俳優の福山雅治が29日、東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで行われた第12回TAMA映画賞 授賞式に登場した。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。岩井俊二監督『ラストレター』の演技が評価され、最優秀男優賞に輝いた福山。「こういった賞をいただくのはずいぶん久しぶりになりまして、本当に嬉しいです。実際手渡されるとこんあんに重いんだと思って、重みを感じながら早速今夜晩酌するのを楽しみにしています」と喜んだ。『ラストレター』では神木隆之介が福山の学生時代を演じたため、「神木くんと僕とで作り上げた役柄だと思うので、神木くんにも何か奢ります。ありがとう神木くん」と感謝。「彼は技術力が高く緻密な俳優なので、彼の方から『こういうアプローチどうですか』というプレゼンテーションを受けた」と撮影の様子を明かす。福山は「僕が目の下にほくろがありまして、『ほくろを足してもいいですか』と相談されたり。神木くんの方が緻密な役作りをしてくれて、僕はそれに乗っかって焼くづくりをさせていただきました」と振り返った。今後の活動については「お呼びいたける作品をずっと待っています。監督さん、プロデューサーさん」と呼びかける。「映画スタッフの方のファンが多いTAMA映画賞ですから、これからもどんな役でも頑張って演じていきたいと思いますので、お仕事の方、事務所に問い合わせてスケジュールの確認をしていただければ……」とその場でオファーを募る一幕も。改めて福山は「50歳になり、30周年を迎えると、もう少し楽な感じで仕事に取り組めたり余裕の気持ちでオファーを待ったりするものかなと思ってたんですが、そうはなってなくて。今後も貪欲に仕事をしていきたいと思いますので、映画関係者の皆様も頭の片隅に『これ、福山いいかな』と思ったら事務所の方にお問い合わせください。よろしくお願いいたします」と頭を下げた。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年11月29日女優の森七菜が29日、東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで行われた第12回TAMA映画賞 授賞式に登場した。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。岩井俊二監督『ラストレター』の演技が評価されて最優秀新進女優賞に輝いた森だが、撮影ではよくアドリブも入れていたという。「最初にちょこっとだけやってみたら意外と怒られなかったので、だったらもっと楽しいことを、自分からでも何か提案できたらいいなと思って」と大物っぷりを見せる。外出自粛期間中の過ごし方として「夜中に食べるカップ麺、至福でした」とコメントを寄せた森。コロナ太りについて聞かれると「大丈夫じゃないです」と苦笑しつつ、「お芝居したい気持ちはありましたし、いくつかできなかったお仕事もあって悔しかった部分もあるんですが、マイナスな気持ちに引っ張られてばっかりでは良くないと思ったので。普段だったらカップラーメンも気をつけて食べられないんですけど、こういうお仕事をしてないような子だったら食べてたなと思って、違う人の人生を行き来したような気分がありました」と、自粛期間すらも楽しんでいた様子だった。改めてこの1年について「今年は皆さんに驚いてもらうことが多かった1年だと思っていて、賞をいただけたこともそうですし、初めてドラマや映画の主演をやらせていただいたり、それで私を初めて知ってくださったかたもいらっしゃって」と振り返る。「『?』(ハテナ)と思った人もいたんだと思うんです。『なんだ、この小娘は』と思った方もいらっしゃったと思うんですけど、来年は『?』を『!』(びっくりマーク)に。『なるほど、だから!』と思ってもらえるような1年に努めたいと思います」と意気込んだ。授賞式には同作で最優秀男優賞を受賞した福山雅治、最優秀作品賞となった岩井監督も登場し、2人とともに再度現れた森は「プレッシャーかかるところもありました」と率直な意見で会場を笑わせる。岩井監督は森について「もう本当に小リスのような。籠から出すとピュッとどこ行くかわかんない感じ、カメラのどの辺に立つのかもわからないスリリングな演技が素敵でしたね」と称えた。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年11月29日俳優の宮沢氷魚が29日、東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで行われた第12回TAMA映画賞 授賞式に登場した。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。初主演作『his』で最優秀新進男優賞に選ばれた宮沢は「役者を3年やっていますが、賞をいただくのは初めてなので、一生忘れないものになると思います」と喜ぶ。『his』について「初主演映画ということでプレッシャーはあったんですけど、相手役の藤原季節くんに助けられて、すごく楽しい作品にもなった」と振り返る。「LGBTQをテーマに作ったので、どういう意見が飛び交うのかなと思っていたんですけど、実際公開されて、たくさんの方に見ていただいて、たくさんの意見をいただいて、本当に幸せに思っています」と感謝の気持ちを表した。藤原については「白川で10日間共同生活を送ったんですけど、本当に変わってる子で」と笑顔に。「Tシャツ1枚と下着1枚くらいしか持ってこなくて、『ごめん氷魚、タオル貸して!』というところから始まったので、季節くんが自分を開いて受け入れてくれたことに感謝しているし、季節くんじゃなければ成立しなかったと思います」と語る。今泉力哉監督についても「このタイミングで今泉さんに出会えたことは、役者人生の中では宝物ですし、また成長して今泉さんの作品に出られるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。同賞には俳優の北村匠海も選出され、ビデオメッセージで登場。「とにかく前に進んで色んな作品を打ち出したいと思っています。"新進"という言葉がさらに似合う俳優として、2021年も頑張っていきたいと思います」とメッセージを寄せた。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年11月29日秋田県の伝統行事「男鹿のナマハゲ」から着想したオリジナル脚本の映画『泣く子はいねぇが』で、鮮烈な劇場監督デビューを飾る佐藤快磨監督。その才能がただならぬものであることは、カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールに輝いた『万引き家族』(18)の是枝裕和監督を唸らせ、本作がデビュー作でありながら、権威あるサン・セバスティアン国際映画祭のオフィシャル・コンペティション部門で最優秀撮影賞を受賞したことからも明らかだ。果たして突如、流星の如く現れ、世界の映画ファンを魅了する新時代の映像クリエイターはいったい何者なのか? 佐藤快磨監督を直撃し、過去作から最新作への道のりを辿りながら、彼の脳内とその眼差しの先にあるものを探ってみた。サッカーと同じくらい情熱を捧げられた映画作りとの出会い── 映画を撮り始めたきっかけは?僕は映画をほとんど観てこなかったので、いまこうして映画を撮っていること自体が不思議で。ただ、サッカーをずっとやっていたし、ナイキのCMが好きだったから就職活動で広告代理店を受けたんです。でも、映像作品を作ってなかったので受からなくて。それでニューシネマワークショップという映画学校に1年間通ったんですけど、そこで映画作りを始めたらすごく面白かったんです。サッカーを高校卒業と同時にやめてから情熱を傾けられるものがなかったんですけど、そのときに“これだ!”という感じで映画作りに一生携っていきたいと思ったんです。── ニューシネマワークショップでも監督をしたんですか?卒業制作の監督に選んでいただいて、初めて役者さんに出てもらう『ぶらざぁ』(13)というタイトルの30分の短編を撮ったんです。その現場で、役者さんが自分の書いた脚本通りに演じてくれているのを見たときに、これまで生きてきて感じたことのない濃密な空気と空間を感じて。その衝撃が大きかったですね。── 続く『ガンバレとかうるせぇ』(14)は高校サッカー部の女子マネージャーが主人公の映画ですけど、あの話はどこから?大人になってから、高校時代のサッカー部の仲間やマネージャーとお酒を飲む機会があって。そのときにマネージャーが選手のために裏でしてくれていたことを初めて知ったり、選手とマネージャーの“勝ちたい”という気持ちは違うからと決めつけて、どこか疎外していたことを思い出したんです。そのあたりを、ある種の皮肉を込めて描けたらと考えたんですね。── この作品は、ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2014で映画ファン賞と観客賞をW受賞し、第19回釜山国際映画祭のコンペティション部門「ニューカレンツ」にノミネートされました。その年の「ニューカレンツ」のノミネート作品で僕の映画だけが自主製作だったんですけど、亡くなられた副ディレクターのキム・ジソクさんが「あなたにしか撮れない作品だから選びました」って言ってくれて、それがすごく嬉しかったんです。その言葉が、自分の中では映画を本格的に撮るきっかけなったような気がしますね。── その次の『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(16)は、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2015」の監督に選ばれて撮ったものですね。ええ。この映画は映画学校時代の同級生の原案を僕が脚本にして映画化したんですけど、主演をプロデューサーから推薦された太賀(現・仲野太賀)くんにお願いしたんです。太賀くんとはこの作品で出会いました。── そして、『歩けない僕らは』(19)でSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019の観客賞を受賞しますが、この作品は回復期リハビリテーション病院1年目の理学療法士の女性と脳卒中で下半身が不随になった青年との物語です。この作品が、それまでの中でいちばん大変でした。知らない世界でしたし、下半身不随の人を自分が描くことに対するおこがましさがあって、自分が撮る意味が見い出せなかった。それで脚本が全然書けなかったんです。苦しかったですね。でも、その分思い入れがあるし、自分でも好きな作品です。足りてない自分を感じ、映像制作者集団“分福”へ── 『歩けない僕らは』の撮影に入る前に、是枝裕和監督率いる映像制作者集団“分福”の監督助手募集に応募したのはどんな想いからですか?商業映画の現場にほとんど行ったことがなかったので、現場を見て勉強しないとダメだなと思っていたときに“分福”の監督助手募集を知って。是枝監督の現場に行って、監督のもとで映画の勉強をしたいという想いで応募しました。── 是枝監督の現場を経験されたんですか?いや、監督助手としては採用されなかったんです。でも、そのときに『ガンバレとかうるせぇ』を観てくれたり、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』や今回の『泣く子はいねぇが』の脚本を読んでくださった是枝監督が「“分福”に来てもいいよ」って誘ってくださったんです。是枝監督も唸った『泣く子はいねぇが』ラストシーン── 是枝監督は『泣く子はいねぇが』の脚本を読んで唸ったということですけど、どこを評価されたのでしょう?ラストシーンですね。僕も「男鹿のナマハゲ」にインスパイアされたあのラストシーンが真っ先に頭に浮かんだんですけど、是枝監督から「このラストシーンがいちばん泣けるように直せ!」って言われ続けました。でも、あそこは最初の脚本からまったく変わっていないです。── 以前の取材で監督は「父親でもない自分が父性を探す映画を撮ったら新しいものができると思った」と言われましたが、どんな経緯でその考えに行きついたんですか?年齢を重ねれば重ねるほど、父親になったり、家族を持つ自分を想像できなくなったんです。そこから、そんな自分が父性に目覚めるのはタイミングなのか? それともある一定の時間なのか?って考えるようになって。そこを映画を撮りながら探して行けば、新しい父親の物語になるという確信があったんです。キャストと一緒に考えていった「父になるとは?」「母になるとは?」── 主演の仲野太賀さんとは『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』に続いて2度目のタッグですね。たすく役は、最初から太賀くんに決めていたんですけど、今回は前回と違い、僕も太賀くんも責任と覚悟を持ってこの映画に臨んでいたと思います。だから、意見をぶつけ合うことができたし、考えが共有できるまでふたりとも諦めなかった。それが信頼関係に繋がったような気がします。── 太賀さんの言葉で印象に残っているものは?言葉ではないんですけど、自分の考えが定まっていないときに限って、太賀くんが隣でごはんを食べていたりするんです。それはただ移動するシーンの前だったりするんですけど、どういう目的で移動するのか僕が考えていないと見抜いてぶつかってくる。それで、それが如何に大事なシーンかが分かったこともあったし、太賀くんがいなければ、この映画は違うものになっていたと思います。── たすくの妻・ことねを演じた吉岡里帆さんは、監督が自ら手紙を書いて出演を依頼されたそうですね。NHKのドラマ『京都人密かな愉しみ Blue 修業中』の中の1編『祇園さんの来はる夏』(19)の吉岡さんがすごく無防備な顔をしていて、それがことねという役に繋がったんです。それで、「父親になりきれない男が主人公の映画ですけど、女性も母になれるか不安だし、子供を産んだからといって母親になれたわけではないと思うので、母になるとはどういうことなのか? を吉岡さんと探していきたい」と手紙に書いて、送らせていただきました。「切実な想いを抱えた人に光を当てたい」から映画を撮り続ける── 監督が一貫してこだわっているテーマはありますか?コミュニケーションをしているようでできていない、人間関係に臆病なディスコミュニケーションの人たちは自分を投影しやすいですね。観ていただいた方から「佐藤くんの映画は、最後でいつもナルシシズムが爆発するよね」って言われたこともあります(笑)。── その閉塞感を打ち破っていく感じが、いまを生きる人たちの共感を呼ぶんでしょうね。そうかもしれない。現代人は人間関係を閉ざしてひとりでも生きていけるんだけど、それでも誰かと繋がっていたいという相反する切実な想いも抱えている。僕はその切実さを肯定したいのかも。人と繋がらなくても生きていけるけど、そうじゃないよって言ってあげたいんです。── その想いが、佐藤監督が映画を撮り続ける原動力ですか?切実な想いを抱えた人に光を当てたいんです。自分も映画でそういう人物を見て勇気づけられたから、その人たちの心の内側に光を当てたい。きっと、心の内側を見たいんだと思います。心の内側は見えないし、映画も心の内側は映せないけれど、人の内側を見たいという衝動が、僕が映画を撮り続ける理由かもしれません。新たなる才能の誕生! 自分にしか撮れないものを追及した『泣く子はいねぇが』“映画作り”に自分の一生を捧げたいと思い、“自分にしか撮れない映画”を考え抜いた結果の産物でもある『泣く子はいねぇが』で待望の劇場監督デビューを果たす佐藤快磨監督。その素顔は一見シャイだが、話を聞けば聞くほどいい意味で頑固な、撮りたいもの、撮るべきものがはっきり見えている人だな~という印象でした。その発言の数々は、それを形にしてきた自信と力強さを伴っていて頼もしさすら感じる。実際、過去作を順に観ていくと脚本=ストーリーと構成の精度が回を追うごとにアップし、演出力や映像センスもどんどん研ぎ澄まされていることが分かる。『泣く子はいねぇが』に至っては、是枝裕和監督や“分福”に所属するプロデューサー、女性監督らの厳しい意見も自分のものにしていて、展開に一切の無駄がない。しかも、仲野太賀、吉岡里帆ら俳優陣の力を信じた、攻める映像表現で観る者の心を鷲づかみにしてしまうのだからスゴい! 恐るべき“映画の子供”が登場したものだ。振り返ると、洋の東西を問わず、新たなる映画の才能は30代前後で覚醒し、“自分にしか撮れない”作品で世界中の映画ファンを魅了してきた。スティーブン・スピルバーグ監督が『ジョーズ』(75)を撮ったのは29歳のときだし、ポン・ジュノ監督が『殺人の追憶』(03)を撮ったのは33歳。岩井俊二監督は31歳のときに撮った『Love Letter』(95)で脚光を浴び、クリストファー・ノーラン監督が『メメント』(00)でその名を世界中に轟かせたのも29歳のときだ。佐藤快彦監督は現在31歳だから、ちょうどその年齢。まだ原石かも知れないし、本人も気づいていないとんでもないイマジネーションとそれを視覚化する能力を秘めているかもしれない。いずれにしても、『泣く子はいねぇが』はその第一歩。新たなる才能の誕生を、ぜひ自分の目で目撃して欲しい。取材・文:イソガイマサト
2020年11月12日作・演出家で俳優の岩井秀人が、初見の台本を俳優たちに読ませ、それをお客さんに披露してしまうという驚きの企画『いきなり本読み!』。過去5度の開催はいずれも好評で、ついに1500席を有する東京国際フォーラム・ホールCでの上演が決定した。そこで今回も進行と演出を務める岩井に話を聞いた。第1弾の上演時は、「演劇界から怒られると思ったんですよ」と笑う岩井。しかし公演を重ねるごとに、その不安は手応えへと変わっていったと言う。「何か月もかけて磨き上げた類の演劇ではないですが、台本と俳優が初めて出会うドキュメント性みたいなことで言うと、ものすごく貴重だと思うんです。配役も途中でどんどん変えていきますが、他の人がやることによって、そのキャラクターの説得力が増えていく、みたいなことが起きて。それはすごく演劇的な面白さのひとつだと思います」俳優陣の絶妙なチョイスも本企画の大きな魅力。松たか子と大倉孝二は、今回が初参加となる。「松さんは俳優としてのスイッチのオンオフの差が激しくて、ケタケタ笑いながらおやつを食べていた8秒後ぐらいに、とんでもなく業の深い人物になって号泣してるみたいな人(笑)。ただそのオンオフをあまり見せたくない人だと思っていたので、今回OKをいただけたのは意外でしたね。大倉さんは本当にすごい俳優さんで、初見だろうが何だろうが、とにかく今この役を成立させるんだってことに特化している生き物(笑)。僕の作品にも出て欲しいとずっと思っていたので、すごく嬉しいです」さらに神木隆之介と後藤剛範は、第1弾以来2度目の出演となる。「神木くんは、共同プロデューサーです。『キレイ』では兄弟役だったんですが、その時からこの企画についていろいろアイデアを出してくれて。僕と神木くんのやりたいことって、重なっている部分が結構あるんですよね。後藤さんは、これ読んでどうしてそうなるんだよ!?みたいなところから、結果的に2時間ぐらいかけてやたらうまくなる人(笑)。この企画に特化した才能の持ち主ですね」出演者は、台本を渡されるのも舞台上。つまり舞台に出た瞬間は、どんな名優であっても、岩井の言葉を借りれば「まだ俳優の仕事をしていない」状態だ。「それが1回目に読んだ時と2回目に読んだ時ではもう明確に深度が変わっていて、やがては役人物だけになっていってしまう。その過程を2時間で観られるっていうのは、『いきなり本読み!』以外にはないと思います!」取材・文:野上瑠美子
2020年11月10日今年デビュー25周年イヤーを迎えた俳優の神木隆之介が、「神木隆之介2021年カレンダー」を12月25日に発売することが決定した。本日19時より予約販売を開始する。「神木隆之介2021年カレンダー」より今回のカレンダーは25周年プロジェクトのひとつとして、写真家・映画監督の蜷川実花氏との念願のコラボレーションが実現。今回は“神木に演じて欲しい小説の登場人物”を、神木の公式Twitterにて公募し、その中から選んだ12作品をテーマに構成。古典作品から、『谷中レトロカメラ店の謎日和シリーズ』といった最新の作品まで、幅広いラインナップとなった。また、公募の際には、声優の梶裕貴、映画監督の岩井俊二氏ら著名人や、作品の作者からも直接反応があるなど、盛り上がりをみせた。カレンダーの中で12作品全て異なる役柄を演じるという、新しい試みだったが、蜷川氏が作りだす世界観の中で、見事に12作品を体現。カレンダーの8月に掲載の小説『好色一代男』では、色彩豊かなセットの中で、煙管(きせる)などの小道具を使い、今までにない大人の色気を表現し、5月に掲載の小説『人間失格』では、人間の闇と男性の美しさを表現した。さらに神木は、今回のカレンダー撮影のためだけに、自身初となるシルバーヘアーにも挑戦。黒髪での撮影を含め、2日に渡って行われ、このカレンダーでしか見ることが出来ない、貴重な姿が収められている。また、本日より、カレンダーで惜しくも使用できなかったアザーカットをまとめたポストカードセットや、25周年アニバーサリーグッズの第2弾となるトートバッグ、バスタオルなどのグッズの予約受付も開始される。
2020年10月20日第12回TAMA映画賞 受賞作品・受賞者が8日、明らかになった。最優秀作品賞には『海辺の映画館-キネマの玉手箱』『ラストレター』が選出された。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。最優秀作品賞には、「戦争とは何かを明示しつつ、映画の未来は明るいと観客に希望を託した」として、大林宣彦監督の『海辺の映画館-キネマの玉手箱』、及び「初恋の記憶が手紙に呼び起こされ、人生を歩みつづける希望として現在に差し込んでいくさまを、瑞々しい映像で描きあげた」と、岩井俊二監督の『ラストレター』が選ばれた。『ラストレター』主演の福山雅治は最優秀男優賞、出演の森七菜は最優秀新進女優賞に。また、『喜劇 愛妻物語』の濱田岳、水川あさみがそれぞれ最優秀男優・女優賞に選ばれ、『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』の長澤まさみも最優秀女優賞に輝いた。最優秀新進男優賞には、宮沢氷魚と北村匠海、最優秀新進女優賞には森に加え松本穂香が選出された。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年10月08日市民がつくる映画ファンの祭典「第30回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」が11月に開催。これに先駆け、「第12回TAMA映画賞」の受賞作品・受賞者が発表された。「TAMA映画賞」は2009年にスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考。「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰される、「最優秀作品賞」に選ばれたのは、大林宣彦監督が20年振りに尾道を舞台に贈る映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』と、豪華俳優が出演する岩井俊二監督によるオリジナルラブストーリー『ラストレター』。受賞理由については「大林監督の壮大かつ鮮烈なイマジネーションが炸裂し、戦争とは何かを明示しつつ、映画の未来は明るいと観客に希望を託した」(『海辺の映画館-キネマの玉手箱』)、「初恋の記憶が『手紙』に呼び起こされ、人生を歩みつづける希望として現在に差し込んでいくさまを、瑞々しい映像で描きあげた」(『ラストレター』)と説明。また、本年度最も心に残った男優・女優を表彰する「最優秀男優賞」と「最優秀女優賞」には、福山雅治と濱田岳、水川あさみと長澤まさみ。さらに、本年度最も飛躍した男優・女優、もしくは顕著な活躍をした新人男優・新人女優を表彰する「最優秀新進男優賞」と「最優秀新進女優賞」には、宮沢氷魚、北村匠海、松本穂香、森七菜が決定した。第12回TAMA映画賞受賞作品・受賞者一覧●最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)●特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同(『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同(『音楽』)●最優秀男優賞福山雅治(『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳(『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマン JP プリンセス編』ほか)●最優秀女優賞水川あさみ(『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ(『MOTHER マザー』『コンフィデンスマン JP プリンセス編』)●最優秀新進監督賞HIKARI監督(『37 セカンズ』)ふくだももこ監督(『君が世界のはじまり』)●最優秀新進男優賞宮沢氷魚(『his』)北村匠海(『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)●最優秀新進女優賞松本穂香(『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜(『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)「第30回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」各種上映プログラムは11月21日(土)~26日(木)東京都多摩市内2会場にて、TAMA 映画賞授賞式は11月29日(日)府中の森芸術劇場 どりーむホールにて開催。(cinemacafe.net)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年10月08日岩井俊二監督による初めての中国映画『チィファの手紙』。中国で絶大な人気を誇る岩井監督が写った、本作の日本語歌詞付き主題歌MVと中国版ポスターが解禁された。本作は、今年1月に公開された岩井監督の最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説「ラストレター」を岩井監督自ら映画化した、もうひとつの“ラストレター”。中国を代表する女優のジョウ・シュンを主演に、共同プロデューサーにアジア映画界の巨匠ピーター・チャンを迎え、岩井監督が監督、プロデュースに留まらず、脚本、編集、音楽も手掛けた意欲作となっている。そんな本作の主題歌「姿」は、岩井監督、ギタリストの市川和則とアコースティックユニット「ikire」を組むシンガーソングライターのChimaが作曲を、作詞を台湾の人気ロックバンド「ソーダグリーン」のボーカル、ウー・チンフォンが担当し、ジョウがボーカルを務めた。解禁されたMVでは、明るい光が差し込む、埃が積もった古びた講堂のステージで、チャンがギター、岩井監督がピアノを伴奏する中、ジョウが歌い上げる姿が。予告編にはない本編映像も挿入されており、本作のドラマティックでエモーショナルな世界観を堪能できるものとなっている。一方、中国版ポスターは全部で6枚あり、風の強いどんよりとした海で、黒い服に身を包んだジョウとチャンと岩井監督が写っている。そのうちの1枚、岩井監督が写ったものは、手にカチンコを持つ岩井監督の姿がコマ送りのようになっており、岩井監督の『四月物語』で主演の松たか子が写ったポスターとまったく同じ構図。さらに、ジョウが写ったものは、ヘッドフォンをつけて瞳を閉じたジョウの横顔が切り取られており、『リリィ・シュシュのすべて』を思い起こさせるほか、岩井監督を先頭に、ジョウ、チャンが一列になって歩く1枚は『PiCNiC』を彷彿とさせるなど、岩井監督の過去作へのオマージュが盛り込まれたものとなっている。『チィファの手紙』は9月11日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年9月11日より新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.
2020年09月11日岩井俊二監督の新作映画『チィファの手紙』が公開になる。本作は岩井監督が中国で手がけた新作映画で、今年1月に公開された『ラストレター』と同じ原作を基にしている。これまでもひとつの作品を小説や連続シリーズ、映画など様々な分野で描いてきた岩井監督は、ふたつの作品をどう捉えているのだろうか?本作の主人公チィファは亡くなった姉チィナンの同窓会に出かけ、姉に間違えられ、学生時代に憧れていたイン・チャンと再会する。連絡先を交換したチィファは、夫にスマートフォンを破壊されてしまったことから、チャンと“手紙”でやりとりを始める。本作は岩井監督が中国に渡り完成させた作品だが、以前から「40代でアメリカで、50代で中国で映画を撮るのを目標にしていた」と語る。「これまでのキャリアの中で日本、アメリカ、カナダ、フランスで映画をつくってきて、『チャンオクの手紙』(ぺ・ドゥナを主演に迎えた短編)で韓国に行ったんですけど、香港や台湾で撮影したことはあっても中国で映画をつくったことはなかった。それは自分の中のひとつの目標になっていたんです。撮影する環境を少しずつ広げていっているので、ひとつアイデアを考えると、それぞれのプロデューサーと話をして、意見を聞いたりしながら、結果として一緒やろうとなったのが今回はたまたま日本と中国だったということです」『チィファの手紙』はピーター・チャンがプロデュースを担当し、ジョウ・シュンら中国人俳優が集結しているが、撮影監督は近年の岩井作品を担当している神戸千木が担当するなど連合チームが結成された。「撮影監督は変えないです。シェアしている情報が一番重要で、同じツールの箱を持っているようなもの。僕にとってはそこがとても重要で、良い画を撮ってもらえるからカメラマンを決めるわけではないんです。こちらの思っている良い画をお互いが理解できるかが重要で、そこにいたるまでも非常に時間をかけて理解してもらってきているので、そこは変えにくいですよね。3DCGとか美術、キャスティング、プロダクションは中国のチームで、衣装は日本から連れていって……連合チームですね」中国で撮影された『チィファの手紙』と日本で撮影された『ラストレター』は同じ原作が基になっている。しかし岩井監督は「実際につくってみたら同じものをつくっているという意識にはならなかった」と振り返る。「撮影って毎日、“ふたつとないもの”を撮っていくものなので、同じ芝居であっても1回目と2回目では違う。だからこちらも気をゆるめられないわけで、それを積み重ねていくことがやっぱり楽しいんですよね。だから最後の最後まで新鮮な気持ちでふたつの作品を終えることができたと思います」これまでも岩井監督は自身の作品を小説に書き、映画化し、時にドラマ版と映画版を制作するなど、ひとつのアイデアや世界を丁寧に繰り返し描いてきた。また岩井作品のファンも映画が公開されてから時間が経っても作品を繰り返し鑑賞し、上映会には多くの観客が集う。「個人的に楽しみたいだけだと思うんです」と笑顔を見せる岩井監督は「僕にとって作品を完成させて納品することは、言い方はちょっと悪いですけど“臨終”で、お客さんにとっては“誕生”だと思う」と語る。「だから、自分としてはできる限り、生き続けられるように、いろんな形にしてみたりするんでしょうね。ひと昔前だと『潮騒』って原作が何回もリメイクされていた時期があって、70年代ぐらいまではひとつの作品をいろんな人がつくって楽しむ文化があったと思うんですよ。毎年12月になると必ずどこかが『忠臣蔵』をつくってるみたいな、同じものを繰り返す文化があったはずで、それがなくなったのはすごくもったいない。映画の話をするときによくネタバレって言いますけど、もちろん初めて観る人にとってはわずらわしいので言わないでほしいだろうけど、実際には小説の映画化が多いわけで、小説を読んで大好きになった人が小説の話をもう一度楽しみたくて映画館に行くケースは多い。コミックのアニメ化もそうですけど、まったく新しいものを観にいくわけではなくて、だいたいのお話を知っているところで観るケースも多いわけですよね」『スワロウテイル』や『花とアリス』をいまも繰り返し観ている観客が多くいるように、『ラストレター』と『チィファの手紙』もこれから長い時間をかけて観客に出会い、繰り返し鑑賞されることになるだろう。「僕は漫画ファンなんですけど、好きな漫画は繰り返し読むわけで、もちろんお話はわかっているんですけど、お話はあくまで導線であって、そこに落ちているいろんな感情の変化とか衝撃的なシーンを繰り返し味わいたいんですよ。だから、そういう意味でいえば、良いコミックってしっかり味わえるもので、何度でも堪能できる。だから、映画も負けてはいられないというか、2時間観たらおしまいではなくて、お客さんが何度でも観たいと思えるようなものを僕も目指したいし、そういうもので映画館があふれていてほしいと思います」『チィファの手紙』9月11日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
2020年09月10日『チィファの手紙』『窮鼠はチーズの夢を見る』が、9月11日(金)から全国ロードショーされる。この度、YouTubeの岩井俊二映画祭チャンネルにて、新コンテンツ『この空の下』がスタートし、その第1弾として行定勲監督をゲストに迎えたスペシャル対談が9月8日(金)19時より4夜連続配信される。岩井監督の『チィファの手紙』、行定監督の『窮鼠はチーズの夢を見る』に先駆け、それぞれが作品に込めた想い、アフターコロナの時代の映画作りなどを大いに語り合う。さらに、岩井監督作『Love Letter』(助監督:行定勲)の撮影時のエピソードやプライベートなどが対談内容となる。9月8日(火)〜11日(金) 4夜連続 19時〜Youtube《岩井俊二映画祭チャンネル》にて配信月8日(火)19:00今年の行定作品と岩井作品/映画と配信/新しい映画のカタチ#029月9日(水)19:00ふたりはどんな夢を見るのか/撮影現場の記憶/それぞれの撮影現場とこれからの撮影現場#039月10日(木)19:00シナリオと現場の葛藤/コロナで変わる映画の見かた/コロナのない世界はファンタジー#049月11日(金)19:00コロナが変えた映画製作/変化する文化と映画/コロナ禍でもできることを『チィファの手紙』9月11日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー『窮鼠はチーズの夢を見る』9月11日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
2020年09月08日岩井俊二監督が自身の小説「ラストレター」を原作に、初めて中国でメガホンをとった映画『チィファの手紙』。この度、すれ違いの文通が始まるきっかけとなるシーンの本編映像がシネマカフェに到着した。本作は、松たか子、広瀬すず、神木隆之介、福山雅治らが共演し今年1月に公開された岩井監督『ラストレター』と同じく、岩井監督が自身の小説を原作に中国で描いたもうひとつの“ラストレター”。今回到着した本編シーンは、ある日、犬の散歩から帰ってきた従姉妹同士のムームーとサーランが、ポストに届いたムームーの亡き母チィナン宛の手紙を発見した後の場面。2人はその手紙を読み出すが、まるで母がいまも生きていて文通をしているかのような内容に困惑する。「この人、霊界と文通してる?」「知らないのかな? 亡くなったこと」とサーランは不思議がり、何か分かるかもしれないから、自身の母親でチィナンの妹・チィファに聞いてみようと言うが、ムームーは「それじゃ面白くない、返事書いてみない?」と無邪気な提案するのだった…。『ラストレター』ではムームーに当たる役を広瀬さんが、サーランに当たる役を森七菜が演じ、注目の若手女優の演技が話題になったが、岩井監督は『チィファの手紙』での少女たちの演技も絶賛。ムームーを演じるダン・アンシーは本作での透明感のある魅力が話題を呼び、また、サーランを演じるチャン・ツィフォンは『唐山大地震ー想い続けた32年ー』(10)で「金鶏百花映画祭」新人賞を受賞した実力派。物語を彩る中国の若き才能にも注目だ。『チィファの手紙』は9月11日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年9月11日より新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.
2020年09月06日おとな向け映画ガイド今週の公開作品から、バラエティにとんだ3本をご紹介します。ぴあ編集部 坂口英明20/9/6(日)イラストレーション:高松啓二今週のロードショー公開は18本(ライブビューイング、映画祭企画を除く)。全国100スクリーン規模以上で拡大公開される作品は『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』『ミッドウェイ』『窮鼠はチーズの夢を見る』の3本。中規模公開とミニシアター系の作品が15本です。今回はその中から3本を厳選して、ご紹介します。『ソニア ナチスの女スパイ』第二次世界大戦中のスパイ映画です。舞台は北欧のノルウェーとスウェーデン。スウェーデンはコロナ禍にロックダウンをせず、独自な対策で世界の注目を集めていますが、大戦中でも中立を維持し、北欧四国のなかで独自の道を進んだ国でした。中立国ですから、枢軸国と連合国の両方と外交関係があり、各国の大使館も存続していました。そのため、スウェーデンは両陣営のスパイ活動の中心地となっていたのです。もちろん自国も中立を維持するべく、さかんに諜報活動を行います。その犠牲になったのが、この映画の主役、隣国ノルウェーの女優ソニアです。ノルウェーは、『ヒトラーに屈しなかった国王』に描かれたように、1940年の4月、デンマークとともにドイツに侵略されます。数カ月は抵抗するのですが、最終的に国王はロンドンに脱出し、亡命政権を作り、レジスタンス活動を指揮します。国内は傀儡政権が形だけ存在、実質はナチスの国家弁務官が統治しているのです。ソニア(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)は、ノルウェーとスウェーデンの両国で女優活動をしています。最初は、プロパガンダ映画への出演依頼も断るほどナチスと距離をおいていたのですが、レジスタンスの罪で強制収容所に入れられた父親を救出してくれるというスウェーデンの諜報機関の約束を信じ、スパイとなりナチスへ接近します。魅惑的な彼女はやがてナチスの国家弁務官の寵愛を受けることに成功しますが、逆にナチスからもスウェーデン国内でのスパイ行為を強要され……。時代に翻弄される女優の悲劇。派手な活劇シーンはありませんがとてもドラマチックです。華やかな芸能界を背景に、様々な組織が入り乱れ、思いもよらない展開が待っています。ラブ・アフェアもあり、エンタテインメント性の高い映画です。『チィファの手紙』とても繊細に、ていねいに作られています。プロデュースを『ラヴソング』などのピーター・チャンがつとめ、中国人スタッフのなかに入り、ローカライズに気を配った成果は、「外国人で初めてちゃんと中国映画を撮ることのできた映画監督」と中国の有名トーク番組の司会者が称したことでもわかります。そう、これは岩井俊二監督による中国映画なのです。主演はジョウ・シュン(周迅)、チャン・ツィイーらと中国四大女優のひとりとよばれ、いまや人気、実力とも中国でトップといっていいでしょう。テーマは、岩井監督らしく初恋とラブレター。出世作『Love Letter』は中国でも人気のある作品ですし、独特な世界観、リリシズムにはファンが沢山います。そして、ネット先進国の中国でも、郵便による文通というのは、逆にロマンチックにうつったのかもしれません。主人公のチィファは40代の主婦。亡くなった姉の死を伝えようと出席した同窓会で、姉と間違えられ、スピーチまですることになります。姉は美人で頭もよく、みんなのアイドルだったのです。いたたまれなくなって会場を後にしたチィファを、姉と仲のよかったチャンが追いかけます。それがきっかけで、ふたりの手紙のやりとりが始まり……。最初はスマホでアドレスを交換したふたりが、郵便での文通をすることになったいきさつは映画でみていただくとして。実は、チャンはチィファの憧れの先輩、そして初恋の人。30年ぶりに再会した男女の、めぐり逢いのドラマです。もとは、韓国のペ・ドゥナを主演に作った『チャンオクの手紙』というショートムービー。それを長編にし、中国・日本それぞれで作ったらどうなるか、そんな発想で始まった作品。日本映画版は今年1月に公開された『ラストレター』です。私にとっては、懐かしい中国映画の味がしました。でありながら、岩井俊二の世界、でした。『ミッドウェイ』真珠湾で手痛い打撃をうけたアメリカが、勢いづく日本軍の攻撃をはね返し、太平洋戦争の流れを変えたミッドウェイ海戦。それをとりあげた正統派の戦争映画大作です。あくまでアメリカが主役ではありますが、監督がドイツ出身のローランド・エメリッヒ。両国を公平な視点で描いています。製作出資しているのはアメリカ、カナダ、そして中国、香港です。なんと、雪の清澄庭園のシーンから始まります。アメリカ軍の日本駐在武官だったレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)は、山本五十六海軍大将(豊川悦司)と会食し、ふたりで酒を酌み交わします。山本大将はワシントン駐在の武官だったこともあり、親しみをこめ「日本は石油を80%アメリカに依存している。我々を追い込まないでくれ」と英語で話しかけます。その4年後の1941年。ハワイで太平洋艦隊の情報主任参謀となったレイトンは日本の攻撃を予測するのですが、上層部は受け入れません。アメリカ側は無防備のまま、12月7日(現地時間)、真珠湾に停泊していた太平洋艦隊が日本軍の奇襲にあいます。そこから始まった太平洋戦争。映画は翌42年6月のミッドウェイ海戦まで日米両軍を追います。アメリカの勝因のひとつは、日本軍のミッドウェイ攻撃を予知できたこと。レイトンを中心とした、情報収集部隊の暗号解読、情報撹乱戦がスリリングです。急降下爆撃機などのパイロットたちも一方の主役。航空母艦、戦艦、駆逐艦、潜水艦と飛行部隊のバトルシーンの迫力はスゴイです。言っちゃいけないのかもですが、こどもの頃のプラモデルファンに戻って楽しめます。真珠湾の意趣返しのように、42年4月、ドゥーリトル中佐率いるB25爆撃機16機が初めて日本を空爆します。帰りの燃料の余裕なく、爆破を終えたあとは日本を突っ切り中国大陸へ。なるほど、ここで中国の出番がありました。
2020年09月06日『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)と銀熊賞(男優賞)をW受賞した中国の気鋭監督ディアオ・イーナンの5年ぶりとなる新作『鵞鳥湖(がちょうこ)の夜』が、公開延期を経ていよいよ9月25日(金)より公開。本作で主演を務めるのは、その奇跡の復活自体が映画化されてもおかしくないといわれる中国出身の人気俳優フー・ゴー。9月は、彼が出演する3作品が連続公開される。フー・ゴーは2005年、TVシリーズ「仙剣奇侠伝」でデビューし、爆発的人気を得て一躍有名に。名門・上海戲劇学院を卒業、容姿端麗な実力派として当時最も期待された若手俳優となり、2016年には、上海TVフェスティバル「マグノリア賞」とゴールデンイーグル芸術祭の“お気に入りの男優”に贈られる「ゴールデンイーグル賞」を受賞。だが、まさにこれからというときに、時代劇「新・射雕英雄伝」の撮影帰りで交通事故に遭い、大ケガを負うことに。100針以上も縫い、顔の右半分は10回以上の修復手術を行うなど、俳優復帰は絶望的と思われていたが、見事に復活を果たし、「偽装者」(15)やIMDbで9.5ポイントというハイスコアを獲得した「琅ヤ榜 ~麒麟の才子、風雲起こす~」(15)で再度大ブレイク。以降も数々のTVドラマで活躍している。この9月11日(金)には、岩井俊二監督初の中国映画で『ラストレター』中国版といえる『チィファの手紙』(18)が公開。9月25日(金)公開の中国山岳アクション大作『クライマーズ』(19)にも出演を果たしている。さらに、ウォン・カーウァイ初のTVシリーズ「Blossoms Shanghai」でも主演を務め、撮影中だ。フー・ゴー待望の映画初主演となった本作『鵞鳥湖の夜』では、破滅的な運命に魅入られた男のあがきを熱演する。魅惑的な闇と色彩が渦巻く鮮烈なヴィジュアルで現代中国の暗部をえぐり、本国で異例の大ヒットを記録。孤独なアウトサイダーである主人公の男女、警察の捜索チーム、バイク窃盗団のギャングの行動が交錯していくストーリー展開は、フラッシュバックを導入した幻惑的な語り口、湖や雨などの“水”をフィーチャーしたロケーション、ダイナミックで切れ味鋭いアクション・シークエンスと相まって濃密なサスペンスとエモーションを創出している。『鵞鳥湖の夜』は9月25日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年9月11日より新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.鵞鳥湖の夜 2020年9月25日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか全国にて公開クライマーズ 2020年9月25日 新宿シネマカリテほか全国公開(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
2020年08月31日映画『窮鼠はチーズの夢を見る』が9月11日(金)に公開される。この度、一足先に鑑賞した著名人から寄せられた映画の絶賛コメントが公開された。本作は、繊細な心理描写で読者から圧倒的な共感を呼ぶ水城せとなのコミック『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』を原作に、『ナラタージュ』『リバーズ・エッジ』など、様々な愛の形を写し取ってきた行定勲監督が実写映画化したラブストーリー。受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた、主人公・大伴恭一が7年ぶりに再会した大学の後輩・今ヶ瀬渉から「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられ、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様を描く。恭一を演じるのは、映画では『100回泣くこと』に続き、単独主演を務める大倉忠義。恭一への想いを募らせ葛藤する姿に誰もが共感せずにはいられない今ヶ瀬を、『愛がなんだ』『カツベン!』などの成田凌が務めた。この度、映画公開前に先行して本作を鑑賞し、恋愛における複雑な感情を痛いほどリアルに、そして美しく描いた恋の物語に魅了されたアーティストや俳優、映画監督といった各界の著名人よりコメントが到着した。若者を中心に絶大な支持を誇るロックバンドKing Gnuでボーカル兼キーボードを担当している井口理や、数々の映画やドラマに出演し、今や国民的な俳優となった有村架純、高良健吾、さらには現在注目度急上昇中のアイドルグループBiSHのメンバーであるアイナ・ジ・エンド、映画ジャーナリストの宇野維正、映画批評家の相田冬二らが本作を絶賛。それぞれ熱のこもった表現で映画『窮鼠はチーズの夢を見る』への想いを綴っている。著名人の各コメントは以下の通り。●井口理(King Gnu)「本当に大切な人は誰?」その自問自答に、同じ答えを出し続けることは出来るんだろうか。この作品は、あなた自身の「ラブストーリー」を浮かび上がらせる。●有村架純(女優)一筋縄にいかない人間の性は愚かさをも暴く。めきめきと皮が剥がれていくそれも、恋愛の醍醐味なのかもしれない。●高良健吾(俳優)素直で誠実な身勝手さがここまで沁みるのは恭一と渉の間にあるなにか。僕は2人のカタチに胸が震えました。ぜひ劇場で確かめてほしいです。●アイナ・ジ・エンド(BiSH)濡れたような声色と、薄暗い青、睨みつけるくせに優しく溶け込んでくる言葉たち。瞬きをするのが勿体無い映画でした。スナック菓子を貪る男性二人の他愛ない色気を忘れられません。●宇野維正(映画ジャーナリスト)理性と本能。信頼と裏切り。人間の美しさと醜さ。『窮鼠はチーズの夢を見る』は、恋愛映画が最高のサスペンス映画でもあることを思い出させてくれる。●相田冬二(映画批評家)この作品は、あなた自身の「ラブストーリー」を浮かび上がらせる。観る者の人生が見透かされる、ためいきが漏れるような恍惚。21世紀最良の恋愛映画が、ここにある。●カツセマサヒコ(ライター/小説家)誰にも知られたくなかった感情が、とうとう描かれてしまった。流される恋に共感するたび、古傷が痛んで膿んで吐きそうになる。●岩井俊二(映画監督)例外探し。恋愛とは、ただひとりの例外を探す旅路なのかも知れない。『窮鼠はチーズの夢を見る』9月11日(金)公開
2020年08月24日岩井俊二監督が初めて中国でメガホンをとった『チィファの手紙』の公開日が9月11日(金)に決定。この度、本作の予告編と本ビジュアルがあわせて公開された。『チィファの手紙』は、1月に公開された岩井俊二監督最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説『ラストレター』を原作に岩井監督が中国で描くもうひとつの“ラストレター”といえる作品。中国でも人気を誇る岩井監督のもとに、中国四大女優のひとりである主演のジョウ・シュンをはじめ、中国の豪華キャストが集結。岩井監督はプロデュース、脚本、編集、音楽も兼ね、プロデューサーにはアジア映画業界の巨匠ピーター・チャンが名を連ねている。2018年に中国で公開されると、中国映画として当週の興行ランキング1位を獲得した。中国のアカデミー賞とされる第55回金馬奨では、最優秀主演女優賞・助演女優賞・脚本賞の3部門でノミネートを達成している。この度解禁された予告編は、姉チィナンが亡くなり、その死を告げる ため参加した同窓会で、ジョウ・シュン演じるチィファが中学時代の憧れの相手チャンと再会するシーンから始まる。そして「中学時代に憧れの人がいたんです。でもその人、私の姉が好きで」と語るチィファとともに、「手紙」を通して浮かび上がるそれぞれの初恋の記憶が、 現代と過去ふたつの世代を繋いで描かれていく。また、同時に公開された本ビジュアルでは、ティザービジュアルと同様に記された「初恋、めぐるー」というコピーと共に、チィファの俯いた横顔が映された一枚。あどけなさの残る若き日の姉チィナンの横顔をとらえたティザービジュアルとは対照的に、チィファはどこか 切なげな表情を見せている。『チィファの手紙』9月11日(金)公開
2020年07月17日国内で大ヒットを記録した岩井俊二監督最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説「ラストレター」を原作に中国で描く『チィファの手紙』の公開日が決定。併せて、本予告と本ビジュアルが解禁となった。この度解禁された予告編は、姉チィナンが亡くなり、その死を告げるため参加した同窓会で、主人公のチィファ(ジョウ・シュン)が中学時代の憧れの相手チャン(チン・ハオ)と再会するシーンから始まる。「中学時代に憧れの人がいたんです。でもその人、私の姉が好きで」と語るチィファとともに、「手紙」を通して浮かび上がるそれぞれの初恋の記憶が、現代と過去2つの世代を繋いで描かれていく。チィファとチャンの再会により始まった文通が、思いがけず広がりを見せ、初恋の懐かしさや暖かな感動に包まれる予告編となっている。併せて解禁された本ビジュアルは、「初恋、めぐる―」というコピーと共に、チィファの俯いた横顔が映された1枚。あどけなさの残る若き日の姉チィナン(ダン・アンシー)の横顔をとらえたティザービジュアルとは対照的に、チィファはどこか切なげな表情を見せており、現代と過去を結ぶ物語が姉妹の2つの顔によって演出されている。『チィファの手紙』は9月11日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年秋 新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.
2020年07月17日「SSFF & ASIA」代表の別所哲也、フィルムメイカー・俳優の斎藤工、「SSFF & ASIA」アンバサダーのLiLiCoが参加するオンライントークが、8月6日(木)に配信される。米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)は、「ショートフィルムの日」を皮切りに、映画祭が延期となった秋までの間、未曾有のパンデミックにより大きく変化しようとしている映像制作や映画祭、映画配給・興行といった映画業界の各立場からゲストを迎え、現状と未来像を語るトークセッションシリーズをYouTubeチャンネルでオンライン配信中。そのシリーズ第5回目では、別所さんがホストを務め、LiLiCoさんと共に斎藤さんを迎え、ビヨンド・コロナ(アフターコロナ/with コロナ)と言われる中で挑戦する映画業界についてトークを展開。斎藤さんがスタートさせたリモート製作の『TOKYO TELEWORK FILM』の挑戦や経緯について、「A TAKUMI SAITOH FILMS」として自らの監督、出演作をオンライン発信するプラットフォームをローンチした意図、岩井俊二監督作『8日で死んだ怪獣の12日の物語』出演で感じた俳優としての視点。そして今後、映像制作や俳優としての仕事がどんな新たな局面を迎えていくのかトークをしていく。ライブ配信中には、本年の「SSFF & ASIA」とのコラボレーションイベントについて発表もあるという。トークセッションシリーズ第5回「別所哲也×斎藤工×LiLiCo 映画業界が挑戦するビヨンド・コロナを徹底トーク」は8月6日(木)20時~SSFF & ASIA YouTubeチャンネルにてライブ配信。(cinemacafe.net)
2020年07月16日岩井俊二監督× 斎藤工×武井壮×樋口真嗣がタッグを組み、YouTubeにて配信された『8日で死んだ怪獣の12日の物語』。この度、のんを追加キャストに迎えた劇場版が、7月31日(金)より全国のミニシアター支援のために公開されることが決定した。本作品は、SNSにて樋口監督ら5人の監督が発動した「カプセル怪獣計画」の番外編となり、全編ほぼリモートで撮影された。主人公のサトウタクミを演じるのは、「BG~身辺警護人~」に出演中で、ミニシアターパークの活動などを通して積極的にミニシアターを支援している斎藤工。監督やプロデュースまでもこなすそのバイタリティをリモート撮影という特殊な状況下でも発揮し、主演を務める。そして、今回追加での出演が発表されたのんが演じるのは、通販で宇宙人を買ったという丸戸のん。「この役を演じられるのはのんしかいない」という岩井監督からのラブコールに応え、岩井組に初参加。サトウタクミの先輩オカモトソウを演じるのは武井壮。そして、『少女邂逅』『街の上で』など話題作への出演が続く穂志もえかがYouTuber“もえかす”を演じ、これまでとは違った一面を見せる。個性豊かな岩井組初参加の面々に加え、原案の樋口真嗣も登場し、フィクションなのにドキュメンタリーのようなちょっと不思議で優しい世界へと導く本作。世界中がいまも直面している新型コロナウイルスとの戦い。2020年のいまを切り取る本作からポスタービジュアルが解禁。人気の少ないコロナ禍の東京を背景に、何か言いたげな人間の表情が印象的なモノトーンのポスター。渋谷の街には岩井監督自ら造形した様々な怪獣も配置されており、作品の不思議な世界観が反映されている。なお、本作は、これまで多様な映画文化を支えてきたミニシアターを応援すべく、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興行を予定している。斎藤さんは、「四月末、岩井監督の1通のお便りから密やかに始まったこのプロジェクトは、カプセル怪獣の如く日々変化と進化」を繰り返してきたと語り、「のんさん、武井壮さん、穂志もえかさん、更には"怪獣や星人"が参加して下さり、作品自体が第二形態へと大きく変貌を遂げました。他に類を見ないこの進化型怪獣(映画)の目的・ミッションは、人類の平和と、ミニシアターを中心とした映画館の救済です」と明言。岩井監督とも、斎藤さんとも初タッグとなるのんさんは「先輩俳優と後輩のやりとり、とても楽しかったです。怪獣の卵をネットで買って、未知の生き物に地球の未来を委ねる不思議な世界観。小さな白い怪獣が今にも動き出すんじゃないかと、ドキドキしました。どんな状況でも映画作りをする岩井監督の作品に参加できて感動しています。コロナ禍で気持ちがしぼみがちな中、私も大人しくしてるだけじゃダメだ、と勇気付けられました」と語る。また、ミニシアター支援についても「作品で応援できるということで、役者として一番嬉しい形だなと思います。みんなの大切な、映画の記憶が刻まれる場所が、残っていって欲しいと願います」と思いを口にした。そして、岩井監督もまた「コロナという、今世界中で猛威を振るっている世紀の災厄。誰もが対岸の火事ではいられないこの事態。我々エンターテインメントの世界も、真っ先に甚大な被害を被りました。僕は仕事を作る立場の側です。その責任の重さを今回ほど強く感じたことはなかった気がします。この作品を作ることそのものがコロナ禍にあって自分のできるせめてもの抵抗だった気がします。気の休まらない日々の中、この作品が誰かのせめてもの気休めになってくれたら。そんな想いです」と語っている。『8日で死んだ怪獣の12日の物語』は7月31日(金)より全国のミニシアターにて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年06月24日女優・のんが、7月31日から全国のミニシアター支援のために劇場公開される映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』に出演することが23日、発表された。コロナ禍でも最新のエンターテインメントを届けたいという思いから、「岩井俊二監督×斎藤工×武井壮×樋口真嗣」がタッグを組み、YouTubeにて配信された『8日で死んだ怪獣の12日の物語』。のんを追加キャストとして迎え、劇場版『8日で死んだ怪獣の12日の物語』として、公開されることが決定した。本作は、SNSにて樋口真嗣監督ら5人の監督が発動した「カプセル怪獣計画」の番外編。全編ほぼリモートで撮影され、主人公・サトウタクミを斎藤工、通販で宇宙人を買ったという丸戸のんをのん、サトウタクミの先輩・オカモトソウを武井壮、YouTuber“もえかす”を穂志もえかが演じ、原案の樋口真嗣も登場するなど、フィクションの中にもドキュメンタリーのような不思議な世界観が広がる。岩井監督作に初参加となるのんは、「岩井俊二監督のリモート撮影作品に参加させていただき心から嬉しく思います」と喜びを伝え、「そして斎藤工さんとも初めての共演をさせていただきました。先輩俳優と後輩のやりとり、とても楽しかったです。怪獣の卵をネットで買って、未知の生き物に地球の未来を委ねる不思議な世界観。小さな白い怪獣が今にも動き出すんじゃないかと、ドキドキしました」と興奮を表現。「どんな状況でも映画作りをする岩井監督の作品に参加できて感動しています。コロナ禍で気持ちがしぼみがちな中、私も大人しくしてるだけじゃダメだ、と勇気付けられました」と刺激も受けたようで、「ミニシアターが無くなっては困るということで、斎藤工さんも参加されているミニシアターエイドに、私も参加させていただきました。今回は、作品で応援できるということで、役者として一番嬉しい形だなと思います。みんなの大切な、映画の記憶が刻まれる場所が、残っていって欲しいと願います」と同作に込めた思いを語った。なお、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興業を予定している。■斎藤工コメント四月末、岩井監督の1通のお便りから密やかに始まったこのプロジェクトは、カプセル怪獣の如く日々変化と進化を繰り返し、登場人物も、のんさん、武井壮さん、穂志もえかさん、更には“怪獣や星人”が参加して下さり、作品自体が第二形態へと大きく変貌を遂げました。他に類を見ないこの進化型怪獣(映画)の目的・ミッションは、人類の平和と、ミニシアターを中心とした映画館の救済です。映画を愛する皆様に、岩井俊二監督・我々の想いが届く事を願っております。■岩井俊二監督コメント樋口真嗣監督たちが始めた「カプセル怪獣計画」というリレーチャレンジ動画企画に声をかけられたのが4月28日。その趣旨をちょっと誤解して、じぶんなりのショートストーリーを考えてしまいました。小さな怪獣の卵を通販で購入し、毎日育てていくと、思いがけない怪獣に成長していくという物語。一ヶ月後には撮影も完了していたので、途轍もなく速いぺースで完成してしまった作品です。コロナという、今世界中で猛威を振るっている世紀の災厄。誰もが対岸の火事ではいられないこの事態。我々エンターテインメントの世界も、真っ先に甚大な被害を被りました。僕は仕事を作る立場の側です。その責任の重さを今回ほど強く感じたことはなかった気がします。この作品を作ることそのものがコロナ禍にあって自分のできるせめてもの抵抗だった気がします。気の休まらない日々の中、この作品が誰かのせめてもの気休めになってくれたら。そんな想いです。(C)日本映画専門チャンネル/ロックウェルアイズ
2020年06月23日国内で大ヒットを記録した岩井俊二監督最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説「ラストレター」を原作に中国で描く『チィファの手紙』から、特報とティザービジュアルが解禁となった。今回解禁された特報では、ジョウ・シュン演じる主人公チィファが「中学時代に憧れの人がいたんです。でもその人、私の姉が好きで…」と、中学時代の初恋に想いを馳せる姿から始まる。回想シーンとともに織り成された映像では、一通の手紙から始まったふたつの世代を超えて綴られるラブストーリーが描かれており、過去そして現在で映し出される手紙のやりとりから、時を超えて胸を締め付けるような淡く切ない記憶が呼び起こされる。日本版『ラストレター』でも印象的だった、学校の図書室や階段でのシーンも垣間見える。柔らかく透明感あふれる映像に合わせ奏でられる、美しく切なげなチェロの旋律から、珠玉の物語を予感させる特報となっている。併せて解禁されたティザービジュアルでは、「初恋、めぐる―」という印象的なコピーとダン・アンシー演じる若き日の姉チィナンの横顔が映され、そのみずみずしい魅力に惹きつけられる1枚となっている。映像とビジュアルからは、“岩井美学”と称される幻想的でノスタルジックな色彩美を感じさせられ、初の中国映画にして、岩井監督ならではの唯一無二の世界観に期待が寄せられる。『チィファの手紙』は今秋、新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年05月21日原田知世主演『時をかける少女』などの“尾道三部作”をはじめ、数々の名作を世に贈りだしてきた映画作家・大林宣彦監督が、肺がんのため4月10日(金)に82歳で死去。この日は、最新作『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』の公開予定日だったが、新型コロナウィルスの影響により映画館が休館し、公開延期となっていた。1938年、広島県尾道市生まれ。3歳のときに自宅の納戸で見つけた“活動写真機”と戯れるうちに映画をつくり始めたという。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用したCMを製作、その作品数は3,000 本を超える。1977年に『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(’82)、『時をかけ る少女』(’83)、『さびしんぼう』(’85)は“尾道三部作”と称され、世代を超え親しまれ、現在も新世代のクリエイターへ大きな影響を与えつづけている。近年には“大林的戦争三部作”と呼ばれる『この空の花-長岡花火物語』(’11)、『野のなななのか』(’14)、『花筐/HANAGATAMI』(’17)を発表。特に『花筐/HANAGATAMI』は第72回毎日映画コンクール日本映画大賞、第33回高崎映画祭特別大賞など様々な賞を受賞し、第91回キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画ベスト・テン第2位に選ばれ、監督賞を受賞した。また、2004年春の紫綬褒章受章、 2009年秋の旭日小綬章受章。2019年には令和初の文化功労者にも選ばれていた。肺がんと診断され、余命の宣告を受けたのは、2016年8月。転移を繰り返すがんと闘いながら、みずからの命を削って、平和をたぐり寄せる映画を完成させた大林監督渾身の最新作『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』は、新型コロナウイルスの影響により映画館が休館し、公開延期となっていた。その公開予定日だった4月10日(金)19時23分、東京都世田谷区の自宅にて息を引き取った大林監督。葬儀・告別式は、家族葬(密葬)を執り行い、後日、お別れの会を予定。喪主は、妻で映画プロデューサーの、大林恭子氏が務める。『時をかける少女』でデビューした原田さんは「在りし日のお姿を偲びつつ、ご冥福をお祈りいたします」とTwitterに思いを綴り、また、『青春デンデケデケデケ』に出演した浅野忠信も「ありがとうございました一緒に映画を撮った日々を忘れません」とTwitterを更新。岩井俊二監督は「ちょっとすぐには受け止められない。 エネルギッシュな新作にコメントを書かせて頂いたばかりでした」とまだ信じられないといった様子で、「訃報を聞いて呆然としている」と綴った行定勲監督は「恩師を失ってしまったような気持ちだ。この時、拙作『遠くの空に消えた』を『僕が撮ったらあんな爽やな風のような映画にならない』と気に入ってくださった」と2ショット写真をアップするなど、出演者や映画関係者、映画ファンから悲しみの声が相次いでいる。『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』は近日公開。(text:cinemacafe.net)
2020年04月11日好きな人に手紙を書いたことはありますか?想いをしたためたものの、相手に出す勇気が出なかった…そんな経験はないでしょうか。岩井俊二監督の最新作『ラストレター』は甘酸っぱい思い出を彷彿とさせる、美しい映画だと評判です。■文字で描かれる恋愛裕里(松たか子さん)は姉・未咲の葬儀の場で、未咲の娘・鮎美(広瀬すずさん)から、未咲宛てに高校の同窓会の案内が届いていると知らされます。姉の死を告げるために同窓会に参加した裕里。そこで、学校のマドンナだった姉本人と勘違いされてしまうのです。さらに同窓会で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治さん)と再会します。裕里を未咲と勘違いした鏡史郎と文通が始まり、やがてそのことを鮎美に知られることになり…。面と向かっては話せなくても、文字だとスッと言えるってことありますよね。さすがに手紙を書く人は少ないでしょうけれど、現代はSNSやアプリを通して気持ちを語る男女は多いようです。■親密化過程を踏まない男性と女性ところで、人はどのような過程を経て親しくなるか、ご存知でしょうか。1973年、Robert A. Lewis(ロバート.A.ルイス)は、男女が結婚を形成するまでの間、どのように関係を発達させるか、その親密化過程を論文にしました。それによると、人は以下の6つの意識段階を踏んで結婚に至るというのです。1. 類似性の認知2. お互いを特別視する、いい関係の構築3. お互いを知り合う自己開示4. 得手不得手をうまく噛み合わせる役割取得5. 役どころがぴったりハマって居心地のよさを感じる役割適合6. 2人で1つ、といったペアとしての結晶意識ただ、こういった段階を踏むのは、あくまで「対面による関係作り」の場合。現代のような文字だけのやり取りだと、また違ってくるのです。というのも文字でのやり取りは、ある種独特な「気安さ」を生みます。それは、1や2の段階をショートカットして、いきなり3へと飛ぶ「気安さ」なのです。相手の顔が見えないまま「実は私はね…」とぶっちゃけトークをして、言葉上の共感を得る。するとそれだけで、自己開示がうまくいったという錯覚に陥ってしまいます。実際には相手はロクに理解せず、適当に話を合わせているだけかもしれません。でもそれは、文字からは読み取れないのです。本当はわかり合っていなくても「相手は自分を受け入れてくれたんだ」と思う。そして、一気に心の距離が近づいたように錯覚してしまう…そんな「誤解」が生まれやすいのが「文字だけでつながる恋」の特徴です。■文字でつながる恋の弊害お互いの人間性をすり合わせるのに、文字だけではとても足りません。目を見て、顔を合わせて表情を読み、たくさんの時間を費やして言葉を交わし、初めて「自己開示」になります。しかし、大概はわかり合っていると誤解したまま一線を越え、なんとなく噛み合っていないと感じつつも「そんなはずはない。相手は自分の理解者のはず」と思ってずるずる関係を続けてしまいます。結果的に、合わない相手にしがみついて時間を無駄にする…といった状況に陥るのです。確かに文字だと、普段は言えないことも言いやすいでしょう。でもそれは、本当の「自己開示」ではありません。相手と向き合い本心を語って、そうして初めてお互いの本質に触れる付き合いが始まるのです。■まとめ文字でつながる恋の落とし穴、ご理解いただけましたでしょうか。相手から思ったような反応を得られず、傷つくのが怖くて本心を見せられないなら、バーチャルな「恋愛ごっこ」しかできません。もし本気で相手と絆を築きたいと思うなら、勇気を出して対面でぶつかるべきです。あなたにも、好きな人にしか見せない「顔」があるはず。それを、ぜひ出しましょう。そんなあなたを見て、相手は「特別な存在だ」と理解するのですから。
2020年02月01日公開中の『ラストレター』と同じく、岩井俊二監督が自身の小説を原作に、中国で描くもうひとつの“ラストレター”『チィファの手紙』が日本公開されることが決定した。亡くなった姉・チーナン宛に届いた同窓会の招待状。妹のチィファは、姉の死を知らせるために同窓会に参加するが、姉の同級生に姉本人と勘違いされた上に、初恋相手の先輩・チュアンと再会する。姉ではないことを言い出せぬまま姉のふりをして始めた文通が、あの頃の初恋の思い出を照らし出す――。本作は、岩井監督が初めて中国でメガホンをとった映画。2018年11月9日より中国で公開され、中国映画としてはその週の興行ランキング1位を獲得、北米、オーストラリアほか各国でも称賛を浴び、中国のアカデミー賞とされる「第55回金馬奨」で最優秀主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の3部門にノミネートされた。岩井監督は、プロデュース・脚本・編集・音楽も兼ね、撮影監督は『ラストレター』でも撮影を務めた神戸千木、プロデューサーにはアジア映画業界の巨匠ピーター・チャンが務めた。岩井監督は「僕自身初めての中国映画であるということ。みずからの原案を複数の国で撮影するということ。なかなか挑戦的なプロジェクトで実現に相当な時間もかかりましたが、無事完走出来て、改めて振り返るとすべてが忘れ難い思い出です」と撮影をふり返っている。キャストには、姉を亡くしたチィファ役にアジア映画賞の女優賞を総なめにし、中国四大女優と称されるジョウ・シュン。初恋相手・チュアン役は、日中合作映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』にも出演したチン・ハオが演じている。『チィファの手紙』は秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年01月27日1月18日、19日の全国映画動員ランキングは、『アナと雪の女王2』(全国382館)が公開9週目も首位をキープした。また公開2週目の『カイジ ファイナルゲーム』(全国333館)は2位、公開5週目の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(全国379館)は3位につけておりTOP3は先週と変わらず。続いて岩井俊二監督の新作『ラストレター』(全国262館)が初登場4位に入り、公開2週目の『パラサイト 半地下の家族』(全国137館)は先週と変わらず5位になった。そのほか新作では、織守きょうやの小説を山田涼介の主演で映画化した『記憶屋 あなたを忘れない』(全国327館)が初登場6位。クリント・イーストウッドが、爆破テロ事件の実話を基に映画化した『リチャード・ジュエル』(全国244館)は初登場8位。2017年に放送されたTVシリーズのその後を描く劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』(全国50館)は初登場9位。2016年に放送されたTVシリーズを映画化した『劇場版 ハイスクール・フリート』(全国96館)は初登場10位に入った。タイカ・ワイティティ監督の異色作『ジョジョ・ラビット』(全国143館)は初登場11位につけている。次週は『映画 おかあさんといっしょすりかえかめんをつかまえろ!』『風の電話』『キャッツ』『サヨナラまでの30分』『シグナル100』『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』『his』『ロマンスドール』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『アナと雪の女王2』2位『カイジ ファイナルゲーム』3位『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』4位『ラストレター』5位『パラサイト 半地下の家族』6位『記憶屋 あなたを忘れない』7位『フォードvsフェラーリ』8位『リチャード・ジュエル』9位『メイドインアビス 深き魂の黎明』10位『劇場版 ハイスクール・フリート』
2020年01月20日女優の広瀬すずが17日、都内で行われた映画『ラストレター』初日舞台あいさつで、一途に思われることについて「そんな経験がない」と明かす場面があった。本作は『Love Letter』や『スワロウテイル』などで知られる岩井俊二監督のオリジナル作品で、岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛とそれぞれの心の再生と成長を描く。イベントには広瀬のほか、俳優の福山雅治、女優の松たか子、森七菜、岩井俊二監督が登壇した。広瀬は、松たか子演じる主人公・裕里の姉・未咲の高校生時代と、未咲の娘(裕里の姪)である遠野鮎美の“母娘”を一人二役で演じており、司会者から「一途にずっと思われてお手紙やラブレターももらう役。そういうふうに一途に思われるのはどういう気分ですか?」と心境を探られると、「はぁ……」と困り顔。その反応に観客から笑いが起こる中、「ごめんなさい(笑)」と恥ずかしそうにし、「役としては鮎美の気持ちの方が常に大きかったので、役を見ても恥ずかしいなと思うんですけど、儚い何かを思い続けているものがどこかにあると思うと、すてきだなと思います」と役柄と照らし合わせた。「自分の文字、文章で書いたものに込められているからこそ、手紙はいいなと思います」と語り、「そんな経験がないので、うらやましいです」と吐露した広瀬。司会者から「きっと密かに思っている人はいると思います」とフォローされると、「はい……」と再び困った表情を見せて笑いを誘っていた。
2020年01月18日歌手で俳優の福山雅治が17日、都内で行われた映画『ラストレター』初日舞台あいさつに出席し、撮影現場で起こった珍事件を明かした。本作は『Love Letter』や『スワロウテイル』などで知られる岩井俊二監督のオリジナル作品で、岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛とそれぞれの心の再生と成長を描く。イベントには福山のほか、女優の松たか子、広瀬すず、森七菜、岩井俊二監督が登壇した。撮影を振り返る中、「(共演の)中山(美穂)さんは本当に良い人というか、心が美しい人と思ったエピソードがありまして」と切り出した福山。飲食店街の路地裏でのロケがあり、そこの待機場所がカラオケ居酒屋の付近だったという。福山は当時を、「僕らが撮影しているということにそこのお客さんの方々が気づき、全然違う歌を歌っていたんですけどそのうち、中山美穂さんの名曲『You’re My Only Shinin’ Star』を歌いだして」と思い返し、「ご本人が近くにいて。どういう気持ちでそれを歌っているか分からなかったんですけど、中山さんも苦笑いで。そしたら、今度は僕の『桜坂』を歌いだして。どういう気持ちのメッセージなんだと!」とツッコミを入れて笑いを誘う。「撮影中だったこともありちょっとイライラしてきたんですけど、今度は中山さんの『WAKU WAKUさせて』を……。それが終わったら、また僕の歌」と2人の歌が繰り返されたようで、「僕はちょっとイライラしていたんですけど、中山さんは朗らかな笑顔でそれを聴いていらっしゃって、本当に良い人だと思いました」と回顧。あらためて当時の状況を振り返ると「僕は相当イライラしましたけどね」と苦笑し、「中山さんはすべてを受け止めて、女神だと思いました」と人柄を絶賛していた。
2020年01月18日『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『花とアリス』など、数々の名作を世に送り出してきた映画監督・岩井俊二による最新作、『ラストレター』が現在公開中。現代のネット時代にはほとんど見られなくなった“文通”を主題とした、淡く切ないラブストーリーだ。本作は、20年以上ものキャリアの中で、巧みにその時代を切り取りながら、多様な愛の形を表現してきた岩井が、初めて出身地である宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まったふたつの世代の男女の恋愛と、それぞれの心の再生と成長を描いたオリジナルストーリー。“文通”とあって、名作『Love Letter』を感じさせる世界観の作品でもある。この映画の主人公・岸辺野裕里を演じるのは、松たか子だ。自身初主演映画の『四月物語』以来約21年ぶりの岩井監督作品への出演となり、映画では『小さいおうち』以来、約5年ぶりの主演を務めている。そして裕里の姉・未咲の高校生時代と、未咲の娘(裕里の姪)である遠野鮎美という“母娘”を一人二役で演じるのは広瀬すず。若くしてすでに数々の名匠と共に作品を世に送り出してきた彼女が、ついに岩井組への初参加を果たすことになった。さらに、同級生であった未咲に恋をし、再会を願って同窓会に参加。ひょんなことから裕里と文通を始めることになる乙坂鏡史郎役に福山雅治が扮している。岩井が「この役は福山雅治しかいない」と出演を熱望したことから待望の岩井組初参加が実現したようだ。その他、神木隆之介が高校生時代の鏡史郎役を務め、福山との二人一役を演じ、『天気の子』の森七菜が、松演じる裕里の娘・颯香と高校生時代の裕里の二役を演じ、新人ならではの瑞々しさで作品を彩っている。さらには、庵野秀明、水越けいこ、小室等といったユニークかつ岩井組ならではのキャスティングが実現。また、『Love Letter』の主演コンビである中山美穂と豊川悦司が、ふたり揃って出演している。邦画ファン垂涎の再タッグが、松をはじめ超豪華キャストに加わり、岩井監督と共に、新たな“文通物語”を紡ぎ出しているのだ。今の時代だからこそ、こんな時代だからこそ、“手紙”だからこそ届く想いがある……のかもしれない。そんな珠玉のラブストーリーを、ぜひとも劇場で目撃し、堪能していただきたい。『ラストレター』公開中
2020年01月18日女優の広瀬すずが17日、都内で行われた映画『ラストレター』初日舞台あいさつに出席し、前日に同作を観た“衝撃”を明かした。本作は『Love Letter』や『スワロウテイル』などで知られる岩井俊二監督のオリジナル作品で、岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛とそれぞれの心の再生と成長を描く。イベントには広瀬のほか、俳優の福山雅治、女優の松たか子、森七菜、岩井俊二監督が登壇した。この日の朝、「昨日2回目のラストレターをみた」「なんかえぐられた」「寝ても余韻がある」「参加させてもらった作品でこんな経験は初めてだーーなんだこれーーーーええええ、、何かを堪えて耳と耳の間の喉ら変が何か詰まって痛くなった」とツイートしていた広瀬。同作では、松たか子演じる主人公・裕里の姉・未咲の高校生時代と、未咲の娘(裕里の姪)である遠野鮎美“母娘”を一人二役で演じており、司会者から作品の感想を求められると、「昨日観ました」と改めて説明し、上映後の舞台あいさつであることから「たぶん、皆さんと同じ余韻に浸れていたくらい」と笑顔を見せた。さらに、「1回目とは違う衝撃を受けて。撮影したのがちょっと前だったので、また全然違う感覚で観れて」と同作の魅力をアピール。「泣きそうになってしまって、こらえていたら耳と耳の間の奥の喉らへんが痛くて」と体にも影響をしたようで、「それを考えていたら、湯船に1時間無言で入ってて『これが余韻だ!』と思って」とその“衝撃”を打ち明け、笑いを誘っていた。
2020年01月17日繊細で美しく、そしてユニーク。唯一無二の世界観で魅了する、稀代の映像作家・岩井俊二。黒木華主演作『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016年)から3年ぶりとなる最新作『ラストレター』が1月17日(金)から公開される。世界中に熱烈なファンを持つ岩井監督。その支持の度合いは、“好き”というよりも“崇拝”の方がしっくりくるかもしれない。岩井監督の手掛ける作品は、なぜそんなにも人の心を捉えるのだろうか?描くのは、境界線上にいる人物岩井作品では、しばしば“ノーマル”と“アブノーマル”の境界線上にいる人物が描かれる。普通とは相容れない自分に気づきながらも、完全にあちら側でたくましく生きる人種にもなりきれていない。だから大抵の場合に孤独だし、前にも後ろにも進めずにいる傍観者のような存在だ。アブノーマルは“ドロップアウト”とも言い換えが可能で、例えば『リップヴァンウィンクルの花嫁』で黒木華が演じた主人公の七海。結婚後すぐ家を追い出された七海は行き場を失い、綾野剛ふんする「なんでも屋」の安藤によってそれまで接点のなかった世界に足を踏み入れていく。この世の中に頼る者のいない心細さと、それでも“普通”の範疇にいられない異邦人感。孤独と葛藤の狭間で揺らぐ人物が、様々な経験をして少しずつ成長する姿を活写する岩井作品。そんな登場人物たちから目が離せないのは、彼らの姿に自分のカケラを見出すからかもしれない。ありえなさそうで、ありえる?リアルかつダークファンタジーに彩られた世界観また岩井作品が他の人間ドラマと一線を画すのは、そのユニークな世界観にある。現実にはありえなさそうでありえるかもしれない、リアルと虚構のボーダーラインを行き来する設定も多く、時としてダークファンタジー的なスリルと退廃に彩られる。例えば岩井監督の初劇場公開作品『undo』(1994年)は、“強迫性緊縛症”という神経症にかかった山口智子演じる妻が、何かを縛らないといられなくなることで夫婦の穏やかな生活が蝕まれていく異色の短編だ。また岩井作品の中でも人気の高い『スワロウテイル』(1996年)は、世界で一番強い“円”を求めてイェンタウンに集まってきた移民たちの物語。アートディレクター・種田陽平による無国籍な美術と、シンガーソングライター・Charaふんするグリコの官能的な歌が醸し出す独特の世界観はまさに唯一無二。そしてカナダを舞台に英語でつむいだ『ヴァンパイア』(2012年)は、高校教師サイモンが自殺希望の少女たちから血を手に入れようとする吸血鬼映画で、最後は純愛へとなだれこむというなんとも奇抜な恋愛ストーリー仕立てとなっている。こうして軽くあらすじに触れただけでも、監督がつむぐ物語が非凡かつバラエティに富んでいて、なおかつその世界に強烈な魅力があるのがお分かりいただけるだろう。ダークサイドを浄化するロマンティックかつピュアで清い“岩井美学”岩井作品についてロマンティックでクラシカルな印象を持つ人は多いかもしれない。確かに“クラシック音楽”を効果的に使用し、“手紙”をキーアイテムとするなど古典的要素も目立つ。加えて『花とアリス』(2004年)で描かれたように、子どもから大人への過渡期にいる少女たちは清らかで瑞々しく、彼女たちを照らす光や取り巻く自然の風景がうっとりするほど美しいなど、監督の映像には洗練された美しさというべき“岩井美学”が息づいている。その一方で、愛する者を亡くした“喪失感”や “絶望”そして“裏切り”など、人間の心の暗部に潜む負の感情や、格差やいじめなど本人だけではどうにもならない極限状況に伴う“人間の残酷さ”がモチーフとなることも。そのダークサイドの色調は作品に影を落とすが、終幕後に深い余韻を残しながらもある種の清々しさを感じさせてくれるのは、 “岩井美学”が醸し出すピュアな透明感のおかげなのではないだろうか。岩井作品のベスト盤最新作『ラストレター』岩井監督による最新作『ラストレター』は、最後の手紙に込められた“初恋の記憶”をつづった珠玉のラブストーリーだ。姉・美咲を亡くした主人公・裕里(松たか子)と、その初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)、そして美咲の娘・鮎美(広瀬すず)の三者の間で手紙が交差することで、淡い初恋の思い出が鮮やかに甦る。「手紙を書く」という所作に絵画的な美しさを感じ、「手紙を読む」佇まいが好きだという岩井監督。『ラストレター』製作へのきっかけとなったのは、2017年に発表された監督初となる韓国ショートフィルム『チャンオクの手紙』。手紙が重要な役割を果たすこの物語をさらに発展させることを思いついた監督は、同じく手紙が鍵となる『Love Letter』(1995年)を意識しつつ、まず原作本となった小説を書き上げたのだという。また本作では『Love Letter』では踏み込まなかった、人の心の闇にまで触れている。鏡史郎は売れない小説家で、美咲の死の真相をたどる過程で、彼は自分自身を顧みなければならない状況に追い込まれる。その闇は観る者の胸にも鋭く刺さるが、だからこそ鏡史郎の再生への歩みがしみじみと心に染みるのだ。今回の撮影は、監督の故郷である仙台でほぼ行われている。これは物語の底辺に監督のヒストリー的要素が息づいているため、必然的に仙台が舞台となったのだという。映画が映す学生時代は可能性に満ち、清らかな水辺の風景や緑映える盛夏の風景と相まってキラキラと輝いて見える。青春への強い憧憬を感じさせるその美しい映像の数々に目を奪われることだろう。また現代パートに登場する姉の娘・鮎美と妹の娘・颯香(森七菜)の瑞々しさも尊いばかり。少女たちが夏休みを経て成長していく姿にも注目して欲しい。これまで岩井作品が描いてきた様々なモチーフが盛り込まれた最新作『ラストレター』。本作をプロデュースした川村元気氏によると、目指したのは岩井作品のベスト盤なのだとか。今回、松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、神木隆之介、福山雅治ら超豪華キャストも集結。さらなる進化を遂げた岩井ワールドがつむぐ、最高にロマンティックな恋物語に酔いしれよう。《text:足立美由紀》(text:Miyuki Adachi)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年01月17日