俳優の宮沢氷魚が29日、東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで行われた第12回TAMA映画賞 授賞式に登場した。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。初主演作『his』で最優秀新進男優賞に選ばれた宮沢は「役者を3年やっていますが、賞をいただくのは初めてなので、一生忘れないものになると思います」と喜ぶ。『his』について「初主演映画ということでプレッシャーはあったんですけど、相手役の藤原季節くんに助けられて、すごく楽しい作品にもなった」と振り返る。「LGBTQをテーマに作ったので、どういう意見が飛び交うのかなと思っていたんですけど、実際公開されて、たくさんの方に見ていただいて、たくさんの意見をいただいて、本当に幸せに思っています」と感謝の気持ちを表した。藤原については「白川で10日間共同生活を送ったんですけど、本当に変わってる子で」と笑顔に。「Tシャツ1枚と下着1枚くらいしか持ってこなくて、『ごめん氷魚、タオル貸して!』というところから始まったので、季節くんが自分を開いて受け入れてくれたことに感謝しているし、季節くんじゃなければ成立しなかったと思います」と語る。今泉力哉監督についても「このタイミングで今泉さんに出会えたことは、役者人生の中では宝物ですし、また成長して今泉さんの作品に出られるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。同賞には俳優の北村匠海も選出され、ビデオメッセージで登場。「とにかく前に進んで色んな作品を打ち出したいと思っています。"新進"という言葉がさらに似合う俳優として、2021年も頑張っていきたいと思います」とメッセージを寄せた。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年11月29日俳優・宮沢氷魚の2021年日めくりカレンダー「HIOMEKURI CALENDAR 2021」から、貴重な使用カットが一部解禁された。オフィシャルWEBサイトの開設とともに発売が開始された、宮沢氷魚の2021年日めくりカレンダー「HIOMEKURI CALENDAR 2021」。“日をめくり(氷魚めくり)”と名が付いている通り、1日1枚ずつめくっていく形のカレンダーだが、2021年の365日分全てが異なるカットで構成されており、毎日違った表情の宮沢さんが1日を彩る、贅沢かつ大ボリュームな内容となっている。宮沢さんといえば先日、NHK連続テレビ小説「エール」への出演が発表されたばかり。物語終盤でのゲスト登場で朝ドラデビューを果たすなど、躍進が続いている。そんな宮沢さんの今回解禁されたカレンダー使用カットでは、俳優としてだけでなく、雑誌「MEN’S NON-NO」の専属モデルとして第一線で活躍する彼ならではの凛々しい表情や、ベッドに横たわっている姿や海の中で手を引くような仕草を見せていたりと、どれも貴重なカットばかりとなっている。宮沢氷魚日めくりカレンダー「HIOMEKURI CALENDAR 2021」は発売中。(text:cinemacafe.net)
2020年11月15日flumpool・山村隆太による朗読配信『星の王子さま』の第一夜<ぼくと王子くんの出会いについて>が、PIA LIVE STREAMにて配信中だ。【動画配信】深夜文学「星の王子さま」チケット情報この朗読配信企画「深夜文学」は、コロナ禍で不安な気持ちやストレスを抱く人に向けて贈る「おやすみ前の大人向け・朗読放送」。さまざまなジャンルの出演者が文学作品の名作を朗読し、オンラインにて配信する企画だ。今回は、7月から8月にかけて行われた第一弾、石崎ひゅーいによる『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治 著)に続く第二弾の配信で、『星の王子さま』を3夜にわたってお届けする。11月8日(日)に配信された第一夜は、<ぼくと王子くんの出会いについて>を朗読。ひとりぼっちだった操縦士のぼくは、ある日サハラ砂漠に不時着して、ちいさな星からやってきた王子くんに出会う。王子くんはどうして自分の星を出て、地球に降り立ち、ぼくに出会ったのか――。配信は夜10時にスタート。『星の王子さま』の言葉たちは、大人になって薄れてしまったことや、日々の忙しさで見えなくなってしまったものなどを、ふと気づかせてくれる。その一語一語を大切にしながら、聞き手に丁寧に届けるような山村の語りがじんわりと心に沁みる。優しい声と柔らかい口調も耳に心地よく、『星の王子さま』の世界観にぴったり。目を瞑ればさらにその世界がふわ~っと広がっていくようだ。視聴するうちにふっと肩の力が抜け、視聴後は心地良い眠りへといざなわれる。配信期間中は何度でも視聴可能なので、就寝前に流しながら、ゆっくりと落ち着きの時間を過ごしてほしい。「深夜文学」<ぼくと王子くんの出会いについて>は、11月29日(日)までPIA LIVE STREAMにて配信中。第二夜<王子くんの旅とキツネのひみつ>は11月15日(日)夜10時配信。通常の視聴券の他、第一夜~第三夜の通し視聴券、グッズ付き視聴券なども販売中。
2020年11月10日コロナ禍の中で誕生した、まったく新しい形の「おやすみ前の大人向け・朗読放送」。エンタテインメントの力で、不安な気持ちやストレスを抱える人たちに寄り添いたいという思いから生まれた企画だ。あらゆるジャンルの出演者が、名作文学作品を朗読し、オンラインにて配信。今年7月から8月にかけて配信された第一弾では、石崎ひゅーいが『銀河鉄道の夜(宮沢賢治 著)』を朗読したが、続く今回は、flumpoolのボーカル・山村隆太による『星の王子さま(サン=テグジュペリ 著)』の朗読をお届けする。【動画配信】深夜文学「星の王子さま」チケット情報ひとりぼっちの「ぼく」と「王子さま」が出会い、旅や会話を通して心を通わせていく物語は、世界中で愛される珠玉の名作。第一夜は11月8日(日)<ぼくと王子くんの出会いについて>、第二夜は11月15日(日)<王子くんの旅とキツネのひみつ>、第三夜は11月22日(日)<王子くんとぼくのおはなし>をPIA LIVE STREAMにて配信する。それぞれ22:00より開始、11月29日(日)23:59まで視聴可能。視聴券:1500円グッズ付き視聴券:3980円※1配信あたり通し視聴券:3980円グッズ付き通し視聴券:5980円<グッズは第一夜~第三夜同一>※数量限定で受付。グッズの発想は12月中旬を予定※視聴券は11月29日(日)18時まで販売グッズ付き視聴券は11月22日(日)22時まで販売
2020年11月06日@takamujさんは、京都府にある『京都市醍醐中央図書館』に訪れた際、素敵な貼り紙を見つけたといいます。Twitterに投稿された、こちらの1枚をご覧ください。※クリックすると画像を拡大しますたまたま寄った図書館の注意書きが素敵でした。 pic.twitter.com/ENvIpdl3Gv — takamuj (@takamuj) October 17, 2020 「当館は『注文の多い図書館』ですからどうかそこはご承知ください」「さあさあ、おなかにおはいりください」貼り紙に記されたのは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の感染対策をお願いする『注意書き』。文豪・宮澤賢治の童話『注文の多い料理店』の一節をモチーフに、ユーモラスな表現で来館者に対策を呼び掛けています。投稿には19万件もの『いいね』が付き、「いいアイディア」など称賛の声が多数寄せられていました。・スタッフのセンスが素晴らしすぎる。こういう図書館は訪れてみたくなります。・本好きの人なら、クスッとしてしまうでしょうね。・苦難をユーモアで乗り切ろうという心意気を感じます!・知る人ぞ知る『注文の多い料理店』ですね。粋だなあ。『注文の多い図書館』貼り紙を作った経緯同館の担当者は、貼り紙を作った経緯について、次のように語っていました。コロナウイルスの流行で、感染対策の注意書きを作ろうということになり、文章がどうしても固くなりがちだったので、なんとかならないのかなと思ったのがきっかけです。インターネットでアイディアを探したところ、宮沢賢治の『注文の多い料理店』をモチーフにした例があって、図書館でもやってみようということになりました。「宮沢賢治を知っている人に喜んでもらえれば嬉しい」というささやかな気持ちから作成したという貼り紙。Twitterで大きな反響を呼んでいることに、担当者もびっくりしていました。「来館者に楽しんでほしい」というちょっとしたサービス精神が、たくさんの人の心を温かくしたようです。[文・構成/grape編集部]
2020年10月22日南カリフォルニアを拠点とするグローバルライフスタイルブランドのUGG(R) は、UGG(R)のウェザープルーフ技術を主要スタイルのシルエットに搭載した、2020秋冬コールドウェザーブーツコレクションの最新スタイル、CA805 Classic Weather(CA805 クラシック ウェザー)のキービジュアルに宮沢氷魚さんを起用することを発表します。10月21日より、「FEEL YOU. あなたらしさをUGG(R)で感じて。」をメッセージに、カリフォルニア出身、モデルで俳優の宮沢氷魚さんを起用したキービジュアルを展開します。UGG(R)ブランドのDNAであるCOZYな心地良さや、寒さから守られパワフルに感じるフィーリングなど、UGG(R) CA805 Classic Weatherを履いた気分を ”FEEL WARM. FEEL POWERFUL.”と表現します。今年7月に、 「明るく平穏な未来のために」と自ら版画でデザインしたチャリティTシャツを販売し、収益の一部をセーブ・ザ・チルドレンに寄付するプロジェクトをゼロから企画立案した氷魚さん。世界を襲ったコロナウイルス、アメリカや世界の黒人コミュニティへの人種差別問題、日本国内で大きな犠牲をもたらした自然災害。今のこの時代だからこそ、社会に対してアクションを起こせないかと考え、実行したという、その強い意志と行動力に共鳴し、起用を決定しました。宮沢氷魚さんが登場するアニメーションも同時公開。UGG(R)公式サイトおよびSNS(Twitter、Instagram、 Facebook、YouTubeなど)でご覧いただけます。YouTubeリンクはこちら: Classic Weather は、UGG(R)の新定番となったCA805 スニーカーの超軽量クッションソールに加えて、クラシックブーツのラグジュアリーな履き心地を楽しむことができる、スニーカーとブーツのハイブリッドデザイン。シームシールド構造、防水性のあるスエード、止水テープを使用したガゼットジッパーを採用した防水仕様だから、雨や小雪が降っても安心!着脱も簡単なサイドジッパーで、ブーツインやカジュアルなスタイルなど、タウンユースにも最適です。また、地表の冷気を遮断するチャンキーなソールユニットには軽量性と衝撃吸収性を兼備したEVA(エチレンビニルアセテート)を採用し、アウトソールには、抜群のグリップ性を確保するUGG(R)独自のテクノロジーTreadlite by UGG™を用いる事で実用的なトラクションとコンフォータブルな履き心地を具現化。ミニマムなブラックを基調にしたカラーリングの2色展開で、UGG(R)ならではの機能美を引き出しています。また、そのスタイルにアッパーが異なる、CA805 Classic Dalmatian(CA805 クラシック ダルメシアン)も新たに登場。毛付きレザーの高級感溢れるダルメシアン柄のブーツは、大人気のCA805 Dalmatian(CA805 ダルメシアン)スニーカーに次ぐ、ダルメシアンコレクションとして、フーディやバンダナ、ミトンなどと一緒にラインアップ。CA805 クラシック ウェザー (チェスナット)2万6,000円(税抜)CA805 クラシック ウェザー (ブラックTNL)2万6,000円(税抜)CA805 クラシック ダルメシアン(オフホワイト/ブラック) 2万7,000円(税抜)10月7日から11月30日までの期間、「#FEELUGG」インスタグラムキャンペーンを実施。是非この機会にUGG(R)を着用して感じたコメントと共に、ストーリーやフィードへ投稿してください。UGG(R)JAPAN公式インスタグラムのプロフィールよりダウンロードできるARフィルターを使って#FEELUGGをつけてUGG(R)商品とともに「あなたのベストFEELフォト」を投稿すると、UGG(R)からスペシャルなクリスマスプレゼントがもらえるチャンスが!詳細はUGG(R)JAPANの公式インスタグラムプロフィールをご覧ください。本商品は、全国のUGG(R)直営店、UGG(R)公式サイト(、正規取扱店でご購入いただけます。※アイテムにより取扱い店舗が異なるため、詳細に関しましては、フリーダイヤル0120-710-844までお問合せください。About UGG(R)1978年、カリフォルニアの海岸で一人のサーファーによって設立されたUGG(R)は、アイコニックなクラシックブーツで知られるグローバルライフスタイルブランドです。ハリウッドのセレブリティに続き、ファッションエディターに愛用され、やがて世界中に広がりました。以来UGG(R)は、品質、クラフトマンシップに対する妥協のない姿勢を貫きながら、フットウェア、アパレル、ファッション小物、ホームウェアのデザインと販売を手掛けています。世界各国の一流小売業者と提携しながら、UGG(R) のコンセプトストアおよびアウトレットストアを、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルス、パリ、ロンドン、東京、上海、北京など、世界主要都市に130店舗以上を展開し、年間10億ドルを超える売上高を実現しています。詳しくは、www.ugg.com/jp/ @UGGJAPAN #FEELUGG #UGGブーツをご覧ください。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年10月22日『COCOONMovie!!』初日舞台挨拶が6日にBunkamuraシアターコクーンで行われ、松尾スズキ、大竹しのぶ、宮沢りえ、小池徹平、中井美穂(MC)が登場した。同企画はシアターコクーン過去作品の収録映像蔵出し上映会となっており、芸術監督の松尾がこの20年間シアターコクーンで上演した作品の中から3作品(『女教師は二度抱かれた』『キレイ-神様と待ち合わせした女-』『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』)、初代・芸術監督である串田和美作品(『もっと泣いてよフラッパー』)、二代目・芸術監督である蜷川幸雄作品(『下谷万年町物語』)、松尾が“演劇を始めたころの素朴な喜び”を求めプロデュースした二人芝居『命、ギガ長ス』と、その創作過程を追った WOWOWオリジナル・ドキュメンタリー『ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也』を上映する。演劇の配信なども増えているものの、松尾は今回の試みについて「大きなところでやったものは大きなところで見たいんじゃないか。どうせならコクーンという劇場が空いてる時間を使って、過去のものいっぱいありますから、上映できる機会があれば」と意図を明かす。大竹は「自分の出てる劇場中継とか見ること自体があまり好きじゃなくて。『アップになるな~!』みたいな」と苦笑。「あとは全体を見てお芝居なので……というのがあったんですけど、松尾さんのお話を聞いて、今だからこそできることだし、劇場の空気を味わいたいと思ってこの企画を考えてくれたことが素敵だなと思います」と称賛した。ラインナップの中でも、蜷川幸雄演出の『下谷万年町物語』に出演していた宮沢は「それまでも何度かご一緒できる機会があったんですけど、何せ弱虫な私はとけこむことができなくて。『下谷万年町物語』で改めて『ここで飛び込まなきゃ私はダメになると思ったところがあった」と振り返る。「本当にもう希望と絶望のシーソーに乗っているような。毎日稽古で叱咤を受け、死に物狂いでやってて、本番も暗転前にヒロポンを持って踊るシーンがあるんですけど、終わった直後にもう立てなくて。これ以上できないという限界を毎日超えていた」と語った。『キレイ-神様と待ち合わせした女-』に出演した小池は、「松尾さんが『歌を聞かせてくれ』というので、アカペラでWaTの『僕のキモチ』を1人で歌ったのを覚えています」と明かす。松尾は「小池君はコクーンのデビューが『キレイ』だったんだよね。すごく力が入ってます。力が入った小池君を見てください」と紹介し、小池は「ありがとうございます」と苦笑していた。
2020年10月06日コンテンポラリーダンスという言葉が流通する遙か以前から、勅使川原三郎は、どのジャンルやスタイルにも属さないオリジナルな身体表現を確立し、日本はもとより、世界中のダンス・バレエ界から注目を集めてきた。錯覚かと見紛うほどの高速ステップから、時間の堆積を感じさせるスタティックな動きまで。空間の質量を自在にコントロールするシャープな身体は、大ベテランであり、愛知芸術劇場の芸術監督となった(2020年4月に就任)現在も、まったく衰えとは無縁。むしろ、より研ぎ澄まされ、パフォーマーとして最強のフェーズに入った感さえある。制約の多いコロナ禍による自粛期間の前後も、自身が主宰するKARASのスタジオで、次々と新作やリニューアル作を精力的に上演し、絶好調ぶりをキープしている。そんな勅使川原メソッドの最高の体現者である佐東利穂子も、重力を感じさせない軽みとしなやかさに加え、求心的かつ気品漂う佇まいで魅了する、類い稀な優れたダンサーだ。この二人が、それぞれ圧巻のソロと、絶妙な距離とタイミングによるデュエットを繰り広げる舞台空間は、さらに勅使川原自身による、光と影の変化やオブジェの質感を活かしたソリッドな美術・照明を得ることで、完璧なアートとなる。古今東西の文学作品からインスパイアされた作品も多い勅使川原だが、なかでも宮沢賢治については、その詩作をイメージの源泉とする『DAH-DAH-SKO-DAH-DAH』『春と修羅』を発表しており、「言葉やイメージは勿論、自然や時空について考える新たな機会を得た」と、その影響の大きさに言及している。『銀河鉄道の夜』の詩的世界は、きっと勅使川原を、さらなる自由な高みに導くことだろう。夜空の天の川に遊ぶジョバンニとカンパネラに、二人の天才ダンサーの姿を重ねるのが楽しみだ。勅使川原三郎ダンス公演『銀河鉄道の夜』原作:宮沢賢治構成・振付・演出・美術・照明・衣装:勅使川原三郎出演:勅使川原三郎 / 佐東利穂子9月19 日(土)19:309月20 日(日)19:309月21 日(月・祝)16:009月22 日(火・祝)16:00会場:シアターX(カイ)文:伊達なつめ
2020年09月19日白井晃の演出による、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「音楽劇『銀河鉄道の夜2020』」の幕が上がる。8月下旬、初日を約1ヵ月後に控えて稽古に臨むジョバンニ役の木村達成、カムパネルラ役の佐藤寛太(劇団EXILE)に話を聞いた。【チケット情報はこちら】KAAT10周年プログラムのキックオフとなる本作は、1995年に初演され、翌96年に再演された「イーハトーボの音楽劇『銀河鉄道の夜』」を新たに“再生”するもの。初演では宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」を題材に、能祖將夫が上演台本、バイオリニストで作曲家・編曲家の中西俊博が音楽監督、シンガーソングライターのさねよしいさ子が作詞・作曲・出演を担った。今回の上演版には、演出を手がける白井をはじめ、初演のクリエイティブスタッフが再集結。キャストには木村と佐藤のほか、ザネリ・青年役の宮崎秋人、男(ケンジ)役の岡田義徳が名を連ね、初演に続いてアメユキ役をさねよしが演じる。稽古スタートから2週間が経ち、佐藤は「作品テーマの解釈はキャストに委ねられている気がする」と白井の演出スタンスを紹介。木村も「僕たちが受け取ったものを演技に出してほしい、という白井さんのメッセージを感じます」と続く。だとしたら、二人はこの作品をどのように捉えているのか──。ジョバンニとカムパネルラの旅路には、座礁したタイタニック号の被害者が銀河鉄道の乗客として居合わせるなど“死”の影がつきまとう。これに、佐藤は「生きていることや日常のありがたさを実感する」「日ごろあまり身近でない“死”に触れることで、宮沢賢治の死生観をキャッチしてもらえたら」と語った。カムパネルラの取った行動に「他人のために生きる自己犠牲について深く考えた」と話すのは木村。また劇中の“生きていたことを証明する、それが残された者の務め”というセリフを挙げながら、「周りの人が亡くなることは誰にでも起こり得ることで、その人たちを忘れないでいることが、ジョバンニに象徴された役割だと思います」と自負した。個人で捉えた作品のテーマを述べながらも、木村と佐藤は「感じ方は人それぞれ」と多様な価値観を持つ観客に向けた気配りも忘れない。「賢治がこの作品から何を受け取ってほしかったのか、僕らも役を全うしながら読み解いていきます」「劇中にたくさん散りばめられた胸を打つセリフから自由に感じてください」と観客に呼びかけ、取材を結んだ。公演は9月20日(日)~10月4日(日)に、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて、まもなく開幕。取材・文:岡山朋代
2020年09月18日夏休みの宿題の難関と言えば、読書感想文!子どものころ、自分も苦労したという人も多いのではないでしょうか。実は、読書感想文は本選びからすでに始まっています。本選びを適当にしてしまうと、感想文も難航してしまうことになりかねません。今回は学校図書館司書の資格を持つ私が、読書感想文を書きやすい本の選び方について、おすすめの方法をご紹介します。自分と共通する登場人物がいる本を選ぶまずは登場人物の境遇に注目しましょう。本の帯や、そで(本のカバーを表紙の内側へ折り返したところ)、本の宣伝文句などを読むと、その本にどのような登場人物が出てくるかがわかります。そこで、子ども自身とどこか共通点のある登場人物を見つけてみるというのは、どうでしょうか。例えば主人公が野球をしているとか、音楽や本や、猫が好きだとか。「この主人公、わたしと似ている!」「ぼくみたいだ!」と子どもが感じることで興味をひき、さらに自分のことのように共感を持ちながら読み進めることができます。表紙の絵で選ぶ表紙に描かれた絵の雰囲気も、本選びの重要な要素になります。色合いがきれいだったから、なんだか不思議な絵だったから、あるいは表紙絵の人物が着ているものがかわいかったから、書いてあるオブジェクトが好きなものだから…といったように、本の表紙に対して、色々な理由づけをすることができます。名作かつ短編の中から選ぶ本には最近出版された児童書のほかにも、昔から読み継がれている名作と呼ばれるものがあります。ところが、子ども世代はもちろんのこと、親の世代であっても、これらの名作に苦手意識を持つことが多いようです。文学の観点からのみならず、読書感想文の観点からも非常に残念なことだと思います。というのは、名作短編は本当に短く、内容が濃く、読みやすくできているためです。百数十ページもある最新の児童書1冊を読むよりもずっとハードルが低いことがほとんどでしょう。低学年におすすめの宮沢賢治例えば宮沢賢治の場合、子ども向けに出版されている文庫では1つの物語を20~50ページ程度で読むことができます。宮沢賢治は登場人物に猫やカエル、ウサギや鳥が多く、低学年でも楽しく読めるのが特徴的です。高学年におすすめの芥川龍之介一方、高学年の子どもや読書が好きな子どもであれば、芥川龍之介にチャレンジしてみるのもおすすめです。芥川龍之介の作品は言葉づかいの難易度が少し高いですが、とても丁寧で語調が美しく、宮沢賢治よりもさらに短く凝縮された世界は不思議に満ちています。10ページほどで読める定番の『蜘蛛の糸』、『杜子春』や『魔術』といった作品がおすすめです。『鼻』は巨大化した鼻を踏んで小さくするといった大笑いできる作品ですが、その実、内容は非常に深く言葉もやや難しいので、読書感想文を書けるかどうかは子どもの性格や裁量次第でしょう。このように難易度が高い物語もあるので、親自身が先に目を通してみるのもいいですね。一緒に書店へ出かけてみましょう子ども自身が本選びに迷うようであれば、一緒に書店に行き、親のほうで何冊か雰囲気の違うものを選んであげて「この中から、いいなーと思うものを1つ選んでみようか」と誘導してあげる方法があります。夏休みには学年に応じた課題図書やおすすめ図書のリストが出るものです。そこから親の目線で、わが子が興味を持ちそうなものをいくつかピックアップし、最終決定は子どもに任せるとよいでしょう。普段からあまり本を読み慣れない子どもであれば、1つ下の学年の本も視野に入れてあげると、子どもも難易度が下がったように感じ、選びやすくなります。本を選んだ理由は読書感想文の冒頭に!子どもがどんな理由でその本を選んだのか。その理由は、読書感想文の冒頭になる大切な要素です。読書感想文を書く時は、何から書き始めたらよいか迷うものですが、最初の段落に「なぜ、この本を選んだのか」を明記してしまうと、その後を続けやすくなります。場合によっては「お母さんが、これがいいんじゃないの?と言ったから」という理由も出てくると思いますが、それでも構いません。また、冒頭部分には、タイトルや表紙からどんな印象を受けたかということを書いておくのもおすすめです。ワクワクした、怖そうだった、よく意味がわからなかったので興味を持ったという書き方もありますね。冒頭にこれらを記載しておくと、読書感想文の最後を「読んでみて、最初の印象とどのように違ったか(あるいは、印象どおりだったのか)」という感想で締めくくることができます。そこまでを見越して本選びをすることで、読書感想文を書くという宿題全体がラクなものになるのです。学校によっては、読書感想文は選択課題として位置づけられるため、やらなくてもよいこともあるようです。しかし作文の能力が身につくだけでなく、感想文を書き上げることそのものが子どもの自信になりますので、ぜひ親子で挑戦してみてほしいと思います。<文・写真:ライターあん茉莉安>
2020年08月10日『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画『アクタージュ act-age』の舞台化プロジェクトが始動。ヒロイン・夜凪景役をリモートオーディションで選ぶことが発表され、6月1日より募集が開始されている。『アクタージュ act-age』は、主人公・夜凪景が役者として見いだされ、芝居に奮闘する様を描く役者漫画。累計発行部数は300万部を超え、映画・演劇界からの評価も高い。今回の舞台プロジェクトは、『アクタージュ act-age』の中でも人気の高い「『銀河鉄道の夜』編」を舞台化。宮沢賢治作の「銀河鉄道の夜」を舞台上演する演出家と劇団員たち、そして主演を務める夜凪景との人間模様が描れていく。舞台『アクタージュ act-age~銀河鉄道の夜~』は『、デスノート THE MUSICAL』や『ミュージカル「生きる」』など手がけるホリプロの公演事業部が制作を担当。2010年『自慢の息子』で第55 回岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・演出家・俳優の松井周が脚本と演出を務める。そして、舞台のヒロイン「夜凪景」を演じる女優を、全国規模にて公募し、次世代を担う女優を発掘する。グランプリは株式会社ホリプロインターナショナルと専属契約し、ヒロイン 夜凪景役で舞台デビューとなる。また、オーディションは新型コロナウイルス感染拡大による状況を鑑みて、予選は在宅環境からも参加出来る、”リモートオーディション”が導入される。●マツキタツヤ(原作者)コメントアクタージュという作品への拘りから応募されると、却ってその方自身や舞台そのものの色んな可能性を狭めてしまいそうですので、俳優として末長く活躍したいと考えてる方の一つの入り口のような作品になることを願ってます。●松井周(演出)コメント舞台版の脚本・演出を担当する松井です。「アクタージュ act-age」は俳優という「仕事」の話です。俳優はときに奇跡を起こします。でもそれは魔法によって起きるわけではありません。「アクタージュ act-age」では「演劇ってこんなふうに魔法っぽく作られているのだろうな」というなんとなくのイメージではなく、俳優がどこからヒントをもらって、何を考えてそれを表現に落とし込むのか、といった点が丁寧に描かれています。登場人物たちが俳優という「仕事」を通して、自分の居場所を求める姿を面白く描けたらと思っています。演劇は集団創作です。人が集まることで創作は始まり、人と会うことから不思議と力が湧きます。作るということはどこまでも自由です。そこで大事なことは、誇張することも卑下することもない「自分」です。そんな「自分」が集団の中でどんなふうに変化していくか、そしてまた、他の誰かが変化していくことを楽しんでもらいたいです。今まで知らなかった「自分」の居場所が思ってもみないところに見つかるという事が、演劇ではよくあります。応募者の方には、このオーディションを通してそういう居場所を見つけてほしいし、自分そのままの魅力を発揮してもらいたいです。僕は俳優もするのですが、舞台や人前でどう振る舞うかより、ふっと力が抜けた時の「隙」にこそ、その人の姿が見えてくるし、そこが面白いと思っています。自分に才能があるかはわからないけど、演じるのって面白いなと感じている方は、ぜひ挑戦してみて欲しいです。●梶山裕三(プロデューサー)コメント以前に週刊少年ジャンプ掲載の人気漫画「DEATH NOTE」をミュージカル化させていただきました。舞台化を発表したとき、原作ファンの皆様からたくさんのコメントを頂き、そのほとんどがネガティブなものでした。当時、漫画を原作にした舞台は今ほど多くなかったので、その反応も想定はしていましたが、想像以上の反応に身が引き締まったのを覚えています。我々は原作をリスペクトしながらも、「原作を舞台で再現する」のではなく、「観に来てくださったすべてのお客様を楽しませる舞台」を追求しました。その結果、ミュージカル版デスノートには原作を知らない演劇ファンの皆様にも、普段劇場に足を運ぶことがない原作ファンの皆様にもご支持いただき、5年間で3度の上演を重ね、海外でも上演される作品に成長しています。今回は、現在連載中の人気漫画の舞台化なので、前回以上にプレッシャーを感じていますが、原作者のマツキ先生と、作・演出の松井周さんの舞台化に対するビジョンが一致しているので、素晴らしい舞台になると期待しています。「夜凪景」という役は、ダイヤモンドの原石のような役です。これから女優を目指したいという方にはこれ以上ない最高のデビューになるのではないでしょうか。松井周さんは、俳優の些細な表情や心情の変化を見逃さない眼力の持ち主です。オーディション応募者の隠れた魅力を見抜き、ダイヤモンドに磨き上げてくれることでしょう。「アクタージュ act-age」を読んで演技に興味が沸いている方全員にチャンスがあるオーディションですので、皆様のご応募お待ちしています。●矢田部行庸(ホリプロインターナショナル 取締役)コメントまずはこの度のコロナウィルスの中、日々戦っておられる医療従事者の皆様に心より感謝の意を申し上げますと共に、コロナウィルスの終息を心より願っております。今回のオーディション開催にあたり、現在世界中が直面しております状況を鑑みまして、開催自体を非常に悩みました。しかしながら、自宅にて日々自粛をして閉塞感をもち生活をする中で、少しでも未来に希望を感じて頂きたい、そして我々エンターテインメント業界においてはここで文化や新たな才能を根絶やしにせず、その状況に応じて出来うる方策での開催をと思った次第です。本オーディションは、オーディション参加者及びご家族の皆様が安心できるリモート環境のもとでの取り組みになります。沢山のスターを夢みる皆さんのご応募をお待ちしております。我々ホリプロインターナショナルは「世界に通用するスペシャリストの創出」を企業理念に、ホリプログループの国際事業の窓口として2018 年6 月に設立され、海外進出を視野に入れた様々な分野のタレントが在籍しています。今回、舞台『アクタージュ act-age~銀河鉄道の夜~』ヒロイン「夜凪景」役 オーディションで全国に広く募集をする事にいたしました。日本国内そして世界に舞台・ミュージカル女優として本格的に挑戦出来うる女優の卵の発掘です。舞台『アクタージュ act-age~銀河鉄道の夜~』は『デスノート THE MUSICAL』や『ミュージカル「生きる」』など話題作を多く手がけるホリプロの公演事業部が制作を手掛け、2010 年『自慢の息子』で第55 回岸田國士戯曲賞を受賞し、現代社会のあり様をありのままに受け止める作風で人気注目を集める作家・演出家・俳優の松井周氏が脚本と演出を務める本格的な舞台作品となります。必ずグランプリ受賞者にとっての代表作となる事を確信しております。世界で大成功をおさめた日本人女優はまだいません。勿論そんな事務所もありません。我々と共に本気で国内外のトップを目指す逸材を探しています。一緒に“アクターストーリー”を進みたいあなたのアクション、お待ちしております!■舞台「アクタージュ act-age ~銀河鉄道の夜~」ヒロイン「夜凪景」役オーディション・応募期間2020年6月1日(月)00:00~2020年7月10日(金)23:59・グランプリ特典1.舞台『アクタージュ act-age~銀河鉄道の夜~』のヒロイン「夜凪景」役にてデビュー2.ホリプロインターナショナル専属契約となり国内のみならず世界を目指す女優として活動・応募資格2020年7月10日時点で満12歳~満17歳までの芸能活動に興味がある女性で国籍問わず日本語での日常会話が可能(ネイティブレベル)の人物。※英語or中国語での会話可能な者は歓迎。・オーディションスケジュール1次審査:WEBプロフィール書類審査2次審査:ビデオ審査3次審査からは2020年12月以降を予定。※上記審査スケジュールは変更の場合あり。
2020年06月11日北海道小樽市にある小樽市総合博物館。小樽市の歴史や、北海道の交通史などを展示しています。新型コロナウイルス感染症の影響でしばらく臨時休館をしていましたが、2020年6月1日から再開しました。絶賛の声が相次ぐ感染防止ポスター再開するにあたって、マスクの着用や団体見学は断るなど感染防止対策もしっかりとっているといいます。小樽市のTwitterでは、「来館者にお願いが多く心苦しいため、せめて貼り紙だらけの状態を笑ってもらいたい」としてポスターを掲示したことを公表。ある有名小説を参考に作られ、「センスがいい」と反響が上がっているポスターがこちらです。 #小樽市総合博物館 は6月1日より再開しますが科学展示室やチャレンジラボなど休止が多く、マスク着用、団体見学のお断りなど、皆様へお願いも多く、誠に心苦しい状態です。せめてそんな貼り紙だらけの状態を笑っていただこうと「注文の多い博物館」のポスターを掲示しました pic.twitter.com/gdQsec0Ynf — 小樽市 (@OtaruCity) June 1, 2020 当館は注文の多い博物館ですからどうかそこはごしょうちください。注文はずいぶん多いでしょうが一いちこらえてください。「どうか手や指にアルコールえきをたくさんよくもみこんでください」「マスクをしていますか。お持ちでない方は簡単マスクをつくれます」「お客さまがた、ここではきちんとして、ほかのお客さまと2メートル(クマ1頭分)のきょりをとってください」いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。もうこれだけです。「とてもこみ合ったときは入館をおまちいただくことがあります」いや、わざわざご苦労です。たいへん結構にできました。さあさあおなかにおはいりください。@OtaruCityーより引用宮沢賢治の『注文の多い料理店』を参考にして作られたこのポスター。手に塗るのはクリームではなく、アルコール液です。さらに、ソーシャルディスタンスとして取るべき2メートルの距離を、クマ1頭分という北海道らしい表現で感染防止をお願いしていました。よく見るとポスターの下には、ヤマネコが食事している絵もあります。ポスターを見た人たちからはさまざまなコメントが寄せられていました。・これはついつい読んでしまう。文字のフォントも最高。・とてもセンスがいいです。かわいらしいですね。・洒落てるポスターですね。ぜひ、塩もお願いします。・これを読んだら行きたくなってきた。しだいに臨時休館していたところも再開の動きが広がりつつあります。感染防止のために、たくさんの『注文』があるかもしれません。それでも自分や他人の命を守るために注文を守りながら楽しみたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月04日2019年8月31日に岩手県花巻市の宮沢賢治童話村で開催された“イーハトーブフェスティバル2019”で行われた、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文と作家・古川日出男(サポートギター:井上陽介)による“朗読×音楽”のスペシャルステージ『雨ニモ LOSER』のライブ映像が公開された。古川は、後藤が宮沢賢治の世界をリミックスし新訳した『銀河鉄道の星』と、自身の著作『グスコーブドリの太陽系 宮沢賢治リサイタル&リミックス』の2冊を中心に、情感を込めエモーショナルに朗読。後藤と井上は朗読に合わせ即興でギターを奏で、朗読と音楽がインプロバイズし、宮沢賢治の新しい世界が展開するスリリングなステージが繰り広げられた。『雨ニモLOSER』at イーハトーブフェスティバル後藤正文 × 古川日出男出演:後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)×古川日出男サポートギター:井上陽介(Turntable Films)Camera&Film Direction:河合宏樹
2020年05月16日夏の訪れを感じ始める5月下旬。新潟県の一部地域では田植えの時期を迎え、毎年、この時期しか見ることのできない光景が市民を楽しませています。新潟市西蒲区にある酒蔵、笹祝酒造(@bamboocelebrat1)がTwitterに投稿した動画をご覧ください。田んぼに水が張られ苗が伸びるまでの少しの間だけ、越後線は銀河鉄道になります pic.twitter.com/4pg56y43rS — 日本酒蔵 笹祝酒造 bamboo_celebration (@bamboocelebrat1) May 14, 2020 暗闇の中で、電車の光が水田に反射し、まるで銀河の中を走っているかのような錯覚におちいります。その光景はさながら、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のワンシーンのよう。田んぼに水が張られ、苗が育つまでのわずかな時期しか見ることのできない幻想的な光景は、多くの人を魅了し、投稿には9万件を超える『いいね』が寄せられています。・幻想的で素敵ですね!・決して派手ではないけれど、情緒的で心に響く光景です。・まさに銀河鉄道!新潟県に夏の訪れを告げる、水田を走る銀河鉄道…もとい夜の越後線。その情緒的な光景は、夜の蒸し暑さも忘れさせてくれそうです。[文・構成/grape編集部]
2020年05月15日新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の流行により、飲食店は対策を余儀なくされています。テイクアウトを始めるほか、店内で飲食をする客が感染しないようさまざまな工夫をしているとか。ロックバンドのメンバーであるYAFUMI(@x_YAFUMI_x)さんは、店内で飲食をする客に対して『守ってほしいこと』をいくつも要求している飲食店の貼り紙を、Twitterに投稿。「口うるさい」と思われそうなところ、見る人みんなが笑顔になったわけとは…。注文の多い飲食店どなたもどうか、コロナ以外はお入りください。決して、ご遠慮はありません。除菌スプレーをふってください。間隔をあけて座ってください。大声で話さないでください。窓は開けておいてください。売り切れでも許してください。いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。もうこれだけです。健康で、笑顔で過ごしてください。注文の多い飲食店 pic.twitter.com/UitwWUxV50 — x_YAFUMI_x (@x_YAFUMI_x) 2020年5月7日 内容が、宮沢賢治の著作『注文の多い料理店』のパロディ!気付いた人からは「いいセンスだ」と称賛する声が相次ぎました。また、「最後に食われるヤツじゃん!」「山猫もコロナウイルスに感染したくないんだな」「山犬を連れて行かなきゃ」など作品関連の投稿も。ユーモアを交えてお願いをされたら、注文が多くともまったく嫌な気持ちになりません。ラストの「健康で、笑顔で過ごしてください」という注文に心温まりますね![文・構成/grape編集部]
2020年05月10日言葉や文字によって表現される、色気。その秘密について、新潮社編集者・西山奈々子さんにお話を聞きました。文芸編集者が考える、色気を感じる文章の秘密。語られない部分を想像する、行為そのものが色っぽい。女性作家の登竜門として知られる、「女による女のためのR-18文学賞」。事務局を担当する西山さんは以前ノンフィクション雑誌にいたそうで、異動当初はノンフィクションと文芸の表現の差を感じたと言います。「ノンフィクションの文章は、物事を正確に伝えることが第一。一方、文学は、何を書いて何を書かないか、そのメリハリが大切だと思います。厚みをもたせて描写される部分と、何かあるはずなのに一切描かれない空白の部分、そのコントラストが読者の想像を掻き立てる。よく“行間を読む”といいますが、色気はこの“行間”からこそ匂うのでは」“この文体の文章が色っぽい”などの定型がないところも、文章表現のおもしろさ。「私は川上弘美さんの音にしたときの響きが豊かな文章に艶っぽさを、三島由紀夫の文章には耽美な色気、宮沢賢治の文章には抑圧された色気を感じます。ぜひ本を通じて、多種多様な色気と出合ってほしいですね」少し斜に構えた視線が、読者の妄想を掻き立てる。「新人賞の原稿を見ていると、色気のある文章を書くには削ぎ落とす勇気が必要だな、と思います」西山さんいわく、すべてを説明するのは小説では野暮になる。色気を感じさせる文章には、思わせぶりな仕掛けがある、とのこと。「プロの作家は、想像の種になるエッセンスを上手に選んで読者に与え、書きすぎることがない。読み手はそのエッセンスを元に、書かれていない部分はもちろん、後日談まで想像したり…。さらに物事を真正面からではなく、少し斜に構えた目線から切り取られていると、“思わせぶり感”が上がり、色っぽくなると思います。それによって読者はよりヤキモキさせられますし、それこそが文章から色気を感じる理由なのでは」作者と読者の世界で、秘密を共有する悦び。文章を読むという行為には、どこか“覗き見”のような感覚があるのでは、と西山さん。「同じ物語でも、映画やドラマなどは大勢の人が関わって作り上げられていて、どこか“公に見せる”ことが意識されている気がします。でも小説の場合、読んでいる間は作者と読者しか存在しないので、そこに密な空気が生まれます。閉じた世界で、作者が書いた秘密を共有する感じ。少し背徳感がありますよね。そう考えると、読書自体がとても色っぽいし、ドキドキする行為だと思います」他者の視点が入ってこない分、一人で思い切り想像の翼を広げられるのも、読書の楽しみのひとつ。「本が1冊あればどこでも色気を味わえる、手軽さも魅力です」短編アンソロジーは新しい色気に出合う扉。何を色っぽいと感じるかは人それぞれ好みがあるもの。ベクトルが同じ作家と出会った瞬間は、それこそ至上の瞬間だと西山さん。どうすれば、自分好みの“色気のツボ”を持つ作家と出会えるのか。「おすすめしたいのが、あまり読んだことのない作家の短編小説が収録されているアンソロジー。短い小説は文字量が少なく、物事を説明する余地があまりないので、長編小説より色気を孕みやすいというのがまずひとつの理由。また、色気は相性なので、合わない相手に努力をしたところで合わないものは合わない(笑)。我慢しながら向かい合うより、別の作家を試してみたほうがいいと思う。短編アンソロジーならよりどりみどりなので、おすすめです」にしやま・ななこ新潮社編集者。「女による女のためのR-18文学賞」を担当。4月中旬に第19回の受賞者を発表予定。※『anan』2020年4月1日号より。イラスト・micca取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2020年03月29日現在、PARCO劇場にて舞台「ピサロ」で渡辺謙とも共演中の宮沢氷魚が、8月からの舞台「アンナ・カレーニナ」にて宮沢りえと初共演。コメントが到着した。今回、氷魚さんが出演する「アンナ・カレーニナ」は、激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの不朽の名作。“破滅”か“希望”か、真実の愛を追い求め、揺れ動く人間たちが奏でる恋愛叙事詩。演じるのは、恋には不器用ながらも真実の愛を手に入れるコンスタンチン・リョーヴィン。そして、タイトルロールとなるアンナ・カレーニナには日本を代表する女優のひとり、宮沢りえ。社交界の華であったが“初めての恋”に燃え上がり、破滅の道へと突き進んでいくアンナを生々しく演じる。今回の出演に際し、氷魚さんは「出演のお話を聞いた時はとても嬉しく、感激しました。数々の名作を上演してきたシアターコクーンに立てることを光栄に思っております。宮沢りえさんと共演させて頂くのは今回が初めてなのですが、雲の上のような存在の女優さんで、ご一緒できることがとても楽しみです。苗字が同じなので勝手ながら少し運命も感じています(笑)」とコメント。「今作で舞台が5作目になりますが、毎回役者として自分が試されているなと感じます。舞台上では逃げ場がない。その中で一人の人生を生き抜く。その責任感を背に今回もたくさん悩み、試練が待ち受けていると思いますが、全力で駆け抜けて行きたい」と気合い十分。また、ほかにも白洲迅、川島海荷、大空ゆうひ、吹越満、段田安則と豪華キャスト陣が集結、万全な布陣で名作の新たな舞台を描き出す。ドラマ「コウノドリ」や「偽装不倫」、映画『his』でも注目を集めた氷魚さん。今回は立て続けに大作の舞台への挑戦。6月19日に公開となる映画『騙し絵の牙』への出演も控えるなど、人気俳優として本格的な躍進を遂げることとなりそうだ。なお、今回の舞台は、イギリスの気鋭の演出家フィリップ・ブリーンが新解釈で戯曲化し、演出。アンナ、青年将校ヴロンスキー、夫カレーニンの三角関係を中心に描かれることが多い作品だが、今回のフィリップ版では、破滅に向かうアンナの「愛」と、未来への希望を感じさせるリョーヴィンとキティの「純愛」とを対照的に描くという。激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの長編大作が、フィリップの手によってどのように現代に蘇るか注目だ。DISCOVER WORLD THEATRE vol.8「アンナ・カレーニナ」は【東京公演】8月7日(金)~9月3日(木)Bunkamuraシアターコクーンにて、【京都公演】9月10日(木)~13日(日)京都劇場にて上演。(text:cinemacafe.net)
2020年03月26日三上博史と黒木瞳が、今夏放送予定の十三代目市川團十郎白猿襲名披露特別企画「桶狭間 OKEHAZAMA~織田信長~」(仮)に出演することが分かった。本作は、市川海老蔵の十三代目市川團十郎襲名を記念した特別企画ドラマ。大森寿美男が脚本を務め、今川義元の大軍を数的に劣る織田軍が打ち破り、日本史上最大の逆転劇と謳われ、織田信長を一躍戦国時代の主役に押し上げた伝説の一戦“桶狭間の戦い”を題材とした本格時代劇だ。すでに、海老蔵さんが織田信長を演じることが決定しているが、今回新たに三上さんと黒木さん、2人の出演が明らかに。三上さんが演じるのは、信長にとって最大の脅威となる駿河の大大名・今川義元。大軍を率いて圧倒的有利と思われていた桶狭間の戦いにおいて、まさかの敗北を期した人物。信長との緻密な駆け引きや、その壮絶な最期にも注目だ。出演に関して三上さんは「これまで、実在の人物を演じる機会は何度かありましたが、その都度、神経をすり減らしてきました。野口英世、宮沢賢治、中原中也、安倍晴明、鳥羽上皇、どなたにもお会いしたことがないのはもちろん、史実は断片しか教えてくれません。一人の世を生きた人物として、そしてその時代背景をみなさまに体感していただくには、どうしたらよいのか?それぞれの魂から叱責(しっせき)されないように、ありったけの想像力と直感と大胆な表現を駆使して、今回、今川義元に臨みます」と思いを明かし、今回海老蔵さんと初共演となる三上さんは「撮影のその時、そこに、ぼくらではなく、織田信長と今川義元がふわりと立ち現れればよいなぁ、と心から願っています」とコメントしている。そして、黒木さんが演じるのは、信長の実母・土田御前。幼児期の信長は、幾人もの乳母の乳首をかみ切ったと言われるほどとても勘が強かった。土田御前は信長には手を焼く一方で、弟・信勝には手放しで愛情を注いだといい、本作では信長の弟や母との歪んだ感情も描かれる。「昨年10月、市川海老蔵さんと、舞台『オイディプス』で、妻でありでも本当は母だったという役を演じておりましたので(お話がきたときは)何となくしっくりきました」とオファー時の心境を明かした黒木さんは、「土田御前は、鬼才な信長をどう扱っていいのかわからない・・・どうしても弟の方に愛情が偏ってしまう母親で、そんな二人の息子との距離感を大切にしました」と演じるにあたって気をつけた点を語る。そして「数々映像化されている“織田信長”の中でも、今回は“桶狭間”に集約されているところが、最大の見どころだと思います。“うつけ”と言われた信長が、家臣をまとめて今川にたち向かっていく。そこまでの過程が描かれていることがとてもわかりやすく、“信長”という人物を描いていると思います」と見どころを述べた。<あらすじ>1560年、清洲城。27歳の織田信長(市川海老蔵)が「敦盛」を舞っている。同じとき、今川軍の先鋒・松平元康(後の徳川家康)は織田軍の砦の前でその采配を振るうときを待っていた。駿河の総大将・今川義元(三上博史)が織田家の領地・尾張を我が物にするべく、二万の大軍をもって侵攻してきたのだ。前夜、今川軍に対抗する策を訴える家老衆をあしらった信長は、翌早朝にたった5人の小姓を従えて清洲城から姿を消した。恐れをなして逃げたのだという生母・土田御前(黒木瞳)に対して、濃姫は決して逃げたりはしないと言い切り信長の身を案じる。信長は木下藤吉郎など信用できる者たちを動かし今川軍の情報を集め、義元が大高城に向かうのではなく、織田信長軍と戦う構えで桶狭間にいることを突き止めた。やがて、織田軍本陣に家老衆が軍勢を率いて現れたが、その数は二千ほどで、今川軍との差は圧倒的だった――。十三代目市川團十郎白猿襲名披露特別企画「桶狭間 OKEHAZAMA~織田信長~」(仮)は夏、フジテレビにて放送予定。(cinemacafe.net)
2020年03月16日2月28日(金)今夜の「A-Studio」は、俳優の宮沢氷魚を迎えてオンエア。本番組初登場となる宮沢さんが、幼少期からデビューにいたる日々やプライベートなどをトーク。舞台「ピサロ」で共演する渡辺謙と大鶴佐助が語った宮沢さんの姿とは!?アメリカ・カリフォルニア州に生まれ、東京で育った宮沢さんは2015年、第30回メンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリを獲得しモデルデビュー。2017年にはドラマ「コウノドリ」で俳優デビューを飾ると、翌年放送の「R134/湘南の約束」でドラマ初主演。「僕の初恋をキミに捧ぐ」や『賭ケグルイ』シリーズなどを経て、昨年夏に放送された「偽装不倫」では脳腫瘍に侵されたカメラマン役で鮮烈な印象を残した。また先日公開された主演映画『his』も話題を振りまいたのも記憶に新しい。そんな宮沢さんだが幼少期は照明スタッフに憧れていたという。父がミュージシャンをしていたこともあり、芸能界入りするもオーディションに落ち続けたというデビュー当初の苦悩などを語ってくれるほか、最近ひき肉のカレーにハマり中だという“料理男子”ぶりや、大学の卒論テーマが「東京都の川の環境変化について」だったという“川好き”な一面も明かされる。番組お馴染みの家族や親友への取材では、幼稚園から高校まで通ったインターナショナルスクールの同級生と野球部の先輩に極秘取材。仲間内で使う“インター語”とは!?カラオケでは沢田研二のモノマネも…!?さらに3月に開演する舞台「ピサロ」で共演する渡辺さんと大鶴さんへの取材では、渡辺さんの案内のもと鶴瓶さんと上白石さんがこっそり稽古場にも潜入する。舞台「ピサロ」は1985年にPARCO劇場で上演された伝説の舞台を復活させるもので、インカ帝国征服を主軸にした物語。85年当時インカの王アタワルパを演じた渡辺さんが今回ピサロを、当時渡辺さんが演じていたアタワルパを宮沢さんが演じるほか、栗原英雄、和田正人、大鶴佐助、首藤康之、長谷川初範ほか総勢約30名の出演者が壮大な歴史絵巻を描き出す。公演は3月13日(金)~4月20日(月)まで、PARCO劇場にて。宮沢氷魚のナチュラルな魅力がたっぷり詰まった「A-Studio」は2月28日(金)今夜23時~TBS系でオンエア。(笠緒)
2020年02月28日有楽町マリオンにある「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」では、2020年1月31日(金)から新しいプラネタリウム作品『東京の天の川を忘れない』の上映が始まります。宮沢賢治・中原中也・竹久夢二が描く世界観明治モダン・大正ロマンを代表する文化人である宮沢賢治・中原中也・竹久夢二。彼らが生きた時代には、東京都心でも肉眼で天の川を見ることができたと言います。夜空に浮かぶ天の川や降るような星たちを眺めた3人の文化人は、それを小説、詩、絵画のなかでそれぞれ表現しました。現代まで多くの人に読み継がれ、鑑賞された長く愛される作品を、世に残した文化人たち。『東京の天の川を忘れない』では、彼らの感性を通して夜空を眺め、都会ではもう肉眼では見ることができなくなってしまった天の川と星々に想いを馳せるノスタルジックな物語となっています。芥川賞作家・又吉直樹さんがナレーションを担当作中でナレーションを務めるのは、お笑い芸人であり芥川賞作家でもある又吉直樹さん。数々のメディアでその才能を発揮する現代の文化人として、レトロでロマンチックな天文の世界を案内します。さらに、作品を盛り上げる挿入歌には、歌手 椎名林檎さんの「丸ノ内サディスティック(EXPO Ver.)」を起用。東京という街の佇まいを表現するにはぴったりの選曲です。ローレフォトで魅せる鮮やかで美しい映像また映像には、様々な場所で撮影した写真を絵画のように再構成して”架空の世界”を表現する「ローレフォト」という手法を採用。初めてみる景色なのにどことなく懐かしい気持ちを抱く、なんとも不思議な世界へ誘われます。映像制作は、ローレフォト・アーティストの寅貝真知子さんが担当。ノスタルジックな世界に足を踏み入れたような体験は「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」ならでは!ネオンの明かりが消えて街が暗闇に包まれるとき、プラネタリウムドームの中にはかつての芸術家と文豪たちも見上げた東京の星空が輝き出します。ノスタルジックに天の川を眺めるひととき、ぜひ楽しんでみてください。 text: Mizuki Igarashi
2020年01月27日『MEN’S NON-NO』専属モデルであり、2017年以降は俳優としても活動している宮沢氷魚(25)。昨年は、杏主演の連続ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)で相手役を務め、俳優としての知名度を一気に上げた。そんな宮沢が映画初主演を務める『his』が1月24日に公開された。『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』(19)の今泉力哉監督が、8年ぶりに再会したかつて恋人同士だったふたりの青年の姿を軸に描く人間ドラマだ。宮沢は、自分がゲイだと周囲に隠して、ひとり田舎に移り住んだ青年・井川迅(しゅん)を演じている。「生きづらさ」を抱える迅を演じるにあたり、自らもクォーターというマイノリティの立場から、共感を覚えたという宮沢が、演じた迅のことだけでなく、自分自身について語った。さらに、俳優として強い影響を受けた先輩俳優とのエピソードを明かし、これからやってみたいこととして、意外な願望も告白した。○■迅の生きづらさには少なからず共感した――初主演映画です。どう臨みましたか?最初はプレッシャーがありました。作品の顔ですし、何よりもLGBTQを題材にした映画ということで、センシティブなテーマでもあるので、責任を強く感じました。でもプレッシャーがありつつも、こうした作品に出られる喜びや楽しみを大きく感じて、前向きに作品に入りました。僕はもともとLGBTQの友達もいるし、そうした友達や同じような境遇にいる人たちが住みやすい世の中になってくれればと思っていました。いまだセンシティブな問題ですけど、ゆくゆくはセンシティブだと思わない環境になってくれればという思いで挑みました。――お友達にLGBTQの方がいるとのことですが、今回の作品に携わったことで改めて感じたことはありましたか?僕も4分の1アメリカの血が入っていたりして、偏見の目で見られた時期があったし、それで辛いと思っていました。でも自分の経験してきた苦しみや居場所のなさといったものでは計り知れないくらいの生きづらさがあるのだと、迅を通じて感じました。――迅はもっと生きづらいと感じたとはいえ、宮沢さん自身、偏見の目で見られることは少なからずあったと。そうですね。なので、そうした部分では共感できます。でも迅には、誰にも言えない辛さとか、自分にウソをつく辛さがある。自分にウソをつくって一番辛いことだと思うんです。迅も(かつての恋人)渚(藤原季節)もそれを抱えていたので、大変だったなと本当に思いました。――宮沢さんも偏見に苦しんだとのことですが、田舎に移り住んだ迅に寄り添ってくれた緒方さん(鈴木慶一)のように、人から認めてもらったり肯定してもらえたといった出来事はありますか?ひとりの人物というわけではないのですが。僕はインターナショナルスクールに通っていたので、みんながみんな違うんです。国も言語も。僕にとってはそこが本当にオアシスのようでした。みんなもそれぞれに、色んな目に遭っていて、通学中や電車に乗っていて何かを言われたりしてきています。そういうことって経験してきた人にしか分からないことも多いですし、そうした仲間は今もすごく仲が良いです。――逆に考えると、そこがオアシスだったということは、外ではかなりの差があったということですよね。そうですね。今でも正直、感じます。でも日本も徐々に変わってくるだろうし、変わってほしいです。結局、教育がすべてだと思います。○■俳優として影響を受けた人、これからやってみたいこと。――迅は接してくれた緒方さんから影響を受けます。俳優としての宮沢さんが、強い影響を受けた人物はいますか?綾野剛さんですね。初めてのドラマ『コウノドリ』(第2シリーズ・17年TBS系)でご一緒したのですが、とにかく緊張していて、そこに立っているだけでもいっぱいいっぱいな状態でした。全く余裕がなくて。そのとき、ずっと剛さんが気にかけてくださったんです。吉田羊さんとか、星野源さんとか大森南朋さんとか、坂口健太郎くんとか。すごいキャストばかりで、本当に緊張していたんです。でも剛さんが、「いいよ、ミスして。みんなミスするんだから。何回でも付き合うから」って。何度も言ってくださったんです。そのひと言ひと言が、いまでもすごく残っています。やっぱりその場でミスするのが怖くて、萎縮して自分の納得いくものができないと、いいものはできないので。剛さんが「いいんだよ」と言ってくださったことで、すごく楽になれました。――先輩とのステキなエピソードですね。今、坂口さんのお名前も出ましたが、坂口さんも『MEN’S NON-NO』の元専属モデルです。現役の方でも元でも、メンズノンノ出身の俳優さんは多いですが、意識はしますか?『MEN’S NON-NO』の先輩方は、僕にとって一番近い存在なので、彼らの背中を見て頑張る部分はあります。仲間でもあり、ライバルでもあり。何か不思議な、兄弟に近い感覚ですかね。兄弟って負けたくないけど、近くにいて安心するし、尊敬もしている存在。そういう兄弟に近い存在なのかなと思うときがありますね。――これから挑戦したいことを教えてもらえますか?長期的な目標でいうと、いつか海外でお仕事をしたいです。今年に関しては、オリンピックの年なので、どこかで英語を使う機会があればなと思います。スポーツもカルチャーとしての影響力もあるし、人の感性を高めてくれるものだと思います。今年はスポーツの1年だけでなく、芸術の年にもなるような気がしているので、その波にしっかり乗っていきたいです。――モデル、俳優業以外のことにも機会があればチャレンジしたいということですか?取材をしてみたいんです。する側。普段は取材される側なので、どういう質問をしたら答えやすいかなとか、いい質問ができるんじゃないかなと思って。準備期間があれば、ですけど。アスリートの方は英語を話す人も多いし、通訳を介さずに直接お話ができるメリットってたくさんあると思うんです。アスリート以外にも、ハリウッドの俳優さんも、日本に来る機会があるので、お話をしてみたいです。――そうした宮沢さんを見るのも楽しみです。最後に、この作品を通じて、感化されたことがあれば教えてください。人はひとりでは生きていけないと改めて感じました。迅も、ひとりの力で生きていくという覚悟を決めて、田舎で生活を始めるわけですが、やっぱり近くに住む緒方さんだったり、村の方々の力なしでは生きていけない。迅や渚だけでなく、(渚が女性の玲奈と結婚してできた)空ちゃん(外村紗玖良)のお母さんの玲奈さん(松本若菜)も、玲奈さんのお母さん(中村久美)の力や渚の力なしでは空ちゃんを育てることができない。やっぱり人はひとりでは生きていけないと感じました。■プロフィール宮沢氷魚(みやざわ・ひお)1994年4月24日生まれ。アメリカ・カリフォルニア州出身。身長184センチ。2015年開催の第30回「MEN’S NON-NO」専属オーディションでグランプリを獲得し、芸能界入り。2017年のTBS系『コウノドリ』にレギュラー出演し、俳優デビューも飾った。以降も、『トドメの接吻』(18・日本テレビ系)、『僕の初恋をキミに捧ぐ』(19・テレビ朝日系)、『偽装不倫』(19・日本テレビ系)などのドラマに出演。2020年は、6月19日公開の映画『騙し絵の牙』を控えている。
2020年01月26日インタビューが行われたのは2019年の年の瀬。その年は、宮沢氷魚にとって間違いなく駆け抜けた、そして飛躍した1年だった。「コウノドリ」第2シリーズで俳優の門をたたいてまだ3年弱というのに、2019年はドラマ3本、映画1本、舞台1本と切れ目なく出演を続け、実績を積み上げたのだから。変化の2019年「この場にいていいのかな」から「今なら自信を持ってその場にいられる」「2018年の夏くらいから、ずっと何かが入っている状態で、振り返る余裕もないまま次が始まって、終わって、また次が、となっています。正直、2019年の一番最初の頃と、今とでは全然違うと思うんですけど、どこがどう変わったかとかは、いまいちまだわからないんです。何か大きく“ひとつの出来事があったから変わった”とかではないので。ひとつ、ひとつ、作品が終わっていくと自信がつくというか。ちょっとずつ、無意識なんですけどね」。一息で言い終えた後、宮沢さんは、「うまく説明できなくて申し訳ないんですけど」と前置きしてから、こう続けた。「こうして取材を受けたりして、スチールのときに特に感じたりもします。その場にズシッと自分の体があって、100%でいる感じがするというか。今までもそのつもりでいたんですけど、思い返してみると、どこかフワフワしていたような、“この場にいていいのかな”みたいな感覚が、どこかにあったみたいで。今なら自信を持ってその場にいられるから、そう思うのかもしれません」。冷静に自身を分析する宮沢さんは、常に穏やかなトーンで話し続ける。身長184cm、「MEN’S NON-NO」専属モデルという人目を引くプロポーション、透明感にあふれるたたずまいも彼の大きな持ち味だ。しかし、それ以上に、自分を過小評価も過大評価もしない真っすぐに生きているスタイルが、多くのライバルがいる若手俳優群の中でも注目を集める存在となっているのだろう。独特の魅力を放つ源泉を探りたくなる。「自分ひとりだけの考え方、生き方、物の感じ方だと、たぶん限界があると思うんです。僕は周りの人たちからいろいろ刺激を受けています。けど、それに流されてはいけないと思っていて、自分という人間を持ったまま、刺激を受けてどんどん自分に着せていくことが大事だと考えています。流されてしまうと自分ではなくなっちゃうし、その人の分身になってしまうから。けど、人から受ける影響は、いいことも悪いことも、すごく素敵だと思います」。「誰かのコピーにはなりたくないんですね」と確認すると、「そうですね、はい。それはよくないですよね」と、変わらず穏やかな口ぶりながら、はっきりとうなずいた。「偏見・差別を受けたこともあります」宮沢さんが語る『his』の役作り宮沢さんが映画初主演を飾った『his』が間もなく公開を迎える。宮沢さんは、8年たっても忘れられない初恋相手・日比野渚(藤原季節)の想いを胸に、周囲にゲイだと知られることを恐れ、東京から離れて、ひとり田舎に住まう井川迅を演じた。「同性愛の美しいところも描いていれば、そうではない醜いところ、苦しいところ、つらいところもすべて見せている作品です。実際の現代社会がLGBTQをどう見ているのか、偏見・差別もきちんと描いているので」と宮沢さんが説明する通り、男性同士の純愛を軸に置いている本作だが、「POPなBL」系統とは一味も二味も違う仕上がりだ。現代のLGBTQについて、田舎で生活することについて、夫婦間の価値観のズレのもの悲しさなどを通して、生きること、人と関わることという根底のテーマが照らし出される。華やかな世界に身を置く宮沢さんと、差別を恐れる迅は、一見まったく共通点がないように見える。伝えると、彼は小さく首を振った。「僕はアメリカ生まれで、向こうの血が4分の1入っているので、小さい頃偏見・差別を受けたこともあります。日本にいても、日本人扱いをされないときもあるから、いまいち居場所が見つからなかった。“向こうに行けば居場所があるかな”と思ってアメリカ留学したときも、ローカルの人とはまた別の“日本人”という見られ方をしましたし。そうなると、“自分の居場所ってどこにあるんだろう”と考える時期もあったので、当時の経験を思い出しつつ迅をやっていました」。さらには、「あまり周りに相談せず、自分ひとりで考えこむ」という宮沢さんの性格も、迅に重なるところがあり、寄り添いながら役を自分色にしていったという。けれど、「よほどのことがない限り、そういうことはないんですけど、結果、最後の最後まで役のことをあまりつかめなかったというか…。ずっと悩んでいたんです。撮影中もわからなくて、クランクアップしてからも“果たしてこれでよかったのかな”と残っているところがありました」。そうした宮沢さんの迷う気持ちは、ある種、今泉監督の「理想通り」だったようだ。「この間、取材で今泉監督とご一緒したときに“なるべく役者がその役のことをつかまないようにしていた”とおっしゃっていたんです。僕は“つかんだ”と思った瞬間はないんですけど、きっとあえてそうしていたのかな、と思いました。今泉さんが難題をどんどん与えてくれて、毎日悩んで、正解って何なんだろう、とずっと考えていました」。2020年は「自分の実力でどんどん仕事をしていきたいし、決めていきたい」宮沢さんと二人三脚でふんばり、10日間の共同生活をともにした藤原さんの存在なくして、本作はなしえなかったと、宮沢さんは感謝を忘れず口にする。「季節くんの存在は本当に大きかったです。とにかく傍にいてもらったことは、僕が季節くんにやってもらって一番うれしかったことでしたし、僕も同じことをしました。役もですけど、テーマもテーマで、自分ひとりで考え始めちゃうと、本当に孤立して孤独になっていくんです。僕も季節くんも、どちらかと言うと、自分の中にあるもので必死に答えを見つけ出そうとしてしまうので、どうしてもしんどくなってくる。そこで近くにいてくれて、僕がすごい悩んでるときにスッと一言かけてくれたりとかが救いでした。終わっていろいろ考えてみたら、ああいう瞬間ってすごく大事だったな、と思うんですよね」。全身全霊をかけた当然の結果か、撮影終了後はとてつもない疲労感に襲われたとも話す。「よかったなと思ったのは、終わった後、精神的にも体力的にも疲れた…ってグッタリしたこと。それだけ、エネルギーをこの作品に注ぎ込んでいた証拠だと感じられたので、やっぱり自分がやってきたことは間違っていなかったかな、と思っています」。そして、2020年に突入。『his』の公開後も様々な作品が宮沢さんを待ち受けている。先のことを尋ねると、「どうなりたいだろう~!」と口角をキュッと上げて、期待に満ちた微笑みをひとつ残した。「2018年の終わりから2019年いっぱいは、タイミング、作品、人にすごく恵まれた1年でした。役者を始めて間もないこともありますし、まだ謎が多いだろうから、“宮沢氷魚を使ってみたら面白いかな”“宮沢氷魚ってどんな人だろう”と、面白そうという興味本位(の起用)もゼロではないと思うんです。でも、これからは、それだけではダメだと感じるので、自分のスキルも気持ちももっと高めていき“役者としてどんどん使っていきたい”と思ってもらえる1年にしなきゃいけない。2020年以降、自分の実力でどんどん仕事をしていきたいし、決めていきたいというのがあります」。(text:赤山恭子/photo:You Ishii)■関連作品:his 2020年1月24日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開©2020映画「his」製作委員会
2020年01月20日今泉力哉監督が、最新映画『his』でテーマにしたのは同性愛。田舎町に住む迅(宮沢氷魚)のもとへ子連れで現れたのは、8年前に別れた恋人・渚(藤原季節)。二人は再び愛し合う関係になるが、渚とその妻(松本若菜)は親権を争い裁判へ発展してゆく…。宮沢さんと藤原さんにお話を伺いました。宮沢:LTBTQをテーマにした作品だけに、今回は相手役が重要だと思った。それが(藤原)季節くんだと知り、これまで季節くんが演じた役柄とか写真を改めて見たときに、ちょっと怖いかも…って、それが第一印象(笑)。藤原:(笑)宮沢:でも実際に季節くんに会うとすごく正直でいい人で。僕が演じる迅が、季節くん演じる渚を愛せると思ったし、宮沢氷魚として藤原季節を好きになれると思った。藤原:ありがとう。僕は、まず、宮沢氷魚×今泉力哉監督という組み合わせが想像つかなかった。だって、今泉さんがこれまで描いてきたのは、ありふれた日常の恋愛模様であり、群像劇だったから。そこに氷魚くんみたいなスターが入ってくるんだ、って。宮沢:いやいや…。藤原:今泉さんが氷魚くんの相手役になぜ僕を選んだのかに、必ず意味があると思ったんだよね。だから、迅と渚はお互いにないものをきっと持っていて、それを与え合える関係が作れればな、って。宮沢:(岐阜県加茂郡)白川町の現場に入ってすぐに、同じ部屋に住み始めたのはよかったと思う。毎晩夜中まで、鍋をつつきながら、熱く語り合ったよね。藤原:僕がその前の作品で訪れていた、熊本の天草で手に入れた焼酎を飲みながらね。宮沢:あれ、うまかった!そういえば撮影初日に、天草の教会で買った貝殻ももらったね。藤原:いつもはいきなりそんなものあげたりしないんだけど、きっとスタートの時点から自分が氷魚くんにとって異物でありたかったのかな。ただの映画の相手役じゃないという、枠組みを超えた間柄になろうとしていたのかも。宮沢:お互いに知らない世界に飛び込んでいくことに不安しかなかったし、撮影中も苦しいことのほうがはるかに多くて…。センシティブな部分と向き合っていくうちに、どんどんしんどくなったよ。藤原:渚が子供を連れて迅の前に8年ぶりに突然現れて、しばらく3人で暮らすシーンはただただ幸せだった。でもそのあとに、陰で傷ついている人がいると気づいてからが、僕は辛くて。宮沢:親権争いの裁判シーンは、季節くんはとくに辛かったと思う。藤原:辛かったね…。ちなみに僕が印象的なシーンは、迅が自給自足の田舎生活をしている中で頼りにしている、(鈴木)慶一さん演じる緒方と、山に鹿を狩りに行くところ。鹿を撃ったあとの迅の表情が、すごいんだよね。僕はいつも映画を観るときに、一見すると“ちょっとしてる”ふうに見えるけどじつは“ちょっとしていない”、ふとした瞬間を見たいんだけど、一つの命を奪ったときのあの言葉にならない興奮や激情が込み上げる表情は感動的だった。迅という人間の価値観が崩れ落ち、そして立ち上がるのを感じて。あの芝居はすごかった。宮沢:う~ん、今考えると自然とああなってたかも。慶一さんのオーラと緊張に引き込まれたのもあって、独特な空気が流れていた。藤原:あの瞬間だけが、社会や日常と関係のない、裸の迅だなって。迅と慶一さん二人のシーンは、僕の知らないところで、迅の核が見えるから、気がついたらすっかり一人の人間として氷魚くんを好きになってた。これって僕にとってすごく大事なことだったかもしれない。だって、僕とか氷魚くん、監督たちが唯一忘れちゃいけないのは、「この映画はただ2人の同性愛者の恋愛を描いたもの」なんだってこと。観てくれた人たちにも、「2人の人間がただお互いに好きだってことを描いた映画」だと思ってもらいたくて。特別なことじゃないんだよ、当たり前に存在している人たちなんだよって。宮沢:そうそう。でも、それを作り上げるのは本当に難しかった。藤原:そこにたどり着くために僕ら二人も、そして監督も相当悩んでいたもんね。宮沢:監督に相談すると、監督が一番悩んじゃうからね(笑)。藤原:そうなの(笑)。撮影が終わったからといって、僕らの仕事はまだ終わらない。ここからだと思うんだよね。こんなふうにインタビューを受けることで、自分の認識をどんどん更新していかなければならないって思う。宮沢:話せば話すほど、僕らの認識も変わるから、毎回言ってることが違ってしまうのは本当に申し訳ない気持ちがある。でも、僕らも日に日に新しい発見があって認識を更新していくし、取材で問われる度に考え直してしまう。でもそれでいいんだよね。藤原:考えないこととか、捉え方を更新しないほうが危ないと思う。とはいえ、古かったものが猛烈に新しくなっていくわけじゃないけど、でも10年後には、今はまだ当たり前じゃないことがごく当たり前になっていると思うし、同性愛者のカップルが手を繋いで街を歩いているなんて普通だと思うの。だからこの作品が、その“当たり前”を作るきっかけになればいいなって。10年後にこの映画を観返したとき、本当にこんな裁判があったのかよ、ってなったら楽しいよね。きっとそうなっているよ。宮沢:アンアンが60周年のときにはね!そうそう今年、アンアンは創刊50周年らしいよ。藤原:そうなんだ、すごい!宮沢:100周年になるまで出たいね。でも、僕は75歳か…。藤原:僕らが頑張らないと…(笑)。宮沢:めっちゃ頑固な役者になってたりして!藤原:(笑)。また『his』の続きを作りたいよね。子供の空ちゃんも大きくなって、やべ、反抗期だ、ってなったり!宮沢:あははは(笑)、作りたい!“複雑な感情こそが人間らしい”ということ。物語で描かれる幸せは、迅と渚、その子供・空(外村紗玖良)との日常のシーン。主演の二人も、撮影期間中は役に入り込むのが辛かったが、この場面は幸せに感じたと語る。空を連れ戻しにきた渚の妻。ともすれば悪人になりがちだが、そうはさせないのが監督の手法。それぞれの弱さや言葉足らずな部分から生まれる衝突を、低い温度で描いている。頭を寄せることで相手を求め合う感情を表現。「一人の人間にいくつもの感情がある。派手にしないほど繊細になり、また好きを伝えるパターンは無数にある」と監督。©2020映画「his」製作委員会みやざわ・ひお1994年4月24日生まれ、アメリカ出身。MEN’S NON-NO専属モデル。‘19年はドラマ『偽装不倫』(日テレ系)に出演し、大きな話題に。‘20年は舞台『ピサロ』が上演。ニット¥30,000(ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿 TEL:03・3470・6760)カットソー¥14,000(カイコー/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)パンツ¥39,000(ワコ マリア/パラダイストウキョウ TEL:03・5708・5277)靴¥42,000(リーガル シュー&カンパニー TEL:03・5459・3135)ふじわら・きせつ1993年1月18日生まれ、北海道出身。‘19年はU-NEXT『すじぼり』で連続ドラマ初主演を務めた他、『監察医 朝顔』(CX系)に出演。‘20年は映画『のさりの島』で主演。ジャージートップス¥29,000中に着たカットソー¥22,000靴¥58,000(以上トーガ ビリリース/TOGA原宿店 TEL:03・6419・8136)パンツ¥35,638(オフィシン ジェネラル/マッチズファッション TEL:0800・919・1268)※『anan』2020年1月15日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・秋山貴紀(宮沢さん)八木啓紀(藤原さん)ヘア&メイク・スガ タクマ(宮沢さん)中村兼也(藤原さん)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2020年01月12日宮沢氷魚と藤原季節が初共演となった映画『his』完成披露試写イベントが、1月8日(水)、都内にて行われ、袴姿の宮沢さん&藤原さんが餅つきに興じた。その後はお餅を試食し、ふたりはともに登壇した外村紗玖良、今泉力哉監督と「おいしい~~」と目じりを下げていた。『his』は、『愛がなんだ』、『アイネクライネナハトムジーク』などを手掛けた今泉監督の最新作。周囲にゲイと知られることを恐れ、東京からひとり田舎にやってきた井川迅(宮沢さん)のもとに、初恋の彼・日比野渚(藤原さん)が6歳の娘を連れてやってくる。実は離婚調停中という渚に戸惑う迅だったが、ふたりを受け入れ始め、3人の同居生活がスタートする。しかし、彼らは世間の理解の壁にぶつかることになる。ふたりの共同生活は「超濃密」人目を避けて田舎暮らしを送る主人公を演じ、映画としては初主演を飾った宮沢さん。演じての感想を聞かれると、「男子校で、周りに同性愛者やバイセクシャルがいたので、もともとLGBTQを題材の作品に出たかったんです。当たり前だと思っていたけど、いざ社会に出たらそんなに甘くなくて、差別・偏見の毎日だったので何らかの形で、救いになりたいとずっと思っていました」と強い決意を明かす。「迅を演じることをとても光栄に思っていたし、周りにそういう人間がいる僕だからこそできることがあるかな、と前向きに演じました」と充実の表情をのぞかせた。そんな宮沢さんと劇中パートナーとなった藤原さんだが、本作の撮影中は本当に田舎で10日間、ふたりで共同生活をしていたという。藤原さんが「超濃密な10日間!」と言うと、宮沢さんは「誤解を招くからさ(笑)」と笑顔。さらに、宮沢さんは「最初は嫌でした。朝から晩まで一緒にいたので、寝るときくらい自分の時間がほしいと思った。けど、ひとりになったら不安になるくらい大変だったので…ありがとね」と隣の藤原さんに向きなおり、お礼を伝える。「キス何人目?宮沢さん、藤原さんにジェラシー?宮沢さんが本作での初体験として、「役者としてのファーストキスが藤原季節なんです!」と告げ、2019年に放送されたドラマ「偽装不倫」より前に行われた本作での撮影が、ファーストキスだったと明かす。藤原さんは「まったく知らなかったんです」と言えば、宮沢さんは「(撮影でのキスは)ちなみに何人目?」と食い込む場面も。藤原さんは「結構(笑)」と経験豊富な様子を見せ、宮沢さんは「ちょっとショックですね…」と苦笑いを浮かべていた。『his』は1月24日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(cinamacafe.net)■関連作品:his 2020年1月24日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開©2020映画「his」製作委員会
2020年01月08日昨年『愛がなんだ』や『アイネクライネナハトムジーク』で注目を集めた今泉力哉監督最新作『his』。この度、本作で映画初主演を務めた宮沢氷魚と、主人公の忘れられない恋人を演じた藤原季節との撮影現場の様子を今泉監督が語った。群像劇に「当たり前に登場させてきた」同性カップルを“いま”描く今泉監督が、今夏放送された前日譚のドラマと映画をあわせて企画し、全ての脚本を手掛けたアサダアツシ氏からの依頼を受けて、実現に向けて動き出したのが2017年の秋のこと。その後「おっさんずラブ」が大ブームとなり、“まるで後ノリになってしまった”と苦笑まじりに語る今泉監督が、初めての題材として選んだ男性同士の恋愛について「今まで、あえて扱うのを避けていた」と語る。その理由として、「同性愛は主題として扱わなくても、群像劇の登場人物の中に当たり前に登場させてきた。その方が差別的にはならないのでは?という考えがあった」と明かした。しかし、本作はいままで撮らないと公言してきた監督が撮ろうと思うだけのオリジナリティがあったという。恋人同士を演じた2人のキャスティングに関し、初めて仕事をした宮沢さんについて監督は、「実年齢が若いので、ちゃんと迅に見えるのかなという不安が実はあった」と話す。しかし、宮沢さん自身が真摯に演じる姿とその大人びた声の魅力を目の当たりにして安心したという。逆に藤原さんとは『アイネクライネナハトムジーク』でも一緒に作品をつくりあげており、「氷魚と季節、この組み合わせでないと成立しなかったと思っています」と、2人の相性の良さに全幅の信頼を寄せていた。これまでの今泉作品とは異なる「温度の高い芝居」また、今回は監督に専念し、脚本家が別にいたためオリジナル脚本の時と比べて、撮影現場で驚くことが多かったと今泉監督は語る。「自分で脚本を書くときは、こんなに登場人物の感情の揺れ幅を大きくできない」と語る通り、本作の中盤には藤原さん演じる渚が感情を高ぶらせ、抑えきれない気持ちを表現するシーンが登場する。そのシーンの撮影中、監督が予期せぬ演技を藤原さんが披露し、それを目の当たりにした監督は驚愕したそう。「もう少し低い温度や異なるバリエーションも撮影したのですが、結果的に採用したのは、季節が最初に演じた温度の高い芝居でした」。ほかにも、父と娘が再会のうれしさから強く抱きしめ合う、といった感情的なシーンも、監督としては「こんなに簡単に人に触れてもいいのだろうか?」と現場で迷っていたらしく、いままでの今泉作品の中では珍しく高いテンションで、感情の高ぶりが表現されているシーンが数多く見られるのが本作の見どころのひとつ。「二人だけの空間で、ふらっとキスをする」といったシーンも自分ではまず書かないが、この映画の温度の高さゆえに生まれたと熱っぽく語る。「映画の脚本を書き、撮影現場に赴き、編集作業をして仕上げる、という“苦痛”と言ってはなんだがそういった膨大な時間を経て、映画が上映されてお客さんに届いた時にようやく映画が完成した実感を得れて“幸福”を感じる」と語る今泉監督。その最新作にある熱量を、劇場で体感してみてほしい。『his』は1月24日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:his 2020年1月24日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開©2020映画「his」製作委員会
2020年01月07日プラネタリウム作品『東京の天の川を忘れない』が、有楽町のコニカミノルタプラネタリア TOKYOにて2020年1月31日(金)から上映される。『東京の天の川を忘れない』は、宮沢賢治、中原中也、竹久夢二といった文化人が残した小説や詩、絵画といった作品を通し、かつて東京都心でも天の川を見ることができた時代をノスタルジックに表現するプラネタリウム作品。今では都会で見ることができなくなった星々に思いを馳せる。ナレーションを務めるのは、お笑い芸人であり、芥川賞作家でもある又吉直樹。挿入歌には、椎名林檎の「丸ノ内サディスティック(EXPO Ver.)」を使用し、東京のどこか懐かしい星空を演出する。また、様々な場所で撮影した写真を絵画のように再構成し、架空の世界を表現した「ローレフォト」も登場。東京の名所の写真を重ね合わせて見せることで、まるでその世界に足を踏み入れたかのような不思議な体験を提供する。【詳細】プラネタリウム作品「東京の天の川を忘れない」開催期間:2020年1月31日(金)~ ※上映終了時期未定※オンライン事前購入は2020年1月17日(金)より開始。※各回約40分※曜日、時節によって上映時間は異なる。詳細は公式サイトに記載。場所:コニカミノルタプラネタリア TOKYO DOME2(プラネタリウムドーム)住所:東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン 9階■料金・銀河シート ペア 4,200円/シート、シングル 2,100円/シート・一般シート 大人(中学生以上) 1,600円/人、子ども(4歳以上) 1,000円/人※ペアは定員2名、シングルは定員1名※銀河シート(ペア)について、1シートの料金に2名分の鑑賞料金を含む。1名で利用の場合でも1シートの料金。※小学校就学前の児童は1名まで定員に含まず利用可能。ただしヒーリングプラネタリウムを除く。【問い合わせ先】インフォメーションTEL:03-6269-9952(10:00~19:00)
2019年12月22日宮沢氷魚と藤原季節が、『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』の今泉力哉監督とタッグを組む映画『his』。本作で映画初主演をつとめる宮沢さんが、岐阜県白川町での撮影中、初恋の彼役の藤原さんと10日間にわたるロッジでの同棲生活のエピソードを披露した。同性の2人が子どもを持ち、家族として世間とどう向き合い、生きていくのか。彼らを待ち受ける社会との関わり方や偏見、差別、そして優しい眼差しも描かれていく本作。撮影中、宿泊施設の少ないエリアで、“相部屋にするにはこの二人の組み合わせだ!”と思った製作サイドの采配で始まったという同棲生活。後に柴原プロデューサーは「役をつかむうえで、二人だけの濃密な時間を過ごしたことは結果的に演技に役に立ったのでは」と語っている。とはいえ撮影当初、宮沢さんは相当戸惑ったそう。「最初は嫌だなと思いました(笑)。撮影後くらいは自分ひとりの時間が欲しいですし、割とひとりになりたいタイプなので」。しかし、毎晩お酒を藤原さんと2人で飲み交わし、翌日のシーンの相談、自分の演技プランの提案などをしていくうちに、徐々に、迅と渚の関係のように打ち解けていったと語る。藤原さんが「宿に帰ったら氷魚くんがいることが支えだったので、今となっては、氷魚くんの“季節くんお風呂沸かしたよー”みたいなのがないから寂しくなっちゃって…」と語るなど、2人の絆を感じさせるエピソードも。また、藤原さんが得意な卵料理をつくったり、宮沢さんがきのこやたけのこがたっぷり入った鍋をつくったりと仲睦まじく生活していたことも明かす。寸銅の鍋にいっぱいに作りすぎてしまった2人は、スタッフの部屋を回り、おすそわけをしていたという。ただ、唯一宮沢さんが解せなかったことが藤原さんの“軽装備”だったようで、「白川町で10日間ほどのロケだったのに、季節くんはほとんど荷物を持ってきていなかったんです。季節くんからバスタオルを貸してほしいと言われて、さすがにそれは断りました! かわりに自分の持ってきたハンドタオルを貸しました。バスタオルは共用できないです…」と、微笑ましくも譲れないポイントもあったよう。こうして2人の心を許しあった時間が、本編では見事に演技に反映されていることだろう。『his』は2020年1月24日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:his 2020年1月24日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開©2020映画「his」製作委員会
2019年12月05日新生PARCO劇場のオープニング作品第1弾となる『ピサロ』。このスペインのインカ帝国征服の物語で、宮沢氷魚がインカの王アタワルパとして、スペイン将軍ピサロを演じる主演・渡辺謙と対峙することとなった。アタワルパは、渡辺が1985年の初演で演じて名を上げた役でもある。大きな役割を任せられた注目株の俳優に迫る。【チケット情報はこちら】今年秋、俳優デビューから2年が経ったばかり。しかし、この短い間に3本の舞台に立ち、ドラマでも主要な役に抜擢されている。そのうち、三島由紀夫の4部作を舞台化した『豊饒の海』では東出昌大と共演。ドラマ『偽装不倫』では杏の相手役を担った。「だから、今回初めて渡辺謙さんとお会いしたときには、遠い親戚の方と会ったような不思議な気分でした(笑)」と微笑む。その渡辺がかつて演じたアタワルパに挑むことについても、「謙さんがピサロを演じられると発表されてから、じゃあアタワルパは誰がやるんだろうとみんなが思っていたと思うので、そこに挑戦できるうれしさをすごく感じています」と素直に喜びを見せる。インカで神とも崇められていたアタワルパを演じるにあたっては、「まず王の貫禄が出るようにちょっと身体を大きくして」臨むつもりだ。「ただ、内から出てくるものが大きいから絶対的存在に見えるのだと思うので、自信とか包容力とか、気持ちも作っていかないとアタワルパにはなれないだろうなと思っています」。作っていくうえでは、英国演出家ウィル・タケットとの作業も楽しみのひとつ。「先日ウィルのワークショップがあったんですけど、まずは役者にやらせてくれて、そこからアイデアを広げていくというスタイルだったんです。『豊饒の海』のマックス(・ウェブスター)もそうでしたが、お芝居のなかでいろいろ挑戦できるチャンスをくれるのはやっぱりうれしいことですし。そこで、普段の自分だったらできないようなことを、間違ってもいいという覚悟で思い切ってできるのが、舞台の面白いところだなと思います」「今はまだ目の前の作品に一生懸命立ち向かうことしかできない」とは言うが、その一歩一歩が自信になっていることもうかがえる。ことに今回は「早く初日を迎えたいという気持ちが強い」そうだ。「文化の違う人間が出会ってどう歩み寄りどう反発するのかという、今の時代にも意味のある人間の物語が描かれているすばらしい脚本なので、これが早く世に出てほしいと思うんです」。「最初から最後までどのシーンも好き!」と熱弁する宮沢氷魚の何とも楽しげな表情。期待が募る。チケットは明日11月23日(土)10:00よりチケットぴあにて一般発売開始。取材・文:大内弓子
2019年11月22日『愛がなんだ』の今泉力哉監督が、恋愛のその先のゲイカップルを描く映画『his』。この度、宮沢氷魚が“初恋の彼”藤原季節を抱きしめ、「お前と生きていきたい」と告白する愛と決意溢れる予告編が解禁となった。解禁となった映像では、迅(宮沢さん)が、恋人・渚(藤原さん)から突然、別れを告げられるシーンから始まる。時は流れ、ゲイであることを隠して一人田舎で生活をする迅の元に、ある日、娘を連れた渚が目の前に現れる。戸惑いつつも、忘れられずにいた初恋の彼との再会を機に、渚への想いを募らせていく迅。3人での平穏な日々が過ぎていく中で、一緒に過ごせる幸せを噛みしめていた迅だったが、そんな日々は突如終わりを迎えることに。渚の妻である玲奈(松本若菜)が娘を強引に連れて帰ってしまう。悲しみに暮れる渚を見た迅は「3人で生きていきたい」と告げ、渚の娘の親権を獲得しようと決意する。しかし、裁判に臨む迅と渚は法廷で、「ゲイのカップルに育てられると、この先どんな苦労が待ち受けているか」と相手の弁護士から厳しく尋問され、社会の偏見を目の当たりにする。「好きだけではどうしようもない」現実を突き付けられた2人が選ぶ生き方とは…。恋愛の行く末だけではなく、同性の2人が子どもを持ち、家族として世間とどう向き合い、生きていくのか。“恋愛のその先”までを描いた今泉監督の新境地を垣間見ることができる予告編となっている。『his』は2020年1月24日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:his 2020年1月24日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開©2020映画「his」製作委員会
2019年11月14日ドラマ『偽装不倫』で見せた大胆な愛情表現、切ない表情、甘い笑顔。世の中の女性たちの心をわしづかみにした宮沢氷魚さん、25歳。彼が、その深く澄んだ瞳で見つめる色気のかたちとは。クールな佇まいや憂いを帯びた眼差しから醸し出される宮沢氷魚さんの色気。「自分の中にあるとはまったく思ってこなかった」と言いつつも、年上女性との恋愛を描いたドラマ『偽装不倫』出演を経て「色気というものがぼんやりと見えてきた気もします」と話す。「モテるキャラクターである伴野丈に説得力を出すには色っぽさが大切だと思い、大人っぽい色気を持っている、モデル仲間の成田(凌)くんや柳(俊太郎)くんと、撮影前、ごはんを食べに行ったんです。直接的な質問をしたわけではないので、二人は色気を研究したかった僕の意図には気づいていないはずですが(笑)。会話しながら思ったのは、二人は自分の行動や考えに確固たる自信と責任を持っているということ。そこから生まれる余裕が、色気に繋がっているのだとヒントをもらえました。あのドラマでは、人気原作のイケメンキャラクターを演じる責任をいい意味でのプレッシャーに変えることができ、それを色気に繋げられたかなと感じます」実際、ドラマの放送中、たびたび「伴野丈の色気がすごい」という嬉しい感想を耳にしたそう。「もちろん、キャラクターを褒めてくれた言葉なんだってわかってます。でも、僕自身にまったく色気がなかったら画面には映らないと思うし、伴野丈への褒め言葉のうち、3割くらいは僕に向けられているはず…と捉えています(笑)。それに、ドラマの撮影が終わって久しぶりに雑誌の撮影をしたら、デビュー時から撮ってもらっている男性カメラマンに『惚れちゃいそう』って言われたんです。男性からもカッコいいと思ってもらえる空気が僕から出てきているんだとしたら、すごく嬉しいですね」落ち着いた声、長い指先。宮沢さんには色気に繋がる要素が溢れている。自覚があるものは?と尋ねると、答えは「清潔感かな」。「小さなことですが、爪を切るとか、身だしなみは意識してます。部屋もきれいにしていたくて、2日に一回は掃除機をかけます。ゴミが溜まる透明な部分に埃や髪の毛が吸い込まれていくのを見るのが好き。そして、そこをいっぱいにして捨てるのが気持ちいい!」逆に、自分にはまだ足りないと思う、色気の必要条件は「経験」。「たくさんの経験を積み、自分の弱さやカッコ悪い部分もすべてさらけ出せる人に、不思議と吸い込まれそうになるんです。自分を知るって一番難しいこと。知れたとしても、自分のすべてを表現することに、僕はまだ怖さがあります。もっと経験を積まないと」俳優として、経験を積み上げている真っ最中。そのスタートとなったドラマ『コウノドリ』で主演を務めた綾野剛さんは、宮沢さん曰く、「色気の塊」。「“綾野剛”という生き方に対する自信と潔さを行動から感じます。買い物ひとつとっても、男気がすごいんですよ。ドラマ初出演のお祝いに、表参道に連れていってくれて『好きなサングラスを選んでいいよ』と。僕が、一緒に買い物できるだけで十分ですと言っても、『選ぶまで帰らないよ』とさらっと仰る。その潔さに惚れました」幼稚園から高校までインターナショナルスクールに通い、大学2年間はアメリカへ。アメリカと日本で、色気に違いはある?「あちらの男性は、肉体によって色気を表す人が多いように感じました。シックスパックの筋肉質な体がひとつのステイタスになっていて、ファッションにしても、タイトな白Tシャツにピチピチのデニムで、ボディを強調するスタイル。僕は見ての通り細いので、『中学生か』とか『男じゃない』とか、めっちゃイジられましたよ。まったく気にしませんでしたけどね。筋トレが大嫌いで、ジムに行くというオプションすら僕の中にはなかったので(笑)。女性にしても、アメリカではスタイルがいいことが、色気があってセクシーと捉えられていたような気がする。僕自身は、女性の透明感やピュアさに色気や美しさを感じます」女性に対して惹かれるそうした気持ちを、初主演映画『his』でゲイ役を演じたときには、恋人役の男性俳優・藤原季節さんにも向けることができたそう。「僕自身の恋愛対象は女性だけれど、ちゃんと季節くんを恋愛対象として見られなければ演じられない役で、すごく悩みました。でも結局、LGBTQについて知ろうと熱心に研究し、真っすぐ向き合う季節くんの姿が人として美しくて、好きだなって思えたんです」育ってきた環境の中で、さまざまな国籍、人種、バックグラウンドを持つ人たちと出会ってきた。「そのおかげで、人それぞれ違うことを自然と受け入れられるようになりました。もちろん、人間なので先入観で判断しそうになることもあります。でも、僕と違うからと突き放さず、その人を理解する努力はしているつもりです」宮沢さんの透明感のある色気は、こうした柔軟な心の在りようから生まれているのかもしれない。みやざわ・ひお1994年4月24日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ出身。2015年、『MEN’S NON-NO』専属モデルとしてデビュー。’17年、連続ドラマ『コウノドリ』で俳優デビュー。初主演映画『his』は’20年1月24日公開ジャケット¥319,000パンツ¥144,000レザーベルト¥60,000シューズ¥101,000*すべて予定価格(以上プラダ/プラダ クライアントサービス TEL:0120・45・1913)※『anan』2019年10月23日号より。写真・畑中孝弘(UM)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・スガ タクマ取材、文・小泉咲子撮影協力・AWABEES(by anan編集部)
2019年10月19日