意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「沖縄本土復帰50年」です。もとは独立国家。虐げられてきた歴史に目を向けて。50年前の5月15日、アメリカの施政権下にあった沖縄が日本に復帰しました。沖縄は、古くは琉球国という約450年続いた独立国家でした。明治政府は1872年に琉球国を解体し、琉球藩に。1879年には廃藩置県により、沖縄県に生まれ変わります。「富国強兵」のスローガンのもと、近代国家の仲間入りを果たそうとしていた日本。沖縄は内地とはある種、支配・従属的な関係にありました。中央から派遣された役人や軍人は、沖縄を見下し「はやく大和になれ」と押し付けます。沖縄の人々は差別や偏見にさらされ、「私たちは日本人なのだ」という強い機運を生み、太平洋戦争末期、日本を守るために玉砕、集団自決を決行します。日本で、民間人が戦闘要員として駆り出されたのは沖縄だけです。1945年、米軍は沖縄に上陸し3か月にわたり激しい戦闘が繰り広げられました。沖縄県民の4人に1人が犠牲になり、日米合わせて約20万人の被害が出ました。沖縄戦は9月7日に幕を閉じ、アメリカに統治されることに。マッカーサー元帥は、太平洋地域に拡大した日本国の影響を弱体化させるため、沖縄・南西諸島を日本から分離させることにこだわりました。当時、ソ連や中国を筆頭に共産化の波が押し寄せており、東の果ての防波堤として、沖縄を所有することはアメリカの安全保障上、大きな意味がありました。戦後、沖縄支配は日本からアメリカに移ります。やがて「島ぐるみ闘争」という、米軍支配への反対運動が勢いを増し、日本に復帰するか、独立するか、国連の統治下に置かれるべきか、沖縄住民の間でも意見が割れました。返還交渉は1969年に始まり、年末に最終合意。沖縄県内では「核抜き、本土並み」と核の持ち込み禁止、沖縄と本土が格差のないように扱ってほしいと訴えていました。しかし、裏で秘密協定が結ばれており、沖縄返還に関する費用は日本国が負担し、核の持ち込みも密約では認められていたことがのちに明らかになりました。沖縄には、いまなお米軍基地の約7割が集中しています。国家の安全保障のなかで、沖縄県民の思いを無為にしてきた歴史があることを忘れないでほしいです。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年05月21日元女優の堀北真希さんの妹でモデルのNANAMIが5日、京セラドーム大阪で開催された「EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 SPRING & SUMMER」に出演した。アパレルブランド「CFT.」のステージに登場したNANAMIは、ふわっとした白いアウターにゆるめの白いパンツという春の装い。耳、首、腕にはゴールドのアクセサリーで引き締めた大人のコーディネートだった。「KANSAI COLLECTION」(関西コレクション)は、2011年2月に大阪で誕生したファッションとエンターテインメントのイベント。22回目となる今回のテーマは、「エンターテイメントの再創」=「Re.Entertainment」。ライブやイベントなどの抑制によりエンターテインメント業界のカタチが変貌しつつある今、以前よりもクリエイティブで生の臨場感あふれる時間を体験してほしいという思いが込められている。撮影:蔦野裕
2022年03月05日引き続きコロナ禍にあった2021年。2022年はいったいどうなるの?読者を代表してイラストレーター・五月女ケイ子さんが堀潤さんに“世界の課題”について聞きました!テーマは「バランスが変化する世界情勢。いまこそ国際協調を!」です。コロナ禍で加速した飢餓問題。SNSを使い私たちにもできる支援を!堀潤(以下、堀):世界情勢は、2022年も深刻になるでしょう。世界的に飢餓が進んで歯止めがかからなくなっています。国連WFPによると2019年には約2700万人だった餓死寸前の飢饉に陥っている人が、直近で4500万人まで跳ね上がってしまいました。五月女ケイ子(以下、五月女):そんなに急激に!?新型コロナの影響ですか?堀:コロナと紛争ですね。コロナ禍によって生産活動が続けられなくなったり、紛争やテロにより、その土地に安心して暮らせないことも重なって、すごい勢いで増えています。飢餓が増えれば、不満はあふれます。スーダンでは再び軍事クーデターが起こり、アフガニスタンではタリバンが息を吹き返し、エチオピア、ナイジェリア、イエメン、イスラエル、パレスチナ、ミャンマーなどで混乱が起きています。さらに多くの国々で拡大すれば世界が分断しかねない状態です。五月女:どうしたらいいんでしょう?堀:先進国が経済的支援や、国と利害が対立してしまった勢力との橋渡しをするなど積極的に関わることだと思います。いまこそ国際協調。余力のある国々が世界の飢饉に目を向けて、手当てすることをやっていかないといけないと思います。五月女:2021年はアメリカがアフガニスタンから撤退して、また混乱しちゃいましたよね?堀:支援の仕方を考えなければいけないんですよね。いままでの資本主義の支援は、開発した国や企業から利益を吸い上げて、その土地には申し訳程度に分配していました。持続可能な経済にするために、その土地で業を起こして、地域の人たちにちゃんと利益が分配できるようにしないといけないんです。アフガニスタンでは医師の故・中村哲さんがそういう活動をされていました。タリバン政権も、NGOなどソーシャルセクターの活動は大事だと認識し始めています。五月女:でも、日本で生活をしていると、NGOの方々の活躍ってあまり耳に入ってきません。私たちにできることはありますか?その土地のものを買うとか?堀:それもいいですが、やはりSNSで発信することだと思います。タリバンが好き放題できないのはSNSの時代だから。タリバンに女性教育を止めさせないよう、アフガニスタンの女性たちが抗議する姿をSNSで世界中に拡散することで、権力を監視し、抑制することができます。NGOの活動を知り、それを広く知らしめることも支援の一つ。私たちはその一役を担うことができるんですね。ほり・じゅんジャーナリスト。「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『モーニングFLAG』(TOKYO MX)、「ABEMA Prime」(ABEMA)ほか、レギュラー多数。そおとめ・けいこイラストレーター。オンラインストア「五月女百貨店」では、新年の商品も取り揃えている。LINEスタンプも展開。『乙女のサバイバル手帖』(平凡社)が発売中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月28日展覧会「RED 堀 清英 写真展」が、シャネル 銀座内のシャネル・ネクサス・ホールにて2022年1月19日(水)から2月20日(日)まで開催される。写真家・堀清英の創作活動を辿る展覧会「RED 堀 清英 写真展」は、写真家の堀清英に焦点を当てる展覧会。雑誌や広告等、幅広い分野で活躍し、特にアーティストのポートレイト作品で知られている堀は、詩人のアレン・ギンズバーグから多大な影響を受けている。たとえば、堀が東日本大震災後にまとめたシリーズ 「re;HOWL」は、ギンズバーグの代表作「Howl(邦題:吠える)」の冒頭の一節から触発され、現代社会にアイロニカルな視線を向けつつ作られた作品だ。一方、今回初公開となる表題作「RED」で堀が視線を向けたのは“自己の内側”。“自分とは何者か?”という問いの答えを追求する過程で、「自分自身を投影した、セルフポートレート」として、公園やごみ処理場、科学館といった様々な場所に佇む赤いワンピースの女性を写し出している。また、「RED」シリーズの他、シュルレアリスムからの影響が色濃く見て取れる1990年代以降の作品群や、創作活動の原点ともいえる手製のフォトブックなども会場に登場。三部構成での作品展示を通して、堀の創作活動、そして自己探求の過程を辿っていく。【詳細】RED 堀 清英 写真展会期:2022年1月19日(水)~2月20日(日)営業時間:11:00~19:00(最終入場18:30) ※会期中無休会場:シャネル・ネクサス・ホール住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F※入場無料※予約不要
2021年12月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「親ガチャ」です。階層の固定化をどのように崩していくのか。「親ガチャ」とは、カプセル玩具やソーシャルゲームの“ガチャ”になぞらえて、親や生まれる境遇を選べない状況を表す言葉で、国会でも取り上げられました。かつては「一億総中流」といわれ、どの家庭に生まれても平準化された暮らしがありましたが、いまは大きく変わってしまいました。一般的に親の年収ごとに400万円以上ならN(ノーマル)。1000万円以上ならR(レア)。3000万円以上ならSR(スーパーレア)、400万円以下はB、C、D…と、ゲームのランキングのように、年収と職業を符号させることがネット上で流布されています。階層化をまざまざと認識させるような手法は、社会の分断を加速させてしまいます。一番の問題は、階層移動が不可能な格差が固定化されていることでしょう。これまでは、個人の努力によって、いかなる家庭に生まれようとも望む暮らしが手に入れられるチャンスがありました。ところが、いまは頑張ったところでどうにもならない状況に追い込まれています。この問題の解決には政治の力が求められます。少なくとも、「機会の均等」について対策をとるべきでしょう。日本は教育への投資がGDP比率で圧倒的に低い状況にあります。大学までは国が無償で面倒をみる、給食費は国や自治体が税金でまかなう、タブレットやパソコンなどのデジタル機器・通信環境は家庭によって差が出ないように補助していくなど、方法はいくつもあると思います。アメリカのシリコンバレーでは、難民や移民、貧困層の子供たちに民間の企業が寄付を呼びかけるなど、教育機会を与えて人材育成に力を注いでいます。日本では孫正義さんが率いる財団で、進学や留学、研究などを志す若者たちのサポートをしていますが、民間企業全体ではそういうサポートがまだ足りていません。自分たちの国を支える技能者を育てるという観点からも、必要なことなのではないかと思います。子供たちを国や社会で育成するという視点が重要なのではないでしょうか。読者のみなさんも、自分が親になったときに、子供の人生が自分の年収で決まってしまう社会でいいのか?考えていただけたらと思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「中国TPP加盟申請」です。中国も台湾も加盟を申し出た。行く末に注目。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の始まりは、ASEAN(東南アジア諸国連合)や南米地域の経済連携でした。ところが、オバマ政権時にアメリカが加わることになり一気に色合いが変わりました。中国の台頭が目覚ましくなり、中国を牽制する連携が必要と、自由主義諸国の中国経済圏への対抗措置として交渉が進められるようになったのです。日本は最初は関心を示していませんでしたが、この巨大な貿易圏に入っておかなければ、将来孤立しかねませんし、最初からルール作りに参加しておいたほうがよいだろうと判断。反対意見もあるなか、民主党政権下で参加を決め、交渉を開始しました。ところが2017年、ようやく貿易交渉も合意したところに、トランプ政権が誕生し、アメリカはTPPを離脱。一気に、規模が縮小してしまいました。そこからは日本主導となり、2018年に11か国がTPPに署名しました。今年、バイデン政権になり、日本はアメリカのTPP復帰を求めていますが、バイデン大統領は静観しています。そんな折、中国がTPP加盟を申し出ました。習近平国家主席は当初からTPPに関心を持っていたらしく、米国が抜けたいまがチャンスだったんですね。中国は戦争という武力で圧力をかけることよりも、交渉のなかで自国に有利なルールを作り、中国の貿易圏に取り込むことで他国を経済的支配下におくことに注力してきました。TPPはその大きな入り口になるところでした。そこへTPP加盟を申し出て牽制に入ったのが台湾です。これには「中国は一つではなく、台湾は台湾」というメッセージが込められています。TPPの加盟には参加国全員の合意が必要です。中国を先に入れれば台湾やアメリカの加盟は不可能になるでしょう。また、台湾を先に入れれば中国を敵に回すことになり、アジア太平洋地域の緊張につながります。日本にとって頭の痛い問題なのです。TPPの先には、さらに国や地域を拡大した連携などの構想があります。政治と経済を切り離し、東アジア全体の安定につながるような交渉ができるといいのですが、そう簡単にはいかないでしょう。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年11月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京オリパラ」です。パラの成長を見た東京大会。認知に広がりも。東京オリンピック・パラリンピックは大会としては結果的に成功だったように思います。無観客でさまざまな制約があったにせよ、特にパラリンピックは過去の大会に比べると注目度もたいへん高く、史上最多の4403人の選手が参加しました。アフガニスタンでは開催直前に政変が起き、選手が大会に参加できず他国に逃れるという事態に。開会式では国連難民高等弁務官事務所の方が代わりに国旗を持って入場行進をし、最終的にはサポートを得て2人の出場が叶いました。女性選手も、LGBTQをカミングアウトする選手も、これまでの大会以上に参加が増えました。僕はパラリンピックの取材に関わっていましたが、会場内の感染対策は徹底していました。関係者はPCR検査を毎日無料で受けられ、毎朝専用アプリに体温を入力。それが自分のIDナンバーに紐づけられていました。誰か記入漏れがあると同じ取材グループ全員にメッセージが届き、入力を促すシステムで、すごく安心感がありました。こういうデジタル化された管理システムが街中でもできればと思います。日本のボランティアは、海外から高い評価を得ました。しかしそのバックヤードでは、1年延期により指揮命令系統や担当者の引き継ぎに不具合があり、ボランティアのみなさんに大きな負荷をかけてしまっていたようです。東京五輪は、政治的な抗議パフォーマンスが認められた初めての大会でもありました。女子サッカーなどでは試合開始前に選手が片膝をつき、女子砲丸投げの銀メダリストは表彰台で両腕をクロスして人種差別等に抗議を示しました(表彰台上でのパフォーマンスは本来は禁止)。Black Lives Matterなどの流れを受けたことが背景にあります。ミャンマーの選手の日本への難民申請が異例の早さで認定されたのも、オリパラという世界が注目する場だからできた判断だったと思います。今回、オリンピックよりもパラリンピックのほうが、理念をより体現した大会だった印象です。世界中の人々が集まり、出身国の政治状況を身近に知る機会になったのは、大きな財産になったのではないでしょうか。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「世界の気温1.5℃上昇」です。加速する温暖化。脱炭素に向けた新技術に注目。8月、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、今後20年以内に、世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5度に達するという予測を発表しました。これは3年前の報告よりも10年早まっています。温暖化は人間の影響により起きており、そのせいで熱波や豪雨、干ばつなどの異常気象が増加。気温の上昇は2050年頃にCO2の排出をゼロにしても1.5度、ゼロにならなければさらに上がり、脱炭素対策が急務であると警告しました。日本政府は4月、2030年度には‘13年度比でCO2を46%削減すると発表しています。しかし、産業界からは、それさえ難しいという声が上がっており、再生可能エネルギーの普及促進を政府に求めています。家庭でのCO2排出量削減は66%減が必要と国は試算していますが、個人でできる範囲は限られます。電力の使用量を可視化できる「スマートメーター」も個人で新たに設置するには高額です。国は街づくりと一体化して、効率的に電力を運用していく必要があるのではないでしょうか。環境省は、‘19年より省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」をウェブで公開。また、ステイホームで長時間使用するようになったエアコンのサブスク化の検討も進めています。新しい省エネ機種を購入するのではなく、月額使用料を支払い、導入しやすくする狙いがあります。また、大学や公的機関のインフラを再生エネルギー100%に変えていく試みも始めようとしています。企業に対しては、太陽光パネルの設置の義務化も提案されましたが、それには森林を切り開かなければいけなかったり、台風や土砂災害により太陽光パネルが産業廃棄物になってしまうという環境負荷の問題もあり、異論が出ています。そんななか、非常に薄いフィルム状の「ペロブスカイト太陽電池」が開発されました。世界で注目の次世代型太陽電池で日本でも研究が進んでいます。将来は自分の使用するエネルギーを、身につけているものでまかなう時代になるかもしれません。新しいテクノロジーに社会的関心が高まり、研究促進の後押しになるといいなと思います。ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフガニスタンとタリバン」です。タリバンの圧政を恐れ、逃げる国民。世界の監視が必要。8月16日、武装勢力タリバンがアフガニスタンのほぼ全域を制圧しました。タリバンは1996年に政権を樹立。しかし2001年、アメリカ同時多発テロの首謀者・ビンラディンを匿っているとして米軍などがアフガンを空爆、政権を崩壊させました。その後、約20年間、タリバンは駐留米軍や政府軍と戦闘状態にありましたが、前トランプ政権時に米軍が撤退することで合意。引き継いだバイデン大統領が5月から撤退を本格化させるとタリバンは次々に全土を掌握、首都を包囲されたガニ大統領は国外に逃れ、8月末の米軍の完全撤退前に政権が崩壊しました。元タリバンの兵士で、現在は現地で平和構築活動をしている方を3年前に取材したことがあります。そのときに、「シリア内戦やISの台頭など、世界の注目がアフガニスタンから外れていった。その空白(時期)が生まれると暴力が起きる」とおっしゃっていました。今回の制圧も急に進んだのではなく、ガニ政権は腐敗しており、タリバンの活動は近年活発化していたのです。旧タリバン政権は女性の教育や就労を認めず、男性家族が同伴しない外出を禁止。人権侵害だけでなく、反政府勢力となってからは無差別テロをたびたび起こすなど残虐性が増していると指摘する海外メディアもあります。復権による圧政を恐れた国民は、国外に逃れようと空港に押し寄せ、離陸する飛行機にしがみつき振り落とされて亡くなる悲劇も起こりました。そんななか、中国やロシアはいち早くタリバン新政権を支持すると表明しました。中国にとっては一帯一路構想の重要な地域なので、タリバンと良好な関係を築いておきたいのです。一昨年、アフガニスタンの緑化運動を進めていた中村哲医師が、武装勢力に殺害されました。現地には日本の人道支援に対して、強いリスペクトを持つ人が大勢います。こういうときこそ、アメリカかタリバンかではなく、市民の側に立ち、生活が安定するように関わり続けることが重要なのではないかと思います。いま現地では、激しい攻撃を受けながらも、女性たちが権利を求めて抗議活動を行っています。動向を注視しなければなりません。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナの治験」です。多くの治験が新薬の完成を早めます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がなかなか収まらないなか、急がれるのは治療薬の開発です。そのために行われるのが「治験」です。治験とは、新しい治療薬の候補が開発される過程で、健康な人や患者さんに使ってもらい、効果や安全性、副作用の有無などを確かめる臨床試験のこと。体を使って調べるため、もちろんリスクを伴いますが、検査費用の負担はなく日本では何かあればすぐさま医療機関による手厚いフォローが受けられます。現在、国立国際医療研究センターの治験管理室や「生活向上WEB」で、新型コロナの治験参加者を募集しています。「生活向上WEB」の募集案内によれば、自宅で服薬しながら病院に定期的に通い、7か月にわたり経過を調べる。通院は、自宅から病院まで専用タクシーが送迎。参加することにより、薬の開発は進み、社会貢献になると記されています。ただし、治験にはデータを採るのに適した検体でなければいけません。新型コロナの治療薬候補の場合、陽性患者で症状があり、ワクチンをまだ一度も接種していない成人男女が対象になります。あらゆる治療薬の開発に治験は欠かせません。日本での治験の数は近年増えていますが、先進国のなかでは下位に位置します。アメリカなどは医療費が高額なため、無料で治療を受けられる治験を希望する人は大勢いますが、日本では一定水準の医療が保険適用で受けられるので、無理して受けようという人は限られているのです。治験の数が足りない分は、アジアの他の国のデータを活用しますが、日本人の治療には、やはり日本人による治験の結果が必要です。たとえば、海外の製薬会社で新薬が開発されても、日本人の治験結果がなかなか採れないためその薬が日本に投入されない、もしくは日本向けには開発されないという問題が起きてしまいます。このことに厚労省は危機感を抱いています。治験については、まだ一般にはよく知られていません。政府はもっと広くアナウンスするべきではないでしょうか。新型コロナの治療薬も、多くの治験データ収集が、完成に少しでも近づけることになります。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「熱海土砂災害」です。突発的な災害に備えるため、住む地域を見直そう。7月、熱海市伊豆山地区にて大規模な土石流が発生し、約130棟の建物が被害に遭い、多くの死者と行方不明者を出しました。現地に行ってみると、典型的な土石流とは明らかに様子が違いました。これまでの現場では大岩や根から折れた木などが流れてきて、土は粘り気のある泥状でした。ところが今回は、土を踏むと膝まで埋まってしまうサラサラのシャーベット状で、足が掬われそうになりました。専門家の調査では、「盛り土」により造成された山が崩壊し、そのまま土砂となって流れていたことが判明。この場所の、度を越した盛り土問題は県も把握しており、業者に対して指導をしていたにもかかわらず、対策が取られていなかったことが問題になっています。土石流を引き起こしたのは短時間の集中豪雨。熱海市の72時間降水量は、過去最大量の1.3倍にあたる500mm以上だったことが分かりました。明らかに気象が変わってきているため、防災基準の見直しは必須でしょう。国土交通省は大規模盛土造成地の徹底調査を行っており、全国で5万1306か所存在していると昨年3月に発表していました。しかし、自治体に対し国が安全対策の必要性を伝えても、自治体には、民間業者に販売権利を撤回する権限はありません。また、この背景には、都市近郊に人口が集中し、土地のないところに土地を造成して住宅を増やさねばならないという近年の宅地開発の流れも深く関係しています。やはり自分の身は自分で守るしかないと思います。山や川が近い、液状化が起きるかもしれないなど、自分の住む地域に災害の可能性を少しでも感じているのならば、何らかの対策を検討する必要があります。熱海の土砂崩れの第一報は、公的機関の発表より前に住民のグループラインによって、「あそこが危ないらしい」と連絡が回ったそうです。集中豪雨はすさまじい雨音のため、広報車の避難アナウンスもほとんど聞こえなくなります。予期せぬ大規模災害を即座に察知するには、地域住民の連携による防災発信が大切になります。これからは、“地方創生と防災”が、住みやすさの大きなキーワードになると思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月25日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「育休法改正」です。現場の声を反映。男性が取得しやすい制度に。改正育児・介護休業法が成立し、2022年より施行されることになりました。この改正の大きなポイントは、「男性が育児休業を取りやすくするように定めた」ということです。これまでの男性の育休取得率は7.48%、1割にも達していませんでした。さらに、取得した人のうち、7割が取った期間が1週間以内。もっと長期に、必要なときに分割して何度でも取れるようにと、現場のお父さんお母さんの声が改正案には反映されました。これは大きな前進だと思います。現在、孤立してしまうお母さんの産後うつの問題が深刻です。また、僕も経験がありますが、働く男性にしてみたら、いったん長期間休んで前線を離脱してしまったら、元のポストに戻れないのではないかという怖さもあります。さらに、休めば残業代が減ってしまいます。そういう経済的理由からも育休は取りにくいものでした。改正後は新たに出産日から8週間の間に4週間の育休を取れ、子供が1歳になるまでに女性は2回、男性は最大4回に分けて取得することが可能になります。さらに、育休取得日の半分を上限に仕事をすることも認められます。給付金は育休開始時賃金の67%が支給され、厚生年金など社会保険料が免除されるため、実質、収入の8割程度が保障されることになります。これまでは正社員だけの制度でしたが、改正法では、働いて1年未満の非正規雇用でも育休を取れるように変更されました。ある調査で男性の5人に1人が、育休を取らなかった理由を「職場が育休制度を取りづらい雰囲気だったから」と答えています。「取っていいと思っているのか?」と上司に言われ、申請できなかったという例も聞きました。そんな職場の空気を是正するため、育休取得対象の男性に、会社は制度の説明をし、取得の意向を確認をすることが義務化されることになりました。日本は有給休暇も取得率が極端に低い。けれども休みを取りやすい会社のほうが生産性が高いという数字も出ています。休むことで仕事のパフォーマンスも向上します。子供の有無にかかわらず、休みが取りやすい職場に変わっていくことを期待したいですね。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「LGBT法案」です。LGBTと一括りではなく個別の課題解決を。与野党合意で進められていた、性的少数派をめぐる「理解増進法案」は自民党内の強い反対を受け、今国会での提出を断念しました。オリンピック憲章では、いかなる差別も認めず、ジェンダー平等を謳っています。オリンピック開催国でありながら、この法案が成案できないというのは恥ずかしい状況だと思います。2014年のソチオリンピックでは、ロシア政府が同性愛を認めないとLGBT運動を弾圧したため、各国の首脳は抗議の意を示し、開会式の参加をボイコットしました(日本は参加していました)。自民党内でも、稲田朋美議員をはじめ、LGBT当事者と対話を重ねてきた議員はなんとか成案させようと与党幹部に詰め寄りましたが、「家族観が壊れる」など、ベテラン議員からのクレームがついて進みませんでした。もともと野党は、ヘイトスピーチや、同性愛者という理由で入居を拒否されたり、社内で差別を受けたりすることを禁止する「差別解消法案」を提出していました。それに対して自民党はLGBTの人々の実情をまず知ってもらおうと「理解増進法案」を進めていました。結局、自民党案を修正する形で与野党合意したのですが、「差別は許されない」という文言に対して、与党内の保守派が「権利を与えることで、権利を極度に主張されると訴訟が起こり、かえって分断を生む。何をもって差別とするかを定義づけないかぎり法案は認められない」と強硬姿勢を崩さず、国会提出も叶わなかったのです。たとえ法律ができたとしても、差別感情を持つ人の意識が一変するわけではありません。理解を深めるためには、対話や交流の場を増やすことが肝要なのだと思います。残念なのは、この制度を決める国会議員の中に、公表しているLGBT当事者がほとんどいないということです。議員の多様性のなさにも問題があると言わざるを得ません。最初からLGBT法案に賛成か反対か、という二択から始めるのではなく、もっと小さな主語で、性別の問題で困っているさんの課題に対処するには、どんな方法があるのか。具体策を一つずつ見出すことが、状況改善の糸口になるのかもしれません。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年7月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「温室効果ガス46%削減」です。環境の問題だけではなく、経済の生き残り策 。4月に気候変動サミットが開かれ、各国が温室効果ガスの削減目標を表明しました。日本は2030年度までに2013年度比で46%削減するという新たな目標を掲げ、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」と発表。それまでの目標値は26%削減でしたから、一気に引き上げた形になります。ところが、環境問題に熱心に取り組む若い人たちが、その数字では足りないと、経産省前でハンガーストライキを行いました。パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°Cに抑えることを目標に定めています。そこまで効果を出すには日本は62%の削減が必要だと訴えたのです。ちなみに他国の目標値は、アメリカは2005年比で50~52%削減。EUは1990年比で55%以上減。イギリスは1990年比で78%以上減です。アメリカのバイデン大統領は、オバマ政権で謳われた、温暖化防止と経済格差是正の両方を行う経済刺激策「グリーン・ニューディール」をさらに強化し、「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」に4年間で総額2兆ドルを投入すると公約で掲げました。中国は、公害により健康被害が多く出たことを機に、環境対策に積極的になり、2030年までの温室効果ガス削減目標は2005年比で65%以上削減。また、2035年の新車販売でガソリン車をゼロに。電気自動車を中心に省エネ・新エネルギー車の割合を5割にし、残りの5割もすべてハイブリッド車にすると昨年秋に発表しました。欧米や中国の削減目標値が高いのは、環境対策がこれからの経済の主戦場になると踏んでいるからです。欧米の大手企業は、石炭や火力による電力に依存する企業とは取引しないと公言していますから、日本も再生可能エネルギーの比率を上げるなどの対処をしないと、このままでは世界の経済市場から日本の企業は排除されてしまいます。環境対策は、地球を守るというイデオロギー的なものから、産業の生き残り策に大きく変わったんですね。AIや再生可能エネルギーなど、あらゆるテクノロジーを駆使し、環境に負荷をかけない産業政策を、国が本格的にとる必要があるのではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月16日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月12日今春、東京・大阪にて上演された劇団☆新感線の舞台、Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』のディレイビューイング(ライブビューイングの録画上映)開催が決定した。『月影花之丞大逆転』は、1996年、2003 年に上演された『花の紅天狗』のスピンオフ作品を座付き作家の中島かずきが書き下ろし、かつて木野花が演じた爆発的なテンションの月影花之丞が再び登場する、新感線らしく笑いにあふれる作品。主演を務めたのは、劇団の看板俳優・古田新太。共演に、本作が劇団☆新感線には5度目の出演となる阿部サダヲ、初参加の浜中文一、西野七瀬というフレッシュな二人に加えて、劇団員からは河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ、そして安定の村木仁。月影花之丞はもちろん木野花が演じた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出により、大阪公演は残念ながら公演途中で休演となってしまったが、いのうえひでのり演出の王道、歌あり、笑いあり、強烈キャラ満載の、楽しくスカッと元気になれる作品を全国に届けるべく、50館以上の映画館でディレイビューイングを開催する。ディレイビューイングでは、突然の千穐楽となった4月26日(月)の公演より、大阪公演での演出変更シーンや、カーテンコール、ご挨拶などを15分程度にまとめた“おまけ映像”も本編上映後に楽しめる。また、会場ではオリジナル公演グッズである『Yeah郎くんペンライト』を用いて、観客と舞台が一体となって作品を盛り上げていたことから、この興奮をディレイビューイングでも体験できるよう、映画館でも『Yeah郎くんペンライト』を使用して鑑賞できることが決定した。ぜひ、貴重な映像とともにペンライトを使用したYellow/新感線『月影花之丞大逆転』ディレイビューイングを楽しんでほしい。【ディレイビューイング概要】2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』ディレイビューイング上映内容:本編の上映後に、大阪千秋楽(4月26日(月)公演より)の様子を“おまけ映像”として上映予定。上映時間:約145分 本編映像(125分)+おまけ映像(15分〜20分ほど)日時:2021年6月24日(木) 各劇場1~2回上映(予定)会場:新宿バルト9他、全国映画館50館以上にて上映(予定)※最新の上映館情報は公式サイトをご参照ください。※上映回数や上映時間は各劇場によって異なります。各劇場 HP、または各劇場へ直接お問い合わせください。※大阪府では条例により16歳未満の方で保護者同伴でない場合、終映が19:00を過ぎるためご入場いただけません。チケット料金:3,800円(全席指定・税込み)販売:各上映館公式サイト・窓口にて公式サイト:
2021年06月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「出入国管理法改正案」です。難民は犯罪者ではない。廃案後も対応是正を求める。日本の入国管理のあり方が国際的に問題視されています。まず、難民認定率が1.2%(2020年)と、とても低い。さらに、難民申請を却下された外国人が、入国管理の施設に長期間収容されていることも問題になっています。家族と引き離され、無期限勾留のような状況で、体調を崩してもきちんとした手当てが受けられません。扱いが非人道的ではないかと、国連からも再三勧告を受けていました。今国会では出入国管理法の改正が審議されました。改正案には、難民認定手続き中は強制送還が停止されるという規定を3回目以降の申請には適用せず、本国に送還できるという変更が含まれていました。しかし、内戦や封建的な軍政から命からがら逃れてきた人を母国に送り返せば、その人は殺されてしまうかもしれません。改悪案だと、多くの人が反対の声をあげ、3月に名古屋入管施設に収容中だったスリランカ人女性が死亡し、その管理状況が問題視されたことも受け、与党は今国会での審議を断念しました。難民申請をしている人が本当に難民なのかを判定するのは確かに難しいです。パスポートはもとより、その人を証明するものがないからです。けれども、難民=犯罪者ではありません。ただ、入管庁は麻薬カルテルの一味や武装集団を入国させないよう水際を守るのが仕事ですから、入管庁の中で難民審査を行うこと自体に無理があると思います。たとえば、難民局を作り、難民なのか、虚偽の申請をする偽装難民なのかを審査できる体制を整える必要があるのではないでしょうか。日本は難民申請を厳しくする一方で、特定技能制度など、外国人労働者を受け入れる規制緩和はしてきています。労働力のためには門を開き、助けを求める人には閉ざすというのは矛盾しています。欧米には多民族、多文化の土壌があり、移民を国力に反映させる術を持っています。その点、日本は多様性を受け入れるのが不得意なんですね。廃案になっても難民に対する日本の対応は問題が残っています。もしも日本が戦争状態になり、自分が国を逃れ難民になったとしたら?と想像力を働かせて考えてみてほしいです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月05日タレントの堀ちえみが6月1日、都内で行われたGEヘルスケア・ジャパン「ポケットエコー Vscan Air 新製品記者発表会」に出席した。グローバルヘルスケアカンパニーのGEヘルスケア・ジャパンは、ポケットサイズの超音波診断装置「Vscan (ヴィースキャン)」の最新モデル「Vscan Air(ヴィースキャン エアー)」を発売。その記者会見に口腔がんや食道がんを患って闘病生活を送り、現在も治療中の堀ちえみが登壇して病気の早期発見の大切さを説いた。これまでの経緯について堀は「2019年に口腔がんを患い、ステージ4という告知を受けました、2019年2月に手術をし、悪性の部分を取り除いた結果、舌の6割以上を取って太ももの一部を移植しました。首にも転移(食道がん)していて、エコーに命を助けていただいたと言っても過言ではありません」と説明。手術から2年3カ月が経過した現在は通院のほかにボイストレーニングやリハビリに取り組んでいるそうで、「通院は耳鼻科と口腔外科、それぞれ3カ月に1回は受診しています。経過観察で検査をし、食道がんも経過観察で半年に1回は胃カメラを飲んで再発の有無を診ていただいております。リハビリはコロナ禍なので1カ月に1回、ボイストレーニングは1週間に1回、リモートで先生に2時間ご指導していただいております」と明かしつつ、「コロナも怖いですけど、がんも進行してしまうと非常に恐ろしい病気。そちらの方も対策をちゃんとしながら検査を受けて早期発見できるようにしています。今は全然元気で、喋り方が後遺症として残ってしまいましたが、職業柄話せるように毎日最低でも15分はリハビリとボイトレをやるように心掛けています」と将来を見据えていた。堀は来年3月にデビュー40周年を迎える。「コロナ禍ということもあって事前に決められないもどかしさはありますが、歌の方は変わらず1曲でも多く歌って皆さんにご心配をお掛けした分、安心していただけるように頑張りたいと思っています」と40周年記念コンサートに意欲を見せ、ファンの前で歌うことを「一つの目標にして頑張ります。そこは実現させます!」と力強く宣言。「喋り方も含めて以前と変わってしまった部分で最初は命が助かったけどこの先どうやって生きていこうかと思ったところからスタートしました」と改めてこれまでを振り返り、「落ちるところまで落ちたから後は楽しみしかありません。今はそういう気持ちです。辛いことがありましたけど、皆さんのお陰で生かせて頂いております。瞬間瞬間が楽しいと思えますし、今は大変な世の中ですが、辛い方に目を向けるのではなく、楽しいことや素晴らしいモノに目を向けて過ごす方が同じ生きていくのであればそっちの方がお得かなと思っています」と前向きだった。
2021年06月02日漫画家のセモトちかさんによる、不倫を描いた漫画『サレタガワのブルー』。漫画配信アプリ『マンガMee』で上位を獲得するなど、人気を見せています。そんな『サレタガワのブルー』がテレビドラマ化決定!発表にはネット上でも歓喜の声が上がりました。主人公・田川暢役を演じるのは俳優の犬飼貴丈さん。またW主演で、田川藍子役を演じるのは、2021年3月にアイドルグループ『乃木坂46』を卒業した堀未央奈さんです。2人のポスタービジュアルを、原作者のセモトちかさんが描いたオリジナルイラストも公開されています。『サレタガワのブルー』は、愛妻家のイケメン夫が、妻に不倫をされることから始まる新感覚不倫エンターテインメント作品。主人公・田川暢(たがわのぶる)はイケメン、デザイナーで高収入、愛妻家の誰もが羨むイイ夫。大好きな妻・藍子(あいこ)に尽くし、家事に仕事に努力を惜しまない。藍子も家事一切を仕切ってくれる暢に優しく、ラブラブな2人。一見幸せそうな夫婦生活を送っていた暢だが、ある事実を目の当たりにする。彼が見たのは職場の上司との不倫を全力で楽しんでいる藍子の姿だった…。「まさか藍子さんが…そんなはずはない…」優しく可愛らしい藍子が自分を裏切るはずがない。だがそんな願いは届かなかった…修羅場を迎え、自分の欲望に忠実に生きる藍子に、復讐を決意する暢。「いい女はね、自分の望みは確実に全部叶えるの」暢に、史上最凶の不倫妻を裁くことはできるのか!?ドラマイズム「サレタガワのブルー」ーより引用原作者の、セモトちかさんは「田川暢役の犬飼貴丈さんはまさに思い描いていたご本人だった」と、配役が決まった時には驚きと感動で声が出たといいます。また、堀未央奈さんについても、「撮影現場でプロ根性を見た」と絶賛。ドラマ『サレタガワのブルー』は、TBS・MBSで同年7月13日の深夜から放送です![文・構成/grape編集部]
2021年05月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「Z世代」です。世界中で抱える問題。解決の鍵となるZ世代。バブル世代と氷河期世代は「X世代」、‘80~‘90年代半ばに生まれたゆとり世代は「Y世代」、‘90年代半ば~2010年代初めに生まれた若者たちは「Z世代」と呼ばれています。Z世代に注目が集まるきっかけとなったのは、人権運動家のマララ・ユスフザイさんや環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんの登場でしょう。ティーンエイジャーが、人権や地球環境が脅かされている窮状をSNSを通じて訴え、それらを守ろうとするアクションは世界で同時多発的に起こりました。そうして、経済至上主義とは別の新しい幸福の価値観を広げていきました。日本のZ世代は、小学生~中高生の多感な時期に東日本大震災や原発事故を体験しています。義務教育課程で環境や人権、SDGsについて学び、働き方は会社員ベースから、フリーランスベースに移行しつつあります。国や集団に属さずに、強い個として生き抜く新自由主義者がフィーチャーされた時代を経て、人々は戦いに疲れてしまいました。さらに自然災害が頻繁に起こり、景気は回復せず、格差は広がるばかり。個人の力ではどうしようもない状況に陥っています。そんな背景のもと、多様な個が足りない部分を補填し合い、困難を共に乗り越えようとする「コミュニタリアニズム(共同体主義)」がZ世代に広がっていきました。社会環境は目まぐるしく変化しています。人権や環境部門に積極的でない企業は投資の対象にならなくなり、SDGsというゴールを目指さねばなりませんが、大人たちは策がなく困っています。以前、ベンチャー企業と大手企業をマッチングさせる取り組みを取材したとき、大企業の社員はZ世代の新しい感性や価値観をサービスに取り入れようと、熱心に若い起業家たちの意見を聞いていました。これまでは若者の意見といえば、流行物やギャル語など、トレンドとして取り上げられる程度でした。しかし、今後は、デジタルネイティブのZ世代から新しい知見を学び、大人は資本やマーケットを若者に提供するなど、ウィンウィンの関係を築く必要があると思います。互いに協力しなければ乗り越えられそうにない問題が世界に山積みなのです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年5月26日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年05月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米中外交」です。体制の違いにより対立が顕著に。注視が必要です。アメリカの外交政策を、国際協調から「アメリカ第一主義」に大きく方向転換したトランプ前大統領。バイデン大統領は2月の演説で、「アメリカは戻ってきた」と世界に向けてメッセージを発し、再び協調体制に戻すこと、失われた同盟関係を修復することを宣言しました。問題は対中国です。就任前には「弱腰になるのでは?」と推測する声がありましたが、それを覆すかのようにバイデン政権は中国に強い姿勢を示しています。人種や宗教によって差別することは許さないと、新疆ウイグル自治区や香港、東南アジアに対する中国の挑発的な支配姿勢を批判。「中国の経済的虐待に立ち向かう」「人権や知的財産、グローバルガバナンスに対する中国の攻撃を押し返す」などと表現しました。中国への強硬姿勢は、トランプ時代と変わりませんが、バイデン大統領は「アメリカの国益となる場合は、中国政府と協力する用意がある」と付け加えることも忘れませんでした。しかし、米中関係は日に日に緊張感を増しています。3月に行われた米中外交トップ会談では、人権に反する中国の行為を非難したアメリカに対し、「内政に干渉する行為には断固として反対」と、中国側は強く反発しました。中国は自らを民主国家と謳いますが、民主主義の定義が私たち自由主義国とは異なり、最終決定権はすべて中国共産党にあります。バイデン大統領は、中国が民主国家に変わることを期待していたのですが、体制の違いは露わになるばかり。3月末の記者会見でバイデン大統領は「21世紀における民主主義と専制主義のどちらが機能するかの闘い」と発言し、対立を極めました。習近平国家主席は、オバマ政権のころには「G2」として、中国とアメリカで世界の秩序を作ることを呼びかけていました。ところがトランプ政権になり対立関係に。本音ではビジネス上で繋がっておきたい両国ですが、不当逮捕や弾圧が日常的に行われる国相手では安心して投資はできません。今後、たとえば台湾をめぐり、米中関係がさらに悪化した場合には、日本の米軍基地から中国にプレッシャーをかける可能性も。他人事ではいられないのです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。新しい朝の報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~8:00)が放送中。※『anan』2021年4月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年04月16日現在、東京建物Brillia HALLにて上演中の劇団☆新感線の舞台、Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』のライブビューイング(生中継)開催が決定。3月20日(土・祝)に全国の映画館、約80スクリーンに登場する。本作は1996年、2003年に上演された『花の紅天狗』のスピンオフ作品を座付き作家の中島かずきが書き下ろし、かつて木野花が演じた爆発的なテンションの月影花之丞が再び登場。『月影花之丞大逆転』を上演するにあたり、劇団☆新感線は、JR新幹線を安全に走行させるために、点検や診断を行う黄色い新幹線、ドクター・イエローから着想を得て、“デキない”ことを悩むのではなく、「密にならない、短い上演時間で、新感線らしい、観たお客様が元気になる作品」を創るべく、タイトル前に“Yellow/新感線”と名付けて発進した。主演を務めるのは、劇団の看板俳優・古田新太。共演に、本作が劇団☆新感線には5度目の出演となる阿部サダヲ、初参加の浜中文一、西野七瀬というフレッシュなふたりに加えて、劇団員からは河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ、そして安定の村木仁。月影花之丞はもちろん木野花が演じる。いのうえ演出の王道、歌あり、笑いあり、強烈キャラ満載の、楽しくスカッと元気になる、そんな作品を全国に届けるべく約80スクリーンの映画館でライブビューイング(生中継)を開催。現在上演中の東京建物Brillia HALLでは、オリジナル公演グッズである『Yeah郎くんペンライト』を用いて、観客と舞台が一体となって作品を盛り上げているが、この興奮をぜひライブビューイングに参加する観客も体験できるように、今回はライブビューイング会場となる映画館でも『Yeah郎くんペンライト』を使用して鑑賞できる。【ライブビューイング概要】2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』ライブビューイング日時:3月20日(土・祝)13:00 / 17:30公演※2回上映。映画館によってはどちらかの回のみの上映になります。会場:新宿バルト9他、全国映画館約80スクリーンにて上映(予定)※最新の上映館情報は公式サイトをご参照ください。チケット料金:4,600円(全席指定・税込み)販売:3月13日(土)より各上映館公式サイト・窓口にて※上演館販売の詳細は各実施館公式サイト等にてご確認ください。公式サイト: <備考>・上映会場となる映画館で公式グッズの「Yeah郎くんペンライト」を振りながらご鑑賞いただけます。※ペンライトの購入方法・使用方法等の詳細は公式サイト参照・上映館での公演パンフレットの販売を予定しております。主催:ヴィレッヂ配給:ヴィレッヂ / ティ・ジョイ【公演概要】2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線 『月影花之丞大逆転』作:中島かずき演出:いのうえひでのり出演:古田新太、阿部サダヲ / 浜中文一、西野七瀬河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ村木仁 / 木野花東京公演:2月26日(金)~4月4日(日) / 東京建物Brillia HALL大阪公演:4月14日(水)~5月10日(月) / オリックス劇場公式サイト:
2021年03月08日2021年劇団☆新感線41周年春興行Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』が、本日2月26日に東京建物Brilliaホールにて開幕。初日開幕に合わせて、劇団☆新感線主宰・演出のいのうえひでのり、出演を代表して、古田新太、阿部サダヲ、浜中文一、西野七瀬、木野花からコメント、そして舞台写真が到着した。劇団☆新感線は、JR新幹線を安全に走行させるために、点検や診断を行う黄色い新幹線、ドクター・イエローから着想を得て、“デキない”ことを悩むのではなく、「密にならない、短い上演時間で、新感線らしい、観たお客様が元気になる作品」を創るべく、名付けて“Yellow/新感線”として発進。今作は、新感線らしく笑いにあふれる作品にしたいという想いから、1996年と2003年に上演された『花の紅天狗』のスピンオフ作品を座付き作家の中島かずきが書き下ろし、かつて木野が演じた爆発的なテンションの月影花之丞が再び登場。いのうえ演出の王道、歌あり、笑いあり、強烈キャラ満載の、楽しくスカッと元気になる作品を届ける。主演を務めるのは、劇団の看板俳優の古田。共演に、本作が劇団☆新感線には5度目の出演となる阿部、初参加の浜中、西野というフレッシュな2人に加えて、劇団員からは河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁が参戦。月影花之丞はもちろん木野が演じる。今回の出演者は11人と少人数ではあるが、劇場を埋め尽くすべく、強烈なキャラクターたちが所狭しと走り回るとのこと。18年の時を経て、帰ってくる月影花之丞の活躍をお見逃しなく。●劇団☆新感線主宰・演出:いのうえひでのりここ数年では最少人数の公演になりましたが、その分ギュッと詰まって、2時間で満腹になるちょうどいい感じの公演だと思います。最初からそうでしたが、稽古を通して、木野さんの面白さ、すごさ、木野さんありきの芝居であることを改めて認識しました。この作品は昭和のいろいろな名作へのオマージュを散りばめているので、40代以上の方には楽しんでいただけると思います。後半の大ネタが、某家庭教師のCMの国民的アニメでもお馴染みの世界の名作に着想を得たので、若い方にはインターネットなどで予習してベーシックなところを押さえていただけたら楽しんでもらえると思います!中身はないですが演劇への熱い魂と勢いだけで面白おかしく作った作品です。閉塞感のある日々ですが、大いに笑ってしばし浮世の憂さを忘れてもらえたらと思います。【A】稽古を経ての手応え【B】稽古中の印象深いエピソード【C】本作の見どころ【D】お客様へメッセージ●古田新太【A】おいら以外のメンバーは大丈夫です。【B】木野(花)さんのテンションが無軌道すぎて素敵だった。【C】木野さんのテンションとなーちゃん(西野七瀬)の可愛さ【D】おじさんとおばさんがふざけているので、楽しみにしてください。●阿部サダヲ【A】まず着替えが大変そう(笑)でもこういう公演は久しぶりなので楽しみです!!あと、稽古中ずっとマスクしてたので、やっと役者さんの顔を見てお芝居出来るのが嬉しいです!!【B】木野さんがパニックになって何度か奇声を発してらっしゃいました。【C】新感線の公演でこれだけ役者の人数が少ない公演は珍しいですし、劇団モノなので1人何役かやって歌って踊って劇中劇も楽しめて2時間で終わる!!いいですよね!【D】観に来て頂いた方々に、笑って、元気になってもらう事を一番に考えて作られた公演だと思うので、何も考えず楽しんで頂きたいですし、楽しんで頂ける様にこっちも何も考えずに全力で演るのでよろしくお願いします!!●西野七瀬【A】共演者の皆さんとも打ち解けられてきたので、今まで積み重ねてきたことを劇場にいらっしゃったお客さんにしっかりと届けたられたらと思っています。【B】私にとって全てが初めてのことだらけで、お芝居や動き方、いただいたアドバイスや劇場の雰囲気など、一つ一つのできごと全てがとても印象深いものになっていっています。【C】たくさんありますが、タイトルにもなっている月影先生に注目しています。本番では何を発言し、どういう行動をとるのか、全員が読めないので、私自身も本番を楽しみにしています(笑)。【D】来ていただいた方に、楽しかったな来て良かったなと思ってもらえるような、笑っていただける時間になってくれたら嬉しいなと思います。【初の劇団☆新感線の感想】すごく楽しく、居心地が良く、今こうして皆さんとご一緒できていることがとても幸せです。●浜中文一【A】とても楽しい作品です。皆さんの面白いお芝居を見て僕もすごく勉強させてもらってます。【B】木野さんが唯一アドバイスをくださったのが、劇中劇で僕が演じるヤギでした。【C】阿部さん、古田さんが若い僕より運動量が多い所。木野さんのぶっ飛び具合。西野さんの器用さ、可愛いさ。僕のインターポール。【D】観ると決めたら、何も考えずぼーっと観に来てください。そしたら僕たちが楽しませます。【初の劇団☆新感線の感想】ここまでやってみたら次はフルスペックの新感線に出たいという欲が出てきました。頑張ってまた呼んでもらえるようにやりたいと思います。●木野花【A】いのうえさんの嵐のような段取りもなんとか身体に叩き込んで、みんなの集中力、テンションもどんどん上がってきて、お門違いな情熱の暴走に拍車がかかってきました。【B】みんなマイペースなんです。掛け声かけなくても、それぞれ勝手に全力投球してる感じで、最年長の私があまり年齢差を意識しないで、気楽に稽古出来た心地よい稽古場でした。【C】大逆転するのは、月影花之丞だけではありません。劇団に集まる問題ありきの役者達を、奇想天外な演劇論で次々に大逆転させる花之丞のダメ出しも見所の一つです。【D】安全、安心を第一に、なおかつ演劇の要素を最大限に駆使した、新感線らしい型破りなエンターテインメントは健在です。バカバカしいことほど全力投球、身体を張って、お待ちしております。【公演概要】「2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』」作:中島かずき / 演出:いのうえひでのり出演:古田新太、阿部サダヲ、浜中文一、西野七瀬、河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁、木野花公式サイト: ●東京公演:2021年2月26日(金)~4月4日(日) 東京建物Brillia HALLチケット料金:S席 14,000円 / SD席 14,000円 / AD席 11,000円 / ヤングチケット2,200円(全席指定・税込)お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)●大阪公演:2021年4月14日(水)~5月10日(月) オリックス劇場チケット料金:S席 14,000円 / SD席 14,000円 / AD席 11,000円 / ヤングチケット2,200円(全席指定・税込)チケット一般発売:2021年3月7日(日) 10:00お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~16:00 / 日・祝日は休業)企画・製作:ヴィレッヂ劇団☆新感線
2021年02月26日香取慎吾主演で描く、SNSでの誹謗中傷をテーマにした「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」の第5話が2月22日放送。明かされた咲良の“過去”、万丞との共通点に「切ない」などといった反応が寄せられている。香取さん5年ぶりの民放ドラマ出演作にして、33年ぶりのテレビ東京ドラマ出演となる本作は、警視庁が試験的に新設したキーボードによる殺人=指殺人(ゆびさつじん)専門の対策室「警視庁指殺人対策室」=通称「指対(ゆびたい)」を舞台にした物語が展開。過去に相棒を“暴走”させ瀕死の重傷を負わせてしまったことで、捜査一課から外れ指対にやってきた一匹狼の刑事・万丞渉に香取さん。指対で万丞の相棒となる碓氷咲良に関水渚。指対の“特定担当”菅沼凛々子にMEGUMI。デジタル担当・四宮純一に清水尋也。指対室室長・越谷真二郎に勝村政信。万丞に“見殺し”にされたという以前の相棒・倉木セナにシム・ウンギョン。倉木のことで万丞に憎しみを抱く捜査一課の刑事・羽鳥賢三に山本耕史といった顔ぶれが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。5話では指対に人気の動画配信者・さわてぃ(橋本淳)から依頼が。さわてぃに対するSNSでの誹謗中傷が1か月ほど前から突然増加。発信元を調べ、その相手にDMを送ると「死んで詫びろ」と強い口調の返信があり怖くなったという。さわてぃが心当たりのある人物として挙げたのは星野秀一(萩原利久)。さわてぃによれば自身のオンラインサロンで星野の暴言がひどくなったため強制退会させたという。調べを進めると星野が現実世界だけでなく、ネットの世界でも居場所を失ってしまった存在だということが判明。周囲と上手く折り合いをつけて生きればいいと話す菅沼に対し、咲良は「ちょっとしたことがきっかけで社会と接点なくしちゃう人っていると思う」と星野に肩入れする。さらに調べを進めるとさわてぃがネット上で星野をいじめていた可能性があることがわかる。星野の方が被害者だと憤る咲良は“暴走”、さわてぃに星野への謝罪を求め、それをさわてぃが動画で話したことでネットが炎上。星野はさらに追い込まれていく…という展開に。「星野に入れ込み過ぎだ」と咲良の単独行動を咎める万丞に、咲良は3年前、高校時代からの友人が自ら命を絶ったことを告白。その友人は元々人付き合いが苦手で職場でも孤立。彼女から助けを求められたにも関わらず、自分に言い訳して結果的に無視したことが彼女の死につながったと後悔の念を口にする咲良に、自らも倉木を救えなかった過去を明かし「俺もお前と同じだよ。二度と同じ思いをしたくない」と応える万丞…2人のやり取りに「咲良ちゃん、真っ直ぐなところ好きだけど心配だわぁ」「咲良の過去を聞いている時の万丞さんの横顔が切ない」「万丞さんも咲良も抱えている苦しみを少しでも話せて良かった」などの声が。その後、さわてぃが生配信しているところに星野が現れ、刃物を突きつけるが、羽鳥らが阻止。すると星野は自らの腹を刺す…という展開に。一命をとりとめた星野の病室から出てきた咲良を万丞が待つラストには「病室の外で咲良を待ってる万丞さん、柔らかい表情で咲良もニッコリ」「お互い 自分の気持ちをうちあけた事で 絆が深まった回だったと思う」といった反応も多数寄せられていた。(笠緒)
2021年02月23日香取慎吾主演、SNSでの誹謗中傷をテーマにした新感覚クライムサスペンス「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」の2話が2月1日にオンエア。香取さん演じる万丞がポロッと漏らした“手をつなぐ派”発言にネットがざわめいている。“匿名”を意味する言葉“アノニマス”をタイトルに冠する本作は、社会問題となっているキーボードによる殺人=指殺人の被害者を救うため、警視庁が試験的に新設した「警視庁指殺人対策室」=通称「指対(ゆびたい)」を舞台にストーリーが展開する。第1話は世帯平均視聴率は7.3%を獲得(関東地区、ビデオリサーチ調べ)、月曜午後10時開始の同局ドラマ枠では歴代最高1位になり、さらにTwitterトレンド1位を記録。大きな注目を集めた。キャストは元捜査一課だがある事件をきっかけに第一線から外され、指対に異動となった万丞渉に香取さん。その万丞の相棒となる碓氷咲良に関水渚、指対のメンバー・菅沼凛々子にMEGUMI、同じく指対の四宮純一に清水尋也、指対室室長・越谷真二郎に勝村政信、万丞に対立する捜査一課の羽鳥賢三に山本耕史といった顔ぶれで、2話には芹沢亜里沙役で深川麻衣、日下部翔平役で田中俊介がゲスト出演した。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。指対に亜里沙が相談に訪れる。ネットで炎上中の店員を土下座させる動画で、“土下座男”の隣にいる女性が亜里沙だというデマが拡散。顔写真や勤務先も晒されたことでひどい誹謗中傷を受けているという。動画が撮影された時刻彼女は勤務中で、動画を解析した結果、亜里沙は動画の女性と別人であることも判明するが、越谷が記者会見をしたことでネット炎上が加速。AV出演疑惑も浮上し、さらに亜里沙のカバンから誹謗中傷する怪文書が見つかる。追い詰められた亜里沙が被害届を取り下げたことで捜査の続行が不可能になる指対だが、納得できない咲良は捜査を続け、万丞は勤務先の会社への威力業務妨害、信用棄損罪なら親告罪ではないと捜査を続けることを提案。その後、翔平の母が2人を別れさせるため怪文書を仕込んだことがわかる…というのが今回のストーリー。所轄で土下座男と女性が映った監視カメラの画像に違和感を抱く咲良。カップルが腕を組んでいるように見えたその画像、実は男が女性を押さえつけていることを見抜く。その際、画像の違和感に気づかない万丞に咲良は「女性と腕組まないんですか?」と問いかける。「組まない」と答える万丞に、咲良は「手つなぐ派ですか?」とさらに質問。すると万丞は「うん」とうなづく…。思わず漏れた万丞の“手つなぎ派”発言に「さくらちゃん最強だな手を組む派か、手を繋ぐ派か聞くか」「恋人と手を繋いでいる万丈さんを想像すると…」「そこは思わず表情に釘付けになりました」などのコメントが相次ぐ。また配信されたばかりの香取さんによる主題歌「Anonymous」にも「主題歌めちゃめちゃカッコいい」「メロディと緩急がすごく素敵」「嬉しい想いがあふれて涙が止まらない」などの声が続々と寄せられている。(笠緒)
2021年02月02日劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』が2~4月に東京で、4~5月に大阪で上演される。その製作発表記者会見が行われ、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのり、出演の古田新太、阿部サダヲ、浜中文一、西野七瀬、そして木野花が登壇した。2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』チケット情報“Yellow/新感線”とは、通常は出演者スタッフと100名を超える大所帯で作品を届ける劇団☆新感線が、それが難しいコロナ禍でも「密にならない」「短い上演時間」で、劇団☆新感線らしい「観たお客様が元気になる作品」をつくるべく生まれたもの。今回は、『花の紅天狗』(’96年初演・’03年再演)のスピンオフ作品を中島かずきが書き下ろし、木野花が演じた月影花之丞が再び登場する。会見には、キャストは皆おそろいのジャージ姿で登場したが、木野だけは月影先生スタイル。独特の雰囲気を漂わせながら木野は今作について「初演、再演とやり残し感があったので、今回リベンジのつもりで稽古に臨んだのですが、毎日泣きたい気分です…」とこぼす。その理由は、いのうえ作品特有の「段取りの多さ」が原因だと明かすが、古田からは「書いてない台詞を言う」「おいらは“じいじ”という役なのに、“ばあば”と呼んでしまう(笑)」など段取り以外のエピソードもどんどん飛び出し、会場は爆笑に。「あれはキャストを楽しませようとしているんですか?」と問われた木野は「そんなつもりはないの!でも花之丞をやろうとすると木野花が崩壊していく感じが…」と弁明。しかし阿部も「木野さんには“先生”というイメージがあって、完璧に台詞を言ったり、完璧な動きができたり、すごくちゃんとした方だと思っていたのですが、今は『どういう人なんだろう』とちょっと分からなくなってきました(笑)」、初参加の浜中も「木野さんが話すだけで面白くなっちゃう」、初舞台の西野も「居心地のいい場所だと感じました」と明かすなど、木野がつくりだす空気がそのまま作品の魅力になっている模様だ。作家の中島が、前作今作と「(頭の中の)木野さんに書かされたような感じ」と話すと、木野は「私、あんなじゃないよ!」と笑うが、「いえいえドキュメンタリーですよ。昔、高田聖子から『木野花さんはこんなに面白い演出をする』と聞いて、ゲラゲラ笑いながら『それはいつか芝居にしたいね』と言ってできたのが『花の紅天狗』ですから」と花之丞誕生秘話も。演出のいのうえも「この時期に明るく笑い飛ばせる芝居はこれしかないと上演を決めました。本当に18年経ったのか?というくらい変わらない楽しい稽古場です」と話し、今こそ観たい作品になりそうだ。東京公演は2月26日(金)から4月4日(日)まで東京建物 Brillia HALL、チケット発売中。大阪公演は4月14日(水)から5月10日(月)までオリックス劇場にて上演。3月7日(日)一般発売開始。取材・文:中川實穂
2021年02月01日2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線「月影花之丞大逆転」の製作発表記者会見が1月25日、都内で行われ、脚本を手掛ける中島かずき、演出のいのうえひでのりをはじめ、出演する古田新太、阿部サダヲ、浜中文一、西野七瀬、木野花が出席した。Yellow/新感線は、新幹線の設備を検査するための事業用新幹線車両の愛称であるドクターイエローにちなみ、“密にならない、短い上演時間で、新感線らしい、観客が元気になる作品”を届けるべく立ち上げられた劇団☆新感線の新シリーズ。今回上演される「月影花之丞大逆転」は、1996年と2003年に上演された「花の紅天狗」のスピンオフ作品で、中島は「あくまで月影花之丞シリーズの第2弾。『花の紅天狗』の続編ではありませんので、ストーリー的には前を知らなくても楽しめる」と説明した。その上で「キャストに木野さんもいることだし、月影を復活させては思ったら、いのうえも同じ気持ちでおりまして。温めてきたアイデアを総ざらいに、突っ走るような、あっという間に終わる芝居になった」と強い手応え。いのうえは「こういう状況ですし、重い話はやめておこうと。明るく笑い飛ばせるお芝居なら、月影しかない。探り探りのチャレンジですが、月影花之丞は演劇の神様に愛されたキャラクター。祈りの思いを込めて成功させたい」と意気込みを語った。18年ぶりに月影花之丞を演じることになる木野は「よもや、もう1度演じられるとは思っていなかった」としみじみ。「正直“しめたっ”と思いました。初演、再演とやり残し感がとてもあって。気持ちはリベンジ」と意気込む一方、「いのうえさんのダメ出しが、情け容赦なく私に襲い掛かってくる(笑)。段取りもどんどん厳しく増えていくので、毎日泣きたいです」とも。それでも「ほぼ全編笑いですけど、根底には演劇愛、そして劇団の力がある。深いなと思うセリフもあるし、このバカバカしい芝居を命がけで本気出したら、いいものになるんじゃないかなと思う」と期待を寄せていた。稽古場での苦労を語る木野の言葉に乗じて、古田は「混沌とした稽古場です(笑)。木野先生がまったく段取りを覚えられないんで!書いていないセリフを言い出すし、あれ、どういうつもりなんですか?」と苦笑い。「くだらないことを一生懸命考えておりますので、ぜひ皆さんもガッカリしに劇場に来ていただければ。高い金払って、こんなにガッカリすることあるんだって」とユーモアを交え、アピールした。木野と古田の掛け合いについては、阿部も「すごく楽しい」と太鼓判を押した。一方、新感線の舞台に初めて立つ浜中は「個人的に『木更津キャッツアイ』が印象に残っているので、古田さん、阿部さんと一緒に舞台に立てるのが本当にうれしいですね」と感慨しきり。そして、西野にとっては、今回が初舞台となり「私にとっては未知の世界。(稽古の)初日は緊張しすぎて、誰の目も見られなかった」と明かす場面も。そんな西野に対し、木野は「ここが初舞台って、幸運なんじゃないかと。ここを体験すれば、たいていの舞台は大丈夫だし、自信がつけば、この先もっと楽しくなるはず」とアドバイス。古田も「とりあえず、大きな声出していればいいから!」と助言を送った。「月影花之丞大逆転」は2月26日から4月4日まで東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、4月14日から5月10日まで大阪・オリックス劇場にて。東京公演のチケットは1月30日10:00、大阪公演のチケットは3月7日10:00に販売開始される。取材・文:内田涼2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線「月影花之丞大逆転」2021年2月26日(金)~4月4日(日)東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)2021年4月14日(水)~5月10日(月)大阪・オリックス劇場作:中島かずき演出:いのうえひでのり出演:古田新太、阿部サダヲ / 浜中文一、西野七瀬 / 河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁 / 木野花※Yellow/新感線の「/」は雷マークが正式表記。
2021年01月26日2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』のビジュアルが公開された。コロナ禍における新しい劇団公演を模索する中、劇団☆新感線が、「密にならない、短い上演時間で、新感線らしい、観たお客様が元気になる作品」を創るべく、Yellow/新感線として発進。JR新幹線を安全に走行させるために点検や診断を行う黄色い新幹線であり、走行の希少さから、見た人は幸福になるとも言われている、ドクター・イエローから着想を得て、コロナ禍でも劇団☆新感線を求める観客へ笑顔を届けるべく、そしていつかこれまで通りの大規模な公演ができる日に向けて、Yellow/新感線として走り出す。上演する内容は新感線らしく笑いにあふれる作品にしたいという想いから、1996年、2003年に上演された『花の紅天狗』のスピンオフ作品を座付き作家の中島かずきが急遽書き下ろした。かつて木野花が演じた爆発的なテンションの月影花之丞が再び登場し、いのうえ演出の王道、歌あり、笑いあり、強烈キャラ満載のネタもの的な、楽しくスカッと元気になる作品となっている。公開されたビジュアルは、キャスト全員の強烈な姿が切り取られている。ビジュアルコンセプトは、「劇団月影花之丞が上演してきた人気公演のキャラクターに扮した劇団員たち」。それぞれの作品&キャラクターは劇団月影オリジナルではあるが、懐かしの名作やら人気の作品への愛あふれるリスペクトの数々が散りばめられている。(注:今作の本編に登場するとは限りません)■公演2021年劇団☆新感線41周年春興行Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』作:中島かずき演出:いのうえひでのり出演:古田新太、阿部サダヲ / 浜中文一、西野七瀬河野まさと、村木よし子、山本カナコ、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁 / 木野花公式サイト: 東京公演:2021年2月26日(金)~4月4日(日)東京建物Brillia HALL*2021年1月7日発令の緊急事態宣言を受けて、夜公演の開演時間を変更大阪公演:2021年4月14日(水)~5月10日(月)オリックス劇場
2021年01月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「子供・若者白書」です。自己肯定感の低い若者たち。長所を伸ばせる社会に。内閣府が毎年国会に提出している「子供・若者白書」。2019年に発表された「日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」が話題になりました。これは‘18年の冬に7か国の13~29歳の男女を対象に行われた調査で、国際競争力や結婚観、自ら切り拓く力など、日本の国力に関わる若者の実態を知ることが目的で行われました。この結果、日本の若者は他国の若者と比べて、自己肯定感が低い傾向にあることがわかりました。「自分自身に満足しているか」という問いに対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を含め、イエスと答えた若者は、日本は5割に届きません。ところがアメリカは「そう思う」が57.9%。肯定的回答を合わせると、欧米諸国はほぼ8割を超えています。「自分に長所があると感じているか」という問いには、「そう思う」と断言する日本の若者はわずか16.3%。他の6か国は日本の倍近く、さらにそれ以上の高い割合で「そう思う」と答えています。日本の若者の自己肯定感の低さは、自分は役に立たないと感じる「自己有用感」の低さが関わっているようだと内閣府は分析しています。一方で、家族に大切にされていると感じる若者は多く、海外留学や海外居住を求める割合は低い。堅実で謙虚な優しい日本の若者像が浮かび上がりました。なかでも気になったのは、「よく嘘をつくか」という問いに7割の若者が、つかないと答えている一方で、「人は信用できないと思う」という設問に肯定的回答をした割合が5割以上。これは、政府のモリカケ問題や桜を見る会の問題、ブラック企業やいじめを隠蔽しようとする学校など、社会に対する不信感の表れなのではないかと思います。「うまくいくかわからないことに意欲的に取り組むか」という設問にはイエスとノーの回答がほぼ半々でした。成功体験の有無が影響しているのかもしれません。1月11日は成人の日。若者たちがそれぞれの特性に応じて活躍できる環境を、社会として作るべきではないでしょうか。若者のみなさんには、とるに足らない人間なんていないのだから、好きなことを追求して長所を伸ばしていってほしいと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が昨年公開された。※『anan』2020年1月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「脱ハンコ」です。無駄な手続きを省くのが目的。押印否定ではない。菅政権になり、書類に押印をする手続きを簡略化しようと「脱ハンコ」の動きが官民で急速に進んでいます。コロナ禍のなか、テレワークが推奨されながらも、経理部門などでは、押印のためにわざわざ出社しなければいけないというような事態になっていたことも、改革の後押しとなりました。ただ、河野太郎行政改革大臣も話していましたが、政府はすべての押印をなくそうとしているわけではありません。印鑑証明や銀行印、契約書の押印などは残ります。そもそもハンコの問題ではなく、書類申請や申し込みなど、責任を分散させるために何人もの承認印を押させるなど、煩雑だった手続きを見直すことから始まりました。契約書の押印も、実は民法上では必須ではありません。口約束でも証明さえできれば契約は成立します。ただ、たとえば裁判になったとき、「自分で判を押した」ということが本人の承認意志の有無の証明になるため、押印を求められることが常になっているのです。インターネットの登場とともに電子取引が増え、2001年には電子署名法が施行されました。しかし、電子認証の申請手続きのハードルが高く、なかなか利用されませんでした。その後、テクノロジーが発達し、民間企業の方で電子署名の仕組みが進み、2017年以降、電子契約サービス市場は急速に伸びています。2018年に約37億円程度だったのが2023年には198億円になる見込みです。コロナ禍で契約者数が増え、電子契約サービスを導入している日本の法人数は300万社前後にのぼりました。Eメールの登場で、逆に、手書きの文書が特別なものになったように、今後、印を押す行為は文化として継承されていくのではないかと思います。脱ハンコは菅政権の行政改革の「1丁目1番地」。デジタル化の一つとして進められました。安倍政権のころから提案されていた事案。代替サービスもありますし、押印の必要性は法的根拠もなく、なんとなく皆が続けていた古い産業形態だったので、おそらく誰も反対はしない。ここにメスを入れるのは、菅総理にとって、手柄を立てるのにもってこいのテーマだったんです。堀潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。※『anan』2020年12月23日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年12月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「大阪都構想」です。大阪をきっかけに、都市のあり方の再検討が進めば。11月1日、大阪都構想についての住民投票が行われ、反対多数で否決されました。大阪都構想とは、大阪府が「都」になることではありません。大阪市を廃止して、4つの特別区として再編。東京23区のように地域ごとに行政区を割って、地域特性を生かし細やかな地域サービスを実現。広域的な行政は大阪府が行うという提案でした。これまで大阪府も大阪市も同じように権限を持ち、財源もあるため、「二重行政」となって税金の無駄遣いになっていると問題視されていました。たとえば、大阪府で高層商業ビルを建てたのに、同じようなビルを大阪市でも建てたり。あるいは、府がやろうとすることに市が反対し、プロジェクトが進まないというような事例も重なり、大阪の産業の衰退を招いたといわれてきました。それを解消しようと当時、府知事だった橋下徹さんと松井一郎さん(現在の大阪市長)が中心となり、2010年に「大阪維新の会」が立ち上がり、大阪都構想を掲げたのです。2015年に住民投票をしましたが否決。今年2度目の住民投票も再否決され、廃案になりました。大阪維新の会は新自由主義的な政党なので、競争させて無駄は省くという考え方。コストカットの側面から、行政サービスが悪くなるんじゃないか、というのが反対派の見立てでした。廃案になったものの、菅総理は「大都市制度の議論に一石を投じた」と提案については一定の評価を示しました。実際、平成の大合併により、多くの市町村の再編が行われ、同じ市のなかでも中心部は潤うが山間部は廃れるといった格差も生まれてしまいました。逆に、合併を選ばなかった村が地域特性を生かして発展していったケースも。社会的ニーズが多様化し、生活環境が変化に富むいま、暮らしや財政の基盤となる行政はもう少しミニマムにしていったほうが、隅々にまで目が届くのではないかと思います。松井市長は、その後、大阪市を残したまま区の権限を強くする8つの「総合区」を設置する条例案を来年2月に市議会に提案すると表明。大阪に限らず、これを機に地方行政のあり方を再検討する動きが進むことを望みます。堀潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。※『anan』2020年12月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年12月08日