夏といえばプールである。息子1歳の夏に、わが家も小さいながらビニールプールを買った。そしてこの5分後「あっこ、でう」そう。「抱っこ、出たい」の意、である。ちーん。やはり、たらい程度のサイズのプールじゃどうにも盛り上がらず、息子も楽しめないらしい。おかしいなぁ、パッケージに描いてある赤ちゃんはあんなにも笑顔なのに…。捨てきれない理想を抱え、どうにも諦めきれない母は「プールする?」と、何度か息子に声を掛けたが、彼は頑として首を縦には振らなかった。厳しい現実である。あぁ…わが家にも大きいプールがあればなぁ…。そもそも猫の額ほどの庭じゃ、このたらいプールぐらいしか置けないしなぁ…。まず庭か…庭が広ければ…。あぁ…でもこのズボラな母に広い庭の手入れはまず無理だな…ジャングルになる…。と心の中でぼやいていたところ、実家に帰省の際、巨大プールが!!(※注:3年前の夏のお話です)田舎の庭の広さはえげつないので、特大プールだってなんのその。さすが親子、実母も私と同じ「でっかいもんが正義」な考えだったらしく、「大きいプールなら楽しいでしょ!」と、孫を喜ばせるべく朝から巨大プールの準備をしてくれていた。嘘…でしょ…!?プール…。盛り上がらない理由は大きさじゃないの…?その後も一緒に入ったり、それなりに盛り上げてみるものの息子のテンションは全く上がらず、「もういいかなぁ? お家はいりたい」でフィニッシュを迎えた。こんなにもプールでテンションが上がらない子どもがいるなんて…!!衝撃である。そして現在、息子は5歳。今年の夏も…息子の夏はプールではなく、涼しい部屋でブロック作りが至福の時らしい。子どもってそんなものなのかなぁ…。もっとこう、炎天下の中で「わーきゃー」はしゃぐものじゃないのかなぁ…。と思ったが、そんな息子の母である私も、そういえば幼少期はそんなにプールが好きではなかった。夏は涼しい部屋でお絵かき最高。読書最高。漫画最高。夏は暑いんだから家!!と、幼いながらに心に決めていた。なんだ。諸悪の根源、私じゃないか。まさに“似たもの親子”、遺伝子レベルでプールと縁がないということが分かった。ということで、今年もわが家のプールは膨らむことはない。多分、今年だけでなく来年もそのまた来年も膨らむことはない。
2021年09月05日