オダギリジョーが時効になった事件を“趣味”で捜査する男を演じる「時効警察はじめました」の第1話が10月11日にオンエア。SNSには12年ぶりの続編に歓喜する声に、小雪と六角精児という豪華ゲストに驚く声、吉岡里帆の可愛さを触れる声などが上がっている。オダギリさん扮する霧山修一朗が趣味で時効になった事件を捜査するシュールな脱力系コメディーミステリーとして人気を博した「時効警察」シリーズが12年ぶりに連ドラとして復活した本作。霧山はアメリカのFBIに出向したが帰国、再び総武署の“時効管理課”に配属される。そんな霧山の恋人の座を狙っていたが、彼が渡米したことで6年前に結婚、その後離婚し、今はひとり身の三日月しずかに麻生久美子。温和な無秩序課長・熊本に岩松了、無類のイタズラ好き・又来にふせえり、人生の99%が無表情なサネイエに江口のりこ、また豊原功補、緋田康人、光石研、またナレーターの由紀さおりも12年ぶりに再結集。また今シリーズから総武署・刑事課の新人刑事・彩雲真空役で吉岡里帆が参加。本格コメディー&刑事役に初挑戦。霧山と同じ総部署・鑑識課に所属する“いたずら好き”の若きエース・又来康知役で磯村勇斗も出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。1話では、10年前に時効を迎えていた事件の遺留品が冷蔵庫から発見。新興宗教の教祖が凍死したその事件の謎を霧山が“趣味”で解いていくというストーリーが展開。前作も楽しんでいた視聴者からは「誰一人当時のまま老けてないのさすが」「12年ぶりかぁ、オダギリさんも麻生さんも全く老けてねぇな」「オダギリさんは何歳になってもビジュアル変わらない」「オダギリ麻生ペアの変わらないことにびっくり」などオダギリさん、麻生さんらメインキャスト陣の“変わらなさ”に、驚きの声も上がっている。また新興宗教の教祖を演じてゲスト出演した小雪さんには「時効警察の小雪さん美人すぎてしんどい」「髪の毛の感じが絵画のミューズみたい」など、その美しさを絶賛する反応も。再び動き出した霧山の活躍を描く「時効警察はじめました」は毎週金曜日23:15~テレビ朝日系にて放送中。(笠緒)
2019年10月12日1975年に芥川比呂志、岸田今日子らを中心に設立され、今も橋爪功や金田明夫、文芸・演出部には森新太郎らを擁する演劇集団円。ベテランから若手までがそろって上演される舞台は、シェイクスピアなどの古典やチェーホフ、イプセンなどの近代劇、また別役実、太田省吾、岩松了、渡辺えり、さらにはハロルド・ピンターやマーティン・マクドナーの現代戯曲までと幅広い。「そこに通底するはずの真に劇的なものは何かを、自由に柔軟に問い続ける」(公式サイトより)という姿勢は、12年ぶりのシェイクスピア作品となる今回の『ヴェニスの商人』でも健在だ。足かけ2年のテキレジ(テキストレジー。上演に際して台本に手を入れること)に挑み、劇中ではシャイロック役を務める金田明夫に話を聞いた。物語は商人であるアントーニオが、友人バサーニオのために高利貸し・シャイロックから金を借りた顛末と、バサーニオとポーシャら複数のカップルの話が並行して展開する。キリスト教徒(アントーニオら)とユダヤ教徒(シャイロック)の対立など、読む者にいくつもの視点を差し出すのがシェイクスピアの特徴だが、金田はあえて「時代も国も設定しない。素舞台に、衣裳もシンプルなジャケットで」と言い切る。「人間が対立している構図なんて、古今東西どこにでもあるでしょう。シンプルな舞台にすることで、お客様もシャイロックかアントーニオか、誰かしらに“ああ、これは自分だ”と投影しやすくなる。シェイクスピアの舞台を観ることに、イタリアだとかイスラエルだとか、もっと言えば日本や韓国、アメリカ……どこの国だというのは関係ないと思うから」と金田はその意図を語る。それでは今回、どこに主軸を置くかというと、「家族ですね」とこちらも即答だ。「これまで何度かシェイクスピアを上演してきたけれど、いつも感じるのは“家族の物語”だということ。シェイクスピアの戯曲は、さまざまなものが複雑に絡み合っているバケモノみたいなホンなので、僕らもつい騙されがちなんだけど(笑)。この作品だって突き詰めれば、結局はシャイロックと娘のジェシカの話なんですよ。あと、ポーシャと死んだ父親の話。それから指輪をめぐる、バサーニオとポーシャの夫婦の話。結局はそこから物語が派生するっていうのは、シェイクスピアだろうがチェーホフだろうが、あの『スター・ウォーズ』だって同じだなって」と金田は笑う。またシェイクスピアが“難解”とされている理由に、独特の長ゼリフがあるのは知られているとおり。金田はこの点もテキレジをしながら、出演者が声に出して読み上げる作業を数カ月前から繰り返し、台本を練り直してきた。長ゼリフを相手の「……」で区切るというのも、金田が考えた工夫の一例だ。「役者というのは不思議なもので、“……”が挟まっていると、そこでちゃんと芝居をするんですよ。そうすると観客の目線も自然に、テレビドラマでいう“パン”(カメラの視点が移動する)して、“クローズアップ”になるでしょう」と金田。「俺、新劇俳優にしちゃ、イヤらしいくらいドラマに出ているからさ」と自虐で笑わせるが、観客を飽きさせることなく、同時に役者の側にも芝居の組み立てをしやすくさせる配慮は、映像と舞台の両方で活躍する金田ならでは。セリフ自体も現代の言い回しだが、よくある“今風”のようにくずしすぎない、ほどよい口語体となっている。「今回の稽古でも言い続けているのは、ひと頃の“新劇”のイメージのような、お客さんを置き去りにした舞台には絶対しないでね、ということ。シェイクスピアって何言ってるか分かんないとか、眠くなるとか言われるけれど、それは違うということを伝えるためにはどうしたらいいか。そこを考えてほしいので」一方で、「せっかく他の商業的な舞台とは違う“新劇”でやっているんだから、お客さんに無理におもねることはしなくていいんじゃないか、と。今回は(座席数が)200人くらいの小屋なんで、セリフも声を張らずに普段の会話のようなトーンでね。それでも濃密に感じられるような空間をお届けしたいと思っています」と語った。最後に改めてシャイロックをどう思うか聞いてみると、「女房が死んだ後、娘をこよなく愛して大切に育てた、ただのオヤジですよ。自分の生きている世界には、相反する組織やイデオロギーがあることも分かっている。そんな世界で質素倹約で暮らして、でも娘にはしっかりと持参金を持たせて、同じユダヤ教徒と幸せな結婚をさせたいというのが唯一の夢だった、ただの男です」とサラリ。口調とは裏腹に、その表情には充実ぶりがにじむ。演劇集団円が贈る『ヴェニスの商人』。その味わいは、劇場で存分に堪能してほしい。東京・吉祥寺シアターにて10月3日から13日まで。取材・文:佐藤さくら
2019年09月30日庵野秀明企画・脚本による映画『シン・ウルトラマン』に、「Hey! Say! JUMP」有岡大貴、田中哲司、山本耕史らの出演が明らかになった。本作は、日本を代表するヒーローウルトラマンを、企画・脚本:庵野秀明、監督:樋口真嗣の『シン・ゴジラ』タッグで映画化。すでに斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊という人気俳優の出演が決定しており、様々な脅威に立ち向かうメンバーということが明らかになっている。その同じメンバーの一員として、「掟上今日子の備忘録」「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-3rd season」などに出演する有岡大貴、「ラーメン大好き小泉さん」の早見あかり、「ST」「緊急取調室」などに出演、日本を代表する実力派俳優・田中哲司が決定。有岡さんは「ウルトラマンが、庵野さんと樋口監督の手により令和の時代に、さらにパワーアップして僕たちの前に現れてくれること。最高のエンターテイメント作品の誕生に胸が熱くなります」と思いを語り、「ご出演者の皆様に比べ、僕はお芝居の経験が少ないです。足を引っ張ってしまわないか、オファーを頂いた時は正直嬉しさよりも不安の方が上回ってしまいました。でも『シン・ウルトラマン』という作品に恥じぬよう誠意を込めて務めさせて頂きます」とコメント。早見さんは「まさかあのウルトラマンの世界に自分が飛び込むことが出来るなんてまだ夢のようです。私自身が『シン・ゴジラ』を観た時に感じたあの興奮をまた皆様にも『シン・ウルトラマン』でお届け出来ると思うと楽しみです」とワクワクしている様子。そして「『ウルトラマン』は僕たち世代にとって、特別な作品」と語る田中さんは、「恐らく最強のチーム『シン・ウルトラマン』に参加出来る事は最高の喜びです。最善を尽くします」と意気込んでいる。さらに、物語の鍵を握る役どころで山本耕史、岩松了、長塚圭史、嶋田久作、益岡徹、山崎一、和田聰宏も参加する。『シン・ウルトラマン』は2021年、全国東宝系にて公開予定。(cinemacafe.net)
2019年09月25日日本の映画づくりのシステム、エンターテインメント界の変革を志し、小泉今日子らと共に映像制作プロダクション「新世界合同会社」を設立し、映画『ソワレ』で初めてプロデュース業に挑戦している豊原功補。インタビュー【後編】では、クリエイティブ面からスケジュールの管理、資金調達に至るまで、プロデューサーとしての仕事について、さらに“黒船”と呼ばれるNetflixなどの配信事業が興隆する中で、日本映画のクオリティを世界に伍するものとするためには何が必要なのか? その可能性についても話を聞いた。村上虹郎、芋生悠(いもう・はるか)という若き2人を主演に据え、この夏に和歌山で撮影が行われた映画『ソワレ』。撮影自体は無事クランクアップしたものの、2020年秋の公開に向けて、やるべきことは多い。予算面でも、既に600万円を超える金額がクラウドファンディングサービス「Makuake」で集まってはいるが、劇場での上映や宣伝活動などに必要な費用も多く、現在もなおサポーター募集が行われている(締切は9月27日)。作品づくりの土台は「支援者ひとりひとりの気持ち」豊原さんはプロデューサー、そして小泉さんはアソシエイト・プロデューサーとして本作に携わっているが、プロデューサー・豊原功補の具体的な仕事は?「まず自分が知ってる範囲での『プロデューサーはこれをやるべき』ということをひとつずつやってる状況なんですが、やること多くて驚いてます(笑)。重圧もすごいです…」。「お金のことに関しても『こんな大変なのか!』と身をもって知っている最中で、そのことを考えると、恐ろしくなって夜、眠れないですよ(苦笑)。巻き込んでいる人も多いし、自分ひとりが借金を背負って何とかなるもんじゃないわけで」。「クラウドファンディングの利用に関しては、映画を作るにあたって、いろんな人と話をする中で、ごく自然に幾人もの方から『クラウドファンディングはどうでしょう?』という言葉が出てきました。いくつかある中で、どこがいいのか? ということを考える中で、Makuakeさんの名前が出てくることが一番多かったんですが、実際に見てみるとシステムが非常にちゃんとしているし、僕が当初、非常に原始的な“寄付”のようなものとして考えていたものよりも、ずっと顧客目線で作られていて、“支援”がしやすいんですよね」。「いい意味で“重み”を感じ過ぎずに、自分の生活の中で『あんな映画があったらいいな』『これくらいの金額でいいかな?』くらいの感覚で支援してもらえるんじゃないかなと」。「とはいえ、そうやっていろんな方からお金を出していただけることに、ありがたさと共にプロデューサーとして恐ろしさも感じています(苦笑)。制作費に宣伝、デジタルプリント…本当に流しそうめんのように、すごい勢いでお金が流れて消えていくんですよ。もちろん、作品づくりに関して、僕らは自分たちの“主観”で決断していくわけですけど、その決断を支える土台になっているのは、支援してくださったひとりひとりの気持ちであって、そういう方々のメッセージを読むと『絶対に侮っちゃいけないな』と思います」。大事なのは「作り続けること」資金面やスケジュールの管理などだけでなく、豊原さんは積極的に作品の中身そのものにも関わっているという。自らを「うるさい、古いタイプのプロデューサー(笑)」と語る。「自分が俳優として現場にいたら、確実に『うるさいヤツだなぁ』って思ってるでしょうね(笑)。もちろん、外山監督が自分で脚本を書かれていて、やりたいことのベースはあるので、それをどうやって形にするか? こちらにそれがどう伝わっているのか? 伝わっていないのか? 『こういうことをやりたいのかもしれないけど、そうなってないよ』といったことをどんどん口出ししていますね。そこはやはり、質のいいものを作っていかないと、自己満足になってしまうのでね」プロデューサーという立場として当然、具体的な「観客動員数」や「興行収入」といった数値が頭をよぎらないわけではない。だが、何より大事なのは「作り続けること」だと考えている。「単なるマスターベーションで終わらせないためにも、事業として見合うか? という考えは常について回っていて『これは善をなそうとして悪に組み込まれていく一歩なんじゃないか?』って思ったりもしてます(笑)。いまのは岩松了さんの戯曲のセリフなんですけど」。「やっぱりこの1作で何かを変えられるほど簡単じゃないですから、さっきも言いましたが、いくつもの『点』のひとつになれたらいい。それがいくつもつながって『波』を起こせたら…ホントにね、1回じゃ変わらないですから」。「今回、こうして新世界合同会社を作ったけど、『ソワレ』の公開は2020年の秋の予定だからまだまだ先です。じゃあこの1年、答えが出るまで黙って見ているかと言えば、それじゃきっと心が離れちゃう。この映画を見届けるためにも、“次”を始めないといけない。この場所に立ち続けるには、ここで遊び続けなきゃいけないと思っています。もちろん、この作品に関してやるべきこともまだまだ残ってるんですけど(笑)」。日本映画の質を高めるには?その1「技術」近年、日本映画の「ガラパゴス化」が指摘されている。一方、つい最近の話だが、ひとつの光明と言うべきか、“黒船”と呼ばれるNetflixの台頭の中で「全裸監督」のような作品がそこにラインナップされ、地上波ではできない作り方、表現方法なども含め、業界内でも注目を集めている。「僕もNetflixはよく見ますし『全裸監督』も見ました。面白かったです。日本の作品の質をどう上げていくか?という点に関しては、2つの方向性があって、ひとつは“技術”の部分、もうひとつは“マインド”の問題になってくると思います」。「技術に関して言うと、まだまだ日本に、世界で通用する技術を持ったスタッフはたくさんいますよ。ただ最近は便利な機材のおかげで、カメラ技術や編集ひとつとっても、楽にできることが多くなり過ぎちゃったと思います。撮影後に寄りや引きを調整できるようになったりして、現場での能力というのが落ちているのかなと」。「そこはもう少しアナログな感覚で『いまあるものが全てだ』という感覚でやっていかないと技術は下がっていってしまう。それは俳優も同じで、デジタル化によって、以前のような『いまあるロールの中のフィルムに収めなきゃ』という気合が以前と比べると全然違う。そういう細かい部分での技術力って日本の武器だったはずなのに、それを自分たちで手放してるところがある」。「でもそこは、ちゃんと頑張れば取り戻せると思います。それこそ、昔の怖い先輩を現場に呼び戻して、きちんと技術を継承していけば、まだ間に合うと思っています」。日本映画の質を高めるには?その2「マインド」「厄介なのはもうひとつの“マインド”の部分ですね。それは作り手や観る人の社会との距離感の問題と言えるかもしれませんが、例えばNetflixの欧米を見ると、やはり、日本の社会とは宗教や人種問、貧富といった問題が比較にならないほど大きくて、それが日常と混じり合っているからドラマが生まれるんですね。逆に日本は日常の非常に狭い部分を描くことになってしまって、だから四畳半の物語ばかりになっちゃう」。「『全裸監督』はその点、村西とおるという独特の人物を主人公にしていて、セックスが題材のひとつとして扱われているという点で特別といえるかもしれないし、すごく面白いなと思います」。「そういう社会との距離感を意識して作っていかないと、単に海外の作品のマネをしてもダメだし、そういう意味で今後もNetflixの欧米のオリジナル作品と肩を並べるって、大変だとは思います。ただ、先ほども言いましたが、日本の社会もいろんな問題がいま、露わになってきているわけで、そういう意味では描くべきドラマが増えていると言えると思います。そこで本当に恐れずに自由度の高い作品を作れるか?『日常の苦労を忘れられるようなドラマ、エンターテインメントが見られる』と思ってもらえる器(プラットフォーム)を作ることができれば、見てくださる方々の意識も変わってくると思います」。そしてもうひとつ、豊原さんが指摘するのは“俳優”のマインドである。「平成という時代、俳優が俳優としてあるべき“鍛錬”の時間から離れてしまった部分があって、それこそ演技というもの、俳優という立場がコマーシャルにたくさん出たりするためのものになっていたり、ドラマや映画にたくさん出演することがゴールになってしまっていたりする」。「どこかの時期からか、俳優の仕事が事務所に入って、車で送り迎えされて、終わりの時間を気にしながら演技して…という“形”になり過ぎて、イージーなものになってしまったというか。僕自身、そこには憤りを感じていたし、言ってしまえばいまやっている活動は全て、自分が俳優として現場で感じていたことから派生しているんです」。「演技をしていて時折、自分が志しているものと求められているものの“出口”が全く違うことが多くて。俳優の演技だって求められれば求められるほどよくなるはずなんです。ただ、最近は20代の若い俳優さんでも勉強している人は多いし、少しずつまた意識が変わってきていると思います」。「僕自身、こんな風にえらそうなことを語ってて、いま作ってる映画をその言葉や志とかけ離れた作品にするわけにはいかない。まだほんの第一歩であり、わかんないことだらけですが、もっと“嫌われる勇気” を持って、やっていきたいと思ってます」映画『ソワレ』Makuakeクラウドファンディングは9月27日(金)まで実施中。(text / photo:Naoki Kurozu)
2019年09月25日夏を舞台にした岩松了の新作『二度目の夏』が、東京・本多劇場で間もなく幕を開ける。アメリカの現代作家スティーヴン・ミルハウザーが『トリスタンとイゾルデ』をモチーフに書いた小説『木に登る王』を読んだ岩松が、それをベースに“男の嫉妬”にまつわる新たな物語を誕生させた。主な登場人物は、何不自由なく育った若社長・慎一郎(東出昌大)と2年前に結婚した妻・いずみ(水上京香)、彼の後輩で親友の謙吾(仲野太賀)。だがそこは岩松のこと、単純な嫉妬や三角関係の話には着地させない。「嫉妬っていうのは劇の素材になる感情なんですよね、シェイクスピアにしてもなんにしても。それをただ僕がやってもしょうがないので、ちょっと結論めいた話になりますが、嫉妬心がないということもドラマじゃないかと。そういう話を書けば自分なりのホンが書けるかな、みたいな気持ちがあって。だいたい演出家っていうのは演出するとき役者に、“お前、生活の中にドラマはないのか!”とか言うわけでしょ(笑)。つまり、嫉妬心にしろ、何にしろ、人間としての感情の凹凸がなければ演じられないだろうみたいな気持ちがあるわけで、演劇自体に抵触するテーマだとも思ったんですよ。だから嫉妬の話ではあるんですけど、嫉妬心が起こらないというのがどういうことなのかを考えていくのが僕の役目……といったらヘンだけど、今までやってきたことの延長にあるのはそっちの方じゃないのかと思ったというのもちょっとありますね」その無機質な“嫉妬が起こらない”という感覚を体現するのに、東出昌大という俳優は適任と言える。「多分に東出くんのキャラクターが影響しているところはあって、彼じゃなかったらこういうホンは書いてないかもしれないですね。顔つきがそうだから。嫉妬でギラギラって感じじゃないし。映画『桐島、部活やめるってよ』で彼が出てきたとき、表情が面白かった。つまんない言い方をすると、感情が表に出ないっていう。そういう役者さんはいいなと思うし、今初めて一緒にやっていてもいい役者さんだと思います。体の大きい人は心も大きいですねっていうか(笑)、懐が深いっていうかな」その東出演じる慎一郎と複雑な感情を交わし合うのが、岩松の舞台には4度目の出演となる仲野太賀。初出演は、全キャストをオーディションで選出した『国民傘』(2011年)だった。「まだ10代でしたね。当時から印象が強くて、“この子は絶対に採ろう”と最初から決めていたぐらい。若いのに似合わず立ち方がいい。なんていうかなあ……やっぱり芝居が上手いと思います。謙吾の“嫉妬されない”立場っていうのは、彼からすればバカにされてるみたいに感じるわけですよね。だから、心の底で(慎一郎と)非常に敵対していくものになっていくんじゃないかなと思うんですけど」加えて、先代から一家に仕える女性・落合役の片桐はいりがスパイス的な役割を果たす。岩松作品には実に15年ぶりの出演となる、この頼れる巧者の活躍も楽しみだ。ほか、水上京香、清水葉月、菅原永二と気になる面々が顔を揃え、岩松自身も飄々とした持ち味を発揮する。夫婦たちがひと夏を過ごす湖畔の別荘。池のあるその庭が、ドラマの主な舞台だ。表面的には微かな波紋を見せる程度だが、水面下では大波のごとく登場人物たちの感情がうねる岩松ドラマ。上品な富裕層の人々を描いた作品では、表現と感情のギャップの差がより広がり、観客が味わうゾクゾクの度合いも深まる印象がある。「嫉妬心がないっていうのは、やっぱりお金持ちの発想だと思うんですよ。貧乏人の悩みはわりと分かりやすい(笑)。お金が欲しいのであれば、お金をあげれば解決する。だけどお金持ちのこういった悩みには、何をあげれば解決するのか。そういう意味ではお金持ちの悩みの方がより本質的で深い感じがするから、お金持ちの話を書きたくなるのかもしれない。自分はまったくお金持ちじゃないんですが(笑)。慎一郎にしたって、嫉妬できないことが悩みであれば、嫉妬心が沸き起こることに喜ぶわけですよね。“俺も人並みだ”って。人によっては“変態”って言うかもしれないけど、いやそれは変態なんじゃなくて……ってそんなこと考えてると、分かりにくいとか言われちゃうんだけど(笑)」「いつも分かりやすく書いているつもり」と前置きしつつ、岩松作品へのイメージに付随する“分かりづらさ”について、こう言葉を進める。「創作っていうのは、分かりやすくまとめてそれを提示してお客さんに差し上げるものだと言われれば、“そうですか”と言って自分の不備を責めるっていうような流れになるわけですが(笑)。でも一方で、“やっぱり分からないでしょ、世の中のことは”っていうスタンスを自分の中に持った方がいいとも思うんです。世の中のことを全部分かっている人ってひとりもいないでしょ?ということは、世の中のことは絶対誰にも分からない。なのに“分かった”っていう嘘をつくことは……“噓を求めているんだよ”と言われればそうかもしれないけど、でも“分からない”ってことに正直になってもいいんじゃないかって気持ちもちょっとあるんです」劇作家・岩松了は彼のやり方で、今の世の中と誠実に向き合う。M&Oplaysプロデュース『二度目の夏』は、本多劇場にて7月20日(土)から8月12日(月・休)まで上演した後、福岡、広島、静岡、大阪、名古屋、神奈川で公演を行う。取材・文:武田吏都
2019年07月18日サブカルチャーの中心地、東京・下北沢。なかでも本多劇場は、サブカルの代表格で、演劇を志す者たちの憧れの的だ。この夏、東出昌大(31)はその舞台で『二度目の夏』(7月20日~8月12日)の主役を務める。「役者って人前で涼しげに演じてるようですけど、その実、悩んでとどまったり、前進しては戻ったり……下北沢ではそれが繰り返されてる。居酒屋にも演劇のチラシが貼られていて、独特な街ですね。役者の聖地である憧れの劇場で、僕も尊敬する岩松了さん作・演出の舞台に立てるなんて!」(東出・以下同)モデルから俳優へ活動の幅を広げていった東出。演劇のメソッドを勉強したことがなかったため、当初は苦労したという。「濁流のなかで8年を過ごしてきました。去年、三島由紀夫原作の舞台『豊饒の海』に出演してついに、あぁ、役者になったんだ、と思えたんです」感慨に浸りながら、品のいいのびのびとした笑顔をつくる。東出が演じる夫とその妻、夫の親友らを取り巻く男女の人間模様を描き出す本作。裕福な家庭に育ち誰もが羨む人生を送る主人公は、物語が進むにつれ親友への“嫉妬”に押しつぶされていく。「僕の役ってねじ曲がった癖(へき)がある男。出張中に、親友に妻の面倒をみてもらうんです。坊ちゃん育ちで悩みがない分、人として欠如している部分もありそうですね」東出自身が抱く嫉妬という感情について聞いてみた。「7年前、映画『桐島、部活やめるってよ』での太賀くんの素晴らしいお芝居が羨ましかった。僕にはできないな、って。憧れや羨望で歩みを止めてもしょうがない。自分には何ができるかを考えて、前進することで乗り越えました」嫉妬をプラスの刺激に変換したのだ。困難に直面しても、乗り越える強さがある。「答えがない問題にぶつかると、悩みのタネから離れてアウトドアでリフレッシュしています」ほかにも落語や将棋、料理など興味の対象はさまざまだ。「子どものころから競馬も好きで。ドラマを背負っていたり血統があったりする競走馬が好きなんです」23歳で俳優になる前には、ジュエリーの専門学校に通った時期もあった。「役者の仕事と宝飾品に共通して言えるのは、心血を注いで作ったものしか、後の世に残らないということです。ですから、全力で誠実に仕事をしていきたい」
2019年07月08日シュールな脱力系コメディーミステリー「時効警察」が、前2シリーズと同じ「金曜ナイトドラマ枠」で、「時効警察はじめました」として10月から放送されることが決定。新メンバーとして吉岡里帆が参戦することも分かった。時効になった事件を“趣味”で捜査するオダギリジョー扮する霧山修一朗が、三日月しずか(麻生久美子)と共に、もはやライフワークと言っても過言ではない“唯一の趣味”を再開!さらに、温和な無秩序課長・熊本(岩松了)、無類のイタズラ好き・又来(ふせえり)、人生の99%が無表情なサネイエ(江口のりこ)をはじめ、十文字疾風(豊原功補)、蜂須賀(緋田康人)、諸沢(光石研)、そしてナレーターの由紀さおりも12年ぶりに再結集する。そしてこのお馴染みメンバーに加え、今回新たに吉岡里帆が参戦!総武署・刑事課の新人刑事・彩雲真空を演じ、TVドラマで本格コメディーに初挑戦、また刑事役にも初挑戦する。「ガンバリマス!」が口癖で、とにかく何でも頑張る熱血女子な真空。とりわけ、霧山が三日月と共に再開する時効事件の捜査に興味津々で、十文字の目を盗んでは時効管理課に入り浸り、時効捜査に首を突っ込みまくる人物だ。前2作を観ていたという吉岡さんは、「皆さんがまた集まることがファンとしてうれしかったと同時に、自分もあの世界の中に入れるということで『ホントに!?』と思いました」と出演決定時の心境を明かす。すでに撮影はスタートしており、「麻生さんをはじめ、以前共演させていただいた方が多かったこともあって、すぐに受け入れていただけました。最初のリハーサルの翌日にも、初共演のオダギリ(ジョー)さんが『馴染むのが早かったね』とおっしゃってくださって、すごくうれしかったです」と言い、オダギリさんも「新しく加わることは、不安や心配も大きかったと思いますが、吉岡さんは見事に馴染んでいます。というより、既にみんなから愛されています。明るくて素直で人柄が良く、麻生さんは『こんな素敵な子供が欲しい』と、吉岡さんの家庭環境を聞き出したりしています。とにかく。時効警察は独特な現場ですが、吉岡さんなら何の心配もないと思います」と早くもチームに溶け込んでいるそう。また、本作のメイン監督三木聡の映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』に出演した吉岡さんは、「もっと即興でツッコミやボケが飛び交っているのかなと思っていたんですけど、特に三木(聡)さんが脚本・監督を担当される回は、皆さんが台本にあるセリフを一語一句、絶対に変えることなく、すべて完璧に積み上げられた会話劇になっているんです。そこは意外でした!」とコメント。小説からプロレスまで興味の対象は無秩序に膨大、守備範囲が広いキャラということで、劇中でも様々なことに挑戦する吉岡さんは「いろいろチャレンジできるので、楽しいです」と言い、「実は今回、大先輩である麻生(久美子)さんにプロレス技をかけるという私的衝撃シーンもあるんです。すごくドキドキしました!しかも私、劇中でプロレスラーにまでなっちゃいます(笑)。かなり頑張っているので、ぜひ見ていただきたいです」と見どころをアピールしている。「時効警察はじめました」は10月、毎週金曜日23時15分~テレビ朝日系にて放送予定(※一部地域を除く)。(cinemacafe.net)
2019年07月06日東出昌大が主演を務め、『桐島、部活やめるってよ』以来7年ぶりに共演する太賀らを迎えたM&Oplaysプロデュースの舞台「二度目の夏」から、ビジュアル写真が到着した。にじんでいた景色が涙がひとつぶ落ちた時みたいにはっきり見えてきたのでした。そして知ったのです。嫉妬ではない、私は強く愛していただけなのだと。あれは、二度目の夏でした…。本作は、愛と嫉妬がうずまく、大人のための恋愛劇。裕福な家庭で何不自由なく育ち、美しい妻を迎えて誰もが羨むような人生を贈る半面、物語が進むにつれて嫉妬という自らの感情に押しつぶされ、追い詰められ壊れゆく主人公の“夫”を演じるのが東出さん。自身3度目の舞台で、初めてタッグを組む岩松了(作・演出)とどのような化学反応が生まれるのか、見逃せない。東出さん演じる“夫”の親友を演じるのは、岩松了作品は本作で4回目となる太賀。“妻”役には、「私のおじさん~WATAOJI~」朝ドラ「わろてんか」などにも出演していた注目の若手女優・水上京香。岩松了作品には本作が初出演となる。そして主人公たちを取り巻く個性豊かなキャラクターたちを、独特の存在感で舞台のみならず活躍の幅を広げている清水葉月、舞台経験豊富なベテラン俳優・菅原永二、さらに作・演出の岩松さんも出演。数々の作品で観る人の印象に残る名バイプレーヤー・片桐はいりという魅力的なキャストが集結。公開されたビジュアルには、真っ白な衣装に身を包み、夏らしさを感じさせつつも、それぞれが意味深な目線を向ける全キャストのビジュアル。湖畔の別荘を舞台に、ある夫婦と夫の親友、そして彼らの周りの男女が“嫉妬”をめぐり、どんなドラマを繰り広げられるのか、期待していて。M&Oplaysプロデュース「二度目の夏」は7月20日(土)~8月12日(月・祝)、東京・本多劇場にて公演(福岡、広島、静岡、大阪、名古屋、神奈川で公演あり)。(text:cinemacafe.net)
2019年03月29日俳優・東出昌大が、岩松了作・演出の舞台M&Oplaysプロデュース「二度目の夏」で主演を務めることが決定。共演には太賀、水上京香、片桐はいりらを迎え、夏、本多劇場にて東京公演が行われる。本公演はM&Oplaysと岩松さんが定期的に行っているプロデュース公演の最新作。これまで、宮藤官九郎主演の「アイドル、かくの如し」、「結びの庭」、小泉今日子主演の「家庭内失踪」、堀井新太や黒島結菜を中心とした若者の群像劇「少女ミウ」などを提供してきたこのシリーズ。今回は湖畔の別荘を舞台に、ある夫婦と夫の親友、そして彼らの周りの男女が繰り広げる、“嫉妬”をめぐるドラマを新たに岩松さんが書き下ろした。主演を務める東出さんは、昨年、主演作『寝ても覚めても』がカンヌ国際映画祭をはじめ多くの映画祭で上映され話題に。また、2度目の舞台となる三島由紀夫原作舞台「豊饒の海」では、複雑な心理の主人公を見事に演じ切ったが、今回自身3度目の舞台では、何不自由なく育ち、美しい妻を娶るなど誰もが羨むような人生を送る半面、物語が進むにつれて嫉妬に押しつぶされ、追い詰められ壊れゆく主人公の“夫”を演じる。また“夫”の親友役には、「今日から俺は!!」『母さんがどんなに僕を嫌いでも』など話題作に出演、東出さんとは『桐島、部活やめるってよ』以来7年ぶりの共演となる太賀さんに決定。今回、岩松さんと初タッグを組むこととなった東出さんは「役者にとって特別な下北沢の、憧れの本多劇場で、岩松了さん演出で舞台の上に立てるのは、光栄な思いと楽しみと恐れが入り混じった不思議な感覚です」と心境を明かしつつ、「必ずや、良い舞台にします。心より、お待ちしております」と意気込み。一方、岩松作品は今回が4回目となる太賀さんは「尊敬する岩松了さん、そして東出昌大さんをはじめとする素敵なキャストの方々と一緒に演劇をやれる事を大変嬉しく思います。お話を頂いてから、ずっと待ち焦がれてました。二度目の夏。是非観に来てください」と参加への喜びを語っている。さらに“妻”役には、連続テレビ小説「わろてんか」にも出演していた注目の若手女優・水上京香。そのほか、清水葉月、菅原永二、片桐はいり、そして岩松さんも出演。主人公たちを取り巻く個性豊かなキャラクターたちを演じる。<岩松了コメント>二度目の夏──湖畔の別荘を舞台に「男の嫉妬」がひき起こす、ある事件を描く物語です。主演に初めてご一緒する東出昌大さん。共演に何度も舞台でご一緒している太賀くんはじめ、素敵なキャストのみなさんに集まってもらいました。僕自身、今からとても楽しみにしています。ご期待下さい!!M&Oplaysプロデュース「二度目の夏」は7月20日(金)~8月12日(日)本多劇場(東京公演)にて上演、ほか、福岡、広島、静岡、大阪、名古屋、神奈川公演あり。(cinemacafe.net)
2019年03月04日アイドルグループ・V6の森田剛が主演を務める舞台『空ばかり見ていた』ビジュアルが12日、公開された。同作は、岩松了による新作公演。反政府軍の首領・吉田満(村上淳)と、女性兵士になりたいという妹のリン(平岩紙)、リンの恋人・多岐川秋生(森田)。結婚を意識しながらも、命の保証のない日々の中、一歩踏み切れない秋生と、そんな秋生の考えを察して兵士として共に戦いたいと思うリンだったが、絶対的な信頼を置いていた満に対して不信を覚える出来事が起こる。満への感情と連動するようにリンにも疎ましさを感じ始め、自分自身の気持ちに戸惑う秋生。同じ頃、政府軍のスパイが組織に潜り込んでいたことにより、秋生たちは窮地に立たされることになる。ビジュアルは物語の舞台、反政府軍のアジトとなる廃校を背景に、森田、勝地涼、平岩紙、筒井真理子、宮下今日子、豊原功補、村上淳が内戦の中ギリギリの世界で生き、それぞれの未来を見据えるかのような強いまなざしが印象的なものとなっている。東京公演はBunkamuraシアターコクーンにて2019年3月9日~31日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2019年4月5日~10日。
2019年01月12日劇作家・演出家として活動を始めて来年10周年の根本宗子さん。演劇界のみならず、ミュージシャンやアイドルなどからも支持される、その創作の泉とは。――演劇を始められたきっかけは、松尾スズキさんの舞台をご覧になったことだそうですね。いまもファンだと公言されています。一般的に、松尾さんのような作品を作りたい、と考えそうな気がしますが、作風は全然違いますね。根本:演劇を始めた最初の理由は、完全に、松尾さんに会ってみたい、話してみたい、松尾さんの芝居に出てみたい、でした。でも、いまさら大人計画に入るのは難しいだろうし、入れたとして、下積みからやるのは性格的に合わない。それなら、別の近道を行こう、と。でも、中学生の時に大怪我をして以来、動きに制限もあるので、役者として使ってもらうのは難しい。消去法で“自分で書く”ってことになったんです。だから最初は、何か訴えたいものがあって書き始めたわけじゃないんです。演劇を始める時、自分の立ち位置みたいなものをすごく考えたんです。当時、しっかりとしたストーリーラインがわかりやすくある芝居を作っている人があまりいなくて、自分が出ていくには、そっちをやった方がいいんだろうなって思ったんです。「若いんだから、好きなものを書け」って言われることが多かったんですが、そういう若手はたくさんいる。敢えてその逆を行った方が、早く上手くいくって信じていました。演劇自体が好きだったので、どんな形でも、自分が演劇をやれていることが楽しかった、というのもあります。いまは、そこはクリアできているんで、自分の芝居に飽きないように、劇団公演ではできるだけ新しいチャレンジをしていこうとしています。――そうなんですね。根本:ただ、演劇を始めた時から、別の選択肢を考えたことはなかったです。怪我をした時点で、モーグルという一番やりたいことは絶たれましたから、さらに新しい道なんて余裕もなかったです。じつは、怪我をして二度と競技には戻れないとわかって、一発目に観たのが松尾さんの『ニンゲン御破産』だったんです。その時、物語は全然理解できなかったけれど、松尾さんが私の気持ちをわかってくれているって、勘違いしちゃったんですよね(笑)。舞台を観に行っているのに、まるでカウンセリングを受けに行くような感覚。それまでも演劇はたくさん観ていたけれど、そんな気持ちになったのは初めてで、演劇は観て楽しむだけじゃなく、人の人生に訴えかけることができるものなんだとも思いました。作品を作る時、つねに考えるのは、あの時の私が客席にいたらどう思うかということ。その感覚は、ずっとなくしたくないなと思っています。――いま演劇をやっているモチベーションは何ですか?根本:自分じゃない話を書くのが楽しくなっている、というのがひとつ。そしてもうひとつは、自分が作ったものに対して、お客さんのリアクションが返ってくるということでしょうか。うちの芝居の最大の面白さは、男女でリアクションが全然違うこと。あるシーンで男性のお客さんが笑っていると、女性のお客さんが「ここは笑うところじゃない」って怒ったり。いまだに私が予想もしない反応がお客さんから返ってくることがあって。――戯曲を書かれる時は、役者さんにアテ書きされるんですか?根本:私のなかで、見た目の説得力ってすごく大事なんですね。昔から、小劇場の舞台で、さほどキレイじゃない人が、すっごいキレイでモテる役を演じていたりするのが嫌で仕方なかったんです(笑)。それは、キレイじゃないといけないということではなく、例えば、周りから可愛いともてはやされているけれど、自分ではそこまで可愛いとは思えなくて、周りの言葉をストレートに受け止められない女性…という役だったら納得できるのに、ということです。――ご自身にもアテ書きですか?根本:小劇場で活躍する女優さんって、ちょっと個性が強いというか、普通の会社員はやってないよな、って思わせる人が多いんです。そのなかで私は、普通に会社員をやっていそうにも見える。一時期は、自分も奇抜な服を着て、個性的なキャラクターに見せていたんですけれどやめました。いまは、この普通の感覚を大事にしていこうと思っています。――来年には30歳を迎えます。この先、人生のステージが変わっていくかもしれませんが、演劇を一生続けると思いますか?根本:続けていくと思います。それは、自分が演劇に救われた経験があるから。あの時の自分が客席にいる限りは、やめないと思います。ねもと・しゅうこ1989年生まれ、東京都出身。‘09年に劇団・月刊「根本宗子」を旗揚げし、すべての公演の作・演出を手がける。女優としても、自作のほか岩松了さんや赤堀雅秋さんの舞台などにも出演。現在、毎週月曜日の深夜にOAされているラジオ『根本宗子と長井短のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)に出演中。月刊「根本宗子」第16号『愛犬ポリーの死、そして家族の話』は、12月20日(木)~31日(月)下北沢・本多劇場にて上演。物語のキーとなる“愛犬ポリー”を演じるのは、大人計画の村杉蝉之介さん。「村杉蝉之介が、犬になるまでの過程」を、気鋭の映像ディレクター・山岸聖太監督が完全密着した映像が公式サイトにて公開中。※『anan』2018年12月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月23日高畑充希が刑事役に挑戦する2019年1月ドラマ「メゾン・ド・ポリス」より、おじさまキャストに続き、新たに西田尚美、竜星涼、木村了、戸田昌宏の出演が発表された。本作は、高畑さん演じる若手刑事・牧野ひよりが、退職警察官だけが住むシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」を訪れ、何やらワケありの“おじさま”たちに振り回されながらも事件を解決していく、1話完結の刑事ドラマ。今回新たに発表された4名の俳優陣が演じるのは、西島秀俊、小日向文世、野口五郎、近藤正臣らクセの強いメゾンの“おじさま”たちとはまた違った存在感を発揮してくれるであろう登場人物。ひよりも所属する柳町北署の鑑識係でひよりのよき相談相手である杉岡沙耶役に、「コウノドリ」や『図書館戦争』シリーズに出演した西田尚美。買い物コーディネーターとしてメゾンに出入りする瀬川草介役に、『シマウマ』『泣き虫ピエロの結婚式』の竜星涼。ひよりの先輩刑事・原田照之役に、映画・ドラマ・舞台・ミュージカルなど様々なジャンルで活躍する木村了。そして柳町北署刑事課長・新木幸司役には、昨今の映画やドラマには欠かせないバイプレイヤー・戸田昌宏が演じる。また先日は、高畑さんがついに本作のクランクインを迎えた。今回初の刑事役に挑む高畑さんは、胸元まで届くロングヘアをバッサリ!原作小説の表紙絵には髪を結わえたひよりが描かれているが、原作と脚本を読んだ高畑さんがボブヘアを監督に提案し採用。今回20cmほどカットしたそうだ。「いざ切ってみるとすごく気持ちがスッキリして、スーツを着ると『よし、ひよりだぁ!』とスイッチが入る気がします」とボブカットにした感想を語る高畑さん。クランクインを迎え、「先日リハーサルで、共演させていただく方々と顔を合わせる事が出来たのもあって、違和感や変な緊張感なくクランクインを迎えられました。皆さんめちゃくちゃ楽しい方ですし、何でも受け止めてくださるので、すごく穏やかな気持ちで現場にいます」と現在の心境を明かす。ひよりがメゾンを初めて訪れ、雑用係の夏目(西島さん)やオーナーの伊達(近藤さん)と会話をする第1話の冒頭シーンが収録されたという今回は、「西島さんとは朝ドラで親子役だったんですが、その時は1シーンしかご一緒できなくて。でも今回はタッグを組んで捜査出来るので、すごく嬉しいです。リハーサルでは『役の距離感が近い』と、監督に叱られてしまいました(笑)。序盤は仲の悪い設定なので、頑張って仲悪くやらなきゃって思ってます(笑)」と撮影の様子を語っている。金曜ドラマ「メゾン・ド・ポリス」は2019年1月より毎週金曜日22時~TBSにて放送予定。(cinemacafe.net)
2018年11月26日アイドルグループ・V6の森田剛が、岩松了の新作公演『空ばかり見ていた』に主演することが12日、明らかになった。反政府軍の首領・吉田満(村上淳)と、女性兵士になりたいという妹のリン(平岩紙)、リンの恋人・多岐川秋生(森田)。結婚を意識しながらも、命の保証のない日々の中、一歩踏み切れない秋生と、そんな秋生の考えを察して兵士として共に戦いたいと思うリンだったが、絶対的な信頼を置いていた満に対して不信を覚える出来事が起こる。満への感情と連動するようにリンにも疎ましさを感じ始め、自分自身の気持ちに戸惑う秋生。同じ頃、政府軍のスパイが組織に潜り込んでいたことにより、秋生たちは窮地に立たされることになった。岩松はこれまで、Bunkamuraシアターコクーンにて、『シダの群れ』シリーズ(10、12、13)、『ジュリエット通り』(14)、『青い瞳』(15)と書き下ろし作品の上演を続け、16年には、蜷川幸雄演出に初めて書き下ろした『シブヤから遠く離れて』(04)を自ら演出し上演したことでも話題となっている。17年には作・演出を手掛け、さいたま芸術劇場にて上演した『薄い桃色のかたまり』で、第21回鶴屋南北戯曲賞を受賞したが、今回4年ぶりとなるシアターコクーンでの新作公演となる。かねてより岩松自ら森田にラブコールを送り続け、共演したサントリースピリッツ「ザ・カクテルバー プロフェッショナルのCMの撮影でも、合間に「今度一緒に何かやろうよ!」「いいですね」という会話がなされていた2人の顔合せが、ついに実現。森田演じる反政府軍の兵士の物語は、森田自身にあて書きされた役柄であり、岩松自身も「これまでの作品の中で一番難しい戯曲になる気がしている」と語る。共演には、勝地涼、平岩、筒井真理子、宮下今日子、新名基浩、大友律、髙橋里恩、三村和敬、豊原功補、村上と実力派がずらり。東京公演はBunkamuraシアターコクーンにて2019年3月9日~31日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2019年4月5日~10日。○岩松了 コメント政治的なつながりや思想的な絆を経由した恋愛話を通じ、「恋愛」がそれだけでは成立しない面白さを描きたいと思います。また、そこで生み出される緊張関係をよりくっきりさせるため、内戦というシビアな状況を選びました。森田くんとは以前から「いつかやろうね」と約束していたんです。僕は余計に動かない俳優、暗い印象の俳優が好きです。森田くんにもどこか影を感じる。その暗さが、今度の芝居をつくるうえでの、探りどころにもなるのかなと思っています。○森田剛 コメント岩松さんとは、以前からご一緒させていただきたいと思っていたのですが、今回このタイミングで実現することとなり大変嬉しく思っています。稽古は、何回も同じシーンを繰り返し行うような厳しい方だと伺っておりますので、今から稽古に入るのが楽しみですし、岩松さんの描かれる作品の中で求められる役柄を精一杯演じきりたいと思います。
2018年11月12日2月に豊原功補(53)との不倫関係を公表した小泉今日子(52)。自身がプロデュースする舞台『またここか』の会場で、不倫公表以来はじめて豊原との堂々2ショットを披露した。WEB女性自身は10月1日、2ショット写真とともに仲むつまじい2人の様子を報じた。この記事に対して、Yahoo!ニュースでは2500を超えるコメントが殺到。その多くが《堂々と不倫してるなんてどうかしてる》《人として許されない》といった、小泉への激しい非難だった。しかし小泉自身はそんな世間の声にはまったく動じていないようで、毎公演ロビーで観客を出迎えているという。「お芝居にも感動したのですが、間近でキョンキョンを見れたのも嬉しかったです。キョンキョンは業界人の方から名刺を差し出されると、さっと老眼鏡をかけていました。そして名刺を受け取ると、丁寧にお礼を言っていましたよ」(公演を観た男性)会場で観客を“おもてなし”しているのは、小泉だけではない。演出の豊原はもちろん、脚本の坂元裕二(51)まで毎公演のように姿を見せている。「坂元さんは公演に合わせて発売される著書600冊にサインを入れ、自らロビーで手売りしています。脚本家がそこまでして公演を盛り上げるのは珍しいこと。『東京ラブストーリー』や『カルテット』で知られる坂元さんも、テレビドラマの仕事からしばらく離れることを宣言しています。同様の決断をした小泉さんや豊原さんを全力で応援したいのでしょう」(演劇関係者)会場入り口には風間杜夫(69)、松たか子(41)、くりぃむしちゅー有田哲平(47)などから贈られた花が。多数の芸能人も観劇に訪れている。「初日にはYOUさん(54)と加瀬亮さん(43)の姿が目撃されています。さらには松雪泰子さん(45)、のんさん(25)、荒川良々さん(44)、AKB48の峯岸みなみさん(25)、演出家の岩松了さん(66)ら多彩な面々が会場に足を運んでいるようです。芸能界やテレビ業界の不自由さを知っているからこそ、新しい道を模索する小泉さんと豊原さんのコンビに期待を寄せる芸能人も多いのでしょう」(前出・演劇関係者)猛バッシングを受けながらも、多数の芸能人を味方につけた小泉。たった200席の小さな劇場から、キョンキョンの逆襲が始まるーー。
2018年10月04日女優・北川景子が、10月に放送される土曜ドラマ「フェイクニュース」でNHKドラマ初主演を務めることが決定。「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子によるオリジナルドラマで、前後編2本で構成される。■ストーリー大手新聞社からネットメディアに出向してきた東雲樹(北川景子)。ある日、樹は編集長の宇佐美寛治(新井浩文)からインスタント食品への青虫混入事件について取材するよう命じられる。樹の前に現れたのは、SNSに青虫混入の投稿をした男(光石研)。この男はうそを投稿したのか。一体、何が目的なのか。青虫混入の投稿をきっかけに、事態は思わぬ方向へ拡大。企業間の争いにまで発展し、やがてその矛先は樹自身にまで及ぶ。何が本当で何がうそかもわからない世界の中で、樹は記者としてフェイクニュースにどう立ち向かうのか。一連のフェイクニュース騒動の果てに、樹が見つけた真実とは――。■“NHKドラマ初主演”北川景子&“NHKドラマ初執筆”野木亜紀子のタッグ!「逃げるは恥だが役に立つ」「空飛ぶ広報室」などを手掛けてきた野木氏のオリジナルストーリーとなる本作は、現在、世界中で話題のフェイクニュースを切り口に、「真実とうそ」、「分断」、「人は何を信じるのか」という普遍的なテーマを描いた、現代社会に警鐘を鳴らす社会派エンターテイメントドラマだ。大手新聞社からネットメディアに出向、フェイクニュースに立ち向かっていく女性・東雲樹を演じるのは、『響 -HIBIKI-』『スマホを落としただけなのに』が公開を控え、また先日、スペシャルドラマ「指定弁護士」にて初の弁護士役に挑戦することが発表された北川景子。「何が真実で何が嘘なのか、あふれる情報を取捨選択する力、何を信じるべきなのか判断する力が、現代を生きる私たちには必要」と語る北川さんは、「今回のドラマでは、真実をあぶり出すことをテーマに熱く演じたいと思います」と意気込み、「野木さんとも初めてご一緒させていただきうれしく思います。私個人としましては土曜ドラマも初となります。ネット社会の今だからこそみなさんに見ていただきたい作品です」とコメントしている。■光石研&永山絢斗&矢本悠馬らも出演さらに、SNSに青虫混入の投稿をした男を光石研、編集長・宇佐美寛治役を新井浩文が演じるほか、永山絢斗、矢本悠馬、岩松了、杉本哲太ら豪華キャストたちが出演する。土曜ドラマ「フェイクニュース」前編は10月20日(土)、後編は27日(土)21時~NHK総合にて放送。(cinemacafe.net)
2018年08月15日日本でも『ART』『大人は、かく戦えり』(ロマン・ポランスキー監督で「おとなのけんか」として映画化)などが上演されているフランスの女性劇作家ヤスミナ・レザの最新作『大人のけんかが終わるまで』が、6月30日・7月1日の東京・THEATRE1010でのプレビュー公演を皮切りにスタートした。キャストは、メインとなる不倫中のカップルに鈴木京香と北村有起哉、彼らが出くわす夫婦に板谷由夏と藤井隆、その姑に麻実れいという“大人の”充実した顔ぶれ。そんな5人の浅いような深いような会話で編み上げたレザ戯曲を、自身のセンスも交えて上演台本にしたのは岩松了。今春に文学座を退座し新たな一歩を踏み出した演出家・上村聡史が、それらを束ねて人間くさくも洒落た悲喜劇に仕上げた。チケット情報はコチラローリング・ストーンズ「サティスファクション」が流れる冒頭。シングルマザーのアンドレア(鈴木)と妻子持ちのボリス(北村)は粋なレストランでデート中だが、些細なことから口論が始まる。帰ろうと車を発進させたそのとき、ある奇妙な老女と接触。その女性・イヴォンヌ(麻実)は、ボリスの妻の親友・フランソワーズ(板谷)の夫(厳密には内縁関係)・エリック(藤井)の母であり、彼らもイヴォンヌの誕生日を祝いに、このレストランを訪れていた。「一杯だけでも」とアンドレアたちを誘ったエリックの一言で、2組のカップルと老女が織り成す嵐のような一夜が始まる……。タイトルにあるごとく、劇中の会話の7割は“けんか”。大げさかもしれないが、体感としてはそんな印象だ。アンドレアvsボリスだけでなく、対戦カードはめまぐるしく入れ替わる。会社経営者のボリス、弁護士のエリックら登場人物は皆ハイクラスの人間。だがひと皮むけば、ボリスは破産寸前だし、フランソワーズは認知症傾向にある義母イヴォンヌの世話でストレスが溜まっている上に、夫の関係も安泰ではない。それらがわかると、縁遠いセレブ層の物語と感じていたであろう観客との距離はどんどん縮まり、仮面を脱ぎ出した彼らも、元も子もない「みんなクソッタレだ!」発言や大人気ない取っ組み合いで、真の姿に近づいていく。その意味では、パートタイマーでシングルマザーのアンドレアは唯一最初から取り繕っていない人物。己の欲望に忠実すぎる奔放な女性像は日本の観客に受け入れられるのが難しいようにも思えるが、鈴木の柔らかな持ち味で包むことにより、その正直さが好感を与えるキャラクターに着地した。それにしても……ナイフも銃も登場しないが、言葉はかくも人を傷つけ、(心を)血みどろにするのかと思い知る。イイ大人たちの、100分間の仁義なき口げんか!その結末は劇場で。公演はこのあと、7月14日(土)から29日(日)の東京・シアタークリエほか、愛知・静岡・岩手・大阪・広島・福岡・愛媛・兵庫でも上演される。(取材・文:武田吏都)
2018年07月04日『大人のけんかが終わるまで』のプレビュー公演が6月30日、7月1日にシアター1010で上演された。愛知、静岡、岩手ののち、7月14日(土)から29日(日)まで東京・日比谷・シアタークリエ、その後、大阪、広島、福岡、愛媛、兵庫と続く。【チケット情報はコチラ】フランス発の“滑稽な大人のコメディ”に挑戦するのは、気鋭の演出家、上村聡史。ある一夜に偶然出会った大人たちの、切実かつしょうもないけんかを描く。不倫中のアンドレア(鈴木京香)とボリス(北村有起哉)は、お洒落なレストランの駐車場で大げんか。奥さんの勧めたレストランに連れてきたことを「デリカシーがない!」と非難され、嫌気がさしたボリスは「もう帰ろう」と車を発進させる。しかしその時、誤って老女イヴォンヌ(麻実れい)を轢いてしまう!?しかも居合わせた老女の息子エリック(藤井隆)の嫁フランソワーズ(板谷由夏)は、ボリスの妻の親友だったので、大変!不倫関係を誤魔化そうとするボリス。蔑ろにされヒステリックになるアンドレア。認知症のイヴォンヌ。その母を甘やかすエリックと、母子に振り回されるフランソワーズ……5人の勝手な思いが混線し、それぞれ我慢していた感情が浮き彫りになっていく。大人たちの身勝手なやり取りを笑っているうち、ふとこちらも真顔になってしまう瞬間が恐ろしい。作品の魅力について、鈴木は「どのキャラクターにもイヤな人がいない、どこか共感してもらえるところがある」とコメント。北村は「大人のコメディと銘打っていますが、それだけではなくて、もっとたくさん色々なお土産が出来る、色んな想いを残して余韻に浸れる舞台」と寄せた。初日前日のコメントで、藤井は「緊張感がいまMAXの状態です。なんとかこの場に慣れるように、努めます!」と緊張のようす。一方の板谷は「いざ舞台に立つと、空気感といいますか、自分の中の何かが変わるのを感じ、一生懸命に稽古したことや、稽古のとき以上のものを出せるように、頑張るしかない」2組のカップルの中でひとり異なるポジションの麻実は「ちょっと辛口の楽しい作品」との前置きに続き「是非ご夫妻でらっしゃるととても面白いと思います」とコメントした。みっともないけど目が反らせない大人のコメディ。岩切正一郎の瑞々しい翻訳に、岩松了の深部をくすぐる脚本。節々の音楽が5人の感情の疾走感を増す。上村聡史の肉感的かつ冷静な演出が小気味良く、終盤は文字通りハッと息を飲んだ。取材・文:河野桃子
2018年07月03日「ひとり暮らしの女性が猫を飼うと、婚期が遠のく」なんてジンクスを耳にしたことはありませんか?真偽のほどはわかりませんが、温かでフワフワな猫に触れていると、なんだかほっとして、独り身の寂しさも吹き飛んじゃいそうですよね。今回は、孤独なアラサー女性と猫の絆を描いた映画『猫は抱くもの』をご紹介します。6月23日(土)より全国で公開される本作は、猫と人間の心のつながりを描く心温まる物語です。■気になるストーリーは?主人公は、田舎町の小さなスーパーでレジ係として働く孤独なアラサー女性、沙織。芸能界ではなりたい自分になれず、誰も知らないこの町に逃げてきた彼女は、元アイドルという経歴を隠して生活しています。そんな沙織が心を開くのは、職場の裏の倉庫でこっそり飼っているロシアンブルーの猫・良男。仕事の空き時間に良男の元を訪れては、毎日の出来事を語って聞かせるのでした。そうやって彼女の心に寄り添ううちに、良男は自分は猫でなく人間で、沙織の恋人なのだと思い込んでしまいます。しかし、平穏な日々は長くは続きませんでした。密かに想いを寄せていた年下の上司に裏切られ、ひどく傷ついた沙織を慰めるために倉庫を抜け出した良男は夜道で足を滑らせ川に落ち、そのまま流されてしまいます。離ればなれになった沙織と良男は、再びめぐり会うことができるのでしょうか――。■好きになれない自分…歌うことが大好きで、子供の頃からの夢を叶えるためアイドルグループの一員になった沙織。センターポジションでメインパートを歌うこともできないままにアイドルを辞め、夢を諦めてしまいます。人前で歌うこともできず、スーパーで黙々とレジを打つ毎日は、子供の頃に「なりたかった自分」とはあまりにもかけ離れていて、沙織はそんな自分に自信を持てず劣等感の塊のようになっています。「自分を好きになれない」そんな気持ちになること、誰にでも覚えがあるのではないでしょうか?思い通りにいかない日々の中、もがきながらも前に進もうとする沙織に、思わず自分を重ねてしまいそうです。■猫は理想の恋人…?自分に自信を持てない沙織は、恋愛も奥手で受け身。想いを寄せる相手にも都合よく振り回されて傷つく恋愛を繰り返しています。そんな沙織を、恋人として見守る良男。猫だけど、いや猫だからこそ、めちゃくちゃいい男です。◎どんな自分も受け入れてくれる猫は、飼い主がどういう状況でも、変わらずそばにいてくれる存在です。自信を失くして落ち込んでいるときも、そばに寄り添ってくれる良男。愚痴も、一方的な自分語りも全部黙って聞いてくれます。「誰を好きでも嫌いでも、ずっと一緒にいるよ」こんな良男の言葉の通り、たとえあなたが他の男に恋していても、猫は変わらずあなたのそばに寄り添っていてくれます。これが人間の男だったら…?こんな言葉をかけてくれる人間の男に出会うのはなかなか稀なこと。でも猫なら、あなたを否定したり責めたりすることなく、ただ存在を認めてそばにいてくれる…それってまさに理想の恋人みたいですよね。◎良男が人間だったら…良男はロシアンブルーのオス猫ですが、映画の中では人間の姿でも登場します。演じるのは、吉沢亮さん。美しいロシアンブルーの猫役にぴったりの美青年です。あの美しいルックスで甘えられたら、もう逆らえる気がしません。まるで美猫!?な吉沢さんの存在だけでも、猫が恋人だったら…という妄想にどっぷり引き込まれちゃいそうです。■置いてけぼりを食らっている時間の豊かさ「自分の人生、100%思い通りに生きている!」なんて絶好調な人よりも、不満や不安を抱えながら生きている人のほうが多いのではないでしょうか。だからこそ、夢を持ってチャレンジしたにも関わらず、挫折し自信を失くしてしまった沙織の悩みが自分事のように身近に感じられるのです。何事もうまくいかない、まさに“置いてけぼりを食らっている時間”も、人生には無くてはならないもの。前を向いて一歩踏み出すために、失敗から学び、そこから自力で抜け出していく。この作品は、そんな時間の豊かさを感じさせてくれます。試写会で一足先に作品を鑑賞した筆者も、もがきながらも前に進もうとする沙織の姿に勇気をもらい、心がぽっとあたたかくなりました。猫映画ながら、猫のかわいさをアピールするだけでなく、毎日がんばっているアラサー女性にエールを送る映画『猫は抱くもの』は6月23日公開。「最近、元気がないな」そんなお疲れ女子にぜひ観てほしい1本です!【STORY】主人公の沙織(沢尻エリカ)は、とある地方都市のスーパーマーケットで働くアラサ―女性。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた。今の自分を好きになれず、周囲ともうまく馴染めない彼女にとって、心を許せる唯一の存在は、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」(吉沢亮)。すべてを受け止めてくれる「良男」に向かって、沙織は日々、妄想を交えながら語りかける。そして「良男」は、いつしか自分を人間だと信じ込み、恋人として沙織を守らねばと思い始める。そうやって過ごしてきた、こじらせた1人と1匹の日常にも、変化が訪れて…。2018年6月23日(土)より新宿ピカデリー他、全国ロードショー出演:沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ(水曜日のカンパネラ)/岩松了監督:犬童一心脚本:高田亮原作:『猫は抱くもの』(大山淳子著・キノブックス刊)製作:ADKアーツ配給:キノフィルムズ©2018 『猫は抱くもの』製作委員会
2018年06月23日岩松了の作・演出によるM&O plays プロデュース「市ヶ尾の坂―伝説の虹の三兄弟」が5月17日に東京・本多劇場にて開幕した。本作は1992年に「竹中直人の会」で初演された岩松初期の傑作戯曲を26年ぶりに新演出にて上演するもの。前日には公開フォトコールが行われ、岩松をはじめ出演の大森南朋、麻生久美子、三浦貴大、森優作、池津祥子が会見に応じた。【チケット情報はこちら】1992年、市ヶ尾の坂で暮らす長男・司(大森)、次男・隼人(三浦)、三男・学(森)の三人兄弟。田園都市計画の名の下、兄弟たちの家は無くなることを余儀なくされている。三兄弟たちと触れ合うことになった美貌の人妻・朝倉カオル(麻生)は幼い5歳の子を育てており、育児のことで悩んでいるらしい。三兄弟はそれぞれ朝倉を慕い、お互いをけん制する。朝倉家の家政婦・安藤(池津)も頻繁に三兄弟の家を訪れ、意味ありげな言動で彼らを惑わす。さらに朝倉の夫(岩松)などが絡み、一見何でもない日常の中に潜む、謎とエロスが交差する危うい関係が浮かび上がってくる・・・。初日を迎えるにあたって岩松は「本作は僕が作った作品では珍しく、26年前に実在した場所、時間を元にした架空の物語」と紹介し、「26年振りですので再演ですが、新作舞台のつもりで挑みます。見に来て下さった方々が、どういった印象を捉えるか楽しみ」と意気込み。過去3回、岩松作品に出演した経験のある大森は「岩松さんの作品は台詞が綺麗な印象があり、稽古の際には空間的にお教えいただけるので、その都度、新たなことを勉強させていただいています。皆さんに気に入ってもらえるか、楽しんでもらえるか今から楽しみ。がんばります」とコメント。麻生も同じく「とても緊張していますが、大好きな岩松作品に出られる機会を頂いたので、自分の中で楽しんでいければ。岩松さんの演出は、いつも必要な遠回りをさせてくれて勉強になりますし、演出する時の言葉がかっこ良くてしびれていました」と岩松の演出に言及すると、三浦も「岩松さんの演出は厳しいと聞いていましたが、何度も同じ場面を繰り返すことで、言葉を丁寧に扱うことや、状況に合わせての台詞使いとか、今後にも活かせることを学べました。これからの役者人生の中で大切な時間になると思います」と充実の稽古期間を経た様子を見せた。公演は、6月3日(日)まで東京・本多劇場での上演の後、仙台、福島、大阪、富山、名古屋、静岡と各地をめぐる。チケットは発売中。
2018年05月18日5月17日に初日を迎える舞台『市ヶ尾の坂-伝説の虹の三兄弟』の公開フォトコール&初日前会見が16日、東京・下北沢の本多劇場で行われ、 大森南朋、麻生久美子、三浦貴大、森優作、池津祥子、岩松了が報道陣の取材に応じた。前列左から岩松了、大森南朋、麻生久美子、後列左から池津祥子、三浦貴大、森優作同舞台は、俳優としても活躍している作演出家の岩松了とM&Oplaysが定期的に行っている公演で、今回は1992年に竹中直人の会で上演された『市ヶ尾の坂』を岩松の新しい演出によって26年ぶりに上演する。舞台は1992年の神奈川・横浜市の市ヶ尾。その坂にある家で暮らす三人兄弟は、田園都市計画で家が無くなることを余儀なくされていた。そのような中、懸命に生きていこうとする母なき兄弟、 三人と触れ合うことになった母になることが出来ぬ美貌の人妻の絵合わせのような家族劇を描く。公演初日を前日に迎えたこの日は、報道陣向けに三兄弟が住む家でのシーンの一部が公開され、その後に記者会見。長男役の大森南朋は「この1カ月頑張って稽古をしてきました。皆さんに気に入ってもらえる作品になればと思います」と初日の公演が待ち遠しいようで、人妻役の麻生久美子は「正直とても緊張していて、明日を迎えるのが少し不安です。でもせっかく岩松さんの舞台でこういう機会をいただけたので、できるだけ楽しんでやりたいと思っています」と気合十分。岩松作品初参加の三浦は、出演が決まってから周囲に「厳しい」と脅かされたそうだが、「何度も同じことをやるとは聞いていましたが、稽古でその意味が分かりました。何度もやっていくとセリフが身体に馴染んできて、人間関係でセリフを言わないといけないことに気づきました」と振り返り、「これからの役者人生で大切にしていきたいと思える稽古期間でした」と岩松の演出に刺激を受けた様子だった。大森と麻生は、これまで何度か岩松が手掛けた舞台に出演している。大森が「セリフがすごくきれいなのと、その人間が置かれている状況を空間的に教えてくれるので勉強になりますね。岩松さんの作品が大好きです」と岩松作品の魅力について言及。一方の麻生も「私は今まで稽古が楽しいと思ったことがないんですが、岩松さんの稽古場ではすこし楽しさを感じ始めました。岩松さんの言葉が格好良いし、結構しびれています」と絶賛していた。舞台『市ヶ尾の坂-伝説の虹の三兄弟』は、5月17日~6月3日(5月21日、28日は休演)に東京・下北沢 本多劇場、6月5日に宮城・仙台 電力ホール、6月7日に福島・白河文化交流会館コミネス、6月9~10日に大坂・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、6月12日に富山・富山県民会館ホール、6月14~15日に愛知・名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、6月17日に静岡・三島市民文化会館 大ホールにてぞれぞれ公演。
2018年05月17日『大人は、かく戦えり』や『ART』で知られるフランス人作家、ヤスミナ・レザの最新作となる舞台『大人のけんかが終わるまで』が日本初上陸。演出に上村聡史、上演台本に岩松了を迎え上演される。そこで7月の開幕を前に製作発表が行われ、出演者の鈴木京香、北村有起哉、板谷由夏、藤井隆、麻実れいの5人が登壇した。【チケット情報はこちら】不倫中のアンドレアとボリスが偶然レストランで出くわしたのは、ボリスの妻の親友のフランソワーズ。彼女の内縁の夫エリックと、その母親イヴォンヌとともに5人で食事をすることになるのだが、徐々にそれぞれの不満があふれ出し…。会見ではまず、欠席の上村からのコメントが披露された。本作について上村は、「相当面倒くさい大人たちのけんかになることが予想されます」と前置きした上で、「ですがそれは失われてしまった青春を取り戻すかのような狂乱のセレモニーのようで、ある美しさも兼ね備えた作品になるかと思います」と解説。上村の骨太な演出により、フランス発の大人のコメディがどう仕上がるのか、期待は高まる。続いてキャスト陣の挨拶へ。アンドレア役の鈴木は、上演台本を読み終わった時のことを「大人って切ないなって、ちょっと胸がキュンとしたんです」と振り返り、「本当にいいお話ですし、すべての大人の方に観ていただきたいです」とアピールする。一方ボリス役の北村は、「読みながら吹き出してしまうくらい楽しいホン」と笑い、「これをどこまで攻め、どこまで安定したところで皆さんとやれるのか、本当に楽しみです」と抱負を語る。フランソワーズ役の板谷は、これが2本目の舞台。緊張の面持ちながら「裸で飛び込みたい」と切り出し、「あまり脳みそで考えず、体で感じたまま先輩方についていきたいです」と意気込む。エリック役の藤井は、「皆さんとの稽古を存分に楽しませていただいて、それでお客さまに笑っていただけたら、こんなに幸せなことはありません」と期待で胸をふくらませる。そしてまだらボケのイヴォンヌを演じる麻実は、「周りの仲間に“こういうお役をいただいたのよ”と話したら、“あなたは何もつくらず、そのままやればいい”と言われたんです」とクスリ。会場の笑いを誘っていた。また会見の後半には、心理テストをもとにしたキャストの“けんか力”を発表。けんか上級者から初心者までの4タイプのうち、北村以外の4人は中級者。唯一の初心者と診断された北村は、「お手柔らかにお願いします」と苦笑いを浮かべていた。舞台『大人のけんかが終わるまで』は6月30日(土)・7月1日(日)に東京・シアター1010で行われるプレビュー公演を皮切りに、全国各地を巡演。取材・文:野上瑠美子
2018年05月11日俳優の阿部サダヲが主演を務める映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(10月12日公開)の特報、およびティザーポスターが4日、公開された。同作は監督・脚本を三木聡が務めるオリジナル作品。驚異の歌声を持つロックスター・シン(阿部)だが、実は彼の歌声は、「声帯ドーピング」というタブーな方法によって作られたものだった。限界が近づく喉に焦るシンは、異様に声の小さなストリートミュージシャン・ふうか(吉岡里帆)に出会う。特報では、阿部が演じるロックスター・シンのビジュアルが初披露。マリリン・マンソンを彷彿させる鮮烈で奇抜なビジュアルを見せる。さらに、シンが出会ったストリートミュージシャン・ふうかの歌声も初解禁。あまりにも小さすぎるふうかの歌声を、シンは「不燃ごみ」と一蹴し、映画のタイトル通り「音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」と大声でつっこむ。最後にはふうかの絶叫する姿で終わる、ハイテンションな特報となっている。ティザービジュアルでは右側だけメイクを施し、「タイトルがなげーよ!!」と絶叫するシンが強烈な印象を与える。シンの口から輝く光で、ギターを抱えるストリートミュージシャン・ふうかを鼓舞するビジュアルとなっている。同作には他、千葉雄大、麻生久美子、小峠英二(バイきんぐ)、片山友希、中村優子、池津祥子、森下能幸、岩松了、ふせえり、田中哲司、松尾スズキら、実力派キャストが出演。個性的で強烈なキャラクターをハイテンションに演じ切る。<
2018年05月04日女優の沢尻エリカが主演を務める映画『猫は抱くもの』(6月23日公開)の予告編映像が2日、公開された。同作は大山淳子による同名小説を映画化。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、今は地方都市のスーパーマーケットで働く33歳の沙織(沢尻)と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫・良男(吉沢亮)との関係を描く。犬童一心監督がメガホンをとった。今回公開された予告映像では、"こじらせアラサー女性"役の沢尻エリカが、アイドルとしてステージで踊る姿に加え、粉まみれのままジャージ姿で歌ったり、坂を転げ落ちるなど体当たりで熱演するシーンが満載。さらに吉沢が擬人化した猫としてダンスも披露し、猫そのものの仕草で窓辺から沢尻を見つめる。また、吉沢のほか、コムアイ、岩松了など11名の役者が擬人化された猫として登場する。予告映像で流れる楽曲は、沙織がアイドル時代所属していたグループ「サニーズ」の唯一のヒット曲「ロマンス交差点」。コムアイが歌う挿入歌「マヨイガのうた」も優しく物語に寄り添っていく。撮影中からずっと猫の良男を可愛がってきた沢尻は、撮影終了後ついに猫を引き取った。その毛の色から、"グリグリ"(フランス語で「灰色」=「Gris」=グリ)という新たな名前も決定。沢尻は「毎日家中を走り回っていてとても元気な子です。新たな家族が増えてとても幸せな日々を過ごしています」と語る。作中で良男に向ける視線からも、その溺愛ぶりが窺える予告となっている。
2018年05月02日『時空警察シリーズ』や『俺俺』など、誰にも真似できない独自のコメディセンスを持つ三木聡監督の新作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』に、千葉雄大、田中哲司、麻生久美子らが出演していることが明らかとなった。声帯ドーピングのロックスター・シンを演じるのは、ドラマや映画で数々の役をこなしつつ、自身も「グループ魂」でボーカルを務める阿部サダヲ。ヒロイン・ふうかには劇中で歌声を披露することが明らかになり注目を集める吉岡里帆。そんな2人の脇を固めるキャスト陣が今回発表された。シンのマネージャー・坂口に千葉雄大、ふうかの親戚でもあるデビルおばさんにふせえり、シンの事務所社長に田中哲司、ザッパおじさんに松尾スズキ、謎めいた女医に麻生久美子が好演する。「三木ワールド」全開のキャラクターをそれぞれ猛烈なエネルギーでハイテンションに演じるのだという。■キャストからのコメントも到着!千葉雄大(坂口役)三木監督の世界に入れることを本当に幸せに思いながら日々撮影しておりました。僕が演じる坂口はグチャグチャドロドロになって振り回される役回りでもあるのですが、全てが超興奮でした。音楽も最高にかっこよく、そして、尊敬する阿部サダヲ先輩とまたご一緒できたのも嬉しかったです。真剣に遊ぶ現場でした。みなさまにも早くこの世界にまざっていただきたいです。麻生久美子(女医役)久々に三木さんの台詞を言葉に出来て、本当に感無量でした!見た目はパンチが効いてますが(笑)、一生懸命マジメに演じましたので、楽しんでいただけたらと思います。ふせえり(デビルおばさん役)生きてると、色々、やな事、面倒くさい事があるけど、この映画を見て、「まぁいいや、いいし。」と思って頂けたら、何よりです。田中哲司(事務所社長役)久しぶりの三木監督、楽しかったです。しかも、今回はリハーサルも何回かやらせて頂き、今までやった事ないような役にトライさせてもらって、三木組を堪能しました。そして今回、脚本を読んだ段階で、既に傑作の予感がしました。松尾スズキ(ザッパおじさん役)三木さんの映画には主役でデビューさせていただきました。次に出たときは準主役、それからテレビで脇役、次に映画に出させていただいたときは、ワンカットのみ。となれば次は、声の出演だけ、くらいを覚悟していましたが、今回脇役に戻していただきました。三木さんにはドキドキさせられっぱなしです。■そのほか個性的なキャストが集結!お笑いコンビ「バイきんぐ」のツッコミ小峠英二がロックバンドのボーカル・自滅役を演じるほか、ドラマ「セトウツミ」(17)で注目を集める片山友希、『イン・ザ・プール』(05)『野火』(15)などの中村優子、大人計画所属の池津祥子が出演。三木監督作常連の森下能幸はよろこびソバのおじさん役、岩松了は無料レコード社長役とどのような役柄なのか期待が高まる展開となっている。『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』は、2018年10月12日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! 2018年10月12日(金)より全国にて公開ⓒ 2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
2018年04月12日アイドルグループ・V6の森田剛が、サントリースピリッツ「ザ・カクテルバー プロフェッショナル<ジントニック>」「ザ・カクテルバー プロフェッショナル<モスコミュール>」のイメージキャラクターに起用されたことが30日、わかった。新TVCM「GO森田 登場」編は4月3日から全国で放映される。同商品は、バーで提供される本格的な味わいのカクテルを追求した缶カクテルで、1993年に発売された。このたび「プロフェッショナル」のネーミングを加え、プロ品質の本格的な味わいが楽しめるカクテルとして生まれ変わるにあたり、新CMを制作。イメージキャラクターに、森田を起用した。CMでは、おしゃれなバーに座る森田がバーテンダー役の岩松了から「GOしますか?」と聞かれ、「GOしてください」と答える。ジントニックをひと口飲むと森田は感極まり、さらにおかわりのジントニックには大声で泣き出してしまう。解放された森田の姿を見て、他の客たちは「え、号泣!?」とざわつき、岩松を見つめる森田の姿に「プロの仕業か。」というタイトルと「ザ・カクテルバー プロフェッショナル」というナレーションが重なる。森田が“GO(号)泣”するクライマックスシーンには、監督・スタッフ一同も釘付けに。共演の岩松とはリラックスした表情で談笑し、久々の再会に岩松が 「まさかCMで一緒になるなんて思わなかったよ」と言うと、森田も「そうですよね」と笑顔で答えた。熱い演劇トークも繰り広げられ、森田が最近出演した舞台のことや面白かった芝居の話などでひとしきり盛り上がると、岩松が「今度一緒に何かやろうよ!」と声を掛け、森田が「ぜひ!」と応じる一幕もあった。撮影については「頼もしい岩松さんとの共演だったので、引っ張られた感じで、すごくお芝居がしやすかったです。自分の気持ちを解放する号泣のシーンも、自然にできた気がします」と手応えを感じている様子の森田。商品については「実際自分も飲みましたが、一日の終わりに1人でリラックスして飲むのもいいですし、たくさんの仲間たちと 一緒に飲むのも合うんじゃないかなと思いました」と語る。またCMでは「こんなに『GO』という言葉で演じたのは初めてなので難しかった」というが、「バーが似合う大人に少しは近付けたのではないでしょうか」と自身について振り返った。
2018年03月30日2018年5月より、M&Oplaysプロデュース「市ヶ尾の坂-伝説の虹の三兄弟」を上演することが決定。大森南朋、麻生久美子、三浦貴大らを迎え、ミステリアスな家族の物語を描いていく。1992年、市ヶ尾の坂で暮らす三人兄弟がいた。田園都市計画の名の下、無くなることを余儀なくされている兄弟の家。状況に抗うすべとてなく懸命に生きていこうとする母なき兄弟と、3人と触れ合うことになった母になることが出来ぬ美貌の人妻の、絵合わせのような家族劇。この公演は、作演出家の岩松了と「M&Oplays」が定期的に行っている公演で、1992年に「竹中直人の会」で上演された「市ヶ尾の坂」を、今回“新演出”で26年ぶりに再演する。本舞台に出演するのは、現在放送中の人気ドラマ「コウノドリ」に出演し、2013年の「不道徳教室」以来4度目の岩松作品となる大森南朋、2009年の「マレーヒルの幻影」で初舞台を経験した麻生久美子、『劇場版 SPEC』『進撃の巨人』などに出演し、今回が初の岩松作品となる三浦貴大。そして森優作、池津祥子、さらに岩松さんも加わり創り上げる。岩松作品に参加するにあたって大森さんは、「いつも何年か毎に、岩松さんの舞台に出させて頂くと、“ゆるまったなにか”が戒められたように感じます。今回も“ゆるまったなにか”を持参して戒めてもらおうと思っているのでよろしくお願いします」とコメント。いまからドキドキしていると明かした麻生さんは、「岩松さんに初舞台を踏ませて頂いてから、もう8年。舞台に立つことがこの上なく怖い私ではありますが、同時に岩松さんの書いた台詞を言葉にすることが出来る喜びもいつも感じています。今作もしっかりと岩松さんについて行き、出来る限り楽しんでやらせて頂ければと思っております」と意気込み。一方、岩松作品初参加となる三浦さんは、「台本を読んですごく素敵な本だなと思いました」感想を述べる。また「舞台は3本目なのですが初めての日本人役にどうしていいのか少し戸惑いを感じています」と不安要素もあるようだが、「皆さんと一緒に作品に出られるのが楽しみです」と話している。なお、本公演は東京公演終了後、宮城、福島、大阪ほかにて地方公演も実施。チケットは来年3月中旬の発売を予定している。M&Oplaysプロデュース「市ヶ尾の坂-伝説の虹の三兄弟」は2018年5月17日(木)~6月3日(日)本多劇場(東京公演)にて上演。※地方公演あり(cinemacafe.net)
2017年12月08日「主役なんてまだ早いし、私に務まるはずがないと。だけど、キャストが決まってくると、みなさん頼れる人ばかりで、どこか安心できたんです」 こう話すのは、映画やドラマに、舞台にと、めざましい活躍を続ける若手実力派女優の岸井ゆきの(25)。昨夏、初主演映画『おじいちゃん、死んじゃったって』(11月4日より全国ロードショー)を撮影していたころは、大きなプレッシャーを抱えていたという。 祖父の葬儀のなか、浮き彫りになる家族の問題を笑いと涙で描いた本作。岸井が演じるのは、祖父が死んだとき、彼氏とセックスの最中だったことに罪悪感を抱いている、主人公の春野吉子。吉子の家族には、光石研、水野美紀、岩松了といった、芸達者たちが顔をそろえた。 「現場で閉じこもりがちな性格だったんですが、勇気を出して、いろんな方に話しかけてみたら、皆さんたくさん話してくださって。ずっと悩んでいたお芝居も、気持ちを開いて現場でやってみると、一瞬でこれだ!っていう感覚になって。全部自分の問題だったんだなぁって」(岸井・以下同) 撮影は“九州の小京都”熊本県人吉市で行われた。折しも、熊本地震の直後であった。 「地元の方が明るく、頑張って楽しい映画つくってよって。熊本は馬がおいしいからと、カレーとか馬刺しとか、たくさん差し入れしてくださって。記録的な炎天下だったんですけど、忘れちゃうぐらいパワーをもらいました」 祖父の葬儀の後、吉子はインドを一人旅する。そこは生と死が寄り添う土地でもある。 「ガンジスを船で渡ると、近くの火葬場から髪の毛の焼ける臭いがして、これが人の亡くなったときの臭いかと。川を見ると牛の死骸が浮いてるし、ちょっとすごすぎる!って。でも、それが普通で死がそこまでマイナスじゃない。最後の吉子の表情は、あの場所でなければ出なかったかな」 インドロケを終えた岸井は、あることを実行したという。 「ガンジス川縁に住む人が、土器に入れたチャイをふるまっていて、最後のカットがOKになった瞬間、飲ませてください!と(笑)。飲んだら、自然に返す意味で土器を割るんですけど、どうしてもそれがやりたくて。チャイも本当においしかったです!」 ひたむきさの中にも飾らない笑みがこぼれる。きっと現場で愛される女優であろう。
2017年11月06日先のNHK大河ドラマ「真田丸」で真田信繁の側室・たか役をはじめ、映画・ドラマ・舞台など活躍めざましい実力派若手女優・岸井ゆきのを映画初主演に迎えた『おじいちゃん、死んじゃったって。』。今年の第30回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門に正式出品が決定した本作から、本予告が公開された。「ソフトバンク」「Microsoft」「JRA」などのCMを手がけ、業界若手NO.1といわれる森ガキ侑大監督が初めて長編作品に挑む本作は、祖父の葬儀をきっかけに、それぞれの事情を抱えた家族が久々に顔を合わせ、みっともないほどの本音をさらけ出しながら、“本当の家族”へとそれぞれ踏み出していく珠玉の物語。今回解禁となった本予告は、主人公の吉子(岸井ゆきの)が、彼氏とのセックス中に祖父の訃報を電話で受けたことから始まる。いつものように庭で作業をする吉子の父(春野家次男・清二:光石研)に向かって、「おじいちゃん、死んじゃったって」と伝えるが、父は呆然となり、まるで時が止まったように佇んでしまう。そうして祖父の死とお葬式をきっかけに、疎遠だった家族や親戚が久々に再会、家族たちのさまざまな告白が明かされていく。涙を流す人は、だれもいない!?「私、おじいちゃんが死んじゃったとき、セックスしてたんです」という吉子は、祖父が死んだという事実以上に、その死の際にセックスをしていた自分への罪悪感から逃れられず苦悩している様子。奔放な女子高生の姪・千春(小野花梨)からは「全然自由なんかじゃないよ」という切ない告白も…。東京で成功し、自由とお金を手に入れた長女・薫(水野美紀)は、兄弟から嫌味を言われ続け「独身なのだって、自分で選んでそうしてるの!」と叫ぶ。そして、祖父の葬儀の日、残された祖母のための老人ホーム探しなど、全ての作業を事務的に進めようとする清二に対して「じいちゃんの気持ちになんがなったことないもんな!」と言い放ち、「せめて葬式が終わるまで、幸せな家族のふりをしような」と長男・昭男(岩松了)が呟く言葉が、厄介だけど愛おしい家族の姿を象徴する映像となっている。そんな厄介な家族や自分に対して、どこかずっと傍観者であった吉子がついに自分なりの答えを導き出し、歩き出したように印象的な表情で終わる本映像。全編を彩る主題歌は、本作のために書き下ろされた「Yogee New Waves」の「SAYONARAMARA」。その楽曲に乗せて映し出される、熊本県人吉市の美しく広大な風景も見どころだ。また、本ポスタービジュアルは、久々に集まった家族が祖父の遺影と一緒に、全員で家族写真を撮るシーンを切り取ったもの。ぎこちない笑顔は、こんなときに顔を揃えた家族だからこその“心の微妙な距離感”を感じさせ、どこか滑稽にも映る印象的なビジュアルとなっている。なお、10月6日(金)には、脚本を担当した山崎佐保子書き下ろしの原作本(幻冬舎文庫刊)も発売される。『おじいちゃん、死んじゃったって。』は11月4日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月27日昨年逝去した蜷川幸雄さんが率いていた高齢者劇団、さいたまゴールド・シアター。巨星を失った劇団の新たなスタートとなる次回作さいたまゴールド・シアター第7回公演『薄い桃色のかたまり』は、過去に2作の戯曲を書き下ろした岩松了さんが作・演出を手がける。「台詞をスラスラ言うのだけが演劇の面白さじゃないと思う」「蜷川さんという人は、演劇のなかで、人がどの立場に立っているかという“場”を重視していた方だと思います。僕はこれまで家庭の中のいびつな世界を描いてきましたが、蜷川さんに託す戯曲に関しては、あえて社会的な問題を意識して書いてきました。そこでなら、お互いが繋がれるような気がしていたんです」その蜷川さんと話していた次回作のモチーフが福島だったという。「いま避難指示解除地域では、家の中にイノシシが入り込んでいるっていう状況があるんですよね。福島が抱える一番の問題は放射能だと思うのですが、放射能を直接的に描くのではなく、イノシシの問題に置き換えて物語にできたらと思ってます」福島を舞台に、住民と、東京から恋人を捜しに来た女、事故を起こした会社側の人間…さまざまな立場から震災後の様子が描かれていく。「今回は、被害者を中心とした話ではありません。被害者側から書けば、どうしたって善悪の話になりますが、それは演劇の役目じゃない。あくまで演劇として、被害者、加害者双方を等価に書くことで、渦中で軋轢を感じている人たちの間に起きているドラマを表したいんです」取材前、稽古を見学させてもらった。言葉の一文字一文字に含まれた微妙なニュアンスが対話に緊張感をもたらしていく岩松戯曲は、台詞を覚えるのもままならないゴールドのメンバーにとってかなり手ごわい。それでも何度も根気強く丁寧に演出をつける姿が強く印象に残った。「確かに台詞を覚え切れないことにジレンマは感じますが、スラスラ言えれば面白いかといったら、そうじゃないですよね。いろんな要素が絡み合って、ある空気が醸し出される。それが演劇だと思っています」いわまつ・りょう劇作家、演出家、俳優。今年5月に上演した舞台『少女ミウ』でも福島をモチーフに。「ひとつの世界をふたつに分けて書いたつもりです」’06年創設時の平均年齢は66.7歳。フランス、香港でも公演し、高い注目を集めた。現在平均年齢78.0歳。『船上のピクニック』(’07年)、『ルート99』(’11年)。共に岩松さんの脚本。さいたまゴールド・シアター第7回公演『薄い桃色のかたまり』9月21日(木)~10月1日(日)与野本町・彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)作・演出/岩松了全席自由4000円(税込み)SAFチケットセンターTEL:0570・064・939※『anan』2017年9月27日号より。写真・土佐麻理子(岩松さん)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年09月26日NHK大河ドラマ「真田丸」で真田信繁(堺雅人)の側室“たか”役を務めて注目を集め、映画・ドラマ・演劇などでめざましい活躍を続ける実力派若手女優・岸井ゆきの。彼女が満を持して初主演を務める映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』の豪華追加キャストが発表され、さらに主題歌をシティポップバンド「Yogee New Waves」が手がけることが分かった。とある夏の地方都市。鳴り続ける電話、吉子(岸井ゆきの)が彼氏とのセックスを中断して出てみると、それは、祖父の訃報だった。2階から、草むしりをする父・清二に声をかける――「おじいちゃん、死んじゃったって。」。祖父の葬儀のために、久々に集合した祖父の3人の子とその家族は、その死を悲しむひまなく準備に追われていく。そんな中、それぞれのやっかいな事情が表面化し、とある事件をきっかけに、みっともないほどの本音をさらけ出す。そんな親族に呆れながらも、流れに身を任せていた吉子は…。「真田丸」や映画『ピンクとグレー』『森山中教習所』などで知られる実力派女優・岸井さんを映画初主演に迎え、「ソフトバンク」「Microsoft」「JRA」など話題のCM演出で業界若手No1といわれる監督・森ガキ脩大との注目のタッグで贈る本作。祖父の葬儀をきっかけに、それぞれの事情を抱えた家族が久々に集合し、やがて、みっともないほどの本音をさらけ出すうちに、やっかいだけど愛すべき“本当の家族”へと踏み出していく珠玉の物語。このたび明らかとなったキャストで、祖父の長男・昭夫を演じるのは、劇作家・俳優・演出家・監督など多岐にわたり活躍する岩松了。失業したことを親戚や近所にひた隠しにし、父親の威厳をすっかり失っている、という役どころ。また、次男で吉子の父親・清二には、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」やNTV「フランケンシュタインの恋」に出演中の光石研。一番の常識人に見えるが、どこか滑稽な父を演じる。長女・薫には、“ドロキュン”ドラマ「奪い愛、冬」も記憶に新しく、近年は脚本家、演出家としても活躍する水野美紀。東京で成功し、真っ赤なフェラーリに乗って登場する自由気ままに生きる独身の女性だ。昭夫の元妻・ふみ江には、NHK「ごごナマ」レギュラー出演中の美保純。昭夫との離婚後、祖父の葬儀で久々に昭夫と気まずい再会を果たすことになるという…。さらに、昭夫の息子・洋平には、ドラマ「貴族探偵」や「ひよっこ」、主演映画『ポエトリーエンジェル』の公開など話題作に立て続けに出演する若手実力派の岡山天音。父親を影で馬鹿にしながら、自らは大学浪人中、かつ引きこもり中というキャラクター。そして主題歌として本作を彩るのは、「FUJI ROCK FESTIVAL’17」を始め、数々の人気フェスにも出演や新アルバム「WAVES」リリースで話題の「Yogee New Waves(ヨギーニューウェーブス)」が書き下ろした「SAYONARAMATA」。初めて映画に楽曲提供した彼らのメロディは、さまざまな想いや心象を抱えながらも、前に向かう人を後押しするような1曲となっている。初主演を務める岸井さんは、「炎天下の熊本をともに過ごし、闘った、心強すぎる皆さんです。毎日全員野球で、一緒に、物語を紡いでいきました。ある1日、田んぼの真ん中で『主題歌はこの人に歌って欲しいんだ』と監督がかけたのが『Yogee New Waves』の曲でした。そのまま、この映画のエンディングのような時間が流れたのを覚えています。まさか書き下ろしていただけるなんて。夢みたいだ!」と、喜びをコメント。一方、本作が長編映画デビュー作となる森ガキ監督も、「描きたかったキャラクターにぴったりの配役で、演出している間もずっと笑いをこらえるのに大変でした。こんな群像劇みたことないぞって自信をもって言えるのも、岸井さんを中心に個性あふれる素晴らしすぎる役者の方々が臨機応変に1つのゴールにむかって、笑いながらかけづり回ってくれたおかげです。あの夏の熊本での撮影は一生忘れません」と撮影をふり返ってコメント。「僕も初長編作品、岸井さんも初主演というので主題歌も絶対に初のアーティストって漠然と決めていて、一緒に大きくて新しい波を作っていけるアーティストを探していたときに『ヨギー』と出会いました。映画完成まで本当にいろんなことがあったんで、曲が上がった瞬間にようやくここまできたんだなって、涙がこみ上げてきました。多くの方にヨギーとこの映画の化学反応を皆さんにみてもらいたい」と感激もひとしおの様子。「Yogee New Waves」の角舘健悟もまた、「かんかん照りの日射降り注ぐ、無情なまでの晴天。温度の隙間を縫うようにするりと風の糸がほどけては、心もまたほどけてゆく。祖父に会いにいこう!」と本作のタイトルにひっかけ、粋なコメントを寄せている。『おじいちゃん、死んじゃったって。』は11月よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年06月08日