映画『沈黙のパレード』(9月16日公開)の)ジャパンプレミアイベントが31日に都内で行われ、福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、川床明日香、出口夏希、岡山天音、檀れい、椎名桔平、西谷弘監督が登場した。同作は東野圭吾による人気シリーズの実写映画第3弾。変人でありながら天才的な頭脳を持つ物理学者・湯川学(福山)の活躍を描き、2007年より連続ドラマ『ガリレオ』(第1シーズン・第2シーズン)、映画『容疑者xの献身』(興行収入49.2億円)、『真夏の方程式』(興行収入33.1億円)とヒットを続けている。作品のイメージカラーにちなんだ"イエローカーペット"にリムジンで駆けつけたキャスト陣。柴咲は大きく背中の開いたドレス、戸田は真っ赤なドレス、檀はシースルーでシックにまとめたドレスと、華やかに登場する。柴咲は「帰ってまいりました! みなさんと直接お会いできて本当に嬉しいです」と喜び、「出来上がった作品を観た時に、心の奥底のあたたかい部分が震えまして、人を愛すること愛されること、それが貫けないことの悲しみ憎しみ、いろんな思いが湧き起こって、いろいろな感覚を揺さぶられるような映画になっていると思います」と自信を見せる。映画の出来については、北村も「この映画、最高です」と太鼓判。「ここにいるみんなが試写を見た時にグータッチするくらい、最高の出来になっています」とアピールした。
2022年08月31日2011年3月11日の東日本大震災の時に災害救助犬が活躍したのを見ていて、自分達もああいう犬を育てたい——。そう思った川野悌子さん(49)は夫の信哉さん(51)と日本で初の民間の作業犬を育成する一般社団法人日本警備犬協会を設立した。現在、山梨県の山中湖近辺にベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア(通称マリノア)たちと住んでいる。マリノアは日本でも珍しい犬種だ。二人がマリノアを育成し始めたのは。2013年頃。震災の後に災害救助犬の育成を始めたのだが、犬には犬種によって得意な分野や秀でている才能が異なる。マリノアは鼻が利き、身体能力がずば抜けて優秀で、攻撃性が高いが人間の命令(コマンド)もよく聞く。その能力になお子さんが目をつけたのが爆発物探知だった。最初は家庭犬のしつけをする“犬の学校”を運営していたが、やがて作業犬の育成に情熱が傾くようになり、災害救助犬の育成を始めた。ところが、その過程で爆発物探知犬の育成にも関心を持つようになる。「最初は災害救助用にと私たちの元に迎えた一頭のマリノア犬が、実は爆発物探知に向いていることを知ったのです」嗅覚の鋭さと警戒心の強さから、その犬には災害救助よりも爆発物探知の方が、適正が高いと悌子さんは感じとった。爆発物探知犬とは、VIPが参加する催しや劇場やコンサートホール、スポーツ施設や鉄道といった公共施設など、大勢の人が集まったり、行き交う場所で爆弾の有無を探知する訓練された作業犬だ。日本ではあまり知られていないが、海外では頻繁に活躍している。特に、世界でマリノアが注目されたのはIS(イスラム国)のバグダディ容疑者を追い詰めた時だったという。「マリノアは嗅覚が特に優れた犬種です。テロリストたちが爆弾を仕掛ける時は必ず事前に現場チェックを行います。その時、爆発物探知犬が警備の中にいるとわかると、彼らはその地域を避けるというほど、専門家の間では爆発物探知犬の存在は脅威となっているんです。ロボットが一日かけて探知するのに対し、犬は一瞬で嗅ぎ分けることができるからです。つまり、爆発物探知犬が作業をしている地域には抑止力が働くのです」とはいえ、日本で初の民間の爆発物探知犬を育てるには、さまざまな苦労があった。「まず、爆発物には匂いがあって、その匂いを覚えさせるための訓練用のキットをアメリカから輸入する、これだけでも多くの課題をクリアしなければなりませんでした。爆発物ではなくてもその匂いを持つ物は通常、輸入が困難です。それをアメリカのメーカーに何度も頼み込んでなんとか社長さんに首を縦に振ってもらって輸入できたのです」やっとキットを手に入れたものの、トレーニングの仕方もわからない。海外の本や雑誌などの資料を集めたり、アメリカの専門家に聞きながら手探りで始めた。「最初に一番難しい家の中から訓練をスタートして、その犬には苦労をさせました」と笑う。そうやって爆発物探知の出来る犬を一頭、また一頭と増やしていき、海外アーティストのコンサート会場や、海外からのプロスポーツ選手の施設周辺、海外の大統領が参加する食事会の会場など、活躍の場を広げていった。日本はテロの少ない国なので、爆発物探知犬の必要性が実感されにくいかもしれないが、実は2021年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックの施設内でも十数頭の爆発物探知犬が活躍していたという。国際的なイベントになるとテロへの注意が一気に高まる。だから爆発物探知犬が警備するエリアはテロリストにとっては“避けたい区域”となる。「明確な場所は明かせませんが、オリンピック期間中、ハンドラーを従えて都内の施設内をマリノアたちが日夜、作業していました」■次の目標は麻薬探知犬の育成爆発物と同じように施設への持ち込みに抑止力が働く悌子さんたちの生活はマリノア中心だ。どんなに悪天候でも朝6時半から日暮れまで毎日、訓練を行う。人間側も体を張って向き合っている。噛まれ役をすることもある信哉さんは、プロテクターをつけているとはいえ体じゅう痣だらけ。また、ハンドラー役がメインの女性の悌子さんに対しても、犬が反抗的な態度をとって噛むことだってある。それでも、この仕事を辞めたいと思ったことは一度もない。「犬が人を噛むときって、人間側に落ち度があるんです。私が噛まれた時も、その犬にストレスがあったことにちゃんと気づいてあげていなかった。『噛む=犬が悪い』とは思いませんし、噛まれたからもう嫌だと思ったこともありません。私は本当にマリノアのことが大好きで、マリノアのことなら何も苦にならないんです。彼らは私にとって人生のパートナーであり、師匠であり、家族。みんなからは『マリノアに人生を捧げてるね』って言われています(笑)」マリノアと人生を共にする覚悟でいる川野さん夫妻の次の目線は麻薬探知だ。「警察にも麻薬探知犬はいますが、民間ではまだいなかったことに着目しました。というのも、アメリカの同業者の友人に聞いたら、アメリカでは学校や企業などで麻薬探知犬が当たり前のように派遣されるそうなのです」たとえば、アメリカでは、中学校や高校、時には一般家庭の子ども部屋での探知の依頼があるのだそう。「日本でも、警察だと捜査令状がないとロッカーひとつ開けることができないのですが、私たちのような民間企業だと契約ひとつで、犬が反応したらすぐに開けることができます。企業、学校、施設などクリーンなイメージを必要とするところは、犬を入れることで施設内への麻薬持ち込みの防止につながります。爆発物探知の時と同じで抑止力が働くのです」また未開の地を見つけた悌子さん。一歩一歩自分達のペースで新しい分野へ参入していく。
2021年12月28日サラリーマンから独立し、夫婦で作業犬の育成、派遣を行っている一般社団法人日本警備犬協会の創設者である川野悌子さん(49)。「人生を犬に捧げている」というほど犬中心の彼女の今の道のりは、意外にも「犬が苦手」だったところからスタートしている。「私は子どもの頃に犬に追いかけられた経験から、犬は苦手。一方、夫は子どもの頃からずっと犬と暮らしてきた人。そんな夫が『独立して犬に関する事業をしたい』と言い出したときも“他人事”だと思っていました」今から20年ほど前、ゼネコンに勤務していた夫の川野信哉さん(51)から、「会社を辞めて独立したい」と言われたとき、悌子さんはインテリアコーディネーターとしてキャリアを積んでいた。ところが、休暇で夫の両親の住むアメリカのカリフォルニア州に行った時に、信哉さんと義父母が犬のトレーナーの事業について話しているのを聞いているうちに、「私もやりたい!」と言い出した。「今でもその理由がよくわかっていないんですけれども、帰国するときは、もうやる気でいましたね(笑)」実はこの時、信哉さんは内心、喜んでいたという。「僕は妻にも一緒にやってもらいたくて、『この仕事は楽しいんだよ』というアピールをさり気なくしているつもりだったんです。だから、悌子が『やる』と言ってくれたときは嬉しかったですよ」数か月後、アメリカで軍用犬の訓練をする学校でトレーニングを受けるため、悌子さんは渡米。最初に事業を起こしたいと言った夫は資金を貯めるため、日本に残り仕事を続けた。アメリカでトレーニングを始めた悌子さんは必死だったと振り返る。「自分の好きなことではなかったわけですから、本当は辛いはずだったのですが、不思議と辛いも努力していると感じたこともなかったですね。犬嫌いですか?一旦トレーニングに入ったら、そんな感情は消えていて、むしろ『よし、学ぶぞ!』って感じで夢中でした」渡米時は英語もほとんど喋れなかった悌子さんだったが、犬のことならスポンジが水を吸収するが如くどんどん学んでいった。その様子を時々アメリカで見ていた信哉さんはこう振り返る。「彼女の順応性に驚くばかりでした。とにかく限られた環境に順応するのがすごく上手い。それにコミュニケーション能力も抜群で、どこにいてもすぐに誰とでも友達になるし、場に馴染む。152センチのちっさい体なのに、存在感は大きかったですね(笑)」数年後、信哉さんも会社を辞めて、アメリカのトレーニングに参加。先をゆく悌子さんの成長ぶりに驚かされる一方で、頼もしくも感じていた。「男の僕ができることと女性の彼女ができることの分野が違います。僕は噛まれ役とか力を使ったトレーニングができますけれども、彼女はコミュニケーション能力を生かしてハンドラーとしてだけじゃなく、会社の“顔”にもなれると思ったのです」2004年、2人は東京で家庭犬用のスクールビジネスを始めた。当時、犬のしつけの学校は日本では未開の試みだった。そのうちにこの事業への投資をしてくれる有力者も現れ、事業は順調に拡大していくかに思われた。ところが事業経験のない悌子さんにとって初めての試練が訪れる。■事業が暗礁に乗り上げて店舗を閉める日、残ったのは家族だった「犬の総合トレーニング施設を作ってほしいという計画が私のところに来て、数千万円単位の出資がもらえたんですね。今振り返ると、経営の経験ゼロで知識もない私が社長業なんてできるわけがなかった。でも、あの時は自分には何でもできると勘違いして、調子に乗っていましたね」隣にいる信哉さんも、「あの時はひどかったよね」とうなづく。出資者が有名な実力者だったこともあり、いろんな人が近寄って持ち上げられた。ところが、事業がうまくいかなくなると分かった途端、お金をむしり取るように押し寄せてきた人達もいて、その豹変ぶりに驚かされたという。いよいよ店舗を閉めるという日、手伝いに来てくれたのは信哉さんだけだった。「最後は社員も誰も来なくて、夫だけ。やっぱり最後に残ったのは家族でしたね。でも、それをきっかけに、『これからは自分達がやりたいことをやろうよ』って話し合ったんです」それが後に訓練犬を育てることにつながる。2011年3月11日の東日本大震災後、被災地で災害救助犬の活躍を目の当たりにし、川野さん夫婦は災害救助犬の育成を始める。当時、民間で災害救助犬を育て、派遣する民間企業は少なかった。その後、広島や熊本の災害で災害救助犬を派遣した。川野さんたちの好む犬種は、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア(通称マリノア)といって、ベルギー出身のシェパードグループに属する。「マリノアの作業犬としての優秀さは群を抜いています。嗅覚もすごいし、身体能力もコマンドも良く能力も犬の中で群を抜いています」そのうちに悌子さんは、育成中の犬の嗅覚の鋭さを警戒心の強い性格から、爆発物探知に向いているのではないかと気づき、爆発物探知のトレーニングを始める。そして、2014年、民間企業としては初の警備犬の事業を立ち上げた。爆発物探知犬はこれまで、海外のVIPの来日時や、コンサート、スポーツイベントの会場などの公共施設、東京オリンピックの施設内などで活躍してきた。悌子さんたちは、作業犬の民間事業におけるパイオニアだ。しかし、信哉さんはこう打ち明ける。「僕1人ではここまで来れていないと思っています。だからなお子には感謝しかないっていったら当たり前に聞こえますが、それだけではない、お互いに足りない所を補い合える、ソウルメイトともいえるパートナーだと思っています」そんな言葉を照れながら笑顔で聞いているなお子さん。これからも夫婦二人三脚で未知の世界を開拓していく——。
2021年12月28日訪れる人の視点や時間の過ごし方によって、同じ土地でも印象が変わるのが旅の面白さ。イラストレーターであるオガワナホさんのフィルターを通した本書の副題は、「食、アート、カルチャー、癒し台湾の新たな発見をつめこんだイラストガイド」。まさに、街歩きのわくわくを堪能できる一冊に仕上がっている。「テーマは、インスピレーションを探す旅。私みたいな外国人イラストレーターが、台北ではどんなところへ行って、どんなものが目に留まるのかを伝えられたら面白いのでは、という思いからスタートしました」お寺や市場、グルメ、マッサージなど観光の定番も取り上げているけれども、台北はライフスタイルブームのまっただ中。最先端のカルチャーに出合える書店やギャラリー、雑貨屋、カフェなどに多くのページを割いているのが特徴といえる。「FacebookやInstagramで探してよさそうなところへ実際に行ってみたり、現地のクリエイティブな人に取材をしていくなかでオススメの場所を教えてもらったりすることの積み重ねでした。もともと旅行が好きなのですが、出発前に徹底的にリサーチをするタイプなんです。それが役に立ちましたね」通常のガイドブックにはなかなか載らないような、新進気鋭のお店の雰囲気や注目アイテムなどのイラストは見ているだけで心が躍るし、親近感のある文章は、台北通の友だちからいろんな情報を直接教えてもらっているような気分になれる。「歩きながら建物や人間観察などするだけで、いろんな発見があると思います。ステキな本屋さんが増えているので、言葉を理解できなくても装丁などのデザインを見るのも楽しいですよ。つい、あれも行きたい、これも行きたい!となりがちですが、インスピレーショントリップを楽しむならば、何かを見たらちょっと立ち止まり、考える時間を持つくらいがちょうどいい気がします。私自身も目標なんですけどね(笑)」◇おがわ・なほ国内外で活躍するイラストレーター。著書にナナとミミの絵本シリーズ。アロマライフコーディネーター川野菜穂さんとのコラボ商品“Aromatic Brooch by nn”が販売中。◇インスピレーションが得られる場所、モノ、人を、写真を使わずイラストと文章のみで紹介する台北ガイドブック。読んだら絶対に行きたくなります!誠文堂新光社1300円※『anan』2016年10月5日号より。写真・森山祐子(本)土佐麻理子(オガワさん)インタビュー、文・兵藤育子
2016年09月29日