『あなたの「治る力」を引きだそう』(市川加代子著、あさ出版)は、著者が日ごろから行なっているという自然療法「市川式恢復(かいふく)療法」についてのガイドブック。耳慣れないかもしれませんが、市川式恢復療法の基本的な考え方は次のようになるそうです。・体に設計ミスはない・体は「治る力」を秘めている・どんな病気に対しても例外ではないつまり病気を治すのは、薬でも医者でもなく、自分自身だということ。もっと詳しくいえば、自分のなかで眠っている「治る力」を引き出すことによって、病気は治るというのです。そんな市川式恢復療法には、10種ものメリットが。■市川式恢復療法のメリット(1)知っていれば、いつでもできる使用するのは生姜や豆腐、こんにゃくなど、身近にあるものばかり。それらがあれば、昼夜を問わず行えるといいます。(2)どんな病状でも使える体調の改善、治癒が期待できるそうです。(3)害がないすべて自然のものを使用するため、副作用の心配もなし。(4)安価である基本的に、使用する野菜やサラシを買う費用だけでOK。(5)おぼえたら、小学生でも行なえる過去には、4歳で行なった子もいたのだとか。(6)体のことがよくわかる体調を観察することが必要なので、おのずと自分の体に対する理解が深まります。(7)家族、友人間で行なえば、つながりが深まる手でなでたり、さすったりするので、無理なくスキンシップができるということ。(8)実践すると治癒力が増進される体力が早く恢復するなど、予後がよくなるのだといいます。(9)自分への信頼、体へのいたわりが強くなる「治る力」を実感するほど、自分の体を信じるようになるそうです。だからこそ「大切にしよう」という気持ちも強くなり、さらに健康になることに。(10)権威や情報に振り回されず、自分で方向性を見い出せる自分で行ない、自分で治すことを体験することで、自分の判断によって、的確に体を扱うことが可能に。使い方を学ぶ必要があったり、手間ひまのかかるものもあったり、根気とやる気が必要だったりもするものの、これなら効果が期待できそうです。でも、具体的にどのようなことをするのでしょうか?■いちばんの近道は半身浴!市川式恢復療法の実践方法はさまざまですが、すべてに共通する鍵があるのだそうです。それは、体を芯から温めて、不要物を出す力を高めること。そして、なかでも著者が最初にオススメしているのが半身浴。なにも特別なものを準備する必要がなく、体の負担も軽く、それでいて血液循環をよくする効果は抜群だといいます。(1)風呂をぬるめ(38~41度)に沸かします。水位を低くするか、浴用の椅子を沈めるかして、入ったときに水位がみぞおちからへその間くらいにくるように調整します。(2)途中で飲むための水やお茶を用意し、湯船に浸かります。なお、腕は湯から出しておきましょう。(3)体が熱くなってきたら、いったん湯から上がって、下半身に水シャワーを浴び、ふたたび湯船に浸かります。これを、自分が疲れず「気持ちいい」と思える範囲で何度か繰り返します。このとき大切なのは、脱水症状を「起こさないように、マメに少しずつ水分をとること(ただし、ガブガブ飲むのはよくないそうです)。(4)大切なのは、必ず「冷」で終えること。そして最後に水シャワーを浴びるか、冷たいタオルで全身を拭きます。半身浴後も、マメに水分補給することを忘れずに。*他にも、末端を集中的に温める「手足温浴」、万能の薬効を体に送り込む「びわ療法」、体中から汗が噴き出す「全身生姜罨法(あんぽう)」など、身近にあるものを利用して、手軽に行えるメソッドがたくさん紹介されています。しかも無理なくできるものばかりなので、実践してみれば体調を快適にすることができるかもしれません。(文/書評家・印南敦史)【参考】※市川加代子(2015)『あなたの「治る力」を引きだそう』あさ出版
2016年01月20日「子供歌舞伎フェイスパック」発売記念イベントが、5日(水)、渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールで開催され、歌舞伎役者の市川染五郎が特別ゲストで登場した。市川さんは、デザインフェイスパックシリーズの第一弾商品として、「歌舞伎フェイスパック」を考案。国内外問わず根強い人気を集め、これまでシリーズ累計約110万個を売り上げている。「歌舞伎フェイスパックをしていると、子どもも必ずやりたがる。子どもも使えるフェイスパックがあれば欲しい!」というユーザーからの声を受け、第13弾・第14弾の商品として、子供用サイズに改良した世界初の子供用フェイスパック「歌舞伎フェイスパック」と「動物フェイスパック」の2種が7日(金)より同時発売されることとなった。「小さな頃から歌舞伎ごっこが好きだった」という市川さん。子ども用サイズを見て「隈取りは本来格好よかったり、迫力があったりするものですが、子ども用サイズになるだけで可愛らしくなって嬉しいです。これをつけて歌舞伎ごっこをして欲しい」と満足げな顔を見せていた。また、同ホールで7日から9日(日)まで開催される「カブキ踊り『渋谷金王丸伝説』」に市川さんと共に出演をしている、寺子屋の子どもたちがフェイスパックをつけて登場。「可愛らしい!今からパックをしていたら、どれだけ美男美女になるんだろうね!」と市川さんも興味深々な様子だった。司会者から、子どもたち全員と見得のポーズをリクエストされると、「ちょっとリハーサルしてもいいですか」と市川さんが子どもたちに稽古をつける姿も。手の高さまで細かく指導し、見事に見得を決めた。「今日帰ったら、子どもにこのフェイスパックをつけようと思います」と笑顔で話した。「子供 歌舞伎フェイスパック」「子供 動物フェイスパック」は8月7日(金)より同時発売。(text:cinemacafe.net)
2015年08月05日『SRサイタマノラッパー』でゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門のグランプリを獲得以来、注目の若手映画監督として話題作を次々と手掛ける入江悠監督。青春ロックムービーである『日々ロック』や、本格的なスパイアクションが繰り広げられる『ジョーカー・ゲーム』と、近年は積極的にエンターテイメント作品を手掛け、次々と新境地を切り開いている。そんな入江監督の次なる挑戦が、ドラマ「ふたがしら」での“時代劇”だ。WOWOWが仕掛ける誰も観たことがない時代劇を、入江監督はどう演出したのか。ドラマの原作となる「ふたがしら」は、オノ・ナツメによる時代劇漫画。独特なタッチで描かれる原作漫画を、入江監督はどう読んだのだろう。「オノ・ナツメさんのお名前は知ってましたけど。普段わりと少年マンガみたいなものしか読まないので、監督することが決まってから初めて読みました」と明かす入江監督。「最初は、絵が独特なのでキャラクターの誰が誰だか分からなかったんですけど(笑)、読んでいくうちにだんだんハマっていって。コマ割りというか、事件の核をすっ飛ばして事後を描いたりとか、物語の進め方や、表情の捉え方がすごい独特だと思いましたね」。オノナツメならではのフェティッシュな色気漂う原作の映像化という難題に挑む本作。映像化への推進力になったのは、「劇団☆新感線」の旗揚げを担った座付き作家である中島かずきの脚本だ。「あのマンガならではの時間の切り取り方とかもあるんで、映像化はなかなか難しいなと思いましたね。あのマンガの空気感って天才的なものがあるので。それでも、中島かずきさんの脚本ができたことで、ちょっと見えてきたところがあるというか。中島さんの脚本は、男臭くて、“ON”というか、表に出す芝居を書くのがすごいうまいなと前から思っていて、今回も随分と中島さんの脚本で見えてきたものがありました。たとえば、原作には盗みのシーンってそんなに出てこないんです。主人公達が部屋でだらっとしたりとか、歩いていたりとか、なに考えているんだか何も考えていないのかわからないような不思議な時間が多くて、もちろんそこがオノさんの原作の魅力だと思うんですけど、せっかく盗人ものなんでそこはちゃんと描いていこうというのがありました」。そして、音楽を務めるSOIL&“PIMP” SESSIONSの起用も、映像化の方向性の舵取りに大きく影響したようだ。「ぼくは時代劇がはじめてだったんで、どこまで崩すかっていうのはまったく見えてなかったんですよ。そこで、もともとプロデューサーがWOWOWで新しく時代劇がはじめるにあたって、何か新しいことをしたいっていうときに、ジャズ的な組み合わせたらどうだろうということでソイルさんを口説いてくれたんですね。脚本をみんなでどうしようかって相談している、それはもう初期の段階でソイルさんの名前が出てきて。そこでちょっと方向性が固まった感じありますね。オノ・ナツメさんのマンガの感じっていうのは映像にするとすごく出しにくいというか、そこをソイルの音楽に助けてもらった感じはあります。たとえば、『死刑台のエレベーター』の音楽をマイルズ・デイビスがやっている、みたいなことって、なかなか今の映画ではできないじゃないですか。でもよく考えると、市川崑監督の『金田一』シリーズとか、石坂浩二さんがばたばたばたっと走るとことか大野雄二さんの音楽が流れて、完全にジャズだったりしますよね。昔ってそういったアバンギャルドなことやっていたんだなって」。インタビューが進行する中、入江監督の口からはさまざまな作品の名前があがる。初の時代劇への挑戦にあたって、参考にした作品は、“スタンダード”な時代劇だったようだ。「もともと時代劇がけっこう好きだったので、東映の昔の時代劇とか、忠臣蔵みたいなものとか、あとは三池崇史さんの『十三人の刺客』とか、ああいうのを見直しました。ほかには、『必殺仕事人』とか、『雲霧仁左衛門』とか、長寿シリーズのDVDボックスを買って見直したりしましたね。『ふたがしら』はあそこまで殺伐としてないんですけど、雰囲気としては参考にしてもらいたくて松山さんと早乙女さんに観てもらったのは、マキノ雅弘さんの『次郎長三国志』とか、“股旅”ものですかね。最近の作品だと、小泉堯史監督の『蜩ノ記』にすごく感動して。オーソドックスで渋いというか、究極の目標としてはああいう作品をやりたいと思いましたね。今回は主演が若い2人で、ぼくも時代劇は初めてなので、ちょっとポップにやりつつも、東映のスタッフさんに勉強させてもらいながら、なるべくリアルに、監修をちゃんと踏まえてやろうというのはありました」。「ふたがしら」の主演を務めるのは、松山ケンイチ。そして共演に早乙女太一。どちらも入江監督とは初のタッグとなるが、日本映画界きっての若手実力派俳優と、“100年に一度の女形”と称さる新星との撮影を振り返り、「すごく助けられた」という感想を語った。「髪型どういう風にするとか、衣装をどのぐらい崩すかとか、その辺はやっぱり経験の積み重ねがすごいなというか。ぼくが演出上でお願いしたのは、セリフのスピード感や間とか、そういったことですね。早乙女くんとか子どもの時から着物着てるからそれはもううまいですよね。立ち振る舞いとか、色気がありましたし」。さらに、それぞれの役へのアプローチの仕方も弁蔵と宗次同様、対照的だったと明かしてくれた。「松山さんって想像していたより熱いひとで、芯が強いというか。子供っぽい表情をしたりとか、間抜けな芝居とか結構してるんですけど、すごい緻密に考えてて。今回は順番に撮影できなくて、5話を入り乱れて撮ったんですけど、前半に撮影してるときに急に最後の方の芝居をとらなきゃならないっていうことがあっても、こういうときはどういう感情なんだとか、主人公がどのくらい成長してるのかっていうのをすごい相談してくれて。撮影中は、“いまのやり過ぎてないですかね?”とか、“ここっていうのはこの流れできてるからこれでいいんですかね”とか、すごい聞いてくれましたね。逆に早乙女くんは全然聞かないで、自分で淡々とやっていました。ふたりが好対照でおもしろかったですね。」一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちが脇を固める本作。とりわけ物語の悪役として存在感を発揮するのは、殺しを厭わぬ冷血さを持つ甚三郎役の成宮寛貴と、ミステリアスな美しさをたたえるおこん役を演じる菜々緒の二人だ。「時代劇っていうのは特に悪役が立たないととおもしろくないんですよね。今回、成宮さんも菜々緒さんもけっこうアジトである家の中にいて、二人は頭(かしら)として手下を動かす感じなので、ずっと部屋の中にいるシーンが多いんです。なので、どうしたら毎回変化を出せるかっていうのは相談しながら撮ってました。でも、二人のシーンって策を練ったり腹の探り合いをしていたり、けっこうだらだらしてるというか、退廃的な感じがしたりするので、オノさんの原作と近い感じがします。成宮くんから漂う悪の香りというか、悪い色気があっておもしろいなと思いましたね。」物語の裏で糸をひくおこんを演じた菜々緒は、今年に入ってからもドラマや映画に多数出演し、女優としての存在感をますます増している。そんな彼女に、入江監督は惜しげもない賛辞を送る。「菜々緒さんが色っぽくてよかったですね。あんな風な悪い目とか、なに考えてるんだろうって顔できるひとって意外と少ないですし、珍しいですよね。今回はじめてご一緒させていただいたんですけれど、すごい才能だな…って。『ふたがしら』って、弁蔵と宗次が主人公ではあるんですけど、実は菜々緒さん演じるおこんがキーパーソンなんですよ。蜘蛛の巣みたいに裏で糸を張って、登場人物たちをどこまで操っているのかわからない。あの腹黒さというか、このひと何かあるなっていう存在感がすごいですね。どんな人生送ってきたんだろう…(笑)。特に着物に関しては、女性って着慣れてないと似合わないものなんですけど、菜々緒さんはいきなり似合ってて。“経験あるんですか?”って聞いたら初めてだったみたいで。ある種天才的な女優さんですね」。魅力的なキャストとスタッフが集結した本作。それを取りまとめた入江監督は、どんな演出で挑んだのだろうか。「原作の色気を出すのがやっぱり難しく苦労しましたね。演出として最初にやったのは衣装です。色味とかデザインとか、主要なキャラクターはちゃんと素材から選んで特注で仕上げてもらって。特に二人の衣装は、質感、テカり方とか艶っぽさだとか、色気のあるものを選んで。特に“ふたがしら”なんで、ふたりの衣装の、似てる部分と違っている部分っていう、そういうバランスが大事。衣装について時間をかけたのは、いままでの作品の中でも今回が一番長かったと思います。現代劇だと、だいたいサイズ感がフィットするかとか、質感がとか、そんなに選択肢がないんですけど、今回の時代劇の場合は、当時はこの柄はなかったっていうのをも、このぐらい嘘つくのは許容範囲だろうとか、少しずつ手探りでやった感じです」。新時代の監督として、新しい時代劇を生み出そうと挑戦した本作。しかし、映像全編に漂うのは、どこか懐かしくもある正統派の時代劇としての風格だ。若手監督として、憧れだったという時代劇に挑む胸中にはどんな思いがあったのだろう。「ぼくは30歳半ばですけど、子どもの時はテレビで『水戸黄門』とかそういった時代劇をやっていて馴染みがありましたけど、いまの若いひとって、時代劇を観る機会が減ってきていると思うので、そういうひとたちがはじめて観るきっかけになって欲しいなって思います。ドラマもそうですけど、一時期の日本映画って時代劇がたくさん作られていたと思うんです。京都の撮影所って50代60代のスタッフさんに仕事教えてもらいながらやるんですけど、こういう機会はなかなかないですよ。時代劇って、畳に座った時の美しさとか、現代劇だとなかなか描けない時代劇ならでは“様式美”があると思うんです。ぼくらがいきなり畳に座ってもそういうのって美しく座れないんですけど、スタッフもキャストも、慣れたかたがすっと座ると美しいんですよ。障子の開け方とかにもちゃんと決まりがあって。やっぱりこういうチャンスがないと、伝統が引き継がれないので、こういったことに挑戦するのはすごいいいことだなと思います」。入江監督の語り口は、どこか冷静で淡々としたところもある。過去の偉大な作品への愛を惜しげもなく語るその姿は、とても謙虚な誠実さ同時に、静かなる情熱を感じさせる。日本が誇る時代劇という伝統への尊敬、そしてひとりの作り手として、伝統を次の世代へと繋いでこうという気概を、そこに感じることができた。最後に、次回作への展望を語ってもらった。笑顔で語る入江監督の姿は逞しくもあり、映画が好きで好きでしょうがない、ひとりの映画少年のようでもあった。「ぼくは『ターミネーター』とか『バックトゥザフューチャー』とかで育った世代なんですよ。だから、ずっとSF映画をやってみたいって思ってますね。『宇宙戦争』みたいな、地球が危ない系の映画を(笑)」。(text:cinemacafe.net)
2015年06月13日叶 匠壽庵(かのうしょうじゅあん)はこのほど、市川海老蔵特別公演「源氏物語」が行われる一部会場において、市川海老蔵<干菓子<の販売を開始した。同社は歌舞伎役者・市川海老蔵氏の古典へ挑戦する姿に共感し、干菓子を創作した。古典芸能である歌舞伎をテーマにしつつ、新たな表現への幕開けという意味で、歌舞伎幕の4色の彩りを伝統の技で表現している。商品は全4種類。抹茶の持つ苦味と甘さが調和している「抹茶(緑)」、昔からある日本の食材「黒ゴマ(黒)」、甘さと辛味がバランスよく楽しめる「シナモン(茶)」、フルーティな酸味がきいた「柚子(白)」。各2~3個ずつ詰め合わせた10個入りとなっている。価格は2,000円(税別)。販売会場は、「上野学園ホール」(3月4日)、「サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)」(3月18日)、「福井市文化会館」(3月20日)、「NHK大阪ホール」(3月21~22日)、「岩手県民会館」(3月27日)など。
2015年03月04日今年、生誕100年を迎える市川崑監督の傑作『雪之丞変化』『炎上』『おとうと』が4Kデジタル復元され、2月から開催される第65回ベルリン映画祭のフォーラム部門で上映されることが決定した。その他の写真市川崑は、アニメーターとして活動した後、1948年に『花ひらく』で監督デビュー。『ビルマの竪琴』『東京オリンピック』『犬神家の一族』『ぼんち』『野火』など数々の傑作を発表し、徹底的にこだわり抜いた画作りと観客をアッと驚かせる語り口で人気を博した。このほど4Kデジタル復元されたのは3作品。『雪之丞変化』は名優・長谷川一夫の当たり役・中村雪之丞を主役に据えた作品で、大胆な色使いと構図が特徴的な1作。『炎上』は監督と繰り返しタッグを組んできた市川雷蔵を主演に迎えて三島由紀夫の小説『金閣寺』を映画化した作品だ。幸田文の小説を名脚本家・水木洋子が脚色した『おとうと』は岸惠子、川口浩を出演者に向かえた傑作で、カメラマン宮川一夫が“銀残し”という手法を用いて描いた色彩も高く評価された。今回の復元は現存する最良のフィルムを4Kを超える解像度でスキャンし、ゴミや傷、色むらをすべてデジタルで補正。公開時の質感を最大限に尊重して復元を行ったという。今回の映画祭出品について岸惠子は「深川の土手に桜の木を植えて、『おとうと』が撮影されたのは54年もむかし。その古いフイルムが、市川崑監督の生誕100年を記念して新技術のお蔭で蘇りました。女優としての私に大事な道しるべをくれた『おとうと』。今の若い方たちにはどんなふうに観ていただけるのでしょう?心配と希望で胸が高鳴ります」とコメントしている。また、3作品が3月に開催される第39回香港映画祭にも出品されるほか、監督の生誕100周年を記念する様々な企画が進行中だという。
2015年01月21日岩井俊二監督が初めて手がける長編アニメーション映画『花とアリス殺人事件』の公開を記念して、“岩井俊二映画祭”が新宿バルト9で開催されることが決定した。上映作品は過去作10本の中から一般投票によって決定し、上位2作品と『花とアリス』の計3作品が上映される。その他の画像『花とアリス殺人事件』は、岩井監督が花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)の日常、友情、そして恋に揺れる姿を瑞々しく描いた『花とアリス』の前日譚を描く長編アニメーション。“岩井俊二映画祭”では、『undo』『Love Letter』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『FRIED DRAGON FISH』『PiCNiC』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『市川崑物語』『ヴァンパイア〈2011年〉』の中から投票によって人気の多かった上位2作品と、『花とアリス』を上映するほか、ゲストによるトークイベントも行われる。投票期間は、ドリパスにて1月25日(日)24時まで受付中。投票結果は1月27日(火)18時に同サイトにて発表される。『花とアリス殺人事件』2月20日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー岩井俊二映画祭『花とアリス』の他、投票上位2作品を2月から順次上映
2015年01月20日2015年2月14日(土)に東京・シダックスカルチャーホールで俳優の入江甚儀と市川知宏によるファンイベント「じんとも」の開催が決定した。入江甚儀と市川知宏は、同時期にデビューを果たし、現在TVドラマや映画などで活躍する若手人気俳優。同イベントは今年の6月に初めて開催され、今回で3回目。初の1日2回公演で行なわれるこの日の公演は、バレンタインデーにちなんで第1部を『Sweet Party』、第2部を『Bitter Party』と銘打ち、『Sweet Party』では「甘い」、『Bitter Party』では「少し大人」のふたりが見られるイベントになる予定だ。同イベントのチケット一般発売は2015年1月10日(土)午前10時より。なお、一般発売に先がけてじんとも特設サイトでは先行を実施。受付は12月6日(土)昼12時から14日(日)午後11時59分まで。■じんとも~Sweet Party~(第一部)2015年2月14日(土)開場11:00 / 開演12:00会場:シダックスカルチャーホール(東京都)出演:入江甚儀 / 市川知宏料金:指定 3500円 ※来場者特典付■じんとも~Bitter Party~(第二部)2015年2月14日(土)開場15:00 / 開演16:00会場:シダックスカルチャーホール(東京都)出演:入江甚儀 / 市川知宏料金:指定 3500円 ※来場者特典付
2014年12月05日『仁義なき戦い』シリーズ、『トラック野郎』シリーズ、『まむしの兄弟』シリーズなどを代表作に持つ菅原文太が、11月28日(金)午前3時に、転移性肝がんによる肝不全のため亡くなっていたことが発表された。先日、名優・高倉健がこの世を去り悲しみに暮れるなか続く訃報。菅原さんは、劇団四季に1期生として入団し、その後モデルをしながら俳優を目指すことを決意。数々の任侠映画に出演するほか、『千と千尋の神隠し』で釜爺の声優を務めたりと老若男女に慕われる存在となったが、2012年に俳優界から引退を発表。それ以降も菅原さんは、声優、ラジオパーソナリティを務めたり、妻・菅原文子さんの勧めから農業を始めるなど様々な分野で精力的に活躍してきた。すでに11月30日(日)、福岡にて家族葬が執り行われたという。喪主を務めた妻の文子さんは、下記のようにコメントを寄せている。「7年前に膀胱がんを発症して以来、以前の人生とは違う学びの時間を持ち『朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり』の心境で日々を過ごしてきたと察しております。『落花は枝に還らず』と申しますが、小さな種を蒔いて去りました。一つは、先進諸国に比べて格段に生産量の少ない無農薬有機農業を広めること。もう一粒の種は、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げることでした。すでに祖霊の一人となった今も、生者とともにあって、これらを願い続けているだろうと思います。恩義ある方々に、何の別れも告げずに旅立ちましたことを、ここにお詫び申し上げます」。また、女優・吉永小百合は「本格的な共演は『映画女優』だけでしたが、密度の濃い日々でした。市川崑監督のもと、溝口監督と田中絹代さんに扮しての芝居でしたが、緊張感の中で胸が躍りました。近年の社会的な御発言も、私の心に強く響いております。御冥福をお祈り申し上げます」とコメント寄せた。さらに俳優陣からもSNSにて追悼するコメントを残している。<俳優・浅野忠信>撮影で一緒に過ごした時間がとても楽しかったですありがとうございました。心からご冥福をお祈りします。<俳優・池松壮介>ありがとうございました。<俳優・八嶋智人>菅原文太さんまで…。合掌。ご冥福をお祈りいたします――。(text:cinemacafe.net)
2014年12月01日市川由衣が大胆なベッドシーンに挑戦するなど公開前から話題の『海を感じる時』の完成披露試写会が8月25日(月)に開催。市川さんを始め、共演の池松壮亮、原作小説を手がけた中沢けい、安藤尋監督が舞台挨拶に登壇した。1978年、当時18歳の女子高生だった中沢さんが発表し「文学上の事件」と言われた「海を感じる時/水平線上にて」(講談社文芸文庫刊)を30年以上を経て映画化。充たされないままに高校時代の先輩である洋に体を差し出すヒロインの恵美子が、彼に必要とされたいと願い、寄り添いつつも反発し傷ついていくさまを繊細に描き出す。市川さんは、本作について「女優人生を懸けて挑んだ作品」と語り、完成にこぎつけたことに「感無量です」と充実感をにじませる。脚本を読んで「恵美子に惚れ込んだ」という市川さん。「最初に読んだ時はイタイ女だなと思い、女性としてそのイタさに共感しました。(ベッドシーンで)裸になるということで、悩む部分もありましたが、やらなかったら後悔する、ほかの役者がこの役をやっているのを見たくないという気持ちでした。いまやれることはやったと思います」と覚悟を覗かせる。市川さんと池松さんは初共演となった。池松さんは恵美子の気持ちに応えようとしないまま、それでも求めに応じて彼女を抱く洋という男について「みなさんにどう映るのか…?僕はすごく愛してますし、僕なんかよりずっと心がキレイで誠実な男だと思います」と評する。この言葉を受け、市川さんは池松さんについても「誠実です!」とニッコリ。「すごく魅力的でした。脚本を読んだとき、どうして恵美子はそこまで洋に惹かれたのか?と思いましたが、一緒に芝居をしていく中で『こりゃ惚れる!』と思うところがいっぱいありました(笑)。色っぽいし、寂しそうな眼をしてたり。あれは演技なのか…?」と称賛に次ぐ称賛。池松さんは慌てて「全然、寂しくないですよ!」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。さらに、ベッドシーンの撮影について市川さんは「(池松さんが)前貼り(※局部を隠すための小道具のシート)をされてて『前貼りセンセイ』と呼ばせていただいてました」と明かし、「今日は着けてないんですか(笑)?」と撮影中もよく交わしていたという冗談交じりの問答を再現。池松さんも「今日は着けてないです(笑)」と返し、会場は笑いに包まれたが、市川さんは「緊張しましたが、そういう会話で和みました」と笑顔で感謝の思いを口にしていた。『海を感じる時』は9月13日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海を感じる時 2014年9月13日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2014「海を感じる時」製作委員会
2014年08月25日東京、大阪、名古屋と各地で好評を博した、二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車 襲名披露興行が6月、いよいよ博多座に登場。襲名ならではの豪華な演目も話題だが、一日でスーパー歌舞伎と古典歌舞伎を上演するのは博多座でも初となる。その公演を前に、歌舞伎の世界に入って1年を迎える市川中車が思いを語った。六月博多座大歌舞伎 チケット情報「映像の世界で27年以上やってきて、厳しい現場を通過してきているという自負はあったけど、それでも歌舞伎には驚くべき難しさがあった」と、厳しい表情で語り始めた市川中車。その難しさを「数式を使って正解を求めなければいけない。物理を解くような感覚」と例えた。歌舞伎から映像の世界へ活動の幅を広げる役者は多いが、その逆はほとんどいない。しかも46歳という年齢であれば尚更だ。「映像と歌舞伎は基本的には違うものだと思う。間だったり、型だったり、といった正解があり、それは日本人にとって、とても気持が良い『間』であることがわかった。その『間』を映像の世界に持ち帰っても、スパーンとハマったりする。きっと日本人が遺伝子レベルでもっている心地良い間なんでしょう。歌舞伎が長く愛されてきたのもわかります。碁盤の目のような整然とした印象で、その様式美を表現するのは非常にハードルが高いものです」(中車)。厳しい稽古の中、父である市川猿翁からもいくつかアドバイスがあったそう。一番、心に残っている言葉は「もっと突っ込め」という言葉。「突っ込むというのは、12割、15割の気持をそこにいれるということ。映像の現場でも80%の演技ではOKが出ない、100%だとOKが出るかもしれないけど、監督やカメラメンが嬉々として喜ぶカットというのは150%の演技を出した時だ、ということを元々僕も思っていた。『芝居を突っ込む』という父の言葉を聞いた時、同じ考えなんだ、と。たった何秒だったけど、僕達父子にとって確かな交流になった瞬間でしたね」(中車)。今回は、注目の襲名披露興行ということもあり、これまで歌舞伎を観たことがない方が劇場に足を運ぶことも多そうだ。「実はまだ歌舞伎を観たことがないという方は芸能界にも意外に多くて、ナイナイの岡村さんもそうだった。でも観て頂いた後、すごくハマってもらえて。客席の反応のひとつとしてすごく自信になりましたね。とは言え、完成された様式美でありながら演じる役者によって違いがあるのが本当の歌舞伎の面白さ。これまで歌舞伎をやってきて、どれだけ自分が完成されてないかということを日々痛感してますが、(歌舞伎の)長い歴史の中のエポックメイキング的な出来事として、この不完全な感じも見届けて頂ければ嬉しいですね」(中車)。公演は6月2日(日)から26日(水)まで、福岡・博多座にて。チケットは発売中。
2013年05月30日東京都がマドリード、イスタンブールと熾烈な競争を繰り広げている「2020年夏季オリンピック」招致レース。開催地の最終決定は2013年9月だが、選考の大きな判断材料となるIOCの支持率調査が年明けにも実施されるのではないかとも言われており、長きにわたる招致レースもいよいよ最終局面へと差し掛かっている。今回は前東京都副知事で作家である猪瀬直樹氏にお会いし、オリンピックに関してだけでなく、65歳にして東京マラソンを完走した猪瀬氏自身とスポーツ、さらにはスポーツとマネジメントの関係についてもお話していただいた。猪瀬氏のマネジメントについての考えは新著『解決する力』(PHPビジネス新書)に詳しい。――2020年のオリンピック開催を目指している東京都ですが、1964年に続く二度目の5輪の意義についてどのようにお考えですか?前回の東京オリンピックの当時、日本は新興国でしたからね。一般にオリンピックは新興国のためのイベントと考えられがちだけど、2020年は成熟した先進国としてのオリンピックとして意義があると思いますね。2012年のロンドンも成熟した都市ならではのコンパクトな大会を成功させました。――1964年に開催された東京オリンピックの思い出を聞かせてください。当時、家電メーカーが「東京オリンピックをカラーテレビで見よう」と宣伝していてね、僕はカラーテレビが買えなくてモノクロでしか見れなかったんだけど、翌年、市川崑監督の記録映画『東京オリンピック』を見たんですよ。市川崑独特の映像で切り口が面白かった。あれを見てオリンピックってすごいなと思ったね。選手だと、マラソンで金メダルをとったエチオピアのアベベ。彼はね、1960年のローマ5輪に続いて東京で二連覇したんですよ。僕はアベベにあこがれて、中学校でマラソン走ったんだよな。――猪瀬さんがアベベにあこがれておられたとは初めて伺いました。学生時代から走るのは得意だったんですか?もともと、短距離は得意だったんだけどね、中学の時に運動会の種目にマラソンができたんだ。有志で生徒120人ぐらいが走ったのかな。アベベが好きだったから自分も参加した。観客がいるなかグラウンドをぐるっと一周して出て行って、カッコいいんだよね。でも、学校を出るといきなり上り坂なんだよ。山の方に2キロ登って、2キロ下ってくるの。グラウンドから出たらすぐに息がゼーゼーなっちゃってさ。で、やっとゴールしたら92番だったんだよね。最初の何十人かは、帰りもグラウンドを回ってゴールして拍手で迎えられるんだけど、次の競技が始まってるから遅い人は校門がゴールなんだよ(笑)。二度とマラソンなんかやるかと思ったね。――東京マラソンを完走された猪瀬さんに、そんなマラソンに関する過去があったとは!走り方をロクに知らなかったんだよ。ひざを上げると短距離の筋肉を使うから酸素が余計に必要なのね。でもひざを上げずに走ると長距離の筋肉しか使わないから非常に楽なの。そういえば、あの時はひざを上げてたんだよな。アベベ選手はひざを上げてなかったかもしれないけど、そのたった一つの理屈を中学の僕は知らなかった。スポーツってやっぱり方法論だから、ちゃんとしたトレーニングさえすればできるんだ。それを知って僕は65歳で東京マラソンに挑戦したんだよ。中学生以来の(笑)。スポーツに大切なのは、トレーニングと目標を設定する事なんだよね。――東京マラソンにチャレンジされる際はトレーニングのほか、どんな準備をされたんですか?まず僕は5キロを40分で走る事ができると思っていたんだけど、そこで考えたんだよ。フルマラソンの距離は5キロの9倍強で、40分の9倍は360分だから6時間強だと。計算してみて、これなら制限時間の7時間に間に合うじゃんかと思った。実際に走る時も、5キロ走るごとにある関門をきっちりクリアしていくって事を心がけたんだよね。これは目標管理、つまりマネジメントの問題なんだ。――マネジメントについて詳しくお聞かせください。マネジメントって、基本的にはゴールのイメージとリスク管理だね。僕は『ミカドの肖像』が初めての長期連載だったんだけど、どうやってペース配分するかって時にもやっぱり先が見えてないわけですよ。でもゴールのイメージさえあればなんとかなるだろうと思った。作家にとっての連載もリスクで、どこかでリスクを徹底管理する必要がある。なかには連載の途中で書けなくなる人もいますからね。もっともリスクはリスクだから失敗もあるという事が重要なんだね。そもそも全部予定調和で出来上がっていたらチャレンジじゃないよね。それはスポーツでも作家の連載でも同じ。だからスポーツから学ぶ事はたくさんあるんですよ。スポーツにはゴールがあり、勝つか負けるかというのがあるから。人間は常に新しい形で物事を更新できるって事もね。――いま猪瀬さんはどんなペースでスポーツをされているんですか?前からテニスは週一でやっていたけど、いまは月間80キロ走るようにしています。走った場所の地図と走った距離は全部iPhone5のアプリにデータで記録されるようにしてある。この二年ぐらいマラソンをやってたらね、テニスのフォアの音が全然違ってきたの。うまいやつって打つ音が違うでしょ。僕もいい音が出るようになった。足に筋肉がついてくると自然に踏み込みが良くなるんだよなあ。――大変、ぶしつけなお願いなんですが……。猪瀬さん、ふくらはぎを触らせていただいていいでしょうか?ああ、いいよ。――(右足ふくらはぎを触らせていただき)猪瀬さんのふくらはぎ、本当にカチカチですね!!鍛えてるでしょ。そういえば僕この前、運転免許証を更新したんですよ。そうしたらさ、5年前の写真と比べて5年後の現在のほうが若いのね。やっぱりスポーツの素晴らしい所ってね、いま生きていろんな空や風景や星とかいろんな物を見たり、味わう時間を長くできる事だよね。それがスポーツによって実現されるわけですから。(このインタビューは2012年11月26日に行いました)(インタビュー・文/本折浩之)
2012年12月08日歌舞伎俳優の市川猿之助と市川中車が12月4日、都内で会見を開き、来年1月の大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」への意気込みを語った。大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」チケット情報今年6月、7月に東京・新橋演舞場で襲名披露興行が行われたが、来年からいよいよ大阪を皮切りに全国を回るツアーがスタートする。大阪・道頓堀で元旦から歌舞伎の幕が開くのは実に50年ぶり。四代目を襲名した猿之助は「襲名と正月のおめでたさを味わっていただきたい」とコメント。俳優・香川照之として活動しながら九代目を襲名した中車は「無事に初舞台を勤めることができましたのも四代目(猿之助)のおかげ。引き続き、精進していくことに変わりはございません」と歌舞伎俳優としての決意を語った。昼の部の『吉野山』、夜の部の『義経千本桜』(「四の切」)で狐忠信を演じる猿之助は「三代目(猿之助)の『四の切』は神業に近いと思っているので、それをやらせていただくことは非常にありがたいです。ただ、考えてみたら襲名で人間の役をひとつもやっていない。鬼か狐か鳥か」と笑わせ、「どこまでこの役を深めていけるか挑戦したいです」と意欲を見せた。中車は昼の部『楼門五三桐』で石川五右衛門役に挑戦する。同演目は7月の新橋演舞場で市川猿翁の真柴久吉、市川海老蔵の五右衛門で上演されたばかり。そのときは、父・猿翁の後ろで黒子として付いていた中車だが「海老蔵さんのハリのある声を後ろで聞いていたわけですが、まさか自分があそこに立つとは。いま、稽古をしながら古典の壁の高さを感じています。本当に未熟ではございますが、なんとか頑張っていま勉強している最中です」と心境を明かした。また猿翁との初共演については「いざそうなってみるとそういうことかという感覚ですね。大本にある役者としての感情は、6・7月の舞台や稽古を通して父と確認しあいました」と話していた。襲名興行だけにチケットの売れ行きを気にする猿之助は、中車が演じる五右衛門のセリフ“絶景かな”にひっかけ、「空席があると“絶景かな”とはなかなか言いにくいのですから、宣伝をよろしくお願いします」とマスコミに依頼する場面も。一方で、多くの観客に歌舞伎を見て欲しいという気持ちから「若者向けの芝居も必要。いろんな公演の形態があってもいい」と話す猿之助。映像の仕事が多かった中車は「(歌舞伎の舞台に立って)初めて舞台が面白いと思いました。猿之助の美しさとこの細いからだで背負っているものの大きさ。そういったものを見ると理屈でなく感動します」と歌舞伎の面白さをアピールしていた。公演は1月1日(火・祝) から1月26日(土)まで。チケットは発売中。
2012年12月07日6月と7月に東京・新橋演舞場の『六月大歌舞伎』と『七月大歌舞伎』で四代目市川猿之助を襲名する市川亀治郎と、九代目市川中車(ちゅうしゃ)を襲名する俳優の香川照之らが、5月11日、東京・浅草寺で襲名披露興行の成功を祈願してお練りを行った。平日にもかかわらず、浅草寺には大勢のファンが詰めかけ、雷門前に亀治郎、香川と五代目市川團子(だんこ)を襲名する香川の息子政明君、二代目猿翁を襲名する当代市川猿之助が登場すると「おもだか屋!」と猿之助の屋号がそこかしこからかかり、大きな拍手と声援が飛んだ。亀治郎は襲名の実感はまだないそうだが、「わたくしはこの浅草で育てられたと思っております。10年間、浅草公会堂で大役をやらせていただきました。猿之助になっても一門全員でここでお芝居をやらせていただきたい」と浅草の地でのお練りに感慨もひとしおの様子。集まったファンや観光客には「今日写真を撮った方は新橋演舞場に来ていただきたい。twitterでも呟いてください。ぜひ『ヤマトタケル』を観に来てください」とまだチケットが買える6月の夜の部をアピールしていた。歌舞伎の舞台は初めてとなる香川は緊張した様子で、「まさかここでこのようなお練りをさせていただくとは夢にも思いませんでした。感謝しております。少しでも精進し、ご迷惑をおかけしませんように、この大名跡を継がしていただく責任を果たしていきたい」と決意を表していた。政明君は「市川團子を襲名しますけど、どうか宜しくお願いします」と挨拶した。襲名披露興行は6月5日(火)から29日(金)までの『六月大歌舞伎』と7月4日(水)から29日(日)までの『七月大歌舞伎』の2か月、新橋演舞場にて上演される。チケットは6月興行は発売中、7月興行は6月12日(火)より一般発売開始。
2012年05月11日先月開催されたサンダンス映画祭でも上映された、岩井俊二監督の全編英語による最新作『ヴァンパイア』が、2月10日(現地時間)より開催される第61回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品されることが決定し、岩井俊二監督からコメントが到着!唯一の日本人キャストととなる蒼井優の起用の理由や役どころについても語ってくれた。俗に言うところの“ヴァンパイア映画”とは趣が異なるとも言われる本作。主人公は、仕事熱心で認知症の母を介護する高校の生物教師・サイモン。一見、真面目そうな外見とは裏腹に、彼は若い女性の血を飲みたいという欲求を抑えられずにいる。血を求めて自殺サイトを徘徊し、自殺志願者の娘たちを言葉巧みに誘い出していくのだが…。“ヴァンパイア”と呼ばれた男と彼に血を提供した女たちの物語が展開する。岩井監督にとってベルリン国際映画祭への参加は『undo』、『PiCNiC』、『リリイ・シュシュのすべて』に続き4回目。岩井監督も現地入りし、舞台挨拶とティーチインに参加するとのこと。「観て、何かを感じてもらえると嬉しいです」と静かに意気込みを語った。作品については「この物語を最初に書き始めたのは、もう10年以上前でもあり、内容もヴァンパイアの映画ではないので、最近のブームとはあまり関係ない映画です。改めてふり返ると、命とは、という予想外に大きなテーマを描こうとしていたんだなと感じます」とやはり、現在、ハリウッドを中心に次々と製作、公開されている“ヴァンパイア映画”とは異なるということを強調。本作でハリウッド長編デビューを果たす蒼井さんの起用理由に関しては「彼女にやってほしい役があったからです」と説明。気になるその役どころはというと、「交換留学生の役です。高校生なので実年齢的には無理がありましたが、カナダの本物の高校生の中に入ると、むしろまだ幼く感じるぐらいでした。カナダの高校生は貫禄あり過ぎです」と明かしてくれた。今回、到着した画像では凛々しい顔が印象的の蒼井さんのほか、サイモンや彼に誘い出されたと思しき女性たちの姿が。いくつかの画像では真っ白い風船のようなものが写っているが、これは何を意味するのか?謎は深まるばかりだ。『花とアリス』から7年、『市川崑物語』から5年。岩井監督は果たして何を見せてくれるのか?『ヴァンパイア』の日本公開は2011年を予定。■関連作品:ヴァンパイア 2011年公開予定■関連記事:謎の沈黙から1年…世界最小の映画祭「岩井俊二映画祭」がついに開幕
2011年02月07日人気作家・東野圭吾の同名ベストセラー小説を原作に、類まれな美貌を持った悪女の欲望と愛憎を描く映画『白夜行』の完成披露プレミア試写会が1月19日(水)、東京・新宿ピカデリーで行われた。舞台挨拶には、初の悪女役で新境地を開いた堀北真希をはじめ、高良健吾、船越英一郎、今井悠貴(子役)、福本史織(子役)、深川栄洋監督が登壇。先日発表された第61回ベルリン国際映画祭パノラマ部門への正式出品に、堀北さんは「信じられない気持ちでいっぱい。多くの人に観てほしいと(公開を)心待ちにしていたところだったので、気持ちの整理がつけられないほど」と大喜びだった。被疑者死亡によって、決定的な証拠がないままに、一応の解決を見た質屋殺人事件から十数年。成長した容疑者の娘・雪穂(堀北さん)と被害者の息子・亮司(高良さん)の周辺で続発する不可解な事件と、その裏に隠された壮絶な秘密が描き出される。難役に堀北さんは「私自身、強い思い入れがある作品。どんな作品にしたいか、どんなメッセージを伝えたいかを考え続けた」。雪穂を演じる上で「答えがどこにあるのか葛藤した日々だった」と試行錯誤が続いたという。そんな堀北さんについて、「ミステリアスで謎の部分が多いですね。魅力的だし、とにかくプロな方だなと。僕よりもひとつ年下なのに」と高良さん。堀北さんも「ストイックで決して楽な道を選ばず、役にたどり着く方」と称えたが、「取材などで私のこと、『たくましい人』って言ってくださって。でももうちょっと繊細な部分も知ってほしいですね」と注文をつける場面も?また、刑事として事件の真相に迫る船越さんは「刑事役はたくさんやったが、今回はただただ愚直な役柄。深川監督からも『まだやり過ぎです!』ってささやかれて、どんどん(演技の)引き算された(笑)。現場では“ささやき演出”と呼んでいました」と、これまでにない刑事像に挑んだ感想を語った。その深川監督は、本作のオファーを受けたときから「これをうまく撮れれば、3大映画祭に参加できるんじゃないかと思っていた。現場のみんなには内緒でしたが(笑)。今回、ベルリン出品を聞いて2年越しで恋人にふり向いてもらった気分」と胸の高まりを抑えられない様子。「分かりやすい映画ではないと思うが、往年の日本映画、例えば市川崑監督の系譜を残したいという気持ちがあった。深い味わいを感じてもらえれば幸いです」とアピールした。舞台挨拶ではキャスト陣がこれまでに犯した“悪事”を告白。堀北さんは「1番の悪事はここでは言えないですね」と雪穂そのままの悪女ぶりを発揮。「10番目くらいなら(笑)。私、絵がすごく下手なんですけど、小学校のころは(絵がうまい)友だちに代わりに絵を描いてもらうこともあって。それが褒められてしまうこともあって…」と告白すると、船越さんは「10番目の悪事にしては、罪が重すぎる」と劇中の刑事ばりに“追求”していた。『白夜行』は2011年1月29日(土)より全国にて公開。■関連作品:白夜行 2011年1月29日より全国にて公開© 2011 映画「白夜行」製作委員会■関連記事:堀北&高良版『白夜行』がベルリン国際映画祭正式出品決定!堀北真希&高良健吾、観客だます“共犯者”に…『白夜行』新春ヒット祈願2011年ブレイク期待の俳優・女優No.1は高良健吾&桜庭ななみ!シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第9回) 来年ブレイクしそうな俳優は?高良健吾、今度は鈴木杏とW主演!中上健次の最後の長編『軽蔑』が映画化
2011年01月19日宮藤官九郎が黒澤明を語る――。一見、意外なシチュエーションに見えるが、宮藤さんに言わせると黒澤作品は「ある意味、かなりパンク」であり、自身の手による舞台やドラマ作品において、多大なる影響を受けたという。特に、宮藤さんが愛してやまない作品が、黒澤監督が還暦を迎えた1970年に公開された、黒澤監督にとって初のカラー作品『どですかでん』。山本周五郎の「季節のない街」(新潮文庫刊)を原作に、とある町のはずれに暮らす人々の姿を、知的障害を持つ“六ちゃん”を中心に描き出す。日本映画専門チャンネルでは、「メモリーズ 我が心の黒澤明」と題して、生誕100周年を迎えた黒澤明について、ゲストがその思いを語る特別番組を放送中。7月は宮藤さんが先述の『どですかでん』をテーマに黒澤明の“凄まじさ”を語る。放送を前に、宮藤さんに話を聞いた。まずは単刀直入に、映画人・黒澤明の魅力とは?宮藤さんは「いびつでどこか壊れてる感じ」とまさに“パンク”な要素を挙げる。「『用心棒』から『椿三十郎』、比較的新しい作品で言うと『影武者』とか王道の娯楽映画を撮ってて、ああいうのはすごく“男子”の合戦願望とか、戦いたい欲望みたいなものを満たしてくれる部分があって、それはそれで好きです。でも、それとはまた違うタイプの作品、例えば『どん底』とか『羅生門』とか…すごく好きですね。どこか歪んでる…例えば『用心棒』の出だしの(居酒屋の親父役の)東野英治郎さんのセリフの聞き取れなさとか。説明してるセリフなのに聞き取れないってすごいなぁって。何となくは分かる。『この人、すごく怒ってる』ってことは分かるんだけど、とか。そういう部分での、『いいや、聞こえなくて』みたいな感じがすごく好きです。それは、黒澤さんの中でわりと最後まで一貫してそうだったのかな。『まあだだよ』もある意味、壊れてる映画ですからね。結局、猫が居なくなって、帰ってきたという話かって(笑)。そういうところもすごい好きですね。なんか、冷めてるのか、客観性がないのか、計り知れないんですよ」。続いて話題は黒澤映画の影響を受けた上での宮藤さんの創作について。黒澤作品に限らず、過去の様々な作品から多大なる影響を受けてきたという宮藤さん。これまで手がけてきた舞台、ドラマや映画においても“オマージュ”と見受けられる部分も多々あるが、宮藤さんは、他人の技術や手法をどのように自らの作品に取り込んでいくのか?「僕は結構、すぐやっちゃいます(笑)。見えるところ、見えないところ含めて。いま、自分が好きなもの、世の中でどうのっていう以前に、自分の中で勝手に気になっているものを入れることもあるし、それこそ『どですかでん』のようにずっと好きなものを入れちゃうときもあるし。正直、周囲が知ってるか知らないかも関係ない。少しでも周囲を気にすると、大抵は失敗するんです。演出のときも、『どですかでん』のあの感じでお願いします、っていうのはわりとすぐ言っちゃうんですよ。あと、多いのは『爆裂都市 BURST CITY』。そこで『ゴッドファーザー』みたいに、とか言えればいいんですけどね(苦笑)。最近、怖いのは自分で気づかずに自分の作品をマネしてることがあるとき。それ『マンハッタンラブストーリー』のあれだよね?とか、それって『キャッツアイ』のあれだねとか言われて『あぁ、それもうやってたね。どうりで面白いと思った』って(笑)」。余談だが、宮藤さんの脚本・演出による刑事ドラマ「うぬぼれ刑事」がまもなくスタートするが、これまで、いろんなメディアでビートたけし主演の刑事ドラマ「刑事ヨロシク」への愛を訴えてきた宮藤さん。もしかしたら随所にオマージュも…?オマージュという言葉が出てきたところでもう一問。監督としてであれ、脚本家としてであれ、もしも好きな黒澤作品を自身の解釈でもう一度作り直せるとしたら?「リメイクは相当、難しいですよね、そのまま作るにしろ、思い切り変えるにしろ。『隠し砦の三悪人』を『スター・ウォーズ』に変換したというのがすごいし(※『スター・ウォーズ』はこの作品を元に着想されており、アンドロイドのC-3POとR2-D2のコンビも本作の人物をモチーフにしている)、『用心棒』に自分の解釈を入れて西部劇にした(※セルジオ・レオーネ監督『荒野の用心棒』)っていうのが凄まじいことですよね。自分でやるなら、全く違うエピソードで『どですかでん』作ってみるのとかはいいかも。(オリジナル同様に)“どですかでん”って言ってる登場人物はいるけど、全く別の話とかね。やっぱり黒澤映画は好きな人が多いだけに難しい。僕にとってはせいぜい飲み屋の話題で“いま、『七人の侍』やるなら誰で作るか”とかで…(笑)」。1998年に黒澤監督が亡くなったとき、宮藤さんは「もう、芝居の仕事はしてましたね」という。さらに「亡くなられたってことも驚きましたが、88歳という年齢にもびっくりしたのを覚えています」とも。黒澤監督をはじめ、この世代の“巨匠”たちのバイタリティに改めて感服したようにこう続ける。「新藤兼人さんとかもすごいですよね。僕、新人監督として“新藤兼人賞”いただいて、授賞式でお会いしたんですが、そのときで90歳は超えてらして、挨拶で『映画の95%は脚本です!』っておっしゃってました。(一昨年、亡くなった)市川崑監督も、すごい量のタバコ吸ってて、でも九十幾つまで映画撮り続けて。すごいですよね」。映画の話が続くうちに、“監督”としての本性、映画を撮りたいという願望がどうにも隠せずにニョッキリと顔を出してきたようだが…。「いや、やりたいとは言ってるんですけどね。もちろん、それだけじゃやらしてもらえない。『じゃあ書いてください』と。当然ですね(笑)。まぁ多分、自分で書くんだと思いますが」。飄々というか、ノラリクラリと言うべきか…。とは言え、最近観たというある映画を引き合いにこんな言葉も。「韓国の『息もできない』っていう映画がすごい面白くて。元々、監督ではなく役者さんが、どうしてもやりたいっていうことで始めて、途中でお金がなくなって、家を売ったりして作ったと。そういう話は観た後に聞いたんですけど、やっぱり強い思いによって撮られた映画っていうのはそれだけすごいパワーがあるんだなと思った。だからって家は売らないですけど(笑)。そういう人がドーンってああいう傑作を作っちゃうわけで、僕みたいに『次どうする?』ってを考えてること自体が不純なのかな、とも思って。『あ、これ映画になるんじゃないか?』っていう感じが早く来ないかな、と思って待ってます。なかなかそれが来ないんですが(笑)」。(photo:Ryusuke Suzuki)「メモリーズ 我が心の黒澤明」は日本映画専門チャンネルにて放送。※初回放送は7月3日(土)15:40〜日本映画専門チャンネル公式サイト■関連作品:少年メリケンサック 2009年2月14日より全国にて公開© 2009「少年メリケンサック」製作委員会■関連記事:国内賞レースも本格化『ヴィヨンの妻』『沈まぬ太陽』など日本アカデミー賞最多受賞DVD発売記念クドカン&「少年メリケンサック」メンバーから特別メッセージ到着!ユースケ、宮崎あおいの「胸の感触が忘れられない」主役を差し置きまたも独壇場宮藤官九郎の衝動!「子供以下のおっさん見て、若い人がどう思うか興味ありますね」クドカン、宮崎あおいからのチョコにほのかな期待「もらえなかったら悲しい…」
2010年07月02日日本国内の観客動員が130万人を突破し、大ヒット上映中の山田洋次監督×吉永小百合主演によるホームドラマ『おとうと』(英題:About Her Brother)が、2月20日(現地時間)、第60回ベルリン国際映画祭のクロージング・フィルムとして上映された。およそ1,600席の会場がたちまち満席となる中、現地に駆けつけた山田監督と吉永さんによる舞台挨拶が行われ、2人は盛大な拍手に迎えられた。2002年の『たそがれ清兵衛』以来、全ての監督作品を同映画祭コンペティション部門に出品している山田監督。今回は栄えあるクロージング作品に選ばれたのに加え、特別功労賞(Berlinale Kamera ベルリナーレ・カメラ)が贈られた。同賞の日本人受賞は市川崑監督(’00)、熊井啓監督(’01)についで3人目の快挙。授賞式では、同映画祭ディレクターのディーター・コスリック氏から「彼は小津安二郎の伝統にのっとって映画を作っており、大きな愛情をもって日本に住んでいる人々を描き続けています。我々ベルリン国際映画祭は、彼をここにお迎えすることを光栄に思っています」と“日本の名監督”として紹介された。登壇した山田監督は、本作が先輩・市川崑監督に捧げたオマージュであることに触れながら、「いまは亡き市川崑監督に『市川さん、僕もあなたと同じ賞をもらいました』と報告したいと思います。僕を選んでくださったディーター・コスリックさん並びにベルリナーレ関係者のみなさまに心からお礼を申し上げます。そして会場のみなさん、どうもありがとう。ダンケシェン」と感謝を述べた。また、舞台挨拶に登壇した吉永さんは、「ベルリンのみなさま、こんばんは。このベルリン映画祭に3度目の参加をすることができまして、私はとても幸せです。2年前に『母べえ』を上映したときのみなさまの温かい拍手が、いまでも私の胸の中に残っています。『おとうと』もまたみなさまの心に残る映画になることを願っています。ありがとうございました」とドイツ語でスピーチし、喝采を浴びた。その後、囲み取材に臨んだ監督は、一日をふり返り「この受賞は一生の記念になると思います。長年の功労に対して贈られたのであれば、みんなでもらった賞だと思う。寺島さんの銀熊も良かった。決して順調とは言えない日本映画だが、こんなことを機会に日本の時代が来たらいいなあと、今日の拍手を聞いて思いました」とコメント。さらに、吉永さんも「山田監督の授賞式に立ち会えただけで嬉しい。私にとって市川崑監督は“師匠”、山田監督は“先生”。この尊敬するお二人が同じ賞を受賞されたことは、生徒として、弟子として、とても嬉しいことです。きっと、市川監督も天国で喜んでおられると思います」と2人の巨匠のミューズとして喜びを語った。なお、本作を観終わった観客からは「笑えて最後は涙があふれてきた。素晴らしい作品だった!」、「心を深く揺さぶられた」といった感動の声が寄せられ、国境を越えて広く受け入れられたことを証明、文字通り有終の美を飾った。『おとうと』は全国にて公開中。photo:KAZUKO WAKAYAMA■関連作品:おとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会第60回ベルリン国際映画祭 [映画祭]■関連記事:日本映画が健闘した第60回ベルリン国際映画祭ベルリン“銀”の快挙の寺島しのぶ、大阪で会見「ヤッター!」藤原竜也「自由にさせてくれた監督の力量」ベルリン批評家連盟賞受賞の喜び【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々レオナルド・ディカプリオ、ベルリンでのワールド・プレミアで「ダンケシェーン!」
2010年02月22日映画『おとうと』の初日舞台挨拶が1月30日(土)、東京・丸の内ピカデリーで行われ、山田洋次監督が第60回ベルリン国際映画祭(ドイツ/2月11〜21日)で特別功労賞(ベルリナーレ・カメラ賞)を受賞することが発表された。同映画祭では特別招待作品としてクロージング上映が決定済み。続く朗報に、挨拶に立った笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮らキャスト陣を代表し、主演の吉永小百合が花束を手渡し抱擁の祝福。山田監督は「くしくもこの映画は市川崑さんの『おとうと』をヒントに作った。崑さんはついこの間、亡くなられてしまいましたが、生きていらして報告したら、喜んでもらえるのにな、なんてことを考えていました」と感慨深い表情を浮かべた。吉永さんは「とても嬉しくて。2年前に『母べえ』でベルリン(コンペティション部門)に行きましたが賞をいただけなくてガッカリして帰ってきました。またベルリンにお伴して監督の喜びをお受けしたい」と興奮気味。W主演の鶴瓶さんは「吉永さんが監督を『胴上げしたい』って言うんやけど、できないやろ!あかん、危ない」と大女優に突っ込みつつ「ドイツ人にこれが分かったいうだけでも嬉しい」とボケて祝った。同賞は映画界に多大な貢献をした個人、団体に贈られるもので、2007年にクリント・イーストウッド、日本人では2000年に市川崑、2001年に熊井啓の2人が受賞している。同作はしっかり者の真面目な姉(吉永さん)と、だらしない冗談ばかりの弟(鶴瓶さん)の姉弟愛、家族の絆を描く物語。一方で、鶴瓶さんが吉永さんと出演した29日放送のテレビ番組で「次は夫婦役やねと吉永さんが言うた」と報告すると、山田監督は「この2人が夫婦だったらとてもいろんなイメージが膨らみますね」と乗り気(?)。鶴瓶さんは「夫婦役ができるなら子は蒼井優や。ごっつい嫌がりますわ」とますます悪ノリ。蒼井さんはプッと吹き出していた。『おとうと』は全国にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:おとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会■関連記事:『おとうと』加瀬亮から心温まる動画メッセージが到着!山田洋次、ベルリン入りに「よくぞ選んでくれた!」浅草寺で『おとうと』大ヒット祈願加瀬亮『おとうと』インタビュー「変化していく自分の感覚を、受け入れていきたい」山田洋次監督『おとうと』がベルリン国際映画祭クロージング・フィルムに決定!五・七・五から見える“家族”の形思わず唸る『おとうと』川柳コンテスト大賞発表!
2010年01月30日