9月18日、国土交通省は今年7月1日時点の基準地価を公表しました。これによると、全用途平均の基準地価が平成3年以来、27年ぶりに下落から上昇に転じたとのこと。そこで気になるのは、「我が家の地価も上昇したの?」ということではないでしょうか。基準地価とは何なのか、そして、実際に「我が家の地価も上昇したのか」を調べてみましょう!■ そもそも「基準地価」ってなに?HAKU / PIXTA(ピクスタ)基準地価とは、都道府県知事が毎年1回、7月1日時点における各都道府県の基準地について「正常価格」を公表しているもので、地価公示価格と同様に一般の土地取引の指標として活用されています。では、「正常価格」とは一体どのようなものでしょうか?国土交通省によると、正常価格とは「売り手・買い手双方に売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情がない取引で成立すると認められる価格」としています。しかし、基準地価が正常価格だとしても、「基準地価=実際の売買価格」とはなりません。実際の土地売買にはほとんどの場合で個別の事情(転勤で早く買いたい・早く売りたいなど買主・売主当事者の事情、土地の特性による事情など)が存在するからです。ただし、基準地価の動向は土地の取引価格に指標を与えるものとなりますので、一般的には基準地価が上昇すれば実際の取引価格も上昇していると判断できます。■ 「一物五価」ってなに?money/pixabay土地には「実勢価格」「公示地価」「固定資産税路線価」「相続税路線価」「基準地標準価格」という五つの価格があります。「一つ」の土地に「五つ」の価格があることから、これを「一物五価」といいます。この中で実際に「売るとき・買うとき」の価格、つまり実際に取引される価格となるのが「実勢価格」です。一般的に「地価が上昇」といえば、この「実勢価格が上昇」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。公示地価や基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価は、一般財団法人 資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で誰でも検索・確認することができ、一般的な土地取引の指標になりますが、これだけでは「実勢価格」の算出はできません。不動産業者なら実際の取引事例などをもとに適正な市場価格(相場)を算出することが可能ですが、不動産業者以外の個人等が正確な取引事例などを入手することは困難です。では、「実勢価格」を自分で調べるにはどのようにしたらいいのでしょうか。■ 国土交通省の土地取引価格情報を利用してみよう!国土交通省では、実際の土地取引価格情報を、取引を行った当事者である「買主」に対してアンケートを行い、その情報を個別の物件が容易に特定できないように加工して公表しています。bee / PIXTA(ピクスタ)これは土地取引の「登記情報」をもとにアンケート調査を行い、それによって得られた情報なので、その信用性は高いものだといえます。国土交通省「土地総合情報システム」の不動産取引価格情報検索ページでは、調べたい場所の都道府県、市区町村、地区名までを指定して検索できますので、ご自宅の近くに実際の取引事例があるかどうか確認してみてください。この土地取引価格情報には、最寄り駅までの距離や実際の取引総額、面積、形状、道路状況、用途地域や取引時期等だけではなく、今後の利用目的や取引の事情等まで記載されているものもありますので、実勢価格により近い情報を得ることができます。ただし、実際の不動産取引においては、様々な個別要因や、取引の行われた事情(買い進み・売り急ぎ、またはその逆)、その背景などによって価格が異なりますので、その点を十分に理解したうえで参考にしてください。■ 実際に全国で地価は上昇しているの?たっきー / PIXTA(ピクスタ)“27年ぶりの上昇”として注目が集まった基準地価。確かに今回の基準地価発表で、「全国平均」を見ると全用途平均で上昇は見られましたが、住宅地については下落幅の縮小傾向が継続している状況にとどまっています。基準地価は平成9年までさかのぼって確認することができますので、「我が家の地価」が上昇しているかどうかの指針として、今年の基準地価と過去の基準地価をぜひ比較・チェックしてみてください。【参考】※国土交通省平成30年都道府県地価調査の概要
2018年10月01日企業業績の改善や消費の回復など、良好な経済環境を受け、これまで低下が続いていた地価は、上昇に転じつつあります。また、相続税の強化もあり、土地評価の尺度となる路線価が注目されています。今回は、そんな地価について調べてみました。○公示地価地価は、土地の持つ特殊性(同じものがなく代替が効かない)から、古くは、近隣の似た土地の取引価格などから類推して、価格形成が成されるケースが多かったのですが、現在では、その土地を利用して得られる収益から算出されることが一般的となっています。地価の推移を見る上で、よく使われる地価に「公示地価」があります。公示地価は国土交通省が毎年3月に公表する地価で、毎年1月1日時点の全国2万を超える地点の地価を、土地取引などの目安となるように発表しているものです。公示地価は住宅地や商業地を問わず、幅広い地点をカバーしていることから、日本経済の実情を示すものとしても注目されています。例えば、今年発表された公示地価では、全国の商業地の地価が7年ぶりに下落から横ばいとなったことが示されました。ここからは、企業業績の改善からオフィス需要が増加していることや、不動産投資が増加していることなどがうかがえます。また、3大都市圏(東京・大阪・名古屋)の住宅地では地価の上昇が継続しており、都市部を中心に低金利やローン減税などから、取得意欲が高まっていることが見えてきます。さらに、公示地価からは地域差も見えてきます。商業地は全国平均では横ばいでしたが、3大都市圏が2年連続の上昇となる一方で、地方圏は、下落率は縮まってきてはいるものの依然として下落が続くなど、地域ごとの景況感に違いがあることが分かります。ステップアップ今年の公示地価では、商業地の値上がり上位に、北陸新幹線延伸開業に沸く金沢駅前や、再開発が続く名古屋駅周辺、消費回復で潤う東京銀座などが入りました。○路線価土地は固定資産であることから、その保有には固定資産税が課せられています。また相続や贈与などで土地を譲り受けた場合には、相続税や贈与税が課されます。税金を計算するに当たり、土地の価格を決める必要があるため、その基本となる地価を税務当局が定めており、定められた価格を路線価と呼びます。相続税や贈与税のための路線価は国税庁が毎年7月1日に発表しており、現状では公示地価の8割程度の水準となっているようです。一方、固定資産税の計算に用いる路線価は総務省が3年ごとに、公示地価の7割程度の水準を目安に発表しています。路線価は全国各地に幅広く定められており、価格は道路ごとに付けられています。その価格をもとに、土地の面積だけでなく、利用状況や所有形態、土地の形(奥行や接する道路の数、正方形か三角形かなど)といった要素を加味して、その土地の価格が算出され、税額が算出されます。今年から相続税の基礎控除額が引き下げられ、税率も一部で変更されました。この結果、相続税の納税義務を負う(相続税を納める)ケースが増加することが見込まれ、自宅や空き地を、より相続税の負担が軽い、賃貸住宅や事務所ビル、商店などに建て替える動きが出始めています。土地の利用価値を映す地価は、地域の景況感を表すとともに、税などを通して、土地の所有者に、その有効活用を促す働きが期待されます。ステップアップ通常の土地の売買においては、登記を通して取引税がかかりますが、土地の売買自体には消費税がかかりません。消費税が検討されていた1980年代後半、地価や株価が高く、大きな影響が出ることに配慮して、土地と株式の売買については、消費税を、非課税とすることに決めたと言われています。(2015年6月17日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。→「語句よみ」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年06月18日国土交通省土地・建設産業局地価調査課は22日、主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)を発表した。同調査は、鑑定評価員(不動産鑑定士)が調査対象地区の不動産市場の動向に関する情報を収集、不動産鑑定評価に準じた方法によって地価動向を把握し、その結果を国土交通省が集約したもの。調査時点は1月、4月、7月、10月の1日時点で、今回は平成24年第3四半期(7/1~10/1)のデータが発表された。高度利用地とは、ビルが建ち並ぶ住宅密集市街地など、三大都市圏、地方中心都市等において特に地価動向を把握する必要性の高い地区。東京圏が65地区、大阪圏が39地区、名古屋圏が14地区、地方圏が32地区の計150地区が選定されている。そのうち住宅系地区が44地区、商業系地区は106地区となっている。平成24年第3四半期(7/1~10/1)の主要都市・高度利用地150地区における地価動向は、上昇が34地区(前回33)、横ばいが87地区(前回82)、下落が29地区(前回35)となり、上昇または横ばいを示す地区が121と全体の約80%(前回77%)を占めた。前回からさらに上昇または横ばいを示す地区が増加し、引き続き、横ばいが最多の変動率区分となった。上昇を示す地区が増えたのは、仙台市中心部の住宅系地区の住宅需要の増加、大阪圏の商業系ならびに住宅系地区の堅調なマンション市況により地価が上昇に転じたためという。全体として上昇地区数が下落地区数を上回り、特に大阪圏、名古屋圏では前回に引き続き上昇地区が下落地区を数で上回るなど、地価の下落基調からの転換の動きが見られるとのこと。三大都市圏(118地区)では、大阪圏では上昇地区が前回よりも増加し、東京圏では減少したものの、全体では増加した。個別の圏域を見てみると、東京圏では前回に引き続き横ばいが41と最多の変動率区分になり、上昇地区数(11)と下落地区数(13)がほぼ拮抗(きっこう)する結果となった。また、大阪圏、名古屋圏では、前回に引き続き上昇地区数が下落地区数をそれぞれ上回り、名古屋圏では3%未満の上昇が最も多い変動率区分となった。詳細なレポートは「国土交通省土地総合情報ライブラリー」で閲覧できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月26日