「市川猿之助」について知りたいことや今話題の「市川猿之助」についての記事をチェック! (3/9)
NHKが24日、市川猿之助(47)が過去に出演した作品について再放送を止めていると明かしたことを、スポーツ紙各紙が報道している。これを受けて、作品ファンに動揺が広がっている。猿之助は昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』や、’07年の大河ドラマ『風林火山』などのNHK作品に出演してきた。NHKの担当者は「総合的な判断」を理由として、具体的にどの作品についてかは明かさなかったものの、予定されていた再放送がなくなったと説明したという。ただNHKオンデマンドで有料配信されている作品の今後については、現時点で決まっていることはないといい、25日現在も『鎌倉殿の13人』『風林火山』は配信されている。猿之助の事件に関しては警視庁がいきさつを捜査中。今後の状況によっては、NHKが措置を変えることもありそうだ。これを受けて、ネット上では今後の作品への措置がどうなるか心配する声が上がっている。《鎌倉殿も今後再放送なくなるかもね。名作なのになぁ》《鎌倉殿が見られなくなるのは辛い。オンデマンドは残してほしいです》《つい先日向田邦子賞を受賞したばかりなのに、鎌倉殿の配信もお蔵入りするのか戦々恐々としています》特に『鎌倉殿の13人』については、23日に脚本家の三谷幸喜(61)が向田邦子賞を受賞し、贈賞式会場に主演の小栗旬(40)ら豪華出演陣がお祝いに駆け付けたことで、作品ファンの熱が再燃しているところだった。ただ、『鎌倉殿の13人』については猿之助演じた怪僧・文覚の登場シーンは少ないことからこんな声も。《鎌倉殿再放送しないかな~…文覚のシーンはこう編集でアレすれば行けると思うんだけど》《風林火山は難しいだろうけど鎌倉殿はほとんど出てなかったからカットすればなんとかなりそう》
2023年05月26日市川猿之助(47)が都内の自宅で両親と倒れているのが発見され、その後両親の死亡が確認された事件からまもなく1週間を迎える。いまだに全容は明らかになっていないが、当時の状況などが少しずつ判明しつつある。5月18日に自宅から救急搬送された猿之助は一命をとりとめたが、母・延子さん(享年75)は自宅で死亡が確認され、父親の市川段四郎さん(享年76)は意識不明の状態だったが搬送先の病院で息を引き取った。警視庁は19日に両親の司法解剖を行い、睡眠薬などの向精神薬中毒死の疑いを明らかに。薬物の種類はまだ特定されておらず、血液検査などで今後明らかにされていく見通しだ。報道によると、猿之助は前日の17日に両親と話し合いの場を持ち、警視庁には「死んで生まれ変わろうと家族で話し、両親が睡眠薬を飲んだ」と説明しているという。自宅で発見された当時、猿之助のそばには知人への手紙が置かれていたことから、一家心中を図った疑いを持たれている。薬の調達方法などは明らかにされていないが、24日に警視庁は猿之助への事情聴取を行ったという。一般論として、一家心中を図り、ひとり生き残った場合、罪に問われる可能性はあるのだろうか。そこで、アリシア銀座法律事務所代表の竹森現紗弁護士に話を聞いた。「一家心中を図った人が薬を調達するなど、両親の自殺に関して何らかの手助けをしていた場合には、刑法202条の自殺幇助罪に問われる可能性があります。自殺幇助罪の法定刑は6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮です。ただし、両親の自殺に全く関与しておらず、両親の後を追っただけというような場合は、罪に問われることはないでしょう。また、仮に薬の調達をして自殺幇助罪に問われたとしても、事件に至る経緯や当時の状況などが考慮されて執行猶予が付く場合もあります」果たして猿之助は事情聴取で何を語ったのだろうか。
2023年05月24日《市川猿之助さんが、いらっしゃらないのが残念です》《猿之助さんも本当ならここにいたはず》一部ネット上でそんな反応が上がっていたのは、23日に行われた「第41回(2022年度)向田邦子賞」の贈賞式について。テレビ界を支える優れた脚本作家に贈られる同賞を三谷幸喜(61)が受賞。昨年放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での受賞ということで、同作の豪華出演陣が総勢28人もお祝いに駆け付けたのだ。式中には、主演の小栗旬をはじめ、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、瀬戸康史、梶原善、菊地凛子、山本耕史、中川大志、佐藤B作、生田斗真、草笛光子、佐藤浩市、坂口健太郎、大泉洋ら主要キャストが登壇し、西田敏行はメッセージを寄せた。さらに、式終盤のフォトセッションには、堀内敬子、相島一之、宮澤エマ、堀田真由、南沙良、野添義弘、新納慎也、栗原英雄、柿澤勇人、福地桃子、山本千尋、きづき、西本たけるも参加した。豪華メンツに三谷も「テレビで見た人ばっかり。本当にうれしいです」と冗談まじりに感激を口にしていたのだが、『鎌倉殿の13人』には市川猿之助(47)も出演していた。謎の僧・文覚役で怪演が話題になり最終回にも登場していただけに、作品のファンのなかには、冒頭のように、猿之助のことが頭をよぎった人もいたようだ。猿之助は、『鎌倉殿』だけでなく、三谷が脚本・演出した歌舞伎に出演していたこともある。猿之助の事件が起きた2日後の5月20日に放送された『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)では、三谷が猿之助についてコメントし、「この陰惨な事件の、唯一の救いっていうか、救いがあるとするんだったら、彼が生きてるってことだから。この先どうなっていくか分かんないですけども、どうなろうとも、彼は帰ってくるべきだし、帰ってきて欲しい。僕らはずっと待っているだけのような気がします」と語っていた。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月24日5月18日午前10時過ぎ、東京都目黒区内にある自宅で両親と倒れているのをマネージャーたちに発見された市川猿之助(47)。母・延子さん(享年75)はその場で死亡が確認され、父・市川段四郎さん(享年76)は搬送先の病院で死亡が確認された。「司法解剖の結果、両親の死因は向精神薬中毒とみられています。一命を取り留め猿之助さんは、警視庁の聴取に『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』と説明していたことが判明しました。一家心中を図った疑いがあり、警視庁は捜査を進めています」(スポーツ紙記者)事件が発生した同日には、一部週刊誌で猿之助のパワハラとセクハラ疑惑が報じられていた。猿之助の所属事務所は23日、公式サイトを通じて「今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聞き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません」と報道内容を否定している。所属事務所が慎重に調査を続ける意向を示す一方で、衝撃的な出来事の余波が各所で広がり続けている。猿之助が今月3日から主演していた東京・明治座の歌舞伎公演は、救急搬送を受けて18日昼の部が中止となり、夜の部は中村隼人(29)が代役を務めた。翌19日以降の夜の部は引き続き隼人が代役を演じ、20日の昼の部からは市川中車(香川照之、57)の長男・市川團子(19)が代役に抜擢された。対応に追われているのは、歌舞伎界だけではない。6月16日から公開予定の映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』にも猿之助は出演しており、同作を手がけるテレビ朝日では激震が走っているという。「文春オンライン」では、19日からTVerで配信予定だったドラマ『緊急取調室』関連の過去作品は配信中止になったと報じている。映画公開前に予定されていた単発ドラマなども放送されない可能性があるという。それだけでなく、映画の宣伝や舞台挨拶にも大きな支障をきたしてしまったようだ。「報道直後、すぐに主演の天海祐希さん(55)の耳にも入ったようで相当なショックを受けたようです。今のところ来月16日の公開は予定とおりですが、それまでに予定していた映画の宣伝は一度すべてキャンセルすることになりました。また、公開初日の舞台挨拶も、当初は猿之助さんと佐々木蔵之介さんをメインに行う予定にしていました。それも、今回の件で白紙になりました」(芸能関係者)’14年1月期にドラマが始まって以降、お茶の間の人気を博してきた“キントリ”。第4シーズンまで制作され、’22年1月にはドラマスペシャルが放送。公開を控える劇場版はシリーズ完結となり、猿之助は天海演じる刑事の“最後の取調べ相手”となる総理大臣を演じているが……。「猿之助さんが演じるのは総理大臣の役ですが、当然、取り調べのシーンもあります。もし公開されたとしても、波紋を呼ぶことになるのは間違いないですね」(前出・芸能関係者)公式サイトでは「最高の作品、しかも記念すべき“ファイナル”に、ゲストとして出演させていただけるとは夢にも思いませんでした」と、感激の言葉を綴っている猿之助。動揺が広がる“キントリ”の行方は、果たしてーー。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月24日歌舞伎俳優である市川猿之助(47)の所属事務所は5月23日、一部で報じられた猿之助のハラスメント報道を否定した。しかし、ネットではその対応を疑問視する声が相次いでいる。5月18日発売の「女性セブン」で、猿之助の弟子や俳優へのパワハラとセクハラ疑惑を報じた。その同日、東京・目黒区の自宅で猿之助と両親が倒れているのをマネージャーが発見し、119番通報したものの両親は死亡。猿之助も一時は入院していた。のちに退院した猿之助は、事件について「死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」と警視庁に説明したと伝えられている。そんななか23日、猿之助の所属事務所は公式サイトで声明を発表。そこには《先日来、一連の事象に関する様々な報道がされておりますが、今なお当局等による対応が続いており、弊社としても要請に応じた協力をしつつ、松竹様と連携をとり、慎重に各方面からの情報把握に努めているところでございます》との説明が。いっぽう猿之助のハラスメント報道についてはこう綴っていた。《今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聞き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません》今回の事件の原因については未だ明らかにされていないなか、マネージャーへの聞き取り調査をもとにハラスメント報道を否定して猿之助の事務所。ある芸能関係者はこの対応に疑問を呈す。「騒動が起きたときは最初に出すコメントがよく見られますし、重要視されます。スピード感を重視してアナウンスすることも大切ですが、あとから最初のコメントとは違う内容の報道が出てきてしまうと、辻褄が合わなくなるため印象が悪くなります。今回の猿之助さんの事務所のコメントは多方面からの聞き取りではなく、話を聞いたのはあくまでマネージャーのみ。それだけで『ハラスメントはなかった』とすることは、真相を解明するという点においてもリスクマネージメントの面でも危ういように感じます」猿之助のハラスメントを事務所は否定しているがーー。ネットでは訝しむ声がこう上がっている。《身内が身内に事実確認しても意味が無いと思います。特に1番身近にいるタレント本人の味方であるマネージャーが本人にマイナスになる事を発言するとは思えません》《今の段階で拙速に管轄内ではなかったとか言う必要あるかね? またボロボロ出てきたらバッシングが強まるし、全然猿之助を守ってない》《きちんと外部からの調査を入れたのかも分からないし、管轄の中で、パワハラ・セクハラがなかったと結論付けるのは、まだ早いのではないだろうか》《コメントを出すなら、第三者委員会を立ち上げて徹底的に調べた後にしてほしい》事務所は世論を納得させることができるだろうか。
2023年05月24日「室内には猿之助さんが書いた複数の“遺書”が残されていました。家族以外の者へ遺産を分配してほしいという趣旨のものや“迷惑かけて申し訳ない”といった内容でした」(捜査関係者)5月18日午前10時過ぎ、東京都目黒区内にある市川猿之助(47)の自宅を訪れたマネージャーたちが、半地下のクローゼットの中で意識がもうろうとしている猿之助を発見した。2階のリビングでは父・市川段四郎さん(76)と母・延子さん(75)が横たわっていた。いずれもパジャマ姿で、首から下には布団が掛けられていたという。延子さんはその場で死亡が確認され、段四郎さんは搬送先の病院で死亡が確認された。 司法解剖の結果、両親の死因は向精神薬中毒とみられている。「向精神薬とは鎮痛剤、精神安定剤、睡眠導入剤など中枢神経に作用して精神機能に影響を及ぼす薬物の総称です。服用には通常、医師の処方箋が必要です。今後、血液検査を経て、どのような経緯で入手した薬で、どれほどの量を服用していたのかが特定されることになるでしょう。同じく薬物を摂取し自殺を図ったとみられる猿之助さんは搬送先の病院を19日に退院しました。警視庁は両親が薬を摂取した状況などについて猿之助さんに事情を聴き、『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』と説明していたことが判明しました。一家心中を図った疑いがあります」(前出・捜査関係者)歌舞伎に映画にドラマにと精力的な活動をしていた猿之助だけに、各所に激震が走った。 彼が主演していた東京・明治座の歌舞伎公演は18日昼の部は休演。夜の部は中村隼人(29)が代役を務めた。6月16日から公開予定の映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』にも猿之助は出演。主演の天海祐希(55)も相当なショックを受けているという。今回の事件当日に発売された週刊誌では、猿之助のパワハラとセクハラ疑惑が報じられていた。「共演する役者たちにキスや体を触る“性的スキンシップ”を求めていたと、劇場関係者らが証言していました。断ったスタッフが公演から外されることもあったとして、各方面に強い影響力を持つ猿之助さんに対し、周囲が“拒否できない雰囲気だった”と指摘する内容でした」(全国紙記者)同誌の直撃を受けた猿之助は「答える義務はありません」とだけ答えたという。その記事の影響があったのだろうか――。猿之助の知人はこう語る。「猿之助さんは仕事に厳しく、完璧主義者でした。喜怒哀楽も激しいところがあったので、パワハラと受け取られたのでしょうか……。でも本当はとても繊細な性格で、かなりお酒を飲むことに加え、1~2年前から睡眠薬を手放せなくなったと言っていました。あるとき、私が家庭の悩みがあると打ち明けたら『僕もありますよ』と神妙に言っていたのを記憶しています」■《これからどうやって生活したらいいか》猿之助の屋号は澤瀉屋。三代目猿之助だった二代目市川猿翁(83)が’86年、歌舞伎に最新技術や現代音楽を取り入れ、宙乗りなどの演出で魅せる「スーパー歌舞伎」を創始。歌舞伎界に新たな歴史を刻むこととなった。「澤瀉屋は学業優先でも知られます。段四郎さんは高校生の猿之助さんに『大学に行くのなら、絶対に卒業しなさい。稽古を理由に学校を休んではいけない。二莵を追う者は一莵も得られない』と言い聞かせてきました。その結果、猿之助さんは慶應義塾大学文学部に合格。きちんと卒業もしています」(後援会関係者)’12年、伯父・猿翁から四代目猿之助を襲名。その芸を「スーパー歌舞伎II」として発展させ人気者となった猿之助だが、このころから父・段四郎さんは体調不良に悩まされるようになったという。「段四郎さんは10年くらい前から体が言うことを聞かなくなったそうで、’15年のスーパー歌舞伎II『ワンピース』での親子共演が最後の舞台となりました。段四郎さんを妻・延子さんが老老介護する生活になっていました。特に最近の段四郎さんは寝たきり状態だったとも聞いています。そのため、猿之助さんは金銭面に加え多忙の合間を縫って両親のサポートにも最大限努めていたといいます」(前出・後援会関係者)父が表舞台から去り、澤瀉屋を一身に背負った猿之助を襲ったのが、コロナ禍だった。 途切れたことのなかった歌舞伎の舞台に立てない事態に直面することとなった。2年前のインタビューでこう振り返っている。《僕も、これからどうやって生活していこうかと悩みましたからね。働く場所がないんだから切実ですよ。ようは失業者。それでもお弟子さんを食べさせなくてはいけない。蔵書や絵を売ったらいくらになるかなって本気で考えました》(『婦人公論』’21年1月26日号)■猿之助一家の悲劇を聞いた香川は嗚咽そこへ追い打ちをかけたのが、’22年8月に発覚した猿之助のいとこ、香川照之(57)の性加害事件だった。「父・猿翁さんとの恩讐を越えて、香川さんは’12年に市川中車として歌舞伎デビュー。猿之助さんと香川さんとの間では、香川さんの息子(團子)が五代目として猿之助を継ぐことで話がまとまっているといわれています。そのため、銀座のホステスへの性加害行為が発覚した香川さんに対し、猿之助さんは“澤瀉屋に泥を塗った”として怒り心頭でした。その一方で、活動を自粛した香川さんがそのまま芸能界を引退することは避けるべく、猿之助さんは奔走。昨年12月、團十郎さんの力を借りて、再び香川さんは歌舞伎座の舞台に立つことになったのです」(前出・後援会関係者)本来なら今年の6月、猿之助と香川は歌舞伎座で共演する予定だった。事件4日前のスポーツ紙のインタビューで、猿之助は熱く語っていた。《言えるのは2人(中車と團子)とも、まだまだ経験不足ということです。歌舞伎は何より場数を踏むことが大事。(略)厳しい言い方に聞こえるだろうけど、早く使いものになってほしい》《世間も社会も混乱した移り気な現実の中で、歌舞伎がどうすれば生き残っていけるかを考えなければならないんです》(『スポーツ報知』5月14日付)澤瀉屋のすべての重責を担う、猿之助の強い覚悟がうかがえる。前出の後援会関係者は続ける。「猿之助さん一家の悲劇を聞いた香川さんは嗚咽したそうです。“なぜ相談してくれなかったのか”と……。もはや“澤瀉屋は呪われている”と言う梨園関係者もいます」猿之助が出演中だった明治座創業百五十周年記念公演歌舞伎スペクタクル『不死鳥よ波濤を越えて―平家物語異聞―』で彼が演じていたのは平知盛だった。歌舞伎関係者は言う。「今回の報道を聞いて、梨園の人たちの多くは、物語との奇妙なつながりを感じました。 今作の平知盛は壇ノ浦の合戦で落命寸前で助けられた後、大陸に渡り、生き抜いていきます。しかし、ラストでは自ら死を選ぼうとして実際に散ってしまうのです。猿之助さんもほかの選択肢があったはず。親の介護や、澤瀉屋の呪縛で心身ともに疲弊してしまったことで、ひょっとしたら現実と物語の境界線が薄れてしまっていたのかもしれません」かつて猿之助は、父との対談で、こんな感謝を述べて、決意表明していた。《無理に稽古を押しつけられなかったし、そのおかげで私も自然に歌舞伎が好きになれた。今では歌舞伎が私の生きる道だと思っています。(略)澤瀉屋を盛り上げていきたい。次世代につながるように若い私たちが努力する。それが親孝行だと思っています》(『サンデー毎日』’00年6月18日号)警視庁は事件当時の状況を詳しく調べるとともに、猿之助からさらなる事情を聴く予定だ。自宅の家宅捜索ではすでに数台のスマートフォンが押収されたという。今後、彼の口から、どんな真実が語られるのだろうか――。
2023年05月23日5月18日午前、東京・目黒区にある自宅の半地下で倒れているのを発見された歌舞伎俳優の市川猿之助(47)。自宅2階ではあおむけに倒れている父の市川段四郎さんと母親も発見されたが、その後2人の死亡が確認された。各報道によると、猿之助のそばには本人名義で書かれた知人宛の遺書と見られるメッセージが残されていたことから、警視庁は自殺を図ったものと見ている。緊急搬送された猿之助は一命を取り留め、19日までに退院したという。また19日に行われた司法解剖の結果、両親の死因について警視庁は向精神薬中毒の疑いがあることを明らかにした。事件の背景については今後行われるであろう猿之助への聴取を待つほかないが、向精神薬中毒という報道に、衝撃を受ける人々が相次いだ。果たして、向精神薬中毒とは一体どのようなものなのか。大阪の心療内科科クリニック「岡田クリニック」の岡田尊司院長に話を聞いた。まず、「向精神薬」といっても様々な種類があるという。「向精神薬には、大きく分けると3つの種類があって、1つ目は睡眠薬や抗不安薬と言われるタイプ。この2つは大体似たような成分で、ベンゾジアゼピン系のお薬のことが多く、マイナートランキライザーと言われています。2つ目はより強力な精神安定剤、いわゆるメジャートランキライザーというもの。3つ目はこの2つ以外の抗うつ薬、気分安定薬等に分類できます。睡眠薬や抗不安薬の場合は、不眠や不安、軽い鬱の症状にも使えます。精神科、心療内科をはじめ、内科の先生も処方したりするので割と身近なものですね。一方で、メジャートランキライザーといわれる安定剤は、精神病圏の状態に使う薬で、より沈静効果が強力です。通常は、精神科や心療内科にかかってないと処方されません」(以下、カッコ内はすべて岡田院長)向精神薬中毒で死にいたるケースについて、岡田院長は言う。「一般の睡眠薬や抗不安薬は安全性が非常に高いため、100錠以上飲んでも死ぬとは限りません。ただ、高齢者等でもともと呼吸する力が弱まっていたり、呼吸不全があったりすると、そうとも言えません」一般的に、中毒で死に至る量の向精神薬を所持することはあるのだろうか?「睡眠薬は処方する日数制限があり、1カ月以上は処方できない決まりがあります。例えば30錠などが一つの制限としてあって、そこを守って処方しているきちんとした病院でしたら、大量に処方されるということはありません」■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月20日5月18日、歌舞伎俳優の市川猿之助(47)が自宅で両親と倒れているところをマネージャーに発見され、救急搬送された。母親(享年75)は現場で死亡が確認され、父の市川段四郎さん(享年76)は搬送先の病院で死亡。一命を取りとめた猿之助は、意識障害が続いていたものの19日に退院した。「猿之助さんは半地下の自室で意識が朦朧とした状態で発見され、知人に宛てた遺書のようなメモがあったことから警視庁は自殺を図ったものと見ています。また、2階のリビングで布団をかけられた状態で見つかった両親は、若干の吐しゃ物が確認されました。家族3人は何らかの薬物を服用した可能性があるとして、警視庁は19日に自宅の現場検証を実施。両親は司法解剖の結果、向精神薬中毒の疑いで亡くなったと見られています」(全国紙記者)事態の真相解明が待たれるなか、歌舞伎界では“異例中の異例”の対応を余儀なくされている。猿之助は5月3日から自らの名を冠した「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」に出演していたが、救急搬送された18日は昼の部が休演となり、夜の部は急きょ歌舞伎俳優の中村隼人(29)が代役を務めた。28日まで続く公演に動揺が広がるなか、明治座は19日に同日夜の部と20日以降の代役を発表。夜の部の演目「御贔屓繫馬」では、引き続き隼人が猿之助の代役を務めることに。そして昼の部では、思いがけない人物に白羽の矢が立った――。それは市川中車(香川照之、57)の長男・市川團子(19)。歌舞伎スペクタクル「不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―」で、猿之助が演じるはずだった主人公・平知盛を演じることが決定した。’12年に「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」で五代目市川團子として初舞台を踏み、’16年から出演している「八月納涼歌舞伎」では同世代の市川染五郎(18)と切磋琢磨し合いながら研鑽を積んできた團子。幼いころから一門の期待を背に、芸の練習に励んできたという。「中車さんが40代で梨園に飛び込んだのは、息子の團子さんに“市川猿之助の名跡を継がせたい”という夢があるからだといいます。昨年8月に性加害疑惑が報じられた際は、家族に迷惑をかけたことを團子さんに心から詫びたそうです。そして、“あなたは将来の猿之助になる人間なんだから、身を引き締めて頑張りなさい”と伝えたと聞きました。現在、澤瀉屋を背負う猿之助さんには跡継ぎとなる子供がいないため、團子さんに期待が寄せられています。團子さんも“歌舞伎一筋”だそうで、“与えられた役はどんな役でもやる”と意気込んでいました。とはいえ猿之助さんの代役を務めることに、相当なプレッシャーを感じているでしょう」(歌舞伎関係者)そんな團子は’20年1月に、初世市川猿翁の当たり芸をまとめた「澤瀉十種」のひとつ「連獅子」を猿之助と演じた。上演に先立って行われた合同取材会では、猿之助を「憧れの方」と表現し、「お稽古してくださる時の教え方が的確で、難しい感情も理解しやすい表現で教えてくれます」と感謝の気持ちを語っていた。衝撃な出来事からわずか1日しか経っていないなか、大役を担うことになった團子。SNS上では、彼を慮る声や激励の声が広がっている。《團子くん…。すごいとしか言えない。成功を祈ります》《團子さん。君はどんだけいろんなものを背負わなきゃいけないの。一生応援する》《まじか!團子ちゃんが昼の代役やるのか!!!まだ10代の若者が背負うには大き過ぎるものを背負わされちゃったなー頑張れ!!!》《澤瀉屋を背負う覚悟で代役引き受けたんだろうけど まだ19歳なのに ショックも大きいだろうに 過酷すぎる… 無理せず 怪我なく どんな大役でも 團子ちゃんならできる》澤瀉屋のピンチを救うべく、團子は舞台に立つ――。■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月20日5月18日、歌舞伎界を揺るがす衝撃的なニュースが。同日午前10時過ぎ、市川猿之助(47)が都内の自宅で両親とともに倒れているのを男性マネージャーが発見。その後、猿之助は一命を取り留めたが、父の市川段四郎さん(享年76)と母親(享年75)の死亡が確認された。「猿之助さんは自宅の半地下で意識が朦朧とした状態で発見され、両親は2階のリビングで布団をかけられた状態であおむけに倒れていたといいます。2人に目立った外傷はなく、猿之助さんのそばには本名名義で書かれた知人宛ての遺書とみられる手紙が置かれていたことから、警視庁は自殺を図ったとみています」(全国紙の社会部記者)市川猿翁を伯父に、市川中車(香川照之)を従兄に持ち、名門・澤瀉屋を牽引してきた猿之助。古典はもちろん、スーパー歌舞伎『ワンピース』で演出を務めるなど歌舞伎界に新しい風を吹き込んだだけでなく、俳優としてもNHK大河『龍馬伝』や『半沢直樹』(TBS系・2020年)など数々の話題作に出演。さらに頭脳も明晰でユーモアにも富んでいることからクイズ番組やバラエティ番組でも活躍していた。そんな猿之助だけに、今後の仕事への影響も計り知れないものが。5月3日から出演していた自身の名前を冠した「市川猿之助奮闘歌舞伎」の18日昼の部の公演は休演となり、今後も6月と7月に東京・歌舞伎座での大歌舞伎、来年2月にはスーパー歌舞伎II『鬼滅の刃』を控えている。また6月に公開を予定している映画『緊急取調室 THE FINAL』にもキーマンである内閣総理大臣役としてクレジットされている。仕事面よりも、心配されているのが猿之助の“今後”だ。前出の社会部記者は言う。「両親の死因はまだ判明しておらず、警察は19日に司法解剖する方針です。また、現在の猿之助さんは会話できるような状態にないといい、回復後に聴取するといいます。18日発売の週刊誌『女性セブン』が猿之助さんのハラスメント疑惑を報じており、今回の事件との関連を指摘する声も少なくありません。また警視庁目黒署は状況から猿之助さんが心中を図った可能性もあるとみているそうです」真相については捜査の進展を待つほかなく、心中を図ったかは現時点で知るよしはないが、ネット上では父親と母親がともに亡くなってしまった猿之助の今後を想像して絶句する人々が。《市川猿之助まじぃ?? 両親死んで自分だけ生き残ったってやばくないか》《これって遺書は見つかったけど、生き残った市川さんはどういう心情になるんだろう。複雑すぎ》《市川猿之助、もし1人で自殺しようとして両親を巻き込み、自分一人だけ生き残ったとしたら、しんどすぎないかこれ。取り返しつかねぇぞ》■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月19日歌舞伎俳優の市川猿之助が18日午前に救急搬送されたことを受け、所属事務所のケイファクトリーは同日、公式サイトを通じてコメントを発表した。同社は、「現在市川猿之助に関する報道がなされており、お客様をはじめ関係者の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけいたしますこと深くお詫び申し上げます」と謝罪。猿之助の状態などについては、「本日(5/1819:00)時点で、弊社として詳細な情報を把握いたしておりません」とし、「警察ならびに病院にて対応をいただいているものと認識しており、各方面からの情報把握に努めているところでございます」と現在の状況を報告した。そして、「その他猿之助に付随する報道に関しましては弊社並びに、弊社所属俳優のコメントは差し控えさせていただきます。皆様のご理解賜りますようお願い申し上げます」と結んでいる。
2023年05月18日5月18日の午前10時過ぎ、歌舞伎俳優・市川猿之助(47)が両親と東京・目黒区の自宅で倒れているのが見つかった。報道によると、意識がもうろうとした状態で倒れている猿之助を、迎えにきたマネージャーが発見し119番通報。猿之助が倒れていたのは地下の自室で、発見場所の近くに遺書のような書き置きが見つかったという。「発見当時、猿之助さんの両親は別の部屋で倒れていたそうで、父親は意識不明の重体、母親は現場で死亡が確認されました。猿之助さんは搬送時に意識があったそうで、現在は命に別状はないようです。しかし父親は助からず、両親ともに亡くなってしまいました」(スポーツ紙記者)現在、5月28日まで上演される東京・明治座での「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」に出演中だった猿之助。だが緊急搬送を受けて、明治座は18日昼の部を休演すると発表した。’12年に「四代目 市川猿之助」を襲名した猿之助は、二代目市川猿翁(83)が始めたスーパー歌舞伎を受け継ぎ、’15年10月に人気漫画『ONE PIECE』を上演するなどエンターテインメント性を追及してきた。最近では’20年7月にドラマ『半沢直樹』(TBS)で従兄の香川照之(57)と共演を果たし、お茶の間の人気を博したことも記憶に新しい。5月3日から出演している自身の名前を冠した「市川猿之助奮闘歌舞伎」には、夜の演目「御贔屓繫馬(ごひいきつなぎうま)」で香川(市川中車)も配役に名を連ねている。香川といえば昨年8月に性加害疑惑が報じられて以降、レギュラー番組やCM、ドラマなど相次いで降板。テレビ復帰は絶望的だと見られていたが、そんな香川に手を差し伸べたのは猿之助だった。「中車さんは、昨年12月の『十三代目市川團十郎白猿襲名披露』で舞台復帰を果たしました。来月上演される『六月大歌舞伎』では『傾城反魂香』の演目で主役に抜擢され、猿之助さんと夫婦役を演じる予定です。もともと中車さんは俳優業で多忙ということもあって、歌舞伎作品への出演数は多くありませんでした。ですが、スキャンダルによってテレビでの仕事を失った彼を気にかけ、復帰の手を差し伸べてきたのは猿之助さんです。演技で評判を落とすと猿之助さんの顔をつぶすことになってしまうので、中車さんは必死で取り組んでいるそうです」(歌舞伎関係者)家族3人に外傷はなく、遺書のようなものも置かれていたことから心中を図ったとも報じられている猿之助。あまりにも衝撃的な事件の全容解明が急がれるなか、ネット上では悲痛の声が相次いでいる。《本当に無念。なぜ思いとどまらなかったのか》《猿之助さん……悲しいんだけど悲しすぎるんだけど》《ご両親が亡くなられて猿之助さんだけが生き延びて、これからが心配になります。 体も心も回復されることを願います》■「日本いのちの電話」ナビダイヤル:0570-783-556(午前10時~午後10時)フリーダイヤル:0120-783-556(毎日・午後4時~午後9時/毎月10日・午前8時~翌日午前8時)
2023年05月18日2023年5月18日午前、歌舞伎役者の市川猿之助さんが、自宅で倒れているところをマネージャーに発見され、救急搬送されました。産経ニュースによると、猿之助さんのほか、猿之助さんの両親もその場で倒れているのを発見され、母親の死亡が確認されたといいます。なお、猿之助さんは搬送時に意識があったといい、警視庁が状況を調べています。[文・構成/grape編集部]
2023年05月18日●女形に楽しさ「舞台中、普段の性格も柔らかく」俳優・香川照之(市川中車)の長男で歌舞伎俳優の市川團子が、明治座創業百五十周年記念『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』(東京・明治座、5月3日~28日)の夜の部「三代猿之助四十八撰の内『御贔屓繋馬』(ごひいきつなぎうま)」に百足のお百役で出演する。2012年に8歳で初舞台を踏んでから約11年。大学生活を送りながら歌舞伎俳優として着実に成長を遂げている團子に、同舞台への意気込みや歌舞伎への情熱、そして、目標とする祖父・市川猿翁と親戚でもある猿之助への思いを聞いた。『御贔屓繋馬』は、四世鶴屋南北の原作を三代目市川猿之助(現・市川猿翁)と奈河彰輔が筆を執り、1984年4月に明治座で初演し、大評判を呼んだ作品。今回は物語を洗い直し凝縮した形で届ける。大喜利所作事『蜘蛛の絲宿直噺』では猿之助が女童、小姓、番頭新造、太鼓持、傾城、土蜘蛛の精の6役を早替わりで踊り分け、“奮闘公演”に相応しい変化舞踊を披露する。――明治座創業百五十周年記念『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』への出演が決まったときの心境からお聞かせください。『新・三国志』や『弥次喜多』に出させていただく機会が多く、それも本当にありがたいのですが、古典を学びたいと思っていたので、古典の作品に出演させていただけるというのはうれしかったです。――古典で学びたいと思った理由は?新作やスーパー歌舞伎『新・三国志』はセリフが現代調だったりして、先輩方は古典が身についていらっしゃるので現代調で言っても歌舞伎になるのですが、自分はまだ全然できていないので基礎である古典をしっかり学びたいと思いました。――明治座に抱いているイメージを教えてください。小学5年生のときに『四天王楓江戸隈』という作品に鬼童丸という役で出演させていただき、そのときに立ち回りが本当に楽しかったというのを覚えています。今回が2回目となりますが、また明治座さんに出させていただくのは本当にうれしいです。――『御贔屓繋馬』の魅力をどのように感じていますか?明治座さんでおじいさま(猿翁)がされた初演の映像も見させていただいたのですが、とにかく面白いという印象です。(主人公の)良門が復活するときに衣装から火や煙が出たり、視覚的にも楽しいですし、セットもすごくきれいです。そして、僕が演じる百足のお百はスパイで、村娘に扮して敵方に潜入するという役なのですが、僕だけでなく物語のほぼすべての人が“実は”という役で、スパイ合戦が繰り広げられます。この人はこうだったのだとひも解かれていくのも面白いですし、立ち回りも面白くパワフルな舞台だと思います。――今回の公演で特に楽しみにしていることを教えてください。女形を務めさせていただきますが、去年初めて女形をさせていただいたので、とにかく頑張って食らいつきたいと思っています。そして、“実は”という役を演じるのは初めてなので、その“実は”という要素をしっかり演じられるように、頑張ります。――女形はいかがですか? やりがいなどお聞かせください。楽しいです! 初めて女性に扮し、不思議な感覚になりました。――女形を演じて新たな気づきや変化などありましたか?すごく不思議なのですが、舞台中、普段の性格も柔らかくなっていたようで、家族や周りの人に言われてびっくりしました。言葉は変わりませんが、ちょっとした仕草が女性らしく柔らかくなっていたみたいです。――もしかしたらまた今回も?なるかもしれません(笑)●大切にしている猿之助の言葉「高1のときに…」――これまでも何度も共演されていますが、猿之助さんは團子さんにとってどんな存在ですか?“憧れ”と“かっこいい”が大きいです。『三国志』ではお父様の役(関羽)を演じられていて、後ろをついて歩く場面があったのですが、背中がとにかくかっこよかったです。――自分もこうなりたい! というように憧れている部分を教えてください。すごすぎてまだ何もわかりません(笑)。じいじと猿之助さんの2人が僕の中で一番の憧れなので、そんな役者になれるように必死に食らいついていきたいと思っています。――猿之助さんに言われたことや教えてもらったことで大事にしていることはありますか?高校1年生のときに猿之助さんと出演させていただいた『連獅子』で、「1日2個のことを直せば、25回公演があるから50個のことを直せる」とおっしゃってくださって、それは大事にしています。また、この前出演した作品の立ち回りのときに、僕は立ち回りは型だと思っていたのですが、猿之助さんは「そうではなく感覚でやるものだ。型も大事だけど、戦っているんだからもっと切羽詰まっているわけだし、それに縛られすぎたらよくない」とおっしゃっていて、とても勉強になりました。――今回の共演でもまた学びがありそうですね。長い時間共演するシーンが多いので、同じ場面で猿之助さんを見られるということが一番の楽しみです。猿之助さんの座頭を見るのも初めてで、目が見えない方をどう演じるのか、いろんなことを学ばせていただきたいです。――2012年に初舞台を踏まれていてから11年。ここまで活動されてきて歌舞伎俳優という職業に対して今どのような思いかお聞かせください。ずっと“好き”“楽しい”という感情です。――一番楽しいと感じる瞬間は?全部です! お稽古も本番も楽しいです。もちろん大変だなとか難しいという感情もありますが、常に楽しいという感情があります。――その楽しさは、経験を重ねるごとに増しているのでしょうか?楽しさはずっと一緒ですね。ずっと変わらず歌舞伎が好きなのだと思います。――團子さんが感じている歌舞伎の魅力とは?魅力は無数にあって未熟者なので到底語れませんが、音楽が楽しい、踊りも楽しい、そしてパワフルなところが大好きです。――若い團子さんを見て歌舞伎に興味を持つ若い方もいると思いますが、ご自身の活動によって歌舞伎界がこうなっていったらいいなという思いはありますか?全世代の方に見てみようかなと思っていただける役者に、いつかなりたいです。●祖父・猿翁の映像が活力源待ち受けも「じいじ」――歌舞伎のことがずっと好きだということですが、この11年で特にご自身にとって大きな経験になった転機を教えてください。おじいさまが『三国志』をやられた20年前のビデオとの出会いは転機になりました。おじいさまも言われていますが、主人公の関羽とおじいさまの人生は共通する部分があり、関羽が未来を語る場面は、おじいさまの夢を語っている場面でもあって、キラキラした目で語る姿がすごく好きで感動しました。子供のときも「かっこいい」と思って見ていましたが、2年前に僕も『新・三国志』に出演させていただくことになってよりそのシーンを見て感動し、その語りのシーンが活力源になっています。――けっこうな頻度で映像を見ているのでしょうか。見ます。いつも見ると「頑張らなきゃ!」と。心を燃やしてくださる活力源です。――今、映像を見せていただいた際に、スマホの待ち受け画面が歌舞伎の写真になっているのがちらっと見えましたが、ご自身ですか?これはじいじです。この写真は今年になってからですが、待ち受けはいつも、かっこいいなと思ったじいじの写真にしていて、本当に憧れです。――おじいさまの言葉で大切にしているものはありますか?「勇なるかな勇なるかな、勇にあらずして何をもって行わんや」という言葉をおじいさまが好きで、その言葉を書いた色紙を3、4年前にくださったのですが、これは何を行うにしてもまず勇気が必要であるという意味で、「僕も勇気を持ってやろう」と力をもらっています。――たくさんのパワーの源がありますね。そうですね!――大学ではどのようなことを学んでいるのでしょうか。芸術を学ぶ学科で、東洋のことだけでなく西洋の音楽や美術、演劇なども学んでいて、どれも面白いのですが、いろんなことを学んでいる中で僕はやはり歌舞伎が一番好きだと再確認しました。――本当に歌舞伎を愛していらっしゃるのですね。11年続けてこられて、別の道を考えてことはないですか?ないです。――今後、歌舞伎俳優としてどのようになっていきたいと思い描いていますか?じいじと猿之助さんが僕の理想なので、その背中を見てなんとか追いかけて、頑張り抜きたいという気持ちです。――最後にファンの方にメッセージをお願いします。『御贔屓繋馬』は、お話の内容がわかりやすく、早替わり、宙乗り、立廻りもありパワフルで楽しいお舞台です! 初めて歌舞伎を見る方や若い世代の方にも楽しんでいただける作品になっています。是非ご覧ください!■市川團子(いちかわ・だんこ)2004年1月16日生まれ、東京都出身。香川照之(市川中車)の長男。屋号 澤瀉屋。2012年、6・7月新橋演舞場『ヤマトタケル』で五代目市川團子を名乗り初舞台。2013年、国立劇場10月歌舞伎公演『春興鏡獅子』胡蝶にて、国立劇場賞特別賞を受賞。学業と芸道を両立させながら、さまざまな舞台に挑戦している。
2023年05月03日明治座創業百五十周年記念「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」と銘打ち上演されるのは、映像作品でも大活躍の猿之助が主演と共同演出を勤める2演目。昼の部は先代の猿之助(現・猿翁)が宝塚歌劇団の植田紳爾に依頼して作ったという“歌舞伎レビュー”『不死鳥よ 波濤を越えて』。夜の部は「三代猿之助四十八撰の内」から猿之助の6役早替りが楽しめる『御贔屓繋馬』。中村壱太郎や中村米吉、中村隼人ら今を時めく若手俳優を配し、中村鴈治郎や市川門之助ら重鎮が舞台を引き締める豪華版。気になる内容を猿之助と隼人に聞いた。『不死鳥よ~』は壇ノ浦の戦いで戦死した平知盛(猿之助)が、実は海を渡って生きていたという設定のもと展開されるレビュー(※台詞ではなく歌と踊りのシーンで進行してゆくショー形式のステージ)。猿之助は「レビューをやるのは初めてなんですが、歌劇でも振付経験のある藤間勘十郎さんに演出と振付に入っていただいたので不安はないです。あとは楽曲で、音楽って特に時代を映し出すものじゃないですか。だからミュージカルも多数担当されている玉麻(尚一)先生と相談して新しい楽曲を作っているところ。僕も含めて役者も歌うので楽しみにしてもらえれば」と笑う。隼人も「資料映像を観たら本当に“男版宝塚”で見どころ満載。初演になかったという知盛と若狭(壱太郎)のシーンも、猿之助さんはどう演出されるんだろうと今から楽しみです」と語る。一方の『御贔屓~』は四世鶴屋南北の原作を、先代の猿之助と奈河彰輔の手で1984年に明治座で上演、大評判となった演目。今回は公演最終日に『御贔屓~』の配役を猿之助と隼人が入れ替わりで勤めるのも話題だ。「まさか猿之助さんのお役をさせていただけるとは夢にも思っていなかったので、驚いています。幸いなことに公演中は間近で猿之助さんの姿を見て学べますし、今こういう事をさせていただける意味を感じつつ、次の課題にも精一杯ぶつかっていきたい」と表情を引き締める隼人。猿之助から「まずは女方だね。木偶の坊になっちゃうか、ちゃんとした女方ができるのか」(早替りの6役に女方があるため)と、からかいつつも愛情たっぷりの声が飛ぶと、隼人も「女方は7年ほどやっていないですが、その間に多少は他の力を付けられたのではないかと自分を信じて。稽古場で打ち拉がれながらも(笑)、頑張りたいです」と語った。若手俳優を多く配していることを問われると「今を盛りと咲いている人には、自分が一番いい状態のときに(芸を)教えたい。伝統芸能って1年や2年じゃ教えられないものなので、10年、20年先を見据えてね。僕はここからがスタートだと思っているんです」と真剣な表情で話す猿之助。演者たちが生き生きとぶつかり合う5月明治座はまもなく開幕。取材・文/藤野さくら
2023年05月01日女優の天海祐希が主演を務める、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』(6月16日公開)の主題歌、予告映像、追加キャスト、本ポスタービジュアル、場面写真が18日、公開された。同作は叩き上げの取調官・真壁有希子(天海)が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一進一退の心理戦を繰り広げるドラマシリーズの劇場版。この度、4人組バンド・緑黄色社会 の最新曲「さもなくば誰がやる」が主題歌に起用されることが決定。同バンドは、2021年に放送されたテレビドラマ『緊急取調室』(4th SEASON)の主題歌「LITMUS」も手掛けており、2度目のタッグとなる。「さもなくば誰がやる」は、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』のために書き下ろされた楽曲で、作詞・作曲を長屋晴子(Vo.)が担当。“キントリ”チームがこれまで積み重ねてきた情熱や想いを代弁するかのようなメッセージが込められた歌詞を、最初の一音から最後の一音に至るまで息をつかせない緩急が巧みに織り交ぜられたオルタナティブな空気感をまとうサウンドに載せた、緑黄色社会の新たな一面を見ることができる楽曲に仕上がっている。同曲は5月17日発売のアルバム『pink blue』に収録される。主題歌を使用した最新予告は、内閣総理大臣・長内洋次郎(市川猿之助)に、暴漢・森下道弘(佐々木蔵之介)が襲い掛かる緊迫のシーンで幕を開ける。超大型台風が連続発生し、国家を揺るがす非常事態の最中、長内総理は災害対策会議に10分遅れて到着。その“空白の10分”を糾弾し、総理大臣襲撃事件を起こした森下は、緊急招集された“キントリ”メンバーの取調べに対し、犯行動機を語らないどころか、取調室に総理大臣を連れて来い!と無謀な要求を繰り返す。森下の取調べが行き詰まる中、長内総理に“ある疑惑”が浮かび上がり、真相解明のために“キントリ”メンバーは長内総理を事情聴取すべく動き出すことに。これまでも数々の敵を相手にしてきた“キントリ”だが、国のトップである内閣総理大臣を取り調べるというのは前代未聞となり、映像の最後では、天海祐希演じる真壁と対峙する長内総理が不敵な笑みを浮かべながら「私をここに呼んだのは何故ですか?」と尋ねる。真壁は「闘うためです、あなたと」と力強い表情で返し、かつてない緊張感の中で繰り広げられる“最後の闘い”から目が離せない展開となっている。さらなる追加キャストも解禁され、ドラマシリーズではその存在が語られるのみで、どんな人物かは謎に包まれていた警視総監・永松役で平泉成、警視庁警備部長・角田役で勝村政信、内閣総理大臣主席秘書官・光圓寺衛役で徳重聡、内閣官房長官・熊井善太郎役で山崎一、副総理 兼 外務大臣・岩倉伸也役で小野武彦の出演が決定した。本ポスタービジュアルには、それぞれに思いを秘めた表情を浮かべる主要キャラクターたちと、「国家を揺るがす究極の心理戦。内閣総理大臣、取調開始。」という壮大なスケールを感じさせるキャッチコピー、そして決め台詞である「面白くなってきたじゃない?」の文字と共に凛々しい顔でこちらを見据える真壁の姿が配置された。場面写真は、先日解禁された真壁が取調室で長内総理と向かい合うシーンや、森下と対峙するシーンをはじめ、さまざまなカットが新登場。キントリチームが手を伸ばして気合を入れるお馴染みの「うぇ~い」ポーズ、監物大二郎(鈴木浩介)と渡辺鉄次(速水もこみち)の“もつなべコンビ”、真壁と奈央(杉咲花)の母娘の食卓、微妙な関係性にやきもきするファンも多い梶山(田中哲司)と真壁の“相合傘”シーンなど、人気キャラクターたちの活躍に期待が高まる内容となっている。○天海祐希 コメント劇場版『緊急取調室 THE FINAL』の主題歌を、緑黄色社会さんが担当してくださいました。また緑黄色社会さんに緊急取調室の世界を豊かにして頂ける事、とても嬉しく思っています。「さもなくば誰がやる」次の世界へ、次のステージへまた、新しい明日へ。自分の足で、確実に進んで行く…そんな姿を、強く応援してくれる曲です。キントリの世界にしっかりと寄り添ってくださる、この曲を聴いていると、キントリの今までの日々を思い出し、懐かしさで一杯になります。キントリ最後の門出を、希望の光で照らしてくださり深く感謝するばかりです。ぜひ、劇場版 緊急取調室と共に楽しみにして頂けたら嬉しいです。緑黄色社会さん本当に素敵な主題歌をありがとうございました。心から感謝致します。○緑黄色社会 コメントこの度、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』の主題歌を担当させていただくことになりました。「LITMUS」で主題歌を担当させていただいたドラマ第4シリーズに続いて、劇場版、しかも完結作という大事な作品において主題歌を担当させていただけるということで、大変嬉しく思っています。今回シリーズ完結作ということで、ラストを飾るに相応しい曲をという想いで気合いを入れて制作に臨みました。出演者のみなさんも、作品をご覧になるみなさんも、全員がスッキリした気持ちになれる、もしくは前に進めるようなものにできるよう意識した歌詞だったり、曲の始まり方も新しいトライをしていたりするので、そういった部分にも注目して聴いていただけたらと思います。作品で流れているところも拝見させていただいたのですが、自分たちが堂々と言えてしまうくらいバッチリでした!歌詞もアレンジもすべてが作品の雰囲気とマッチしていて達成感もありましたし、この作品と関わることができて本当に幸せだなという気持ちになりました。「さもなくば誰がやる」、華々しいラストを前向きな気持ちで迎えられるような楽曲に仕上がったと思いますので、みなさんにもそういう風に感じていただけると嬉しいです。○三輪祐見子(テレビ朝日 ゼネラルプロデューサー) コメント緑黄色社会の皆さんには『緊急取調室』の連続ドラマ第4シリーズの主題歌「LITMUS」をご提供いただき、また、ボーカルの長屋晴子さんには、ドラマ本編にも警察官役でご出演いただくなど、深い繋がりを感じております。「LITMUS」は非常にドラマにマッチしていて、キントリの持ち味である大人っぽいエンディングにぴったりでした。今回、キントリは劇場版でファイナルとなるのですが、その主題歌も前回のご縁もありまして、スタッフ満場一致で、緑黄色社会さんにお願いすることにいたしました。そして、書き下ろしていただいた楽曲を聞かせていただいたのですが…まず! めちゃくちゃ驚いてしまいました。こんなにも映画に寄り添い、主人公・真壁有希子を投影してくれていて、キントリの世界観にマッチした主題歌があるんだろうか!!いやもう、何だか、めちゃくちゃピッタリで、驚いてしまいました。そんな、とっても素敵な楽曲だったんです。その主題歌「さもなくば誰がやる」を書き下ろしてくださいました緑黄色社会さんに、スタッフキャストに代わりまして、心から感謝申し上げます。この映画で、キントリはファイナルです。もちろん一抹の寂しさは伴いますが、キントリチームを前向きに明日に向かって送り出してくれる力強いこの楽曲と共に、FINALを迎えられること、本当に嬉しく思います。これまでの9年間の感謝の気持ちを込めてお届けします『劇場版 緊急取調室』ですが、素敵な緑黄色社会さんの主題歌とともに、是非ご期待ください!!(C)2023劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
2023年04月19日天海祐希、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、大倉孝二、塚地武雅、でんでん、小日向文世らドラマレギュラーキャスト続投でついに完結となる『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』に、市川猿之助と佐々木蔵之介が参加することが分かった。猿之助さんが演じるのは、注目の被疑者=内閣総理大臣・長内洋次郎。これまで取調室でキントリが相対した被疑者は、約100人。様々な手強いキャラクターが登場してきたが、今回はシリーズラストを飾るにふさわしい、最大の強敵ともいえる内閣総理大臣。昨年5月にクランクインした本作に、6月上旬より参加した猿之助さんは、警察官僚、SPに囲まれ移動するシーンの撮影に挑み、キントリキャストと顔を合わせた。その際の猿之助さんの所作や演技を見た天海さんは、「キントリの物語の中の内閣総理大臣と、歌舞伎界を任っていくポジションがリンクするところがあって、手を挙げるだけの所作でも総理でした」と話し、田中さんと「総理が来た!」と話したという。また、その総理を突如襲撃する暴漢・森下弘道を演じるのが佐々木さん。事件の鍵を握り、キントリチームを翻弄する謎多き被疑者だ。共演経験が多い天海さんと佐々木さん。そのため、ドラマ撮影時に誰よりもゲストに寄り添い、率先して演技をしやすい空気を作っていた天海さんが、佐々木さんに対しては「どんなボールも投げてくれるし、受けてくれる安心感があって、お互いやりたい放題やっていました(笑)」と取調べシーンの撮影秘話を笑顔で語る。長内は、戦後初の40代の総理としてカリスマ性やリーダーシップ、的確な判断力を発揮し高支持率を得るリーダー。日本列島を襲う災害が発生する中、官邸に「緊急災害対策本部」が設置されるが、長内はこの重要な会議に遅れて到着。関係閣僚から非難の声も上がる中、長内は指示系統を官邸に集中させる「広域支援即応措置法」を発令し、被害を最小限に抑えることに成功。各地の復旧が続く中、長内総理の前に突如現れた暴漢・森下による総理襲撃が発生。森下の取調べのため、キントリメンバーが再集結することに。猿之助さんは「シリーズ初の劇場版ということで緊張いたしましたが、天海さんの優しさに包まれた現場は、とても居心地の良い現場で、素敵な共演者、スタッフの皆様に支えられ、撮影に臨むことができました」とふり返り、「ぜひ映画館へ足をお運びいただき、素晴らしいチームでお送りする、"キントリ"の世界をお楽しみください」と呼びかける。佐々木さんは「私の役柄については…話すな、と言われておりますが、少しだけ。取調べられました!!楽しかったです!!キントリの現場の何が羨ましいかって、どのシーンも最後に必ず天海さんが場を締めてくれるので、特におじさん役者の皆さまが、勝手自由なんです。寛いでいられるんです。一緒になって私までも。まさか取調室があんなに居心地の良い空間だとは思いもよらなかったです」とコメントしている。『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』は6月16日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:劇場版 緊急取調室 THE FINAL 2023年6月16日より全国にて公開©2023 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
2023年04月04日4月歌舞伎座「鳳凰祭四月大歌舞伎」昼の部『新・陰陽師』で脚本・演出、そして蘆屋道満役を勤める市川猿之助が、安倍晴明を祀る晴明神社にて成功祈願を行った。本公演は、夢枕獏が描いた伝奇小説『陰陽師』を原作に、歌舞伎ならではの演出や工夫が凝らされた作品。猿之助の脚本・演出のもと、次代を担う花形俳優が顔をそろえ、新たな「陰陽師」の世界が誕生する。神社には、出演者(市川猿之助、坂東巳之助、中村壱太郎、尾上右近、中村隼人、中村児太郎、中村福之助、中村鷹之資、市川染五郎)が書いた絵馬を猿之助が代表して奉納。京都・南座『三月花形歌舞伎』に出演中の尾上右近、中村鷹之資もその場に駆けつけた。成功祈願の様子左より)中村鷹之資、市川猿之助、尾上右近併せて、本公演の特別ポスターも公開。猿之助扮する蘆屋道満からはいかにも怪しげな雰囲気が漂い、まるでその指先から伸びた糸で登場人物たちを操っているかのようなビジュアルに。道満が広げた手の下には、中村隼人の安倍晴明、市川染五郎の源博雅、坂東巳之助の平将門、中村壱太郎の滝夜叉姫、尾上右近の興世王、中村児太郎の桔梗の前、中村福之助の俵藤太、中村鷹之資の大蛇丸ら総勢八人の個性豊かなキャラクターが並んでいる。本ポスターは歌舞伎座ほかにて掲出される。■市川猿之助 コメント公演が成功するように座中一丸となって、良いものをこれから作り上げ、初日が開いてからも努力していこうということを晴明様にお誓い申し上げました。絵馬に書いた言葉は「神恩感謝」。4月にこうして公演をやらせていただけるということがすでにありがたいことですから、まずは感謝を申し上げて、そこからものごとが始まるということです。今回の『新・陰陽師』は同じ夢枕獏先生の原作をもとにしていますが、前回の公演から10年経ってリニューアルという意味も込めて、古典歌舞伎の形式でお届けします。若手それぞれに見せ場を作りますので、普段彼らがいかに古典歌舞伎を学んできたかということの成果をお見せいたします。彼らにとっても色々な発見がある舞台になるのではないかと。昼夜二部制ということもあり、久しぶりに三幕構成としてひとつのお芝居をじっくりと観ていただきます。ひとりでも多くの方に劇場に足を運んでいただいて、お芝居を楽しんでいただければと思っております。<公演情報>歌舞伎座新開場十周年記念「鳳凰祭四月大歌舞伎」『新・陰陽師』2023年4月2日(日) 初日~27日(木) 千穐楽『新・陰陽師』特別ポスター
2023年03月18日Amazon Original番組『風雲!たけし城』(4月下旬より全世界順次配信)に、バナナマン、上田晋也(くりぃむしちゅー)、渡辺直美、市川猿之助が出演することが10日、発表された。さらに、ビートたけしをはじめとするキャストのキャラクタービジュアルも公開された。80年代に空前のブームを巻き起こし、海外でも熱狂的なファンを生んだ視聴者参加型アトラクションバラエティ番組『風雲!たけし城』が34年ぶりにPrime Videoで復活する。水に浮かんだ偽石を見分けながら対岸まで渡る“竜神池”や、回転しながら進む大きなキノコにしがみ付きゴールを目指す“キノコでポン!”など、お馴染みのゲームがさらにスケールアップして登場。さらに豪華新ゲームも加わり、挑戦者たちが攻撃軍として、果敢に数々の”無理ゲー”に体当たりで挑む。総勢300人以上の挑戦者たちを迎え撃つ“たけし城”城主ビートたけしの家老・家臣としてバナナマンの設楽統と日村勇紀が出演。たけし城を守る配下の3つ城の城主に、くりぃむしちゅーの上田晋也、渡辺直美、市川猿之助が決定した。公開されたキャラクタービジュアルでは、復活を遂げた伝説の“殿”ビートたけしに加え、たけし軍の設楽、日村、上田、渡辺、猿之助、攻撃隊長の谷隼人、木村昴の闘争心溢れる姿が映し出されている。数々の伝説的なお笑い番組を生み出し、お笑い界のトップに君臨するビートたけしは「『風雲!たけし城』はバラエティの基本が詰まっている。人間のやることで一番面白いのは、かなり高度なことに挑戦して失敗すること。あまり深く考えずに楽しんでほしいです」と番組の面白さについて語る。“新たなたけし城の名参謀”として難攻不落のゲームを支配する家老を務めた設楽は「昔から『風雲!たけし城』を見ていたので、出演が決まってうれしかったですね。“おさむ城”をやりたいって言っていたくらい好きでしたから。復活するだけでも嬉しいのですが、それに出られるという。いいのかな?と思いました」、“たけし城のマスコットキャラクター”の家臣を務めた日村は「他の番組の復活とは違いますよね。学生の頃は見ていて『楽しそうで羨ましいな』と思っていました。皆の憧れの番組だったので復活が信じられないですし、そこに出演できるというのも不思議な感じでした」と心境を語った。各エピソード約100人にわたる挑戦者たちを迎え撃つのは、たけし城の配下である城主たち。第一の城の城主で“チェーンソーをぶん回す狂気の城主”を務めた上田は以前から「本作に出演したい」と公言しており、「出演したいと言ってみるものですね。言った次の日にはオファーが来ましたから(笑) 高校時代に家に帰って見ていた番組なので、令和版の一部に参加させていただくことができて一つ念願が叶った気持ちになりました」とコメント。第二の城の城主“バイブス高めのゴージャス姫”の渡辺も「『たけし城』復活の噂は聞いていましたが、まさか自分が城主に選ばれるとは思いませんでした。他の城主メンバーもいかついじゃないですか(笑)そんな中で、私でいいんですか?と、びっくりしました。『風雲!たけし城』は歴史のある番組で、ずっと世界中で愛されている番組なので、そんな作品に出演できるのはうれしいです」と喜ぶ。第三の城の城主で、“白の甲冑の二刀流城主”の猿之助は「SASUKEの元になった凄い番組です。昔を知っている方には懐かしいし、ある種スポーツ番組としても見れるし、一番大事なのはお笑いとして見られることが大きいと思います。偶然から生まれる仕込みのないお笑いです。是非ご覧下さい」と番組を楽しみにしている人たちへメッセージを送った。たけし城陥落を目指し、挑戦者たちと共に攻め入る攻撃隊長には、谷隼人と木村昴が出演。昭和版に続き“34年ぶりの攻撃隊長”となった谷は「『風雲!たけし城』は特別な作品なので、何役でもいいから番組に関わりたいと思っていました。攻撃隊長は挑戦者たちの士気を上げる役割があるので、この年では厳しいかなと思っていたのですが、再び隊長役に選ばれて気合いが入りましたね」、“平成生まれの新・攻撃隊長”を務めた木村は「作品を見直して攻撃隊長がいかに大事な役割か分かりました。だからこそ選ばれて光栄でしたし、プレッシャーも感じました。当時を知る視聴者の方には谷さんの姿を見て熱くなっていただき、若い世代には新隊長として私が『たけし城』を広めていきたいです」と語った。(c)2023 Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved
2023年03月10日東京・新橋演舞場にて1月5日(木)、「新春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』」の公開舞台稽古が行われ、十三代目市川團十郎白猿と共演のSnow Man・宮舘涼太が参加した。『SANEMORI』は、古典歌舞伎の名作『源平布引滝』より『実盛物語』を主軸に創り上げられた歌舞伎作品。源平争乱の折、斎藤実盛が、平家に仕える身でありながら、恩義のある源氏に忠義を尽くそうとする生き様や、混乱の世を強く生きる人々の姿を現代の感覚を取り入れた演出で描く。2019年、“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造” を目標に開始した團十郎(当時海老蔵)の自主公演「ABKAI」で上演され大きな話題を呼んだ。当時ジャニーズJr.だった宮舘は、同グループの阿部亮平とともに出演した。約3年ぶりの上演にあたり、脚本や演出もブラッシュアップ。前回源義朝の霊、義朝の弟・義賢、そして実盛の3役を勤めた團十郎は今回主役の実盛に徹する。一方、宮舘は前回勤めた源義仲、そしてその父・義賢の父子2役を担い、「戸板倒し」や「仏倒れ」、梯子を用いた立ち廻りも披露。開幕に際し、團十郎は改めて「團十郎の名跡を継ぐことは同時に、古典を継承し発展させていく責務を背負うことでもあると感じております」と責任感を滲ませ、「歌舞伎を観るのが初めてのお客様にも存分に楽しんでいただける作品ができたと信じております。本作を通して『源平布引滝』の魅力を再発見していただけたら幸甚です」とコメント。宮舘は「お話をいただいてから初日を迎えるにあたり、沢山の方々から愛の溢れるご指導をいただきました」と真摯な言葉。「生き様、幸せ、歌舞伎の魅力、表現できる喜びを感じながら演じていきたいと思います」と意気込む。上演は1月6日(金)から1月27日(金)まで。<公演情報>初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』2023年1月6日(金)~1月27日(金)昼の部:12時~夜の部:16時30分~【休演】13日(金)、20日(金)会場:東京・新橋演舞場
2023年01月06日1月6日~27日に東京・新橋演舞場で上演される「初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』」の公開舞台稽古が5日、同所にて行われ、市川團十郎、Snow Manの宮舘涼太らが参加した。『SANEMORI』は、團十郎が“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造”を融合させた舞台を目指し、2013年から行っている自主公演「ABKAI」の5回目(2019年)に上演。源平争乱の折、斎藤実盛が、平家に仕える身でありながら、恩義のある源氏に忠義を尽くそうとする生き様や、混乱の世を強く生きる人々の姿を現代の感覚を取り入れた再演出にて描いたこの演目を、今回はさらに練り直して上演される。『SANEMORI』は、團十郎が“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造”を融合させた舞台を目指し、2013年から行っている自主公演「ABKAI」の5回目(2019年)に上演。源平争乱の折、斎藤実盛が平家に仕える身でありながら、恩義のある源氏に忠義を尽くそうとする生き様や、混乱の世を強く生きる人々の姿を現代の感覚を取り入れた再演出にて描いたこの演目を、今回はさらに練り直して上演される。團十郎が演じるのは、斎藤実盛。初演時にも出演した宮舘は今回二役に挑戦し、源義仲と木曽先生義賢を演じる。公開舞台稽古で團十郎は、役ではなく自身の意気込みや報道陣への挨拶を入れ込む場面も。そして、平家に仕える身ながら、源氏に忠義を尽くそうとする生き様を表現し、年老いた白髪姿の実盛まで熱演した。宮舘は二役を見事に演じ、義仲と平家方との戦いや、義賢と平家方との戦いのシーンなどで激しい立ち回りを披露。戸板倒しや、梯子(はしご)を用いた立ち回りなど大技にも挑戦し、義賢の最期でも迫真の演技を見せた。市川團十郎と宮舘涼太がコメントを寄せた。○■市川團十郎新年おめでとうございます。昨年11月、12月、歌舞伎座で十三代目市川團十郎白猿を襲名披露させていただきました。新橋演舞場の初春公演には平成20年より出演しておりますが、本年は團十郎として初めての正月の舞台でもありますので、いつも以上に身の引き締まる思いです。團十郎の名跡を継ぐことは同時に、古典を継承し発展させていく責務を背負うことでもあると感じております。初代團十郎から続く、古典を守りながら新たな歌舞伎の創造へ挑戦していく姿勢を、私も十三代目としてしっかりと受け継いでいく所存です。今回の『SANEMORI』は2019年以来の再演となりますが、宮舘涼太さんが木曽先生義賢と源義仲の父子二役を務めるなど、脚本や演出なども練り直しての上演です。より磨き上げた舞台にするべく、皆で稽古を重ねてきました。歌舞伎を観るのが初めてのお客様も存分に楽しんでいただける作品ができたと信じております。本作を通して『源平布引滝』の魅力を再発見していただけたら幸甚です。○■宮舘涼太この度は『SANEMORI』に参加させていただける事を大変うれしく思います。お話をいただいてから初日を迎えるにあたり、たくさんの方々から愛のあふれるご指導をいただきました。Snow Manとして毎年新橋演舞場に立たせていただいておりますが、今回は宮舘涼太として舞台に立ち、皆様に生き様、幸せ、歌舞伎の魅力、表現できる喜びを感じながら演じていきたいと思います。
2023年01月05日12月26日(月) に歌舞伎座で行われる『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十二月大歌舞伎」』千穐楽より、十三代目市川團十郎が出演する『助六由縁江戸桜』の模様が生配信されることが決定した。2カ月続いた歌舞伎座での襲名披露公演のフィナーレを飾る『助六由縁江戸桜』は、成田屋の家の芸のひとつで、十一世、十二世團十郎の襲名興行の際にも上演された所縁のある演目。今回の公演では、粋でいなせな江戸の美男子・助六を新團十郎が演じる。視聴チケットは、本日12月16日(金) 10時より販売がスタートする。<配信情報>市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十二月大歌舞伎」夜の部『助六由縁江戸桜』千穐楽 生配信配信日時:12月26日(月) 17:40頃~(約120分)アーカイブ配信:12月27日(火) 17:00~2023年1月4日(水) 23:59まで※一度ご購入頂きますと、アーカイブ配信期間中は何度でも視聴可能です。【出演者】市川海老蔵改め市川團十郎中村七之助、市川猿之助、中村梅枝、坂東巳之助、市川猿弥、片岡市蔵、市川齊入、市村萬次郎、大谷友右衛門、中村勘九郎、坂東彌十郎、松本幸四郎、市川左團次、坂東玉三郎チケット料金:3,600円(税込)販売期間:12月16日(金) 10:00~2023年1月4日(水) 20:00※「イベント割」対象のため、通常の2割引の価格でお求めいただけます。(通常価格:4,500円(税込))【配信リンク】■歌舞伎オンデマンド※ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料) / ログインが必要です。■Huluストア「十二月大歌舞伎」の詳細はこちら:
2022年12月16日『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十二月大歌舞伎」』が、12月5日(月) に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。歌舞伎座での2カ月にわたる『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台』公演。12月公演は、歌舞伎の様式美を堪能できる華やかな演目『鞘當(さやあて)』で幕を開けた。舞台は桜が満開の吉原仲之町。尾上松緑演じる不破伴左衛門と松本幸四郎演じる名古屋山三がやってくると、すれ違う際に刀の鞘が当たったことから斬り合いとなり……。争うふたりを止めに入るのは市川猿之助演じる留女(偶数日は市川中車演じる留男)。荒事味のある伴左衛門と和事味漂う山三の渡り台詞や、留女の貫禄ある啖呵が心地よく響く。伊達を尽くした豪華な衣裳も目に美しく、廓風情漂う舞台に会場は華やかな空気に包まれた。続いては、十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言『京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)』。今回は鐘供養から、市川團十郎家の家の芸「歌舞伎十八番」の一つで華やかかつ壮大な荒事の魅力を存分に堪能できる『押戻し』までを上演。春爛漫の道成寺に現れるふたりの白拍子花子を尾上菊之助と中村勘九郎、大館左馬五郎を市川團十郎白猿が演じる。ふたりの花子が、実は恋の恨みから蛇体となって道成寺の鐘を焼いた清姫の怨霊であったことが分かり、その本性を現すと、花道より勇猛な大館左馬五郎が登場し、怨霊の前に立ちはだかる。前半の華やかな踊りから一転、後半は新團十郎演じる左馬五郎が花道から本舞台へと怨霊を力強く押戻していく様子を観客も息を呑んで見守る。「竹馬の友の和康と兄貴と慕うた中村屋の面差し漂う雅行によく似た化物奴……」と清姫の怨霊を演じる菊之助と勘九郎に絡めた遊び心溢れる左馬五郎の台詞に観客は大盛り上がり。公演に向けたインタビューで「父(十二世團十郎)のようなおおらかな左馬五郎を目指します。」と語った團十郎は、典型的な荒事の扮装を身にまとい、存在感溢れる左馬五郎で観客を魅了した。新團十郎、菊之助、勘九郎と同世代の俳優が揃い、襲名を寿ぐ華やかな一幕となった。昼の部を締めくくるのは、八代目市川新之助初舞台狂言『毛抜(けぬき)』。11月公演で『外郎売』の外郎売実は曽我五郎を凛々しく勤めあげた八代目市川新之助が、今月は史上最年少となる9歳で『毛抜』の粂寺弾正を勤めるとあって、開幕前から注目が集まる演目の一つだ。舞台は中村梅玉演じる小野春道の屋敷。原因不明の病に伏せる姫君錦の前の様子をうかがいに、姫君の許婚である文屋豊秀の家臣粂寺弾正がやって来る。機智に富んだ弾正は姫君の奇病の仕掛けや悪人たちの策略を見事に解き明かしていき……。父・十三代目團十郎が演じた『毛抜』の舞台を観てから粂寺弾正が憧れの役だったと話す新之助は、持ち前の明るさとおおらかさを存分に活かし、愛嬌あふれる弾正を見事に演じ切った。本作の見せ場である様々な見得が決まるごとに、観客からは大きな拍手と劇場指定の関係者による小気味良い大向うの声が会場に響き渡った。歌舞伎十八番の中でも特におおらかな雰囲気が溢れ、古風な味わいたっぷりの一幕。新之助が今回使用している髷は曽祖父にあたる十一世團十郎が粂寺弾正を勤めた際に使用していたもの。「新之助としていろんな役をいっぱい演じていきたい」と熱く語り、歴代の想いを受け継ぐ八代目新之助が大きな一歩を踏み出した歴史的瞬間に立ち会った観客からは、あたたかな拍手が絶えることなく送られた。市川ぼたんが愛らしく繊細に心情を訴えかける『團十郎娘』夜の部は、襲名披露『口上(こうじょう)』から始まり、幕が開くと舞台上には十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助はじめ、市川團十郎家の色である「柿色」の裃を揃って身にまとって俳優がずらりと並ぶ。初日は松本白鸚が体調不良で休演のため市川左團次による紹介で始まった。続けて、河原崎権十郎、市川右團次、市川高麗蔵、松本幸四郎、市川猿之助、市川門之助、市川男女蔵、市川齊入が次々と華やかにお祝いの挨拶を述べていく。團十郎は「市川宗家の覚悟」を感じさせる真摯な眼差しで、続く新之助は若々しいエネルギーに溢れ、溌溂と挨拶。最後は11月に引き続き、團十郎が無病息災を願い成田屋の家の芸である「にらみ」を力強く披露し、熱い拍手に包まれた。続いては、市川團十郎家所縁の舞踊『團十郎娘(だんじゅうろうむすめ)』。『團十郎娘』は文化10(1813)年に七世團十郎によって初演された所作事。美しく、力自慢で評判の娘・お兼を市川ぼたんが勤める。歌舞伎座において歌舞伎の本興行で女性が出し物をするのは実に60年ぶり。昭和37(1962)年5月に歌舞伎座で行われた十一代目市川團十郎襲名披露興行の際に三代目市川翠扇が同じく『團十郎娘』を勤めて以来となる。舞台は近江八景の一つの琵琶湖のほとり。花道より馬をひいてやってきたお兼は乙女の恋心を近江八景によせて見せていき、ぼたんは長唄に合わせて愛らしく繊細に心情を訴えかける。やがてお兼の大力の噂の真偽を確かめようと、隠れていた市川右團次、市川男女蔵ら演じる漁師たちが打ちかかるが、お兼は軽やかにそれをあしらう。大きな見せ場である白い晒を用いた“布晒し”では、白く長い晒を華麗に翻し、その軽快な様子に場内からは万雷の拍手が送られた。最後の演目は、11月に続けての上演となる歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』。裃姿の松本幸四郎の口上に始まり、聞こえてくるのはさっぱりと軽やかな河東節の粋な演奏。坂東玉三郎演じる三浦屋揚巻が花道より登場すると、場内は一気に華やぎ、一瞬にして吉原の街に。傾城たちの口から語られる江戸一の伊達男・花川戸助六とは一体どんなに良い男なのかと、客席の期待も最高潮に達したところで登場するのが、市川團十郎勤める花川戸助六。花道にあらわれた途端、無駄のない流麗な立ち振る舞いに多くの観客が視線を奪われた。高まった期待をさらに上回る新團十郎の洗練された美しさに圧倒されるうちに物語は進行。助六が探す重宝・友切丸の詮議のため、坂東彌十郎演じる髭の意休に悪態をついたかと思えば、印象的な登場人物たちが次々登場し華やかな舞台を背景に楽しい場面が続く。中村勘九郎演じる白酒売新兵衛がやってくるとその和事味ある佇まいと、弟の助六との対比が面白く、喧嘩を売った相手に自らの股の下をくぐらせる件は、思わずくすりと笑いがこぼれる。廓風情を漂わせる市川猿之助演じる通人里暁の存在も印象的で、新團十郎の若い頃のエピソードを繰り出し、笑いを誘う。師走の忙しなさを忘れる、襲名披露興行に相応しい華やかなひと時となった。「十二月大歌舞伎」は12月26日(月) まで歌舞伎座で上演される。「十二月大歌舞伎」の詳細はこちら:チケット購入リンク:写真提供:松竹(株)
2022年12月06日「まだまだ未熟者で先祖の足元にも及びませぬが、一生懸命努力をして、精進したいと思っております。市川宗家としての覚悟でございます」11月7日、市川海老蔵改め市川團十郎白猿(44)の十三代目襲名披露公演が、歌舞伎座にて華やかに開幕した。「口上」に続き、厄落としになるといわれる市川家伝来の「にらみ」も披露。さらに家の芸である『勧進帳』『助六』では、團十郎が見えを切るたびに、「成田屋!」「十三代目!」という「大向こう」(客席からの掛け声)が、満員御礼の劇場に響きわたった。この日、息子の勸玄君(9・かんげん)も、祖母の堀越希実子さんや姉の麗禾さん(11・れいか・市川ぼたんを19年に襲名)が見守るなか、八代目市川新之助を襲名した。これに先立ち、10月31日から2日間行われた襲名披露の特別公演を観た古典芸能解説者で、かつてNHKで多くの歌舞伎中継も担当した葛西聖司さん(71)は、「スペシャル感いっぱいの公演でした。共演の片岡仁左衛門さん、坂東玉三郎さんという大先輩の胸を借りて、立派に晴れの新團十郎を披露してくれました。また『勧進帳』では、團十郎さんの弁慶を、成田屋のお手本どおりにきちっとやってくれたのでうれしくてね。先代の十二代目團十郎のお父さんをほうふつとさせる場面もあり、ふと胸が熱くなりました」一連の襲名披露の催し自体、コロナ禍で2年半もの延期を余儀なくされていた。この興行が、葛西さんの言うとおり、「ずっと苦しんできた歌舞伎界全体のカンフル剤になる」との期待も大きい。なかでも「市川團十郎」は、歌舞伎界において絶大なる影響力を持つ大名跡。また市川宗家は、英雄的な主人公が悪を成敗する「荒事」を創始した初代から十三代目まで、実に約350年もの伝統を有する歌舞伎界随一の名門である。しかし長い歳月の間には、実子が途絶え他家から養子を迎えたり、また幾人もが早死にや謎の自殺を遂げるなど、「團十郎の業」ともいうべき苦難の出来事も多かった。その波乱の人生のエピソードにおいても、團十郎家は他家を圧倒するのだ。■初代は刺殺、八代目は自殺ーー。初代團十郎が生まれたのは、1660年(万治3年)で、江戸初期のこと。前出のとおり、荒事を生み出した、江戸歌舞伎の創始者だ。しかし、45歳で共演していた生島半六という役者に舞台上で刺し殺される。嫉妬や恨みともされるが、真相は定かでない。二代目は、初代の急死を受けて17歳であとを継ぎ、荒事を完成させるだけでなく、「和事」(やわらか味のある美男子)も見事にこなし、最初の「千両役者」となる。屋号の成田屋もこのころに始まる。十三代目の團十郎本人も、こう語っていた。〈市川團十郎家は二代続けて「初代運」を持った人間が生まれた。だからこそ、今の團十郎家がある〉(『文藝春秋』13年6月号)続く三代目は病いで22歳の若さで死去し、その後12年間、四代目が襲名するまで團十郎は空位となった。さらに五代目を経て、14歳で襲名した六代目だったが、風邪がもとで、くしくも三代目と同じく22歳の若さで亡くなる。そして、七代目の登場。新團十郎が、〈人間はかく生きたいという原形をお持ちの方です……なんだか自分が似てるような〉(前出『文藝春秋』)と話していた、敬愛するご先祖である。今も高い人気演目の『勧進帳』や『暫』『助六』など「歌舞伎十八番」を制定するだけでなく、市川家の伝統にとらわれずに『東海道四谷怪談』の悪役など新しい役柄にも果敢にチャレンジした。「しかし、才能も人気もあっただけに、その贅沢ぶりなどを徳川幕府に目をつけられて、天保の改革時に江戸を追放になりますね。その後、10歳の若さで團十郎を譲られたのが、八代目。絶世の美男子で、その吐いた痰をファンがすくい取ったという“お痰さま”の逸話で知られますが、この人も32歳という若さで自殺します」語るのは、エッセイストで『海老蔵そして團十郎』(文藝春秋)の著書もある関容子さん(87)。そして、明治天皇の前で天覧歌舞伎を演じた九代目となる。「『劇聖』といわれ、近代歌舞伎の文化度を向上させた九代目が亡くなったあとは、大正、昭和の戦前まで團十郎は50年以上にわたって不在となります」(葛西さん)十一代目團十郎が生まれたのが1909年。しかし、彼は團十郎家の生まれではなかった。九代目のあと、息子のいない市川家を支えたのが、銀行員だった娘婿(死後に十代目を追贈)。彼は役者に転身しながら後継者探しにも尽力し、松本幸四郎家から養子を迎え入れる。「これが、のちの十一代目團十郎となります。つまり初代や二代目、七代目と、十三代目團十郎さんは血はつながっていないんですね。十一代目は、やがて『花の海老さま』となり、そこから十二代目、十三代目とつながりますが、そうした数奇な市川團十郎家の歴史をふり返ると、あの時代に幸四郎家から才能ある養子を得た巡り合わせは、歌舞伎の神様のはからいとしか思えません」(関さん)■十二代目は66歳で逝去。十三代目は茨の道を突き進んだ「十一代目の舞台を初めて観たとき、私はまだ幼い少女でしたから、もう80年近くも團十郎さんのお芝居を観続けております。戦後、女性人気を一身に集め、『海老さま』と呼ばれた十一代目はとびきりの美男子で、女の人はみんなドキドキしたもの」そう語る関さんが『源氏物語』で思い出すのが、その孫にあたる、新團十郎のデビュー時のこと。「まだ本名の堀越孝俊で『源氏物語』で初お目見えしたとき、歌舞伎座の案内嬢たちが彼の出てくる場面になると仕事を忘れて(笑)、劇場のうしろから入ってきて『かわいい!』『きれい!』って、うっとりするという現象がありました。それくらいセンセーショナルなデビューだったんです。その姿が、十一代目にそっくりで、『隔世遺伝』なんて言われましたね」十一代目が、團十郎を襲名したのは53歳。かなりの高齢だが、養子であることに遠慮した結果であったとされる。葛西さんは、「その前が50年以上、團十郎が不在でしたから、この間のいつ復活するのかという重みが、十一代目にのしかかっていたんですね。これは相当な重圧で、だから十一代目は團十郎を継いで、わずか3年で亡くなってしまうんです」まだ19歳の長男(のちの十二代目團十郎)を残し、胃がんにより逝去したときは56歳だった。その十二代目の襲名が行われたのが85年。この名優と、関さんは取材だけでなく、プライベートでも会食などする間柄だった。「大らかな、太陽のような存在。あの方がいることで、楽屋の諍いなどもなんとなく収まるような、まさに穏やかな大統領でした。一方、その息子の十三代目團十郎さんは内省的といいますか、誰にでも心を開くというタイプではないようにお見受けします。ただ、あのカミソリのような鋭い感性は、『若き日の信長』などで完璧を目指す信長役を演じるにはぴったりで、そこも祖父の十一代目と似ているといわれるゆえん。十三代目さんは、おじいさんの得意だったシャープな演目と、お父さまの『毛抜』などの大らかなものとの両方ができる。お二人のよいところを受け継いでいるんですね」葛西さんもまた、十二代目團十郎とは襲名披露を含め幾度もその素顔に接してきた。さらに取材を重ねるなかで、宗家ならではのストレスや重圧について知らされる場面があったという。「十三代目が新之助時代に『勧進帳』を初めて演じたときのことです。当時、まだ21歳だった新之助さんにも初日を迎えた気持ちなどをインタビューして、取材は普通に終わっていました。その事実を知ったのは、かなりあとになってからです。お父さまが、あの『勧進帳』のとき、『実は倅が家出した』と打ち明けたんです。つまり、市川家伝来の演目を演じるというのは、それほどのプレッシャーなのだと。『僕は、もう倅に継がせなくていいと思った』ということまでおっしゃいました。『息子はまじめで考えすぎるほどに考える』とも」当時の心境を、十三代目團十郎本人も、新之助時代に出版した写真集『新生CREATING NEW FORM』(スイッチ・パブリッシング)のインタビューでこう話していた。〈もう地獄。素っ裸で冷たい風に打たれて、右へ左へ、涙がこぼれてきた〉この「地獄」を乗り越え、新之助はやがて海老蔵となり、己れの道を突き進んでいく。〈坊ちゃんとかそういうものを捨てて、周りが何と言おうと俺は俺でもう生き始めた〉しかし、その眼前に待っていたのは、さらなる茨の道。父親の白血病が発覚したのが、04年の自身の海老蔵襲名披露公演中のこと。その後、10年秋には暴行事件に巻き込まれ、3年後には父が66歳で逝去する。そこから9年間、十三代目を襲名するまで、また團十郎不在の時間が過ぎていったーー。【後編】天国の小林麻央さんと子どもたちとの強い絆海老蔵が十三代目團十郎にへ続く
2022年11月27日11月28日(月) に歌舞伎座で行われる『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十一月吉例顔見世大歌舞伎」』千穐楽より、八代目市川新之助が出演する『外郎売』の模様が生配信されることが決定した。『外郎売』とは、七世市川團十郎が制定した市川家の芸「歌舞伎十八番」の演目のひとつ。今回は、八代目市川新之助初舞台狂言として、新之助が外郎売実は曽我五郎を勤める。新之助は、初日より本作の眼目である外郎売が薬の効能を語るういろうの言い立てや立廻り、勇ましい荒事の芸を見事に披露し、その凛々しくたくましい姿で多くの観客を魅了している。なお11月29日(火) 13時から12月4日(日) 23時59分までアーカイブ配信も予定されている。<配信情報>市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台『十一月吉例顔見世大歌舞伎』昼の部『外郎売』千穐楽配信日時:11月28日(月) 12:10頃~(約35分)アーカイブ配信:11月29日(火) 13:00~12月4日(日) 23:59まで※一度ご購入頂きますと、アーカイブ配信期間中は何度でも視聴可能です。出演者:八代目市川新之助、中村魁春、中村雀右衛門、片岡孝太郎、中村児太郎、大谷廣松、中村鷹之資、片岡市蔵、市村家橘、市川左團次、尾上菊五郎チケット料金:2,800円(税込)販売期間:11月18日(金) 10:00~12月4日(日) 22:00※「イベント割」対象のため、通常の2割引の価格でお求めいただけます。(通常価格:3,500円(税込))【配信リンク】■歌舞伎オンデマンド※ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料) / ログインが必要です。■Huluストア※こちらの視聴ページは本日11月18日(金) 10:00よりご覧いただけます。「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の詳細はこちら:
2022年11月18日『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十一月吉例顔見世大歌舞伎」』が、11月7日に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。歌舞伎座で2カ月にわたる襲名披露興行の幕開きを飾るのは、『祝成田櫓賑(いわうなりたこびきのにぎわい)』。襲名などの特別な公演では、多くの俳優たちが揃って祝祭気分に溢れる「芝居前」と呼ばれる演目を上演することがあり、本作もその趣向で、鳶頭に中村梅玉、中村鴈治郎、中村錦之助ら、芸者に中村時蔵、片岡孝太郎ら、芝居茶屋亭主に坂東楽善、芝居茶屋女房に中村福助と、豪華な顔合わせでこの度の成田屋の襲名披露を寿ぐ。梅玉勤める鳶頭の掛け声で出演者一同と観客が手締めをすると、これから始まる襲名披露興行への期待に満ちあふれ、おめでたい雰囲気に包まれた。続いては、八代目市川新之助の初舞台となる狂言『外郎売(ういろううり)』。令和元(2019)年7月、貴甘坊役で早口の言立てを披露した市川新之助(当時 堀越勸玄)が、この度は新之助初舞台として外郎売実は曽我五郎を勤める。幕が開くと、舞台は富士山を望む大磯の廓。小林朝比奈(市川左團次)や、大磯の虎(中村魁春)ら大勢の傾城が招かれた酒宴で、工藤祐経(尾上菊五郎)が盃を重ねており、菊五郎の祐経が放つ敵役の色気と大きさが客席を一気に作品の世界へと引き込む。そこへやって来たのは、外郎売に身をやつした曽我五郎(市川新之助)。花道からその姿を現すと、凛々しい佇まいに観客の視線は釘付けに。「劇中口上」では、尾上菊五郎が「『外郎売』は、十二代目團十郎さんが昭和55年5月歌舞伎座におきまして、古風に則り演じられた復活狂言にて、市川家の家の芸にございます。この度八代目新之助くんの初舞台を迎え、父十三代目の教えのもと、この大役を相勤めますれば、何卒鷹揚のご見物のほどをひとえにお願い申し上げ奉ります。」と紹介すると、市川新之助が「祖父十二代目市川團十郎が作り上げました『外郎売』を父十三代目が受け継ぎ、その思いを私が継承させていただきます」と挨拶を述べた。そして、新之助は外郎売として本作最大の聞きどころである早口の言立てを堂々と披露。八代目市川新之助としての第一歩となる大役をしっかりと勤め上げ、割れんばかりの拍手が送られた。昼の部は、十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言『勧進帳(かんじんちょう)』で打ち出しに。智勇を兼ね備えた武蔵坊弁慶を市川團十郎白猿、気品と憂いを漂わせる源義経を市川猿之助、颯爽とした風姿で弁慶と対峙する富樫左衛門を松本幸四郎と、同世代の俳優が揃い歌舞伎十八番屈指の人気作を勤める。幕が開くと、安宅の関所。厳重な警固をしている富樫(幸四郎)が名乗りを終え、花道からは都を落ち延びてきた義経(猿之助)と四天王の亀井六郎(坂東巳之助)、片岡八郎(市川染五郎)、駿河次郎(尾上左近)、常陸坊海尊(片岡市蔵)が登場。続いて、花道に弁慶(團十郎)が姿を現すと、満席となった場内はみなぎる熱気と心地よい緊張感に包まれる。ここから新團十郎の弁慶による白紙の勧進帳の読み上げ、富樫が弁慶を追求する「山伏問答」など息もつかせぬ展開が次々と繰り広げられ、観客を魅了。襲名前の会見で團十郎は、弁慶を父である十二世市川團十郎に教わったと話し、「弁慶を演じる上で一番大切なのは、義経を守る気持ち」と語っていた。その言葉通り、鋭い目力、全身から溢れ出る気迫、躍動感ある一挙手一投足で、義経を何としても守り抜く覚悟を表現。幕切れの花道の引っ込みでは盛り上がりも最高潮に達し、4階の大向うエリアから「成田屋!」「十三代目!」との声がかかる中、飛び六方で豪快に引っ込むと万雷の拍手が鳴り響いた。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような『助六由縁江戸桜』夜の部は、歌舞伎十八番の一つで、荒事の魅力溢れる『矢の根(やのね)』で華やかに幕を開けた。紅梅白梅が咲き誇る正月。勇ましい筋隈をとった典型的な荒事の扮装の曽我五郎(松本幸四郎)が、父の敵・工藤祐経を討つために大きな矢の根を研いでいる。そこへ、お年玉に宝船の絵を持参した大薩摩文太夫(大谷友右衛門)が挨拶に訪れ、その絵を枕の下に敷いて初夢に良い夢でもみようとうたた寝を始めた五郎だが……。五郎が「やっとことっちゃあ、うんとこな」と荒事特有の掛け声をかけたり、夢の中で兄の曽我十郎(坂東巳之助)の危難を告げられて勇みだったりと、全体を通して豪快さと明るさが漂い、祝祭気分に包まれる舞台となっている。続いては、襲名披露『口上(こうじょう)』。舞台上には、十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助はじめ、尾上菊五郎、松本白鸚、片岡仁左衛門、中村梅玉、市川左團次と、襲名披露口上ならではの歌舞伎界を代表する豪華顔合わせが居並び挨拶を述べた。(22日以降は坂東玉三郎も出演)。團十郎は、先輩たちの挨拶に感謝を伝えながら「初代より十二代、團十郎を大切にしてきた先祖を思い、その先祖の足元にも及びませんが、一生懸命努力をし、精進したいという覚悟でございます」と述べ、新之助は「そののちはひとかどの歌舞伎役者となれるよう一生懸命相勤めますれば、どうぞよろしくお願い申し上げ奉ります」と凛々しく挨拶。最後は白鸚の紹介により、團十郎がご来場のお客様の無病息災を願って成田屋の家の芸である「にらみ」を披露し、熱い拍手に包まれた。夜の部の切は、歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』。まずは、裃姿の松本幸四郎の口上により襲名についての挨拶と作品の由来が紹介され、河東節の粋な演奏が始まると、心躍る賑やかな雰囲気に包まれる。三浦屋揚巻(尾上菊之助)の花道の出では、吉原の風情が場内いっぱいに広がり、市川團十郎勤める江戸一の伊達男・花川戸助六が花道に登場。この助六の花道の出は、「出端(では)」と呼ばれ、流麗な所作と形で魅せる本作の見どころだ。助六が探す重宝・友切丸の詮議のため、尾上松緑演じる髭の意休に悪態をつく様子や、廓の女性に相手にされずへそを曲げる片岡仁左衛門演じるくわんぺら門兵衛が、通りすがりの市川新之助演じる福山かつぎに言いがかりをつけるやり取りなど、華やかな舞台を背景に楽しい場面が続いていく。助六と白酒売新兵衛(中村梅玉)の兄弟二人が喧嘩を吹っかける場面も明るい雰囲気に包まれ、通人里暁(中村鴈治郎)が、「成田屋!」「十三代目!」と大向こうで盛り上げ、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような見どころ満載の120分となった。團十郎襲名披露狂言に相応しい助六の伊達男ぶり、多彩な登場人物の個性に自然と笑顔がこぼれる豪華な一幕で、大盛況のまま初日の幕を閉じた。「十一月吉例顔見世大歌舞伎」は11月28日まで歌舞伎座で上演される。「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の詳細はこちら:
2022年11月08日11月7日(月) より歌舞伎座にて開幕する『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十一月吉例顔見世大歌舞伎」』の初日夜の部『襲名披露 口上』が、松竹公式動画配信サービス「歌舞伎オンデマンド」で生配信されることが決定した。『口上』とは、観客へ向けて述べる挨拶のこと。歌舞伎では、古くから襲名や初舞台などの俳優の慶事に舞台上で裃姿の歌舞伎俳優が居並ぶ『口上』が行われてきた。今回が初の試みとなる生配信は、市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助はもちろんのこと、襲名披露公演ならではの歌舞伎界を代表する豪華俳優陣が揃う、貴重な『襲名披露 口上』となる。襲名披露は、11月、12月の2カ月にわたる歌舞伎座での公演を皮切りに2024年10月まで南座や大阪松竹座ほか全国各地で行われ、市川團十郎家所縁の演目や新團十郎、初舞台を踏む新之助の誕生を祝う華やかな舞台の数々が披露される。<配信情報>『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十一月吉例顔見世大歌舞伎」』夜の部 『襲名披露 口上』 生配信配信日時:2022年11月7日(月) 16:50~(約15分)※公演の状況によって開始時間が前後する場合がございます。配信場所:歌舞伎オンデマンド※ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料)/ ログインが必要です。■チケット価格:500円(税込)10月30日(日)10:00より発売※有料配信チケットは11月13日(日) 22:00まで発売。※アーカイブ配信は11月7日(月) 21:00より発売。配信開始後、配信終了後に購入の方も11月13日(日) 23:59までご視聴できます。■出演者市川海老蔵改め十三代目市川團十郎 / 八代目市川新之助 / 松本白鸚尾上菊五郎 / 片岡仁左衛門 / 中村梅玉 / 市川左團次
2022年10月30日スーパー歌舞伎Ⅱ『鬼滅の刃』が、2024年2月・3月に東京・新橋演舞場で上演される。漫画『鬼滅の刃』が“スーパー歌舞伎Ⅱ”に2016年2月に「週刊少年ジャンプ」にて連載がスタートした吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』。家族を鬼に殺され、さらには妹・ 襧豆子を鬼にされてしまった少年・竈門炭治郎が、妹を人間に戻すため、そして家族を殺した鬼を討つために「鬼殺隊」へ入隊するところから始まる物語だ。コミックス全23巻の累計発行部数が1億5000万部以上(電子版含む)を突破。また、TVアニメ・映画・舞台・能と、漫画の枠を飛び越えて様々なジャンルで描かれてきた。そんな人気作品『鬼滅の刃』がついに、「スーパー歌舞伎Ⅱ」として歌舞伎化される。出演に市川染五郎・市川團子・市川猿之助・松本幸四郎「スーパー歌舞伎Ⅱ」は、三代目市川猿之助(現・市川猿翁)の長年の思いから誕生した、台詞をすべて現代語にした「スーパー歌舞伎」の精神を四代目市川猿之助が継承したもので、これまでに『空ヲ刻ム者』『ワンピース』『新版 オグリ』の3作品が上演された。「スーパー歌舞伎Ⅱ」の4作目となる『鬼滅の刃』には、市川染五郎、市川團子、松本幸四郎、市川猿之助と人気と実力を兼ね備えた豪華な顔ぶれが勢揃い。鬼殺隊と鬼が繰り広げる激しい戦いや、それぞれが抱える想いなど原作の魅力はそのままに、「スーパー歌舞伎Ⅱ」ならではの迫力ある舞台を届ける。作品概要スーパー歌舞伎Ⅱ『鬼滅の刃』原作:吾峠呼世晴(『鬼滅の刃』集英社ジャンプ コミックス刊)脚本:横内謙介演出:杉原邦生総合演出:市川猿之助スーパーバイザー:市川猿翁出演:市川染五郎、市川團子、市川猿之助、松本幸四郎、ほか■公演情報上演時期:2024年2月・3月会場:新橋演舞場住所:東京都中央区銀座6-18-2※襧豆子の「襧」は正しくは<しめすへん>
2022年10月29日先祖と亡くなった人の冥福を祈る、お墓参り。遺骨が中に入ったお墓は、残された家族が故人をしのぶ大切なものといえます。2022年10月23日に、歌舞伎役者の市川海老蔵さんがブログを更新。先祖と、2017年にがんで亡くなった、妻でフリーアナウンサーの小林麻央さんのお墓参りに訪れたことを明かしました。我が子とともにお墓参りに行った海老蔵さんは、ブログを通してあるお願いを呼びかけています。それは、祖父と先祖の墓を削ることをやめてほしいというものです。そしてかなしいです。祖父の墓石と九代目の墓石、また削られています。やめてください。お願いします。市川海老蔵オフィシャルブログーより引用写真のように、墓石のいたるところが削られていたのです。「また削られています」と海老蔵さんがいうように、墓石への被害は一度に限ったことではないと分かります。大切な故人の墓石が削られていることを明かした海老蔵さんのブログに、さまざまなコメントが上がりました。・亡くなった人の墓石を削るとは、なんて罰当たりなことを…。・自分がされたら嫌なはずなのに、どうしてこんなことをできるのでしょうか。・心ないことをする人がいるなんて、とても残念です。墓石は、故人と残された家族を結ぶ大切なもの。このように削られる被害は、海老蔵さんだけでなく先祖も悲しんでいるはず。墓石を削った人が、自身の間違いに気付き、少しでも被害がなくなることを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年10月26日スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)『鬼滅の刃』が、2024年2月から3月にかけて東京・新橋演舞場で上演されることが決定した。古典歌舞伎の魅力を生かした上で、現代人の感動できる主題性のある作品を創造したいという三代目市川猿之助(現:市川猿翁)の長年の思いが結実した「スーパー歌舞伎」は、1986年2月に新橋演舞場で初演された『ヤマトタケル』が第一作。早替り、宙乗りなど猿之助歌舞伎ならではの演出はもとより、古典歌舞伎の要素を十二分に取り入れ、台詞は全て現代語にするなどした舞台は多くの観客に支持され、『新・三国志』シリーズなど数々の人気作を輩出した。「スーパー歌舞伎Ⅱ」はこのスーパー歌舞伎の精神を四代目市川猿之助が継承したもので、2014年『空ヲ刻ム者』から始まり、『ワンピース』『新版 オグリ』と続いており、今回の『鬼滅の刃』で四作目となる。本公演では、鬼殺隊と鬼が繰り広げる激しい戦いや、それぞれが抱える想いなど原作の魅力はそのままに、スーパー歌舞伎Ⅱならではのスペクタクルあふれる舞台が展開される。出演者は市川染五郎、市川團子、松本幸四郎、市川猿之助らが名を連ねている。<公演情報>スーパー歌舞伎Ⅱ『鬼滅の刃』2024年2月・3月 新橋演舞場スーパー歌舞伎Ⅱ『鬼滅の刃』第一弾ビジュアル原作:吾峠呼世晴(『鬼滅の刃』集英社ジャンプコミックス刊)脚本:横内謙介演出:杉原邦生総合演出:市川猿之助スーパーバイザー:市川猿翁出演:市川染五郎市川團子市川猿之助松本幸四郎ほかスーパー歌舞伎Ⅱ『鬼滅の刃』公式ホームページ
2022年10月24日市川猿之助が主宰する演劇プロジェクト・猿之助と愉快な仲間たち。2022年2月の第1回公演では、作家・浅田次郎の人気シリーズを「朗読劇『天切り松闇がたり~闇の花道〜』」として上演した。4月の第2回公演は劇作家・横内謙介が新たな構想で書き出した『森の石松』を、市川猿之助による演出で上演。いずれも好評を博し、2023年3月に第3回公演を行うこととなった。そんな中、10月に2.5回公演として急遽「七川劇団リターンズ『新説堀部安兵衛』」を開催することが決定。第2回に引き続き原作は横内謙介。市川青虎が初の脚色と演出を担当し、市川猿之助がスーパーバイザーを務める。10月20日(木)の開幕に先駆けてゲネプロが行われた。冒頭では脚色・演出を務める市川青虎が登場し、前作『森の石松』をダイジェストで語る。要点を押さえたコミカルなダイジェストにより、前回の公演を見逃した方も、本作に連なる人間関係やドラマを理解できるようになっている。物語は、前作で成仏したかと思われた七川一座の面々が次々に“差し戻し”をされることからスタート。和気藹々とした仲間たちの軽妙なやりとりから“猿之助と愉快な仲間たち”の一座としての円熟味が窺える。前作を経て博品館劇場の支配人となったものの、自分のせいで人が死んでしまったという後悔に苛まれ、「人が死ぬ芝居はやらない」と拒絶する小松を、市川郁治郎は熱量を持って演じる。『堀部安兵衛』の台本を持ち込んだ制作の富山(大知)、小松の部下の原田(立和名真大)と小松がぶつかり合うシリアスなシーンに、大森(市川澤五郎)のコミカルな芝居が程よい軽さを与えている。小松の様子を見て、前作では自分達のために『森の石松』を演じた七川一座は人のために芝居をすることに。劇中劇となる『堀部安兵衛』で安兵衛を演じるのは下川真矢。酒飲みだが明るく気さくで、長屋の面々から頼られるのも納得の好漢だ。安兵衛を討とうとする剣客・祐見を演じる市川翔乃亮は、ユーモラスな芝居で憎めないライバルを描き出す。飄々とした安兵衛との対比も楽しい。安兵衛の義理の叔父・菅野六郎左衛門を演じた石橋正次は、穏やかさの中に一本芯の通った強さを感じさせ、安兵衛の生き方に大きな影響を与えるキーパーソンとしての存在感を見せつけた。見得や殺陣に加えてミュージカルのような歌とダンスもあり、長屋の仲間たちの見せ場も多数。仇討ちをテーマとした作品だが、横内による『新説』では大胆な脚色を加え、安兵衛を取り巻く人々の温かさや絆にフォーカスした物語に生まれ変わった。山場である高田馬場での決闘では長屋の仲間たちも駆けつけ、大立ち廻りを繰り広げる。一人ひとりの個性と魅力が際立っているからこそ、一つひとつの戦いや台詞がグッと胸に迫ってくる。公演では若手たちの熱量と勢いたっぷりな芝居を楽しめるだけでなく、豪華な日替わりゲストも登場。アドリブも飛び出すと予想されるシーンに期待が高まる。大衆演劇的な分かりやすさと古典の良さを掛け合わせた作品であると共に、今の世の中で改めて考えたい人との繋がり、演劇の必要性に対するメッセージも感じられるこの作品。制作会見で青虎が語っていた通り、“宝箱”のように仕上がった。休憩を挟んだ2幕は舞踊ショーが行われ、しなやかで美しいダンスやポップな舞踊、聴かせる歌唱まで幅広く披露された。ゲストの見せ場など日替わりの演目もあり、見応え充分なショーをぜひ楽しみにしてほしい。本作は10月20日(木)より23日(日)まで、博品館劇場にて上演される。<公演概要>猿之助と愉快な仲間たち第2.5回公演「七川劇団リターンズ『新説堀部安兵衛』」日程:2022年10月20日(木)〜23日(日)会場:銀座博品館劇場出演:穴井豪 石橋正次 石橋正高 市川郁治郎 市川右田六 市川喜介 市川澤五郎 市川笑猿市川翔三 市川翔乃亮 市川青虎市川段一郎 市川段之 市川三四助 下川真矢下村青 大知 立和名真大(五十音順)=日替わりゲスト=20日(木)15:00公演坂東新悟、嘉島典俊21日(金)15:00公演市川猿之助、市川團子19:00公演市川猿之助、尾上右近、市川團子22日(土)15:00公演市川猿之助、中村鷹之資、市瀬秀和19:00公演市川猿之助、中村隼人、市瀬秀和23日(日)15:00公演市川猿之助、浅野和之、市川團子原作:横内謙介脚色/演出:市川青虎スーパーバイザー:市川猿之助音楽:SADA(破天航路)主催:ニッポン放送/全栄企画株式会社企画:猿之助と愉快な仲間たち制作:株式会社WISTERIENCE制作協力:博品館劇場/三響会企画/株式会社ちあふる協賛:株式会社和光トランスポート協力: 松竹株式会社全席指定 8,000円(税込) ★公演パンフレット付※未就学児入場不可お問い合わせZen-A(ゼンエイ) TEL:03-3538-2300(平日11:00~19:00)公式ホームページ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月20日