『20代の君たちへ これだけはやっておきなさい』(川北義則著、KADOKAWA)というタイトルからもわかるとおり、本書のメインターゲットは20代のビジネスパーソンです。しかしその内容の多くは、20代だけではなく30代にも響くものではないかという気がします。ご存知の方も多いと思いますが、著者は『悪人のススメ』『遊びの品格』『大人の「男と女」のつきあい方』『半径3メートルの幸福論』など多くの著作を持つ人物。サラリーマンとして15年を経て独立した経験を軸に、ここでは人生設計についてのアドバイスを行っているわけです。第3章「20代の『学び』が人生を決める!」から、数字に関係する項目を引き出してみましょう。■数字の意味を把握して数字に強くなる!著者は社会に出たばかりのころ、先輩から数字に関するアドバイスを受けたことがあるのだそうです。それは、「数字はうろ覚えでもいい。だがケタは間違えるな」というもの。いろいろな人から忠告してもらったなか、「役に立った」という点において、このひとことは大きかったのだといいます。たとえばテレビのアナウンサーが、細かい数字を正確に末尾までおぼえていたとしたら、「すごい」と感心してしまうかもしれません。しかし現実的に、こういうことに大した価値はないのだと著者はいい切ります。具体的にいえば、「日経平均が『2万210円』と正確におぼえるよりも、「15年ぶり、2万円超え」と理解した方が役に立つという考え方です。「数字に強くなる」とは、数字そのものを正確におぼえることではなく、「数字がなにを伝えるか」を正確に把握できることが大切なのだということ。たとえば商売をしている人が、数字の意味を把握できていないためにケタで間違えたとしたら、大変なことになります。そしてもちろん、ビジネスパーソンでも同じことがいます。では、どうしたら数字に強くなれるのでしょうか?答えは勘案で、「基本数字」、つまりスタンダードをおぼえればいいのだと著者は記しています。■基本数字を覚えることで数字に強くなる例を挙げましょう。近年、外国人観光客が急増しており、2014年は1,341万人になったのだそうです。日本の人口比で見れば、1割に達する数字。とはいえ、これを「すごい」というのは単純すぎると著者はいいます。なぜなら、たとえばフランスへの観光客は8,300万人と、日本訪問客よりはるかに多いから。もちろん、先ごろのテロの影響が今後どのようなかたちで出てくるのかは定かではありません。が、少なくとも以前から、フランスは観光大国として認知されていたのです。では、日本への外国人観光客が増えたことに意味がないのかといえば、そうでもないのだとか。長い間、日本へ来る観光客は1千万人の大台を超えたことなかったというのがその理由です。ずっと800万人台で停滞していたというのですから、そういう意味では1千万人を超えたことは大きな出来事だったというわけです。「数字のどこに注目するか」が大切だということかもしれません。■ビジネス数字に関する2つのアドバイスこうしたことから、数字に関して著者が若い人たちにできるアドバイスは、「スタンダードを知れ」「ケタを間違えるな」の2つだとか。いまはなんでも、数字で説明することが多いはず。そんななか、数字を聞いて正しい判断ができる人は強いということ。なぜなら数字とは、事実の一面を可視化したものだから。だからこそ数字による判断が苦手な人は、これからのビジネス世界についていけないだろうと著者は予測しているわけです。ただし数字が万能かというと、必ずしもそうではないともいいます。よくいわれるように数字は嘘をつきませんが、スタンダードを知らなかったり、ケタを間違えたりすればいとも簡単に騙されてしまいます。しかし、数字で騙せるのは、ものを知らない人たちだけ。数字を正確に判断できる人の前では、どう取り繕っても嘘はつけないと著者。だからこそ重要なのは、「数字で嘘をつく者は、数字によって復讐される」という考え方。数字の怖さをきちんと理解し、数字をきちんと理解することがなにより大切だということです。*個性の強い作家ではあるので、その主張の強さに抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし先輩の言葉を冷静に受け止めることは、少なくとも無駄にはならないはずです。ビジネスパーソンとしての基礎体力を強化するという意味でも、素直な気持ちで読んでみる価値はありそうです。(文/書評家・印南敦史)【参考】※川北義則(2015)『20代の君たちへ これだけはやっておきなさい』KADOKAWA
2015年11月24日自分磨きに精を出している女性も多いと思いますが、その自分磨き、何のためにやっていますか?「自分が満足するため!」であれば、どんなことをしていても大丈夫です。でも「モテたい」「好きな人を振り向かせたい」という想いがあるのなら男性から「イイな」と思ってもらえる自分磨きをしなければ意味がありませんよね。そこで、川北義則さんによる『「できる女」を伸ばせる男伸ばせない男』より「男が思う、できる女の「自分磨き」の法則」についてご紹介します。■1.知識よりも知恵を身につける「「ムダな知識より、役に立つ知恵」本来「ムダな知識」というものは存在しないが、「役に立たせる知恵」のない人間が、知識をムダにしてしまうのである。これが持てるか持てないかは、人間力の問題だ。デキる女性とは、そんな知恵を持っている人のことをいう。」仕事に関することやモテテクなどの知識を増やしても、役に立たせることができなければそれはただのムダな知識で終わってしまいます。反対に、得た知識の使い方を知って活かすことができれば、少ない知識でも仕事でも恋愛でも活用することができます。「これを身に付けてどうやって活かすのか」というところまで考えてみましょう。■2.できないことはしない「いろいろな仕事を頼まれるというのは、ある程度のスキルは認められているということである。だが、結果が伴わないようなことになると、その人間に対する評価が下がってしまう。さらに、頼まれるまま安請け合いを続けると、仕事の質も下がってくる。そうなると、本人でなくてもいい、優先順位の低い仕事を押しつけられる「都合のいい人」になってしまうのだ。いくら忙しい思いをしても、本人が思っているほどプラスの評価は得られないということになる。若手の女性社員や新人が、そのわりを食いやすい。(中略)では、どうすればいいか。「断り上手になれ」である。ムゲに断れば角が立つが、だからといって、断ることを恐れる必要はない。」これは、恋愛でも同じことが言えます。料理が苦手なのに「頑張ってお弁当を作るね!」と言って、それを続けようと思うと大変ですよね。それよりは「料理は苦手なんだけど、デートプランを考えるのは得意!」というのであれば、毎回楽しいデートプランを提案する方が、自分も苦無く、相手にも喜んでもらうことができます。できないことは無理にしようとせずに、できることや得意なことを磨く方向で考えてみてはいかがでしょう。■3.モテる女性を観察する「もし、仕事の合間に人の様子をうかがう時間があるのなら、サボりのうまい上司などではなく、バリバリ仕事をこなしている先輩や同僚を観察することだ。(中略)クリミア戦争に従軍し、献身的な介護と衛生改革に取り組んだフローレンス・ナイチンゲールは、『看護覚え書』にこう書いている。「経験をもたらすのは、観察だけなのである。観察をしない女性が50年、あるいは60年病人のそばで過ごしたとしても、決して賢い人間にはならないであろう」」恋愛でも同様に、「経験をもたらすのは観察」と言えます。つまり、モテるためにはモテる女性を観察するのが一番。モテる女性には何かモテるなりの理由が存在するので、その理由を自分のものにするのが恋愛における自分磨きの必勝法と言えそうです。■4.「仕事はできる」ではなく「仕事もできる」「「デキる女」も、仕事がデキるだけでも困るのだ。「デキる」と称される女性のなかには、会って話をしたり、言動を観察していると、「本当なの?」と首をかしげざるを得ない女性がいる。(中略)本当にデキる人間は、仕事を進めるにあたって、自分のことだけを考えるようなことはしない。とくに女性には、視野の狭い人間にならないでほしい。」仕事がデキる女性はかっこイイものですが、「仕事『は』デキる」と言われるような女性には女性としての魅力は感じられず、「仕事『も』デキる女性」の方がモテ度で考えると断然上でしょう。両者の違いは、相手のことを考えて行動できるかどうかという点にあるようです。「仕事もデキる。加えて、人としても尊敬できる」そんな女性であれば男性も放っておかないですよね。■5.周囲に気を配る「女性の力とは何だろうか。(中略)相手を思いやる気配り、やさしいコミュニケーション力などがあげられるであろう。」男性にできず、女性にできる能力としてあげられているのが、「相手を思いやる気配り」です。例えば、忙しくて疲弊している先輩や、悩んでいる後輩に一言声をかける。もしくは、お菓子を少し差し入れしてみる。そういった、「相手を思いやる気配り」を自分磨きのひとつにできる女性こそ素晴らしい女性なのではないでしょうか。■おわりにこれらが男性が思う「できる女の自分磨き」のようです。「確かに・・・」と納得できる点が多いですよね。幸せな恋愛につなげるために自分磨きをしているのであれば、これらのことを意識してみてはいかがでしょう。参考図書:川北義則著『「できる女」を伸ばせる男伸ばせない男」KKロングセラーズ(栢原 陽子/ハウコレ)
2015年03月03日特撮怪獣映画『ゴジラVSビオランテ』(1989年)をはじめとした平成『ゴジラ』シリーズの特技監督で知られる川北紘一さんが5日、肝不全のため都内の病院で死去したことがわかった。72歳だった。川北さんが代表取締役を務めるドリーム・プラネット・ジャパンがFAXを通じて発表し、葬儀、告別式は近親者で営まれた。喪主は妻繁子さん。後日お別れの会が予定されている。川北さんは、東宝の特殊撮影係を経て、『ウルトラマン』シリーズで知られる円谷英二特技監督をはじめ、有川特技監督、中野特技監督に師事。1972年には、特撮TVドラマ『ウルトラマンA』で特撮を初演出している。そして、平成『ゴジラ』シリーズと呼ばれる『ゴジラVSビオランテ』(1989年)から『ゴジラVSデストロイア』(1995年)までの計6作品で特技監督を務め、現在のところゴジラ映画における"特技監督"の肩書をもつ最後の人物だった。(『ゴジラ 2000ミレニアム』以降は「特殊技術」というクレジットに変わる)。初代・特技監督の円谷英二氏に師事した川北さんは、怪獣映画の草創期を知る人物で、文字通り"特撮の生き字引"として活躍した。2003年には、株式会社ドリーム・プラネット・ジャパンを設立して代表取締役に就任し、平成『ゴジラ』シリーズのスタッフを集めて特撮TVドラマ『超星神グランセイザー』を制作。以降の「超星神シリーズ」、2006年に公開された特撮映画『超星艦隊セイザーX~戦え!星の戦士たち』の特撮演出を担当した。2013年には、大阪芸術大学の客員教授も務め、「映像美術論」という講座で学生に特撮を教えていた。川北さんは今年9月のインタビューにて「今はデジタルで何度でも撮り直しが利くし後で加工もできるから、学生は片っ端からバシャバシャ撮っちゃうんだよ(笑)。だけどそれじゃあ新しい映像作りというものは生まれない。そのために特撮の、やり直しがきかない緊張感というものを教えてるんだ。やっぱり特撮は現場で学ぶしかないからね。座学なんかじゃ何も学べないんだ」「彼らの中から1人でも次の映像作りを支える監督やスタッフが育ってくれればいいなあと思ってるんだけどね」と自身の特撮への想いを伝えていた。twitterでは、川北監督が特技監督を務め、1989年に公開された『ガンヘッド』にマット画の助っ人として参加した"怪獣絵師"で知られるイラストレーターの開田裕治氏、『超星神グランセイザー』の制作時に企画デザインを描いたというアニメーション監督、メカニックデザイナーのさとうけいいち氏、『ガンヘッド』や『ゴジラVSビオランテ』などで従事したアベユーイチ監督など、多く関係者や親交のあった人々から続々と追悼メッセージが寄せられている。
2014年12月11日