実家の母は更年期を迎えても「何もなかった」そうで、私はすっかり安心していました。でも突然大きな体調の変化が起こり、結局病院へ行くことに。世間で言われている通り、女性の体はとても繊細で一人ひとり違うし、季節や年齢によっても違うと実感した私の更年期体験です。おかしくないけど、今までと違うある夏の夜、異常なくらい大量の寝汗をかく日がありました。真夜中に起きて、Tシャツがびちょびちょなのでいったん着替えてまた寝入るという夜が1週間くらい続きました。冷房があまり効き過ぎると私はすぐ風邪をひくので、夜は微弱にしていたのですが、もしかして寝苦しいのかと思い冷房を少し強くしても大汗です。まるで真夏に風邪をひき、熱を出してしまい、冷房がつけられなくてそのまま寝込んでいたときと同じような汗の量なのです。でも今は体調を崩しているわけでもなく、冷房もいつも通り、いや強めにかけているのに、こんなに大量の寝汗を毎日かくのは違う気がする……。そう思ってまずネット検索してみました。すると、いくつかの病名とともに「更年期障害」という文字が目に入ったのです。母が何の不調もなく過ぎたので安心しきっていたのに、よもや40代後半で私が更年期に差し掛かるとは思ってもみなかったので、かなりショックを受けました。振り返ってみれば思い当たることばかり40歳を越えたときから、皮膚の上を何かがざわざわするような、見えない毛布でなぞられているような感覚が始まっていました。しかし、オフィスでパソコンに向かって集中しているといつの間にか消えてしまうので、エアコンの調子が悪いのかと思っていました。しばらくして、街を歩いているときなど、あまり精神を集中していないときにもたびたび感じるようになりましたが、しびれではないために放っておいていました。病気の場合もあるかと思いますが、私の場合は更年期障害の1つ「蟻走感(ぎそうかん)」だったのだと思います。さらに、皮膚が弱くなったのか、シャツの裏にあるブランドタグが背中に当たると急にかゆくなり、慌ててすべての下着からタグを切り取らなければなりませんでした。加えて生理周期がすごく不安定で、半年くらい来ないときもあったり、終わってから1週間後にまた始まったり、出血が2週間ぐらい続いたり、どばどばと音が出そうなくらい出血が多かったりしていました。でも、私はもともと生理不順で量や周期が多少不安定なのはいつものこと。これも更年期のせいだとはまったく気付きませんでした。女性が年齢を重ねると更年期に入ることは知っていましたが、いざ自分の身にその症状が起こり始めても、全然わからなかったです。有給取得し専門医に診てもらうネット検索して自分なりに症状を分析した結果、素人にはわからない何かとんでもない大病か、もしくは単純に更年期障害だ、との結論に達し、病院でしっかり検査しなければと思い始めました。ただ正直仕事を休んでまで行くべきかひと月くらい迷いました。でも、ほぼ毎日の寝汗でシャツの着替えが洗濯前になくなってしまうので、仕方なしに上司に生理不順のため病院に行きたい、と話して有給を取りました。診察を担当した医師は「更年期のためだと思われるが、一応検査をしましょう」といって超音波と血液採取を予約し、初診は簡単に終わってしまいました。一度の通院では終わらないとはっきりし、また会社に説明して有給取得しなければならないことに、少々失望しました。働いていると、そう何回も病院に行くとは言いにくいし、また病気だと周囲から思われるのもつらいです。結局更年期だと診断されるのは、3回目の通院のときでした。ホルモン補充療法(HRT)について調べる最終的な診断になるまで3週間くらいかかったので、自分では更年期障害だと想定して、その間に対処法がないかネット検索していました。最初から私としては自然に任せようとは思わず、何か医学的な対症療法、簡単に言えば症状を緩和する薬を見つけたいと思っていました。すぐにホルモン補充療法(HRT)があると検索できたので、次回担当医に検査結果と一緒に診てもらうときに相談に乗ってもらおうと思って、そのメリットとデメリットをできるだけたくさん調べておきました。そしてようやく更年期障害と診断され、ホルモン補充療法をしたいと申し出ると、デメリットや条件について説明された後に処方してもらいました。私の場合は始めてからすぐに劇的に症状が良くなりました。生理不順がほぼ治り、寝汗やその他の症状も治まり、普段の生活に戻っています。まとめ風邪のせいで熱っぽかったりだるかったりすれば自分で気付きやすいのですが、更年期による体調変化は自分でよくわからない場合もあるのだなと実感しました。特に更年期障害の症状は老化現象と被ってしまうと判断が難しいと思います。一般に敏感肌になるのは老化現象の1つだと思っていますが、更年期障害にもなりうるとは思いつかなかったです。今思えばちょっと体調不良かなと感じたときに、思い切って病院で検査をしてもらえばもっと早く診断がついて、その後の不便さを我慢することもなかったかもと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。著者/LMI(52歳)独身OLで20年間を海外でひとり暮らし、現在Uターンで帰省中。文系出身だが化学が得意で、語学力を生かし海外の医薬系文書を読むのとエビデンスという単語が大好き。
2024年03月18日今回は子どもの寝汗対策について、3児ママで小児科医・保田典子先生に解説していただきます。子どもにとっての「快適な環境」って? 子どもが汗だくになっていたら着替えは必要?こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。赤ちゃんの寝汗ってすごいですよね。特に頭や背中はびしょびしょになったりします。夜中に着替えさせるのも起きたら嫌だし、でも風邪ひくのも怖いし……そんなママのための寝汗対策についてお話したいと思います。 子どもにとっての「快適な環境」って?新生児期を過ぎた赤ちゃんは、基本的に大人より暑がりです。それは、大人よりも代謝が良かったり、体温が高いためだと考えられています。赤ちゃんの寝室の環境は温度26-27℃、湿度50%前後が良いとされています。 これは、エアコンの温度設定ではなく、寝室の実際の温度がこのくらいが良いとされているので、心配なら温度計で実際の家の環境をチェックしてみてください。 子どもが汗だくになっていたら子どもは汗をかきやすいと思われていますが、子どもは汗で体温調節をするのは大人よりも下手だと言われています。なので、子どもが汗だくになっていたら、そもそもそれは「部屋の温度がその子にとって高すぎる」ということです。 大人にとって快適な温度でも、子どもにとっては暑くて調整しきれていないという状態かもしれません。さきほどお伝えした寝室の温度26-27℃でも、汗だくになってしまう子もいるかと思います。その子にとってはその気温では暑すぎるということです。 そんなときは、エアコンをつけてサーキュレーターなどで部屋の空気を循環させる、エアコンの温度を下げるなどをまずは考えた方がいいでしょう。 その上での寝汗対策まずは子どもが汗だくにならない環境づくりが大切です。しかし、それでも寝汗はある程度でてしまうことと思います。特に頭や背中は汗をかきやすいところ。 でも、頭に汗をかくからといって、冷えピタのような貼るタイプの保冷剤を使うのは、個人的には避けたほうがいいと考えます。寝ている間に貼ったところから移動して窒息の原因になることがあるためです。 その子によって多少違うことはありますが、汗をかきやすいお子さんは下着を着るとかえって体感温度が上がることがあるので、下着は取ってしまっていいと思います。または、下着1枚で寝かせても大丈夫です。 着替えをさせることを考えると、前開きタイプが着替えさせやすいですよ。素材は汗の吸いやすさ、湿疹のなりにくさを考えると綿100%、または綿がある程度入った生地が良いです。 朝起きたらシャワーで汗を流しましょう汗をたくさんかいた翌朝は、まずたっぷり水分を摂りましょう。あせもが出やすい子は、朝シャワーで汗を流すことがオススメです。(でも、私は朝忙しくてそんなことはできていませんでした! ) 朝シャワーは、基本的にせっけんは不要です。シャワー後は、簡単でもいいので保湿をしてあげましょう。 「子どもにとって快適な温度」が大事!子どものびっしょり寝汗を見たら、まずは部屋の環境調整をしましょう。その上で下着を取ってしまう、前開きの衣類で着替えをさせやすくして、びしょびしょなら着替えさせてあげましょう。朝になったら汗は流してあげるのがいいですね。わが家は子どもの快適温度に設定すると、私には肌寒くて、足まで掛け物が必要だったりしました。親が肌寒いと感じる温度でも、ぜひお子さんの快適温度にしてあげてください。その方が子どもはぐっすり寝てくれるので、親も子もハッピーですよ。 作画/はたこ 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年09月22日更年期世代で睡眠障害に悩まされる人は多いですが、その原因の一つに「多汗」があります。それまでは汗かき体質でなかったのに、更年期世代になってから大量の寝汗が出て夜中に目を覚ましてしまうのです。不快な寝汗で満足な睡眠がとれないのはつらいこと。産婦人科医の駒形依子先生に、更年期の汗の特徴と対策について聞きました。教えてくれたのは…監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。更年期はなぜ汗をかきやすい?女性ホルモンが減り自律神経のバランスが乱れる更年期の汗の悩みといえば「ホットフラッシュ」が知られています。まず、「ホットフラッシュ」はどんな症状なんでしょうか?「何の前触れもなく、顔全体や首筋、頬にかけて熱くなり、顔が赤くなったり、のぼせたような状態になります。このとき、下半身が冷えているのに、上半身、特に頭が熱くなっているのが特徴です。それまでは汗かき体質でなかったのに、急に大量の汗が出るようになるのが特徴です」(駒形先生)。更年期に、なぜそのような症状が出るのでしょうか?「自律神経は汗腺を調節する機能があり、汗の量や出方をコントロールしています。更年期になると女性ホルモンの分泌が低下しますが、その指令を出しているのが脳の視床下部という部分です。脳の視床下部は自律神経もつかさどっており、影響を受けやすくなっています。女性ホルモンのバランスが崩れると自律神経のバランスも崩れやすくなるため、更年期世代ではホットフラッシュのような発汗の症状が出やすくなるのです」(駒形先生)。大量に出る寝汗の原因は?「不安」や「イライラ」が一因次に、今回のテーマである「大量の寝汗」ですが、これも自律神経による影響なのでしょうか?「大量の寝汗をかくのも自律神経の影響ですが、精神的な要素が強くなります。不安やイライラも更年期症状の一つですが、そのようなマイナスな感情は頭に血が上る原因になります。ただでさえ、機能が落ちている子宮周りには血流が届かず、上半身に血流がいきやすい状態になっているのが更年期の特徴です。それに加えて不安やイライラがあると自律神経の交感神経が優位になり、血流が頭に集中しやすくなるのです。そのほかに環境的、外因要素もあります。体温調節は手と足の平から熱を放散させることでコントロールしていますが、靴下や着圧ストッキングを履いていると放散がうまくいきません」(駒形先生)。更年期の効果的な寝汗対策は?できる範囲でライフスタイルの見直しをイライラや不安を解消するためのアドバイスはありますか?「40代、50代の更年期世代は仕事や家事、育児、介護などいろいろな問題を抱えやすい時期です。それまでは何とか乗り切ってきた壁も、体が追い付かず悩みをため込んでしまいがちです。ですから、もちろん可能な範囲にはなりますが、やるべきことに自分の体を合わせるのではなく、自分の体にやるべきことを合わせていく、という意識を持つ必要があると思います。自分で何でもやろうとせず、仕事を減らしたり、家事を手抜きしたり、いろいろなサービスを利用したりと方法はいろいろあります」(駒形先生)。ドラッグストアには更年期症状に向けた漢方薬がありますが、いかがなのでしょうか?「発汗対策の漢方には抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)や加味逍遙散(かみしょうようさん)などがありますが、ドラッグストアの漢方薬は一包の量が少なめです。その量で効果があるならもちろん良いですが、基本的には漢方薬を処方できるクリニックや病院で受診するほうがいいでしょう。“漢方薬は効かない”と思っている人も多いようですが、最低でも2~3週間は飲み続けないと効果は感じられません。受診の目安は、その症状で日常生活に支障が出ているかどうか。つらい症状があるときは迷わず受診してほしいと思います」(駒形先生)。まとめ駒形先生は取材の中で「頭でっかちは体によくない」とお話ししていました。人それぞれ、いろいろな悩みや問題がありますが、頭で考えるのはできるだけやめて、ライフスタイルや意識を変えるようにすれば道が開けるように感じました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/岩崎みどり(51歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/駒形 依子 先生2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
2023年09月11日今回は子どもの寝汗対策について、3児ママで小児科医・保田典子先生に解説していただきます。子どもにとっての「快適な環境」って? 子どもが汗だくになっていたら着替えは必要?こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。赤ちゃんの寝汗ってすごいですよね。特に頭や背中はびしょびしょになったりします。夜中に着替えさせるのも起きたら嫌だし、でも風邪ひくのも怖いし……そんなママのための寝汗対策についてお話したいと思います。 子どもにとっての「快適な環境」って?新生児期を過ぎた赤ちゃんは、基本的に大人より暑がりです。それは、大人よりも代謝が良かったり、体温が高いためだと考えられています。赤ちゃんの寝室の環境は温度26-27℃、湿度50%前後が良いとされています。 これは、エアコンの温度設定ではなく、寝室の実際の温度がこのくらいが良いとされているので、心配なら温度計で実際の家の環境をチェックしてみてください。 子どもが汗だくになっていたら子どもは汗をかきやすいと思われていますが、子どもは汗で体温調節をするのは大人よりも下手だと言われています。なので、子どもが汗だくになっていたら、そもそもそれは「部屋の温度がその子にとって高すぎる」ということです。 大人にとって快適な温度でも、子どもにとっては暑くて調整しきれていないという状態かもしれません。さきほどお伝えした寝室の温度26-27℃でも、汗だくになってしまう子もいるかと思います。その子にとってはその気温では暑すぎるということです。 そんなときは、エアコンをつけてサーキュレーターなどで部屋の空気を循環させる、エアコンの温度を下げるなどをまずは考えた方がいいでしょう。 その上での寝汗対策まずは子どもが汗だくにならない環境づくりが大切です。しかし、それでも寝汗はある程度でてしまうことと思います。特に頭や背中は汗をかきやすいところ。 でも、頭に汗をかくからといって、冷えピタのような貼るタイプの保冷剤を使うのは、個人的には避けたほうがいいと考えます。寝ている間に貼ったところから移動して窒息の原因になることがあるためです。 その子によって多少違うことはありますが、汗をかきやすいお子さんは下着を着るとかえって体感温度が上がることがあるので、下着は取ってしまっていいと思います。または、下着1枚で寝かせても大丈夫です。 着替えをさせることを考えると、前開きタイプが着替えさせやすいですよ。素材は汗の吸いやすさ、湿疹のなりにくさを考えると綿100%、または綿がある程度入った生地が良いです。 朝起きたらシャワーで汗を流しましょう汗をたくさんかいた翌朝は、まずたっぷり水分を摂りましょう。あせもが出やすい子は、朝シャワーで汗を流すことがオススメです。(でも、私は朝忙しくてそんなことはできていませんでした! ) 朝シャワーは、基本的にせっけんは不要です。シャワー後は、簡単でもいいので保湿をしてあげましょう。 「子どもにとって快適な温度」が大事!子どものびっしょり寝汗を見たら、まずは部屋の環境調整をしましょう。その上で下着を取ってしまう、前開きの衣類で着替えをさせやすくして、びしょびしょなら着替えさせてあげましょう。朝になったら汗は流してあげるのがいいですね。わが家は子どもの快適温度に設定すると、私には肌寒くて、足まで掛け物が必要だったりしました。親が肌寒いと感じる温度でも、ぜひお子さんの快適温度にしてあげてください。その方が子どもはぐっすり寝てくれるので、親も子もハッピーですよ。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年08月08日暑い夏、寝汗が気になるという人も多いのではないでしょうか。不快感で目覚めてしまったり、朝起きたら身体がベタベタして不快だったり……。今回は、寝汗が起こる原因と対策について女医の筆者が解説します。寝汗の原因:体内的な要因があるケース寝汗は、体の内外のさまざまな要因から引き起こされます。まずは体内的な要因を詳しく見てみましょう。体内的な要因1.ストレスや不安ストレスや不安を感じたとき、交感神経が活性化します。交感神経の働きによって体温が上がると、寝汗の原因になることがあります。体内的な要因2.病気甲状腺の異常や睡眠時無呼吸症候群(※1)など、一部の病気が原因となって寝汗を引き起こす可能性があります。体内的な要因3.更年期女性の場合、閉経を迎える更年期になるとホルモンバランスが大きく変わります。これが、体温調節機能に影響を及ぼし、寝汗を引き起こすことがあります。寝汗の原因:体外的な要因があるケース続いて、寝汗が起こる体外的な要因について解説します。体外的な要因1.適切でない寝室の環境室温調整がうまくいっていなかったり、不適切な寝具を使用していたりすると、寝汗をかきやすくなってしまうでしょう。体外的な要因2.アルコールの摂取アルコールは一時的に体温を上げる可能性があり、寝汗を引き起こすと考えられます。自分でできる「寝汗の対策」とは?寝汗が続くと、寝苦しさから夜中に目が覚めたり、不快感で睡眠の質が悪化したりして、睡眠不足になってしまうことがあります。また、寝具に吸収された汗をそのまま放置すると、嫌なニオイの原因になるだけでなく、雑菌の繁殖によって肌トラブルを引き起こす可能性も。寝汗によるトラブルを防ぐために、自分でできる対策を知っておきましょう。1.ストレスをコントロールする慢性的なストレスを感じていると、自律神経が乱れてしまい、過剰な寝汗につながることがあります。ストレスをためすぎないように、リラクゼーションや適度な運動をするといいですね。暑い夏であってもシャワーで済まさず、お風呂にゆっくり浸かってリラックスする時間を作るのもおすすめです。2.寝室の環境を整える寝るときの環境を整えることはとても大切です。室温を26℃程度、湿度を50~60%程度に保つのが理想的とされており、エアコンなどで調整してみてください(※2)。また、寝具は汗を吸収しやすく湿気を逃すような素材のものがおすすめです。特に寝汗がひどい場合は、速乾性に優れたものを選ぶといいでしょう。パジャマやシーツなど、寝具全体を見直してみてください。3.病気の治療を検討する自分でできる対策をしても寝汗が改善されないときは、病気が原因となっているかもしれません。特定の病気が原因の場合は、病気の治療をすることで改善する場合があります。特に更年期くらいの年齢を迎える女性は、更年期症状のひとつとして寝汗の症状が出ていることも考えられます。更年期症状のひとつの症状である場合には、寝汗以外にも、ホットフラッシュやめまい、不眠や疲れやすさなど、他の症状を併発していることが多いです。また、睡眠時無呼吸症候群といって、睡眠中に息が止まってしまう病気もあります。寝汗の原因になるのはもちろん、内蔵に負担がかかって高血圧や心臓病の原因になることも。きちんと寝ても眠気がとれない、いびきがひどいといった症状に心当たりのある方は、一度病院で相談してみるといいですね。おわりに寝汗が止まらない場合、それは体の内外からのさまざまな要因が絡んでいる可能性があります。更年期、ストレスや不安、病気、寝室の環境、アルコールの摂取などいろいろな原因が考えられますが、それぞれに対する適切な対策を講じることで、快適な睡眠を取り戻すことは可能です。ただし、自分で解決できない場合や症状が続く場合は、医療機関で相談してみるといいですね。【参考】※1 厚生労働省.e-ヘルスネット睡眠時無呼吸症候群/SAS※2 厚生労働省.e-ヘルスネット不眠症/SAS©VioletaStoimenova/Filmstax/Tetra Images/gettyimages筆者情報ママ女医ちえこ(産婦人科医)産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。YouTube:女医ちえこ産婦人科専門医/ママ女医ちえこ
2023年07月21日更年期に入ってからひどい寝汗に悩まされるようになり、特に上半身がびっしょりになることが多かった私。そんなとき、友人から勧められたあるアイテムを使用したところ、寝汗が出にくくなり快適に眠れる日も多くなってきました。超簡単にできる寝汗対策についてお伝えします。★関連記事:「顔汗が止まらず恥ずかしい!」ホットフラッシュで化粧が落ち、寝汗もびっしょり【体験談】寝汗に悩まされる更年期40代後半ごろから、更年期症状に悩まされるようになりました。特に寝汗がとてもひどく、夜中に突然汗が吹き出し、上半身を中心に汗びっしょりになることが多くなったのです。冬であっても大量の汗が出て衣服が濡れるため、着替えをしていました。寝汗によって体が冷えきってしまい、睡眠不足や体調不良になっていました。アイスピローシートとの出合い寝汗がひどいことを同世代の友人に相談してみると、アイスピローシートが良いと聞き、試してみることにしました。アイスピローシートとは枕の上に敷くことができる冷却ジェルシートのことです。最初は半信半疑でしたが、実際に使ってみると驚くほど快適で、上半身のひどい寝汗がかなり軽減されました。アイスピローシートが頭の温度を下げることで寝汗の量が減少したようで体も冷え過ぎず、快適な睡眠を送れる日が多くなりました。それにより睡眠不足も解消されつつあります。もちろん寝汗が完全に解消されたわけではありませんが、これまでの不快な寝汗とは違い、気持ち良く眠ることができるようになりました。頭以外にも使える万能さ!アイスピローシートや冷却ジェルシートは種類が豊富で、値段もさまざまです。私が選んだのはジェル状の枕ではなく、アイスピローシートでした。結露が出ない保冷剤でできているので大変快適で、冷た過ぎにならないこともよかったです。さらにシートになっているため、背中に敷いたり、足に当てたりすることが可能でとても便利でした。夏は冷凍庫に入れていますが、冬には冷凍庫に入れずに使用することもできそうです。まとめ寝汗ぐらいと思って我慢していると、睡眠不足や、脱水などから体調不良のきっかけとなってしまいます。更年期特有の寝汗は上半身に汗が集中することも多く、枕周辺を涼しくしてあげるだけでも快適に過ごせるようになり、体調不良の軽減に役立っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。イラスト/マメ美著者/伊達 敦子(49歳)3児の母。会社員の傍ら、化粧品検定2級、1級を取得し、コスメコンシェルジュの認定を受けたエキスパート。人々の美しさと自信を引き出すため、日々活躍中。
2023年06月11日帝人フロンティアは4月27日から、ニオイや汗のべたつきを抑制し、寝汗の不快感を抑制する安眠枕パッドのプロジェクトを、クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で開始しました。■ほてり・のぼせによる寝汗をしっかり消臭同商品は、女性の悩みや健康面の不安を技術的な視点からサポートする帝人フロンティアのフェムテックブランド「itoomof.(いとおもふ)」の第一弾製品。ホルモンバランスの乱れで起こるとされている女性ならではの悩みである、ほてりやのぼせによる寝汗の影響を抑えることを目的に開発しました。中綿には、汗臭や加齢臭の原因となる4大成分「アンモニア、酢酸、ノネナール、イソ吉草酸」を吸着・消臭する高機能ポリエステル繊維「フレッシュコール Z」を使用。繊維そのものに機能剤を練り込んでいるため、消臭性能は繰り返し洗濯しても続きます。表地には、吸放湿性能を有する高機能繊維「ペアクール」を使用しました。寝汗のべたつきを抑制し、優れた快適性能を発揮します。裏地にはゴムバンドが付き。枕本体への取り付けも簡単です。洗濯機で洗えるので、常に清潔を保てます。同商品は「Makuake(マクアケ)」プロジェクト終了後、インターネット通販サイトなどでも販売。販路を拡大していきます。■商品概要商品名:安眠枕パッド希望小売価格:4,900円色:ブルー、ベージュサイズ: 約65㎝×45㎝Makuake掲載ページ:(フォルサ)
2023年05月17日40代になってからというもの、子育て、両親の世話、仕事など活動量が多くなるのに、体力が低下していると感じるようになりました。他にも寝汗がひどくなってしまったり、不調を感じることが増えました。しかしこの体力低下について、ほんの少し行動を起こすことで改善する糸口を見つけることができました。その改善法についてお話しします。★関連記事:冬なのに寝汗で目が覚めるのがつらい! ホットフラッシュによる寝汗を減らすために心がけた3つのこと自分に向き合うことができないと感じる日々40代になり、子育てや両親の世話、仕事などで多忙を極めるようになりました。それなのに更年期や加齢の影響で体力の低下を実感し、事がうまく進まず焦燥感からかイライラが最高潮に達してしまうことも……。自分と向き合う時間を取ることは大切だと思うものの、それができればこんなことにならない!早朝から家族のお弁当の準備、会社での仕事、帰宅後の家事、週末は実家の掃除をしたり介護とは言わないものの父の様子を見たりと、とても「自分に向き合う時間」はないと思っていました。コントロール不可能な体調不良が襲うように私は更年期に入った辺りから生理前の高温期に入ると寝汗がひどくなり、生理が始まると寝汗が引くというサイクルでした。しかし45歳を過ぎたころからは生理が始まっても寝汗がおさまらず、夜中に2回も着替え、シーツも毎日洗濯していました。次第に睡眠不足、体重低下も起こるようになり、日々の活動に大きな影響が出始めました。仕事に集中できずミスが増え、記憶力が低下して約束をすっぽかすなど、まさにコントロール不可能な体調不良からすべてがうまくいかなくなってきました。何げない会話に情報が詰まっているこのカードは本物ではありません会社での休憩時、先輩に寝汗と体重減少のことを話したところ、評判の良い婦人科に知り合いがいるとのこと。場所も近所だったことから早速婦人科に行ってみました。先生にしっかり話を聞いてもらい、更年期障害から来る自律神経の乱れと診断され、自律神経を調整する効果があるというトラゾドン塩酸塩錠、メイラックス錠、加味帰脾湯(かみきひとう)などの薬を処方してもらいました。薬を飲み続けたところ、気持ちも落ち着き、あんなにひどかった寝汗もなくなりました。スマホやパソコンで症状について調べることは便利ですが、同じ経験をした周囲の先輩や友人と会話し、リアルな情報が解決の糸口となり何げない会話に情報が詰まっているのだと実感しました。まとめ周囲に相談したくても時間がないことやプライベートな内容なため、相談を控えてスマホやパソコンで調べて結局ひとりで悩み過ごす日々。病院もどこへ行ってよいか迷っているうちに症状が悪化することもあるので、まず情報収集の第一歩として周囲で同じような経験をした先輩や友人に相談をすることで、解決の糸口が見つかるかもしれないと思った出来事でした。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。著者/伊達 敦子(49歳)13歳と11歳と9歳の3児の母。フルタイム会社員、共働きをしながら子育て中。時短アイテムをフル活用し、家族との時間を確保することに励んでいる。
2023年04月17日今まで冬は手足が冷たくて眠るまでに時間がかかる日も少なくありませんでした。しかし、寒い日であっても夜中に寝具内がとても熱くなり、寝汗で目が覚めてしまう機会が増えたのです。ホットフラッシュによる寝汗が原因で睡眠不足になった私が、調べて実践した対策法をお話しします。★関連記事:「顔汗が止まらず恥ずかしい!」ホットフラッシュで化粧が落ち、寝汗もびっしょり【体験談】額に汗が浮かぶほどの暑さで起きる日々平熱が35度5分の私は真夏に冷房を使わずに眠るとき以外で、寝汗をかいた経験はありませんでした。むしろ寒がりで、真冬は温かい素材のパジャマを着て、靴下をはいて眠ることも多々あるほどです。しかし40代後半になってから、眠る際にストーブを消して室温が11度前後になっていても、寝汗が額に流れるのを感じて目覚めるようになりました。毛布や掛布団を一度取り除き、汗を拭いて体を冷やさなければ眠れないほどのホットフラッシュに見舞われたのです。寝汗で目覚めるのはなぜ?冷え性の私は手足の先が冷たいことで、なかなか寝付けない日も少なくありません。そんな夜でも体が熱くなり、寝汗で目が覚めてしまうのはなぜなのか、疑問に思いました。更年期の寝汗について調べたところ、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで、自律神経が乱れていることが原因のようでした。婦人科を受診してホルモン剤を処方してもらうとよいとの記事を多く目にしたものの、生活に困るほどの更年期症状がない私は、あえて薬を飲みたいとは思えませんでした。寝汗を軽減するために3つを改善寝汗の原因となる自律神経を整えるため、私は3つのことに気を付けて生活すると決めました。1つ目はエストロゲンと作用が似ているといわれる、大豆イソフラボンを意識して食べることです。豆腐や納豆を意識して食べるほか、豆乳を飲んだり料理に使ったりするよう心がけました。2つ目は毎日必ず、運動する時間を設けたことです。日中にうっすらと汗をかくほどの有酸素運動をすると、入眠効果が高くなるのだそう。冷え性の改善にもつながるので、歩く距離を増やしたり自宅でダンスエクササイズをしたりしています。3つ目はお風呂に入る時間を、布団に入る2時間前と決めたことです。人間は深部体温が下がる時に眠気が誘発されると知り、湯船に浸かれない日も2時間前にお風呂に入ることを実践したのです。その結果、寝汗で目覚める機会が減っていきました。まとめ真冬に寝汗で目覚めて汗を拭いたり着替えたりすると、室温が下がっているので風邪をひきそうになります。また体のほてりが治まると、手足の冷えを感じることも珍しくありませんでした。生活習慣を見直し寝汗で目覚める回数が減り、朝までぐっすり眠れるようになったことも喜ばしいことです。今後も今の生活習慣を続け、じょうずに寝汗と付き合っていこうと考えています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/天神尚子先生(三鷹レディースクリニック院長)日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。著者/サトウユカコ広告制作プロダクションで、プランナーやディレクター、ライターを兼務。双子を含めた4人の子どもがいる。小学校教諭、幼稚園教諭の資格を持っている。
2023年03月16日長く続く暑すぎる夜。寝汗びっしょりで、毎朝シャワーが欠かせないかたも少なくないようです。汗には、いい汗と悪い汗があります。いい汗ならば、深部体温を下げてくれて快適にお休みできますが、悪い汗なら臭いの元…。今回は、睡眠中の寝汗対策について、眠りとお風呂の専門家、SleepLIVE(株)代表の小林麻利子さんに伺いました。いい汗と悪い汗睡眠の観点からいうと、就寝中のいい汗というのは、寝始めてから3時間以内の汗を指します。身体でいうと内臓、頭でいうと脳などの深部体温は、就寝約2時間前から、だいたい早朝4時にかけて徐々に低下していきますが、深い眠りになればなるほど深部体温がしっかり低下し、その際に発汗します。ですので、その時間の汗は、深い眠りに到達するために不可欠な汗で、むしろかきたい汗と言えます。悪い汗というのは、朝方の汗。本来ならば早朝4時から起床時刻に向かって深部体温が上昇していくので、汗はかきにくいはず。しかしその時間帯に汗をかいているということは、寝室や寝具の環境が悪いか、または睡眠のリズムが乱れている可能性があります。毎朝シャワーを浴びなければならないほど汗をかいているならば、なんらかの対策が必要と言えます。睡眠の質を整えるいい汗をかくために、寝始めてから3時間以内の睡眠の質を上げていきましょう。夜の睡眠のためには、日中の活動量の向上が不可欠。起床後2時間以内に日光浴をする、室内でいいので19時前後に心拍が上がる運動をする、就寝1時間半前にお風呂に入る。日中に深部体温をしっかり上げておくことが、夜の深部体温の低下につながります。また就寝前15分間は、副交感神経を優位にできる呼吸法を行っていきましょう。1呼吸10秒で完結する呼吸で、特に吐く息を長くしていくことで、心臓の副交感神経の活動が活発になり、脈拍が遅くなっていくことが実証されています。4秒吸って6秒吐く、でもいいですし、2秒吸って8秒吐くのでもいいです。ただ、しんどいと感じる呼吸は副交感神経の活動を抑制することがわかっているので、はじめは秒数を少なめにし、徐々に長くしていきましょう。照明を消していつ寝てもいいという状態にしてから、行ってみてくださいね。お風呂で深部体温をあえて上昇させてぐっと発汗させよう最近、熱中症予防のために、外出を控えるようにと言われることが多くなったので、昼間は汗をかかないというかたもいらっしゃるようです。そういった場合は、汗腺を鍛えるためにも、お風呂であえて、汗をかきましょう。夏のお風呂の入り方には2種類あります。1つめは、皮膚表面の血流をよくするためにぬるめのお湯に入ることです。血管が拡張することで深部体温が下がりやすくなり、リラックス効果もありますので、日中に血圧が高いかたにもおすすめの入りかたです。2つめは、深部体温を一時的に上昇させる、40度のお風呂に15分浸かる入りかたです。深部体温が約0.5度上昇することが分かっているので、入浴後は体温を下げるために発汗します。お好みに合わせてお風呂に浸かっていただいたらいいのですが、日中活動量が少ないかたは、ぜひ2つめの入りかたをしてみてください。一時的に深部体温を上昇させることで、入浴後、平熱に戻ってから通常よりも急激に深部体温を低下させることが可能になります。暑くて寝苦しいという状態は、身体の内側に熱い熱がこもった、熱ごもり状態です。この入浴を行うことで、快適にお休みすることが可能になります。汗がひいてからお休みするお風呂から上がったら発汗しています。この時にかいている汗は、お風呂で一時的に深部体温が上昇した後、平熱まで下降させるための汗です。その汗がしっかり引いてから、お休みすることで、深い眠りに繋がる深部体温の低下および、発汗があるのです。お風呂上りに汗が出ている状態でパジャマに袖を通してしまうと、汗でパジャマがべしょべしょに。かといって、裸のままでエアコンの効いた部屋にいると、気づいたときには身体がすっかり冷えてしまった…という状態にもなりかねません。そのため、夏こそバスローブは必須。天然素材で汗を吸着してくれるものがオススメです。ドライヤーをかけるときは、暑くて汗がさらに出てしまいやすいので、扇風機の風を浴びながら、「暑い」という不快感情を一切抱かぬようしっかり対策をとっていきましょう。そのあとは家事や仕事はもちろんもってのほか。お風呂と睡眠は1セットと考え、薄暗い居間や寝室でストレッチやアロマテラピーなどをしながらリラックスして、汗が完全にひいてからお休みしましょう。寝具は天然100%で寝床内をベストに整える夏用の寝具というと、接触冷感の素材が多く出回っています。エアコンの効いた店内であれば、触り比べをすると一目瞭然!とっても快適~となりますが、このような素材は、汗をかいた状態では、汗を吸着して外に逃がす機能が低いことが多いのです。また、店内のかなり冷えた空間であれば快適ですが、自宅のしかもお布団の中であれば、どんどん湿気がたまっていき、汗が肌にまとわりついた不快状態になる可能性があります。夏は、触った瞬間の心地よさよりも「就寝中の汗の行方」を考慮した天然素材100%の素材がベスト。吸放湿性や通気性に優れているので、就寝中ずっと快適にお休みすることが可能になります。枕カバーで脳の体温を下げよう脳は体よりも快適温度が低くなります。脳の深部体温をしっかり下げることで睡眠の質も上がります。ですので、枕はとても大切。でも、通気性に特化した素材が使われている枕は、頭の形や首の湾曲など個人差がある体にぴったりフィットさせるには、少し難しいものが多いです。せっかく通気性がいいのに、私には高さが合わない…といったことも少なくありません。なのでせめて、枕カバーで通気性をよくしていきましょう。ポコポコとした、細やかなキルト素材になっている枕カバーは、肌との間に空気の層があるので、通気性がよく、汗を外に逃がしやすくしてくれます。また素材は、麻が入っている天然素材100%がベスト。就寝後は、枕は立てかけたり干したりし、枕カバーは下着同様毎回洗うようにして、清潔を保ちましょう。汚れが蓄積しないようにすることで、さらに、就寝中の汗を放散する機能が高まります。まだまだ暑い夏は続きます。暑くて汗が出て不快…という状態を放置せず、快適にお休みができるよう、ぜひ工夫をしてみてくださいね!眠りとお風呂の専門家小林麻利子さん同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。(C)Westend61/Getty Images(C)Karan Kapoor/Getty Images(C)Prostock-Studio/Getty Images(C)Jerome Tisne/Getty Images文・小林麻利子
2022年08月15日今回は子どもの寝汗対策について、3児ママで小児科医・保田典子先生に解説していただきます。子どもにとっての「快適な環境」って? 子どもが汗だくになっていたら着替えは必要?こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。赤ちゃんの寝汗ってすごいですよね。特に頭や背中はびしょびしょになったりします。夜中に着替えさせるのも起きたら嫌だし、でも風邪ひくのも怖いし……そんなママのための寝汗対策についてお話したいと思います。 子どもにとっての「快適な環境」って?新生児期を過ぎた赤ちゃんは、基本的に大人より暑がりです。それは、大人よりも代謝が良かったり、体温が高いためだと考えられています。赤ちゃんの寝室の環境は温度26-27℃、湿度50%前後が良いとされています。 これは、エアコンの温度設定ではなく、寝室の実際の温度がこのくらいが良いとされているので、心配なら温度計で実際の家の環境をチェックしてみてください。 子どもが汗だくになっていたら子どもは汗をかきやすいと思われていますが、子どもは汗で体温調節をするのは大人よりも下手だと言われています。なので、子どもが汗だくになっていたら、そもそもそれは「部屋の温度がその子にとって高すぎる」ということです。 大人にとって快適な温度でも、子どもにとっては暑くて調整しきれていないという状態かもしれません。さきほどお伝えした寝室の温度26-27℃でも、汗だくになってしまう子もいるかと思います。その子にとってはその気温では暑すぎるということです。 そんなときは、エアコンをつけてサーキュレーターなどで部屋の空気を循環させる、エアコンの温度を下げるなどをまずは考えた方がいいでしょう。 その上での寝汗対策まずは子どもが汗だくにならない環境づくりが大切です。しかし、それでも寝汗はある程度でてしまうことと思います。特に頭や背中は汗をかきやすいところ。 でも、頭に汗をかくからといって、冷えピタのような貼るタイプの保冷剤を使うのは、個人的には避けたほうがいいと考えます。寝ている間に貼ったところから移動して窒息の原因になることがあるためです。 その子によって多少違うことはありますが、汗をかきやすいお子さんは下着を着るとかえって体感温度が上がることがあるので、下着は取ってしまっていいと思います。または、下着1枚で寝かせても大丈夫です。 着替えをさせることを考えると、前開きタイプが着替えさせやすいですよ。素材は汗の吸いやすさ、湿疹のなりにくさを考えると綿100%、または綿がある程度入った生地が良いです。 朝起きたらシャワーで汗を流しましょう汗をたくさんかいた翌朝は、まずたっぷり水分を摂りましょう。あせもが出やすい子は、朝シャワーで汗を流すことがオススメです。(でも、私は朝忙しくてそんなことはできていませんでした! ) 朝シャワーは、基本的にせっけんは不要です。シャワー後は、簡単でもいいので保湿をしてあげましょう。 「子どもにとって快適な温度」が大事!子どものびっしょり寝汗を見たら、まずは部屋の環境調整をしましょう。その上で下着を取ってしまう、前開きの衣類で着替えをさせやすくして、びしょびしょなら着替えさせてあげましょう。朝になったら汗は流してあげるのがいいですね。わが家は子どもの快適温度に設定すると、私には肌寒くて、足まで掛け物が必要だったりしました。親が肌寒いと感じる温度でも、ぜひお子さんの快適温度にしてあげてください。その方が子どもはぐっすり寝てくれるので、親も子もハッピーですよ。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2022年07月02日今回は子どもの寝汗対策について、3児ママ小児科医・保田典子先生に解説していただきます。子どもにとっての「快適な環境」って? 子どもが汗だくになっていたら着替えは必要?こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。赤ちゃんの寝汗ってすごいですよね。特に頭や背中はびっしょびっしょになったりします。夜中に着替えさせるのも起きたら嫌だし、でも風邪ひくのも怖いし……そんなママのための寝汗対策についてお話したいと思います。 子どもにとっての「快適な環境」って?新生児期を過ぎた赤ちゃんは、基本的に大人より暑がりです。それは、大人よりも代謝が良かったり、体温が高いためだと考えられています。赤ちゃんの寝室の環境は温度26-27℃、湿度50%前後が良いとされています。 これは、エアコンの温度設定ではなく、寝室の実際の温度がこのくらいが良いとされているので、心配なら温度計で実際の家の環境をチェックしてみてください。 子どもが汗だくになっていたら子どもは汗をかきやすいと思われていますが、子どもは汗で体温調節をするのは大人よりも下手だと言われています。なので、子どもが汗だくになっていたら、そもそもそれは「部屋の温度がその子にとって高すぎる」ということです。 大人にとって快適な温度でも、子どもにとっては暑くて調整しきれていないという状態かもしれません。さきほどお伝えした寝室の温度26-27℃でも、汗だくになってしまう子もいるかと思います。その子にとってはその気温では暑すぎるということです。 そんなときは、エアコンをつけてサーキュレーターなどで部屋の空気を循環させる、エアコンの温度を下げるなどをまずは考えた方がいいでしょう。その上での寝汗対策まずは子どもが汗だくにならない環境づくりが大切です。しかし、それでも寝汗はある程度でてしまうことと思います。特に頭や背中は汗をかきやすいところ。 でも、頭に汗をかくからといって、冷えピタのような貼るタイプの保冷剤を使うのは、個人的には避けたほうがいいと考えます。寝ている間に貼ったところから移動して窒息の原因になることがあるためです。 その子によって多少違うことはありますが、汗をかきやすいお子さんは下着を着るとかえって体感温度が上がることがあるので、下着は取ってしまっていいと思います。または、下着1枚で寝かせても大丈夫です。 着替えをさせることを考えると、前開きタイプが着替えさせやすいですよ。素材は汗の吸いやすさ、湿疹のなりにくさを考えると綿100%、または綿がある程度入った生地が良いです。朝起きたらシャワーで汗を流しましょう汗をたくさんかいた翌朝は、まずたっぷり水分を摂りましょう。あせもが出やすい子は、朝シャワーで汗を流すこのがオススメです(でも、私は朝忙しくてそんなことはできていませんでした!)。 朝シャワーは、基本的にせっけんは不要です。シャワー後は、簡単でもいいので保湿をしてあげましょう。 「子どもにとって快適な温度」が大事!子どものびっしょり寝汗を見たら、まずは部屋の環境調整をしましょう。その上で下着を取ってしまう、前開きの衣類で着替えをさせやすくして、びしょびしょなら着替えさせてあげましょう。朝になったら汗は流してあげるのがいいですね。わが家は子どもの快適温度に設定すると、私には肌寒くて、足まで掛け物が必要だったりしました。親が肌寒いと感じる温度でも、ぜひお子さんの快適温度にしてあげてください。その方が子どもはぐっすり寝てくれるので、親も子もハッピーですよ。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年07月01日子育て中は「子どもの体って不思議だなあ」と思うこと、たくさんありますよね。例えば、世のママたちの多くが口をそろえていうのが「子どもの寝相の悪さ」についてです。枕に頭をのせて寝たはずなのに、朝には足が枕の上に…。毎日のことなので、寝相の悪さについては当たり前のことになっているかもしれませんね。それから、赤ちゃんがウトウトして眠りにつく前、急に手足がポカポカしてくるように感じますよね。子どもの手足があたたかくなってきたら、「そろそろ寝るかな…」と予想がつくことも。また、大人と比べて大量にかく寝汗なども、子ども特有の不思議な現象です。子どもはどうして寝相が悪いのか、どうして眠りにつく前に手足があたたかくなるのか、どうして寝汗が多いのか? 小児科医でありお茶の水女子大学名誉教授・榊原洋一先生に「子どもの睡眠」にまつわる不思議をいろいろと教えてもらいました。お話をうかがったのは…医師・お茶の水女子大学名誉教授榊原洋一先生お茶の水女子大学人間発達教育研究センター教授。東京大学医学部卒業。専門は小児科学、小児神経学、発達神経学など。小児科医として発達障害児の治療にかかわる。著書は『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社)など多数。■子どもの寝相はどうして悪い?――どのお母さんも口にすることだと思うのですが、子どもって本当に寝相が悪い! 夜眠ったときと朝起きたときの姿勢がまったく違います。この寝相の悪さ、何か理由があるんでしょうか?榊原洋一先生(以下、榊原先生):子どもの寝相が悪いのは「睡眠の質」が大人と違うからなんですね。――質ですか…?榊原先生:人間には「睡眠パターン」というものがあります。このパターンは年齢とともに変わっていきます。特に睡眠時間と睡眠リズムに大きな変化が起こるんです。まず大人になると、乳児のときと比べ睡眠時間が短くなりますよね。それから睡眠中に見られる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の割合も変わります。どう変わるかというと、成長していくにつれてレム睡眠の割合がどんどん少なくなっていくんです。――先生! レム睡眠とノンレム睡眠とは何でしょう?榊原先生:レム睡眠とノンレム睡眠はどちらも睡眠状態のことを指しています。ただし、レム睡眠中の脳波は起きているときとよく似ています。眼球がきょろきょろと左右に速く動くこともあるし、体もよく動きます。睡眠中の様子を脳波とビデオカメラで同時に記録すると、レム睡眠のときに寝がえりや手足を動かす様子が多く見られるんです。――よく動くのはレム睡眠中だからなんですね。榊原先生:そうです。一方、ノンレム睡眠は深い眠りなので、こうした動きがほとんど見られません。子どものころはレム睡眠の割合が多いので、寝ている間にたくさん体が動くんですね。――覚醒状態と似たレム睡眠の割合が多いから、自然と寝相が悪くなるんですね…。ちなみによく動く時間帯などはあるのでしょうか?榊原先生:レム睡眠は明け方、目が覚める前に多く出る睡眠パターンです。だから夜中は寝相が良かったけれど、起きる時間近くになったら急に寝相が悪くなっていた…なんてことがあるかもしれませんね。■寝る前、子どもの手足が急にあたたかくなるのはなぜ?――赤ちゃんを抱っこしていて「あれ、なんだかポカポカしてきたな」と思ったらすやすや眠っていた…ということがよくあったのですが、手足があたたかくなることと眠ることに何か関係はあるのでしょうか?榊原先生:実際に手足の先の皮膚温度をはかってみると、子どもは眠くなると温度が1.5度くらい上昇することが分かっているんですね。でも、脇の下の体温をはかっても変化がない。このことから、子どもの手足があたたかくなることには、体の中の血液の流れが関係していると考えられます。――血液ですか…?榊原先生:普通、熱が発生するのは筋肉や臓器なんです。でも、手足の先には大きな筋肉も臓器もありませんよね。では、なぜ皮膚温度が上がるのか。温度を上昇させる方法としてほかに考えられるのは、血液です。血液は熱を運ぶことができます。子どもの手足の先があたたかくなったのは、体の中心部からたくさんの血液が流れてきたから、と考えることができます。――血液が手足のポカポカを生んでいるんですね…! でも、子どもの血管は細そうなイメージがあります。たくさんの血液を手足の先に運ぶことってできるんでしょうか?榊原先生:血液量が増えるのは、細い血管が広がるからなんです。血管が広がるのは交感神経と、副交感神経といった自律神経が関係しています。――交感神経と副交感神経?榊原先生:交感神経は獲物を追う、敵から逃げるといったときに優位になるもので、皮膚の血管を収縮させます。血管を細くすることで、万が一傷を負うことになっても少ない出血ですむんですね。――生き抜くための反応ですね…!榊原先生:反対に副交感神経は休息しているときに優位になるもので、血管は広がります。そのため、熱を持ったたくさんの血液が手足の先にまで運ばれて、体がポカポカしてくるというわけです。眠る前に子どもの手足があたたかくなるのは「休息モード」に入っているからなのです。お母さんに抱っこされて、安心した状態になることで、より眠りやすくなったからでしょうね。――なるほど。赤ちゃんの手足が急にあたたかくなってくるのはリラックス状態に入った、ということなんですね。■朝起きると寝汗でびっしょり…子どもが汗かきなのはどうして?――寝ている子どもでびっくりするのが、大人と比べて寝汗がすごい…! 子どもはどうしてあんなに汗をかきやすいのでしょうか?榊原先生:1日に必要な水分量で比較すると、子どもは大人の倍量が必要になります。子どもの体は大人と比べ、水分の割合がすごく多いんです。――大人の倍量も必要なんですね…!榊原先生:その理由として、腎臓の機能によることと、失われる水分量が多いことがあげられます。子どもは腎臓の機能がまだ未熟で、尿としてたくさんの水分を排出します。それから新陳代謝も活発なので、汗や呼吸によって、どんどん体の外に水分が出てしまうんですね。失われる水分量は大人の1、5~3倍近くになるといわれています。――そんなに…! 子どもはそもそも水分を失いやすいものなんですね。榊原先生:そうですね。それと、単純に大人は汗をかくとハンカチで拭きますよね。でも、子どもは拭きません。よだれが多いのと同じで、出てくるものに構わない…(笑)。子どもは大人のように汗を拭いたりしないから、いっそう汗が目立って見えていることもあると思います。今回は、子どもの睡眠にまつわる不思議について、お話をうかがいました。子どもの寝相が悪いのは、子どもと大人で睡眠の質が違うからということが分かり、長年の謎がようやく解けました(笑)。また、赤ちゃんの手足があたたかくなるのは、交感神経・副交感神経が状況に応じて優位になることで、体の中でさまざまな反応が起こっているから。「人の体はなんて複雑でおもしろい仕組みなんだろう」と感心するインタビューとなりました。引き続き、榊原先生に「子どもの体の不思議」について、お話をうかがっていきます。参考図書: 『大人が知らない子どもの体の不思議』 (講談社)榊原洋一著子どもと大人はどう違うのか。それは単に大きさだけの違いではありません。どうして夜泣きをするの? どうして寝相が悪いの? どうして落ち着きがないの? 子育て中に親が抱く「答えが見つかりにくい質問」にエビデンスの精神で解答することを試みました。子どもの心と体の不思議を理解する、手助けとなる一冊。
2019年02月06日「冬の夜は寒いから」と、赤ちゃんを温かくして寝かせていると、寝汗をたくさんかいていることがあります。寝汗をかくと、そのあと冷えることで風邪をひきやすくなってしまうことも。まだ体温調節が苦手な赤ちゃんには、寝汗対策をしっかりしてあげたいですね。■寝るときの赤ちゃんの服装は?基本的に赤ちゃんは汗っかき。冬でも、服装はママが着ている枚数より1枚少なめでOKです。寝るときの服は、吸湿性の高い綿素材がおすすめ。フリース素材はあたたかいですが、一般的には汗を吸いにくいものが多く、湿気がこもりやすくなってしまいます。また、赤ちゃんは、足の裏から熱を逃がすことで体温調節をしています。そのため、冬場でも、寝るときには靴下を履かせなくてOKです。熱がこもらないように、ふんわりと布団をかけてあげましょう。■寝汗をかきにくい寝具選び赤ちゃんの寝汗は、布団のかけすぎが原因であることも。「汗で体がびっしょり濡れている」「夜泣きがひどい」という場合は、掛け布団を1枚少なくしてみましょう。服と同様に、シーツも吸湿性の高いものを選びます。赤ちゃんのうちは、シーツの上にバスタオルを敷くのもおすすめ。なお、敷き布団に防水シートを敷くと、水分を通さないため湿気がこもりやすくなってしまいます。寝汗をかきやすい赤ちゃんの場合は、防水シートの仕様は避けるようにしましょう。■布団を蹴飛ばしてしまうときはどうする?せっかく温かくして寝かせても、気づくと赤ちゃんが自分で布団を蹴飛ばしていることがあります。汗っかきの赤ちゃんとはいえ、冬に何もかけないで寝ていると風邪をひきそうですよね。そんなときは腹巻きやスリーパーなどを上手に使い、体を冷やさないように工夫しましょう。手で布団をはいでしまう場合は、まず薄手の毛布を脇の下に挟むようにしてお腹にかけ、その上から布団をかける方法もおすすめです。冬の赤ちゃんの寝汗は「服の着せすぎ」「布団のかけすぎ」によるものも多いようです。まだ言葉が話せない赤ちゃんは、「暑い」「寒い」を伝えることができません。様子を見ながら、上手に調節してあげてくださいね。
2017年01月08日それほど暑い日でもないのに、朝目が覚めると汗をかいていることはありませんか? 人は誰でも寝ている間に多少の汗をかきますが、量が多すぎる場合は体のトラブルを知らせるサインかもしれません。「たかが寝汗」と思っていると、実は自分でも気付いていなかった不調が隠れていることも。快適な睡眠のためにも、放置せずにきちんと改善しましょう。■注意が必要な寝汗とは?人は誰でも寝ている間にコップ1杯~1杯半くらいの汗をかくといわれています。これは深い眠りに入るときに体温をさげるためにかく汗で、体の正常な働きです。しかし、朝起きたときにパジャマまでぬれているような汗は、量が多すぎるといえます。気温が高いわけでもないのに寝汗の量が多い場合は、体の状態や生活習慣を見直してみる必要があるでしょう。多すぎる寝汗は快適な睡眠を妨げ、睡眠の質を低下させてしまいます。また、体から水分が多く排出されるために、乾燥を招くもとにも。良質な睡眠は美容と健康の基本です。思い当たる原因がある場合は、しっかり改善していきたいですね。■多すぎる寝汗の原因とは寝汗を多くかいてしまったとき、原因としてまず考えられるのがストレスです。ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、眠っている間の体温をうまく調節できなくなってしまうのです。女性の場合は、ホルモンバランスの乱れが原因になっていることも。生理前に寝汗をかく人が多いのも、女性ホルモンの影響によるものです。生理のたびに大量の寝汗をかく、という場合は、PMS(月経前症候群)の可能性があります。体の不調以外に、睡眠環境も寝汗に大きく影響します。たとえば、吸湿性の悪い素材のパジャマを着ていると、通常の量の汗でも吸収できずに寝汗が多いと感じてしまう場合も。また、エアコンをつけっぱなしにして部屋の温度が一定になっていると、睡眠中の体温調節がうまくいかなくなってしまいます。エアコンをつける場合はタイマー機能を使うようにしましょう。■気になる寝汗を改善する方法寝汗を改善するには、まず生活習慣を見直し、できるだけストレスを緩和させることが大切です。夜はお風呂にゆっくりと入り、リラックスした状態で眠りにつくようにしましょう。また、適度な運動はストレス解消と同時に、PMSの症状を和らげる効果もあるといわれています。無理のない範囲で、ウォーキングやランニングなどに取り組むとよいでしょう。夜、寝る前にアルコールやカフェイン、砂糖などをとるのはNG。夜更かしや寝不足も自律神経のバランスが乱れる原因になるので、規則正しい生活を心がけてください。寝汗がひどく、さらに微熱や疲れやすさを伴う場合は、甲状腺の病気の可能性もあるといわれています。体調や環境に気を配っても寝汗が改善されない場合は、一度医療機関で相談してみてください。(加藤朋実)
2016年03月04日「子どもの寝汗がすごい」という声は多いです。でも、それだけ汗をかくのには、きっと理由があるはずです。子供は汗をかきやすい子どもは私たち大人より代謝が良く、体温が高めです。さらに体内の水分量も多いですね。これだけでも汗をかきやすい条件は揃っていますが、大人と違い、体温調節機能がまだ完全ではないということと、さらに体の大きさに比べて体表面積が大きいため、暑い部屋にいたり、厚着をしたまま暖かい環境にいたりすると、熱が体内にこもって体温が高くなります。それゆえ、子どもは汗をかきやすいのです。子供が寝汗をかく理由(1)パジャマや布団が暑い私も子育てをしていて経験があるのですが、「お腹を冷やしてはいけない!」と言って、子どもに長袖長ズボンのパジャマを着させ、布団をかける。気がつくと、子どもは布団をけっている。そこで布団をかける。すると、また子どもが布団をける…。こんなやり取りのご経験がある方は多いのではないでしょうか?なぜ子どもは布団をけるのでしょう? それは体温が高く、熱がこもりやすいにも関わらず、布団をかけられる。それが暑いからの反応だとは思いませんか?布団をける動作も体を使いますので、それだけで汗をかくかもしれません(筋運動といいます)。私が子どもの頃は、夏になると暑くて寝苦しく、布団をはぎ、パジャマを脱いで、冷たい床の上で寝ていたこともありました。実際、私の子どもも暑いようで、春ぐらいから冷たい床を転々として寝ています。万が一、寒いようなら、子どもはみずから人肌を求め、近寄ってきますし、何かかけるものを探します。「寒くないかな」と心配せず、安心してください。子供が寝汗をかく理由(2)エアコンの設定温度が高い夏は暑くて寝苦しいのでエアコンをつけますが、代謝の悪い大人の感覚で温度設定をしていませんか? それと同じく、冬は寒いから暖房をつけますが、代謝の悪い大人に合わせて温度設定していませんか?大人と比べると、子どものほうが「明らかに代謝が良い」ということを忘れないでください。汗をかくということは体の機能として、「熱を冷ます」ための行為です。子どもが寝汗をかくのは、きっと暑いのです。寝汗は肌荒れ、体調悪化の原因に寝汗が睡眠の質を悪くするということはおわかりだと思いますが、そのほかにもみずからの汗で、体をかえって冷やしてしまうかもしれません。また、体内の水分が失われるので、鼻や喉が乾き、風邪を引いてしまうかもしれません。さらに、汗をかくとき汗腺が開いているので雑菌を受け入れやすくなり肌荒れの原因になるかもしれません。そこで、子どもが快適で寝られる温度設定にしてあげることが大切です。また、肌着などの吸水性がよく、通気性、乾燥性の良いものを着させ、厚着は不要です。子供が汗をかいたら、その都度、石けんで洗っても大丈夫?子どもが汗をかいたらシャワーをする、という方もいるかもしれません。その時に、ちょっと注意してほしいことがあります。子どもの肌は大人に比べると薄く、皮脂も少なく、決して強いとはいえない構造をしています。汗をいっぱいかいたからといって、石けんで、さらにナイロンのタオルなどを使ってゴシゴシ洗うことは、汚れとともに必要な皮脂をも取り除いてしまうため、肌荒れの原因となります。小さな子どものターンオーバーは1~2週間といわれ、驚くほど早いのです。そうなると垢が多く出るのですが、ゴシゴシ擦ると、まだ剥がれてはいけない薄い皮膚も傷つけてしまうので注意が必要です。外で泥んこになって遊んだのであれば、肌に優しいボディシャンプーを使うのは仕方ないと思いますが、そうでなければお湯で洗い流してあげるだけで十分ではないでしょうか?子供に合わせた環境づくりを私たちが良かれと思って実践していることも、子どもから見たら必ずしも良いとは限りません。誰に合わせて生活スタイルを組み立てるのか。子どものいる家庭であれば、もちろんそれは子どもを中心に考えるべきです。なぜなら私たち大人よりもデリケートだからです。目の前にいる子供をしっかり観察し、体の状態やしぐさから情報を得て、理解してあげるのも、立派な親の役目。お子さんの様子をしっかり見て、それに合った環境にしてあげてください。(鈴木元/マタニティ鍼灸マッサージ院・天使のたまご総院長)
2015年09月02日日々すくすくと育ち続ける赤ちゃん、移り変わる季節、それに合わせて赤ちゃんの眠りの悩みはつきないもの。今回は夏になると特に気になる「赤ちゃんの寝汗」について一緒に考えてみましょう。赤ちゃんの寝汗のメカニズム夏の夜、赤ちゃんは寝汗でびっしょり! 「暑い?」「脱水症状にならない?」「汗が冷えて風邪ひいちゃう?」などママの心配はつきませんね。でも、そんなに心配しなくても大丈夫! 赤ちゃんがたくさん寝汗をかくのは自然なことなのです。体には眠りに入るために深部体温を下げるというしくみがあり、汗をかいて皮膚表面で蒸発させることで放熱し体温を下げています。ちなみに眠くなると手足がポカポカするのも、このしくみによるものです。そして、赤ちゃんの体温調節機能は発達途中。周囲の温度の変化に影響されやすく、気温が高ければ汗をたくさんかいて体温を下げる必要があります。これが、赤ちゃんがたくさん寝汗をかくメカニズムです。赤ちゃんの眠る環境は特別に整える必要はあるの?突然ですが、皆さんは赤ちゃんを迎えるまでどのような環境で寝ていましたか?眠りが乱され、朝起きた時にはぐったりする暑さや寒さの中で寝ていましたか? 目覚めが悪く、明らかに睡眠の質を下げているような環境ならば、何かしらの対処をおすすめしますが、ある程度、温度などを調節して「大人がぐっすり眠れて、気持ちよく目覚められる環境」であれば、赤ちゃんも同じ環境で寝ていて大丈夫です。ママがしてあげられることは?ですから、扇風機などで部屋の空気循環を促し、必要に応じて冷房を使用するなど、汗が蒸発しやすく体温がスムーズに下がり入眠しやすい環境を整えてあげたら、「寝汗の心配」「眠りの質」をそれほど心配しなくても大丈夫。その時に注意が必要なのは「扇風機の風向き」と「冷房の温度」。直接、風に長時間あたると体が冷え過ぎてしまうし、寝汗をかかせたくないと部屋の温度を下げ過ぎると、赤ちゃんの発汗の練習機会を奪うことになりかねませんのでほどほどに。「寝冷え」「あせも」が気になる場合は、着せすぎに注意し、背中と服の間にタオルを挟んでおき、寝入って汗が落ち着いたころにそっと抜いてあげましょう。脱水の心配については、夜間授乳があれば水分は足りています。夜間授乳がない場合も寝る前に水分をとっていれば、夜間に起こして水分をとらせる必要はありません。ですが「暑いのに汗をかかない」「体が熱い」「いつもより呼吸が速い」などの異常を感じたら熱中症の疑いもあります。部屋を涼しくする、水分補給、太ももの付け根・腋の下・首の後ろを冷やすなどの対処をしてください。熱中症の初期症状・対処法を知っておくと慌てずに対処できますね。■まとめ赤ちゃんが寝汗をたくさんかくのは自然なこと。朝起きた時に「大人が気持ちよく目覚められる」「赤ちゃんが極端に不機嫌でないか」を夏の夜の心地よい環境の目安にしてみてください。(眠り研究所)参考資料 環境省の熱中症対策マニュアル 3-2高齢者と子どもの注意事項
2015年08月15日