1973年結成のアメリカの弦楽四重奏団クロノス・クァルテットが、この秋、19年ぶり11回目の来日を果たす。オンライン会見に芸術監督のデイヴィッド・ハリントン(ヴァイオリン)が出席した。現代音楽が彼らの領域。1,000曲を超える委嘱作品も生み、文字どおり弦楽四重奏の新たな地平を拓き続けてきた。今回は彼らの代表的名曲も披露して、あらためてクロノスの軌跡を示してくれるのがうれしい。ジョージ・クラムの《ブラック・エンジェルズ》(1973)、スティーヴ・ライヒの《ディファレント・トレインズ》(1988)と《トリプル・クァルテット》(1999)。すでに20世紀の弦楽四重奏の重要なレガシーとなっているが、いまなお先鋭さを失うことはない。これぞクロノスという刺激を味わい尽くせるはずだ。「《ブラック・エンジェルズ》は私たちの活動が始まるきっかけになった作品です。ライヒの音楽は私たちの支柱のひとつ。彼はアメリカ社会の難しい課題を直視しつつ、音楽の原点に戻ることを忘れません」(ハリントン=以下同)そしてもちろん、「いま」の視点がないはずがない。クロノスが現在最も注力しているプロジェクトが、50 for the Future(未来のための50曲)だ。若い世代のための新たなレパートリーの創出。男女25人ずつ50人の作曲家に新作を委嘱した。スコアを無料公開し、世界各地で若いカルテットへの指導も行なっている。今回は50人中唯一の日本人・望月京(みさと)の《ボイズ》など10作品が演奏され、東京公演には日本の若手タレイア・クァルテットも出演する。「50人の作曲家が、こんなにも多種多様で素晴らしい音楽を作り出す。私たちみんなが音楽の一員であることを再認識させてくれるプロジェクトです」また、テリー・ライリーの《サン・リングズ》(2002)日本初演も注目。なんとNASAの委嘱により、宇宙探査船ボイジャーが記録した宇宙の音にインスパイアされた作品。日本の合唱団との共演というのも見逃せない。「初めて音を聴いた時、ここまでできるのかと、一瞬戸惑いました。人間の持つ可能性の大きさを思います。この作品を日本で演奏することは、私たちの活動のハイライトのひとつです」クロノス・クァルテット来日公演は、9月24日(土)京都、28日(水)東京、30日(金)さいたま、10月1日(土)横浜、2日(日)盛岡(全公演とも別プログラム)。(宮本明)
2022年07月14日佐々木崇(ピアノ)・長岡聡季(ヴァイオリン)・森山涼介(チェロ)東京藝術大学卒業の奏者が揃うMusik Waldコンサート企画主催、ベートーヴェンの室内楽『佐々木崇珠玉の室内楽コンサートvol.5』が2022年9月11日 (日)にウェスタ川越リハーサル室(小ホール) (埼玉県川越市新宿町1-17-17)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて7月11日(月)10:00より発売開始です。カンフェティにて7月11日(月)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ YouTube 本格的なクラシックコンサートをわかりやすいトーク付きでお届けピアニスト・佐々木崇を中心とした、室内楽の魅力を伝える川越市での演奏会第5弾。出演者はすべて実力のある東京藝術大学の卒業生の奏者。難解と思われるクラシック音楽を、分かりやすくトーク付きで解説を交えながら行う演奏会です。普段クラシックに興味がない方にもその良さを知ってもらえるよう、演奏前に毎回わかりやすく解説を行っています。今回はベートーヴェンの室内楽を集め、ヴァイオリンソナタ第2番、チェロソナタ第3番、ピアノ三重奏曲第7番「大公」を取り上げます。<Program>L.v. ベートーヴェン(1770-1827):ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ長調 作品12-2(1797/98年)Sonate für Klavier und Violine Nr.2 A-dur Op.12-2ピアノとチェロのためのソナタ イ長調 作品69(1808年)Sonate für Klavier und Cello A-dur Op.69ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 作品97 「大公」(1811年)Klaviertrio No.7 B-dur Op.97 “Erzherzog”佐々木崇プロフィール埼玉県川越市出身。3歳よりピアノを始める。埼玉県立大宮光陵高校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部に入学。その後、同大学院修士課程を経て、同大学院博士課程に進み、論文「R.シューマンの初期ピアノ曲のモットー構想-象徴的核音型の回帰手法をめぐって-」で博士号を取得し2011年に卒業。在学中には東京藝術大学ピアノ科のティーチングアシスタントを務める。1997年、第5回ヤングアーチストピアノコンクールEグループ金賞をはじめ、同大学在学中には、第3回日本演奏家コンクール大学の部第1位、第12回彩の国埼玉ピアノコンクールF部門銀賞、第6回東京音楽コンクールピアノ部門第3位など数々のコンクールで優勝・入賞を果たす。さらに、第6回ショパン国際ピアノコンクールin Asiaファイナリスト、第1回高松国際ピアノコン クールセミファイナリスト。2008年に川口リリアホールにて、また2011年、2016年に上野の東京文化会館にてソロリサイタルを開催、2015年には日本フィルハーモニー交響楽団と共演し、いずれもその美しい音色と抒情性を備えた音楽性を高く評価された。2015年年末白寿ホールの主催するコンサート「迫昭嘉の第九vol.1」において師である迫昭嘉氏と共演、好評を博す。2012年から地元川越で毎年リサイタルを開催し、2013年には函館公演も実現するなど精力的に活動を拡げている。また2016年より日フィルのメンバーと共演するなど室内楽にも力を入れている。2018年より6年に渡りシューマンの主要なピアノ曲と室内楽すべてを取り上げる佐々木崇シューマンリサイタルを開催中である。ピアノを、故真継豊子、赤間亜紀子、荻野千里、播本枝未子、迫昭嘉、大野眞嗣、ディーナ・ヨッフェ各氏に師事し、アンジェイ・ヤシンスキー、ヴァディム・サハロフ、パーヴェル・ネルセシアン、エフゲニー・ザラフィアンツ、アンナ・マリコワ各氏のレッスンも受講する。元東京藝術大学ピアノ科非常勤講師、ヤングアーチストミュージックアカデミー講師。アルバム「佐々木崇プレイズシューマン」(DLTS0001)「佐々木崇プレイズショパン」(DLTS0002)「R.シューマン交響的練習曲」(KKTS0001)好評発売中。開催概要ベートーヴェンの室内楽『佐々木崇珠玉の室内楽コンサートvol.5』開催日時:2022年9月11日 (日)13時半開場/14時開演(16時終演)会場:ウェスタ川越リハーサル室(小ホール) (埼玉県川越市新宿町1-17-17)■出演者ピアノ: 佐々木崇 / ヴァイオリン: 長岡聡季 / チェロ: 森山涼介■スタッフ佐々木崇コンサート実行委員■チケット料金一般:3,000円学生:2,000円(全席自由・税込)<カンフェティ限定!>一般:3,000円 → カンフェティ席(一般)2,000円!学生:2,000円 → カンフェティ席(学生)1,000円!(全席自由・税込)【主催】Musik Waldコンサート企画【後援】川越市、(公財)川越市施設管理公社、NPO法人Peaceやまぶき 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年07月11日ヴァイオリンの石田泰尚が5月から続けている「熱狂の夜」。最終回は、自らがコンサートマスターを務める神奈川フィルハーモニーとの協奏曲の一夜だ[9月6日(火)ミューザ川崎シンフォニーホール]。指揮は川瀬賢太郎。2曲の現代アメリカ作品を並べたプロがクールだ。ジャズ・トランペッターのウィントン・マルサリスのヴァイオリン協奏曲(2015)は、昨年2月に今回と同じメンバーで日本初演されたばかり。「持ってきたのは川瀬ちゃん。これ、絶対石田さんに合ってますと勧めてくれました。45分ぐらいかかる大作ですが、たぶんあっという間。絶対に面白いはずです。あらかじめ予習してくる必要なんかありません。クラシックがあったりタンゴがあったり、ブルースが出てきたり。いろんな要素があって楽しいんですけど、ただ、ちょっと難しすぎない?っていうぐらい、超絶技巧がすさまじくて。聴きどころは曲の冒頭。僕の弾くラの音から始まるんですけど、すごく静かに、p×3つぐらいから入るのが印象的です。ミューザの客席をそこでいきなり引き込むことができるかどうか、今から楽しみですね。あとは、打楽器とのコラボみたいなカデンツァも見ものです。打楽器奏者がオーケストラの前に移動してきて、2人で演奏します」一方のミニマル・ミュージックの大家フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第1番(1987)も、2006年に神奈川フィルと弾いている(下野竜也指揮)。「ミニマル・ミュージックはそれまで全然接点がなかった。グラスの存在も知りませんでした。かっこいいけど、同じことを繰り返すのを同じように弾いても、ヘタしたらつまらなくなる。お客さんも飽きるでしょうしね。テクニック的にはマルサリスほどではないんですけど、そういうことが意外に難しいんじゃないかと思います」神奈川フィルでのコンマス歴はすでに20年を超える。2014年から今年春まで常任指揮者を務めた川瀬とも気心の知れた仲だ。互いの信頼も厚い。「彼はフレンドリーで、団員とも壁がないので、みんな話しやすかったと思います。それは彼の良さなんじゃないかな。そして、どんな曲でもすごく勉強してきますよね。音楽と真摯に向き合っている」最終夜だけに気合も入ると意気込む。「でも、とにかく楽しみたい。5回全部聴きに来てくれるお客さんもいっぱいいるので、全部聴いてよかったと思えるような夜にできればうれしいですね」(取材・文:宮本明)
2022年07月08日昨年のショパン国際ピアノ・コンクール。反田恭平、小林愛実の日本人入賞コンビに負けない注目を集めたのが、第3位の1996年生まれのスペインのピアニスト、マルティン・ガルシア・ガルシアだ。5月に初来日を果たした。ライヴ配信されたショパン・コンクールでは、楽しくてたまらないという彼の表情が印象的だった。時に口ずさみながら弾く。「もちろんプレッシャーはあったよ。コンクールだからね。でも日程が進むにつれて、だんだん楽しめるようになって、最後は会場を盛り上げようという気持ちだったんだ。ピアニストだって、楽しんでいいでしょう?口ずさんでしまうのは本能で……。音楽には必ず歌がある。ピアノというのはそれを再現する手段でしかない。歌を聴いてもらうことが何よりうれしいことなんだ」ファイナルの協奏曲は、多くの参加者が選ぶ第1番でなく、第2番だった。「審査員も客席も、1番ばかり聴き続けているわけだから、たまに2番を聴いたほうが新鮮だと思って(笑)。実際、あの作品にはフレッシュなものを感じるんだ」コンクール効果というか、今の彼は世界中どこへ行ってもショパンを弾くことを求められる。「大好きなショパンを皆さんと分かち合うのはうれしいことだけど、バロックも現代曲も大好き。もう少しバランスよくいろんな曲を弾きたいかな」今年は秋にも日本に戻ってきて、ベートーヴェンの協奏曲第5番《皇帝》を弾く。「ベートーヴェンとの関係はラヴ・ヘイト。愛しているけど嫌い、みたいなね。彼自身も自分の中にそんな葛藤があったんじゃないかな。とにかく深い音楽だよね。ベートーヴェンほど、人間の精神面に深く入っていく作曲家はいない。だからピアニストはみんな、ベートーヴェンを弾くのに時間をかけるんだと思うよ。2週間ですぐに弾けるような作品はない。その意味で難しい作曲家だね。《皇帝》は、彼の5曲の協奏曲の中で一番まばゆい作品だと思う。でも同時に、いい意味で無邪気さがある。新しい世界を見て驚いている子供のような感覚。その一方で人間の誇りみたいなものもあって、そんな相反するキャラクターによって、すごくいい曲になっているんじゃないかな。聴衆も、それぞれに異なる受け取り方ができるでしょう?演奏するのも《皇帝》が一番楽しいよ」1日先も1分先も、常に新しい自分でいたいというマルティン。秋にはまた新しい彼に出会えるはずだ。■マルティン・ガルシア・ガルシア(p)11/5(土)・6(日) サントリーホール 大ホール(東京都)
2022年06月16日現代の巨匠ミッシャ・マイスキー。5月の来日では盟友マルタ・アルゲリッチとの共演で湧かせたが、10月には東京と名古屋で至宝のJ.S.バッハ無伴奏チェロ組曲全曲を聴かせてくれる。「偉大な作品。細部まで知っていればもちろん、バッハについて知識がなくても楽しめる。美しい庭園を見る時、咲いている花の名前を知らなくても楽しめるでしょう?それと同じ。ハートのある人は感動できる。何より大事なのはハートです」バロック時代、おもに通奏低音を担っていたチェロの独奏楽器としての可能性を引き出した重要な作品だ。「でも特別にチェロに惹かれたわけではないと思う。第4番の前奏曲なんて、音の跳躍が激しくて、チェロよりもオルガンで弾いたほうがふさわしいぐらいだし(笑)。でも彼が新しいことが好きだったのは確か。第6番が5弦のチェロのために書かれているようにね」秋の全曲演奏会では1日目に第1、4、5番、2日目に第3、2、6番を弾く。「一日で弾くなら第1番から順番に弾くのがいいと思う。でも私は2回に分けるのが好きで、いろいろな組み合わせを試してきたんだ。それぞれに異なる可能性があると思うけど、今回の組み合わせのポイントは、まず、第1番から始まって第6番で終わること。各組曲の5曲目に配置されているメヌエット(第1、2番)、ブーレ(第3、4番)、ガヴォット(第5、6番)が両日に分かれていること。両日に短調の組曲が1曲ずつあること。1日目の変ホ長調(第4番)とハ短調(第5番)の平行調(♭3つ)、2日目のニ短調(第2番)とニ長調(第6番)の同主調という調性のつながり。そして、1+4=5、3×2=6という数字遊び!これは偶然見つけた数式だけど、バッハは数学好きだから喜んでくれるんじゃないかな(笑)」ソ連時代のラトビア生まれ。若き日には反体制派として無実の罪で連行され、2年以上も楽器に触れることさえできなかった経験も持つ。今年3月にはウクライナのためのチャリティ・コンサートを開いた。「宗教も言葉も国籍も超えて理解し合えるのが音楽。偉大な音楽は互いを発見し発展させることができるはず。私にできるのはほんの小さなことだけれど、それを積み重ねることが大事だと思う。絶対にね」無伴奏チェロ組曲全曲演奏会は10月30日(日)31日(月)東京・サントリーホール、11月2日(水)3日(木)愛知県芸術劇場コンサートホールで。雄大な自然の中に佇む八ヶ岳高原音楽堂で味わう3曲抜粋(第3、2、6番=10月28日[金])も至福。(宮本明)
2022年06月02日認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク(東京都中央区、理事⻑:⻑浜⼒雄)主催、『<ウィークエンドコンサート>室内楽ホールdeオペラ~岩田達宗プロデュース~佐藤美枝子の「ルチア」』が2022年10月22日 (土)に第一生命ホール(東京都中央区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)、主催者チケットデスクほかにて5月24日(火)より発売開始いたしました。カンフェティにて5月24日(火)11:00よりチケット発売中 公式ホームページ 愛のために心引き裂かれてゆくルチア。「狂乱の場」へと至るベルカントオペラの最高峰を声そのものの魅力を堪能できる室内楽ホールで。悲劇的な運命に翻弄され、愛のために正気を失ってゆくヒロイン「ルチア」は、日本を代表するプリマドンナ佐藤美枝子が最も得意とし大切にしてきたレパートリーの一つ。「ルチア」圧巻の見せ場「狂乱の場」へと向かってゆくこのオペラの心髄を描き出すのは、全国のオペラ・プロダクションから依頼が殺到する演出家、岩田達宗。敵対する一族でありながら、ルチアと愛し合うエドガルド/清水徹太郎、ルチアの兄でエドガルドの宿敵でもあるエンリーコ/黒田 博をはじめ、日本を代表するオペラ歌手の声の競演を、どうぞお楽しみください。【曲目】ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」よりプロフィール佐藤美枝子Sato Mieko武蔵野音楽大学卒業。98年第11回チャイコフスキー国際音楽コンクール声楽部門で日本人初の第1位、第64回日本音楽コンクール声楽部門第1位。 95年イタリアにて『リゴレット』のジルダでオペラデビュー後、『ランメルモールのルチア』『椿姫』『後宮からの逃走』『夕鶴』他、国内外の数多くのオペラに出演し好評を博す。第7回五島記念文化賞オペラ新人賞、第9回出光音楽賞、第10回新日鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞、第50回ENEOS音楽賞大賞受賞。藤原歌劇団団員。日本オペラ協会会員。武蔵野音楽大学教授。大分県立芸術文化短期大学客員教授。清水徹太郎Shimizu Tetsutaro京都市立芸術大学卒業、同大学院研究科修了。第33回飯塚新人音楽コンクール第1位、第82回日本音楽コンクール入選他多数入賞。文部科学大臣賞他多数受賞。『カルメン』『ボエーム』『魔笛』『ファルスタッフ』『夕鶴』『オテロ』『サロメ』『ラインの黄金』『エフゲニー・オネーギン』等多数出演。2021年新国立劇場・びわ湖ホール共催『カルメン』ドン・ホセ役、2022年藤沢市民オペラ『ナブッコ』イズマエーレ役の好演は記憶に新しい。びわ湖ホール声楽アンサンブルソロ登録メンバー。京都市立芸術大学、大阪音楽大学、滋賀大学各講師。黒田 博Kuroda Hiroshi京都市立芸術大学卒業。東京藝術大学大学院修了後、渡伊。新国立劇場、日生劇場、びわ湖ホール、二期会等でモーツァルト4大オペラの他、ワーグナー、ヴェルディ、プッチーニなど様々なオペラに出演。新国立劇場では『ラインの黄金』『フィデリオ』などの他、邦人作品に多数出演し、市川團十郎(十二代目)演出による『俊寛』ほか『黒船』『鹿鳴館』等に主演。的確な音楽作りと高い演技力で卓越した存在感を示している。NHK「プレミアムシアター」では〈ご案内〉役を務めている。平成30年度京都府文化賞功労賞受賞。国立音楽大学教授。二期会会員。久保田真澄Kubota Masumi国立音楽大学卒業、同大学院修了。93年第62回日本音楽コンクール声楽部門第3位。94年五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。96年リニャーノ国際コンクール及び第2回フェルッチョ・タリアヴィーニ国際コンクールに入選。ミラノで『蝶々夫人』『椿姫』『アイーダ』『ラ・ボエーム』などに出演。藤原歌劇団『愛の妙薬』『椿姫』『マクベス』、新国立劇場『アイーダ』『ドン・ジョバンニ』『ウェルテル』『カルメン』『ルチア』『ラ・ボエーム』『オテロ』『フィガロの結婚』『トスカ』など数多くのオペラに出演、好評を得ている。藤原歌劇団劇団員。国立音楽大学教授。所谷直生Tokorodani Naoki国立音楽大学声楽科卒業。04年藤原歌劇団に『イル・カンピエッロ』ゾルゼートでデビュー。その後も藤原歌劇団にて『椿姫』ガストン、『カルメル会修道女の対話』司祭、『ルチア』ノルマンノ、『ファルスタッフ』カイウス、『カプレーティ家とモンテッキ家』テバルド、『トスカ』スポレッタ、『道化師』ペッペ 等に出演。吉沢哲夫、藤川泰彰、F・カステッラーナ、市原多朗、各氏に師事。藤原歌劇団団員。河原忠之 Kawahara Tadayuki日本を代表する歌手が共演者に挙って指名する人気ピアニストで、その幅広い音色と繊細な表現には定評がある。2019年NHKニューイヤーオペラコンサートにも出演した「太メン」男声オペラ歌手4人とのユニット、IL DEVU (イル・デーヴ) のピアノ・メンバーであり、指揮者、企画プロデューサーとしても活躍中。国立音大卒業、同大学院修了。国立音大及び大学院教授、新国立劇場オペラ研修所シニアコレペティトゥア。日本コロムビアよりIL DEVUのCD3作好評発売中!最新作は《LOVE CHANGES EVERYTHING》。【IL DEVU公式Facebook】 岩田達宗 Iwata Tatsuji (演出)東京外国語大学卒業。91年より栗山昌良氏に師事。98年より2年間ヨーロッパ各地で研鑽を積む。堺シティオペラでのプッチーニ作曲『三部作』、いずみホールでの『カルメル会修道女の対話』で、音楽クリティック・クラブ賞、大阪府舞台芸術賞を受賞。ザ・カレッジオペラハウスでのブリテン作曲『ねじの回転』は文化庁芸術祭大賞、『ファルスタッフ』は同優秀賞に選ばれた。佐川吉男賞、三菱UFJ信託音楽賞など受賞多数。96年五島記念文化賞オペラ新人賞、06年音楽クリティック・クラブ賞を受賞。ひろしまオペラルネッサンス芸術監督。開催概要<ウィークエンドコンサート>室内楽ホールdeオペラ~岩田達宗プロデュース~佐藤美枝子の「ルチア」開催日時:2022年10月22日 (土)13:30開演(12:50開場)会場:第一生命ホール(東京都中央区晴海1-8-9晴海アイランド トリトンスクエア)■出演者ルチア:佐藤美枝子エドガルド:清水徹太郎エンリーコ:黒田博ライモンド:久保田真澄ノルマンノ:所谷直生河原忠之(ピアノ)■スタッフ演出:岩田達宗■チケット料金S席:6,000円A席:5,000円B席:2,000円U25(25歳以下):1,500円(全席指定・税込)主催:認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク協賛:第一生命保険株式会社助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)/独立行政法人日本芸術文化振興会 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月01日2人のピアニストがこの日のために特別なデュオを組み、それぞれの個性をぶつけあう、東京芸術劇場の「VS」シリーズ。第一線で活躍する音楽家同士の共演は、ライブ感と相まって特別な夜を演出してきた。第4回には、世界的ジャズ・ピアニストの山中千尋と、ピアニストとしてはもちろん、ボーダーレスに作曲家として活躍する妹尾武が登場する。互いに桐朋学園大学でピアノを学んだ“学友”でもあるという。「学内よりも学外で一緒になることが多かったのですが、仲良くしていた友人ですね。今回のようにコンサートで一緒に演奏するのは初めてですが、色々な曲を二人でアレンジしながら演奏してきたので、今回の“VS”シリーズのお話を頂いたとき、すぐに思い浮かんだのが妹尾さんでした」学生時代からその演奏や作品に接してきた山中からの、妹尾の音楽の魅力を尋ねた。「演奏についていえば、繊細でありながら非常にダイナミックな演奏する人です。とても幅広い音楽性の持ち主ですね。作品については、メロディのセンスが抜群です。ジャズの場合、複雑なコードやスケールを多用することも多いですが、彼はシンプルに旋律的な音楽を紡ぎ出すピアニストです。尊敬する音楽家の一人です」今回の演奏曲にはラフマニノフの「交響曲第2番」の第3楽章が含まれているが、これはラフマニノフ好きの妹尾の選曲だという。「妹尾さんは学生時代からラフマニノフ・フリークでしたね。私は同じロシアでも、倍音がたくさんあって複雑な、少し狂った感じのスクリャービンの方が好きだったのです。最近ラフマニノフのメロディの美しさとピアニスティックな書法の完璧さの魅力を再発見しているところです。今回は即興もたくさん入れる予定なので、私なりのラフマニノフを出せるようにしたいですね」山中の出身地である群馬県桐生市の民謡「八木節」も含まれているが、今回はもちろん二人で演奏する。様々なジャンルを横断する二人ならではの魅力あふれるコンサートとなりそうだ。「『八木節』は妹尾さんから“やろう”と言ってくださりました。八木節は私の郷里の民謡で日本はもとより、海外のコンサートでも数多く演奏しております。八木節は器楽的な要素が強い楽曲なので、思い切ったアレンジをしています。妹尾さんと私の2台ピアノならではの魅力を出していけるようにしたいです」(文:長井進之介)
2022年05月19日平日午後の「とっておきアフタヌーン」はサントリーホールと日本フィルのコラボ企画。6月の公演には指揮者・鈴木優人とヴァイオリンの石上真由子が出演。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番とラヴェルの《ツィガーヌ》、メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢》を演奏する[6月2日(木)サントリーホール]。“とっておき”が満載の公演だ。まずは、いくつもの“初めて”。6月にブラームスのソナタなどを収録したCDを出す二人。鈴木「でもお客さんの前では初共演なんです」ブルッフの協奏曲は、石上が子供の頃に一番好きだったという曲だ。石上「聴き憶えでよく弾いていました。でもソロでなくオーケストラ・パートを(笑)。旋律のラインがしっかりしているので、弾いていてすごく気持ちがいいんです。もちろんソロ・パートも。魅力的なメロディ・メーカーだと思います」鈴「ごく短い序奏のあとヴァイオリンから始まるので、すぐに石上さんの音が聴けます!ト短調という調性はヴァイオリンがすごく鳴りやすい。ロマンティックな短調で、アフタヌーンというより、昼ドラ悲劇に巻き込まれる感じかもしれません(笑)」石「美しい第2楽章、快活な第3楽章。ヴァイオリン協奏曲の代名詞のような曲です」鈴「これを弾かずにプロになるヴァイオリニストはいないんじゃない?」石「ぎょっ!(笑) 私はプロオケとは初めてです。レッスンでもやらなかったので」鈴「僕もピアノ伴奏は何度もしたけど、指揮はこれが初めてです」石「私はソリストとしてサントリーホールに立つのも初めて。楽しみです」《ツィガーヌ》は石上のとっておき曲。石「いろんな節目の曲です。CDデビューもこの曲がきっかけ。大阪フィルとの演奏がネットに上がってるんですけど、まだ面識もなかった指揮者の坂入健司郎さんが気に入ってくれて、坂入さんの縁で日本コロムビアから声をかけていただきました」ナビゲーター役の俳優・高橋克典が《真夏の夜の夢》を朗読するのも、かなりのとっておき。鈴「克典さんはネットで絵本の読み聞かせをしているんですけど、そのリアル版。シェイクスピアを短くわかりやすくしたものを、音楽と交互に朗読します。序曲以外はなかなか演奏されませんが、今回は物語つきで演奏できる。最後は結婚行進曲でハッピーに。かなり楽しいと思いますよ」石「私、中学生の時、学校の演劇祭で妖精パック役をやりました!」鈴「本当?じゃあ出てもらうおうかな(笑)」(宮本明)
2022年05月16日ピアニストの仲道郁代が、5月29日(日)サントリーホールでのリサイタル「知の泉」に向けた記者懇親会を開き、自身の思いや意図を語った(4月7日)。リサイタルは彼女の企画である「The Road to 2027」の一環。ベートーヴェン没後200年と自身の演奏活動40周年が重なる2027年を見据えて、デビュー31年目の2018年から10年をかけて完遂する壮大なシリーズだ。毎年春と秋の2回、10年分・全20回のプログラムを最初に決めてスタートした深謀遠慮。「今回のテーマは『人間の“業”と再生への祈り』です。これらを弾いて、光の世界を見い出したい。そんなプログラムです」演奏するのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番《テンペスト》、ショパンのバラード第1番、リストの《ダンテを読んで》、そして取り組むのは初めてというムソルグスキーの《展覧会の絵》。4曲とも、文学あるいは絵画作品に触発された、つまり「知の泉」から生まれた作品群だ。仲道は実演を交えながら、その源泉をひもといていく。ベートーヴェンの“赦し”。祖国を失ったショパンの悲しみと再生。リストが描いた神の愛の光の世界。ムソルグスキーが埋め込んだ苦しめられた者たちの暗喩。「叡智と示唆に溢れる文学や絵画から作曲家たちが何を読み取り、何に共鳴して音にしたのか。いま生きている私はそこに何を感じるのか。これはけっして昔の話でなく、生きたリアルな言葉です」いま私たちは、「音楽に何ができるのか」という問いにあらためて向き合っている。── 音楽に戦争をやめさせることができるか?たぶん無理ですね。でも聴く人に「戦争をやめさせなくちゃ」という気持を起こさせることは、きっと音楽にもできるはずです。──これは村上春樹の最近の言葉。仲道はそれを引いたあと、次のように言った。「人が心から共感するのは悲しみなのだと思います。人間の業、悲しみはすべての人が背負っている。そして正義は怒りや悲しみから生まれる。それを描いている作品は私たちの心を動かす。音楽はそれをちゃんと伝えることができる。演奏家にはそれを伝える責務があります」一人の記者が「共感しかない」と感想を口にした。まさに。ベテランのファンなら、少女時代の可憐な印象で彼女をイメージする人も少なくないかもしれない。しかし近年の彼女の表現の深さにはすごみすら感じる。いま最も聴くべきピアニストだと思う。(宮本明)
2022年04月19日5月8日(日)大阪ザ・シンフォニーホールの「三浦一馬キンテート2022熱狂のタンゴ」は、バンドネオンの若き第一人者・三浦が、腕利き揃いのキンテート(五重奏)を率いる、ピアソラ三昧のコンサート。バンドネオン(三浦)とヴァイオリン(石田泰尚)、ピアノ(山田武彦)、コントラバス(黒木岩寿)、エレキギター(大坪純平)。ピアソラ本人が最も深く探求したのがこの編成=キンテートだった。「一番ベーシックなピアソラだと感じる編成です。これが4人でも6人でもいけない。完成されているんです。非常に低重心のバランスで、ピアノの低域やコントラバス、さらにはエレキギターも下を支えて、そこにバンドネオンやヴァイオリンのメロディが気持ちよく乗ることができる。とても安定感があります」「もうひとつ面白いのが、ピアソラって、メロディがどんなに暴れても、下のリズムはそのまま、いわばメトロノーム的に進むんですね。たとえば歌曲のように、歌に伴奏が合わせたりしない。その中でわれわれメロディ側は、頭の中ではきちんとカウントしながらも、あえて大幅に遅らせてみたりするんです。そういう面白さがあるのがキンテートの醍醐味です」ピアソラの音を忠実に再現するために、録音から自分の耳で起こしたスコアを使用する。「ピアソラ自身のスコアがどれだけ残っているかはわかりません。出版譜の多くはたぶん第三者の手によるもの。だからまず最低限の準備としてスコアを作るんです。時間はかかりますが、そこは手を抜きたくないですね。そしてもちろん、そこから先がそれぞれの個性が輝くところです」まずスコアありきという姿勢は、クラシック的。実際、「ジャンル」を考えることはほとんどないという。「自分もタンゴの人間というより、バンドネオンの人、という感じです」公演では、三浦たちにとっても〝初出し〟の、私たちがこれまであまり聴いたことのないピアソラも何曲も弾いてくれる。《ルンファルド》《レビラード》《カリエンテ》 《ムムキ》などがそれ。「ピアソラといえば《リベルタンゴ》《アディオス・ノニーノ》《オブリビオン》《四季》等々。そろそろ他のも行こうよ!という気持ちがありまして。珍しいから持って来ました、ではなく、有名曲と並んでも遜色ない、ひょっとしたらそれよりも……という、これからの時代のスタンダードになりうる名曲揃いです。ぜひ聴いてください」(曲目は変更の可能性あり)(取材・文:宮本明)
2022年03月24日今年デビュー35周年を迎えたチェロ奏者・長谷川陽子。記念公演でベートーヴェンのチェロ・ソナタ全5曲を弾く[5月19日(木)東京文化会館 小ホール]。これまでどちらかというと避けてきたというベートーヴェン。「楽譜のあちこちに、暗号のように、いわば〝ベートーヴェン・コード〟が埋め込まれているのですけど、それを読み解く面白さがようやくわかってきました。それを理解したうえで弾くと、やはり作品がものすごく生き生きしてくるんです。いろんな経験を積み重ねて、やっとベートーヴェンを弾く入り口にたどり着いたように感じています」2020年。ベートーヴェンの生誕250周年はコロナ禍と重なり、音楽家は人々の前で演奏する機会さえ奪われた。「チェロ・ケースを開くことさえない時間が続いたのはショックでした。そんな中で、やっぱり自分には音楽しかないのだと再確認させてくれたのがベートーヴェン。彼の意思の強さ、メッセージの深さ、そして人類愛。知識や情報としては知っていたことを、その作品から自発的に感じることができたのです。あの時期、たぶん自分の力だけでは這い上がることができなかった。ベートーヴェンが引っ張り上げてくれました」共演のピアノは松本和将(かずまさ)。新しい扉を開けてくれる、と信頼を寄せる。「音があたたかくてどこにも力が入っていない。飄々としていて、でもどんな球を投げてもうまくキャッチしてくれる。それがすごく魅力的です。音楽性は私と正反対かもしれないのですが、それがかえって互いの長所を引き立てあうのだなあと実感しています」高校1年生で日本音楽コンクール第2位入賞。2年後の1987年にデビュー・リサイタルを開いた。「ずっと手ほどきを受けた井上頼豊先生は、音楽をゼロから作る力を身につけなさいと、レコードで聴くような有名曲はあまり弾かせませんでした。真似をしてしまわないように。ところがデビューしてお仕事で弾かせていただくのは有名な曲ばかり。刺激的でした。憧れだった曲を次々に弾けて、とにかく楽しかったという記憶しかありません」弾くのが楽しい。彼女はそのピュアな感覚をずっと変わらず持ち続けている人だと思う。ナチュラルな音楽家だ。ベートーヴェンはリサイタルに合わせてCDもリリース。充実した録音ができたと手応えを語る。経験を重ねて初めて正面から向き合ったベートーヴェン。ライヴもCDも、名演奏・名盤の予感が漂う。(取材・文:宮本明)
2022年03月02日スターツおおたかの森ホール指定管理者MORIHIBIKU共同企業体代表団体アクティオ株式会社主催、『NAGAREYAMA国際室内楽音楽祭2022』が2022年5月3日(祝・火)~5月5日(祝・木)にスターツおおたかの森ホール(千葉県流山市)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて2月28日(月)より発売開始です。カンフェティにて2月28日(月)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ スターツおおたかの森ホール開館3周年に、流山市では、流山市在住の世界的ピアニストであるパスカル・ドゥヴァイヨン氏・村田理夏子氏をフェスティバルプロデューサーに迎え、海外及び日本国内から著名な世界的音楽家を招聘し、3日間の国際室内楽音楽祭を開催します。国内でも珍しい駅から1分以内の立地にあるホールで、GW期間中、質の高いクラシック音楽に触れる機会を提供します。流山がクラシック音楽の街になる第一歩。子どもから大人まで、初心者からコア層まで楽しめる、流山の新たな音楽イベント。プログラム■2022年5月3日(祝・火)「デュオ公演」開場13:30/開演14:00・F.プーランク フルートとピアノのためのソナタ工藤重典(フルート), パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ)・C.サン=サーンス 幻想曲 イ長調 作品124フィリップ・グラファン(ヴァイオリン), 吉野直子(ハープ)・B.マルティヌー チェロソナタ 第1番 H277趙静(チェロ), 村田理夏子(ピアノ)・R.シューマン おとぎの絵本 作品113サン=ジン・キム(ヴィオラ), 村田理夏子(ピアノ)・J.ブラームス クラリネットソナタ 第1番 ヘ短調 作品120-1チャールズ・ナイディック(クラリネット), パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ)■2022年5月4日(祝・水)「トリオ公演」 開場13:30/開演14:00・C.ドビュッシー フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ工藤重典(フルート), サン=ジン・キム(ヴィオラ), 吉野直子(ハープ)・E.ショーソン ピアノ三重奏 ト短調 作品3フィリップ・グラファン(ヴァイオリン), 趙静(チェロ), パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ)・G.コネッソン テクノ パレード工藤重典(フルート), チャールズ・ナイディック(クラリネット), 村田理夏子(ピアノ)・J.ブラームス クラリネット3重奏曲 イ短調 作品114チャールズ・ナイディック(クラリネット), 趙静 (チェロ), 村田理夏子(ピアノ)■2022年5月5日(祝・木)「ファミリー向け公演」 開場10:30/開演11:00・A.リッドアウト 牡牛のフェルディナンドフィリップ・グラファン(ヴァイオリン), 山口由美(語り)・P.デュカス 魔法使いの弟子村田理夏子(ピアノ), パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ), 山口由美(語り)・S.プロコフィエフ ピーターと狼村田理夏子(ピアノ), パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ), 山口由美 (語り)■2022年5月5日(祝・木)「ファイナル公演」 開場15:30/開演16:00・W.A.モーツァルト クラリネット3重奏曲 変ホ長調K.498 「ケーゲルシュタット」チャールズ・ナイディック(クラリネット), サン=ジン・キム(ヴィオラ), 村田理夏子(ピアノ)・S.ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第2番村田理夏子(ピアノ), パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ)・A.ルーセル セレナード 作品30工藤重典(フルート), フィリップ・グラファン(ヴァイオリン), サン=ジン・キム(ヴィオラ),趙静(チェロ), 吉野直子(ハープ)・J.ブラームス ピアノ四重奏曲 ト短調 作品25フィリップ・グラファン(ヴァイオリン), サン=ジン・キム(ヴィオラ), 趙静(チェロ),パスカル・ドゥヴァイヨン(ピアノ)※曲目は変更になる場合があります。公演概要『NAGAREYAMA国際室内楽音楽祭2022』公演期間:2022年5月3日(祝・火)~5月5日(祝・木)会場:スターツおおたかの森ホール(千葉県流山市おおたかの森北1-2-1)■出演者パスカル・ドゥヴァイヨン Pascal Devoyon(ピアノ兼プロデュース)村田理夏子 Rikako Murata(ピアノ兼プロデュース)フィリップ・グラファン Philippe Graffin(ヴァイオリン)サン=ジン・キム Sang-Jin Kim(ヴィオラ)趙 静 Zhao Jing(チェロ)工藤重典Shigenori Kudo(フルート)吉野直子 Naoko Yoshino(ハープ)チャールズ・ナイディック Charles Neidich(クラリネット)山口由美 Yumi Yamaguchi(ファミリー向け公演語り)【主催】スターツおおたかの森ホール指定管理者MORIHIBIKU共同企業体 代表団体アクティオ株式会社【共催】流山市教育委員会【運営協力】株式会社コンサートサービス 事業部コンサートイマジン【特別協賛】スターツコーポレーション株式会社、スターツデベロップメント株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン【後援】松戸市、野田市、柏市、我孫子市、鎌ヶ谷市、八潮市、三郷市、守谷市、つくばみらい市、つくば市、首都圏新都市鉄道株式会社、東武鉄道株式会社、流鉄株式会社■公演スケジュール5月3日(祝・火)デュオ公演開場13:30/開演14:005月4日(祝・水)トリオ公演開場13:30/開演14:005月5日(祝・木)ファミリー向け公演開場10:30/開演11:005月5日(祝・木)ファイナル公演開場15:30/開演16:00■チケット料金デュオ公演・トリオ公演・ファイナル公演/各日3,500円(未就学児入場不可)ファミリー向け公演/1,000円(4歳以上入場可、膝上不可)(全席指定・税込)※出演者、プログラムは変更になる場合がございます。予めご了承ください。※お一人様6枚まで※別途、各種手数料(発券手数料など)がかかります。※車いす席については、スターツおおたかの森ホールにお問合せください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月01日昨年行なわれ「第90回日本音楽コンクール受賞者発表演奏会」のチケット情報はこちらた「第90回日本音楽コンクール」の受賞者発表演奏会が、3月4日(金)、今年も東京オペラシティ コンサートホールで開催される。ピアノ部門の優勝者は現在桐朋高校音楽科3年生の谷昂登(たに・あきと/18歳)だ。小学6年生時の浜松国際ピアノアカデミーコンクール特別賞や、前年の東京音楽コンクール最高位(1位なしの2位)など、優勝候補として注目されるなか、見事に栄冠を手にした。「自分にできることを最大限やる。結果よりその過程が大切だといつも考えています。日本音楽コンクールは歴史も権威もある場ですので、逃げずに正面から、これから音楽とどう向き合っていくかを見せたいと思いました。1次予選の課題曲がベートーヴェンのソナタ、2次予選がバッハと練習曲ということが示すように、ピアニストとしての基礎となるようなプログラムを組まなければならないコンクールです。自分の経験も、コンクールに向かっていくなかで見つけたことも発揮できて、その意味では成長できたと感じています」3月の受賞者演奏会ではリストのピアノ協奏曲第2番を弾く。「リストの協奏曲は2曲とも、自由な形式、新しい形式に挑んでいる作品だと思います。オーケストラとのアンサンブルがすごく濃密で、曲の出だしからそうですけど、オーケストラの中のピアノといってもいいぐらいのところがたくさんあります。そういう部分でオーケストラの各楽器に合った音色を求めていくのはとても勉強になると思って選びました。コンクールの3次予選で選んだリストのピアノ・ソナタとも共通点が見えて、ソナタを深めることにもつながるとと思っています」リストのピアノ作品はつい超絶技巧に注目しがちだが、それを超える音楽性を表現したいという。「どう音楽的に弾くかということは常に考えています。リストのソナタも、調べてみるとゲーテの作品など文学が関係していて、テクニックで魅せるだけではない、もっと深い部分で音楽が作られていることがわかってきます」自分の演奏の特長も、その音楽性の表現、歌ごころにこそあると言い切る。「音楽は歌から始まっています。今の自分ができているかどうかわかりませんが、歌うことを忘れないことで、より人の心に寄り添える音楽が作れるのではないかと思います。それはずっと目指していることです」4月からはいったん桐朋学園のソリスト・ディプロマに籍を置き、秋にモスクワ音楽院に留学する。「エリソ・ヴィルサラーゼ先生に師事する予定です。小さな頃からロシアの作曲家が身近に感じていて、とくにラフマニノフが大好きでした。ヴィルサラーゼ先生はシューマンの研究にも長けていらっしゃるので、そこからドイツ音楽への視野も広げていければと思っています」目標のひとつだったという日本最高峰のコンクールから次の世界へ漕ぎ出す若き音楽家。その洋々たる前途を、まずは3月のコンサートで祝したい。(取材・文:宮本明)
2022年02月18日昨年秋に開催されたショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞した、ピアニストの小林愛実。子供の頃から天才少女として注目され、華やかな演奏活動を続けてきた彼女は、2度目の挑戦となった今回のショパン国際ピアノコンクールへの入賞で、より広い世界に向かう扉を開いた。今、まさに新たな飛躍の瞬間にあり、音楽界から熱い視線を集める。そんな小林が、2月28日、東京都交響楽団の定期演奏会に登場。同楽団音楽監督の大野和士のタクトのもと、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏する。この曲は彼女が、一度目の挑戦となった前回2015年のショパン国際ピアノコンクール前、10代最後の頃からレパートリーとする作品。ベートーヴェン中期の傑作であり、ピアノ協奏曲の新しい表現に挑む作曲家の創意があふれ出すような楽曲だ。以前、小林はベートーヴェンについて、「自らの気持ちをダイレクトにぶつけて作曲しているように感じる作曲家なので、自分も感情をぶつけて演奏する。ただこの第4番のピアノ協奏曲は穏やかな部分が多く、他の作品とは何かが違うように感じる」と話していた。明るく前向きな雰囲気の中に繊細さを備えた楽曲に、彼女の生き生きとして推進力のある音楽性は、よく合うだろう。小柄な体から繰り出されるしなやかな音、パワフルな音のコントラストにも、大いに期待できそう。小林は20代を迎えてから、自らがピアノを弾く意味をあらためて掴んだといい、「自分の個性というものは、音楽にただ真摯に向き合うなかで見えてきたり、築かれたりするものだと思う」と語る。目指す方向を見出し、気持ちの強さを手に入れた今の彼女の演奏は、確信に満ち、想いがまっすぐ聴き手に伝わってくる。ピアノとオーケストラが親しく対話するような作品で、東京都交響楽団、そして初共演となるマエストロ大野に小林はどんな音楽を持ちかけ、そしてオーケストラはそれにどのように応えるのだろうか。楽しみな演奏会だ。チケットはチケットぴあで2月25日(金)まで販売中。(文:音楽ライター 高坂はる香)■東京都交響楽団 第944回 定期演奏会日程:2022/2/28(月) 19:00開演会場:東京文化会館 大ホール
2022年02月17日初夏の恒例、サントリーホールでの“室内楽の祭典”が12年目を迎える。その規模は国内最大級であり、国境や世代を超えた演奏家を迎える多才な12企画22公演(有料オンライン配信7公演)が、今年も華やかに開催される(2022年6月4日〜19日:サントリーホール・ブルーローズ)。クラシック音楽の原点ともいわれる室内楽を、もっと気軽に楽しんでほしいという願いを込めて、2011年にスタートした「チェンバーミュージック・ガーデン(CMG)」は、小ホール“ブルーローズ”の親密な空間で、演奏者の息遣いや表情までが間近に体験できる。まさに室内楽の原点であるサロンの雰囲気満載のイベントだ。注目の「ベートーヴェン・サイクル(弦楽四重奏曲全曲演奏会)」には、ロシアのアトリウム弦楽四重奏団が登場するなど、今年の出演者の顔ぶれも百花繚乱。室内楽の庭に相応しい華やかさだ。イベントを彩るキャッチコピー「出逢いと、夢と、喝采で育まれた庭」は、12年目を迎えるCMGにぴったりの花言葉と言えそうだ。●公演詳細:
2022年02月10日認定NPO法⼈トリトン・アーツ・ネットワーク(東京都中央区、理事⻑:⻑浜⼒雄)主催による、「室内楽ホールdeオペラ~林美智子の『ドン・ジョヴァンニ』!」が2022年3月19日(土)~3月21日 (月・祝)に第⼀⽣命ホール(東京都中央区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)、主催者チケットデスクほかにて発売中です。カンフェティにてチケット発売中! 公式ホームページ “重唱のみで構成されたモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」ダイジェスト版”メゾソプラノ林美智子のセルフプロデュースによるモーツァルトの傑作オペラ『ドン・ジョヴァンニ』。最高のキャスティングによるアンサンブルのみで構成された、とびきり愉しいモーツァルトの世界!公演概要■出演者ドンナ・エルヴィーラ:林美智子(メゾソプラノ)ドン・ジョヴァンニ:黒田博(バリトン)ドンナ・アンナ:澤畑恵美(ソプラノ)ドン・オッターヴィオ:望月哲也(テノール)レポレッロ: 池田直樹(バス・バリトン)マゼット:加耒徹(バリトン)ツェルリーナ:鵜木絵里(ソプラノ)騎士長:妻屋秀和(バス)後藤春馬(バス・バリトン)山田大智(バス・バリトン)河原忠之(ピアノ)■スタッフ日本語台詞台本・構成・演出:林美智子■タイムテーブル2022年3月19日(土)14:00開演(13:15開場/16:00終演予定)2022年3月21日(月・祝)14:00開演(13:15開場/16:00終演予定)■チケット料金S席:6,000円A席:5,000円B席:2,000円U25:1,500円(25歳以下)(全席指定・税込)(カンフェティではS席、U25のみ取扱い)※未就学児の入場はご遠慮頂いております。※やむを得ず、演奏曲目、曲順、出演者が変更になる場合がございます。予めご了承ください。※本公演は、2020年3月20日・22日に予定していた公演の振替公演ですが、一旦全てのチケットを払い戻しさせていただきました。ご来場の際は改めてチケットをお買い求めください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月10日「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2022」が6月4日(土)から19日(日)にかけて、ブルーローズ(小ホール)で開催される。「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2022」のチケット情報はこちら「チェンバーミュージック・ガーデン(CMG)」は、「クラシック音楽の原点ともいわれる室内楽を気軽に楽しんでいただきたい」というコンセプトで2011年から始まり、今年で12年目を迎える。ブルーローズ(小ホール)の親密な空間で演奏者の息遣いや表情を間近に体感できる国内最大規模の初夏の室内楽の祭典として育まれてきた。今年のオープニングとなる公演は「堤 剛プロデュース」。サントリーホール館長の堤剛(チェロ)と小菅優(ピアノ)、吉田誠(クラリネット)の三重奏だ。ブラームスとフォーレの最晩年の2作品や藤倉大の『Hop』で、この編成の歴史と現在形を堪能できるプログラムでの幕開けとなる。またCMG恒例企画でもある「ベートーヴェン・サイクル」には、20年超のキャリアを誇るロシアのアトリウム弦楽四重奏団が満を持して登場。アジアのアーティストたちを紹介する「アジアンサンブル@TOKYO」では韓国のソヌ・イェゴン(ピアノ)が、またホルンの世界的なスター奏者「ラデク・バボラークの個展」も、共に日本の演奏家たちとアンサンブルで深い対話を交わす予定だ。そしてサントリーホール室内楽アカデミーで学び、現在4年目を迎えるクァルテット・インテグラによるリサイタルを開催。各メンバーがサントリーホール室内楽アカデミー出身の葵トリオは、2年目となるベートーヴェンのピアノ三重奏曲を1曲ずつ披露する7年プロジェクト第2回目を迎え、細川俊夫の作品にも取り組む。「フォルテピアノ・カレイドスコープ」では、現代のモダンピアノとは異なる音色を持つフォルテピアノがサロン風のブルーローズに3台登場。また、現代のグランドピアノとフォルテピアノの音を聴き、弦楽器とのアンサンブルによる響きの違いをトーク付きで紹介する「室内楽のしおり」はCMG入門の新企画となる。そのほか、定番企画としては、室内楽アカデミー・フェローが名曲を抜粋して日頃の研鑽の成果を発表する公演や、平日昼間60分の出演者のトークを交えたコンサート「プレシャス1pm」が実施される。■公演情報「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2022」6月4日(土)~19日(日)開催会場:全てサントリーホール ブルーローズ(小ホール)
2022年02月03日オンド・マルトノ奏者の大矢素子が、注目の現代音楽シリーズ「Just Composed in Yokohama」に登場する[2月26日(土)神奈川県民ホール小ホール]。シリーズの軸は毎回の委嘱作品。現在ベルギー在住の1989年生まれの作曲家・山本哲也の《目に見えない天使達の囁き》が初演される。オンド、ヴィオラとピアノの三重奏で、室内楽の中でのオンドの可能性を探求した作品だ。大矢は言う。「かなり個性的な作品です。聴き終わって呆然としてしまうような。聴こえている音がオンドなのかピアノなのかヴィオラなのか、知覚が混ざって揺さぶられるんですね。同時に、スピーカーの音場の遠近感にも揺さぶられる。その音体験が室内楽のオンドの面白さの一つではないでしょうか。キーンという透明で硬質な高音が持続するのも印象的です。オンドは生の楽器と違って、ボタンの押し具合によって、かなり音を保つことができる、しかも人間的な表現ができるので、なかなか聴く機会のない独特の音響体験だと思います」シリーズのもう一つの特色が、過去の委嘱作の再演をすること。今回は薮田翔一(39)のバンドネオン、サクソフォン、ピアノのための美しい《祈りの情景》(2018)が、上述の山本作品と同じ三重奏に編み直された。「もともとすごくきれいな作品なのですが、オンドの持続する音やポルタメントを生かして、天国的な味わいが増しています」これら2曲の初演曲の他に、オリヴィエ・メシアン、池辺晋一郎、坂本龍一、トリスタン・ミュライユの作品を演奏する。共演はヴィオラ安達真理、ピアノ松本望。「パリ留学時代から交流のある松本さんと、初めてご一緒する安達さん。二人とも卓越した技能と勘の良さがあります。あねご肌で、どんと来い!でやってくださるので、すごく頼りにしています」オンド・マルトノは1928年に発明された電子楽器。発音の原理こそ電子的な発振によるものだけれど、表現の感覚は生の弦楽器に近い。昨年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で響いたサウンドも記憶に新しい(あれを演奏していたのも大矢)。他にも映画やCMなど、正体を知れば「なるほど。あれもオンドなのか!」と気づく、案外身近な楽器なのだ。公演には「魂の詩」のタイトルがある。「人間の表現のために新しいテクノロジーがどう使えるかという試みから生まれた楽器の一つ。その歴史は今も作られている途中です。電子を通した人の心の表現を感じていただけたらなと思います」「Just Composed 2022 Spring in Yokohama」の公演情報はこちら(取材・文:宮本明)
2022年02月03日東京芸術劇場の新しいリサイタル・シリーズ「VS」(ヴァーサス)に、ジャズ・ピアノの大御所・山下洋輔と鍵盤楽器奏者・指揮者の鈴木優人が登場する[3月4日(金)東京芸術劇場コンサートホール]。山下「僕が呼ばれているからには、きっかけさえあればどんどんアドリブになる。そこに鈴木さんを巻き込んでしまおうということです」鈴木「洋輔さんの胸を借りて、がっつりやらせていただきます」二人のピアニストが2台ピアノで競演するこのシリーズの中でも最も「VS」色の強い顔合わせだが、じつは二人とも麻布中学・高校の卒業生。そのOBオケで演奏した《ラプソディ・イン・ブルー》が最初の共演だった。鈴木「僕が中学生の時、創立百年史にCDが付いていて、そこに洋輔さんの演奏が入っていたんです。OBにこんなすごい人がいたのかと驚きました」山下「数年前にいきなり、麻布OBオケというのを作ったからお前はガーシュウィンを弾けと。僕は麻布から国立音大に行きましたけど、この人は東京藝大に行って、オランダに留学もして大活躍している。彼にしかない独特のものがあるミュージシャンで、それを楽しんでます」バッハからガーシュウィン、山下洋輔まで。クラシックのリングの上で戦うジャズ・ルールの他流試合といったところか。山下「ジャズマン同士でも一回一回が他流試合ですからね。相手が何をやってくるか、それに応じてこっちが何をやるか」鈴木「VSですし、事前の打ち合わせはほとんどないです」山下「最初のテーマだけ決まっているとかね。曲に寄りつつも勝手なことをする」鈴木「前に一度2台ピアノで手合わせしていただいたのが、僕にとっては革命的だったんです。お客さんを巻き込んで即興して、会場の空気を作品の色にしていく。目の前の正しい音符を弾くよりインパクトのほうが大事なんだという。すごい教えがありました」メインは《ラプソディ・イン・ブルー》を2台ピアノで。鈴木「洋輔さんのソロ・パートは独特です」山下「そうですね。オーケストラとやる時も、僕のパートはほとんどジャズのイディオムでやってしまいますので」鈴木「僕のほうはオケ・パートを軸にした、新しいヴァージョンです。本当に楽しみ。今年一番ドキドキする本番です」山下「どの曲でも、それぞれの個性がくっきりと出てくるはず。僕の立場から言えば、ジャズ・ピアニスト同士がやっているような聴き方ができると思いますよ」「芸劇リサイタル・シリーズ 「VS」 Vol.2 山下洋輔 × 鈴木優人」の公演情報はこちら(取材・文:宮本明)■芸劇リサイタル・シリーズ 「VS」 Vol.2 山下洋輔 × 鈴木優人日程:2022年3月4日(金) 19:0開演会場:東京芸術劇場 コンサートホール (東京都)
2022年02月03日日本フィルハーモニー交響楽団によるシリーズ「日本フィル&サントリーホールとっておき アフタヌーン」 2022~23シーズン(Vol. 19~21)が、2022年6月2日(木)、9月27日(火)、2023年2月1日(水)の3回、サントリーホール 大ホールにて開催される。本公演は、平日午後を優雅で豊かに彩る、魅力的な指揮者とソリストたちの気さくなトークを交えたオーケストラ名曲コンサート。ナビゲーターを俳優・高橋克典が務め、クラシック音楽を初めて聴く観客にも親しみやすく、奥深い音楽の世界を案内する。vol.19(6月2日公演)の指揮を鈴木優人、ヴァイオリンを石上真由子、Vol. 20(9月27日公演)の指揮を太田弦、ピアノを仲道郁代、Vol. 21(2月1日)の指揮を広上淳一、サクソフォーンを上野耕平がそれぞれ務める。vol.19指揮の鈴木は、「テーマは『心にエールを』。嬉しい時も悲しい時も、その気持ちに寄り添ってくれるのは音楽。こういう時期だからこそ聴きたい音楽を集めました」と今回のシリーズに込めた思いを述べる。Vol. 21指揮の広上は、「オーケストラが奏でる音楽は『心のレストラン』です。レストランにご馳走を食べに行くときのように心躍らせてサントリーホールに足を運んでください」と観客へメッセージを送った。また、好きな場所と時間で楽しめる「有料オンライン配信(ライブ&リピート配信)」が全公演実施される。■「日本フィル&サントリーホールとっておき アフタヌーン 2022~23シーズンVol. 19~21」Vol. 19:2022年6月2日(木) 14:00開演 (13:20開場)Vol. 20:2022年9月27日(火) 14:00開演 (13:20開場)Vol. 21:2023年2月1日(水) 14:00開演 (13:20開場)会場:サントリーホール 大ホール
2022年01月27日「横浜18区コンサート」は、横浜みなとみらいホール休館期間中(~2022年10月)に、横浜市内各区のホールや公会堂等の文化施設を巡り、豪華ソリストとホールにゆかりあるオーケストラメンバーが演奏を行うクラシックコンサート。第II期は2022年4月から8月にかけて、全8公演が行われる。通常50名を超えるオーケストラをバックに演奏される協奏曲だが、本企画では会場の規模に合わせ、弦楽五重奏用に編曲された伴奏で聴く、という珍しいプログラム。平日の午後に、世界で活躍するソリストを小中規模のホールに迎えてその贅沢な響きを堪能することができる。ソリストは、過去の横浜市招待国際ピアノ演奏会出演者の広瀬悦子、河村尚子(以上、ピアノ)や横浜文化賞文化・芸術奨励賞受賞者の毛利文香、大江馨(以上、ヴァイオリン)、田原綾子(ヴィオラ)。横浜から世界に羽ばたいた俊英たちがベートーヴェン、シューマン、モーツァルト、チャイコフスキーとそれぞれ渾身のプログラムを披露する。【横浜18区コンサート 第II期 ラインナップ】●広瀬悦子(ピアノ)×東京交響楽団メンバー(弦楽五重奏)4月26日(火)戸塚区民文化センターさくらプラザ・ホール(戸塚区)4月27日(水)はまぎんホールヴィアマーレ(西区)曲目/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58(弦楽五重奏伴奏版)ほか●毛利文香(ヴァイオリン)田原綾子(ヴィオラ)×ハマのJACKメンバー(弦楽五重奏)6月21日(火)神奈川区民文化センターかなっくホール(神奈川区)6月22日(水)緑区民文化センターみどりアートパーク(緑区)曲目/モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調K.364(弦楽五重奏伴奏版)ほか●大江馨(ヴァイオリン)×東京フィルハーモニー交響楽団メンバー(弦楽五重奏)7月20日(水)吉野町市民プラザ(南区)7月21日(木)藤原洋記念ホール【慶應義塾日吉キャンパス協生館】(港北区)曲目/チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35(弦楽五重奏伴奏版)ほか●河村尚子(ピアノ)×読売日本交響楽団メンバー(弦楽五重奏)8月29日(月)都筑公会堂(都筑区)8月30日(火)神奈川県民ホール小ホール(中区)曲目/シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54(弦楽五重奏伴奏版)ほか※第I期:3月2日(水)まで開催中
2022年01月24日ピアニスト仲道祐子が、デビュー25周年の記念リサイタルを開く[3月25日(金)Hakuju Hall]。桐朋高校音楽科卒業後ミュンヘン音大に留学。大学院修了後ドイツでの活動を経て、1996年に国内デビュー公演を行なった。25年の節目に掲げたテーマは「原点回帰」だ。「デビューよりも前、桐朋高校やドイツで学んだ頃、音楽をより深く勉強したいと考えるきっかけとなった頃が原点だと思っています。そこを見つめ直し、今後も頑張るエネルギーの素にするための〝原点回帰〟です」ベートーヴェン《ワルトシュタイン》をメインに、メンデルスゾーン、シューマン、リストというドイツ音楽を軸にしたプログラム。巨匠にして名教師でもあった恩師クラウス・シルデの思い出が特に濃厚に詰まっているのがメンデルスゾーンの《厳格な変奏曲》だという。「細かい指づかいなどはあまりおっしゃらない先生が、とても詳しくレッスンしてくださいました。今でも楽譜にそれが残っていて、懐かしく思い出します。先生は普段、書き込みはさせないんです。次に弾く時にそれを違う意味でとらえてしまうかもしれないから。でもこの曲だけは珍しくご自身の楽譜にも書き込みがいっぱいありました。何度も弾き込んだ、お好きな曲だったのだと思います」ドイツもの以外に、田中カレン作曲《愛は風にのって》も聴き逃せない。桐朋出身の作曲者が師の故三善晃の思い出を綴った子供のための曲集。仲道が弾いたCDが2020年にリリースされ、専門誌でも絶賛されている。今回は21曲中6曲を抜粋して演奏する。「私が高校生、カレンさんが大学生だった1980年代、桐朋の学長が三善先生でした。その頃の思い出やノスタルジーが色濃く反映されている曲集です。子供のための作品なので音の数がとても少ないのに、表現している内容はものすごく大人なんです」そのCDを聴いてみると、どこか懐かしい記憶を、彼女たちと違う時間を生きたはずの私たち聴き手も共有できるような気がする不思議な感覚。「作品が生まれ演奏される時、人と人の歴史が擦れ合う」ということを、かつて三善晃その人が書いていたのを思い出した。プログラム全体にはもうひとつメッセージを込めた。「明るく前向きな気持ちになれる曲を選びました。閉塞感が漂う毎日、とても素敵なHakuju Hallの空間で非日常を堪能して、また日常に戻って元気に明日に向かっていただきたいと思います」(取材・文:宮本明)
2022年01月24日「『Just Composed 2022 Spring in Yokohama ー現代作曲家シリーズー』オンド・マルトノ~魂の詩~」が、2月26日(土)に神奈川県民ホール 小ホールにて開催される。気鋭の作曲家への新作委嘱、そして過去の委嘱作品の再演を軸とする「Just Composed in Yokohama ―現代作曲家シリーズ―」。1977年に横浜市が開始した「日本の作曲家シリーズ」を継承して、1999年にリニューアルして以来、毎年度かかさず開催されている。今回クローズアップされるのは、電子楽器の一種であるオンド・マルトノ。2021年NHK大河ドラマ『青天を衝け』でも演奏している当代きってのオンディスト大矢素子が、その魅惑的な音の世界へと観客を誘う。委嘱作曲家には、フランスを拠点に様々な編成のための室内楽作品を次々と生み出してきた山本哲也が抜擢された。そのほか、ヴィオラに安達真理、ピアノを松本望が担当する。もともとバンドネオン、サックス、ピアノのために書かれた薮田翔一《祈りの情景》(2017年度委嘱作品)がこの編成のために編曲され、新たな命が吹き込まれる。 オンド・マルトノを語るうえで欠かせないメシアンの遺作、映画音楽としても用いられた坂本龍一と池辺晋一郎の作品、そしてオンド・マルトノ奏者であったミュライユと、オンドの多彩な表情を堪能できる内容となる。Just Composed 2022 Spring in Yokohama ー現代作曲家シリーズー オンド・マルトノ~魂の詩~日程:2月26日(土)会場:神奈川県民ホール 小ホール開場:15:30/開演:16:00出演:大矢素子(オンド・マルトノ)、安達真理(ヴィオラ)、松本望(ピアノ)
2022年01月20日日本を代表するヴァイオリニスト漆原啓子がデビュー40周年のリサイタルを開く[3月13日(日)東京文化会館小ホール]。1981年にポーランドのヴィニャフスキ国際コンクールで優勝(いまだに日本人唯一)。その翌年の、いわばプロ・デビュー・リサイタルから40年。今回は自身初めてという全曲ロシア系のプログラムで、なかでも注目はアルメニアの作曲家アルノ・ババジャニアン(1921~1983)のヴァイオリン・ソナタだ。かなりレアなチョイス。「情熱的な曲。民俗調なところや変拍子が面白いところもあって、20世紀の作曲家ですが、近現代というよりもロマン派の音楽のような感じです。私は作曲家の名前すら聞いたことがなかったのですが、秋場さんに教えていただきました。これが紹介のきっかけのひとつになればと思っています」共演するピアニストの秋場敬浩は、モスクワ音楽院で学んだロシア音楽のエキスパートであると同時に、アルメニア政府から表彰を受けたアルメニア音楽のスペシャリストでもあるのだ。「秋場さんは身長が190センチ以上で、音も大きいですし、まるでオーケストラのように立体的な演奏をする方です。昨年初めて聴かせていただいたチャイコフスキーの《四季》が素晴らしくて、ぜひロシアものでご一緒したいなと思いました」他にシュニトケの《古風な様式による組曲》、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番、チャイコフスキーの《懐かしい土地の想い出》。プロコフィエフのソナタは、上述のコンクールよりも前、高校2年生で開いた初リサイタルでも弾いた思い出の作品だ。彼女がキャリアの中で大きな出来事だったと語るのが、1985年に結成したハレー・ストリング・クァルテットの活動。同い年の松原勝也、豊嶋泰嗣、山本祐ノ介というそうそうたる顔ぶれ。翌年の民音コンクールで優勝、カザルスホールのレジデント・クァルテットとして定期的に活動した。「自分の音楽に向き合うための大きな転機になりました。四人で話し合って自分たちで音楽を作るのがとても楽しくて。自分の意見をどう言うか、コミュニケーションの勉強にもなりました。いま協奏曲を弾く時もみんなで交信するのは同じ。室内楽をやってよかった。ソロの勉強と両方が私にとって大切なことです」今回のロシア・プログラムは、目下構想中のリサイタル・プロジェクトの第一弾になる予定という。41年目の新たな一歩を客席で共有したい。(取材・文:宮本明)■漆原啓子&秋場敬浩 デュオ・リサイタル日程:3/13(日)14:00開演会場:東京文化会館 小ホール
2022年01月14日ソリストとして活躍するピアノの小川典子が、ずっと温めてきたという歌曲公演のプランを、ホールアドバイザーを務めるミューザ川崎で実現する[2022年2月26日(土)]。歌うのはソプラノの市原愛。「ホールアドバイザー小川典子企画女の愛と生涯」のチケット情報はこちら公式には初共演の二人。しかし実はプライベートで一曲だけ合わせたことがある。11年前のミュンヘン。留学生だった市原が、ミュンヘン国際コンクールの審査員を務めた小川を訪ねた際、小川が誘ってシューマン〈献呈〉を歌った。今回演奏するのも、シューマン《女の愛と生涯》を軸にしたドイツ歌曲プロ。小川「溌剌とした声がとても印象に残っています。音楽的にも人間的にも波長が合わないと共演はできませんから、今回は、ぜひ市原愛さんと!とピンポイントでお願いしました」市原「コンサートを全部ドイツ歌曲で構成させてもらえることはなかなかないんです。特に大ホールで歌曲を歌うのはドイツでもあまりない機会。《女の愛と生涯》はソプラノにはちょっと低い音域なので、テンポなどもその広い空間で中音域をうまく響かせることに注意しながら曲作りしていきたいと思います」小川「高い声をお持ちの愛さんが、その〝秘密兵器〟を出すことなく、低めの声でずっと歌っていくわけですね。私はクラリネットとのデュオをずっとやっていて、シューマンは《幻想小曲集》など、音色をくぐもらせるために、華やかなB♭管の楽器でなく、わざわざA管を使うことが多いんです。それと似ていますね」市原「はい。シューマンはドラマティックな声の美しさより、しゃべるのに近いニュアンスで、歌詞を率直に聴かせたかったのではないでしょうか」小川は歌曲の魅力を、「声楽とピアノが頬を寄せ合うような息づかい」と語る。小川「そこが器楽の共演とは決定的に違うところです。しかも息が直接言葉になるのは声楽ならでは。ズキン!とするような大切な言葉がメロディのどこに来るのかとか、そのドラマの一部に私も一緒にいられる、一緒に旅をすることができるのが醍醐味です」市原「典子さんは外国語にも精通していて、言葉の流れを敏感に感じ取ってくださるので、歌手としてはありがたい存在です」公演では、歌詞訳や曲紹介の朗読(江原陽子)も入って聴衆をフォローしてくれる。ぜひプログラムの対訳から目を上げて、舞台上の二人の息づかいを感じながら、ピアニスト小川典子が魅せられた歌曲の世界を共有したい。(取材・文:宮本明)■ホールアドバイザー小川典子企画 女の愛と生涯日程:2022年2月26日(土) 14:00開演会場:ミューザ川崎シンフォニーホール (神奈川県)
2021年12月21日ヴィヴァルディの《四季》とピアソラの《ブエノスアイレスの四季》。木嶋真優が2つの「四季」を弾く[2022年1月18日(火)東京オペラシティコンサートホール]。バラエティ番組などでお茶の間の人気も急上昇中。しかし舞台でも取材でも、音楽に向き合う彼女は実に真摯で前向き。それを率直に伝えてくれる姿勢にも惹き寄せられる。魅力的な音楽家だ。「コロナ禍がなかったらヴィヴァルディの《四季》は録音しなかったかもしれません。私が感じてきた春夏秋冬をそのまま表現したいと思いました」2020年末リリースの彼女の最新盤がヴィヴァルディ《四季》。活動がままならなかった時期、自然の強さ、移ろう季節の美しさを感じたことで、改めてこの有名曲に取り組んだ。しかし、彼女の季節感はありきたりではなさそう。たとえば冬。「私の冬のイメージは、10代の前半、恩師のザハール・ブロン先生と過ごしたマイナス20度のシベリア。外に出るのも命がけの寒さです」実際、CDに収められた〈冬〉は、冒頭の和音の刻みをかすれた音にして、まるで現代の音楽のように厳しい、緊張感のあるサウンド。リアルに雪を踏むような音も聞こえる。おなじみの〈春〉に鳥の声を入れたり、「眠っている酔っ払い」というト書きのある〈秋〉第2楽章では、楽譜にない、いびきで鼻が「スーピー」と鳴る音をかすかに弾いてみたり。散りばめられた即興やテンポの伸縮。自由な《四季》は挑発的でさえある。ピアソラは、新たな独奏+弦楽四重奏のバージョンで演奏する。「ピアソラ自身の演奏(※エレキギターなどを含む五重奏)を聴いて、小編成で、間近で引き込まれる感覚のものにしたいと思いました」編曲は山下康介。先述のCDの末尾にアンコール的に収録されたAKB48の〈恋するフォーチュンクッキー〉(!)も山下の作品だ。「私、彼の編曲がすごく好きで。響きが芳醇になる感じがします」クラシックとタンゴという異分野の音楽。「まったく違います」と言い切る。「同じ春夏秋冬でもこれだけ違うという、2つの真逆の《四季》を聴いていただけると思います。求める音が違うんです。私自身はジャンルレスでありたいですが、やはりそれぞれの音の作り方、弾き分け方がある。ジャンルレスというのは、それをバイリンガルのように流暢にやれる引き出しができて初めて言えると思っています。なかなか難しいですよね。当たり前ですけれども、何事も勉強です」(取材・文:宮本明)
2021年12月17日ECO EARTH(エコアース)主催による『河内琢夫の音楽/室内楽個展III』が2021年12月15日 (水)にムジカーザ(東京都渋谷区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 21世紀のロマン主義作曲家、河内琢夫による現代音楽のコンサートです。河内琢夫プロフィール洗足学園大学音楽学部(現洗足学園音楽大学)音楽学部作曲専攻卒業後、同大学専攻科修了。作曲を宍戸睦郎氏に師事。第3回Music Today国際作曲コンクール(企画構成:武満徹)、ISCM World Music Days(ルーマニア)各入選。エコアース・レコードより作品集CDをリリース、マザー・アース株式会社、JFC出版より楽譜を出版。日本現代音楽協会、日本作曲家協議会各会員、深新會同人。ECO EARTH(エコアース)作曲家、河内琢夫のレーベルです。河内琢夫はいわゆる現代音楽のジャンルに属していますが、常に自然からインスピレーションを得ている作品はどれも大変、抒情的、ロマンティックな音楽で、一部の聴衆から熱狂的な支持を得ています。彼は20代前半で第3回Music Today国際作曲コンクールにおいて武満徹氏に認められ、1999年にはルーマニアで開催された国際現代音楽協会(ISCM)主催による音楽祭「ISCM World Music Days」でも作品が取り上げられています。新しい抒情性を感じさせる作品揃いで現代音楽、ニューエイジ・ミュージックのファンにアピールする内容です。公演概要『河内琢夫の音楽/室内楽個展III』開催期間:2021年12月15日 (水)19:00開演/18:30開場※上演時間:約2時間会場:ムジカーザ(東京都渋谷区西原3-33-1)■出演者大束晋(パンフルート)上田麻里名(箏)河内琢夫(作曲、打楽器)高橋治子(マリンバ)町田志野(マリンバ)千葉純子(ヴァイオリン)井上雅代(チェロ)小笠原貞宗(ピアノ)鈴木祐子(ピアノ)哲J(ディジュリドゥ)アンサンブル・ライン: 手島志保(ヴァイオリン)、平岡陽子(ヴァイオリン)、東義直(ヴィオラ)、和田夢人(チェロ)■スタッフ楽友社■チケット料金全自由席:2,500円(税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年12月04日日本のチェロ界を牽引するトップランナー宮田大が11月、今年生誕100年(来年没後30年)のタンゴの巨匠アストル・ピアソラの作品集『Piazzolla』をリリースした。「ピアソラを弾くのはバルトークを弾くときと同じような気持ち。土地の言葉や風景、香り…。民族の音楽を弾く感覚です。ジャズのように即興を交えることもありますが、ピアソラはちゃんと楽譜があるので、たとえばベートーヴェンのmpを、mfの表現で弾いてみようかというのと同じような解釈です。今回のアルバムも、クラシックの演奏会を聴くように聴いていただけると思います」ピアソラの音楽は演奏家自身を投影すると話す。「誰が聴いてもピアソラとわかる個性があるけれども、すごくシンプルなメロディ。演奏家がどう弾くかにかかっているので、今の自分が感じていること、自分がどういう音楽家なのかということが投影されると思います。バッハの無伴奏を弾くのと似ています」グループとしてはピアソラ初挑戦というウェールズ弦楽四重奏団のキレキレの共演にも注目。「弦楽器奏者にしか感じられない解釈をお伝えできたらなと思いました。メンバーのうち三人は桐朋の同級生。気心知れた仲間で音楽作りができましたし、彼らにしか出せないウェールズの音があります」三浦一馬のバンドネオンも加わって一気にタンゴの気分を醸し出すアンサンブルの編曲とピアノは、赤丸急上昇中の山中惇史。「彼はヴァイオリンも少し演奏するので、やはり弦を知っている編曲だなと感じます。今回は山中惇史の作品集でもあると言えるぐらいの立役者です」2月には東京と大阪でCDと同じメンバーによる発売記念コンサートも[25日(金)東京オペラシティ/26日(土)ザ・シンフォニーホール]。収録曲の抜粋に〈リベルタンゴ〉の無伴奏版(小林幸太郎編曲)を加えたピアソラ集と、トルコのピアニスト・作曲家ファジル・サイのチェロ・ソナタ。「ピアソラの晩年とサイの若手時代は重なります。同じ時代の空気を吸った二人の作曲家。ピアソラはアルゼンチンの、サイはトルコの、民族の音楽を大切にしているという共通点もあります。あとは、山中くんと大作のソナタを弾きたいというのも大きな理由です。すごく愛着が湧いているアルバム。録音中に蓄えた多くのアイディアもあります。コンサートは、それを生かして、またみんなと音楽で対話しながら作っていきたいと思います」(取材・文:宮本明)
2021年12月01日「100mを全力で2本走るようなもの」1公演で2曲の協奏曲を弾くイメージを、そんなふうに喩えてくれた。2002年チャイコフスキー国際コンクールで、女性として、また日本人として初優勝という快挙をとげた上原彩子。そのデビューから20年の記念リサイタルを、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番という超ど級プログラムで飾る[2022年2月27日(日)サントリーホール]。協奏曲を2曲続けて弾くのは、そのチャイコフスキー・コンクール以来20年ぶり。「コンクールでは1曲目がラフマニノフの《パガニーニ狂詩曲》でしたが、2~3分ですぐチャイコフスキーを弾かなければならなくて。時間がなく、栄養補給のために舞台袖に用意しておいたバナナを途中までしか食べられなかったのをよく覚えています(笑)」ロシアの2大ピアノ協奏曲。どちらも、弾き終わったあとに壮大な物語を読んだような感覚になる作品だという。「ラフマニノフは、とても暗いところから始まって最後に祝祭的に昇り詰めていく。チャイコフスキーは明るい色の中に淡い色や悲しい色が散りばめられている。どちらも、感情や呼吸が深いところで動いているような感じがあるのは、すごく似ているところです。一方で、チャイコフスキーの方がオペラ的・演劇的で、人に見せる要素を感じますね。ラフマニノフはもっと純粋にピアノで音楽を紡いでいく。だからチャイコフスキーには表に出ていくような音色が必要ですし、ラフマニノフはもう一段暗く、内側に詰まった音が大事。和音も内声がより大事です」ロシア人ピアニスト、ヴェラ・ゴルノスタエヴァのもとで、小学生の頃からロシア音楽に取り組んできた。「あまり型にはまらなくていいところが大好きでした。特に幼い頃は、バッハやベートーベンと比べて断然自由に弾けるのが楽しくて。もちろん作曲家それぞれのスタイルの中で弾かなければならないけれど、でもその中ですごくいろんな自由が私には感じられるので」共演は原田慶太楼指揮の日本フィル。「原田さんはすごく前向きでエネルギッシュ。救われる気がします。日本フィルは、たぶん一番多く共演している日本のオーケストラ。私は『ソリスト対オケ』でなく、メンバー一人一人との繋がりが見えるような協奏曲の演奏が好きだし、今回は直前まで九州ツアーでご一緒しているので、いっそうそんな演奏にしたいなと思います」(取材・文:宮本明)
2021年11月17日2015年、弱冠15歳でチャイコフスキー国際コンクール第3位に輝いたロシア音楽界の新星、ダニエル・ハリトーノフのピアノ・リサイタルが11月27日(土)SAYAKAホールを皮切りに開催される。ハリトーノフが、コンサートの殿堂カーネギーホールにて華々しいデビューを飾ったのは、わずか14歳の時。あどけなさが残る少年ピアニストが世界の注目を集めてから早数年が経ち、凛とした青年へと成長した今冬、ドイツ・ピアニズムの名曲を詰め込んだプログラムをお届けする。2015年から日本で開催してきたソロコンサートでは、東京文化会館や東京オペラシティコンサートホールなどで演奏し、日本の音楽の殿堂においても好評を得てきたハリトーノフ。学生でありながらプロの音楽家としての経験を順調に重ね、ピアノに対する誠実で真面目な姿勢は見るものの心をつかんで離さない。爽やかなルックスに、190cmを超えるすらっと高い身長、そしてラフマニノフ作品をものともしない大きな手は、フランツ・リストに伝わる逸話をどこか彷彿とさせるように思える。「テンペスト」の愛称で知られるベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番は知る人ぞ知る名曲。3楽章全てがソナタ形式で作曲されており、ベートーヴェンの革新的な一面を垣間見ることが出来る。ブラームスの「2つのラプソディ」は、彼のピアニストとしての成熟期に生み出された作品であり、ラプソディという名の通り、彼の好んだ民族的要素を音に描いている。そしてコンサートの最後を飾るのは、若きブラームスの情熱と個性、才能が遺憾なく発揮された「ピアノ・ソナタ第1番」。ベートーヴェンの影響を受けつつも、表題的な要素を持つロマン派的作品だ。ロマン派の先駆けベートーヴェンと古典派への原点回帰と民族主義を取り入れたブラームス。ロマン派を代表する3つのソナタを堪能できる至極のコンサート。お聞き逃しなく。公演チケットはチケットぴあで発売中。■ダニエル・ハリトーノフ ピアノ・リサイタル202111/27(土)14:00開演SAYAKAホール(大阪狭山市文化会館) 小ホール (大阪)11/28(日)15:00開演長久手市文化の家 森のホール (愛知)12/1(水)19:00開演豊洲シビックセンターホール (東京)12/2(木)13:30開演神奈川県立音楽堂(木のホール) (神奈川)12/3(金)18:30開演志木市民会館パルシティ ホール (埼玉)12/4(土)14:00開演ノバホール 大ホール (茨城)12/5(日)13:00開演 東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル (東京)
2021年11月09日