株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:立本正樹)は、同社が運営する「話題の本.com」( にて2022年3月15日(火)、著書『人生を成功に導く「しくじり」のススメ』を刊行した医療法人社団のう救会脳神経外科東横浜病院・副院長 郭樟吾氏のインタビュー記事を公開しました。▼【著者インタビュー】“神は乗り越えられる試練しか与えない”失敗には宝の山が眠っている横浜市神奈川区で脳神経外科の専門病院として年間の救急受入患者数3、000人、年間手術数300件を数え地域医療に貢献しているのが医療法人社団のう救会脳神経外科東横浜病院です。その副院長として日々、奮闘されている郭樟吾医師がこのたび『人生を成功に導く「しくじり」のススメ』を刊行しました。本書ではご自身の経験を踏まえ、人生で直面する失敗やしくじりへの向き合い方、その活かし方について詳しく語っていらっしゃいます。郭先生に出版のきっかけ、読者へ伝えたいメッセージなどをお聞きしました。インタビュー記事はこちらから : インタビュー記事一部をご紹介――まず、本書をまとめられたきっかけをお聞かせください。人間誰しも失敗やしくじりをするものです。私も今になって分かったことでもあるのですが、失敗やしくじりから逃げずに立ち向かえば様々なものが得られます。場合によってはその後の人生を大きく変えられるのです。失敗やしくじりを怖がりながらも、そこから逃げずに総括していけば、必ず良い結果につながる。そういうことをお伝えしたくて本書をまとめました。私は40代後半になりますが、20代や30代の若いみなさんにとっては転ばぬ先の杖として、また失敗に悩んだり、しくじりで困っている方にとっては発想の転換のきっかけとして、気軽に読んでいただければうれしいです。――郭先生が考える「失敗」「しくじり」とはどのような意味でしょうか。しても良い場合、悪い場合の違いについても教えてください。「しくじり」という言葉は、テレビ番組などの影響で市民権を得て浸透しつつあるように思います。私の中では、「しくじり」と「失敗」は少し違いがあります。あえていえば、「しくじり」はしていい失敗、もっと言えばすべき失敗というニュアンスがあります。失敗のない人生はないでしょう。これまでうまく失敗せずにやり過ごしてこれた人もいるでしょう。しかし、失敗なくスルスル来たような人が実社会で活躍しているかというと、むしろ、様々な失敗を経験してきたような人が組織をひっぱり、優れたリーダーとして活躍しているように感じます。私が長年身を置いてきた医療の世界もそうです。いま、日本の医療界を牽引するリーダーの方々は、必ずしもエリートコースを歩んできたわけではありません。いろいろな失敗を経験し、それこそ崖から這い上がってきたような人のほうが、環境への適応力や順応力が高く、あるいは摩擦を恐れず変化をもたらす胆力に優れています。失敗やしくじりというとつい目を背け、蓋をしようという心理が働くものですが、そこに警鐘を鳴らしたいのです。失敗を怖がるなというのではありません。怖がっていいと思います。いざ、そうなったら一瞬、逃げてもいいとさえ思います。ただ、背を背けてそのまま蓋をしてしまうのはもったいない。それでは何も得られるものがありません。ーーーーーー以上記事一部抜粋ーーーーーーインタビュー記事全文はこちらから : 書籍情報小さな失敗こそが成功への近道!失敗に向き合う勇気をもてば、どんな壁も乗り越えられ人生は好転する失敗をするとつらく苦しい思いをするので、できるだけ避けたいものです。しかし、失敗した経験を受け止めてそこから学ぶことで、自分の強みや弱みが明確になり、再び立ち上がる粘り強さを得られたり、自分なりの必勝パターンが見えてきたりします。失敗体験は成功体験以上に教えが多く、未来を変えていくこともできるのです。イライラを家族や友人にぶつけて雰囲気を悪くしてしまった、試験やプレゼンの準備が不十分なまま当日を迎えて慌てることになった、など日常での小さな失敗は誰にでも起こり得ることです。失敗と聞くとネガティブなイメージがありますが、なぜ失敗したのか、どこを直したら良くなるのかという前向きな検証を行うことで、自分や周囲との関係をより良いものに変えていくことが可能になります。これまで約20年間、脳外科医として多くの患者を診てきた著者は今の自分は失敗に育てられてきたと確信しています。失敗談というのは他人にとって貴重な教えになりますが、進んで自分の失敗をさらけ出そうとする人は多くありません。本書は著者自身のしくじりや失敗だけでなく、著名人の失敗談なども交えながら、「誰でも体験するような失敗からどう学べばいいか」について分かりやすくまとめています。しくじりや失敗から学び成功に近づくきっかけとなる一冊です。書籍情報はこちら : 著者■ 郭 樟吾/カク ショウゴ2001年、東京慈恵会医科大学を卒業、2005年、厚木市立病院勤務。その後、独立行政法人国立病院機構横浜医療センター勤務を経て2012年、東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座助教。2015年、同大学同科の講座講師・診療医長。2018年、医療法人社団のう救会 脳神経外科東横浜病院 副院長になる。お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270URL : Twitter投稿 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月15日株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:立本正樹)は、同社が運営する「話題の本.com」( にて2022年3月10日(木)、著書『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』を刊行した株式会社花咲スクール代表取締役・大坪 智幸氏のインタビュー記事を公開しました。▼【著者インタビュー】子どもたちに未来を生き抜く力と本質的な学力を身につけさせる、これからの学習塾の役割人工知能の普及によって、いま存在する仕事の約半数がなくなると言われています。こうした中、子どもを持つ親の多くは、「未来を生き抜けるよう、子どもにしっかりとした学力を身につけさせたい」と考えているはずです。しかし、『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』の著書で、埼玉県で小中高生を対象とする学習塾「花咲スクール」を展開している大坪智幸氏は、現代日本の教育システムが崩壊の危機に瀕していると指摘しています。日本の教育にはどんな問題点があるのか。子どもの未来のために必要な教育とは何か。そして、本質的な学力を身につけさせるため学習塾はどのような役割を果たすべきなのか、教育現場の最前線で模索する大坪氏に聞きました。インタビュー記事はこちらから : インタビュー記事一部をご紹介――著書『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』刊行のきっかけをお聞かせください。時代が急速に変化している今、教育業界にも変革が求められています。例えば、小学校では英語やプログラミング教育が始まりましたし、中学校では新たな学習指導要領が定められ、思考力や読解力がより問われる内容に変わりました。これらの狙いは、AI(人工知能)などが普及する未来でも生き抜けるよう、テクノロジーを使いこなし、多様な人々と共働できる力を養うことにあります。こうした中、学習塾に寄せられる期待はさらに大きくなっています。ところが、すべての学習塾が使命感に燃えているわけではありません。むしろ私は、教育よりビジネスを優先する学習塾が増えているのではないかと感じています。彼らは子どもより、自社の利益を優先しているのです。こうした状況に対し警鐘を鳴らすこと。そして、本当の意味で「子どものためになる教育」を行うため、学習塾と保護者はどうすべきか考えてほしいと思ったことが、この本を書いた最大の動機です。――学習塾が担うべき役割が大きくなっているというお話ですが、背景には何があるのでしょうか。最大の原因は、学校の教育力が低下していることです。第2次ベビーブーム時代後に採用されたベテラン教師たちが、この10年ほどで大量に定年退職を迎えました。一方、学生の間に「教師は大変な仕事だ」という評判が広まったことなどが影響し、教員採用試験の倍率は徐々に低下しています。そのため、十分な能力・資質を持たない教師が増えているのです。例えばある公立中学校では、夏休みに「学習塾に通っている生徒は学習塾のワークを1冊、通っていない生徒は市販のワークを1冊やって提出する」という宿題が出されていました。学習塾や生徒の自主学習に丸投げするという信じられない内容で、私は唖然とするとともに、教師の質が下がっている現状を肌で感じました。学校全体の現場対応力も、以前より落ちていると感じます。その実態を明らかにしたのがコロナ禍です。どの学校にも早急なオンライン対応が迫られましたが、うまく乗り越えられたのは一部の私立校と、私たちのような一部の学習塾だけ。公立校ではオンライン教育を導入することで手一杯で、「オンラインの特徴を生かし、どうやって学力を伸ばすか」という高いレベルの取り組みができていたところはほとんどありませんでした。ーーーーーー以上記事一部抜粋ーーーーーーインタビュー記事全文はこちらから : 書籍情報知育と徳育の両面から指導すれば子ども一人ひとりの生きる力を引き出せる「塾屋」が提言する学びの本質とは――学校も保護者も民間教育も、子どもたちが社会で生きていく力を育てるという教育の本質を見失ってしまっています。そこをなおざりにしたまま、ただ受験の勝利だけを目指すような「デタラメ受験戦争」ともいえる状況が蔓延しています。(「はじめに」より抜粋)子どもの教育について悩みを抱える親は多いことと思います。むしろ、まったく悩みがない人のほうが少数派のはずです。変化が速く先行きの見えないグローバル社会を生き抜くために、しっかりとした学力をつけさせたい、そのために少しでもいい高校・大学に進学させたい――。教育に唯一絶対の「正解」はありません。時代が変われば、それとともに必要な教育も変わっていきます。昔であれば、教科書的な学力を定着させて受験に成功させればそれでよかったのかもしれません。しかしこれからの時代はそれだけでは不十分です。刻々と変化する社会をたくましく生き抜いていける学力とは何か。そしてその学力を育てる教育とはいったいどういうものか。学習塾を経営し自ら教壇に立って指導をする著者は、現在の受験本位の教育は本当の意味で子どものためになっていないことや、さまざまな「デタラメ」が横行していることに警鐘を鳴らします。現代に求められる教育の本質について考察し、知育と徳育を兼ね備えた真に必要とされる教育のあり方を提言する一冊です。書籍情報はこちら : 著者■ 大坪 智幸1984年、埼玉県春日部市生まれ。埼玉県内某進学校へ入学。一浪の末某私立大学へ入学。塾講師のアルバイト、車、バンドに明け暮れる。塾講師のやりがいと楽しさを感じ、今の仕事の原点になる。卒業後、日本郵政、ディーラーでの営業職などを経験したのち、社会の矛盾を感じ27 歳で教育業界に転身。通信制高校と塾講師を掛け持ち、激務から肺炎を患い生死をさまよう。2014年、県内大手学習塾に入社。2016年、フランチャイズとして独立、株式会社花咲スクールを設立。2019年7月、完全独立、花咲スクール本部校、開校。2021年6月、精神鍛錬のため居合道入門、10月、民間教育の在り方の体系化とMBA取得を目標に大学院プレ受講開始。2022年春、本科入学お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270URL : Twitter投稿 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月10日株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:立本正樹)は、同社が運営する「話題の本.com」( にて2022年3月8日(火)、人生のどん底から生まれた大ヒット商品「ミラブル」誕生物語、『這い上がれ「奇跡の泡」で美容の常識を変えた男』(著者:青山 恭明)の特設ページを公開しました。『這い上がれ「奇跡の泡」で美容の常識を変えた男』特設ページ「這い上がれ」「奇跡の泡」で美容の常識を変えた男 青山恭明 : 本特設ページでは、、株式会社サイエンス 取締役会長 青山 恭明著『這い上がれ「奇跡の泡」で美容の常識を変えた男』のコラムや大ヒット商品「ミラブル」をはじめとしたサイエンスの製品の紹介、著者である青山会長のインタビューなど、書籍をより楽しめるコンテンツをご用意しています。Column-書籍抜粋記事-第一章すべての始まりは大阪万博の「人間洗濯機」との出会い第二章家族の白血病、アトピー、阪神・淡路大震災…。人生のどん底で家族から教わった自分の使命第三章仲間の裏切りから会社の倒産…。それでも光が見える限り這い上がる第四章小さな雑居ビルの一室から始まったサイエンスの歴史第五章生活の中にマイクロバブルを取り入れるー美容の常識を変えた『ミラブル』の誕生第六章サイエンスの技術で、持続可能な社会を、世界を作る第七章大家族主義の経営で「すべての人に感動と喜びを」「Columnー書籍抜粋記事ー」はこちら : Special Contents-スペシャルコンテンツ-「Special Contents-スペシャルコンテンツ-」はこちら : Interview -インタビュー-若い女性の顔に油性ペンで太く黒々とした線がひかれ、そこにシャワーが当てられたかと思うと、それが線がするすると消えていく……。2018年に斬新なテレビCMで注目を集め、爆発的な人気となったウルトラファインバブルのシャワーヘッド「ミラブル」。革命的な商品を次々と世に送り出したサイエンスホールディングスの会長を務める青山恭明氏には、さまざまな困難に立ち向かってきた波瀾万丈な半生がありました。数々の苦難を乗り越えるための心の持ち方や大切な家族や社員への思い、そして何よりも「人が好き」だと語る青山氏から、困難な状況に苦しむ多くの人へのメッセージなどを2回に分けて伺いました。「Interview -インタビュー-」はこちら : 書籍娘の塩素系アトピーを治したい、その一心で始めた水ビジネス。しかし手掛けた事業は失敗し、仲間にも裏切られ、ついに倒産……。相次ぐ困難を乗り越え大ヒット商品「ミラブル」を誕生させるに至った、一人の経営者の挑戦の軌跡。会社が倒産し失意の日々の中、家でぼーっとテレビを見ていると、超音波を使った微細な泡で工業製品の洗浄をする様子が紹介されていました。「……この泡こそマイクロバブルです」私はこれを見て、1970年の大阪万博で見た「人間洗濯機」を思い出しました。マイクロバブルを人体に応用できれば、「人間洗濯機」を実現できる。これこそが、後に運命を変えることになる「ファインバブル技術」との出会いでした。(「はじめに」より抜粋)空前のヒット商品「ミラブル」誕生までの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。ミラブル生みの親である著者は、失敗や挫折を何度も味わい、あるときついに倒産を余儀なくされます。しかし「絶望のどん底にあっても立ち上がることを諦めなければ、いつか未来は拓ける」と、前へ進み続けました。本書では、著者が大ヒット製品の開発成功に至るまでの軌跡を辿ります。さまざまな葛藤や課題に対し、どう向き合ってきたのか……そこには業種を超えた経営のヒントがちりばめられています。困難に直面する中小企業の経営者に、勇気と希望を与える一冊です。著者青山 恭明A O Y A M A Y A S U A K I1959年、大阪市東成区にお寺の次男として生まれる。2007年、株式会社サイエンス設立。設立当初から、浄活水装置、マイクロバブル入浴装置など、水にこだわった商品の開発・製造・販売で事業の展開を行う。2015年には、ライフデザインホーム事業として住宅の販売を開始。2018年に発売したシャワーヘッド「ミラブル」は3年で80万本を販売するヒット商品となった。現在は「新習慣」というキーワードのもと、新たな生活習慣の価値を提案し続けている。お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270 話題の本ドットコム|学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月08日株式会社幻冬舎メディアコンサルティング(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:久保田貴幸)は、八重洲ブックセンター本店(6F)・くまざわ書店大手町店と株式会社幻冬舎ゴールドオンラインが運営する「話題の本.com」( にて2022年2月1日(火)~28日(月)の期間に「子育て書フェア」を開催いたします。『子育て書フェア』特設ページ【話題の本ドットコムが厳選】「子育て書フェア」2022.2.1~28開催 | 話題の本ドットコム : 2022年2月1日(火)〜2月28日(月)に八重洲ブックセンター本店(6F)・くまざわ書店大手町店で展開する「子育て書フェア」では、ビジネス書・実用書のナビゲートメディアである話題の本.comが厳選した子育て書を紹介します。あなたのお子さんは、まだここにある本を読むことはできません。子育てについて本を読み、学べるのは、お父さん、お母さんだけです。「そんなこと、知らなかった」「こんなはずじゃなかった」とならない為に、今、子供の将来のために、読んでほしい、話題の本.com厳選7冊をご紹介します。「子育て書」厳選7冊1.『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』(高木 宏子 著)書籍情報はこちら : 2.『家庭で磨く本番力 ここ一番に強い子を育てるための50の鉄則』書籍情報はこちら : 3.『これからの時代を生きるすべての子どもたちへ 音楽教育のススメ』(小林洋子/沼田峰紀著)書籍情報はこちら : 4.『パパになる前に知っておくべき11のこと』(川村美星著)書籍情報はこちら : 5.トップアスリートを目指すキッズトレーニング』(山田康明[著)書籍情報はこちら : 6.『時間×食事で賢い子が育つ! 簡単・最強子育て』(古谷彰子著)書籍情報はこちら : 7.『忙しいママのための 七田式「自分で学ぶ子」の育て方』(七田厚著)書籍情報はこちら : 参加書店・八重洲ブックセンター本店(6F)住所:東京都中央区八重洲2-5-1営業時間:10:00~19:30電話番号:(03)3281-1811WEB: ・くまざわ書店大手町店住所:東京都千代田区丸の内1-3-1先営業時間:平日 9:00~21:00土11:00~19:00電話番号:(03)6213-0440WEB: お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270 話題の本ドットコム|学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月01日株式会社幻冬舎メディアコンサルティング(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:久保田貴幸)は都内4書店と株式会社幻冬舎ゴールドオンラインが運営する「話題の本.com」( にて2022年2月1日(火)~28日(月)の期間に「健康書フェア」を開催いたします。『経営書フェア』特設ページ【話題の本ドットコムが厳選】「ビジネスマンのための健康書フェア」2022.2.1~28開催 | 話題の本ドットコム : 2022年2月1日(火)〜2月28日(月)に紀伊國屋書店 大手町ビル店、八重洲ブックセンター本店(2F)、三省堂書店東京駅一番街店、くまざわ書店 錦糸町店で展開する「ビジネスマンのための健康書フェア」では、ビジネス書・実用書のナビゲートメディアである話題の本.comが厳選した健康書を紹介します。「うちのお父さんは健康だけがダメなんだ」と言われないための「ビジネスマンのための健康書フェア」。健康な身体あってこそ一流のビジネスマン。見ないフリしているその症状、今年は向き合ってみませんか。ビジネスマンが自分の健康のために読んでほしい、話題の本.com厳選4冊をご紹介します。「ビジネスマンのための健康書」厳選4冊1.『サイレントキラー 血圧が120を超えたら読む本』(尾崎聡 著)書籍情報はこちら : 2.『ギャンブル・お酒はやめられる!』(大塚明彦/森本志保著)書籍情報はこちら : 3.『結果が出せる! 評価が上がる! ビジネスマンの「カラダ再生」プログラム』(阿部雅行著)書籍情報はこちら : 4.『その睡眠が寿命を縮める』(末松 義弘著)書籍情報はこちら : 参加書店・紀伊國屋書店 大手町ビル店住所:東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル1F営業時間:10:00~20:00電話番号:(03)3201-5084WEB: ・八重洲ブックセンター本店(2F)住所:東京都中央区八重洲2-5-1営業時間:10:00~19:30電話番号:(03)3281-1811WEB: ・三省堂書店東京駅一番街店住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街 1階営業時間:平日8:00~21:00、土日祝10:00~20:00電話番号:(03)3211-3825WEB: ・くまざわ書店錦糸町店住所:東京都墨田区錦糸2-2-1 9F アルカキット営業時間:10:00~20:00電話番号:(03)5610-3034WEB: お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270 話題の本ドットコム|学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月01日株式会社幻冬舎メディアコンサルティング(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:久保田貴幸)は、紀伊國屋書店 大手町ビル店と 八重洲ブックセンター本店(2F)と株式会社幻冬舎ゴールドオンラインが運営する「話題の本.com」( にて2022年2月1日(火)~28日(月)の期間に「経営書フェア」を開催いたします。『経営書フェア』特設ページ【話題の本ドットコムが厳選】「経営書フェア」2022.2.1~28開催 | 話題の本ドットコム : 2022年2月1日(火)〜2月28日(月)に紀伊國屋書店 大手町ビル店と 八重洲ブックセンター本店(2F)で展開する「経営書フェア」では、ビジネス書・実用書のナビゲートメディアである話題の本.comが厳選した経営書を紹介します。DX、RPA、資金繰り、M&A、事業承継、、、。経営者にとって様々な問題に頭を悩ますことは多いでしょう。そのような時は経営書で先人の知識から解決の糸口を見つけ出すことができるかもしれません。経営者自身の為、家族の為、会社の為に読んでほしい、話題の本.com厳選7冊をご紹介します。「経営書」厳選7冊1.『あなたの会社は、なぜDXが進まないのか? 先進事例に学ぶNew Normalの処方箋』(牧田 幸弘 著)書籍情報はこちら : 2.『激レア 資金繰りテクニック50』(菅原 由一著)書籍情報はこちら : 3.『中小企業経営者のためのRPA入門RPA導入を成功させる方法』(田牧 大祐・佐々木 伸明著)書籍情報はこちら : 4.『創業者利益の確保&会社の持続的な成長を両立 成長戦略型段階的M&A』(畑野 幸治著)書籍情報はこちら : 5.『まんがでわかる 実録!中小企業のM&A』(篠田康人著)書籍情報はこちら : 6.『オーナー社長の悩みを解決! 事業承継成功の秘訣52』(税理士法人チェスター著)書籍情報はこちら : 7.『100年続く企業を目指す! 二代目社長のための事業承継読本』(音田崇幸著)書籍情報はこちら : 参加書店・紀伊國屋書店 大手町ビル店住所:東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル1F営業時間:10:00~20:00電話番号:(03)3201-5084WEB: ・くまざわ書店大手町店住所:東京都千代田区丸の内1-3-1先営業時間:平日 9:00~21:00土11:00~19:00電話番号:(03)6213-0440WEB: お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270 話題の本ドットコム|学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月01日「今をときめく作曲家・藤倉大の生み出す音楽はなんでこんなに面白いのだろう」という素朴な疑問への答えが、新刊『どうしてこうなっちゃったか(藤倉大著:幻冬舎刊)』の中にある。なにしろ綴られた文章が破格の面白さなのだ。ジャーナリズムの世界において、「普段面白い話ができない奴に、面白いインタビューなんかできるわけがない」という説があるのだが、この“インタビュー”の部分を“音楽”に置き換えてみれば納得だ。そう藤倉大の話はもとより、その人間性が掛け値なしに面白い。だからこそ彼が手掛ける音楽作品の数々は面白いのだろう。過去を振り返ってみれば、日本を代表する作曲家の先達である武満徹(1930-96)の文章も、藤倉大とはテイストの違いこそあれ最高に面白かったことを思い出す。そのまた先輩に当たる團伊玖磨(1924-2001)においては、作曲家と分筆家の見事な2刀流であったことにも合点がゆく。この2人の大作曲家たちが、人間的な魅力に溢れていたことは語り草だ。だからこそ彼らの音楽が面白かったと考えてみるのも楽しい限り。この素敵な系譜に藤倉大という超新星が加わったことを喜びたい。藤倉大の次なる展開やいかに。それを期待させるだけの面白さがここにある。(田中泰:音楽ジャーナリスト)
2022年01月27日株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:立本正樹)は、同社が運営する「話題の本.com」( にて2021年12月27日(月)、『もしものためのペット専門医料』(著者:中村泰治)の特設ページを公開しました。『もしものためのペット専門医療』特設ページもしものためのペット専門医療 – 飼い主の意識×医療従事者の意識×治療技術 3つが掛け合わされて初めて、動物医療は進歩する : 飼い主のペットに対する健康志向が高まるにつれて、動物医療に対して求められることは多様化し、専門的な知識が必要とされてきています。内科、外科、耳鼻科、眼科……と細かく診療科が分かれている人間の病院に対し、動物病院は多くの場合、1人の医師が全身すべての病気を診る「1人総合病院」状態が一般的でした。しかし、そこから脱却し、高度医療を担う施設や専門分野に特化した病院の増加、施設間で連携し紹介しあう体制づくりなど、人間のような医療体制が求められています。動物にも高度で専門的な知識を提供できれば、今まで救えなかった命を救うことができるからです。本特設ページでは、「もしものためのペット専門医療」を刊行した中村泰治氏が代表を務める、動物の高度医療を目指す小滝橋動物病院グループ獣医師・看護師たちが語る診断や治療の最前線を紹介しています。獣医・看護師インタビューvol.1心臓外科チームvol.2脳神経科チームvol.3血液透析チームvol.4整形外科チーム「インタビュー」はこちら : 高度専門医療の実態第1回循環器科・心臓外科編第2回整形外科編第3回脳神経科・リハビリテーション科編第4回人工透析科編第1回循環器科・心臓外科編「僧帽弁閉鎖不全症」とは僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁という弁に異常が起こる病気です。加齢やその他の理由によって弁がもろくなるなど性質が変わってしまうと、本当なら左心房から左心室に流れるはずの血流が、左心室から左心房へと逆流してしまいます。血液が逆流すると、全身に送り出せる血液の量が減ってしまいます。初期の段階では飼い主が見ている範囲では異常は感じられませんが、病気が進むと、心不全などが起こりやすくなり、最終的には肺に悪影響が出て酸素濃度が低下し、命に関わるようになります。僧帽弁閉鎖不全症は主に小型犬や中型犬に多い(特に高齢)心臓病で、大型犬ではあまり起こりません。犬の心臓病の9割を占めるといわれています。一方で猫にはこの病気はあまりみられません。「僧帽弁閉鎖不全症」の症状初期の症状は5〜6歳が最も多いと言われていますが、この段階ではあまり目立った症状は起こりません。症状が進行してくると、散歩に行くのを嫌がったり、食欲が落ちる、呼吸をするときに苦しそうな様子をする、呼吸が苦しくて夜眠れないなど、目立った異変も増えてきます。さらに進行すると、毛細血管から血液の液体部分が漏れ出して肺胞の中に溜まる状態である、肺水腫になります。ここまで進行すると、その後は1年ももたないともいわれています。僧帽弁閉鎖不全症を早期発見するには、定期検診をしっかり受けて、そこで心臓の音を丁寧に聞いてもらうことが重要です。「僧帽弁閉鎖不全症」の診断問診や聴診器で雑音を確認したうえで、診察では心拍数や呼吸数などを計測します。同時に、血液検査なども実施し、特に心臓病ではANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)やBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)と呼ばれるホルモンの数値が重要視されます。また、心電図検査で不整脈の有無などを確認したり、レントゲン検査などで、心臓の大きさや胸や腹に水が溜まっていないかどうか調べることも有効的です。より病気の状態を調べるには超音波検査が必要となります。「高度専門医療の実態」はこちら : 書籍情報飼い主の意識×医療従事者の意識×治療技術3つが掛け合わされて初めて、動物医療は進歩する日本獣医師会の発表によると、1980年の犬猫の平均寿命は3~4歳でした。1990年頃には約10歳、現在では13~14歳と40年の間に10歳を寿命が延びています。ペットが長生きし、大事に飼われるのは喜ばしいことですが、高齢化による病気のリスクは高まりました。「がん」や「認知症」、「心臓病」、「関節疾患」など、高齢になるとかかりやすい、人間と同じような病気がペットにも起こるからです。(「はじめに」より抜粋)飼い主のペットに対する健康志向が高まるにつれて、動物医療に対して求められることは多様化し、専門的な知識が必要とされてきています。内科、外科、耳鼻科、眼科……と細かく診療科が分かれている人間の病院に対し、動物病院は多くの場合、1人の医師が全身すべての病気を診る「1人総合病院」状態が一般的でした。しかし、そこから脱却し、高度医療を担う施設や専門分野に特化した病院の増加、施設間で連携し紹介しあう体制づくりなど、人間のような医療体制が求められています。動物にも高度で専門的な知識を提供できれば、今まで救えなかった命を救うことができるからです。本書では、グループ病院全体で年間3000件を超える手術を行うなど、動物の高度医療を目指す獣医師が、診断や治療の最前線を紹介し、ペットの「こんなとき、どうする?」という悩みにも、症状別に分かりやすく解説しています。書籍の詳細はこちら : 著者■ 中村 泰治/ナカムラ ヤスハル1995年日本大学卒業。獣医師。得意とする科目は、一般外科、腎泌尿器科、脳神経科。師匠の教えである「見る・触る・聞く」の初心を忘れずに「異変にいち早く気づく」姿勢と大学病院のような高度な検査や治療を両立することで「少しでも助けられる命を増やしたい」を信念としている。お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270 話題の本ドットコム|学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年12月28日株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:立本正樹)は、同社が運営する「話題の本.com」( にて2021年12月17日(金)、ジェンダーと女性の生き方の多様性を問う問題作『マリアライカヴァージン+』の特設ページを公開しました。『マリアライカヴァージン+』特設ページマリアライカヴァージン : ある雪の降る日、みちるは、偶然マリアに出会った。切れ長の茶色の瞳、筋の通った鼻、口角の上がった唇、ストレートの黒髪。マリアに亡くなった母の面影を見たみちるの目から涙があふれると、マリアは不思議そうにしながら、ハンカチを渡してくれた―。孤高のギタリスト、両親を知らず施設で育ったマリア。知れば、知るほどに惹かれていくみちるだが、手を伸ばせばいつでも触れられるほど近づいても、決して愛は手に入らない。傷を抱え、それでも潔く生きる大人達に背中を押され、この愛を貫くために、みちるは人生をかけた大きな決断をする。本特設ページでは、内藤織部デビュー作「マリアライカヴァージン+」の物語のはじまりやLGBTQ+の基礎知識、作家インタビューなど物語をもっと楽しめるコンテンツをご用意しています。物語のはじまり第1話暗闇坂の犬第2話ルルドの泉前編第3話ルルドの泉後編第4話婆の家「物語のはじまり」はこちら : 相関図・登場人物「登場人物紹介」はこちら : 「LGBTQ+」とは『マリアライカヴァージン+』の登場人物にはゲイであるマリアやサキ、リリー、レズビアンであるジョージなど多様なセクシャリティを持つキャラクターが登場しています。この記事では「LGBTQ+」について解説していきます。「LGBTQ+とは」はこちら : 作家インタビュー「私が愛した男 マリアは、けっして私を愛さない」究極の愛と選択を描いた衝撃のデビュー作『マリアライカヴァージン+』。大学生のみちるは、ある雪の日に偶然マリアと出会います。切れ長の茶色の瞳をもつ孤高のギタリストであるマリアに、知れば知るほど惹かれていくみちる。けれど、手を伸ばせば触れられるほど近づいても、愛は手には入らない……。そしてみちるは、人生をかけた大きな決断をします。作者である内藤織部氏に、著書に込めた思いと愛すべきキャラクターたち、そしてこれからについて2回に分けて伺いました。「作家インタビュー」はこちら : 著者内藤 織部/ナイトウ オリベ双子座。卒論のテーマは太宰治。日本動物愛護協会終身会員。日本モンキーセンター会員。本書がデビュー作。お問い合わせ本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ゴールドオンライン東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5411-6270 話題の本ドットコム|学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年12月17日株式会社幻冬舎ウェブマ(本社:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-9-7、代表取締役:立本正樹)が運営する話題の本.com( にて、短編小説の連載作品の募集が開始しました。小説家を志す方、文章を書くことが好きな方など年齢性別を問わず誰でも応募が可能。編集部の審査を経てWEBに連載記事を投稿することができます。1話あたり2000~3000文字程度。月2~3話の更新で、計5~10話の連載をご担当いただきます。純文学、エッセイ、SF、ファンタジー、ミステリー等々ジャンルは自由。たくさんのご応募お待ちしています。募集概要・応募条件:年齢・経験不問(審査あり)・募集時期:随時・話題の本.comの小説ページ(※2021年11月公開予定)にて掲載・連載回数:1作品につき5~10話・文字数:1話につき2,000字~3,000字程度・更新頻度:月2~3話(相談可)・ジャンル:不問※公序良俗に反する内容/表現は禁止いたします。(暴力、賭博、麻薬、売春などの行為を肯定・美化するもの、醜悪、残虐、猟奇的で不快感を与える恐れがあるものなど)※金銭のやり取りは行いません小説連載までの流れ1.メール( info@gentosha-webma.com )に下記①②を記載・添付の上ご応募ください①下記事項を記載・件名:「小説連載応募」・ペンネーム・作品タイトル(仮)・連載回数(仮)②今までご自身が書かれた作品(なければ執筆する小説の1話)※ファイル形式は問いません↓2.編集部にて連載可否を審査いたします編集部担当者よりご連絡させて頂きます↓3.連載開始会社概要商号 : 株式会社幻冬舎ウェブマ代表者 : 代表取締役 立本正樹所在地 : 〒151-0051東京都渋谷区千駄ヶ谷4-9-7設立 : 2017年4月1日事業内容 : Webコンサルティング事業、Webサイト制作事業、Webコンテンツ制作事業、Webマーケティング事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年10月08日日本初のヘアライターとして活躍する佐藤友美(さとう・ゆみ)さん。20年弱のキャリアの中で約4万人、200万カットの撮影に立ち会ってきました。佐藤さんは、ヘアの世界をライター目線で見て実感した「髪と人生の密接なつながり」を伝えるため、2016年に『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)を刊行。人生を変えたいと願う女性や美容業界に従事する人々までに支持され、8万部以上を売り上げました。そして今年の11月26日に最新作となる『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)を発売。同月28日、幻冬舎1号館イベントスペース(東京都渋谷区)にてトークイベントが開催されました。イベントの内容を再構成して前後編でお伝えします。前編は…“髪型迷子”になるのはなぜ?なりたい自分を可視化するには?イベントの前半で“髪型迷子”を卒業し、本当に似合う髪型を手に入れるためには、3つのポイントがあると話し、「①顔だけでなく心にも似合うか意識できているか」「②髪型が持つキャラを理解しているか」と、まず2つのポイントを挙げてくれた佐藤さん。最後のポイントは「③自分がどうなりたいのかを考えること」だと言います。「自分がどうなりたいのかわからない人は、とても多いと感じます。きっと仕事や家庭で慌ただしくて、自分をゆっくり見つめる時間が少なくなっているからでしょう」自分を見つめるために、佐藤さんは2種類のワークシートを配ります。workA/©︎南 夏希workB/©︎南 夏希まずAのシートには「生活や髪質に制限がなければ、どんな髪型にしたいか」、「その髪型にしたらどんな自分になれそうか」を書き出します。次にBのシートに、「こんな風になりたい、こんな言葉で褒められたい」と思うものを20個書き出し、そこから最も自分に重要なものを3つに絞ります。このワークシートで知ることができるのは、「本当に自分がしたい髪型(A)」、「美容師さんに伝えるべきキーワード(B)」です。本書ではワークのポイントを挙げながら紹介しているので、ぜひ参考にしながら実践してみてください。「美容師さんに『こうなりたい』と本心を伝えるのは、最初は抵抗があるかもしれません。でも、その一瞬の壁を乗り越えれば、毎日素敵な気分で過ごせると思うとどうでしょう?それでも抵抗があるなら、美容院は病院だと思って行ってください。私たちが病院で症状を伝えるように、自分の気持ちを伝えてみませんか。『こう見られたいからこうしたいんです』と理由を添えれば、抵抗感も半減しますよ」美容院は自分の人生を決めに行く場所「もっと言えば、美容院は自分の人生を決めに行く場所だと思ってほしいんです。次に髪を切るまでの時間をどんな気分で過ごそうかとか、どんな自分を演出しようかと、未来に思いを馳せる場所にしてほしい。髪で自分を表現することができれば、人生は変わりますから」さらに佐藤さんは「自分のなりたい自分になることは、みんなを幸せにすること」だと言い、シャンパンタワーの法則を挙げました。「シャンパンタワーのいちばん上のグラスが自分で2段目が家族や大事な人。3段目、4段目が友人や会社の仲間たちだとします。真面目で優しい女性ほど、シャンパンを2段目から下に注ぎがちなんですよね。それでは、いつまでたっても自分のグラスは空っぽのままです。1段目(自分)から注いでみてください。自分が潤えば、自然と周りも潤っていくんですよ。だからまずは自分のことを大事にしてほしいなと思います」人生を変えたい、変わりたいと願う人のために、佐藤さんは「心が先でも髪型が先でも構わない」と言います。もし「自分の内面と相手に与えている印象にギャップがある」なら、髪型を内面に合わせること。「今の自分に納得していない」場合は、髪型を先に理想に近づけて、後から内面を追いつかせる方法があるとのこと。後者について、佐藤さんは、友人に起こったエピソードを語り始めました。「前作のとき、制作チームに友人でライターのもろずみはるかさんが入ってくれました。その後で長かった彼女の髪がどんどん短くなっていったんですね。そういう気分なのかなって特に理由は聞かなかったのですが、今回の本をプレゼントしたときに『実は私、あのとき髪に救われました』と打ち明けてくれたんです。この時、彼女は腎臓病の末期で生涯透析を続けるか、移植手術をするかという分岐点にいたそうです。疲れやすくなって出かける準備でさえも一苦労という中で、気持ちを変えたいと思って髪を短くしたら、会う人に元気そうだねと言ってもらえたのだと言います。そこから、元気そうに見える明るいキャラクターの自分に、内面も追いついてきて今ではとても“しっくりきている”と教えてくれました。今、彼女はご主人の腎臓を移植して、今まで以上にパワフルに活躍しています」自分に似合う髪型を手にするのは、自分を大切にすることイベントの最後に、佐藤さんは今回の本の執筆に込めた思いをふり返りました。「私はどうして髪が大事だと感じるのか考えてみると、髪は『自己肯定感』につながりやすいからだと思いました。自分に似合う髪型を手に入れることは、自分らしさを大切にすること。自分らしく生きられるようになれば、他人と比べることから解放されます。人生がもっとラクになるはずです。だから私は、髪にはもっと人生を変える力があると伝えたいし、美容院は人生を変える場所だと本気で思えるようにしていきたいのです」
2019年12月21日日本初のヘアライターとして活躍する佐藤友美(さとう・ゆみ)さん。20年弱のキャリアの中で約4万人、200万カットの撮影に立ち会ってきました。佐藤さんは、ヘアの世界をライター目線で見て実感した「髪と人生の密接なつながり」を伝えるため、2016年に『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)を刊行。人生を変えたいと願う女性や美容業界に従事する人々までに支持され、8万部以上を売り上げました。そして今年の11月26日に最新作となる『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)を発売。同月28日、幻冬舎1号館イベントスペース(東京都渋谷区)にてトークイベントが開催されました。イベントの内容を再構成して前後編でお伝えします。『女の運命は髪で変わる』で出し切ったと思っていたけれど…イベントの冒頭で、前作から3年経って続編を執筆することにしたのは、講演会などで全国を回るうちに、「髪型迷子」の女性たちが多くいることに気づいたからだと話します。「前作では、ヘアケアや髪型について『ここさえ押さえておけば、みんなが幸せになる!』というくらい、出し切れたと思っていたんです。でもトークショーの終わりには、『いい美容師さんを紹介してください』、『そもそも私はどんな髪型が似合うの?』と質問が続出。しかも、そうやって質問してくる女性のほとんどが、私から見ると “似合う髪型”をしていたんですよ。それなのに似合っていないと感じる“髪型迷子”に陥ってしまうのはなぜだろうと考えたのが、今回の執筆に繋がりました」似合っているのに「失敗」と思ってしまう理由は?髪型に関する悩みを聞くうちに、本当に似合う髪型を手に入れるには3つのポイントがあることに気づいたという佐藤さん。まず、「顔だけでなく“心”に似合うこと」が大切だと言います。「『似合う』には、まず“他人から見て”似合う髪型があります。その人の顔の形や髪質に合わせた髪型のことです。美容師さんはお客さんを見ると、似合う髪型を瞬時に10通りくらいは思いつきます。つまり『おまかせ』とオーダーして提供されるのは、その中から選ばれた髪型なので、周りから見ると十分、似合うわけです」それなのに“しっくりこない”と思ってしまうのはなぜなのでしょうか。「ある日、私の友人が『カットに失敗した』と連絡をくれました。彼女はモデルの吉川ひなのさんに似た、とても美しい人。『似合うように』と美容室でお願いしたところ、前髪をパッツンにされて、気に入らなかったと言うのです。私の目には、当時45歳だった彼女が30代前半にも見えたし、とてもよく似合っていて、私が美容師だとしても、その判断をするだろうなと思いました。それなのに、彼女自身は『失敗だ』と思っていたのです。なぜなら、彼女は仕事で社長や役員クラスの方と会う機会が多いので、年齢相応の落ち着いた雰囲気を求めていたのに真逆の髪型になってしまったから。つまり、髪型は顔だけではなく、心にも似合っていることが大事なのです」「本当に似合う髪型」を見つけるためのポイント/©︎南 夏希また、佐藤さんは美容師さんとの付き合い方について、スライドを用いて説明します。「『顔・髪質に似合う』髪型はプロの美容師さんが提案してくれますが、『気分、気持ち(心)に似合う』髪型はあなたが伝えなければ、美容師さんはわかりません。みなさんが『失敗』だと思う原因の99%はここ。気分や気持ちを共有できていなかったからです」髪型が持つキャラで印象は変わる“髪型迷子”を卒業し、本当に似合う髪型を手に入れるためのポイントの2つめは「髪型が持つキャラ」を理解することだと言います。「美容室でオーダーする時、単純に『ボブに切ってください』とだけ伝えていませんか?ボブと言っても、ふんわりとしたかわいらしいボブ、前下がりのクールなボブ、水平ラインのおしゃれボブなど、美容師さんはテイストによって少しずつデザインを変えています」デザインによって印象が変わる/©︎南 夏希「以前トークショーでこの話をしたとき、そのことを知らない一般のお客さんと、お客さんが知らないことを知らない美容師さんたちが、お互いに驚いていたのが印象的でした。つまり、すでにお互いの認識にズレがあるんですよね」髪型が持つキャラを知っていると、「第一印象をどう見られたいかを自分で決めることができます」と佐藤さんは言います。さらに、髪型が与える印象について、アイドルと政治家を例に挙げました。「日本の女性アイドルの髪型は、前髪がパッツンで黒髪ストレートのロングヘアが多いと思いませんか?これも、髪型に宿るキャラクターを上手に使っている例です。黒髪ストレートロングには清楚感や誠実さ、短い前髪には幼さが感じられます。彼女たちはそこで『彼氏のいない少女です!みんなのアイドルです !』というイメージを作り上げているのです。一方、歴代の日本の女性閣僚の髪型を調べると、40人中38人がショートやボブヘアでした。年齢による髪質の問題でショートしか選べないという方もいるかもしれませんが、30代でショートの方もいます。つまり、彼女たちは選んでショートヘアにしているということ。ショートヘアには強そうな印象やリーダーシップがありそうといった性格があります。その性格をうまく使って、支持を集めているのです。一方で、区議会議員になるとミディアムヘアやロングヘアが多くなります。(国会議員と比較すると)より身近な親近感のある髪型のほうが票を集めるのでしょう」そして、佐藤さんは「なりたい自分になるために髪の力を使いましょう」と言います。「自分がどんなキャラになりたいのか、言葉にしなければ、美容師さんは顔や髪質の方に似合わせます。美容師さんは髪のプロではあるけれど、エスパーではないことを忘れないでくださいね。どうなりたいか、どう見られたいか、キーワードだけでも言葉にできるようにしてほしいと思います」後編:「なりたい私」を美容師さんに伝えるには?ウートピ編集部
2019年12月20日『キッパリ!』などの著書を持つ、上大岡トメさんの新刊『老いる自分をゆるしてあげる。』(幻冬舎)のインタビュー。最終回は著者である上大岡トメさんが考える、「老いをゆるす」とはどういうことなのかをお聞きしました。できることを伸ばしていく——「40代まではめちゃめちゃ『老い』に抗っていた」とおっしゃっていましたが、具体的にはどんな感じだったのですか?上大岡トメさん(以下、トメ):常にもっと動きたいという気持ちがありました。とくにバレエがわかりやすいのですが、痛くても疲れていても、自分の身体を顧みずにずっと練習をしていましたね。——常に右肩上がりで伸びていくというのは、ある程度の年齢を超えると難しいですよね。トメ:そうなんです。怪我も増えるしね。でも、それが「老い」からくるものだとは認めたくない。もっとがんばれば、もっとできるようになると、無理をしていたのが40代でした。でも、「老い」について知れば知るほど、プログラミングされているものだから仕方がないと、受け入れられるようになっていきました。とはいえ、何もしないのは嫌だから、スローにしていく努力はしようと。もっとがんばれるではなくて、できないことも「ゆるそうよ」と思えるようになりました。——世の中、ゆるされないことが多すぎるので、自分だけでも自分をゆるしてあげたいですよね。トメ:この本が発売されてから、もう何年も会っていない友人から本の感想のメールがたくさん届きました。年代的に管理職の立場で、20〜30代の人たちの上に立って仕事をしている人がほとんどです。体力的な部分で無理がきかなくなってくる年代なのは仕方のないことなのに、それを努力が足りないからだと自分を責めていたと。でもこの本を読んだらみんな一緒なんだと気持ちがラクになったという感想ばかりでした。——精神論でがんばるという考えは、世代的なこともあるんでしょうね。トメ:たしかに、私たちがバリバリ働いていた20〜30代は、合理性よりも精神論が尊重された時代です。みんな寝る間も惜しんでがんばって、努力をすれば報われてきた世代とも言えるかもしれません。もちろん、ときにはがんばることも大切ですが、50歳を過ぎたら、そろそろ「無理すればできるはず」ではなく、「やれることとやれないことを自分の中ではっきりする」ほうがいいと思います。できないことはさっさと諦めて、できるところを伸ばしていく。それでいいのではないでしょうか。これからできないことがどんどん増えていくかもしれない。でもできることも絶対にあるはず。そこを優先順位としてやっていこうと、今は思っています。——ついつい、できなくなったことばかりに目がいきがちですからね。具体的にトメさんができなくなったことはありますか?トメ:バレエにおいてはたくさんあります。足が高く上がらなくなったとか、高くジャンプできなくなったとか、たくさん回転できなくなったとか。でも、逆に手を伸ばした時のきれいな動きなど、表現力は年齢に関係なく伸ばしていける部分。そういったところを注視するようになってきましたね。生物学的に50歳まで生きられたらそれだけでラッキー——できなくなったことばかりをお聞きして恐縮ですが、仕事面でできなくなったことはありますか?トメ:体力的にも気力的にも、スケジュールを詰め込めなくなりました(笑)。以前は東京にくるときは、打ち合わせや取材をみっちり詰め込んでいたけれど、今はそれをやると疲れてしまって何を話しているかわからなくなる(笑)。途中で休憩時間を入れたり、何もしない日を入れたりして調整しています。——人間関係も疲れてしまうことのひとつかと思いますが、年齢を重ねたことで人との付き合い方に変化はありましたか?トメ:私に限らずフリーランスには多いと思いますが、スケジュール表の空白が怖かったし、断ったら次がないかもしれないという思いが強く、無理をしてでも仕事を受けていました。でも今はできないときはできないと、「No」が言える日本人になりました(笑)。そういう意味でもだいぶラクになりましたね。とくに『縁切り神社でスッキリ!しあわせ結び』(WAVE 出版)という本を描いてからは、人との距離を上手にとれるようになってきました。本当にご縁があれば一度関係が切れても、10年後につながってくるとわかってきたからです。——「老いをゆるす」とは無理をしないということなのでしょうか。トメ:それが一番だと思います。できないことに目を向けてもネガティブになっていくだけ。できることややりたいことに目を向けたほうが楽しいし、気持ちも前向きになります。ただしそれにはやらなくてはいけないことを、ちゃんとすること。適度な運動、筋肉のトレーニング、食事や睡眠などの「戦略的養生」です。50歳寿命説を知ったら、50歳まで生きられたらそれだけでラッキーなんですよね。そう思うと逆に何でもできる気がしてきます。(取材、文:塚本佳子、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
2019年09月20日『キッパリ!』などの著書を持つ、上大岡トメさんの新刊『老いる自分をゆるしてあげる。』(幻冬舎)のインタビュー。第3回は著者である上大岡トメさんが、本のテーマに「老い」を選んだ理由や、取材で知った驚きの事実についてお聞きしました。閉経後の老年期があるのは人間の女性だけ???画像提供:幻冬舎——そもそも「老い」をテーマに描こうと思ったのは、ご自身の身体の変化がきっかけだったのですか?トメ:はい。私自身が50歳目前で喘息を発症したり、周りの50代の友人たちが同じように体調を崩しているのを見たのが直接のきっかけでした。同時期に、老いとは経年変化ではなく、遺伝子の中にプログラムされているという記事を読んでショックを受けたことも、「老い」に興味を持った理由です。それと、もともと人の身体に興味があったというのもあります。人間の脳について描いた『のうだま*』のときもそうでしたが、人間の、自分の身体の中を知りたいと常々思っていました。急に体調を崩して、やはり「老い」に目を背けてはいられない。身体の中では何が起こっていて、これからどうなっていくのか科学的に知りたくなりました。*「のうだま1、2」(池谷裕二氏と共著幻冬舎)——見えないものだけに怖いですよね。トメ:そうなんです。幽霊と一緒で、知らないとただ怖いだけ。でも、相手の実態がわかれば正しく恐れてなんとかなるのではないかと。地震もただ怖いと言っているだけでは生き延びられない。相手のシステムを知って正しく恐れることが対策につながると私は思っています。——50歳寿命説などはそのひとつだと思いますが、「なるほど」と思いましたね。画像提供:幻冬舎トメ:おもしろいですよね。戦前は人生50年だったんですよ。この100年で人間の寿命はぐんと延びました。人生が長くなったからこそ、「老い」と向き合わないといけない時代になったんだと思います。——帯に書かれた「閉経後も生きていることには意味がある」というキャッチが印象的です。女性の場合、いまだに「産める間が女」と言われたりしますが、人生100年になった現代、人生の半分がそうではない閉経後を生きることになります。トメ:これも本書を描くための取材で知ったのですが、閉経後の老年期があるのは人間とクジラ族のシャチとコビレゴンドウだけらしいんです。だからこそ、50歳から先の人生に意味がるのかなと。これから先の自分が歩んでいく将来はどうなるのかと興味津々です。人の身体の中ではいろいろなことが起こっている——執筆するにあたって、5人の専門家の方にお話を伺ったということですが、どうしてその人たちに話を聞きに行こうと思ったのですか?トメ:部位別ですね(笑)。まずは「細胞のことを知りたい」から始まり、たまたまラジオで聞いた「骨」もおもしろいと思いました。それにともない「筋肉」も入れたいし「脳」は欠かせないし、あとは総合的に「老化」についてお話を聞ける先生を探しました。「神経」なども上がったけれど、あまりにも広がり過ぎてしまうので泣く泣く削りました。本来「細胞」「骨」「筋肉」「脳」「養生」だけでも、それぞれ1冊かけてしまうくらいの内容がありますからね。実際にこれまでの作品以上に、何度も書き直し、削る作業を繰り返しました。情報量が多すぎると疲れてしまって、最後まで読んでもらえないですから。——難しい内容なのにすっきりして読みやすく、わかりやすかったです。真面目なことというのは地味になりがちですが、最後までおもしろく読ませていただきました。知らなかったことばかりで、とくに「破骨細胞」と「老化細胞」の部分は衝撃的でした。トメ:骨も細胞でできているんだけど、その骨を壊す細胞がいるっていうね。哲学的ですよね。細胞は本当に奥が深くて、分裂を繰り返すたびに違う細胞に生まれ変わる。——最終的には「老化細胞」になり、これは死なずに身体に悪影響を及ぼすというのもショックでした。トメ:歳を重ねるとあちこち痛くなるのは、老化細胞の影響なんです。画像提供:幻冬舎トメ:細胞分裂の回数が決まっているということは、寿命が延びたからこそ発見されたことです。そこには、染色体の末端部にある「テロメア」が関わっていて、細胞分裂するたびにテロメアは短くなっていくと言われています。そして、限界がくると「老化細胞」になる。その一方で、テロメアは生活習慣によって長くできることもわかってきています。つまり、このメカニズムを知ることで、老化を緩やかにする対策ができるわけです。——なるほど。細胞のことなんて考えたことなかったです。若いうちから生活習慣に気をつけることが大事なんですね。(取材、文:塚本佳子、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
2019年09月13日『キッパリ!』などの著書を持つ、上大岡トメさんの新刊『老いる自分をゆるしてあげる。』(幻冬舎)のインタビュー。第2回は著者である上大岡トメさんの、身体と心のバランスの保ち方、ネガティブ思考からの脱出方法をお聞きしました。画像提供:幻冬舎ネガティブ思考全開のときは、思い切り身体を動かす——前回は身体の変化についてお聞きしましたが、心身は切り離せないもの。体調を崩すとやはり精神面にも影響しますよね。上大岡トメさん(以下、トメ):それは間違いなくありますね。40歳で長期の風邪を経験して何を学んだかというと「心は身体に左右される」ということでした。体調不良だと本当にやる気がなくなります。心が沈んでいても『キッパリ!』のポーズをするとやる気が出てくることはすでに身体でわかっていましたが、身体を整えておけば自然と心は引っ張られていくということを改めて実感しました。——私は仕事のことを考えると眠れなくなってしまうことがあって、それをどうにかしたいのですが、精神的な健康を保つための具体的な方法を教えてください。トメ:わかります。私も眠れないことありますよ。最近ちょっとうつっぽくて。まあ、自分でうつという人はうつじゃないと言いますけどね(笑)。昨年末から著書の執筆が2冊同時に進行していたことで身体が疲れていたのか、まだ描き終わってもいないのに売れなかったらどうしようと、しょうもないことを考えてしまって……。寝つきは悪くないのですが、朝早くに目が覚めてしまう。そういうときはネガティブなことしか思い浮かばないんですよね。——取らぬ狸の皮算用というか、自分でコントロールできないことに不安になってしまうことって多いですよね。そういうとき、トメさんはどうしますか?トメ:運動してなるべく身体を疲れさせます。私は昔からクヨクヨ考えてしまうほうなので、「思考を止める」手段をできるだけ持とうと意識してきました。今はバレエですね。バレエの動きは本当に難しくて、踊っている間は他のことは考えられません。以前は柔道もそのひとつでした。乱取り(編集部註:柔道の練習方法。試合のように相手と取り組む)しているときは他のことは考えられない。人間の脳のデフォルトはネガティブ思考——ネガティブなことを考える隙を作らないということですね。トメ:そうそう。思考の大半は考えようと思って考えるのではなく、自然に考えてしまうもの。思考を止めよう、考えないようにしよう、と思ったところで止められるものではありません。こうして話している間も、「この後どうしようかな」とか「夜は何を食べようかな」とか、常にいろんなことがわーっと頭の中に流れてきます。それを止めるには違うことをするしかない。——日々、思考を止めたいと思うことが多々あります。とくにネガティブなことほど考え出すと止まりません。トメ:それは正常な思考だと思いますよ。本来、人間の思考はネガティブが基本だと言われています。なぜなら、生きるため。あそこに敵がいるとか覚えておかないと死んでしまう。自分に対して危険なことは覚えている。それは脳の仕組みとして人間に備わっているもので、それによって人類は生き延びてきた歴史があります。——なるほど。ネガティブ思考が人間のデフォルトなんですね!それを知っているだけでもちょっと安心します。トメ:この世に誕生したときから脳に組み込まれているのだから、ネガティブな自分に落ち込む必要はないと思えば、ちょっとラクになりますよね。とはいえ、前向きになるためには、ネガティブ思考を止める手段を身につけておくことは大切だと思います。経験上、身体を動かすことが手っ取り早い気がします。私の場合はバレエやヨガですが、その手段をなるべく多く持つことをおすすめします。思考を止めて頭が一旦白くなると、すごくすっきりするんです。すると、なんであんな細かいことで悩んでいたんだろうという前向きな気持ちになれる。いったん手放すってどういうこと?——考えないことって難しいですよね。ヨガのレッスンでは最初に必ずインストラクターが「頭の中で考えていることをいったん全部手放しましょう」というけど、気がつくと何か考えてしまっています。トメ:実は私はヨガのインストラクターでもありますが、同じように生徒さんに言っていますよ(笑)。でもそれが難しいことはわかっています。瞑想もそうですが、何もしていない状態で思考を止めるのは難しい。だから、ヨガでは難しいポーズをとるんです。——そういえば、動きだしたらヨガ以外のことを考えなくなりますね。トメ:そうでしょう?難しいボーズを入れると、みなさんものすごい集中力でわーっと汗をかいて一旦思考が止まる。できるとかできないとかではなく、そこがポイント。難しいことをやって集中力を極限に持っていくことで、ネガティブ思考はいったん止まります。(取材、文:塚本佳子、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
2019年09月06日生きていれば誰しも等しく歳を重ねるわけで、エイジングは怖くない!というムードもありますが……やっぱり自分の心身が変わって行くのはちょっと怖い。『キッパリ!』などの著書で知られる、上大岡トメさんも48歳の時に起こった身体の変化に「青天の霹靂」だったそう。2019年7月に発売された『老いる自分をゆるしてあげる。』(幻冬舎)は、トメさんが50歳からの「自分」とうまく付き合うためのヒントをつづったコミックエッセイ。ここから、一緒に「老化」と向き合ってみませんか。第1回は著者である上大岡トメさんの、年齢による身体の変化、「老い」を意識したターニングポイントをお聞きしました。ターニングポイントは、32歳、40歳、50歳だった——「老い」というのは、直視するのが怖いというか、どうしてもネガティブに捉えてしまいがちなテーマですよね。トメさん自身はどんな印象を持っていましたか?上大岡トメさん(以下、トメ):ネガティブな気持ちを持っていましたよ。身体の変化に、めちゃめちゃ抗っていた時期もありました。——一般的に35歳を過ぎると、体力的に無理がきかなくなると言われますが、トメさんが身体の変化を感じたターニングポイントを教えてください。トメ:私の場合、32歳と40歳と50歳です。実は私、学生時代の体育の授業以外、本格的に運動をしたことがなかったのですが、32歳でダンスを始めたんです。——どんなジャンルのダンスですか?トメ:ヒップホップ(笑)。すごいでしょう。学生の頃、バスケットをやりたかったんだけど、自分には運動神経がないと思っていたので、勇気がなくて吹奏楽部を選びました。当時、人気だった米米CLUBというバンドが好きで選んだ吹奏楽部ですが、歌に合わせて踊っているSUE CREAM SUE(シュークリームシュ)というダンスユニットのほうにもっと惹かれていました。あんなふうに踊れたらなと。でもきっかけがなくて、30歳を過ぎるまで文化系のまま過ごして。——ヒップホップとは、また激しいジャンルにいきましたね。それこそかなりの勇気が必要だったと思いますが、始めたきっかけはなんだったんですか?トメ:29歳で関東から山口県に引っ越したことです。地方で子育てをしていたのですが、そこでの生活はほぼ車移動。歩くことが極端に減ったせいか腰痛と肩こりに悩まされました。このままではダメだと危機感を覚えて、32歳のときに近所のエアロビクススタジオに通い始めたのがそもそものきっかけです。——そこからトメさんの体育会歴が始まるわけですね。トメ:文化系から一気に体育会系ですよ(笑)。最初は全然思うように動けなかったのですが、練習をするうちに身体を自由に操る感覚がわかってくる。これは衝撃的でした。ああ、運動すると、こんなにも身体と脳は直結してくれるんだと。それからずっと運動を続けています。仕事で柔道雑誌に携わったのをきっかけに、柔道も始めました。——えー、これまたすごいところにいきましたね。トメ:おもしろいでしょう(笑)。当時は田村亮子さんの全盛期で世間は柔道ブーム。柔道もやってみるとおもしろくて、36歳のときに黒帯をとりました。——やり始めると、本格的なんですね。トメ:おもしろくなるとのめり込んでしまう性格ですね。ただ、柔道はケガが多い。並行して続けていたダンスにも影響が出てきたので、柔道はお休みすることにしました。「老い」に抵抗していた40代——今もヒップホップダンスをされているんですか?トメ:10年くらい前からクラシックバレエをメインに習っています。ヒップホップの後にジャズダンスを始めて、44歳でクラシックバレエにはまりました。ダンスというと、ふつうはクラシックバレエの基礎から始める人がほとんどですけど、私の場合は逆からいった感じですね。32歳から途切れることなく運動を習慣にしていますが、このときは運動不足を実感したという感じで、まだ「老い」は意識していませんでした。——40歳のターニングポイントというのは?トメ:ひと冬中、風邪が治らなかったことです。たしか11月頃に風邪をひいて、それが翌年の3月くらいまで治らなかったんです。咳が止まらなくなったり鼻水が出たり、肺炎などの検査もしてもらったのですが、風邪という診断しかでませんでした。大病ではなくて安心したものの、症状は一向に治まらない。これは免疫力の低下が原因かなと。「老い」というものを意識し始めるきっかけになったと思います。——意識したところで、受け入れるのは難しいテーマですよね。トメ:受け入れられない気持ちはあっても、30代と比較して身体がすごく変わってきているなという実感はあったので、バレエを続けながら、ヨガを始めたり、食事は野菜中心で腹八分目を心がけたり、早寝早起きを心がけたり、より健康に気を使うようにはなりました。——風邪は自然に治ったのですか?トメ:何か対策をしなくてはいけないと情報収集したところ、口呼吸をしているなと気づいて、口を絆創膏で塞いで寝るようにしたら、そのうちに。——そんな方法があるとは。そして、50歳目前で喘息を発症というのが50歳のターニングポイントでしょうか。トメ:著書にも書いていますが、本当に青天の霹靂でした。40歳のときの風邪の経験から、健康には人一倍気を使っていたつもりだったので、「なぜ?」という気持ちでしたね。それをSNSに投稿したら、私と同じように大人になってから喘息になった人や、50歳前後で大きく体調を崩した人がこんなにも多いのかと驚きました。これをきっかけに、「老い」という得体の知れないものに目を背けてはいけないと思い始めました。(取材、文:塚本佳子、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
2019年08月30日ジェーン・スーさんの対談集『私がオバさんになったよ』と、能町みね子さんが自身の5歳当時を描いた私小説『私以外みんな不潔』(共に幻冬舎)の刊行を記念したトークイベントが4月、「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)で開催されました。『私がオバさんになったよ』の最終章に登場したのが、能町さん。同書は、ジェーンさんが過去に対談したことがあって「もういちど話したかった」という人との対談をまとめた一冊ですが、能町さんとは初対談で、「人生は有限。会いたい人には会ったほうがいい」というジェーンさんの思いが結実した対談だったといいます。その“延長戦”として実現したのが、このたびのトークイベント。「大勢が苦手」という2人の友達付き合いについて、パートナーとの生活について、男女差別についてなど、トークの内容を3回にわたってお届けします。【第1回】BBQもホムパも異業種交流会も…距離の詰め方って難しい【第2回】「男って」「女って」は信用ならない…気が付けば、女がいない能町みね子さん(以下、能町):ディスるつもりじゃないんですけど、ちょっとびっくりしたのがTBSラジオで始まった「ACTION」という番組。武田砂鉄さんや尾崎世界観さんたち5人がパーソナリティーに入っているんですけど、最初「あ、面白そうだな」って普通に思ったんですよ。で、今日初めて「男しかいない」と気付いた。こういうことが起きちゃうんだと思って、モヤっとした。ジェーン・スーさん(以下、ジェーン):そういう意見は局内からも出てるようです。どこの局もそういう傾向はあるんでしょうね。能町:NHKもそうです。私がレギュラーをやってる「すっぴん!」(NHKラジオ第1放送/NHKワールド・ラジオ日本)も、女性は私しかいないですから。「すっぴん!」には「アンカー」といって、他の局ではアシスタントと呼ばれるポジションで女性のアナウンサーの方が5日間入っているから、それも理由としてあるのかなとは思うんですけど。でも、パーソナリティーとして名前が出るのは、男4、私が女1。別に女×女でもいいのに。ジェーン:「ジェーン・スー 生活は踊る」(TBSラジオ)はパーソナリティーの私が女、パートナーが女性が2人と男性が3人で、ギリギリ男女共学みたいな感じにはなってる。まだ女の数が増えることに慣れてないというか、意識しないとそうなっちゃうんでしょうね。能町:無意識でやっちゃってるんでしょうね。ジェーン:ラジオだけでなく、多くの場合、完全に無意識だと思いますよ。それを変えていくには数十年はかかるだろうけど、「あきらめない」というやり方しかないなと思う。能町:津田(大介)さんなんて、すごく頑張ってらっしゃる。(芸術監督を務めた国際芸術祭の)「あいちトリエンナーレ」の参加アーティストを男女同じ数にして、(Twitterで)ディスってくるクソリプをちゃんと相手にしてる。“全日本クソリプ被弾選手権”に参加しているつもりになるジェーン:クソリプって、どうしてます?能町:昔に比べれば、最近はだいぶ無視するようになりました。ジェーン:私もいちいち腹を立てたり、反論してた時期もあったんですけど、最近、自分をうまくだます方法を思いついたんです。「全日本クソリプ被弾選手権」に参加してるつもりになるんですよ。そうすると、クソリプがきても「ちょっと!そんなんじゃ勝てないよ!」という気持ちになってくる。著名人たちはもっとスゴイの食らってるから、私のところにくるようなクソリプレベルでは、勝ち目がないわけです。そうすると、会ったこともないクソリプの送り主と共闘意識が生まれるんですよ。「おい、もうちょっと頑張れよ!」と……。なんとなく、今はそうやってごまかしています。もちろん、エゴサーチして出てくる作品や番組に対するまっとうな批評は受け止めますけど、的外れなクソリプに対しては「これでは入賞もできないぞ!」と思うように。能町:私はクソリプを送ってくる人の過去のツイートはかなり見ます。ジェーン:私もやります。ホームを見に行くと、幸せそうな人がいない。能町:日々つらいんだろうな……という同情も生まれるんです。ジェーン:「もの言う女」って、文句つけやすいじゃないですか。精神が鍛えられますよね、ツイッターは。女全般を呪ってるのでは?と思うこともままあります。最初は私の文句を言ってたはずなのに、最終的には「女め!」みたいなツイートになってたり。あと、テレビに出たら「ものを言うなら化粧してからにしろ」というリプが飛んできたこともあります。もちろんメイクはしてたんですよ。顔がぼやけてきてるので、デーモン小暮くらい塗ってもTVだとノーメイクに見えがちなんですけど。「赤い口紅」みたいなものがメイクだと思っている人たちにとっては、私はノーメイクに見えるんでしょうね。その人のホームを見ると、人生に満足していないことが明らかでした。お金がないとか、仕事でイヤな思いをしたとか。うまくいかない自分を責めて、極端になると「自分はモテないから」という考えになる。そんな中で、メイクもそうですけど、「こうあるべき」と考える女と真逆な女が、偉そうにものを言ってるのが我慢ならないのかも。大人だから、会いたい人には会っておくジェーン:今回の本で、なぜお話ししたことのなかった能町さんに1人だけ対談をお願いしたのかというと、山内マリコさんと対談をした帰り道、たまたま(ライターの)雨宮まみさんの話をしたんですよ。雨宮さんとは一度だけイベントで一緒になったことがあるんですけど、ちゃんとお話ししたことはなくて。でも、絶対にまた会えると高をくくっていたんです。だからやっぱり、「タイミングが合えばそのうち」なんて言ってる場合じゃないと思いました。大人は「会いたい」とは口にしにくいけど、言わないと後悔する。大人になって友達をつくるのは面倒くさいけど、勇気を持って当たっていこうと。能町:会いたい人には会ったほうがいいですね。ジェーン:人生は有限ですもんね。対談を受けてくださり、ありがとうございました。■連載を読む【第1回】BBQもホムパも異業種交流会も…距離の詰め方って難しい【第2回】「男って」「女って」は信用ならない…(取材・文:新田理恵、撮影:宇高尚弘)
2019年06月06日ジェーン・スーさんの対談集『私がオバさんになったよ』と、能町みね子さんが自身の5歳当時を描いた私小説『私以外みんな不潔』(共に幻冬舎)の刊行を記念したトークイベントが4月、「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)で開催されました。『私がオバさんになったよ』の最終章に登場したのが、能町さん。同書は、ジェーンさんが過去に対談したことがあって「もういちど話したかった」という人との対談をまとめた一冊ですが、能町さんとは初対談で、「人生は有限。会いたい人には会ったほうがいい」というジェーンさんの思いが結実した対談だったといいます。その“延長戦”として実現したのが、このたびのトークイベント。「大勢が苦手」という2人の友達付き合いについて、パートナーとの生活について、男女差別についてなど、トークの内容を3回にわたってお届けします。【前回は…】BBQもホムパも異業種交流会も…距離の詰め方って難しい“主夫”のパートナーとの同居生活ジェーン・スーさん(以下、ジェーン):その後どうですか? 生活のほうは。能町みね子さん(以下、能町):順調で、何も起こってないんです。私が働き、相手(ライターのサムソン高橋さん)が家事をする。洗濯、炊事、掃除の99%を向こうがやる。たまに申し訳なくなるけど、向こうはそれでいいと言うから、「いいのかな?」と思いながらもう1年になる。ジェーン:向こうが卑屈になったりしません?能町:それがないんです。私も男の人に対して、「働いて女よりも稼ぎたい」とか「女にデカい顔されたくない」と思ってるに違いないという偏見があったんです。でも、向こうがゲイだという理由も多少はあるかもしれないけど、彼にはそれがまったくないんですよ。むしろ、なるべく働きたくないという考え。ジェーン:私たちが望む人物像ですよね。能町:そうなんです。私は「働かなくていいよ」と思っているんですけど、向こうは一応パートもしているんですよ。パートとライターをしていて、今はほぼパートがメイン。ジェーン:パートしているとしていないとでは、大違いだと思います。私のパートナーは今は外で働いてなくて、家事を全部やってもらっているんです。給与を発生させてはいるんですけど、やっぱり彼から「外で働いて稼ぎたい」という思いは少し感じますね。最初はたぶん「ラッキー!」「得意なことだけやればいいぞ」と感じていたと思うんです。でも、今は家族以外の人から求められるということを必要としてるんだろうなと思います。それも、友達とかではなく、契約を交わして、仕事という形で頼りにされることを。そういうプレッシャーを苦手とする人が主夫に向いてると思ったけど、ゼロじゃダメなんだなと思うようになりました。能町:じゃあ今は、「ちょっと働こうかな」みたいな感じに?ジェーン:そうですね。でも、40代半ばの男の人が、家事をやりながらちょこちょこっとできるパートってあんまりないんですよ。女の人なら、いっぱい見つかるのに。ジェーン・スーさん男性の「ちょっと働き」場所が必要能町:今の夫(仮)というか、「アキラ」と呼んでるんですけど、アキラとこういうふうになる3年くらい前まで彼は建築系の仕事をしてたんです。それを辞めて、2、3カ月タイとかに行って。帰ってきてから2年くらいは無職だったと言ってたかな。さすがにお金が尽きたので「働こう」と思った時に、アルバイトですら100件くらい落ちたらしい。ジェーン:女の人の社会進出はもちろんかなえられなきゃいけないけど、男の人の「ちょっと働き」ができる場所もつくっていかないとマズイですよね。能町:40〜50歳くらいの人がコンビニへ行って「働きたい」と言ったら、たぶん偏見の目で見られちゃうんですよ。「この人、50歳にもなって何やってんだ」って。ジェーン:女の人は50歳でも「子育てが終わったんだな」と見られて、いっぱいパートの口があるんだけど、男はキツい。能町:幸いパートが見つかったからよかったですけど。今は(東京都)北区に住んでいて、私は北区から仕事で神楽坂に通ってるんですけど、やっぱり神楽坂に住みたいんですよ。でもそうすると、パートに通うのが面倒くさい。どうせなら神楽坂でパートを見つけたいと言ってるけど、実際にまた探すとなると結構大変。ジェーン:おうちを買っちゃったんですよね?能町:買いました。でも、貸せばいいし。「男って」「女って」はあてにならないジェーン:将来、どのタイミングで家を買うか、考えちゃいますね。歳を取ったら郊外に引っ越そうかなというイメージがあったんですけど、「郊外はどんどん過疎化が進んで寂れているから、生活ができない」と言って友達の親が東京に出てきてるんです。だから、郊外に引っ込めばいいやという考えはダメだなと思った。能町:郊外は厳しいですね。地方都市ならまだいいけど。スーさんはマンハッタンに住みたいんですよね? いつ行くんですか?ジェーン:ね!人生のどこにニューヨークを組み込むか。パートナーは、こないだシルクロードを(西から)たどる旅をしてきたような人なので、マンハッタンとかまるで興味ない。先日も雪山登山に出かけてました。そうやって家を空ける時には、うちの中をちゃんとしてから出かけてくれます。能町:ちゃんとしているんですよ、向こうのほうが。奧さんだなーと思いますよね。なんでこんなにキレイに逆転しちゃうんだろう。ジェーン:結局、「男って」「女って」と世間でいわれてるあれこれが、こんなに信用ならないものだったかという感じは、実体験としてありますよね。能町:男性性と女性性って、すぐ入れ替わると思いますね。ジェーン:「女が首脳になったら戦争は起こらない」と言ってる人がいるけど、絶対うそ! 権力持ったら、性別関係ない。新自由主義みたいな考えがなだれ込みで入ってきちゃったから、機会が均等になると、「持てる者と持たざる者」「パワーがある男女とない男女」の違いが如実になってくる。能町:仮に男女が平等になっても、そういうことは起こり得ますよね。ジェーン:何をやっても難しいですね。※第3回は6月6日(木)公開です。(取材・文:新田理恵、撮影:宇高尚弘)
2019年05月30日コラムニストのジェーン・スーさんが、光浦靖子さんをはじめ、山内マリコさん、中野信子さん、田中俊之さん、海野つなみさん、宇多丸さん、酒井順子さん、能町みね子さんら8人と、テーマは設定せずに語り尽くした対談集『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)が3月に発売されました。「女はキャリアが得にならない」「えん罪お局」「若くもきれいでもない女たちが東京では楽しそうに生きてる」「役に立つことのために生きてるわけではない」「極悪人に石を投げない」など、片っ端からマーカーを引きたい言葉ばかり。「『私がオバさんになったよ』と言われると、少しだけ心がざわつく人に届いてほしい」とつづるジェーンさんに3回にわたってお話を伺いました。【第1回は…】他人の期待に応えすぎず、自分を裏切らないで生きていく【第2回】怒られなくなる30代、成長しないことより怖いのは…コンプレックスのお焚き上げはやったほうがいい——山内マリコさんとの対談での「特に若くも、特にきれいでもない女たちが東京では楽しそうに生きてるってことぐらいしか、私には見せられないかもしれないけど」という部分にグッときました。そこで、お聞きしたいのが、特に若い頃は自分の足りていない部分やコンプレックスにばかり目がいってしまってなかなか抜け出せないことがあると思うのですが、自分を受け入れることについてアドバイスをいただきたいです。ジェーン:自分のコンプレックスですか?1回、徹底的に向き合うことじゃないですかね。ウジウジしているだけじゃ、絶対に解決しないから。例えば、容姿のコンプレックスならば、徹底的に容姿を改善することをしてみる。メイクに、洋服にこだわるとか、徹底的に1回やってみる。それで「やった!ハッピー」になるのか、「めっちゃ疲れる。これもう嫌だ」になるのか、とにかく1回やりきることだと思います。私も、“普通の女の子”といわれる像に自分が当てはまらないことにずっとコンプレックスがあったんです。今ももちろんありますけれど、30代前半で“普通のアラサー”に完全擬態したら、半年くらいで飽きちゃいましたね。着る服だったり、髪型だったり、ヘアメイクだったり、付き合う相手だったりというのをそっちに寄せてみたけど疲れちゃった。その当時の写真を見ると怖いんですよ。全然自分じゃないみたいで。顔つきも違うし、「うわ、キモッ」って感じです。——1回やってみるんですね。ジェーン:そうです。コンプレックスがあるってことは、つまり「私がこうだったらな」という理想があるってことじゃないですか。「親が金持ちだったら」を今からかなえるのは難しいけれど、「もう少し頭が良かったら」「もう少し痩せてたら」と自分に関することであれば、全部トライしてみればいいと思いますよ。それまでの私は、集中して突き詰めてこなかったから、いつまでもウジウジ言ってたんだと思います。擬態してみて「これツラいわ」と思ってやめました。——徹底的に向き合えば気も済みますよね。ジェーン:気が済みます。コンプレックスのお焚き上げはやったほうがいいと思います。食わず嫌いはやめる——山内さんとの対談で「女の生きざまの可能性を見せることが自分の仕事」とおっしゃっていましたが、楽しく生きていくためのコツってありますか?ジェーン:私の場合は、一生懸命やる以外のコツは見つけられなかったですね。人によって違うと思うんですけれど。私の場合は、とにかく一生懸命やることで楽しくなってきましたね。仕事でもなんでも。——苦手なことでもとりあえずやってみるってことでしょうか?ジェーン:食わず嫌いをやめるっていうのは、30代で絶対やったほうがいいですよ。それは『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)にも書いたんですけれど、「あんなのバカみたい」とか言ってるのは、だいたいコンプレックスの裏返しなので、さっき言ったように、1回徹底的に突き詰めてやってみるっていうのも手だと思います。私の場合は、そういう30代を経て、いろいろやってみて、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)にも書いたけれど、「オーガニック食品はイデオロギーより普通に味が美味しいから好き」って軟着地をしました。まずいオーガニックもあるだろうけど、試したことで、うまいオーガニックは本当にうまいと気付けました。要領の良しあしは「能力」——40代で大事なことは?ジェーン:どっちかというと40代はクオリティかな。自分ができる限界のところまでちゃんと準備をするとか、そっちかな。書く仕事に関してはそうですね。私の場合、効率がすごく悪いんですよ。頭のいい人って最短距離で目的地まで行けるし、優先順位がきちんとついてるので、優先順位が低いもののクオリティがそんなに高くなくても、大勢に影響がないってわかってるんですね。細かいところにこだわろうとそうでなかろうと、この範囲内だったら世間の評価は変わらないと知っている。——“いい加減”みたいな……。ジェーン:そうそう。ただ、仕事に関して私はそれができないし、やりたくないんですよね。ベッタリ隅から隅まで納得できる準備をしたり、確認をしたり、何度も直したりしたほうが、たとえそんなに評価に差がなかったとしても、自分が気持ち悪くないんですよ。おかげさまで他の人より馬力はあるほうなので、たとえそれで一日つぶれたとしても、睡眠時間が短くなったとしても、私はそうしたい。そこは人それぞれで、そうしないといい結果が出ないわよ、とは言わないし思わない。要領の良しあしって、能力のあるなしというより能力の違いですよね。——素質ってことですか?ジェーン:いや、素質っていうより能力。性格とも言えるかな。要領の良い人の方が能力が高いように見えがちだけど、そうじゃなくて単に性格の違いだと思う。要領が悪い人って、要領の良いことをやると不安になるでしょう。何か見落としてるんじゃないかとか、手を抜いてるんじゃないかとか。——「自分はラクしちゃったんじゃないか?」みたいな感じですか?ジェーン:うーん、楽はいいんですけどね。楽はいいんですけど、楽したはずなのに「何か足りないんじゃないか?」と不安になる。結局、その不安を埋めるには、要領が悪いことをやるしかないんで、諦めたほうがいいなって私は思っています。——インタビューも今回で最終回です。元号も代わり、新しい時代が来たという空気に満ちていますが、令和はどんな時代になってほしいですか?また、ウートピを読んでいる読者にメッセージをお願いしたいです。ジェーン:時の流れを元号で考えてないのであんまりピンとこないのですが、個人的には自分にリミットをかけないようにしたいです。やりたいことをてらいなくやれる状態でいたい。読者の皆さんには……何か言うのもおこがましいので、特にありません!!!フフフ。■最初から読む【第1回】他人の期待に応えすぎず、自分を裏切らないで生きていく【第2回】怒られなくなる30代、成長しないことより怖いのは…(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年05月28日ジェーン・スーさんの対談集『私がオバさんになったよ』と、能町みね子さんが自身の5歳当時を描いた私小説『私以外みんな不潔』(共に幻冬舎)の刊行を記念したトークイベントが4月、「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)で開催されました。『私がオバさんになったよ』の最終章に登場したのが、能町さん。同書は、ジェーンさんが過去に対談したことがあって「もういちど話したかった」という人との対談をまとめた一冊ですが、能町さんとは初対談で、「人生は有限。会いたい人には会ったほうがいい」というジェーンさんの思いが結実した対談だったといいます。その“延長戦”として実現したのが、このたびのトークイベント。「大勢が苦手」という2人の友達付き合いについて、パートナーとの生活について、男女差別についてなど、トークの内容を3回にわたってお届けします。怒られなくなる30代、成長しないことより怖いことは?【ジェーン・スー】「ジェーン×能町」は“発注”がないジェーン・スーさん(以下、ジェーン):ちゃんとお話しするのは本の対談以来、二度目です。ホントに、この組み合わせは発注がないんですよ。能町みね子さん(以下、能町):私は対談の企画自体がそんなにないかも。ジェーン:ラジオをやっていて、文筆もやっている女性はそんなにいない。私たちはそういう共通点があるわりには接点がなく、ラジオ局でほんの一瞬会ったことがあっただけ。『私がオバさんになったよ』は「もういちど話したかった」というタイトルの連載(「小説幻冬」)を収めた本なのですが、最終章にほぼ会ったことのない能町さんを呼んだという(笑)。最初依頼した時、能町さんも「なぜ?」とおっしゃっていたけど、誰も対談を組んでくれないから、自分から依頼するしかないと思ったんです。能町:最初は探り探りでしたよね。『私がオバさんになったよ』を読み返したんですけど、他の方は何度か会っているだけあって、いきなりラウンドが始まってる感じなんですけど、私とは遠方から見合ってるボクシングみたい。距離の詰め方って難しいなと思いました。能町みね子さんジェーン:人との距離を詰めるのは得意ではない?能町:まったく得意ではないですね。基本、年下にも敬語です。大学生でギリ。ちゃんと働いてる20代だと、まずは敬語。ジェーン:私は逆で、ちょっと柔和な人やオープンスタンスの人に会って楽しくなっちゃうと、アクセルをベタ踏みして、仲良くなるというより偉そうになっちゃう。いるだけでハラスメントという、“いるハラ”なところがある。高校を卒業する時のサイン帳には、3分の2くらいの人から示し合わせたように「最初会った時は本当にこわい人だと思った」って書かれた。「今はこわくないから、こんなこと書けるんだよ」みたいなフォローの部分までみんな一緒(笑)。能町:私もこわがられるほうです。ジェーン:高3の時に同じクラスにこの2人がいたら、ちょっとイヤですね。ジェーン・スーさん「友達 100人できるかな」の弊害ジェーン:でも、人と仲良くなるのって大人になるとなおさら難しい。能町:どうやったら、アクセルをベタ踏みできるのかな?ジェーン:対談の中で酒井(順子)さんもおっしゃってるんですけど、出会って1カ月くらいの人とハワイに行ってる芸能人とか、ああいうのが信じられない。能町:芸能界って、本当にそういう人がいるんですよね。私はもともと踏み込めないタイプだから、たまにすごく踏み込んでくる人に会ったりすると、「これは、この人が長年の経験でやっている処世術であって、本音ではない」と疑ってかかっちゃう。ジェーン:「私に興味があるわけではない」と。結局は昔からの友達といるほうが気が楽だということになる。もったいないですよね。もしかしたら、もっと友達の輪が広がるのかもしれないのに。能町:(輪を)広げたいのかどうか?という疑問もある。ジェーン:「新しい友達」という響きに、若干惹かれるところはあります。「友達100人できるかな?」と歌わされた弊害がどこかに残っている。能町:「友達は多いほうがいい」という思い込みがありますよね。私は大勢が苦手なんですよ。『私以外みんな不潔』でも書きましたが、幼稚園の時代からそうでした。基本1対1か、せいぜい3、4人くらいがいい。「今度パーティーやるから来なよ」は、もう厳しいんですよ。ホームパーティーは本音で呼ばれたくない。遠慮じゃなくてほんとにイヤ。ジェーン:ホームパーティーは、呼ばれると嬉しいんですけど、日が近づいてくるとなぜかおなかが痛くなる。“パーティーに呼ばれた私”という絵には満足するんだけど、実際参加するとなると……。「友達連れて行っていいですか」と聞いて、「お一人でどうぞ。みんな待ってるわ」なんて言われると、ホントに緊張します。能町:仲間がいればいいんですけどね。能町「パリピであればあるほど、肉が雑」ジェーン:「仕事の幅を広げよう」みたいな異業種交流会にも行ったことあるんですけど、クッソつまらなかった。「おまえら全員つまらない!」と憤慨してました。これは単に私の偏見でしかないんですけどね。その空間を楽しむことに長けている人たちってだけだから。プロの「ホームパリピ」ですよ。あの、「結局、何をしてたんだろう?」という時間を楽しめないと、簡単に距離は詰められないんじゃないでしょうか。能町:あれを楽しんだら詰まりますかね、距離。詰めたいですか?ジェーン:詰まってるのかな、あの人たちは。でも、すごく楽しそうじゃん。能町:すごく楽しそう。バーベキューとか。私、バーベキューにも偏見がありすぎるんです。ジェーン:25歳くらいの時に、日陰の友達と10人くらいで「とにかく今年の夏はお台場でバーベキューをやるぞ」とお台場に行き、ジリジリ耐えるようにバーベキューして、バレーボールをやり、ボールに当たって鼻血を出すやつがいるという感じで“修行”としてやったことはあります。バーベキューが悪いんじゃなくて、どのバーベキューに呼ばれるかってことですよ。肉が悪いわけじゃない。能町:でも、肉が悪いこともある。ジェーン:どういうことですか?能町:そもそも肉がマズいというパターンもある。バーベキューってホントは肉が大事なのに、みんなそこを重視してなくて、「野外で何か焼いて食べれば美味しいだろう」みたいな雑な感覚でやるから、いい肉を買わない。パリピであればあるほど、肉が雑。ジェーン:パーティーって肉はいらないんですかね。能町:太陽があればいいんじゃないですかね。ジェーン:そもそも私たち太陽がダメっぽい。ホームパーティーや異業種交流会で「うまく振る舞わなきゃいけない」という強迫観念があるから、マナー本とか、「最初のトークはどう進めるか」みたいな本が売れる。ということは、みんな本質的にはパリピじゃない。能町:パリピのほうがステージが上の人間だって、みんな思ってるってことですよね。やめたほうがいいですよね。ジェーン「私の旅は『クレア・トラベラー憧れ』みたい」ジェーン:大学時代、サークルには入ってなかったんですか?能町:入ってはいたんですけど、シャープな感じはまったくなかったです。一応音楽サークルだったんですけど、そこで音楽の趣味のいい先輩に鍛えられたということもなく……。私は「サブカルの人」だと思われがちなんですけど、サブカル的なものに詳しくなったのは、大学卒業後なんですよ。もともとオシャレでも何でもない田舎の人で、(子供時代を過ごした茨城県の)牛久にあった「ライトオン」をカッコいいと思っていて、店に入れなかったような中学時代を送ったので(笑)。ジェーン:音楽に興味を持ち始めてからがすごいですよね。能町:そこから泥くさい勉強をした感じです。1人暮らしで、新聞もケータイもなく、TVの番組表が欲しいから、当時一番安かった「TVBros.」を買った。ジェーン:そこでレモンを持った表紙のやつ(「ザ・テレビジョン」)を買ってたら人生変わってかもしれないですね。パリピだったかもしれない(笑)。能町:それはどうかなぁ(笑)。「TVBros.」を読んでみたら、CD情報も斬新なものが載っているし、面白くて。自分が音楽に詳しくないことはわかってたので、記事を切り抜いてCDを買いに行った記憶があります。音楽について教えてくれる友達もいない中、大学を出てからやっとそういうものを知ったという感じですね。ジェーン:そこから自分でセンスを磨いて確立するというところが、私に欠落してる部分なんですよ。お互いのツーリズムも違いすぎる。私は欧米資本の東南アジアのリゾートなんかが大好きなんですよね。同じ東南アジアに行っても、能町さんが(ミャンマーやラオスなどで)全然違う旅をしているのを見ると、しょぼんとなる。私の旅は「クレア・トラベラー憧れ」みたい。能町:私は泥くさい旅が好きなんですよね。ジェーン:能町さんは好みが一貫してるように見えて、それが、自分にオタク的なものが一つもないことへのコンプレックスにつながるんです。能町:でもスーさんは、広く深めに興味を持ってる感じがします。ジェーン:それで対談の話がこないんですかね? 「この2人は話が弾まないぞ!」と。私はアメリカのコマーシャリズムみたいなものが好き。「ビヨンセ最高!」みたいな。そこが違うんですかね。能町:いいんですよ、全然違って。ジェーン:まあ、多様性ですよね。能町:みんな違って、みんないい(笑)。※第2回は5月30日(木)公開です。(取材・文:新田理恵、撮影:宇高尚弘)
2019年05月23日コラムニストのジェーン・スーさんが、光浦靖子さんをはじめ、山内マリコさん、中野信子さん、田中俊之さん、海野つなみさん、宇多丸さん、酒井順子さん、能町みね子さんら8人と、テーマは設定せずに語り尽くした対談集『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)が3月に発売されました。「女はキャリアが得にならない」「えん罪お局」「若くもきれいでもない女たちが東京では楽しそうに生きてる」「役に立つことのために生きてるわけではない」「極悪人に石を投げない」など、片っ端からマーカーを引きたい言葉ばかり。「『私がオバさんになったよ』と言われると、少しだけ心がざわつく人に届いてほしい」とつづるジェーンさんに3回にわたってお話を伺いました。【第1回は…】他人の期待に応えすぎず、自分を裏切らないで生きていく成長しないことよりも「傲慢になってないか」が怖い——「能町みね子さんとの対談で「提出したものに対して『これはないね』って言ってくれる人もほぼほぼいない」と書かれていました。会社員とは違う状況だとは思うのですが、30代半ばになって「中堅」といわれる世代になると誰からも怒られなくなってきて「私はもう成長しないのかな」と不安に思うことがあるのですが、そういうことはありましたか?ジェーン:私は、叱責が成長と直結しているとは思わないので、「成長しない」とは思わないんですけれど、ただ傲慢になったりとか、過剰に頼ったりは存分にあると思うんです。誰かが不愉快な顔をしない限り、気が付かないことってたくさんあると思うので、そっちのほうが怖いですね。「なんでできないの?」って他人に言ってないだろうか?とか、「自分の常識が世間の常識」みたいになっていないかと。——ああ、自分が傲慢になっていないか……。下の世代の子に「こうしたほうがいいよ」と強要していないか、とか。ジェーン:下の子は嫌な顔しないですからね。あとで嫌な顔はするでしょうけれど、その場は「ありがたいお話ありがとうございます」「貴重なお話ありがとうございます」って顔をしますから。自分がそうしてきたように。——していましたね。しかも、できる子ほど、優秀な子ほどそういうのをちゃんとやってくれるから、こっちも気付いていないというのは往々にしてあると思います。ジェーン:「成長」に関していえば、怒られて伸びるわけじゃないですからね。自分で自分の期待に応えていくほうが、よっぽど成長できると思います。「意味のあることをやっていないと…」と思ってしまう空気——能町さんと「同業の友達があまりできない」というお話もされていましたが、同業者の方と一緒にご飯に行くとか、交流はあまりないんですか?ジェーン:まず忙しくて、人とご飯に食べに行く時間がないというのが一つと、たまの休みがあれば、知らない人より知っている人に会いたいんです。明後日は墓参りして、高校の時の友達と大学の時の友達と会う、っていう。気心知れた人と会ったほうが、私は気が休まるんですよね。自己拡張していくよりも。昔、サラリーマンだったときに異業種交流会みたいなものに行ったことがあるんですけど、これは全然合わないなと思って。——なぜ合わないと思ったんですか?ジェーン:そんなに知らない人と、別に話したくないしなと思って。友達と話しているほうが楽しいしなって、本当にそれだけです。——セミナーやイベントのお知らせを見ると「行かないとダメなのかな」とは思うんですが。ジェーン:合わないことは無理してやらなくていいと思いますよ。何かをやっていないと、そして、何かやっていることをどこかに載せないとまずいのではないかという強迫観念がすごく強い時代だとは思うんですよ。意味のあることをやって自分の人生が充実しているようにしてないと、よろしくないんじゃないかという空気があるのは確かだと思います。みんながみんな、毎日好きな仕事をしてるわけじゃない。会社と家の往復だけになっちゃうと、何かやってるような空気を醸したいって気持ちになるのはわかります。そういうのを断罪はできないですよね。インスタグラムとかフェイスブックとか。——どういうことですか?ジェーン:私は「発信なんかしなくていい」とか、「何か学んだり、セミナーに行かなくていい」とは言えない。なぜなら、そういうことをしなくても楽しめる価値観を私はたまたま持っているだけだから。そうじゃない人にとっては「何もない日常」に見えるのは苦しいだろうし。そういう人たちから、楽しみを奪うようなことは言いたくはないですね。——そうですね、メディアとしても「白か黒か」のような記事の発信の仕方をしてしまうことがあるけれど、注意しなければなと思います。ジェーン:なので、前回の話に戻って、人の期待に応えすぎず、自分のやりたくないことはやり過ぎずっていう……。「あのバランス感で自分は過ごせてるかな?」ということを私は気にしてます。他の人だとどうかはわからないけれど。※第3回は5月28日(火)公開です。(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年05月21日幻冬舎の代表取締役社長・見城徹氏(68)が5月16日にTwitterで作家・津原泰水氏(54)の書籍実売数を明かし、非難の声が殺到している。発端は津原氏が13日、百田尚樹氏(63)の著書「日本国紀」の問題点について指摘したところ自著「ヒッキーヒッキーシェイク」の文庫本化が取りやめになったとTwitterで明かしたことだった。すると津原氏の著書が文庫化間近のタイミングで中止となり、幻冬舎の担当者を通じて《『日本国紀』販売のモチベーションを下げている者の著作に営業部は協力できない》と説明されたというのだ。いっぽう見城氏は16日にTwitterで《こちらからは文庫化停止は一度も申し上げておりません》と反論。さらにこうツイートした。《津原泰水さんの幻冬舎での1冊目。僕は出版を躊躇いましたが担当者の熱い想いに負けてOKを出しました。初版5,000部、実売1,000部も行きませんでした。2冊目が今回の本で僕や営業局の反対を押し切ってまたもや担当者が頑張りました。実売1,800でしたが、担当者の心意気に賭けて文庫化も決断しました》津原氏の出版について「反対だった」と明かし、さらにその実売数を公表――。こうした見城氏の“実売部数晒し”に多くの作家たちがTwitterで苦言を呈した。たとえば高橋源一郎氏(68)は17日、こうつづった。《見城さん、出版社のトップとして、これはないよ。本が売れなかったら「あなたの本は売れないからうちでは扱わない」と当人にいえばいいだけ。それで文句をいう著者はいない。でも「個人情報」を晒して「この人の本は売れませんよ」と触れ回るなんて作家に最低限のリスペクトがあるとできないはずだが》同投稿は大きな反響を呼び、1日たらずで1万回以上のリツイートと1万6,000回の“いいね”を記録。また『マチネの終わりに』などを著している平野啓一郎氏(43)も17日に《やり過ぎだろう。見るに耐えない》と投稿している。騒動が広がるなか見城氏は17日、Twitterを更新。前述のツイートを削除し《編集担当者がどれだけの情熱で会社を説得し、出版に漕ぎ着けているかということをわかっていただきたく実売部数をツイートしましたが、本来書くべきことではなかったと反省しています。そのツイートは削除いたしました。申し訳ありませんでした》と投稿した。しかし見城氏が謝罪した後も、非難の声は止まない。見城氏は騒動を起こしたことについて言及しているが、津原氏への謝罪がないためだ。ネットでは《まずは津原泰水さんに直接謝罪すべきだ。その謝罪というのも世間が非難するから謝りますみたいな呟きに感じられた》《謝罪の仕方も言い訳から始まって従業員がどうとかで肝心の津原氏に対する誠意が見えてこないし一企業の社長がこんなのでいいのか》などの言葉があふれている。また見城氏の言動から《出版社をなんだと思ってるの?作家あっての出版社でしょ?幻冬舎の本はもう買いたくない》《現場で誠実に仕事している社員の皆さんには本当に申し訳ないが、もう幻冬舎の本は買わないし借りないし読まない》と不買宣言する人も出始めている。
2019年05月17日コラムニストのジェーン・スーさんが、光浦靖子さんをはじめ、山内マリコさん、中野信子さん、田中俊之さん、海野つなみさん、宇多丸さん、酒井順子さん、能町みね子さんら8人と、テーマは設定せずに語り尽くした対談集『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)が3月に発売されました。「女はキャリアが得にならない」「えん罪お局」「若くもきれいでもない女たちが東京では楽しそうに生きてる」「役に立つことのために生きてるわけではない」「極悪人に石を投げない」など、片っ端からマーカーを引きたい言葉ばかり。「『私がオバさんになったよ』と言われると、少しだけ心がざわつく人に届いてほしい」とつづるジェーンさんに3回にわたってお話を伺いました。【関連記事】ジェーン・スー「テンプレの家族像にとらわれていたのは自分だった」将来のビジョンより自分の軸を見つけること——「まえがき」で「書籍化にあたりゲラを読んでいて、随所に蛍光ペンを引きたくなったのはこれが初めてだった」と書かれていました。ツイッターでの読者の感想を見ても「人それぞれのマーカーポイントがあるんだなあ」と読んでいて面白いのですが、今回はそんなマーカーポイントをピックアップしながらお話を伺えればと思います。宇多丸さんとの対談で「将来のビジョン」について聞かれて「ない」と答えていらっしゃいました。この類いの質問をされると「何か言わないと」と思ってしまうので、ジェーンさんがキッパリ「ない」と答えていたのが新鮮でした。ジェーン:考えてないですね。自営業になった時点で、「昇進」というのはもうないですからテーマにないし、会社に例えるなら、定款を書き直していけばどんな仕事もできるので、やりたい仕事が増えれば定款を書き直していくっていう……。明確なロールモデルがもうない時代だと思うんですよ。昔みたいに、肩書きで、「これをやっていれば安心」とか「これをやっていれば大人」というのがなくなってくるんですね。じゃあどうするか?と考えたら、私の場合は、後から振り返ってですけれど、自分の得意なことを嘘のない範囲で、人の期待に応えすぎず、自分が楽しめる範囲でやるということだけを決めて、その範囲の中だったら何をやってもいいと決めました。だから、脳科学者の中野信子さんとの対談で、中野さんがおっしゃってた「自分で考えることを厭(いと)わない人のほうが今の時代は生きやすい」というのは、やっぱり自分をその都度相対化できるかどうかだということだと思います。その時代の価値観に合わせて、自分をうまく変容させていく。自分の軸さえあれば、その時代の価値観に合わせた自分というのを見つけられると思うので、「どうなりたいか?」よりも、軸を見つけることのほうが大事なんじゃないですかね。自分のルールを。そのルールは変わってもいいわけだし。他人の期待に応えすぎない——「自分の得意なことを嘘のない範囲で、人の期待に応えすぎず、自分が楽しめる範囲でやる」と思い至ったのはいつですか?ジェーン:多分、40歳過ぎてからじゃないですかね。やっぱり30代半ばまでは、それこそ「結婚しなきゃ」と思ってたし、サラリーマンのときは、昇進というか、「もっと稼がなきゃ」と思っていたこともありました。けれど、だんだん自分に嘘のないように、あまり自分を裏切らない生き方をしていくということのほうが大事だなと思うようにはなりましたね。時間がかかることだから、もう待つしかないですよ。——待つしかないんですね。40歳という節目の歳になったからそう思ったのか、それとも何かきっかけがあって、それがたまたま40歳だったのか、どちらですか?ジェーン:たまたまこの歳になったってだけで、もっと早く気付く人もいるかもしれない。あとはやっぱり、私には子どもがいないというのもあるかも。子どもがいると全然変わってくると思うんですよ。「この子が成人するまでは」とか、目標が出てくると思うので。他者のために走るという時間ができれば、まったく変わってくると思うんですけれどね。今の私は、考えることが自分と親とパートナーも含めた仲間のことくらいなので、そこが圧倒的に違うと思いますね。——「人の期待に応えすぎない」ってどういうことですか?ジェーン:歳をとってくると、まわりの人が自分に何を望んでるか感覚として察知しやすくなるんですよね。それに沿って応えていくと、喜ばれるし褒められる場所ができるので、それ自体は素晴らしいことなんですけれど、同時にそれをやり過ぎると「本当にこれは自分のやりたいことだっけ?」とわからなくなってきちゃうんです。少し神経質になっていないと、気付いたときには「ずいぶん遠くまで来たもんだ」ということになりかねない。そこは気を付けるようにしてますね。——そういう意味だったのですね。酒井順子さんとの対談で「30代の時より、40代のほうが忙しい」と書かれていましたが、そうなのですか?ジェーン:私の場合は落ち着かなかったですね。その人の環境によると思うんですけど。あと、経済が右肩上がりというわけじゃないので、人がどんどん減ってますでしょ?そうすると、私たちが20代の頃に「管理職で暇そうな人がいるな」と思っていた40代がいないんですよね。今は40代もプレイングマネージャーみたいに働かないといけなくなってるので、昔の40代と、今の40代は違うんでしょうね。——働き方改革もあって、私たち30代も20代に対して無理させられないから自分で仕事を抱えちゃう。ジェーン:そうなんですよ。働き方改革も全員に適用されているわけではなく、40代とかには多少の無理をさせてるところも多いと思います。だから余計に忙しくなっちゃうんでしょうね。信頼している人からの評価を信じてみる——宇多丸さんとの対談に話を戻しますが、ジェーンさんは「やりたいことだけでここまで来たわけじゃない」「信用できる人から『やってみたら』と言われたら、また違うことをやっちゃうかもしれない」とおっしゃっていました。ジェーン:30代中盤くらいになってくると、得意なこととやりたいことが必ずしも一致しないなっていうことがわかってくると思うんですね。できることと、好きなことも違う。自分では全然そこが得意だとは思ってなかったのに、他人から見たら「あなたはああいうことが上手いね」と評価してもらえることが出てくるので、そうなったときに、信頼してる人からの評価だったら、信じてやってみるのも手だと思います。好きなことをやるのは、自分自身の満足につながりますけど、得意なことをやって他者から喜ばれたり、求められたりというのは、他者から授けられる満足というのを味わえるので。ただ、そのときに、さっきも言った「期待に応えすぎない」というのはありますけれど。何事もバランスかな。——信頼できる人、というのは?ジェーン:私の場合は、仕事をしていく中で出会ってきた人たちですね。誰でも一人くらいは「こいつスゲーな」と尊敬できる人に出会えると思うので、その人が言ったことを信じるってことかな。——「この人すごい!」と直感的にわかるものですか?ジェーン:目安としては、実績を上げてる人じゃないですかね。「仕事はそこそこだけど、すごくいい人」というのではなくて、実績を出してる人で信用できる人。人の成果を横取りしたりしない人ってことじゃないかな。※第2回は5月21日(火)公開です。(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年05月14日30歳で結婚(法律婚)したものの33歳で離婚。36歳のときに仕事仲間の男性(通称”ノダD)と事実婚で再婚したマンガ家の水谷さるころさんによるコミックエッセイ最新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が発売中です。「女ばかりが家事と育児を背負いすぎない」「男だからって大黒柱にならなくていい」——。世間の「普通」や「こうするべき」に縛られないで、自分たちにとって一番心地がよい結婚生活を送るために試行錯誤を続ける日々が描かれています。家事、子育て、ケンカ、親との関係をテーマに、4回にわたってさるころさんに話を伺いました。第2回目のテーマは「スマホ育児」です。【前回は…】「タスクではなく気持ちのシェア」家事分担するときに大事なこと子どもが「楽しい」と思うことをやらせてあげる『どん家事』より(C)幻冬舎——第2章は育児シェアがテーマですが「スマホ育児」の部分が新鮮でした。「スマホ育児」と言うと、世間では「子どもに悪影響を与える」と悪いイメージで語られることも多いので、さるころさんが「スマホが悪いんじゃなくて使い方の問題」「『なんとなく不安』とかで取り上げるより、私は親も子もちゃんとした使い方を目指したい」という部分にハッとしました。水谷さるころさん(以下、さるころ):やっぱりバランスですよね。スマホも四六時中与えているわけではないし、中身が管理されていればおもちゃやテレビと同じかなあって。——社会のルールや歩きスマホはダメだよというのも教えられるわけですもんね。さるころ:そうですね、やっぱりうちは「抑圧しない」というのがテーマなので、子どもが「楽しい」と思うことをさせればいいと思うんですよね。でも実は最近、タブレットとスマホの時間がすごく減ったんです。——あら、なぜですか?さるころ:息子は今、4歳半なんですが、愛読書が小学生向けの漢字辞典で文字はすごく読めるんだけれど、書かないんですね。私が鉛筆を使うことをあまりさせてなかったのもあって、タブレットに指で漢字を書くことはできるけれど鉛筆の握り方がわからない。あと、この前保育参観に行ったらハサミが使えなかったんです。子どもってハサミブームが1回くるらしいんですよ。何でも切りたがって困る時期が……。うちはそういう機会がなくて、「やってないことに偏りがあるな」と思っていたら、彼もそう感じたらしくて「ハサミの練習がしたい」と自分から言い出したんです。彼はアナログのドリルもやらせてみたら好きだったんです。ハサミの使い方を練習するドリルがあるのを自分で見つけて「買って」って言ってきて、買ってあげたらめちゃくちゃ面白がってやるんです。2〜4歳対象のドリルなのですが、早い子で2歳くらいでもできるけど、うちの子の感じだと4歳でちょうどよかった。発育的にだいぶできるようになっているので、すごく楽しそうにやってて今はハサミブームと工作ブームの真っ最中ですね。字を書くドリルもやろうよ、と促して鉛筆の握り方もちゃんと教えたら、楽しくなっちゃってタブレットを触る時間が必然的に減りましたね。やっぱり「できること」は楽しいんですよね。やっぱり「これをやっちゃダメ」とか、「○歳なんだからこれくらいできないとダメ」とか言ってやらせるよりは、本人が向上心を持ってるときによいタイミングで出すことが、無理なく伸びるのかなと思いました。——楽しくてしょうがないんでしょうね。さるころ:うちの子は勝手にやりたいって言ってくれるからラクしているとは思うんですが、ベースとしては子どもが楽しいものは伸びると思っています。ピアノの練習が苦痛だった子ども時代——さるころさんが「子どもが楽しいものは伸びる」と思ったきっかけはあるんですか?さるころ:私は幼稚園の年長さんから小学校6年生までピアノをやらされてたんですが、弾けないんですよ。なぜなら、親から「練習しろ!」「自分がやりたいって言ったんでしょ!」とずーっと言われて、練習も苦痛でしょうがなかったんですよね。「幼稚園のときに言ったことの責任なんか取れないよ!」って小学生のときにずっと思ってました。つまらないバイエルの練習曲をひたすら1時間練習させられる。もしかしたらバイエルだって「この曲はこういう曲だよ」とか「この辺がいいでしょ」と楽しい気持ちを育んでくれればよかったけれど、昭和はそうじゃなかった。1回か2回、先生がポロポロンって弾いて「やってみて」っていう状態なんで……。——私も10年間ピアノをやってもバイエルが終わらなかったクチなので、よくわかります。ピアノもそうですが、私は体育の時間が苦痛でしょうがなかったです。でも、大人になってジムに行ったら、ちゃんとやり方を教えてくれるし、競争しなくていいし、「体育ってこんなに楽しかったの?」って思いました。努力と根性でひたすらやらせたり、どこか「楽しいは悪」と思わされちゃったりしているのは、日本の旧来的な教育の特徴かもしれないですね。さるころ:そうそう、小学校の時に逆上がりができないと地獄じゃないですか。ダメ人間みたいな。あんなふうにやってできるようになるわけないじゃないですか。嫌いになるばっかりですよね。だから褒めるのは本当に大事だなって思いますね。だから、子どもには自分で発見して「これをやりたい」という気持ちになるように意識していますね。「興味持ったな」と思ったら、「やってみる?」というふうに。たまたまうちはお勉強っぽいことが好きなので、字を読んだりとか。スマホやタブレットでやりたいなら、タブレットにお勉強っぽいアプリを入れてあげるとか。スマホ育児も、スマホ自体が悪いわけじゃなくて、使いようによっては能力が伸びるわけだから、いい具合に誘導する。見せたくないものは見せないようにと、ちゃんと管理するようにしています。——「なんとなく不安だから」「みんながダメって言うから」という理由でただ禁止するのではなくて自分で判断するのが大事なんですね。さるころ:管理の部分で不安だったり、自信がなかったりすると、「子どもには見せたくない」と思うのかもしれないのですが、わからなくて嫌だったら、ちゃんと勉強すればいい。私たちが育った時代と比べたら、今はネットで情報がすぐに手に入りやすいからある程度調べれば利用法もわかると思います。それが、自分が少し工夫したり、意識したりできたらみんなポジティブな結果が得られるという能動的な意思の表れのような気がします。【第1回】「タスクではなく気持ちのシェア」家事分担するときに大事なこと※次回(4月22日公開)のテーマは「ケンカ」です。(取材・文:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年04月15日30歳で結婚(法律婚)したものの33歳で離婚。36歳のときに仕事仲間の男性(通称”ノダD)と事実婚で再婚したマンガ家の水谷さるころさんによるコミックエッセイ最新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が発売中です。「女ばかりが家事と育児を背負いすぎない」「男だからって大黒柱にならなくていい」——。世間の「普通」や「こうするべき」に縛られないで、自分たちにとって一番心地がよい結婚生活を送るために試行錯誤を続ける日々が描かれています。家事、子育て、ケンカ、親との関係をテーマに、4回にわたってさるころさんに話を伺いました。第1回目のテーマは「家事」です。水谷さるころさんの最新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(通称『どん家事』)夫婦の揉め事の大半は家事が原因——本のタイトルにもある通り、家事をメインテーマにした理由を教えてください。水谷さるころさん(以下、さるころ):やっぱり、結婚生活や共同生活をしていて揉めるのは家事ですよね。お互いにとっての快適さをキープするのが家事なので、そこは話し合って詰め合っていかないとダメだなあと。夫婦がどうやって仲良く共同生活をするかを考えたときに、何を一番話し合うのかと言ったらやっぱり家事なんですよね。夫婦の揉め事も家事が多いですよね。「気持ちが片付いているほうが幸せ」——あとがきの「家事とか育児の分担というのは、タスクだけじゃなくてそれをする『気持ち』の分担なんじゃないかと思う」という部分にすごく納得しました。さるころ:タスクだけでシェアしていっちゃうと、「偏っていること」が悪いとなっちゃうんですよね。バランスさえとれていれば、タスクが偏っていること自体は別に問題じゃない。問題は、タスクが偏っているときに「私ばかり辛い」と思ってしまったり、気持ちに負担がかかっちゃったりすることなんですよね。例えば、どちらかが100%家事をやっていても、まったく苦痛ではないという夫婦やカップルにタスクの話をしても意味がない。夫婦が本当に円満に回っているというのは夫婦の気持ちが行き違っていないということだから、気持ちさえきちんとシェアできていれば問題はないんですよね。——確かに。さるころ:ただ、何かのたびにいちいち「これ私のやることじゃないくない?」とか「私がこれやるの?」と不満が出てきてしまうのは、結局はタスクの問題じゃなくて気持ちのほうが問題なんですよ。お互いが納得して一番満足できる状態で家事ができないと、家の中の状態が幸せにならない。部屋が片付いてるよりは、気持ちが片付いているほうが幸せ。部屋がぐちゃぐちゃでも、2人が「ぐちゃぐちゃでいいよ」と思っているのであれば、それは幸せじゃないですか。だから、マンガにするときもお互いの気持ちが納得しあっているか、気持ちをいい感じにバランスをとれているかということを意識しましたね。——「家事」についての話になると、どうしてもタスクや役割に目がいってしまい、いかに平等にするかという話になりがちですが、人それぞれだし家庭で状況や環境も違いますもんね。さるころ:あとはやっぱり「スペック」ですね。——スペック?さるころ:人それぞれキャパやスペックがあるじゃないですか。どうしても細かいことが気になるタイプと大雑把なタイプがいた場合、後者にタスクを任せるととんでもないことになるじゃないですか。——後者は、たとえ目の前にモノが散乱していても、そもそもそれを「散らかっている」と認識できないんですよね。まあ、私のことなんですが……。さるころ:そうそう。その人の能力、才能、素質もあるので。素質がある人にそのタスクを当てたほうがいいじゃないですか。だから、「女だからやらなきゃ」とか「妻だからやらなきゃ」と、性的な役割分担で向いてないことを一生懸命やってストレスがたまって辛くなるのは幸せから遠のいちゃう。まずはすべてを一旦止めて、「私はこれが快適」「あなたはこれが快適」のように棚卸しをして、タスクと快適さの話し合いをして、向いているほうがやるのが一番だと思うし、それがこの本を通じて伝えたかったことですね。——やる気があるほうがやるっていうのは……?さるころ:いいと思うのですが、やる気があるほうがやり過ぎてしまっている場合もありますよね。そういうときは気持ちをどうフォローするかを考えたほうがいい。どうしても自分が水回りの掃除が苦手だったら、やってくれてる相手には「いつもお風呂がキレイでうれしいな」って言うとか。感謝を伝えることをトレーニングする。掃除がうまくならないんだったら、褒める努力したほうがいいと思います。妖精がやってると思ってる——水回りで思い出したのですが、私の場合、便座の裏をきちんと拭くとか、お風呂のタイルの裏をキレイにするとか、地味な家事を定期的にやっていたのですが、同居人にいちいち言うのも恩着せがましいなと思って言わなかったんです。そうしたら、ある日、相手が突然キレて「君は何もやってない」と大ゲンカになったことがあって……。さるころ:言わないと妖精さんがやっていることになっちゃいますよ!やらないほうは、トイレの便座の裏には汚れが付かないものだと思っているので言わなきゃダメだなって。私も言うのは面倒くさいし、言わなくても円満に回る家庭はうらやましいなと思いますけど、うちはそうじゃないので、諦めて言っています。——妖精がやっていると思っているのか……。さるころ:思っていますね……。妖精といわずとも「そういう性能のトイレだ」とか思っちゃうんですよ。「うちのトイレは汚れないやつなんだ」みたいな。——ええー!!さるころ:うちの場合は家事のテリトリーが決まっているのですが、この前キッチンからすごい臭いが漂ってきたんです。結局、ニンニクの汁を拭いた雑巾が原因だったのですが、すぐにハイターでつけ置きして洗いました。キッチンはノダDの担当なんですが、「なんか臭ってるんだけど?」とか言わず、気になるなら気づいたほうがやるということで私が処理してあとで報告しました。家庭は工事現場と一緒——ちゃんと報告するんですね。さるころ:言わないとダメです。何回も言わないとなかったことになってしまうので、面倒くさくてもお互い言うようにしています。「家庭は現場」なので。——現場?さるころ:そう、現場です。この前、私が前髪を切って自分の部屋のゴミ箱に捨てたんです。ゴミ処理はノダDの仕事なんですが、彼が私の部屋のゴミを袋に別のゴミ袋に移した際に前髪がバーッと散らばっちゃったらしいんです。彼は私が部屋で前髪を切ってゴミ箱に捨てたことなんて知らないから「何だこれ!」ってなって……。彼は「ゴミ捨てするとき、出すゴミ袋の数は少ないほうがいい」と私のゴミ袋から移したけど、私はゴミ箱にかけたゴミ袋ごと捨てていると思ってるから「どうしてゴミが散らばるの?」ってなる。お互いの認識が違うからエラーが起こる。それで「前髪を切ったときは切ったと言ってくれ」と言われて、“前髪を切る時はどうしたらいいか問題”を話し合いました。——それも話し合うのですね。さるころ:はい。本当に細かく指差し確認をしていかないと“事故”が起こるんですよね。工事現場の指差し確認じゃないけれど、安全確認でちゃんと伝え合う。声掛けする。家庭は工事現場だと思って生活しています。※次回(4月15日公開)のテーマは「スマホ育児」です。(取材・文:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)
2019年04月08日お笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」が東京・阿佐ヶ谷での「六畳一間の2人暮らし」についてつづった『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(幻冬舎)。発売から3ヶ月経ちましたが、4刷と重版が続いており好調です。この本を読んで、実は渡辺江里子さん(姉)と木村美穂さん(妹)は、血がつながった本当の”姉妹”ではないと知った人も多いのではないでしょうか?最近は、家族や夫婦以外のつながりや血縁以外の「家族のかたち」も注目されていますが、他人同士が一緒に住む上で大事なことは?老後はどんなふうに考えてる?など、「家族ではないつながりの形」をテーマにお話を伺いました。「安心しておばさんになってください」阿佐ヶ谷姉妹から将来が不安な貴女へ阿佐ヶ谷姉妹の美穂さん(左)と江里子さん阿佐ヶ谷姉妹が楽になるためにやっていること——インタビューの第一回で「自分も楽になるために相手にも多くを求めない」というお話がありましたが、ほかに楽になるためにしていることはありますか?美穂:自分に嘘をついて、あまりやりたくないことを無理してやると、やっぱりついていけないので、自分の気持ちに正直に、嘘がなくやっていたほうが楽しくできそうな気がしますけどね。江里子:そうだと思います。この間も、ちょうどそれについて美穂さんと話し合ったんです。自分が得意なことや好きなことは率先してできるけれど、苦手なことややらなければならないこと、嫌なことはどうしてもやっぱり私の性格上、後回しにしがちというか。「あわよくば、そちらにやってもらえないかな?」みたいに思ってしまうこともあって。「何とかやらずに済まないかしら?」と思うこともあるんです。特に、共同生活をしていると、「相手がやってくれないかな?」と思っていると、いつまでたっても進まない。そのうち考えが発展して、「何で率先してやってくれないのかしら?」と思って相手にちょっとストレスや不満を感じる状況はよくないなと。なので、そこに関しては、どっちが先にというか、「私が先だ」「こちらが先だ」ということではなくて、「一緒に」というのは難しいにしても、「私はここまでこのくらいはやるので、そちらもこのくらいやってください」分かりやすく伝えることから、進めるというのもひとつかなと思いました。そこが難しいんですけどね。「それが楽になる方法か?」と言ったら、またアレなんですけど。嫌なことを全部ひとりで抱えると辛いもんね。美穂:遠回しに言うと分からないから、そういうこともはっきり相手に伝えよう、ってね。「私はこれをやりますから、お姉さんはこっちやってください」ということをはっきり言ったほうが、分かりやすいなということにこの前気づいたんです。「何でやらないのかな?」と思ってるとストレスが……。——たまっちゃいますね。それは共同生活もそうですし、チームで仕事をするときにも言えることなのかもしれないですね。「幸せだなあ」と感じる瞬間——最後に、お二人が日常生活で「幸せだなあ」と感じる瞬間はどんな瞬間ですか?美穂:……そうだなあ。早朝に起きなきゃいけないときに布団の感触を再認識して、足でズリズリしたりとか、布団をスリスリしているときに「布団っていいな」「ありがたいな」と思って、幸せですね。江里子:美穂さん、寝るのが大好きだものね。それが幸せ?美穂:幸せ、幸せ。布団が好き。ズリズリして。——江里子さんはいかがですか?江里子:私は本にもちょっと書いたかもしれないですけれど、それぞれ暮らしで、お隣同士になっても、自分がちょっと何か話をしたいこと、とりとめのない話ですけれど、どうでもいいご近所の話だったり、テレビの話だったり、そんなことをどちらかのうちに行って、楽な体勢でほうじ茶とかすすりながら話したり、笑ったりする。そういうお相手がいるというのは、すごく幸せなことだなと思いますね。仲間というか。美穂:やりたくないことでモメたときに、モヤモヤして伝わらないこととかが話し合いで伝わったときはうれしいです。「わかってもらえた!」みたいなときは、すごく幸せを感じますね。「通じた!」みたいな。江里子:昨日か一昨日の話し合いのときもずいぶん麦茶飲んだわね。麦茶を囲んで話しましたね。テーブルで麦茶片手に。そんな感じですね。——ありがとうございました。■連載をはじめから読む。【第1回】“なんちゃって姉妹”ならではの緊張感が心地よい?【第2回】「安心しておばさんになってください」阿佐ヶ谷姉妹から10年後が不安な貴女へ(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
2018年11月02日お笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」が東京・阿佐ヶ谷での「六畳一間の2人暮らし」についてつづった『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(幻冬舎)。発売から3ヶ月経ちましたが、4刷と重版が続いており好調です。この本を読んで、実は渡辺江里子さん(姉)と木村美穂さん(妹)は、血がつながった本当の”姉妹”ではないと知った人も多いのではないでしょうか?最近は、家族や夫婦以外のつながりや血縁以外の「家族のかたち」も注目されていますが、他人同士が一緒に住む上で大事なことは?老後はどんなふうに考えてる?など、「家族ではないつながりの形」をテーマにお話を伺いました。【関連記事】小池一夫さん「カッコいいおばさんは、若いときからカッコいい」阿佐ヶ谷姉妹の美穂さん(左)と江里子さん阿佐ヶ谷姉妹の理想の「老後」は…——ウートピは主に都会の働く女性をターゲットとしたニュースサイトで……江里子:都会の女性?大変。大丈夫かしら?都会のお話なのね。私たち、阿佐ヶ谷っていう「谷」の話なのだけれど……。——大丈夫です(笑)。江里子:芸人さんも少し売れていくと、世田谷とかに行かれたりするんですよね。美穂:目黒とかね。——それで、ちょうどウートピを読んでくれているであろう世代の友人と話していていると「老後が怖い」「ひとりになるのが怖い」と言うんです。今回の本でも「老後」に触れられていましたが、お二人は老後についてはどう考えていますか?江里子:4〜5年前に急に不安に駆られて、保険に入りに行きましたね。美穂:私はそこまで危機意識がなかったんですが、不安感をあおられてお姉さんについて行って相談して、同じ生命保険に入りましたね。——今は不安感はないですか?江里子:保険に入って一安心したんだけれど、次は体が不安になって、美穂さんも急に不安になって健康体操教室に行くというので私もついて行って一緒にやっています。——本にもありましたね!美穂:地元の阿佐ヶ谷のお友だちができて楽しい。江里子:おばさんネタも増えますし。私たちとしては、すごくありがたい。もちろん、運動して元気になるし。30代前後から90歳くらいの方もいらっしゃるので、そういう方たちがお話したり、運動されたりしている空間で、癒しと元気をもらえます。——コミュニティーができているんですね。江里子:そうですね、ご近所さんでも天気のごあいさつやお花のこととか、ちょっと立ち話が生まれる関係がすごくいいなと思って。年を重ねてもずっと続いたらいいなと思ったりしています。おひとりの方もご家族をお持ちの方も、道端でちょっと話をしているのを見ると私たちの老後もそんなふうになったらいいなと思いますね。いろいろなつながりを作っていきたい——いろいろな場所につながりがあるというのはいいなあと思います。一箇所だけだとその関係がダメになったときに衝撃も大きい気がします。美穂:そうなんですよ。ここも二人だけっていうのも心細いんですよね。江里子:人間関係って一番のトラブルの元とも言われているし、ストレスもあると思うんですけれど、やっぱり最終的に助けたり、助けられたりということになってくるのかなって。最近は天候も不順ですし、災害も多いので。己を守るというのはもちろんですけれど、守り守られるという関係性がお互いに作り合えるような、そういうものを老後に向けて作っていけたらなと思っています。美穂:私は、親が離れて暮らしているので、独り身の友だちもみんなで阿佐ヶ谷に住めればいいなと思います。近くというか、一緒のハイムでもいいんですけれど、心強いんじゃないかな、と。各自の部屋もあって、プライベートもあるけど、ちょっと困ったときは、喫茶室でお茶したり、話したり、そういうことできたらすごくいいですね。助け合いながらできたらいいなという理想はあります。江里子:家族同士だと当たり前になるというか、甘えも出てきちゃうから。美穂:家族だけではなくて、いろいろな人がいるほうがいいかもしれないですね。みほ「流れに身を任せてたからこんな感じになった」——本の「老後」について書いてらっしゃったくだりで、美穂さんは「若い時に戻りたいとは思いません」とキッパリ書いてらっしゃいました。今が一番いいということですか?美穂:今が楽しいですね。20代のときは、アルバイトに明け暮れていて、「自分はどうしたいのか?」をハッキリ決めて生きてこなかったものですから。無駄にというか、どうしようかなってモヤモヤしてる時期が結構多かったんです。そのときよりは今はお仕事もできているし、演劇やお笑いも好きだったので、「やってやるぞ!」という感じでなったわけじゃないですけれど、流れ流れてこういう感じで今はお仕事ができてるので、今が一番いいかな、よかったなって思っています。江里子:あの頃は美穂さんモヤモヤしていたわね。美穂:モヤモヤしてて、実家にもいたしね。そういう時期も必要だったのかもしれないですけど、あの頃を思うとやっぱり、今は恵まれてるなと思えるので。——「今が一番いい」と思えるって素敵ですね。美穂:おばさんですけどね。江里子:逆に20代、30代の頃は、老後が心配というのはもちろんですけれど「あと5年後、10年後、私はどうなっているのかしら?」という不安に押しつぶされそうになるというのはちょっとありますよね。美穂:私たちも幸い、入院もしたことがないしね。これからくるのかという怖さもある。江里子:私たちもなろうとしてなったというわけでも、ここを目指してこうなったわけでもなくてね。何となくなってしまったというのもあるんだけど。あらがってもまたアレだし……。美穂:あらがってたら、こんな感じにならない(笑)。もっとスッとした格好いい人になってたかも……。流れに身を任せてたから、こういう感じなんですかね。エリコ「安心しておばさんになってください」江里子:そうね。もちろん、若さだったり、素敵でいるための努力を欠かさないということがモチベーションになってる方もいらっしゃいますし、それが憧れになる方もいらっしゃいますけれど、それに対しての「頑張らない自分」がストレスになってしまうよりは、今こうなってしまっている状況を受け入れることのほうが、私たちは合っていたというか、楽だし心地いい感じがして……。こんなおばさんは何の参考にもならないですけれど、とはいえ、心配だったりモヤモヤしたりすることがあっても、その年になってみたらなってみたで意外と楽しいかな、みたいな。「まあまあ、それはそれで受け入れた心地よさもありますよ」って。だから、「安心しておばさんになってくださいね」というところはあるかもしれないですね。——お二人にそう言われるとすごく安心するというかホッとします。日本の社会はまだまだ「女は若くないと価値がない」と思われているフシがあるし、女性自身もそれを受け入れちゃっている気がするので。美穂:おばさんでも楽しく暮らしてますからね。江里子:阿佐ヶ谷の「谷のおばさん」みたいなところはあるんだけど。美穂:都会のおばさんはまた違うから……。——世田谷も「谷」ですよね。江里子:そうだ。でも、なんか感じが違うの。あっちはこじゃれてるもんね。杉並区の「谷」は居心地がいい。結局、みんなゆるいところに落ち着くわよね。※次回は11月1日(金)公開です。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
2018年10月31日お笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」が東京・阿佐ヶ谷での「六畳一間の2人暮らし」についてつづった『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(幻冬舎)。発売から3ヶ月経ちましたが、4刷と重版が続いており好調です。この本を読んで、実は渡辺江里子さん(姉)と木村美穂さん(妹)は、血がつながった本当の“姉妹”ではないと知った人も多いのではないでしょうか?最近は、家族や夫婦以外のつながりや血縁以外の「家族のかたち」も注目されていますが、他人同士が一緒に住む上で大事なことは?老後はどんなふうに考えている?など、お二人に「家族ではないつながりのかたち」をテーマにお話を伺いました。【関連記事】「大家さんと僕」矢部さんが見つけたつながりのカタチお隣同士の今は「ちょうどいい距離感」——お二人は今は同居はしておらず、アパートのお隣同士で住んでいらっしゃるのですね。一緒に住んでいたときと比べていかがですか?美穂:一緒に暮らしていたときはパーソナルスペースが布団しかなかったんです。ものも多くなってきて手狭になってきたということで引越しを考えて、結果的に隣同士になったんですが、やっぱりちょっと違うかしら。私のほうが暑がりなのですが、お姉さんのことを気にせずにエアコンをつけたり消したりできるようになったという部分では快適になりましたね。江里子:エアコンのリモコンの取り合いとかあったものね。美穂さん——江里子さんはいかがですか?江里子:私は、ちょっと寂しく感じることもあるんですが、とはいえ、壁一枚隔たっているだけで、お互いに「あ、今起きたな」とか「寝たんだな」のような気配を感じるので、お隣同士という距離感が快適だなと思いますね。心地よいというか……。ちょっと困ったときや寂しいときは、5歩歩けばすぐに行けますし。美穂:ちょっとお醤油が足りないときは貸してもらったりね。江里子:そうね。「豚汁できたわよ」って言われて、食べに行ったりとかね。美穂:まあ、ちょうどいい距離感。江里子:お手洗いが一部屋ずつあるから、相手と競り合ったり、「私が先よ」とか言わずに、好きなタイミングで入ったりできる。前はお手洗いが私の書斎代わりで、こもってると「独占しないで」と、すごく叱られていたんです。美穂:今もこもっているの?江里子:こもってるのよ。江里子さんルールはガチガチに決めないほうがいい——最近は、家族やカップルでなくても、趣味が同じ人同士や友人・知人同士で暮らすスタイルが注目されていますが、他人と暮らす上でルールというか、心地よく暮らすための秘訣は何だと思いますか?江里子:ある程度の年まで生きてきた大人同士がひとつ屋根の下に住むとなると、好みだったり、生活パターンだったり、感じ方だったり、いろいろ違うと思うので、ある程度のルールは作らなければいけないとは思うんですけれど、私たちの場合はそこがあまりギチギチしていないんです。もともとギチギチタイプではないというのもあって、ルールを決めたり、こうしていきましょうって決めたあとでも、何となくなし崩しになっちゃったり、守られないこともあったりするんですが、「何でやってくれないのかしら?」とか「守ってくれないのかしら?」と思ったときも「でも私もダメなときがあるから仕方ないな」って思うようにしています。本当にガチガチのルール縛りにしてしまうと、逆にストレスになったり、お互いの負荷になったりもするかなあと。——自分がダメだったときのためにも相手に多くを求めないというのはわかる気がします。江里子:同居してたときは、主に料理担当、主にお掃除担当という大まかな役割は決まっていたんですけれど、私がお料理担当と言っても、汁物、豚汁やシチューは美穂さんのほうが得意だから作れそうなときはお願いする。お掃除も、結局、私も片付けないといけないから、「一緒にやりましょう」とか。柔軟に、というか求めすぎてもいけないし、縛りすぎてもいけないし、そこの距離感を常に意識して、というのが、長続きするルールの一つかなという感じました。合ってるかしら?美穂:合ってる。“なんちゃって姉妹”ならではの緊張感——美穂さんはいかがですか?ひとりになりたいときは近所の西友に行っていたんですよね?美穂:そうです。もともとひとりっ子なもんですから、あまり共同生活向きじゃない。それなのに、仕事も一緒だったので一緒に暮らしたんですけれど。だから、ちょっとひとりになりたいときは帰り道をズラしたり「私は西友に行きますから、あなたはイトーヨーカドーに行ってください」と言ったり、ひとりで薬局に寄ったりして……。江里子:あら、「あなたはイトーヨーカドーに行きなさい」なんて言われてないわよ。私、命令されてイトーヨーカドーに行ってないと思うの。美穂さんの「私ちょっと西友に寄りますんで」という言葉に、自分で言うのもなんですけれど、「あっ」と嗅ぎ取って「美穂さんはおひとりさまになりたいタイムなのね」と思って「じゃあ私はイトーヨーカドーに行きます」って言ってたの。美穂:仕事も一緒だし家も全部一緒にいると「エリコ過多」になるんで、そういうときはそうやって……。江里子:「みほシャットダウン」ね。美穂:そう。家の中でコタツを壁にしてひとりの世界に入るとか、そういう息抜きの仕方でしたけれど、(ひとりの時間は)大事でしたね。——江里子さんもそんな美穂さんの気持ちを察するんですね。江里子:そこはきっと、お友だちからお仕事仲間になって、同居することになったのも大きいとは思うんですよね。最初からご家族だったりとか、カップルだったりとかってなると、グーンと近いところから始まるので、互いに求めるものが多いような気がする。察するだけでは難しいときは、話し合うようにしているんですが、濃い関係じゃない部分というか“なんちゃって姉妹”っていうところならではの緊張感というか、「下手なことをしてしまって関係が崩れたら嫌だな」という若干の緊張感があって、ずっと関係を続かせていきたいからこそ、極端な行動やリクエストをしないという部分はあるかもしれないですね。美穂:全部が全部、自分でやりましょうというのも寂しい気もしますけどね。二人とも自立しているからこそ、一人で全部できないときにお互いにちょっと助け合えたりできると、一番バランスがよいのかもしれないですね。※次回は10月31日(水)公開です。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
2018年10月29日「インターネットで一番数字を持っているライター」として知られるヨッピーさんによる初の著書『明日クビになっても大丈夫!』(幻冬舎)が9月21日、発売されました。商社マンだったヨッピーさんの、「死ぬほどつまらなかった」会社員を辞めて「好きで仕方がなかったこと」を仕事にするまでのエピソードや、「こっそりと二足のわらじを履こう」「趣味を消費型から生産型へ」など、ヨッピー流の仕事術がギュッと詰まった一冊です。「(本書を)女性にこそ手に取ってほしい」と話すヨッピーさんに3回にわたって話を聞きます。【第1回】ヨッピーさん「一歩踏み出さなくていい」ってどういうことですか?【第2回】ヨッピーさん、人脈自慢してくる女子に「イラッ」とするんですが…初の著書『明日クビになっても大丈夫!』を上梓したヨッピーさん相手にとっての“神様”は誰なのか?——ヨッピーさんは7年間、会社員をされていたということですが、サラリーマン時代の経験が生きたなと思う部分はありますか?ヨッピー(以下、ヨッピー):本にも書きましたが、「自分にとって誰が神様なのかを考える」ということと、「相手にとっての神様は誰かを考える」ことですかね。——相手にとっての神様……。ヨッピー:めちゃめちゃ大雑把に言うと、「この人はどこの顔色を伺っているのか?」ってことを最初に考えておくといろいろスムースだよ、ってことです。——あ、ピンときました!ヨッピー:弱点って言っても良いかもしれない。上司なのかクライアントなのか……。例えば、クライアントよりも上司のご機嫌をとっておきたい人なのか、どうなのか。その弱点をつっつきにいくとうまくいきますよね。最近あったことなんですが、ある会社の社員の方にお願いをすることがあって、ちょうどその会社の社長が知り合いだったので、社長の決済を先にとっておいたんです。それで、社員の方が「上の者に確認を……」って言い出すときに「御社の社長の決済は取りました」と言ったら「そういうことなら」とスムーズに話が進んだんです。サラリーマン時代の知恵がいきました。まあ、「社長連れてきたらそりゃそうだろ」って言われるかもしれませんけど、「どこと先に話しておくと話がスムースにいくのかな?」みたいなことを考えるのはサラリーマンを経験してサラリーマンの組織がどうなってるか、みたいなのを知ってないとけっこう難しい気がします。営業部がイケイケでも経理とか法務、QC*が「ノー」だったら案件丸ごと絶対に通らない、とか。会社によってはそういうのありますもんね。*QC……クオリティチェックのこと——確かに!ある……。ヨッピーが怒る理由——対社外の人との仕事で言えば、私は「なるべく揉めたくない」って思って穏便に済ませようとしちゃう部分があるんです。でも、ヨッピーさんは本にも書かれていた通り、相手がクライアントだろうがちゃんと怒りますよね。それって大事なことだよなと思いました。ヨッピー:サラリーマンの時は僕もそうでしたよ。でも、フリーになったら怒るのは僕の権利だし、それで相手とケンカしてダメージを負ったとしても、まあ困るのは僕だけなので「仕事がなくなってもええわ!」みたいなノリで怒ってますね。——フリーだからこそ、相手とこじれちゃったら次の仕事がないかもって思って怒れなくなりそうですが……。ヨッピー:でも、そこで怒らないとほかの仕事が減るっていうケースはあると思うんですよね。「ヨッピーこんな仕事してるんだ」って読者もがっかりしちゃうかもしれないし。あとは、被害者を増やしたくないというのもありますね。僕が怒っておけば、相手も次は気をつけるかもしれないじゃないですか。——それは対会社や上司も同じことなのかもしれないですね。何か理不尽なことがあった時に、後輩や部下も同じ目に遭うかもしれないと思えば、ちゃんと怒るのって必要だなと。ヨッピー:怒るのにも二種類あると思うんです。自分のために怒るのか、他人のために怒るのか……。「なんで俺が上座じゃないんだ?」って怒る人、たまにいますよね?——たまーにいますね(笑)。こいつちっちゃいなーって思ってますけど。ヨッピー:それ、僕なんですよ。まあさすがにどっちが上座か、なんかで怒ったりはしないですけど、僕個人は本当に人間も器も小さいので、飲みに誘ってもらえないとすぐにスネるし、居酒屋で「炭火焼き鳥」ってメニューには書いてあるのに、明らかに冷凍食品だったから「どこが炭火じゃ!」って怒ったり。まあ、最悪じゃないですか。だから、そういう自分の器の小さいところは少なくともインターネット上では出さないでおこう、って戒めてるんです。インターネットで怒る時は、社会のためとか仕事のためとか、なんかそういう「自分のため」以外の理由で怒ろうっていう。。——なるほど。すごくためになりました。デキる人ってどんな人?——インタビューも今回で最終回です。「デキるおじさんに聞きに行く」というのが裏テーマなので、ぜひ伺いたいんですが、ヨッピーさんが思う「デキる人」ってどんな人ですか?ヨッピー:えー、そうだなあ。うーん……。「闘争心が強い人」ですかね。僕がすごいなって思っている人は常に何かに怒ってて、その怒りをぶつけているような……。「世の中のココが気にくわないから直したい」とか「この世の中の不正が許せないから追及するぞ」とか……。もっと俗っぽく言えば「なんであいつが売れてるんだ?悔しい」とかね。僕も社会に対する怒りが他の人より強い気がするんですよね……。「なんでこんな奴がのさばっているんだろう?」とか。まわりを見てもだいたいそう。デキる人たちって何かと戦っている気がしますね。その「何か」は、社会なのか、個人なのか、国なのか、まちまちなんだけれど、それぞれ“敵”がいる気がします。表立ってプンプン怒ってるのではなくて、内から湧き上がってくる怒りを秘めている。——なるほど。という部分で言えば、今回の『明日クビになっても大丈夫!』のテーマである「行動力」にも通じる気がします。何が人を行動に掻き立てるのかって言ったら「怒り」って大きいと思うんです。ヨッピー:そうそう。「怒り」ってガソリンとしては優秀ですよ。僕もムカついているときが一番筆が乗りますもんね(笑)。——私も思いあたるフシが結構あります。怒りを行動のガソリンにする。逆に言えば、自分の「怒り」ポイントに、行動を起こすヒントが詰まっているのかもしれないですね。今回は、ありがとうございました!(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
2017年09月25日「インターネットで一番数字を持っているライター」として知られるヨッピーさんによる初の著書『明日クビになっても大丈夫!』(幻冬舎)が9月21日、発売されました。商社マンだったヨッピーさんの、「死ぬほどつまらなかった」会社員を辞めて「好きで仕方がなかったこと」を仕事にするまでのエピソードや、「こっそりと二足のわらじを履こう」「趣味を消費型から生産型へ」など、ヨッピー流の仕事術がギュッと詰まった一冊です。「(本書を)女性にこそ手に取ってほしい」と話すヨッピーさんに3回にわたって話を聞きます。【第1回】ヨッピーさん「一歩踏み出さなくていい」ってどういうことですか?初の著書『明日クビになっても大丈夫!』を上梓したヨッピーさん会社を辞めない、だからこそ逃げられる——前回は「一歩を踏み出さなくても足を伸ばすくらいでいいよ」というお話でした。本のメッセージとして「たまには逃げてもいいよ」というのもヨッピーさんらしいなと思いました。ヨッピーさん(以下、ヨッピー):『明日クビになっても大丈夫!』っていうタイトルではあるんですけど、「会社を辞めなくてもいいじゃん」っていうメッセージもあるんです。会社以外のところで楽しみを見つけて、それを生き甲斐にするのもいいじゃん!っていう。それでそっちが軌道に乗って本業になったら最高だよね、みたいな。僕も本音を言えば「温泉に浸かってるだけでお金がもらえる仕事」とかやりたいですもん。メーターがついてて、お湯に入ってると10秒ごとに「100円……200円……」ってメーターが加算されてくっていう仕事。そういう仕事ないですかね?え?ないの?ないかぁ。——うーん……あるかなあ。。ヨッピー:まあ、会社さえ辞めてなければ多少失敗しても逃げれるんですよ。軸足をこっち(会社)に置いておいて、もう片方の足をちょんちょんってやって「あ、この足場は崩れそうだな」とか、ダメならまた元に戻ればいいわけで。いきなり両足で飛び込んで足場が崩れたら悲惨ですよ。そんな風に、一生懸命、退路を絶ってまで自分を追い込む必要はないよって。チャレンジすることを努力目標として捉えるのも変だなと。「自分が楽しいからそうする」ってだけで、本当は「こうしなきゃいけない」ってことではないんですよね。——言われてみればそうですね。ヨッピー:繰り返しになりますが、まず最初に足をちょんちょんってやるのが大事で、ダメだったら逃げればいいんです。そういう、足を伸ばす作業だけでも最初にやってみれば?って。そうすれば新しい気づきもあるし、応援してくれる人も現れるかもしれない。「辞表バーン!」はダメ、絶対!!——ドラマや映画を見ていると「辞表を叩きつける」というシーンがよくあるので、いつの間にか「何かを始めるにはそのくらいの覚悟がないとダメなのかも」って思っちゃってました。ヨッピー:わかる。わかりますよそれ。僕もそれ、「カッコイイ!」とか思っちゃうタイプなので。だから僕も転勤の辞令が出た翌日の朝にスパーンと上司に「辞めたるわ!」って言ったんですけど、あと1週間、辞めるのが遅かったら本当はボーナス支給の対象になってたんですよね。それだけで100万円くらい損したんですよ!ねえ!100万円!なんなの!もう!だからそんな勢いでやっちゃだめです!ちゃんと準備しなくちゃ。いやー、完全にバカのやり方だったわ……。——それは悔しいですね。ヨッピー:例えば、自分がマンガ家に向いているかなんて、マンガを描いてみないとわからないですよね。それならサラリーマンをやりながらやってみればよくて、向いてなければ描くのをやめればいい。「マンガ家になる!」って会社辞めたはいいけど、マンガ描いてみたら俺全然マンガ家に向いてなかったわ!って悲惨じゃないですか。そもそも「退路を絶ってやるぞ!」っていう気持ちになってやらなきゃいけないことなんて最初から自分に向いてないんですよ、そんな気持ちのまま取り組むのって一生しんどいはず。サラリーマンをやりながらでも楽しくやれることじゃないと向いてないって思っています。——子どもの頃、ゲームがやめられなくて、親に怒られながらもコソコソやっていたのを思い出しました。要するにそういうことですよね。会社員をやっていても好きなことならやっちゃう……っていう。ヨッピー:それそれ!そういうのが「好きなこと」です!人脈は実力についてくるもの——「『人脈』は実力の付属品である」という部分も膝を打った部分でした。というのも、「この前、○○の編集長と飲んだんですけど」って人脈自慢してくる女子に遭遇したり、いかにもカネと権力がありそうなおじさんと飲んでいる様子をSNSにアップしている女子を見かけたりするたびに「イラッ」としてたんです。こっちは目の前の仕事に忙しくて人脈広げている暇ないよって。ヨッピー:「実力×人脈=仕事量」なわけで、自分に実力がないんだったらいくら人脈を広げてもゼロのまんまですよ。実力ない人にはいくら顔見知りでも仕事頼もうとは思わないですからね。実力ないのに仕事くれるのって若いお姉ちゃんを愛人にしたいスケベなおじさんくらいじゃないですか。それでも港区女子がうらやましい——そうですよね……。でも「東京カレンダー」みたいな世界っていいなあって。ヨッピー:えー、「港区女子と飲む編集長」は「港区女子と飲むような編集長」だけですよ。——はて?どういうことですか??ヨッピー:港区女子と飲みたがるような編集長にしか会えないってことです。そんなのまともな編集長じゃないでしょ絶対。港区女子に、鼻の下を伸ばしてお酒を飲ませてくれる編集長ですよ。そんなやつ仕事できるわけないじゃないですか。カスですよカス!!いたら呼んできてください、「肩書で女の子釣るな!」って説教しますから!——わかりました!ヨッピー:そもそも「人脈」っていう言葉自体、ふわっとした時代だからこそ通じたもので、デジタルの時代にはだんだん通じなくなるんじゃないですかね。ウェブメディアなんかはすごくわかりやすいと思うんですが、読者の反応がダイレクトに伝わるし数字が全部出ますよね。実力がスコア化されればスコアで判断せざるを得なくなるじゃないですか。仕事相手も「なんとなく仲がいいから」っていう理由で選ばなくなる。昔はスコア化されてないから「じゃあ顔見知りに頼むか」っていうのもあったかもしれないけれど、今は無理じゃないかなー。実力が可視化されてたら、実力があるほうを選ばざるを得ない。——昔ほど余裕がある時代でもないし……。ヨッピー:そもそも人脈で取れるような仕事ってそこまで良い仕事じゃないと思います。まあ知り合い、仲が良い人が多いのにはこしたことないですけどね。——日々の仕事を積み重ねて実力をつけて正攻法で仕事をしろってことですね。※次回は9月25日(月)公開です。(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
2017年09月23日