2月7日(金)今夜の日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」は、番組で行われた劇場版『名探偵コナン』視聴者投票で第1位に輝いた『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』をオンエアする。劇場版『名探偵コナン』シリーズのなかで「金曜ロードSHOW!」において過去3年以内に放送したものを除く15作品から“いまあなたが一番見たい作品”を選んで投票してもらい、1位となった作品を放送する今回の企画。51万144票の投票のなかから77,991票を獲得し第1位に輝いたのは、2000年公開のシリーズ第4弾『瞳の中の暗殺者』となった。物語は警察官を標的にした連続射殺事件が発生し、コナンの目の前でも事件が起きたこともあって小五郎と共に目暮警部から情報を聞き出そうとするが、どこか目暮警部の様子がおかしい。そんななか、白鳥警部の妹の結婚パーティが開催。ホテルに多くの警察関係者が招待されコナンと蘭も会場に向かうが、そこで蘭と一緒にいた佐藤刑事がトイレで撃たれてしまう。佐藤刑事は重体、気を失っていた蘭は意識を取り戻すが、様子がおかしい。白鳥警部の主治医で心療内科医の風戸の診断によると、蘭は佐藤刑事が撃たれたショックで記憶喪失に。さらに犯人の顔を目撃していた蘭が命を狙われる…という物語。江戸川コナン役の高山みなみ、毛利蘭役の山崎和佳奈、毛利小五郎役の神谷明、工藤新一役の山口勝平、目暮警部役の茶風林、灰原哀役の林原めぐみらお馴染みのキャストにくわえ、塩沢兼人、湯屋敦子、井上和彦らも参加。豪華な声優陣にも注目。1997年からスタート、7作品連続で興行収入最高記録を更新するという驚異の成績を樹立した劇場版『名探偵コナン』シリーズの最新作となる『名探偵コナン 緋色の弾丸』は4月17日(金)より全国にて公開。劇場版24作目となる最新作は、日本で開催される4年に1度の世界最大のスポーツの祭典と、その開会式に併せて開発された真空超電導リニアを巻き込んだ未曾有の大事件が発生し…という展開。最新作の公開を前に、多くの支持を集めたシリーズ屈指の名作をじっくり味わってみては!?金曜ロードSHOW!『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』は2月7日(金)今夜21時~日本テレビ系でオンエア。(笠緒)
2020年02月07日2016年5月より、声優・神谷浩史が声を担当することで復活を遂げた、「クレヨンしんちゃん」の人気キャラクター“ぶりぶりざえもん”。この度、今年放送26年目に突入した長い番組の歴史の中でついに「ぶりぶりざえもんのえかきうた」が誕生。もちろん神谷さんがレコーディングを行い、自らえかきうたのポイントを語るコメントが到着した。ぶりぶりざえもんは、野原しんのすけのおえかきから生まれた“救いのヒーロー”。だが、ヒーローでありながらたった3時間しか稼働できない上、毎回高額な“おたすけ料”を請求。さらに「私は常に強い者の味方だ」と言ってあっけなく敵に寝返ってしまうという、清々しいほどの卑怯者な一面も。そんなナンセンスな設定が人気を集め、原作はもちろんのことテレビアニメや映画で大活躍。しかし2000年、ぶりぶりざえもんの声を務めていた塩沢兼人さんが不慮の事故により他界。以降、ぶりぶりざえもんはセリフなしでの登場となっていたが、昨年5月より「ONE PIECE」トラファルガー・ロー役や、「夏目友人帳」夏目貴志役、「進撃の巨人」リヴァイ役、「おそ松さん」松野チョロ松役で知られる実力派声優の神谷さんが声を担当することとなり、見事復活を遂げた。今回発表された「えかきうた」は、「クレヨンしんちゃん」のテレビアニメの監督・ムトウユージが作詞を担当。ぶりぶりざえもんのチャームポイントである大きな鼻をめだまやきに例え、「ふたごのめだまやき~ラッキー皿からはみだした~」というフレーズから始まる覚えやすい歌に。神谷さんは、「子どものころよく見ていたアニメ番組には、必ず“えかきうた”がありました。この歌も子どもたちに覚えてもらえるのかなと思うと、本当に夢のようです」と話し、「レコーディングではぶりぶりざえもんらしく、気取った感じを意識しながら歌いました」とコメント。また、えかきうたのポイントについて「2つのめだまやきをイメージして鼻を描くこと!少しぐらい間違えてもOKですので、口ずさみながら思い思いのぶりぶりざえもんをいっぱい描いてくれたらうれしいです!」とアピール。そして、ぶりぶりざえもんの声優に就任した直後は「偉大な先代の後を継ぐというプレッシャーの中、まるで平均台の上を歩いていくかのような感覚で堅苦しく役作りを考えてしんどかった」と思いを明かす神谷さん。しかしいまは「1年間かけて少しずつしんちゃんのキャラクターと触れ合い、視聴者の皆さんにも受け入れていただく中で、楽しみながら“神谷版ぶりぶりざえもん”というものに挑戦していけるかなと思えるようになりました。『クレヨンしんちゃん』という素晴らしい作品のキャストのひとりとして名前がクレジットされるなんて、本当に役者冥利に尽きるなと感謝しています!」と語っている。なお、この「ぶりぶりざえもんのえかきうた」は、8月4日(金)の放送から番組内でオンエア。放送に先立ち、7月15日(土)に開幕される「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」内の「クレヨンしんちゃんオラのRAKUGAKI部屋」で一足先にお披露目される。さらに、この部屋には壁一面に子どもたちが自由にらくがきできるスペースが用意されており、なんとレコーディングを終えた直後、神谷さんが自ら歌いながら初めて描いてみた、貴重なぶりぶりざえもんのイラスト色紙も展示される。「クレヨンしんちゃん」は毎週金曜日19時30分~テレビ朝日にて放送。※「ぶりぶりざえもんのえかきうた」は8月4日(金)の放送からオンエア(cinemacafe.net)
2017年07月07日昨年、マンガ連載開始から25周年を迎え、今年の4月には“テレビアニメ25年目”に突入したTVアニメ「クレヨンしんちゃん」。この度、記念すべきアニバーサリーイヤーにふさわしく、伝説のキャラクター・ぶりぶりざえもんが16年ぶりに復活!さらに、新声優に超人気声優・神谷浩史が決定!前任者の塩沢兼人から大役を受け継いだいまの心境を語った。現在、シリーズ24作目にして、劇団ひとりが脚本に携わり、ゲスト声優に安田顕、吉瀬美智子、とにかく明るい安村が登場することでも話題の『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』が大ヒット公開中のアニメ「クレヨンしんちゃん」。25周年を迎えますます人気が高まるなか、5月13日(金)と20日(金)の2週連続で、16年ぶりにあの“ぶりぶりざえもん”が堂々の蘇りを果たす。ぶりぶりざえもんとは、「クレヨンしんちゃん」の主人公・野原しんのすけのお絵描きから生まれた“救いのヒーロー”。しかし、ヒーローでありながらたった3時間しか稼働できないばかりか、高額なおたすけ料を請求。しかも「私は常に強い者の味方だ」と言ってあっけなく敵に寝返ってしまう、清々しいほどの卑怯者。そのナンセンスな設定が人気を集め、原作をはじめ、アニメや映画でも大活躍。TVアニメでは彼が登場する「ぶりぶりざえもんのぼうけん」がシリーズ化されたほどだ。しかし、2000年、声優を務めていた塩沢さんが不慮の事故により他界。以降、ぶりぶりざえもんがアニメに登場することはあってもセリフなしの出演となっていた。そんな中、先週のTVアニメ放送の予告編にぶりぶりざえもんが登場!SNS上では、一体どんな復活劇をみせるのか?声優は誰が務めるのか?と様々な憶測が飛び交い、大賑わいをみせた。大注目を浴びる中、超人気声優の神谷さんが新ぶりぶりざえもんの声に決定!「ワンピース」「進撃の巨人」「おそ松さん」「夏目友人帳」シリーズなど、数多くの人気作品でメインキャストを務め上げ、「第10回声優アワード」では最多得票賞を5年連続受賞し、殿堂入りを果たした実力派声優。その活躍の場は幅広く、『ハンガー・ゲーム』シリーズではピータ役の吹き替えを担当、人気ラジオ番組のレギューラを持ち、アーティストとしても幕張メッセイベントホールにてライブを行うなど高い人気を誇る。前任者の塩沢さんとは奇しくも誕生日が同じ1月28日で、所属事務所「青二プロダクション」の後輩にあたる。大先輩の後を継いでぶりぶりざえもんの声を担当するにあたり、神谷さんからコメントが届いた。「『青二プロダクションにぶりぶりざえもんが帰ってきた!』と喜ぶ弊社のスタッフを見て、塩沢兼人さんと同じ事務所の後輩として心から幸せを感じています!僕の気持ちをここに全て書ききることはできませんが、とにかく!いままでの色々なものが結実してぶりぶりざえもんに辿り着いていたのだとしたら、本当に声優を続けていて良かったと思えます!クールでセコくておねいさんが大好きでお金にがめつくて、ブタのくせに人間より人間くさい…僕としては珍しく共感しかないキャラクターなので大切に演じて行ければと思っています!偉大なる先代を知っている方もそうでない方も、温かく見守っていただければ幸いです!」。今回の起用についてムトウユージ監督は「16年のときを経て、いまの時代にぶりぶりざえもんが出来るのはこの男しかいない。ニヒルな面と卑怯者の面、そのギャップをうまく表現してくれている」と絶賛。本シリーズきっての名物キャラ・ぶりぶりざえもんが、主人公・しんのすけとともにはじめる新たな冒険に期待大だ。アニメ「クレヨンしんちゃん『ぶりぶりざえもんの冒険覚醒編』」は5月13日(金)19時30分~、『ぶりぶりざえもんの冒険閃光篇』は5月20日(金)19時30分~、テレビ朝日系24局にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年05月12日映画監督、脚本家の新藤兼人氏が5月29日に亡くなった。映画監督として数々の名作を残しているけれど、脚本にも注目作品が多い。その新藤氏が関わった鉄道映画の名作が、1960年公開『大いなる旅路』だ。監督は関川秀雄氏で、新藤氏は脚本を手がけた。主演の三國連太郎は国鉄機関士の青年から壮年までの30年を演じきった。実際に起きた鉄道事故が制作のきっかけで、全編を通じて鉄道機関士の真摯な生き方を描く作品であると評価され、当時の国鉄の協力を得た。大正末期。主人公の岩見浩造(三國連太郎)は蒸気機関車の助手(窯焚き)だ。同期で親友の佐久間太吉(加藤嘉)は、東京鉄道教習所の試験に合格しエリートコースへ。しかし浩造は不合格となり、ふてくされて仕事に身が入らない。そんな浩造を諭す先輩機関士、橋下(河野秋武)と乗務した貨物列車が、雪崩を避けきれず脱線転覆する。浩造は助かったが、橋下は「事故を知らせろ」と言い残して死ぬ。現場に復帰した浩造は、新婚の妻(風見章子)と通り過ぎる列車を眺め、「列車を守る人がいるから乗る人が安心して眠っていられる。俺達は一番大事なものを預けられていた」と決意を新たにする。生まれ変わった浩造は、堅実に仕事を続ける。次男が生まれる頃には機関士に昇格。3男1女に恵まれた。だが長男は徴兵され、後に戦死してしまう。次男は父の思いを受け継ぎ、東京鉄道教習所に合格。浩造の運転する列車で東京へ。三男は予科練に志願した。戦後を迎えて社会が落ち着くと、今度は長女が自由恋愛になびいて去ってしまう。「みんな出ていってしまって、育てた甲斐がない」と嘆く妻に、「子供なんて、みんなそんなもんだよ」と浩造は諭す。戦後も浩造は機関士として働く。その間、次男は佐久間の娘と結婚、その一方で三男の死など、喜びや悲しみが積もりゆく。そんな中、浩造の働きが認められ、国鉄本社で表彰されることに。功績章を胸に付けた浩造と妻は、次男が運転する「こだま」に乗り、旅を続ける……。機関士という仕事に向き合ってきた主人公と家族のドラマ。脱線事故のほかに大きな山場もなく、ミステリーのようなトリックも、大仕掛けで盛り上がる場面もない。しかし、ラストシーンでは人生の重み、家族の絆などさまざまな思いが蘇り、感動の波がわき上がる。映画製作のきっかけとなった事故は1944(昭和19)年、山田線で起きた。機関車が雪崩で崩れた鉄橋にさしかかり転落。28歳の加藤岩蔵機関士が死亡し、機関助士も負傷した。加藤機関士は労働組合の殉職者名簿において、「死ぬ間際まで安全のため職務を全うした機関士」として記録された。機関助士も、負傷しながらも事故防止に尽力したと讃えられている。このエピソードを知った新藤兼人氏が映画製作を立案。脚本を手がけて関川秀雄氏に提供したという。主人公の名前は「岩見浩造」であり、殉職した加藤岩蔵機関士から「岩」の字を取ったといえる。映画公開後、事故現場に記念碑も建てられた。映画では、老練な橋下機関士が壊れた時計を示し、「これが発生時刻だ、すぐに知らせに行け」と指示している。これも実際のエピソードによるものだという。この場面を撮影するにあたり、山田線浅岸駅のスイッチバックで本物の機関車を脱線させた。国鉄上層部が特別に許可したという。映画に使われた機関車は8620形だが、事故にあった機関車はC58 283号機で、戦後になって引き上げられ、再び山田線を走ったとのこと。物語の舞台は盛岡機関区だ。映画でも、同機関区に所属していた蒸気機関車がたくさん登場する。形式までは追いきれないものの、二軸貨車も多く登場し、まるで「動く貨車カタログ」のようだ。浩造が担当する列車はほとんどが貨物列車で、当時の日本の物流の主役は貨物列車だったと実感できる。戦時の物資不足を示すエピソードとして、蒸気機関車に供給する石炭の質の悪さに苦労する機関士のセリフがある。終盤には電気機関車や電車も現れ、30年の時の流れを表現している。それにしても、約90分の映画で30年分も歳を取るにもかかわらず、俳優陣の演技が見事だ。まるで30年間ずっと撮影し続けたかのように見えてしまう(予告編によると撮影は2年間にわたったそう)。アルバムをめくりながら、長い歳月を振り返ったような感覚になる。ちなみに三國連太郎は、同作品に出演する2年前、老人を演じるために歯を10本抜いたというエピソードがある。この作品でもそれが役に立ったようだ。主人公以外の配役では、浩造の次男に注目。なんと若かりし頃の高倉健だ。新人鉄道員を演じ、花形列車の151系ビジネス特急「こだま」を運転する。この若い”健さん”が後年、『新幹線大爆破』で犯人役となり、北海道の小さな駅を描いた映画『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)の主人公となるのだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月24日5月29日(火)に老衰のため逝去した新藤兼人監督(享年100歳)の通夜と告別式が6月2日(土)と3日(日)に増上寺(東京・芝公園)にて行われ、監督の作品に出演した俳優陣や後進の映画監督など多くの映画関係者が参列した。増上寺の光摂殿に設置されたやや丸みを帯びたシルエットの祭壇は、監督の代表作『裸の島』の舞台である広島県・三原市の宿祢島(すくねじま)をイメージしたもの。その中央に飾られた遺影は遺作となった『一枚のハガキ』の撮影現場でのワンショットで、会場には今年1月に亡くなった音楽家の林光さんの手による『一枚のハガキ』ほか、数々の新藤作品を彩った音楽が流された。2日(土)の通夜で弔辞に立ったのは『午後の遺言状』、『墨東綺譚』など数多くの作品に出演した津川雅彦。「僕の最後のラブレター」と語るこの弔辞で、津川さんは先日、監督が亡くなった直後に送った「おめでとう」という言葉を撤回。死の直前まで監督がうわごとで映画の撮影の話をしていたということに触れ「先生の執念に参りました!降参です」と語り、「先生、愛してます」と思いをストレートに伝えた。『墨東綺譚』撮影中に80歳の誕生日を迎えたが、それ以来、監督は新作を撮るごとに「これが最後」と語っていたという。「みんな騙されてるけど、『みなさん、さよなら。これでおしまい』と仰ってから6本も撮った。狼少年みたいなものだけど、とうとう本当になっちゃった…」と寂しそうに語っていた。『三文役者』に主演した竹中直人は、報道陣の呼びかけに足を止め「深い感謝の思いを伝え、『三文役者』の思い出を語りました。優しい素敵なお顔をされてました」と語った。この日は関係者およそ1,000人が参列。豊川悦司、竹中直人、奥田瑛二、川上麻衣子、安藤サクラ、平田満、原田大二郎、渡辺大らも弔問に足を運んだ。翌3日(日)の告別式では『生きたい』、『ふくろう』、『石内尋常高等小学校花は散れども』、『一枚のハガキ』という晩年の4作に出演した柄本明が弔辞を読んだ。主演作『石内尋常高等小学校 花は散れども』では、小津安二郎の名作『東京物語』の撮影も行われた旅館で同窓会のシーンが撮影されたが、豊川さんなど主要キャストを前に、新藤監督は「車椅子から立ち上がって深々と頭を下げて『監督の新藤です。今日からよろしくお願いします』と仰った」(柄本さん)という。このときの感動を柄本さんは「『映画だな、僕たちはいま映画の中にいる!』と思った忘れられない奇跡の瞬間」だったと明かした。さらに『一枚のハガキ』の衣装合わせの席では、新藤監督は柄本さんに熱く役の説明をしながら、オナラを連発したとか。「何とめでたいことか。何と素晴らしいものか。人間生きていると仕事もするけど、オナラもするんですね」とユーモアたっぷりに巨匠との思い出を語った。柄本さんに続き、新藤組の助監督を長年務めた神山征二郎監督、終戦直後の『待ちぼうけの女』から新藤作品を観続けてきた映画評論家の佐藤忠男氏が弔辞を読み上げたほか、ロンドンでの舞台公演のために出席が叶わなかった大竹しのぶから弔電が届けられた。この日は大杉漣、六平直政、伊藤歩、麿赤兒、山田洋次監督らが出席したほか、人気子役の芦田愛菜の姿も。2人はこの春に行なわれたブルーリボン賞の授賞式で監督賞と新人賞受賞者として初めて顔を合わせ、新藤監督は「2年後、彼女の熱演にびっくりするでしょう」と次回作での愛菜ちゃんの起用に意欲をのぞかせていた。残念ながら愛菜ちゃん主演による新藤監督の50作目は幻となってしまったが、愛菜ちゃんは献花台に花を捧げ、最後の別れを告げた。そして午後1時過ぎに、新藤組の演出部、制作部のスタッフと原田大二郎、林隆三らに抱えられて棺は霊柩車へ。多くの涙と祈りに見送られての出棺となった。棺には監督が愛用した原稿用紙に、妻で1994年に亡くなった女優の乙羽信子さんが監督のために削り、監督が大切に持っていたという原稿執筆用の鉛筆、そして100歳の誕生日の折に送られたという寄せ書きが納められた。尚、新藤監督は2002年に文化勲章を受章しており、また『一枚のハガキ』は天皇陛下も試写会に足をお運びになったが、監督の逝去を受け宮内庁より遺族に電話があり、天皇皇后両陛下によるお悔やみの言葉が伝えられたという。■関連作品:一枚のハガキ 2011年8月6日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス
2012年06月04日「ぴあ映画生活」調査による8月5日、6日公開の映画・満足度ランキングは、99歳の新藤兼人監督の最新作『一枚のハガキ』がトップに輝いた。2位に香取慎吾主演で秋本治原作の人気コミックを映画化した『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』が、3位にハワイの伝統校を舞台に合唱コンクールに取り組む生徒たちを追ったドキュメンタリー『ワンヴォイス~ハワイの心を歌にのせて~』が入った。上位作品の写真1位の『一枚のハガキ』は、日本最高齢監督である新藤監督が自身の体験を基に、戦争によって翻弄される庶民の姿を描いた作品で、新藤監督は「映画人生最後の監督作」と宣言している。出演は豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政など。出口調査では「私が小学生のときに終戦だったので当時と重なるものがあり感慨深い」「戦争は人の運命を変えてしまうので、二度とするべきではないというメッセージが込められている」「1950年代を思い起こさせる古き良き日本映画」「命と瞬間を愛しむ人間の本質が描かれている」「力強い女性を演じた大竹しのぶの心の叫びが忘れられない」「観ていて悲しいが、笑いもあって夢のある作品」「新藤監督が残り少ない人生を注ぎ込み全力をかけて作ったことが伝わってくる熱い作品」などの声が上がり、公開初日が8月6日“原爆の日”ということもあり“戦争”に対するそれぞれの想いを語る観客が多かった。2位の『こちら葛飾区亀有公園前派出所…』は、2009年に香取主演で放映されたTVドラマシリーズの映画化。葛飾区亀有公園前派出所の巡査長、通称“両さん”の活躍を描く。アンケート調査では「笑えてラストで感動した。香取慎吾のキャラと役があっていてドラマ同様楽しめた」「思ったよりも人情の厚い作品で、面白かった」など、小学生から70代までの幅広い世代から好評だった。(本ランキングは、2011年8月5日(金)、6日(土)に公開された新作映画10本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2011年08月08日日本国内最高齢の映画監督である99歳の新藤兼人が自身、生涯最後の映画と公言している『一枚のハガキ』のプレミア試写会が7月13日(水)に都内で行われ、新藤監督と主演の豊川悦司、大竹しのぶが舞台挨拶に登壇。この日は、天皇皇后両陛下がご来場され、監督、キャストとご歓談。天皇陛下はその後、観客と共に映画をご鑑賞された。戦争に徴集され、仲間から1枚のハガキを預かった男が終戦後にその家族の元を訪問。そこで彼が見たのは、戦争で次々と家族を失いながらも力強く生きる女の姿だった――。1枚のハガキを通じて巡り合った男女の姿を通して戦争の悲惨さ、愚かしさを描き出す。車椅子で登場した新藤監督だが、挨拶になると立ち上がり客席に向かって深く頭を下げ「映画監督の新藤兼人です。今日は天皇陛下がいらしての特別試写会でございますが、みなさんもどうかご一緒にご覧ください」としっかりとした声で語った。豊川さんも大竹さんも本作への出演、そしてこうして試写会を開催できることへの感謝を口にした。最後に大竹さんは「陛下と新藤監督、スタッフ、そして私たちと共にこの映画を愛していただければ幸いです」と語り、会場は温かい拍手があふれた。なお、天皇陛下が新藤監督の作品を公の場で鑑賞されるのは1999年に日本映画名作鑑賞会で『裸の島』をご覧になられて以来、実に12年ぶりとなる。『一枚のハガキ』は8月6日(土)よりテアトル新宿、広島・八丁座にて先行公開、8月13日(土)より全国にて公開。■関連作品:一枚のハガキ 2011年8月6日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス
2011年07月13日日本映画界現役最高齢監督の新藤兼人が10月31日(日)、東京・六本木ヒルズ内で行われた、第23回東京国際映画祭の受賞者会見に出席し、監督引退発言を“撤回”し、次回作に意欲を見せた。コンペティション部門に出品した最新作『一枚のハガキ』で、審査員特別賞を受賞。これまで「映画作りはこれが最後」と語ってきたが、この日の会見では「世界には102歳の監督がいるらしい。103歳までやってギネスに載ってほしい」と熱い質問を受け、「死が直前に迫っていますから、98歳で後が短いですから固い約束はできません。これが最後と思ったけれど、誰か応援して下さる方がいれば、またやってもいいかなと思います」と次回作へ意気込み。また映画作りの信条について、「1950年に独立プロをたてて60年ほど経ちました。はじめからお金がなくて金策に奔走する毎日で、とにかく泣かないで、転んでも泣かないで、泣いても映画は作れないから、前を向いて映画を作ってきました」。続けて「いよいよ98になり後がなくなりました。これで終わりだと思って『一枚のハガキ』を、最後だから言いたいことを全部言う気持ちで作りました。この映画がツイていて賞をもらったら、『またやったら』と言う人がいるけど、もうダメ」と再び最後を匂わせる言葉。先に質問した男性から「もう1本撮ろう!」と声がかかると、「そう?励ましてくれる人がいなきゃやれない。非常に面白い仕事だけどキツイ仕事。で、いつも金がない。金をどう作るか、金を拾い集めなきゃいけない大変な仕事。魅力的だから映画を作る仕事をやってきたんです」と映画人生をふり返りつつ心境を吐露した。一緒に会見したコンペ部門の観客賞、最優秀監督賞W受賞のフランス人監督ジル・パケ=ブレネール氏も「新藤さんのおっしゃる通り、監督とは常にお金を乞わなければいけない」と険しい顔つき。一方で、「新藤さんの年齢まで映画を撮り続けたい」と明るい笑顔で敬意を口に。退場時には、固い握手を交わしていた。(photo/text:Yoko Saito)特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:第23回東京国際映画祭 [映画祭] 2010年10月23日から10月31日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2010 TIFF■関連記事:【TIFFレポート】新妻・木村佳乃笑顔と華やかドレスでTIFF閉幕に華【TIFFレポート】新藤兼人監督ラスト作品に審査員特別賞最高賞はイスラエル作品TIFFインタビュー『海炭市叙景』南果歩×谷村美月×竹原ピストル×熊切和嘉【TIFFレポート】加瀬亮映画初主演作と同じ脚本家作品に「光栄でプレッシャー」TIFFクロージングにハズレなし?『ザ・タウン』“監督”ベン・アフレックに称賛の声
2010年10月31日