大分県の九重(ここのえ)といえば、さわやかな高原地帯に温泉が集まる観光地。そこに2006年10月、九重“夢”大吊橋が誕生し、大分でも有数の観光名所となっている。人口1万人余りの町にオープンから5年半で700万人が訪れたこの橋、いったいどんな魅力があるのだろうか。現地に行ってみた。九重”夢”大吊橋は全長390メートル。東京タワーが333メートルであるため、タワーが横たわってもまだ余ってしまう。さらに川面からの高さは173メートルもあり、空中庭園で有名な40階建梅田スカイビルがすっぽり入る計算になる。この規模は歩行者専用橋としては日本一。周囲には阿蘇くじゅう国立公園の山々が連なるため、絶景が期待できそうだ。通行料500円を払って早速渡ってみる。橋幅は3人並んでギリギリ渡れるぐらいで、意外と狭い。両サイドの柵は大人の胸ぐらいの高さ。金網とパイプでできており、風通しの良さにちょっと不安になってしまった。おまけに床面の中央部が格子状になっている。3人横並びで渡ると、真ん中の人が地面透け透け鋼板メッシュの上を歩くことになる。そのスリルといったら……。金網を通り抜け足元から涼しい風が吹き上げてくる中、恐る恐る進む。すると視界に飛び込んでくるのは広々とした空、緑が美しい山々。そして、83メートルの落差を誇る「震動の滝」の雄滝、雌滝、子滝。空中散歩ともいえる360度の大パノラマに、改めて自然は美しいと感じ入ってしまった。自分の足元さえ見なければ、である。橋のちょうど真ん中付近。下を望むと、九酔渓(きゅうすいきょう)の渓谷の木々がまるで精巧なジオラマのように見える。そんな中、「揺らすな、走るな」との看板がやたらあるのに、前を歩いている子どもがご丁寧にジャンプ。強風とも相まって、予想以上に揺れ、足がすくんで腰から力が抜けてしまう。ふと前を見ると、夫らしき男性の服のすそを持ち、固く目をつぶりそろそろと歩く年配の女性がいた。もはや何をしに来たのか分からない。嫌々、景色を見るよりも、共に歩む姿勢が大切だ。愛情を確かめ合っているに違いない。ようやく渡り終え対岸へ。橋のふもとの茶屋は盛況である。そこでこちらも一服。しかし、よく考えてみると帰りも橋を渡るしかない。でも、お茶を飲んだだけではもう一度渡る気になれない。これはアイスクリームを食べるしかないじゃないか。この店が賑わっているのは、きっと私のような人が多いからに違いない。ところで、道中の年配女性が気になったので、休憩がてら橋の担当者に聞いてみた。―橋の中心で動けなくなった人はどうするのですか。動けなくなった人は車いすで迎えに行きます。月に1人か2人ぐらい、いらっしゃいます。係の者が迎えに行き、歩いて帰ってくる方もいらっしゃいますね。―足元の格子、怖くないですか。ブラインドのようになっていて、斜めから見ると渓谷は見えませんが、真上からのぞくと見えるようになっています。安全に上下左右360度の景色を存分に楽しんでいただける仕掛けです。実はこの橋、「景色のきれいな場所に架けたら人が来るはずだ」と、九重町が命運をかけて架けたもの。総工費に約20億円を投じたが、完成から数年で回収したというからすごい!夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の表情で多くの人を魅了しており、中には800回以上訪れているつわものまでいるという。さて、揺れて怖いつり橋を一緒に渡ったふたりは恋に落ちる、との説がある。高さ、長さともに日本一の九重“夢”大吊橋は、「つり橋効果」も日本で最強。ぜひ、意中の人と一緒にチャレンジしてほしい。ただし、恋には落ちても、川には落ちないようご用心。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月11日鶏のからあげ。これほど子どもから大人まで好まれている料理はないだろう。その原料である鶏肉消費量が全国平均を大きく上回っている県がある。大分県だ。当然、からあげを出す店も多いはず。調査すると、からあげで町おこしをしている団体があるという。そこを訪ねるとおススメの店も教えてくれるのではないか。早速、大分県に飛んだ。訪ねたのはからあげの「聖地」中津市。あの福澤諭吉を生んだ城下町である。そんな歴史のある街がなにゆえ、からあげの聖地なのか?肉の生産・販売の「豊国畜産ぶんごや」取締役専務で、「聖地 中津からあげの会」という名前の町おこしグループの会長である西郡信喜さんに話を聞いてみた。――なぜ、中津でからあげが盛んになったのでしょうか?「太平洋戦争後、食糧難を解消すべく国の政策で養鶏場が中津市にたくさん作られたのです。そういう背景があったのと、旧満州からの引揚者が現地での食べ方を伝えたともいわれ、いつしか定着したようですね」――消費量はどのくらいあるのですか?「消費量については、残念ながら把握できておりません。しかし、大分県全体での一世帯当たりの鶏肉の年間消費量は19.3キロ。全国平均が13キロと言われています。もちろん全てからあげで食べるわけではないでしょうが、消費量は多いですね。ちなみに中津ではからあげ専門店が30店舗以上あります」――同じ大分県の大分市ではとり天が有名ですが、からあげとどう違うの?「とり天は、文字通り天ぷら。小麦粉の衣を付けて揚げ、タレというかダシで食べます。からあげは肉自体にしっかり下味を付け、片栗粉をまぶして揚げます」――なるほど。では、中津のからあげは味に特徴があるのですか?「一番の特徴は作り置きをしていないところでしょうか。注文を受けてから揚げる。だから、店頭で少々待ってもらう必要がありますね。それと下味の付け方が店ごとに違う。下味のためのつけダレのレシピが違うんですね。当然、油の温度や揚げる時間もこだわりがあって店ごとに違います」――うーん、これはとにかく食べてみたい。失礼ですが、おいしいお店を推薦していただけますか?「創業28年目の『八木総菜店』と『からあげ味丸』という2店はいかがでしょうか」まず、「八木総菜店」を訪ねてみた。お店は昭和を感じさせる外観。総菜店というだけあって店頭には多彩な惣菜が並ぶ。店主の八木ツタエさんに話をうかがうと、タレには唐辛子やコショウなど5種類の調味料を使用しているそう。試行錯誤した上に今の味に行き着いたという。創業時からのお客も多く、親子2代で通う人もいるそうだ。アツアツをいただいてみた。おお、これはごはんのおかずに合いそうなしっかりした味付け。肉はジューシーで、鶏のうまみが口の中に広がる。続いて、「からあげ味丸」にはしごをする。こちらは3年前の開業。手づくり看板が目印だ。店主の加々見弘さんは中華料理の現役コック。キャリア30年というベテランで、その腕を生かして仕込みを担当。勤務先の料理店に行っている間、奥さんのゆかりさんが店を守り、調理と販売を行う。仕込みでは肉のスジを切るなど手間ひまをかけ、ニンニクやショウガを利かせた特製の醤油ベースのタレにしっかり漬け込む。口に入れると歯触りはサクッとしているが、肉はやわらかく、スパイスがほどよく利いていて2~3個はペロッといけそうだ。時間をかけて下味を付けているので冷めてもおいしいという。ところで、町おこしの会長の西郡さんによると、中津のからあげは手づかみで食べるのが一番だという。確かにはしなどで上品に食べるより、手で豪快に食べた方がおいしさは倍増する。さあ、あなたもそのおいしさを確かめに出掛けてみないか?●八木総菜店(からあげ八木)骨付き100g210円モモ100g250円とり天100g250円住所:大分県中津市上宮永65-1交通:JR日豊本線中津駅から徒歩5分営業時間:10:00~20:30定休日:毎月9日、19日、29日駐車場:なし●からあげ味丸骨なし100g170円骨付き100g150円手羽中ハーフ100g120円住所:中津市中原611-5交通:JR日豊本線東中津駅より車で10分営業時間:11:00~19:30定休日:不定休駐車場:5台【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月08日11月のJALは機内食から、成田空港ラウンジでの握り寿司の実演会や羽田空港ラウンジでの大分県食品の試飲・試食まで、「大分づくし」。機内食(イメージ)特に注目なのは、ファーストクラスの機内食。大分・由布院の名門旅館「由布院 玉の湯」の山本照幸総料理長プロデュースの料理が登場!安心安全で、選び抜かれた食材を使った山里料理が楽しめる。由布院玉の湯総料理長は、「山里の秋をテーマに、由布院らしいものをご用意しました。とくに、特製クレソンスープは“身体を休め、心も体も元気になって、また普段の暮らしに戻って いただきたい”という保養温泉地・由布院ならではの思いを込めています。また、大分名産の幻のきのことも呼ばれる珍しい笹なばを佃煮にしていますので、そ の味わい深さと独特な食感をお楽しみください。派手さはあまりないですが、皆さまの心に残るように、丁寧な料理を心がけました」と語っている。仕事で飛行機を使う人も、この大分フェアでひと時の旅行気分を味わえるはずだ。お問い合わせ: JAL WEBサイト ※「日本の素晴らしさ」を発信していく地域活性化プロジェクト「JAPAN PROJECT」を今年5月から展開しているJAL。「JAPAN PROJECT」とは、観光客誘致や地域物産のPRを目的とした自治体・企業と連携し、JALグループの機内誌や機内ビデオ、機内食、空港ラウンジ、WEBサイト等のツールを通じて各地域の魅力を紹介し交流を促進するものだ。第7弾となる11月は、大分県の魅力を大々的に発信していく。
2011年11月02日