日本テレビ系バラエティ番組『エンタの神様』などを手掛けた五味一男氏が20日、陣内智則の公式YouTubeチャンネル「陣内智則のネタジン」で公開された動画で、自身がコウメ太夫(旧芸名:小梅太夫)の名付け親であることを明かした。「エンタの神様 総合演出 五味一男登場!テレビ界の超大物と陣内がガチトーク!」と題して公開された動画にゲスト出演した五味氏。「コウメ太夫も俺が考えた、芸名を」と述べ、「“アマゾネース”っていうコンビだったんだよ。コンビっていっても人形が相方だったの。オーディションのとき、『やべぇな』と思って(笑)。『今日からお前は“小梅太夫”だ』ってその場で付けた。たぶん5秒ぐらいしか考えてない」と振り返った。そして陣内が「それで売れましたもんね。家建ててますよ」と言うと、五味氏は「(コウメの)お母さんからすごい長い礼状が届いたの。『息子がお世話になりました。アパートも建てられました』って(笑)」と微笑んでいた。
2021年01月25日造形作家・近代美術史研究者の岡崎乾二郎が監修する『坂田一男捲土重来格納された世界のすべて、風景のすべて』が、東京ステーションギャラリーにて開幕。2020年1月26日(日)まで開催されている。キュビスム以降の抽象絵画の展開を核心で理解し、その可能性を究極まで推しすすめた画家、坂田一男。同展は、これまで大きく紹介されることの少なかった坂田の画業の全貌を提示する初めての展覧会だ。1889年に岡山県に生まれた坂田は、中学卒業後に絵の道を志し、第1次世界大戦終了後の1921年に渡仏。キュビスムの巨匠、フェルナン・レジェに師事して本格的に抽象画を学び、のちに助手を務めるまでになる。フランス滞在中は複数のサロンの会員となり、国際展への参加や大規模なギャラリーでの個展を開催するなど一線で活躍。1933年に帰国すると岡山県にアトリエを構えて抽象絵画の制作に打ち込み、前衛美術集団「アヴァンギャルド岡山(A.G.O)」を主催するなど精力的な活動を続けた。日本の抽象画家の先駆者として高く評価されたのは没後で、これまでブリヂストン美術館や、岡山県立美術館などで回顧展が開催されている。同展は、そんな坂田を再評価する造形作家・近代美術史研究者の岡崎乾二郎氏が監修を務め、坂田の複雑な空間操作を解析すべく、坂田と同世代の画家や意外な作家たちを組み合わせて比較展示を試みる。坂田の作品に加えて、彼が師事したフェルナン・レジェ、坂本繁二郎、ル・コルビュジエ、ジョルジオ・モランディ、ニコラ・ド・スタール、ジャスパー・ジョーンズなど、国内外の作家たちの作品約200点を紹介。20世紀絵画表現の問題群として各作品を読み解いていく。また、坂田のアトリエは二度の大きな水害に見舞われ、多数の作品が破損、または損失の被害を受けたという。会場には、冠水のため剥がれ落ちた画面を修復・加筆を行った作品だけでなく、そうした被害の形跡を模すかのように創作に生かした作品も並ぶ。展覧会のタイトルにもなっている「捲土重来(けんどちょうらい)」とは、一度失敗した者が再び力を盛り返すこと。歴史に埋もれてしまった坂田一男という画家を掘り起こす意味とともに、ひとたび受けた破壊を復活に転化させるような、驚くべき坂田の作品を目撃してほしい。【開催情報】『坂田一男捲土重来格納された世界のすべて、風景のすべて』2020年1月26日(日)まで東京ステーションギャラリーにて開催【関連リンク】 東京ステーションギャラリー()※岡崎乾二郎の「崎」は「たつさき」が正式表記。《コンポジション》1936年個人蔵《アンサン》1954年個人蔵《コンポジションA》1948年個人蔵《コンポジションのエスキース》制作年不詳個人蔵《コンポジション(メカニック・エレメント)》1955年岡山県立美術館《静物I》1934年大原美術館《静物II》1934年大原美術館《コンポジション》制作年不詳個人蔵《構成》1946年宇フォーラム美術館
2019年12月10日驚きの高校生作家が誕生した。『探偵はぼっちじゃない』でボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビューした坪田侑也さんは現在高校2年生。小学3年生の時から小説を書き始め、受賞作を執筆したのは中学3年の夏休みだったという。注目の新人作家は2002年生まれ。少年と教師、それぞれが出合う謎。「毎年、夏休みの自由課題で僕は小説を提出していて、3年の時に書いたのがこの小説でした。そうしたら友達が持ち帰って家族で読んでくれて、そこのお母さんが“ボイルドエッグズ新人賞に応募したらどうか”、と勧めてくださったんです」主人公の一人は、明るく振る舞いながらも心は孤独な中学3年生、緑川光毅。ある日彼は、同じ学校の生徒、星野温から「一緒に探偵小説を書こう」と声をかけられる。「高校生になると忙しくなるから小説を書く時間が減ってしまう。それならこれまで感じてきたことを全部詰め込もうと思い、選んだのが“小説を書く”という題材でした」また、中学生が抱える独特な心情も書こうと、考えた。「中高生は、人を陽キャラと陰キャラで分けてとらえるところがある。緑川君のように無理して陽キャラのグループに合わせようとするのは、中学生の性格としてリアリティを感じました。星野君は誰にも流されない孤高の存在で、憧れます。こういう人と友達になれたら楽しいだろうなと思いながら書いたんです」一方、新人教師の原口は周囲に認められようと焦り気味。自校の生徒が自殺サイトに出入りしていると知り、誰かを突き止めて助けようとする。このパートがもう、社会人としての大人の悩みや戸惑いがリアルに描かれていてびっくり。「中学生が小説を書くだけでは話が単調になるので、教師目線も入れることにしました。大人らしい台詞まわしを書くのが難しかったです」やがてそれぞれの謎は絡み合う。現実に満足できない人たちの感情が、どう変化していくのかも読みどころ。さらには緑川たちが執筆する本格ミステリも作中作として登場、これもまた面白い。それにしても坪田さん、話してみると相当なしっかり者という印象。「学校ではよく“ツッコミ役だね”と言われます。でも、デビューしてからは、みんなに“先生!”と呼ばれてイジられています(笑)」坪田侑也『探偵はぼっちじゃない』探偵小説を書こうとする2人の中学生男子、生徒の自殺を止めようとする2人の教師。彼らの行動が、やがて思わぬところで結びつく。KADOKAWA1600円つぼた・ゆうや2002年、東京都生まれ。慶應義塾普通部在学中に執筆した本作で昨年第21回ボイルドエッグズ新人賞を受賞、同作を今年刊行して作家デビュー。現在は慶應義塾高等学校の2年生。※『anan』2019年6月26日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年06月24日子どもの近視が増えているといわれています。予防するために、ママは何ができるのでしょうか?今回は具体的な近視の予防策について、NHK『あさイチ』でも話題となった『あなたのこども、そのままだと近視になります。』の著者で慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授に話を聞きました。 「【医師監修】子どもの近視が増えている!?「あなたの子どもの目大丈夫?1」」 の続きです。■近視になる子、ならない子で違っていることとは――スマホが近視の原因というエビデンスはないとお聞きしました。それでは、近視になる原因として、現在わかっていることはありますか?近視に影響すると考えられているエビデンスのなかでも、世界各国のさまざまな研究で同様の結果として報告されているのは、「外で遊ぶと近視になりにくい」というものです。ウェスタンオーストラリア大学とシンガポール大学による共同研究グループが、シンガポールに住んでいる中国人とオ―ストラリアに住んでいる中国人を比較する研究を行いました。シンガポールは近視の人が急増している一方、オーストラリアは近視の子どもがとても少ないことがわかったのです。決定的に違ったのが、「外にいる時間」です。オーストラリアでは平均して1日2時間くらい屋外で過ごしていましたが、シンガポールでは10~20分程度だったのです。この研究以外にも、「屋外で太陽にあたる時間が長い環境のほうが近視は少ない」という報告がいくつかあります。また、私たちの研究では、「照度の高いブラジルと照度の低い東京とを比べるとブラジルの子どもに近視が少ない」という結果が出ています。――なぜ、外で遊ぶと近視になりにくいのでしょうか?体を動かすことよりも、太陽の光が良いらしいことがわかってきましたが、光の何がどう良いのかがわかりませんでした。私たちは、あることをきっかけに、「バイオレットライト」(紫の波長の光)に近視の予防効果があるのではないかということを発見しました。そして、5年をかけてヒヨコを用いてそのメカニズムを突き止め、そして臨床研究でもその可能性を支持する結果を得ました。「バイオレットライト」とは、可視光の中でもっとも紫外線に近い、360~400ナノメートルの波長の光のことです。実際にヒヨコでバイオレットライトの有無による研究を行い、バイオレットライトがない環境では近視を抑制する効果が低いことを突き止めました。さらに、バイオレットライトのある環境のヒヨコは、近視の進行を抑える遺伝子の働きが活発化していることもわかったのです。■どうやってバイオレットライトを生活に取り入れればいいのか――バイオレットライトは屋内にはないのですか? また、メガネをかけていても効果はあるのでしょうか?車や住宅のガラスや私たちがかけているメガネにはUVカットなどの加工により、バイオレットライトもカットされてしまっています。だから屋内で日光を浴びても、メガネをかけて屋外にいても、目にはバイオレットライトが入ってきません。バイオレットライトを浴びるためには、屋内では窓を開けたり、外で過ごすときはメガネを外す、あるいはバイオレットライトを通すメガネをかけたりといった工夫が必要になります。昨年、バイオレットライトを通すメガネが商品化されたので、お子さんの目の健康を考えたらこれらの商品も検討してもらえればと思います。まだ研究途中で、すべての近視をバイオレットライトが抑制する、予防できるとは言い切れません。近視の進行にはバイオレットライト以外の要素も関与しているかもしれません。しかし、屋外である程度日光をあびることは、少なくとも健康によい影響を与えることは間違いない事実です。近年、紫外線の害が強調され、太陽が悪者になってしまっていますが、紫外線にも骨を丈夫にするなどの役割があります。肌を保護したり、熱中症に注意したりすることも必要ですが、太陽の光は人間にとって必要な自然の力であると言えます。――具体的には1日何時間、屋外で過ごせばいいのでしょうか? また紫外線対策はどうすればいいのでしょうか?現在の研究データより、私は1日2時間外遊びをすることを推奨しています。屋外の光環境はとても強いので、帽子をかぶるなどして紫外線対策はしてください。直射日光を浴びる必要はありません。日光を直接見ることも絶対にしてはいけません。日光には360ナノメートル以下の紫外線も含まれていて、長時間紫外線にさらされることは、皮膚をはじめ、健康にとっていいことばかりではないので、その点は十分注意してください。曇りの日や日陰でも十分にバイオレットライトの恩恵を受けることはできます。大切なことは、外で過ごすことです。■外遊びは近視予防だけでなく健康への道しるべにもなる――お母さんたちに対して、子どもの近視予防についてアドバイスはありますか?大切なのは、子どもを強い近視にしないことです。視力検査で0.7とか0.6などと言われたら、すぐにでも近視を進ませないための対策をとってもらいたいと思います。近視のなり始めが、予防のためにはとくに大切なのです。近くを長時間見続けることも近視に影響するという研究もあります。ピントがあいにくい状態、たとえば寝転がって本やスマートフォンを見るなども影響があるとする研究もあります。スマホやゲーム機器をずっと見続けることは、目はもとより心身にも負担がかかるので、時間やルールを決めて生活をしてもらいたいと思います。ゲームの時間が長くなればそれだけ屋外で過ごす時間が少なくなります。1日2時間、外で過ごす時間を作ることは、近視の予防だけでなく、子どもの健やかな成長のためにもなると考えています。近視を予防することは健康になることと同義だといえます。バイオレットライトは、「光のビタミン」と考えてもらうといいかもしれません。こうしたことを私たちは、今後中心となって広げていきたいと考えています。子どもたちのためにも、お母さんたちにもしっかりとそのことを意識してもらいたいと思っています。<バイオレットライトを取り入れるためには>●1日2時間ほど外遊びをする※曇りの日や日陰でもOK※日光を直接見ることは絶対しない。紫外線対策も忘れずに行う●屋内にいる場合には、窓を開ける●通常のメガネをかけている場合には外すか、バイオレットライトを通すメガネを使用する先生のお話を聞いて、外遊びについてはママも積極的にならなければいけないのだと実感しました。子どもの外遊びに付き合うことは、近視予防のためだけでなく家族の健康につながるとも考えられます。家にいるときも、窓も開けるだけで「バイオレットライト」を浴びることができます。子どもたちの近視予防と健康のために、ママたちができることをしっかり意識していきたいですね。■今回のお話を伺った坪田一男教授のご著書 『あなたのこども、そのままだと近視になります。』 (税別¥1,000、坪田一男著、ディスカバー・トゥエンティワン)子どもたちの近視が増えていることや近視の恐ろしさを丁寧に解説したうえで、近視にさせない具体策を提示した著書。「近視は予防できない」という通説を覆し得るような大発見に至った過程についても丁寧に記載されており、読みやすい文章で書かれているため、子育て中のママたちにもお勧めの一冊です。坪田一男氏1955年東京生まれ。1980年、慶應義塾大学医学部卒業。85年ハーバード大学留学、87年クリニカルフェロー修了。現在、慶應義塾大学医学部眼科学教室教授、慶應義塾大学SFC研究所ヘルスサイエンスラボ代表、日本抗加齢医学会前理事長、日本再生医療学会理事、近視研究会世話人代表、南青山アイクリニック手術顧問などの要職を務める。2017年2月に著書「あなたのこども、そのままだと近視になります。」を出版。眼科医 坪田一男 オフィシャルサイト: <参考サイト>慶應義塾大学プレスリリース: 「現代社会に欠如しているバイオレット光が近視進行を抑制することを発見-近視進行抑制に紫の光-」 出典:Ophthalmology. 2008 Aug;115(8):1279-85. doi: 10.1016/j.ophtha.2007.12.019. Epub 2008 Feb 21.Outdoor activity reduces the prevalence of myopia in children.Rose KA1, Morgan IG, Ip J, Kifley A, Huynh S, Smith W, Mitchell P.
2018年04月25日自分の子どもの目がどれくらい見えているか、ご存じですか? 眼科に行くと、子どもが多く来院していたり、近所の子どもが眼鏡をかけていたりするのを見る機会が増えたような気がします。子どもから「黒板の字がよく見えない」と聞いて、あわてて眼科にかけつけたという人も。そこで子どもの近視にまつわる疑問を解決するべく、『あなたのこども、そのままだと近視になります。』の著者で慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授に話を聞きました。坪田教授は、NHK『あさイチ』にも出演されたことがあり、子どもの視力低下についてお話されています。■日本では子どもの近視が増えている!?――世界中で近視の人が増えているというのは本当ですか?本当です。2012年の調査では、世界人口の約22%にあたる約14.4億人が近視だとされていて、世界保健機関(WHO)をはじめとする保健衛生機関や、各国の政府も危機感を抱いています。とくに日本をはじめとした東アジアの国々では、パンデミックと呼びたくなるほど近視の人が増えています。本来パンデミックとは、感染症の世界的流行を指す言葉です。近視は感染しませんが、それほどまでの急増な増加ということでパンデミックといわれるようになりました。その背景には何らかの要因があると考えています。――日本では子どもの近視も増えているのでしょうか?2013年に行われた文部科学省の調査では、裸眼視力が0.3未満の小学生は8.14%いて、1949年に比べて3倍以上も増えていることがわかりました。高校生では、裸眼視力が1.0未満の近視率は65%にものぼります。もっとも急激に近視が進行するのが、小学生から高校生までの期間であることがわかっていて、その数は年々増えているといえます。――なぜ、子どもの近視が増えているのでしょうか?近視の原因は、主に目の形状により起きます。多くは目の奥行き(眼軸)が長くなってしまい、網膜よりも前で像が結ばれてしまうことで、遠くのものにピントが合わなくなります。●「光が結像する位置と遠視・近視の関係」出典: 『あなたのこども、そのままだと近視になります。』 子どもは生まれたときは目の奥行き(眼軸)が短く遠視の状態ですが、体の成長とともに目も成長して、眼軸が伸びます。これは正常なことなのですが、これがちょうど良いところ(「正視」の状態)で止まらずに、さらに伸びてしまうと近視化していきます。日本人の眼軸の平均の長さは24mm程度といわれています。1~2mm眼軸が長くなっても軽度から中程度の近視となります。3mm伸びたら強度の近視です。なかには5mmも伸びてしまうこともあり、そうなるとピントが合うのが目の前10cmの距離といった深刻な近視となります。過去100年の間、子どもの平均身長は、14歳の男子で18.5cm、女子で13.8cmも伸びています。こうした身長の著しい伸び方も、もしかしたら近視の子どもが増えていることと相関があるのかもしれません。■暗い部屋のマンガ、スマホの見すぎは近視になる?――親が近視だと子どもも近視になるってホントでしょうか?目の形の問題なので、体形や顔かたちが似るように、両親ともに近視の人は近視になりやすいことがわかっています。しかし、両親ともに近視だとしても、その子どもが近視にならない場合もあります。また近年の近視の急増は遺伝だけでは語れず、環境や生活習慣も大きな要因と考えられるようになってきました。つまり、親が近視だと近視になりやすい。さらに環境や生活習慣で近視になるリスクが高まったり、低下したりする、と考えることができます。――暗い部屋で本を読んだり、スマホばかり見ていると、近視になりやすいのでしょうか?高学歴の子どもに近視が多いという調査報告はあります。でも、たくさん勉強をすると近視になる、暗い部屋で本を読むと近視になるなど、よくいわれるこれらの行為の多くは、近視が進むという確実なエビデンス(裏付け)はじつはないんです。いまより昔のほうが、暗い部屋で本を読んでいた人はたくさんいるはずです。最近指摘されているコンピューターやスマートフォンの影響についても、研究は増えてはいますが、その関係が明らかになるような研究結果は出ていません。■近視が進むとどうなってしまうの? ――近視の危険性はどういったところにあるのでしょうか?一般的な近視は、メガネやコンタクトレンズで矯正すれば見えます。最近ではレーシックで裸眼生活も可能です。軽い近視であれば、老眼世代になったときに近くが見やすいなどのメリットもあります。問題は、軽い近視で止まらずに近視が進んでしまって、強度の近視になることです。先にお話ししたように、眼軸が2mm、3mm、4mmと長くなっていくと、目の組織が引き延ばされるため、視力に大切な網膜や視神経が引っ張られて、薄くなってしまったり、切れてしまったり、障害される可能性が高くなります。眼軸長が伸びすぎたり、いびつになってメガネで矯正ができなくなったり、ほかの目の病気が生じることを「病的近視」と呼ぶのですが、日本では現在、失明原因の第4位がこの病的近視なのです。近視の強い人は定期的に眼科を受診することが重要です。■近視は予防できる?――子どもが近視になる前に、何か予防できるのでしょうか?私たちは、いま「近視そのものを予防する、治療する」という目標を持って研究に取り組んでいます。最新の近視研究では、将来的に近視になる可能性を子どものうちに予測して、早い段階で予防に取り組むことの重要性が指摘されています。次回は、近視を予防するための具体的な方法について引き続き坪田教授にお話をお伺いします。近視を抑制する可能性があると世界で初めて発見した研究についてご紹介します。■今回のお話を伺った坪田一男教授のご著書 『あなたのこども、そのままだと近視になります。』 (税抜¥1,000、坪田一男著、ディスカバー・トゥエンティワン)子どもたちの近視が増えていることや近視の恐ろしさを丁寧に解説したうえで、近視にさせない具体策を提示した著書。「近視は予防できない」という通説を覆し得るような大発見に至った過程についても丁寧に記載されており、読みやすい文章で書かれているため、子育て中のママたちにもお勧めの一冊です。坪田一男氏1955年東京生まれ。1980年、慶應義塾大学医学部卒業。85年ハーバード大学留学、87年クリニカルフェロー修了。現在、慶應義塾大学医学部眼科学教室教授、慶應義塾大学SFC研究所ヘルスサイエンスラボ代表、日本抗加齢医学会前理事長、日本再生医療学会理事、近視研究会世話人代表、南青山アイクリニック手術顧問などの要職を務める。2017年2月に著書『あなたのこども、そのままだと近視になります。』を出版。眼科医 坪田一男 オフィシャルサイト: <参考サイト>慶應義塾大学プレスリリース: 「現代社会に欠如しているバイオレット光が近視進行を抑制することを発見-近視進行抑制に紫の光-」 出典:Ophthalmology. 2008 Aug;115(8):1279-85. doi: 10.1016/j.ophtha.2007.12.019. Epub 2008 Feb 21.Prevalence and risk factors for refractive errors in adult Chinese in Singapore.Wong TY1, Foster PJ, Hee J, Ng TP, Tielsch JM, Chew SJ, Johnson GJ, Seah SK.
2018年04月24日ABCクッキングスタジオの全国展開、家庭用雑貨等を販売するABC Cooking Studioは10月12日、健康を意識した料理を教える「ABC HEALTH LABO」(東京都千代田区丸の内3丁目1番1号 国際ビルヂングB2F)を開設した。レッスンは、著名大学教授や医師の指導のもと、医学的な観点での栄養に基づいた構成となっている。同コースは、食でのアンチエイジングやヘルスサイエンスをテーマに、健康に関するレクチャーや料理を学ぶ時間に加え、希望者にはカウンセリングもあるとのこと。また、血糖値や体脂肪などの体組成を計測できる機器もそろえているという。10月のレッスンは、「これできまり!とっておきキメ肌レシピ」。”食べる美容成分”といわれ、ポリフェノールの一種であるレスベラトロールの栄養学や、レスベラトロールを豊富に含む赤ワインやレーズンを用いた調理レッスンを実施する。メニューは鶏肉の赤ワイン煮込み、レーズンとりんごのサラダなど。11月のレッスンは、「秋にやせるってすごくない?最強!カテキンダイエットレシピ」。体に脂肪をつきにくくしたり、余分な脂肪を燃焼させるカテキンを含む緑茶やほうじ茶などを、毎日の食事に効果的に取り入れる方法を紹介する。メニューは番茶の中華あんかけごはん、ほうじ茶の豆乳花など。両レッスン内容の指導は、慶応義塾大学医学部教授・坪田一男氏によるもの。なお、レッスン代は4,000円(120分)で、1回完結となる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月25日6月15日、日本アルコン株式会社によるセミナー「レーシック手術の現状と課題」が開催された。現在、日本で視力矯正を必要とする人は8,700万人にものぼるといわれており、年間で40万件ほどとされるレーシック症例数は、今後も増加することが予測される。こうした背景から、今後は一般の方にとっても、レーシック手術に対する正しい知識を持つことが、より重要になっていくと考えられるという。レーシックとは、「Laser in situ Keratomileusis」というギリシャ語の頭文字をとったもので、「角膜上に行うレーザー治療」という意味になる。慶応義塾大学医学部眼科学教室教授の坪田一男氏によれば、「1990年にギリシャの医師が考案して以降、安定した手術結果から、今日まで世界中で約1,800万件の手術が行われている」とのこと。アメリカで1995年、日本では2000年から、それぞれFDA、厚生労働省がレーシックに使用するレーザーを認可したことで普及していった。現在、アメリカでは年間100~150万件、日本でも40万件の症例数があるという。1997年から15年間、5万人以上の患者を手術してきたという坪田教授は、こう説明した。「レーシック手術とは、角膜の中に新しいレンズをつくるようなものです」具体的な手術の流れとしては、点眼麻酔を行ったのち、フラップと呼ばれる薄い膜状に角膜表面を削り、めくって現れた角膜の実質層にレーザーを照射して一部を削る(蒸散させる)。こうして角膜の屈折矯正を行い、めくっていたフラップを戻すことで、近視、遠視、乱視など、あらゆる屈折異常を治療することができるという。会場では手術内容の紹介として、坪田教授が娘さんに手術を行った様子がモニターに映し出された。手術時間はわずか15分程度。さらに手術が終わった瞬間、「わー!前よりよく見える!」という娘さんの声が聞こえたところで「術後すぐに視力が回復するのもレーシックの大きな特徴のひとつです」と語った。2009年、都内の眼科診療所で角膜矯正屈折手術(レーシック手術)を受けた患者が角膜感染症に罹患(りかん)する事件が起きた。この発覚以降、手術に対する多くの偏見やレーシック難民が生まれたのではないだろうか。しかし、坪田教授はいう。「レーシックは安全な手術です」第一に、手術を行うにあたっては「角膜の厚みが十分でない(手術後の角膜の厚さを400μm以上残さなくてはいけない)」「近視や乱視の度合いが非常に高い」など、不適応となる基準が明確に設定されている。このため、手術にあたっては念入りな事前検査が行われるのが当たり前だそうだ。こうした情報については、「安心LASIK(レーシック)ネットワーク」内の、「安心の条件」「10のチェックテスト」といったコンテンツに詳細なポイントが紹介されている。病院、クリニック、医師を選ぶ際は大いに参考にしてほしいとのこと。このほか海外の大規模な調査でも、手術後5年間の追跡調査を行ったところ、回復した視力は5年間ほぼ変化がなく、視力に影響するような重篤な合併症も現れなかったという。さらに、全調査期間中を通して80%以上の人が満足し続けているという結果も出ている。この80%という数字だが、20~30代の若い世代ではほぼ100%が満足していたのに対し、希望通り近視の矯正で視力は1.5まで回復したものの「やっぱり老眼で遠くが見えにくい」などの理由で40代以降の人が「やや不満」と回答した例が多かったという。ちなみに「やや不満」までを含めると、全期間でほぼ100%となる。続いて、アメリカ・クリーブランドクリニックのロナルド・クルーガー氏が、アメリカの最先端治療の現場について語った。先述したように、レーシック手術では角膜表面を削ってフラップをつくるが、この際、以前はマイクロケラトームという電動カンナのような機械を使うのが主流だった。しかし現在では、「フェムトセカンドレーザー」という新しいレーザー光線を照射する機器を用いた術式がシェアを拡大しているという。この点についてクルーガー氏は、現在使用しているアルコン社の製品を例に挙げ、「操作性が高く、手術中の眼圧上昇が抑えられ、薄く均一なフラップが従来の約1/3の速さでつくれる」など、治療の正確性・安全性を向上させる機器を用いた手術システムの台頭をアピール。最後に「今後は日本にも、こうしたスタイルがどんどん導入されていくことを願っています」として講演を締めくくった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月18日