子どもの学校選びで、様々な学校を調べているママも多いと思いますが、「教育モデル校」という言葉が出てくることはありませんか?そうした学校に通わせることで、先進教育に触れる機会を増やせるため人気は高いようですが、そもそもモデル校ってどうやって選ばれるの?教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに聞きました。モデル校のテーマは多岐にわたるまず、モデル校はどれくらいあるのかを聞こうとしたところ、「ひと口にモデル校といっても、たくさんあるので数はわかりません。各教育委員会にお問い合わせください」と中曽根さん。「たくさんある」とは、どういうこと?「例えば、最近では、英語学習・プログラミング教育・道徳教育などテーマはたくさんあります」(中曽根さん、以下同)実際、「平成29年度東京都教育委員会研究指定校一覧」を見てみると、かなりの数が…。中曽根さんの言う通り、そのテーマは様々で、「安全教育推進校」「人権尊重教育推進校」「日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業」など、学習以外のことでもモデル校が指定されているようです。モデル校を指定する目的・基準は?何を目的としてモデル校を指定するのか、というのも気になるところ。これに関して、中曽根さんは、「文科省がその時そのときに力をいれようとしているテーマを推進するために、モデル校を作り施策の実現をはかるため」と話します。先ほどの「平成29年度東京都教育委員会研究指定校一覧」にも記載されているので、一部紹介します。【日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業】「2020東京オリンピック・パラリンピック教育における伝統・文化に関する取組について、地域の専門的な知識や技能を有する外部人材の活用を通して、児童・生徒の専門性を高めるとともに、外国人と積極的に関わり、意見交換する機会等を設定し、日本の良さを発信する能力や態度を育成する」【安全教育推進校】「学習指導要領及び都教育委員会教育目標等に基づき、学校において、幼児・児童・生徒に危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育成するため、効果的な安全教育を実践的に研究し、その効果を普及することをねらいとして、安全教育推進校を指定する」このように、テーマごとによって、目的も異なるのです。また、もうひとつ気になるのは、誰がどうやってモデル校を決めるのか。中曽根さんいわく、「明確な基準が開示されているわけではありませんが、各学校、特に学校長が手をあげて、学校の実状や地域のバランスなどを鑑みて、教育委員会が決定することが多いと思います」とのこと。また、「場合によっては、教育委員会から学校側に打診されることもあると思います」とも。都道府県や市町村ごとに、モデル校一覧をまとめていることもあります。自分の子どもが通う学校は何かのモデル校になっているか、もしくは力を入れて学んでもらいたいことのモデル校はどこかなど、事前に確認してみてはいかがでしょうか?(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月22日子どもへの英語教育に関心が高まるなか、学校以外にも「子どもの英語教育」に関心を寄せている親は少なくないだろう。そこで、実際に子に英語教育を始めている人は何歳ごろから、どんな学習を選択しているのか?ママテナの独自インターネット調査で「英語教育の実施状況や、2020年の英語教育義務化に関する本音」を探った(調査期間:2018年1月19日〜1月23日、有効回答数:172人)。●約8割の親は、学校以外での英語教育の必要性を実感まず子どもがいる親を対象に「英語教育についての現状」を質問したところ、次のような結果となった。1位現在子どもの英語教育を行っている……51.8%2位現在は行っていないが、将来的には英語教育を行いたい……27.4%3位子どもの英語を行う予定はない……20.7%「現在子どもの英語教育を行っている」親がかなり多く、さらに「現在は行っていないが、将来的には英語教育を行いたい」と考えている親も含めると、実に約8割は学校以外の英語教育が必要だと考えているようだ。英語教育を行っている人、行いたいと思っている人にその理由を尋ねると、一番多いのは「将来、英語が必要な時代になり、少しでも働くうえで選択肢が増えればと思って習いはじめました」(30代後半)「将来英語は話せて当たり前な世のなかになると思うので」(30代後半)など、国際化社会への対応を視野に入れた理由だった。一方で「小学校から英語が必修となるため、早くから英語に慣らせたかった」(30代前半)といった、2020年よりスタートする小学生の英語教育義務化を見据えた回答も目立った。小学校3年生より英語教育がスタートし、5、6年には教科として成績もつくようになるという。また意外に多かったのは「本人が興味を持ったから」(40代前半)など、子ども自身が英語教育に興味を持ったケース。すでに英会話スクールに通う友だちがいたり、英語のアニメに触れたりする機会があると、自ら英語に興味を持つことも多いようだ。●すでに始めている人の半数は、3歳以下からスタート!では、子どもに英語教育を行っている親は、どういった学習方法を選んでいるのか?同調査では「将来的には英語教育を行いたい」親も含め、その内容について調査。結果は次の通りだ。1位英会話スクール、英語教室などに通う……69.4%(将来的に行いたい66.7%)2位英語の教材やラジオなどで家庭学習させる……36.5%(将来的に行いたい37.8%)3位ネイティブスピーカーや英語が得意な人と関わりを持たせる14.1%(将来的に行いたい26.7%)4位外国で暮らす、留学……3.5%(将来的に行いたい13.3%)圧倒的に人気なのは「英会話スクール、英語教室に通う」。ほか英語の家庭学習も根強い人気だった。さらに子どもに英語教育を行っている親と、将来的には英語教育を行いたい親を対象に、英語教育を始めた(始めたい)年齢についても調査。その結果は後述の通りだが、こちらは始めた年齢と始めたい年齢で、大きく結果が異なっている。・英語教育を始めた年齢1位0歳から3歳……52.9%2位4歳から6歳……29.4%3位10歳以上……11.8%4位7歳から9歳……5.9%・英語教育を始めたい年齢1位10歳以上……31.1%2位4歳から6歳……24.4%2位7歳から9歳……24.4%4位0歳から3歳……8.8%すでに始めている人たちの半数以上は0歳から3歳からスタート。52.9%のうち、言葉がほぼ話せない0歳から1歳で始めている人も、21.2%いた。これから始めたい人たちで一番多いのは「10歳以上」。どうやら英語教育は赤ちゃんの頃から始めている層と、小学校高学年以上に始める層で大きく分かれているようだ。●小学校の英語教育義務化は賛成も、授業内容に不安さらに2020年から始まる小学校の英語義務教育化についての率直な感想を尋ねた。「良いことだと思う。教室に通わなくても学校の授業で同等の教育ができたらとてもありがたいことだと思う」(30代前半)といった期待を持つ意見もあるが、かなり目立ったのは「英語の早期教育はいいと思うが、学校、教師によってレベルや内容に偏りが起こりそうで心配」(30代前半)、「良いと思う、ただ今までのような文法重視の英語教育はやめて欲しい」(30代前半)といった、早期英語教育は必要としながらも、教育内容に不安を覚える意見だった。今回の調査結果で実感したのは、学校の英語教育に期待が持てない親がとにかく多いこと。だからこそ英会話スクールや家庭学習などの英語教育への関心も高く、高い実施率となっている。そんな親たちの期待や子どもたちの努力が果たして、将来的な英語力向上に実を結ぶのか?できれば親子の想いや努力が、報われる結果となってほしい。(取材・文:高山惠編集:ノオト)
2018年02月18日いよいよ我が家のおっとり長男も春から小学生です。同じく新1年生のお母さんたち、入学準備は着々と進んでいますか?我が家では年内に届いたランドセルに腕を通した長男の案外しっかりした背中に、ついこの間まであんなにぷくぷくで、ハイハイしていたあの子が…と早くも目頭が熱くなっちゃいました。小学校ではどんな生活が待っているのか、親子で期待に胸を膨らませつつ、でも最近ある情報を小耳に挟んでからちょっと不安なことがあります。それは、「2020年から、大規模の教育改革」があるということ。学校教育や大学入試も変わるとのことで、小学校でも英語が教科になるそうです。 英語の教育改革では、現在5・6年生で行われている「外国語活動」が3・4年生で実施され、5・6年生では、英語が教科となって成績がつくようになるとのこと。(一部の学校では、2018年度から先行実施される学校もあるそうです)英語が苦手すぎて、必修外国語に英語が無いという理由で進学先を日本史学科に選んだほどのコンプレックスがあるワタシ(恥)…。今でも外国の方を前にすると、急に寡黙な微笑みの精と化します。夫は反対に英語が得意な人ですが、本人いわく相当な努力の賜物だそうなので、小学校からの英語教育に子どもがちゃんとついていけるのか…今から心配になってしまいます。そんな中タイミングよく! ウーマンエキサイトさんからのお声がけで、教育のプロにお話を伺う機会をもらいました。英語教育について、気になっていたギモンをいろいろぶつけてみました!!小5から英語に「成績がつく」とは?tomekko:英語が教科になるってどういうことですか? これまでと何が違うのでしょうか。加藤さん:英語に慣れることから英語力の基礎を身につけることに目標がレベルアップし、身についたかどうかのテストがあるということです。実はすでに2011年度から、5・6年生に対しては「外国語活動」という教科ではないかたちで、週1回英語教育は行われています。教科書がなく、「英語に慣れ親しむ」という目的で、ゲーム・あいさつなどを行う簡単なもので、調査結果では、そのレベルに満足していない保護者も少なからずいらっしゃるようです。また、評価は評定(数値などの段階であらわされるもの)がつかない形で行われており、「積極的であったかどうか」などの意欲や態度を中心に記述される形で行われています。しかし2020年度からは、現在行われている「外国語活動」は3・4年生で実施となり、5・6年生は「教科」で週2程度行われ、「評定がつく」ようになります。どんな内容の授業を受けるの?tomekko:では5・6年生の授業はどのような内容になるのでしょうか?加藤さん:まずは「聞く・話す」が中心なことは変わりませんが「相手に通じるか」という点が重要となります。これまでは歌などでリピートするだけでよかった英語を、質問されたらその意味を理解して(聞く)、ちゃんとこたえることができる(話す)ようになるための授業です。しかし、突然できるようにはならないので、よく使いそうな状況と登場人物などを設定し、ロールプレイングする中で会話を聞いて真似をします。そして、日本語を学んだのと同じように、まずは耳から入ってきた言葉の意味を理解することからはじまります。例えば「ワッチュワネーム(what's your name)?」という音が、名前を聞いているということを理解して、自分でも使ってみます。そして、読んだり書いたりするときに初めて「ワッチュワネーム(what's your name)?」が3つの単語でできていて、単語の間にスペースを開けて書くことに気づく、という順番です。「読む・書く」のスキルについては、例文を声に出して読んだり、英語をみてそのまま書き写したりする程度。あくまでも読み書きは英語の文字に慣れ親しむことを大切にします。また、「聞く・話す」スキルは、ペーパーテストではわからないので面接形式や、外国人講師とのやりとりをみて、評定をつけるようになります。小学生では、「読む・書く」スキルよりも、まずは「聞く・話す」ことを重視して評価します。tomekko:文法は中学校で習うのでしょうか? 自分は文法が苦手で英語が嫌いになりかけたので…心配です。加藤さん:はい。文法理解などを始めるのは中学生からです。今までは中学生からいきなり「聞く・読む・話す・書く」の4技能をやっていますが、実はこれはかなり難しいことなんです。つまずく人が多いのは、これが原因です。たとえば、日本語を習得するときは、「聞く・話す」は6歳ぐらいまでゆっくりと身につけますよね。個人差はありますが、2歳までは特に「聞く」のみ。2歳ごろからやっとおしゃべりを始めて、「読む・書く」を習うのは小学1年生からですよね。英語は、中1から突然4技能をやり始めるからつまずく人が多かったんです。これは良くないと、現行の指導要領では、まずは小学生のうちに「聞く・話す」、次に「読む・書く」もはじめておく、など段階をつけることになりました。実は英語が母国語ではないアジアの国では、ほとんどの国が小3からやっていて、やはり、「聞く・話す」→「読む・書く」の段階的な英語学習を行っています。tomekko:え…そうなんですか! それなら小学校の早い段階で始めなくて良いのでしょうか?加藤さん:これは私の考えですが、まず、学校教育の最初の段階で日本語(母語)を学ぶ、思考能力などの基本的な部分をまず母語でしっかりさせることのほうが優先です。母語の基礎をしっかりすることが、他教科や外国語を学ぶ上でも必須だからです。ただし全く英語をやらない方がいいということではありませんよ! 年齢が若いというのは、言語学習が成功しやすいとも言われています。家庭で、親が子どもにできることって?tomekko:そうなんですね…! では具体的に、親が子どもにしてあげられることはありますか?加藤さん:一番大事なことは、英語を使いたい! というコミュニケーションへの意欲を高めることです。それは、義務感で「やりなさい」といっても全然ダメです。親も興味を持って、一緒に楽しむ気持ちでやりましょう。声がけも「ママも苦手だったからやらないと困るわよ」ではなく「お母さんも一緒にやってみようかな~♪」というのが大切です。乳児や幼児は、親が好きなものは興味を持つんです。例えば、外国の文化に興味を持って欲しければ、テレビで流れてきたニュースをママやパパが話題にすることなどは子どもにとてもいい影響です。と言っても難しいニュースについて話す必要はなく「○○で大きなサッカー大会があるよ。どこにあるのかな?」「日本語とは違う言葉を話しているね」などでもいいと思います。DVDなど、子どもが興味を持ったアニメなどを英語音声にしてみるのもいいですね。【1】日本語音声で見て【2】英語音声に変えて字幕で見る。意味がわかっていて英語が聞こえてくるから、学習効果も高くなります。tomekko:「聞く・読む・話す・書く」どれを先に取り組むのがいいんでしょうか?加藤さん:順番としては、まず聞く機会を増やすことです。わからなくても、なんとなく聞き続けるという能力は子どものほうが高いんです。その次に「話す」になるのですが、話す相手に興味を持って質問してみようという気持ちも必要になります。日本人に多いのは、質問されたら応えられるけれど質問ができない人です。これは、パーティで初対面の人とスモールトークが苦手な人が多いというのにもつながっていそうです。これからは、多様な人と関わっていく力、オープンな心も必須になってくると思います。また、小5・6以降になると「わからないことは恥ずかしい・失敗は嫌」という思いがどんどん高まっていきます。小さい頃から、間違えてもいいから英語を話すという体験をさせてあげるといいと思います。こういったことも、年齢が若い方が学習しやすいという理由です。tomekko:なるほど! やっぱり「聞く」「話す」が大事なんですね。英語の教材やスクールを選ぶときに大切なことはありますか?加藤さん:英語を使いたいという意欲を育てることを前提に、効果的な学習方法を選ぶというのが大切です。何が効果的なのかは、お子さまの性格にもよるのですが、タイミングと学習環境、そして先生(指導者)選びが大事です。例えば、シャイなお子さまは最初は子どもが大勢いる英語教室よりも安心できる家庭での学習教材がいいかもしれません。ただ、「シャイだから連れて行かない」など親が子どものポテンシャルを閉じる必要はありません。初めてでも意外とやれることもあるものです。特に幼児は体調や機嫌で変わってくることもありますので。長い目でみてあげましょうね。自宅で楽しく「使える英語」を学ぶには?おっとりした長男には、家庭学習が合ってるかもしれない…。自宅で学べて、しかも先生と話す機会もある教材なんてあるの…? と思ったら、それがかなうのがベネッセさんの「進研ゼミ 小学講座」とのこと。 気になったことを責任者の豊泉さんに聞いてみました!tomekko:どんなレッスン内容なのでしょうか?豊泉さん:「進研ゼミ 小学講座」は、小学生での学びでとても大切な「自分で考えられる力」を身につけられるよう、お子さまが夢中で考え抜く楽しさやわかるおもしろさを体験・実感できる家庭学習教材です。2018年度4月号からの英語学習は、英語4技能を身につけられる内容にパワーアップします!バランスよく4技能に取り組める毎月のレッスンに加え、4技能が本当に身についているか診断できるアセスメントが受けられるようになるんです。技能別の力を細かく診断し、個別アドバイスをお届けするので、お子さまの力にあわせて英語力をしっかり身につけていくことができます。もちろん、お子さまが楽しく学べる工夫をしており、ゲーム形式や物語形式でネイティブスピーカーの音声で短いフレーズに何度も触れられたり、外国人とやりとりをする擬似体験などもできるようになっています。もっと英語に触れたい、英語力を伸ばしたい方には、有料オプションの「Challenge English」もおすすめしています。パソコンやオリジナルタブレットで4技能を学ぶデジタルレッスンと、月1回外国人講師との「オンライン会話レッスン」もできる講座なんですよ。tomekko:小学生が学ぶことを重視した教材、というのがいいですね!豊泉さん:ゲーム感覚のロールプレイや、クイズ形式など、英語力を確認できる仕組みを取り入れ、お子さま自らがやりたくなるような仕掛けをたくさん作ってあります。そして、周りを気にせず、間違いを恐れず、どんどん英語を使ってもらうためには、リラックスできるご自宅で、毎日英語に楽しく触れられれることもポイントだと考えています。「英語が楽しくなった」「自信がついた」といううれしいお声をたくさんいただいています!tomekko:それは、良さそうです!! 自宅学習だと送り迎えもいらないし、何よりおっとり長男が無理なく続けられそうなのが魅力的です。今までと違い、英語力もより大事になってくる今の子どもたち。母もいろいろ情報を仕入れて、子どもにあった学習法を見つけてサポートしていきたいと思います! 自宅で外国人講師との会話レッスンを受けられる!「Challenge English」をWEBで体験してみよう 「進研ゼミ 小学講座」も追加料金なしで英語学習ができるように!>> PR:株式会社ベネッセコーポレーション
2018年01月18日「子どものやる気、主体性を尊重したほうが、教育は良い結果が出ることが多いのです」と言うのは、教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さん。一方で、「子ども達の学ぶことに対する感動や好奇心が、どうしてここまで下がってしまっているのか」と、危惧する脳科学者の茂木健一郎さん。 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (尾木直樹(著)、茂木健一郎(著)/中央公論新社)※本書に収録されている対談は、2017年に法政大学女子高等学校で行われた公開対談「これからの学び・これからの学校」と、単行本『おぎ・もぎ対談「個」育て論』(2013年9月青灯社刊)に掲載された対談です。そんなお二人が出版した本『教育とは何?』の中では、子どもの「生きる力」についてもお話されています。子どもの「やる気」や「主体性」。ママにとって、関心の高いキーワードなのではないでしょうか?■なぜ子どもたちは「学ぶ意欲」を失ったのか茂木:大学で教えていて、「どうしてこんなにやる気を失っている子が多いのか」と、強い危機感を感じています。僕は、それを「学力低下」だとか、「偏差値が●●の学校の生徒だからそうなのだ」みたいないい方で説明するのは、根本的に間違っていると思うのです。尾木:僕も大学で教えていて、学ぶ意欲を失った大学生が増えていることが、とても気になっていました。おそらく、中高時代に知的な学びにおけるドキドキ感をあんまり味わったことがないのではないかと思うのです。学ぶことによって、世界がパッと広がるような感じ、あの感覚、知的興奮を知らないのでしょうね。茂木:本来、すべての子どもには、知的好奇心があって、目を輝かせていたはずなんです。けれども、日本の教育を受けているどこかで、そういう心を殺されてしまった…。だから、彼らはある意味、「被害者」なんだと僕は思っています。■子どもの“好き”を応援してでは、子どものやる気にスイッチを入れるために、ママたちはどうすれば良いのでしょう?尾木:まずは、わが子のことをよく観察して、その子の興味・関心があるものを見つけ出してあげることが大切です。以前、体操の内村航平選手のお母様に直接話を伺ったことがあるのですが、もともとご両親はサッカーか野球をやらせたかったそうです。でも、彼はそちら方面にあまり関心を示さなかった。トランポリンが好きで、跳ねたり回ったりするのに夢中になっていたから、誕生日にトランポリンを買ってあげた。そういうところから、どんどん体操にはまっていたそうです。お母様の話を聞いて、他人との比較ではなく、その子の自己決定を尊重し、大人が“個”に寄り沿うことで、子どもの力は無限に伸びていくのだと実感しました。■松岡修造さんは「がんばれ」という言葉が嫌い?尾木:また、元テニスプレーヤーでスポーツキャスターの松岡修造さんと対談させていただいたときのこと。修造さんが、「僕、『がんばれ』という言葉が一番嫌いなんですよ」と切りだされたので驚きました。「でも、いつも『がんばれ』と声をかけているじゃないですか」と言うと、「僕は自分からがんばれと言ったことは一度もないのです。本人が自分で『がんばる』と言ったときだけ、『だったらがんばれ』と言っているんです」とおっしゃった。これは、ものすごく本質をついた言葉です。錦織圭くんや萩野公介くんといった、若くして世界レベルで活躍しているトップアスリートたちの話を聞いても、自分が興味を持ったことを、自分でしっかり考えてやっていく中で、確実に成果を出しているのです。■子どもの「生きる力」を育てるために茂木:脳科学者として言いたいのは、一人ひとりの子どもの中に、必ず「個性」はあるということです。その個性を、それぞれに見いだすようにしていかなければならない。いまの教育ではそれを見いだす機会を与えられていません。一人ひとりが自分の個性に気づくようにと向けていくのが本来の教育です。尾木:日本では「一斉指導」ばかりを重視して、ちょっとでも基準からはみ出す子は白い目で見たり、排除したりしがちです。でも、大人が一方的に枠を与えそのなかで競わせていては、子どもたちの可能性を狭めることにしかなりません。これだけ多様性に富んだ社会になっている今、一つの型に子どもたちを押し込めるなんてナンセンス。そんなの、子どもの「生きる力」を削ぐだけでしょう。そうではなく一人一人の多様な個性を尊重すれば、子どもたちは大人の想像を超えてどんどん成長していくはずです。次回は、「2020年の大学入試改革までに、親が知っておくべきこと」です。■今回取材にご協力いただいた“尾木ママ”こと尾木直樹さんと、脳科学者の茂木健一郎さんの共著 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (中公新書ラクレ)尾木直樹 著 茂木健一郎 /中央公論新社 ¥780(税別)尾木直樹さん プロフィール“尾木ママ”の愛称で親しまれる教育評論家、法政大学特任教授。「子育てと教育は“愛とロマン”」をモットーに、22年間中学・高校でユニークで創造的な教育実践を展開。その後大学教員に転身して22年、合計44年間教壇に立つ。現在は講演会活動、メディア出演、執筆活動など幅広く活躍中尾木ママ オフィシャルブログ: 茂木健一郎さん プロフィール脳科学者、作家、ブロードキャスター。東京大学理学部、法学部卒業後、ケンブリッジ大学を経てソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。「一リットルの脳の中に、現実も、夢も、宇宙も、すべてある」と。茂木健一郎 オフィシャルブログ:
2017年12月13日「第11回 LITALICO 教育実践フォーラム 2017」開催!Upload By LITALICOニュース2017年11月18日(土)の13:30より、大阪・梅田の「AP 大阪梅田茶屋町」(D+E+F+Gルーム)にて、発達障害に対する学校教育での合理的配慮をテーマとしたイベント、「教育実践フォーラム」が開催されます。登壇者は、発達障害児への教育支援研究の第一人者である大阪医科大学LDセンター顧問 竹田契一先生、障害児のICT活用等の研究を進める関西学院大学教育学部教授 丹羽登先生、障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究する鳥取大学大学院の井上雅彦教授ほか、小中学校・高校の教員、児童・生徒の保護者の方々。「障害のない社会をつくる」をビジョンに、児童発達支援事業や就労支援事業などを展開する株式会社LITALICOが主催し、教育を取り巻く課題と実践、未来の展望を考える「教育実践フォーラム」。2012年の初回企画から数えて、今回で11回目の開催となります。11回目のテーマは「合理的配慮」。どんな人々も個性を尊重され、過ごしやすい世の中になれば理想ですが、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって生きづらい状況がまだまだ残っているのが現状です。たとえ障害のある方であっても、一人ひとりの困りごとや状況に応じた適切な配慮を受けることで、自分の力をより発揮しやすくなり、日常生活や社会生活を営むことが出来るようになる、という考えのもと進められているのが、「合理的配慮」です。今回は、専門家・現場の教員・保護者それぞれの立場から合理的配慮のあり方について考えていきます。第11回教育実践フォーラム専門家と保護者、それぞれの立場から語る教育現場の合理的配慮2016年4月に施行された「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)により、公立学校の教育現場でも合理的配慮が義務化されました。発達障害のある子どもにとって、学校生活における困りごととして、授業やテスト、成績評価、行事、さらには食事や排泄、友だちとの関わりなど、さまざまな場面が想定されます。フォーラムの基調講演では、発達障害に対する教育現場での合理的配慮に関して、発達障害児への教育支援研究の第一人者として長年ご活躍される竹田契一先生のお話を伺います。講師:大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生Upload By LITALICOニュース竹田契一大阪医科大学LDセンター顧問、大阪教育大学名誉教授、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会理事長。専門は発達障害児(LD・ADHD・高機能広汎性発達障害)への教育的支援など。主な著書は「高機能広汎性発達障害の教育的支援」(明治図書)他、多数。基調講演のあとは、障害児のICT活用について研究を重ねられている丹羽先生からお話を伺います。社会の情報化が急速に展開している中、授業の双方向性を高め、児童生徒の主体性・意欲・関心や知識・理解を高める効果があるとして、学校教育におけるICT活用が注目されています。指導内容や指導方法を変更・調整することが合理的配慮の1つとして求められていますが、お子さんによっては、タブレット端末等のICTの活用が効果的なことがあり、積極的な活用が望まれています。丹羽先生の講演では、教育現場での合理的配慮の手段としてのICT活用について考えていきます。講師:関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生Upload By LITALICOニュース丹羽登特別支援学級や特別支援学校の教員として重度障害児教育に携わる傍ら障害児のICT活用等の研究活動を進める。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を経て、関西学院大学教育学部教授。病弱教育や障害児のICT活用に関する著書・論文多数。最後に、専門家・保護者等それぞれの立場から教育現場の合理的配慮の実際と課題について語るパネルディスカッションです。コーディネーター: 鳥取大学大学院教授井上雅彦Upload By LITALICOニュース井上雅彦鳥取大学大学院 教授/LITALICO研究所所長(アドバイザー)応用行動分析学を理論的基盤として障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究。ペアレントトレーニングシステムなどの支援プログラムの開発をはじめ、著書も多数。合理的配慮の導入を円滑にするためには、学校や本人・保護者が合理的配慮実現のための流れやしくみを共通理解し、コミュニケーションを密にすることが鍵となります。現場の教員の方々をパネリストに招き、保護者の方々にコメンテーターをしていただきながら、今現場で必要とされることについて考えていきたいと思います。第11回教育実践フォーラム詳細開催日時:11月18日(土) 13:30~18:45(受付開始 13:00)(教材等自由閲覧時間18:45~19:45)定員:240名参加費:無料(事前申込制)対象:小学校~高等学校、幼稚園、保育施設の職員、スクールカウンセラーなど子どもの教育や医療・福祉・行政機関など子どもの支援に関わられている方会場:AP 大阪梅田茶屋町 D+E+F+Gルーム(大阪府大阪市北区茶屋町1-27ABC-MART梅田ビル8F)アクセス:JR「大阪駅」御堂筋北口より徒歩約3分阪急電車「梅田駅」2F中央改札口より徒歩約1分地下鉄御堂筋線「梅田駅」北改札より徒歩約3分地下鉄谷町線「東梅田駅」北東改札・北西改札より徒歩約5分阪神電車「梅田駅」東改札口より徒歩約5分お申込み締切:2017年11月17日(金)13:00お問い合わせ:03-5704-7361(地域教育相談室 岡野)※お申込みは下部ボタンのお申込みフォームよりお願いいたします。主催:株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)12:00~発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(50分)13:00~受付開始13:30~開会挨拶(30分)株式会社LITALICO執行役員 野口晃菜14:00~基調講演(60分)【講師】大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生15:00~質疑応答&休憩(15分)15:15~講演(60分)【講師】関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生16:15~質疑応答&休憩(10分)16:25~パネルディスカッション(120分)【コーディネーター】井上雅彦先生【パネリスト】小中学校・高校の教員など数名【コメンテーター】丹羽登先生、児童・生徒の保護者さま18:25~質疑応答、インフォメーション、閉会挨拶(20分)18:45~パネル展示・教材自由閲覧・発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(60分)19:45終了学校や幼稚園、保育園の先生やカウンセラーの方々、子どもの発達が気になる保護者様はじめ、学校教育における「合理的配慮」に関心のある方々はどなたでもご参加いただけます。たくさんの方のご来場をお待ちしております!
2017年10月06日子どもを育てるのにはお金がかかるもの。成長していくに従って必要になる教育資金は増えていきます。児童手当は支給されるものの、それだけではまかなえないのが現状です。それに、「子どもにより良い教育を受けさせてあげよう」と思えば、どんどん必要なお金は増えていきますよね。だからこそ、お金がかからない小さいうちから子どものための貯金をしていくことが大切です。でも、よその家庭は一体いくらくらい子どものために貯金しているのか気になりますよね。かといって直接友達に聞くのもためらわれるでしょう。そこで、女性のためのコミュニティサイト『ガールズちゃんねる』に立ったトピックスが、「子供のための貯金どのくらいしていますか?」というもの。気になる貯金額についての意見が多数寄せられています。●児童手当と学資保険でコツコツ貯金している家庭が多数!子どもに将来どんな教育を受けさせたいか、どんな道に進んでほしいかなどによっても各家庭で必要になる金額は変わってきますが、みなさんどのくらいの貯金をしているものなのでしょうか。『毎月3万です。学資保険で2万。子ども名義の口座に1万』『150万くらいしかない…』『ひと月に1万』『お祝いとか子どもあてにもらったものは全部子どもの貯金に。2歳の子が190万円。0歳の子が150万円。それらとは別に学資保険を月に1万円ずつ』『お年玉や祝い金だけ。あとは学資保険一人300万円 を3人分』『20万そこらしかしてない』『とりあえず児童手当は貯めてる 』『いま妊娠9か月で子ども用貯金は300万くらい。これからの出費が怖い…』『もうすぐ5歳。コツコツ貯めて100万です』『児童手当は手をつけず、子ども名義の通帳に貯金。あと学資保険満期で390万たまる設定にしてます』『学資保険に加入してるのでそれが貯蓄です。毎月2万弱です』『子供手当と出産祝いやお年玉は手付けてない。他に学資保険の300万円と月3万円の積立 』『生まれたときからお祝いやお年玉を貯めている。15年間で130万円くらいになった。児童手当も手をつけずに全部貯金しています』『子どものためっていうと、年33万の保険かな。今3歳で、一応18歳で600万貯まる ようにしてる』など、家庭によって大きな差があるようです。当然と言えば当然ですよね。ただ、児童手当には手を付けず貯めている、学資保険に入っているという声はとても多く挙がっていました。●大学進学までに貯めたい目標金額は401〜500万円!?ベビー用品の総合メーカー『コンビ』が運営する情報サイト『コンビタウン』では、『子どものための貯金』(2015年3月実施/回答者数535人)というアンケート調査の結果が発表されています。アンケート結果によると、子どものための貯金をしている人の割合は75% で、貯金方法としてもっとも多かったのが「学資保険(子ども保険)」と「普通預金」という回答で、共に208人でした。また、学資保険に加入した際の子どもの年齢では、「0〜2か月」という回答が圧倒的に多く127人、次が「2〜5か月」で49人という結果になっています。学資保険の1か月あたりの支払額では、「1万〜1万4999円」がもっとも多く83人、続いて「〜9999円」が58人、「1万5000〜1万9999円」が41人ということでした。みなさん、無理のない範囲で子どものための貯金を行っていることがわかります。また、目標貯金額としては、15歳(高校進学)までに「201〜300万円」貯めたい という方が143人で最多でした。なお、18歳(大学進学)までの目標貯金額だと「401〜500万円」 が最多で104人という結果でした。やはり、一番お金のかかる大学進学までにはまとまった金額を用意しておきたいと考える方が多いようですね。子どものための貯金をどれくらい貯めておけばいいかわからないという方は、これらの情報を参考にしてみるのもいいかもしれません。【参考リンク】・子どものための貯金 | 妊娠・出産&口コミ情報サイト コンビタウン()●文/パピマミ編集部●モデル/杉村智子(まさとくん)
2017年09月02日「赤ちゃんはどうやってできるの?」とつぜん子どもに聞かれたら、答えに困ってしまいませんか? 子どものころ「コウノトリが運んでくる」と教わり、いつしかそれが違うことを知ってショックを受けた私たちは、子どもにも同じように話していいのかどうか、迷います。そんなママや子どもたちに向けた性教育ワークショップがあると聞き、さっそく取材に行ってきました。■「性」は「生」。命をつなぐ当たり前で大切な人間の営み性教育ワークショップ『SEIJUKU』(生塾)を主宰するのは、ウェルネス&ビューティジャーナリストの久保直子さん。久保直子 Naoko KuboAMPP(フランス植物療法普及医学協会)認定メディカルフィトテラピスト、DTWフラワーエッセンスプラクティショナー、フランス式スポーツアロマテラピストの資格を持ち、スキンケアやボディケアなどの美容面はもちろん、女性ホルモンケア、ストレスケア、睡眠などの植物療法、特に「メンタルビューティ」を軸にした独自のウェルネス&ビューティプログラムを企画&発信。二児の母の立場を生かしmama cafeや性教育ワークショップ『SEIJUKU』を主宰。「日本では性教育を“言ってはいけない事”のように扱っていて、なかなか学ぶ機会がありません。私たち親の世代がそうやって育ってきたので、子どもへ伝えるときも、言葉が見つかりません。でも、「性」は命をつなぐ大切なことで、生きる上で当たり前の営みです。当たり前のことを当たり前に伝える。その環境を作っていくために、『SEIJUKU』を始めました」(久保さん)現在ワークショップに参加するのは、お子さんのいる方、いない方、独身の方など様々。「性に関する悩みを持つ全ての方に来ていただける場にしたい」というのが久保さんの願いです。■子どもが楽しめる紙芝居での性教育取材した日は、『SEIJUKU』第5回目。第2回目のときに「子どもが興味を持てるよう、紙芝居にしては?」というアイデアが出たことから、今回は紙芝居を導入してのワークショップになったそうです。紙芝居は、久保さんの伝えたいことをもとに、保育士の井上夏紀さんが子どもの視点を想定したアドバイスを加え、イラストレーターのカイフチエリさんによる、子どもが楽しめるイラストで描かれた、完全オリジナル作品。監修には医師の安来志保さんも加わっています。さらに、この日紙芝居を読むのは、久保さんと、久保さんの10才と7才のお嬢さん。読み手に子どもが参加することで、同世代の子どもたちもより身近なこととして受け止められるようです。さあ、いよいよ紙芝居のはじまりです!■「おちんちん」と「おまた」をくっつける、をどう伝えるか紙芝居のタイトルは『誕生 ~birth~』。「男の子の体と女の子の体はどうして違うの?」という子どもの素朴な疑問をもとに、パパとママが出会い、愛しあい、「おちんちん」と「おまた」をくっつけると赤ちゃんができるという流れを、イラストを使ってわかりやすく説明していきます。「おちんちん」と「おまた」をくっつける───誰もがいちばん説明に戸惑うこの点も、やさしいタッチのイラストのおかげで自然に話を聞けるようになっています。「おちんちん」と「おまた」は決して特殊なパーツなのではなく、「赤ちゃんをつくる」という大事な役割を持っている部分なんだよと、とにかくありのままを伝えることで、子どもたちは体の組織の一部として認識してくれたようでした。「大人が変に隠すから子どもが勘ぐり、真実を知ったときに心がざわついてしまう。まずは大人が正しい性教育を受けないと、子どもへ上手に伝えられないな」…そんなことを考えさせられました。■誰もがみな何億分の1の確率で生まれた奇跡の存在「生まれてきたすべての人が、周囲に守られながら、いろいろな困難を乗り越えて生まれてきた何億分の1の奇跡だと伝えられれば、この紙芝居は成功だと思っています」と久保さん。数億分の1の確率で卵子と精子が出会い、お母さんのおなかの中で約300日をかけて育ち、お母さんの「おまた」から出てくる───その長い道のりを、子どもに伝わりやすいように説明していく今回の紙芝居。参加したママたちからは、「自分が子どもに教えるために参加したのに、自分が子どもを授かったときのことや、自分も親から生まれたことを思い出し、そこに感動してしまいました」という声も聞かれました。■それぞれの家庭に、それぞれの性教育を紙芝居のあとは、参加者全員で、紙芝居の感想と「性教育」についてのセッション。ここで実際にママたちが感じている「性教育」の悩みを聞くことができました。「娘が小学生になったとたん、上級生から性に関する情報を聞いてくるように。どう教えていいか分からなくて、ワークショップに参加しました」(7才女の子のママ)「自分が親から教わってこなかったので、間違った情報を信じていたり、興味本位で悪気なく体の見せ合いっこをしたりしていた。子どもには正しい情報を伝えたい」(2才女の子のママ)「うちは男の子で、女の子に優しい男性になってもらうために、男の子にこそ教えないといけないと思って参加しました」(2才男の子のママ)「生理のとき、お風呂で息子に生理の状態を見せて、血が出る意味や、心が不安定になることなどを話しています。息子は女性の自然現象として聞いてくれていますが、外でお友達に話したときのことを思うと、少し不安になります」(3才男の子のママ)最後に久保さんから、「家庭ごとの教育方針があっていいし、正しい性教育の方法はひとつではないです。教育方法を学んでそのまま実践するよりも、各家庭、個々人で考えることがなにより大切です」とメッセージがありました。『SEIJUKU』は今後、ジェンダーに合わせた内容、生理が始まる10才頃からの一歩進んだ性教育、動画を使っての情報発信なども検討するそう。「赤ちゃんはコウノトリが運んでくる」説でいいかどうか。まずは親が考えてみることで、子どもへの教えかたが見えてくると思ったワークショップでした。性教育ワークショップ『SEIJUKU』(生塾)本記事の公開に合わせて、紙芝居『誕生 ~birth~』の一部をユーチューブで配信スタート!
2017年08月17日「シュタイナー教育」をご存知ですか?お子さんに少しでもいい環境を与えたいと願い、さまざまな教育論を調べたことがあるママなら、一度はその名を目にしたことがあるかもしれませんね。シュタイナー教育とは、オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが20世紀始めに提唱した教育方法です。7歳までの子どもたちは夢の中にいるようなものだとして、音楽や絵画など感性に訴えるアプローチで接することを掲げています。音楽のリズムに合わせて動く「オイリュトミー」というダンス、「にじみ絵」と呼ばれる独特の水彩画法が特徴です。今回は、都内のシュタイナー系幼稚園で働くG先生(50代女性/幼稚園教諭)から、自宅でできる「ゆるシュタイナー教育法」を聞いてきました。●(1)刺激は「子どもが欲してから与える」シュタイナー教育と聞いて最初に思い浮かぶのが「テレビを見せない」ということ。音や光の出るオモチャ、テレビゲームなんてもってのほか。遊ぶ道具は、石、木、布、羊毛といった自然素材だけなんですよね。でも、子育てママならそのハードルの高さはわかるはず。どうしたらいいのでしょうか?『子どもが求めてくる前に、親が先回りして強い刺激を与えてしまうことを避けてみてください 。テレビは、子どもが積極的に見たがっていないなら、あえて見せる必要はありません。プラスチック製のおもちゃも同じ。最初に与える遊び道具は、自然素材のもので十分です。でも、よそで見かけたり、他の子が持っていたりして、お子さん自身が興味を持ったなら、少しずつ与えてもいいと思いますよ』そうはいっても、家事をやっているあいだに子どもがテレビを見ていると助かるんですよね。夕方の幼児番組、「ほら!もうすぐ○○が始まるよ!ママ忙しいから、観てて〜!」なんて率先して付けちゃってましたが……それすらNGなんでしょうか?『そのあたりは、ママの裁量でいいと思いますよ。無理をしてまでノーテレビ育児にこだわり続けることはありません。ただ、7歳までは体のリズムを作る時期です。生活リズムをテレビに支配されないようにするのが大切ですね。大人がテレビなしの生活をしてみせるのも、時には必要です』なるほど。ということは、大人が観たい番組があるときは、録画をして子どもが寝たあとに楽しむのがよさそうですね。●(2)生活リズムづくりは「ゆるやかに」がコツシュタイナーの教えでは、毎日の生活リズムを作ることも重要視されています。決まった生活リズムを繰り返していくことが、子どもたちの心の調和と安定につながると考えられているからです。『家庭でも、ぜひ規則正しい生活を送っていきたいですね。まずは一日のスケジュールを組んであげましょう。ある程度大きなお子さんなら、親子で相談しながらスケジュール決めをするといいでしょう』でも先生、子どもってこっちの希望通りに動いてくれませんよね。うちの子はいつもノロノロしていて、スケジュールなんか決めても絶対守れません。守れないことでカリカリしてしまう自分も目に見えてますが、どうしたらいいですか?『細かく時間を定めてしまうと後がつらいので、最初は起きる時刻・寝る時刻・食事の時間帯をゆるく決めるくらいでOKです。「○時」ときっかり決めるより、30分程度の幅がある「時間帯」でスケジューリングしていく のがおすすめですよ。また、スケジュールを守れなかったときにお互いを罰しないことも重要です。お子さんの様子や発達段階を見極めながら、無理のないスケジューリングに組み直していきましょうね』●(3)子どもに「遊びを教えない」勇気を!シュタイナー教育で忘れてはいけないのが、オイリュトミーやにじみ絵などの独特な遊び方。これらは子どもたちの感性を伸ばすためのアプローチ法ですが、家庭で取り入れるにはどうしたらいいでしょうか。『子どもの遊び方に自由を与えてあげましょう 。最近のママたちを見ていると、やり方が決まっているオモチャを与え、子どもが考える間もなく「ほら、これはこうやって遊ぶのよ」と教えてしまっている方が多いんですよね。中には「その遊び方は間違ってる」とお子さんを叱っている姿も。これでは、子どもたちの感性は育ちようがありません。何に興味を持ち、それをどうするかはお子さんに全て任せてあげましょう。口出ししないことは、ママたちにはちょっと勇気がいるかもしれません。でも、グッとこらえて見守っていると、子どもの思わぬ発想にこちらが驚かされることもよくありますよ』つまり、オイリュトミーなど有名な方法論を知って、その形だけをなぞっても意味がないということですね。そういった各方法論の裏側にある理念をよく理解し、無理のない形で実践していくことこそが重要なのでしょう。----------いかがでしたか?今回G先生に伺った「ゆるシュタイナー教育法」は、特別で特殊な子育て方法ではありませんでした。むしろ、わが国の昔ながらの子育てに通じるところが多くあったように感じます。生活に無理のない範囲で取り入れていくと、子どもたちの豊かな成長と自立を促すことができるのではないでしょうか。●文/パピマミ編集部●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年06月30日アセスメントとは?出典 : アセスメントとは、ある問題を解決するために情報を集め、それをもとに問題解決の方法を計画していく一連の流れのことです。アセスメントという言葉は世の中のさまざまな場面で使われており、例えば「環境アセスメント」や「看護アセスメント」のように解決する課題に応じて使われています。・子どもの臨床心理アセスメントとは?上記の様々なアセスメントと同じく、子どもの臨床心理においても「アセスメント」という言葉が使われています。例えば病院で発達障害の診断を受ける前に行う場合、知能検査などの検査だけでなくカウンセリングにおける行動観察・面談などの方法によって情報を集め、子どもの特性を把握し、一人ひとりに合った方法を見つけていくことを言います。一般的にスクールカウンセラーや臨床心理士などの専門家がアセスメントという言葉を使う場合が多いですが、お子さんの特性をさまざまな角度から捉えるという考え方や専門家の視点を知っておくことは日常生活にも役立つでしょう。この記事では、子どもの特性を把握する際の専門家の視点、関係する検査、検査結果を日常生活に活かす方法についてご説明します。子どもの臨床心理アセスメントの目的出典 : 子どもの臨床心理アセスメントの目的は、子ども一人ひとりが自分らしく生活できるようになることです。そのためにお子さんの特性をさまざまな角度から把握し、それをお子さんに合った教育方法につなげる必要があります。子どもの特性を知る代表的なツールとして知能検査や発達検査があります。客観的に子どもの特性を知ることができるというメリットがありますが、その結果や障害の診断名だけで子どもの特性を決めつけてはいけません。あくまで特性を知るための方法の一つなのです。検査結果を参考にしつつ、お子さんがどんな行動をしているのかやなぜその行動をとるのかを把握していくことが、アセスメントの目的です。どんな時にアセスメントをするの?出典 : お子さんの特性をさまざまな角度から把握していくことは、ニーズを見極める時、障害があるかを判断する時、支援の計画を立てる時などにおいて欠かせません。ここでは医療、支援、学校の3つに分けてご説明します。・医療におけるアセスメント医師が子どもの発達に障害があるかを判断する時には、アセスメントが行われます。子どもの場合は専門医のいる小児科や小児発達神経科、児童精神科で受診できます。また、思春期以降の場合は精神科での受診も可能です。医療機関では、面談(観察)や脳波などの生理学的検査、認知・知能などの心理検査、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答などから得た情報をもとに、総合的に発達障害かどうかを診断されます。・支援の場におけるアセスメント未就学の子どもの場合、発達相談においてアセスメントが行われます。例えば、ソーシャルワーカーとの面談、医師による診察(任意)、発達検査・知能検査が行われ、療育プランが検討されるといった流れとなります。就学しているお子さんの場合は、通級・特別支援学級などの就学先に通う時や放課後等デイサービスなどの施設を利用する時において同じようにアセスメントが行われます。お子さんの特性をさまざまな角度から把握し、一人ひとりに合った支援方法につなげます。・学校におけるアセスメント学校での困りごとがあった時に相談しやすいのがスクールカウンセラーです。教育現場に近い立場でありながら、臨床心理士の資格を持っていることが多く、客観的なアドバイスをもらうことができるでしょう。スクールカウンセラーは主にお子さんとの面接を通して、特性を把握します。そのほかにお子さんの学校生活での様子を先生から聞いたり、場合によっては実際に授業の様子を観察したりして情報を得ます。また知能検査などの検査結果をこれらの情報をもとに、お子さんの発達や心理状態に関するアドバイスをもらえます。次の章からはカウンセラーなどの専門家が面談や行動観察、知能検査などの検査において、実際にどんな視点でアセスメントを行っているかを具体的に説明していきます。子どもの行動観察の時のアセスメント出典 : 子どもの特性を知るための最も基本的な情報収集として、カウンセリングにおける行動観察があります。服装、姿勢、態度、発言などをチェックすることが、特性を知るヒントになるのです。カウンセラーは、例えばお子さんが目線を合わせられるか、質問に対して答えられているか、極度なやせや肥満ではないか、などについてチェックしています。カウンセラーなどの専門家による行動観察の方法は、大きく分けて自然観察法と実験観察法の2つがあります。・自然観察法子どもの自然な姿を観察する方法です。例えば、待合室での子どもの様子を観察し、参考にするといったことが挙げられます。・実験観察法例えば一定の時間子どもをグループで遊ばせて、その様子を観察する方法などがあります。チェックされているポイントは集団で遊べているか、友達とけんかをしたかどうか、乱暴をしていないか、独り言を言っていたかどうかなどです。小さいお子さんの場合は、遊戯療法室で1人で遊んでいる様子を観察したり、親子や集団で遊んでいるところを観察したりします。母子分離不安が強いかどうか、多動、かんしゃく持ちなどの特徴があるかどうかなどが見つかります。また親子遊びでは、親御さんがお子さんとどのように関わっているかについてもチェックされています。例えばどのように指示を出しているか、どのように子どもの要求を受け止めているかなどです。これをもとに、カウンセラーからお子さんの接し方に関するアドバイスをもらえます。行動観察により、子どもの発達状態や、対人傾向、行動傾向などの情報を得ることができるのです。カウンセラーと子どもの、面接時のアセスメント出典 : 子どもの特性を把握する手段の一つとして、面接があります。面接では、カウンセラーが子どもと対面で話すことで特性を把握します。話している内容はもちろん、話し方、表情、身振り、視線、手足の動きなど、総合的に判断していきます。例えばカウンセラーが「おいくつですか?」と聞いたときに、お子さんが「おいくつですか?」とオウム返しをしてきたり、視線を合わせなかったりした場合、自閉症スペクトラムの可能性があるという仮説を立てることができます。しかしこの情報だけで決めつけることはなく、検査結果や行動観察で得た情報を踏まえて、特性を捉えていくのです。面接ではカウンセラーと子どもの間に信頼を築くことが大切であるため、子どもが緊張しないように座る位置などの工夫がされています。例えば視線恐怖がある子どもの場合、カウンセラーは横並びに座ったり直角に座ったりして、話しやすい環境が整えられています。また初回の面接はお子さんとカウンセラーとで行う面談の他に、どんな悩み事があるのかや、なぜこの相談機関を選んだのか、さらに家族構成や病歴といった基本的な情報を親御さんと共有する場が設けられます。今後の治療について、適用される支援、相談機関の特徴などについても聞くことができます。心配な点があれば、面接の際に質問するとよいでしょう。知能検査などの検査時のアセスメント出典 : 特性を知るためには、知能検査や発達検査などの検査を受ける場合が多いです。しかし記事の前半でもご説明したように、検査結果だけで子どもの特性を判断してはいけません。このような検査は特性を客観的に把握したり、面談や行動観察だけでは分からない特性を見つけたりすることが目的です。ここでは子どもが受ける検査の中でも、代表的な検査をご紹介します。・ビネー式知能検査対象年齢:2歳~成人検査ビネー式知能検査は精神年齢(MA)と生活年齢(CA)の比である比例知能指数(比例IQ)を算出します。生活年齢(CA)とは生まれてからの暦の上での年齢(暦年齢)を指します。一方精神年齢(MA)は、検査で解答できた問題の難易度がどの年齢のレベルにあるかによって判定されます。ビネー式知能検査の中でも代表的であるのが、田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)です。検査対象が2歳から成人と幅広く、問題が年齢尺度によって構成されているため、通常の発達レベルと比較することが容易になっています。また、実施の手順が簡便であり、被検査者に精神的・身体的負担がかからないことが大きな特徴となっています。・ウェクスラー式知能検査対象年齢:WISC-Ⅳ5歳~16歳11ヶ月、WAIS-Ⅲ16歳~89歳、WPPSI 3歳10ヶ月~7歳1ヶ月ウェクスラー式知能検査は言語性IQと動作性IQという測定概念を用いて、個人内差(個人の得意不得意)の測定をします。年齢に応じて児童版のWISC、成人用のWAIS、幼児用のWPPSIの3種類があります。個人の能力の特徴をより分析的に捉えることができ、知的障害や発達障害のある人の場合、検査結果に一定の傾向が見られやすくなっています。そのため、知的障害や発達障害の確定診断の際に、参考情報の一つとして用いられることがあります。・K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー対象年齢:2歳6ヶ月~12歳11ヶ月K-ABC心理・教育アセスメントバッテリーは、子どもの知的能力を認知処理過程と知識・技能の習得度の両面から評価することが特徴の検査です。検査結果からその子どもが得意な認知処理様式を見つけ、それを実際の指導・教育に活かすことを目的としています。同時処理(情報を全体的に捉える認知特性)と継次処理(情報を順番に理解する認知特性)の個人内の差を明らかにできることから、特異な認知パターンを持つ学習障害のような場合に適用されます。・新版K式発達検査対象年齢:生後100日後から成人年齢において一般的と考えられる行動や反応と、対象児者の行動や反応が合致するかどうかを評価する検査です。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面の検査に重点が置かれます。検査結果としては、この3領域の「発達指数」と「発達年齢」が分かります。このように子どもが受ける検査にはさまざまな種類があります。心理検査は検査によって分かることも異なるため、どの検査を受けるかはカウンセラーなどの専門家に相談するとよいでしょう。発達障害におけるアセスメント出典 : 発達障害のあるお子さんの特性を知るためには、検査を受けることはもちろんのこと、特に行動観察が重要視されています。例えば暗記がとても得意なのに算数など苦手な教科に全く興味を示さないという学校での様子をきっかけに、学習障害だとわかったパターンなどがあります。またお子さんの行動を観察することは日常生活においても欠かせません。お子さんのご家庭での様子を見て気になる点があれば、保健センター、子育て支援センター、児童相談所、発達障害者支援センターなどに相談しましょう。早めに相談することが、お子さんにあった療育を見つけるきっかけとなるのです。さらに年齢が上がってから特性が明らかになる場合もあるため、子どもの成長につれて、アセスメントも更新していく意識を持つことが大切です。検査結果を見ると障害の重さや数値に目がいきがちですが、それ以外の内容についても理解する必要があります。日常生活では検査結果をもとに、お子さんの苦手なことの原因を把握していくとよいでしょう。例えば「時間の見通しを持てない」という結果が出ていた場合、急かしても子どもは何を急かされているか分からずパニックを起こしてしまうのだと解釈できるかもしれません。「本人の筋緊張が低く姿勢を長時間保てない」という検査結果が出ていたなら、怠けているのではなく、きちんと着席するのが難しいのだと判断できます。このようにお子さんの困難の原因を知ることで、どんな工夫をすればよいのかの見通しにつなげられるでしょう。検査結果でお子さんの行動を見る視点を狭めないようにすることが大切です。さらにお子さんに合った教育方法を見つけていくために、検査結果などの情報を保育士や幼稚園・学校の先生に共有し、お子さんのご家庭での様子と幼稚園や学校での様子の両方を把握するようにしましょう。まとめ出典 : 子どもの臨床心理におけるアセスメントとは検査、行動観察、面談などによってさまざまな角度から子どもの特性を把握し、一人ひとりに合った教育方法を見つけていくことを言います。アセスメントの方法の一つに知能検査などの検査がありますが、検査結果はあくまで客観的に特性を知るためのものです。障害の重さや知能指数の数値だけに注目するのではなく、検査結果をもとに行動と照らし合わせてお子さんの得意・不得意を把握していくことが大切です。またお子さんの行動を知ることは日常生活においても欠かせません。面談や検査でのお子さんの様子を専門家から聞いて知る以外にも、学校ではどうなのか、さらにご家庭ではどうなのか、さまざまな角度から特性を理解してあげることが総合的なアセスメントであると言えるでしょう。参考:松原達哉/編『臨床心理アセスメント』2013年丸善出版参考:「発達 (第131号)」2012年ミネルヴァ書房
2017年06月30日こんにちは、金融ライターの齋藤惠です。1歳の息子の母親でもあります。少子化が進んでいると言われる日本では、一方で子ども一人当たりにかかる教育費用が増加傾向にあります。私も息子に幼少のうちから習い事をさせたいと思っていますし、 学校選びも学費を考慮することなく本人の希望する進路へ進ませてあげたいという気持ちが強いです。しかし現実的な面を考えると、「今からどれほど貯めれば間に合うんだろう……」と不安になることも。もし同じ悩みを持っているパパママがいるのなら、わが家も実践しているジュニアNISA はいかがでしょうか?教育費用を準備する方法はたくさんありますが、ひとつの手として考えてみてください。●ひたすら貯蓄! だけでは不十分かも……!?先にも述べた通り、日本では教育費用が年々高くなっている のが現状です。今後もますます少子化が進み教育産業が縮小化すれば、子ども一人にかかるお金が割高になっていくことが予想されます。さらに今やマイナス金利時代……。銀行にお金を預けてもほとんど利息がつかない状態でひたすら貯金をするのみの教育費対策では、10年後20年後に物価や学費が高騰したとき不十分 かもしれません。ジュニアNISAは立派な投資ですのでリスクもありますが、これからはリスク管理をしながら教育費用を準備するという新しい考え方が必要なのではないでしょうか?●ジュニアNISAを有効活用するコツわが家でも子どもが生まれた翌々月からジュニアNISAを始めました。主な理由は3つあります。(1)貯蓄だけでは教育費用は貯まらないと思った。(2)原則18歳までは引き出せないので、強制的にお金が貯まる。(3)NISA(非課税制度)によってより多くのお金を教育費に充てられる。さらに、私たちはジュニアNISAが投資商品であることを考え、長期的な視野で運用を行うべきだと思い、定額の積立式 を採用することにしました。具体的には毎月1,000円を指定日に引き落として、投資信託銘柄を購入しています。今は仕事や家事に手いっぱいになりがちな時期でもありますので、どうしても毎日相場のチェックをしていられません。定額の積立式なら相場に一喜一憂することなく、一定の金額でそのとき買える分のみの投資にとどめることができる ので、リスク対策にもなりますから、「投資には興味があるけれど、運用と管理を続ける自信がない」という人におすすめです。●ジュニアNISAで気を付けることは?ジュニアNISAで気を付けるべきことは大きく2つあります。(1)投資商品であることを忘れないこと。(2)18歳まで払戻しができないことを考えて購入すること。ジュニアNISAで購入できるのは全てがリスク性の投資商品 です。まずはその点を常に頭に入れておかなければいけません。市場や銘柄の状況によっては元本割れの可能性もありますから、ジュニアNISAに充てる資金は教育費用の一部にとどめるようにするのが賢明でしょう。また、18歳までお金が手元に戻らないことも十分理解しておきましょう。厳密には払い戻しもできるのですが、その場合には過去の利益が課税対象になってしまうので、せっかくNISAを利用した意味がなくなってしまいます。----------以上、注意すべき点もありますが、より手堅く教育資金を増やす手段としてジュニアNISAという選択肢も有効だと思います。ぜひ検討してみてくださいね!【参考リンク】・2016年からはじまるジュニアNISAとは | SBI証券()・ジュニアNISAとは | SMBC日興証券()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年06月26日小学校教育に新たな波がおとずれます。2020年より英語学習を前倒しする「早期化」と、5年生からの英語教育が成績のつく科目としての「教科化」がスタートすることになりました。英語が必要な時代が来ているとはいえ、この2点について親たちはどう考えているのでしょうか?Q.小学校の英語教育「早期化」「教科化」、どう思う?1.賛成 72.6%2.反対 7.2%3.わからない・どちらともいえない 20.2%小学校の英語教育「早期化」「教科化」に賛成という声が72.6%と大多数という結果になりました。グローバル社会で活躍する人材を育成するためには英語は必須と考える親が多くいるようです。■日常会話くらいは英語で話せる人に日本にもどんどん外国人が来るようになりますし、これから大人になるまでに海外に行くこともあると思います。そんなときにも日常会話くらいは英語で話せるようになってほしいというのが親の希望。そのための教育なのであれば賛成という声が多数です。「世界的に必要なこと。他国は母国語と英語、両方教えるのが普通」(東京都 40代女性)「日本語的英語ではなく、英会話力を伸ばしてほしいと思っています。聞き取った英語を素直に口に出せるようになったら最高だと思います」(佐賀県 40代女性)「英語に早くから親しむという点ではいいと思います。ネイティブの先生と英会話を経験する授業なら、導入としてはいいかもしれませんね」(千葉県 50代女性)■日本人なのだから英語よりもまずは国語反対派の多数の意見は、英語教育の前に日本語教育を学ぶべきというもの。美しい日本語や漢字などをしっかり学んでから英語を学んでも遅くはないという声や、学校の教員の英語レベルが気になるという声もありました。「単純に教科が増えるとすれば、他の教科がおろそかになる。PCやタブレットを使うために漢字の読み書きができない子が増えている。英語に力を入れるまえにもっとやらなければいけない課題がある」(静岡県 40代男性)「それ以前に日本人として正しい日本語を身につけさせることの方が重要なのではないかと思うのは私だけでしょうか?」(神奈川県 50代女性)■英語の早期教育のメリットとは音や発音は小さいうちにやったほうが効率的であることはすでにわかっています。苦手意識を持つまえに、自然と英語に触れて、話すことで英語力がついていくのが理想的。それが果たして小学校教育でできるのかが問題のようです。「英語教育は早ければ早いほど、国語と同じように自然に覚えられる利点があります。しかし、小学校教員の英語力には課題があるのが現状。映像やタブレット端末などを使用して、小学生のうちに日常会話には困らないようになってほしいです」(神奈川県 40代女性)Q.小学校の英語教育「早期化」「教科化」、どう思う?アンケート回答数:6408件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年06月06日彼女とのお付き合いが長くなってくると、男性も自然と結婚や子どもについて考え出すようです。でも日ごろから彼女に「教育ママになりそうな要素」が見え隠れしていると、なんとなくプロポーズもためらってしまうんだとか。そこで今回は「『この子教育ママになりそう・・・』と構えてしまう女性の言動」について20代男性にリサーチしてみました。■1.ブランド主義「俺の彼女はハイブランド志向。服やバッグにもこだわりが強いみたい。そういう女子ってきっと子どもにも良いものをって考えそうだよね。子どもが小さいうちから英才教育とかさせたがりそうな気がする・・・。」(27歳/営業)日ごろから高級志向の強い女性は、何となく自分の子どもにも同じような考えで接しそうですよね。子ども服などの外見を気にするのはもちろん、学歴や教育方法もブランド志向でせめてきそう。「子どもは自由にのびのび育てたい」と考えている男性からすると、ちょっと窮屈さを感じてしまうかも・・・。男性が身構えてしまいそうなブランド主義はほどほどにしましょう。■2.小さなことを気にする「別に浮気していないのに女性と話すのを嫌がるとか、LINEの返信が遅いと極端に怒るとか・・・。小さいことをすごい気にする女性って、子どもにも自分の価値観を押し付けそう。」(28歳/貿易)きっと彼への態度から、子どもに対しても「あれもダメこれもダメ」と厳しくしつけているイメージがついてしまうんでしょうね。そうすると自分ではそんなつもりがなくても、必然的に「教育ママっぽい」と彼から思われてしまうのかも。何でも神経質になるのではなく、大らかな気持ちで彼に接するのが良さそうです。■3.「最近の親」をやけにけなす「店や公共の場で騒いでいる子どもを見て、『これだから最近の親は・・・』とグチる彼女。言いたいことはわからなくもないけれど、子どもなんだからある程度騒ぐのは仕方ないと思うんだよね。そういうことを許せない彼女は、きっとすごい教育ママになるんだろうなと思う。」(24歳/保険)ちょっと騒がしい子どもを見ると、条件反射で「これだから最近の親はダメなんだよ」なんて考えてしまう人はいませんか?でもそれってもしかしたら教育ママ予備軍なのかも・・・。自分の子どもをしっかり育てたいと思うことは大事ですが、実際は親になってみないとわからないこともたくさんあるはず。「最近の親」とひとくくりにしてけなすのではなく、心の中で「私はもっと○○なお母さんになりたいな」と想像するぐらいがちょうど良いのかも。■4.自分へのコンプレックスが強い「彼女は金銭的な都合で、習い事を途中でやめさせられてしまったそうなんです。『あのときやめていなければ違う人生があったのに・・・』『子どもが生まれたら私の夢を引き継いでもらう』と言っているのですが、俺的には正直微妙・・・。子どもの人生を親が決めるのは間違っていると思う。」(25歳/広告)「小さいときにもっとこうしておけば良かった・・・」というコンプレックスが強い女性ほど、教育ママになりそうだとの意見が。「自分のような辛い思いをしてほしくない」「子どもに自分の夢を託したい」という気持ちもわかりますが、子どものことを考えたらそれってただのエゴなのかも・・・。彼もあなたの必死さに引いてしまう可能性があるので、勝手に子どもの未来予想図を立てるのはやめるべきでしょう。■おわりに彼から「教育ママになりそう」と思われてしまうと、おのずと結婚も遠のいてしまうでしょう。たまには彼の理想の子育てプランも聞いてみるのが良いかもしれないですね。(和/ライター)(ハウコレ編集部)
2017年02月01日防犯ブザーやキッズ携帯など、子どもに対しての防犯グッズが注目される中、子どもたちへの防犯教育はどうしていますか? 防犯グッズよりもまずは子どもたち自身に危機感と対処法を教えることが大切なのかもしれません。みんなどれくらい救育しているか調査してみました。Q.お子さまにどれくらい防犯教育をしていますか?1.定期的にしている 20.1%2.時々している 54.6%3.あまりしていない 21.0%4.全くしていない 3.1%5.わからない・どちらとも言えない 1.3%定期的にしているという人と時々しているという人を合わせると74.7%に。やはり、今どきの親たちは子どもの防犯に対して気をつけているようです。■ニュースや事件を通じて教える子どもには他人事にしないためにも、ニュースや事件があったときには話をするという親が多くいました。もし、同じようなことがあったらどうしたらいいかなど話し合うきっかけにもなります。「ニュースを見たときや、学校からの不審者情報が送られて来たときなどをきっかけとして話をします」(神奈川県 40代女性)「新聞やニュースなどで目にしたときに『中学生だからって安心できないよ』『これ、新しい手口じゃない?』なんて話をしたり、できるだけタイムリーに話題にあげるようにしています」(神奈川県 40代女性)「ニュースで同じ年頃の子の事件などがあると、他人事ではないと親身に話します。習い事のお迎え用に購入したキッズ携帯はかなり役に立っています」(茨城県 40代女性)■「知らない人にはついていかない」が基本優しそうな人、ほしいものを買ってあげるという人、「お母さんに頼まれて」という人、いろんな手を使って子どもに近づく甘い罠に引っかからないように、知らない人にはついていかないが基本です。「子どもたちには、本当に悪い人は悪い格好してないし、とっても親切な顔をして近づいて来るんだからね、としつこく言い続けています。連れ去り事件などあると本当に怖くて不安になります」(東京都 40代女性)「今の時代、知らない人に声をかけられたら怪しい人だと警戒するように話ししています。顔見知りでも何があるかわからないと思っています。警戒しすぎかなぁ〜」(佐賀県 40代女性)「知らない人に『お父さんが事故で』とか『お母さんに頼まれて』とか言われても、絶対についていかないように言っています」(千葉県 40代女性)■挨拶運動に矛盾を感じる親も挨拶はすべての人にするもの。知らない人に対して無視するのではなく、こちらからは同じように接することで不審者対策にもなるのかもしれません。「本当に難しい世の中になりましたね。学校でよくある挨拶運動。見知らぬ人は無視。どこか矛盾を感じることも……。無視ではなく挨拶だけは大きな声でハキハキとする方が、不審者も警戒するだろうし、挨拶ができる子になってくれると思います」(静岡県 40代男性)Q.お子さまにどれくらい防犯教育をしていますか?アンケート回答数:7782件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年01月20日「子育てに取り入れるといいらしい」と耳にすることもあるモンテッソーリ教育が気になっているという方も多いのではないでしょうか。モンテッソーリとは、教具を使った「お仕事」(遊びの時間)や個別活動による自主性を重んじた教育活動が特徴の教育法のことです。保育所や幼稚園で取り入れられることもある“モンテッソーリ”がどんな教育方法なのか、家庭でも実践できるのか、など詳しくご紹介します。モンテッソーリとは? そもそもモンテッソーリとは、マリア・モンテッソーリ(1870〜1952年)というイタリア人女性医師が開発した教育方法のことです。「モンテッソーリメソッド」「モンテッソーリ教育」などさまざまな呼ばれ方をしますが、どれもマリア・モンテッソーリが提唱した教育方法のことを指しています。マリア・モンテッソーリは、女性医師として子どもと触れ合うなかで、ある物事に関して吸収力が大きくなる期間があることに気が付き、それを“敏感期”と呼んで注目し始めました。1907年にイタリアに「子どもの家」という保育施設を作り、子どもが本来もっている能力を適切な援助で引き出していくモンテッソーリ教育法を生み出しました。この教育法は、「子どもの発見」と呼ばれ、現在でもその考えを継承した教育を行う幼稚園や保育施設、学校は世界中に存在し高い評価を得ています。モンテッソーリ教育の目的 モンテッソーリ教育の主な目的は、子どもの自立にあります。モンテッソーリの教育法によって引き出していく自発的に行動できる力や考え学び続ける力などは自立によってかなえられるとされているためです。「子どもは自分で成長し発達する力をもって生まれてくる」ことがモンテッソーリの教育法の基本でもあります。そのため大人は“子どものサポート役として“援助”するだけで、子どもの自発的活動を妨げてはいけない”存在だとされています。これをマリア・モンテッソーリは「生命の援助」と呼び、いまでも大切な理念として根付いているのです。どんな方法で行うの? “ひとりでできるようになる”ために、環境を整えることと少しの援助を行うことが大人である親や先生には求められており、“子どもを見守る”ことが重要だとされているのがモンテッソーリの教育法です。自発的に活動できるよう、自由にやりたいことができるよう準備をすることが、“環境を整えること”です。その準備は、ただ教具と呼ばれるおもちゃなどを用意しておくだけでなく、成長過程に合わせた物を置くことや「やってみたいな」と思わせる物でなければなりません。大人は、あくまでその成長を援助する“人的環境要因”ではありますが、適切なサポートを行えるよう常に意識して子どもを見守っている必要があります。つまり、自由になんでも好きなようにさせるのではなく、そのとき個々人に必要だと思われる物を適切な時期に“自分で”選び取れるよう援助するのがモンテッソーリの教育方法なのです。モンテッソーリの特徴 モンテッソーリの教育法には、大きく分けて3つの特徴があります。モンテッソーリの特徴1.個別活動モンテッソーリといえば“個別活動”が大きな特徴です。集団で行動するためには、”だれか”に合わせて動かなければなりませんが、一人ひとり興味やそのとき必要としていることは異なります。そのためモンテッソーリの教育法では、個別活動を基本としています。個別活動が基本ではありますが、子ども同士が一緒に遊ぶことを禁じてはいるわけではありません。子どもたちが一緒に遊びたいという気持ちをもっていれば、それがその子どもたちの活動になります。大切なのは、“子どもが自主的に活動しているか”にあるため、「個別活動ばかりで友だちと遊ばせてもらえないのでは」という心配はいらないでしょう。モンテッソーリの特徴2.自発性を重んじる個別活動の前提でもありますが、モンテッソーリの教育法は“子どもの自発性を重んじる”ものです。自発的に「これがしたい」と考え行動できるようになることもモンテッソーリの目的のひとつであるため、大人(先生)は自発性を妨げないよう、環境を整えています。また、遊びのことを“お仕事”と呼んでいることも大きな特徴として覚えておきましょう。モンテッソーリの特徴3.集団生活をするときには縦割りが基本幼稚園や保育所、学校でモンテッソーリの教育法を取り入れるときには、“縦割り”でクラス編成を行います。これは、社会性や協調性を身につけるために、大体3歳程度の年齢幅でクラスをまとめているのも特徴のひとつです。幼稚園では3・4・5歳児が混ぜられた異年齢クラスになり、保育所では0・1・2歳児と3〜5歳児の2段階でクラス編成されるケースが多く見られます。モンテッソーリの教育法5分野って? モンテッソーリの教育法は、5つの分野にわけられています。それぞれに適した教具があり、発達に沿った教具のレベルも分けられていますが、“大人が考えたカリキュラムの順番通りに進めていく”のではなく個々人に合わせて活動していきます。モンテッソーリの教育法1.運動運動=身体を動かす体育、ではなく、日常生活を営むうえで必要な動きを身につける分野が運動です。“思った通りに身体を動かして、自分のことは自分でできるようになる”ことを目的としています。大人の真似をしたがる主に2〜3歳頃を運動の敏感期と呼び、自立心や独立心といった基本となる心を養う時期として、適切な環境や援助を行っていきます。モンテッソーリの教育法2.感覚モンテッソーリの教育法では、2〜4歳頃を“感覚の敏感期”と呼び、他者との比較から自我の芽生えを援助する時期と考えています。生活のなかで自然と“持ち物の比較”などから自分と他者との違いを感じ始めたら、比較をテーマとした感覚教具を用意し、“同じ・違う”といった仲間分けなどを理解できるように援助していきます。モンテッソーリの教育法3.言語子どもが言語を習得するときには、“物には名前がある”ことを認識し、“性質を表す言葉”があることに気づき、“物をつなげて考えられる”ようになるという段階を踏むというのがモンテッソーリ教育法の考え方です。言語習得の流れの援助を行うために、適切な時期に絵や文字のカード(教具)を使って、話す・読む・書く力を身に着けていくのが言語分野です。モンテッソーリの教育法4.算数量=具体的な物、を理解することから始まり、徐々に“抽象的・論理的”な物の考え方ができるように導いていくのが算数分野で、そのための教具は細かな段階に分けられています。あくまで難しい計算ができるようになるのは結果であり、まずは考え方を身につけていくことを、モンテッソーリの教育法では大切にしています。モンテッソーリの教育法5.文化他の4分野の集大成ともいえるのが“文化”です。基礎的な力が身についたところで、歴史・地理・音楽などから、“文化を学び吸収する力”をつけていく分野となっています。モンテッソーリの“教具”モンテッソーリの教育法では、“教具”と呼ばれる道具が使われています。モンテッソーリ教育のおもちゃと言われることもありますが、正式には教具です。時期や子どもの成長に合わせて選んだものを“環境”のひとつとして置き、子ども自身が自主的に手に取るようにしなければなりません。本来“教具”は、おもちゃでも教育のためのアイテムでもないという扱いなのですが、感覚的には、おもちゃと教育グッズの中間に位置しているような存在と考えていてもいいでしょう。大切なのは、その“教具”を使うことを目的とするのではなく、“子どもが自発的に教具を使って遊び(=お仕事をする)、成長や発達のサポートになっている”ことにあります。その点をしっかりと押さえたうえで、教具を取り入れるようにしましょう。モンテッソーリ教育には資格が必要? モンテッソーリの教育法を行うための資格やモンテッソーリ教育が受けられる場所をご紹介します。モンテッソーリ教育の資格厳密には、モンテッソーリ教育を行うために必要な資格はありません。民間資格がいくつかあり、就職時に“○○資格の取得”が求められる可能性はありますが、保育士や幼稚園・小学校の教諭免許とは異なり、“絶対になくてはいけない”というものではないのです。ただし、モンテッソーリの教育法は、通常の“保育・教育”の勉強だけではなく専門的に学んだほうがよい部分もあるため、モンテッソーリ教育を行うプロになりたいと思ったときには、民間資格を取得するのがおすすめです。民間資格が受けられる機関日本で初めてモンテッソーリ教育の教師養成校を設立した公益財団法人才能開発教育研究財団/日本モンテッソーリ教育綜合研究所の「モンテッソーリ教育教師養成通信教育講座卒業資格」 モンテッソーリ教育 教師養成通信教育講座 | 公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 国際モンテッソーリ協会公認の一般社団法人モンテッソーリ教育研究会で認定される「ディプロマ資格」 モンテッソーリ教育研究会 モンテッソーリ教育を受けられる場所日本では、モンテッソーリの教育法を取り入れている保育所・幼稚園・学校に通うことで、モンテッソーリ教育を受けることができます。保育所や幼稚園は、各地域にモンテッソーリ教育を取り入れているところがあり、近隣で探すと見つかることが多いですが、小学校になると数が少なくなるため、小学校でもモンテッソーリの教育法を受けさせたいと考えている方は、事前にしっかり調べておくことをおすすめします。小学生になると、アフタースクールや習い事として、モンテッソーリに触れるパターンもあるので、学校が見つからないときにはそちらも検討してみましょう。家庭でモンテッソーリ教育を行うコツ家庭でもモンテッソーリ教育を行うことはできます。その際は、“手を出しすぎない”ことを意識するのがコツです。モンテッソーリのもっとも大きな特徴が“自発性・自立”です。ついつい家庭だと、見守りきれずに手や口を出したくなってしまいますが、大人は援助をするのみ、“見守る”ことを常に意識して過ごすようにしましょう。また、モンテッソーリの教具は“おもちゃ”として販売されています。一度にすべてをそろえるのは大変なので、気になったものだけを取り入れてみるのもおすすめです。特に感覚教具や算数の教具は、モンテッソーリならではな特徴を感じられるものも多いため、最初の一歩として購入する物にピッタリです。「買ったのだからやって!」ではなく、家のなかに置いておき子どもが自然と手に取れるようにして、モンテッソーリの教育法の基本を押さえたうえで取り入れるようにしましょう。<参考> モンテッソーリ教育研究会 公益財団法人 才能開発教育研究財団 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ学芸大学子どもの家オフィシャルサイト Mirai Kindergarten モンテッソーリ教育
2017年01月12日みなさま、こんにちは!海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。日本では、2011年度に英語が小学校5年生から必修になりました。今後さらに英語学習の低学年化が進み、2020年にはなんと小学校3年生から英語が必修になるそうです。「英語って、何歳から勉強し始めるべきなの?早ければ早いほどいいの?」「あまり早くに始めると、子どもが混乱して日本語が下手になったりしないの?」など、心配は尽きませんよね。娘を英語、日本語、中国語のトリリンガルに育てた 私が、自身の経験を交えつつお話させていただきます。●バイリンガルへの道バイリンガルになる道筋はさまざまです。・家庭で小さいころから2つの言語に接する場合・地域社会、保育園、小中学校や高校などで第二言語を習得する場合・大人になってから外国語の授業で第二言語を学ぶ場合などなど。それぞれのパターンを見ていきましょう。●幼児期のバイリンガリズムの類型幼児期のバイリンガリズムには(1)同時的(2)連続的の2種類があります。●(1)同時バイリンガリズム(Simultaneous bilingualism)早い段階で同時期に2つの言語を習得するケース です。例えば、母親が子どもにある言語で話しかけ、父親が別の言語で話しかける場合には、この子どもは両方の言語を同時に習得します。●(2)連続バイリンガリズム(Sequential bilingualism)子どもがある言語を先に習得し、その後に第二言語を習得する場合 です。子どもが家庭で第一言語を習得し、その後に保育園や小学校に通い、そこで第二言語を学ぶ場合などです。----------この同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムは、おおよそ3歳を境に分かれます 。子どもが3歳前に2つの言語を習得した場合、『第一言語としてのバイリンガリズム』と呼ばれます。3歳前ならば、2つの言語の習得は自然で、会話体中心のものとなります。3歳を過ぎると、習得する第二言語は学校教育による部分が多くなります。●同時バイリンガリズムの事例子どもをもっとも効率よくバイリンガルに育てるためには、それぞれの親が子どもに別々の言語を話すのが理想であると言われています。それは、『1人1言語(one person, one language)の原則 』と呼ばれています。オーストラリアで英語とドイツ語を使って2人の息子をバイリンガルに育てた事例があります(Saunders,バイリンガル教育研究者、1988)。この父親は、ドイツ語のネイティブではありませんでしたが、以前ドイツに住んだことがあり、そこでドイツ語を学び、ドイツ語には自信を持っていました。それで、息子が生まれたときからドイツ語で話しかけ、母親は英語で話しかけたそうです。わが家の場合は、娘が生まれたばかりのときから私は日本語で、妻は中国語で話しかけました。娘が3歳になる前に台湾からシンガポールに転勤になり、娘を英語の幼稚園に入園させました。つまり、娘は3歳になるまでに、毎日3か国語に接していたことになります。「混乱するんじゃないの?」と、周りの人には心配されましたが、それはなかったようです。15歳になる今では、英語、中国語、そして日本語をほぼ完璧に話すことができます 。●3歳までの『第一言語としてのバイリンガリズム』3歳までの、同時バイリンガリズムの習得に関する研究では、2つの重要な点が指摘されています。第1に、2つの言語の同時習得はひとつの言語の習得の発達順序や過程と同じであることをSwain(バイリンガル教育研究者、1972)という人が示しています。子どもたちはまるでひとつの言語を学ぶかのように2つの言語を学んでいる のだそうです。第2に、それと関連して、二言語併用が第一言語になる場合もあります。バイリンガルの子どもの2つの言語が、ひとつの言語体系によって支えられているという考え方です。3歳になるまでの子どもは、数か国語に囲まれる生活でも混乱することはありません。もし、国際結婚のご家庭の場合は、安心してパパはパパの国の言葉を、ママはママの国の言葉を生まれた赤ちゃんに話しかけてあげてください!●3歳以後の、連続バイリンガリズム連続バイリンガリズムとは、子どもが第一言語を習得し、それから第二言語に習熟していくような状況のことです。McLaughlin(バイリンガル教育研究者、1984)は、3歳という年齢を同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムの一応の境目として用いることを提案しています。子どもが3歳以後、第二言語に堪能になるための方法はさまざまで、唯一最良というものはありません 。●おすすめの学習時期第二言語を学習する年齢と、習熟に成功することとは関係があるのでしょうか?Singleton(バイリンガル教育研究者、1989)は、その詳細な分析を、下記のようにまとめています。**********(1)第二言語学習では、必ずしも若い学習者の方が年齢が上の学習者よりも効率よく上手に第二言語を身につけるとはかぎらない。(2)幼児期に第二言語を学ぶ子供たちのほうが、確かにそれ以降から学習を始めるよりも非常に熟達度の高いレベルに到達する傾向にある。しかし、この事実は、幼児期以降でも第二言語に十分に習熟できるという考えと矛盾しない。(3)おおまかに言えば、言語学習の過程において、年齢に関連した大きな違いはない。年齢に関係なく、第二言語の学習者は類似した言語発達の順序を示す傾向がある。(4)第二言語に触れる時間が長いこと(第二言語の教育を受けた時間)が第二言語の学習がうまくいくかどうかの重要な要因になる。第二言語の学習を小学校から始めてその後もずっと継続した子供は、後から第二言語の学習を始めた子供よりも高い習熟度を示す。(5)高い動機付けがあれば、学習の開始が遅れた者でも高い語学力を身につける可能性がある。**********年齢に関係なく高い語学力を身につけることはできるが、できれば幼児期や小学校から第二言語学習を始めれば、第二言語に触れる時間が長くなるので、熟達する可能性が高くなる、ということですね。●まとめバイリンガル教育についてまとめると、以下の5つになります。(1)同時バイリンガリズムは3歳までに起こる(2)同時バイリンガリズムにおいて、特に効率のよい方法は“1人1言語”である。それぞれの親が異なった言語を子どもに話す方法である(3)3歳以後の連続バイリンガリズムでは学校教育や日常生活(友人、近所の人とのつきあい、テレビ、映画など)で第二言語が習得される(4)第二言語に触れる時間が長いことが、第二言語の学習がうまくいくかの重要な要因となる。できれば幼児期、小学生のころから学習を始めれば、高い語学力を身につけることができる可能性が高くなる。(5)教室の授業や、生活の中で言語を学習することで、どの年齢の人でもバイリンガルやマルチリンガルになる可能性が残されている----------いかがでしたか?3歳までのバイリンガル教育と、それ以降のバイリンガル教育の違いについておわかりいただけたでしょうか。わが家の場合は、3歳前からの“同時バイリンガリズム”環境で娘を育てましたが、小学校から英語を始める“連続バイリンガリズム”でも、高い語学能力を身につけることができるのです。1人でも多くのお子様が英語を楽しく学び、バイリンガルになれますように!【参考文献】・『バイリンガル教育と第二言語習得』コリン・ベーカー(著)●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年01月07日育児の「不要なもの」を捨てるとは 「ほかの子と比べたくなる」気持ちに悩まない ママの『こうすればよかった』を投影しない の続きです。心配で、子どものことを囲いこみたくなるママ。そんなママの奥底にある気持ちについて、「 花まる学習会 」代表の高濱正伸さんに伺った。しない4:「心配する生きものである」自分を否定しない「ママとは心配する生きものです。子どものことが心配で、心配でたまらないというのは、ママになって初めてわかる感情なのかもしれませんね」と、高濱さん。「心配する」生きものであるなら、「心配しない」というのは無理。だからこそ、自分を客観視した上で、「ママとは、心配事が次々に出てくるものだ」と心に留めておくだけでも、気持ちが少し楽になるかもしれない。「『自分が心配し過ぎているな』と思ったら、信頼できる誰かに、その心配事を話してみてください。『それは、心配しすぎだよー』という周りからのひとことで、すっと心が軽くなれば、また新しい一日を迎えられます」(高濱さん)しない5:「いやなこと」を完全ブロックしない「子どもが心配で大事に育てるあまりに、安全な場所に囲いすぎて、反対に子どもを弱らせてしまうこともあるんですよ」という高濱さんの言葉に、この記事を書いている私は、ドキっとする。 次男に発達障害がある せいか、どうしても、息子を安全な場に囲い込みたくなるからだ。親から見るととてもつらいことで、できるならば避けて通らせてあげたい経験はたくさんある。なぜなら、子どもが大変な思いをしているのを見るのが悲しくならないママはいないから。「でも、その経験がその子の将来のためになります。子ども時代にいやな経験をひととおりしているからこそ、大人になったときに人の痛みを理解することができるようになるし、逆境でも『やるしかない』と思え、耐性がつくのです。少しのことではめげない心の強さを身につけることができます」(高濱さん)しない6:親の安心感のためだけに、先回りの教育をしない子どもを「いやなこと」から回避させたいという私の気持ちは、相当強いものだ。痛い思いはさせたくないし、失敗だってしてほしくない。「その思いが強いと、次々と先回りをして、ママがすべての準備を整えてしまいがち。そうすると、どんどん、その子の考える力は奪われてしまいます」(高濱さん)高濱さんは、続ける。 「たとえば、人間関係。乱暴者もいるし、意地悪な人もいる。立派なことを言いすぎてしまう人もいる。教科書どおりが通用しない環境で、生身の人間のコミュニケーションを、子ども時代にたくさん経験しておかなくてはいけない。ところが親が理想だけで『そういうことをすると嫌われるよ』と常に先回りしていると、子どもの試行錯誤の経験を奪ってしまいます」(高濱さん)。「先回りするのは、親が安心したいから」。この部分について、もうひとつ、高濱さんが警告を鳴らすのが先回りしすぎる教育について。「わが子がほかの子よりも先にいると、『親の自分が安心できる』というのが落とし穴です」(高濱さん)小学校6年生になったら並ぶ力であるにも関わらず、少しでも早く身につけた方が親は安心するというだけで、幼児期に詰め込みすぎてしまう場合がよくあるという。「結果、子どもは、いろいろなことに対して伸びるはずの適切な時期を失ってしまうのです」(高濱さん)子ども自身も、最初のうちは「ほかの子よりできる」ことが自慢で勉強が得意と思っているかもしれない。しかしそれは表面的にできるようになっただけ。しだいに「あと伸び」してきた子どもたちに抜かされてしまい、そこで自信を失ってしまう場合もあるそうだ。「先回りの教育を与えていると、親はまったく悪気なく、一番大切なことを見落としてしまうこともあるのです」(高濱さん)次回は、『「○○しなくちゃ!」にとらわれない』の話です。■今回取材を受けてくださった高濱正伸さんの著書『 「しない」子育て」 (花まる学習会代表 高濱正伸/KKベストセラーズ)』(本体1,250円+税)●高濱正伸花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。 1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。算数オリンピック委員会理事。 保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30,000人を超え、毎回キャンセル待ちが出るほど盛況。なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」など多数メディア出演もしている。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳なぞぺー』など、著書多数。2016年7月からニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカーとして活躍中。
2017年01月05日学校内で起こる問題はさまざまあります。中にはニュースで報道されるような悪質ないじめなどにより、怪我や心の傷を子どもが負ってしまうケースも。いっそ警察に入ってもらえばいいのではと考えることもありますが、教育現場に警察が介入することについてどう思うか、パパやママたちに聞いてみました。Q.教育現場の警察介入どう思いますか?1.警察の介入はすべきではない 3.2%2.状況により警察の介入を容認 76.3%3.警察の介入を進めていく 9.6%4.学校と地域社会と連携して対応 9.4%5.その他・わからない 1.4%なんと76.3%の人が、状況により警察が介入してもいいと思っているという回答になりました。悪質ないじめなどにより、悲しい事件が報道されることもある今、事件が起こってからでは遅いと危機感を感じている親が多いようです。■悪いことをしたら罰を受けるのが社会学校であれば何をしても大ごとにはならないと思っている子どもには、しっかり自分がしたことを見つめてもらうためにも警察の介入は仕方がないと考える人たちが多数派でした。「教育的配慮とかまた子どもに気を遣いすぎている感が否めない。真面目に過ごしている生徒を守るためにも、どうしようもない不良は警察沙汰にするべきです。それも教育だと思います。社会に出たら通用しないんですから」(神奈川県 40代女性)「傷害未遂事件、殺害未遂事件の現場が学校だった。いじめってそういうものではないでしょうか?学校だからといっていじめっ子が守られるのはおかしい。警察に入ってもらって、ことの重大さを気づかせることも必要だと思います」(鳥取県 40代女性)「体罰が全面的に禁止されている今、歯止めがきかない場合は警察が入るのも仕方がない。また地域社会の付き合いが希薄になっている現代では、地域社会との連携も難しいのでは」(広島県 40代女性)■学校は社会に出る前の準備期間の場一方で学校は社会に出るための場所であるので、警察の介入は賛成できないという人も少数派ながらいました。とはいっても、そんな人たちも今の時代の流れを感じて葛藤しているようです。「学校のことをどこか小さな自治領のようなイメージを持っていたため、警察の介入については違和感があるのです。本来なら、学校単位でおさめていたわけですものね。釈然としないのですが、しょうがないのでしょうかね」(神奈川県 40代女性)「その子の将来を左右することになるので、簡単に賛成はできません」(静岡県 30代女性)「本当は警察を介入させたく無い。学校は社会に出るための準備をする場所。そこにいる子どもは親や教師が教育して、社会に送り出す。社会に出たら社会のルールを守り、それを警察が取り締まる。もう親も教師も子どもの教育なんて無理っていう敗北宣言ですかね」(神奈川県 30代男性)■暴力だけでなく窃盗事件も警察介入を容認すると答えた人の中には暴力事件だけでなく、窃盗事件の問題についてを挙げる人もいました。犯人探しをしない学校、犯人がわかっていても放任する学校に親たちのイライラがつのっています。「この間から息子の学校で、持ち物の盗難が相次いでいるようですが、犯人を探すこともせず、そのまま放置のようです。子供たちも不審に思っているようで、教育上よくないと思います」(千葉県 40代女性)「今学校では、物がなくなったり壊されたりと我が家の娘も被害者です。一歩外に出たら、当然警察に捕まるようなことも学校の中ではなんとなくもみ消されてしまいます。学校の体面を考えてのことなのか、犯人を特定してくれず、先生が謝るだけで終わりです。上履きが盗まれても、ラケットが折られても、結局はやられたもの負け!」(神奈川県 40代女性)Q.教育現場の警察介入どう思いますか?アンケート回答数:4283件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2016年12月28日教育相談とは出典 : 教育相談とは、子どもの発達と教育にかかわる問題について、子ども本人、保護者、学校の教員などに対して行われる、心理的・教育的援助のことです。教育相談というと、学校からすすめられてはじめて相談に行くことが可能となる、というイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、学校からすすめられなくても悩みごとがあれば相談できます。相談できるのは、18歳までの子ども本人のほか、保護者、学校の教員など、子どもの教育・養育に関わる全ての人です。相談を受けているのは、学校や、校内のスクールカウンセラー、地域の教育相談センター、特別支援学校などです。教育相談は今、非常に広い概念として捉えられています。「何らかの問題が起こったときに悩みを抱えた人が、学校の教員や専門家に相談をすること」これが以前まで、教育相談という言葉が指していた意味合いでした。ですが、近年子どもの問題が多様化、深刻化するにつれ、教育相談に求められる役割は多岐にわたっています。求められる役割の広がりに伴い、「相談」という言葉から連想されにくい事柄についても教育相談の担う範囲とされています。教育相談の内容は、主に2つに分けることができます。一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。例えば・学校以外の機関が行う、匿名での電話相談サービス・特別支援学校や教育委員会が行う、発達が気になる乳幼児の保護者への子育て相談などがこれにあたります。二つ目は、問題が起こる前に、学校の教職員などによって行われる予防的な教育相談です。例えば、教師が学級活動の中で、児童生徒に対して行うロールプレイングや感情コントロールのトレーニングなどです。このように、教育相談が担うのは、問題が起こったときのみに行われる相談業務だけではありません。何か問題が起こったときに保護者や子どもが自ら課題を突きとめ、主体的に問題解決をできるように、これらの支援や活動は日ごろから行われています。教育相談の事業を通して、困りごとがあるときにも、子どもに関わる誰もが気軽に相談をできるような体制づくりが目指されています。学校を中心として、教育センターや特別支援学校、NPOなど、地域全体を通して、そのような体制づくりが行われています。教育相談ではどんな相談に乗ってもらえるの?出典 : 教育相談が取り扱う事柄はさまざまです。例えば、いじめや不登校、学習に対する不安などの学校生活に関わることから、就学や進路、子どもの発達のことなど、子どもの教育、養育上の問題に関するあらゆる内容を取り扱っています。心配ごとがあるときに、教育相談では以下のような相談を行うことができます。例えば、◇学校生活のこと・クラスでいじめにあっています。もう学校に行きたくありません。・子どもが朝になるとお腹が痛いと言って学校を休むようになりました。無理矢理、学校へ連れていった方がよいでしょうか。・学級に不登校の児童がいます。どのように対応したらよいでしょうか。◇子育てや家庭のこと・子どもが発達障害ではないかと心配しています。・忘れ物が多くて困っています。・子どもが自傷行為をしているようです。・子どもが反抗的で親の言うことを聞きません。◇就学先のこと・障害が重くても、地域の学校で学ぶことができますか。・小学校や特別支援学校に就学したあとに、転学の相談はできますか。◇情報関係・SNSに子どもの悪口が書かれています。どうしたらよいでしょうか。教育相談では、相談者の意見を尊重し、肯定的に受けとめながら、相談者にとって最適な解決方法を一緒に考えていきます。教育相談はどこで誰がしてくれるの?出典 : では、教育や養育に関する悩みごとがあり教育相談を受けたいと思ったら、どこへ行ったらいいのでしょうか。教育に関する相談を扱っているのは、学校の教職員、学校内の相談室、教育センター、特別支援学校などです。それぞれの相談先の特徴と、ご自身の悩みごとの内容に合わせて、相談先を選ぶことが大切です。出典 : 教育相談の活動で中心的な役割を担っているのが学校です。学校では、学級担任や管理職をはじめとして、養護教諭などの全ての教職員が協力をして、子どもの悩みを解決する体制が作られています。学校では、通学する児童生徒本人や保護者が教職員に対して相談することができます。いじめや不登校などの問題の他にも、子どもの気になる行動や、学習についての不安を中心に相談ができます。学校は子どもが毎日通うなじみのある場所であり、そこにいる教職員は毎日子どもに接しています。相談を行うことは、教員が子どもに対してより配慮のある対応をしてくれることにもつながります。学校における教育相談に特徴的なのは、教職員の側から子ども、保護者に対し、相談できる機会を積極的に設けていることでしょう。通称、呼び出し相談や定期相談といわれています。教職員が積極的に子どもや保護者に声をかけていくことにより、問題が起こる前に、その火種を発見でき、問題を未然に防ぐことが可能となります。学校における教育相談には、もう一つの側面があります。それは、悩みごとを抱える一部の子どものみを対象とするのではなく、全ての子どもを対象とする予防的な教育相談活動です。いじめを例にして考えてみましょう。いじめの被害者に対する心のケアは重要ですが、いじめに対して「やめてほしい」と主張をする力や助けを出すための力が必要な場合もあります。また、いじめの加害者側が高いストレスに晒されていることもあります。そのような子どもが加害者にならないようにするために、事前の予防的な教育が行われています。具体的には、授業やホームルームの中で、自分の言いたいことを適切に主張するためのアサーション・トレーニング、自分の怒りの感情をコントロールし、衝動的な行動に出ることを防ぐためのアンガーマネジメント、相手の立場になりきるロールプレイングなどが取り入れられています。出典 : 学校内に設置されている心の相談室・カウンセリングルームでは、スクールカウンセラーに相談することができます。学校の教職員に言いづらいことは、学校内の相談室で相談をするのがよいでしょう。スクールカウンセラーとは、臨床心理士、精神科医、心理学系の大学の常勤教員などの心の専門家です。また学校によっては、「子どもと親の相談員」というスタッフが相談に乗ることもあります。平成25年には、スクールカウンセラーが派遣または配置されている学校数は、20,310か所であり、平成7年に比べ、その数は約130倍となりました。これは、いじめや不登校問題の多発に注目した文部科学省が、教育相談に専門的に携わるスタッフを増やす施策をとったことによる変化です。学校内の相談室で相談をするメリットは、学校の教員とも保護者とも違う立場から話を聞いてもらえることでしょう。これらの相談員は、保護者や他の教職員とも利害関係がないために、客観的で中立な立場から冷静に話を受け止めてくれます。注意点は、相談者により話された秘密は原則として守られますが、問題解決のために事実関係の整合性を取る場合などに限って、相談から得られた情報を学級担任や管理職に共有することがあるということです。最終的な目的は問題の根本的な解決なので、相談員だけではなく、学級担任から見た子どもの姿や保護者から見た子どもの姿など、多角的な視点を用いた判断が必要とされる場合があるためです。また、相談員は外部の機関との連携を密に行っています。ですので、相談員や学校のみでは問題解決ができないと判断した場合には、児童相談所や医療機関などの機関と連携することもあります。スクールカウンセラーや子どもと親の相談員は、各学校に配置されている場合と教育委員会から派遣されて学校へやってくる場合があります。週に1~2回、学校内、あるいは学校の近くにある心の相談室・カウンセリングルームなどの場所で勤務を行っています。出典:スクールカウンセラー等配置箇所数|文部科学省スクールカウンセラーについて|文部科学省「子どもと親の相談員」について|文部科学省出典 : 教育に関する相談の受け付けを行っているのは学校だけではありません。教育相談センターや、教育センターという施設でも子どもの育ちや教育に関する悩みごとの相談をすることができます。例えば、不登校やいじめの問題について、学校が対応しきれず困りごとの解決が難しいときもあると思います。学校に言いづらい悩みごとは、学校以外の機関に相談するという選択肢があると知っておくことで、新しい問題解決の道が開けることもあります。これらのセンターは都道府県・市区町村が設置している施設であり、さまざまな専門をもつ相談員が相談に乗ってくれます。相談をすることができるのは、18歳までの子どもとその保護者、および教員です。相談には、心理相談を専門とする相談員が対応し、必要に応じて、継続的な面接やプレイセラピー、心理検査などを行います。またこれらのセンターでは、定期的に不登校に特化した相談会や、学校復帰・社会参加に向けた講演会が開かれていたりします。学校では得ることのできない情報を知ることができる場としても活用できるでしょう。相談者の状態や、何らかの事情によりセンターに来所することが困難な場合には、メールや電話でも相談をすることができます。相談内容によっては、児童相談所や医療機関などの関係機関を紹介される場合があります。例えば、相談員のみでは解決ができない、医学的な診断の必要である、また福祉的・法的な措置が必要な場合などです。また、相談の内容によっては、保護者の方にあらかじめ確認をとった上で、相談の内容を学校に伝えることがあります。というのも、学校の教職員と保護者が子どもの状況を共通理解することにより、柔軟で充実した対応を行うことができ、結果的に問題の解決への近道となることもあるためです。これらの機関は、学校や教員に対して直接的な指導を行うことはできません。ですので、以下に挙げるような対応の難しい相談事に関しては、あらかじめ相談先が断る場合もあります。・学校の運営・教員による子どもへの指導の内容・教職員の人事学校の運営や教員に対する意見がある場合には、まずは学校の管理職へ相談して、それでも解決しない場合は管轄の教育委員会へ相談を行うのがよいでしょう。出典 : 特別支援学校には、学校に在籍する子どもへの教育の他に、大切な役割があります。それが地域の障害のある子どもたちへのサポートです。この役割の一つとして、特別支援学校では、地域の子どもたちや保護者、小中学校の教職員から相談を受け付けています。以下のような相談を受け付けています。・子どもの発達についての相談・特別支援学校への入学や転学への相談・小中学校での教育についての相談相談には、特別支援学校の教員が対応してくれます。子どもの発達とその支援に関する知識や経験のあるスタッフが対応してくれるので、就学のことや、子どもの発達で心配がある場合には気軽に相談してみるとよいでしょう。特別支援学校で行われる教育相談は、就学以後の子どもに限らず、乳幼児やその保護者に対しても行われています。これは、平成23年に改正された障害者基本法を受けて、障害のある、または支援の必要な乳幼児とその保護者に対し、就学前から情報の提供の機会をより増やそうという国の動きによるものです。相談対応の他にも、特別支援学校では以下のように障害のある子どもに関わる大人や、本人を手助けするさまざまなサポートを行っています。例えば、・学校への巡回訪問・心理検査の実施・研修会の講師の派遣・授業や教材の工夫・個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成のサポートなどです。保護者や教師など、子どもに関わる大人は、子ども発達や障害に専門とする教員やコーディネーターとともに、遊びの工夫や、子どもとの適切な関わり方などを一緒に考えていきます。教育相談にはどんな方法があるの?出典 : 相談の内容や、相談者の状態によっては、来所により話をすることが困難な場合もあります。教育相談では、来所に限らずさまざまな方法で相談をすることができます。ここではそれぞれの相談方法の特徴をご紹介します。全ての相談機関で、来所による相談を受け付けています。継続的に担当の相談員に対応してもらえるのが来所による相談の特徴です。相談者一人につき担当の相談員が一人つくことが多いので、来所するごとに、前回から変わった点や新たに加わった困りごとなど、問題解決までの間、その道のりを長期的に支援してもらえます。初回面接の際には、電話で相談内容を話した上で予約をする必要があります。電話による相談の特徴は、現在いる場所に関わらず、相談ができる点です。電話相談だけでは解決の道が見つからない場合には、実際に相談機関に来所することが可能です。匿名でも相談にのってくれる他、電話により相談員の対応を知った上で、来所による相談へ安心して移ることができます。電話相談では、相談員を指名しての継続相談は受け付けていないことがありますので注意が必要です。スマートフォンやPCの普及とともに、メールで相談を受け付ける機関が増えています。メールによる相談の特徴は、名乗らない限り、相手から相談者の身元がわからない点や、時間や場所に関わらず24時間メッセージを送信できる点です。一方、相談の返信が返ってくるまでに、ある程度の時間がかかったり、文字だけのやりとりのために、細かいニュアンスや表現が伝わりにくい場合があることには注意が必要です。機関によっては、文字数の制限があったり、メールの返信の回数制限があったりする場合もあります。詳しくはそれぞれの機関のウェブサイトをご参照ください。学校では通常、メール相談の受付は行われていませんが、教育センターや教育相談センター、NPOなどはメールによる相談を受け付けていることが多いです。学校や相談機関等に通うことが難しいお子さんを対象として、相談員が家庭・学校を訪問し、子どもへの支援や、その保護者の方との相談を進めます。学校や相談機関に通うことが難しい子どもでなければ利用できないことがあります。教育相談をしたいときには何をすればいい?出典 : 学校に相談を希望する場合には、学級担任のもとに連絡して実際相談をしますが、学校の教職員以外に相談をしたいときには、どのような手順で相談をすればよいのでしょうか。相談の流れやそれぞれの相談先の注意点についてご紹介いたします。学校の教職員ではなく、スクールカウンセラーや「子どもと親の相談員」に相談したいときの窓口は、学校により異なります。学級担任・養護教諭を通じて予約をする場合と、直接相談員に声をかける場合や、相談室の前にホワイトボードが置いてあり、誰にも知られずに予約をするシステムがある学校などさまざまです。また、通っている学校にスクールカウンセラーが配置されていない場合、近隣の学校に配置されているスクールカウンセラーに相談することになります。スクールカウンセラーが配置されている近隣の学校については都道府県教育委員会、もしくは市町村教育委員会に問い合わせ、その学校を通じて勤務されている日やスケジュール等を確認し、予約の上、相談室へお越しください。教育相談センターでは、希望する相談の方法により予約が必要な場合とそうでない場合があります。来所相談は、予約制となります。センターの業務時間内に電話で予約をとる必要があります。予約の際には、相談の概要を聞かれるので、子どもの様子や相談の内容についてまとめておくとよいでしょう。市区町村により、相談の受付時間や予約方法が異なります。1回の面接は50~90分間で相談費用は無料です。継続相談を行ったり、相談内容によっては他機関を紹介してくれることもあります。ご参考までに、東京都教育相談センターの申し込みから相談までの流れを以下に示します。申込みは、保護者からのお申込みをお願いいたします。電話相談にてご相談のうえ、お申込みください。↓初回日時のご連絡担当相談員が決まり次第、お電話等でご連絡差し上げます。↓初回面接※原則、1回の面接は50分間です。相談費用は無料です。以後、継続相談を行いますが、ご相談内容によっては、他機関を紹介する場合もあります特別支援学校での相談は、学校へ足を運んで直接相談をすることができます。FAXまたは電話で予約を入れ、相談日を設定する必要があります。詳しくは、お住まいの近くの特別支援学校のウェブサイト等をご覧ください。まとめ出典 : この記事では、教育相談を扱う機関や相談の流れや、内容などを具体的にご紹介しました。教育相談とは、悩みをもつ子ども、保護者、教員の、悩み事の解決に向けて行われる相談活動のことです。教育相談が担う役割は大きく分けて2つあります。一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。二つ目は、悩み事や問題が起こる前に教職員などによって行われる、予防的な教育相談活動です。物事の捉え方、人との関係づくりなどを子どもが学ぶ機会を日常的に設けることで、子ども本人が主体的に問題解決に取り組める力を育む役割があります。子どもと関わる保護者や教員は、問題が大きくなる前に、子どもから発せられるサインを見落とさないことが大切です。子どもの様子や子育てのことで少しでも心配ごとのある場合には、一人で抱え込まずに、気軽に相談にいってみましょう。悩みの解消に向けて、一緒に考え、共に解決策を探してくれるスタッフが必ずいるはずです。
2016年12月11日ゆとり教育を受けたとされる世代は、現在29〜12歳の人たちと言われています。その世代の子どもを持つ親たちは、学校で教えなくなった勉強を家庭や塾で補ったりした人も多いようです。また、いくらゆとり教育といっても逃れられないのが大学受験。多くの壁にぶつかることになったのは、子どもたちのほうかもしれません。Q.ゆとり教育、結果的に良かったと思う?1.良かったと思う 4.3%2.どちらかと言えば良かったと思う 6.6%3.どちらかと言えば良くなかったと思う 33.6%4.良くなかったと思う 41.2%5.わからない・どちらとも言えない 14.3%「良くなかった」と「どちらかと言えば良くなかったと思う」を合計すると74.8%にもなり、多くの人がゆとり教育に否定的な意見のようです。みなさんがどのような理由で、ゆとり教育に反対しているのか聞いてみましょう。■ゆとり教育のしわ寄せは子どもたちへ大人たちが決めた「ゆとり教育」ですが、その教育を受けるのは子どもたち。そして、苦労するのももちろん子どもたちということになります。教育の格差が生まれたり、その格差によって将来、就職ができないなどにつながることもあるかもしれません。「ゆとり世代の人と一緒に働くとイライラする。そんな人いませんか?」(神奈川県 40代女性)「そこそこのレベル以上の高校や大学に進学したい場合、通用しませんから、どこかでゆとりにされた部分を自分で補っていかなくてはなりません。特に大学受験での大きな苦労はまぬがれません。国の政策には疑問ばかりです」(神奈川県 40代女性)「疑問だらけのゆとり教育。いちばん苦労するのはそのゆとり教育を受けた子どもたち」(北海道 40代女性)「塾や習い事など学校以外の活動に力をそそげる家庭と、生活だけで精一杯な家庭により子どもの格差が広がったと思う。ゆとり教育の場合、貧困層の家庭では十分な学習ができない。家庭環境による子どもの格差を生んだ元凶だ思う」(神奈川県 40代女性)■ゆとりも詰め込みもどちらにもデメリットはあるゆとり教育が良くなかったとして、ではそれ以前の詰め込み教育が良かったのかというとそれもまた疑問。両方経験した今、何が子どもたちにとっていいことなのかを改めて考えるときなのかもしれません。「いいこともあればそうでないことも。考え方で変わると思うのでどちらでもありません」(三重県 30代女性)「ゆとりはいいと思うけど、なぜゆとりにするのかをもっと周知するべきじゃないのかと思った。ただの突き放しとしか感じられない」(島根県 30代女性)「『詰め込み』と『ゆとり』、どちらも良い点と悪い点があるとわかったのだから、それを生かせるような選択をしたい。偏らずに選択していくことで、個性を生かして他を認めることを学んでいってほしい」(神奈川県 50代女性)■どんな時代も生き抜けるたくましさを身につけるもちろん学校教育だけが子どもの成長に影響を与えるものではありません。時代の流れが早い現代だからこそ、どんな時代でも、柔軟にたくましく対応できる大人になってほしいというのが、今どきの親の共通した思いなのかもしれません。「長男はゆとり始まり世代。次女はゆとり終わり世代。授業内容は激変したように感じますが、学力低下やコミュニケーション能力低下は学校教育だけの責任ではないと感じています。時代の変化に対応できるたくましい子どもに育ってほしいです」(鹿児島県 40代女性)Q.ゆとり教育、結果的に良かったと思う?アンケート回答数:5148件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2016年12月09日こんにちは。子育て研究所代表の佐藤理香です。教育業界では、これまでの教科的な教育を超えて、プログラミング教育や表現力を高める教育など、数々の新しい取り組みが始められています。最近では、幼児段階での取り組みも多くみられるようになりました。今回は“感性教育”についてお伝えしたいと思います。●感性教育とは?“感性教育”とは、明確な定義はありませんが、子どもの感性を育む教育のことです。“感性を育てる”とは、ものの感じ方を育てる ことです。感性そのものに正解や間違いはありません。『Nikon』が行った「こどもの感性教育に関する調査」では、興味深いことがわかりました。約9割以上のママが「感性教育は重要である」と考えている一方で、7割以上が「感性がどのように伸びるかを知らない」と回答しているのです。これは、感性が可視化できないために、教育方法が難しく、成長実感を得にくい ことと関連しています。特に、幼児は言語の力(話し言葉、書き言葉)がまだ乏しく、感じたことを絵や創作物で表現できるほど巧緻性(器用さ)が発達していません。そのため、子どもが瞬発的に感じたこと、直感で感じたことを表現するのが難しいのです。教育の分野では、感性の重要性が指摘されるものの、伸ばし方は課題のひとつになっています。●感性の伸ばし方子どもの感性を伸ばすためにおススメの方法を3つご紹介します。●(1)五感で季節を感じる五感とは、視覚、触覚、味覚、聴覚、嗅覚です。これは経験したことに起因するため、一気に育てようと思ってもなかなか難しい感覚です。日々の生活の中でも、ちょっとしたことで感性は育ちます。四季折々に、自宅の周囲でも景色が変わります。「夏に緑だった葉っぱが今は黄色だね。この後、どんな色になるかな?」「あんなに暑かったのに、今は寒くてほっぺが赤くなるね」など、親が感じたことを子どもに声掛けしてみましょう。子どもも素直にいろいろと感じてくれますよ。●(2)生き物や植物を育てる生死を教えることは難しく、子ども自身が参加してみて初めて気づくことも多いです。おススメなのが、生き物や植物を育てること。マンションなどの住宅事情もありますので、必ずしも大きな生き物でなくてもいいのです。例えば公園で見つけたダンゴ虫を飼ってみる、ヒヤシンスを育ててみるなど、ちょっとした工夫で子どもの感性を伸ばすことができます。筆者の例として、金魚すくいでとった金魚を飼っていました。子どもは図鑑で調べ、一生懸命に世話をしていましたが、ほどなく死んでしまいました。もちろん大泣きで、お別れの言葉まで述べて、お墓を作り埋めました。悲しい現実ではありますが、命と対峙する というかけがえのない経験と感性を育めたと思います。●(3)一緒に食事を作る子どもが2歳くらいになると、ちぎる、割く、こねるなどの作業ができるようになります。徐々に包丁などの道具も使えるようになるので、親子で一緒に食事を作るのも効果的です。食材の色や形、切り口、感触に味、調理したときに変わっていく形や色。味の変化はまるで実験だと思います。合わせて、食材の生産などにも触れれば、子どもは一段上のものの感じ方を身につけると思います。----------幼児の感性を可視化するのは難しいとお伝えしました。最後に、筆者がやっている方法のひとつをご紹介します。筆者は子どもにお古のカメラを持たせて、好きなように撮影させています。子ども自身が撮影を通して、発見や感動を写真として記録できます。カメラを近づけたり離したりと好きなように操って、あちこち動き回り、新たな発見を促すこともできます。カメラは、子どもが五感で感じた好奇心や感動の瞬間を表出させる一つの手だて として有効です。親としても、子どもが感じている視点を写真として確認でき、アドバイスをしたり、認めたりして感性の成長に繋がります。何よりも、このようなコミュニケーションが、子どもの社会性を育み、感性の成長を後押しするのかもしれませんね。【参考リンク】・ニコンイメージングジャパン、「こどもの教育に関する意識調査」を発表 こどもの育て方について「感性」を重視する母親は73.5% | 株式会社ニコンイメージングジャパン()●ライター/佐藤理香(株)●モデル/藤本順子(風悟くん)、ココア
2016年11月24日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。子育て世帯の皆さんは、教育費をどのように貯めているのでしょうか?児童手当があるものの、今や「教育費は子ども一人1,000万円かかる」とも言われており、この先少子化が進めばますます教育費が増加する懸念もあります。今回はそんな不安を保険でカバーしてみませんか?というご提案です!●義務教育以降が高い!? 早めの備えが肝心!進路の違いによる変動はあれど、一般的に教育費用が増大するのは高校に入ってからと言われています。それまでは義務教育のためそれほどお金がかからなかったものが、高校入学を機に、入学金や授業料まですべて一気に加算されます。『生命保険文化センター』によると、高校の教育費は公立で年間約41万円、私立は約100万円。大学の教育費なら一番負担の軽い国立の自宅通学でも約539万円にも及ぶそうです。そこで賢い教育費用の貯め方をしたいのなら、子どもが生まれてから中学卒業まで がチャンス!児童手当にプラスして、各家庭で工夫しながら毎月コツコツ貯めていけば無理な節約生活をしなくても教育費用を貯めることができます。その際、預貯金で積み立てていく方法も良いのですが、以下の特徴とメリットを考慮して『学資保険』という選択をすることも非常におすすめですよ!●学資保険の特徴は?保険会社によって商品の内容は少しずつ異なりますが、おおかたの概要として、学資保険とは一定の期間保険料を払い込めば、その後の教育過程でまとまったお金が必要になる時期にお祝い金・満期金 として給付金が受け取れるというものです。また、保険料の払い込み途中で親に万が一のことがあったときには保険料が免除されます。子どもの教育期間は長期に渡りますから、大学卒業まで親が毎月欠かさず預貯金によって教育費用を貯めることができるとは限りません。そんないつ降りかかるかわからない、先々の不安を解消してくれるのが学資保険の強みなのです。●学資保険のメリットは?保険料の免除以外にも、まだまだ学資保険にはメリットが存在します。・毎月保険料を払うから、強制的に貯まる!・預金よりも利率が高い!・所得税が優遇される!・保険料が控除される!補足すると、学資保険で受け取れる満期金は一時所得の特別控除額50万円を超えなければ税金がかかりません。また、年末の税額控除の対象にもなるので、学資保険の活用は税金面でお得 と言えます!----------いかがでしたか?ゼロ金利時代には非常に魅力的なのではないでしょうか?ただし、学資保険にはメリットだけではなく、・払い込み期間中に現金化できない(中途解約は元本割れリスクが高い)・あらかじめ利率が固定されている(インフレに対応できない)などの注意点もあります。それらも考えた上で、子どものために、家族全体のライフプランのために、学資保険の利用を検討してみてくださいね!【参考リンク】・高校生にかかる教育費はどれくらい? | 公益財団法人 生命保険文化センター()・大学生にかかる教育費はどれくらい? | 公益財団法人 生命保険文化センター()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)
2016年11月21日犬猫だけでなく、鳥や魚、は虫類とペットの種類はさまざまですが、子どもの情操教育に良いという話はよく聞きます。いきものがいる日常生活は、子どもやママ、そして家族全体をどのように変えていくのでしょうか? ペットと過ごした経験のあるママたちがみた実際の経験と感想を紹介します。■初めてペットが我が家にやってきた!初めてのペットはまさに、未知との遭遇。触ったり観察したり、とにかく興味が尽きません。「おいしそうにごはんを食べてる!」「がんばってウンチしてる!」「寝顔がかわいい!」などなど、すべてが驚きであり、感動です。やることなすこと全部がうれしくて、いとおしくて、ずっと一緒にいたい、大事にしたいという、強い愛情が生まれます。しかし、子どもは、えてして飽きっぽいもの。最初のときこそ強い執着を見せても、やがてはそれもひと段落。ガクンと興味が薄れることも珍しくありません。それどこかろか邪魔者扱いし始める場合も…。そんな子どもを持つママたちの体験談がコチラ。・「最初は、『言葉を教えてあげる!』と、インコにひんぱんに話しかけていたのに、しばらくしたら、カゴの前を通っても知らんぷり。挙句の果てには、『リビングが鳥臭い!』とブチブチ文句まで言うように…」(20代後半)・「子犬がひどい下痢に。心配したり片づけしたり、病院に連れて行ったり…。私が丸一日子犬にかかりっきりになっていたら、4歳の我が子がまさかの赤ちゃん返り! 私にべったりになってしまい、弟のようにかわいがっていた子犬にキツく当たるように…」(30代後半)■飼育の本番とはいきものたちのリアルな姿に、恐怖心や嫌悪感を抱いてしまうこともあるそう。・「娘のしつこい態度に猫が怒って爪で一撃。初めて見せた獣の顔に、大ショック。すぐには状況を把握できず、しばらく硬直していた」(20代後半)・「魚の共食い現場にあ然。死んで仰向けに浮かぶ姿にぼう然。『気持ち悪い』と、しばらく水槽に近づかなかった」(30代前半)飽きたり面倒くさがったり、怖がったり…。でも、子どもといきものとの間に、距離ができてからが飼育の本番です。ペットはかわいいだけじゃない…。そう気づくことこそがもっとも大きな学びであり、揺るぎない愛情への第一歩となります。■責任と義務が子どもを大きく成長させる!興味や愛情が薄れても、相手はいのちある存在。放置できません。「一度受け入れた以上は、何があっても世話をする。」ペットを飼う上で課せられる義務に葛藤するなかで、子どもは大きく成長できると思います。・「梅雨時、犬が皮膚病にかかってしまい脱毛に。手入れを任されていた子どもは『ぼくがブラッシングをサボったからだ』と勝手に反省。それ以来、『自分がやらないと犬が大変なことになってしまう!』と、イヤイヤだった作業を率先して行うように」(30代後半)・「2、3日留守にして家に戻ったら、水槽の中でメダカが死んでいた。もともと弱っていたメダカだったのだけど、子どもはその出来事に衝撃を受けたようで、以来、泊りがけで出かけたがらなくなった」(30代前半)自分がいなければ、自分がやらなければ…。どんなに幼くても、いのちを意識したら責任感が湧いてきます。ペットを育てるのはとかく面倒なことも伴いますが、でもそこに、思いやりや心からの愛を育むきっかけがあるのです。■ペットの存在は家庭円満に!ペットの存在は、子どもだけでなくママにとってもメリット大。ペットの世話の大半を担い、一番大変ではあるからこそ、ママが得るものも大きいのだそう。・「ごはんを準備したり身の回りの世話をしたりする私を、誰よりも一番信頼してくれている。なついたり甘えられたりすると、すごくうれしくて、こころ癒やされる」(30代後半)・「わかりやすく叱らないと伝わらない、こちらがブレるとナメられる。犬のしつけで苦労したことで、我が子に対しても一貫した言動をとれるようになった!」(40代前半)・「ペットの日々の様子や世話など、母子の話題が尽きない。家族で一致団結することもふえた」(30代後半)ペットは親子の絆を結ぶ存在。どんなに小さないきものでも、大きな幸福をもたらしてくれます。そんなペットに感謝しつつ、家族で大切に育てていきたいですね。
2016年11月10日子どもを私立に通わせるか公立に通わせるか…これは子どもを持つ親にとって大きな決断を迫られる問題ですよね。一般的に、子どもの教育費は平均して1000万円以上かかると言われています。小学校・中学校・高校・大学で掛かる費用はかなり異なりますので、公立・私立ともにどのタイミングでどれだけのお金がかかるかを把握しておきましょう。小学校の場合まずは小学校受験から検討していきましょう。最近は首都圏を中心に小学校受験をする家庭が増えているといわれています。その準備のために、多くの家庭では子どもを幼児教室に通わせています。こちらの月謝が約10万~15万円ほどで、準備期間として一般的な一年半の間通わせるとすると、約180万~270万円ほどかかる計算に。入学後はどうでしょうか。厚生労働省の『平成26年度子供の学習費調査』では、塾や家庭教師、習い事などの費用も含めた年間の教育費を発表しています。それによると、公立小学校では約32万2千円、私立小学校では153万6千円。その中から学校教育費(学校における教育費)だけを抽出すると、公立では約5万9千円、私立では約88万5千円と、私立は公立に比べておよそ15倍の学費がかかることがわかります。中学校の場合中学校では、公立約48万2千円、私立約133万9千円となっています。ここでは公立12万8千円、私立102万2千円と学費の差がおよそ8倍に縮まり、また、学校外活動費(塾や習い事にかける費用)が公立私立でおよそ同額になっています。中学3年生では学校外活動費が公立約43万4千円、私立約34万1千円と逆転していることから、公立中学に通う家庭では高校受験に費用を掛けていることが分かります。高等学校・大学の場合高等学校では、公立約41万円、私立約99万5千円となっています。高校では公立と私立の学費差がさらに小さくなり、公立約24万2千円、私立約74万円と、およそ3倍。学校外活動費では公立約16万7千円、私立約25万5千円と、また私立が上回ります。大学の場合、近年国立大学の授業料の値上げが続き、私立大学との差が小さくなっていると言われています。文部科学省から発行された『私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』によると、2015年度の国立大学の学費は約54万円で、私立は約105万円と、およそ倍の差があります(いずれも入学金は含めず)。小学校~大学までのまとめこれまでの金額を全てまとめると以下のとおりになります。1. 小→中→高→大と全て国公立に行った場合 学費のみ 約362万4千円 差し引き(≒学外の教育費) 314万4千円 総額 約676万8千円 2. 小→中→高→大と全て私立に行った場合 学費のみ 約1479万6千円 差し引き(≒学外の教育費) 562万2千円 総額 約2041万8千円公立と私立で総額1千万以上もの差が生まれてきます。最終的に進学先を決めるのは子どもですので、その意思を尊重するためにも教育費は早めに、計画的に準備したいものですね。平成26年度子供の学習費調査(文部科学省)私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(文部科学省)お金がないから大学行けない 国立でも授業料年54万円、40年前比15倍(毎日新聞)ライター:メオトーク編集部
2016年10月17日子どもを私立に通わせるか公立に通わせるか…これは子どもを持つ親にとって大きな決断を迫られる問題ですよね。一般的に、子どもの教育費は平均して1000万円以上かかると言われています。小学校・中学校・高校・大学で掛かる費用はかなり異なりますので、公立・私立ともにどのタイミングでどれだけのお金がかかるかを把握しておきましょう。小学校の場合まずは小学校受験から検討していきましょう。最近は首都圏を中心に小学校受験をする家庭が増えているといわれています。その準備のために、多くの家庭では子どもを幼児教室に通わせています。こちらの月謝が約10万~15万円ほどで、準備期間として一般的な一年半の間通わせるとすると、約180万~270万円ほどかかる計算に。入学後はどうでしょうか。厚生労働省の『平成26年度子供の学習費調査』では、塾や家庭教師、習い事などの費用も含めた年間の教育費を発表しています。それによると、公立小学校では約32万2千円、私立小学校では153万6千円。その中から学校教育費(学校における教育費)だけを抽出すると、公立では約5万9千円、私立では約88万5千円と、私立は公立に比べておよそ15倍の学費がかかることがわかります。中学校の場合中学校では、公立約48万2千円、私立約133万9千円となっています。ここでは公立12万8千円、私立102万2千円と学費の差がおよそ8倍に縮まり、また、学校外活動費(塾や習い事にかける費用)が公立私立でおよそ同額になっています。中学3年生では学校外活動費が公立約43万4千円、私立約34万1千円と逆転していることから、公立中学に通う家庭では高校受験に費用を掛けていることが分かります。高等学校・大学の場合高等学校では、公立約41万円、私立約99万5千円となっています。高校では公立と私立の学費差がさらに小さくなり、公立約24万2千円、私立約74万円と、およそ3倍。学校外活動費では公立約16万7千円、私立約25万5千円と、また私立が上回ります。大学の場合、近年国立大学の授業料の値上げが続き、私立大学との差が小さくなっていると言われています。文部科学省から発行された『私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』によると、2015年度の国立大学の学費は約54万円で、私立は約105万円と、およそ倍の差があります(いずれも入学金は含めず)。小学校~大学までのまとめこれまでの金額を全てまとめると以下のとおりになります。1. 小→中→高→大と全て国公立に行った場合 学費のみ 約362万4千円 差し引き(≒学外の教育費) 314万4千円 総額 約676万8千円 2. 小→中→高→大と全て私立に行った場合 学費のみ 約1479万6千円 差し引き(≒学外の教育費) 562万2千円 総額 約2041万8千円公立と私立で総額1千万以上もの差が生まれてきます。最終的に進学先を決めるのは子どもですので、その意思を尊重するためにも教育費は早めに、計画的に準備したいものですね。平成26年度子供の学習費調査(文部科学省)私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(文部科学省)お金がないから大学行けない 国立でも授業料年54万円、40年前比15倍(毎日新聞)ライター:メオトーク編集部
2016年10月14日私たちが常識と思っていることでも国や文化が変わると、その「当たり前」が一変することがあります。教育もそのひとつ。日本では子どもを叱るときに「言い訳しない」と怒ることが多いですよね。しかし、フランスでは「理由を述べる」ことを大切にします。フランスを訪れた日本人は、これを「言い訳」と感じ違和感を覚えます。でもそこには国による教育方法の違いがあったのです。■暗記の日本 VS 論述のフランス学力の基準として、日本の学校では「いかにたくさん覚えられるか」が大切にされがち。いっぽう、フランスでは「いかに自分の意見を伝えられるか」が重要です(もちろん自分の意見を筋道たてて伝えるためには、一定以上の知識を覚えることも必要)。フランスの中等教育修了を証明する国家試験「バカロレア」の哲学の試験を例にみてみましょう。2016年フランスではこんな問題が出題されました。・「より少なく働くことは、より良く生きることか?」(理系学生対象)・「私たちはいつも自分が望むことを知っているのか?」経済・社会学系学生対象)・「私たちの道徳信条は経験にもとづいているのか?」(人文学系学生対象)これを数時間かけて論述するのです。日本では「自分で考えて行動できない人」がしばしば問題視されますが、そんなことフランスではどこ吹く風。他人の考えがどうであれ、「自分の意見を述べる」ことで自分の主張(正当性)を展開しようと考えます。この点では、ブレがありません。■「私のせいじゃない!」は実は万能な言葉だった!?フランスのこの特徴を端的に表す場面に遭遇したときのことです。空港の出国管理ゲートに長蛇の列ができているのに、窓口はひとつ。だれかが査証に詰まると列が動かなくなり、フライトの時間がすぐそこに迫った人々はイライラした状態に…。がまんできなくなった女性が、順番を抜かして窓口に走ったことで、うしろの人は皆ブーイング。列の整理担当の係員が制止しますが、その女性は「(もし乗り遅れたら)あなたは私の飛行機代を払ってくれるの!?」と、自分の理論をまくしたて始めました。女性のあまりの剣幕にその場は一瞬静かに。いっぽうで客の視線は、横入りを許してしまった列の整理係員にも向けられます。その係員がまず発した言葉が「私のせいじゃありません」。こうした行為に対する評価はいろいろあると思いますが、フランス人の多くは、はじめに非難されそうな自分の立場への理由づけを考えることから始めます。正直、日本人の私にとってはこの状況は素直に受け入れにくいものがあります。でも文化とは、見方によってプラスにも、マイナスにも働くもの。異なる環境で育てば、相容れないことも多く出てくることでしょう。でもその多様性をさまざまな角度から捉えることにこそ異文化の面白さがあるのかもしれませんね。
2016年10月12日今や小学生も塾に通う時代。私立小学校に通う子の7割、公立小学校に通う子の4割が通っているというデータがあります。学校の授業だけでは足りないと感じる家庭が増えている中、自宅で本格的な学習ができるオンライン教育サービスが各社から提供されています。いつでもどこでも勉強ができ、塾や家庭教師より割安で利用できることが注目されている理由です。どんな利点やサービスがあるのでしょうか。ゲーム感覚や最新電子機器でやる気UP↑やる気を持たせ、継続させるための工夫が色々施されています。学研の「学研ゼミワンダードリル」では、教科(国語、算数・数学、社会、理科、英語)ごとに分かれる「国」を自分のアバターが冒険するという設定にし、クリアすると新しいステージに進むことができます。ゲーム感覚で子どもが続けやすい設定であり、月額500円という料金も魅力的です。ジャストシステムの「スマイルゼミ」は、今や大人だけではなく子どもにも身近な存在となっているタブレットを教材に使用しています。理科の実験を動画で体感できるなどして、理解度がより深まる仕組みになっています。主要5教科の他に、音楽、美術、技術・家庭、保健体育の配信もあるので、定期試験対策にも活用できます。紙のお勉強にプラスアルファで効果UP↑デジタルと紙のセットでより効果的な学習ができるのは、ベネッセコーポレーションの「進研ゼミプラス」です。記述式の添削以外にも、“赤ペンコーチ”とタブレット上でやりとりできる仕組みや、具体的な学習計画をアドバイスしてもらうこともできます。対象年齢が小4から高校生と高めの設定になっているのは、リクルート関連会社の「スタディサプリ」。大手予備校講師の動画が見放題になっていたり、志望校対策やセンター試験対策の授業動画を視聴したりすることができます。さらに参考書や問題集ごとに勉強した時間やページを記録することができる無料アプリもあり、自宅学習であっても勉強の進み具合を自分で管理することが可能です。オンライン教育を行なうときの注意点オンライン教育を継続するために何よりも必要なことは本人のやる気です。やる気を継続できるような工夫が施されているものは多くありますが、実際に勉強をしなければ意味がありません。時間やスケジュールの管理をしっかりと行い、学習意欲を持ってもらうための働きかけを親も行っていく必要があります。私の息子は園児なので宿題などはありませんが、幼児向けの通信教材が毎月自宅に届きます。年中になってから文字を書くプログラムが始まり、字を書くための教材もいくつか届きました。音が出たり光ったりするオモチャなのですが、ゲーム感覚でなぞるなどをしている内に字が書けるようになるというものです。自然と書き順も覚える仕組みになっています。幸い息子は楽しく取り組んでいるので、お陰で少しずつ字を書けるようになってきました。入り口はどうであれ、本人がやる気を持って取り組むことがとても大切だと思います。小中学生と年齢があがれば内容も難しくなり、やる気の継続は一番の課題となってきます。遊びの延長だから、と敬遠するのではなく、子どもに合ったものを見つけてあげてやる気を上げることは効果的だと思います。各社のサービスも異なるので、比較しながらより良いものを試してみてはいかがでしょうか。
2016年10月06日子どもの教育資金については、ママ友に相談しにくい悩みのひとつ。ほかの人はどうやって資金を貯めているのか? 実際に必要となる教育資金の貯蓄を開始する時期や、方法についてまとめます。■公立のみに進学しても500万円以上!教育にかかる資金は、幼稚園・小学校・中学校・高校をそれぞれ私立か、公立に入れるかによって大きく異なります。公立に進学した場合の教育資金は、課外活動なども含め、幼稚園3年間で約67万円、小学校6年間で約193万円、中学3年間で約145万円、高校3年間で約123万円です。合計528万円と見ると高く感じますが、これは15年でかかる費用なので1ヶ月にすると約2万9千円に。高校までの教育資金については、貯金に手をつけず、月々の給料から捻出する家庭が多いようです。一方、私立に進学した場合は、幼稚園3年間で約149万円、小学校6年間で約921万円、中学3年間で約402万円、高校3年間で299万円。合計すると約1,771万円で、公立の約3倍かかります。では、大学進学にかかる費用はいくらでしょうか。大学に入学する初年度にかかる授業料と入学料を合計した平均の費用は、国立で817,800円(うち授業料535,800円)、公立で935,842円(うち授業料537,933円)、私立で1,312,526円(うち授業料860,072円)となっています。下宿となると、さらに月15万円ほどの仕送りが必要となるため、約600万円を目安に教育資金を貯蓄すると良いといいます。■小学校を卒業する前に貯蓄を貯蓄をする時期は、子どもが生まれてから小学校卒業までに行うのが良いとされています。その理由は、中学・高校に進学すると部活動などの課外活動が盛んになって出費がかさむため。また、期間内に貯まらなかった場合も、貯蓄期間の延長が可能になるからです。貯蓄の方法はさまざまですが、教育資金は必要な資金なのでリスクが少ない方法がオススメ。保険商品や銀行、郵便局の定期預金などがあります。保険商品のメリットは、死亡や高度障害になった際、保険料を支払わなくても決まった時期に学資金が受け取れることです。デメリットは、途中解約をすると支払った金額よりも戻ってくる金額が少なくなってしまうこと。そして、返戻率が10%~15%程度と低いことです。株や投資信託などのリスクが高い投資ではなく、リスクの低い手段で教育資金を貯めている人が多いようです。■専門家への無料相談を利用する最近では、資金計画の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)が無料相談会を実施している行政もありますし、日本FP協会でも全国で定期的に対面での無料相談会を開催しています。保険やお金の運用について、専門家の意見を聞きたい、相談したい場合は、住まいの市町村やFP協会に問い合わせてみてはいかがでしょうか。子どもの将来の選択肢を少しでも広げられるよう、今からできる限りの準備をしていきたいですね。※教育資金のデータは、文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」と「平成25年度の授業料等の学生納付金の状況について」を参照
2016年10月03日わたしの娘は、2歳からヨコミネ式教育法を取り入れた保育園に通っています。2歳のときの保育参観で驚いたのが、全員の名前を漢字で覚えていることでした。持ち物にはすべてひらがなで名前をつけましたが、それこそが大人の先入観だと思いしらされました。「ヨコミネ式…すごい!」と感動した筆者が、ヨコミネ式教育の“キホン”をご紹介します!■そもそも「ヨコミネ式」って?プロゴルファー横峯さくらさんの伯父にあたる、横峯吉文氏が提唱する「ヨコミネ式教育」。人気の教育法として、各地の幼稚園や保育園で取りいれる施設が増えています。「すべての子どもが天才である」という考えを掲げ、子どもたちの自ら学ぼうとする力に注目。「心の力・学ぶ力・体の力」を育むことを基本としています。具体的には、小学校に上がる前までに・ひらがな・カタカナの読み書きができるようになる・1500冊以上の本を読む・足し算や掛け算ができるようになる・絶対音感を身につける・倒立・側転・逆立ち歩きができるようになる・跳び箱11段が跳べるようになるなど…。これだけできるようになるには、子どもたちの努力はもちろんのこと、先生たちの根気と正しい指導も必要不可欠ですね。現在年中の娘は、倒立、ブリッジ歩き、側転などをいとも簡単にこなし、足し算の学習がスタートしています。音楽は、目隠しをしていても音階がわかるように。また、本を200冊読んだとのことで、「多読賞」という賞状をもらってきました。■ヨコミネ式教育はスパルタか?上記の項目をながめただけでも、ハードルの高さはかなりのもの。「実現させるにはスパルタになるのでは!?」と心配される方も多くいらっしゃいます。でも、ヨコミネ式は「本来持っている子どもの力を引きだすだけ」というのがモットーです。詰めこみ式の知識に偏った教育をするのではなく、子どもの自主性を尊重。先生はあくまで子どもたちの“やる気スイッチ”を見つけて入れてあげることに徹します。子どものやる気スイッチを入れるため、以下の4つのポイントを大切にしています。・子どもは競争したがる・子どもはマネしたがる・子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる・子どもは認められたがる保育参観に行くと、先生が子どもたちを「かっこいいいね~!」とほめたり、「○○ちゃんがお手本を見せます!」と、みんなの前で披露させたりする場面が多く見られます。朝から休みなくカリキュラムが組まれており、正直「かわいそうだな…」と思うこともありました。でも、親の心とは反して、子どもから日々出てくる言葉は、「今日は○○ができるようになった!」とか「今日は体操で見本になった!」とか、希望と達成感に満ちた言葉ばかり。子どもたちは切磋琢磨し、粘り強さや根気強さが育っているのだと思います。■子どもによっては「ヨコミネ式教育」が合わないこともとはいえ、ヨコミネ式教育が合わない子もいます。事実、途中で退園してしまう子もいますし、逆に途中で転園してきた子はカリキュラムについていけず、登園拒否を起こしてしまうこともあるとか。また、小学校に行ってから、授業の内容がすべてわかってしまうため「ヒマだ」と身が入らなかったり、せっかく身につけた体操の技ができなくなってしまったりするそう。ただ、わが子を見ていると「本当に子どもの可能性は無限大だ!」と感じます。大人が考える「子どもができること」は、しょせん大人の枠のなかにある先入観でしかない、と痛感しました。とにもかくにも、幼少期をどう過ごすか・過ごさせるかはとても大切。自分の子どもの特性や性格をよく考えて、「合う・合わない」を見きわめてあげたいですね!(参照) ・ヨコミネ式教育法 ・ヨコミネ学習塾
2016年09月30日インクルーシブ教育は「すべての子どものための教育」出典 : インクルーシブ教育とは、子どもたち一人ひとりが多様であることを前提に、障害の有無にかかわりなく、誰もが望めば自分に合った配慮を受けながら、地域の通常学級で学べることを目指す教育理念と実践プロセスのことをいいます。つまり、「一人ひとり丁寧に」と「みんなで一緒に学ぶ」の両方の実現を目指す教育理念であるといえます。英語ではinclusiveと表記され、「包括的な」「包み込む」という意味です。障害の有無によって学ぶ場所が分けられるのではなく、一人ひとりそれぞれの子どもの能力や困りごとが考慮された、すべての子どものための教育という意味で使われています。インクルーシブ教育という言葉が広まり始めたのは、1994年にUNESCOによって開かれた国際会議がきっかけです。この国際会議で「Education for All(万人のための教育)」がうたわれ、可能な限りすべての子どもの能力や困りごとに応じた教育を行っていく方向性が公に打ち出されました。インクルーシブ教育の実現に向けて歩むのは日本だけではなく、国際的な流れだといえます。これまでは、障害のある人は必ずしも社会参加できるような環境にありませんでした。障害のある人が積極的に社会で活躍できる環境づくりの一環として、一人ひとりの子どもに丁寧に向き合う理念に基づいたインクルーシブ教育が推し進められています。通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児 童生徒に関する調査結果について|文部科学省初等中等教育局特別支援教育課HP障害のある子どもを取り巻くこれまでの教育出典 : 日本における、障害のある子どもの学ぶ環境は時代が進むごとに段階的に発展してきました。「一人ひとり丁寧に」「みんなが一緒に学ぶ」というインクルーシブ教育が唱えられるまで、障害のある子どもへの教育の考え方や、彼らをとりまく学習環境はどのようなものだったのでしょうか。ここでは、時代ごとの障害のある子どもをとりまく教育の移り変わりについてお伝えします。出典 : 明治時代以前、障害のある子どもは、教育の対象と見なされておらず、教育を受ける機会が十分与えられていませんでした。障害のある子どもにも教育が必要だといわれ始めたのは明治時代以降です。今よりも国の強制力が強かったために、本人や保護者の意志は尊重されることはなく就学先を選ぶことは許されなかったものの、明治時代から、盲、聾、知的、肢体不自由の学校が設立され、障害のある子どもの一部が教育を受けることができるようになりました。そして昭和時代の終わりには、養護学校の義務化により、それまで就学を免除されていた重度の障害のある子どもに対しても平等に教育の機会が保障されることになり、全ての子どもが教育を受ける仕組みができました。しかし、そのような状況の中で、障害のある子どもを地域の学校から離れた就学先に通わせることを、障害のある子どもを通常学級から隔離し、分離しているという非難の声も市民の中から生まれました。出典 : 年の「国際障害者年」において、「全ての子どもを通常学級へ」というメッセージがうたわれました。それがきっかけとなり、「すべての子どもが通常学級で学ぶこと」を第一の重要事項として、新たな教育の方向性が定められました。これをインテグレーション教育といいます。この過程では、これまでの時代の分離教育の反省から、障害のある人もない人も、分け隔てのない仲間として渾然一体の場所で学ぶことがもっとも重要だとされていました。しかしながら、同じ環境で学ぶことばかりを推し進めるあまり、支援の必要な子どもに対して、十分なサポートをする体制の準備は不十分なままでした。その結果、子ども一人ひとりの個性やニーズに合った教育を受けることができず、障害のある子どもは授業についていけなかったり、いじめや中傷の対象となったり、逆に腫れもの扱いをされてしまったりしたという問題が起こりました。出典 : このような批判が国内であがっていた1994年に、スペインのサラマンカで「特別なニーズ教育に関する世界会議」が開かれ、新しい考え方としてインクルーシブ教育の理念が唱えられました。障害の有無にかかわりなく、適切な配慮を受けながら、誰もが望めば地域の通常学級で学べること、つまり、「ひとりひとり丁寧に」と「みんなで一緒に学ぶ」の両方を実現する教育のはじまりです。その後、インクルーシブ教育の理念は日本にも導入されていきます。国際的にインクルーシブ教育の理念が唱えられてから16年後の2010年、日本においても文部科学省によってインクルーシブ教育理念の方向性が示されました。それまでの時代の教育で起こっていた問題について、環境の整備や、支援の必要な子どもに対する配慮の必要性などの具体的な改善の案が打ち出されました。この案により、研修会や勉強会が行われるなど、学校の先生たちの意識を変えるような取り組みが行われています。このように、障害のある子どもを取り巻く環境は時代の流れの中で少しずつ改善されてきています。2016年5月、タレントの菊池桃子さんがインクルーシブ教育を進めることに協力的な姿勢を示すなど、社会の関心も高まりつつあります。億総活躍国民会議菊池桃子発言全文「インクルージョンな日本が構築される…」 | 産経ニュースHP髙橋純一・松﨑博文/「障害児教育におけるインクルーシブ教育への 変遷と課題」2014年/『人間発達文化学類論集』第 19 号 p13-26野崎泰伸/「分離教育か共生共育かという対立を越えて ─「発達」概念の再検討─」2010年/『立命館人間科学研究』第21号p25-41インクルーシブ教育における具体的な取り組み出典 : インクルーシブの実現に向けて、文部科学省をはじめ、国や都道府県、市町村などの行政機関が主体となって行うべきことの1つが、多様な子どもが共に学ぶための基礎的な環境を整備することです。例えば、肢体不自由があり車いすに乗って通学する子どもにとって、校舎内が階段ばかりでは自力での移動が困難です。ですが、校内の段差を減らしたり、スロープやエレベーターを設置することで移動することの障害を解消していくことができます。他にも、市町村が主体となって、支援の必要な子どもが困ることのないようにボランティアスタッフを配置するシステムを作ることで、学習や行動面に困難のある子どもも、適切な支援を受けながら通常学級での集団授業に参加することができるようになります。このように学校の設備や教育の体制の整備が整っていくことで、障害のあるなしに関わらず、多様な子どもが通い学びやすい学校環境を作っていくことができるようになります。学校現場で進めるべき基礎的環境の整備には他にも様々なものがあります。・子どもの障害の程度、能力に合わせて特別支援学校、特別支援学級、通常学級など多様な学び場を用意し、行き来できる体制を整えること・専門性のある支援体制や教員の育成・特別支援学級と通常学級の間で共同学習を行うこと・個別の支援計画の作成などなど…インクルーシブ教育の達成に向けて、現在も環境整備が進められている途上です。基礎的環境整備について(現状及び国・都道府県・市町村の役割分担)|文部科学省出典 : 国や都道府県、市町村などの自治体が整えた基本的な環境をベースとして、学校や教員が主として行っていく「合理的配慮」というものがあります。合理的配慮とは、一人ひとりの特性や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、一人ひとりに合わせた調整や変更のことです。障害のある人が障害のない人とが平等にいられるために作られた仕組みです。例えば、文字の読み書きが困難な子どもへの合理的配慮を一例にして考えてみましょう。読み書き困難な子どもに対して、みんなと同じ教科書やノートをそのまま使わせていては、授業内容の理解や問題の回答がとても難しくなります。そこで、読み書きの困難さを取り除くための配慮として、教科書やプリントを拡大したり、黒板の板書を色分けして見分けやすくしたり、タブレットやカメラを使って板書を撮影・印刷することを許可したり、試験時間の延長や問題の代読を行うなどが考えられます。その子どもの特性と、子どもが過ごす環境や場面ごとに発生する具体的な困難に対して、適切で十分なサポートや変更を加えることが合理的配慮です。■教室や授業で行われている工夫例えば、教室や授業で行われている工夫には以下のようなものがあります。・水筒や帽子、体操服などを置く場所が決めて、誰でも持ち物の整理がしやすいようにする。・掲示物を減らしたり、授業中に紙や布で掲示物を覆うことより、視覚刺激に敏感な子どもでも授業に集中できるようにする。・廊下は走らない、チャイムが鳴る2分前には席に着く、などルールを明確にすることで、行動の切り替えをしやすくする。・一日の最初に、今日はどのようなスケジュールで進めるかを示されることで、時間の見通しをもてるようにする。・先生は情報を伝えるときには、口頭だけではなく、目に見える文字や絵で視覚的に示して、理解をしやすくする。・先生はゆっくりとした口調で話すとともに、大事なことは、繰り返したり、黒板に書いたりして、理解をしやすくする。・授業の中で、簡単な問いに答える機会を作り、全員が参加できるような授業にしている。・難易度別のプリントを作り、子どもが自分の力に合わせて選べるようになることで、それぞれのレベルに合わせた教育が行われている。共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)概要|文部科学省HPインクルーシブ教育の実現に向けて、就学先決定の仕組みも変わりました出典 : インクルーシブ教育の理念に基づき、就学先決定の仕組みの改善も進められています。障害のある子ども自身や保護者の意思を尊重した上で就学先決定がなされるようになりました。Upload By 発達障害のキホン平成25年までは、障害のある子どもは、原則、特別支援学校に就学することとなっていました。現在においても最終的に就学先の決定をするのは教育委員会となりますが、それを決めるまでに、本人と保護者の思いが最大限に考慮されるような改善が行われました。また、幼少期の段階から発達についての相談の機会や情報提供が積極的に行われるようになったことも改善点です。一歳半検診や、三歳児検診の際に、発達の遅れが見受けられる場合にも、専門家からアドバイスや情報を得ることができます。また、教育委員会は、幼稚園、保育園、子ども園における子どもの様子をふまえて、就学するまでの間に、子ども一人ひとりに合わせた個別の支援計画書を作成することも推奨されています。このような計画書は、就学先を決定する際の資料として活用されたり、就学後の子どもへの教育支援の手立てとして活用されたりします。インクルーシブ教育の今とこれからの展望出典 : インクルーシブ教育が学校に導入されてから数年が経ち、学校の授業や教員の心構えも変化してきています。ですが、インクルーシブ教育は、「すべての子どものための教育」という理念は共有されているものの、具体的にどのように授業を行い、環境を整えていくかについてはまだまだ課題があります。学校側が通常学級に通わせることに力を入れることにとどまり、子どもの能力や困りごとに合わせたサポートが必ずしも達成されてはいない現実があります。通常学級で過ごすことが絶対であるわけではありません。インクルーシブ教育では、共に学ぶことが大切とされていますが、子どもの困難に応じて、環境を変えることも必要です。大切なのは、子どもの力が最大限発揮できる環境で過ごすことです。担任の先生や特別支援学級の先生と連携をとりながら、子どもの力や思いに合わせた環境を整えてあげることが大切となります。2001年、WHOの障害についてのとらえ方が変化し、できないことを見つけてそれを治すという観点から、まわりの人がどう手助けしたらスムーズに社会参加ができるかという考え方へ大きく舵を切りました。特別支援教育の目標は、障害のある幼児・児童・ 生徒の自立や社会参加に向けた主体的な 取組を支援するという視点に立っており、子どものもちうる力を高め、生活や学習上の困りごとを克服するために、適切 な指導や必要な支援を行うものです。つまり、自立や 社会参加をできるようにするためには障害を克 服・軽減するしかないとされており、多くの学校では、その目標をかなえることに意識をおいています。もちろん、障害のある子どもの適応の度合いを高めることも重要ではありますが、多様な特性のある子どもを社会がいかに受容していき、助け合っていけるかがどうかがこれからますます大切になっていきます。それを後押しするひとつの力としてインクルーシブ教育が機能しているといえるでしょう。インクルーシブ教育についてもっと知るためのおすすめ映画インクルーシブ教育についてもっと知りたい、またはイメージをもちたいという方に向けて、おすすめの映画を2本紹介いたします。理念を聞くだけではなかなか実感がつかみにくいインクルーシブ教育について、その具体的な様子について知ることができるだろうと思います。Upload By 発達障害のキホンインクルーシブ教育の理念を体現したといわれる大阪の公立小学校を取り上げたドキュメンタリー映画です。第68回文化庁芸術祭大賞など数々の賞を受賞した作品です。この学校では、障害のある子も障害のない子も、すべての子どもが同じ教室で学んでいます。この学校では一人ひとりの個性が大切にされ、誰もとりこぼされたり、置いていかれることがありません。校長先生を中心として、教師、地域の保護者が手をとりあいながら子どもに関わる中で、誰もが通い続けられる学校を作り上げました。全国で上映会が開かれており、子どもをもつ保護者や学校関係者、また一般の人々にも大きな反響を呼んでいる作品です。不登校ゼロを目指す学校の先生の息遣いや葛藤、子ども同士の関係、先生と子どもの関係がリアルに描かれています。教育とは何か、あるべき学校の姿とはどういうものであるべきなのか、この映画はさまざまな問いを投げかけてくれます。映画『みんなの学校』公式サイト<作品情報>監督:真鍋俊永(2014年・日本)Upload By 発達障害のキホン文部科学省がインクルーシブ教育の理念を普及させるために、タイアップした作品がこの『レインツリーの国』です。有川浩による原作小説をもとにした、聴覚障害のある女の子と、耳の聞こえる男の子との恋愛物語です。恋愛の話でありながら、聴覚障害者の苦悩も描かれており、それがヒロインの言葉として示されます。また障害のない人の意見や声も代弁されているのです。この映画では、決して障害のある人に一方的に肩入れすることなく、あくまで障害のある人と障害のない人の立場を公平に描かれています。葛藤や悩みを抱えながらぶつかりあっていく二人の姿に、障害のある人と障害のない人の間に生まれる葛藤や、それを越えて共に生きていくことの大きな意味を感じられる作品です。<作品情報>監督:三宅喜重出演:玉森裕太・西内まりや(2015年・日本)映画「レインツリーの国」公式サイトレインツリーの国×インクルーシブ教育システム|文部科学省レインツリーの国 通常版 [DVD]まとめ出典 : ここでは、学校の中で取り入れられているインクルーシブ教育について、教育についての今までの流れや、新たに取り入れられたサポート、就学先決定の仕組みの変更と、インクルーシブ教育の課題についてご紹介しました。インクルーシブ教育が目指すのは、障害のある人とない人が、 単に「場」を同じにするということではありません。インクルーシブ教育が目指すのは、「ひとりひとり丁寧に」個別最適な支援を提供すること、そして「みんなで一緒に学ぶ」ことができる環境をつくること、この両方を実現することです。その先に立ち現われてくるのは、「共に生きる社会」であり、すべての人が暮らしやすく誰もこぼれおちることのない社会です。現在、課題ややるべきことが積み残されている状態ではありますが、少しずつインクルーシブの理念の達成までの過程を歩んでいるのです。
2016年09月20日子育てをしている人なら、一度は「モンテッソーリ教育」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。イギリスのジョージ王子がモンテッソーリの保育園に入園したことでも話題になりました。そもそもモンテッソーリ教育とは、イタリアの女性医師が創始した教育メソッドで、子どもの自主性を大切にし、子どもが本来持っている力を引き出すというもの。この教育法は欧米だけではなく、日本を含むアジア諸国でも多く導入されています。『ふじようちえんのひみつ』(加藤積一著、小学館)の、ふじようちえん(東京都立川市)も、1972年からモンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園です。今回は本書の中から、モンテッソーリ教育の5つの基本をご紹介します。■1:本物の道具を使う「日常生活の練習」モンテッソーリ教育で出発点になるのが日常生活の練習。着替え、靴を履く、並べる、そろえる……など日常生活の基本動作を思い通りにできるようにします。ふじようちえんでは、子どもサイズの本物のアイロンや洗濯機、ほうき、包丁などを用意して実際に使わせているそう。針や糸を使うこともあります。そして、これらの活動は遊びではなく「お仕事」と呼んでいます。成長に合ったお仕事に対して子どもたちはすごい集中力と意欲で取り組むのだそうです。保護者から見ると「ケガをしないか」と心配になるお仕事ですが、先生がきちんと伝えれば子どもも危険な使い方はしません。■2:五感を洗練させる「感覚教育」五感をフルに働かせることで、情報を脳に取り入れることができると考えられています。色や形、大きさ、長さ、重さなどに関心を持ち、並べたり比べたりするなかで五感を洗練させていくのです。普段の生活では、一つの感覚に集中する機会はあまりありません。食べながら話す、音楽を聴きながら本を読むなど様々な刺激を同時に受けています。そのためモンテッソーリの「感覚教育」では、重さの印象、形の印象、色の印象など、あえて一つ一つの感覚に意識を集中させて五感に訴えかけていきます。■3:身近なもので理解する「言語教育」子ども達は日常生活を送るなかで、自然に文字への興味を持っていくものです。例えば、看板などに書いてある文字を見て「あれなあに?」と親に聞いてくるようになるのは文字に興味を持っている証拠です。ふじようちえんの年少組では文字のゴム印を押したり、紙やすりでできた文字を指先でなぞったりするなどで文字に触れています。年長組になると劇発表会のセリフを文字で見て覚えます。劇を演じるなかで、ストーリーと言葉が結びついてはじめて「読めた」ということになるのです。これを繰り返すことで、知識がどんどん増えていくでしょう。■4:数の概念を体感する「算数教育」算数といってもいきなり計算をするのではなく、数の概念を体で感じることが大切です。たとえば「錐形棒」というものは、0から9までの数字が書かれた箱にその数の棒を入れていきます。実際にその本数の棒を手にすることで数量を手のひらで感じることができます。また1本1本の棒を輪ゴムで束ねてみると、個々のものが集まって数を表していることを体感することができます。■5:五感を使って四季を感じる「文化教育」ふじようちえんで行っている文化教育のひとつは五感を使って季節を感じるということです。たとえば園の畑では、春はイチゴ、夏はトウモロコシ、冬は大根などの収穫を行うことができます。また田植えの見学や稲刈りをはじめ、お米ができるまでの工程を実際に見たり触ったり、実際にできたお米を味わったりすることで本当のお米の味を感じます。こうして1年中にたくさんの体験をすることで、先人たちの知恵なども理解することができるのです。*ふじようちえんは、佐藤可士和氏がディレクションしたユニークな形の園舎や、本書の著者である園長先生の型破りな教育方針で世界から注目されている幼稚園。伸び伸びと育つ園児たちの生活の様子から、子育てのヒントを見つけることができるのではないでしょうか。(文/平野鞠) 【参考】※加藤積一(2016)『ふじようちえんのひみつ』小学館
2016年09月18日