1974年、伝説の幕が開いた――。初演から今年で45周年を迎える宝塚歌劇団の代表作『ベルサイユのばら』。2月16日には、大阪で記念公演『ベルサイユのばら45~45年の軌跡、そして未来へ~』が開幕した。初代オスカル役の榛名由梨から伝統を受け継ぐ朝海ひかるら平成のオスカル役まで、歴代レジェンドが大集結。一部日替わりで配役を替えながら、歌やトーク、本番さながらの装置やコスチューム姿で名場面を披露する。宝塚ファンはもちろん初見の人も虜にさせる、夢のような全2幕、約2時間半のステージだ。「ベルサイユのばら45」チケット情報幕開けは『序曲~ごらんなさい、ごらんなさい』。まるで砂糖菓子でできたフランス人形みたいに甘くロマンチックな宮廷の小公子、小公女たちがシャンシャン片手に歌い踊る。会場を染めるピンク色の照明、電飾がきらめく華やかな装置やタイトルロゴ、さらにターンのたびに跳ねるフリフリのドレスが、会場に詰めかけた“乙女たち”の心をも弾ませる。続いて、専科より現役生の華形ひかるが、緒月遠麻らOGたちと『心の白薔薇』『愛あればこそ』の2曲を披露。愛は甘く苦しい。でも、愛あればこその人生なんだ!と歌詞を噛み締め、最後は全員で「愛、愛、愛」の大合唱。冒頭から溢れ出す愛の洪水に、盛り上がらずにはいられない。司会は専科の汝鳥伶。自身も初演の舞台に立った汝鳥が、作品の軌跡を語りながら場をつなぐ。映像資料も用意され、歴代の公演ポスターや当時の公演の様子がダイジェストで映し出される。初々しい麻実れいのアンドレ、魅惑的な鳳蘭のフェルゼン、美貌の涼風真世オスカル…。当時の熱狂が画面越しにもありありと伝わる。とりわけ、涙ながらに激情をほとばしらせる大浦みずきのフェルゼンには熱く胸打たれた。この日、70年代に活躍したレジェンドコーナーには初風諄、榛名由梨、汀夏子が登場。フィナーレではエトワールも務めた初風が初演の映像と寸分違わぬ高音を響かせると、榛名、汀も味のある佇まいで名曲を歌い継ぐ。ひとりセンターに立ち大劇場を埋めるオーラは健在だ。日向薫、紫苑ゆう、麻路さきの1989年星組トリオはトークコーナーも担当。今だから話せるマル秘稽古場エピソードや、爆笑ハプニング談の応酬が止まらない。また、稔幸、和央ようから平成組による名場面の再演は鳥肌の連続。号泣必至のバスティーユ陥落からマリー・アントワネットの処刑に至るまで、観たい場面、聞きたい名台詞を全14場、18曲に網羅する。フィナーレには『薔薇のタンゴ』『ボレロ』ほか多彩なショーナンバーも披露され、終演後は本公演を丸々一本観たような充足感に満たされる。「観て良かった」「当時の記憶が蘇った」など口々に感想を述べ合う観客たちの姿も微笑ましく、印象に残った。大阪公演は2月24日(日)まで梅田芸術劇場メインホールで上演中。20日(水)18時公演は、ぴあ半館貸切公演。チケット発売中。取材・文:石橋法子(2月17日観劇)
2019年02月18日3月25日(水)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールで開幕する宝塚歌劇宙組公演ミュージカル『TOP HAT』で、今の宝塚を代表するダンサーのひとり、朝夏まなとが宙組新トップスターとして始動する。その思いを聞いた。宝塚歌劇宙組公演ミュージカル「TOP HAT」チケット情報2年半前に花組から宙組へ組替えした時、「自分自身すごく変わった」と実感したという。「宙組の雰囲気に刺激を受けて、それまで自分がハマろうとしていた枠が一気に取り払われました。その宙組で主演をさせて頂けるのはすごく幸せです」(朝夏)。スカーレットから貴公子フェルゼンまで幅広い役の経験を積んだ朝夏は、トップお披露目公演で得意のダンスを最も生かせる役に挑む。『TOP HAT』のブロードウェイダンサー、ジェリーだ。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが共演したミュージカル映画『TOP HAT』。2011年にロンドンで舞台化され、2013年には英国ローレンス・オリヴィエ賞の最優秀新作ミュージカル作品賞・最優秀振付賞・最優秀衣裳デザイン賞を獲得した。男女のコミカルなすれ違いを、華麗な踊りやアーヴィング・バーリンの名曲で綴った傑作。今回が日本初上演である。「小粋なロンドン・ミュージカルの良さを生かしつつ、宝塚ならではの美しさや男役の魅力も出せたらと思います。最近重厚感のある役が多かったので、こんな茶目っ気のある明るい役は久しぶりです」(朝夏)。作品には多彩なタップダンスや黒燕尾でのショーシーンが盛り込まれ、宝塚に通じる華やかさがある。奇しくも朝夏はトップスターとして、「黒燕尾の踊りを継承していきたい」と力強く語る。「大浦みずきさんや、下級生時代に教えて頂いた蘭寿とむさんなど、伝統ある男役の黒燕尾のダンスを目標に、いつも踊りながら燕尾の先のラインの美しさまで意識しています」と独自の美学を告白。2013年には、かつて“宝塚のフレッド・アステア”と呼ばれた大浦みずきの名ダンスシーン「パッシィの館」を、ショーの再演で踊りきった。「すごくプレッシャーでしたが勉強になりました。あの役はフレッド・アステアさんがモチーフになっていて、今回もまた彼の役。ご縁を感じます」(朝夏)。ステッキを振りながら軽やかに踊るアステアに、「浮いているんじゃないかと思った」と笑う朝夏。「雨が降る公園で、寄り添う前のふたりがタップで会話をするように踊り出す場面がオシャレで印象的でした。タップはやはりハードルが高い!私はつい力でダンスを踊りきる傾向があるので、うまく力を抜いて小粋さや軽やかさを出せたら。この作品で色々勉強できると思うし、それをまた自分のものにしていきたいです」と、どこまでも前向きだ。長身でダイナミックながらスマートな男役像を継承する、頼もしいトップスターが誕生する。公演は3月25日(水)から30日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、4月5日(日)から20日(月)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演。大阪公演のチケットは発売中。東京公演は3月1日(日)より一般発売開始。取材・文:小野寺亜紀
2015年02月19日湖月わたる、朝海ひかるら宝塚歌劇団のOGが集結したダンスショー『DANCIN’ CRAZY 2』が3月17日、大阪・梅田芸術劇場で幕を開けた。『DANCIN’ CRAZY』のチケット情報舞台は二部構成で、ACT1は、ブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』の名ナンバーを約40分にギュッと凝縮。ACT2は、セクシー、スタイリッシュ、パワフルととりどりのダンスで魅せるダンシング・ショーで、’07年の『DANCIN’ CRAZY』で中心となった、故・大浦みずきの想いを受け継いだ、スペシャルなステージだ。公演を前に行われた記者会見では、湖月わたる、朝海ひかる、風花舞、星奈優里に加え、スペシャルゲストの姿月あさとが登場し、ステージへの想いを語った。ACT1の『シカゴ』について湖月は、「憧れの作品でヴェルマ役をさせて頂きます。私たちにしかできない世界初の『シカゴ』をお届けします」と意気込む。朝海は、「天国で見守ってくださっている大浦さんもキャストの一員と思い、稽古を積んできました。ブロードウェイ・ミュージカルの名作を、女性だけで上演できることを光栄に感じます」と、亡き大浦への想いも交えながら語った。敏腕弁護士ビリーとして久しぶりの男役に扮する姿月あさとは、「公演中は、『シカゴ』という作品と、演出のゲイリーさんの魔法にかかっていますので、楽しみにしてください」とコメント。また、『シカゴ』の振付のため、ニューヨークから来日したゲイリー・クリストは「皆さんのパフォーマーとしての総合力に圧倒されました。才能あふれる方々とご一緒できることを本当に光栄に思います」と、宝塚歌劇団OGの技術を称えた。ACT2については、風花が「宝塚歌劇団を卒業した私たちにしかできない、いろんな顔が出るショー」と語れば、星奈も「私たちも初めて経験することが多いステージ。一瞬たりとも見逃さないようにご覧ください」と、ステージの充実ぶりをアピールした。また、ファンが待ち望んだ湖月と朝海のふたりのダンスについて朝海は、「湖月さんは何をしても受け止めてくださる包容力があり、隣にいるとすごく安心感があります」と語り、湖月は「ゴールデンコンビ再結成、という気持ちで頑張りたいと思います(笑)」と笑顔を見せた。本公演特別バージョンの『シカゴ』に、熟練した宝塚歌劇団OGたちの技が光る『DANCIN’ CRAZY!』。宝塚歌劇きってのダンス巧者たちによるダンスと、姿月あさとの沁み入るような歌声がシンクロする、圧倒的なパワーを感じるステージだ。大阪公演は3月20日(火・祝)まで。東京公演は東京・オーチャードホールにて3月23日(金)から25日(日)まで開催される。チケット発売中。
2012年03月19日