臨床で感じた問題意識勤務医として臨床を行いながら、漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』の医療監修やさまざまな社会活動に取り組んでいる三木崇弘先生。今回は、2020年に開始した、知的障害のある子どもとご家族を支援する企画活動プロジェクトについて詳しく伺いました。――三木先生は「知的障がいのあるこどもとその家族。もっとうけいれられるせかいへ」を掲げ、研究や企画活動を行う「あいプロジェクト」のリーダーを務められていますが、2020年立ち上げにあたって特別なきっかけがあったのか、またどのような思いからだったのか教えてください。三木先生:もともと知的障害のある方について、何かできることはないだろうかと考えていました。発達障害があり知的障害のない患者さんは高校生や社会人になると一人で外来に来ますが、知的障害のある方は成人しても保護者の方が付き添って来院されます。そうした様子を見て「ああ、親御さんたちの子育ては終わらないんだな」と問題意識を感じていました。その後、早稲田大学ビジネススクールに進学した際に「ソーシャルビジネス」の授業でこのテーマを私が提案し、同級生でコンセプトに共感してくれた仲間と一緒に「あいプロジェクト」を立ち上げ、活動をしています。あいプロジェクト――主に保護者の方を対象とする茶話会を開催されていますね。三木先生:2023年12月23日(土)に開催予定のものも含めて、計30回ですね。――これまで、どのような方が参加されていますか?三木先生:「親の会」に参加するのが難しかったり、子どものクラスのママ友と気が合わなかったりといった方も多いようです。子ども同士の利害関係のない場で悩みを共有できることに安心感を抱いてくださっているようです。――グループディスカッションを通じて、新しいつながりが生まれているのですね。三木先生:そうですね。話題は、知的障害のある子どもの子育てに関することが多いです。また就労プロセスや支援のあり方についてなど、ミクロからマクロまで幅広く話しています。ただ「無理をさせない」「配慮する」ではなく、大切にしたいこと――一人ひとり違うという前提ではありますが、知的障害のあるお子さんの今と将来のために、どのような環境や支援が必要だとお考えでしょうか?三木先生:教育現場での特別支援はかなり充実してきていると思いますので、それ以外の世界に目を広げるためのインクルーシブ教育や、あるいは就労環境の整備、社会生活を豊かにするための仕組みづくりが必要かと思います。また、これからの時代はただ「無理をさせない」「配慮する」のではなく、障害者本人にもある程度の負荷をかけながらも成長していってもらうことも重要だと僕は考えています。そのためには本人の能力やレジリエンスの見立てが鍵を握りますし、取り組みを応援するための関係づくりも欠かせません。――後者の「負荷をかけながら」というのは、どのようなイメージでしょうか?三木先生:できるだけ本人が自分でできることを増やしていくということと、本人に「自分でやるんだ」という意識をつけてもらうことです。そのためには未成年のうちからいろんなことを経験できる環境を用意し、安全に失敗をしながら振り返り成長していくことが重要です。――学校や支援機関と保護者の方の意識合わせも重要になりそうですね。善かれと思って、失敗しないように先回りし過ぎてしまうなど……。三木先生:これはこの連携に限ったことではないのですが、プレイヤーが複数いる場においては、いかに「それぞれが思っていることをちゃんと場に出してすり合わせられるか」が鍵になります。例えば当事者・保護者側から「ここまでは失敗させてもらってもいい、フォローは家でする」というメッセージがあれば、学校は思い切ったトライアルができるかもしれません。あるいは学校から「個別対応ができるのは週○時間が限界」という提示があれば、その範囲で可能な支援は何かを皆で考えることができます。皆さん大人ですのでどうしてもお互い遠慮した表面的な発言が多くなってしまうのですが、本人のために「現実的な範囲で一番良い支援」は、支援者の利害を調整した先にしかないと思います。――思っていることを相手に伝えるところから、すべてが始まるということですね。就労についても伺いたいのですが、障害者雇用を行う企業訪問をされていますね。企業の取組状況や、障害のある人が長く働き続けるために必要だと感じることを教えてください。三木先生:障害者雇用はどの企業も力を入れていますが、やはりノウハウや考え方は千差万別です。もちろん皆さん勉強されてはいるのですが、画一的な対応が通用しにくい面もあることとから、最終的に試行錯誤するしかなくなることが多いです。その試行錯誤に企業・障害者・保護者が慌てず騒がずじっくりと取り組むマインドを持つことが大切です。障害がなく一般雇用で入社した皆さんも、新卒の時から先輩たちのように働けるのではなく、失敗を繰り返しながら成長していきますよね。それと同じではないでしょうか。――慌てず騒がずじっくりと、ですね。まさに就労もですが、「親なきあと」への備えについて、保護者の方にアドバイスをするとしたらどんなことがありますか?三木先生:お金や住まい、利用できる福祉サービスなどについて、早めに調べたり、しかるべき機関に相談したりすることが大事だと思います。――発達ナビの読者の皆さんへ、メッセージをお願いします。三木先生:子育てで一番大切なことは、保護者が楽しむこと=子どもといる時間を豊かで嬉しいものとして味わうことだと思います。さまざまな知識や対応策ももちろん大切なのですが、子どもにとってより大切なことは「自分と一緒にいることを喜んでくれる人がいる」ということです。それが人としての土台をつくるのではないかと思います。大変なことも多いと思うのですが、まずは保護者の皆さん自身ができる範囲で子育てを楽しめる環境づくりをしてみましょう。――ありがとうございます。最後に、三木先生がこれから目指すことを教えてください。三木先生:地元姫路市およびその周辺地域を子育てのしやすいまちにすることが私のミッションだと思っています。そのために必要なことは何でもやります。今はまだUターンして1年ちょっとですので、まずは地元に同じ志の仲間を増やしていくことを目指しています。医療だけではなく、教育、福祉、行政やアカデミアにも広げていきたいですね。私自身の動きとしては、そういったいろんな機関と連携しながら、診療だけでなくアドバイザーや啓発活動をしていきたいと考えています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年12月18日同じクラスの子がみんなお箸を使っている!?焦る母しのくんは現在5歳。発達障害グレーゾーンの男の子です。しのくんが2歳頃、保育園では同じクラスの子どもがみんなお箸を使っていることを知りました。Upload By keiko当時のしのくんはまだスプーンやフォークも握るように持っている状態で、お箸を使うどころではなかったのですが、同じ年の子どもがいるママ友に聞いてみたところ、やはり「お箸で食べている」というではありませんか……!すでにしのくんは「お箸を使えるような年齢」なのだと知った私は、これはまずい!と思い、さっそく家で練習をすることにしました。Upload By keikoお箸の練習を開始。試行錯誤するもうまくいかず……しかし、いきなり普通のお箸で練習するのはハードルが高すぎる!と思ったので、まずは補助箸で練習してみることにしました。どれがいいのか分からず、お店で売っているいろんな種類の補助箸を買って試しましたが、なかなかうまくいきません。お箸の正しい持ち方(3点持ち)を教えようとしても、握りしめて持つほうが楽なようで、スプーンを握りしめて、「しのくんこれがいーの!」と訴えてきます。Upload By keikoなかなかお箸の練習が進まないことに悩んだ私は、ことばの先生や、作業療法の先生に相談してみました。すると意外にも「年長でも使えない子は多いよ、焦らなくて大丈夫!」という答えが返ってきました。内心、本当かな……?と思いながらも、せっかくの食事の時間が苦痛になってしまうのもかわいそうだと思い、お家での練習はいったんお休みすることにしたのです。お箸の練習をやめて2年……。4歳になったしのくん家でのお箸の練習をやめてあっという間に2年が経ち……相変わらずお箸は使えないまま、しのくんは4歳になりました。4歳を過ぎてもお箸を使えないしのくんに焦った私は、もう一度お箸の練習を頑張ってみることにしました。今回は、ことばの先生におすすめされた、手を添えるだけで「3点持ち」が楽にできるという補助箸を用意。見慣れないお箸に興味がわいたのか、しのくんもやる気を見せてくれました。すると、あれほど苦戦していた3点持ちを簡単にすることができたのです。そして3ヶ月ほど練習した結果、しのくんは4歳5ヶ月でついにお箸を使えるようになりました!Upload By keiko4歳になってお箸の練習が急にうまくいった理由は?今振り返ってみると……今振り返ってみると、4歳になってお箸の練習が急にうまくいった理由は、ことばの先生おすすめの補助箸の存在だけではなく、手指をコントロールする力の発達や、本人のやる気、すべてがうまくそろったからなのかな?と感じます。最初にお箸の練習をした時は、周囲の子どもたちに遅れまいと焦っていた私ですが、今になって、あの時はまだしのくんの「タイミング」が来ていなかっただけなのだ、と思えるようになりました。お箸が上手に持てるようになったことがきっかけで、それからはだんだん鉛筆の持ち方もしっかりしてきたしのくん。あまりお絵描きなど好きではないのかな?と思っていたのですが、いまでは積極的にお絵描きを楽しんだり、さらには自分の名前を書けるようにもなりました。ついつい同年齢の子どもと比べて悩んでしまいがちですが、これからも、しのくん自身の成長のタイミングを見守っていきたいなと思った出来事でした。執筆/keiko(監修:森先生より)発達の凸凹がある方の中には、手先を器用に動かすのに苦労する方もいらっしゃいます。自分の身体の動かし方、力の加減が分かりにくいことがあるのですね。「お箸の使い方を訓練して習得させる」ことにこだわるよりも、その時々に食事に使いやすいものを選んで(一つの例として、たとえば「赤ちゃんが握りやすいスプーン→通常のスプーン→補助つきお箸→通常のお箸というように)、発達に合わせて少しずつステップアップさせていくのがいいのではないでしょうか。食事が本人にとって「美味しくて楽しいもの」であれば、もっともっとごはんを食べやすくしたいという気持ちが自然とわきあがってきます。今回のように、「食事の時間が苦痛になってしまうのもかわいそうだと思い、お家での練習はいったんお休みすることにした」という判断は、長い目で見ると大正解ではないでしょうか。「お箸を何歳で持てたか」というだけではその後の人生は変わりません。自然と発達が進むのを待つ、サポートしながらやる気が出てくるタイミングを見計らうのが、遠回りに見えて一番の近道なのかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年12月10日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。自分の息子に発達障害の可能性があるとは思いもせず、大きなショックを受けますが、同時に療育センターに行く必要があるのか、すぐには信じられません。ばよさんは長男が2歳まで通っていた保育園の先生やママ友に相談しますが、それでも答えは見つからず、枕を濡らす毎日を過ごしていたのです。「なんで、どうして? 本当に?」——。 息子のタロくんが発達障害である可能性を信じきれず、療育センターに足を運ぶかどうか、ばよさんは悩み続けます。 孫の発達障害の可能性を伝えると… ばよさんの実母も義母も、タロくんの祖母2人は驚きはしても取り乱すことはなく、療育センターに行くことを勧めます。ばよさんは安堵する反面、「悩んでいるのは私だけ……」と、孤独を深めてしまいました。 しかし、出口の見えない孤独と苦しさがかえって後押しとなり、療育センターに電話をかけることができたのでした。 “療育”とは「医療」と「教育」をおこなうこと。“発達支援”とも呼ばれ、何かしらの障害が認められた場合のみならず、障害の可能性や心配のあるお子さんにも広がりを見せている教育のかたちであり、支援のかたちです。 そして、ばよさんが電話をかけた“療育センター”は、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士といった専門家が客観的に子どもの特性を把握し、その子に合った療育を提供する機関です。 療育センターは各自治体に設置されているため、お子さんの特性にかかわらず、ひとつの知識として、その存在を知っておくことも無駄ではないはず。何かのときに、助けになるかもしれません。 >>次の話※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月09日障害がある3名のピアニストがオーケストラ、合唱団と共演!『だれでも第九』 12月21日(木)サントリーホールにて開催・YouTubeにて同時生配信Upload By 発達ナビニュースYouTubeによるオンライン(生配信・アーカイブ配信)で視聴ができる『だれでも第九』コンサートが、2023年12月21日(木)サントリーホール ブルーローズにて開催されます。『だれでも第九』とは、指一本から弾ける自動伴奏追従機能つきのピアノ「だれでもピアノ」(東京藝術大学とヤマハ株式会社の共同開発)を使って、障害がある3名のピアニストと、オーケストラと合唱団がベートーヴェンの「第九」を共演する、かつてないコンサートです。出演する3名のピアニストは、生まれつき右手に欠指の障害があり、過去にピアノを習おうとしたけれどあきらめた経験がある東野 寬子さんと、先天性ミオパチーという筋肉の難病で身体を動かすことが難しい古川 結莉奈さん。古川さんは、小さい頃から音楽が好きで右手の親指で電子キーボードを弾いていたそう。3人目の宇佐美 希和さんは生後まもなく脳性麻痺と診断され、両手足に障害があります。小学校2年生の時に姉がピアノを習う姿をみて、ピアノを習い始めました。本コンサートでは、「ピアノを弾きたい」という熱い想いを持ちながらも障害のために難しさを抱える3名が、「だれでもピアノ」で一人でピアノを弾くことからさらに一歩踏み出し、オーケストラと合唱団と共演するという夢のステージに挑戦します。オーケストラは、テレビ朝日「題名のない音楽会」などメディア出演の多い『横浜シンフォニエッタ』、合唱は1956年に創設された日本を代表するプロ合唱団『東京混声合唱団』が出演します。音楽とテクノロジーの力が融合された今回のコンサートは、音楽に向き合う喜びや新たな一歩を踏み出す勇気を届けてくれることでしょう。障害や経験、年齢という壁を超え、喜びと感動が響き渡る「第九」の音色をこの機会にぜひ体感してみませんか。日時2023年12月21日(木)16:00開場16:30開演(18:00終演予定)会場サントリーホール ブルーローズ(東京都港区赤坂1-13-1)出演東野 寛子・古川 結莉奈・宇佐美 希和音楽プロデュース・編曲高橋 幸代指揮米田 覚士演奏横浜シンフォニエッタ合唱東京混声合唱団演奏曲ベートーヴェン「交響曲 第9番 ニ短調(合唱つき)」主催ヤマハ株式会社鑑賞について(1)公式YouTube生配信の視聴(無料)(2)公式YouTubeアーカイブ(ダイジェスト)配信の視聴(無料)※視聴URLは、後日『だれでも第九』特設サイトに掲載されます※サントリーホールブルーローズでの観覧(130名様・抽選)の申し込みは終了しました※クリックすると、発達ナビのサイトから『だれでも第九』特設サイトに遷移します。松村 北斗さん上白石 萌音さん、ダブル主演映画『夜明けのすべて』2024年2月9日(金)よりロードショーUpload By 発達ナビニュース『そして、バトンは渡された』などで知られる人気作家・瀬尾 まいこさんの同名小説を、『ケイコ目を澄ませて』の三宅 唱監督が映画化した『夜明けのすべて』が2024年2月9日(金)よりロードショーされます。俳優の松村 北斗さんと上白石 萌音さんをダブル主演を務める本作は、原作者の瀬尾さん自身のパニック障害(パニック症)の経験をベースにし、生きづらさを感じながら生きる男女の交流が描かれた心温まる人間ドラマです。月に1度、PMS(月経前症候群)の影響でイライラを抑えきれなくなる藤沢さん(上白石 萌音さん)は、会社の同僚である山添くん(松村 北斗さん)のささいな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまいます。転職してきたばかりにもかかわらず、やる気がなさそうに見える山添くん。そんな彼もまた、理由もなく動悸やめまい、息苦しさ、手足の震えなどのパニック発作が起こるパニック障害を患っており、ままならぬ毎日に生きがいや気力を失っていました。そんなお互いの事情を知った二人は次第に、恋人でも友達でもない同志のような特別な関係を築いていきます。本作では、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村 北斗さんと上白石 萌音さんの再共演にも期待が高まっています。そして、2人が働く会社の社長を光石 研さん、藤沢さんの母をりょうさん、山添くんの前の職場の上司を渋川 清彦さんが演じます。「人生は思っていたより厳しいけれど、救いだってそこら中にある」。生きづらさを共有することで生まれる人と人との繋がりや周りの理解……。夜明け前の暗闇のなかに、光が差し込んでくるかのような心温まるひと時を与えてくれる作品です。<劇場公開>2024年2月9日 (金)よりロードショー※編集部注:パニック障害は現在、「パニック症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「パニック障害」といわれることが多くあるため、ここでは「パニック障害(パニック症)」と表記します。※クリックすると、発達ナビのサイトから『夜明けのすべて』のページに遷移します。不登校・発達障害児童生徒の学び空間としてーー『学研WILL学園メタバースキャンパス』2023年12月1日(金)プレ開校Upload By 発達ナビニュース不登校や発達障害の傾向のある児童生徒を主として、小中高と幅広い児童生徒が通う通信制サポート校・フリースクールとして、首都圏・東海・関西に8拠点を展開する学研WILL学園が、2023年12月にメタバース空間を活用した完全オンラインのフリースクール・サポート校「学研WILL学園メタバースキャンパス」をプレ開校しました。今回、新たに開校するメタバースキャンパスは、対面スタイルのWILL学園の特徴である「少人数でアットホームな環境」「無学年制・個別対応などの自分ペースの学び」「豊富な体験講座・課外活動」を大切に継承。そこに、バーチャル空間を利用したオンライン指導の技術を活かした「プログラミング」や「ChatGPT」など、今注目されているスキルも合わせて学ぶことができます。また、自宅から参加できるクリスマスパーティーや新入生歓迎会といったオンライン交流会のようなメタバースキャンパスらしい行事やイベントに加えて、対面でのオフ会遠足や1泊2日の宿泊行事なども予定されているそうです。当校の対象は、小学6年生~高校3年生まで。学校の進度に合わせた学習だけでなく、過去学年に遡っての復習や面接・作文対応も含めての受験指導、大学や専門学校で習うような「心理学」「お金の勉強」や、判断力、思考力を養うための「eスポーツ」の授業まで、幅広く学ぶことができます。さらに、高等部では通信制高校の制度を利用することで、離島や一部地域、海外在住でも日本の高等学校の卒業資格を取得することできます。中等部も、学習指導要領準拠のオンライン教材を用いることで、メタバースキャンパスに在籍中も学校での出席認定が可能。「誰かと繋がりたい」「色んな経験がしたい」「学びたい」という意欲があれば、自宅から毎日通う(ログインする)こともできるメタバースキャンパス。今後、さまざまな事情や困難さを抱えた子どもたちの多様な学びを支える場として、輝く未来を照らす存在となるのではないでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトから『学研WILL学園メタバースキャンパス』のページに遷移します。「『遊び』を通して、子どもの育ちを共に考えるシンポジウム 発達支援のめざすもの~子どもの興味・関心・遊びを広げたくなる時~」東京女子大学にて 2023年12月17日(日)開催ーー令和5年度 杉並区発達障害児地域支援講座 実践報告会Upload By 発達ナビニュース杉並区立こども発達センターと東京女子大学が協同で行う地域支援講座「『遊び』を通して、子どもの育ちを共に考えるシンポジウム 発達支援のめざすもの〜子どもの興味・関心・遊びを広げたくなる時〜」 が、東京女子大学にて2023年12月17日(日)に開催されます。子どもたちの日々の生活のなかで、「遊び」にフォーカスする今回のシンポジウム。子どもにとっての「遊び」は、社会性を身に付けるなど、子どもの成長や発達にとって重要な体験が多く含まれているといわれています。それでは、特別なニーズがある子どもたちが「遊び」を体感するには、どのような理解と支援が必要なのでしょうか。加えて、彼らと共に生きる保護者を含めた大人たちには、どんな意識や支えがあるとよいのでしょうか。「興味の幅が狭い」「こだわりが強い」など特性がある子どもの「遊び」について、発達支援事業所の支援者や幼稚園や保育園の先生方、医学的・臨床心理学的に支援している専門家の方々、そして今回の参加者のみなさんと共に、さまざまな角度から考えていきます。杉並区立こども発達センターと東京女子大学が連携し企画運営をする本講座は、発達障害に関心がある方であればどなたでも参加可能です。本講座への参加を通じて「共に生活し、共に育っていく」という、インクルーシブな環境づくりを共に考えてみてはいかがでしょうか。【第1部】児童発達支援事業所、保育園、幼稚園による実践報告【第2部】シンポジウム司会:森田 慎一郎氏(東京女子大学)助言者:勝盛 宏氏(河北総合病院)、前川 あさ美氏(東京女子大学)日時2023年12月17日(日)13:00~16:00会場東京女子大学24202教室対象発達障害に関心のある方参加費無料定員200名申込方法2023年12月11日(月)までに、下記申し込みフォームからお申し込みください申し込みはこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトから杉並区ホームページ『令和5年度 杉並区発達障害児地域支援講座 実践報告会』のページに遷移します。大人気ミステリードラマ『アストリッドとラファエル文書係の事件録』(字・吹)が見放題配信中!Upload By 発達ナビニュース論理的で繊細な頭脳派の文書係アストリッドと、直感的で大胆な行動派の警視ラファエル。正反対のふたりが難事件を解決するフランス発大人気犯罪ミステリー『アストリッドとラファエル文書係の事件録』がPrime Videoチャンネル「シネフィルWOWOW プラス」で配信中です。犯罪資料局で働く自閉スペクトラム症があるアストリッド。警官だった父の影響を受け、子どもの頃から刑事事件の調書や謎解きに人一倍興味を持っていました。そして、犯罪学者や監察医並の知識も兼ね備えているという頭脳派。ある日、警視のラファエルに的確な資料を出したことで才能を見出され、難事件を一緒に調べてくれとアストリッドをスカウトしたことから物語は始まります。論理的で几帳面、犯罪捜査のデータベースのようなアストリッドと、思いつきで行動する猛進型だが、おおらかで誰に対してもフレンドリーなラファエルという正反対の女性二人。しかし、アストリッドは自閉スペクトラム症を周りから理解されないという苦悩を抱えています。いっぽうでラファエルもまた、愛息の親権を失う悲しみを抱いていて……。お互いの苦悩と孤独を理解し合い、事件を解決したいという情熱を共有することで、徐々に距離が近づき、アストリッドとラファエルは最強のバディへと成長していきます。そんな二人の姿から「自分ができないことを誰かと補い合い、助け合うことで、自分一人ではできなかったことが成し遂げられる」のだと感じさせられるドラマです。ファンの方はもちろん、初めての方も、この機会にぜひご覧になってはいかがでしょうか。<配信情報>『アストリッドとラファエル文書係の事件録』(字幕版・吹替版)シーズン1&2配信中シーズン32023年12月8日(金)より配信開始※クリックすると、発達ナビのサイトから『アストリッドとラファエル文書係の事件録』のページに遷移します。ドキュメンタリー映画『マイ・ファミリー~自閉症の僕のひとり立ち』2023年11月25日(土)より順次公開中Upload By 発達ナビニュース自閉スペクトラム症がある男性の8年間を記録したドキュメンタリー映画『マイ・ファミリー~自閉症の僕のひとり立ち』が2023年11月23日(木)の東京上映を皮切りに、2024年1月より京都、神奈川、愛知にて順次上映されます。オランダに暮らすケース・モンマは42歳。9歳の時にテレビで自閉スペクトラム症を取り上げた番組を見て、自分が当事者であることを自覚し、のちに自閉スペクトラム症だと診断されました。現在ケースは、自治体の文書館で働きながら、カリグラファーアーティストとしての仕事もこなしています。ケースの住まいは実家の離れ。長年”半分自立”した暮らしを送ってきましたが、365日かいがいしく世話をしてくれる両親は80歳を超え、母親には認知症の兆候が現われ始めていました。ケースは、老いと共に変わっていく両親を目の当たりにし、パニックに陥ることも。そんな息子を見て「自分たちが亡くなったあとも安心な暮らしをさせてやりたい」と願う両親は、ケースの本当の自立を目指しますが、一筋縄ではいかなくて……。監督を務めたのは、オランダ本国で450万人が鑑賞したと言われ、のちにテレビシリーズ化もされた「ケースのためにできること」を手がけたモニーク・ノルテ監督。ケースとは1997年に出会って以来、26年間にわたって交友があり、ケースと両親の関係を撮り続けてきました。本作でも、ケースと家族の紆余曲折の「自立を目指す日々」を、ありのままのケースの姿と、そして家族との生活に寄り添いながら丹念にすくい取り、ユーモラスに映し出しています。<劇場公開>・新宿K’s cinema2023年11月25日 (土)~2023年12月8日(金)・アップリンク京都2024年1月下旬・横浜 シネマ・ジャック&ベティ、名古屋シネマスコーレ、シネ・ヌーヴォ、元町映画館など近日公開予定※クリックすると、発達ナビのサイトから『マイ・ファミリー~自閉症の僕のひとり立ち』のページに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年12月09日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。自分の息子に発達障害の可能性があるとは思いもせず、ばよさんは大きなショックを受けます。そこに追い打ちをかけるように保育園の主任先生は、ばよさんとタロくん自身が療育センターに足を運ぶのか、それともセンターの人に保育園に来てもらうのか、畳み掛けるように決断を迫ります。 ショックに打ちひしがれるばよさんは、さらに混乱してしまうのです。 家では、そんな様子はないのに… 答えの出ない理由を探してはネット検索を続け、夜になっても考えることをやめられない……。ばよさんは、枕を濡らす毎日を過ごしていたのでした。 悩みの種は違ったとしても、ばよさんと同じような経験のある人は、決して少なくないはずです。ましてや、ばよさんにとって、息子に発達障害の可能性があるとは思ってもみなかったこと。発達障害とは何なのか、療育センターとはどのような場所なのか、あらゆる情報が氾濫したネット上に答えを求めてしまうのも仕方ありません。 しかし、ひと口に「発達障害」といっても、その特性には個人差があります。また、お子さんの発達障害に気づいたり、その可能性を告げられたりするタイミングやきっかけもさまざまなようです。 先輩ママたちの経験談は、発達障害と向き合おうとする親御さんの強い味方。一方、特性には個人差があることを忘れず、医師をはじめとする専門家が監修した情報に目を通すことも大切です。 小児神経専門医の松井先生によると、軽度の発達障害のお子さんは保育園や幼稚園で「ちょっと気になる」お子さんとして見つけられることが多いそう。発達障害の可能性があると気づいた際には、療育センター・小児科・保健師さん等に相談するのが良いとのこと。療育センターで検査を受け、療育をおこなうことで、弱い部分があっても、発達が伸びていきます。また、お子さんの苦手なところ、得意なところがわかり、家族も子どもへの関わり方がより具体的になっていくことでしょう。 >>次の話※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月08日発達グレーの息子が『eスポーツ教室』を習い始めたわけ現在小学6年生の長男は将棋教室だけ通っています。少ないですか? たしかに多くはないですよね。通信教育もしているのと、放課後等デイサービスも週1で通っているのでちょうどいいかな、と思っています。でも、実は数ヶ月前まではeスポーツも習っていました。そこは、子どもにも大人気のゲームソフトを使った、プログラミングなどを教えてくれる教室でした。「eスポーツって要するにゲームでしょ? ゲームをわざわざ習うの?」と、思う方もいるかもしれません。私は個人的にゲームは好きですが、習い事としてのeスポーツに対し初めは興味はありませんでした。ですが軽い気持ちで足を運んだ体験教室の説明が、あまりにも魅力的だったのです。【体験教室の説明】・eスポーツといっても当教室ではゲームの上達や攻略法を教えるわけではない・ゲームで対戦をしているとどうしても言葉が攻撃的になりがち。みんなで楽しくゲームするために、思いやりのある言葉遣いとゲームプレイを学んでいく・ただゲームをするのではなく、時間を区切り、その時間の中でどこまでできるか、どのようにしたら時間内にできるか、などを考えながら行う・またPDCA(計画 → 実行 → 確認・評価 →改善)サイクルを回すやり方を学ぶ私は教室の方の説明で心をすっかりわし掴みされてしまい「eスポーツ、いいじゃん!」に変わっていました。長男も次男も体験教室のあと「すごく楽しかった! ぼくたちも習いたいよ」と目をキラキラさせながら言うので、夫に相談して通うことにしました。Upload By 星河ばよ親として初めて、送迎しがいのある習い事習い始めて、長男も次男も毎週毎週eスポーツを楽しみにしている様子でした。嫌がらずに、むしろ心から楽しんで通っていて、親としてこんなに送迎のしがいのある習い事は初めてでした。子どものイキイキした顔が何よりうれしく感じました。教室では子ども1人につきノートパソコンとマウスが渡されます。持ち物はテキスト1冊と会員証だけ。プログラミング学習でもよく取り入れられている有名なゲームソフトを使用します。子どもたちはそのゲームをパソコン版でやるのは初めての様子で、最初はパソコンとマウスの操作に手こずっていましたが、毎週通うにつれどんどん上達していきました。教室のみんなとはそれぞれのパソコン画面を通じ、ゲームの世界で繋がっています。普段は1人か2人で遊ぶゲームですから、楽しさの度合いが違っていたのではと思います。長男次男も含め、子どもたちはみんな能動的にプレイしていました。ちなみに、レッスンの内容は先生が指示をだすのではなく、子どもたちが主体となって決めていきます。その日に何をするのか、どこまで進めるのか等の目標は自分で決めます。教室の初めに一人一人発言してから始めるのです。先生は時間を設定し、子どもたちはそれを踏まえながらそれぞれの目標に沿った作業に取り掛かります。Upload By 星河ばよ教室の終わりにはまた1人ひとりがその日の進捗や、目標が達成できたか・できなかったかを発表します。もちろん目標が達成できなくても大丈夫。また次回に持ち越せばいいのです。長男は発達グレーの特性からか、達成できないと終わりの時間になってもいつまでも作業の手を止められずにいることがよくあり、心底悔しそうにしていました。それが徐々に時間内にできるようになっていった姿に、成長を感じました。長男にも次男にも毎週毎週「早く行こうよママ」と急かされるように送迎しました。こんなに楽しんで通った習い事は後にも先にもないのではと思います。主体的に今日やることを決めていくスタイルはもしかしたら、長男に合っていたのかもしれません。登校しぶりや欠席をしながらも、毎日頑張っているから大好きなゲームソフトをみんなで遊べる、みんなと楽しみながら思いやりのあるコミュニケーションを学べる。心から楽しいから、喜んで通ったんだなと今振り返って思います。こんなに楽しみにしていた習い事でしたが、残念ながら家庭の事情でやめざるを得なくなってしまいました。子どもたちにもうこれ以上通うことはできないと伝えたときは申し訳なかったです。納得してくれましたが、折に触れては「eスポーツやりたいな~」と言っています。また機会があれば、子どもたちが楽しんで通える習い事が見つかったらいいなと思います。とはいえ、登校しぶりや欠席をしながらも長男なりに学校を頑張っているので、できるかぎり本人の大好きな家で過ごさせてあげたいような気もするのでした。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:新美先生より)習い事としてのeスポーツという、まだあまりなじみのないことを詳しく教えて下さりありがとうございます。わたしも身近にやっている人がいなかったので、勉強になりました。習い事をするなら、お子さんが興味を十分持てて、ストレスが大きくかからず続けられるものがいいと思います。星河さんのごきょうだいが、目を輝かせて意欲的に通われていたというのは、お子さんたちにとってとても合っていたのですね。ゲームという強い興味を持ちやすく、自由に操作できるデバイスを用いているからこそ、仲間と協力して、いい方法を考えて、PDCAサイクルを回すなんていう、高度な活動ができるんですね。「仲間と協力」「いい方法を考える」というあたりが、まさに「スポーツ」らしくて、なるほどと思いました。これなら、体を動かすことが苦手なお子さんにもいいですね。読んでいてとても魅力的な習い事だと思いました。もちろん、お子さんごとに向き不向きはありますし、まだそのような習い事ができる場が通える範囲にないとか、経済的に難しいなどの制約もありますが、「ゲームなんて」という親の側の偏見を見直させてくれる興味深い記事を読ませていただき、ありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年12月08日不器用で学校も休みがちだった息子現在14歳の息子は、小学1年生の時にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)と診断されました。小さい頃から不器用さが目立つと共に、音や匂いに対する感覚過敏があったため、集団生活では疲れてしまう息子。小学2年生~中学1年生までは学校を休みがちで、何かと心配でした。なぜ手を離す!?ブランコ流血事件といつも反対方向に動いてしまうラジオ体操息子が6歳だった時のことです。公園で息子はブランコをしていたのですが、いきなり手を離し後頭部から落ちて、地面の石にゴツン!頭から出血してしまいました。派手に出血したので慌てて病院に行き、縫ってもらいましたが、吐いたりすることもなく大事には至りませんでした。Upload By ユーザー体験談落ち着いてから息子になぜ手を離したのか聞いてみると、手を離したらどうなるかと思ってやってみたと言うので驚きました。おそらく、手を離したら体がどのような動きをするかが想像できなかったのだと思います。普段からボディイメージが弱いのではと思っていましたが、それが原因なのかもしれないと思った私。今後もケガにつながりそうで怖いと思ったので、ブランコ遊び中に、手を離すと落ちてケガをするので、離さないようにと息子に伝えると共に、他の動きについても細かく教えていく必要があると感じました。Upload By ユーザー体験談この時はまだ診断前でしたが、息子は何かが違うという違和感がありました。また息子はラジオ体操も苦手でした。いつも前屈で膝が曲がってしまいましたし、周囲と反対方向に動いてしまいます。幼稚園から小学低学年まで、運動会でラジオ体操をする時間があったのですが、その動画を撮影しながら周りとはあまりにもかけ離れた息子の動きに、かわいらしいとつい笑ってしまいました。ラジオ体操の動画を見せ本番に向けて家で数回練習しても、あまり上達は見えません。ただ、本人は体操できないことをあまり気にしていなかったのが幸いでした。家で行った不器用対策は「ともかく予習すること」このような息子だったので、初めて何かに取り組むときは、なるべく家で練習するようにしていました。蝶結びや習字、裁縫や彫刻刀などは、やり方が説明されている動画を見て授業前に自宅で予習です。物の使い方というものは対面で教えるのがなかなか難しいため、私は息子の横に座って、手取り足取り教えるなどしていました。また道具選びにも注意して、コンパスといった文房具は不器用な子どもでも使いやすく工夫したものを利用しました。息子は利き手が決まらなかったので、今もはしは右手持ち、鉛筆は左手持ちです。蝶結びができるようになったのは、小学3年生でした。不器用さはついてまわりましたが、少しずつできるようになっていく様子をみるのはうれしいものでした。Upload By ユーザー体験談息子は小学2年生~中学1年生までは学校を休みがちで、小学5年生、6年生の2年間だけ通級指導教室を利用しましたが、それ以外は通常学級でなんとか過ごしていました。中学生になってもこのまま学校に行ったり休んだりなのかなと思っていましたが、中学2年生の時に息子に大きな変化があったのです。それ絶対苦手じゃない!?母の心配をよそに中学2年生で運動部に入部した息子は……中学2年生になった息子は、なんと友人から誘われて集団競技の運動部に入部したのです。ただでさえ学校を休みがちでしたし、その上部活までできるのか不安でした。それに、不器用さがあるので運動が苦手な面があるのはもちろんですが、瞬時の判断や相手に負けない気持ちやぶつかる場面などがあるスポーツなので、争いが苦手な息子には1番不向きでは?とびっくりしました。ですが、母の予想に反して部活に入ってからの息子はどんどんいい方向に変わっていきました。まず、なぜ学校に行かなければならないのかと言わなくなり、休まず登校できるようになりました。友人関係も良好になり、休日も遊ぶ仲間ができました。Upload By ユーザー体験談当然毎日忙しくなります。そこでたまったストレスを解消し充電する時間として、下校後や部活動後にトイレにこもるようになりました。ですが、その時間を過ごせば、また学校へ行って部活ができるので、これは息子なりの回復方法、許容範囲内だと思っています。そして約2年間部活に通い続けた息子は、心身共に強くなりました。一方で、学習面でも塾を利用しながら勉強方法のコツをつかんで、中学3年生で成績が伸びました。忘れ物や整理整頓が苦手でうっかりミスが多いですが、大事なものはなくさないように意識できるようになり、家の鍵をなくさなくなりました。感覚過敏もほぼなくなったように感じます。思春期で親には塩対応ですが、これも成長の証。大きな成長をただただ目を細めて見ています。目標は一般就労と一人暮らし!きっと叶えられるよ!現在の息子の目標は一般就労と一人暮らしです。中学での大きな成長を見る限り、このまま頑張り続けてくれれば、夢ではないのではと思っています。息子は実行機能が弱く、後回し癖がある点が心配なのですが、だんだんとやるべきことを優先できるようになっていってほしいです。仲間と楽しく過ごして、自立に向けて家事や金銭、健康、時間管理の術を身につけていって人生を謳歌してくれたら、こんなにうれしいことはありません。イラスト/吉田いらこエピソード参考/カピバラ(監修:藤井先生より)ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)と診断されていても、成長はそれぞれ違いますね。14歳になる息子さんの成長を読ませていただき、そのことを実感いたしました。なるべく、生活に支障がないようにと、できることはしてあげたい親心からいろいろサポートしても、それをしたからすぐに実を結ぶとは限りません。友人との出会い、好きな趣味との出会い、などさまざまな経験も成長の糧になることがあります。「大きな成長をただただ目を細めて見ている」とのこと、とても良いなと思いました。わが子ゆえ、気になることはあるのかもしれませんが、お子さんのペースで成長している様子を見守るのも大切ですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年12月07日幼稚園入園まで、長男の発達の遅れに気づかなかった長男は3歳まで保育園に預けることもなく、自宅保育で育てました。そのため集団行動を苦手とする長男の発達の遅れには気づいておらず、近所にいくつかある幼稚園のうちの一つに入園しました。長男が入園した幼稚園は、周辺の他の幼稚園に比べると、園生活の中でお勉強的な要素を多く取り入れていて、発表会などやることが比較的多い園でした。Upload By プクティ入園当初は登園を渋ったり、制服を嫌がったりしていた長男でしたが、徐々に慣れて登園できるようになりました。ところが、入園から半年以上経った頃、保護者面談で「いまだに長男くんは教室から脱走したり、運動会の練習も参加しなかったりしているので、発達支援センターへ連絡をして療育に通ってほしい」と言われました。そこから発達支援センターへ相談を開始し、年中の時に療育医療センターで軽度の知的発達症(知的障害)と診断されたのでした。診断されてからは並行通園の形で療育にも通いだし、幼稚園の担任の先生から聞いた困り事を療育先の先生へ伝え、改善するための練習に繋げることができました。忙しい中でもきちんと長男の様子を観察してくださった担任の先生には本当に感謝しています。しかし、大事なことと分かっていながらも、幼稚園のお迎えのたびに、長男がどんなことができていなかったか、どんなことで困ったかなどの話を、毎回謝りながら聞くのは少しつらいものがありました。Upload By プクティ幼稚園からの呼び出しそんな日常を過ごしていたある日、幼稚園から呼び出しがありました。保護者面談の時期でもあったので、長男の幼稚園での様子を聞くだけのつもりでいたのですが、担任の先生から「園長と主任も同席します」と伝えられ、これはただ事ではないな……と身構えた私は、夫と共に幼稚園へ行くことにしました。Upload By プクティ普段の保護者面談は教室で担任の先生と行うのですが、この日は園長室へ通されました。そして園長先生から伝えられた言葉は……Upload By プクティ「年長は難しい」という言葉にショック……そして幼稚園退園へ園長先生からの言葉には非常にショックを受けました。直接的に「退園」と言われたわけではないのですが、年長は難しいとハッキリと伝えられたので、「退園を促されているのかな……」と夫婦で感じました。ただ、この幼稚園では求められるレベルも高く、長男ができないことを日々聞かされることもつらかったですし、長男にも無理させているのでは……と薄々感じていたこともあり、私たちはすんなりと退園することを決めたのでした。Upload By プクティ結果的には「退園」という形になってしまいましたが、幼稚園の先生が長男の発達の遅れを指摘してくれたからこそ、早い段階で療育や医療に繋がれたと思いますし、長男の面倒をよく見てくださった幼稚園にはとても感謝しています。そして、私たちは長男により合った環境を探すことにしたのでした。執筆/プクティ(監修:初川先生より)長男くんの幼稚園退園のエピソードをありがとうございます。幼稚園での集団生活を始めてみて、他のお子さんとの違いに気づくこと。他のお子さんができている集団での活動に教室を飛び出すといった不適応行動を呈するなど、お子さんの苦戦に気づくこと。発達的な課題を持つお子さんにはよく見られることではあります。幼稚園はおそらく私立だったのかと想像しますが、私立園だと特に園での活動や教育方針というものが園ごとに設定しているので、勉強に力を入れている、あるいは運動に、といった特色があります。慣れることで活動に加われる場合、療育などを併用して集団でのルールを知っていくことでできることが増える場合ももちろんあります。ただ、園としての方針と、他の子どもたちの成長により求められることが高度になることなどによって、きっとますます長男くんは集団に加われなかったり、苦戦したりといったことが予想されたのですね。日々の連絡でもお子さんが「できなかった」エピソードを聞くのはつらいですね。また園長先生を交えての面談はなかなかの衝撃だったろうとお察しします。ただそれは、お子さんに環境が合っていないことを伝えてくれていることでもあり、合わない環境で過ごすことが成長促進になるのか、ということは立ち止まって考えてみたいところではあります。就学前の大切な時期、遊びや集団活動を通して、みんなと一緒にやるって楽しい、歌や工作、運動の楽しさなどを体験的に知ってゆく大事な時期です。療育を勧められたこと、日々の「できない」知らせも面談も保護者からするとつらい面は当時は強かったと思いますが、それによってお子さんの得意不得意を知る、今の環境にはどうやら合っていないと知る(逆に言うと、今よりも多少なりとも合った環境は別に存在しているであろうと感じる)、そうしたことができたのは長期的に見ると大切なプロセスであったと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年12月05日とても良かった夫婦仲。変わったきっかけは息子でした夫とは5年つき合ってから結婚。結婚して6年目に子どもを授かりました。その11年間、一度もけんかしたことはありません。夫は聞き上手で穏やかな性格だったので、よく一緒に出かけたりするなどずっと仲は良かったのです。夫婦で何かを決めるときも、必ずお互いの意見を聞き合って決めてきました。その関係性が何となく変わってきたのが、息子が2~3歳くらいになったあたりでした。穏やかな夫が子どもを怒鳴る姿にショックを受け……イヤイヤ期を境に、息子には衝動性の強さやこだわりの強さ、多動傾向が見られるようになってきました。そんな息子が癇癪を起こしたときや、不注意で食べ物や飲み物をこぼしたときなどに夫が大きな声で息子を怒鳴りつけることがしばしば起こるようになったのです。私の実父は超温厚で静かな人でした。かつ私には男兄弟もいなかったので、男性が怒鳴る姿に免疫がなく、しかも夫のそういうところを見たのが結婚して初めてだったので、少なからずショックを受けたのを覚えています。息子は恐怖で一時的にフリーズして、「ごめんなさい」とは言うものの、「何が原因か」「どうすれば次は失敗しないか」といったことにまでは考えが及んでいない様子。正直、「こういう怒り方は意味がないな」と思いはしたのですが、私が夫にそう伝えることで夫が子育てに関わろうとしなくなったら良くない気がしたので、あえて夫には何も言わず、私は息子をなだめる側に回りました。実際、その後も息子の不注意で夫が怒鳴る姿はしばしば見られました。Upload By ユーザー体験談発達検査で発達の遅れがわかるも、受け入れられていない印象だった夫その後、息子が3歳9ヶ月を迎えた頃、息子の発達について市の発達支援センターに電話相談をしたことをきっかけに、息子が通う保育園で発達検査を受けることになりました。その際には夫にも同席してもらい、息子には認知機能の弱さをはじめとする発達の遅れが見られることを担当の専門員の方から伺いました。後日「全領域DQ(発達指数)80」という数値もわかりました。Upload By ユーザー体験談それにもかかわらず、夫は息子の発達に関してどこか受け入れられていない印象でした。「人は誰しも苦手なことはあるものだし、検査を受ければそういう結果になる子は多いのでは?」「検査結果を理由に過保護になりすぎてはいけないと俺は思う」といった反応だったように記憶しています。Upload By ユーザー体験談夫が息子の障害受容をしたきっかけはですが、その後も発達検査を半年~1年に1度くらいのペースで受けることになり、そのつど夫婦で同席するようになっていく中で、夫の息子への理解も少しずつ変わっていったように感じています。「根性論だけで叱っても、息子には伝わらない」「息子に何かを伝えるときは、息子が分かるよう工夫して伝えないといけない」といったことを感じたのではないかと思います。また、テレビで児童精神科を舞台にしたドラマが放映されていたとき、私が毎回録画して見ていたら、夫も一緒に見るようになりました。そのときにドラマに出てきた発達障害の子どもたちの行動パターンやしゃべり方が、うちの息子にそっくりだったのを見て、夫はどこか腑に落ちた様子だったようでした。その頃あたりから、息子を怒鳴りつける回数は減ったように思います(ゼロになったわけではありませんが)。わが家では、あのドラマの効果は結構あったように思いました。Upload By ユーザー体験談子育てをすることで分かった夫の別な一面。これからも話し合って進んでいきたい子育てが始まるまでは、夫のことを「情緒の安定した、できた人」だと思っていました。ですが、特性のある息子の子育てが始まってからは、受け入れがたい出来事に直面した時の対応の難しさなど、夫の子どもっぽい面にも気づきました。おそらく、夫から見た私も然りなのではないかと思います。でも、何かあるたびに、話し合って二人で決めていく姿勢は、子どもが生まれる前と変わりません。そこは今後も変えずにいけたらなと思っています。イラスト/SAKURAエピソード参考/苗(監修:室伏先生より)旦那様の息子さんへの接し方の変化や、それに対する苗さんのお気持ちを共有してくださり、ありがとうございます。外来でも、ご家族間(お父様だったり、おじいさま・おばあさまだったりさまざまです)での意見の違いについてご相談をいただくこともありますし、共感される読者様も少なくないかもしれません。子どもが可愛くてしょうがなくて、みんな子育てに一生懸命だからこそ、価値観の衝突が生じることもあるでしょうし、家族そして自身の喜怒哀楽さまざまな感情に気づく場でもありますよね。特性を理解することは、発達障害についての知識がないとなかなか難しいことですし、旦那様もとても戸惑われたと思います。旦那様はさまざまな葛藤を乗り越えて知ろうとしてくださり、苗さんは旦那様のお気持ちを考えられて理解してくださるのをぐっと待たれたのだと思います。とても素晴らしいことだと思います。これからも素敵なご夫婦、ご家族でいらっしゃることと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年12月03日フリーランス精神科医から勤務医へ三木崇弘先生は、2019年からフリーランス児童精神科医として、クリニック以外にも学校や児童相談所、児童養護施設や保健所などで勤務し、2022年7月から勤務医に転身されました。その後も、臨床と共に、漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』の医療監修を継続、さまざまな社会活動を通して、社会への問いかけや支援の在り方について提言をされています。――フリーランス児童精神科医として幅広く活躍されてきましたが、どのようなお気持ちの変化があったのでしょうか?三木先生:もともと「都市で学んで、地方に還元したい」という気持ちがあり、家庭の事情も重なったことから地元にUターンすることにしました。――有言実行されたということなのですね。ちょうど1年が過ぎた頃かと思いますが、見えてきた課題や現在注力していることを教えてください。三木先生:地方は首都圏に比べると圧倒的にリソースが少なく、特に県庁所在地でない都市はそれが顕著です。子どもが安全・健全に育つために必要なリソースや考え方が不足しているように感じます。そのため、さまざまな職種の仲間を募って勉強会をするなど、チームで連携して子どものためにできる支援は何かを模索しているところです。漫画『リエゾン』医療監修、エンターテイメントの力を感じて――『リエゾン―こどものこころ診療所―(以降、リエゾン)』について、最初に医療監修の依頼があった時は、どのように感じましたか?三木先生:「自分の人生に『講談社』という文字が出てくるとは思わなかった」です(笑)。それぐらい縁遠い世界だと思っていましたし、想像もしなかったです。ただ監修の依頼をいただいた頃、僕自身が「特殊なジャンルだと思われていることについて、専門家が専門家に対して、専門的な内容を伝えることの手応えのなさ」を感じていました。――漫画だと、伝えたい相手も伝え方も大きく違いますね。三木先生:そうですね。発達障害や不登校、虐待、非行などは教育や医療だけではなくて社会全体の問題ですから、こういったテーマを広く一般の方に知ってもらうためにエンターテインメントの力を借りる方法はとても素晴らしいと思いました。――漫画で描かれていることは、実際の臨床現場でも多くあるのでしょうか?三木先生:あります。もちろん漫画ですから多少は理想的に描かれていますが、『リエゾン』に関してはいろんな人たちの葛藤が丁寧に描かれるよう、編集部も力を入れてくれています。――話題作の監修を続けることは、プレッシャーも大きいのではと……!三木先生:忙しすぎてそこまで気にしていられない、というのが正直な感想です(笑)。ただ原作者、漫画家、編集部ともにかなり丁寧に議論を交わしていますから、概ね大丈夫だと自信を持っています。――マンガは累計120万部を突破、ドラマも放映されましたが、反響や臨床現場における変化はあるでしょうか?三木先生:僕はあくまで監修なので、部数については実感がないですねえ。ただ2023年1月からドラマ放映が始まり、「すごい共感しました」「おばあちゃんが優しくなりました」という声をたくさんいただくことがあって、発達障害のあるお子さん自身や、その保護者の方のつらさが周り人たちに分かりやすく伝わったのかなと思いました。引き続き、こういうジャンルに興味がない方にも、まずはエンターテイメントとして、ドラマであれば出演されている俳優の皆さんへの興味から『リエゾン』に触れていただけたらうれしいですね。著書『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』は、漫画『リエゾン』で取り上げられている診療例のほか、三木崇弘先生の臨床事例を交えながら、凸凹がある子どもの子育てにおける「こころがまえ」について、「親はすごい」という言葉から始まるエールと共に小児科医・児童精神科医の視点で具体的に解説された一冊です。Upload By 発達ナビ編集部「親はすごい」僕が小児科医・児童精神科医としてキャリアを積むうちに感じた大切なことの一つです。(中略)「誰がやるのか」の答えは、主に親御さん(と学校の先生)です。でも皆さんは「専門家が専門知識を使ってアドバイスする」ことがすごいと思われているかもしれません。でも僕は、「実際にやる人が一番えらい」と思っています。まえがき第2章でも触れましたが、安定して65点の関わりを続けられることを目指してみましょう。特に凸凹のある子どもたちは、不安定さや見通しの立たなさが苦手です。「その日の機嫌によって、すごく熱烈で前向きな反応が返ってくるかもしれないけれど、氷のようにつめたい反応かもしれない大人」よりも、「何を言ってもそこそこ好意的な反応が返ってくる大人」のほうが、安心感は高いです。第4章「ほどほどを、ずっと」がいい――ドラマ放映に合わせて執筆された本書では、凸凹の意味や告知、環境のマッチングや保護者のアンガーマネジメント、特別支援教育、学校との付き合い方や不登校・受験のこころがまえなど、多岐にわたる解説がされています。「最後の最後までページ構成を変更した」とのことですが、執筆にあたりどのような思いから、どのような試行錯誤があったのかお聞きしたいです。三木先生:少しでも分かりやすく、前後の繋がりがスムーズになるようにと思っていました。読む人が頭をひねらなくてもスッと入っていくことを一番の目標にしたので、読み直して違和感があるたびに構成を変えることになりました。出版社の方には本当に粘り強く付き合っていただき感謝です。――どのような保護者の方に、本書を手にとってほしいとお考えでしょうか?三木先生:子育てに悩むすべての保護者の方ですね。発達障害のあるなしに関係なく、子どもと向き合う時のこころがまえを書いたつもりです。子育て全般について、不安に思っていることや自信がないことについて、後押ししてくれる本になっていると思います。――ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月28日「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方~子どもの発達を促す子育てのヒント~」2023年9月21日(木)文京学院大学 本郷キャンパスにてメディア向けセミナー「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方~子どもの発達を促す子育てのヒント~」が開催されました。発達障害領域がご専門で作業療法士(OT)として現在も現場で活躍されている文京学院大学 保健医療技術学部学部長 神作一実教授が登壇し、作業療法士(OT)の役割や発達障害のあるお子さんへアプローチ法、また子育てのヒントについて解説、セミナーの内容を抜粋して発達ナビ読者のみなさまへお届けします。作業療法とは「心と体」を分けず、その人そのものにアプローチするリハビリ神作一実先生(以下神作先生):作業療法士というと、日本では一般の人が関わる機会があまりなく、どんなことを行うのかについて知っている人は限られるかもしれません。ここでは私が考えている作業療法とはこういう感じのことだよというものを図にさせていただきました。Upload By 発達ナビ編集部みなさんも、「楽しいことをしていたら知らないうちにできるようになった」ということがたくさんあると思います。例えば、お友達に「テニスコートが取れたから、テニスに行かない?」と誘われて「行く行く!」となったとき、テニスをすることで心肺機能を上げようとか、筋力強化をしようとか、運動の協調性を高めようと考える方は少ないですよね。ただ「テニスをして楽しむこと」を想像して「行く行く!」と答える方が多いのではないでしょうか。でも、実際にテニスを楽しんでいたら、知らないうちに筋力が強化され心肺機能は鍛えられ、運動の協調性も高くなるでしょう。これが「楽しいことしていたら、知らないうちにできるようになった」ということです。実は作業療法というのは、この「楽しいことしていたら、知らないうちにできるようになった」を治療に応用したものと言えるのではないかなと思っています。私たちは、対象者の方のやりたいことを通して今ある障害を改善すること、そして、その人が持っている障害を受けてない部分を使いながらパフォーマンスを上げることを目指してサイエンスを使いながらアプローチしています。作業療法は心と体を分けずにその人そのものにアプローチをするリハビリテーションと言えるのではないかと考えています。作業療法の対象領域は大きく分けて4つあります。1、身体障害領域:脳卒中、脊髄損傷、骨折、やけどなどを対象2、高齢期領域:認知症、フレイルなどを対象3、精神障害領域:統合失調症、うつ病、アルコール依存症などを対象4、発達期領域:発達障害(ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症))、脳性麻痺、知的障害、筋ジストロフィーなどを対象この領域をまたがって障害が複数ある場合ももちろんあります。ただ、作業療法は人に対して、「その人がどうなりたいのか、その人が何をやりたいのか」を視点にしていますので、療育をまたがる場合でも同時にアプローチが可能です。発達障害と深い関係性がある「感覚調整障害」神作先生:発達障害のある方たちには「感覚調整障害」というものがしばしば起きてきます。感覚過敏をはじめ、刺激が入りすぎてどの刺激に反応したらいいのか分からなかったり、 反対に刺激が入らなすぎて必要な情報がキャッチできないということ。また、LD・SLD(限局性学習症)のお子さんたちの場合は、眼球運動のコントロールが悪いため読み飛ばしたてしまったりといった体の使い方、いわゆる、体や指先が不器用な状態です。感覚調整障害があると、以下のようなさまざまな困りごとがでてしまいます。Upload By 発達ナビ編集部生活への影響がとても大きいため、作業療法ではこの感覚機能に対してアプローチして感覚統合機能の問題を改善し、生活のしづらさの解消を目指します。激しい偏食があるお子さんへ作業療法士はどうアプローチする?神作先生:では、発達障害のあるお子さんに対して作業療法士がどのようにアプローチをするのかお話しさせていただきます。基本的には、お子さんの状態の確認と問題の把握をし、感覚統合機能を促すための治療プログラムを作成し実施をいたします。治療プログラムは「Just right challenge」、つまりそのお子さんにとってちょうどいい挑戦になっているかを確認しています。偏食のように一見遊びとは関係ないようなことも、実は感覚統合機能が十分発達していないという、共通の背景がある場合があります。例えば、食べられるものが5食品しかない激しい偏食がある発達障害の4歳のお子さんに対しては以下のようにアプローチを行いました。・砂遊び、絵具、のりに触れること、水遊びも嫌い・跳躍器具、ブランコは大好きだが、姿勢が保てないためすぐ降りる・ハンモックのように姿勢を保つ必要がないものであれば30分以上乗り続ける・ハンモックやブランコに乗っていると目が合う。それ以外の場面では目が合わない・一人遊びを好む・母親の膝へは自分から乗るが、大人から抱っこすることは好まない〈食事場面〉・唇に牛乳がつかないようにコップで飲む・うどん、パン、豆腐も上唇につかないように食べている・手が汚れるとすぐにおしぼりや洋服で拭く1、触覚の過敏さがある。そのため食べ物からの感覚情報が十分にキャッチできておらず、新しい食品にチャレンジすることが困難2、前庭系(ゆれの刺激)は求めている状態1、ブランコに乗りながらアイコンタクトを取る(遊んでいる人と遊びの共有)2、ブランコ、跳躍器具、ハンモックに乗り対象物を視覚的にとらえながら自分から対象物に触れる(揺れながらパンチをする、いろいろなものを握る、的当てする)3、屋外の遊具やアスレチックで遊ぶ(楽しいことをしながらいろいろなものに触れる機会をつくる)少しずつ食べられるものが増えると共に、自分から母親以外の人の手を引いて遊びに誘うことが増えてきている。このように作業療法士は介入し治療を進めました。このお子さんの場合は、感覚情報の処理状況に着目し以下を取り入れたアプローチを行っています。・大好きなゆれ刺激を楽しみながら能動的に対象物に触れる機会を作る・感覚を媒体としたコミュニケーション・大人と一緒に遊ぶことの楽しさを伝える・大人に「やってほしい」ことを伝える機会を作る感覚情報機能の改善が進んでくると、食べ物からの感覚情報をしっかりキャッチすることができるようになりますので、遊びの広がりと共に、偏食が良くなったというケースです。子どもの発達を促す子育てのヒント神作先生:作業療法士は、お子さんに対する治療的な介入もしていますが、大人が子どもにとってどんな環境となればいいのか、 どうすると子どもの発達を促す環境になり得るのかという視点でもアドバイスを行っています。そこで最後にお子さんの発達を促すヒントについてお話しさせていただきます。作業療法士はお子さんが困っている状況、親御さんが困っている状況に対しても、アプローチを行っています。ただ、「大人が困っていること=子どもが困っていること」というように本来は一致しているといいのですが、なかなかそうではなく、大人が困っていることが子どもの問題点にされてしまうこともたくさんあります。そこの見極めも、作業療法士の大事な仕事です。発達障害のお子さんたちの場合、どうしたらいいのか分からない、 人にどう接したらいいか分からない、ものをどうやって扱ったらいいか分からない、いつ終わるのか分からない……こういった状況が多々あります。当然混乱しますよね。ですので、そのお子さんは「安心できるもの」だけをやろうとするわけですが、そうするとやれる幅が狭いので「こだわり」と言われてしまったりします。ただそのようなお子さんの行動に「こだわり」というラベルを貼るだけでは問題は解決しないと私は思っています。その「こだわり」と思えるような行動の背景には、必ず何らかの理由があると思うからです。困りごとをもつお子さんに対して、日常生活の中で慣れさせる、我慢させるとか、「あなたの頑張りが足りないからいけないのよ」と言うのはナンセンスだと思っています。感覚調整障害が背景にあったとすると、そのお子さんはかなりつらい思いをしながら不快な環境の中で生活をしていることが多いです。不快な環境の中に身を置き続けたら不安も高くなりますよね。ではお子さんの困りごとに対して大人ができることはなにかというと、以下の6つがあげられると思います。Upload By 発達ナビ編集部この図は、作業療法士が保護者支援としてよく行っている内容です。お子さんにとって「人」は環境の一部でもあります。周りの大人がいい方向に変化すると、お子さんにもいい環境を提供することができると思っています。子育ての大前提として大事なのは、どんなお子さんも独立した人格を持っていて、今は発達途上で、過去から現在の積み重ねの先に未来があると捉えることだと思います。そして以下の4つを心がけることがいいのではないかなと思います。1、できないことにあまりフォーカスしない。できることに注目し、子どものできること探しの達人になる2、他の子どもとあまり比較しない。比べられても子どもはなにかできるようになるわけではない3、困っているときに子どもからSOSを出せる関係をつくる。子どもが安心してチャレンジするための安全基地に4、自己肯定感を育む。自己肯定感が高いこどもは幸せを感じやすく、問題解決の工夫ができるまずは、お子さんのことを一番知っている親御さんが自信を持っていくことが大事です。一人で頑張らなくていいですし、子育てはみんなでやればいいですし、しんどいときにはもう頑張らない、そんなことも大切だと思っています。定型発達のお子さんであっても、障害のあるお子さんであっても、親御さんの不安はずっとつきまといます。残念ながら、なくなることはありません。だからと言って、否定的に捉える必要はなくて、ありのままの今のお子さんの姿を受け入れてみるといいと思います。お子さんたちは親御さんに、「ねえねえ、見て見て」とよく言ってきますよね。そのときにきちんと共感をして、すごいね、かっこいいね、やったね、面白かったね、見せてくれてありがとうね、というようなこと言ってみてはどうでしょうか。 きっと楽しい親子関係になれるのではないかと思います。困ったときは作業療法士に相談してください神作先生:大変なことはみんなで分担して楽しいことはみんなで喜ぶ、そんなことが作業療法士が考えている子育てでもあります。何か困ったことがあったら、ぜひ作業療法士を尋ねていただければと思います。地域の保健師さんにご相談いただいて作業療法士がいるところを探してほしいとお伝えいただければ、そこから発達支援センターなどを紹介してもらえます。また、児童発達支援事業所でもどのような職種の方がいるのかホームページで調べられるところが多いです。一人で頑張らず、一緒に成長していきましょう。Upload By 発達ナビ編集部日本作業療法士協会、埼玉県作業療法士会、摂食・嚥下リハビリテーション学会(評議員)、小児保健学会、障害者歯科学会、昭和歯学会に所属。作業療法士としても数多くの経験を持ち、作業療法士や作業療法士を目指す学生のみならず、保育園や幼稚園、小中学校の教諭、保護者に対してのセミナーも多数実施。「受け入れることで自律を促す子育て」を提唱し、発達障害との向き合い方について発信を続けている。主な研究テーマとして、自食時の捕食機能に関与している口唇および上肢機能の解明を専門とする。文京学院大学(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月25日発達凸凹兄妹を育てるわが家。夫は短気で高圧的で……わが家は二人兄妹、息子は20歳の大学生、娘は17歳の高校生で二人ともADHD(注意欠如多動症)の診断を6歳の時に受けました。私自身診断はありませんがADHD(注意欠如多動症)グレーだと感じています。現在59歳の夫は性格はまじめで短気、そして高圧的な面があります。特にお酒が入ると難癖をつけてきます。今は子どもも大きくなったため、昔より関係は良好ですが、二人が小さい頃はぶつかることもよくありました。息子の幼稚園トラブル、娘の1歳半健診での指摘。その時夫は……息子は幼稚園に入ってからトラブルが目立つようになってきたタイプで、3歳の時、園で他害をしてしまい、園長先生からやんわり退園を促されました。まだ発達障害について何も知らなかった私は、園に言われるまま発達検査を受けたあと、支援センターの方に「幼稚園は辞めるべきなんでしょうか?」と質問。職員の方からは「いや、そこまでしなくてもいいのでは?」と言われたため、それを園にそのまま伝えたところ「じゃあ様子見ましょうか」となり、卒園まで通い続けることができました。その後、園で細かに対応していただいたため、息子は療育に通わず、小学校からは放課後等デイサービスを利用するようになりました。この時の夫はというと、特に何か手伝ってくれるわけでもなく、ただ私の報告を受けるのみという対応でした。「幼稚園内のトラブル」くらいにしかとらえていなかったのかもしれません。Upload By ユーザー体験談そして娘。娘はとにかく気に入ったものを手に入れないと気がすまず、欲しいものを買わないと大癇癪になってしまうので、買い物に出るのが怖かったほどでした。1歳半健診で相談したところ、「療育に行ったほうがいいかもしれませんね」と言われ見学。幼稚園入園まで療育に通うことになりました。この時、夫は単身赴任中でした。私は同居していた義母には相談をしたのですが、夫には相談しないまま療育に通うことを決めました。言うと「行く必要ない!」と反対されると思ったからです。しかし、私が怪我をして療育に送迎できなくなってしまったことで、娘が療育に行っていることが夫に知られてしまいました。そこからは「なんで黙っていたんだ」と大喧嘩になってしまいました。「そんなところ行っても意味がない」やら「幼稚園で十分」やら夫は感情的に怒ってきます。私はたいていは夫のこうした批判は、受け流すようにしていました。意見を言ってもさらに怒らせてしまうだけだと感じていたからです。ですが、この療育通いは譲れなかった。ほかは譲っても反対されても、療育だけは絶対に通うと強く主張しました。その剣幕に夫も強く言えなくなってしまったのでしょう。療育について文句を言うことはなくなりました。Upload By ユーザー体験談その後夫は発達障害について勉強してくれたみたいです。手は貸してくれませんでしたが、子どもの障害や療育についてなにか口を挟むことはなくなりました。兄が放課後等デイサービスに行くことになった時も反対することはありませんでした。これはとてもありがたいことでした。私の磨きのかかった夫対応と、父を「世に放つのはヤバい」という息子夫はお酒が入ると「お前はバカだ」「気が利かない」「だめなんだ」と難癖をつけてきます。こんな言葉を頻繁に言われるのはいやですよね。こんなときの私の対応のコツは「のまれないこと」です。夫の言い分に、私自身の気持ちが持っていかれないようにするのです。自分は間違っていないと思っていれば大丈夫でした。Upload By ユーザー体験談今も「イヤイヤ、その言葉そのままお返ししますよ」と内心思うことも多々ありますが、いさかいにならないよう適当に相槌をうちながら話を聞くようにしています。それは理不尽だと思うようなことを言われていても、自分まで気持ちを高ぶらせて言い返してもしょうがないんだからと客観的に見ている感じです。ですから、夫に「ごめんなさいね」と頭を下げることも、苦ではありません。ただそんな姿を見ている息子は、高校3年生の頃「(父親を)世の中に放つのはヤバい」と言っていました。また「なんで別れないの?」とも……。Upload By ユーザー体験談もちろん子どもの進学費用など現実的な面もありますが、今は私も夫との関わり方に慣れてきたので、昔よりはずいぶん良好な関係になっています。夫も少しずつ変わってきていて、「言わなくていいこと」を言う頻度が明らかに下がってきました。あとはもうちょっと変わってくれて、大きくなった子どもたちから「お父さんにもいい面がある」と思ってもらえたらいいのですが。子育ても終わりに近づいて、今思っていること子どもも大きくなり、子育ても終わりに近いてきたと実感しています。ですが、大人になってからも、子どもたちがそれを許せないと思うのも仕方のないことなのでしょう。夫は障害を差別することはないのですが、一方で別の面で人を下げたり馬鹿にして満足する面があるため、子どもたちがそれを許せないと思うのは仕方ありません。ただせっかくの家族ですので、うまくつき合っていけたらと思います。イラスト/星河ぱよエピソード提供/きつねうどん(監修:鈴木先生より)ADHDとASDはカードの裏表のように併存している場合が多いのです。自分の思い通りいかないとイライラして高圧的になるのは、ASDに併存する易刺激性による場合もあります。私の外来には、親御さんのうち一方がADHDでもう一方がASDという夫婦の組み合わせが多いです。その子どもたちも父派と母派に分かれる傾向にあります。ADHDの診断はチェックリストなどでも可能ですが、ASDの診断は難しく、なかなか認知もされていません。療育だけでなく、診察でさえも無駄だと、外来に1度も付き添わない親御さんもいます。ASDの濃さ・グラデーションの差によって易刺激性には差が出ます。さほど濃くなければ加齢とともに学んでいき「言わなくていいこと」も減っていくのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月22日わが家の少数派?おそらく定型発達の夫ですUpload By 丸山さとこわが家は夫と息子と私の3人暮らしです。息子と私が神経発達症(発達障害)のため、おそらく定型発達である夫は、この家では少数派な存在です。息子や私に比べて一般的とされる感覚を持っているはずの夫ですが、わが家ではその「一般的な感覚・普通の感覚」があるがゆえに苦労をすることが多いそうです。今回は、そんな夫に「息子が発達障害だと告げられた時、どう感じていたか」「どんなところに苦労しているか」などいろいろとインタビューしつつ、わが家の子育てを振り返りました。息子のコウは3歳児健診の際に発達検査を受けるように提案され、「ASD(自閉症スペクトラム症)の可能性が高い」として療育園を勧められました。夫は私からその説明を受けた際、「うすうす感じてたけど、やっぱりそうか」と思ったそうです。ショックや不安は特になかったと言います。「ASDであろう妻が普通に暮らしているのだから、息子も本人なりに工夫をしていけば何とかなるだろう」と考えて特にショックは受けなかったそうです。(当時の私はまだ未診断でしたが、夫は私のことをASDだろうなと思っていたのだそうです)Upload By 丸山さとこただ、発達検査の結果には納得したものの、療育園に行くのは「わざわざ?家では一応意思の疎通がとれているし、行かなくてもいいのでは?」と思っていたそうです。私の説明を受けて『なら行くのもいいかな』とは考えたものの、必要性はそこまで感じていなかったとのことでした。私はこれらの話を聞いて、「それくらい、コウが就学するまで夫は大きく困っていなかったのだろうな」と思いました。これは、当時夫がとても忙しく、コウとゆっくり接する時間が少なかったことも影響したかもしれません。また、実際に未就学児の頃までは大きな問題が出にくかったことからも、「夫がコウの障害を感じる機会は少なかっただろうな」と思いました。未就学児の間は周囲の子どもも幼いため関わる大人の手も厚く、コウの苦手なところが目立ちにくい時期でした。コウの特性ゆえの言動に振り回されるようになった小学校時代その後コウが小学校に入学し、未就学児までの周囲のフォローの手厚さがなくなってからは、夫も『コウと周囲の子どもたちとのズレ』を感じるようになったそうです。小学1年生の時にはすでにハッキリとズレを感じていたと夫が言うので、私は意外に思いました。未就学児の頃ほど手厚くないとはいえ、1年生は『まだ小学校生活に不慣れな学年』として学校からのフォローが多い時期だったため、大きなトラブルは目立っていなかったからです。夫は、トラブルの有無だけではなく、普段の学校生活でもコウの様子を丁寧に見ていたのだなと感じました。Upload By 丸山さとこ「コウに関して、今までで一番大変だったと感じた時期はいつ?」と夫に聞くと、「小2の後半から小5の辺りかな~」と言うので、「分かる分かる。私も同じ」とうなずきました。小学2年生以降は周囲の子どもがルールや集団行動に慣れはじめる時期です。大人のフォローが減ってくることもあり、コウにも大小さまざまなトラブルが起きるようになりました。その頃からは、夫も生活の中でコウに対して「話が通じないのは困る」と感じることが増え、ストレスが強くなっていったそうです。小学校6年生から少しずつ落ち着いてきたコウは、中学生の今、話が通じずに思い込みでパニックになることがグッと減ったと感じます。夫も「今のコウと接するのは、あの頃(小2~5)よりもずっとマシ」としつつ、今でもイライラすることは多いと言います。「分かってることなんだから、毎日のことなんだからやろうよ! となってイライラしてくる。障害だからとは分かってるがムカッとしてしまう」と夫が言うのを聞いて、今、それを素直に口にできる家族関係でいられたことは良いことなのだろうなと感じました。ムカっとするとは言っても、夫は息子に毎日キーキー怒ることはありません。私は毎日ギャーギャー怒っては、ときどき夫に止められています。そのため、今回のインタビューで夫が「さとこがコウと接しているのを見て『ああいう関わり方をできたらコウも自分も楽だろうな』と思う」と言ったのは意外に感じました。Upload By 丸山さとこ「私からコウへのどういう関わり方をよいと感じるの?」とさらに聞くと、夫はウンウン悩みながら答えてくれました。「やれ!と言って強要するのではなく、コウが自分で選んだと感じるような関わり方をしてるよね。選択肢はこれだ、今の状況はこうだっていうのを根気よく話してる」「コウの『何で』に応えてるからすごいなと思う。俺は『何でじゃないよ、やれよ!』ってイライラしてくる」とのことでした。それらの夫の言葉を聞いていた私は、「いやもうその気持ちめちゃくちゃ分かりますけど!?」と全力で同意しました。Upload By 丸山さとこ私も毎日『何でじゃないよ、やるんだよ』『何でかについては100万回説明しましたが?』と思いながらコウと接しています。そしてそれを夫に愚痴ったりもしています。夫はそれらの私のもがき方を知った上で「いい関わり方をしている」と思ってくれているのだなとありがたく感じました。理想と現実の間をアクロバット飛行している感じの毎日です最後に、「コウとの接し方について本など読んだことはある?」と改めて夫に尋ねてみると「発達障害(神経発達症)については本やインターネットで多少勉強したが(コウのことは)よく分からない」と言いました。「全然分からないわけじゃないし、ASDやADHDの特性やあるあるに関しては『コウもそうだな』と思うことはたくさん書いてある」「けれど、生活の上で困ったことに対して、本やインターネットに書いてあるようなことは既にやっていて、それでも解決していないわけで。そこを補う情報はないなと感じる」これらの夫の発言を聞いて、現役の保護者としての重みのある言葉だなと思いました。私自身も日々、同じように感じています。Upload By 丸山さとこ私の場合は、SNSなどで支援者の方のお話を聞いて「私が保護者としてブレない対応をできてないのが良くないのだろうな~!」と思うこともしばしばあります。ですが、夫と私のかわいい子どもはこの『ASDとADHDがある話が通じにくいコウ』であり、そのコウの親は夫と私のほかにはないわけで……。『話がスッと通じる息子』という幻想を追いかけても仕方がないように、『上手いこと子どもに対処できる安定した親』という幻想を追いかけても、現実的ではないのだろうなと思います。ヒートアップするお互いを「どうどう」と制しつつ、「助け合って子育てをしていきたいな」と改めて感じさせられた夫へのインタビューでした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生)夫さんにここまでの子育てを振り返ってのインタビューをしてみたエピソードをありがとうございます。さとこさん、夫さんそれぞれお互いへのリスペクトもありつつ、そしてお互いに共感する苦労もありつつ、素敵なパートナーシップだなと感じました。日々の子育て、そしてそこに関わる自分たちという状況から一歩引いて、俯瞰して振り返る・語り合うことができているのがいいですね。発達障害(神経発達症)がある子どもへの対応のコツなど、本やインターネットに出ている情報は助かる面もありますが、しかしいまひとつフィットしない面もあると思います。それは、同じ障害があったとしても、誰一人として同じ人がいないからです。そして、さとこさんも書かれているように、お子さんや保護者の側にうまくできる時とできない時があるなど、コンディションによる面もありますし、理想や幻想を追ってしまって実際の様子とは違うのにぐいぐい強行してしまう時もあると思います。対応のコツに関した情報などは使えそうな面は取り入れつつ、わが子のために少しカスタマイズしたり、そのような試行錯誤のプロセスごと子育てのパートナーや支援者などとまた話し合うなどを通して、ときどき冷静になって振り返りの時間を取れるとよいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月20日みなさんは『更年期障害』を知っていますか?聞いたことがあっても、どうして障害になってしまうのか知らない人が多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画『更年期障害と家族』をご紹介します。本作品には『更年期障害』を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。症状には個人差があります。あくまで一例としてお読み頂けますと幸いです。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ専業主婦の佳代(56歳)は大学生の里奈と会社員の良一の3人家族。ある日、体に違和感を覚えた佳代。まさかこの症状が「更年期障害」だったとは……。優しかった佳代がだんだんと良一や里奈に”イライラ”するようになります。病院へいくと『更年期障害』だと診断されました。家族で散歩へ読者の感想は……『自分がどうかしてしまったと感じていたら怖くなって当然だと思うので、病院に行くのを考えられないというのも分かる気がしますし、それでもきちんと自分と向き合えているのは立派だと思います。』『家族も献身的にサポートしてくれていますし、パートを始めてみようという前向きな考えも出てきたようなので、このままうまく更年期障害と付き合っていってほしいです。』『家族の理解は不可欠ですよね。私も更年期に確実に足を突っ込んでいて辛いです。』『更年期障害にこんなに理解ある家族がいるの素敵ですね。ご主人も娘さんも思いやりがあり、幸せですね。パートに行こうとする前向きな気持ちもすごいです。』『精神的な負担が少しでもなくなると、更年期障害の症状が楽になるんだなと思いました。周りに信頼できる人がいると回復のスピードも早そうですね。』など、実にさまざまな声が寄せられました。その後は……病院で更年期障害と診断された佳代。今までの原因について家族と話し、理解を示してくれたことで更年期障害と向き合うことができるように……。そして、家族で改善の糸口を探していくのでした。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この漫画はフィクションです。■作画: ミノル■脚本:華丘侑果(MOREDOOR編集部)
2023年11月19日楽しく読み書き計算の基礎づくりをーー『ワーキングメモリがぐんぐんのびる 単語メモリカードゲーム』「ワーキングメモリ」とは、目や耳から入ってくる情報を限られた時間で記憶し、統合しながら意味を理解する脳の働きのことです。ワーキングメモリに弱さがあると、学習の基礎である文字の読み書きや数の理解がスムーズに進まず、つまずきを感じやすくなります。本書は、カードゲーム方式で無理なく・楽しくワーキングメモリを伸ばすことを目的とし、ワーキングメモリ理論に基づいた教育支援の第一人者である広島大学大学院 人間社会科学研究科教授の湯澤正道先生が考案した5歳から大人までを対象としたカード教材です。カードは、本書の『音韻意識を高める単語メモリカードゲーム』に加え、『算数の基礎をそだてる数字マッチングカードゲーム』『特殊音をすばやく読む単語マッチングカードゲーム』と、全部で3つのシリーズで構成されています。カード毎に記憶機能を高める3つのゲームが収録され、親子や友達同士、支援者と遊びながら、楽しく読み書き計算の基礎づくりができるよう工夫されています。ワーキングメモリは国語や算数などすべての学習の基礎になるものですが、いったん学習が遅れてしまうと机に向かって勉強をすることに苦手意識を持ってしまうことも……。ワークシートのような勉強方式ではハードルが高いと感じている子どもも、カードゲーム方式の学習であれば取り組みやすいのではないでしょうか。家庭学習はもちろん、特別支援教育や放課後等デイサービスなど学校や支援の現場にもおすすめの教材です。理由が分かれば優しく寄り添えるーー『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界』本書は、発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界をマンガで分かりやすく解説し、子どもの視点から行動の理由を探り、接し方のヒントやアドバイスがまとめられた一冊です。すぐに走り出してしまう、ルールや順番が守れない、友達を叩いてしまうなど、子どもの行動は大人からしてみれば不可解なことが多く、どう対応したらいいのか悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。本書では、「不可解な行動にも、その子なりの理由が必ずある」と伝えています。前半では、主に3~8歳の子育てで保護者が戸惑いがちな「ナゾの行動」をいくつか取りあげ、それぞれ2つのケースを紹介。発達障害・グレーゾーンと言われている子どもも十人十色です。同じような行動であっても、その理由は子どもにとって異なることを感じられるように工夫がされています。監修は、北海道大学名誉教授であり児童精神科医の田中康夫先生。発達障害の特性を持つ子どもやその家族、さらに関係者たちと繋がり、支え認め合うことを大切にした治療で支持されている発達障害のエキスパートです。本書の後半では、行動を理解したうえで、発達障害がある子どもと向き合うときに保護者が意識したいことについても記されています。親子で優しい絵本の時間をーー『たれみみうさぎのリッキ』本書は、ヨーロッパで人気の絵本作家ヒド・ファン・ヘネヒテンが手がけた全世界でシリーズ累計300万部発行のベストセラー絵本です。25年前に刊行された本書が、この秋復刊されました。うさぎのリッキの耳は、みんなの耳とは違います。なぜかいつも右の耳だけ、ダラーンと垂れ下がっているんです。みんなが「たれみみ」と笑うので、ピーンと立った2本の耳がほしくてたまらないリッキ。いろいろな方法で耳をのばそうとしますが、うまくいきません。でも、みんなと違うことは本当におかしなことなのでしょうか?時には泣きじゃくって、時には笑い転げて、「見た目も、性格も、考え方も、それぞれ違っていいんだよ」と、うさぎたちが教えてくれる絵本です。本書の対象年齢は3歳から。親子で過ごす絵本の時間を通じて「君は君のままですばらしい」と、お子さんに伝えてみてはいかがでしょうか。エリートなのに仕事ができない、当事者の葛藤ーー『ルポ高学歴発達障害』「ケアレスミスが多い」「人間関係がうまくいかない」など、生活や仕事上で問題を抱えることもある大人の発達障害。その中には、世の中で「高学歴」と言われる人も少なからず存在しています。世間一般の「エリート」のイメージと「障害」の実情の狭間で理解が得られず、周囲と自分を比べては落ち込み、悩みを抱えている当事者は多いと言われています。本書は、自身も発達障害当事者である著者の姫野桂さんが、高学歴の発達障害にフォーカスし「理解が得られにくい不条理」に迫った一冊です。本文では10人の発達障害当事者のインタビューを掲載。実態の見えにくい当事者の声を拾いあげると共に、大学の教壇に立つ側の視点として現役の大学教授に、医療側の視点として精神科医の取材も。大学における学習支援や、就労支援を行っている企業の取り組みも紹介されています。「高学歴」ということで、周囲から期待されるボーダーラインが上がり、理解を得られない人がいる現状を伝える本書は、今まさに苦しい思いをしている当事者にとって一助となるのではないでしょうか。それと同時に、発達障害が取りざたされる背景にある「異質であること」「非効率的であること」に不寛容な社会の姿を浮かびあがらせているようです。『自閉症児のことばを育てる発達アプローチ~ことばの6ステージ・特徴の理解と逆転の支援~』本書は、自閉スペクトラム症がある子どもの「ことばの発達とコミュニケーション」に焦点を当て、家庭でできることばの療育方法を紹介した一冊です。第1部では、「自閉症児のことばを引き出す方法」を、第2部では、自閉症児のことばの成長段階を6つのステージに分け、各ステージの特徴と支援方法に加え、逆転の発想のアプローチも紹介。6つのステージに分けられていることで、個々の成長に適したアプローチや、次に実践することなどが分かりやすく、療育の見通しがつきやすい内容となっています。著者は、自閉スペクトラム症がある娘の父親でもあり、発達支援教室で指導員を務める臨床心理士の矢幡洋先生。これまで40冊以上の著作を出版し、『数字と踊るエリ』(講談社)は第33回講談社ノンフィクション賞の最終候補にも。本書は、著者が自身の子育てを基に、子どもが興味を示し、家庭の日常の中で実践しやすい楽しいアプローチ方法がピックアップされています。子どもの発達で悩む保護者のヒントになると共に、家庭で行うことばの療育の楽しさも感じることができる一冊ではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月18日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気づいたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2023年11月18日子どもの肥満とは?原因は?現在の日本では食事の変化や運動量の低下などにより、肥満の人が増えていると言われています。肥満は糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの生活習慣病につながるリスクが高まることから、健康管理において肥満防止は重要な要素となっています。肥満と聞くと体重が重い人という連想をする方が多いかもしれません。しかし、肥満とはただ体重が重いだけではなく、人の身体に過剰に体脂肪が蓄積している状態のことを言います。肥満度は体重と身長の数値から求められるBMI(Body Mass Index)という数値を使って判定されていますが、同じBMIでも実際に体内のどこに脂肪がついているかでリスクが異なってきます。筋肉の内側に脂肪のつく「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」と、皮下脂肪が多く内臓脂肪が少ない「皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)」の2つのタイプがあり、内臓脂肪型肥満のほうが糖尿病や高血圧、脂質代謝異常といった疾患を発症する可能性が高いとされています。参考:肥満と健康|厚生労働省e-ヘルスネット先ほどのBMIは成人に使われる指標で、6歳から18歳の学童期の子どもの肥満度には別の指標が用いられます。子どもの肥満度は「100 × (現在の体重‐標準体重)÷標準体重」で求められます。Upload By 発達障害のキホン「小児肥満症診療ガイドライン2017」では、「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態(有意な体脂肪率増加とは、男児:年齢を問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)」を肥満と定義づけています。引用:e-ヘルスネット|肥満と健康上記を満たす場合に「小児肥満」だと定義しています。子どもの肥満の場合も、高血圧や睡眠時無呼吸症候群、糖尿病などの発症リスクがあると言われています。こういった肥満に伴う健康リスクが高い状態を「メタボリックシンドローム」と呼んでいて、子ども(6歳から15歳)の場合は腹囲が80cm以上などの目安が設けられています。実際には腹囲だけでなく血圧などの数値も加味して判断するため、子どものメタボリックシンドロームが気になる方は一度医療機関で検査を受けるようにしましょう。乳幼児や小学生など子どもの肥満のほとんどは、単純性肥満と呼ばれるものです。つまり、食べ物などによって摂取したエネルギーが、運動などにより消費されたエネルギーを上回っていることで生じる肥満のことです。子どもが普段摂っている食事のバランスや悪いことや、お菓子、清涼飲料水の過剰摂取によって摂取エネルギーが高くなる反面、運動不足などで消費エネルギーが少ない状態が続くことによって肥満へとつながっていきます。日本では1970年代からライフスタイルの大きな変化があり、子どもの肥満が増加しました。現在は増加傾向は収まっているものの、それでも全体の10%以上の子どもが肥満と判定されると言われています。このような原因から「子どもの肥満は親のせい?」と悩む方もいるかもしれません。しかし、きょうだいなど同じような食事内容やライフスタイルであっても、肥満になるかどうかには個人差があります。もちろん、養育者や近くの人だからできる肥満対策もありますので、後ほど紹介します。また、子どもの肥満は単純性肥満が多いですが、症候性肥満と呼ばれる何らかの病気が原因で肥満になっている場合もあります。その際は身長の伸びも遅れるのが特徴と言われています。参考:肥満|一般社団法人 日本小児内分泌学会子どもの肥満が原因で起こるさまざまな病気子どもの肥満のリスクには、成人の肥満へつながる可能性や多くの合併症のリスクなどがあります。子どもの頃、特に年長児の肥満はそのまま成人の肥満に移行しやすいと言われています。また、思春期の肥満だと体格が形成されることや肥満になりやすいライフスタイルが定着することで、さらに肥満の解消が難しくなることも指摘されています。肥満は合併症のリスクも高まると言われていますが、合併症がない場合でも体重の増加により膝や腰など身体に大きな負担がかかります。子どもの肥満には合併症のリスクがあると紹介しましたが、具体的には生活習慣病として知られる2型糖尿病や脂質異常症、高血圧などにつながる可能性があると言われています。そして、このような生活習慣病は動脈硬化を促進していき、成人してからの脳卒中のリスクを高めることも指摘されています。その他の合併症としては睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝など、さまざまな疾患につながる可能性があります。子どもの肥満であってもこのようにさまざまな病気のリスクが高まるため、できるだけ早く肥満を解消することが大切となります。子どもの肥満と発達障害の関連性ここでは、子どもに発達障害がある場合の肥満との関連性を紹介します。発達障害のある子どもは、感覚過敏や衝動性などの特性の影響で偏食が激しいことや食事量が多すぎることがあると言われており、そのことが肥満につながっている場合もあります。アメリカの調査ですが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どものうち22.2%が肥満であり、定型発達の子どもに比べて肥満となるリスクが41.1%高かったという結果も出ています。別の調査によると注意欠如・多動症(ADHD)の子どもは衝動性の特性の影響により過食になる傾向があるほか、不注意の特性の影響で規則正しい食生活が難しく、そのことが肥満につながる場合があるとされています。また、発達性協調運動症(DCD)のある子どもも肥満のリスクが高い可能性があります。発達性協調運動症とは、手足や身体の動きをコントロールすることに困難がある発達障害の一つです。子ども同士の遊びやスポーツへの参加が少ないため運動量が低下することなどにより、ほかの子どもに比べて肥満のリスクが高いとされています。このように、肥満の背景に発達障害の影響が隠れていることもあるため、肥満以外にも気になる様子があるときはかかりつけの小児科や保健センターなど専門家への相談も視野に入れるといいでしょう。参考:発達障害の理解|厚生労働省参考:自閉スペクトラム症児の偏食に対する食物同時提示法の適用参考:発達障害児の肥満|京都女子大学生活福祉学科紀要第 16 号参考:DCD 支援マニュアル|厚生労働省子どもの肥満を解決するために家庭でできること子どもに肥満が見られる場合に家庭でできることを紹介します。まず、子どもは体重を維持するだけで身長の成長と共に肥満が解消されることもあります。肥満を気にして栄養を制限し過ぎることは子どもの正常な成長を妨げることにもなるため、子どもの肥満解消には摂取エネルギーを減らすのではなく、規則正しい食生活や運動によるエネルギー消費を増やすことが大事になります。まず乳児期は成長が最も著しい時期のため、多少の肥満は気にする必要がないと言われています。ハイハイや歩き始めるなど運動ができるようになると肥満も解消されていくことがほとんどです。幼児期になると、先述したように成人後の肥満へつながることも考えられるため、対策が必要になってきます。この頃の生活習慣が後にも影響するため、三食決まった時間に食べることや間食を計画的にするなど食生活を安定させ、外での運動遊びも積極的に行ってきましょう。食事は不足しがちな野菜、魚介類、豆類などを出すようにするといいでしょう。運動は子どもにさせるだけでなく、家族で一緒に遊ぶなど工夫しながら取り入れていくと効果的です。学童期の肥満は幼児期よりも成人後の肥満につながりやすいため、注意が必要です。この頃になると子ども自身も肥満対策の重要性を理解できるようになってくるため、食生活や運動について納得いくように説明することも大事です。運動もエネルギー消費の激しいものではなく、あくまで子ども本人が楽しいと感じるものにして、身体を動かす習慣をつけるようにしましょう。肥満の解消は家庭だけではなく、必要なら医療機関に頼ることも大切です。家庭ごとに事情があると思いますし、子どもにも成長の個人差や肥満の背景に障害が隠れていることもあるなど複雑な要素が絡まっていることもあります。医療機関で検査をすることで、家庭や子どもの状態に合ったアドバイスをもらえることもあります。抱え込まずにかかりつけの小児科や保健センターなどへ相談してみるとよりよい方法が見つかるかもしれません。参考:子どものメタボリックシンドローム|香川県肥満予防はなるべく早く対策をしていくことが大事肥満はさまざまな生活習慣病のリスクを高めることで知られています。子どものころに肥満だと、成人後も肥満となる可能性も高いため、なるべく早く対策をしていくことが大事です。家庭では規則的な食生活や運動の習慣をつけるなどの対策があります。ただ、肥満の背景に他の障害の影響がある場合も考えられます。つらいと感じたときは家庭だけで抱え込まずに、医療機関への相談も検討してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月17日発達グレーゾーン息子の就学問題。発達検査を受けてみたけれどしのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。現在は年長クラスで、来年から小学生になります。しのくんは言葉が遅く、集団行動が苦手だったこともあり、ことばの教室や療育に通っています。来年小学生になるにあたって、就学先の参考にするために、発達検査を受けることにしました。そして検査の結果……。Upload By keikoUpload By keiko「通常学級でやっていけるのか、それとも特別支援学級のほうが良いのか」については、療育の先生方も判断がつかないようで……。どちらがしのくんにとって良いのかが分からないので、集団生活の様子を一番よく見ている保育園の先生に相談して決めましょう!ということになりました。保育園での面談日。思いがけない先生の言葉に固まってしまい…保育園での面談の日がやってきました。就学先希望の提出期限は7月末、そして面談も7月末……ということで、「いよいよしのくんの就学先が決まる!」と私はドキドキしていました。発達検査の結果を見せて、ことばの教室の先生と療育センターの先生から言われたことを保育園の担任の先生へ伝えました。すると担任の先生から……Upload By keikoUpload By keiko「お母さんはどうしたいですか?」と聞かれ、私は思わず固まってしまいました……。私はその時まで、わが子の進路を親が決めるとは思っていませんでした。先生に特別支援学級と言われたら、その通りにしようと当然のように思っていたのです。私の願いは、しのくんにとって一番良い道に進むことです。だからこそ、専門家に判断してもらいたくて、病院で発達検査したり、療育や保育園の先生に相談したりしていたのですが……急に私の意見を求められて「プロが判断できないことを私が判断できるわけがない」と思ってしまいました。なので、私は正直に「分かりません……。先生の答えに従います!」と担任の先生に丸投げしてしまいました。担任の先生は、そんな私の気持ちを受け取ってくださり、園長先生と話し合って答えを出してみると言ってくれました。面談を終えた日の夜、「ある事実」に気づいた私そして、担任の先生との面談を終えた日の夜、私はふと気づきました。しのくんの就学先について、夫の気持ちを一度も聞いていないということに……!!保育園の先生に決めてもらおうとばかり思っていたので、夫の意見を聞くという発想がなかったのです。Upload By keikoもうすでにウトウトと眠りかけている夫に急いで「通常学級と特別支援学級選べるならどっちを選ぶ!?」と聞いてみると「通常学級」と返事が返ってきました。(その選択の理由については語らないまま、夫は眠りに落ちていきました(笑))そして、ついに就学先決定!翌日、「通常学級が良い」という夫の意見をないがしろにしないためにも、私は朝一番に保育園へ電話しました。すると、もうすでに担任の先生と園長先生との話合いは終わっており、保育園の先生方の意見は「しのくんは通常学級がいいと思います」ということでした。図らずも夫の意見と先生方の意見が一致したので、私の心も決まりました。小学校に入学するまであと数ヶ月あるし、低学年には補助の先生もいるし、まずは通常学級に入ってみて、しんどそうだったら2年生から変更しようということで話がまとまりました!「子どもの就学先」という責任重大な決断をどうするか、とても悩んだ数ヶ月間でしたが、周りの先生方に恵まれたこともあり、また一つ大きな壁を乗り越えることができました!悩みや心配事はつきないけれど、これからも支援者の方々に(そして夫にも……)その都度相談しながら、しのくんにとって一番良いと思える道を進んでいこうと思います。執筆/keiko(監修:新美先生より)就学についてのエピソードをきかせてくださりありがとうございます。検査を受けたり、療育の先生へ相談に行ったりして、就学後の学びの場について検討されたのですね。学びの場については、誰が決めるというのではなく、保護者の方の希望をなにより優先しながら、関わる人たちの意見を参考に総合的に判断されることが多いと思います。とはいえ、いきなり保護者の希望と言われても、未経験なだけに迷ってしまうこともありますよね。お話を伺うと、関わっている先生方も、みんな迷っていたようなので、誰もが迷う微妙なゾーンだったのかもしれません。こうだったらこっちというような、絶対の基準があるわけでもなく、実際先生やクラスメイトの相性などもあり、どっちがいいか迷うことはしばしばあるものです。しのくんについては、ふだんの集団生活を支えて下さっている園の先生のご意見と、お父さんの意見が一致したということもあって、Keikoさんの心も決まったのですね。どちらに決めても、実際入ってみての試行錯誤や先々の変更はあるかもしれませんが、その都度相談しながら進んでいくと決めたKeikoさんとしのくんを、心から応援したい気持ちです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月13日発達障害のある次男の中学校生活がいよいよスタート!Upload By スガカズ発達障害(ADHD、LD)のある次男はこの春から中学校の通常学級に通っています。希望していた週一回の特別支援教室(通級指導教室)にも無事に通えることになりました。次男は昔から、環境の変化が苦手です。環境の変化があるときに対人関係のトラブルが起こりやすくなります。小学校に入学してからは大人(今回の場合は学校の先生など)とのトラブルが大半で、小学校低学年の頃はかんしゃく(暴言、物にあたる)や脱走がときどきありました。そのため、「次男の特性をあらかじめ知ってもらっていたほうがトラブルを未然に防げる」と思い、次男の特性などを中学校に事前に共有しています。学校生活スタート。本人の気持ちは……?次男は小6の秋におこなった、特別支援教室(通級指導教室)の体験での自己紹介で「中学校に入ったら怒るのをなおしたい」と言っていたり、入学直前には「中学校に入ったら新しい友達をつくる」「どんな学校なのか楽しみ」と話していました。小学校卒業前から本人の情緒は比較的安定していて、中学校に通ってからも不安定になることはありませんでした。知らない人も多く小学校とは違った環境でしたが、よい緊張感をもって中学校に通い始めました。入学から1ヶ月ほど経つと、クラスにも徐々になじめるようになり、新しい友達も増えました。また、クラス担任は次男との関わり方が上手く、次男自身も担任を好意的に思っているようで、大きなトラブルもなく毎日学校に通うことができています。Upload By スガカズただ、昔から朝は苦手で、緊張感がなくなった現在は、遅刻が目立つようになりましたが……。部活動はソフトテニス部に入部しました。体を動かすことは昔から得意だったので、テニスは未経験でしたが、どんどんできることが増えていきました。週5日の練習や、休日の試合など熱心に活動しています(平日の朝は遅刻が目立ちますが試合の朝は不思議と遅刻しません)。一度だけ、体育の先生と意思の疎通がうまくいかず、泣いて授業を抜け出したことがありましたが、その際には担任が次男に事情を聞き、学校で話し合って解決することができました。授業は前向きに参加しており、小学校の頃と比べると大きな成長を感じています。初めての定期テストと、課題提出7月、次男にとって人生で初めての定期テストがありました。次男は書字障害があり、文字を書くことが困難なため、書字を含めた勉強が苦手です。ただ、小6の頃から毎月療育に通っており、そのお陰で、文字を書く困難さは改善されました。小学校の頃はノートが真っ白だったのですが、中学校では、困難さを抱えつつも努力して書こうとしているようです。次男の中学校は、普段は課題が出ないのですが、定期テストの日に、課題の提出を求められます。小学校に通っていた時は、宿題の内容を担任の先生と話し合って調整してもらっていました。ですが、中学校では課題の範囲が学年で決まっており、次男だけ調整することは難しいということでした。また、この時期の子どもは友達との時間を優先しがちなので、本人が家にいない時間が増えました。そのため、課題に取り組める時間の確保が難しかったです。Upload By スガカズ【1週間の間にこなす課題】・国語漢字20ページ・数学50ページ・英語20ページ全ての問題を解いて丸つけ間違ったところはノートにやり直して提出結局、締め切りが1週間という限られた時間で次男が課題をこなすことはできませんでした。数学、英語はなんとか提出できましたが、国語の課題は手をつけられなかったので、未提出です。また、テストに向けた復習をする時間はまったくありませんでした。そもそも私は「次男は中学校でテストを受けてくれるのだろうか?」といった疑問がありました。中学校のテストは小学校の時よりも長時間の集中力や、見通しが求められます。もともと小学校でのテストが、書字の困難さを含めさまざまな理由から、白紙のままで0点で返ってくることも珍しくなかったのです。そのため、数日間、みんなと同じようにテストを受け続けることは難しいのでは?と、私は思っていました。Upload By スガカズ期末テストは3日間あったのですが、本人は3日間乗り越えることができました。国語は白紙に近い状態でしたが、受けてくれただけで、十分だと思いました。はじめての定期テストを終えて気付いたこと・漢字にルビがふられていた→ルビふりのお願いはしていませんでしたが、学校側で学習障害(LD)の生徒向けの対応をしてくれていました。・テスト時間の延長は個別で対応ができる→後日、テスト結果を持参して療育に相談しに行った際に、テスト時間の延長ができるかもしれないという話になりました。実際に学校に質問したところ、別室に移動して受けることができるということでした。今のところ本人の当日の意向から、延長の対応はしないでテストを受けています。・プリントをホチキス留めしてプリントの順番がバラバラにならないようにする。→国語のプリントが右とじのスクラム製本だった(ホチキス留めされていなかった)。テスト中にプリントを落としてしまい、順番が分からなくなったので、問題の意味が理解できなかったから白紙に近かったのだそう。学校には、ホチキスを持参する旨を共有した。ホチキス留めをしただけで2学期の国語の中間テストは解いた問題の数が増えた。初めての課題提出で気づいたこと・課題の範囲は先に知ることはできないが、どのワークを使うのかは分かったので、得意な教科は、時間がある時に少しずつ進められるとよい→とは言っても次男の特性から、声かけが重要ですが、「先生から言われてないからやらなくてもよい」と自己判断する場面があったので、先生から「中学生は自主的にやらないといけない」と次男に伝えてもらいました。Upload By スガカズ本当によかったと思うことは、「クラス担任との相性がよい」ということです。次男が通うソフトテニス部の顧問をしているので、テスト後の部活に参加する条件が「数学の提出を完了させること」だったそうです。好意をもっている先生に言われてしまったこと、部活に早く参加したい気持ちが、本人を動かしているんだろうと思います。テストの結果にはあまりこだわりませんが、提出できる課題を少しずつ増やせればいいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)中学生活で初めての定期テスト、親御さんもお子さんもかなり不安だったと思います。スガカズさんも触れておられましたが、書字障害や感覚過敏など医師や専門機関の診断、所見や意見書があれば、話し合いによって解答欄の拡大や別室受検など症状に応じた合理的配慮が可能になる場合があります。また、提出物に関しても手書きではなく、パソコンやタブレット端末の活用で代替するなども考慮されるかもしれません。合理的配慮の際には、実施前に本人が納得すること、実施したあとに本人の意見を取り入れながら改善していくことが大切です。周囲の生徒と異なる支援を受けることが本人の心理的な不安につながる場合もありますので、お子さんの思いを尊重しながら本人のペースで進めていかれるとよいと思います。スガカズさんも書いておられるように教師との信頼関係も何より大切ですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月01日『発達障害』という言葉が広く知られるようになった、昨今。我が子の発語が遅かったり、かんしゃくが激しかったりするなど気になる点があると、不安を感じてしまう親は多くいるでしょう。子供の発達に悩んでいる場合、自治体が運営する発達相談や地域の療育センター、発達障害者支援センター、保健センターなどで相談をすることができます。気になった時点で発達相談の窓口や医療機関につながることで、子供の特性や家庭の状況に合った支援を早めに受けられるかもしれません。親子で療育に通った日々すやすや子(@suyasuyakoo)さんは、息子さんの発達に気になるところがあり、1歳8か月の頃に地域の発達相談支援センターを利用しました。そこで息子さんは発達検査を受けた後、発達支援が受けられる療育施設に通うことになったそうです。すやすや子さんは、親子で療育に通った1年間の日々のことを漫画に描き、X(Twitter)に投稿。その内容に、多くの人から反響が寄せられています。検査の結果、息子さんは「5か月の遅れがある」ということが分かりました。産後の精神状態が良好ではなかった、すやすや子さんは「自分のせいなのではないか」と感じてしまっていたといいます。何かできることはないかと相談したところ、療育施設に通うことを提案されました。療育は、もとは肢体不自由児など身体的な障がいをもった人たちの社会的な自立に向けた支援の概念として誕生しました。2023年現在は『発達支援』とも呼ばれ、知的障がいにもその概念は広がっており、厚生労働省の『児童発達支援ガイドライン』によると、次のように定義されています。児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。厚生労働省ーより引用つまり療育および発達支援とは、障がいのある子供に対し、それぞれの特性や発達状況に応じて、発達を支援する総合的な働きかけのことを指しています。しかし、近年その概念はさらに発展、拡大されており、障がいが確定した子供だけでなく、発達が気になる段階の子供まで広く対象とされているそうです。また、子供だけでなく、家族への支援も療育では重視されています。障がいの特性や段階に応じて暮らしを安定させることを基本とした支援を行うことで、子供にとってもいい影響があると考えられているのです。すやすや子さんは、送迎バスのある療育施設に通うことに決めました。実際にどんなことをする場所なのか、イメージがつかめないまま、初回を迎えると…。初めての療育で『不安』に感じたこと実際に療育施設に通い始めた、すやすや子さん。療育は平日の週2~3日、9時~14時頃まであり、通園は決して楽ではなかったといいます。最初の頃は、時間が短く自由遊びが多かったため「本当に通っていて発達にいい影響があるのかな…」と疑問に思ったこともあったそうです。だんだんと施設で過ごす時間が長くなり、親子ともに慣れてきた頃、すやすや子さんは、ほかの保護者から『休憩タイム』があると知らされます。大人だけでゆっくりとお茶が飲める『休憩タイム』を、すやすや子さんは楽しみにしていましたが…。『休憩タイム』に心がときめく初めて『休憩タイム』を過ごすことができた、すやすや子さん。コーヒーを1杯とおやつを食べ、ほかの保護者と会話を交わせただけで、とてもリフレッシュできたそうです。息子さんが生まれてからずっと、ほぼ付きっきりで育児をしてきたすやすや子さんにとって、30分の休憩タイムは心安らぐ時間だったのでしょう。親がリラックスし、子育ての悩みを気軽に話せる場を作ることもまた、大切な療育の1つといえます。息子に少しずつ変化が…児童指導員や保育士、心理士、理学療法士、医師などの専門家によるサポートが受けられる、療育施設。子供の発達の状況や特性に合わせた関わりを通して、できることを一つひとつ、増やしていくことができると考えられています。「療育に通う前は『私のせいで発達に遅れが出た』と思い、不安から息子をかわいいと感じる気持ちが隠れてしまっていた」と振り返る、すやすや子さん。先生が息子さんを「かわいい」と素直に褒めてくれる言葉や、「成長しない子はいない。ゆっくりでも絶対に成長するんだから」と勇気付けられたことに、とても救われたそうです。すやすや子さんの体験談には、共感の声をはじめ、さまざまなコメントが寄せられました。・療育に通う親子に届いてほしい。これから親になる人も、ぜひ療育について知ってほしいです。・うちも療育にはお世話になったから、共感して泣きました。先生たちといろんな情報交換や相談ができて心強い。・なんて素敵な療育に通っていたんだ。親の葛藤も丁寧に記されている。最後のコマに泣いてしまった。子育てをしている親は、時に孤独になってしまうものです。特に障がい児や、発達が気になる子供を育てている親は、より多くの悩みや不安を抱え、日々葛藤をしています。親以外のいろいろな大人が我が子に寄り添い、一緒に成長を見守ってくれる場所があるということを、多くの人に知ってほしいですね。ちなみに、療育が受けられる場所は、自治体が運営する公的な療育施設のほか、民間企業やNPO法人が運営する、民間の療育施設もあります。家庭の事情を考慮した上で、子供が楽しみながら成長できる場所を見つけられるといいですね。[文・構成/grape編集部]
2023年10月31日わが子はことばが遅い?どこに相談すればいい?発達障害と「ことば」の関わり発達ナビのQ&Aコーナーには「ことば」に関わるお悩みが多く寄せられています。Q.2歳2カ月の娘のことなんですが、言葉がまだあまり出ていません。あお、パパ、パン、グーチョキパー、あと数字を何個か言えるぐらいです…歳8ヶ月で単語2.3語~言葉も遅く2歳8ヶ月から単語がたくさん出だしました。2歳8ヶ月の時に2歳半検診に行き、「言葉が出てないは関係なく、集団生活が厳しいかも」と保健師さんに言われました。~中略~現在は2語文話しますが、一方的で会話はあまりできません。(簡単な質問に単語で答えれるくらい)まだエコラリアか無視が多く、あとは独り言が多いです。本記事では、ことばの支援の専門家、言語聴覚士(ST)の日本福祉大学中央福祉専門学校言語聴覚士科学科長 大岡治恵先生に発達障害と「ことば」の関わり、また発達ナビのQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられているお悩みについてご回答いただきました。まずは、発達障害と「ことば」の関わりについてのQ&Aをご紹介します。Q ことばについて悩む親御さんから、どんな相談を受けることが多いですか?また、子どもの年代別の相談内容や、月齢・年齢によっての発達の目安なども教えてください。「ことばが遅い」という場合、どうしても今何語話せるか、どのくらいの長さで話せるか、つまりしゃべっていることばが気になってしまいます。でも、ことばというのは遅れのないお子さんでも、まず理解できるようになって、それから少し後になって分かるようになった単語が話せるようになります。ですからことばが遅いかどうかの判断には、実は「どのくらい理解できているか」が重要になってきます。まずはことばの理解面の発達の目安をみていきましょう。多くのお子さんが1歳のお誕生日を過ぎると、カタコトで「マンマ」「ワンワン」など意味のある単語が言えるようになります。実は話せるようになる少し前には、大人が話しかけた単語が理解できるようになっているのです。まずはパパやママが「ワンワン」といったらそちらを見るか、「ブーブー」といったら車を指さすかどうかを観察してみてください。1歳から1歳半くらいの間にいくつかの単語が理解できるようになるのが目安です。2歳前後には語彙がかなり増えてきます。具体的なものの名前だけでなく、動詞や「大きい」「小さい」などの概念を表す形容詞などが分かるかが目安です。またこのころには2語文が分かるようになります。「手を洗うよ」「ゴミ、ポイしてね」などの2語文の指示が分かって行動できるかどうかを観察してみてください。3歳くらいになると色の名前やさまざまな形容詞、「動物」「食べ物」などのカテゴリーを表す語も分かるようになります。うまくお話できなくても、「黄色い帽子持ってきて」など3語文くらいの指示どおりに行動できるかどうか観察してみてください。5、6歳くらいまでに、おおよその文法的な機能が発達してくると考えられています。長くつなげてお話しできるだけでなく、接続詞や助詞の使い間違いもなくなります。語彙的には、「左右」や「昨日、明日」など、時間や空間に関する概念、「約束」や「親切」などの抽象的な概念も理解できるようになります。1歳半健診後~2歳くらいまでにことばが全く出ていない、2、3歳になるのにカタコトの単語のみでつなげて長くお話できない、といったご相談が多くあります。そのほかには、ことばは出てきたけれど、出だしが詰まってスムーズにお話しできない、発音がはっきりしない、オウム返しになってしまって会話がかみ合わないなどのご相談も多くあります。出だしが詰まってスムーズにお話しできない、発音がはっきりしない、オウム返しになってしまうなどのご相談については、また別で詳しく回答させていただきます。相談に行ったほうがよい目安ですが、乳幼児期の子どものことばの発達は個人差がとても大きく、周りに同年代のお子さんがいるかどうか、大人がどのくらい話しかけているかといった環境でも変わってきます。また引っ込み思案かどうかといったそのお子さんの性格も関わってくるため、上記の目安に当てはまらないからと言って、すぐ「ことばが遅れている」とは断言できません。理解面が大きく遅れておらず、話しかけると身振りや指さしで答えようとする、指示に応じようとする様子が見られれば、様子を見ていてよいと思います。でも、理解面も実際の年齢より1年以上遅く感じられる、3歳近くなっても全くことばが話せない、などの場合は、早めに専門機関へ相談に行ったほうがよいかもしれません。Upload By 発達障害のキホンQ 「ことば」に困難さを抱えている子どもに対して、心がけたい接し方や声掛け、逆に保護者が避けたほうがよい行動や態度にはどのようなものがあるのでしょうか?まだ単語の理解ができていないようだったら、実物を見せてから行動しましょう。例えば園に行くときは通園の鞄や帽子を見せる、車に乗るときは車の鍵を見せてから行動するなどです。単語がいくつか分かるくらいの理解力でしたら、なるべく幼児語で話しかけましょう。「犬」よりも「ワンワン」、「洗う」よりも「ジャージャー」「ゴシゴシ」などです。幼児語は発音も簡単で、より具体的に様子を表すことばですので、ことばが芽生え始めのお子さんたちにとっては、理解しやすく、やさしいことばです。単語が分かるようになってきたお子さんには、身振りもつけながら具体的な単語で話しかけましょう。ことばが芽生え始めのお子さんは、犬を見て指さす、帽子を取ってほしくて頭に手をやるなど、身振りで表現しようとすることがあります。そんな時はお子さんの意図をくみ取って「ワンワンだね」「帽子?」などと正しいことばで返してあげましょう。また、身振りではなく声を出すけれど、正しく言えず「りんご」のことを「・・ゴ」、「救急車」のことを「……シャ」などと、語の一部の音だけを発することもあります。そんなときも、「りんごだね」「あ、救急車来たね」などと正しいことばで表現してあげます。この時、決して「りんごだよ、リンゴ、言ってごらん」などと復唱を強要しないでください。ことばは、真似て言わせたからと言って、たくさん話せるようになるわけではありません。子どもが「シャ!」と言った時は、「ママ、見て、救急車が通ったよ!」と、珍しいものを見てうれしい気持ちを共感してほしくて表現しています。その気持ちを大切に「ほんとだね!救急車だ!」と共感してあげることで、コミュニケーションする喜びを感じることができ、「また表現しよう」「ことばで伝えよう」という原動力になるのです。ある程度分かる単語の数が増えてきたら、今話しているより一つ語を付け加えて話しかけるようにしてみましょう。単語なら2語文、2語文なら3語文です。例えばお子さんが「ワンワン」と言ったら「大きいワンワンだね」「ワンワン行っちゃったね」、お子さんが「大きいワンワン」といったら「大きいワンワンかわいいね」といった具合です。なるべく今目の前で起きていること、子どもが興味を持ったことについて、意識してことばに出してみましょう。ことばが遅いお子さんに対しては、どうしても「ちょうだい」と言えたらあげる、という対応をすれば、やがて出てくるようになるのではないかと思われがちです。でも、これで表現できるようになるのは、「ちょうだい」や、取ってほしいおもちゃやおやつの名前くらいです。もちろん「ちょうだい」の身振りが少しできるようになったお子さんには、表現できるまで少し待ってあげて、表現できたら渡してあげる、という対応はとても良いと思います。でも、まだその段階でないお子さんにとってはストレスになってしまいます。コミュニケーションする喜び、「また表現しよう」「ことばで伝えよう」という原動力を育てることが大切です。Upload By 発達障害のキホンQ 言語聴覚士(ST)へ相談したいときはどこに行けばいいのでしょうか?また相談に行く際、用意をしたほうがいいものはありますか?1歳半健診や3歳児健診などの乳幼児健診で、「少しことばが遅い」と言われたのであれば、その時担当してくれた保健師さんなどに相談してみるのがよいでしょう。その地域にある言語聴覚士がいる施設、機関を紹介してもらえると思います。多くの自治体で、子ども発達センター、療育センターなどの名称で、総合的に子どもの発達支援をする機関を設置しています。そういったところには言語聴覚士、作業療法士などの専門家がいて、それぞれ専門的な助言や支援を行っています。総合病院、リハビリテーション病院、小児科、耳鼻咽喉科、歯科などのクリニックの中にも、言語聴覚士などの専門家をおいて、お子さんの発達支援を実施ししているところがあります。どこの施設に言語聴覚士がいるか、日本言語聴覚士協会、各都道府県言語聴覚士会で調べることができます。ホームページに検索サイトがある、メールで問い合わせをすると答えてくれるなど、都道府県によって対応は異なりますが、分からないことがあればまず問い合わせてみてください。一般社団法人日本言語聴覚士協会病院・施設検索一般社団法人日本言語聴覚士協会都道府県士会一覧最近はこれらの事業所で言語聴覚士をおいて専門的な支援をしているところが増えています。ただサービス内容は事業所によって異なり、言語聴覚療法をやっているという記載があっても、毎日専門家がいるわけではないところもありますから、詳細は直接問い合わせて確認をしてください。全国の発達支援施設検索【LITALICO発達ナビ】療育センターや病院、クリニックに行く場合は、出産前後の状況や、これまでのお子さんの発達の経緯について聞かれることが多いため、母子手帳を持っていくとよいと思います。また普段どのようなことばに反応するか、どのくらいのことばをしゃべっているかについてのメモだけでなく、好きなおもちゃやお友達との遊び方の様子などについてもメモして準備していくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホンQ 1歳半健診でことばの遅れを指摘されましたが、「まだ様子見で構わない」といわれています。子どものことばをのばすために、家でなにかできることはないでしょうか。健診で「様子を見ましょう」と言われた場合、「様子」って何を見ればよいのか、家庭で何かできることはないのかと不安になると思います。「様子」を見るとは、何を見ることなのでしょう。先ほどご説明したことばの発達の目安を参考に、お話しできることばの数がそんなに変わらなくても、理解できることばが増えてきているかを観察していくとよいと思います。毎日見ていると以前どうだったかなど記憶があいまいになってきますから、半年ごとくらいに「今理解できることばの数や長さ」「今お話しできることばの数や長さ」をメモしておくとよいと思います。ことば以外に、かんしゃくやこだわりなどの気になる特徴があるかどうか、それがだんだん強くなってきているか、目立たなくなってきているかなどの変化の様子についても、半年単位でメモしておくとよいと思います。着替えやトイレなど生活習慣の自立ができるようになるかにも注目してみてください。同じくらいの年齢のお子さんと比べて遅いような気がするなど、「様子を見て」いて不安なことがある場合は、上記の相談先へ相談してみましょう。専門機関へ相談というと、ちょっと不安がある方も多いと思いますが、子育てのヒントやよい対応の仕方の助言をもらえるはずです。Upload By 発達障害のキホンQ 3歳の娘のことばがほかの子と比べると遅く、言っていることは親にしか通じないという状態です。保育園や小児科で相談すると、絵本を読みなさいといわれることが多いのですが、かなり多くの本を読んできたつもりです。このような場合、読み方が悪いということでしょうか?絵本を読み聞かせするとよい、動画を見せっぱなしにするのはよくないなど、ことばの発達のためにこうしたほうがよいという情報が氾濫しています。でも絵本も動画もその時にお子さんと楽しい時間を共有するためのツールにすぎません。要は使い方次第だと思います。動画も、見せっぱなしにするのではなく、出てきた動物や食べ物など子どもが興味を持ったものについて、その都度タイミングよく大人が話しかける、子どもが指さしたものの名前を言って共感するなど、うまく使えば楽しくことばをはぐくむことができます。単純に「絵本を読めばことばが出てくる」というわけではありません。大人でも、まったく聞いたことのない外国語で延々と読み聞かせをされても、つまらないだけで、その外国語を習得できるわけではありません。絵本というのはおもちゃと同じ遊びのアイテムのひとつですから、子どもが分かる内容でなければ、楽しくありません。単語がまだ分からないお子さんにとっては、オノマトペの音感を楽しむような絵本が適しています。単語がいくつか分かるようになってきたお子さんには、具体的な名詞が絵と共にたくさん出てくるような絵本がおもしろいでしょう。2、3語文が理解できるお子さんには、短いフレーズが繰り返し出てきて、少しずつ変化していくような絵本が楽しめます。もっと長い文が理解できるお子さんにとっては、ストーリー性のある絵本が適しているでしょう。そこでお子さんが興味を持って視線を向ける、絵を指さす、笑顔を返すなどの反応がみられたら、すかさず大人も反応を返してあげる、そのやり取りの中でことばが育っていくのです。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どものことばにまつわるエピソード発達ナビライターの方々のことばにまつわるエピソードをご紹介します。発達ナビ「Q&Aコーナー」にあなたのギモンをぜひ投稿してください今回は発達ナビQ&Aコーナーや「みんなのアンケート」に寄せられたことばにまつわるギモンについて大岡先生からアドバイスをいただきました。発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!あなたの子育てに関する疑問や悩みを質問してみましょう!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月29日幼稚園では理解が得られなかった息子。就学へ向けて少しでも過ごしやすくなるよう「練習」をしました!現在は7歳の息子は3歳で聴覚過敏気味、視覚優位の自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けました。現在は通常学級在籍、特別支援教室に通っていて、粗大運動がぎこちないところがあるのですが、発達性協調運動症(DCD)の診断名まではつかないと言われています。幼稚園の頃は、無理解な先生が多く、「息子にほかのお子さん方と同じことを求めるのは難しいと思うんです。頑張って頑張っても頑張っても、ほかのお子さんの足元くらいにしか到達しない。ほかのお子さんの6~7割いけば十分だと思っています」とお伝えしても、「子どもはみんな同じ。特別扱いはできません。発表会等の行事も経験させたいので疲れていても幼稚園を休ませないで下さい、甘やかさないで下さい。こんなんじゃ小学校上がってからが心配です」と言われ続け、お迎えの時には、あれができないこれができないと、できないことばかり報告される日々……。できないことは息子や親の努力不足といわれつらい思いを抱えていました。Upload By ユーザー体験談そんな状態だったので、小学校では息子ができることも増やして自信をもって過ごせるように、学校側と連携がとれるように、就学へ向けて家や療育でいろいろと練習をしてきました。今回は、わが家が行ったことと、小学校入学前の校長先生との面談から1年生になった今の様子をご紹介します。就学までに一歩一歩!わが家で取り組んだ3つのこと就学までを目標に取り組んだことは大きく3つあります。トイレと着替え、そして連絡帳の書き方です。息子は年長になっても用を足すときは洋式トイレに座ってしていました。立って用を足すと、おしっこが飛び散ってしまい、濡れることに過敏な息子はパニックになってしまうからです。そこで絵を使いました。1.どの位置に足を置くかを示す2.ズボンとパンツは膝下まで下ろす(おしっこが飛んで濡れてパニックになるので)3.膝を少し曲げるこれらを毎日見せて教えてました。幼稚園では、子ども用の立ってするトイレに抵抗があったようで、大人用を特別に使用させてもらっていました。回数を重ねるごとに飛び散ることも減っていきました。Upload By ユーザー体験談年少の頃から、「自分で脱いで自分で着替え自分でたたむ」ことを毎日幼稚園で実施していたので、家庭でもそうしました。うまくできないところは手伝う、頑張ったら褒める、を繰り返しました。ただ、息子に疲れが見える時は、家庭では無理にさせませんでした。たたみ方は、幼稚園の先生が絵に描いてくれていたので、家庭でもそのやり方に合わせました。また、年長の頃からタイマーを使って着替えトライアルを開始!成功するごとにじょじょに時間を短くしていきました(例えば10分→5分)。時間内に一人で着替えができたらご褒美シールをつけ、たまったらご褒美をあげるを繰り返し、今では、一声かけたら2分で着替えられるようになっています。ただ、気分が乗らないと時間がかかりますが……。年長の冬頃からは連絡帳の練習も始めました。通っていた療育の小集団で連絡帳を書く練習をさせていただくのと、自宅でも「学校ごっこ」として、ホワイトボードに時間割を書き、それを写す、できたらご褒美ポイントをつけるといったことを遊びを通して行っていました。小学生になった今は、しっかり連絡帳を書いてこられるようになっています。就学前の面談で、校長先生に息子のことをしっかり説明そして就学前健康診断の際には、息子と私と校長先生とで面談をしました。私は準スーツのような動きやすく落ち着いた服装で参加。気合いが入って体がガチガチに固まっていました。面談には診断名が書いてある診断書と発達検査の結果を持って行き、子どもの性格、幼稚園や家庭ではこんなことに困っている、でも、こうしたらスムーズに行く、というような内容を説明しました。面談中の息子は、目を輝かせてウロチョロしながら、目新しい教室で好奇心をかき立てられて「これは何?」と質問攻めでした。そんな様子も校長先生に見て頂くことができたので、なぜ息子がこのような動きをしているのかを説明し、このようなときはこういう声かけをして頂けたら望ましい行動に移れますと、たまたまですが先生の前で普段の対応の仕方を実践でき、よかったと思います。校長先生は、うんうんと穏やかににこやかに返答してくださり、ほっと安堵しました。Upload By ユーザー体験談また、良い機会だと学校のトイレを使用させてもらいました。1度でも経験があると違うので、ありがたかったです。無事小学校へ入学。担任の先生は?支援員の先生は?校長先生には理解していただけたはずと安心していたのですが、担任の先生はどういう方なんだろうと不安でした。ドキドキしていましたが、担任の先生は息子と似たような特性がある生徒さんを受け持ったことがある方でした!先生ご自身もイヤイヤ期のお子さんを子育て中で、してはいけないことは叱るけど、なぜそれをしてはいけなかったのか、どうしてそれをしたのか、今度からどうするか、を会話するような形で息子と向き合って頂けました。フランクな会話の仕方が息子にはよかったようです。先生のおかげで、息子は、嫌なことがあっても教室を飛び出さず、先生がパッと見てすぐに見つけられる範囲内に留まるようになりました。信頼関係が構築されていたのだと思います。また、望ましい行動を楽しく行えるように、『今日のミッション』という形で導いていただけました。苦手だった運動も、楽しめるようなコツを教えて頂き、周りのお友達の動きも見て覚えられるまでに成長しました。また、支援員の先生にも恵まれました。こだわり行動でなかなか教室にスムーズに行くことができない息子を見て、「これはルーティーンだから」と発達障害に詳しくないほかの先生方にも伝えて頂き、「ルーティーンやったら行こうね!できたね!」と、毎日息子に寄り添っていただけました。Upload By ユーザー体験談たった一学期の間に急成長を遂げ、周りも驚くほどでした。やっぱり環境調整が大事だと痛感しました。先生方に恵まれた1年生。発達障害に詳しくない先生にはどう伝えればいいか模索中です校長先生も1年生の時の担任の先生も、特別支援の経験があり理解していただける方だったのでこちらの希望が伝わりやすかったですが、経験が浅い先生や、教員歴が長くても発達障害に無理解な対応をされる先生にどのように伝えていけばいいかは現在も模索中です。息子は学校で嫌な出来事があっても「仕方ない」と言い、目の前の楽しいことに切り替えて、不登校になることもなく毎日楽しいと学校に通っています。息子の子育てをしてまだ7年ですが、いろいろと嫌なことを言われ嫌なことをされ、胸がえぐられるようなつらい思いを何度もしてきました。でも、つらいことがあっても楽しいことに夢中になる息子です。これからはつらい思いより楽しい思いを増やしてほしい、失敗して責められる経験より成功体験『できた!』を多く積んでほしい、わくわくする気持ちを忘れないでほしい……いつもそう願っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/七転八起(監修:藤井先生)「できた」を多く積むことができるように、息子さんにあったペース、スモールステップで「できた」を積み重ねる工夫に溢れるコラムをありがとうございます。合理的配慮を求めることができるようになったとはいえ、小学校や園によっては、環境調整が難しいと言われる場面もあるのかもしれません。環境調整の大切さを息子さん自身の成長が示していると思います。ときには、療育先や医療機関などからの情報提供書なども用いて、環境調整について学校や園と模索されると良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月28日「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日心身が限界を超えてしまった7月に入り、日本語教師養成講座で模擬授業をどんどんこなしていた時期のこと。自分の模擬授業が終わって少しした時に、急に激しい胃痛と吐き気が襲ってきました。ASDのある私は、さまざまな刺激に敏感に反応をし、体調に影響が出てしまう傾向があります。6月半ばに母を亡くし、その時点ですでに体調を崩していたのですが、日本語教師養成講座のスクールの都合で、7月からのハードスケジュールをこなさなければなりませんでした。「かなりの無理がかかる」と分かりつつもその無理をこなしていた状況だったので、胃腸症状が出た時には「案の定、きたな……」と思いました。7月からの2ヶ月間は想像以上にきつく、土日もずっと休みなしに模擬授業の教案を作っている状態。このままでは本当に倒れてしまうと思いましたが、この科目は授業の編成上、途中で別の日程に振り替えることができないことが分かりました。仕方なく、私は大学受験で無理をしすぎて以来、絶対自らは選ばなかった「死ぬ気の頑張り」を自分に強いました。それからはやはり、胃痛と食欲不振、下痢傾向が続き、入眠のしにくさ、睡眠の質の低下も出てきました。悪いことに8月に入ると新型コロナにまでかかり、残遺症状がプラスされてもうわけが分からないぐらいあちこち具合が悪くなりました。この夏の異常な暑さもあいまって、本当に参りました。どうにか8月末近くに実践系の授業を終えた私は、「誰がなんと言おうと残りの課程を後ろ倒しにしなければ年単位で再起不能になる」と思い、9月から数ヶ月、徹底的に休むことに決めました。心身の負荷が閾値を超えた最大のサインは「食べられない、寝られない」私は、心身の負担が閾値を超えたサインとして、まず「食べられない、寝られない」を設定しています。過労やうつ傾向などで病院に行く目安もこの2点だと言われているのを聞いたことがあります。食事と睡眠は生命維持に不可欠な要素ですから、ここがうまくいかなくなると事態は深刻だということになりますね。私の場合、ここに痛みと精神症状を加味して考えています。体のどこかが常に痛い(頭痛、腱鞘炎、腰痛など。自律神経が参っているところから、筋肉が常に過緊張状態にあるのではと考えています。頭痛は思うように洗髪できなくなるレベルになると深刻な状態)気持ちのざわつき(頭の中で思考が止まらず、ずっとくるくる回っていて、スイッチオフができないような状態)イライラ(私はこんなに頑張ってるのに! みたいな感じで、普段よりも狭量になる。イライラした瞬間に胃がキュッとさしこむのも感じていました)サインが出たらすぐに対処を心身への負荷が閾値を超えたと思ったら、すぐに対処することが必要です。ケアが遅れるほどに回復に時間がかかります。私は今回、サインが出てからやむをえず2ヶ月ぐらい無理を重ねてしまいましたが、経験上「回復にはケアせずにいた期間の半分は必要」と考えています。たとえば、私は2ヶ月間無理してしまったので、1ヶ月間は全てを投げうって完全に休養することが必要、といった要領です。今までで一番回復に時間がかかったエピソードとしては、大学受験でしょう。少なくとも高校の3年間ずっと過労状態で、風邪をひくと治らず、一度は血尿血便を出して倒れたこともありました。受験直前は睡眠、トイレ、食事、お風呂のほかをすべて勉強に注ぎ、1日に16時間は勉強していたので、受験を終えたらバーンアウトしてしまい、大学時代はほぼ棒に振ってしまうことに。以来、「勉強する」ということ自体がトラウマになってしまいました。まずは医者にかかる元気を出す……私の回復方法体調を崩してしまったら、まずは医者にかかるのが何より大事です。ただしここには、「医者に行けるだけの元気も出ないときがある」という問題があります。このため、深刻に体調を崩したときは、まずは負荷となることをすべて放り出して、「ともかく寝る、少なくとも横になる」というステップが必要になります。とにかく横になり、少しでも気力体力を回復させるもともと食事は夫の担当で、掃除洗濯が私の担当。普段より掃除機の頻度が下がったり、洗濯はなんとかできるけれどたたんでしまうのができなかったりというのを我慢してもらい、お風呂は洗ってもらったりすることも。夫の都合がよいときは、頼んで車で病院に送り迎えしてもらうこともあります。医者にかかり、症状に合う薬を処方してもらうまずは精神科の主治医のところに行きます。内科も必要そうならかかります。片頭痛がひどいときは脳神経外科に行きます。薬の調整をしてもらって、少しでも回復力のあるよい睡眠がとれ、食べる気力が出るようにしてもらいます。少し回復してきたら鍼灸へ体調の底を脱したら、何度か鍼灸に行きます。3日に1回ぐらいじっくりやってもらうのを数回繰り返します。私の場合、これでさらによく眠れるようになり、身体の緊張が抜けてきます。動けるようになってきたら家の中でストレッチや軽い家事家で起きていられる時間が出てきたら、ヨガやストレッチでさらに身体を整え、投げうっていた家事を少しずつ再開します。少しでも家事ができるようになってくると家の中もさっぱりし、気持ちも明るくなってきます。通常の生活に戻るステップ4の段階を終えたら、少しずつ通常の生活に戻ります。朝起きて昼に活動して夜に眠る。疲れてるなと思ったら少し昼寝したり、早寝したり。体調不良の原因となるような生活スタイルに戻らないように注意します。普段から自分をよく観察し、かかりつけの病院をまじめで、つい無理してしまう人も多いと思います。しかし、長く健康に仕事や勉強をし続けられるように、自分の状態をよく見て適宜休みをとり、頑張りの度合いを調整するのも、とても大事な誠実さだと思います。自分の人生を生きるのは自分の心身しかありません。できるだけ無理はしないように心がけたいと私は思っています。また、体調を崩したとき、とっさにかかっても普段の自分の様子を把握してくれている医者がいるのは心強いし、受診もスムーズです。このためにも、普段からかかりつけの医者を持っておくことをお勧めしたいです。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)一般的には、まじめな人ほど鬱になりやすいと言われています。またASD特性がある方は感覚過敏、特に音過敏があるので静かな環境が望ましいのです。学校や職場の環境が良くないと、ストレスという心の摩耗が進み体調を崩す傾向があります。そのためにはできるだけ「無理をしない」事とリフレッシュする事が重要です。何でもいいので何らかのスポーツを定期的にすることをお勧めしています。心のストレスを発散できる可能性が高いからです。また、体を動かすことで睡眠も良くなるかもしれません。子どもも大人も日中の活動性を高めることが重要なのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月22日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。次男は保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備え、入園当初こそ不安があったものの、すぐに幼稚園に慣れてひと安心。しかし、次男の担任の先生から発達医療センターに行くように告げられ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて困惑します。ママ友から通っている幼稚園の園長は支援級をすぐにすすめることで有名と聞かされたゆーとぴあさん。長男の就学のため小学校の特別支援級を見学し、知能検査を受けた結果、普通級という結果に。支援級の覚悟も持っていたゆーとぴあさんは複雑な感情に。長男の検査が終わったと思ったらすぐに次男の検査のため兄弟で病院の診察をすすめられ、2人を連れて児童発達センターへ向かいました。診察を受けて医師にすぐに兄弟それぞれの性質とその対応方法についての助言をもらい、驚くゆーとぴあさん。発達障害は6割は遺伝だと話し、長男と母親(ゆーとぴあさん)はADHDで薬の服用で楽になるだろうとのこと。次男と父親は多動の可能性があり、多動は一定の年齢を過ぎると収まるので大丈夫と言ってくれました。自分は多動でないことから次男の育て方に行き詰まっていましたが、「多動の子は将来働き者」というこの言葉に力をもらったのでした。 「だから言ったじゃないですか」え、そこって大事? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます) 児童発達センターでの診察が終わるとすぐに実施された幼稚園での面談。長男がADHD、次男が多動性障害と診断を受けたことを報告し、ゆーとぴあさんが多動の子は将来働き者になるとの言葉に救われたことも伝えます。しかし、園長は話を最後まで聞くことなく、やっぱり自分の言った通りだと得意げに担任の先生に話していました。 「だから言ったじゃないですかー」病院からの診断結果を受けて、さも自分の手柄のように話している園長を見て違和感を覚えますが、一方で長男と次男それぞれの担任からの報告、病院や検査報告を急かしてくることにずっと疑問がありました。その急ぐ理由が園長からの指示だったことに合点がいきました。 ある日、幼稚園の図書ルームにてPTAの仕事である本の整理をしていたゆーとぴあさん。これまで見かけたことのない本を見つけます。それは園児向けではなく、保護者が読むための発達障害の本でした。そこへ園長がやってきて、その本を入れたのは自分であることと、本が私物であることを話してきました。 さらに園長は自身が発達障害について勉強していることや、発達障害の子が最近増えていること、研究や考え方も変わっていることを話した上で、ひと言、「ゆーとぴあさんも読んでくださいね」はいと答えましたが、言われなくともずっと前から発達障害の本や情報を探し続けているゆーとぴあさんは、またもモヤモヤを抱えるのでした。 ◇◇◇ 病院の診察報告のための面談に幼稚園へ出向いたゆーとぴあさんでしたが、園長は兄弟の診断結果が自分の見たてと合っていることを手柄のように話すことに違和感を覚えます。幼稚園が早めに気づいて専門機関への受診をするように指導をおこなうことも大事ですが、もっと大事なのは医師の助言に救われたように、ゆーとぴあさんの気持ちに寄り添ってあげることではないでしょうか。ママの不安な気持ちにも耳を傾けてほしかったですよね。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月18日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受けます。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるものの、健診では問題なしとの診断に納得がいかず、保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備えました。入園当初こそ不安要素がいっぱいの次男でしたがすぐに幼稚園に慣れ、ひと安心。しかし、担任の先生から問題行動の報告があり、発達医療センターに行くように言われ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて、就学のため小学校の特別支援級を見学。次に受けるウィスク検査(IQテスト)でほぼ決まるという長男の就学先は、普通級という結果に。すると園長は不服な様子で次は次男の検査をすすめてきてーー。病院から兄弟2人の診察予約が取れたという連絡が入り、次男の担任の先生に報告すると安心した様子。さらに診察結果はすぐに連絡するように伝えられました。予約も診察結果も頻繁に状況確認をしてくる幼稚園。何をそんなに急いでいるのでしょうか? 医師「僕もADHDなので」ーーえ、そうなんですか? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます)※親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5~10倍高いと言われています。親がADHDの場合、50~80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果もありますが、ADHDは遺伝要因だけで発症するわけではなく、環境要因も組み合わさるとされています。 病院(児童発達センター)を予約してから半年、診察日に兄弟2人を連れて行ったゆーとぴあさん。1時間以上の待ち時間を経てようやく診察室へ。 じっとすることが苦手な次男はすぐに部屋から出てしまうので、スマホを見せようとすると、弟ばっかりズルいと長男。次男はそういう子だから仕方ないと言い聞かせますが、いつもガマンしている長男は納得いきません。結局、次男はプレイルームで待機。 その様子を見ていた医師が、長男は自分はルールを守るのに弟は許されることに矛盾を感じており、それが長男のかんしゃくの一因になる可能性もあるため、ルールは守ったほうがいいと言われます。 ほんの数分で兄弟の状況を見抜く医師に感動するゆーとぴあさん。他に何か困っていることはないかと聞かれ、忘れ物や落とし物など注意不足の傾向があり、自分自身がそうであるため、長男は遺伝かもしれないと思っていると伝えました。 「長男くんは多分ADHDで、ママもそうなんじゃないかなと思います」発達障害の6割は遺伝だと言われていると伝えられ、なんと医師自身もADHDだと聞きゆーとぴあさんは驚くのでした。 ◇◇◇ 幼稚園のすすめにより児童発達センターの診察を受けにきたゆーとぴあさん。兄弟2人を連れてくるのは大変でしたが、医師による兄弟それぞれの特性を見抜いた適切な言葉に感動します。これまで相談しづらかった悩みについて、この先生ならじっくりと耳を傾けてくれそうなので、いろいろ話せるといいですよね。 小児科専門医の松井先生によると、「多動傾向、注意欠陥等の症状は小児科外来でもよく見かけます。ご両親も似たような性格だと感じたり、ご自身もADHDだとおっしゃる方もいらっしゃいます。医師の中にもADHDの人がいて、そういう人は新しいことに積極的に取り組まれており、それはADHDの良い面でもあります。主人公のお子さんも大変なこともありますが、良い面もあることをみてあげることが大切です。周囲の人が困ってしまったり、本人もつらい思いをするのであれば、服薬するのもひとつの手段。それで楽になれば自己評価も高くなり、周りの方も安心するでしょう」とのこと。薬などの使用も選択肢に入れて、ゆーとぴあさん親子が少しでも楽になるといいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月16日生まれた時から寝ない赤ちゃんだった娘。インターネットで検索すると「発達障害」の言葉が…わが家の自閉スペクトラム症(ASD)のある娘、しぇーちゃん(現在8歳)は、生まれた時から1時間以上はまとめて寝ない、母乳もミルクもあまり飲まない、立って揺らさないと泣き止まないという育てづらい赤ちゃんだったのですが、「手のかかるタイプなんだ」と思い子育てしていました。娘が生後1ヶ月の頃に「赤ちゃん寝ない」と検索すると発達障害関連の記事が表示されるので、早い段階で発達障害や自閉スペクトラム症という単語には出合っていました。それでも発達障害への確信に至らなかったのは、娘はかなりの人見知りで私と離れると泣き、後追いもよくしていたからです。例えテレビに夢中になっていても、私がトイレへ行くと毎回ハイハイでついてきたり、夕飯づくりで夫が面倒を見ている時も泣いて私を呼んでいました。今なら、発達障害の特性の現れ方は人それぞれということが分かるのですが、当時の私は、「人見知りや後追いがあるのだから、きっとこの子は発達障害じゃない……」と自分に言い聞かせていました。Upload By マミヤ生後10ヶ月で抱いた強い違和感。外出が怖くなり、娘と家に引きこもる日々しかし、生後10ヶ月で歩き出してから、だんだんと私の中で娘の発達に対して強い違和感を覚えるようになります。あんなに人見知りで後追いをする娘が、外へ出ると道端の石や階段やマンホールに夢中になり、私の存在など「動きを邪魔してくるモノ」という感じなのです。多動で手も繋がないし、呼んでも無視、目も合いません。帰りたがらないので毎回泣き叫ぶ娘を抱っこして連れて帰りました。家の中での娘は私にべったりなのに……外へ出ると別人のようになるのです。後から主治医の先生に言われましたが、娘は「人より物への興味が強い」という特性があるため、外では「たくさんの刺激になる物>母親」の構図になるようです。この特性は現在もしっかり残っています。なので公園に行っても「人より物」な娘はそこにいるお友達には興味がありません。むしろ公園へ行く手前のマンホールで砂を落とすことへ執着して公園へたどり着かずに帰宅することもありました。多動対策にベビーカーや抱っこ紐で公園へ向かう作戦もしましたが、信号で止まると脱出しようと暴れて泣くのでなかなか上手くいきませんでした。そして私はだんだんと娘と出かけるのが怖くなり、極力家に引きこもって日々を過ごしていました。保健師の叔母の言葉で娘の育てづらさを再認識。発達相談へUpload By マミヤある日、保健師をしている親戚の叔母さんから電話がありました。世間話をした後、叔母さんから「しぇーちゃんもあちこちお出かけして……子育て支援センターとかでお友達とたくさん関わらせたりいろんな人に会うといいよ。良い刺激になるからね」と言われました。その時は曖昧な返事をしましたが、内心「簡単に言うけど、私以外に話しかけられたら泣く、お友達に興味がない、外では多動で私の声が届かないし、帰る時は毎回泣いて帰れない……どうやって人と関わらせたらいいの!?支援センターなんてハードルが高くて行けないよ」と泣きそうでした。そして気楽に言われたことさえも「無理なこと言わないで」と思ってしまうほどの娘の「育てづらさ」を認識し、この時「娘は発達障害かもしれない……」という考えが頭をよぎりました。その後、娘は1歳半健診で要観察になりました。そこから逆さバイバイ、クレーン現象、オウム返しなどが出てきて「この育てづらさと自閉スペクトラム症の特徴、これが発達障害じゃなかったら逆に困る!」と思うほど確信を持って、娘が2歳になる前に保健所に自ら電話をかけ、発達相談の予約を取りました。保健所に連絡をして療育施設へ通所するようになってからの味方がいるような安心感、同じ仲間がいる心強さ……家にこもり親子2人でなんとか日々を過ごしていた時期を考えると、もっと早く発達相談をしたら良かったと思います。「発達障害」という診断がつくのは正直怖いという思いもありました。でも娘の現状を直視せず「この子は普通」と思い込みながらの子育てのほうが私にはつらく、娘の障害を認めてからのほうが笑顔でたくさん接することができるようになったと思います。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:新美先生より)1時間以上まとめて寝られないとは、生まれた時からとても大変でしたね。生後1ヶ月で発達障害や自閉スペクトラム症の単語に出合っていたとはさすがです。発達障害、自閉スペクトラム症などで調べると、インターネット上の記事や書籍には、いろんなタイプの発達障害・自閉スペクトラム症のお子さんの特徴が網羅的に書いてあるので、後に診断を受けるお子さんでも「すべてに当てはまる」と思われることはまずないようです。なので、「ここはうちの子に当てはまっているけど、こっちは違っているから、発達障害ではない」などと思ってしまうというのもよくあることです。それでも、お子さんをしっかり育ててよく観察をしているからこそ、やっぱり「育てづらいタイプの子どもだ」と感じられて、発達相談にアクセスできたのですね。発達障害の特性のあるお子さんは少数派ではありますので、そのことに気付かず子育てをしていると、周囲に理解してもらいづらく孤独感を感じることもあります。マミヤさんが書かれているように、発達相談・療育につながることで、仲間を見つけられて、お子さんに合った関わり方が分かり、親子の笑顔が増えたのはとてもよかったです。詳しく教えていただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月16日環境の変化が苦手で聴覚過敏が強い娘。避けて通りたいNO.1行事は運動会!わが家の10歳の娘は、小3から不登校を選んでいます。6歳で自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けた娘は、元々は「積極奇異型」で、知らない人にもガンガン話しかけていくタイプでした。しかし、幼稚園や小学校で合わない環境で無理をさせたためか過剰適応が激しくなり、周りに合わせられない自分に劣等感を持つようになりました。家庭では、ユーモア溢れる好奇心旺盛で明るい様子の娘なのですが、外では感覚過敏や不安が強くなるという面があります。そんな性格の娘なので、幼稚園の頃から行事が苦手でした。特に運動会!人が多かったり普段と違う環境が苦手であり、また聴覚過敏もあるため、運動会はできたら避けて通りたい行事NO.1でした。集団行動を重視する幼稚園に入園。初の運動会前から癇癪が激しくなり、園に相談したら…幼稚園入園の際、発達障害の知識が全くなかった私は、(就学に備えて集団行動に慣れさせるほうがいいだろう)と、多動傾向が強い娘を集団行動を重視する幼稚園に入園させました。入園直後から毎日激しく行き渋り、無理やりバスに乗せる日々。娘はさぞかしストレスを感じていたと思います。そして運動会前になると練習で疲れているのか、帰宅後にひどい癇癪を起こすようになりました。Upload By ユーザー体験談幼稚園に相談したのですが、みんなと同じようにやるということを大事にしている園だからなのでしょう、心無い言葉を投げかけられてしまいました。配慮を受けるどころか、逆に娘に練習を無理強いするような形になってしまいました。もちろん癇癪は増える一方……。そして運動会当日、娘が出るお遊戯の時間では、最初だけは少し踊っていたのですが、すぐ踊りもやめぼーっとただ立っているだけ……。(このままずっと立ってるだけなのかな……)と固唾をのんで見守っていると、急にしゃがみこんだと思ったら、園庭の砂をいじりだしました。(ああ、やっぱりお遊戯は難しかったか……)と思いました。Upload By ユーザー体験談ただ、年少さんの時はほかにも同じようなことをしているお子さんも多かったため、私自身はあまり問題に感じなかったのです。きっと来年には成長して参加しているよね、というくらいでした。特別支援学級では、教室の床にステップの足型と番号のシールを貼ってダンスを特訓その後、年中の運動会では目立ったことはなく無事に終了、年長ではリレーでの入場直前に大泣きして断固拒否!結局不参加となりました。この頃には娘に特性があるかもしれないと分かっていたので、就学相談を経て、娘は少人数で個別対応してもらえる特別支援学級に入学しました。これでどうにかやっていけるかと思ったのですが、娘は学校という場に馴染めず、入学後まもなく行き渋りがはじまり、小3からは完全な不登校となりました。聴覚過敏のため学校のどこにいてもうるさいと感じてしまうことや、触覚過敏で教科書やノートや粘土などさわれないものが多いことも、学校がつらい原因だったと思います。ただ、特別支援学級では手厚く見てくださり、小1のときの運動会前は通常学級より早くからダンスを教えていただくことができました。教室の床にステップの足型と番号のシールを貼るなどの工夫をして教えていただいたおかげで、苦手なダンスも覚えることができた娘。苦手ながらも前向きに取り組むことができ、この年が一番自信をもって臨めた運動会だったと思います。Upload By ユーザー体験談聴覚過敏も不安も強いため、運動会自体は楽しくはない様子でしたが、コロナ禍で短時間の運動会だったためどうにか乗り切りました!運動会で倒れてしまった娘。娘が書いた渾身の作文には……。小2では、前年の様子を踏まえてくださった先生から、自分の出番以外は空き教室で過ごすことを提案していただきました。これ幸いと、運動会中は私が付き添って教室で過ごし、出番の時だけ入場門に連れて行って参加することができました。無事参加できてよかったと思ったのも束の間、自分の番だけでも極度に疲れてしまった娘は、教室に戻る時にはぐったり……。そして床に倒れ込んでしまいました……。こんなに疲れてしまっていたなんて……娘にとって運動会は本当に、本当につらいものなのだと、可哀そうになりました。もっと理解しなければと、運動会に出ること自体を見直した方がいいと思いました。Upload By ユーザー体験談そして運動会後、娘は「運動会」をテーマに作文を書きました。内容は「運動会がどんなに嫌だったか」。その渾身の文章からは、本当に嫌で嫌でたまらなかった娘の気持ちが伝わてきました。先生からは気持ちがよく書けていると褒めていただきました。これもあって、翌年は運動会自体を欠席してもよいのではないかと先生とは意見が一致。(もう一生この子の運動会は見られないかも……)と思うと、寂しい気持ちがないことはないのですが、娘にとって運動会はただのつらい行事です。娘が今後運動会に参加するつらさを味わわなくていいことのほうが、よほど喜ばしいことでした。現在不登校の娘、今は親子でハンドメイド作家として活動中!小1・小2の頃は行き渋りがありながらも、担任の先生が娘の気持ちに寄り添ってくださる方だったので、休み休みどうにか学校に通えていました。しかし、小2の終わりでその先生が異動されてしまうと娘はどんどん学校に行けなくなり、小3の6月から完全に不登校になりました。現在の娘は、家で安心して過ごせているようです。そして、家にいる時間を利用して親子でハンドメイドを始めました。娘とのハンドメイドの時間は楽しく、かけがえのない時間です。今では親子でハンドメイド作家として毎月イベントに出店するようになりました!娘にとって運動会はつらい行事でしかありませんでした。小3では「運動会に出ましょう」と言われるのではないかと不安に感じていましたが、特にそのようなこともなく、親子ともにほっとしました。娘には感覚過敏や自分の特性を理解して受け入れて、自分に合う環境を選んでいけるようになってほしい。そして、自分のやりたいことを自分で見つけて、めいっぱい人生を楽しんでもらいたいと思っています。私も娘によりそい、できる限り支えていきたいと思います。イラスト/keikoエピソード参考/MIKKO(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは、園の発表会を皮切りに小学校では運動会の嫌いなお子さんが多いようです。特に同じことを繰り返す練習の嫌いなことが多いのですが、さほど練習していなくてもASDのお子さんは本番には強いという特徴が見られます。こういう行事が嫌いな理由の一つに大勢の人が来て見られるのが嫌という対人恐怖や視線恐怖(社交不安症)があります。日頃からクラス代表で発表したり、日直をしたりすることが苦手なことが多いのです。周りから注目されるのを嫌う傾向があります。また比較的多い理由のもう一つに音過敏もあります。特に運動会はピストルの音やスピーカーで流れる大音量の音楽やマイクのキーンという音などを特に嫌がります。おまけとして運動会後に疲れのせいか不登校になるケースも多々見られます。ただでさえ2学期は期間が長いので行事も多く疲れやすいのです。特に起立性調節障害を併存しているお子さんには馬力がないため不登校が多くみられます。運動会の嫌な子には文化祭という選択肢があってもいい時代にそろそろなってきたのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月14日つま先立ちはしていたけれど平均的な成長をしていた【0~3歳の頃のスバル】0~3歳の頃のスバルは、平均的な時期におすわりやハイハイをし始め、歩行や階段上りも気になる点はありませんでした。自閉スペクトラム症と診断されてから振り返ると、発達障害の特徴として耳にする『つま先立ち』をしていた時期もありました。しかし、スバルはハイハイより先にブリッジで移動していたし、おうち用のジャングルジムはかなり上手だったので、つま先立ちに関しても「人とは体の使い方が違うのね。もしかしてアスリート系かしら?体操教室に通わせなきゃ」くらいに思っていました。※編集部注:DSM-5、ICD-11訳語案では「発達性協調運動症」の名称に変更が予定されていますがこの記事では、一般的にも使われることが多い「発達性協調運動障害」の名称も合わせて使っています。参考:発達障害(はったつしょうがい)|e-ヘルスネット運動会のダンスで不器用さを感じ始めた【年少の頃のスバル】幼稚園に入園してからもお絵かきや塗り絵はちょっと前衛的すぎるかなと思ったりもしましたが、遊具の階段やロープは登れていたし、個人個人の成長の差が激しい「年少クラス」という空間では、スバルの不器用さは飛び抜けて目立つものではありませんでした。最初に「おや?」と思ったのは運動会のダンスでした。右を向くべきときに右を向き、腕を上げるべきときに腕を上げていましたが、一人だけやたらと可動域が狭い感じの省エネダンスをしているように見えました。自信がなかったり、恥ずかしそうにしたりしている園児の中にはそんな風に踊る子どももいましたが、スバルの顔は自信に満ちあふれていたので違和感がありました。そして、そのダンスの中でスバルが両足ジャンプをできていない事に気がつきました。当時通っていた療育の先生から、発達障害のある子には不器用な子どもも多いと聞いていたので「これがそうなのかな」と思いました。両足ジャンプは仲良しの年長さんが何日もかけて熱い指導をしてくれたおかげで年少の終わりにマスターしました。発達性協調運動障害(発達性協調運動症)という言葉を知った【年中の頃のスバル】年中になるとダンスの振りつけはもちろん、工作やお絵かき、粘土など、出されるテーマの難易度がぐっと上がりました。使う材料や道具も増え、工程や指示も難しくなりました。得意な子はもちろん、苦手な子もなんだかんだでこなしている中、スバルだけついていけていない気がしました。芸術に正解はないので、でき栄えについては「何をつくったのか分からないけど超かわいい」としか言いようがありませんが、とにかく道具が使えないのです。筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。年少の頃は年齢的に不器用な子どももたくさんいましたが、年中になってクラスメイトたちの成長に置いていかれる形でスバルのできないことが目立つようになりました。この頃、インターネットで『発達性協調運動障害(発達性協調運動症)』という言葉を知り、本を探して読みました。ダンスや縄跳びなどの協調的運動、ボールが投げなどの全身運動、ボタンやファスナーなどの微細運動がとても不器用な障害……。読めば読むほどスバルのことが書いてあるようで一人で納得しました。実際に『発達性協調運動障害』と診断され、作業療法士のリハビリに繋がるのは小学3年生になってからになりますが、私はこの時からスバルには『発達性協調運動障害』があると思って接し、幼稚園や学校にも配慮をお願いするようになりました。Upload By 星あかり「みんなと一緒がいい」【年長の頃のスバル】クラスメイトの中では、飛び抜けて不器用さが目立つスバルですが、練習を繰り返すことで年齢相応とはいかないものの、できることが増えていきました。スバルにはとにかく長い目で見て、スモールステップで成功体験を積み重ねていくことが合っているようでした。しかし幼稚園では、難しいことは先生にマンツーマンでサポートしてもらっているという状況でした。入園時には想定していなかったサポートが出現してしまい、先生へ負担をかける申し訳なさから、私は現状をどうにかしたいと思っていました。スバル自身も自分だけできないことが多い現実を目の当たりにし、「みんなと一緒がいい」と口にするようになりました。不器用を自覚したうえで、自分一人だけが先生や友達に手伝ってもらっている状況を恥ずかしがっているように見えました。それならばと考えたのが擬態作戦でした。例えば、小さいボタンつきの幼稚園指定のスモックなら、同色のボタンのない首回りがゴムのタイプに変えてしまい、飾りとしてボタンをつけました。これならスバルが自分で着られるので、生活の中のほんの一部ですが人に手伝ってもらうことが減り、喜ぶかと思っていました。しかし、スバルは浮かない顔をしていました。そして「みんなと一緒がいい」と言うのでした。ナイスアイデアだと思ったのに、もうどうしたらいいの……。ダメもとでスモックのボタンを、スバルが自分でとめられるスーパー特大サイズに変えることを提案しました。見た目が大きく変わってしまうので、どうせ「みんなと一緒がいい」と却下されるのだと思っていましたが、なんと「いいね」との答えが返ってきました。スバルの「みんなと一緒がいい」は「みんなと一緒のように見せかけたい」のではなく「みんなと一緒のことができるようになりたい」だったのです。それから擬態作戦の一環としてお弁当包みも『ハンカチで包んでいる風の巾着』に変えていましたが、元のハンカチに戻しました。そして試行錯誤の結果、見栄えは悪くなりますが四隅をマジックで派手な色に塗りました。バッテンしてくるりと間を通すのが難しかったようですが、通す部分の色が違うことで感覚ではなく目で見て通せるようになりました。その日スバルは、仲良しの先生を見つけるたびに、お弁当を包む姿を披露して回っていたそうです。見栄えの悪いハンカチを持つ格好悪さよりも、自分でできるようになった格好良さが勝ったのでした。Upload By 星あかりスバルと私の成長スバルの本当の気持ちを知ってから、見た目がみんなのものと違っても『自分一人でできた』という達成感を味わえるように工夫しました。最初から折り目をつけた折り紙、冬でも短い靴下、前と後ろが分かるように印をつけた体操服、加工した縄跳び……。幼稚園生活の全てが自分一人でできるようになったわけではありませんが、「少し工夫すれば自分でできることがたくさんある」という気づきは自信に繋がったようです。自信をつけたスバルは挑戦を怖がらなくなりました。そして、できないことに直面したときに先生や友達に「教えて」「手伝って」と助けを求めることも、目的を達成するための方法の一つと思えるようになりました。小学生になった現在も「なんでみんなと同じようにできないんだ」と落ち込むこともありますが、努力したり自分で代替案を考えたり、ときには人の手を借りベストを尽くしています。執筆/星あかり(監修:室伏先生より)スバルくんの運動発達のご様子について詳細を共有くださりありがとうございます。スモールステップで成功体験を積み重ねていくこと、とても大切ですよね。自己肯定感を育むためには、褒められることももちろん大事なことですが、実際に自分でできた!という達成感の積み重ねが不可欠です。年齢的にできてほしいことではなく、その子の発達段階で努力すればできること、あるいはちょっと難しいかなということにトライさせてあげられる環境や工夫、そして焦る気持ちをじっとこらえて見守ってあげる姿勢が大事なことのように思います。みんなと一緒のことができるようになりたい、というスバルくんの向上心を大事にして、お母さまが行われたスーパー特大ボタン作戦、本当に素晴らしいと思います。お母さまが試行錯誤してスバルくんの気持ちに向き合われた結果、スバルくんの真意を知ることができたのですね。全てを自分一人でできなくてもいいのです。代替案や工夫により自分でできること、必要な時には自分で人に助けを求めることでできることも、自立です。一人でできることを目標にするのではなく、自己肯定感、工夫を考える力、人に助けを求められる力を育むことを大事にしてあげたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月13日小学校入学まであと1年!加配の先生なしでやっていける?しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。現在5歳で、保育園の年長クラスに通っています。しのくんは言葉が遅く、集団行動も苦手だったこともあり、年少から加配の先生がついていてくれました。しかし今年の4月、年長クラスに上がったタイミングで、しのくんに加配の先生がつかないことになりました。Upload By keikoUpload By keiko加配の先生なしで大丈夫か心配でしたが、加配の先生がつかなくても集団行動ができるようになったという先生の言葉を聞いて、しのくんの成長を感じてとてもうれしかったです‼︎来年の春からは、いよいよ小学生になるしのくん。加配の先生がつかなくても集団行動ができるようになったとはいえ、まだまだ不安な私です。就学先をどうすればいいのか分からなかったので、定期的に発達相談や療育のために通院している病院の先生に、就学に向けて発達検査の予約をお願いしたところ……。Upload By keiko「保育園で集団行動ができているんだったら、大丈夫じゃない?もう発達検査もいらないんじゃない?」と言われて「そうなの!?」と驚きました。そして先生は続けて、「もし発達検査を受けたとして、結果の数値が低くても、集団行動ができていれば大丈夫」だとも……。病院と保育園の意見が真っ二つ!途方に暮れた私は…ところが、病院で言われたことを、後日保育園の先生にも相談したところ、「保育園としては発達検査を受けてみてほしい」と言われてしまいました。病院と保育園から違う意見を言われて、どうしたらいいんだろう?と悩んでしまった私は、今度はしのくんが通っていることばの教室の先生にも相談してみました。すると、「2歳4ヶ月から検査を受けてないし、どれだけ伸びたか検査は受けてみたら?」と言われたので、就学先の参考にするために、検査を受けることになりました。約3年ぶりの発達検査。しのくんの様子は?Upload By keiko発達検査の日、しのくんは検査を担当する先生と2人っきりで教室に入りましたが、検査中2回出てきてしまいました。戻るよう促すとすぐに教室へ戻りましたが、この行動も検査対象かと思うと気が気じゃありませんでした。そして発達検査の結果、「総合指数は通常といえる範囲内だけれど、言語・社会性の面で発達に遅れが見られるので、声かけなどの支援は必要になりそう」と言われました。発達検査の結果を見て、支援者の先生たちの意見は?ただ、この結果を受けて「通常学級でやっていけるのか、それとも特別支援学級のほうが良いのか」については、ことばの教室の先生も、療育の先生も、なんとも言えないということでした。そのため、ちょうど保育園の面談を7月末に控えていたのもあって、集団生活の様子を一番よく見ている保育園の先生に相談して決めましょう!ということになりました。就学先の希望提出の締め切りは7月末、面談も7月末……。悶々としながら保育園の面談の日を迎えたのでした……。Upload By keiko執筆/keiko(監修:新美先生より)現在進行形のお話をご提供くださりありがとうございます。一般的な考え方として、保育園・幼稚園という環境の中で、年少から年中、年長と学年が上がるにつれて、環境に慣れてくることで入園当初よりも集団生活の中で落ち着いて生活できるようになり、年長頃には加配保育士の支援ニーズが下がってくることはよくあることです。これはもちろんお子さんの成長という側面もありますが、もう一方で「園生活の枠組みに慣れてきた」という面が大きい場合もあります。環境に慣れるのに時間がかかるタイプの場合、年長で落ち着いて過ごせているようでも、保育園から小学校という大きい環境の変化に直面し、小学校入学後に不安や落ち着きのなさ警戒心が悪化して、集団生活に苦労するようになるということは、決して珍しいことではありません。これを踏まえると、年長で加配保育士がつかなくなった=就学にあたっての支援ニーズが軽減したとは言い切れないと思います。このため、多角的な観点で就学に備えてアセスメントして、準備していくのがよいと思います。keikoさんが、病院の先生に「発達検査もいらないんじゃない?」と言われたのにもかかわらず、あえて発達検査を受けて、就学に向けた相談を多方面にしていったことはよかったのではないかと思います。検査の結果だけで決められるわけではないですが、いろんな観点から考えていくことで、就学に向けてどう準備していったらよいか見えてくるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月13日