俳優の町田啓太が23日、都内で行われた「アベンヌ アンバサダー就任発表会」に出席した。アベンヌは、南フランスのアベンヌ村に湧き出る温泉水をベースに、製薬・化粧品メーカーの皮膚科学研究力を結集させ生まれたスキンケアブランド。より多くの人たちにブランドを知ってもらうためのキャンペーン「I and Avene」が4月1日より実施される。その一環として、アベンヌブランドの人気商品である「アベンヌ ウオーター」を日頃から愛用している町田啓太がアンバサダーに就任した。町田は「ユーザーでしたのでうれしいです。本当に光栄です。普段から使っておりましたのですごくうれしかったです」とアンバサダー就任を喜び、「使っていたからこそお伝えできることもあるなと思います。老若男女問わず使っていける素晴らしい商品ですので、ぜひ手に取っていただきたいと思っています」と意気込んだ。また、同ブランドとの出会いを聞かれると、「いつもお世話になっているヘアメイクさんからご紹介いただきました。詳細にアベンヌの魅力を伝えてくださって。安心感があるというか間違いないなと。そこからですね」と答えた。アンバサダーとしてすでに広報活動を始めているという町田。「大学から仲のいい関口メンディーに連絡をしまして、『アベンヌ知ってる? 使ってる?』って言ったら、『知ってるよ。使っている』と」とメンディーもユーザーであることを明かし、「メンディーからぜひ伝えてほしいと言われたんですけど、『メンディーもおすすメンディー』って(笑)。これ言うか迷ったんですけど、彼もユーザーということはぜひ言っていきたいと思いますし、いろんな方との輪ができていくといいなと思っています」とメンディーからの伝言を紹介すると会場から笑いが起こった。なお、町田が出演するWeb CMが、4月1日よりアベンヌ公式サイトやインスタグラムで順次公開予定。
2022年03月23日檀れいが主人公を演じる、クラシックのオーケストラを題材にした水谷豊監督作『太陽とボレロ』。この度、石丸幹二、町田啓太、森マリア3名の追加キャストが明らかになった。「題名のない音楽会」で司会を務めるほか、歌手としてオーケストラ・コンサートを積極的に開催するなど、音楽の分野でも活動の幅を広げている石丸さんが演じるのは、主人公・理子と共にアマチュア交響楽団を支える中古車販売センター社長・鶴間芳文。経営者としても主宰者としても包容力を発揮する役柄だが、理子に時折見せるチャーミングな一面も見どころだ。町田さんが演じるのは、鶴間の会社で働きながら、交響楽団でトランペットを演奏する田ノ浦圭介。心の奥底では音楽や楽団を愛しているものの、ストレートに言葉にできず、擦れたように見えてしまうところも。また、理子の洋装店で働きながら交響楽団のヴァイオリン奏者を務める宮園あかり役は、「ヤヌスの鏡」で連続ドラマデビューし、本作が映画初出演となる森マリアが抜擢。「ヴァイオリンこそ我が人生!」と話すほど音楽を愛するあかり。経済的な問題からプロになる夢を諦めるやっとの思いで入団した交響楽団が解散するという現実に向き合いながらも、希望を持ち続け明るく前を向いて、楽団を支える存在となっている。▼追加キャスト&監督コメント・石丸幹二これまで映画やドラマでご一緒させていただいた大先輩の水谷さんが、映画の監督をなさる。それも近々!と伺った瞬間、心の中で「出たい!」と願ってました。それが叶った時は嬉しかったですね。水谷さんの現場は温かいんです。しかも色々と学べる。実際、監督として立たれた水谷さんは、イソップ物語に出てくる太陽のような人だった。陽光を浴びる俳優たちが、すっと心を開いて、その光に応えたくなるような感じなんです。僕の場合、最初に脚本を拝読した時、鶴間は二枚目かと思ったので、檀さん演じる理子を格好良く支えたいな、と思ったのですが、見事に別方向に導かれました。監督は、僕の芝居に寄り添った形で、想像をはるかに超えるシチュエーションに引っ張ってくださったんです。面白かったですね。そうして出来上がった鶴間を、観客の皆さんには微笑ましく思っていただけると嬉しいです。個性派の俳優陣が演じる登場人物たちは、皆、クソ真面目に苦難に立ち向かっていきます。が、そのさまは、どこかおかしくて、愛おしい。最後の彼らの笑顔が、きっと皆さんの笑顔につながると信じています。是非劇場でご覧ください。・町田啓太今回、水谷組に参加できると聞いてすごく嬉しかったです。現場に入り、毎回監督に演出のアイディアをいただくのですが、なんで俺は気づかなかったんだろうと悶々とし、自分なりに咀嚼して出せるかが毎回の課題でしたが、実はそれが楽しかったです。圭介というキャラクターは交響楽団のトランペット奏者です。自分自身、トランペットは小学生の頃少しだけ触れたことはあったのですが、とにかく音を出すのが難しく、苦戦しました。ですが、合奏のシーンではプロの方々と音楽を奏でることが出来、今後の人生でもうないだろうなと思ったので貴重な経験をさせてもらいました。撮影は今まで味わったことない感覚で終わってほしくない時間でした。その雰囲気などが映像を通して伝わると思うので、皆さんに見ていただきたいです。また本編ではチャーミングな人たちも、楽器を持つと雰囲気がガラッと変わるので、是非そこにも注目してみてください。・森マリアこの作品に出演が決まったとマネージャーさんから聞いたときはただただびっくりしました。私が演じる、宮園あかりは明るくはっきりとした性格で、ヴァイオリンのプロの道を諦めなければならない状況でも、弾くことを諦めずアマチュア交響楽団で演奏している一生懸命な女性です。そんなあかりを体現できるよう、ひたすらヴァイオリンの練習をしました。元々楽器を習っていたのですが、5年ぶりの演奏だったのでとにかく必死でした。ですが、弾いていくうちにどんどん楽しくなっていき、私の一部だと思えるようになりました。初めての映画出演で、上手くいかず悩んだことも多かったのですが、監督がかけてくれる言葉の一つ一つが魔法みたいで、演技を楽しむ気持ちをも持つことが出来ました。圧巻のオーケストラシーンはもちろん、楽団員一人一人のそれぞれの想いなど沢山のシーンを是非劇場でご覧ください!・水谷豊監督【石丸さん出演にあたって】この物語のメインである、アマチュア交響楽団を立ち上げたのは理子と鶴間です。石丸さん自身、楽器をやっていて音楽を愛している方なので、その石丸さんが鶴間を演じて下さったことで交響楽団の存在がよりリアルなものになりました。鶴間の大人の優しさに何度となく癒されながら、サックスを吹くシーンは必見です。【町田さん出演にあたって】町田くんは若手の中でも勢いがあり、感性の素晴らしさに注目していました。太陽とボレロでは若手トランペット奏者の役ですが、シーンを撮るたびにかっこよさとユーモアを兼ね備えた圭介というキャラクターが出来上がっていきました。魅力溢れる町田くんのセンスが作品の中で光っています。【森さん出演にあたって】あかりの役は吹き替えなしにヴァイオリンが弾けること、弥生交響楽団の中で太陽のような存在であることがイメージでした。かつてヴァイオリンをやっていたとはいえ、マリアちゃんは短期間の猛特訓で見事なヴァイオリニストになってくれました。彼女のフレッシュさと愛くるしさもまた、この作品の見どころのひとつになりました。『太陽とボレロ』は6月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:太陽とボレロ 2022年6月、全国にて公開予定©2022「太陽とボレロ」製作委員会
2022年02月15日歌手の岡崎体育とラグビー日本代表の稲垣啓太が出演する、三井住友フィナンシャルグループの新CM「ともに、前へ」編が、20日より放送される。新CMでは、高校ラグビー部のスターで現在はプロリーグに所属する一流選手を稲垣、補欠のまま卒業して現在は会社員となった同級生を岡崎が演じ、2人がそれぞれの道で懸命に生きる姿を描く。営業先を訪ねるために急ぐ岡崎とグラウンドを疾走する稲垣、腰を低くして頭を下げる岡崎と低い構えでスクラムを組む稲垣が、同じ姿勢ながら対照的に表現されている。CMソングには、フラワーカンパニーズの「深夜高速」(04)を使用。岡崎がオリジナルアレンジでカバーしている。稲垣のトレーニングシーンは肌寒さを感じる秋に撮影されたが、台本通りの設定で演技をしていた稲垣が突然、頭から水をかぶるアドリブを披露。その迫力を気に入った監督が、急きょ台本に追加した。自動ドアがなぜか反応せずに焦る岡崎のシーンでは、開かないドアにぶつかってみたり、反応しないセンサーに向かって手をふってみたり、さらにすれ違う人にペコリとお辞儀をしたりと、岡崎から次々に繰り出されるユニークなアドリブに、現場は笑いに包まれた。
2021年11月19日’18年公開、鬼才SABUが監督を務めた映画『jam』がドラマ『JAM -the drama-』に!主演の劇団EXILEメンバーのお互いのイメージについて、町田啓太さん、小澤雄太さん、小野塚勇人さんの3人にぶっちゃけトークをしていただきました。それぞれの素が投影された役柄を楽しんでもらえたら。町田啓太×小澤雄太さん×小野塚勇人――まずはそれぞれの役柄について、教えてください。町田:西野タケルという役をやらせていただきました。意識不明の恋人の回復を願ってひたすらいいこと貯金をするというキャラクターなのですが、その正直さがある種、狂気じみていて…。しかも、『JAM』というタイトルのごとく周りを盛大に巻き込む役柄です(笑)。小澤:僕は世良コージというアウトロー役なんですけど、ひょんなことから舞台製作にのめり込み、ついには「バースデイボーイズ」というボーカルグループを結成することになるという。小野塚:僕は、世良といつも一緒に行動している滝口ジュンというアウトロー役です。この衣装と髪色に役柄が表れていますが、僕たちがなぜグループを結成することになったのか、そのあたりも含めて楽しみにしてももらえたらと思います。――SABU監督は映画『jam』での経験から、みなさんのキャラクターを把握したうえでドラマの脚本を書いたとのこと。役柄にそれぞれの素顔が投影されている部分を感じますか?小野塚:町田くんは、一見、好青年のイメージ。それが行きすぎると狂気になるっていうところは、すごくハマっていて面白いなと思いました。町田:小澤さんと小野塚が演じたはみ出し者の役柄は、やる人によっては本当に恐ろしく見えるんですよね。でも、普段はやさしくて人懐っこい二人が演じるからこそ人間味が感じられる。二人の根本にある魅力が投影された役柄で、見ていて感情移入する方がたくさんいるんじゃないかと思います。小野塚:僕たちに寄せて書いてくださっているからか、セリフに気持ち悪さがなかったんです。しかも劇団のメンバーと一緒にいると、素に引っ張られて役がうまくいかないってこともありそうですけど、それもなくて。――小野塚さんは、現場で半分ほど素の自分だったそうですが。小野塚:半分以上です(笑)。メンバーとの関係性は出来上がっているし、相手がどういう感じでくるのかもだいたい予想ができるので。初日は緊張しましたけど、それ以外はナチュラルに演じられました。――信頼感が強いんですね。町田:信頼…なのかな?(笑)小澤:はははは!逆にね。小野塚:信頼っていう言葉がいい言葉すぎて(笑)。もちろん舞台とかずっと一緒にやってきましたし、お互いにわかっているという意味で、芝居に対するストレスは全くなかったです。――小澤さんと小野塚さんは劇中で5人組のグループを結成しますが、ダンスもあるとか。小澤:僕はもともとブレイクダンスをやっていたんですけど、今回みたいにK-POPっぽいダンスをまるまる踊ったことはなかったので…苦労しました。小野塚:僕はほぼダンス未経験だったので、体の動かし方とか難しいところがいろいろあって。でも、かなり練習しましたし、カメラワークにも助けられて、カッコよく写っていると思います。LDHの中では、うまく踊れたとは言えませんが…(笑)。町田:言っていいと思う。めちゃめちゃ練習していましたから。小野塚:そうですね。アウトローの僕たちがダンスを始めて上達したっていう物語として見ると、及第点かなって思います。――ドラマ全話配信後には舞台『JAM -ザ・リサイタル-』の公演も控えていますが。町田:ドラマの世界観を踏襲しつつ、リサイタルならではのスパイスも入ってくると思います。わからないですけど、小澤さんがブレイクダンス踊ったり、歌のうまい小野塚がソロで歌う可能性だってありますし。小澤:それはヤバい!(笑)小野塚:タケルさんが自ら、踊るかもしれないですしね(笑)。町田:いずれにしても、何が出てくるかわからないびっくり箱のような感じで、楽しみにしてもらえたらと思います。まちだ・けいた(写真左から4番目)1990年7月4日生まれ、群馬県出身。ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』が話題に。大河ドラマ『青天を衝け』に出演中。10月スタートのドラマ『SUPER RICH』にも出演。おざわ・ゆうた(写真右端)1985年10月8日生まれ、東京都出身。映画『記憶にございません!』に出演。『八王子ゾンビーズ』『大地』『ピサロ』など、舞台作品にも多く出演している。おのづか・はやと(写真右から2番目)1993年6月29日生まれ、千葉県出身。ドラマ『仮面ライダーエグゼイド』では、仮面ライダーレーザーを演じた。近作は深夜のイッキ見!まつり『#天空のシェアハウス』(NHK総合)、ドラマ『家、ついて行ってイイですか?』第4話など。げきだんエグザイル2007年旗揚げ、現在は9名で活動する劇団。昨年初めてのメンバー全員出演公演『勇者のために鐘は鳴る』を行った。メンバーは、劇団作品以外の映画、ドラマ、舞台などでも幅広く活躍中。『JAM -the drama-』『JAM -ザ・リサイタル-』映画の登場人物たちのその後が描かれる『JAM -the drama-』は、ABEMA SPECIALチャンネルにて独占無料放送中(毎週木曜22時~・全8話※8話のみ23時30分~ABEMA SPECIAL2)。演歌歌手や謎の青年、チンピラたちの事情や思惑が入り乱れ、巡り巡って皆で一大エンタメショーを作り上げていく物語。八代亜紀や純烈との豪華共演も必見!10月中旬より、作品世界を舞台上で繰り広げる『JAM -ザ・リサイタル-』も開催。※『anan』2021年9月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・礒野亜加梨高尾奈菜風祭友希子(以上studio mam)取材、文・菅野綾子保手濱奈美撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー(by anan編集部)
2021年09月12日俳優の綱啓永が22日、都内で行われた「第34回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト BEST35お披露目記者会見」に出席した。若手俳優の登竜門的なコンテストとして1988年にスタートした「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」。過去には小池徹平や溝端順平、菅田将暉ら数々のスターを世に送り出し、ファンはもちろん芸能関係者からも注目を集めている。11月下旬に最終選考が開催される今年の同コンテストに16,622人が応募。段階的に審査を行い、勝ち残った15人のファイナリストが最終選考に駒を進めてグランプリを始め各賞が決定する。この日のイベントでは2017年に行われた第30回の同コンテストで史上初の敗者復活からグランプリに選ばれた綱啓永が登壇し、今大会のベスト35と敗者復活の2人を加えた37人の中から5人の欠席者を差し引いた32人の応募者がお披露目された。綱は「今日はTwitterで目の保養をしますとTweetしてきましたが、沢山目の保養をして帰りたいと思います」と今日のイベントを楽しみにしていたようで、「可愛い子が多いですよね。後ろの子は背も高くてびっくりしました」と感想を。イベント中には応募者からの質問に答えるコーナーもあり、「コンテスト中どんなことを考えて活動していましたか?」という質問に「必死に頑張っていただけです。何かを意識していたかと言われると、もがいて頑張っていただけですね。僕の代からSHOWROOMの投票が始まり、喉を潰すぐらいしんどかったです。SHOWROOMでの配信を一番頑張った印象です」と回答し、「僕は必死にもがいていただけで、将来のことも見据えていませんでした。ひたすらファイナリストになりたい一心でやっていましたが、それは勿体ないと思いました。今からやりたいことをはっきりさせることが大事だと思います」とアドバイスを送った。ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト史上初めて敗者復活からグランプリまで駆け上がった綱。「敗者復活でファイナリストになり、そこで満足した訳ではないんですが、敗者復活からグランプリになった例がなかったので、グランプリは0%だと思っていました。とにかく最終選考の日は楽しもうという一心で頑張ってましたね」と当時を懐かしく振り返った。グランプリを獲ってから女性にモテたと思いきや、実際のところは「期待していたんですが、1ミリもありませんでした。グランプリを獲った次の日、学校に行ったらガタイの良い筋肉質の男に喋りかけられたぐらい。『グランプリの綱くんですか?』と(笑)。女子はびっくりするぐらい1人もいませんでした(笑)」と明かしていた。
2021年08月23日六本木の東京ミッドタウン・ホールで特別展『北斎づくし』がはじまりました。この展覧会でアンバサダーを務める町田啓太さんが取材会に登場!展示の感想や見どころ、北斎にちなんだ楽しいエピソードなども語りました。町田啓太さんがアンバサダー!【女子的アートナビ】vol. 220生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』では、葛飾北斎(1760-1849)の代表作である『北斎漫画』、「冨嶽三十六景」、『富嶽百景』の全ページ・全点・全図が集結。北斎漫画コレクター・浦上満さんが所蔵する世界最高水準の北斎コレクションが一挙に公開されるなど、いまだかつてない大規模なスケールで開かれる展覧会です。また、展示方法も豪華です。フランス・パリを拠点に活躍する建築家、田根剛さんが展示空間を設計し、会場グラフィックはアートディレクターの祖父江慎さんが担当。展示解説は、日本美術に詳しいライターの橋本麻里さんが手がけ、北斎の魅力を存分に楽しめる空間になっています。このゴージャスな展覧会でアンバサダーと音声ガイドを務めているのが、町田啓太さんです!話題のドラマや映画に登場され、いつも眼福なお姿を見せてくださる町田さんが、北斎ブルーの鮮やかな衣装で合同取材会と記者発表会に登場。感染対策のため取材記者のやり取りはリモート経由でしたが、当日撮影された見目麗しい写真とともに、町田さんのお話をご紹介します!北斎さんにワクワク!――アンバサダー就任のお話を聞いたとき、どう思われましたか?町田さん誰もが知っている葛飾北斎さんの特別展でアンバサダーになれて、しかも音声ガイドにも携われるとのことで、うれしかったです。もともと展覧会が好きですし、しかも北斎さんなので、すごくワクワクして、どんな世界観を僕自身が体験できるのが楽しみだと思い、即「ありがとうございました!」という感じで引き受けさせていただきました。入った瞬間から圧倒!――展示をご覧になったご感想は?町田さんもう、受け止めきれないぐらい本当に圧巻でした。僕自身、勉強不足だったこともありますが、北斎さんといえば「冨嶽三十六景」、『富嶽百景』の富士山や波というイメージだったのですが、この展示を見ると、作品に描かれている人物たちも魅力的なのです。例えば富士山を見ている人々なども描かれているのですが、その人たちと同じような気分になりながら見られる展示です。また、会場のつくりが本当にすばらしいです。まさに、北斎づくし。入った瞬間から圧倒されます。北斎のダイナミックさ、大胆さ、繊細さも垣間見えて、どんな方なのかと想像が膨らみました。さらにすごいなと思ったのが、展示物の数。北斎が生涯つくった作品の数がとんでもないのです。本当に好きで、探求し続けないと描き続けられないと思います。――心ひかれた作品は?町田さん決めるのが大変だなぁ。すごく印象に残っているのが、『富嶽百景』で波が鳥に変わっていく作品があるんです。これはすごいな、と。富士山と波があって、よく見たら波の先に鳥がいるのです。水しぶきかと思いました。鳥も、一羽一羽表情があり、僕のなかで印象に残っています。――北斎にあまりなじみのない人でも楽しめますか?町田さん僕も詳しくなかったですし、教科書で見たことがあるなとか、おぼろげなイメージしかなかったのですが、逆にそういう方のほうが、いっぱい発見があると思います。だからちょっとでも気になったら、ぜひ一度足を運んでみられたらどうかな、と思います。進化をとめない北斎はすごい!――町田さんがもつ北斎のイメージは?町田さん当初、感覚的に描く作品が多いのかと思っていたのですが、見れば見るほど繊細で、構図も富士山にしっかり目がいくよう緻密に計算されているのです。また、動物の描き方などが載っている絵手本も展示されていて、それが本当に簡潔でわかりやすく描いてあり、その技術がすばらしいと思いました。北斎は、70歳を越えてもまだまだと言いながら向上心をもって活動していました。進化をとめなかったのはすごいことだと思います。自分に置き換えてみると、同じようなことが生涯できるのか……。やはり北斎はすばらしいし、だからこそ長い間みなさんの心に残る作品になっているのだと思います。音声ガイドは途中で切った…?――音声ガイドのお仕事は、はじめて担当されたのですね。町田さん実は、美術展の音声ガイドを聴くのが好きで、展覧会に行くとよく聴かせてもらっていました。いつか挑戦させてもらいたいと思っていたら、こんな素敵な北斎の展覧会で初挑戦できるなんて、このお話を聞いたときは心が躍りました。――ご自身でガイドを聴かれてみて、いかがでしたか?町田さん途中で切りましたね(笑)。自分のガイドを聴いていたのですが、今回、展示作品を見たとき、特別にスタッフの方にガイドをしていただいたので、それがとんでもなくうますぎて、僕のガイドではなくそちらのお話をもっと聴きたいなと思い、夢中になって聴いていました。――音声ガイドで聴いてほしいポイントは町田さん音声ガイドは通常ですと、あまり感情を入れたりしないと思うのですが、要所要所少しだけ北斎の絵にある遊び心と同じような感覚で、僕も気持ちを感じながらセリフ調にしたところもあるので、そういったところも楽しんでいただけたらと思います。でも、邪魔だなと思ったらすぐ切ってください(笑)。関口さんとの仰天エピソード――北斎は引っ越し魔で93回転居しています。町田さんの引っ越しエピソードはありますか?町田さん大学に入ったとき東京に出てきて、はじめて独り暮らしをしたのですが、僕の家がたまり場になっていて、誰かしら家に毎日いました。当時、だいたい家にいたのは関口メンディー。あるとき、彼が家にいて、僕が先に家を出て、「あとでゆっくり出てきてね」と鍵を渡して、日中鍵を返してもらい、それで夕方家に帰ってみたら、家の中がとんでもない湿気とひんやり感があったのです。「なんだこれ」と思ったら、お風呂場のお湯が出しっぱなしになっていました。もうお湯が水に変わっていて、ガスも止まっていて。真冬でしたが、その日は真水で僕は風呂に入ることになりました。その時のことを関口はいまだに「本当にごめん、本当にごめん」と言っています(笑)。酔いしれてください!――最後に、メッセージをお願いします。町田さん数々の作品を残されている北斎さんの作品がたくさん集まり、見れば見るほど引き込まれ、圧倒され、見る方によっていろいろな視点で楽しめるすばらしい展覧会です。ぜひご覧になって、酔いしれていただければと思います。お楽しみください!町田さんが大絶賛する特別展『北斎づくし』は9月17日まで開催。取材・文:田代わこInformation会期: ~9月17日(金)※休館日:8月10日(火)、8月24日(火)、9月7日(火)会場:東京ミッドタウン・ホール開館時間: 11:00~19:00(最終入場18:30)観覧料:一般¥1,800、大学生・専門学校生¥ 1,200、高校・中学・小学生¥ 900※事前予約制※最新情報は、美術館のウェブサイトをご確認ください。
2021年08月06日「我慢は美徳」という言葉があるように、「我慢できる子=いい子」というイメージはいまだに健在です。日本の子どもは、幼い頃から「我慢しなさい」と言われて育ちます。しかし国によっては、我慢よりも「自己主張」を大切にするところも多く、最近は日本でも、我慢と自己主張のバランスを見直す流れがあるようです。また一方では、「我慢=自制力」ということで、我慢は人生に大切な非認知能力のひとつとも考えられています。そこで今回は、「子どもにどんな我慢をさせるべきなのか」という点を中心に、我慢について深掘りしてみましょう。「ママに怒られるから、我慢しよう」はかなり危険!まず、想像してみてください。公園は遊びに来た家族で賑わっています。人気遊具の前には順番待ちの列ができていて、並んでいるふたりの子どもに、それぞれの親が声をかけているところです。【Aさん】「もう、何度やったら気がすむの。いいかげん、帰るわよ!」【Bさん】「4時に帰るって約束したから、あともう1回やったら帰ろうね」どちらの子どもも、もっと遊びたい気持ちを我慢することになるわけですが、親の対応によって「我慢するときに感じる気持ち」に違いが生まれています。Aさんのお子さんは、お行儀よく、聞き分けのいい子になるかもしれません。ですが、じつはこのAさんの対応、とても危険なのです。特に親が厳しくしつけているケースでは、子どもは「親に怒られるから我慢する」だけであって、「なぜ我慢するのか」をまったく理解していないことが多いからです。Aさんはわが子に「親の言うことを聞かせている」だけで、「なぜ我慢するのか」を伝えることを怠っています。ですからこの場合、子どもにとって我慢するメリットは「親に叱られないこと・罰を与えられないこと」だけ。これは、抑圧的な「悪い我慢」のさせ方です。Bさんのお子さんも、本当はもっと遊びたいのに我慢をしています。しかしこの場合の我慢は、本人も納得しているので、子どもが自らを自制できている「よい我慢」と言えるでしょう。子どもに我慢をさせるときは、我慢する理由が「親の抑圧」なのか「子どもの自制心」なのかを考えたいですね。我慢できる子の未来は「成績優秀で社会的にも成功」子どもの自制心についての有名な実験が、当時スタンフォード大学教授(現コロンビア大学名誉教授)の心理学者ウォルター・ミシェル氏が考案した「マシュマロ・テスト」です。「満足を先延ばしできる能力」を調べるため、マシュマロを子どもたちの前に用意し、いま食べるなら1個、15分我慢したら2個あげることを伝えます。結果は、すぐ食べた子、我慢した子、ほぼ半々だったそうです。そして、その後の彼らの人生の追跡調査で判明したのは、「我慢した子のほうが、成績優秀で社会的成功を収めていた」という事実でした。我慢することは、大人でも難しいものです。それが子どもならなおさらですよね。前述したような、理由も説明もなくただ「我慢しなさい」と頭ごなしに言うことは、子どもにとって苦痛以外の何物でもなく、圧力に押さえつけられた感情はかなりの精神的ダメージとなってしまうでしょう。一方、マシュマロ・テストのように、「マシュマロを多くもらえるから、我慢する」というのは、報酬を得るという目的があっての我慢です。我慢したらよいことがあるとわかっているから、自制心が働きますし、最終的には達成感を得られるので、精神的にもプラスです。つまり、我慢には目的が必要ということ。京都大学大学院発達心理学准教授の森口佑介氏は、目的を達成するための自発的な我慢を「真の我慢」と呼んでいます。お子さまは、自分の感情をコントロールできていますか?教育学博士のアグネス・チャン氏によると、「真の我慢」をするためには、ふたつの能力が必要なのだそう。まずは「想像力」。我慢することで得られる未来を想像する必要があります。「我慢したらおいしいケーキが食べられる」「我慢したら公園で遊べる」など、未来を想像する力が行動のモチベーションになります。これは人生で試練にぶつかり、困難を乗り越えるときに、希望を見いだすための大きな力となります。もうひとつは、「自分を慰める力」。つらいとき、気持ちをぐっとこらえて、気を紛らわせてなんとか乗りきること、ありますよね。我慢に待つ時間はつきもの。「いま食べたいのに」「いまやりたいのに」というとき――。駄々をこねず、歌を歌ったり、本を読んだり、体を動かしたり……子どもは、目的達成のために気持ちを切り替える術を学ぶことで、自分の感情をコントロールする力、つまり自制心を身につけます。「ママに怒られるから」ではなくて、「なぜいま我慢しないといけないのか」を理解することが重要なのです。小さな我慢を積み重ねていくうちに、筋トレのように着実に自制心が育まれ、「真の我慢」ができるようになるのです。親が知っておきたいのは、子どもの成長に合わせた「我慢の育み方」です。幼少期に特に気をつけたいポイントをおさえておきましょう。我慢ができなかったからと「罰」を与えるのはNG前出の森口氏によると、「我慢適齢期」は4歳。それまでに親にあまりかまってもらえないなど、愛情不足から寂しさや不安を抱えると、逆に我慢できない子になってしまうので、注意が必要です。4歳頃までは、我慢させるよりも、子どもが安心できる環境づくりが何よりも大切となります。2歳頃は、意欲や欲求が一気に育ちます。気持ちを発散することで、感情のコントロールをしようとする時期で、いわゆる「イヤイヤ期」。我慢を覚える一歩手前です。親にとってはとても大変なときですが、子どもはめきめきと成長しているので、この時期は我慢ではなく「意欲」を優先すべきだと、玉川大学乳幼児発達学科教授の大豆生田啓友氏は言っています。そして3歳から4歳にかけては、自己主張と我慢の狭間で揺れ始める時期。「やりたいことができない!」など、自分へのイライラからぐずることも増えるかもしれません。しかし、抑圧的な言葉がけは厳禁です。「この時間なら、消防車の前を通って帰れるね」など、子どもの気持ちが切り替えられるような工夫してみましょう。すんなりとはいかなくても、その関わり合いのなかで、子どもは親の愛をしっかり感じとっています。そして、「我慢適齢期」の4歳からは、「真の我慢」ができるように、「なぜいま我慢をするのか」を説明してあげましょう。そこで意識したいのは、やはり子どもの気持ちです。無理に我慢をさせすぎてしまうと、親の言うことを守るだけが我慢の目的になってしまい、子どもの自主性が育ちませんし、自己肯定感も低くなりがちに。特に、「我慢できなかったからと罰を与えることは、『問題は力で解決できる』という悪い例を示すだけでよい効果はない」と、『最高の子育てベスト55』著者でジャーナリストのトレーシー・カチロー氏は述べています。「もう子どもを頭ごなしに叱らない!」2つの対処法子どもに我慢を教える親も人間です。子どもが何かよくないことをしたとき、イライラして、つい頭ごなしに叱ってしまうこと、ありますよね。カチロー氏は『最高の子育てベスト55』のなかで、そんなときの親への対処法を紹介しています。対処法1:子どもへの注目をいったんやめる子どもが悪いことをしたときに、とりあえず謝らせていませんか。カチロー氏は、これは親の過干渉だと言っています。まずは、いったん子どもへの注目をやめてみましょう。カッカする気持ちを抑えて、「〇〇君と話がしたいんだけど、お話しする前にちょっとお皿を洗ってくるね」などと、一度「タイム」を入れることで、親子ともに冷静に問題と向き合うことができます。対処法2:イライラしたときの気分転換を決めておく気持ちが高ぶっているときは、「感情的に叱ったり(親)」「駄々をこねたり(子ども)」しがちです。そこで、イライラしたときの気分転換方法を、親子で一緒に考えておくのもひとつの手です。「ジャンプする」「枕をパンチする」「深呼吸する」など、なんでもかまいません。何か起きたときに、この行動を一緒にすることで、お互いに落ち着きを取り戻せるでしょう。対処法1は親だけの「タイム」ですが、こちらは親子ふたりの「タイム」ですね。これらふたつは、前述した「真の我慢」のための、「自分を慰める力」、つまり「自己コントロール力」につながります。我慢を育むためには、親子ともにいったん「タイム」を入れましょう。覚えておくと、役に立ちそうですね。***「我慢できてえらいね!」と、大人はつい言ってしまいがちですが、「我慢」自体をほめるのはNGです。なぜならば、我慢は目的ではなく、目的を達成するための “術” だからです。「真の我慢」は、人生に大きな可能性をもたらしますよ。親の正しいサポートで、「真の我慢」を丁寧に育んであげたいですね。(参考)ウォルター・ミシェル 著, 柴田裕之 訳(2015),『マシュマロ・テスト:成功する子・しない子』, 早川書房.トレーシー・カチロー 著, 鹿田昌美 訳(2016), 『最高の子育て ベスト55』, ダイヤモンド社.NHK すくすく子育て情報|「がまん」って大事なの?SHINGA FARM|2歳、3歳、4歳…年齢に応じた正しい我慢のさせ方知ってますか?ダイヤモンドオンライン|親が〇〇だと、子供の「自制心」が育たないThe Asahi Shimbun GLOBE+|賢く我慢を学んだ子は将来伸びる「マシュマロ・テスト」を知っていますかPHPファミリー|子どもにさせていいガマン、わるいガマン
2021年04月09日子どもにとって、親から向けられる言葉の影響力は計り知れません。わが子にはできるだけ、傷つけるような言葉をぶつけないようにしよう、と心がけてはいても、思い通りにいかずにイライラしたりカッとなったり……。今回は、「子どもに絶対言ってはいけない言葉」について解説し、子どもの自己肯定感を育むだけではなく、親のストレスも軽減される「効果的な声かけとほめ方」を紹介していきます。親の言葉が「子どもの人生の土台」をつくる「いつも穏やかな気持ちで子どもに接したいのに、カッとなるとつい厳しい言葉をぶつけてしまう」「自分の言葉が子どもの人生に悪影響を与えているのではないかと不安になる……」このような悩みを抱えている親御さんも多いのではないでしょうか。真剣にわが子と向き合っているからこそ、親はいつも悩み、不安を感じてしまうもの。「いまの親は思い込みに縛られていて、せっかく愛情があるのに空回りしていることが多い」と述べるのは、教育評論家の親野智可等先生です。みなさんも、ネットの情報やSNSなどを見ては、他人と比較して落ち込むこともあるはず。自分の育児法に自信がもてなくなると、子どもとの向き合い方までもわからなくなってしまいます。親もひとりの人間なので、思い通りにいかない子どもにイライラしたり、感情的になって怒鳴ったりすることもあるでしょう。しかし、親から言われ続けた言葉は、知らず知らずのうちに子どもの心に深く刻み込まれることも事実です。一般社団法人日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカさんによると「親の言葉は子どもにとって一種の暗示のようなもの」であり、「『あなたはできる』と言われて育った子は恐れずに挑戦する子になるなど、親の言葉が価値観の基礎になる」と指摘しています。逆に、親から「あなたって本当にダメな子ね」と言われ続けると、子どもの自己肯定感は育まれません。それどころか、チャレンジ精神が失われ、ちょっとした壁にぶつかるとすぐに諦めるような無気力さばかりが目立つようになるでしょう。このように、親からかけられた言葉が子どもの人格形成や、生きていくうえで身につけておきたい「自己肯定感」に強い影響を及ぼすことはよく知られています。親が子どもに “絶対に言ってはいけない” 言葉続いて、親が子どもに言ってはいけない言葉について、具体的に解説していきます。■子どもの存在そのものを否定する言葉「あんたなんて産まれてこなければよかったのに」「お前なんていないほうがいい」「捨ててしまいたい」これらの言葉は、どんな場合であっても決して言ってはいけません。もちろんほとんどの親は、このような言葉を発したことはないでしょう。しかし、ときに冗談や過剰な謙遜、周囲への照れなどから軽い気持ちで言ってしまうケースも。たとえ冗談でも、言われた子どもは心に深い傷を負うかもしれません。大人になって何かにチャレンジしようとしたとき、幼いころに親から存在を否定されたことを思い出し、「どうせ自分なんか」と一歩も踏み出せなくなってしまうこともあるので注意が必要です。■子どもの人格を否定する言葉「あなたって意地悪な子ね」「どうしていつも迷惑ばかりかけるの!」たとえばお友だちを叩いてしまったとき、「お友だちを叩くなんて乱暴な子ね!」と子どもの人格を責めるか、「お友だちを叩くのは悪いことだよ」と行動そのものに対して注意をするかで、受け取り方は大きく変わります。『子どもが一週間で変わる親の「この一言」』(三笠書房)の著者の波多野ミキさんは、「人格を否定されるようなことを言われ続けると、だんだんとネガティブになり、『自分はダメな子なんだ』と思うようになります」と警鐘を鳴らしています。あくまでも「子どもの行動そのもの」に目を向けて、人格を否定しないように気をつけて。■子どもの能力を否定する言葉「何度やってもできないなんてダメな子ね」「お前には無理だ」自分の能力を否定される言葉で叱られ続ける弊害について、前出の親野先生は次のように述べています。よく見られるのは、「ダメな自分は親から愛されないのではないか」という不安から、わざと心配させるような行動をとり、「こんなに心配してくれているから自分は愛されているんだ」という確認作業を行なうこと。また、子どもは自分が叱られながらも、親の口調や態度をよく観察しています。その結果、親の叱り方をまねするようになることも。弟や妹、友だちに対して、できないことをとがめるような口調で責めるようになる前に、親自身の叱り方を見直す必要があるでしょう。■兄弟・姉妹や他の子と比べる言葉「お兄ちゃんはできるのに……」「お友だちに負けないように頑張りなさい!」『叱りゼロ!「自分で動ける子」が育つ魔法の言いかえ』(青春出版社)の著者でプロコーチの田嶋英子さんは、「わが子とほかの子どもを比べてしまうのは、ちゃんと成長しているかどうか確かめて安心したいから」と説明しています。しかしたいていは “できている子” と比べてしまうため、結果的に不安が増してしまうことが多いそう。比べられて育った子は、劣等感が強くなり、自分に対してマイナスのイメージを抱くようになります。比べるなら過去のその子自身、つまり半年前や一年前の姿を思い出して、「ずいぶん成長したね」と前向きに考えるようにしましょう。伝えたいことは間違っていなくても、選ぶ言葉によって子どもの心を深く傷つけることがあります。親が発する言葉の重みや責任について、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうですね。カッとなる前に押さえておきたい!叱り方のポイント2つ子どもの性格や家庭の方針によって叱り方はさまざまですが、状況に応じて即座に正しい声かけをするのは容易ではありません。カッとなってとっさに人格を否定するような言葉が出てしまうこともあるはずです。自分の言葉に後悔して落ち込まないように、「これだけは押さえておきたい叱り方のポイント」を覚えておきましょう。■子どもが自分から動けるような「具体的な提案」をするNG:「こんなに散らかして!なんで片づけないの!?」OK:「まだ遊びたいのかな?遊び終わったならおもちゃを箱にしまって、おやつにしようか」毎日毎日同じことを注意しているのに、いつまでたっても自分から動こうとしない、と悩んでいませんか?だからといって、ついイライラして感情のままに叱っても、状況は改善されません。前出の田嶋さんは、「子どものよい部分に目を向け、自己肯定感を高めながら、できていないところも直すことを心がけて」とアドバイスしています。「小さいおもちゃはこの箱に、大きいものはこの箱に入れようか」など、具体的に指示を出しながら促すとスムーズに行動できるようになるでしょう。■「私」を主語にすれば、子どもを責める口調になりにくいNG:「(あなたは)何回言ったらわかるの!」OK:「(私は)○○してくれると嬉しいな」子どもを叱るとき、無意識のうちに相手を責めるような口調になっていたら要注意。親業訓練協会の瀬川文子さんは、「子どもを叱るのは、たいてい子どもの行動に対して親が気に入らないとき。だから『どうしてそんなことをするの!』という表現になってしまう」と説明しています。これは「あなた」を主語にした叱り方であり、相手を責めるニュアンスが強く、責められたほうは言い訳や反発をしてしまうという悪循環を生むことも。子どもに注意するときは、「(私は)こうしてほしい」「(私は)こんな気持ちになった」と、「私」を主語にするようにするといいでしょう。「叱る回数」よりも「ほめる回数」を増やしてみませんか?子どもを叱りつけるたびに後悔し、自分を責めてしまいがちな親御さんは、「子どもをほめること」を意識して過ごすように心がけましょう。親御さんのストレスが軽減されるのはもちろん、お子さんの自己肯定感もぐんぐん上がりますよ。■子どもが失敗したときこそ、ほめるチャンスです!たとえば、お片づけを「していない」ことばかりに目が向いてしまうケースでは、お片づけを「してくれた」ときにしっかりとほめるようにします。その際には「きれいになって気持ちがいいね」「片づけてくれて助かるよ」と、感謝の気持ちもプラスしましょう。また、お子さんが何かに挑戦して失敗してしまったときも、ほめ言葉を伝えるチャンスです。結果だけに着目するのではなく、そのプロセスやがんばった姿を認めてあげることで、子どもの自信につながります。「親は子どもの『できる』『できない』に目を向けがちです」と苦言を呈するのは、東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり先生。がんばってもできなかったときは、「つらかったね」「次はきっとできるよ」「一緒にやってみようか」と励ましながらも、がんばったことをしっかりとほめてあげるといいでしょう。■ニコニコして子どもを見守るだけでも効果ありなかには「ほめるのが苦手」「どうやってほめればいいの?」と悩んでいる親御さんもいるのではないでしょうか。発達心理学が専門で恵泉女学園大学学長の大日向雅美先生は、「ほめることにテクニックはない」ときっぱり。ただし、「『何かができるから、いい子』というほめ方はしない方がいい」とアドバイスしています。「これができたからいい子だね」と条件つきでほめてしまうと、子どもは「次も親の期待に応えなければならない」とプレッシャーを感じてしまうそう。また、乳幼児教育学が専門で玉川大学大学院教授の大豆生田啓友先生は、「ほめ方には、『見守る』ことも含まれる」と述べています。子どもの様子を見て、「がんばっているんだな」とニコニコしながら見守ってあげることも、子ども自身が「自分は認められている」と感じることにつながるので、十分効果的だといえるでしょう。もっと具体的に「子どもをほめる基準」や「子どものほめ方」を知りたい方は、ヒューマンアカデミーの通信講座「ほめ育子どもコーチング講座」をおすすめします。子どもの長所を伸ばすだけでなく、親自身の成長も感じることができると注目されている「ほめ育」。しっかりと基礎から学ぶことで親子の絆が深まり、子どもの自己肯定感アップにもつながりますよ。***普段あまり意識していなくても、子どもにとって親の言葉は強い影響を及ぼします。今回ご紹介した「叱るときに注意したいこと」と「ほめるときのポイント」を覚えておけば、親子のコミュニケーションはより豊かになるでしょう。(参考)PHPファミリー|子どもの「性格の土台」は親の言葉がつくる東洋経済オンライン|親が子どもにうっかり授ける「裏の教育」PHPのびのび子育て 2021年3月特別増刊号,PHP研究所.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる!親は怒りではなく“第一次感情”に注目してNHK すくすく子育て情報|“ほめて育てる”とはいうけれど…ヒューマンアカデミーの通信講座 たのまな|ほめ育子どもコーチング講座(Basic)
2021年03月04日第3回劇団EXILEオーディションにて約2,000人の中から合格し、2010年12月に舞台『ろくでなしBLUES』で俳優デビューした俳優・町田啓太。NHK連続テレビ小説『花子とアン』や『中学聖日記』(TBS)など数多くのドラマ・映画・舞台に出演し注目を集め、2020年には“チェリまほ”現象を引き起こした『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京)、海外でも高評価の『今際の国のアリス』(Netflixオリジナル)といった話題作へ続々と出演。そして、今年2月11日(木)より放送の『西荻窪 三ツ星洋酒堂』(MBS)で連続ドラマ初主演が決まった。町田が演じるのは、東京・西荻窪にたたずむ1軒のバー「三ツ星洋酒堂」で客の悩みをやわらかく受け止める美しい青年バーテンダー・雨宮涼一朗。これまで幅広い役柄を演じてきた彼にとって、雨宮は新鮮なキャラクターだという。連続ドラマ初主演に加え、バーテンダーという役どころも初挑戦。初めて尽くしの作品でありながら、町田は不安やプレッシャーを一切口に出さない。本作の出演が決まったときの心境を次のように話す。「作品の中で最も長く多く深く関わらせていただける主演にチャレンジさせていただけることを純粋に嬉しく思っています。とても楽しみで頑張りたい気持ちが強くありました」彼の口から発せられる言葉すべては、ひたすらに謙虚で前向きだ。新鮮な役どころ。知れば知るほど演じるのが楽しみに2020年10月から秋田書店のミステリーボニータにて連載中の浅井西による漫画作品『西荻窪 三ツ星洋酒堂』は半年経たずして連続ドラマ化が決定した。始まったばかりの作品であることから、原作にはないドラマ版ならではのストーリー展開もある様子。町田は「原作の雰囲気を大切にしながら、自分なりにいいとこどりしたい」とやわらかな笑顔で語った。「原作は本当にあたたかくやわらかい雰囲気のある作品です。まずはそこを大切にしながら、ドラマの脚本の雨宮も踏まえて、自分なりの面白味を足しつつ、みなさんとお話をつくり上げられたらと思っています」町田演じる雨宮は作品のあたたかくやわらかい雰囲気をそのまま映し出したようなキャラクターだ。同時に掴みどころのないミステリアスな一面や芯の強さを感じる強引な一面も持ち合わせている。「知れば知るほど雨宮を演じるのが楽しみになりました。彼は人に対して柔軟に丁寧に寄り添い気遣い尊重することができるキャラクターです。なんで人に対してここまでできるのだろうと自分なりに考えてみたのですが、相手の現状を今より少し良くする前向きにすることで、自分自身の価値を見出し同時に勇気をもらっているのかなと思いました。それは物語が進むにつれて明かされていく彼自身が抱える悩みも影響しているかもしれません。そういった根っこの部分からくるあたたかさややわらかさを大事に演じていけたらいいなと思いました」内面的な気遣いに意識を向けるだけではなく、バーテンダーという職業としての気遣いにも意識を向けなければならない。町田はプロのバーテンダー監修のもとカクテルづくりの練習をしている。近くで見るバーテンダーの所作の美しさに対し、感動をあらわにした。「グラスの持ち方、差し出し方などお酒をいただいてもらうお客様に対する心づかいの所作がたくさん伺えました。本当にちょっとした所作に気をつけている職業なので、僕も演じる上で大切にしようと。とても丁寧に分かりやすく教えてくださるので、自分で家でも練習をして現場に入っています。現場で何度も大丈夫ですか?と細かく確認を取りつつ、ちょっとドキドキしながら毎回演じています(笑)」町田が特に練習したというカクテルは第1話で登場する“コスモポリタンマティーニ”。ジンをベースにクランベリージュースとライムジュースをシェイクした甘味と酸味が絶妙なカクテルだ。初挑戦とは思えない、バーテンダー姿は練習の賜物だろう。「いろんなカクテルをつくれるように試練を与えてもらおうかなと思います」とカクテルづくりへの意気込みを見せた。「季節くん、ウィンくんからはたくさんのことを学んでいます」『三ツ星洋酒堂』では、雨宮の高校時代の同級生で共にバーを営むシェフの中内智(藤原季節)とオーナーの小林直樹(森崎ウィン)が登場する。町田、藤原、森崎の3人は初共演。しかしながら、撮影が始まってすぐに打ち解け合い、まるで本当の同級生のような関係性になっている。「季節くんは実年齢は下なのですが、全く年下感がなく。とてもしっかりしていて真っすぐな人です。ウィンくんはとても無邪気で素敵な人。以前バラエティ番組でご一緒したとき、同い年だねと盛り上がっていつか一緒に何かしたいと話していたので、今回それが叶って嬉しかった。2人とも温厚で優しくてドラマの雰囲気にすごく合っているんですよ。季節くんとウィンくんが演じているから、中内、小林という魅力的なキャラクターがさらに魅力的になっていると思います」中内、小林は人知れず人生に悩みを抱えている。一方、雨宮同様にあたたかさやわらかさを心の中に持ち合わせているキャラクターだ。町田はそんな2人を見ていると微笑ましい気持ちになるという。同時に、それは雨宮を演じる上で欠かせない感情だとも話す。「中内は味覚障害を患ったシェフという難しい役どころですが、季節くんはとても役に没入されていて。本当にそうなんじゃないかと思わされる瞬間もありました。素直でなければそこまで役に近づくことができないと思うので、とても素敵ですね。そして、小林は自分の過去に怒りを覚えていて、一見擦れているように感じる役です。ウィンくんが小林を演じていると、より彼のことが気になってくるんですよ。本当はどういう人なんだろう、なぜそうなってしまったんだろうと。目が離せない魅力を感じています。それぞれ違った魅力があるからこそ、3人のシーンでは楽しんでもらえるんじゃないかと思います」自身が出演するしないに限らず、「目を通した作品から常にインプットを心がけています」と話す町田。これまで培ってきた己の技術に驕ることなく、素直に貪欲に芝居と向き合う姿勢が印象的だ。『三ツ星洋酒堂』で共演する2人からも、多くの学びを得ている。「季節くんはお芝居の中に毎回新鮮味があります。それは彼が純粋で素直だからこそだと思っていて。撮影中も本当に楽しそうなんですよ。スタッフの方から聞いた話ですが、撮影開始して2日目くらいに帰り際で『楽しかった! もっと長く撮影が続けばいいのに』と言っていたみたいで(笑)。僕ももちろん楽しい気持ちはありますけど、そうやって素直に言葉に出すことってなかなかできないなと。季節くんのお芝居に対する楽しそうな姿を見ていると、僕も楽しいと思わせてもらえるんです」そして、森崎から学ぶことは「謙虚さ」だ。「ウィンくんは見せないけど、とっても努力家で芯が通っていて、心の中に熱いものを抱えていると思います。僕、ウィンくんが出演している『レディ・プレイヤー1』が大好きで。あのスピルバーグ監督のもとで、あの世界観に入って、あれだけ堂々とお芝居をしていたウィンくんがとても素晴らしく印象に残っています。英語はネイティブくらいお話できるから、すごいねと話したら『あれはセリフだからできるんだよ』と言うんですよ。世界でも活躍しているのにとても謙虚に話している姿を見て、本当にあぁ素敵な人だなって。ウィンくんの謙虚さが今回のお芝居にも反映されていると感じるほど、学ぶことがたくさんあります」とどまることを知らない、芝居への探究心話題作への出演が相次いだ2020年は、まさに“飛躍の年”だったと言えるだろう。「変化がすごくありました」と振り返る。「いろんな場所で作品に対する楽しいというお声をいただきました。直接言っていただくこともあれば、SNSでコメントをいただいたり、知人を通してまで伝えてくださったり。誰かを通してでも伝えたいと思ってくれる気持ちがすごく嬉しかったですね。たくさんの方に見ていただけていることが伝わってきましたし、本当に楽しんでもらえていると実感が湧いて、とても勇気をもらいました」アジアを中心に人気となった『チェリまほ』、海外で高い評価を受けた『今際の国のアリス』などへの出演は、今後の役者としての活動に対する“希望”にも繋がった。「言語の違いがあっても楽しんでもらえることは素晴らしいと思いました。海外のみなさんが見て楽しんでいることを、日本のみなさんも一緒に喜んでくれているのがすごく嬉しくて。言葉に垣根はないんだなと強く感じたんです。また機会があれば垣根のない作品を一緒につくりたいと希望を持てました」2021年には役者として活動を開始してから11年目を迎える。これまで着実に俳優としての実力を積み重ねてきた町田。自身が役者として人に負けないと思う点を問うと「お芝居に勝ち負けはないと思うんです」とにこやかに答えた。「それぞれの役者さんが自身の感性を最大限に活かして作品に携わっていると思います。僕は人のお芝居を見ることがもともととても好きなので、仕事だけではなく仕事以外でも見させてもらっていて。いろんな方たちのお芝居を見るたびに素晴らしさと、たくさんの自分にないものを感じています。だから、一概に勝ち負けじゃないなって思うんです。僕は僕なりに任せていただけた作品と役に向き合って、そのときの思いや感情を役にどれだけ投影できるかを常に意識して演じるようにしています」誰かと比較せず、己と役に向き合う。謙虚に学び続ける姿勢もこの価値観があるからこそ。町田の芝居に対する貪欲な探究心はとどまることを知らない。最後に聞いた「客として『三ツ星洋酒堂』に行ったら、雨宮に何を相談したいですか?」という質問に対しても、その探究心を覗かせた。「相談したいというより、雨宮がどういう人間なのかを聞きまくります。僕が演じる雨宮と何が合っていて何が違いますか?と聞きたい(笑)。雨宮という人間を深めたいですね」どこまでも役に、芝居に向き合い続ける。連ドラ初主演、バーテンダー初挑戦、藤原・森崎との初共演……“初”に尽くされた『三ツ星洋酒堂』が町田の芝居への探究心を加速させていくはずだ。町田啓太さんのサイン入りチェキを2名様にプレゼント!ぴあアプリを ダウンロード(dpia-app://contentAll?contentId=668b6ae1-bcf0-4900-9de7-5e21d3f63835&contentTypeId=2) すると、この記事内に応募ボタンがあります。撮影/鬼澤礼門、取材・文/阿部裕華
2021年02月08日2020年4月12日、がんにより55歳で亡くなった、声優の藤原啓治さん。野原ひろし役などの声優・藤原啓治さん逝去「早すぎる」「もうあの声が聴けないなんて」出演した数多くの作品の中でも、特にアニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)に登場する野原ひろし役として、たくさんの人に親しまれてきました。ファンが悲しみにくれる中、同月16日、『クレヨンしんちゃん』の公式サイトが追悼メッセージを公開し、話題になっています。その全文が、こちらです。【訃報】藤原啓治さんご逝去1992年の放送当初から2016年8月までの24年間、野原ひろしの声優を務めていただいた、藤原啓治さんが逝去されました。いつも優しく、ここぞという時に男らしい野原一家の大黒柱・ひろしを演じてくださった藤原啓治さんのご冥福を心からお祈りいたします。クレヨンしんちゃんーより引用24年という長い期間、野原ひろし役をつとめた、藤原さんへの想いが詰まったメッセージ。藤原さんが持つ唯一無二の声だからこそ、「いつも優しく、ここぞという時に男らしいキャラクター」を一貫できたのかもしれません。公式のコメントを見たファンからは、悲しみの声が上がっています。・コメントがまさにその通りで、本当に悲しい。・長年慣れ親しんだ声がもう聞けないなんて、さびしいです…。・『野原ひろし』に命を吹き込んでくれたこと、感謝してもしきれません。・クレヨンしんちゃんを見て育ちました。たくさんの笑いと感動を、ありがとうございました。今後も藤原さんは、『クレヨンしんちゃん』を始めとするたくさんの作品の中で生き続け、深みのある声で、人々を魅了するのでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年04月17日声優の藤原啓治さんが、2020年4月12日に亡くなっていたことが分かりました。55歳でした。藤原さんが代表取締役を務める事務所『株式会社 AIR AGENCY』の発表によると、死因はがんとのことです。2016年8月、藤原さんは病気のため声優業を一時休業していました。その際、病名はプライバシーに配慮し非公表とされていました。持ち前の深みのある声で数多くの作品に出演してきた藤原さん。2006年に独立し、現事務所を立ち上げました。中でも、長寿アニメ『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役は多くの人の印象に残っていることでしょう。藤原さんの訃報に対し、ネットからは「あまりにも早すぎる」「もうひろしの声が聴けないなんて」といった悲しみの声が相次いでいます。今後も数多くの作品に藤原さんは生き続けることでしょう。ご冥福をお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2020年04月16日国連の「世界幸福度報告書」における日本の幸福度は、2017年で51位、2018年は54位、2019年にはさらに4つ順位を下げ58位になってしまったそうです。世界から眺める日本はとても豊かな国ですが、所得水準と幸福度が必ずしも相関しないことは、1970年前後から指摘されているのだとか。そんな背景を踏まえて行なわれたある調査研究では、日本人の幸せに「自己決定」が重要であると示されました。今回は、子どもが幸せになるための「自己決定力」について探ります。所得、学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と、同志社大学経済学研究科の八木匡教授は、日本国内の2万人に対するアンケート調査をもとに、次の5つの項目と、幸福感とのかかわり合いを分析したとのこと。所得学歴自己決定健康人間関係ちなみに、3番目にある「自己決定」の評価は、自分の意思で進学や就職(中学→高校への進学、高校→大学への進学、初めての就職)を決めたか否かによって行われました。その結果――健康、人間関係に次いで、「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていると明らかになったそうです。つまり、所得や学歴が高いより、「自己決定度」が高いほうが、幸福感が高くなるということ。これを受け、神戸大学社会システムイノベーションセンターは次の見解を述べています。自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられます。(引用元:国立大学法人 神戸大学 (Kobe University)|所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる2万人を調査)※太字は編集部が施した国連の世界幸福度報告書では、日本は「人生の選択の自由度が低い」国であると述べられているのだとか。そうしたことからも同センターは、今回の分析結果が注目に値すると述べています。この調査研究からわかるのは、自分の子どもを将来幸せにするためには、ただ勉強して学力をつけさせればいいというわけではなく、「自己決定力」も育んであげるべきだということ。では、「自己決定力」とはどういうものでしょう?児童における「自己決定力」とは?子どもの判断や決断は、ほんの些細なことから始まります。どのおもちゃで遊ぶか、何を買ってもらうか、どの宿題から始めるか……。この些細な決断の繰り返しが、とても重要です。なぜならば、「ほんの些細なことを考える・判断する・決める」ことができなければ、とうてい進路や就職先といった「大きなことを考える・判断する・決める」ことなどできないから。当然「自分の考え」も定まらないでしょう。岩手県立総合教育センターによる「小学校キャリア教育の推進に関する研究(2005年)」では、小学校からのキャリア教育(=自らの生き方を考える力を育む教育)で目指す児童の理想像のなかに「自己の考えを確立できる人間」を挙げています。その理想像に近づくためには、「人生や進路を、主体的に選択できる力を培うこと」が必要なのだそう。進路を自分で決められるということと、自分なりの考えをしっかり深められるということは、表裏一体だということです。玉川大学の大豆生田啓友教授いわく、子どもの「自分で決める力」を育てるためには、「子ども自身が自分で考えて、自分で物事を決める経験」を重ねることが必要。つまり、幼いころから小さな自己決定を重ねていけば、自分の考えを打ち立てられるようにもなるし、ゆくゆくは大きな自己決定も可能になるのです。もしも、その経験が不足したまま成長してしまったら、自分で考えられない、判断もできない、決めることもできない「困った人」になってしまうかもしれません。そんな人では、自分の進路について満足の行く決断を下すことなど、きっとできないでしょう。「自己決定力のある子ども」を育てるためにすべきことでは、我が子を「自分で考え自分で決められる子ども」にするために、親はどんなことをするべきでしょうか。専門家や有識者の言葉を参考にしながら、3つ紹介していきます。1. 小さなことを自分で決めさせる子どもに「自己決定する経験」を積ませるために、「小さな決断の機会」をたくさん用意してあげましょう。就学前~小学4年生の子どもを持つ保護者に向けた、茨城県教育委員会の『子育てアドバイスブッククローバー』によれば、「服を選ぶ」「おもちゃを選ぶ」などの場面は小さな決断に最適だとのこと。その際、子どもの決断が親の考えと多少違っていても、口出しせず見守るようにするといいそうですよ。ちなみに、日本小児学会会長で医学博士の高橋孝雄氏によると、子どもはだいたい2歳になるころには、二者択一できるようになっているそうです。ですから、小さな子どもが着る服で迷っている様子なら、「どれを着る?」ではなく「青のお洋服と黄色のお洋服、どっちがいい?」と聞くようにすることで、決断力が養われるでしょう。子どもがもう少し大きければ、親が判断に役立つ条件を子どもに伝えてあげるといいでしょう。家庭教育の専門家・田宮由美氏いわく、なかなか子どもが決断できない場合、頭の中の決断材料が整理しきれていない可能性があるのだとか。たとえば、「半袖のシャツと長袖のシャツ、どっちを着る?」だけではなく、「今日は少し寒くなるみたいよ」と条件を加えると、子どもは「寒くなるなら長袖にする」と、自分なりに条件をクリアして決断することができます。また、前出の大豆生田教授のアドバイスは、ちょっとした応用編になるかもしれません。単に「どっちの服を選ぶか」ではなく、たとえば、その日の服のコーディネートを考えるその日の気温を自分で考慮し服を選ぶといったことにチャレンジさせるのです。「このスカートに何を合わせる?」「今日の温度はどうかなぁ?」などと言葉をかけ、きっかけを与えてあげましょう。こうした経験を重ねて「自己決定力」が育つと、同時に自信や自己肯定感も育つそうですよ。2. 宿題に手出し口出ししない子どもに「自己決定力」をつけさせたければ、宿題を手伝ってあげるのはやめましょう。元新聞記者で臨床心理士の西脇喜恵子氏は、たとえば夏休みの宿題で子どもが困らないようにと親が先回りしてやってあげるなどしていると、子どもが自分で考えたり感じたりする力を弱めてしまう、と注意を促します。また、社会学者キース・ロビンソン氏とエンジェル・ハリス氏らによれば、小学生時代に親がつきっきりで宿題を手伝っているほど、年齢が上がるにつれ学業成績が低下してしまうのだとか。その理由は、「親が手伝ってくれることに慣れてしまい、自分で考えたり工夫したりする力が培われないため」。子どもを案じるあまりあれこれ手出し口出ししていたら、かえってよくない結果を招いてしまうようです。だからといって、子どもの宿題を全くもって放置していいわけではないと、子育ち研究家の長岡真意子氏はいいます。いつもギリギリまで宿題をしない子どもであれば、常に締め切りの段階で徹夜をするなど、勉強内容が身につかない行動を繰り返しかねないからです。長岡さんいわく、大切なのは宿題を手伝うことではなく、足場づくりをすること。たとえばこうです。【宿題をする理由を伝える】→「なーんだ、そうだったのか」「なるほど」「あ、これ知ってる」が増えて楽しいよ!【宿題の計画を一緒に立てる】→おやつタイムを加味した、宿題スケジュールを一緒に考えてみる【宿題をする環境を整える】→気分を尊重し「今日はどこでやる? このテーブル? それともあっちの机にする?」と聞いてみる【宿題の答えは教えず思考を促す】→たとえば「これをママに説明してみてくれる?」などと、子どもが自ら答えにたどりり着くのを助けるこうした宿題への取り組み方が、「自己決定力」を養うことにつながるのですね。3. 子どもの意見に「どうして?」と尋ねる2019年3月まで筑波大学附属小学校の副校長を務め、卓越した算数指導や教員指導の実績からカリスマ教師とも呼ばれる田中博史氏は、子どもならではの口癖に「どうして?」というものがあるけれど、じつは大人が子どもに向かって発するべき言葉でもあると述べます。いくら子どもに考えさせたいと思っても、「しっかり考えなさい」といくら子どもにいい聞かせたところで、実際に子どもが考えているかどうかはわかりません。しかし、子どもの発言に親が「どうして?」と声をかけることで、より深く考えさせることができるとのこと。たとえばAとBのぬいぐるみがあり、子どもに「どっちが好き?」と聞けば、子どもはAかBかを選ぶはず。あるいはどちらも選ばないかもしれません。いずれにせよ、その時点で子どもはまだ深く考えていないでしょう。そこで親が「どうして?(それを選んだの?)」と聞いてみれば、子どもは「なぜその選択をしたのか」「なぜ選ばなかったのか」と考える機会を得ます。たとえ「好きだから」「嫌いだから」といった単調な答えが返ってきたとしても、「そっかぁ、じゃあ、どんなところが好き(嫌い)?」と聞いてみましょう。こうした「どうして?」の繰り返しが、子どもの「自分で考え、決める力」を伸ばすのです。***「自己決定力」が高ければ幸福感も高まることを背景に、「自己決定力」を育むために親ができることなどを紹介しました。イエール大学で心理学を教えるローリー・サントス教授によると、幸福感は仕事のパフォーマンスや寿命などにも影響するそうです。子どもが幸せになれるよう、小さな決断の機会をたくさん与え、時には「どうして?」と言葉をかけながら、あとはあれこれ手出し口出しせず、やさしく見守ってあげてくださいね。(参考)ハフポスト|「世界幸福度ランキング」2019年版が発表。日本の順位はどうなった?国立大学法人 神戸大学 (Kobe University)|所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる2万人を調査エキサイトニュース|日本の低い“幸福度”…原因は「選択の自由度」の低さ?現代ビジネス|「夏休みの宿題を全部やってあげる親」が子どもの思考を止めていた茨城県教育委員会|子育てアドバイスブッククローバー前川岳詩(2005),「将来を見つめ自らの生き方を考える力を育てる小学校キャリア教育の推進に関する研究- 進路発達にかかわる諸能力の育成を軸とした特別活動の指導計画を中心として -(第1年次)」,岩手県立総合教育センター.All About|小学生の宿題をつきっきりで手伝うのはNG!自主性を育む親サポートStudyHackerこどもまなび☆ラボ |子どもが着る服、自分で選ぶと「自己肯定感が上がって頭も良くなる」!?StudyHackerこどもまなび☆ラボ |富裕層の家庭はやっている “ある習慣”。「決められない大人」にならないためにStudyHackerこどもまなび☆ラボ |“考える力”を伸ばす、子どもの「どうして?」と親の「どうして?」
2020年02月15日ほとんどの子どもが「イヤイヤ期」を経て、成長していきます。それこそ、はじめての子どもの場合だと、その対処に悩まされるのではないでしょうか。そこで、幼稚園教諭の経験もある、玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生に「イヤイヤ期」にある子を持つ親が知っておきたいことを教えてもらいました。子どものことを一生懸命に考え、「イヤイヤ」を収めようとすることも大切ですが、大豆生田先生は「頑張りすぎず、『ほどほどのお母さん』になることも大事」といいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「イヤイヤ期」は、子どもの発達途上に出てくる自然な姿「イヤイヤ期」とは、だいたい1歳半から3歳くらいまでの子どもに見られる、なにをするにも「嫌!」という拒否反応を示す時期のことです。しかし、イヤイヤ期については個人差が大きく、なかには「うちの子にはイヤイヤ期なんてなかった」という人もいれば、「もう5歳になるのにまだイヤイヤ期で……」と悩む人もいます。そもそも、イヤイヤ期とはどんな時期なのかを整理しておきます。イヤイヤ期とは、子どもの自我が目覚めはじめ、「自分でやってみたい」「自分でできるんだ」という気持ちが出てきている時期です。でも、なにせ幼い子どもですから、お手伝いをしようと食器を運んでいても落としてしまうなど、「やりたい」「できる」という気持ちとは裏腹にうまくできないことばかり。しかも、そういうモヤモヤした気持ちをうまく言葉で説明することもできない。そうして自分をコントロールできなくなり、あらゆることに「嫌!」という反応を示してしまうのです。でもこれは、子どもの発達途上に出てくる自然な姿です。この時期にはまだ脳の前頭前野が未発達ともいわれます。その前頭前野が司るのは、感情のコントロール。そこが発達途上にあるのですから、うまく自分をコントロールできなくて当然なのです。ですから、イヤイヤ期に悩んでいる人も、「自分の育て方が悪いのかな……」なんて深刻に考える必要はありません。いずれはイヤイヤ期を脱しますから、気長に待つことが大切です。子どもの「抱っこして」「あれ買って」に対する対処法この時期の子どもは、親からすればわがままにしか映らない行動をとります。たとえばそれは、もう抱っこを卒業するような年齢になっても「抱っこ、抱っこ」とせがんでくる、あるいは「あれ買って、これ買って」というふうにものをねだるといったことです。抱っこの場合、「抱っこをしすぎると抱き癖がつくからよくない」ということもいわれます。でも、いまの考えでは、それは誤りです。その子は、たとえば両親が下の弟や妹ばかりをかまって、「自分のほうを向いてくれない」といったことを感じているのかもしれませんよね?その気持ちを子どもなりに「抱っこ、抱っこ」と表現しているわけですから、しっかり受け止めてあげたほうがいいのです。子どもが必要としている場合、親の無理のない範囲で受け止めてあげることが大切です。そうやって親に気持ちを受け止めてもらえた子どもは、結果として、いずれ自分自身の道をしっかり歩みだすということになるはずです。なぜなら、自分の欲求が承認され、次第に自分の気持ちをコントロールできるようになるほか、安心感や自信を得ることができるからです。一方、「あれ買って、これ買って」とものをねだるケースの場合は、少し話がちがってきます。それはもう、親の考え方次第というところでしょう。「これは大人でも面白そうだな」「子どもの学びにもつながりそうだ」など、そこにある事象を考え、買い与えるべきだと親が感じるなら買い与えるというのも、親の考え方次第です。買い与えるものとそうではないものの線引きは必要ですし、そのルールは子どもにもちゃんとわかるように説明してあげるべきです。もちろん、望めばなんでも買い与える必要はありません。子どもにとっては、いつも自分の思うとおりにいかないことを経験し、我慢することも必要な経験です。いずれにせよ、「どんな子育てをするか」というビジョンを親がしっかり持っていることが大切です。それが、ものを買い与える場面だけでなく、あらゆる子育ての場面で生きていくるからです。親が子どもを思う気持ちは必ず子どもに通じるわたし自身、幼児教育を専門としているため、「どうすれば子どもの『イヤイヤ』をうまく収められますか」といった質問をよくされます。でも残念ながら、そう簡単に収める方法は存在しません。しかし、親が一生懸命に考えていろいろな方法を試すことは大切。たとえば、子どもの「イヤイヤ」がはじまったら、しっかり抱っこしてその気持ちを受け止めてあげる。あるいは、静かな落ち着いた場所に移動するといったこともひとつの方法です。そうはいっても、「イヤイヤ」は簡単には収まりませんよね?でも、大事なことはそのように子どもの気持ちに寄り添ったという、その事実なのです。その繰り返しのなかで、子どもは「自分が困ったときには、お父さんやお母さんは一生懸命に手を尽くしてくれる」と感じていくことができる。そのことが、その後の親子関係を良好なものにするために大いな力を発揮するでしょう。親の思いは、きっと子どもに通じるのです。そして、お母さんたちにはぜひ、「ほどほどのお母さん」となることを心がけてほしいですね。「ほどほどのお母さん」とは、イギリスの精神科医であるドナルド・ウィニコットが提唱した「good enough mother」の訳です。いまのお母さんたちは、本当によく頑張っています。だからでもあるのですが、「イヤイヤ期の子どもにはこう対処すべき」「これからの社会を子どもが生きるには非認知能力が必要だ」「あれも必要、これも必要」「もっといい家庭教育の方法があるのではないか」「この子のすべてがわたしの肩にかかっている」というふうに考え悩んでしまうのですよね。ついつい「完璧なお母さん」を目指しているわけです。でも、それでは苦しくなって当然です。また、「機嫌がいいことが多かったお母さんに育てられた子どものほうが、機嫌よく幸せに育つ」というフィンランドの研究もあります。このことに関しては、研究結果など関係なく誰もが想像できることでしょう。でも、あまりに完璧なお母さんを目指して苦しんでいると、いつも機嫌がいいというわけにはいきません。ですから、あまり子育てに対して前のめりにならず、「わたしは十分に頑張っている」「これくらいでいいか」といった気持ちを持ちながら、「ほどほどのお母さん」でいるくらいでいいのです。いまでも、十分によく頑張っていると思いますよ。■ 玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友先生 インタビュー一覧第1回:非認知能力は育っているか?子どもが「目をキラキラさせる世界」があれば安心です第2回:かわいい子には“いたずら”をさせよ!?「自由に遊んでいいよ」で子どもは学ぶ第3回:親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ第4回:イヤイヤ期に「悩まない、苦しまない」。子育ては“ほどほど”がちょうどいい『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』大豆生田啓友・大豆生田千夏 著/講談社(2019)【プロフィール】大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)玉川大学教育学部教授。青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。専門は乳幼児教育学・保育学で、現在、日本保育学会副会長。メディア出演も数多い。著書は、『子育てを元気にする絵本』(エイデル研究所)、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』(小学館)、『マンガでわかる! 保育っていいね』(ひかりのくに)、『子どもの姿ベースの指導計画』(フレーベル館)、『あそびから生まれる動的環境デザイン』(学研みらい)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(フレーベル館)、『子育てを元気にすることば』(エイデル研究所)他、多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年02月02日過去には考えられないほど、時代が変化するスピードは上がっています。そんな「いま」を生きる子どもたちに必要とされる力は、じつにさまざまです。研究者によって意見は異なりますが、大切な力として「自己決定力」「協働性」を掲げるのは、幼稚園教諭の経験もあり、著書『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)で注目を集める玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生。その真意を伺ってきました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)多様性ある社会をつくるためにも重要な「自己決定力」と「協働性」いまの時代、あるいはこれからの時代を生きていく子どもにとって大切な力のひとつとして、わたしは「自己決定力」と「協働性」を挙げています。なぜなら、自己決定力と協働性は、自分らしく主体的に、あるいは他者とともに生きていく力そのものだからです。いま、外国人がどんどん増えている日本でも、「多様性のある社会をつくることが大切だ」と盛んにいわれています。そういう社会をつくるためにも、自己決定力や協働性は欠かせません。自分の考えを自分で決められないと、自分自身のことを大事に思えませんよね?同時に、他者のことも大事に思えないのではないでしょうか。自分らしさを大事にすることと他者を大事にできることは同時に大切なのです。近年、選挙があるたびに投票率の低さについて懸念するニュースを目にします。もしかすると、投票に行かない人は自己決定していないということなのかもしれません。そうではなく、社会全体を見回して、「いまの時代にはこういう政治が必要だ」と、自分の考えを決めることも大切です。その一方で、「自分はこう思うけど、別の考えを持つ人もいる。ちがう考え方のなかにもいいところがある」というふうに考えることも、また重要ではないでしょうか。子ども時代に自分らしさや個性を大事にされ、興味関心に即した遊びを大事にすることは、自己決定力を養い、他者の視点にも立ちながら他者と協力して生きていくことを大事にすることなのです。子ども自身が興味を持っていることについて決断させるでは、どうすれば子どもに自己決定力はつくのでしょうか?大切なのは、なるべく小さい頃から自分で選ぶ・決めるという経験をさせることです。いま、日本では、早期教育が盛んです。その多くは先取りしてなにかを伝えること。それは、その子がなにを必要としているかではなく、こうしたことがあとで役に立つのではないかといった「先回り」です。でも、それは、その子の個性や、興味関心に合っていない可能性もあります。日本よりも海外が優れているというわけではないですが、欧米などでは幼い子どもに対しても、食事をする際には「なにをどれくらい食べたい?」というふうに、基本的に「あなたはどうしたいのか?」ということを確認し、決断させることを目にすることがあります。もちろん、日本には日本の良さもあるのですが、もう少し自己決定の文化を取り入れるのも大切なのではないでしょうか。それこそ、子どもが着る服を選ぶにも、着せ替え人形のように親が服を決めてしまうのではなく、夜に寝る前に「明日はどの服を着ようか?」というふうに、子どもに選ばせてもよいのかもしれません。ただ、子どもの興味関心は十人十色。服を自分で選ぶことにまったく興味を示さない子どももいるでしょう。そこで、「自己決定力が大切だ」と考え、「どうして自分で選ばないの!」と叱ってしまっては本末転倒です。その子にとっては、「服には興味がない」「服は自分で選ばない」ということも自己決定なのです。ですから、その子が本当に興味を持っていることについて自分で決断させればいい。「切り替える力」を得ることにもつながる自己決定また、まだ小さい子どもの場合だと、たとえ興味があることに対してであっても、自分で決めることはそう簡単ではありません。そういうときは、子どもに選択肢を与えてはいかがでしょうか。服を選ばせるのであれば、いくつかの服を見せて「どれにする?」と選択させるのです。この行動は、「切り替える力」を伸ばすことにもつながります。遊びに夢中になっている子どもも、ご飯やお風呂の時間が迫ってきたら、切り替えておもちゃを片づけ、やるべきことをやる必要がある。しかし、小さい子どもにとっては、その切り替えがなかなか難しいのです。親としては、予定通りに遊び終えない子どもに「いつまで遊んでいるの?」といってしまうこともあるでしょう。でも、子どもにもまだやっていたいという気持ちがあって、なかなか終われないのかもしれません。そこで、その子の自己決定を促すための声かけをしてみてはいかがでしょうか?たとえば、「時計の大きい針が3のところまできたら、おもちゃを片づけようか」「このテレビ番組が終わったら片づける?」というふうに、選択肢を示してあげる。本来であれば、そんな選択肢がなくても自分で決められればいいわけですが、選択肢を与えられていても自分自身で決めることには変わりありません。そういった経験を積み重ねることで、段階を経て自己決定力を身につけていくのです。■ 玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友先生 インタビュー一覧第1回:非認知能力は育っているか?子どもが「目をキラキラさせる世界」があれば安心です第2回:かわいい子には“いたずら”をさせよ!?「自由に遊んでいいよ」で子どもは学ぶ第3回:親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ第4回:イヤイヤ期に「悩まない、苦しまない」。子育ては“ほどほど”がちょうどいい(※近日公開)『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』大豆生田啓友・大豆生田千夏 著/講談社(2019)【プロフィール】大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)玉川大学教育学部教授。青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。専門は乳幼児教育学・保育学で、現在、日本保育学会副会長。メディア出演も数多い。著書は、『子育てを元気にする絵本』(エイデル研究所)、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』(小学館)、『マンガでわかる! 保育っていいね』(ひかりのくに)、『子どもの姿ベースの指導計画』(フレーベル館)、『あそびから生まれる動的環境デザイン』(学研みらい)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(フレーベル館)、『子育てを元気にすることば』(エイデル研究所)他、多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年02月01日近年、注目度がどんどん増している「非認知能力」。そのため、ともすれば「子どもの非認知能力さえ伸ばしてあげればいい」という考えを持ってしまうこともあるでしょう。しかしそうではなく、「非認知能力と認知能力の両方が大切」だというのは、幼稚園教諭の経験もあり、著書『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)で注目を集める玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生。そして、「子どもの非認知能力を伸ばしてあげることが、認知能力を伸ばすことにもなる」とも語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「自然物」とは、子どもにとって最高のおもちゃ子どもたちは、自分の興味関心に従い遊ぶなかでたくさんの非認知能力を獲得していきます。ですから、子どもの非認知能力を伸ばしてあげるためには、子どもの興味関心を大事にしてあげることがもっとも重要です(インタビュー第1回参照)。しかも、幼い子どものすごいところは、自分の世界をどんどん広げる力を持っていることでしょう。なにか特別なものを与えなくても、身のまわりにあるものを使ってどんどん遊んでいくことができる。身のまわりのもののなかでも、子どもにとっての最高のおもちゃは「自然物」です。自然物は、人の想像力や創造力を膨らませてくれる力を持っています。周囲にあるテクノロジーの産物も、もともとは自然物がモデルということが少なくありません。飛行機だって虫や鳥などの動物にヒントを得て生まれたものでしょう?それだけ、自然物は人の想像力や創造力、興味関心をかき立ててくれるものなのです。そういった背景から、ひとつアドバイスを送りたいと思います。子どもと外に出かけるときには、ぜひ、ビニール袋を持参してみてはいかがでしょう。なぜなら、人の興味関心をかき立てる自然物は当然ながら子どもの心も強くとらえるものであり、子どもはいろいろな自然物を集めたがるからです。秋や冬なら落ち葉を拾いはじめるでしょうし、桜の季節なら桜の花びら、虫が元気な季節なら虫を集めるかもしれない。また、時期によっては花びらを使って色水をつくるなんて遊びもできます。ビニール袋がひとつあるだけで、子どもはずっと夢中になって遊ぶことができるのです。大人からすれば、落ち葉はゴミになるし、「虫が苦手……」いう人もいるでしょう。よくわかります。でも、子どもが小さい時代、それにつき合ってみると、意外といとおしく見えてくることもありますよ。空き箱や廃材があれば家のなかでも自由に遊べるしかしながら、都市化が進んでいる地域に住んでいる人の場合だと、子どもと外で遊ぶ機会自体があまりないという人もいるでしょう。そういう人は、週末や長期休暇を使って自然のなかに遊びに出かけることを考えてみてください。親子それぞれにとって、とても豊かな時間になるはずです。そして、なかなか日常的に自然に触れられない場合でも、なるべく普段の生活のなかで子どもが夢中になって遊べるようにしてあげたいものです。そういうときは、空き箱や廃材などを家のなかに置いてあげてください。落ち葉の例ではありませんが、それらは親にとってはゴミかもしれません。でも、子どもにとっては魅力的なおもちゃなのです。子どもは、想像力と創造力をフル回転させた自由な発想で、空き箱や廃材をさまざまなものに変身させていきます。そうしてできあがったものは、子どもの想像力と創造力の産物です。遊び方が決まっている既製品のおもちゃだけで遊ぶのか、それとも空き箱や廃材などで自由に遊ぶのか。そのちがいは、子どもの経験にも大きなちがいを生み出します。でもなかには、「空き箱や廃材で家のなかを汚されたくない……」という人もいますよね?そうであれば、リビングなどの部屋の一角を子どもが自由に遊べるコーナーにしてあげてみてはいかがでしょうか。いたずらのような遊びからも子どもは学んでいる空き箱や廃材を使った遊びにも通じることですが、親からすれば迷惑に感じたりいたずらにしか思えなかったりする遊びからも、子どもはさまざまなことを学んでいるケースがあります。子どもは、ティッシュボックスからティッシュを全部出して、再び詰めるような行動をしますよね?この行動を、専門用語では「探索活動」といいます。このとき、子どもは、「こうしたらどうなるだろう」「ああしたらどうなるだろう」と試行錯誤をしているのです。親からすればたしかに迷惑な行動なのですが……、子どもがやりたがることに似たことを迷惑にならないやり方で自由にやらせてあげることを考えたいものです。ティッシュペーパーを次々に取り出す遊びが迷惑なら、「新聞紙を使うのだったら、自由に遊んでいいよ」と伝えてあげる。洗面所の水道の蛇口を思い切りひねって延々と水を出されることが迷惑なら、庭やベランダで思い切り水遊びさせるという具合です。こうした探索活動は、意欲や探求心などの非認知的な力だけでなく、認知的な力を伸ばすことにもつながります。「認知能力」とは、読み書きや計算のように、テストなどで測ることができる、いわば目に見える力のこと(インタビュー第1回参照)。子どもがペットボトルなどに水を入れたり出したりする遊びを繰り返していたら、見方によっては数量の経験をしているととらえることもできる。あるいは、虫を夢中になって集めている子どもが、ある日「昆虫図鑑を買ってほしい」といってきたとします。それはイコール、科学に興味を持ったことに他なりません。非認知能力を伸ばすことを重視すれば、結果的に認知能力を伸ばすことにもつながる――そう意識してほしいのです。■ 玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友先生 インタビュー一覧第1回:非認知能力は育っているか?子どもが「目をキラキラさせる世界」があれば安心です第2回:かわいい子には“いたずら”をさせよ!?「自由に遊んでいいよ」で子どもは学ぶ第3回:親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ(※近日公開)第4回:イヤイヤ期に「悩まない、苦しまない」。子育ては“ほどほど”がちょうどいい(※近日公開)『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』大豆生田啓友・大豆生田千夏 著/講談社(2019)【プロフィール】大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)玉川大学教育学部教授。青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。専門は乳幼児教育学・保育学で、現在、日本保育学会副会長。メディア出演も数多い。著書は、『子育てを元気にする絵本』(エイデル研究所)、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』(小学館)、『マンガでわかる! 保育っていいね』(ひかりのくに)、『子どもの姿ベースの指導計画』(フレーベル館)、『あそびから生まれる動的環境デザイン』(学研みらい)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(フレーベル館)、『子育てを元気にすることば』(エイデル研究所)他、多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月31日年々、教育界における注目度が上がっている「非認知能力」。読者のみなさんも、何度となく見聞きしているでしょう。しかし、研究者によって非認知能力に対する見解はさまざま。今回は、幼稚園教諭の経験もあり、著書『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)で注目を集める、玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生に非認知能力に対する見解を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)非認知能力だけが重要ではないことに要注意「認知能力」とは、読み書きや計算のようにテストなどで測ることができる、いわば目に見える力のことです。それに対して、「非認知能力」は、「非認知」というだけにテストなどでは測りにくい、目に見えづらい力といえます。それに含まれるものは本当にさまざまですが、社会性や情動性、意志力、自己肯定感、なにかをやり抜く忍耐力、コミュニケーション能力、他者に対する思いやり、自分をコントロールする自己制御など、主に「心」や「社会性」にまつわる力です。非認知能力が注目されるようになった大きなきっかけは、アメリカの経済学者であるジェームズ・ヘックマンが行った子どもたちの追跡調査でした。その追跡調査の結果、幼児期に質の高い教育を受けた子どもとそうではない子どもでは、大人になってからの経済力などに大きな差が生まれたことがわかったのです。そして、大人になって経済力や社会的地位が高くなった人は、幼児期に非認知能力を高めるような教育を受けていた。ただ、誤解してはならないのは、「非認知能力が重要」だからといって「認知能力が重要ではない」というわけではないこと。そのどちらも大切な力ですから、しっかり伸ばしてあげるべきでしょう。時代の変化によって、非認知能力を獲得する機会が激減また、非認知能力が注目を集めることとなった背景には、先のヘックマンの研究の他に、時代の変化が挙げられます。本来、非認知能力とはなにか特別なものなどではなく、むかしであれば子どもの普段の遊びやあたりまえの子育てのなかで勝手に育っていたものです。かつての子どもたちは、豊かな自然のなかで元気にたくさん遊び、異年齢の子どもたち、あるいは異世代の大人とも触れ合う機会が数多くあり、多様で具体的な体験を通した経験を積み重ねていました。すると、遊びのなかでうまくいかないことがあっても、熱中して続けるうちにうまくいくといった経験を通じて、困難を乗り越えるために必要な意志力や忍耐力、やり抜く力を獲得することができた。また、他人とかかわるなかで人間関係の問題にぶつかったら、なんとか折り合いをつけるようなコミュニケーション能力や思いやり、自己制御といった力を得ることもできました。そのようにして、非認知能力を自然に獲得していたわけです。ですから、これまでは非認知能力が特段にフォーカスされることがなかっただけのことです。でも、むかしとは時代が大きく変化していますよね。まず、習い事などに忙しいいまの子どもは、単純に遊ぶ時間自体が減っています。そのため、遊びを通じて非認知能力を得る機会が激減している。また、いまの親は子どもになるべく喧嘩をさせないようにしています。本来なら、子ども同士でおもちゃを取り合うようないざこざは、社会性を身につける絶好の機会です。いざこざのなかで、子どもは自分の気持ちを相手にぶつけてその反応を見たり、相手に譲ったりといった経験を通じて成長していくのですからね。ところが、いまは親のクレームを恐れ、幼稚園や保育所でも子どもの喧嘩をなるべく未然に防ぐようにしてしまっている。これでは、なかなか子どもの社会性は育ちません。重要となる、子どもの興味関心に親がつき合う姿勢わたしは、2019年に妻との共著で『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)という本を出版しました。じつはこの本は、「こういう時代であっても、多くの親たちが何気なくやっていることが大事」というメッセージを込めたものでもあるのです。先にお伝えしたように、非認知能力は特別なものではありません。非認知能力というたいそうな名前がついているがために、特別なことをしなければ育たないと考える人もいるかもしれませんが、そうではないのです。では、なにをすればいいのか?それは、大人からしっかりと受け止められる経験を子どもにさせること、そして、子どもの興味関心を大人が大切にするということです。非認知能力の多くは、「主体性」にかかわるものです。人間は、好きなことに対してであれば、主体的に取り組むことができます。みなさんも、大好きなアーティストのコンサートチケットを手に入れるためなら、多少の困難があっても手に入れようと頑張るでしょう?それは、見方を変えれば、困難を乗り越える力を発揮しているともいえます。子どもだって同様です。親子で散歩に出かけたときに、子どもが落ち葉のことが気になって拾いはじめたら、一緒に拾ってあげればいい。家のなかで何度もソファに昇り降りする遊びを面白がっているのなら、「ソファがへたっちゃうでしょ!」なんて叱らずに遊ばせてあげればいい。そういう親の姿勢が、子どもの非認知能力を育てていくのです。また、子どもの興味関心は、子どもに非認知能力が育っているかどうかのひとつの目安にもなります。非認知能力はそもそも測ることが難しい力ですから、本来、「これができていれば非認知能力が育っている」といった明確な基準はありません。ただ、非認知能力の多くは、先に述べたように興味関心、主体性から生まれてくるもの。ですから、子どもが目を輝かせて強い興味を示すような世界を持っているようなら、ひとまずは安心していいでしょう。■ 玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友先生 インタビュー一覧第1回:非認知能力は育っているか?子どもが「目をキラキラさせる世界」があれば安心です第2回:かわいい子には“いたずら”をさせよ!?「自由に遊んでいいよ」で子どもは学ぶ(※近日公開)第3回:親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ(※近日公開)第4回:イヤイヤ期に「悩まない、苦しまない」。子育ては“ほどほど”がちょうどいい(※近日公開)『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』大豆生田啓友・大豆生田千夏 著/講談社(2019)【プロフィール】大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)玉川大学教育学部教授。青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。専門は乳幼児教育学・保育学で、現在、日本保育学会副会長。メディア出演も数多い。著書は、『子育てを元気にする絵本』(エイデル研究所)、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』(小学館)、『マンガでわかる! 保育っていいね』(ひかりのくに)、『子どもの姿ベースの指導計画』(フレーベル館)、『あそびから生まれる動的環境デザイン』(学研みらい)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(フレーベル館)、『子育てを元気にすることば』(エイデル研究所)他、多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月30日劇団EXILE 町田啓太が25日、ジョルジオ アルマーニ ビューティの期間限定ポップアップストア「アルマーニ ビューティ KOYO」に登場し、招待者限定のトークショーを行った。同スポットは、18日より発売されたアルマーニ ビューティの"リップ マエストロ"新作「マット ネイチャー」から椅子パイアされた、紅葉をテーマにしたポップアップストアで、26日〜27日の2日間オープンする。エレガントな女性のイメージを聞かれた町田は、「電車の中で席を譲ってたり、気軽に手を差し伸べられる女性は素敵だと思いますし、写真におさめたくなりますよね。優しさが滲み出てる感じが、エレガントじゃないのかな」と表す。そんな女性につけてもらいたいリップとしては、「リップ マエストロ #405」をチョイス。「優しい感じもあるし、強さもあるし。このリップをつけてる方と紅葉を見に行ったら、思わず写真に撮りたくなるだろうなと思います」と、やはり写真を撮りたい様子だった。一方で「男性でも(リップを)つけてもいいと思いますし、もちろん」と男女問わないスタイルを提示する町田。「いろんな情報がたくさんある中で、自分らしくというのが一番いいと思いますし、自分なりのファッション、ライフスタイルを楽しんでいればいいなと思います。男女関わらず楽しく生きていけたらいいなと思っていますので」と語った。トークイベント後の取材では、観客15人という少数のイベントに「こんなに距離感近いこともなかなかないですし、不思議な感覚。メディアの方々の方が多くて、逆に新鮮でした」と笑顔に。女性の唇の好みを聞かれると、「目に焦点がいくくらい唇にもいくから、艶感がある方が好きです。僕は唇がすごく薄いので、厚めの方に憧れます」と回答する。2020年には劇団EXILE全員の舞台『勇者のために鐘は鳴る』公演も控えており、「メンバーみんなで、バーベキューしに行ったりはしてて、すっごく楽しかったですね」と振り返り、その場の酒は「レモンサワーが多かったかもしれないですね」と明かした。また、リップをプレゼントしたい人は? と聞かれると、「妹は全く化粧気がないので、プレゼントしてあげたいです。旦那さんも子供もいて、ふだんからドレスアップしないので、プレゼントしたい」と家族思いな一面も。家族間のプレゼントは「最近になってするようになりました」と言うも、よく考えると「僕だけもらってないです。せがまないとダメですね」と苦笑。しかし「気持ちなので。見返りがほしくて渡すわけではないので、プレゼントしようかな」と意欲を見せていた。
2019年10月25日劇団EXILEの町田啓太が、11月20日に自身初の写真集『BASIC』(光文社)を発売することが10日、明らかになった。写真はすべて撮り下ろしの2部構成。新宿・ゴールデン街で飲み歩く姿など大人の表情を映した第1部、地元・群馬で学生時代の思い出の地を巡る第2部にわたって、「29歳 俳優・町田啓太」の素顔を切り取った。1万字ロングインタビューのほか、素の姿を捉えた約20分のメイキングDVDも収録。撮影は気鋭の写真家・彦坂栄治氏が担当した。また、発売記念イベントとして、お渡し握手会を東京で12月1日、大阪と名古屋でも11月24日に開催予定。予約特典として、オフィシャルファンクラブ「EXILE TRIBE FAMILY」限定で「町田啓太直筆サイン本」、「EXILE TRIBE STATION」では「EXILE TRIBE STATION 限定版特製ポストカード本人直筆メッセージ付き(プリント)」が付く。さらに楽天ブックス限定で表紙違いの限定版も発売(特製しおり付き)。今回の発表を受け、町田は「この度、1st写真集を出版させて頂くことになりました! 僕が生まれ育った地元で懐かしの場所を巡りながらワクワクしたり、旧友たちとの対談での暴露話にヒヤヒヤしたり、ゴールデン街で雨に打たれながら撮影したり…素敵なスタッフさんたちと気の向くままに楽しみながら作った思い出の一冊です!」とアピールし、「この機会に僕の根本にある好きなことや興味のあること、感じていることをみなさんと共有させて頂ければと思いながら撮影に挑ませて頂きました。是非楽しみにしていてください!」と呼び掛けている。
2019年10月10日『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』の原恵一監督最新作『バースデー・ワンダーランド』から、声優の藤原啓治と矢島晶子が担当するキャラクターが登場するちょっと怖い本編シーンが到着した。女優・松岡茉優が主人公の声を務めるほか、杏、麻生久美子、市村正親ら豪華俳優陣が参加することでも話題の本作。今回到着した映像は、「クレヨンしんちゃん」の初代“ひろし”と“しんのすけ”の声でお馴染みの藤原さんと矢島さんが演じるワンダーランドの世界を荒らす“悪役コンビ”、ザン・グとドロポのシーン。アカネが泊っている宿で、食料を奪おうとするザン・グとドロポ。食料が減り、水不足の危機に陥っているワンダーランドだが、「食い物を出せ」と店主を脅し、むりやり食べ物を奪ってしまう。さらに睨みつけて水も要求、怒った勢いでテーブルを破壊してしまう。ひろしとしんのすけとは全く違うキャラクターのザン・グとドロポだが、2人には本当の目的もあるようで…。「クレヨンしんちゃん」をはじめ、『河童のクゥと夏休み』『カラフル』『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』にも出演するなど、原監督作品には欠かせない存在となっている藤原さんと矢島さん。原監督は2人に絶大な信頼を寄せており、「敵役のザン・グとドロポの悪役コンビは、藤原さんと矢島さんにぴったりだと思ったので演じてもらうことにしました」とコメント。また「藤原さんにはワンダーランドの誰もが恐れているザン・グの怖さを表現してもらい、矢島さんは悪役だけどどこか憎めないドロポを演じてもらいました。ひろしとしんのすけとは真逆の悪役キャラを楽しみにしてほしいです」と呼びかけている。『バースデー・ワンダーランド』は4月26日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:バースデー・ワンダーランド 2019年4月26日より全国にて公開©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会
2019年04月04日元ロエン(Roen)デザイナーの高原啓(タカハラヒロム)とロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel」のボーカル・HYDEによる「スイッチブレード(SWITCHBLADE)」、および高原啓による「ブラック ハニー チリ クッキー(BLACK HONEY CHILI COOKIE)」が、2019年3月28日(木)、合同ファッショショーを開催。ショーで発表された新作アイテムは、2019年4月より各取扱店舗で発売される。鬼龍院翔らも参加のイベント内で披露ファッショショーが実施されたのは、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔らも参加したカルチャーイベント「- 遊 嬉 宴 楽 -」内。ショーモデルには、摩天楼オペラの燿をはじめとするヴィジュアル系メタルバンド、ロックバンドのメンバーらを多数起用した。会場中央に伸びたステージには、まずはじめに「スイッチブレード」、続いて「ブラック ハニー チリ クッキー」を纏ったモデルたちが登場。彼らは、4月より発売される新作と、これまでに発売されたアイテムを織り交ぜたコーディネートで、舞台の上を進んでいく。スイッチブレードショー前半を飾った「スイッチブレード」とは、“移り行く時代の中でも不良でいる良さを失くしたくない”そんな内に秘めたナイフをファッションで表現したい人たちに向けたストリート系ファッションブランド。高原啓とHYDEプロデュースのもと、2017年に誕生した。「スイッチブレード」は、グラフィックを配したTシャツやフーディー、背中にブランドロゴをあしらったロングシャツ、クラッシュデニムパンツなど、カジュアルなスタイルを多数披露。カラーはハードなブラックをベースに、鮮烈なレッドを差し込み、コントラストを効かせた。真っ赤なスカーフをアウターのエポレットに結んだり、レッドのベルトをブラックのシャツワンピースに配したり、といった具合だ。ブラック ハニー チリ クッキー会場を照らすライトがレッドからブルーへと変わると、高原啓が2017年、「甘さ」と「辛さ」と「腐った味」をキーワードに立ち上げた「ブラック ハニー チリ クッキー」のルックが姿を現す。序盤に登場した艶やかなレザーのマント風ジャケットや、ブラックのファーをたっぷりとあしらったコートは、力強くもエレガントなムードを放っている。その他、ブルーグラデーションのデニムとディアスキン(鹿革)を張り合わせたジャケットや、レオパード柄を配したワイルドなライダースジャケット、鋭い眼光の猫をカットソーなどを使ったルックも目を惹いた。【詳細】スイッチブレード&ブラック ハニー チリ クッキー 新作アイテム発売時期:2019年4月アイテム例:<スイッチブレード>・REVERSIBLE MA-1 48,000円・SARROUEL CARGO PT 32,000円<ブラック ハニー チリ クッキー>・Coating Parka 52,000円・Leather Shirt 98,000円取り扱い店舗:<スイッチブレード>ROYAL FLASH 神宮前店ほかROYALFLASH各店、DETRUIRE、second image、Hardi Vague、BRYAN、arco など<ブラック ハニー チリ クッキー>ROYAL FLASH 神宮前店ほかROYALFLASH各店、DETRUIRE、MENS SELECTION、second image、Hardi Vague、VILLAGE、BRYAN、arco、disruptive(住所:愛知県名古屋市中区新栄一丁目6-3 シャインビル2F) ほか
2019年03月31日映画『PRINCE OF LEGEND』で“先生王子”を演じている 町田啓太さん。同作の見どころから自分を王子に例えるなら何王子か、などまで語っていただきました。町田啓太 as 先生王子/結城理一(ゆうきりいち)普段の自分に王子らしいところなんてないのかも。僕が演じている結城理一は、「三代目伝説の王子」の座を巡る舞台となる、聖ブリリアント学園の英語教師。先生界の絶対的エースで、生徒にまぎれて自分も伝説の王子を目指しますが、バトルを繰り広げる王子たちがこぞって成瀬果音というひとりの女生徒に夢中になる中、自分は1ミリも興味ないっていうところに自問自答するんです。結城は美に対する執着が人一倍強く、他の王子も美意識は高いはずなのに、どうして自分だけ成瀬果音に惹かれないんだ、と。台本をいただいた時は、その執着が行きすぎているように感じて、どう表現すればいいのかと正直迷いました。でも、それが滑稽で、笑ってもらえるようなキャラクターになればいいのかな、と思うようになって。自問自答するシーンは、あえて子どものように感情的になり、思い切り演じました。基本的にはひとりで演技をしているシーンが多かったんですけど、TEAM 3Bの3人との絡みも、実はわりとありました。彼らは卒業生の役で、実際の年齢も僕と近かったから、すっかり意気投合して、4人でしょっちゅうごはんや飲みに行く仲に。大人同士、本当に楽しかったですね。それと3Bには、1回ターンしてから「彼氏にしてはいけない3B」と言ってポージングを決めるシーンがあるのですが、こだまたいちくんは、そこで毎回ヨレヨレッとフラつくんです。それが面白すぎて、なんだかキュンとしました(笑)。他にも、この王子はモテそうだと思ったのは、川村壱馬くん。選手権内で一人の女生徒に対して、王子一人ひとりが壁ドンをするという対決があったんですけど、撮影後、「誰の壁ドンが一番キュンとした?」って、みんなで女生徒役の方に聞いたら、「壱馬くん」と。それを言われた瞬間、普段は硬派な壱馬くんが、「よっしゃ!」って跳びはねて。あんなかわいらしい一面を見たら女子はキュンとするでしょうね。僕がキュンとされるような王子らしいところですか?どうなんでしょう…。プライベートの僕は、「しみったれた王子」ですからね。いや本当に、田舎育ちで、静か~なところが好きなんです。きちんとしている役柄が多いせいか、人からは「公務員みたい」って言われることがありますが、本人まったくきちんとしていないですし(笑)。そんな普段はさておき、この映画では“王子”を全うしています。とにかく僕のシーンは、箸休め的な感じで楽しんでもらえたら。全編を通しては、友達や恋人と、映画館で笑いながら観ていただけると嬉しいですね。あとは、奏役の涼太にしかできない素敵なシーンもあったりするので、それをぜひ楽しみにしてもらえたらなって思います。まちだ・けいた1990年7月4日生まれ、群馬県出身。俳優。劇団EXILEのメンバー。今年1月公開の映画『二階堂家物語』に出演。また、出演映画『L♥DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』が3月21日公開。ジャケット¥64,000シャツ¥28,000パンツ¥36,000(以上ウィーウィル/ウィーウィル ギンザTEL:03・6264・4447)その他はスタイリスト私物映画『PRINCE OF LEGEND』監督/守屋健太郎脚本/松田裕子出演/片寄涼太、鈴木伸之、佐野玲於、清原翔、町田啓太ほか3月21日より全国東宝系にて公開。©2019「PRINCE OF LEGEND」製作委員会※『anan』2019年3月27日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・KOHEY取材、文・菅野綾子保手濱奈美(by anan編集部)
2019年03月23日二宮啓によるモンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)のコレクション「6 モンクレール ノワール ケイ ニノミヤ(6 Moncler Noir Kei Ninomiya)」にフォーカスした特別なイベントが、ハウス オブ ジーニアス 東京(HOUSE OF GENIUS TOKYO)にて、12月8日から20日まで開催される。ハウス オブ ジーニアス 東京は、モンクレール ジーニアスに特化した12月30日までの期間限定コンセプトストア。今回行われるイベントでは、バルーンアーティストユニットのデイジー バルーン(DAISY BALLOON)とのコラボレーションによるインスタレーションを設置し、ストアはまるでアートミュージアムのような空間へと変貌する。二宮啓の持ち味であるナイロンとレザーによる小さなモジュールを掛け合わせた緻密なクラフトマンシップと、モンクレールのダウンならではのハイテクな素材を実験的に融合させ組み立てた「6 モンクレール ノワール ケイ ニノミヤ」が打ち出すのは、近未来的でありながらもダークロマンティシズムの世界観。それらアイテムと、いくつものバルーンの調和による神秘的なブラックの世界を堪能できるだろう。イベント期間中には、「6 モンクレール ノワール ケイ ニノミヤ」アイテムの購入者を対象に、モンクレールのアイコンキャラクター「モンダック」をラバーで象った「ミニチュアラバーモンダック」をプレゼント。数量限定で先着順なのでお早めに。【イベント情報】「6 モンクレール ノワール ケイ ニノミヤ×デイジー バルーン」インスタレーション会期:12月8日~12月20日場所:ハウス オブ ジーニアス 東京住所:港区南青山5-2-12 R2-A
2018年12月07日劇団EXILEの全メンバーが総出演することで話題のSABU監督最新作『jam』。この度、主人公のひとり、町田啓太演じるタケルにフューチャーした特別映像が公開になった。本作では演歌歌手のヒロシ(青柳翔)、やくざに復讐を誓うテツオ(鈴木伸之)、意識不明の恋人に献身的な愛を注ぐタケル(町田啓太)の3人の主人公の“因果応報”が描かれる。今回公開されたのは、タケルのパート。意識不明の恋人を献身的に看病しながら、毎日“善いこと”をして願掛けする青年の物語だ。タケルを演じるのは、町田啓太。現在放送中のTBSドラマ「中学聖日記」や大河ドラマ「西郷どん」にも出演しており、注目を集める若手俳優のひとりである。特別映像では、タケルが恋人のために“善いこと貯金”をする姿が映し出されている。彼の“善いこと”は少しずれていて、いつも他人から誤解されてしまう。なかなか愛が伝わらないタケルだが、その純粋な姿に世の女性たちは思わずキュンとするに違いない。また、すでに公開されている場面写真では、顔中傷だらけのテツオや、一万円札のネックレスを首にかけるヒロシの姿が確認できる。三者三様の”因果応報”物語がどのように絡み合っていくのか。その気になる結末は是非劇場で見届けていただきたい。『jam』は12月1日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:jam 2018年12⽉1⽇より新宿バルト9ほか全国にて公開©2018「jam」製作委員会
2018年11月09日こんにちは、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から“多様性”について考えていこうと思っています。今回は、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」の第4弾です。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。今回は「みせる」です。2018年1月からこれまでに7回、カワイイモンスターカフェで開催された“生き様ナイト”と題したバーレスクショー。そこで小人バーレスクとしてパフォーマンスをするちびもえこさん。前例のない小人バーレスクとして、人前で“見せる”そして“魅せる”ことをなぜやろうと思ったのか。これまでの経験や考えを本人にうかがいながら、彼女の魅力について紹介したいと思います。スタイリストを目指して上京ちびもえこ:中学の頃からスタイリストになりたいと思っていて、高校はファッションコースのある学校を選びました。おしゃれに興味を持ち始めた頃、自分の丈に合った服がなかったり着たい服が着られないという現実を痛感し、この悔しさをどうやって昇華しようか考えたときに、世の中にある素敵な服や自分が着たいと思う服を自分以外の人に着せようと思ったのがきっかけです。そして18歳でバンタンデザイン研究所のスタイリスト科に入学しました。徳永:専門学校に進むことを選んだのはやはり、ファッションが好きだったからですか?ちびもえこ:好きでもあったけど中学のときに痛感した現実に対して見返したいという気持ちが強いかもしれません。ファッションも好きですが反発精神の方が強かったので職業にしたいと思いました。本当に好きなものに関しては受け身でいたいタイプですね。徳永:そうでしたか。スタイリストは裏方のお仕事ですよね。今みたいに人前へ出るようになったのはいつ頃からですか?ちびもえこ:2016年の夏ごろには本格的にスタイリストを目指していたけど、もしなることができなかったらどうしようと考えていました。 そのころ、今まで知ろうとしなかった、私と同じ境遇の方はどういうお仕事に就いているのだろうと想像を巡らすようになったんです。ネットで検索するとモデルやイラストレーターとして活躍されている後藤仁美さんのお名前が上がってきて、彼女が色々情報を発信していらしたので、そこで初めて同じ境遇の方について知りました。そこからNHKのバリコレ(バリアフリーコレクション)という身体障がい者をモデルとしたファッションショーがあることを知り、とりあえずやってみようと思い応募しました。それにモデルとして受かって表に出たのが一番最初です。その経験から小人をモデルとしたファッションショーをやっている海外のデザイナーさんからオファーがきたりしましたが、特に専門学校在学中はそれ以上表に立つことはなかったですね。徳永:なるほど、小人モデルという要素だけではなく、自分の身体と向き合ってできたパフォーマンスとが合わさって魅せれるようになったから今のもえこさんがあるということですね。レスリー・キーさんの撮影がなかったら今のもえこさんはなかったということですか?ちびもえこ:そうですね。バーレスクは考えたことなかったですね。今を思えば自分の身体と向き合ったきっかけでもあります。これまで向き合ってこなかったので。バーレスクのイベントは私が出演する前からカワイイモンスターカフェであって、「そこに出ないか」とお誘いを受けて2018年1月から出演しています。オファーを受けたときはさすがに全部脱がないだろうと思っていましたが、結果脱ぎましたね(笑)「小人バーレスク」という新たな表現徳永:8月10日に行われた「生き様ナイト」で、7回目のバーレスクショーになりましたね。僕は最初に見させてもらったときにとても衝撃を受けました。小人バーレスクを見たことがなかったのもありますが、もえこさんの脱ぎっぷり、バーレスクらしい妖艶な雰囲気を醸し出していたことがとても新鮮に見えました。ご自身としてはいかがですか?ちびもえこ:初めの頃はとにかく勉強でした。バーレスクの存在は知っていたけれど、これまで見たことがなく右も左もわからなかったし共演させていただくKUMI(くみ)さんとIG(あいじ)さんはプロのポールダンサーの方なので緊張もしました。KUMIさんから振り付けを一から教えていただいたり、衣装なども全てコスチュームデザイナーの方にお借りしたり、メイクも教えてもらったり、本当に周りの方のお力をお借りして立たせていただきました。また小人バーレスクを見にきてくださるお客さまの反応もわからなかったので、本番は教わったことを全力でやりきるのに徹していたんです。そうやって初回から3回目まではいわゆるバーレスクの王道の衣装だったり演出をやらせてもらいましたが、お客さまの反応も少しずつわかってきたところで私なりの表現ってなんだろうと考えるようになりました。その頃、もともと単独イベントではなかったこのイベントが単独イベントとして開催させていただけるようになり「生き様ナイト」として始まったのです。私の生き様とは、と考えるようにもなりましたし、そのタイミングで共演者のIGさんが「海外のテレビでバーレスクは少しの笑いが必要と言っていた」とおっしゃっていたんです。さらにその言葉を踏まえた上で、その頃バーレスク界の大先輩の方が定期的に開催しているイベントに呼んでもらって初めて自分の身内がいない空間でパフォーマンスする機会をいただき、リアルなお客さんの反応も感じました。そしてその時初めて生でプロのバーレスクダンサーさんのパフォーマンスを見させていただいたんです。本当に感動しました。何よりもお客さんが楽しそうでみんなが笑顔の空間でした。そんな様々な出来事が重なり価値観が変わり、自分のパフォーマンスでも取り入れようと思って、自分の身体を見て皆さんに笑ってもらえるような演出をしたこともありました。徳永:表舞台に立つことで誰かに影響を与えることが増えてきたと思います。今だからこそ聞きたいのですが、世間や同じ境遇の方に伝えたいことはありますか?ちびもえこ:小人に対する固定観念を覆したいですね。この身体で生まれたことをかわいそうと思われがちだと普段から感じています。私がバーレスクとして脱ぐことでこの身体を見て欲しいというよりは、この身体でしかできない表現があると思っていて。“かわいそう”ではなく“羨ましい”と感じてくれたらおもしろい世の中になりそうですよね。なので同じ境遇の方だけじゃなくて世間一般に向けて発信したいと思っています。徳永:今回私の意見だけでなく、パフォーマンスを見ていた観客や関係者の方にもえこさんについてコメントをいただきましたのでご紹介いたします。もえこさんの固定観念を覆したい気持ちが伝わっているようです。・もえちゃんの素晴らしいところは小人で生まれてきたことですね。それと彼女はすごくポジティブでいつもパワーをもらっています。・ショーに登場しただけで他にはないものをもうお持ちです。私はいわゆる一般の体型をしているから身体一つで魅せれるかと言われればできないので、もえちゃんの存在はずるいなと、もちろんいい意味で武器だなと思いますね。・回数を重ねていくことに色気が出てきて素敵です。友達を連れてきたことがあるのですが、もえちゃんの方がよっぽどバーレスクだと言っていました。もえちゃんの良さは初めてバーレスクを見る方でも楽しめると思います。・もえちゃんは「なんでこの身体なんだろう」じゃなくて「むしろこの身体を選んで生まれてきたのよ!」って気持ちで踊ってます。見た目は最初だけであとは中身なので今後ともよろしくね!Keita Tokunaga(徳永 啓太)Blog|Instagram脳性麻痺により電動アシスト車椅子を使用。主に日本のファッションブランドについて執筆。2017年にダイバーシティという言葉をきっかけに日本の多様性について実態はどのようになっているのか、多様な価値観とは何なのか自分の経験をふまえ執筆活動を開始。
2018年08月29日モンクレール(MONCLER)の新プロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」より、第2弾としてノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)のデザイナー二宮啓によるコレクション「6 Moncler Noir Kei Ninomiya」が、7月25日から販売を開始する。「6 Moncler Noir Kei Ninomiya」二宮は、自身の持ち味である精巧なデザインと実験的なアプローチによってこのコレクションを創り上げた。ダウンの持つ技術的な側面と芸術的な側面の限界を打ち破り、ウェアラブルに仕立て上げるという新たな概念を打ち出している。ナイロンとレザーを巧妙に使い分けた小さなモジュールの掛け合わせや、緻密なクラフトマンシップと巧みなファブリックの操作による組み立てなど、挑戦的で機能性の高い完璧な形状を作り上げている。フェミニンなシェイプのラウンドスカートやパンクのイデオロギーを持ちつつもロマンティックなシルエットのロングコートやクロップドジャケット、ストール、ボリュームのあるブーツなどが登場する。「6 Moncler Noir Kei Ninomiya」それぞれのアイテムは装飾的且つ幾何学的なデザインが特徴で、インターシャやキルティング、ステッチング、アップリケ、ラッフルの技法により施されている。オーソドックスな手法を取り入れながらも、フレッシュで新しい印象が特徴。幾何学的なカットアウトと挑戦的なレザー使いのフラワーはコレクションにステートメントを与える他、緻密なクラフトマンシップを応用し、ダウン入りのナイロンチューブを編みあげたボリューミーなニットは二宮のテクニックを物語る。彼が「モンクレール ジーニアス」の為に作り上げたコレクションは、妥協のない光沢感とフューチャリスティックなブラックにフィーチャーしたカラーパレットにより、ダークロマンティシズムな世界観を表現。「『モンクレール ジーニアス』は革命に対する挑戦であり、あらゆる点で一歩先を行くプロジェクトです。ダウンという素材を使い、新しいテクニックに挑戦する機会を得ました。物事はその生み出し方次第で進化が決まると思います」と二宮は語る。「6 Moncler Noir Kei Ninomiya」本コレクションは一部のモンクレールブティック、ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DSMG)を含む主要セレクトショップにて発売。
2018年07月18日こんにちは、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から“多様性”について考えていこうと思っています。そして、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」第3弾です。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。今回のテーマは「りかい」です。インタビューをしたのは、発達に障害がある方や自閉症の方を支援している笹本智哉(ささもと ともや)氏。彼は個人活動でSOCIAL WORKEEERZ (ソーシャルワーカーズ)というダンスチームを運営し、福祉施設を訪問してパフォーマンスしたり、自閉症啓発イベントなどに参加したりしています。徳永啓太(左)笹本智哉さん(右)▶徳永啓太のインタビュー記事はこちら今回私は6月9日に東海道新幹線内で起きた殺傷事件で「犯人は発達障害」と報道されて物議を醸した件について、彼に発達障害の当事者をサポートする者としての見解をうかがいたくインタビューをお願いしました。この機会に発達障害とはどのようなものなのか、正しい知識を理解し我々がどのように付き合っていけばいいのか、そして当事者が社会とつながるにはどうすればいいかを笹本氏の専門知識を交えながら、多くの方に「りかい」してもらいたいと思います。当事者と一緒に行動し、その場でサポートする仕事笹本:今回は、発達障害や自閉症の方について読者の方に理解してもらいたいと思い取材をお受けいたしました。東海道新幹線での殺傷事件の報道からは発達障害に対するメディアの偏見がみられたので、正しい知識を持ってほしいという思いがあります。事件を起こした容疑者を擁護するものでは決してありません。また今回被害に遭われた方、そしてそのご家族の方には大変心が痛い事件となってしまったことに対し、お悔やみ申し上げます。このような事件が再び起こらないことを心より願っております。徳永:このようなトピックでのインタビューとなりましたが、お受けくださり誠にありがとうございます。それでは笹本さんのされているお仕事の内容からうかがってもよろしいでしょうか。笹本:私は児童発達支援管理責任者という資格を持っていて、未就学(小学校の就学年齢に満たない児童)の発達障害児へ向けた「療育(りょういく)」の仕事をしてます。療育というのは、発達障害のある児童が日常生活で身に付けづらいコミュニケーションや運動機能、身辺自立*1に必要なスキルや学習を身につけるための支援(セラピー)です。例えば、絵の描き方・文字の書き方、「助けて」や「トイレに行きたい」などのサインの発し方、自分が何がしたいかという要求をうまく伝えるためのスキルを身に付けるのをサポートします。児童が集団で行動できるようなスキルを身につけ、友達と遊んだりする際のコミュニケーションがとれるよう、当事者と一緒に行動しその場でサポートしたり教えたりするのも支援の一つです。また児童発達支援管理責任者は、専門医から発達障害や自閉症と診断された児童やご家族、相談支援専門員、行政と一緒に考え、それぞれにあった支援の計画をたてる。それを親御さんと共有し、ご家庭でも実施してもらうよう促すことや、行政とのやりとりに必要な書類作成や発達障害の当事者が通う施設の運営・管理などをしています。(*1)洗面、着替え、歯磨き、食事、排泄などの身の回りの基本的な動作徳永:では発達障害や自閉症の方は、具体的に困ったときにどのような行動をとってしまうのでしょうか?笹本:わかりやすい例で言うとイレギュラーなことに対応できないということでしょうか。 例えば電車に興味がある子が運行時間を何時何分まで記憶していて、それが天候などの影響で時間が変わっただけでどうすればいいかわからずパニックになってしまうケース。 周囲の人の声や音をすべて拾ってしまい環境に適応できずパニックになってしまうケース。思ったことや見えたものを何でも口に出してしまうケースもあります。またそれとは反対に自分の要求をうまく言葉にできずストレスを抱え込んでしまう方もおられます。「発達障害、自閉症=犯罪を犯す」は根本的に誤った認識徳永:彼らの行動にはそれぞれ理由があるわけですね。知っていればなぜそのような行動をとっているのか理解できますが、知らないまま当事者を見かけると「変わった人」や「異常な人」ととらえてしまう。これが認識の差だと感じます。そこで今回取り上げたいのは「東海道新幹線で起きた殺傷事件にみるメディアのあり方」です。一部メディアが「犯人は発達障害」と報道し物議を醸しました。 メディア側も軽率な行動だったと謝罪をしていますが、こういった報道が流れるということは根本的に誤った認識をしている方がいるからだと思いました。当事者と接する仕事をしていて今回の報道をどうとらえていますか? 笹本:非常に安直だと思いますし、憤りを覚えます。少なくとも私が見てきたなかで発達に障害があるからといって殺人を犯すというのはありえません。以前は児童に限らず成人の方もサポートしていましたが、考えにくいです。そもそも前提として計画的に殺人を犯すという発想は私たちもしませんよね、それに発達に障害がある方は自ら計画的に何かをする行為が苦手な傾向にあるからです。もちろん私が知らないだけでなかには犯罪に興味を持ってしまう方もいるかもしれません。そのような偏った思想を持つ人は一般と同じで少数だと考えます。なので発達に障害があるからといって犯罪を犯すというイメージに直結するのはとても偏ったとらえ方で残念に思います。社会の「人間」に対する許容範囲が狭いことが生きづらさを生み出している笹本:「同じでなければいけない」という風潮は一般社会だけでなく、ヘルパーや就労支援など発達に障害がある方を支援をする現場でも感じることがあり、とても疑問に思っています。 例えば食事中は絶対に背筋をピンと伸ばさないといけないとか、日常生活の場でシャツは絶対ズボンの中にいれなきゃいけないとか。音楽イベントに来てるのに歌ったり踊ったりしたらヘルパーに注意されるとか。作業所で休み時間でも同僚に手を振ったら怒られるとか。当事者がちょっとでも要求を人に伝えたら怒るとか相手しないとか。そういった場面を目にしたことがあります。一般の方でも細かいことをすべてやれてるわけではないですし。それを当事者へ必要以上に求めている姿を見かけるととても残念な気持ちになります。私は当事者の主体性を引き出して生活をよりよくすることが支援だと思っているのですが、当事者を厳しく指導しているのは取り巻く関係者が恥をかきたくないからだと個人的に思っています。それは本当の意味で当事者支援にはならないのではないでしょうか。今回は大変難しい問題について答えてくれた笹本氏に感謝いたします。事件が起こった後に発達に障害がある方について取り上げるというのは不本意ではありますが、今回を機に発達に障害がある方や自閉症の方の正しい知識を持ってほしいという思いでおります。そんなインタビューのなかでも“社会が求める人間の能力の高さや人間像の理想が高い”という話題、そして“スタンプの版のように同じでなければ”というワードが印象的でした。私も「健常者」や「障害者」という言葉があるように、平均的なことができない人を分けたり、少し変わった考え方を持っている人に対して偏見を持つ傾向がある気がしていたからです。これでもっと社会が寛容になって、お互い認め合う余白ができればという課題が見つかり、連載のタイトルにも入っているワード「多様性」の根本を考える機会になったと思います。また最後に笹本氏がおっしゃっていた、もっと気軽に相談してほしいという点。日本は精神的に弱い方を受け入れようとしない風潮があり、そして当事者もカウンセリングを受けることに抵抗があると感じます。社会が多様性を認めようと動いているのであれば、こういったところも変えていく必要があるのではないでしょうか。最後に東海道新幹線での殺傷事件からメディアのあり方に疑問を持ったのでこの企画を提案いたしました。メディアや偏見についての異議申し立てであり、事件の容疑者を擁護するものでは決してありませんし、彼は完全に誤った行動をとったと思っております。私からも今回被害にあわれた方、そしてご家族の方にお悔やみ申し上げます。このような事件が起こらないことを心より願っております。Tomoya Sasamoto(笹本 智哉)Photo via SOCIAL WORKEEERZKeita Tokunaga(徳永 啓太)Blog|Instagram脳性麻痺により電動アシスト車椅子を使用。主に日本のファッションブランドについて執筆。2017年にダイバーシティという言葉をきっかけに日本の多様性について実態はどのようになっているのか、多様な価値観とは何なのか自分の経験をふまえ執筆活動を開始。
2018年07月11日初めまして、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口と、取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”対談方式の連載「kakeru」の第2弾です。ここでは様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を毎月取材し、「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。徳永 啓太▶徳永啓太のインタビュー記事はこちら今回のテーマは「ちがい」です。インタビューをしたのはプロダクトブランド「MUKU」を運営する松田文登(ふみと)さん、崇弥(たかや)さんの双子の兄弟。知的障がいのあるアーティストが描くアート作品をプロダクトに落とし込むことをコンセプトに、傘やネクタイと身近なものを老舗の職人とのコラボレーションにより展開し、社会と繋がることモットーにしている。今あるものとはちがう視点から、ちがう価値観を届けたいという彼ら。プロダクトや福祉、アートと様々な方面で活動する中で見えてきたこととは何か、そしてその「ちがい」にブランドとしてどうアプローチしているのかを探っていきます。左から文登さん、崇弥さんアートを超えるプロダクトを目指して徳永:まずはMUKUを始めるきっかけなどをお伺いしてもよろしいでしょうか?松田崇弥(以下、崇弥):知的障がいのある方のアート作品に興味を持ったきっかけは双子の上に自閉症の兄がいまして、 幼少期は週末など母親に連れられて福祉施設に通っている方たちとキャンプに行ったりした経験から、 小学校の卒業論文に「養護学校の先生になりたい」と書くぐらい福祉関係の仕事に興味がありました 。今は広告の仕事をしていますが、ある日母親から岩手県にある「るんびにい美術館*1」を紹介され 、主に知的障がいのある方のアートを展示している美術館があることを知りました。そこに展示してある作品のクオリティーの高さに驚き、これはちゃんとプロダクトに落とし込めば世の中に提供できると思いました。 このときの衝撃を双子で話し合い、MUKUをスタートすることに決めたのです。(*1)知的な障がい、精神的な障がいなどのあるアーティストの作品を多く展示する岩手県・花巻市にある美術館。館内のアトリエではアーティストたちが作品の制作を行っている徳永:MUKUの活動でお互いの役割分担はありますか?松田文登(以下、文登):僕が営業や施設の方とのお話をさせてもらっていて、 崇弥が企画や広告などを担当しています。 先ほど崇弥から知的障がいのある方のアート作品の活動についての話がありましたが、僕は日本の縫製工場が失われつつある現状を知り、職人仕事を盛り上げていきたいという気持ちがあるため、「知的障がいのある方のアート」と「職人仕事を盛り上げる」という二つを掲げてやっていきたいと思っています。徳永:MUKUとしてのブランドのこだわりを教えてください。文登:僕らは「アートを超えるプロダクトを作りたい」といつも話していて、 まずはじめに値段が高くなっても構わないので、最高品質のものを作ること、そして日本製品にすることを決めました。価格が上がるという面もありますが、「知的障がいのある方の中からアートを通じてヒーローを生み出す」ことをやりたいと思っていて、そのためには品質は徹底的にこだわりたいと思っています。現在お願いしている職人さんは山形に自社工房を構える創業明治38年の「銀座田屋」というネクタイを専門にしているところです。細い絹糸を使用していて、高密度かつ多色の織りが出来ることで、アート作品の細やかな表現が再現できプリントよりも上品な仕上がりが実現しています。また傘は日本橋にある洋傘一筋87年の小宮商店というところにお願いしています。蓋を開けてみるとどちらも自社以外の製品を作るのはMUKUとが初めてということで、職人さんは「技術をより多くの人に知ってもらう機会になった」と喜んでくださいました。Artwork by SASAKI SANAEアート作品では白色になっているものを、ネクタイでは銀色で表現することで高級感が出る仕上がりになっている徳永:絵のセレクトやアーティストとの契約はどのように行なっていますか?崇弥:MUKUには双子を合わせてメンバーが5人いるんですが、みんなで話し合って決めています。 我々のところに美術館や親御さんから直接情報をいただき、そこから素敵な作品を我々で選びご連絡させていただいて、契約を結ばせてもらっています。 また僕らは売上分ではなく、工場へ発注した段階でデザイン使用料として商品価格の一部をアーティストさんに渡す仕組みにしています。なので今後も製造した分に比例してアーティストさんへ貢献できます。徳永:なるほど!アーティストにしっかり使用料が渡る仕組みになっているわけですね。他にも知的障がいのある方のアートでプロダクト作りをしている企業はありますが、品質へのこだわりと若者に受け入れられやすいようなプロモーションをしていて、これまでにないものだと感じました。徳永:個人的にこういった施設に通っている方のアート作品を世の中に広める活動について思うことがあって、アーティストと紹介する前に“知的障がい”という言葉を説明に使うことが、ありかなしかという問題です。どんな人であれ、いいものはいいと判断したいのですが、僕は“知的障がい”という言葉をみると良くも悪くも偏った見方をしてしまうなと正直思っていまして、その言葉だけで物事に対する価値観が変わってしまうこともあるかなと思っています。崇弥:この活動を始めて約1年半になりますが、最初は“知的障がい”という言葉を使わなくていいんじゃないかと話をしていました。一方でその言葉を使わなくなると、ブランドとしてのアイデンティティがなくなっていることに気がつきました。 色々話し合い悩んだ末、最終的には“知的障がい”という言葉を使うことにしました。 文登:ある日るんびにい美術館のアートディレクターをされている板垣さんと話をする機会があり、 “知的障がい”という言葉をつけるかつけないかついて悩んでいたことを打ち明けました、板垣さんからは「出すも出さないも、最終的に出た答えでいいのでは」というご意見をいただきました。しかし正直なところ、まだすっきりとした答えが出ていないと思っています。理想は、MUKUの情報を知らずにアーティストの作品を見てかっこいいと思ってくださった方が、後から知的障がいのある方の作品だと知るというサイクルに持っていけたらいいなと思っています。 崇弥:この件に関しては、常に僕たちも考えていてそのサイクルができたら一番嬉しいのですが、今の段階だとその導線を作るのは難しいとも感じています。 例えばトークショーに呼ばれる機会も増えてきたのですが、知的障がいのある方と一緒に活動していることの話について聞かれることが多く、作品にあまり触れられてないなと感じる時があります。僕らは世の中によく思われたいからやっているわけではなくて、彼らのアートの価値が正しくつけられるように持っていきたくて活動していると思っているので、世間が期待していることと僕らの考え方に差があり、それに違和感を覚えています。 徳永:最近知的障がいのある方のアート作品が注目される機会が多くあると思いますが、「知的障がいのある方=アーティスト」というわけではないと思います。もちろん中にはとても優れた才能を持っている方もおられますが、そういった方ばかりではないですよね。そうした方の作品をすくい取るというか、プロダクトに落とし込む受け皿のような活動をデザインを通じてできたらいいなと前々から思っていて、MUKUさんは今後そういった活動の役割として重要な位置になると思いました。崇弥:そうですね。僕たちが使用許可も含めて交渉できるアーティストの作品は現在1000作ほどですが、 毎年MUKUとして世の中に発表できているのは10数作という現状があり、とてももったいなさを感じています。今後はいろんな企業や行政、クリエイターと彼らの作品をプロダクトに落とし込めないか企画、提案をしていきたいなと思っています。インタビューの中でも少し触れていますが、そもそもアーティストであることに“障がい”のあるなしは関係ないはずなのに、“知的障がいのある方のアート作品”と言葉で括って取材することは野暮だと思っていました。それは「いいものはいい」と判断したいのに、知的障がいという言葉を使った説明が私の判断を鈍らせているためでもあります。また福祉関連に関わることは、色々な方が色々な解釈をされる分野でもあり、とてもセンシティブな問題がつきまとうと思っていて、どのような話題にするか正直迷いました。しかしお話しすることが決まったとき、私が疑問に思っている事柄についてどのように考えているのか、あえて深く掘り下げてみようと考え質問を投げかけました。それに対してMUKUのお二人は知的障がいという言葉の扱い方から、福祉事業でしっかりビジネスを試みていることまで難しい問題に快く答えてくれました。特に「売って儲けることでアーティストへ貢献したい」と筋の通ったお答えにはとても感心いたしました。何事にも継続が必要で、そのためには資金が必要です。なのでビジネスをすることは、とてもまっとうな考えだと思います。MUKUさんのように、アートとプロダクトを通じて価値観を整理するような活動を今後とも期待したいです。MUKUWebsite|Facebook|Twitter|Instagram“ちがう視界から、ちがう世界を描き出す”をテーマに、強烈なアイデンティティをもつアーティストが描くアート作品をプロダクトに落とし込み、社会に提案するブランド。クリエイティビティを徹底的にブランディングすることで、社会に新しい価値の提案を目指す。2016年六本木アートナイト、国立新美術館の展示会、伊藤忠青山アートスクエアの企画展、代官山蔦屋書店のフェアへの参加、100個のプロジェクトがうごめく実験区100BANCHへの参画など、福祉の枠を越えた精力的な活動を行う。▶︎これまでの徳永啓太の「kakeru」・#001 乳がんを患ってから起業。病気にかかると行動に制限をかける人が多いなか、“新しい肩書き”を手にした女性▶︎オススメ記事・障害者という“レッテル”はやめよう。アートキュレーターが語る「言葉に左右されない審美眼」の重要性・使わなくなった毛皮製品を仕立て直す男が、いくら“社会にいいこと”でも「押し付けでは意味がない」と考える理由Portrait photos by Anne Yano (Website|Instagram)Other images via MUKUText by Keita TokunagaーBe inspired!
2018年05月08日初めまして、車椅子ジャーナリストの徳永 啓太(とくなが けいた)です。ここでは私が車椅子を使用しているマイノリティの一人として、自分の体験談や価値観を踏まえた切り口から”多様性”について考えていこうと思っています。そして、私の価値観と取材対象者さまの価値観を“掛け合わせる”、対談方式の連載「kakeru」をスタートします。様々な身体や環境から独自の価値観を持ち人生を歩んできた方を毎月取材し、Be inspired!で「日本の多様性」を受け入れるため何が必要で、何を認めないといけないかを探ります。徳永 啓太今回は「はじめる」をテーマに活躍されている方の背景や、なぜ始めたのか熱い想いを伺ってみたいと思います。インタビューしたのは2017年に起業をした中島 ナオさん。彼女は学芸大で美術教育・デザインを学び、会社員として働いていましたが、2014年に乳がんを患っていることが発覚。がんの治療を行いながらも環境を変えるため学芸大大学院に進みます。再び学び、デザイン教育の研究を進めていた際、身体と向き合う事で生まれたヘッドウェア「N HEAD WEAR」を開発。その鮮やかで他にはないデザインによりメディアから注目を浴びます。現に私もそのヘッドウェアが彼女を知るきっかけになりました。その後、彼女が起業し、新しいことを”はじめる”決意をした理由とは。左:徳永 啓太右:中島 ナオさん▶徳永啓太日本の「多様性」に疑問符をつける。“健常者であることが良しとされる国”を車椅子で生きていて感じること“暗い”や“辛い”というがん患者のイメージを払拭する女性インタビューするまで考えることの無かった「がん」について自分の事のように情報を集めてみることからはじめました。そこで感じたことは、日頃から将来起こりうる病や怪我、事故などに関心を持ち、意識しながら生活をしていないという事でした。例えば、風邪を引かないとその予防策について調べないし、怪我をしないとその症状について関心を持ちません。予想をしていないからこそ、その分自分に大きな病にかかったとき「まさか自分が」と大きなショックを受けます。 特に「がん」はその一つ。重い症状と今のメディアの影響により、がん患者と聞くと“暗い”や“辛い”というイメージを持ってしまいます。実際私もそうでした、彼女に会うまでは。N HEAD WEARを被る中島 ナオさん中島ナオ(以下、ナオ):これ自分で作ったんです。いまあるアイテムに被り続けたいものがなくて。そしたら見知らぬおば様に”いいわね、素敵ね”って声をかけて頂いて嬉しくて。 今回、私は中島さんの病について知りたいと思いがんの質問ばかり用意していたが、それは不毛なことであるという事に後々気付かされます。そしてこちらからお願いしたインタビューにもかかわらず、最初に質問したのは彼女からでした。積極的で明るい姿勢に、また私の凝り固まったイメージを更新してくれました。彼女は私が持っていたイメージを払拭するかのように明るくキラキラしていました。 ナオ:徳永さんは車椅子に乗っていますが、身体的に病が進行するってことはありますか? 徳永 啓太(以下、徳永):私は脳性麻痺という障害名で体が動きにくく、力が弱かったり細かい動作ができなかったりしますが進行性ではないです。強いていうなら老化でしょうか。それは一般の方と同じだと思います。沢山ある情報のなかで見えてくる「白」か「黒」ナオ:私がブログで発信を始めたのは、がんになっても大丈夫と言える社会を実現させたいと思ったからです。それは医学的にも社会的にも今は実現できてないと思います。それを変えたくて。というのもまだまだがんになったら生活の中で手放すことの方が多い、職業だったり私生活などでも諦めている人が多いと感じるからです。私がやっていきたいことは”白”と”黒”と二極化された情報だけでなく、その間グレーの中で生活する上でもっと希望が持てる情報を届けたいと思ってます。そういった考えに至るまでは個人的にSNSで顔を出すことすら好まないタイプでした。▶ナオさんがグレーについて綴ったブログ『輝くグレーの世界もあるんだよ!』はこちら。 徳永:SNSで顔を出さない人だったなんて想像つきませんでした。変わった転機はあるのでしょうか。 ナオ:1年半前(2016年)に転移してステージ4(がんが他の臓器に転移し手術が難しい状態)になり状況が変わったことですね。治療とずっと向き合っていかないといけない状況です。この先どこまで続くかわからない、現状を変えるしかないと、丁度この時期に具体的な行動を始めていきました。リアルと向き合ってできるデザイン「N HEAD WEAR 」徳永:がんになってからデザイナーになって、そして起業したんですよね。 ナオ:そうです!以前、会社員としてデザインの仕事をしていた時期もありますが、その後は教育関係の仕事をしていましたし、具体的にデザイナーとして歩み始めたのは病気になってからです。というのもやはり希望を感じるものを作りたくて、確かに無理していくことはないけれども、何かを失っても、諦めなくてもすむ側面はあると思っています。だからあえていっぱい始めてみようと思って。始めた事はヘッドウェア以外にもいっぱいあります。 徳永:実は今日インタビュアーとして、ナオさんから普通聞きづらいような事を聞くのが私の役目だと思っていました。でもそうではなくで、生活の事情を踏まえたうえで解決できるデザインを提供したいんだなと思いました。私でいうと例えば車椅子で生活する上で排泄の事情や、街中で困る情報を提供する事で読んだ方が関心を持ったり共感してもらったりする事で広めていく。それに価値があると思っているんですが、ナオさんは別の角度から発信していきたいんだなと感じました。 ナオ:ヘッドウェアもそうですが、問題に対して今あるものと違う路線で形にしていきたいですね。以前は洋服でさえ買うのをためらった時期もありました。それはこの先どうなるかわからないからいつまで着られるかわからないんです。そう言った背景を持つ私がこれからもいろんな事を始めて発信する事で、同じ境遇の方が希望を持ってくれたらいいなと思ってます。ヘッドウェアも私が一点一点作るというよりは他の企業や専門性を持つデザイナーさんと繋がって発信できたら広がるんじゃないかと思っていますし、その他構想している事を形にするべく起業する事にしました。自分で作っていくのに限界がある事も理由としてありますが、私はやりたいことを、いろんな方と一緒に叶えていきたいと思っていて、社会と接点を持つことが大きな希望につながるとも考えています。 徳永:ナオさんの場合やれる事って沢山あるって事ですよね。ヘッドウェアはその一つであって職業に縛られているわけではないからいろんな分野で活躍できることが強みですね。 ナオ:活躍していきたいですね!ガンになった時、何者でもなかったからこそ、行動し続けられているのかもしれません。起業し、関わってくださる方が増えてきている今、大きな可能性を感じています。中島ナオ氏も参加する徳田祐司個展『Another Eye』開催期間:2018年3月2日~28日場所:CLEAR EDITION & GALLERY企業ブランディング、商品企画、広告コミュニケーションなど、広範囲のプロジェクトを手掛け、国内外60以上のデザインアワードを受賞してきた徳田祐司の個展が2018年3月2日(金)より、六本木CLEAR EDITION & GALLERYで開催される。徳田は自身が代表を務めるデザインエージェンシー株式会社canariaのビジョンのひとつに「Design makes a Positive Way.」を掲げているが、今回の個展『Another Eye』にも同様の想いが込められている。詳しくはこちら。▶︎オススメ記事・「政府の対応を待っていたら、みんな死んじゃう」。“ときに危険を伴う呼吸の二面性”を芸術で発信する女性・54杯目:「セックスのこと、教えて」。担当医も教えてくれない、病気や障害を持つ人の“性教育”を話す場を作る若者 #ChronicSex|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会All photos by Keisuke MitsumotoText by Keita TokunagaーBe inspired!
2018年03月08日月刊誌『JUNON』(主婦と生活社)が主催している「第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」が26日、都内で行われ、千葉県出身で日本大学1年生の綱啓永(つな けいと)さん(18歳)がグランプリに輝いた。「第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリに輝いた綱啓永さん若手俳優の登竜門的なコンテストとして1988年にスタートした「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」。過去には武田真治や菅田将暉など数々のスターを世に送り出し、ファンはもちろん芸能関係者からも高い注目を集めている。30回目という節目の大会でもある今年は、過去最高となる1万7,293人が応募。段階的に審査を行い、勝ち残った13人のファイナリストがこの日の最終選考に臨み、グランプリには綱啓永さんが選ばれた。綱さんは敗者復活からのグランプリ獲得で、敗者復活からグランプリとなったのは、同コンテストで初めての快挙。「一度は諦めました。落ちた時は泣きましたね。でもTwitterで皆さんが応援してくれて復活することができ、その時はめちゃくちゃうれしかったです」と支えてくれた人々に感謝し、自分の名前を呼ばれて「本当にうれしくて、賞を獲れるとは思っていませんでした。(エントリーナンバー8の)『は』と聞こえて涙が出てきました」と振り返った。コンテストに応募した経緯については「母の実家が大阪で、母の友人から『受けてみない?』というお話があり、推薦してもらいました」と説明。グランプリを獲得したことで期待される芸能界入りに「興味はありましたけど、入ろうとは思っていませんでした。でもこうやってきっかけをいただいたので、グランプリに選ばれてよかったです」と話し、「ジュノンから出ている溝端淳平さんや山崎賢人さんのような俳優さんになりたいです。好きな女優さんは同い年の広瀬すずさんです。共演したいし恋人役がいいですね!」と目を輝かせていた。そんな綱さんについて、審査員のブルゾンちえみは「写真で見てたのと違って、直接お会いして魅力的だと思いました。もちろん写真でもイケメンですけど、写真だけでは見えないものがあったりしたのですごく良かったです」とコメント。この日司会を務めた中山秀征は「今日は本当に第一歩。今日のドキドキした気持ちを忘れないで欲しいです。どんなスターになっても実るほど頭を垂れる稲穂かな。おっさん臭いね(笑)」と自虐的に語るも芸能人の先輩としてアドバイスを送った。なお、準グランプリには山形県出身の富樫慧士さん(16歳)、審査員特別賞には京都府出身の佳山悠我さん(14歳)、フォトジェニック賞には大阪府出身の奥野壮さん(17歳)、SHOWROOM賞には福岡県出身の入江海斗さん(18歳)、サムライボーイ賞には大阪府出身の伊藤真央さん(15歳)、DDセルフプロデュース賞には大阪府出身の徳永智加来さん(14歳)がそれぞれ受賞。また、富樫さんはQBナビゲーター賞、佳山さんは黒騎士と白の魔王賞、奥野さんは明色美顔ボーイ賞のダブル受賞となった。
2017年11月27日「同じオーディションに合格し、デビューしてから7年。同じ作品に関われたことが本当にうれしかったです」 そう同じ思いを語るのは、俳優の町田啓太(27)と鈴木伸之(25)。2人は所属する劇団EXILEの同期。「まっすぐな性格は、17歳のころから変わらない」と鈴木について町田が語れば、「町田は特別な存在」と鈴木。 ’15年からスタートした『HiGH&LOW』シリーズでは、ヤマト(鈴木)とノボル(町田)として親友を演じてきた。ドラマ、映画、ライブ、テーマパークとのコラボと、多くのメディアで展開したこの一大プロジェクトも、映画『HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION』(11月11日全国ロードショー)で最終章を迎える。 「ノボルは一時、反社会的組織の一員だったこともあって、登場人物のなかでいちばん波瀾万丈な人生を歩んだと思います。(岩田剛典演じる)コブラやヤマトと初めてバイクで並走したときは感動しました。こんなに気持ちいいこと、みんなずっとやっていたんだ、ずるい!って(笑)」(町田) 町田が出演する映画『こいのわ婚活クルージング』も11月18日に公開。また、鈴木は現在、ドラマ『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系・日曜22時30分~)に出演中だ。 「東京ドーム公演は、俳優ではなかなかできないような貴重な経験でした。劇団としてもっと多方面に進化していきたいと強く思いました。(読者プレゼントの)写真に添え描きした“ポラくん”の絵も知名度を上げたいです!(笑)」(鈴木) 「SWORD地区」を舞台に、男たちの闘いと友情の物語『HiGH&LOW』はついにクライマックスへ。反社会的組織との激しい闘争のなか、一人姿を消したコブラや、病いに倒れたスモーキー(窪田正孝)を非情な手から救うため、SWORDメンバーたちは最後の闘いに挑む!
2017年11月13日