意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「核融合エネルギー」です。国際協力により開発中の、未来のエネルギーに注目。水素のような軽い原子核同士が融合すると重い原子核に変わり、非常に大きなエネルギーを生み出すことができます。核融合エネルギーは、主に海水やトリチウムによって作られ、次世代の夢のエネルギーといわれています。核分裂によってエネルギーが作られる原子力発電では、放射能レベルの非常に高い放射性廃棄物(核のゴミ)が出ます。人に影響を与えないレベルに抑えるまで10万年隔離しなければいけないという処理問題があります。その点、核融合炉から出される放射性廃棄物の毒性は100年で100万分の1になり、減容年数がぐんと圧縮されます。核融合実験炉の実現は、一国でできるものではなく、国際共同研究のもと、超大型国際プロジェクトとして進められています。「ITER(イーター)計画」という名で、1985年にジュネーヴで開かれた米ソ首脳会談をきっかけにスタートしました。対立する大国同士が技術開発で協力し合おうと、国際チームが中心となり始まったのです。ITER計画は2025年の運転開始を目指し、日本、欧州、アメリカ、ロシア、韓国、中国、インドにより進められています。いま、ウクライナ危機により、欧米諸国とロシアの対立が深まっています。原油や天然ガスの供給を止めたり、ウクライナの原発がロシアの攻撃対象になっています。その一方で、各国が技術を提供し合って核融合実験炉を共同で組み立てている事実を知るということ自体が、国際協調への強いメッセージ性があると思います。日本では、茨城県那珂(なか)市にある量子科学技術研究開発機構・那珂研究所(旧・那珂核融合研究所)で研究開発が進められています。日本にとって核はセンシティブなテーマ。理解を深めてもらうため、この研究所では1人からでも見学を受け付けています。研究開発費には限りがありますし、世間の関心が低いと、こうした分野の研究継続は難しくなります。福島の事故が起きるまで、原発について深く知ろうとしてこなかった反省も込めて、新しいエネルギーに関して、その恩恵に与るだけでなく、どういう使い方、リスクや効果があるのか、いまから関心を持ち、皆で見守れたらと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年5月18日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年05月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「眠れぬ夜」です。先日もお話ししましたが3月に久しぶりに全国を巡るワンマンツアーを開催しました。その中で「ポテト探検隊」という岡崎体育のバンドセットで何曲か披露したのですが、僕のオリジナル曲だけでなくカバーも2曲披露しました。一曲は、SMBCグループのCMソングとして歌ったフラワーカンパニーズさんの「深夜高速」。これはレコーディングした音源でもポテト探検隊のメンバーが演奏をしてくれていたので、ライブで聴きたいという声も多かった。実際に歌ってみたらオーディエンスの反応も良く、バンドでやることに意味のある曲なので、すごくステージ映えして良かったと思っています。もう一曲は、フジファブリックさんの「眠れぬ夜」を歌いました。これはなんで選んだかというと、この曲、僕の母が大好きな曲なんです。2021年の年末くらいだったか京都に帰省したとき(たしか牛丼屋のドライブスルーだったと思います)、そこで母に「あんた、この曲めっちゃいいから聴いて」と「眠れぬ夜」を薦められました。うちの母は音楽がとても好きなので、ミュージシャンである息子にも急に、曲を薦めてきます。知っていた曲でしたが、母に言われてあらためて聴き直したら本当にいい曲で。あ、歌ってみたいと思いました。この曲は、亡くなられた志村(正彦)さんが携わった最後のアルバム『MUSIC』のいちばん最後に収録されているナンバーで、作詞・作曲も志村さんが手がけたものです。ファンのみなさんにとってはとても思い入れのある曲だと思います。いまも大事にみなさんが聴いているだろう曲をカバーするというのは恐れ多い気持ちもありましたが、でも単純にこの曲が好きですし、岡崎体育の楽曲はフジファブリックさんからたくさんの影響を受けているので、リスペクトと愛を込めて歌わせていただきました。また、ポテト探検隊の“芋田”こと城戸紘志さんは、フジファブリックのサポートドラマーをずっとされていた方。その城戸さんの叩くドラムで歌えたというのもうれしかった。そしてライブのあと母は特に何も言ってなかったけれど、一緒にライブを観に来ていた叔母が「となりでめっちゃ泣いてたよ」と教えてくれたのもうれしかったですね。自分が誇りを持ってやっている仕事で親孝行できたのは、このツアーで良かったことのひとつです。おかざきたいいくEテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(土曜21:00~)に出演中。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年5月4‐11日合併号。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年05月08日太田真紀&山田岳主催、太田真紀&山田岳 × Cabinet of Curiosities『A Quiet Space』が2022年6月29日 (水)にとしま区民センター小ホール(東京都豊島区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ YouTube 現代音楽デュオユニットの太田真紀&山田岳が、気鋭の作曲家集団Cabinet of Curiositiesとの初コラボを行う。 太田真紀&山田岳は、昨年の主催公演《ロミオがジュリエット》で、文化庁芸術祭大賞およびサントリー芸術財団佐治敬三賞を受賞。【プログラム】スティーヴン・カズオ・タカスギ《奇妙な秋》カローラ・バウクホルト《噪音》ハヤ・チェルノビン《ホウライシダ(II)》シモン・ステーン=アナーセン《Drownwords》他太田真紀&山田岳ソプラノ太田真紀とギター山田岳により2013年よりデュオ活動を開始。それぞれがソロとして活動しつつ、この編成におけるデュオ作品の「今」を追求、既存作品の演奏のみならず、新作委嘱や実験的要素の強い作品まで数多く紹介、多彩なゲストを迎えたパフォーマティブなコンサートなど独自のプログラミングで注目を集める。松平頼曉、宗像礼、足立智美への委嘱や、伊左治直、志田笙子らの初演(改定初演)、海外作曲家作品の日本初演等を行っている。2021年主催公演《ロミオがジュリエット》にて、文化庁芸術祭大賞、サントリー芸術財団佐治敬三賞受賞。開催概要太田真紀&山田岳 × Cabinet of Curiosities『A Quiet Space』開催日時:2022年6月29日 (水)18:30開場/19:00開演会場:としま区民センター小ホール(東京都豊島区東池袋1-20-10)■出演者出演:太田真紀(ソプラノ)、山田岳(ギター)アフタートーク出演(予定):Cabinet of Curiosities(森紀明・渡辺裕紀子・小出稚子)■スタッフ企画・構成: Cabinet of Curiosities(森紀明・渡辺裕紀子・小出稚子)、太田真紀&山田岳主催:太田真紀&山田岳助成:公益財団法人野村財団舞台監督:鈴木英生(カノン工房)制作:福永綾子(ナヤ・コレクティブ)■チケット料金一般前売:3,000円当日:3,500円学生前売:2,000円当日:2,500円(全席自由・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年04月26日美しいメロディが貫く浮遊感のあるオルタナティブロックを奏でる羊文学のセカンドフルアルバム『our hope』はサウンドアプローチも歌詞も歌も、あらゆる面で進化が感じられる。ダンスに接近した「OOPARTS」など、これまでの羊文学にはなかったようなサウンドが随所で聴けるのだ。これまでの決まりを外してチャレンジした。「これまで自分の中で、3人で鳴らせる音しか鳴らさないのが正直なんだっていう謎の決まりがあったんですけど、前のアルバムでその方向性でできることはいったん満足したんです。今回その決まりを外して新しいことにチャレンジしてみたら、意外といろいろできるんだなって思いました。『パーティーはすぐそこ』はポップス寄りのコーラスワークとサウンドを心がけてみたり、『光るとき』と『ワンダー』はコーラスを重ねてみたり、『OOPARTS』はシンセを取り入れました」(塩塚モエカ・Vo&Gt)「今回ドラムのテックさんを入れたこともあり、これまでのドライでダークなイメージより、ポップな振れ幅が生まれたんです。例えば『パーティーはすぐそこ』はJポップ寄りの抜けが良いスネアサウンドになっています。全体的に叩き心地も大きく変わって、演奏しててすごく楽しかった」(フクダヒロア・Dr)「前はぱっと思いついたアイデアを軸にベースを弾いていたんですけど、今回は事前にプリプロ合宿をしたこともあって、曲を客観的に聴いてからじっくりリズムパターンを考えました。プリプロ合宿はとても楽しかったし、そうやって作ったことでみんなの考えもスムーズに一致していきましたね」(河西ゆりか・Ba)「確かに、アレンジやメロディをギリギリまで妥協なく詰めていけたのはプリプロ合宿が大きかったと思います」(塩塚)今作では塩塚さんのデモの作り方も大きく変わったという。「今までは弾き語りの音源をふたりに渡すことが多かったんですけど、今回はパソコンで簡単に作ったデモを渡したんです。例えば『OOPARTS』は、完成版は前半がシンセ中心で後半がバンドサウンド強めの構成ですけど、デモは全部シンセで作りました。それをバンドでアレンジしたら一回全部バンドサウンドになったんですけど、やってるうちに私がシンセのパートを入れたくなって、前のバージョンと合体させたんです。そういう着地の仕方ができたのもデモの作り方が変わったからだと思います」(塩塚)「弾き語りの時は、スタジオで初めて具体的に『こういう感じなんだ』ってわかったんですが、今回は曲のイメージを最初からつかみやすかったですね」(河西)「『OOPARTS』の打ち込みみたいなサウンドは、デモの時点でスーパーカーさんとかのバンドのリファレンスもあって、’00年代や’10年代の雰囲気を想像しました。羊文学にこういうシンセのバンドサウンドの幅があるんだっていうのが、デモの時点から新鮮でした」(フクダ)塩塚さんの書く歌詞は、フィクション性の強いものから、まっすぐに力強いメッセージを放つものまでアプローチは様々。世界や“君”を肯定する「光るとき」をはじめ、希望を感じる歌詞が印象に残る。「今までは自分の暮らしの愚痴を広げた歌詞が多かったんですけど、周りの人の影響もあって世界のことに視野が広がったところもあります。でも実はそれも突き詰めれば暮らしの愚痴ではあるんです(笑)。歌詞を書くのが上手くなったんだと思いますし、サウンドが明るくなったので抜けが良くなった感じはありますね。音楽って面白いですよね」(塩塚)メジャー2ndフルアルバム『our hope』。TVアニメ『平家物語』主題歌「光るとき」など全12曲収録。【初回生産限定盤(CD+BD)】¥5,000【通常盤(CD)】¥3,300(Sony Music Labels)ひつじぶんがく左から、河西ゆりか(Ba)、塩塚モエカ(Vo&Gt)、フクダヒロア(Dr)。2017年に現在の編成となる。’20年メジャーデビュー、ニューアルバム『our hope』をリリース。河西さん・キャミソールドレス¥22,000(イェンスtm@j-e-n-s.jp)トップス¥35,200(アカネ ウツノミヤ/ブランドニュース TEL:03・3797・3673)スニーカー¥39,600(グラウンズcustomer@fools-inc.com)塩塚さん・ドレス¥38,500(イェンス)スニーカー¥29,700(グラウンズ)その他はスタイリスト私物※『anan』2022年4月27日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・中井彩乃ヘア&メイク・kika取材、文・小松香里(by anan編集部)
2022年04月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「バラエティ番組」です。最近、ドラマの番宣などもあり、バラエティ番組に呼んでいただく機会が多くありました。ありがたいことです。あらためて出演して感じることは、バラエティ番組って難しいな、ということ。なぜなら何も準備ができないからです。音楽のライブは楽曲を用意したり、セットリストを事前に自分で決めることができる。お芝居の仕事は台本があるから練習することができます。でも、バラエティ番組は台本があるといっても番組の流れが決まっているだけで、VTRを見てどういうコメントをするのか、どういう会話がありそれにどう返しをするかは、いつも本番一発です。必要とされるのは瞬発力。これは毎日毎日バラエティの現場をこなしていないと身につかない特別なもの、限られた人たちにしか培われない筋力なんじゃないかと思います。僕のようにたまに呼ばれて出演するようなタイプのミュージシャンでは、とても太刀打ちができないと感じてしまいます。それでも、ここ最近は『おはスタ』や『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』などのレギュラー番組のほか、地元の京都では『岡崎体育の京の観察日記』という街ブラ番組もしています。なので、昔よりはバラエティ番組での立ち回りはスムーズにできるようになったと思います。逆に、オンエアを見て反省することも増えました。出演した番組は必ずオンエアを見るのですが、良かった点と悪かった点が明確にあります。ダメだったなと思うのは、自分のカラーが出せてないなと感じたとき。また、これは使われるだろうと思った会心のコメントが見事にカットされているとけっこうショックを受けます。テレビ番組は制作者の意図があり、時間の制約もあります。ライブのDVDならここのコメントは使って、ここは切ってと自分で指示が出せますが、バラエティ番組はそうはいきません。オンエアまでどう使われているかわからない。なので、自分の言葉がテロップになっていたり、いい感じで使われているとめちゃくちゃうれしいです。良かったと思うのはそういうときです。バラエティの演出では、“ここぞ”というワードに入るときに後ろで流れているBGMの音が切れるんです。言葉を引き立たせるためにあえて無音にする。僕の発言のときにBGMが切れていると「やった!」となる。これからもBGMを切ってもらえるようにいいコメントを連発したいです。おかざきたいいくEテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(土曜21:00~)に出演中。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年4月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年04月22日この春始めたい、習い事ことはじめ。ここでは“陶芸”に注目します。「作る」を習う。モノづくりや料理など、何かを作るということは、そこに自分の感性やセンスが反映され、表現力も磨かれる。好きなもの、おいしいものに囲まれ、生活もグッと豊かに!習い事:陶芸習っている人:モデル・長澤メイさん油絵、写真など、クリエイティブな趣味を持つモデルの長澤メイさんが、今ハマっているのが陶芸。「昔からモノづくりが得意で、図工の成績は5以外とったことがありません(笑)。さまざまなモノづくりに興味があり、陶芸は約4年前に始めました。都内のさまざまな工房の陶芸体験に行きまくり、しっかり基礎を学べて、自分の感性やスキルを高めてくれるなぁと思える先生に出会えたのが2年前。今は2つの工房を掛け持ちして、月に2~3回のぺースで通っています。工房によって扱っている土や釉薬も異なるし、窯の大きさも違うので、複数の工房で腕を磨きながら、自分の表現の幅を広げています。4月からは金沢にある工房にも通う予定です。年末にその工房にひとりで訪れて、4日間ずっとろくろを回していました。まさに修業(笑)。陶芸はその土地の風土がすごく反映されるものだし、金沢は空気も水もキレイで、今までとまた違う表現ができて面白いんです。環境も良く、作品づくりに集中できるから、今後は毎月通いたいと思っています」モノづくりも自己表現も得意な長澤さんがそこまでハマる陶芸の魅力はどんなところなのだろうか。「陶芸は、焼き上がるまでどんな作品になるか全くわからない。その待っている間のドキドキワクワク感がたまらないんです。それに作りながら好きなように形も変えられるし、釉薬ひとつで表面の色を多種多用に変えられて、垂らし具合で面白い変化をつけることもできる。まさに自由自在。そこに自分の今の思いが乗っかって、偶然の表情を持つ作品を生み出せた時が一番うれしい。だから毎回何を作るかは決めずに、その時の気分で作るようにしています。土に触っていると、自分が表現したいものがひゅーと上から降りてきて、手が勝手に動くんです(笑)。それに土に触れることで、体内のエネルギーバランスが整う『アーシング』効果も。陶芸をしている時間はメディテーションにもなっていて、すごく心が落ち着きます」長澤さんの作品は、シックなものもあるが、心がウキウキしてくるようなカラフルでキラキラしている、ポップで軽快な作品が多い。「展覧会に行くと、ネガティブなテーマを表現したアート作品が昔から多くてビックリ。私だったら絶対にポジティブなものしか作らない。だって自分が生み出すものは絶対に自分が好きなものだし、それに囲まれるだけでそこがハッピースポットになって、すごく幸せを感じられるじゃないですか…。作品にはその人のエネルギーが宿るので、作品を通して私のポジティブパワーをみんなに届けて、世界中をハッピーにしたい!それが私の野望です。まずは近々の目標として、今秋に国内で個展を開くために、今まで以上に作品づくりを頑張らなきゃと思っていて、大きな作品にも挑戦中。そしていつか海外で展覧会を開きたい。本気と書いて、マジです(笑)」偶然から生まれたユニークな鉢植え今にも歩きだしそうな鉢植えは、釉薬が垂れて自然とこんな形に。「偶然が作り出した奇跡の作品。キラキラの釉薬とクリスタルの天然石を用いているので、光が当たるととてもキレイ!」愛犬そっくり!陶器のお香立て長澤さんの愛犬“uni”をモチーフにした作品も。「お香をたくと、uniの口から煙がもくもく出てきます。uniの姿形は頭にしっかり入っているから、写真も何も見ずに成形しました」ながさわ・めいモデル。1990年12月8日生まれ、愛知県出身。名古屋PARCO開業30周年広告「LOVE PARCO」をはじめ、TVCMやMVなどに多数出演。写真展「Sammy」を開催したり、吸水ショーツをプロデュースするなど、マルチに活動中。※『anan』2022年4月20日号より。写真・小笠原真紀取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2022年04月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「作詞」です。最近、作詞に対しての考え方が変わってきたように思います。過去にもこの連載で作詞について話をしていますが、そのときは、歌詞は譜割りに合っていればよくて、内容そのものについては二の次で、わりとどうでもいいと言っていました。今はもう少し、“言葉”や“意味”に比重があるような楽曲が増えてきていると思います。長く活動をしていると、コード進行や曲調などがどうしても限られてきてしまう。その中で差別化や自分のオリジナリティを際立たせるためには、もっと岡崎体育らしい歌詞を作らないといけないんだ、と意識が変わってきました。そのきっかけのひとつに、ミュージシャンで作詞家としても活躍されている、いしわたり淳治さんに僕の「ニニニニニ」という楽曲を褒めてもらったことがあります。これはNHKのドラマ『いいね!光源氏くん』の主題歌で、短歌をテーマに書いた曲です。短歌は“5・7・5・7・7”のリズムで作ることが基本ですが、恋をしたら31音も選んでいられない、“好き”の二文字だけで精一杯という歌です。この表現をいしわたりさんに褒めていただいて、それがとてもうれしかったんです。僕自身も、自分らしい発想の歌詞でいい曲にまとめることができたと思えた一曲。岡崎体育らしさを、曲やアレンジではなく、まず歌詞で出せるんだということに気づいた曲だと思います。日本語は言葉の表現が本当に豊かです。感謝の気持ちを表したいと思っただけでもいろんな言葉がある。それをどんなボキャブラリーや発想で歌詞にするかで、個性が出るのだと思います。たとえば10個歌詞があったとしても、一目で「これは岡崎体育が書いたやろ」とわかるような歌詞をこれからもどんどん書いていきたいと思っています。僕らしくといってもパターンはいろいろあります。たとえばポケモンの主題歌の歌詞を書くときと、自分のアルバムの5~6曲目の歌詞を書くときでは全然テンションが違う。メッセージソングやバラードなどは、先ほど話した意味や内容に重きをおいて書きます。でも最近の曲だと、「Okazaki Little Opera」などは過去曲に近い考え方で、言葉の羅列で気持ちよくメロディやリズムに合うもので、ボーカルもひとつの楽器として捉えているような楽曲です。過去のやり方もひとつの手法だと思うので、この2つをうまく使いこなせるアーティストでいたいですね。おかざきたいいくEテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3(土曜21:00~)に出演中。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年4月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年04月16日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「『anan』の表紙」です。2月9日に発売された『anan』2286増刊号をみなさん、ご覧いただけましたでしょうか?岡崎体育、初の表紙を飾らせていただきました。一緒にカバーに登場したのは横浜流星くんと佐野勇斗さんです。え?どこに岡崎体育がいたかって?表紙の右下をしっかり見てほしいです。僕、ちゃんといますから!表紙にこの登場の仕方ができるのは、僕しかおらんやろと思います。実現できたのは、連載でずーーーっと「『anan』の表紙になりたい」と言い続けていたからだと思います。それが編集部の上層部の目に留まり、「岡崎体育さんに出ていただこう」という話になったのだと思います。しょっちゅうお願いはしていたものの、まさか本当に表紙を飾れるとは思っていなかったので、実際このお話をいただいたときには、なんでも言ってみるもんやなと、あらためて言葉にすることの大切さを感じました。みなさんも、自分のやってみたいことや叶えたいことは言葉にすることをおすすめします。これだけインターネットやSNSが発達している世の中です。どこで誰が見ているか聞いているかわかりません。SNSなどで発言したことをきっかけにそれが現実になるのは有り得ることだと思います。今回、表紙に載った僕のサイズはたったの15×15mm。これは『anan』の表紙を飾った人の中でもっとも小さいサイズだと思います。でも、小さいからこそすごいんです。だって、これまでこんな出方をしたミュージシャンは他にはいないはず。この先も、僕より小さく表紙を飾る人は出てこないのでは?それに僕だったから『anan』さんもトライしてくださったのだと思いますし、こういう面白い出方をよしとしてくれた編集部の方々、そしてうちのスタッフに感謝したいと思います。だって、普通のマネージャーやったらこんな出方、怒ってもおかしくないのに……。でも、僕のマネージャーは「もっと小さくてもいいのに」とこぼすくらいでしたから。みんなが岡崎体育の“おいしさ”を理解して共有してくれたからできたこと。Twitterの反応を見ていても思いましたが、ファンのみなさんも僕の出方をすごく楽しんで面白がってくれた。本当にみんな楽しく“岡崎体育”をいじってくれたと感じてます。唯一、ちゃんと怒っていたのは横浜流星くんです。流星くんだけは「体育さんがあんなに小さいなんて!」と怒ってくれました。おかざきたいいくEテレ『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3が、4/9(土)スタート。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年4月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年04月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「経済安保法案(経済安全保障推進法案)」です。サイバー攻撃にさらされる時代。安全確保は急務。岸田政権が目玉政策と掲げているのが「経済安全保障推進法案」。いわゆる、経済安保法案です。これは、先端技術や機密情報が盗まれる、インフラが攻撃されるというような行為から国を守るための法案です。表向きは何の問題もない経済活動なのに、製品が流通するなかで、ハッキングされて高度な技術が盗まれるというようなことが起きています。経済安全保障に関して、声高に謳われるようになったきっかけのひとつは、アメリカで起きたファーウェイ問題でしょう。ファーウェイ製品や中国が製造した半導体関連の装置に、アメリカの情報を盗み取り中国本土に送る仕組みが施されていると、アメリカはファーウェイを排斥し始めました。ほかにも、欧米では軍事、航空宇宙関連の製品を製造する過程で、中国の部品が使われていないか、サプライチェーンを総点検するという動きが出ています。経済安保法案には4つの柱があります。(1)重要物資や原材料のサプライチェーンの強靭化。(2)14分野の基幹インフラの安全性・信頼性確保。(3)先端技術の育成や支援における官民協力。(4)高度な技術の特許出願の非公開化。技術やデータが盗まれないようにサプライチェーンを隅々まで見直し、基幹インフラがサイバー攻撃に遭わないようにする。また、研究者などが引き抜かれて技術が漏洩するのを防ぐ。企業の買収や合併が、軍事的に緊張関係にある資本によって行われないようにする。これまで国は、民間企業同士の取引にはタッチできないところがあったのですが、国家の機密や発展につながる重要な技術を持つ企業には、事前審査できるよう、法案の可決を急いでいます。対象は電力、ガス、石油、水道、電気通信、放送、金融、郵便、クレジットカード、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、航空、空港の14の業種。サイバー攻撃を受けやすい環境を作ってしまうと、たとえばデジタル制御されている戦闘機が、ハッキングによって自国に向けてミサイルを発射するということもできてしまうんですね。日本の産業を守るためにも、技術を守るためにも、適正な取引を維持するためにも必要に迫られている政策です。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年4月6日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年04月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「マルチな才能」です。この連載で、ドラマの最終話についての話をさせていただきました。「ドラマの撮影が終わったらロスになりそう」と書きましたが、まさに今そんな感じです。しみじみと、この作品に関われたことを良かったなと感じています。他の演者さんから「日曜劇場を経験しておくと役者としての体力がつくよ」と言われたことも、本当にその通りだなと思います。本作では、吉川晃司さんと共演をさせていただきましたが(あまり絡むシーンはありませんでしたが)、吉川さんもミュージシャンで役者としてもめちゃくちゃ活躍されている方。僕も同じようにいろいろな分野でマルチに活躍できるようになりたいと、心底思うようになりました。ミュージシャンなのに役者としても違和感がないと思っていただけるように、これからももっと精進していきたいと思いました。しかしその域にはまだまだだな、というのも切実に感じました。ミュージシャンとしては、こういう曲を準備して、セットリストをこうして、ステージでこうパフォーマンスすればみんなが楽しんでくれるというのがなんとなくわかるのですが、役者としてはわからないことだらけです。今回の現場でもたくさん勉強をさせていただきました。自分が映らなくていいシーンでは、監督さんの後ろで他の方のお芝居を見させていただくことも多かったです。こういうタイミングでまばたきをするんだとか、目の動かし方、間の取り方など、みなさんのお芝居から盗めることは盗む。また、監督さんがどういうことを言うのか、役者にどんな演出をするのかなど、役者のあれこれを現場で勉強していくのは本当に楽しかったです。だから、お芝居の仕事をいただくのは本当にありがたいことです。今後もチャンスがあれば続けていきたいと思っています。ミュージシャンとして音楽一本でやっていくのももちろんかっこいいです。でも、自分の性格的にはお芝居やバラエティ番組などでいろいろな経験をして、それがどの仕事にも相互作用して好循環となるほうが自分のスタイルに合っているような気がします。だからこそ、器用貧乏な人と言われないようにしないといけない。なんでも平均点ではなく、すべてで100点を取れるようにしたいです。そのためにはどのお仕事も超一流を目指す。これは難しいことですが、あらためて今後の人生のテーマにしたいです。おかざきたいいく『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3が、4/9(土)スタート。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年4月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年04月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ワンマンツアー」です。岡崎体育ワンマンライブ「実写版クッキングばぁば」が3月4日のZepp Nagoyaを皮切りにスタートしています。全国5か所6公演とツアーの規模としてはコンパクトですが、僕にとってはなんと3年ぶりとなる全国ツアー。なので、とても楽しみながら回っています。ここ数年は、さいたまスーパーアリーナ、エディオンアリーナ大阪、横浜アリーナと、アリーナクラスの会場でどかんと単発のライブを行うことに注力をしていました。なので今回、ライブハウスでワンマンツアーを行うことに対して、いささか緊張感があります。あれ、ツアーってどうやってやるんやったっけ?と、正直思っています。3年ぶりってけっこう長いことやってなかったですよね。名古屋も北海道も福岡もライブをしにいくのは3年ぶり。だから3年ぶりに岡崎体育を見るよって人も多いのではないでしょうか。そういう方々にこの期間の僕の成長をしっかり感じ取ってもらいたいですね。それで“岡崎体育なかなかレベル上がったな”と感じてもらえたらうれしい。ひとりでも多くの方にまだまだ伸びしろあると思っていただきたいです。今回のライブの見どころをひとつ申し上げるとすると、僕は「ポテト探検隊」という(架空の)バンドをやっているのですが、今回のツアーでは「ポテト探検隊」のメンバーも参加してバンドセットで披露する楽曲があります。今までずっとひとりきりでステージをやっていた岡崎体育の新しい形を見せることができるのではないかと思っています。カバー楽曲もライブで初披露しています。カバーした楽曲を生バンドで演奏するのも初めてのことで、ドキドキしています。ぜひたくさんの人に聴いてほしいです。ちなみに前回のツアーのとき、僕は急性ウイルス性胃腸炎で1公演をキャンセルしてしまっているんです。それがすごく記憶に残っているので、今回は体調管理にかなり気を使っています。お腹が痛くならないように食べ物にも気を使ったり、喉のケアも万全に整えるようにしています。今は人前では常にマスクをつけている世の中なので、幸いなことにここ最近は風邪をひくこともなく過ごせています。なので、この調子でツアーを最後まで無事乗り切りたいと思っています。残りの日程もあとわずかですが久しぶりのツアーを思い切り楽しみたいと思います!おかざきたいいく『ヒャダ×体育のワンルームミュージック』Season3が、4/9(土)スタート。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年3月30日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年03月26日Awesome City Clubが、4thフルアルバム『Get Set』をリリースした。2021年に「勿忘」が大ヒットし、紅白歌合戦に出場するほどの国民的アーティストとなった彼ら。その渦中では、何を思っていたのだろうか。飛躍から更なるチャレンジに向かったニューアルバム!「これまで味わったことがないような忙しさで。最初は戸惑ったりしましたけど、振り返ると、すごく充実していたと思います」(モリシー)「心が忙しかったなって。うれしさもあったし、ずっと緊張もしていたし、不安もあったし。というのと、正直あんまり記憶がないくらいです(笑)。今は落ち着いていますけどね」(PORIN)「そもそも、ミーハー心がないからだと思うんですけど、舞い上がることがなかったのと、だんだん慣れていったっていうのはありました。『勿忘』がひとり歩きしていって、それは自分たちが望んだことですけど、変に冷静に感じていて。どこか他人事のように見ていた節があります」(atagi)そんな状況でも3人は、1年かけて着々とアルバムを制作していた。しかも、新たなチャレンジを掲げて。「僕らはいつもコンセプトを決めてアルバムを作っていくんですけど、今回、それとは逆のことをしたいっていう話はしていて。まず、一曲の強度をできるだけ高めていくっていう。そして、そういう強い曲がたくさんアーカイブされたアルバムを作ろうと思ったんです」(atagi)だからこそ、アルバムに至るまでに、7曲連続配信リリースというスタイルをとることもできたのだ。その中でも、最初にできあがった楽曲が、アルバムを締め括る「またたき」。「最後という役割を背負える楽曲」とatagiさんは語るが、そんな楽曲が最初にできあがっていたことに、運命めいたものを感じる。「まだ見ぬ未来を歌った楽曲なので、アルバムの最後で、未来を思ってもらえればいいなって」(PORIN)「歌詞は、自分が親の立場になった時に、子どもに注ぐ愛情ってどんなもんだろう?って、わからないことを書いたんです。自分には子どもはいないのに。だけど、考えれば考えるほど、親の持つ愛情の深さや尊さを感じて。フィクションの歌詞なのに、すごくよく書けたなって。自分がこういう人間で在りたいっていう、哲学めいたものにも触れられて、やったことのない表現と、行ったことのない深層心理にまで手を伸ばせた楽曲ですね」(atagi)そんなスケールの広い愛の歌の前に収録されているのが「ランブル」。アルバム初収録であり、本音が聴ける、吐き出せるような親密さがある。「コード進行が美しい曲です。ここから見えるノスタルジー、郷愁があるだろうなって」(atagi)「2022年になってから作りました。atagiさんのパーソナルな部分が反映されて、このアルバムの中でいちばん深いところまで潜った楽曲だと思います」(PORIN)もちろん、楽曲の強度は全編にわたって感じることができる。PORINさんは「雪どけ」について「オーサム流の冬ソングを作りたいね、っていうところからはじまったんです」と話してくれた。他にも「夏の午後はコバルト」など、四季それぞれで聴きたい楽曲が収録されている。そんなアルバムの1曲目を飾るのが「On Your Mark」。ギターにはモリシーさんの衝動が秘められており、だからこそテンションが急上昇する幕開けになっている。「いちばんエキサイトしたのが、『On Your Mark』のギター録り。特に最初のデー、デッデーデーのところは、いつも部屋でギターを録っているんですけど、部屋の中でエキサイトしました(笑)。オーサムで作ったことがない音色だったし。かつ、自分がギターをはじめた頃の気持ちを思い出す音色だったし。しかも、これが今年の仕事始めだったんです」(モリシー)まさしく勢いのいいスタートを切った2022年らしく、アルバムのタイトルは潔く『Get Set』。「位置について、よーいドン!の“よーい”という意味なんですけど。私たちの新しい一面を出すアルバムだから、スタートを切るイメージがあった時に、『On Your Mark』ができて。『On YourMark』って、“位置について”じゃないですか。そこからアルバムタイトルを『Get Set』=“よーい”にしたのは、アルバムがみんなに聴かれて、ようやく完成すると思っているので、そこで一緒に“Go”しようっていうことなんです」(PORIN)4月からは約2年ぶりの全国ツアー「Awesome Talks‐One Man Show 2022‐」もある。大きくなったオーサムが、ライブハウスの距離感でパフォーマンスしてくれる、待望の機会だ。「この2年間でいろんなことが変わったので、本領発揮できたらいいなって思っています」(モリシー)パラスポーツアニメ「アルペンスキー編」テーマ曲「On Your Mark」など全10曲収録。Blu‐rayはライブ映像を収録。アルバム『Get Set』【CD+Blu‐ray】¥8,250【CD】¥3,190(avex/cutting edge)オーサムシティクラブ左からatagi、モリシー、PORIN。男女ツインボーカル。2013年東京で結成。’21年、映画『花束みたいな恋をした』インスパイアソング「勿忘」がストリーミング累計3億回再生突破。モリシーさん・ジャケット¥54,000パンツ¥36,000(ハビィー TEL:03・6555・5451/ファースト ショールーム)atagiさん・ジャケット¥77,000パンツ¥44,000(クティinfo@cutistokyo.com/ファースト ショールーム)※『anan』2022年3月16日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・池田未来(インザピンク)ヘア&メイク・千葉彩子黒川 麗取材、文・高橋美穂(by anan編集部)
2022年03月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「定額恐怖症」です。前世で何かあったのかもしれない…と思うほど、毎月いくらという定額制のモノやサブスクリプションのサービスが苦手です。わかりやすいことで言うと、家賃を払うことや時間制の駐車場などが苦手です。家賃は家を借りてその対価を払っている、車のパーキングも停めている間の場所代を支払っているということは理解していますが、お金を払ってカタチのあるものが残らないことに、何とも言えないもどかしさを感じてしまいます。ですので、家はできることならば持ち家がいいと考えていますし、駐車場もできるだけ短時間で用事を済ませて余分に支払わないようにしています。さらに細かい話になりますが、マッサージなども苦手です。60分6000円とか言われてもなんかピンとこない。「施術を受けたからその対価を支払っている」と言われると、それはそうだなと思いますが、結果、凝りがほぐれたとか、疲れが取れたという実感を得られなかったらどうしよう?と思ってなかなか試すことができません。自分が一定の金額を支払って、その金額以上の幸せをもたらしてもらっているかどうか。それが僕にとっては重要なようです。今、様々なサービスがサブスクでできますが、音楽やゲームを登録しているくらいで積極的にいろいろ試そうとは思っていません。音楽制作においてもその考え方は同じです。サンプリング音源をサブスクで自由にダウンロードできるサービスがあり、プロのミュージシャンでも利用している方が多いです。というか、周りの友達はほぼ使っています。ヒャダ(イン)さんにも「なんで登録しないんだ」と言われていますし、利用したほうが絶対に時短にもなるし、音色も増えて、いいことずくめだとわかっていますが、僕は登録していません。月に2000円払っているとします。それで、もしその月一曲も制作しなかったら損をしてしまう…。そう考えると怖くて登録ができません。「次の月に倍使ったらええやんか」とか「必要経費なんやからこれは支払っておいても損ではない」と言ってくださる方もいますが、それでもなんだか胸がぎゅーっとなってしまい、登録できずにいます。あとは、できることなら誰かとかぶる可能性のあるサンプリング音源は使いたくないという気持ちも。便利なものがあると知りながらも手作りでコツコツやる。そんな泥くさいスタンスが、自分のやりがいやこだわりになっているのかもしれません。おかざきたいいく岡崎体育ワンマンライブツアー「実写版 クッキングばぁば」開催中。昨年11月に横浜アリーナで行われたワンマンライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年3月16日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年03月12日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「疲労」です。ミュージシャンも30歳を過ぎると疲れが取れにくくなります。どうすれば疲れって取れるんでしょう?とりあえず寝るしかないと、毎日早く寝ています(最近はドラマの撮影が続き肉体を酷使しているので、寝つきはめちゃくちゃいいです)。でも、寝たら寝たで起きるとしんどい。30代になったばっかりで何を言っているんだと、みなさんおっしゃるかもしれませんが、僕は体年齢が54歳なんです。本当です。体組成計付きの体重計で毎日測っているのですが、それによると僕のボディは完全に54歳だそうです…。『DCU』で共演中の阿部寛さんと変わりません。いや、阿部さんは逆に体年齢がめちゃくちゃお若いと推測できます。若いに違いない。なので、このドラマの出演者の一番手はある意味、僕です。実はいろいろ試してみています。整体に行ってみたりとか、タイ古式のマッサージに行ってみたりとか。でもそれもあまり効果を感じられなくて。試した中でいちばん癒されたのは、意外にも犬でした。犬と触れ合うというのがいちばん疲れが取れたんです。そのときだけは、体の疲れから解放された感じがしました。今の宣材写真や、アルバム『FIGHT CLUB』のジャケット写真も犬と一緒に撮影させてもらっていることからもわかる通り、僕は犬が大好きです。かわいいです。京都の実家でずっと犬を飼っていたこともあり、犬がずっとそばにいてくれたらええのになあと思います。そうしたらずっと疲れ知らずでいられそうです。でも、体の疲れはやっぱりどうにかデトックスしたいところ。マッサージや鍼灸も効かなかったので、日々溜めないようにするしかないのかなと。そう思ってお風呂にはちゃんと入るようになりました。実家にいたころは、夏でも冬でもシャワーしかしてなかったんです。でも、東京で部屋を借りるようになってからはボタンひとつでお湯が張れるので、お風呂に入る習慣ができました。ちゃんとストレッチをして体をほぐしてからお風呂に入る。これだけでだいぶ違うとanan編集部のみなさんにも言われたので、実践してみたいと思います。でも、これだけぐったり疲れられるってことはそれだけ充実した仕事ができているということ。疲れられることの幸せをかみしめながら、ちゃんと柔軟したいと思います。おかざきたいいく岡崎体育ワンマンライブツアー「実写版 クッキングばぁば」が、3/4愛知公演を皮切りにスタート。昨年11月に横浜アリーナで行われたワンマンライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。※『anan』2022年3月9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年03月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「外国人住民投票権」です。外国人と共生する時代に、考えねばならない課題。昨年12月、東京都武蔵野市議会で、外国人に住民投票権を与える条例案が否決されました。市内に3か月以上住む18歳以上の人には、国籍を問わず投票権を認めるというもので、そこには留学生や技能実習生も含まれていました。しかし、3か月だけ住んだ外国人に、日本人と同じ権利を持たせるというのは少し無理があり、せめてもう少し期間が必要だろうと思います。ちょうど同じころ、アメリカ・ニューヨーク市議会では、外国籍の住民に地方選挙の投票権を与える条例案を可決。こちらは、「永住権を持つ人」「就労許可を得ている外国人」が対象でした。アメリカの主要都市では初めての試みで、世界中が注目しました。これにより、市の人口約880万人のうち新たに80~100万人の外国人が投票する権利を得ることになります。日本では2006年に神奈川県逗子市、’09年に大阪府豊中市で、外国人にも日本人と同様の住民投票権を認める条例が施行されました。ただ、これまでに住民投票は一度も行われていません。外国人への住民投票権付与に反対する主な理由に、その地域に外国人が集中し、行政をコントロールしようとするのではないかと危険視する声があります。しかし、いまのところ両市とも、外国人住民は急増してはいません。外国籍住民が最も多い政令指定都市は大阪市で、住民の5%にあたる約14万6000人。2年前の大阪都構想の住民投票でも、外国籍の方はこの決定に参加することができませんでした。少子高齢化が深刻な日本では、これから外国人労働者はますます必要になりますから、外国人の政治参加についての議論は各地で行われていくでしょう。また、もう一つ大きな課題として、在日コリアンの参政権問題もあります。日本で生まれ育ちながら、票を投じる権利を持たない人が大勢います。外国人と一括りにすると、疑心暗鬼になるかもしれませんが、同じマンションや商店街の顔見知りの「さん」なら、暮らしに関わる決定事項に意見を言うことも自然に受け入れられます。外国人と共生するには、まず地域で交流することが大切なのかもしれません。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年2月16日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年03月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「半導体不足」です。製造地域の偏りが大きな要因に。長期的展望が必要。いま、世界的に深刻な半導体不足に陥っています。半導体は、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器のほか、最近は冷蔵庫や洗濯機などの家電にも使用されており、電車の運行など社会インフラにも不可欠なものです。不足した大きな理由は新型コロナウイルスのパンデミックです。世界的にリモートワークが広がり、半導体チップを使った製品の需要が急増しました。ただ、製造工場はコロナ禍になる前から、実はほぼフル稼働状態でした。半導体は年々進化しており、生産ラインも最先端のチップにバージョンアップしていました。ところが、従来のバージョンも依然として需要があり、進化と必要なタイプにズレが生じることに。それがサプライチェーンの生産工程にストップをかけ、生産の減速や停止という事態になったのです。半導体不足による自動車業界への打撃は深刻で、閉鎖を余儀なくされる工場も。ゼネラルモーターズやフォードは20億ドル以上、収益の減少を見込んでいます。もう一つの問題点は、半導体を作る地域が偏っていることです。世界の半導体の87%が台湾、韓国、中国で生産されています。半導体チップの54%は台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)が製造。当然、需要が集中しても生産能力を急に上げることはできません。また、生産拠点の一つである中国とアメリカの対立も、供給不足に影響を及ぼしました。半導体の大手、アメリカ・インテル社のCEOは、半導体不足の影響は2023年まで続くだろうと予測しました。アメリカは世界の半導体の売上高の47%を占めていますが、自国で生産しているチップは約12%。このため、半導体関連に改めて投資を行うと宣言。東アジアに依存していた半導体製造が分散されれば、リスクも軽減されます。韓国はそうした動きに支援をしたいと、今後10年間で4500億ドル以上の半導体関連への投資を発表しました。日本はかつて世界をリードする半導体国家でしたが、価格競争に負けて、技術者は海外に流出してしまいました。日本の電子産業を今後どう再興するのか?国には科学技術分野への投資と人材育成を強く求めたいです。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年2月23日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年02月17日横浜中華街のすぐそばにあるKAAT神奈川芸術劇場が、近頃面白いことになっている。エントランスロビーに、昔の芝居小屋を思わせる仮設劇場が出現したり。かと思えば、劇場の一角を一般に開放し、開幕に向けて俳優が稽古に勤しむ様子を通りすがりに眺められたり。それもこれも、劇場をもっと“ひらいて”いきたいという新しい芸術監督の想いから。それがこの長塚圭史さんだ。新芸術監督が神奈川県と仕掛ける、ユニークな冒険譚。「ロンドンに1年間いた時、日本に比べて劇場がアーティストやお客さんと密接な関係にあると感じたんですね。子供に上質な演劇を観せる機会が広く設けられていたり、アーティストが研究や実験をおこなえるよう開かれていたり。劇場がそういう場所になったら豊かだなというのは、就任が決まる前から思っていたこと。でもそのためには、この場所にあるということをちゃんと自覚し、またそれを多くの人に知っていただくことが必要で。そのために、まず近隣の方たちとどう顔を合わせていくかを考えていたんです」とはいえ、劇場になじみのない人も多い。ならばこちらから出向こうと発想されたのが舞台『冒険者たち』。『西遊記』でおなじみの三蔵法師一行が神奈川県内を巡る冒険譚を、県内各所で上演するという企画だ。「神奈川県って、劇場のある横浜を起点にすると西にすごく広い。ならば西を目指す『西遊記』はどうだろう、と。物語に思いっきりのっかって、明るい作品を作りたいなと書いたんですが、こんな芝居を作ったことがなかったので、自分の中でも超不思議体験でした」物語の中には各所の史跡や名所、人気店が登場。芝居を観ながら地域のことも知ることができるユニークな仕掛けに。「これを書くことで神奈川の“K”くらいには触れられた気がしてるんです。家族に、朝出かける時も夜帰ってきてもまだ神奈川の地図を見てるって言われたくらい。でも、こういう荒唐無稽な設定だったり、いろんな手続きを踏まなくても別の場所へ転じることができたりって、演劇ならすごく簡単にできる。そういう演劇的マジックを、たくさんの方が楽しんでくれたらいいなと思っています」現在、長塚さんはもちろん、キャストやスタッフ全員がさまざまなアイデアを持ち寄っては試す、クリエイティブな稽古がおこなわれている。「観音経を音楽的に読経・演奏してみたかったので作ってみたら、なかなかよかったり。音楽の角銅真実さんがハルモニウムという楽器で入ったら、成河(ソンハ)が太鼓を叩き、(柄本)時生が木魚を叩きだして、それがすごくいい感じになったり…。とにかく予測を超えたいろんなものも生まれている。その稽古場の感じが、すごく楽しいですね」KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト第一弾『冒険者たち~JOURNEY TO THE WEST~』天竺へ向けて旅を続ける三蔵法師(柄本)一行が紛れ込んだのは神奈川県。元の道に戻ろうと画策するが、供の猪八戒が行方不明。どうやら県内各地の飲食店で飲み食いしているらしく…。2月8日(火)~16日(水)横浜・KAAT神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉上演台本・演出/長塚圭史(原作:呉承恩『西遊記』)共同演出/大澤遊音楽・演奏/角銅真実出演/柄本時生、菅原永二、佐々木春香、長塚圭史、成河一般4800円ほかチケットかながわ TEL:0570・015・415(10:00~18:00)神奈川県内ツアーあり。ながつか・けいし1975年生まれ、東京都出身。主宰する阿佐ヶ谷スパイダースをはじめ、多彩な演劇活動をおこなっており、昨年よりKAAT神奈川芸術劇場芸術監督。出演映画『シン・ウルトラマン』が5月公開。※『anan』2022年2月9日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年02月08日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「スタッフをねぎらいたい」です。最近、なにをしても疲れが取れません。よくよく考えれば僕は実年齢こそ32歳ですが体幹年齢は54歳です。2時間のライブを一人きりでこなすと、とにかくしんどいのです。好きなことをやっていてしんどいとは何ごとか、と思われるかもしれませんが疲れるものは疲れます。寝てもなかなか疲れが取れません。しかし、はたと気づいたのは、僕より周りのスタッフのほうがしんどいのではないか?ということ。先日の横浜アリーナのライブでは、マネージャーの松下はその日の歩行距離が10kmもあったそうです。入り口までゲストを迎えに行ったり僕の楽屋へ用事をしに来たりと、朝から終演まで、なんなら終演後もずーっと走りっぱなし。どう考えても、ステージの端から端まで走るのは無理だからとママチャリを用意してもらった僕よりも重労働です。そのほかにも誰よりも先に会場に入って準備している舞台監督をはじめとしたスタッフのみなさん、ライブの写真を撮影してくださるライブカメラマンさんは重い機材を抱えて会場中を走り回ってくれるし、ライブが終わってからも撤収作業をするために何百人というアルバイトさんも待ってくれている。そういうことをあらためて考えると、僕のやりたいことを実現するために多くの方々にご協力をいただいていて、本当にスタッフのみなさんをねぎらいたい気持ちになります。では、どうやってねぎらえばいいかなと考えると、おいしいものを差し入れるとか豪勢な打ち上げを企画するなど、なにかをしてあげるのもいいですが、もっといいことは、シンプルでスムーズでコンパクトなライブをすることなのではないかと思い至りました。まず、ライブ用の楽曲を即座にあげる。そうすることでライブ映像を作ってくれているVJチームはとても助かるはずです。いつもぎりぎりまで粘って楽曲制作をしているので、そのしわ寄せで映像制作はいつもライブ当日ぎりぎりまで作業をしてくれています。僕が曲を早くあげれば早く作業を進めることができるはずです。また、ライブ当日も無駄なMCなどはしない。決まっている通りにきちんとライブを進めて、素早く撤収できるように配慮する。それが今のミュージシャンにできることなのではないかと思いました。働き方改革が叫ばれている昨今、ミュージシャンばかりがいちばん偉くて甘やかされる時代は終わりです。もっとスタッフをいたわりたいです!おかざきたいいく岡崎体育ワンマンライブ「実写版 クッキングばぁば」を、3/4愛知公演を皮切りに5都市で6公演開催。TBS日曜劇場『DCU』(21:00~)に、ダイバーの森田七雄役で出演中。※『anan』2022年2月9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年02月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「海底火山噴火」です。被害・影響が各地で。火山大国であることを忘れないで。昨年8月、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火しました。1914年の桜島以来、約100年ぶりの規模の大噴火でした。これにより大量の軽石が生み出され、黒潮反流に乗って沖縄県の広範囲に漂着。軽石は脆いので、崩れて細かい砂状になって、海面を漂います。それを魚や海亀の赤ちゃんが大量に飲み込んで死亡するなど、生態系に大きな影響を与えます。軽石が大量漂着した沖縄県では観光業や漁業に大きな被害が出ました。養殖魚が大量死。さらに、軽石が海面を覆い日光を遮断し、海藻に日が当たらなくなってしまいました。海藻は海の栄養分であり魚のベッドですから、海藻がダメになることでも海の生態系は乱れます。また、漁船の海水取り込み口や海水こし器に軽石が詰まるとエンジンが壊れてしまいますから、漁師が漁に出られないという問題も起きました。軽石はその後、潮の流れに乗って奄美群島や東京都や千葉県など、各所に流れ着きました。11月末から、台湾宜蘭県で起きた軽石による漁業被害も、福徳岡ノ場噴火のものである可能性が高いといわれています。そんななか、1月15日に南太平洋のトンガ諸島で大規模な海底火山噴火が起きました。噴煙が最大高さ20km近く、半径260kmも広がった、1000年に一度の規模ともいわれており、被害や気候への影響が心配されています。海底火山噴火というと、直接生活に影響がないように感じるかもしれませんが、日本は火山大国です。活火山の富士山は、いつ噴火してもおかしくない状況です。大規模噴火が起きれば首都圏でも、停電したり交通インフラが止まる恐れがあります。降灰直後から2週間程度、上下水道や電力、流通などが機能停止に陥る可能性があるという試算もされています。三菱地所は昨年11月に、大手町・丸の内・有楽町に所有するビルで、富士山の噴火による降灰を想定した対策を実施すると発表しました。ビルの機能がストップしないように整備するほか、帰宅困難者受け入れの準備もするそうです。私たちも平時のうちから、災害の備えをしておきましょう。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年2月9日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年02月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「休憩時間」です。昨年、横浜アリーナでライブを開催しましたが、途中で休憩時間を入れてました。それがミュージシャンのライブとしては新鮮だったと、感想をいただきました。僕のライブでは休憩時間を設けることは定番です。その間、幕間映像などを楽しんでもらうようにしています。ただ、横浜アリーナでは「これから5分間の休憩に入ります」とアナウンスを流したので、特に印象に残ったのかもしれません。僕がライブに休憩時間を設けるにはいくつか理由があります。まずは、みんなにちゃんと休んでほしいんです。自分自身が10代のころから3時間ぶっ通し、立ちっぱなしのライブに参加すると「しんどいって」と思うタイプだったので、観客の立場から考えても休憩があるとうれしいな、と思うんです。とくにホールやアリーナ公演だと椅子がありますから。みなさんに椅子に座ってもらって、水分補給をしたりトイレ休憩をとったりしてほしい。それで、また集中力を持ってライブ後半戦を楽しんでほしいと思います。と同時に、僕も休憩をちゃんとしたい。みなさんが休んでいる時、僕がなにをしているかというと、次のステージの準備とかではなくて、同じようにしっかりと休んでいます。スポーツドリンクとかを飲んで普通に座って呼吸を整えています。僕にとっても大事な休憩時間なんです。もうひとつ大きな理由としては1回リセットができるということ。僕はセットリストを長尺で考えるのが実は苦手です。だからサッカーの試合のように、前半後半の45分ハーフずつで考えたい。例えばオープニングの曲、観客を掴む派手な1曲目は長尺のセットリストで考えると当然、1回しかできません。でも、休憩を挟みリセットすることでもう1回組み込むことができる。僕の楽曲は「XXL」や「Championship」など1曲目に向いている派手なナンバーが充実しています。1番バッターの打席が2回あれば2曲エントリーすることができる。お客さんも2回盛り上がることができて楽しい。他の楽曲も同様に、踊れるコーナーも聴かせるコーナーも2度作れます。全20曲を通して組むより、10曲と10曲それぞれで打線を考えるほうがちょうどいいんです。なので、休憩を挟むスタイルが自分のライブには合っているんだと思います。おかざきたいいく岡崎体育ワンマンライブ「実写版 クッキングばぁば」を、3/4愛知公演を皮切りに5都市で6公演開催。TBS日曜劇場『DCU』(21:00~)に、ダイバーの森田七雄役で出演中。※『anan』2022年2月2日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年01月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「2022年」です。年明けなので今年の抱負をここに記しておきたいと思います。2022年にやりたいことといえば、まず何よりオリジナルアルバムをリリースしたいですね。昨年10月に『FIGHT CLUB』というアルバムをリリースしましたが、これが前作から2年9か月ぶりと結構間が空いてしまったので、次はもう少し早めのスパンでリリースしたい。いや、正直言えば、空いている間にタイアップ曲などをまとめた『OT WORKS II』や、ポケモン映画の劇中歌をまとめたアルバムも出しているので、結構楽曲制作はしているんです。僕はデビューして6年たちますが、アルバムだけでいえば7枚出しているので1年に1枚以上出していることに。でもオリジナルアルバムにはタイアップ曲を入れないという縛りを自分に課しているので、そこはどうしても間隔が空いてしまう。なので今年はできるだけ自分のための楽曲制作に時間をあてたいですね(とはいえ、タイアップや楽曲提供のお話も引き続き積極的に取り組んでいきたいと思っています)。あとはやっぱりライブをもっとできるようになるといいですね。3月からワンマンライブの全国ツアーを予定しています。先日の横浜アリーナでのワンマンでも実感しましたがライブはいいです。でも、やっぱりみなさんの声が聞けないのが残念です。少しずつ日常が戻りつつある今、期待するのはノーマスクで、お客さんたちが自由に声を出して歌ったり、歓声を出せるライブができること。早くもっとダイレクトな交流がしたいです。プライベートでいうと「死ぬまでにやりたい100のこと」リストを少しでも消化したいです。富士山にも登ってみたいし、バンジージャンプも跳んでみたい。以前、バンジーを跳ぶとしたらマザー牧場のちびっこでもできるようなバンジーでええやろというような話をしたと思いますが、そこは少し考えが変わりました。僕がマザー牧場のバンジー跳んで、何がおもろいねんと。どうせやるならとびきり怖い日本一高いバンジーに挑戦したいです。とはいえ、自分で跳ぶ勇気があるとはまだ全然思えません。誰かに背中を押してほしいと思って、押してくれないかとマネージャーの松下にお願いしてみましたが、「バンジーは押してはいけないんですよ。自分の意志で跳んでください」とあっさり断られてしまいました。そうなってくると、やっぱりイヤやな、と思っています。おかざきたいいく全国ツアー、岡崎体育ワンマンライブ「実写版 クッキングばぁば」は、3/4愛知公演を皮切りに5都市で6公演開催。TBS日曜劇場『DCU』(21:00~)に、ダイバーの森田七雄役で出演中。※『anan』2022年1月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年01月22日ミュージシャンや映画監督、俳優など多方面からのラブコールが止まらない、石崎ひゅーいさん。独自の視点を持つ歌詞と、心を打つメロディラインはもちろん、こんなオープンマインドな人柄も魅力なのだろう。「基本的に人が好きで、結構“人たらし”なところがあるんです(笑)。男も女も関係なく、気になる人がいればワーッと行って、自分のことを隠さずに全部、見せます。後からボロが出るより、最初にどうしようもないところもわかってほしいから」人に対する彼の興味は、他のアーティストに楽曲提供をする際にも発揮されている。5年ぶりのフル・アルバム『ダイヤモンド』の1曲目は、私立恵比寿中学に提供した「ジャンプ」のセルフカバー。「エビ中のフィルターを借りて、10代20代の子たちの葛藤を書きました。僕は高校生の時にバンドを組み、毎日のようにライブハウスにいたんですけど。その経験が今の自分を形成しているので、このコロナ禍で、当たり前に経験するはずだった青春を過ごせなかった若い子たちにエールを送りたくて。この曲ができた時に、いつかセルフカバーしたいなと思っていました」映画『アンダードッグ』の主題歌「Flowers」や、アニメ『歌舞伎町シャーロック』のEDテーマ「パレード」など、タイアップ曲も多数収録。なかでもドラマ『警視庁・捜査一課長』の主題歌「アヤメ」の制作は印象深かったと語る。「『アヤメ』はこの時代にどう向き合うかをテーマに、心に深く届くシンプルな言葉を意識して書いたので苦労しました。でも出来上がってドラマの制作チームの方たちに喜んでいただいて。ドラマでもアヤメの花や色をモチーフとして使ってくださり、頑張った甲斐がありました」2012年に『第三惑星交響曲』でデビューした時は、自身の繊細な感性を音楽にしてステージで爆発させる、本能的なアーティストというイメージだった。なので、こうして様々な作品に寄り添った音楽を次々と生み出すようになるとは思わなかったと正直に伝えたら、こんな反応。「僕自身も驚いてます(笑)。5年前のアルバム『アタラズモトオカラズ』の頃は、自分をとにかく放出して、ゼロになるまで出すみたいな考え方で歌ってたから。でもそれ以外の方法も導き出さないとシンガーソングライターを長く続けていけないと思ったことも大きかったですね」タイアップ曲の他、個性豊かな新曲たちも並ぶ。ガレージパンク風の「ジュノ」は、まるで青春ショートムービーのような仕上がり。「ある日、面白い夢を見た後に、その映像を言葉にする形で書いた曲です。前日に友達とNASAの木星探査機ジュノーの話をしていたから、夢に出てきた登場人物はジュノ。こういう奇跡的な曲作りは4年に一回くらいあります(笑)」人の様々な輝きを詰め込んだアルバム『ダイヤモンド』。ひゅーいさんが、たくさんの出会いに真摯に向き合った幸福な作品が完成した。「コロナ禍で人と会えない中、逆に音楽とはより密になり、音楽と結婚している感覚で作りました。今年はデビュー10周年、盛大なお祭りができたらいいなと考えています」4th Full Album『ダイヤモンド』。独自のストーリーテリングとポップさに磨きがかかった全11曲。【初回生産限定盤(CD+BD)】¥4,800【通常盤(CD)】¥3,300(EPICレコードジャパン)いしざき・ひゅーい1984年生まれ、茨城県出身。2012年にデビュー。’13年にドラマ『みんな!エスパーだよ!』のED曲「夜間飛行」を書き下ろして話題に。菅田将暉さんの「虹」「さよならエレジー」など楽曲提供も多数。※『anan』2022年1月12日号より。写真・小笠原真紀取材、文・上野三樹(by anan編集部)
2022年01月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「フェイク」です。以前の連載で横浜アリーナでの単独ライブの見どころについて“僕の歌”と答えましたが、ライブを観に来てくださったみなさま、いかがでしたでしょうか。個人的には表現力や声の出し方など成長したのではないかと自負しております。曲によっては“フェイク”もめっちゃハマっていたと褒めていただきました。フェイクとは何かというと“メロディやコーラスではない間奏部分などで即興的に歌ったり無言歌を入れること”と、ウィキペディアに書いてありました。その通りで、間奏の部分で「う~」とか「あ~」とか感嘆詞に近いような言葉にならない声で、間奏にのせて即興のメロディを歌い上げることです。僕は意外とこのフェイクをよくやるほうです。「鴨川等間隔」のラストや最新曲の「おっさん」でも入れていますし、ライブでは「Eagle」や「Voice Of Heart2」などでも聴くことができると思います。とはいえ、フェイクを上手にやるコツを僕には聞かないでください。そんなに上手くはないからというのと、あまりフェイクの入れ方について考えて入れてないというのが理由です。ほんまにフェイクが上手な方は、フェイクの型をけっこう固めて練習していると思います。僕の場合はその場の雰囲気でやってしまうので、普通に音を外してしまうこともたまにあります。もちろん、リハーサルなどで「なんとなくこうしよう」と練習することもありますが、本番のフィーリングで変えてしまうことが多いです。カラオケで歌っていて、みなさんもフェイクを入れてみたいと思うかもしれません。音楽のスケール感やコード進行を理解して、それに対してどのメロディをのせればいいとわかっていればできる、とは言えますが、それがどういうことなのかは、それぞれのフィーリングやセンスなのではないかと思います。僕もなんとなく音楽の知識があるのでフィーリングで理解しています。絵の上手下手と一緒で、できる人はできるしできない人はできないことだと思います。ただ、音源に収録されているものも多いと思うので「このフェイクかっこいいな」と思ったものを真似てみるといいのでは?僕はライブでやっているお気に入りのフェイクが音源には入ってなくて、もったいないなと思うこともあります。だから、車で自分の曲を流す時には、いつもフェイクを入れて歌っています。おかざきたいいく約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が好評発売中。1月16日から始まる連続ドラマ、TBS日曜劇場『DCU』(21:00~)に、ダイバーの森田七雄役で出演する。※『anan』2022年1月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年01月08日日本で初めてNetflix配信と劇場公開を同時にした映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』。そして、2019年に映画として公開した作品のリブート作として1月から配信されるNetflixシリーズ『新聞記者』。映画界と配信の世界がゆるやかに混ざり合う今、気鋭の監督は配信という場所にどんな可能性を感じているのか。両作品の監督、森 義仁さんと藤井道人さんに話を聞いた。映画とはまったく違う『新聞記者』にしたかった。森義仁:Netflix版『新聞記者』、面白かったです!すでに映画として自身が製作した作品をリブートすることに対して、藤井さんはどう思いましたか。藤井道人:正直、最初はやりたくなかったです(笑)。でも、プロデューサーの河村(光庸)さんにとって、『新聞記者』は人生を懸けたコンテンツ。Netflixの坂本(和隆)さんも立ち上げの頃からずっと仕事をしている仲。その二人から頼まれたらやるしかないなと。ただ、映画とは別物にしたいというオーダーはさせてもらって。その結果生まれたのが亮(横浜流星)というキャラクターでした。森:あの政治に関心のない就活生という立ち位置はすごくいいなと思いました。藤井:映画版のときも政治に興味がない人でも感情移入できるように工夫はしたんですけど、やっぱりまだ遠いという感覚は否めなくて。ちゃんと自分の視点を入れたいと思ったんです。そこで、記者側でも官僚側でもない第三の視点として、亮を新たに追加しました。森:だからでしょうか。今回はより、ヒューマンドラマに引き込まれた感じがしました。藤井:映画版は、記者側と権力者側の二項対立なんですよね。それがセンセーショナルではあったんですけど、Netflixなら45分×6話という長尺で描ける。だったら、もっと徹底的に人を描いて、群像劇として掘り下げたいという気持ちはありました。森:新しい物語の中で、田中哲司さんの役は映画と共通でしたね。藤井:田中さん演じる多田は、内閣情報調査室のシンボル。そこはブラさなくてもいいと思ったのと、あんな怖い顔した人、田中さん以外できないだろうと(笑)。森:こういう社会的なテーマを持った作品って大変じゃないですか。自分がやるとしたらと考えましたけど、難しいなと思いましたもん。藤井:だからこそ、善悪を断定しないように意識はしていました。取材でお話を聞いても、記者の方も内調の方も純粋に自分の仕事に取り組んでいるんですよね。だから両者にちゃんとリスペクトを払いたかった。この作品が描いているのは、いろんな人たちがもっと自分ごととして世の中の問題を考えられる社会。そうした明るい問いかけで終わりたくて、映画版とはまた違うストーリーラインにしました。スマホで観る面白さと“街”で観る面白さを体感して。藤井:『ボクたちは~』は、やっぱり劇場公開とNetflixでの配信を同時に行うという試みが新しいですよね。僕は配信が始まってすぐスマホで観たんですよ。そのあと、テレビでも観たんですけど、意外とスマホの方が没入できた感覚があって。きっとこの物語が佐藤(森山未來)の内なる対話だからこそ、スマホの方がよりパーソナルな感じがしたんだと思います。そんなふうに映画館で観るのと、自宅で観るのとでは、体験性が違う。その両方のニーズに応えるのは、今の時代を鑑みれば自然な気がします。森:藤井さんのおっしゃる通りで、それぞれ楽しみ方が違うし、それを受け手が選べるのは、今の時代らしくていいなと。藤井:音楽や背景、ポケベルなどの小道具で徹底して’90年代を描いていますよね。劇中で佐藤とかおり(伊藤沙莉)がドライブをするシーンがあるじゃないですか。そこで小沢健二さんの曲が立て続けに流れるんですけど、あれはギークな人じゃないとできない選曲だなと思って。あれは森さんが?森:そうですね。あそこで一気にあの時代に帰らせたかったというのがあって。小沢健二さんの『犬は吠えるがキャラバンは進む』というアルバムを曲順にどんどんかけていきました。今回、時代をどう描くかが大きなポイントで。本来ならTSUTAYAができる前、まだ東海銀行だった頃の渋谷のスクランブル交差点をバンッ!と見せたりするのが王道なんでしょうけど、いろいろ事情もあって、そうはいかず。逆にラフォーレ原宿とか、渋谷のタワーレコードとか、主人公のパーソナルな場所をおさめていくことで、二人の足跡を辿れるように切り替えました。藤井:変に時代劇を撮るより、みんなの記憶にある「過去」の街を描くのは大変ですよね。画という意味では、現代を映す中で出てくる無人の新宿の街も印象的でした。森:あれはちょうど’21年1月の緊急事態宣言下に撮影しました。だから偶然の産物ではあるんですけど、確かに画力のあるものが撮れましたね。藤井:あのコロナ禍の街並みが、主人公の孤独感と重なって見えたんですよね。コロナを作品に取り入れるかどうかは今みんなが葛藤するところだと思うんですけど、こういう使い方があるんだと羨ましくなりました。森:『ボクたちは~』では一貫してコミュニケーションを描いていて。時代とともにツールが変わる中、コロナによって突然分断され、佐藤が完全にひとりぼっちになった。その感じが作品にマッチしている気がして。脚本を直していたのは、’20年春の最初の緊急事態宣言の時期でしたが、コロナを物語に入れようと決めました。藤井:この作品、1995年当時に青春を過ごした人が、当時から付き合っていた今の夫なり妻なりを誘って渋谷の映画館まで観に行ったらエモいでしょうね(笑)。そうやって多様な楽しみ方ができるのはいいなと思います。僕たちの世代で面白いものをつくりたい。森:藤井さんは配信というプラットフォームで作品をつくるにあたって意識したことはありましたか。藤井:一気見させる感覚はすごく大事にしました。今日は3話までと決めていたのに、3話のラストまで観たら、ここで終われるかという気持ちになる。僕自身、その感覚に踊らされるのが好きなので、『新聞記者』もそんなふうに楽しんでもらえたらなと。森:以前やった『恋のツキ』はテレ東で放送終了後、Netflixで全話一挙配信されることがあらかじめ決まっていたんですね。だから、僕もお客さんを離さない仕掛けづくりには知恵を絞って。毎回いかにクリフハンガー的なラストで次につなげられるかという挑戦をしていました。藤井:僕たちクリエイターにとって、いま配信作品をやる醍醐味は、海外の人たちに観てもらえること。映画ならカンヌやベネチアの映画祭に出品するという方法がありますが、そこで目にとまり上映が決まる可能性は高くはない。映画祭以外で、出会ったことのない国の人たちに観てもらえるチャンスがあることは、すごく魅力ですね。森:小学校の同級生がオランダに住んでいて。「『ボクたちは~』を観たよ」と30年ぶりに連絡が来ました。海外の方からDMで感想をいただけたのも、配信だからこそ。世界に届いているんだと実感できて、うれしかったです。藤井:結局何をつくるかは、テレビであろうと映画であろうと配信であろうと、自分たち次第なんですよね。それぞれ制約との戦いはありますけど、自分たちが信じたことを貫き通せば、ちゃんといいものがつくれると思う。森:その中でいま面白いことが起きているとワクワクさせてくれる場が配信なのかなと。広告を見ても勢いを感じます。藤井:あとは、スケールの大きい作品を配信でやってみたい。オリジナルで、長い年月をかけてシリーズものとかつくれたら面白そう。個人的には観る側として、『ストレンジャー・シングス』の最新シリーズが今から楽しみなので(笑)。森:僕は『全裸監督』的な“キャッチーな大作”だけを配信するというイメージも覆していけたらと思います。『ボクたちは~』みたいな私小説風の作品は、最初は配信には合わないかなと思ったけど、ボーダーレスな作品が集まる場になるといいなと思うし、僕たちの世代でどんどん面白いものを生み出していきたいですね。Netflixオリジナルシリーズ『新聞記者』異端の新聞記者・松田杏奈が公文書改ざん事件の真相を追う中、問題の渦中に置かれた官僚、その家族など様々な人間関係が絡み合っていく。Netflixで’22年1月13日より全世界同時独占配信。出演/米倉涼子、綾野剛ほか『ボクたちはみんな大人になれなかった』46歳のボクは、いくつかのほろ苦い再会をきっかけに1995年の“あの頃”を思い出す…。時代を彩ったカルチャーとともに忘れられない恋を描いた青春映画。Netflixで配信中。出演/森山未來、伊藤沙莉ほか森 義仁さん(一枚目写真・左)1982年生まれ、三重県出身。日本映画学校(現日本映画大学)卒業。MV監督、CMディレクターなどを経て2018年にテレビ東京とNetflix共同制作のドラマ『恋のツキ』を監督。映画監督作品としては本作が初。藤井道人さん(一枚目写真・右)1986年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業。『オー!ファーザー』(2014年)でデビュー。近作に『ヤクザと家族 The Family』(’21年)、ドラマ『アバランチ』(フジテレビ系)など。映画『余命10年』の公開を控える。藤井さん・タートルネック¥13,200(Iroquois TEL:03・3791・5033)パンツ¥13,500(COS/COS銀座店 TEL:03・3538・3360)※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・DAN(藤井さん)ヘア&メイク・酒井真弓(藤井さん)取材、文・横川良明(by anan編集部)
2021年12月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「連載4年」です。2017年12月6日発売号からスタートした「岡崎体育の体育ですけど、オンガクです。」が、早いもので連載開始から丸4年経ち、5年目に突入しました。ありがとうございます!僕のメジャーデビューが2016年5月ですから、デビューして1年半で連載をスタートさせていただきました。その後の僕のいろいろな活動とともにずっとこの連載があるように思います。今後も楽しく続けていけたらと考えています。4年間って長いようですが、まだまだ僕の「オンガク」にまつわる話はたくさんあるよなって、あらためて思います。いつも編集部の方々とどんなテーマがいいか考えていますが、あの話もしたい、この話もしたいといつも迷っています。だから、まだまだやれるなって本当に思いますし、僕の連載を読んで、業界のことを知って興味を持ってもらえたり、音楽の聴き方や幅が広がったりしてくれたらうれしいです。そう考えていますので、僕としてはどんなに忙しくなっても自分からこの連載をやめることはありません。これははっきりと申し上げておきたいです。もう、編集部から切られるまでやり続けたいと思います。あと、僕は前から言っている通り、戸建てを建てたいので。そのローンを組むためにも連載やレギュラーのお仕事は大事にしたいと思っています。ミュージシャンにとっても安定のある仕事はとても大事です。これも「オンガク」にまつわるお話としてみなさん、覚えておいてください。連載以外でもアルバムのインタビューをしていただいたり、ビッケブランカさんと対談させていただいたり、楽しいお仕事をいただいて感謝していますが、その上で編集長にお願いを申し上げるとしたら、やっぱり表紙ですかね。いつ表紙をさせてもらえるのか。もちろん『anan』の表紙を飾ることは並大抵のことではないと理解しております。年間で約50回しかその栄誉を勝ち取るチャンスはないわけですから。でも、同じ人が何回も出てるんやったら、1回くらい岡崎体育が交じっていてもええんちゃうかと思うんです。今度ドラマで共演させていただく横浜流星くんと一緒にとかどうですか。流星くんの横にちらっと写るだけでもいいです。遠巻きに写るでも構いません。なんなら背表紙の号数が書いてある細いところでもいいです。ありえないとこから写り込んでいるほうが岡崎体育っぽくていいかなと思います。編集長、ご検討お願いします!おかざきたいいく約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が好評発売中。2022年1月から始まる連続ドラマ、TBS日曜劇場『DCU』(21:00~)に、ダイバーの森田七雄役で出演する。※『anan』2021年12月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年12月18日リフレインの手法を駆使したエモーショナルな舞台が高い評価を集め、マームとジプシーを旗揚げ以降、数多くの作品を精力的に発表してきた藤田貴大さん。しかしこの2年、中止や延期に見舞われ、思ったように作品を上演できない状況が続いた。立ち止まり新たな気づきを得た演劇作家の、新たな挑戦。「岸田國士戯曲賞を受賞して今年でちょうど10年になりましたが、かなり走り続けてきたんですよね。ほとんど家に帰らない生活だったのが、急に家にいなきゃいけなくなって、なんだか楽しかったんですよ。ずっと劇場の中にこもっていたのが、家の近所を散歩したり、公園を眺めて過ごす時間ができて。公演ができなくて大変ではあったけれど、ネガティブにはならなかったですね」そんななかでも創作意欲は衰えることなく演劇活動は続けていたそう。「最初の2週間くらいはお酒飲んで散歩するくらいだったのが、徐々におもちゃを買いだして、それを使って家の中でやっぱり演劇の稽古をするんですよ(笑)。プロットを作ってダイアローグを書いて、それを映像作品化させてみたり。あと、過去に書いた台本を読み返して、自分ってなんだったんだろうと考える時間を持てたし。役者とも、これまでは直接ぶつかりながらやっていたのが、少し俯瞰できたのもよかったです」そんな経験からあらためて今、あえて劇場に足を運んで演劇を観るということについて考えるように。「こんな状況の中で、せっかく劇場まで観に来るわけだから、映像でやれないことを演劇はやるべきだと思ったし、他のジャンルと変に張り合おうとしなくていいんだと思ったんです。映像作品は、どうしたって現在との時差があるけれど、こういう現実がフィクションを追い越してしまった今、演劇だからできる現在へのコミットの仕方がある気がしていて。それって、もしかしたらめちゃくちゃすごいことじゃないかと」目前に控えるのは、ドイツのシューズブランド・trippenと組み、靴にフォーカスを当てて制作した『BEACH CYCLE DELAY』の東京公演。「この10年の間に20代の頃に描いていた地元の街もずいぶん変わったし、身近な人の死をいくつも経験したんです。だから、10年前の調子では作品に向かい合えなくて。今36歳になった自分は、長くモチーフにしてきた“海”とか“水”にどうしたら関わり直せるかということを考えて作った作品です。3作の連作ですが、いろんな事情で『CYCLE』という作品は製作に3年くらいかかっている。こんなに時間をかけたものってあまりないし、最近の自分の作品の中では一番先端にあるものになったので、ぜひ観てほしいですね」そして年明けには、沖縄・那覇に新しく開館した劇場のこけら落とし公演となる新作『Light house』が予定されている。かつて沖縄戦を描いた『cocoon』という傑作を発表しているが、今作もテーマにあるのは“水”だ。「沖縄は、昔からずっと真水の確保が難しい土地だというのもあって、水に対しての感覚が特殊なんですよね。井戸がとても神聖な存在だったりするんです。水を中心に人間の営みが形成されて、その水の流れがまた新たな営みを生んでいる。一方で、人が無自覚に環境や生物に影響を与えてしまっているという現実もあって。何かが誰かに繋がってしまう、その流れを“水”に結びつけて描けないかと。今回のタイトルは灯台という意味なんですが、演劇の世界において劇場は灯台のような場所だと思うんです。最近、観客の皆さんを、劇場で待っているという感覚を再確認していて。それもまた灯台と重なるものがある。水の流れのこと、そして灯台=劇場という関係がうまく噛み合えば、いい新作になるんじゃないかと思っています」BEACHCYCLEDELAY『BEACH CYCLE DELAY』12月9日(木)~12日(日)新宿・LUMINE0一般4500円ほかマームとジプシー TEL:070・5454・7311タイムスケジュールなど詳細は公式サイトにて。撮影・宮田真理子『Light house』沖縄公演/2022年2月4日(金)~6日(日)那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場一般3000円ほか那覇文化芸術劇場なはーと TEL:098・861・7810東京公演/ 2022年2月18日(金)~3月6日(日)東京芸術劇場 シアターイースト一般5000円ほかマームとジプシー TEL:070・5454・7311ふじた・たかひろ1985年生まれ、北海道出身。2007年よりマームとジプシーを主宰し、全作品の作・演出を手がける。’11年に演劇界の登竜門・岸田國士戯曲賞を26歳で受賞し注目される。’16年、『cocoon』で読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。※『anan』2021年12月15日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年12月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「キー」です。みなさんもカラオケで、「キーが合ってない」ということがあると思います。今回はその“キー”の話です。日本語では“調”と言い、基準になる音を第1音(主音)として、どの音階でその曲が構成されているかを指します。例えばCがキーの曲はC(ドの音)を基準に作っているよ、ということです。カラオケで「声が出ないからキーを上げる下げる」と言うのは、この基準となる音を半音ずつ上げたり下げたりして調整し、歌いやすい音階に変更しているということです。ただ僕の持論からいうと、よく言われる「キーが高くて歌えない」とは、たいていの場合思い込みです。人の声帯や喉の構造は、(男女差はあるかもしれませんが)ほとんど同じです。「こんな高い音出ない」と言っている方は、出ないのではなく喉の使い方がわかってないだけだろうなと思います。高い音はトレーニング次第で出るようになる。あとは恥ずかしがらずに喉を使うことができるかどうか、という精神力の問題だと僕は思っています。スポーツ選手と同じで喉もガチガチに固まっていてはいい声は出ない。いい声が出ているときのことを「喉が開いている」と言いますが、そういうリラックスしている状態を作ることがまず大事なのではと思います。人前より家やカラオケボックスで一人で歌うほうが上手に歌えるというのはまさにそういうことだと思います。そんな岡崎体育のキーはどうなのかというと、偉そうなことを言いながらめちゃくちゃ高いところはそんなに出ません。でも、レンジ(キーの幅)は広いほうです。美しい高音ボイスでいうとOfficial髭男dismの藤原(聡)さんのイメージがあると思いますが、藤原さんと僕はレンジでいうとそんなに差がありません。それは僕のほうが低い音が出るからです。なので僕が訓練次第で高い音もがんがん出せるようになれば、マライア・キャリーのようにいつか5オクターブの声を出せるようになるかもしれません。高い音の出し方では今、ミックスボイスという発声方法が男性歌手でも注目を集めています。高い音のときに裏声に切り替えるのではなく、地声(チェストボイス)と裏声(ファルセット)が混ざったような中間の声を出すことなのですが、BTSのメンバーやKing Gnuの井口理さんも使っています。ミックスボイスの話もまた今度してみたいですね。実は僕も「おっさん」でミックスボイスに挑戦しているんです。おかざきたいいく約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が好評発売中。2022年1月から始まる連続ドラマ、TBS日曜劇場『DCU』(21:00~)に、ダイバーの森田七雄役で出演する。※『anan』2021年12月8日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年12月05日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アルバムを引っさげて」です。もうすぐ、僕の久しぶりのワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」が開催されます。これまで僕は、“アルバムを引っさげて”ライブをしたことがありませんでした。さいたまスーパーアリーナのライブも過去曲が多かったですし、そんなに引っさげた感がなかったと思います。しかし、たいていのバンドはアルバムを引っさげてワンマンライブをしたり、ツアーを回ったりします。今回は、10月20日に4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』をリリースしているので、念願の引っさげるカタチでのライブパフォーマンスになります。……でも、何をどうしたら引っさげたライブになるんでしょうか。この言葉を雑誌などでもよく見かけますが、それがどういう意味か正直あまりよく分かっていません。引っさげるの“ひっ”って何?と思います。なので、みんなそれぞれの引っさげ方があると思いますが、僕は僕なりに考えてアルバムを引っさげてみたいと思います。ま、簡単に言えば「アルバムの曲たくさんやるよ」ってことなのかなと。そうなんです。ニューアルバムの曲が今回のライブの最大の見どころとなると思います。『FIGHT CLUB』は岡崎体育の原点回帰のような一枚。なのでライブも同じように僕の真骨頂をお見せしたい。シンプルに僕らしいライブにしたいと思っています。ステージとスピーカーがあればこれだけ盛り上がるライブができるというところをお見せしたいです。前回のさいたまスーパーアリーナではフライングをしたり、トロッコで外周を回ったり、細長い花道を作ったりといろいろ仕掛けを考えましたが、それはそれでもちろん盛り上がりますし楽しいのですが、裏方の事情を話しますと、ひとつひとつ連携をしっかりしないといけなかったり、パフォーマンスをしながら気を使うことが多かった。でも僕は、その場その場で動きを考えたいタイプなので、そういった縛りがないほうがより僕らしいステージになるんじゃないかと思いました。若いとき、奈良NEVER LANDでライブしていたころと変わらないパフォーマンスをお見せしたいと考えています。そして“めっちゃめちゃおもしろ”の部分もいろいろ考えたい。まだ現時点では、めちゃめちゃおもしろいことは思いついていません。……でも、絶対おもしろくなるはずなのでたくさんの人に観にきてほしいです!おかざきたいいく約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が好評発売中。ワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」は、11月23日(火・祝)、横浜アリーナで開催!※『anan』2021年11月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年11月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「スキューバダイビング」です。前回のこの連載で阿部寛さん主演の日曜劇場『DCU』に出演が決まったことがダイエットのひとつの動機だったと書きましたが、もうひとつドラマのためにチャレンジしたことがあります。それがスキューバダイビングのライセンスの取得。ドラマでは潜水士を演じるので、海に潜るダイビングのシーンももちろんあります。そのためスキューバのライセンスを撮影が始まる前に取りに行ってきました。ちなみに言うと、僕はまったく泳げません。運動は全般的に得意なほうですが、水泳だけは苦手なんです。水に顔をつけるのもイヤ。朝、顔を洗うのもイヤなくらい。4~5歳のころに、スイミングスクールに通おうとなったこともあったのですが、初めて行ったその日の夜に熱を出してしまい、おばあちゃんに「水泳なんか行くからや!」と言われ、そのまま通わなくていいということになってしまいました。小学校にあがってからも周りの友達がスイスイと泳ぐなか、僕は顔をつけない平泳ぎで25m泳いで水泳の授業を乗り切っていました。なので、今回も本当にできるか心配でしたが、酸素ボンベがあると水中でも息ができるので気持ちが軽くなり、また潜ってしまえば“泳いでいる”というよりも宇宙空間に漂うような感覚だったので、すぐできるようになりました。酸素を取り込む呼吸の仕方もコツをつかめば効率よくできるように。あとは、バディが常に一緒にいるのも心強い。今までは「溺れたらどうしよう」という緊張感から、うまく体を使えていなかったんだなと思いました。息ができる、サポートしてくれる人がいると安心できれば、水の中でも案外と思うように体を動かすことができるものです。すでに、海で潜水体験もしてきました。初めてのダイビング。その日は前日が悪天候だったので海がとても濁っていました。視界がむちゃくちゃ悪くて海中では何も見えませんでした。でも、それがかえって良かった。僕、海洋恐怖症でもあるので。どんなに優しいマンボウでも海で遭遇したらめちゃくちゃ怖い。視界が悪いとなにも見えないので海の生き物に遭遇することもなく、それにビビってパニックになることもなく無難に終えることができました。今は泥の海しか知りませんが、きれいな海を見たらまた違う感動があるかもしれません。それも楽しみです。おかざきたいいく約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が好評発売中。11月23日(火・祝)、横浜アリーナでワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」を開催する。※『anan』2021年11月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年11月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「タイムパフォーマンス」です。アルバムリリース、そして横浜アリーナのワンマン準備と、10月はスケジュールに追われています。そんな中で気になっているのはタイムパフォーマンスです。よくコスパ(コストパフォーマンス)と言いますが、今の時代みんなが気にしているのはコスパより“タムパ”ですよね。情報過多の現代では、どんな情報を取捨選択するのかという時間の使い方が重要視されています。同世代の中では僕は時間の使い方にうるさいほうだと思います。無駄な時間があるのがとにかく苦手なので、仕事もわざとツメツメにして入れていただくことが多いです。例えば、アルバムの取材が4つあるとしたら、1日に1つずつでゆったり4日間かけるよりは1日に4件ともまとめて、残りの3日は自分が自由に使えるようにしてほしい。作業をするなど自分が使い方を決められる時間を確保できていると、僕の中でタイムパフォーマンスがいいなと感じます。なので、逆に「これ何待ち?」みたいなことが苦手でそういう場面ではついイライラしてしまいます。そして、「これ何待ち?」というような時間はけっこうこの業界ではざらにあります。たまに気の利くADさんとかに「こういうトラブルで調整にあと30分くらいかかります」などと教えていただけることもあるのですが、そういう現場ばかりでもないので、「あと、どれくらいこの無駄な時間と向き合わなくてはいけないのか…」と不毛に感じることはよくあります。プライベートでも、洗濯ボタンを押して洗濯機が回ってから洗濯が終わるまでの時間を有効活用できないか…など、効率を良くすることを実践したいと考えています。いつも、洗濯をしている間は皿洗いをするとか床掃除をするなど、別の家事をするように心がけてはいるのですが、それをもっとシステマティックに分刻みのスケジュールにしたい。でも、一人分だと洗濯物もそう毎日溜まりませんし、溜まる量もそのときどきで変わってしまう。だから、洗濯時間が定まらず家事のシステム化は一向に進んでいません。もう一つ無駄だと思うのは朝、目が覚めてからベッドから出るまでの10分間。どうしても10分かかります。できることなら目覚めたらスパッと起きて、やるべきことをさっと始められるようになりたい。でも、休みの日はとくに布団から出られずにゴロゴロしてしまう…。とてもタイムパフォーマンスがいいとは言えない現状です。おかざきたいいく約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が好評発売中。11月23日(火・祝)、横浜アリーナでワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」を開催する。※『anan』2021年10月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年10月22日