今年デビュー25周年イヤーを迎えた俳優の神木隆之介が、「神木隆之介2021年カレンダー」を12月25日に発売することが決定した。本日19時より予約販売を開始する。「神木隆之介2021年カレンダー」より今回のカレンダーは25周年プロジェクトのひとつとして、写真家・映画監督の蜷川実花氏との念願のコラボレーションが実現。今回は“神木に演じて欲しい小説の登場人物”を、神木の公式Twitterにて公募し、その中から選んだ12作品をテーマに構成。古典作品から、『谷中レトロカメラ店の謎日和シリーズ』といった最新の作品まで、幅広いラインナップとなった。また、公募の際には、声優の梶裕貴、映画監督の岩井俊二氏ら著名人や、作品の作者からも直接反応があるなど、盛り上がりをみせた。カレンダーの中で12作品全て異なる役柄を演じるという、新しい試みだったが、蜷川氏が作りだす世界観の中で、見事に12作品を体現。カレンダーの8月に掲載の小説『好色一代男』では、色彩豊かなセットの中で、煙管(きせる)などの小道具を使い、今までにない大人の色気を表現し、5月に掲載の小説『人間失格』では、人間の闇と男性の美しさを表現した。さらに神木は、今回のカレンダー撮影のためだけに、自身初となるシルバーヘアーにも挑戦。黒髪での撮影を含め、2日に渡って行われ、このカレンダーでしか見ることが出来ない、貴重な姿が収められている。また、本日より、カレンダーで惜しくも使用できなかったアザーカットをまとめたポストカードセットや、25周年アニバーサリーグッズの第2弾となるトートバッグ、バスタオルなどのグッズの予約受付も開始される。
2020年10月20日第12回TAMA映画賞 受賞作品・受賞者が8日、明らかになった。最優秀作品賞には『海辺の映画館-キネマの玉手箱』『ラストレター』が選出された。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。最優秀作品賞には、「戦争とは何かを明示しつつ、映画の未来は明るいと観客に希望を託した」として、大林宣彦監督の『海辺の映画館-キネマの玉手箱』、及び「初恋の記憶が手紙に呼び起こされ、人生を歩みつづける希望として現在に差し込んでいくさまを、瑞々しい映像で描きあげた」と、岩井俊二監督の『ラストレター』が選ばれた。『ラストレター』主演の福山雅治は最優秀男優賞、出演の森七菜は最優秀新進女優賞に。また、『喜劇 愛妻物語』の濱田岳、水川あさみがそれぞれ最優秀男優・女優賞に選ばれ、『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』の長澤まさみも最優秀女優賞に輝いた。最優秀新進男優賞には、宮沢氷魚と北村匠海、最優秀新進女優賞には森に加え松本穂香が選出された。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年10月08日市民がつくる映画ファンの祭典「第30回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」が11月に開催。これに先駆け、「第12回TAMA映画賞」の受賞作品・受賞者が発表された。「TAMA映画賞」は2009年にスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考。「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰される、「最優秀作品賞」に選ばれたのは、大林宣彦監督が20年振りに尾道を舞台に贈る映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』と、豪華俳優が出演する岩井俊二監督によるオリジナルラブストーリー『ラストレター』。受賞理由については「大林監督の壮大かつ鮮烈なイマジネーションが炸裂し、戦争とは何かを明示しつつ、映画の未来は明るいと観客に希望を託した」(『海辺の映画館-キネマの玉手箱』)、「初恋の記憶が『手紙』に呼び起こされ、人生を歩みつづける希望として現在に差し込んでいくさまを、瑞々しい映像で描きあげた」(『ラストレター』)と説明。また、本年度最も心に残った男優・女優を表彰する「最優秀男優賞」と「最優秀女優賞」には、福山雅治と濱田岳、水川あさみと長澤まさみ。さらに、本年度最も飛躍した男優・女優、もしくは顕著な活躍をした新人男優・新人女優を表彰する「最優秀新進男優賞」と「最優秀新進女優賞」には、宮沢氷魚、北村匠海、松本穂香、森七菜が決定した。第12回TAMA映画賞受賞作品・受賞者一覧●最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)●特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同(『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同(『音楽』)●最優秀男優賞福山雅治(『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳(『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマン JP プリンセス編』ほか)●最優秀女優賞水川あさみ(『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ(『MOTHER マザー』『コンフィデンスマン JP プリンセス編』)●最優秀新進監督賞HIKARI監督(『37 セカンズ』)ふくだももこ監督(『君が世界のはじまり』)●最優秀新進男優賞宮沢氷魚(『his』)北村匠海(『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)●最優秀新進女優賞松本穂香(『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜(『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)「第30回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」各種上映プログラムは11月21日(土)~26日(木)東京都多摩市内2会場にて、TAMA 映画賞授賞式は11月29日(日)府中の森芸術劇場 どりーむホールにて開催。(cinemacafe.net)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年10月08日岩井俊二監督による初めての中国映画『チィファの手紙』。中国で絶大な人気を誇る岩井監督が写った、本作の日本語歌詞付き主題歌MVと中国版ポスターが解禁された。本作は、今年1月に公開された岩井監督の最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説「ラストレター」を岩井監督自ら映画化した、もうひとつの“ラストレター”。中国を代表する女優のジョウ・シュンを主演に、共同プロデューサーにアジア映画界の巨匠ピーター・チャンを迎え、岩井監督が監督、プロデュースに留まらず、脚本、編集、音楽も手掛けた意欲作となっている。そんな本作の主題歌「姿」は、岩井監督、ギタリストの市川和則とアコースティックユニット「ikire」を組むシンガーソングライターのChimaが作曲を、作詞を台湾の人気ロックバンド「ソーダグリーン」のボーカル、ウー・チンフォンが担当し、ジョウがボーカルを務めた。解禁されたMVでは、明るい光が差し込む、埃が積もった古びた講堂のステージで、チャンがギター、岩井監督がピアノを伴奏する中、ジョウが歌い上げる姿が。予告編にはない本編映像も挿入されており、本作のドラマティックでエモーショナルな世界観を堪能できるものとなっている。一方、中国版ポスターは全部で6枚あり、風の強いどんよりとした海で、黒い服に身を包んだジョウとチャンと岩井監督が写っている。そのうちの1枚、岩井監督が写ったものは、手にカチンコを持つ岩井監督の姿がコマ送りのようになっており、岩井監督の『四月物語』で主演の松たか子が写ったポスターとまったく同じ構図。さらに、ジョウが写ったものは、ヘッドフォンをつけて瞳を閉じたジョウの横顔が切り取られており、『リリィ・シュシュのすべて』を思い起こさせるほか、岩井監督を先頭に、ジョウ、チャンが一列になって歩く1枚は『PiCNiC』を彷彿とさせるなど、岩井監督の過去作へのオマージュが盛り込まれたものとなっている。『チィファの手紙』は9月11日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年9月11日より新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.
2020年09月11日誰にでもある初恋の淡い思い出。青春時代ならではのほろ苦い記憶や胸の高まりは、いくつになっても忘れられないもの。そこで、そんな気持ちを思い出させてくれる珠玉の1本をご紹介します。それは……。世代を超えたラブストーリー『チィファの手紙』【映画、ときどき私】 vol. 321姉のチィナンを亡くしたばかりのチィファは、そのことを伝えるため、姉の同窓会へと向かっていた。ところが、会場で姉と間違えられたチィファは、姉が亡くなったことを言えないままその場を後にする。そんななか、チィファの前に現れたのは初恋の人チャン。しかし、姉に想いを寄せていたことを知っていたチィファは、姉のふりをしたまま連絡先を交換するのだった。その後、チャンとの関係を誤解した夫はチィファのスマホを破壊。そこで、チィファはチャンに一方的な手紙を送りはじめることに……。本作は中国で大ヒットしたのに加え、中国のアカデミー賞といわれる「金馬奨」でも最優秀主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の3部門でノミネートされたほど話題となった作品。今回は見どころなどについて、こちらの方にお話をうかがってきました。原作・脚本・監督を務めた岩井俊二監督これまでに数々の作品で、多くの観客を魅了してきた岩井監督。本作は、今年1月に日本で公開され、人気を博した『ラストレター』と同じ題材を中国に舞台を移して描いています。そこで、監督にとって初の中国映画となる現場で感じたことや手紙の魅力、そしていまの心境について語っていただきました。―今回、中国での映画制作は初となりましたが、本国で公開されたときの反響をどのように感じましたか?監督中国の映画市場は非常に巨大ですし、僕らが作ったのはあくまでもアート映画だったので、最初は上映してもらえればいいかなくらいでした。公開して2週間くらいはハリウッド映画の『ヴェノム』がスクリーンのほとんどを席巻していましたが、そのなかで2番手争いをしていたのは、実はこの作品と『名探偵コナン』だったんです(笑)。でも、僕らの作品は中国映画だったので、日本人対決というよりも、中国映画として1位をキープできてよかったなという感じでしたね。―監督はもともと中国でも人気が高いですが、そのなかでこの題材を選んだ理由を教えてください。監督中国には長年ファンでいてくださる人たちがいたので、感謝の気持ちが伝えられる映画がいいかなと考えていたんです。そのなかで今回の企画を選んだのは、1995年の『Love Letter』と重なるところがあったから、というのもありました。実際にこの映画に取り掛かったのは、3~4年ほど前からですが、中国チームとやりとりをはじめたころから数えると10年越し。準備も含めるとけっこう長かったなと思います。自分から挑戦しないと、よりよい作品は生まれない―作品を仕上げるなかで、中国の方々にとって違和感のない映画にするために、かなり細かい部分までリサーチをしたそうですね。特に苦労した部分はありましたか?監督回想シーンは30年くらい前の話になるので日本でいうと平成のはじまり頃ですが、中国では文化大革命が終わったあと。いまとは風俗や景色もまるで違うので、ローカライズにはかなり時間をかけました。セリフを1行ずつチェックされ、アドバイスを受けることも。そこで、自分のやりたいことが修正されたこともありましたが、終わってみるとその修正がネガティブな結果になったことはほとんどありませんでした。むしろ、それによって思いがけないエピソードが膨らんでいった部分もあったくらい。たとえば、 日本版では主人公には子どもが2人、お姉さんには1人いる設定ですが、一人っ子政策や社会状況を踏まえて、中国版では主人公に子どもが1人、お姉さんには2人と逆にしてみたりしました。結果弟のシーンが膨らんで映画の重要な柱の一つになりました。最初は苦行みたいに感じたこともありましたが、それによって一回りも二回りもよくなっていったので、いまでは自分のモノづくりにおいて「これでいいだろう」と思うのではなく、「自分から挑戦していかないと、よりよい作品は生まれない」と考えるようになりました。―では、中国のキャストやスタッフと一緒に仕事をされてみて、何か学んだことはありましたか?監督一番思ったのは、スタッフの私語があまりないことですかね。日本の現場ってけっこうおしゃべりしていい空気があるんですけど、一般の職場だったらあまりしゃべらないですよね……。今回プロデューサーを務めてくれたピーター・チャンが撮影している別の現場も見学させてもらいましたが、巨大なスタジアムがシーンとしていて、そのなかで聞こえているのは指示を出している人の声だけ。非常に緊張感のある現場で、すごいなと思いました。実は前から日本の現場はおしゃべりだなと少し気にはなっていたんですが、改めてそういうことを感じたところもありましたね。でも、しゃべってる人たちに「おしゃべりするな」と言って歩くのもなんかやるせないし、感じ悪いので自分の現場で実践するとなるとなかなか難しいのかなとは思いますが(笑)。手紙にまつわる仕草には情緒があり、惹かれるものがある―確かに難しいかもしれないですね……。では、本作のモチーフにもなっている手紙についておうかがいしますが、これまでも手紙に関する作品を監督は撮られています。手紙にまつわる原体験があれば教えてください。監督僕は仙台で生まれ育ったあと、横浜の大学に入ったので、そのころは友達から手紙がよく来ていました。LINEも何もない時代でしたけど、お互いに手紙を送り合うのはけっこう楽しかったですね。そういうことは、手紙を振り返ったときの懐かしい思い出としてあります。あとは、書簡体の小説を読んだりとか、手紙をエピソードにした作品を目にしたりしているうちに、やってみたいという思いがだんだん積もっていった気がしますね。―デジタルの発達によって手紙は廃れつつありますが、だからこそ惹かれるものがあるのでしょうか?監督『Love Letter』では主人公がワープロを使って手紙を書くスタイルでした。かつては手紙を書くという所作はありきたりだったので変化を求めたわけですが、今回は便せんにペンで書くという一番オーソドックスな手法を取りました。改めてカメラを通して見ると、手紙を書く仕草にも読む仕草にも情緒があるんですよね。歴史があるからなのか、失われつつあるせいなのか、見ていてしみじみと自分のなかに去来するものがありました。スマホで同じことをしても、風情がないですよね。映画を作る側からすると、いろいろな仕草や佇まいが新しい端末によって相当変わってしまったので、名残惜しい気はしています。たとえば、昔だったら電話のシーンで、まず誰かが受話器を取って、「ちゃん、電話だよ」と声を掛けて、人が来るみたいな動きがありましたが、いまだと一瞬で終わってしまって、人の交流がないですから。こうやってどんどんいろいろなものが失われていくのは、心配ではありますね。時代の鏡となるものを作っていると改めて気がついた―2020年は新型コロナウイルスという大きな出来事がありましたが、そのなかでも『8日で死んだ怪獣の12日の物語』など、新しい試みで作品を作られました。ご自身の映画人生においても、新たに気づかされることもありましたか?監督まだ振り返れる段階ではないと思いますが、ミニシアターの大変な状況を目の当たりにして、自分がいかにミニシアターと深く関わっていたのかということを改めて考えさせられました。あとは、僕のように作品を作る立場の人間ががんばって現場を作っていかないといけないんだ、ということも意識させられて、自分のなかでは逆にエンジンがかかったように感じています。―リモートで映画を作ることも、いままでなら考えられなかったことではないでしょうか。監督そうですね。でも自分たちが作っているものは、時代の鏡みたいなものなんだなと思いました。たとえば、通常ならいろいろなアングルで撮ろうとするところも、緊急事態宣言中に映像を撮るうえでは、不思議と必要性を感じませんでしたが、理由はそれがいまの状況にかみ合わないというか、このコロナ禍を映し出さないように思えたから。そんなふうに、映像のアングルにまで影響を与えているという意味でも、今年はとんでもない年になってしまいましたね。いままではあまり強く意識していませんでしたが、こういうことが起こると、映画というのは時代が映り込んでしまうものなんだ、ということに改めて気づかされます。―今後の作品づくりにおいて、影響を与えているところもありますか?監督世界中がそうですが、「撮影現場を簡単には組めないなかでどうしていくのか?」ということを考えなければいけないなかで、まだ答えが出ていないですね。行定勲監督とも電話で話しながら、今後の対策をお互いに相談し合っているところですが……。いまは“やれること”と“やれないこと”がすごくはっきり分かれているので、工夫するしかないんだと思っていますが、本当に難しいですね。文化を通して、プラスのイメージを伝えていきたい―そういった制限があるなかで、いまやりたいこととは?監督自分なりのいまを描こうと思った部分に関しては、『8日で死んだ怪獣の12日の物語』で一旦形にはしてみましたが、次に関しては、持っていたアイディアがすべてコロナ以前に考えていたものですから、「はたしてこのなかから作品にできるものがあるのだろうか」というのは、いまの落ち着かない状況のなかだと見つけにくいところだと思います。いままでも病気や災害などいろいろなことがありましたが、去ったら去ったで、人はわりと忘れやすいものだという気がしているので、もしかしたら10年後にはあまり思い出さないことのひとつになっているかもしれないですよね。記憶として消す必要はないですし、消してはいけないものでもありますが、忘れることが必ずしも“悪”だと僕は思っていません。これからも繰り返されることはあるかもしれないですが、これもそのひとつなのかなと。いまのところはしばらく見守るしかないと思っています。―こういった状況で、監督のモチベーションとなっているものを教えてください。監督自分が子どものころを振り返ってみると、ベトナム戦争があったり、公害の問題があったり、オイルショックがあったり、70年代は相当暗い時代でした。ただ、そういう居心地の悪いところからだんだんと右肩上がりになり、明るくなっていくのを子どもながらに体感したことは覚えていますね。そういう兆しや浮揚感を小説や音楽、映画、漫画といったものから嗅ぎ取っていたので、文化として世に放つことの意味は、すごくあると僕は感じています。80年代に、スティーヴン・スピルバーグとジョージ・ルーカスが子どもたちに夢を与えたいと言っていた記事を読んだことがありましたが、そんなふうに文化が時代のムードを作っていくことができるんじゃないかなと。さりげないものでもいいので、プラスのイメージを伝えられたらいいなと最近は思っています。淡くて美しい物語に心が動く!中国の実力派キャストが顔を揃え、日本版とはまた一味異なる物語を楽しむことができる本作。現代のデジタルなコミュニケーションでは味わうことのできない手紙の温もりと、そこで交錯するそれぞれの思いに、切なさとトキメキで心が満たされるのを感じてみては?引き込まれる予告編はこちら!作品情報『チィファの手紙』9月11日(⾦)新宿バルト9他全国ロードショー配給:クロックワークス© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURESLIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOUMOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.©Munehiro Saito
2020年09月10日岩井俊二監督の新作映画『チィファの手紙』が公開になる。本作は岩井監督が中国で手がけた新作映画で、今年1月に公開された『ラストレター』と同じ原作を基にしている。これまでもひとつの作品を小説や連続シリーズ、映画など様々な分野で描いてきた岩井監督は、ふたつの作品をどう捉えているのだろうか?本作の主人公チィファは亡くなった姉チィナンの同窓会に出かけ、姉に間違えられ、学生時代に憧れていたイン・チャンと再会する。連絡先を交換したチィファは、夫にスマートフォンを破壊されてしまったことから、チャンと“手紙”でやりとりを始める。本作は岩井監督が中国に渡り完成させた作品だが、以前から「40代でアメリカで、50代で中国で映画を撮るのを目標にしていた」と語る。「これまでのキャリアの中で日本、アメリカ、カナダ、フランスで映画をつくってきて、『チャンオクの手紙』(ぺ・ドゥナを主演に迎えた短編)で韓国に行ったんですけど、香港や台湾で撮影したことはあっても中国で映画をつくったことはなかった。それは自分の中のひとつの目標になっていたんです。撮影する環境を少しずつ広げていっているので、ひとつアイデアを考えると、それぞれのプロデューサーと話をして、意見を聞いたりしながら、結果として一緒やろうとなったのが今回はたまたま日本と中国だったということです」『チィファの手紙』はピーター・チャンがプロデュースを担当し、ジョウ・シュンら中国人俳優が集結しているが、撮影監督は近年の岩井作品を担当している神戸千木が担当するなど連合チームが結成された。「撮影監督は変えないです。シェアしている情報が一番重要で、同じツールの箱を持っているようなもの。僕にとってはそこがとても重要で、良い画を撮ってもらえるからカメラマンを決めるわけではないんです。こちらの思っている良い画をお互いが理解できるかが重要で、そこにいたるまでも非常に時間をかけて理解してもらってきているので、そこは変えにくいですよね。3DCGとか美術、キャスティング、プロダクションは中国のチームで、衣装は日本から連れていって……連合チームですね」中国で撮影された『チィファの手紙』と日本で撮影された『ラストレター』は同じ原作が基になっている。しかし岩井監督は「実際につくってみたら同じものをつくっているという意識にはならなかった」と振り返る。「撮影って毎日、“ふたつとないもの”を撮っていくものなので、同じ芝居であっても1回目と2回目では違う。だからこちらも気をゆるめられないわけで、それを積み重ねていくことがやっぱり楽しいんですよね。だから最後の最後まで新鮮な気持ちでふたつの作品を終えることができたと思います」これまでも岩井監督は自身の作品を小説に書き、映画化し、時にドラマ版と映画版を制作するなど、ひとつのアイデアや世界を丁寧に繰り返し描いてきた。また岩井作品のファンも映画が公開されてから時間が経っても作品を繰り返し鑑賞し、上映会には多くの観客が集う。「個人的に楽しみたいだけだと思うんです」と笑顔を見せる岩井監督は「僕にとって作品を完成させて納品することは、言い方はちょっと悪いですけど“臨終”で、お客さんにとっては“誕生”だと思う」と語る。「だから、自分としてはできる限り、生き続けられるように、いろんな形にしてみたりするんでしょうね。ひと昔前だと『潮騒』って原作が何回もリメイクされていた時期があって、70年代ぐらいまではひとつの作品をいろんな人がつくって楽しむ文化があったと思うんですよ。毎年12月になると必ずどこかが『忠臣蔵』をつくってるみたいな、同じものを繰り返す文化があったはずで、それがなくなったのはすごくもったいない。映画の話をするときによくネタバレって言いますけど、もちろん初めて観る人にとってはわずらわしいので言わないでほしいだろうけど、実際には小説の映画化が多いわけで、小説を読んで大好きになった人が小説の話をもう一度楽しみたくて映画館に行くケースは多い。コミックのアニメ化もそうですけど、まったく新しいものを観にいくわけではなくて、だいたいのお話を知っているところで観るケースも多いわけですよね」『スワロウテイル』や『花とアリス』をいまも繰り返し観ている観客が多くいるように、『ラストレター』と『チィファの手紙』もこれから長い時間をかけて観客に出会い、繰り返し鑑賞されることになるだろう。「僕は漫画ファンなんですけど、好きな漫画は繰り返し読むわけで、もちろんお話はわかっているんですけど、お話はあくまで導線であって、そこに落ちているいろんな感情の変化とか衝撃的なシーンを繰り返し味わいたいんですよ。だから、そういう意味でいえば、良いコミックってしっかり味わえるもので、何度でも堪能できる。だから、映画も負けてはいられないというか、2時間観たらおしまいではなくて、お客さんが何度でも観たいと思えるようなものを僕も目指したいし、そういうもので映画館があふれていてほしいと思います」『チィファの手紙』9月11日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
2020年09月10日『チィファの手紙』『窮鼠はチーズの夢を見る』が、9月11日(金)から全国ロードショーされる。この度、YouTubeの岩井俊二映画祭チャンネルにて、新コンテンツ『この空の下』がスタートし、その第1弾として行定勲監督をゲストに迎えたスペシャル対談が9月8日(金)19時より4夜連続配信される。岩井監督の『チィファの手紙』、行定監督の『窮鼠はチーズの夢を見る』に先駆け、それぞれが作品に込めた想い、アフターコロナの時代の映画作りなどを大いに語り合う。さらに、岩井監督作『Love Letter』(助監督:行定勲)の撮影時のエピソードやプライベートなどが対談内容となる。9月8日(火)〜11日(金) 4夜連続 19時〜Youtube《岩井俊二映画祭チャンネル》にて配信月8日(火)19:00今年の行定作品と岩井作品/映画と配信/新しい映画のカタチ#029月9日(水)19:00ふたりはどんな夢を見るのか/撮影現場の記憶/それぞれの撮影現場とこれからの撮影現場#039月10日(木)19:00シナリオと現場の葛藤/コロナで変わる映画の見かた/コロナのない世界はファンタジー#049月11日(金)19:00コロナが変えた映画製作/変化する文化と映画/コロナ禍でもできることを『チィファの手紙』9月11日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー『窮鼠はチーズの夢を見る』9月11日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
2020年09月08日岩井俊二監督が自身の小説「ラストレター」を原作に、初めて中国でメガホンをとった映画『チィファの手紙』。この度、すれ違いの文通が始まるきっかけとなるシーンの本編映像がシネマカフェに到着した。本作は、松たか子、広瀬すず、神木隆之介、福山雅治らが共演し今年1月に公開された岩井監督『ラストレター』と同じく、岩井監督が自身の小説を原作に中国で描いたもうひとつの“ラストレター”。今回到着した本編シーンは、ある日、犬の散歩から帰ってきた従姉妹同士のムームーとサーランが、ポストに届いたムームーの亡き母チィナン宛の手紙を発見した後の場面。2人はその手紙を読み出すが、まるで母がいまも生きていて文通をしているかのような内容に困惑する。「この人、霊界と文通してる?」「知らないのかな? 亡くなったこと」とサーランは不思議がり、何か分かるかもしれないから、自身の母親でチィナンの妹・チィファに聞いてみようと言うが、ムームーは「それじゃ面白くない、返事書いてみない?」と無邪気な提案するのだった…。『ラストレター』ではムームーに当たる役を広瀬さんが、サーランに当たる役を森七菜が演じ、注目の若手女優の演技が話題になったが、岩井監督は『チィファの手紙』での少女たちの演技も絶賛。ムームーを演じるダン・アンシーは本作での透明感のある魅力が話題を呼び、また、サーランを演じるチャン・ツィフォンは『唐山大地震ー想い続けた32年ー』(10)で「金鶏百花映画祭」新人賞を受賞した実力派。物語を彩る中国の若き才能にも注目だ。『チィファの手紙』は9月11日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年9月11日より新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.
2020年09月06日おとな向け映画ガイド今週の公開作品から、バラエティにとんだ3本をご紹介します。ぴあ編集部 坂口英明20/9/6(日)イラストレーション:高松啓二今週のロードショー公開は18本(ライブビューイング、映画祭企画を除く)。全国100スクリーン規模以上で拡大公開される作品は『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』『ミッドウェイ』『窮鼠はチーズの夢を見る』の3本。中規模公開とミニシアター系の作品が15本です。今回はその中から3本を厳選して、ご紹介します。『ソニア ナチスの女スパイ』第二次世界大戦中のスパイ映画です。舞台は北欧のノルウェーとスウェーデン。スウェーデンはコロナ禍にロックダウンをせず、独自な対策で世界の注目を集めていますが、大戦中でも中立を維持し、北欧四国のなかで独自の道を進んだ国でした。中立国ですから、枢軸国と連合国の両方と外交関係があり、各国の大使館も存続していました。そのため、スウェーデンは両陣営のスパイ活動の中心地となっていたのです。もちろん自国も中立を維持するべく、さかんに諜報活動を行います。その犠牲になったのが、この映画の主役、隣国ノルウェーの女優ソニアです。ノルウェーは、『ヒトラーに屈しなかった国王』に描かれたように、1940年の4月、デンマークとともにドイツに侵略されます。数カ月は抵抗するのですが、最終的に国王はロンドンに脱出し、亡命政権を作り、レジスタンス活動を指揮します。国内は傀儡政権が形だけ存在、実質はナチスの国家弁務官が統治しているのです。ソニア(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)は、ノルウェーとスウェーデンの両国で女優活動をしています。最初は、プロパガンダ映画への出演依頼も断るほどナチスと距離をおいていたのですが、レジスタンスの罪で強制収容所に入れられた父親を救出してくれるというスウェーデンの諜報機関の約束を信じ、スパイとなりナチスへ接近します。魅惑的な彼女はやがてナチスの国家弁務官の寵愛を受けることに成功しますが、逆にナチスからもスウェーデン国内でのスパイ行為を強要され……。時代に翻弄される女優の悲劇。派手な活劇シーンはありませんがとてもドラマチックです。華やかな芸能界を背景に、様々な組織が入り乱れ、思いもよらない展開が待っています。ラブ・アフェアもあり、エンタテインメント性の高い映画です。『チィファの手紙』とても繊細に、ていねいに作られています。プロデュースを『ラヴソング』などのピーター・チャンがつとめ、中国人スタッフのなかに入り、ローカライズに気を配った成果は、「外国人で初めてちゃんと中国映画を撮ることのできた映画監督」と中国の有名トーク番組の司会者が称したことでもわかります。そう、これは岩井俊二監督による中国映画なのです。主演はジョウ・シュン(周迅)、チャン・ツィイーらと中国四大女優のひとりとよばれ、いまや人気、実力とも中国でトップといっていいでしょう。テーマは、岩井監督らしく初恋とラブレター。出世作『Love Letter』は中国でも人気のある作品ですし、独特な世界観、リリシズムにはファンが沢山います。そして、ネット先進国の中国でも、郵便による文通というのは、逆にロマンチックにうつったのかもしれません。主人公のチィファは40代の主婦。亡くなった姉の死を伝えようと出席した同窓会で、姉と間違えられ、スピーチまですることになります。姉は美人で頭もよく、みんなのアイドルだったのです。いたたまれなくなって会場を後にしたチィファを、姉と仲のよかったチャンが追いかけます。それがきっかけで、ふたりの手紙のやりとりが始まり……。最初はスマホでアドレスを交換したふたりが、郵便での文通をすることになったいきさつは映画でみていただくとして。実は、チャンはチィファの憧れの先輩、そして初恋の人。30年ぶりに再会した男女の、めぐり逢いのドラマです。もとは、韓国のペ・ドゥナを主演に作った『チャンオクの手紙』というショートムービー。それを長編にし、中国・日本それぞれで作ったらどうなるか、そんな発想で始まった作品。日本映画版は今年1月に公開された『ラストレター』です。私にとっては、懐かしい中国映画の味がしました。でありながら、岩井俊二の世界、でした。『ミッドウェイ』真珠湾で手痛い打撃をうけたアメリカが、勢いづく日本軍の攻撃をはね返し、太平洋戦争の流れを変えたミッドウェイ海戦。それをとりあげた正統派の戦争映画大作です。あくまでアメリカが主役ではありますが、監督がドイツ出身のローランド・エメリッヒ。両国を公平な視点で描いています。製作出資しているのはアメリカ、カナダ、そして中国、香港です。なんと、雪の清澄庭園のシーンから始まります。アメリカ軍の日本駐在武官だったレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)は、山本五十六海軍大将(豊川悦司)と会食し、ふたりで酒を酌み交わします。山本大将はワシントン駐在の武官だったこともあり、親しみをこめ「日本は石油を80%アメリカに依存している。我々を追い込まないでくれ」と英語で話しかけます。その4年後の1941年。ハワイで太平洋艦隊の情報主任参謀となったレイトンは日本の攻撃を予測するのですが、上層部は受け入れません。アメリカ側は無防備のまま、12月7日(現地時間)、真珠湾に停泊していた太平洋艦隊が日本軍の奇襲にあいます。そこから始まった太平洋戦争。映画は翌42年6月のミッドウェイ海戦まで日米両軍を追います。アメリカの勝因のひとつは、日本軍のミッドウェイ攻撃を予知できたこと。レイトンを中心とした、情報収集部隊の暗号解読、情報撹乱戦がスリリングです。急降下爆撃機などのパイロットたちも一方の主役。航空母艦、戦艦、駆逐艦、潜水艦と飛行部隊のバトルシーンの迫力はスゴイです。言っちゃいけないのかもですが、こどもの頃のプラモデルファンに戻って楽しめます。真珠湾の意趣返しのように、42年4月、ドゥーリトル中佐率いるB25爆撃機16機が初めて日本を空爆します。帰りの燃料の余裕なく、爆破を終えたあとは日本を突っ切り中国大陸へ。なるほど、ここで中国の出番がありました。
2020年09月06日『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)と銀熊賞(男優賞)をW受賞した中国の気鋭監督ディアオ・イーナンの5年ぶりとなる新作『鵞鳥湖(がちょうこ)の夜』が、公開延期を経ていよいよ9月25日(金)より公開。本作で主演を務めるのは、その奇跡の復活自体が映画化されてもおかしくないといわれる中国出身の人気俳優フー・ゴー。9月は、彼が出演する3作品が連続公開される。フー・ゴーは2005年、TVシリーズ「仙剣奇侠伝」でデビューし、爆発的人気を得て一躍有名に。名門・上海戲劇学院を卒業、容姿端麗な実力派として当時最も期待された若手俳優となり、2016年には、上海TVフェスティバル「マグノリア賞」とゴールデンイーグル芸術祭の“お気に入りの男優”に贈られる「ゴールデンイーグル賞」を受賞。だが、まさにこれからというときに、時代劇「新・射雕英雄伝」の撮影帰りで交通事故に遭い、大ケガを負うことに。100針以上も縫い、顔の右半分は10回以上の修復手術を行うなど、俳優復帰は絶望的と思われていたが、見事に復活を果たし、「偽装者」(15)やIMDbで9.5ポイントというハイスコアを獲得した「琅ヤ榜 ~麒麟の才子、風雲起こす~」(15)で再度大ブレイク。以降も数々のTVドラマで活躍している。この9月11日(金)には、岩井俊二監督初の中国映画で『ラストレター』中国版といえる『チィファの手紙』(18)が公開。9月25日(金)公開の中国山岳アクション大作『クライマーズ』(19)にも出演を果たしている。さらに、ウォン・カーウァイ初のTVシリーズ「Blossoms Shanghai」でも主演を務め、撮影中だ。フー・ゴー待望の映画初主演となった本作『鵞鳥湖の夜』では、破滅的な運命に魅入られた男のあがきを熱演する。魅惑的な闇と色彩が渦巻く鮮烈なヴィジュアルで現代中国の暗部をえぐり、本国で異例の大ヒットを記録。孤独なアウトサイダーである主人公の男女、警察の捜索チーム、バイク窃盗団のギャングの行動が交錯していくストーリー展開は、フラッシュバックを導入した幻惑的な語り口、湖や雨などの“水”をフィーチャーしたロケーション、ダイナミックで切れ味鋭いアクション・シークエンスと相まって濃密なサスペンスとエモーションを創出している。『鵞鳥湖の夜』は9月25日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年9月11日より新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.鵞鳥湖の夜 2020年9月25日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか全国にて公開クライマーズ 2020年9月25日 新宿シネマカリテほか全国公開(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
2020年08月31日映画『窮鼠はチーズの夢を見る』が9月11日(金)に公開される。この度、一足先に鑑賞した著名人から寄せられた映画の絶賛コメントが公開された。本作は、繊細な心理描写で読者から圧倒的な共感を呼ぶ水城せとなのコミック『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』を原作に、『ナラタージュ』『リバーズ・エッジ』など、様々な愛の形を写し取ってきた行定勲監督が実写映画化したラブストーリー。受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた、主人公・大伴恭一が7年ぶりに再会した大学の後輩・今ヶ瀬渉から「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられ、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様を描く。恭一を演じるのは、映画では『100回泣くこと』に続き、単独主演を務める大倉忠義。恭一への想いを募らせ葛藤する姿に誰もが共感せずにはいられない今ヶ瀬を、『愛がなんだ』『カツベン!』などの成田凌が務めた。この度、映画公開前に先行して本作を鑑賞し、恋愛における複雑な感情を痛いほどリアルに、そして美しく描いた恋の物語に魅了されたアーティストや俳優、映画監督といった各界の著名人よりコメントが到着した。若者を中心に絶大な支持を誇るロックバンドKing Gnuでボーカル兼キーボードを担当している井口理や、数々の映画やドラマに出演し、今や国民的な俳優となった有村架純、高良健吾、さらには現在注目度急上昇中のアイドルグループBiSHのメンバーであるアイナ・ジ・エンド、映画ジャーナリストの宇野維正、映画批評家の相田冬二らが本作を絶賛。それぞれ熱のこもった表現で映画『窮鼠はチーズの夢を見る』への想いを綴っている。著名人の各コメントは以下の通り。●井口理(King Gnu)「本当に大切な人は誰?」その自問自答に、同じ答えを出し続けることは出来るんだろうか。この作品は、あなた自身の「ラブストーリー」を浮かび上がらせる。●有村架純(女優)一筋縄にいかない人間の性は愚かさをも暴く。めきめきと皮が剥がれていくそれも、恋愛の醍醐味なのかもしれない。●高良健吾(俳優)素直で誠実な身勝手さがここまで沁みるのは恭一と渉の間にあるなにか。僕は2人のカタチに胸が震えました。ぜひ劇場で確かめてほしいです。●アイナ・ジ・エンド(BiSH)濡れたような声色と、薄暗い青、睨みつけるくせに優しく溶け込んでくる言葉たち。瞬きをするのが勿体無い映画でした。スナック菓子を貪る男性二人の他愛ない色気を忘れられません。●宇野維正(映画ジャーナリスト)理性と本能。信頼と裏切り。人間の美しさと醜さ。『窮鼠はチーズの夢を見る』は、恋愛映画が最高のサスペンス映画でもあることを思い出させてくれる。●相田冬二(映画批評家)この作品は、あなた自身の「ラブストーリー」を浮かび上がらせる。観る者の人生が見透かされる、ためいきが漏れるような恍惚。21世紀最良の恋愛映画が、ここにある。●カツセマサヒコ(ライター/小説家)誰にも知られたくなかった感情が、とうとう描かれてしまった。流される恋に共感するたび、古傷が痛んで膿んで吐きそうになる。●岩井俊二(映画監督)例外探し。恋愛とは、ただひとりの例外を探す旅路なのかも知れない。『窮鼠はチーズの夢を見る』9月11日(金)公開
2020年08月24日岩井俊二監督が初めて中国でメガホンをとった『チィファの手紙』の公開日が9月11日(金)に決定。この度、本作の予告編と本ビジュアルがあわせて公開された。『チィファの手紙』は、1月に公開された岩井俊二監督最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説『ラストレター』を原作に岩井監督が中国で描くもうひとつの“ラストレター”といえる作品。中国でも人気を誇る岩井監督のもとに、中国四大女優のひとりである主演のジョウ・シュンをはじめ、中国の豪華キャストが集結。岩井監督はプロデュース、脚本、編集、音楽も兼ね、プロデューサーにはアジア映画業界の巨匠ピーター・チャンが名を連ねている。2018年に中国で公開されると、中国映画として当週の興行ランキング1位を獲得した。中国のアカデミー賞とされる第55回金馬奨では、最優秀主演女優賞・助演女優賞・脚本賞の3部門でノミネートを達成している。この度解禁された予告編は、姉チィナンが亡くなり、その死を告げる ため参加した同窓会で、ジョウ・シュン演じるチィファが中学時代の憧れの相手チャンと再会するシーンから始まる。そして「中学時代に憧れの人がいたんです。でもその人、私の姉が好きで」と語るチィファとともに、「手紙」を通して浮かび上がるそれぞれの初恋の記憶が、 現代と過去ふたつの世代を繋いで描かれていく。また、同時に公開された本ビジュアルでは、ティザービジュアルと同様に記された「初恋、めぐるー」というコピーと共に、チィファの俯いた横顔が映された一枚。あどけなさの残る若き日の姉チィナンの横顔をとらえたティザービジュアルとは対照的に、チィファはどこか 切なげな表情を見せている。『チィファの手紙』9月11日(金)公開
2020年07月17日国内で大ヒットを記録した岩井俊二監督最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説「ラストレター」を原作に中国で描く『チィファの手紙』の公開日が決定。併せて、本予告と本ビジュアルが解禁となった。この度解禁された予告編は、姉チィナンが亡くなり、その死を告げるため参加した同窓会で、主人公のチィファ(ジョウ・シュン)が中学時代の憧れの相手チャン(チン・ハオ)と再会するシーンから始まる。「中学時代に憧れの人がいたんです。でもその人、私の姉が好きで」と語るチィファとともに、「手紙」を通して浮かび上がるそれぞれの初恋の記憶が、現代と過去2つの世代を繋いで描かれていく。チィファとチャンの再会により始まった文通が、思いがけず広がりを見せ、初恋の懐かしさや暖かな感動に包まれる予告編となっている。併せて解禁された本ビジュアルは、「初恋、めぐる―」というコピーと共に、チィファの俯いた横顔が映された1枚。あどけなさの残る若き日の姉チィナン(ダン・アンシー)の横顔をとらえたティザービジュアルとは対照的に、チィファはどこか切なげな表情を見せており、現代と過去を結ぶ物語が姉妹の2つの顔によって演出されている。『チィファの手紙』は9月11日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:チィファの手紙 2020年秋 新宿バルトほか全国公開© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG DONGYANG XIAOYUZHOU MOVIE & MEDIA CO., LTD ALL Rights reserved.
2020年07月17日「SSFF & ASIA」代表の別所哲也、フィルムメイカー・俳優の斎藤工、「SSFF & ASIA」アンバサダーのLiLiCoが参加するオンライントークが、8月6日(木)に配信される。米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)は、「ショートフィルムの日」を皮切りに、映画祭が延期となった秋までの間、未曾有のパンデミックにより大きく変化しようとしている映像制作や映画祭、映画配給・興行といった映画業界の各立場からゲストを迎え、現状と未来像を語るトークセッションシリーズをYouTubeチャンネルでオンライン配信中。そのシリーズ第5回目では、別所さんがホストを務め、LiLiCoさんと共に斎藤さんを迎え、ビヨンド・コロナ(アフターコロナ/with コロナ)と言われる中で挑戦する映画業界についてトークを展開。斎藤さんがスタートさせたリモート製作の『TOKYO TELEWORK FILM』の挑戦や経緯について、「A TAKUMI SAITOH FILMS」として自らの監督、出演作をオンライン発信するプラットフォームをローンチした意図、岩井俊二監督作『8日で死んだ怪獣の12日の物語』出演で感じた俳優としての視点。そして今後、映像制作や俳優としての仕事がどんな新たな局面を迎えていくのかトークをしていく。ライブ配信中には、本年の「SSFF & ASIA」とのコラボレーションイベントについて発表もあるという。トークセッションシリーズ第5回「別所哲也×斎藤工×LiLiCo 映画業界が挑戦するビヨンド・コロナを徹底トーク」は8月6日(木)20時~SSFF & ASIA YouTubeチャンネルにてライブ配信。(cinemacafe.net)
2020年07月16日技術革新、配信系サービスの充実、そしてこの度の新型コロナウイルスの影響を経て、映像エンタメの形は急速に変化。俳優に加え、白黒写真家、さらには映画監督としての顔も持つ、斎藤工さんが、時代とともに移り変わる、映像表現のあり方を語ります。人と会えない状況を、あえて大喜利として考えた。――新型コロナにおける自粛期間、斎藤さんはリモートでいくつか作品を作られましたが、どんなきっかけで始まったのでしょうか。まず、今回初めてZoomに触れて、その機能に好奇心が湧きました。そんな中で4月に「劇団テレワーク」という劇団のZoom公演を拝見し、「映像作品として、これで何ができるかな…」と、いろいろ考えてみたんです。もともと僕は、かつての日本映画を、尊敬しつつもライバル視していて、彼らができなかったことをやりたい、という思いを常に抱いているのですが、たとえば松田優作さんや原田芳雄さんがご存命だったら、きっとZoomをおもしろがって、作品を作ったと思うんですよね。僕も、これを使って何か作品を生み出そうと思いました。――人と会えない状況というのは、クリエイションにマイナスにはなりませんでしたか?ちょっと不謹慎かもしれませんが、この現状を、“人が人に会えない縛り”の大喜利みたいに考えてみたんです。会えないから、離れているからできることってなんだろうと考え、仲間と立ち上げたのが、「TOKYO TELEWORK FILM」のプロジェクト。――Zoomを使ってドキュメンタリーやドラマを制作されましたね。それとは別に、岩井俊二さんらと共にドラマも作られました。昨年、’21年公開の映画『シン・ウルトラマン』に出演させていただいたご縁で、樋口真嗣監督から“怪獣バトン”に誘われたんですよ。そこから繋がって、バトンに参加していた岩井俊二さんからお声がけいただき、『8日で死んだ怪獣の12日の物語』という短編ドラマを、スマホの自撮りで撮影しました。ドラマの中に粘土細工が登場するんですが、制作者である岩井さんが、「崩れると心配だから」って、僕の家まで届けてくれたんですよ。しかも一人暮らしの僕を気遣って、野菜やマヌカハニーなどとともに(笑)。――なんていい話…。そういう、距離はあっても心は密、のようなものづくりは、初めてだったと思います。どんな経験でしたか?映像作品は常に、“今”というものをどう捉えるか、そこと向き合って作られていると思うんです。ものづくりの動機と時代は、大きな関わりがある。自粛期間に作った作品は、小規模で、自分たちの足元を改めて見つめ直したようなものですが、2020年のこの時期にしかできなかったことであることは間違いない。それから作り手も観る側も全員が“コロナ禍”というバックグラウンドを共有している中で、その事情を盛り込んだ作品を作るっていうのは、“共犯関係”があるみたいで、ちょっとおもしろかったです。――斎藤さんは、ミニシアター存続の支援など、劇場に対する働きかけもしています。現在映画館は大変な状況ですが、どんな今後の展望を持っていますか?長い歴史の中には時代の転換期というのが必ずあるわけで、ミニシアターにとってここ数年は、まさにそんな時期です。古き良きものが必ず残っていけるわけではないですし、さらにこれから座席数を減らさなければならないので、収益は格段に減りますよね。ただそこで思うのは、映画館という場所に人を集めて収益を上げるという、これまでと同じ形での存続ではなく、それこそ今オンラインという使えるインフラがあるわけですから、それを駆使して新しい“映画を観る手段”を考え、そこでマネタイズしていく。そんな新しい生き残り方を考えていきたいし、映画館に育ててもらった俳優ですから、恩返しとして、運動を支えていきたいです。――斎藤さんが始められた移動映画館「シネマバード」も、常設という固定観念から解き放たれたという意味では、新しい手段です。僕の尊敬するフィルムメーカーはみな、作品のテーマに加え、映画の公開方法なども、時代を反映して変化している人ばかりなので、僕も同じように、考え方をアップデートしながら、新しい未来に向かって進んでいきたいですね。映画界における斎藤さんの活動『8日で死んだ怪獣の12日の物語』斎藤さん演じるYouTuberがカプセル怪獣を購入。育てる様子を動画配信する、リモート撮影短編シリーズ。YouTubeで限定公開され話題に。新たにのんさんなどが加わり、7/31より劇場版の公開が決定。「TOKYO TELEWORK FILM」コロナ禍で日常化した“テレワーク”を題材にした映画企画。斎藤さんは出演に加え、企画、プロデュース、監督も担当。オムニバス作品で、伊藤沙莉さんやラバーガールの大水洋介さん、滝藤賢一さんらが出演。「シネマバード」’14年にスタートさせた移動式映画館。映画館のない町に「映画+エンタテインメント」を届けるプロジェクト。これまでに沖縄県うるま市や北海道むかわ町などで開催。ドライブインシアターなどの展開も計画中。「ミニシアターパーク」「ミニシアター・エイド基金」の活動を俳優が引き継ぐ形で、井浦新さん、渡辺真起子さん、斎藤さんの3人が立ち上げたプラットフォーム。劇場、配給、俳優などが未来を語る場所の役割を担う。「ミニシアター・エイド基金」全国の小規模映画館を守るため、映画監督の深田晃司さんと濱口竜介さんが発起人となり立ち上げたクラウドファンディング。斎藤さんも発起の会見に参加。4月にスタートし、目標額を大きく上回る3億円以上を集め、5月に終了した。さいとう・たくみ俳優、映画監督。1981年生まれ、東京都出身。ドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)に出演中。今年から来年にかけ、映画『糸』や『シン・ウルトラマン』など、出演待機作が多数。※『anan』2020年7月15日号より。(by anan編集部)
2020年07月12日岩井俊二監督× 斎藤工×武井壮×樋口真嗣がタッグを組み、YouTubeにて配信された『8日で死んだ怪獣の12日の物語』。この度、のんを追加キャストに迎えた劇場版が、7月31日(金)より全国のミニシアター支援のために公開されることが決定した。本作品は、SNSにて樋口監督ら5人の監督が発動した「カプセル怪獣計画」の番外編となり、全編ほぼリモートで撮影された。主人公のサトウタクミを演じるのは、「BG~身辺警護人~」に出演中で、ミニシアターパークの活動などを通して積極的にミニシアターを支援している斎藤工。監督やプロデュースまでもこなすそのバイタリティをリモート撮影という特殊な状況下でも発揮し、主演を務める。そして、今回追加での出演が発表されたのんが演じるのは、通販で宇宙人を買ったという丸戸のん。「この役を演じられるのはのんしかいない」という岩井監督からのラブコールに応え、岩井組に初参加。サトウタクミの先輩オカモトソウを演じるのは武井壮。そして、『少女邂逅』『街の上で』など話題作への出演が続く穂志もえかがYouTuber“もえかす”を演じ、これまでとは違った一面を見せる。個性豊かな岩井組初参加の面々に加え、原案の樋口真嗣も登場し、フィクションなのにドキュメンタリーのようなちょっと不思議で優しい世界へと導く本作。世界中がいまも直面している新型コロナウイルスとの戦い。2020年のいまを切り取る本作からポスタービジュアルが解禁。人気の少ないコロナ禍の東京を背景に、何か言いたげな人間の表情が印象的なモノトーンのポスター。渋谷の街には岩井監督自ら造形した様々な怪獣も配置されており、作品の不思議な世界観が反映されている。なお、本作は、これまで多様な映画文化を支えてきたミニシアターを応援すべく、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興行を予定している。斎藤さんは、「四月末、岩井監督の1通のお便りから密やかに始まったこのプロジェクトは、カプセル怪獣の如く日々変化と進化」を繰り返してきたと語り、「のんさん、武井壮さん、穂志もえかさん、更には"怪獣や星人"が参加して下さり、作品自体が第二形態へと大きく変貌を遂げました。他に類を見ないこの進化型怪獣(映画)の目的・ミッションは、人類の平和と、ミニシアターを中心とした映画館の救済です」と明言。岩井監督とも、斎藤さんとも初タッグとなるのんさんは「先輩俳優と後輩のやりとり、とても楽しかったです。怪獣の卵をネットで買って、未知の生き物に地球の未来を委ねる不思議な世界観。小さな白い怪獣が今にも動き出すんじゃないかと、ドキドキしました。どんな状況でも映画作りをする岩井監督の作品に参加できて感動しています。コロナ禍で気持ちがしぼみがちな中、私も大人しくしてるだけじゃダメだ、と勇気付けられました」と語る。また、ミニシアター支援についても「作品で応援できるということで、役者として一番嬉しい形だなと思います。みんなの大切な、映画の記憶が刻まれる場所が、残っていって欲しいと願います」と思いを口にした。そして、岩井監督もまた「コロナという、今世界中で猛威を振るっている世紀の災厄。誰もが対岸の火事ではいられないこの事態。我々エンターテインメントの世界も、真っ先に甚大な被害を被りました。僕は仕事を作る立場の側です。その責任の重さを今回ほど強く感じたことはなかった気がします。この作品を作ることそのものがコロナ禍にあって自分のできるせめてもの抵抗だった気がします。気の休まらない日々の中、この作品が誰かのせめてもの気休めになってくれたら。そんな想いです」と語っている。『8日で死んだ怪獣の12日の物語』は7月31日(金)より全国のミニシアターにて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年06月24日女優・のんが、7月31日から全国のミニシアター支援のために劇場公開される映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』に出演することが23日、発表された。コロナ禍でも最新のエンターテインメントを届けたいという思いから、「岩井俊二監督×斎藤工×武井壮×樋口真嗣」がタッグを組み、YouTubeにて配信された『8日で死んだ怪獣の12日の物語』。のんを追加キャストとして迎え、劇場版『8日で死んだ怪獣の12日の物語』として、公開されることが決定した。本作は、SNSにて樋口真嗣監督ら5人の監督が発動した「カプセル怪獣計画」の番外編。全編ほぼリモートで撮影され、主人公・サトウタクミを斎藤工、通販で宇宙人を買ったという丸戸のんをのん、サトウタクミの先輩・オカモトソウを武井壮、YouTuber“もえかす”を穂志もえかが演じ、原案の樋口真嗣も登場するなど、フィクションの中にもドキュメンタリーのような不思議な世界観が広がる。岩井監督作に初参加となるのんは、「岩井俊二監督のリモート撮影作品に参加させていただき心から嬉しく思います」と喜びを伝え、「そして斎藤工さんとも初めての共演をさせていただきました。先輩俳優と後輩のやりとり、とても楽しかったです。怪獣の卵をネットで買って、未知の生き物に地球の未来を委ねる不思議な世界観。小さな白い怪獣が今にも動き出すんじゃないかと、ドキドキしました」と興奮を表現。「どんな状況でも映画作りをする岩井監督の作品に参加できて感動しています。コロナ禍で気持ちがしぼみがちな中、私も大人しくしてるだけじゃダメだ、と勇気付けられました」と刺激も受けたようで、「ミニシアターが無くなっては困るということで、斎藤工さんも参加されているミニシアターエイドに、私も参加させていただきました。今回は、作品で応援できるということで、役者として一番嬉しい形だなと思います。みんなの大切な、映画の記憶が刻まれる場所が、残っていって欲しいと願います」と同作に込めた思いを語った。なお、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興業を予定している。■斎藤工コメント四月末、岩井監督の1通のお便りから密やかに始まったこのプロジェクトは、カプセル怪獣の如く日々変化と進化を繰り返し、登場人物も、のんさん、武井壮さん、穂志もえかさん、更には“怪獣や星人”が参加して下さり、作品自体が第二形態へと大きく変貌を遂げました。他に類を見ないこの進化型怪獣(映画)の目的・ミッションは、人類の平和と、ミニシアターを中心とした映画館の救済です。映画を愛する皆様に、岩井俊二監督・我々の想いが届く事を願っております。■岩井俊二監督コメント樋口真嗣監督たちが始めた「カプセル怪獣計画」というリレーチャレンジ動画企画に声をかけられたのが4月28日。その趣旨をちょっと誤解して、じぶんなりのショートストーリーを考えてしまいました。小さな怪獣の卵を通販で購入し、毎日育てていくと、思いがけない怪獣に成長していくという物語。一ヶ月後には撮影も完了していたので、途轍もなく速いぺースで完成してしまった作品です。コロナという、今世界中で猛威を振るっている世紀の災厄。誰もが対岸の火事ではいられないこの事態。我々エンターテインメントの世界も、真っ先に甚大な被害を被りました。僕は仕事を作る立場の側です。その責任の重さを今回ほど強く感じたことはなかった気がします。この作品を作ることそのものがコロナ禍にあって自分のできるせめてもの抵抗だった気がします。気の休まらない日々の中、この作品が誰かのせめてもの気休めになってくれたら。そんな想いです。(C)日本映画専門チャンネル/ロックウェルアイズ
2020年06月23日国内で大ヒットを記録した岩井俊二監督最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説「ラストレター」を原作に中国で描く『チィファの手紙』から、特報とティザービジュアルが解禁となった。今回解禁された特報では、ジョウ・シュン演じる主人公チィファが「中学時代に憧れの人がいたんです。でもその人、私の姉が好きで…」と、中学時代の初恋に想いを馳せる姿から始まる。回想シーンとともに織り成された映像では、一通の手紙から始まったふたつの世代を超えて綴られるラブストーリーが描かれており、過去そして現在で映し出される手紙のやりとりから、時を超えて胸を締め付けるような淡く切ない記憶が呼び起こされる。日本版『ラストレター』でも印象的だった、学校の図書室や階段でのシーンも垣間見える。柔らかく透明感あふれる映像に合わせ奏でられる、美しく切なげなチェロの旋律から、珠玉の物語を予感させる特報となっている。併せて解禁されたティザービジュアルでは、「初恋、めぐる―」という印象的なコピーとダン・アンシー演じる若き日の姉チィナンの横顔が映され、そのみずみずしい魅力に惹きつけられる1枚となっている。映像とビジュアルからは、“岩井美学”と称される幻想的でノスタルジックな色彩美を感じさせられ、初の中国映画にして、岩井監督ならではの唯一無二の世界観に期待が寄せられる。『チィファの手紙』は今秋、新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年05月21日原田知世主演『時をかける少女』などの“尾道三部作”をはじめ、数々の名作を世に贈りだしてきた映画作家・大林宣彦監督が、肺がんのため4月10日(金)に82歳で死去。この日は、最新作『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』の公開予定日だったが、新型コロナウィルスの影響により映画館が休館し、公開延期となっていた。1938年、広島県尾道市生まれ。3歳のときに自宅の納戸で見つけた“活動写真機”と戯れるうちに映画をつくり始めたという。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用したCMを製作、その作品数は3,000 本を超える。1977年に『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(’82)、『時をかけ る少女』(’83)、『さびしんぼう』(’85)は“尾道三部作”と称され、世代を超え親しまれ、現在も新世代のクリエイターへ大きな影響を与えつづけている。近年には“大林的戦争三部作”と呼ばれる『この空の花-長岡花火物語』(’11)、『野のなななのか』(’14)、『花筐/HANAGATAMI』(’17)を発表。特に『花筐/HANAGATAMI』は第72回毎日映画コンクール日本映画大賞、第33回高崎映画祭特別大賞など様々な賞を受賞し、第91回キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画ベスト・テン第2位に選ばれ、監督賞を受賞した。また、2004年春の紫綬褒章受章、 2009年秋の旭日小綬章受章。2019年には令和初の文化功労者にも選ばれていた。肺がんと診断され、余命の宣告を受けたのは、2016年8月。転移を繰り返すがんと闘いながら、みずからの命を削って、平和をたぐり寄せる映画を完成させた大林監督渾身の最新作『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』は、新型コロナウイルスの影響により映画館が休館し、公開延期となっていた。その公開予定日だった4月10日(金)19時23分、東京都世田谷区の自宅にて息を引き取った大林監督。葬儀・告別式は、家族葬(密葬)を執り行い、後日、お別れの会を予定。喪主は、妻で映画プロデューサーの、大林恭子氏が務める。『時をかける少女』でデビューした原田さんは「在りし日のお姿を偲びつつ、ご冥福をお祈りいたします」とTwitterに思いを綴り、また、『青春デンデケデケデケ』に出演した浅野忠信も「ありがとうございました一緒に映画を撮った日々を忘れません」とTwitterを更新。岩井俊二監督は「ちょっとすぐには受け止められない。 エネルギッシュな新作にコメントを書かせて頂いたばかりでした」とまだ信じられないといった様子で、「訃報を聞いて呆然としている」と綴った行定勲監督は「恩師を失ってしまったような気持ちだ。この時、拙作『遠くの空に消えた』を『僕が撮ったらあんな爽やな風のような映画にならない』と気に入ってくださった」と2ショット写真をアップするなど、出演者や映画関係者、映画ファンから悲しみの声が相次いでいる。『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』は近日公開。(text:cinemacafe.net)
2020年04月11日好きな人に手紙を書いたことはありますか?想いをしたためたものの、相手に出す勇気が出なかった…そんな経験はないでしょうか。岩井俊二監督の最新作『ラストレター』は甘酸っぱい思い出を彷彿とさせる、美しい映画だと評判です。■文字で描かれる恋愛裕里(松たか子さん)は姉・未咲の葬儀の場で、未咲の娘・鮎美(広瀬すずさん)から、未咲宛てに高校の同窓会の案内が届いていると知らされます。姉の死を告げるために同窓会に参加した裕里。そこで、学校のマドンナだった姉本人と勘違いされてしまうのです。さらに同窓会で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治さん)と再会します。裕里を未咲と勘違いした鏡史郎と文通が始まり、やがてそのことを鮎美に知られることになり…。面と向かっては話せなくても、文字だとスッと言えるってことありますよね。さすがに手紙を書く人は少ないでしょうけれど、現代はSNSやアプリを通して気持ちを語る男女は多いようです。■親密化過程を踏まない男性と女性ところで、人はどのような過程を経て親しくなるか、ご存知でしょうか。1973年、Robert A. Lewis(ロバート.A.ルイス)は、男女が結婚を形成するまでの間、どのように関係を発達させるか、その親密化過程を論文にしました。それによると、人は以下の6つの意識段階を踏んで結婚に至るというのです。1. 類似性の認知2. お互いを特別視する、いい関係の構築3. お互いを知り合う自己開示4. 得手不得手をうまく噛み合わせる役割取得5. 役どころがぴったりハマって居心地のよさを感じる役割適合6. 2人で1つ、といったペアとしての結晶意識ただ、こういった段階を踏むのは、あくまで「対面による関係作り」の場合。現代のような文字だけのやり取りだと、また違ってくるのです。というのも文字でのやり取りは、ある種独特な「気安さ」を生みます。それは、1や2の段階をショートカットして、いきなり3へと飛ぶ「気安さ」なのです。相手の顔が見えないまま「実は私はね…」とぶっちゃけトークをして、言葉上の共感を得る。するとそれだけで、自己開示がうまくいったという錯覚に陥ってしまいます。実際には相手はロクに理解せず、適当に話を合わせているだけかもしれません。でもそれは、文字からは読み取れないのです。本当はわかり合っていなくても「相手は自分を受け入れてくれたんだ」と思う。そして、一気に心の距離が近づいたように錯覚してしまう…そんな「誤解」が生まれやすいのが「文字だけでつながる恋」の特徴です。■文字でつながる恋の弊害お互いの人間性をすり合わせるのに、文字だけではとても足りません。目を見て、顔を合わせて表情を読み、たくさんの時間を費やして言葉を交わし、初めて「自己開示」になります。しかし、大概はわかり合っていると誤解したまま一線を越え、なんとなく噛み合っていないと感じつつも「そんなはずはない。相手は自分の理解者のはず」と思ってずるずる関係を続けてしまいます。結果的に、合わない相手にしがみついて時間を無駄にする…といった状況に陥るのです。確かに文字だと、普段は言えないことも言いやすいでしょう。でもそれは、本当の「自己開示」ではありません。相手と向き合い本心を語って、そうして初めてお互いの本質に触れる付き合いが始まるのです。■まとめ文字でつながる恋の落とし穴、ご理解いただけましたでしょうか。相手から思ったような反応を得られず、傷つくのが怖くて本心を見せられないなら、バーチャルな「恋愛ごっこ」しかできません。もし本気で相手と絆を築きたいと思うなら、勇気を出して対面でぶつかるべきです。あなたにも、好きな人にしか見せない「顔」があるはず。それを、ぜひ出しましょう。そんなあなたを見て、相手は「特別な存在だ」と理解するのですから。
2020年02月01日公開中の『ラストレター』と同じく、岩井俊二監督が自身の小説を原作に、中国で描くもうひとつの“ラストレター”『チィファの手紙』が日本公開されることが決定した。亡くなった姉・チーナン宛に届いた同窓会の招待状。妹のチィファは、姉の死を知らせるために同窓会に参加するが、姉の同級生に姉本人と勘違いされた上に、初恋相手の先輩・チュアンと再会する。姉ではないことを言い出せぬまま姉のふりをして始めた文通が、あの頃の初恋の思い出を照らし出す――。本作は、岩井監督が初めて中国でメガホンをとった映画。2018年11月9日より中国で公開され、中国映画としてはその週の興行ランキング1位を獲得、北米、オーストラリアほか各国でも称賛を浴び、中国のアカデミー賞とされる「第55回金馬奨」で最優秀主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の3部門にノミネートされた。岩井監督は、プロデュース・脚本・編集・音楽も兼ね、撮影監督は『ラストレター』でも撮影を務めた神戸千木、プロデューサーにはアジア映画業界の巨匠ピーター・チャンが務めた。岩井監督は「僕自身初めての中国映画であるということ。みずからの原案を複数の国で撮影するということ。なかなか挑戦的なプロジェクトで実現に相当な時間もかかりましたが、無事完走出来て、改めて振り返るとすべてが忘れ難い思い出です」と撮影をふり返っている。キャストには、姉を亡くしたチィファ役にアジア映画賞の女優賞を総なめにし、中国四大女優と称されるジョウ・シュン。初恋相手・チュアン役は、日中合作映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』にも出演したチン・ハオが演じている。『チィファの手紙』は秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年01月27日1月18日、19日の全国映画動員ランキングは、『アナと雪の女王2』(全国382館)が公開9週目も首位をキープした。また公開2週目の『カイジ ファイナルゲーム』(全国333館)は2位、公開5週目の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(全国379館)は3位につけておりTOP3は先週と変わらず。続いて岩井俊二監督の新作『ラストレター』(全国262館)が初登場4位に入り、公開2週目の『パラサイト 半地下の家族』(全国137館)は先週と変わらず5位になった。そのほか新作では、織守きょうやの小説を山田涼介の主演で映画化した『記憶屋 あなたを忘れない』(全国327館)が初登場6位。クリント・イーストウッドが、爆破テロ事件の実話を基に映画化した『リチャード・ジュエル』(全国244館)は初登場8位。2017年に放送されたTVシリーズのその後を描く劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』(全国50館)は初登場9位。2016年に放送されたTVシリーズを映画化した『劇場版 ハイスクール・フリート』(全国96館)は初登場10位に入った。タイカ・ワイティティ監督の異色作『ジョジョ・ラビット』(全国143館)は初登場11位につけている。次週は『映画 おかあさんといっしょすりかえかめんをつかまえろ!』『風の電話』『キャッツ』『サヨナラまでの30分』『シグナル100』『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』『his』『ロマンスドール』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『アナと雪の女王2』2位『カイジ ファイナルゲーム』3位『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』4位『ラストレター』5位『パラサイト 半地下の家族』6位『記憶屋 あなたを忘れない』7位『フォードvsフェラーリ』8位『リチャード・ジュエル』9位『メイドインアビス 深き魂の黎明』10位『劇場版 ハイスクール・フリート』
2020年01月20日女優の広瀬すずが17日、都内で行われた映画『ラストレター』初日舞台あいさつで、一途に思われることについて「そんな経験がない」と明かす場面があった。本作は『Love Letter』や『スワロウテイル』などで知られる岩井俊二監督のオリジナル作品で、岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛とそれぞれの心の再生と成長を描く。イベントには広瀬のほか、俳優の福山雅治、女優の松たか子、森七菜、岩井俊二監督が登壇した。広瀬は、松たか子演じる主人公・裕里の姉・未咲の高校生時代と、未咲の娘(裕里の姪)である遠野鮎美の“母娘”を一人二役で演じており、司会者から「一途にずっと思われてお手紙やラブレターももらう役。そういうふうに一途に思われるのはどういう気分ですか?」と心境を探られると、「はぁ……」と困り顔。その反応に観客から笑いが起こる中、「ごめんなさい(笑)」と恥ずかしそうにし、「役としては鮎美の気持ちの方が常に大きかったので、役を見ても恥ずかしいなと思うんですけど、儚い何かを思い続けているものがどこかにあると思うと、すてきだなと思います」と役柄と照らし合わせた。「自分の文字、文章で書いたものに込められているからこそ、手紙はいいなと思います」と語り、「そんな経験がないので、うらやましいです」と吐露した広瀬。司会者から「きっと密かに思っている人はいると思います」とフォローされると、「はい……」と再び困った表情を見せて笑いを誘っていた。
2020年01月18日歌手で俳優の福山雅治が17日、都内で行われた映画『ラストレター』初日舞台あいさつに出席し、撮影現場で起こった珍事件を明かした。本作は『Love Letter』や『スワロウテイル』などで知られる岩井俊二監督のオリジナル作品で、岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛とそれぞれの心の再生と成長を描く。イベントには福山のほか、女優の松たか子、広瀬すず、森七菜、岩井俊二監督が登壇した。撮影を振り返る中、「(共演の)中山(美穂)さんは本当に良い人というか、心が美しい人と思ったエピソードがありまして」と切り出した福山。飲食店街の路地裏でのロケがあり、そこの待機場所がカラオケ居酒屋の付近だったという。福山は当時を、「僕らが撮影しているということにそこのお客さんの方々が気づき、全然違う歌を歌っていたんですけどそのうち、中山美穂さんの名曲『You’re My Only Shinin’ Star』を歌いだして」と思い返し、「ご本人が近くにいて。どういう気持ちでそれを歌っているか分からなかったんですけど、中山さんも苦笑いで。そしたら、今度は僕の『桜坂』を歌いだして。どういう気持ちのメッセージなんだと!」とツッコミを入れて笑いを誘う。「撮影中だったこともありちょっとイライラしてきたんですけど、今度は中山さんの『WAKU WAKUさせて』を……。それが終わったら、また僕の歌」と2人の歌が繰り返されたようで、「僕はちょっとイライラしていたんですけど、中山さんは朗らかな笑顔でそれを聴いていらっしゃって、本当に良い人だと思いました」と回顧。あらためて当時の状況を振り返ると「僕は相当イライラしましたけどね」と苦笑し、「中山さんはすべてを受け止めて、女神だと思いました」と人柄を絶賛していた。
2020年01月18日『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『花とアリス』など、数々の名作を世に送り出してきた映画監督・岩井俊二による最新作、『ラストレター』が現在公開中。現代のネット時代にはほとんど見られなくなった“文通”を主題とした、淡く切ないラブストーリーだ。本作は、20年以上ものキャリアの中で、巧みにその時代を切り取りながら、多様な愛の形を表現してきた岩井が、初めて出身地である宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まったふたつの世代の男女の恋愛と、それぞれの心の再生と成長を描いたオリジナルストーリー。“文通”とあって、名作『Love Letter』を感じさせる世界観の作品でもある。この映画の主人公・岸辺野裕里を演じるのは、松たか子だ。自身初主演映画の『四月物語』以来約21年ぶりの岩井監督作品への出演となり、映画では『小さいおうち』以来、約5年ぶりの主演を務めている。そして裕里の姉・未咲の高校生時代と、未咲の娘(裕里の姪)である遠野鮎美という“母娘”を一人二役で演じるのは広瀬すず。若くしてすでに数々の名匠と共に作品を世に送り出してきた彼女が、ついに岩井組への初参加を果たすことになった。さらに、同級生であった未咲に恋をし、再会を願って同窓会に参加。ひょんなことから裕里と文通を始めることになる乙坂鏡史郎役に福山雅治が扮している。岩井が「この役は福山雅治しかいない」と出演を熱望したことから待望の岩井組初参加が実現したようだ。その他、神木隆之介が高校生時代の鏡史郎役を務め、福山との二人一役を演じ、『天気の子』の森七菜が、松演じる裕里の娘・颯香と高校生時代の裕里の二役を演じ、新人ならではの瑞々しさで作品を彩っている。さらには、庵野秀明、水越けいこ、小室等といったユニークかつ岩井組ならではのキャスティングが実現。また、『Love Letter』の主演コンビである中山美穂と豊川悦司が、ふたり揃って出演している。邦画ファン垂涎の再タッグが、松をはじめ超豪華キャストに加わり、岩井監督と共に、新たな“文通物語”を紡ぎ出しているのだ。今の時代だからこそ、こんな時代だからこそ、“手紙”だからこそ届く想いがある……のかもしれない。そんな珠玉のラブストーリーを、ぜひとも劇場で目撃し、堪能していただきたい。『ラストレター』公開中
2020年01月18日女優の広瀬すずが17日、都内で行われた映画『ラストレター』初日舞台あいさつに出席し、前日に同作を観た“衝撃”を明かした。本作は『Love Letter』や『スワロウテイル』などで知られる岩井俊二監督のオリジナル作品で、岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛とそれぞれの心の再生と成長を描く。イベントには広瀬のほか、俳優の福山雅治、女優の松たか子、森七菜、岩井俊二監督が登壇した。この日の朝、「昨日2回目のラストレターをみた」「なんかえぐられた」「寝ても余韻がある」「参加させてもらった作品でこんな経験は初めてだーーなんだこれーーーーええええ、、何かを堪えて耳と耳の間の喉ら変が何か詰まって痛くなった」とツイートしていた広瀬。同作では、松たか子演じる主人公・裕里の姉・未咲の高校生時代と、未咲の娘(裕里の姪)である遠野鮎美“母娘”を一人二役で演じており、司会者から作品の感想を求められると、「昨日観ました」と改めて説明し、上映後の舞台あいさつであることから「たぶん、皆さんと同じ余韻に浸れていたくらい」と笑顔を見せた。さらに、「1回目とは違う衝撃を受けて。撮影したのがちょっと前だったので、また全然違う感覚で観れて」と同作の魅力をアピール。「泣きそうになってしまって、こらえていたら耳と耳の間の奥の喉らへんが痛くて」と体にも影響をしたようで、「それを考えていたら、湯船に1時間無言で入ってて『これが余韻だ!』と思って」とその“衝撃”を打ち明け、笑いを誘っていた。
2020年01月17日繊細で美しく、そしてユニーク。唯一無二の世界観で魅了する、稀代の映像作家・岩井俊二。黒木華主演作『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016年)から3年ぶりとなる最新作『ラストレター』が1月17日(金)から公開される。世界中に熱烈なファンを持つ岩井監督。その支持の度合いは、“好き”というよりも“崇拝”の方がしっくりくるかもしれない。岩井監督の手掛ける作品は、なぜそんなにも人の心を捉えるのだろうか?描くのは、境界線上にいる人物岩井作品では、しばしば“ノーマル”と“アブノーマル”の境界線上にいる人物が描かれる。普通とは相容れない自分に気づきながらも、完全にあちら側でたくましく生きる人種にもなりきれていない。だから大抵の場合に孤独だし、前にも後ろにも進めずにいる傍観者のような存在だ。アブノーマルは“ドロップアウト”とも言い換えが可能で、例えば『リップヴァンウィンクルの花嫁』で黒木華が演じた主人公の七海。結婚後すぐ家を追い出された七海は行き場を失い、綾野剛ふんする「なんでも屋」の安藤によってそれまで接点のなかった世界に足を踏み入れていく。この世の中に頼る者のいない心細さと、それでも“普通”の範疇にいられない異邦人感。孤独と葛藤の狭間で揺らぐ人物が、様々な経験をして少しずつ成長する姿を活写する岩井作品。そんな登場人物たちから目が離せないのは、彼らの姿に自分のカケラを見出すからかもしれない。ありえなさそうで、ありえる?リアルかつダークファンタジーに彩られた世界観また岩井作品が他の人間ドラマと一線を画すのは、そのユニークな世界観にある。現実にはありえなさそうでありえるかもしれない、リアルと虚構のボーダーラインを行き来する設定も多く、時としてダークファンタジー的なスリルと退廃に彩られる。例えば岩井監督の初劇場公開作品『undo』(1994年)は、“強迫性緊縛症”という神経症にかかった山口智子演じる妻が、何かを縛らないといられなくなることで夫婦の穏やかな生活が蝕まれていく異色の短編だ。また岩井作品の中でも人気の高い『スワロウテイル』(1996年)は、世界で一番強い“円”を求めてイェンタウンに集まってきた移民たちの物語。アートディレクター・種田陽平による無国籍な美術と、シンガーソングライター・Charaふんするグリコの官能的な歌が醸し出す独特の世界観はまさに唯一無二。そしてカナダを舞台に英語でつむいだ『ヴァンパイア』(2012年)は、高校教師サイモンが自殺希望の少女たちから血を手に入れようとする吸血鬼映画で、最後は純愛へとなだれこむというなんとも奇抜な恋愛ストーリー仕立てとなっている。こうして軽くあらすじに触れただけでも、監督がつむぐ物語が非凡かつバラエティに富んでいて、なおかつその世界に強烈な魅力があるのがお分かりいただけるだろう。ダークサイドを浄化するロマンティックかつピュアで清い“岩井美学”岩井作品についてロマンティックでクラシカルな印象を持つ人は多いかもしれない。確かに“クラシック音楽”を効果的に使用し、“手紙”をキーアイテムとするなど古典的要素も目立つ。加えて『花とアリス』(2004年)で描かれたように、子どもから大人への過渡期にいる少女たちは清らかで瑞々しく、彼女たちを照らす光や取り巻く自然の風景がうっとりするほど美しいなど、監督の映像には洗練された美しさというべき“岩井美学”が息づいている。その一方で、愛する者を亡くした“喪失感”や “絶望”そして“裏切り”など、人間の心の暗部に潜む負の感情や、格差やいじめなど本人だけではどうにもならない極限状況に伴う“人間の残酷さ”がモチーフとなることも。そのダークサイドの色調は作品に影を落とすが、終幕後に深い余韻を残しながらもある種の清々しさを感じさせてくれるのは、 “岩井美学”が醸し出すピュアな透明感のおかげなのではないだろうか。岩井作品のベスト盤最新作『ラストレター』岩井監督による最新作『ラストレター』は、最後の手紙に込められた“初恋の記憶”をつづった珠玉のラブストーリーだ。姉・美咲を亡くした主人公・裕里(松たか子)と、その初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)、そして美咲の娘・鮎美(広瀬すず)の三者の間で手紙が交差することで、淡い初恋の思い出が鮮やかに甦る。「手紙を書く」という所作に絵画的な美しさを感じ、「手紙を読む」佇まいが好きだという岩井監督。『ラストレター』製作へのきっかけとなったのは、2017年に発表された監督初となる韓国ショートフィルム『チャンオクの手紙』。手紙が重要な役割を果たすこの物語をさらに発展させることを思いついた監督は、同じく手紙が鍵となる『Love Letter』(1995年)を意識しつつ、まず原作本となった小説を書き上げたのだという。また本作では『Love Letter』では踏み込まなかった、人の心の闇にまで触れている。鏡史郎は売れない小説家で、美咲の死の真相をたどる過程で、彼は自分自身を顧みなければならない状況に追い込まれる。その闇は観る者の胸にも鋭く刺さるが、だからこそ鏡史郎の再生への歩みがしみじみと心に染みるのだ。今回の撮影は、監督の故郷である仙台でほぼ行われている。これは物語の底辺に監督のヒストリー的要素が息づいているため、必然的に仙台が舞台となったのだという。映画が映す学生時代は可能性に満ち、清らかな水辺の風景や緑映える盛夏の風景と相まってキラキラと輝いて見える。青春への強い憧憬を感じさせるその美しい映像の数々に目を奪われることだろう。また現代パートに登場する姉の娘・鮎美と妹の娘・颯香(森七菜)の瑞々しさも尊いばかり。少女たちが夏休みを経て成長していく姿にも注目して欲しい。これまで岩井作品が描いてきた様々なモチーフが盛り込まれた最新作『ラストレター』。本作をプロデュースした川村元気氏によると、目指したのは岩井作品のベスト盤なのだとか。今回、松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、神木隆之介、福山雅治ら超豪華キャストも集結。さらなる進化を遂げた岩井ワールドがつむぐ、最高にロマンティックな恋物語に酔いしれよう。《text:足立美由紀》(text:Miyuki Adachi)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年01月17日純粋な憧れ、身を焦がす情熱、果ては嫉妬や怒りまで。映画の中のロマンスには、その時代を生きた人々の“愛の価値観”が透けて見えます。2020年を生きる映画の創り手たちは、現代の恋を一体どう捉え、描こうとしているのか。岩井俊二監督にお話を伺いました。岩井俊二監督が想う、現代の“恋の行方”。『Love Letter』『スワロウテイル』など、数々の名作を手がけてきた岩井俊二監督。最新作『ラストレター』では、現在と過去の回想シーンを行き来しながら、手紙の行き違いをきっかけに生まれた2つの世代の恋愛を描く。姉・未咲の葬儀の場で、彼女の娘・鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内を受け取った裕里(松たか子)。姉の死を知らせるために同窓会へ出かけるが、本人だと勘違いされたうえ、初恋の相手である作家の鏡史郎(福山雅治、回想・神木隆之介)と再会。彼が姉を今でも想っていることを知った裕里は、本当のことを言い出せないまま、文通をし始める。奇跡の邂逅が、現代でも意外と起こるかもって思ったんです。スマホの時代である今、作品に手紙を持ち込んだのは、“手紙を使わない時代に手紙しか使えなくなったら…”という、SF的な意味で面白い話になりそうだと思ったからです。主人公の裕里が夫にスマホを壊されて、初恋の相手と手紙でしか連絡が取れなくなるというアイデアを思いつき、この作品が始まりました。人の関係がアナログだった時代は、ふいに“あの人は元気でやってるのかな”と思っても、遠い昔を眺めるように思うしかできなかった。それが、今は、検索したら情報が出てくるし、人との関係がタイムライン上に並ぶような時代。そんな究極の人間関係のありようになった今でも、今作のように奇跡の邂逅みたいなことが、時にあっさり起きてしまうんじゃないか。そして、そんな出来事に対して、みんな意外に無防備かもしれない、という僕のイメージが作品には描かれています。でも、実現できたからこそ言えますが、あらためて、手紙は素敵なものだという実感がありました。書いたり読んだりしている佇まいには奥ゆかしさや雰囲気があるし、人が手をかけて字を書くという行為も含めてですが、伝わるぬくもりとか、いろいろなものが違います。スマホのほうがよほど高級品だし、手紙は紙切れなのに、なんともすごい、秘めたるパワーがあります。裕里の姉である未咲の葬儀のシーンから始まる本作には、未咲を一途に想っている鏡史郎が、彼女を死へと追い込んだ元恋人の阿藤陽市(豊川悦司)に会いに行き、ののしられる場面がありますが、それこそが今作で描きたかった核心部分です。25年前に撮った、悪い人が出てこない『Love Letter』にはない唯一の部分であり闇の部分です。当時、僕は30歳くらいで、中学時代を眺めるのに15年しか経っていない。でも、今回はそこから25年が経ち、その間、物作りや小説を書く立場として過ごした時間は、僕にとって決して簡単なものではありませんでした。出会った人とうまくいかないこともあるし、昨日今日のわだかまりではない、カオスのようなものを抱えていたりする。そんなことがありながらも、物作りや仕事を続けることに果たして意味があるのかどうか。そんな自分を、夢や恋愛を一途に追い続けた結果、阿藤にののしられてしまう小説家の鏡史郎に重ねています。実は、劇中に登場する鏡史郎が書いた『未咲』という小説を、映画を撮る前に書きました。その内容は物語に出てこないけど、今作のバックストーリーとして存在しています。そんなふうに最近は、全体がどういう世界になっているかというのを、まずはゲーム感覚でとにかく書き溜めておき、最後に“こんな話だ”と切り取る作り方をしています。映画だから2時間で収まるように作るのは、植木鉢に土を盛って花を咲かす行為というか…。2時間のためだけのカロリーでやろうとすると、その後、本が完成しなくて苦しくなる。やっぱり、大地に種をまいて作るほうがいい花が咲くだろうし、そこをケチると根も株も小さくなるから、惜しまないほうがいいわけです。『ラストレター』も、『未咲』という物語を苗床にして、大きくして、自分で納得しながら作りました。使わなかったエピソードは他の作品で使うこともできるし、どこが採用されるかわからない、“使わないかもしれない”と思いながら書くお話は、責任がなくて超楽しいですね(笑)。自由に、のびやかに書けるので、そのやり方は悪くないと思い、今、実験中です。そんなふうに、一番いいゾーンに自分を入れるにはどうすればいいのかと、常に試行錯誤しています。以前は、書きつつ、検証しつつ、分析しつつということをしながら作っていました。たとえば『Love Letter』と『スワロウテイル』は、“わざと同じ構造式を使って作るとどうなるんだろう”と思い、実験的に作りました。そう言うと難しく聞こえるのですが、年末に放送している『SASUKE』というゲームだと思ってもらえたら。あの仕掛けを、『Love Letter』というものを背負った人と、『スワロウテイル』というものを背負った人が走ると考えてください。クリアしていくものは同じだけど、出来上がる作品は違うんです。その気で観ると、登場人物の数だとか、ドタバタが起きたり、静かになるタイミングがよく似ていますから。でも、最近は、先に述べたように、とにかく、ドキュメンタリー作品のように素材をたくさん撮る。素材がたくさんあればあるほど、フォーミュラで悩まなくていいと思うようになりました。今作では描かれなかった小説の『未咲』も、その部分だけを切り取って、一つの映画にしてみたいですね。『ラストレター』とは違う青春物語が作れるだろうし、鏡史郎があそこまで一途に未咲に恋をした理由が、ようやく、わかると思います。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。学校のヒロイン的な存在である未咲と、彼女に想いを寄せる鏡史郎(回想・神木隆之介)。彼の文才を知った未咲は、この階段のシーンで、とある大事なお願いごとをする。同じ部活に入った鏡史郎に、密かに片想いをしている裕里(回想・森七菜)。彼が姉の未咲に一目惚れしたことを知り、ラブレターを書いて想いを伝えることを提案する。夫の勘違いと嫉妬によってスマホを壊されたことをきっかけに、手紙のやりとりを始めた裕里と鏡史郎。しばらく文通を続けていたが、ある時、鏡史郎が会いにやってくる。©2020「ラストレター」製作委員会岩井俊二監督1963年1月24日生まれ、宮城県出身。‘93年のドラマ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(映画版は‘95年公開)が日本映画監督協会新人賞を受賞。‘95年に初長編作品『Love Letter』を発表。以後、『スワロウテイル』『四月物語』『花とアリス』『リップヴァンウィンクルの花嫁』などを発表。美しい映像、奇想天外ながら心を動かす物語など唯一無二の世界観で知られ、“岩井美学”という言葉も生んだ。今作は1月17日より全国公開。ジャケット¥142,000Tシャツ¥46,000(共にYOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03・5463・1500)※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・申谷弘美インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年01月13日岩井俊二監督の最新作『ラストレター』は、現在と過去の回想シーンを行き来しながら、手紙の行き違いをきっかけに生まれた2つの世代の恋愛が描かれる。姉・未咲の葬儀の場で、彼女の娘・鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内を受け取った裕里(松たか子)。姉の死を知らせるために同窓会へ出かけるが、本人だと勘違いされたうえ、初恋の相手である作家の鏡史郎(福山雅治、回想・神木隆之介)と再会。彼が姉を今でも想っていることを知った裕里は、本当のことを言い出せないまま、文通をし始める。作家の鏡史郎を演じる神木さんにお話を伺った。追いかける恋をする役には共感できる。演じていて楽しいです。岩井監督は、“優しい映画を撮る監督さん”という印象でした。実際、『ラストレター』の撮影現場には、優しく、ほんわかした雰囲気が流れていましたね。でも、演技をしていて、不思議な感覚に陥ったんです。それは、森七菜ちゃんのリアクションがすごく自然で、演技じゃなく、リアルタイムのものに感じられたから。か細い声で言う「ごめんなさい…」「ありがとう」みたいなセリフなんて、“人は言うよね、こういうふうに”って思ったし、岩井監督は七菜ちゃんに、何をどうやって伝えたんだろう、と気になりました。そんな現場だったから、僕も生身の相手の感情や動きを捉えて、感じて、返していかなきゃダメだと思い、彼女に身をまかせて、演じるのではなく乙坂鏡史郎その人としてやりました。本番中かどうかよくわからない、夢うつつの状態でお芝居をしている感覚があり、すごく貴重な経験になりました。鏡史郎は、ちょっと小心者だけど、内面は爆発したい人。だけど不器用だから発散の仕方がわからなくて、恋をしても一人で悶えている。そんな彼が、好きな人に想いを伝えるために見つけた方法がラブレターを書くことだったけど、きっと、自分が文章が上手いかどうかなんて関係なく、「これだ」と思い込んでしまったんでしょうね。僕からすると、“あんた、告白するよりラブレターを出すほうが恥ずかしいの、わかってる?”って言いたいけど(笑)。でも、メッセージを送るツールがたくさんある今の時代に、あえて手紙を選ぶのは、すごく素敵ですよね。文字には書く人の考え方や人間性が出るし、相手を思う時間も長いもの。無機質じゃなく、密なものだと思います。恋愛映画では、今作や『フォルトゥナの瞳』のように、恋に落ち、一途に想い続ける役が多いです。その理由ですか?僕自身が追いかけたい側だからかもしれません。好きになってほしい、尽くしたい、笑ってほしいという気持ちに共感できるからやりやすいし、演じていて楽しいです。何度か演じたことで、板についてきたというのもあるかもしれないけど。恋する気持ちは、相手を目で追って表現するようにしています。やっぱり、複数の人がいるのに見ちゃうというのが、相手を好きだとか、興味を持っている証だと思うから。今作には、昔の恋愛や想いを引きずっている人がたくさん登場します。僕、過去の何かに縛られている人の感情って、今にも崩れそうな、繊細なものだと思っているし、そういう部分が垣間見えた瞬間には憂いがあって、すごく魅力的に映るんです。そんな人に憧れます。大人になった鏡史郎(福山雅治)と、彼と同じ女性を愛した阿藤陽市(豊川悦司)の二人もそうですよね。過去を吹っ切れているように見えて、全然そうじゃなくて。その事実に気づいた時の表情は言語化できないほどに美しかったし、そういう表情ができる大人になりたいと思いました。完成した作品を試写会で観て、二人が対峙するシーンは大人の世界だと思いました。いずれは僕も、誰かのことを引きずって、不完全燃焼のまま生きてしまい、“その想いをどうやって思い出に変えるんですか?”と問われるような役をやってみたいです。もちろん、今じゃなくて将来!いつかね!だって、僕はまだ、過去を引きずって、掘り返して、傷んでという経験をしていないし、わからないから。いろいろな経験をして、さまざまな感情を味わって、ヒゲとかが似合うような大人になってから、挑戦できたら嬉しいです。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。学校のヒロイン的な存在である未咲と、彼女に想いを寄せる鏡史郎(回想・神木隆之介)。彼の文才を知った未咲は、この階段のシーンで、とある大事なお願いごとをする。同じ部活に入った鏡史郎に、密かに片想いをしている裕里(回想・森七菜)。彼が姉の未咲に一目惚れしたことを知り、ラブレターを書いて想いを伝えることを提案する。夫の勘違いと嫉妬によってスマホを壊されたことをきっかけに、手紙のやりとりを始めた裕里と鏡史郎。しばらく文通を続けていたが、ある時、鏡史郎が会いにやってくる。©2020「ラストレター」製作委員会かみき・りゅうのすけ1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。映画『屍人荘の殺人』が現在、全国公開中。3都市で上演される舞台『キレイ-神様と待ち合わせした女-』に出演している。※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・百瀬 豪ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年01月10日1月17日公開の映画『ラストレター』のレッドカーペットイベント&舞台あいさつが9日、都内で行われ、松たか子、広瀬すず、森七菜、神木隆之介、福山雅治が出席した。『Love Letter』や『スワロウテイル』などを手がけた岩井俊二監督の最新作でオリジナル作品となる本作。岩井監督の出身地でもある宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛と、それぞれの心の再生と成長を描く。レッドカーペットイベントが終わった後に、劇場に場所を試写会前の舞台あいさつに松たか子らキャスト陣が勢揃い。亡くなった姉の代わりに高校の同窓会に参加したことで初恋の相手と再会して文通を始めることになった主人公の岸辺野裕里を演じた松たか子は「岩井さんが描きたかった世界に呼ばれた私たちが、不思議な魔法のような時間を宮城で過ごして撮りました。他にも魅力的な大人や子ども、動物が出てきて、夢のような不思議な心地のする映画になったと思います」とアピールした。岩井作品初参加となった福山は「岩井さんの作品は当然見ていましたし、オファーは素直にうれしかったです。岩井さんの故郷でもある仙台で得難い体験ができました」と満足げで、久しぶりの共演となった相手役の松について「ものすごく話やすい人だなと改めて思いました。ガッツリは初めてでしたが、お芝居もしやすくて、すごい女優さんだと思いました」と絶賛。松も「(福山とのシーンで)密会して内緒話をするシーンがあって、結構長くおしゃべりをしました。カメラが止まっても続けられそうな空気感をたまに感じるんですが、そういうのを福山さんが導いてくれたと思います」と振り返った。福山とは2017年に公開された映画『三度目の殺人』以来の共演となった広瀬すず。本作では裕里の姉・未咲の高校時代と未咲の娘・鮎美の2役を演じている。福山について広瀬は「集中力がすごすぎて、抜け殻状態になりました。(エネルギーを)吸い取られましたね。『三度目』の時とは違う福山さんを見た気がしました」と福山の俳優としてのすごさを感じ取ったという。また、2015年に日本テレビ系で放送されたドラマ『学校のカイダン』以来の共演となった神木隆之介についても触れ、神木から「前回(ドラマ『学校のカイダン』)は僕がすずちゃんを罵る役でした。そこから始まっているから現場では『お姉ちゃん(広瀬アリス)と演技するぐらい恥ずかしい』と言われました」と話すと、広瀬は「ちょっと照れくさい感じがありましたね。リハでまっすぐ見つめ合うのも変な気分で、眉毛の間とか見てました(笑)」と明かしていた。なお、この日出席予定だった岩井俊二監督は、インフルエンザのため欠席した。映画『ラストレター』は、1月17日より全国公開。
2020年01月10日