、この世のものなのか、あの世のものなのかわからない。そういう異次元空間のキャラクターに徹しないと、最後の展開が生きてこないかなというところは意識していました。演出は初めてでしたので、自分のお役のことが最後になってしまって、正直、初日近辺で1番不安だったのは僕だったかもしれません。右近さんは二役でしたので、全然違うキャラクターへの要求をいろいろさせていただきましたけど、どうでした?右近:小狐丸は三日月宗近と兄弟分みたいな関係性でもあって、深いところで理解している立場だということを意識していました。普段は割とクールで男らしい感じだけど、立廻りのシーンでは、破壊的な部分を持っていて、それを歌舞伎らしさに落とし込みたいと思いました。足利義輝の方は、とにかく「国をよくしよう」という自分の意思とは裏腹に、思うようにいかず苦悩する役で、その中でも三日月宗近とは心が通い合う。でも徐々に立場が変わっていって、隠された関係性が明らかになって、そして最後には……という切なさがあり、三日月宗近と共に一生を歩んでいる姿が芝居の中に集約されていたので、最後のシーンは本当に義輝の一生を疑似体験している感覚でした。――改めて、これまで歌舞伎に接して来なかった新たな層にも刺さった、歌舞伎に魅力を感じてもらったという手応えはありましたか?松也:これまで歌舞伎をご覧になっていた方はもちろん、歌舞伎にあまり縁がなかった方にも来ていただきたいと思う気持ちは当然ありましたし、実際にあまり歌舞伎ではお見かけしないような方たちもたくさん観に来てくださっているのは、僕たちにもわかりました。そういう環境で、この作品をどうやって歌舞伎として成立させ、歌舞伎の魅力を伝えるものにするかは、いろいろ考えました。歌舞伎の柔軟性もわかっていただきたかったですし、逆に言うと歌舞伎演出独特の“めんどくささ”も同時に味わい、それがどういった効果をもたらすのかも観ていただきたかった。僕も演出として歌舞伎から逃げてはいけないと思いましたので、うまくバランスを取るように心がけました。舞台上からも、お客様が、集中して一喜一憂しながら観ている空気感は伝わっていました。カーテンコールは写真撮影OKでしたので、その中でのふれあいも通じて「没入してるんだな」というのがとてもよくわかったんです。多くの方が「尾上松也」「尾上右近」よりも、「三日月宗近」「小狐丸」として見てくださっているんだなと感じました。右近:すごく感じましたね。松也:お手紙もたくさんいただき、「来月も歌舞伎座に行ってみます」という意見も頂戴して、とても嬉しかったです。新作歌舞伎は、新しい層の方に見ていただくことが意義の一つだと思いますので、歌舞伎自体に興味を持ってくださった方が少しでも増えたのではないかという実感はあります。――右近さんはいかがでしたか?右近:僕らは、歌舞伎は音楽劇だということを常に感じているんです。音楽が形作る空気感、温度感の中でお芝居を作っていくことを皮膚感覚で学んできました。歌舞伎らしい音楽と、新たにお琴をベースとしたキラキラした音楽を組み合わせて作った今作は、そこに対してお客様の反応がすごく良かった。僕たちも未だに音楽を聴くと作品が蘇ります。あとは、古典の歌舞伎のお芝居だと、俳優と役の両方で見てもらっている意識が強いので、カーテンコールでは俳優として出ることが多いのですが、今回はやっぱり「小狐丸」と言ってもらうことが多かったんです。みんなどうしているのか気になって、公演の途中で「役として立つのか、俳優として立つのか、統一した方がいいような気がします」という話をして。松也さんも「難しいよね。じゃあ、もう統一しよう。役に徹しよう」「明日から松也として立つことは控えておく」とおっしゃって、みんなで足並みをそろえることにしました。でも次の日、2階席に中学生の団体が入っていて、たぶん先生に「静かに観なさい」と言われていたのか、反応が少なくて。そしたらカーテンコールに入った瞬間に、松也さんが「声出せ〜!」と煽っていて、全然キャラを守れてない!松也:(笑)右近:忘れられない思い出です(笑)。千穐楽では松也さんが僕らの“推し”は歌舞伎ですという思いを込めて「歌舞伎をご愛顧ください」と言った姿もすごく印象的でした。『刀剣乱舞』も愛しているからこそ言えることだし、松也さんにしか作れない作品を作って、最後に松也さん自身の言葉として伝えていて、みんな「かっこいいな」と思った瞬間でした。■二代目 尾上松也1985年1月30日生まれ、東京都出身。1990年に5歳で初舞台。以来歌舞伎を軸に、舞台や映画など様々な方面で活躍。近年の主な出演作に23年12月新橋演舞場『新作歌舞伎 流白浪燦星』石川五ェ門、24年1月浅草公会堂『新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎』魚屋宗五郎、ミュージカル『スリル・ミー』(23年)、舞台『ガラスの動物園 / 消えなさいローラ』(23年)、映画『Gメン』 (23年)、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22年)、ドラマ『グレイトギフト』『生ドラ! 東京は24時 -Starting Over-』(24年)など。■二代目 尾上右近1992年5月28日生まれ、東京都出身。2000年に初舞台を踏み、2005年に二代目 尾上右近を襲名。近年の主な出演作に23年11月歌舞座『三社祭』善玉、24年1月歌舞伎座『狐狸狐狸ばなし』伊之助女房おきわ、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』(22年)、映画『燃えよ剣』(21年)、『わたしの幸せな結婚』(23年)、『身代わり忠臣蔵』(24年)、大河ドラマ『青天を衝け』(21年)など。(C)NITRO PLUS・EXNOA LLC/新作歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会
2024年04月05日浅井健一が、ソロ名義による東名阪ツアーを開催することを発表した。ツアーは、6月29日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO、6月30日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO、7月5日(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われる。チケットは、5月18日(土) より一般発売がスタート。<ツアー情報>浅井健一 東名阪ツアー6月29日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTROOPEN 17:15 / START 18:006月30日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTROOPEN 17:15 / START 18:007月5日(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOMOPEN 18:15 / START 19:00【チケット料金】価格:6,800円(税込・D代別)一般発売:5月18日(土) よりOfficial Website:
2024年03月30日加藤健一事務所『二人の主人を一度に持つと』が5月9日(木)から東京下北沢・本多劇場で上演される。「口からでまかせ系コメディinヴェネツィア」と銘打たれた本作は、“カトケン事務所”の大人気ジャンルのひとつであるドタバタコメディ。ヴェネツィアの地を舞台にした作品は初となる。1980年に、役者・加藤健一が一人芝居『審判』を上演するために立ち上げた加藤健一事務所。劇団員は加藤健一のみで、上演プログラムからキャスティング、演出、照明、音響、美術、衣裳など全てに渡って加藤本人がプロデュースするという体制をとっている。加藤が本当に芝居の好きな役者たちを集めて舞台づくりをする場であり、既成の劇団とは異なる個性的な活動を主とし、演劇界では常に注目を集める存在だ。毎年、東京公演に加え、地方公演も活発に行っており、各地で好評を得ている。加藤健一そんな“カトケン事務所”による5月公演『二人の主人を一度に持つと』は、作・カルロ・ゴルドーニ、訳・田之倉稔、演出・鵜山仁。キャストには、加藤健一、清水明彦(文学座)、奥村洋治(ワンツーワークス)、土屋良太、坂本岳大、小川蓮(扉座)、佐野匡俊、加藤忍、増田あかね(俳優座)、江原由夏(扉座)が名を連ねる。本作について加藤は、「またまた大冒険をしてみたいと思います。原題を直訳すると「二人の主人に仕える」となりますが、これはきっとマタイの福音書に書かれている「二人の主人に仕える事は出来ない」という言葉の洒落ではないかと勝手に解釈しています。この名作に、演出の鵜山仁氏をはじめ、スタッフ全員と僕たち役者10名がどう立ち向かうのか…今からハラハラ、ドキドキです。今回もまた、登れるかどうか分からない険しい山に登ろうとする無鉄砲な僕の挑戦を、是非見届けにいらしてください。劇場でお待ちしています!」とコメントしている。公演は5月9日(木)から5月19日(日)まで、下北沢の本多劇場にて上演。初日の終演後には、ミニイベントも行われるという。その後、5月25日(土)には兵庫公演(兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール)も予定。ウソがウソを呼び、周囲の人々を巻き込んで大混乱が起こる物語。役者たちが汗を流しながら必死に舞台上を駆け回る姿には、ただただ笑えてしまうこと間違いなしだ。【あらすじ】18世紀、ヴェネツィア。とある男性主人の召使い・トゥルッファルディーノ(加藤健一)は、仕事中、召使いを雇いたいと言う男に出会う。「二人の主人に仕えれば、給料も2倍になる!」と思いついたトゥルッファルディーノ。主人が増えたことで起こる数々の難題を、ウソでごまかし乗り越えていく。けれども彼の周囲の人々は、男装中・婚約破棄・恋人との死別…などなど、カオスな状況。そこへトゥルッファルディーノのウソがとんでもない誤解を呼び、事態は大混乱!お調子者のトゥルッファルディーノ、果たして上手く場を収められるのか?<公演情報>加藤健一事務所『二人の主人を一度に持つと』作:カルロ・ゴルドーニ訳:田之倉稔演出:鵜山仁出演:加藤健一、清水明彦(文学座)、奥村洋治(ワンツーワークス)、土屋良太、坂本岳大、小川蓮(扉座)、佐野匡俊加藤忍、増田あかね(俳優座)、江原由夏(扉座)【東京公演】2024年5月9日(木)~5月19日(日)会場:下北沢・本多劇場【兵庫公演】2024年5月25日(土)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールチケット情報:()前売開始:2024年3月24日(日)10:00(全席指定・税込)前売:5,500円当日:6,050円高校生以下:2,750円(学生証提示・当日のみ)公式サイト:
2024年03月23日『La Mere 母』『Le Fils 息子』製作発表会が東京・東京芸術劇場で行われ、若村麻由美、岡本圭人、岡本健一、ラディスラス・ショラー(演出)が登場した。同公演では、フランス演劇界を牽引する稀代の劇作家フロリアン・ゼレールが手掛けた『La Mere 母』『Le Pere 父』『Le Fils 息子』の"家族三部作"から『Le Fils 息子』『La Mere 母』の2作を同時上演。キャストの3名は、全く異なる2作品を同じ役名(母×息子×父)で演じることとなる。○■『La Mere 母』『Le Fils 息子』製作発表会にキャストが登場三部作の中では2018年に3人が出演する『Le Fils 息子』、そして2019年に若村が主演した『Le Pere 父』が上演され、『La Mere 母』は初上演となる。圭人は「前回の『Le Fils 息子』初演が自分にとって本当に特別な舞台でもあって、初めての舞台、俳優となっての第1本目の舞台、そして憧れだった父親と初めての親子共演で、印象に残っていることがいっぱいある」と振り返った。さらに「1番思い出に残ってるのが、初日の15分前ぐらいの緊張の中、父親が自分の楽屋まで来てですごくいい言葉をかけてくれて。『これからお前の新しい人生、新しい道が広がっていく。だから自分を信じてこれからもやっていってほしい』と。今じゃないでしょう?」と苦笑。「これから不安定なニコラという役を演じる のに、その時、満たされそうになっちゃって。『やばいやばい、これどうしよう』と思って、涙が出そうになっちゃって、印象的に残ってますね。『いや、今じゃないでしょ』っていう。でも父親は悪くないです」とエピソードを披露した。演出のショラーは3人に信頼を置いている様子。それぞれの印象を「麻由美さんは役をコツコツと構築していくタイプの役者さんだと思います。ミルフィーユの生地のように、多層的に役を重ねていく。少しずつ役が前進していき、構築して行く。たくさんお稽古をなさって、素晴らしい役を作っていくタイプの方だと思います」「健一さんはすごく勘がいい人だと思います。動物的な勘があって、理解が早い。私は健一さんと仕事をしていると、ライオンの調教師になったような気分です」「圭人さんは、3年前に『息子』で彼の舞台デビューの仕事を一緒にするという名誉があり、最初は私からいろいろなことを教えたりした記憶があるんですけれども、最終的に私の期待を超えたところまで到達していて、本当に驚かされた記憶があります。またご一緒できることが嬉しいですし、演出家にとっては役者さんがどれだけ進歩したかを見るのが、いつも感動する経験なので、そういった感動ができることと期待しています」と表した。親子の会話について話題が及ぶと、圭人は「父親の舞台を観に行ったり、ライブを観に行ったりとかして、その時の感想とかを話したりするぐらいだと思うんだけれども、何か言ってくれたっけ?」と尋ねる。健一は「今ちょうど舞台の公演中で、それに来て終わった後に話をして、それ以来2、3週間ぶりぐらいに久しぶりに会ったら、プレゼントもらいました。タンブラー。なんかちょっと嬉しかったですね。『プレゼントをくれるんだ』と思って」と照れた笑顔に。圭人は「ちょっとなんだ」と笑っていた。一方で、圭人は「最近だと若村真由美さんとは本当に何度も共演をさせていただいてて……」「真由美さんの方が、父親より会ってます」ともコメント。若村は圭人について「本当に刺激的な存在です。おそらく圭人くんが言ってた通りに、岡本健一さんより私の方が親じゃないかと錯覚するくらい。と言っても子に育てられる親という感じがするんですけど、彼は会うたびに成長していて、きっとラッドは驚くと思います」と太鼓判を押す。若村は「初舞台の時の圭人くん、翌年に『ハムレット』で(自分が)ガートルード、レアティーズで会った時の圭人くん、『ラブレター』で幼なじみの役をやった時の圭人くん。私は彼に『ひまわりのようだね』と言ったんですけど、会うたびに大きくなって大きな花が開いていってる。恐ろしいです。今回の『Le Fils 息子』再演がどんなに前回と違うかというのを多分目の当たりにして、ラッドは『若村、何やってたんだよ』と思うに違いない。そんなふうに思うくらいに彼の成長は著しくて、観客の皆様も絶対に感じているはずです」と絶賛していた。『La Mere 母』は東京芸術劇場シアターイーストにて4月5日〜29日、『Le Fils 息子』は東京芸術劇場シアターウエストにて4月9日~30日。
2024年02月20日『La Mere 母』『Le Fils 息子』製作発表会が東京・東京芸術劇場で行われ、若村麻由美、岡本圭人、岡本健一、ラディスラス・ショラー(演出)が登場した。同公演は、フランス演劇界を牽引する稀代の劇作家フロリアン・ゼレールが手掛けた『La Mere 母』『Le Pere 父』『Le Fils 息子』の"家族三部作"から『Le Fils 息子』『La Mere 母』の2作を同時上演。キャストの3名は、全く異なる2作品を同じ役名(母×息子×父)で演じることとなる。○■『Le Fils 息子』『La Mere 母』に出演する岡本健一音楽活動もしていた中で、改めて舞台の魅力について聞かれると、健一は「いろんな活動はもう過去のことになっちゃってるんであれなんですけど、とにかく舞台というのは生なんですよね。今日もこれから舞台がありますし、その間は『この作品をいかにお客さんに届けるか』ということだけしか考えないで生きていくんです。この作品でも、人間の中で大切なことを描いていて、楽しいだけの舞台じゃない。観た人はわかるかもしれないけども、やっぱ辛いわけですよ、この役を演じるのは。人間みんなが持って抱えている悲しい部分とか不安な部分とか、1番見せない部分を出さざるを得なくなる家庭環境で、それをシンプルな素敵な言葉で届けてるんです」と熱弁する。さらに「自分としての思いはこれをいかに、お客さんに(届けるか)。舞台はお金かかるじゃないですか、高いし。だからお金と貴重な時間を使って来てくれた人に対して、『この作品で自分たちは何を伝えたいのか』ということだけしか考えてない感じでやってるんですけども。そういった意味では、いろんな人たちに観てほしい。特に若い人もそうですし、男性が本当に劇場に来なくて、もったいないなと思って」と現状についての課題も。「作品を届けるためだけに生きてる感じだから、『親子共演で息子と一緒にやれて幸せそうで楽しいですね』と思ってるかもわかんないけど、そんなんじゃ全然ないんですね」と場内を笑わせた健一。「とにかく作品を届けるということに入っていくと、遊んでられない感じ。懸命に伝えなきゃなという思いでみんなが作って、3〜4年前からスタッフも動いて、1回の公演にかけるわけですよ。その中の2~3時間に凝縮されて、僕らが生きてるんですけども、2~3時間経ったら消えてしまうというライブの楽しさもありますし、お客さんとして観にいく自分も、本当にそこで生きてる人たちに感動したりとか、『まず自分の家族を大事にしよう』と思ったり、『もっと社会に対して戦わなきゃいけないな』とか、生の舞台を見て作品から日常に感じる力が演劇にはあると思うんです。だから30数年以上経ち続けているんですけど、テレビとか記事とかじゃ伝わらないですよね。劇場に来て作品を観なきゃわからないですよ」と訴える。そして「日本全国考えても、舞台を観た人は本当に少ないんです。だって、この中で舞台観たことない人、手をあげてください!」と語りかけるが、手はあがらず、圭人は「(演劇)関係者だから!」とツッコミ。健一は「みんな観てるね。でもたぶん何人かいるんじゃないかな? じゃあ、自分でお金払って観に来てない人。いつも招待でチケットをもらって観ている人誰ですか?」と畳み掛けるも、手はあがらず「あげられないね」と苦笑。「でも少ないから、なんとか皆さんの気持ちでこの作品、舞台に来るってことを広めてほしいな」と懇願していた。
2024年02月20日加藤健一事務所『サンシャイン・ボーイズ』が1月24日(水)から31日(水)まで、本多劇場にて上演される。“喜劇王“ニール・サイモンが書いた『サンシャイン・ボーイズ』。日本でもこれまで幾度も上演されてきた今作に、加藤健一が事務所創立40周年&役者人生50周年で満を持して挑もうとしたのが2020年のこと。しかし、コロナの影響でやむなく延期の憂き目にあっていた。それが2022年にようやく初演を迎えると評判を呼び、加藤健一は第64回毎日芸術賞、佐藤B作は第47回菊田一夫演劇賞を受賞した。2023年9月からは全国にて85ステージにのぼるツアーを実施。その東京凱旋公演が今回というわけだ。幼い頃からチャップリンやバスター・キートンの笑いに影響をウケてきたというニール・サイモン。ヴォードヴィルにも親しんできた彼が、よく知る芸人たちを主人公に書いたのがこの『サンシャイン・ボーイズ』だ。ヴォードヴィルで大人気の、ウィリー・クラーク(加藤健一)とアル・ルイス(佐藤B作)のコンビサンシャイン・ボーイズ。何十年も一緒にやってきたふたりだが、不仲で解散してしまう。それから11年、なにもかもうまくいかず仕事もないクラークの元にテレビの大きな仕事が。しかしその条件は元相棒と往年の名作コントをするというものだった。今作は、サイモンといえば喜劇と思われていた時代に、悲劇も書けることを証明した“辛口三部作”のひとつ。しかし軽妙なせりふのやりとりと、年齢を重ねた頑固なふたりの老コメディアンのキャラクターが魅力的で、面白さと悲哀とが入り混じった名作だ。加藤健一と佐藤B作。ともに50年以上舞台に立ち続けたふたりの、歳を重ねたからこそ出せる味わいがそれぞれの役に重なっていく。ツアーを経てより磨きのかかったふたりの掛け合いを楽しみにしたい。文:釣木文恵<公演情報>加藤健一事務所『サンシャインボーイズ』作:ニール・サイモン訳:小田島恒志小田島則子演出:堤泰之出演:加藤健一佐藤B作加藤義宗田中利花照屋実韓佑華佐野匡俊〈声の出演〉清水明彦(文学座) 加藤忍2024年1月24日(水)~31日(水)会場:下北沢・本多劇場チケット情報:()公式サイト:
2024年01月23日令和6年1月歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』夜の部『京鹿子娘道成寺』に出演する中村壱太郎と尾上右近が、作品ゆかりの地である和歌山県日高川町の道成寺を訪れ成功祈願を行った。壱太郎が前半日程(1月2日(火)~14日(日))、右近が後半日程(1月15日(月)~27日(土))でそれぞれ白拍子花子を歌舞伎座で初めて演じる『京鹿子娘道成寺』は、安珍と清姫の伝説を題材にした道成寺物と呼ばれる作品群の集大成。鐘供養のため大勢の所化が集まる紀州・道成寺が作品の舞台となっている。冷たく澄んだ空気の中、本堂で成功祈願を終え「今年1年を振り返るような時間でもあり、来年最初の舞台は歌舞伎座で道成寺を踊るのだという気持ちの高まりや、一歩を踏み出す覚悟を自分の中に落とし込む時間となりました」と語った壱太郎。右近も「今年の8月に自主公演で演じさせていただいた際も公演前にお参りさせていただき、半年以内にこうしてもう一度お参りさせていただけたこと、とても深いご縁を感じます」と感慨深げな様子を見せた。■中村壱太郎 コメント『京鹿子娘道成寺』を歌舞伎座で演じさせていただくと聞いたときは、新年の始まりであるということも含めて2024年が華やかになるようにという思い、道成寺に込められたドラマや祈りの想いをひとりでも多くの人に届けたいという思いがこみ上げました。■尾上右近 コメント歌舞伎にとって大切な『京鹿子娘道成寺』という作品をお正月に壱太郎さんと一緒に、歌舞伎座という大舞台で勤めさせていただけるのは幸運なこと。この幸運を、舞台をご覧いただくお客様にさらに大きなものにしてお届けするというのが、自分の全うすべき役者人生だなと感じています。<公演情報>令和6年1月歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』2024年1月2日(火)~27日(土) 東京・歌舞伎座令和6年1月歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』夜の部『京鹿子娘道成寺』特別ビジュアルチケット情報:()詳細はこちら:
2023年12月22日ダークコメディ交互上演『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』の初日前会見と公開フォトコールが18日に東京・新国立劇場で行われ、岡本健一、浦井健治、中嶋朋子、ソニン、演出を務める鵜山仁氏が登壇した。今回交互上演される“ダークコメディ”2作は、「ベッド・トリック」(男性が期待していた相手とは異なる女性がベッドを共にする仕掛け)が物語のカギを握る表裏一体のような戯曲であり、シェイクスピア作品の中では数少ない女性が物語の主軸となる作品。悲劇とも喜劇ともつかない結末から「問題劇」とも分類される2作を、交互に上演することでシェイクスピアの鋭い視点と同時代性を浮かび上がらせている。○■『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』会見&公開フォトコール初日を迎える心境を「稽古を2本同時にやって、きょう初日を迎えることができるんですけども、正直どういう感じになるのか全体像が全く見えていない(笑)」と話した岡本。「お客さんが入って初めて成立するものなんじゃないかなと思う」と意気込みを語った。『尺には尺を』で演じるアンジェロという役柄について、自分の欲望に忠実に生きた男だと紹介されると、「はたから見ると、パワハラだったり、セクハラだったり権力をかざしている風に見える……ただやっている本人からしてみると、政治的なことには法律に則ってやっているんです」と説明。「ただそこに女性との出会いとか愛が芽生えると、そういったところが本当に簡単に崩れていくんだなぁとか、嘘をつくと取り返しが付かなくなるとか…色んなことを考えています。毎回(演じながら)色んな感情が出てくる」と明かした。2作を交互に上演する同公演だが、2作品を演じ分ける際の切り替えについて聞かれると、岡本は「『尺には尺を』ではこのような格好(黒の法服)ですが、もう一方はフランス王なんです。死にかけの老衰したおじいちゃんみたいな感じなので、衣装を着たら勝手に変わっちゃます(笑)」とコメントし、笑いを誘った。カンパニーとしては14年、シェイクスピア歴史シリーズとしては12年の付き合いがあるという同カンパニー。「絆を感じた部分は?」という質問に、岡本は「すごい信頼している部分がある」と回答する。「人間的な部分や性格とかというよりも作品に対する思いの強さ。難しいと言われるシェイクスピアを人間的で日常的に表現してくれる人たちが集まっている」と力強く語る。「特にこの3人(浦井・ソニン・中嶋)は突出してその部分がすごいので信頼しています。普段の私生活は全然知らない……なにをしているのかわからない(笑)。だけど舞台の上でつながっている」と笑いを交えつつ、3人を絶賛していた。
2023年10月18日歌舞伎を観るならまずはコレ。尾上右近さんおすすめの古典歌舞伎10演目をご紹介します。【連獅子(れんじし)】歌舞伎といえば毛振り!勇壮な姿に釘付け。文殊菩薩の霊山。獅子頭を手にした狂言師の右近と左近が現れ、親獅子が我が子を谷底に突き落として這い上がってきた子だけを育てるという、獅子の子落とし伝説を厳かに舞い始める。舞い終えたふたりが胡蝶に誘われ場を去ると、現れたのは法華宗の僧と浄土宗の僧。旅の道連れとなるが、互いの宗派を知った途端、言い争いに。そのとき一陣の風が吹き、親子の獅子の精が現れる。毛振りを見ると清々しい気持ちになります。歌舞伎のジャンルのひとつとして、踊りで物語を表現してゆくのが舞踊。「基本的に舞踊は、始まって終わるまでに物語が完結するうえ音楽劇的な要素もあり、誰にでも観やすいジャンルだと思います。その中でも『連獅子』は、多くの人が歌舞伎と聞いてイメージする“毛振り”があり、華やかさや迫力も含め、観て面白い演目だと思います。獅子はもともと能に端を発していますが、それが毛を振るというのは歌舞伎にしかない演出。あの毛を振る間の歌舞伎俳優の心境というのは、ど派手なパフォーマンスを見せてやろうというのではなく、心静かに経を唱えているような感覚。僕は、あれこそ歌舞伎の自己犠牲の美学が一番凝縮した姿だと感じます。そこに子に試練を与える親獅子の厳しさが重なりますし、親獅子に食らいついていく子獅子の姿には、生や芸を受け継ぐことの重みを感じる。でも、そこに不思議な命の高揚感があり、だからこそご覧になる方々は清々しい気持ちになるのではと思っています。また同じ『連獅子』でも演じる方によって全然違うので、見比べるのも面白いと思います」(尾上右近さん)【春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)】踊るうち徐々に興に乗ってゆく娘の変化に注目。江戸城の大広間。正月の祝いの余興にと奥づとめの弥生が殿様に舞を所望された。最初は恥ずかしがって逃げるが、お局らに引き戻されてしまう。ようやく観念すると、さまざまな舞を次々と披露する。徐々に舞が興に乗るなか、弥生が手にしたのは獅子頭。いつしか獅子頭が弥生を翻弄し始め、姿を消した彼女に代わり、獅子の精が姿を現す。僕にとって絶対外せない特別な演目です!右近さんが幼いときに観て、歌舞伎に魅了されるきっかけとなったのがこの演目。「これがあるから自分は歌舞伎をやっていると言っても過言ではないので、これを挙げないと自分としては納得できない」と言うほど特別なもの。「弥生は、最初はお殿様に所望されて仕方なく踊り始めますが、殿様に見られているという高揚感も手伝って、徐々に興に乗って踊りに気持ちが集中していきます。この弥生の見られている高揚感と緊張というのは、演じている役者の心境とぴったりリンクしますし、ひとりで30分の大曲を踊り切るわけで、役者にとって孤独な闘いでもあり、それだけ覚悟のいる演目でもあります。歌舞伎の舞踊の中ではストーリー性が薄いこともありエンターテインメント性より芸術性が強いかもしれませんが、歌舞伎の芸術としての側面を味わうには最適なはず。初めてご覧になるなら、ぜひ僕が挑戦するときに観てほしいです。絶対後悔させませんので」【京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)】美しい女性が釣り鐘を前に大蛇に豹変。恋に狂った清姫が大蛇となり僧を鐘ごと焼き殺した伝説が残る道成寺で、鐘供養が行われることに。そこに鐘を供養させてほしいと訪ねてきたのは美しい白拍子(男装の舞妓)。女人禁制ながら、修行僧たちは舞の披露を条件に寺へ招き入れる。さまざまな舞を披露するが、次第に白拍子の様子が変わり鐘に登ったかと思うと蛇の正体を見せるのだった。細部にまで日本の美が詰まっている総合芸術です。「1時間近くをひとりで踊り通すわけで、役者にとっては『鏡獅子』同様、心境的には自分との闘いのような演目ではあるんです。ただ、華やかで美しい衣装に鬘があって、大道具があって、役者がいて、音楽があって、小道具もすべてキラキラしていて、細部まですべてに日本の美が詰まっていて、それらが互いに引き立て合って、観る者を作品の世界に引き込んでくれる。役者ひとりの力で魅せる芸術ではなく、歌舞伎が総合芸術であることを実感してもらえる演目だと思います」赤の振り袖に烏帽子をかぶっての、能を取り入れた静かで厳かな舞から始まり、引き抜きという手法で一瞬にして浅葱色の衣装に替わったり、小道具も次々と持ち替えて、さまざまな踊りを見せていく。「視覚的にも聴覚的にも起伏がたくさんあって、観る人を飽きさせないようにと考えて作られていますし、この作品の時代背景や設定などを知らなくても楽しめる演目だと思います」【弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ) 白浪五人男(しらなみごにんおとこ)】美しい娘だと油断するなかれ。その正体に驚き。呉服問屋・浜松屋を、従者を連れた美しい娘が訪れる。品物を選ぶ最中に娘が万引。それを番頭が見咎めるが、その品は他で買ったものと判明。無実の罪を着せられたと従者の男が店に法外な金を要求。仕方なく金を渡すが、じつは娘は男で、すべてがゆすりの芝居だった。娘は開き直ると着物を脱ぎ刺青を見せ、盗賊の弁天小僧菊之助と名乗るのだった。女形の楽屋裏での姿を想像してもらえれば(笑)。「ヤンチャ小僧って、周りは手を焼きながらも、かわいいなって思ったりしますよね。弁天小僧は、まさにそのかわいさとかっこよさが共存した存在。しかも女性の格好をしているときは本当に綺麗だから、その後の展開を知らずに観た人は、男がやっているのに女形って本当に綺麗だなと感じると思うんです。それが後で服を脱ぎだし裸になっちゃうのだから、驚きますよね(笑)。弁天小僧が男に戻る場面は、女形の役者が楽屋に戻った状態と同じなわけで、女形の裏で見せる素の顔というかバックステージを見ているような感覚も楽しんでいただけるはず。男が女性を演じる女形という存在をうまく利用した話だと思います」正体がバレた弁天小僧菊之助が、開き直って自分の素性を明かす場面での「知らざぁ言って聞かせやしょう」は、歌舞伎屈指の名ゼリフ。「難しい知識は必要なく、これが名ゼリフといわれているんだ、と思って楽しんでいただければと思います」【夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)】蒸し暑い夏の夜、はずみで起きた哀しい惨劇。武士の玉島兵太夫に大恩のある魚売りの団七は、兵太夫の息子・磯之丞の恋人で遊女の琴浦が男たちに絡まれているのを助ける。老侠客の三婦の家に匿われた琴浦だったが、団七の使いを騙る団七の義父・義平次が彼女を連れ去ってしまう。それを知り義平次を追いかけ琴浦を取り返した団七だったが、揉み合ううちに義平次を斬ってしまう。芝居の随所から夏の暑さを感じる作品です。劇中の主人公・団七のセリフに、「悪い人でも舅は親」というものがあるが、どんなにはずみで犯した過失であっても親殺しは世の大罪。「あってはいけないことではあるけれど、団七の、一度走り出したら止まれない男の性みたいな部分は多くの方に共感していただけるのではないかと思います。義理と忠義を立てようと奔走する団七を邪魔する舅がいなくなり、ほっとする気持ちと同時に、本人が望まない結果となった団七をかわいそうにも思う。いろんな感情が湧き上がる作品です。団七は多少無理でも男を立てることを優先しようとするけれど、義父の義平次は、泥水をすすってでも必死に生きるのが男だという、ふたりの価値観の違いも面白いですよね。また、夏の暑さだとか、遠くから聞こえてくる祭り囃子だとか、季節を感じる描写が芝居の随所にあり、湿度と汗でベタベタするような夏の夜の空気感を体感してもらえるところも面白い作品だと思います」【東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)】みるみるうちに面相が醜く変わり恐ろしい姿に。色男の民谷伊右衛門は、産後の肥立ちが悪く、ことあるごとに主君の仇討ちを迫る妻の岩を疎ましく感じていた。その矢先、隣家の金持ちの伊藤家から孫娘との縁談を持ちかけられ、承諾した伊右衛門の元に伊藤家から毒薬が届く。血の巡りの薬と騙され飲んだ岩の顔はたちまち醜く変わり、非業の死を遂げる。その後、伊右衛門は岩の亡霊に悩まされ…。江戸時代生まれのホラーは怖いけどすごく哀れ。「江戸時代にもホラーというジャンルは存在して、当時から少しでも涼しく感じたいということで、夏に上演され喜ばれてきたジャンル。ゾクッとする怖さを楽しむ人がいるのは、今とまったく同じです。この物語の中心人物であるお岩様は、信じていた夫に騙されて殺されて、本当にかわいそうな女性です。夫の伊右衛門に薬と偽られ毒薬を飲んでしまい、髪をすく間にどんどん髪が抜けていく描写などは、怖いけどすごく哀れ。そのぶん恨みも深いのか、お化けになって登場するお岩様は本当に怖いので、ホラー好きな人なら喜んでいただけるのではないでしょうか」また、伊右衛門はお岩を死に至らせたばかりでなく、内職の手伝いに雇った小仏小平も殺害。そのふたりの幽霊が同時に現れる場面では、一人の役者が二役を一瞬で演じ分ける早替わりの演出も。「舞台の上に幽霊を登場させる演出の面白さもあれば、仇討ちのエピソードなどもあり、見どころの多い作品です」【め組の喧嘩(めぐみのけんか)】火消しと力士の意地の張り合い。喧嘩は迫力満点!品川宿、隣り合わせた座敷で飲んでいた力士たちと鳶の面々が、ひょんなことから小競り合いに。そこに割って入ったのは町火消しの「め組」の鳶頭・辰五郎。場は収まるが、鳶は武士に召し抱えられた力士より格下だと言い放たれる。面子を汚された辰五郎は仕返しを決意。妻と子に別れを告げ、彼を慕う鳶たちを率い、真剣勝負の場に乗り込んでいく。江戸の華といわれる“喧嘩”を堪能できます。「火消しと力士それぞれが自分たちの主張を曲げず、意地の張り合いから、それぞれのプライドをかけての命懸けの喧嘩に発展していきます。火事と喧嘩は江戸の華といいますが、それを嫌というほど堪能できる演目。これぞまさに“江戸っ子”というものが随所に描かれているので、そこを楽しんでもらえると思います」描かれるのは、ひたすら喧嘩の場面だが、「大人が本気で喧嘩している姿って、はたから見ていると面白いんですよね」とも。「力士たちへの意趣返しをしようと決意した鳶たちが勢揃いする場面がありますが、その迫力は本当に圧巻のひと言。鳶頭の辰五郎を筆頭に、手桶の柄杓でおのおの水盃をして威勢よく駆け出していく姿は無条件にかっこよく、観ていて気分が高揚すること間違いなし。出てきすぎじゃないの?と思うくらいたくさんの鳶がそこに登場するのも面白く、お祭り騒ぎ感も満載。わかりやすく見応えのある作品です」【義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 川連法眼館(かわつらほうげんやかた)】親への恋しさゆえ武将に化けた子狐の情愛に涙。兄・源頼朝に謀反を疑われた源義経は川連法眼の屋敷に匿われていた。そこに家来・佐藤忠信が訪ねてくるが、そのすぐ後、静御前を伴い忠信が来たとの知らせが入る。義経の命により忠信の真偽を確かめようとした静の前に正体を現したのは狐。鼓にされた父狐と母狐への恋しさゆえ、鼓を持つ静の供をしていたという。憐れんだ義経は狐に鼓を与える。あっと驚くようなアクロバット的演出も。『義経千本桜』は、兄・源頼朝から謀反を疑われ追われる身となった源義経の物語を背景に、戦によって思わぬ境遇となった人々を主人公にした、複数の物語で構成される壮大な作品。「タイトルロールでありながら、どのお話も主人公は義経ではなくその周りに生きる人々。なかでもこの場面は、狐が主人公で、その狐が人間の姿に化けて言葉をしゃべるというところが面白いです。しかも描かれているのは狐ではあれど親子愛で、どの時代もどの人にも伝わるテーマ。また義太夫という、ナレーションを兼ねた音楽に乗った音楽劇的な要素もあれば、“ケレン”と呼ばれるあっと驚くようなアクロバット的な演出もあり、見どころが多い演目。物語のラストは、狐の視点で大団円を迎えるので観ていて爽快感がありますしね。また、物語の時代背景や前後のエピソードを知らずとも、このお話単体で楽しめるので、初めて歌舞伎をご覧になる方にはぴったりだと思います」【俊寛(しゅんかん)】孤島に残された俊寛の深い悲しみが胸に迫る。平清盛打倒の謀略で孤島に流された俊寛僧都、藤原成経、平康頼。侘しい島暮らしの中、成経は海女・千鳥を妻に迎えた。そんなおり島に赦免船が。喜ぶ彼らだったが、使者の瀬尾は千鳥の乗船を拒む。当惑する中、瀬尾から妻が清盛に殺されたと聞いた俊寛は絶望。瀬尾を討ち、その罪で島に残る代わりに千鳥を船に乗せるよう懇願。俊寛は、ひとり島から涙で船を見送る。徐々に遠ざかっていく船を見送る俊寛に注目です。「舞台の真ん中に大きな岩があって、浜辺があって、海が見えて、そこに突然大きな船がやってくる…。あえてリアルを追求せず、デフォルメされた大胆な構図のセットで歌舞伎をやるということに、驚く人もいるのではないでしょうか。終盤、どんどん潮が満ちていく中、ひとり岩の上に取り残された俊寛が、仲間が乗る船を見送るシーンがあります。このとき船は舞台上に出すことなく、俊寛を演じる役者の目線を通して、徐々に遠ざかっていく船の姿を想像させる演出になっています。セットと役者、そしてそれを観る観客の想像力を借りることで、孤島にひとり残された老人がこれから直面する現実の悲しさを強烈に印象づける、極めて演劇的な作品だと思います」それゆえ、俊寛を演じる俳優によって、作品の印象がガラッと変わってくるのも面白いところ。「この作品に限ったことではないですが、さまざまな俳優で比べて観られるのも歌舞伎の面白さです」【実盛物語(さねもりものがたり)】どんでん返しに次ぐどんでん返しで飽きさせない。平家全盛の世。平家の武将・実盛と瀬尾は源氏方の木曽義賢の妻が産む子の詮議に訪れる。そこに運ばれてきたのは源氏のシンボル・白旗を握る女の片腕。それは源氏方の娘・小万の腕で、元源氏方の実盛が平家に白旗が渡るのを恐れ切り落としたもの。小万の子・太郎吉が母に悪態をつく瀬尾に刃を向けると瀬尾は自らを討たせ、小万はかつて己が捨てた娘だと告白する。「そんなわけあるか!」と心の中でツッコんで(笑)。「物語の舞台が源平合戦の時代であったりするので、フォーマルな堅い演目のように感じるかもしれませんが、描かれているのは登場人物たちの心の話。ここに登場する武士たちは、みんなが庶民と何ら変わらないことを思っていて、我々と何ら変わらない行動を取るので、親近感を持ってカジュアルな気持ちで楽しんでいただける演目だと思います。また、切り落とした片腕を死体に繋いだら、死んだ人が息を吹き返すという馬鹿馬鹿しい展開もあるので、『そんなわけあるか!』と心の中でツッコみながら楽しんでいただければと思います(笑)。そしてもうひとつの見どころは、最後に出てくる馬。中に人が入っているんですが、結構大きく迫力があるので本物かと驚く方もいるはず。しかもちゃんと芝居をする馬で、尻尾を揺らしたりブルッと震えたりする仕草は結構リアル。その馬に実盛が乗りますが、高さも乗り心地もまるで本物みたいなので注目していただければ」おのえ・うこん1992年5月28日生まれ、東京都出身。清元節宗家の家に生まれながら、7歳から歌舞伎の舞台に立ち、名子役として評判に。2005年に二代目尾上右近を襲名。現在は、歌舞伎の舞台のほか、ドラマや映画、バラエティ、現代劇やミュージカルなど幅広く活躍。’15年からは自主公演『研の會』を主催し、数々の大役に挑戦。11月には歌舞伎座への出演も決まっている。※『anan』2023年10月4日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・三島和也(Tatanca)ヘア&メイク・西岡達也イラスト・momo構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年10月01日3歳のときに曽祖父で名優の六代目尾上菊五郎の踊る『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』を映像で観て歌舞伎の虜になり、歌舞伎俳優の道を歩み始めた尾上右近さん。その右近さんの考える歌舞伎の魅力とは、「なんでもない所作に拍手が起こる現象があるところ」。結局は、歌舞伎がすごいっていう結論になるんです「手ぬぐいをすっと取る動きだけで、深い感動を呼ぶっていうことが歌舞伎では本当にあるんです。それがなぜできるかといったら、“芸”があるからなんですね。先輩の中には何も動かずそこにいるだけで感動を呼ぶ方もいらっしゃいますけれど、基本的には芸で魅せるものだと思っています」その芸とは、何百年と続く歴史の中で“型”として構築されたもの。「新作歌舞伎と違い、古典は自分以外にも同じ役をやっている人がたくさんいます。もっと言えば、過去にその型を作った人がいて、それがいろんな人の手により継承されてきた歴史がある。だからどんなに僕が褒めていただいても自分の力だと思えなくて、結局、歌舞伎がすごいんだって結論になる。でもそれが古典の面白さだとも言えるんですよね」しかし古典も、昔の型をただ踏襲してきただけではない、とも。「六代目菊五郎の話ですが、かつては数百人の劇場でやっていたものが1000を超えるキャパに変わってきたとき、それまでの蛍を目で追う振りが後ろの観客には伝わらなくなったそう。どうしたらいいかを考えていたときに、目の不自由な人が、目の代わりに指先で見ると話していたのがヒントになって、蛍を指で追う振りを思いついたんだとか。そうやって時代を超えるために変わるものもあれば、変わってはいけないと意地になっている部分もあって、今の古典歌舞伎があるんですよね」その時代時代に歌舞伎役者がいて、彼らの肉体や精神を通して伝承してきたところに価値がある。「松本白鸚のお兄さんのところに教わりに伺ったとき、お兄さんが僕くらいの頃、年上の先輩に芸を教わりに行かれた思い出話をたくさんしてくださったんですよね。そのとき十七代目中村勘三郎さんの芸がいかにすごかったか話しながら当時を思い出して感動して泣かれるんです。僕はそのお兄さんの姿に感動でした。十七代目の芸を間近で見た感動を伝承する。これこそが継承で、その感動もひっくるめて古典になっていくんだなと思いました」歌舞伎1603年頃に京都・鴨川の四条河原で、出雲の阿国が始めたかぶき踊りが始まり。“かぶき”とは“傾(かぶ)く”が語源といわれ、風変わりな派手な服装で、これまでにない斬新な踊りを踊ったことから付いた名称といわれる。かぶき踊りは庶民の間で一世を風靡したが、風紀の乱れを助長するとして幕府より禁止令が下った。その後、男性による野郎歌舞伎が誕生。元禄時代、人気役者と実力派作家の台頭とともに娯楽として発展した。おのえ・うこん1992年5月28日生まれ、東京都出身。清元節宗家の家に生まれながら、7歳から歌舞伎の舞台に立ち、名子役として評判に。2005年に二代目尾上右近を襲名。現在は、歌舞伎の舞台のほか、ドラマや映画、バラエティ、現代劇やミュージカルなど幅広く活躍。’15年からは自主公演『研の會』を主催し、数々の大役に挑戦。11月には歌舞伎座への出演も決まっている。※『anan』2023年10月4日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・三島和也(Tatanca)ヘア&メイク・西岡達也構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年10月01日約400年前の戯曲ながら、今なお世界中で上演されているシェイクスピア作品。なぜこんなに愛され続けているのか。まさに今シェイクスピア劇に向き合う岡本健一さん、浦井健治さんの対談と、数々のシェイクスピア作品から魅力を探る。2009年に新国立劇場で鵜山仁さん演出により一挙上演された『ヘンリー六世』三部作。三部を通すと上演時間全9時間にものぼる超大作に出演していた岡本健一さんと浦井健治さんのふたり。そこを皮切りに、『リチャード三世』『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』『リチャード二世』など、鵜山演出のシェイクスピア作品の数々に共に出演してきた。そしてこのたび出演するのは、「シェイクスピア、ダークコメディ交互上演」と称しておこなわれる、『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』という2作の交互上演。岡本健一(以下、岡本):過去に鵜山さんともっと大変な企画をやったから、今回の交互上演くらいでは驚きはなかったな。浦井健治(以下、浦井):確かに(笑)。ただ、これまでのような歴史劇じゃなく、シェイクスピア作品の中でも問題作といわれるダークコメディ。どっちもベッドトリック(相手を騙して違う人にベッドの相手をさせる罠)があったり、似たテイストの物語だから、ちょっと…というか結構混乱しますよね。岡本:これまでは歴史劇で戦争ばかりしていたけれど、今回はそういう争いごとは全然ないし、女性を主体とした物語というのも初めてだし。今の時代に、自分たちがこの話をやることに意味がある気はしてて。浦井:どちらの作品も、女性がすごく戦略家なんですよね。岡本:女優陣と話してると、男性側と女性側で全然作品の捉え方が違っているのが興味深いなと。――『尺には尺を』は、公爵の代理でウィーンの統治を任されたアンジェロが、婚姻前に男女の性交渉を禁じる姦淫罪でクローディオに死刑の判決を下したことから起こる物語。そして『終わりよければすべてよし』は、伯爵夫人の息子・バートラムに想いを寄せるが彼に結婚を拒否された侍女のヘレナが一計を案じる物語。岡本:『尺には尺を』とか、登場人物がみんなひどい人たちだよね。浦井:全員ひどいです。岡本:公爵が人に統治を押し付けるとかありえないでしょ(笑)。ただ、法律っていうものをちゃんと見直さなきゃいけないのかもしれないというのは、この作品で思ったかな。あと、ひとりの女性との出会いで、こんなに人間の思想が変わるんだっていうことの面白さとか。浦井:僕が演じるクローディオ側の目線で言うと、政治とか権力側の意向で人間の生死が決まるっていうのが不条理ですよね。クローディオのセリフに「生きようと願うことが死を招くことであり、死を求めることに生があると覚悟しています」っていうのがあるんですけど…。岡本:えっ今の、もう一回言って。浦井:(笑いながら復唱して)死に立ち向かうことが生きることに繋がるって、他のことにも置き換えられる気がするんです。大変なときこそ成長のチャンスというか。生きる意味を考えさせてくれる話だなと。もう片方もまた、生きることの意味をみんなで見つけていくような作品ですけど、こっちのほうがもっと体当たりな感じはありますよね。岡本:『終わりよければすべてよし』で自分が演じる王は衰弱して死の間際なんだけれど、ひとりの女性との出会いで元気になる。一応、薬が効いたってことなんだけど、人間の生きようとするエネルギーがそうさせたと思ってるんだよね。まさに「終わりよければすべてよし」って思うことで、物事が前に向いていくことってある気がして。そう思ってもらえる作品にできたらいいなと。――演出の鵜山さんをはじめ共演者も、これまでシェイクスピアシリーズを一緒に作ってきた面々ばかり。岡本:10年以上、ほぼ同じカンパニーでやってきてるけど、それがすべて鵜山さんの頭の中から始まってるんだと思うとすごいよね。浦井:今回ご一緒してあらためて感じたのは、それぞれの人に寄り添って、その人が理解しやすい言葉を選んで話してくれているんですよね。岡本:人それぞれに説明の仕方が違って、俺には擬音ばっかり(笑)。浦井:僕は『ヘンリー六世』三部作が初めてのシェイクスピアだったんですよね。それまでセリフ劇的なことをあまりやったことがない中、周りは劇団を背負ってこられたような方ばかりで、そのときは、稽古場で毎日自分の不甲斐なさばかりを実感させられる日々でした。岡本:それ、全然楽しくないじゃん。浦井:でもその心理状態が、そのときに演じた役とリンクできた部分はあったんです。鵜山さんからは、役と一緒に道を歩んでいるようなイメージでセリフを体感しながら言って、と言われていて。実際、役の血が体の中に流れているかのようにセリフを言っている諸先輩方と、何作品もご一緒させていただいて学んだことも大きいですし。岡本:ここでご一緒している年配のみなさん、本当にすごいからね。シェイクスピアうんぬんていう次元じゃなく、セリフが話し言葉としてスッと入ってくる。それを見て自分もあそこに追いつこうってなるし、無言の教えがいっぱいあるからね。最初の頃、この人たちに役者として認められたい、認められるにはどうしたらいいだろうってすごく考えてた。俺としては、シェイクスピアだとか話がどうとかは置いといて、このすごい俳優さんたちが頑張っていて、それだけでも感動するから観に来たほうがいいよって思ってるくらい。高尚な劇じゃないよということは言っておきたい。――数々のシェイクスピア作品を経験してきたおふたりに、あらためてシェイクスピアの面白さを聞いた。岡本:いつも言うんだけど、シェイクスピアの戯曲って劇場で演じるために書かれてるから、本を読んだだけじゃ面白くないんだよね。人の声を通してようやく面白さがわかる。浦井:僕もシェイクスピア劇に対して、セリフが難しいってイメージを持っていたんです。でも、実際にそれぞれのキャラクターを理解して聞くと、そんなこともなくて。岡本:劇場で体感して、ようやくその魅力がわかるんだと思う。なんでこんな400年も前の作品を日本で上演するんだろうって思うけど、やってみると、今の自分たちとか今の日本の社会とかに通じるものが、そこに書かれていて、そこにちゃんとメッセージがあるんだよね。今回の舞台も、観に来たお客さんの中に、きっと似たような物語があるし、共鳴する登場人物があると思うし。浦井:イギリスのストラトフォード=アポン=エイヴォン(シェイクスピアの故郷)に行ったときに、街にシェイクスピア作品の登場人物の銅像が立っていたんです。それを見て“人気キャラ”なんだなと思ったんです。人間の中身とか関係性をわかりやすく分類してキャラクターとして描いているから、誰もが自分や周りの人に置き換えて物語を身近に見られるのかなって。しかもそれが未来への教訓にもなる。岡本:政治家こそ観たほうがいいよね。それこそ国のつくり方とか、国を統治する成功例も失敗例もたくさん描かれているから。浦井:シェイクスピア劇っていうと高尚なイメージがありますけど、人間の普遍的なことを、国だったり恋愛だったりに置き換えて面白おかしく書いたものなのかなっていう気がしています。岡本:それを高尚なものとしてやろうとすると、退屈な芝居になるんだよ(笑)。このカンパニーは、壮大なセリフをどうしたら自分たちの生きた言葉として生々しくしゃべるかってことを考えてる人ばかりだから。新国立劇場だから格式高い印象があるかもしれないけど、高尚な劇じゃないよってことは言っておきたいな。シェイクスピア人間の本質をついたセリフの数々が時代を超えて愛される。16世紀後半から17世紀初頭に活躍したイギリス出身の劇作家で詩人。シェイクスピア作として現存する戯曲は全37作品にのぼる。歴史劇、悲劇、喜劇と、そのジャンルは多岐にわたり、現在に至るまで世界各地で上演されている。その多くは古くから残る説話や歴史文献が題材となっているが、物事の本質をついたセリフなどが時代を超えて評価されている。シェイクスピア、ダークコメディ交互上演『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』10月18日(水)~11月19日(日)新国立劇場 中劇場作/ウィリアム・シェイクスピア翻訳/小田島雄志演出/鵜山仁出演/岡本健一、浦井健治、中嶋朋子、ソニン、立川三貴、吉村直、木下浩之、那須佐代子、勝部演之、小長谷勝彦、下総源太朗、清原達之、藤木久美子、川辺邦弘、亀田佳明、永田江里、内藤裕志、須藤瑞己、福士永大S席8800円A席6600円B席3300円2作品通し券(S席のみ)1万5800円当日発売のZ席1650円のほか高齢者割引(65歳以上)、学生割引、ジュニア割引(小中学生)、障がい者割引などあり新国立劇場ボックスオフィス TEL:03・5352・9999岡本健一さん(写真右)1969年5月21日生まれ、東京都出身。俳優として舞台で精力的に活動し、これまでに数々の演劇賞を受賞。また、音楽活動もおこなっており、所属するRockon Social Clubの2ndアルバムのリリースも控える。浦井健治さん(写真左)1981年8月6日生まれ、東京都出身。主にミュージカル、ストレートプレイで活躍。来年3月、ミュージカル『カム フロム アウェイ』が控える。発売中の3rdアルバム『VARIOUS』のタイトルを冠したライブDVDが10月18日発売。※『anan』2023年10月4日号より。写真・小笠原真紀構成、取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月30日尾上右近自主公演 第七回『研の會』が8月2日(水)~3日(木)、浅草公会堂にて開催された。2015年に初公演を実施し今年で7回目を迎えた『研の會』は、右近思い入れの地・浅草で初めて開催されたわけだが、今回の舞台において、未経験の名作にあえて挑戦するという点もまた「見どころのひとつ」となっていた。今回、右近は『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』と『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』で初役に挑戦。『夏祭浪花鑑』では「男らしくて泥臭い、まっすぐな浪花の男」だという団七九郎兵衛とお辰、『京鹿子娘道成寺』では白拍子花子を演じた。「仲間に恵まれた」という右近は、この舞台に対する思いを語った際に、「先輩、同輩、後輩、そしてスタッフに恵まれていることを、自主公演でまた実感します」とありがたみを噛みしめていた。また、「人と関わることが人生における財産」とし、この公演のポスター制作を担った日本を代表する現代美術家、横尾忠則氏にも大きな感謝を伝えていた。歌舞伎を観るきっかけになりたいという気持ちを一番カタチにして詰め込んでいるのがこの自主公演。観てもらえれば間違いなく歌舞伎を好きになる、話の筋をあまり気にせず観られる、楽しめるというコンセプトで、自信を持って上演され、見事に全4公演を走りきった。そして次回第八回は、東京と大阪の二都市開催が決定!詳細はまた後日、尾上右近公式HPにて発表されるのて、細かくチェックすることをおすすめする。■尾上右近コメント「研の會を終えて」経験とはかけがえのないものであり、恐ろしいものであり、時にはくだらないものにもなる。だからこそ今を信じることが全て。そう思った今回の研の會でした。自分の中の歌舞伎のために。一生を楽しく捧げたいと思います。<次回公演情報>尾上右近自主公演第八回『研の會』東京/大阪二都市開催決定!!<お問い合わせ・関連リンク>HP::@UKON_KENx2()YouTube:歌舞伎人 尾上右近 / Kabuki-jin Ukon Onoe()主催: 尾上右近事務所
2023年08月09日歌舞伎の舞台を務めながら、日本の伝統音楽である清元節の継承者でもある尾上右近さん。近年はバラエティ番組に出演したり、ミュージカルに出演するなど精力的に活動しているが、そのバイタリティは一体どこからやってくるのだろう。――先日、8人の現代アーティストとの対談集『右近vs8人』を出版されました。もともとアートに興味があったということですが、関わりというと?僕はもともとアートを歌舞伎の延長線上にあるものとして捉えていたようなところがあります。3歳のときに見た曽祖父である六代目尾上菊五郎の『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』の映像に心を奪われて、歌舞伎の世界に来たんですね。曽祖父の存在そのものが好きだったので、写真集の中にあった曽祖父の描いた竹林の絵を模したくて描いていたのが、5歳くらいの頃。そこから、絵が好きならばと日本画の先生のところに教わりに行くようになり、次第に日本画から近現代のアートにも興味を持つようになりました。――対談での右近さんの言語感覚の鋭さにも驚きました。自分の想いや考えをこんなに明確に言葉にできる方って多くはないので…。会話が好きなだけです。自分で文章を書くのはそこまで得意じゃなくて。会話って相手の反応があるから、そこでやり取りする中で、自然と言葉が出てくるんです。だから取材も好きですよ。なるべく自分の言葉が世に出るときには、ちょっと色合いがある面白い言葉を使いたいと思っていたりします。――そういうパワーワードは、ストックしておくんですか?人と関わる時間が好きな一方で、根本的には根暗、みたいなところがあるので、ひとりでいるときにあれこれ考えるんです。そこで自分の考えが徐々に明確になってきたら、何度か言葉に出して言ってみる。それを繰り返すうち、自分にしっくりくる言い回しみたいなものが見つかるんです。みんながいい反応をしてくれるなって思ったら、そこはもうこすりにこすって言い慣れた感じにしていくっていう(笑)。内弁慶で2人になると全然喋れないんです。――出演されているレディースアートネイチャーのCMも面白かったです。「突然の尾上右近」ってすごいフレーズですが、お引き受けになられたのは…。嬉しいじゃないですか。断る理由、なくないですか?たまに知り合いにイジられるくらいで。――イジられるのはいいんですね。イジられるのもイジるのも好きです。それもコミュニケーションのひとつだと思ってるので。――CMにかぎらず、バラエティ番組やミュージカルなど、今や歌舞伎以外の分野にも数多く進出されています。なんでもやってみたいというのと、いろんなことをやってみることで、自分では見つけられなかった自分を見つけてもらえて、広がりを持てるというところですかね。逆に、歌舞伎界を背負っている感覚はまったくないですし。あと単純に、知り合いが増えるのが嬉しいというのもあります。歌舞伎界って、ずっと同じメンバーでやっているわけで、みんな家族みたいなもんなんです。家族って近くて遠い存在で、素の自分というより、みんなが認識しているであろう自分を見せてしまう、みたいなところってありますよね。――いい子であろうとしちゃったりしますね。歌舞伎以外の作品に初めて出たのが2018年の舞台『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』でしたが、ご自分から外に出ていこうと動かれたんですか。そうですね。自分から動いて今の事務所に入れていただきました。でも、所属してから舞台に出るまで2~3年ありましたから、結構時間がかかりましたね。――それは好奇心から?それとももうちょっと…。どっちもです。好奇心もあったし、できないことがあるのが嫌だなというのもあって。あとは、とにかくなんでもやって目立ちたかったというのもありました。目立たないと、歌舞伎の舞台で真ん中に立てないので。でも、目立つのが一番の動機ではないです。一瞬そこで葛藤していた時期もありますけれど、関わる人たちに失礼ですし。実際に現場に飛び込んだら、そんなことより現場で過ごす時間そのものが楽しいんですよね。歌舞伎って、お互いわかりきっている関係性から安心して一緒に芝居ができるっていうこともあるんですが、逆に一回怒らせちゃったことがある役者仲間ともずっと一緒なわけです。歌舞伎界が門限のある世界だとしたら、友だちの家にお泊まりしたくなるものでしょ。そういう感覚なんです。――それだけ厳しい世界ということなんですか?それぞれひとりひとりじかに関わってみると優しいし、普通なんですけれど、組織になると厳しくなっちゃうんですよね。でもそこに気づけたのも、内弁慶の僕が知らない人がいっぱいいる世界に飛び込んで、いろんな人と関わっていく中で、ひとりひとりと向き合っていくことが大事なんだって思えてからで。以前は師匠(七代目尾上菊五郎)なんて、どこか超越した生き物みたいに思っていたんです。必要な報告や連絡以外は、話さないし話せない、みたいな。でも、ある時期から徐々に冗談とか言える感じになって、人間同士として関わることが大事だし、楽しいんだなって思いました。右近さんが、念願だったという横尾忠則さんをはじめ8人の現代アーティストと語り合った対談集『右近vs8人』(PARCO出版・2420円)は、現在好評発売中。横尾さんとは、8月2日~3日に浅草公会堂で開催される自主公演『第七回 研の會』のポスターでもコラボ。会では『夏祭浪花鑑』と『京鹿子娘道成寺』に挑む。おのえ・うこん1992年5月28日生まれ、東京都出身。清元節の宗家に生まれ、幼い頃から歌舞伎の舞台に立ち、名子役として評判に。2005年に二代目尾上右近を襲名。近年は歌舞伎以外の活動も精力的におこなっており、昨年のミュージカル『ジャージー・ボーイズ』も話題に。現在は、新橋演舞場で上演中の新作歌舞伎『刀剣乱舞』に出演中。※『anan』2023年7月12日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・三島和也(tatanca)ヘア&メイク・Storm(Linx)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年07月07日新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』製作発表記者会見が5日に都内で行われ、尾上松也、尾上右近、中村鷹之資、中村莟玉が登場した。同作は名だたる刀剣が戦士へと姿を変えた「刀剣男士」を収集し、歴史の改変を企む敵に対抗すべく、 様々な時代の合戦場を攻略していく刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞 ONLINE』の歌舞伎作品。今回は十三代将軍足利義輝が討たれた“永禄の変”を、歌舞伎ならではの発想で大胆に脚色する。足利義輝/小狐丸を務める右近は同作の上演について「2.5次元でされてきた中でも、僕も他の舞台でご一緒した高橋健介くん、spiさん、有澤樟太郎くんだとか、いわゆる刀剣男士の先輩たちも歌舞伎化を喜んでくれてまして。『歌舞伎らしさを頭に置きながら自分たちもやってきたところはある。今回歌舞伎役者たちががっつり歌舞伎をやるなら、『それをやられたら俺たち困っちゃうよ』という舞台を作ってほしいとに期待してくれている」と明かす。「変に寄ってくわけでなく、自分たちが知ってる歌舞伎らしさ、歌舞伎の手法、様式を正々堂々と貫き、しっかり噛み合った上で盛り上がっていけるんではないか」と意気込んだ。すでにビジュアルが発表され大きな反響を呼んでいるが、右近は「僕自身も自然な歌舞伎風の扮装ができたなと撮影の時に思って、ビジュアル解禁してからSNSの反応も色々見させてもらって、とても皆さん喜んでいただいてよかったなと。ただ一つ気になったのは、ちょっと顔が長いという……顔が割と面長だなあという評判の方がありまして」と苦笑する。さらに右近は「それはなるべく気にしないでもらいたいなと思ってる中で、1人の方が『右近さんは顔が長いけれども、踊りも芝居も達者で確かな歌舞伎の腕がある俳優さんなので、お芝居を見ていれば気にならないと思います』というコメントがあったので、これだからエゴサーチはやめられないなと思いました」と語り、会場は爆笑。「面長気にならないで、みなさん! 見にきてください」とアピールする。松也が「僕はそんなに面長だとは思わないですけどね」とフォローすると、右近は「いや、嘘つけ!」とツッコミ。松也は「長年一緒にいますからね、わかんなくなっちゃってるのかもしれませんけど」と応えていた。
2023年06月05日6月から7月にかけて下北沢・本多劇場にて上演される二人芝居『ジン・ゲーム』より、竹下景子と加藤健一のコメントが公開された。本公演は、単純なトランプゲームが孤独な老人たちの“単純ではない”過去をあらわにする、D・L・コバーン作によるピューリッツァー賞受賞の名作。セリフの応酬がおもしろい、チクリと刺さるビターコメディーだ。春。老人ホームのサンデッキで出会ったフォンシア(竹下景子)とウェラー(加藤健一)。入居者や食事や看護師への愚痴で息の合う二人。ホーム独特の空気感に馴染めない二人は、トランプ遊びを始める。時間つぶしがてら気軽に始めたゲームだが、初心者のフォンシア相手に全く勝てないウェラーは、対戦を重ねるごとに苛立ってきて……。■竹下景子 コメント加藤健一事務所の公演に参加するのは『川を越えて、森を抜けて』(2009・2012年)、『喝采』(2017・2019年)、に続いて3作目です。加藤さんご自身がプロデュースされ、常に上質な演劇を世に送り出しているこのカンパニーの一員となれるのは、一俳優として晴れがましいのと、それと同じくらいテンションが上がります。のっぴきならない感じ。で、今回の『ジン・ゲーム』です。オファーを受け即決。チャンスの女神には前髪しかない、と言うではないか。脚本が面白い!それだけじゃない、しみじみ感じ入るところもありそう。作者の D・L・コバーンはこの作品がデビュー作でしかもピューリッツアー賞を受賞している。でもね、ともう1人の私「二人芝居よ、これ。台詞の量は半端ないし、最近とみに台詞覚えワルくない?」そうなんです。自覚あり、です。しかもタイトルの「ジン・ゲーム」なるトランプ遊びが劇中に14回も登場するんです。これまで演じた役の中で最高難度の作品かもしれません。この脚本を手に取るまでジン・ゲームの「ジ」の字も知らなかった私ですが、メンタルもフィジカルにおいても強靭な加藤さんの胸を借りてコツコツ丁寧に役を創っていく所存です。どうぞよろしくお願いします。■加藤健一 コメントベントレイ保養園と呼ばれる老人ホームのサンデッキ。面会日でもある日曜日の午後。サンデッキへの出入口の向こうでは、家族や知人たちと楽しそうに語らう人々の声。しかし訪ね来る人のないウェラーとフォンシアは、今日もジン・ゲーム(トランプゲーム)をしながら時の流れを待つ。初めてジン・ゲームをするというフォンシアが、このゲームが得意だと言うウェラーに勝ち続ける様子は、まるでドタバタコメディのようでもあるが、ゲーム中に交わされる会話から浮かび上がって来る二人の人生の悲哀は、面白おかしいゲームの成り行きとは裏腹に、人の心を打つ。竹下景子さんとの共演は『川を越えて、森を抜けて』『喝采』に続き三本目となりますが、いつも全身全霊で板の上に立ち続ける竹下さんの姿には、心洗われる思いがしています。今回は二人芝居でもあり、膨大な台詞をとにかく頭に叩き込み、それをクリアした上で、このピューリッツァー賞受賞作品をどこまで深く、そしてどこまで楽しく表現出来るかがとても楽しみです。『ジン・ゲーム』キャストコメント動画<公演情報>『ジン・ゲーム』6月29日(木)~7月9日(日) 下北沢・本多劇場作:D・L・コバーン訳:吉原豊司演出:小笠原響出演:竹下景子、加藤健一【チケット】前売:5,500円当日:6,050円学生:2,750円(学生証提示、当日のみ)※全席指定・税込公演詳細:
2023年05月20日3月29日(水) より下北沢・本多劇場にて上演される加藤健一事務所3月公演『グッドラック、ハリウッド』より、キャスト3人のコメントが到着した。本作は、劇作家・脚本家のリー・カルチェイムが映画の聖地ハリウッドを舞台に、ジェネレーションギャップや世代交代の悲哀をユーモア溢れる台詞で描いた作品だ。とあるオフィスのスプリンクラーから垂れ下がった、先に輪のついたロープ。そして机の上に立つ男。偶然入って来た若い作家のデニスがハリウッドに来て早々に出会った不審なその男は、過去に大成功を収めた憧れの名監督で脚本家のボビー・ラッセルだった。しかし今、ボビーの脚本を映画会社は受け入れてくれない。求めているのは質の良い脚本でも、監督の実力でもない。デニスのような「トレンドに乗った人間」なのだ。この衝撃的な出会いをきっかけに、新旧の二人は詐欺まがいな共同作業をすることになる――誰も傷つかない嘘をつこうじゃないか。何も知らない助手のメアリーは、そんな二人の違和感に気付きボビーを心配し始める。垂れ下がり続けるロープ、そしてクランクアップした映画が三人にもたらした新しい人生、待ち受ける人生とは……。演出を務めるのは、劇団チョコレートケーキの演出家・日澤雄介。キャストは、名監督で脚本家のボビー・ラッセルを加藤健一、新人作家・デニスを関口アナン、助手のメアリーを加藤忍が務める。<コメント>■加藤健一最近またひと組、僕の知り合いの家族が沖縄に移住しました。東京での仕事を辞め、新たな地で再出発をしようと決心するのはとても勇気のいる事です。それでも東京圏から脱出して行く人は年々増加の一途を辿っています。『グッドラック、ハリウッド』は1988年のハリウッドが舞台になっています。この芝居の主人公であるボビー・ラッセルは、作・監督として映画製作に携わって44年。急激に変わっていく作品の方向性や表現方法に苛立ちを覚えながら、悶々とした日々を過ごしています。ともすれば人間性まで見失いそうになるショービジネスの戦場に生きる彼の姿は、経済至上主義の中で押し潰されそうに生きる私たちの姿と似ている気がします。■関口アナン「すごいの来たよ」マネージャーさんからLINEが来た、昨年の5月20日。僕は舞台の本番期間中で、危うく台詞が全部ぶっ飛ぶかと思うほどの衝撃でした。加藤健一事務所公演で、演出は日澤雄介さんで、3人芝居。2人の先輩にまざって小僧1人。宇宙人が真ん中で捕まってる写真が脳裏にパッと浮かんで、少し震えました。戯曲を読み終えて、また震えました。本当に3人しか出てきませんでした。未知です。「未知との遭遇 2023」です。人はわからないものに恐怖すると言いますが、わかっていても恐怖することもあるみたいです。ただ、こんなエキサイティングなこともないので全身全霊で飛び込もうと思います。皆様のご来場を心よりお待ちしております!■加藤忍心痛めるニュースの多い中、観た方の心をじんわりと温める芝居です!笑って観ているうちに、ふと、心の中に灯りがともる、素敵なコメディです。役者にとっては、とてもハードルの高い3人芝居に挑戦!恵まれたカンパニーで、そして恵まれた作品で、2023年のスタートを切れる事に感謝しかありません!溢れる感謝の気持ちを作品に込め、劇場でお客様とかけがえの無いひとときを過ごし、大きなエネルギー交換が出来たら幸せです。<公演情報>『グッドラック、ハリウッド』2023年3月29日(水)~4月9日(日) 下北沢・本多劇場作:リー・カルチェイム訳:小田島恒志演出:日澤雄介出演:加藤健一/関口アナン/加藤忍【チケット料金】(全席指定・税込)前売:5,500円当日:6,050円学生:2,750円(学生証提示/当日のみ)■前売販売2023年2月12日(日) 10:00~チケットはこちら:公演HP:
2023年02月10日英語の試験の1つとして知られる、『TOEIC(トイック)』。数種類ありますが、多くの人はリスニングと読解力が出題される、990点満点の試験を受けています。2023年1月23日、ミュージシャンであり、『ヒャダイン』としての名義も持つ前山田健一さんは、『TOEIC』の模擬試験を受けたそうです。本番の試験時間である2時間を使い、受けた前山田さん。その結果は、775点でした!【英語マスターへの道】2023.1.23とりあえずTOIEC受けようと思い、現在地点を確認するべく。大野アナときっちり2時間模試やりました。775点。最後の時間切れがやばい。目指せ900ですかね。大野アナの点数は伏せておきます。 pic.twitter.com/qtLCk59yD4 — ヒャダイン こと 前山田健一 (@HyadainMaeyamad) January 23, 2023 場合によるものの、『TOEIC』は700点以上あると高得点だといわれています。高得点であるほど、英語を使った能力が高いと評価される『TOEIC』。前山田さんは、同月19日、英語を話せるようにすることを1年の目標に掲げていました。まずは自分にどれほどの英語力があるかを知ろうと、『TOEIC』を受験すると明かしていたのです。今年の目標で英語ペラペラになろうと決め、四十路の脳みそに鞭打ちながら勉強してます。目標無いと辞めてしまうのでとりあえずTOIEC受ける事にしました。まあ語彙を忘れてるし、入ってこない!どこまで頑張れるか楽しみです。— ヒャダイン こと 前山田健一 (@HyadainMaeyamad) January 19, 2023 英単語の意味を忘れていることを含め、かつて学習した内容が頭から抜けているとつづっていた、前山田さん。であるにもかかわらず、いきなり高得点を取ったのです。前山田さんは京都大学を卒業したインテリタレント。そのため、多少英語学習にブランクがあっても、高得点を取れたのかもしれませんね。前山田さんの得点に対し、ネットでは「すごすぎます!」「多忙でも高得点なのはさすがです」「勉強方法を教えてください!」といった反応が相次ぎました。今後、英語を本格的に勉強していくであろう、前山田さんはさらに得点を伸ばすことでしょうね![文・構成/grape編集部]
2023年01月26日鈴村健一が総合プロデューサーを務め、人気声優が多数出演し、全てをアドリブで紡ぐ舞台劇「AD-LIVE」(アドリブ)。今年は「痛快群像劇!」をテーマに、各公演3人のメインキャストが、とあるテレビ番組の生放送を即興で作り上げるというバラエティー色豊かな公演に挑みます。3人のうち二人(キャラクターA,B)はAD-LIVE初出演5名を加えた計12名の声優陣、そしてもう一人(キャラクターC)は、全員初出演となる、レジェンド声優1名と、2.5次元舞台を中心にドラマ、映画と幅広く活躍する俳優陣5名が参戦!SNSを中心に話題沸騰の本作、本日より千葉公演が開幕致します。さらに東京公演を経て、総合プロデューサー鈴村健一さんからのコメントも公開!予測不可能な、その日、その場、その瞬間に生まれるドラマに是非ご期待下さい本日より千葉公演開幕!ライブ配信チケット好評発売中!PIA LIVESTREAM・ニコニコ生放送・U-NEXT・GLOBE CODINGにて全公演ライブ配信!チケット発売中!「AD-LIVE 2022」※千葉公演→昼公演:12:00開場・13:00時開演/夜公演:16:30開場・17:30開演※大阪公演→昼公演:11:30開場・12:30開演/夜公演:16時開場・17時開演※各ライブ配信開場は開演30分前を予定【千葉・森のホール21 大ホール】9月17日(土):榎木淳弥・島﨑信長・荒牧慶彦/9月18日(日):江口拓也・安元洋貴・速水奨総合プロデューサー&彩-LIVE:鈴村健一「AD-LIVE 2022」0917公演別ビジュアル「AD-LIVE 2022」0918公演別ビジュアル【大阪・大阪国際交流センター 大ホール】9月24日(土):浅沼晋太郎・上村祐翔・鳥越裕貴/9月25日(日):小野賢章・神谷浩史・高橋健介総合プロデューサー&彩-LIVE:鈴村健一「AD-LIVE 2022」0924公演別ビジュアル「AD-LIVE 2022」0925公演別ビジュアル【動画配信】AD-LIVE 2022 | チケットぴあ[チケット購入・予約] : 声優・俳優陣が総勢19名出演「AD-LIVE 2022」全12公演をライブ配信|ニコニコインフォ : AD-LIVE 22の検索結果 | U-NEXT 31日間無料トライアル : 「AD-LIVE 2022」 ライブ配信|8/27(土)~9/25(日)全12回をGLOBE CODINGにてライブ配信! | LIVE VIEWING JAPAN : <料金>3,800円(税込)※上記チケット代以外に手数料がかかります。AD-LIVE(アドリブ) 2022 - AD-LIVE Project : 総合プロデューサー・鈴村健一さんよりコメント到着!●東京公演各公演はいかがでしたか?【津田健次郎さん×畠中祐さん×和田雅成さん】初日に初日が出ました!津田さんが生み出す空間に自分の設定をしっかり乗せていく祐くん。そして、その二人の世界観を活かすためにキャラクターの行動を決断する和田さん。いいもの観せていただきました!0827東京公演・昼0827東京公演・夜【逢坂良太さん×森久保祥太郎さん×陳内将さん】ベテラン森久保くんがグイグイと引っ張っていく展開に逢坂くんが全乗っかりする瞬間は昼夜共にお見事でした。そして陣内さんの全てを見透かしているような演技は奇跡を起こしてくれました!「AD-LIVE」らしい「AD-LIVE」になった二日目でしたね。0828東京公演・昼0828東京公演・夜●東京公演を終えて、改めて「AD-LIVE 2022」で注目してほしいポイントを教えてください。3人の出演者それぞれが明確な役回りを持って演技をするので、大きな流れは「こんな感じになるかなぁ」と想定して演出プラン考えるんですが、いまだにその通りになったタイミングはありません(笑)誰が物語の主導権を握るかがまったく読めないので過去公演以上にスリリング。誰かが「仕掛ける瞬間」はきっと皆さんにもわかるのでその辺りは注目してもらいたいです。●千葉公演・大阪公演のそれぞれがどんな公演になりそうか鈴村さんの予想を教えてください。【榎木淳弥さん×島﨑信長さん×荒牧慶彦さん】ここは今公演で一番荒れる回になると思います(笑)だって設定やばいもん!演出チームも「まじでどうなるかわからん!」という状況です。本番、その目でお確かめください。【江口拓也さん×安元洋貴さん×速水奨さん】リハーサルではガンガン設定をぶっこむスタイルだった速水さんがどう動くかがポイントにはなりますね。江口君がそれに乗りながらボケつつ話をすすめ、散らかってきたところで安元君が片付けるって感じでしょう(笑)「AD-LIVE 2022」0918公演別ビジュアル【浅沼晋太郎さん×上村祐翔さん×鳥越裕貴さん】シリアス展開になったら面白いなぁと思っているチームです。上村君がかなりドラマチックに演技するスタイルなので、浅沼君がそれを感じて調整していく形になりつつ、お祭り野郎的な鳥越さんがガンガン盛り上げつつ、結果「あれ?泣ける話だ」って感じになると予想しておきます。完全に予想です。外れて後で笑われそう(笑)「AD-LIVE 2022」0924公演別ビジュアル【小野賢章さん×神谷浩史さん×高橋健介さん】未知数の高橋さんがどう暴れるかがポイント。リハーサルではかなり攻めた演技だったので、規格外の物語を構築しそうです。小野君がそこに乗っかっていって騒ぐのか、粛々と物語を進めていきそうな神谷君につくのか。といいつつ小野君がいつも攻めタイプ。リハの神谷君も思った以上に乗っかり型だったので、誰もコントロールできない展開になりそうですね。「AD-LIVE 2022」0925公演別ビジュアル●来場・視聴予定の皆様にメッセージをお願いします。痛快群像劇にふさわしい今年の「AD-LIVE」。泣いたり笑ったり、心の奥底の感情をひっぱり上げてくれる物語がきっと生まれます。是非ご覧ください!いまはじめて知った人は配信もありますのよ(笑)よろしくお願いします!Blu-ray&DVD予約受付中!■2023年3月8日(水)発売第1巻(津田健次郎・畠中祐・和田雅成)/第2巻(逢坂良太・森久保祥太郎・陳内将)「AD-LIVE 2022」0827公演別ビジュアル「AD-LIVE 2022」0828公演別ビジュアル■2023年4月5日(水)発売第3巻(榎木淳弥・島﨑信長・荒牧慶彦)/第4巻(江口拓也・安元洋貴・速水奨)■2023年5月10日(水)発売第5巻(浅沼晋太郎・上村祐翔・鳥越裕貴)/第6巻(小野賢章・神谷浩史・高橋健介)【通常版】仕様:本編ディスク2枚組Blu-ray/DVD共通価格:各8,800円(税込)特製ブックレット/オーディオコメンタリー/特典映像(CM、PV)【アニメイト限定セット】仕様:通常版+特典DVDBlu-ray/DVD共通価格:各9,350円(税込)特典DVD収録内容:「CAST AFTER TALK」:各公演終了直後の出演者による対談映像「メイキング映像」:本公演当日の舞台裏映像※商品の仕様は予告なく変更になる場合がございます。/パッケージジャケットは後日公開★特典情報★【アニメイト限定セット早期予約特典】2023年1月9日(月・祝)までに、アニメイト店舗(オンライン含む)でアニメイト限定セットをご予約いただいたお客様に、「AD-LIVE 2022」B3ミニポスターをプレゼント!(公演出演者ごと・全6種)特典ポスター絵柄※ご予約いただいた巻数と同じ出演者のポスターをお渡し致します。※特典のお渡しは商品お引取り時になります。【アニメイト各巻購入特典】公演衣装ブロマイド【昼公演】(公演出演者ごと・全6種ずつ)※特典のお渡しは商品の発送と同時になります。【ANIPLEX+各巻購入特典】公演衣装ブロマイド【夜公演】&オリジナルステッカーシート※特典のお渡しは商品の発送と同時になります。AD-LIVE(アドリブ) 2022 - AD-LIVE Project : 公式ホームページ・Twitterにて最新情報を更新中!!【公式ホームページ】 【公式ツイッターアカウント】@AD_LIVE_Project画像を使用の際は、下記のコピーライト表記の記載をお願いいたします。© AD-LIVE Project公演写真についてはトリミング不可となります。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年09月17日岡本健一と成河、魅惑この上ない顔合わせの二人芝居がこの冬を熱くする。挑むはスペイン出身の劇作家フェルナンド・アラバールによる奇想天外な不条理劇だ。絶海の孤島に現れた皇帝(岡本)と先住民の建築家(成河)の出会いから繰り出される駆け引き、愛憎、欲望のぶつけ合い……。文学座所属の新鋭・生田みゆきの演出のもと、強烈過ぎる劇世界に没入する覚悟を決めたふたり。語るほどに熱量が増すスペシャルトーク後編!衝撃的なふたりの出会い――今回で3回目の共演となるおふたりに、お互いに対する率直な思いをぜひ語っていただきたいです。岡本最初に成河を見たのは、TPT(シアター・プロジェクト東京)の『エンジェルス・イン・アメリカ』で……、あれっていつだっけ?成河2004年の上演だって!すごい昔だね〜。まだ20代前半の頃かな。岡本あの舞台でエンジェルを演じていた成河を見て、本当にクレイジーだなと…。成河またそういう言葉を!(一同笑)岡本いや、ホント、すげえな〜って。真っ白で、素っ裸で羽をつけて……。それまで、俺よりも年配のクレイジーな人はいっぱいいたけど、若い世代ではなかなか見たことなかったから、コイツ誰だ!? って思ったんだよね。見終わってすぐ友達に「誰、アイツ!?」「ソンハって、つかこうへいさんのところにいたらしいよ」「だからあの声が出るのか!」って。成河ハハハハハ!岡本ものすごく印象に残って、今でも覚えてるもん。現実離れしているというか、男の子があの役をやっているのも斬新だったし。何か、超越したものを生身で見せられた感じがあって。それから舞台でちょくちょく観るようになって。共演は『スポケーンの左手』が最初だけど、『エンジェルス・イン・アメリカ』以降は注目していましたね。『ブルー/オレンジ』(2010年初演、千葉哲也演出)とか観に行って……。成河その時に、話す機会がありましたね。岡本『スポケーン〜』で一緒になっても、そんなに絡みはなかったよね。成河ただ演出が小川絵梨子さんで、2回目の『森 フォレ』は上村聡史さんだから、両方ともかなりコミュニケーションを重視する現場だったんですよ。全体のことをいっぱい話し合う現場だったのはすごくよかったなと思う。岡本うん、いいことだった。その時の稽古を思い出しても、さっき( インタビュー前編:想像を超える戯曲『建築家とアッシリア皇帝』にどう挑む?() )、俺に言ってたことをそのまま成河に返す、みたいな感じだよね。腑に落ちないと始められない、とか(笑)。お互い、まったく気を遣うこともないし、気分のムラがあろうが何をしようが別にどうでもいい、本番さえちゃんとやってくれれば……みたいなところがあるし。そういう意味では、本当に作品に集中出来る仲間ではありますよね。「何かおかしくない!?」を見過ごせない人成河じゃあ今度は僕から!かましますよ!(一同笑)健一評に関しては一貫してるからね。年齢が離れているから、僕は健一さんの10代、20代での活躍とかそこまで詳しくは知らなくて。健一さんが二周、三周くらいしてから出会っている感覚なので、その前の健一さんは想像することしか出来ない。これはあくまで僕の中のイメージですが、健一さんは“そもそも論”の人なんです。岡本何なのそれ、分かんない(笑)。成河ようするに、どんな時も「いや、ちょっと待って。そもそもさ…」って言い出すのが、この人の口癖なんですよ。岡本そうなの!? 言ってる?成河言ってる言ってる!もう初日も間近に迫っている時に「いや待って、そもそもさ…」って言い出す人!そんな人を僕はもうひとり知っています。それはサイモン・マクバーニー(イギリスの俳優・演出家。成河出演舞台『春琴』を演出)って人で。岡本へええ〜!成河劇場で場当たりやってる時に「そもそもやりたいシーンがひとつ足りないから、作っていいか?」って言ったからね。(一同笑)“そもそも論”を忘れないと締め切りには間に合わないですよね。でも、本当に“そもそも論”を全部追い出していいモノが作れるのかと言ったら、そんなわけはないんですよ。だから、健一さんが、三周も四周もしていろいろと周りを見たうえで、「いや、ちょっと待って、そもそもさ……」って言い出した時の輝きといったら!岡本ハハハハ!全然分かんない。成河周りはドキッとするわけですよ。でね、僕もどっちかというとそうありたいと思っていて、いかに“そもそも論”に立ち帰れるかをつねづね考えていたんだけれど、必ず健一さんに先を越されるの!ああ〜今言おうと思っていたのに〜! って。それがすごく共感出来るし、リスペクトも出来る部分で。そもそも何でこの作品だっけ?そもそも何で演劇だっけ?そもそも何で生きてるんだっけ? って、考えなくていいことまで考えちゃうんですよ。何かおかしくない!? ってことを見過ごせない人なんです。8割の人は見過ごしてとりあえずは行こうとするけど、それが出来ない人。でも誤解のないように言っておきたいのは、現場が嫌な空気になる言い方はまったくしないから。周りがハッとするような止め方をちゃんとしてくれるんです。で、皆が健一さんの味方になっていくんですよね。実はすごく単純なことしか言ってないけれど、単純で当たり前だからこそ、理屈がメチャメチャ強固なんですよ。誰も反論出来ない。だから場を動かす人になり得るし、幹になり得る。でもね健一さん、この作品で“そもそも論”やり出すと、マジで3年くらいかかるかもしれないよね。(一同笑)分からないものを、座って観ていられるようにするのが僕たちの仕事――見過ごせないふたりがとことん探求する不条理な劇世界を、はたして観客はどのように受け止めるのか。反響が楽しみですね。岡本演劇好きな人たちは興味を持って観に来てくれるんじゃないかなと思うけれど、演劇に興味のない人に、いかに劇場に来てもらうかが肝心で。舞台って生で観ると、本当に人生が変わるくらいの力を持っているし。劇場にいる時間は、普段の生活、普段の自分を忘れる時間でもあって。目の前で人が生きていて、そこで物語が繰り広げられていくのを生で感じた場合、劇場に入る前と後では確実に何かが変わると思っているんです。あと、上演した生の舞台を観た人以外は、その作品について語っちゃダメ、絶対(笑)。成河うんうんうん!岡本その空間で、ちゃんと自分の目で観ていないんじゃ、話が出来ないはずだよ。劇場に来た人じゃないと味わえない、すごく贅沢な時間なんです。今のこの時代だから、余計にそのありがたみを感じるよね。だからこそ、まだ演劇を観たことがないなら、ぜひ来て! って強く言っていかないと、と思ってますね。成河そうだよね〜!岡本初めて観た舞台がこの『建築家とアッシリア皇帝』だ、っていうのはちょっと自慢になるんじゃないか?って(笑)。そういう人たちがこれを観て、何を思うのかもすごく興味があるよね。でもそれを聞けないところが面白さだったりもするしさ。成河分かるっ! 僕ね、話を変えるつもりはないんだけど、日本の演劇界の今後が心配なんです。このままチケット代がどんどん値上がっていったら、演劇は特権的な人たちだけのものになってしまう。今すでに、なろうとしているんですよ。そこは何とかジタバタして、今回も学生料金とかあるので(世田谷パブリックシアターでのみ受付)、若い人に向けてプッシュしたいですね。これは心療内科の人に聞いた話なんですけど、僕ら現代人が抱えている大きなストレスのひとつが“自分が自分でなきゃいけない”って思うこと。自分なんてものは、別になくてもよくて(笑)。私は私じゃなきゃいけない、って突き詰めて考えたところで、私なんてないわけですよ。それが若い人たちに与えるストレスってとんでもなく大きいんじゃないかと、僕は割と昔から思っていて、専門家がそう言っておるのを聞いてすごく納得したんです。で、演劇の話ですけど、たとえば今回の舞台だと、ふたりの俳優がある種“ごっこ遊び”のように、コロコロ役を変えながらやるわけですよ。それは何にでもなれるし、何者でもないってことの証明なんですよね。つまり演劇や劇場って、“あなたはあなたでなきゃいけない”っていう呪縛から解き放たれるための場所なんですよ。自分らしくなんていなくていい、誰よりも俳優自身が“私”なんて失くして、目の前でメチャクチャ遊んでいるじゃないかと。何をやっているのか分かっても、分からなくてもいいし、それ自体に価値があるから「エンタテインメント」と言って来たと思うんですよ。で、無理矢理つなげてナンですけど(一同笑)、こういう何か一見分からないものを、座って観ていられるようにするのが僕たちの仕事だから。座っていられなかったら、もう帰っていいよ!岡本ハハハハ!成河でもね、その自由をお客さんに与えなきゃいけないんですよ。「分からなかった自分が悪い、勉強不足だった」なんて言わせてはいけないんですよ。それはこっちが反省しなきゃいけない。絶対にその時間、座っていられるようにいろんなことをするから、そこはこのお兄さんたちを信じていただきたい!だから若い人のための割引チケットも活用して、ぜひトライしてください(笑)。岡本語ったね(笑)。いや、絶対にすごい劇になりますよ。メチャクチャになる僕らを、その空間を覗きに来てください。取材・文:上野紀子撮影:You Ishiiインタビュー前編は こちら()★9月19日(月・祝)まで、『建築家とアッシリア皇帝』ぴあ貸切公演のチケット先行発売中!<公演情報>『建築家とアッシリア皇帝』2022年11月21日(月)~2022年12月11日(日)会場:東京・シアタートラム作:フェルナンド・アラバール翻訳:田ノ口誠悟上演台本・演出:生田みゆき出演:岡本健一、成河公式サイト:
2022年09月17日岡本健一と成河、魅惑この上ない顔合わせの二人芝居がこの冬を熱くする。挑むはスペイン出身の劇作家フェルナンド・アラバールによる奇想天外な不条理劇だ。絶海の孤島に現れた皇帝(岡本)と先住民の建築家(成河)、ふたりの出会いから繰り出される駆け引き、愛憎、欲望のぶつけ合い……。文学座所属の新鋭・生田みゆきの演出のもと、強烈過ぎる劇世界に没入する覚悟を決めたふたり。作品に、演劇に対する思いは語り出したら止まらない!こんな台本、読んだことないというくらいすごい世界――岡本さんと成河さん、そして演出の生田みゆきさんの繋がりは、昨夏の舞台『森 フォレ』(ワジディ・ムワワド作、上村聡史演出)ですよね。おふたりが共演し、生田さんが演出助手を務めていらっしゃいました。その際にもう今回のお話は出ていたのでしょうか?岡本いや、その時は何も話していませんね。成河うん、話はしていないけど、でもさすがに今回の戯曲は、演出家を含めて完全に「初めまして」の3人でやれ、って言われてもキツいかもね(笑)。岡本そうだね〜。制作側から、候補として『建築家とアッシリア皇帝』という戯曲があるけどお読みになりませんか? と戯曲を送ってもらったんです。でも別の舞台の本番中だと、やっぱり「読んでる場合じゃないから〜」となるわけですよ(笑)。ただ、この戯曲を昔、山崎努さんがやっていらしたんですよね。僕は山崎さんのことをすごく崇拝していて、戯曲を読む前に山崎さんに連絡して「今度これをやる予定なんです」って言ったんです。そうしたら山崎さんが「あの舞台は自分にとって大冒険だった」っておっしゃって。山崎さんが大冒険って、どういうことだろう!? と。それで、今日この取材があるので昨日読み終えたんですけど(笑)、いや、コレ冒険どころじゃないなと。成河ハハハハ!岡本こんな台本、読んだことない……っていうくらい、すごい世界だった。――軽々しく受けてしまった……という一抹の後悔が!?(笑)岡本いや、僕、基本的に来た仕事は全部受けるスタンスだから。(一同笑)これを今、上演するのか……、いろんな世界があるなと。それで相手役が成河だと分かって、男ふたりで喜怒哀楽、いろんな感情をぶち撒けて、性別も超えて、立場も超えて……、どこに進んでいくのかまったく分からない、“演劇ならでは”みたいな戯曲だなと。そこには不穏な空気も、悲しみも混ざっていて、もちろん愛もあったり。とにかく、ひたすら喋り続けているんですよ。ここまで喋り続ける戯曲は……、以前サルトルを上村聡史さんの演出でやった時も(『アルトナの幽閉者』2014年上演)異常に喋っていて、ずっとそれが俺の中での長台詞ナンバーワンだったけれど、今回がダントツの台詞量だね。二人芝居で、って言っても……。成河そう、ほぼ一人芝居のパートがドーンとありますよね(笑)。岡本そこがある種、面白いところでもあったり、ちょっと想像を超えるところでもあるし。一体これをどうやったら……って全然分からない。だけどまあ、成河がいるしね。成河出た出た!(一同笑)岡本成河と俺が一緒にやったら、何かになるだろ〜みたいな感じですよね(笑)。健一さんの、結構面倒臭いところも知ってるから成河健一さんとは3回目の共演になりますね。最初は『スポケーンの左手』(マーティン・マクドナー作、小川絵梨子翻訳・演出、2015年上演)で、2回目が『森 フォレ』。ただ、ふたりでガッツリと稽古して作る、みたいなシーンは2作品ともそんなになかったんですよ。僕、二人芝居がすごく好きなので、今回はもうすごく嬉しくて。健一さんの、結構面倒臭いところも知ってるから〜。岡本え、俺、面倒臭い?成河いやいや、こだわり抜くところを知ってるから!簡単に答えを出さない、答えを急がないところが好きなんです。誰かが止めないと、ずっと答えを探り続けちゃうんだけど、僕もブレーキをかけないので(笑)。ふたりでブレーキをかけないでずっと悩んでいたら、どうなるんだろう……って楽しみで。で、生田さんともあらためてお会いして、さらに楽しみになりました。この作品に向けて本当にワクワクドキドキされていて、それが周りの人もワクワクさせるくらい真実味があるんだよね。演劇の勉強もしっかりとされて来て、ご自身の方法論も持っているにも関わらず、それを一回脇に置いて、皆をすごく楽しませようとしてくれる。健一さんとふたりで延々と悩んでいれば、生田さんがどこかで「ハイッ、おしま〜い!」って止めてくれるような気がしますね(笑)。楽しそうに演劇を作る人と一緒にやれるのは、すごく嬉しいです。岡本オペラを演出していた、っていう話とか聞くと、ちょっと面白いなと。成河とくに今回の戯曲は、ある方法論でとりあえず何か作れるようなものじゃないからね。演劇が好きで、人と話すのが好きじゃないと、とてもじゃないけど出来ない(笑)。この座組を作ってくれてありがとう〜って思いましたね。手強い戯曲でも楽しんでドツボにハマっていく――成河さんにも、戯曲の感想を伺いたいです。成河僕も昨日、ちゃんと取材のために読みましたよ(笑)!読んで、次の日にあんまり捏ねくり回さずに喋ることがすごく大事なプロセスだと思っていて。だから取材はありがたいんですよね。読みながら僕、3回くらい、声を出して爆笑したんですよ。やっぱり不条理な笑いってすごく威力があって。予想もしないところからドーン!と来るから大笑いしちゃうんですよね。そういうふうに仕掛けて、楽しんで書いているのが読んでいて分かるので。そこを取っ掛かりに楽しみたいなと思っています。作者のアラバールについては『戦場のピクニック』という戯曲くらいしか知らなくて。ただ壮絶な出自を持つ人で、その経験が作品に書き込まれていたりする。いわゆる不条理劇作家の中でも、とても社会性も政治性もあるからこそ、手強いなと感じます。たとえば『森 フォレ』のワジディを読んだ時も「難しいな〜」って言ってたけど、ちょっと次元が違うんですよ。ある種、理解させる気がないから、なかなか歯が立たない(笑)。でも、まだ時間があるので、いろんな方向からいろんなことを勉強して、挑んでいきたいですね。岡本完全に不条理という感じにも思えないんだよね。登場人物の、彼らの喋っている内容に引き込まれていくと、いろんな世界が見えて来て。成河も言ったように作家のことを調べると、母親と父親との関係とか、ちょっと考えられないな……みたいな壮絶なことを経験して来た人で。また戦争であったり、革命的なことであったり、それこそ、この戯曲に書かれている以上のことを自身が経験して来て、それを演劇として提示して観客に伝えていった……と考えると、これから俺たちに起こる大変さだとか、肉体的な辛さとか、大したことじゃないんじゃないかなと思うんですよ。成河ああ〜確かに!岡本この作家が経験して来たことに比べたら……、まあそれはワジディ・ムワワドの時もそうでしたけど。成河そうですね。ここに書かれていることをひとりで経験したのかと思うと、どれだけのストレスなのかと……。この作品、ものすごい力を背負って生まれて来たってことになるね。岡本そう、ここに出て来る登場人物の人生を考えたら、今この平和な日本で生きている俺らはどうなのよ、って話に行き着いちゃうんですよね。どんなに大変な作業だとしても、まず死は直接的には絡んでないし、家族は誰も殺されてない、そんなふうに考えたら、こうして作品に挑めるのは何て幸せな時間なんだろうと。絶対に乗り越えられるはずですよね。まあ、稽古場でどれくらい揉みくちゃになるかは想像つかないけれど(笑)。でもね、演劇、“プレイ”ですから、楽しんでドツボにハマっていこうと思います。成河そう、“プレイ”だよね。思いっきり遊ばないと、見えて来ないものがあると思う。岡本“遊ぶ”って文字にすると、本当に遊んでいるみたいだけど、そういうんじゃなく……なんでしょうね。成河真剣に遊ぶ、というか。岡本本気で怒り狂う、本気で泣きむせぶ、本気になって愛するといったような……。成河遊びだから出来る本気、というかな。岡本うん、そうね。役者とか演劇関係の人にしても、これを劇場で、実際に生で観たらびっくりすると思うんですよね。本当にこれまで見たことのない、そんな作品になりそう。成河遊びよりも、もっといい言葉があったらいいんだけど……。俳優が“プレイ”をしている姿に何かを感じさせるものがある、その受け皿として戯曲が用意されているといった感じかな。だからやっぱり、俳優冥利に尽きますよ。――お話を伺って、本当にとてつもないチャレンジに向かおうとしているのを感じます。やり遂げた暁にはどうなるのか……。成河どうなるんでしょうね!? やり遂げた暁には……何もない気もするけど(笑)。岡本やり遂げられるのか、やり遂げるということがどういうことなのか、それも分からなかったりするよね。成河やっぱり、過程が一番重要なんですよ。ゴールを目指しているわけじゃなくて、ず〜っと過程のまま。その一部を切り取ったのが稽古スタートと千穐楽なだけであって。ずっと考えたり、遊んだりしている途中だといいなと思いますけどね。(後編に続く)取材・文:上野紀子撮影:You Ishiiインタビュー後編は9月17日(土) 10時公開! 岡本さん、成河さんがさらに語りつくします!★9月19日(月・祝) まで、『建築家とアッシリア皇帝』ぴあ貸切公演のチケット先行発売中!<公演情報>『建築家とアッシリア皇帝』2022年11月21日(月)~2022年12月11日(日)会場:東京・シアタートラム作:フェルナンド・アラバール翻訳:田ノ口誠悟上演台本・演出:生田みゆき出演:岡本健一、成河公式サイト:
2022年09月16日舞台人・加藤健一、渾身の一人芝居であった。『スカラムーシュ・ジョーンズあるいは七つの白い仮面』。上演時間1時間40分、出ずっぱり。果てしなく続く台詞の記憶力、体力、そして声帯。“72歳の老優(失礼!)”による全身全霊の舞台は、彼が抱いたそんな不安を吹き飛ばす熱い演技だった。幕が左右に割れて登場した姿は、白塗りの顔に赤く丸い鼻。帽子を被って舞台前方にゆっくり歩んだ。チャップリンのように見える、道化師スカラムーシュ。わずかに浮かぶと思えた微笑みには愛嬌さがあった。七つの仮面を一つひとつ取っていく、まずその第1は孤児となり、奴隷となり、長い旅を始めるに至る生い立ちを語る。蛇使いの奴隷になると、長く白いタオルを蛇に見立ててクネクネトと扱うのが面白い。アフリカのセネガル、北アフリカ、さらにヴェニスからポーランドへ。6歳での旅立ちから52歳までの半生の流浪をモノローグドラマで描いたのだが、加藤は“七色の声”で操った。スカラムーシュ自身、母親、子供、ジプシーといった人物を多彩な声を使った台詞術だ。椅子から飛び降りて上手から下手へでんぐり返し、舞台中央から客席に向けて2回目のでんぐり返しはスローモーションの如くゆっくりと回った。円形の舞台装置を自分で半回転させたり、墓穴掘りやパントマイムも演じる。それは長い舞台経験の中で培ってきたカトケンの“七色の芸”と言えるだろう。父親の母国であるロンドンに着いたスカラムーシュは語りを止める。孤独の世界を生きてきた半生は、辛く、また喜怒哀楽を体験し尽くし、胸に秘めた道化の精神。冒頭から灯し続けたロウソクの灯を吹き消すと、死後の世界だろうか。暗転、そしてブランコに乗った道化が空中から降りてくる。なんてステキなエピローグなのだろう。この主人公のみならず、七つとは言わないが、人はだれしも二つや三つの仮面を生きているかも知れない―と思わせる物語世界であった。そして、それは加藤健一という舞台人の半生と重なるようであった。(8月18日所見)撮影:石川純<公演情報>加藤健一事務所『スカラームーシュ・ジョーンズ または七つの白い仮面』2022年8月18日(木)~2022年8月28日(日)会場:本多劇場プロフィール大島幸久(おおしま・ゆきひさ)東京都生まれ。団塊の世代。演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。何でも見ます。著書には「名優の食卓」(演劇出版社)、『歌舞伎役者 市川雷蔵 のらりくらりと生きて』(中央公論新社)など。鶴屋南北戯曲賞、芸術祭などの選考委員を歴任。「毎日が劇場通い」という。
2022年09月07日加藤健一事務所8月公演『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』が、8月18日から28日まで東京・本多劇場にて上演される。本作はイギリスの作家ジャスティン・ブッチャーが手掛けた一人芝居。夜の娯楽として「喜劇的で風刺的な千年紀の物語を書く」と自らに課して書いた作品で、作中にはブッチャーの両親・親族の生まれや人生、そして自身が得てきた様々な経験が盛り込まれている。2001年にダブリン・シアター・フェスティバルにて初演、2021年にウィルトンのミュージックホールなどで上演され、今回の加藤健一事務所公演が日本初演となる。1899年12月31日、19世紀の終わり、大晦日のカーニバルの中、美しい褐色の肌を持つ女から生まれた小さな赤ん坊は抜けるように白く、何か特別なことのために生まれてきた子だ……と、つけられた名前は道化師を意味する、スカラムーシュ。生涯で唯一“我が家”だといえる場所を僅か6歳で後にし、たった一日で孤児となり、奴隷となり、流浪の身となり……そしてこれが、これから長く続く波瀾万丈な旅路へのスタートとなる。時にその光景や匂いに恍惚とし、この世のものとは思えぬ魅力的な音楽と共に旅をした。自身の透き通るような白い肌によって巻き込まれた数奇な運命は、恐怖と喜びに満ちていた。そして今夜は1999年12月31日、20世紀のどん尻でありミレニアム・イブ。大きな花火が打ち上がる大晦日にスカラムーシュ“道化師”が己の人生を、仮面を剥がすように語り始める。加藤健一事務所は、1980年、役者・加藤健一が一人芝居『審判』を上演するために立ち上げ、劇団員は加藤健一のみ。上演プログラムからキャスティング、演出、照明、音響、美術、衣裳など全てにわたって加藤本人がプロデュースするという体制をとっている。今回演出は鵜山 仁が務めた。チケットは、7月3日より一般発売が開始される。■加藤健一 コメント2年半にも及ぶコロナとの長い闘いで、文字通り「刀折れ矢尽き」立っているのがやっとという日々の中、心に灯り続ける温かい光は、劇場に足を運んで下さる皆さまとの目に見えない絆です。そんな皆さまのエールにお応えするには、役者加藤健一が全身全霊で舞台に立つ姿をお見せするしかないと考え、この一人芝居を選んでみました。『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』は、今の僕にとって8,000メートル峰単独登頂に挑むような心境です。「そこに山があるからだ」と言った登山家がいますが、目の前に高い山が現れると、危険を顧みず挑んでみたくなるのは、舞台に生きる芝居者の性でしょうか。皆さまの応援だけが頼りです!!『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』スチール撮影裏側<公演情報>『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』2022年8月18日(木) ~8月28日(日) 下北沢・本多劇場【日時】8月18日(木) 14:008月19日(金) 14:008月20日(土) 14:008月21日(日) 14:008月22日(月) 14:008月23日(火) 休演日8月24日(水) 19:008月25日(木) 14:008月26日(金) 14:008月27日(土) 14:008月28日(日) 14:00【チケット料金】前売:5,500円当日:6,050円学生:2,750円(学生証提示、当日のみ)一般発売:7月3日(日) 10:00より【キャスト / スタッフ】出演:加藤健一作:ジャスティン・ブッチャー訳:松岡和子演出:鵜山 仁美術:乘峯雅寛照明:古宮俊昭音響:秦 大介映像:浦島 啓衣裳:加納豊美マイム指導:小島屋万助舞台監督:畑﨑広和チケットはこちら:公式サイト:
2022年07月01日共演に梅若万三郎・観世銕之丞・梅若紀彰・野村万作・野村萬斎ほか青木一郎/青木健一/一樹会主催、『青木響平初舞台 青木健一独立十周年記念 一樹会』が2022年6月12日(日)に国立能楽堂(東京都渋谷区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 ★カンフェティ限定割引チケットあり公式ホームページ 一樹会Twitter(@ichijyukai_noh) 能楽青木家として新たなる門出を記念する公演!《響平3歳の挑戦》青木健一の長男響平が3歳で初舞台を踏む。父の初舞台は4歳で仕舞「老松」…、はたして響平は無事に勤めきれるか?こうご期待!《健一、道成寺へ再挑戦》満を持して健一が道成寺に再挑戦!今回は特殊演出にて演じられるスペシャルバージョン。美しくも儚い情念をどのように演じるか必見です。主な出演者…梅若万三郎・観世銕之丞・梅若紀彰・野村万作・野村萬斎一樹会一樹会はシテ方観世流能楽師 青木一郎・健一が主催する演能団体です。前身となる青木一郎能の会を令和元年に改編し、都内を中心に能楽の演能および普及活動を行っています。開催概要『青木響平初舞台 青木健一独立十周年記念 一樹会』開催日時:2022年6月12日 (日)午後1時開演(終了予定4時)会場:国立能楽堂(東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1)【番組】仕舞「老松」:青木響平地謡:青木一郎、青木健一仕舞「菊慈童」:青木一郎地謡:梅若紀長、中村裕、長谷川晴彦、梅若久紀、梅若紀佳仕舞「難波」:梅若万三郎「花筐 狂」:観世銕之丞地謡:梅若紀彰、伊藤嘉章、八田達弥、古室知也、梅若志長狂言「二人大名」シテ(大名):野村萬斎シテ(通りの者):野村万作アド(大名):野村裕基後見:月崎晴夫独吟「笠之段」:梅若紀彰解説 武蔵野大学教授武蔵野大学能楽資料センター長:三浦裕子能「道成寺 赤頭 中之段数躙 無躙之崩 五段之舞」前シテ(白拍子)後シテ(蛇體):青木健一ワキ(道成寺住僧):野口能弘ワキツレ(従僧):野口琢弘、則久英志オモアイ(能力):野村太一郎アドアイ(能力):石田淡朗笛:一噌幸弘小鼓:久田舜一郎大鼓:大倉正之助太鼓:小寺真佐人後見:梅若万佐晴、加藤眞悟、梅若泰志地謡:青木一郎、西村高夫、伊藤嘉章、八田達弥、遠田修、長谷川晴彦、古室知也、梅若志長鐘後見:観世銕之丞、清水寛二、観世淳夫、安藤貴康、梅若久紀狂言鐘後見:野村裕基、中村修一、内藤連、飯田豪■公演スケジュール【番組】1時仕舞「老松」仕舞「菊慈童」仕舞「難波」仕舞「花筐 狂」1時15分頃狂言「二人大名」(30分)1時45分頃独吟「笠之段」(5分)―休憩15分―2時頃解説(20分)2時20分頃能「道成寺 赤頭 中之段数躙 無躙之崩 五段之舞」(100分)終了予定4時■チケット料金(前売)S席:11,000円A席:9,000円B席:7,000円D席:3,000円(全席指定・税込)【カンフェティ限定】B席:7,000円→ カンフェティB席:6,000円!C席:5,000円→ カンフェティC席:4,000円! 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年05月14日歌舞伎俳優の尾上松也、尾上右近が出演する、日本中央競馬会「第89回 東京優駿(日本ダービー)」の期間限定コンテンツ「歌舞伎ダービー」が12日より、特設サイトにて公開される。今年、第89回を迎え、数ある競馬レースの中でも頂点に立つと言われる日本ダービー。今回、伝統と格式あるこの一大レースを盛り上げるべく、日本が世界に誇る伝統芸能「歌舞伎」とのコラボが実現した。レースゲームなどを楽しめる「東京優駿善悪鑑(とうきょうゆうしゅんぜんあくかがみ)」では、日本ダービーのためだけに歌舞伎を取り入れたオリジナルストーリーを展開。障害物レースや、日本ダービーに関するトリビアクイズが楽しめる。また、日本ダービーの魅力を伝える歌舞伎を取り入れたオリジナルムービー「競馬祭典花姿絵(歌舞伎ダービースペシャル動画)」では、江戸時代を舞台に松也と右近が兄弟役として登場。自宅にいながら二人が競馬で運試しをする様子を描いた「おうち競馬で候!」編や、インタビュー形式で休日の過ごし方を語る「ぱぱっと即PAT!」編など、エンタメチックに競馬の楽しさや魅力を描いている。○■尾上松也、尾上右近インタビュー―― 「日本ダービー」と「歌舞伎」がコラボすると聞いた時はいかがでしたか?松也:本当にうれしかったです。歌舞伎というエンタテインメントを選んでいただいたこともうれしかったですし、僕自身も競馬は子どものころから好きで、とても馬が好きでしたので、日本ダービーに関わらせていただけるなんて、こんなにうれしいことはございませんでした。右近:日本を代表するエンタテインメント同士で歴史もありますし、そういった意味でも精通する部分もあり、お祭りという意味で皆さんが楽しみにして思いのあるイベントに自分も関われるということで、うれしくお受けしました。―― 「東京優駿善悪鑑」では3つのミッションにクリアして邪悪苦次郎の悪の手からレースを守れるかというゲームですが、普段の生活で守っているルーティンはありますか?松也:家庭用の焚火を購入しましたので、毎日焚火をしています。火を見るのが好きで、夜のルーティーンとして照明は一切つけずに、火だけで過ごすというのが、夜の私の過ごし方です。リラックスできます。右近:最近はジョギングです。どんな日も雨が降ろうが、槍が降ろうが30分は走るようにしてます。何か一つ、どんなことがあってもやっているものがあると気持ちが安定する。あと、食べるのが好きで、特にカレーが好き。食べることを諦めたくないので、その分動こうと思っている。――日本ダービーでは様々な馬が走りますが、自分の馬に名前を付けるならどんな名前にしますか?松也:「マツヤニ」。日本ダービーは、ネーミングが短めの馬が最近勝っている印象があります。印象に残っているのは「ウオッカ」などです。「マツヤニ」は自分の名前が入っていますし、4文字でしたら活躍しそうだなという……。儲けたい欲が出てこうなりました(笑)。右近:私の馬の名前は、「ケンノユメ」です! 僕の本名がけんすけといいます、自主公演の名前も研究の「研」なんです。研究って、「研ぐ」、「磨く」という意味があるので、「研の會」という名前で自主公演やっているため、「研」という名前を付けたい。あとは、やっぱり夢があるっていうことが言葉として好きなので、自分の夢を託して「ケンノユメ!」。――今回、兄貴的存在の松也さんとの共演ですが、右近さんから質問や伺いたいことはありますか?右近:(日本ダービー前日、5月28日は右近の誕生日ということで)以前は高価なプレゼントをいただいたのですが、今年は何をプレゼントしてくれるのでしょうか? 馬ですか? 馬だったら良いな。それぐらい期待しております。松也:馬ですか。まぁ良いですよ。馬にしましょうか。僕、夢だったんですけどね。馬主になるの。買うだけ買って、人に譲るとは思いませんでした……って買えるわけない(笑)。馬買ってどうするんだ。移動手段で使ってくれるなら買いますよ。馬のフィギュアでもあげますよ。
2022年05月12日人気の若手歌舞伎俳優、中村壱太郎さんと尾上右近さんが、『没後50年 鏑木清方展』のイベントに登場!歌舞伎をテーマにした展示室で、トークとフォトセッションが行われました。さらにその後、インタビューも実施。アートやエンタメの魅力、東銀座界隈の思い出など語っていただきました!中村壱太郎さん、尾上右近さん、登場!左:尾上右近さん右:中村壱太郎さん《道成寺 鷺娘》の前で撮影【女子的アートナビ】vol. 239東京国立近代美術館『没後50年 鏑木清方展』の展示室に登場したお二人。さすが歌舞伎俳優さん、立ち姿がとても美しいです!中村壱太郎さんは、歌舞伎俳優だけでなく日本舞踊の吾妻流七代目家元、さらに現代劇でも活躍。尾上右近さんも、歌舞伎俳優と家業である日本古典音楽の清元、映画やバラエティ番組にも出演し、多方面で活躍されています。まずは、鏑木清方の華やかな作品《道成寺(どうじょうじ) 鷺娘(さぎむすめ)》の前でフォトセッション。《道成寺 鷺娘》とは、歌舞伎の演目『京鹿子娘道成寺』と『鷺娘』をテーマに描いた作品。お二人とも、歌舞伎では女方を中心に演じられているので、作品にも興味津々なご様子。撮影の合間にも、絵に描かれている着物や仕草などについて、楽しそうに話されていました。続いてのトークセッションは、《京鹿子娘道成寺》の作品が並ぶ展示室で実施。お二人が鏑木作品の魅力について、語りました。壱太郎さん清方先生の作品は、一言で言うと、眼福。幸せになれます。美しいものを見ると人間は幸せになれる、と改めて感じました。特に、僕らは着物や日本の文化に触れて仕事をしているからかもしれませんが、日本人のどこかに眠っているものと紐づけられるのかなと思います。右近さん品格が高いと思います。画家がどんな人だったのか、絵を見ながら僕はよく人物像を想像してみるのですが、清方作品には品格があふれ、知性があります。江戸っ子の粋や風流、時代からくるモダンさなどに楽しみを感じます。心静かにカブいているのがいいですね。お二人にインタビュー!続いて、本展覧会の目玉作品である清方の美人画三部作《築地明石町》、《新富町》、《浜町河岸》が並ぶ展示室でインタビューを実施。まずは、三部作について、お聞きしてみました。――こちらの美人画で、どの作品、どの女性がステキだと思いますか?右近さんやはり、築地明石町のお姉さんでしょう。この凛とした姿。この瞳で見つめられたいです。男目線でも、女方の役者として見てもステキです。男性の画家が描く女性は、理想の女性の姿で、男が演じる女方も理想の女。そのリンク性も作品から感じられますし、とにかく断然美しいです。男としては、こういう女性に振り返られたいですね(笑)。壱太郎さん浜町のおぼこさんもいいと思う。僕らも踊りを習うと、この絵のように「振り」をおさらいするのです。「今日習ったことは、こんな振りだったのかな」とこの絵を見てすぐにわかります。着物の袖を持ち、扇子を口に当てるというのは、日常にはないしぐさ。これを切り取っている清方先生のセンスはすばらしいですよね。右近さん確かに、浜町の作品もいいですね。どの作品も凛としてさわやか。そして、首がキレイ。九州系だね。――九州系とは?右近さん九州の女性は色白で、首が細くて、毛の流れがきれいというのが僕の勝手な思い(笑)。尾上右近の統計。九州の女性は色白で、輪郭がいいのです。壱太郎さんハハハ。でも、これ大丈夫?九州以外の人を敵に回していない?右近さん大丈夫、大丈夫!「想像させる絵がステキ」――全体を通して、お好きな作品はどれですか?右近さん僕は《墨田河舟遊》(※筆者注:屋形船で姫や若侍が楽しむ様子を描いた屛風)。人間が生き生きと描かれ、楽しそうでワクワクします。当時の時代の最先端が感じられ、若いエネルギーで楽しんでいる。僕らも結局、同じことを繰り返していますよね。カラオケ行ったり、クラブ行ったりするのと同じです。上品に遊んだほうが楽しいよ、ということもこの絵から感じます。壱太郎さん僕は、《佃島の秋》(※男性が女性に花を手渡している場面を描いた絵画)。勝手な解釈だけど、下に描かれている美しいアヒルと女性がリンクしていると思うのです。ぶっきらぼうな男の人が、白くてきれいなアヒルに花をあげてみた、という感じで、この絵をもとに芝居を書けるくらいの情報量があります。想像させる絵がステキです。見る楽しさを感じさせてくれます。「エンタメは、非日常を感じるのがいい」――お二人は、とても楽しそうにこの展覧会をご覧になっていますが、一般的に、特にanan世代の多くは、「日本画の展覧会ってハードルが高そう」と感じているような気がします。右近さんハードルが高い、とすでに存在を認識しているのなら、そのハードルを越えてみたらいいんじゃないのかな。触れてみたらいいと思います。知らないよりは知っているほうが絶対いいです。見に行ったら、「知っている」というステイタス以上に「おもしろい」という純粋な感情が生まれる。ハードルが高いと認識しているものは、もっと触れてみたほうが楽しいですよ。壱太郎さん歌舞伎も、同世代や若い方に「勉強しに行きます」とよく言われます。でも、別に勉強するものではないんですよね。右近さんそうそう。勉強するのは僕らの仕事ですから。壱太郎さんまさにそう。清方先生の《佃島の秋》みたいに、想像する楽しさをみんながもてる。絵を見ていると、それ以上のものを感じるのが絵画のおもしろさで、歌舞伎も一緒。「この人どうしてこんなにきれいなのかな」と素朴な疑問をもつとか、それだけでいいのです。そのきっかけさえ見つければ、それ以上のものをもって帰れると思います。右近さんエンタメは、非日常を感じられるのがいいです。美術館という空間自体いい。おならもできない静寂な空間(笑)。壱太郎さんもうちょっとananらしい良いたとえはないの(笑)。でも、展覧会なら、好きな絵をひとつ見つけに行こうと思って友達と出かけて、感想を伝え合うのもいいよね。朝イチで山盛り海鮮丼!――鏑木清方は築地界隈で暮らしたことがあるので、それらの地域が作品にも描かれています。歌舞伎座からも近いエリアですが、お二人にもなにか築地の思い出はありますか?右近さん以前、二人で歌舞伎座に出ていたとき、朝の築地に行きました。一幕目は昼の11時に開演するので、だいたい10時に楽屋入りします。その前にということで、朝7時に集合して行きました。壱太郎さんあれはよかったね。海鮮丼食べて。右近さんそう。高いのを食べました。よかったですよ、山盛りで(笑)。あの界隈のあの空気感も独特。浅草とか上野の江戸っ子も僕らは知っていますが、築地あたりの江戸っ子の空気は、また違うんですよね。河岸の人間の時間軸を感じて、いいなぁと思いました。『芝浜革財布』という芝居があり、河岸に通う男の話なのですが、築地にいると「こういう空気なんだな」とわかります。夕方には寝るという雰囲気。僕も、いつも午前中はちょっと眠いのですが、築地に行った日は、朝7時から食事をしているものだから、元気モリモリで(笑)。みんなと時の流れ方が違って、すごく充実感がありました。うまいもの食って来ているから(笑)。壱太郎さんこっちはもう始まってんだぜ!っていう感じだったね(笑)。「過去の自分は常に良くない…」――鏑木清方は、自分の作品を自己評価し、その記録が残っています。本展では、その記録をもとに、会心の出来には三ツ星など、作品に星がつけられていますが、そのような画家の姿勢をどう思いますか?右近さん目に見える絵画作品の場合は、いやでも冷静に評価が見えてきますよね。僕らは毎日同じことをやっていても、毎日コンディションも違うしお客さまも違うし、お互いのコンディションも違うし、状況が毎日違うので、自己評価の仕方が難しいです。常に揺れ動いているものなので、実態がわからない。後から振り返るとわかるときもありますが、この時が良かったというのは120パーセントないです。壱太郎さん清方先生の絵は、このまま一生残っていきますが、僕らの演技はその瞬間でしか残らない。だからこそステキさがあると思うので、その意味で評価の仕方は絵とは違うと思います。ただ、自己評価というより、仲間がいるから目指せるものはあるので、高め合いは常に意識しています。右近さん例えば過去の映像を見ると「ひどいな」と自分で思うのです。なんでこんなに拙いことやっているんだ、と。過去の自分は常に良くない、というのが植え付けられているので、冷静に判断ができない。成長がどこにあるのか、自分ではまったくわからないのです。へたに過去の映像など見てしまうと、進歩していない自分が目の前に立ちはだかって舞台に立つのが嫌になる。今日はいい舞台ができるぞという自己催眠がかけられなくなるのです。壱太郎さんこれは役者の宿命。今はビデオがあるから、僕らも頼るし必要だとは思います。でも、あまりにも見すぎると、自分は果たして何なのか。わけがわからなくなる。そこの難しさは僕らにはあります。右近さん客観性を持つのが難しいです。自分で三ツ星つけては取り消しての繰り返しです(笑)。アートとは「極上の…」――絵画作品だけでなく、歌舞伎などの舞台芸術もすべてアートといえると思うのですが、お二人にとってアートとは?右近さんアートとは、「人間の証明」。芸は人なり、という言葉から置き換えてみました。壱太郎さん人生においてのいろどり。人間のいろいろないろどりを総称すると、アートになるのではないかなと。時代時代において、いろいろな人や作品と関わり見ることによって人間力が増していく。これは生きた証です。右近さん僕、先ほどプレーヤー目線で言ってしまいました。すみません、はき違えました(笑)。アートとは、「極上のひまつぶし」です。壱太郎さん「人間の証明」からの落差がすごいね(笑)。右近さん生きるうえでは、いらないのかもしれないけれど、暇ができたら、その暇をやはり上質につぶしたい。それが、生きることへのこだわり。例えば、おにぎりとピカソの絵なら、食うに困るときはおにぎりしか選ばない。でも、食うに困らなくなったらピカソの絵に気づく。おにぎりもいいけど、この絵を見て心を潤うのもいいと気づく。だから、「極上のひまつぶし」です。「先に死なないで!」――お二人の関係、とてもいい感じですね。プライベートでも仲が良いのですか?右近さんいちゃこらしています(笑)。anan読者の女性たちも、僕らを見習って、いちゃこらしてください!壱太郎さん僕らは盟友、親友、ボイスメッセージ友達。同じ時代に生きて、同じものに取り組み、同じ感覚があります。もしかすると、今は追い求めるもの、求められているものが違っているかもしれないけど、いつかのゴールは絶対一緒のものを見ていると思います。一緒の思いをもてることに「ありがとう」と言いたい人です。右近さん僕にとって(壱太郎さんは)うれしいときも悲しいときもすべて報告したい人です。そんな人、清方先生にはいなかったのかな。(ここで、担当学芸員の鶴見香織さんが登場)鶴見さんそれは奥さまだと思います。奥さまは、清方が亡くなる数年前に他界され、その後、清方もがっくりとされていたそうですよ。右近さんがっくりきますよね。(壱太郎さんに向かって)先に死なないで!たとえ死ぬとしても、同じ年の同じ月の同じ日じゃ!壱太郎さん同じ刻限でね(笑)。右近さん芝居のようだね(笑)。――本当にステキなご関係ですね。楽しいお話、ありがとうございました!インタビューを終えて…立ち居振る舞いがとにかく美しいお二人。スーツを着ているとふつうにカッコイイのですが、少しでも動くと足の運びや指先の動きなど、一つひとつの所作が本当に優雅で、見とれてしまいました。くだけた話や楽しい話をしていても、品格が漂っているお二人。固い絆が感じられる友情にも感動しました。『没後50年 鏑木清方展』は5月8日まで開催。ぜひハードルを越えて、美しいアートに触れてみてください!Information『没後50年 鏑木清方展』会期:~5月8日(日)休館日:月曜(※5月2日は開館)会場:東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー開室時間:9:30-17:00(金・土曜は9:30-20:00)(入館は閉館30分前まで)観覧料:一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700、中学生以下無料撮影:山本 嵩
2022年04月03日浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSが、ライブアルバム『Mellow Party -LIVE in TOKYO-』を2022年2月2日にリリースすることが決定した。『Mellow Party -LIVE in TOKYO-』には、今年10月に東京・ビルボードライブ東京で開催されたライブツアー『ACOUSTIC & ELECTRICツアー「MELLOW PARTY」』ファイナル公演の中から選りすぐりのライブ音源を収録。浅井健一の新旧様々な楽曲が披露された本公演の模様を楽しむことができる。また2022年2月に全国4カ所を回るツアー『HUNDRED TABASCO TOUR』を行うことが発表された。<リリース情報>浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS ライブアルバム『Mellow Party -LIVE in TOKYO-』2022年2月2日(水) リリース浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS『Mellow Party -LIVE in TOKYO-』ジャケット●通常盤(CDのみ):税込3,850円【収録内容】1. ヘッドライトのわくのとれかたがいかしてる車2. ゴースト3. 小さな恋のメロディ4. DEAD FISH5. ICE CANDY6. Spinning Margaret7. Not Ready Love8. JODY9. Cosmic Wonder Bowler10. 危険すぎる11. 透明の戦場12. Old Love Bullet Gun13. 全然足りない14. 少女15. ハラピニオ【店舗別購入特典】・全国共通特典:オリジナルステッカー ver.A・TOWER RECORDS全店(オンライン含む / 一部店舗除く):オリジナルステッカー ver.B・楽天ブックス:オリジナル缶バッジ・セブンネットショッピング:オリジナル三つ折り卓上カレンダー・Amazon.co.jp:メガジャケ※数に限りがありますので、無くなり次第終了となります※上記店舗以外での配布はございません※各特典絵柄・<全国共通特典>対象店舗は追ってご案内いたします※各オンラインサイトにて商品カートが公開されるまでに時間がかかる場合がございます※Amazon.co.jp、楽天ブックス、その他一部オンラインショップでは“特典対象商品ページ”と“特典非対象商品ページ”がございます。予約リンク:<ツアー情報>浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS『HUNDRED TABASCO TOUR』2022年2月5日(土) 高崎 club FLEEZOPEN 18:00 / START 18:30お問い合わせ:club FLEEZ(027-345-7571)2022年2月8日(火) 神戸 チキンジョージOPEN 18:30 / START 19:00お問い合わせ:清水音泉(06-6357-3666)2022年2月9日(水) 名古屋 CLUB QUATTROOPEN 18:30 / START 19:00お問い合わせ:JAILHOUSE(052-936-6041)2022年2月11日(金・祝) 渋谷 CLUB QUATTROOPEN 17:00 / START 18:00お問い合わせ:SMASH(03-3444-6751)チケット料金:税込7,700円(ドリンク代別)チケット発売日:12月25日(土)~関連リンク浅井健一|SEXY STONES RECORDSOfficial Website
2021年12月03日舞台『Le Fils 息子』のフォトコールが30日に東京芸術劇場 プレイハウスにて行われ、岡本圭人、岡本健一、若村麻由美、ラディスラス・ショラー(演出)らが取材に応じた。日本初上演となる同作は、2018年にフロリアン・ゼレール作、ラディスラス・ショラー演出でパリのシャンゼリゼ劇場にて初演を迎え、タイムズ紙やデイリーテレグラフ、ファイナンシャルタイムズなど各紙の劇評でも絶賛された傑作。今年4月にHey! Say! JUMPを脱退し、俳優への専念を発表した圭人にとって本作は初舞台で単独初主演、そして親子役を務める実の父・健一との舞台初共演となる。劇中では2人が激しい口論の末、健一演じる父・ピエールが、圭人演じる息子・ニコラの胸ぐらを掴み、馬乗りになるシーンも。稽古は主にZOOMで行われ、直接顔を合わせられるようになったのは2週間前だという。ショラーは「特殊な環境下ながら、私の指示を100%完璧に行ってくれる非常に優秀な役者の方々と仕事ができて幸せでした」とキャストを称賛し、圭人と健一の親子共演について「稽古では1人ひとりの役者として接していたので、実の親子であるということを忘れていました。親子の絆を感じ始めたのは劇場での稽古に入ってから。作品にプラスアルファを生む効果があることを知りました」と評する。ショラーからは「実際の息子と共演するというリスクを引き受けてくれた」と感謝もあったが、健一は「リスクは何もないです。いただいた仕事は何でも有り難く受ける姿勢ですし、昔から圭人は『パパと一緒に舞台をやるのが夢』だと言っていたので、早く叶えちゃったほうがいいんじゃないかなと。夢はどんどん消化していくべきものですから」と笑顔。続けて「物語自体がとても素晴らしく、万国共通で心に訴えるようなテーマ。コロナ禍で一緒に過ごす時間が増える家族もいるなか、逆に心を病んでしまうこともあると聞く。社会を作る親や子どもたちを僕らが助けてあげられないかと考えたとき、この作品を届けるのは1つの使命なんじゃないかなと。劇中にはつらい場面もあるけど、現実にはもっとつらいこともあると思う。実の親子である僕らが演じることで、リアルに伝えられることは強みになるんじゃないか」と、自分たちの強みも分析した。また、劇中でニコラに激昂するピエールの姿について「やっぱり、怒っちゃダメですよね。僕も普段はしっかりしてないのですが……」と語ると、記者が「そんなことないですよ」とフォローし、健一は「普段の僕を知らないでしょ」と逆にツッコむ。するとすぐに圭人が「せっかく聞いてくださってるんだから、そういうこと言わないの!」と咎め、息の合った親子ぶりを垣間見せた。共に舞台に臨むにあたって、親子間での決まりごとがあったかという質問には、健一が「俺、何かいいこと言ってたよね?」と圭人に問いかけ、圭人は「いいことは常に言っているけど、自分で言ったことなんだから覚えておいてよ」と苦笑しつつ「(稽古場に)朝は別々に入って、帰りは一緒に帰る」という習慣を明かす。「帰りは舞台のことを全部取っ払って、好きな音楽の話をしたり。今までの人生でここまで親子で話すことはあまりなかったので、素敵な時間を過ごしています」と説明した。ニコラの母親・アンヌ役を演じる若村は「普段は『親子じゃないよね』と思っちゃうくらいですが、ニコルとピエールになると、濃密な親子になる。役者だな、と感じていました」と2人の印象を話し、「『あなたとパパは違う』というセリフがあるんですけど、役者としてもタイプが違うので、実感を込めて言うことができました。健一さんはすべてを引き回すような“パワー全開タイプ”で、圭人くんはひたむきで純粋な……健一さんが純粋じゃないというわけではないんですけど」とフォローを入れながら2人の役者としての一面を語る。圭人も「ジャニーズ事務所に入ったときから『あなたとパパは違う』とずっと言われていたので、このセリフは『分かってくれる人がいたんだ』とすごく胸に響きます」と頷き、「ニコラは優しくて繊細な子。考えていることや父親に言ってしまったことに共感できるところがありました。ピエールは『自分の言ってることは間違ってない』という頑固な父親なんですけど、ちょっと(健一に)似ている部分がある。これまで言えなかったことが、舞台上だったら言えてしまう……これが親子共演のリスクなのかもしれません」と笑いを誘った。改めて健一の魅力を聞かれた圭人は「『稽古場に入ったら俳優として見る』と言ってもらえてすごくうれしかった。あとは……かっこいいですよね」と絶賛。健一は「わざわざここで言わずに、帰って家で言えばいいじゃん」と照れた様子だった。東京公演は東京芸術劇場 プレイハウスにて8月30日〜9月12日、北九州公演は北九州芸術劇場中劇場にて9月17日〜19日、高知公演は高知市文化プラザ かるぽーと 大ホールにて9月22日〜23日、能登公演は能登演劇堂にて9月26日、新潟公演はりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館劇場にて9月29日〜30日、宮崎公演にてメディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホールにて10月3日、松本公演はまつもと市民芸術館 主ホールにて10月9日〜10日、兵庫公演は 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて10月14日〜10月17日。
2021年08月30日