国立科学博物館では3月16日(土)より、特別展『大哺乳類展3―わけてつなげて大行進』を開催する。大好評を博した「大哺乳類展」の第3弾で、今回は「分類(=わける)」と「系統(=つなぐ)」がテーマ。現在6500種あるという哺乳類がどのように進化してきたのかを、500点を超える標本による圧巻の展示で紹介する。哺乳(母親がお乳で子供を育てる)、二心房二心室の心臓、3つの耳小骨などの特徴を持つ哺乳類は、様々な環境に適応させながら、多様な姿を獲得してきた。それらは生物の特徴から「分類」され、その種がどのような順序で誕生したかを探る「系統」により、深く理解されることになるのだが、近年はDNA解析などの研究の発展により、今までの定説が次々と覆されているという。同展では「見た目は似ているけれど本質は違う」フクロモモンガとムササビ、「見た目は似ていないけれど本質は同じ」コビトカバとスジイルカなど、哺乳類の進化の不思議に迫っていく。圧巻の展示は、約200点の剝製標本が関係性の近いグループごとに行進する「哺乳類大行進」。外見の似ている点と異なる点を、目で見て具体的に楽しむ展示となっている。また見た目でわからない部分は、骨格や内臓などの標本を見比べる「実物図鑑」で紹介する。なかでもカナダのロイヤルオンタリオ博物館が所蔵する、シロナガスクジラの心臓は、実物大のレプリカで登場。現在における地球最大の生き物のそれであるだけに、圧倒的なスケールだ。音声ガイドのナビゲーターは、人気アニメ『呪術廻戦』で伏黒恵役を演じる声優の内田雄馬。またコラボグッズとして展開する描き下ろしのアートワークは、画家のヒグチユウコ、イラストレーター・まんが家・アニメーターのにしむらゆうじ、アーティストのMAIJEL GRAPHが担当する。さらに音楽グループいきものがかりの楽曲「喝采」が展覧会を盛り上げる。<開催概要>特別展『大哺乳類展3-わけてつなげて大行進』会期:2024年3月16日(土)~6月16日(日)会場:国立科学博物館時間:9:00~17:00、土曜、4月28日(日)~5月6日(月・祝)は19:00まで(入場は閉場30分前まで)休館日:月曜(3月25日、4月1日、4月29日、5月6日、6月10日を除く)、5月7日(火)料金:一般・大学2,100円、大高中600円展覧会公式サイト:
2024年03月08日こんにちは、編アシありさです!今回は、約500種類の昆虫、魚類、両生類、虫類、鳥類、哺乳類などを間近で観察することができる『足立区生物園』をご紹介したいと思います(^^) 小学生未満は無料なのも嬉しい! ぜひ週末のお出かけ先の候補にしてみてください~♪『足立区生物園』は、元渕江公園の敷地内に位置する歴史ある施設地下1階~2階までの室内&室外で生き物を展示今回で2度目の訪問となる『足立区生物園』。本当に小学生未満は無料でいいの!? と疑ってしまうほどの満足度で、室内は地下1階から地上2階まであり、1階には広めの庭が広がっていて、室外にも生き物が展示されています。元渕江公園の敷地内に生物園が! 最寄りは「竹ノ塚駅」生物園は、足立区立元渕江公園の敷地内にあるんです。元渕江公園は、東武伊勢崎線「竹ノ塚駅」から徒歩20分の場所に位置します。バスを利用する行き方もあるので、詳しくは公式サイトをご確認ください! なお、有料の駐車場もあります。【所在地】〒121-0064東京都足立区保木間2-17-1小学生未満は無料! 入園料や開園時間は下記の通り入園料、開園時間、休園日はこちらの写真の通りなので、よくご確認ください! 小学1年生から入園料がかかりますが、小学生未満と70歳以上は無料になります。『足立区生物園』は2023年で30周年!生物園は1993年に開園し、2023年で30周年を迎えました! 歴史ある施設だからこそ、生き物たちを大切にしている想いがとても伝わってきます。さまざまな生き物を間近で楽しむことができる紹介しきれないほどたくさんの生き物を飼育する『足立区生物園』ですが、一部の生き物たちをご紹介していきます!モルモットはふれあうことも可能♪生物園では、生き物を観察するだけでなく、触れ合うこともできちゃうんです! 大好きなモルモットをなでなでして嬉しそうな娘。可愛い~♡娘がなでなでしてたのは、体中につむじのある「アルビシニアン」という種類のダージリンちゃん! 名前がおしゃれ(笑)。モルモットにも、いろんな種類の子がいるんですね!モルモットとのふれあいは、1日2回の時間制です。午前中と午後に1回ずつ開催されるので、モルモットとふれあいたい場合は、10:00~12:00もしくは13:30~15:30に合わせて生物園に行くようにしてくださいね!ヒツジ・ヤギにはえさあげ体験ができるモルモットの小屋のすぐ目の前にヤギとヒツジがいて、エサやり体験をすることもできます。こんな感じの牧草を、ひしゃくに入れて食べさせてあげます!(この日は時間がなくて、我が家は断念)オーストラリアドームには大きなカンガルーが!モルモットの小屋を抜けると、「オーストラリアドーム」というエリアがあって、オーストラリアに生息する生き物が何匹か展示されています。本格的な動物園以外で大きなカンガルーが見れるなんて、びっくり!温室でチョウチョや熱帯植物を観察しよう1階から2階に渡って、広々とした「大温室」があります。バナナの木をはじめとした熱帯植物が見れるほか……こんなに美しいチョウチョを間近で見ることができるんです!飛んでいるチョウチョの種類は、こんなにたくさん!!大温室内の巨大水槽の中では、世界最大級の淡水魚「ピラルク」が悠々と泳いでいます! 最大で5m近くまで成長する魚らしく、すごい迫力でした。可愛らしい小動物にも会えちゃう♪娘が「可愛い~!」と大興奮だったリスさん。お食事する姿がとってもキュートでした。こちらのおサルさんは、「コモンリスザル」という種類で、体の大きさや毛の色がリスに似ていることから、この名前がつけられているそう。小ぶりで可愛らしいおサルさんです!生物園には、ネコものんびり暮らしています。かつてはふれあうこともできたようですが、今は休止しているようです。巨大水槽や中からのぞける水槽も!生物園の入口入ってすぐに待ち受けるのが、こちらの巨大水槽。可愛らしい金魚がたくさん泳いでいます!巨大水槽のほかにも、いくつかの水槽があります。子どもたちが大好きなニモとドリーも♡そして、ここにある水槽には仕掛けがあって……顔をのぞかせることのできる窓が水槽の中にあり、まるで水中にいる気分でお魚を観察することができるんです!その他にもたくさんの生き物が……!ここまでご紹介したほかにも、たくさんの生き物がいます! こちらの「観察展示室」には、熱帯魚、両生類、爬虫類などを展示。写真に写っている「高山の世界」には、可愛らしいチンチラが隠れていました!あとは、カメ、ヘビ、カエル、さまざまな昆虫など……生物図鑑が好きな子どもだったら大喜び間違いなしの充実具合なんです!園内の売店ではグッズや軽食を販売!園内の2階には売店があり、グッズや軽食を販売しています。娘はここで、小動物のぬいぐるみを2個も購入しました(笑)。お菓子やジュースを販売するほか、土日限定でこんなに可愛い「いきものパン」が販売されます。食べるのがもったいない~!売店前に座れるスペースが少しありますが、近くの出入り口からテラスに出れるようになっているので、お天気が良かったらこちらで休憩するのがおすすめ!再入園可だから、公園ピクニックや外食もOK生物園は、当日に限り再入園可能なので、公園ピクニックもしくは外食してからまたゆっくり園内を満喫することができます。「いきものパン」は土日限定&数量限定なので、園内で食事をする場合、お弁当などを持参することもおすすめです!(持ち込み可)季節ごとに特別イベントを実施!私たちが行ったタイミングでは、4日間限定でホテルの鑑賞会が開催されていました! 真っ暗な展示室の中でホタルを鑑賞するのがとても幻想的で、娘にとってよい経験になったと思います。毎月、「チョウの飼育体験」、「ポニー乗馬」、「公園でのぼうけんあそび」など……さまざまなプログラムが用意されているようなので、詳しくは公式サイトからご確認を。園内を満喫したあとは、公園で遊ぼう♪園内でさまざまな生き物を鑑賞したあと、思いっきりからだを動かせるのも『足立区生物園』の魅力のひとつ。ちなみに、遊具の奥には釣りができる池もあります!砂場、ブランコ、うんてい、滑り台などがあるので、十分楽しむことができます。寒空の下、娘はコートを脱いで必死に遊んでいました(笑)。暖かくなったらピクニックができそうな広々とした芝もあるので、また春頃に遊びに行こうかなと思っています♪生物園までの行き方や、展示生物の詳しい情報、開催イベントについてなどなど……気になることがあれば、ぜひ公式サイトから確認してみてください~!「足立区生物園」の公式サイトはこちら!
2024年02月09日動物園や水族館にいるかわいい動物たち。漢字では何という字を書くのか、意外と知らない人も多いのでは?どの動物の名前か、脳トレ感覚で考えてみてください♪【鼬】はなんて読む?「鼠(ねずみ)」と「由」を合わせた漢字「鼬」。「鼠」を含んでいますが、実はネズミの天敵を表します。「鼬」は、お顔がかわいらしい、茶色い毛を帯びた哺乳類です。いったい「鼬」は、なんと読むのでしょうか。正解は…出典:pixabayイタチ(鼬)日本でも全国的に見られるキュートな顔をした「イタチ」。その見た目とは裏腹に、ネズミやカエル、昆虫などを主食とする夜行性の哺乳類です。木登りも水泳も得意なイタチは、山地から海辺まで、どこでも生活できます。その身軽さで人家に侵入し、屋根裏に巣を作ることもあるそうです。また、イタチには緊急時に悪臭を放つ習性があります。この習性から、難を逃れるために非常手段に訴えるという意味の「鼬の最後っ屁(ぺ)」という言葉が生まれました。見た目は愛らしいイタチですが、何かとギャップの大きい動物のようですね。出典元・日本大百科全書:イタチ-31125・イタチの生態・習性について(害虫駆除110番):・漢字ぺディア「鼬の最後っ屁」:あわせて読みたい🌈【蝮】はなんて読む?毒があるので要注意!
2022年11月02日動物園や水族館にいるかわいい動物たち。漢字では何という字を書くのか、意外と知らない人も多いのでは?どの動物の名前か、脳トレ感覚で考えてみてください♪【食蟻獣】はなんて読む?いかにも動物らしい漢字が並んだ「食蟻獣」。「獣」とありますが、そこまで凶暴な動物ではありません。ポイントはズバリ、真ん中の漢字「蟻」です。いったい「食蟻獣」は、なんと読むのでしょうか。正解は…出典:Pixabayアリクイ(食蟻獣)中南米の草原や森林に生息している「アリクイ」。長い口先が特徴的な哺乳類です。真ん中の漢字「蟻(あり)」をご存じの方は簡単に読めたかもしれません。「食蟻」とあるように、アリクイがよく食べるのはアリやシロアリ。長い舌をアリ塚に突っ込んで多くのアリを捕らえます。アリクイには歯がなく、舌に付着したアリはそのまま飲み込まれるそうですよ。また、アリクイは視力が弱く、アリ塚を探すときには発達した嗅覚を使います。嗅覚の強さは、人間の数十倍にも及ぶんだとか。ちなみに「獣」という漢字をとった「食蟻」だけでも「アリクイ」と読むことができます。出典元・日本大百科全書:アリクイ-27986・動物大図鑑「オオアリクイ」(ナショナルジオグラフィック):あわせて読みたい🌈【猟虎】はなんて読む?手先が器用な癒し系の動物!
2022年10月19日動物園や水族館にいるかわいい動物たち。漢字では何という字を書くのか、意外と知らない人も多いのでは?どの動物の名前か、脳トレ感覚で考えてみてください♪【鯱】はなんて読む?魚へんに「虎」を加えた漢字「鯱」。魚へんではありますが、魚類ではありません。「鯱」は、目元に大きな特徴がある海の生き物です。「海の王者」と呼ばれることもあります。 いったい「鯱」は、なんと読むのでしょうか。正解は…出典:Pixabayシャチ(鯱)目の上にある丸い真っ白な模様が特徴的な「シャチ」。世界中の海に生息する肉食性の哺乳類です。水族館のショーで、シャチの大ジャンプを見たことがある人も多いかもしれません。そういったイメージから、一見シャチは人懐っこくて優しい生き物のように思えます。しかし、実はシャチは「海の王者」や「世界最強の捕食動物」と称されるほどの強者なんです。長さ10cmにも及ぶ歯を使い、イルカやアザラシ、クジラなどを捕食します。ちなみに漢字の「鯱」は「しゃちほこ」とも読み、魚の体と虎の頭を持つ、天守閣でお馴染みの想像上の動物のことも表すんですよ!水族館で見かけたら、ぜひ漢字を思い出してみてくださいね♪出典元・日本大百科全書:シャチ-76038・「シャチ」鴨川シーワールド:・動物大図鑑「シャチ」(ナショナルジオグラフィック):・「鯱(しゃちほこ)」漢字ぺディア:あわせて読みたい🌈【長尾驢】はなんて読む?しっぽよりお腹に特徴がある動物!
2022年10月07日動物園や水族館にいるかわいい動物たち。漢字では何という字を書くのか、意外と知らない人も多いのでは?どの動物の名前か、脳トレ感覚で考えてみてください♪【獺】はなんて読む?とても複雑な字形をしている漢字「獺」。見たことはありますか?「獺」は、水かきを持つキュートな哺乳類を表す漢字です。いったい「獺」は、なんと読むのでしょうか。正解は…出典:pixabayカワウソ(獺)川や湖の近くに生息し、潜水を得意とする「カワウソ」。魚やカニなどを捕食する、イタチ科の哺乳類です。「川獺」や「水獺」と書くこともあります。テレビやSNSなどで、カワウソの人懐っこい姿に癒されたことがある方も多いかもしれません。そんな愛らしい見た目のカワウソですが、漢字で書いたら「獺」。なかなか近寄り難い字形ですね。「獺」という漢字には「ダツ」という音読みや「おそ」という訓読みがあります。そしてどちらもカワウソの別名を表すんですよ。実際の姿と漢字表記のギャップが激しい動物、カワウソ。余力があれば、ぜひとも漢字「獺」の方も覚えてあげてくださいね♪出典元・デジタル大辞泉:川獺-468557・精選版 日本国語大辞典:獺・川獺-235656・カワウソ人気について(テレ東プラス):・「獺」漢字ぺディア:あわせて読みたい🌈【海狸】はなんて読む?特徴はズバリ、歯です!
2022年09月12日■ ポイント●半水生のカモノハシと陸生のハリモグラは検知できる苦味物質の種類が大きく異なることを解明。●ヒトを含む全ての哺乳類と同様に、植物などに含まれる有毒な配糖体を苦く感じることも解明。●哺乳類進化の始まりである約2億年前から、植物毒を苦く感じる能力が維持されてきたことを示唆。■ 概要北海道大学大学院地球環境科学研究院の早川卓志助教と、明治大学研究・知財戦略機構の糸井川壮大研究推進員は、京都大学、アデレード大学、オーストラリア国立大学、コペンハーゲン大学との国際共同研究チームをつくり、卵を産む哺乳類(単孔類)であるカモノハシとハリモグラが持つ苦味センサータンパク質(苦味受容体)の機能を網羅的に分析しました。水中の多様な生物を食べるカモノハシは、幅広い種類の苦味物質を検知できる万能型苦味受容体を持つが、アリ・シロアリ食に特化したハリモグラは、カモノハシのような万能型受容体を持たず、検出できる苦味物質が少ないことが分かりました。ハリモグラがアリやシロアリを専門に食べるようになったことで苦味の重要性が下がり、限られたものにしか苦味を感じなくなった一方で、水中で様々な生物を摂食するカモノハシは苦味受容体を使って食べられるものの選択を行っている可能性を示しています。さらにカモノハシやハリモグラでも、植物などに含まれる有毒な配糖体を検知する苦味受容体は残されており、この苦味受容体の機能はヒトを含む全ての哺乳類グループで共通のものであることも分かりました。ヒトやその他の哺乳類がカモノハシ・ハリモグラと分かれたのは約2億年前まで遡ります。大型恐竜が繁栄し、花を咲かす被子植物の多様化が始まろうとしていた時代です。恐竜と競合しながら、植物や昆虫などの毒を含みうる食べ物を口にして進化した哺乳類において、苦味感覚の進化が非常に重要であったことを本研究は意味します。なお、本研究成果は、日本時間2022年6月1日(水曜)公開のMolecular Biology and Evolution誌に掲載されました。研究対象の単孔類と有袋類。単孔類(A)カモノハシ(B)ハリモグラ有袋類(C)フクロネコ(D)タスマニアデビル(E)コアラ(F)タマーワラビー■ 背景単孔類は私たちヒトと同じ哺乳類の仲間ですが、卵を産むという哺乳類の祖先が持っていた特徴を現在まで残す「生きた化石」とも呼べる存在です(上図、及び図1)。現在、単孔類はオセアニア地域に生息するカモノハシとハリモグラの2グループしかいませんが、それぞれが特徴的な生態を持っています。カモノハシは、湖沼や河川に生息し、水中で様々な無脊椎動物を食べて暮らしています。一方、ハリモグラは陸生で土や枯木の中のアリやシロアリを主食にしています。私たちはものを食べる時、味や匂いを基に食べ物の良しあしを判断します。こうした味や匂いを検知するシステムは、環境に対して高い適応力があるため、生存に必須でなくなった感覚が退化したり、特殊な環境に適応するために新しい感覚が進化したりすることが様々な動物で観察されています。研究グループは今回、毒物などの有害物質を検知し、適切な食物選択をするのに重要な味覚である苦味感覚に注目しました。脊椎動物の苦味感覚は、ゲノム中に数種類~数十種類ある苦味受容体TAS2Rが苦味物質を受け取ることで発生します。苦味受容体の機能と食性の関係は、霊長類やコウモリの仲間ではよく研究されていますが、哺乳類の進化を明らかにするためには欠かせない、有袋類や単孔類の研究は、今までほとんどありませんでした。そこで本研究では、カモノハシとハリモグラはどんな苦味感覚を持っていて、食性とどう関係するのか、そして、胎生哺乳類(*1)の苦味受容体との比較によって、哺乳類の祖先はどんな苦味感覚を持っていたのか、という問いに挑戦しました(図1)。■ 研究成果本研究の著者らを含む国際単孔類ゲノムプロジェクト(*2)において、単孔類は他の哺乳類と比べて苦味受容体遺伝子の個数が非常に少なく、ヒトは26種類持つのに対して、カモノハシは7種類、ハリモグラは3種類しか持っていないことが明らかにされていました。しかし、苦味受容体の中には単体で多様な苦味物質を受容できる「万能型受容体」が存在することも知られており、カモノハシやハリモグラが万能型受容体を持っているかどうかは不明でした。そこで研究グループはまず、この数少ない苦味受容体遺伝子が、非単孔類哺乳類(胎生哺乳類)のどの苦味受容体遺伝子と相同な関係にあるのかを調べました。その結果、単孔類の苦味受容体遺伝子のほとんどが、有胎盤類の苦味受容体TAS2R16(*3)を含む遺伝子グループと同じグループに含まれており、染色体上でも相同な位置にあることが分かりました(図2)。TAS2R16は植物などに含まれる防御物質の一つであるβグルコシド(*4)と呼ばれる配糖体を検知する苦味受容体です。βグルコシドの中には分解されると有毒な青酸(シアン化水素)を発生させる青酸配糖体と呼ばれるものもあります(例:タピオカの原料であるキャッサバ芋のリナマリン、ユーカリの葉のプルナシン)。次に、カモノハシとハリモグラの苦味受容体がどんな物質に反応するのかを培養細胞を用いて解析しました(図3)。その結果、カモノハシは、使用した苦味物質24種類のうち18種類の物質を検知できました。また、驚くべきことに、使用した苦味物質の半数を一手に検知できる万能な苦味受容体を持っていることも判明しました。このことは、カモノハシが苦味受容体数から想定される以上に多様な苦味物質を検知できることを示しています。カモノハシは、微弱な電気や機械刺激を検知して濁った水の中で効率的に食べ物を探せますが、食べるか否かの判断には苦味感覚も利用していると考えられます。一方、ハリモグラは、カモノハシが持つ万能型の苦味受容体を失っており、他の受容体もカモノハシよりも検知できる苦味物質の数が少ない傾向にありました。これは、ハリモグラがアリやシロアリに特化した食性を持っており、接触する苦味物質の種類が限られることが一因と考えられます。アリやシロアリといった限られたものしか食べないハリモグラにとって、多様な物質を検知できる苦味感覚はそれほど重要ではなく、限られた検知能力だけを残しているのかもしれません。有胎盤類のTAS2R16と近縁な単孔類の苦味受容体の一部は、βグルコシドを受容することも分かりました。また、比較対象として使用した有胎盤類のTAS2R16と有袋類のTAS2R705(有胎盤類のTAS2R16と相同な有袋類の苦味受容体)がβグルコシドの受容体であることも分かりました。このことは、植物や一部の無脊椎動物が持つ防御物質であるβグルコシドを苦味として検知する能力が、現生の哺乳類全般に広く共有された重要な能力であることを意味すると同時に、この能力が単孔類と胎生哺乳類が分岐する以前の初期哺乳類で既に獲得されていたことを示唆します。単孔類と胎生哺乳類が分かれたのは恐竜が全盛の時代だった2億年近く前までさかのぼります。しかし、現生植物に広く見られる有毒な青酸配糖体は、その生合成遺伝子の起源がさらに古い時代であるため、この当時には既に存在していたようです。つまり、有害な配糖体を苦味として検知する能力は、単孔類と胎生哺乳類が分岐する以前の初期哺乳類の採食選択に一定の役割を果たしていたことを示唆します。■ 今後への期待カモノハシやハリモグラは南半球の限られた地域にのみ生息し、野外での継続的な観察も難しいため、その生態には多くの謎が残されています。本研究では、培養細胞を用いた実験系を用いることで、苦味感覚という切り口から単孔類における遺伝子と生態の関連とその進化の一端を明らかにすることができました。しかし、今回解析した苦味受容体のうち、どの苦味受容体がカモノハシとハリモグラの舌や口の中で機能しているのかはまだ分かっていません。また、苦味感覚の生態的意義を明らかにする上で、野生下の個体が実際に食べているものに含まれる物質や接触する物質との関連を明らかにすることも重要です。今後は、本研究を基礎として、舌や口の中の遺伝子発現の分析や苦味物質が採食行動に与える影響の分析によって、謎多き動物・単孔類の味覚機能とその生態的意義の詳細が明らかになることが期待されます。■ 研究助成本研究は、日本学術振興会・科学研究費助成事業(16K18630, 18J22288, 18H04005, 19K16241, 19K21586, 21KK0106, 21KK0130)、同・二国間交流事業『日本とオーストラリアの絶滅危惧哺乳類の地球縦断型比較ゲノム研究の確立』(JPJSBP 120219902)、日本科学協会・笹川科学研究助成『哺乳類の味覚の進化的起源の解明を目的としたオーストラリア産有袋類・単孔類の味覚受容体の分子生態学研究』(29-534)等の助成により実施されました。■ 論文情報論文名Functional diversity and evolution of bitter taste receptors in egg-laying mammals(卵を産む哺乳類の苦味受容体の機能の多様化と進化)著者名Akihiro Itoigawa1,2*, Takashi Hayakawa3,4*, Yang Zhou5, Adrian D. Manning6, Guojie Zhang7, Frank Grutzner8, Hiroo Imai9*.*責任著者(1明治大学農学部農芸化学科, 2京都大学霊長類研究所, 3北海道大学大学院地球環境科学研究院, 4日本モンキーセンター, 5BGI-Shenzhen, 6オーストラリア国立大学, 7コペンハーゲン大学, 8アデレード大学, 9京都大学ヒト行動進化研究センター)雑誌名Molecular Biology and Evolution(分子進化生物学の専門誌)DOI10.1093/molbev/msac107公表日2022年6月1日(水)(オンライン公開)■ お問い合わせ先北海道大学大学院地球環境科学研究院 助教 早川卓志(はやかわたかし)TEL 011-706-4524 メール hayatak@ees.hokudai.ac.jp URL 明治大学研究・知財戦略機構/農学部農芸化学科 食品機能化学研究室研究推進員 糸井川壮大(いといがわあきひろ)メール ak.itoigawa0121@gmail.com ■ 配信元北海道大学社会共創部広報課(〒060-0808 札幌市北区北8条西5丁目)TEL 011-706-2610 FAX 011-706-2092メール jp-press@general.hokudai.ac.jp 明治大学経営企画部広報課(〒101-8301 千代田区神田駿河台1-1)TEL 03-3296-4082 FAX 03-3296-4087メール koho@mics.meiji.ac.jp ■ 参考図図1. 主要な哺乳類の系統関係と分岐年代。ゲノム解析から単孔類と胎生哺乳類は1億8760万年前(ジュラ紀)に分岐したと推定されている。図2. 哺乳類の苦味受容体遺伝子の系統関係。単孔類の苦味受容体のほとんどがTAS2R16を含む胎生哺乳類苦味受容体クラスターと同じグループに含まれる(黄色部分)。図3. カモノハシとハリモグラの苦味受容体の機能差■ 用語解説*1)胎生哺乳類ヒトのように発達した胎盤を持ち母親の子宮で胎児を育てる「有胎盤類」とカンガルーのように腹部にある袋(育児嚢)の中で未熟児を育てる「有袋類」の総称。*2)国際単孔類ゲノムプロジェクトカモノハシとハリモグラの全ゲノム配列を解読した国際プロジェクト。2021年に発表『カモノハシとハリモグラの全ゲノム解読に成功!~世界でたった2グループしかいない「卵を産む哺乳類」のゲノムの進化を解明~』 *3)TAS2R16ヒトでよく研究されている苦味受容体の一つ。βグルコシドが主要な受容物質で、マンノースやゲンチオビオースなど他の糖に由来する配糖体も一部受容できる。*4)βグルコシドグルコースに由来する配糖体。植物に広く見られ、一部の昆虫も産生する。捕食に対する防御などに用いられる。例:サリシン(ヤナギの樹皮)、アルブチン(コケモモ)、リナリマリン(キャッサバ芋)、プルナシン(ユーカリの葉) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月10日Y染色体を持つ全ての哺乳類が絶滅、1人の男とオス猿だけが生き残った終末世界を舞台にしたアメコミをドラマ化した「Y:ザ・ラストマン」が、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」の新コンテンツブランド「スター」にて日本最速配信されることになった。原作は、ブライアン・K・ヴォーンとピア・ゲラによる同名の大人気DCコミックス。アメコミ界で最も権威があると評される「アイズナー賞」の3部門を受賞した傑作がドラマシリーズとなって、ディズニープラスの「スター」に登場する。舞台は、ある日突然、人類の全男性を含むY染色体を持つ全ての哺乳類動物が死に絶え、ただ1人の男と彼のペットの猿だけが残された終末世界。女性だけが生き残り世界が混乱する中、ただひとり男性として生き残ったヨリック・ブラウン。なぜ彼だけが生き残ってしまったのか?また、残された人々は新しい世界でどのように生きていくのか?壊滅状態の中で、人々が失われたものを元に戻そうと懸命にもがく姿や、女性だけの新世界をより良いものにしようと奮闘する姿が描かれ、サスペンス・サイエンスの域を超えた視聴者の胸を打つヒューマンドラマとなっている。最後の男性の人間として残されたヨリック・ブラウンを演じるのは、『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のベン・シュネッツァー。また、ヨリックの母でもあり、終末世界をまとめる大統領ジェニファー・ブラウンは、『パーフェクト ストーム』『運命の女』『トスカーナの休日』などで人気を博したダイアン・レイン。製作総指揮を務める、イライザ・クラークとニーナ・ジェイコブソンは「ジェンダーは多様。その中で探究できることはたくさんあります。染色体と性別はイコールではありません。このドラマが、“ジェンダーとは何か?”“アイデンティティとは何か?” “本当の私たちとは何か?”という疑問を投げかけてくれることを期待しています」と語っている。「Y:ザ・ラストマン」は10月27日(水)よりディズニープラス「スター」にて独占配信(全10話)。(text:cinemacafe.net)
2021年09月29日展覧会「WHO ARE WE 観察と発見の生物学国立科学博物館収蔵庫コレクション|Vol.01 哺乳類」が、大分県立美術館にて、2021年7月22日(木・祝)から9月12日(日)まで開催される。動物の剥製をめぐる“観察と発見”国立科学博物館の収蔵庫には、約480万点もの標本が保管されているものの、その多くは普段は公開されていない。本展では、そのうち世界屈指の動物標本コレクションとして知られる「ヨシモトコレクション」を中心に、選りすぐりの哺乳類の標本を紹介する。生物の形は長い進化の歴史の成果である。その歴史の「ある一時」を切り取った動物の剥製を観察することで、環境の適応による動物の生き様や多様性の複雑さ、そして自然が創り出した美しさを知ることができる。本展では、「観察の眼、発見の芽」をテーマに、動物の剥製1点1点を“美術作品のように観察する”という方法で展示。標本についての解説でなく、観察の「視点」を提示することで、ほかの動物との共通点や、現代の人びとの日常とのつながりの発見を促す構成となっている。展覧会概要展覧会「WHO ARE WE 観察と発見の生物学国立科学博物館収蔵庫コレクション|Vol.01 哺乳類」会期:2021年7月22日(木・祝)〜9月12日(日)会場:大分県立美術館 3階 コレクション展示室住所:大分県大分市寿町2-1開館時間:10:00〜19:00(金・土曜日は20:00まで)※入場は閉館30分前まで観覧料:一般 300円、小・中・高校生 200円※大分県芸術文化友の会 びびKOTOBUKI無料、TAKASAGO無料※障がい者手帳などの提示者と付添者(1名)は無料※学生は入場時に学生証を提示【問い合わせ先】大分県立美術館TEL:097-533-4500
2021年07月16日読めたらすごい!難読漢字を4つご紹介します。「母衣」という漢字は、なんと読むかわかりますか?「ははごろも」ではありませんよ。「土竜」「太占」「向日葵」いくつ読めるか挑戦してみてください。土竜=もぐら「土竜」は「もぐら」と読みます。モグラ科の哺乳類で、体長は約15cm。一生のほとんどを地中で過ごし、目は退化して小さく視力はほとんどありません。大きな手と鋭い爪を持ち、地中にトンネルを掘り巣を作ります。トンネルの中には、食糧貯蔵庫・水飲み場・休憩室・避難所などがあるのだそう。「土」を掘ったあとのトンネルが「竜」のように見えるのが、「土竜」の由来です。太占=ふとまに「太占」は「ふとまに」と読みます。古代の日本で行われた占いの一種で、雄鹿(おじか)の肩甲骨(けんこうこつ)を使用します。ウワミズザクラの古名「波波迦(ははか)」の樹皮を炭火にしたもので雄鹿の肩甲骨を熱し、骨の表面に出る割れ目の模様で占います。鹿の骨を使うことから、「鹿占(しかうら)」とも呼ばれています。向日葵=ひまわり「向日葵」は「ひまわり」と読みます。キク科の一年草の植物。花が太陽を追うように動くことが「向日葵」の由来で、英語では太陽の花を意味する「サンフラワー」、フランス語では太陽を意味する「ソレイユ」と呼ばれています。向日葵の性質にちなんで、「私はあなただけ見つめている」という素敵な花言葉があります。漢字は漢名の「向日葵(こうじつき)」に由来。昔は「日廻り」と表記していたそうですよ。母衣=ほろ「母衣」は「ほろ」と読みます。武士の道具のひとつで、甲冑(かっちゅう)の補助武具。兜や鎧の背に布を張って、風で風船のように膨らませ、後方からの矢や投石を防御します。「母衣」は誰でも着用できるというわけではなく、戦国時代には「母衣」の着用が許された人たちの集団を「母衣衆」と称しました。難読漢字いくつ読めた?「土竜」「太占」「向日葵」「母衣」4つの難読漢字を紹介してきましたが、いくつ読めましたか?「母衣」は「ほろ」と読み、武士の道具のひとつということがわかりました。普段使うことは少ないかもしれませんが、いい機会なのでぜひ覚えておいてくださいね。"
2021年06月24日上野にある国立科学博物館で『大哺乳類展2ーみんなの生き残り作戦』が開幕した。地球上の環境に適応し、繁栄してきた哺乳類の「生き残り作戦」に、剥製や骨格標本など500点以上の展示から迫る。『大哺乳類展2ーみんなの生き残り作戦』( )
2019年03月22日俳優の瀬戸康史が、東京・上野の国立科学博物館で開催される特別展「大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」の音声ガイドナビゲーターに就任し20日、同所で行われた内覧会に出席した。地球上の環境に適応し、繁栄してきた哺乳類の「生き残り作戦」に、剥製や骨格標本など500点以上の圧倒的なボリュームで迫る特別展『大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦』。そんな同展の音声ガイドを瀬戸康史が担当し、さらには同展中に瀬戸が特別に描き下ろしたデジタルアート作品も展示される。オープンを翌日に控えたこの日は、スーツ姿で報道陣の取材に応じた瀬戸。会場に設置されている象の剥製について、「資料で見た時も大きいとは思いましたが、実際に目にしてみるとこんなにも大きいんだ! とその大きさにビックリしました」と驚いたといい、「ゴマフアザラシは絶対に触って欲しいですね。気持ちよさったらないですね(笑)。お触りありです」とニッコリ。担当した音声ガイドについては「細かいところも音声ガイドで説明させていただいたので、それを聞いていただくとより深く哺乳類のことがわかると思います」とアピールした。この日は明日から展示される瀬戸のデジタルアートも公開。「mammalian & technology」と題したデジタルアートについて「展覧会のテーマが『どう生き残るのか、どう生き残ってきたか』だったので、これから先、生き残るためにはテクノロジーが欠かせないと思いながら絵を描かせていただきました」と解説。「飾っていただけるのは初めてなので、とてもうれしいです。皆さんがこの絵を見てどのような感想を持っていただけるのか楽しみですね」と期待を寄せた。また、哺乳類の展示会ということで、動物にまつわるエピソードも。「幼い頃に祖母の家に遊びへ行った時、田舎なので山でよく遊んでいたんです。そこに猫が5匹ぐらい捨ててありました。それが可愛そうで、全部持って帰って育てました。家族からはすごく迷惑がられてましたけどね。黒い猫だったので、名前もゴマとかノリとか、黒で統一してました」と明かしていた。
2019年03月21日特別展 「大哺乳類展2」 が、東京・上野の国立科学博物館にて2019年3月21日(木・祝)から6月16日(日)まで開催される。特別展「大哺乳類展2」は、9年前に好評を得た特別展「大哺乳類展 陸のなかまたち/海のなかまたち」ぶりに“哺乳類”にフォーカスする展覧会。今回は、400点以上の剥製や骨格標本から、哺乳類の生き残り戦略について迫っていく。あなたはどれだけ知ってる? 哺乳類のこと地球という惑星が誕生して以来、その歴史とともに哺乳類は多様な能力を獲得し、これまで地球上のほとんどの環境に適応してきた。そのなかでも特徴的なのが、走る、跳ぶ、木に登る、泳ぐといった移動運動であるロコモーション。哺乳類のロコモーションは、同じ脊椎動物である魚類や爬虫類とはまったく異なり、多様性と自由度に富み、様々な環境に適応する能力をもっている。圧巻の「哺乳類大行進」でロコモーションを解説本展では、陸と海の哺乳類のロコモーション能力を、標本や最新の研究に基づいた映像で説明する。会場中央には「哺乳類大行進」として、科博の重要標本群の一つである「ヨシモト・コレクション」をはじめとする哺乳類の剝製標本150点以上を一堂に展示。会場では、原始的な特徴をもつ哺乳類とされる単孔類や有袋類から、アフリカや南米を起源とするグループ、我々になじみのある哺乳類である齧歯(げっし)目、霊長目、食肉目、鯨偶蹄(げいぐうてい)目といったものまでが、分類群ごとに分けられている。具体的には、チーターの走り方、ブラックバックの跳躍力、テナガザルのブラキエーション(樹上運動)、イルカやラッコの遊泳などがトピックとしてあげられている。これらを、山口大学共同獣医学部の協力により、最新の解析映像も駆使して解説。また、陸棲哺乳類最大のアフリカゾウの全身骨格や、体長16mのマッコウクジラの半身を模型で再現したユニークな骨格、12mのセミクジラの全身骨格などを初公開する。「食べる」「産む・育てる」に注目もうひとつの重要な項目として、哺乳類がここまで繁栄し、生き残ってきた理由にも注目。会場では、生きるために必要不可欠である「食べる」、すべての生物の目的である子孫を残すための「産む・育てる」という“生き残り戦略”を紹介していく。「食べる」では、草食、肉食、昆虫食など、食べるものによって異なる歯やあごの特徴を200点近い頭骨を揃える。一方「産む・育てる」では、オスがメスへアピールするために獲得した戦略をはじめ、胎盤や哺乳、生まれたコドモの生き残り戦略にも着目する。人間、つまりは自分も哺乳類であるはずなのに、哺乳類のことは意外と知らない。地球という大きい惑星でともに生きる哺乳類の仲間に出会い、知り、学ぶことのできる貴重な機会となりそうだ。【開催概要】特別展 「大哺乳類展2」会期:2019年3月21日(木・祝)~6月16日(日)会場:国立科学博物館(東京・上野公園) ※巡回展はございません開館時間:9:00~17:00※金曜・土曜は午後8時まで※ただし、4月28日(日)、29日(月・祝)、5月5日(日・祝)は午後8時まで、 4月30日(火)~5月2日(木)、5月6日(月・休)は午後6時まで。※入場は各閉館時刻の30分前まで休館日:月曜日、5月7日(火)※ただし、3月25日(月)、4月1日(月)、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)、 6月10日(月)は開館 。入館料金:一般・大学生1,600円(1,400円)、小・中・高校生600円(500円) 、金曜・土曜限定ペア得ナイト券2名1組2,000円※( )内は前売料金、前売券の販売は3月20日(水)まで 。※金曜・土曜限定ペア得ナイト券は会場で当日午後5時以降販売、2名様同時入場限定 。※未就学児ならびに障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料。問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2018年10月21日「男と女は永遠に分かり合えない生き物だ」などという言葉があります。男と女。大きく共通しているのは、哺乳類サル目ヒト科ということぐらいて、そのほかは全く違う生き物です。この永遠に分かり合えない生き物同士が家庭を作り、子どもを育てていくのですから、 そりゃ衝突して当然ですよね。夫の性格を理解しているつもりでも、いまだに夫ならではの感覚の違いに驚かされることがあります。■リビングで寝る妻に毛布をかけてくれる夫私が子どもを寝かしつけたあとにリビングで寝落ちしてしまったときのこと。まぁ、夫が仕事から帰ってきたころにはぐーぐーひっくり返って寝ているのですよ、おほほほ(恥)。どうせ寝るならさっさと布団に行けばいいものを、グダグダするわ、旦那に八つ当たりはするわ、てこでも動かないわという、ある意味酔っぱらいよりもたちの悪い癖があるのです。しかし、そんな妻に夫はというと、なにも言わずに2階から布団と毛布を下ろしてきてそっと私にかけてくれるんです。優しいでしょ!? そう。優しいんです。もしも私が逆の立場だったとしたら、「またそんなところで寝て……! 風邪引いたって知らないからね! むしろ風邪でも引いておのれの不摂生を後悔するがよいわ」って思ってしまいます。自分に甘く夫に厳しい…。それな私にも、夫は布団をかけてくれるんです。そのことに私は、3日3晩ありがとう、ありがとうと感謝しつづけたのですが(どんだけ)、後日、夫に聞いてみたのです。「どうしてそこまで優しくしてくれるの?」って。私が思うに、私が毎日育児と家事で頑張ってるのを知ってるからなんだと思うんですよね。私の頑張りを認めてくれてるから、私のことが大好きだから何も言わずにそっとお布団をかけてくれてるんだよね、「ね?」ってウキウキで聞いてみたら、妻の予想の斜め上を行く回答が返ってきました。「君が風邪を引くと俺が困るから」え……ええええええーーーーー!!!!ちょちょちょちょと待てちょと待て旦那さぁぁぁん。どどどど…どういうことですか!!夫:「妻に風邪を引かれると、俺が困るからに決まってるじゃないか。家が回らなくなって、子どもたちの面倒から何から俺が見ないといけなくなるし、仕事にも支障が出るから。そうならないように布団をかけただけ」ケチョーーーーーーン……。そ…そんなぁぁぁあ。ガラガラと音をたてて崩れていく「私愛されてる説」(笑)私:「……まさかの、俺目線…」。夫:「当然だろ。当たり前だよ。 自分が困る状況を巻き起こさないように先手を打って対処しているまで。どうせこんなこと言うと、君は『なんて冷たい!』って言うんだろうけど、冷たいとかそういう問題じゃない。これが本音だよ」カーーーン……。超現実主義。上手なご主人なら「もちろん君が大事だからだよ」と、うまいこと言って切り抜けるんでしょうが、夫は本音を素直に言うのがお得意。ほほほほ。はぁ……。でも、待ってください! 世の奥さまがたたち。私がそうだったように「なんて冷たいんだ!」って怒りも湧いてくるとは思いますが、一旦深呼吸しましょう。スーハースーハー。この思考回路の違い、驚きませんか? こんなにも考え方が違うとは。夫は、風邪を引いたら私がしんどいからかわいそうなんじゃなくて、 私が寝込むともれなく家が回らなくなって自分にも負荷がかかるから、風邪を引かれてる場合じゃないって思うわけです。そう、私が夫は「相手目線」で考えているであろうと予測していたのに対し、実際の夫の心中は「自分目線」だったのです。■相手目線の妻と、自分目線の夫念のため言っておきますが、私は自分視点がダメって言いたいわけではありません。むしろ、そこまで自分目線で物事を考えられるのがうらやましい…。そう、これだけ夫と私では視点が真逆なんだということを言いたいのです。そこで気づいたんです。私が基本的に「相手」目線である一方で、夫は基本的に「自分」目線なんだということを頭に入れておけば、イライラすることもないと思うんです。そして、むしろこれまで起こった出来事のズレのつじつまが合うような気がするんですだいぶ前の話ですが、長男が小さいころに私が熱を出してしまった時、夫に「離乳食を食べさせてあげてほしい」と頼んだところ、1日目はあげてくれましたけど、2日目は「また?! いつまで頼まれなくちゃいけないんだよ」といってスタスタと2階にあがって消えて行ってしまいました。まだ私の体はしんどいのに、なんて酷い人なんだ……と悲しくなりました。しかし、これも今思えば視点が「自分」だからです。 これ多少なりとも、男性と女性の差もあるのかなと思うのです。というのも、数年前に小さい子ども何百人を相手にする仕事をしたときのこと。帰り際に仕事の小道具を片付けていると、何も言わずに手伝ってくれる子は99パーセント女の子でした。4、5歳の女の子が自主的に動いて私のお手伝いをしてくれたんです! 私自身子どもが男の子しかいないのでとても驚きました。もちろん、女の子全員が手伝ってくれるというわけではなく、手伝ってくれる子の99パーセントが女の子だったという意味です。中には2、3歳の小さな子でも手伝ってくれたりして。「ありがとう」と伝えるとますます頑張ってくれたんです。最後の最後まで手伝ってくれたり……(涙)。一方で男の子はというと、あちこち興味津々で振り回してみたり、放り投げてみたり、とにかく遊ぶ遊ぶ遊ぶ(笑)。本能の赴くままに活発に動くか、ママが好きすぎてママにべったりかのどちらかでした。 たまに手伝ってくれる子もいましたが、瞬時に飽きてどこかに行ってしまいました(笑)。■言い方ひとつでものごとの捉え方が変わるかも?もしかしたら、男性は自分が困る状況になるのを防げるのならば、進んで行動してくれるかもしれません。言い方ひとつで、なかなか家事や育児に協力してくれない夫が協力してくれるのならば万々歳です。「こうしてよ!」じゃなくて、「こうした方があなたのためになると思うよ」と伝える、ほんのちょっとの言い方が必要なのかもしれませんね。【お知らせ】前回の 「子どもの世界の悩みは大人が思っているより大きい…親はどう寄り添う?」 の記事下アンケート「Q. 子どもに悩みを相談されたことはありますか?」のアンケート結果はこちら↓
2018年03月08日2016年は有名人の不倫が次々と発覚し、話題となっています。しかし、一般の人の間でも不倫のハードルは年々下がっているといいます。一昔前にくらべ、女性の間でも「結婚と恋愛は別もの」という考え方が浸透してきているのも特徴だそう。『人はなぜ不倫をするのか』(亀山早苗著、SBクリエイティブ)は、ジェンダー研究や昆虫学、動物行動学など8つのジャンルの学者が、著者との対談形式でそれぞれの専門分野の見地から不倫を解説した書籍。「なぜ不倫は悪なのか?」「なぜ悪だとわかっていて不倫をしてしまうのか?」と、いろいろな視点から見ること二よって、不倫の根本的な問題が見えてくるかもしれません。今回は本書のなかから、3つのジャンルをピックアップしました。■1:オスとメスは別々に行動すると浮気する(動物行動学)哺乳類で一夫一妻の形をとる動物は約3~5%だといわれているそうです。チンパンジーは乱婚的でゴリラは一夫多妻、テナガザルは一夫一妻。哺乳類のオスは子育てに関わらないことがほとんどですが、一夫一妻の場合はメスが他のオスに取られないように、夫婦がいつも一緒にいるのが普通だといいます。鳥は90%近くが一夫一妻で、巣づくりも餌取りも夫婦一緒に行います。しかし、そのような活動の最中に別行動をとるとオスメスともに浮気をすることがあるといいます。四六時中一緒にいないと浮気を防ぐことができないのです。メスは本能的に、いまの相手よりも免疫力が高い「いい遺伝子」を持つ相手がいれば、それを取り入れようとします。オスはいい遺伝子の象徴として、美しい羽や長い尾羽をアピールします。動物は自分の遺伝子を滅ぼさないために本能的に行動しているというのです。これは動物学的には「不倫」ではなく「浮気」といえるでしょう。オスは射精しても比較的早く精子が回復するため、数を撃ってチャンスを追求する傾向にありますが、メスは妊娠・出産・子育てに年単位の時間を要するので、軽率に相手を選ぶわけにはいきません。だからこそメスはいい遺伝子を見極めることが重要で、浮気であろうと夫より質のいい遺伝子がほしいというのが本能なのです。■2:現在の不倫は「個人」によって罰せられる(宗教学)日本では第二次世界大戦が終わるまで姦通罪が存在しました。これは「夫のいる女性」と「その女性と性的関係を持った男性」に適用されるもの。当時の日本は家父長制が強く、男は妻の面倒を最後まで見る義務があるとともに、妻は夫の財産としての扱いでもありました。そのため夫の「所有物」である女に手を出したり、夫の庇護下にある女が別の男と関係を持ったりすることは「所有物の侵害」になり、罪となっていたのです。また、仏教の五戒(信者が守る基本の5つの戒)には「不邪婬戒」(不道徳な性行為を行ってはいけない)というものがあります。このような仏教の思想や姦通罪の影響により、近代以降「不倫はいけない」という考え方が浸透していきました。しかし、いまの日本では不倫は宗教でもなく法律でもなく、「人」によって罰せられるものになっています。「不倫はいけない」と誰もがなんとなく思ってはいるものの、なにに基づいていけないとされているかは曖昧です。現在は宗教や法律の縛りがないからこそ、不倫が発覚すると個人の判断ややっかみなどによってバッシングされてしまうのです。■3:不倫だからこその「安心感」で抜け出せなくなる(心理学)既婚者とつきあう独身女性には、「最終的に自分は選ばれない」とわかっているからこそのめり込んでしまうというケースも多いそうです。もちろん本当は選ばれて結婚したいという思いはありますが、「選ぶ」という行為には必ず「結果」がついてきます。それが怖いから逃げようとしてしまうということ。また、恋愛にはつきものの「ひょっとしたら選ばれないかもしれない」という不安ではなく「最終的なパートナーとしては選ばれなくて当然」という安心感があるからこそ、どっぷりと不倫に浸かってしまう人もいます。恋愛の場合はつきあっていくうちに、「こんな人だとは思わなかった」という場面に遭遇するもの。そのときには別れるか、相手の真の姿を受け入れるかを選択して次のステージへ進んでいくでしょう。しかし、不倫の場合はいつも一緒にいられるわけではないので、相手の嫌な部分や、自分と合わない部分を発見しづらいのです。パートナーとして次の段階に進むことなく、いつも刺激的な関係でいられるので、なかなか抜け出せなくなってしまいます。心理学的に、不倫によって自分の心のバランスを保ったり、不足を補ったりということもなくはありませんが、ずるずる続けているとよい結果にはならないでしょう。*著者は17年にわたり一般の人の不倫について取材をしていますが、「誰にでも不倫をする可能性はある」といいます。恋愛に関してハードルが低い人も、絶対に不倫はいけないと思っている人も、家族の不倫で悩んだ人でさえも不倫をしてしまうことがあるそうです。しかし、いうまでもなく不倫は大きなリスクを伴うもの。取り返しのつかない事態を招きかねないことをお忘れなく。(文/平野鞠) 【参考】※亀山早苗(2016)『人はなぜ不倫をするのか』SBクリエイティブ
2016年09月03日犬や猫を飼っている人は、この子たち本当によく寝るなぁと思うことがありますよね。同じ哺乳類でも1日の睡眠時間は全く異なるのに、類が違ったら、睡眠というのはどのぐらい異なるものなのでしょうか? 気になったので調べてみました!睡眠も進化した人間はレム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)を交互に繰り返しながら眠っています。それでは、人間以外はどうなのでしょうか? 魚類も両生類も爬虫類もすべて同じなのでしょうか?面白いことに、たとえ微生物であっても昼夜に対応した活動と休息の周期がみられると言われています。そこで今回は、生物の類ごとの睡眠の実態に迫ってみたいと思います。生物の歴史を見ていくと、微生物にはじまり、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類と進化してきたと考えられています。この間に形態だけでなく、睡眠も共に進化してきたそうです。レム・ノンレム睡眠があるのは?レム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返す睡眠をとるのは、恒温性の高等脊椎動物だけと言われています。つまり、哺乳類や鳥類だけで、ほかの生物は異なる睡眠のスタイルをとっています。爬虫類の睡眠は「中間睡眠」と呼ばれるもので、脳波を計測するとレム・ノンレム睡眠に近いものがあるそうなのですが、はっきりとしたものではないと言われています。魚類や両生類の睡眠は「原始睡眠」で、覚醒しているときと異なる脳波は計測できないそうです。このように見ていくと、魚類や両生類から爬虫類へと進化する過程で、睡眠も哺乳類や鳥類に近づいているということがよくわかりますね。ノンレム睡眠が文明を築いたレム睡眠とノンレム睡眠の役割は正反対で、レム睡眠は大脳を活性化させ、ノンレム睡眠は大脳を休息させるそうです。私たち人類はノンレム睡眠を得たことで、大脳が発達し、現在のような文明を築くことができたと考えられています。起きているときに脳ミソがフル回転するのは、ノンレム睡眠でしっかりと大脳が休んでいるためと考えられていて、ノンレム睡眠がなければここまで大脳は発達しなかったのだそうです。睡眠の世界は本当に奥が深いですね。みなさんも、今日は頭が疲れてボーッとしていて働かないなぁというときはしっかり睡眠をとって、ノンレム睡眠中に大脳を休ませてあげましょうね!Photo by c-reel.com
2015年05月18日理化学研究所(理研)と東京大学(東大)は4月22日、進化の中で哺乳類系統と爬虫類-鳥類系統がそれぞれ独自の発生メカニズムで鼓膜を獲得した証拠を発見したと発表した。同成果は理研倉谷形態進化研究室の倉谷滋 主任研究員、武智正樹 元研究員、東大大学院医学系研究科の栗原裕基 教授、北沢太郎 元大学院生らの共同研究グループによるもので、4月22日付(現地時間)の英科学誌「Nature Communications」に掲載された。陸上脊椎動物は、空気中の音を聴くために、鼓膜と中耳骨を顎関節の近くに進化させてきた。中耳骨は哺乳類で3個、爬虫類と鳥類では1個ある。しかし、なぜ哺乳類が爬虫類と鳥類よりも多くの中耳骨を持つようになったのかは不明とされていた。また、鼓膜のような軟組織は化石に残らないため、鼓膜がいつ獲得されたのかもわかっていなかった。同研究グループは、鼓膜の発生メカニズムを調べるために、マウスとニワトリを対象に、顎の骨格が前駆組織から上顎や下顎に分化していく過程を制御するDlx5/Dlx6遺伝子を操作することで、下顎の位置に上顎の骨を発生させる実験を行い、鼓膜にどのような影響が生じるかを調査した。その結果、マウスでは鼓膜がなくなり、ニワトリではサイズが大きくなるという、正反対の影響が見られた。これは、鼓膜がマウスでは下顎の一部として、ニワトリでは上顎の一部として、それぞれ別々のメカニズムで発生していることを示しており、鼓膜の位置の違いが、哺乳類が爬虫類と鳥類より中耳骨を多く有するようになったきっかけの1つであったと考えられるという。今回の研究のように、発生メカニズムを操作することで、これまで認識していなかった進化過程の痕跡が判明する例は他にもあると考えられるという。
2015年04月23日国立極地研究所(極地研)は4月21日、マグロ類やホオジロザメなど体温の高い魚は、遊泳スピードおよび回遊距離の長さがペンギンやクジラなどの海生哺乳類に匹敵すると発表した。同成果は極地研の渡辺佑基 助教を中心とする研究グループによるもので、「米国科学アカデミー紀要」のオンライン版に掲載された。ほとんどの魚は変温動物で、体温は周囲の水温と同じだが、マグロ類や一部のサメは、水温よりも5~15℃ほど高い体温を維持していることが知られている。しかし、どのような生存上のメリットによってそうした特長を有するようになったかはわかっていなかった。高い体温は筋力の出力を上げる効果があることから、より速いスピードを維持するためだと考えられているが、この仮説はこれまで検証されていなかった。同研究グループが、動物の体にセンサーなどを取り付けるバイオロギング技術を用いて、魚類46種のスピードを比較したところ、体温の高い魚は同サイズの普通の魚に比べ、2.7倍速いスピードで泳ぐことが判明した。また、年間の回遊距離では、体温の高い魚は普通の魚の2.5倍回遊距離が長かった。大規模な回遊ができることで、エサの減少など季節的な環境の変化に柔軟に対応でき、生存に有利に働くと考えられる。これは、大規模回遊のメリットが、高いエネルギー要求というデメリットを上回ったため、高い体温を持つ魚類へと進化たことを示唆しているとされる。また、高い体温の魚は遊泳スピード・回遊距離においてペンギン、アザラシ、クジラなどの恒温動物に近かったため、高い体温をもつ動物ほど速く泳ぎ、長距離を回遊するという今回の発見は、魚類、鳥類、哺乳類などを超えて幅広く当てはまる自然の法則であると考えられるという。
2015年04月22日岡山大学は10月28日、ストレスタンパク質であるHSP90αが、哺乳類の生殖細胞におけるレトロトランスポゾン(利己的に転移する因子)の再活性化抑制機構に関与し、ゲノムの恒常性維持にも重要であることを遺伝的に証明したと発表した。この成果は、同大学医歯薬学総合研究科(医学系)免疫学分野の鵜殿平一郎 教授、一柳朋子 助教らの研究グループによるもので、9月27日付け(現地時間)の「Nucleic Acid Research 電子版」で公開された。哺乳類の生殖細胞の形成過程では、胎生期に一度レトロトランスポゾンが活性化する。その後、DNAメチル化酵素などの核内タンパク質によって再抑制されるが、この抑制機構が破綻すると精子形成不全になることが知られている。一方、細胞質ではpiRNAと呼ばれる小さなRNAが産生されおり、piRNAは細胞質でのレトロトランスポゾンmRNAの切断を誘導すると共に、核内でレトロトランスポゾン配列のDNAメチル化を誘導する働きもある。このpiRNA生合成系の破綻も精子形成不全を引き起こすことがわかっている。今回、HSP90αを欠損した胎生期のマウスの精巣を詳細に解析したところ、生殖細胞の発生過程で産生されるべきpiRNAの生成異常およびレトロトランスポゾンの抑制異常があることが明らかとなった。特に、piRNA結合タンパク質が細胞質から核内へ移行できないことから、HSP90αが細胞質の情報と核内の活動を繋ぐ重要なタンパク質である可能性が示唆された。HSP90αは昆虫や植物でもpiRNAやmiRNAなどの小分子RNAの生成に関わっているので、この機構は進化的にかなり保存されていると推察されるとのこと。同研究チームは今回の研究成果について、「ストレスタンパク質の機能の新たな一面を明らかにしただけでなく、不妊症の原因究明として今後応用できる可能性がある」とコメントしている。
2014年10月29日早稲田大学(早大)は7月17日、ウズラを用いた研究から、異性を見た際、脳内で性ホルモンの分泌が変化する新たな神経機構を発見したと発表した。ヒトを含めた哺乳類でも同じ仕組みが存在することが考えられ、一目惚れの際の神経機構の解明につながることが期待されるとしている。同成果は、同大教育・総合科学学術院/先端生命医科学センター(TWIns)の筒井和義 教授および戸張靖子研究助手らによるもの。詳細は米国神経科学会誌「Journal of Neuroscience」に掲載された。動物が、群れからはぐれて一匹になった時やつがいを形成するといった社会環境が変化すると、その行動や生殖腺からの性ホルモンの分泌が変化することがこれまでの研究から報告されており、ヒトも社会的な情報により行動や生理状態が瞬時に変化することが知られている。異性と同性の前では態度や行動が異なっていたり、素敵だと思う異性を前にすると、性ホルモンの分泌が変化することなどがよく言われるところだが、こうした社会環境の違いが、脳にどのような変化をもたらして行動や生理状態を変化させるのかについてはよくわかっていなかった。そこで研究グループでは、こうした瞬時に動物の性ホルモン分泌が変化する仕組みの解明を目指して、日本ウズラを解析モデルとして実験を実施したという。日本ウズラは、オスがメスを視覚的に認知すると数秒後に交尾するという瞬時の行動変化を示すことが知られており、実験では、1匹だけの状態のオス、透明プラスチックの壁越しにオス、またはメスとお見合いしたオスの脳における「生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」と「生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH)」の変化を調査。この結果、メスを見た際にはGnIHだけが増加していることを突き止めたほか、メスとお見合いをしたオスの血中の生殖腺刺激ホルモン濃度が低下していることも突き止めたとする。また、その際の脳内の仕組みを調べたところ、オスの脳では、メスを見ると、GnIHをつくる神経細胞(GnIHニューロン)が存在する脳の場所で、一過的に注意や覚醒に重要な神経伝達物質である「ノルエピネフリン」の放出が増えることが確認されたほか、ノルエピネフリンをオスのウズラの脳に投与すると、GnIHの放出が増えること、ならびに血中の生殖腺刺激ホルモン濃度が低下し、男性ホルモン(テストステロン)の血中濃度が低下することが確認されたとする。今回の結果を受けて研究グループでは、ノルエピネフリンとGnIHは人間をはじめとする多くの動物に共通して存在している物質であり、ヒトを含めた哺乳類でも同じ仕組みが存在することが考えられるとコメント。今後の一目惚れをするときの神経機構や分子メカニズムの解明につながることが期待されるとしている。
2014年07月17日焼肉の人気メニューのひとつ、「タン」。煮込んでシチューにしても人間の舌を喜ばせてくれる。しかし世間で味わうことができる「舌」は、せいぜい牛タンか豚タンくらい。それ以外の生き物でも、タンはおいしいのだろうか。今回、哺乳類と爬虫類の舌をそれぞれ調理して、味を比べてみた。哺乳類代表は、筆者が北海道で入手して冷凍しておいた「エゾ鹿のタン」。爬虫類代表は、オーストラリア産で1パック5枚入り350g、1,350円の「ワニタン」。まずは冷凍保存していた両者を解凍する。ザラザラした味蕾に覆われ、生息地の松葉もこびりついたエゾ鹿タンからは「野生」そのものの濃厚な血の臭いが感じ取れる。一方でワニタンは製品として下処理を施されているせいか、何の匂いもしない。まずは薄切りにして、シンプルにタン焼き。エゾ鹿のタンは牛タンによく似た味だが、やはり野生動物ゆえ舌まで筋肉の固まり、とにかく硬い。一方でワニタンは弾力を帯びつつも柔らかい。ワニの肉質は鶏肉に似ているが、舌まで鶏肉そのまま。淡白ながら、しっかりと脂も乗っている。かたくて濃厚なエゾ鹿タン、柔らかくて淡白なワニタン。これら特性を見た上でメニューを考える。まずエゾ鹿タンは香味野菜と一緒に茹でて一晩寝かせたのち、かたい皮をはぎ取って刻む。その上で玉ネギ、人参、トマト缶、ジャガイモを加え、赤ワインとデミグラスソースで味を調える。小麦粉のルーでとろみをつけて皿に盛り、生クリームをあしらった「エゾ鹿のタンシチュー」。ワニタンはカブやジャガイモ、ニンジンと共にスープで煮て塩味で仕上げた「ワニタンのポトフ」。あるいはショウガ醤油に漬け込むか香草を振り掛けた上で小麦粉をはたきつけ、オリーブ油で焼き上げた「ワニタンのムニエル」。空腹をおさえつつ撮影を終え、さっそく試食。シチューにしたエゾ鹿タンは実に味わい深い。香味野菜と数時間煮込むことで臭みが消し去られ、噛めばホロホロとほぐれる。濃厚な味は付け合せのクリームでまろやかになる。一方でワニタンはプリプリした歯ごたえ。ホタテの貝柱に鶏のモモ肉を足したような旨味は、軽い醤油味を受けてさらに引き立てられる。エゾ鹿タンとワニタン、どちらも甲乙つけがたい旨さ。新たな「タン料理」の素材として、広く味わっていただきたいものだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月21日