公開中の映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。現代の女子高生・百合(福原遥)が目覚めたら戦時中の日本に……偶然通りかかった特攻隊員の彰(水上恒司)に何度も助けられ次第に惹かれていくという物語を描き、ヒットスタートを切っている。今回は、彰と同じ特攻隊員の石丸役の伊藤健太郎、板倉役の嶋崎斗亜(※崎はたつさき)にインタビュー。作中の百合のように周囲に感謝すること、また今後の仕事の展望についても話を聞いた。○■映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』伊藤健太郎と嶋崎斗亜が感謝したい人――今回、主人公の百合は困難にあって改めて周囲に感謝するということがありましたが、お二人が感謝したい人はいますか?嶋崎:もう、関わる方、全てです。ファンの人もですし、スタッフさんやマネージャーさん、全員です。アイドルという仕事も、ファンの方がいないと絶対に成り立たないですし、自分たちだけだとやれることも限られてるので、いろんな方の支えがあって、映画に出させていただけたり、ステージに立たせていただけたりしていると考えたら、本当に感謝しないといけないと思っています。――特に心に残っている言葉などはありますか?嶋崎:僕のお母さんは元々アイドルが好きだから、きっと息子がこの仕事をしていてうれしいんじゃないかと思うんです。でも「嫌やったら、いつでも辞めていいんやで」と、逃げ場を作ってくれるから、すごくありがたいなと思ってます。伊藤:僕もファンの方、会社、両親、みんなに感謝しています。あとは地元の友達の存在も大きいです。未だによく遊ぶのは中高時代の友達が多くて、出会った時の感覚でいてくれる。自分が芸能の仕事をしていることについても関係なく接してくれるから、リフレッシュできて、助けてもらっている部分があります。あえてそうしてくれているわけではないと思うんですけど、変わらずにいてくれるのがありがたいです。――芸能人としての自分から離れられるところがあるのでしょうか?伊藤:色々な作品に携わっていると、どうしても役のことや作品のことを考えたりして、たまに自分がわからなくなってしまうタイミングがあるんです。でも地元に帰って友達に会うと、自分を取り戻せる。感謝していますし、恵まれているなと思ってます。○■今後の仕事について考えることは?――ちなみにお二人は、今後の仕事のビジョンややりたいことなど、どのように考えられているんですか?伊藤:もともとは役者一本と思ってたんですけど、色々とやらせてもらって、少し考えも変わったりしています。もちろん、役者という軸は持っていたいんですけど、その中から派生するものであれば、色々とやってみたい気持ちがあって。具体的にこれというものがあるわけじゃないんですけど、シャッターを閉じなくてもいいかなと、最近よく思います。やってみないと意外とわからなかったりすることもあって、意外と「これ、好きかも」と思うこともある。なので、いい意味で好奇心旺盛でいきたいです。――例えばアイドルはどうでしょうか…?伊藤:今から!? 今からアイドルは無理じゃないですか!?嶋崎:いやいや、全然いいと思います!(笑)伊藤:できないですよ! だから、すごいなと思います。斗亜くんのパフォーマンスを見させてもらったりもしたんですけど、本当に尊敬します。人を喜ばせる、エンターテインメントのプロで、素晴らしいと思います。嶋崎:いやいや、こんなにかっこよかったら、ファンがすごいことになると思います!(笑) 僕はいろんなことやっていきたいんですけど、あくまでも「アイドル」だということを大切にして、何の仕事でも結果的にグループに還元できるようにしたいです。アイドルだからこそ挑戦させていただけることもあるし、逆に僕がアイドルをやりながら他のことをやっても、本職の方には絶対に敵わへんこともわかっているんです。アイドルという筋を一つ通して、その上で今後もいろんなことに挑戦していけたら嬉しいです。――“アイドルの筋”というのは、表すとしたらどういうものだと思いますか?嶋崎:難しいですけど、自分たちを見て少しでも笑顔になってもらって、日常の嫌な気持ちを忘れてもらえるような人になれたらいいなと思います。――最後に改めて、作品を観る方へのメッセージをいただけたら。嶋崎:百合という現代の女子高生が戦争の時代に行ってしまう物語だから、百合の目線で共感できる作品になっています。百合と同じ景色を見て、戦争に関して思う部分が出てくると思いますし、その中で恋愛要素もあるので、キュンキュンもしてもらえたら。「今の生活が当たり前じゃないんやな」と気づいて、大切な人をより大切にしようと思える作品になっています。伊藤:もちろんこの作品はフィクションなんですけど、僕はフィクションじゃないとも思っていて。実際にその時代に生活されていた方々は、登場人物と同じような経験をしていたと思うんです。観てもらった方に、いっぱい考えたり感じたりしていただける作品になっているので、少しでも受け取ってもらえたら。僕もこの作品に携わって、ちょっとしたことに感謝するようになりました。何の不安も抱かずに寝られることとか、おいしいご飯が食べられることとか、そういうちっちゃなことがすごい幸せなんだなと感じていただけて、それが周囲にもどんどん伝播していったらいいなと思っています。■伊藤健太郎1997年6月30日生まれ、東京都出身。主な出演作はドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(14)、『今日から俺は!!』(18)、朝ドラ『スカーレット』(19~20)、映画『デメキン』(17)、『コーヒーが冷めないうちに』(18)、『弱虫ペダル』(20)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、『十二単衣を着た悪魔』(20)、『冬薔薇』(22)、『静かなるドン』(23)など。■嶋崎斗亜2003年8月3日生まれ、大阪府出身。アイドルグループ Lil かんさいのメンバー。主な出演作は『映画 少年たち』(19)、ドラマ『年下彼氏』(20)、『僕らは恋がヘタすぎる』(20)、『ジモトに帰れないワケあり男子の14の事情』(21)など。
2023年12月21日現代の女子高生・百合(福原遥)が目覚めたら戦時中の日本に……偶然通りかかった特攻隊員の彰(水上恒司)に何度も助けられ次第に惹かれていくという物語を描いた、映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が現在公開されている。今回は、彰と同じ特攻隊員の石丸役の伊藤健太郎、板倉役の嶋崎斗亜(※崎はたつさき)にインタビュー。陽気な石丸は、弟キャラの板倉をかわいがる関係でもあったが、実際に撮影ではどのように過ごしていたのか。また、注目シーンについても話を聞いた。○■映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で初共演――出演が決まった時に、周囲からの反応はありましたか?嶋崎:Lil かんさいのメンバーがすごく喜んでくれました。外部の映画に出演することも初めてやったので、お母さんもめっちゃ喜んでくれて。皆さんがひたすら喜んでくれたので、嬉しかったです。5人グループなんですが、試写もみんなで一緒に観させてもらって、終わったら横にいた西村(拓哉)くんが泣いていて、鼻がぐずぐずでした。一応、観る前にティッシュはもらっていたんですけど、それがペーパータオルで……(笑)伊藤:鼻が痛くなるやつだ(笑)嶋崎:痛がってました(笑)伊藤:自分は、実際に特攻に行った親戚がいて、小さい頃から「特攻のおじちゃん」の写真を見ていたんです。いざ自分が特攻隊員を演じるとなると、いろいろ感じる部分はありましたけど、親戚のみんなも「いつかやってもらいたい」と思っていたようで、自分も演じたいという気持ちがありました。当時の状況に詳しい人はもう残っていないんですけど、実際に血の繋がっている中にそういう人がいることが、この映画に出させてもらう意義にもなったと思います。――お互いの印象としてはいかがでしたか?伊藤:もう、かわいいです。嶋崎:いやいや!(笑)伊藤:みんなの弟みたいな感じで、現場でもすごく盛り上げてくれましたし、助けてもらいました。嶋崎:撮影の時は19歳で……。伊藤:あ、もう20歳?嶋崎:なりました。伊藤:いいね!――伊藤さんが嶋崎さんの坊主頭を撫でてかわいがっている印象がありました。伊藤:いっぱいなでなでしました(笑) 「ごめんね」なんて言いながら。でも、元から台本に書いてあったんです!(笑)嶋崎:伊藤さんは、一言ですごくパッと雰囲気を変える感じが「テレビや映画で見てた人や」「すごっ!」となりました。皆さんそうなんですけど、すごいなって思いました。伊藤:ありがたいですね。斗亜くんはめちゃくちゃ頑張っていて、先ほども「外部の作品に出演するのは初めて」とおっしゃってましたけど、全然そんな感じもなく、堂々と素敵でした。――裏側で、2人でコミュニケーションをとる場面はあったんですか?伊藤:2人でというより、撮影現場全体でコミュニケーションをとっていました。空き時間にはUNOとかしてました。嶋崎:誰が勝ちましたっけ? 僕はけっこう最後の方まで残ってた気がします。伊藤:そうだったね。それで戦ってるうちに、出番がきちゃって(笑)嶋崎:撮影中の伊藤さんはひたすらに優しかったです。僕の坊主頭をもみくちゃにするシーンも、カットがかかる度に「痛くなかった?」と言ってくださって。本当に優しく触ってくださるから、痛いわけないんですよ!(笑) でも毎回声をかけてくださったし、演技のことでも本当にのびのびとさせていただいて、僕としてはその姿を見て学ばせてもらっていました。――逆に伊藤さんは嶋崎さんから刺激を受けたことはありましたか?伊藤:カメラの前に立った時の肝の据わり方がすごい。普段は割と弟キャラというか、かわいらしい感じなんですけど、カメラの前だとガラッと変わるので、スイッチの切り替えが素晴らしいなと、見習う部分でした。――撮影現場では誰がムードメーカーだったのでしょうか?伊藤:それこそ斗亜くんだと思います。みんなと話してくれてましたし、話題を作ってくれていました。嶋崎:そんな……! 上川(周作)さんもすごかったですよね。いろいろ興味を持ってくださって、質問してくださるんです。伊藤:面白い人だった。自分でおっしゃってたんですけど、しゃべり始めると止まらないらしいんですよ。オチが見つからないって(笑)――男性陣が盛り上がっている中に、福原さんが入ってくることもあるんですか?伊藤:待ち時間が一緒ということが少なかったんですけど、会うときはみんなで一緒にしゃべったりしてました。おやつをくれたりして。嶋崎:お菓子パーティーしました。○■「絶対に戦争をしたらダメだ」と作品を送り出す意義を感じた――ぜひ作中で好きなシーンも教えてください。嶋崎:僕は、特攻隊のメンバーでご飯を食べているシーンが楽しかったです。特に台本で動きが決められてたわけでもなく、「みんなアドリブで」というようなシーンで。伊藤:あのシーンって、基本的に、僕らが喋らなきゃいけないんです! ほかの方々はそんなにガッと喋るタイプのキャラクターじゃないので、明るいキャラの僕らが話題を作っていかなければいけなくて、けっこう大変だったよね(笑)。僕らがわーっとやってないと、食堂がシーンとなっちゃうんで。嶋崎:だから、急に僕が「板倉特製どんぶり」を作り出したり(笑)。周りのおかずを全部使った「全部乗せ丼」です。伊藤:あれ、まっ茶色だったね(笑)。そういうアドリブの面でも助けてもらいました。色々きっかけを作ってくださったので、乗っかりやすかったです。嶋崎:ああいう明るいシーンがあるからこそ、他のシーンが心に響いて来るから、アクセントになるのかな。伊藤:僕のお気に入りシーンはいっぱいありますけど、印象に残ったという意味ではやっぱり終盤の橋のシーンです。実は、石丸はセリフが一切ないんですよ。台本では5ページぐらいあるシーンなんですけど、読んでも読んでも「あれ、俺、今日セリフないな」と(笑)。でも本当に苦しくなるシーンでもあって、ずっと見ていた思い出があります。セリフのない芝居を全力でやっていました。完成した作品を観ても、本当に素敵なシーンだった。斗亜くんは泣きながら走っていて1番大変だったと思うし、僕はずっと「頑張れ、斗亜!」と思ってました。嶋崎:ありがとうございます。――それは逆に注目したくなりますね。伊藤:石丸も2回くらい(カメラに)抜かれるので!――世界中でいろいろある中で、この作品を世に出す意義についてはどのように思われましたか?嶋崎:成田洋一監督も「世界で戦争が起こっているのを見て、絶対に戦争をしたらダメだと思った」とおっしゃってたんです。僕も原作を読んで、完成した映画も観て、本当に繰り返したくないと思いました。伊藤:日本は今戦争をしていないですけど、過去にこういう時代があったということは、知っておくべきだなと改めて感じました。考えていただけるきっかけになる作品になっているとも思うので、いろいろ残るものがあればいいなと思います。■伊藤健太郎1997年6月30日生まれ、東京都出身。主な出演作はドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(14)、『今日から俺は!!』(18)、朝ドラ『スカーレット』(19〜20)、映画『デメキン』(17)、『コーヒーが冷めないうちに』(18)、『弱虫ペダル』(20)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、『十二単衣を着た悪魔』(20)、『冬薔薇』(22)、『静かなるドン』(23)など。■嶋崎斗亜2003年8月3日生まれ、大阪府出身。アイドルグループ Lil かんさいのメンバー。主な出演作は『映画 少年たち』(19)、ドラマ『年下彼氏』(20)、『僕らは恋がヘタすぎる』(20)、『ジモトに帰れないワケあり男子の14の事情』(21)など。
2023年12月19日アイドルグループ・Lil かんさいの嶋崎斗亜(※崎はたつさき)が、8日に都内で行われた映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(12月8日公開)の初日舞台挨拶に、W主演を務める福原遥と水上恒司、伊藤健太郎、上川周作、小野塚勇人、出口夏希、成田洋一監督とともに登壇した。同作は汐見夏衛による同名小説の実写化作。親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの女子高生・百合(福原)は、ある日母親と喧嘩をして家出をし、目が覚めるとそこは1945年、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰(水上)に助けられ、彼の誠実さや優しさにどんどん惹かれていく。だが彰は特攻隊員で、程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった。○■嶋崎斗亜、メンバーと一緒に『あの花』鑑賞「鼻をすする音が聞こえた」5人組のアイドルグループ・Lil かんさいとして活動する嶋崎。メンバーと一緒に同作を鑑賞したそうで、「観終わってメンバーの鼻をすする音が聞こえた」と振り返る。「僕は正直、自分の演技はスクリーン越しに観てもいいのか、悪いのか判断できないので、身近な人から感想とか『よかった』という言葉をいただけたのは嬉しかった。これからも頑張りたいなと思います!」と笑顔を見せていた。成田監督は嶋崎と初号試写を観たといい、「僕の隣に斗亜くんが座っていたので、『自分の芝居で泣くでしょ?』と言ったら、『いやいや…』と話していたんですが、始まったら10分くらいで泣いていて、それからずっと泣いていました」と明かす。これには嶋崎も少し照れたような表情を浮かべながら「序盤で泣いて、それからずっと泣きっぱなしでした」と話した。また、今作のタイトルにちなみ、「○○で○○とまた出会えたら」というテーマでトークが展開されると、嶋崎は「家の前でキツネとまた出会えたら」と回答。キャスト陣からは「かわいい~」と声が上がる。続けて嶋崎は「僕、大阪に住んでいるんでいて、結構田舎なんですが、とはいえキツネってあまり見ない。でもこの間、家の前にキツネがいた」とエピソードを披露。さらに「僕を見た瞬間逃げてしまって。僕も写真に収めたいので、思い切り追いかけたんですけど(逃げてしまった)……」と残念そうな表情を見せる。しかし、水上から「だからだよ(笑)」と追いかけた点をツッコまれてしまっていた。
2023年12月08日嶋崎斗亜(※崎はたつさき)が、28日に都内で行われた映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(12月8日公開)の完成披露試写会に、福原遥、水上恒司、伊藤健太郎、上川周作、小野塚勇人、出口夏希、松坂慶子、成田洋一監督とともに登壇した。同作は汐見夏衛による同名小説の実写化作。親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの女子高生・百合(福原)は、ある日母親と喧嘩をして家出をし、目が覚めるとそこは1945年、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰(水上)に助けられ、彼の誠実さや優しさにどんどん惹かれていく。だが彰は特攻隊員で、程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった。○■嶋崎斗亜、映画『あの花』完成披露試写会に登場彰(水上)らが所属する特攻隊の弟的な存在・板倉を演じた嶋崎。特攻隊のメンバーは舞台上でも仲のいい姿を見せており、撮影でもすぐに打ちとけたそうで、伊藤は「みんな坊主にしたということが共通であったので、話の入り口として仲良くなりやすかったのかも」と振り返る。人見知りをしないタイプも多かったという特攻隊メンバーの中、嶋崎は「僕は結構人見知りなので、すごい積極的に喋りかけてくださったのがすごい嬉しかったです。特に上川さんはお弁当とか一緒に食べようよって言ってくださったり」と撮影の裏側を明かした。撮影中には伊藤が豚汁を振る舞ったそうで、キャスト陣が「おいしかった」と懐かしんでいると、嶋崎は「僕はもうクランクアップしてました……?」と覚えていない様子で、伊藤から「食べてるよ! どうなってんだ?」とツッコまれてしまう。しかし本当に嶋崎がいないシーンのときに振る舞われていたと判明し、嶋崎が「またじゃあ……」とおねだりすると、伊藤も「また今度作ってあげる」と優しく声をかけていた。板倉と彰のシーンの撮影については、水上が「彰と板倉のすごく大事なシーンなんですけど、そこの撮影場所が旧校舎ですごい怖いんですよ。2人で怪談話をしました」と振り返る。嶋崎も「いちばん大事なところで呼ばれちゃうんです(笑)。オチが聞けないので結局なんの話なのかわかってない」と笑顔で話した。
2023年11月28日京都大学は12月11日、独自に設計した座布団型構造をもつ有機半導体材料を開発し、これをp型バッファ層に用いることでペロブスカイト太陽電池の光電変換効率を向上させることに成功したと発表した。同成果は、同大学 化学研究所 若宮淳志 准教授、工学研究科博士後期課程 西村秀隆 氏、化学研究所 嶋崎愛 研究員、村田靖次郎 教授、佐伯昭紀 大阪大学准教授らおよび米ボストンカレッジ ローレンス・スコット 名誉教授の研究グループによるもので、12月10日付けの米科学誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン速報版に掲載された。ペロブスカイト太陽電池は、材料を基板やフィルムに塗る印刷技術により作製でき、従来の太陽電池に比べて製造コストを大幅に下げることが可能な太陽電池として注目を集めている。これまでは、主に光吸収材料であるペロブスカイト層の作製法の改良により光電変換効率が向上してきたが、光により生成した電荷をペロブスカイト層から取り出すためのバッファ層材料については、優れた特性を示す材料は限られており、製造コストが極めて高い有機半導体材料が用いられている状況だった。今回の研究では、二次元のシート状に骨格を拡張して「座布団型構造」をもたせるという独自の分子設計に基づいて、塗布型の有機半導体材料を新たに開発。これをペロブスカイト太陽電池のp型バッファ層に用いることで、従来の球状の分子である標準材料を用いた場合に比べて、最大で1.2倍の光電変換効率の向上を実現し、16.5%の光電変換効率を得ることに成功した。同材料は、独自の合成ルートにより、簡便かつ安価に製造することが可能で、すでに製造・販売について国内企業との共同研究を開始しており、1年以内に販売を開始する予定だという。若宮准教授は、「本研究で、ペロブスカイト太陽電池の高効率化につなげるための、有機半導体材料の分子設計指針を明確に示すことができました。これに基づいて、今後、安価で優れた特性を示す材料の開発が国内外で活発化し、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた研究が加速するものと期待されます」とコメントしている。
2015年12月11日