宝塚歌劇雪組のミュージカル・プレイ『凱旋門』、ショー・パッショナブル『Gato Bonito !!』が6月8日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。宝塚歌劇雪組『凱旋門』/『Gato Bonito!!』チケット情報第一幕の『凱旋門』は、文豪エリッヒ・マリア・レマルクの小説を原作に2000年に初演され、当時雪組トップとして主演を務めた轟悠(とどろき・ゆう)が文化庁芸術祭賞演劇部門優秀賞を受賞した作品。今回18年ぶりの再演で轟が専科より参加し、再び主人公に挑んでいる。物語の舞台は、祖国を追われた亡命者たちが集う、第二次世界大戦前夜のパリ。ドイツから亡命してきた外科医ラヴィックとイタリアから来た女優志望の娘ジョアンとの恋を軸に、過酷な運命に翻弄されながらも懸命に生きる人々の姿が描かれる。プロローグでは、パリの街並みを、廻り舞台を使ってダイナミックに見せる。第二次世界大戦を背景にした物語だけに不穏な空気に満ちているが、それでもパリの街に残るわずかな明るさを求めて、亡命者たちが集まってくる。轟演じる外科医のラヴィックはモグリの医者として生きている亡命者。ある夜、セーヌ川にかかるアルマ橋の上で、今にも身を投げそうな女性を助ける。その後、いつしかふたりは激しく愛し合うようになるが…。暗闇にポッと灯りがともるように、未来への希望が持てない中で出会い、互いに求め合うことで生きる希望が生まれる。ラヴィックを演じる轟は、紳士的で大人の色香が漂うような佇まい。ジョアンへの情熱や、ゲシュタポへの復讐心などを熱く、繊細に表現して魅せる。トップスターの望海風斗(のぞみ・ふうと)が演じるのはラヴィックの友人で、ナイトクラブのドアマン・ボリス。彼もロシアからの亡命者で、ふたりを支える存在であり、狂言回し的存在でもある。くっきりとしたセリフ回しや抜群の歌唱力で、存在感を放っている。また、トップ娘役の真彩希帆(まあや・きほ)が演じるジョアンは、感情に素直な女性。寂しさや不安、喜び、ラヴィックへの愛など、彼女の思いを純粋に、真っ直ぐに表現している。時代背景から、衣装も美術も華やかさをおさえたシックな雰囲気だが、上質な大人のラブストーリーにどっぷりと浸れる作品だ。第二幕の『Gato Bonito !!』は、ポルトガル語で“美しい猫”を意味する言葉。望海扮する“ガート・ボニート”を中心に、時にはクールに、時にはミステリアスに、スピーディーに展開するラテン・ショー。第一幕から一転、華やかでエネルギッシュなステージが堪能できる。『凱旋門』『Gato Bonito !!』は、7月9日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場にて。東京公演は7月27日(金)から9月2日(日)まで東京宝塚劇場にて開催。東京公演のチケットは6月24日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2018年06月22日トップスター・紅ゆずる率いる宝塚歌劇団星組のRAKUGO MUSICAL『ANOTHER WORLD』、タカラヅカ・ワンダーステージ『Killer Rouge(キラー ルージュ)』が、4月27日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。本公演は第104期初舞台生40名のお披露目公演でもあり、幕開きには初舞台生が口上を行い、ショーではフレッシュなラインダンスを披露している。宝塚歌劇星組『ANOTHER WORLD』/『Killer Rouge(キラールージュ)』チケット情報第一幕の『ANOTHER WORLD』は、“あの世”を舞台に展開する笑いたっぷりの落語ミュージカル。上方落語の大作『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』をはじめ、『朝友(あさとも)』『死ぬなら今』など、死後の世界を舞台にした東西の落語噺が散りばめられている。大坂の両替商「誉田屋」の若旦那・康次郎が目覚めると、そこは“この世”と“あの世”の境。康次郎は、高津神社の境内で出会った菓子屋の嬢(いと)さん・お澄に一目ぼれし、恋わずらいであの世に来てしまったのだ…。そこで出会った人たちとの愉快な冥土旅と、康次郎とお澄の恋模様。赤鬼、青鬼、閻魔大王、貧乏神ほか、さまざまなキャラクターがふたりの協力や邪魔をしながら、小気味よく物語が展開していく。暗転の中、拍子木の音でパッと照明が明るくなる“チョンパ”で幕開き。色とりどりの美しい衣装をまとい、紅を中心とした総踊りの華やかな和物ショーで魅せ、物語へと続いていく。康次郎は恋わずらいであの世に行ってしまうほど、一途で真面目。何でも素直に受け止めて、人情深くもあり、憎めないキャラクターを紅が好演している。その真っ直ぐな姿が面白く、大坂商人の味のある“船場言葉”も親しみやすい。あの世で出会う江戸の若主人・徳三郎、「誉田屋」の手伝(てったい)・喜六らとの軽妙な掛け合いも心地いい。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)が演じるお澄も康次郎同様に一途な女性。一見可愛らしいけれど、そのイメージを覆す一面も。ほか、礼真琴(れい・まこと)扮する徳三郎はいなせな姿で魅せ、七海ひろきはちょっぴりヌケた、愛すべき3枚目キャラ喜六を好演するなど、それぞれの個性がぴたりとハマっている。第二幕の『Killer Rouge(キラー ルージュ)』は、“Rougge(紅色)”をテーマカラーに、トップスター・紅ゆずるの多彩な魅力に迫るゴージャスで華やかなショー。エネルギッシュなプロローグから始まり、童話をモチーフにしたコミカルな場面や、大階段でのロックな男役群舞もあり、全編通してスピーディーに、パワー全開で展開していく。両作ともに華やかで、展開にワクワクする『ANOTHER WORLD』『Killer Rouge(キラー ルージュ)』は、6月4日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場にて。東京公演は6月22日(金)から7月22日(日)まで東京宝塚劇場にて開催。東京公演のチケットは5月20日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2018年05月16日現在、東京スカイツリー(R)では宝塚歌劇との限定タイアップ企画が開催中。「宝塚歌劇 in TOKYO SKYTREE(R)」と題された、この企画展。フロア350の天望デッキでは、今回のために撮り下ろした5組のトップスターの映像などが上映。さらに上の天望回廊に上がると、実際に舞台で使われた衣装や、100年以上に及ぶ宝塚歌劇団の歴史をひもとく展示なども充実。期間中には、カフェやショップで、ここだけの限定メニューやグッズの販売も。ファンならずとも興味深い企画になっている。美しい眺望とともに、宝塚の夢世界に足を踏み入れてみては。天望回廊 フロア445-450「宝塚歌劇 タカラジェンヌ◇輝きの軌跡展」と題し、天望回廊に向かう天望シャトル(エレベーター)から、歌劇を象徴する楽曲が流れ、気分を盛り上げる。回廊には、宝塚歌劇の魅力に迫る展示のほか、トップスターのパネルと撮れるフォトスポットも。天望デッキ フロア350窓ガラスを巨大スクリーンに仕立て、夜景をバックに映像を投影する「SKYTREE ROUND THEATER(R)」は、日没以降のお楽しみ。トップスターの撮り下ろしのダンスやメッセージに、各組の舞台映像をコラージュしたオリジナルスペシャル映像を上映。カフェやショップでも宝塚の世界を堪能!天望デッキの『SKYTREE CAFE』では、各組をイメージした限定カフェメニューを販売。天望回廊には『THE SKYTREE SHOP』特設ショップが開設され、ここでしか買えない限定グッズの販売も。宝塚歌劇をイメージした豪華な衣装をまとったソラカラちゃんグッズはファンなら欲しいアイテム。東京スカイツリー 天望デッキ、天望回廊東京都墨田区押上1-1-2開催中~5月13日(日)8:00~22:00(天望デッキへの入場~21:00。天望回廊は最終入場21:20)一般・天望デッキ2060 円、天望回廊1030円ほかTEL:0570・55・0634(9:00~20:00)※『anan』2018年3月14日号より。文・望月リサ(C)宝塚歌劇団(C)宝塚クリエイティブアーツ(C)TOKYO-SKYTREE
2018年03月13日宝塚歌劇月組公演『カンパニー-努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)』、『BADDY(バッディ) -悪党(ヤツ)は月からやって来る-』が2月9日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。宝塚歌劇月組『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』/『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』チケット情報第一幕の『カンパニー』は、2017年に発行された伊吹有喜の小説「カンパニー」を原作にしたミュージカルで、主人公は製薬会社の青年サラリーマン・青柳誠二。愛妻を亡くし、生きる希望を失った青柳が、出向先のバレエ団で公演を成功に導こうと奮闘する姿を、ハートウォーミングに描いた物語だ。平凡なサラリーマンが主人公の現代劇だけに、華やかな衣装や派手なパフォーマンスで魅せる部分は限られているが、その分、“芝居”で魅せる。「努力、情熱、仲間がそろえば、希望は必ず見えてくる」など、要所に宝塚歌劇の舞台に立つ自分たちに繋がる言葉もあり、一人ひとりが丁寧に言葉を届けている。トップスター・珠城(たまき)りょうが演じる青柳は、空手技を使ってスリを捕まえるなど、真面目で正義感が強いが、奥手な男。バレエの“バ”の字も知らない青柳が、悩みや問題を抱える者たちと真っ直ぐに向き合う。その気持ちが一人ひとりの意識を変え、仲間たちの絆が強くなっていく。爽やかな佇まいに、ナチュラルな存在感と周囲を引き寄せる人間性は、珠城にピッタリとはまっている。トップ娘役・愛希(まなき)れいかは、アルバイトをしながらバレエ・ダンサーをしている高崎美波役。実力はあるのに本番に弱い一面と、自分の思いは真っ直ぐに伝える積極的な一面を持つ女性を、愛嬌たっぷりに演じている。世界的プリンシパルの高野悠を演じる美弥るりかも、クールで心を開かない高野の心情の変化を繊細に表現。美しく、色気のある佇まいに目を奪われる。ほか、等身大の物語だからこその人間味あふれる多彩なキャラクターを、それぞれが好演している。第二幕のショーは、演出家・上田久美子の初のショー作品。まだ稽古中のときに珠城が「想像を超えるショーになると思います」と自信たっぷりに語っていたように、これまでの宝塚歌劇では観たことのないようなユーモアあふれるステージに仕上がっている。ストーリー仕立ての内容で、珠城が月から地球に乗り込んでくる大悪党バッディ、愛希が地球の秩序を守る女捜査官グッディに扮する。『カンパニー』で見せた誠実な姿から一転、サングラスをかけて常にタバコをくわえ、キザにふるまう珠城。コミカルな場面では表情豊かに楽しませてくれる。美弥は中性的な妖しい雰囲気をまとったキャラクター。『カンパニー』とのギャップも楽しい月組のステージで、珠城をはじめ月組生の新たな魅力を発見できるはず。兵庫公演は3月12日(月)まで。東京公演は3月30日(金)から5月6日(日)まで東京宝塚劇場にて。
2018年02月28日3月1日(木)から5月13日(日)まで東京スカイツリー(R)にて、宝塚歌劇との限定タイアップ企画「宝塚歌劇 in TOKYO SKYTREE(R)」が開催される。【チケット情報はこちら】100年以上続く華やかな舞台で人々を魅了する「宝塚歌劇」と「東京スカイツリー」による初のタイアップとなる同イベントでは、様々な企画を用意。地上350mにある天望デッキ フロア350の窓ガラスを巨大スクリーンに仕立てた「SKYTREE ROUND THEATER(R)」では、宝塚歌劇団花組「明日海りお」、月組「珠城りょう」、雪組「望海風斗」、星組「紅ゆずる」、宙組「真風涼帆」、5組のトップスターによる限定撮り下ろし映像を上映。天望回廊では、「宝塚歌劇タカラジェンヌ◇輝きの軌跡展」と題した企画展を開催。「タカラジェンヌ」をテーマにした歴代トップスターの軌跡を辿る大年表のほか、トップスターパネルと一緒に撮影できるフォトスポット、娘役の衣装などを展示する。そのほか、特設ショップで限定デザイングッズ、天望デッキ フロア340にある「SKYTREE CAFE」では、宝塚歌劇の世界をイメージした限定カフェメニューを販売。さらに、宝塚歌劇をイメージしたコスチュームをまとった東京スカイツリー公式キャラクター「ソラカラちゃん」の限定グリーティングや、スタンプラリーも実施される。「宝塚歌劇 in TOKYO SKYTREE(R)」の開催にあわせて、天望デッキと天望回廊、それぞれの入場券に特別付録ペーパークラフト付き限定ブックレットがついた特別企画入場券が発売中。■特別企画入場券 「宝塚歌劇 in TOKYO SKYTREE(R)」販売期間:2月1日(木)~5月12日(土)入場期間:3月1日(木)~5月13日(日)商品内容:【1】東京スカイツリー天望デッキ、天望回廊 セット券【2】日付指定列(時間制限なし)より優先入場【3】特別付録ペーパークラフト付き限定ブックレット料金:3900円(税込)※以下の特定日については、東京スカイツリー日時指定券の特定日に準じ、4100円(税込)にて販売します。3月17日(土)・18日(日)・21日(水・祝)・24日(土)・25日(日)・31日(土)・4月1日(日)・28日(土)・29日(日・祝)・30日(月・休)・5月3日(木・祝)・4日(金・祝)・5日(土・祝)・6日(日)
2018年02月05日宝塚クリエイティブアーツ提供の「タカラヅカ・オン・デマンド」が、2日から動画配信サービス・ビデオマーケット(VideoMarket)で配信を開始した。ビデオマーケット内には「タカラヅカ・オン・デマンド コレクションページ」が設けられ、「ノバ・ボサ・ノバ-盗まれたカルナバル-」(’11年星組・東京・千秋楽)、「カナリア」(’11年花組・東特・千秋楽)、「グレート・ギャツビー-」(’08年月組・日生)など多数の作品が公開されている。「タカラヅカ・オン・デマンド」では、宝塚歌劇の人気舞台作に加えて、オフ・ステージ、最新公演のトーク番組やニュース、「タカラヅカ・オン・デマンド」でしか見ることができないオリジナルコンテンツの「ミュージック・クリップ」など、毎月バラエティ豊かなラインナップを用意。ビデオマーケット内の特設ページでは、「新着」「ピックアップ」「舞台」「MC(ミュージック・クリップ)」「オフ・ステージ」「トーク」の6ジャンルに分け、順次配信する予定となっている。
2018年02月02日宝塚歌劇団花組が、漫画史上に残る傑作『ポーの一族』の初の舞台化に挑む。11月16日、原作の萩尾望都も臨席する中、制作発表会が開催された。宝塚歌劇花組『ポーの一族』 チケット情報永遠に年をとらず、哀しみをたたえつつ時空を超え旅を続けるバンパネラ“ポーの一族”の姿を描いた物語。会見冒頭ではエドガー役の明日海りお、シーラ役の仙名彩世、アラン役の柚香光が劇中歌2曲を披露。幻想的なパフォーマンスで報道陣を魅了したが、原作の萩尾も「この世のものとも思えぬものを見て、頭がどこかへ行ってしまった」と感激しきり。特に花組トップスター、明日海が扮するエドガーには「心臓がバクバク(笑)。言葉になりません」と絶賛の言葉を惜しまなかった。一方で原作者を前に劇中の登場人物に扮した明日海は「漫画のキャラクターを立体にしてしまうという、ことの重大さを感じ緊張しました」と語り、「先生の描かれる絵の表情、目の寂しさ、結んだ口の薄さ、後頭部に感じるオーラ……エドガーの存在すべてに魅力を感じています。稽古場でエドガーと呼ばれて「はい」と返事することすら恐れ多いほど特別な役。自分のイマジネーションをフル活用し、小池先生と話しながら、自覚を持って役を作り上げたい」と意気込みを。仙名も「シーラは美しい貴婦人ですが、愛に生きようとする強さやエドガーたちを包み込む優しさがある。女性として魅力的にみえるように作っていきたい」と役作りについて語った。また、エドガーたちの仲間になるアラン役の柚香は「今回の宝塚での舞台では、アランは一族に入る前の“人間”の状態が長い。今日、エドガーを演じる明日海さんが照明を浴びているのを舞台袖から観て、ゾクっとした。アランもバンパネラを初めて観たときに、このように身の毛がよだつ思いをしたのかもしれない。この感情を新鮮に覚えておきたいと思った」と感想を話した。演出を手がけるのは、『エリザベート』などのヒット作を数々送り出している鬼才・小池修一郎。『ポーの一族』を上演するために宝塚歌劇団に入ったという逸話を持ち、舞台化を申し出てから30余年を経ての実現となったが、「1985年に宝塚の公演後にコーヒーショップに行ったら、隣の席が打ち合わせ中の萩尾先生だった。こんな機会は二度とないと思い「ファンなんです」とお伝えし、名刺をお渡しした。確かその時に「いつか(舞台化を)やらせてください」とお伝えしたはずです」というエピソードを明かす。その後、当時ミュージカルの脚本を書いていた萩尾が小池に意見を求めたことからふたりの付き合いが始まったそうで「小池先生の作品はとてもセンスが良く、私ごのみ。小池先生ならいつでもOKですよと言っていたのに、(実現まで)こんなに待たされました(笑)」と萩尾。「私のイメージを超えた美しい世界が目の前に広がるというのが予感できて、今からドキドキワクワクしています」と原作者も期待大の公演は1月1日(月・祝)から2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。
2017年11月17日宝塚歌劇星組公演ミュージカル『ベルリン、わが愛』、タカラヅカレビュー90周年『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』が9月29日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。宝塚歌劇星組『ベルリン、わが愛』/『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』チケット情報『ベルリン、わが愛』は、ハリウッドと並ぶ映画の都として栄華を誇った1920年~30年代のドイツ・ベルリンが舞台。ナチスの圧力が強まる中で、理想と現実の狭間で苦悩する映画人たちの姿をドラマチックに描いた物語だ。階段にズラリと座って映画館の客席を表現したり、モノクロ映像を効果的に取り入れるなど、凝った演出でも楽しませてくれる。サイレント映画からトーキーへと移り変わる頃。倒産の危機に瀕しているドイツ随一の映画会社UFAでは、低予算で大衆が喜ぶ娯楽作品を製作することに。そこで名乗りを上げたのが、トップスター紅ゆずる(くれない・ゆずる)演じるテオ・ヴェーグマン。彼は歌入りトーキー映画を格安で製作し、必ずヒットさせるとプロデューサーに約束する…。信頼する仲間と共に、「大衆が喜ぶもの」を作り上げていくテオ。どんなことがあっても揺らがない映画への熱い想いや、目的を共にする仲間を大切にする様は、舞台を愛し、星組を率いる紅の姿にも重なる。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)演じる女優ジル・クラインとのロマンスや、礼真琴(れい・まこと)演じる絵本作家エーリッヒ・ケストナーとの友情は、ナチスが社会に暗い影を落とす緊迫した状況の中で、より温かく、強い絆として浮き立って見える。綺咲が演じるジルは、自信を持てないレビューガールから、テオによって秘めた実力と美しさを引き出され、一躍注目を集める。ジルが内面から成長していくその様を、綺咲は初々しさをまといながら繊細に表現している。礼のエーリッヒは、柔らかい空気感。テオとは強い信頼関係を持ち、お互いに支え合っているような存在だ。また、専科の凪七瑠海(なぎな・るうみ)は、ナチス宣伝全国指導者のヨーゼフ・ゲッベルス役。表情を変えずに淡々と、冷酷な人物として時にゾクッとするような存在感を放っている。第二幕のレビューは、“タカラヅカレビュー90周年”のステージとして、パリのレビューを中心に、華やかなムードで展開。『モン・パリ』などの名曲と共に、幻想的なシーン、ポップなシーン、ジャジーで大人っぽいシーンなど、多彩に繰り広げられていく。クラシカルでありながら、新鮮な演出も取り入れたステージで、紅をはじめ、星組生の個性がキラリと輝きを放っている。11月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで東京宝塚劇場にて。東京公演のチケットは、10月22日(日)10:00より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日宝塚歌劇雪組公演『ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』/『SUPER VOYAGER! ―希望の海へ―』の制作発表会が9月22日に都内にて開催された。この公演は雪組新トップスター・望海風斗(のぞみ ふうと)と、新トップ娘役・真彩希帆(まあや きほ)のお披露目公演。『ひかりふる路』は、『ジキル&ハイド』『スカーレット ピンパーネル』等で知られるブロードウェイの作曲家、フランク・ワイルドホーンが全曲を書き下ろす。【チケット情報はこちら】抜群の歌唱力を持つ実力派コンビの船出に、最高のプレゼントだ。世界で活躍するワイルドホーンが宝塚に楽曲提供するのは、2006年の『NEVER SAY GOODBYE』以来11年ぶり。この日の会見では望海と真彩が、氏のピアノ演奏をバックに劇中歌を2曲披露。「ワイルドホーンさんに全曲作曲していただけると訊いて、こんな夢のようなことがあっていいのかなと思いました。本日、生演奏で歌わせていただいて、本当に幸せな気持ち。(この日は2曲のみだったが)これが全編になったらどんなことになるんだろうと自分自身、ワクワクしています」と望海は喜びを語る。真彩も「私の大好きなワイルドホーンさんの曲を、大好きな望海さんが歌われるのかと思っただけで、すごく幸せな気持ちになりました。(この日披露した)デュエットの曲も、メロディを聴くだけで涙が出てくるような素晴らしい曲」と感想を。またワイルドホーンはふたりについて「望海さんと真彩さんは素晴らしい音楽家。そしてとてもソウルフル。それは自分にとってとても大切なことなので、一緒に作り上げることをとても楽しみにしています」と話した。『ひかりふる路』は生田大和、『SUPER VOYAGER!』は野口幸作、ともにこれからの歌劇団を担う若い演出家が担当する。生田は「雪組の新しいスタートを切る作品であり、11年ぶりにフランクさんに全楽曲を書いていただく。特別な公演になる」と力を込め、野口は「“望”海風斗と真彩“希”帆、“希望”コンビの誕生と新生雪組の船出を盛大に祝福する、爽やかで絢爛豪華なレビュー作品です。これぞ宝塚という直球の作品にします」と熱く語った。公演は11月10日(金)から12月15日(金)まで兵庫・宝塚大劇場、2018年1月2日(火)から2月11日(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。チケットは兵庫公演が10月7日(土)午前10時より、東京公演が11月26日(日)午前10時より一般発売開始。
2017年09月27日映画『リトル・ダンサー』を元にミュージカル化した舞台作品『ビリー・エリオット』。海外で絶賛されるこの作品が、ついに日本で上映決定。出演する柚希礼音さんに話を聞きました。不況に喘ぐ炭鉱の町で生まれ育った少年・ビリーが、ふとしたきっかけからバレエに魅せられ、家族の反対や世間の偏見を乗り越えてプロのバレエダンサーの道を歩んでいく。衝動に突き動かされるようにバレエにのめり込んでいくビリーの姿とひたむきさと、そんな彼のピュアな情熱に感化され、次第に変わっていく周りの大人たちの葛藤と愛を描き大ヒットした映画『リトル・ダンサー』。『ビリー・エリオット』は、その映画を元にミュージカル化した舞台。ストーリーが素晴らしいのはもちろんだけど、ミュージカル用にエルトン・ジョンが書き下ろした楽曲は素晴らしく、舞台ならではの演出で披露される少年・ビリーのダンスシーンの楽しさは、映画以上とも。ロンドン、NYをはじめ世界各地で絶賛され数々の演劇賞を受賞した傑作が、ついに日本で上演決定。炭鉱の町で小さなバレエ教室を営み、ビリーの才能を見出すウィルキンソン先生を演じる柚希礼音さん。「舞台版のDVDを観た時に、昔観た映画以上に感動したんです。全キャストがオーディションと聞いて、最初は怯みましたが、それ以上にこのウィルキンソンという役をやってみたいと思ってしまったんです」柚希さんが、この作品に惹かれたのは、「きれいごとで終わらない」人間くさいドラマだったから。「バレエ教師といっても、教室ではコートも脱がず、バレエシューズも履かず、レッスン中にパイを食べたりしているんです。教室を開いた当初は、純粋な情熱を持っていたけれど、時代や土地柄もあって周りから軽んじられ、うんざりしながらやっていたんですよね。そんな時にビリーのような熱心な生徒が現れて、彼を後押しすることで彼女自身も救われる。そこが素敵ですよね」ウィルキンソンがダンスについて語るセリフにも共感ポイントが。「ダンスに大切なもののひとつはテクニックで、もうひとつが自分の表現だって言うシーンがあるんです。宝塚の入団当初の私は、いかに難しいステップが踏めるかというような技術ばかりを注視していたんです。でも、お芝居のなかでダンスを踊るようになったら、すごいジャンプをしても、ダメ出しされるんです。お芝居の中での心の叫びが大きくなってダンスという表現になるんだと気づいたのは、随分経ってから。自分が身をもって実感したことを先生の立場で言えるのがうれしいんです」稽古には、ロンドンのクリエイティブチームが参加し、段取りや感情の流れなど、細かく演出されるそう。「外枠から役を作ることで、内から湧き上がるものだけでない新しい感覚がプラスされていく感じがあって、とても刺激的な現場です」『ビリー・エリオット』TBS 赤坂 ACTシアタープレビュー公演/7月19日(水)~23日(日)S席1万2500円A席8500円7月25日(火)~10月1日(日)S席1万3500円A席9500円*すべて税込みホリプロチケットセンターTEL:03・3490・4949大阪公演あり。ゆずき・れおん宝塚歌劇団星組トップスターを経て’15年に退団。現在、舞台を中心に活躍中。ソロコンサート「REON JACK 2」のDVDが7月26日にリリース。※『anan』2017年7月19日号より。写真・内田紘倫(柚希さん)ヘア&メイク・黒田啓蔵(Three PEACE/柚希さん)文・望月リサ(by anan編集部)
2017年07月15日漫画家・萩尾望都の名作『ポーの一族』が、宝塚歌劇団により舞台化されることが23日、わかった。上演は2018年1~3月の予定。同作は1970年台に小学館『別冊少女コミック』にて連載された、少年の姿のままで永遠の時を生きる吸血鬼・エドガーを主人公とする物語。少女漫画の枠を超えて幅広い世代から愛され、2016年には40年ぶりの新エピソード『ポーの一族 ~春の夢~』が月刊コミック誌『flowers』にて掲載され、反響の大きさに重版が決定した。宝塚歌劇花組にて、トップスター・明日海りお、トップ娘役・仙名彩世を主演に、脚本・演出を小池修一郎が務める。公演は宝塚大劇場、東京宝塚劇場を予定。同作をいつかミュージカル化したいと夢見て入団した小池が、1985年に舞台化を申し出て以来、萩尾があらゆる上演希望を断り続けた幻の舞台が実現となる。また、『ポーの一族 ~春の夢~』はフラワーコミックススペシャルとして7月10日に発売が決定した。さらに27日ごろ発売の「月刊flowers」7月号にて舞台化速報が掲載される。
2017年05月23日宝塚歌劇 宙組東京宝塚劇場公演『王妃の館-Chateau de la Reine-』『VIVA! FESTA!』千秋楽のライブ・ビューイングが決定した。宝塚歌劇宙組 千秋楽 ライブ中継ミュージカル・コメディ『王妃の館-Chateau de la Reine-』は、宝塚歌劇にとって初となる浅田次郎作品の舞台化。スーパー・レビュー『VIVA! FESTA!』は、演出家・中村暁による世界各地の”FESTA”をテーマにした新作レビューとなる。さらに今回は、宙組トップ娘役実咲凜音の退団公演となり、ライブ中継では実咲凜音サヨナラショー、退団挨拶、千秋楽挨拶まで見ることができる。チケットぴあでは一般発売に先駆けて先行抽選販売を実施。受付は3月18日(土)午前11時から4月3日(月)昼12時まで。■宝塚歌劇 宙組東京宝塚劇場公演『王妃の館-Chateau de la Reine-』『VIVA! FESTA!』千秋楽ライブ中継4月30日(日)会場:全国の映画館
2017年03月17日元宝塚の女優・毬谷友子が、12日(19:00~21:48)に放送されるテレビ朝日系バラエティ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』の3時間スペシャルに登場。ペットシッターに1,000万円超相当の盗難被害にあった過去を告白する。元宝塚歌劇団の雪組娘役スターで、現在は舞台を中心に活躍する毬谷。実は、ペットシッターに総額1,000万円以上の金品を、3年半にわたって自宅から盗まれ続けていたという。愛犬のために、友人から紹介されたペットシッターの女性を頼んでいたが、彼女を信頼しきってしまい、盗難にあっていることに全く気づかなかったそう。その後、裏切られたことが分かり、酒びたりの引きこもり生活を送るハメになったことも明かす。そこで、今回は「信じていた人に騙されて人間不信になっちゃった先生」として、「誰かを信頼しすぎて、あなたが騙されないための授業」を展開。自らの人生をひも解いて、だまされやすい人の特徴を解説する。さらに、財産を奪ったペットシッターの巧妙な手口を詳細に説明。事件をへて気づいたという"大切なこと"を語りかける。この日の放送には他にも、女優・多岐川裕美の娘でタレントの華子が「世間知らずでひんしゅくを買って親の顔に泥を塗らないための授業」を、スノーボード元日本代表選手の成田童夢が「自分のことばかり考えて周りの人から嫌われないための授業」を行う。
2016年12月07日トップスター明日海(あすみ)りお率いる宝塚歌劇花組の宝塚舞踊詩『雪華抄(せっかしょう)』、トラジェディ・アラベスク『金色(こんじき)の砂漠』が11月11日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。本公演でトップ娘役・花乃(かの)まりあが退団する。宝塚歌劇花組『雪華抄(せっかしょう)』/『金色(こんじき)の砂漠』チケット情報第一幕の舞踊ショー『雪華抄』は「花鳥風月」をテーマに季節の移ろいが表現されている。幕開けは、暗転の中で拍子木の音を合図にパッと照明が舞台を照らす演出“チョンパ”。梅の花に彩られたステージに華やかな衣裳をまとった組子たちがズラリと並び、優雅に舞い踊る様は壮観で、一気にその幻想世界へと引き込まれる。そして専科・松本悠里による花椿の舞へと続いた後、熊鷹と狗鷲の激しい戦いを明日海と柚香光(ゆずか・れい)が、歌舞伎のように見得を切りながらカッコよく魅せる。また彦星と織姫がしっとりと歌い踊る「七夕幻想」、海にちなんだ民謡を粋に歌いつないでいく「波の華」、明日海と花乃が激しい情愛を表す「清姫綺譚」が繰り広げられ、フィナーレでは桜の花が舞い散る中で総踊り。豪華絢爛で日本の美の素晴らしさを改めて感じさせてくれる構成だ。丸山敬太デザイン・監修による衣裳も繊細で美しく、舞台に華やかな彩りを与えている。上田久美子作・演出による第二幕の『金色の砂漠』は、砂漠の王国を舞台にした“愛と憎しみ”の物語。明日海が花乃演じる王女の奴隷役という関係性が面白い。王女タルハーミネの奴隷として育てられたギィは、王女の身の回りのことをすべて世話し、災いがあれば身代りになる。王女に「奴隷は砂や土と同じ」と言われ、自分の背中を踏み台替わりに差し出すことも常識の世界。王女に思いを寄せるギィはいつか王女を自分のものにしたいと考えるが、「侮辱をするな」と突っぱねられる。しかし王女も次第に自分の気持ちに気付き始めて…。立場の違いという大きな壁がふたりを引き裂き、愛は憎しみに変わる。明日海はその愛情も憎しみも沸々と感情を高ぶらせて見せ、花乃は誇りに縛られた傲慢な王女を、ときには切なさを交えながら演じる。また、ギィと対照的な存在で、自身の立場を冷静に見つめる第二王女の奴隷ジャー役の芹香斗亜(せりか・とあ)、タルハーミネの婿となるテオドロス役の柚香らの好演もドラマを色濃くする。明日海・花乃コンビが集大成に見せる壮絶な愛の物語。ふたりの燃えたぎる情熱に感情を激しく揺さぶれるはずだ。公演は、12月13日(火)まで兵庫・宝塚大劇場、2017年1月2日(月・祝)から2月5日(日)東京宝塚劇場にて上演。11月23日(水・祝)11:00まで東京公演の先行抽選受付を実施中。取材・文:黒石悦子
2016年11月18日宝塚歌劇宙組公演『王妃の館 -Chateau de la Reine-』『VIVA!FESTA!』の制作発表が10月26日、都内にて行われた。今月半ばに大盛況の中、人気作『エリザベート』の千秋楽を迎えたばかりのトップコンビ、朝夏まなと、実咲凜音のほか、『王妃の館』原作者の浅田次郎も登壇。公演への意気込みと期待が語られた。宝塚歌劇宙組『王妃の館』チケット情報『王妃の館』はパリの高級ホテルを舞台に、高額ツアーと格安ツアーそれぞれに同じ客室を使わせるという旅行会社の企みのもと、集まった風変わりな人々が様々な騒動を繰り広げるコメディ。原作の浅田は「これはお笑い小説。徹頭徹尾、おやじギャグを散りばめた不思議な小説です」とキッパリ。その中でトップスター・朝夏まなとが扮するのは、セレブ気取りの恋愛小説家、北白川右京。朝夏も「つい10日前まで(『エリザベート』の主役である)黄泉の帝王として君臨していましたが、10日後にはこのようにショッキングピンクのスーツを着て…。とても緊張しました」と苦笑気味だが、「コメディは、自分の意図したものと反して出たものがお客様のウケが良かったりする。予測できないところが難しくもあり、それが上手くいったときの楽しさ、嬉しさがある。大劇場でコメディ作品に挑戦できるのがとても楽しみ。この素晴らしい小説を皆さまに喜んでいただける舞台としてお届けしたい」と意気込む。その朝夏扮する北白川右京を見た浅田は「私はわりと地味なのですが、作家は本当はこうでなきゃいけない!すごく羨ましい。こういう作家に早いうちになっておけばよかった。デビューした時にカツラを被っておくとか、もっと派手なファッションにするとかすれば、私の方向も違ったのかも」と後悔しきり(?)だったが、「実は宝塚の舞台を観たことがなかった。ミュージカルが好きなので興味があったのですが、どうも男ひとりで行くのが気が引けて…。今回望外なことに『王妃の館』の舞台化ということを訊きまして、躍り上がって喜んだ」とのエピソードも。また作中で弱小旅行代理店の女社長・桜井玲子に扮する実咲は、今回が退団公演となる。「今日このように舞台でパフォーマンスをし、コメディの難しさを感じました。最後の公演となりますが、課題はたくさんある。新しい自分をお見せできるよう頑張りたい」と意気込みを語った。後半のショー『VIVA! FESTA!』は世界各地のFESTAをテーマにしたスーパー・レビュー。日本最初のレビュー『モン・パリ』誕生から90周年の記念すべき年に上演される新作として、こちらも注目されている。公演は2017年2月3日(金)から3月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、3月31日(金)から4月30日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。
2016年10月27日宝塚歌劇団雪組の『私立探偵ケイレブ・ハント』『Greatest HITS!』が10月7日、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。トップスター、早霧(さぎり)せいなを筆頭に、トップ娘役咲妃(さきひ)みゆ、望海風斗(のぞみ・ふうと)ら、芝居巧者が揃う雪組の久しぶりのオリジナル作品で、新たな一面を見せている。宝塚歌劇雪組『私立探偵ケイレブ・ハント』/『Greatest HITS!』チケット情報第一幕の『私立探偵ケイレブ・ハント』は、正塚晴彦作・演出による、大人の色気漂うミュージカル。20世紀半ばのロサンゼルスを舞台に、探偵事務所の所長ケイレブと仲間たちが危険な事件解決に挑む様と、ケイレブを支える恋人・イヴォンヌとの大人の恋の行方が描かれている。スーツにハットを被った男役たちのクールなダンスシーンから始まる小粋な演出も、正塚作品らしい見どころのひとつ。今作で軸となるのは、ケイレブとイヴォンヌの恋模様。スタイリストとして自立した仕事をする大人の女性イヴォンヌとの、心地いい会話のテンポ感や情熱的なラブシーンは、息の合った早霧・咲妃コンビならではで、観客の心をときめかせる。早霧が演じるケイレブは、自分が信じたことに対して猪突猛進。正義のために迷わず突き進みながらも、仲間や恋人を思う優しさを持ち合わせていて、早霧にピッタリ。咲妃のイヴォンヌも、これまでの作品では見られなかった大人の雰囲気を漂わせ、新境地を開いている。さらに、ケイレブと探偵事務所を共同経営するジム・クリード役の望海と、カズノ・ハマー役の彩風咲奈(あやかぜ・さきな)もケイレブを支える仲間を好演。猪突猛進なケイレブに対して、冷静に見守るジム、フットワーク軽く捜査するカズノの関係性の良さも、時に頼もしく、時に微笑ましい。他、刑事のホレイショーを演じる彩凪翔(あやなぎ・しょう)、捜査線上に上がるマクシミリアンを演じる月城(つきしろ)かなとら、実力と個性を備えたスターが粒ぞろいだ。第二幕のショー『Greatest HITS!』は、アップテンポでキャッチーなメインソングを歌い、エネルギッシュに幕開け。プロローグからトップスピードで、次々と、目まぐるしくシーンを展開していく。早霧と望海の艶っぽく妖しげな雰囲気のダンス、ハロウィンやクリスマスをテーマにしたシーン、早霧と咲妃の爽やかなデュエット、男役の群舞など、見応えも見どころもたっぷりに繰り広げられる。誰もが聴いたことある名曲の数々で構成された、熱いパワーが充満するステージだ。兵庫・宝塚大劇場は11月7日(月)まで。東京宝塚劇場では、11月25日(金)から12月25日(日)まで上演される。東京公演のチケットは、10月23日(日)の一般発売に先駆け、10月13日(木)11:00から19日(水)11:00まで先行抽選販売(プレリザーブ)を実施。取材・文:黒石悦子
2016年10月13日宝塚歌劇星組トップコンビ、北翔海莉(ほくしょう・かいり)と妃海風(ひなみ・ふう)の退団公演となる『桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-』、『ロマンス!!(Romance)』が、8月26日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。宝塚歌劇星組『桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-』『ロマンス!!(Romance)』チケット情報第一幕の『桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-』は、明治維新の立役者のひとり、桐野利秋を主人公にした物語。人並みはずれた度胸と剣の腕を持つ利秋は、西郷隆盛と出会い、忠義を尽くすことを決意。幼なじみの隼太郎と共に京に上り、幕末の動乱の中で頭角を現していく。維新後の明治新政府では陸軍少将に任じられながらも、西郷と共に鹿児島へ下野。西南戦争へと身を投じることになる…。テンポ感のある展開が心地良く、薩摩なまりのセリフもどこか温かみを感じる。そしてラストへ向けて増していく切なさ…。その緩急が観る者の心を揺さぶる。銀橋(本舞台の前面にあるステージ)に侍がズラリと並び「男の生き様を見せてやる!」と歌うオープニングは壮観だ。北翔が演じる利秋は、戦のときには豪快に、会津の武家娘・大谷吹優には包み込むような優しさで接し、志を同じにしながらも次第に道を違えていく隼太郎の気持ちも尊重する懐の深さを持つ。そんな利秋の姿が、星組を率いてきた北翔の姿にも重なる。吹優を演じる妃海も、利秋への想いに揺れながらひたむきに生きる女性を熱演。利秋との心の繋がりが優しく、切なく描かれている。さらに、次期トップスターとなる紅ゆずるが隼太郎役を情感たっぷりに演じて魅せる。政府軍に身を置いたことで離れていく隼太郎と故郷の人たちとの心の距離に切なくなり、クライマックスで隼太郎が感情を爆発させるシーンには胸を掴まれる。ほか、北翔と同期で西郷役を務める美城れん、郷里・薩摩への想いを断ち切り、政府側として戦う川路利良役の七海(ななみ)ひろきや、利秋への復讐に燃える八木永輝役の礼真琴(れい・まこと)らの好演も作品に深みを与えている。第二幕のショーは、クラシカルでロマンチックなイメージ。パステルカラーの“ザ・タカラヅカ!”な衣裳で歌い踊るプロローグに、ピアノの伴奏にのせてしっとりとデュエットするシーンもあれば、一転、ロックンロールで華やかに魅せるシーンなど、多彩な展開で楽しませてくれる。中詰めでは客席降りで盛り上げ、組子が北翔を囲むサヨナラ公演らしい演出も。お芝居、ショー共に、集大成となるステージにぴったりの演出。北翔の魅力が最大限に引き出されている。10月3日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。その後、10月21日(金)から11月20日(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。取材・文:黒石悦子
2016年09月01日こんにちは、ライターの齋藤惠です。夢の世界、宝塚歌劇団。清く、正しく、美しい女性たちが彩る華やかな舞台です。芸能人にも熱烈なファンが多く、100周年を超えてもなおその人気は衰えることがありません。今回はそんな宝塚の世界に浸りきったファンならではの楽しみ方をご紹介します。●(1)休日の予定は公演しだい宝塚ファンにとって、公演こそ生活の中心。その合間に他の予定を入れなければいけません。毎年8月ごろに年間の公演スケジュールが発表されるので、宝塚ファンにとっては8月から来年の予定はすでに決まっている のです!●(2)好きになったジェンヌさんと添い遂げる覚悟である一度ファンになったタカラジェンヌは退団まで見届け、思いを貫くのが宝塚の掟!アイドルにありがちな“推し変”などご法度 です。もちろんファンクラブはいつでも辞めることができますが、別のタカラジェンヌへ心変わりすることは清く正しい宝塚のファン精神が許さないのです。●(3)新人公演で原石の発掘に燃える宝塚には通常の公演の他に『新人公演 』というものがあり、初々しい若手の生徒たちが上級生と同じ演目をおこないます。そこはまるで、磨かれていない原石たちの巣窟。宝塚ファンは親目線で未来のスターを探し、いち早く応援しているのです。●(4)男役が美しすぎて、実際の男性とのギャップに苦しむこれは宝塚ファンであるがゆえのジレンマです。本物の男以上に男らしいタカラジェンヌの演技を見てしまうと、自分の周りにいる彼氏や夫とついつい比べてしまい、苦しい現実を突きつけられることに……。それだけ宝塚の男役は、女性たちの理想を結集させた、究極の男性像 なのです。●(5)興奮すると専門用語が出てしまう宝塚にはファンにしか通じない独特の言葉があります。たとえば、本拠地である宝塚大劇場を「ムラ」、好きなタカラジェンヌのことを「ご贔屓さん」など、一般の人には伝わらないものばかりです。普段の会話の中で宝塚が話題に上がると、ファンはいったん平静を装うようなのですが、話に熱が入ってくるとつい専門用語を口にしてしまい、気がついたら周りをあ然とさせることもある とか……。●(6)宝塚ファンであることに誇りを持っている宝塚歌劇団の歴史は、タカラジェンヌたちを支えてきたファンの歴史でもあります。長い時がたっても変わらずに舞台を見守り続けるファンの存在が、宝塚を宝塚たらしめるゆえんなのです。ファンもまた「清く、正しく、美しく」の精神で、その伝統と誇りを受け継ぐ役目 を担っています。----------いかがでしたか?宝塚は知れば知るほど奥深い世界のようです。あなたも一度、その夢の世界を覗いてみては?【参考文献】・『タカラヅカファンあるある』空野りか・著●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/SAYA
2016年08月24日1996年に宝塚歌劇で初演され、今年で20周年を迎えたミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』が、トップスター・朝夏(あさか)まなと率いる宙組により上演。7月22日、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。宝塚歌劇宙組『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』チケット情報19世紀末に実在したオーストリー=ハンガリー帝国皇后エリザベートの生涯を、黄泉の帝王トート(死)との愛憎を軸に描いた本作。一度聴くと耳から離れないほどに美しい楽曲の数々で彩られた名作で、歌唱での表現力も重要な要素となる。宝塚版ではトートを主役に置き換えたオリジナルの演出がつけられ、歴代のトップスターが上演のたびに新たなトート像を作り上げてきた。9代目のトートとなる朝夏。手足の長い美しいスタイルの朝夏トートは、艶めかしく冷たいオーラを放ち、それでいて情熱的にエリザベートへの愛を見せる。そのバランスが絶妙で、眼差しや指先の動きも、観る者をゾクッとさせるほどに妖しい。エリザベートを演じるのはトップ娘役・実咲凜音(みさき・りおん)。活発な少女時代では澄んだ歌声で「パパみたいに自由に生きたい」と、無邪気に歌い上げる。一方で、オーストリー=ハンガリー帝国の皇后となった後は、皇太后ゾフィーの厳しい教育に苦悶。孤独に耐えながら精神的な強さを身に着け、「私のためだけに生きる」と決意したときには凛とした目、佇まいで惹きつける。しかし美貌が衰えることへの焦り、皇帝フランツの不貞…と、精神的に追い詰められていく様は、痛々しさを感じるほどだ。さらに真風涼帆(まかぜ・すずほ)が、柔らかな語り口と優しい雰囲気をまとい、皇帝フランツを表現。エリザベートに深い愛を抱く一方で、皇后ゾフィーには逆らえない弱さも。次第にすれ違っていくフランツとエリザベート。想いが届かないもどかしさを丁寧に見せている。そして、狂言回し的な役どころである暗殺者ルイジ・ルキーニを演じるのは、愛月(あいづき)ひかる。鋭い目でルキーニの狂気を表し、軽快なセリフ回しやアドリブで観客の笑いを誘いながら、物語を運ぶ。皇太子ルドルフは澄輝(すみき)さやと、蒼羽(そらはね)りく、桜木みなとの3人が役替わり。この日は桜木みなとが、ルドルフの孤独や寂しさを滲ませながら好演した。それぞれに歌唱力が高く、ソロナンバーはもちろん、ハーモニーも心地良く胸に響く。集団でのコーラスや群舞も迫力があり、20周年の『エリザベート』にふさわしい仕上がりになっている。兵庫・宝塚大劇場公演は8月22日(月)まで。東京宝塚劇場では9月9日(金)から10月16日(日)まで上演される。東京公演は8月7日(日)より一般発売開始。現在先行抽選販売(プレリザーブ)を8月3日(水)11:00まで申し込み受付中。取材・文/黒石悦子
2016年07月28日米 NY 時間7月20日、ニューヨークのリンカーン・センター内にあるデビット・H・コーク・シアターにてブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇OGバージョンのニューヨーク公演が初日を迎えた。初日にもかかわらず、2500席が満員御礼状態となり、劇場の外にはチケットを求めるアメリカ人が辺りの来場者に声を駆け回っている一幕もあったほど。客席は地元ニューヨーカーが多数を占め、最後にはスタンディングオベーションが巻き起こる開幕となった。ブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇 OG バージョン チケット情報ミュージカル『シカゴ』は、夜の街にジャズの音色が響き、マフィアが暗躍する1920 年代、禁酒法時代のアメリカ・イリノイ州シカゴが舞台。トニー賞最優秀リバイバル・ミュージカル作品賞に輝き、アメリカ作品としてはブロードウェイ史上1位の ロングラン記録を更新し続け、現在20年目を迎えている。宝塚歌劇OGバージョンは、1996年よりブロードウェイでロングラン公演を続けているリバイバル・プロダクションと同じ製作陣による舞台というのが特徴で、2014年の日本公演の成功を受けて、今回のニューヨーク公演が実現した。そしてニューヨーク公演では本編のカーテンコールの後に、宝塚歌劇の名曲の数々をちりばめたおよそ20分のレビューが披露された。客席がムービングライトに照らされ、“TAKARAZUKA ENCORE(タカラヅカ・アンコール)”と書かれた煌びやかな舞台装置が登場。今回の渡米メンバー全員が総出演する圧巻のサプライズだ。同ミュージカルのブロードウェイ初演で主役のひとりヴェルマ・ケリーを演じたダンスの名手チタ・リベラも会場に駆けつけており、本編のフィナーレが近づくにつれ上半身を乗り出し、のめり込むように観劇。「女性が男性を演じるのが違和感なくゴージャスで完璧な舞台だった」と絶賛。また同作品の作曲家であるジョン・カンダ―は、男役により演じられる主役の弁護士ビリー・フリンについて、「ブロードウェイの公演も男役で上演すれば良いのに」と感銘を受けていた。今回のミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇OGバージョンは、米演劇界にも大きな足跡を残すことになりそうだ。ニューヨーク公演のあと、8月からは東京、大阪へと続くが、この評判は日本にも伝わりチケット争奪戦になることは間違い無いだろう。公演は、8月10日(水)から21日(日)まで東京国際フォーラム ホールC。8月25日(木)から31日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。チケットぴあでは、WEBと店頭でのみ明後日7月27日(水)午前10時より、東京公演の横濱・NYギフトセット付チケットを発売する。
2016年07月25日2014年に宝塚歌劇100周年を記念して上演され、7万人を動員した、世界初・女性キャストのみの宝塚歌劇OGバージョン『CHICAGO』が、7月9日(土)に神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場大ホールで開幕。NY、東京、大阪を巡るワールドツアーが開催される。本番を間近に、代表曲を抜粋した公開稽古が行われた。宝塚歌劇OGバージョン『CHICAGO』チケット情報まず、序曲『Overture』~『All That Jazz』では、和央ようか演じるヴェルマが舞台中央から艶やかに登場。朝海ひかる演じるロキシーが愛人を殺害する、本作でも代表的な曲が披露された。続いては、麻路さきが演じる、大金を積めば無罪にしてくれるという敏腕弁護士・ビリーの登場シーン。大きな羽根扇に囲まれて『All I Care About』を歌う姿はビリーという人物を一瞬で印象付ける、大胆で華やかな演出だ。姿月あさと演じるビリーが、大和悠河演じるロキシーをマリオネットに見立て、記者会見で腹話術のように歌う『We Both Reached For The Gun』は、映画版でも印象的なシーンのひとつ。その記者会見によって朝海ひかる演じるロキシーが一躍スターダムに上り詰め、「私、スターよ!」と喜びを歌い上げる『Roxie』では、朝海の滑らかに動くセクシーな腰も見どころだ。ビリーがいかに法廷、世間を支配しているかを歌い上げるナンバー『Razzle Dazzle』は、峰さを理演じるビリーがダンサーを支配していく姿に圧倒的存在感が漂う。公開稽古の最後には、NY公演でのみ上演する『タカラヅカ・アンコール』より『すみれの花咲くころ』を。宝塚歌劇団の演出家・三木章雄が今回のためだけに構成したレビューショーは、初風諄の美しい歌声の中、キャストが全員登場。純白の羽根扇が美しく舞い、宝塚歌劇の伝統と歴史の華が披露された。レビューショーは、横浜公演でのお見送りセレモニーで一部上演予定。公開稽古後に行われた囲み取材では、峰が「ワクワク感と緊張感が混ざった感じ。よりいい空気感が出るように、アンサンブルも含めて一緒に上がっていきたい」と話すと、麻路も「ずっとこのまま続いててほしいなって思うほど、稽古場でのひとときが楽しい。久しぶりに男役をやれて幸せ」と笑顔に。『タカラヅカ・アンコール』では、その日のメインキャストが羽根を背負う演出もあるそうで「ぜひNYまで観にいらしてください!」(朝海)と盛り上げた。最後に峰は「アンサンブルの中には私が退団してから生まれた方もいるんですけど、魂がやっぱり同じなんだなってひしひしと感じます。そこに退団後の経験が上乗せされているので、OG公演は魅力がある」と話し、公演への期待を高めた。主要キャストはダブルキャストもしくはトリプルキャスト。公演は、7月9日(土)から14日(木)のKAAT 神奈川芸術劇場大ホールを皮切りに、7月20日(水)から24日(日)にはNYで上演。8月に東京・大阪公演を行う。撮影・取材・文:中川實穗
2016年07月04日2014年に宝塚歌劇100周年を祝して元トップスターたちによって上演されたブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョン。今年は日本のみならず、ニューヨーク公演にも初挑戦するなどワールド・ツアーで大きな注目を集める本公演の、幕開けの地となる横浜公演にて、限定特典付きチケットの販売が決定した。宝塚歌劇の元トップスターたちで作り上げるブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョン。本公演は、女性キャストのみで作られ、“世界一エレガントで華々しいシカゴ”と評されるなど、「セクシーでスタイリッシュな世界」が観客を魅了する。今年は、7月9日(土)KAAT神奈川芸術劇場を皮切りに東京・大阪の国内公演に加えて、本場ニューヨークでも上演。ニューヨーク公演では演出家・三木章雄が構成する特別なレビュー・ショー「宝塚アンコール」も上演される。これはニューヨーク公演限定のプログラムなのだが、ニョーヨーク公演に先駆けて開幕する横浜公演でも毎公演終了後に行われる「お見送りセレモニー」にて「宝塚アンコール」の一部が披露。曲目は当日発表というサプライズで、元トップスターたちのパフォーマンスにファンの期待は膨らむばかりだ。ファン必見の横浜公演に、さらに見逃せないチケット情報が発表。横浜の老舗「近沢レース店」のオリジナルレースをあしらった、横浜限定で販売されているミニタオルハンカチと、みなとみらい限定で販売されている薄くソフトなカステラ生地に栗餡をやさしく包み込み、しっとりとした食感が絶妙な横濱ハーバーダブルマロンが特典として付いてくるチケットが発売中。予定枚数終了次第、受付終了なので気になる方はお早めにチェック!また、稽古も大詰めに差し掛かっている本公演から、ロキシー・ハート役(ダブルキャスト)として出演する大和悠河が「シカゴ」の公演を行うニューヨークでロケを行った番組「徳井と後藤と芳しの指原が今夜くらべてみました 2時間スペシャル!!」が、今夜6月22日(水)21時より日本テレビにて放送予定。さらに、6月23日(木)9時半より放送「フォンデュ」(TOKYO MX)には大和さんをはじめ和央ようか、星奈優里も出演するという。ブロードウェイミュージカル「CHICAGO」宝塚歌劇OGバージョンは、7月9日(土)よりKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて横浜公演を上演。以降、7月20日(水)よりデビット・H・コーク・シアター(リンカーン・センター内)にてニューヨーク公演。8月10日(水)より東京国際フォーラム ホールCにて東京公演。8月25日(木)梅田芸術劇場メインホールにて大阪公演。(text:cinemacafe.net)
2016年06月22日2012年、ラスタ・トーマス率いるBAD BOYSと、宝塚歌劇団OGを中心とするBAD GIRLSの共演で話題を呼んだDANCE LEGENDシリーズ『BAD GIRLS meets BAD BOYS』。14年にはBAD GIRLSがタンゴに挑むシリーズ第二弾『Argentango』を、BAD BOYSの『Rock the Ballet 2』とほぼ同時期に上演した。第三弾の今回は、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家ホセ・バリオスを構成・演出・振付に迎える『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』。第一弾からの湖月わたる、水 夏希、原田 薫、第二弾のBAD BOYSに参加した大貫勇輔らに加え、昨年2月に宝塚を退団した元宙組男役スター、緒月遠麻が初参戦する。『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』チケット情報「自分が出演するなんて、まだ信じられません。だって、ご覧下さい、このメンバーに私が入っているチラシ……(深いため息)」と、緒月は公演への期待と不安をのぞかせる。彼女にとって、共演者の湖月、水は宝塚時代からの大先輩だ。「湖月さんは憧れの方。私がいた雪組にも専科から出演され、芸事においても人間性においても本当に素晴らしくて、多くを学ばせていただきました。水さんは私の雪組時代のトップスター。私はありがたい事に絡む場面が多かったり、水さんが本公演で演じられた役を私が新人公演で演じたりとご縁が深くて。当時から、ご自身を高めながら周囲も見ている方でした。偉大なおふたりの胸を借り、だいぶ頼ってしまいそうです(笑)」一方、原田、大貫とは初顔合わせ。「先日、過去のダンス映像を拝見しました。あまりの凄さに、ビックリして映像を止めてしまったほど。基礎も身体能力も桁違いのお二方とご一緒するのはとんでもない挑戦になりますが、宝塚時代、男役としての演技を、上級生の真似をしながら積み上げたのと同じように、今回もとにかく見習い、色々なものを吸収したいです」日本での稽古のほか、公演前には本場スペインでもリハーサルが行われるという。「宝塚でもフラメンコのシーンがありましたが、リズムも独特ですし、足と手を別々に動かすのも難しくて。本場の方に教わるのは貴重な機会なので、しっかり成長できたらと思います。少し落ち着いたら生ハムと白ワインも楽しみたい。その余裕ができるよう、まずは稽古に打ち込みます!」今回は退団後初のダンス公演だ。「お芝居が特に好きなので、この1年はストレートプレイをさせていただいていたのですが、歌も踊りもまたやりたいという気持ちが出てきた時にこの機会をいただき、恵まれていると思います。私は稽古場でもマイペースで、納得できるものができるまで時間がかかるタイプなので、周囲を心配させてしまうかもしれないのですが、なんとか足を引っ張らないよう頑張りたいですね」公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは4月16日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:高橋彩子
2016年03月22日2012年、ラスタ・トーマス率いるBAD BOYSと、宝塚歌劇団OGを中心とするBAD GIRLSの共演で話題を呼んだDANCE LEGENDシリーズ『BAD GIRLS meets BAD BOYS』。14年にはBAD GIRLSがタンゴに挑むシリーズ第二弾『Argentango』を、BAD BOYSの『Rock the Ballet 2』とほぼ同時期に上演した。第三弾の今回は、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家ホセ・バリオスを構成・演出・振付に迎える『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』。第一弾からの湖月わたる、水 夏希、原田 薫、第二弾のBAD BOYSに参加した大貫勇輔らに加え、昨年2月に宝塚を退団した元宙組男役スター、緒月遠麻が初参戦する。『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』チケット情報「自分が出演するなんて、まだ信じられません。だって、ご覧下さい、このメンバーに私が入っているチラシ……(深いため息)」と、緒月は公演への期待と不安をのぞかせる。彼女にとって、共演者の湖月、水は宝塚時代からの大先輩だ。「湖月さんは憧れの方。私がいた雪組にも専科から出演され、芸事においても人間性においても本当に素晴らしくて、多くを学ばせていただきました。水さんは私の雪組時代のトップスター。私はありがたい事に絡む場面が多かったり、水さんが本公演で演じられた役を私が新人公演で演じたりとご縁が深くて。当時から、ご自身を高めながら周囲も見ている方でした。偉大なおふたりの胸を借り、だいぶ頼ってしまいそうです(笑)」一方、原田、大貫とは初顔合わせ。「先日、過去のダンス映像を拝見しました。あまりの凄さに、ビックリして映像を止めてしまったほど。基礎も身体能力も桁違いのお二方とご一緒するのはとんでもない挑戦になりますが、宝塚時代、男役としての演技を、上級生の真似をしながら積み上げたのと同じように、今回もとにかく見習い、色々なものを吸収したいです」日本での稽古のほか、公演前には本場スペインでもリハーサルが行われるという。「宝塚でもフラメンコのシーンがありましたが、リズムも独特ですし、足と手を別々に動かすのも難しくて。本場の方に教わるのは貴重な機会なので、しっかり成長できたらと思います。少し落ち着いたら生ハムと白ワインも楽しみたい。その余裕ができるよう、まずは稽古に打ち込みます!」今回は退団後初のダンス公演だ。「お芝居が特に好きなので、この1年はストレートプレイをさせていただいていたのですが、歌も踊りもまたやりたいという気持ちが出てきた時にこの機会をいただき、恵まれていると思います。私は稽古場でもマイペースで、納得できるものができるまで時間がかかるタイプなので、周囲を心配させてしまうかもしれないのですが、なんとか足を引っ張らないよう頑張りたいですね」公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは4月16日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:高橋彩子
2016年03月22日2016 年の兵庫・宝塚大劇場は、宙組公演『Shakespeare ~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』『HOT EYES !!』からスタート。1月1日、その幕を華々しく開けた。宝塚歌劇宙組公演『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』/『HOT EYES!!』第1幕のミュージカル『シェイクスピア』は、没後400年の節目を迎えたウィリアム・シェイクスピアの謎に包まれた半生を、妻アン・ハサウェイとの夫婦愛を軸にフィクションとして描いた心温まる物語。舞台は16世紀末のイギリスで、劇作家を夢見て詩を書く毎日を送っていたウィリアムは、後に妻となるアンや、ウィリアムをロンドンの劇団へと導く貴族ジョージと出会い、成功を収めるが…。『夏の夜の夢』をイメージしたような森の中でのアンとの出会い、『ロミオとジュリエット』をイメージしたようなバルコニーで愛を告げるシーン、そして『冬物語』『ジュリアス・シーザー』ほか、さまざまなシェイクスピア作品の劇中劇を挿入しながら、リズム感のある展開で楽しませてくれる。貴族たちのコスチュームの数々も華やかで、見た目にも楽しい。トップスターの朝夏まなとは、才能を秘めた純粋な青年から、言葉が洪水のように次々と溢れ出てくる絶頂期、欲や野望にまみれた社会の中で次第に言葉が出てこなくなっていくウィリアムの浮き沈みを、繊細に表現していく。そんなウィリアムの支えとなるのが、娘役トップ実咲凜音演じるアンだ。ウィリアムと出会った頃は可憐で無邪気に、結婚後は一歩引いて見守るように演じ、移りゆくふたりの距離感を丁寧に見せている。また真風涼帆は、ウィリアムの才能を一早く見出し、パトロンとなるロンドンの貴族ジョージ・ケアリー役。妻ベス(怜美うらら)の言葉によって欲望をどんどんとむき出しにし、ウィリアムを操っていく存在だ。さらに専科より沙央くらまが、宮内大臣一座の看板役者リチャード・バーべッジ役で出演。ウィリアムを奮い立たせる人物として、存在感たっぷりに演じている。第2幕のショー『HOT EYES !!』は、全シーンで大階段を使用したダイナミックなステージ。実咲を中心とする娘役による華やかな幕開きから、男役がシックにキメるタンゴ、セクシーなクラブシーンなどを次々と展開。宙組のパワーみなぎる迫力の群舞を見せる一方で、見惚れるほどに美しい朝夏のソロシーンがあったりと、観客の心を揺さぶり、躍らせていく。2016年の観劇初めにぴったりの、ドラマチックなミュージカルとホットなショーに、心満たされるはず!兵庫・宝塚大劇場公演は2月1日(月)まで。また、2月19日(金)から3月27日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは1月17日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは一般発売に先駆けて、インターネット先行抽選(プレリザーブ)を1月12日(火)11時まで受付中。取材・文:黒石悦子
2016年01月07日宝塚歌劇月組公演『舞音-MANON-』『GOLDEN JAZZ』が、11月13日、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。第一幕の『舞音-MANON-』は、フランス恋愛文学の最高峰のひとつで、バレエやオペラ作品としても人気の高いアベ・プレヴォ作『マノン・レスコー』をベースに作られたミュージカル。舞台を20世紀初頭のフランス領インドシナに置き換え、究極のラブストーリーを展開している。宝塚歌劇月組公演『舞音-MANON-』/『GOLDEN JAZZ』のチケット情報物語の主人公は、インドシナ駐在を命じられたフランスの若きエリート海軍将校シャルル。“舞音(マノン)”と呼ばれる美少女の踊り子と出会い、深い愛におぼれていく様が独立運動と絡めて描かれていく。アジアンな舞台美術、アオザイなどの衣装、弦楽器が心地良く響く音楽、ゆったりと舞うような振付…。そのすべてがどこか郷愁を感じるような、エキゾチックなムードのステージで、これまでの宝塚歌劇ではあまり見られなかった雰囲気に引き込まれていく。男役トップスター・龍真咲(りゅう・まさき)は、マノンに魅せられ、翻弄されていくシャルルを観る側も苦しくなるほどに、情感豊かに熱く演じていく。また、そのマノンを演じる娘役トップスター・愛希(まなき)れいかは、長い黒髪で少女でありながら男たちを翻弄する蠱惑的なヒロインを妖艶に演じる。美しくも時に愛らしさを見せ、“富裕層の男たちの心を捉える”という役どころをしっかりと掴んでいる。支配するフランス側のシャルルと、支配されるインドシナ側のマノン。ふたりが紡ごうとする愛に、珠城(たまき)りょう演じるマノンの兄クオン、凪七瑠海(なぎな・るうみ)演じるシャルルの親友でフランス軍人のクリストフらが絡み、ドラマチックに展開。さらに専科・星条海斗(せいじょう・かいと)が、キレ者の警察長官ギョーム役で空気をピリッと締め、シャルルの心を表す存在として立つ美弥(みや)るりかもほぼ言葉を発さない“影”の役を、その佇まいや踊りで魅せている。ふたりの愛が行きつく先…、美しく幻想的なラストシーンが胸に響いた。第二幕のショー『GOLDEN JAZZ』は、マーチングバンドの演出で、ノンストップのカーニバルが開幕。スターが次々と歌い継ぎ、華やかに熱く歌い踊る。クラブをイメージしたシーン、『Sing Sing Sing』の中詰め、客席へのサプライズ演出など、龍をはじめ、それぞれの見どころが散りばめられ、時に熱く、時にクールに色とりどりのシーンが展開していく。個性あふれるメンバーの力、そしてそれらが一つになったときのパワーに圧倒されるはず。兵庫・宝塚大劇場公演は12月14日(月)まで。また、2016年1月3日(日) ~ 2月14日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは11月29日(日)より一般発売開始。チケットぴあでは東京公演のWEB先行抽選「プレリザーブ」を11月20日(金) 11:00~11月25日(水) 11:00まで受付。取材・文:黒石悦子
2015年11月19日大阪・梅田にある梅田芸術劇場の10周年を祝い、剣幸、杜けあき、安寿ミラ、姿月あさと、湖月わたるら宝塚の歴史を彩った歴代スターたちが集結するステージ『SUPER GIFT! ~from Takarazuka stars~』。同公演が9月12日に東京国際フォーラム ホールCで開幕した。【チケット情報はこちら】関西圏で大型ミュージカルを上演する劇場として定着している梅田芸術劇場だが、宝塚歌劇とも縁が深く、宝塚の公演や宝塚OGの公演も数多く上演されている。本作は劇場10周年を、そんな宝塚にスポットを当てて祝う趣向だ。演出の三木章雄によると「劇場を見守り、育ててくださったお客さまにお返しとして、大きなものをプレゼントしたい。プレゼントの中身は色々あると思いますが、僕は宝塚の演出家なので、宝塚の卒業生のみなさんと共に、宝塚時代の懐かしいナンバー、卒業後に展開した新しい面をミックスし、楽しんでいただくのが一番のプレゼントだと思いました」とのこと。その言葉どおり、ショーの中身はまさに“すごい贈り物”。中でも目玉は、1987年から1988年にかけて月組で上演された『ME AND MY GIRL』の再現だ。宝塚では異例の1年にわたるロングランとなった伝説的舞台だが、今回はその主演コンビ、剣幸とこだま愛のトップコンビが揃って出演。抜粋ながら名シーンに継ぐ名シーンを剣・こだまはじめ、スター達が楽しげに演じ、懐かしくハッピーな空気が劇場を包み込んだ。ほか、安寿ミラ・森奈みはるの元花組トップコンビが、阪神大震災で宝塚大劇場が被災し公演中止になり、その後現・梅田芸術劇場(当時は劇場飛天)で再開された彼女らの退団公演『哀しみのコルドバ』のナンバーを披露するなど、ファンにとってはたまらない内容に。ほかにも、『雨に唄えば』『ハウ・トゥー・サクシード』から、今秋来日公演が予定されている『TOP HAT』まで、劇場になじみのある海外名作ミュージカルのナンバーも披露され、懐かしさと新鮮さがミックスされた見応えのあるショー・ステージになった。初日前日に行われた会見で、スターたちは「アルバムを開けたようなショー。ちょっと写真がセピア色になっているのが、私たちの体力のせいなのかなと思っていますが(笑)、でも“時間がたってからの昔の再現”も、また味わいがある」(杜)、「宝塚を辞めて女優になっても応援してくださっているファンの方々に、私たちからのスーパーギフトをお贈りします」(安寿)、「私にとっては宝物のような宝塚での、思い出の作品を再現させていただけることが嬉しい。宝塚は総合的なもの。(元トップスターだけでなく)全員がキラキラ光っているのが見どころ」(剣)とそれぞれアピールしていた。公演は9月27日(日)まで東京国際フォーラム ホールCで上演。その後10月3日(土)から8日(木)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールで上演。チケットは発売中。
2015年09月14日昨年、設立100周年を迎えた宝塚劇団の中でも“稀代のトップスター”と呼ばれる柚希礼音さん。近年の宝塚では類を見ない6年にも及ぶトップスター生活では、真矢みきさん以来2人目となる武道館コンサートを成功させ、さよなら公演の千秋楽には劇場前に史上最高の1万2000人が詰めかけた。そんな柚希さんは、退団後の動向に注目が集まるなか、アメリカショウビズ界のレジェンド、ハロルド・プリンスが手がける舞台への出演を発表。宝塚の肩書が通用しない世界にあえて踏み出す理由を聞いた。――退団後1作目に選んだのがハロルド・プリンスの舞台とは驚きました。これまでのキャリアが一切通用しない世界で勝負しようと決めた理由を教えてください。やっぱり皆さんが気にされていたことだと思いますし、私もすごく悩みました。ファンの方から考えたら、私を主役に作っていただくような作品を待っていたかもしれません。でも在団中から私を応援してくださっていた方々って、きっと新しいことに挑戦し続ける姿に共鳴してくださっていたと思うんです。もしかしたら今回の出演は無謀な挑戦で、批判を浴びるようなことになるかもしれません。でも、宝塚でのキャリアを守って生きていくより、自分自身の実力で挑んでいきたいと思ったんです。――柚希さんは、宝塚に入る前はバレエで世界を目指していらっしゃいましたよね。背が高くなりすぎたことでその道を諦めたわけですが、宝塚を経てこうして世界の舞台へ出ていくことになるというのには運命的なものを感じます。そうなんです。留学して海外の舞台に立ちたいというのは、自分のなかで一度終わった夢だったんですよね。当時一緒に踊っていた友達がバレエの世界で活躍していくなかで、自分だけ宝塚という違う道に行ったと思っていたんです。まさか自分がこんなに宝塚に没頭 するとは予測していなかったし、そこで学び、芸だけでなくいろんなことを成長させてもらい、最終的にこの道を選んでよかったと思えるまでになれたことでも十分なくらい。なのに、その先に、かつて目指したブロードウェイの話があるなんて思ってもみませんでし た。回り道したようだけど、あの時にバレエで留学していてもこんなお話はいただけなかったと思いますから。――宝塚入団当初は、きっとどこかに第二の選択肢に進んだという思いがあったのではないかと…。あったと思います。ダンスがしたくて入ったのに、お芝居も歌もやらなきゃいけないんです。宝塚ファンの時期がないから男役への憧れもなく、ましてや「愛してるよ」なんてセリフを言いたかったわけでもない。でも、そうやって客観的に見ているからこそ、「クサい」とか言われない男役を作ろうという気持ちになれたんです。上級生がやっているからやる、ではなく、あくまでも、自分が必要だと思うことをやろうと。ただ、宝塚が第一の選択肢だったと思うようになれたのは、『スカーレット・ピンパーネル』のショーヴラン(’08年上演の大ヒット作。柚希さんが2番手時代に演じた悪役で、当時、演出の小池修一郎さんから厳しい指導を受けた)を経てトップになった頃です。宝塚でよかったと思えるまでには、それくらい長い時間がかかりました。――でも結果的に、そのことが、宝塚ファンじゃない方々までも熱狂させる男役・柚希礼音に繋がったんだと思います。宝塚の男役といえばリーゼントでしょ、という従来のイメージがあるなかで、前髪を下ろしたり、短髪にしたり、いろんな挑戦をしてきました。ウィンクを飛ばしてお客様の心を掴んでいく他の男役の方を見ながら、私は2階席の後ろにまで届くパフォーマンスでお客様を魅了したいと思っていたり。宝塚ファンのための舞台ではなく、一般のミュージカルや演劇を観た時に味わえる、あの感動と同じものを伝えたかったんですよね。だから、最後の最後に、このやり方でよかったんだと思えたことが何より幸せです。昨年の100周年で、宝塚はテレビや雑誌にたくさん取り上げられましたけれど、多くの人の関心は音楽学校の整列だとか入り待ち出待ちの列のことだったんですよね。でも、本来の魅力はタカラジェンヌ全員が人生をかけてやってるというところ。単なるお嬢様劇団ではないからこそ、 宝塚ファンじゃなかった私も燃えることができたんです。フワフワした夢の世界ではないことをひとりでも多くの方に知っていただくことができたならうれしいです。下手だと言われ続けたのがよかったのかもしれません。◇ゆずき・れおん6月11日生まれ。大阪府出身。’99年に宝塚歌劇団に入団し、星組に配属。早くから新人公演で主役をつとめるなど、注目を集める。’08年には松尾芸能新人賞を受賞し、翌年、星組トップスターに就任。’15年5月に宝塚を退団。千秋楽公演は、宝塚史上最大規模の全国45か所でライブ中継され話題に。◇柚希さんの宝塚退団後1作目となる舞台『プリンス・オブ・ブロードウェイ』は10月23日~渋谷・東急シアターオーブ、11月28日~梅田芸術劇場で上演。演出は『オペラ座の怪人』などを手がけたハロルド・プリンス、共同演出&振付を『プロデューサーズ』のスーザン・ストローマンが手がけることでも話題。チケットは7月25日より一般発売開始。梅田芸術劇場 TEL:0570・077・039※『anan』2015年7月29日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・間山雄紀(M0)ヘア&メイク・CHIHARUインタビュー、文・望月リサ
2015年07月22日宝塚歌劇雪組公演『星逢一夜(ほしあいひとよ)』『La Esmeralda(ラ エスメラルダ)』の制作発表が6月10日、都内にて行われ、雪組トップスター早霧せいな、トップ娘役咲妃みゆ、望海風斗らが意気込みを語った。宝塚歌劇雪組 チケット情報今年正月に『ルパン三世』の舞台化で話題をさらった、新トップ早霧率いる雪組。今作は、新体制となった雪組の2作目の公演となる。宝塚の王道とも言うべきミュージカルとショーの2本立てスタイルだが、前半の『星逢一夜』は2013年の初演出作『月雲の皇子』が大きな評判を呼んだ期待の新人・上田久美子の大劇場デビュー作。江戸中期の九州、とある藩で起きた叛乱を背景に、藩主の息子と身分なき娘との恋を哀切に描き出す物語だ。上田は「早霧、咲妃、望海という中心の3人が皆、芝居巧者と言われる役者たち。特に内面的なものが素晴らしい。この3人なら思い切ってシンプルな日本物に挑戦したいと思った。日本物でしか出来ない情の深い世界や、日本人独特の義理と人情の間で揺れ動く激しい葛藤、そういったものをお見せしていけたら」と話す。この日の会見では早霧、咲妃、望海が『星逢一夜』のパフォーマンスを披露。約10分の芝居仕立ての充実のパフォーマンスで、美しくも切ない世界の一端を報道陣にアピールした。「最初に台本を読んだ瞬間から、この作品の持つパワーをとても感じました。自分自身が感動して、この作品を絶対良くしたいという気持ちが生まれたので、それをお客さまに伝えていきたい」と早霧。咲妃も「セットも音楽もすべて魅力的。その魅力のすべてをお客さまに余すことなくお届けできたら」、望海も「すごく綺麗な物語だと思った。その中に心を動かされるものがあり、最後になぜか懐かしさが残る作品」と語り、意気込み充分だ。一方、ショー『La Esmeralda』はヨーロッパラテンがテーマ。演出を手掛ける齋藤吉正は「今の雪組の充実、華やかさ、高いスキルを皆様にご覧頂きたい。宝塚の5組の中でも、早霧・咲妃・望海の雪組は宝塚が誇る魅力的なトリデンテ(3トップ)。早霧のショーの代名詞になるような作品を目指したい」と力強く語った。芝居とショー、まったくタイプの異なる2作で、現在の雪組の魅力を多角的に味わえそうだが、早霧も「この2本立ては一度で二度美味しい。普段はあまり自信がないタイプなのですが、これだけは自信があります(笑)。お客さまにもお芝居では心を動かしていただいて、ショーでは身体を動かしていただいて、私たちとともに楽しんでほしい」と話した。公演は7月17日(金)から8月17日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、9月4日(金)から10月11日(日)まで東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が6月13日(土)、東京公演が8月2日(日)に一般発売を開始する。
2015年06月11日阪急阪神ホテルズは6月1日~9月12日の期間限定で、宝塚ホテル(兵庫県宝塚市)にて「宝塚ホテルビアガーデン2015」を開催している。同ビアガーデンの開催期間中は、オードブルや温製料理、フライ料理、中国料理、サラダ、デザートなどのフードをセルフサービスで楽しめるほか、生ビールや角ハイボール、各種サワー、ワイン(赤・白)、ソフトドリンクなども飲み放題となる。今回は、グリルコーナーにて目の前で焼くバーベキューブロシェット(串焼き料理)が登場。焼きたての同メニューを1人1本限定で提供する。そのほかにも、サラダメランジェや冷やし冬瓜(とうがん)などの冷製料理、カリフラワーやピーマンを使用した色鮮やかなピクルスなど、女性向けのメニューも用意する。土・日曜日と祝日にはかき氷も用意するとのこと。同ビアガーデンは120分制で、開催時間は、平日で17時30分~21時(ラストオーダー20時30分)、土・日曜日および祝日で17時~18時45分または19時15分~21時(ラストオーダー20時30分)となる。料金は、大人4,000円、3歳~12歳1,800円。初夏優待(6月1日~30日)3,500円、初秋優待(9月1日~12日)3,700円、メンバーズクラブ優待3,700円。※価格は全て税込
2015年06月02日