俳優の矢本悠馬(28)が27日、公式サイトにアップした直筆メッセージを通じて、同日に結婚し、妻が妊娠していることを発表した。矢本は、「私事ではございますが、本日1月27日かねてよりお付き合いさせて頂いておりました方と結婚を致しました」「同時に新しい命を授かることとなり、大切な家族がひとりふえる事になります」と報告。「日頃から、こんな私を応援して下さってる優しい日本の皆様、いつもエゴサーチして嬉しいお言葉に力をもらい、勇気をもらい、支えられております。ありがとうございます!」と感謝し、「突然のご報告となり驚かれたと思いますが、これからも矢本悠馬をどうか温かく見守って頂けると幸いです」と呼びかけた。最後に、「俳優として、夫として、そして父として更に進化していけるよう努力することをここに誓います」と宣言し、「汚い字ですみません」と結んでいる。矢本は、自身のTwitterで「日頃、お世話になってる皆様へ、感謝の意もこめて私事ではございますが、大事なお知らせがございます」と共に、同じメッセージ画像をアップ。ファンのみならず、業界内からも祝福の声が多数届いた。中でも、昨年10月期の日本テレビ系ドラマ『今日から俺は!!』で共演したばかりの賀来賢人は「うおー!!!!やもちゃーん!!おめでとう!!!!!最高だね」、磯村勇斗は「おめでとう!!これは嬉しい、幸せ」、同作の福田雄一監督は「矢本、おめでとう!!まあ、それでも中学生役はやるんだろうなあ、この先も」とそれぞれツイッターを通じて祝福のメッセージを送っている。
2019年01月27日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の芋生悠さんです。女優を目指したきっかけをたどると、中学時代の挫折経験が原点だと言う。「本気で空手をやっていたんですが、だんだん勝てなくなりすべてが嫌になってしまって。その時絵画に目覚め、美術系の高校に進学。自分を表現する場所がさらに欲しくなり、この世界に飛び込びました」。公開中の映画『左様なら』では主演を務め、題字も手がける。「書道の師範の資格を持っているんです。一時期はお芝居のことだけを考えていたけれど、表現の幅を広げるためにも、再び書や絵に向かう時間を楽しんでいます」描いたことがなかった 抽象画に挑戦。油絵で描いています。気持ちが反映されて、日々変化するのが面白い。撮影でタイに行って以来、パッタイの虜!滞在中毎日のように食べていました。具材のバランスが神的!役作りのために日本舞踊を始めました。舞台に向けて最近習い始めたばかり。楽しくてすでにハマっています。いもう・はるか1997年生まれ。映画『左様なら』は新宿K’sシネマなどで上映中。来春公開予定の映画『恋するふたり』でヒロインを務める。写真集『はじめての舞台』が発売中。※『anan』2018年12月12日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年12月11日何気ない瞬間の表情や仕草が妙に愛らしい。ドラマ『半分、青い。』をはじめ、さまざまな作品でスパイス的な役割を果たしている矢本悠馬さんに、お話を伺いました。役者って、言葉にできない気持ちを表現するのが醍醐味だと思うんです。――たくさんご覧になった映画やドラマで、こういうものに出てみたいと思うものはありました?矢本:なかったですよ。ただ、出たいというより、羨ましいなという役はありました。できないけれど、『マスク』のジム・キャリーの芝居はヤバかったですね。外見だけじゃなく中身も役が憑依しちゃっているようで、世界にはこんな人がおるんやって。あとは、映画『ゆれる』の香川照之さんかな。役者って、嬉しいとか悲しいとかじゃなく、もっと複雑な言葉にできない気持ちを表現するのが醍醐味だと思うんです。香川さんは、あの役の人生を経験していないのに、あのラストカットの表情は、まるで本当に経験した人の顔で、ゾッとしました。衝撃でしたね。――自分が経験していない人生を演じるのがお仕事ですが、矢本さんはどうされていますか?矢本:すごいピュアな人も、大量殺人を犯すような人も、この世には存在するわけで、遠い別次元のところにいるとは思っていないんです。僕は、親にも友達にも恵まれたけれど、違う環境に育っていたら、どうなっていたかわからないわけです。人殺しにも、仏心の持ち主にもなっていた可能性はあるわけで。だから、あまり役作りとかは考えていないかも。見せ方というのは考えますけどね。――テストを見て変える、とか?矢本:僕、テストとリハーサルと本番で、全然芝居が違うんですよ。自分のセリフをどこまで面白くできるかをつねに考えていて、思いついたら試すんで、本番で全然違うものになることも多いです。――矢本さん自身が面白がれる役とは、どんな役なんでしょう。矢本:ぶっちゃけ、出番が多いとモチベーションも上がりますし、計算してやれますから面白がれる。とはいえ、ワンポイントでオイシイ役もありますからね~。…ただ、誰がやってもいいじゃん、っていう役はあまりやらないかもです。――ラブロマンスとかは?矢本:えーっ、それはやりたくないかも。普段、NGをほとんど出さないんですけれど、恋愛的なシーンがあると、照れて、めっちゃ出すんですよ。自分にイラつくくらい。壁ドンを初めてやった時、28回出しましたからね。カッコつけるっていう引き出しがマジで欠けちゃってるんです。――コメディリリーフ的役柄が多い印象ですが、映画『レディ in ホワイト』では普通の会社員役。失礼ですが、リアルなお芝居も上手な方なんだなと思いました。矢本:じつはストレートな芝居って一番難しいんですよ。嘘がつけないんで。今回は自分でもあまり見たことない顔をしていて、ちょっと恥ずかったです。ああいうリアルな芝居は、もうやりたくないです(笑)。僕は、作られたもので人を感動させたいんですよ。計算して、技術で作り上げたもので騙したい。それが気持ちいいんです。やもと・ゆうま1990年8月31日生まれ。京都府出身。映画『ぼくんち』で映画デビュー。大人計画出身。近作に、ドラマ『半分、青い。』『フェイクニュース』『ルームロンダリング』、放送中の『今日から俺は!!』のほか、2019年の映画『賭ケグルイ』『アイネクライネナハトムジーク』や、1月期の連続ドラマなど多数の作品が待機している。矢本さんが出演する映画『レディ in ホワイト』は11月23日より、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほかで順次公開。裕福な家庭で何不自由なく育ってきたヒロイン・如月彩花(吉本実憂)が、理不尽な仕事を押し付けるパワハラ上司に立ち向かっていくお仕事コメディ。矢本さんは如月の先輩社員を演じている。シャツ¥46,000(スタジオ ニコルソン/キーロTEL:03・3710・9696)パンツ¥16,000(バージスブルック/プーオフィスTEL:03・6427・7081)usedのシューズ¥12,000usedのチェーンブレス¥6,000(共にラムホール ベルーフTEL:03・5489・6567)※『anan』2018年11月28日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・市野沢祐大(TEN10)ヘア&メイク・Reina(TRS)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年11月21日グラビアアイドルの白川悠衣が20日、東京・秋葉原のソフマップで最新イメージDVD&ブルーレイ『悠衣尻』(ともに発売中 各4,104円税込み 発売元:ラインコミュニケーションズ)の発売記念イベントを行った。高校卒業を機にモデルとして活躍した後、今年からグラビアに活躍の場を移すと、週刊誌で掲載されたグラビアが大きな話題を集めた白川悠衣。167cmという高身長に上からB85・W58・H85というスレンダーボディーが魅力で、現在は芸能活動と並行しながらアパレル会社に勤務するという"二刀流"で活動している。2枚目となる同DVDは、今年6月に千葉の南房総で撮影。会社の上司と出張旅行というシチュエーションの中、際どい衣装となって自慢のヒップを限界露出するなど、白川の魅力が詰まった内容となっている。プライベートの勝負服という黒のセクシーなワンピース姿で取材に応じた白川は「今回は出張先で上司と楽しむ内容になっています。シーン的には上司と待ち合わせするところから始まり、ベッドのシーンやお風呂のシーンなどがあります。私が一方的に恋心を抱いてる設定なので、出張中にガンガンアプローチしていく白川が楽しめると思います」と最新作を紹介。オススメのシーンについては「ケガをした先輩を手当する保健室のシーンがあるんですが、なぜか着ていた服をあれよあれよと脱がされて手ブラになってしまって(笑)」とありえない展開に苦笑いも「しっとりと撮ってもらったシーンなので、セクシーに仕上がっていると思います」と自信を見せた。今回、白川は会社の上司と出張先でイケないことに興じる女性役を演じた。実際の会社では「ありえないですね(笑)。こういう夢のある話も素敵だとは思いますが」とし、「めちゃくちゃ格好良くて仕事が出来る上司ならありかも。色んな意味で余裕がある男性となら」と相手に対する条件も。また、同DVDでは男性に対して積極的にアプローチする女性役を演じたが、私生活でも「伝えたいことは伝えるタイプだし、駆け引きが得意ではないので、私は直球勝負です」と積極的なタイプであることを明かしていた。
2018年10月22日早いもので、今年がデビュー18年目。“演歌界の貴公子”として多くのファンに愛される山内惠介が、10月に福岡、愛知、北海道、大阪、東京の5大都市でツアー(以上、日程順)を開催する。10月25日(木)のファイナル公演の会場は、東京国際フォーラム・ホールA。約5000席の同会場で彼が公演を行うのは、昨年に続いて2度目になる。【チケット情報はこちら】「スケールの大きな歌声を届けられるからこそ、ファンひとりひとりのために歌いたい。2階席の最後方でもはっきりわかる色やデザインの衣装を選んだり、MCを少しゆっくり目にしゃべったりなど、工夫を色々と考えています」今回は、通常6人のバックバンドを倍にした12人のゴージャスな編成。第1部の演目には、松任谷由実、宇多田ヒカル、DREAMS COME TRUE、尾崎豊など、多彩な歌手のカバーが並ぶ。「好きな音楽のジャンルが多いほど人生は豊かになるという持論から、様々な時代を彩った名曲を選びました。それらのイメージを大切にしたいので、歌い方はオリジナルになるべく忠実にするつもりです」各々の選曲理由を尋ねると、次のような答えが。「僕はジブリ映画の大ファンで、『ひこうき雲』が主題歌になった『風立ちぬ』のサウンドトラックを、楽屋の支度中にいつも流しているんです。また、2017年に松任谷さんのラジオ番組に初出演した時にもかけていただいた“特別な1曲”ということもあり、今回選びました。宇多田さんはおそれ多いですが僕と同い年なので、ジャンルは違えど一緒に“今”を頑張ろうという想いで選曲。吉田さんの曲を歌うのは今回が初ですが、演歌のコブシが楽譜にならないのと同じような独特の歌い回しが多く、その難しさと吉田さんの凄さが改めてよくわかりました。そして尾崎さん。僕には9歳上の兄がいて、その影響で尾崎さんの曲をよくカラオケで歌うんです。聴いた方々が、尾崎さんとは違うけれどいいねとおっしゃるので、お楽しみに(笑)」そして第2部は、ほぼすべて山内のオリジナル。折しも10月10日(水)に、2001年のデビュー曲『霧情』から、2018年の最新ヒット曲『さらせ冬の嵐』までの全シングルを収めた『The BEST 18 Singles(ザ・ベストオハコシングルス)』がリリースされ、その収録曲が数多く歌われるというから嬉しい。「全シングルを改めて聴き直してみると、録音を重ねる度に楽曲のクオリティが着実に高まっていることに喜びを感じます。特に転機だったのが30歳になった時。自分はもう若くないのだから、ここから心機一転、性根を入れ直して頑張ろうと思えたことで、逆に若返ることができました。それから5年を経た自分の“今”をひとりでも多くの方にお届けできれば幸いです。あと、“ある1曲”で、東京国際フォーラムの大空間ならではの特別な演出を考えていますので、こちらもご期待ください!」取材・文:渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)
2018年10月05日演歌歌手の山内惠介と女優の南野陽子が、2日に東京・明治座で行われた『山内惠介 東京・明治座初座長公演』公開舞台稽古に出席し、絶妙なコンビネーションを見せた。同公演は5日から15日まで、明治座で行われる。山内は63年にタイムスリップし、母親(南野)と結婚する前の父親と体が入れ替わってしまう役を演じる。作中には2人が抱き合うラブシーンもあるといい、南野は「お母さんの、子どもを抱くような感じ」と明かす。しかし山内が「抱き慣れてらっしゃるのかな」と感想を漏らすと、南野は山内の頭を軽く叩き、ツッコミを入れていた。また、南野が「まだ出会って数日ですが、10何年前から仲良しなくらい距離が近い。(山内の)良いところです。私は逆のタイプで"ツンケン"が得意」と明かすと、山内は「ツンデレですもんね。何かあったら(『スケバン刑事』のように)ヨーヨーを投げられるんじゃないかヒヤヒヤしてます」と話すなど、息の合った掛け合いを見せていた。
2018年08月03日お笑いコンビ・かまいたちが4日、東京・新宿の吉本興業東京本部で行われた『キングオブコント2018』の会見に登場。山内健司が衝撃のガングロギャル姿を披露した。このたび、黒肌ギャル集団・Black Diamondの中から、“2000年からタイムスリップしたギャルサーメンバー”をコンセプトに活動するユニット「Black Diamond-from 2000-」の4人が、同ユニットの仕掛け人である“ギャル神様”ぇりもっこりと共に、コント日本一を決めるお笑いコンテスト『キングオブコント2018』に挑戦することを表明。会見で意気込みを語った。昨年の『キングオブコント2018』で優勝したかまいたちは、5人の師匠として登場。山内は、ミニスカートのへそ出しファッションにガングロメイクを施したギャル姿を現れた。会場から爆笑が起こる中、山内はパラパラ風の動きを見せ、「かわいい~!」などとギャル口調でトーク。相方の濱家隆一は「やめろ! チャンピオンの名前に傷がつく。断れ!」とツッコんだ。そして、Black Diamond-from 2000-のメンバーから“ボロネーゼ”というギャル名をつけてもらうと、山内は「ボロネーゼです」とうれしそうにあいさつ。濱家は「2017年に僕たちが倒してきたお笑い芸人に申し訳ないです」と言うも、山内は「ウケるー。アゲ―」と好き放題。なお、ギャルへの変身時間は「体も込みで20分くらい」とのこと。「文句なし。これでネタ1本やりたいなと思います」と仕上がりに満足していた。『キングオブコント2018』は、7月2日から1回戦が行われ、2回戦、準々決勝、準決勝を勝ち残ったユニットが決勝に進出。決勝は今秋に開催予定で、TBS系で生放送される。
2018年07月04日女優・橋本愛が、山内マリコ原作の映画『ここは退屈迎えに来て』にて主演を務めることが決定。また門脇麦と成田凌も出演していることが明らかになった。ストーリー何者かになりたくて東京で就職したものの、10年経って何となく地元に戻った27歳の「私」(橋本愛)。実家に住みながらフリーライターとしてタウン誌で記事を書いているけれど、親からはフリーター同然の扱いで、何だか冴えない日々。高校時代に仲の良かった友だちと久々に会った勢いで「とにかく格好良くって、背が高くって、サッカー部のエースで、不良とも適度に仲がいい」憧れの椎名くん(成田凌)に連絡し、みんなで会いに行くことに。道中、「私」の中に椎名くんとの高校時代の忘れられない思い出が蘇る――。元彼「椎名」を忘れられない、東京に憧れと怖さを持ちながら地元を出ないまま暮らす「あたし」(門脇麦)。椎名がいなくなった途端に彼氏面してくる、椎名の取り巻きの中でも特に冴えない男と、断る方が面倒くさいから適当に遊んでいるけれど、心は彼といたときの青春の輝かしい記憶にいまもとらわれている。ここではないどこか――東京には「あるはずの」、自らの退屈を埋めてくれる何かを「椎名くん」に追い求めたその先には?「椎名くん」の大人になった姿とは…?橋本愛主演!!×門脇麦×成田凌ら新世代スター集結!原作は、『アズミ・ハルコは行方不明』の原作者・山内氏のデビュー作で、「R-18文学賞」読者賞受賞作「十六歳はセックスの齢」を含む連作小説。紀伊国屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!」にもランクインし、「ファスト風土」小説としてネット上でも話題騒然となった。そんな小説を、今回『ストロボ・エッジ』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『ママレード・ボーイ』の廣木隆一が映画化。何者かになりたくて東京で就職したものの、10年経って何となく戻ってきた主人公「私」を演じるのは、『告白』で脚光を浴び、『桐島、部活やめるってよ』で第86回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞し、その後、連続テレビ小説「あまちゃん」、『さよならドビュッシー』『渇き。』『美しい星』など話題作に出演する橋本愛。さらに、元彼「椎名」を忘れられない「あたし」を、『愛の渦』で体当たりの演技が注目を浴び、『オオカミ少女と黒王子』『二重生活』や、現在放送中のドラマ「トドメの接吻」ではヒロイン役で出演している若手実力派女優・門脇麦。また、高校時代みんなの憧れの存在だった「椎名くん」を、「人は見た目が100パーセント」「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON」に出演し、今後も『ニワトリ★スター』『ラブ×ドック』の公開を控えるいま人気急上昇中の俳優・成田凌が演じる。キャスト&監督からコメント到着!そして今回、キャストや監督、原作者からコメントも到着!橋本愛(私役)原作を10代のときにお風呂で読んで、ああ好きだなあと思って好きな小説の映像化に関われたのはとても幸せなことでした。以前から廣木監督の現場にも興味があったので、ダブルで夢叶って嬉しかったです。田舎の景色や帰郷したときの思いとか、体が知ってることが多かったから地方出身で良かったと思いました。御縁の塊のような作品に携われて最高です。早く見たいです!門脇麦(あたし役)誰かに強く憧れて自分を認められなかったり、誰かに固執することでしか自分の存在意義を見いだせなかったり。歳を重ねるにつれて削がれていくであろう苦しくて退屈な時間もいつかは愛おしく感じられるのかな、そんな風に思える瑞々しい作品になるのではないかと思いました。廣木さん、そしてやっと橋本愛ちゃんとご一緒出来たことがとても嬉しいです。完成を観られるのを楽しみにしています。成田凌(椎名くん)一歩先にいるのか後ろにいるのか、存在したのかしなかったのか、どこか愛せるようで愛せない、椎名役を演じました。富山の地に力を借り、廣木監督をはじめスタッフや共演者の力を借り、美しい青春と草臥れた白秋の日々を過ごさせていただきました。美しい映像と混沌とした感情の中のどこかにあったであろう愛を探す人間たちの物語です。山内マリコ(原作)青春のすべてを注いだデビュー作が映画化されるなんて感無量です(しかもオール富山ロケ!)。出演者決定しました~と担当編集さんから聞き、その顔ぶれを見た日の喜びは忘れられません。橋本愛ちゃんと門脇麦さん、そしてななな、成田凌!?最高のキャスティングに震えました。本当に公開が待ち遠しいです。公開に合わせて写真集とか出してほしいです。廣木隆一(監督)ありふれた日本のどこかの風景の中、ありふれた会話。退屈きわまりない日常、でもそこにいる者たちにとってはとても特別で刺激的な時間が流れてる。いまを生きる事は決して楽しいことではないかも知れない。自分の人生がいま、どの辺なのかも。もがきながらハートを揺り動かしてくれるキャストと富山の町を走りぬけた映画です!!!!『ここは退屈迎えに来て』は2018年秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2018年02月20日「悠仁さまも5年生の3学期をお迎えになりました。中学校入学まで、あと1年ほどということで、そのご進学先に大きな注目が集まっています」(皇室ジャーナリスト) 秋篠宮家の長男である悠仁さまは現在、東京都内の小学校に通われているが、男子児童は過半数が中学受験をする。悠仁さまと同じ学校に子供を通わせる保護者は言う。 「保護者同士の話題も、どうしても志望校や勉強のことになってしまいますね。私たちの間では悠仁さまのご進学先は『提携校進学制度』を利用しての、筑波大学附属中学校(以下、筑附)が“本命校”になっています」 実は悠仁さま以外にも、保護者の間で話題になっている5年生の児童がいるという。 「バイオリニスト・葉加瀬太郎さん(50)とタレント・高田万由子さん(47)のご長男・Aくん(11)です。ずっとロンドンで生活していたそうですが、昨年9月に編入してきたのです。頭も良くて、音楽や料理も得意だそうで、すでに学内で人気者になっています」(前出・保護者) 葉加瀬・高田夫妻の長男が、悠仁さまの“ご学友”になっていたというのだ。実は高田は、この状況を11年前に“予言”していた。 ‘06年9月6日に誕生された悠仁さま。日本中が喜びに沸くなか、多くの著名人がお祝いのコメントを出したが、高田もその1人だった。彼女自身もその1カ月ほど前にAくんを出産したばかり。悠仁さまのご誕生当日、東京都内で報道陣の取材に応じた彼女は、こう語っていた。 「紀子さま、ご長男誕生、おめでとうございます。私は、お腹のなかにいるときから、肋骨が折れるかと思うくらい蹴られました。でも上に女の子がいる男の子は穏やかになると言われました。(お姉さまがお2人いる悠仁さまも)優しい男の子にお育ちになるのではないでしょうか。(長男には)ご学友を目指してもらって、(紀子さまと)ママ友達になりたいです!」 長男の編入について取材を申しこむと、高田の所属事務所の担当者は次のように答えた。 「(編入は)長男の『自分は日本人なのだから、日本の学校にも通ってみたい』という希望もあり、決めたことだそうです。学校は、帰国子女を受けいれてくれること、日本の自宅から通えること、などの条件で探しました。“悠仁さまと同じ学校に”という意識は特になかったそうです。高田も日本に帰国したというわけではなく、これまでどおり、イギリスと日本を行き来する生活を続けています。今後の長男の中学進学に関しては、日本の中学に通うのか、それともイギリスで進学するのかなども、まだ決めていないそうです」 悠仁さまの小学校生活もあと1年。新しいお友達も増え、より充実したものになるように願うばかりだ。
2018年01月24日身長204cm!大活躍中のバレーボール山内晶大選手にお話を伺いました!バレーボール選手になるなんて、想像すらしてなかったんです。204cmという身長を生かし、全日本男子バレーボールチーム「龍神NIPPON」や所属の「パナソニック パンサーズ」で、ミドルブロッカーとして活躍する山内晶大選手。高校入学後にバレーボールを始め、6年目で日本代表に選ばれた才能の持ち主だ。「小中とやっていたバスケをと思ったけれど、想像以上にボディコンタクトが激しくて体の線が細い僕には無理だと。そこで体育の担当だった先生に誘われてバレーボール部に入部したんです」けっして積極的とはいえず、始めたものの、すぐに面白さに目覚めたという。「できることが増えるのが楽しくて。高校3年で国体の愛知県選抜に選ばれて、練習も含めてレベルの高いバレーに触れることができた。そこで大学に進学してバレーを続けたいと心が決まりました」愛知学院大学に進学後はチームで練習すると同時に、複数の企業チームでの練習にも積極的に参加。後に日本代表監督となった南部監督にもそこで出会う。小中学生から活躍してきた選手も多いバレーボール界で、まるでキャリアを補うようにして急速に経験を積んできた。やがて大学3年の’14年に全日本入りを果たす。「もちろんびっくりしました。自分は本当に、出会いを積み重ねた縁でここまで来れたんだなって」振り返る山内選手からは、謙虚で穏やかな人柄が伝わる。ただ与えられた大きなステージでの役割をきっちり果たし、今も大きな伸びしろを持つチーム期待の選手であり続けるのは、彼の実力ゆえ。「心がけているのは常に平常心でいること。プレー中は一連の流れで打ったり止めたりしますが、サーブは個人プレーなので、余計意識しますね。観客席に近いから応援の声も聞こえ、やるぞと思う半面、プレッシャーもある。磨きたいのは、ブロックやクイック。課題であり、目立ってもいきたい」今年9月に行われたグラチャンバレーでは残念ながら全敗。「強豪国はレベルが高かったけれど、課題も見つかり克服するためにやることもわかったのが収穫」と前を見据える。3年後にオリンピックを控えて、目指す方向は?「今はまだ全日本でもパナソニックでも若い方で先輩に頼っている部分があるけれど、これからはチームの主軸となって支えられるようなプレーヤーになっていきたいです。できることを増やして、東京オリンピック代表に選ばれるようになりたい。存在的にもパフォーマンス的にも、そして体も大きくすることを目標にしています」プライベートも気になります!・オフの日の楽しみは?「アウトレットに行ったり、家で漫画を読んだり海外ドラマを見たりしています。出かけるのは京都が好き。海外の観光客が多いから、背が高くても目立ちすぎることもなくて過ごしやすいんです」・どんな漫画を読んでる?「少年漫画が好きなんですよ。『スラムダンク』『あひるの空』『MAJOR』『GIANT KILLING』『キングダム』『ジョジョの奇妙な冒険』『宇宙兄弟』。家でゆったり読むのが楽しみです」やまうち・あきひろ1993年11月30日生まれ。愛知県名古屋市出身。パナソニック パンサーズ所属。高校から始め、大学時代から日本人では希少な大型のミドルブロッカーとして全日本代表で活躍。※『anan』2017年11月1日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・大和まこ(by anan編集部)
2017年10月26日ダニエル・キイスの同名小説が原作のミュージカル『アルジャーノンに花束を』が3月2日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主演の矢田悠祐、水夏希が登壇した。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』チケット情報原作は1959年に発表された名作小説。世界3か国で映画化され、日本でも2度テレビドラマ化されている。ミュージカル版は、2006年に浦井健治主演で日本初演され、2014年にも同じく浦井主演で再演。今作でキャストが一新され、矢田が自身初となる主演に抜擢された。脚本・作詞・演出は、矢田が出演したミュージカル『王家の紋章』(2016年)の荻田浩一が初演から手掛けている。物語は、32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン(矢田)に、ある話が舞い込むことから始まる。それは、大学の先生が「頭を良くしてくれる」というものだった。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノン(長澤風海)を競争相手に連日検査を受ける事に。やがて手術によりチャーリィは天才に変貌したが――。ゲネプロ前に行われた囲み取材で、初主演の心境を聞かれた矢田は「正直どうなるかわからなくて。終わったときにどういう気持ちになるんだろうなっていうのが今の心境です」と緊張の滲む発言。本作の魅力について「SFなんですけどリアリティがあって、どの瞬間もどの関係も誰もが体験したことがあるようなエピソードが詰まっています。身につまされたり、嬉しかったり、悲しかったり、励まされたり…その瞬間瞬間が一人ひとりのお客さまの心を揺さぶる」と水。自身の役柄について矢田は「シーンによって全然違う人になった気分。すごいスピードでどんどん階段を上っていくので、その成長の段階や心の動きに自分が追いつかないときがあって。そこに食らいついていくのが今も大変です」。前作との違いを問われ「演じる人間が違うし、荻田さんは演じる人の個性に合わせて演出をしてくださるので、自然と違う形になってるかなと思います」(矢田)と話した。幕が開き、幼児並みの知能のチャーリィとして登場した矢田は、ピュアな魅力を纏い美しい歌声で物語の世界に誘い込む。全てひらがなで話していたような言葉は、知能が高まるにつれ少しずつ漢字が混じって聞こえ、あっという間に容易に理解できない言葉になる。しかし、言葉の成長スピードに追い付けない情緒面の成長。そんな特殊な状況にあるチャーリィの戸惑いや苦しさを、矢田の芝居と歌が一つひとつ真っ直ぐに届けた。アルジャーノンが踊る美しい世界に登場人物の生々しい感情が浮かび上がる本作は、3月12日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、3月16日(木)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年03月07日ハワイを舞台に繰り広げる「テラスハウス」新シリーズ、「テラスハウス ALOHA STATE」に出演していた現役高校生ギタリスト/ウクレレ奏者・EDEN KAI(鮎澤悠介)が、この度劇中で披露した話題の“卒業ソング”を緊急発売することが明らかになった。EDEN KAIこと鮎澤さんは、若干18歳の現役高校生ながら“ハワイのグラミー賞”と呼ばれる「ナホク・ハノハノ・アワード2016」にノミネートされる実績を持つハワイ在住のシンガー・ソングライター/ギタリスト/ウクレレ奏者。現在「Netflix」とフジテレビ系列にて放送中の番組「テラスハウス ALOHA STATE」では、素朴なルックス、ピュアな性格でマスコット的なキャラクターとは裏腹に、ひとたびギターやウクレレを持つと非常にテクニカルで独創性のある高度な演奏を披露、そのギャップからいま人気急上昇中のアーティストだ。今回リリースが決定したのは、日本デビュー・デジタル・シングル「モノガタリ(Monogatari)」。これは、「テラスハウス」で仲間たちと共同生活する中で得た経験から感じた感情を唄にしたもの。「Netflix」で放送された第10話放送分にて、彼が「テラスハウス」を卒業する考えを仲間たちに独白するシーンでパフォーマンスし、仲間たちと出会えた感謝や淡い恋心を歌詞に込めた卒業ソングとなっている。すでに放送を見た視聴者は、「ウクレレが癒されるしカッコ良すぎる!」「名曲!心に響いて涙が出る」など早くも話題に。なお、日本デビュー・アルバムは5月に発売が予定されているという。EDEN KAI/日本デビュー・デジタル・シングル 「モノガタリ(Monogatari)」はiTunes、レコチョクほかにて配信中。(cinemacafe.net)
2017年02月15日歌手の山内惠介が29日、東京・渋谷のNHKホールで、『第67回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 31日19:15~23:45)のリハーサルを行い、終了後の囲み取材に応じた。今回「流転の波止場~究極の貴公子編~」でコラボレーションする乃木坂46について、山内は「去年、初出場の記者会見でご一緒した皆さんと2年目でコラボレーションできるというのは、とってもご縁があるなと思ってます」と喜びを語る。さらに「かわいいし、見とれちゃいますよね。皆さん20代とかですし、ああいいなぁと思います。(自分と)10歳くらい違いますから、もうおじさんですね」とデレデレだったが、報道陣から「(演歌界の)貴公子ですよね?」とツッコまれると、「ああっ!そうでした。彼女たちに貴公子に見えるように頑張らなきゃいけないな」と、気を引き締めなおしていた。乃木坂46とのコラボにあたり、同グループの"公式お兄ちゃん"であるお笑いコンビ・バナナマンにも演出を相談した山内。乃木坂46自身もノリノリだそうで、「いっぱい案を出してくれました」と顔をほころばせた。今後コラボしてみたいアーティストを聞かれると、「NHKさんで『R.Y.U.S.E.I.』をやらせてもらったので、三代目J Soul Brothersさん。本家とできたら、すごく夢のあるステージになるんじゃないかな」と、期待が膨らむ。さらに最近、松任谷由実が、山内の曲をラジオでかけてくれているそうで、「ユーミンさんとも共演させてもらえるといいな…紅白に出させていただいたことで、夢は広がる一方ですね!」と目を輝かせていた。今年の紅白のテーマは「夢を歌おう」で、紅組23組・白組23組の計46組が出場。紅組の司会は有村架純、白組の司会は嵐の相葉雅紀で、総合司会は武田真一アナウンサーが務める。昨年は、紅組が優勝し、通算の対戦成績は紅組30勝、白組36勝。
2016年12月29日'13年からミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でタキシード仮面を演じている大和悠河さん。「宝塚を退団してから男役も卒業したつもりでいました。でも、お話をいただいて、武内直子先生の漫画を見たとき、自分が宝塚で培ってきたものを使えて、女の私だからこそ作り上げられるものがあるんじゃないかと思ったんです」それまでは、若い男性俳優が演じてきた役。しかし、宝塚でトップスターとして男役を極めた大和さんの、こなれたタキシードの着こなしや美しいマント捌きは、まさにそのまま少女漫画の世界が舞台に現れたようだった。「宝塚では、メイクや衣装、髪型や立ち方ひとつにしても、自分のいいところと欠点の全部を把握して、どうしたら美しく見えるかを、誰もが自分で考えて、自分でプロデュースしていかなくちゃいけない。だから男役時代には、自分の体型に合ったカッコいいスーツのラインを必死に研究していました。タキシード仮面を演じるならば、武内先生の描く、あのカッコいいシルエットに近づけたいじゃないですか。そのためには、それこそ1ミリ2ミリの調整が重要で、そこにはこだわらせていただいています。幕が開いてから、お客様がどんどん作品にのめり込んできてくださるのがわかって、それがとても気持ちよかったですね」高い美意識を持ちながら、素顔は気さく。タキシード仮面も、カッコいいのに妙にチャーミングなのだ。「昔から、よく下級生から『悠河さんって、カッコかわいいです』って言われていたんです。自分ではわからないんですけど、それが味であるならば、大切にしていけたらなと思います」◇やまと・ゆうが1995年に宝塚歌劇団入団。早くから注目され、'07年に宙組トップスターに就任。'09年の退団後は舞台を中心に活躍。7月にはブロードウェイミュージカル『CHICAGO』に主演のロキシー役で出演、NYでの公演も決まっている。◇ミュージカル『美少女戦士セーラームーン‐Amour Eternal‐』高校生になった月野うさぎ。ある日、皆既日食が起き、デッド・ムーン・サーカス団を名乗る船が現れる。そんななか、地球を守護する聖地エリュシオンの祭司から、地球存亡の危機を知らされ、立ち上がる。10月15日(土)~23日(日)渋谷・AiiA 2.5 Theater Tokyo福岡、大阪公演あり原作/武内直子脚本・演出/平光琢也音楽/佐橋俊彦出演/野本ほたる、大和悠河ほかネルケプランニングTEL:03・3715・5624(祝日を除く月~金曜11:00~18:00)(C)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2016※『anan』2016年7月20日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ
2016年07月17日地元、友情、恋愛、結婚……とさまざまな“居場所”について語ってきた作家・山内マリコさんのインタビューもあっという間に最終回。今回は、いよいよ家族というやっかいな“居場所”について考えます。そしてSNS全盛の時代、誰もが複数の所属先や依存先を使い分けていますが、マリコさんはこの“つながり至上主義”とも言える昨今の風潮に異議をとなえます。果たして、おひとりさまが行き着く“居場所”はどこにあるのでしょうか?第一回インタビュー<地元を出て親友と出会えた経験が恋愛よりも自分を救ってくれた>第二回インタビュー<結婚するなら“彼氏”ではなく“親友”と思える相手がいい>はこちらから“結婚/家族はいいものだ”という考えは社会からの押し付け――恋愛に向いてない人もいれば、結婚に向いてない人もいると思うのですが、結婚が“絶対しなければいけないもの”ではなくなったことで、かえって自分がどうしたいのか選択・判断する材料がなくて迷っている人も多いような気がします。山内マリコ(以下、山内):私も結婚しろと親からプレッシャーをかけられたことはなくて、逆に自分一人で「どうにかしなきゃ」と焦ってた時期がありました。選択肢があるのはいいことだけど、答えの出ない悩みが増えるということでもあるから、キツいです。昔の映画なんかを観ていると、みんなベルトコンベアに乗せられているかのように異性を紹介されて、結婚して子どもを産んでいきますからね。それが幸せかはともかく、自分で考えなくていいという意味では、楽だったかもしれない。――以前、鈴木涼美さんにインタビューしたときにも、同じようなことをおっしゃっていました。人生の選択肢が増えたせいで、その道を選んだ責任を個人が問われるようになってしまった、と。今はまだ、「結婚しないのは自由だよ、でもそのせいで損したり困ったりしても君の責任だよ」と言われているような状況だと思うんです。そんな空気のなか、結婚せずにおひとりさまでいることを選べるかと言われたら、すごく勇気がいると思います。山内:その勇気がなくて、私は「彼氏欲しい!誰か紹介して!」と言いまくってましたからね。おひとりさまの道を行くぞと腹を決められたら、そんなことは言わずに済んだけど。結婚の形って時代によって変わって当然だけど、根強い昭和モデルが現状に全然マッチしなくなったことが問題かなぁと思います。みんながみんな結婚して家庭を持つわけじゃなくなった時代なんだから、国がどんどんそれに適応していくべき。――いまだに結婚を前提とした社会の仕組みや制度は多いですよね。山内:これまでの日本は、家事や子育てや介護などの“人をケアする役割”を、家庭に押しつけてきたんですよね。妻や母親といった女の人に、それを無給で担わせてきた。同じ仕事なのに、家族以外の人に頼めば給料が発生する仕事を、タダでしてもらってきた。結婚してなくても困らない社会にするためには、そこを変えなきゃと思います。――家庭を持たないと生きていくのが不利で不便になってしまうのも、おひとりさまにとっては生きづらい要因ですね。山内:『家族という病』(幻冬舎)という本も出ましたけど、検挙された殺人事件のうち、約半数は親族間で起きているんですよね。しかも、年々その割合は増えている。だから、「家族はいいものだ」「家族は仲良くあるべき」という押し付けも危険だと思います。家族と仲がいい人はどんどん大事にすればいいけど、「うちの家族はダメだ!一緒にいたらおかしくなる!」と思えば、遠慮なく逃げていい。そして家族から離れておひとりさまを選択しても、セーフティーネットがしっかりしてるから安心、というふうになればいいんですけどね。――会社だけ、家庭だけに押し込められ、追いつめられないようにするために、最近では「逃げ道をいくつか作って、依存先は分散させた方がいい」といった考え方が提唱されるようになりましたが、それについてはどう思いますか?山内:所属先や取引先をひとつにしないっていう意味なら賛成です。定年退職後の男性は、ちょっと気の毒なくらい人生のリスタートを迫られているし、専業主婦も実はリスクが高い。昭和モデルって男女がすごく偏っているから、そこのバランスを探るのは大事なことです。ひとつの仕事がダメになったときに経済的に困らないようにするため、複数の仕事を持つとか、そういうのはいいと思う。ただ、“依存先”と言われると、「ん?」と引っかかりますね。――と、言うと?山内:自分の精神バランスをいい状態でキープするために、人やコミュニティを使い分けるみたいな考えは、あんまり好きじゃない。いざというとき、孤立しないようにいろんなコミュニティにちょこちょこ顔を出す、みたいなやり方は、性格的に苦手なんです。1人の人と仲を深め合うのは好きだけど、大勢とそこそこ仲良くするのってあんまり得意じゃないので。人間関係を自分本位にコントロールしようとする人には、抵抗があるし、警戒します。1:1の関係が向いているなら居場所をたくさん持つ必要はない――居場所を複数持つ必要はないということですか?山内:私、友達に対してもそうなんですよ。すごく仲の良い親友が、別の人とも同じくらい仲良くしていたらちょっと嫌だなって思っちゃう。心が狭いのかもしれない(笑)。今はいろんなSNSを使い分けて別々のコミュニティに所属するのが当たり前なのかもしれないけど、私はポケベル世代なので(笑)。そんなにいろんな人に心開けないし、そんなにいろんな人と気が合うはずもないんで。しかも、ネットではそれが全部見えちゃうじゃないですか。Twitter上で知り合った人が、あっちにもこっちにも話しかけて仲良くなっていくのを見ると、なんか冷めてしまう。クラスで私が最初に声をかけた子が、いつの間にか私をすっ飛ばして人気者グループに割り込んで仲良くなっていくのを見ちゃった気分というか。やっぱり心が狭いんですかね(笑)。――1人の相手と濃密な関係を築きたいタイプなんですね。山内:昔から人間関係のキャパシティがものすごく狭いから、そのときどきで仲良くしている人が本当に1人とかしかいなくて、グループで仲良くっていうのができなかったんです。単純に、性格的に1対1の関係の方が私にとっては居心地がいいから、結婚も性に合っているのかも。――とはいえ、1人の人間の中にも多面性がありますよね。平野啓一郎さんが提唱した「分人化」(表面的な「キャラ」や「仮面」ではなく、「人格」と呼べるレベルで人間にはいくつかの顔があり、相手によってそれを使い分けているという考え方)のように、たとえば夫婦という関係性を維持するために夫に見せられない一面を、親友や別の人との関係で発散したい、という人もいるのではないでしょうか?山内:それってただの浮気じゃん(笑)。別の人が同性の友達だったらいいけど、そうでないパターンの方が多い気がする。リスクヘッジ、みたいなご大層なこと言っておきながら、結局ただのズブズブな不倫してそうな感じ。「分人」って、自分探しで答えの出なかった挫折感を抱えた世代への慰め、鎮魂、みたいな側面は好きなのですが、あんまりラジカルに人格を使い分けられたら困りますよ。私は、その人としかできない話をするような関係は、すごくいいと思うんです。その人とでしか達せない深みに行けるような関係性は、大いにアリだと思います。苦手なのは、それほど深い話ができるわけでもない人と、孤立したくないからと、だらだら一緒にいること。――入れ替え可能な人と浅く付き合っていても仕方ない、と。山内:私は信頼する相手には自分を全部丸出しにするので、1人で充分足りるんですよね。やっぱり親友と出会って、腹の底まで見せ合えるような付き合いをしたっていうのが大きくて、そのおかげで夫に対してもそういう付き合いができるようになった。親友と出会う前は、心の開き方とか、腹の底まで見せる付き合いとか、あんまりわからなかった。人に心を開くには訓練が必要で、それをせずにいきなり結婚してたら、夫にいいところを見せようとしたり、思ってもいない性格の良さそうな発言をしたり、無理してたと思います。親友との蜜月のおかげで、人と深く付き合う方法みたいなものを、知らず知らずのうちに学んでたってことですね。――心を開ける相手は1人いれば充分ってことですか?山内:私の場合はね。仕事じゃないんだから、人間関係をマルチタスクでやっていこうと思ったらキリがないし、逆に気が休まらない。友達のうち、本当に胸襟を開いた付き合いができていると思える相手って、片手で収まる人数だけど、それでも「多いな、ありがたいな」と思います。でもその人たちと、毎日メールしてるわけじゃない。何年も会ってない人もいます。なので、今のレギュラーメンバーは夫、という感じですかね。人脈が豊富な方が偉いという“つながり至上主義”の風潮はしんどい――最近は“コミュ力無双”というか、SNSとかでたくさんつながってる人の方が偉いみたいな風潮があって、疲れることもありますね。山内:それってなんか地元に帰ったみたい。地元ってそういう人いない?異常に人脈が豊富な人が、偉いオーラを出してる(笑)。携帯にどれだけ登録してあるかでランク付けしようとしてくる感じ。「友達100人できるかな」っていう昭和の強迫観念に、ツールがちょうどフィットしたんでしょうね。人数が露骨に可視化されるし。私も昔はTwitterでツイートしまくっていたけど、だんだんフェードアウトしてきました。Twitter上で知り合った人たちの飲み会に、私だけ撤退して参加しない、なんてこともある(笑)。コミュニティが大きくなりすぎると、居心地が悪くなって抜けちゃうんですよ。Facebookもやってないし、mixiもパスワード忘れてログインできないけど、今くらいがちょうどいいかも。人間が安定した関係を築ける仲間の数は150人が限界だっていう“ダンバー数”という考え方があるけど、私のダンバー数は、もっと定義がシビアなので、数も少なくて充分です。――つながりすぎはよくない、と。山内:楽しければいいけど、窮屈だなぁ、面倒くさいなぁと感じたら、やめた方がいい。やめて本でも読む方が、よっぽど自分のためになると思います。“つながり至上主義”に振り回されてるのは若い人が多いと思うので、なおさら。sacaiのデザイナーの阿部千登勢さんがインタビューで言っていたんですけど、結婚・出産をしたあとにブランドを立ち上げて、子育てしながらどうやって両立させたんですか、という質問に、「私、友達に一切時間を使っていないの」ってあっさり答えていたんです。仕事上で仲良くする人はいるけど、純粋な意味での友達には時間を割かなかったんだって。――そういう割り切り方もあるんですね。山内:私は“友情至上主義”を標榜してきましたけど、実際は、仕事と主婦業でてんてこまいで、最近は友達とろくに電話する時間もないんです。それぞれの環境も変わって、「寂しいなぁ」と思うこともあったんですけど、阿部さんのインタビューを読んで、逆にすっとしました。その時々の状況で、変わっていってもいいんだなぁって。――人間関係におけるマルチタスクやリスクヘッジは、かえって維持や管理が面倒くさかったりしますもんね。山内:いい友達がたくさんいるのは素晴らしいけど、どうもそう簡単にはいかない世の中になってるのでね。昔は、孤独や寂しさを豊かに埋めるためのものとして小説や映画や音楽があって、その世界の中に自分と近い人を探したり、孤独を分かち合えるようなものを見つけたりしていたけど、今はそのためのツールが、すべて誰かとのコミュニケーションとか関係性を通したものになってる。それってとても疲れるし、しんどいと思います。やればやるほど、落ち着かないんじゃないかな。無理に誰かとつながろうとせず、一人でいられる強さを持ってる方が、はるかにかっこいいですよ。――おひとりさまにも心強いアドバイスをありがとうございました!(了)Text/福田フクスケ(プロフィール)山内マリコ(やまうち・まりこ)1980年、富山県生まれ。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。主な著書に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』(いずれも幻冬舎)、『パリ行ったことないの』(CCCメディアハウス)、『かわいい結婚』(講談社)など。『anan』(マガジンハウス)『TV.Bros』(東京ニュース通信社)など連載も多数持つ。8月17日に最新小説集『東京23話』(ポプラ社)が発売。
2015年08月28日前回、恋愛よりも親友との出会いの方が人生にとって豊かな経験だったと語ってくれた作家の山内マリコさん。そんなマリコさんが、今の旦那さんと結婚したいと思えたのには、意外な方の助言があったようです。一方で、実際の結婚生活を営む上ではさまざまなジレンマも感じているようで、その葛藤が『かわいい結婚』(講談社)という小説にも反映されています。さて、マリコさんが思う“結婚相手の条件”とは……?対等なつもりでも気付くと夫の専属トレーナーに……――山内さんはご結婚されていて、現在は夫婦での生活が大きな“居場所”になっていると思います。今の旦那さんとはどういう経緯で結婚されたんですか?山内マリコ(以下、山内):付き合って2年くらいは別々に住んでいて、3年目に震災が起きたのをきっかけに同棲を始めました。どっちも地方出身だったから、肝心なとき近くに頼れる人がいないと怖いなと思って、「セーフティネットとして同棲しましょう!」と。それからさらに3年一緒に住んで、とりあえず籍だけ入れようと昨年結婚しました。――交際→同棲→結婚とフェーズが移行する過程で、やはり自分の“居場所”や役割が変わったという実感はありますか?山内:変わりましたね。交際の段階では超フリーダムでしたが、同棲始めたあたりで友達に割ける時間が圧倒的に少なくなってきて、結婚した今は、夫の専属トレーナーみたいな状態です。――結果にコミットしなきゃいけない、と。山内:ホントそんな感じ(笑)。もちろん自分が望んでしたことなんだけど、結婚するとなんだかんだで女の人に課せられる役割が重くて大変ですね。ゴキブリが出たら殺してくれるし、いるだけでセコムのような安心感はあるけど、基本は私がお世話係みたいになってて。家事分担の理想は5:5だけど、気が付くと8:2くらいになってるし。腹立たしいです。ごはんの好みもうるさいし、言わないと風呂に入らないし。大きなゴールデンレトリバーが抱きついてきてるような、重い荷物を背負っている感じがしますね。――大型犬と一緒(笑)。山内:犬だと思えばギリ可愛いから許せるかなぁ?という感じで(笑)。まあ、夫が家事をがんばっている時期と、サボっている時期によって、私の心のバランスもだいぶ変わってくるんですけどね。あまりにも夫がなってない時期は、腹をくくって一人で生きていくと思えたらどんなに楽でどんなに自由だろう……って考えたりもします。ないものねだりですね。“妻の役割”を果たしていない自分に後ろめたさを感じてしまう――でも、旦那さんは決して保守的な考えの持ち主というわけではなく、家事を分担してやることもお2人で了解して決めているんですよね?山内:ええ。夫は決してオラオラしてないし、亭主関白でもないし。生活費も折半しているので、別に養ってもらってるわけじゃないし。だから家事分担は5:5であるべきなんです!それでも、気が付くと怠けているから、私が自然とお世話係になってしまっている。あまりにもなってないと、「今月は家賃を払いません」とストを起こします(笑)。ただ、夫は勤め人で夜しか家にいなくて、私は一日中家で仕事をしているので、こっちの分が悪いんですよね。「これからは自分の洗濯物は自分で洗え!」と宣言しても、やってないと気になっちゃって、結局私が洗ってる。――私も以前、友人とルームシェアをしていたからわかるんですが、家事の分担って事前にきちんと決めていても、結局は衛生観念が低い方が得をするんですよね。山内:そうなのそうなの!(笑)気にならないもん勝ちなんだよね。気になるからやっちゃうんだけど、そうすると自分の時間が奪われたっていうストレスがすごい積もるんです。本当は、自由時間はすべて、本を読んだり映画を見たり、といったことに使いたいのに。(c)『かわいい結婚』(講談社)でも、別居婚や週末婚を選択するほど合理的に割り切ることはできなくて。こんな状況が一生続くのかな……とやりきれない気持ちになって書いたのが、『かわいい結婚』(講談社)という小説です(笑)。――ひょっとすると山内さんの中にも、心のどこかで「私がやらなきゃ」という役割を背負ってしまっている部分があるのかもしれませんね。山内:良妻賢母教育の呪いですよね。私たちの世代は親がたいてい専業主婦で、身の回りのことを全部お世話されて育ってきたから。自分がしてもらったのと同じように私もお世話してあげなくちゃ、と刷り込まれている部分は大きいかも。――“同棲”から“結婚”になっても、生活自体は変わらないと思うのですが、意識の上で変わったことはありましたか?山内:以前よりも、「もっと実家に顔を出そうよ」とか「お母さんに電話した?」とか、うるさく言うようになりました。放っておくと男の人って、親のことを完全スルーで生きてしまうので。夫の家族のことはすごい好きだし仲もいいんですけど、夫に皿を洗わせていると、夫のお母さんに悪いなあ……みたいな気持ちもちょっとあるんですよね。根本には、昭和の価値観が染み込んでるので。――旦那さんとはフェアな関係でありたいのに、一方では内面化してしまった“妻の役割”みたいなものに縛られ、後ろめたさを感じている自分もいる。そうして結局お世話してしまう自分にもまたいらだってしまう……引き裂かれた悩みですね。山内:ええ、今後の大きな創作テーマです(笑)。そういえば何年か前、『クローズアップ現代』で、「なぜ中高年女性が山登りにはまるのか」という特集をやっていたんです。そこでゲストの女性が、「家で皿洗いをずっとやっていると、たとえ夫が手伝ってくれてもそのやり方が気に入らなかったりして、小さなことでイライラしたりくよくよしてしまう自分が嫌になる。そういう日常の些細なもやもやをすべて忘れさせて解き放ってくれるから、山に惹きつけられるんだ」と言っていて、「超わかる!」と思った。ああ、これは私も10年20年経ったら、山行くなって(笑)。腹を割って話せる関係でないと結婚は難しい――同棲生活を経てご結婚された山内さんですが、「結婚って本当にした方がいいの?」「この人と結婚して大丈夫?」「もっといい人に出会えるのでは?」などと考えていくと、結婚するかどうしようか、なかなか決断に踏み切れない人も多いと思います。山内さんが結婚を決断された決め手はなんだったんですか?山内:実は、きっかけはジェーン・スーさんなんです。2014年の夏に、雑誌『TV Bros.』(東京ニュース通信社)でスーさんに誌上相談したときに、「こういう彼氏と同棲してるんですけど、このまま同棲でもいい気がするし、結婚するか決められないんです」って。で、東京では新しい友達もそんなにいないし、彼氏が一番親しくしている人だって言ったら、「なら、今のマリコさんには、彼氏が親友なんだよ」ってスーさんに言われて。その瞬間、彼氏だと思うとこの先どうしようともやもやするけど、同じ人を親友だと思って見てみたら、「ずっと一緒にいられるかも!」とポジティブな気持ちになれたんです。親友だったら、結婚しちゃってもいいかもなって。――“彼氏”とは結婚できないけど、“親友”となら結婚できると思えた、その違いはなんですか?山内:恋愛って、相手と腹割って話せなくないですか?腹の底を見せずに一種のまやかしを演じるのが恋愛だから、長続きさせるにはすごくエネルギーが必要だし。利害関係や支配関係が絡んで、フェアな関係でいるのは難しいと思うんです。恋愛感情をベースに結婚したら、それこそ夫に嫌われないように奴隷みたく家事をする生活になってしまう。関係性が恋愛ベースだと、より好きな方が負けだから、パワーバランスがすごくいびつで、不平等なんですよね。でもその点、友情はフェア!腹を割って話せる“親友”だと思えば、文句も意見も言えるなと、一気に結婚が「アリ」になりました。――対等であるためには“親友”にならないといけない、と。山内:夫のことは男性としても人間としても大好きだし、もちろん恋愛感情もあるけど、だからと言って機嫌とったりおもねったりはせず、バンバン主張します。彼にとっては耳の痛いことも(笑)。だから、あくまでも、気分的にはマブダチです。マブダチだと思ってからは、ケンカしてもすぐ仲直りするようになりました。前はいちいち「別れる!」とか言ってたのに。――最近さまざまな方に取材やインタビューをしていて、みなさんおっしゃるのは「恋愛感情と結婚生活は矛盾するもので、両立は難しい」という話。親友として成り立つ関係の人と結婚するのがいいという意見は、いろんな方から聞きます。山内:出発点は恋愛感情だけど、途中から友情という新たなフェーズに入って、腹を割れる関係性にならないと結婚は難しいですよね。その関係性だって流動的なものだから、毎日毎日きちんと会話をしてメンテナンスしていかなきゃいけないし。それと、恋愛にはどうしても「相手から性的に承認されることで自分の価値を確認する」みたいな側面があるけど、その欲望にはキリがないし、やり続けるのはしんどいから、自己承認をベースにするような関係は、どこかでやめた方がいい。若いうちはそんなこと言われても、「ハァ?」って感じだと思いますけど。――次回「心を開ける相手がいれば、無理して“居場所”を増やす必要はない」に続きますText/福田フクスケ(プロフィール)山内マリコ(やまうち・まりこ)1980年、富山県生まれ。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。主な著書に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』(いずれも幻冬舎)、『パリ行ったことないの』(CCCメディアハウス)、『かわいい結婚』(講談社)など。『anan』(マガジンハウス)『TV.Bros』(東京ニュース通信社)など連載も多数持つ。8月17日に最新小説集『東京23話』(ポプラ社)が発売。
2015年08月20日地方在住の女性が感じる退屈や閉塞感を描いた『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)で一躍注目を集めた作家の山内マリコさん。8月17日には、擬人化した東京23区が自分語りをするユニークな小説集『東京23話』(ポプラ社)が刊行されます。そんな山内さんに、地元と東京、恋愛と結婚、家族、そして友情……と、ライフステージによって移り変わる女性の“居場所”のあり方について、全3回にわたってお伺いしました。地元のマジョリティの感覚からズレていた負い目があった――山内マリコさんの作品に登場する女性たちは、しばしば“東京との距離感”“地元への違和感”を常に抱き、自分の居場所を決めかねているように見えるのですが、その微妙な感情はどこに由来するのでしょうか?山内マリコ(以下、山内):私の場合は、単純にそこまで気の合う人が周りにいなかったのが大きいかも。仲のよい友達はいるんだけど、私以上に都会志向だったし、高校時代に付き合った人と結婚を考えるとかも、ありえなかった。「この人と離れたくないから地元に残りたい」みたいな出会いをしなかったぶん、地元を離れて一度リセットするのは、織り込み済みって考えていた気がします。大学を卒業した後のことなんてその時点では考えてなかったけど、たった4年の間にどんどん地元の街なかが寂れちゃって、4年生になったときに、地元に戻ろうとは思えなかったです。もう少し自由な空気を吸っていたい!って感じで。――寂れていく街を目の当たりにすると、確かに未来や希望は感じにくいですよね。山内:もう目に見えて寂れてましたからね。地元にいた頃よりも、明らかに店とか減ってるし。郊外には大型店がどんどん進出して買い物に困ることはないんだけど、飽きるんです。街自体が単調にできてるから、行動がどうしてもパターン化してくるというか。それが苦にならない人にとっては快適だし、まったく気にならない人もいるんだろうけど。地元は富山市なんですけど、戦争でかなり焼けてしまって、作り直しているから、歴史から分断されちゃったようなところがあるんですよね。車優先のつくりになっていて、生活するにはすごく便利なんだけど、その代わり単調で、情緒がない。それで十分居心地がいいと思っている人もたくさんいるけど、私はそうじゃなかった。ものの考え方とか、何が好きかとかも、大多数の人からはズレていたし、話の合う人も少なくて。そういうはみ出し者が、自然と地元を出るんです(笑)。居場所に“しがらみ”が生まれるのは地元もネットも同じ――地方にいても情報はどんどん入ってくるし、東京との文化資本の差を感じている人もいる一方で、地元にあるもので十分満足できる、いわゆる“マイルドヤンキー”みたいな人もいると思うんですが、その違いは何だと思いますか?山内:それ、私もわからないんですよね。私の兄が、同じDNAで同じように育ったはずなのに、どこで何をどうしたらこんなに違ってくるのかっていうくらいタイプが違うんですよ。確実に言えるのは、地元で堅実にやってる兄みたいな人の方が、マジョリティってこと!東京で地方出身者の人と話すと、それが逆転して、都会で仕事が楽しくて結婚とか後回しにしてる女子が主流、みたいになるんですけどね。でも地元基準では、私の方がおかしいんだ、ズレてるんだと、忘れないようにしなきゃいけないという(笑)。マイルドヤンキーを東京目線で批判的に見たりするのは、すごく傲慢だとも思っていて。地元になじんで楽しくやっている大多数の人たちの人生を否定する気はないし、あくまでも、私はそこでうまくやれなかったという負い目があるんです。――そういう人たちにとって、大きな“居場所”の役割を果たしてきたのがインターネットですよね。SNSなどの普及によって、地元でははみ出し者だと思っていた人も、ネットには同じ気持ちの人がたくさんいるんだと連帯できるようになった恩恵ははかりしれないと思います。山内:そうですね、私の場合はちょうどmixi全盛の時代で、映画の感想を書くと全然知らない人から感想がきたり、趣味が縁になってどんどんつながっていくのがすごく楽しかった。でも、その喜びってほんの一瞬で、すぐに面倒くさいしがらみになっていっちゃうんですよね。Twitterもそう。始めたばかりの頃は楽しくて無邪気にやっていたのに、すぐに「あ、この人めんどくさい」みたいな人が出てくるし、新しい出会いのツールのはずが、しがらみだらけの使い方をしてたりして、「なんだかなぁ~」って気持ちになる。――閉塞感から解き放たれていたはずのオンラインのつながりにも、必ずしがらみが発生しちゃいますよね……。山内:東浩紀さんの『弱いつながり』(幻冬舎)という本にも、ネット上のつながりの方がむしろ強固でしがらみが強い、といったことが書かれていました。“つながり至上主義”みたいになっているところを、いかに自分がちょうどいいと思える距離感で付き合うかはすごく大事。SNSもいいけど、近所の人にニッコリあいさつする方が、精神衛生的にはかなり健全ですから。“恋愛”による自己承認より縛り付けない“友情”に救われた――自己承認を得られる“居場所”というと、特に女の人はどうしても恋愛に走りがちだと思うのですが、山内さんは、恋愛よりもシスターフッド的な女性同士の友情を、小説では描きたいとおっしゃっていますよね。山内:バブルの頃から脈々と続く恋愛至上主義に毒されていると、「どれだけドラマチックな恋愛をしたか」が自分の価値、みたいな考えになりがちですよね。特に若い女の子は、恋愛を通して自分を承認してもらったり、自己を確立させようとするんだけど、そんな恋愛をさせてくれるほど、男の人も都合よくできてない。恋愛を否定する気はさらさらないけど、私の場合は、恋愛よりも女友達と味わった経験の方が全然楽しかったし、自分のためになったし、救われたんですよね。だから、それを書きたいという気持ちがあります。もし最高の大恋愛を経験していれば、その素晴らしさを説得力満点で書けたのかもしれないけど、してないし(笑)!でも、それを「人として劣っている」とか「女として可哀想」なんて、思う必要はないんです。――もしかすると、マイルドヤンキーのように地縁でつながった地元仲間との友情を大切にする人たちも、それと同じ感覚なのかもしれませんね。山内:たしかにそうかも。ただ私の場合、気の合う大事な親友と出会えたのは大学時代で、「その子とずっとそこにいるわけじゃない」という、流動的な関係性だからこそよかったと思っているんです。当時は、同じ大学に通って、住んでいる部屋も徒歩1分くらいの距離で、寝るとき以外はずっと一緒に過ごしていました。それこそ家族みたいに濃密な関係で、このまま離れたくない、この関係がないと生きていけないと思っていたんですが、卒業したら別々の場所で、自分の人生をはじめなくちゃいけない。結局、一緒にいたのは3年くらいでしたが、その3年間で十分大事なことは分かち合えた。離れてから、お互いがそれぞれの人生に飛び立って行けた。ずっと一緒にいたら、きっとお互いを縛り付けて、苦しくなってたと思います。――“居場所”は流動的に変わっていく方が健全だということでしょうか?山内:気が向いたらパァーッと別の土地に移って、そこでゼロから生活するっていうのが好きなんですね。関係性どころか、物理的にもその方が性に合っていて、「夢はマイホーム!」みたいな志向も一切ないです。ただそれって、地元に実家があって、そこでしっかり根が張られているからこそ、思えることなのかも。そのときの縁やタイミングで出会う人や“居場所”は変わる――そういえば最近、女子会やルームシェアといった女性同士のシスターフッド的な友情を描いた作品って多い気がします。漫画でいうと東村アキコさんの『東京タラレバ娘』(講談社)とか、鳥飼茜さんの『地獄のガールフレンド』(祥伝社)とか。ドラマ『問題のあるレストラン』も、女性だけのコミュニティを作ってレストランを営む話でしたし。山内:見てた見てた!大好きなドラマでした。『地獄のガールフレンド』もついこの間読んだばかりです。『アナ雪』あたりからちょっとしたブームですよね。世界的にそういう流れみたいで、アメリカでも恋愛映画を成立させるのは難しいらしいです。――山内さんにとって理想的なシスターフッドを描いた作品って、他に何かありますか?山内:『SEX and the CITY』が、今のこの流れの源流じゃないかな。それこそ大学を卒業して親友と離れた当時は、丸一年ひたすら『SATC』をくり返し見て、彼女たちのことを勝手に友達だと思っていました(笑)。――ただ、『問題のあるレストラン』も最後はレストランがつぶれてしまったように、楽園のようなコミュニティも永遠には続かなくて、やはり流動的な関係として描かれることが多いですね。山内:人と人が出会うタイミングって、奇跡みたいなもので、その奇跡が永久に続くことはないってことでしょうかね。それこそ私、まだ若くて心がスポンジみたいに柔らかい状態の頃に、親友と思える子と出会って、仲を深め合えたけど、今はもう人間として成型の段階でかなり固まってきてて(笑)、最後にヤスリをかけるような時期だから。もしも今、彼女と出会っても、そこまでの関係にはなれなかった気もします。やっぱり、引き寄せ合うタイミングが重要なんですよね。――そのときの自分のライフステージによっても、出会いたい人、出会うべき人は変わっていくし、“居場所”も変わっていいってことですよね。山内:うん、変わりますね。たぶん私、今はもうそんなに大きく価値観を揺さぶられるような人とは、かえって出会いたくないかもしれない。今そんな出会いがあっても、面倒くさくなって「ちょっと忙しいんで」とシャットアウトしてしまうかも(笑)。――次回「結婚するなら“彼氏”ではなく“親友”と思える相手がいい」に続きます。Text/福田フクスケ(プロフィール)山内マリコ(やまうち・まりこ)1980年、富山県生まれ。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。主な著書に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』(いずれも幻冬舎)、『パリ行ったことないの』(CCCメディアハウス)、『かわいい結婚』(講談社)など。『anan』(マガジンハウス)『TV.Bros』(東京ニュース通信社)など連載も多数持つ。8月17日に最新小説集『東京23話』(ポプラ社)が発売。
2015年08月14日声優の悠木碧が、モンブランやコーヒーゼリーなどの"お菓子擬人化"に挑戦したフォトブック『悠木碧フォトブック Sugary Fairy~季節のスイーツを添えて~』(主婦の友社)が、24日に発売される。『魔法少女まどか☆マギカ』の主人公・鹿目まどかや、『妖怪ウォッチ』の未空イナホ、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』の比企谷小町など、数々の人気アニメで声優を務めてきた悠木は、2011年度の第6回声優アワードでは歴代最年少の19歳で主演女優賞を受賞。アニメ公開を控える『ワンパンマン』で主要キャラクター・戦慄のタツマキ役も決定するなど、声優としてさらなる活躍が期待されている。今回発売されるフォトブックは、雑誌『声優グランプリ』(主婦の友社)で2013年5月号から開始された連載「悠木碧のSugary Fairy」を書籍化したもの。「甘~いお菓子を擬人化したら…」というテーマのもと、さまざまなテイストの衣装に身を包み、わたあめ、ローズジャム、コーヒーゼリーなどの"お菓子の妖精"になりきった悠木を、29パターンも見ることができるという。『悠木碧フォトブック Sugary Fairy~季節のスイーツを添えて~』は、6月24日発売。B5判96ページの仕様で、定価は3,000円(税別)となる。
2015年06月23日6月13日(土)、お笑い芸人の極楽とんぼ・山本圭壱と、元広島カープの投手で現在はプロ野球解説者として活動する山内泰幸が、広島市内のスポーツバーでトークショーを開催する。復帰後初のメディア登場が、広島カープ公認ファンブック「WE LOVE CARP 2015」内での金本知憲氏との対談となるなど、再開後もカープ愛あふれる活動が続いている山本圭壱。今回のトーク相手は、変則的なフォームと快刀乱麻のピッチングで今でもファンにも愛される山内泰幸とあり、突っ込んだカープ語りになることは必至だ。前評判に反し苦しい序盤戦となった今シーズンについてはもちろんのこと、山内泰幸が活躍した2000年前後のチームについてもたっぷり話を聞くことができそうだ。山内泰幸と山本圭壱の「だってカープが好きなんだもん」は6月13日(土)、LOUID SPORDEにて開催。チケットは好評発売中。
2015年06月04日ワコムは2月10日、「CGアーティスト森田悠揮ZBrushテクニックセミナー」をデジタルハリウッド駿河台ホールにて開催した。セミナーにはCGアーティスト森田悠揮氏とPixologic社COOのハイミ氏、マーケティング担当のトマ氏が登壇。オークの山田有祐氏が司会を務めた。森田氏の実演に会場が沸いたセミナーの様子をレポートする。○デジタルライブスカルプティングを披露同セミナーは、3Dモデリング制作を行っている人から3Dモデリング制作に興味がある人までの幅広い層を対象に行われた。「ZBrush」はゲームや映像作品の3Dモデリング制作に使われているデジタルスカルプティングソフトウェア。今回のセミナーに登壇した森田氏は、「CG Student Awards 2013」にて、世界第3位を受賞。セミナーでは、ZBrushとペンタブレットを使ったデジタルライブスカルプティングを披露した。また、実演と平行してZBrushの開発元であるPixologic社のハイミ氏とトマ氏がソフトウェアを解説し、質疑応答も実施。会場には液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズのフラッグシップモデル「Cintiq 27HD」を中心とした液晶ペンタブレットを展示し、その場で体験できるようになっており、セミナー終演後には、実際に試してみる参加者の姿も見られた。○「爬虫類っぽい」クリーチャーを作成セミナー冒頭で進行の山田氏が尋ねたところ、来場者の中でZBrushを使っているのは4~5割程度。森田氏はセミナーが行われる1時間半~2時間の間にクリーチャーの頭部を作ると話し、実演が開始された。森田氏が作るのは「爬虫類っぽい」クリーチャーということで、トカゲを意識しながら作ると説明。普段はクリーチャーであれば何の動物をベースに作るかを考え、大量の資料を見て、動物の構図を頭にたたき込んでからさっと作るようにしているとのこと。最初の段階では印象だけを重視しているので、ディテールにはあまり凝らずに進めるのだという。目の周りが決まるとそれ以外の部分も決まるということで、目の周りから重点的に作っていた。会場からの「自分で絵を描くのか」という質問に対しては、デッサンを本格的に習ったことはないが、デッサンは観察力をつけるためにあるため、観察力さえあればできなくても大丈夫だとの回答をしていた。○ZBrush 4R7をPixologic社が紹介森田氏による作業の中盤には、Pixologic社によるZBrushの説明が行われた。ZBrushの特徴は、紙とペンがあれば何かが描けるのと同じように、ZBrushがあれば経験がなくても制作を始められるということだ。「粘土をこねるように作業を進められる」と例えていた。産業分野ではゲーム、映画、マーケットデザインのイラストレーション、製品製作前のコンセプト段階でのアート、テレビコマーシャルなどさまざまな場面で使われており、利用者に合わせて幅広く活用できるという。ハイミ氏とトマ氏は、今回の来日で2月8日に行われたワンダーフェスティバルに参加し、「日本では漫画文化が強い」と実感したとのこと。このほどリリースされた「ZBrush 4R7」についても、いち早く詳細を紹介。ZBrushの特徴のひとつに「ZBrushだけですべての作業が完結できること」があるが、4R7ではそれがさらに強化されたという。○最終的な質感をイメージして作業を進行Pixologic社が「ZBrush 4R7」の説明をしている間に、森田氏の実演も進行。大まかな形が完成。続くディテールでは、質感を考えて作業を進めるという。今回のクリーチャーについては、ぬるっとした首の皮にし、ヒダや顔のシワをつけていた。最終的な質感をイメージしていると作業が早く進むのだという。その様子を見ていたハイミ氏は、球からアウトラインを作っていったことに注目し、「作業をやっていく中で調整を重ねてドラゴン(クリーチャー)ができあがっていった」と話した。トマ氏は作業の早さがZBrushならではであると強調。山田氏は、「デジタルでは、良くも悪くもとことんディテールを突き詰められる」とデジタルならではの特徴を読み取って説明していた。○液晶ペンタブレットは「アナログで制作しているみたい」セミナーの後半では、山田氏が事前アンケートの結果を紹介。会場にいるZBrushユーザーではペンタブレットを使っている人が多いという内容だった。それについて、最近液晶ペンタブレットを買ったという森田氏は、「アナログで制作しているみたいで慣れるとすごく使いやすい。5時間で慣れてしまった」と話した。購入したのは「Cintiq 13HD」だという。メインのディスプレイとミラーリングして使っているという山田氏は、「Cintiq 13HDなら原型を作る感覚のまま、フィギュアを作る感じに近いので良い選択だった」と振り返っていた。そしていよいよ森田氏のクリーチャーが完成。ハイミ氏は「2時間以内で作った作品ではハイクオリティ」と評価していた。森田氏はもともとはモデラー志望ではなく、いろいろなものを作っていたのだという。しかし、クリーチャーを作るのが楽しく、生き物が好きだったことから、現在ではクリーチャーの仕事が9割を占めるようになったそうだ。また森田氏は、日頃から使えそうな質感や造形を頭にストックしておくことの大切さを強調。現存の動物から使える要素を探して、イマジネーションに取り入れておく。実際の作業においては、シルエットが決まれば完成形も見えるため、ディテールにとらわれずに形を突き詰めて、最終的に良い物をつくることを心がけるように意識していると話し、セミナーは幕を閉じた。
2015年02月17日先鋭的なビジュアル表現かつ根源的なテーマで発信する『マザー(MOTHER)』マガジン。ロンドンを拠点にする写真家、ケイト・フレンド(Kate Friend)により2012年に創刊されたインディペンデント・ファッションカルチャーマガジンだ。パリのセレクトショップ「コレット」をはじめ、東京の「代官山 蔦屋書店」などで取り扱いがある。特徴的なのは、日本のアートやカルチャーをメインコンテンツとして扱っていること。高木由利子や花代といった日本人写真家による撮り下ろしストーリーの他、大御所の奈良原一高、中平卓馬から新進の山内悠までの日本の前衛的な写真表現、丹下健三や安藤忠雄の建築などをフィーチャーし、一貫した美意識と日本文化への関心の高さがうかがえる。その3号目にあたる「EROS/THANATOS(生と死)」が5月28日にリリースされ、編集長のケイトが来日。製作の背景と日本文化を取り上げる理由について聞いた。――まず、最新号の内容について教えてください。毎号テーマを決め、それに沿った編集内容にしています。今回は、EROS/THANATOSという、相反するようでいて、実は近しいようにも思える生と死への衝動について特集しました。私自身関心があって、最近の多くの決断の背後にある意識です。例えば、猛スピードで車を運転している時、傍目には死に向かっているようですが、意識は覚醒し、生の充足と静けさを感じている。そうした本能に敏感で自覚的な人達を取材しました。写真家・中平卓馬の70年代の作品、モデルの福島リラを花代が撮影したファッションフォトストーリー、カリフォルニアで「チャボエンジニアリング」というカリスマ的カスタムバイクブランドを主催する木村信也、ダムタイプのアートパフォーマンス、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」デザイナー・高橋盾のインタビューなどで構成されています。――創刊号が“GENESIS(創世記、起源)”、2号目が“TRANSCENDENCE(超越)”ですが、毎号のテーマはどのように決めているのでしょうか。特集を考える時に、私が何を感じているか、ですね。それぞれのテーマは社会や経済の情勢、私自身の内面を反映したものになっています。気をつけているのは、抽象的なテーマを選ぶこと、明確なイメージが思い浮かぶものは避けること。「パンク」や「ロマンティック」など使い古されたコンセプトは選びません。その方が、参加するクリエーターも自由な表現ができるから。――雑誌を創刊した理由を教えてください。既存メディアがコマーシャルになりすぎ、自分が仕事をしたいと思う媒体がないことが原因です。私はコマーシャルでありながらも、クリエーティブで実験的なプラットフォームをつくりたいと思いました。ロンドンでは、インディペンデントメディアの動きが盛んになっています。写真家のニック・ナイトによるファッションを表現するインターネットプラットフォームSHOW studioもその一つです。でも、私は雑誌という紙媒体にこだわりました。『MOTHER』はわずか1,000部しか刷りません。印刷や紙の質など、ものとしてのクオリティーにこだわりを持ち、美しいオブジェとしてデザインしています。紙という素材が珍しくなるほど、印刷物は、魅力的で、退廃的な存在になると思うのです。――あまりアドページを入れてませんが、広告に対して積極的ではないのでしょうか。いいえ、むしろ広告媒体にもなりうるプラットフォームだと考えています。ファッションブランドはコマーシャルになりすぎない、新しい広告手法を探しているように思います。『MOTHER』はブランド広告ではなく、編集ページをファッションブランドがスポンサードするアドバトリアルの方法を模索しているのです。2/2に続く。
2014年07月11日「子供の頃から、建築家になりたいと思っていた」高橋は、中学校の3年生頃に、ファッションに出合う。反抗期と共に、自分のお小遣いで自ら服を買い始めるが、ちょうどその時期は裏原ブーム、“おしゃれな友達”と人気のあったショップを回っていた。さらに、メンズファッション雑誌の裏原マップを見て、奥の奥まで行こうと友達を誘う。ところが、周りはそこまでする気がなかった。「他の人よりファッションが好き、という気持ちが強いことがわかりました」と、高橋。ぼろぼろのデニムにも自分でヤスリをかけたり、染料を買って染めたりして、手を加えていた。その“好き”は、衣服だけではなく、ジョン・ロブなどの革靴ブームにも影響され、靴職人にも興味を抱くことに。“手でものを作ることが好きな”少年が、将来ファッションデザイナーになることを、無意識に思い描いていたとしても不思議はない。しかし、“ファッションにはまった”少年が、それを仕事とするまでには、まだいくつかの出会いと経験、そして時間が必要だった。高校2年の時、進路を考えるようになった高橋は、建築家という選択肢もありつつ、受験を避けて、中学・高校からそのまま推薦で大学へ。そこで、1年生の時は、油絵や彫刻などの美術から、プロダクト、インテリア、テキスタイルなどのデザインに至るまで、幅広いフィールドから10種類のクラスをとることができた。高橋の旺盛な好奇心を満たすだけではなく、視野を広げることに大いに役だったことは想像に難くない。2年生になると、専攻を決めなくてはならなくなり、テキスタイルデザインを選ぶことに。そのきっかけの一つが、「ミシン屋さんに行って、シャツの縫い方を教えてもらった時に、『これからはテキスタイルの時代』と言われたわけですよ」という。その人が、どういう根拠からアドバイスをしたかは知るよしもないが、的を射ていたことは確かだ。だが、ファッションだけでなく、「同時にインテリアも捨てきれない。両方できるのではという思いもあった」という。若いということは、さまざまな可能性に満ち溢れていることでもある。ファッションデザインに絞られていくには、まだ時間が掛かる。「芸術論の授業をとって、現代アートにも出合い、特にミニマルアートやコンセプチュアルアートにはまりました」。その頃はパリコレにも興味を持ち、好きになったフセイン・チャラヤンの作品について、「蘊蓄(うんちく)を並べていた」という。そういう高橋に、先生からうってつけの大学があると勧められ、2年生の時、大学の国際教育プログラムでテキスタイルコースがあるロンドンのカレッジに留学することになる。3/4に続く。
2013年09月03日ヒット舞台をスクリーン上映するゲキシネ『蛮幽鬼』の初日舞台挨拶が10月2日(土)、東京・新宿区の新宿バルト9で行われ、主演の上川隆也、共演の山内圭哉がトークショーを行った。昨年9月〜11月に東京、大阪で上演された「劇団☆新感線」の舞台で、アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」をモチーフに無実の罪で幽閉されていた監獄島から脱走した男・伊達土門(上川さん)の復讐を描く物語。山内さんはMCを務め、冒頭、上川さんの「取材の方もいらっしゃっていて…」の言葉に思わず「今日、内野さんは来ませんよ」と本作とは関係ない、W不倫と飲酒運転疑惑の渦中にある、俳優仲間の名を口走り、上川さんから「止め!」と一喝されて苦笑い。一方で、観客から事前に寄せられた質問に回答する場面も。謎の殺し屋を演じた堺雅人との共演の感想について、山内さんは「(堺さんは学生時代)体育が2やったんですって。リー・リンチェイ(=ジェット・リー)みたいな役なのに。最初の本読みの日、真っ青になっていましたよ」。上川さんも「ひとつ公演が終わるたびに、必ず堺とお風呂に入っていた堺の全てを知る男として君臨していますが…」と前振りし、「だんだんマッチョになっていくんです。いわゆる細マッチョです。モヤモヤと想像してください、堺の穏やかな顔の下にマッチョな体ですよ」と暴露合戦。満場の女性ファンを悩ましい気持ちに誘った。『蛮幽鬼』は新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:蛮幽鬼 2010年10月2日より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開© 2010 松竹、ヴィレッヂ■関連記事:『蛮幽鬼』上川隆也×稲森いずみ舞台に立つ“覚悟”と舞台裏の意外な“素顔”ゲキ×シネ『蛮幽鬼』で堺雅人の魅力的な“ギャップ”が際立つ!アンケート結果発表「マークスの山」に高良健吾!高山ロケにベテラン俳優陣は恨み節迫力の映像と音で演劇を堪能せよ!『蛮幽鬼』特別試写会に40組80名様ご招待「殺陣の振り付けを一度で覚えちゃう」上川隆也早乙女太一を大絶賛
2010年10月02日「医療モノということで、“カッコよく”見えてしまうイメージを抱いていたんですが、ここで描かれているのは、ひとりひとりが背負っている人生なんです」――。吉沢悠は、出演作『孤高のメス』をこう表現する。この言葉にこの映画の魅力、そして演技者としての彼の揺るぎないスタンスが表われている。ベストセラー医療小説を実写化した本作。吉沢さんは「自らの素の感情を役柄に重ね合わせながら演じた」と言葉に力を込めた。この“人間ドラマ”に彼はどのような思いで向き合ったのか――?映画の公開を前に話を聞いた。物語の始まりは1989年、とある地方の市民病院に当麻鉄彦(堤真一)という名の外科医が赴任するところから始まる。大学病院に依存し、満足な手術ひとつ行えない腐敗した環境を当麻はその腕で、変えていく。当麻が変えたのは何より、そこで働く人々の意識。吉沢さん演じる青木はまさに、彼との出会いによって自らの生き方を省み、そして変わっていく若き医師である。「大学病院の古い体質があって、その下で働く青木はいろんな思いを抱えつつ、“権威”という壁にぶつかる。当麻との出会いで大きく変わっていくこの人物をしっかりと演じ切れないことにはこの作品のテイストが観る人に伝わらない。そのプレッシャーはありました。と、同時に青木が感じる葛藤は、ひとりの俳優として僕にとっては感じたことのある思いでした。それを生かして演じ切ることができれば楽しいだろうな、という相反する複雑な気持ちでした」。90年代末から2000年代の前半に掛けて、次々と話題のドラマ、映画に出演し、主演も数多くこなしてきた吉沢さんが芸能活動を休止したのは2005年。奇しくも本作で演じた青木と同様にアメリカに渡り、帰国後、俳優としての活動を再開した。役柄に自らを重ねた、という部分についてさらに深く尋ねた。「自分なりの信念を持って俳優という仕事をやっていましたが、やればやるほどに『いまのままでいいのか?』というクエスチョンがついて回るようになった。それはまさに、約束された道を見失った青木そのもの。前半部分の彼に、その当時、自分が抱いていた感情を乗せました。それからアメリカに渡って何より感じたのは、俳優として現場に立てるということは、決して当たり前のことではないのだということ。そう感じたときに無性に俳優をやりたい、演じたいって思えてきたんです。帰国して初めての仕事が映画だったんですが、あのときは本当に嬉しかった。それはまさに、青木が当麻先生を手伝いたくて帰国するときと同じ気持ちでした」。復帰後、彼が出演した映画は『夕凪の街 桜の国』、『逃亡くそたわけ−21才の夏』、『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』に本作と物語性と共に、社会への強いメッセージを感じさせるところがあるが…。「決して、それを意識して作品を選んでいるわけではないです。ただ、例えばニューヨークにいる頃、『自分は日本のことを何も知らない』と強く感じて、帰ったら広島に行きたいと思うようになった。そうしたら(広島を舞台に被爆を扱った)映画『夕凪の街 桜の国』のお話をいただいた。不思議なめぐり合わせは感じますね(笑)。常に、観る人に何か良い影響を少しでも与えられたら、という思いはあります。そうした思いがこういう良い循環を生んでいるのかも」。そうした流れに身を投じる中で、映画というメディアへの熱い思いが自身の内側からも沸々とわいて来ていると明かす。「映画人の熱…独特の温度の高さへの憧れは以前以上に強く感じます。周りが見えなくなるような強い思いで、わが子を育てるようにみんなが映画に夢中になっているあの環境は、本当に気持ち良いんです。30歳を過ぎて、ここにいられることが幸せだな、と感じるようになりましたね」。最後に「今後演じてみたい役は?」という質問に「もちろん、当麻先生のような役もやってみたいですね」と語り、「それから…」と、生瀬勝久が演じた、自らの保身しか考えない大学病院の医師・野本の名を挙げ、少し興奮気味にこう続ける。「生瀬さんが仰ってたんです。『俺は、野本という役を“悪”として演じたわけじゃない。一人の人間として演じた結果がこうだったんだ』って。それを聞いて、ああいう役をいつか演じられるようになりたいな、と思いました。僕自身今回、野本という存在に生かしてもらってるんです。そんな深みを演じられるようになりたいです」。(photo:Ryusuke Suzuki)■関連作品:孤高のメス 2010年6月5日より全国にて公開© 2010「孤高のメス」製作委員会■関連記事:堤真一天才外科医役に都はるみのこぶしを聴いて特訓目の前の命を救うため、禁断のオペに挑む『孤高のメス』試写会に15組30名様をご招待小栗旬初監督作引っさげ北海道に!ゆうばり国際映画祭ラインナップに注目来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!堤真一、大組織の悪しき体制と闘う熱血医師に「ヒーローではない、医師を演じたい」
2010年06月23日