6月21日に公開が予定されている、俳優・草笛光子(90)が主演する映画、『九十歳。何がめでたい』作家・佐藤愛子氏(100)が90歳になったことを機に、老いや現代社会について綴り、シリーズ累計169万部を記録した同名エッセイが原作。クランクインとほぼ同じタイミングで90歳になった草笛が主演を務めていることでも注目されている。そんな同作だが、現在SNSを中心に予告編が物議を醸している。予告編の冒頭では草笛や編集者役の唐沢寿明(60)が登場。唐沢演じる編集者が「エッセイを書いてはいただけませんでしょうか」と笑顔で尋ねて頭を下げると、草笛演じる主人公は「書けない!書かない!書きたくない!」と豪語。すると黒地の画面に変わり、その画面いっぱいに「多様性」や「コンプラ」「熟年離婚」「物価高騰」などの言葉が白い文字で並び、それらを刃物で切りつけるような演出が。そして、「生きづらい世の中を“一笑両断”!」というテロップとナレーションが流れる。この演出について、「多様性やコンプライアンスのせいで生きづらい世の中になった」というメッセージととらえた人も。そのため、Xでは厳しい声がこう上がっている。《昨日オッペンハイマー観に行った時これで最悪の気分になりました。「生きづらい世の中を一刀両断!」って『多様性』の文字がビリって破られる演出なんですよ。こちとら障害者として来てんのに……》《「コンプラ」だけは建前でも肯定する社会だと思ってたけど、真正面からこれを斬っちゃうんだ》《こうして並べられているの見ると、なぜ多様性とコンプライアンスが必要なのか全く理解されておらず、表層的に応じてるふりしてればいいんでしょ、っていう不貞腐れぶりを感じる》「松竹株式会社」に演出の意図などについて見解を尋ねたところ、同社の映画宣伝部からは「ご指摘されている様な意図はございません。誤解を招く表現に関しては対応させて頂きます」との回答が寄せられた。
2024年04月09日11月中旬、神奈川県横浜市の閑静な住宅街。ある家の庭で、白髪を上品にまとめた女性が木製の椅子に腰を下ろしていた。草笛光子(90)だ。この日行われていたのは、草笛の主演映画『九十歳。何がめでたい』のロケだった。作家・佐藤愛子(100)が90歳になったのを機に“老い”や“現代社会”について、つづった同名のエッセイが原作。草笛は10月のクランクインとほぼ同時に90歳を迎え、「毎日老いと闘っていますが、90歳と闘ったら損。闘わないように受け入れて90歳を大事に生きてみようと思います」とコメントしていた。年を重ねてもなお女優業にまい進する草笛だが、’21年、インタビューでこう語っている。《実は、耳がよく聞こえなくなり、補聴器を使うようになった》(『婦人公論』’21年11月9日号)一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、補聴器をしている場合、「一般的な会話での声の大きさが60~70 dBですが、難聴の方の中には、それより少し大きな70~80 dBの音でも響いて聞こえることがあります。また正常の聴力であれば十分聞いていられる90 dBの音だと、聞いていられない程不快に感じることも難聴のある方の一部にいらっしゃいます」という。この日のロケで草笛は補聴器を着用していなかったが、スタッフは常に小声。近所で行われていた道路工事も一時的に止められ、静寂のなかで撮影が進められた。「通常、ロケではスタッフの大声が飛び交うものですが、草笛さんの耳に負担がかからないよう、スタッフも注意を払っているのでしょう」(制作関係者)草笛自身も、役を演じ切るために努力を欠かさない。「かねて草笛さんは、『女優をまっとうするのが私の人生』と話しています。生涯現役を貫くため、腰に8キロの重りをつけてスクワットをしたり、階段の上り下りをしたりと日ごろから足腰を鍛えているそうです。“毎朝生のセロリに塩をかけて食べる”という独自の健康法も長年続けているといいます」(前出・制作関係者)ロケ現場の沈黙が90歳の草笛をさらに輝かせるに違いない。
2023年12月01日ライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」が、アニメ『推しの子』のキャラクターソングなどを手掛けるクリエイター・小野寺祐輔氏と初コラボレーションしたオーディションイベント「あの『推しの子』も! 超人気アニソンクリエイター! 小野寺祐輔楽曲提供オーディション」を、13日より開催している。同イベントは、「17LIVE」で活躍中もしくは活動予定で、参加条件を満たせば誰でも参加が可能(※)。13日から28日の期間において開催されるアプリ内イベント「楽曲提供争奪戦」にて、上位7名に入賞 し、「オーディション出演権」を獲得したライバーの中から、見事最終オーディションで選ばれたグランプリ1名には、小野寺祐輔氏による楽曲提供権のほかオリジナルリリックビデオ制作権が贈呈される。また、制作した楽曲は、池袋ハレザビジョンにて1週間放映される。さらに、「楽曲提供争奪戦」ランキング1位入賞者には、作曲家・ぎゃぷいち氏による楽曲提供権、上位3 名には 「Vocal Magazine Web」へのインタビュー記事掲載権が贈呈される。(※イベント終了時点で認証及び準認証のライバー(V ライバーを含む)登録が済んでいる、収録又は撮影等の指定された日程、場所へ参加できる)
2023年11月14日“世界最高峰のピアニスト”と誰もが認める内田光子。特に、モーツァルト、シューベルト、シューマン、ベートーヴェンの作品などにおいては、その深い作品解釈が高い評価を得ている。中でも彼女の名を世に知らしめたモーツァルトは格別だ。そのきっかけとなったのが、1982年に東京とロンドンで行われた「モーツァルト・ピアノソナタ連続演奏会」だ。ロンドンの批評家から絶賛されたこのシリーズを受けて、1984年に行われた「モーツァルト・ピアノ協奏曲全曲演奏会」が、今をときめく「世界のウチダ」への大きな1歩となったことは間違いない。イギリス室内管弦楽団を弾き振りしたこのシリーズの成功は、大手レーベルによるモーツァルトの「ピアノソナタ」&「ピアノ協奏曲」全曲録音へと繋がり、名実ともに国際的な名声を得ることとなったのだ。その内田光子によるモーツァルトの「ピアノ協奏曲」弾き振りをライブ体験するチャンス到来。共演するオーケストラは、内田がアーティスティック・パートナーを務めるマーラー・チェンバー・オーケストラだ。1997年に指揮者クラウディオ・アバドと共に、自由で国際的なアンサンブルを目指すという共通のヴィジョンによって創設された同団は、近年内田が共演を重ねる最高のパートナーと言える存在だ。今回は、モーツァルトの「ピアノ協奏曲」2曲の間に近現代の作品が挟み込まれるという凝ったプログラムによって、両者の強い絆を体感できる素敵な時間となりそうだ。“音楽の極みを探求し続ける求道者”内田光子の今を堪能したい。内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ 2023■チケット情報月29日(日)札幌コンサートホール Kitara 大ホール(A)10月31日(火)ミューザ川崎シンフォニーホール(A)11月2日(木)サントリーホール 大ホール(A)11月5日(日)滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール(B)11月7日(火)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール(B)11月9日(木)サントリーホール 大ホール(B)プログラムAモーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K. 503シェーンベルク:室内交響曲第1番 作品9モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K. 595プログラムBモーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K. 453ヴィトマン:『コラール四重奏曲』(室内オーケストラのための)モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K. 482●内田光子(ピアノ)Mitsuko Uchida, Piano内田光子は、真実と美の姿を独自に追求しながら、自らが奏でる音楽の世界を深く掘り下げている演奏家である。モーツァルト、シューベルト、シューマン、ベートーヴェンの作品の解釈で高い評価を受ける一方、ベルク、シェーンベルク、ヴェーベルン、クルタークなどの作品に光を当て、新しい世代の聴衆に紹介している。『ミュージカル・アメリカ』ではアーティスト・オブ・ザ・イヤー 2022に選出された。長年にわたりシカゴ響、べルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、バイエルン放送響、ロンドン響、ロンドン・フィルなどとの共演を重ね、クリーヴランド管との共演は100回を超える。ハイティンク、ラトル、ムーティ、サロネン、ユロフスキ、ドゥダメル、ヤンソンスといった世界的な指揮者との共演も多い。2016年からアーティスティック・パートナーを務めるマーラー・チェンバー・オーケストラとは、ヨーロッパ、日本、北米でのツアープロジェクトを行っている。ウィーン、ベルリン、パリ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、東京で定期的にリサイタルを行い、ザルツブルク・モーツァルト週間やザルツブルク音楽祭にも頻繁に出演。デッカと専属契約を結び、11年にクリーヴランド管を弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲のライヴ録音で、また17年にドロテア・レシュマンとで録音したアルバム『シューマンとベルク』でグラミー賞を受賞。また、長年にわたり若い演奏家の成長を支援。ボルレッティ・ブイトーニ・トラストの創設メンバーであり、2013年よりマールボロ音楽祭の芸術監督も務める。05年日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選出、15年には作品に対する深い探究と解釈が評価され、高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)、ザルツブルク・モーツァルテウムよりゴールデン・モーツァルト・メダルを受賞。サントリーホール アソシエイト・アーティスト。
2023年10月12日女優の草笛光子が10日、都内で行われたAmazon Original映画『次元大介』(10月13日より世界独占配信)のワールドプレミアに、玉山鉄二、真木ことか、さとうほなみ、橋本一監督とともに登壇した。ルパン三世の無二の相棒で早撃ちの天才であるガンマン、次元大介を主役に据えた本作。小栗旬主演の実写映画『ルパン三世』(14)でも次元大介を演じた玉山が、9年ぶりに同役を演じた。草笛は、表向きは時計屋を営む、世界一のガンスミス・矢口千春役として出演。ガンスミス役は細かい作業が多かったというが、「私、目は悪くなかったので、スイスイと行きました」と振り返り、監督も「驚くほどスイスイ」と褒めると、「じゃあこれからやろうかな」と話して笑いを誘った。10月22日に90歳の誕生日を迎える草笛へのサプライズバースデーも実施。玉山から花束を受け取った草笛は笑顔を見せ、「ありがとうございます」と感謝した。そして、「あっという間に90という数字が目の前に入ってきて、『あら、私もう90!?』って。90と戦おうと思うんですけど、戦ったら損だから、戦わないように、受け入れて90歳を大事に生きてみようと思っています」と抱負を語ると、会場から拍手が起こった。
2023年10月10日女性起業支援及び女性起業アカデミーを行う株式会社belleVie(ベルヴィ、所在地:東京都渋谷区、代表取締役:山本光子)は、渋谷クロスFMにて『宇宙を身近に!山本光子のワクワク宇宙ラジオ』を2022年10月1日(土)からスタートいたします。本プログラムは毎月第1土曜日15:00~15:50に生放送でお送りします。詳細URL 番組イメージ画像■新番組のテーマこの番組は、「宇宙を身近に!好奇心をもって宇宙のことを知り、未来に向けて宇宙と共にどう生きていくか」を発信していく番組です。宇宙と共に生きていく時代になるにあたり、もっと多くの人に「宇宙」を身近に感じ生活や仕事に宇宙をどのように取り入れていくか、どう関わるかなど好奇心の種を育てる番組です。近未来、宇宙と共に生きることも映画や小説の世界の話ではなくなりつつあります。私達が思っている以上に宇宙は密接に生活にも関わってきています。特に子供達がこれから生きていく世界は、もはや宇宙・地球・環境問題を抜きに考えられない未来が待っています。そのような中、未だ情報は全く伝わっておらずいつまでも「宇宙は遠い世界の話、手の届かない話」というように未知の世界、自分ごとではなく関係ない世界という認識が広がっています。しかし、実は確実に私達の生活に影響を与えています。この番組では、今現在宇宙ビジネスに関わっている会社、宇宙開発をなさっている方、学生や子供に至るまで、「宇宙」をキーワードにさまざまな方をゲストにお迎えし、わかりやすく楽しく伝えていただく番組です。■聴きどころ見どころ1) 宇宙は遠い未知の世界の話ではなく、身近な存在として誰もが関わっていく時代になってきた多くの人が知らないだけで実は私達は宇宙の恩恵を受けている。それを知ることによって、実は宇宙は遠い存在ではなく身近な存在として関わり人類のために役立てることができる。放送スタジオは渋谷宮下パークの真裏という好立地、全面ガラス張りのスタジオで生放送!アーカイブは映像と共にYouTubeで閲覧できる、聴いて楽しみ、見て楽しむラジオです。2) 今現在活動している企業や研究者・宇宙飛行士・学生・子供達がゲスト「宇宙」というキーワードで関わっている方々をゲストにお招きして、どんな人にもわかりやすく楽しく宇宙についてお話していただきます。■番組概要番組タイトル:『宇宙を身近に!山本光子のワクワク宇宙ラジオ』放送スタート:2022年10月1日(土)15:00~15:50生放送初回ゲスト :<ゲスト1>株式会社たすく 代表取締役 古友大輔宇宙機器と宇宙技術を応用したシステムを開発するエンジアリング会社<ゲスト2>株式会社Exspace 代表取締役CEO 大熊隼人宇宙環境利用促進および宇宙探査をビジネスと技術の両面からサポート<ゲスト3>株式会社たすく 技術フェロー 星谷隆番組制作 :株式会社 渋谷クロスFM 代表取締役社長 江崎洋幸渋谷クロスFM 江崎洋幸代表取締役社長とスタジオの外には人だかりができるスタジオ内■パーソナリティ山本光子(やまもとみつこ)プロフィール株式会社belleVie(ベルヴィ)代表取締役株式会社Wisseed-the terra(ウィズシード ザ テラ)代表取締役女性起業家育成アカデミー主宰 夢を叶える話し方講座主宰日産自動車勤務後、建設系会社の経営に20年間携わる。その時に約5,000名以上の関係者と関わり、人に与える印象やコミュニケーションがビジネスに大きな影響を与えることを実感し、研究を開始。日本におけるイメージコンサルティングの第一人者に師事しメソッドを習得。2012年株式会社belleVieを設立。一部上場企業の全社員研修をはじめ指導した受講者は2万人を超える。2017年女性起業家を目指す女性をサポートする女性起業家育成アカデミーを開校。自分の価値を磨き上げ、自分の力で立てる女性を育てることに力を注いでいる。2020年『夢を叶える話し方講座』開講。ストーリーテリングを駆使し、話す力で夢を叶える受講生が続出。2022年3月宇宙事業企画会社 株式会社Wisseed-the terra設立。子供のための未来教育『6歳からの宇宙留学』準備中。2023年アカデミープログラムリリース及び衛星打ち上げ予定。ラジオパーソナリティはかわさきFM、TOKYO FM系ミュージックバード全国114局FMのパーソナリティを経て渋谷クロスFMに至る。■会社概要社名 : 株式会社belleVie(ベルヴィ)所在地 : 〒107-0061 東京都港区北青山2-7-13 プラセオ青山3階代表者 : 代表取締役 山本光子(やまもとみつこ)設立 : 2012年2月22日資本金 : 100万円事業内容: ・講座ビジネス事業・女性起業家アカデミー主宰・夢を叶える話し方講座主宰URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月29日新国立劇場で2017年に上演された、小野寺修二カンパニーデラシネラ『ふしぎの国のアリス』が再演される。構成・演出を手がけ、自らも出演する小野寺は、マイムをベースとした身体表現で独特の世界を打ち出し、数々の作品を発表しているアーティスト。再演の舞台を前に、オンラインで話を聞いた。「不条理を形にしたような作品。大好きでした」と、原作、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』について語る小野寺。言葉を介さずに物語や情感を伝える独自の表現を追求しながら、「当時は言葉を使うことに興味があって、キャロルのテキストを子供たちに聴かせたいと、作中にはかなり言葉を入れました。難しくてよくわからない言葉も、子供たちが受け取ってくれたことが新鮮で、“意味合いだけではない何か”ってあるんだなと感じたものです」と、5年前の初演を振り返る。そこここに驚きや笑いが散りばめられた彼ならではの『アリス』は、幅広い世代の観客を魅了。客席には、この物語に初めて触れるという観客も多くいただろう。「ウサギの穴に落ちて、大きくなったり小さくなったりと、『アリス』の世界はいろんなところに飛んでいきますが、それが世界としてちゃんと成り立つための、言い方、ものの動かし方、皆の配置や歩き方などを丁寧にやることで、お客さんは意外にすんなりと入ってきてくれます。視覚的な面白さのある物語ですから、今回はそこをもっとお伝えしたくて、ほぼ喋らないようにしようと考えているんです」本来、この再演は2020年に実現するはずだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりリハーサル半ばで中止に。「もう1回やれるなんて思ってもみなかった!」と、喜びを隠せない様子だ。「アリスはどんなことにも臆さず、自分からどんどん向かっていくところが魅力的。今僕たちはまさに不条理の中で生きているけれど、もっと楽しくとか、より能動的に何かを受け取るということを彼女から学ぶべきではないか。この作品はまさに今、やるべきことだと感じていて、何かしらお伝えできるよう頑張りたい。心からそう思います」昔読んだ原作はうろ覚え、ワクワク感も忘れがちという大人も、きっと夢中にさせる舞台になる。小野寺も「自分の中で忘れかけていたものを思い出す時間になってくれれば」と、穏やかな笑顔を見せた。公演は3月18日(金)〜21日(月・祝)、新国立劇場小劇場にて。チケットは発売中。文・加藤智子
2022年03月09日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の草笛光子さん。20~30代女子には、ドラマ『その女、ジルバ』での草笛さんが印象的だったのでは?第4回はそんな名作の、ちょっとした裏話。歳を重ねたら、セクシーさよりかわいさ。今年のはじめに放送されたドラマ『その女、ジルバ』。お話をいただいて出演を決めたのは、若いホステスがおじさんに科(しな)を作るような話ではなく、40歳以上の女のバーの物語だったから。年齢を重ねていくと、絶対にみんな、“人生を生きてきた垢”がついてくるのよね。そういうものが感じられるバーって、なんだかおもしろいじゃない。女優としても、普通の夜のお店とは違う何かが表現できるのではと思い、お引き受けしました。あのドラマで、ホステスさんがバーで踊るシーンがあったでしょ?振り付けの方から「どうしたらいいでしょうか」と相談があったので、私は「色っぽくせず、かわいく!」とリクエストをしました。歳を重ねた女はセクシーさより、かわいらしさのほうが絶対に合う。それでできたのが、あの肩を上げ下げする振り付け。あれは見事だった。ダンスシーンを毎回見たいと言ってくださる方もいて、みんなとても気に入ってくださったみたいね。くじらママの心には、いつもナイフを忍ばせて。あのドラマは撮影も楽しく、共演者もスタッフの方々も素晴らしく、本当にいい現場でした。ただ、新型コロナのために演出も撮影も大変で、しかも打ち上げもできなかった!私は今でも、「打ち上げ、いつかしら?」って思ってますよ(笑)。私が演じたくじらママは、あのお店にいる女の子たちを守るのが一番の役割。“何かあったら、これを出すわよ…”と、心の中にナイフを持っているキャラクター。なので私も、何かあったら、私が目の色を変えて出ていく。ずっとそんな気持ちでやっていました。それがあったからかどうかはわかりませんが、どうもあのバーは居心地よく見えたみたいで、いろんな人から「飲みに行きたいんだけど」と言われましたね。くじらママのように、女の味方になれる人は、素敵だと思います。私を慕ってくれる年下の女優さんたちにとって、私もそんな存在であれたら…、と願っています。くさぶえ・みつこ女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年11月3日号より。写真・中島慶子スタイリスト・市原みちよヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)(by anan編集部)
2021年10月29日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の草笛光子さん。生きる上で大切にしていることはどんなこと?第3回は、今は亡きお母様との合言葉を教えていただきました。洋服には、その人間の人生が出ます。18年に、『草笛光子のクローゼット』という、スタイルブックを出版させていただきました。そのおかげか、おしゃれなイメージを持たれることが増えましたが、私は全然おしゃれじゃないし、洋服好きでもない。ただ、役柄のために衣装を考えるのは楽しいわね。もうすぐ公開される映画で演じたのは、“かつてあった老舗和菓子屋の奥さん”。たぶんずっと着物を着ていて、その経験があって今は洋服を着ている人ね、とピンときた。その感覚をもとに、衣装を探しました。それからヘアスタイル。イメージは“洋服にも合う日本髪風スタイル”。そうやって細かいところを詰めていくと、より役柄にリアリティが出る。今年放送された『その女、ジルバ』でも、“バーで働く80歳の女”が持つにぎわいを意識して、自分のドレスも含めて衣装選びをしました。洋服には、人生が出るんです。今回も、私の私服や帽子がいくつか活躍しています。そんなところも見ていただけたら!「こんちくしょう!」できれいに生きる。長いこと私のマネージャーをしてくれた母は、いろんなアドバイスをくれました。芸能に関してはまったくの素人の母の言葉だからこそ、とても私に響いたものが多々。その中でも今も私が大事にしているのが、「きれいに生きましょう」という言葉。「光子ちゃん、きれいに生きましょうね」とよく私に言っていました。それは、ズカズカと出ていき誰かの役を奪うとか、裏で何かをして便宜を図ってもらうとか、そういう汚いことをせず、きちんと生きましょう、という意味です。心の奥底を覗けば、人を押しのけたい気持ちや、陥れたりしそうになる闇がある。でもそんなことをして生きるなら、今いる場所から降りたほうがいいと、私は思っています。もちろんきれいに生きようとして、バカを見たこともたくさんあります。そんなときは思い切り泣いて、「こんちくしょう!」って立ち上がる。それで再び、きれいに生きる。今でもその言葉は、私と母の合言葉です。くさぶえ・みつこ女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子スタイリスト・市原みちよヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)(by anan編集部)
2021年10月23日「(草笛光子の弔辞を)先に書いちゃったの」そう話す中谷美紀(45)に応じ、「最後はひどかったわね。“(人類滅亡でも)ゴキブリと母さん(草笛)だけは生きてる”のよね?」と屈託なく笑うのは草笛光子(87)。草笛を“お母さん”と慕う中谷とトーク番組に出演した際のやりとりだ(9月5日放送のフジテレビ系『ボクらの時代』)。2人は’13年の舞台共演で意気投合。中谷が結婚したビオラ奏者のドイツ人夫も一緒にウィーンで会うなど、プライベートでも年齢を超越した仲だという。現在、オーストリアと日本を行き来して生活している中谷だが、「帰国するたびに草笛さんのご自宅で一緒に食事をするそうですよ。お手伝いさんのお料理がとてもおいしいんだとか。草笛さんも、海外生活の中谷さんを気遣って、漬け物などの和食材を贈っていると聞きました」(2人を知る女優)ある舞台関係者も、「2人とも一見、上品なことしか話さなそうでしょう?でも実はユーモアのある方たちで、2人の会話ではブラックジョークがポンポン飛び交う。波長が合うようです。なにより中谷さんが草笛さんをとても尊敬しています」と話し、「そもそも草笛さんが共演者キラーなんです」と続ける。「共演すると、みんなファンになってしまう。特に女優たちは“憧れの女性”として草笛さんの名前を挙げる人が多いです。共演者がミスしたりNGを重ねても責めたりしない。“いいものが撮れるまで何テークもしましょうよ”というスタンスなので大御所なのに仕事がしやすい。萬田久子さん(63)や草刈民代さん(56)、南果歩さん(57)からも好かれていると聞きます」草笛の最新の出演作は映画『老後の資金がありません!』(10月30日公開)だが、その主演である天海祐希(54)もそうで、「草笛さんへの出演オファー自体、“天海さんが尊敬しているから”というのが理由の一つだったと聞いています。撮影後は天海さんと若村麻由美さん(54)で草笛さんのご自宅に遊びに行ったそうです。独身を貫いている天海さんですが、草笛さんも2年ほどの結婚生活から離婚を経て“おひとりさま”。そういった部分でも共感しているのかもしれません」(映画関係者)さらに孫世代といってもいい20代、30代の女優も例外ではない。「大河ドラマ『真田丸』で共演した長澤まさみさん(34)は、着物の所作が勉強になる、と話していましたね。現場で草笛さんを“みっちゃん”と呼んでいたそう(笑)。杉咲花さん(24)は孫役を演じたことがあるのですが、“演技を一緒に考えてくださった”と感激していました」(テレビ誌記者)女優たちをこぞってトリコにする草笛の魅力を芸能リポーターの長谷川まさ子さんはこう語る。「品があって凜としていらっしゃって大女優のオーラがある。なのに『コロナ太りしちゃったのよね』とか『補聴器を使ってる』とか平然とおっしゃるんです。若い人でも話しかけやすい雰囲気を醸し出してくださっているんですね。大物女優の方だと、とっつきにくいような方もいらっしゃると思うんです。でも慕われる大女優さんというと、樹木希林さんや夏木マリさんもそうですけれど、本当に自然体なんですよね」■自宅の稽古場に呼んで後輩を特別レッスン芸能生活71年。培った女優としての秘訣を惜しげもなく伝授していることも慕われる要因だろう、とある芸能関係者は語る。「翌日も舞台の本番だった土屋太鳳さん(26)がシャンパンを遠慮すると、『いいのよ、しゃべらなければ。声帯を使わなければいいの』と逆に勧められたそうです。別のある女優は、初舞台に挑むときに自宅に呼んでもらったそう。自宅に稽古場があるんですが、一緒に発声練習をしたといいます。“舞台に必要なことを教えていただいた”と感動していました」前出の舞台関係者は「草笛さんは雑談のなかにも心をとらえる名言がたくさんなんです」とも話す。名言に感化された一人に今クール初めてゴールデン帯連ドラ主演を務めることで話題のあの人も。「江口のりこさん(41)は去年ドラマで共演し、草笛さんの『40歳は私の半分にもならない』という言葉で、年齢は関係ないと思えたそうです」(前出・テレビ誌記者)長谷川さんはこう分析する。「草笛さんは“80代って面白い”と、年齢にとらわれず、むしろ年齢を楽しんでいらっしゃる。“将来ああいうふうになれたらいいな”と女優さんたちにとってお手本のような存在なんでしょう」10月22日には88歳の誕生日を迎える草笛。来年は大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演が決まっている。米寿を迎えても“草笛ラブ”の輪はますます広がりそうだ。
2021年10月22日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の草笛光子さん。第2回は、草笛さんの“笑い”を刺激するあの人についてのお話です。とにかく笑わせにくる、三谷幸喜さん。2016年に、NHKの大河ドラマ『真田丸』に出演し、主人公の祖母・とりを演じました。脚本は、ご存じ三谷幸喜さん。忘れられないのが、とりが家族の前で大往生するシーンです。今にも息を引き取りそうな状態なのに、「ちと、早すぎた」と言って立ち上がる、と脚本に書いてありまして、どう考えてもセリフも行動もおかしい。笑わせにきているとしか思えなかった。だって、今にも死にそうな人が立ち上がるって、あり得ないじゃない。どう演じたら見ている人が笑わないかを1週間考えに考えて演じたら、放送後、三谷さんから、「自分が書いておきながら、思わず泣いてしまいました」ってメールが来ました。とにかくそのときは、私はなんとか乗り越えることができました。しかし、またやってきたんです、三谷さんが。もうすぐ公開される映画『老後の資金がありません!』の、とあるシーンで共演することになり、そこでまた攻防戦が…(笑)。この映画の中で私が“異例の変身”をする場面がありまして、そこに三谷さんも出演されております。私は眠っている設定だったこともありますが、内心は三谷さんを見たら笑ってしまうので、“笑っちゃいけない”と目をギュッとつぶって演技をしていたところ、監督が「三谷さん、もっと近寄ってください。もっと近寄ってください」っておっしゃる声が聞こえるんです。しかも、何かが鼻に触れたから、“何ごと?”と思って薄目を開けたら…、目の前に三谷さんのお顔が!!しかも私に向かって、「死んだ父親にそっくりだ」って言うわけ。“父親に似ている”って言われる女優って、どういうこと??(笑)三谷さんが絡むと必ず笑ってしまうから、戦わなきゃいけない。脚本から、演技から、なんとか笑わせようとする必死さが伝わってきます。でもそれが三谷さんの良い作品につながっているんです。来年はまた大河ドラマでご一緒するので、今から心配ですよ…。くさぶえ・みつこ女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年10月20日号より。写真・中島慶子スタイリスト・市原みちよヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)(by anan編集部)
2021年10月16日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、10月で88歳を迎える草笛光子さん。『その女、ジルバ』のくじらママのご登場です。第1回は「好奇心と“やってやろう”魂が大事です。」。好奇心と“やってやろう”魂が大事です。私の芸能界入りは、女学校(今でいう女子高校)を中退し、松竹歌劇団(SKD)に入り研究生になったことが第一歩。素人でしたので、3年間みっちりダンスと舞踊、歌のレッスンを受け、ありがたいことに在学中から舞台に出演。卒業後はそのままSKDに所属しながら、映画やテレビに出させていただき…今に至ります。気がつけば女優になって70年余り。舞台でもストレートプレイ、ミュージカルなどいろんな役をやらせてもらって、とても幸せな女優人生だな、と思っています。作品選びだけではないですが、私が大事にしているのは“好奇心”。演じる役柄に対して、やったことのない役をいただいたときはもちろんですが、今日のように雑誌の取材で用意された衣装やその日の髪型でも全部、与えられた役のように思うんです。それで、“よし、やってやろう!”って気持ちが湧いてくる。未知の難しいことに挑戦するのって、いくつになっても楽しいわよね。女優に“演技をしないでくれ”って何事?!この秋、出演した映画『老後の資金がありません!』が公開されます。かつて浅草にあった老舗和菓子屋を夫とともに切り盛りしていた妻、という役どころで、脚本を読むとこれがまあいろんな人を引っ掻き回す、結構な悪役。どう演じたらいいか…と監督さんに相談をしたら、「草笛さんはそのままで十分おかしいですから、演技はしないでください」と言われたわけ!私、70年以上女優をやってきて、少しは二枚目なんじゃないかしらと思っていたのに、「何もしないでいい」って。そんなことを言われたのは初めてで、心の中では「こんちくしょう…!!」って(笑)。でもそこで逆に考えたんです。そうおっしゃるならすべて監督に預けよう。その代わり、良くても悪くても監督のせい。それもある種の好奇心よね。ただ、試写を観た方から「おもしろかった!」と言われると、“え、私の素がそんなにおもしろいの…?”と不安になります(笑)。くさぶえ・みつこ女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年10月13日号より。写真・中島慶子スタイリスト・市原みちよヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)(by anan編集部)
2021年10月09日竹野内豊主演「イチケイのカラス」の10話が6月7日放送。被害者の少年を演じた小野寺晃良に大きな注目が集まるとともに、被告役の板尾創路の“素性”に過去の番組を思い出す視聴者からの声も多数SNSに投稿されている。竹野内さん、黒木華、新田真剣佑、山崎育三郎、桜井ユキ、水谷果穂、升毅、中村梅雀、小日向文世らが出演。絶対に冤罪を生むことのないよう、自らの足で現場検証を行い、事件の真相を明らかにしていくという異端な刑事裁判官、入間みちおに竹野内さんが扮し、みちおが裁判官を務める東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称イチケイ)の面々や検察官たちが、みちおに振り回されながらも、最後には真実にたどり着いていく様を描いてきた本作。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。今回はみちおの弁護士時代の同僚、青山(板谷由夏)が国選弁護人を務める裁判をみちおたちが担当することに。それは被告人が素性を明かさない“名無しの権兵衛”だという傷害事件。事件は被告が当時17歳だった被害者の朝倉純(小野寺さん)の胸部を工具で殴打し、ケガをさせたというもの。路上生活者だった被告は、河川敷で路上生活者仲間とバーベキューをしていた際、被害者の純を含む5名の少年たちから石を投げつけられる。被告は少年たちを追いかけ、純を捕まえて注意するが、そのことに腹を立てた少年たちは再び投石。路上生活者のひとりにケガをさせてしまう。純を探し出した被告人は、もみ合いになった際に彼が持っていたスパナを奪って殴りつけたという。純は肋骨が折れるほどの大ケガだったが被告は、第1回公判で被告人(板尾創路)は名前はもちろん、自らの素性を明かすことを拒み、自分は殴ってないと答え…というのが今回のストーリー。純を演じた小野寺さんは「賭ケグルイ双」や「年の差婚」「ホリミヤ」などに出演している若手俳優。以前から小野寺さんに注目していた視聴者からの「イチケイのカラス出てたの小野寺晃良くんだよね??こんな大きくなってたんやな~」「イチケイのカラスに小野寺晃良くん出てる~~成長したなあ」「今回のイチケイみたいなヤンチャな役もかわいい」といった声まで多数の反応がSNSに投稿されていく。職権が発動され被告の素性が明かされる。被告の御手洗は青山の母が看護師をしていた田舎の病院の医師で、17年前、危険な妊婦の出産の際に、胎児を救うことはできたが母体を死なせてしまい、それをきっかけに行方をくらましていた。さらに法廷で御手洗が無資格医師だったこと。純が17年前に御手洗が救った子どもだったことがわかる…。板尾さんが無資格医師を演じたことに、「イチケイのカラス、板尾創路のブラックジャックじゃん」「板尾さんの素性とかがもう「板尾創路のブラックジャック!」すぎ」かつて板尾さんが過去にお笑い番組でやっていた企画を思い出した視聴者からの声も多数投稿されている。(笠緒)
2021年06月08日出演、振付、演出とたくさんの舞台にさまざまな形で求められ続けている小野寺修二。現在公演中の話題作『FORTUNE』のステージングも担当している。そんな彼のホームであるカンパニーデラシネラの新作公演『どこまでも世界』が2月27日(木)から3月1日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演される。今作について小野寺は、「台詞のない舞台、をつくろうと思っています。言葉をすべて省くことで、思いも寄らない着地をしたり、複数の回答が生まれたり、やってみる程なるほどそうかと気付くことがあります」とコメントしている。小野寺の作品は、とても雄弁だ。そこに言葉がなくとも、観る側はステージに立つ人々の動きから、表情からたくさんのものを受け取る。それに付随して緊迫感も、笑いも、そして感動も生まれる。けれども、そこには明確な正解があるわけではない。小野寺のコメントにあるように、演じる側に複数の回答があるのと同様、観客ひとりひとりにとってもそれぞれの受け取り方がある。観る側が自分だけの答えを見つける面白さ、表現に触れることの豊かさを、カンパニーデラシネラの作品は私たちに提供してくれる。カンパニーデラシネラはこれまで、公演ごとにメンバーを選ぶ形で上演が行われてきた。けれども今年度からはメンバーが固定された新体制として再出発している。前作『見立てる』で台詞が削られ、身体の表現によって作品が立ち上がっていたが、今作ではそこからさらに進化して、虚構と現実がシームレスに連なっていく世界が描かれるという。カンパニーデラシネラ『見立てる』舞台の可能性を追求し続ける今作は、他では味わうことのできない体験になるだろう。文:釣木文恵
2020年02月25日阿部寛演じる偏屈でプライドが高すぎる独身男と彼を取り巻く人々のコメディー「まだ結婚できない男」の第4話が10月29日にオンエア。桑野の母・育代を演じる草笛光子の美しさと、桑野を誹謗中傷し続ける“やっくん”の正体にも注目が集まっている。本作は2006年に放送された「結婚できない男」の続編。前作から13年を経てもいまだ偏屈で独善的で皮肉屋、そして独身のままの建築家・桑野信介を阿部さんが演じる。桑野のアシスタントからいまは事務所の共同経営者となった村上英治に塚本高史、弁護士の吉山まどかに吉田羊、桑野に好意を抱く岡野有希江に稲森いずみ、桑野の隣人で女優の戸波早紀に深川麻衣、桑野の母・桑野育代に草笛さん、妹の中川圭子に三浦理恵子、中川の娘で桑野の姪・ゆみに平祐奈、義弟の良雄に尾美としのりといったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。水漏れした自宅から娘・圭子の家に避難するも親子ゲンカしてしまった育代が桑野の部屋にやってくる。なんとか母親を追い返したい桑野は、水漏れの原因を作ったリフォーム会社と交渉してほしいと、育代を連れてまどかに依頼。まどかは育代に「自分の母親といるより落ち着きます」と安らぎを感じ、自分の母親との悩みを打ち明ける。一方、圭子から今年は自分に代わって育代の誕生日会を開いてほしいと言われた桑野は、どんなプレゼントを渡せばいいかまどかに相談。するとまたまた言い合いになり、まどかを怒らせてしまう――というのが今回の物語。今回は草笛さん演じる育代と、桑野とまどか、有希江、戸波ら桑野を取り巻く女性たちとのエピソード。「草笛光子さんのヘアスタイルが素敵すぎる」「草笛さんが相変わらずものすごくおしゃれ」など、草笛さんの美しさを讃える声が集まるなか、偏屈すぎるゆえに母への愛情を素直に表現できない桑野への「桑野さん面倒くさいー!親だからこそ、なおさら素直になれないのかなー」「この阿部寛のど偏屈ぶりは他人ごととは思えなくなってきた」といった反応も多数。また1話から桑野を悩ませ続けている“やっくんのブログ”だが、今回、桑野は同じジムでトレーニングしている“ヤクマル”(デビット伊東)が“やっくん”ではないかと疑うのだが、ネットでも「やっくんっておんなしマンションの人なんでないかなぁ」「「やっくん」は、桜子さんではないかと思う」「やっくん、デビット伊東じゃなくてバーテンの人だと思う」など様々な声が上がっており、やっくんの正体にも注目が集まっている様子だ。(笠緒)
2019年10月30日健康に食生活が大事なことはわかっている。でも徹底するのが大変なのも、また食事…。そこで試してみてほしいのが、“食療”。漢方の考えに基づいた体にいい簡単料理です。これならがんばらなくても続けられる!例えば貧血や便秘、肌のしみ・くすみ…。そんな女性ならではの不調や悩みも、解決!漢方専門店『ミドリ薬品 漢方堂』店主の櫻井大典さん。自称“ゆるゆる漢方家”の櫻井さんにレシピを教えて頂きました。“末端の冷え”には「玉ねぎ黒こしょうスープ」で気と血を巡らせる。指先などの末端が冷えるのは、エネルギーや栄養となる気血の巡りが悪く、熱を体の隅々まで運ぶことができていないため。脂っこいものや甘いもの、味の濃いものを多く食べていたり、ストレスが溜まると起こることが多い。気血を巡らせ、体を温める作用があるのは、玉ねぎ。スライスした玉ねぎを炒め、水を加えて3~4分煮て、塩と多めの黒こしょうで味を調えた「玉ねぎ黒こしょうスープ」で、お腹からじんわり温めよう。“貧血になりがち”な人は血を作る「素焼きアーモンド」を。貧血は酸素を全身へ運ぶヘモグロビンが不足している状態。女性の場合は、月経時の出血、妊娠や授乳によっても起こりやすくなる症状の一つ。血虚の体質に多いけれど、血液量を増やすというよりは「しっかり働ける血」を作ることが肝心となる。アーモンドは栄養価が高く、さまざまな健康効果があるうえ、胃腸を整えて血を作る働きを持っているのが特徴。コンビニでも簡単に手に入るので、おやつ代わりに食べてもよし。「きゅうりのしょうが炒め」で“便秘”がスッキリ。便秘は熱、冷え、気の流れの悪さ、血の不足などで、体の潤い不足と脾や胃腸の働きが低下して起こるものと考えられる。原因はストレス、食べすぎや偏った食生活などさまざま。便秘に効果的なのは、体にこもった余分な熱をおさめる働きを持つ、きゅうり。水分も多く含むので潤いも補える。熱を追い出す発散作用のあるしょうがと一緒にさっと炒め、塩こしょうで味付けすれば、温かい「きゅうりのしょうが炒め」の出来上がり。血行障害でできる“しみ・くすみ”は「ネバネバ納豆」で予防を。しみ・くすみの主な原因は、睡眠不足や冷え、暴飲暴食、運動不足などからくる血行障害と腎の衰え。きれいな肌を作るには、血の流れを良くしてドロドロ血を取り除き、腎を補うことが必要に。発酵食品の納豆には、血液をサラサラにして体内にこもった熱をおさめ、内臓を潤す働きがある。よくかき混ぜて、糸がたくさん引いてから食べよう。気の巡りを良くして老廃物を排出する力もあるので、便秘に悩んでいる人にもおすすめ。“肌の乾燥・ハリ不足”は「たっぷりのごま」で美肌をキープ。漢方において、肌を管轄するのは肺。なぜなら、肺は呼吸だけを行うのではなく、皮膚の調整、発汗、体温調節などにも関わっているから。数ある食材の中でも、肺を丈夫にして潤す働きが高いのが白ごま。余分な熱を冷まし、肌の乾燥を改善する効果がある。一方、黒ごまには栄養を補って体を元気にしてくれる働きが。どちらも、ご飯、サラダ、おひたし、煮物など何にでも合うので、毎日の食事に積極的に取り入れたい。櫻井大典さん北海道北見市の漢方専門店『ミドリ薬品 漢方堂』3代目。Twitter(@PandaKanpo)にて、毎日ゆるゆる健康情報を発信中。著書に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)などがある。※『anan』2019年10月16日号より。イラスト・小野寺光子取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2019年10月12日“漢方”と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべる?「薬の名前がとにかく難しくて覚えにくい」「初心者にはちょっとハードルが高そう」などと思っている人もいるのでは…?「漢方の基本的な考え方の一つが“養生”です。養生とは“予防”のことで、普段から食生活や生活習慣で自己治癒力を高め、病気に強い体作りをして備えるということ。決して難しいものではありません」。そう教えてくれたのは、漢方専門店『ミドリ薬品 漢方堂』店主の櫻井大典さん。自称“ゆるゆる漢方家”の櫻井さんが、自身の著書やSNSで発信しているのが、食事から生命を養う“食養生”という考え方だ。「たとえば『秋にこの食材を食べておくと不調を防げて、冬を快適に過ごせる』という具合に、食事によって健康な体質を目指すというのが、食養生の基本です。一方、『熱にはりんご』『冷えにはしょうが』など不調や症状に合わせて食事で治すことを“食療”といいます。“薬食同源”といって、漢方の生薬と食事に分け隔てはありません。ちょっと調子が悪いときに、キッチンにある食材で対処できれば、薬を飲む必要もなく一石二鳥というわけです」料理に自信がなくても大丈夫。身近な食材を使い、しかも簡単に作れるレシピをご紹介!“熱があるカゼ”は「りんごのすりおろし」で体を冷やす。熱っぽい、喉が炎症を起こして痛みを感じるといった症状は、通称“赤いカゼ”といわれ、余分な熱の邪気=「熱邪」が原因とされている。そんな体の熱を取り除いて、潤いを生じさせる働きがある食材が、りんご。水分の代謝を促し、脾や胃の働きを整えて食欲を促してくれる働きもある。食べやすくするためにも、皮ごとすりおろすのがおすすめ。「カゼをひいたら葛根湯」と思っている人も多いけれど、実は赤いカゼのときは症状が悪化するのでご注意。“寒気がするカゼのとき”は「しょうが湯」で体を温める。中医学では、自然界に吹く風が「邪気」を連れてきて、体の中に入り込むと「カゼ」の症状があらわれるといわれている。ゾクゾクとした寒けを感じるのは、邪気のなかでも体の熱を奪う「寒邪」が体内に侵入した状態。これを改善するには、体を温める食材を摂るのが効果的。特に、生のしょうがには発汗を促して寒けを払い、胃腸を温める効果が。そのまますりおろしてお湯に入れて作る「しょうが湯」で、体を芯からポカポカに。櫻井大典さん北海道北見市の漢方専門店『ミドリ薬品 漢方堂』3代目。Twitter(@PandaKanpo)にて、毎日ゆるゆる健康情報を発信中。著書に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)などがある。※『anan』2019年10月16日号より。イラスト・小野寺光子取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2019年10月12日暑くて食欲減退、肌見せのためのダイエット。夏は食がおろそかになりやすい季節です。過剰なものを減らし、足りない栄養素をプラスして、疲れ知らずのカラダを取り戻して。だるさや疲れのもと、糖質を減らす。食欲もないし、手の込んだ料理も面倒…と、さっぱりした麺類などに偏りがちなのが夏のごはん。栄養コンサルタントの杉山明美さんによれば、こうした糖質の多い食事も、夏の疲れの一因と言う。「糖質に偏った食生活は、エネルギー代謝に必要なビタミンB群を消耗するだけでなく、血糖値の急激な上昇と下降、“乱高下”を引き起こします。すると自律神経がついていけなくなり、それが空腹時のイライラや、食後の眠さやだるさを引き起こします」特に、ランチ後に眠気を感じやすい人は注意したい。「糖質は、カラダを動かすエネルギー源として朝は適量を摂るべきですが、デスクワーク中心なら昼間は多く摂る必要はない。脳を働かせるのに必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富なおかずを多く食べる必要があります」まずは昼食の食べ方を見直し、糖質過多の食生活から脱却を。そして、ひとつ気をつけたいのが、カフェイン。「外気温と冷房の効いた室内の温度差でカラダにかかったストレスを軽減するのは、副腎から出るコルチゾールというホルモン。カフェインには、副腎を刺激してコルチゾールの分泌を促す性質が。日中にコーヒー1杯程度なら問題ないですが、副腎を疲れさせないためには、大量に飲むのは避けて」麺類は麺を減らして具を増やす。休日の昼ごはんに活躍する、冷たいさっぱり麺。これも、「麺の量は控えめに。ひと皿完結ではなくおかずを増やしたいところですが、それが面倒なら具をたっぷりとのせましょう。例えば冷やし中華なら、ハムや卵、きゅうりの量を通常の倍に。そうめんもぶっかけ麺にして、ツナなどのタンパク質を加えるのがおすすめです」。丼ものは小鉢いろいろの定食に。外食でのランチ、どう選べば糖質過多にならない?「丼ものやパスタなどひと皿完結の料理は避けましょう。代わりに選びたいのは主食の量を調節しやすい定食やセットメニュー。メインと、小鉢や付け合わせ、汁物などを組み合わせて、糖質を控えつつ必要な栄養素をしっかりと摂って。午後も眠くなりにくいはず」タンパク質&鉄で、心もカラダも元気に!夏特有のさっぱりとした食事は、糖質過多になってしまう一方で、「タンパク質不足にも陥りやすい。必然的に筋肉量が減り、疲れやすいカラダになってしまいます」また、タンパク質とともに不足しがちなのが鉄分。「魚や肉など動物性タンパク質が足りないと、それらに多く含まれているヘム鉄も摂れないことに。鉄が足りずに起きる鉄欠乏性貧血は、だるさやめまいなどの症状を引き起こします。もとより女性は毎月、月経で鉄を失っている。しっかり補給したいですね」また、鉄はメンタル面の疲れにも深く関わっているのだそう。「イライラや集中力、リラックス感などのバランスを保っているのは、神経伝達物質のひとつであるセロトニンという成分なのですが、このセロトニンを作る際にも鉄が使われています」先に登場した副腎も、「コレステロールとタンパク質を原料に、抗ストレスホルモンであるコルチゾールを作っている。副腎の働きを保つためにも、やはりタンパク質が重要です」夏の疲れをオフするには、ビタミンB群とタンパク質と鉄がカギ。一緒に摂ることで吸収や働きが良くなるほかのビタミンやミネラルもチェックして。ステーキ&野菜で鉄分とビタミンCをしっかり補給。貧血対策には、鉄分。赤身肉やレバー、かつおやまぐろなどの魚に多い。ただし単体ではなく、「吸収を助ける、ビタミンCと一緒に摂ることがポイントです」。赤身のステーキの付け合わせにはブロッコリーやクレソン、かつおのたたきにはレモンを添えて。「ビタミンCは熱に弱いので、生で摂るのがベストです」気分の変化が激しいなら、カキフライ。突然やる気になったかと思えばすぐにトーンダウン。気分のアップダウンが激しくて疲れるなら、セロトニンが足りていないのかも。そんな時は、タンパク質と鉄分たっぷりのカキフライを。「鉄と一緒に働くビタミンB群とマグネシウムのどちらも豊富なキャベツも、付け合わせとして食べられるので一石二鳥です」杉山明美さん栄養コンサルタント。元女子バレーボール日本代表。著書に『不調女子のカラダよろこぶ栄養BOOK』(徳間書店)など。※『anan』2019年8月28日号より。イラスト・小野寺光子取材、文・新田草子(by anan編集部)
2019年08月25日市村正親と草笛光子の顔合わせで、『ドライビング・ミス・デイジー』が上演される。映画版がアカデミー賞最優秀作品賞をはじめ数々の賞に輝いた作品への挑戦である。共演は1993年の『ラ・カージュ・オ・フォール』以来25年ぶりとなる名優ふたり。不朽の名作を深く豊かに作り上げてくれそうだ。【チケット情報はこちら】1948年から25年間が描かれる物語の舞台となるのは、まだ人種差別意識が残るアメリカはアトランタ。夫を亡くしている72歳のユダヤ人・デイジー(草笛)が、運転していた車で事故を起こし、心配した息子が黒人の運転手・ホーク(市村)を送り込んできたことからストーリーは動き出す。独立心が強く黒人嫌いでホークを拒絶するデイジー。それでも辛抱強くデイジーのもとに通うホーク。そんなふたりが徐々に心を通わせ、ついにはかけがえのない友人となっていく姿が描かれる。上演のきっかけを作ったのは、演出を手がける森新太郎だ。「ミュージカルとかシェイクスピアではなく、違う市村を見たいと森さんが持ってきたのが、この作品だったんです」と市村。そこでデイジー役に浮かんだのが草笛だった。「市村さんから電話があったんです。“こういう話があるんだけどやらない?”って森さんから言われたと。実は前からいつかやりたいと思っていた作品だったこともあって、その場ですぐにやりたいと返事しました。それに、最初の勘として、市村さんとなら面白い関係になるなと思ったの」と草笛は言う。ただ、面白くなりそうだからこそ、草笛には心配なこともあるようだ。「台本を読んだらふたりのやりとりがあまりにも面白くて、しかも相手が市村さんだから、漫才になってしまったらどうしようと思ってるんです(笑)。謹厳なデイジーとして常に凛としていなきゃいけないのに」。それに応えて市村は、「大丈夫。森さんが漫才にはしないだろうし、僕は草笛さんのデイジーの台詞を聞いて、デイジーの生き方を見て、それに反応していくだけですから」ときっぱり。草笛も、「喜劇的な面白さもありつつ、深いものを腹に入れて演じないとこの作品の良さは出ないですものね。最後には人の心をズンと打たなきゃいけない」と引き締まる。年齢とキャリアを重ねてきたふたりだから表現できる人間ドラマとなるはずだ。「草笛さんとこの作品ができることが幸せ。長く俳優をやってきてよかったなと思います」と最後に語った市村。この巡り合わせに立ち会えるのは、なんと幸せなことだろう。公演は6月22日(土)から7月15日(祝・月)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。その後、7月17、18日に宮城・電力ホール、7月23日に愛知・日本特殊陶業市民会館を巡演する。ぴあでは2月1日から11日まで東京公演の抽選先行エントリーを受付中。取材・文:大内弓子
2019年01月30日9月29日から公演される舞台『新・6週間のダンスレッスン』の制作発表会見が21日、都内で行われ、松岡昌宏、草笛光子、演出家の鈴木勝秀が出席した。同舞台は、2001年にアメリカ・カリフォルニアで産声をあげ、2006年に日本で初演された、美しいダンスとウィットに富んだ会話劇。公演終了から何度も再演を重ね、2014年には通算194回の公演で幕を閉じた。そんな同舞台の再演となる今回は、初演からリリー役を演じて第14回読売演劇大賞優秀女優賞、第29回松尾芸能賞演劇大賞を受賞した草笛光子、その相手・マイケルを松岡昌宏が務める。6週間のダンスレッスンを通じて出会う2人は、年齢も生き方も違い、お互いをなかなか認めることができない。反発しあいながらも次第に心を通わせていき、現代で大切なものは何かを問いかける。初演からリリーを演じている草笛は「10年近くやらせていただきますと、どこか演技に垢が出てきちゃうというか、垢落としと言ったらアレですが、今回は、違う『新・6週間のダンスレッスン』になると思いますよ。前の残像が残っていますので、それを払拭して新しい自分に生まれ変わりたいですね」と何年も演じ続けている役柄とはいえ、新たなキャラクター作りに意欲。その相手役となる松岡は前回の舞台を草笛の招待で鑑賞したといい、「松岡らしいマイケルを演じられたらと思っています。色んな諸先輩方がマイケルをやられていますが、俺の色に染めてみせます!」と力強く語った。草笛が松岡にラブコールを送って共演が実現した同舞台。2013年公演の舞台『ロスト・イン・ヨンカーズ』で親子役として共演した2人は、それ以来、松岡は草笛のことを「ママ」と呼んでいる。草笛が「もう親子じゃないですから! ママと呼ばれると困ってしまう。これからは"ママ"と言うな!」と"ママ"禁止令も。一方の松岡は「ずっとこの5年間は"ママ"だったので、急に変えると言われるのも……」と困惑した表情を見せつつ、「リリーと呼びます!」と宣言。また、前回の親子役から今回は心を通わせる男女役を演じるにあたって草笛の心を掴む方法を問われた松岡は「顔じゃないですか」と回答し、草笛も「もう掴まれてました。情け容赦なく」と笑いを誘っていた。舞台『新・6週間のダンスレッスン』は、9月29日~10月21日(10月4日・10日・15日・18日は休演)に東京・大手町 よみうり大手町ホール、10月26・27日に石川・金沢 北國新聞赤羽ホール、10月30・31日に福岡・福岡 ももちパレス 大ホール、11月3・4日に大阪・梅田 サンケイホールブリーゼにてそれぞれ上演される。
2018年08月22日小野寺修二と首藤康之が初めてタッグを組んだ『空白に落ちた男』(2008年)から10年目。節目となる今年、6月に第4弾『斜面』が上演される。【そのほかの画像はこちら】その日、稽古場では首藤とろう者の舞踏家・雫境(だけい)とが対峙するシーンが作られていた。小野寺と首藤を中心として、「足を一歩前に踏み出す」「視線を外す」「居住まいを正す」など、細やかな動きひとつひとつに対し、その瞬間の感情についての意見が飛び交う。登場人物はセリフを発しないが、稽古で交わされる言葉は尽きない。稽古を終えたふたりに話を聞いた。首藤は「今日の稽古で腑に落ちたのは、“思わず”動く、その瞬間に真実が見えるということ。小野寺さんの作品は、ストーリーやキャラクターを前面に出すのではなく、真実を追求するものだと思うんです。そのためには自分をさらけ出す必要があるから勇気も必要だけれど、ぼくはそこに豊かさと楽しさを感じています」と話す。それを受け小野寺は「首藤さんとの企画が立ち上がるときは、必ず僕が変化を求めているときなんです。それは、偶然というにはうまくできすぎているほど(笑)。毎回それぞれ“自分になにができるのか”を考え、新たなチャレンジをしていますが、とくに今回は10年目ということもあって、気持ちも新たに作品に向き合っていますね」と語る。10年の間に作品を重ねたふたりだが、首藤は「最初は小野寺さんの言ってることが全然わからなかった」と笑う。「10年経って、ちょっとだけ小野寺さんの世界の住人になれたかなという嬉しさを感じています」というと、小野寺がこう続ける。「先日の稽古で、首藤さんが雫境くんに“もっときたなくしてみて欲しい”と言っていたんです。それは僕が最初の頃、首藤さんによく話していた言葉。当時は“意味がわからない”と首を傾げていた首藤さんが、今回その言葉を共演者に伝えていたのが印象的でした」。すかさず首藤が「“きたないはきれい”ですからね」と付け加えた。日本を代表するバレエダンサーである首藤と、パントマイムを礎にジャンルを超えた活躍をしている小野寺。ともにベテランといえる立場にありながら、稽古場では何かを発見したかのような「そうか!」という声が度々上がった。ふたりがフレッシュに〈動き〉と向き合っている証左だ。「いまはひとつひとつの動きの意味をじっくり探っている。スタート地点に立つまでの時間を大切にしたぶんだけ、走り出したらすべてが繋がってゆく気がします」という首藤と、「今回、マイムが大好きになりました。マイムの面白さを、首藤さんという表現者を通じて伝えたい。“やっぱりこのふたりでやったら面白いね”といわれるものを見せたいと思っています」という小野寺。このふたりにしかつくりえない舞台が期待できそうだ。NAPPOS PRODUCE『斜面』は6月9日(土)から17日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターウエストにて上演。取材・文:釣木文恵
2018年05月21日「関ジャニ∞」丸山隆平が映画単独初主演を果たす、西田征史監督作『泥棒役者』。この度、西田監督初監督作品となった『小野寺の弟・小野寺の姉』から、向井理と片桐はいり扮する“小野寺姉弟”がカメオ出演することが明らかに。あわせて、仲良すぎのコメント映像も到着した。『小野寺の弟・小野寺の姉』は、2014年に公開された西田監督の監督デビュー作。向井さん演じる弟・進と、片桐さん演じる姉・より子、“日本一不器用な姉弟”の日常を描いた作品だ。そして今回、その小野寺姉弟が西田監督最新作『泥棒役者』にカメオ出演することが明らかに。2人は、劇中の重要なシーンで登場するそうで、その変わらぬ姉弟のやり取りには思わずニヤニヤしてしまうこと間違いなし。また到着した映像では、「タマとミキ」の絵本を片手に『泥棒役者』を観に行こうと話し始める小野寺姉弟が描かれる。タイトルの泥棒と聞いて、「怖いやつダメだもん」と尻込みするより子を、「怖くない、怖くない」と諭す進。そして、映画について「どういうのなの?」とより子から聞かれた進は、「ラブコメ」と答えるという内容だ。この映像は、即興芝居風になっており、2人は完璧に(?)“役者”になりきっている。またコメント部分でも、2人にしか醸し出せない空気感に思わずクスりとしてしまう映像となっている。『泥棒役者』は11月18日(土)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:泥棒役者 2017年11月、TOHOシネマズ 新宿ほか全国にて公開(C) 2017「泥棒役者」製作委員会
2017年11月13日わからないまま放置している料理にまつわるあれやこれや、心当たりは、ありませんか?料理家のみなさんが、わかりやすく答えてくれました。今回は「ぽん酢をフル活用」です。ぽん酢で麺の味わいを広げ、食欲そそる隠し味にはラー油を。マヨネーズは和の味とも好相性。ぽん酢、ラー油、マヨネーズ。冷蔵庫に常備している人も多いはず。ぽん酢は、和え物やおひたしに。ラー油は、餃子。マヨネーズはサラダ(お好み焼きにマスト、という人もいますよね…)。どれもベーシックな調味料で、肝心なときになかったら困るけど、でもどれも、決まりきった使い方ばかりで、いろいろなレシピで活躍させている人は少ないかも。いつも冷蔵庫にあるのに、使い道が少ないなんてもったいない。そこで、瀬尾幸子さん、坂田阿希子さん、山本千織さん、3人の料理家の先生に、ポン酢を使った新鮮な味わいや、意外な組み合わせを教えてもらいました。アイデアの数々を実際に試してくれたのは、料理上手で、食のイラストエッセイなども手掛けている、イラストレーターの小野寺光子さん。「どのアイデアもカンタンで、今までになかった絶妙な味わいです!これをヒントに、さまざまなアレンジもできそう」≪合わせだれにして、おなじみの料理にアクセントを!≫ぽんマヨの冷やし中華だれ【材料・作り方/1人分】ぽん酢大さじ3、ごま油小さじ2、マヨネーズ小さじ2、水大さじ1を混ぜ合わせる。【冷やし中華】「手軽にできる、和風のさっぱり冷やし中華のたれ。マヨネーズでまろやかに仕上げます」(瀬尾さん)ぽん酢にんにくオイル【材料・作り方/1人分】オリーブオイル大さじ2~3で、にんにく1かけのスライスをゆっくり加熱する。香りが出てきたらオイルごと冷まして、ぽん酢大さじ1、醤油大さじ2、砂糖小さじ2を加える。刻んだトマトを適量加える。【そうめん】そうめんだれ以外にも、焼き野菜のマリネ液にしたり、いろいろな料理に使えると思いますよ。(坂田さん)小野寺さんコメント「ぽんマヨ」は、ぽん酢の強さをマヨネーズとごま油でクリーミーに。「ぽん酢にんにく」は、お酢と油が出合うことで中華のテイストも。刻んだトマトを加えることで酸味もプラスされ、絶妙のバランスかも。にんにくと相性がいいもので、パスタ、冷奴、和洋中なんでも合いそう。せお・ゆきこ料理人。『ラクうまごはんのコツ』(新星出版社)ほか、著書多数。さかた・あきこ調理家。近著に『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』(文化出版局)。やまもと・ちおり「chioben」名義でお弁当やケータリングで活躍中。レシピ入りのフリップブックが発売中。おのでら・みつこ香港好きのイラストレーター。WEB連載「ジャスミンライスの炊ける匂い」で香港料理のイラストレシピを掲載している。※『anan』2017年7月19日号より。イラスト・SANDER STUDIO小野寺光子(by anan編集部)
2017年07月18日料理は好きだし楽しいけれど、わからないまま放置している料理にまつわるあれやこれや、心当たりは、ありませんか?料理家・飛田和緒さんが、みなさんの悩みにわかりやすく答えてくれました。今回は「夏の味噌汁」についてです。爽やか野菜やピリ辛食材で食欲アップ、具だくさんでおかず代わりにしても。さっぱり、ひんやりな料理に偏りがちな夏のごはん。でも、「冷房や冷たい飲み物で夏の体は疲れ気味です。1日1回は食事で温かい汁物を。味噌汁は一番身近なスープですし、発酵食品である味噌には体を温める力もある。夏こそ、味噌汁です」と、料理家・飛田和緒さん。「夏のみずみずしい野菜でさっぱりと。食欲がないときは辛み食材や肉のうま味を加えて。油揚げや揚げ玉も、少し加えると味にメリハリが出ます」味噌は好みのものを。だしも、かつお節で引くのが面倒なら、顆粒だしで十分だそう。「2種の味噌を混ぜたり、あごや昆布のだしに変えてみたり。時々そんな変化を持たせると、飽きずに楽しめますよ」ディップなど味噌づかいのアイデアも紹介。日本古来の万能調味料で、夏の体を健やかに!つまみも具になる「夏野菜」手近な野菜で作れるのが、味噌汁の最大の魅力。「夏なら、トマトやなす、枝豆など。わざわざ用意せずとも、おつまみやおかずの残りを使えばOK 」。この3種のほか、焼きとうもろこしもおいしい!【トマト】酸味とうま味が味噌やだしの風味にぴったり。「プチトマトでもいいし、湯むきにしても。ごまを加えると良いアクセントに」【ゆで枝豆】さやごと入れ、「さやに絡んだ汁を吸いながら豆を食べる。これがおいしいんです」。おつまみを取り分けて、翌日の味噌汁に。【焼きなす】「焦げた風味が加わると、いつものお味噌汁がまた違うおいしさに」。焼きなすをおかずにするとき、多めに作ってぜひ試して。冷蔵庫が空っぽでもOK !「超シンプル」同じ味噌ばかりで飽きてきたら、「辛み食材を足すと新鮮な味わいに。ゆず胡椒や豆板醤は豆腐やきのこなど何にでも合い、生姜のすりおろしは、玉ねぎなど甘みのある食材と好相性」料理する元気がないときは「おかずも兼ねて」暑くて食欲がない、料理したくない…というなら、「具が多めの、おかずも兼ねた味噌汁に。ごま油やにんにくの香りを生かすのがコツです」。ごはんと漬物を添えれば、立派な献立に。【夏の豚汁】オクラやいんげん、なすやトマトを切って豚肉と一緒にごま油で炒め、だしと味噌を加えて出来上がり。みょうがを加えてさらに香りよく。【卵とキムチ】だしで味噌を溶いてキムチを加え、卵を落として半熟に。とろりと流れる黄身も絶品の、簡単チゲ風。「納豆を加えてもおいしいですよ」ひだ・かずを料理家。家庭料理を中心に数多くの著書を持つほか、雑誌やテレビなどで幅広く活躍。主な著書に『主菜』『常備菜』(共に主婦と生活社)など。※『anan』2017年7月19日号より。イラスト・SANDER STUDIO小野寺光子取材、文・新田草子(by anan編集部)
2017年07月18日いまさら聞けない料理に関する素朴な悩み。料理家・飛田和緒さんに、わかりやすく答えてもらいました。今回は「油をもっと上手に使うには?」です。風味や香りが違う3種類あれば十分。使い分けて、味のバリエーションを広げて。「それぞれに異なる風味とうま味があり、使うものによって料理の印象ががらりと変わるのがオイル。3種類ほどを使い分けることで同じ料理でも味わいのバリエーションを楽しめます」と、飛田和緒さん。最低限揃えたいオイル2種と、あると便利な2種を、教えてもらった。「万能な油の代表が、オリーブオイル。そのままかけても、ソテーや揚げ油に使っても。醤油と非常に相性が良いので、私は和食にもよく使います」もう1本、常備しておくと重宝するのが米油だそう。「優しい風味で、いわゆるサラダ油の代わりに何にでも使えます。特に揚げ物は香ばしくカラッと揚がるのでおすすめです」その他、焙煎ごま油や、ナッツのオイルにも注目を。「香りも味も濃く、例えば冷や奴にさっとかけるだけでも、おいしいひと品になりますよ」エキストラバージンオリーブオイル【万能なオイルの代表選手。好みの風味のものを探して】「スパイシーなもの、クセがなくまろやかなもの、と産地やメーカーによって味わいはさまざま。あれこれ試して、好みのものを見つけてください」生のオリーブを搾った油。特に良質なものをエキストラバージンオリーブオイルという。程よい香りと風味があり、加熱してもそのままでも、さまざまに使える。和食にもよく合う。やや緑がかっていることが多いので、料理に色みを足したいときにも活躍。【焼き魚や納豆にもひと垂らし】独特の繊細な香りは、仕上げとしてかけて楽しむのもおすすめ。いつもの焼き魚や納豆、冷や奴に垂らせば、味に奥行きが。そうめんや味噌汁にかけてもいい。【和の煮物が、香り豊かな仕上がりに】ほんのりえぐみのある風味は、実は和食と好相性。例えばきんぴらや肉じゃが、筑前煮など定番の和のおかずも、オリーブオイルで作るといつもと違うおいしさに。米油(玄米油)【使いやすい油として最近注目。比較的安価なところも魅力】「クセのない味わいと香りの、万能油。たいていのスーパーで手に入ります。価格も控えめで、揚げ油など量が必要なときにも気兼ねなく使えます」米ぬかから作られるオイル。米油、玄米油など呼び方はいろいろあるけれど、製法はほぼ同じ。さらっと軽く、食材の香りや風味に影響を与えないので、さまざまな料理に幅広く使える。抗酸化作用があり、コレステロールを下げる成分が多く含まれるという健康にうれしい一面も。【天ぷらやフライがカラッと揚がる】唐揚げに天ぷら、フライ。米油なら揚げ物が香ばしく、カラッと&サクサクに。比較的加熱に強く、揚げているときにイヤなにおいが出にくいのもうれしいポイント。【炒め物、焼き物にと幅広く活躍】クセがない米油は炒め物にも、ソテーにも。野菜のスープにコクが欲しいときにかけてもおいしい。「もちろんドレッシングなどに、そのまま使ってもいいですよ」ひだ・かずを料理家。家庭料理を中心に数多くの著書を持つほか、雑誌やテレビなどで幅広く活躍。主な著書に『主菜』『常備菜』(共に主婦と生活社)など。※『anan』2017年7月19日号より。イラスト・SANDER STUDIO小野寺光子取材、文・新田草子(by anan編集部)
2017年07月18日第59回グラミー賞授賞式が12日(現地時間)、ロサンゼルスで開催され、ピアニストの内田光子が最優秀クラシック・ヴォーカル・アルバム(ソロ)賞を受賞した。対象作はドイツのソプラノ歌手、ドロテア・レシュマンの伴奏を務めたライブアルバム「シューマン:リーダークライス、女の愛と生涯/ベルク:初期の7つの歌」。内田さんは2011年に最優秀器楽ソリスト演奏賞を受賞していて、これが2度目のグラミー賞受賞となる。『レヴェナント:蘇りし者』で、アルヴァ・ノトと共に候補になっていた坂本龍一は惜しくも受賞を逃した。『ラスト・エンペラー』(デヴィッド・バーン、コン・スーと共作)に続く2度目の受賞はならなかった。『レヴェナント:蘇りし者』は昨年のアカデミー賞で作曲賞候補にもなっていた。このときも受賞は『ヘイトフル・エイト』のエンニオ・モリコーネに譲ったが、今回グラミー賞に輝いたのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のジョン・ウィリアムズだ。(text:Yuki Tominaga)
2017年02月13日高畑淳子主演舞台『雪まろげ』が、9月24日に開幕した。本作は『放浪記』『おもろい女』に並ぶ、森光子の三大代表作のひとつ。森が主演を務めた1980年から2007年の間にシリーズ通算471回という上演回数を重ね、「森が最も愛した喜劇」と言われている。主演を高畑が引き継ぎ、9年ぶりの上演が実現した。舞台『雪まろげ』チケット情報芸者・夢子がついた小さな嘘が“雪まろげ(=雪転がし)”のように大きくなっていき、やがて街を揺るがす大きな嘘になってしまうというストーリーで、元々は森の「嘘つき女を演じてみたい」というひと言から生まれたあて書き。作品の舞台は昭和50年代半ば、青森の奥座敷・浅虫温泉。お人好しで、その場を盛り上げるためや仲間を助けるためについつい嘘をついてしまう夢子は、流れ流れて今はこの地で働く温泉芸者。共に働く芸者仲間は、陰では“こがね虫”と呼ばれるほどお金が好きな売れっ子・銀子(榊原郁恵)や、面倒見のいい姐さんのお千賀(柴田理恵)をはじめ、駒子(青木さやか)、ぽん太(山崎静代)、アンナ(湖月わたる)と個性派だらけ。そこに銀子の幼馴染で東京から異動してきた新聞記者の大吾(的場浩司)も加わり、さまざまな騒動が巻き起こっていく。全員が全員濃厚というキャスト陣だが、そのやり取りは軽妙でテンポ感も抜群。それぞれの人物像も明確で、大笑いしながらあっという間に物語の世界に引き込まれる。それに加えて世界観を作り上げていたのが津軽弁。青森育ちの銀子やお千賀たちの会話はもちろん、劇中で大吾の作品として披露される青森在住の詩人・伊奈かっぺいの詩、タマ伸也が歌う当時の歌謡曲などは全て津軽の言葉。独特のなまりはやさしく響き、言葉の一つひとつをより深く沁みこませてくれるようだった。劇中では、夢子がつい嘘をついてしまうようになった理由や、お金に執着する銀子が密かに背負ってきたもの、大吾や芸者仲間の過去が丁寧に描かれていく。誰かのやさしさやいたわりが誰かの“雪まろげ”を溶かし、その奥にあった真実をポロリと見せる。「嘘」が描かれた物語だが、それは「嘘の罪」では決してない。印象的だったのは、降りしきる雪の中で夢子が言葉もなく佇むラストシーン。セットもなにもないだだっ広い舞台を身ひとつで埋め尽くした高畑淳子に、女優魂を見せられた気がした。これは劇場でしか味わえないもの。ぜひ体感してほしい。舞台『雪まろげ』は、10月19日(水)まで東京・日比谷シアタークリエにて。その後、12月4日(日)まで全国各地を巡演。取材・文:中川實穗
2016年10月11日高畑淳子主演で9年ぶりに復活上演を行う、森光子が最も愛した喜劇『雪まろげ』。その製作発表記者会見が7月7日に行われ、高畑、榊原郁恵、的場浩司、青木さやか、脚本・演出の田村孝裕が登壇した。【チケット情報はこちら】本作は、1980年から2007年までにシリーズ通算471回上演回数を重ねた人気作。森の「嘘つき女を演じてみたい」というひと言から誕生したキャラクター・温泉芸者の夢子の小さなウソが、雪まろげ(=雪転がし)のようにどんどん次のウソを呼び、やがて温泉街を揺るがす大きなウソになってしまう喜劇だ。今回の登壇者のほか、柴田理恵、山崎静代(南海キャンディーズ)、湖月わたるら個性豊かなキャスト陣が演じる。会見は、高畑と榊原が艶やかな芸者姿、青木は芸者の見習い姿で登場。高畑は、「この『雪まろげ』は森さんのために書かれた本です。森さんと同じようにはどうしたってできませんので、“思わず調子に乗ってウソをついてしまう”というようなところを核にして、掘り下げてやってみたいと思います」と抱負を語った。また、高畑は「森さんとお芝居していると“お芝居の神様”とお芝居しているみたいで。『お芝居で一番なにを大事にしてらっしゃるんですか』って聞いたら、『和ね』って。みんなで作るってことだと私は思うんです」と、森との思い出を披露。榊原も「最後の2009年5月の『放浪記』も観に行きましたが、舞台で階段を手すりもなくダダダダッと上がられるあの姿、防波堤で見送られる後ろ姿がとても素敵で。人間ああやって立ち姿でその人の人となりとかが分かるんだなあって。姿で見せてもらいました」と笑顔を見せた。青木は高畑の印象を聞かれ「怖いって思ってました」と突然の告白。「そんなことないよ!」と驚く高畑にしどろもどろになりながら「よろしくお願いします!」と距離を詰めた。詩才あふれる新聞記者を演じる的場は、劇中に出てくる詩に共感し「思わずその台本を持って妻の前でその詩を読みました」と話し、女性陣を驚かせた。この日は七夕ということで、願い事を書いた短冊を披露。高畑は「『雪まろげ』生きて終われますように」、榊原は「愛らしい銀子ちゃんが12月まで務まりますように」、的場は「世界平和」、青木はかつて森がスクワットを150回やっていたことを受け「スクワット100回」。4人揃って笹に吊るした。『雪まろげ』は、9月24日(土)・25日(日)東京・シアター1010を皮切りに、全国16会場で上演。東京公演は7月9日(土)午前10時より一般発売開始。取材・文:中川實穗
2016年07月08日東京大学(東大) ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構、富士通研究所、NECの3者は9月28日、共同で単一光子源を組み込んだシステムで世界最長となる120kmの量子暗号鍵伝送に成功したと発表した。同成果は、東大の荒川泰彦教授ら、富士通研、NECの研究グループによるもの。詳細は9月25日発行の「Scientific Reports」(電子版)に掲載された。量子暗号は、第3者が鍵情報を伝送路上で盗み見ようとすると、光子に状態変化が生じるといった特性から、高度な秘匿通信を実現する技術として期待されている。実現には、単一光子源と呼ばれる光子を1個ずつ正しく生成するための装置が必要とされるが、従来はレーザー光を弱めた減衰レーザー光による疑似的な単一光子源が主に用いられており、これだと、鍵情報を盗み取れる可能性があった。一方、疑似ではない量子ドット単一光子源を組み込んだ量子暗号システムでは、単一光子の発生段階で余計な光子が混じることにより生じる単一光子源の高い複数光子発生率と、半導体検出器で光子を検出する際の高い雑音という2つの影響を受け、長距離伝送に有利な1.5μm波長帯においても安全鍵伝送可能距離は50kmにとどまっていた。今回研究グループは、伝送距離を制限する主要因の1つである複数光子の発生率を1パルスあたり100万分の1に抑えた高純度の1.5μm量子ドット単一光子源を開発したほか、平面光回路をプラットホームとした通信波長帯単一光子源に最適化した低損失な干渉計を用い、温度変動や張力変動などに左右されない実用レベルの単一光子量子暗号鍵伝送システムも開発。低ノイズの超伝導単一光子検出器と組み合わせることで、単一光子源を組み込んだシステムとして従来比2倍となる120kmの安全鍵伝送を実証することに成功したという。なお3者は、今後、単一光子源を含めたシステムの小型化および高速化を進め、2020年以降に主要都市圏をカバーする盗聴不可能な高セキュア通信の実現を目指すとしている。
2015年09月28日向井理と片桐はいりという異色の顔合わせが話題を呼んだ昨年公開の映画『小野寺の弟・小野寺の姉』。本編に加えて80分に及ぶ特典映像と豪華特典を収録したブルーレイ&DVD(特別版2枚組 ブルーレイ 5,800円税別 / DVD 4,800円税別 発売元:ポニーキャニオン)がリリースされた。監督・脚本・原作は映画『怪物くん』やアニメ『TIGER & BUNNY』など、数多くのヒット作を手がけている西田征史。西田はこの作品で第39回報知映画賞の新人賞を受賞するなど、その手腕を存分に発揮。今後さらなる活躍が期待されるクリエイターの一人でもある。物語は早くに両親を亡くして以来、一つ屋根の下で二人暮らしをしているより子(片桐)と進(向井)の姉弟が主人公。過去の失恋が原因となり恋愛に臆病になってしまった33歳の進と、他人よりもこだわりが強すぎ、おまけに生命力も異常なまでに強すぎる40歳のより子。互いにクセがありながらも、ほどよい距離感を保ちながら暮らしていた2人だが、ある日、誤って配達されてきた一通の手紙をきっかけに、それぞれの人生が意外な方向へ転がっていく……。2012年の単行本出版、2013年の舞台版(向井、片桐主演)を経て映画化された、"日本一不器用な姉弟"の恋愛と家族愛を描いたハートウォーミング・ストーリーだ。撮影を振り返っての思い出や作品への思い入れについて、向井は「舞台版の時に3カ月くらい、毎日ずっと稽古で、もちろん片桐さんも一緒で、地方に1週間っていうのもありましたし。舞台の演出も幕が開くと二人芝居から始まる形だったので、幕開け前は二人で必ず握手をしてました。映画は、そういうのがあっての集大成な感じもしますね」とコメント。また、「オーディオコメンタリーはかなり裏話をしているのでおすすめです。また、色々な質問にも答えているので楽しめると思います」と、今回のパッケージ化のオススメポイントをアピールしている。向井のコメントにもあるように、今回リリースされた特別版と通常版には映像特典として向井理と片桐はいり、西田監督によるオーディオコメンタリーとメイキング映像、予告編集を収録。加えて特別版は劇中に出て来るキャラクター・犬のペロ君のポストカード、そして全24ページオールカラーブックレット付と実に盛りだくさんとなっており、作品を見た人はもちろん、初めてこの作品に触れる人にも楽しめる内容となっている。ブルーレイだと特別版と通常版の値段の差は1,100円だが、その分かなり充実したボリュームとなっている。
2015年03月17日