3月20日に開幕した舞台『サイドウェイ』のゲネプロを鑑賞する機会に恵まれた。2005年の米アカデミー賞5部門にノミネートされ、最優秀脚本賞を獲得した映画『サイドウェイ』。原作者レックス・ピケットが手がけた戯曲で舞台化された本作が、箱庭円舞曲を主宰する古川貴義の日本語上演台本・演出によって繰り広げられる。40代に突入し、人生の転機を迎えた中年男・マイルスとジャックの旅路がバディ・ロードムービー的に綴られる。結婚を控えた友人ジャックのために、一週間にわたるカリフォルニアのワイナリー巡りを企画したマイルス。「独身最後に女の子を“テイスティング”する」と豪語するジャックに対して、純粋にワインを愛好するマイルスは呆れ顔だ。このバチェラーパーティーに対するふたりの温度差もさることながら、行く先々で出会う女性陣とのかけ合いが何とも味わい深い。ワイン好きの脚本家マイルス役には藤重政孝。夢である小説家として突き抜けられず、バツイチで元妻に未練のある屈託にまみれた役どころをリアルに造形する。口に含んだワインの取り扱い方や、皮肉混じりに講釈を垂れる姿は特に「こんなおじさん日本にもいて、蘊蓄語り聞いたことある!」という既視感に見舞われるほどだった。テレビ番組のディレクターで生計を立てている俳優ジャック役には、体調不良で降板した石井一孝からバトンを受け取った神農直隆がキャスティング。鳴かず飛ばずの役者業を断念して家庭に落ち着くか、新たな環境で心機一転するか。わずかな稽古期間にもかかわらず、神農はプレイボーイ然とした振る舞いで周囲を翻弄する彼を掴み取っていた。ふたりがワイナリーで出会う女性陣には、壮一帆と富田麻帆。いずれの役もクセのある中年男と張り合えるほどの強烈な個性の持ち主で、マヤ役の壮にはワインを艶っぽく活用した男女の駆け引き、テラ役の富田には終盤に抑えきれない激情を爆発させるシーンが用意されている。ボトルやグラスを陳列した美術にコルクの開封音を印象的に用いる演出など、世界中にピノ・ノワールの魅力を伝え、ワイン産業に多大な影響を与えたといわれる原作を活かした試みも。聞けば、キャストはプロのソムリエからワインレクチャーを受けたとか。説得力ある注ぎ方やスワリングを目の当たりにしたら、終演後にはボトルを開けたくなること必至だろう。マイルスもジャックも、実際に対面したら接し方に戸惑う面倒な中年男だ。しかし悪態をつきながらも人生の岐路で悩み苦しむふたりの姿には、不思議と共感が寄せられる。ワインに飲み頃があるように、人生にも押さえるべきタイミングがあるーー。年度末の春、彼らによる悲喜こもごもの“サイドウェイ(寄り道)”を見届ける上演時間150分の珍道中に出てみては。「ヴィンテージワインのように日々熟成していくことと思います」キャストほか開幕コメント藤重政孝ついに幕が開きました。やっとここまで辿り着けましたが、これがすべての始まりなので、残りの公演を千秋楽へ向けて頑張りつつ、作品と共に我々も育っていきたいと思います。育てていただくのはお客様のパワーの部分が大きいです。出歩きにくいご時世ではありますが、感染症対策もバッチリしていますので、お芝居を楽しみに足を運んでいただけたらと思います。キャスト・スタッフ共にいい雰囲気で現場を走らせています。それが作品の空気に繋がっていくと思いますので、ぜひその空気を感じに遊びにいらしてください。マイルスでした。神農直隆無事にゲネプロが終えられてほっとしています。色々ありましたが、カンパニーの皆さんに助けられながら、いまこの時を迎えられて本当に嬉しいです。あとはお客様がどれだけ楽しんでいただけるかですが、ちょっと時間が長いかもしれませんが、僕らも集中して観ていただけるように頑張っていきたいと思います。破茶滅茶で下品でお下劣な言葉も出て来るんですが、友情だったり愛情だったり恋愛だったり、色々な情が出てくる物語なので、ワインを通して、見ていただけるように努めていきたいです。凄く楽しいので笑えるところがあったらどんどん笑ってください。壮一帆最初この作品の本をいただいて読んだ時から、幕が開くのをとても楽しみにしていました。実際に衣裳をつけて、動いて喋ってみると、舞台の上でサイドウェイの人たちが息づいていて、興奮を抑えられない気持ちでいっぱいになります。この楽しさ、胸に突き刺さるような言葉の数々が皆様の心にも届く事を願っています。まだまだ予断を許さない状況下ではありますが、ほんのひと時でも心が和らぐような時間にできたらいいなと思いますので、観終わって、家に帰って、美味しいワインを飲みながらこの舞台を想い返していただければ嬉しいです。富田麻帆まずは初日の幕が開けられる事、この場所まで来られた事を嬉しく思います。この昨今なかなか思うように舞台が出来ない中で、ひとつづつ作品を作り上げられる喜びを改めて噛み締めています。この作品はとにかくワインを飲みたくなります。そして欠点を持った登場人物たちがたくさん出てきますが、人は誰しも何かしらの欠点を持っていて、だからこそ愛おしくて素敵なんだなと思える作品です。そんな愛おしくなる登場人物を観ながら、美味しいワインを飲んで、この作品に浸っていただけたらとても幸せです。ぜひ劇場で、そして配信でもお待ちしています。古川貴義(上演台本・演出)まずは、無事に初日の幕を開けられることに感謝です。社会情勢をはじめ、色々と心配事の尽きない日々でしたが、何とか幕を開けることが出来ました。限られた時間の中で尽力してくれたキャスト、スタッフのお蔭です。そして、ご来場くださるお客様のお蔭です。皆さん、本当にありがとうございます。奥深いようで気軽な、バカバカしいようで身につまされる、好きだけど憎たらしい、愛おしい作品になりました。これからステージを重ねるごとに、ヴィンテージワインのように日々熟成してくことと思います。ただし、飲み頃はいつも今。演劇は、いつも今。今まさに目の前で起こっていることを、お楽しみいただけますように。取材・文:岡山朋代撮影:岩田えり『サイドウェイ』原作・脚本:レックス・ピケット翻訳:主計大輔日本語上演台本・演出:古川貴義(箱庭円舞曲)キャスト:藤重政孝、神農直隆、壮一帆、富田麻帆、江浦優大、嶋村亜華里、片桐はづき2021年3月20日(土)〜3月25日(木)会場:東京芸術劇場シアターイースト※3月22日(月)休演配信公演あり、詳細は以下conSept movieにてご確認ください。
2021年03月22日新時代を牽引するダンサーが集結する、熊川哲也 Kバレエ カンパニー Spring 2021『白鳥の湖』。昨年1月、同演目にてプリンシパルに昇格したジークフリード役の山本雅也にその魅力を尋ねた。芸術監督の熊川による演出・再振付で2003年に初演され、レパートリーとなった本作。今回は、オデット / オディール役に新プリンシパルとして1月に入団した日髙世菜のほか、小林美奈、成田紗弥、毛利実沙子、ジークフリード役に堀内將平、石橋奨也、髙橋裕哉、ロットバルト役に栗山廉、杉野慧、西口直弥、グレゴワール・ランシエもキャスティングされている。熊川が「Kバレエ カンパニーは世代交代という大きな転換期を迎えました」と述べるように、次世代に託された期待は大きい。初日を約2週間後に控え、稽古に明け暮れる山本自身も「キャストが全員20代なので、熊川ディレクターは僕たちの年齢に合わせた演出を意識している気がします」と自覚がある様子。具体例を聞くと「30代なら大人の風格が醸し出されるポイントで、こう……フレッシュに?」と若さを前面に押し出した上半身の動きを実践しつつ、「初役だった去年から進化した姿をお見せできたら」と意気込む。クラシックバレエの代名詞といえる定番を、熊川は再構成。白鳥オデットと出会って恋に落ちる高揚感、黒鳥オディールに翻弄された挙げ句の絶望など、山本らが演じるジークフリードの心の軌跡を主軸に置いたストーリーテリングが、熊川版の最たる特徴といえるだろう。なお、この熊川版『白鳥の湖』を小説化するアートノベルが開幕に合わせて刊行されるが、王子の感情を丁寧に描くことはどんな劇効果を生み出すのか──。そう問いかけると、山本は「物語の“運び手”であるジークフリードの感情の起伏が伝わるほど、観客の皆さんに緻密かつ説得力ある人間ドラマが届けられると思うんです」と即答。アートノベルの王子像が「初役の時に自分が想像して演じようとしたキャラクターと似ていたんですよね」と続き、役づくりの舞台裏を明かす。昨年、ジークフリードを演じ終えた直後のカーテンコールで熊川からプリンシパル昇格を告げられた山本。客席からも祝福されたサプライズ任命は「3位入賞したローザンヌ国際バレエコンクールで熊川ディレクターと初めてお会いした瞬間(2013年)と重なり、今までのバレエ人生がフラッシュバックしました」と振り返るほどだった。今回はどのようなパフォーマンスで観客を楽しませてくれるのか、本番を見届けたい。公演は、3月24日(水)~28日(日)に東京・Bunkamura オーチャードホールにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年03月19日KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督就任会見、ならびに2021年度ラインアップ発表会が行われ、現芸術監督の白井晃、芸術参与で次期芸術監督の長塚圭史が登壇した。3月末で任期を終える白井は、KAATに携わった7年の歳月を「身に余る重責に自問自答する日々でした」と振り返る。その中で、長塚の演出作である新ロイヤル大衆舎『王将』(2017年)を東京・下北沢で鑑賞した時に「小劇場からあふれ出るエネルギーや企画力をぜひKAATでも活かして欲しい」とオファーの経緯を明かした。続いて壇上に立ったのは、4月に白井からバトンを受け取る長塚。芸術監督としてのテーマに“劇場をより開いていく”を掲げ、実現に向けた3点の新方針を打ち出した。1.シーズン制の導入新国立劇場などですでに取り入れられているシーズン制だが、その狙いを「劇場に季節感やリズムをもたらしたい」と語った長塚。4〜6月にはプレシーズンとして、実験的なトライアル公演を多数投入する。その後、初夏に恒例のキッズプログラムを配置。8月からのメインシーズンには毎年タイトルを設け、今年は「冒(ぼう)」がアナウンスされた。「飛び出す・はみ出す・突き進むイメージで“冒険心”いっぱいにやっていきたいですね」2.ひらかれた劇場を目指してKAATは今年で開館10周年。長塚は「演劇界で存在感が増してきたKAAT自身を財産に、これまで芝居を観たことのない人にも届けたい」と意気込む。手始めに、新ロイヤル大衆舎『王将』の再演を開放的なエントランス(1階アトリウム)に特設劇場を設けて行う試みを発表。タニノクロウとは『虹む街』で神奈川県民とのクリエーションを企画中だ。自身が上演台本・演出を手がける最遊記モチーフの『冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~』では県内を西に向かって巡演し、「KAATを飛び出して多くの県民にお会いできれば」と笑顔を覗かせた。3.豊かな創作環境作り・劇場の未来を考える「上演がない期間もクリエーションが常に続いている劇場でありたい」という思いを込め、長塚は任期スタートとともに「カイハツ」と題したプロジェクトを始動させる。もともと“つくる劇場”を掲げていたKAATを「アーティスト同士の相互交流、国内外・新旧問わない戯曲との出会いや開発の場にできれば」として、さらなる創作環境の発展に努める構えだ。このあと、2021年度のKAATラインアップが発表された。「オリンピック前の上演がふさわしい」と長塚が懇願し、昨年度に公演中止となった『ポルノグラフィ』『未練の幽霊と怪物 ―「挫波」「敦賀」―』が持ち越されたほか、自身が演出する『近松心中物語』、2020年頭に草彅剛が主演し話題を集めた白井の演出作『アルトゥロ・ウイの興隆』再演も。心機一転したKAATの充実ぶりから、引き続き目が離せない。取材・文:岡山朋代
2021年03月05日“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンタテインメント集団・梅棒。彼らの新作、11th STAGE『ラヴ・ミー・ドゥー!!』が東京・サンシャイン劇場にて現在上演中だ。3rd STAGE 『男なら、やってやれ!!』の数年後が描かれ、代表の伊藤今人を中心に、鶴野輝一、遠山晶司、塩野拓矢、櫻井竜彦、楢木和也、天野一輝、野田裕貴が出演する本作。昨夏メンバーに加わった多和田任益のお披露目公演で、ゲストの押田岳、新垣里沙らが華を添えている。アイドルオタクの内気な少年(多和田)、パーカーを特徴的に着こなすストリートギャング(押田)、歌とダンスをこよなく愛する少女(新垣)は、ある共通項から熱い友情を育むものの離れ離れに。数年後に再会を果たした3人の住む世界は、当時と圧倒的に異なっていて──。劇中は、これらの人間模様とアイドルオーディションの行方が同時進行で描かれる。梅棒EXTRAシリーズ『ウチの親父が最強』へのゲスト出演を経て、メンバーとして初参加する多和田は終始、ネルシャツをボトムスにインしたオタクスタイル。頭にバンダナを巻き、デコうちわ&サイリウムを掲げるヲタ芸ダンスで“推しのいる尊さ”を全身で体現する。作・総合演出を務める伊藤が開幕に際して寄せた「愛するもののためならどんな困難も乗り越えられる」というコメントを象徴する存在に感じられた。正統派のアイドルダンスで客席を魅了する新垣には、元・モーニング娘。である彼女らしい見どころも。本作のベースとなった『男なら、やってやれ!!』には新垣をモデルとする役が存在し、今回の続編に本人が出演するとあって、伊藤も「いよいよこの作品に魂が宿る」と感激しきりだ。喜怒哀楽を爆発させる巧みな表情にも注目したい。主人公もヴィランも、愛する者を応援したい気持ちは一緒。これらが舞台上をほとばしる圧倒的なエネルギーや牽引力となって、ストーリーは輝きを増しながらぐんぐん進んでいった。“推し”のいる人すべての心に刺さるであろうステージ、ぜひご賞味あれ。東京公演は2月28日(日)まで。その後、3月6日(土)〜7日(日)に愛知・ウィンクあいち、3月11日(木)〜14日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールと巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年02月22日スマートフォンで詩を綴り、現代の空気や人々の感情を鮮やかに表現する詩人・最果タヒの個展が、2・3月に巡回する。2020年に福岡と東京の来場者から大きな支持を集めた展覧会の愛知・大阪“上陸”にあたって、作家本人に見どころを尋ねた。「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」チケット情報20代で現代詩手帖賞、中原中也賞を獲得して以来、ツイッターでの作品発表、詩集の映画化(石井裕也監督作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、作詞提供、ホテルとのコラボレーションなど幅広い活動で知られる最果。本展では、詩になる“直前”の言葉が集められた展示空間を通じて、来場者が主体的に詩を体感できるインスタレーションが展開される。特に圧巻なのは、どの会場でも最大の展示面積を占める《詩になる直前の、》シリーズだろう。天井から吊るされた無数のモビール群にはそれぞれ脈絡のない断片的なワードが連なっており、来場者は回転し揺らめくモビールを分け入りながら鑑賞する。最果が企画意図を「観客がいて初めて詩が完成する空間をつくれたら」「私がいちばん鮮烈だと感じる、言葉が自分の想像を超えていく瞬間が作品に現れることが理想」とする通り、琴線に触れる語に偶然“出会う”もよし“探して”必然とするもよし、楽しみ方は来場者次第。愛知はギャラリーの形で、大阪はモビールの量でさらなる没入感を演出するという。東京会場から登場した《座れる詩》は、丸い椅子に腰かけると詩の朗読が聞こえてくる趣向だ。愛知では『夕陽の詩』、大阪では『STAY BRIGHT』が追加され、いずれも演劇ユニット・マームとジプシーやチェルフィッチュなどの作品で活躍する俳優・青柳いづみの声で再生される。「読んだ人が自分のものとして自由に楽しめる詩」を目指していた最果は、青柳の「自分らしさを発揮するような読み方は考えていない」という姿勢に共感。「来場者の意識に自然と働きかけていくような朗読で、言葉に遠近も感じられる」と絶大な信頼を寄せる。軽率な発言が憚られるコロナ禍では、他人の目をつい気にしてしまう。しかし、最果はこんな時こそ本展には意義があるのでは、と考える。「懸命に空気を読んで求められる自分を演じたあと、映画や文学に触れると、自分を取り戻す感覚があります。それを好きだと思えた時の自分は、誰にも否定できないものだからです」「"私"を取り戻していける、そういう場所に展示もできたらいいなと思いました」――。『最果タヒ展われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』は2月13日(土)~28日(日)に愛知・名古屋パルコ西館6階パルコギャラリー、3月5日(金)~21日(日)に大阪・心斎橋パルコ14階 パルコイベントホールと巡回する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年02月15日志島とひろのイラストを原作とする舞台『元号男子』。時代の移り変わりとともに生まれた“元号男子”へ臨むにあたって、令和役を演じる大薮丘に意気込みを語ってもらった。イラストから派生し、昨年10月にはドラマCD化された本作。劇中では、大正・昭和・平成・令和を中心とする元号男子たちが、ひとつ屋根の下で生活する日常が描かれる。脚本・総合演出を川尻恵太が、演出を白鳥雄介が手がける。元号男子のキャラクターには、海外文化を吸収した和洋折衷の装いが似合う大正、バブルを経験した俺様気質の昭和、学業の成績は悪いが自分の好きなゲームやアニメには詳しいゆとり世代の平成など、それぞれ時代の世相や流行が反映されている。令和は、誕生したばかりで好奇心旺盛な役どころで、演じる大薮いわく「感じたことを率直に発するので、好意はもちろん、時には失礼に値しそうなこともストレートに伝えてしまいそうな性格」──。聞けば大薮自身にも思い当たる点があるらしく「でもそれって愛情の裏返しなんですよ」と役と自身を重ねて苦笑する。一方で、価値観の異なる昭和と平成の仲を取り持つ抜群のコミュニケーション力を発揮するのが“末っ子”令和、最大の長所といえるだろう。大薮自身も「誰にでも分け隔てなくフランクに接する」タイプらしく、初共演となる大正役の和合真一、昭和役の校條拳太朗、平成役の平賀勇成とも「自分から積極的に話しかけに行って、稽古場の雰囲気を明るくしたいですね」とムードメーカーを買って出る構えだ。生まれて間もない令和を演じるには苦労もあるのでは、と話題を向けると「原作のうわべだけを真似するのではなく、令和くんが日々どんな気持ちで暮らしているか、ハートの部分を大切にしたい」と大薮。そのために「僕はまだ引き出しが少なくイメージしきれないこともあるので、キャラになりきる気持ちのつくり方を極めたい」として、『青春鉄道』『ひらがな男子』『はたらく細胞』などで各種擬人化を成立させてきた川尻演出のもと、成長する意欲を覗かせた。個性豊かな元号男子たちのキャラクターをそれぞれがリアルに演じれば“あるある”が溢れ、大薮は「それぞれの時代をご存知の方にはきっと共感できるはず」と胸を張る。最後に「僕たちの掛け合いを通じて、観客の皆さんに元気とハッピーと笑顔をお裾分けできれば」と語り、取材を結んだ。公演は、2021年3月4日(木)~14日(日)に東京・大手町三井ホールにて。チケットは2月10日(水)19時より抽選先行受付開始。2月20日(土)10時より一般発売。取材・文:岡山朋代
2021年02月10日芸能生活35周年を迎える坂本冬美が、東京・明治座で門出を祝う。記念公演の相棒は、坂本の“応援団”を自負する泉ピン子だ。コロナ禍での開催に「万全の対策で皆さんをお迎えし、笑顔と元気になってもらいたい」と声を揃える二人に構想を語ってもらった。第一部の芝居『かたき同志』は、脚本を橋田壽賀子、演出を石井ふく子が務める人情喜劇。2019年6月に行われた『坂本冬美特別公演 泉ピン子友情出演』で仲良し芸者に扮し、抜群のコンビネーションを発揮した二人が、今度は惹かれ合う娘・息子の母親同士としていがみ合う。舞台は大川を挟んだ両岸の屋敷町と下町。坂本は、呉服問屋越後屋の内儀お鶴を演じる。20数年前にも本作へ出演した泉は、当時と同じ飲み屋ひさご亭の女将かめ役。「暮らし向きの異なる役柄をシャッフルしたら面白いかもと思ったけど、チラシの写真を撮ったら……見てよ冬美ちゃんのお内儀。女っぷりがよくて本当に似合っているよね」と坂本に花を持たせる。照れ笑いを浮かべる坂本は、橋田作品の特徴といえる長ゼリフに身構える。「何ヶ月もかけて準備しないと」と姿勢を正す一方で、泉とNetflix配信の韓国ドラマにハマる日常を覗かせるなど気分転換しながら楽しく取り組んでいるようだ。女の意地と母子の愛情が垣間見えるセリフの応酬に「子離れしなくちゃ、って観客の皆さんが共感できる内容」と泉。家族を描いた普遍性のある作品を届けたい──という明治座の企画意図とも重なる。第二部は『坂本冬美オンステージ2021 艶歌(うた)の桜道(はなみち)』と題された歌謡ショー。坂本は「初心に帰ってデビュー曲の『あばれ太鼓』で幕を開けたい」と抱負を述べる。『夜桜お七』『また君に恋してる』といったヒット曲が並ぶ中、今回の聴きどころはやはり桑田佳祐が作詞・作曲を手がけた新曲『ブッダのように私は死んだ』だろう。学生時代から桑田のファンであった坂本は、念願叶ってオファーを引き受けてもらった舞台裏をこう明かす。「事務所の社長にも言わずにお願いして、承諾のご回答をいただいた時にはすでに楽曲が完成していたんです」──。桑田と観客に対する感謝の気持ちを込めながら「今日が最後だと思って歌う」と万感の想いで臨む坂本の姿をしっかり目に焼き付けておきたい。『坂本冬美芸能生活35周年記念公演泉ピン子友情出演』は、2月26日(金)~3月15日(月)に東京・明治座にて。ぴあでは座席指定できるチケットを販売中だ。取材・文:岡山朋代
2021年02月08日ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』の東京公演が、2月3日に開幕。これに先駆け、報道陣にゲネプロが公開された。ミュージカル・ゴシック「ポーの一族」の公演情報はこちら萩尾望都の人気マンガ『ポーの一族』を舞台に──と30年以上も企画を温め続けた小池修一郎の演出によって2018年に宝塚歌劇花組でミュージカル化され、今回の再演にいたった本作。不老不死のバンパネラ(吸血鬼)一族として孤独に生きる主人公エドガー・ポーツネル役を、明日海りおが続投する。そのエドガーが、千葉雄大演じる少年アラン・トワイライトらを仲間に加え、孤独や哀しみを滲ませながら時空を超えた旅を続けるファンタジーだ。人間の血を求めるポーの一族は社会に拒絶され、時代を超えて各地を放浪することに。生きる道を見失ったエドガーは寂しさのあまり妹を一族に加え、後悔に苛まれる。対するアランは裕福な名家に生まれながらも母に愛されず、家の都合で結婚相手が決まる人生に嫌気がさしていた。やがて出会った二人は互いに強く惹かれ、支え合う。我々は生前どこにいて、死後はどこへ向かうのか。なぜ生きるのか──。この世に生まれし者が抱える根源的な問いが、自らの意に反して永遠の時を生き長らえなければならないバンパネラ一族の葛藤を通じて炙り出される。明日海はトップスター時代と変わらぬ艶かしい佇まい。ハリのある伸びやかな歌声で、エドガーの悲哀を立ち上げる。オペラグラスを覗けば、揺れ動く思いを表情に乗せる繊細な演技が見て取れた。彼女がつくり出す圧倒的な劇空間をより魅力的にしようと、ミュージカル初出演の千葉は懸命に追走し、時に重厚な低音を響かせる。映像の世界にいながら舞台に挑戦するその姿は、人間からバンパネラの“異世界”に飛び込んだアランと重なって見えた。発表時に話題となった金髪碧眼のビジュアルも抜群にハマっている。なおPIA LIVE STREAMでは、明日海(エドガーアングル)、千葉(アランアングル)それぞれに迫るライブ配信を実施。通常アングルでは映しきれなかったエドガーとアランの表情や仕草に迫り、新たな切り口で作品の魅力に迫ることができる。上演時間は約170分(休憩含む2幕)。公演は2月17日(水)まで、東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、23日(火・祝)〜28日(日)に愛知・御園座と巡演する。ぴあではGoToイベントキャンペーンのもと、ライブ配信のチケットを販売中だ。公演プログラムの郵送サービス付きチケットも。■PIA LIVE STREAM2021年2月7日(日)12:30開演回通常アングル2021年2月13日(土)12:00開演回エドガーアングル2021年2月13日(土)17:00開演回アランアングル2021年2月28日(日)12:00開演回大千秋楽取材・文:岡山朋代
2021年02月05日渡辺えりと八嶋智人が出演する『喜劇 お染与太郎珍道中』が、2月1日に開幕。これに先立ち、初日前会見とゲネプロが行われた。「喜劇 お染与太郎珍道中」の公演情報はこちら作家の小野田勇が喜劇俳優・三木のり平とタッグを組み、1979年に『与太郎めおと旅』として初演された本作。tsumazuki no ishiの寺十吾が演出を手がける今回は、恋人を追って京へ旅立つことになった米問屋の箱入り娘・お染(渡辺)と、その付き人となるドジで間抜けな手代・与太郎(八嶋)の珍道中が描かれる。表向きは“夫婦”として江戸を出発した旅路に、騒ぎが起こらぬわけもなく──。会見で見どころを問われた渡辺は「初めて娘役をやること」とコメント。「小さい時から太っていて声も低く、学芸会デビューは同級生のお母さん役でした」と続き、1991年に上演された『楡家の人びと』を思い出しながら「母と同い年である八千草薫さんの“ばあや”を演じて老け役ばかりでしたけど、年を重ねてから娘役が来るとは」と言って、報道陣を笑わせた。そんな渡辺と喜劇初顔合わせとなる八嶋が「稽古の最後には、えりさんが二十歳のお嬢様に見えて……どんどんかわいく思えてきた」と話すと、渡辺は「かわいいんだよ!もともと」と毒づいて息ぴったりの様子を覗かせる。自身は「三木のり平さんが演じた与太郎をやるので恐縮していますが、(在りし日の彼を連想させる)丸いレンズのメガネをつくって臨みます」と意気込んだ。この掛け合いを「稽古場でも珍道中のままですよ」と紹介する西岡徳馬は、お染与太郎と出会う堅物の浪人役。実娘(優妃)と親子役で初共演とあって「つい観察しては自宅でダメ出ししちゃいますね」と父親の顔を見せる。二人の珍道中を見守る鳶役の太川陽介は、緊急事態宣言下で旅番組のロケ中止を話題に挙げ、「収録現場に居合わせた方と触れ合えない日々が続きますが、この作品でお客さんの前に出られる幸せを感じています」と感謝の気持ちを伝えた。ゲネプロは一幕のみ公開され、お染・与太郎の旅を中心とする人情喜劇が展開。渡辺は低音ボイスで老け役続きだった過去とは一転し、麗しい声色で若々しさを立ち上げる。一方で、京へ向かった恋人を慕う気持ちを情感たっぷりに歌い上げ、客席を魅了した。日ごろツッコミ気質を謳う八嶋のおとぼけ与太郎ぶり、そして悪役・お役者小僧との二役対比にも注目したい。公演は2月17日(水)まで、東京・新橋演舞場にて。その後、2月21日(日)~27日(土)に京都・南座と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年02月02日2021年1・2月に上演される「よみがえる明治座東京喜劇 -ニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』全力応援!!-」。高田文夫の企画によって、舞台作品と寄席演芸(ゲスト日替わり)の2本立てで構成される本公演のうち、第一部の喜劇『こちとら大奥様だぜぃ!』の脚色・演出を手がけ出演する宅間孝行と、主演の田中美佐子が取材に応じた。高田の敬愛する三木のり平が打ち出した“笑い”を現代に蘇らせ、「東京喜劇」として観客に差し出そうと企画された本作。この東京喜劇を体現する者として高田が白羽の矢を立てたのが、笑って泣かせる人情喜劇を得意とする宅間だった。宅間は今回、のり平劇団の作家・小野田勇による『俺はお殿様』を大胆にアレンジ。主人公をとある藩主の“奥方様”に翻案し、放蕩三昧の夫(前川清)に愛想を尽かして城を飛び出した彼女の行く末をドタバタコメディーとして描き出す。落語から派生したストーリーには、のり平らしさが覗く。宅間は、本作のモチーフである「らくだ」や「松曳き」といった古典落語のおかしさを、どうやって現代人に伝えようか試行錯誤。その結果、「今の時代に江戸のエッセンスを乗せて爆笑をかっさらう噺家さんのスタンスを見習って、古典の中にあるオーソドックスな笑いをきちんと伝えたい」という境地にいたる。宅間作品のファンで長年彼の舞台を鑑賞してきた田中は、その魅力を「楽しく笑いながら観て、最後は泣ける」と捉え、宅間主宰のタクフェス『流れ星』(2019年)に主演した。演出家としての宅間は、笑いへの飽くなき探究心を覗かせる厳しい一面があるという。その姿勢は萩本欽一や志村けん、翻ってのり平にも通じるらしく「お笑いの師匠方ってしっかりとした“芝居”を求めるんです。その中で生まれる笑いはトレーニングを積み重ねた結晶なんですよ。だから奔放なアドリブのように見せることだってできるの。宅間さんの現場も同じでしたね」と振り返る。師匠方の近くで笑いの真髄を目の当たりにしてきた田中に宅間は絶大な信頼を寄せ、再び主演の座を託した。「美佐子さんは最初から全力で“アホ”に徹してくれるから、他のキャストも引っ張られてどんどんよくなるんですよ」「特に“顔”がね」と目配せすると、田中は「表情筋がどうなろうと構わないくらい必死ですから!」「でも実際はイヤよ?だって女優だもの」と即答し、報道陣の爆笑をさらった。公演は、2021年1月29日(金)〜2月14日(日)に東京・明治座にて。ぴあでは、座席指定できるチケットを販売中だ。取材・文:岡山朋代
2021年01月22日フォトグラファーの前山(@xxakaxxv)さんが撮影した写真に反響が上がっています。前山さんが岡山県を旅行した時のこと。不気味でホラーゲームに出てくるような場所にたどり着いたといいます。その写真をTwitterに投稿したところ、多くの人の背筋が凍ることとなりました。その写真がこちらです!岡山県を旅行しているとホラーゲームの世界に迷い込んでしまいました。 pic.twitter.com/cufwKSPPur — 前山 (@xxakaxxv) January 5, 2021 いや、リアルに怖すぎる…!ここは、かつて『鹿忍グリーンファーム』という施設で、廃業後に水没してしまったのだとか。葉が散った木や、怪しげな鳥たち、そして日没直後の空が恐怖をあおってきます。前山さんいわく、鳥の鳴き声だけが響いていて、とても不気味だったようです。投稿にはさまざまなコメントが寄せられていました。・岡山県にこんなところがあったなんて知らなかった。・窓の汚れが人に見えて怖い。恐ろしすぎる。・怖すぎます。こんな風景が本当にあるなんて…。1人じゃ歩けない。晴れている日には、また違ったように見えるのだとか。1人で道に迷った時に、このような場所にたどり着いたらトラウマになってしまいそうなぐらい怖いですね…![文・構成/grape編集部]
2021年01月08日2月に上演される『喜劇 お染与太郎珍道中』で“ワケあり夫婦”に扮する渡辺えり・八嶋智人。過去に共演経験はありながらも“喜劇初顔合わせ”となる二人に、稽古前の思いを語ってもらった。作家の小野田勇が喜劇俳優・三木のり平とタッグを組み、1979年に『与太郎めおと旅』として初演された本作。tsumazuki no ishiの寺十吾が演出を手がける今回は、恋人を追って京へ旅立つことになった米問屋の箱入り娘・お染(渡辺)と、その付き人となるドジで間抜けな手代・与太郎(八嶋)の珍道中が描かれる。表向きは“夫婦”として江戸を出発した旅路に、騒ぎが起こらぬわけもなく──。バラエティ番組での仲の良い姿が印象的な二人は、日ごろから出演作をチェックしあうなど役者として互いを尊敬しあっている。かつて、三木のり平とドラマで共演をしたことがあるという渡辺が「のり平さんは、ご自分が率先してバカやって周りを生かして笑わせる、とても面白い方でした。八嶋さんにとっては、かなりの挑戦となる役に巡り会えたのでは」と言うと、八嶋は「俳優として新たな何かを得られる予感にワクワクします」と述べた。お染を演じるにあたって、渡辺は『与太郎めおと旅』で同じ役を演じた故・京塚昌子について、「日舞など何をなさっても素晴らしい芸達者な女優さんでした。それらを全て封じて大らかな存在感で観客を魅了していらっしゃった」と思いを寄せる一方で、「私は体重を利用して人を踏み潰すようなシーンもあるので多分かなり動き回らなきゃ」といって八嶋と取材陣を笑わせた。江戸の香りが残る東京喜劇こと“のり平芝居”にどう向き合うか尋ねると、八嶋は「現代に生きる関西人の僕にとって、のり平さんが演じていらっしゃった当時の“粋”を体現することは大きなハードルになりそう」とコメント。「内包された怒りや悲しみまで昇華していく東京人の粋な笑いは一朝一夕に身につけられるものではない」と背筋を伸ばす。一方で「普段はツッコミ気質だから、与太郎みたいなおとぼけキャラを演じるのは難しいですが、とても楽しみ」とも。“コロナうつに笑いは良薬”とばかりに「とにかく笑わせたい」と語る渡辺。古代ギリシャの医師たちが演劇を医療として用いていたエピソードに触れながら「お客さまや私たち演劇人が受けた傷を喜劇の力で癒すことができれば」と意気込む。その話にうなずく八嶋も「コロナが流行し始めた頃は不謹慎だと思う方もいらっしゃったかもしれない“喜劇”も、今はお客さまに必要としていただいている」と続き、「スタッフの皆さんの努力で、万全な感染予防対策でお迎えする劇場で、安心して楽しい時間を過ごしてもらえたら」と語った。公演は、2021年2月1日(月)~17日(水)に東京・新橋演舞場で。その後、2月21日(日)~27日(土)に京都・南座と巡演する。12月26日(土)10:00からチケット発売。取材・文:岡山朋代
2020年12月25日横山裕(関ジャニ∞)が主演し、大根仁が演出する『マシーン日記』。この話題作にキャスティングされた森川葵に、稽古前の思いを尋ねた。大人計画の松尾スズキが、岸田國士戯曲賞を獲得する前年(1996年)に外部プロデュース公演として書き下ろした本作。4度の松尾演出版がある中で、今回は松尾がクリエイターを指名し、自身の過去作を“新演出”で蘇らせるシリーズの一環として展開される。今回の演出は、映像ディレクターの大根仁。なお大根は、2003年に放送されたTVドラマ『演技者。』の中で本作の演出を手がけた経験が。今回は舞台を客席で取り囲む“センターステージ”での上演形式を予定している。小さな町工場を舞台に、男女4人のおかしくも切ない愛憎劇が繰り広げられる──とあって「濃密な四人芝居は初めてですし、今までやってきた仕事に比べて大きく分厚い壁になりそう」と戦々恐々の森川。だが「芸能生活10年を経て、見える景色を変えてみたかった」「この作品に挑戦することで自分を打破できるかも」と新たなステージへ飛び出す覚悟を口にする。森川が演じるのは、横山扮する主人公・ミチオの兄嫁・サチコ。町工場に隣接するプレハブ小屋に監禁されているミチオに強姦された過去があり、ミチオの兄で工場経営者の夫・アキトシ(大倉孝二)はその責任をとってサチコと結婚した。そこへサチコの中学時代の担任だったケイコ(秋山菜津子)がパート従業員としてやって来たことから、奇妙な日常はますますこじれていき──。このストーリーに「台本と映像で受ける印象が異なって驚いた」と話す森川。戯曲を紐解く限り、行動原理がわからないキャラクターやハードな設定に「気持ちが沈んだ」ものの、2013年の上演版や大根の演出したドラマ版の映像を観て「すごくおもしろい」と感じたそう。「間合いやセリフの発し方ひとつで、こんなに笑えるんですね!」と役者の持つ力を実感する。そんな劇世界の一員になるには、唯一の舞台経験である『ロミオとジュリエット』(2018年)の稽古場における「反省点を活かしたい」と考える。「芸達者な先輩に甘えていた前回は“いる”だけでジュリエット役が成立したけれど、今回は私からも積極的にコミュニケーションを図って作品に貢献できたら」とコメント。特に『カリギュラ』(2019年)を観ての存在感に圧倒された秋山の胸を借り「たくさん勉強させてもらいたい」と意欲を覗かせた。公演は、2021年2月3日(水)~27日(土)にて東京・Bunkamuraシアターコクーン、3月5日(金)~15日(月)に京都・ロームシアター京都 メインホールにて行われる。取材・文:岡山朋代ヘアメイク:牧田健史スタイリング:武久真理江衣装協力KEYCOROSE BUDSTACCATOAtelier elsumiiro
2020年12月25日榊原郁恵、深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみらを輩出したオーディション『ホリプロタレントスカウトキャラバン』(以下:TSC)。「ホリプロ60周年記念企画」と冠された第44回の決勝大会が12月12日に東京・新国立劇場 中劇場にて行われ、グランプリに愛媛県出身で千葉県在住の中学2年生・山﨑玲奈さん、17LIVE賞に京都府出身の高校3年生・佐竹桃華さん(以下:敬称略)が選ばれた。「未来のキング&クイーンを探せ!」をタイトルに、世界に羽ばたく次世代の“ミュージカルスター”を探す試みのもと開催されたTSC。今回は史上初となるプロダクション二部(マネジメント事業部)とファクトリー部(公演事業部)の共同主催となり、9月のエントリー期間には国内外から19,115通の応募が寄せられた。グランプリを選ぶ決勝大会のステージには、リモート審査・対面での地方予選・合宿選考などを通過した小学6年生〜大学2年生の男女10人が並ぶ。審査員には、鴻上尚史・宮本亞門ら7人が名を連ねた。参加者を見守るTSCスペシャルアンバサダーの市村正親は「審査員の皆さんは一人を選ぶと言っていますが、僕は全員にグランプリをあげたい」とコメント。緊張の面持ちだった10人を和ませる。最初のダンス審査で用いられたのは、映画『The Greatest Showman』のオープニングを飾る「The Greatest Show」。参加者は2人一組で、サビ前から曲調が変化するこのナンバーの特徴に合わせたパフォーマンスで客席を魅了する。ソロパートでは柔軟性をアピールする猛者も。続く演技審査では、戯曲化された辻仁成の青春小説『ピアニシモ』の一部をダンス審査と同じコンビで演じた。同一シーンが5回繰り返されたものの、解釈が千差万別で観客を飽きさせない。MCの登坂淳一と唯月ふうかによれば「それぞれ組んだ相手と話し合って演出した」という。見どころは、一人ずつ行われたラストの歌唱審査だった。課題曲として設けられたミュージカル『ヘアスプレー』の代表ナンバー「You can’t stop the beat」は、ブレスが難しいほどリズムが畳みかける楽曲。終盤は高音を響かせるパートも用意される中、参加者それぞれが持てる能力の最大限を出し切ったパフォーマンスに心が揺さぶられる。グランプリを獲得した山﨑はこのナンバーを難なく歌い上げ、審査員の宮本から「あなたスゴかったね!初めて聞いて全身鳥肌立ったよ」と絶賛されていた。すべての審査を終えたあと、栄冠に輝いた山﨑は記者会見で「すべての審査を思いっきり楽しんでグランプリが獲れたので心から嬉しい」と述べ、度胸を見せつけた。2019年のミュージカル『アニー』ではタイトルロールを務め、公演中止となったミュージカル『スクールオブロック』では優等生のサマー役にキャスティングされていた実力派。今後は「『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役や、映画やドラマでも活躍できる女優さんを目指したい」と抱負を語っていた。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日福士誠治が演出を手がける『おっかちゃん劇場』の開幕が迫る。初日を約10日後に控えた稽古場を訪ねると、初の通し稽古に臨むキャストが濃密な劇世界を構築していた。2016年に上演された福士の演出デビュー作『幽霊でもよかけん、会いたかとよ』に続いて、“家族の物語”が展開される本作。脚本・金沢知樹とのタッグも続投され、若年性アルツハイマーを患う母とその娘たちを中心とする人間模様が繰り広げられる。出演者は、田中麗奈、 若月佑美、駿河太郎、おおたけこういち、清水優、いのさわようじ、向野章太郎、渡辺哲が 名を連ね、福士と金沢も参加している。取材日、福士は自身が演じる街の電気屋を代役に託して演出に専念していた。荒通しに望む前には、姉妹の長女・好香(このか)に扮する田中に演技指導するひと幕も。終盤のキーアイテムとなる“レコード”の取り扱いについて「発作的に生じた感情を動きに表して欲しい」といって緻密に実演してみせると、田中は大きく頷いていた。「さぁ、行きましょうか!」という福士のかけ声で荒通しはスタート。稽古場には長崎のとある田舎町にある食堂の美術セットが組まれ、父の亡きあと、店を切り盛りする母・菊枝が帰宅した小学生の好香を迎え入れるプロローグが展開される。親子による在りし日の微笑ましい記憶が丁寧に描かれるからこそ、母の発症後に変わってしまった家族の形がより一層浮かび上がる。将来の夢を諦め、高校卒業後に一家の大黒柱として店で働くようになった好香。田中は、母の介護に心身を張り詰めた諦念を落ち着いた声音に滲ませる。一方で、思うようにコミュニケーションを図れなくなった母がある日よどみなく喋り出したことをきっかけに「お母さんともう一度話したい」という切実な思いが溢れ出す。妹をはじめ、幼なじみや従兄弟らの協力で母に働きかけると不意に幕を開ける“おっかちゃん劇場”。母を演じる渡辺は、病の影響で乏しくなった表情から一転する厳しくも温かい肝っ玉母さん像を見事に体現する。若月は、好香と正反対の性格で素直になれない妹の屈託をリアルに立ち上げ、姉妹の成長物語に貢献した。好香に想いを寄せる幼なじみに扮する駿河のコメディリリーフぶりは本作の清涼剤となろう。公演は12月23日(水)~30日(水)に、東京・本多劇場にて。ぴあでは、座席選択できるチケットを販売中だ。またPIA LIVE STREAMでは、27日(日)13:30開演回のライブ配信を実施。31日(木)23:59までアーカイブ配信を視聴できる。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日“いま”の空気をキャッチし、時代の感情を鮮やかに表現する詩人・最果タヒの作品展示に注目が集まっている。展覧会の名は『最果タヒ展われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』。東京・渋谷パルコ4階 パルコミュージアムトーキョーでの会期スタート前日に行われた報道内覧会の様子をレポートする。「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」チケット情報20代で現代詩手帖賞、中原中也賞を獲得して以来、ツイッターでの作品発表、詩集の映画化(石井裕也監督作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、作詞提供、ホテルとのコラボレーションなど幅広い活動で知られる最果。本展では、詩になる“直前”の言葉が集められた8つの展示空間を通じて、来場者が主体的に詩を体感できるインスタレーションが展開される。特に圧巻だったのは、会場で最大の展示面積を占める《詩になる直前の、渋谷パルコは。》だ。天井から吊るされた無数のモビール群にはそれぞれ脈絡のない断片的なワードが連なっており、来場者は揺らめくモビールを分け入りながら鑑賞する。まるで言葉のシャワーを浴びているような感覚に陥る一方で、展示内を歩き回ると自然と目につき琴線に触れてくる語は限られることに気づく。筆者は、離れた場所にあった「銭湯に行くと、誰もがすこし生まれ変わって」と「みんなあなたに恋をする。」を結びつけたところ、無性にサウナへ行きたくなった。偶然に身を委ねて詩を“自作”するもよし、「これ」という一編を目指してモビールを“厳選”するもよし、他者と一緒に見知らぬ言葉と“遭遇”して語らうもよし。いずれにせよ展示に積極的に関わることは、最果の「作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしい」という願いに寄り添った鑑賞姿勢といえるだろう。このほか、スマートフォンで詩をつくる過程をキャプチャ録画した《詩っぴつ中》では、作品が誕生する瞬間を動画で追体験できる。円環状に綴られた《ループする詩》は、鑑賞者の視界に入った言葉から詩をスタートさせる試み。語順を気にすることなく、倒置法や体言止めで詩は成立するという自由度の高さを実感するだろう。本の背表紙に書かれた言葉を一行とし、棚ごとに一編の詩をなす《詩ょ棚》と同じ空間には《座れる詩》が。丸い椅子に腰かけると詩の朗読が聞こえてくる趣向だ。どの展示も感覚を研ぎ澄ませながら堪能したい。2021年2月13日(土)~28日(日)に愛知・名古屋パルコ西館6階 パルコギャラリー、3月5日(金)~21日(日)に大阪・心斎橋パルコ14階 パルコイベントホールを巡回する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日宝塚歌劇花組で舞台化され、好評を博したミュージカル・ゴシック『ポーの一族』が来冬に蘇る。主人公エドガー・ポーツネル役を続投する明日海りお、今回新たにキャスティングされた千葉雄大、そして宝塚版に続いて脚本・演出を手がける小池修一郎の3人に話を聞いた。萩尾望都の人気マンガ『ポーの一族』を舞台に──と30年以上も企画を温め続けた小池によって2018年にミュージカル化され、再演が決定した本作。永遠に年を取らずに生き永らえるバンパネラ(吸血鬼)の一族となったエドガーが、千葉演じる少年アラン・トワイライトらを仲間に加え、孤独や哀しみを滲ませながら時空を超えた旅を続けるファンタジーだ。原作さながらのビジュアルと巧みな表現力が話題となった宝塚版を経て、「明日海エドガー復活を」という願いは小池と萩尾の共通項となった。2019年11月に退団し、代表作ともいえる『ポーの一族』で舞台復帰を迎える明日海は「永遠のお別れをしたはずのエドガーに、また巡り合えて嬉しい」と笑顔を見せ、「初演時に萩尾先生から頂戴した“夢のようでした”という言葉を糧に、その続きをご覧いただけるよう精進したい」と意気込む。ミュージカル作品に初挑戦となる千葉は、今から歌やバレエのレッスンに励むなど稽古前から準備を欠かさない。「恐れるもの、失うものは何もない」と新たなチャレンジに潔さを見せた千葉に対して、明日海は「シャッター音のたびにどんどん表情を変えて、活き活きとしたアランをつくり出していらっしゃいました」とビジュアル撮影時のエピソードを紹介。小池は「数多の中から選ばれし者の魅力を見せつけられました」と撮影での印象を振り返った。ストーリー展開も脚色も、宝塚版を活かして構成される本作。初演と異なるポイントを尋ねると、小池は「宝塚歌劇の華麗な虚構から離れ、男女キャストが織り成すリアルな世界で躍動する登場人物をご覧いただければ」と呼びかける。さらに「今度は現実の中に夢が入ることになる明日海エドガーと、千葉アランの未知なる初ミュージカル挑戦を楽しみにしている」とキャスト2人に期待を込めた。公演は2021年1月11日(月・祝)~26日(火)に、大阪・梅田芸術劇場 メインホールで。その後、2月3日(水)~17日(水)に、東京・東京国際フォーラム ホールCと巡演する。チケットの一般発売は、大阪公演が2020年12月12日(土)10時、東京公演が19日(土)10時にスタートする。取材・文:岡山朋代
2020年12月18日大竹しのぶが、古典劇『フェードル』再演に挑む──。義理の息子に対する狂おしい恋情に身を焦がすタイトルロールを続投するにあたって、ユーモアを交えつつ心境を語ってくれた。17世紀フランスの劇作家ジャン・ラシーヌが、ギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』から想を得て創作した本作。アテネ王テゼの妻フェードルが抱く、義理の息子イッポリットへの禁断の想いや愛憎が描かれる。『ピアフ』で知られる主演・大竹と演出・栗山民也のタッグによって上演された2017年版で大竹は圧巻の演技を見せ、紀伊國屋演劇賞個人賞を獲得した。悲劇へ向かうキャラクターを際立たせるセリフの数々、ほとばしる破滅的な激情の応酬に、折に触れて「演劇の“原点”を感じられる作品」とその魅力を挙げてきた大竹。一方で「役者の声と肉体だけで登場人物の感情を増幅させ、同時に作品世界も成立させなきゃいけない」として、「自分の内側から言葉を発し、マグマのようなエネルギーをたぎらせて相手役に向き合わないと」と背筋を伸ばす。再演となる今回、フェードルから強い想いを向けられるイッポリットには、大竹&栗山と初顔合わせの林遣都がキャスティングされた。一挙手一投足を緻密に定める栗山の指導に「言う通りに動くと役がスッと降りてきて、すっごくおもしろくなるの!」と全幅の信頼を寄せる大竹は「初めての方は絶対、栗山さんの演出が勉強になります」「私にできるアドバイスならどんどん答えていきたいなぁ」と若い才能を率いる座長としての顔も覗かせる。神話的世界が見え隠れする一見難解な古典劇のセリフも、大竹によれば「人智を超越した力をもらえる感覚なんですよね」──。シェイクスピアの独白ゼリフが精神科の治療として使われていた過去を例に挙げつつ「あの特徴的な古典劇の長ゼリフには、人間を元気にする力が宿っているんじゃないかな」と考える。ギリシャ悲劇と言うと難しく感じるが「おばさんが、若い男の子を好きになって、でもその子はやっぱり若い女の子が好きで『あー、悔しい。何とかしよう』というシンプルなストーリーと思ったら笑えませんか?」と大竹。最後には「とにかく情熱的なフェードルの生き方を観て、最後に『あー、面白かった』ってスッキリしてもらえたら嬉しいです」と語り、インタビューを結んだ。公演は2021年1月8日(金)~26日(火)に、東京・Bunkamura シアターコクーンにて。その後、2月に地方巡演が予定されている。取材・文:岡山朋代
2020年12月10日熊川哲也 Kバレエ カンパニー Winter 2020『くるみ割り人形』が開幕。ひと足早くゲネプロを鑑賞した。芸術監督の熊川による演出・振付で2005年に初演され、レパートリーとなった本作。クリスマスシーズンに世界中の劇場で上演される風物詩にして定番といえる古典を、熊川版では再構成。豪華絢爛な美術がダイナミックに転換されていく効果で、壮大なスケールのファンタジーな冒険譚が立ち上がる。ゲネプロは、人形のマリー姫がねずみに翻弄される紗幕越しのシーンで幕開け。人形の国と領地を争っているねずみ国の王様は魔法で、マリー姫をねずみに・彼女の婚約者である王子をくるみ割り人形に変えてしまう。一方、人形の国王から命を受けたドロッセルマイヤーは呪いを解くための硬いくるみを割れる純粋な人間を探す旅へ。そこで出会った少女クララを待ち受けるものとは──。一幕の見どころは、人間のクララを人形の世界へ連れ出そうとするドロッセルマイヤーの鮮やかな手さばき。サイズの異なる人形と人間の世界を対比させるため、大広間のクリスマスツリーが巨大化する様子に目を奪われた。チーズ砲をはじめ、ツリーの麓で繰り広げられる人形vsねずみの大戦争の描写もユニークだ。一転、クララ・くるみ割り人形・ドロッセルマイヤーのパ・ド・トロワが終わり、青い幕が降りると舞台上は一面の銀世界に。粉雪の中で幻想的に舞い踊る雪の精たちの姿に、思わず息をのんだ。クララに助けられ、本来の姿を取り戻したマリー姫と王子は、祝祭ムードの中でグラン・パ・ド・ドゥを踊る。作品のクライマックスを飾るこのデュエットを取材日に繰り広げていたのは、毛利実沙子と高橋裕哉。クララ役の河合有里子が振りまくピュアな魅力に対して、堂々と成熟したステップで客席を魅了した。ドロッセルマイヤーに扮したのは、杉野慧。不思議な力で物語を動かす、ミステリアスな存在感を見せつけた。なお現在、熊川が本作について語るコメント動画が公開されている。バレエ界の“アイコン”ともいえる『くるみ割り人形』を「絶対に毎年やらなければならない、マストな公演」と語る理由を聞き届けよう。コロナ禍においてこの作品が果たす役割を、改めて見つめ直してみては。公演は12月2日(水)~6日(日)に、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて。ぴあでは、座席指定できるチケットを販売中。なお、小林美奈(マリー姫)・栗山廉(くるみ割り人形 / 王子)・吉田このみ(クララ)・宮尾俊太郎(ドロッセルマイヤー)のキャスティングで上演される5日(土)17:00開演回はオンラインでの生配信も。PIA LIVE STREAMから翌日17:00までアーカイブ視聴できる。取材・文:岡山朋代
2020年12月03日ミュージカル『17 AGAIN』の製作発表が行われ、主演の竹内涼真をはじめ、キャストのソニン、エハラマサヒロ、桜井日奈子、有澤樟太郎、水夏希、翻訳・演出の谷賢一が登壇した。ザック・エフロンが主演したコメディ映画『セブンティーン・アゲイン』(2009年)が、マルコ・ぺネットの脚本、アラン・ザッカリーとマイケル・ウェイナーによる作曲・作詞でミュージカル化される本作。世界初演となる今回の上演版では、“負け組”としての人生を甘んじて受け入れていた35歳の男がバスケットボールのスター選手だった17歳の姿に戻り、家族の絆を取り戻そうと奮起する姿が描かれる。製作発表の冒頭で、主人公のマイクとして歌唱パフォーマンスを披露した竹内。約190人の一般オーディエンスを前に、まず女性アンサンブルと「#brandnewday」をハツラツと歌い上げた。ソロナンバーの「The Greatest Prize」ではパワフルな歌声を響かせながら、明るく前向きなメッセージを観客に届ける。本作が初舞台となる竹内は、会場となったZepp Tokyoの広さに驚き「ステージ空間をどう活かしながら歌えばいいか……」とビギナーならではの率直な感想を明かすと、妻スカーレット役のソニンは「(ミュージカル経験者の)私たちですら稽古が始まっていない状態での歌唱は緊張するのに、素晴らしかったです!」と絶賛。「人生で一度きりの初舞台って“勢い”という武器になると思います」と竹内にエールを贈った。17歳に戻ったマイクが通う高校の校長マスターソン役を務める水も「これまで映像の世界で培ってきたご経験が、舞台上でリアリティを出すにはすごく重要」と竹内に視線を送りつつ、「芝居のハートを持っていらっしゃる竹内さんが舞台空間の使い方を手に入れたら無敵ですよね!」と温かく語りかける。娘マギーを演じる桜井が実際にあった反抗期のエピソードを明かすと、竹内は「娘に疎まれる父マイクに説得力を出すためのヒントになりますね」と反応。それぞれが竹内に持ち寄れる知恵を授ける中で、親友ネッド役のエハラは「とにかく大きな声とオモロい顔!」と強調し、会場全体を和ませた。マイクの天敵となるマギーの彼氏スタンに扮する有澤は「物語をかき乱す役なので、竹内さんと張り合えるよう心身を鍛えたい」と抱負を述べる。一連のやり取りを見守っていた谷は、本作の魅力を「身近な存在の価値を再発見し、自分が大切なものをたくさん持っていたことに気づかせてくれるようなハッピーな作品」と紹介し、会見を結んだ。公演はまず5月16日(日)~6月6日(日)に、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて。その後、7月にかけて兵庫・佐賀・広島・愛知と巡演する。取材・文:岡山朋代
2020年12月02日岡山県にあるJR西日本・岡山駅のシンボルといえば『桃太郎像』。キジ、サル、犬を連れて凛々しく立っているのが印象的です。毎年冬になると、桃太郎像にイルミネーションが施され、いつもと違う姿を楽しませてくれます。しかしこのイルミネーション、一部では「超絶ダサい」とささやかれているとか…。2020年11月、ぴよ(@Ruipiyopiyo)さんは桃太郎像のイルミネーション写真を投稿しました。「例年を上回る」と反響を呼んだ、こちらの1枚をご覧ください。そういえばダサいで有名な岡山駅イルミネーション今年は桃太郎の頭上でミラーボールが回ってkeep onしてた pic.twitter.com/Su1GS7Ao27 — ぴよ@砂糖 (@Ruipiyopiyo) November 23, 2020 桃太郎の頭上に輝く、ミラーボール…!鬼退治の際、もしこんな姿で桃太郎が登場したら、鬼もびっくりするでしょうね。ネット上では、さまざまなコメントが寄せられました。・吹いた。我が地元、さすがです。・鬼もざわつくダサさ。嫌いじゃない。・ダサい…!声を出して笑いました。見に行きたいです。・一周してかっこいいですよ!ミラーボールに照らされた桃太郎一行は、多くの人を楽しませているようです。ちなみにぴよさんは、桃太郎像を見て『ハロー!プロジェクト』所属のアイドルグループ『Juice=Juice』の曲にぴったりだと思ったとか。興味のある人はチェックしてみてください!なんかバズってるので勝手に宣伝ミラーボールが似合う曲といえば、Juice= JuiceのKEEP ON 上昇志向!!手の角度も少し振り付けに似てるので一緒にきーぽんしたいですねJuice=Juice『KEEP ON 上昇志向!!』(Juice=Juice [KEEP ON: The Ambition to Succee... @YouTube より— ぴよ@砂糖 (@Ruipiyopiyo) November 25, 2020 [文・構成/grape編集部]
2020年11月27日仏・アヴィニョン国際演劇祭やシャイヨー国立舞踊劇場で完売となったダンス公演、フランソワ・シェニョー&ニノ・レネ『不確かなロマンス―もう一人のオーランドー』が日本へやって来る。ダンサー・歌手・振付家・歴史研究家と多彩な顔を覗かせるシェニョーと、造形作家・映像作家・音楽家のレネ。ジャンルを超えて結びついた二人が4年もの歳月をかけて研究し、共同演出した本作は、2017年9月にスイス・ジュネーブにて初演された。その後、上演を重ねるうちに観客から「現代へ“オペラ=バレエ”を蘇らせたような傑作」と言われるように。全三場で構成されるシーンにはいずれもスペインを舞台に、①男装の少女戦士、②詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカの作品でも知られる両性具有の聖ミカエル、③アンダルシアのジプシーといった不確かなジェンダーの3人が登場する。これらに扮するのは、シェニョー本人。男声はもちろん、かつてのカストラート(去勢された男性歌手)を想像させる女性的な声で歌いながら、フラメンコやバロックダンス、民族舞踊などを交えて舞い踊る。彼の足元は、竹馬やハイヒールによって常に不安定だ。そのめくるめく性を越境する様子は、サブタイトル“もう一人のオーランドー”にもあるように、トランスジェンダーである美貌の青年貴族を主人公としたヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』をイメージさせる──という意見も。外見とアイデンティティを変容させながら見事なソロダンスと歌唱を繰り広げる、シェニョーの表現力を見届けておきたい。テオルボ/バロックギター、バンドネオン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、パーカッションの編成による4人のプレイヤーが、レネが編曲を手がけた音楽、特に400年の歴史を持つスペイン音楽の生演奏を披露することも本作を堪能するポイントのひとつだ。各時代の特徴的な音色をバックに展開されるシェニョーのパフォーマンスで、時間と空間を超える“旅”に出かけてみては。公演はまず、12月19日(土)に埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて幕開け。その後、21日(月)に京都・ロームシアター京都 サウスホール、23日(水)に福岡・北九州芸術劇場 中劇場と巡演する。チケット販売中。文:岡山朋代
2020年11月27日鈴木仁が、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『オレステスとピュラデス』に出演する。これまで雑誌モデルや映像をメインに活動してきた鈴木にとって初めてとなる、舞台作品への挑戦。開幕を約2週間後に控え、稽古に励む現在進行形の思いに耳を傾けた。杉原邦生がKAATで演出してきたギリシャ悲劇シリーズの最終章として、『オイディプスREXXX』『グリークス』に続いて上演される本作。瀬戸山美咲が台本を手がける今回は、太陽神アポロンの神託を受け、母親殺しを行ったオレステスの行く先が“新たな”ギリシャ悲劇として創作される。劇中では、復讐の女神による呪いから解放されようとタウリケに向かうオレステスと、その親友ピュラデスの旅路がロードムービー的に展開。二人の若者が、冒険によって成長する姿が描かれるという。今回、タイトルロールのオレステスを演じる鈴木は「初舞台でいきなり主人公をやることになるとは……」と臆しつつも、旅の相棒となる親友ピュラデス役に濱田龍臣がキャスティングされたことに心強さを感じている様子。ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(2018年)など、3度にわたって共演している濱田に対して「親友同士を演じるのに、もともと龍臣を知っているのは大きなアドバンテージ」「稽古でも無理せず、自然と息が合うタイミングがあって安心できる」と心を寄せた。初めて臨む稽古に対しても「その場で瞬間的に生まれたアイディアを大切にする邦生さんの演出に乗って、キャストの皆さんが台本上で未知数だった余白をどんどん満たして、作品を豊かにしていく過程が本当にすごいんです!」と興奮まじりに観察する。特に、趣里と大鶴義丹に対しては「瞳の色を変えてお一人あたり“5役”を演じられる姿に、ぜひご注目ください」と華を持たせた。頼りになるキャストやスタッフに囲まれ、オレステス役をどのように立ち上げようとしているか──。最後にそう尋ねると、鈴木は「これまで自分の信じる価値観だけで生きてきたオレステスが、旅での出会いやピュラデスの存在を通じて世界を広げていく姿を見届けていただければ」とコメント。図らずもオレステスの冒険譚は、鈴木自身の俳優としての成長とも重なりそうだ。公演は11月28日(土)~12月13日(日)に、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年11月24日成河の一人芝居『フリー・コミティッド』が、11月13日に東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERで開幕した。ベッキー・モードが脚本を手がけた本作は、米・オフブロードウェイで1999年に初演されたコメディ。マンハッタンの人気レストランで予約受付係として働く売れない俳優のサムが、次々にかかってくる電話に翻弄される様子を描く。2018年に千葉哲也の演出、成河のキャスティングで上演された本作が、Withコロナにおいて“究極のソーシャルディスタンス”を実現した一人芝居として蘇る。クリスマスを控えたある日、出勤したサムは同僚の遅刻によって業務のすべてを一人で背負う羽目に。オーバーブッキングな上に「このテーブルでないとイヤ」と一方的に指定するセレブからの無茶なオーダーをはじめ、パワハラ気味のシェフ、事なかれ主義のスタッフによる内線で、サムはタイトル通り“Fully Committed(全力投球)”の大忙し。なかなか来ない最終オーディションの連絡を待ちわびながら、帰省を待つ故郷の父や予約トラブルの対応を目まぐるしくこなし、彼の苛立ちはピークに達して──。ステージ中央にはレストランの予約端末2台、上手に厨房・ホール、下手にシェフのオフィスと繋がる内線3台が設置されている。地下の予約オフィスにベルが鳴り響く中、成河は終始電話の間を汗だくで全力疾走。サムに扮する一方で、同時に電話の話し相手である社交界の夫人、日本人観光客、ボーイ長の女性ストーカー、そして猫にいたるまで30以上もの役を、声色や口調を変幻自在に操りながら演じ分ける。ストーリーは、サムと電話相手の掛け合いを軸に進む。取材日だった初日に客席から大きな笑い声があがったのは、VIPのダブルブッキングをシェフとホールスタッフから非難された彼が己に非のないことを証明した瞬間。成河は、開き直ったようにガッツポーズを取り、ふんぞり返って予約電話に応じるサムを体現し、観客を沸かせた。サムの心情を吐露するモノローグは登場しない。しかし、父や兄、マウントを取ってくる役者仲間との会話を通じて、予約係の仕事に忙殺され、うまくいかない俳優業に対する苦しみが覗く。成河は多彩な表情と仕草で、サムの内面までも舞台上に立ち上げた。上演時間は約110分(休憩なし)。公演は11月30日(月)まで。なお、アフタートークが16日(月)14時、21日(土)18時開演回で実施されるほか、16日(月)14時と千秋楽の30日(月)14時開演回にはPIA LIVE STREAMでライブ配信が実施される。アーカイブ配信は、各回の開演時間から24時間後まで視聴できる。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年11月16日現在上演中のミュージカル『プロデューサーズ』において、開幕2日目の公演を観劇する機会に恵まれた。1968年の映画をもとに、2001年に米ブロードウェイで舞台化された本作は、トニー賞12部門で最優秀賞を獲得した大ヒットミュージカル。英ウエストエンドなど世界各国で上演を重ね、05年にはブロードウェイのオリジナル主演キャストによる映画も製作された。 “史上最低”のミュージカルをつくってボロ儲けを狙うプロデューサーコンビの顛末が、今回の日本版では福田雄一の演出によってコミカルに描かれる。破産寸前で落ちぶれ気味のプロデューサーこと主人公マックスを演じるのは、井上芳雄。彼に巻き込まれながらもタッグを組む気の弱い会計士レオを、ミュージカル初挑戦の吉沢亮と、米ニューヨーク留学帰りの大野拓朗がWキャストで演じる。取材日は“大野レオ”の初日だった。失敗作ほど利益を生む──と帳簿から確信したマックスとレオは、ナチス・ドイツの指導者アドルフ・ヒトラーを愛するフランツ(佐藤二朗)が書いた荒唐無稽な「ヒトラーの春」を脚本に選ぶ。演出にロジャー(吉野圭吾)と助手カルメン(木村達成)というクセ強めのゲイカップルを迎えると、マックスは出資者を募るためにホールドミー・タッチミー(春風ひとみ)ら資産家の老婦人から色仕掛けで小切手をかき集める。小賢しくもどこか憎めないマックスを、井上はユーモアたっぷりに演じる。二幕で会計上の不正が警察に見つかり投獄された彼が、これまでの計画を回想すべく歌とダンスで一人“高速”ダイジェストを繰り広げるパフォーマンスは見どころだ。ひたすらボケ倒す登場人物をすべて受け止める、ウィットに富んだツッコミにも注目したい。大野は、周りの“濃い”キャラクターに翻弄されるレオを表情巧みに造形。特に、英語の話せない女優志望ウーラ(木下晴香)のセクシーな魅力に抗えず、悩殺される様は前方席であってもオペラグラス持参でチェックされたし。コミカルな一面以外にも、伸びやかな高音が甘く優しく響く歌声はプリンス然としており、スマートかつ無邪気なレオ像を印象づけた。この日のカーテンコールは、カンパニーの中で唯一初日を迎えた大野を祝福するムードに突入。MCと化した井上からコメントを求められると、ゲネプロの機会がなく「初めて通しました!」と明かす大野に観客から大きな声援と拍手が送られた。約1年半ぶりという舞台出演、留学を経てパワーアップした彼の雄姿を見届けに劇場へ足を運んでみては。上演時間は約190分(休憩含む2幕)。公演は12月6日(日)まで、東京・東急シアターオーブにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年11月11日『両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)』の制作発表記者会見が行われ、主演の伊藤健太郎をはじめ、キャストの大鶴佐助、大原櫻子、紺野美沙子、りょう、作・演出の青木豪が登壇した。明治座・東宝・ヴィレッヂのプロデューサー3人による「三銃士企画」の第1弾として上演される本作。1989~90年に連載された岡野玲子の相撲マンガを青木が舞台化し、音楽を和田俊輔、振付を梅棒、主題歌をデーモン閣下が手がける。バブル期だった原作の時代背景に対して、青木いわく今回は「新型コロナ問題が起きなかった架空の2020年」──。荘厳で神秘的な角界が、歌にダンス、そして“相撲”を交えながら「1990年代にフィーチャーしたパラレルワールド的な世界観」でポップに描かれる。伊藤が演じるのは、痩せ型で美形の力士・昇龍(しょうりゅう)。全裸に一本のまわしを抱えた話題のビジュアルをもとに、記者から体づくりについて問われると「まわし姿が舞台映えするような体に仕上げたい」と意気込む。そのため、ジム通いで筋肉痛になっている日常を明かしつつ「このまま筋肉を鍛え、きちんと食事を摂ることで今68kgくらいの体重を72kgまで増やしたい」と目標を掲げた。これに「じゃあ僕は(太って見えるように)襦袢を付けて……」と答えたのは、昇龍のライバルであるぽっりゃり型の力士・雪乃童(ゆきのわらべ)役の大鶴だ。コメントを受け、伊藤は笑いながら「それは話が違うでしょ!」とすかさずツッコミ。好対照の役柄を演じる二人ならではのかけ合いで、報道陣の笑いを誘う。相撲雑誌の記者・橋谷淳子役の大原は、出演に際して実際の取り組みへ足を運んだエピソードを披露。「淳子は相撲が嫌いな設定なのに、(現実の私は)知れば知るほどその世界に魅了されています」と話す大原を、長年の相撲ファンである紺野は「キラキラした若い俳優さんとスタッフ陣が一堂に会して“お相撲エンタテインメント”ができるとは……感無量です!」と嬉しそうに見つめた。昇龍を誘惑する大手芸能事務所の社長・渡部桜子役を演じるりょうは、自身の役どころを「数多くの男性をほしいままにしてきた、力強くクレイジーな女性」と紹介。これから行われる衣裳合わせのアイテムに「歌手のマドンナが身に着けるようなボンテージがあると聞いています」と期待を覗かせ、「見た目のイメージに負けないほどパワフルに演じたいですね」と笑顔を見せた。公演は、12月5日(土)~23日(水)に東京・明治座にて。その後、年が明けた2021年1月5日(火)~13日(水)に大阪・新歌舞伎座、1月17日(日)~28日(木)に福岡・博多座と巡演する。ぴあでは現在、座席指定できる東京公演のチケットを販売中。取材・文:岡山朋代
2020年10月22日昆夏美が、谷賢一の作・演出によるKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『人類史』に出演する。これまでミュージカルを主戦場としてきた昆にとって初めてとなる、ストレートプレイ作品への挑戦。初日を約2週間後に控えた思いを語ってもらった。KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『人類史』公演・チケット情報人類200万年の歴史が、約120分で描かれる本作。ヒトはなぜ他の生物を押しのけ、地球の頂点に君臨することができたのか──。世界1,200万部を突破したベストセラー『サピエンス全史』に着想を得た谷が、二足歩行・言語の獲得・農耕の開始・科学革命といった人類の進化におけるターニングポイントを、無言劇・音楽劇・会話劇をハイブリッドさせながら舞台に立ち上げる。類人猿から天才数学者まで、今回さまざまな役に扮する昆は「新しい自分に出会えそうな予感がしています」とこのチャレンジを前向きに捉え、日々の稽古に取り組む。苦労しているのは、一幕冒頭で描かれる類人猿のリアルな動き。「膝を地面につけず、手と足のみで体を支える四足歩行をやったら……全身筋肉痛で」と苦笑しながら、肩こう骨から腕を回すなどゴリラのような動きを再現してみせた。一転、ガリレオの唱えた地動説が市井の人々に波紋を広げていく二幕は、数式や科学用語がバンバン飛び交う会話劇だ。ここで昆が演じるのは、数学・物理学・天文学の知識に長けた神童アウグスト。宇宙の摂理を数式で解明するシーンでは大量のセリフが待ち受けており、内容の難しさに圧倒されながらも「理解すれば自然と口を突いて出てくるはず」とめげる様子はない。「神や宗教といった“虚構”を信じる力が人類を発展させた」という『サピエンス全史』で提唱されている学説も、本作にはふんだんに盛り込まれる。国家の存在に疑義を唱えた奴隷が殺されてしまう古代エジプトや、行き過ぎた信仰が村八分を生むペスト大流行のエピソード、地球や宇宙についてもっと知りたい、繋げたい、と探求してきた人々の歴史を挙げながら、昆は「こうした歴史を私たち人類の“原点”と俯瞰できるのがこの作品の魅力」とまっすぐに伝えた。数万年単位で時を跳躍しながら進む物語には、どの時代・場所にもなぜか同じ容姿をした若い男(東出昌大)、若い女(昆)、老人(山路和弘)が登場する。この三者がどのように交差してホモ・サピエンスの歴史を紡ぐのか、またKAAT上演の『三文オペラ』(2018年)で谷とタッグを組んだドレスコーズの志磨遼平が手がける音楽にも注目したい。公演は10月23日(金)~11月3日(火・祝)に、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年10月16日熊川哲也 Kバレエ カンパニー Autumn 2020『海賊』が開幕。ひと足早くゲネプロを鑑賞する機会に恵まれた。芸術監督の熊川による演出・振付で全幕作品として2007年に初演され、レパートリー化された本作。19世紀イギリスの詩人ジョージ・ゴードン・バイロンが発表した長編の詩をもとに多くの振付家が生み出した様々なバリエーションを、熊川は再構成。ストーリーを編み直し、起承転結に呼応する音楽を選ぶことによって、七つの海を渡る屈強な海賊コンラッドらの壮大な冒険譚に仕立て上げた。ゲネプロは、船の難破を活写するプロローグで幕開け。海賊の首領コンラッド、その部下ビルバントやアリの躍動する姿が、紗幕越しに浮かび上がる。トルコ領ギリシャの浜辺に打ち上げられた彼らは、メドーラとグルナーラ姉妹から介抱されることに。メドーラの美しさに心を奪われ、恋に落ちるコンラッド。しかし姉妹と仲間の娘は奴隷商人ランケデムに捕らえられ、市場へ売りに出されてしまう。彼女たちを奪還すべく、立ち上がった海賊の行方は──。強い絆を前面に押し出した勇壮な踊りの中に見え隠れする、個性豊かな海賊たちのキャラクター。中でも、かつて熊川も扮した従者アリは命がけの忠誠心をもって首領を守り抜く存在感を見せつける。取材日にこの役を演じていた山本雅也は、1月に上演された『白鳥の湖』でプリンシパルに昇格した次世代の踊り手。2017年の『海賊』出演時にも見せた高い跳躍力で、鳴り響く銃声に立ち向かう。周りを取り囲むダンサーも実力派が揃い踏みだ。コンラッド役の堀内將平は、リーダーにふさわしい堂々たる踊りを披露。伸びやかな舞いで観客を魅了した成田紗弥は、柔らかい肢体の中に可憐なメドーラ像を覗かせた。なお、回替わりでコンラッドを務める遅沢佑介とメドーラを務める中村祥子は、本作でKバレエのラストステージを飾る。ゲネプロ後には熊川からコメントが到着。約半年の活動休止期間を経てカンパニー再始動を果たす思いを『海賊』に乗せ、「この作品が持つ力強さこそ、カンパニーが踏み出す新たな第一歩にふさわしく、かつてないほどのエネルギーと感動が劇場を満たすはず」と語った。なお、熊川は10月28日(水)に刊行される小説版『海賊 Le Corsaire』の巻末インタビューで演目の成り立ちや舞台裏などを明かしている。公演は10月15日(木)~18日(日)に、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて。チケット販売中。なお15日18:30、17日(土)12:30、18日12:30開演回ではオンラインでの生配信も。それぞれ翌日23:59までアーカイブ視聴できる。取材・文:岡山朋代
2020年10月15日京都・大阪の飲食店の総掲載軒数は423軒京都・大阪合わせて、三つ星は10軒、二つ星は31軒一つ星の新規掲載店は、京都13軒、大阪7軒アジア初・接続可能性への取り組みを評価した「グリーンスター」も今回限り、岡山も加わり飲食店の総軒数は616軒飲食店・レストランは京都216軒、大阪207軒。三つ星店は京都・大阪合わせて10軒2020年10月9日、『ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021』が発売されました。京都府と大阪府で合わせて487の飲食店や宿泊施設が掲載され、そのうち飲食店とレストランは京都・大阪合わせて423軒でした。三つ星は京都が昨年より1軒少ない7軒、大阪が変わらず3軒、二つ星は京都と大阪合わせて計31軒、一つ星は165軒。ビブグルマンはカレー屋やうどん店などの計217軒が選ばれました。さらに、初版から12年目を迎え、フードロスの削減や自家栽培などを通じてサステナビリティー(持続可能性)への積極的な取り組みを評価する「グリーンスター」をアジアで初めて導入。京都は5軒、大阪は2軒が掲載されました。京都で三つ星を獲得したお店(7軒)新規掲載店はなく、主に昨年に続いて選出された店舗が掲載されました。中でも、日本料理【菊乃井 本店】、【瓢亭】、【吉兆 嵐山本店】は12年連続で三つ星を獲得しています。【菊乃井 本店】日本料理・和食(12年連続三つ星)/東山【瓢亭(ひょうてい)】日本料理・和食(12年連続三つ星)/蹴上【吉兆 嵐山本店】日本料理・和食(12年連続三つ星)/嵐山【一子相伝 なかむら】日本料理・和食/四条河原町【祇園 さゝ木】日本料理・和食/祇園四条【前田】日本料理・和食/祇園四条【未在(ミザイ)】日本料理・和食/東山菊乃井本店【エリア】円山公園/高台寺/清水寺【ジャンル】和食【ランチ平均予算】14000円【ディナー平均予算】22000円【アクセス】祇園四条駅 徒歩15分瓢亭本店【エリア】岡崎/平安神宮/南禅寺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】23000円【アクセス】蹴上駅 徒歩10分京都 吉兆 嵐山本店【エリア】嵐山【ジャンル】和食【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】70000円【アクセス】嵐山駅 徒歩15分一子相伝なかむら【エリア】四条河原町周辺/寺町【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】19000円【ディナー平均予算】25000円【アクセス】京都市役所駅 徒歩3分祇園 さゝ木【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】30,001円~【アクセス】祇園四条駅前田【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-【アクセス】祇園四条駅未在【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】30,001円~【アクセス】東山駅大阪で三つ星を獲得したお店(3軒)大阪の三つ星は3軒で、【太庵(たいあん)】、【柏屋】は11年連続で三つ星を獲得。【柏屋】はグリーンスターにも掲載されました。【HAJIME(ハジメ)】フレンチ/肥後橋【太庵(たいあん)】日本料理・和食/長堀橋(11年連続三つ星獲得)【柏屋】日本料理・和食/千里山(11年連続三つ星獲得)HAJIME【エリア】肥後橋【ジャンル】創作料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】50000円【アクセス】肥後橋駅 徒歩2分太庵【エリア】東心斎橋/心斎橋筋【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】16000円【アクセス】長堀橋駅 徒歩5分柏屋【エリア】吹田/摂津【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】15,001円~20,000円【アクセス】関大前駅二つ星掲載店は計31軒、京都が19軒、大阪は12軒二つ星は、京都が19軒、大阪が12軒。京都のフランス料理店【ラ・シーム】は、郷土の在来豚を復活させる取り組みをしています。大阪は、日本料理【高台寺 和久傳】、【草娃 なかひがし】、【美山荘】はグリーンスターでの掲載となりました。京都で二つ星を獲得したお店(19軒)【美山荘(みやまそう)】日本料理・和食/出町柳(グリーンスター獲得)【新門前 米村】イノベーティブ/三条京阪【祇園 大渡】日本料理・和食/祇園四条【祇園 にしかわ】日本料理・和食/祇園四条【炭火割烹 いふき】日本料理・和食/祇園四条【和ごころ 泉】日本料理・和食/四条【割烹 千ひろ】日本料理・和食/祇園四条【菊乃井 露庵(ロアン)】日本料理・和食/祇園四条【有職料理 萬亀楼(まんかめろう)】日本料理・和食/二条城【京天神 野口】日本料理・和食/北野白梅町【御料理 光安(みつやす)】日本料理・和食/二条【緒方】日本料理・和食/四条【建仁寺 祇園 丸山】日本料理・和食/祇園【祇園 丸山】日本料理・和食/祇園四条【祇園 又吉】日本料理・和食/祇園四条【高台寺 和久傳(わくでん)】日本料理・和食/祇園四条(グリーンスター獲得)【京懐石 吉泉】日本料理・和食/出町柳【草喰(そうじき) なかひがし】日本料理・和食/元田中(グリーンスター獲得)【おたぎ】日本料理・和食/北大路美山荘【エリア】鞍馬/貴船/京都市左京区【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】25000円【ディナー平均予算】30000円新門前米村【エリア】祇園【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】8000円【ディナー平均予算】18000円【アクセス】三条京阪駅 徒歩7分祇園大渡【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】23000円【ディナー平均予算】23000円【アクセス】祇園四条駅 徒歩10分祇園にしかわ【エリア】円山公園/高台寺/清水寺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】20000円【アクセス】祇園四条駅 徒歩15分祇園炭火割烹いふき【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】22000円【アクセス】祇園四条駅 徒歩7分和ごころ泉【エリア】四条烏丸/烏丸御池【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】6600円【ディナー平均予算】13000円【アクセス】烏丸駅 徒歩5分割烹千ひろ【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20000円【アクセス】祇園四条駅 徒歩4分露庵 菊乃井 木屋町店【エリア】木屋町/先斗町【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】10000円 ~ 14999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円京天神野口【エリア】金閣寺/衣笠/京都市北区【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20,001円~30,000円【アクセス】北野白梅町駅御料理 光安【エリア】京都御所/西陣【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】20000円 ~ 29999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円緒方【エリア】四条河原町周辺/寺町【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20,001円~30,000円【アクセス】烏丸駅建仁寺 祇園 丸山【エリア】祇園【ジャンル】京料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-【アクセス】祇園四条駅祇園 丸山【エリア】祇園【ジャンル】京料理【ランチ平均予算】10000円 ~ 14999円【ディナー平均予算】30000円 ~祇園 又吉【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】15000円 ~ 19999円【ディナー平均予算】30000円 ~高台寺 和久傳【エリア】円山公園/高台寺/清水寺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】30000円 ~【ディナー平均予算】30000円 ~京懐石 吉泉【エリア】銀閣寺/北白川/出町柳【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】10000円 ~ 14999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円草喰なかひがし【エリア】銀閣寺/北白川/出町柳【ジャンル】京料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20,001円~30,000円【アクセス】茶山駅おたぎ【エリア】金閣寺/衣笠/京都市北区【ジャンル】京料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20,001円~30,000円【アクセス】北野白梅町駅大阪で二つ星を獲得したお店(12軒)【ラ・シーム(La Cime)】フレンチ/本町【本湖月(ほんこげつ)】日本料理・和食/難波【Fujiya 1935(フジヤイチキュウサンゴ)】イノベーティブ/谷町四丁目【旬彩天 つちや】天ぷら/江坂【一汁二菜 うえの 箕面店】日本料理・和食/箕面【弧柳(こりゅう)】日本料理・和食/北新地【カハラ】イノベーティブ/北新地【お料理 宮本】日本料理・和食/天満宮【寿し芳】寿司/南森町【青木】日本料理・和食/天神橋筋【鮨 原正(はらしょう)】寿司/上本町【喜太八】ふぐ/岸和田RestaurantLacime【エリア】淀屋橋【ジャンル】洋食【ランチ平均予算】12000円【ディナー平均予算】25000円【アクセス】本町駅 徒歩5分本湖月【エリア】東心斎橋/心斎橋筋【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】25000円【アクセス】なんば駅 徒歩5分Fujiya1935【エリア】谷町/谷町四丁目【ジャンル】創作和食【ランチ平均予算】13000円【ディナー平均予算】22000円【アクセス】堺筋本町駅 徒歩7分旬彩天つちや【エリア】江坂【ジャンル】和食【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】江坂駅 徒歩15分一汁ニ菜 うえの 箕面店【エリア】箕面/能勢【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】10,001円~15,000円【アクセス】箕面駅北新地 弧柳【エリア】北新地【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】20000円 ~ 29999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円カハラ【エリア】梅田/大阪駅【ジャンル】創作料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】30,001円~【アクセス】北新地駅お料理 宮本【エリア】南森町【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】10,001円~15,000円【アクセス】大阪天満宮駅寿し芳【エリア】南森町【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円天神橋 青木【エリア】天満/天神橋筋【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】20000円 ~ 29999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円鮨 原正【エリア】天王寺/阿倍野【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】15000円 ~ 19999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円喜太八【エリア】岸和田/和泉/泉佐野/泉南【ジャンル】和食【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円一つ星掲載店は計165軒、うち新規は京都が13軒、大阪は7軒京都の一つ星掲載店は84軒で、うち新規掲載は13軒。大阪の一つ星掲載店は81軒で、新規掲載店は7軒ありました。京都で一つ星を獲得したお店(84軒)※新規13軒【ベルロオジエ(VELROSIER)】中華料理/京都河原町【ルーラ(LURRA°)】イノベーティブ/東山【悠々】日本料理・和食/北大路【下鴨茶寮】日本料理・和食/出町柳【TAKAYAMA】イタリアン/京都河原町【CAINOYA(カイノヤ)】イノベーティブ/京都河原町【鮓 はやし】寿司/出町柳【鳥さき】焼鳥/烏丸御池【のぐち継(つなぐ)】日本料理・和食/祇園四条【祇をん かじ正(かじしょう)】日本料理・和食/祇園四条【京、静華(せいか)】中華料理/東山【山荘 京大和(きょうやまと)】日本料理・和食/東山【一乗寺 乃り英(いちじょうじ のりひで)】日本料理・和食/一乗寺VELROSIER【エリア】四条河原町周辺/寺町【ジャンル】中華料理【ランチ平均予算】10000円【ディナー平均予算】20000円【アクセス】京都河原町駅 徒歩2分LURRA°【エリア】円山公園/高台寺/清水寺【ジャンル】イノベーティブ・フュージョン【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】32000円【アクセス】東山駅 徒歩1分割烹悠々【エリア】京都御所/西陣【ジャンル】和食【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】13000円【アクセス】北大路駅 徒歩3分下鴨茶寮本店【エリア】銀閣寺/北白川/出町柳【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】9000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】出町柳駅 徒歩9分鮓はやし【エリア】京都御所/西陣【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】8000円 ~ 9999円【ディナー平均予算】15000円 ~ 19999円鳥さき【エリア】四条烏丸/烏丸御池【ジャンル】焼鳥・串焼き【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】8000円 ~ 9999円のぐち 継【エリア】祇園【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】15000円 ~ 19999円かじ正【エリア】祇園【ジャンル】京料理【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円京 静華【エリア】円山公園/高台寺/清水寺【ジャンル】中華料理【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】15000円 ~ 19999円乃り英【エリア】鞍馬/貴船/京都市左京区【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】3000円 ~ 3999円【ディナー平均予算】5000円 ~ 5999円大阪で一つ星を獲得したお店(81軒)※新規7軒【ラ ルッチョラ(La Lucciola】イタリアン/福島【幽玄】日本料理・和食/上本町【炭火割烹 いしい】日本料理・和食/福島【ラ・ベカス(La Becasse)】フレン/淀屋橋【東茶屋 なかむら】日本料理・和食/天神橋筋【イデアル ビストロ】フレン/天満橋【鮨 悠伝】寿司/谷町九丁目ラルッチョラ【エリア】梅田/大阪駅【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】福島駅 徒歩3分幽玄【エリア】上本町【ジャンル】和食【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】-【アクセス】大阪上本町駅 徒歩5分炭火割烹 いしい【エリア】福島/野田【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】15000円 ~ 19999円ラ・ベカス【エリア】淀屋橋【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】8000円 ~ 9999円【ディナー平均予算】15000円 ~ 19999円イデアル ビストロ【エリア】天満橋【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】4000円 ~ 4999円【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円鮨 悠伝【エリア】上本町【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円持続可能性への積極的な取り組みを評価する「グリーンスター」は獲得7軒初版から12年目を迎え、フードロスの削減や自家栽培などを通じてサステナビリティー(持続可能性)への積極的な取り組みを評価する「グリーンスター」をアジアで初めて導入。京都5軒、大阪2軒を掲載した。●京都5軒【美/-荘】/出町柳【室町 和久傳】/烏丸御池【草喰 なかひがし】/元田中【/台寺 和久傳】/祇園四条【丹】/東山●大阪2軒【日本料理 寺田】/鶴橋【柏】/吹田美山荘【エリア】鞍馬/貴船/京都市左京区【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】25000円【ディナー平均予算】30000円室町和久傳【エリア】四条烏丸/烏丸御池【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】11000円【ディナー平均予算】22000円【アクセス】烏丸御池駅 徒歩5分草喰なかひがし【エリア】銀閣寺/北白川/出町柳【ジャンル】京料理【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】20,001円~30,000円【アクセス】茶山駅高台寺 和久傳【エリア】円山公園/高台寺/清水寺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】30000円 ~【ディナー平均予算】30000円 ~丹【エリア】祇園【ジャンル】和食【ランチ平均予算】3000円 ~ 3999円【ディナー平均予算】6000円 ~ 7999円日本料理寺田【エリア】鶴橋【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】18000円【アクセス】玉造駅 徒歩1分初掲載の岡山は、二つ星2軒、一つ星18軒今回限りの掲載となる岡山は、残念ながら三つ星掲載店は0軒でしたが、二つ星は2軒、一つ星は18軒。ミシュランの基準を満たした料理を提供する飲食店・レストラン「ミシュランプレート」を獲得したのは24軒でした。●二つ星(2軒)【鮨 縁(えん)】寿司/西川緑道公園【喰切料理 八方(はっぽう)】日本料理・和食/城下●一つ星(18軒)【はすのみ】中華料理/岡山【レオーニ】フレンチ/岡山【祥雲(しょううん)】日本料理・和食/城下【あおい】日本料理・和食/中納言【楽旬菜 佐とう】日本料理・和食/西大寺町【エッセレ(essere cucina italiana)】イタリアン/新西大寺町筋【懐石 昇一楼(しょういちろう)】日本料理・和食/城下【味創房 麦】日本料理・和食/西大寺町【松寿司】寿司/城下【山もと】寿司/城下【穂浪(ほなみ)】日本料理・和食/柳川【魚祥】寿司/城下【御料理 椙(すぎ)】日本料理・和食/新西大寺町筋【ブリコール(Bricole)】日本料理・和食/倉敷【倉敷 一会(いちえ)】日本料理・和食/倉敷【頭島レストラン クチーナ テラダ(Cucina Terada)】イタリアン/日生【アッカ(Acca)】イタリアン/牛窓【山里】日本料理・和食/津山essereエッセレ【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】4000円【ディナー平均予算】10000円【アクセス】岡山駅 徒歩15分喰切料理八方【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】5000円【ディナー平均予算】15000円【アクセス】岡山駅 徒歩14分鮨 山もと【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】5500円【ディナー平均予算】15500円【アクセス】城下駅 徒歩6分鮨縁【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】20000円 ~ 29999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円はすのみ【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】中華料理【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円レオーニ【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】10,001円~15,000円【アクセス】岡山駅祥雲【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】5000円 ~ 5999円【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円懐石 昇一楼【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】4000円 ~ 4999円【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円松寿司【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】5000円 ~ 5999円【ディナー平均予算】20000円 ~ 29999円魚祥【エリア】岡山駅周辺【ジャンル】鮨・寿司【ランチ平均予算】6000円 ~ 7999円【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円椙【エリア】岡山市その他【ジャンル】日本料理・懐石・会席【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】10000円 ~ 14999円acca【エリア】赤磐/瀬戸内/備前【ジャンル】イタリアン【ランチ平均予算】~【ディナー平均予算】8000円 ~ 9999円
2020年10月13日劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下SET)の第58回本公演、ミュージカル・アクション・コメディー『世界中がフォーリンラブ』の開幕が迫る。初日を約1週間後に控えた稽古場を訪れると、座長・三宅裕司に小倉久寛をはじめとする劇団員が通し稽古に挑んでいた。コロナ禍での上演という試練の中、三宅らが選んだテーマは“純愛”。感染すると異性を惹きつける体臭フェロモンを大量に発散し、ヒトを“肉食系”へ変貌させてしまう新型ウイルスに翻弄される人々の姿が描かれる。恋愛トラブルが多発し、偽りの愛だらけになってしまった世界でワクチン開発に乗り出した大日本武田製薬とテクノバイオ薬品。ライバル企業の覇権争いに『ロミオとジュリエット』さながらの恋模様が重なって──。これまで最小限の人数でシーン稽古を繰り返してきたSET一同。初めての通し稽古となった取材日には改めて感染症対策のブリーフィングがなされ、本番で着用の立体透明マスクの管理方法が周知された。出番でないキャストは階下のモニターで様子を見守るなど、稽古場を密としない創意工夫が随所に見受けられる。制限下にあっても、SETの持ち味である“ミュージカル・アクション・コメディー”は健在だ。テクノバイオ薬品のCSO・大塚ポカリス(富山バラハス)と大日本武田製薬の社長令嬢・有奈(山城屋理紗)が育む純愛の行方は、壮大なバラードとなって作品のラストを盛り上げる。ワクチンを巡る2社に、徒らに愛を拡散しようとする新興宗教の三つ巴となる抗争シーンでは、刺叉や警棒、トランポリンなどを駆使して激しく、アクロバティックなアクションが展開された。プレイングマネージャーとして演出席とステージ上を行き来する三宅と、その盟友・小倉には“笑い”のパートが託される。このSETならではの絶妙な掛け合い、コロナ禍で笑顔の機会が減っている今こそ摂取してほしい。公演は10月9日(金)~25日(日)に、東京・サンシャイン劇場にて。ぴあでは、座席が選択できるチケットを販売中。また、サンシャインシティプリンスホテルの「カフェ&ダイニング シェフズパレット」で行われるハロウィンスイーツフェアとコラボレーションした“S席スイーツフェア付チケット”も。なお10月17日(土)13時・17時開演回は、PIA LIVE STREAMにてリアルタイム配信される。いずれも18日(日)23時59分までアーカイブ視聴可能だ。取材・文:岡山朋代
2020年10月07日