3人が並ぶと壮観である。9番・ボージャン・クルキッチ、10番・大迫勇也、11番・武藤嘉紀。8月22日、ヴィッセル神戸の新加入記者会見が行われた。大迫とボージャンは自主隔離期間中のためオンラインでの参加となり、一堂に会したわけではないが、高まる期待感は変わらない。3人のFWは次のように新天地での意気込みを語った。武藤「6年間の海外生活を経て日本へ戻って来た。これはさらに成長するための第一歩だと思っている。神戸の力になれるよう精一杯がんばりたい」大迫「僕はただ神戸でタイトルを取りたいという思いだけで移籍を決めた。本当に全力を尽くしたいし、何かを成し遂げたい」ボージャン「日本に来てプレーする機会を与えてくれたヴィッセル神戸に感謝している。楽しみにしているし、すべての目標を達成できるよう100%のモチベーションでプレーしたい」前夜、『明治安田生命J1リーグ』第25節・鹿島アントラーズ戦で後半から出場し決勝点をアシストした武藤は神戸デビューの感想を求められると、このように振り返った。「昨日の試合については6年ぶりの日本のピッチ、ワクワクした気持ちで臨んだ。僕が帰って来た理由は神戸に勝利をもたらすこと、タイトルをもたらすこと、アジアナンバーワンクラブにするということ。僕の内容うんぬんよりも勝利という結果を残したこと、アシストという結果を残したことをうれしく思うが、コンディションをもっと上げて、勝利に貢献できるよう日々がんばっていきたい」欧州でのプレーではなく、日本でのプレーを決断した理由を問われた大迫とボージャンは、こう答えた。大迫「いろんな選択肢があった中、FWとして純粋にもう一回ゴールを取りたい、もう一回取り続けたいなと。チームを勝たせたいという思いが強い。それを続けることが、チームの助けになると思うので、そこを目指してやっていきたい」ボージャン「日本でプレーするチャレンジにモチベーションを感じた。(アンドレス・)イニエスタや(セルジ・)サンペール、武藤という友人がいる環境も魅力的。このチームのために全力を尽くしたい」3人は神戸の印象とともにサポーターへのメッセージを発した。武藤「選手の環境に投資してくれる。選手としてこれ以上ない環境が整えてくれるので、選手としてこれほど幸せなことない。アジアナンバーワンクラブになるというヒジョンがある中、チームに対して恩返しではないが結果を残していきたい。昨日は2年ぶりにサポーターがいる中でプレーしたが、サポーターの存在が大きい。サポの力が後押しになることが幸せだと改めて感じた。これからも支えてほしいし、僕らもサポーターを喜ばさないといけないと思うので、プレーと勝利で笑顔にさせられればと思う」大迫「神戸は2年前に『天皇杯』で優勝し、これからのチームだと思う。これからどんどんタイトルを積み重ねていきたい。僕はやっぱりゴールを取ってチームが勝つ、それをひとつずつ積み上げていくことが大事。最後にサポーターとともに喜びたいので応援をお願いします」ボージャン「クラブの印象はポジティブな話しか聞いていないので、それが要因になった。イニエスタとサンペールから神戸での生活を満喫していると聞いた。昨日の試合を見て本当にワクワクしている。100%出して早くクラブに貢献したい。早くサポーターに会いたい」記者会見には三木谷浩史会長も同席。ドイツで7年半戦い日本代表のエースに君臨する大迫にブンデスリーガ(ドイツ)、プレミアリーグ(イングランド)、ラ・リーガ(スペイン)を渡り歩いた武藤、バルセロナで数々の最年少記録を塗り替えて、その後ローマやミラン、アヤックスなどでプレーしたボージャンという大型補強の意義を尋ねられると、このようにコメントした。「ヴィッセル神戸は1995年の阪神・淡路大震災が起こった日が最初の練習日という神戸という町にとって重要なクラブ。日本のサッカーにおいて実力、戦力、ビジネス面でアジアのサッカーを切り開くという重要なプロジェクトを負うクラブ。その中、2017年にまず(ルーカス・)ポドルスキが加入し、イニエスタ、(ダビド・)ビジャ、トーマス・フェルマーレン、サンペールという世界的な選手の補強とともに内部の下部組織からの充実の両立。昨日も内部からたくさんの選手が出てきたが、そういう形でやっている。ボージャン選手、大迫選手、武藤選手が神戸に参加してくれたのはヴィッセル神戸だけではなく、日本のサッカーにとっても大きなニュースであり大きな出来事。将来的にJリーグがプレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガに並ぶ可能性がある私は強く信じている。やるからには非常に魅力なクラブ、魅力的なリーグを作っていきたい。イニエスタが来たのも将来的な日本のサッカー、将来的なアジアのサッカーに可能性を感じたからだと思う。Jリーグはなんかこじんまりまとまっているなんて言ったら怒られるかもしれないが、パリSGとは言わないまでも、積極的な投資とともに魅力的なコンテンツがあって、経済的にもサステナブルになっていくのが私たちの目標」記者会見後、選手たちは質疑応答をした。まずは大迫が登場。「まずFWとして出られることが一番。点を取りたいという思いが強かったし、神戸ならタイトルも取れるかなという思いもあったので、これからさらにチームも良くなっていくと思うし、より強化していくと思う。(代表クラスのFW3選手の加入について)今までにないから面白いんじゃないですか。普通じゃ勝てないし、神戸が勝つためにという思いしかない。そのために僕も点を取り続けたい。(背番号10について)10番だからと特別なことをするわけではない。ドイツや代表でやってきたプレーをするだけ、まず自分にしっかりフォーカスを当ててしっかりプレーしたい。(どんなプレーを見せたいか)やってみないとわからないところもあるが、しっかり技術がある選手が揃っているので、僕も楽しみ。プラス相手にとって怖さを出せればと思っている。(日本代表について)代表は結果を残さないといける場所ではないので、まずは神戸でしっかり結果を出して、しっかり勝ちに導けるプレーをすることだけしか考えていない」続いてボージャンが現れた。「いくつかオファーがある中、神戸がベストだと感じたことがすべて。プロとしてひとりの人間としてもここに来るのが正解だと感じた。神戸でも自分のプレーを出せると感じた、昨日の試合を見てもいい選手が揃っている。(MLS・モントリオール退団後について)その期間はバルセロナで練習していた。いろんなオファーがある中、コロナ禍で状況を見ながら、自分にとってベストのオファーを待っていた。神戸には日本でプレーするチャンスをくれたこと、私が愛してやまないこのスポーツを再びさせてくれる機会をくれたことに感謝している。(各国・各クラブを渡り歩いて)国やチームが変わればすべて変わってくる。いろんなチームを経験した、いい日もあれば悪い日もあった。デビューした時とは全く違う選手に成長したと思っている。(イニエスタについて)彼は私にとって友人。バルセロナでのデビューから数年間ともにプレーし、一番の友人であり、身近に人間味を感じたひとり。出だしの頃からスター選手だったイニエスタにサポートしてもらい、気さくに声を掛けてもらったのは大切な思い出。そんな彼と再びプレーできることをうれしく思う」最後に武藤が登壇した。「欧州に残る選択肢もあったが、今一番自分が成長できるのはどこかを考えた時、それが神戸だと思い、この決断をした。コロナ禍で生活や食事に制限があり、オンラインでのトレーニングになってしまい、すべてをサッカーに捧げられていなかった。日本ならば素晴らしい準備ができると思い、Jリーグで毎試合出てゴール感覚を取り戻し、ゴールマシンになる目標を立て今回大きな決断をした。(FC東京について)FC東京は僕を育ててくれた大事なクラブ、今回は神戸さんが熱くオファーしてくれて、かつ選手として必要としてくれた。武藤嘉紀という選手をより必要としてくれたので、決断した」(代表クラスのFW3選手の加入について)ボージャン選手はFWというFWではないので、ポジションを争うという感覚ではない。大迫選手は日本を代表するストライカー。タイプは違うが、大迫選手の良さを身近で盗めるのはこれ以上ない環境、わくわくしている。日本代表を諦めていないし、ここで結果を出せばまた呼んでもらえると思うので、またトレーニングからコツコツとやっていきたい。(海外での6年について)この6年間、海外のトップリーグでプレーして難しかったこと、つらかったことが多かった。ドイツでは大きなケガをしたし、プレミアでは出場機会が少なかった。スペインでは6年間で一番いいプレーができたが、結果を残せなかった。スポーツの世界にはたらればはないので、それが自分の実力だと思うので、海外で経験した良かったこと、悪かったことのすべてを力に変えて日本でさらに成長したいし、活躍してヴィッセル神戸というチームに還元していきたい。(今季の目標について)タイトルを取るのは難しくなってきたので、『ACL』圏内に入ること。チームの目標でもあるので、まずそこを達成したい。そして自分としては数字という結果を残すこと。自分がゴール、アシストすることが何よりもチームの助けになると思うので、ゴールマシンにならないといけないという気持ちを持って臨みたい」神戸はここまでリーグ戦で12勝8分4敗・勝点44の4位。3位・サガン鳥栖より1試合消化ゲームが少ないながらも同じ勝点をマークしている。次戦は8月25日(水)・昭和電工ドーム大分での『明治安田J1』第26節・大分トリニータ戦、中2日で28日(土)・ノエビアスタジアム神戸での第27節・FC東京戦を戦う。大分戦のチケットはJリーグチケットにて発売中。2試合ともDAZNにて生配信。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2021年08月23日サッカーU-24日本代表の田中碧、三笘薫、橋岡大樹、 大迫敬介、計4選手の貴重なインタビュー記事を集めました。プレースタイルや強みのほか、知られざる素顔も。大舞台で戦う彼らの魅力にたっぷり浸ってください!U-24日本代表の精鋭、田中碧、三笘薫、橋岡大樹、大迫敬介の4選手が登場!これまでanan、及びananwebにご登場いただいたU-24日本代表の選手インタビュー記事を集めました。プレースタイルのほか、知らなかった意外な私生活のことも。素顔を知ればもっと応援したくなること間違いなし!まずは、アメージングなドリブルで多くの人々を虜にする三笘薫選手からどうぞ。三笘薫選手「僕は自分の世界を持っている」『anan』2021年3月31日発売号の「色気の在りか。」特集では、アスリートの色気ページにご登場いただき、精悍な眼差しのグラビアが大反響を呼んだ三笘薫選手。周囲の期待やプレッシャーの対処法を、誌面にあるように「毎試合の反省点を練習に落とし込んで次に活かす。それを積み重ねていくしかない」と即答。ほかにも、2年目のジンクスについては「今季はより実力を求められると思いますし、各クラブ、僕に対する対策もいろいろとしてくると思います。そのうえでも、それを上回る活躍をしたい」と語り、抱負をたずねると「自分のステータス、実力を1日1日伸ばしていきたい」とコメント。どれも間髪入れずに答えが返ってきて、その速さは、次の質問を考えるのにこちらが困ってしまうほど。ーーピッチ上で魅せるプレーのように、迷いのない答え方をされますね。どれも前から心に決めていたような。大学時代から、プロになってからのことをイメージしていました。自分のパフォーマンスを最大限に活かすには、どのような準備をすればいいのかをずっと考えていたんです。いざプロになり、観客数やプレーヤーとしての見られ方も違うので、最初の頃は見極めながらやっていましたけれど、4年間、自分を客観的に見つめられる時間をもらえたおかげで、こういった考えに辿り着けましたし、ブレずにやってこれているのだと思います。ーー若くして海外に挑戦する選手が目立つなか、あえて大学進学を選んだ理由にもつながりそうですね。どちらがいいか悪いかというのではなく、プロに行く時期は自分の成長に合わせて選べばいいと思っていて、それが僕にとっては大学卒業後のタイミングだったんですね。僕にとって大学の4年間は、プロへの心構えができただけでなく、サッカー以外の活動や勉強にも取り組むことができました。そして、いまのサッカーに専念できる環境をとてもありがたいとも思える。すごく大きなメリットだったと思っています。ーーでも、サッカー以外のことに時間を費やせるということは、誘惑も多々あり、だったのでは?大学に限らず、高卒からプロになるケースでも言えると思いますし、それは自分を律していくしかないです。遊んでしまえば、当然プロになれないですから、覚悟を決めて過ごしていました。ーーこうお話を聞いていると、三笘選手は周りに流されず、自分で考えて決めたことを実行に移すタイプ、と思えます。そうですね、どちらかというと、自分の世界を持っているほうです。また、例えば試合があるとして、そこから逆算してやるべきことを計画していくので、ルーティーンもけっこうありますね。前日の過ごし方や食事の摂り方をパフォーマンスに結びつけて、今回よかったからこれを続けようとか、逆に悪かったからこうしてみようとか、いろいろ積み重ねて自分なりにベストを導き出すようにしています。ーー流されないといえば、昨シーズンに多かった途中出場でも、ピッチ上の空気をすぐにご自分のものにされていた印象があります。よく冷静と言ってもらえる状況判断やプレーは、動じない性格が影響しているかもしれないですね。ピッチに入る前はドキドキしますけれど、一度ボールに触れれば練習と同じ感覚になれます。そこからは自信があるので、いつも通りの動きができますね。ーー感情的になったりすることは?カッとなる時はもちろんありますよ。絶対に得点できる位置に自分がいるのに、ボールが来なかった時などはそうなりますね。でも、私生活同様多くは主張しません(笑)。「次、見ておいてね」と自分の存在をアピールするくらいにしています。とはいえ、自分自身をどう評価しているかといったら、どのプレーも極められていません。シュートはまだ課題があるし、ドリブルも奪われるので、むしろ満足できる部分はひとつもなく、伸びしろだらけだと思っています。ーー特に、弱みを挙げるとしたら?言えないので、全部、と言っておきます(笑)。ーー(笑)。では、具体的な目標を教えてください。目標というよりも、日々の練習から到達できるものとして、怪我をしないで全試合出場、タイトル獲得に貢献、日本代表に選出、ワールドカップに出場、などを挙げたいですね。成長の指針をどんどん伸ばして、去年以上に自分はやれるという自信がほしいですし、去年より成長したと思えるような一年にしたい。そして、日本に限らず世界に自分の名が知られるような活躍をしたいです。※写真・岡本俊(まきうらオフィス)、文・伊藤順子※2021年4月17日配信。ーー加えて、冒頭にも触れた『anan』2021年3月31日発売号「色気の在りか。」特集の、三笘選手のページもご紹介しましょう!三笘選手の思う、「アスリートの色気」とは?難しいプレーを簡単そうに見せる選手に“色気”を感じます。ーー昨シーズンを振り返って。充実したシーズンでしたが、満足した試合はひとつもないですね。たとえ得点に結びついても、そのプレーが実力かどうかは自分で判断しています。周りの評価や期待が気になる時期もありましたが、コンディション維持に集中することが結果につながると思うので、毎試合の反省点を練習に落とし込んで次に活かす。それを積み重ねていくしかないと思っています。武器であるドリブルや、パスの精度をもっと高めて、“どうやってるの?”と不思議に思われるようなプレーを見せたいですね。ーー間近で見るほどに揺らぎのない強い眼差しは眩しく、謙虚さと強い意志が紡ぎ出す言葉の端々からは、プロ2年目の23歳とは思えない自信と風格さえも感じさせる。そこに、別次元のドリブルを繰り出すプレーだけじゃない、三笘選手だけの“色気”、人を惹きつける輝きがある。そう言っていただけるのは嬉しいですが、僕自身は全くないと思っています(笑)。色気を感じるのは、いやらしいプレーをする選手かな。クラブで言うなら家長昭博選手。フィジカルが強くて、難しいプレーを簡単そうに見せるのもうまいし、スペースの取り方、味方を鼓舞するところでもいろいろと引き出しが多くて勉強になります。ビジュアルもカッコいいですしね。普段の僕は、あまりしゃべらないほうで、いじるでもなくいじられるでもなく、そのやり取りを端っこで見ているような悪いタイプ(笑)。休日は、部屋で好きな音楽を流しながらゆっくり過ごすことが多くて、あとはサッカーの動画や映画を観たり…。目的を持って生活したいとは思いますが、プライベートは地味な毎日を送っていますね(笑)。※『anan』2021年3月31日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)スタイリスト・中根美和子取材、文・伊藤順子(by anan編集部)※2021年3月27日配信。ーー続いては、守護神・大迫敬介選手。ゴールキーパーの役目は、ただゴールを守るだけではない…?大迫敬介選手「女性には僕のこのプレーを見てほしい!」――日本代表に選出され、Jリーグの中でも一躍注目される選手となられましたが、意識している選手はいますか?同じゴールキーパーである、浦和レッズの西川周作選手ですね。憧れだし、まねしたい選手です。――どんな部分をまねしたいのですか?ゴールキーパーって、ゴールを守るだけのイメージがありますが、西川選手はそうじゃない。攻撃の起点を作れる選手なんです。この間、浦和レッズ戦で互いに先発出場した時には、試合後、ユニホーム交換もさせてもらって。嬉しかったです。――では、大迫選手のプレーのポイントは?西川選手とまさに同じです。自分がボールをキャッチした後に、思い切り前に蹴って前線のフォワードの選手にボールを回して、一気にピンチをチャンスにするのは僕が得意とするところ。なので、キーパーはそういう攻撃の起点になれるポジションでもあるということを、僕のプレーを見て知ってほしいなと思います。――そういう具体的に観るポイントがあると初心者も観戦を楽しめそうですね。そうですね。そして、僕、試合中はめちゃめちゃ声を出します。叫びまくっていますね。スタジアムによっては声が通りにくかったりするので、ゴールキーパーは声を出すこともひとつの大切な仕事だと思っています。そこもぜひ注目してほしいですね。※写真・大嶋千尋文・薮内加奈※2019年9月15日配信。ーー3人目は、浦和レッズからシントトロイデンに期限付き移籍をしている、アグレッシブなプレーが持ち味のディフェンダー、橋岡大樹選手。橋岡大樹選手「緊張をほぐすために、笑うようにしています」プレー中の真剣な表情とは打って変わり、撮影、取材中は冒頭からニコニコ笑顔。初対面とは思えないラフな雰囲気でインタビューが始まりました。ーーカメラマンの「笑って!」といういきなりの要求にも素直に応えてくれました。緊張はしないのですか?緊張はします。だからこそ、ほぐれるように笑顔を心がけているんです。僕のチャームポイントでもありますね。もちろんいつも笑っているわけではなく、場をわきまえていますよ。ただ、仲間内ではヘラヘラしているからか、よくいじられます(笑)。でも、みんなとワイワイしているのが好きなので、いじられるのは全然かまわないし、僕からいじったりもしています。ーーピッチ外では朗らかで親しみやすい印象がありますが、実はお父さまは元野球選手、お母さまは元陸上短距離選手であり、叔父さまは棒高跳びの元日本記録保持者、そしていとこに、陸上走り幅跳びの橋岡優輝選手がいるアスリート一族。サラブレッドの橋岡選手も浦和レッズの育成組織であるアカデミー育ちということで、非常に厳しい競争を勝ち抜いてこられました。いやいやそんな……(と、しきりに謙遜)、でも、確かに昔から運動神経はいいほうですね。野球でも陸上でもなくサッカーを始めたのは、兄の影響です。兄が「野球よりも楽しい」と入ったサッカー少年団に僕がついていきだしたのがきっかけですね。小1~6年まではそこにいて、中学から浦和レッズに入りました。セレクションは、何百人といたなかから、僕を含めて20人が選ばれたと聞いています。当時、自信なんてものはなかったですが、とにかく入りたい一心で臨みました。ーーそこから鍛錬されて2018年にトップチームへ昇格、そして日本代表にも召集されています。見事なまでの大躍進ですが、ご自分のプレーはどこが強みだと思いますか?熱く戦う姿、ですね。自分で言うのもなんですが、1対1の場面では粘り強くいくし、ヘディングも強い、そして足が速いと思っています。僕は、感動させるプレーをしたいんです。上手な選手はいっぱいいますけど、感動させられるプレーヤーは少ないんじゃないかと。海外でいうと、カルレス・プジョル選手(元FCバルセロナ、2014年現役引退)や、Jリーグでは田中マルクス闘莉王選手(2019年まで京都サンガF.C.所属)でしょうか。 だからこそ、多くの人が心打たれるような選手になりたいです。※写真・黒川ひろみ文・伊藤順子※2019年10月19日配信。最後は、川崎フロンターレからフォルトゥナ・デュッセルドルフへ移籍したばかりで、日本代表の勝利の鍵を握る中盤・田中碧選手。田中碧選手「点は決めたいけれど、目立ちたくないんです」ーー川崎フロンターレの、何十倍もの競争率を勝ち抜いた強者が集うアカデミーからの生え抜きである田中選手。トップチーム昇格後はデビュー戦で初得点し、記念グッズも発売され、まさに「エリート街道」をひた走る。だが、順風満帆かといえば、「18歳の時に引退を考えるほど追い込まれた」そうで、「先輩の助言が重荷に感じた」時期も。自分に打ち克つべく、課題を書き出し試合で成功体験を重ね、今や東京オリンピックを担うU‐22(2021年現在はU-24)日本代表になるほどの存在に。「MFという役割は、FWのような派手さはありませんが、僕を起点としてゴールが生まれるので、パス回しなどを見てほしい」努力家で負けず嫌い。アスリートならではの性格が垣間見えるが、自称「恥ずかしがり屋」。「点は決めたいけれど、目立ちたくないんです。友達がわちゃわちゃしてるのもそっと見ていたいし、休日はずっと家にいたい」夢を尋ねると「フル代表はもちろん、いずれはヨーロッパに移籍し、チャンピオンズリーグで優勝すること」と即答。チームカラーのサックスブルーから代表の藍色、そして未知なる色へ。変わりゆく「碧」を見守り続けたい。※『anan』2019年11月6日号より。写真・小笠原真紀取材、文・伊藤順子(by anan編集部)※2019年初配信、2021年4月10日に再編集し配信。まとめ作成・伊藤順子
2021年07月22日1999年生まれ、現在20歳。2019年日本代表にも選出され、国内外から注目を集めるサンフレッチェ広島の若きゴールキーパー、大迫敬介選手。彼の考えるサッカー論は? プライベートは? 理想の女性像は? 素顔に迫りました。写真・大嶋千尋 文・薮内加奈日本代表へのこだわりがより強くなりました。――今年2019年2月、Jリーグ公式戦デビューののち、4月には日本代表招集、さらに6月には日本代表戦にてコパアメリカ2019に先発出場をされました。そして北中米遠征(9/2~9/11)のU-22日本代表メンバーにも選出と、怒涛の2019年前半でしたね。特にコパアメリカの招集期間はあっという間に過ぎた1か月でした。初の代表戦で右も左もわからなかったし、さらに南米への遠征ですから、もう無我夢中で、毎日が充実していましたね。テレビで見ていた同じゴールキーパーの川島永嗣選手と一緒に練習もできたし、滞在先のホテルでもいろいろお話をさせてもらいました。試合にも出場でき、4失点してしまったのは現実ですが、たくさんのことを吸収することができました。――川島選手をはじめ、海外で活躍している日本代表選手とともに過ごされていかがでしたか?刺激でしかなかったですね。年下の久保建英選手ももちろんそう。今は若い選手がどんどん海外に行っていますし、そういうのを見ると自分も海外でプレーしたいな、という思いはあります。来年の東京オリンピック出場をひとつの目標としながら、自分も海外に出て、いろいろなものを吸収したいです。――東京オリンピック代表連続選出という直近の目標と、海外クラブ移籍という将来の目標ができた遠征だったのですね。そうですね。特に日本代表へのこだわりは昔より強いものになったいい機会でした。女性には僕のこのプレーを見てほしい!――日本代表に選出され、Jリーグの中でも一躍注目される選手となられましたが、意識している選手はいますか?同じゴールキーパーである、浦和レッズの西川周作選手ですね。憧れだし、まねしたい選手です。――どんな部分をまねしたいのですか?ゴールキーパーって、ゴールを守るだけのイメージがありますが、西川選手はそうじゃない。攻撃の起点を作れる選手なんです。この間、浦和レッズ戦で互いに先発出場した時には、試合後、ユニホーム交換もさせてもらって。嬉しかったです。――では、大迫選手のプレーのポイントは?西川選手とまさに同じです。自分がボールをキャッチした後に、思い切り前に蹴って前線のフォワードの選手にボールを回して、一気にピンチをチャンスにするのは僕が得意とするところ。なので、キーパーはそういう攻撃の起点になれるポジションでもあるということを、僕のプレーを見て知ってほしいなと思います。――そういう具体的に観るポイントがあると初心者も観戦を楽しめそうですね。そうですね。そして、僕、試合中はめちゃめちゃ声を出します。叫びまくっていますね。スタジアムによっては声が通りにくかったりするので、ゴールキーパーは声を出すこともひとつの大切な仕事だと思っています。そこもぜひ注目してほしいですね。ふわふわの卵で作ってほしいです!ーー「僕、撮影になるといつも笑顔になっちゃうんですよね。真面目な表情をしようと思ってもすぐ笑っちゃう」と言いながら、さまざまな表情を見せてくれた大迫選手。ズバリ! 好きな女性のタイプは?大人っぽくて落ち着いている人がいいですね。今までは2、3歳でも年上は無理だなと思っていましたが、最近は大人の人もいいかな、と思うようにはなりました。――見た目のタイプも教えてください。僕は身長が高いので、同じように背の高い女性が好きですね。好きな芸能人ですか? コロコロ好みが変わるんですよね。今なら新垣結衣さんが好きです。料理ができそうじゃないですか? あ、料理できる人も好きです。――彼女ができたら何を作ってほしいですか?大好きなオムライスがいいですね。ふわふわとろとろの卵が乗ったやつがいいです!――ちなみに女性のどんな仕草が好きですか?結んでいる髪をほどく瞬間は見ていていいな、と思います。ラフに、バサッと。髪の毛が長い女性も好きですね。大人っぽいイメージだし。これからが正念場。Jリーグのタイトルを獲るのが使命です。――Jリーグも残り試合が3分の1となり、サンフレッチェ広島は現在4位(9月3日現在)。優勝争い圏内ということもあり、大迫選手も一段と気合いが入っているそう。残りの試合はどういった活躍をしていきたいですか?優勝争いに確実に食い込むためには残り一試合も落とせません。上位にいることもあり、他のクラブは研究してくると思いますし、簡単には勝てないことはわかっています。上位チームとの試合も残っているので、なおさら気合は入りますね。――クラブ内の正ゴールキーパー争いにも注目しています。サンフレッチェ広島はキーパーのレベルが高いですし、1回ポジションを取られてしまうと取り返すのが難しいです。コパアメリカから帰ってから何試合か試合に出られなかった時も、いつ自分に出番が回ってくるかわからなかったので、いつでも常に準備はしていました。でも、それも楽しいです。レベルの高い先輩ゴールキーパーがいることで自分も刺激になっています。終始嬉しそうにサッカーの話をしてくれた大迫選手。サッカーは好きですか?と問うと、「好きでたまらないですね」と即答してくれた少年のような笑顔の先には、Jリーグ制覇、そして海外への道しるべが明確に見えているようでした。Information9/28(土)vs名古屋グランパス(19:00キックオフ@エディオンスタジアム広島)
2019年09月15日約2年ぶりのニューアルバム『Babe.』を携え、2月25日故郷の大分を皮切りに始まった全国ツアー「阿部真央らいぶNo.7」。全16公演の折り返しとなる3月26日(日)福岡サンパレスホールで行なわれたライブの模様をレポートする。【チケット情報はこちら】会場外のロビーには、ピンク地に「女」のロゴがデザインされたフラッグや、ツアーの特製バックパネルが設置されており、その前で記念写真を撮るファンが後を絶たない。また、ツアーグッズのマフラータオルをお揃いで首にかけているファンたちも多く見られ、その姿から準備万端、開演前からツアーを心待ちにしている様子が伺えた。会場を埋め尽くすのは、10代後半から20代の女性を中心とする幅広いファンたち。女性2人連れから男子グループ、家族連れまで世代を超えた様々な観客たちが声を合わせ、久々のライブが待ちきれないとばかりに開演前からスタンディングの「あべま!」「お!」コールが起こる中、ライブは幕を開けた。ニューアルバムからの『Don’t let me down』を含む数曲を披露すると短めの挨拶を挟み、次々とテンポよく人気のナンバーをたたみ込む。ミュージシャンたちのタイトかつエネルギッシュなパフォーマンスと、見るものを魅了するライティングにも目を奪われる。そんな中、1曲ごとに力強く、違う魅力を見せていく阿部真央。その姿からは、またひとつ引出しが増え、歌手としての表現力も凄みも増したことが如実に感じて取れる。母になった心情を素直に綴った名曲『母である為に』では、そのハリのある歌声とストレートに胸に響く歌詞がゆっくりと共鳴し合い、会場はしばしの間、まるで時間の感覚が遠のくような濃密な歌の世界に飲み込まれた。後半戦はロック、フォーク、ファンク、ポップスと縦横無尽にジャンルを行き来するシンガーソング・ライター、阿部真央の真骨頂。時にネガティブにもポジティブにも振れる等身大の赤裸々な心情を、ギターをかき鳴らしヘビーに歌ってみせたかと思うと、次の瞬間、元気いっぱいのダンスとともにキュートに歌いあげる。またMCでは、彼女の今の想いを伝える真摯なひと言ひと言に会場中から温かい声援が飛んだ。痛みも弱さも隠さず、その時々のいろんな感情が詰まった曲をパワフルなパフォーマンスで魅せてくれた彼女。母となり、大きな人生の決断も乗り越えて、さらにしなやかさを増した阿部真央の濃厚な“今”が詰まったライブツアーは、4月23日(日)東京国際フォーラムでのファイナルに向け、いよいよ後半戦に突入だ。各会場の公演チケットは発売中。取材・文:大迫章代
2017年04月03日