フリーアナウンサーの加藤綾子が、国民年金基金連合会の新CMに出演することが7日、明らかになった。あす8日から全国で放送される。加藤が出演するのは、個人型確定拠出年金「iDeCo」のCM。撮影スタッフたちと定食屋で昼食をとっている中、加藤が「老後のお金、不安ですよね」と心配顔で打ち明けると、突然iDeCoのキャラクターであるシロイルカが登場し、iDeCoの特長をプレゼンするという内容だ。撮影は先月、都内にある実際の定食屋で行われ、加藤は「よろしくお願いします!」と現場に入ると、テーブルを囲む架空のテレビ番組スタッフとすぐに打ち解けた。当然シロイルカはその場にいなかったが、加藤は掛け合いの演技を見事にこなし、予定を大幅に上回るスピードで撮影を終えた。
2017年03月07日こんにちは。ファイナンシャルプランナーの小澤美奈子です。2017年1月から個人型確定拠出年金の枠が拡大され、今まで加入できなかった専業主婦や公務員なども利用できるようになりました。そもそも確定拠出年金(iDeCo)とは、自分で出したお金を自分が選んだ金融機関(運営管理機関)の商品で運用する年金制度のこと。つまり、自己責任が生じる年金 なのです。そして自分で運用して行く中で、とりわけ重要なのが、「どこの運営管理機関を選んだらいいのか」ということです。そこで今回は、個人型確定拠出年金を始める際の運営管理機関の選び方のコツ をご紹介したいと思います。●(1)手数料の低い金融機関を選ぼう個人型確定拠出年金の手数料には、新規加入時に国民基金年金連合会へ支払う2,777円、収納手数料の103円/月、事務委託手数料の64円/月などがあります。その他に大切なのが毎月運営管理機関に支払うことになる「口座管理手数料 」の比較。例えば、A社では無料、B社では205円/月、C社では450円/月というように、運営管理機関によって大きく異なります。一見大した差ではなく見えますが、比較してみると、A社とC社では年間あたり5,400円もコストで差が付くことになり、これが20年30年の運用となると、その差は開くばかり。もちろん、利益にも影響してきますよね。つまり、より多くのリターンを得るためには、手数料の低い運営管理機関を選ぶ ことがポイントとなるわけです。●(2)商品の幅広さを確かめる確定拠出年金の商品を大別すると、元本確保型商品 と元本変動型商品 に分けられます。そして運営管理機関ごとに、扱う商品の種類や数は大きく異なるという特徴があるのです。例を挙げると、A社で扱う商品数は49本だけれども、B社は全体で14本、さらにC社では商品の半分くらいは元本確保型商品で占められているのに対し、D社は商品のほとんどが元本変動のリスク型商品であるというように。もちろん扱っている商品が多いほど、選択肢が増え、自分に合った商品が見つかりやすくなるかもしれません。しかし品数が多すぎると、逆にどれを選んだらよいかわからなくなる可能性もありますよね。そのようなときは、一体何を基準に決めれば良いのでしょうか?まずは、資産ごとにバランスの良い品揃えがあるか をチェックしてみましょう。例えば、元本確保型はもちろんのこと、国内外の株や債券、RIETやバランス型など、異なる特性を持つ商品を幅広く揃えているのが理想。また、運用時にかかるコストの比較も重要です。ここで述べているコストとは、投資信託でかかる信託報酬などのことで、これらは自動的に差し引かれて行くため、低いに越したことはありません。意外かもしれませんが、商品数の多い運営管理機関だからといって、手数料が低い商品を多く取り扱っているとは限りません。つまり、品数だけではなく商品一覧表などを実際に取り寄せて、内容を吟味する ことも重要なのです。●(3)その他チェックポイント運営管理機関を選ぶ際には、わからないことがあった場合に、気軽に相談できる場所があるかどうかも、気になるところではないでしょうか。多くの運営管理機関では、確定拠出年金に関する相談はコールセンターでの電話対応となるのが一般的です。しかし数は少ないながらも、店頭で相談を受け付けている 運営管理機関もあります。もし対面での相談を希望するなら、それらを考慮して運営管理機関を選ぶと良いでしょう。----------いかがでしたでしょうか。取り扱う機関がますます増えている、個人型確定拠出年金。自分に合った運営管理機関を選んで、制度を上手に活用しましょう。【参考リンク】・個人型確定拠出年金()●ライター/小澤美奈子(ファイナンシャルプランナー)●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年01月10日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 節税力がスゴい! 確定拠出年金の3つの「おトク」大公開 専業主婦はメリットあるの? 確定拠出年金を始める3つのポイント の続きです。「30代から考え始める『自分年金』」特集も、今回は最終回。それでは現実的に確定拠出年金に加入しようと思う人はどれくらいいるのか、率直なところをフィナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんに質問してみた。投資デビューをするなら個人型確定拠出年金で本特集の冒頭で、「『老後のためのお金』を考えるとき、(現役時代の)収入が多い・少ないよりも、計画を立てて準備していないことが命取りになります。」と書いた。私自身は、この「計画を立てて、準備をすること」の中に、「投資をすること」はマストだと思っている。なぜなら月額7万円(「 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うとは【30代から考える「自分年金」 第2回】 」)という金額は、貯蓄だけではためることはとても難しいからだ。だからこそ、投資が必要だと考えている。そのうえで、私自身が、ひとつだけ提案できることといえば、「投資を始めるのであれば、個人型確定拠出年金から手をつけたら良いのでは?」という思いだ。なぜ、投資デビューに個人型確定拠出年金?1.個人型確定拠出年金は選びやすい個人型確定拠出年金としてラインアップされている投資商品は、多くて10数本(金融機関によって違う)。普通の投資信託だけでも5、000本あるといわれているほかの投資商品より、目移りせずに選びやすい。2.販売手数料が原則無料個人型確定拠出年金として扱っている商品は、販売手数料が原則無料だ。同じ証券会社の投資商品が販売手数料3%だとしても、個人型確定拠出年金は販売手数料が無料となる。3運用手数料が安く設定されている投資信託の運用手数料である「信託報酬」も、比較的安く設定されている商品が多い。つまり、投資コストを低く抑えることができるのだ。すぐさま始める人は100人に2人それでも個人型確定拠出年金への気持ち的なハードルは、すごく高いのではないだろうか? 今回、特集を担当してみたものの、「やっぱり、よくわからない」。これが2016年現在の多くの人の感覚だろう。山中さんは言う。「個人型確定拠出年金についてお話をして、『じゃあ始めよう!』とすぐさま思う人は、100人に2人くらいですね。」少し、ホッとした。いや、かなりホッとした。1対1の対面で伝えても、そのくらいのヒット数なのか、と。山中さんは、個人型確定拠出年金への加入をためらうお客様にこんなふうに伝えることもあると言う。「大丈夫ですよ。今日、決められないのであれば、今日はそういうタイミングなんだと思います。そのかわり、どこかのタイミングで、『やっぱり、やってみようかな』と思ったら、また、いらしてくださいね」すこしとっぴな例えかもしれないが、個人型確定拠出年金を始めるための気持ち的な階段が10段あるとしたら、本特集は、その1段になれば良い。また、何かのキッカケで1段あがる、次は3段あがる…。堂々巡りも意味があるし、なにも無駄にはならないのだ。出遅れを心配する必要はない個人型確定拠出年金について、出遅れを心配する必要はまだない。「現段階(2016年11月取材時)では、商品構成が発表されていない金融機関もあります。まだ、まだ、これから商品のラインナップなどには動きがあるでしょう」。(山中さん)ちなみに、個人型確定拠出年金は「投資」商品だけ扱っている訳ではない。「投資」商品以外のもの、たとえば、「預貯金」や「年金保険」などもある。2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになった。この事実を知り、「個人向け確定拠出年金には、どんな商品があるのだろうか?」と、商品のラインアップについて、興味を持ってみる。そんなところから、「自分年金」づくりを始めてみてはどうだろうか?※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月20日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 節税力がスゴい! 確定拠出年金の3つの「おトク」大公開 の続きです。前回までに「確定拠出年金」が節税効果が高いことを説明したが、実際に始めるためにはどうすればいいのか? ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんにお話を聞いた。ポイント1 個人型確定拠出年金の対象者と限度額2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになる。。だからもちろん専業主婦も加入できるようになったわけだが、正直なところ、専業主婦にはそれほどメリットはない。なぜなら確定拠出年金のメリットは前回話したように、所得控除にある。しかし所得がない専業主婦の場合、夫の所得からの掛け金控除は受けられない。こういった家庭の場合は、専業主婦が確定拠出年金に加入するよりは、夫の確定拠出年金の枠を広げた方が世帯としての税金は安くなる。税金が安くなるからといって、確定拠出年金はいくらでもかけることができるわけではない。「対象者」によって、積立できる金額が異なってくるのだ。積み立てる掛け金は毎年4月~翌年3月までの間に、1回だけ変更ができる●個人型確定拠出年金の対象者と限度額掛け金は、月額5,000円以上 1,000円単位※1 企業年金の種類によって違ってくる※2 国民年金基金、付加保険料と合わせて6万8000円が限度ポイント2 個人型確定拠出年金を始める場合の流れ個人型確定拠出年金を始める場合の流れはを簡単に説明する。<事前に確認するポイント>・選択する金融機関(運営管理機関)によって用意されている金融商品が違う金融機関選ぶ際には、商品のラインアップをチェックしよう。・投資信託の信託報酬など、手数料をチェック長期に渡っての運用となるので、手数料の違いがのちのち大きく響いてくる。<確定拠出年金を始めるときの流れ> ポイント3 原則60歳まで引きだせない確定拠出年金は、節税というメリットがあり、良いことづくめのようにみえる。ではデメリットはないのだろうか。最大のデメリットとしては、原則として60歳まで引きだせないということだ。「原則」と書いたが、ほとんど引きだせないと思っておいた方が良い。過去には東日本大震災のときでさえも、かなり限定された場合だけしか引き出しに応じなかったという事例がある。ただしこれをデメリットととらえるか、メリットととらえるか…、これこそが老後プランを考える上での分岐点となるかもしれない。なぜなら確定拠出年金は、引き出しが厳格に制限されているからこそ、「老後資金を確実にためる方法」といえるのだ。加入期間中に自己破産になっても確定拠出年金の資産は差し押さえの対象とならないほど、特権的な扱いを持っている。だからこそ確定拠出年金とは、これらのことを心して、ためていくお金だということ覚えておきたい。※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月19日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 の続きです。知っている人だけがトクをする「確定拠出年金」という制度。「どうしてトクをするのか?」を「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんに聞いた。■国が用意した老後資金貯蓄方法確定拠出年金とは、税制優遇を受けた国の「老後資金専用貯蓄制度」である。つまり、確定拠出年金とは、国が用意してくれている老後資金の貯蓄方法で、それを使うメリットは、税金が安くなることだ。では、どんなときに、どれくらいの税金が安くなるのだろう? これこそが確定拠出年金の「肝」である。■おトク1 個人年金より上! 所得控除のすごさひとつめのメリットは、積立時の掛け金が全額所得控除となる点。これは、すごく大きい。なぜなら所得税というものは、収入に課せられるわけではなく、そこから必要経緯、医療保険を引いた額に課税される。その控除できる中に、確定拠出年金も入ってくる。所得控除の額が大きければ、税金で引かれる金額が小さくなる。ようするに、節税になるわけだ。節税できる具体的な金額をイメージしたい場合は、「 個人型確定拠出年金ナビ 」でザックリとした計算ができる。節税できる「老後資金の積立て」という意味では、生命保険会社の個人年金保険がメジャーだ。しかし確定拠出年金とこの金融商品を比べても、差は歴然としている。仮に毎月2万円を1年間24万円積立てしたとして、次の試算表のように、節税メリットは、圧倒的に確定拠出年金の方が上だ。●個人年金保険と確定拠出年金の節税メリット比較<年収500万円で所得税率10%、住民税率10%で試算>※控除額:税金を計算する金額から差し引いてもらえる金額のこと。控除額が大きいほど、税金は安くなる。出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋■おトク2 元本保証商品も! 運用益も自分のものふたつめのメリットは、運用益(※)が非課税となる点。投資などを行ったときに得られた利益にも税金はかかってくる。そもそも、いま、運用益にかかる税金は何%かご存じだろうか? 答えは、20%! たとえば10万円の運用益が出たとしたら、2万円が税金として差し引かれてしまう。けれども非課税であれば、この2万円が、まるまる自分のものとなる。運用益が非課税となる制度として、「NISA(少額投資非課税制度)」もある。NISAとの違いを表にまとめると、次のようになる。確定拠出年金だと、元本確保型の商品も非課税の対象になる点がポイント。投資にアレルギーがあるという人でも元本保証の商品であれば、「とりあえず、預貯金を確定拠出年金で始めてみる」だけでも、節税効果という「実」は受け取ることができるのだ。※運用益 : 資産の運用によって得られた収益のこと。たとえば預貯金に金利が100円ついた場合、運用益は100円。このうちの20%が税金で差し引かれる計算。2037年までは復興増税が加算され20.315%となっている。●NISA(少額投資非課税制度)と確定拠出年金の違い比較出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋■おトク3 年金は受取時に税金が!でも確定拠出年金は控除みっつめのメリットは、確定拠出年金を受け取るときにある。あまりに未来すぎて、イメージが沸かないと思うが、実際に受け取るときには、これの効果が実感できるはず。そもそも、年金は支給額をまるまるもらえると思っている人も多いようだが、じつは年金も収入なので、所得税が発生し源泉徴収される。確定拠出年金は60歳時点で10年以上の加入期間があれば、60歳から70歳までの10年間で、好きなときに引き出すことができる。受け取りかたの選択肢は次の3つ。それぞれにメリットがある。●確定拠出年金の受け取りかた出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋長々と解説したが、要するに、下記だけは覚えておいて欲しい。確定拠出年金をすると、節税ができる「老後資金なら、しのごの言わずに、まずは確定拠出年金から始めましょう」(山中さん)次回は、確定拠出年金制度の「ポイント」3つを解説!※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月18日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには の続きです。老後資金を考えるのなら、「確定拠出年金」がキーワードとなる。引き続き、ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんは、「マネー業界大トピックが起こる!」と話す。■確定拠出年金という言葉を知っている?そもそも、「確定拠出年金」という言葉は、ご存じだろうか?じつは、わが家自体は、数年前から夫が会社の確定拠出年金制度に入っている。夫の会社が確定拠出年金を導入したとき、妻である私は、「何か難しそう…」と、夫がもらってきた書類一式を放置していた。そんなあるとき、私が参加したファイナンシャル・プランナー向けの確定拠出年金の勉強会で、もっとも具体的に切りこんで質問していたのが、今回取材させていただいた山中さんだ。「いま、確定拠出年金が注目されているのは、2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになったからです」と、このことがマネー業界の大トピックであると、山中さんは話す。ひと口に確定拠出年金といっても、「企業型」と「個人型」がある。これまで確定拠出年金に入ることができたのは、「会社が制度を導入したから」自動的に入っていた「企業型」の加入者だ。しかし2017年1月からは、「個人型」の確定拠出年金に加入できる人の範囲が広がるのだ。■確定拠出年金のメリットって?「だれでも個人型確定拠出年金の加入できるようになったことが、そんなに大トピックなの?」と、多くの人は素朴な疑問が沸くことだろう。最大のメリットは、確定拠出年金に加入すると、節税ができるけれども、「節税!? それが、そんなに良いことなの」と、思う人も多いだろう。■節税とは、根にある「実」!? 「『金利』はわかるけれど、『節税』はわからないという方は多いみたいですね。たとえるならば、『金利』は木に花が咲いて実がなるイメージ。『節税』は、お芋みたいに土を掘ってみないとわからないものなんです」(山中さん)実がなる(お金が殖える)という意味では、「金利」も「節税」も両方とも同じ。けれども、目に見える形で殖えないので、主婦にとって節税は遠い話になりがちだ。「でも、節税の方が、じつは確実なんですよ。市場の動向によっては、金利(木の上になっている実)は、嵐がくれば落ちてしまうこともあります。けれども節税(木の下にある実)は、大丈夫。この目に見えない部分を意識していくことは、お金を殖やす上で、とても大切なことなんです」(山中さん)。貯蓄をしようと考えたときに、節約やら収入を殖やすなどは考えるのに、税金を節約することは抜け落ちがち。でもじつは、節税というものをしっかり考えていくことも、老後の準備をする上では、とても大切なことだ。次回は、節税というメリットがある確定拠出年金制度の「おトク」3つを解説!※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月17日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? の続きです。30代~40代の心がけによって、「お金に困らない老後生活を送れるかどうか」が変わってくる。ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんにお話を聞いた。■年金をもらっている人も毎月不足している!?「いま、年金をもらっている人たちのモデルケースでは、毎月7万円が足りないと言われています。」(山中さん)。 定年が65歳で、90歳まで生きるとしたら、不足額面は、2,100万円!(7*12)=84万円(年間) 84*25年=2,100万円これがついこの間退職をした、いわゆる「もらえる年金額的には『裕福』な人」の実態なのだ。「いまの高齢者でも7万円足りていないなら、私はもっと足りない。『65歳になったときに、お金のない自分はどうしているだろう?』、そのイメージを確実に作っていくことが大切です」(山中さん)■人生3大資金の山場「老後資金」30~40代の人は、人生の3大資金のうち、「住宅ローン」「教育費」という「お金の山場」を、必死で登っている段階。筆者自身が、「老後資金の準備」なんて、まったく考えにも及ばなかった。しかし死力を尽くして「住宅ローン」「教育費」の山を登り終えたと思ったら、老後なのだ。そしてそこには、お金の足りない自分がいる。自分にとって、20年前って、つい最近だったような気がする。だったら、20年後も、わりとすぐにやってくるのではないか?■将来の自分に「仕送り」を 山中さんはいう。「老後の準備とは、言葉を変えれば『将来の自分への仕送り』です。年老いた自分は、今の自分が養わなければならない扶養家族なんですよ」 たとえば、65歳以降90歳まで生きたとして25年。いまの年金受給者である不足分「毎月7万円」が私たちも不足すると考える。この分を、「30代の自分が60代の自分に仕送りをする」、こんな風にイメージしてみよう。将来への仕送りは、早くから始めるに越したことはない。30歳から65歳への仕送りを始めたのであれば、仕送り額は7万円でなくても大丈夫となってくる。■毎月の老後への仕送りなんて無理なのか?月額7万円! 老後の自分のために月額7万円なんて、とてもじゃないけれども仕送りできない。けれども、そこで思考停止してしまっては、よけいにお先真っ暗だ。どうしたら良いのだろうか?「老後資金について考え始めたのなら、『確定拠出年金』から着手しましょう。なぜなら老後資金づくりに限定すれば、確定拠出年金はダントツ有利な制度だからです」(山中さん)次回は、知っている人だけが得する確定拠出年金制度です。※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月17日「老後」。この言葉を聞いて、明るい気持ちになる人は、まずいないだろう。ほぼすべての人がが、「なんとなく、ブルーな気分」になるのでは?連載の冒頭から結論をいってしまうと、「お金に困らない老後生活を送りたい」と思うのなら、30代~40代の過ごし方(心がけ)が大事になってくる。それでは30代の人はどうすればいいのか? その不安から抜け出す対策について考えてみたい。■なぜ、30代から「老後」を考える必要があるの?ファイナンシャル・プランナーで、「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんは言う。「老後はだれにでも必ず訪れる『事実』です」と。マネー分野では、よく「人生の3大資金」という言葉が使われる。人生の3大資金とは、「住宅ローン」「教育費」「老後資金」。このうち「住宅ローン」と「教育費」は、必要ない人もいる。けれども、「老後資金」だけは、だれもが「当事者になるお金」だ。この大金を準備するために、「自分がお金を稼げる時期」が終わるまでにやっておかなければならないことがいくつかある。「『なんとかなる』と思って、やるべきことをやらなければ、『老後貧乏』という形でツケを払うことになるかもしれません」(山中さん)■幸せの老後には、収入が多い・少ないは関係ない「老後の準備」というと、「できるだけお金をためておくこと」と思う人も多いだろう。けれども、山中さんは言う。「『老後のためのお金』を考えるとき、(現役時代の)収入が多い・少ないよりも、計画を立てて準備していないことの方が命取りになります。」幸せな老後は、計画を立てて準備を始めることから。だからこそ、30代から、「老後」についてのイメージトレーニングを始めることに意味があるのだ。 ■現在、年金をもらっている人の平均額は?老後のイメージトレーニングとして、「いま、実際に老後を迎えている人」がもらっている平均的な年金額を知ることから始めてみよう。 年金額280万円=夫(年額200万円)+妻(年額80万円)「会社員だった夫と専業主婦だった妻の年金額の平均は、280万円といわれています」(山中さん)年収280万円といえば、月収22万円くらい。ここから税金や社会保険料が差し引かれ、手取りは18万円程度となる。もっとも、この数字は、「いま、実際に老後を迎えている人」がもらっている金額であり、いわゆる「もらえる年金額的には『裕福』な人」といわれている層がもらえる年金となる。■30代の人が「老後」になったときもらえる年金額では、年金制度が先細りになるといわれている、私たち30代~40代の年金額面はどれくらいになるのだろう? 年金額240万円=夫(年額160万円)+妻(年額80万円)「会社員だった夫の年金は160万円(年額)くらいに下がるといわれています。専業主婦だった妻の年金を現状のままもらえると考えて、240万円くらいが良いところでしょう」(山中さん)夫の年金額が下がるのだから、妻の年金額も下がることが予想される。つまり、年額240万円よりも年金額は低くなると考えておいた方が良さそうだ。次回は、「いま、30代の人が「老後」に足りなくなる具体的な金額」です。※この記事は2016年11月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月16日昨日12月6日、年金制度の新ルール化を盛り込んだ「年金制度改革関連法案」が参議院厚生労働委員会で審議入りしました。11月末、衆議院の本会議で賛成多数によって可決となっており、いよいよ大詰め段階に入っています。この法案は「現役世代の負担減・年金制度そのものの安定化に繋がる」という声もある一方、「現在もしくはこれから年金を受給する高齢者の年金減額に繋がる『年金カット法案』だ」という批判の声もあります。とはいえ、そもそも年金の金額というのはどのような仕組みで決まっているのでしょうか?また、どうしてこの法案は「年金カット法案」だとして批判を浴びているのでしょうか?Q.「年金カット法案」と言われている理由は?*画像はイメージです:.物価が上昇しても、賃金が下落すれば年金額が下がってしまうため現在の制度でも年金額は「賃金・物価」の影響を受けるため、実はこれらの増減によって年金額は毎年微妙に変動しています。ただ、今の制度では「特例措置」として、物価が上昇していても賃金が下がっている場合は、年金額は「減らさない」というものが採用されています。しかし、今回の改革法案ではこの特例措置を無くすようになっているため、物価上昇時に賃金が下がる場合、年金額も下がることになってしまうのです。その場合、当然年金生活者にとっては生活が厳しくなることが想定され、この部分が「年金カット法案だ」と言われる理由なのですね。一方、賃金の情勢はいわば年金制度の「財源(収入)」にあたるため、この部分を優先させることは、年金制度の継続性を重視した改正案だと見ることもできるのです。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*和尚 / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月07日夫が急死! まず妻がしなければいけない3つのこと 夫の葬儀でトラブル! 葬儀社の選び方と費用の目安 の続きです。夫が突然亡くなり、混乱の中、病院の支払いや葬儀代とお金が出ていくことが続く。そんなとき、気をつけなければいけないことに「銀行口座の凍結」があると、フィナンシャル・プランナーの内藤浩介さんは話す。■夫が亡くなり最初にする手続きまずは書類手続きの説明をしよう。夫が亡くなり、最初に提出しなければいけない書類が「死亡届」である。通常、死亡診断書と死亡届けは1枚の書式になっていて、死亡届に署名と押印(認め印でも可)をして提出する。この書類を提出すると、火葬許可証を受け取ることができる。「死亡届けの提出期限は、医師から死亡診断書を受け取った日から7日以内(海外で亡くなった場合は3カ月以内)ということを覚えておいてください」(内藤さん)●死亡届けの提出先1)死亡地の市町村役場2)故人の本籍地の市町村役場3)届出人(署名・押印をした人)の現住所地の市区町村村役場出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋■夫の口座が凍結!? 「葬儀代」をどうする?「本人が死亡したあと、銀行口座が凍結され、お金が引き出せなくなる」という事実を知っているだろうか。口座が一度凍結されてしまうと、解除するまでに数週間から数ヶ月かかる場合もある。「病院や葬儀費用の支払いは、口座が凍結されたといった、こちらの都合では待ってはくれません。可能であれば、臨終前に必要な金額を銀行から引き出しておくのも、ひとつの方法です」(内藤さん)。なぜ口座が凍結されるのだろうか。それは、人が死亡したその瞬間から「相続」が発生し、個人の財産は法律上「相続財産」となるからだ。 ■夫の財産にはプラスとマイナスがあるここでひとつ、重大な注意がある。「夫が亡くなった直後に、『口座が凍結されていないから(※)』と、多額の預金を引き出すのは絶対にしないでください。これをやってしまうと、相続を『単純承認』したとみなされる場合があるからです」(内藤さん) 「単純承認」とは、夫のすべての財産を相続することを意味する。財産はなにもプラスの財産だけではない。マイナスの財産、借金というのもあるのだ。「あとになってマイナスの財産のほうが多いことがわかり、相続放棄をしたいと思っても、『単純承認』をしてしまっていると、それができなくなる場合があるのです」(内藤さん)※口座凍結は、金融機関が新聞の死亡欄から死亡情報を得たり、窓口に来た遺族から死亡を知らされたりして行われる。役所の知らせによって実行されるわけではないので、死亡届を出したからといってすぐさま口座凍結がされないこともある。次回は、夫が死亡した後の「生活費の計算の仕方」について取りあげます。■今回取材にご協力いただいた内藤浩介さんの著書 『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』 (内藤浩介/東洋経済新報社 本体1,400円+税)Facebook: 内藤浩介さんFacebook
2016年11月18日夫が急死! まず妻がしなければいけない3つのこと の続きです。夫が亡くなり、つらい中、妻は葬儀を取りしきらなければいけなくなる。葬儀のことなんて、まったくわからない! という人も多いだろう。引き続き、長年、夫を亡くした妻にアドバイスをしているフィナンシャル・プランナーの内藤浩介さんにお話を伺った。■葬儀の前に、夫の実家に菩提寺の確認を!「葬儀について、まずは旦那さんの実家に、相談したほうがベターでしょう。妻である奥さまに葬儀の決定権があるのであれば、すべてを決めても大丈夫です。」(内藤さん)●葬儀について夫の実家に相談したほうが良い場合・夫の実家に菩提寺がある・夫の親がまだ生きている・口うるさい親戚がいる出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋とくに夫に菩提寺(先祖代々の墓や位はいをまつり、菩提を弔うお寺)がある場合は、葬儀社も限られてくる場合があるので注意が必要だ。「菩提寺以外で葬儀をしてしまい、お骨を菩提寺に埋葬しようとすると、必ず『もう一度、この形式でお葬式を執り行ってください』という話になります。実は菩提寺に関するこのトラブルは、とても多いので注意してください」(内藤さん)■葬儀費用の全国平均は160万円前後「お葬式って、一体いくらお金がかかるの?」最近ではネットで料金が表示されていることもあるが、実際のところはどうなのだろう。「あくまでも参考ですが、全国の葬儀費用の平均は160万円前後になると思います。弔問客の人数によっても異なってくるので、例を参考にみていただければと思います」(内藤さん)●例)東京都渋谷区にある代々幡斎場で葬儀を行った場合・直葬 : 16万円~・家族葬 : 10万円~・30人(うち弔問客10人) : 80万円~・50人(うち弔問客30人) : 86万円~出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋■健康保険から支給される「葬祭費」「埋葬料」意外と知られていないのが、「葬祭費(埋葬料)」というものの存在だ。国民健康保険や社会保険から受け取ることができる。「それほど大きな金額ではありませんが、夫が亡くなったときというのは、『出ていくお金』が激しい時期。もらえるものは、きちんともらいましょう」(内藤さん)●葬祭費(埋葬料)の手続き方法と費用出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋次回は、夫の銀行預金がどうなってしまうかについて紹介します。「凍結口座と単純承認に注意!」とのことですが、一体どういうことなのでしょうか。■今回取材にご協力いただいた内藤浩介さんの著書 『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』 (内藤浩介/東洋経済新報社 本体1,400円+税)Facebook: 内藤浩介さんFacebook
2016年11月17日働き盛りの夫が突然死んでしまった!考えたくないことだが、万が一のときに、すべてを取りしきらなければいけないのは、妻である私たち。「人にはなかなか聞きづらいことだけれど知っておきたい大切なこと」という思いが、今回取材にいたった背景だ。今回は「夫が突然死亡したときのお金」について、『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(東洋経済新報社)の著者でフィナンシャル・プランナーである内藤浩介さんにお話を伺った。内藤さんは現役の生命保険会社の社員で、長年、夫を亡くした妻にアドバイスを行っている。■その1 夫にまさかの事態! 万が一のときセットの用意朝、夫を「行ってらっしゃい!」と送り出した数時間後、救急車や病院から電話がかかってくる。実は、この記事を書いている私自身が、救急隊から「旦那様が脳内出血を起こしている可能性があります。すぐに病院に来てください」と連絡をもらったという経験がある。さいわい大事にはいたらなかったのだが、実際に「夫の命が危ない」という当事者になってみると、あたり前だが、尋常ではない程気が動転してしまった。そこで最初に、この話から初めてみよう。こんなとき、妻はどうすれば良いのだろうか? 「『ここは冷静に行動し、●●を用意した上で病院に駆けつけましょう』と解説している本が多くあります。けれども、ひとまず財布と携帯だけ持って行けば大丈夫。いちばん大切なことは、子どもの安全の確保です。子どもの迎えには身内や親しいママ友などに頼み、幼稚園(学校)には『○○が迎えに行きますので、それまで幼稚園(学校)で待機させてください』と先生に必ず連絡を入れましょう」(内藤さん)冒頭の事態の際にはわれながら、「よく病院にたどり着いたな」と思っている。それくらい気が動転していて、記憶がない。それが現実だ。だからこそ『万が一のときセット』を事前に用意するというのはアリかもしれない。普段から用意しておきたい持ち物は、次のとおりだ。●夫に万が一のことがあったとき、病院に持っていくもの1)夫の健康保険証2)夫名義の貯金通帳(夫が死亡すると口座が凍結されるため、その前にまとまったお金をおろすために必要)3)夫のアドレス帳やメモ帳(夫の親類や友人・知人に連絡する際に使用)4)自分用の数日分の着替え(病院の泊まり込みを想定)出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋■その2 病院で亡くなってしまったとき 最初にすること病院に駆けつけたものの、祈りむなしく夫が亡くなってしまったら、どうしたらよいのだろう。「妻のあなたは頭が真っ白になり、ショックを受けることでしょう。ですが、現実問題としてはショックを受け入れる間もなく、さまざまな手続きや届け出に追われることになります」(内藤さん)最初にやるべきことは、葬儀社を決めること。なぜなら、病院は基本的に遺体を安置してくれないから。ゆえに、遺体を自宅に運ぶか、葬儀を行う葬儀社に運ぶか、すぐに決める必要があるのだ。「遺体の搬送は自家用車でもできますが、葬儀社に頼んだほうが安心でしょう。葬儀をどこで行うか決めていない場合でも、遺体の搬送だけを頼むこともできます」(内藤さん)。■その3 自宅で亡くなったとき してはいけないこと「注意が必要なのは、夫が自宅で亡くなったとき。死亡したかどうかの判断は医師にしかできないので、必ず検視が必要となります。医師が死亡を判断するまでは家族が布団などへ動かすことも、葬儀社が遺体に触れることもできません。現場はそのままに保存しておく必要があります」(内藤さん)●現場をそのままに保存しておく必要がある場合・溺死、事故死、災害死、自殺などの場合・生前にかかりつけの医師がいない場合・病死(自然死)であるか不明の場合・指定された感染症による死亡、または中毒死などの場合・殺人、過失致死などの犯罪死、あるいはその危惧がある場合出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋死亡が診断されたあとは、葬儀となる。次回は、葬儀社の選び方と費用の目安についてのお話です。■今回取材にご協力いただいた内藤浩介さんの著書 『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』 (内藤浩介/東洋経済新報社 本体1,400円+税)Facebook: 内藤浩介さんFacebook
2016年11月16日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。少しずつその名前が浸透している『個人型確定拠出年金 』。みなさんはこの制度の特徴やメリットを正しく理解できていますか?将来に備えて、税金対策にと、使い方次第であなたの資産形成に大いに役立つかもしれませんよ。●個人型確定拠出年金とは?まず初めに確認から。個人型確定拠出年金とは、自営業者や企業年金に加入していない会社員を対象とした、運用型の年金制度 です。今後は公務員や専業主婦も利用できる予定で、ますます利用者が増えるものと思われます。昔からある受取金額が決まった年金制度と違い、個人型確定拠出年金は自らが資産を運用して将来に備える ものです。このような新たな資産形成の方法に、導入当初は戸惑う人も多かったようですが、現在では他の運用商品に関する制度(NISAなど)の後押しも受けて、確実に「自分の資産は自分で増やす」という風潮が高まっていることから、若い世代を中心に個人型確定拠出年金のニーズも上がっているようです。また、その人気にともない、個人型確定拠出年金を取り扱う機関の数や、運用商品の種類も増えています。●個人型確定拠出年金のメリット3つ運用することだけが目的であれば、一般的な株や投資信託を売買すればよい話です。しかし、個人型確定拠出年金にはそれだけではなく、税金面などでもメリットがあります。●(1)掛金が所得控除される毎月の支払金額が全額所得控除の対象となり、所得税や住民税を軽減する ことができます。また、受け取りの際にも、年金で受け取るときには『公的年金等控除』、一括で受け取るときには『退職所得課税』として税制上の優遇措置を受けることができます。一般的な株や投資信託では利益が出たら必ずそこから税金が引かれてしまいますから、個人型確定拠出年金によって運用の利益をすべて自分のものにできたら嬉しいですよね。●(2)自分で選んだ商品を運用できる一般の年金も、専門の機関によって株や債券などに投資され日々運用されています。しかしその銘柄は自分で決めることはできず、すべてが専門機関におまかせの状態です。一方で、個人型確定拠出年金ならば自分で選んだ銘柄によって資産運用ができます。これなら自分の将来設計に合わせて銘柄や運用スタイルを決めることができるので、より自分にあった資産運用ができそうですね。●(3)60歳まで確実に貯まる個人型確定拠出年金の特徴として、60歳までは解約できません 。しかしその点が功を奏し、預貯金よりも確実に毎月一定額を将来のために蓄えることが可能です。銘柄はハイリスク・ハイリターンのものだけではありませんから、資産の安全性を重視したい人にとっても十分に対応できるはずです。●最後に個人型確定拠出年金を賢く利用するためには、事前の下調べが重要です。取扱機関によって銘柄や運用商品は変わってきますし、運用リスクもあり得ます。また、取扱機関の違いで手数料なども変わってくる ようです。このように少々面倒な点もある個人型確定拠出年金ですが、これこそが「自分の資産は自分で増やす」ことにつながっているのです。従来のおまかせ型年金のままでは安心とは言い難い昨今、早くからお金について自分で考え、積極的に行動する姿勢が、数十年先の生活に大きく影響してくるのです。【参考リンク】・個人型確定拠出年金()・個人型確定拠出年金()ナビ「iDeCoナビ(イデコナビ)」 | 特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)
2016年10月24日障害年金とは?出典 : 「障害年金」とは、障害によって生活の安定が損なわれないように、働く上で、あるいは日常生活を送る上で困難がある人に支払われる公的年金の総称です。業務時や通勤時による障害を補償する労災保険の障害年金もありますが、今回は、国民年金法、厚生年金保険法等に基づき日本年金機構が運営業務を行っている障害年金について紹介します。障害年金の種類出典 : 日本年金機構の障害年金には2つの種類があります。1.障害基礎年金障害基礎年金とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、すでに国民年金に加入していた人が受給することができる障害年金です。また、国民年金に加入前、20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人にも給付されます。2.障害厚生年金障害厚生年金とは、初診日にすでに厚生年金に加入していた人に支給され、障害基礎年金に上乗せするものとして給付される報酬比例の年金です。障害年金を受けるための条件出典 : 障害年金を受給するためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。病気やけがにおいての初診日であり、その病院での初診日ということではないので注意してください。障害年金の受給希望となったきっかけである病気やけがの初診日が、いつ、どこの病院だったかを特定する必要があります。その際、診断書などの裏付けができるものも必要です。ただし、知的障害に関しては先天的な障害とされているので、初診日の証明は必要はありません。アスペルガー症候群や自閉症にもこの例外は広がりつつありますが、まだ発達障害全般には保障されていません。初診日に国民年金や厚生年金保険などの年金制度に加入している必要があります。しかし、初診日に住所が日本国内にあったならば、初診日に20歳未満、あるいは60歳以上65歳未満でも国民年金に加入していたのと同じ扱いになります。20歳未満は国民年金に加入できないことから、20歳に達した時に障害等級に該当していれば加入要件は必要ありません。つまり、20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人にも年金制度の対象となります。以下の2つのどちらかに当てはまっている必要があります。1.初診日の前々月までの年金加入月数の3分の2以上が保険料納付済みか免除されている月であるとき2.初診日の前々月までの年金加入月数の12カ月すべて保険料納付済みか免除を受けた月であるとき障害等級に該当している必要があります。障害等級とは、障害の状態を分けたもので、重いものから1級、2級、3級とされています。1~2級は国民年金法施行令で、3級および3級より軽度の障害状態は厚生年金保険法施行令で定められています。この場合の障害等級は労災保険の障害年金のものとは違うものです。厚生年金に加入している場合は1級~3級のいずれかに該当しているならば障害厚生年金を受給することができます。また、障害等級が3級に達していなくても条件に該当しているならば、障害手当金という一時金が支払われます。国民年金に加入している場合は、1級と2級に該当しているならば障害基礎年金を受給することができます。しかし、障害基礎年金には障害手当金はありません。障害年金を受けるための障害認定基準出典 : 障害年金に関わる(年金額の)等級も、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳も「1級、2級」と、等級の表し方は同じのため混同しやすいのですが、障害年金の障害認定基準は障害者手帳の障害認定基準と異なります。そのため障害者手帳で1級でも、障害年金では異なる場合があります。精神障害における障害認定基準は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて認定されていました。しかし、精神障害と知的障害の認定において、地域でその基準に違いがあるという状況が明らかになってきました。こうした、認定における地域差を改善するため、厚生労働省は新しいガイドライン(『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』)を作成し、2016年9月1日より実施しています。精神障害と知的障害においての等級は、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の評価の平均をもとに認定されるようになりました。等級目安などの詳細は下記のリンク先にあります。ただし、てんかんにおいては、発作の重症度や頻度などを踏まえて等級判定を行うことを障害認定基準で規定しています。そのため、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて、等級認定を行います。『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』|日本年金機構身体障害の障害認定基準についても下記のリンク先でも紹介しています。平成28年6月1日に、障害基礎年金、障害厚生年金の障害認定基準の一部が改正されているので確認してみてください。国民年金・厚生年金保険|日本年金機構障害認定基準|横浜障害年金申請サポート不安なことやわからないことがあったら、お近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。全国の相談・手続き窓口|日本年金機構障害年金はいくら支給されるの?出典 : 日本年金機構によると、障害年金は以下のように計算され毎月支給されますが、支給額はその年度の経済状況で変動があります。また、子どもの数による加算額は児童手当との兼ね合いで支給額が調整されます。下記は2016年度の金額です。現段階でいくら支給されるのか、目安として参考にしてください。1級の場合の年額:780,100円(老齢年金の満額)×1.25+子の加算2級の場合の年額:780,100円(老齢年金の満額)+子の加算※子の加算…第1子・2子は一人につき224,500円。第3子以降は一人につき74,800円。この時の子どもは下記の要件を満たしている必要があります。・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子・20歳未満で障害者1級または2級の障害がある子Upload By 発達障害のキホン障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構1級の場合:(自分の老齢年金) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕2級の場合:(自分の老齢年金) + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕3級の場合:自分の老齢年金額または最低保障額 585,100円※1級・2級の場合障害基礎年金も加わるUpload By 発達障害のキホン障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構障害基礎年金と障害厚生年金を比較した図が以下のものになります。Upload By 発達障害のキホン障害年金の支給が停止する場合出典 : 障害年金は支給が停止する場合があります。たとえば、1年ごとや3年ごとなどに提出する診断書をもとに障害の状態が要件に当てはまらないとされたときなどがあります。一方、複数回診断を受けても障害の状態変化があまりなく、固定状態が証明されている身体障害においては、診断書の提出の必要がない場合もあります。障害厚生年金においては、業務上の病気やけがでも障害年金を請求することはできますが、労働基準法の規定による障害給付を受け取る権利があるときは、6年間障害厚生年金を受け取ることができません。また、労働者災害補償保険法の規定による障害給付を受け取るときは、労働者災害補償保険法の給付の一部が減額されます。1世帯(扶養親族なし)の所得額が360万4千円を超える場合には年金支給額の2分の1が支給停止となり、462万1千円を超えると年金支給額の全額が支給停止になることがあります。障害年金の申し込み方法出典 : 障害年金請求方法として主に以下の2つがあります。障害認定日とは障害の程度を認定する日で、初診日から1年6カ月経過した日、あるいはその病気やけがが治った場合は病状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を指します。何らかの理由で請求が遅れてしまっても、障害認定日の時点から3カ月以内の診断書の添付ができます。その際に症状が障害等級に該当するものだとしたら、さかのぼって過去の分の年金を請求することもできます。基本的に、障害年金受給の権利は条件を満たしてればいつでも得ることができますが、実際にさかのぼって請求できるのは過去5年分のみです。障害認定日時点の診断書の取得や当時の症状を証明できるものが必要なため、複雑に感じる人もいます。しかし、申請が受理されると、障害認定日の翌月分から障害年金を受給することができることは大きな利点であると言えます。Upload By 発達障害のキホン事後重症請求は、障害認定日の障害の程度が障害等級に該当していなくても、その後症状が悪化し、その症状が1級~3級に該当した場合に適用します。しかし、65歳までに障害認定基準に該当している必要があり、請求書は65歳前に提出しなければなりません。請求が受理されると、認定日の翌月分から受給できますが、障害認定日請求とは違い、さかのぼって過去の分を請求することはできないものになっています。Upload By 発達障害のキホン一人の人に複数の障害があった場合ですが、日本年金機構によると、特別、複数の障害があった場合の請求方法はないそうです。ただし、請求する際にはすべての障害に関する診断書が必要なため、手続き過程において複数の障害があることは確認されます。その人の障害の状態や重なりによって、その後の対応は変わるため、まずは窓口で相談するか、診断書を提出して審査をしてもらいましょう。障害年金の申請に必要な書類出典 : まずは、初診日や障害の状態を証明できる診断書や障害者手帳を持って年金事務所や市役所の国民年金窓口へ行くことをおすすめします。そこで必要な書類などの相談ができます。下記は参考として見てみてください。・年金請求書(居住地の市区町村役場、または近くの年金事務所または街角の年金総合センター窓口に備え付けられています)・年金手帳・戸籍抄本・医師の診断書・受診状況等診断書・病歴・就労状況等申立書・受取先の金融機関の通帳等・印鑑※18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障害のある子どもを含む)がいる場合・戸籍謄本・世帯全員の住民票・子の収入が確認できる書類・医師、または歯科医師の診断書障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構・年金請求書・年金手帳・戸籍抄本・医師の診断書・受診状況等診断書・病歴、就労状況等申立書・受取先金融機関の通帳等・印鑑※18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障害のある子どもを含む)がいる場合・戸籍謄本・世帯全員の住民票・配偶者の収入が確認できる書類(これは障害厚生年金のみです)・子の収入が確認できる書類・医師、または歯科医師の診断書障害厚生年金を受けられるとき|日本年金機構困ったら社労士に相談を出典 : 障害年金を利用したくても、申請などの手続きが大変なことから申請を諦めてしまう人もいます。その複雑さを軽減してくれる人が、社会保険労務士(通称、社労士)です。社労士とは、労働・社会保険に関する法律や人事・労務管理の専門家として、私たちの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる人のことです。障害年金についての無料相談や申請書作成の代行も行っています。まずは各地域の社労士会に無料相談をしてみましょう。社労士会リスト|全国社会保険労務士会連合会まとめ出典 : 以上、障害年金について制度の概要を解説しました。障害年金を受け取るためには、年金を納めていることが必要である点に注意してください。また、納めていても申請が複雑で面倒ということから申請を諦めてしまう方もいます。もし手続きに不安を抱えていたら社労士に早めに相談し、申請のサポートを受けることをおすすめします。
2016年09月08日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。2016年の下半期は資産運用に興味があるママさんへ朗報です!今まで一部のサラリーマンだけのものだった確定拠出年金が、今年から専業主婦でも利用できるようになります!そこで今回は、この制度を賢く活用するためにその仕組みを説明します。●どこが変わったの?確定拠出年金(401Kとも言います)は今まで自営業者や会社員の一部が利用できる運用型の資産運用の方法でした。ところが、2016年5月24日の法案可決によって、公務員や専業主婦も利用できるようになった のです。確定拠出年金は掛金を自分で決めて、普通預金や保険・投資信託などのさまざまな商品を選び運用することができます。また、そのお金は60歳以降に年金または一時金として受け取れるので、老後資産の備えになります 。では、普通の貯金や投資信託ではなく、あえて確定拠出年金を行うことにどんなメリットがあるのでしょうか?●確定拠出年金を行うメリット確定拠出年金は、・(a)毎回の所得税・(b)毎回の運用益・(c)年金や一時金として受け取ったときの所得税などが非課税または少なくなるという点が最大のメリットです。(a)は全額が所得控除の対象になりますので、パートやアルバイトをしていて所得のあるママさんなら対象となります。また、一般の投資信託などの運用商品の場合は、利益が出たらそこから税金が引かれてしまいますが、確定拠出年金を選べば(b)でも書いたように、すべて自分のものになります。(c)においては、税制優遇に限度額などが設けられているものの、特に専業主婦のママさんなどはほとんどが非課税対象となる仕組み になっています。そのため、老後資金としてお金を貯金・運用するのであれば、他の商品よりも確定拠出年金を選んだ方が税金のメリットは多い内容となっています。●確定拠出年金を行うデメリット一方、当然デメリットになり得る点もあります。それは主に3つ、(1)60歳までおろせない(2)管理手数料などがかかる(3)運用商品によっては元本割れのリスクがある確定拠出年金は税制面の優遇がある分、時間的な束縛が長い制度となっています。掛け金はいつでも降ろせるものではありません。そのため毎月の掛け金は生活する上で支障のない金額 にしましょう。また、非課税となるものの毎年または資産を移すたびに手数料が発生することも忘れてはいけません。この手数料は確定拠出年金を管理してくれる金融機関によって幅がありますから、加入前に必ずチェックするようにしてください!さらに、運用商品はローリスク&ローリターンなものからハイリスク&ハイリターンなものまでさまざまあります。自分の資産形成の理想に合った商品を選ぶために、事前の資料集めや商品比較を行うことが大切ですよ!●まとめ法案の改正によって確定拠出年金はますますメジャーな存在になっていくことでしょう。もはや年金を運用するのは一部の富裕層のみではありません。国や銀行にお金を預けても安心できない現代、私たちは確定拠出年金などを通して、より積極的に資産運用と関わっていかなければいけないのです。【参考リンク】・個人型確定拠出年金制度の概要 | 野村証券()・確定拠出年金制度 | 厚生労働省()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)
2016年07月11日「老後の生活がものすごく心配なんです」とおっしゃる人が多くいます。しかも、いま将来に不安を抱えているのは「もうすぐ定年です」という50代の方でも、「もうそろそろ子どもが成人するんです」という40代の方でもありません。結婚前の独身の方や、新婚ホヤホヤという20~30代の方のほうが「老後に強い不安」を持っているようなのです。よほど不安なようで、金融機関やFP、保険業者が勧める老後のための金融商品を簡単に契約する人も少なくありません。そんななか、よく販売されるのが「個人年金保険」という商品です。■個人年金保険は本当に必要なのか個人年金保険とは、民間の保険会社が販売している金融商品のひとつ。保険という名はついていますが、掛けた保険料相当額が保険金額となるので、保障と呼べるものではありません。保険というよりも「貯蓄」としての要素が強い商品で、「定額型」という一般的なタイプは、掛けて保険料以上の金額(110~130%程度)が必ず年金として受け取れます。また、この「定額型」の個人年金保険は「個人年金保険料控除」といって、一定の基準を満たせば「生命保険料控除」となるのですが、他の生命保険料控除とは別枠で年間最高4万円まで所得控除をうけることができるのも特長です。「掛けた以上にお金が戻ってくる」「さらに税金も安くなる」と聞けばメリットだらけ。「老後の準備に絶対した方がいいのではないか?」と加入したくなる気分もわかります。でも、本当にそうでしょうか?実は、当然ですがデメリットは存在します。具体的には、大きく2つのポイントを考慮して判断するべきです。■個人年金保険の2つのデメリット1つ目は、「途中で解約するリスクはないのか?」という点です。「掛けた以上のお金が戻ってくる」というのは、支払期間すべて支払ったからこそ受けられるメリットです。加入して早期で解約すれば、もちろん掛けた金額以下のお金しか戻ってきません。つまり、極端な話、途中で解約することになれば、こんな商品に加入するよりも銀行に「預金」していた方がマシということになってしまいます。しかし、20~30代の方の場合、人生で一番お金がかかるのは、実は子どもの教育のピーク、つまり子どもが大学に行く期間です。それは普通、老後より前にきますよね。子どもを予定していないのであれば別ですが、そうでないのであれば、この時期にもちゃんと保険料を支払い続けることができるのかを考えるべきです。2つ目は、「契約した予定利率が続いていく」という点。保険会社も、みなさんから預かった保険料を運用しているからこそ、掛けたお金以上の金額で支払えるのです。しかしご存じのとおり、マイナス金利となった現在は、金利がものすごく低くなっています。当然、保険会社の運用成績も下がりますから、定額型の個人年金保険の利回りも昔にくらべてどんどん悪くなってきています。いまこの商品に加入するということは、この利回りが悪い状態を何十年も約束させられて商品に加入するということです。ましてや最近の商品には、「無配当」といって、約束以上の運用ができたとしても配当金が加入者に戻ってこないものも少なくありません。十分に気をつけるべきです。*マイナス金利という異常事態によって、銀行は預金を預かれば預かるほど経費がかかるようになってしまいました。そんななか、投資信託や保険商品の販売に力を入れるところも増えています。銀行に勧められたからといって簡単に加入するのではなく、しっかり検討しましょう。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝)
2016年07月01日「まだ先のこと」と思っていても、いつかはやってくる老後。そのとき、手にできるお金が現役時代の雇用形態によって違ってくることをご存知ですか?一般的に、非正規雇用は正社員より低賃金で、退職金も期待できないとされます。そんな弱い立場で働く人が年金を増やす方法を、節約アドバイザーのヨースケ城山さんが教えてくださいました。最近の雇用形態の実情とともに、保険のしくみを紐解きながら、さっそく見ていきましょう。■いまの日本に非正規で働く人は約4割もいる厚生労働省が2015年12月に発表した2014年の「就業形態調査」によると、民間企業で働く非正規社員は40.5%に達し、初めて4割の大台を超えました。総務省の「労働力調査」(2014年)では、非正規の割合は役員を除く雇用者全体の37.4%という割合が算出され、およそ2.5人に1人が非正規雇用者というのが最近の実情です。また、総務省の調査(2014年)によると、正社員として働く機会が見つからず、非正規社員として働く人(不本意非正規)の割合は、非正規全体の18.1%。年齢層別では、25~34歳グループが28.4%と最多。「初就職者」の4割が非正規という統計もあり、大学新卒者で就職後、数年で転職する人の割合が増えている一因ともなっています。加えて、非正規社員から正社員への転職も容易ではありません。総務省の「就業構造基本調査」(2012年)によると、過去5年間で転職した人のうち、非正規から正社員になった人はわずか24.2%にとどまります。■たとえ非正規雇用でも厚生年金に加入できる増加傾向にある非正規雇用者は、正社員より待遇が不利になりがちですが、適用条件さえ満たしていれば「厚生年金」に加入することができます。正規雇用者と比べると低賃金のため、年金の受給額は少なくなりますが、企業と掛け金が折半されるので、「国民年金」にくらべると有利であることはいうまでもありません。さて、ここまでに2つの保険の名前が登場しました。まずは「国民年金」について簡単にご説明しましょう。これは基礎年金と呼ばれる保険で、収入に関係なく保険料は定額で、受け取る年金額は加入年数で決まります。保険料は、全額個人負担。会社勤めの人は、おそらく給料から天引きされていることでしょう。一方の「厚生年金」は、国民年金に上乗せしてもらえる保険金のことで、会社勤めの人が対象になります。国民年金と違い、保険料は会社と折半で、もらえる金額も収入に応じて異なります。「厚生年金」に、非正規雇用者でも正社員の所定労働時間および日数のおおむね4分の3以上働いていれば、加入対象者となるのです。そのため、「非正規雇用でも厚生年金に加入しているなら、無理して転職する必要はないでしょう。厚生年金に加入しているだけでお得なので、低賃金で足りない分は副業などで稼ぐのも一案だと思います」と、ヨースケさんは話します。■厚生年金が無理なら個人型の確定拠出年金を厚生年金の加入資格がありながら、会社が加入してくれない非正規雇用者は、全国に推計で約200万人もいることが、2015年度の厚生労働省の調査で判明しました。保険料の半分を負担すべき雇い主が、違法に「加入逃れ」をしている可能性が指摘されています。厚生年金未加入が疑われている企業は、なんと79万社にのぼり、2016年4月から悪質な企業には立ち入り検査を実施し、強制加入させる方針で臨んでいます。とはいえ、そう簡単にはいかない大きな壁が、現実には立ちはだかっているのです。なぜなら、厚生年金の保険料支払いは、中小零細企業にとっては死活問題でもあるから。加入したいけど払えない……。そのために、加入できないという状況なのです。倒産の危険性もあるので、厚生労働省としても無理やり加入させることもできない……。しかし、労働者としては加入してもらいたい。そんな葛藤があるようです。働く立場からいえば、同じ職場でじっと待つ方法もあります。しかし、いままで加入しなかった会社に今後を期待するのは難しいので、「個人型の確定拠出年金」で防衛しましょう。掛け金の限度額は月額6万8千円。全額自己負担となりますが、全額所得控除となるため、国民年金の保険料に上乗せして所得控除の対象となります。ヨースケさんは、「これが非常に有利な制度になります。引かれる所得税や住民税が安くなるのです」といいます。これを使えば節税しながら老後資金準備もできます。最低でも月額5,000円からですが、国民年金基金が65歳からの支給開始に対し、確定拠出年金は60歳からの有期年金で、5年とか10年など期間が選べるので、60歳から65歳までのつなぎ資金にすることも可能です。■国民年金を払えないなら免除か猶予申請を!苦しい生活状況のときは、国民年金保険の支払いを免除したり猶予したりすることができます。免除や猶予の申請ができるのは、「低所得による免除」「失業等による免除」「若年者、学生等による猶予」といった種類があります。支払いが苦しいことを申請しなければ、未納扱いになります。それが、免除申請をしていると、国から半額負担で年金受け取り金額に含まれます(年金受取額は増えます)。猶予の場合は、追納しない限り金額には含まれません(年金受取額は増えません)ので、なるべく免除申請をおすすめします。とはいっても猶予制度、免除制度ともに、受給期間には含まれるので障害年金や遺族年金の対象になります。未納扱いは、損をするので絶対に避けましょう。*非正規雇用とひと口に言っても、置かれた状況はさまざま。収入、年齢、家族構成などを考慮し、自分に合った年金の増額計画を立てましょう。(文/山本裕美) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。
2016年06月28日自己責任運用型の年金制度である「個人型確定拠出年金」(以下、「401k」)が導入されて早5年が経過しました。当初、「従来の年金よりもリスクが高い」「運用の失敗で損をするのが怖い」などと嫌がる人が圧倒的に多かったのですが、税務的なメリットや投資コストの安さから、めきめきと少しずつ知名度が向上。最近では、景気の先行き不安や賃金上昇の見込のなさ、現役世代の老後不安から、自ら401kにトライする人が急増しています。実際、自ら401kに加入している人は、日本全国で25万7,579人もいるのです!(平成28年4月30日現在)。しかし、これだけ加入者が増えた一方、関心を持ちながらもイマイチ踏み出せずにいる人もいまだに少なくありません。その理由のひとつが「どの金融機関を選んだらいいかがわからない」ということ。それもそのはず、取扱い金融機関は150以上あるのですが、一般人にはその違いはわかりにくいからです。そこで、選ぶ前の注意点と選ぶときのチェックポイント、そして選び方について解説します。■金融機関を選ぶ前にまず自分のスタイルを確認!401kの金融機関を選ぶ前に、「自分が401kをどう活用したいか」というご自身のスタイルを確認してください。なぜなら、401kは一つの投資であり、長期戦だからです。投資にはコストがかかります。さらに、いったん始めたら、原則10年間は支払を止めることはできませんし、60歳になるまで現金として引き出すことはできません。つまり、自分にとってのメリットを最大にするには、自分自身が安全志向型か、それとも積極的に投資にトライするタイプなのかを見極める必要があるのです。■金融機関選びのポイントは「ランニングコスト」401kの金融機関を選ぶときのチェックポイントは次のとおりです。1.事務手数料(特に口座管理手数料)2.投資信託の保有コスト(信託報酬)3.商品の種類と品ぞろえ1.と2.は継続的にかかる費用、つまりランニングコストです。1.は資産残高に関係なく定額で払うべきコスト、2.は資産残高に比例して増えるコスト。ランニングコストは、ひとつひとつは少額でも長期間にわたって払い続けるため、最終的には膨大な金額になります。毎月の掛け金や資産残高が少ない人、安全志向型の人は1.を重視し、もともと投資に関心があり、余裕資金で401kへ積極的に投資をしていきたい人は2.を重視すべきだといえます。3.はすべての人に必要な共通項目です。投資の原則といってもよいでしょう。■口座の管理費用がもっとも低い金融機関はココ!掛け金や残高を少なく済ませたい、あるいは、定期預金などリスクの低い商品で401kを検討したい場合には、事務手数料を意識した方がよいでしょう。なぜなら、定額で払うコストは、401kに投じる資産額が少なければ少ないほど、最終的な投資結果への影響が大きいからです。401kの事務手数料は加入時手数料と口座管理費用の2つがあります。具体的には、次のようになっています。もっとも注目すべきは「口座管理費用」です。その理由は、いったん加入したら60歳まで毎月払い続けることになるからです。同時に、口座管理費用は金融機関によって異なります。最大で年間5,000円ほど差が出ることもあります。35歳から60歳まで掛金を支払う場合、口座管理費用だけでトータル175,000円の差額が生じることになります。このとき、毎月の掛け金額が最低額の5,000円であるならば、投資総額は5,000円×12ヶ月×25年=150万円。つまり、金融機関の選び方を間違えると、口座管理費用だけで投資額の1割以上の損をすることになるのです。口座管理費用が比較的低いのは、スルガ銀行とSBI証券です(ただし、いずれも残高50万円以上の場合)。スルガ銀行を選んだ場合、加入時の手数料が2,777円、口座管理費用は年間で2,004円です。またSBI証券を選んだ場合、加入時の手数料が3,857円、口座管理費用は年間で2,004円となります。■リスクある投資なら「投資信託の保有コスト」を401kの運用においては、預金のような元本保証のものだけでなく、投資信託のようなリスクのある金融商品も考慮する必要が出てきます。もともと多額の金融資産をお持ちの方ならば、401kのメリットを活かして積極的にリスクをとって投資をしていきたいケースが多いでしょう。この場合、気をつけたいのが「投資信託の保有コスト」、つまり信託報酬です。信託報酬は、資産の残高に一定の率を乗じて計算します。つまり、残高が多くなればなるほど負担額は大きくなります。通常の投資信託に比べ、401kで運用した場合の信託報酬はかなり安くなりますが、それでも積もりに積もったらバカになりません。なおかつ金融機関によって差があります。具体的にいうと、日本の株式市場全体に投資するインデックス型を選んだ場合、信託報酬で高いものは年率で0.6~0.7%になります。一方、安いものは0.2%ぐらいです。仮に毎月2万円ずつ22歳から60歳まで投資したとします。掛金の累計額はいずれも912万円ですが、信託報酬0.65%の場合はおよそ115万円、0.2%の場合はおよそ35万円となり、差額は約80万円になります。そのため、最大限投資のメリットを生かしたい場合には、なるべく信託報酬の率が低いところを選ぶべきです。信託報酬の安さでオススメできるのが野村證券とりそな銀行です。特に野村證券は品ぞろえの豊富さから、投資が高く、積極的な人にはオススメな金融機関といえます。■投資の原則は401kも同じなので分散しよう!投資のスタイルもチェックポイントも人それぞれで違います。しかし、どの人でも気をつけるべきポイントがひとつあります。それは「投資先を偏らせず、分散投資をする」ということ。401kは、最低10年間、払い続けなくてはいけない長期投資です。場合によっては20年、30年ともっと長い時間をかけて運用する場合もあるでしょう。その間にはおそらくいろいろな出来事が発生します。リーマンショックのような金融危機もあれば、バブル期のように一気に市況が好調になるときも出てくるかもしれません。そういったことを視野に入れて、自分の年金資産がいかなる状況でも守られるように商品設計をする必要があるのです。そのためには、商品の品揃えが極端に少ない、または偏りがある金融機関は避けた方がよいでしょう。一般的に401kの投資信託の運用対象には4つのカテゴリーがあります。「国内株式型」「国内債券型」「外国株式型」「外国債券型」です。401kを取り扱う地方銀行のなかには、この4つの商品がそろっていないことがあります。これでは適切な分散投資ができません。選択対象から外した方がよいでしょう。*繰り返しになりますが、401kは10年以上かかる長期投資です。その間には、さまざまな経済のイベントが生じることが予想されます。さらに、自分の身の丈に合わない選択をしたからといって、すぐにやめることもできません。突然の好況や不況にも耐え、かつ、自分自身の性格や傾向にあった金融機関選びができるといいですね。(文/税理士・鈴木まゆ子)
2016年06月20日今、老後破産や老後貧乏、下流老人などが話題になっていて、老後どうなるのか、不安ですよね。それで、年金の受給額が気になっている女性は多いはず。私たちは、老後に年金をいくらぐらいもらえると考えておけばいいのでしょうか?これについて、平成16年に行われた年金の大改正で、国が試算した将来のシミュレーションがあります。難しそうだと思われるかもしれませんが、今回はこのシミュレーションを参考にもらえる年金の受給額を確認していきましょう。■払った金額より多く年金をもらえる?厚生労働省の「世代ごとの保険料負担額と年金給付額について」というシミュレーションの数字は、将来的な物価上昇を考慮して計算された物。よって、物価上昇を考慮していない()で囲まれた数字を見たほうがわかりやすいかもしれません。現在40歳の人は、このシミュレーション当時には29歳ですから、おおよそ30歳の時点での数字だと思えばいいでしょう。30歳(1975年生)の列を見てみると、厚生年金は6,700万円、国民年金は1,800万円が年金給付額となっています。また、厚生年金では2.7倍から2.4倍。国民年金では1.9倍から1.8倍、払った金額より多くもらえることになります。もちろんこれは、あくまでも、平均余命(その年齢からの平均寿命)生きた場合ですが……。■運用利回りが大きな問題になっている「じゃあ安心なのね?」という解釈は大きな間違い。なぜならこの国のシミュレーションには、大きな問題点がいつか指摘されているからです。すべて挙げるとキリがないのですが、もっとも大きな点を1つ挙げるなら、それは運用利回り(年何%で資産を運用できたかを表す数値)です。平成16年のシミュレーションの前提である年金積立金の平均運用利回りは、3.2%でした。この数字だけでも「本当に大丈夫?」と疑いたくなるのに、直近平成21年に開かれた年金制度を見直す国の会議(※財政検証・・・5年に一度年金財政を検証する会議)では、その運用利回りの前提が4.1%に引き上がっているのです。「さすがにこれは無理があるんじゃ……?」などと疑問が出ても不思議ではありません。年金制度をいまの給付水準のまま維持しようとするなら、この運用利回りがないと成り立たないということなのでしょう。逆にいえば、この運用利回りが出せないようであれば、いまの水準の年金を受取ることはできないということになってしまいます。ちなみにこの12年間の平均運用率を見てみると、平成13年度は-4.01%だった実質的な運用利回りが平成24年度には10.21%になっており、大きく変動していることがわかります。ただし、平成24年度はアベノミクス効果で株高になったため、10.21%という高い利回りになっていますが、平均すると1.54%。到底4.1%の数字には届きません。もちろん、「他の国にくらべて、日本の年金運用の実績は悪すぎる。運用方法を改善するべきだ」という意見もあるようですから、今後の数字がどうなってくるかはわかりません。未来は予測したとおりにはならないのですから。■利回りが変わらなかったら80%の額しかし、もしも現在の利回りがこの先も変わらないとするとどうでしょうか?あるシミュレーションでは、現在40歳で平均年収350万円の人が、65歳時点で受け取れる年金は毎月約105,000円になるともいわれています。逆にいえば、このぐらい年金額を下げないと、年金制度が維持できないということです。また、現時点と同じ金額を受け取るには、現在65歳からもらえる支給開始年齢を70歳まで引き上げないといけないという研究者もいます。現在130,000円もらえている年金が105,000円になるということは、おおよそ現在の80%の額しかもらえない計算になるのです。とはいえ、考え方を変えれば、「そうか、いまの80%程度は年金がもらえるんだ」ということにもなるはず。「年金がもらえない」ということと、「年金はいまの80%ぐらいはもらえる」という考え方は全然違います。悲観論で示されるこの金額をひとつの目印として、老後の生活の準備に入っていくのはいかがでしょうか?(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※(世代ごとの保険料負担額と年金給付額について)年金制度における世代間の給付と負担の関係について-厚生労働省※岡崎充輝(2014)『知らないとヤバイシングルのためのお金の話』彩図社
2016年06月15日2016年、2017年と、主婦の年金に関する法律が改正されることをご存知ですか?たとえば、条件によってはこれまで「130万円の壁」といわれていたものが106万円に引き下げられることになっています。不利であるように思われるかもしれませんが、これは主婦が将来もらえる年金を増やすチャンスでもあるのです。そこで、節約アドバイザーのヨースケ城山さんに、主婦の老後資金づくりについて伺いました。■1:パート勤務でもOKな厚生年金に加入する実は今年、パートで働く人にとって朗報ともいえる法律が制定されました。2016年10月から、一定条件で働くパートタイム労働者でも厚生年金に加入できるようになるというものです。以下の3つの条件にすべて当てはまる人なら大丈夫ですので、チェックしてみましょう。(1)1週間の労働時間が20時間以上(2)月収88,000円(年収1,060,000円)以上(3)1年以上勤務見込みである(平成28年10月から適用の厚生年金保険法第12条による)今回の法律では、従業員が501人以上の企業に勤めている人のみが対象になっていますが、これらを満たしていれば、パート勤務の人でも厚生年金に加入できるようになります。その場合、毎月の給与から厚生年金が天引きされることになりますが、そのまま定年まで働けば、将来は正社員と同じく「厚生年金+国民年金」を受け取ることができます。ただし、第3号被保険者から第2号被保険者への変更となるため、夫の保険料だけだったこれまでとは違い、妻も社会保険料を支払わなければいけません。ですから、目先の手取りを優先するなら、「106万円の壁」を超えないように年収を調整するほうがよいでしょう。しかし、生涯での総支払額と受取額の収支を考えれば、厚生年金に加入しておくほうが有利になる可能性も高いので検討の余地はあります。■2:「繰り下げ受給」を使って年金の受取額アップする本来65歳から支給される年金は、66歳以降に繰り下げて受給することで、1ヶ月につき0.7%増額されます。この制度を上手に使えば、年金は増やすことが可能です。繰り下げができる最大月数は60ヶ月(5年)となっており、0.7%×60ヶ月で最大42%の増額が可能。ただし12ヶ月経過しないと繰り下げの受給権は発生しませんので、66歳以降に受給することが繰り下げの条件になります。この制度では、万が一繰り下げている期間中に年金が必要になった場合、途中で65歳にさかのぼって受給することも可能。その際は繰り下げの金額は適応されませんが、急にまとまったお金が必要になったときや、大病を患ってしまったときなど、申請すれば一時金として受け取ることができるのです。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがある人の場合は個別に繰下げをすることもできるので、自分の経済状況に合わせて検討してみましょう。もし65歳になる時点で迷っている場合は、とりあえず繰り下げ受給を選択するというのもひとつの手といえます。ただし、条件によっては配偶者加給年金などの支給がなくなることもあるので注意してください。■3:「個人型確定拠出年金」で60歳から年金を受給する2017年1月1日からスタートする個人型の確定拠出年金は、これまで加入できなかった主婦や公務員にも対象が広がることになります。この確定拠出年金は、主婦こそ加入すべきです。確定拠出年金とは、公的年金に上乗せする手段となるもの。主婦が確定拠出年金に加入する場合は「個人型」となります。第3号被保険者である主婦の人は、公的年金については世帯主の拠出だけですが、確定拠出年金は自身で掛け金(限度額月額23,000円)を支払う必要があります。あまりうまみがないように感じられるかもしれませんが、おすすめできる理由は、この確定拠出年金は持ち運びができるという点です。いまは働いていない、もしくは扶養内で働いているパートタイムの主婦も、今後は扶養を外れて働く可能性があります。その際、個人型に加入していれば企業型の確定拠出年金に移換できるのです。反対に、企業型の確定拠出年金を行う会社に勤めていた妻が出産や子育てを機に退職した際は個人型に移換することもできます。つまり若いころから年金支給開始日まで継続して積み立てることができるシステムなのです。これは途切れないことが大切です。また、もうひとつの大事な理由は、支給開始年齢が60歳から選べること。何歳になっても働けるまで働こうと思っている方は多いと思いますが、60歳を過ぎると給料はやはり現役とくらべると下がるのが普通です。そんなとき少額でも60歳から年金が入ると、心の余裕が違います。確定拠出年金は5年、10年などの有期年金もありますので5年有期で考えて公的年金の支給開始年齢までつなぐということもできます。*年金については旦那さん任せという人もいるかもしれませんが、実は主婦でも年金を増やす方法はあるんですね。新しい制度を知って、いまのうちにしっかり備えておきましょう。(文/平野鞠) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。
2016年06月14日質問:無職ですが遺族年金を受け取っている場合、告知書にはどう書けばよいですか?「年金生活者」に該当するので、「遺族年金受給」とご記入ください。遺族年金受給者は「年金生活者」に該当するので、「遺族年金受給」とご記入ください。例えば、「年金」とだけ記入した場合や、「年金受給者」欄にマルを付けただけの場合、「老齢年金」とみなされることがあるため、必ず「遺族年金」と記入する必要があります。ただし、保険会社によって取り扱いが異なるため、申込時によく確認してください。
2016年05月26日■公的年金を補完する制度=確定拠出年金制度皆さんは、国の年金制度に加入されていますよね?現在の日本の公的年金制度は、自営業者は国民年金、会社員は厚生年金、公務員は共済年金です。現在の年金制度の概要については、 厚生労働省のWebサイト に詳しい説明がありますので、そちらをご覧ください。そうした公的年金制度を補完する制度が、今回のテーマである「確定拠出年金制度(DC)」です。れっきとした国の制度で、個人型と企業型があります。掛金を預貯金や投資信託などで運用し、運用次第で老後の年金額が変わってきます。DCに加入すれば、厚生年金(2階建て)の会社員は3階建てとなり、国民年金(1階建て)の自営業者は2階建ての年金制度を持つことができます。企業型DCは、企業が掛け金を拠出し、個人型DCは、加入者自らが掛け金を出します。以前は加入対象が、国民年金に入っている自営業者と、厚生年金に加入する会社員のうち、勤め先に企業年金などがない人でしたが、先頃の衆議院本会議で改正確定拠出年金法の一部を改定する法案が成立しました。これにより2016年1月から、個人型DCの対象が公務員や主婦にも広がったほか、すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになりました。ほぼすべての国民が対象となっています。(※1)・(参考) 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案|厚生労働省(PDF) (※1)2016年5月24日の衆議院本会議決議を受け、記事の一部を訂正いたしました。(2016年5月25日11時37分) ■DC制度もNISAと同じく、運用利益が非課税でお得DC制度も、これまで解説してきた NISA 同様、積立投資をするのに向いています。なぜなら、NISAもDC制度も運用益(配当や値上がり益)が非課税だからです。通常、投資の運用益には、20%(復興特別所得税を加えると20.315%)の税金がかかります( 第17回 の冒頭でお話ししました)。しかし、NISAもDC制度も、運用益は非課税で、運用期間中、課税されません。つまり、その分、お得なのです。さらに、DC制度には、税制面でも大きなメリットがあります。掛け金は全額、所得控除されるのです。さらに住民税の負担減にもなります。このメリットはNISAにはありません。DCのほうが、より税制が優遇されている制度なのです。■DC制度でどれくらいの節税になるのか?現在、個人型DCは、自営業者など第1号被保険者は、月6万8,000円まで、会社員で個人型DCに加入する場合は、月2万3,000円まで拠出することができます。・自営業の場合たとえば、社長のAさんが、毎月6万8,000円(年間81万6,000円)を30年間拠出した場合を見てみましょう。自営業者のAさんは所得税率40%ですので、住民税10%と会わせると、30年間で1,224万円もの節税になります。816,000円 × 50%(※1)= 408,000円(1年間の節税額)408,000円 × 30年 = 12,240,000円の節税(※1)所得税率40%と住民税率10%を加えた率 ・会社員の場合次に、会社に企業年金制度のない会社員のBさんが、毎月2万3,000円(年間27万6,000円)を拠出した場合を見てみましょう。会社員のBさんの所得税率は20%ですので、住民税10%と会わせると、30年間で248万4,000円もの節税になります。276,000円 × 30% = 82,800円(1年間の節税額)82,800円 × 30年 = 2,484,000円の節税 大きな節税効果がありますね。 また、DCには受け取り時も、公的年金等控除や退職所得控除の優遇があります。税制優遇を受けられる口座を活用することで、お金の増え方が違ってきますので、ぜひ、NISAやDCを最優先して使いましょう。また、今後、これまで口座をもてなかった主婦(第3号被保険者)や公務員なども平成29年1月1日より加入できるようになります。DCは、原則60歳までお金を引き出せません。引き出せないからこそ、現役世代が資産形成をするためにぜひ利用したい制度なのです。いつでも引き出しのできる NISAと上手に使い分けをするといいですね。次回は、これら非課税口座の上手な使い方についてお話しします。
2016年05月02日【ご相談】教育費や住居費、老後のことを考えたとき、今の収入で大丈夫か心配。28歳パート勤務の女性です。今27歳の夫が30歳~33歳頃に、3,500万円程度の住宅購入を考えています。このままの収入で、教育費や住宅ローン、さらに老後のことを考えると、お金が足りなくなるのではないかと不安になり、このままパートで働くよりも正社員で働いた方がいいのではないかと悩んでいます。このままだと、いつ頃、いくらくらい足りなくなるのかを教えてください。奈良県在住 大田 美樹さん (仮名)【回答】お子さまの出産・育児期間以外はパート勤めし、3,500万円の住宅を購入された場合、約20年後にお金が足りなくなる可能性があります。しかし、収入を増やしたり支出を減らしたりして、今よりも1カ月25,000円ほど収支増の家計に改善できれば、平均余命まで黒字がキープできそうです。働ける環境にあるときは、思い切って正社員になることを考えてみてもいいのではないでしょうか。(ファイナンシャルプランナー 中垣 香代子からのアドバイス)「人生の三大支出」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。これは、人が生活していく上で必要なお金の中でも大きな割合を占める、3種類の費用のことです。1つ目は住宅にかかわる費用、2つ目は子どもにかかわる費用、3つめは老後の生活にかかわる費用です。大田さまはパートで働き続けた場合に、これから先に控えている三大支出を乗り切ることができるのかがご心配なのですね。まだ20代という若さで先々のことを考えておられ、素晴らしいです。住宅購入やお子さまの誕生など、これからかなえたい夢がたくさんですね。思い描く生活が経済的に可能かどうかを知るためには、毎年の収支と貯蓄残高をシミュレーションすることが一番です。今回は以下の内容で今後の年間収支と貯蓄残高をシミュレーションしてみました。【収入】夫:59歳まで358万円、60歳退職・退職金1,500万円、60歳以降64歳まで300万円、65歳退職妻:第1子出産に伴いパート勤務退職、第1子小学校入学を機にパート再開96万円児童手当を見込む※厚生労働省ホームページ「児童手当について」をもとに試算【年金】夫:老齢基礎年金満額・老齢厚生年金受給妻:老齢基礎年金満額受給※老齢基礎年金満額を78万円として試算※老齢厚生年金を65歳~73歳は84万円、74歳~87万円として試算【お子さま】第1子:妻30歳時に誕生、第2子:妻33歳時に誕生私立幼稚園・公立小学校・公立中学校・公立高校・私立大学文系に進学と仮定※文部科学省ホームページ「平成26年度子供の学習費調査」「私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」をもとに試算【住宅】夫32歳時に3,500万円の物件購入自己資金1,000万円(諸費用175万円込み)ローン(年間100万円):借入額2,675万円、返済期間35年、固定金利(1.6%)管理費・火災保険料・固定資産税合わせて年間45万円夫60歳時にリフォーム:300万円【保険】夫:29歳から55歳まで、万一のときに毎月10万円ずつ給付される収入保障保険に加入(年間保険料 約31,000円) 妻:妊娠前に夫と同様の保障内容の医療保険に加入(年間保険料 約32,000円、払込期間60歳まで)【食費、水道光熱費、通信費、医療費などの基本生活費】現在の支出金額をベースに、お子さまが誕生した年は月1万円増額お子さまの成長に伴う増加分として毎年1.0%ずつ増額60歳時は前年の80%で計上、以降同額【その他の年間支出】現在と同額の年間15万円を夫80歳まで計上シミュレーション結果住宅を購入すると、ローンの他に管理費・修繕積立・固定資産税・火災保険料などのランニングコストがかかります。現在に比べて住宅関連費が年間で50万円以上多くなります。住宅購入と奥さまの出産・子育て時期が重なり年間で見ると収支がマイナスになってしまいますが、その後奥さまのパート復帰により改善します。しかし、お子さまが大きくなるにつれ、教育費に加え、食費・日用品・光熱費などの生活費がジワジワと増加していくため、上のお子さまが中学校に上がる頃には再度年間の収支がマイナスになってしまい、大学に入学する頃には貯蓄が底をついてしまいます。だからといって、「住宅購入ができない」とか「子ども2人は無理」ということではありません。下のシミュレーションをごらんください。大田家の年間収支を年金開始時期まで30万円ほど改善することにより、住宅の購入資金や、お子さまの進学資金も準備でき、老後も平均余命まで黒字をキープすることができます。年間30万円というと1カ月25,000円です。収支を改善する方法は3つ。1つ目は、奥さまの収入を増やすこと。働ける環境にあるときは、思い切り収入を増やすことを考えてはいかがでしょうか。社会保険に加入する働き方をすることにより、健康保険からは出産手当金が、雇用保険からは育児休業給付金の支給があります。子育て期間中に無給になるのと社会保険から給付を受けられるのとでは、家計状況が大きく変わってきます。また、65歳以降には老齢厚生年金も受給できることになります。2つ目は、支出を減らすこと。支出を減らす順番としては、1度見直せば効果が継続する固定費が最初になります。電力自由化により電気事業者を自由に選べるようになりました。各社のプランを比較してみてはいかがでしょうか。携帯電話などの通信費もプランを見直したり、思い切って格安SIMに変更したりするのも良いですね。3つ目は、お金を殖やすこと。収入を増やしたり支出を減らしたりして赤字を回避できるようになったら、お金を運用して殖やすことも考えてみてください。将来のことをあまり心配し過ぎて、お金を使うことにマイナスの感情を持つよりも、「こうすれば大丈夫」という方法を知り、気持ちよく上手にお金を使ってくださいね。今回のシミュレーションは、多くの仮定の上で作成しています。大田さまの実情に合わせ数字を入れ替えてみてください。また、住宅購入やお子さま誕生など、人生の分岐点にファイナンシャルプランナーに詳しいライフプラン表を作成してもらうこともおすすめです。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年04月26日退職金は、会社が知らないところで準備しているもの。それはきわめて一般的な解釈だと思いますが、『誰でもできる 確定拠出年金投資術: ほったらかしで「年率10%」を目指す方法』(山崎俊輔著、ポプラ社)の著者によれば、そうともいいきれないようです。なぜなら会社員の6~7人にひとりは、自分の残高を毎日チェックできる退職金制度になっているから。その制度の名前は「確定拠出年金」で、簡単にいえば自己責任型の退職金制度。お金は会社が出すけれど、運用は自分で方法を決定するというものです。その増減が、自分の退職時の受取額に直結する仕組みだというわけです。■確定拠出年金のメリットとデメリット確定拠出年金には、多くのメリットと、少しのデメリットがあるとか。まずひとつ目のメリットは、「月々の積立額」と「いまいくら積立額があるか」を常に確認できること。ふたつ目のメリットは、会社の倒産や金融機関の破綻から、自分の老後の財産を保全する仕組みが整っていること。そしてもうひとつのメリットは、(制限はあるものの)自分の財産分については好きな運用方法を選択できること。一方、「原則60歳までもらえない」「運用の責任は自分で負う」というデメリットもあるものの、注目に値するのは間違いないようです。そんな確定拠出年金の適切な運用方法は、著者にいわせれば「ほったらかす」こと。とはいえ、ただ定期預金に預けてほったらかしておくのでは、当然のことながら無意味。より効率的な運用を行うためには、次の手順を踏まえる必要があるそうです。1.最初に毎月の投資金額を決める2.次に投資割合を決める3.投資信託のなかからマシなものを選ぶ4.具体的な運用指図を行う5.あとはほったらかすそれだけ!それぞれの手順の詳細については以下の通り。■ほったらかし確定拠出年金5つの手順(1)最初に毎月の投資金額を決める企業型確定拠出年金の場合、会社が退職金制度の一環として定期的な積立金額を拠出するため、金額は個人で選べないのだとか。しかし、確定拠出年金に入るか入らないか選べる場合は、必ず入るべきだと著者はいいます。入らない場合、給与課ボーナスに現金化して上乗せしてもらってしまうため、退職時はゼロになるからです。個人型確定拠出年金の場合は、自分のお金から積立金を出していくため、家計に支障のない範囲で、毎月の積立額を5,000円以上1,000円単位で決めるのだそうです。(2)次に投資割合を決める確定拠出年金に投資する資金のうち、何割を投資し、何割を安全資産に置くか考えるということで、これがいちばん肝心だといいます。できれば60%以上は投資してほしいと著者は主張していますが、儲かるチャンスと値下がりする可能性のバランスを考え、自分がチャレンジできる投資割合を決めるわけです。(3)投資信託のなかからマシなものを選ぶ投資信託については、2つのポイントからフィルタリングして「ベターなもの」を選ぶべきで、このとき「ベストの選択」などと考えないことが大切。なぜならベストの選択をする努力は、労力がかかるわりに実効性が高まらないから。なおフィルタリングのポイントは、「運用方針はインデックス(パッシブ)のもののみを選ぶ」「手数料がもっとも安いものを選ぶ」の2点。(4)具体的な運用指図を行う実際の購入指示(注文)を出すということ。その後は毎月自動的に積立金が引き落とされ、注文どおりの購入が行われる仕組みなので、「ほったらかし」をしたければ注文は最初の一度ですむといいます。このとき、以下の2パターンからどちらかを選ぶといいそうです。[パターンA]:バランス型ファンドをひとつだけ選んでまとめ買い国内の株式、国内の債権、外国の株式、外国の債権の4種をブレンドして購入したことになるのがバランス型ファンド(投資信託)。ほったらかしをして分散投資をしたければ、これが基本になりますが、バランス型ファンドなら1つ買うだけで4種類の投資を組み合わせたことになるといいます(大前提は、手数料が安いこと)。[パターンB]:自分で4資産の投資信託を買う国内の株式、国内の債権、外国の株式、外国の債権の4種に投資する4本の投資信託を選び、購入の指示を出します。(5)あとはほったらかすそれだけ!ここまでの作業ができれば、「ほったらかし投資」はスタート。少なくとも1年くらいは、そのままほったらかしておいてもOKだといいます。最初のうちは株価が上がったか下がったかが気になるでしょうが、なにもせずにほったらかしておけば大丈夫。*こうした基本ルールを軸に、以後はこの方法の有効性などが詳細に明かされます。将来のためにも、目を通しておいて損はなさそうです。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※山崎俊輔(2016)『誰でもできる 確定拠出年金投資術: ほったらかしで「年率10%」を目指す方法』ポプラ社
2016年04月25日いま、老後の蓄えに不安を持つ人が増えています。貯金があればその不安が和らぐのかといえばそんなことはなく、総合マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングが全国の60歳以上の男女1,000人を対象に行ったアンケートでは、貯金額「2,000万円以上」の人が26.3%もいるのにもかかわらず、「1か月に自由に使えるお金の平均額」については全体の過半数にあたる53.8%が「3万円以内」と答えています。2,000万円といえば、退職金があり年金も自営業者よりも多めに受け取れる会社員や公務員ならば、最低限これだけ蓄えておけば安心ともいわれる金額です。なかでも、これまで安定の代名詞のようにいわれることも多かった公務員の間に不安が広がっています。それには理由があります。これまで公務員に適用されてきた、国民年金プラス「共済年金」「職業加算」の年金制度が昨年、大きく変わったのです。そこで、節約アドバイザーのヨースケ城山さんに、公務員が年金を増やす方法について伺いました。公務員の方、公務員を目指す若い方は必見です。■1:新たな制度「年金払い退職給付」で年金を増やす平成27年10月、職業加算が廃止され、共済年金が厚生年金に統合されました。「職域加算」とは、公務員の年金の“3階”に当たる部分。すべてが終身年金でその分の保険料(掛け金)はなし、という魅力的なものです。しかし、それゆえに官民格差を指摘する声も多く、今回の廃止に至りました。これから受給できるのは、統合前の期間(平成27年9月まで)をもとに算出された分のみ。27年10月以降に公務員になった人は、受け取ることができません。「えっ!急に3階が2階になってしまうの?」と驚いた公務員の方もいるかもしれません。じつは、そのかわりに新設された制度があります。「年金払い退職給付」です。年金払い退職給付はすべての公務員に適用されます。半分が終身年金で、もう半分は支給期間が10年または20年(一時金に変更することも可能)の有期。ほかの年金と同じように、自分の保険料を積み立てて退職後に受け取る積み立て方式となります。すべての公務員に適用されるので“増やす”という観点からは外れますが、半分が有期であるということも併せて、よく頭に入れておくことをお勧めします。■2:公務員もOKになった「個人型確定拠出年金」で年金を増やすもうひとつ、公務員の年金に関する大きな制度改革があります。平成29年1月から実施される年金制度改正で、企業年金加入者(一定の条件あり)や公務員、第3号被保険者(専業主婦等)も「確定拠出年金(個人型)」に加入できるようになるのです。といっても、専業主婦(主夫)の場合は所得控除できるほどの所得がない方がほとんどで、あまりメリットは大きくありません。この制度改正でメリットを得るのは、企業年金加入の会社員、そして公務員です。公務員の場合は、年額14.4万円まで確定拠出年金(個人型)に拠出できるようになります。「少額ですが、これにも加入するとしないでは大違いです。職域加算が廃止となり、年金払い退職給付の半分が有期年金となったからこそ自分で年金を作るという発想が必要となってきます」と城山さん。確定拠出年金は60歳から受け取れるため、60歳で退職した後の収入源にできるのも魅力です。■3:会社員以外でも加入できる「財形年金貯蓄」で年金を増やす財形貯蓄は、給与からの天引き(賃金控除)で行う貯蓄制度。「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3つがあり、会社が社員の給与から毎月一定額を天引きし、これを財形貯蓄取扱金融機関に払い込むものです。「財形年金貯蓄」と「財形住宅貯蓄」合わせて元利合計550万円までが非課税となるなど、税制上のメリットも見逃せない財形貯蓄ですが、じつは公務員も利用できるのです。財形貯蓄が適用される“勤労者”の条件は「勤労者=事業主に雇用される方すべて」。労働基準法が適用されない国家公務員・地方公務員・船員の方も含まれます。55歳未満であれば利用可能で、毎月の給料や夏・冬のボーナスから天引きで、5年以上の積み立てが条件。受け取り期間は満60歳以降5年以上20年以内です(保険商品の場合、終身受け取りもできます)。積み立て終了から年金受け取り開始まで、5年以内の据え置き期間を設定することも可能。「60歳以降に少しでも生活費が欲しいという方は検討しておいた方がいいでしょう。年金が支給されない60歳から65歳までの期間の自分への“仕送り”と考えれば、加入するメリットは充分です」と城山さん。*年金は“自分でつくる”時代になりました。公務員も例外ではありません。「月1万円」でも、働いて収入がある今と退職して収入源がなくなってからでは、その価値は大きく変わってきます。老後に使えるお金を少しでも増やすために、いま、行動を起こすことが大切です。(文/よりみちこ) 【取材協力】※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。ブログ『節約アドバイザーヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。 【参考】※シニアのお金に関する調査―株式会社ネオマーケティング
2016年04月22日確定拠出年金は個人の選択に基づく年金制度なので、どういった資産配分が適切だという「正解」はなく、本人が納得できていればそれで良いわけですが、前回のコラムで触れたように統計上の資産配分を見る限り、本人の納得とは言い切れない行動バイアスが実際には大きく影響しているようです。もう少し言うと、職場で確定拠出年金に加入し、資産配分を決めることになったものの、よく分からないのでとりあえず元本確保型に100%振り分けたきり、そのまま放置されているパターンや、うっかりすると決められた期日までに資産配分を決めなかったため、掛金が自動的に元本確保型に配分されてしまっているパターンが一定数の数字となって統計に表れているように思われます。この資産配分における行動バイアスは、実際、確定拠出年金加入者の利回りの二極化という結果として表れています。株式会社格付投資情報センターが発行する「年金情報」誌の集計データによれば、確定拠出年金加入者の通算利回りは、2015年3月末時点で約39%が0-1%に分布する一方で、約18%が10%以上に分布するという両極端な結果になっています。0-1%利回りということは資産の大半を元本確保型に配分している状態を意味します。元本が割れなければ良いではないかとのご意見もあるかもしれませんが、確定拠出年金は原則60歳まで引き出すことのできない老後のための準備資金です。1%を下回る低い利回りで運用を続けた場合、老後に向けた十分な資産形成ができない可能性が高まることになるのです。長期の資産形成においては元本割れリスクのみに目を奪われるのではなく、資産の成長性、すなわち期待リターンにも目を向けることが大切です。そこで積極的に活用したいのが投資信託ですが、もしかすると選択肢がいろいろありすぎて、どれを選べばよいのか分からないという方もいるかもしれません。○「アラカルト分散投資」と「セットメニューおまかせ投資」そんな方にご紹介したいのがあまり難しく考えない二つの方法です。一つ目は「アラカルト分散投資」、二つ目は「セットメニューおまかせ投資」です。前者はレストランで単品メニューを複数注文して自分で組み合わせるイメージ、後者はお勧めのセットメニューを一つ注文するイメージです。食事でも栄養バランスが大事なように、資産配分でもタイプの異なる投資信託を組み合わせてバランスを取ることが重要です。会社ごとに確定拠出年金で選択できる投資信託のラインナップは異なりますが、多くの場合、5つのカテゴリー(国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型、バランス型)の投資信託は用意されていると思います。アラカルト分散投資とは、このうち国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の4つに25%ずつ均等配分する方法です。異なる価格変動リスク、期待リターンを持つ複数の投資対象に分散投資することで資産全体の価格変動リスクを抑え、リターンの安定化を狙います。もし同じカテゴリーに複数の投資信託が並んでいる場合はそれぞれの過去の運用実績や純資産総額、運用期間の長さ、運用管理費用(信託報酬)などを見比べた上で配分する投資信託を絞るか、あるいは単純に25%の配分を複数商品の数だけさらに均等配分するという手もあります。よりお手軽なのはセットメニューおまかせ投資でしょう。これは簡単に言ってしまえば、バランス型のカテゴリーの投資信託をどれか「一つ」選ぶだけです。複数のバランス型投資信託が並んでいる場合は先に述べた実績や費用といった切り口で比べる他、「積極運用タイプ」「安定運用タイプ」など期待リスク・リターンの度合いによって、複数タイプが用意されている場合には、あまり考え込まずに今の自分に合うと感じたものを選びましょう。バランス型の投資信託はそれ一本で国内外の株式、債券等に分散投資できる商品ですので、複数のバランス型に配分する必要はありません。レストランでセットメニューをいくつも頼まないことを思い起こしてください。投資信託への資産配分を検討する上での二つの方法をご紹介しましたが、実はもう一つ奥の手があります。次回はその「究極のおまかせ投資」をご紹介します。筆者プロフィール:本庄洋介フィデリティ投信 法人/年金ビジネス本部 シニアマネージャー。2006年フィデリティ投信入社。確定拠出年金を含む法人/年金業務全般に携わる。2014年にはフィデリティ・インターナショナルのロンドン拠点に駐在し、英国の確定拠出年金市場の調査に従事。京大院卒。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。※写真は本文と関係ありません
2016年04月01日IICパートナーズは3月29日、「退職金・企業年金に関する会社員の意識調査」の結果を発表した。対象は20代~50代の正社員1,000名。調査は2016年1月に実施。○退職金・企業年金の用途、82.7%が「老後の必要資金」「退職金・企業年金の用途として想定するもの」を聞いたところ、1位は「老後の必要資金」(82.7%)だった。次いで2位は「住宅ローン等の返済のための資金」(20.7%)、3位は「資産運用の元手」(17.6%)。以降「転職活動中の必要資金」(14.8%)、「老後のボーナス」(14.6%)、「独立開業など退職後の活動費用」(12.3%)と続いた。「退職金・企業年金が老後の生活においてどんな役割を果たすことを期待するか」を質問すると、57.1%で「公的年金の補完(生活費の上乗せ)」が最も多くなった。次いで「万が一の備え(貯蓄)」(27.4%)、「ゆとりをもたらすボーナス(遊興費)」(9.9%)、「わからない・考えてない」(3.2%)が上位にあがった。「勤務先に退職金・企業年金制度がない」と回答した人に対して「老後の生活に備えるため、お勤め先の企業に期待したいこと」を聞いたところ、「退職金・企業年金の充実」(63.8%)が最も多くなった。次いで「老後も働けるしくみ」(50.9%)、「保険・積立など自助努力の補助となるしくみの提供」(30.1%)、「資産形成、生活設計に関する教育、情報提供」(20.4%)と続いた。「務め先において、今後退職金・企業年金制度について何らかの対応してほしいと思うか」を聞いたところ、68.2%で「制度を設けてほしい」が最多だった。次いで「制度は不要だが、その分(給与等に)上乗せしてほしい」(13.1%)、「制度があれば良いと思うが、なくても特に問題はない」(12.1%)となった。
2016年03月29日みなさんは年金と聞いて何を思い浮かべますか。老後の生活の支え、それとも将来もらえるかわからない不安や「消えた年金」を巡る不祥事でしょうか。いずれにしても、このサイトを読んでくださっている方の多くにとっては、ピンとこない遠い先のことかもしれません。かくいう私も20代の学生の頃までは全く考えたこともありませんでした。とある国内の金融機関でインターンを経験するまでは……。学生の身分でありながら、幸運にも都内にある大手保険会社で月曜から金曜までフルタイムで4カ月間働かせてもらえる機会に恵まれた私は、そこでさまざまなことを学ばせていただきましたが、なかでも最も印象に残ったのが確定拠出年金でした。この制度がこれからの日本人の老後資産形成に必要不可欠な仕組みになると直感したからです。次回以降で詳しく書きますが、この制度は米国の「401(k)プラン」と呼ばれる先例を参考に、2001年に日本で初めて導入された、個人ごとに持ち運びができる年金制度です。奇しくもその後、米国401(k)市場のトッププレイヤーである独立系資産運用会社フィデリティの日本拠点に入社することになった私ですが、このコラムでは「グローバル」と「運用会社」という二つの視点を軸に日本の確定拠出年金について迫ってみたいと思います。○全国民が加入し支え合う「公的年金」そもそも何だか複雑で難しそうな日本の年金制度ですが、まずは全体像を整理してみましょう。年金制度は大きくは「公的年金」と「私的年金」の二つに分けられます。一般に、「年金」という見出しで新聞やテレビで取り上げられ、時にセンセーショナルな議論を巻き起こすのは多くが公的年金の話です。なぜそれだけ注目され、世論を動かす影響力があるかと言えば、それは公的年金が社会保険方式という、全国民が加入し、支え合う形の制度だからです。つまり、現役時代には誰もが保険料を納め、誰もが一定以上の年齢になれば給付を受ける仕組みであるため、全ての国民が当事者であり利害関係者になるからです。この国民皆年金制度は素晴らしい仕組みですが、一方で人口構成の変化の影響を大きく受けるという弱点もあります。時折若い世代から聞こえてくる、「将来年金がもらえるか不安だ」といった声はまさにこの点を危惧してのものと考えられますが、政府は問題を認識した上で制度の維持に向けた手だてを打っているので、年金が全くもらえないということにはならないでしょう。ただし、現在の高齢世代と同じ水準の年金給付を、将来世代も手にし続けることは難しく、給付水準は下がっていくものと思われます。○積極活用したい「私的年金」公的年金に期待できる範囲が小さくなるからと言って嘆いていても始まりません。もう一つの柱である私的年金、中でも職場を通じて加入する企業年金について理解を深め、積極的に活用していきましょう。企業年金には確定給付型と確定拠出年金の二種類がありますが、もしあなたの職場に確定拠出年金制度が導入されているのであれば、これを積極活用しない手はありません。なぜなら、あなた自身の使い方次第で、得られるメリットも将来の安心も大きく変わってくるからです。日本においては、これまで長く企業年金の主流は確定給付型でした。確定給付型は簡単に言えば掛金の拠出から運用、給付まで全てを企業が丸抱えし、運用利回りが想定を下回れば企業が穴埋めをしてくれる制度です。平たく言えば、老後のお金のことはかなりの程度会社任せにしていればよかったのです。確定給付型の企業年金は、若い働き手が増え、安定した経済成長・金融市場環境が見込める状況において、日本企業の長期/終身雇用を前提とした人事体系や、主として国内勢との競争を意識した事業環境にフィットしていました。○「確定拠出年金」の比重を高める企業が急速に増加しかし、企業活動が一層グローバル化し、競争環境が急速に変化する中、人事および財務戦略上の観点から、確定給付型の企業年金を減らし、確定拠出年金の比重を高める企業が近年急速に増加しています。財務戦略上の観点とは、会社が年金資金の運用における成果(リターン)と不確実性(リスク)を社員一人ひとりに移すことで、会社の本業以外から生じる業績へのインパクトを軽減しようとするものです。この点をもって、確定拠出年金は運用リスクの社員への押し付けであるといった意見を目にすることがありますが、必ずしもフェアな見方とは言えません。なぜなら、社員に移転されるのは運用に伴う不確実性(リスク)だけではなく、運用が好調であった場合のリターンも併せて移転されるからです。あまり語られませんが、確定給付型の制度には会社の業績が悪化したり倒産したりした場合に、社員またはOBの年金給付水準が大きく影響を受けるという弱点もあります。確定拠出年金では、確定給付型の企業年金とは異なり、会社が毎月拠出する掛金は、一定期間後、完全に社員個人の持ち分となるため、会社の業績変動のインパクトを受けにくくなっています。また、個人の持ち分が明確で転職や離職時の持ち運びも容易であるため、確定拠出年金はポータビリティの高い制度とも言われます。欧米ほどではないにせよ、転職が一般的になるに従って、会社側にとっても優秀な中途入社社員を呼び込む受け皿の一つとして、確定拠出年金を導入するケースも増えています。次回は、確定拠出年金の普及が進んでいる海外の事例について見てみましょう。筆者プロフィール:本庄洋介フィデリティ投信 法人/年金ビジネス本部 シニアマネージャー。2006年フィデリティ投信入社。確定拠出年金を含む法人/年金業務全般に携わる。2014年にはフィデリティ・インターナショナルのロンドン拠点に駐在し、英国の確定拠出年金市場の調査に従事。京大院卒。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。※写真は本文と関係ありません
2016年03月11日個人年金保険の加入を検討する際に、「定額年金がいいのか?それとも変額年金がいいのか?」と悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんね。それでは、「定額年金」、「変額年金」、それぞれの特徴を整理してみましょう。定額年金とは?一定期間、契約時の予定利率により積立運用を行い、契約時に定めた一定の年齢から年金を受け取る個人年金保険のことを、「定額年金」といいます。運用は、保険会社が一般勘定により行います。定額年金は、一般的に将来の年金原資が確定もしくは最低保証されているため安定的で、保険会社が破綻しない限り、元本割れの可能性は極めて少ないといえます。しかし、インフレリスクに弱いというデメリットがあります。図1 定額年金のイメージ 10年保証期間付終身年金と10年確定年金の例資料:(公財)生命保険文化センターホームページをもとに作成変額年金とは?一方、価格変動幅の大きい金融商品等で年金原資を運用して、運用効果を高めることを目的とする個人年金保険のことを「変額年金」といいます。複数種類の投資信託より契約者が選択し、保険会社が特別勘定にて管理し、運用を行います。変額年金は、将来受け取る年金金額が運用実績によって変動します。投資信託を通じて国内外の株式・債券等に投資され、運用実績に応じて、将来受け取る年金金額が大きくなる可能性もありますが、その逆の可能性、つまり、将来の年金受取総額が保険料の払込総額を下回る可能性もありますので、注意が必要です。なお、変額年金では、年金原資や年金受取総額に最低保証が定められている商品もあります。図2 変額のイメージ 10年保証期間付終身年金(保険料一時払い、年金額一定タイプの例)資料:(公財)生命保険文化センターホームページをもとに作成どちらがいいの?定額年金と、変額年金、いずれにもメリット、デメリットがあり、どちらが優れているということはできません。まずは、自分が思い描く老後のライフプランに対して必要な金額を具体的に考えてみましょう。そして、定額年金と変額年金の特徴や商品内容を理解し、自分にとって適しているのはどちらなのかを決めることが大切です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月18日個人年金保険の年金を受け取る際には税金がかかります。課税関係について整理しておきましょう。契約関係はどうなっていますか?まず、個人年金保険の契約者と年金受取人が誰であるかを確認しましょう。保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合には、公的年金等以外の雑所得として毎年所得税が課税されることになります。また、保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して、年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされることになりますので、年金の受け取りが開始された時点で贈与税が課税されます。そして、毎年支払いを受ける年金(公的年金等以外の年金)について、年金支給初年は全額非課税ですが、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法により、所得税も課税されます。思わぬ落とし穴例えば、奥さま想いのご主人が、奥さまの老後の生活費に備えるために個人年金保険を契約し、ご主人自らが保険料を支払い、受取人を奥さまにしているというケースはどうでしょう?この場合、保険料の負担者と年金の受取人が異なるケースに該当するため、贈与税と所得税がかかってしまうことになります。返戻率などの条件をしっかり確認して、有利な条件で個人年金保険を契約しても、課税関係において所得税だけでなく、贈与税もかかることになってしまうと、せっかくの有利な条件で契約していたとしても、税負担が重くなってしまう可能性もあります。「そんなつもりじゃなかったのに……」ということにならないために、既に個人年金保険を契約されている方は、契約者と年金受取人が誰になっているかを今一度確認しておきましょう。また、現在検討中の方は、課税関係にも注意を払って、個人年金保険の検討を進めていくことをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月18日