アカデミー賞国際長編映画賞ロシア代表の話題作『戦争と女の顔』より、日本版予告とポスターが解禁された。日本でも大きな注目を集めた証言集「戦争は女の顔をしていない」を原案とした本作。戦後のレニングラードを舞台に、PTSDを抱えた元女性兵士の葛藤と過酷な運命を描き出す。カンヌ国際映画祭をはじめ多くの各国映画祭で賞を受賞するなど、世界的に高い評価を受けている。今回解禁となった日本版予告編では、PTSDを抱える元女性兵士のイーヤとマーシャが、厳しい環境下でお互いを支えながら生きていく様子が描かれている。戦地を知らぬ人々や男たちからの心無い言葉、彼女たちが心と体に負った深い傷をとらえていく映像に胸が痛む。イーヤとマーシャがそれぞれ身に着けている赤褐色と緑の対比的な衣装も印象的だ。戦争による後遺症を抱えた2人は、戦後の生活で希望を見出すことができるのか…。緊迫感のある展開も予感させる予告編となっている。また、各誌の賞賛レビューが畳み掛けるように表示され、本作が痛ましく、強く、そして美しさも感じる作品であることが想起される。さらに、同時に解禁されたポスターでは、主人公・イーヤが誰かの手で口元を塞がれている様子が切り取られており、不穏さを漂わせている。「“わたしたち”の戦争は終わっていない」のコピーからは、戦争が終わっても彼女たちの闘いがいまも続いていることを察することができ、その過酷さを物語るようなビジュアルになっている。『戦争と女の顔』は7月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:戦争と女の顔 2022年7月15日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© Non-Stop Production, LLC, 2019
2022年05月06日幼い子供を育てる親にとって、読み聞かせ用の絵本を借りられる図書館は重宝する施設です。2022年5月時点で2歳の息子さんを育てている、楡村(@haha_nirem)さんも図書館を利用。息子さん向けの絵本を予約したのですが、思ってもみなかった1冊が届いてしまいます!図書館で絵本予約したら予想外のサイズだったぜ ガハハ pic.twitter.com/xSFMDuABmw — 楡村 2y♂ (@haha_nirem) May 3, 2022 息子さんが覗き込んでいるのは、ビッグサイズな絵本!楡村さんが借りたのは、五味太郎さん作の大型絵本『みんなうんち』でした。絵本のサイズは高さ49cm、幅45cmで、息子さんの胸元まであります!「生き物は食べるから、うんちをする」と分かるよう、さまざまな生き物のうんちを紹介している本作。楡村さんは息子さんの成長を想い、「トイレに興味を持ってもらいたくて借りた」といいます。絵本のサイズとタイトルに衝撃を受けた人からは、「我が子も、うんちが好きなお年頃なので借りたい」という声が続々と上がりました。また、「大人数に読み聞かせをする時に便利なやつだ!保育士時代にお世話になりました」というコメントも寄せられています。うんちについて学べる絵本が大きいというだけで、大人も楽しくなってしまう1冊。子供とともに楽しみたい人は、読んでみるといいかもしれませんよ![文・構成/grape編集部]
2022年05月05日世界で起きていることを考えると、改めて戦争の恐ろしさや平和であることのありがたみを感じますよね。なぜ戦争が恐いのか。なぜ平和でならなければならないのか。絵本を通して、今、子どもに伝えてみるのはどうでしょう? モデルで絵本ソムリエのアンヌさんが「戦争・平和」をテーマにした絵本を8冊セレクトしてくれました。小さな子でもわかりやすい内容で、年齢を重ねてから読むとまた感じ方が変わるというおもしろさもあります。ぜひこの機会に親子で読んでみてはいかがでしょうか。戦争・平和がテーマの絵本 #01作者である少年の目線で“平和”について描かれたおはなし『へいわってすてきだね』 「与那国島に住む6歳の少年の詩に長谷川さんが絵を添えて出来上がった作品。子どもの目線から、“平和ってなんだろう”と純粋に考え、素直に答えていきます。のどかな景色、家族、友人、やさしい心。その言葉のひとつひとつが、私たちの心にストレートに届き、当たり前の日々の尊さに改めて気付かされます。平和について考える小学生にはもちろん、愛らしい生き物も登場するので小さい子にもおすすめです。すぐに理解できなくても、何度も繰り返し読んで聞かせていくうちに、あるいは何年かのときを経たときに、本当に大切なことへの理解が深まるはずです」『へいわってすてきだね』文:安里有生 絵:長谷川義史(ブロンズ新社)対象年齢:5歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #02いがみあいを続けた末に待っていたのは……?!『もっと おおきな たいほうを』 「王様は立派な大砲を持っていました。でも戦争がないので打てません。そこへ、川の向こうのキツネたちがサカナを取り始めます。王様は自分の好物を勝手に取られたと憤り、大砲を打ち上げます。するとキツネも負けてはいられません。双方はもっと大きな大砲をと競い合い、いがみあいはエスカレートしていきます。そのうちに突拍子もない展開に。戦争のおろかさを滑稽に描いたおはなし。ホッとする結末には、平和について改めて考えるきっかけになるでしょう」『もっと おおきな たいほうを』文・絵:二見正直(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #03平和と戦争をひと目で比較できる『へいわとせんそう』 「Noritakeさんのシンプルな絵に、谷川俊太郎さんの淡々とした言葉を合わせた作品。『へいわのぼく、せんそうのぼく』、『へいわのうみ、せんそうのうみ』というように、同じテーマを扱い、左ページには平和、右ページには戦争の状態を載せて、比較できるようになっているつくりです。違いは一目瞭然。小さい子にもとてもわかりやすく、そのシンプルさがすばらしい。それでは、敵と味方の違いはなんでしょう? 年齢を重ねればさらに心に強く響くはずです」『へいわとせんそう』文:たにかわ しゅんたろう 絵:Noritake(ブロンズ新社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #04実話をもとに描かれたストーリー『タケノコごはん』 「日本が戦争をしていたころ、主人公の男の子の学校には、けんかの強いさかいくんがいました。ある日、さかいくんのお父さんが戦場に行くことになり、そのうちに帰らぬ人となりますが、強いさかいくんは泣きません。でも、以前より意地悪になりました。しばらくすると、みんなが大好きな先生も出征することになります。お別れに、みんなでほかほかのタケノコごはんを食べます。みんなの想いは? そしてさかいくんは? 子どもながらに感じる、悲しみや怒りの入り混ざったやるせない想いと、ごはんのあたたかさのコントラストが身につまされます。何度も読むうちに子どもは、戦争の惨さをより深く理解していくことでしょう。映画監督の大島渚さんがご自身の体験から書かれたお話です」『タケノコごはん』文:大島 渚 絵:伊藤秀男(ポプラ社)対象年齢:6歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #05小さな子でも理解できるやさしい絵と文『おひさまとおつきさまのけんか』 「ある日、おひさまとおつきさまはけんかをしてしまいます。おつきさまの遅刻をちょっと叱ったおひさま。それに対しておつきさまは……。そのやりとりが次第にエスカレートし、周囲を巻き込んで、とうとう本当の戦争になってしまう、といった世界で起こっていることの縮尺図のような作品。結局、苦しむのは小さきもの。きっかけはほんとうに小さなことだったのに。馴染みのあるせなせいこさんの絵で、小さな子でもわかりやすいです。平和の大切さや戦争の悲しさを理解する導入本にぴったりの一冊」『おひさまとおつきさまのけんか』絵・文:せなけいこ(ポプラ社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #06世界で起きていることを想像してみよう『ぼくがラーメンたべてるとき』 「ぼくがラーメンをいつものように食べているとき。その同じときに、おとなりでは? 地球の向こうでは? いったい何が起こっているでしょう。同じように穏やかに昼食をとっているでしょうか。いいえ。ある子は、子守りをし、ある子は働き、ある子は……。自分と同じ子どもでも、さまざまな状況がある。共感から、世界のさまざまな人や状況への想いを育み、想像力を広げ、平和を考えるきっかけとなるような作品。長谷川さんの短い文と元気のいい絵で、重たくなりがちなテーマも親しみやすくなっています」『ぼくがラーメンたべてるとき』作・絵:長谷川義史(教育画劇)対象年齢:4歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #07ウクライナへ想いを馳せて読んでみよう『てぶくろ』 「多くの子どもたちが親しんだ絵本。実はウクライナの昔話です。雪の積もる寒い森で、おじいさんがてぶくろを片方落としてしまいます。それを見つけた一匹のネズミは、中に潜り込みます。そこへカエルがやってきて、一緒に入れてもらい、つぎにウサギ、そのつぎにはキツネ、という具合にどんどん大きな動物たちがやってきて、てぶくろはぎゅうぎゅうになっていきます。いまにも弾けそうなてぶくろに、読み手もハラハラドキドキ。寒い外の空気とぬくぬくのてぶくろの中を想像すると楽しいです。こんなお話に親しんで、遠い国へと思いを馳せ、心を寄り添わせることができるといいですね」『てぶくろ』絵・文:エウゲーニ・M・ラチョフ 訳:うちだ りさこ(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #08けんかのデメリットがわかる『みんな なかよし けんかばし』 「とある村を東西に分ける川には、人々が行き来する橋がかかっています。そこでは大人も子どももいつもけんかばかり。それでもパン屋、鍛冶屋、靴屋、仕立て屋など、村にひとつしかない専門店に行くには、その橋を渡るしかありません。ところがある日、嵐で橋が流されて……。もうけんかをしなくて済むと人々は肩を撫で下ろしますが、ふと気付けばとんでもなく不便なことに。慌てふためいた人々はてんやわんや。愉快なドタバタ劇ですが、同時に争いの馬鹿馬鹿しさも痛感する作品です」『みんな なかよし けんかばし』文:ジョーン・オッペンハイム 絵:アリキ 訳:みき たく(童話館出版)※「童話館ぶっくくらぶ」という絵本の定期便を行っています。対象年齢:5歳くらいから▼こちらの記事もチェック!< LGBT & 多様性が描かれた絵本8選 >親子で読みたい!<環境問題がテーマの絵本> 親子でSDGsについて考えよう!教えてくれた人Anne(アンヌ)さんモデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆を手がける。出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。息子が6歳になるまでに読んで聞かせた本は793冊1202話。現在所持する絵本は約1000冊。photography/Chiharu Fukutomi、Text/Anne
2022年04月10日戦争・平和がテーマの絵本 #01作者である少年の目線で“平和”について描かれたおはなし『へいわってすてきだね』「与那国島に住む6歳の少年の詩に長谷川さんが絵を添えて出来上がった作品。子どもの目線から、“平和ってなんだろう”と純粋に考え、素直に答えていきます。のどかな景色、家族、友人、やさしい心。その言葉のひとつひとつが、私たちの心にストレートに届き、当たり前の日々の尊さに改めて気付かされます。平和について考える小学生にはもちろん、愛らしい生き物も登場するので小さい子にもおすすめです。すぐに理解できなくても、何度も繰り返し読んで聞かせていくうちに、あるいは何年かのときを経たときに、本当に大切なことへの理解が深まるはずです」『へいわってすてきだね』文:安里有生 絵:長谷川義史(ブロンズ新社)対象年齢:5歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #02いがみあいを続けた末に待っていたのは……?!『もっと おおきなたいほうを』「王様は立派な大砲を持っていました。でも戦争がないので打てません。そこへ、川の向こうのキツネたちがサカナを取り始めます。王様は自分の好物を勝手に取られたと憤り、大砲を打ち上げます。するとキツネも負けてはいられません。双方はもっと大きな大砲をと競い合い、いがみあいはエスカレートしていきます。そのうちに突拍子もない展開に。戦争のおろかさを滑稽に描いたおはなし。ホッとする結末には、平和について改めて考えるきっかけになるでしょう」『もっと おおきなたいほうを』文・絵:二見正直(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #03平和と戦争をひと目で比較できる『へいわとせんそう』「Noritakeさんのシンプルな絵に、谷川俊太郎さんの淡々とした言葉を合わせた作品。『へいわのぼく、せんそうのぼく』、『へいわのうみ、せんそうのうみ』というように、同じテーマを扱い、左ページには平和、右ページには戦争の状態を載せて、比較できるようになっているつくりです。違いは一目瞭然。小さい子にもとてもわかりやすく、そのシンプルさがすばらしい。それでは、敵と味方の違いはなんでしょう? 年齢を重ねればさらに心に強く響くはずです」『へいわとせんそう』文:たにかわ しゅんたろう 絵:Noritake(ブロンズ新社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #04実話をもとに描かれたストーリー『タケノコごはん』「日本が戦争をしていたころ、主人公の男の子の学校には、けんかの強いさかいくんがいました。ある日、さかいくんのお父さんが戦場に行くことになり、そのうちに帰らぬ人となりますが、強いさかいくんは泣きません。でも、以前より意地悪になりました。しばらくすると、みんなが大好きな先生も出征することになります。お別れに、みんなでほかほかのタケノコごはんを食べます。みんなの想いは? そしてさかいくんは? 子どもながらに感じる、悲しみや怒りの入り混ざったやるせない想いと、ごはんのあたたかさのコントラストが身につまされます。何度も読むうちに子どもは、戦争の惨さをより深く理解していくことでしょう。映画監督の大島渚さんがご自身の体験から書かれたお話です」『タケノコごはん』文:大島 渚 絵:伊藤秀男(ポプラ社)対象年齢:6歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #05小さな子でも理解できるやさしい絵と文『おひさまとおつきさまのけんか』「ある日、おひさまとおつきさまはけんかをしてしまいます。おつきさまの遅刻をちょっと叱ったおひさま。それに対しておつきさまは……。そのやりとりが次第にエスカレートし、周囲を巻き込んで、とうとう本当の戦争になってしまう、といった世界で起こっていることの縮尺図のような作品。結局、苦しむのは小さきもの。きっかけはほんとうに小さなことだったのに。馴染みのあるせなせいこさんの絵で、小さな子でもわかりやすいです。平和の大切さや戦争の悲しさを理解する導入本にぴったりの一冊」『おひさまとおつきさまのけんか』絵・文:せなけいこ(ポプラ社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #06世界で起きていることを想像してみよう『ぼくがラーメンたべてるとき』「ぼくがラーメンをいつものように食べているとき。その同じときに、おとなりでは? 地球の向こうでは? いったい何が起こっているでしょう。同じように穏やかに昼食をとっているでしょうか。いいえ。ある子は、子守りをし、ある子は働き、ある子は……。自分と同じ子どもでも、さまざまな状況がある。共感から、世界のさまざまな人や状況への想いを育み、想像力を広げ、平和を考えるきっかけとなるような作品。長谷川さんの短い文と元気のいい絵で、重たくなりがちなテーマも親しみやすくなっています」『ぼくがラーメンたべてるとき』絵・文:長谷川数史(教育画劇)対象年齢:4歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #07ウクライナへ想いを馳せて読んでみよう『てぶくろ』「多くの子どもたちが親しんだ絵本。実はウクライナの昔話です。雪の積もる寒い森で、おじいさんがてぶくろを片方落としてしまいます。それを見つけた一匹のネズミは、中に潜り込みます。そこへカエルがやってきて、一緒に入れてもらい、つぎにウサギ、そのつぎにはキツネ、という具合にどんどん大きな動物たちがやってきて、てぶくろはぎゅうぎゅうになっていきます。いまにも弾けそうなてぶくろに、読み手もハラハラドキドキ。寒い外の空気とぬくぬくのてぶくろの中を想像すると楽しいです。こんなお話に親しんで、遠い国へと思いを馳せ、心を寄り添わせることができるといいですね」『てぶくろ』絵・文:エヴゲーニ・Mラチョフ 訳:うちだ りさこ(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #08けんかのデメリットがわかる『みんな なかよし けんかばし』「とある村を東西に分ける川には、人々が行き来する橋がかかっています。そこでは大人も子どももいつもけんかばかり。それでもパン屋、鍛冶屋、靴屋、仕立て屋など、村にひとつしかない専門店に行くには、その橋を渡るしかありません。ところがある日、嵐で橋が流されて……。もうけんかをしなくて済むと人々は肩を撫で下ろしますが、ふと気付けばとんでもなく不便なことに。慌てふためいた人々はてんやわんや。愉快なドタバタ劇ですが、同時に争いの馬鹿馬鹿しさも痛感する作品です」『みんな なかよし けんかばし』文:ジョーン・オッペンハイム 絵:アリキ 訳:みき たく(童話館出版)※「童話館ぶっくくらぶ」という絵本の定期便を行っています。対象年齢:5歳くらいから▼こちらの記事もチェック!< LGBT & 多様性が描かれた絵本8選 >親子で読みたい!<環境問題がテーマの絵本> 親子でSDGsについて考えよう!教えてくれたひとAnne(アンヌ)さんモデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆を手がける。出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。息子が6歳になるまでに読んで聞かせた本は793冊1202話。現在所持する絵本は約1000冊。
2022年04月10日カンヌ国際映画祭で監督賞・国際批評家連盟賞のW受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ロシア代表作品にも選出されたロシア映画『戦争と女の顔』(原題:Beanpole)が7月15日(金)より公開決定、本作の監督とプロデューサーから反戦のメッセージが到着した。1945年、終戦直後のレニングラード(現サンクトペテルブルグ)。荒廃した街の病院で、PTSDを抱えながら働く看護師のイーヤ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)は、ある日、後遺症の発作のせいで面倒をみていた子どもを死なせてしまう。そこに子どもの母親で、戦友のマーシャ(ヴァシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還。彼女もまた後遺症を抱えていた。心身ともにボロボロの2人の元女性兵士は、なんとか自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見いだすが...。本作は、ノーベル文学賞受賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの証言集「戦争は女の顔をしていない」を原案に、巨匠アレクサンドル・ソクーロフの下に学んだ新鋭カンテミール・バラーゴフ監督が戦後の女性の運命を描いた。プロデューサーは、『チェルノブイリ1986』(20)『ラブレス』(17)『裁かれるは善人のみ』(14)をはじめ、ハリウッドでも実績のあるウクライナ出身のアレクサンドル・ロドニャンスキー。主演の2人は、新人のヴィクトリア・ミロシニチェンコとヴァシリサ・ペレリギナが見事に複雑な心理状態を演じきった。第2次世界大戦から77年。その戦争を知らない世代のスタッフ、キャストらが、現在も起こっている戦争の恐ろしさを伝える作品である。監督&プロデューサーの反戦メッセージ現在、ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアのカバルダ・バルカル共和国出身のバラーゴフ監督は、侵攻後すぐに国外へ脱出。また、ウクライナ出身のプロデューサーで、息子がゼレンスキー大統領の経済顧問をしているロドニャンスキーは、ロシア政府から名指しで彼の作品がロシア国内での放映が禁止され、SNSで反戦のコメントを連日投稿している。『戦争と女の顔』の日本公開に際し、2人から反戦のメッセージが届いた。カンテミール・パラーゴフ(監督)戦争と、それを招いたロシア政府の政治的決断に強く反対している。だから私はロシアを去らなければならないと感じた。この戦争は、ただ普通に人生を送りたい何百万という人々にとっての悲劇だ。彼らの多くにとっては、この戦争を乗り越えること、これからの人生を送ることが難しくなるかもしれない。ましてや、不可能になるかもしれない。これは、『Beanpole』で描かれていることと一緒だ。戦争より悪は存在しない。アレクサンドル・ロドニャンスキー(プロデューサー)私は今までロシア大統領選で投票をしたことがないが(ウクライナのパスポートを持っているので)、耐え難いほど恥じている。そして、とてつもなく深い悲しみにいる。戦争に言い訳などはない。どんな主張があったとしても。私はよく覚えている。ソ連が私たちにアフガニスタン戦争の絶対的な必要性を説明した時のことを。それが悲劇的な間違いだったと認めるまで、10年の月日を費やし、15,000人のソ連兵士と100万人近くのアフガニスタン人の命を犠牲にしたことも。今日、ベトナム、イラク、アフガニスタン戦争など自国の戦争について言い訳できるアメリカ人はほとんどいない。そして、またしてもこの戦争は痛ましい過ちだ。国家の経済が崩壊し、私たちの国が世界的な孤立の中停滞し、かつてないテクノロジーの格差が深まるから、という理由ではなく、この過ちにおける恥は消え去ることがないからだ。これは私たちの子供や孫の代にも残る。私たちは黙ってはいられない。戦争に「NO」を。『戦争と女の顔』は7月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:戦争と女の顔 2022年7月15日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© Non-Stop Production, LLC, 2019
2022年04月07日橘ケンチ(EXILE / EXILE THE SECOND)が、経済産業省が取り組んでいるオンライン図書館「STEAMライブラリー」の動画教材に出演する事が発表された。「STEAM」とはScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(人文社会・芸術・デザイン)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉で、「STEAMライブラリー」では一人ひとりのワクワクを探究するためのオンライン図書館をめざし、子ども達の興味・関心に応じてコンテンツ(教材)を検索する事ができる。同ライブラリーは誰でもアクセスが可能となっており、様々な分野から50超のテーマを収録。さらにコンテンツは、“未来社会の創り手”になる子ども達が挑戦すべきSDGsの17テーマを意識して整理されている。3月からのリニューアルにともない、作成された橘が出演する教材のテーマは「Show yourself!〜わたしを表現するということ〜」。EXILEで培った自身の経験をもとに、「表現」を様々な角度から探求した動画が全8回に分けて収録される。監督・脚本はドラマ&映画『HiGH&LOW』シリーズの脚本を務める平沼紀久が担当。エンタテインメントの要素も加え、教材として非常に面白みもあり興味深い内容に仕上がっている。■橘ケンチ コメント以前から『教育』に関してはとても興味がありました。僕自身、小さい頃から学校で学んできたことを経て今の自分が形成されていると思っているので、その大事さを年を重ねるごとに実感しています。EXILEというグループに所属し、エンタテインメントと日々向き合っている中で、エンタテインメントの持つ力を目の当たりにすることがとても多く、学ぶことにおいてもっとエンタメ感を取り入れた企画を作りたいですねと平沼紀久さんと話をしている中で、幸運にもNPO法人SOMAさんとの出会いがあり、今回の取り組みに至りました。SOMAさんはいわば教育のプロであり、これまでの日本の教育を見直し、ひとりひとりの『わたし』に寄り添う新たな学び方を提案されています。未来を見据えた教育、しかもそれを楽しみながら学ぶことができたら……そんな話を繰り返すうちに、今回の動画教材の内容が決まりました。『表現』するということはどういうことなのか?アーティスト、スポーツ選手、ミュージシャンなど人前に立って表現する人だけに関わることではなく、人はみな『表現者』なのだという考えのもと、具体的な方法を全8回に渡って提案することにより、『表現』をより身近に感じてもらいたいと思っています。<STEAMライブラリー 教材概要>「Show yourself!〜わたしを表現するということ〜」出演者:橘ケンチ、川久保拓司監督 / 脚本:平沼紀久詳細はこちら:STEAMライブラリー未来の教室法人「SOMA」
2022年03月01日2022年2月4日、東京建物Brillia HALLにて舞台「ぼくらの七日間戦争」が開幕した。原作は累計発行部数は2000万部を突破、1985年に宗田理により書き下ろされた「ぼくらの七日間戦争」(角川文庫・角川つばさ文庫 刊)である。本作は大人による管理教育に反抗した主人公たちが廃工場に立てこもり、爽快な逆襲劇を繰り広げるストーリー。思いがけず起こる事件や難題に立ち向かう子どもたちの勇気と知恵と行動力も本作の魅力の一つである。彼らの成長や冒険心に、観るもの全てが青春時代に胸を熱くした思いを蘇らせるような名作であり、登場する大人たちも子どものためを思うがあまり、衝突してしまったり、中には理解を示すものがいたりと、誰もが現在の自分に置き換えられるような作品だ。また、本作では原作に描かれていない、“ぼくら”が大人になった姿にも心注目である。今回、開幕にあたり、主役となる菊地英治役の校條拳太朗、相原徹役の瀬戸啓太、ヒロインとなる中山ひとみ役の北澤早紀、そして、教頭役の渡辺裕之からコメントが到着!菊地英治役:校條拳太朗「ぼくらの七日間戦争原作の小説から、映画やアニメなど様々な形で、沢山の方々に愛されて来たこの作品に出演させて頂けてとても嬉しいです。作中で解放区から中学生が訴えかける言葉の中には、今のぼくらにも言えることがあると思います。胸を張って「生きている」と言える様なそんな人生を送れているのだろうか、菊地たちと同じようには出来なくとも、自分を見つめ直し納得出来たら良いなと自分自身思います。観て下さった方の小さなきっかけになれたら嬉しいです。」相原徹役:瀬戸啓太「相原徹役の瀬戸啓太です。子供の頃抱えてた悩みや疑問って、大人になっても思ってる部分があるかと思います。大人になればなるほど誰かにぶつけづらくなっていくものだと思いますし、それをこの作品では仲間がいる事で子供達がぶつけていく様が描かれています。やってる僕自身どこか爽快感もあったり、皆さんにも共感が得られる事も多いと思います!大人側からの視点でも共感する部分も多いはずです。色んな見方で楽しんでいただけたら嬉しいです!!」中山ひとみ役:北澤早紀「はじめまして!中山ひとみ役を務めさせていただきます、北澤早紀と申します!中学3年生の役ということで、フレッシュさを心がけて稽古してきました。仲間意識、ひたむきさ、威勢の良さ、正義感など、中学生ならではの我武者羅さをたくさん感じることができました。クラスの仲間達と、私たちを取り巻く大人達と共にこの作品を精一杯お届けします!!」教頭役:渡辺裕之「どんな人も通り過ぎた、10代のきらめきに満ちた時。稽古の度 いつの間にか忘れてしまっていた 感情が疼き出す。この感動を 是非劇場で味わって頂きたいと思います。」舞台「ぼくらの七日間戦争」【原作】宗田理「ぼくらの七日間戦争」(角川文庫・角川つばさ文庫 刊)【脚本・演出】久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)【出演】●菊地英治 役校條拳太朗●相原徹 役瀬戸啓太●安永宏 役毎熊宏介●天野司朗 役 東井隆希●谷本聡 役高橋晴輝●宇野秀明 役結城 伽寿也●立石剛 役弓木大和●中尾和人 役鈴木祐大●柿沼直樹 役安藤優●佐竹哲郎 役春斗(CUBERS)●佐竹俊郎 役優(CUBERS)●中山ひとみ 役北澤早紀(AKB48)●堀場久美子 役彩木咲良●橋口純子 役樋渡結依●矢場勇 役 溝呂木賢●田中康弘 役吉田宗洋●柿沼靖樹 役緑川睦●八代謙一 役田中孝宗(劇団俳優座)●菊地詩乃役若井なおみ(劇団俳優座)●榎本勝也 役志村史人(劇団俳優座)●堀場千吉 役河内浩(劇団俳優座)●杉崎警部 役コウガシノブ●酒井敦 役森山栄治●西脇由布子 役根岸愛●柿沼奈津子 役遠山景織子●橋口暁子 役月影瞳●瀬川卓蔵 役石橋保●丹羽満 役 渡辺裕之【日程】2022年2月4日〜6日(※2月2日・3日は中止となりました。)【会場】東京建物Brillia HALL 豊島区東池袋1丁目19−1【料金】東京公演 : 全席指定(税込)S席特典付き 8,800円 / 特典無し 7,700円1階席A席5,500円 2階席B席(学生席)4,400円 3階席※当日学生証を提示※未就学児入場不可【公式HP】 【公式Twitter】@2022bokura7【問い合わせ】キョードー東京0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)【共催】豊島区/公益財団法人としま未来文化財団【主催】舞台「ぼくらの七日間戦争」製作委員会【権利表記】©️2022宗田理 /舞台「ぼくらの七日間戦争」製作委員会 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月05日株式会社 Abhainn Abhainnは、お家で愉しく学べる洋酒の月額サービス「洋酒の図書館」を2022年1月10日から開始いたしました。テーマにそったお酒のセット(1科目あたり:3~6種類)を毎月配送+愉しく学べるセミナー動画を毎月視聴できるサービスです。表紙【サービス概要】サービス名: 「洋酒の図書館」開始日 : 2022年1月10日受講料 : 月額 1科目 2,980円(税込)2科目 5,900円(税込)3科目 8,500円(税込)4科目 10,000円(税込)内容 : セミナー動画を毎月視聴、(1科目あたり)30~50mlの小瓶に、3~6種類の酒類を詰めて配送詳細 : 受講科目が増えるほど、お得な価格でご利用いただけるように科目数を増やしていく予定です。まず1月10日から1科目と2科目を開講いたします。講義によってはスナックor食材と料理のレシピをつけて、食事とのペアリングも楽しめるよう検討しております。月額サービスに入会していただきますと、初回にお送りする冊子をまとめるためのオリジナルバインダーをプレゼントします。継続特典サービスも検討中です。内容サンプル【サービス開始の背景】洋酒のプロフェッショナルを育てるためではなく、基礎の基礎からスタートする事で、誰でも愉しく始められます。「ただお酒を呑んでなんとなく楽しい。」というところから、そのお酒の持つ物語などを愉しく学ぶことによって、より一層お酒を美味しく飲んでもらえるようになってほしい!という想いからプロジェクトを始めました。洋酒を求めて世界60ヶ国以上を飲み歩き、洋酒オタクの果てに北海道の地でクラフトジンの蒸留所長になった、当図書館・館長越川が講師としてお送りします。工夫をこらした動画で、自ら経験したお酒の楽しさや魅力を存分にお伝えいたします。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月12日米アイダホ州ボイシの公立図書館で、110年前に貸し出された本が先週になって返却されていたことがわかった。地元テレビ局KTVB7などが報じている。1世紀以上の時を経て返却された本は、1907年に出版された児童文学作家ケイト・ダグラス・ウィギンの「少女レベッカ」シリーズの一冊『New Chronicles of Rebecca』。1911年11月8日に、ボイシ市内の旧カーネギー公立図書館で貸し出されたのを最後に、行方がわからなくなっていた。旧カーネギー公立図書館は1895年に立てられた歴史的建造物で、1974に歴史登録財に指定されたため、現在は本を置いていないという。そのため、本はボイシから80キロほど離れたガーデン・バレー地区図書館の返却コーナーにひっそり置かれていたそうだ。「かなり古い本で、現在使用しているマークがひとつも見当たらなかったため、カウンター係が調べてくれました。110年後に返却された本を扱った人なんて、ここにはいないと思います」と、ボイシ公立図書館で司書補を務めるアン・マリー・マーティンさんはKTVB7の取材に応えて語った。当時の規則では、延長手続きをしないまま貸出期間の2週間を超えると、1日あたり2セントの罰金が課されていたとNBCは伝えている。今回の場合、4万日以上の延滞となるため、本来であれば借主は800ドル以上の罰金を払わなくてはならない計算となるという。しかし、本のもともとの値段である1.5ドルが適正な請求額だとして、前出のマーティンさんはKTVB7に対して次のようにコメントした。「罰金として、本の価格以上の金額を請求することはありません。『New Chronicles of Rebecca』は現在5ドルで買えますし、電子書籍でも読むことができます。図書館はこの本を歴史室に保管し、訪問者が手に取って見ることができるようにするつもりです。でも、もう貸し出しはしません」(マーティンさん)驚くべきことに、本の状態はとても良く、文字も絵もはっきりと読み取れるという。ちなみに日本では、秋元書房が翻訳家の大久保康雄と村岡花子監修の少女向け作品群「秋元書房ジュニア・シリーズ」から、シリーズ1作目の『少女レベッカ』が出版されている。
2021年12月01日鈴木忠典さんの腕や足には銃弾の傷跡が残っている終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第10回)◇奥羽山脈のふもと。秋田県横手市で鈴木忠典さん(84)は両親ときょうだい4人の6人で暮らしていた。小学校高学年のころから同級生のあこがれは軍人だった。学徒出陣が始まった1943(昭和18)年、14歳のとき学校に志願兵募集の通知が来た。同級生40人中5人が志願し、鈴木さんだけが合格。両親の目を盗んで判子を押し、志願書を出してしまった。「戦争の本当の怖さなんて知らなかった。戦車を何台やっつけたという武勇伝に興奮しては、兵隊ごっこに明け暮れていましたから」横須賀海軍水雷学校で精鋭をより抜いた特別訓練科へ。訓練は厳しく、たとえ乗り切っても「連帯責任」でしこたまブン殴られた。毎夜、消灯ラッパが鳴るのを待って宿舎のハンモックで泣いた。約半年の訓練で戦地行きが決まった。年末に3日間の休暇を与えられ、仲間のほとんどは実家に帰っていった。「ところが大雪で、実家の秋田に帰るには鈍行列車で片道19時間かかる。どう計算しても半日もいられないし、万が一、戻るのが遅れたら処罰をくらうので諦めたんです。戦死を覚悟していたので最後にお母さんの手を握りたかった。やむなく上野駅の奥羽本線15番ホームで線路に敬礼しました。“お母さん、さようなら”って」■撃たれた仲間がのたうちまわる翌44(昭和19)年1月、長崎・佐世保から魚雷艇でソロモン諸島に向かった。7、8人乗りの小型船で敵艦1000メートル以内に近づいて魚雷2本を発射する。撃ちこんだら素早く引き返さなければならない。発見されると容赦ない砲撃を浴びせられた。撃たれた仲間が、「水をくれ」「早く殺してくれ」とのたうちまわる。任務遂行中でもあり、どうすることもできなかった。「私は魚雷発射手でした。発射レバーを握り、合図を待ちます。顔のすぐ横を敵の砲弾がヒャーン、ヒャーンとうなりをあげていきました。海軍では命令がない限り、仲間が倒れても持ち場を離れてはいけない。交戦が終わってから撃たれた仲間のところに行くと、すでに息絶えていました。ウソでもいいから“いま行くぞ!”と言ってあげればよかった」戦況は悪くなるばかりだった。味方の輸送船が沈められて魚雷が届かなくなり、潜水艦での輸送任務に切り替わった。硫黄島の守備隊のことは今でも忘れられない。「島に米軍が上陸する前のことです。夜間に海上で武器・弾薬や食料を守備隊に渡すんですが、受け取りにくる若い兵士はみな血色が悪く、明らかに何も食べていないんです。見かねた上官が“おまえら帰ったら食べられないだろうからここで食べていけ”とうながしても、“持って帰ります”と口をつけようとしない。ぜんぶ大事そうに箱に詰め、パンひとつ口にしませんでした」硫黄島は玉砕し、戦争は終わった。■立ち向かわなくていい戦地から帰還した鈴木さんは、両親と向き合って「私が弱かったから戦争に負けてしまいました」と頭を下げた。「いいんだ、いいんだ」と父親は答えた。母親は、お風呂をわかすと、「背中を流してあげる」と入ってきた。急に背中に爪を立ててしがみつき、ワーッと泣きじゃくったという。終戦後ずっと、戦争の話はしたくなかった。しかし、70代半ばのころ、平和祈念展示資料館(東京)から戦友会に『語り部』の依頼が来て引き受けることを決めた。戦地で命を落とした彼らのことを伝えたかった。「諸外国に反感を買うようなことはよくよく慎むべきです。戦争というのは殺しですから。私は語り部活動で子どもたちに必ず言います。“もし戦争になったら逃げなさい。立ち向かわなくていい”って」※2013年取材(初出:週刊女性2013年8月20・27日合併号)◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する
2021年08月17日「命を粗末にしないでほしい」と高橋照美さん終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第9回)◇「僕が10歳で終戦の年を迎えたのは、大分・佐伯防備隊の軍港からひと山越え、あまり空襲のなかった下堅田村というところでした」当時、いまの小学校にあたる国民学校4年生だった高橋照美さん(77)は、いつも“マーちゃん”という同級生と遊んでいた。マーちゃんは農家の息子で、笑うと細い目がより細くなり、一緒に山に登ってアケビや野いちごをとって食べた。「どういうわけか気が合ったんです。標高約600メートルの山の頂上からは佐伯の軍港が望め、制空権をとったアメリカの戦闘機が山より低いところを飛んで爆弾を落としていくのが見えるんです。滑走路は穴ボコだらけにされて離着陸できなくなり、“あそこはもうダメだ”とか、不謹慎ですが見ていておもしろかったんです」終戦1か月前の7月上旬、「おい、川に泳ぎに行こうや」とマーちゃんを誘った。暑い日で、ふんどし一丁でイナダをモリで突いていた。■マーちゃんも結婚しとったかもね遠くから爆音が聞こえてきた。見上げると飛行機が近づいてきた。高度100メートル以下の低空飛行だった。「グラマンだ!敵機だ!」操縦席には鼻の高いアメリカ兵が、白いスカーフをなびかせていた。顔まではっきりみえた。「伏せっ!」と河原の茂みに隠れた。素通りしたグラマンは、旋回して戻ってきた。「ダダダダッと機銃掃射してきたんです。銃弾がキンキンと河原の石を弾きました。通り過ぎたあとマーちゃんは伏せたまま何も言わない。背中に出血の跡はなかったので“おいっ!”と身体を起こすと、お腹に大きな穴が開いていて腸が飛び出していた。身体の下は血まみれでした。どんな気持ちだったか、ショックで覚えていません。僕はマーちゃんの家に走り、“おばちゃん、たいへんだ!”と告げ、一緒に河原に戻りました」撃たれると、弾の入り口の傷は小さく、出口の傷が大きいことをあとで知った。ふたりが隠れた茂みは、背の低い五三竹で上空から丸見えだった。「おばちゃんはワンワン泣いたりせず、マーちゃんを抱きかかえて帰りました。僕はそのあとについていきました」大学卒業後、高橋さんは朝日新聞の記者になり、結婚したときに同村を訪ねた。マーちゃんの母親に結婚を報告し、「お墓参りをしたい」と言うと、「生きとったらマーちゃんも結婚しとったかもね」と自分の息子のことのように喜んでくれたという。「動くものならば犬でも人間でも撃つ。一瞬で死ぬ。それが戦争です。テレビゲームとは違う。平和憲法は絶対変えちゃいけない」※高橋さんの「高」は「はしごだか」が正式表記※2013年取材(初出:週刊女性2013年8月20・27日合併号)◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する
2021年08月17日川上さんは「生まれたときから戦争一色、当たり前の日々だった」と話す終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第8回)◇「肉も魚も野菜も食べ物は豊富、欲しいものは何でも手に入りました。満州での暮らしは夢のようでした」川上百合子さん(仮名・92)は、まるで昨日のことのように話す。南満州鉄道の職員だった父親の仕事の関係で1934年ごろから’44年まで、家族と満州に移り住んだ。ハルビンや吉林、新京など、満州の都市を転々とした。「ハルビンではロシア人家族が同じ宿舎に住んでおり、母はロシア料理をたくさん教えてもらっていました。母が作ってくれたピロシキはとてもおいしかったです」料理上手だった川上さんの母・淑子さん(仮名)は、安くて質のいい食材がそろっていた満州でいつも家族のために腕をふるった。さらに、「私たちが住んでいた家には日本本土にもほとんどなかった水洗トイレがありました。冬場はボイラーで沸かした蒸気が室内を暖めるので“家事もつらくない”と母が言っていたことを覚えています」物資も豊富で技術も最先端、日本との差は目を見張るものがあり、満州国はまさに『地上の楽園』だった。帰国後、生活は一変する。川上さんは’44年3月、弟の進学を機に母と3人で日本に戻った。戦況はどんどん悪くなり、物資は足りず、食べ物は配給のみになった。そんな食材すらも徐々に手に入るものが少なくなり、小さなにんじん1本、具のない雑炊をさらに薄めて分け合ったことも。「弟は勤労動員の無理がたたり、結核になりました。栄養をつけて安静に、って言われても食べ物はありません」“満州ならなんでもあった”と、淑子さんはたいそう悔やみ、病床の息子を回復させたい一心で食料を探した。「私たちのようなヨソ者に対し、周囲は冷たかった。母は着物と食べ物を交換するため、農家に出かけては頭を下げた。そうしてジャガイモや卵などの食材を確保し、少ない配給を工夫し、私たちに食べさせてくれたんです」’44年後半には空襲も激しくなり、満州に残る父と連絡がとれなくなった。心配でたまらなかった。19歳だった川上さんは仕事で埼玉・浦和から東京まで通っていたが、煙がくすぶる焼け野原を通ることもあった。「母はすぐに満州に帰るつもりでいたみたいですが、戦争は激しくなり、それどころじゃなくなりました」■本当は生きていたかった戦争で人生が180度変わった。終戦直後、死を覚悟したことがあった。連合国軍が上陸し、占領されれば男性は殺され女性は乱暴されると噂が流れていたからだ。「私たちもそれを信じ、逃げることにしました。でも、万が一、敵に捕まったときは潔く自決できるよう、青酸カリを持つことを決めました」死ぬことが美しい、と教えられていた時代。「私たちは国のためにいつでも死ぬ覚悟がある、と考えていました。でも、本当は死ぬことがどんなことかもわかっていなかった」青酸カリを求め、医師の叔父が住む新潟を訪れたが、「渡すわけにはいかない。死ぬことはない」と、淑子さんを諭した。「空襲で命を落とさずにすんだわけだし、青酸カリを飲んで死にたくはなかった。本当は生きていたかった」川上さんは言う。「戦争は遠い外国で起きていることではありません。ひとたび戦争が起きれば被害を受けるのは国民なんです」視線の先には、“20歳の自分と母”が映っていた。※2017年取材(初出:週刊女性2017年8月15日号)
2021年08月16日インタビューに応じた藤間宏夫さん終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第7回)◇「母は子どもに対してものすごく愛情が深かった。誰よりも感謝しています」仕事が忙しく、母・ゑひさんの死に目に立ち会えなかったのが「不徳の致すところ」と語るのは藤間宏夫さん(78)。「昨年(2016年)から、戦争体験の話をしてほしいと登壇を頼まれるようになりました」貴重な語り部として、多いときは400人以上を前にして体験談を語る。東京・日本橋の出身。宏夫さんは8人きょうだいの7番目で、6歳のとき東京大空襲を経験した。まだひとりで疎開できる年齢に達していなかった。「焼夷弾が自宅を直撃しました。避難する時間なんてなかった。私は1階の押し入れに落っこちるようにして逃げたんです」あと少しズレていたら生きていなかっただろう。宏夫さんはそう思う。生き延びるために一家は逃げた。「母は弟を背負い、私の手を離さずにひたすら逃げました。かろうじて避難したのは防空壕のような地下です。しかし、地上に降る焼夷弾の熱や煙で死を覚悟するほど過酷な環境でした」ようやく地上に出られたとき、周囲には何もなかった。次に待っていた試練は食糧不足だった。焼け野原となった東京から静岡・牧之原へ疎開した。避難してきたというだけで白い目で見られた。「もともと物資が足りていないのに、避難してきた人に渡す食料なんてなかったんですよ」■割り箸の紙袋みたいなやつが1枚空襲とは違う、餓死寸前のつらさ。肉体的な苦痛だけでなく、精神的にも追い込まれた。しかし、母はそれ以上に、息子が兵士として前線に赴くことが気がかりだった。「長男は赤紙で徴兵され、次男、三男は自らの意思で兵隊を志願しました」周りが行ったら俺が行かないわけにはいかない。そんな風潮があった。人前では涙を見せない母が涙を流したのは、次男が1度だけ帰宅したときだった。「次男の帰宅は、外地へ行くということを伝えるためでした。しかし、本人は何も言わない。無言で部屋にいるだけです。詳細なことを言ったら軍紀違反ですから。本当は涙もろい母がこっそり泣いている背中を見ました」その一時帰宅を最後に次男がふたたび、家族の元に帰ってくることはなかった。「兵隊の母親なんてかっこよくなんかないですよ」宏夫さんは今だからこそ親の気持ちがわかるという。「送り出すときは涙をこらえてるんですよ。戦争なんて悲惨なことだとわかっていますから」終戦後、長男と三男は戦地から無事、帰ってきた。「母は次男の消息が不明でも“絶対に帰ってくる”とずっと言っていました。戦後間もなく父が亡くなった後も“次男は帰ってくる”と言い続けていました」そして戦後10年ほど経過して、ようやく届いたのがたった1枚の紙きれだった。「次男の死亡通知が届いたんです。フィリピンで戦死したという。それも、割り箸の紙袋みたいなやつ1枚ですよ」母は簡単に信じなかった。目の前で死んだわけではない。もしかしたら、どこかで生きているかもしれないと思うのが親の心境だろう。「次男は亡くなったと伝えても、“いや、そんなことはない。絶対帰ってくる”と言い張りました」母は残った子どもたちを立派に育て上げた。明治・大正・昭和と激動の時代をたくましく生き抜き、そして、ひとりひとりがきちんと自立する姿を見届けてから79年の生涯を閉じた。※2017年取材(初出:週刊女性2017年8月15日号)
2021年08月16日仏壇に手を合わせる南一成さん。表情が引き締まる終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第6回)◇「子どものころ、親の言いつけを守らなかったり、悪さをすると、押し入れに閉じ込められました。僕は要領が悪かったので、出してくれるまで“ごめんなさい”と泣きながら謝り続けた。ところが妹の文恵は要領がよく、いつの間にか脱け出しているんです」千葉県柏市の南一成さん(79)は戦時中の満州(現在の中国東北部)牡丹江省での暮らしをそう振り返る。父・正人さん(1991年没、享年85)は南満州鉄道の保線関係の責任者で、一成さんは’38年に現地で生まれた。5歳下の妹の子守りをよく任された。「妹は僕に懐いていて可愛かった。でも、おんぶすると重たくてね。友達とメンコやかくれんぼするには邪魔だけれど、母から“グズるから連れて行ってあげて”と頼まれると断れなかった」父親が晩酌するとき、妹はかならずそのひざの上にちょこんと座り酒の肴をつまむ様子を目で追った。すると父親は肴を妹の口に運び盃を舐めさせることも。「僕はお酒なんて1度も味わったことがなかったのに」幸せな日々だった。■フミエ、泣かないよ。泣かないやがて戦局は悪化し、父親を残して母と妹と3人で疎開列車に乗り込んだ。間もなく終戦を迎える’45年8月初旬のこと。一成さんは7歳だった。「家族旅行で以前乗った1等車ではなく、硬いイスの3等車だったので驚きました。通路に座り込んでいる人もいました。“戦争が落ち着くまで一時疎開するだけ”という話でしたが、住み慣れた家に戻ることはありませんでした」列車は空襲を受けた。一成さんは母と妹と、学校などの建物や背の高いトウモロコシ畑に逃げ込んで身を潜め、毛布をかぶった。あまりの恐怖に幼い子どもたちはぎゃあぎゃあ泣き叫んだ。「文恵ちゃん、泣いちゃだめ。泣くのはやめなさい」と母がなだめた。まだ2歳の妹は、「フミエ、泣かないよ。泣かない」と小さな手を口にあてて声を漏らすまいとした。何度も空襲に遭いながら列車は8月16日に新京(現在の長春)に到着し、日本の敗戦を知った。車両に天井と囲いのない『無蓋列車』に乗り換え、炭鉱町の撫順にたどりついた。新居は鉄筋コンクリート3階建ての空き家のアパート。日本人女性と子どもばかりの生活が始まった。「4畳半程度の狭い部屋で3人布団を並べるのがやっとでした。配給は、固い雑穀の『コーリャン』のお粥を1日1回、小さな鍋の底に少しだけ。母はほとんど食べず、僕らに分け与えて、自分は水ばかり飲んでいました」それでも妹は栄養失調で次第にやせ細り、寝たきりになった。亡くなる直前、立ち上がってフラフラによろけながらトイレに行こうとする妹に、「寝たままでおしっこしてもいいよ」と母は泣きながら言った。「妹は9月8日に亡くなりました。本当にかわいそうなことをしました。母は遺体を抱き寄せて“文恵が死んじゃった”といつまでも泣き伏せっていた。生後100日でつくったきれいな赤い着物を着せて棺に入れました。母は火葬して骨だけになった妹の姿に腰を抜かし、“文恵~っ!”とわんわん泣きわめきました。僕と父の部下のおじさんですべての骨を拾ったんです」■母が大切にしまっていたもの翌’46年8月、父親と合流して日本に帰国。父親の故郷・大分県で暮らした。一成さんは熊本の大学に進学後、日立製作所で研究職として働き、職場で知り合った3歳年下の夫人との間に2男1女をもうけた。母・千代子さんは’83年、胃がんで77年の生涯を終えた。遺品整理をしていたときのことだった。「タンスのいちばん奥の母の衣服の下から、乾燥した妹の最後のおむつが出てきたんです。母は戦後、妹の話をしようとはしなかった。でも、忘れられなかったんでしょう。大切にしまってありました」そう言葉を噛みしめた。※2017年取材(初出:週刊女性2017年8月15日号)◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する
2021年08月16日松山航空隊にいたころのりりしい制服姿終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第4回)◇寒い日だった。千葉県流山市の曹洞宗「廣壽(こうじゅ)寺」の酒井文英(ぶんえい)住職(92)は学徒出陣した元海軍パイロット。終戦2年前の1943年10月21日、雨の降りしきる東京・明治神宮外苑競技場で銃を担いで行進した。学徒出陣壮行会だ。「緊張しました。観覧席の女学生が“バンザーイ、バンザーイ”ときれいな声で送り出してくれましてね。清らかな気持ちになりました。ただ、担いだ銃が軽くってね」当時20歳。駒澤大学の歴史学科で学んでいた。子どものころからガキ大将。6人きょうだいの長男で、両親から寺の跡取り息子として期待をかけられていた。壮行会の前の晩、僧侶の父親は「行ってこい。辛抱しろよ」とだけ告げた。母親はこわばった表情をして無口だった。「戦局が悪化して、兵力を補うため文科系大学生も徴兵されたんです。担いだ銃は本物だったのか、木の銃だったのか、かなりインチキなものだったことは間違いない。なにしろ国防婦人会に竹ヤリを持たせて、米兵の火炎放射器と戦えというほどでしたから。これは生きて帰れないかもしれないな、と思いました」すでに兵器は不足しており、出陣学徒全員が本物の銃で行進したわけではなかった。成績は優秀だった。海軍飛行科に配属された酒井さんは、偵察機や戦闘機のパイロットとして呉航空隊(広島)、土浦航空隊(茨城)、松山航空隊(愛媛)、大津航空隊(滋賀)と渡り歩いた。任務は本土防衛。7つボタンの白い制服は、女学生の憧れの的だった。「本土上空で出くわすのはたいがいB29でした。モールス信号で敵機襲来を“ツツーカカー”と知らせるんですが、地上からの高射砲が命中したところは1度も見たことがない。偵察機は3機編隊なので、単独飛行は心細くってね。機体の後ろに敵機に回られないよう気をつけました。撃たれちゃたいへんですから。向こうの戦闘機は速いんです」訓練は厳しかった。午前5時起床。毎日10キロ走り、ひじで地べたを這(は)う匍匐(ほふく)前進の練習を続ける。闘争心をあおる騎馬戦も。理不尽なことで罰を受けた。「気合を入れてやる」上官の鉄拳制裁は日常茶飯事だった。仲間のひとりは60発ぶん殴られたこともあるという。互いに励まし合いながら、何度も夜行列車に乗って逃げようかと考えた。■彼の母親は無言で遺骨を抱いて松山航空隊にいたころ、忘れられない事件が起きた。「仲間のひとりが船のフックにひもをかけて首つり自殺したんです。訓練に耐えきれなくなったんだと思う。京大卒の優秀な男でしたが、人付き合いが苦手でちょっと孤立しているところがあった。“つらい”とグチをこぼすこともありませんでしたから」彼の自殺を報告したときの上官の言い方は、いま思い出しても腹が立つという。「上官は“おまえたちの死亡通知は3銭(切手代)ですむんだ”と言う。バカにしていると思いました。当時そばが1杯7銭です。そんな言い方がありますか」数日後、彼の母親が遺骨を引き取りにやって来た。「軍は冷たい。軍隊葬もしなかったし、上官からお悔やみの言葉もない。お骨の入った箱を“はい”と母親に渡しただけ。息子の遺骨を抱いた母親は、何も言わず黙って帰っていきました。付き添う人もいませんでした。どんなにか泣き崩れたかったろうに。その後ろ姿がじつに寂しくて、今でも思い出すと胸が締めつけられます」ほどなく終戦を迎え、酒井さんは無事に寺に帰ることができた。出迎えた母親はただただ喜んだという。最後に、気になっていたことを聞いた。仏の道から戦争に行くことにためらいはありませんでしたか─。「なかったというとウソになりますね。1度も交戦せず終戦を迎えられたことに感謝しています。そもそも、名誉の戦死なんて思えなかったからね。戦争は悲惨なものです」そう言って目を閉じた。※2015年取材(初出:週刊女性2015年9月8日号)◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する
2021年08月15日星野雅子さんは音楽教師を目指そうと思ったことも終戦から76年──。戦争の怖さや苦しさ、悲しみなどを語り継ぐため、過去の週刊女性PRIMEや週刊女性の誌面から戦争体験者の記事を再掲載する。語り手の年齢やインタビュー写真などは取材当時のもの。取材年は文末に記した。(【特集:戦争体験】第2回)◇1944年の冬から本格化し、甚大な被害をもたらした東京大空襲では約10万人が犠牲になったとされる。しかし、死体を見た記憶がないという。公園に避難するときも、公園から自宅に戻るときも……。東京都墨田区の星野雅子さん(89)は、下町の合金型枠工場を営む職人家庭に生まれた。5人きょうだいの末っ子。■“あらっ、上野駅”母親は小2のときに病死し、以来、13歳年上の次姉が母親代わりを務めた。父親は雅子さんを可愛がり、よく落語を聞きに寄席に連れて行ってくれたが─。15歳の年の3月に東京の下町を焼き尽くした大空襲で、そんな思い出は打ち砕かれてしまった。父と次姉、そして隣の家族の計6人で防空壕に避難した矢先のこと。「警防団が来て“きょうの空襲は規模が違う。ここは危ないから逃げてください”と言うんです。それで駅の操車場まで移動してしゃがんでいたら、今度は駅員が来て“貨車に火が入ると危ないからどいてください”と。しかたなしに錦糸公園まで逃げる途中、婦人会のおばさんが水をジャージャーかけて身体に火が燃え移らないようにしてくれて。公園でひと晩明かす中、爆撃機B29がすごい低空を飛んでいきました」コックピットの米軍兵が下を向いているのが見えたという。「機銃掃射はされませんでしたが、あたりで燃えさかる煙にやられて目があかなくなってしまった。隣のおばさんが目を舐めてくれて、ようやくあけられるようになりました。朝になると一面、焼け野原で視界をさえぎるものはなく、遠くの上野駅の駅舎が見渡せました。“あらっ、上野駅”と驚いて」空襲で家族は助かったが、友人の命は奪った。本所実践女学校3年のクラスメートとは「また明日ね」と別れたきり、半数近くと再会できなかった。仲のいい友人は空襲で両親を失い、親戚宅に身を寄せることに。ある日、その友人が錦糸公園に仮埋葬されている両親をお参りするというので「私も行く」とついていった。「きっと、毎日のようにお参りしていたんでしょう。涙ひとつ見せず、静かに手を合わせていました。彼女は親戚宅での暮らしぶりを話し、“髪の毛をとかすのもトイレでしているのよ”と言うんです。私は鈍感で“どうして?”と聞き返しましたが、よくよく考えてみると肩身が狭かったに違いない。あとで“ごめんね”と謝りました」■女学生らしい歌を歌いなさい戦後、よく思い出すのは女学校の勤労動員先の製薬工場のことだ。軟膏をチューブに詰めては封をする作業を繰り返した。歌を歌いながら作業しても工場長は怒らなかった。ところが、いつものように勇ましい軍国歌謡を歌っていると、工場長が「そんな歌を歌っちゃいけない。女学生らしい歌を歌いなさい」と口を出してきたという。「ちっともロマンチックじゃない。でも、日本全体がそういう風潮でした。いま思えば、滝廉太郎の『花』でも歌えばよかった。歌詞に学校のすぐそばを流れる隅田川が出てくるわけですし」切ない思い出ばかりよみがえるが、やはり焼かれた遺体の残像は浮かんでこない。2018年6月、87歳で亡くなった夫・星野弘さん(元東京大空襲訴訟原告団長)は生前、雅子さんにこう説いたという。「死体を見ずにすむはずがない。きっと、迂回するなどお父さんがよほど気を遣って見せないようにしたのだろう」雅子さんはショックで記憶をなくした可能性も考えた。しかし、今は「お父さんが見せないようにしてくれたんだ」と思うようにしている。※2019年取材(初出:週刊女性2019年9月3日号)◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する
2021年08月15日日本の妖怪、世界のモンスターが集結する映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』。この度、本作に『妖怪大戦争』(’05)で主演を務めた神木隆之介が出演していることが、本日7月1日に行われたイベントで明らかになった。1968年からの三部作、2005年には平成版が興行収入20億円のヒットを記録した映画『妖怪大戦争』。本作では、令和の新たな時代と共にスケールアップしてスクリーンに復活。寺田心が主人公・渡辺ケイを演じ、数奇な運命に導かれ世界の存亡をかけた戦いに挑む。公開を記念して行われた今回のイベントは、平成版の主演・神木さんと、令和版の主演・寺田さんによる「バトンタッチセレモニー」と題され、新旧の主演キャストの2ショットが実現。イベントでは、神木さんがケイが通う小学校の担任教師・加藤先生という新たな役で出演していることが、三池崇史監督より明かされた。本人の熱望により、前作でタダシと友情を育む妖怪・スネコスリを肩に乗せて登壇した神木さんは、16年ぶりの『妖怪大戦争』に喜びを語りながら、前作の敵が豊川悦司演じる加藤だったことに触れ、「僕にはなぜ『加藤先生』なのかはわからないけど、勝手に深堀りしています。現場もすごく楽しかったです!」とコメント。三池監督から「本編ラストでちらっと正体が観られますので、お楽しみに!」と気になる言葉も飛び出す。実は、初めての教師役に緊張していたという神木さんは、休憩時間に教壇に立っていたら、寺田さんから突然演技について質問されたというエピソードを披露。「『前作ではどういう想いでお芝居をされていたんですか?』って聞かれて、『やばい、俺何も考えてなかったな』と思って…」と胸中を明かしながら、何も考えていないからこそいいこともあったと思い直し、「前作は気にせず、目の前で起きたことを生きている感じで、そのまま演じればいいよ」と答えたと言う。「心君は『そうですか、ありがとうございます!』と(笑)。当時の僕より言葉遣いもきちんと出来ていて全然違う、と反省しました!」と話した。バトンタッチセレモニーでは、特製の巨大バトンが神木さんから寺田さんへと託され、「本当に純粋に応援しております!僕の中では『妖怪大戦争』は一生忘れられない作品になっていて、今回心君が16年越しに主役を演じてくれたのが本当に嬉しいですし、心君にこれから世界を救っていってほしいなと思います」と神木さんはエールを贈り、寺田さんは「いろんな想いが詰まったバトンだと思います。改めてしっかりと受け止めたいなと思いました」とコメントした。さらにイベントでは、一足先に本作を鑑賞した神木さんが「迫力のレベルが段違いでしたね!」と興奮気味に語ったり、寺田さんが「数えきれないほどの妖怪が登場します。一匹一匹が魅力的です。そんな妖怪たちとの冒険はとてもワクワクすると思います!世界中の妖怪やモンスターも登場するのでお楽しみに!」と笑顔でアピールしたりといった場面も見られた。『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は8月13日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:妖怪大戦争 ガーディアンズ 2021年8月13日より全国にて公開©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ
2021年07月01日2021年7月3日からテレビ東京で放送開始予定のテレビドラマ『女の戦争~バチェラー殺人事件~』のメインビジュアルが解禁されました。『女の戦争~バチェラー殺人事件~』豪華出演者が集結同作は、お金と権力を持ち合わせた独身男性をめぐり、女性たちがしのぎを削る『バチェラーデート』をテーマにしたテレビドラマ。『女の戦争~バチェラー殺人事件~』では、主演にミュージカル界の貴公子・古川雄大さんを迎え、7人の美しい女性たちが欲望にまみれた愛憎劇を繰り広げます。古川雄大さん演じる主人公・御曹司バチェラーを奪い合う7名の女性たちには、葵わかなさん、トリンドル玲奈さん、寺本莉緒さん、尾碕真花さん、北原里英さん、成海璃子さん、真飛聖さんと、個性豊かな俳優陣が集結。また、ドラマ内の番組MC役に松大航也さん、AD役に喜多乃愛さん、芹沢瞬さん、主人公の父・鳴戸栄一郎役に羽場裕一さんと、新旧を代表する俳優陣がわきを固めます。メインビジュアルに隠された『秘密』とは今回解禁されたメインビジュアルには、まるで絵画のようで魅惑的な主人公を取り囲むように、華やかなドレスに身を包んだ、仮面を持った7名の女性達が写っています。メインビジュアルには、作品の面白さが秘められているといい、気になるのは主人公の写真についた傷。誰が主人公に選ばれ、そして誰が主人公を手にかけるのか…予測しながら、本作の放送を待ちましょう。[文・構成/grape編集部]
2021年06月30日映画『ザ・ファブル殺さない殺し屋』(6月18日公開)初日舞台挨拶が18日に都内で行われ、岡田准一、木村文乃、堤真一、平手友梨奈、安藤政信、山本美月、佐藤二朗、江口カン監督が登場した。同作は南勝久による人気漫画を映画化。圧倒的な強さと的確な手腕で狙った相手を6秒以内で必ず仕留める「天才的な殺し屋」として裏社会で恐れられる通称“ファブル”(岡田)が「1年間殺し屋を休業し、大阪で一般人・佐藤アキラとして普通の生活を送ること」を命令され、日常世界で暮らさなければならなくなる。2019年6月に映画『ザ・ファブル』が公開され、累計130万人以上動員のヒット作となり、今回続編&シリーズ化が決定した。岡田は「今日は『ザ・ファブル』の公開、そして『ヒノマルソウル』もございます」と、同日公開の別作品にも言及。「(主演の)田中(圭)君とは昔バディを組んで」と『図書館戦争』に触れ、今のバディは木村さん、そしてもっと前は堤さん」と『SP』の話題も。「そんな力強いバディを組ませていただいた方々とまたここで再会できて作品を作れた方が幸せですし、戦って作った作品を届けられる幸せを感じていました」としみじみとしていた。イベントには「ナタデココ」というTシャツで登場した江口監督だが、実は平手からのプレゼントだったという。「ずっと現場でナタデココを飲んでいたり、タピオカの中でもトッピングでナタデココを入れるくらい大好きだっておっしゃってたので、これはナタデココだなと思って、調べて注文して」という平手。岡田は「めっちゃ気に入ってますよね。ほぼ毎日着てますよ。いただいてから毎日着てるんじゃないですか?」と指摘した。また、岡田は平手について「今日めっちゃ緊張してるっぽいんですけど、朝にラジオ収録があって、その時は髪を下ろしてて。(平手は)悲しいことがあると下ろすんですけど、収録の後に『上げた方がいいよ』と言ったら、上げてきた」と嬉しそうにする。平手は「そうやって言われるのいやだったんです」と苦笑するが、岡田は「偉いなと思って」とフォローし、平手は「言うことを聞きました」と笑顔を見せた。堤はそんな2人について「もう岡田がお父さんみたいになってた」と明かし、岡田は「"お父さん"と呼ばれてるし、『ごはん食べなさい』とか『髪の毛上げなさい』とか、ずっとお父さん」と表す。堤は「最初は(平手が)緊張してたから、なるべく話をするようにしてたけど、撮影があいて合流したら(岡田が)ほとんどお父さんになってた。その頃には親子関係をすっかり築かれていたんで、安心しました」と語った。一方、木村は「撮影中に膝に乗ってくれたり、一緒に写真撮ろうと言ってくれたりするわりに、連絡しても返事くれないんですよ。まだガードをとけていなくて」と抗議。平手は「本当に、遅いのはごめんなさい。なかなか開かないんですよ。夜中だったりするので、『こんな夜中に返していいのかな』とか悩んだりする」と弁解する。さらに佐藤は「堤さんが平手さんと取材をされてたときに、廊下で会って挨拶して、目礼だけしたんです。その時の平手さんが僕の顔を見て、まるで怪物を見たように『はっ!』となってて、『これ、顔なのか』『人なのか』と思ったのかな」と尋ねると、平手は「普通に『挨拶しなきゃ!』という顔だった」と明かし、佐藤は「覚えといて下さい、人ですからね」と強調していた。
2021年06月18日ゆーすけ(@forza_consadole)さんは、スーパーマーケット『ロピア』で見かけた商品のポップを撮影。Twitterに投稿したところ、大きな反響が寄せられました。ポップは、明治の人気菓子『きのこの山』と『たけのこの里』の割引きを知らせるもの。そこに書かれた言葉が、投稿者さんはじめ『たけのこ派』たちの闘志に火を付けたようです…。こちらの1枚をご覧ください。私は吹上ロピアを絶対に許さない pic.twitter.com/iAFkYW0qqQ — ゆーすけ (@forza_consadole) May 3, 2021 「僕はきのこの山派です。たけのこは土に埋まっとけ」たけのこ派への宣戦布告…!これまでも、ネット上などでたびたび論争を呼んでいる、『きのこの山・たけのこの里のどちらが好きか問題』。明治が国民総選挙を定期的に実施するくらい、熱い話題でもあります。ポップを作成した店員さんの『きのこの山愛』を感じ、クスッとしてしまいますね!投稿を見た、きのこ派とたけのこ派の両者からは、さまざまなコメントが寄せられています。・ここの店員さんは分かっている!やっぱり『きのこ』でしょ。・地元のロピアに強力な味方がいた。・ほぅ。我らたけのこの里勢に挑戦状か?よろしい。ならば戦争だ。投稿者さんは、今回の投稿について「店舗や売場担当の方にクレームを入れるなどの意図はなく、面白いものを発信したかった。投稿を見た人は節度を持っていじりましょう」とコメントしています。国民的な菓子でもある『きのこの山』と『たけのこの里』。ポップを見て、応援の気持ちから思わず商品に手が伸びた人は、多いかもしれないですね![文・構成/grape編集部]
2021年05月05日「ノイタミナ presents シネマティックオーケストラコンサート」が、2021年5月29日(土)・30日(日)に東京・有楽町の東京国際フォーラムにて開催される。君嘘・約ネバ・図書館戦争のオーケストラコンサート2005年に設立され、数多くの人気アニメーションを世に送り出してきたフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」。その15周年を記念して開催される本公演は、アニメ「図書館戦争」「四月は君の嘘」「約束のネバーランド」の3作品に焦点を当てたオーケストラコンサート。各作品の音楽を担当した3名が出演スペシャルゲストとして全公演に登場するのは、各作品の音楽を担当した菅野祐悟(「図書館戦争」)、横山克(「四月は君の嘘」)、小畑貴裕(「約束のネバーランド」)の3名。名シーンの数々を彩った名曲を、それぞれの作曲家自身がオーケストラとの生演奏で披露する。また、5月30日(日)の公演限定で、「約束のネバーランド」の挿入歌「イザベラの唄」を歌唱するサラ・オレインを出演予定だ。開催概要「ノイタミナ presents シネマティックオーケストラコンサート」公演日時:・2021年5月29日(土) 開場 14:00/開演 15:00、開場 18:00/開演 19:00・2021年5月30日(日) 開場 10:00/開演 11:00、開場 14:00/開演 15:00会場:東京国際フォーラム ホールC(東京都千代田区丸の内3-5-1)出演:菅野祐悟/横山克/小畑貴裕/サラ・オレイン(※30日のみの出演)指揮:米田覚士オーケストラ:東京21世紀管弦楽団<チケット>発売日:各プレイガイドで発売中料金:S席 8,000円(税込)/A席 7,000円(税込)/B席(注釈付) 6,000円(税込)※全席指定※B席注釈:スクリーンの一部が見切れる可能性あり。※来場者特典として会場にてオリジナルグッズプレゼント。※3歳以下は入場不可。1人1枚チケットが必要。【問い合わせ先】サンライズプロモーション東京TEL:0570-00-3337(平日 12:00〜15:00)
2021年03月28日映画『真夜中乙女戦争』が2022年1月21日(金)全国ロードショー。King & Princeの永瀬廉を主演に迎え、作家F初の小説「真夜中乙女戦争」を映画化する。作家Fの小説「真夜中乙女戦争」を映画化映画『真夜中乙女戦争』は、10代・20代を中心に支持を集める、新鋭作家Fの小説「真夜中乙女戦争」が原作。今を生きる若者が、漠然と抱える不安や悩み、そして退屈な未来に抗おうとする“青春のあがき”を捉えた物語だ。平凡で退屈な日々を送る主人公の<私>が、憧れの<先輩>とカリスマ性に満ちた謎の男<黒服>と出会い、退屈な日常を一変させ、自分自身と“東京を破壊する”までのストーリーを描く。映画『真夜中乙女戦争』登場人物・キャスト主人公<私>:King & Prince永瀬廉大学生への進学を機に上京し、東京で一人暮らしを始める。大学に進学しても、友達も恋人もいなく、夢や趣味、特技もない。大学の講義は恐ろしく退屈で、やりたいこともなりたいものもない。日常をいっぺんさせる力も、大学生活に迎合する器用さもなく、鬱屈とした日々を過ごしている。物語の主人公“私”を演じるのは、King & Princeのメンバーとして活躍しながら俳優としても精力的に活動する永瀬廉。『弱虫ペダル』では第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」でも高い評価を得た。『真夜中乙女戦争』への出演が決まり、永瀬廉は「二宮監督には何よりも“カッコイイ”映画にして、一緒に成長しようとおっしゃって頂きました。撮影を経て、作品として完成した時に、最後にどんな“私”になっているのか…今まで皆さんが思い描いていた“永瀬廉”のイメージとは違っているはずです。」とコメントしている<先輩>:池田エライザ主人公の<私>が「かくれんぼサークル」で出会った憧れの存在。凛々しく聡明だが、どこかミステリアスな<先輩>に、いつしか心惹かれるように。<黒服>:柄本佑物語の核を握る謎の男。廃墟に作った映画館で、映画を見ては、他愛のない悪戯を繰り返す<私>と<黒服>だったが、ささやかだった叛逆は徐々に過激さを増していき、主人公の<私>を巻き込み、全ての退屈を破壊する“真夜中乙女戦争=東京破壊計画”を首謀する。TEAM常連カリスマ<黒服>に魅了され、12月25日未明の“真夜中乙女戦争=東京破壊計画”にの遂行に加わる。<田中>:篠原悠伸(出演作:映画『花束みたいな恋をした』『東京リベンジャーズ』)<松本>:安藤彰則(出演作:映画『キャラクター』『すばらしき世界』)<高橋>:成河(出演作:映画『チワワちゃん』『カツベン!』)<教授>:渡辺真起子大学で講義へのフラストレーションを抱えた<私>と対峙する。<カナ>:山口まゆ(出演作:映画『僕に、会いたかった』『樹海村』)池田エライザ演じる“先輩”の親友。<佐藤>:佐野晶哉(関西ジャニーズJr.ユニット・Aぇ! group)主人公<私>の高校からの同級生で、同じ大学へ進学する。佐藤役を演じるのは、映画『20歳のソウル』で神尾楓珠の親友役を務めることも発表された佐野晶哉。「撮影は数時間でしたが、現場でもブラッシュアップしてくださって、 いろんな引き出しができて楽しかったです。佐藤は最初もっとやんちゃな感じだったんですが、監督から“冷たい感じのキャラクターにしてみて”と指導していただいて、本番もその演技で撮影しました」と語っている。<佐藤の友人>:小島健(関西ジャニーズJr.ユニット・Aぇ! group)佐藤の友人役として佐野と同ユニットに所属する小島健が出演。佐野と小島の映画共演は今回が初となる。小島は「撮影は数時間でしたが、勉強にもなり楽しかったです」とコメントし、「映像になるのがすごい楽しみです。今まで観たことない映画になるんじゃないかなと思います。最後すごいことになりそうで、想像がつかないです。」と本作への期待を語っている。映画『真夜中乙女戦争』主題歌はビリー・アイリッシュ映画『真夜中乙女戦争』の主題歌は、世界的歌姫ビリー・アイリッシュが7月に発売したアルバムの表題曲「Happier Than Ever」。<ビリー・アイリッシュのコメント>日本の皆さん、こんにちは。ビリー・アイリッシュです。私の曲「Happier Than Ever」が映画『真夜中乙女戦争』の主題歌として起用されたことに、とても興奮しています。主人公の”私”を演じる(永瀬)廉さんと皆さんがこの楽曲を楽しんでくれることを願っています。『チワワちゃん』『とんかつDJアゲ太郎』の二宮健が脚本・監督脚本・監督を務めるのは二宮健。2017年の『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』で商業映画デビューし、その後『チワワちゃん』、『とんかつDJアゲ太郎』などを手掛け、その表現力で高い評価を受ける。無気力な日々を送る平凡な大学生の“私”が、謎の男“黒服”と出会ってしまったことから、“真夜中乙女戦争”という名の東京破壊計画に巻き込まれていくまでの成長と恋愛、そして内なる戦争をスリリングに描き、これまでとは一味違う青春ストーリーを仕上げていく。映画『真夜中乙女戦争』あらすじ4月。上京し東京で一人暮らしを始めた大学生の“私”(永瀬廉)。友達はいない。恋人もいない。大学の講義は恐ろしく退屈で、やりたいこともなりたいものもなく鬱屈とした日々の中、深夜のバイトの帰りにいつも東京タワーを眺めていた。そんな無気力なある日、「かくれんぼ同好会」で出会った凛々しく聡明な“先輩”(池田エライザ)と、突如として現れた謎の男“黒服”(柄本佑)の存在によって、“私”の日常は一変。カリスマ的魅力を持つ“黒服”に導かれささやかな悪戯を仕掛けたり、“先輩”とも距離が近づき、思いがけず静かに煌めきだす“私”の日常。しかし、次第に“黒服”と孤独な同志たちの言動は激しさを増していき、“私”と“先輩”を巻き込んだ、壮大な破壊計画“真夜中乙女戦争”が秘密裏に動きだす…。12月25日未明−痛々しくも眩しい物語は、予測不可能なラストへと加速していく。映画『真夜中乙女戦争』作品情報映画『真夜中乙女戦争』公開日:2022年1月21日(金)出演:永瀬廉(King & Prince)、池田エライザ、篠原悠伸、安藤彰則、山口まゆ、佐野晶哉、成河、渡辺真起子、柄本佑、小島健原作:F「真夜中乙女戦争」(KADOKAWA刊)脚本・監督:二宮健配給:KADOKAWA©2021「真夜中乙女戦争」製作委員会■関連イベントラフォーレ原宿では、 1月8日(土)から1月21日(金)まで、 映画『真夜中乙女戦争』のイベントを実施。2F エスカレーター正面で場面写真のパネル展示を行うほか、B0.5F 中央階段横に情景写真フォトスポットを設置する。
2021年03月18日寺田心、杉咲花、大沢たかお、大森南朋、安藤サクラらが出演する映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の新たなキャストが発表された。今回発表されたのは、前作『妖怪大戦争』(’05)にも出演したキャストたち。まず、妖怪・小豆洗いを演じるのは岡村隆史。物語の重要な局面に必ず登場するも、特に何の役に立つわけでもなく、ひたすら風呂桶に入った小豆を水洗いしているだけ。日本の妖怪と世界中のモンスターが一堂に会した世界妖怪会議“ヤミット”の最中にも小豆を洗っていたため、天狗(三浦貴大)から「うるさい!君、帰れ!」と言われてしまう。前作と同じ役での続投について、岡村さんは「小豆洗いは僕自身だと思っているので、『この役は絶対に渡さへんぞ』という気持ちで挑みました」と並々ならぬ気持ちだったそう。「小豆洗いのビジュアルも前回よりパワーアップしていて、手の特殊メイクで小豆がさらに洗いやすくなったり、僕が薄毛の治療をしていることを加味していただいているのか、髪もちょっと増えています」と前回との違いを語り、「『妖怪大戦争』にはずっと続いてもらって、小豆洗いだけは毎回必ず出てきて、『小豆洗いといえば岡村だな』と言ってもらえるように、小豆洗いという妖怪をもっともっと磨き続けていきたいと本気で思っています」と熱いコメントを寄せている。前作で大天狗を演じていた遠藤憲一が、今作では妖怪・夜道怪として登場。ケイの弟・ダイを風呂敷で包み込み、妖怪の世界へと連れ去ろうとするキャラクターで、強面でぶっきらぼうだが実は優しく、キメゼリフを言おうとすると必ず最後にせき込んでしまい、結局何が言いたかったのかがわからない…というなかなかクセが強めな妖怪。目元だけ真っ黒な白塗り顔に、大きな笠をかぶったインパクト抜群のビジュアルで登場する遠藤さん。「顔の中で言うと目しか出ていないので、ほかの誰がやってもいいと思ったのですが、そういうものではないらしいのです。ですので精一杯、妖怪の気持ちになって演じました」と撮影をふり返っている。そして、妖怪・大首を石橋蓮司が再び演じる。妖怪の世界に迷い込んだケイの前に現れ、一吹きでケイを吹っ飛ばしてしまう、巨大な生首の姿をした妖怪だ。また、本作で角川歴彦と共に製作総指揮を務める荒俣宏が妖怪役で出演。ヤミットの議長で、雨が降ったときに現れる雨降小僧を演じる。議長にも関わらず、会議中はずっと眠っているという役どころゆえ、「どんな現場だったかまったくわかりません(笑)!しかし、ひしひしと感じるものはあって、悪夢を見るぐらい面白そうな印象がありました」と語っている。『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は夏、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:妖怪大戦争 ガーディアンズ 2021年公開予定©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ
2021年02月22日ジョー・ジョナスとトーマス・サドスキが『Devotion』に出演することになった。大型予算をかけた実話にもとづく戦争映画で、ほかにジョナサン・メジャーズとグレン・パウエルが出演する。舞台は朝鮮戦争。ふたりの若いパイロットは友情を築くが、そのうちひとりが敵に撃ち落とされてしまうという物語らしい。監督は『Sleight』(日本未公開)のJD・ディラード。撮影は来月、ジョージア州でスタートの予定。ジョナスの弟ニック・ジョナスは、昨年秋日本公開されたローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』で戦争映画に初挑戦している。文=猿渡由紀
2021年01月13日絵本専門士として絵本を紹介する中で、図書館の利用をすすめることがよくあります。近所の図書館もどんどん活用していってほしいのですが、全国には魅力的な図書施設がたくさん。今回は、私のおすすめの西日本の3施設をご紹介します。ぜひ親子で絵本のある空間をたっぷり楽しんでください。今年オープン!まさに絵本の森「こども本の森 中ノ島」(大阪府大阪市)「こども本の森 中ノ島」は、今年の夏にオープンした大阪市中ノ島公園内にできた施設。壁面全体が本棚になっていて、そこに絵本がぎっしり並んでいる様は圧巻です。360度本に囲まれることであらゆる角度から本に出合うことができるように作られているそうです。蔵書はなんと1万8000冊!また、建築家安藤忠雄さんが設計した建物は、どこでも座れる大階段や階段裏の背の低い空間、天井光の差し込む円筒空間、本棚に埋め込まれた小さなベンチなど、子ども達が絵本を開いてその世界に入りやすい空間に工夫されています。子どもに空間を自由に歩かせてみましょう「こども本の森中ノ島」に行ったら、まずは子どもがその空間にいることを楽しめるよう、自由に歩かせてみるのがいいと思います。何がどう並んでいるかわからない中で、壁一面絵本の世界を子どもの感性で味わってもらいましょう。本の貸し出しはしていませんが、中之島公園内で、1冊だけ貸出の手続きをして持出して読むことができます。天気のいい日はピクニック気分で絵本を広げるのもいいですね。入場は事前予約制でゆったり現在は予約制で入場制限を設けているので、事前の申込が必要ですが、その分ゆったりと絵本のある空間を満喫することができます。人気施設ですので、申込開始日をチェックして早めに予定をたてましょう。※2020年12月23日現在は2021年1月14日までの予約が終了しています。次回の予約に関しては下記の公式ホームページからご確認ください世界最大規模のマンガ数!絵本も楽しめる「京都国際マンガミュージアム」(京都府京都市)「京都国際マンガミュージアム」は、名前の通りマンガがいっぱい!マンガの単行本が約5万冊、古いマンガ雑誌や貴重な資料が約25万点と世界最大規模の品ぞろえ。マンガを読むのはもちろん、常設展やワークショップも充実していて、見る・描く・聞く・作るなど、マンガを多方面から満喫できます。マンガということで小さな子どもは楽しめない?と思われがちですが、実はマンガだけじゃないんです。ミュージアム内のこども図書館には、小さな子ども達も楽しめる絵本を中心に約3000冊が並んでいます。そのため、地元では乳幼児親子がゆっくりと過ごせる場として活用されているんですよ。レトロな空間で大人も子どももくつろげる昭和初期に建てたられたという小学校校舎を活用した建物は、レトロで懐かしい雰囲気。芝生の敷き詰められた広い校庭も魅力です。絵本やマンガを持ち出して、芝生にゴロンとしながら読むこともできますよ。なお、ミュージアムショップ以外の館内は入場料が必要です。こども図書館は、靴をぬいで入る空間です。現在は清掃・消毒のため午後の時間帯で利用できない時間があるとのこと「かみしばいがはじまるよ~」の掛け声でスタートする昔ながらの紙芝居の時間。コロナ対策もしっかりとされているので、安心してお子さんとおはなしの世界に入り込みましょう!国内で発行された児童書を全点購入している「岡山県立図書館」(岡山県岡山市)「岡山県立図書館」は、国内で発行された児童書を全点購入しています。人気の絵本は図書館で利用可能になった途端、予約でいっぱいでなかなか読めなかったりするのですが、当館は、発行から1年間は研究用として貸出をしない形で所蔵されているため、いつでも手に取ることができます。また、必要に応じて貸出できる新刊書も購入されています。その他、季節や行事、話題のテーマなど、バラエティに富んだ展示を行っていて、楽しい本をたくさん手に取ることができます。感染症対策を取りながら、おはなし会を定期的に催しており、人気のイベントとなっています。無料で利用できるのもうれしいですね。ほかにもたくさんおすすめの図書施設があるのですが、現在は感染拡大防止のため閉館中のところも。今後も感染症対策をしっかりとりながら、おうち時間を充実するきっかけとして、絵本に囲まれた施設をたっぷり活用してほしいと思います。【年末年始の開館時間、予約、入場料など詳しくは公式ホームページをご確認ください】■■■<文・写真:ライター鳥山由紀>
2020年12月23日神聖かまってちゃんが新曲「僕の戦争」を発表。神聖かまってちゃんの新曲「僕の戦争」アニメ「進撃の巨人」OPに2020年1月にリリースしたアルバム作品『児童カルテ』以来の作品となる、神聖かまってちゃんの新曲「僕の戦争」。本楽曲は、NHKのテレビアニメ「進撃の巨人」ザ ファイナル シーズンのオープニングテーマとなっており、神聖かまってちゃんが同アニメのテーマソングを担当するのは2017年に放送したシーズン2以来、2度目となる。「僕の戦争」は、メロやサビといったこれまでの楽曲の型を破り、カオティックなメロディで構成。どこか「進撃の巨人」の世界観を感じるような、神聖かまってちゃんらしい破天荒な一曲に仕上がっている。「進撃の巨人」原作者・諌山創コメント僕が大ファンである神聖かまってちゃんにOPをやっていただけて大変嬉しく思います。神聖かまってちゃんの楽曲は聞けば聞くほどハマってしまう楽曲が多いですが、『僕の戦争』もその一つで、想像の余地が多いことが魅力です。今回の曲も聞いていると神聖な気持ちになれます。想像力が刺激される大好きな曲です。神聖かまってちゃん・の子コメント「進撃の巨人」と「神聖かまってちゃん」この2つが持つ壮大な世界観は似た場所に位置しています。2期EDの「夕暮れの鳥」に引き続き、「僕の戦争」も双方が世界観を共有できました。なので、今回も神聖かまってちゃんの新たな作品を作るように作れました。いつも通り自宅で曲作りをしましたが、凄くイマジネーションが走りました。この曲を生み出せた事を誇りに思います。諫山先生をはじめスタッフ関係者一同に感謝いたします。フルになると日本語歌詞も出てきて曲全体としての世界がまた見えるはずなので、フルもよろしく。【詳細】神聖かまってちゃん「僕の戦争」配信日:2020年12月8日(火)※テレビサイズでの配信開始日。
2020年12月10日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、情報を上手に収集している女性、「図書館に行く女」になりきり。“インプットする日”を作ってみることが大事!先日、住んでいる自治体から、赤ちゃんに一冊の絵本をプレゼントしてくれるブックスタートのお知らせが届き、受け取るために図書館へ行きました。学生以来の図書館だったのですが、朝9時という早い時間にもかかわらず、人がたくさんいたことに驚いたんです。みんな、自治体のお金で買われた本を活用して勉強をしたり、活字で情報を得ているんだと思うと、そこにいる人がみんな知的に見えて、すごいなと思ったんです。自分の子どもも、こんなふうに図書館で時間を過ごすような人に育ってほしいと感じました。本には、さまざまなことが書かれていて、自伝を読んで会ったことのない人の人生を知ったり、脳の活性化をすることもできます。私の場合は、絵本の面白さや魅力に気がつくことができました。本以外にも、CDや雑誌などの貸し出しを行っている図書館もあって、お金をかけずに、さまざまな情報を得られる場所は他にないし、活用しない手はないと思いました。あと、本を借りたら、当然ですが返却しなければいけません。期限を守って本を読み、返せる人にも憧れずにいられません…!図書館と親しくなる第一歩としては、まず、自宅近くの図書館を探してみるのがよさそうです。引っ越しの時に意識してみてもいいですよね。そして、利用カードを作ってみましょう。一度に借りられる冊数や返却期限など、図書館のルールを知り、興味のあるものを借りてみる。それを何度か繰り返すうちに、図書館に行くことや、本を読むことが習慣づくのではないでしょうか。週末や連休の一日を“インプットの日”と決めて、図書館で過ごしてみるのもよさそう。大きな声でしゃべれない場所なので、今のご時世的にもぴったりだと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年11月18日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2020年11月13日俳優の小栗旬と星野源が映画初共演することで話題を呼んでいる、映画『罪の声』(10月30日公開)。塩田武士氏の同名小説の実写化作である同作は、日本中を震撼させた未解決事件を追う新聞記者の阿久津英士(小栗)と、父の遺品の中にあるカセットテープを発見し、その事件の脅迫テープに幼いころの自分の声が使われていたことを知った曽根俊也(星野)の人生が交錯していく。実際にあった事件をもとに映画化した本作。今回は野木亜紀子氏にインタビューし、脚本化するときに感じた難しさや、原作もの/オリジナル作品の脚本を書く時に共通する矜持などについて話を聞く。○■実在する事件を扱う際に気をつけること――映画を観させてもらって、勝手に野木さんらしい作品だなと感じました。そう言われる意味がわかる気がします。塩田武士先生の書かれていることと、私が書いてきたことが、非常に親和性が高いと感じるので。塩田先生には1、2回しか会ったことがないんですが、私と塩田先生は過去に同じタイミングでフェイクニュースに関する話を発表していたりするんですよね。だから、ちょっと似たようなことを考えているのではないかと勝手に思っています。――野木さんも『フェイクニュース』をテーマにずばりのタイトルでオリジナルドラマを書かれてますもんね。野木さんが、原作のあるものを映画化するときって、何か軸のようなものを見つけて脚本化するのかなと思っていて、今回も報道する側の矜持のようなものがそうなのかなと思いましたが、実際にはいかがでしょう?原作自体、子供の未来をテーマにした話ではあるんですが、同時に警察の縦割りの構造が生んだ歪みへの批判、メディアへの批判が通底してあるので、そこをいかに粒立てていって、映画にしたときに目に見えるようにしていくかということを考えていました。その中で、記者の阿久津英士がなぜ社会部から文化部に移ったのかということを描いていかないと、単なる狂言回しで終わってしまう。主人公として機能させるためにも、記者としての矜持の部分を掘り起こしていきました。――阿久津のある部分が、完全にオリジナルの言葉で書かれていて、その部分が個人的にはぐっときてしまったので。阿久津の帰結の仕方みたいなところを「野木さんっぽい」と言われるとそうかもしれないですね。ただあれを書いたのは、あくまでも阿久津で、原作のト書きに潜んでいた心情を記事として起こしたという形ですね。――それとやっぱり、報道とかマスコミに関わるものとしては、「他人の人生に踏み込む」ということを考え出すと、どこまでやっていいことなのだろうかとドキっとするところがありまして。野木さんは、脚本を書いていく上で、そういう影響力とか責任みたいなものを感じることはありますか?脚本は基本的にはフィクションなので、というところはあります。ただ『MIU404』でも、実際の事件や、外国人労働者のことなんかも書いたので、現実にあることだし、現実に波及するものだということで、すごく気を使いました。例えば、いろんなフィクションで、実際の事件を元に書くことってありますよね。でも、被害者がまだ生きていたりするのに、元の事件を連想させる形のままで好き勝手に物語化していくというのは、どこまで許されるんだろうと。何十年も前の話で、すでに遺族もいないような事件であったり、都市伝説化してしまったようなものならばいいと思うんですけど、モデルとなった家族や被害者を直接連想させるようなものは、フィクションの名を借りて他人に踏み込みすぎているし、一種の暴力にもなりうるんじゃないかと思うんです。自分が実際の事件を扱う際には、そうならないように、あえていろいろ混ぜて、固有の事件そのものにならないようにしています。――それって、ルールが明文化されてもいないですし、その事件によっても、どこまで踏み込んでいいかの基準があいまいだから、すごく難しいですよね。最終的には、実際に傷つく人がいるということを繊細に想像するしかないですよね。書く側のある種の肌感覚というか、倫理観の世界なんですけど、そこはちゃんとしないとと思ってます。ただ、実在の事件を扱う意義がある場合もあるので、少なくとも加害者と被害者が逆転するような表現だけはやめようとか、ケース・バイ・ケースで難しいですよね。○■原作があるからこその難しさ――今回の原作は、塩田先生がものすごく取材をされていたということで、そこは安心があったんじゃないですか?それがまた難しかったんですよ。塩田先生がフィクションとして肉付けした部分と、ノンフィクションの部分との境が、すぐにはわからない。だから今回、映画を作るにあたって、まず1個1個、これはどこがフィクションでどこが事実なのかということを確認していきました。もう一段難しいのが、ノンフィクションの部分も「世の中で一般的に知られている事実」と、「塩田先生が独自に取材して『これは事実であろう』と認定して書いている部分」があって、さらに、それとはまた別に「完全なノンフィクションの部分」があるんです。映画を作るにあたっては、フィクションの部分だけは変えてもいいと思うんですけど、やっぱり、事実の部分は変えないようにしたいので、その境目を見つけるのが大変でした。細かいことをひとつひとつ、本打ち(脚本の打ち合わせ)のときに、みんなで確認していって、気づいたら12時間が経っていたということがありました。原作の中では地の文になっている箇所を、台詞に起こしたりする部分もあったんですけど、そこに関しても検証が必要だったりするので、かなり大変な作業でした。――『MIU404』でも、かなり取材を重ねて書いたそうですけど、それともまた違うものなんですか?違いましたね。オリジナルだと、映像としてベストなところで進めていけばいいんですけど、原作ものは、どこまで変えていいのだろうということがあるので。そういう意味ではオリジナルの方が楽なんですよね。――確かに、以前もまた別の意味でオリジナルが楽だということは言われてましたもんね。『罪の声』の原作は、映画を観た後でもぜひ読んでほしいです。臨場感があって入れたかった場面も、本筋を描く中では枝葉になってしまうところがあって、やむなく入れられなかったんですけど、そういう部分が面白い小説でもあるので。当時の警察の動きのあれこれや、新聞記者の取材技術が知れる部分など、見どころがたくさんあります。○■「巨悪」を描いても社会は変わらなかった――脚本を書かれた時期と、放送や公開の順番は逆になってしまいましたが、『MIU404』を見ていた私たちは、少しだけ『MIU404』と『罪の声』と地続きみたいな感覚がありまして。野木さん自身は、2つの作品が地続きのような感覚はありますか?同じ人間が書いているので、価値観は同じだし近くなることはあると思います。塩田先生もわりと近いことを考えてる人だろうなという点もあるし、『MIU404』の後半ではメディアやSNSに翻弄される人々のことを書きましたけど、『罪の声』も、SNSではないけれど、同じなんですよね。当時、マスコミや新聞が犯人によって踊らされ、それを読んだり見たりして興味を持った人が、世の中の空気を作ってしまったというところが共通していて、単なる過去の話ではないなと思いました。実は『MIU404』のSNSにまつわる後半は、『フェイクニュース』のリベンジでもあったんですよ。諸事情で放送終了後にお蔵入りしてしまったので、だったらもう一度違う形でやってやろうと密かに(笑)。だからつながっていると言えば、すべてつながってますね。――それとやっぱり地道に生きている人々の声をないがしろにしてはいけない、というところも共通しているなと。一方で『MIU404』の伊吹や志摩は地道に生きている人ですが、公権力の側の人でもあるので、もっと権力の側を疑う目線も必要なのではという意見も見たんですが、そこに対してはいかがですか?『MIU404』は結局、ドラマとして「巨悪」をやりたくなかったんですよ。それは、日本の刑事ドラマって、最後はすべて巨悪に向かっていくということが多くて。なので、自分が刑事ドラマをやるときは、やりたくないと思っていたんです。実はオンエアでは尺が足りずカットになってしまったんですが、ディレクターズカット版の最終話で志摩が「確かに警察は組織もデカいし、悪いやつらもいるかもしれないけど、末端の自分たちはルールの中で出来る限りのことをやってるんだ」という話をしています。『MIU404』は、末端の刑事たちを描くことで、「こうあるべき」という姿を見せるドラマにしようと思っていました。今までの刑事ドラマで「巨悪」を描いてきて、結果どうなったかというと、社会は変わらなかったし、権力側の不祥事を見ても「ああそんなもんか」といつの間にか慣れてしまってたんじゃないかと。それよりも、ルールは絶対に守る、公文書は破棄しないという、本来あるべき姿を描いていれば、それが当然だという空気になるかもしれない。もし実際の社会に、ルールを破る警察が出てきたり、公文書を破棄する官僚が出てきたら、「それはダメでしょう」という空気になるだろうと思うからこそ、私は、そっちの方を描いたし、むしろ今はそのほうが意義があると思ったんですね。――やっぱり、そういう視線は『罪の声』にも通じるところがありますね。そうですね。マスコミにもそうあってほしいですしね。■野木亜紀子1974年生まれ、東京都出身。主な作品に映画『図書館戦争』シリーズ(13・15年)、『アイアムアヒーロー』(16年)、ドラマ『空飛ぶ広報室』(13年)、『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』(16年)、オリジナル作品にドラマ『アンナチュラル』『獣になれない私たち』『フェイクニュース』(18年)、『コタキ兄弟と四苦八苦』(20年)、『MIU404』(20年)など。(C)2020 映画「罪の声」製作委員会
2020年11月11日俳優の小栗旬と星野源が映画初共演することで話題を呼んでいる、映画『罪の声』(公開中)。塩田武士氏の同名小説の実写化作である同作は、日本中を震撼させた未解決事件を追う新聞記者の阿久津英士(小栗)と、父の遺品の中にあるカセットテープを発見し、その事件の脅迫テープに幼いころの自分の声が使われていたことを知った曽根俊也(星野)の人生が交錯していく。脚本を務めたのは、数々のヒット作を世に出す野木亜紀子で、本作には『逃げるは恥だが役に立つ』や『MIU404』の星野源、『アンナチュラル』の市川実日子、松重豊、尾上寛之、『コタキ兄弟と四苦八苦』の古舘寛治、『MIU404』の橋本じゅんと、過去の野木作品で魅力を放った役者陣が数多く出演している。今回は野木にインタビューし、完成した映画で彼らをどんな風に見たのか、話を聞いた。また、脚本を書くときに共通する矜持などについて語ったインタビューも後日公開する。○■たまたま縁のある俳優が多かった――野木さんは、書いている時には、どなたが出演するのか知っているんですか?この話を受けたときは、監督が土井裕泰さん(『空飛ぶ広報室』『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』を演出)だという座組を聞いたのと、面白そうな企画だなということでお受けしました。主演2人はすでに決まっていましたし、他のキャスティングにも口は出してないんです。たまたまご縁のある方が多かっただけで。どなたも素晴らしい役者さんなので、引っ張りだこというだけなんじゃないでしょうか。――映画をご覧になって、俳優の方に感じたことを聞きたいです。この9月まで『MIU404』の志摩役をやっていましたし、『逃げるは恥だが役にたつ』でも、平匡さんを演じていた星野さんですが、本作のテーラーの曽根俊也という役はいかがでしたか?源さんは、志摩を演じる以前の源さんって感じでしたね。実際に、撮影のタイミングも『MIU404』の前でしたが、どちらかというと平匡さん寄りな部分がありました。出来上がりを見て、やっぱり普通に生きている人を演じるのがうまいなと思いました。実際の本人はポップスターなわけで、大きなステージで「星野源でーす!」と言ってる人なんだけど、どう見ても素朴に地道に生きているテーラーに見えたし、そういう普通の人が巻き込まれていく様子をうまく演じられていたなと。――対して、新聞記者の阿久津英士を演じた小栗旬さんはいかがでしたか?野木さんの作品は初めてということですね。阿久津は狂言回し的な役割なんですけど、それだけでは主人公として機能しないので、なぜ社会部から文化部へ来たのかなどの理由を描いてます。実際観てみると、演技に過剰なところがなく、それでいてちゃんと存在感があるのが見事だなと思いました。存在感があるのに、さりげなくいる感じがあります。だけどクライマックスでは静かな熱が伝わる。――『MIU404』で機動捜査隊の一人の陣馬を演じた橋本じゅんさんも、続けて出演されているということで、公開前から期待が高まっていますね。小料理屋の板長を橋本さんにお願いしたと聞いて、「大丈夫? やりすぎない?」なんて冗談で言っていて。あがりを見たら、すごく良かったですよね。あの役って「うかつ」な役じゃないですか(笑)。そういう「うかつ」な役を、うかつに演じていて面白かったですね。妙な説得力がありました。――シリアスな場面の多い映画の中で、くすっとできるのが橋本さんのシーンでしたよね。『罪の声』は、キャスティングにほとんど口出ししてないとのことですが、本当に野木さんの作品で活躍してた人が演技しているのがうれしくて。市川さんもそうですもんね。市川さんに関しては、「誰がいいと思う?」と意見を求められて私が推した気がします。やっぱり、今、星野源さんの妻の役って難しくないですか? 『逃げ恥』のイメージも大きかった中で、誰が演じたらすんなり見られるのだろうと思って。実際見てみて、市川さんの「すんなり力」が発揮されていたし、自然でリアリティのある芝居が本当にうまいなと思いました。――ほかにも、『アンナチュラル』所長の松重さんと、『コタキ兄弟と四苦八苦』の古舘さんが、同じ新聞社の記者でしたね。この2人も、キャスティングされてから知って、特に松重さんは福岡出身なので「関西弁大変じゃない?」なんて言ってたんですが、さすがお見事でしたね。――特に、古舘さんが後半に入って言う台詞にすごくぐっときまして。意義の問答ですかね? それは良かったです。最後の因数分解のところは原作でいい台詞だなと思って、おそらく塩田武士先生ご自身の矜持だと思ったので入れたかったんです。古舘さんは、『コタキ兄弟と四苦八苦』監督の山下敦弘さんの『マイ・バック・ページ』でも、ちょっと似た部分のある新聞記者を演じられていたんですけど、うまく演じ分けてましたね。でも、そういう意味でいうと、個人的に面白かったのは、尾上寛之さんですよね。――『アンナチュラル』を見ていた人からすると、尾上さんって、めちゃめちゃ悪い人としてインプットされてますもんね。「これは何かあるんじゃないか」って、『アンナチュラル』を見ていた方にとっては地味なミスリードになってますよね(笑)。でも朝ドラの『カーネーション』では純情で素朴な役柄で素晴らしいお芝居をされていたし、今回のような役もとても素敵だと思うので、早く『アンナチュラル』のイメージが抜けるといいなと勝手に心配しています。■野木亜紀子1974年生まれ、東京都出身。主な作品に映画『図書館戦争』シリーズ(13・15年)、『アイアムアヒーロー』(16年)、ドラマ『空飛ぶ広報室』(13年)、『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』(16年)、オリジナル作品にドラマ『アンナチュラル』『獣になれない私たち』『フェイクニュース』(18年)、『コタキ兄弟と四苦八苦』(20年)、『MIU404』(20年)など。(C)2020 映画「罪の声」製作委員会
2020年11月07日@takamujさんは、京都府にある『京都市醍醐中央図書館』に訪れた際、素敵な貼り紙を見つけたといいます。Twitterに投稿された、こちらの1枚をご覧ください。※クリックすると画像を拡大しますたまたま寄った図書館の注意書きが素敵でした。 pic.twitter.com/ENvIpdl3Gv — takamuj (@takamuj) October 17, 2020 「当館は『注文の多い図書館』ですからどうかそこはご承知ください」「さあさあ、おなかにおはいりください」貼り紙に記されたのは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の感染対策をお願いする『注意書き』。文豪・宮澤賢治の童話『注文の多い料理店』の一節をモチーフに、ユーモラスな表現で来館者に対策を呼び掛けています。投稿には19万件もの『いいね』が付き、「いいアイディア」など称賛の声が多数寄せられていました。・スタッフのセンスが素晴らしすぎる。こういう図書館は訪れてみたくなります。・本好きの人なら、クスッとしてしまうでしょうね。・苦難をユーモアで乗り切ろうという心意気を感じます!・知る人ぞ知る『注文の多い料理店』ですね。粋だなあ。『注文の多い図書館』貼り紙を作った経緯同館の担当者は、貼り紙を作った経緯について、次のように語っていました。コロナウイルスの流行で、感染対策の注意書きを作ろうということになり、文章がどうしても固くなりがちだったので、なんとかならないのかなと思ったのがきっかけです。インターネットでアイディアを探したところ、宮沢賢治の『注文の多い料理店』をモチーフにした例があって、図書館でもやってみようということになりました。「宮沢賢治を知っている人に喜んでもらえれば嬉しい」というささやかな気持ちから作成したという貼り紙。Twitterで大きな反響を呼んでいることに、担当者もびっくりしていました。「来館者に楽しんでほしい」というちょっとしたサービス精神が、たくさんの人の心を温かくしたようです。[文・構成/grape編集部]
2020年10月22日