昨年に続き2021年シーズンもJリーグの頂点に立った川崎フロンターレの、脇坂泰斗選手と橘田健人選手にインタビューしました。男女問わず大人気のイケメンコンビ、その関係性と素顔を探ります。大人気!脇坂泰斗選手&橘田健人選手写真左から、橘田健人選手、脇坂泰斗選手。2021年シーズンは開幕から25連勝!その後も他クラブを寄せつけない驚異の強さで首位を独走し、見事Jリーグ2連覇を成し遂げた川崎フロンターレ。なかでも、実力はもちろん、甘いマスクでも多くのファンを虜にさせているイケメンコンビ、脇坂泰斗選手と、橘田健人選手のおふたりにお話をうかがいました。脇坂こんにちは。攻撃型ミッドフィールダーをやっています。得点だったり、アシストしたりすることが僕のストロングポイントです。橘田こんにちは。(ニコニコしながら)僕は、大卒でまだプロ1年目です。たくさん走ってボールを奪うことが得意です。ーー脇坂選手はananwebに2年ぶり、橘田選手は初めてのご登場です。脇坂前回、覚えていますよ~。あの頃の僕は、試合に出ることでとにかく必死で、自分の役割を明確に掴めていませんでした。今は多少の余裕が出て、試合に限らず、他の面でもいろいろ見渡すことができるようになったかもしれません。副キャプテンも任されて責任感が芽生えましたね。橘田泰君は攻撃時のターンやシュート、ドリブルなどが本当に素晴らしいんです。ここでターンなんてできる人いないだろ、と思う場面でしちゃいますし、僕もそのようなプレーができればと学ばせてもらっています。脇坂健人は、フロンターレの練習場と大学が近いこともあり、練習試合の相手として、在学中から何人かで練習に来てもらっていたうちのひとりなんですよ。当時は練習に来ている大学生という認識でしかなかったんですけど、今年のシーズン前のキャンプにひとりで参加してきて、そこで初めてプレーヤーとして意識しましたね。小柄なのにすごい運動量で、ボール扱いもうまい。頼もしい選手だなという印象を持ちました。実際に、今季途中から試合に絡みだして、ぐんぐん成長していると感じます。自覚も芽生えて、ルーキーとは思えない存在感を放っていますね。橘田ありがとうございます(笑)。泰君は僕が入りたての頃から話しかけてくれて、そのおかげでチームに少しずつなじむことができたと思っています。脇坂僕は、一見静かというか、あまり話す方ではないと思われがちなんですけど、例えば初対面の人や新加入の選手と話していくうちに、思ったより明るいね、よくしゃべるね、と言われることが多いんですよ。人見知りは多少ありますが、もうプロ4年目なので、話しかけられたらしゃべる、というスタンスはよくないかなと思い、なるべく自分から話しかけるようにしています。健人は、僕の趣味であるゴルフの話をしてみたら、どっぷりハマッてくれて(笑)、それもあって話しやすいですね。橘田僕は最近、ゴルフと洋服が好きでして、特に泰君のファッションがカッコいいと思っています。シンプルかつカジュアルでセンスがいいんですよ。で、たまに同色のセットアップとかを着て攻めてる(笑)。僕だと絶対着れないですが、泰君はうまく着こなせていて似合っているんです。脇坂健人は服のことを先輩にいろいろ聞いているよね。よくその場面を見るよ。選手のなかでも洋服の系統がわかれていて、谷口(彰悟)選手や家長(昭博)選手など背の高い人が好むファッションは、身長が低いほうの僕たちはできないので、小柄な者同士で意見交換しています。服のなかでも、パーカーがめちゃくちゃ好きですね。確かに最近ハマッているのはセットアップ。単純に組み合わせを考えなくていいので着ています(笑)。橘田パーカー、いいですよね。(ふたりで笑いあう)ーー短時間でも仲の良さが伝わってきます。特に橘田選手は、常に笑顔でとてもかわいらしいんですね。脇坂彼は鹿児島訛りをいいように使うんです(笑)。上京して4、5年経つから抜けているはずなのに、ワンポイントで(訛りを)出してくるんですよ。橘田(笑いながら首を横に振る)脇坂それでこのかわいい笑顔だから、僕はハマッちゃいます。弟気質なのかもしれませんね。それでいてピッチではガツガツいくんで、そのギャップに注目してください(笑)。橘田これからもかわいがってもらえるように、引き続きかわいくいるようにします(笑)。でも、僕は人見知りなんですよ。とりあえず同級生がいたら明るくなるんですけど、先輩が関わってくると緊張しちゃう部分もあるので、これからもっと明るい面を出していけたらと思います。ただ勝つんじゃない、僕たちは“圧倒的に勝つ”ーーそのギャップは橘田選手だけに限らず、かと。これまで何人ものフロンターレの選手を取材させていただきましたが、脇坂選手も含めてみなさんとても穏やかな印象です。ですがピッチでは、今季もフロンターレは、勝利に貪欲でただただ“強い”。王者の風格をも感じます。脇坂シーズンは長いので良い時、悪い時というのが当然あります。波があるなかでも、チーム全体が一体感を持って、同じ方向を向いて戦えたのが、2連覇できた要因の大きなひとつだったと思います。監督がトップに立ち、そこに選手を束ねるキャプテンやベテランの方々、勢いのある若手が続く。悪い状態の時は先輩方が引っ張り、若手も突き上げる。そういったバランスが非常にいいチームだと思いますね。橘田勝ちへのこだわりがすごいと思います。すごく驚いたのが、引き分けた後のチームの雰囲気。悪いというか、めちゃくちゃみんな悔しがってて、僕の大学時代とは比べられないくらいの空気だったんですよ。こういうチームが勝つんだと思いました。鬼さん(鬼木達監督)も普段からミーティングで口に出していて、選手に自然と浸透していますね。脇坂そうだよね。僕たちは、勝ったとしても内容的に納得がいかなかったら、みんなで反省するんですよ。他クラブから来た選手からは、勝ってもこういう(喜ばない)雰囲気なんだと言われます。ただ勝つんじゃなく、“圧倒的に勝つ”を目標としているので、そういった点が強さの秘訣かなと思いますね。ーー憧れの選手やライバルは?脇坂ヴィッセル神戸のイニエスタ選手に小さい頃から憧れていましたね。ライバルという存在はいないですが、強いていうなら、昨年移籍した守田(英正)選手とは、お互いに高め合ってプレーしたいなと思っています。橘田僕も憧れはイニエスタ選手です。大好きで、参考にしています。ライバルは…。脇坂碧(田中)?橘田いやいやいや(笑)。同じ歳ではありますが、僕が入団時からすでにかなり強かったので上の存在です。脇坂謙虚(笑)。ーー最後に、おふたりにとってのサッカーとは何ですか。また、せっかくなのでこの機会にお互いの要望を言い合うのはどうでしょう。脇坂サッカーは人生ですね。これがなくなったら、ただのゴルフ、洋服好きの男です。それくらいサッカーを一番に考えてやってきました。橘田僕の人生からサッカーを取ったら…、頭は悪いですし、コミュニケーションも苦手ですし、普通の人にもなれないですね(笑)。だからサッカーとは、なくてはならない存在です。脇坂これも謙虚だなぁ(笑)。ーーでは、おねだりを。脇坂試合前にいつも健人に言っている、今日も走り回ってくれよ、フォローしてくれよ、ですね。それを引き続きしてほしいです。プライベートでは、ゴルフなど行動を共にすることが多いので、送迎お願いします、って感じです(笑)。橘田僕はプレーに関して、いろいろなことをよく聞くんですね。泰君は、いつも優しく教えてくれるんで、今後も優しく教えてください(笑)。脇坂優しくって。冷たくするとか、逆に意味わかんないし(笑)。ともかく来季も頑張ろう!ーー終始笑顔のおふたり。つられて取材陣も頬が緩み、和やかな対談となりました。また、脇坂選手は「フロンターレは地域との関わりが強いクラブ。川崎市とともに強くなっていったと思っていて、選手はみな地域の方々へ感謝の気持ちを常に抱いています。コロナ禍でふれあいは減っていますが、終息後は積極的に交流したいですね。まずは練習場に来ていただきたいですし、もちろんスタジアムにも足を運んでいただきたい。僕は地域密着というクラブの特性を若い選手にも受け継いでもらえるようにしていこうと思います」と語ってくれました。来季はどのようなワクワク、ドキドキを私たちに与えてくれるのか。そして、フロンターレ一強の時代はどこまで続くのか。今後も見逃せません!Information川崎フロンターレの2022年の試合はこちら。FUJIFILM SUPER CUP 20222月12日(土)13:35キックオフ川崎フロンターレ vs. 浦和レッズ(日産スタジアム)2022明治安田生命J1リーグオープニングマッチ(第 1 節)2月18日(金)川崎フロンターレ vs. FC東京写真・中島慶子 文・伊藤順子
2021年12月30日川崎鷹也が「blackboard -One Cut Live Show-」に出演することが決定した。「blackboard -One Cut Live Show-」は、2020年に「blackboard」としてスタートした、アーティストのパフォーマンスを届ける音楽系YouTubeチャンネル。今回川崎が披露するのは、12月15日に発売される初のメジャーオリジナルアルバムのタイトル曲「カレンダー」で、全面LEDスタジオにてワンカットライブショーとして収録された。動画は12月10日19時にプレミア公開となる。川崎鷹也「カレンダー」(blackboard version)※12月10日(金) 19:00~プレミア公開<リリース情報>川崎鷹也 初のメジャーオリジナルアルバム『カレンダー』2021年12月15日(水) 発売●初回限定盤(CD+DVD):3,200円(税込)川崎鷹也『カレンダー』初回限定盤ジャケット●通常盤(CD):2,600円(税込)『カレンダー』通常盤ジャケット【CD収録内容】M1. カレンダーM2. 僕と僕M3. Young SongM4. ヘイコウセカイM5. あなたへM6. ありがとう、ありがとうM7. 明日未来M8. ぼくのきもちM9. 道しるべ川崎鷹也「カレンダー」MV川崎鷹也「Young Song」MV川崎鷹也「ぼくのきもち」MV【初回限定盤特典映像】・「カレンダー」Music Video・「Young Song」Music Video・JKT / MV Shooting Making Movie・Special Acoustic Studio LiveカレンダーYoung Song魔法の絨毯あなたへほろ酔いラブソング予約リンク:関連リンク川崎鷹也 オフィシャルHP川崎鷹也 オフィシャルYouTube川崎鷹也 オフィシャルTwitter川崎鷹也 スタッフTwitter川崎鷹也 オフィシャルInstagram川崎鷹也 オフィシャルTikTok
2021年12月09日今季も川崎フロンターレが主役となった。『2021Jリーグアウォーズ』の話である。さすがに昨季のベストイレブン9人独占には及ばないものの、今季も7人がベストイレブンに選出された。前田大然と得点王を分け合ったレアンドロ・ダミアンはベストイレブン、最優秀選手賞の個人3冠を達成。このように喜びを口にした。「本当に幸せな気持ちでいっぱい。自分はとにかくチームが勝つためにプレーし続けることを意識している。チームメイトがいるからこの賞を取ることができた。また妻や子供たち家族がいるからこそモチベーションを高く保つことができ、この賞を取ることができた。チームメイト、家族、支えてくれたみんなに感謝したい」ブラジル人ストライカーはコロナ禍での隔離生活がチームの団結力を高めたと明かした。「今季は移動も多く、隔離生活も長かったが、逆に自分たちの団結力が強くなった。団結力が強くなかったおかげで優勝できたし、自分も得点王を取ることができたと思っている」だが、団結力を強めた『ACL』ではラウンド16で前年王者・蔚山にPK戦の末敗れた。ダミアンはこの経験を来年に生かすと誓った。「『ACL』のグループステージは1位突破できたが、トーナメントは残念ながらPKで敗れてしまった。だが、いい経験ができた。このいい経験を生かして来年はタイトルを取っていきたい」印象に残っているゲームを問われると、4月29日『明治安田生命J1リーグ』第22節・名古屋戦を挙げ、印象に残ているゴールには第16節・湘南ベルマーレ戦での超絶バイシクルシュートを選んだ。「名古屋戦の連戦。あのアウェイで試合はひとつのカギだった。あのタイミングで名古屋と競っていたので、勝つことでフロンターレの力を見せることができたと思う。湘南戦のゴール。隣にいる山根(視来)選手から素晴らしいパスがきて、自分がゴールをした。あのゴールは自分でもすごく気に入っていて、強く思い出に残っている。バイシクルシュートは数々決めてきたが、下のボールだったが自分でうまく浮かせて打てた。みんなから『スーパーゴールだ、これからもこういうゴールを決めてくれ』というメッセージをたくさんもらった」ダミアンは23ゴールでともに得点王を分け合った前田大然のことも称えた。 「前田選手も素晴らしいシーズンを送っていたので、お互いに単独で得点王に輝きたかった思いはあるかもしれないが、前田選手と一緒に取ることができてうれしい。そしてチームメイトに感謝の気持ちでいっぱい。チームメイトがいなかったらこの場には立てていない」『2021Jリーグアウォーズ』主な受賞者は以下の通り。【最優秀選手賞】レアンドロ・ダミアン(川崎F)【ベストイレブン】GKランゲラック(名古屋)]DFジェジエウ(川崎F)2/谷口彰悟(川崎F)3/山根視来(川崎F)2MF家長昭博(川崎F)3/脇坂泰斗(川崎F) /稲垣祥(名古屋)/アンドレス・イニエスタ(神戸)2FWレアンドロ・ダミアン(川崎F)/前田大然(横浜FM)/旗手怜央(川崎F)【得点王】レアンドロ・ダミアン(川崎F)【ベストヤングプレーヤー賞】荒木遼太郎(鹿島)【フェアプレー個人賞】山根視来(川崎F)【フェアプレー賞(高円宮杯)】川崎F【優勝監督賞(J1)】鬼木達(川崎F)4【優勝監督賞(J2)】鈴木政一(磐田)【優勝監督賞(J3)】大木武(熊本)【優秀監督賞(J1)】リカルド・ロドリゲス(浦和)【優秀監督賞(J2)】曺貴裁(京都)【優秀監督賞(J3)】秋田豊(盛岡)【最優秀主審賞】飯田淳平【最優秀副審賞】西橋勲【最優秀育成クラブ賞】柏・湘南【最優秀ゴール賞】柿谷曜一朗(名古屋)【最優秀ゴール賞】大黒将志、佐藤寿人、清水健太、曽ヶ端準、徳永悠平、中村憲剛、前田遼一※チーム名の後の数字は受賞回数。数字のない選手は初受賞。川崎Fの面々も喜びのコメントを口にした。谷口「どうしても攻撃力が売りのチームだが、そんな中でも簡単に失点しない。失点しないと負けを引き分けに、引き分けを勝ちに持っていける。そういう粘り強さを後ろで意識した。自分自身ケガの時期があり、なかなか満足のいくシーズンではなかったが、1試合1試合全力を尽くした結果優勝できたのでしっかり胸を張りたい。昨年に続き今年もたくさんの選手が(ベストイレブンに)選ばれ、すごく誇らしく思うし、チームとして評価されたと思うので素直にうれしく思う。これからもJリーグを引っ張っていく存在になれるようがんばりたい」山根「チームを自分が引っ張る気持ちで入り、数字を残して目に見える形で貢献しようと思っていた。そこは達成できてよかった。(フェアプレー賞について)『ファウルをしないで奪う、だけど激しくいく』が僕のテーマなので、うれしく思う。(2得点・12アシストについて)今季よりも上へいくといつも思っている。今季は14なので、来季は15を目指して、それを超えたら20を目指して、どんどんいい選手へ成長していけるようがんばりたい」家長「楽しむほど余裕があったわけではないが、1年通してケガなくプレーでき、自分なりに楽しみながら一生懸命できた。年齢のことはあまり深く考えていないが、隣にイニエスタ選手がいたし。どんな選手になりたいという思いはないが、見ていて楽しいと思ってもらえる選手になりたいし、まだまだ成長の余地はあると思う。選手が投票して選んでくれたのもうれしいポイント。チームメイトにも、しのぎを削った対戦相手にも感謝したい。来年もここに戻ってこられるようにがんばりたい」脇坂「日々の麻生グラウンドの練習がフロンターレの強さの源だと思うので、その結果が今日のベストイレブンにつながったと思う。来季は『ACL』チャンピオンを目指してがんばっていきたい。個人的には数字の面でもっとがんばっていきたい。絶対3連覇したいと思うし、それができるのはフロンターレしかいない。まだシーズンは終わっていないので、まずは『天皇杯』を連覇したい」旗手「いろんなポジションを経験させてもらったのでたくさん成長できた。その経験がなければ、この賞もいただけなかったと思う。今季FWで出る機会がなかったが、ゴールへ向かう姿勢、シュートを狙っていく姿勢は常に意識している。自分が生き残るためならどこでもやる覚悟がある。日頃の練習や試合が成長のチャンスにつながるので一日一日大事に過ごしていたい」また、昨季限りで引退し、功労賞に選ばれた中村憲剛は「今年の川崎の強さは昨季優勝した経験もあったし、選手が抜けながら、日々のトレーニングで監督含めて選手たちが一体感を持ってより高いレベルを突き詰めた結果。苦しい試合も新しいヒーローが出て勝つこともあり、総合力で駆け抜けたシーズンだった」と目を細めた。川崎F以外のベストイレブン受賞者、ベストヤングプレーヤー賞のコメントは次の通り。イニエスタ「今季はとても特別なシーズン。シーズンが始まった時は歩くこともできなかったが、シーズンが終わることには3位になった。今季は素晴らしいシーズンとなった、今まで最高の成績を収めたので。来季はさらに上へいけるようにしたい。この夏の補強は素晴らしかったし、来年はチームとしてさらに成長して、リーグ戦というタイトル、『ACL』というタイトルを狙っていきたい。神戸はそんなにタイトルを取ってきたわけではないが、ワクワク感を持ってシーズンを臨みたい」稲垣「この賞に選んでもらい本当に光栄。グランパスの結果や成績が評価されてこその賞、そういう意味でチームメイトに感謝したいし、胸を張りたい。(ランゲラックと)ふたり選んでもらったのもクラブとして認められているひとつの証であるし、これからももっと魅力があるチームになっていきたい。今季は自分の中ではいいシーズンを送られたと思うが、来季は今季以上にいいパフォーマンスを見せていきたいし、チームとしてもっといい成績を収めていきたい」前田「チームがあって自分がゴールを取れていると思うのでチームメイトに感謝している。今季は相手の怖いところへ入れるようになったと思っている。スプリントもゴールを取るために走っているというよりチームのために走っている。(得点王について)残り3節くらいで、いけるんじゃないかと思ったけど、ダミアン選手がすごい勢いで追い上げてきたので、やばいと思った。お互い得点王をいただけて光栄」荒木「日頃の練習から100%全力で取り組むことや球際の激しさを学んでいる。来年もふた桁ゴール、そしてアシストもふた桁に乗せて、ふた桁ゴール・ふた桁アシストをしたい」2年連続でその強さを見せ付けられたライバルたちは来季へのモチベーションを高めたことだろう。だが、記録的な連覇を達成した川崎Fはもうひとつの連覇を睨んでいる。12月12日(日)・等々力陸上競技場での『天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会』準決勝・大分トリニータ戦、12月19日(日)・国立競技場での決勝で有終の美を飾ろうとしている。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)チケット情報天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会
2021年12月07日川崎フロンターレは1カ月ほど前に連覇を決めている。横浜F・マリノスも前節に2位を確定させた。消化ゲームという見方もできるかもしれない。だが、『明治安田生命J1』最終節は両チーム、そして両サポーターにとって、重要な戦いである。大勢に影響があろうがなかろうが、関係ない。横浜FMも川崎Fも神奈川ダービーに負けるわけにはいかないのだ。リーグ通算13勝6分16敗と直接対決で負け越している横浜FMにとってはなおさらだ。昨季、ホームでの『明治安田J1』第15節は開始2分にマルコス・ジュニオールのゴールで幸先よく先制するも、その後三笘薫に2ゴールを許すなど1-3に終わった。アウェイでの第30節は川崎Fに圧倒されながらも1-1で耐え抜いたが、試合終了間近にCBジェジエウ、FW小林悠に決められてまたもや1-3。今季の開幕戦も家長昭博のダイレクトボレーとダイビングヘッドの2発に泣いた。対川崎Fで3連敗を喫している。ここ10試合で2勝2分6敗と分が悪い川崎Fに対して、ケヴィン・マスカット監督としての初対決で流れを変えたいところ。両チームとも攻撃サッカーに一過言を持っている。28勝7分2敗・勝点91の川崎Fは80得点27失点、24勝6分7敗・勝点78の横浜FMは81得点34失点である。チーム得点3位の鹿島アントラーズが61点と言えば、いかに両軍のゴール数が突出しているかわかるだろう。ただ、横浜FMとしては、試合によって好不調の波をなくしたいところ。セレッソ大阪、ガンバ大阪に連敗したかと思ったら、第35節では前田大然のハットトリックなど8-0でFC東京を粉砕した。続く浦和レッズ戦は主導権を握りながら、相手のセットプレーとカウンターにしてやられて1-2の悔しい敗戦。2位と3位の上位対決となった前節は主導権を握られながらも、前田の驚異的なスピードと仲川輝人の見事にコントロールされたミドルでゴールを奪い2-0。浦和戦後に「チャンスを作り、ボールを握ったし、いい場面もあった。ただ失点してしまうと難しい状況になる。自分たちを苦しめることにもなる。相手に自信を持たせ、勢い付くと苦しくなる」に敗因を語ったマスカット監督は神戸戦後、「難しい試合だった。両者どちらともボールを握る時間帯はあったが、神戸の方がボールを握っていた印象がある。しかし、選手たちは最後まで戦い続け、素晴らしい結果で終えられた」と胸を張った。ここ5試合は先制点がそのまま勝敗に直結している。レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUEゴールと言えば、得点王争いだ。レアンドロ・ダミアンと前田大然は同じく22ゴールをマークし、得点ランキング1位タイに並んでいる。当の本人たちは「アシストするシーンがあれば、チームの勝利を優先してアシストを選択する。その中で最終的に得点王になれればいいのかなと思う」(ダミアン)、「もちろん狙う。ただホーム最終戦なので勝って終わりたいので狙いすぎず、チームの勝利に貢献したい」(前田)と自然体を貫く。むしろ、チームメイトたちが得点王を取らせたいという気持ちは強いだろう。ヴィッセル神戸戦を終えた後、MF渡辺皓太は「さっきもみんなで少し話したが、意識しすぎてもだめ。なんとしても取らせず、自分たちがいいボールを出せば、大然くんが取ってくれると思うので、チーム全体でサポートしていきたい」とサポート役を買って出た。12月2日、川崎Fのメディア対応ではFWマルシーニョとGKチョン・ソンリョンが得点王獲得のアシストを約束した。マルシーニョが「彼が得点王争いを続けているのはうれしく思う。選手としてもストライカーとしても素晴らしいので必ず結果を出してくれると思う。彼のサポートができるよう全力でプレーしたい」と言えば、ソンリョンも「前田選手だけではなく、誰からも失点させないという気持ちを持って最善を尽くせば、いい結果が転がり込むと思う」とキッパリ。さらに守護神は「相手のホームだが、有終の美を飾るために最善を尽くさないといけない。マリノスというチームは非常に攻撃力がある。どこからでも誰からでも得点できる今季一番のライバル」と横浜FM戦への特別な意識を口にした。指揮官もマリノスへの特別な思いを明かした。同日行われたオンラインインタビューで鬼木達監督は次のように語った。「やはり一番近いところにいるし、ここ数年ずっと競り合っている相手なので、優勝は決まっているが、気持ちの入るゲームになると思う。強度だけで言ったらマリノスの方が強いかもしれない。そういうものを見せられたからこそ自分たちも成長してこれた。まず1位と2位の戦い、優勝が決まった後も得点王争いの直接対決、お互いにとってシビれる試合になる。お互いに自分たちの選手に取らせたいと戦う。まず自分たちはチームの勝利を第一に戦い、その中でダミアンが得点王を取れれば。ただチームメイトの方が強く思っているのでは。ただ思い入れが強いとなかなかうまくいかないので、そこはバランスを取ってやっていければと思う。自分は1位2位の試合だと意識する。2位の相手にしっかり勝っていかないと、本当に優勝したのかなという気持ちになる。本当に勝って終わらないといけないと思う。マリノスもそういう気持ちでくると思う。順位は決まっているがお互いにプライドのかかった戦い。強気でいきたい。サッカーを初めて見た人でも面白いと思ってもらえる試合をしたいし、そういうゲームで勝ちたい」また鬼木監督は今季のターニングポイントに『JリーグYBCルヴァンカップ』準々決勝、『ACL』ラウンド16敗退後の“勝負の5連戦”とともに、『明治安田J1』開幕戦を挙げた。 その心は?「まだ終わっていないが、本当に長いシーズン。いい時もあれば、苦しい時もあり、本当に成長が見られたリーグ戦。勝負の5連戦と位置付けて戦ったところがひとつのターニングポイント。そして最初のマリノス戦、このチームにとって本当に大きな1勝だと改めて思った。中村憲剛という偉大な選手がいなくなってもし負けたり引き分けたりしたら、どうなっていたか。強いマリノスを相手に中村憲剛がいない中勝ったのは、勝負の5連戦と同じような大きな意味があったのかなと思う」果たして、川崎Fが最後まで絶対王者の強さを見せ付けるのか、それとも横浜FMが来季へ希望を灯す勝点3を掴むのか。そして熾烈を極めるダミアンと前田の得点王争いはどんな結末を見せるのか。『明治安田J1』第38節・横浜FM×川崎Fは12月4日(土)・日産スタジアムにてキックオフ。チケットは予定枚数終了。試合の模様はDAZN、NHK総合にて生中継、テレビ神奈川にて録画放送。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2021年12月03日SBIいきいき少額短期保険株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:新村 光由、以下「当社」)は、今季J1リーグ優勝を決めた川崎フロンターレの「2022オフィシャルカレンダー」が抽選で当たるプレゼントキャンペーンを実施します。キャンペーンの応募は、当社公式Facebookページの本キャンペーン投稿のコメント欄に「応募します」等コメントするだけでエントリー完了です。ぜひふるってご応募ください!※当社は川崎フロンターレのオフィシャルパートナーです。©KAWASAKI FRONTALEキャンペーン概要■賞品・当選人数川崎フロンターレ「2022オフィシャルカレンダー(壁掛けタイプ)」※当社ロゴ入り30名様■応募方法当社公式Facebookページの本キャンペーン投稿に記載の注意事項をご確認のうえ、コメント欄に「応募します」等のコメントをご記入ください。■応募期間2021年11月18日(木)12:00~11月21日(日)23:59※Meta社は本キャンペーンの後援、承認、運営を一切行っておらず、本キャンペーンとは一切関係がありません。また、本キャンペーンへの参加、および賞品に関して、Meta社は一切の関与をせず、応募者はそのことに同意したものとみなされます。©KAWASAKI FRONTALESBIいきいき少短 公式Facebookページはこちら▶ : 会社概要■会社名 : SBIいきいき少額短期保険株式会社■会社紹介 :当社は、東証一部上場「SBI ホールディングス(株)」のグループ会社です。「シンプルでわかりやすく」「保険料は手ごろに」という、お客様の声に応える保険商品を開発・提供しています。死亡保険、医療保険はシニア層を中心に、ペット保険は犬・猫の高齢化や病気・ケガが気になる飼い主様に、幅広く支持されています。万が一の地震に備える地震補償保険で皆様の暮らしもサポートします。■所在地 : 東京都港区六本木 1-6-1■設立年月日: 2007 年 7 月 3 日■資本金 : 36,000 千円■事業内容 : 少額短期保険業(販売商品:SBIいきいき少短の死亡保険、SBIいきいき少短の医療保険、SBIいきいき少短の持病がある人の死亡保険、SBIいきいき少短の持病がある人の医療保険、SBIいきいき少短のペット保険、SBIいきいき少短の地震の保険)■U R L : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年11月18日『明治安田生命J1リーグ戦』もいよいよ残り5戦。『ACL』出場権をかけた戦いが激化し、残留争いも熾烈を極める中、川崎フロンターレが早くも連覇を決めようとしている。2位・横浜F・マリノスの結果にもよるが、早ければ11月3日(水・祝)にも等々力陸上競技場でシャーレを掲げようとしているのだ。26勝6分1敗・勝点84の1位川崎Fは『明治安田J1』第34節・ホームで浦和レッズを迎え、22勝6分5敗・勝点72の2位横浜FMは日産スタジアムでガンバ大阪と対峙する。横浜FMが負ければ川崎Fは引き分け以上で連覇、横浜FMがドローでも川崎Fが勝利すればタイトル獲得となる。横浜FMは残り5試合で全勝したとしても、川崎Fが1勝1分3敗ならばリーグ制覇だ。苦しい時期もあった。夏場にMF田中碧、三笘薫がチームを去った。8月25日・第26節でアビスパ福岡に今季初黒星を喫すると、雲行きが怪しくなる。9月5日・ホームの浦和レッズとの『2021 JリーグYBCルヴァンカップ』準々決勝第2戦では、77・83分とCKから立て続けにゴールを奪い4強入りを決めたと思われたが、87分・94分にまさかの連続失点……。アウェイゴールの差で『ルヴァンカップ』敗退を余儀なくされた。続く9月14日・韓国での『ACL』ラウンド16・蔚山戦では延長戦の0-0の末、PK戦で涙を呑んだ。しかもリーグ戦では消化ゲームが1試合少ないとは言え、2位横浜FMが勝点1差に詰めてきたのだ。背水の陣で敵地に乗り込んだ9月18日『明治安田J1』第29節で徳島ヴォルティスを3-1で撃破すると、帰国後5連勝(リーグ戦6連勝)。10月27日『天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会』準々決勝では鹿島アントラーズに3-1。フロンターレらしさをすっかり取り戻したのだった。川崎Fはなぜ最大の危機を乗り越えることができたのか。11月1日に指揮官、主力選手たちのメディア対応が行われ、異口同音にその理由を口にした。鬼木達監督が「移籍にケガ人、ポジションに人が減ってきた。我々は競争でチームを作ってきたので、そういった意味で難しい時期だった。でもそういう時期があったから今がある。橘田(健人)ひとりとっても、もともと力があったが、ここのところぐぐっときた。韓国から帰って来てから徳島戦からの5連勝だったり、隔離状態だったが毎日が楽しくかった。全員がいい表情をしていて、逆境にも強くなった」と選手たちの成長に目を細めれば、CB谷口彰悟主将は「韓国に行って敗退して大阪に帰って来て、僕は大阪に合流したが、一人ひとりの表情を見ると落ち込んでいたし、疲れていたと感じた。でも引きずるわけにはいかなかったし、鬼さんも勝負の5連戦だと言っていた。フィジカル的には厳しいものがあったが、メンタル的には充実していた。鬼さんは試合中のプレーはもちろん、練習だったり、練習後の空気や表情など細かいところまで見ている。トレーニングでもスタメン組だけを見ることはない。サブ組もきちんと見ている。選手は見てくれるというのはわかっているので、選ばれた時は期待に応えたいという思いはある。鬼さんが好循環を作っている」と監督の人心掌握術に舌を巻いた。指揮官から成長を称えられたMF橘田も「こないだの5連戦でアンカーとして出場時間も増えて、勝利という結果を得られたので、そこで自信は得られたのかなとも思う」と手応えを語りつつ、「前の選手が(コースを)限定してくれて自分が取る部分を生かしながら、攻撃の部分もレベルアップしていきたい。守備だけやっていても試合では使えないと思うし、自分も得点だったりアシストだったりをやっていきたい。もっと守備のレベルを上げながら、攻撃の部分もレベルアップしていければ」と課題を挙げた。またMF脇坂泰斗は9月26日・第30節・湘南ベルマーレ戦の逆転勝利はキャンプからの準備の賜物だと言う。「キャンプから対策される中でどう戦うか準備してきたのが大きい。去年なかった降格や残留がある中、戦い方が変わり勝点1を拾われることはあるが、湘南戦とかでアディショナルタイムとか1-0で勝ち切ったりしたのは大きい。足が止まる時間帯で追加点を諦めて守るとか、チームで統一して戦えている」CFレアンドロ・ダミアンはシンプルに一戦一戦の積み重ねだと胸を張った。「シーズンを通して連勝できていたり、新しい記録を作ったりしたが、1敗した時に若干の驚きはあったものの、自分たちがやるべきことをやることにフォーカスしてここまできた。相手ではなく自分たちのやるべきことをやってきた結果」鬼木監督は昨季との違いをこのように評価した。「去年は爆発的なゲームが多かった。今季は我慢比べで勝ち続けることで、自分たちが崩れずにいることで最後は勝ち続けることができたのかなと思う。簡単ではない時に崩れないのが、今のチームの強さ」谷口主将もチームのしたたかさに成長を感じていた。「昨季4-3-3に変えて、今年はキャンプでじっくり準備し、失点数がここまで抑えられているとは感じている。タフな選手が増えてきた。球際やハードワークでこれぐらいやらないとゲームに出られない基準というのがどんどん高くなっている。後ろの選手の出る幕がない試合もあるぐらい。得点ができなくても我慢して我慢してしたたかなゲームもできてきた」右SB山根視来は昨季と今季のレギュレーションの違いに言及した。「去年と違うのは降格があるとか、『ACL』が入って隔離生活や過密日程とかいろいろあった。相手も絶対負けられないという温度を感じるので、そういうところの変化はあるかなと」強みはまだまだある。誰が抜けても新たな戦力が台頭する土壌が川崎Fにはある。監督は次々現れる新戦力について「選手一人ひとりの自覚だと思う。このチームの素晴らしいところは選手一人ひとりの高い意識。昨季の守田(英正)も、(中村)憲剛もそう。今季だったら碧だったり、薫。毎年主力が抜けても、選手たちは誰々が抜けたと思われたくないという思いが強い。思っているだけではなく、それをしっかりピッチで表現できている」と分析し、主将も「チームは生き物。誰かが抜けたら誰かが出てくる。いい流れは作れているのかなとも思う。勝たないといけないチームなので、結果が出るまで待てないが、勝ちながら新しい選手が出てきている。チーム一人ひとりが与えられた出番を生かせるというのは頼もしく感じている」と解説した。谷口自身も激しいポジション争いの中に身を置いている。「緊張感はある。ジェジエウ、(車屋)紳太郎、山(村和也)くん、みんな素晴らしい選手なんで、自分もいい準備をしないと試合に出られない。主将とかは関係ない。自分が出ない試合でも何も心配ないぐらい。各ポジションで競争が激しかった」さて、川崎Fの面々は大一番にどのようなメンタルで臨むのか。選手たちのコメントからはそれぞれのキャラクターを表れていた。鬼木監督「そんなに大きくは変わらなくて、1試合1試合ということ。2位の結果によっては優勝があるが、1試合1試合目の前の試合に向かっていった結果。これで決めたいという思いもあるが、それよりも勝ち続けたいという雰囲気を感じる」谷口主将「僕らが勝点3積み上げないと始まらない。でもいつも通りにするつもりはない。ここで優勝への思いを押し殺したり、隠したりする必要はない。優勝するために目の前の試合で勝点3を全力で取りにいくというのを出していいと思う。優勝は待つものではなく、取りにいくもの。そこは隠す必要はない」ダミアン「ゴールという形でチームに優勝をもたらすことができれば非常にうれしいが、誰のゴールでもとにかくチームが優勝することが大事」脇坂「あまり普段のゲームと変わらない。個人的には首位に立てていることを楽しみたい。ずっと目指してきた優勝が目の前にあるが、首位に立っていること、強い相手とやれるというということを純粋に楽しみたい」橘田「リーグが始ってからずっと優勝を目指してやってきて、次で決まるかもしれないというところまできたので楽しみだし、しっかり勝って優勝を決められるよういい準備をしたい。これまでも試合に集中し、少しでもチームに貢献できるようやってきたので、自分にできることを集中してやってチームに貢献したい」山根「リーグ戦なので、ただの一試合に変わらない。いつもと一緒。目の前の勝点3だけを目指してやりたい」3月21日の第6節で5-0と粉砕し、9月の『ルヴァンカップ』では第1戦・1-1、第2戦・3-3で屈した浦和へ対する思いはこうである。鬼木監督「しっかり自分たちが主導権を持って戦いたい。攻守にアグレシップに仕掛けていくことが大事だし、それが勝利への近道だと思う。修正すべきところは修正しないといけないが、強気に自分たちのサッカーをしていきたい。(『ルヴァンカップ』では)自分たちのミスもあったが、ミスで終わらせるのではなく、細かいところも詰めながら意識したい。でも、そういうものに引っ張られすぎる必要はないので、そこはバランスを持って臨みたい」谷口主将「『ルヴァンカップ』敗退となり、選手たちの悔しい顔を見てシンプルに悔しかったし、自分はそのピッチにすら立てなかったのでなおさら悔しい。『ルヴァンカップ』のリベンジ、浦和に勝ちたいという思いは強い」ダミアン「浦和は能力の高いチーム。でも自分たちがやるべきことをやれば、自ずと結果は付いてくると思う。相手のことは気にせず、自分たちのことに集中して浦和戦に臨みたい。自分にとってはやりやすい相手と言えるかもしれない。浦和だけではなく能力が高く、勝利を目指して積極的に前に出てくるチームは、守備的なチームよりもやりやすいので」脇坂「確かに浦和戦は得点だったり、ホームの『ルヴァンカップ』でもアシストできたりしたので、また出したいなという思いはある。山中(亮輔)選手のところがひとつストロングになっていると思うので、逆にそこを狙っていきたい。高い位置を取ってくるので、そこを狙いたい」橘田「一人ひとりの技術があり、チームとしてもポゼッションや相手を見てカウンターをやってくるのですごくうまくて強い相手だと思う」山根「今日本の右SBは酒井(宏樹)選手なので、代表活動でもいろんな話をして刺激を受けている。初めて対戦するので楽しみであり、自分もできるんだというところを見せたい。勝利と自分のパフォーマンスの両方を追い求めたい」もちろん、浦和も勝点3を譲るつもりはさらさらない。17勝7分9敗・勝点58の3位に勝点3差の5位につける浦和は『ACL』出場権を得るために勝点を積み重ねていかなければならない。リカルド・ロドリゲス監督は11月1日の定例会見で川崎Fについて「1位にいるのは偶然ではない。いい印象を持っている。夏は少しケガ人が出て、我々が『ルヴァンカップ』で先に進むことができたり、福岡戦で敗戦したりしたが、またレベルを取り戻している。いいサッカーをするチーム」と評価しつつ、「我々は挑戦者として挑みたい。『ACL』出場を狙っているので、そこに向けて全てをかけて戦いたい。また、フロンターレと戦うことによって、自分たちの立ち位置がわかる。来季優勝を狙う上で今はどこにいるのか把握するためにもいい試合だと思う」と意気込みを語った。果たして、川崎Fが連覇を決めるか、それとも浦和が『ACL』へ望みをつなぐのか。『明治安田J1』第34節・川崎F×浦和は11月3日(水・祝)・等々力陸上競技場にてキックオフ。チケットは予定枚数終了。試合の模様はDAZN、NHK総合にて生中継。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2021年11月02日川崎重工業株式会社は、2021年10月15日(金)より、創業者・川崎正蔵のスピリットの継承と、グループビジョン2030に掲げた社会課題解決をテーマにした企業ブランドムービー「カワる、サキへ。」の最新作となる『グループビジョン2030 Frontier篇』(以下、『Frontier篇』)を公開しました。同社グループの「社会がカワる、その一歩サキへ。」、そして「自分たちがカワる、サキへ向かって挑戦する。」という意志が込められたムービーです。創業者のスピリットを受け継ぎ、新たな社会課題に挑戦し続ける社員たち今回、新たに公開する『Frontier篇』は、同社の礎となった川崎造船所(現 川崎重工)の創業者・川崎正蔵氏にフォーカス。「社会課題に技術でこたえる」という創業者のスピリットが、今もなお川崎重工の従業員や製品に受け継がれていることを描いています。社会の課題に、技術でこたえたい日本の造船にイノベーションを起こした男、川崎正蔵。彼は2度の海難事故に遭うも奇跡的に生還します。和船には安全上の課題があると気づいた正蔵は、より大きく頑丈な西洋型船の建造を決意。そこから日本初の西洋型船「伊豫丸(いよまる)」が誕生します。「社会の課題に、技術でこたえたい」。創業者である正蔵のスピリットを受け継いだ川崎重工はいま、新たな課題に挑もうとしています。2030年に目指す将来像として掲げているグループビジョンは「つぎの社会へ、信頼のこたえを」。創業者のスピリットを胸に、現在も社会課題にチャレンジし続けています。安全が求められる医療や生産などの現場には、どこからでもつながれる「リモート技術」を。輸送分野などでの労働力不足には「無人モビリティ」を。クリーンなエネルギーが求められる脱炭素社会の実現に向けて「水素エネルギー」を。一隻の船からはじまった川崎重工の挑戦は、これからも続いていきます。創業者のスピリットを受け継いだ従業員たちの新しいチャレンジにぜひご注目ください。【参考】※川崎重工 企業ブランドムービー「カワる、サキへ。」『Frontier篇』(107秒)※川崎重工 「カワる、サキへ。」特設ページ
2021年10月15日株式会社日本ばし大増(本社:東京都荒川区、代表取締役社長:穐山健輔)は、10月2日(土)と10月3日(日)の2日間、JR川崎駅中央南改札内 特設会場において「川崎駅駅弁まつり with ネットでエキナカ」を実施いたします。今回の「川崎駅駅弁まつり」では、WEBサイト「ネットでエキナカ」、「ネットで駅弁」から事前にご予約いただき、当日現地でお渡しするサービスを実施致します。これにより、お客さま混雑の緩和と希望する商品が必ず購入できるニーズにお応えができ、コロナ禍の中お客さまに「安心・安全」を提供できるように取り組んでいます。各地から選りすぐりの駅弁が一堂に介します。「峠の釜めし」「牛肉どまん中」「ひっぱりだこ飯」をはじめ、駅弁味の陣にエントリーをしている人気の駅弁もご用意しております。予約受付中の「ネットでエキナカ」及び「ネットで駅弁」にて商品をご確認ください。事前予約は、WEBサイトのほか、お電話でも承ります。当日の現地即売も行います。■開催概要開催日 : 2021年10月2日(土)から10月3日(日)までの2日間場所 : JR川崎駅中央南改札内 特設会場販売時間: 11時から17時まで取扱商品: 計47品予定(天候、交通事情により変更する場合があります)予約方法: 9月22日(水)~9月28日(火)1)WEBサイトにて予約・「ネットでエキナカ」 ・「ネットで駅弁」 2)電話予約専用ダイヤル080-7685-9219(10時~17時)03-5855-1306(10時~17時)QRネットでエキナカQRネットで駅弁■取り扱い駅弁一例<チキン弁当>・製造元:日本ばし大増(東京駅)・価格 :900円チキン弁当<牛肉どまん中>・製造元:新杵屋(米沢駅)・価格 :1,250円牛肉どまん中<平泉うにごはん>・製造元:斎藤松月堂(一ノ関駅)・価格 :1,380円平泉うにごはん<東北福興弁当第10弾~未来へのきざはし>・製造元:JR東日本クロスステーション仙台調理センター(仙台駅)・価格 :1,200円東北福興弁当第10弾~未来へのきざはし<ひっぱりだこ飯>・製造元:淡路屋(西明石駅)・価格 :1,080円ひっぱりだこ飯<峠の釜めし>・製造元:荻野屋(横川駅)・価格 :1,100円峠のかま飯※商品画像はイメージです。価格は全て消費税込です■会社概要商号 : 株式会社日本ばし大増代表者 : 代表取締役社長 穐山 健輔所在地 : 〒116-0011 東京都荒川区西尾久7-48-1設立 : 1988年1月(昭和63年)※日本ばし大増創業1900年(明治33年)事業内容: 惣菜・弁当・寿司・おにぎりの製造業及び販売業、加工食品の流通及び生産卸業、通信販売・ネット販売等の無店舗販売業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月22日日韓頂上対決である。優勝候補同士のつぶし合いでもある。『AFCチャンピオンズリーグ2021』ラウンド16でいきなり川崎フロンターレと蔚山現代FCが雌雄を決する。本日9月14日、決勝トーナメント1回戦でV戦線を左右する一戦がキックオフを迎えるのだ。グループステージを勝ち抜いた16チームの中で全勝突破したのは川崎Fと蔚山のみ。蔚山が6戦全勝13得点1失点と強さを見せ付ければ、川崎Fはさらに上を行く6戦6勝27得点3失点という完璧なリザルトを残した。国内でも川崎Fは『明治安田生命J1リーグ戦』で消化試合が1ゲーム少ないながらも20勝6分1敗で1位をキープ。一方の蔚山も『Kリーグ』15勝10分3敗で2位・全北に勝点4差をつけて首位に立つ。そして蔚山は『ACL』ディフェンディングチャンピオンでもある。それにしても、理不尽である。『ACL』グループステージでダントツトップの好成績を収めた川崎Fが、グループ全体で2番目の成績を残した蔚山のホームに乗り込まなくてはならないとは……。しかもラウンド16は一発勝負。いくらコロナ禍のイレギュラーな状況とは言え、納得のいかないファン・サポーターも多いことだろう。ここ最近調子を落としているのも気掛かりだ。8月以降の公式戦は3勝4分1敗。結果もさることながら、ゲームを完全に支配しシュートの雨を降らせる川崎Fらしいサッカーが鳴りを潜めている。8月25日『明治安田生命J1リーグ』第26節ではアビスパ福岡の粘り強い守備を最後まで破ることができずに、ついに今季初黒星を喫した。9月1日・5日の浦和レッズとの『JリーグYBCルヴァンカップ』準々決勝では初戦・アウェイで1-1、3か月ぶりのホーム・等々力競技場での第2戦は早々に先制点を献上するも、前半の内にレアンドロ・ダミアンの一発で同点。後半32分はCB山村和也の打点の高いヘッド、38分にはMFジョアン・シミッチの巧みにコントロールしたヘディングとコーナーキックから立て続けにゴールを奪い、4強入りを目前にした。だが、しかし、残り7分でまさかの2失点を喫してアウェイゴールの差で敗退を余儀なくされたのだった。『ルヴァンカップ』の嫌な流れのまま韓国へ渡り大一番を迎えなくてはいけないチームの状況に不安はぬぐえないが、9月12日のメディア対応に出席したCBジェジエウは否定した。「あのような形で7分間の内に2失点してしまい受け入れがたい結果になってしまった。アクシデントのような失点で敗れてしまった。だが、あの結果が自分たちに新たなモチベーションをもたらした。試合の終わらせ方、集中の仕方を学んだ。また別の大会でフロンターレの力を示したい」さらにケガ人も続出している。幸いジェジエウは軽傷だったが、CB谷口彰悟、車屋紳太郎、MF大島僚太、塚川孝輝、旗手怜央が次々と戦線離脱した。それでも、ジェジエウは前を向く。「移籍やケガ人があったが、新しく入ってきた選手が自分の特徴を見せながら戦ってくれていると思う。これから先クラブとしての力を見せられると思っている。そこは言い訳せずにこのチームの力を見せられるよう、全員の力で今年もタイトルを取りたい。『ルヴァンカップ』はああいう結果に終わってしまったが、次も行けるよう準備している。このままならばスタメンから行けると思うが、それは監督の判断すること。とにかくいい準備をしたい」同日、取材対応にはMF橘田健人も登場し、このようにコメントした。「蔚山はだいぶ力があるチーム。なかなか厳しいゲームになると思うが、自分たちの良さを出して絶対勝ち上がっていきたい。(勝敗の鍵)一つひとつの場面の勝負に勝つこと。球際やセカンドボール、そういうところに勝負の分かれ目があると思うし、試合の終わらせ方なども大事になると思う。韓国のクラブは球際の厳しさやプレッシャーの速さがあると思うが、さらに個々の技術の高さがある。大邱戦は出てないがベンチから見ても迫力があったが、蔚山はそれ以上に厳しさがあると思う。一発勝負なので、内容も大事だが、結果が大事なので何としてでも勝ち上がっていきたい。お互いに日本と韓国の1位で、そこは日本を代表して韓国の1位に勝ちたいと強く思っている」ジェジエウも必勝を期した。「蔚山は昨年のチャンピオン、素晴らしい強いチームという印象。ただ相手だけではなく、自分たちもJリーグチャンピオン。いい勝負ができると思う。自分たちも悪いチームではない、強いチームだと思うので自信持っていきたい。『ACL』はコンタクトプレーが激しくなると思うが、自分たちが普段やっているサッカーを出せば、勝てると思っている」9月13日には鬼木達監督と登里享平が前日会見に出席、次のように意気込みを語った。鬼木「自分たちは優勝を目指してきているので、王者ということで難しい相手になるが乗り越えないといけない相手。しっかり勝って帰りたい」登里「相手は素晴らしいチームだが、自分たちも勝つための準備をしてきた。自信もある。圧倒して勝ちたい。ケガして来られない選手もいるが、勝って帰りたい」警戒する選手を問われると、ふたりはこう答えた。鬼木「すべての選手がレベルが高いのでひとりに絞るのは難しい。すべての選手。ドリブルができる選手、スピードがある選手、体の強い選手、すべてのポジションにいい選手がいるので、ひとりに絞ることはできない」登里「監督が言った通り、素晴らしい選手が揃っている。そういうひとつひとつのバトルに負けないのが勝ちにつながる。しっかり研究して臨みたい」『ACL』開幕直前に田中碧、『ACL』グループステージ直後に三笘薫と主力MFが抜けた影響について質問されると、指揮官はこのように返答した。「田中にしても、三笘にしても日本を代表する選手、戦力として重要な選手が抜けた。でもそれを補うだけの選手はいると思っている。今は我慢の時期だが、力のある選手は揃っているし、そういう意味で蔚山との試合を楽しみにしている。戦術的にも上げていかないといけないと思っているが、一歩ずつという感じ」さらに鬼木監督は自分たちにフォーカスすることが勝利への近道だと明かした。「自分たちの戦い方、強みを出さないと勝てない相手。受けるのではなく、自分たちからしっかり攻撃的に戦う。そういう姿勢で初めて『ACL』チャンピオンと対等に戦うスタートラインに立つことができる。しっかり攻撃的に戦えるように持っていきたい」川崎Fはここで地力を発揮するのか、それともずるずると後退してしまうのか。『ACL』ラウンド16・蔚山×川崎Fは9月14日・蔚山文殊フットボールスタジアムにてキックオフ。試合の模様はDAZNにて生中継。
2021年09月14日もし、負けたとしても決勝トーナメント進出は間違いないだろう。誤解を恐れずに言えば、大邱FC戦は絶対に勝たなければならない戦いではない。それでも川崎フロンターレは勝利だけを睨む。鬼木達監督も「決勝戦だと思って戦う」とキッパリ。勝ってグループステージ1位突破を決める。そもそも川崎Fに負けていいゲームなんてない。さらに言えば勝てばいいだけでもない。1点奪えば2点目、2点奪えば3点目で試合を決める、勝利をほぼ手中に収めても攻め手を緩めずゴールを狙い続ける。それが川崎Fのスタイルである。6月26日・大邱との初戦を逆転勝ちした川崎Fは続く6月29日・北京FC(中国)戦では先発を6枚替えながら、7分・左ウイング長谷川竜也、9分・MF橘田健人と立て続けにゴールを奪うとワンサイドゲームを展開。34分にFW小林悠が負傷交代するアクシデントに見舞われるも、代わって入ったCF知念慶の2ゴールなど7-0の大勝。33本ものシュートの雨を降らした。試合後、ゴールラッシュの口火を切った長谷川は「早い時間帯で複数得点を取ることができて、流れ的にいい入りができた。相手が若手主体ということで、先制点がいつ取れるかがカギになると思っていた。そこで早く取れたこと。個人的にも今季初ゴールだったので、そこはよかったと思う。いろんな選手が点を取れたのも、チームとしていい材料だと思う。大邱戦に出てなかった選手が悔しさを持ちながらプレーしていたと思うので、そこで結果を出したのはチーム全体としてポジティブな結果」と胸を張った。再び先発6人を入れ替えて臨んだ7月2日・ユナイテッド・シティFC(フィリピン)戦も危なげなく大勝。34分に今季初先発した10番大島僚太のコーナーキックをCB谷口彰悟が頭ですらし、ゴール前に走り込んだ三笘薫がヘッドで先制すると、42分には大島がCFレアンドロ・ダミアンとのワンツーから見事なコントロールショットを決めて2-0。後半はゴールラッシュが始まる。51分にダミアンが決めると、56分後には橘田が2試合連続弾を蹴り込むと、その14分後にはハットトリックを達成。最後まで攻め続けて8-0で締めた。2戦連続のマン・オブ・ザ・マッチにハットトリックとさぞや景気のいいコメントが聞かれると思いきや、橘田は「得点を取ることは自分でもこだわっているところなので、そこは評価できるが、それ以外の部分ではあまり満足できるようなプレーができなかったので、そこはもっと取り組んでいきたい」と浮かれることなく反省の弁を口にした。さらにスターティングイレブン8名を変更して臨んだ7月5日・ユナイテッド戦では18分に長谷川の前線からのプレスでバックパスが乱れると知念が拾い、GKとの1対1を冷静に決めてゴールラッシュの幕開けと思いきや、その後は相手GKが好セーブを連発し、ゴールに至らず。追加点は78分まで待たなければならなかった。右ウイング・家長昭博と右SB山根視来で右サイドを崩すとMF脇坂泰斗がグラウンダーのラストパス、最後は長谷川が押し込んだ。3日前の8-0から2-0、23本ものシュートの雨を降らせながら得点が伸びなかったのは疲労の蓄積かと心配されたが、谷口主将は「相手もいろいろ考えてくるので逆に難しくなりがち。最終的に結果がすべてなので、深く考えすぎずに勝つことが一番。攻めあぐねた感はあるが、やることはやって2-0で勝っている」と不安の声をやんわり否定した。川崎Fはウズベキスタンの地でここまで4戦全勝をマークしている。コロナ禍で練習と試合以外の行動が制限され、中2日の過酷な連戦にもかかわらず、20得点2失点という文句なしの成績を残している。だが、しかし、初戦のあのビッグセーブがなければ、結果は少々違うものになっていたかもしれない。前半28分のあのプレーは本当に大きかった。6月26日の初戦、守備の出足が鈍い川崎Fは早々に先制を許した。さらに28分にはPKを献上。GKチョン・ソンリョンのビッグセーブで事なきを得たが、30分足らずで0-2という第2戦以降にも影響を及ぼしかねないピンチに陥っていたのだ。その後、前半の内にダミアンが見事なバイシクルシュートを決めて同点。後半開始直後に大邱にゴールを奪われるも、52分に再びダミアンがDFのクリアミスを逃さず左足を振り抜き2-2。3分後にはゴール前の混戦からこぼれ球をアンカーのジョアン・シミッチが蹴り込んで逆転。その後は相手のパワープレーを抑え込んだ川崎Fが2度のビハインドを跳ね返し、勝点3を手繰り寄せたのだった。2ゴールをマークしたダミアンが「大邱はリーグ戦で10試合負けなしという素晴らしい結果を残し、この大会に挑んできた。ゲームに入る前からこの試合は難しくなるというのはわかっていた。実際に難しいゲームにはなったが、自分たちが最後の最後まで勝利を目指して諦めずに戦ったからこそ、今日の勝利につながった」と笑顔を見せれば、決勝点を決めたシミッチも「どんな大会も開幕戦は難しいゲームになるのはわかっていた。まだまだ改善点はあると思う。ただ勝点3を取れたのが重要なこと。ゴールという結果でチームの力に貢献できたことをうれしく思う。自分たちがやるべきことをやったことが勝利につながったと思っている」と喜んだ。チームの危機を救ったソンリョンは「先に失点してしまったが、チーム全員で勝とうという強い気持ちがあった。その思いがつながって勝利という結果が生まれたと思う。失点ゼロで終わるのがベストだが、相手もいいチームだった。ピンチの瞬間、自分がチームの力になれたのならうれしい」と振り返った。約2週間ぶりの再戦となる大邱戦。川崎Fは4試合連続先発なのはソンリョンのみ。3試合連続スタメンだった谷口、山根は前節後半からの出場となっている。全試合の出場のDF車屋紳太郎、大島、脇坂も先発2試合、ベンチスタート2試合。大邱戦へ向けてしっかり出場機会をコントロールしてきた。7月7日には前日記者会見が行われた。鬼木監督とユーティリティプレイヤー・旗手怜央が出席し、次のように意気込みを語った。鬼木監督「ここまでチーム全員の力で4連勝ができているので、勝ってきた総合力を明日の試合でしっかりとぶつけていきたい。決勝戦のつもりで、チーム一丸となって戦いたい」旗手「ここまで全勝してきてチームとしていい雰囲気で練習や試合に臨めている。明日は自分たち次第で予選突破が決まるので、相手のことというよりも自分たちのできることを精一杯やって予選突破を決めていきたいなと思う」3連勝でぴったりグループ2位に付ける難敵が相手でも指揮官はノルマ達成を約束した。「拮抗したゲームになるのではと予想している。ただそれと同時に自分たちは毎試合3点以上を取ろうということを目指してやっているので、そこの部分はブレずにやっていく。勝つために3点というのは必要だと思っているので、どんなゲームであろうともそこは目指していきたいなと思う」グループステージ突破間近でも強豪が相手でも川崎Fは3点以上を目指す。『ACL』グループI第5節・大邱FC×川崎Fは7月8日(木)キックオフ(日本時間9日(金))。試合の模様はDAZNにて生配信。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2021年07月08日サッカーをしている小学生の中には「オフザボールの動きが大切!」と、聞いたことのある子も多いのではないでしょうか。一方で「オフザボールってなに?」という疑問を持っている子もいるでしょう。この記事では、オフザボールについてその概要から行う際のポイント、具体的な動きなどについて解説します。オフザボールの役割について知りたい、具体的な動きを練習の中でやってみたい、といった選手は参考にしてみてください。オフザボールとはオフザボールとは、サッカーやフットサルの試合中にボールを持っていない状態のことです。大人の試合なら90分、少年サッカーなら40分の中で1人の選手がボールに触れる時間はほんのわずかです。時間にすると2分程度とも言われています。つまり、試合中のほとんどの時間はオフザボールの状態となります。当然ですが、ボールを持っていないからといって試合に関与していないわけではありません。むしろ、オフザボールの状態は、自分がボールを受けるための準備をする重要な時間となります。例えば、ボールを受けやすいポジションをとる、味方がプレーするためのスペースを作る動きをすることができるでしょう。オフザボールの動きは決して目立つものではありませんが、試合結果を大きく左右するといっても過言ではありません。これは、11人制でも8人制でも同じことです。オフザボールの際に意識することここでは、オフザボールの際にどのようなことを意識すればいいのか、具体的なポイントについて解説します。ぜひトレーニングの時から意識してみてください。体の向きオフザボールの際は、自分にボールが来たらスムーズに次のプレーに移行できるように、体の向きを意識することが重要です。例えばボールを受ける際に、相手ゴール対して背中を向けている状態だとボールを受けた後に前を向く手間が発生します。一方で体を半身にし、ボールと相手の状況が確認しやすい状況を作っておけば、ワンタッチで前を向くことができるでしょう。サッカーはゴールを奪うことが1番の目的であるため、相手のゴールに向かえるような姿勢を意識してください。ディフェンスラインとの駆け引きフォワードの選手は、オフザボールの際にディフェンスラインとの駆け引きをすることが重要です。例えば、オフザボールの際に相手ディフェンダーの視界から消えるような動きができれば、フリーになるためチャンスにつながる可能性があります。また、自分が動くことでディフェンスラインの乱れを誘発することもできるでしょう。このような動きが上手い選手としてあげられるのが川崎フロンターレ所属の小林悠選手です。トップ選手のプレーを見ることも立派な練習メニューの1つであるため、ぜひ試合動画をチェックしてみてください。オフザボールの具体的な動きオフザボールの動きといっても、その種類はさまざまです。代表的なものには以下のような動きが挙げられます。オーバーラップ:ボール保持者の外側を後ろから追い越す動きインナーラップ:ボール保持者の内側から追い越す動きパス&ゴー:自身がパスを出した後、そのまま動き続ける(例:ワンツーパス)ダイアゴナルラン:斜めに走る動き3人目の動き:ボール保持者が別の見方にパスを出そうとする際に、その次のプレーを予測して動き出すことプルアウェイ:ゴールから遠ざかるように動くことで相手のマークを引き剥がすこれらの動きを状況に応じて適切に行うことが重要です。そのため、普段の練習や練習試合の時から意識して取り組んでみてください。まとめ今回は、オフザボールの動きについてその概要から意識するべきポイント、さらには具体的な動きについて解説しました。オフザボールの動きは試合や練習を通して実際にやってみることが大切です。本などでも学ぶことはできますが、基本を学んだらあとは実際にピッチ上で試してみてください。
2021年05月10日この春からお子さんのサッカー活動に携わる方、中にはお父さんコーチとしてかかわる方たちも少なくないのではないでしょうか。子どもたちにサッカーを教えるパパさんへ、伝えておきたいことがあります。サッカーは好きだけど、プレーした経験がなくて教え方がわからない、サッカー経験者だけど、指導経験はない、あるいはサッカーを指導してきたけれど、なかなか上手くいかない。そんなパパさんたちはきっと、「サッカーをしっかりと教えなきゃいけない」と思っているでしょう。今回は、サッカーを教えることよりも大切にしなければならないことをお伝えしたいと思います。(構成・文:KEI IMAI)ジュニア年代で大事なことは、サッカーを「教える」ことではなく......(写真は少年サッカーのイメージ)池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>私は、小学2年生の頃からサッカーを始め、高学年になる頃にはすっかりサッカーに魅了され、プロを目指すようになりました。大学時代は、川崎フロンターレや名古屋グランパスで監督経験を勤めた風間八宏氏の元でプレーする経験をさせていただきました。しかし、大怪我によって半年ほどプレーできなくなってしまいました。手術後、リハビリをしながらジュニアのサッカーチームでコーチのバイトをすることになりました。そこで見たジュニア世代のサッカー環境に衝撃を受けました。■コーチの顔色を伺いながらサッカーする子どもたちジュニアサッカーの現場では、サッカーを始めたばかりの子どもたちを、サッカーゲームの選手を操作するかのように指示し、コントロールし続ける指導者の姿がありました。サッカーが楽しくて始めたはずなのに、子どもたちの多くはベンチにいるコーチの顔色を伺いながらプレーしているのです。「なんでシュート撃たないの!」「クリアしろ!」「○○にパスしろ!」「もっと左にポジションを取れ!」「つぶせ!」「ちゃんとやれよ!」「......」子どもたちは怒られないようにビクビクしながらサッカーしてました。そんな光景に私は衝撃を受けました。子どもたちに怒鳴り散らすコーチの多さに、それが当たり前になってしまっているジュニアサッカーの現場に......。■子どもたちにサッカーを教えるよりも大切なことジュニア年代の指導でとりわけ大切なことは、サッカーを好きになってもらうことです。コーチの存在によって、子どもたちがサッカーに夢中になることです。サッカーが楽しいと思えなければ、自ら上手くなろうという気持ちは芽生えません。コーチはサッカーを好きにさせ、上手くなりたいという気持ちを育むことが大切です。コーチングとは、主体性を育み、自ら気が付き、自発的な行動を促す指導法です。サッカーの育成年代の現場で行われているのは、コーチングよりもティーチングです。ティーチングとは、知っている人が知らない人に教える、できる人ができない人に教える指導法です。サッカーというスポーツは、ピッチに出た選手が、目まぐるしく局面が変化する中で、自らプレーを判断していかなければなりません。つまり、コーチングによって自発的にプレーできるようになる必要があるのです。子どもを厳しく指導して、鍛え上げるという発想は、子どもの主体性、自発性を奪うリスクがあることを理解する必要があります。ひどい場合にはサッカーが嫌いになって辞めてしまう子もいます。強いチームを作って実績をつくるという大人のエゴを子どもに押し付けてはいけません。子どもが上手くなりたい!強くなりたい!という心を育むこと、そして適切なタイミングでコーチングをすることが大切なのです。決して、大人が成長を焦ってはいけません。先回りして教えて、子ども自ら気づくチャンスを奪ってはいけません。時間がかかっても、子どもが自ら気がつくことことが、とてもとても大切なのです。■私の子どもの頃のコーチたちが教えてくれたこと私がサッカーをはじめた時、幸運なことに素晴らしいコーチたちに巡り合えました。今思い返しても、一番最初に彼らと出会っていなかったら私はサッカーを辞めてしまっていたかもしれません。彼らは、とにかく子どもたちと一緒にサッカーで遊んでくれたのです。私たちにサッカーの楽しさを伝えてくれました。ああしろ、こうしろなどと言われた記憶はなく、ひたすら一緒にボールを蹴って遊んだ記憶しかありません。リフティングの技、ドリブルで相手を騙す方法を、遊びの中でちょっとづつ教えてくれました。ある日の練習では、マラドーナやプラティニのビデオを見せてくれて、そのままグラウンドでマラドーナのボールタッチを練習したり、プラティニのドリブルを練習しました。後にも先にもあんなに楽しい練習をしたことはありませんでした。コーチたちは、遊びの中で上手くなる術を教えてくれたのです。彼らのおかげで、私たちは時間があればみんなでサッカーをして日が暮れるまで遊びました。私は小学生時代、コーチにサッカーを教わったことはありませんでした。ただし、サッカーの楽しさを伝えてもらいました。そのおかげで、サッカーが上手くなりたい。プロになりたいという気持ちが生まれ、プロサッカー選手になることはできませんでしたが、今日までサッカーを楽しむことができています。ぜひみなさんも、子どもたちにサッカーの魅力を伝えてください。KEI IMAI桐蔭横浜大学サッカー部時代に風間八宏氏にサッカーの本質を学んだ後、育成年代(主にジュニア)の指導に5年ほど携わる。その後半年間、中南米をサッカーしながら旅をし帰国。ブログ「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営し、サッカー育成年代の取材、指導者や現役選手にインタビューをしサッカーの本質を伝える活動をしている。筆者Facebookアカウント>>筆者Twitterアカウント>>池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>風間八宏
2021年04月26日サッカーU-24日本代表やJリーグで活躍中の若き司令塔・田中碧選手(川崎フロンターレ)。3月29日のアルゼンチン戦でさらに存在感を強めた田中選手の『anan』独占インタビュー(2019年)を特別公開致します。一昨年、昨年とJ1リーグ2連覇(2019年当時)を達成した常勝軍団・川崎フロンターレ。田中碧選手は、何十倍もの競争率を勝ち抜いた強者が集う同クラブアカデミーからの生え抜きだ。トップチーム昇格後はデビュー戦で初得点し、記念グッズも発売され、まさに「エリート街道」をひた走る。だが、順風満帆かといえば、「18歳の時に引退を考えるほど追い込まれた」そうで、「先輩の助言が重荷に感じた」時期も。自分に打ち克つべく、課題を書き出し試合で成功体験を重ね、今や東京オリンピックを担うU‐22(2021年現在はU-24)日本代表になるほどの存在に。「MFという役割は、FWのような派手さはありませんが、僕を起点としてゴールが生まれるので、パス回しなどを見てほしい」努力家で負けず嫌い。アスリートならではの性格が垣間見えるが、自称「恥ずかしがり屋」。「点は決めたいけれど、目立ちたくないんです。友達がわちゃわちゃしてるのもそっと見ていたいし、休日はずっと家にいたい」とはいえ遊びに誘われれば全力で楽しむ。今は先輩とのゴルフが「超面白い」し、同期とは「恋バナで盛り上がる」と頬を緩ませる。「デートはどこがいいとか、そんな話題です(笑)。尊敬できる女性に惹かれますね。たまに天然なところがあると、キュンとします」夢を尋ねると「フル代表はもちろん、いずれはヨーロッパに移籍し、チャンピオンズリーグで優勝すること」と即答。チームカラーのサックスブルーから代表の藍色、そして未知なる色へ。変わりゆく「碧」を見守り続けたい。©KAWASAKI FRONTALEたなか・あお1998年9月10日、神奈川県生まれ。ポジションはMF。U‐22日本代表(※)。自慢のパーツは「大きなお尻!」。「ぜひ注目してください(笑)」※2021年現在は、U-24日本代表。※『anan』2019年11月6日号より。写真・小笠原真紀取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
2021年04月10日包囲網もどこ吹く風。研究されようが徹底マークに遭おうが、さらに上を行く川崎フロンターレ。落とし穴が潜んでいるリーグ戦再開となる大分トリニータ戦をクリアし、川崎Fは7勝1分・勝点22で1位をキープしている。ただここからも気の抜けない戦いが続く。『2021明治安田生命J1リーグ』第8節では、昨季唯一勝点3を奪えなかった相手・サガン鳥栖を迎え撃つ。第9節では『2020JリーグYBCルヴァンカップ』準決勝で0-2でしてやられたFC東京との多摩川クラシコがラインナップ。そして4月29日(木)・5月4日(火)には変則日程でホーム&アウェイ戦となる2位・名古屋グランパスとの首位攻防2連戦が待っている。ただ、あまり先を見ても仕方がない。まず重要なのは次節だ。鳥栖の開幕6試合連続無失点は、4月2日・第7節のセレッソ大阪戦で途絶えたが、厄介な相手なのは間違いない。キム・ミョンヒ体制実質3季目の今季はハードワークとスプリントのベースはそのままにポゼッションを高めている。パク・イルギュ(サガン鳥栖)(C)J.LEAGUEGKパク・イルギュがペナルティエリアを大きく飛び出しビルドアップに参加するとともに、アンカー・松岡大起も最終ラインへ落ちて、常に数的有利を作る。インサイドハーフの仙頭啓矢&樋口雄太もポジションを1列下げてパスを回しリズムを作り、左・小屋松知哉、右・飯野七聖の両ワイドが突破力を生かしている。特に17歳のストッパー・中野伸哉を含めた左サイドの攻撃は秀逸である。相手のプレスによってボール回しがままならなければ、GKパクから一気に前線へボールを送る。フォーメーションも攻撃時は3-5-2だが、守備時は4バックに変わる。ボールポゼッションを標榜しながらも、ボールを握れなければ4-4-2でブロックを敷く。そもそも左ストッパーの中野は攻撃時には左サイドを駆け上がったかと思えば、中へも侵入する。どちらかと言えば偽SBである。システムは左右非対称の可変システムとなっている。上々のスタートにも監督・選手も満足していない。スコアレスドローに終わった第6節・アビスパ福岡との九州ダービー後には無失点を喜ぶよりも引き分けを嘆いた。キム監督が「どの試合も勝点3を目指しているので悔しい。6試合無失点についてはまったく興味がない。勝ちたいです」と悔しさを滲ませれば、パクも「(6試合無失点は)正直なんとも思わない。引き分けが続いて記録を更新してもうれしくないし、今日は失点してでも勝ちにいかないといけないゲーム」と振り返った。C大阪戦では後半早々にボランチ奥埜博亮のビューティフルミドルにやられた。相手は引いて守り、敢えてボールも持たされた。自陣では自由にボールを動かすも、ゴール前に近付くと中央を固めたC大阪守備陣が強度を高く保ち跳ね返すとともにすぐさまカウンターにつなげて来た。今季初黒星にもキム監督は「そんな簡単に点が取れるものでもないし、クロスを上げれば取れるものでもない。ペナ角を取れば点が入るわけでもない。そこから質を上げるのが永遠の課題。そこをしっかり高めていくしかない」と冷静に課題を挙げた。レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE詰まるところ、サッカーは決めるか決めないかである。そして決め切るのが川崎Fだ。CFレアンドロ・ダミアンが得点ランキングトップタイの6ゴールをマークすれば、出場機会が限られているFW小林悠が4ゴール、家長昭博と三笘薫の両ウイングが3ゴール、左サイドバックとして躍動する旗手怜央が2得点で続く。前節も決めるべきところで決めた。4月3日の大分トリニータ戦で左SBに登里享平が戦線復帰すると、旗手がインサイドハーフへ戻った。GKには腰痛のチョン・ソンリョンに代わって丹野研太が入った。一方の大分は十分な準備期間で川崎F対策を施し、フォーメーションを3-4-2-1から4-4-2に変えて来た。後ろの枚数を少なくし前線からプレッシャーをかけて、川崎Fのボール回しに制限を加えようとしたのだ。だが、しかし、前線からの猛烈プレスを披露したのは川崎Fだった。レアンドロ・ダミアンが凄まじい形相でのチェイシングを見せると2列目以降の選手も続き大分の攻撃に制限をかける。切り替えの速さと強度の高さから主導権を握り、パスを回しながら好機を伺う川崎Fだが、大分の粘り強い守備をなかなか破れずにいた。それでも39分にフリーキックのこぼれ球に三笘が反応、コースを切って来た相手の股をワンバウンドで抜く、右ボレーをズバリ。66分には後方からのビルドアップでMF小林裕紀のトラップが大きくなったのを見逃さずに三笘はボールを奪取、シュートコースにはダミアンが入っていたのも構わず後ろからスピードアップし、右アウトサイドで流し込んだのだった。その後も王者はFW遠野大弥、MF田中碧、小林らを投入し、強度を保ってペースを渡さずに2-0でゲームを締めたのだった。普段クールな三笘は試合後、「アルゼンチンを相手になかなか自分のプレーができず、ほかの選手はできていた中、悔しい思いがあった。相手は違うがJリーグで結果を出すしかないと思ってやった」と胸中を明かした。三笘は3月26日の『SAISON CARD CUP 2021』初戦ではU-24アルゼンチン代表に果敢にドリブルを何度も仕掛けるも止められ、29日の2戦目は終盤にピッチに登場するもアルゼンチンを相手に3点奪ったチームメートたちの躍動をベンチから見届けるほかなかった。久々のU-24日本代表で三笘は課題を持ち帰ったのだった。さらに三笘は「チームメートとの距離感は五輪代表とフロンターレではまったく別。選択肢がある中でうまく仕掛けられているのは大きい。今日とアルゼンチン戦ではコンディションの差もある。アルゼンチンとJリーグでは足の出るスピードも違うので、やりやすさは感じる。いい時は、周りが見えているのでうまく使える。結果を出したい時は、アルゼンチン戦のように仕掛ける回数が増える。今日はうまく周りを使えたと思うが、うまく仕掛けられた回数は多くない。いいところと悪いところがあるので、いいところをもっと出していきたい」と続けた。そんな三笘を鬼木達監督は「気負い過ぎずに、自分で行くところ、人を使うところで周りを使えばもう1回自分にチャンスが回ってくるという話をした。自分で行く、また相手を引きつけて味方を使える選手。そこで目線が変わってチャンスもできる。守備においても、彼のスピードが得点につながった」と評価した。また指揮官は負傷から帰って来た登里について「ゲームの中で、いい声がけをしながら、ノボリらしいプレーもしてくれた。久々の試合で緊張と不安があったと思うが、ゲームを進める中でいい感覚をつかみながらやってくれた。失点ゼロで抑えたのもポジティブ」、丹野について「タンちゃんは普段からずっと声を出し続け、トレーニングで日々出してくれていたものが出たのではないか。再開後という難しい試合で、タンちゃん自身も久しぶりの試合だったが、落ち着いてやってくれた」とコメント。そして鬼木監督は「チームとして勝つというのが一番の目標、選手がよくやってくれた。再開というのはどのゲームも難しくなるが、前半、相手の狙いがある中でもアグレッシブに点を取りにいってくれたこと、最後までゼロに抑えてくれたことは非常に評価できる」と選手たちを称えた。川崎F×鳥栖のJ1リーグ戦での通算対戦成績を見ると、川崎Fが8勝6分4敗と引き分けの多さが気になる。川崎Fは直近8試合で負けなしも3戦連続ドロー、3勝5分となっている。誰が出ても、自分たちのサッカーを展開する川崎Fはノルマである「1試合3得点」に近い得点を量産しつつ、5試合のクリーンシートをマーク。一向に隙を見せない。一方の鳥栖は4勝2分1敗・勝点14の4位と好発進しながらもフィニッシュの精度を欠き、ここ2試合は1分1敗とやや停滞気味。川崎Fにはホームの利があり、鳥栖には中4日という日程の追い風が吹く。ただ鳥栖はDFファン・ソッコを出場停止で欠くのが気がかりである。果たして、川崎Fが2年ぶりに勝点3を獲得するのか、鳥栖がまたしても勝点1を持ち帰るのか。それとも2016年8月以来の白星を飾るのか。『明治安田J1』第8節・川崎F×鳥栖は4月7日(水)・等々力陸上競技場にてキックオフ。チケットはJリーグチケットにて残りわずか。試合の模様はDAZNにて生配信。
2021年04月06日相手を翻弄するドリブルにファインゴール。華麗なテクニックで、皆を虜にさせる…。Jリーグのニューヒーロー、川崎フロンターレの三笘薫選手の素顔とは。難しいプレーを簡単そうに見せる選手に“色気”を感じます。午後まで雨が残るとの予報に反して、昼前には陽光が差した撮影日のように、予想は“いい意味で裏切られる”ことがある。三笘選手の昨季の活躍がまさにそれだ。「試合に出続ける」を目標に掲げたルーキーイヤー。蓋を開ければスーパープレーで度々会場を沸かせ、13得点(新人最多タイ記録)に12アシスト(リーグ最多数)とMVP級の活躍。クラブを優勝に導いた立役者の一人に。「充実したシーズンでしたが、満足した試合はひとつもないですね。たとえ得点に結びついても、そのプレーが実力かどうかは自分で判断しています。周りの評価や期待が気になる時期もありましたが、コンディション維持に集中することが結果につながると思うので、毎試合の反省点を練習に落とし込んで次に活かす。それを積み重ねていくしかないと思っています。武器であるドリブルや、パスの精度をもっと高めて、“どうやってるの?”と不思議に思われるようなプレーを見せたいですね」間近で見るほどに揺らぎのない強い眼差しは眩しく、謙虚さと強い意志が紡ぎ出す言葉の端々からは、プロ2年目の23歳とは思えない自信と風格さえも感じさせる。そこに、別次元のドリブルを繰り出すプレーだけじゃない、三笘選手だけの“色気”、人を惹きつける輝きがある。「そう言っていただけるのは嬉しいですが、僕自身は全くないと思っています(笑)。色気を感じるのは、いやらしいプレーをする選手かな。クラブで言うなら家長昭博選手。フィジカルが強くて、難しいプレーを簡単そうに見せるのもうまいし、スペースの取り方、味方を鼓舞するところでもいろいろと引き出しが多くて勉強になります。ビジュアルもカッコいいですしね。普段の僕は、あまりしゃべらないほうで、いじるでもなくいじられるでもなく、そのやり取りを端っこで見ているような悪いタイプ(笑)。休日は、部屋で好きな音楽を流しながらゆっくり過ごすことが多くて、あとはサッカーの動画や映画を観たり…。目的を持って生活したいとは思いますが、プライベートは地味な毎日を送っていますね(笑)」さらに、気になる恋愛面のことを尋ねると…。「何でも言い合えて、尊敬や刺激もし合える関係性が理想です。とはいえ基本的に女性を前にすると緊張するので、アプローチするとしても一気に仕掛けず、様子を窺いながら徐々に間合いを詰めていきます(笑)。僕のアピールポイントといえば聞き上手。ずっと話を聞いていられるし、共感もできるからそこが魅力と思ってくれたらいいのですが、どちらかというと鈍感で、相手の変化に気づけないんですよ。サッカーでは自信を持っている“状況判断”に失敗して、試合に負けています(笑)。攻める(=気づく)ことがなかなかできないので、相手に合わせてディフェンスするしかないですね。サッカーの練習同様に、反省しながら修正していきたいです(笑)」くしゃっと笑いながら少し自信なさそうに語る、誠実で好青年な一面も。精悍で自信あふれるプレーとのギャップもまた、三笘選手ならではの色気といえそう。今季も開幕戦から大活躍。加速する煌めきに目が離せない。みとま・かおる1997年5月20日生まれ、神奈川県出身。筑波大学卒。ポジションはMF。2020シーズンJリーグベストイレブン。「今年は“2年目のジンクス”なんて言われないような活躍をしてみせます!」。©KAWASAKI FRONTALEシャツ¥14,600パンツ¥19,700(共にA│Xアルマーニ エクスチェンジ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL:03・6274・7070)※『anan』2021年3月31日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)スタイリスト・中根美和子取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
2021年03月27日「個人としては楽しんでサッカーをやりたいのが一番。ケガなく楽しみたい」開幕戦で2ゴールを奪った川崎フロンターレの家長昭博は今季の目標についてこのように言った。一見するとクールなレフティらしいシンプルな言葉だが、じつはこの目標なかなかハードルが高い。冒頭のセリフの後には、「チームとしては期待に応えて優勝できるようにがんばりたい」と続けている。今季35歳を迎える家長だが、いまだにボールを蹴る喜びを失ってはいない。だからと言って、ただサッカーができればいいというわけではない。もちろん試合に勝利するだけでは満足できない。攻守に相手を圧倒した上で自らもイメージ通りのプレーを実践し、完勝する……だけでもまだ足りない。シーズンを通して、自身もチームも自分たちのサッカーを貫き、タイトルを手繰り寄せて初めて個人とチームの目標を達成できるのだ。家長はこの日、「2ゴールはでき過ぎだと思う。そのほかのプレーは至って普通だったが、点を取れて勝てたことはよかった」とも口にしている。家長の自己評価がとてつもなく厳しいことが窺い知れるだろう。家長昭博(川崎フロンターレ)(c)J.LEGUE2月26日、横浜F・マリノスとの『明治安田生命J1リーグ』開幕戦で見せた家長のゴールシーンは圧巻だった。21分に右サイドで家長がインサイドハーフ脇坂泰斗にボールを託すと、脇坂は同じくインサイドハーフの田中碧とワンツーからゴール前へ浮き球を放る。そこへ家長を追い抜いて走り込んだ右SB山根視来がヒールパスでつなぎ、冷静にタイミングを計った家長が左ボレー一閃。家長昭博(川崎フロンターレ)(c)J.LEGUE43分には中途半端な相手のクリアボールを右サイドの高い位置で収めた田中が脇坂とワンツーパス、続いてCFレアンドロ・ダミアンとのワンツーからクロスを放つと、家長が頭から飛び込んでゴールを揺らしたのだった。ふたつのゴールシーンを家長は「練習でやっている形が1点目に出てよかった。本当に視来のボールが素晴らしかったし、あとは集中してシュートを打つだけだった。(2点目は)碧が抜け出した瞬間にいいクロスが上がってくると思った。非常にいいボールがきて、決められてよかった」と振り返った。ゴールシーンだけではない。家長にボールが収まると、タメができた。高度なスキルと体幹の強さを両立し、高いサッカーIQと広い視野を兼ね備えた家長がボールを持つと相手DFは容易には飛び込めない。スペースが少なく、攻守の切り替えが早い現代サッカーにおいて、家長の周りだけが時がゆっくり流れているような錯覚に陥るのだ。そう感じさせるだけの独特の間合いと言うか、懐の深さを家長は見せ付けている。鬼木達監督(川崎フロンターレ)(c)J.LEGUEこの日の川崎Fは守備でも盤石だった。攻撃から守備の素早い切り替えで、マイボールを失ってもすぐさまボールを取り返し、再び攻撃を作り直していた。相手ボールになっても組織立った守備で連続したディフェンスを披露。横浜FMのパスワークに付いていくだけではなく、ここぞというところで囲い込んでボールを奪取した。試合後、鬼木達監督は「守備のところ、囲い込みのところを強調して試合に入った。選手は攻撃的なチームを相手に怖がらずに前へ前へ行ってくれた。後半に体力的なところで、引いて受ける時間もあったが、それでも『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』の時にはあそこ(後半2-0)から2点取られたことを考えると、失点ゼロで抑えて勝ち切ったことはすごく評価できる」と選手たちを称えた。谷口彰悟(川崎フロンターレ)(c)J.LEGUECB・谷口彰悟主将も「マリノスが後半になって非常に前へパワーをかけていた。なかなかマイボールにできず守りの時間が長かったが、課題を生かすことができた。ずるずる下がった感じになり、どこで守るのか、コンパクトに間延びしない守り、簡単に引かない、単独で追わないという声かけはできていた。『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』の時よりは統一感を持った守備ができた」と胸を張った。家長も指揮官、主将の言葉に同意する。「前半からみんなで集中して声を掛け合いながらできた。後半に押し込まれた時も、みんなで助け合いながら勝てたので、非常によかった」家長昭博(川崎フロンターレ)(c)J.LEGUEさらに中村憲剛が引退し、日本人選手最年長となった今季、意識の変化が生じたか問われると、家長はこう返した。「心境の変化はまだそんなに感じていないが、1年間やっていく中でどう変わっていくのか自分でも期待している。チーム内の役割もそこまで大きく変わらないが、一番上の選手がやっていると周りもついてやっていけると思うので、そこは率先してやっていきたい」昨季、中村より発表前に引退を告げられた後、家長は「心にぽっかり穴が開いたような」喪失感を感じていた。なぜなら、家長は中村を「永遠に勝てないライバル。勝てないけど、挑みたい。もう、勝てないけども、自分の中では一番負けたくない人」ととらえていたのだ。昨季が終了した時点でも家長は「正直、今の自分には憲剛さんがいなくなった後の覚悟とかはまだない。それぐらい実感が湧いていない」と語っていた。今季がスタートしても心境の変化を自覚していないが、家長はこれからも心の中のライバルに負けないよう成長し続けるだろう。プロ18年目を迎えてなお成長を止めようとしないのだ(写真左より)家長昭博(川崎フロンターレ)、田中碧(同)(c)J.LEGUE家長と同様に川崎Fもさらなる高みを目指している。史上最速に史上最多勝点、最多得点、最少敗戦など記録尽くめのリーグ優勝とともに『天皇杯』との2冠を達成し、今季は全19チームのフロンターレ包囲網が敷かれることだろう。『ACL』との過密日程も待っている。困難なシーズンが予想されるが、それらを凌駕するフロンターレのサッカーを作り上げようとしている。上々のスタートを切った川崎Fと家長。彼らの飽くなきチャレンジを見届けたい。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2021年03月03日この街から日本の風景を変えていく。発達障害や感覚過敏のある方が暮らしやすい川崎市の取り組み「障害のない社会をつくる」。発達ナビを運営する株式会社LITALICO メディア&ソリューションズが掲げるこの理念にも通じる、「誰もが自分らしく暮らし、自己実現を目指せる地域づくり」の実践を全国に先駆けて始めている街があります。それが、神奈川県川崎市の「かわさきパラムーブメント」です。今このプロジェクトが、近い将来の人口減少社会を見据え、一人ひとりが尊重され、能力を発揮することができる環境づくりのモデルケースとして、大きな注目を集めていることをご存知でしたか?Upload By 発達ナビ編集部2016年度から継続する「かわさきパラムーブメント」は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」)の開催をきっかけとして、「人々の意識や社会環境のバリアを取り除き、誰もが社会参加できる環境を創り出す」ことを理念としています。「人それぞれの個性への理解」が「心とハードのバリアフリー」につながり、「社会環境によるバリアのない暮らし」が自己実現を可能にし、「社会への参加」が当たり前となり、そのことで新しい価値が創出されていくという循環を目指すプロジェクトです。Upload By 発達ナビ編集部川崎市は、パラリンピアンとの交流をきっかけに共生社会を実現するための先導的かつ先進的な取組を総合的に実施する「先導的共生社会ホストタウン」に認定され、「心のバリアフリー又はユニバーサルデザインの街づくりの取組の継続的・加速的な実施」と「東京大会の事後交流も含めた幅広い形での相手国・地域のパラリンピアンと市民との交流」に取り組んでいます。今回はその先導的・先進的な取り組みの事例について、川崎市 市民文化局 オリンピック・パラリンピック推進室の永田光太郎さんに、お話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部人々の意識や社会環境のバリアを取り除き、誰もが社会参加できる環境を創り出す――まずは「かわさきパラムーブメント」が始まった背景について教えてください。以前から少子高齢化、人口減少社会の到来を見据えた持続可能なまちづくりについて議論や検討を重ねてはいましたが、その計画をさらに大きく前に進めるきっかけになったのは東京2020大会の開催が決まったことでした。川崎市では、パラリンピックを未来につながるダイバーシティとインクルージョンの象徴と捉えています。パラリンピックに重点を置き、障害のある人が生き生きと暮らすうえでの障壁となっている、私たちの意識や社会環境のバリアを取り除くことや、新しい技術でこれらの課題に立ち向かうこと、これらを「ムーブメント」として展開していくことを目指し、かわさきパラムーブメントの取り組みがスタートしました。――その中でも川崎市では、身体障害がある方の他にも発達障害や感覚過敏がある方への取り組みに力を入れているそうですね。全国的にも身体障害がある方への取り組みはハード・ソフトの両面で増えてきている一方で、目に見えない困難を抱える人たちへの取り組みはまだ実践の例が少ないのが現状です。ですので、先導的に川崎市発で発達障害や感覚過敏がある方へのサポートを全国に広めていければと、そんな想いで取り組みを進めています。今回は、「かわさきパラムーブメント」を象徴する3つの事例について、紹介させていただきます。日本初!発達障害、感覚過敏のあるお子さんのための「サッカー&ユニバーサルツーリズム」――その取り組みのひとつが、「サッカー&ユニバーサルツーリズム」と伺いました。「かわさきパラムーブメント」の取り組みにより未来へ遺していくレガシーのひとつとして、「誰もがスポーツ・運動に親しんでいるまち」があります。このレガシーの形成に向けて、JTBやANA、富士通、川崎フロンターレ等と連携し、2019年7月27日の川崎フロンターレ対大分トリニータ戦において、日本で初めて発達障害のあるお子さんを対象とした「サッカー&ユニバーサルツーリズム」を実施し、当日の試合観戦と翌日のサッカー教室にご参加いただきました。――それはどのような課題に対しての取り組みだったのでしょうか。発達障害のあるお子さんの中にはその特性から感覚過敏の方も多く、人混みや喧噪などが外出等における障壁となっていて、外出や旅行をためらってしまうこともあるそうです。またスポーツ観戦に関しても、スタジアムは歓声や音響が大きく、照明の光も強いので、そもそも観戦を諦めてしまう親子も多いとも聞いています。そんな親子の力になりたいと思ったんです。Upload By 発達ナビ編集部――多くの企業と連携したプロジェクトとなりました。元々はJTB主催のシンポジウムで、発達障害をテーマとしたパネルディスカッションで生まれたご縁から始まりました。関わるスタッフに向けた勉強会や研修を実施していただいたり、川崎市自閉症協会の方にお話をいただいてケーススタディをしたり、発達障害というものを全員で学びながら進めていきました。――企業と連携したからこそ、できたことがあったと。それぞれの企業ができることは何かと考え、ひとつずつ形にすることで最後には大きな力となりました。当日は大分からも当事者のご家族に参加いただいたので、まずANAに飛行機やツアー中の移動をサポートしていただき、JTBには移動時に限らず運営に携わるスタッフに向けた心のバリアフリー研修を行っていただきました。また、富士通には当事者ではない方にも感覚過敏の特性とそれに対する配慮の仕方を学習できるVR動画を制作してもらったほか、サッカー観戦などの貴重な体験を簡単に日記にできる「気持ち日記」というアプリを提供してもらったりと、コンテンツ面で力を発揮していただきました。Upload By 発達ナビ編集部――お子さんにとって、スタジアムで直接サッカーを観戦するという、得難い体験になったのではと思います。そうですね。会場となった等々力陸上競技場にはセンサリールームを特設して、音も光も抑制された部屋で観戦できるようにしました。同時にカームダウンスペースとスヌーズレンも用意して、疲れた時に休憩できるようにもしたんです。また試合開始前には川崎市長からこの取り組みについての説明をしたり、川崎フロンターレの計らいでオーロラビジョンの選手名をひらがなで表記していただいたりしました。サポーターの方たちが歓迎の横断幕を用意してくれたのも印象的でした。――そして翌日にはサッカー教室も開催されました。当日は、前日の試合に出場してリカバリートレーニングをしていた選手も急遽参加してくれて、思う存分サッカーを楽しんでもらう体験をしていただきました。普段見られない一面が見られて良かった、ひとつの成功体験となりその後の学校生活の中でも積極的に動けるようになったと、ご家族にも喜んでいただけたことが嬉しかったですね。Upload By 発達ナビ編集部――今振り返ると、どのような意味のある取り組みとなったのでしょうか。発達障害の当事者以外の方も巻き込んで、みんなが考えるきっかけとなったことが大きかったなと考えています。実施後も、国際ユニヴァーサルデザイン協議会主催のIAUD国際デザイン賞2019UXデザイン部門での金賞や、公益社団法人日本プロサッカーリーグ主催の2020Jリーグシャレン!アウォーズでのJリーグチェアマン特別賞の受賞など、たくさんの反響をいただきました。現在も、他の自治体などから問い合わせをいただいており、今後はこの取り組みが全国的に広がっていくことが大切だなと思っています。Upload By 発達ナビ編集部日本初!商業施設で安心して買い物を楽しむための「クワイエットアワー」――他の取り組みとして、「クワイエットアワー」についても教えてください。「サッカー&ユニバーサルツーリズム」のサッカー教室の日に合わせて、会場近くの「イオンスタイル新百合ヶ丘」に朝9時から10時まで、日本で初めての試みとなる商業施設における「クワイエットアワー」を実施していただきました。買い物を楽しんでから、サッカー教室に参加しようという提案です。――まだ「クワイエットアワー」は日本で浸透していない中での取り組みとなりました。そうですね。例えば、川崎市のホスト国である英国では、すでに商業施設でも特定の曜日・時間帯に行われているもので、感覚過敏のある方も安心して買い物ができるよう、音や光を緩和していると聞いています。感覚過敏がある方にとって、店内の音や光や匂いなどによって、生活に必要な買い物が苦痛になってしまうことがあります。この取り組みをきっかけに川崎市内、将来的には全国で「クワイエットアワー」が浸透していってほしいと願っています。Upload By 発達ナビ編集部――具体的にはどのような取り組みだったのでしょうか。店内の照明の明るさを通常時より2~5割程度暖和したり、店内に流れるBGMに配慮したり、カームダウンスペースの配置などを行いました。検討にあたっては、医師のほか、音響の専門家、当事者団体など、多くの方に意見を伺いながら進めました。Upload By 発達ナビ編集部――日本初の商業施設における「クワイエットアワー」、やってみていかがでしたか?当事者の方のサポートになるということは前提として、やはり大切なのは当事者以外の方に知ってもらう、考えてもらうことだと思っています。その意味で、普段お買い物をされている方が「クワイエットアワー」を知り、「よい取り組みですね、応援します」と言ってもらえたことは収穫でした。同時に、「少し店内が暗くて見えにくい」との素直なお声もいただき、今後も理解を広げていくための取り組みを推進していきたいと考えています。――取り組みを川崎市全体に広げたいという想いもあるのではないでしょうか。そうですね、市内の他の商業施設などに展開をしていきたいと考えていて、現在各方面から情報を集めながら進めています。構えずに参加しやすいように、例えば照明やBGMを落とすだけでもサポートになるんですよという提案をしていきたいと考えています。そして実施事例が増えていくことで、発達障害や感覚過敏について知る機会が増え、自分も何かできないかと行動に移す、そんな風に広がっていって欲しいです。マイノリティの立場で世の中を考える、「バリアフルレストラン」――最後に、今年実施した「バリアフルレストラン」についても伺わせてください。「バリアフルレストラン」とは、車いすユーザーと二足歩行者が逆転した架空の世界を体験する、「チーム誰とも(主体:公益財団法人日本ケアフィット共育機構)」によるプログラムのことです。「令和2年度共生社会ホストタウンサミットin多摩川」に合わせて、目玉となる出展のひとつとして二子玉川ライズ ガレリアで実施しました。――障害の社会モデルの一環で、マイノリティの立場を体験するための企画ということですね。はい、今の社会の多くは無意識のうちにマジョリティ優先の考え方で成り立っています。その前提をひっくり返して、世界の中で車いすユーザーが多数だったときに、どういうレストランになるのかを具現化して当事者ではない方に体験していただきました。コロナ禍ですので人数制限などの対策を万全にしながらの実施となりましたが、体験された方から貴重な機会になったとのお声をいただいています。Upload By 発達ナビ編集部――発達ナビのメンバーも参加させていただきましたが、非常に貴重な体験となりました。ありがとうございます。川崎市長も体験をしたのですが、「すごい気づきをいくつも感じることができる非常に貴重な体験であり、このような機会をいろんなステークホルダーの方たちと連携しながらいくつもつくり出していきたい」とのコメントがありました。この取り組みをきっかけとして、身体障害のある方もそうですし、発達障害や感覚過敏がある方についても、当事者以外が自分事で考えたり体験したりしてもらうための取り組みを続けていきたいと思っています。Upload By 発達ナビ編集部――東京2020大会の見通しは不透明ですが、一旦は「かわさきパラムーブメント」の区切りを迎えることになります。もちろん東京2020大会はきっかけのひとつでしかないので、今後も培ってきた考え方を広げて、どのように推進していくかを議論しているところです。時代の流れと共に常に視点は更新しながら、川崎市としての軸はブラさずに、レガシーを形成するために一歩一歩着実に取り組んでいきます。――発達ナビの読者の皆さんにも、メッセージをお願いします。川崎市では、街の物理的なバリアフリーの実現はもちろん、「心のバリアフリー」についても浸透させていくことで、発達障害や感覚過敏のある方にとっても暮らしやすい街づくりを目指していきます。私たちの取り組みを知っていただき、ぜひ川崎にお越しいただきたいと思います。そして何より、川崎市が始めた「誰もが自分らしく暮らし、自己実現を目指せる地域づくり」の取り組みについて、ぜひご友人や暮らしている街の人たちにも伝えて広めていただきたいと思っています。この活動が川崎市だけではなくて全国に広がっていくことが、真に多様性を受け入れる社会の実現に繋がると考えているからです。真の共生社会の実現に向けて、ともに歩んでいきましょう。「かわさきパラムーブメント」についてご興味をお持ちいただき本当にありがとうございました。2024年に100周年を迎える川崎市、その取り組みをたくさんの方に知っていただきたいから「かわさきパラムーブメント」の考え方や取り組みには、発達障害や感覚過敏の当事者の方も、当事者でない方も、この社会で暮らす全員にとって多くの学びや発見があります。川崎市が踏み出した一歩が少しずつでも広がっていくことが、これからの社会には必要なはず。多様性を受け入れる街が、ひとつ、またひとつと増えていくことで、「障害のない社会」はきっと実現していきます。ぜひ皆さんにも、もっと取り組みについて知っていただき、近くの誰かに伝えていただけると幸いです。サッカー&ユニバーサルツーリズムの取り組みを動画で見る!
2021年02月26日今季のJリーグは神奈川ダービーで幕を開ける。川崎フロンターレ×横浜F・マリノス。2017・2018・2020年『明治安田生命J1リーグ』王者と2019年リーグ戦覇者の対決は、これぞ攻撃サッカーというスリリングな攻防を見せてくれるだろう。1試合3ゴールをノルマに掲げる鬼木達監督も、独自のアタッキングフットボールを標榜するアンジェ・ポステコグルー監督も、攻撃に一家言を持っている。2月24日に『2021明治安田生命Jリーグ』開幕直前オンライン会見を開催。開幕戦2日前に川崎F・鬼木監督、三笘薫、横浜FM・ポステコグルー監督、仲川輝人が登場し、次のように意気込みを語った。(写真左より)鬼木達監督(川崎フロンターレ)、アンジェ・ポステコグルー監督(横浜F・マリノス)「2021年の開幕一発目、とにかく自分たちのスタイルで戦い抜く。見てくれる人が喜んでくれる試合をしたい」(鬼木監督)「開幕戦を楽しみにしている。去年は大変なシーズンだった。しっかり勝っていいスタートを切りたい。自分たちのサッカーをしっかり出していきたい」(ポステコグルー監督)川崎F対策を問われたポステコグルー監督は「相手どうこうではなく、自分たちのサッカーをすることが大事。自分たちがどう戦うかに重点を置いている。開幕戦に勝って、第2節に負けるなんてマネはしたくない。私がマリノスの監督に就任してから3年間、フロンターレは素晴らしいサッカーを見せている。いいチームであり、個もいい。コーチ陣も素晴らしい。それを踏まえていい準備をしたい」と答えた。昨季、史上最速に最多勝点、最多得点など、記録尽くめの優勝を成し遂げた川崎Fは徹底マークが予想されるが、包囲網を打破する手立てについて質問されると、鬼木監督は「やはりハードワークし続けるのがベースにある。その上で自分たちのスタイルで得点を取り続ける。マークが厳しくなるのは2019年や昨季終盤もあった。今年は『ACL』もあり、過密日程になるので、ハードワークとメンタルが大事。気持ちの準備、一喜一憂せずに長いシーズンを戦いたい」と言及した。(写真左より)三笘薫(川崎フロンターレ)、仲川輝人(横浜F・マリノス)大卒ルーキーながら13得点とMVP級の活躍を見せた三笘と2019年にMVP&得点王を獲得しながら、昨季はまさかの2得点に終わった仲川は以下のように開幕戦の抱負を語った。「開幕戦で神奈川ダービー、気合が入っている。ここで勝てば勢いに乗れる。いい準備を臨みたい」(三笘)「開幕戦で神奈川ダービーなので、激しい試合になると思うが、結果が大事。結果を出せるようチーム一丸となっていいサッカーをしたい」(仲川)互いの印象について問われると、ふたりはこう答えた。「仲川選手はスピードがあり、カットインしてからのシュートやクロスなど、ひとりで脅威になる。ドリブラーとしてタイプは違うが、参考にさせてもらっている」(三笘)「緩急の付け方がうまい。引き付けて味方を使うこともできる。去年ホームでもアウェイでも点を取られたので、厄介な相手。僕らも止めに行くので、それを三笘君には楽しんでもらいたい」(仲川)さらにふたりのドリプラーは今季の活躍を誓った。「特徴はドリブルやアイデア。観客に楽しんでもらいたい。今季も数字にはこだわりたい。得点、アシストを残していきたい」(三笘)「去年ケガで半分出ていないので、フルで出られるようにしたい。1試合1得点を目指して、23得点に近付ければ」(仲川)課題についても言及した。三笘が「連戦が多くなるので交代の枠は重要。ただ自分も90分出たい。後半のプレーの強度を高めていかないといけない。プレーの選択、どこで力を使うかが重要。ドリブルの回数を減らしゴール前に行くのか、ドリブルでどんどん行くのか、味方を使いながら選択していきたい」と言えば、仲川も「去年と同様にマークは厳しく来ると思うが、個人でひとりふたり外す力がないとチームの力にならない」とキッパリ。また仲川は「いい仕上がりでキャンプを終えることができた」と振り返りつつも、「ただ公式戦をやっていないので、『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』があったフロンターレが有利かも」と警戒する。仲川の危惧も理解できる。2月20日・『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』でも川崎Fは強かった。三笘薫(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE相手はガンバ大阪。11月25日・等々力陸上競技場での『明治安田J1』第29節直接対決で0-5の大敗で川崎Fの史上最速優勝を許し、2021年1月1日・国立競技場での『天皇杯』決勝で返り討ちに遭ったG大阪は並々ならぬ思いでシーズンを占う一戦に臨んだ。それでも試合開始とともにペースを掴んだのは川崎Fだった。立て続けに決定機を演出すると、29分にMF田中碧のパスでペナルティエリアに侵入した三笘はワンタッチからシュート一閃。先制点を叩き出した三笘は3分後、右SB山根視来のシュートを押し込んで2-0。完全に試合を支配する。だが、今季最初のゲームはこのままでは終わらなかった。60分にクロスをクリアし切れないと、2次攻撃からMF矢島慎也に技ありのゴールを決められた。67分にはPKを献上し、同点に追い付かれた。サッカーでよく見る負けパターンの典型的な展開だが、川崎Fはここで踏ん張る。遠野大弥(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE72分にエース小林悠を投入し、レンタルバックしたFW遠野大弥をピッチへ送り出す。PK戦突入と思われた96分に田中の縦パスに遠野が反応、さらに前を向いた遠野のスルーパスに小林が抜け出し右足を振り抜きゴールネットを揺らしたのだった。試合後、鬼木監督は「前半に2点を取って、後半で3点目を取って決めたかったが、2点を取られて追い付かれたのは反省点。でも、そのあとも勝ち切るために全員で力を合わせて一発目を勝てたのはすごく評価できる。一発目で課題が出たのもポジティブにとらえている」と前を向いた。小林悠(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE2得点した三笘が「2-0で折り返してから2-2に持っていかれてしまったのはすごく反省点。そこから3-2にしたのは力があるが、もっと楽に進められたと思う。自分としては得点以外は何もできなかった。もっと前線からの守備やプレッシャーをかけないといけない」と反省の弁を口にすれば、決勝弾を決めた小林は「シーズンの始まり、いいスタートを切りたかった。チームとしてしっかり勝ち切れたことはよかった。大弥が前向きにボールを持った時に、自分の特長の動き出しで相手より速くパスを出すスペースを作った。そこに大弥がいいボールをくれたので、あとは打つだけだった」とチームメイトを称えた。ジョアン・シミッチ(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUEいいパフォーマンスを見せた新加入のふたりはこのように振り返った。「碧からいい縦パスが来たのでワンタッチではたくか、シュートまで持って行こうと思ったが、悠さんがいい位置に走っていたのでパスにした。アシストという結果でチームに貢献できてうれしい」(遠野)「個人的には出せるものは出してチームに貢献できたと思う。今後伸ばしていかなければならない点もあるが、現時点で満足の行くプレーはできたと思う」(ジョアン・シミッチ)また、小林は中村憲剛が去ったチームを引っ張っていく決意を改めて口にした。「チームとして存在が大きかったし、僕自身も寂しかったが、シーズンが始まったのでそんなことは言っていられない。今週の練習でも新加入の選手にフロンターレが目指すところやほしいボールについて話したり、憲剛さんがやっていたことを意識してやっている」ストップ・ザ・フロンターレの包囲網にあっても、『ACL』との過密スケジュールを強いられても、中村憲剛が去っても、川崎Fは強い。果たして、川崎Fが2度目の連覇へ好発進するのか、横浜FMが王座奪還へ勝点3を手繰り寄せるのか。『明治安田J1』開幕戦・川崎F×横浜FMは2月26日(金)・等々力陸上競技場にてキックオフ。今季の幕開けに極上の攻撃サッカーを堪能したい。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2021年02月25日本日1月27日に発売された『FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号』では、中村憲剛氏とつながりが深い方々にインタビュー。誌面の都合で泣く泣くカットせざるを得なかった盟友・伊藤宏樹氏(現・川崎フロンターレ強化部)との対談の未公開部分を昨日に続き掲載。後編は長年、兄と弟のような関係で切磋琢磨してきたふたりが、印象に残っている試合やゴールについて語り合う。――印象に残っているゴールを教えてください。中村憲剛(以下、中村)「俺は2007年のナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)で、宏樹さんがアウトサイドに(巻いて)かけて、サイドネットに突き刺さったゴール。あれは、宏樹さんのゴールのなかでもすごく覚えてる」伊藤宏樹(以下、伊藤)「あれ?その試合に憲剛いたんだっけ?」中村「いましたよ」伊藤「いたか」中村「あれはいました(笑)」伊藤「憲剛はいつもカップ戦にあると、代表でいないイメージだったから」中村「あのときはいたんですよ、なぜか」伊藤「(チョン・)テセのゴール、アシストした?」中村「した、した。俺、意外と宏樹さんの生涯ゴールの半分ぐらいはアシストしていると思う。セットプレーも含めて」伊藤「少ないからな(笑)」中村「たぶん5点、6点くらいでしょ?そのうち3点ぐらいは俺がアシストしているよ」伊藤「もうちょっと(点は)多いわ!」――宏樹さんは憲剛さんのゴールで印象深いものはありますか?伊藤「ゴールでいうと、プロ1年目のアウグストからのボレー。まだ憲剛が26番のとき。引退セレモニーの『ThanksVTR』のなかでも流れていたけど」中村「あれね」伊藤「あとは、アシストは熊谷での大宮アルディージャ戦。ジュニーニョに出したロングスルーパス、かな」中村「それもう、だいたい世に出ているやつじゃないですか。……別のやつもらってもいいですか?(笑)」伊藤「じゃあ、やめようか?(笑)」中村「大丈夫、大丈夫、それでいい(笑)」伊藤「まだ、いっぱいあるけど、憲剛とジュニーニョの“翼くん・岬くんゴールデンコンビ”みたいに決めたやつも好きだけどね。あれはFC東京戦だっけ」中村「FC東京戦のやつね。あれもすごかった」伊藤「あれは本当にすごかった」中村「宏樹さん、ほとんど俺のゴールを後ろから見ているからね。確か、宏樹さんが俺と一番試合に出ていたんだよね?この間、誰かとその話をした覚えがある」伊藤「この間、タニ(谷口博之)が言っていたな」(写真左より)中村憲剛、伊藤宏樹――ふたりのなかで一番印象深い試合は?伊藤「ふたりのなかでか。俺が悲しかったのは、2004年に昇格して、2005年にいざ念願のJ1開幕戦を迎えた柏レイソル戦。憲剛が前日に熱を出して、いないという。あれは悲しかった」中村「それを挙げるのは、よくないなあ(苦笑)」伊藤「本当、そこを楽しみにめっちゃ(練習して)きていたのね。そしたら、前日のホテルで知らされて」中村「俺もそうだよ。飯を食って、部屋に戻ったらもう急に寒気がしちゃって」伊藤「39℃くらいあったよね?」中村「ああーってなった」伊藤「『何してんだよ!』と思った。あれが本当に残念だった」中村「現役最初のJ1の試合と最後のJ1の試合が柏戦で、両方とも行っていないという……(苦笑)」――なるほど。中村「実は2005年にJ1に昇格したときの試合日程が柏、続いて浦和レッズだったんです」伊藤「ああ」中村「しかもアウェイ柏、ホーム浦和で。それで、自分の現役最後のリーグ戦は、ホーム浦和、アウェイ柏!」伊藤「すごい偶然だね」中村「2020年のスケジュールが出たときにもう、ゾゾゾってなったよ。それで始まって、それで終わるの?という日程だったので。だからその2試合は絶対に出なきゃいけないって思ってた」伊藤「でも、最後、出ていないからちょうど良かったのかもしれないね(笑)」中村「というか、(伊藤が挙げた)一番悔しかった試合、印象に残っている試合に、俺がいないことが問題です(笑)」伊藤「印象に残っている試合……他は……」中村「何ですかね。もう、あり過ぎて…」伊藤「個人的にはあれかもしれない。俺の引退試合になった(2013年の)横浜F・マリノス戦。あの試合は憲剛がめっちゃめちゃパフォーマンスが良かったから。あれにはびっくりしましたよ」中村「俺ね、最初で最後だと思う。人のために頑張ったの」伊藤「結構、神がかっていた」中村「神がかっていましたね。『宏樹さんの等々力ラストゲームを負けて見送るわけには、絶対にダメだ』と思っていた」伊藤「しかも、相手は優勝のかかっていた大きな試合。大舞台ですよ」中村「あの試合は、もう本当に心震えましたね。それにこの人、引退すると言ったのが、その週の初めなんですよ。F・マリノス戦の週のオフの日に、電話がかかってきて、あり得ないよ、本当に」伊藤「(笑)」中村「それもあったから、俺は2カ月前に言ったんです。だって、さみしい。1週間前に言われて、気持ちの整理がつかないじゃないですか。だから自分は、引退するときは絶対に先に言いたいと思っていたんです。そうしたら、たまたまチームの調子も良くて言いやすかった。やっぱり、唐突なお別れになっちゃうのはダメだなというのは、宏樹さんから学びました(笑)」伊藤「あはは(笑)」中村「残される方はさみしいからね。俺、今回は去っていくほうの気持ちが初めてわかったけど、意外と去っていくほうは、さっぱりいけるんですよ」伊藤「うん」中村「ただ残された方は、キツいから」伊藤「俺の場合は、フロンターレだけで、憲剛の場合は背負っているものが違うから。俺はあれで良かったんだよ」中村「いやいや、そんなことないでしょ」伊藤「でも、改めて、憲剛のこの終わり方は本当にすごいよね。リーグ優勝を決めたことを考えても、最後に天皇杯決勝の舞台まで整ったことも含めて。普通のスポーツ選手では、なかなかできないことだと思います」取材・文:林遼平撮影:佐野美樹FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号川崎フロンターレとサッカー人生を歩んできた中村憲剛のバンディエラの矜持に迫ります。1万文字にもおよぶ本人のロングインタビューはもちろん、ピッチの外から見届けた天皇杯決勝のラストゲームにも密着。小林悠、家長昭博、大島僚太、谷口彰悟、登里亨平らチームメイト、恩師、クラブスタッフにもインタビュー。サッカー漫画『GIANT KILLING』の漫画家・ツジトモによる中村憲剛の描き下ろしイラストやスキマスイッチ・常田真太郎からのメッセージ、よき理解者である伊藤宏樹との対談も掲載。タイトル:FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号発行:ぴあ株式会社発売:2021年1月27日定価:1,500円(本体1,364円)判型:B5判・96ページAmazon: 楽天ブックス: 書店、ほかネット書店にて詳細はこちら:
2021年01月27日明日1月27日(水)に発売される『FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号』では、中村憲剛氏とつながりが深い方々にインタビュー。その企画のひとつとして行われた、かつてのチームメイトである伊藤宏樹氏(現・川崎フロンターレ強化部)との対談は関係性の深いふたりの歩みがわかる貴重なトークとなっている。今回、誌面の都合により、本誌ではカットせざるを得なかった未公開部分を特別に掲載。兄弟のように強い絆で結ばれたふたりのクロストークをお楽しみあれ。――ふたりがチームメイトだったときは、どんな話をすることが多かったのですか?中村憲剛(以下、中村)「本当にずっとしゃべっていたよね。だから、いつ、とかではなく常に、だよね」伊藤宏樹(以下、伊藤)「うん、何をしゃべっていたかが分からないくらいに(笑)」中村「アウェイのときに宿泊するホテルでも、普通に部屋に行って話していた。今はあり得ないけど、本当にずっとベッタリだった」伊藤「ね。でも、試合になれば、いつも喧嘩していた」中村「そうそう。ちなみに俺ら、仲良くはないんですよ?(笑)」伊藤「憲剛は俺しか文句を言える人がいないから、こっちにばっかり言ってくる」中村「みんな先輩だったから(笑)」伊藤「当時、ボランチなのに、まあ守備はしないし、ポジショニングはめちゃくちゃで(笑)。だからこっちも言うけど、でも、それがたまにいいチャンスになるし、(当時監督だった)関塚(隆)さんもそれを褒めるんですよ。それで憲剛は伸び伸びやっているから、こっちは(守備面などの)文句を言って、喧嘩をするわけです。そうしたら、だんだん憲剛が成長してくるにつれて、賢いから的確なことを言うんですよ。すると、こっちも言い返せなくなって、グーってなって、とりあえず『うるせえ!』となる(笑)。そういったやり取りが多かったかな。でも、昔はそんなことがおもしろかったけどね」中村「こっちとしても言い負かしているというか。この人ね、リアクションはそんなに多くないんですよ。我慢して、我慢して、最後に『うるせえ!』と言う。あとは『取れよ!』とか。まあまあな口を……」伊藤「そんな言い方ですよ。もう、昔は(笑)」中村「こっちも『宏樹っ!』とか、呼び捨てにしていて(笑)。だからシーズン最初のキャンプのときに、それをやると新加入(の選手)が『えっ?』ってなっていたよね(笑)。普段にしても好きなものや趣味も全部、違うからね。馴れ合うような仲の良さじゃない」伊藤「うん」――それなのにアウェイのホテルなどでも一緒にいられる理由とは?伊藤「何だろうね、あれ。バスや新幹線でも隣だったし」中村「居心地がいいから。何を言っても大丈夫という安心感。たぶん。失礼な後輩ですよ。今、思えば」伊藤「失礼極まりない後輩だよ(笑)」中村「極まりない(笑)。だけど、昔からのフロンターレのサポーターは結構、知っているよね」伊藤「ふたりのつながりで言うと、僕が(2013年に)引退するときに、憲剛は二人組(の練習相手)や隣に座る人がいなくなってさみしいんだろうなという話をしていたんだけど、この間、憲剛が引退するときに、(小林)悠が全く同じ話をしていたから『ああ、歴史っておもしろいな』というのは、個人的には思ったね」中村「だって大変だったよ。“宏樹ロス”……」伊藤「長くやったら、そうなるんですよ。やっぱり悠も憲剛と長く一緒にやって、そういう関係になった。それでまた、何年後かに悠が何を言うんだろう、というのは思います」中村「宏樹さんの引退VTRを、当時、妻とずっと見ていてふたりで泣いていましたもん(笑)」伊藤「あはは(笑)」中村「うう……いなくなるって……。だから結構、大変だった。2014年から悠がそういう存在になるまでは本当に。要は、宏樹さんがやっていた役割を俺がやって、俺がやっていたことを悠がやらなくてはいけなくなったから。本当はタサ(田坂祐介)だったんですけどね、俺のなかでは。宏樹さん、俺、タサで、いつも3人一緒だった。だから、つなげていこうと。だけど、あいつ(田坂)はドイツに行ってしまった(笑)」伊藤「そう」中村「だから、後継者を探さなきゃいけなくなってしまった。タサは今も仲がいいし、俺と宏樹さんみたいな感じだけど、でも、いなくなっちゃったから、当時は慌てましたよね」伊藤「あれは慌てたね(笑)」中村「せっかく宏樹さんがフロンターレの先輩から受け継いできたものを、俺もちゃんと受け継いで、それをタサにつないで、(その次は)悠と決めていたのに、いなくなったから結構大変だったよね」(写真左より)中村憲剛、伊藤宏樹――確かに、考えると中村選手と小林選手の間が、世代的にも少し空いている感じはあります。伊藤「年齢的にね」中村「タサやタニ(谷口博之)だったんだけど、間にいた選手は全員、菊地(光将)も横山(知伸)も移籍しやがった(笑)」伊藤「しやがったって(笑)」中村「だから俺が頑張んなきゃいけなかったんですよ。宏樹さんがいなくなって、いかに宏樹さんが、あらゆる日陰の仕事をやっていたかがわかったから」伊藤「それ、もうちょっと大きな声で言ったほうがいいよ(笑)」中村「(笑)。要は、俺と宏樹さんは“表と裏”ではないけど、俺が表面をやって、宏樹さんが裏面のマネージメントというかチームの雰囲気作りを含めて、いろいろなところに目を届かせてくれていたことに初めて気付いた」伊藤「俺らはチームキャプテン・ゲームキャプテンみたいな感じで別れていて、ふたり(の間)では『ふたりで一人前だな』みたいな自覚があった。お互いにないところを補いながらね。そういうのも含めて、僕が引退してからの憲剛には注目していましたけど、そこからの憲剛の歩みは成績にも出ていますけど、周りに伝えることを含めて後輩たちを育ててきたところがあるし、今のチームを作り上げるためにすごく貢献したと思います。本当にすごいと思いますよ」――“世代をつなげていく”話は、昔からそういうふうに話していたんですか?中村「昔からですね。『そこの木の“幹”をちゃんと太くしていかないと』という話はずっとしていた。だけど、自分ひとりではできないから、育つのを待つしかなかった」――宏樹さんは自身の引退後のことはどう考えていたんですか?伊藤「あまり考えてはいなかったですけど、自分の引退は関係なしに、ターニングポイントとしては、風間(八宏)さんが2012年に(川崎フロンターレに)来て、やるサッカーが明確になったことで、憲剛も楽しそうにしていた。そこを突き詰めたことが、今のこのスタイルになったところもあるし、そこについての心配はしていなかったです」中村「サッカー的なところはね」伊藤「うん」中村「振り返れば、最初は、サッカー自体も風間さんになって『大丈夫か?』みたいになっていた。でも、最初のサンフレッチェ広島戦で、俺のアシストから宏樹さんが先制点を取ったんですよ。不慣れな右SBで宏樹さんが珍しくいい動きをしていてさ」伊藤「あれ、面白いよね。本当に最初の試合で、みんな(従来の)ポジションと違うところをやっていて。ある意味、今までのフロンターレの概念みたいなものを壊して、一つでもいいプレーができればみたいな感じでやった試合だった。それで、あの得点が取れた」中村「あの1点は、今のフロンターレのベースの本当に第一歩になったから。あのゴールを俺と宏樹さんで取ったというのは、歴史的には非常に大きかったんじゃないかなと、改めて思いますけどね。……うれしそうだな、おい宏樹っ!(笑)」伊藤「『何で、お前があそこにいんねん!』みたいな感じだったんですけどね(笑)」中村「本当にそういうゴールだった。連戦がスタートするなか、風間さんになってからの新たな船出。『大丈夫かな、フロンターレ?』となっているときの1試合目。その試合はボッコボコにされるんですけど(笑)、それでもあの1点を俺と宏樹さんで取ったというのは『あ、これでやっていける』みたいな思いはありましたからね」(明日1月27日(水)7:00配信の未公開記事後編に続く)取材・文:林遼平撮影:佐野美樹FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号川崎フロンターレとサッカー人生を歩んできた中村憲剛のバンディエラの矜持に迫ります。1万文字にもおよぶ本人のロングインタビューはもちろん、ピッチの外から見届けた天皇杯決勝のラストゲームにも密着。小林悠、家長昭博、大島僚太、谷口彰悟、登里亨平らチームメイト、恩師、クラブスタッフにもインタビュー。サッカー漫画『GIANT KILLING』の漫画家・ツジトモによる中村憲剛の描き下ろしイラストやスキマスイッチ・常田真太郎からのメッセージ、よき理解者である伊藤宏樹との対談も掲載。タイトル:FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ 中村憲剛特集号発行:ぴあ株式会社発売:2021年1月27日定価:1,500円(本体1,364円)判型:B5判・96ページAmazon: 楽天ブックス: 書店、ほかネット書店にて詳細はこちら:
2021年01月26日川崎フロンターレひと筋18年の“クラブの象徴”、中村憲剛選手が現役引退を電撃発表したのは、大怪我から復帰し、40歳となる誕生日にゴールを決めた翌日。いま明かす胸の内とは……。無観客試合の味気なさ。コロナ禍で痛感したのは…。――シーズン中の引退会見は、我々が度肝を抜かれました。僕にとっては前々から思っていたことで、先輩である伊藤宏樹さん(現在、川崎フロンターレ強化部スタッフ)の引退も考えるきっかけのひとつになりました。宏樹さんは、僕が33歳の時に引退されたのですが、その発表をホーム最終戦の週初めにされたんです。僕たちは報告を受けて、気持ちを無理やり整理して試合に挑みました。結果は勝利こそしましたが天皇杯では負けてしまい、宏樹さんはドタバタしたまま退かれました。その様子を見て、チームメイトにも応援してくださる方々にも、お別れまでの気持ちの猶予みたいなものが必要だと思ったんです。また、今年改めてサポーターの存在の大きさを痛感したというのもありますね。無観客試合をスタジアムの上から観ていたのですが、何とも言えない味気なさを感じました。これまでサポーターがいて当たり前だったことが、実はそうではなかった。みなさんがいてこそエモーショナルな空間ができるのだと初めて思いました。ですから、ひとりでも多くの人に自分のプレーを見てもらいたい、そうじゃなかったら寂しいと思い、このタイミングでの発表となりました。――選手の方々の反応はみなさん同じだったそうですね。まずは絶句、次に「まだできるじゃないですか」の言葉でしたね。「そうだよね」や「おつかれさま」ではなく、そう言ってもらえるなんて、とても嬉しかったです。ただ、みんなが僕への思いもいろいろと話してくれたので、精神的にはこたえました(笑)。――中村選手も選手やクラブへの思いは相当あるでしょうね。僕は川崎フロンターレに拾ってもらったと思っています。最初はついていくのに必死でしたが、いつしか自分の立ち位置がわかるようになり、毎年すべてをクラブに捧げてきたつもりです。そこから、多くの人に「元気が出た」「勇気をもらえた」と言われるプレーヤーになれたのは、クラブおよび支えてくれたみなさんのおかげ。もう感謝しかないですし、これからはそれを還元していきたいです。なので、引退後もフロンターレを離れるつもりはありません。でも、クラブだけに携わるということでもなくて、まだ何も決まっていませんが、若い選手の育成や、Jリーグの普及活動もお手伝いしたいですし、ゲーム解説にも興味があります。今は指導者のライセンスを取っている最中で、将来的には監督も視野に。でもS級(最高位の指導者資格)を取るまでにあと3~4年はかかりますね。この仕組み、何とかしてくれませんか(笑)。って、これでは体がいくつあっても足りないですね。――ダメもとでお聞きします。現役復帰の可能性は、本当にもう1ミリもないのですか?本気で決断したことなので、それはないですね(笑)。自分を裏切ることになりますし、今はそのイメージは湧かないです。ともかく、これまで好きなサッカーを40歳まで続けたのは我ながらよくやったなと思います。そして、むしろここからだなと思っています。今まではいわば自分がメインで周囲を巻き込んでいましたが、これからはサポートや応援する側になりますから。自分なりにブランディングを考えていかなければいけない。でも、不安よりは期待のほうが勝っていますよ。第二の人生を思い切り楽しもうと思います。――とはいえ、現役生活はまだあります!(本誌発売日の)2日後は天皇杯の準決勝ですね。もちろん勝って、元日の決勝で優勝して引退できたら本当に幸せ。簡単ではないと思いますが、実現できたら、こんなに恵まれたサッカー選手はいないと思います。泣いても笑っても僕のラストになりますが、他の選手に余計なプレッシャーをかけたくないので、一選手として優勝を狙いにいきます。リーグ優勝も泣くかなと思ったら笑ってましたし、今回も笑って終えそうです。涙はきっと、グラウンドにひれ伏すほどに泣いたリーグ初優勝で枯れたのかな(笑)。なかむら・けんご1980年10月31日生まれ、東京都出身。川崎フロンターレ所属。ポジションMF。中央大学卒業後、同クラブ入団。幅広い視野と高度なテクニック、特にスルーパスが持ち味で、長年チームを牽引し3度のリーグ優勝に貢献、常勝軍団へと導いた。日本代表にも招集され活躍。2020年11月1日、今シーズン限りでの現役引退を表明。カメラマンがドリブルとシュートをいきなりリクエスト。「本当に怪我していたのかな、と思うくらい好調です。天皇杯は自分にとってラストの試合ですが、私情抜きに完全燃焼で頑張ります」。天皇杯準決勝は12月27日(日)、決勝は2021年1月1日(金)。クラブでは中村憲剛選手への感謝を込めて「One Four KENGO」プロモーションを実施中。※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・藤尾真琴インタビュー、文・伊藤順子(by anan編集部)
2021年01月01日地獄と天国を見た男。’19年から’20年にかけての中村憲剛選手を表すならば、これがしっくりくるかもしれない。選手生命を脅かすほどの大怪我からの復活、まさかの電撃引退表明、そしてリーグ優勝。記憶と記録に残る激動の現役ラストイヤーと、心に秘めていたある思いを中村選手に語っていただきました。――3度目となるリーグ優勝おめでとうございます!まずはこの一年を振り返っていかがでしたか。’19年11月、39歳を迎えた2日後の試合で、左膝前十字じん帯損傷という大怪我を負いました。手術を経てリハビリ中にコロナ禍となり、緊急事態宣言が出て練習場にも病院へも行けない日々が続いたのですが、周囲の方々のおかげで8月末には試合にも出られるようになったんです。その復帰戦や誕生日にゴールを決められただけでなく、クラブはJリーグ史上初の12連勝を遂げ、かつ史上最速で優勝することができました。その1か月前に現役引退を発表したのですが、思い描いていた以上の結果というかストーリーが生まれ、自分の想像を遥かに上回る素晴らしいシーズンになったと思います。――想像を超えていた、とは?妻以外は誰にも言わなかったのですが、実は35歳になった時に、40歳を迎えたら引退しようと決めていたんです。僕は計画的なほうではなくて、いつも目の前のことだけを考えて切り拓いてきたのですが、唯一未来を考えたのが引退だったんですね。自分が戦力として求められているうちに退きたいと、それだけは心に決めていたのですが、具体的な身の引き方は描けなくて。昨年10月にルヴァン杯で優勝した時点で、来年迎える引退に向けてどうやって終わっていくのだろうかと、漠然と考えていました。もちろんリーグ優勝は目標にありましたが、今シーズンの連勝や首位独走は想像できなかったですね。鬼木達監督や選手、スタッフの努力の賜物だと思います。――当然、怪我も想定外ですよね。全治7か月という、僕の選手生活で初めての大怪我でした。でも、予期せぬ出来事の一方で、これのおかげでラストまでの道は決まったとも思えたんです。そもそもサッカー選手を17年やってきた人間が、よりによって残り1年でここまでの大怪我なんてしないですよ。これは意味のあることなのだろうと。何が何でも克服し、復帰をしてプレーをみなさんに見せてからやめろと言われているのだと僕は受け止めました。とはいえ、早期に戻っても再断裂の危険があり、慎重に調整しながら進めました。今は痛みも全くなく、これまで通りに動けているので、プログラムを作ってくれたトレーナーや医師の方々に大変感謝しています。――焦りはなかったのですか?リハビリの時期がコロナ禍と重なり、自分だけじゃなく、Jリーグはおろか日本自体が止まっていたので、しんどかったですけれど、しゃあないと開き直れて、焦りはそこまで感じずに済みました。ただ、膝が思い通りに動かせなかったり、原因不明の痛みが出たりした時はすごく苦しい思いをしましたね。だから、妻にはしょっちゅう、「痛い」「無理」「もうやだ」と子どもみたいに弱音を吐いていました(笑)。妻は妻で、休校だった子どもたちの世話や食事作りで、言ってみればそれどころじゃなくて。毎回「そんなことを言ってもどうせやるんでしょ」と軽くあしらわれていましたけど、そのリアクションがありがたかったですね。――怪我がもたらしたものとは?大怪我は僕が唯一したことのない経験でした。というのは、35歳で40歳の年に引退すると決めてから、36歳でJリーグMVP初受賞、37歳でリーグ初優勝、38歳でリーグ連覇、ルヴァン杯初優勝と、立て続けにさまざまな経験を回収できていたので。これだけ並べると僕が“持っている”ように思われるかもしれませんが、大卒で入団した時は、クラブはJ2にいて、そこからJ1に上がれたものの、優勝まであと一歩の2位止まりで終わることが何度も続いていました。僕は、今の位置に辿り着くまで幾度も悔しい思いをしてきた人間で、近年得られた結果は、地道に鍛錬し積み重ねてきたクラブと自分へのご褒美だと思っています。だから、不謹慎かもしれませんが、この怪我によって、良くも悪くもすべての経験が揃って現役を終えられると。とはいえ、怪我については、そう捉えないと自分的に重すぎたことでもあって、終わりが決まっていたからこそポジティブに変換できたのだと思っています。怪我自体の痛みや辛さだけでなく、復帰する過程の苦しさ、試合に絡めない悔しさ。怪我を通して得た経験と湧き出たさまざまな感情は、今後指導者になるにしても、何にしても活かせるだろうし、説得力のある話ができると思っています。――では、現時点で夢がありながらもうまく進めていない人に対してアドバイスをするならば?中長期的なプランニングがあってこそですが、いま目の前のことをどれだけ頑張れるかが大事なのかなと。それを積み重ねた先に自分の望んでいた未来があるのだと思います。僕はそうやってきたから優勝という結果が出ましたが、努力しても報われないことや仕事なども多いと思います。それでも、努力してない人には絶対に何も転がってきません。自分なりにやったと思っても成果が出ていないのであれば、自分はまだ努力が足りないと思えるかどうかもポイントかな。そこに気づければ、足りない部分を補えて成長できるはずです。他人のせいにするのは簡単ですが何も残りません。僕も学生時代にそういうところがありましたが、結局選んだのは自分なのだから。努力している人に手は差し伸べられるという意味で、今を頑張ってほしいですね。絶対誰かが見てくれていますから。なかむら・けんご1980年10月31日生まれ、東京都出身。川崎フロンターレ所属。ポジションMF。中央大学卒業後、同クラブ入団。幅広い視野と高度なテクニック、特にスルーパスが持ち味で、長年チームを牽引し3度のリーグ優勝に貢献、常勝軍団へと導いた。日本代表にも招集され活躍。2020年11月1日、今シーズン限りでの現役引退を表明。カメラマンがドリブルとシュートをいきなりリクエスト。「本当に怪我していたのかな、と思うくらい好調です。天皇杯は自分にとってラストの試合ですが、私情抜きに完全燃焼で頑張ります」。天皇杯準決勝は12月27日(日)、決勝は2021年1月1日(金)。クラブでは中村憲剛選手への感謝を込めて「One Four KENGO」プロモーションを実施中。※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・藤尾真琴インタビュー、文・伊藤順子(by anan編集部)
2020年12月31日前回は、目標を立てる前にやっておきたい1年の振り返りについて、しつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんに話を伺いました。今回は本題である目標の立て方についてのポイントをレクチャーしていただきます。(目標はノルマではないのです。楽しみややる気を生み出す目標を考えましょう)<<今年の目標を立てよう!の前に。知っておきたい「成長につながる目標」を立てるために"やるべきこと"■目標はノルマではない。「○○したい」を大事にして「まずはこの1年をどんな年にしたいのか。"したい"の部分を引き出してあげたいですね」藤代さんは、目標を立てる上で子どもたちの望みや願いを引き出す機会が大事だと言います。目標はともすれば"しなければいけない"という、ノルマになりがちですが、強制を求めるのではなく、やりたいという想いを大事にすることが重要なのです。「たとえば海外旅行をイメージしてください。旅行に行くのに、これをしなくちゃいけない、という考えは出てこないでしょう。『これをやらなくてはいけない』とノルマを設けてしまうと、旅行が楽しくなくなってしまいます。それと同じで、自分がしたいこと、どうなりたいかを求めることが楽しみややる気を生み出すのです。小学生ならなおさら、"しなくてはいけない"ではなく、"やりたい"という願望を目標にしたいですね」そのうえで、藤代さんはふたつの視点を持つことが大事だと指摘します。それは「結果の目標」と「成長の目標」です。「例えば、優勝したいといった結果の目標ももちろん大事ですが、上手くなりたいや、ここを伸ばしていきたいというような、成長の目標も引き出して行きましょう。結果の目標だけだと、振り返る際に、どうしても達成できなかったというネガティブなものになりがちです。でも成長に目を向ければ、結果には到達できなかったけど、『この部分は取り組めていたよね』とか、『ここは成長できたね』といったように、ポジティブな部分も振り返ることができるのです」■どんな目標を立てたらいいのか分からない時は...では、目標を立てる際に、どの程度のスケールで考えればいいのでしょうか。なりたいという願望を持つことは大事ですが、例えば県大会でも勝てないチームの子どもが、全国大会で優勝したいという目標を持つのは、悪いことなのでしょうか。「小学生くらいだと、目標と夢の区別をつけるのは難しいことかもしれません。ただ、スポーツ心理学的には、頑張れば実現できそうなこと、100~120%の力を出せば実現できそうなことを、目標に設定すると良いとされていますね」ただし、と藤代さんは言葉を続けます。「それは大人が知っていればいいことで、子どもが全国大会で優勝したいと言っている目標を、否定する必要はありません。もし、そういう目標が出てきたら、そのために何が必要かなとか、これからの行動をどうすればいいのか、という成長の部分にフォーカスしてあげることが大事になってきます」逆に目標を小さく見積もる子どももいるはずです。簡単にクリアできそうな目標を立てた場合には、どう対応するのがいいのでしょうか。「そういう子に対しては、できそうなことをクリアして成功体験を与えるという考え方を持つのがいいでしょう。100%の力でできることに対して、実現できた楽しさや誇りを感じられるようなかかわり方ができれば、また次の目標を立て、そこを目指して進んでいくことができるはずです」一方で、目標を立てられない子もいるかもしれません。これまでにそういう機会がなかった場合には、目標を立てることさえ難しいことも十分に考えられます。「その場合には、最初に『この1年が終わった時にどうなっていたら最高だと思う?』と、問いかけてみるのがいいかもしれません。サッカーだけじゃなく、勉強、社会とのつながり、家族のこと、なんでもいいので、1年後の最高の自分をイメージする機会をつくってみましょう。そしてその答えを引き出したら、今度は『どうすれば、それが実現できるかな?』と問いかけてみてください。それが成長の部分の目標になるのです。なかには、それでも目標が立てられない子もいます。そういう場合には『目の前のことに全力で取り組む』という考え方を持ち合わせたいものです。川崎フロンターレの中村憲剛選手もそういったタイプだったそうです。目の前のことを一生懸命取り組むなかで今の地位を築いていった。人は大きく分けて山登り型と川下り型のふたつのタイプに分かれるのですが、憲剛選手のようなタイプは川下り型に分類されます。流れに身を任せ、目の前のことを一生懸命に取り組んでいく。目標を立てられないやつはダメだという考え方だと子どもの負担になるので、そういう子にはそういう子なりの接し方が求められてきます」■できなかった理由を他者に求めない。「自分ごと」で振り返ると成長の道筋が見えてくる(サカイクキャンプでも、失敗したら原因を考えて何度もチャレンジする力を養う指導をしています)そして大事なことは、「目標」と「振り返り」をワンセットとして考えることです。目標を定め、それに対してどうだったかを振り返る。これは1年というスパンである必要はなく、1か月、あるいは1週間という期間で繰り返していくことで、選手としてだけでなく人間形成の部分にも役立ちます。ここでポイントとなるのは、自分自身のこととして考えることです。なぜできなかったのか。それを人のせいにはせず、自分のことにフィードバックすることが重要となるのです。「たとえばGKの子がミスをして試合に負けてしまい、自分の立てた目標が達成できなかったとします。そこで、振り返りの際に、『あいつがミスをしたから』という考え方では成長にはつながりません。『僕がシュートチャンスで外してしまったから、もっと練習しよう』というように、自分のこととしてフィードバックができるようになると成長につながりますよね」人は得てして、結果を出せなかったときに、人のせいにしがちです。それは子どもだけでなく、大人の世界にも当てはまるでしょう。結果が出なかったときには様々な問題があるはずです。その原因を外には求めず、自分にできることが他にあったのではないかと考える。そういう考え方を培うことが、何よりも大切なことなのです。「失敗があるから次に行ける。そういう考え方が習慣になっていれば、失敗も苦にはなりません。それを習慣化するには、立ち止まり、振り返る機会が重要になります。責任を他人に押し付けるのではなく、自分のこととして振り返り、なにが足りなかったのかを考える。その繰り返しがサッカーだけではなく、人として豊かな人物に近づくはずです」毎日のプレーの振り返りはサッカーノートを使って行うことができます。例えば、お子さんがノートにうまくいったことは「パス」「シュート」だけと書いたとしたら、親御さんは「どんなパスがうまくいったと思った?」「どんなシュートがうまくいったと思った?」と、具体的にかけるように「問いかけ」だけ書きましょう。そうすると次回は子どもの中に「あ、そうだった具体的に書こう」と行動が生まれます。抽象的な答えを「×」とするのではなく、そこにコーチや親御さんが「問いかけ」をすることによって、子どもの思考を深める関わりがおすすめです。お父さんお母さんもお子さんと一緒に2021年にやってみたい事、達成したいことなど、どんな小さなことでもいいので一緒に目標を立ててみるのも良いのではないでしょうか。目標を立て、振り返る。その作業の繰り返しが、子どもの成長を促す大事なルーティーンになるのです。そのためにも、まずは年の初めに、子ども達と一緒に、「目標を立てる」時間を設けてみてはいかがでしょうか。<<前編:今年の目標を立てよう!の前に。知っておきたい「成長につながる目標」を立てるために"やるべきこと"藤代圭一/スポーツメンタルコーチ1984年、名古屋生まれ。東京都町田で育つ。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝を目指す様々な年代のチームから地域で1勝を目指すチームまでスポーツジャンルを問わずメンタルコーチを務める。全国各地でワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちが変わった」と高い評価を得ている。2016年からは「1人でも多くの子どもたち・選手が、その子らしく輝く世の中を目指して」というビジョンを掲げ、全国にインストラクターを養成している。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)などがある。(取材・文:原山裕平)
2020年12月27日圧巻である。『2020Jリーグアウォーズ』ベストイレブンの話だ。あらゆる最多記録を更新し『明治安田生命J1リーグ』史上最速優勝を果たした川崎フロンターレから9人が選ばれたのだ。11分の9。もちろんこれも史上最多記録である。(左より)三笘薫(川崎フロンターレ)、谷口彰悟(同)、鬼木達監督(同) (c)J.LEAGEU納得である。最優秀選手賞にはオルンガが選出された。柏レイソルは『明治安田J1』7位に甘んじたが、自身は28ゴールをマーク。得点ランキング2位のエヴェラウド(鹿島アントラーズ)が18ゴールと言えば、いかにオルンガの数字が傑出しているかわかるだろう。オルンガのMVP獲得も異論はないだろう。最優秀選手賞に選ばれたオルンガ(柏レイソル) (c)J.LEAGEU『2020Jリーグアウォーズ』主な受賞者は以下の通り。【最優秀選手賞】オルンガ(柏)【ベストイレブン】GKチョン・ソンリョン(川崎F)2DFジェジエウ(川崎F) / 谷口彰悟(川崎F)2 / 登里亨平(川崎F)/ 山根視来(川崎F) / MF家長昭博(川崎F)2 / 田中碧(川崎F) / 三笘薫(川崎F) / 守田英正(川崎F) / FWエヴェラウド(鹿島) / オルンガ(柏)【得点王】オルンガ(柏)【ベストヤングプレーヤー賞】瀬古歩夢(C大阪)【フェアプレー個人賞】山口蛍(神戸)【フェアプレー賞(高円宮杯)】大分【優勝監督賞(J1)】鬼木達(川崎F)3【優勝監督賞(J2)】リカルド・ロドリゲス(徳島)【優勝監督賞(J3)】吉田謙(秋田)【優秀監督賞(J1)】宮本恒靖(G大阪)【優秀監督賞(J2)】小林伸二(北九州)【優秀監督賞(J3)】三浦文丈(相模原)【最優秀主審賞】西村雄一11【最優秀副審賞】武部陽介【最優秀育成クラブ賞】東京V3【最優秀ゴール賞】齊藤未月(湘南)※チーム名の後の数字は受賞回数。数字のない選手は初受賞。ゴールデンブーツを手にするオルンガ(柏レイソル) (c)J.LEAGEUMVP、得点王、ベストイレブンの3冠を獲得したオルンガは『Jリーグアウォーズ』後に記者会見に登場。次のように喜びを語った。「まずJリーグに感謝したい。2020年は素晴らしいシーズンとなった。多くのゴールを決めることができたのは柏レイソルの関係者のお陰。2018年夏に来日した時のレイソルは困難な状況にあり、数試合に出て3得点に終わった。すごくフラストレーションの溜まるシーズンだった。だが、次の2年間はフルシーズン戦うことができた。ピッチ内外で多くを学び、気候にも対応し、日本の文化も知り、チームメイトともいい関係を築き、私のサクセスストーリーにつながった」ケニア人ストライカーは、ブラジル人指揮官との出会いを感謝する。「ネルシーニョがレイソルに戻って来た2019年はいいシーズンを送ることができた。監督がこだわるのはヴィクトリア。練習試合でもリーグ戦でもカップ戦でもすべての試合で勝つためにハードワークを求める。彼は規律を重んじる。ピッチ内だけではなく、ピッチ外も見て判断している。それがチームの成功につながっている。彼のもとでサッカーをすることで、結果につながった」印象に残るゴールには第7節・ベガルタ仙台戦でのハットトリックとなる73分のゴールと第20節・横浜FC戦の76分のゴールを挙げた。「横浜FCとの2試合目のゴールは気に入っている。ファーストタッチで決まったゴール。仙台戦の3点目もいいゴール。一瞬簡単に見えるが、ボールをうまくコントロールして短い時間でシュートまで持って行くことができた。それが私のJリーグでの初めてのハットトリックとなった」ベストイレブン受賞者もオンライン記者会見に次々登場。選手たちは異口同音に喜びと感謝の言葉を口にした。「感謝し、すごく光栄に思う。ほかのGKもいいパフォーマンスしていた中でベストイレブンを取れてうれしく思う。監督からは『ポジションを前に取れ、トライしろ、チャレンジしろ』と求められ、それを実行できたのが自分の中で非常に大きい」(ソンリョン)「本当に心から幸せな気持ちでいっぱい。神に感謝したい。努力の成果が見せられた。でもベストイレブンはチームメイトあってのこと。タイトルも取れてうれしいが、もうひとつタイトルが残っている。やるべきことをやって、もうひとつのタイトルを取りたい」(ジェジエウ)2度目となるベストイレブンを受賞した谷口彰悟(川崎フロンターレ) (c)J.LEAGEU「このような賞をいただき本当にうれしく思うし、1年間やり続けた結果。賞のためにプレーしているわけではないが、がんばりが報われた思いはある。なかなか出せないような数字を残せたと思うし、そこは誇っていい。選手、コーチングスタッフ全員が同じ方向を見てやり続けた結果。連勝が目に付くと思うが、一戦一戦一生懸命、総力戦で戦い、チャンスを得た選手が結果を残すといういいサイクルの中、全員で掴み取った優勝だと思う。ベストイレブンに9名選ばれるのはそう簡単ではない。他チームにフロンターレのサッカーがある程度認められ、評価された結果。そこはうれしいし、もっと強くなれるように、これからもやっていきたい」(谷口)「同じステージで戦い抜いた仲間から評価されて非常にうれしく思う。チームとしては2年ぶり3度目の優勝、個人としては初めての受賞と非常に充実した素晴らしいシーズンとなった。再開前に鬼木監督に『こういうシーズンだから優勝しよう、結果を出して関わった人を笑顔にしよう』と言われてスタートした。シーズンを通して、川崎から笑顔を届けられてよかった。この賞に満足することなく、チームとして、個人として、来年ステップアップしていきたい」(登里)※ケガのため、欠席。「チームメイトに自分の能力以上のものを引き出してもらっての受賞だと思うので、感謝したい。フロンターレに入って、自分も『うまくやらないといけない』と悩んだこともあったが、『湘南時代のプレーを出せばいい』と開き直れたのが、いい結果が出た要因。優勝してベストイレブンも受賞できたが、自分が下手なことには変わりないので、謙虚にやっていきたい」(山根)「優勝でき、このような個人的な賞も取れたことを本当にうれしく思う。いいシーズンを送ることができた。(ベストイレブンに)9人も選ばれることはめったにない。優秀選手も13人選ばれている。歴史的なことに自分も名前を連ねることができてうれしい」(家長)「Jリーグでプレーしている選手・監督から評価してもらったのは非常にうれしいし、1年間がんばってきてよかった。今まで2ボランチの一角しかやっていない中、4-3-3のアンカーやインサイドハーフをやらせてもらい大局的にサッカーを見られた。(中村)憲剛さんの素晴らしさを吸収して成長していきたい。憲剛さんは憧れの存在だが、超えていかないといけないと思っている。もっと圧倒的な選手にならないといけない」(田中)ルーキーながらベストイレブンに選出された三笘薫(川崎フロンターレ)(c)J.LEAGEU「ベストイレブンに入れたのはすごく光栄。MVPは狙っていないし、チームのことを考えてプレーしていた。MVPはオルンガ選手がふさわしい。最初は途中出場が多く、自分の価値をアピールしないといけないと思っていた。結果にこだわってやり、最後の方はスタメンも増えてきた。最後少しは形になったかなと」(三笘)「1年目は先輩に助けてもらっての優勝、今季は副キャプテンの役割を担いながらの優勝だったのでうれしい。前半戦、スタートから出る試合は少なかったが、準備はしっかりしていた。その準備を後半戦の結果につなげることができてよかった」(守田)「まず喜びと感謝の気持ちでいっぱい。今季は難しかった。コロナの影響もあり、日本のサッカーに慣れるのに時間かかったが、慣れてからは結果を出せるようになりよかった。ただ自分としてはチームとしての賞がほしい。来季、チームで賞が取れるようにしたい」(エヴェラウド)取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
2020年12月23日中村憲剛の偉大さはイベント名を見ても理解できる。12月21日に行われた引退セレモニーの正式名称は『おフロの恋人! LOTTE presents 中村憲剛引退セレモニー&優勝報告会』である。勝点83、26勝、88得点、得失点差57、2位に勝点18差、最少敗戦3試合などなど、記録尽くめで史上最速優勝を果たした川崎フロンターレの優勝報告会の前に、引退セレモニーと謳われているのだ。名前だけではない。2時間半ほどのプログラムの中で、鬼木達監督や谷口彰悟主将のあいさつなど優勝報告セレモニーは15分ほど。時間配分も大半は引退セレモニーが占めた。福田紀彦川崎市市長より市民栄誉賞が授与された (C)J.LEAGUE等々力陸上競技場に1万3000人を集めるなどセレモニーは異例の規模で行われたが、決して華美ではなかった。中村がどれだけクラブ・川崎市に愛され、中村がどれほどクラブ・川崎市に愛されていたかわかるあたたかいイベントであった。式はホームタウン活動で親交が深かった中原消防署や中原警察署、河川協力団体のとどろき水辺の楽校、フロンターレ算数ドリルで関わった川崎市立有馬小学校の関係者が感謝の言葉を並べてスタート。キングカズこと三浦知良をはじめ、川島永嗣、ジュニーニョなど盟友・戦友たちもビデオメッセージを送った。福田紀彦川崎市市長から市民栄誉賞が授与され、36名ものクラブOBも登壇した。さらに本人も登場。チームメイトからのメッセージ、家族からの花束贈呈、スキマスイッチ常田真太郎、SHISHAMOからのあいさつ、川崎市の小学生からの手作りシャーレのプレゼントなど、涙あり、笑いあり、感動ありのラインナップとなった。中村憲剛引退セレモニーに1万3000人が集った (C)J.LEAGUEエース・小林悠は涙ながらに「苦楽をともにした憲剛さんと初めて優勝した時を超える感動はこの先も絶対にない。一緒に抱き合って喜び合えたことが本当にうれしかった。憲剛さんがいなかったら、今の僕は絶対にないと断言できます。僕にとって大きな存在でした」と感謝の念を表した。長男・龍剛くんは「中村憲剛選手の18年間のサッカー人生は出来すぎでした。悲しい時も悔しい時もともに乗り越えてきた家族として、ありがとうと伝えたいです。引退、おめでとう。そして、ありがとう」と12歳とは思えぬクオリティの手紙を披露した。中村は集まったゆかりのある人々、チームメイト、クラブ関係者、そしてファン・サポーターに感謝の言葉を並べた。「みんながありがとうと言ってくれたけど、ありがとうと言いたいのは僕の方。何でもない大学生を拾ってくれたフロンターレには感謝しかありません。僕はフロンターレで学んだ。それは地域密着、『川崎市のみなさんを笑顔に、元気にする』こと。自分がただサッカーをやっていればいいという発想の人間だったら、ここまでプレイヤーとして続けられなかったと思うし、フロンターレもここまで大きくなることはなかったと思っている。本当にそういった意味でフロンターレに拾ってもらって心からよかったと思っているし、この18年間、本当に感謝の気持ちしかない。頼もしい後輩たちにフロンターレは任せて、僕は先のステージに進みたい。今日の景色は一生忘れません。本当に感謝しています。フロンターレ、最高です」胴上げの回数はもちろん背番号にちなみ14回 (C)J.LEAGUE場内一周では神輿にものった (C)J.LEAGUEチームメイトたちによって背番号と同じ14回を2セット胴上げされた中村は場内を一周。ファン・サポーターとの別れを惜しんだ。セレモニーを終えた後、中村は記者会見に登場し、「もう何だろ。すごいことが起きたんだなと。感情が揺さぶられて、心地よい疲労感で気持ちよかった。一生忘れられない光景がまたひとつ増えました。本当に引退するんだなと」と率直な感想を語った。さらに「夢見心地。今もフワっとしている。本当に感謝しかない。本当に幸せ者だなと。入れてくれたのもそうだし、ここまで大きく育ててくれたのもそう。僕も還元していかないといけない」と続けた。泣いたことを指摘されると、「泣かない方がおかしい(笑)。感情を揺さぶられすぎて、わけがわからなくなかった。みんなの思いがありがたすぎて。基本泣き虫だから、案の定泣きました」と頬を緩めた。チームを代表してメッセージを送る小林悠(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE小林からのメッセージについて質問されと、「いつ泣くかなと見ていたが、あいつにしか話せない話をしてくれたので、僕も感極まった。僕の方こそ感謝している。彼が優勝させてくれたんで」と言い、龍剛くんの手紙について問われると、「息子の文章力の高さにちょっと引いた(笑)。彼が息子であることを僕は誇りに思う。もちろん妻もふたりの娘もそう。4人がいなければ、僕はここまでがんばれなかった。心の底から感謝している」と振り返った。サッカーを志す子どもたちへメッセージも送った。「僕自身足が遅かったり、体が小さかったりと劣等感を持っていた。劣等感を武器に変えることで道が切り開けて、40歳までやれた。可能性に蓋をせずに、毎日毎日トレーニングしていけば誰でも必ず道は開ける。受け入れてくれる素晴らしいクラブが川崎にはあると伝えたかった」次なる夢の日本代表監督について、コメントを求められると、「過程を経て、タイミングが合って初めてなれるもの。そうなるには本当に勝たないといけないし、評価されないといけない。自分から目指しますなんて軽々しく口にできないが、目指すのは自由」と口にした。大いなる目標の前に、目の前に迫った目標がある。もうひとつのタイトル『天皇杯』である。次なる戦いに向けて、中村は「今日は感情を揺さぶられすぎたので、今日は切り替えられない。明日トレーニングがある。明日からしっかり切り替えていきたい。みんなとサッカーできるのもあと10日。まず準決勝に向けてしっかり準備をして全力で向かっていきたい。(国立での決勝については)正直そこまで考えていない。相手のあることなので、勝てる保証はどこにもない。準決勝、等々力でやるのは最後。そこで全力を尽くすことしか考えていない」とキッパリ。中村憲剛の勇姿が見られるのも最大あと2試合 (C)J.LEAGUE中村憲剛は、そして川崎フロンターレは12月27日(日)・等々力陸上競技場での『天皇杯』準決勝でブラウブリッツ秋田×福山シティFCの勝者と対峙し、1月1日(金・祝)・国立競技場での『天皇杯』決勝を目指す。準決勝のチケットは予定枚数終了、決勝のチケットは12月26日(土)午前10時より一般発売。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)チケット情報
2020年12月22日いよいよ、『2020明治安田生命J1リーグ』が最終節を迎えようとしている。今週末、コロナ禍の特別なシーズンが終わろうとしているのだ。シャーレの行方は決している。ご存じのように11月25日、すでに川崎フロンターレがJ1史上最速優勝を決めている。『天皇杯』出場権を手にする2位も12月16日にガンバ大阪で確定した。新型コロナウイルスによって公平性が担保できないため、J2降格はない。ヒリヒリした緊張感がスタジアムを包むJ1残留の崖っぷちの戦いはない。言わば今季の『明治安田J1』最終戦は無風である。上田綺世(鹿島アントラーズ)(c)J.LEAGUE無風だが、12月19日(土)の話題は尽きない。勝点60の3位・名古屋グランパスは8位に位置するサンフレッチェ広島と豊田スタジアムで対峙し、勝点58の5位・鹿島アントラーズは勝点59の4位・セレッソ大阪を茨城県立カシマサッカースタジアムで迎え撃つ。『ACL 2021』の出場枠は3位まで。順当に川崎F、G大阪の『天皇杯』優勝、逆にJ1相当ではないクラブがジャイアントキリングを起こせば、アジアへの道は4位まで広がる。名古屋とC大阪か、名古屋と鹿島か、はたまた『明治安田J1』3位と『明治安田J2』優勝か。答えは早くて12月27日(日)、遅くとも元日に出る。味の素スタジアムでは『ACL 2020』ラウンド16のFC東京とベスト4のヴィッセル神戸が激突し、ニッパツ三ツ沢球技場では横浜FCと横浜F・マリノスの横浜ダービーが実現する。ダービーと言えば、駅前不動産スタジアムではサガン鳥栖×大分トリニータの九州ダービーがキックオフ。西澤健太(清水エスパルス)(c)J.LEAGUEJ2降格がないとは言え、17位、ましてや最下位に沈むのはご免である。ユアテックスタジアム仙台で勝点27の16位・ベガルタ仙台と勝点26の17位・湘南ベルマーレが直接対決、勝点25の18位・清水エスパルスは『天皇杯』を睨むG大阪の本拠地パナソニック スタジアム 吹田へ乗り込む。埼玉スタジアム2002で顔を合わせる浦和レッズと北海道コンサドーレ札幌もシーズン最後の戦いを白星で締め括ろうとしている。そして、三協フロンテア柏スタジアムで行われる柏レイソル×川崎フロンターレである。川崎Fがどこまで記録を伸ばすのかに注目される。G大阪を5-0で粉砕し、2年ぶり3度目の『明治安田J1』制覇を果たした川崎Fだが、第31節は清水に2-2、第32節も鳥栖に1-1と下位を相手に足踏みを余儀なくされた。だが、このままズルズルと後退しないのは、さすがチャンピオン。12月16日・等々力陸上競技場でのホーム最終戦で本来の姿を取り戻した。興梠慎三(浦和レッズ)(c)J.LEAGUE11分にPKを興梠慎三に決められ浦和レッズに先制を許すも、試合は完全な川崎Fペース。ボールを握り、隙を伺い、ゴールに迫る。相手ボールになってもすぐさま奪い返し、攻撃を作り直す。決定機も次々と生まれる。31分にMF中村憲剛のコーナーキック(CK)をCBジェジエウがヘッドで叩き込むもポストに嫌われ、43分にはウイング三苫薫のシュートをGK西川周作がはじき、FW小林悠が詰め同点と思われたが、エースのシュートは倒れ込んだCB岩波拓也に当たってしまう。前半45分で川崎Fのシュートは打ちも打ったり14本、対する浦和はPKの1本のみ。川崎Fはゲームを支配しながら0-1で折り返した。守田英正(川崎フロンターレ)(c)J.LEAGUE後半に入っても攻める川崎F、耐える浦和の構図は変わらない。そんな中、ついに川崎Fが追い付く。53分、アンカーの守田英正が見事にコントロールされたミドルシュート一閃。中村憲剛(川崎フロンターレ)(c)J.LEAGUE王者はここから一気に畳み掛ける。前節、決定機でヘディングシュートを外し悔しい思いをした三笘が59分、右SB山根視来のクロスをきっちり頭で合わせて逆転。61分には流れるようなパスワークから中村のノールッククロスに小林が反応、走り込みながら右ボレーをズバリ。試合後、鬼木達監督が「分かり合っているふたりでしかなかなかできない得点。長年やっている研ぎ澄まされた部分が出た。クロスを上げた憲剛もそうだし、あそこのタイミングで入っていった悠もそう。試合の中で互いに感じてやれたのは素晴らしいこと」と絶賛する一撃だった。三笘薫(川崎フロンターレ)(c)J.LEAGUEベテランだけではない。若きスコアラーたちのコメントも、今季の川崎Fの強さを雄弁に語っていた。3年目にしてうれしいプロ初ゴールを決めた守田が「ずっと取りたかったけど、なかなか取れないで来てしまった。やっと数字でチームに貢献できた」と安堵の表情を見せれば、J1新人最多得点記録に並ぶ13ゴールをマークした三笘も「前戦(のヘディングシュート)では上へ行ってしまったので、当てるところを気を付けた」と前戦の反省を口にした。これまでチームになくてはならない活躍をしているふたりであっても、活躍し続けなければポジションを奪われる危機感を抱えているのだ。だからこそ、川崎Fは最多25勝を挙げ、最多勝点80をマークし、最多85ゴールを叩き出してなお、上を目指すのだ。最多記録を更新した直後の指揮官は「優勝したあとに記録を作ろうと選手に言ってきた中、超えられてよかった。選手たちがもう一度記録というものにチャレンジしてくれたことをうれしく思う。ただ、まだもう1試合あるので、もっといい記録を作りたい」とキッパリ。もちろん、ホームの柏も勝点3を譲るつもりはさらさらない。27ゴールと得点ランキングを独走するオルンガがチームを勝利へ導くシュートを虎視眈々と狙う。1月4日(火)には国立競技場での『JリーグYBCルヴァンカップ』決勝が控える。FC東京との決勝を前に、王者相手であっても下手な試合はできない。7月4日、無観客で再開した2020明治安田生命J1リーグ(c)J.LEAGUEコロナ禍の特別なシーズンは、サッカーに関わる全ての人々の尽力なくして、この週末を迎えられなかったのではないだろうか。選手・監督・コーチとその家族はもちろん、Jリーグやクラブ、レフェリーやスタジアム関係者、ファン・サポーターにボランティア、スポンサー、マスコミ、ホームタウンの地方自治体とその住民などなど、それぞれが試行錯誤に紆余曲折、トライ&エラーを繰り返しながらも、初めて尽くしの特別なシーズンを完走しようとしているのだ。言わば、サッカー界の勝利である。12月19日(土)はそれぞれが勝利の味を噛み締めつつ、『明治安田J1リーグ』を見届けてはいかがだろうか?文:碧山緒里摩(ぴあ)チケット情報
2020年12月18日みなさん、お子さんへのクリスマスプレゼントはもう決まりましたか?お子さんへのリサーチをしている最中のご家庭もあるでしょう。中にはお子さんのほうから「○○が欲しいな」というアピールもあるようですが、サッカー少年少女の保護者の皆さんも「ボールが欲しい」「新しいスパイクがいいな」などお子さんからのリクエストを受けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、サカイクのセレクトショップで人気の商品の中から、今からでもクリスマスまでにお届け可能な「サッカーがうまくなるグッズ」を厳選してご紹介します。お子さんのプレゼントに迷っている方、サッカーがうまくなりたいお子さんに喜んでもらえるアイテムばかりなので参考にしてみてください。ただいま年に一度の感謝祭開催中です!一部商品がとってもお得になっておりますのでぜひご覧ください。ただいま年に一度の感謝祭セール開催中!>>テクダマ発売開始から飛ぶように売れ、入荷するとすぐに完売になってしまうサッカー上達専用ボール「テクダマ」。サッカーが上手くなるためには、技術、戦術の理解とともに、ボールを自在にコントロールするスキルを身に着けること。グラウンドは平坦なところばかりではありません。イレギュラーなバウンドをしたり、バランスを崩しながらもボールをコントロールする場面もたくさんあります。そういった時に必要な「調整力」。これこそが本当にうまい選手が身に着けているもの。脳からの指令伝達を身体が実行できる力が大事なのです。そういった神経経路が鍛えられる仕組みのテクダマなら、普段の練習の中で使っているだけで自然と調整力を習得できるのです。また「うちは運動神経内から無理」と思っている親御さんもこのボールを使うことで、イレギュラーバウンドへの対応などに慣れ、試合で使えるボールコントロールが身につくので、ぜひお子さんにプレゼントしてみてはどうでしょうか。テクダマの詳細、購入はこちら>>KENGOアカデミー背が低くても、足が遅くてもサッカーがうまくなる45のアイデア。中村憲剛選手が映像で解説してくれるDVD「KENGOアカデミー」でサッカー脳を高めるサポートをしてあげませんか。中盤、ボランチを任されているけど、どう動けばいいかわからない。試合中何を見ていつパスを出すの?といった選手が抱える悩みに、中村憲剛選手が解説。Jリーグ屈指のサッカー脳を持つ中村選手の解説で、動き方、判断するタイミングなどサッカーに必要な知識を身に着けることができます。中学入学時の身長は136cm、周囲の対格差で挫折を感じサッカーから離れた時期もあったけど、考える力を武器に大きな選手と戦う方法を身に着けてきたという中村選手が自身の経験をもとに積み重ねてきた、サッカーがうまくなるためのアイデアが詰まっています。シンプルパッケージとなりお求め安くなりました。この機会にぜひ。KENGOアカデミーの詳細、購入はこちら>>タニラダー週1の練習で早くなる!サッカー選手2万人以上が実践したスピードアップトレーニングの決定版「タニラダー」で、お子さんの走るスピードを高めてあげませんか。「足が速くなりたい」は昔も今も、多くの小学生の願望ですよね。足が遅いのには理由があります。速く走るための基本のき、「正しい姿勢」「正しい身体の動かし方」を身につけるところから始められるベーシックから、ボールのある動きを伴うアドバンストまでご用意しております。たった4マスだからこそ速さに必要な要素が身に付きやすい。長すぎるラダーは足元を見てしまったり、終盤姿勢が崩れたりして正しい「速さ」が身につかない。タニラダーは速さを習得するための要素がギュッと詰まったトレーニングアイテムなのです。単純に走るのは速いけど、サッカーの試合になるとぎこちない、切り返しについていけない、などもタニラダーのトレーニングで解消できます。速くなりたい、動きをよくしたいお子さんにおすすめです。タニラダー各サイズの詳細、購入はこちら>>フレックスクッションドリブラーの生命線、股関節の可動域を広げる話題のストレッチツール「フレックスクッション」。あなたのお子さんは身体は柔らかいほうですか?最近は身体が固い子どもたちも増えているようです。身体が固いのはケガにもつながりやすいので、柔軟性はできれば小学生年代から注意したいもの。ストレッチで可動域を広げることでパフォーマンスアップにも繋がります。ですが、正しい姿勢で行わないとストレッチの効果も得られません。骨盤の向きを~と言われてもピンとこない子どもたちも、このクッションを使えば座るだけで正しい姿勢で効果的に体を伸ばすことができます。日本やヨーロッパの強豪25チームに採用され、練習や試合後のコンディショニングに取り入れられている「フレックスクッション」でコンディショニングのサポートを。お子さんだけでなく親御さんも使って一緒に楽しんでください。フレックスクッションの詳細、購入はこちら>>リバウンドボード一人でもトラップやパス、ワンツーのトレーニングができる壁打ち練習アイテム「リバウンドボード」。複数人で練習するほうが試合に近い状況なのはわかっているけど、近所の友達はサッカーしないし、兄弟姉妹も自主練に付き合えない、など様々な事情で一人で練習できるアイテムが欲しい、という親御さんは多いもの。このリバウンドボードを使えば、パスを出してパスを受ける練習ができます。ひとりでも2人で行うプレーの練習が可能になるリバウンドボードで実戦的な動きを身につけることができます。簡単に持ち運べ、上下を逆に設置すれば初心者・低学年が苦手な「浮き球」を返してくれるので恐怖心克服とトラップの練習にも。住宅事情により自宅の壁にボールを打たれるのはちょっと困る、という親御さんたちにもおすすめしたい商品です。リバウンドボードの使い方例、購入はこちら>>アルファゴール自宅でシュート練習!Jリーグ25チームが導入するゴール感覚を研ぎ澄ますミニゴールでシュート力を磨く。日本サッカーの長年の課題「シュート力」。少年サッカーの練習では簡易的なゴールを使うこともありますが、素材によってはシュートの跳ね返りが返ってこないのでセカンドボールを拾う意識などが身につきづらいという側面があります。軽くて安全なアルミ製でできたこのアルファゴールは、思いっきりシュートしてもボールがしっかりリバウンドするので、シューター以外の選手もゴールを意識してトレーニングすることができます。遊びの場面でもそのような意識をもって繰り返すことで、自然とゴールへの意識が定着していくもの。10秒で簡単に組み立てられてしまう時もコンパクト。ベガルタ仙台のトップチームが採用しシュート練習などに使われています。また、川崎フロンターレやモンテディオ山形などのスクールにも導入。サイズもバリエーションがあるので、クリスマスプレゼントだけでなく卒団記念の贈り物などにもピッタリです。アルファゴールのサイズ各種詳細、購入はこちら>>ただいま年に一度の感謝祭セール開催中!>>
2020年12月09日チームによって欲しい選手が違うのは理解できるけど、やっぱり知りたい「Jクラブのスカウトが声をかける選手の特徴とは?」という読者の疑問に答えるこの企画。川崎フロンターレのアカデミースカウト担当の大田和直哉さんに聞く「Jクラブのセレクション」について。後編です。後編では、セレクション時の保護者の振る舞いや、受ける時の心構え、自立に対する考え方など、セレクションに興味のある子どもたち、保護者に向けて、ためになるお話をたくさん聞くことができました。(取材・文:鈴木智之)<<前編:Jクラブのスカウトが見るポイントは?川崎フロンターレのアカデミースカウトが語る選手評価ポイント■どんな保護者なのかを気にする割合が増えている――選手をスカウトするときに、その選手の保護者のキャラクターを気にする指導者やクラブは多いと聞きます。大田和さんはどのように考えていますか?クラブとしても、その選手の保護者がどういう人なのかを、気にする割合は年々増えています。ただ、誤解してほしくないのですが、その保護者が良い、悪いというのではなく、「どのような人なのか」を把握することが大切だと考えています。だからこそ、スカウトの段階で保護者の方とコミュニケーションをとり、どのような人なのかを理解するようにしています。――保護者の立場として、フロンターレにスカウトされるような「上手な子」を、どのようにサポートすればいいのでしょうか?これは私の印象になるのですが、私が良いなと思える選手の保護者は、子どもをサポートしようとしすぎるのではなく、自分が好きなことをやって、輝いている人が多いように感じます。仕事や趣味など人によって様々ですが、親が自分の人生を楽しんでいる姿を見て、子どもも同じように、好きなサッカーを楽しくやっています。その姿を見ると、すごく良いなと思います。――何人ぐらい受けに来るのですが?U-10の場合、今年は2日間、3部に分けて行ったのですが、1回60人なので、全部で180人ほどになります。その中で合格するのは、学年によって違うのですが、1学年10人程度で運営しているので、3年生の場合、現U-10カテゴリーに3年生が4人いるので、セレクションで合格する子は4~6名程になります。■身の回りの事ができれば「自立」なのか?海外と日本の違いに見る本当の自立とは――ジュニアサッカーの現場において「子どもの自立」がキーワードになることが多いですが、保護者が手をかけすぎると、自立を妨げることになるのでしょうか?最近、「自立ってなんだろう」と考えていて、思い当たったことがあります。私は2年前からフロンターレのアカデミーのスカウトをしているのですが、それまでは中国の広州富力で、U‐10の監督をしていました。中国の保護者は子どもの送迎は当たり前、練習前後には着替えを手伝ったりと、日本人から見ると過保護に見えました。日本でいう「自立」とは、自分のことを自分でやることだととらえられていて、私もそういう考えでした。――多くの日本人がイメージする「自立」は、「自分のことは自分でする」ですよね。中国の子たちは、着替えを保護者に手伝ってもらったりと、日本人がイメージする自立とはかけ離れています。でも、自分が思っていることを相手に伝えたり、大人に意見を聞かれたときに答える能力がすごく高いんです。ヨーロッパもそうですが、日本以外の国は、保護者と子どもの距離がすごく近い印象を受けます。でも、子どもは自分の意見をしっかり言える。海外では「自分の意見をはっきり言う」ことが自立と考えられていて、日本の場合は「自分の行動範囲のことを自分でできる」ことを自立と言っているのではないかと思います。――「自立」の種類というか、受け止め方が違うのですね。多くの日本の子どもは、自分の意見を言うのが苦手です。コーチがみんなの前で「このプレーはどう思う?」と聞くと、黙って答えないといった場面も目にします。海外の子の場合は「僕はこう思う」「それは嫌だ、やりたくない」など、自己主張ができます。はたして、日本と海外のどちらが本当の自立なのだろうかと考えています。どちらもできるような選手がいたら、確実にサッカーが上達するスピードが速いと思います。■久保建英は過去のどの選手よりもピカイチだった――フロンターレジュニアに所属していた選手には、久保建英、三好康児、板倉滉、三笘薫、宮代大聖などのプロ選手がいますが、彼らのジュニア時代のエピソードはありますか?アカデミーの玉置(U‐15監督)に聞いた話ですが、久保建英選手がセレクションに来たときは、過去のどの選手と比べてもピカイチだったと。彼は自分がしたいプレーをするというよりも、試合の状況を見て、どこにボールが来そうかを予測してポジションをとり、相手ボールのときは、自陣ゴール前まで下がってボールを奪って、そこからドリブルで全員抜いていくようなプレーをしていたそうです。もちろんドリブルだけでなく、相手を引きつけて、味方にアシストをすることもあったそうです。玉置は「ピッチ上の監督のように、試合を作っていた。あの年齢でそんなことができる子は見たことがない」と言っていました。宮代大聖はトップチームの中でも、シュート技術が高い選手なのですが、ジュニア、ジュニアユースの頃からその技術はずば抜けていました。――セレクションでは、自分の得意なプレーをしてアピールすることが大切なのですね。自分の武器はこれだというものがある選手は、それを出すことが大事だと思いますし、ミスを恐れず、得意なプレーをしてほしいと思います。――サッカーはチームスポーツなので、自分がやりたいプレーだけをしていても、味方の信頼を勝ち得なかったり、ボールが回ってこないことがあります。そのバランスはどう考えていますか?セレクションの試合の合間に、その日初めて会った選手に「どこのチーム?」などと積極的に話しかけて、選手同士で人間関係ができていると、試合でその子にボールが集まりやすいことがあります。セレクションでボールが集まりやすいのは、チームの中で一番上手な選手か、オフザピッチでチームメイトとうまくコミュニケーションがとれる選手だと思います。――セレクションで、人間性の部分をチェックするところはありますか?そこはすごく見たいのですが、セレクション会場で、一人の子どもと接する時間は限られています。そのため、セレクションのときにコーチがなるべく話しかけるようにしていて、どのような受け答えをするかは気にしています。■セレクションはチャレンジの場――セレクションは緊張すると思いますが、心構えのアドバイスはありますか?緊張する子としない子がいると思いますが、子ども自身が、絶対に受かりたいから緊張するのか。もしくは保護者のプレッシャーがすごくて、受からなくてはいけないと緊張してしまうのか。そのどちらかだと思うので、後者の緊張は無くしてあげたいですね。保護者の方は「結果は考えずに、自分のプレーを出してきたら?」など、お子さんが緊張しないような言葉をかけてあげるといいのかなと思います。スクールに来るような感覚で、楽しんでいつものプレーができるような声かけをしてもらえたらと思います。――反対に、良くない保護者の関わり方はありますか?セレクションでたまに見かけるのが、試合と試合の間に保護者が自分の子どもを呼んで、指示をしたり、ダメ出しをしている姿です。子どもにとってプレッシャーになったり、過緊張になりかねないので、良くないと思います。――最後に、今後セレクションを受けに来る選手に対して、メッセージをお願いします。スカウトで小学生や中学生に声をかけると、「○年生のときに、フロンターレのセレクションに落ちたんですよ」と言われることがあります。低学年のときにセレクションに落ちたとしても、成長するにつれて「良い選手」と評価を受ける例はいくらでもあるので、早々に可能性を見極めない方がいいというのはお伝えしたいです。それと、セレクションの結果に対して、子どもより保護者が一喜一憂しないことですね。セレクションに落ちたときに、保護者がすごく悲しんで「フロンターレなんかもういいよ」など、マイナスの発言をすると、子どもは影響されサッカーに対してマイナスな気持ちが生まれてしまいます。セレクションをテストの場ととらえるのではなく、チャレンジする場という気持ちで、来ていただけるとありがたいです。<<前編:Jクラブのスカウトが見るポイントは?川崎フロンターレのアカデミースカウトが語る選手評価ポイント大田和直哉(おおたわ・なおや)神奈川県出身。少年時代には川崎フロンターレ U-15に所属。2008年から2016年まで川崎フロンターレスクール・普及コーチを務め、2009年には3種神奈川県トレセン川崎北地区コーチも兼務。2017年広州富力足球倶楽部U-10監督に就任。2018年からアカデミー部門のスカウト兼コーチを務めている。所有ライセンス:日本サッカー協会公認B級ライセンス
2020年10月26日サカイクには、読者のみなさんからの声がたくさんの寄せられます。その中で多かったのが「Jクラブのセレクションについて知りたい!」というもの。いろんなチームでセレクションやスカウト活動がありますが、実際Jリーグの育成組織ではどんなポイントに注目しているのか気になる方は多いようです。そこで今回は川崎フロンターレのアカデミースカウト担当の大田和直哉さんに協力していただき、フロンターレのセレクション事情について伺いました。前編では、コロナの影響で始まった、オンラインスカウト『F活』や、セレクションでの評価ポイントなどをお伝えします。(取材・文:鈴木智之)日本独自の制度「トレセン」の意義とは(写真は少年サッカーのイメージ)■リモートスカウト活動「F活」とは――大田和さんの肩書は「アカデミー スカウト担当」とありますが、普段はどのような活動をしているのでしょうか?川崎フロンターレアカデミーのスカウト担当として、Jrユースに入る選手、ユースに入る選手に対するスカウト活動をしています。小学6年生と中学3年生をターゲットとしていますが、小学生は2年生から、中学生は1年生の大会から視察に行っています。クラブには、アカデミー担当のスカウトが私ひとりしかいないので、コロナの前は、土日は一日3、4会場回って、試合を見ていました。――コロナで選手を見る機会が減ってきていることもあり、『F活』というリモートスカウト活動を始めたそうですね。はい。今年の6月末から、『F活』というリモートスカウトをしています。企画当初、8月末までは小学5年生を対象にしていたのですが、9月中旬から小学4年生、5年生に広げています。内容としては、最大5分の自己紹介を含めた、自由な動画と、編集していない試合の動画を送ってもらっています。――『F活』で対象としているのは、現小学4、5年生なので、2022年にJrユースに入る選手ですね。はい。2021年に入学する選手(現小学校6年生)のスカウトとセレクションは、9月に実施しましたので、その次の学年の選手を対象にしています。――『F活』の応募条件に「エリートクラスに通うことができる範囲に住んでいること」とありますが、遠方から通っている子は、どのあたりから来ているのでしょうか?クラブとして1番は川崎市の選手がたくさん来てくれる事を願っていますが、実際には神奈川県内各地や東京の多摩川沿いの地域の選手も多く在籍していて、アカデミーの選手では千葉や埼玉から通っている子もいます。川崎は交通の便が良いので、遠方からも通いやすいと思います。――フロンターレのトップチームは、2017、18シーズンを連覇していますし、アカデミーからトップに昇格して活躍する選手も増えてきているので、子どもたちからの反応も良いのではないですか?トップチームは素晴らしいサッカーをしていて、スカウト活動に行くと、たくさんの指導者様にそう言ってもらえます。ですが、アカデミー組織を見ると、FC東京さんや(横浜F・)マリノスさんは、ユース年代でプレミアリーグに所属しています。我々はひとつ下のプリンスリーグなので、追いつき、追い越せを目標に活動しています。――フロンターレジュニアには、U-10とU-12のカテゴリーがあります。U-10に入るのにも、セレクションがありますよね。はい。U-10は小学4年生を中心に、3年生も数名いるので、セレクション自体はU-8、U-9の子が受けるもので、毎年9月中旬に行われます。6年生が受ける、Jrユース(U-13)のセレクションは、夏休み明けの9月初旬から始まります。セレクションは1次、2次とあり、それ以降は3次や練習参加といった形になります。――何人ぐらい受けに来るのですが?U-10の場合、今年は2日間、3部に分けて行ったのですが、1回60人なので、全部で180人ほどになります。その中で合格するのは、学年によって違うのですが、1学年10人程度で運営しているので、3年生の場合、現U-10カテゴリーに3年生が4人いるので、セレクションで合格する子は4~6名程になります。■U-10とU-12では評価ポイントが変わる!?――セレクションでは、どのようなことをするのですか?走力テスト(30m走)をして、一次セレクションはミニゲーム。二次セレクションから8人制に近づいていきます。一次セレクションは参加者が多いので、見逃しがないように、アカデミースタッフだけではなく、スクールコーチの力を借り多くのスタッフでチェックをしています。――評価ポイントはどこでしょうか?U-10に関しては、抽象的になってしまうのですが「何かを持っている選手」です。それが技術、スピード、身体的な特徴、声を出して指示が出せる(リーダーシップ)など、こうでなければいけないと型にはめるのではなく、その選手を見ていて「この部分がいいな」と感じるものがあるかどうかですね。――U-12になると、評価のポイントが変わってくるのですか?フロンターレではジュニアやエリートクラスなどの内部選手を1番に考えているので、Jrユースに向けて、足りないポジション、強化したいポジションの選手を選ぶこともあります。また、Jrユースは11人制になるので、身体能力の高さなどもチェックしています。――U-12は何人所属しているのですか?今年の6年生は16人います。その中からU-13に上がるのは16人中10人、昨年は13人中12人、上がりました。この数字からもジュニアで預かった選手を大事に育成し、上のカテゴリーにつなげる指導が出来ていると思っています。エリートクラスにも選手がたくさんいるので、そこからU-13に入る子もいますし、スカウトで入る子もいます。――12歳の時点で、将来を見極めるのは非常に難しいですよね。うちのクラブでJrユースに上がれなかった子が、別のJクラブに行って、1学年上のカテゴリーで試合に出て、活躍したケースもあります。Jrユースからユースに上がれなかったけど、高校サッカー選手権で活躍した、浅倉廉(静岡学園→拓殖大学)のような選手もいます。横浜FCさんでプロになった安永玲央は、フロンターレのJrユースからユースに上がれず、横浜FCユースに入ってプロになりました。セレクションでは全てを見ることが出来ないので非常に難しい決断をしなくてはいけません。先に述べたように選手の成長時期は人それぞれで、セレクションで合格しなかったり昇格できなかった選手が活躍している例もたくさんあります。「セレクションに落ちた=サッカー選手になれない」と思うような認識にならないで欲しいです。■昇格できなかった子たちの「その後」も追っている――ジュニアからJrユース、Jrユースからユースと、上のカテゴリーに昇格できなかった選手を継続してチェックしているのですか?はい。チェックしています。これまではいませんが、ジュニアからJrユースに昇格できなかった選手が他のクラブに行って、ユースに上がるときに戻ってくるケースも考えられます。ただし、Jクラブに行きたい子が多いので、別のJクラブのJrユースに入ると、そこからうちのユースに戻ってくるのは現実的ではないのですが......。最近はジュニアからJrユースに上がれなかった子に、近隣の街クラブを紹介して、そこで成長して、ユースの段階でフロンターレに戻ってくればいいなという考えも持っています。エリートクラスに入っている子でも、Jrユースに入れない場合もあるので、進路先をサポートしてあげて、Jrユースは街クラブでプレーして、ユースからうちに来るという流れも少しずつでき始めています。――リソース的にすべてを自分のクラブで賄うのではなく、近隣に良い育成をするクラブがあれば、そこと協力しながら選手を育てるのは、理にかなっていますね。中学生年代で試合に出ることはすごく大切です。親御さんが、お子さんをJクラブに入れたい気持ちもわかりますが、僕としては、その子がチームの中心としてプレーできる環境にいた方が、今後の成長につながると思っているので、クラブとしてもそのような取り組みをしていますし、より多くの選手を育成できる方法を検討しております。大田和直哉(おおたわ・なおや)神奈川県出身。少年時代には川崎フロンターレ U-15に所属。2008年から2016年まで川崎フロンターレスクール・普及コーチを務め、2009年には3種神奈川県トレセン川崎北地区コーチも兼務。2017年広州富力足球倶楽部U-10監督に就任。2018年からアカデミー部門のスカウト兼コーチを務めている。所有ライセンス:日本サッカー協会公認B級ライセンス
2020年10月19日話題のスポットやエンタメに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今週は、「川崎の商業ビルの中でアマゾンの熱帯雨林を体験できる」というワクワクする展示で話題の水族館「カワスイ」へ行ってきました。■「カワスイ川崎水族館」神奈川県川崎市川崎区日進町1-11川崎ルフロン9〜10F館内は「世界の水辺を、冒険しよう」というコンセプトどおり、多摩川、オセアニア・アジア、アフリカ、と地域ごとに展示が。約230種の生物たちの名称や生態は、2次元コードを読み取ってスマホで見る、画期的なシステムに驚き!オセアニア・アジアゾーンには鳴き声が笑っているように聞こえるワライカワセミがいて、手を振るとこっちを向いてくれました。めっちゃかわいい。おなかが赤いオシャレ(?)なニシキマゲクビガメもいて、普通の水族館とは一味違う雰囲気。200度の広角パノラマスクリーンには、昼はマナティー、夜はマッコウクジラなどの映像が流れるプログラムもあり、圧倒的迫力です。期待のアマゾンゾーンは、現地と同じ植物を植えたり、人工的にスコールを降らせてリアル熱帯雨林を再現。暖かく湿った空気のなか、ピラルクやピラニアが優雅に泳いでいて、現地の人も出てきそうなムードがありました。館内は最新デジタル技術によって昼夜で異なる演出が施されます。昼はカピバラが遊んでいた場所に夜はナマケモノがのんびりぶら下がっていたり。昼と夜それぞれ体験するのがおすすめ。カフェやレストランもあり、なんとビールを飲みながらの見学もできます。次回はホロ酔い気分で体験したい!「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月19日