俳優の三宅裕司(73)、小倉久寛(69)が16日、東京・池袋のサンシャイン劇場で劇団スーパー・エキセントリック・シアター創立45周年 第62回本公演『ニッポン狂騒時代~令和JAPANはビックリギョーテン有頂天~』の取材会に登場した。劇団創立45周年記念の公演は、安保闘争に揺れる1960年代の日本を舞台に、アメリカンポップスの魅力に取りつかれた若者と、学生運動に明け暮れる若者たちの恋と挫折の青春ストーリー。昭和の喧騒を生き抜いた人にも、今後のニッポンを担う令和の若者にも刺さる、創立45周年に相応しいミュージカル・アクション・コメディーとなる。見どころを問われると三宅は「今回の舞台は60年代のアメリカンカバーポップスの作詞をしました漣健児さんという方の人生を元にしています。そこに安保反対の学生運動の学生が絡みまして、 アメリカの文化を取り入れてる青年とアメリカの言う通りするなという青年のお互いの対立と、そこに女性が絡んだりして、その両方の人生を描きながら今の令和の日本を考えたいというお芝居。そういう意味じゃ、総理が変わった今の時代にはぴったりだなと。そこはひとつ見どころです」と呼びかけた。45周年という節目を振り返ると三宅は「こんなに続くと思ってなかったんですけども…。ただ、やっぱりお客様がドーンと笑う。コメディは、その場で結果が出ますから。シーンとしたら失敗。その悔しさというか『来年はもっと面白いことやりたい』という思いで毎年やってきたら45年経っちゃった。そんな感じなんですよね」としみじみ。また、1番つらかったことを問われると「やっぱり忙しくなりすぎて、劇団のことがあまりできなくなって…。そしたら岸谷と寺脇が辞めていったことですかね」と1994年に劇団を離れて演劇ユニット『地球ゴージャス』を結成した岸谷五朗と寺脇康文の名前を挙げて笑いを誘った。「彼らは彼らで自分たちでね、作っていきたいっていう思いがあったんで円満に」と三宅は強調。「この前も、岸谷が還暦だっていうんで、60年物のワインをプレゼントしたり」としながらも「寺脇の時にワインあげるの忘れちゃったんですよ」と三宅が重ねると再び笑いが。最後は三宅は「お互いいいライバル。あいつらに負けるもんかという」と今の関係値を口にしていた。一方の小倉は「よく、あっという間っていう言葉がありますけど、45年のこの間はひょっとしたら長かったもしれないけど、45年経ってみると本当にあっという間に経ってたなって」と述懐。「僕は三宅さんみたいに、苦労したり、悩んだりしてきてないので」と小倉が笑うと、三宅は「小倉は次の年のことを一切考えなくていい。苦労して苦労してできあがった本を適当にやるだけで」とイジる。すると小倉は「だいたい合ってます(笑)。楽しく45年。あっという間に過ぎた」と認めていた。反省も。「最初の方の作品は全然固まってないうちにもう本番が来ちゃう。まだ作ったばかりで慣れてないから。そうするとやりながら直していくんですよ。そうすると初日とストーリー変わったりするわけですよ。初日に生きていたヤツが千秋楽死んでたり」と三宅は懐かしむ。「あのころ見ていたお客さん、すみませんでした」と謝罪して笑わせた。同舞台は、あす17日から27日まで同所で。
2024年10月16日今年45周年をむかえた劇団スーパー・エキセントリック・シアターの三宅裕司と小倉久寛が、2025年2月21日(金) から3月2日(日) かけてコントライブを開催する。座長・三宅裕司と劇団の看板役者として三宅の片腕を担ってきた小倉久寛。本イベントは、今年古希をむかえる小倉の生誕70年を祝うコントライブとなっており、小倉が70歳にして初めてのツッコミに挑戦する。45年にわたり、三宅の極上のツッコミを受けてきたいじられキャラの小倉がツッコめるのか。公開されたチラシでは、ふたりの激しい笑いのぶつかり合いをイメージして、ボクシングのファイティングポーズが写し出される。その撮影のために小倉は1カ月トレーニングを重ね体づくりに余念がなく、一方三宅は2日間だけ筋トレをして撮影に臨んだ。なお、本イベントでは小倉を祝うために毎ステージ、サプライズゲストも駆けつける予定だ。■小倉久寛 コメントどうやら三宅さんがボケ、僕がツッコミのコントがあるみたいです。とにかくあげあしを取るのが好きな三宅さん、45年間の舞台の上と言わず、普段と言わず、あげあしを取られ、つっこまれ、いじられまくってきました。この45年間のお返しをするべく(恨みをはらすべく)全身全霊のコントに臨みます。あとは無になって隙を作りまくって、つっこまれまくろう。■三宅裕司 コメント小倉が初めてツッコミにチャレンジするコントが1本だけあるそうですが、果たしてうまくいくんでしょうか?45年を超える付き合いなので、どんな時にどんな発想でどういう表情でどういう間でボケて来るのかすべて解っている。先廻りして仕掛けて予想通りにボケてきた小倉にまずは最高のツッコミ芸をたっぷり見せてあげよう。<公演情報>小倉久寛 生誕70年記念コントライブ『ザ・タイトルマッチ3 お楽しみはこれからだ~You ain’t heard nothin’ yet~』2025年2月21日(金)~3月2日(日)会場:東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAチケット料金:9,500円(全席指定・税込)一般発売:10月26日(土)
2024年10月05日三宅裕司が主宰を務める「劇団スーパー・エキセントリック・シアター」の最新作となるミュージカル・アクション・コメディー『ラスト★アクションヒーロー ~地方都市に手を出すな~』が10月19日(木)よりサンシャイン劇場にて上演される。10月上旬に行われた通し稽古の見学に足を運んだ。公安特殊部隊の風見(長谷川慎也)は、極秘に開発された超小型スーパーコンピュータの回収の命を受け、ある地方都市へと赴き、TV番組の撮影に来たクルーを装い町に潜入する。すでに町には、世界で暗躍するスパイ組織「サムライ・ブルー・ミッション」の腕利きのスパイ・影谷(栗原功平)が同じ目的で潜入しており、町の人々を巻き込みつつ、水面下での攻防が展開する。今回の物語の舞台はどこか牧歌的な雰囲気が残る地方都市。“地方都市”と“スパイアクション”という2つのワードのギャップの激しさが桁違い、まさにこの落差が物語に面白みを与えている。『ラスト・アクション・ヒーロー』と聞くと、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のハリウッドのアクション大作映画を思い出す人も多いかもしれないが、本作もアクション満載!公安特殊部隊の訓練に始まり、町の若い女性たちが結成した“アクションサークル”のパフォーマンス、そして公安とスパイ組織が繰り広げる戦いなど、全編にわたって「これぞスーパー・エキセントリック・シアター!」とも言うべき質の高いアクションが展開する。特にクライマックス、風見と影谷が互いの意地とプライドをかけた壮絶な戦いは、ハリウッド大作も顔負けだ。また “ミュージカル”と“コメディー”と銘打っているだけあって、随所に歌唱あり、笑いもありの2人のやりとりは、SETファンが待ちに待った爆笑コーナーの復活だ。芝居なのかアドリブなのか、劇団を44年引っ張ってきたコメディセンスを見せつける。一方で、物語の肝となる、超小型スーパーコンピュータの行方に関しては、世相や社会情勢なども巧みに取り入れた意外な結末となっており、歌にアクション、笑いにドラマと存分に楽しめる作品になりそうだ。取材・文:黒豆直樹
2023年10月18日双葉地方広域市町村圏組合(福島県広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村の8町村で構成)と一般財団法人福島県電源地域振興財団(事務局:福島中央テレビ)は、東日本大震災及び原子力発電所事故で全国に分散避難している住民たちの交流の機会を創出するため、双葉地方の復興のシンボルイベントとして、双葉郡内の各町村を巡回しながら「ふたばワールド」を開催してきました。今年で9回目(2020、2021年の新型コロナウイルス感染拡大防止による中止2回を除く)となるふたばワールドは、2023年10月7日(土)に福島県大熊町の「学び舎ゆめの森」周辺特設会場で開催します。みなさまの思い出に残るさまざまな企画を実施する予定です。また、会場からテレビの生放送とインターネットのライブ配信を行います。「ふたばワールド2023」メインビジュアル【開催概要】日時 : 2023年10月7日(土) 10:00~15:00 入場無料 ※雨天決行場所 : 「学び舎ゆめの森」周辺特設会場(福島県双葉郡大熊町大字大川原字南平2019-1)主催 : 双葉地方広域市町村圏組合、一般財団法人福島県電源地域振興財団、大熊町共催 : 福島県公式ホームページ: 特別番組 : 10:30~11:25(福島中央テレビで放送)「ふたばワールド2023」会場【注意事項】・福島県警の指導に基づき、セキュリティ対策強化として手荷物検査及び金属探知機による入場検査を実施いたします。オープニングセレモニー時(午前9時~10時40分)にステージ前客席に入場される場合は、各種検査へのご協力をお願いいたします。来場者の皆様にはご不便等おかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。・臨時駐車場の台数には限りがありますので、ご注意願います。・会場近隣の私有地・施設・路上への無断駐車は厳禁となります。・来場者が多数となった場合には、一時的に入場を制限する場合がございます。・学び舎ゆめの森内の施設・設備はイベント当日に一部利用を制限させていただいております。制限箇所への立ち入りや該当設備の利用は厳禁となりますのでご注意願います。【メインステージイベント】■オープニングアトラクション 9:30~■オープニングセレモニー 10:00~インターネットでライブ配信■郷土伝統芸能パフォーマンス(全10団体) 10:45頃~/12:00頃~インターネットでライブ配信双葉郡の地元伝統芸能団体など10団体によるパフォーマンスステージ。熊川稚児鹿舞(大熊町)/JAスマイル大正琴(双葉町)/レイマカニ フラ オハナ(双葉町)/大谷じゃんがら保存会(楢葉町)/標葉せんだん太鼓保存会(双葉町)/さくらYOSAKOI天花&よさこい浜さkoi(富岡町)/小浜風童太鼓(富岡町)/Wonderなみえ(浪江町)/FRUITS(大熊町))/実験名人 関口おじさん■お笑いコンビ「アルコ&ピース」お笑いステージ 11:30頃~数々のテレビ番組やイベントで活躍中のお笑いコンビ・アルコ&ピース。平子祐希さんはいわき市の出身。福島県浜通りの魅力紹介する観光バラエティ動画「うつくしマップ」にコンビで出演するほか、平子さんは、「常磐もの」として知られる福島県の水産資源をPRするコマーシャルなどにも出演。福島県との縁が深いアルコ&ピースが「ふたばワールド」でしか見ることのできないスペシャルトークとお笑いライブを展開します!■神谷明&中尾隆聖トークショー 13:50頃~阪神淡路大震災や東日本大震災で復興支援チャリティイベントやボランティア活動を続けてきた声優の神谷明さんと中尾隆聖さん。これまでの活動を通して感じた復興支援のあり方についてお話いただくとともに、レジェンド声優ならではトークイベントを開催します。あの人気アニメのあんな声やこんな声が聞けるかも?神谷明さん・・・「シティーハンター」冴羽リョウ役や「北斗の拳」ケンシロウ役など中尾隆聖さん・・・「それいけ!アンパンマン」ばいきんまん役、「ドラゴンボールZ」フリーザ役など■小林幸子ステージ 14:20頃~歌謡界の大スター小林幸子さんが「ふたばワールド」のステージに登場し熱唱するスペシャルステージです!東日本震災のあと福島県内の避難所を訪問し、お米を届けるなど福島を応援し続けてきた小林幸子さん。メインステージの大トリを飾ります。【サブステージイベント】■レッツ!ブンケンストレッチ!! 11:30頃~福島県立富岡高校(サッカー部)出身で福島中央テレビの夕方情報番組ゴジてれChu!の人気コーナー「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」に出演するタレントの鈴木文健さん。運動不足解消のためのトレーニングやストレス解消などのためのストレッチにも詳しく、コロナ禍では視聴者に向けてトレーニング方法などを伝授してきました。お子さまからご年配の方まで、ブンケン流の健康法を学びながら一緒に体を動かして楽しむステージイベントです。「ふたばワールド2023」ゲスト※諸事情によりイベントの内容が変更または中止となる場合がありますのであらかじめご了承ください。【注目コンテンツ】■FANTASTICS畑×福島県立ふたば未来学園高校 コラボスイーツ販売人気ダンスボーカルグループ「FANTASTICS」のメンバー・澤本夏輝さんが双葉地方を訪れ、ファンタスティックな味覚をリサーチ!これまで数々のスイーツを開発販売してきたふたば未来学園とコラボして、この日しか食べることができないオリジナルスイーツを販売します。※数量限定「引換券」を9:30から総合受付脇で販売。商品との引換時間は引換券に記載しております。引換の際は「FANTASTICS畑×ふたば未来学園」のブースにお越しください。■ふくしまのおいSea!大鍋 無料提供/先着1,000名福島県内で放送されたドラマ番組「ウオメシ~おいSea!食卓~」で紹介された、福島県産の海産物を使用した大鍋が登場!ドラマに出演した伊藤淳史さん、神尾佑さん(福島市出身)、真下玲奈さんも会場に登場し、来場者のみなさまに大鍋を振舞います。大鍋の材料となるのは福島県沖で水揚げされる旬の水産物。中でも注目して欲しいのは“未利用魚”として扱われることの多いカナガシラです。知名度の低さなどで漁獲されても売れない「未利用魚」を新たな資源として有効活用する取組みも紹介します。整理券:当日9:30から大鍋テントで整理券を配布。先着1,000名限定。「ウオメシ~おいSea!食卓~」出演者ふたばワールド2023」ふくしまのおいSea!大鍋■ベリーベリーパン販売「ふたばワールド2023」の開催地である大熊町で昔から親しまれてきたUFO形パンをふたば未来学園の生徒たちが進化系で復刻させます!材料には大熊町特産のいちご「おおくまベリー」を使い、その美味しさと魅力を発信します。ふたば未来学園のブースにて販売(数量限定)「ふたばワールド2023」ベリーベリーパン■おおくま こどもパーク大人気の「ちゃぷちゃぷボートひろば」と「シャカシャカ採掘ひろば」はもちろん、今年はさらにバージョンアップして、大型遊具が登場します。【臨時駐車場について】会場周辺に駐車スペースはございませんので、お車でお越しの方は、臨時駐車場をご利用ください。臨時駐車場の台数には限りがありますので、ご注意願います。・お体の不自由な方には会場内に専用駐車場をご用意しております。・会場近隣の私有地・施設・路上への無断駐車は厳禁となります。臨時駐車場 (410台)…福島県双葉郡大熊町大川原南平1049-1臨時駐車場 (360台)…福島県双葉郡富岡町上手岡茂手木46臨時駐車場 (800台)…福島県大熊インターチェンジ付近【無料シャトルバスについて】JR大野駅、各臨時駐車場をご利用の方向けに会場までシャトルバスを運行します。・当日の道路状況により発車時間・所要時間が前後する場合があります。・先着順にご乗車いただき、満員になった場合は出発いたします。・満員のためご乗車いただけなかった場合ご容赦ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月28日熱海五郎一座『幕末ドラゴン〜クセ強オンナと時をかけない男たち〜』の製作発表記者会見が都内で行われ、構成・演出を手がける三宅裕司をはじめ、キャストの渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之、ゲスト出演の檀れい、玉井詩織(ももいろクローバーZ)が登壇した。三宅が座長を務める熱海五郎一座は、東京の笑いである“軽演劇”を上演すべく2006年に旗揚げされた。アドリブや一発ギャグといった瞬間芸でなく、練り上げられた台本と設定の中で生まれる笑いを追求しながら2014年に東京・新橋演舞場へ進出。その第9弾となる今回は、幕末にタイムスリップした高齢者ばかりのミュージカル劇団員(三宅・渡辺・ラサール・小倉・昇太)による“爆笑サバイバル東京喜劇”が繰り広げられる。坂本龍馬(東・深沢によるWキャスト)の暗殺を阻止したことで歴史が変わってしまうピンチに陥った劇団員一行は、現代に戻ろうと奮闘するが──。ゲストの檀は龍馬の妻・お龍、玉井は芝居嫌いな劇団主宰者の娘に扮する。檀と玉井のキャスティングは、いずれもバラエティ番組で共演した三宅のスカウトがきっかけ。NHK BSプレミアム『コントの劇場』(2013年)における檀のコメディエンヌぶりを、三宅は「笑いに真剣に取り組んでくださった姿が印象的でした」と振り返る。コントはこの番組以来と話す檀は、脱線に次ぐ脱線で報道陣の笑いを誘う一座メンバーを前に「皆さんのパワーがすごいので笑いをこらえてしっかりお芝居できるのか」と不安を口にしながらも、「お客様に喜んでお帰りいただきたい」と意気込む。玉井とは、三宅がももいろクローバーZの帯番組『ももクロちゃんと!』(2022年)にゲスト出演したときから「しおりん」と愛称で呼ぶ関係に。喜劇の台本を書き下ろした際に玉井が見せた反応から「ボケとツッコミ、両方できる器用な一面があると知って」と抜群のコメディセンスがあることを明かす。これを受け、玉井も「熱海五郎一座の公演を何度か拝見して一員になりたいと感じていました」とオファーの喜びを語り、「皆さんからたくさん勉強させてもらいます」と述べていた。記者から「華のある女性ゲストを、趣味の城めぐりにお連れするならどちらへ?」と問われた昇太は、劇中に登場する新撰組の拠点・京都を持ち出し「二条城かな」と即答。「御殿が現存する貴重なお城で、たたずまいがゴージャス。檀さんと玉井さんにぴったりですよね」と鼻の下を伸ばす。続いて「こういう蘊蓄がスッと出てくるんです」と調子づくと、三宅から「他人から褒められるまで待てないの?」とつっこまれていた。公演は5月31日(水)〜6月25日(日)、東京・新橋演舞場にて。ぴあでは現在プリセール中。3月26日(日)10時からの一般発売では、食事付き桟敷席の「ぴあシート」を含め、座席指定できるチケットを販売する。取材・文:岡山朋代
2023年03月16日9月25日小雨の降る中、俳優の三宅裕司、小倉久寛が出席し、劇団スーパー・エキセントリック・シアター第58回本公演「世界中がフォーリンラブ」(10月9~25日、東京・サンシャイン劇場)の合同取材会が開催された。【チケット情報はこちら】冒頭、座長三宅裕司は、「このコロナ禍で大変な時期、劇場関係者も非常に大変な思いをしている。40年劇団を続けてきて公演を取りやめるという選択肢はなかった。今だからこそ閉塞感からうっぷんがたまっているお客様に「明日から頑張るぞ!」と思ってもらって元気になるような作品を創ろうと思いました」と公演開催決定への経緯を語った。そして、劇中で登場人物が全員付けるという「立体マスク」を初披露。また、感染症対策を実施している稽古場の様子を、小倉久寛は「普段は全員が集まって稽古をするのに今回はシーンごとの出演者しか集まらない。他のシーンがどうなっているかわからないので、本番を僕が一番楽しみにしています」と笑いを誘っていた。今公演のテーマ「純愛」にちなみ、二人の純愛はという質問には「純愛のかたまりです。小学4年で知り合って、高校3年で付き合って、7回別れて、35歳で結婚しましたから、これは純愛でしょ。純愛を貫いた、と言った方が今後の結婚生活がうまくいく」と三宅が答える一方で、小倉は「結婚してくれって100回くらい言ってやっと結婚した。結婚してもらったので、何でも言うことを聞きます。怒られてもハイ、ハイと…」と、自身の体験談を語った。本公演は、10月9日(金)~25日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。また、10月17日(土)の13:00公演と17:00公演は、PIA LIVE STREAMにてライブ配信を実施。劇場チケット・オンライン視聴券共にチケット発売中。
2020年09月28日俳優の草なぎ剛とユースケ・サンタマリア、6月末でテレビ朝日を退社してフリーとなった大熊英司アナウンサーが1日、お笑い芸人・江頭2:50の公式YouTubeチャンネル「エガちゃんねる」に登場した。「草なぎ&ユースケ&シークレットゲストの3人が江頭の誕生日を祝福!」と題して公開された動画で、江頭の誕生日を祝うべく大熊アナは、全身黒タイツの番組制作クルー「ブリーフ団」の一員に扮し、ケーキをもってサプライズ登場した。2018年3月で放送終了となったテレビ朝日系バラエティ番組『「ぷっ」すま』で共演していた江頭と大熊アナ。覆面を外した大熊アナが「どうもお久しぶりです」とあいさつし、「昨日いっぱいでテレビ朝日を退社しまして、今日からフリーなので、最初の仕事が『エガちゃんねる』です」と言うと、江頭は「大熊さん! 久しぶりじゃん!」と喜んだ。江頭が「何で辞めたんだよ?」と尋ねると、大熊アナは「定年まであと3年で、新しいことをちょっと早めにスタートさせたほうが良いかなと。早期退職をしました。『フリーになったらどんな仕事でも必ず受けなさい』と言われたので、最初に来たこの仕事から受けることにしました」と出演理由を明かした。動画では、『「ぷっ」すま』のメインMCだった草なぎとユースケが、ビデオメッセージで登場する場面も。ユースケは「なんか距離は離れてるけど、昔のメンツが1つの画面の中にいるのは感慨深いな」とコメント。続けて、大熊アナに対して「ずっとテレ朝にいて給与をもらって暮らしていくほうが安定していると思うけど、それを選ばなかった大熊さん、あんた男やで! 俺、そういう人好きよ」とエールを送った。また草なぎは「(江頭から)酔っぱらってすげー電話かかってくる」とも。ユースケも「俺も、江頭さん変な時間に電話が来るのよ。正常な状態の時に電話してくるぶんには良いんだけど、変な状態の時に電話してくるんだよね(笑)」とクレームを入れた。動画のコメント欄では、「ぷっすまは永遠ですね」「この4人の共演はヤバい」「学生時代に毎週ぷっすまを見てた世代なので、この4ショットは感慨深いです」などといった声があがっている。
2020年07月04日「ミュージカル、アクション、コメディー」を3本柱に三宅裕司(68)が劇団SETを旗揚げしてから40年。岸谷五朗、寺脇康文といった多くの売れっ子俳優を輩出し、観客動員数もうなぎ上り、名実ともに人気劇団となった。座長・三宅裕司が創立時からの盟友・小倉久寛(64)と語り合った喜劇への矜持とは?三宅「28歳で劇団を旗揚げして40年。よく続いたなあというのが率直な感想ですよ」小倉「僕は、64歳までよくやったなあって(笑)」三宅「それはあるよね。俺たちが子どものころの60って、めちゃくちゃ年寄りに見えたもの。今とはえらい違い。俺なんか、あと2年で70だよ!」小倉「でも、三宅さんを見ていると、70もさほど老け込んだ気がしませんよ。しかも、ちゃんと貫禄はある。僕なんか、老けているのに貫禄がないから、うらやましいですよ」三宅「小倉は劇団に入ったころとまったく変わらないよな」小倉「劇団を作ったばかりのころは、キャパが160人くらいの劇場で公演してましたよね。懐かしいなあ」三宅「池袋のシアターグリーンね。そこに「劇団3〇〇」(※1)が250人入れて、SETはその記録を抜いて300人入れた。当時、渡辺えり子の3〇〇と競い合っていたから」小倉「僕なんか、お客さんが並ばないうちから整理券を作ったりして(笑)。だから、実際に並んだときはうれしかったなあ。『ありがとうございます!』って言いながら、一生懸命、配りましたよ(笑)」三宅「あらためて、なんで40年続けてこられたと思う?」小倉「僕は、劇団の活動って楽しいんだろうなあと思ってこの世界に入ったら、本当に楽しかったんですよ。ずーっと、大学祭をやってるような感じで……って、わあ〜、こんな言い方をすると、軽くなっちゃったかなあ(笑)」三宅「でも、そうなんだよ。劇団作ったころは芝居しかやることがなくて、芝居のためにバイトして、稽古して、本番でお客さんにウケて、よかったなあって酒飲む、の繰り返し。ケンカもしたし、いろいろあるけれども、それをひっくるめて楽しかった」小倉「昔、劇団で合宿をやりましたよね。遊ぶときにしっかり遊ばないと怒られた。『遊びでやってるんじゃねえんだよ!』って、遊びで行ってるのに(笑)」三宅「みんながバカになるときはバカになれよ!っていうことですよ」小倉「怒られて辞めていったコもいましたよ(笑)」三宅「そうだったね(笑)。でも、一つ言えることは、舞台をやり続けている理由は、やめるきっかけがないの。これは、けっこう大きい」小倉「その言葉を聞いて安心したなあ。じつは、僕もそういうところがある。でも、言ったら怒られるかなあって(笑)」三宅「それとね、劇団存続の危機は何度もあったんだけど、創立メンバーがみんな助けてくれた。だからここまで続けてこられたんだと思う」小倉「幸せですよ、ずっと好きなことを続けられるというのは。だからね、ちょっといい子ふうに言うと、今、置かれている状況に感謝しながら、今後もやっていけたらいいなあと思っています!」三宅「いい子ふうじゃないと、『今があるのは、俺の持ってる運と実力だぜ!』っいう感じだろう?」小倉「違いますよ!読んだ人が誤解しちゃうでしょ(笑)」※1:劇団3〇〇(さんじゅうまる)。劇作家で女優の渡辺えり子(現・渡辺えり)が主宰した劇団(’78〜’97年)。57作目となる劇団SET創立40周年記念公演・舞台『ピースフルタウンへようこそ』。東京公演:10月11〜27日、池袋サンシャイン劇場/愛知公演:11月8〜9日、穂の国とよはし芸術劇場PLAT/兵庫公演:11月13〜14日、兵庫県立芸術文化センター。
2019年10月07日「ミュージカル、アクション、コメディー」を3本柱に三宅裕司(68)が劇団SETを旗揚げしてから40年。岸谷五朗、寺脇康文といった多くの売れっ子俳優を輩出し、観客動員数もうなぎ上り、名実ともに人気劇団となった。座長・三宅裕司が創立時からの盟友・小倉久寛(64)と語り合った劇団の歴史とは?三宅「28歳で劇団を旗揚げして40年。よく続いたなあというのが率直な感想ですよ」小倉「僕は、64歳までよくやったなあって(笑)」三宅「それはあるよね。俺たちが子どものころの60って、めちゃくちゃ年寄りに見えたもの。今とはえらい違い。俺なんか、あと2年で70だよ!」小倉「でも、三宅さんを見ていると、70もさほど老け込んだ気がしませんよ。しかも、ちゃんと貫禄はある。僕なんか、老けているのに貫禄がないから、うらやましいですよ」三宅「小倉は劇団に入ったころとまったく変わらないよな」小倉「僕はね、そもそも大学を卒業したら普通に会社勤めをするつもりだったんですよ。でも、オイルショックの時代でなかなか就活がうまくいかなくて。そんなとき、中村雅俊さんのドラマで演劇青年が出てきて、それがすごく楽しそうだなあと思ったんですよ」三宅「劇団の活動が楽しそうってことだろう?」小倉「そうそう」三宅「絶対、蜷川(幸雄)さんのところで灰皿投げられるのは嫌だろうね(笑)」小倉「まあ、どうせなら楽しいほうが……(笑)。全然経験もないのにちょっと劇団とかに入ってみようかなあと思ったんです。なかでも喜劇は、騒いでバカやってるだけでいいのかなあって」三宅「俺は大学時代にコミックバンドとコンボジャズバンドと落研をやっていて、卒業したら喜劇役者を目指そうと思っていたんだよ。でも、『日本テレビタレント学院』はつまらなくて辞めて、劇団も2つ、3つ行ったけど、自分のやりたいこととずれていた。それで、自分で劇団を作ろう、と」小倉「当時は小劇場もたくさんあったでしょう。興味のある劇団はなかったんですか?」三宅「行きたいと思ったのは、『東京ヴォードヴィルショー』(※1)くらいかなあ。でも、座長が福島出身なのでやめました。佐藤B作さんには内緒だけど(笑)。東京にこだわりもあったしね」小倉「SETって、できた当初から“ミュージカル、アクション、コメディー”の3本柱でしたよね。アクションを入れたのはなんでですか?」三宅「そのころ劇団のメンバーとキャラクターショーのバイトでアクションをやっていたからだよ(笑)」小倉「それだけ?(笑)」三宅「芸の一つとして取り入れたら、劇団の作品にも広がりが出るだろうと思って」小倉「口コミで徐々にお客さんは見にきてくれるようになったけど、やっぱり、三宅さんの『ヤンパラ』(※2)が大きかったですよ。お客さんが一気に増えて」三宅「劇団の活動だけじゃ食っていけないからね。それに、口では『劇団を売るために』と言いながら、本当は自分も売れたかったのよ(笑)」小倉「岸谷五朗と寺脇康文が入ってきたのもそのころです」三宅「俺の仕事がどんどん忙しくなって体力的にも無理だなっていうころ。だから、岸谷と寺脇を前面に出してスターにしていこう、と」小倉「そのとおりになりましたよね。2人が辞めるまで10年くらいあったのかなあ」三宅「自分たちで劇団を作りたいって言われて。でも、昔、俺も同じだったのよ。やりたいことがあったら、自分で作ったほうがいいと思ってSETを始めたから。それで、2人が抜けた後、そこからまた小倉と俺のコンビネーションを研究するようになった」小倉「僕は、ずっとマスメディアの仕事が苦手でした。団員になって1年目くらいかなあ、企業の社員教育ビデオをやったときに苦い経験をしたんですよ(笑)」三宅「覚えてるよ。電話の交換手の役だろう(笑)」小倉「5行のセリフが言えないもんだから何度もダメ出しされて。結局、役を降ろされたんですけど、その代わりをやるのが僕のマネージャーだったんですよ(笑)」三宅「ショックだよな、役者にとって」小倉「その人、よく結婚式の司会のアルバイトをやっていたんですよ(笑)」三宅「今では、プロの司会者だもんな(笑)」小倉「ショックで、翌日、三宅さんのところに『もうマスコミの仕事はやめます』って言いに行きましたね(笑)」三宅「『舞台だけにします!』って(笑)」※1:劇団東京ヴォードヴィルショー。’73年に佐藤B作を中心に結成された人気劇団。※2:ラジオ番組『三宅裕司のヤングパラダイス』(ニッポン放送・’84〜’90年)。『ドカンクイズ』『恐怖のヤッちゃん』など数多くの人気コーナーが生まれ、中高生を中心に絶大な人気を誇った。57作目となる劇団SET創立40周年記念公演・舞台『ピースフルタウンへようこそ』。東京公演:10月11〜27日、池袋サンシャイン劇場/愛知公演:11月8〜9日、穂の国とよはし芸術劇場PLAT/兵庫公演:11月13〜14日、兵庫県立芸術文化センター。
2019年10月07日「町民のアンケート調査じゃ、1割しか『大熊町に戻らない』って答えているのに、税金31億円もかけて、大熊町に新庁舎をつくるなんて、おかしいですよ。しかも、建設予定地は町長の土地らしい。町長は自分に利益を誘導したいんじゃないでしょうか」 今年3月、ある大熊町民から、そんな訴えを受けた本誌取材班は、町役場新庁舎建設について取材を進めてきた。すると、住民不在のまま「復興」の青写真が描かれ、巨額の税金がつぎ込まれている大熊町の現状が見えてきた。 大熊町は福島第一原発の立地自治体。町の96%が、年間被ばく量20ミリシーベルト(※1)を超える恐れのある“帰還困難区域”で、約1万人の大熊町民は会津若松市や、いわき市をはじめ全国に避難中だ。役場の出張所も会津若松市、いわき市、郡山市、大熊町と4カ所に設けられている。 震災から丸6年たち、高い放射線量や廃炉作業中の原発に対する不安や、避難先での生活が長くなったことなどから、すでに「大熊町には戻らない」と決め、避難先で居を定めた町民も少なくない。 そんな状況のなか、大熊町の渡辺利綱町長(69)は今年1月、町の中心部から離れた田畑が広がる大川原地区にある“大川原復興拠点”というエリアに役場新庁舎を建設すると発表した。 新庁舎建設にかかる総事業費は約31億円(河北新報3月26日付け報道)。その資金の出所は、私たちが電気代に上乗せして支払っている税金が原資になる「電源立地地域対策交付金施設整備基金」が充てられる。 また、用地取得にかかる土地代も「福島再生加速化交付金」(※2)と呼ばれる国費、つまり税金から大川原復興拠点全体の土地取得費用のうち4分の3にあたる約1億9千7百万円が拠出されていた。 大川原復興拠点は、全町避難を余儀なくされている大熊町が、比較的放射線量の低い大河原地区を、住民帰還の足がかりにしようとする復興拠点の名称だ。住宅や商業施設、いちご栽培工場などもつくられる予定で、今回の新庁舎建設予定地もこのなかにある。 しかし、新庁舎建設に関しては、一部の町民から、「税金のムダづかい。使い方を間違えている」といった批判が出ている。 「(新庁舎を建てるなんて)知らねがった。大熊はまだまだ放射線量が高いから帰れねえ。だから、いわき市内の復興公営住宅に入ることにしたんだ。新庁舎に大金を使うなら、(大熊町からの避難者が多い)いわきに老人ホームを建ててくれたほうがありがたい」(会津若松市に避難中の女性) 「町民に戻ってきてほしいなら、立派な役場を建てるより、まずは復興公営住宅が先ですよ。住むところもないのに、戻れません」(いわき市の復興公営住宅に入居している女性) ところが、渡辺町長は先月23日、「18年度中に、この大川原地区の避難指示を解除し、新庁舎完成に合わせて町民の帰還を進める」と発表。大川原復興拠点を、人口1万人の大熊町民のうち1割の1千人と、他県から来る廃炉関係者2千人を合わせて約3千人が暮らす町にする想定だ。 町民1千人に対して31億円の新庁舎――。到底、その人口規模に見合っているとは言えない。そのうえ、建設予定地が町長自身の土地で、売買によって町長に土地代が転がりこむというなら問題だ。 そこで本誌は、新庁舎の建設予定地1万9,439平方メートルの登記簿を調べてみた。すると、なんと5割弱の8,756平方メートルが、渡辺町長の所有地であることが判明したのだ。 各地の原発差し止め裁判や、原発避難者の訴訟などに携わっている弁護士の井戸謙一さんは、町長が自らの土地を町に売却して利益を得ることについての問題点を、こう指摘する。 「町民の代表(代理人)である町長が、自分が所有する土地を町に売った場合、自分が自分と売買契約を結ぶことになり、利益誘導を避けるための“自己契約”ないし“双方代理”を禁止している民法第108条に抵触する可能性があります。そうなると契約は無効になり、町長は町から支払われた土地代金を返還せねばなりません。公の建物を町長が所有している土地に建てるなんて、普通はしません。町長への利益誘導だと思われても、仕方ありませんからね」 このような違法性が疑われるにもかかわらず、なぜ、町長の土地が含まれる場所を建設予定地に選んだのか。 たしかに、町長の所有地は、新庁舎の建設予定地の5割弱を占めているが、大川原復興拠点全体から見れば、ごくわずか。しかも、復興拠点の西端に位置しているので、拠点から避けようと思えば避けられるはずなのだ。 (取材・文/和田秀子)(下)に続く ※1:原発事故前の年間被曝量は1ミリシーベルト以下だが、帰還を促進するために、20ミリシーベルト以下の場所は避難指示を解除するように、15年の改正福島復興再生特別措置法で定められた。 ※2:福島再生加速化交付金とは、福島第一原発で避難した福島県民の帰還を支援するために、住宅や商業施設などの〝復興拠点〟を造る際に必要となる資金を国から補助するための交付金。
2017年07月08日本来、行政をチェックすべき議会では、問題にならなかったのだろうか。 大熊町議会の鈴木光一議長に尋ねてみた。 「6月の議会で土地所有者の名簿や売買価格が公表されましたけど、反対したのはひとりだけ。町長の認識はわかりませんが、議会で法律的にも問題だという議論はありませんでした。都市計画区域に、たまたま町長の土地があるっていうくらいの意識ですよ」 今回の土地取引に問題があるという認識は感じられなかった。鈴木議長によると、土地の価格は決定しており、地権者の合意もとれているが、売買契約を結ぶのは、これからだという。気になるのは、土地の評価額だ。 本誌が独自に入手した内部資料によると、町長の土地を含む大川原地区の土地売買価格は、〈田1千700円/平方メートル、畑1千500円/平方メートル、雑種地1千200円/平方メートル〉。 町長の所有地の地目は、「田・畑・雑種地」で、総面積は8,756平方メートル。ざっと計算すると、1千500万円近くが町長の懐に入ることになる。 この評価額に関しては、町民からこんな不満の声もある。 「大川原地区の田畑は、過去にほとんど売買された実績がなく、したがって公示価格もありません。バブル期終盤の91年に、畑が1,500円/平方メートルで取引されたことがあるので、今回の売買価格は、そのバブル期と同程度。町民の土地を買い上げた放射性廃棄物の中間貯蔵施設の土地取引価格ですら、田んぼは1,200円/平方メートル、畑は1,150円/平方メートルと、大川原より低い。原発事故後、このあたりの土地評価額は0円になっていることを考えると、やはり大川原は高いですよ」(以前、大熊町で不動産業を営んでいた男性) そもそも、なぜ旧役場庁舎は使えないのか。 「元の役場は、下野上地区というJR常磐線の大野駅の近くにあるので便利なんですが、放射線量が高くて使えないそうです。役場の人が言っていました」 そう話すのは、帰還困難区域の下野上地区に自宅がある女性。 ところが大熊町は、放射線量が高い旧役場から、広い道を一本隔てた向こう側に、復興のためにゼネコンの拠点をつくり、6年後の23年には居住可能な第2の復興拠点にする計画を進めている。 「だったら31億円もかけて新役場を建てなくても、あと数年待って、放射線量が下がってから、旧役場を修理して使えばいい。それかそのときの町の規模に見合った庁舎をそこに建てればいいと思うのですが」(前出・下野上地区の女性) 次々にわいてくる疑惑や疑問。本紙は、取材の最後に会津若松市の大熊町役場出張所を訪れ、渡辺町長と役場の担当者に数々の疑問をぶつけた。 まず、町長に、自らの土地を町に売却することの違法性について認識を聞いた。 「問題ないと思った。地権者の説明会でも、ダメだという声はなかった。まだ売買契約は結んでいないから、そんなに問題があるんだったら、私の土地は抜いてもらってもかまわない」 町長は違法性自体、認識していなかったようだ。さらに、利益誘導ではと言われていることに対しては、こう答えた。 「そんな気はまったくない。売らなくてすむならそうしたい。でも、町民のみなさんに『土地を提供してくれ』とお願いしているのに、自分が差し出さないわけにいかない」 先祖代々受け継いだ土地を手放すことへの辛い心情を吐露する町長だが「思うように用地買収が進んでいない場所もあるので、自らの土地を避けて復興拠点をつくることはできない」と語った。では、違法性はどうクリアするのか。 担当課長がフォローする。「我々としても法に触れることはできないので、いま顧問弁護士に相談しています。対策としては、副町長を代理に立て、渡辺利綱個人と、副町長が売買契約を結ぶ形にすれば問題ないだろうとアドバイスを受けました」 ここ数日、他のメディアからも取材が来ているようで、慌てて手段を講じたようだ。 また、土地の売買価格についても、「不動産鑑定士が、国が組織した用地対策連絡協議会の用地の取得費用基準に基づいて算出している」と、担当課長が正当性を強調。 最後に、「町民が1千人しか戻らないのに、31億円もの税金を庁舎にかける必要があるのか」との問いに対しては、「我々としては適正な額だと思っている。役場庁舎が大川原にできたら、インパクトも強い。大熊町の復興にむけて本気で取り組むんだという意思表示だ」と話し、新庁舎建設が、“復興への景気づけ”であることを明かした。 しかし、同じく震災のあと、役場庁舎を新築している福島県の南会津町では、人口約1万6千人で、建設予定費が約19億円。一方、大熊町は人口千人で31億円。景気づけの代金としては、やはり高すぎると言わざるをえない。 長年、公共事業の見直しに取り組んできた法政大名誉教授で弁護士の五十嵐敬喜さんは、「そもそも、まだ原発事故も収束しておらず、放射線量も高い原発周辺に人を戻していいのか」と指摘したうえで、こう警鐘を鳴らす。 「いま、被災地には多額の復興予算がつぎ込まれていますが、それができるのも20年まで。その後は、わずかに戻った高齢者が住民の多くを占める自治体が箱モノの維持費を支払っていかなくてはなりません。資金繰りが立ち行かなくなり財政破綻する被災自治体も出てくるでしょう」 税金の使われ方がおかしい、と思っている町被災地の人がそれを批判しても、「復興に水を差す」と言われてしまう現状もあるという。 本当に必要な事業に税金を回すためにも日本中が関心を持ち続ける必要がある。 (取材・文/和田秀子)(上)に戻る
2017年07月08日新橋演舞場で6月に上演される熱海五郎一座「熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』」。その製作記者発表が都内で行われた。構成・演出・出演を担当する座長・三宅裕司をはじめ、渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之という一座の面々に、今回ゲスト出演する松下由樹、笹本玲奈が顔を揃えた。【チケット情報はこちら】音楽をちりばめた東京の喜劇“軽演劇”をベースに、練りこまれた台本を喜劇役者がきちんと演じることによって生まれる“表現としての笑い”を追求する熱海五郎一座。伊東四朗座長の「伊東四朗一座」のメンバーが、伊東がスケジュールの都合で参加できないときも“東京の笑い”を継承すべく、三宅を座長に2006年旗揚げ。今作で新橋演舞場での公演は3度目となる。物語の舞台は、リゾート地の老舗高級旅館「ふじみ楼」。隣にリゾートホテルが建ち、閑散としているところに、小出向江(松下)が訪れ住み込みで働くことになる。リゾートホテルは繁盛していたが、週刊誌によってずさんさが明るみに。サミットの宿泊施設として旅館とホテル、両陣営によるプレゼンが行われることになる。プレゼンを勝ち取るために、どちらも人気歌手の桐山来亜(笹本)をゲストに呼ぼうと画策するが――。松下と笹本の出演は、三宅がテレビ番組で一緒にコントをしたことがきっかけ。松下については「コントを一緒にやってみて、シリアスからばかばかしい演技にいくところのこの落差のすごさというのを改めて見せていただきまして。これはぜひご一緒したいなと思いました」。ミュージカル界で人気の笹本については「(熱海五郎一座のやる)東京喜劇というのはエンターテインメントでもありますので、歌とダンスもレベルの高いものがやりたい。そこで(笹本)玲奈ちゃんが登場するわけです。それとコントで鬼教官の役をやっていただきまして、ものすごいキレ方なんですね、鬼としてね。これもまた落差が大きいなと。ダンス歌のカッコよさからのばかばかしさへの落差」と絶賛。三宅や渡辺による軽妙なトークで取材陣が何度も爆笑する中、笹本は「出演させていただいている舞台はほとんど悲劇。今回、喜劇の作品に呼んでいただけて本当に嬉しく思っています。今回は三宅さんに改めてしばいて……しば…ん?しばいて…しごいて!(笑)」と挨拶で言葉に詰まり、この日一番の大爆笑に。三宅から「しばいてどうするの!」、渡辺から「もう面白いじゃないの!」とツッコまれた。熱海五郎一座「熱闘老舗旅館『ヒミツの仲居と曲者たち』」は、6月3日(金)~27日(月)、新橋演舞場にて。
2016年03月03日伊東四朗を座長とする「伊東四朗一座」の誕生から11年。伊東がスケジュールの都合で不在の際は三宅裕司を座長に“伊東ならぬ熱海”、“四朗ならぬ五郎”の「熱海五郎一座」として活動し、昨年には伝統ある大劇場・新橋演舞場に進出した。1か月で5万人動員の成功を受けて上演される今年の演舞場第2弾作品は、爆笑ミステリー『プリティウーマンの勝手にボディガード』。“プリティウーマン”で“ボディガード”なヒロインを演じる大地真央と、座長の三宅に話を聞いた。熱海五郎一座 チケット情報「あまり一緒にお仕事をしたことはないんですが、舞台で大地さんを観て、きっと笑いが好きなんだろうなというのを感じていたんです。昨年、『コントの劇場』(三宅演出・出演のコント番組)でコントを一緒にやって、もう間違いないと思いました(笑)」(三宅)。「確かに好きですね。私、宝塚時代も“白馬に乗った王子様”的ないい人だけのキャラクターだとつまらなくて。作・演出の先生に相談しながら、ちょっとワルっぽいところや笑える部分を、台本になくても盛り込んでいたんです。やっぱりお客様に笑っていただきたい、楽しんでいただきたいという気持ちは昔からありました」(大地)三宅もその笑いのセンスに太鼓判を押す大地が、“東京喜劇”に挑む。三宅曰く舞台の笑いというものは「お客さんの笑い声で分かりやすく結果が出てしまう」もの。「甘っちょろいもんじゃないんですね。チラシに書かれた『どんな手を使ってでも爆笑が欲しいんです』っていう三宅さんの言葉がとってもおかしくて(笑)」(大地)。「もちろん、力尽くでという意味ではないんですよ。無理なく自然に笑わすことのできる方法を、役者たちがなんとしても探すということです」(三宅)。「笑いが上質なんですよね。番組でご一緒したとき、私も本当の笑いというものを追求してみたいと思いました」(大地)三宅と大地は、ともに警視庁所属のSPだった元夫婦で、今は互いに違う職業に就いているという設定。気になるふたりの離婚原因も最後に明かされる。渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之ら笑いの達人たちが周りを取り囲む中、大輪のコメディエンヌ・大地はどんな爆笑の花を咲かせるか!「笑うことは美と健康に、本当にいいと思います。笑いって一番難しいけど、笑いがハマッて劇場でお客様と共有できた瞬間って、お互いにすごく気持ちいい。思いっきり笑ってちょっと感動して、『明日から頑張るぞ』と思っていただけたらいいですね」(大地)公演は6月2日(火)から26日(金)まで、東京・新橋演舞場にて。チケット発売中。取材・文/武田吏都
2015年03月25日10月22日、四国勢初のJ1挑戦は、5試合を残して終わった。徳島ヴォルティスは3勝4分22敗・勝点13でJ2降格が決まったのだ。残り2枠となったJ2降格を回避する崖っぷちの戦いは、昨年と異なり、ハイレベルな争いとなっている。2013年J1リーグで降格となったのは、16位・湘南ベルマーレ・勝点25、17位・ジュビロ磐田・勝点23、18位・大分トリニータ・勝点14である。今年は13位・ベガルタ仙台・勝点33、14位・大宮アルディージャと15位・清水エスパルスが勝点31、16位・ヴァンフォーレ甲府・勝点30、17位・セレッソ大阪・勝点29といずれも昨年の残留ラインをクリアしている。ここ5試合の結果を見ると、仙台が2勝2分1敗、大宮は3勝2敗、清水とC大阪が2勝3敗、甲府が1勝3分1敗としている。前節は3連勝中だった大宮を除き、勝点を手にした。さらに仙台とC大阪は首位を走る浦和レッズから白星をもぎ取り、甲府もスコアレスドローに持ち込んだ。終盤戦から各チームとも勝点を積み重ね、勝点2差に4チームがひしめく大接戦を演じているのだ。昨季4位と躍進、今季は大物フォルランを獲得し、第2節から3連勝と悲願のタイトルへ向けて上々の滑り出しを見せたC大阪は、まさかの結果と言える。指揮官が2人交代する非常事態だったが、大熊裕司監督が就任後は3勝4敗と持ち直しつつある。夏場に加入した元ドイツ代表・カカウが直近5試合で3得点とチームにフィットしてきた。南野拓実もU-19日本代表から帰ってきて、攻撃のタクトを振るう。勝点2差のビハインドがあるが、第31節・甲府戦、第32節・仙台戦、第34節大宮戦とライバルを直接叩くチャンスも多い。甲府は派手さはないが、堅守速攻を繰り返す愚直さがある。前節・浦和戦で途中加入のFW・キリノが負傷したのは痛いが、これからもしっかり人数をかけて守り、FW・クリスティアーノへ預けるカウンターから勝機を見出していくしかない。昨季を除いて、毎年のようにJ1残留争いを強いられながらも降格を免れていた大宮は8月時点で残留圏の15位に勝点5差をつけられていた。「今年こそ、ダメか……」とサポーターすら観念した状況ながら、9月以降は5勝2敗と巻き返した。確かにズラタン、ムルジャ、家長昭博ら攻撃陣は強力だが、53失点は多すぎる。打ち合いではなく、いかにロースコアに持ち込むかが重要となる。失点が多いのは清水も一緒である。ワースト3位の50失点だ。『天皇杯』は4強入りするなどオリジナル10の清水は地力がある。11得点のノヴァコヴィッチ、6得点の大前元紀の攻撃力を活かすためにも、守備の安定が残留の条件となる。仙台は残り5試合前回の対戦で3勝2分と負けた相手はいない。早々に安全圏と言われる勝点39を稼ぎたいところ。どのチームにも勝算があれば、危険性もはらんでいる。残り5試合となったJ1残留争いは、優勝戦線よりも一層混沌としている。
2014年10月24日「フットボールは最後まで何が起こるかわからない」とは、サッカーを語る上での常套句だが、こと一発勝負のトーナメントにおいてはなおさらだ。10月11日(土)・15日(水)に準々決勝を迎える『第94回天皇杯全日本サッカー選手権大会』も然りである。ノックアウト方式で戦う『天皇杯』は毎年ジャイアントキリングが起こっている。今年もラウンド16までで、宮城県代表・ソニー仙台FCがJ1・鹿島アントラーズを、兵庫県代表・関西学院大学がJ1・ヴィッセル神戸を、奈良県代表・奈良クラブがJ 1・べガルタ仙台を下し、下克上を果たしている。天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝 チケット情報抽選で決まったカードは、J1で上位と下位と対照的なガンバ大阪×大宮アルディージャ、名古屋グランパス×清水エスパルスの東海ダービー、J1・セレッソ大阪×J2・ジェフユナイテッド千葉、J2同士のモンテディオ山形×ギラヴァンツ北九州となった。J1リーグ6連勝中と快調な2位・G大阪×15位・大宮は、対戦成績で12勝6敗と、G大阪に分がある。リーグ戦8得点のFW・パトリック、宇佐美貴史の攻撃力は脅威だ。だがG大阪は10月12日(日)に『ナビスコ杯準決勝』をアウェーで戦い、中2日で挑む。コンディションで有利な大宮は、FW・ズラタンらの得点力でベスト4進出を狙う。直近のJ1リーグ戦で、ともに勝利している名古屋×清水は、今週末の10月11日(土)に開催される。2回戦びわこ成蹊スポーツ大学、3回戦・コンサドーレ札幌、4回戦・FC東京と3戦連続ゴールを決めた清水・大前元紀、今シーズン通算14得点のノヴァコビッチが、DFながら公式戦11得点を挙げている田中マルクス闘莉王擁する名古屋の守備陣を崩せるかが鍵となる。C大阪×千葉は、唯一ディビジョン違いの対戦となる。大熊裕司監督は、C大阪U-18監督時代に『高円宮杯U-18サッカーリーグ プリンスリーグ関西』優勝をもたらしている。大熊監督の指揮のもと、2010年『W杯』得点王&MVP・フォルランの爆発に期待がかかる。対する千葉は、4回戦・柏レイソルを延長戦の末PK12-11で撃破し、地力を発揮した。C大阪がJ1の意地を見せるか、千葉のジャイアントキリングなるか。J2同士の対決となる山形×北九州は、順位表では北九州が4位、山形が8位だが、対戦成績では山形の4勝2敗。今季得点ランク6位・13ゴールの池元友樹(北九州)と、12ゴールのディエゴ(山形)、どちらの決定力が勝るのかに注目したい。4回戦では、山形はJ1・サガン鳥栖を、北九州はJ1・ヴァンフォーレ甲府を討ち破った。ベスト4を懸けて、白熱した試合を見せてくれるだろう。『第94回天皇杯』準々決勝は、10月11日(土)・名古屋グランパス×清水エスパルス・名古屋市瑞穂陸上競技場、10月15日(水)・ガンバ大阪×大宮アルディージャ・万博記念競技場、セレッソ大阪×ジェフユナイテッド千葉・キンチョウスタジアム、モンテディオ山形×ギラヴァンツ北九州・NDソフトスタジアム山形にてキックオフ。チケット発売中。
2014年10月10日とにかく笑えて楽しめるエンタテインメントを追求し続けて33年を迎える劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下SET)。三宅裕司が主宰するこの劇団の第50回記念本公演『上海ローズ』が11月1日(木)に開幕する。それに先がけ、10月31日には公開舞台稽古と、三宅、小倉久寛、韓国の新人俳優クォン・ヨンミンによる記者会見が行われた。『上海ローズ』のテーマは音楽。劇中に登場するJ-POPのナンバーワンレーベル「アーベイ・グループ」は、韓国人歌手と日本人バックダンサーグループとのユニットで世界的ヒットを狙う。そのオーディションになぜか売れないバンドの三宅と小倉が呼ばれる。その裏では大ヒットの秘訣がつまった「幻の上海ローズのレコード」をめぐる企みが進行していて……と、いまの音楽業界を反映したような物語が展開する。公開稽古が始まると、どこかで見たことのあるような音楽会社のロゴが掲げられたステージが姿を現す。いかにも韓流らしい楽曲が流れると、10人あまりの出演者による一糸乱れぬヒップホップダンスが展開。まるで本当のコンサートに来たかのようなクオリティに圧倒される。曲が終わると三宅と小倉が登場。このふたりのどこまでが台本通りでどこからがアドリブかわからないようなテンポのよいやりとりに会場からは終始笑い声が聞こえていた。会見では、まず小倉が2年ぶりの本公演について「三宅さんがいるとやっぱり違う」と切り出した。昨年、椎間板ヘルニアの手術のために休養した三宅と共に50回目の記念公演を迎えられる感慨はひとしおのようで「三宅さんが走り回っているところを見てぐっときました」と語った。それを受けて三宅も「今回は走る三宅を見てください。といっても2秒ぐらいだけど」と笑わせたあと、「一度は舞台に復帰できないかもと思った。こうして生かされているからには、手間のかかる喜劇を日本に残さなくてはいけない。中身を練り上げた音楽ギャグをふんだんに使って、2年分の思いの詰まった舞台にします」と力を込めた。韓国人歌手役のクォン・ヨンミンは三宅自ら韓国に飛んで発掘した期待の新人。「彼の声には心をわしづかむ魅力がある」という三宅の言葉に、すかさず「ありがとうございます!」と覚えたての日本語で返した。創設33年目にして、全力で観客を楽しませることを追求し続けるSET。三宅の不在を乗り越えた彼らの舞台は、これまで以上に力のこもったものになりそうだ。11月1日(木)から18日(日)まで東京・サンシャイン劇場、11月22日(木)に新潟県民会館 大ホールにて上演。取材・文:釣木文恵
2012年11月01日三宅裕司が主宰する劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が結成33年を迎え、11月からは第50回記念本公演『上海ローズ』が上演される。結成以来のミュージカル・アクション・コメディーという旗印を守り続けながら、公演ごとに観客を驚かせ、喜ばせ、笑わせるSET。9月某日、今回の公演にかける意気込みを三宅に訊いた。劇団スーパー・エキセントリック・シアター第50回記念本公演チケット情報昨年7月に椎間板ヘルニアの手術を受け、2011年後半は休養をしていた三宅。そのため、昨年行われた『あちらをたてれば、こちらが立たず』も主宰不在の番外公演という扱いだった。今回は実に2年ぶりの本公演復帰となる。「本当に復帰できるかどうかわからないという状況が何か月か続き、もちろん不安はありました。そうすると復帰できたときに『なぜ自分は生かされたのだろう』と思うわけです。結果、手間のかかる、今やなくなりつつあるコメディーというものを作っていかなくてはいけないという使命感が以前より増しました」と真剣なまなざしで告白した。手間のかかるもの、といえば今回の作品。音楽がテーマであるため、曲作りから歌の練習、楽器の練習……と、通常の芝居に加えていくつもの準備が必要となる。「音楽を扱う芝居っていちばん面倒(笑)。でも、ハーモニーがうまく重なったとき、そして音楽ギャグがうまく決まったときの気持ちよさも最高なわけです」と語る。現在は音楽を作り込みながら、個々人が歌や楽器の練習に勤しんでいる状況なのだとか。「こんな冴えない奴からこんな美しい音色が出るのか、という驚きをお客さまに感じて欲しい。小倉久寛が素敵なハーモニーを奏でたらやっぱり皆さん驚くし喜んでくださると思うんです(笑)」。三宅、小倉は今回、韓流歌手グループを売り出す事務所のオーディションになぜか呼ばれたバンドのメンバー役を演じ、演奏ではギターを担当する。「自分が一番プレッシャーの大きい役かもしれない。でも、それを乗り越えるぐらいのことをしなければ、観に来てくれたお客さまを楽しませることはできないですよね」と決意をみせる。33年間、“笑い”にこだわってきたSET。今回もそれは同じ。「笑って笑って、終わった後、ふと大きなテーマに気づくような作品。でもそんなこと気付かなくてもいい。とにかく笑いにきてほしい」。2年分の思いが詰まった舞台で、SETが究極のエンターテイメントを見せる。公演は11月1日(木)から18日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。その後、11月22日(木)に新潟県民会館大ホールで千秋楽を迎える。チケットは発売中。取材・文:釣木文恵
2012年10月05日三宅裕司率いる熱海五郎一座の最新作『落語日本花吹雪~出囃子は殺しのブルース~』が、6月15日に東京・サンシャイン劇場にて初日を迎えた。熱海五郎一座のチケット情報東京の喜劇“軽演劇”の継承を旗印に、第一線で活躍する喜劇人たちによる公演を重ねている熱海五郎一座。今回は座長・三宅にとって実に1年ぶりの舞台復帰作でもある。昨年、椎間板ヘルニアの手術を行い、その後リハビリに取り組んでいた三宅は、震災被災地の人々の前向きな姿に励まされたという。そんな姿を見て日本人の良さを描きたいと感じ、素材として浮上したのが今回のテーマ落語だった。座付作家・妹尾匡夫が手がけた物語は、古典落語重視の三遊亭円高(ラサール石井)一派と、新作落語志向の桂飯丸(三宅)一派の対立を軸に進む。高座中の円高師匠に声の異変が起こり、飯丸たちに疑いがかかるのだ。とはいえサスペンス色はほどほどに、冒頭から笑いどころは満載。円高扮するラサールとその息子円安を演じる東貴博が実生活で新婚となることから、嫁自慢トークが繰り広げられ、プライベートなネタも笑いに変えていた。三宅扮する飯丸と、その弟子・五穀米(小倉久寛)がボケとツッコミを応酬し始めると、50から60代の男性客が多い客席から爆笑する声が聞こえ、早くも最高潮に。その波に乗るように、ノリのいい社長役の渡辺正行、落語音痴の刑事役の春風亭昇太が、クセのあるキャラクターをコミカルにみせる。また、ミステリアスな美女役を演歌歌手としても活躍している林あさ美が演じ、劇中に華を添えていた。三宅は病気後初の殺陣も披露し、完全復活ぶりをアピール。圧巻は、渡辺・東・小倉・ラサール・三宅の5人によるリレー形式の落語。それぞれの持ち味を生かしつつ、回り舞台を駆使して次の話し手に繋ぐ様は、ひとり語りの落語とは違う魅力に溢れていた。最後は林の華やかな歌謡ショーでフィナーレとなった。3度に及ぶカーテンコールに、一座を待ちかねた観客の満足感が見てとれた。明治大学落語研究会の先輩・三宅の苦労に渡辺が思わず涙すれば、それを小倉が瞬時に緩やかな笑いへと変える。公演は7月1日(日)まで同劇場にて上演。その後、7月13日(金)に一座初の宮城公演として、東京エレクトロンホール宮城で上演される。チケットは発売中。取材・文:山上裕子
2012年06月18日