草木染作家・坪倉優介の著書『記憶喪失になったぼくが見た世界』を原作とした新作オリジナルミュージカル『COLOR』の公演を記念して、8月1日、都内「文喫 六本木」にて、“ぼく”を演じる浦井健治と、坪倉優介によるスペシャルトークショーが開催された。当初の予定では、同じく“ぼく”を演じる成河も参加し、3人で行われる予定だったが、成河の新型コロナウィルス陽性が確認されたため出演を見合わせ、同作品担当の井川荃芬(ホリプロ・プロデューサー)が進行を務めた。また、新型コロナウィルスの感染状況を鑑み、有観客での開催を中止して、ライブ配信トークショーとして行われた。「僕の想像しきれない僕」を見てみたくてワクワク配信開始の数分前に初めて顔を合わせたふたり。文喫のゆったりとした空間と、ふたりの優しい空気が合わさって、温かい癒しの空間が広がっていた。自身の半生がミュージカルになることについて坪倉は、「芸術を仕事にする者として、違う芸術であるミュージカルに興味はありましたが、自分の普段の生活が、音になり演じられる。率直にワクワクする気持ちでいっぱい」と喜んだ。出演のオファーを受けてすぐに原作を読んだという浦井は、「すごく勇気をいただきました。いろんなことを考えたり、自分の中でもビジョンが変わったりする昨今、本の言葉達から、人間の強さや優しさを感じました。坪倉さんは優しい空気で包まれていて。責任も感じつつ、幸せな出会いををさせていただいています」と丁寧に答えた。坪倉が本書を執筆することになった理由は、テレビ出演がきっかけで出会った担当編集者の「文章で気持ち生き方を伝えてみないか」という言葉ひとつだったという。大阪芸大を卒業した坪倉は絵は得意だったが、長い文章を書いたことはなかった。ぜひと快諾したものの、事故後の苦労を思い出しながら自分の気持ちを表現するのには時間がかかった。この本をミュージカルにすることも挑戦ならば、この役を演じることも挑戦。浦井は、稽古を通して坪倉のこれまでの経験を味わいながら「稽古場で何度も声がつまるぐらい泣きそうになっている」と明かし、「周りの人たちも成長したり、変化の中で強くなっていったり、一緒に歩んでいるというのがこの本から感じられたので、何よりも人として大切なことを学ばせていいただいている。ひとりじゃないということ、そしてよくぞ色に辿り着いて(言葉や喜怒哀楽の感覚を失った時、坪倉は物事を色につなげて考えるようになった)、その経験をみんなにギフトすることを選ばれたなと。リスペクトしてこの作品に望ませていただきます」と覚悟の想いを口にした。浦井と成河は役替わりで、”ぼく”と”大切な人たち”を演じる。”大切な人たち”とは友人や編集者などの周囲の人々。浦井は、彼らの人生を懸けた熱意を、稽古場で体を通すことで実体験している感覚になるという。「今日、目の前にいてくださる坪倉さんを見た瞬間に泣きそうになる感触がありました」と、幸せを噛み締めた。常に自然体で穏やかな空気を纏った坪倉は「大切にしてきたことは何ですか?」との問いに、「心」と答えた。「今こうして笑っていける自分になるのに、30年以上かかりました。人の考えを理解できなくて、辛くて悲しいこともたくさんありました。居心地のいい素敵な心でいっぱいになると、すごく幸せな自分の好きな色が広がって、包まれた瞬間にワクワクして楽しい。こんな風に心の色が変わるんだと。今回もどんな色が見られるんだろう、どんなミュージカルになるんだろう、いろんな人達の想いが色となり、形になっていくんだろう。僕の想像しきれない僕を見てみたくて、めちゃくちゃワクワクするんです。きっとどんどん進化するんじゃないか」というと、井川は今の稽古でも日々変わっていると感じていると話した。浦井は、「ミュージカルでは歌声を色で表現する。同じようなニュアンスを体現しようとしていて、染色という染め物に歌が似ていると感じました。植村花菜さん(音楽・歌詞)のフレージングも台本に寄り添っています」と話した。草木染も演劇も、繋いでいくものここからは、「表現をする」という共通点にフォーカスを当て、ふたりの活動について語り合った。表現するうえでの核や大切にしていることは、ふたり共に「自分自身が楽しむこと」。坪倉は「何もかも忘れて、植物人間のようになっていた。自分が共通する色は何だろうと意識してみると、どんどん面白くなり未だに膨らむ一方。色を作るために楽しまなくっちゃと」楽しそうな笑顔。浦井は「初舞台を踏ませていただいたときから、プロデューサーさんや演出家の方に『楽しんでください』と言われました。自分でもすごく肝だと思っています。やはり、お客様も人間だから、言霊、感情は伝わる。まずは楽しんで、アグレッシブに、やれることの幸せを噛み締めていないといけない」と襟を正した。ここで、坪倉が持参した反物を紹介。桜の木の皮部分を使って染めた、繊細で美しい反物だ。普通に染めると茶色になるそうだが、花が咲く前の皮部分を使うと、優しいピンクがかった微妙な色合いになることもあるという。では、その染めの材料はどうしているのか。自然災害が多い昨今、生活を守るための整備で伐採せざるを得ない樹木などを使うそうだ。そこから生まれた反物が着物となり、人々に受け継がれていく。自然と人間との共生を感じさせる。坪倉の着物の話を聞いて、浦井が考えたのは“繋がる”ということ。「着物を通して命を繋げて受け継がれていくことは、演劇も同様で、何百年先の人たちに何かを残して伝えられたら」と。また、成河が常に言っている言葉として紹介したのは、「近所の老夫婦がふと観に来て、良かったねと言って帰っていくのが理想」というもの。浦井は「その状態にすごく近しいのではないか。繋がるって素敵」と優しい表情で語った。坪倉が染色に魅せられたきっかけは、大阪芸術大学在学中。記憶をなくし途方にくれていたが、草木染を通じて色と出会い、その後、旅を通して海や山の色の変化を目の当たりにし、自然の持つ色の魅力に感銘を受けたという。一方、「演じる」という仕事について井川から改めて尋ねられた浦井は、「プレイヤーは使われて、ひとつの駒として存在することで、エネルギーを発散し体現していくのがお仕事。演出家の方に様々な作品で使っていただいて色がついていったり、逆に色を削ぎ落として、まっさらな状態でゼロから作っていただく作業だと思っている」と回答。では、“表現者”として探求・挑戦を続ける坪倉が心の支えにしているものはあるのだろうか? 「僕は自信の事を言う前に、事故前の記憶がない。失くしてしまった事を悩むよりも今を楽しんで、結果的に人を楽しませたい。夢中になって寝ることも食べることもせずに、3〜4日やり続けてしまって、1日24時間では足りないのが最近の悩み!」と笑う。表現するうえで「自分自身が楽しむこと」を大切にしていると答えたふたりに、最近一番ワクワクしたことについて尋ねると、浦井は「まさに今ですね」と即答。続けて「もちろん舞台に立たせていただいて、お客様と一緒にその瞬間を味わえる生のライブは、生きている証拠で、自分の中でも在りどころ。今回の台本には『新しい過去』という単語が出てきて、坪倉さんが大切にされている言葉だと思うのですが、ルールなんかないんじゃないか、というのをすごく学ばせていただいています。坪倉さんは詩的なことをわかりやすく優しく伝えてくださっていて、エンタテインメントは本当に無限だなと。どんな表現も、文字にする、本にすることは大変だと台本でも感じましたが、それが皆の財産になっていて、同じ時代に知り合えたことはすごく幸せだと感じています」と語った。坪倉は、「僕じゃないところで、僕を創造する人に会えるなんて、ワクワクして仕方ない。台本を拝見して、稿を重ねるごとに、自分と自分じゃない自分が同化していくような、手応えを感じていた。今日お会いして嬉しくて、これが今日まで眠れなかった理由なのかと」と納得した様子。浦井が今は何を染めているのか尋ねると、4人のキャストをイメージした色の着物を製作しているそう。企画を初めて聞いた浦井は驚いて喜んだ。この着物は、公演期間中、本ミュージカルが上演される新国立劇場小劇場ロビーに展示されるそうだ。坪倉は「皆さんが演じる、ぼくとお母さんのお芝居、ミュージカル、歌、着物の色、目から耳から入ってくる色を感じてもらいたい」と想いを込めた。染めの素材について、母役の濱田めぐみと柚希礼音の着物には桜の木を用いていて、お母さんの優しさを表現するという。「皆さんが持っている、お母さんという存在に感じた色を、おふたりそれぞれに表現する」とその一端を明かした。「色って素敵だな」と思ってもらえたら次に、創作の過程においての第一歩目について。浦井は「そのキャラクターの色を意識します。成河と僕が演じる”ぼく”の色がかなり違う。そういう意味でも色を明確にしておいた方が、面白い相乗効果が生まれるかな」と話した。坪倉は「自分の考えを人に塗り変えられたくない。同じように、人それぞれの生き方に自分の考えを押し付けたくない。植物に対しても同じで、手に入った、言葉も持たない染めの材料を、素直な色に染める事」と語った。常にポジティブな言葉が出てくる坪倉だが「自分のすることが毎日楽しくて仕方ないと思えたきっかけは悲しみ」と明かす。元の自分に戻りたいと悩んでいたとき、何度も家出をして困らせた。お母さんが全力で止めてくれて、流した涙に胸を締め付けられた。「お母さんが笑っていてくれると僕はすごく幸せ。僕が笑わなければ母さんを笑わせられない、もう絶対にあんな顔はさせない。毎日楽しむしかないじゃないですか」と笑った。そして、行き詰まった時に乗り越える方法について浦井は「坪倉さんのお話を聞いて、確かに両親の存在は大きいと思いました。お母様のお話をされていましたが、包み込むお父様の存在も台本には書かれていて。一番大切なのは家族だなと。終わったら、すぐ母親に電話しようかな」と心を動かされていた。最後に、今一番大切にしてお客様に届けたいことは。浦井は「いろんな覚悟がいる状況ですが、板の上に立っていて、坪倉さんと同じ気持ち。明るい気持ちで笑顔になってもらえたら。エンタテインメントの力は人間に必要な心の豊かさや、明日も頑張ろうという気持ちにさせる。中止という文字が並ぶ状況で、お客様に何ができるんだろうと。このミュージカルで感じたことを、自分にも還元できるように、色って素敵だなと思っていただけるように頑張ります」と決意した。坪倉は「お母さんの優しさの色って何でしょう。その感じる、色、音、空間で、演じる側と観る側の空間で、その会場に素敵な色ができるように、ただ観るだけじゃなく、演じ終わるときには、会場その時その時の優しい色合いで、心の染めをしてみたいなと思います」とメッセージを送った。取材・文・撮影:岩村美佳新作オリジナルミュージカル『COLOR』2022年9月5日(月) ~9月25日(日)会場:東京・新国立劇場 小劇場ほか、大阪・愛知公演あり★チケット情報はこちら:
2022年08月25日草木染作家・坪倉優介が自身の体験を綴ったノンフィクション『記憶喪失になったぼくが見た世界』(朝日新聞出版)をベースに最高のクリエイターと俳優陣が集結しミュージカル化。オリジナルミュージカル『COLOR』として2022年9月新国立劇場小劇場にて上演されることが決定した。『記憶喪失になったぼくが見た世界』は交通事故で記憶喪失となり、過去の記憶も言葉も感覚も失った当時美大生の坪倉優介が綴った手記。坪倉が経験した日常の当たり前が大冒険となる世界を、浦井健治、成河、濱田めぐみ、柚希礼音がステージで表現する。語るような歌で構成される本作の音楽は、言葉と音が密接に繋がり合う楽曲を生み出す、植村花菜が初のミュージカル作品を担当。脚本は『アナと雪の女王』の訳詞で話題を呼び、ミュージカル『生きる』や劇団四季の新作ミュージカル『バケモノの子』などを手掛ける高橋知伽江が脚本と歌詞(植村花菜と共同歌詞)を手がける。演出は、第25回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞、ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』など話題作を次々と手掛ける小山ゆうな。編曲・音楽監督には、ボストン・バークリー音楽大学で学び、自身も作曲・演奏家として活躍、数多くのアーティストや映像作品への楽曲提供し、ディズニーD23 Expo Japanなどでの編曲も手掛けてきた木原健太郎が担当する。東京公演は2022年9月新国立劇場 小劇場にて上演。その後ツアー公演あり。チケット発売情報は来春発表を予定している。<クリエイターコメント>■音楽・歌詞:植村花菜私が歌手になると決意したきっかけが映画「Sound of Music」だったので、 いつかミュージカルに携わるお仕事がしたいとずっと思っていました。 今回、 作曲者としてのオファーをいただき大変光栄でしたし、 夢が一つ叶いました。 普段は一人で黙々と曲作りをしているので、 プロデューサーさん、 演出家さん、 脚本家さん、 音楽監督さんなど、 チームで一緒に作品作りをさせていただけることは、 本当に刺激的でとても楽しかったです!このミュージカルは、 今の時代だからこそぜひ観ていただきたいメッセージに溢れています。 生きていく上で本当に大切なことはなんなのか。 原作の本から広がったミュージカルの世界が、 時におかしく、 優しく、 切なく、 皆さんの心に響き渡ることを信じています。■脚本・歌詞:高橋知伽江『COLOR』は、 18歳で記憶が白紙になった草木染作家、 坪倉優介さんのご著書とお話に想を得て、 記憶喪失の青年が〈新しい過去〉をつかみとっていくまでの道のりを描いています。 そこには、 想像を絶する体験と家族の絆と友情があり、 戸惑い、 苦悩、 喜び、 挫折、 不安……とても濃くて、 凝縮された人生が刻まれています。 でも、 このミュージカルは記憶喪失という特殊な体験をした人の話にとどまりません。 ここには私たちにとって「記憶」とは何だろうという問いかけがあります。 そして、 絶望の淵から立ち上がってゆく命の力を信じさせてくれる希望の物語でもあります。 植村花菜さんの心に響く音楽と共に、 ときどきクスッ、 ときどきホロッとしながらご覧いただけますこと、 心より願っております。■演出:小山ゆうな企画のお話を伺ってから、 若く才能溢れるプロデューサーさんのもとに集った脚本の高橋知伽江さん、 作曲の植村花菜さん、 音楽監督 木原健太郎さんとミーティングを重ねながらオリジナルミュージカルが少しずつ形になっていく過程にわくわくしながらたちあっています。信頼し、 尊敬している浦井健治さん、 そしていつかご一緒したいと思っていた成河さん、 濱田めぐみさん、 柚希礼音さんという素晴らしい豪華な出演者の皆様とオリジナルのミュージカルを創作できる事がとても嬉しいです。坪倉優介さんご自身もお母様も一瞬で心奪われてしまうような魅力的な方でした。お二人自身、 そして坪倉さんの身に起こった事・起こっている事、 事実の力に圧倒されますが、 お客様とこの世界や人と人の間に起こるささやかな奇跡のような瞬間を共有できるよう創作していきたいと思います。<キャストコメント(五十音順)>■浦井健治:ぼく/大切な人たちこの作品の原作を読んだとき、 胸がいっぱいになり、 これからも強く、 人に優しく、 生きていきたい。 と、 様々な気持ちを頂きました。それがミュージカルになり、 信頼するキャストメンバーさんたちと組める喜びもあって。今、 はもう戻らない。 今を、 やれることを大切に、 向き合うこと。そんなことを感じながら、 一気に読んだ本です。また、 作曲の植村花菜さんの曲は魅力的で、 ミュージカルでご一緒出来ることも光栄です。■成河:ぼく/大切な人たち坪倉優介さんの手記を読んだときの感動は今も忘れられません。 言葉のひとつひとつ、 音のひとつひとつに豊かな色やイメージが感じられ、 坪倉さんに見えていた、 聞こえていた世界がまるでいま目の前にあるかのような強烈な錯覚を起こしました。 そして生々しいけれど詩的で、 悲しいけれど美しいその文体には、 同時に、 逞しく強い坪倉さんの生命のエネルギーが満ちていました。劇場は「感覚の共有」というのがとても得意な場所だと思うんです。 この手記に紡がれた繊細でリアルな感覚をお客さまと体験することは、 その先にある生きるエネルギーを得る体験でもあり、 いま演劇として立ち上げる意義を強く感じています。 素晴らしい機会を与えて頂けたことに心から感謝しています。 丁寧に、 心を込めて、 取り組みたいと思います。■濱田めぐみ:母自分の意識しか認識出来なくなり全てがリセットされたならば。 。生きている事は奇跡の連続なのだろう。好きだと思う感情、 綺麗だと感じる心、 ありがとうと言う感謝の気持ち。 全て兼ね備えて生まれて来ても、 対象となる物は先に生きて来た人達の価値観によってもたらされる。その価値観と認識と記憶がリセットされてしまったら、 、 。 記憶喪失になった本人とそれを取り巻く人々のお話。 全てをリセットさせられた主人公の宇宙。 COLORはとてつも無く難しく万華鏡の様な世界だと思う。 しかしこの舞台を上演する意味は重要で最高に大切な事なんだと感じる。 原作者の方とお母様そして関係者の方々にとっても大切な舞台になる様に、 そして観て下さる方々の心の勇気と愛になる様に精一杯演じます。■柚希礼音:母この約2年の間に、 世の中がガラッと変わりました。自分と向き合う時間が増え、 舞台で、 何を伝えたいかという思いもより強くなった気がします。そのようなタイミングで、 この作品のオファーをいただけたこと、 とても嬉しく思います。原作を読み、 こんなことが起こるのかと最初は驚きながらもとても温かい感情に包まれ、 様々なメッセージを受け取りました。そしてこの作品がどう舞台で表現されるのか私もとても楽しみにしています。演出の小山ゆうなさんは、 何作か演出された作品を拝見させていただき、 どの作品も、 温かさを感じる素敵な世界観を作り出される方で、 ご一緒できるのが本当に嬉しいです。浦井健治さん、 成河さん、 濱田めぐみさんは、 それぞれ舞台を拝見し、 いつかご一緒してみたいと、 尊敬している皆様ですので、 一緒に作品作りできることが純粋に嬉しくてたまりません。そんな素晴らしい皆様と一緒に、 お客様が観終わったあと劇場にきてよかったなと思ってもらえる作品になるよう頑張ってまいりますので、 どうぞお楽しみにお待ちください。【公演概要】オリジナルミュージカル『COLOR』期間:2022年9月会場:新国立劇場 小劇場 ※ツアー公演あり主催:ホリプロ企画制作:ホリプロ<キャスト(五十音順)>浦井健治成河濱田めぐみ柚希礼音<スタッフ>原作:坪倉優介『記憶喪失になったぼくが見た世界』音楽・歌詞:植村花菜歌詞・脚本:高橋知伽江演出:小山ゆうな編曲・音楽監督:木原健太郎振付:川崎悦子美術:乘峯雅寛照明:勝柴次朗音響:山本浩一映像:上田大樹衣裳:半田悦子ヘアメイク:林みゆきボーカルスーパーバイザー:ちあきしん演出助手:守屋由貴/野田麻衣舞台監督:加藤高公式HP: 公式Twitter:
2021年12月06日ドラマのみならず映画、舞台で活躍し、俳優としての才能を発揮する、我が家・坪倉由幸さん。来年の大河ドラマにも出演が決定。ますます注目の芸人俳優バイプレイヤー筆頭です!演技がうまい若手が今はとにかく怖い!お笑いトリオ・我が家の坪倉由幸さんは『下町ロケット』や『あなたの番です』『わたし、定時で帰ります。』など話題のドラマに続々と出演する芸人俳優バイプレイヤー代表格のひとり。なかでも『アンナチュラル』第4話で演じたバイクの事故で亡くなる父親役はメッセージを託す物語とともに強い印象を視聴者に与えた。さぞ、ご本人もこの役柄のお芝居に満足されていることだろうとお話を伺ったら、意外な返事が返ってきた。「満足どころかお芝居をすることがずっと不安なんですよ。『アンナチュラル』なんてひとりでオンエアを見るのが怖くてテレビをつけられなかった。でも、放送終了後にはすぐエゴサーチをして(笑)。そうしたら“すごくよかった”といいコメントがいっぱい並んでいたんです。それで、ほっとしつつも、でも自分としては“そんなによかったかな?”とずっと半信半疑でした」かつて俳優の養成所に通っていたものの根っからのお笑い志望。ドラマ初出演も『主に泣いてます』で、イケメンだけど帽子を取るとハゲている警察官という役柄がぴったり、と見た目重視のキャスティングだった。「だから演技は下手でもいいのかなと思っていました。それでも自分としては一生懸命やってみたんです。でもその時に演技がうまくできないな、もっと自然にセリフを言えたらいいのにと思った。その気持ちが今もずっとあります」コントで見せる大ボケ役のキャラクターのように飄々とドラマの現場をこなしているのかと思いきや、一つの役柄、一つのセリフをとことん吟味し、自分の中で反芻してから現場に挑みたいと言う。演じることへの繊細さが言葉の端々にうかがえる。「いや、それは多分僕が芸人だからです。舞台だと笑いが起きてスタッフさんやお客さんのリアクションをダイレクトに感じられる。ネタも何回も舞台にかけて練れるじゃないですか。ドラマの現場はそれがない。シーンとしていてリアクションはないし、チャンスはリハと本番の2回だけ。本当に厳しい世界です。だから不安になってあれこれ考えちゃう。せめて自分なりにどう演じるか準備しておかないとってなりますよ」その真摯さがあるからこそ、多くのドラマプロデューサーや演出家のお眼鏡にかなうのだろう。来年はじまる三谷幸喜脚本による大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に抜擢され、初となる大河ドラマ出演が決まった。「3月に放送された三谷さん脚本のドラマ『死との約束』にまず呼んでいただいたんです。その時も驚いて。現場に三谷さんがいらした時にお話をしたら(アメリカのドラマシリーズの)『ブレイキング・バッド』に登場する弁護士役が好きで、その役者さんが僕とよく似ていると。だから、そんな感じで演じてねと言われた。え、もう撮影中盤過ぎているのにどうすればいいの?ってその時は思ったけど(笑)、うれしかったですね」大河の撮影も順調に進み、秋には新しい舞台も決まっている。俳優業はいよいよ順風満帆?「いや、もう若手の台頭がとにかく怖いですよ。かが屋とかハナコ岡部とか今、コントやっている後輩の子たちは本当に芝居がうまいじゃないですか。何か言われた時の受けの演技がめちゃくちゃいいんですよね。あれはドラマの現場でも求められているものだと思いますよ。…いや、もうこれ以上褒めるのはやめましょう。僕が今スベっちゃうわけにはいかないんで。役者としてスベったらもう我が家ごと崩壊しちゃうかもしれないから(笑)。ここは、僕が今、ふんばっておかないといけない場所だぞって思ってます」Masterpiece『アンナチュラル』過労死した父親役をナチュラルに好演。石原さとみ主演の法医学ミステリー。坪倉さん出演の第4話は過労死をテーマに“誰のために働くか”を問いかける。新井順子プロデューサー作品にはその後『わたし、定時で帰ります。』『着飾る恋には理由があって』にも出演。『主に泣いてます』民放連ドラ初出演のコミックドラマ。東村アキコ原作のコミックを菜々緒主演でドラマ化。“美人至上主義”のハチャメチャな警官・勅使河原耕三を演じた。「現場がとにかく楽しかった思い出があります。これが最初のドラマでよかったなと思ってます」Reviewお顔立ちは二枚目ですし、ニヒルなイメージもあって、いい人も悪人もできる変幻自在の感じがすごい魅力だと思います。芸人ぽさを封印するのもうまく、演技に引き込まれます。(ドラマプロデューサー・岩崎愛奈さん)バイプレイヤーに欠かせない存在。『アンナチュラル』では、演技に泣かされてしまいました。短い出番でも、この人の人生にはいろんなことがあったんだろうなと想像をかきたてられます。(ライター・西森路代さん)つぼくら・よしゆき1977年生まれ、神奈川県出身。2003年に杉山裕之、谷田部俊と我が家を結成。舞台にも熱心に挑み、9/19~本多劇場で上演される『物理学者たち』にも出演。いわさき・あいなドラマプロデューサー。2020年に手がけた『私の家政夫ナギサさん』が大ヒット。現在、重岡大毅さん主演のファミリードラマ『#家族募集します』が放送中。にしもり・みちよライター。香港、台湾、韓国と日本のエンタメ事情に精通。共著に『韓国映画・ドラマ──わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020』(駒草出版)がある。※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・土佐麻理子イラスト・岡田成生取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年08月10日6月24日の17時、東京・新橋で運転席の窓から腕を出して、黒の高級輸入車を運転していたのはお笑いトリオ・我が家の坪倉由幸(43)だ。「我が家では“大ボケ担当”です。もともと俳優志望だったこともあって近年はドラマでの起用も続き、『下町ロケット』『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)でも印象的な演技を披露。業界内での評価はあがる一方です。’22年放送予定のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』への出演も発表されています」(テレビ局関係者)この日は日本テレビの番組のロケがあった坪倉。収録終了後に、テレビ局から自分の車を運転し、帰宅する途中だったようだ。運転席からキリっとした表情を見せながら、小道から大通りに合流したのだが……。しかし、ちょっと待った!実はこの小道は一方通行で、坪倉は逆走していたのだ。「ちゃんと一方通行の道路標識があります。幸いにも対向車がいなかったため事故にはなりませんでしたが……」(目撃した女性)一方通行の逆走は、道路交通法第8条 第1項(歩行者又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない)違反。警察に捕まっていた場合、反則金は普通車で7,000円、違反点数は2点となる。ちょっとした違反が思わぬ大事故を招くこともある。ロケで疲労していたとはいえ、気をつけるべきだろう。「標識が見えませんでした」とは“言わせね~よ!”
2021年07月19日