離婚を振り返って、娘たちへの「申し訳なさはずっとある」高岡早紀さんは1998年に長男、2000年に次男、2010年9月に長女が誕生し、現在はシングルマザーとして子育てをしています。一方の小沢仁志さんは「バツイチで……」と離婚歴があり、動画では長女と次女のエピソードを明かしていました。小沢さんの娘たちは今ではすっかり大人ですが、婚姻期間中に離婚などのゴタゴタがあり、小沢さんと離れていた時期も。当時を振り返って、小沢さんは「あいつら(娘たち)に1番悪いことした」と感じているとか。そんな中でも、親として「荒野にほっぽったような」育て方をしてきたそうで、娘たちはそれに負けじとたくましく成長していったようです。それを聞いた高岡さんは「お父さんはそうなんだと思う」「お母さんは小沢さんが知らないだけで(子育ての苦労がたくさんあったのでは)」と、母親目線で意見。確かに小沢さん自身も「(娘たちのそばに)1番いなきゃいけないときにいなかった」「申し訳なさはずっとある」と痛感しているようです。そうした後悔があるせいか、小沢さんはかつて娘が学校などでトラブルに巻き込まれた際に「信用回復のチャンス」と張り切って参戦。実際、長女の学校に乗り込んだこともあったといいます。小沢さんらしい破天荒ぶりですね。ちなみに、小沢さんの長女は31歳となり、バツイチで2回目の結婚をしたとか。長女の夫は10歳年上で、交際中の職業はミュージシャン。「頭がピンクだ、緑だ、黄色だ」と、とにかく派手な外見だったよう。また、交際期間中に長女が入院し、小沢さんに「入院費が足りない」と連絡してきた際、小沢さんは彼氏に負担してもらうことを提案したそう。しかし、長女は「売れないミュージシャンに金があるわけねえだろ!」ときっぱり。小沢さんは納得するほかなく、入院費を届けたといいます。そんな頼りない一面があった長女の彼氏ですが、結婚を機にミュージシャンから会社員に。今では小沢さんも認める「超いい男」だそうです。一方、次女は小沢さんが長女のトラブル時に学校に乗り込んでいった様子などを目の当たりにしており、そんな家庭環境から学んだのか「クソ真面目」なタイプ。次女について、小沢さんは「お前(次女)に(俺の)出番、1個もねえんだけど」と、残念だったよう。子どもが平穏に過ごしてくれることで安心する親は多いですが、小沢さんに限ってはそうではないようで、子育ての価値観は本当に人それぞれですね。離婚後は、娘たちとたまにしか会わない関係であることから、欲しいものなどを買い与えてしまっていたという小沢さん。ただ、自分が甘やかしすぎると、娘たちが「母親を蔑ろにする」のではとも感じていたため、「厳しく育てる」ことを念頭に置いていたといいます。そんな小沢さんの話を聞いて、高岡さんはシングルマザーとして「母親であり、ときに父親の役もやらなきゃ」いけない自分の立場の難しさを吐露。状況によっては「男(父親)だからこそ言えること」もあるとして、「両方の役割をしなきゃいけないのはすごく大変」だと明かしていました。すると小沢さんは、父親・母親両方の役割を果たそうとする高岡さんの姿勢を認めつつ、「役者の方が言えると思う」。俳優として、さまざまな役柄を演じている高岡さんだからこそ、父親・母親の役割をうまく使い分けることができるのではといいます。さらに小沢さんは「高岡さんの娘の彼氏が嫌なヤツだったときの対応」として、彼氏に「私の血をひいて、この子も魔性の女だけどいい?」と伝えることを提案。これに高岡さんは「やだ〜!」と苦笑していました。
2024年02月04日俳優の小沢仁志が21日、YouTubeチャンネル『笑う小沢と怒れる仁志』に出演。動画「【放送事故】調子に乗っている宮迫に小沢がブチギレてヤバい空気に…【ドッキリ】」内で、雨上がり決死隊の宮迫博之に“ブチギレ”ドッキリを仕掛ける。今回の動画は、宮迫のチャンネルに小沢がゲストとして出演し、宮迫の後輩芸人・響の2人にドッキリを仕掛けた後の場面からスタート。小沢が自身の楽屋を訪れた舎弟D(ディレクター)に「(ドッキリを仕掛けられた響の2人が)かわいそうになぁ」と話し、何回も響の2人にネタを振った宮迫に対して「宮迫の顔が一番ムカついた」と収録を振り返る。その後、小沢が放った「宮迫、ハメたるか」という一言から、小沢が宮迫へ“YouTube史上最凶”のドッキリを仕掛けることに。そのドッキリは、ドッキリ企画が嫌いな小沢が、宮迫とのコラボ収録前日に突然対談企画からドッキリ企画へ変更されたことに対して、楽屋でブチギレるという設定。そして、小沢の隣の部屋に用意された宮迫の楽屋に隠しカメラを仕込み、宮迫の様子を撮影するというものだ。何も知らない宮迫が自身の楽屋で響の2人とほのぼのとしたトークで和んでいるところ、突然壁の向こうから「だから言っただろ、俺ドッキリ嫌いだって」と怒る小沢の声が。宮迫の楽屋の空気が一変して凍りつく。さらに「俺は本当の対談がやりたかったんだよ」と収録への不満を漏らした後、開設して1カ月足らずで自身のYouTubeチャンネルが一時アカウント停止になったことに対して、小沢は「何だ“垢BAN”って」とスタッフに声を荒げる。そして小沢は楽屋のティッシュケースを投げつけたり、椅子を蹴り飛ばすなど、怒りの演技がヒートアップ。怒りが最高潮になった小沢が「宮迫呼べよ」「宮迫こっちへ来いよ」と大声をあげて自身の楽屋へ宮迫を呼び出す。顔面蒼白で恐る恐る小沢の楽屋へと向かった宮迫の運命はいかに……。
2021年07月21日常に親が「先回り」して、子どもにとって障害になるものを片づけたり排除したり、手を差し伸べたり、口出ししたりする育児のことを、カーリング育児というそうです。投げたストーンが氷の上をスムーズに進むよう「先回り」し、ブラシでゴシゴシとリンク表面をこするスポーツ、カーリングとかけているわけですね。名前はなんだか楽しげですが、カーリング育児は、子どもに対して必要以上に干渉する「過干渉育児」を指しています。親が何かにつけ「先回り」して手出し口出ししていると、子どもの成長の大きな妨げになってしまうのだとか。先回りをする親の心理や、そのリスクと、親がとるべき行動などを紹介します。先回りしてしまう親の心理プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんによれば、何でもかんでも先回りしてしまう親が増えているそう。たとえば「〇〇をやっておくといいらしいので、早いうちから子どもに〇〇を習わせておく」といったことです。こうした傾向は、特に、子育てのプレッシャーを感じている親に見られるのだとか。「わが子を成功させたい」「わが子に失敗をさせてはならない」といった心理が、親を先回りさせるのです。一方で、「子どもの先回りをして手出し口出しするほうが、じつは親として楽」だという見解もあります。これは、ベストセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)の共著者で、哲学者の岸見一郎さんが述べていること。その理由について岸見さんは、先回りしてあれこれやってあげると、「わたしは育児をしている」という気分になれて、周囲からも「子どもの面倒をちゃんとみている」と思われやすいからだといいます。つまり、先回りしてしまう親の心理には、わが子を成功させたいわが子に失敗をさせてはならないちゃんと育児したいちゃんと育児していると思われたいといった思いがあるのだと考えられます。先回りする親に育てられた子どもの未来しかし、子育て心理学を発信する公認心理師の佐藤めぐみさんは、何でも先回りして、わが子が進む道を地ならししてしまう親のもとで育った子どもは、ほんのちょっとした困難でさえも乗り越えられなくなる、と注意を促します。何の障害もない真っ平らな道しか知らないと、初めてのことや難しいことに挑戦して失敗する経験、ここで頑張らなきゃとプレッシャーに耐える経験、失敗やできなかったことのつらさ、不安などを乗り越える経験、そして自分で考えることの経験が欠如してしまうからです。それらを経験せずに育った子どもは、次の状態に陥ってしまう可能性があるのだとか。我慢できない待てない踏ん張れないすぐにあきらめる自分で考えないだからこそ、YSこころのクリニック 院長の宮島賢也さんは、親の先回りが子どもの「生きる力(危機管理力や問題解決力など)」を弱めかねないと警鐘を鳴らします。明治大学文学部教授で、教育・心理関係の著書がある諸富祥彦さんも、過干渉育児が子どもの「主体性」を奪うと述べます。加えて心理学者の根本橘夫さんいわく、典型化して言えば、過保護は「お前は無力だ」という暗黙のメッセージを送り、過干渉は「お前のままでは駄目だ」というメッセージを送る。このために、過保護は子どもを無力化することで無価値感をもたらし、過干渉は子どもの自我を奪い取ることで無価値感をもたらす。(引用元:ダ・ヴィンチニュース|「自分には価値がない」と考えてしまうメカニズム―親の過保護や過干渉から解放されるには?)※太字は筆者が施したとのこと。つまり、先回りする親に育てられた子どもは、忍耐力も、粘り強さも、主体性も、危機管理能力も、問題解決力も、自立心も、自主性も、意欲も、自信もない大人に成長してしまう可能性があるわけです。親は、先回りするよりもこうすべき!先述のとおり、何でも先回りして子どもに “あれこれ” やってあげることは、決していい未来を子どもに与えません。そこで、今日からさっそく気をつけられるよう、親はどんなシチュエーションで先回りしてしまいがちなのか、さらに、先回りする代わりにどうするべきなのか、探っていきましょう。1.子どもに何かを選ばせるときお店などで、子ども自身に洋服やおもちゃを選ばせようとしているときこそ、じつは非常に先回りしやすいシチュエーションです。子どもがなかなか決められない様子を見かねて、「これがいいんじゃない?」などといってしまったことはありませんか? あるいは子どもの選択に対し、「こっちがいいんじゃない? 前もあとで『ピンクが良かった』って、いってたじゃない」「こっちのほうが絶対に似合うよ」などと、ついつい口出ししてしまったことはないでしょうか。常にこんなふうでは「子どもの決断力や自立心が育たない」と諸富祥彦さんはいいます。どんなに時間がかかっても、子どもの決断をじっと待つことが大切なのだそう。それに、たとえ子どもが洋服やおもちゃ選びに失敗したとしても、それがいい教訓となり、次回は子どもなりにリスクをシュミレーションし、自分で判断していくようになるはずです。子どもが自分で選ぶ経験を、しっかりと与えてあげましょう。2.子どもに「どんな感じ」か聞くときたとえば「寒いでしょ? もう一枚着なさい」「暑いでしょ? 一枚脱ぎなさい」「お腹空いたでしょ? これ食べなさい」といったり、あるいはプレゼントをもらった子どもに「うれしいでしょ? すごく欲しかったんだよね」といったり、もしくは、アニメを鑑賞した子どもに「おもしろかったでしょ? 〇〇だからおもしろいよね」などといったことはありますか?じつはこれ、子どもに「どんな感じ」か聞いておきながら、結局は親が先回りして、子どもの感情や感覚を言語化してしまう状況を表しています。根本橘夫さんによれば、こうした先回りは子どもから「感じたことや欲求の体験」――いわゆる感覚を奪ってしまうため、子どもの身体感覚や、感情、好みまで希薄化させてしまうのだとか。もちろん、子どもを不快感や危険から守り、社会のルールに従うよう導くことは必要ですが、大切なのは、子どもの欲求や感情、意思、願望などを尊重しつつ、守り導くことだと根本さんはいいます。子どもが自分自身で、感覚や感情を言葉にするまで、「〇〇でしょ?」などと先回りせず、根気強く待ってあげましょう。3.子どもが遊んでいるとき子どもが目の前で遊んでいるときも、親が先回りしやすいシチュエーションです。もちろん、子どもが気づかずにぶつかってケガをしかねない突起物や鋭利なもの、倒れ落ちそうなものなど、明らかに危険な因子は取り除いたり、子どもを安全なほうに導いたりすることは必要です。しかし、たとえば子どもが何かをつくって遊んでいるとき、「こっちから組み立てると早くできる」「この道具を使うと上手にできる」などと、親が先回りして物事の因果関係を考え、子どもを手助けするのは避けるべきです。その理由は、子どもがあまり失敗を経験できなくなり、自分の頭で考えなくなってしまうから。一般社団法人TOKYO PLAYの代表理事である嶋村仁志さんは、子どもの “遊び” に大人が関わりすぎるべきではないと説きます。「へー、そんなふうに遊んでもいいんだ」「こうするとおもしろいんだ」と子ども自身が気づけるよう、「あ、あっちにもおもしろいのがあるねぇ」などとヒントを与える程度がいいのだそう。自分で “遊び” をコントロールできてこそ、子どもは “遊び” を存分に楽しめると嶋村さんはいいます。それに、“遊び” は子どもが試行錯誤を重ねる大きなチャンス。「こうしてみようかな、ああしてみようかな」「さっきは失敗したから、今度はこっちにしてみよう」といった思考やチャレンジが、子どもの成長において重要な学びとなるのです。それらがないと、子どもの自主性や意欲、自立心に好奇心が育たず、能力開発の機会まで失われてしまいます。諸富祥彦さんいわく、子どもが失敗しようが何をしようが、余計な手出し口出しをせずに、じっと根気よく見守り、自由に遊ばせておくことが大切とのこと。もちろん、だからといって子どもから目を離し、スマートフォンをいじっていいわけではありません。遊んでいる子どもが振り返り、親の姿を確認したとき、「しっかりと見守っているからね」と表情や視線で示すことも大切です。それにより子どもは安心して、自分の感性を豊かにする “遊び” に、再び没頭できるでしょう。***先回りをする親の心理や、そのリスクと、親がとるべき行動などを紹介しました。「先回り」をやめて、どんどん子どもを成長させてくださいね。(参考)PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)|子供を潰してしまう、高学歴な親の口グセ日経DUAL|「過干渉育児」の恐ろしい弊害子育ては根気が一番All About|「カーリングペアレント」とはどんな親?東洋経済オンライン|「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケStudyHacker こどもまなび☆ラボ |過干渉していませんか?子どもの「自主性」を伸ばすための4つの声かけStudyHacker こどもまなび☆ラボ |危険にも種類がある。挑戦が達成感に変わる「リスク」と「ハザード」はどう違うのか?StudyHacker こどもまなび☆ラボ |「本当に自由に」試行錯誤する機会を子どもたちに――“本気の遊び場”プレーパークダ・ヴィンチニュース|「自分には価値がない」と考えてしまうメカニズム―親の過保護や過干渉から解放されるには?根本橘夫著(2007),『なぜ自信が持てないのか―自己価値感の心理学』,PHP研究所.
2020年01月25日「うちの子は学校の友だちがたくさんいるし、習い事をいくつもさせているから人間関係は充実しているはず」「休みの日は家族で遊んで、長期休みにはおじいちゃんおばあちゃんに会っているし、コミュニケーションはうまく取れているほう」そう信じて安心している親御さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、子どもの成長や学びの場は、家庭や学校・習い事以外にもたくさんあるのです。今回は、子どもの生きる力をぐんぐん伸ばす「多様な人間関係の大切さ」について考えていきましょう。狭い世界で生きる現代の子どもたち昔に比べて、今の子どもたちは世界中のさまざまな情報に触れることができるだけでなく、インターネットを通じてたくさんの人たちとすぐにつながることができるようになりました。しかしその反面、現実の人間関係はどんどん狭くなってきていることをご存じですか?平日も休日も習い事や塾などで予定がぎっしりと入っていて、近所の友だちと遊ぶこともままならない日々を過ごしている子どもたち。しかも、これから中学・高校に進学するにつれ、ますます自由な時間が減っていくことは明らかです。ただし、子どもの人間関係が制限されているのは、私たち親の意識が影響しているともいわれています。「今の親たちは、子どもと他人との関わりに敏感で、警戒心がすごく強い」と指摘するのは、国立青少年教育振興機構理事長の鈴木みゆきさん。たしかに、ニュースなどで子どもが巻き込まれる事件を目にするたびに不安を感じ、周囲への警戒心が増すのも無理はありません。「遊ぶことの大切さ」を子どもたちに伝える活動を行う『一般社団法人TOKYO PLAY』代表理事の嶋村仁志さんは、次のように述べています。子どものことを、邪魔なものであったり「自分には関係ない」と思ったり、あるいは子ども教育の専門家などが自分のサービスの「お客」として見る。そういうものばかりだとしたら、その社会では子どもをきちんと育てることができないのではないでしょうか。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由)親以外の近所の大人や、お友だちのお父さんやお母さんたちとの関わり合いは、子どもにとって非常に貴重な体験になるといいます。嶋村さんは、「子どものころに近所の人にかわいがられたり、逆に迷惑をかけて怒られたりしたような経験がないまま大人になってしまうと社会性が育ちにくい」ことも指摘しています。今の子どもたちは、昔に比べて確実に狭い人間関係の中で生きているのです。多様な価値観への理解とコミュニケーション能力が必要な時代次に、どうして狭い世界で生きていくのが良くないことなのか、これからの社会ではどんな能力が求められるのかについて考えていきます。脳科学者の茂木健一郎先生は、「子どもが社会に出て活躍するために育てておきたい能力はふたつある」と述べています。ひとつは、読み書きや計算といった「認知的な能力」。そしてもうひとつは、他人と円滑なコミュニケーションをとれる「社会的な能力」です。どんなに勉強ができても、人とうまく関係を築けなければ社会では活躍できません。茂木先生によると、「幼児期は特に社会的スキルを育む必要がある」とのこと。そのためにも、日常的に年齢の違う子たちと遊ぶ機会を多くもち、さまざまな考え方やたくさんの個性に触れることが大切なのです。さらに、これからはグローバル化が進み、多様な価値観や背景を持つ人たちと接する機会が格段に増えていくでしょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と話します。そのためにも重要となるのが、家庭や学校・習い事以外の “第3の居場所” なのです。子どもが “第3の居場所” で得られるものとは?家庭を “第1の居場所”、学校や習い事を “第2の居場所” としたとき、“第3の居場所” とはどのようなところを指すのでしょう。前出の中曽根さんによれば、地域で開催される自然観察会や、スポーツ、音楽、アートのイベントなど、年齢も背景もさまざまな人が集まる場所だといいます。それ以外にも、1日限りのワークショップや、子どもだけで参加するキャンプ、親の友人同士の集まりなど、出会いの機会はたくさんあります。■コミュニケーション能力が伸びる!そういった第3の居場所では、自分の知らない世界を見聞きすることができるので、子どもはぐんと視野を広げることができます。そして、コミュニケーションの点においても大きなメリットが。中曽根さんは、「心理的距離があるので、理解し合うためにはどんな切り口で話をしたらいいか、自然と相手のことを考えながら話をするようになる」といいます。それは、家族や身近な友人との会話では得られない緊張感です。相手と距離があるからこそ、自分の考えを筋道を立ててわかりやすく伝える訓練にもなるのですね。■「公私」の感覚を知り、礼儀を学べる!前出の鈴木みゆきさんは、さらに「礼儀」を学ぶにも絶好のチャンスであると述べています。親以外の大人との交流で、まず、子どもは「礼儀」を身につけます。親への甘え方とはちがう態度で接したり、あるいは親が相手なら反発するようなことも素直に聞き入れたりと、子どもなりに「公私」の感覚を持つのです。また、子どもの頃、「大人の話に子どもが口を挟むな!」なんて周囲の大人に言われた経験がある人もいるでしょう。これは、「場を知る」「立場をわきまえる」ということにつながるものです。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界)■親の心がラクになる!また、子どもに第3の居場所があることは「親にとってもメリットがある」と説くのは、東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授の中釜洋子先生です。中釜先生は、「最近、わが家のルールを知らず知らずのうちに細かく決めてしまって、ママ友だちや祖父母などの考えが自分に合わないと、付き合いを狭めてしまうケースも少なくありません」と述べており、親が神経質になることで他者に対して心を閉ざしたり、人付き合いを限定したりするというのです。しかし、社会に出れば臨機応変な対応を求められることが多いもの。中釜先生は、「子どもは、『おうちではダメだけど、おばちゃんの家なら甘いお菓子を食べられる』と区別して考えることができ、意外と柔軟な思考をしている」といいます。親御さんが周囲との関係を閉ざさないように心がけることで、子どもは状況に応じた対応を学べるようになるでしょう。また、親自身も子どもと1対1で向き合い続けるとストレスがたまりますが、ほかの家族の多様な子育ての方法を知ることで、子育てのヒントに気づくきっかけにもなります。みなさんも、わが子を見ては、「どうして○○ちゃんみたいにいい子にできないのかしら」とほかの子どもの良い面ばかりに目がいき、自分の子どもが劣っているように見えてしまうことはありませんか?それはどんな親でも同じです。第3の居場所では、ほかの人が「△△くん、優しいね!」「上手にできるね!」と、わが子の良いところを見つけてくれることも。そうやって、子どもだけではなく、親御さんにとっても「気づきの場」になるのです。親子で一緒に地域の集まりに参加しよう!先ほどからお伝えしているように、第3の居場所はこれからますます必要とされるでしょう。もし今、子どもの人間関係を広げたいと考えているのなら、そのような場所に足を運んでみてはいかがですか?前出の鈴木さんがおすすめするのは、一般の親子が参加できるファミリーキャンプ。全国に点在する青少年自然の家などの施設で、お互いに知らない親子同士がキャンプをするというものです。家族以外の人と一緒に自然体験するという経験をとおして、他人と協力して働くことができる「協働力」が身につくといいます。また、嶋村さんが代表を務めるTOKYO PLAYでは、都内のあちこちで「とうきょうご近所みちあそびプロジェクト」を実施しています。これは、地元地域に暮らす人たちが町会や商店街と協力し、多世代の人が楽しみ、交流する場所をつくることを支援する活動だそう。子どもは大人との交流によって、褒められたり励まされたりすることで自己肯定感を育むことができます。ほかにも、スポーツのイベントやアート系のワークショップなど、お近くの地域でも交流の場がたくさんあるはずです。ぜひ探して参加してみてくださいね。***人間関係は、親子や先生と生徒といった「タテ」の関係と、友人同士といった「ヨコ」の関係のほかに、「ナナメ」の関係もあります。じつはこの「ナナメ」の人間関係こそ、子どもにとっての逃げ場になったり、刺激を与えられる場所になったりするのです。ぜひお子さんに、豊かな人間関係を築くきっかけを作ってあげましょう。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.学研キッズネット|AI時代を生き抜くために~「失敗力」が育つ6つの栄養素家庭・学校以外の第3の場所が子どもの生きる力を育てるMIKU|家族の中の子どもを考えよう
2020年01月11日「思う存分、子どもを遊ばせられない」と、いまの禁止事項だらけの公園に不満を抱いている親もいるかもしれません。でも、親自身も子どもに禁止事項を押し付けているということはないでしょうか。そのことが子どもに与える悪影響を心配するのは、子どもたちの自由な遊び場である「プレーパーク」のエキスパート・嶋村仁志さん。果たして、その悪影響とはどんなものでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人子どもはもっと「聞き分けが悪く」てもいいさまざまなところで指摘されていることでもありますが、いまの公園はとにかく禁止事項のオンパレードです。ただ、それは管理責任が過度に追及されがちな社会の風潮やクレームの多さが背景にあるので、単純に行政を責めるわけにはいかないものです。その一方で、かつては、他人に迷惑をかけるようなことや危険なことを「やらかしてしまった」子どもがいて、「さすがにそれは駄目だろう」ということで禁止看板ができたのだと思いますが、いまは誰かがなにかをするまえから禁止看板が立っているので、経緯を知らない子どもは禁止事項に無条件に従っていることの方が多いように思います。そんな時代にあっても、子どもこそ、自分の内から湧き出る欲求というか、勝手に体が動いてしまうようなことをもっと大事にしていいと思うのです。もちろん、大きな事故につながるような危険は避けなければなりませんが、子どもなら子どもらしく、もっと「聞き分けが悪く」なってもいいんじゃないかとも思いますね。聞き分けが悪くなるというのは、ある意味では自立の証です。子どもが大人に向かって正しく成長する過程では必ず反抗期を迎えます。それは、親に守られながらも、その大きな存在から離れ、自分の人生を歩みだそうとしていることの表れなのです。トラブルから子どもが学べることもあるそういう禁止事項を素直に子どもたちが守っていることには、もちろん、大人の姿勢も大きくかかわっているのでしょう。いまは、子どもにとって危険だからとか、倫理的に許されないことだからということ以上に、「トラブルを招いてしまいそうだから」という理由で子どもたちの先回りをしてしまうことが多いように感じます。最近では、幼い子どもたちが水鉄砲で遊ぶとき、「お友だちに水をかけちゃ駄目よ。誰もいない方向に向けてやりなさい」という声が聞こえてくることもあります。本来であれば、友だちと水を掛け合うことが最大の楽しみでもある水鉄砲ですが、大人同士の関係が緊張しているほど、それが子ども同士の遊びにも大きく影響してしまうのです。もちろん、なにかの理由があって濡れたくないという子どももいるかもしれません。でも、少し乱暴ないい方かもしれませんが、それはやってみて相手が嫌がってはじめて本当の意味でわかることでもある。そういう実感があって、「悪いことをしちゃった」「気をつけなきゃ」「謝ろう」と心から思うものであるはずです。一方、濡れたくないのに水をかけられてしまった子どもにとっても、「嫌だ!」と主張できる機会はとても大事なものではないでしょうか。最初からその可能性を取り除いてしまうと、自分の心の底から「嫌だ」と思うチャンスがなくなってしまいます。そう思えたのなら、自分が「嫌だ」と思ったことをちゃんと表現して的確に相手に伝える、あるいは「嫌だ」と思った心をコントロールするということも学べるでしょう。そういうことも成長過程においては重要だと思うのです。遊びというのは、子どもたちそれぞれの「やりたい!」という気持ちが本心から出るところです。もちろん、それらがぶつかってトラブルを招くこともあるでしょう。でも、そのトラブルがあるからこそ、子どもたちはたくさんのことを自然に学び、育っていくのです。写真提供:嶋村仁志言葉で言い聞かせるだけではレジリエンスは身につかないもし、子どもにとってトラブルになりそうな芽をすべて親が摘み取ってしまうとどうなるでしょうか。そもそも、一切のトラブルなく人生を歩むことは、どんな人間にも絶対に不可能です。そうすると、その子どもは大人になって親元を離れてはじめてトラブルに接することになる。それでは、トラブルにまともに対処できるはずもありません。人生において何度となく降りかかるトラブルに対処するには、そうできる「心」が必要です。それは、最近は「レジリエンス」という言葉で表現され、一般的に「回復力」「復元力」というふうに訳されますが、もっとわかりやすくいえば「折れにくい心」です。わたしがかかわっているIPA(International Play Association)という国際NGOの大会でも必ず出てくる言葉で、それだけ世界的な注目度が増しているのでしょう。ただ、なぜレジリエンスがそれほど注目されるようになったかといえば、単純にいまの子どもたちがレジリエンスを身につける機会が大きく失われてきているからなのではないでしょうか。そして、その原因は、子どもが遊ぶ機会、時間が激減したことにあるのではないかとわたしは考えています。いくら子どもたちにとってレジリエンスが重要だといっても、「うまくいかなくても、また頑張らないといけないよ」と言葉でいい聞かせるだけでレジリエンスが育つわけもありません。だからといって、限られた子どもだけが、用意されたコミュニケーションのワークショップやプログラムで学ぶものでもないと思うのです。やはり、日々の生活のなかで豊かに遊べる機会をつくり出すしかないと思うのです。自分がやりたいことを目いっぱいやって失敗した。でも、やりたいことなのですから、子どもはあきらめずに再び立ち上がって挑戦するはずです。遊びのなかで子どもは勝手にレジリエンスを身につけていくのですから、親からすればこんなに楽なことはないのではないでしょうか。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:「本当に自由に」試行錯誤する機会を子どもたちに――“本気の遊び場”プレーパーク第2回:危険にも種類がある。挑戦が達成感に変わる「リスク」と「ハザード」はどう違うのか?第3回:火を使う、泥だらけになる、びしょ濡れになる。子どもたちの自由な発想と独創的な遊び方第4回:やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てる【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年08月22日一般的な公園とはちがって、「禁止事項は基本的になし!」というプレーパーク。それだけに、未経験者からすれば、「子どもたちが実際にどんな遊びをしているのか」ということが気になるのではないでしょうか。お話を聞いたのはプレーパークのエキスパート・嶋村仁志さん。20年以上にわたってプレーパークにかかわってきた嶋村さんは、子どもたちの自由な発想が弾ける独創的な遊びをいくつも目撃してきました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人他の子どもの遊び方を見ているだけでもいいプレーパークというと、基本的には一般的な遊具は少ないものですが、それでも、ブランコやすべり台などの遊具を設置しているところもあります。というのも、はじめて遊びに来た子どもからすれば、なじみがある遊具があれば、それだけすんなりと遊びはじめることができるからです。いわば、自由な遊びへの「入り口」として設置しているわけです。そうしてブランコやすべり台で遊んでいるなかで、他の子どもたちの遊びを観察することになるでしょう。見たこともない遊びなら、当然、好奇心がくすぐられることになる。そうして未経験の遊びの世界へ進んでいくのです。また、すべり台で遊ぶにも、プレーパークに何度も通っているような子どもなら、普通の使い方ではないオリジナルの遊び方をしているという子どももいます。それを見てすぐに真似をする子どももいれば、後日、友だちを連れて来て、さも自分が考えたかのように「面白い遊び方があるんだぜ」なんていって遊ぶ子どももいますね(笑)。そういうふうに、年齢や経験がちがう子どもたちが集うところがプレーパークの面白いところです。ちっちゃい子どもたちからすれば、年上のお兄さんやお姉さんの遊び方はそれこそアイデアの宝庫のような存在ですから、そういう年上の子どもの遊び方をずっと観察しているような子どももいますよ。それはそれで、その子どもにとってはなにかを学んでいる、考えている瞬間ですから、なにも元気良く走り回っていることばかりがいい遊びというわけでもないのです。プレーパークならではの火を使った遊びそれから、プレーパークの特徴として大きいのは「火を使える」ということ。もちろん、そのことが遊びにも大きな影響を与えます。火の扱いに慣れている子どもの場合、最初の着火するところからやりたいという気持ちが強いものです。やっぱり、火というのは人間の本能を刺激するのでしょうね。ただ、プレーパークにはいわゆる「チャッカマン」などのライターは置いていません。使うのはマッチと新聞紙です。ですから、それなりの熟練が求められます。最初はうまく火をつけられなかったのに、子どもたちは徐々にコツをつかんでいく。そういう自分の成長を感じること、そして火というものを自分でコントロールできているということ、それらが子どもを夢中にさせるのです。でも、火を使えるといってもバーベキュー場ではありませんから、たき火ができるのはせいぜい2カ所くらい。ですから、親も含めて見ず知らずの人たちが同じ火のまわりに集うことになります。そうすると、マシュマロを焼いていた子どもが他の子どもにもマシュマロをわけてあげたり、親同士で互いにお裾分けをしたりということがはじまります。そういうふうに持ち寄りの文化を大切にしているというのもプレーパークの特徴といえますね。それから、小学生も高学年くらいの子どもになると、なかなか高度な遊びもしています。たとえば、「鍛冶屋遊び」がそう。火に入れて真っ赤になった釘を金づちで打ってなにかをつくろうというわけです。他には「キラビー」というものをつくる子どももいます。ビー玉を熱してから水に入れて急激に冷やすと無数の細かいヒビが入ってキラキラと輝くようになります。キラキラのビー玉だからキラビーというわけですね。子どもたちの独創的な遊びの数々大人には考えつかないような遊びに興じる子どももたくさんいます。ついこのあいだ、衝撃を受けたのは小学2年生の子ども。なにをしていたかというと、自転車に乗ってわざとうまく倒れるという遊びです。しかも、「けがをせずになるべく格好良くこけたい」という。いわば「スタントマンごっこ」ですね。「どうすればいい?」と聞かれましたが、さすがにまともなアドバイスをするのは難しいですよね。それから、地面を掘っていた子どもになにをしているのかと聞くと、彼の答えは「温泉を掘りあてるんだ」。ずいぶん大きく出ましたよね。しかも、それだけでは終わりません。掘る手を止めて「設計図、書くわ」というと、「ここが大浴場で……」「料金は大人1500円、いや2000円で……」と、つぶやいていました(笑)。秘密基地づくりはいまもむかしと変わらず人気です。基地だけに、もちろんボスがいます。そのボスになった子どもは、普段は口が悪いといったことはまったくないのに、ボスになった途端に口調が変わるのです。プレーリーダーに向かって「しょうがねえな、おまえもあとからうちに来いよ」なんていっていましたよ(笑)。子どもってほんとうに面白いですよね。他にも「化石を探している」という子どもにその辺で拾った石を見せて、「隊長、これはなんでしょう?」と聞くと、「これはトリケラトプスの化石ですね」と秀才キャラっぽい口調で答えるなど、「ごっこ遊び」に天才的な才能を発揮する子どもたちも多くいます。とにかく肩肘張らずに楽しむここまで紹介してきたように、プレーパークでの遊び方は子どもの意志が赴くままにどんどん広がります。子どもが水を使って遊びたいとなったらびしょ濡れになりますし、泥を使って遊びたいとなったら泥だらけになるでしょう。ですから、プレーパークのビギナーのみなさんには、子どもの着替えを少なくとも2着は用意しておくことをおすすめしたいですね(笑)。親自身も1着分の着替えは用意したほうがいいかもしれません。子どもが「一緒に遊ぼう!」と誘ってくれることもあるでしょう。そのときに、「服を汚せないから」とちゅうちょしてはもったいないですから。そして、成長が早い子どもは、あっという間に「一緒に遊ぼう!」なんて言ってくれなくなってしまいます……。とにかく肩肘張ることなく気軽に行ってみてください。たしかに、プレーパークでの遊びは子どもに多くのものをもたらしてくれるでしょうけれども、それらは遊びのなかで自然に身につけていくものです。ですので、「子どもに○○力を身につけさせよう」などと考えずに、ただただ子どもがプレーパークという場所でどんな発見をしてどんな遊びをするのか、それを楽しんでもらいたいと思います。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:「本当に自由に」試行錯誤する機会を子どもたちに――“本気の遊び場”プレーパーク第2回:危険にも種類がある。挑戦が達成感に変わる「リスク」と「ハザード」はどう違うのか?第3回:火を使う、泥だらけになる、びしょ濡れになる。子どもたちの自由な発想と独創的な遊び方第4回:やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てる※近日公開【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年08月21日ヨーロッパで生まれ、日本でも広まりつつある「プレーパーク」。禁止事項だらけの一般的な公園とちがって「子どもたちの自由な遊び場」であるだけに、事故やトラブルから子どもを守る人間が欠かせません。その存在が、「プレーリーダー」です。「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトに東京でさまざまな「遊び」を仕掛けている一般社団法人TOKYO PLAYの代表理事であり、プレーパークのエキスパートでもある嶋村仁志さんに、プレーリーダーの役割を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人さまざまなバックボーンを持つプレーリーダープレーリーダーには、学校の教員のように決まった採用試験があるわけではありません。そのため、子どもの自由な遊びや居場所づくり、住民参加のまちづくりといったものに関心を持っているという共通項はあっても、その背景は人それぞれ。たとえば教育や福祉、保育、まちづくり、社会的企業など、さまざまなバックボーンを持つ人たちが集まってきます。また、真夏でも真冬でも屋外で過ごすことや、子どもたちと走り回ったり建築作業をしたりすることもあって、比較的若い世代の人が多いのも特徴です。ただ、保護者支援や児童福祉、地域におけるさまざまな関係調整にも深くかかわることから、最近ではもっと上の世代のプレーリーダーも増えていますね。そんなプレーリーダーにとってまず重要となるのは、「子どもとのかかわり方」といえます。というのも、プレーパークというものが、「子ども」がそれぞれの興味関心に従って「子ども」が自由に遊ぶための場所であり、つねに「子どもが中心」にあるからです。それぞれの子どもに合わせてかかわり方を変えるそのかかわり方というと、それこそさまざまとしかいえません。「こんなことをやってみたい」という子どもに必要な道具を貸すこともあれば、ふつうの公園とちがって自由度が高いがゆえに遊び方自体がわからないような子どもには遊びの見本を示すということもあります。もちろん、「こんなふうに遊びなさい」というような見せ方ではありません。自分で遊びをコントロールできることが子どもにとってはいちばん面白いに決まっているのですから、「あ、そんなふうに遊んでもいいんだ!」と子どもに気づかせるような見せ方をするのです。そうして子どもが遊ぶきっかけをつくれたら、気づいたときにはいなくなっている――。そういう在り方がプレーリーダーには大切です。イメージとしては、ときには前に出ることもあるけれど、子どもからは直接見えない少し後ろに控えている感じでしょうか。そもそも、子どもが自由に遊ぶというときに、プレーリーダーも含めて大人はかかわり過ぎるべきではありません。「この子は自分で遊べる」と思う子どもには、まず任せるというかかわり方をします。そういう意味では、それぞれの子どもをよく観察する必要があります。いってみれば、風邪をひいている子どもに対するお医者さんの見立てのようなものかもしれませんね。「温かくして寝ていればいいよ」という子どもには、とくになにもする必要はないのです。でも、「薬を出したほうがいいな」という子どもにはなんらかの助け舟を出す、という具合です。一方で、保護者とのかかわりもプレーリーダーにとって欠かせない役割です。子どもだけでなく、保護者の人たちにも安心してもらうことが大切だとわたしは考えています。わたしもそうですが、親というのはいつでも子どものことが心配なものです。ついつい「あれは駄目、これは駄目」といいたくなるものなので、子どもが遊んでいる姿を一緒に見ながら、保護者に「大丈夫ですよ」と声をかけることもありますね。ちがったパターンとしては、親自身にも遊んでもらうようすすめることもあります。というのも、親も一緒にその遊びを楽しんでいれば、子どもは親の目を気にすることなく思い切り遊べるものだからです。徹底的に排除すべき「選びようがない危険」また、「危険のコントロール」もプレーリーダーの重要な役割となります。プレ―リーダーは、どんな危険も排除するわけではありません。危険にも種類があって、ひとつは「リスク」と呼ばれます。これは、子どもが自分にとってちょっとハードルが高い遊びに挑戦するときに伴う危険です。でも、もしその挑戦が成功したら、達成感を得られるなど大きなリターンを得ることができる。ですから、よほど無理な挑戦をしようとしていない限り、子どもが自分の意志でリスクを冒すことを止めることはありません。一方で、子どもが自分の意志で「選びようがない危険」もあります。たとえば、子どもの顔の高さに突き出ている針金や、結び目が緩んだロープなどがそれに該当します。それらは「ハザード」と呼び、できる限り排除するようにしています。また、のこぎりなどの道具を子どもが使うときにも危険が伴います。親の立場からすれば心配になるのも当然です。もちろん、その使い方が明らかに危険だというときにはプレーリーダーが子どもに声をかけて正しい使い方を教えますが、大人のほうがやきもきしてしまっているような場合には「心配しちゃいますよね」と声をかけつつ、「こういうところだけ気をつけていれば大丈夫ですから」と話をすることもあります。危険とはちがう話になりますが、そういうふうに子どもが道具を使うケースに時々見られるのが、心配することとは別に、子どもに頑張らせようとし過ぎてしまうこと。はじめてのこぎりを使うという子どもなら、集中力を切らさずに最後まで太い木材を切れる子はあまりいません。そもそも、子どもは「ちょっとやってみたかっただけ」ということも多く、木が簡単に切れないとわかればすぐに別の遊びをしようとします。すると、子どもに「ほら、よそ見しちゃ駄目!」「集中!」なんて声をかけてしまう親もいるのです。それでは、遊びというよりも、作業になってしまいますよね。そうではなく、途中でやめたくなった気持ちも含めて、子どもがやりたいこと、やりたい気持ちの応援をしてあげてほしいのです。少なくとも、「工具に触ってみた」ということが、大きな一歩になるのですから。個性が表れる初体験時の子どもの姿に要注目プレーパークに興味を持ち、はじめて行くというときには、ぜひ、子どもの様子をじっくり見てほしいですね。というのも、とくに初体験のときには、子どもの個性が行動にはっきり表れるからです。最初から「天国だ!」というふうに遊びまわる子どももいれば、どうしたらいいのかわからなくてじっくりと周囲を観察する子どももいる。また、同じように戸惑っているのに、プレーリーダーに「なにをすればいいんですか?」と素直に聞いてくる子どももいますし、いろいろな遊びを全部試したうえで、最終的にいちばん気に入ったもので遊びはじめるようなマメな子どももいます。もしかしたら、このようなプロセスを通して、子どもは親も見たことのないような姿を見せてくれるかもしれません。プレーパークは子どもが自由に遊ぶための場所ではありますが、親自身も楽しんでもらえたらと思います。プレーリーダーはたしかに、子どもにとっての危険を管理するなど、重要な役割を担っています。でも、子どもをお預かりして、一から十までお世話するといった存在ではありません。ママ友同士のおしゃべりの時間も大切ですので、そこでも満足してほしいと思いますが、それと同時に、子どもが生き生きと輝く姿もぜひ逃さずに見てあげてください。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:「本当に自由に」試行錯誤する機会を子どもたちに――“本気の遊び場”プレーパーク第2回:危険にも種類がある。挑戦が達成感に変わる「リスク」と「ハザード」はどう違うのか?第3回:火を使う、泥だらけになる、びしょ濡れになる。子どもたちの自由な発想と独創的な遊び方※近日公開第4回:やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てる※近日公開【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年08月20日「プレーパーク」という施設を知っているでしょうか。「パーク」というだけに公園のようなものなのですが、わたしたちの街に点在する一般的な公園とはまったくちがうものです。お話を聞いたのは、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトに東京でさまざまな「遊び」のプロジェクトを仕掛けている一般社団法人TOKYO PLAYの代表理事・嶋村仁志さん。「StudyHackerこどもまなび☆ラボ」には以前にも登場してくれましたが、あらためてプレーパークとはどんなものなのかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)禁止事項がほとんどない自由な遊び場日本で「プレーパーク」という名で呼ばれる施設は、ヨーロッパ発祥の「冒険遊び場」というものがベースになっています。このプレーパークが日本に広まりはじめたのは1970年代。いまもそうですが、当時でもすでに一般的な公園には禁止看板が増えはじめていたようです。その頃、東京のある公園の噴水池のなかに割れたガラスが入っていたということがあったといいます。そんなことがあれば、住民のなかから「けがをしたら誰が責任を取るんだ?」という意見も出てきます。そうした経緯から、行政としては公園に禁止看板を立てざるを得ないような状況が生まれはじめたのです。そういう時代のなか、「自分たちが子どもだった頃はもっと自由に遊べたのに」という想いを持っていた都市計画家・大村虔一さんたちが、当時のヨーロッパ各地の冒険遊び場を参考にして、プレーパークづくりに取り組むようになったのです。その過程で、子を持つ親のなかからも「禁止事項ばかりでは子どもは育たない」という考えに賛同する人たちが増えていきました。そういう経緯がありますから、公園とのいちばんのちがいは、プレーパークが持つ「できる限り、禁止事項を少なくして、自由な遊び場をつくろう」という想いの部分ではないかと思います。ちなみに、いまにつながっている日本初のプレーパークは、1975年の夏休みのあいだだけ開設された「経堂こども天国」。写真提供:大村璋子でも、子どもが遊ぶのは夏休みだけではありませんよね?そういう声が子どもからも上がるようになり、今度は15カ月にわたって「桜丘冒険遊び場」が開設されました。その後、日本初の常設施設として1979年にオープンしたのが、わたしのかつての職場でもある「羽根木プレーパーク」です。子どもの興味関心によって「かたち」を変えていく公園とプレーパークのちがいは、「用意されているもの」を見るとすぐにわかるでしょう。公園では、遊び方が決まっている遊具があって、それを使って遊びますよね。もちろん、公園の「かたち」を変えることなんてありません。ところが、プレーパークでは遊具の代わりに「道具」や「材料」があって、プレーパークそのものも「かたち」を変えていくのです。たとえば、マッチと新聞紙、薪を使ってたき火をしてもいいし、シャベルを使って地面に穴を掘ったり川をつくったりしてもいい。廃材を使って、むかしから人気の秘密基地をつくる子どもたちもいます。つまり、子どもは自分の興味関心に従って新しくなにかを生み出し、それに合わせてプレーパーク自体も「かたち」を変えるというわけです。イメージとしては、公園にもある「砂場」が近いかもしれませんね。砂場では、子どもたちは山をつくったりトンネルを掘ったり川をつくったりと、比較的自由に遊べますよね。その高い自由度が施設全体に広がっているのがプレーパークといっていいでしょう。先にいくつか挙げましたが、道具と材料はほかにもいろいろなものが用意されています。道具ならシャベルにのこぎり、金づち、バケツ、ほうき、ネコ車など。材料なら材木にロープ、ご近所から頂いてきたさまざまないらないもの……(笑)。近隣の人や、利用する子どもの保護者に内装業者、解体業者、工務店の人などがいると、「どうせ捨ててしまうものだから」と、いろいろな廃材を譲っていただけることもあります。つまり、プレーパークでは、利用者が訪れるたびに利用できるものが変わっていくわけです。プレーパークのつくり手側であるわたしたちは「未完成をデザインする」といいますが、プレーパークとはいつまでも完成することがない場所といえます。そこが子どもたちにとってはたまらなく面白い。子どもは遊びが好きだといっても、完全にお膳立てされた場所で「はい、どうぞ」といわれて遊んだところで、面白さは限られてしまいます。子どもたちが最大限に面白がれるように、いろいろな可能性や隙間をあえて残しておく――。それが、プレーパークの目指している遊び場づくりです。いまの子どもは自由に試行錯誤する機会を失いつつあるそんな遊び場にいる「プレーリーダー」の存在も、公園と比較した場合のプレーパークの特徴といえるでしょう。ただ、親はもちろん、プレーリーダーも含めて大人がいるということは、ある意味で危険をはらんでいるとも思っています。というのも、子どもの遊び方次第では、大人はどうしても止めたくなったり教えたくなったり誘導したくなったりするからです。そんな大人が増えてしまっていることが原因なのか、いまは、子どもが本当に自由に試行錯誤するという機会が徐々に失われてきているように感じます。そういう背景もあって、プレーパークも含めて、わたしが子どもの遊び場づくりにかかわることで目指しているのは、すべての子どもが子ども時代に自分の人生を手づくりできる機会をきちんと持てるようにすることだと思っています。そして、できれば親御さんたちにもそのマインドを理解してほしいですね。子どもというのは、親がいちいち教えて導いてあげなければなにもできないという存在ではありません。子どもは子どもなりに「こうしたい!」という気持ちを持っています。その気持ちに素直に従って自分らしく夢中になって遊ぶ子どもを、親は見守る存在であってほしいのです。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:「本当に自由に」試行錯誤する機会を子どもたちに――“本気の遊び場”プレーパーク第2回:危険にも種類がある。挑戦が達成感に変わる「リスク」と「ハザード」はどう違うのか?※近日公開第3回:火を使う、泥だらけになる、びしょ濡れになる。子どもたちの自由な発想と独創的な遊び方※近日公開第4回:やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てる※近日公開【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年08月19日小さな子どもにケガや失敗はつきものだとわかってはいても、つい危険から遠ざけてしまうのが親心。わが子を大切に思うほど、「ほら、危ないから高いところに登っちゃダメ!」「そんなことしたらケガするよ!」と、口を酸っぱくして言ってしまいますよね。でも、安全な場所にずっといるわけにはいきません。子どもはいずれ大きくなり、やがて自分の力で困難や危険を乗り越えなければならないのです。今回は、「子どものうちに体験しておきたい危険なこと」について考えていきましょう。危険を排除した環境で子どもはどう育つ?TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さんによると、幼いうちから「小さな危険」を伴う遊びをきちんと体験することが重要だといいます。子どもをどんどん危険から遠ざける昨今の傾向をふまえて、危ないものはすべて排除するような環境で育つ子どもの将来を危惧している嶋村さんは、次のように述べています。そんな環境で育った子どもは、チャレンジできないまま体だけが成長し、本当の危険や恐怖を実体験のなかで得ることができない。そうなると、自分の痛みを知らないばかりか、他人の痛みにも共感することができないのです。それは、子ども自身はもちろん、その周囲の人間にとっても危険なことでもあります。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?)高さの感覚は5歳までに80%が育つといいます。もし幼少時に高いところに登らせてもらえずに、「高いところはこわい」という感覚をもてないまま中高生になったとしたら、悪ふざけのつもりで命が危険にさらされるようなことをやりかねないのです。小さいうちに危険を体感し、成長した後により大きな危険を招かないようにすることこそ、大人として子どもに教えてあげるべきなのではないでしょうか。子どもは、一番身近で大切な大人に見てもらって「すごいね!」と言われることによって、自信につながり自己肯定感を高めることができます。逆に失敗して落ち込んだり、怒られてしょげたりしているときも、その気持ちを受け止めてくれたという安心感が次なる力を生みます。たとえ失敗しても、立ち直って「また挑戦しよう」というチャレンジ精神が大事なのですね。子どもが体験するべき“危険なこと”とは?2007年、TEDで話題になった講演があります。それは「子どもがすべき危険なこと」についてです。この講演では、子どもたちに対する安全規制の行きすぎに言及し、「あえて危険なことをやらせて、安全な環境を自分でコントロールする術を学ばせるべき」という提案をしています。プレゼンターは、コンピューター科学者でティンカリング・スクール創設者でもあるゲイバー・タリー氏です。“ティンカリング” とは、楽しみながら機械をいじり、修理、改造、発明をするという意味。その教室では、自分の手でなにかを作ることの楽しさを子どもたちに教え続けています。タリー氏は講演の中で、アメリカで製造されたり販売したりしている製品につけられたすべてのビニール・フィルムに、『窒息注意』の警告が書かれていることを嘆き、安全ゾーンの範囲を狭めることで、身のまわりの世界との接し方を学ぶ貴重な機会から遠ざけていると危惧しているのです。もちろん、子どもたちを危険から守ることは必要です。(中略)しかし、それが過保護になってしまっては、子どもたちの危険に対する判断力が養われず、社会の責任が果たせません。私たちがするべきなのは、未知のもの(またはよくわからないもの)と、本当に危険なものとの区別をつけられるよう、子どもたちに学ばせることです。(引用元:ゲイバー・タリー 著/金井 哲夫 訳(2011),『子どもが体験するべき50の危険なこと』,オライリー・ジャパン.)タリー氏は、子どもに「力量」をつけさせることこそがもっとも重要だと述べます。ここでいう「力量」とは、“現実世界で困難な問題に遭遇したときに、うまく対処できる力” です。「力量」がない人は、簡単でわかりやすい対策が見つからないとすぐにあきらめてしまう傾向があり、最初の失敗でくじけてしまうことが多いそう。■力量が高い人の特徴・問題の前後関係を調べ、必要な道具と素材を探し、いくつかの対策を考えることができる。・障害を乗り越える力があり、失敗を教訓として役立てることができる。・物をいじくり回して仕掛けを探るくせがある。・よく質問をし、答えが得られないときは自分で答えを見つけようとする。・深くはなくても広範な知識を持っている。・自分に自信を持っている。このように、どんな状況でも何が起きても対処できることが自信につながるというわけです。その「力量」をつけるために、タリー氏は著書で『50の危険なこと』をするべきだと提唱しています。その中からいくつかご紹介しましょう。○高いところから落ちてみよう落ち方を習得することで、地面から受ける衝撃を上手に逃がすことができます。安全に飛び降りる方法を心得ておけば、高所でパニックに陥ることも少なくなるでしょう。○家電品を分解しよう魔法の箱のように思われている家電製品の中身がどうなっているか、知りたくない子どもはいません。不要になった電化製品を分解してみると、ひとつひとつの小さな部品にも役割があることがわかります。そしてどんなに複雑なものでも、その一部がわかれば最終的には全体を理解できるようになるはずです。○ナイフで削ろう道具を使いこなす技能を高めるには、“実行して結果を見る” という繰り返しの行動が重要です。力を入れすぎないこと、一度に厚く削ろうとしないこと、ナイフの刃が届くところに人がいないこと、必ず自分から向こうに向かって刃を動かすこと。これらの約束は必ず守らせましょう。○レシピ本に逆らおう新しいものを発明するためには、実験、テスト、改良という過程を踏む必要があります。自分だけのレシピを作り出すことで、台所がより身近な場所になるでしょう。好きな材料を集めて、混ぜ合わせたら美味しそうだと思う組み合わせを考えます。小麦粉やバター、卵、チョコレートなど、分量は自分で考えて、すべて混ぜたらオーブンで焼き上げます。子どもの自信は「刃物」と「火」によって育つ!?小さいうちは遠ざけがちな「刃物」と「火」。ただしこれらは生きていくために必要不可欠であり、早いうちから身につけておくことでさまざまなメリットをもたらします。食育・料理研究家の坂本廣子さんも、「刃物と火を扱えるようになれば、これほど子どもの自信につながる体験はない」といいます。どちらも事前にしっかりと注意点を確認し、約束を守ることを条件として使わせるようにしましょう。刃物をつかうとき子どもに言い聞かせること1.包丁の使い方を説明して、「守ってね」とお約束する2.子どもを信頼して包丁を渡す3.危なっかしくても手を出さずに見守ること親が子どもを信じて見守る姿勢を貫くことで、子どもは信頼してもらったと感じて期待を裏切りません。心配性の親御さんはつい柔らかいものばかりを切らせようとしがちですが、にんじんなどの固い野菜も切らせてみましょう。基本の「ネコの手」だけでなく、手の平で押し切るときには指先をピンと伸ばすことも教えられます。包丁の使い方に慣れたら、手の平の上で豆腐を切るのにもチャレンジしてみましょう。豆腐をそっと手の平の真ん中にのせて、包丁をまっすぐにおろし、刃が手に当たったらまっすぐ上げるのがポイントです。火を使うとき子どもに言い聞かせること1.火の扱い方を説明して、「守ってね」とお約束する2.つけ方の前に、消し方をおしえる3.やけどの手当ての仕方も教えておくまずは火の消し方から教えます。火を消して、確実に消えていることを確認してからつけ方を教えましょう。「熱くなっているところは触らないよ。もし触っちゃったらすぐに冷やせば大丈夫だからね」と安心させてから火をつけます。坂本先生は、「火や刃物を使えるようになれば子どもの自信につながります。安全を確保し、やり通すことができたという自信が子どもの達成感と自立心を育むのです」と述べています。「まだ早いかな?」「うちの子にはできないはず」と思い込むのではなく、わが子を信じてチャレンジさせてみましょう。***「ケガや火傷をさせないように」といつも注意深く見守り、ときには先回りして危険を排除することも、親の愛情のひとつです。しかし、子どもの自立心や自己肯定感を育てるには、成功体験をベースにした自信が必要不可欠。私たち大人が思っているよりも、意外と子どもたちは感覚的に危険への対処法を知っているものですよ。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?Study Hacker こどもまなび☆ラボ|中高生では遅い。子どもが体験すべき「小さな危険」と「小さないたずら」YouTube|TED|ゲイバー・タリー「子どもにさせるべき5つの危険なこと」ゲイバー・タリー 著/金井 哲夫 訳(2011),『子どもが体験するべき50の危険なこと』,オライリー・ジャパン.『できる子になる!0歳からのお手伝い』クーヨンBOOKS12,2015年6月,クレヨンハウス.
2019年08月02日「遊び」というと大人にとっては悪いこととも思われるものですが、子どもを健やかに育てるためにはとても重要なもの。そして、子どもがしっかり遊べるように、遊びを大事にする大人を増やそうと活動しているのが、2010年に設立された「一般社団法人TOKYO PLAY」。その代表理事・嶋村仁志さんは、当然ながら「遊びの達人」。子どものときにどんな遊びを経験しておくべきなのか、その遊びへの親の関わり方も含めて教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)冒頭写真提供:嶋村仁志子どもを遊び場の「つくり手」にしてあげる遊びが子どもにもたらす効果を最大限に引き出すために、どういう遊びをさせればいいかということも親御さんたちは気になるところでしょう。でも、そもそも遊びは子どもが主体的におこなうものです。であれば、子ども自身の発想や想像力に委ね、自由にやらせるべきものです。つまり、「どういう遊びをさせればいいか」というのは、ちょっとナンセンスな疑問とも言えるかもしれません。ですが、大人がちょっとしたきっかけを与えることはできます。子どもが楽しく感じる、ドキドキする要素というものがあるのです。家庭では難しいものですが、例を挙げましょう。わたしも関わっている川崎市子ども夢パークの滑り台は38度という角度にしています。これは一般的な滑り台に比べて、ちょっと急な角度です。わたしの考えでは、滑り台にはドラマを生む角度というものがあるんです(笑)。その角度は、登れなくはないけど、普通に登ろうとしても簡単には登れない角度。失敗した子どもは、今度は後ろのほうから助走して挑戦する。あるいは、滑り台の上にいる子どもに引っ張り上げてもらおうとする。そういう角度が子どもにとって面白い。しかも、川崎市子ども夢パークの場合は、「つくるプロセス」も子どもたちと一緒に進めました。遊具をつくる作業をしていると、近所の子どもたちが「なにやってるの?」と見に来ます。「一緒にやろうか!」と、子どもたちと手づくりしました。そういう過程を経ていますから、子どもたちはただのサービスの受け手ではなく、遊び場自体のつくり手でもあるわけです。そんな遊び場が、子どもたちにとって面白くないわけがないですよね。こんな大掛かりなものではなくても、子どもと一緒に遊び場をつくってみればいい。そういうことなら、家庭でもできるものかもしれません。写真提供:嶋村仁志子どもが体験すべき「小さな危険」と「小さないたずら」また、「どういう遊びをさせればいいか」ということなら、幼いうちから「小さな危険」を伴う遊びをきちんと体験しておくことも大切。なぜなら、そうすることで実感を持って危険を知り、成長した後により大きな危険を招かないようになるからです(インタビュー第2回参照)。わたしが代表理事を務めるTOKYO PLAYでは、一般の人たちへのアンケートで「10歳までに経験しておきたい危険なこと」を集めました。栄えある第1位は「高いところ」。木登りや塀昇り、階段からジャンプといったことですね。それから、アイロンやライターを使う、たき火といった「火を使う」こと。また、包丁やナイフを使う、鉛筆を削るといった「刃物を使う」ということもランクインしました。わたしの子どもも、2歳のときに包丁で手を切ってしまったことがあります。2歳児に刃物を使わせるというと、「早過ぎるのでは?」と思う人もいるでしょう。でも、早いからいい。2歳児なら、2歳児の力なりの怪我しかしないのです。これが、中高生になって大人同様の力を持ってからはじめて刃物を使ったとしたら……それこそ危険ではありませんか。また、小さな危険の体験と通じるものとして、「小さないたずら」も経験しておいてほしい。大人としては大手を振っておすすめするわけにもいきませんが、いわゆるピンポンダッシュのようなものです(苦笑)。そういったいたずらに対し、他人がどう反応するのか。面白いと思うのか、あるいは怒られるのか……。その反応を感じるなかで、子どもは「しゃれでは済まされないこと」を体感的に知るようになる。いってみれば、一度は振り切ったいたずらをやってめちゃくちゃに怒られるという経験をしたほうがいいのです。それを5歳でやるか、中高生になってやるかで社会へ与える影響も、自分が受ける罰もちがってきます。幼い頃に「しゃれでは済まされないこと」を知った人間ならば、いたずらと称して誰もが眉をひそめるようなことをやったうえ、それを得意げにSNSにアップして非難されるようなことにはならないのです。子どもの興味関心の「ツボ」を感じるその他、子どもが体験しておくべきこととして、自分が「やりたい」「好きだ」と思うことをいちばん身近な大人に受け止めてもらう体験というものもある。つまりこれは、大人側が取る姿勢が重要ということになります。子どもって、「見て見て!」とよく言いますよね。それをいちばん身近で大切な大人に見てもらって「すごいね!」なんて言われることが、どれだけその子の力になるか。間違いなく、その子は自分に自信を持ち、自己肯定感を高めることができます。逆になにかに失敗して落ち込んだり、怒られてしょげてしまったりしているときも同様です。その気持ちを受け止めてもらうことで感じる安心感が、次なる力を生んでいく。立ち直り、「また挑戦しよう」という気持ちにさせてくれるのです。そういう意味では、遊びは子どもが主体的におこなうものとはいえ、子どもの遊びへの大人の関わり方はとても重要なものということになる。親御さんは、第一に、子どもが「なにをしたいのか」ということに気づくことが重要です。子どもには、それぞれに興味関心の「ツボ」があります。普通は親が子どもをどう育てるかというふうに考えるものですが、子どもは子どもなりに「自分がどう育ちたいか」ということがわかっているのです。そういったことが、子どもの遊びのなかに見えてくる。目の前のものでなにをしたいか、どうしたいのかというところに表現されるのです。たとえば、長靴をはいて水たまりでバチャバチャと延々と遊んでいる子どもがいたとしましょう。その子は、自分の行動によって目の前のものが変化することに面白さを感じています。もしかしたらその行動は、自分の手で目の前のものを変化させて作品をつくり出すアートといった方向への興味関心の表れなのかもしれません。そういう目線を持って、世間でいいとされている教育を闇雲に与えるのではなく、その子のツボの延長線上にあるものを用意してあげれば、子どもの世界が一気に広がることもあるでしょう。子どものツボを感じられるようになれば、子育てがもっともっと楽しくなってくるはずです。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由第2回:大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?第3回:子どもの工作が“失敗作”でも、親はアドバイスしてはいけない第4回:中高生では遅い。子どもが体験すべき「小さな危険」と「小さないたずら」【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年01月15日「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトに、2010年に設立された「一般社団法人TOKYO PLAY」。その代表理事・嶋村仁志さんは、子どもが子どもらしく遊び、心身ともに健全に成長できるようにと、遊びを大事にする大人を増やそうと奮闘しています。そんな嶋村さんは、遊びが子どもにもたらしてくれるもっとも重要なものは、「自主性と安心感」だと語りますが、それを得る機会を奪われている子どもも少なくないのだそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)冒頭写真提供:嶋村仁志遊びで子どもが得るのは「自主性」と「安心感」遊びのなかで子どもが得られるものとしては、まず「体力」が挙げられるでしょう。最近は、体力は「行動体力」と「防衛体力」にわけて考えられています。行動体力とは、行動を「起こす」筋力などの能力、行動を「持続する」持久力や柔軟性などの能力、行動を「調整する」素早さや器用さ、バランス感覚などの能力のことです。一方、防衛体力は、寒さや暑さ、振動、化学物質など「物理化学的ストレス」に対する抵抗力、細菌など「生物的ストレス」に対する抵抗力、空腹や口の渇き、疲労といった「生理的ストレス」に対する抵抗力、不快、苦痛、恐怖など「精神的ストレス」に対する抵抗力が挙げられます。これらが強くなれば、当然、子どもは健康に育つと期待できます。とはいえ、わたし自身は、遊びが子どもにもたらすものとして、なにより「自主性」と「安心感」が重要だと思っています。遊びとは、自分がやりたいと思うことを主体的にやること。やりたくないことは絶対にやらなくてもいい。遊びとは、そういう「自主性」の塊なのです。でも、いまの子どもは自主的に遊ぶ権利を奪われつつあると見ています。幼い子どもでも、毎日がスケジュール漬けになっていることも少なくないですよね。何時に起きて保育園に行き、午前はなにをしてお昼ご飯を食べて、お昼寝をして迎えに来てもらってあれこれ習い事をして、家に帰ったらご飯を食べてお風呂に入って歯を磨いて……。やることもやる時間も決まっています。そういう生活のなかで、子ども自身が「いま」を決めている時間ってどれくらいあるのでしょうか?本来、それは遊びの時間として残されていた部分です。そういう時間を積み重ねて大人になれば、たとえお金持ちにはならなかったとしても、本人が面白そうだと思ったことは積極的にやるし、ひとりでやるのは難しいことなら遊びのなかで培った力によって他人を頼って協力することもできる。それこそ、自ら考えて行動できる「21世紀型」といえる人間になれるのではないでしょうか。「面白そうだからやってみる」というマインドが人生を豊かにする他人と比較されない、他人に評価されない、自分で決めて、失敗も含めて「自分で自分の人生を手づくりできる時間」が生活のなかで確保されている。その「安心感」が、チャレンジ精神にあふれ、適応力や柔軟性や発想力を備えた人間に子どもを育ててくれます。遊びというものは、じつはここでいう「安心感」を得るためにあるものだと思っています。ところが、いまの子どもの多くは自分自身でやることを決められず、大人の誰かが決めた基準で比較、評価され続けられています。すると、子どもはその基準に自分が見合っているか、他人に劣っていないかと気になり成果ベースでものごとを考えるようになる。そうなると、本当なら持っているはずの力を十分に発揮できません。できることはやるけれど、できないかもしれないことはやらないという選択肢をチョイスするようになるからです。それでは、将来社会に出て仕事をするにも、ちょっと問題がありますよね。できないかもしれないけれど、やっていくなかでなんとかする。そういうことも仕事には必要な力です。仕事に限らず、やってみたことはないけれど面白そうだからやってみようというマインドを持っているほうが、きっと豊かで楽しい人生を送れるはずです。失敗する経験を奪われつつある子どもたち大人って、つい子どもに口を出してしまうものですよね。でも、それではよくない。子どもの自主性を尊重し、大人が口をつぐむ。まずはそこからはじめてはどうでしょうか。わたしがあるプレーパークで見た子どもたちは、ベンチを一生懸命につくっていました。使っていたのは薄っぺらの廃材だし、足は細くて長さもバラバラで心もとない。それでも、子どもは「完成した!」と、平気で座るわけです。どうなるかはわかりますよね?当然、グラグラと揺れるし、すぐに壊れてしまいそうになる。でも、それでいいんですよ。子どもたちにとってのドラマと学びはそこにあるわけですから。ところが、大人によっては「ここに筋交いを入れよう」なんてアドバイスをする、さらには「貸してみろ」なんて道具を取り上げてしまうような人もいます。また、プレーパークとちがって、すでに立派な工作キットが用意されている「ベンチをつくろう」というような体験プログラムの場合は、ただ説明書のとおりにつくらされるだけ。絶対に失敗しない代わりに、子どもには面白くもないし、なにももたらしてはくれません。いまは、一度の失敗もなく最短の時間で「体験」できるパッケージ化された商品があふれています。子どもが思ったとおりにやって、失敗する経験を手に入れる機会が本当に少ないのです。この時代に生きる大人の役割は、そのような機会を子どもに保障してあげることなのではないでしょうか。失敗も含めた「偶発的な学び」を得る機会を大切にしてあげてください。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由第2回:大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?第3回:子どもの工作が“失敗作”でも、親はアドバイスしてはいけない第4回:中高生では遅い。子どもが体験すべき「小さな危険」と「小さないたずら」(※近日公開)【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年01月14日都会では子どもたちの遊ぶ場がどんどん減っているなか、さまざまな「遊び」をしかけている人たちがいます。それが、2010年に設立された「一般社団法人TOKYO PLAY」。活動の主な目的は、子どものために遊びを大事にする大人を増やすこと。お話を伺った代表理事・嶋村仁志さんは「プレーパーク」のエキスパートでもあります。プレーパークで遊ぶことが、子どもにどんな影響を与えるのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)冒頭写真提供:嶋村仁志モットーは「自分の責任で自由に遊ぶ」デンマークで生まれ、イギリスで発展した冒険遊び場(インタビュー第1回参照)は、日本でも「プレーパーク」という名称で徐々に広がりつつあります。公園の一角や河川敷、里山など私有地を使わせてもらって不定期で設置する、あるいは月に1回、年に数回といった具合に定期的に設置するものについてはだいたい400カ所くらい。常設のものは20〜30カ所といったところでしょうか。国内初の常設プレーパークが、東京・世田谷の羽根木プレーパークです。開園は1979年。そこで、プレーパークについての重要な考え方が根づくきっかけとなった出来事が起こりました。開園間もない羽根木プレーパークで子どもが怪我をしてしまった。運営者と地域住民の話し合いのなか、ルールをきちんと看板にして掲げようという話になりました。当初は「自由に遊ぶ」ということだけを掲げるという案もありました。でも、本当に自由に遊ばせるためには、大人から子どもに「責任」を返してあげないとならないのです。大人の世界でもそうですが、なにかにチャレンジするというときに「失敗したら責任は誰が取るの?」なんて言われたら、それは「チャレンジするな」と言われていることとほとんど同じですよね。そうなると、チャレンジしたい、「やってみたい」という気持ちが奪われてしまうのです。であるなら、子どもに責任を返していこうという表現をした方がいい。そういう経緯があり、「自分の責任で自由に遊ぶ」という看板を掲げました。これこそ、プレーパークのモットーです。自由な遊びで「責任」を学んだ子どもたち「責任」についての話をもう少ししましょう。あるプレーパークによく遊びに来ていた小学生の兄弟が泥だらけになって帰ったときのこと。お母さんが帰宅したら、ふたりで仲良くお風呂に入っていたのだそう。しかも、洗濯機には脱いだ服がちゃんと入っている。いつもはお風呂にはなかなか入らないし、服は脱ぎっぱなし。でも、このときはちがった。兄弟は、泥だらけになって服を汚してしまったことに対して、小学生なりに「責任」を感じたようだということを、次の日になってお母さんが教えに来てくれたことがあります。別のプレーパークでは、ちょっとした怪我をした子どもがいた。「念のため、おうちの人に連絡しようか?」と聞くと、「嫌だ」と言う。これはよくあるパターンなんです。怒られたくないとか、「もうプレーパークに行っては駄目」と言われるかもしれないとか、子どもはそう思うんですね。でも、あまりにも頑なに拒絶するので、その子に理由を聞くと、「僕がやりたいことをやって怪我をしたのに、プレーパークの人に謝らせたくない」と言うではありませんか。ちょっとびっくりしましたね(笑)。自分のやったことを人のせいにせず自分で責任を持つというのは、あたりまえですが、大人になったときにすごく大事な価値観ですよね。でも、それは誰かに言われてできるようになるものではありません。遊びを通じて実際に泥んこになったり、怪我をしたりするなかで、実感として感じることで「責任」がどういうものかを学ぶわけです。遊びは、体力や発想力、想像力といったものを育てるものでもありますが、もっと「心の奥行き」みたいな部分を深めるものなのだと思います。写真提供:嶋村仁志子どもと一緒にリスクを考えるもちろん、「子どもに責任を返す」とはいえ、本当の危険は取り除いてあげないといけません。そこでわたしたちは「リスクとハザード」という考え方を基本にしています。リスクは、挑戦につきものの危険です。株投資はリスクを伴うものですが、そのリターンはお金ですよね。子どもの遊びの場合、リターンは達成感や友だちと協力した思い出などになるでしょう。それらは大いに味わわせてあげなければなりませんが、一方でハザードという危険もある。これは、子どもの目には見えない隠れた危険、子どもが自ら選びようがない危険のこと。たとえば、子どもがいかにも走り込みそうな場所にある柱から飛び出ている釘などです。そういったものは、大人がきちんと排除しなければなりません。また、「リスク・ベネフィット・アセスメント」という考え方もあります。リスクに対してベネフィットとは「利益、効果」といった意味。いわゆるデメリットとメリットと考えてもらったほうがわかりやすいかもしれませんね。いま、目の前で子どもがある遊びに挑戦しようとしている。それに伴うリスクはどれくらいのものなのか、どんな工夫をすればどれだけ減らせるのか。そして、子ども自身がどれだけ「やりたい」と思っているのか、やったことでどんなものを得られるのか。それらを総合的に判断し、子どもにチャレンジさせるかどうかを決めるのです。もし、本当にやめたほうがいいものであれば、子どもと話をしながら「今回はあきらめよう」と伝える。ある程度の年齢になれば、子どもでもしっかり話せばわかってくれるものです。本人抜きで大人が一方的に判断するのはやっぱり良くありません。写真提供:嶋村仁志遊びを大事にする大人を増やさなければならない子どもにとっての危険という点では、いまは高まっている時代だと感じますね。それは、危険な場所が増えたというような外因的なものではありません。あるプレーパークで出会った子どもなのですが、段ボール箱に入って、なんと7、8メートルもある急斜面の崖から滑ろうとしていたのです。なぜそんなことをするかといえば、もっと小さい頃から、より軽い危険を伴う経験を積み重ねていないからなんですね。いわゆる「恐怖心」が育っていないのです。高さの感覚は5歳までに80%が育つのだそうです。公園に登り棒などの遊具があるのも、高さという感覚、高いことが怖いという感覚を育てるためです。でも、そういう感覚を持てないまま中高生になったとしたらどうでしょう?幼い子どもより力があるだけに、悪ふざけのつもりで命が危険にさらされるようなことをやりかねません。ところが、いまは子どもからどんどん危険を遠ざける傾向にありますよね。放課後児童クラブなどの子どもを預かる場では、とにかく危なそうなものはすべて「なし!」。「ジャングルジムは2段目まで」「ブランコの立ちこぎは2年生から」といったルールがいくつもある。これは、雇用の問題も関係しています。職員は嘱託社員やパートなど雇用形態がバラバラですから、子ども教育に対するモチベーションもバラバラ。結果、親御さんからクレームを恐れて、少しでもリスクがあれば「やめておきましょう」ということになってしまうのです。そんな環境で育った子どもは、チャレンジできないまま体だけが成長し、本当の危険や恐怖を実体験のなかで得ることができない。そうなると、自分の痛みを知らないばかりか、他人の痛みにも共感することができないのです。それは、子ども自身はもちろん、その周囲の人間にとっても危険なことでもあります。子どもたちだけでしっかり遊べる世のなかであれば、わたしたちのような大人は必要ありません。ただ、これだけ子どもが遊べない社会になると、遊ぶことを大事にできる大人を増やさなければなりませんね。そして、大人たちには、遊んでいる子どもの表情にぜひしっかり注目する目線を持ってほしい。子どもはなにか面白いものを見つけると、口を開けたまま顔が固まります。これが最大の関心を示している表情なのです。この表情こそ、挑戦したい気持ち、失敗してもへこたれない気持ち、発想力、集中力といった、遊びをとおして得られるものの原点です。その芽生えを見逃してしまうのは、親としてすごくもったいないことですよ。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由第2回:大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?第3回:子どもの工作が“失敗作”でも、親はアドバイスしてはいけない(※近日公開)第4回:中高生では遅い。子どもが体験すべき「小さな危険」と「小さないたずら」(※近日公開)【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年01月13日2010年に設立された「一般社団法人TOKYO PLAY」。「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトに、東京でさまざまな「遊び」を仕掛けています。今回取材を受けてくださった代表理事・嶋村仁志さんは「プレーパーク」のエキスパート。TOKYO PLAYの活動、そして、「プレーパーク」とはどんなものなのかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)主な活動は「遊ぶことの大切さ」を伝える啓発「TOKYO PLAY」は、もともとわたしが2007年に立ちあげた「子どもの遊びと大人の役割研究会」というものがベースとなっています。それを発展解消させるかたちで、2010年に設立しました。主な活動は、「遊ぶことの大切さ」を伝えていく啓発にあります。いま、いちばん力を入れているものが、都内のあちこちで仕掛けている「とうきょうご近所みちあそびプロジェクト」。地元地域に暮らす人たちが町会や商店街と協力し、使用許可を取った道路で多世代の人が楽しみ、交流する場所をつくることを支援するというものです。普段ならお互いにすれちがうだけの関係の人たちが、「遊ぶ」というキーワードによって交流する。近所の子どもたちの育ちの場、世代を超えた交流の場にしたいと考えています。ただこれは、むかしであればどの地域でもあたりまえにできていたことかもしれません。でも、いまはなかなか難しい。車の交通量は増え、社会の少子高齢化が進むなかで静かに暮らしたい人たちも増えています。その結果、住民同士のコミュニケーションは、都会に限らず、田舎でもなくなりつつあります。そうした傾向が影響しているせいもあるのか、子どもが道で危ないことやご近所に迷惑がかかることをしているのをそばで見ているにもかかわらず、注意できない親や、夜中まで家の前でバーベキューをして、注意されても「え?なにが悪いの?」といわゆる逆ギレするような人もいます。「将来の大人」をきちんと育てなければならないこういう人たちは、「道路族」として呼ばれることもあるようですが、その背景として、子どもの頃に近所の人にかわいがられたり、逆に迷惑をかけて怒られたりしたような、ご近所の他人とのコミュニケーション経験がないまま大人になってしまったのかもしれません。本来、家のすぐ近くの環境というのは学びの宝庫でした。そこで遊んでかわいがられたり怒られたりして学んだ経験があり、近所に断りを入れる、気を使うといったあたりまえのことができれば、本来はこんな問題は起きませんよね。せっかくいい大学、いい会社に入ったにもかかわらず、近所の人たちと必要最低限のやり取りもできないような大人を再生産しないためにも、家のすぐ近くの環境の使い方を見直さないといけない時代になってきているのです。わたしたちのプロジェクトが公園ではなくご近所の道に着目していることには、そうした理由があります。そういう意味では、「将来の大人」をきちんと育てなければならないということになる。2060年の日本では、子どもと大人の数の割合が1対9.96になるという試算があります。ひとりの子どもを約10人の大人たちがどんな目線で見るのか、それが重要です。子どものことを、邪魔なものであったり「自分には関係ない」と思ったり、あるいは子ども教育の専門家などが自分のサービスの「お客」として見る。そういうものばかりだとしたら、その社会では子どもをきちんと育てることができないのではないでしょうか。そうではない、ご近所できちんと子どもを育てられる環境を確保したいのです。デンマーク発祥の「冒険遊び場」わたしが子どもにとっての遊びの役割に興味を持ったのは、「冒険遊び場」との出会いがきっかけでした。冒険遊び場が生まれたのはまだ第二次世界大戦中だった1940年代のデンマーク。コペンハーゲン郊外で住宅地を造成しているなか、新しい公園をつくることになった。その都市計画に関わっていたソーレンセン氏は、大風の日に倒れた木に子どもたちが群がって遊んでいる姿を見たことがありました。また、廃材置き場にも面白さを見出していたそう。その構想を生かして生まれた新しい公園が、「廃材遊び場(Junk Playground)」です。そして、第二次世界大戦が終わったイギリスのロンドンでは、がれきのなかで子どもたちが遊んでいました。「大人よりも早く子どもたちはがれきのなかで復興をはじめている」と言われるなか、今度はイギリスの都市計画家、アレン・オブ・ハートウッド氏がデンマークの廃材遊び場を見て、「これだ!」と思ったのだそうです。ただ、そのままの名称ではイメージがあまり良くない。そこで、当時、子ども教育に熱心だったイギリス王室関係者が「いま、子どもたちが必要としているのは『冒険』だ」として、「冒険遊び場(Adventure Playground)」と名前を変えてイギリスに広まることになりました。現在、イギリスでは250カ所くらい、ドイツでは400カ所くらいの冒険遊び場があります。これが、日本では「プレーパーク」という名称でも広まっているのです。写真提供:嶋村仁志子どもの発想と想像力によって変化する遊び場プレーパークは、一般的な公園とはまったくちがうものです。大人が完成品として用意した遊び方も決まっている遊具やプログラムのようなものはありません。あるのはいわゆるネコ車やのこぎり、金づち、シャベルといった道具に木、土、水、火など、それからさまざまなガラクタです。それを、子どもたちが「やってみたい」と思ったふうに使って遊ぶ。大人が遊び方を指示するなんてことはありません。子どもの発想と想像力によってつねに変化していく遊び場というわけです。もちろん、置かれているガラクタもつねに変わっていきます。たとえば、ある日突然、古タイヤが置かれるといった具合です。写真提供:嶋村仁志先日わたしが視察したロンドンの冒険遊び場では、ロンドンオリンピックのときに公園で使われ、廃棄予定だった大きな滑り台が設置されていましたね。こういうふうに、海外ではけっこう大規模なものもあります。ドイツには、プレーパークで働くプレイワーカーの指導を受ければ、子どもたちだけで高さ4メートルまでの建物をつくってもいいというルールがあるところも。中高生くらいになると、自分たちでスケボー用のランプをつくったという例もありますよ。写真提供:嶋村仁志当然、危険はつきものです。ただ、子どもたちは小さなけがから学ぶことも多い。ですから、危険をどう判断するかが重要です。冒険遊び場では、子どもの目が届かないような本当の意味での危険は排除し、大事故につながらないための介入はします。でも、チャレンジという意味での危険は残すことを大切にしています。なぜなら、それらは子どもたちの「心の冒険」だからです。生活のなかでドキドキ、ワクワクすることが、子どもにとってなによりも大きな学びになるのです。『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50 子どもの力になるプレイワーク実践』嶋村仁志 他 著/学文社(2017)■ TOKYO PLAY代表理事・嶋村仁志さん インタビュー一覧第1回:遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由第2回:大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?(※近日公開)第3回:子どもの工作が“失敗作”でも、親はアドバイスしてはいけない(※近日公開)第4回:中高生では遅い。子どもが体験すべき「小さな危険」と「小さないたずら」(※近日公開)【プロフィール】嶋村仁志(しまむら・ひとし)1968年8月6日生まれ、東京都出身。子ども時代は野球と自転車と缶けりざんまいの日々を送る。英国・リーズ・メトロポリタン大学社会健康学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年に羽根木プレーパークの常駐プレーリーダー職に就いて以降、プレイワーカーとして川崎市子ども夢パーク、プレーパークむさしのなど各地の冒険遊び場のスタッフを歴任。その後フリーランスとなり、国内外の冒険遊び場づくりをサポートしながら、研修や講演会をおこなう。2010年、「すべての子どもが豊かに遊べる東京」をコンセプトにTOKYO PLAYを設立。2005年から2011年までIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア・太平洋地域副代表を務め、現在はTOKYO PLAY代表理事、日本冒険遊び場づくり協会理事、大妻女子大学非常勤講師。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年01月12日ミス東スポ2018のグランプリに選ばれた中野聖子、嶋村瞳、奥川チカリ(左から)今年で7回目を迎える東京スポーツ主催のミスコン「ミス東スポ2018」。今年の7月から28人の候補者が参加したサバイバル予選ステージで女たちの熱いバトルが繰り広げられてきたが、この日のイベントではグランプリや準グランプリ、特別賞が発表された。グランプリの1位に名前を呼ばれたのは、"松浦ほよよ"の芸名でものまねタレントとしても活躍している嶋村瞳。芸能活動は5歳から子役として活躍し、現在はものまねタレントのほか、グラビアアイドルやタレントとしても活動している。「グランプリを獲る自信はあったんですが、まさか1位だとは思いませんでした。だからステージで発表された時は真っ白になりました。今まで1位になれなかったので、最後の最後で1位となり、ファンの皆さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びの言葉。今後の目標としては「誰もが知ってくれるような有名なタレントになりたいです」と語り、好きなタイプを「見た目は気にしませんが、ドSな方がいいです。縛られて拘束されたいですね。DVDは5枚出しているんですが、最後の5枚目はSっ気でいこうと思ったら、やっていく内に困り顔になって結局Mになっちゃいました(笑)」と思わぬ暴露に会場を驚かせた。グランプリの2位となったのは、2016年ミスヤングチャンピオン、ミスビジュアルウェブS2017に続き、3度目のミスコン挑戦で初めてグランプリを獲得した奥川チカリ。「オーディションは3度目で自信はあったんですが、途中で上手くいかないこともありました。絶対にグランプリになるという諦めないという気持ちで最後まで行けたのが良かったと思います。ファンの方はもちろん、たくさんの方々に支えられてここまで来れたと思っています」と感謝しきりで、「今後はグラビアもやっていきたいので、吉木りささんのようなバラエティーもこなせてコメント力や愛嬌のあるタレントさんになりたいと思います」と目を輝かせていた。また、グランプリ3位には、アイドルグループ「片目惚れ-hitomebore-」の中野聖子が獲得。「今日はお母さんの誕生日なので、グランプリの発表が25日だったのも導かれるものがあったのかなと思います。お母さんに最高のプレゼントが贈れますね」と笑顔を見せ、「私はスタイルが良い訳でもありませんが、演技力には誰にも負けない自信があります。将来的には女優を目指したいです」と意気込んでいた。
2017年12月26日日本HPは1月5日、2015年1月1日付で、代表取締役 社長執行役員 エンタープライズグループ事業統括に吉田仁志(よしだ ひとし)氏が就任したと発表した。同社では、小出 伸一氏(現セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 CEO)が退任後、2014年4月より、米HP シニアバイスプレジデント エンタープライズグループ & マネージングディレクター アジアパシフィック&ジャパン担当のJim Merritt(ジム・メリット)氏が、日本HP 社長執行役員を兼任していた。吉田仁志氏は、2014年12月まで米SAS Institute副社長 兼 SAS Institute Japan 代表取締役社長を務めていた。なお、吉田氏の略歴は以下のとおり。1983年 伊藤忠グループ事業会社へ入社、伊藤忠商事を経て一貫して同社グループの日米両地域における情報産業分野での業務拡大に従事1995年 米ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズへ入社1997年 日本法人であるケンブリッジ・テクノロジーパートナーズ株式会社を開設し、代表取締役社長に就任2001年 ケンブリッジ・テクノロジーパートナーズ米本社と米ノベルが合併したことに伴い、ノベル株式会社代表取締役社長及び米ノベル社上級副社長を兼任2006年 SAS Institute Japan 株式会社代表取締役社長に就任。 2011年より2014年まで SAS Institute Inc.副社長 北アジア地域統括として、日本を含む韓国、中国、香港、台湾における事業責任者として経営に従事、SAS Institute Japan 代表取締役社長を兼務
2015年01月05日映画『25 NIJYUーGO』の先行上映舞台あいさつが先月31日、都内で行われ、キャストの哀川翔、寺島進、高岡早紀、小沢仁志、小沢和義、井上正大と鹿島勤監督が出席した。東映Vシネマ25周年記念作品の本作は、"Vシネの帝王"こと哀川翔主演のVシネマ。不良刑事コンビ、横領事件の容疑者、広域暴力団、ホステス、チャイナマフィア、殺し屋ら25人の悪党たちが、訳ありの現金25億円を巡るバトルを繰り広げる――というストーリーで、映画は全国公開中。主演の哀川は、Vシネマ25周年記念作品に、「25年経ったけどあっという間。Vシネマは、昔やっていたテーマが今でもできるから続いてるんだと思う」としみじみ語り、「自分たちがやってきた道筋を感じていただければ。メッセージが詰まってるから油断して泣かないように」と熱い想いをアピール。一方、劇中で哀川とコンビを組む寺島は、「来年3月に第2子の男の子が誕生します。25年経ってから、うちの息子が見て『お父さん、格好良い!』と思ってくれれば」とサプライズ発表するも、哀川に「もう死んでんじゃねーの?」と突っ込まれ、「死なないよ! まだまだやるよ!」と苦笑いしていた。また、舞台あいさつで寺島は、「最後のドンパチやっているところに、ゴジラがやってきてスタローンも出てくる」とアピールする小沢に、「そんな予算ねーよ!」と突っ込み、25歳だという井上にも、「Vシネマに俺がデビューした時にオギャーって産まれたの?ふざけんなよな」とこぼすなど、丁々発止のやりとりに会場は大爆笑。その様子に、にこやかな笑みを浮かべていた高岡は、「みんな怖いんですよね~。良い意味で面白く楽しかった」と初めてのVシネマ撮影を振り返り、「みなさんユニークでひょうきん。小沢(仁志)さんとか、見た目は怖いけど、中身は優しいおじさん」と暴露。続けて、鹿島監督も「基本的に顔は怖いけど、言うことは聞いてくれる人たち」と称していた。
2014年11月01日俳優の哀川翔、小沢仁志が21日、東京・秋葉原のアキバシアターで行われた、映画『エクスペンダブルズ3』の試写会イベントに、映画『25 NIJYU-GO』を引っ提げて登場した。11月1日に全国公開される『エクスペンダブルズ3』は、シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーら、豪華キャストが出演する米アクション作品。また、同日公開される『25 NIJYU-GO』には、東映Vシネマ25周年を記念して、哀川、小沢、寺島進、竹中直人らVシネマで活躍したキャスト陣が集結している。他作品のPRイベントに殴り込みをかけた哀川と小沢は、観客の驚きの声に迎えられ、小沢は、「観に来いよ、バカ野郎!」と凄みつつ、「"3"でしょ? 俺たちは"25"だから、数では勝ってる」と不敵な笑み。一方、「今回はかなり動いたし、みなさん楽しんで現場に来てた」と撮影を振り返った哀川は、米アクション俳優たちが揃った『エクスペンダブルズ』シリーズに、「50歳を超えてアクションに目覚めるのも大事かなと思った」と刺激を受けた様子だった。また、イベントには、"ソックリなんだブルズ"として、モノマネ芸人のスタスタローン、プチ・ブルース、カステラ一番が登場。「日米アクション全面抗争」と題したトークを行うも、“Vシネマの帝王”こと哀川と小沢の圧倒的な迫力に3人はタジタジ。最後は、哀川と小沢が発砲するという企画が実施されたが、「ミスったらノーギャラな」とプレッシャーをかけた小沢に躊躇なく撃たれたスタスタローンは、本気のビビりでリアクションが取れず、「修行が足りなかった……」と肩を落としていた。
2014年10月22日