意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「赤字ローカル線」です。技術を使い、町に付加価値をつける好機にしては?赤字ローカル線の問題が深刻になっています。少子高齢化や過疎化が大きな要因ですが、コロナ・パンデミックにより、JRの経営を支えてきた新幹線の利用客が激減。赤字を補填できなくなったことが大きく作用しています。1kmあたりの1日の平均乗客数1000人未満を主な基準に、現在、JR東海を除くJR5社の61路線100区間が見直しの対象になりました。赤字路線が廃止になってしまうことは、地域にとっては死活問題。住民の足が失われ、移動が困難になるだけでなく、地域の誇りが失われてしまうんですね。電車が通ることで、都市部とつながり、人の往来によって文化が育まれます。赤字でも朝夕だけ運行するなど路線をなんとか維持してきたのは、学生の通学に必要だったからです。地域に学校は必須。学校を失えば、その土地で子供を産み育てようというモチベーションもなくなりますから、将来的に町は廃れていってしまいます。そんななか、北海道の上士幌町では新しい試みを始めています。この地域は30年以上前に鉄道が廃止になり、帯広空港からのアクセスは限られた本数の路線バスしかありません。観光客はレンタカーで移動し、運転手不足のためタクシーはほとんど走っていません。そこで町はデジタル化と新しいテクノロジーを導入し、空港と町の間に自動運転バスを走らせることにしました。上士幌町は自動運転車の実証実験の場になっているんですね。時速30~50kmのゆったりしたスピードで、観光客は雄大な農地や牧草地を眺めながら、自動運転バスのなかでお弁当やお酒を楽しんだりして過ごし、町まで来ることができます。また、鉄道の代わりに、ドローンと陸送を組み合わせたハイブリッド型の輸送も検討中です。「赤字ローカル線の見直し」というと、後ろ向きなニュースとして語られがちです。しかし、最新技術を駆使することで、町や観光に新たな付加価値をつけることも可能になります。国鉄の民営化により、これまでは地域にインフラを背負わせすぎたかもしれません。国や地域の補助金を投入することで、新産業を起こすことも今後は考えていく必要があるでしょう。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年10月5日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年10月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「好きなモノの話」です。僕は誰かが、こだわりを持っている“好きなモノ”について語っているのを聞くのが好きです。自分が知らないことや興味がなかったことをその世界に詳しい人に教えてもらえるだけでなく、好きなモノの話を目を輝かせて嬉々として語っている、その人の顔を見るのが好きなんです。だからTVの『マツコの知らない世界』を見るのが大好き。僕もああいう番組をやって、いろいろな人のこだわりの世界を教えてもらいたいです。なぜそう思うかというと、僕自身にそういうこだわりがあまりないからなんです。10年以上も何かを追っていたり集めていたりするような、特別好きなモノってないような気がします…。なんでもかんでも満遍なく、広く浅くでいいかなと思ってしまうタイプなので、何かにのめり込んで偏愛することって自分では経験できないと感じています。だから、人の話を聞いて「そうなんや…!」と感動したいんだと思います。先日も、競馬が好きな友だちに大井競馬場に連れていってもらいました。もちろん、競馬について僕は何も知らない。だからあれこれと教えてもらって、すごく楽しかったです。当日は、雨が降っていて馬場状態が悪かった。ぬかるんでいるときは先行逃げ切りタイプの馬が勝ちやすいとか、あとはパドックで白い汗をかいている馬はあまり状態が良くないとか、長い頸(くび)を鶴のように曲げているツル頸の馬は調子がいいかもしれないとか、好きだからこそ知っている情報や専門用語ってあるじゃないですか。そういうのを教えてもらうのが面白かった。もっと教えてほしいから僕もいろいろ質問をして、競馬ってすごく奥が深いんだなと感じました。好きな人と一緒に行くと世界が広がるのが早い。どんなジャンルでも、そういう話が聞けると足を踏み入れやすいですよね。そうやって好きなモノを少しずつ増やして、いろんな英知を広げていきたいなと思っています。そもそも、ずっと何かを好きでいられるってすごいことです。僕もミュージシャンをしているので、僕の音楽を好きでい続けてもらうことが活動の中でとても大事なことだと思っています。年月が経てばファンの方だってライフステージが変わりますから、音楽の聴き方も応援の仕方も変わってくるはず。それでも「好きだ」って、目をキラキラさせて語っていただけるようなアーティスト活動を続けられたらと思います。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年10月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年10月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「『スッキリ』のマンスリーMC」です。日本テレビ系列の朝の情報番組『スッキリ』のエンタメコーナー「SHOWCASE」マンスリーMCとして8月に4回、生放送に出演させていただきました。レギュラーを務めているテレビ東京系列の『おはスタ』も同じ朝の生放送。さらにNHKの『テンゴちゃん』でも生放送は経験しているし、生の歌番組にも出演させていただいたことがあります。なのでそんなに不安はなかったのですが、実際にその現場に飛び込むと驚くことがたくさんありました。すっかりカルチャーショックを受けて帰ってきました。『おはスタ』は、台本の流れがとてもしっかりしています。子どもたちが見る番組ですし、きちんと一つ一つのコーナーを回していくことを第一に考えています。はっきりと進行が決まっていて、僕たち演者もしっかりリハーサルをして生放送に臨みます。一方、今回参加させていただいた『スッキリ』はとにかく自由!もちろん台本は用意されています。番組の流れ自体は、『おはスタ』と同じようにしっかり決まっています。でも、もし今話していることが盛り上がったり、メインMCの加藤(浩次)さんが全然違う質問をして、それが面白かったりすれば、ライブで起きていることが最優先で進められる。用意していたコーナーが放送時間内に入りきらず飛んでしまうこともありました。『おはスタ』のようなきっちり進行がすっかり身についている僕は、「ここでCMに振る台詞を俺が言わないといけないんだけど、今の流れだと言わなくていいのか、言ったほうがいいのか…どっち!?」と頭の中でぐるぐると考えてしまって、最初のほうはちょっとふわふわとしていたと思います。性格的に僕は台本がきっちり決まっていて、それに沿ってやるほうが向いているタイプなんです。就職活動でもグループディスカッションが得意だった。話が脱線したらとにかく本筋に戻したい。今回も「戻さないと」とつい考えてしまい、加藤さんや天の声さんなど超一流のMCたちによるフリースタイルのアドリブ合戦にまだまだ力及ばず、番組の流れに乗り切れなかったなと感じました。でも、4回出演させていただいて、最後のほうは流れに乗るコツを少しは掴めたかな!?という感触もあったので、ぜひまた番組に呼んでいただきたいです。次こそはフリースタイルで、ビシッとゴールをたくさん決めたいです!おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年9月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年09月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「食料危機」です。戦争により小麦の供給がままならず深刻な状況に。現在、世界的な食料危機に陥っています。紛争や気候変動、コロナ・パンデミック、そして価格高騰により世界で8億2800万人の人が飢えに苦しんでいます。ロシア軍のウクライナ侵攻で状況はさらに深刻化しています。ロシア軍が侵攻するまで、ウクライナの小麦の輸出量は世界5位。ロシアは世界最大の輸出国でした。アジアやアフリカ、中東の開発途上国などの貧しい地域は、ウクライナやロシア産の小麦に頼っていました。戦争により農地は荒らされ、ウクライナの小麦畑はロシア軍により地雷が埋められ、撤去しなければ農作業できない状態に。また、農業従事者の国外避難、怪我や死亡により、生産量は減る一方です。さらに、小麦の輸出拠点となっていたウクライナのオデッサ港がロシア軍により事実上封鎖され、政治交渉に使われました。それにより、イエメンやスーダンなど中東、アフリカ地域に小麦が届かず、供給価格が2倍以上に。このままでは飢餓地域に小麦を届けられないため、世界食糧計画(WFP)は停戦して港を開き、人道支援チームが入れるようにとロシアにリクエストし続けました。国連とトルコの仲介でようやく合意に達しましたが、その直後に港は攻撃されてしまいました。日本では、小麦の価格高騰は値上げのニュースとして取り上げられることが多いですが、世界では、深刻な飢餓が加速していることをぜひ知っていただきたいです。日本は米が余っていますから、米粉を使ったパンの製造技術を広げるなど、何かできることがあるかもしれません。岸田首相がアフリカの食料支援に約1.3億ドルの拠出を決めたと発表したとき、「日本も大変なのに、支援する余力はないのでは?」という心ない声も寄せられました。しかし、それらの開発途上地域に支えられて日本は発展してきました。今こそ世界協調を実践してほしいと思います。WFPのもとで開発された「ShareTheMeal」は、飢餓撲滅を目的としたアプリで、スマホ決済で85円から寄付ができます。世界各地の人道支援を必要とする現地からのレポートも書かれていますので、ぜひ見ていただければと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年9月28日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年09月24日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「新曲」です。楽曲ができたら、まず誰かにそれを聴いてもらいます。実家に住んでいたころは最初に母親に聴いてもらっていました。なんで友達でも音楽関係の知り合いでもなく母なのかというと、いちばん衒(てら)いのない率直な意見を言ってくれるからです。お茶の間的な一般のリスナー層に近いというところもいい。「分からん」と言われたら、これでは大衆に伝わらないんだ、もっと工夫をしないと、と納得できます。母も楽曲については手厳しいので「このネタ曲は今、歌詞カード見ながら聴いているから分かるけれど、ライブで音だけで聴いたらゴチャついてしまって伝わらないと思う」などクリアにはっきりとした意見をくれるので、本当に参考になっていました。でも、母に最初に聴いてほしいというのは自分が作った曲を母に褒めてほしいという気持ちが根底にあるからだと思います。僕は一人っ子なので、学校の工作でも一人遊びでも、何かもの作りをしたら母親に見せるというのが小さいころから染みついています。作って見てもらって褒めてもらう。それがうれしいから繰り返す。今もその延長線上にいるんだと思います。上京してからは、楽曲ができ上がったら所属レーベルの岡崎体育チームのグループラインに音源を送ってまず聴いてもらっています。それもできれば常に褒めてもらいたいと僕は思っています。いつも「これはどういう感じで褒めてもらえるんやろ…」と期待を込めて送ることが多いです。そして期待通りにだいたい褒めてもらえるのですが、先日珍しく「これはボツにしましょう」とはっきり言われました。褒められたい性分なのでちょっとショックを受けましたが、それを言ってくれたのが僕の担当になってまだ1年たってない新しいディレクターの人。しかも僕より2歳年下のスタッフです。彼が「この曲は今出すタイミングではない」と言ってくれたのですが、それが僕も納得できる意味合いだった。褒められたいと日々思っているものの、的確に否定してくれるというのもなんだか安心できるものだなと思いました。なんでも褒められて、裸の王様になることがいいことではないですから。僕には、年齢や上下関係で忖度せずに意見をはっきり言ってくれるスタッフが付いてくれている。それが分かったことで、僕も気持ちを切り替えて、次はめちゃくちゃ褒めてもらえる曲を作ろうと思えるようになりました。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年9月21日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年09月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「機材車」です。突然ですが、僕には機材車がありません。機材車というのは、ライブ会場まで、アーティストが演奏する楽器やステージで使用するアンプなどの機材を運搬するための専用車です。夏フェスのシーズンなどは、アーティストごとそれぞれの機材車が会場まで機材を次々と運び込みます。一方、岡崎体育はといえば、僕の機材は先週ご紹介したお立ち台とパソコンを置くための台だけです。どちらも単なる“台”で、繊細な楽器でも精密機器でもありません。なので、ライブ会場へは宅配便を使って送ってもらっています。台なので、横にしても縦にしても、上に何か積んでいただいても大丈夫です。パソコン本体は僕が手持ちで運んでいます。こんな感じなので、デビューしてもう6~7年経ちますが僕には専用の機材車というものがありません。レーベルメイトのマハラージャンは、デビューしてまだ1年ですが、年末のツアーでは機材車が用意されるとの噂を聞きました。「同じソロアーティスト同士なのに、この差はどういうことやねん」と、ちょっとモヤッとします。まあ、マハラージャンはバンドスタイルでパフォーマンスをしますから、僕とはスタンスが違います。ここはグッと大人になって、「僕は、台を配送していただくので何も問題ないです」と、この場を借りてレコード会社にあらためて申し上げておきたいと思います。モヤッとするというのも冗談で、本音を言えばレコード会社に「じゃ、岡崎くんにも機材車を用意するよ」と言われても困ってしまいます。だって、まったく必要ないですから。僕は倹約家で通っていますから、会社に余計な経費をかけずにやっていけるならそれに越したことはないです。インディーズバンドも機材車を持っていることが多いです。でも専用の運転手などいないので、メンバーが交代で夜通し運転して日本を縦断してツアーを回ります。いわゆるバンドワゴンですよね。僕がカバーをさせていただいたフラワーカンパニーズさんの「深夜高速」も、自分たちの夢を乗せて深夜に高速を疾走するイメージがあります。実をいうとこういうバンドワゴンなシチュエーションも僕は体験したことがありません。飛行機と新幹線移動ばっかりです。機材ないですし、一人きりなので。でも憧れはあります。いつかバンドセットでツアーを回ることがあったら体験できるでしょうか。いや、僕はやっぱり新幹線に乗ってしまいそうです。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年9月14日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年09月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「黄金の3年間」です。経済政策次第で、黄金になるか闇になるかの瀬戸際。衆議院が解散しないかぎりこれから3年間は国政選挙はありません。多数の議席をとった岸田政権にとっては、政権が揺るがされることはないため「黄金の3年間」といわれています。再分配政策を掲げて当選した岸田総理ですが、経済政策をどこまで実行できるのか。何もしなければ国民にとっては暗黒の3年間になりかねません。世界情勢は混乱し、物資もエネルギー価格も高騰。インフレに悩む欧米諸国は金融緩和の引き締めに入りました。ところが日本はなかなかデフレから脱却できず、賃金は上がらず、消費は冷え込むばかり。日銀は金融緩和を継続することにしました。世界のなかで日本は競争力を失い、貧しさが際立ってきています。安倍政権では航空宇宙産業や新しいテクノロジー、菅政権ではデジタル庁の立ち上げなど、明確なメッセージが打ち出されましたが、岸田政権の経済政策の目玉はいまだに出ていません。「資産所得倍増」を掲げ、NISAやiDeCoなどの投資を推奨していますが、元手がなければ投資マインドも起こりにくいでしょう。製造業ではAIやデジタル化が進み、人手が必要なくなります。それらの人材は第一次産業やサービス業に流れますが、一次産業は法人化が遅れていますし、サービス業は低賃金で過重労働、競争も激しい。いま日本の中間的な働き手が行き場を失っているんですね。ですから、早急にしっかりと稼げる産業づくりを行う必要があると思います。かすかな希望は「デジタル田園都市国家構想」。地方創生とデジタル政策を掛け合わせて、これまで都市に集中していた産業を地方に分散させ、地域で付加価値の高い競争力のある産業を作ろうというものです。日本の黄金期が再び迎えられるかどうかはこの3年間で試されます。経済政策に積極的な手を打たなければ、不労所得に支えられる金融市場への課税と社会保障の見直しで財源を確保する方向に進み、国は縮小方向に向かってしまいます。私たち国民は政府の働きに注視し、政策が良くなかった場合には、3年後に厳しい決定を下すという圧力をかけておく必要があります。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年9月14日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年09月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「お立ち台」です。ライブではいつも、ステージのセンターにお立ち台を置いています。お客さんを煽るときにはやっぱり、一段高いところから煽ることが大事ではないかと思うからです。古代ギリシャの時代から、デマゴーグするのは一段高いところからと相場が決まっています。そもそもステージは見やすいように観客席より高い位置にあります。お立ち台はそこからさらに一段上がる。ただ上がるだけでなく、今からお立ち台に上がるぞというパフォーマンスを見ていただくことも大事です。一段高いところに上がることで、「この人は今から大切なことを言ったり、したりするに違いない」と、観客に視覚情報で認識してもらえます。だから、お立ち台に上り下りする行為は、ステージパフォーマンスにおいてとても意味があると思います。僕の専用お立ち台ができたのはデビュー後です。レコード会社の方が用意してくれました。専用のお立ち台があるとええな、と思ったのはデビュー前のこと。対バン相手のバンドの方がステージにお立ち台を置いていて、それを「岡崎くんも使っていいよ」と言ってくれたんです。お借りして使ってみたらめちゃくちゃ安定していて、上がりやすかったんです。それまでのライブでは、ビールケースとかライブハウスにある箱馬を使ってやっていた。そうするとグラグラするし、ちょっと跳んだり跳ねたりするとライブ中に軋んだりして怖かったんですね。それに比べて専用のお立ち台はとても安定していて、安全に踊ったりジャンプしたりすることができました。それで、デビューするなら僕も専用のものを作っていただこうと思いました。今使っているお立ち台はショッキングピンクのカラーリングがしてあります。僕のステージってバンドもいないし、機材の黒っぽい色かシルバーっぽい色しかない。少しでも映える明るい色がいいなと思ってこれを選びました。でも、色こそ派手ですがとてもシンプルです。他のバンドの方々もいろいろなお立ち台を使っています。ゴールデンボンバーのお立ち台とか、めっちゃ高さがある。3段くらいあって飛び乗る感じです。僕にはそれはちょっとしんどいので、すっと上がれるくらいの今のサイズが気に入っています。あえて苦言を呈すなら、横幅ですかね……。踏み外しそうになることがあるので、安心して踊れるくらいの横幅があると本当はうれしいです。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年9月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年09月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「政治と宗教」です。政策にどれだけ介入していたのか。透明性を求める。安倍元首相の銃撃事件を機に、政治家と旧統一教会との関係が問題になっています。自民党の保守系グループ、なかでも清和会とのつながりは古く、歴史的な経緯がありました。旧統一教会の教祖・文鮮明氏は1968年に国際勝共連合という、共産主義に勝つことを目的に掲げた政治団体を立ち上げました。敗戦後の日本は、民主主義国家になるか、中国やソ連をはじめとする共産化の波に呑み込まれるかの瀬戸際にありました。日本の共産化を防ぐという大義のもと、イデオロギーを同じくする一部の保守系の政治家たちは、勝共連合と強く結びついたのです。1980年代になり、統一教会の悪質な霊感商法などが社会問題になりました。’97年に教会から名称変更の要望がありましたが、実態が変わらないまま変更を認めれば社会に悪影響を及ぼすと、文化庁は認めませんでした。ところが、2015年に変更申請は文化庁に受理され、現在の「世界平和統一家庭連合」に。ちょうど第3次安倍政権が発足して1年目でした。当時の下村博文文科相のもとで交わされた文書が公開されましたが、変更が可能になった理由の部分は黒塗りでした。教会側にとっては、政治家が集会に出て挨拶をしたり祝電を寄せることは、自分たちの正当性を証明することにもなります。信徒たちはボランティアとして無償で選挙運動を支えていました。問題は、政権与党は宗教団体からの政策リクエストをどれほど受けていたのか、ということです。憲法改正やスパイ防止法推進、同性婚や選択的夫婦別姓に反対など、自民党の主張と団体の運動方針は重なるところがあり、因果関係の有無を明確にしてほしいです。旧統一教会に限らず、私たちの与り知らないところで、さまざまな団体が絶えず献金をしたり、選挙を手伝ったり、組織票を入れるなど、政治家と利害関係を結びながら、自分たちの求める政策を実行させるという構図が、今回明らかになりました。政治は放っておくと、お金や力のあるところに吸い寄せられてしまいます。市民やメディアが絶えず緊張感を持ってチェックし、政治の透明性を求める努力を続けていかなければならないと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年9月7日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年09月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「#教師のバトン」です。疲弊した現場があぶりだされた。政策に反映を。「#教師のバトン」は、昨年3月に文部科学省が始めたプロジェクト。ベテラン教師から若手教師に、現職の教師から教師をめざす学生や社会人に、先生方のノウハウや学校にまつわる日常のエピソードなど、情報をSNSを使って発信、共有。教職の魅力を広めてもらう目的でスタートしました。ところが蓋を開けてみたら、いい話もある一方で、教育現場の過酷な状況を訴える投稿が多く寄せられ、国はこれらの実態を把握していなかったのではないか、ということが明らかになりました。最も問題になったのは長時間労働です。2018年のOECDの調査によると、日本の中学校教師の仕事時間は週56時間で、48の調査に参加した国と地域のなかで最長。文科省の調べでは、1950~’60年代と2000年代以降では、小中学校の教育活動時間は近年のほうが長くなっていますが、これは部活動や教育相談、進路相談など、授業以外の時間が増えたためといわれています。しかし、残業時間は一律に決められていて固定化されたままです。また、休日やプライベートの時間を割いて子どもたちの指導にあたらないといけない、ブラック部活動問題もあります。近年は、子どもたちのメンタルヘルスの状況が悪化し、教師の負担を大きくしています。デジタル化や、コロナ禍では消毒や感染対策も先生方の肩に重くのしかかりました。「#教師のバトン」であぶりだされたさまざまな不満は、現場のニーズです。現場の声を国は、具体的な政策にぜひ落とし込んでほしいと思います。部活動の指導に関しては、土日は地域のスポーツ教室に委託する動きも出てきています。しかし、社会経験の豊富な人が、教員免許を持っていなくても1~2コマの授業を担当できるなど、外部参入の障壁を低くする抜本的な改革も必要なのではないかと思います。そもそも教育に潤沢な予算をかけないから、数が足りずに教師に負担がかかっているという指摘もあります。OECDのなかで日本は、教育費がGDPに占める割合が平均以下。これを改善しないと疲弊した状況は変わりません。みなさんもぜひ「#教師のバトン」で現場の声を知ってください。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年8月31日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年08月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「他のアーティストのライブ」です。最近、よく他のアーティストのみなさんのライブに遊びに行くようになりました。以前はライブを観に来てくださいとお呼ばれしても、遠慮させていただくことが多かったんです。ライブを観に行くよりも自分の曲を作る作業を優先させたいと思っていましたが、よくよく考えると、その2~3時間の間で制作をしていたかというと、それよりも寝てたり、ゲームをしたりしてたなと思い至り、だったら自分によい影響を与えてくれるライブを観たほうが自分にとって有益だ、と思うようになりました。先日お伺いしたのはGirls2と阿部真央さんのライブです。Girls2は、パフォーマンスの質やレベルが高い。ダンスがとにかくかっこいいので観ているだけで元気をもらえます。阿部真央さんも歌がとにかくうまい。日本のメジャーシーンで活躍しているアーティストの中でもトップクラスに歌がうまいと思います。J‐POPにR&Bやブラックミュージックの要素を取り入れて新しい見せ方を提示してくれている。この進化の先に何があるのか楽しみだな、といちファンとして思いました。ライブではセットリストの流れにこだわって観るようにしています。あ、ここでバラード系を入れるのか、もうひと盛り上がりさせるタイミングはここなんだな、とか。それと、どのアーティストのお客さんにも必ず、会場が“待ってました!”となる曲がある。それが一体どんな曲で、どこにその曲を持ってくるのか?MCを入れる位置なども気になります。あと、アイドルのライブでは、お客さんのことも見てしまいます。どんな曲で盛り上がるのか、その盛り上がり方はどんな感じなのかなどに注目しています。Girls2は、同世代かつ同性のファンがすごく多いことに感心しました。同性に憧れられるアーティストっていいですよね。客席を眺めて、彼女たちをキラキラとした視線で応援している女の子たちにとても感動しました。メンバーたちにとっても、そういうお客さんがたくさんいることはすごく自信になることだと思います。誇りに思ってほしいですね。今年はサマソニにも出演するので、フェスでもいろんなアーティストのライブを観たいですね。大好きなクーラ・シェイカーも出演するので観に行きたいと思いましたが、タイムテーブル的に微妙に移動できない時間帯でちょっとがっかりしています。仕方ないことですが…。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』8月17‐24日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年08月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「侮辱罪厳罰化」です。言葉は凶器になる。皆で自覚を持ち、誹謗中傷をゼロに。7月より侮辱罪が厳罰化され、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金が追加されました。自死に追いやられたプロレスラーの木村花さんや、池袋暴走事故の遺族の松永拓也さんらをはじめ、インターネット上の誹謗中傷は大きな社会問題になっています。侮辱罪とは「具体的な事実の摘示をしないで、不特定または多数の人が見られる中で口頭や文書を問わず、他者を侮辱することを内容とする犯罪」です。身体的特徴を揶揄する言葉や、障害者の方への差別的発言も侮辱罪の範囲になります。難民申請で留め置かれている人に対して、「早く国へ帰れ」というのも範疇に入ると僕は思います。また、侮辱罪よりも悪質な、「事実を摘示し、公然と、人の社会的評価を低下させた場合」に成立するのが名誉毀損罪です。さらに、「殴るぞ」「殺してやる」などの暴力的な言葉が入ってくると脅迫罪。嘘、デマを流して経済的・社会的信頼を低下させる行為は信用毀損罪、業務妨害に及べば業務妨害罪になります。侮辱罪はこれらの一番入り口、幅広に適用されます。言う側は、ちょっとした軽口、正義感にかられて発信したとしても、人が苦しめられて亡くなるケースがあります。誰かを侮辱する発言をリツイートするなど広めることも罪に問われます。そのつもりはなくても加害者になる可能性もあるので、注意してください。今回の侮辱罪厳罰化は、注意喚起としては大きな前進といえますが、被害者救済には到底至っていません。被害を受けた方々は、証拠集めから訴訟まで長い時間闘いを強いられ、弁護士費用には、場合によっては100万単位のお金がかかります。被害者の負担が軽減される仕組みづくりが必要ですし、プラットフォーマー側にも、問題発言のリスト化など、迅速に訴訟に協力できるようなシステムがあってもいいのではないかと思います。SNSは公の場という自覚が必須です。自分と直接関係なくても、ネット上で侮辱罪にあたる発言を見たら、通報する機能が各プラットフォームについているので、ぜひ活用してください。そうして、社会全体でメディアリテラシーを底上げすることが大事です。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』8月17‐24日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年08月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「夏の曲」です。暑いですね。夏真っ盛りです。夏になると夏の曲を書きたくなります。でも、それではミュージシャンとしては間違っています。時すでに遅しなんです。夏の曲を今書いたとしても、それを夏にリリースできるのは来年になってしまう。今年の夏にリリースするためにはその前の冬、遅くとも春先までに「夏の曲を書きたい、書くぞ!」と思わないといけない。ざっくりとしたスケジュール感を説明します。夏に曲をリリースするためには、2~3月には着想し、3月中に楽曲完成、4~5月にレコーディング、6月にプレス、7月にリリースが理想です。これを実践できないといけません。しかし、これがなかなかに難しいです。それを今年やってのけているのが、同期デビューのヤバイTシャツ屋さんによる「ちらばれ!サマーピーポー」です。驚きの6月29日リリースです。めっちゃ夏を先取っています。これを聴かせていただいたときに、季節感を読み切ってやり抜けていると、そのプロ魂に感動しました。めっちゃ夏を盛り上げてくれています。同期なのにどうして僕はまだそれができないのでしょうか?僕にも「八月の冒険者」という夏の歌がありますが、これはまさに8月に書きましたので、リリースできたのは10月。アルバム『FIGHT CLUB』に収録されていますので、今こそ、ぜひ聴いていただきたいです。僕は、ネタ曲も多いですし先読みして書くことが得意と思われているかもしれません。しかし、実は意外と苦手です。想像して、「この時期にはこういうことを思ってそうやな」と書くことができない。今自分が考えていることや感じていることしか書けないタイプなんです。だから今の気持ちで夏の曲を書いても、できたときにはもう夏は終わっています。というか、もはや今考えるべきことは、冬にリリースする冬の曲のことなんですよね。「雪が舞い散る」とかの歌詞を今考えないといけない。それはなかなかに大変です。なので、夏シーズンに大活躍する夏曲や、夏が売りのバンド…それこそTUBEさんのような方々は本当に素晴らしいと感動します。だって、冬場に絶対頑張っていらっしゃいますから!夏が来る前から夏に聴きたいだろう曲を用意してくださっている。僕も真似できるようになりたいです。盛り上がる夏の歌作りたいです。そのために今年の夏の思い出をしっかりとストックしておきたいと思います。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて17道府県で18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年8月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年08月06日氣志團の大型野外GIGから派生し、2012年にロックフェスとして産声を上げた氣志團万博。開催地は“かなしみのない国”かつ“太陽と潮風の故郷”、彼らの地元である木更津だ。地元で大きな祭りをブチ上げる、それはこのフェスを主催する氣志團の綾小路翔さん(以下、翔やん)にとってひとつの大きなライフワークとなった。その歩みが止まった’20年、’21年。翔やんは何を考えていたのだろう。「それが当時を振り返ると、意外と冷静に状況を見ていた自分がいるんです。’20年早々に予定していたツアーが飛んで、スケジュールは白紙。自宅で過ごす日々が続きました。僕が家にいるなんてほとんどなかったことですから。生まれて12年間くらいですよ、家にいたのなんて。中1くらいからずっと外でフラフラしていた人生なので。だからそれがすごく新鮮で。みんなが苦しんだり悲しんだりしている中、誤解を恐れずに言えばですが、僕はどこかでほっとしていたんです。曲がりなりにもメジャーレーベルに所属して、商業音楽のサイクルの中でひたすらがむしゃらに走り続けてきた。ファンの方々、メンバーやスタッフ、そんな自分を愛してくれる人々がいる限り、自ら止まるという選択肢はなかったんです。しかし’20年、コロナ禍で止まらざるをえなくなった。でも、そのおかげで見えたものが確実にあったんです」’20年の現地開催は断念。代わりにオンラインでの無観客配信ライブ「氣志團万博2020~家でYEAH!!~」を開催した。2019年にラスボス来た、と思ったけど、違った。「この決断も当時は結構前向きだったんです。5月にフジテレビさんで『STAY HOME, STAY STRONG~音楽で日本を元気に!~』という、アーティストの在宅パフォーマンスを届ける“家フェス”音楽番組のMCをさせていただいた。その時、あ、やっぱすげえなって思った。最近は芸人って言葉はお笑い芸人さんを指すものになっているけれど、僕にとっては舞踊でも手品でも、身一つで何かしら表現できる人はすべて芸人だと思うんです。ミュージシャンもそう。ギター1本で、何なら声ひとつで発信できるって、すごい芸事なんだとあらためて感動してしまって。こういう時はどかんとフェスをやるよりも、ミニマムでも自宅にいる人たちがハッピーに過ごせるための何かを届けるべきだと痛感したんです。それで氣志團万博もオンラインにシフトチェンジした。たくさんのミュージシャンが参加してくれました。放送してくれたWOWOWさんも心意気を見せてくれて。Zepp Hanedaに何台もクレーンとカメラを入れて最高のステージをお茶の間に届けてくれた。興行としてはギリギリ赤字が出ないくらいで、まあなんとかやれたな…という感じ(笑)。それでもこの時は、こうやって乗り越えていくことに意義があると思えたんです」しかしコロナの猛威はおさまらず、’21年も開催を見送ることに。「’21年は一転、もうどうしようもないなって状況でした。僕たち、’19年に令和元年房総半島台風を経験しているんです。千葉県は重大な被害を受けて、まだ復旧していない場所も多くあった。その中でフェスをやるべきか、否か。あの時は、天災という最大の敵、まさにラスボスと対峙していると思っていたんです。まさかそんな“フリーザ”のあとに、コロナという“魔人ブウ”が出てくるとは思っていなかったですから。僕は常日頃、悩んだ時こそ前に進むことを信条にしています。だから’19年も開催に踏み切れた。だけど’21年はそういうんじゃねえなって。もうこれは悩むことじゃない、耐えるしかないんだって。ご協力いただいている地元のみなさんのこと、出演をご快諾いただいたミュージシャンの仲間たち、応援してくれるファンの方々、その誰のことを考えても義理を欠いてしまう。だったらここは耐えて、未来を、来年のことを考えようと思いました」フェスにはその日にしかない奇跡が本当に起きる。今年は氣志團万博の開催を予定している。この3年でフェスを取り巻く環境も大きく変わったと言う。「今年だってどうなるかわかんないし、いくつもスポンサーさんが降りちゃったりとか、“うわー”と思うことはたくさん起きてて。正直逃げ出したくなることがいっぱいです(笑)。でも、やっぱやりてえな~となるのは、みんなに会いたいからなんです。みんなの楽しんでいる顔が見たい。うちのフェスって、ライブハウスが主戦場の叩き上げロックバンドもいれば、大御所歌手、さらにはテレビスターやアイドルも同じステージに立つ。そのバラエティさに困惑なさる方もいるかもしれないけれど、僕はそれがたまらなく好きで。10代のビジュアル系バンドのファンの子がアコ(和田アキ子)さんの歌で泣いてたり、矢沢永吉さんのファンの方がアイドル見て盛り上がってくれてたり、ももクロのファンの子たちが10-FEETで誰より早くダイブする姿だって見てきた。なんか、そういう新しい“好き”を見つけてほしいんですよね。僕自身が好きなものがすごく多い人生で、それが最高だなって思うから。みんなも好きが1個でも増えて帰ってくれたら、こんな達成感はないんです。単なる、おせっかいおばさんみたいなもんです。これもいいよ、こっちも美味しいよ、ほれ食べな、もっと食べなって(笑)。俺が惚れたバンド、ミュージシャン、アーティスト、そんなん全部いいに決まってるじゃんって。それがこのフェスなんだと思います」今年もどんなステージが繰り広げられて、どんな化学反応が見られるのか楽しみで仕方がない。「フェスやっていると、その日にしか起きない奇跡って本当にあるんだなって思うんです。それを一人でも多くの人に生で体験してほしい。僕自身はそこで何が起きたかをしっかりと後世に伝えていく役目。もはや“語り部”なんです。……本当はロックスターになりたかったはずなんだけどな(笑)」「氣志團万博2019~房総ロックンロール最高びんびん物語~」よりあやのこうじ・しょう千葉県木更津市出身。1997年結成のロックバンド、氣志團のボーカル兼リーダー。「氣志團万博2022~房総魂~」は、千葉・袖ケ浦海浜公園にて9月17日、18日、19日の初の3日間開催。香取慎吾、聖飢魔II、松平健、布袋寅泰、木梨憲武などこの日しか体験できない期待感膨らむステージが目白押し。シャツ¥38,500(DIET BUTCHER/Sakas PR TEL:03・6447・2762)Tシャツ¥7,700(SUPER THANKS/jajahhn TEL:03・6804・5596)左手のリング¥25,300右手のリング¥33,000ウォレットチェーン¥7,150レザーブレスレット 参考商品(以上JAM HOME MADE/JAM HOME MADE東京店 TEL:03・3478・7113)パンツ、シューズはスタイリスト私物※『anan』2022年8月10日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・小泉美智子取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年08月04日滋賀県出身で滋賀ふるさと観光大使も務める西川貴教さんが、2009年に地元の行政と手を組みスタートさせたイナズマロック フェス。琵琶湖に臨み、豊かな自然とともにステージを感じることができる西日本最大級の野外フェスイベントだ。他の多くのフェスがそうであったように、本フェスも’20年はオンライン配信で1日限りの開催。’21年は中止を余儀なくされた。「この2年間で感じたことは、どうしようもない無力感でした。僕たちのようなエンターテインメントの世界をはじめ、スポーツもアートもそうですが、文化的なものというのは、安全とか安心が担保された状態だとみなさん大事なことだと推奨してくださる。だけど、一度今回のような非常事態が起こると、必要のないものとして片付けられてしまう。楽しみとしてだけなら、それを我慢すればいいというのもわかります。でも、それで生活をしている人もいる。経済活動が止まれば、会社がなくなるかもしれない。フリーランスで仕事を受けてくれている方は収入がゼロになるかもしれない。それを、どう受け止めればいいんだろう。主催者として、どう考えればいいんだろうと悩むことがとても多かったです」それでも、中止の決断はとても速やかだったと西川さんは言う。「僕が地元でやっていることって平たく言うと“お祭り”を一つ作っているようなものなんです。盆踊りや花火大会と一緒。基本は地元のためにやる。お祭りがあることで地元が活気づいて、県外からもたくさんの人が集まってきてくれる。そして、来た人たちで会話して、その地域の良さを知ってもらう。それがまず第一にあります。だから地域の方々がそれを求めていないなら、そもそもやる意味がないと思った。でも、中止しましょうとなったとき、県知事や自治体のみなさんはとても温かかったんです。前に進むための中止だったんですね。そのポジティブな受け止め方に僕はとても救われたんです」滋賀に帰って、みんなとたくさん話がしたかった。’21年は西川さんのソロプロジェクトであるT.M.Revolutionのデビュー25周年の年でもあった。大規模な全国ツアーを予定していたがそれも中止に。代わりに西川さんが決めたのは、滋賀県内25か所をめぐるホールツアーを開催することだった。「地元に帰ってたくさん話がしたかったんです。みんなの状況はどうなんだろう、どういうことが心配で、どんなことを考えているんだろう。それをちゃんと聞くところから始めないといけないと。このツアーをやるのだって、もちろんとても大変でした。自治体によってはライブが開催されたことがない地域もあった。会場探しからもう大騒ぎです。客席も半分までしか入れちゃいけないし、マスク着用で発声もできない。さらに座席の背にもたれた状態を保って観てください、ともお願いをして。お客さんにすごく負担をかけたなと思います。それでも、行った先々で、こういった催し物ができたことに会場の方も自治体の方も感謝してくれました。ネットのニュースだけ見ていると、それにぶら下がっているコメントに心をえぐられるようなことも多いです。フェスをやるなんてとんでもない、という声は今も聞こえてきます。だけど、実際に会って話をすると、ネット上だけだと聞こえてこなかった、みなさんの純粋な、率直な言葉が聞こえてきた。それで、すごくいろんなことに気づけた気がします。僕が見ないといけない、話をちゃんと聞かないといけないのは目の前にいるこの人たちなんだって。顔と顔を突き合わせて話す人たちのことをまず大事にしよう。地元のみんなの声を聞いて、動き出そうと、そのとき強く思いました」コロナ禍が音楽業界に与えたダメージはとてつもなく大きい。西川さんも、存在価値がないかもしれない、と世論の声に打ちのめされていた一人だった。しかし、それを救ったのもまた人々の声だったというのに、一筋の光が宿る。「今って、オンラインで会議もできるし、バーチャルでなんでも体験できる。それを否定するつもりはないですし、それはそれですごいことです。でも、こういうことになって逆に、僕は人と人が向き合うことがめちゃくちゃ大事なんだなって、あらためて思うようになりました。若い方、子供たちだってそうです。この3年の間、リアルな経験をすることをすごく我慢させられてきた。僕は少しずつでもいいから、それを取り戻してあげたい。人と人がコミュニケーションをとって有機的に愛を交換できる場所、きちんと触れ合っていることを実感できる場所を提供してあげたいなと思うんです」やることが多すぎて、楽屋になんていないです。現在、T.M.Revolutionとして全国ツアーを回る一方、8月10日には西川貴教名義でのアルバムもリリースする。フェスではその両方の名義でステージに立つという。「過去のイナズマロック フェスでも、バンド形式だったりソロだったりと、いろんな形でステージに立ってきましたが、今年は一日の中で、西川貴教とT.M.Revolutionの2ステージをやることに。一日の中でまったく違う顔でステージに立つのは初めてのことなので、これは大変なことになったぞ、と思っています(笑)。2ステージこなすだけならいいんですよ。僕はその間に運営の面倒も見ないといけないし、いろいろな方々のアテンドもしないといけない。視察で来ていただける方々とも僕は直接話をしたい。もうしゃべり通しです(笑)。例年、ほぼほぼ楽屋になんていないですから。ステージ前に着替えをするときだけサッと入る。今年はそれに拍車がかかりそうです。でもそうやってもう15年やってきていますから。その自負はあります。多様なライブも楽しんでほしいし、滋賀のこと、環境問題、いろんなことに触れて、感じてほしいです」2019年の「イナズマロック フェス」で熱唱する西川さん。©イナズマロック フェス 2019 実行委員会にしかわ・たかのり滋賀県彦根市出身。1996年、ソロプロジェクトのT.M.Revolutionとしてデビュー。「イナズマロック フェス 2022」は、滋賀県草津市にある烏丸半島芝生広場にて9月17日~19日開催。ライブを楽しむ有料エリアだけでなくフリーエリアでは「おいで~な滋賀体感フェア」も開催。地域密着型フェスの醍醐味を感じられる。8月10日に2nd アルバム『SINGularity II ‐過形成のprotoCOL‐』(EPICレコードジャパン)を発売。※『anan』2022年8月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・浅沼 薫(Deep‐End)取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年08月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「才能」です。自分に音楽の才能があるかもしれない、と気づいたのは小学校の5年生くらいの時です。音楽の授業でリコーダーをやるようになって、昼休みも好きに吹いていました。で、そういう時に僕はテレビで聴いていたアニメの曲とかをメロディを思い出せば吹くことができた。それを同級生たちがすごい、すごいと褒めてくれたんです。それからは「『ポケモン』や『デジモン』『ONE PIECE』の曲を吹いて」と言われて、友達の前で吹くようになりました。みんなも吹きたいというので、学級だよりの裏に自分なりの吹き方をカタカナのドレミで書いて、「これで吹きなよ」とみんなに配っていました。なので一時期、5年2組の男子には、給食後のお昼休みに校庭でドッジボールをせずに教室の後ろで延々とリコーダーを吹く、というブームがありました。女子には「うるさい!外で遊んでこい」と、かなり不評でしたね。でもそれが僕の活動の礎になったと思います。あと小学校時代にもう一つ、これはインタビューなどいろいろなところで話していますが、6年生のころに作曲をする授業があり、担任の先生に「盗作しただろう」と放課後に呼び出されたことがあります。100%自作の曲だったのですが「こんな曲、6年生に作れるわけがない」と否定されたんです。これが僕にとって2度目のターニングポイントになりました。ちょうど卒業アルバムを制作している時だったので、僕はそこに「作曲家になって世界中の人に曲を聴いてもらう」と、先生へのあてつけも込めて将来の夢を書きました。自分は音楽ができるんだ、というのをわかってもらいたかった。今にして思えばこの挫折がすごく良かった。自分の思いに火をつけてもらったと思います。先生や親にも褒められてばかりだったら、あそこで「やってやるぞ」という気持ちになれなかったかもしれない。僕はたまたま自分の才能が義務教育の中に組み込まれていたのでラッキーでしたが、自分には何が向いているのか、どんなことに才能があるのかを見つけるのはなかなか難しいことですよね。やっぱり、興味や好きなことから手繰り寄せるしかない。僕も音楽に関しては自信を持って才能があったと言えますが、たとえばお芝居のことになると、ちゃんとできているのかな…と不安になります。これは、周囲が「できている」と言ってくれるので、それを信じてやるしかないと思っています。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて全国17か所18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年8月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年07月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「核なき世界の実現」です。唯一の被爆国だからできる橋渡しを望む。77年前の8月6日に広島、9日に長崎に原子爆弾が投下されました。今年の広島の平和記念式典で、岸田総理がどのようなメッセージを発するのか注目しています。岸田さんは広島県が地元で、総理就任の記者会見では「核兵器のない世界に向けて全力を尽くす」と発言していました。核兵器の保有も開発、使用も認めない「核兵器禁止条約」は昨年発効され、現在66の国と地域が批准しています。もとはわずかな数でしたが、広島や長崎で被爆した方々が国連で演説し、核兵器は凄惨な事態を人類にもたらすと訴え続け、第三国が次々と集まり批准しました。ところが、日本はアメリカの核の傘に守られているという立場から、採択は棄権したんですね。今年6月、核兵器禁止条約の第1回締結国会議がオーストリアのウィーンで開かれました。日本政府がオブザーバーとして参加するかどうか注目されていましたが、それも叶いませんでした。外務省は不参加の理由について、「核兵器国の関与がないと核軍縮は進まず、核兵器禁止条約には核兵器国が1か国も参加していないため」と答えています。しかし、だからこそ、唯一の被爆国として中立的な立場から、核保有国と非保有国の橋渡しの役割ができるはずです。日本政府がオブザーバーとしても参加しないというのは、大きな失望を招きました。なお、今回の締結国会議には、広島や長崎の被爆者の方々が参加し、核の恐ろしさを訴え、NATOの核の傘に守られているドイツやノルウェー、ベルギー、オランダもオブザーバーとして参加。ドイツのメルケル前政権では核兵器禁止条約を批准しませんでしたが、オブザーバーとしての参加は決めました。「核保有国の核軍縮交渉を念頭におきながら、核兵器禁止条約の議論にも加わることで建設的に伴走したい」と、ドイツのベアボック外相は語り、その後来日し、長崎原爆資料館などを訪問。被爆者と面会もしました。ロシア軍のウクライナ侵攻が始まり、核の使用が現実味を帯びている今は、日本が核の廃絶を大きな声で訴えられないことを思うと、恐ろしい状況にあるなと感じます。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年8月3日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年07月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「円安と物価高」です。放っておけば改善する問題ではない。稼ぐ力が必須!現在、1990年代以来の円安が急速に進んでいます。一番の危機は、当時と違い、今の日本は“稼ぐ力”が失われてしまっているということです。2008年のリーマンショック以降、アメリカは金利を低く抑える金融緩和政策をとっていました。そうして市場にお金を回した結果、インフレが起きてドルの価値は下がってしまいました。これでは国民生活が疲弊する、ドルの強さを取り戻そうと、米連邦準備理事会(FRB)は、6月に0.75%の利上げを決めました。世界中の主要な中央銀行もアメリカに合わせる形で利上げを行っています。ところがその波に乗れなかったのが日本です。日本は実質賃金が’90年代から上がっていません。さらに金利まで上げたら、国民はお金も借りられずに逼迫します。日銀は、大胆な金融緩和を継続することにしました。すると投資家たちは円に替えたところで実入りはないので、円を売りドルに替えます。そのため、ますます円安が加速しているのです。欧米諸国が利上げできたのは、リーマンショック後の世界的不景気を経ても、賃金は上昇してきたからです。38の先進国が加盟するOECDの1997年~2018年の実質賃金の推移を表すグラフを見ると、どの国も右肩上がりなのに対して、日本だけがゼロラインよりも下で、ゆるやかに下降。日本は物価が高騰しているにもかかわらず、賃金が下がっているのです。今では日本の平均賃金は、アメリカの約半分。日本の賃金は、OECD平均よりも下回っており、GDP世界3位の経済大国とは到底思えない状況です。日本はサービスが充実していてモノが安く手に入るので、賃金が上がらなくても暮らしはなんとか成り立っているように見えますが、いつ崩れてもおかしくない状態だという危機感をぜひ共有していただきたいと思います。政府は物価高に対して、ガソリン代を補助していますが、一時凌ぎの補助で乗り越えられる問題ではありません。日本は稼ぐ力を持たなければならず、それには、デジタルや新エネルギーなど新規事業への投資が必要です。また、グローバルな人材の育成も行わないと、新しい産業は生まれないと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年7月27日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年07月23日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「33歳」です。7月3日に誕生日を迎えて33歳になりました。デビューしてから7つも歳をとりました。自分が思い描いていた33歳と九分九厘相違のない、思った通りの33歳の感じがしています。自分が29から30になったときは特に何も感じなかったのですが、30から31になったときはけっこうずっしりと、「俺もついに30代を歩み始めたな」というのを感じました。で、32、33歳となってくると、「もう30代慣れてきたな」という感覚がしています。そして30代半ばが近づいていますが、僕は“アラフォー”などと言われる“アラ(=アラウンド)”って言葉があまり好きではありません。35歳~44歳が四捨五入してアラフォーだと思うのですが、基本的に上の年齢にかぶせていく感じに使いがちですよね。35歳になったらアラフォーだからもう40歳を意識しないといけない、その覚悟をする/させる方向に使いがちです。まあ、「先々を読んでいこう!」といういい意味もあるかもしれませんが、気持ちを実年齢より早く老けさせてしまうのはもったいないなと思います。なので今後も“アラ”制度は導入せずに、ジャストのその年齢で感じること、思うことを大事にしていきたいと思います。僕自身はどんな33歳を目指したいかというと、まだまだ感覚的には若くて、いろんなことを吸収できるようにありたいと思っています。とはいえ、闇雲になんでも取り入れることはしない。落ち着きと錆びない感覚を同時進行で持ち続けたい。「おっさん」という僕の曲で“素敵に歳をとりたい”という歌詞がありますが、まさにこの気持ちがまず第一にあります。このフレーズはイチローさんがあるTVCMの企画で一般の方の質問に答えているシーンがあって、そこで「年齢を重ねることに不安がある」というお悩みに対してまさにそんなふうに答えてらっしゃった言葉で、それがすごく素敵だなと感じました。若い人たちに媚びるようにその感覚を真似るのではなく、素敵に歳をとりながら“若さ”を体現できるようになりたいです。「おっさん」を発表したときには「若者に迎合したくない」というような意見もいただきましたが、それでも僕はいろんな人に好かれる“おっさん”になりたい。年下だけじゃなく、20も30も年上の先輩にも「面白いやつやな」と感心してもらえるような、“素敵なおっさん”をこれからも目指したいと思います。おかざきたいいく自身キャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の開催を発表。10月~12月にかけて全国17か所18公演を行う。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中。※『anan』2022年7月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年07月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ファスト映画と著作権」です。侵害か、宣伝か。表現の自由にも関わる問題。「ファスト映画」とは、映画の映像を権利者に無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度に短くまとめ、あらすじを紹介する違法動画のことを指します。東宝や日活などの大手映画会社13社は、これらの違法動画をインターネット上にアップし、多額の広告収入を得ていた男女3人に対し、著作権侵害として総額5億円の損害賠償を求める訴訟を5月に起こしました。映画会社にとっては、ストーリーのネタバレもありますし、映画館や配信でお金を払って観る人を減らしていると問題視しています。実際、こういうあらすじや解説を無許可で行う動画は近年、とても増えてきました。一方、ファスト映画を作る側は、本当に面白い作品はネタバレしていようと観たくなるもの。コンテンツにわかりやすい解説をつけて公表することで、これをきっかけに作品を知る人が増え、オリジナルを観ようとする人も生まれているのだから、権利侵害とはいえないのではないかと主張しています。実際にどれくらいの損害を出しているのかは、実証も必要になるでしょう。ただ、個人に対して5億円の損害賠償というのは、無断で映像を使用するという違法行為そのものへの抑止の意味合いも大きいと思います。著作権侵害に関しては、数年前に無料で漫画が読めるサイトが摘発されました。こちらは全編がそっくりそのまま読めたので明らかな侵害になります。ファスト映画の場合、「10分程度に編集している」というのが、表現の自由として認められる引用の範囲と捉えるかどうかという問題も絡んできます。二次創作という観点では、日本のアニメ文化が世界でコンテンツとして認知された背景に、コミックマーケットやコスプレにおいて、二次創作が一部許容されていることも挙げられます。また、韓国の映画やポップスが世界的に広まったのも、国が著作権侵害を黙認し、拡散を許したということもあるんですね。もちろん、無断で著作物を使用することは明らかに違法です。ただ、どの範囲まで表現の自由として認めるのかにも関わるテーマなので、慎重な議論が求められます。裁判のゆくえを注意深く見ておきたいと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年7月20日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年07月15日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「こだわり」です。人間誰しも、何かをするとき「こうでないといけない」というこだわりがあると思います。靴下は右足から履くとか、朝食はパン派だとか。僕にはこだわりが何かあるかなと考えたんですが、本当に暮らしの中でのこだわりがまったくない。打ち上げの居酒屋は、座敷じゃないほうがいい(胡座をかくのが苦手なので)くらいです。でもそれもスタッフが予約してくれた店が座敷だったとしても、別に怒ることもありません。「(もし座敷だったら)ちゃぶ台ひっくり返すぞ」と常日頃、冗談を交えつつもけっこうマジの口調で6年間ずっと言っているにもかかわらず、座敷を予約されることがあります。それでも実際にひっくり返したことはありません。そろそろ一回くらいひっくり返してもいいかも、とは思いますが。音楽制作においてもこうでないといけない、ということはないように思います。唯一こだわっているとしたら、楽曲を作るときは他の仕事は入れてほしくないというのがあります。丸一日何も入ってないときでないと、制作に向き合うことができません。「収録と収録の隙間時間が2時間あるから」と作れるものではないし、もっと時間に余裕があっても「あと5時間後に家を出ないといけない」という縛りを考えてしまうと、もう作業に向き合うことができなくなってしまいます。作業にとりかかるまでのアイドリングの時間も長いので、制作をするときは十分な余裕を持ってそれだけに集中するのが、ひとつ僕のこだわりかなと思っています。でも、それも昔からそうだったわけではありません。デビュー前はどんな状況、時間帯でも楽曲制作をしていました。ライブ後も打ち上げに参加せず家に帰って延々と曲作りをしていた。野心があってストイックだったので、それができたんだと思います。当時は曲を量産するというのが僕のこだわりだった。今はある意味、その強い思い入れを下ろしている状態なのかもしれません。自分が無理しないで作れる環境でないと作らないとしているので。以前はアレンジも、アレンジャーに頼まず全部自分で打ち込みすることにこだわっていました。でも、素晴らしい才能の方々との出会いがあって、人に編曲を頼むということもできるようになった。それで自分の楽曲の可能性を広げられるようになったと思います。こだわりも大事ですが、こだわりすぎないのも大事だなと思います。おかざきたいいくNHK Eテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(毎週土曜21:00~)に出演中。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中!※『anan』2022年7月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年07月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「戦争犯罪」です。ルールはあっても、現実的には大国を裁くのは難しい。国連憲章では、他国への侵略行為、戦争は禁じられています。しかし、戦争になった場合も最低限守るべきルールが、ジュネーブ条約(赤十字条約)によって国際的に定められました。まず、民間人への攻撃は禁止。市民の暮らしの要になるインフラを故意に攻撃することも禁じられています。また、無差別攻撃を目的とする兵器、クラスター爆弾や焼夷弾、化学兵器や生物兵器、毒ガス、対人地雷も使用は禁止されています。兵士を含め、病人や負傷者は手当てを受ける権利が保障されており、それらの人々を助ける赤十字の関係者や施設は、中立的な立場のため攻撃してはいけません。捕虜への拷問や残虐行為も禁止。これらのルールを犯した場合、戦争犯罪になります。また、特定の民族や人種を意図的に根絶やしにするような民族虐殺(ジェノサイド)も禁じられています。ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻では、数々の戦争犯罪の証拠が挙がっています。自転車に乗った民間人を殺害したロシア兵は、明白な戦争犯罪だとして、ウクライナで終身刑が言い渡されました。国家間の紛争を解決するために設立されたのが国際司法裁判所(ICJ)。ウクライナ政府はロシア政府をICJに訴えましたが、ICJは国連の司法機関で、執行は国連安全保障理事会が担います。しかし安保理の常任理事国であるロシアは拒否権を持っています。そのため、ICJがロシアを戦争犯罪を起こしている国と認定しても、実際には裁くことは難しいのです。もうひとつ、国連から独立した国際刑事裁判所(ICC)があり、人道に対する罪や戦争犯罪に問われる、組織のリーダーや個人を裁きます。ICCは、ウクライナでのロシアの戦争犯罪に十分な証拠が揃っていると述べています。しかし、ICCは警察機関を持っておらず、犯罪者の逮捕はその国の警察機関に働きかけます。ただ、ロシアもアメリカも中国も、ICCには加盟していません。そのため、戦争犯罪が立証されても逮捕する手立てはないのです。そもそも戦争を起こさないための知恵を、諦めずに出し合うしか解決方法はないのだろうと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年7月6日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年07月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「学園祭」です。先日、佐賀大学医学部の学園祭「医大祭」に招かれて学園祭のライブに出演しました。学園祭でライブをするのは5年ぶりくらい。かなり久しぶりです。学園祭は、やはり普通の公演とは感覚が少し違います。楽屋のスタッフもセキュリティの係もみんな学生さん。よくお笑いのコントなどで不手際ばかりしてしまう学生スタッフネタとかありますが、実際はそんなことはほぼないです。みんなちゃんとしています。よく考えればそれは当然で、みんな大学の名前を背負って学園祭を仕切っているわけですから、丁寧だし、しっかりやってくださる。それにこちらも音楽のプロ相手じゃないわけですから、無茶な要求もしません。正直、誠意さえ見せていただけたらいいなって思っています。わからないことがあったり、できてないことがあってもそんなの問題ないです。がんばって、熱意を持ってやっていてくれれば、こちらも気持ちよくライブをするだけです。佐賀大学医学部のみなさんもまさにそうでした。みんな丁寧で気持ちよく出迎えてくれた。おいしい佐賀牛のお弁当も用意してくれて、リスペクトがあって招いてくれたんだと感じました。普通のライブと違ってええなあと感じたのはライブ中のこと。「撮影禁止」のプラカードを出していただいてたのですが、それを掲げているスタッフさんももちろん学生さん。その方がめっちゃノリノリでライブを楽しみながらプラカードを上げてくれていたんです。普通のライブだったら、セキュリティはステージに背を向けて直立不動で立っています。きちんと監視をしたり、何か緊急事態があったときに対応するのが仕事なので、ライブを楽しむことがないのが当然なんですが、でもここは学園祭。プラカードを持っているスタッフもお客さんと一緒に僕の音楽にノッて会場を盛り上げてくれていた。それがうれしかったですし、アットホームでなんかほのぼのとしました。なので、学園祭に好きなアーティストを呼ぶためには何が必要かと聞かれたら、それはもう熱意だけだと思います。アーティスト側からプロの現場と同等のものや高度な対応を要求することはないと思います。ポジティブな感情を受け取って、こちらもそれに報いることができればベスト。実行委員とかやるとめちゃくちゃ勉強になることがあるので、音楽に興味のある学生さんにはぜひやってみてほしいですね。おかざきたいいくNHK Eテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(毎週土曜21:00~)に出演中。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中!※『anan』2022年7月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年07月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「メロディの思いつき方」です。先日、佐賀の学園祭に出演する機会がありマイクや機材を用意しようとキャリーケースを引っ張り出しました。四角形のキャリーケースのジッパーを勢いよく開けたときにひとつのメロディが思い出されました。「らんらーん、じゃらん」です。そう、旅行サイトや雑誌でおなじみの『じゃらん』のTVCMで流れているあのフレーズです。キャリーケースを開けるとき、ジッパーを引っ張る速さと長さで音のキーが変わります。最初の短い横のところは勢いのある高い音「らん」の部分。その次は上辺のジッパーの長い部分で、長い分だけキーが下がり「らーん」に。その辺の終わり、キャリーケースの角で力が入る「じゃ」。最後に、ジッパーを引き落とす「らん」です。みなさんも一回やってみてください。「らんらーん、じゃらん」のリズムとメロディでキャリーケースを開けることができます。で、これに気づいたときにしみじみ、メロディを思いつくってこういうことなんだなと思いました。僕はあまり“メロディが天から降ってくる”という説を信じていないんです。それより、日常生活の中にいろんなヒントがあって、それに気づいてそこから音楽を生み出せるかどうかが、音楽家としての才能や技量なんじゃないかと感じています。もし「普段からそれ私もやってる!」という方がいたら、そういう人って音楽家的な才能があると思います。『じゃらん』の企業フレーズを作った方が、キャリーケースきっかけでこのメロディを作ったかは存じ上げませんが、キャリーケース開けるときにこのメロディを口ずさめるのはなんかええなあと思いました。音楽は、そういう普通の生活の中にあるものの発想を転換することで生まれるんです。お風呂に入っているときに並んだ水滴の高さの違いが音符に見えてくるとか、洗濯物を干していて竿に対する洗濯バサミの配置がいいリズムだなと感じるとか…。僕の「MUSIC VIDEO」という曲の「揺るぎなき制作意欲は作り手の願い」という歌詞がありますが、この「揺るぎなき」の高音で声が裏がえる部分は、そのとき遊んでいたゲームのキャラクターの鳴き声からヒントを得ています。実家の階段を上り終えたときにふっと思いつきました。忘れないように階段で慌てて録音をしたことを覚えています。作曲を「夢の中で全部した」とか憧れますけど、僕はそれよりさまざまな外的刺激を大事にしたいです。おかざきたいいくNHK Eテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(毎週土曜21:00~)に出演中。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中!※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年06月25日ムダなお肉やたるみを感じさせないスレンダーなレッグラインは永遠の憧れ。ながらケアできるガジェットや引き締めに特化した成分を配合したボディケアを味方に、この夏こそ理想の脚に接近。日向坂46の美容番長・おたけこと高本彩花さん&編集部スタッフが試して本気で良かったアイテムをコメント付きでお届けします!塵も積もれば山となる。コツコツ努力を重ねて美脚を目指しています。真っすぐでスレンダーな脚を目指して日々、ホームケアを頑張っているという高本さん。この夏はトレンドのミニスカートを買ったこともあり、いつも以上に美脚メイクに気合が入っているのだそう。「昔から太ももが張りやすいのが悩みで、少しでも改善しようとお風呂上がりに10分くらいストレッチをするのがルーティン。脚にむくみを溜め込まないようにするためには股関節まわりの血行を良くすることが大切だと聞いてから、欠かさずするようになりました。時間に余裕があるときは、ストレッチポールやフォームローラーを使って、筋膜リリースも実践。最初はちょっと痛いんですけど、ほぐしているうちに脚がしなやかになっていくんですよね。気負ってしまうと続かなくなるので、テレビを見ながら気楽にしてます」2週間に一回はプロの手も投入。「ポキポキ系の整体と全身をほぐしてくれるマッサージに通っています。定期的にプロに整えていただくことで、セルフケアの効率もアップする気がするんですよね」シルエットを整えるのと同じくらい、うるうるの質感も重視するのがこだわり。「うるおいたっぷりだけど触ったときサラッとしているのが好き。ボディスクラブを定期的に取り入れてザラつきをオフするように心がけています。ムダ毛が少しでもあると肌がくすんで見えてしまうので、シェービングもこまめにするのが絶対。今日のお試しでは、たくさんの名品に出合えてよかったです」引き締めサポート!Melvitaロルロゼ ピンクフィット ボディオイルマッサージしながらなじませる習慣でメリハリのあるシルエットにリーチ。脂肪分解力が期待できるピンクペッパー×ブラックペッパーでボディを引き締めてくれる名品がパワーアップ。「抗酸化力が高いクランベリーオイルを新配合。うるおいとハリまでアップ!」(高本さん)。100ml¥5,500(メルヴィータジャポン TEL:03・5210・5723)【from AYAKA】スレンダーな美脚に接近!ギフトにも最適。スリムウォーク美脚ロング履いて寝るだけで翌朝脚がスッキリ。着圧なのに心地よくて手放せない!土踏まず&足の甲から太ももまでホールドして、寝ている間にキュッと引き締めてくれる着圧ソックス。「計算された圧で締め付けが苦しくないのがスゴい。メッシュ素材で通気性がいいところも快適」(高本さん)。オープン価格(ピップ TEL:06・6945・4427)【from AYAKA】ライブの前夜に履いてステージで映える脚を準備。SPA DAMAIダマイ セルリファーム ボディスクラブエステ気分で見た目も触り心地も極上のレッグラインを引き寄せ!17種類のフィトオイルや植物エキスの中にシュガーと天然由来成分でできた大小のスクラブをイン。「マッサージしながらなじませると脚がキュッとシャープに。週2回投入するのがオススメ」(ライターM)。200g¥12,100(SPA DAMAI TEL:03・6416・5718)【from anan】アロマの香りとじんわり温感で癒し効果も絶大。たかもと・あやか1998年11月2日生まれ、神奈川県出身。日向坂46のメンバー。anan 連載でもおなじみの美容マニアぶりは坂道グループ内でもピカイチ!愛称おたけ。ワンピース¥18,150(マーガリンフィンガーズ/スクリーンショット TEL:03・6778・0920)イヤリング¥3,630(ミミサンジュウサン/サンポークリエイト TEL:082・248・6226)リング(3つセット)¥2,200(アネモネ/サンポークリエイト)サンダル¥17,600(ダイアナ/ダイアナ 銀座本店 TEL:03・3573・4005)※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・藤井晶子ヘア&メイク・pakuchan(Three PEACE)取材、文・石橋里奈(by anan編集部)
2022年06月25日最強のコスメや美容ギアを駆使すればセルフケアでうっとりするような美脚が叶えられる日も夢じゃない!?日向坂46の美容番長・おたけこと高本彩花さん&編集部スタッフが試して本気で良かったアイテムをコメント付きでお届けします!つるすべで引き締まった脚に近づくためには努力が大切!納得のいく美脚を目指すためにはあらゆる方向からのアプローチが不可欠。「メリハリのあるシルエットに近づくためにはむくみやセルライトのケアがマストだし、なめらかな質感や透明感を手に入れるためには角質除去や保湿、ムダ毛のケアも欠かせません。努力した分結果は出ると信じて頑張りましょう」(高本彩花さん)おたけ的美脚4か条1シェービングは必ず毛の流れに沿って!ボディソープやシェービングクリームで肌をしめらせて毛を寝かせたら、毛流れに沿って剃る。「この意識でカミソリ負けを防げます」2ムダ毛処理後&日焼け後の保湿は何をおいても絶対!カミソリを当てた後や紫外線を浴びた肌はデリケートな状態に陥りがち。「ボディクリームやローションで保湿していたわって」3ボディクリームを塗るときは下から引き上げるように!足首から上に向かって手で脚を引き上げるようにボディクリームを塗ること。「ドレナージュ効果が。むくみが軽減して脚スッキリ」4その日のむくみはその日のうちに解消せよ!むくみを放置しておくとセルライトが溜まりがちに。「少しでもむくみを感じたら、マッサージや入浴で巡りを良くしてリセット」つるすべ脚サポート!美脚への第一歩はつるすべな触り心地と透明感あふれるビジュアルをスタンバイするところから!ムダ毛ケアと保湿でなめらかさをゲットして、最新のUVケアでクリアな肌をキープすれば完璧。HACCIセラムイン UVボディクリーム Leg RUVケア×美肌×スリミング!香りも素敵な脚専用アイテム。紫外線や大気汚染ダメージから肌を守り抜きながらシルエットを引き締めてくれる画期的なUVボディクリーム。「マッサージジェルのようになめらかでお出かけ前に美脚を仕込めます」(編集K)。SPF50+・PA++++ 70g¥6,930 数量限定(HACCI TEL:0120・1912・83)【from anan】繊細なゴールドのラメ入りで、ツヤと立体感もゲット。パナソニック光美容器 光エステ〈ボディ&フェイス用〉ES‐WP98優しい使い心地で実力はパワフル!こんな光美容・脱毛器、待ってた。ハイパワーでありながら低刺激を追求した夢みたいな光美容器。「太い毛にもうぶ毛にも反応。2週間に一度使用していたら、すべすべ感と透明感がアップ。アタッチメントを替えれば全身ケアできる」(編集Y)。オープン価格(パナソニック TEL:0120・878・697)【from anan】皮膚科医監修という安心感も買い!Schickイントゥイション もっちり肌スリムホルダーボディソープなしでスムーズに剃れてうっとりするほどすべすべな肌に。セーフティワイヤー付きで体のカーブに沿ってスイングする4枚刃のヘッドと保湿成分たっぷりのソープが一体に。「簡単&安心に剃れました。後肌も乾燥知らずでつるすべ」(編集H)。刃付き+替刃1コ オープン価格(シック・ジャパン TEL:03・5487・6801)【from anan】ココナッツの香りで、お手入れ中気分が弾む!たかもと・あやか1998年11月2日生まれ、神奈川県出身。日向坂46のメンバー。anan連載でもおなじみの美容マニアぶりは坂道グループ内でもピカイチ!愛称おたけ。ワンピース¥18,150(マーガリンフィンガーズ/スクリーンショット TEL:03・6778・0920)イヤリング¥3,630(ミミサンジュウサン/サンポークリエイト TEL:082・248・6226)リング(3つセット)¥2,200(アネモネ/サンポークリエイト)サンダル¥17,600(ダイアナ/ダイアナ 銀座本店 TEL:03・3573・4005)※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・藤井晶子ヘア&メイク・pakuchan(Three PEACE)取材、文・石橋里奈(by anan編集部)
2022年06月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「モビリティ社会」です。移動手段が変わる。社会の課題解決が期待される新分野。インターネットの発達により、車や公共交通などの移動手段のあり方が変わりつつあります。モビリティ(mobility)とは、もとは移動性、流動性という意味で、交通手段や移動手段をめぐるモノ・コト全般を指します。国土交通省は、Mobility as a Service(MaaS)(マース)という、住民や旅行者の個々のニーズに合わせて、複数の公共交通やカーシェアリング、自転車のシェアサービスなど新しい移動手段を最適に組み合わせて検索、予約、決済できるサービスの普及を推進。国は、AIやIoTを使い、モビリティを中心とした新しい技術変革のある街づくりを積極的に進めていこうとしています。その「モビリティ社会」の実現に大きく関与するのが自律型の自動運転の技術。自動運転は6段階にレベル分けされており、周囲の車との間隔や道路の混雑状況などをセンサーにより判断し、運転手がハンドルから手を離しても走れるのがレベル3。世界初、この技術を搭載した車を発売したのはHondaでした。日本は少子高齢化、都市部の人口集中が進み、過疎地では鉄道やバスの維持が難しくなっています。孤立した地域の暮らしを支えるのが自動運転。この技術が進めばコストを圧縮し、人々の移動だけでなく、モノを運ぶサービスも付与できますし、CO2の削減にもなります。TOYOTAは、自動車を中心にした実験都市の開発プロジェクトをスタート。自動運転車が街の交通を担うほか、燃料電池車が蓄電装置となり、地域に電力を供給することも計画中。モビリティ社会は製造業やサービス業、エネルギー産業など様々な業種にかかわりますし、高齢化や過疎化、技術立国など社会の課題解決も期待されます。自動車メーカーはモビリティカンパニーに移行していますが、IT企業のほうが得意な分野。HondaはSONYと提携に向けて協議を始めました。EVはガソリン車に比べ部品が少ないので、切り替えれば多くの部品工場が潰れます。日本の自動車産業を世界に押し上げ、経済を支えてきたのも町工場です。その重みを認識しつつ、各社緩やかな産業転換を図っています。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bit News」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年6月22日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年06月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「Sexy Zone」です。Sexy Zoneの最新アルバム『ザ・ハイライト』に楽曲提供をさせていただきました。「休みの日くらい休ませて」という曲で、働いている人なら誰もが感じる思いを曲にしました。休みの日も、ちょっとメールしたり何かの確認でパソコンを開いたりと、なんやかんや仕事してしまうことってありませんか?休みの日くらいちゃんと休みたい、そんな切実な実体験を元にしたためた一曲です。すべての社会人への応援ソングになっていると思います。アルバム発売前に特設サイトで楽曲の試聴ができたのですが、ファンの方々がそれを聴いて「共感した」とか「いい曲!」だとか感想をSNSなどにあげてくれていたのもうれしかったです。今回のSexy Zoneのアルバムはコンセプチュアルなアルバムで、参加アーティストもとても豪華。めっちゃシュッとしていておしゃれです。そんなアルバムの中で、ファンの方々がいい曲と言ってくれているとはいえ、「岡崎体育楽曲、浮いてない?」とちょっと心配にもなっています。ジャニーズ界隈で言うところの“トンチキソング”すぎないか、と。でもまあ、それがフックになってなんか逆に目立つ感じもします。なので個人的にはとてもありがたいなと思っています。あと、これは後日知ったのですが、メンバーの松島聡さんが「岡崎体育さんに曲を書いてもらいたい」と会議でおっしゃってくださって今回のオファーが叶ったのだそうです。よくこの業界では「本人たっての希望で」と言われることがありますが、まさに今回はそれだったみたいで。なんだかとても特別な感じがしてうれしいです。Sexy Zoneは正統派アイドルグループのイメージ。だからこそ、僕が作るようなコミックソングをメンバーが全力でやりきってくれるのを聴くと感動しますね。楽曲提供の一番の楽しみはそれなんですが、曲ができたら自分がデモを歌ってメンバーのみなさんにお届けします。それを元にみなさんがレコーディングをして、今度はできあがった楽曲が僕のところに届く。この、メンバーの声に入れ替わって届くときが特別にうれしい瞬間です。今回もとても良かったんです。歌詞と歌詞の合間のガヤの部分も僕のデモ通り……いや、それを跳び越えたテンションでやってくれていた。こんなに声張ってくれるんや、叫んでくれるんやとうれしくなりました。ぜひたくさんの方に聴いてほしいです!おかざきたいいくNHK Eテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(毎週土曜21:00~)に出演中。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中!※『anan』2022年6月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年06月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「脱力期間」です。レギュラーキャストとして参加したドラマの撮影と全国ツアーが終わった4月の初めに、少しだけほっと一息つくことができ、久しぶりに丸一日、24時間なにも仕事をしなくていいお休みの日がありました。ドラマの収録など長時間かかる仕事はなくなったものの、提供曲の制作やリミックスの依頼、レギュラー番組の収録など、日々やらないといけない仕事はたくさんあります。その中で丸一日のお休みはとても貴重でうれしいです。休みとはいえそれはインプットの時間で、遊びなどの予定を詰め込みたいという人もいるでしょう。でも僕は休みの日はとにかく脱力して過ごしたい。なにも考えずにぼんやり過ごすことも大事だと、最近思うようになりました。これはそれぞれのモチベーションやキャリアによって考え方が変わるんじゃないかなと思います。僕もデビュー前は休みが怖くて仕方なかった。スケジュールにオフの日があると、大丈夫なのかなと不安になっていましたが、デビューして5年が経ち日々絶え間なく仕事をしていて、きちんと休むことの重要性にようやく気づけたんですね。それこそ子どもの頃は、ピッチャーが1日投げて6日休むとか意味わからんと思っていました。休みすぎちゃう?と。でも、今ならわかります。体力を回復し、調子を整えたり気持ちを切り替える“表(おもて)に出ない”時間はすごく大事なもの。じゃあ、脱力期間と割り切って上手に休めるのかというとそうでもないんです。なんか歌詞を書いてみたり、覚えないといけない台本を読んで覚えてしまったり、なんかしてしまう。これは日本人の悪いところです。24時間なにもしない脱力期間をフルに満喫するのって、なかなかできない。「脱力しないと」と焦っている時点で脱力ができてない証拠です。だから、僕は“休み”の定義を前倒しすることにしました。明日は休みなんだって思ったときが一番ウキウキと解放されますよね?そのときは心が休まっているはずです。脱力期間は、その瞬間にもう始まっている。丸一日の休みが始まる直前、僕はこのananの連載というお仕事をしていましたが、それが終わったら24時間休みで、「なにしようかな?映画でも観たいな…」と、心がちょっとウキウキとしていた。それはすでに脱力期間なんです。休みの定義を前倒しして受け止めると、ちょっと心に余裕ができるのでおすすめです。おかざきたいいくNHK Eテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(毎週土曜21:00~)に出演中。最新タイアップ・シングル曲「レディキャップ!」「季節の報せ」が配信中!※『anan』2022年6月1日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年05月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「沖縄本土復帰50年」です。もとは独立国家。虐げられてきた歴史に目を向けて。50年前の5月15日、アメリカの施政権下にあった沖縄が日本に復帰しました。沖縄は、古くは琉球国という約450年続いた独立国家でした。明治政府は1872年に琉球国を解体し、琉球藩に。1879年には廃藩置県により、沖縄県に生まれ変わります。「富国強兵」のスローガンのもと、近代国家の仲間入りを果たそうとしていた日本。沖縄は内地とはある種、支配・従属的な関係にありました。中央から派遣された役人や軍人は、沖縄を見下し「はやく大和になれ」と押し付けます。沖縄の人々は差別や偏見にさらされ、「私たちは日本人なのだ」という強い機運を生み、太平洋戦争末期、日本を守るために玉砕、集団自決を決行します。日本で、民間人が戦闘要員として駆り出されたのは沖縄だけです。1945年、米軍は沖縄に上陸し3か月にわたり激しい戦闘が繰り広げられました。沖縄県民の4人に1人が犠牲になり、日米合わせて約20万人の被害が出ました。沖縄戦は9月7日に幕を閉じ、アメリカに統治されることに。マッカーサー元帥は、太平洋地域に拡大した日本国の影響を弱体化させるため、沖縄・南西諸島を日本から分離させることにこだわりました。当時、ソ連や中国を筆頭に共産化の波が押し寄せており、東の果ての防波堤として、沖縄を所有することはアメリカの安全保障上、大きな意味がありました。戦後、沖縄支配は日本からアメリカに移ります。やがて「島ぐるみ闘争」という、米軍支配への反対運動が勢いを増し、日本に復帰するか、独立するか、国連の統治下に置かれるべきか、沖縄住民の間でも意見が割れました。返還交渉は1969年に始まり、年末に最終合意。沖縄県内では「核抜き、本土並み」と核の持ち込み禁止、沖縄と本土が格差のないように扱ってほしいと訴えていました。しかし、裏で秘密協定が結ばれており、沖縄返還に関する費用は日本国が負担し、核の持ち込みも密約では認められていたことがのちに明らかになりました。沖縄には、いまなお米軍基地の約7割が集中しています。国家の安全保障のなかで、沖縄県民の思いを無為にしてきた歴史があることを忘れないでほしいです。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年05月21日