1月6~10日は第六十七候「芹乃栄う」(せりすなわちさかう)。せりが盛んに茂る時季といわれています。せりといえば、春の七草のひとつですね。歌や語呂合わせで春の七草を覚えた方もいると思いますが、春の七草には、厄を祓うおまじないの歌もあるのだとか。ちょうど1月7日は「人日(じんじつ)の節句」でもあり、七草粥をいただく日といわれています。今日はあらゆる厄を祓い、無病息災をもたらす、体にやさしい春の七草のご紹介です。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。春の七草と人日の節句昔は年が明けたばかりの初春の野原に出て、若菜を摘む「若菜摘(わかなつみ)」が行われていたそう。1月7日の「人日の節句」は「七種(ななくさ)」とも呼ばれています。日本ではこの日、春の七草をおかゆなどにして、無病息災を祈ってきたのです。春の七草は、地域によって違いがありますが、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの7つが一般的。ちなみに七種の日に、その年はじめて手足の爪を切ることを「七種爪(ななくさづめ)」といって、その日に爪を切ると、七草をいただくのと同様、一年の邪気が祓われると信じられていたそうですよ。七草のおまじない昔から、「七草なずな七日の晩に唐土(とうど)の鳥が日本の土地に渡らぬ先に七草なずなを摘み入れてホーットトットホーットトット」とはやしながら、包丁で七草を細かくたたく、おまじないがあることをご存知ですか?地方によって歌詞も異なり、また、七草を7回ずつ合計49回たたいたり、たたき方も地域によって違いがあるそうです。面白いですね。ちなみに「唐土の鳥」とは大陸から日本へ疫病をもたらす、悪いものごとの象徴なのだとか。新春から悪いことが寄り付かないように、七草をトントンとたたいておまじないをかけましょう。春の七草粥のレシピ七草におまじないをかけたら、今年はすこしだけ手間ひまかけて、土鍋で七草粥をつくってみませんか?土鍋でつくったおかゆは絶品で、香りも味もちょっと違いますよ。新春は七草粥で美味しく厄払いを!それではレシピをご紹介しましょう。【材料】(2人分)米・・・1合水・・・1000cc七草セット(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)・・・1パック塩・・・適宜【作り方】1.お米は研いで、水と一緒に土鍋に入れて30分程浸けておきます。2.せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざは、さっと洗って葉っぱをみじん切りに。すずな、すずしろは、なるべく薄く切っておきましょう。3.水に浸けた米に、すずなとすずしろを土鍋に入れ、ふたをして中火にかけます。沸騰したら、弱火でコトコト40分。4.火を止めます。残りの七草を加え、ふたをして余熱で1分ほど蒸らします。熱で葉がしんなりしたら、軽く混ぜて、最後にお塩で味を整えて完成です。ほんのり塩気のある七草粥をいただくと、お正月も終わりなんだなと、しみじみ思いますね。お友達や家族と新しい年の幸せを迎えるために、トントンと厄祓いをしながら、体にやさしい春の七草をいただきませんか?【参考】『おもひでぎょうじ』絵百瀬義行監修柳原一成/晋遊舎、『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2017年01月05日皆さま、あけましておめでとうございます!今日は2017年の始まりの日ですね。さて、1月1~5日は第六十六候「雪下麦出ずる」(ゆきわたりてむぎいずる)。真っ白な雪の下で、麦が芽を出し始める時期です。麦は秋に発芽して厳しい冬を越え、翌年に実を結ぶ、越年草(えつねんそう)でもあります。私たちも、麦のように季節をたくましく乗り越え、実のなる一年を過ごせるよう、初詣に行きましょう。何事も最初が肝心ですから、神さまの力をお借りして、福あふれる一年になるよう正しい参拝法をご紹介します。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。初詣に出かける神社とは?新年になって、お正月に初めて神社仏閣にお詣りする事を、「初詣」といいます。新たな一年の幸せを祈り、破魔矢(はまや)、熊手などを授与していただいたり、絵馬に願い事を書いたり。本来初詣は、「産土神(うぶすながみ)」や、その年の恵方の方角にある神社を詣でる「恵方参り(えほうまいり)」が良いとされてきました。「産土神(うぶすながみ)」とは、お宮参りや、七五三といった人生の節目節目で参拝している故郷の神社の事です。お正月、里帰りをなさる皆さんはぜひ、小さい頃から見守って下さっている神さまへ、新年のご挨拶に伺いましょう。また、故郷から離れた場所で新年を迎えるという皆さんは、恵方参りに出かけましょう。恵方とは、「歳徳神(としとくじん)」という神さまがいらっしゃる方角の事。「歳徳神」とは陰陽道において、その年の福徳を司る神さまの事です。この歳徳神さまがいらっしゃる方角に向かって事を行えば、万事に良い結果が得られるのだとか。今年の恵方は北北西です。「恵方参り」で天のパワーを授けていただきましょう。正しい参拝で福を招き入れる私たちは初詣を含め、人生の節目節目で神社へ参拝に訪れますよね。皆さんは、正式な参拝法をご存知でしょうか?一度覚えてしまえば、難しい事はなにもありませんよ。まず、鳥居は神聖な神域への門。鳥居をくぐるときは、軽く一礼しましょう。続いて、参道の真ん中は神さまの通り道。中央は歩かないよう注意しましょう。手水舎がある場合は、必ず浄め(きよめ)をします。本殿の前に立ったら、まずは軽く一礼。鈴があれば、お賽銭箱にお賽銭を入れる前に鳴らしましょう。鈴の音は神さまへの合図となります。それから拝礼を行うのですが、拝礼のお作法は「二礼二拍手一礼」です。なぜ二回お辞儀をして二回柏手を打つかといいますと、陰と陽の対をあらわすとともに、「二」という偶数を用いる事で、神々でなく人間が祈りに来た事を伝えるためだともいわれています。神さまへのお願いも単に、「昇進できますように」といったお願いの仕方ではなく、「仕事もスキルアップして、より社会の役に立てますように」というように、自分への意識付けの意味でも、きちんとした目的を持って、具体的に願い事を唱えましょう。ある神職の方から、「鈴を鳴らして柏手を打ったのち、ほんの少しで良いですから、なにも考えない『無』の時間をつくりましょう」というアドバイスをいただいた事があります。願い事を唱える前の「無」の時間は、神さまを感じ、神さまと対話をする時間。新年、心を込めて、ゆったりとした気持ちで参拝を。2017年が、皆さまにとって福あふれる一年になりますように。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂、『日本人 数のしきたり』朝倉晴武/青春出版社、『神社のいろは』神社本庁/扶桑社
2017年01月01日12月27~31日第六十五候「麋角解つる(さわしか の つの おつる)」。大鹿の角が落ちる時季のことを、七十二候ではこう呼びます。さわしかとは日本に生息している鹿ではなく、ヘラジカや大鹿のことを指すのだとか。さわしかが大きな角を落とすこの時季、私たちは新年を迎える準備に追われます。今年も残すところ、あとわずか。今回は一年の節目である大晦日を、より深く味わうための心得をご紹介します。すべてに、大切な意味が込められているんですよ。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。晦日とは?「晦日(みそか)」とは、月の最後の日のこと。月が欠けて見えなくなった状態のことをさし、晦日のほか、「つきごもり(月隠)」から転じて「つごもり」とも呼ばれています。また「大晦日(おおみそか)」は、一年の最後の月の最終日であることから、「特別」という意味を込めて「大」を冠して、「大晦日」となったそうです。月明かりのない真っ暗な闇夜を打ち破って昇る朝日、その年初めて昇る朝日すなわち「初日(はつひ)」を見るため、一晩中起きているのが本来の年越しとされています。初日はまさに、新しい一年の象徴とも言えます。昔の人は新しい一年の幸せを願い、毎年のように初日を拝んできたのですね。年越し蕎麦は運気を上げる?年越し蕎麦については諸説ありますが、いちばんよく知られているのは「細く長く」にあやかり、健康長寿、家運長命を願うというものです。年越そばの歴史は意外と若く、江戸時代ごろから食べられていたそうです。年越し蕎麦をいただくのは31日の夕食時、もしくは除夜の鐘を聞きながらいただくのが一般的といわれています。変わったものとしては、福島県の会津地方では、元旦(1月1日)に食べる風習があるのだとか。食べると運が向く、といわれる年越し蕎麦は別名「運気蕎麦」とも呼ばれたそうで、今年の終わりにはぜひ年越し蕎麦をいただいて、2017年の運気を高めましょう。除夜の鐘で迎える新たな一年除夜の鐘は、大晦日の夜から新年にまたがって撞きます。その回数は合計108つ。人には108つの煩悩があるといわれ、欲望や心のよどみといった煩悩を、ひとつひとつ祓うために鐘を撞くそうです。あの「ゴ~~ン」という、お腹の底に響き渡る鐘の音が、すべてを浄(きよ)めてくれるのですね。本来は除夜の鐘にも決まりがあるそうで、107回目までは前年のうちに、そして最後の一回は年をまたいで、新年になってから撞くのが正式な撞き方なのだとか。除夜の鐘が鳴り響く中、今年はたちまち去年となり、新たな一年がやってくるのです。除夜の鐘を撞く際は一礼し、心を込めて撞きましょう。この一年を振り返って心に浮かぶ悲しみや後悔、腹が立ったことなどなど、全て感謝の心で手放して鐘の音とともにやってくる新たな一年を、晴れやかな心で迎えましょう。今年一年、連載「心なごむ昔ながらのスローライフ」をお読みいただきまして、ありがとうございました。空を見上げ、道端に咲く一輪の花に心をかけるほんの短い時間が、心の栄養補給になると感じています。皆さんが自然を通じて、すこしでも元気になったり、癒されますよう願いを込めて、来年も記事を書かせていただきます。どうぞ、幸せな新年をお迎えください。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂、『日本の歳時記』/小学館
2016年12月26日12月21~26日は、第六十四候「乃東生ず(なつかれくさしょうず)」。ウツボグサの芽が出てくる季節とされ、その花穂を”ナツカレクサ”と言うそうです。冬にも芽を出すとは、なんとたくましい生命力でしょう。この時季は太陽の高さが最も低くなり、昼間の時間が一年でいちばん短くなる冬至(今年は12月21日)にあたります。この日を境に、春に向けて少しずつ太陽の力が強まっていくとされています。そう聞くと、春が待ち遠しいですね。今日は、「春よ来い、早く来い」という気持ちを込めて、一足先に人生に春を呼ぶ、この時季ならではの縁起物をご紹介しましょう。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。冬至から授与される縁起物21日の冬至から、来年2月3日の節分まで、東京都早稲田に鎮座する「穴八幡宮(あなはちまんぐう)」で「一陽来復(いちようらいふく)」のお守りが授与されます。地元の人に「穴八幡」と呼ばれ親しまれている神社ですが、江戸時代より、冬至の日に早朝から多くの人が穴八幡にお参りする様子は、江戸の風物詩になっていたとか。昔も今も変わることなく、人々がこぞって求めているのが「一陽来復」のお守りです。今年もお守りを求めて、早朝から多くの人が穴八幡に集まります。財運アップのお守りとして有名ですが、一陽来復には「厳しい冬が終わりを告げ、幸せの春がやってくる」という意味もあるのだとか。まさに陰極まりて(いんきわまりて)陽に転じる日。冬至を境に日も少しずつ長くなり、春へ一歩一歩近づいていくのですね。さまざまな融通がきく!?「ゆず」穴八幡で授与される一陽来復のお守りは、「金銀融通」のご利益があるとされ、「ゆうずう」を「ゆず」にかけて、冬至は神社の露店でゆずを売るお店も多いそうです。「人生滞りなく、お金はもちろん、すべての幸せに通じますように」という願いを込めて、この時季、旬のゆずを生活に取り入れてみませんか?うどんやそばに添えて食べるも良し、お風呂に入れても良し。ゆずのように強い香りがする植物には、邪気を祓う力があると信じられていました。ゆず湯はひび割れやあかぎれに効果的と言われており、血液の流れを良くする効果が期待できることから、風邪の予防にもなるとされています。ゆずを輪切りにして、ガーゼで作った袋に入れて湯船に浮かべれば、さわやかな香りに癒されますよ。冬至を境に、少しずつ長くなっていく昼の日差しのように、 縁起物のお守りとゆずで、私たちの運気も少しずつ上がっていきますように。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年12月20日12月17日~21日は第六十三候「鱖魚群がる(さけのうおむらがる)」。海で育った鮭が、川に戻ってくる頃とされています。最後の産卵を終えるため、毎年この時期に、生まれた川に戻ってくる鮭。わたしたち人間の行事にもまた、一年の締めくくりとして、年忘れの宴「忘年会」が存在しますね。実はこの忘年会、鎌倉、江戸時代と、公家や庶民のあいだで広く行われていた、日本独自の行事なのだとか。今回は「素敵な日本女性としておさえておきたい忘年会マナー」をご紹介しましょう。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。忘年会のルーツその起源は鎌倉時代で、連歌を詠み合う行事「年忘れ」が元になっているのだとか。江戸時代になると庶民が労をねぎらい、お酒を酌み交わすようになったそうです。今や忘年会は、年末の風物詩となっていますね。ところで忘年会でよく耳にする「今日は無礼講でいこう!」という言葉。あなたは、本当の意味を理解していますか?鎌倉時代に後醍醐(ごだいご)天皇の提案で席の指定をなくし、立場の違いを超えて自由にお酌をすることが許されたことが“無礼講”のルーツなのだそうです。身分や立場の垣根を取り払ってこそ、生まれる力もあったということでしょう。現代の忘年会も同じことで、お酒を酌み交わしながら一年を振り返り、上司や仲間との一体感を高める貴重な機会に変わりありません。新年に向けてわだかまりやしこりを残さないよう、無礼講は無礼講として、最低限のマナーには気をつけたいものです。「奥ゆかしさ」も素敵な女性のマナー忘年会といったお酒の席でも、慎み深く、こまやかな心配りができる「奥ゆかしさ」を忘れないこともまた、日本女性としておさえておきたいマナーのひとつだと思います。たとえば、自分も会を楽しみつつ、さり気なく料理をとりわけたり、お相手の酔い加減も見ながら、飲み物をつぎましょう。ドリンクメニューを渡す際、相手が読みやすい方向で渡すということも小さな気配りですね。ただし、飲み物がなくなりそうになる度に「次はどうなさいますか?」とお酒をすすめるなどの過剰な気配りは、かえって気をつかわせてしまいますから注意しましょう。そして会の終わり。忘れ物はないか、周りの皆さんの分もチェックを。忘年会は羽目を外してお酒を楽しむ人も多いですから、携帯や鍵など、思わぬ忘れ物をする人もいるものです。忘年会を楽しみつつ、小さな気配りを忘れない奥ゆかしい女性って、男性はもちろん、女性から見ても素敵ですね。2016年の「年忘れ」。来年、またみんなと一緒に良い仕事をしていくためにも、女性としての奥ゆかしさを忘れず、美味しいお酒を楽しみましょう!【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂、RICOH JAPAN Corporation
2016年12月16日12月12~16日は第六十二候「熊穴に蟄る(くまあなにこもる)」。熊が冬眠に入る時季といわれています。寒さもだんだん厳しくなり、家で過ごす時間が自然と長くなりますよね。今日は、みなさんの冬ごもりを充実させる”お茶とアロマ”についてご紹介します。毎日の生活に取り入れれば、気持ちがほっと安らぐことでしょう。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。和のアロマで安らぐ冬ごもりの時間にぜひ取り入れていただきたいのが、リラックス効果をもたらしてくれる“香りアイテム”。アロマもいいですが、日本で古くから愛されてきた和のアロマ、“お香(おこう)”はいかがですか?日本で”お香”が用いられるようになったのは仏教伝来の頃。平安時代になると、貴族たちは自ら調合した香りを部屋や衣服へたきしめ楽しんでいたそうです。戦国時代では香りを兜にたきしめ戦地へ赴いた武将もいたといいますから、一口に“お香”といっても、さまざまな意味合い、思いを持って、愛用されていたのですね。あなたもいにしえの人のように自分好みのお香を探してみてはいかがでしょうか。おすすめは、早春に咲く「沈丁花」の香り。沈丁花の香りは、なにかいいことありそう、そんな気分にさせてくれる華やかな香りです。また、能舞台などの木材としても利用されている「ひのき」は、どこか神秘的で落ち着いた香りが魅力。女性らしい艶やかな「バラ」の香りも私のお気に入り。実はバラは、「さうび」という名で古今和歌集にも登場する、長い歴史を持つ花なんですよ。あたたかな部屋でお香に火を灯し、スーッと立ち上る煙をながめて深呼吸しましょう。オトナのお茶の時間Photo by 三浦奈々依和の香りで心を整えたら、ぜひ、美味しい日本茶を用意しましょう。茶葉にこだわるのもいいですが、味を左右する“急須”にこだわってみて。自家栽培したお茶を販売している「まるさ佐京園」によると、陶器の急須は保湿性に優れ、お茶の渋みと旨みを引き出してくれるのだそう。ただし、急須自体にお茶の香りや味が移るので、毎回決まった茶葉を使うのがよいようです。反対に磁器の急須は保湿性は落ちますが、お茶の香りなどが移ることはないので、複数のお茶を淹れて楽しむことができるそうですよ。私が10年以上にわたり愛用しているのは、400年の歴史を誇る岩手・盛岡の伝統工芸品「南部鉄器」の急須。南部鉄器は保温性に優れ、陶器や磁器に比べ割れにくいという利点があり、なんとフランスでも大人気なんですよ。鉄器といえば黒色がベーシックですが、最近では写真のような鮮やかな色やユニークな形のものもあります。テーブル上の飾りにもなり、茶を煎れるたびに、心が華やぎます。日本茶に含まれるカテキンには、深い癒し効果があるといわれています。さまざまなタイプの急須で日本茶をいただいて、あたたかい部屋で、ふーっと安堵のため息をつきませんか?オトナ女子の冬ごもりで、心を整え、安らぎのひとときを過ごしましょう。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂、アンシャンテ、株式会社長川仁三郎商店
2016年12月11日石原さとみ主演、共演に菅田将暉、本田翼らを迎え、宮木あや子の小説「校閲ガール」シリーズをドラマ化した「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」の最終話が12月7日(水)今夜放送される。原稿を深く読み込み、間違いや矛盾、疑問点を指摘する、出版物の内容の正確さを支える重要な役割ながら編集などの影に隠れた“地味”な存在である「校閲」。本作で石原さんが演じている主人公の河野悦子はオシャレ大好きな28歳。憧れのファッション誌「Lassy」の編集になるために景凡社の入社試験を受け続け、ついに採用の通知をもらうも配属されたのは校閲部。当初は落ち込んだ悦子だったが「校閲で認められれば編集部に異動できるかも」と言われ、校閲の仕事に全力投球するというのが本作の物語。悦子が恋に落ちる大学生ながら覆面作家・是永是之で「Lassy」モデルでもある折原幸人を菅田さんが、悦子の高校の後輩で「Lassy」編集者の森尾登代子を本田さんがそれぞれ演じるほか、森尾に好意を抱く文芸編集部の売れっ子編集者・貝塚八郎には青木崇高。校閲部の部長・茸原渚音には岸谷五朗。悦子の同僚となる校閲部員には和田正人、江口のりこ、松川尚瑠輝ら。さらに足立梨花、芳本美代子、ミスターちん、鹿賀丈史(特別出演)も出演。1話で早速、大物ミステリー作家・本郷大作の校閲を任され“暴走”しながらも大作に気に入られた悦子は、その後2話で担当した人気ブロガーの書籍では大失敗をしながらも持ち前のバイタリティで挽回。その後も人気女優・杉本あすかの自叙伝を校閲した際にはパパラッチと“バトル”を繰り広げるなど、“校閲”の仕事を範疇を超えて大活躍。そんな悦子だが前回の放送ではついに「Lassy」の校閲を担当することに。はりきりすぎて内容に口出ししたうえに大きなミスを犯して副編集長の怒りをかったものの、“「Lassy」愛”が認められ、なんと今夜の最終回では憧れの「Lassy」編集に異動できるチャンスが訪れる。「Lassy」編集長の亀井(芳本美代子)に巻頭特集の企画書を書いてプレゼンするように言われた悦子。一方、悦子は貝塚から本郷(鹿賀さん)の盗作を訴える告発文が送り付けられたと知らされる。“直木龍之介”と名乗るWEB小説家が1ヵ月前に発表した作品と、発売されたばかりの本郷の最新作が酷似しているというのだ。本郷は連絡がつかない状態で真偽を確かめることができないため、貝塚は本郷の最新作と直木の作品を細かく検証すべく校閲部に2つの作品の事実確認を依頼。悦子たち校閲部と幸人は協力して、本郷の盗作疑惑を晴らそうとするが、そんななか校閲部に何者かが侵入する…というのが最終話のストーリー。大きなチャンスを手に入れた一方で、幸人の父である本郷にピンチが訪れる…悦子の活躍を最後までお見逃しなく。「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」最終話は12月7日(水)今夜22時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2016年12月07日12月7日~11日は、第六十一候「閉寒く冬と成る(そらさむくふゆとなる)」。重い雲が冬の空を覆い、真冬が訪れる頃とされています。どんどん日も短くなり、仕事が終わると、気持ち的になんとなく家路を急いでしまう方も少なくないはず。部屋でゆっくり過ごす時間の中で、まもなく終わる一年に思いを巡らしてみてはいかがでしょう。いろいろと思い返すことも多いでしょうが、「ありがとう」を伝えたい相手を考えてみましょう。なぜなら、ちょうど今はお歳暮シーズン。2016年の感謝の気持ちを伝える絶好のタイミングなのです。今年の冬、あなたらしいスタイルで感謝の気持ちを贈りませんか?七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。そもそもお歳暮とは?歳暮とはもともと「年の暮れ」という意味の言葉。ご先祖様を敬い、新たな一年の豊作を祈るための供物を年末に配った習慣が、「お歳暮」として現代に受け継がれているようです。お歳暮の時季は地方によっても異なりますが、12月上旬から12月20日までといわれています。お歳暮の予算は3,000~5,000円が一般的。最近では、レストランなどの食事券・日帰り温泉の入浴券などの体験型のチケットや、ギフトカタログを贈る方も増えているそうです。これまでお歳暮を贈ったことがないなら、親しい友人や家族、仕事で毎日顔を合わせている身近な方にこそ、1,000円前後のちょっとしたプチギフトを贈ってみるのはいかがでしょう?「寒い冬を元気に過ごして欲しい」という思いを込めて、甘酒や生姜湯、ゆず茶など、身体を温めてくれる飲み物もおすすめ。さりげない心遣いを感じられる贈り物をお渡しすれば、心の距離も近づいて、来年もよい関係を築けると思いますよ。ありがとうの思いを手紙にお歳暮やプチギフトに、今年はぜひ手紙を添えてみて。「本年の言葉に尽くせぬ感謝の気持ちを込めまして、心ばかりの品を別便にてお送りしました。ご笑納いただければ幸いです」といったオーソドックスな手紙もいいと思いますが、私が毎年友人へお歳暮と一緒に手渡ししているのが「今年一年、あなたに贈る10のありがとう」。 たとえば、「いつも美味しい料理でもてなしてくれてありがとう」「悲しい気分の時に面白い話で元気づけてくれてありがとう」「仕事の愚痴にもつきあってくれてありがとう」「前々から私が欲しがっていたプレゼントを誕生日にありがとう」など。その方に伝えたい「ありがとう」を10項目書いています。親しい人にこそ、感謝の思いを言葉にして伝えましょう。誕生日でも記念日でもないタイミングで伝えられるあなたの「ありがとう」も、きっとうれしい贈り物に。お歳暮といっても豪華なものを贈る必要はありません。心のこもったものなら、きっと喜んでもらえるはず。あなたの「ありがとう」が、この冬、お相手の心をあたたかく包むでしょう。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年12月06日12月2〜6日は、第六十候「橘花始めて黄ばむ(たちばなはじめてきばむ)」。橘の実も黄色く色づく時季となりました。橘は、日本に古くからあるミカン科の常緑樹で、不老不死の理想郷から持ち帰ってきた植物、永遠の生命のシンボルなどとも呼ばれてきました。そんなミステリアスな別名の由来とともに、橘にまつわる恋の歌をご紹介。知ればきっと、橘の小さな実が持つ不思議な力に驚くことでしょう。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。橘は日本古来の縁起物橘は「やまとたちばな」ともいわれ、日本に古くから自生してきた唯一の柑橘類。四国、九州、沖縄など、日本の南部に自生するといわれています。別名は「常世草(とこよぐさ)」。日本神話によると橘は、常世(不老不死の理想郷)から、お菓子の神様として祀られる田道間守(たじまもり)が持ち帰ったとされているのだとか。菓子の起源は果物の橘ともいわれているんですよ。また、常緑であるため、「永遠」のシンボルともされています。そんな縁起のいい逸話があることから、橘の実はお正月の鏡餅に、橘の花は女の子の無病息災を願うひな祭りで飾られるようになったそうです。ちなみに、「文化勲章」のデザインにも、永劫悠久の意味がある橘の花と、その上に、橘の葉と実があしらわれています。 昔の恋人を思い出させる橘の香り橘が登場する和歌をご紹介します。「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」(古今和歌集)「五月を待って咲いた美しい橘の花の香りをかいだ瞬間、昔愛した人の袖の香りがした」という内容。平安時代は、香を袖にたきしめていたそうです。この読み人知らずの歌が平安時代、大人気となり、橘といえば昔の恋人への心情と重ねて詠むものとされるようになったとか。現在でも、橘の花や実をイメージしたお香や香水などがあります。私は、伊勢神宮のおかげ横丁にあるお香やさん「くつろぎや」の「やまとたちばな」のお香を愛用。日本茶の香りをベースに柑橘の花のオイルがブレンドされた香りは、心をやさしく包んでくれます。永遠の緑をたたえる橘の香りは、恋が終わりを告げても、けっして色あせることのない幸せな思い出を運んでくれる魔法の香り。たまには、橘の香を焚いて、昔の恋を思い出す夜があってもいいですね。いかがでしたか?日本に古くから自生してきた唯一の柑橘類とされる橘は、日本人にとって、この世のものではない理想郷の不思議な力を秘めた縁起物だったのですね。橘の実が黄色く色づくこの時季。自然とつながりましょう。大いなる橘の力を授けていただけるかもしれません。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年12月01日11月27日~12月1日は「朔風葉を払う(きたかぜこのはをはらう)」。朔風(北風)がはらはらと木の葉を散らす頃となりました。朔風だけでなく、日本では風の呼び名だけで2,000以上もあるといわれているんですよ。いにしえの人々の感受性の豊かさに驚きますね。この感受性があったからこそ、季節のちょっとした移ろいを感じ取り、自身の日々の小さな心の変化に気づき、数々のすばらしい俳句や和歌が生まれたのでしょう。現代に生きる私たちも、感受性を育めば、仕事や遊び、恋などをもっと楽しく、充実したものにできるはずです。今回は、この時季に吹く風の呼び名(季語)と俳句をご紹介。五、七、五というわずか十七の短い言葉の中に、この時季ならではの風景が息づいています。記事を読みながら、俳句に詠まれている世界をイメージしてみて。きっとその時間の中で、あなたの感受性が育まれるでしょう!七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。【凩】と夏目漱石の俳句凩(こがらし)は、冬の訪れを告げる北風。「木枯らし」とも書くように、木々の葉を落とし、枯れ木のようにしてしまう冷たい風のことをいいます。でも凩が吹いた翌日は、晴れて穏やかな天気になることが多いそうですよ。凩を使った、日本を代表する文豪・夏目漱石の俳句をご紹介しましょう。「凩や海に夕日を吹き落とす」”凩がすさまじい勢いで吹き荒れている。そのさまは、冬の夕日を海に吹き落としてしまうのでは、と思われるほどだ”という内容の句。多くのキリシタンの命が奪われた歴史を持つ、天草の海に沈む夕日を眺め詠んだといわれているそうです。この景色を見た夏目漱石は、吹きすさぶ冷たい凩に、苦難の歴史を生きたキリシタンたちの心の叫びを聴いたのかもしれません。凩と聞くと、私を含め、”寒い”という印象しかない方がほとんどだと思いますが、壮大でドラマティックな見方もできる夏目漱石の感受性の豊かさに感銘を受けます。このように、普段見慣れている景色を違う視点で見ることができたら、感じる思いもまた、より一層深まりますね。【虎落笛】と上田五千石の俳句冬の烈風が建物などに吹きつけて、笛のような音を立てることを「虎落笛(もがりぶえ)」といいます。冬の季語として使われます。暗い夜道をひとりで歩いているときに、ヒューヒューと音を立てて吹く虎落笛を聴くと、なんとなく不気味な気がして、思わず早足になりますね。”もがり”とは本来、貴人を仮葬した「もがりの宮」のことをさすそうです。また、「もがる」(逆らう)という方言からきたという説も。ちょっぴりこわい響きのある風の呼び名ですが、東京出身の俳人、上田五千石(うえだごせんごく)は面白い俳句を詠んでいますよ。「もがり笛風の又三郎やぁーい」この句は、宮沢賢治の短編小説”風の又三郎”の世界をベースに詠まれたものです。もがり笛の正体が、風の又三郎と思えばこわくなくなるから不思議ですね。物語は、ある風の強い日、不思議な少年・三郎が村の小学校に転校してくるところから始まります。子どもたちは、自分たちとあまりに違う表情や行動をする三郎のことを”風の神さまの子”ではないかと噂しつつ、徐々に受け入れていきます。しかし、三郎はたった11日で転校をしてしまい……まさに風のようにあらわれ、挨拶もなく、風のように去って行ったのでした。村の子どもたちは三郎が去ったあと、この句のように風に向かって「やぁーい」と声をかけていたに違いありません。ひとりぼっちの夜道、虎落笛を聴くたび、私も風に乗る三郎をイメージして、時々「やぁーい」と声をかけたくなります。風だけでなく、私たちの身近な自然から、イメージを膨らませてみれば、きっとあなたの感受性も育まれるはず。俳句や、そこに込められている季語は、あなたの感受性を豊かにしてくれる”心のごはん”。あなたも、先人のように自然から栄養を得て、毎日を楽しんでみてはいかがでしょう。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年11月26日石原さとみ主演、菅田将暉、本田翼らの共演で宮木あや子の小説「校閲ガール」シリーズを連続ドラマ化した「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」の第8話が11月23日(水)今夜オンエアされる。出版物を影で支える“地味”だが“スゴイ”存在「校閲」にスポットをあてた本作。石原さん演じる主人公の河野悦子(こうのえつこ)がファッション誌「Lassy」の編集者を志望して、ついに憧れの景凡社に入社したものの配属先は「Lassy」編集部ではなく校閲部。その地味な仕事ぶりに当初は落ち込む悦子だが、徹底的に「校閲の仕事で認められれば憧れのファッション誌の編集ができるかも」と校閲の仕事に打ち込んでいく。悦子の“全力”さは時に暴走しすぎて、毎度様々な騒動を巻き起こすものの、そんな悦子を周囲も次第に認めていく…という物語。そんな悦子があるきっかけから一目惚れするのが菅田さんが演じている、若くして作家デビューし、今は作家と大学生、そして「Lassy」の男性モデルとしても活躍をはじめた折原幸人。悦子に「大好きだよ」と“告白”した幸人だが、前回の放送では、第1話で悦子が校閲を担当した大物ミステリー作家、本郷大作の息子であることが判明。大作からも「幸人をよろしく」と恋人の“お墨付き”をもらった悦子。2人の今後の進展が気になるところ。一方、本田さん演じる「Lassy」編集者の森尾登代子の部屋に居候していた幸人だが、前回のラストで幸人がついに森尾の部屋を去り、悦子と幸人と森尾の“三角関係”にも一つの区切りが。森尾については青木崇高演じる文芸編集部の編集者、貝塚八郎との関係も注目ポイント。ラストに向けて登場人物たちの恋愛模様にも注目していきたい。そして今夜の第8話で悦子が担当するのは恋愛小説家・桜川葵(伊藤かずえ)の小説の校閲。なんと葵は校閲部の部長、茸原(岸谷五朗)と過去に意外な関係があった。葵は中途半端な仕事を嫌う厳しい作家で、いつも以上に全力で仕事をしてほしいと茸原(岸谷五朗)から言われた悦子は、仕事にも恋愛にも情熱的な葵に負けじと全力で葵の小説を校閲。葵も悦子に指摘されたことを取り入れ、再校で大幅に内容を変える。また最初から校閲し直さなければならなくなる悦子だが、めげずに取り組んだことで次第に2人は意気投合する…というのが今回のストーリー。今回もバラエティに富んだファッションに身を包んで河野悦子が全力で突っ走る。「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」第8話は11月23日(水)今夜22時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2016年11月23日11月17日~21日は、第五十七候「金盞香く(きんせんかさく)」。“金盞香=水仙が咲く”時季と言われています。“金盞”とは黄金の盃という意味で、水仙の花びらの中心にある黄色の副花冠(ふくかかん)をたとえているのだとか。素朴なかわいらしさと、甘い香りが魅力の花には、意外な花言葉や物語が隠されていて、あなたに”ある気づき”を与えてくれます。ぜひこの記事を読みながら、あなた自身と向き合ってみて。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。水仙にまつわる物語とは?水仙は、神さまも心をぐっとつかまれるほど美しい花と言われているのだとか。ギリシャ神話のナルシスの話でも水仙花が登場します。若さと美しさを兼ね備えていたナルシスが森を散歩していたときのこと。神秘的に輝く泉で水を飲もうとのぞき込んだ瞬間、水面に美しい少年の姿が。その少年が自分だと気づかず、ナルシスは一目で恋に落ちました。毎日眺めているうち、その少年が自分自身と気づきましたが、恋心をとめることはできず、絶望の中、ついにはやせ衰えて死んでしまったのです。そのあとに咲いた花が「水仙」と言われているんですよ。確かに、湖に映る自分に恋をしたナルシスの姿と、はにかむようにうつむいて咲く水仙はどこか似ていますね。この物語から、水仙の花言葉は「わたしは美しい」「うぬぼれ」「自己愛」とされています。水仙の花で自分を見つめ直そう水仙の花言葉だけ聞くと、「ちょっぴりイヤな花」と思う方も少なくないでしょう。でも、水仙が咲く時期、日々の生活の中で“うぬぼれやさん”になっていないか、見つめ直してみてはいかがでしょう。今年も残すところ1ヶ月ちょっと。皆さんは、この1年でどんなふうに成長し、自信がついたでしょうか?「同僚よりも良い仕事ができた」「わたしの成績があったから会社の業績が伸びた」……。もし、そんな考えが少しでも頭をよぎったら、あなたも“うぬぼれやさん”かも。“自信を持つ”のとは違い、“うぬぼれ”には他人と比べて、自分が優れているという考えがついて回ります。「自分の存在を認めて欲しい」という甘えが隠れているとも言えますね。人と自分を比べるのはやめて、「これだけ努力をしてがんばってきたんだから大丈夫!」と自分を信じられることを見つけてみましょう。それが自然と自信につながり、今よりももっと自分らしく輝けるはずです。水仙は自分に恋をしたナルシスの化身。水仙を花器に生けて、甘い香りに包まれながら自分自身と向き合う時間をつくってみてはいかがでしょう?【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年11月16日女優の石原さとみが、日本テレビ系主演ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(毎週水曜22:00~23:00)で見せるファッションチェック動画が9日、公開された。このドラマは、ファッション編集者を目指して出版社に入社したものの、地味な「校閲部」に配属された石原演じる河野悦子が、校閲の仕事を超えて大暴れしていく姿を描くもの。悦子は劇中でド派手なファッションを着こなしており、、ドラマ本編の場面転換の際に、悦子の全身写真が紹介される「ファッションチェック」のコーナーがある。今回公開された動画は、この「ファッションチェック」で紹介された39の衣装と、第5話までの名場面で構成された「悦子のファッションチェックSPムービー」。日テレオンデマンドや、YouTubeの日テレChannelで視聴できる。
2016年11月09日出版物を影で支える“地味”だが“スゴイ”存在「校閲」にスポットをあて石原さとみ主演、菅田将暉、本田翼らの共演で描くドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」の第4話が10月26日(水)今夜放送となる。書籍など出版物の原稿を深く読み込み間違いや矛盾、疑問点を指摘するのが「校閲」の仕事。本作では出版物の内容の正確さを支える重要な役割を担っている校閲をテーマに、ファッション編集者に憧れ出版社に入社したものの校閲部に配属されてしまった主人公の奮闘ぶりを描いている。主人公の河野悦子(こうのえつこ)はオシャレが大好きな28歳。ファッション誌「Lassy」の編集者を志望し、何度も応募の末ついに憧れの景凡社に採用されたものの、配属先は「Lassy」編集部ではなく地味な校閲部。当初は落ち込んだ悦子だったが「校閲の仕事で認められれば憧れのファッション誌の編集ができるかも」と、校閲の仕事に全力投球。そんな名前まで“こうえつ”の主人公、悦子を石原さんが演じるほか、大学生ながら実は有名作家・是永是之、さらに「Lassy」モデル候補生でもある折原幸人を菅田さん。悦子の高校の後輩で「Lassy」編集者の森尾登代子を本田さんがそれぞれ演じている。悦子は幸人に一目惚れ、前回の放送では幸人が悦子を誘って卓球に行くまでに距離感が近づいたが、一方で幸人は森尾の家に居候中、いつ関係が深まってもおかしくない距離にいる。さらに前回のラスト、幸人に「俺の本、面白かったですか?」と聞かれた悦子は「つまんなかった」と正直な感想を答える。この発言が2人の関係にどんな影響を及ぼすのか。3人の“三角関係”にも注目だ。そして今夜の第4話で悦子は幸人と2人きりで食事に行くことに。一方、森尾は幸人に「Lassy」専属モデルに選ばれるために、是永是之であることを公表した方がいいと勧めるが幸人は承諾しない。そんななか悦子は人気女優・杉本あすかの自叙伝の校閲を担当する。自叙伝の内容を確かめるため悦子は彼女が幼少期を過ごした町へ行くが、そこであすかの姿を隠し撮りしようとするゴシップ誌の記者・山ノ内を発見。その後あすかに隠し子がいるというスクープ記事が発表される。その記事は山ノ内が書いたもので、スキャンダルの余波で自叙伝も出版中止の危機に。あすかが釈明会見を開くと聞いた悦子は思いもよらない行動に出る…というストーリー。ネットでは放送当初から悦子のファッションにも注目が集まっており、1回の放送だけでも何度も衣装がチェンジすることに「お洒落すぎる」「着こなしてる石原さとみちゃんスゴイ」「ファッション見るのも1つの楽しみになってる」など絶賛の声が上がっている。悦子のファッションにもご注目。「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」第4話は10月26日(水)今夜22時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2016年10月26日石原さとみが主演、共演に菅田将暉、本田翼らを迎え、地味だが出版物作りに欠かせない“校閲”の仕事をテーマしたドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」の第3話が10月19日(水)今夜オンエアされる。ファッション編集者志望で憧れの景凡社に採用されたものの、地味な校閲部に配属された石原さん演じる主人公の河野悦子。校閲とは、原稿を深く読み込み、間違いや矛盾、疑問点を指摘する文章の「内容」そのものをチェックする“校閲”は出版物作りで重要な役割を担っているが悦子の思い描いていたような仕事ではない。当初はショックを受ける悦子だったが「校閲の仕事で認められれば憧れのファッション誌の編集ができるかも」と持ち前のポジティブさを発揮。校閲の仕事に全力投球していく。悦子を取り巻く主な登場人物は、悦子が一目惚れする大学生ながら実は作家で悦子が憧れるファッション誌「Lassy」でモデルをすることになる折原幸人を菅田さんが、悦子の高校の後輩で「Lassy」の編集者をしている森尾登代子を本田さんがそれぞれ演じるほか、文芸編集部の売れっ子編集者で悦子とぶつかりながらも一緒に本を作っていく貝塚八郎に青木崇高。悦子の校閲者としての素質を見抜き採用した校閲部の部長・茸原渚音に岸谷五朗。また悦子と共に働く校閲部員、米岡光男に和田正人。藤岩りおんに江口のりこ。景凡社の受付嬢に足立梨花、曽田茉莉江。「Lassy」の副編集長に伊勢佳世。編集長に芳本美代子。悦子が住んでいるおでん屋の常連客にミスターちん、長江英和、店長松本とバラエティに富んだメンバーが出演する。また1話では大物ミステリー作家、本郷大作役で鹿賀丈史が登場。2話ではブロガー本を出版する主婦・亜季役でともさかりえが登場。悦子が校閲を担当する本の作家役で出演するキャストにも注目だ。前回放送の2話ではともさかさん演じる亜季が執筆する“節約術”をまとめた本に対し、校閲の立場を超えてアイデア出し、感謝されるも浮かれすぎて表紙で誤植をするというミスを犯してしまった悦子だが、校閲部の同僚たちのフォローで無事本は出版。次第に校閲という仕事に対する意識が変わっていく。そして1話で出会い一目惚れした菅田さん演じる折原幸人とも再会。幸人が景凡社のファッションイベントにモデルとして出演すると聞いて自らと接点があると知る。2人の関係もいよいよ動き出しそうだ。今夜放送の3話で悦子は幸人とファッションショーで再会。さらに幸人が作家・是永是之だと知り驚くことに。そして悦子は米岡が担当していた人気作家・四条真理恵の小説の校閲を任されることになる。四条の大ファンで感情移入し過ぎる米岡がミスすることを懸念し茸原が担当を悦子に替えたのだった。その後悦子は四条から、自分で気付かなかった作品の中の矛盾を指摘したことを感謝されるが、その矛盾を指摘したのは悦子ではなかった。悦子の知らない間に誰かが四条のゲラに矛盾を指摘した付箋を貼ったのだった。米岡の仕業ではないかと考える悦子だが彼に聞いても、身に覚えがないという。そんな中米岡と一緒に四条のトークイベントに出席した悦子は、なぜか藤岩と出くわす…。「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」第3話は10月19日(水)今夜22時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2016年10月19日俳優の渡辺謙が主演を務める山田太一脚本のドラマスペシャル『五年目のひとり』(テレビ朝日系、11月19日21:00~23:06)に市原悦子が出演し、渡辺と初共演を果たすことが19日、明らかになった。このドラマは、東日本大震災から5年が経過した東京のとある町を舞台に、渡辺演じる孤独な中年男・木崎秀次と、中学生・松永亜美の不思議な交流を通じて、震災のその後と再生を描くもの。今回、山田の強い希望を受けて出演する市原は、秀次と同郷で長い知り合いという花宮京子役を演じる。市原は、初共演の渡辺について「渡辺謙さんはよく気のついてくださる、やさしい方。俳優としてさまざまな"場"を知っている分、視野が広くて、それがとても頼りになりました」と印象を語る。一方の渡辺は、市原を「まさに"怪物"のような方ですね!」と表現。「こちらの予想をいとも軽々と超えてくるような、すばらしいお芝居をされるんです」とその理由を語り、「山田太一先生から託された際どいセリフも嫌味なく乗り越え、人間として強く投げかけてくださるところに、懐の深さを感じました」と絶賛している。秀次と交流する中学生役を演じるのは、蒔田彩珠。蒔田は渡辺について「もう存在が大きすぎますし、セリフを間違えたりしたら怒られてしまうのではないかとなんて、勝手に思っていたんです」というが、「実際は、私がミスしたら、ギャグのアドリブで返してくださるような面白い方」と、現場のムードをつくる座長ぶりを実感したそうだ。このほか、高橋克実、柳葉敏郎、木村多江、板谷由夏、山田優、関西ジャニーズJr.の西畑大吾らの出演も決定。秀次をアルバイトに迎え入れるパン屋の店主役を演じる高橋は、山田太一ドラマ初出演で「自分が山田作品に出演できるとは思ってもいなかったので感激しました!」と喜びを語っている。
2016年10月19日10月13~17日頃は第五十候「菊花開く(きくのはなひらく)」。菊の花が咲き始める季節といわれています。菊といえば仏壇に飾る花、と思っている方も多いと思いますが、最近では結婚式の和装時に、祝いの花として「ピンポンマム」といったまあるい菊の花を髪にあしらったり、ウエディングブーケとして持つ女性も多くなりました。さて、「菊花開く」の時季、ピンポンマムのようにまあるい月が夜空に輝く満月(10月16日)がやってきます。実はその3日程前の10月13日は、満月以上にいにしえの人々に愛されていた十三夜。ちなみに、先月の仲秋の名月と十三夜の月を合わせて「ふた夜の月」と呼ぶそうですよ。十三夜の月は十五夜の満月と違い、ほんの少し欠けています。でもそれは、満ちることが決まっている欠け。十三夜の月にかける願いもまた「満ちる!」といわれていることを、皆さんご存知でしょうか?七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。「後の月」と呼ばれる十三夜の月十三夜は仲秋の名月(今年は9月15日)の1ケ月後、旧暦の9月13日の月です。ですから、いにしえの人々は十三夜のことを「後の月(のちのつき)」と呼んでいました。十三夜の月をながめる風習は平安時代に生まれ、十三夜は十五夜以上にいにしえの風流人に愛されていたそうです。仲秋の名月の記事で、12本の柱のうち、1本だけ模様がほかの柱と逆さに彫られている日光東照宮の「日暮門(ひぐらしのもん)」をご紹介しましたね。「完璧なものは、その瞬間から崩壊が始まる」とされ、あえて1本だけ模様が逆さに彫られている逆柱。そのパワーのご利益か、日暮門は崩壊をまぬがれて今に受け継がれています。欠けては満ちるを繰り返す月。未完にこそ無限の可能性があると信じたいにしえの人々は、「日暮門」同様、ほんの少し欠けた十三夜をもうひとつの名月として大切に愛でてきました。まずは、今手にしている幸せにきちんと感謝をして、十三夜の月に願いをかけましょう。十三夜の月のパワー満月は太陽が沈むと同時に東から昇りますが、十三夜は午後から夕方にかけて昇り、夜明け前に沈みます。十三夜は満月に向けて満ちていく月です。どんな力を持っているかといいますと、キーワードは「期待」「成長」「活動」「吸収」です。この時季、日々成長してゆく月のように、私たちのココロとカラダも栄養やエネルギーを吸収するといわれています。吸収力が高まるときなので暴飲暴食には注意をしたほうがいいのだとか。ちょっと高価なサプリメントや、ドリンクを摂取するのにはベストなタイミングかも。また、自分を磨き高めたい、満足したいという気持ちも高まり、自然と活動のスイッチが入るとき。いつかやってみたいと思っていることがあるなら、今がチャンスですよ!例えば、「今度、食事でも」と話しているお相手がいれば、思い切ってお誘いの連絡を。月に願いをかけて、夢に向かって積極的に行動しましょう。十三夜をながめて縁結び皆さんは、9月15日の仲秋の名月はご覧になりましたか?私は仕事で故郷へ。夜は6歳と2歳の甥っ子と、お月見をしました。「月にはね、うさぎさんがいるんだよ」とまっすぐな瞳で話す甥っ子たちに癒された夜。実は、どちらか片方の月しか見ないことを「片見月(かたみづき)」といって、昔から縁起が悪いとされてきたそうです。ですから仲秋の名月をご覧になった皆さんは、十三夜のお月見も忘れずに。また、仲秋の名月を見た相手と十三夜をながめることを、「結月(ゆづき)」と呼ぶそうです。できれば同じ人と、同じ場所でお月見を。月が結ぶご縁は、永遠の幸せにつながるかもしれません。まさに縁結ぶ月、「結月」ですね。いにしえより十三夜の月に願いをかければ、後に願いが満ちて満願となると信じられてきました。この記事を読んでくださったことも、またご縁。今年は、大豆や栗を中心とした秋の美味しいものを月が見えるところにお供えして、ちょっぴり欠けた十三夜の月に願いをかけましょう。秋の七草や、今が旬の菊の花を飾るのも風流ですね。願いをかけたら、月見豆といわれる枝豆を食べながらビールで乾杯もいいですね。【参考】『毎日が満たされる 旧暦の魔法』さとうめぐみ/河出書房新社・『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年10月12日宮木あや子の小説「校閲ガール」シリーズを石原さとみ主演、共演に菅田将暉、本田翼らを迎え連続ドラマ化する「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」が10月5日(水)今夜からいよいよ放送スタートとなる。よく“校正”と混同されることもある“校閲”だが、誤字や脱字などを「文字」の間違いをチェックする校正に対し、文章の「内容」そのものをチェックするのが“校閲”。原稿を深く読み込み、間違いや矛盾、疑問点を指摘するのが仕事で、例えば歴史小説で「何年何月何日が満月の夜…」という描写があったとしたら、本当にその日が満月だったかを調べるといった出版物の内容の正確さを支える重要な役割を担っている。「失恋ショコラティエ」や「5→9 ~私に恋したお坊さん~ 」をはじめ『進撃の巨人』シリーズ、現在大ヒット中の『シン・ゴジラ』など数々の作品に出演。現在オンエア中の東京メトロのCM「Find my Tokyo.」でもその魅力を振りまいている石原さんが今回演じるのはオシャレが大好きな28歳の河野悦子。悦子は夢のファッション編集者を目指し出版社に入社したものの配属されたのは超地味~な校閲部。しかし、地味な仕事でも真っ向勝負! 小説の些細な点が気になって舞台となる北海道に直行。週刊誌が追う事件の真実を確かめに現場に潜入取材。時には、矛盾点を作家に訴え内容を大幅に変更させる。校閲の仕事を超えて大暴れ! …あれ? この仕事、地味にスゴイ? いえいえ、私がなりたいのはファッション編集者ですからッ! 今日も、ド派手ファッションという戦闘服に身を包み、校閲の仕事に立ち向かう!仕事って本気でやれば、超・おもしろい! 夢を叶えた人にも、まだ叶えていない人にもエールを送るお仕事ドラマになるという。そして悦子が一目惚れする、大学生ながら実は作家であり小説の校閲を通して悦子と関わることになる折原幸人に菅田さん。その容貌からモデルとしても誘われることになる幸人だが、悦子とどんな関係性になるのかも楽しみだ。さらに悦子の高校の後輩で景凡社ファッション誌「Lassy」の編集者・森尾登代子に本田さん。文芸編集部の売れっ子編集者で校閲部を見下している貝塚八郎に青木崇高。校閲部の部長で悦子を採用し温かく見守る茸原渚音役には岸谷五朗。悦子の同僚で校閲部員の米岡光男に和田正人。同じく校閲部員の藤岩りおんに江口のりこ。その他松川尚瑠輝、足立梨花、曽田茉莉江、杉野遥亮、芳本美代子、ミスターちん、鹿賀丈史(特別出演)らも出演する。石原さん演じる悦子は地味だと言われる校閲のお仕事にどんな新しい風を巻き起こすのか!? 「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」は10月5日(水)今夜から毎週水曜日22時~日本テレビで放送。初回は10分拡大。(笠緒)
2016年10月05日ジュエリー作家の薗部悦子によるマリッジリングコレクションが9月17日から10月16日まで、キギ(KIGI)とブルーストラクト(bluestract)と丸滋製陶が共同で手掛けるショップ・アワー フェイバリット ショップ(OUR FAVOURITE SHOP)にて発売される。同ショップでは、マリッジリングコレクションの販売に合わせて、キギの渡邉良重のイラストを使った「OFSオリジナルジュエリーボックス」も制作。デザインはすべて一点ものとなっており、二人にとっての大切な時間を永遠にしまっておけるような夢が溢れるボックスに仕上げられた。これを記念してOFS Galleryでは、ブライダルフェアを開催。会期中は、オートクチュールの造花技術を用いたSOIE:LABOによる布花のヘッドドレスやアクセサリーの受注を行う他、l’ombre et la lumiereのクラシックでモダンな新作ウエディングドレスも紹介される予定だ。また、9月17日の17時からは薗部悦子によるトークショーを実施。10月1日には「布でつくる花のコサージュ・ワークショップ」と題し、染色されたコットンの布を使って、渡邉良重が描いたスミレの花をイメージしたコサージュを作るワークショップが行われる。
2016年09月06日8月23日~27日頃は、第四十候「綿柎開(わたのはなしべひらく)」。実がはじけて、綿の花がのぞく季節。綿の花はやわらかなクリーム色をしたハイビスカスのよう。でも「綿花」とは、花のことではありません。花のあとにできるもふもふした白い綿のこと。もふもふ、ふわふわしたものは、見てるだけで心をまあるく、やわらかくしてくれますね。澄み切った空気に、秋の花がゆらゆらと。残暑が厳しいですが、もう暦のうえでは秋の季節。今日はこの時季の美しい季語と、秋の花をご紹介しましょう。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。秋といえば!月が主役じゃない夜。「星月夜(ほしづきよ)」という言葉をご存じですか?月がなくても、満天の星がまるで月夜のように、明るくきらめく夜を「星月夜」といいます。なんて美しい言葉でしょう。まるで、きらきらと音をたてて星が降ってきそう。月ではなく、星が主役の夜もすてきですね。ちなみに月が輝く夜は「月夜(つきよ)」。清く明るい心のことを「心の月」というんだそうです。この時季は「チッチリリッ」と鳴くマツムシの声に耳を澄ませながら、夜空を眺めてみませんか?萩(はぎ)の花は●●の妻?春の七草は有名ですが、秋にも七草があります。萩、桔梗、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)、尾花(おばな・すすきのこと)、撫子(なでしこ)。春の七草のように七草粥にしていただくことはできませんが、観賞用として親しまれてきました。秋の七草は和歌にも登場します。私がユニークだなと思ったのは、萩の花にまつわる和歌。実は萩の花、ある方の妻といわれています。ある方というのはなんと「鹿」!萩の花が咲く時季と、牡鹿がよく鳴く季節が重なることから、萩は「鹿の妻」、鹿は「萩の夫」ともいわれているんです。万葉集には、「私の住むおかに牡鹿が来て鳴く。萩の初花を花嫁にしようと鳴く牡鹿よ」という和歌もあります。常識にとらわれない自由な感性。万葉の歌人はユニークですね。秋の花からパワーチャージ!今の季節の花といったら「秋桜(あきざくら)/コスモス」。こちらは、与謝野晶子の歌。「こすもすよ強く立てよと云ひに行く女の子かな秋雨の中」私にとってコスモスといえば、その印象を一変した出来事がありました。前日の暴風雨でなぎ倒され、まるで息絶えてしまったかのようだったコスモス。ですが、翌日にはしっかりと顔を持ち上げてピンク色の花が空を見上げていました。コスモスはいたるところで目にすることができる身近な花ですね。それだけ生命力が強いという証拠。コスモスはその色によって、さまざまな花言葉があります。ピンクは「乙女の純情」、赤は「乙女の愛情」、黄色は「幼い恋心」、白は「美麗」、野生の原種は絶滅したといわれる黒は「恋のおわり」。断ち切れぬ思いを抱えている方がいらっしゃったら、黒いコスモスを部屋に飾ってみてはいかがでしょう。逆境をものともせぬコスモスのたくましい力をチャージして、涙をぬぐって歩き出せるはずです。季節を味わえば、幸福を感じられる。この時季、旬の食べ物といったら葡萄ですね。日本では30~40種類の葡萄が栽培されているそうです。ワイン好きの私は、葡萄を一粒ずつ冷凍。あとは水に入れて皮をするっとむいてグラスへ。そこへスパークリングワインを注いで楽しんでいます。スパークリングの香りただよう葡萄を最後にいただく瞬間がたまらないんですよね。ぜひおためしを!豊かな季節の移ろいを味わい、豊かな心を育みましょう。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年08月23日8月17日~22日頃は第三十九候「蒙き霧升降う(ふかききりまとう)」。「蒙霧(もうむ)」とは、もうもうと立ちこめる霧のこと。この時季、視界が見えなくなるほどの深い霧が立ちこめる幻想的な風景に出会うことがあります。お盆も過ぎて、夏も終わりだなとちょっぴりさびしく思うこの季節。「霧」には「息」の意味もあるそうです。ため息をついて息が白くなることを「嘆きの霧」といい、「蒙霧」という言葉には心が晴れないという意味もあるとか。皆さんの心はお元気ですか?今日は心の霧を晴らす癒しのひとときをご紹介します。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。ゆらぎに癒される夜キャンドルの炎は不規則なように見えて、「1/fゆらぎ」のリズムを刻んでいるといわれています。それは、私たちの心臓の鼓動と同じリズム。ですからキャンドルを灯すひとときは、不眠やストレスをかかえた体に抜群の癒し効果を与えてくれますよ。最近は、自然の草花を天然ワックスで包み込んだものなど、さまざまなキャンドルが登場していますね。香りにこだわったものは嗅覚を刺激。美しいカッティングの器にセットされたキャンドルは炎が幻想的に広がるので、視覚的な癒しの効果を与えてくれます。疲れやさびしさを感じたときは、部屋の照明をおとしてキャンドルに火を灯しませんか?夏の終わりにおすすめの香り心身の疲れが出やすいといわれる、夏の終わりにおすすめのアロマがあります。一瞬にして気分を変えてくれる「ペパーミント」。秋の気配はあるものの、まだまだ暑い日が続くこの時季。フレッシュな香りは夏のだるさと、落ち込んだ気分をリフレッシュしてくれます。私は家へ帰ると、洗面器の水にミントのオイルを一滴たらして足浴を。目を閉じて深い呼吸をすると、さわやかな香りで体が満たされ、頭がクリアになります。またティッシュペーパーなどにオイルをたらして部屋の四隅に置くと、ミントの香りが部屋中にただようのはもちろんのこと、虫よけの効果も期待できますよ。美しい肌で心を元気に最近、顔全体がくすんで見えたり、肌をさわるとゴワゴワした感じがしませんか?夏の紫外線によるダメージで、角層が厚くなっているかもしれません。肌の状態は、女性の気分を大きく左右しますよね?この時季、肌の角質ケアをして、気分を上げていきましょう。毎日のクレンジング、洗顔を丁寧に行うことはもちろん、スペシャルケアとして角質ケア用の洗顔アイテムを使うといいでしょう。やさしくマッサージをしながら洗顔。不要な角質や老廃物が取り除かれると、肌は見違えるようになめらかでクリアに生まれ変わります。この時季は「与える」より、「おとす」ケアが大切。きちんとおとさなければ潤いも届きません。「無」になり心磨きを私は月に一度、日本三景松島の瑞巌寺(ずいがんじ)で写経をしています。心をしずめ、写経をするひととき。墨をすりはじめると、気持ちが落ち着いてくるのがわかります。60代、70代の方が多いかと思いきや、最近、20代、30代の女性も増えているんですよ。約1時間、何もしゃべらず、ただもくもくと筆をすべらせる。心に降りつもったよどみが消えていくような気がします。東京でも本寿院(毎日9時から17時まで)、高尾山薬王院(毎月第四土曜日)、高幡不動尊金剛寺(毎月21日)で写経体験ができます。必要な用具はすべて用意されていますから、手ぶらで出かけましょう。夏の終わりと、秋の始まりが交差するこの時季。気分がなんとなく落ち込み気味なのは、自然のリズムを生きている証拠。悪いことではありません。実りの秋に向けて心と体を癒しましょう。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年08月17日新暦の7月23日頃は、二十四節気で「大暑(たいしょ)」。梅雨も明けて、暑さがピークに達する時季です。熱帯夜が続いて睡眠不足になり、朝の満員電車を降りれば、すべてを焦がすような夏の日射しに照らされて、げんなり。この時季はいつもよりお疲れ気味になる方も多いでしょう。7月19日頃は、夏の土用入り。土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の直前の18日間のこと。季節の変わり目であり、身体のコンディションを整える時季といわれているんですよ。土用の始まりの日を「土用入り」、終わりの日を「土用明け」といいます。土用の期間中の「丑(うし)」にあたる日が「土用の丑の日」です。季節の変わり目は、「食」で健康美人に!今日は食べた瞬間「あ~、しあわせ!」と思わず笑顔になるこの時季おすすめのパワーフードをご紹介します。おいしいものをいただいて、美人になりましょう!七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じるくらしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。「桐始めて花を結ぶ(きりはじめてはなをむすぶ)」新暦の7月22日~27日頃までは、第三十四候「桐始めて花を結ぶ(きりはじめてはなをむすぶ)」。花を結ぶという言葉、すてきですよね。紫色の美しい桐の花が咲くのは5月。桐は花が終わると結実して、この暑い時季、卵形の実を結びます。「源氏物語」の主人公・光源氏は幼い頃に亡くした母、桐壺更衣(きりつぼのこうい)の面影を求め、華やかな恋愛遍歴を繰り返しました。桐の花の花言葉は、上品で気高いという意味の「高尚」。私は桐の花をイメージすると、なんとなく桐壺更衣が浮かびます。父を亡くした後、身分の低い更衣として入内しながら、桐壺帝(きりつぼのみかど)から寵愛を受けた桐壺更衣は、他の妃たちからひどいジェラシーを受けて、心痛のあまり、3才の源氏を残して病でなくなりました。いにしえの世も今も、ストレスは万病のもと。スタミナ満点のパワーフードで、暑さもストレスも、ジェラシーも吹き飛ばしましょう!「うなぎ」でお肌プルプルに!土用の丑の日=うなぎを食べる日と思っている私ですが、うなぎの旬は、実は冬。江戸時代、夏場に売り上げが伸びないことに困ったうなぎ屋さんのために考え出されたのが、「土用の丑の日」だったそうです。もともと丑の日に「う」がつくものを食べると病気にならないという言い伝えがあり、それを上手に利用して、「本日、土用の丑の日」という紙が店の前に貼り出されるやいなや、大当たり。プロモーションが大成功して、その風習が現在まで続いているというのはあっぱれですね。うなぎにはうれしい美肌効果もあるのだとか。うなぎに含まれるビタミンEには抗酸化作用があり、うなぎの皮の周囲にはコラーゲンが含まれていて、お肌に良いといわれています。たれでじっくりと焼き上げたうなぎは口いっぱいにうまみが広がり、食べた瞬間、フニャ~っと顔がゆるみますね。この時季のランチはちょっと奮発して、うなぎで「美」をチャージしませんか?「しじみ汁」で若返ろう!冬が旬のうなぎに対して、夏が旬のパワーフードといったら「しじみ」。しじみの収穫量が最も多いのが夏なんだそうです。「土用のしじみ」という言葉もり、その歴史はうなぎより古いのだとか。化粧品メーカーの「ポーラ」が全国47都道府県の女性の肌を分析した「美肌県グランプリ」で、島根県が4年連続美肌日本一に輝いていますが、美肌の秘密はなんと「しじみ」なのだとか。しじみの栄養素、オルニチンには美肌効果があり、成長ホルモンの分泌を促進するといわれています。この時季のしじみには特に、女子力を向上するパワーがギュッとつまっているそうです。「卵料理」で髪と爪をきれいにケアもうひとつ。「土用の丑の日」に出回るおいしいものといえば、「土用卵」です。土用卵とは、土用の時季に産み落とされた卵のこと。さまざまな料理に大活躍、毎日何気なくいただいている卵ですが、卵に含まれる豊富なタンパク質は胃腸の冷えを緩和、身体の中からあたためて免疫力を高めてくれるといわれています。エアコンで冷えた身体にもやさしいですね。またタンパク質は、カラーリングやパーマなどで傷みがちな髪の毛をケアしてくれるすぐれもの。「髪の約95パーセントはタンパク質で構成されている」と聞けば納得ですよね。髪や爪の主成分であるタンパク質を、身体の内側から補いましょう。ちなみに私はクレソン入りの卵焼きが大好物です。シャキシャキとしたクレソンの食感や苦味も楽しめて、ちょっぴり大人な味わいですよ。土用のパワーフードで輝く笑顔に!女性を美しくする夏のパワーフード、「うなぎ」「しじみ」「卵」をご紹介しました。以前、有名なカメラマンが「とっておきの笑顔で写真を撮りたいなら、目の前に大好物の料理があることをイメージしてみてください」と某番組で話していました。その言葉で、緊張でかちこちになっていた女性たちの笑顔が一瞬にして変わり、驚きました。おいしいものは、人を心の底からしあわせにしますね。この時季、おいしいものや美容に良いものをいただいて、最高の笑顔を。しあわせが笑顔を運ぶのではなく、笑顔がしあわせを運んでくれますよ。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年07月21日「私のお料理は、特別なことはなにもなくて、普通につくるだけ。でも大事なのは、熱を加える途中で何度も火をとめて休ませること。人生も、人間もね、たまには休むのが大事です」そうおっしゃったのは、青森県の岩木山のふもとで癒しの場「森のイスキア」を主催した佐藤初女(はつめ)さん。残念ながら94歳で今年の2月に亡くなられましたが、生きる希望を失ってイスキアを訪ねてきた人々の話に耳を傾け、食でもてなして人生の再出発をサポートしてきた方の言葉です。「野菜が痛くないように、皮をむくときピーラーは使いません」「今日はお庭で一緒に山菜を摘みましょう」「おにぎりという人もいるけれど、私は、おむすびと呼んでるの。人と人をむすぶたべもの、ということで、おむすび」そんな初音さんの言葉がつづられた『いのちのエール』を読むと、カレンダーの日にちを追いかけ、時間に追われる毎日では気づけないことを、初女さんは大切に大切に、生きていらしたんだなと思います。「数字」ではなく太陽や月、自然に寄り添う生活を意識するとイライラもおさまり、気持ちもまぁるくなって、感謝の気持ちがわいてきます。体の底からエネルギーが高まるのを感じられるでしょう。自然は、食事をとおして感じることができます。今日はこの時季の七十二候、旬のおいしい食材をいかした絶品エスニックサラダのレシピをご紹介しましょう。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。生きるための準備をする時期7月17日~21日頃は第三十三候「鷹乃学をならう(たかすなわちわざをならう)」。「鷹乃学習」とも書きます。なかなか、読めませんよね?でも言葉の意味を知ると、「なるほど~」と納得しますよ。「鷹乃学習」は、鷹の子どもたちが飛び方を学ぶ時季という意味なんです。鷹も最初から上手に飛べるわけではありません。生まれてから1ヶ月ほどして体が大きくなったら、巣の中でパタパタしてみたり、ジャンプをしてみたり、隣の枝にピョーンと移ってみたり。羽ばたく練習をするのだそう。鷹は飛ばなければ、獲物をとることは出来ません。この言葉には、生きるためのわざをならうという意味が込められています。勇ましいイメージのある鷹ですが、鷹の子どもたちの巣立ちの準備を知ると、人間の子どもと一緒だなとちょっとだけ親近感が。いにしえの人は、鳥や水の中の生き物、草花と、あらゆるいのちに目をこらし、季節を感じていたのですね。自然を感じて、心の準備!今が旬のおいしい野菜といったら?今の時季、瓜の仲間たちが実りの季節を迎えています。食卓でおなじみのきゅうりも夏が旬!夏休み、田舎にかえると、水桶できゅうりとトマトを冷やしてみんなで食べた思い出があります。皆さんは、おいしいきゅうりの見分け方はご存知ですか?ハリとツヤがあって、濃い緑色をたたえ、表面のイボイボがピン!ととがっているものが新鮮。そんなきゅうりを使った、絶品エスニックサラダをご紹介します。使う食材は、今が旬のきゅうり、プチトマト、そしてさつま揚げ。ちょっとミスマッチ!?と思った皆さん、これがまた絶品なんですよ!調理時間はわずか5分です。簡単!誰でもつくれる絶品サラダのレシピ【材料:2人前】きゅうり・・・2本プチトマト・・・4個さつま揚げ・・・2枚バター・・・適量スイートチリソース・・・分量はお好みで1.野菜は水洗いして、キッチンペーパーなどでよく水気をふき取りましょう。きゅうり、プチトマト、さつま揚げは角切りに。2.器にカットしたきゅうりとプチトマトを盛りつけます。3.バターを熱したフライパンでさつま揚げをこんがりと炒め、2にのせて完成。スイートチリソースをかけていただきます。きゅうり、プチトマト、さつま揚げがミックスされた不思議な食感と、さつま揚げの甘い香りが食欲をそそりますよ。きゅうりのおいしいこの時季、ぜひおためしあれ!自然はみんなつながっている7月第3月曜日の7月18日は「海の日」ですね。実は、海に面していない奈良県では、「山の日・川の日」というのだそうです。奈良の美しい山と川を次世代に残そう!と、河川のゴミ拾い活動や、木工クラフト体験などが行われるのだとか。同じ日本でありながら「海」「山」「川」と、それぞれ身近な自然に思いを馳せる日。素敵だなと思いました。雨や雪が山や森に降り注ぎ、大地にしみこみながら川へ流れ、いつしか海へ。海の水は蒸発して雲をつくり、雨や雪を降らせると思えば、自然はつながっていますね。自然の中のちいさないのちを愛おしみ、自然を感じ、自然をいただく。そんな毎日が、私たちの心を豊かに、元気にしてくれるでしょう。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年07月19日俳優のマイケル・ケイン(83)は、セリフを1,000回も練習するようだ。過去115本以上の映画に出演し、オスカー賞に6度ノミネートされているマイケルは、セリフを完璧に覚えるためにどこにいようと練習時間をもうけるそうで「1人で練習するよ。撮影前までに最低1,000回はセリフを復唱するようにしているんだ」「鏡は使わず、ただ復唱しているよ。座って練習しているんだ」と話す。また、撮影当日に初めて共演者のセリフを聞きたいというこだわりがあることから、台本を覚える時に人に協力を求めることはないという。「会話だからね。他の俳優たちがセリフを発した時、私はそのセリフを初めて聞くってわけさ。それがうまくいくコツなんだ」「相手がなにを言うのか知っている状況にはしたくないんだよ」「自分の受け答えはそりゃ知っているさ。1,000回言っているからね。だから相手が言うことを聞いて、そうすることで、変化が生まれるんだ」「その点と、自分はセリフを忘れないと自覚している自信を持つこと(が大事なんだよ)」と『60ミニッツ』の番組内で説明している。そんなセリフを徹底的に覚えるというマイケルだが、台本を覚えるのにかつてより苦労しているといい、「年をとるとどうなるか想像がつくと思うけど、私の場合、セリフは忘れないけど覚えるのに倍の時間がかかるよ。とても長い時間がね」と続けた。そして、仕事以外の時間も練習を続けるマイケルに妻のシャキーラは理解を示しており、「彼は練習に練習を重ねているわ。どこにいてもセリフことを考えているの」「映画が2週間かかるものでも2カ月かかるものでも彼は同じ努力をしているわ。セリフを何度も何度も練習するの」「マイアミで浜辺を歩いたり、南仏でボートに乗ったり、自宅の庭を歩いたり、池のアヒルに餌をやったり、孫と過ごしたりしながらね。彼はセリフを繰り返し練習しそれが彼の生き方になったの」「もう慣れたわ。でも私も彼も彼の偉業は懸命な努力があってこそだって気づいているの」と語る。(C)BANG Media International
2016年07月11日星空のロマンスは「永遠の遠恋」。引き裂かれた恋人同士、「織姫(おりひめ)」と「彦星(ひこぼし)」が、一年の中でたった一日逢える日が「七夕さま」です。でも雨が降ってしまうと天の川の水かさが増し、織姫は彦星のもとへ逢いにいくことができません。皆さんが暮らす町は晴れていますか?それとも雨でしょうか?七夕の夜に降る雨は「催涙雨(さいるいう)」といわれています。逢瀬が叶わなかったふたりの涙とも、やっと逢えたけれどまた離れ離れになってしまう悲しみに流す涙ともいわれているんですよ。七夕の7月7日から11日頃は、七十二候「温風至る(あつかぜいたる)」。梅雨明けも近づき、雨のじめじめした日々に、ときおり差し込む太陽の光がまぶしい季節。七夕が過ぎると気温もぐんぐん上がり、風に乗って本格的な夏がやってきます。今年の旧暦の七夕は8月9日。これから約1ケ月間、七夕気分を満喫しましょう!今日のテーマは「七夕さま」。短冊の5色にちなんだカラーセラピーもご紹介します。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。【物語】星空のロマンスむかしむかし、天の川の西岸に織姫という美しい姫君が住んでいました。織姫は機織りが上手で、美しい布を織り上げては父親である天帝を喜ばせる親孝行な娘でした。そんな娘の結婚相手を探していた天帝は、東岸に住む働き者の牛飼いの彦星を娘に引き合わせ、ふたりはめでたく夫婦になりました。ところが結婚してからというもの、一緒にいることがただただ楽しくて、ふたりは仕事もおろそかに。このため天帝は怒り、ふたりを天の川を隔てて離れ離れにしてしまったのです。悲しみに明け暮れるふたりを不憫に思った天帝は、7月7日だけ再会することを許しました。こうしてふたりは、天帝の命を受けたカササギの翼に乗って天の川を渡り、年に1度だけ逢えるようになったのです。5色の糸から、5色の短冊へ。わたしが暮らす杜の都「仙台」の七夕まつりは全国的にも有名ですが、行われるのは中歴と呼ばれる毎年8月6日~8日。町中に吹き流しが揺れ、夜遅くまで町は多くの観光客でにぎわいます。新暦の七夕である7月7日から約1ケ月間、お部屋に願い事を書いた短冊を飾ってみませんか?七夕の時季になると、花屋さんの軒下に笹が並びます。七夕飾りはいまや100円ショップでも手に入りますよ。もともと短冊のかわりに飾られていたのは、機織りや裁縫が得意だった織姫にちなみ、5色の糸だったそうです。江戸時代から、糸が紙の短冊へ。短冊には、裁縫や書道が上手になりますようにという願いが込められていたそうです。さて、短冊に使われる5色とは、いったい何色でしょうか?ひと色ひと色に込められた願い正解は「赤」「青」「黄」「白」「黒」。陰陽五行説に由来するといわれています。青は「木」、赤は「炎」、黄は「土」、白は「金」。黒は「水」。最近では黒のかわりに紫が多く使われているようです。皆さんが今願い事を書くとしたら、どの色の短冊を選びますか?無意識に選んだ色にも意味があります。それぞれ、こんな願いが隠されているかもしれません。◆青を選んだ方「おだやかに、自由な気持ちで毎日を過ごしたい」◆赤を選んだ方「やる気のスイッチをいれてエネルギッシュにがんばりたい」◆黄を選んだ方「知的好奇心をもってワクワクと人生を楽しみたい」◆白を選んだ方「新たな自分に生まれ変わりたい」◆黒を選んだ方「過去の痛みを癒して、見えざる可能性にチャレンジ!」ぜひ、お部屋に笹と5色の短冊を。日本古来の季節の行事を楽しむことは、立派な厄払い、招福につながりますよ。願いを書きながら、癒しのひとときを。七夕さまの季節になると、わたしはちいさな豆すずりを机の中から引っ張り出して、いにしえの人を見習って、短冊に願い事を書いたり、遠く離れた友人に手紙を書いています。香りに深いリラックス効果があるといわれる墨をすりながら、1文字1文字、思いをしたためる癒しのひととき。今年は、亡き京都のお坊さまにいただいた豆すずりをおろして、短冊に願い事を。七夕の主役である織姫はベガ、彦星はアルタイルという夜空に輝く星々です。七夕まつりは別名「星まつり」、前盆の行事ともいわれているんですよ。日本では昔から、亡くなった魂は星になると信じられてきました。空にきらきらとまたたく星は織姫、彦星、そしてご先祖さまの愛の輝き。わたしたちの命は、ご先祖さまたちの出会いが生み出した愛の結晶です。そう考えると、七夕の夜空には愛がいっぱいだと思いませんか?今年の七夕さまは、ご先祖さまに手を合わせ、未来の幸せを願って短冊を。きらきらと星がまたたき、今年こそあなたにたくさんの愛が降り注ぐでしょう。【参考】お家で楽しむデイリーおみくじ 「福を呼ぶ 四季みくじ」三浦 奈々依、 観瀾斎/プレスアート、『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年07月07日カフェでのひととき。友人に、「天から毒が降る日があるって知ってる?」と言われ、ドキッとしました。新暦の7月1日~6日頃は「半夏生ず(はんげしょうず)」。半夏という薬草が生える頃。夏至から11日目(現在では毎年7月2日頃)は「天から毒が降る日」とされ、この日に野菜を収穫して食べたり、種を蒔いたりすることはよくないと、言われていたそうです。実際に、天から毒が降ってくるというわけではありません(笑)。田植えを終える時季ということから、春から始まったハードな仕事もここでひと休み。のんびりして体調を整えましょう、という意味があったとか。言ってみれば「休息の日」。私たちの体は、生まれたときから一日も休まず働き続けています。私たちも先人の知恵をいかして、この時季ひと休みしましょう。今日は疲れを感じているすべての女性たちへ、美容にもいい!心と体を癒す3つの方法をご紹介します。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。夏こそ足湯!「ひとつため息をつくと、ひとつ幸せが逃げていく」と言いますが、私たちにとってため息はつかざるを得ないもの。緊張感から解放された瞬間、自然とため息がこぼれますよね?ため息で、心と体にかかっている不要な力を抜いているとも言えるかもしれません。ただし、ため息が多くなる=緊張の日々が続いているということ。ハードな仕事や緊張感のともなう仕事、人間関係のストレスなどで、「ため息」が多くなったら体を温めましょう!洗面器の中に42度程度のお湯をいれ、20分~40分、体調に合わせてゆっくり足湯につかって。夏は冷房の効いた室内にいることも多いため、足先が冷えている女性も多いと言われています。夏こそ足湯なんです。心癒される音楽を楽しみながら、足湯でのんびり読書タイム。驚くほど、眠りの質も向上しますよ。美のカリスマが実践するホームエステ「塩シャンプー」入浴時、すっきり感を高めるのにおすすめなのが「塩シャンプー」です。美しいエステティシャンの方に「美の秘訣」をうかがったところ、週に一度の塩シャンプーをすすめられました。白髪、抜け毛、頭皮の匂いやかゆみの改善につながるのだそうです。「塩シャンプーのすっきり感は、とにかくクセになりますよ~」と言われ、即、塩シャン!使用するのは天然塩。私は粒子が細かく浸透しやすい「酵素塩」を使用しています。ただし、頭皮にトラブルを抱えている方は塩で頭皮を傷つけてしまうことがあるのでお控えくださいね。1. 洗面器にぬるま湯をいれ、大さじ1杯の天然塩を溶かします。2. ぬるま湯で髪と頭皮の汚れを洗い流したあと、天然塩を溶かした湯を頭皮につけていきます。塗りこむように、マッサージをしながらつけていくと、効果的!人によっては頭皮がぬるぬるしてくる人や、ツーンとした香りを感じる人も。それこそが、頭皮にたまった余分な皮脂。皮脂が浮き出てきたら、お湯でしっかりと洗い流しましょう。塩だけでは不安という方は、少量のシャンプーを使って洗い流してください。週に一度、シャンプーを使用しない塩シャンプーをするだけで、髪が艶やかに生まれ変わります。私もその効果を実感。洗い終わってドライヤーで乾かすと、髪が根元からふわっと立ち上がります。艶感も確実にアップ。塩は日本において「清め」のアイテム。汗ばむこの季節、塩シャンプーで頭皮はもちろん、気分もすっきりしませんか?しんどいなあ、つらいなあというときは腹式呼吸私は仕事をいくつか並行して活動していますが、アナウンサーという仕事を始めるにあたり、ボイストレーニングを受けました。腹式呼吸を意識して発声することで、声の通りがよくなることはもちろん、心の安定が得られます。深い呼吸を意識し、体を使って行うボイストレーニングはインナーマッスルをきたえ、代謝をアップするとともに、美容や健康維持につながると注目を集めています。発声は専門的なトレーニングが必要ですが、腹式呼吸なら意識して行うだけ。人は横になっているとき、自然と腹式呼吸になっています。まずは、ベッドやカーペットの上で横になって、ゆっくりと大きく息を吸いこんでください。お腹がまあるくふくらむまで息を吸ったら、1、2秒息を止めて、「はぁーっ」と息を吐きだします。ふくらんだお腹が、へこんでいくのを感じられるはずです。意識して複式呼吸を繰り返すだけで、心もだいぶ落ち着いてきます。緊張感を感じているとき、また眠る前に腹式呼吸を。体と心をゆるめる習慣にしてはいかがでしょうか。ため息で、げんかつぎ!今日は「心と体を癒す3つの方法」をご紹介いたしました。最後に、ため息にも2種類あることをご存じですか?「ふぅーっ」と「はぁーっ」。「ふぅーっ」は、達成感を感じているときのため息。逆に、大変なことが終わったあとや厳しい状況に直面しているときには「はぁーっ」。わかりやすく説明すると、大会で一等賞をとったときには「ふぅーっ、がんばった甲斐があった。一等賞だ!」という息の吐き方に。負けたときには「はぁーっ、だめだったか。また来年がんばろう」という感じでしょうか。生放送、イベント、プレゼン。緊張感の高い仕事の前は意識して「ふぅーっ」と深いため息をつくようにしている私。ささやかな、げんかつぎです。半夏生ず(はんげしょうず)」の時季は、いつもよりのんびり過ごしましょう。外に出かけるより家での時間を充実させて。この時季の休息が、今年後半の英気を養いますよ。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂、『大和なでしこ整体読本』三枝誠/アスペクト
2016年06月30日6月16日~20日は七十二候「梅子黄ばむ(うめのみきばむ)」、21日~25日は「乃東枯る(なつかれくさかるる)」の時期です。「梅子」という言葉、可愛らしいひびきがありますね。熟す前の青い梅は、その名も「青梅(あおうめ)」。この時期、青い梅の実も熟して黄色に染まります。中国では、長雨が降る頃ということで「梅雨(つゆ)」という言葉が生まれたとか。今日は美容にもよい「梅干し」について!食べるだけで福が訪れるさわやかな朝の習慣や、難を逃れるおまじないをご紹介します。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。朝、梅干しを食べると、1日の災難を逃れられる。朝、出かける前に梅干しを食べると、その日一日の災難を逃れられるという話を聞いたことはありませんか?昔、旅人がその土地土地の風土病にかからないよう、梅干しを薬として持ち歩いていたことが由来とされています。梅はその日の難のがれ。温泉宿に宿泊すると、必ずと言っていいほど、朝食に梅干しが出されますね。それは今もこの説が生きているから。朝の梅干しは、昔と変わらぬ旅人へのおもてなしの心、なのですね。朝茶(あさちゃ)で福を授かろう!梅干し同様、朝に飲む一杯のお茶には災難を逃れ、福を授ける力があると言われています。皆さんは今日、どんな朝をお過ごしでしたか?昨日の疲れもとれないままに目覚まし時計にたたき起こされ、バタバタと準備をして会社へ、という方もいらっしゃることでしょう。一日のはじまりに、一杯の熱いお茶と梅干しはいかがですか?ぼーっとした頭もすっきり。熱いお茶と梅干しの酸味が体にしみわたり、心も体も脳も、さわやかに目覚めていく。その感覚がたまりません。たとえばこんなふうに!「あんず」でいかが?最近の私のお気に入りは、モダンな有田焼KIHARAのカップにそそいだ熱いお茶と、青森の八助のしそ漬け。余計な添加物を一切使用していない伝統の製法でつくられた梅干し、ならぬ「あんず干し」です。梅とあんずは同じバラ科なんだそうです。酸味が強く、種が実からはずれにくいのが「梅」。簡単にはずれるのが「あんず」。今から約260年前に神社の境内の桑の実と南部梅を交配させたところ誕生したのが、こちらのあんず。「梅」とよばれるあんずは、口に入れた瞬間、昔ながらのすっぱさが広がりますよ。二人でシェアしていただくのにも、おすすめの大きさです。まるでルビーのように艶めく「梅干し」Photo by 植田彰弘徳島県神山町でつくられている「神山ルビィ」も絶品!その昔、青梅の取引価格が高値だった当時、青梅のことを宝石にたとえて「ダイヤ」と呼んでいたとか。それにちなんで、完熟、無添加、ぴかぴかと宝石のように艶やかに輝く真っ赤な梅干しを「ルビィ」と名づけたそうです。口に入れた瞬間、故郷に帰ってきたような懐かしさを感じるルビィ。おいしい梅干しがつくられている町は、どこまでものどかです。Photo by 植田彰弘神山は、食の神さまであるオオゲツヒメをお祀りしている、自然豊かな地。日本の原風景が広がる神山の魅力に魅せられ、移住する若者も多いそうです。梅干しがつくられた町々に思いをはせて、感謝の気持ちでいただきましょう。梅干しは、食の神さまからの贈り物。明日から、朝茶と梅干しで災難とさようならしましょう!6月21日~25日「乃東枯る(なつかれくさかるる)」梅が黄色に熟すと、寒い冬至の頃に芽を出した「乃東(だいとう)」が枯れたような姿に。乃東は「夏枯草(かこそう)」「うつぼぐさ」とも言われています。ちょっぴりラベンダーに似ている紫色の花。花が終わると、黒っぽくなった花穂が残るので、この名で呼ばれるようになったとか。おそらくこの花の名を、はじめて耳にした方もいらっしゃるでしょう。昔から利尿薬など、生薬として用いられてきたそうです。口内炎にもいいと言われています。昔の人は、けっして華やかとは言えない花々も見つめていたのですね。なんともやさしいまなざしで。6月は、食で季節を味わってみていかがでしたか?梅干しはもちろん、この時期、茗荷もおいしいですね。大さじ3の酢、小さじ1程度の砂糖に茗荷をつけて、茗荷寿司はいかがでしょう。日本酒にぴったりです。また茗荷のお漬物を蓮の花のように並べれば、ちょっとした夏のパーティーメニューになりますよ。季節を「食」で楽しむ!食いしん坊の女性にはたまりません。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年06月15日6月5日から9日は七十二候、「蟷螂生ず(かまきりしょうず)」。蟷螂(かまきり)にとって、家族が増えるハッピーな季節到来。先月新緑を眺めていたら、なにやらメレンゲのようなものが、ひとつ、ふたつ、みっつ。首をかしげていた私に甥っ子が「かまきりのたまごだよ」と教えてくれました。あの卵から成虫と同じ形をした赤ちゃんが、小さいながらもファイティングポーズをとって登場するんだそうです。蟷螂の赤ちゃんが産声を上げると、6月10日から15日は「腐草蛍と為る(くされたるくさほたるとなる)」。蛍が飛び交う季節がやってきますね。日本のオラクルカード「福を呼ぶ四季みくじ」の中で蟷螂と蛍は、願いを天に届けてくれる神さまのおつかい。今日はズバリ!願いを天に届ける虫たちにあやかり、皆さんの心の中に息づく「願いを叶える方法」をご紹介します!七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。蟷螂は「預言者」?カマで獲物をねらう姿が、まるで拝んでいるように見えることから「拝み虫(おがみむし)」、英名で「Praying mantis(預言者)」と呼ばれる蟷螂。 蟷螂は雪が降る前から、卵が雪で命をうばわれないように、積もる雪の高さを予測して、その高さギリギリの場所に卵を産む習性があるとか。樹木に含まれる水分の量をヒントに卵を産む高さを決めているのではないか、という説もあるそうですが、詳しいことはわかっていません。 なんにせよ「預言者」という名前。なんとも神秘的なひびきがありますね。「四季みくじ」には「蟷螂」というメッセージカードがあります。「祈りの吉」カード。皆さんにとって今いちばん叶えたい願いはなんでしょう?たったひとつ、選ぶとしたら?四季みくじ「蟷螂」のメッセージは「二兎を追うものは一兎をも得ず。欲しいものはひとつにしぼりましょう」。「素敵な人と出会いたい」「お給料アップ!」「宝くじを当てて海外旅行に行きたい」「結婚したい」と、心の中であれもこれもと迷っていると、願いの力も分散してしまいます。ひとつのことに集中すれば感覚が研ぎ澄まされ、「今だ!」というタイミングで迷いなく動くことができるもの。願いをかける時点で願いをひとつにしぼれない人は、その願いが叶う可能性は低いでしょう。たとえ叶っても、100パーセントの満足はできないかもしれません。平安時代より、切実な願いを叶えるため、神社仏閣へ一日百度参る「お百度参り(おひゃくどまいり)」が行われていました。お百度参りをする意味は、神さまに切実な願いを届けたいという熱い思いはもちろんのこと、「回を重ねるごとに雑念が消え、一心に祈ることができるからですよ」と宮司様にうかがったことがあります。もしも今、たったひとつの叶えたい願いがあるという皆さんは、蟷螂のごとく百回手を合わせる「お百度参り」に挑んでみてはいかがでしょうか。愛の救世主ホタルが放つ光は「愛の言葉」夜の闇に点滅するほのかな光は、言葉をもたぬ蛍の愛の言葉。蛍が放つ光は「蛍火(ほたるび)」と呼ばれ、恋の火、亡くなった人の魂にたとえられてきました。皆さんは、京都の貴船(きふね)神社はご存じですか?貴船神社には、平安時代の女流歌人である和泉式部(いずみしきぶ)が夫の愛を取り戻したいと、お百度参りをしたという言い伝えが残されています。和泉式部はひたすら祈るという時間の中で、川を飛び交う蛍を見て、和歌を詠みました。「もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂(たま)かとぞ見る」(物思いをしていると、沢の蛍がわたしの体から抜け出した魂に見える)この和泉式部の和歌に対して、なんと神さまから返歌があったのです!内容は、「おく山の滝の水が飛び散るほどに思い悩むでないよ」 。その後、和泉式部の願いは叶えられました。これも、短い命を燃やし愛に生きる、蛍の力添えがあったからでしょうか。貴船神社周辺では、京都市内より約1ヶ月遅れで蛍が楽しめるそうです。和泉式部が和歌を詠んでから千年以上たった今も、蛍の名所として知られる貴船。好きな人がいるのに思いを伝えられずにいる方は、貴船を旅してみませんか?四季みくじの「蛍火」カードは、「成就の吉」。「あなたが言葉にして放つ願いが成就する強運日!」。フラれるかもという心配は捨てて、あなたの中に芽生えたその思いを大切にしてあげてください。人を愛する気持ちにも「命」が宿っています。蟷螂と蛍。なんの接点もないようで、実は七十二候でつながっているのですね。今は蟷螂の赤ちゃんが生まれて、蛍が「愛しているよ~」と暗闇の中で光を放つとき。蟷螂の出産も、蛍のラブコールも、愛に満ちていて、なんだかしあわせな気持ちになりますね。蟷螂と蛍から、しあわせのおすそわけをいただきましょう。【参考】お家で楽しむデイリーおみくじ 「福を呼ぶ 四季みくじ」三浦 奈々依、 観瀾斎/プレスアート『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年06月06日「百花の王」と呼ばれるゴージャスな花といえば「牡丹」。絹のようにうすい花びらが幾重にも重なり、あでやかに咲く姿は、王者の貫禄じゅうぶん。新暦の4月30日~5月4日頃は第十八候「牡丹華さく(ぼたんはなさく)」。とうとう牡丹が咲き始める季節になりました。「立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹(ぼたん)歩く姿は百合の花」といえば、美しい女性をあらわす言葉ですね。すべて、初夏の花。皆さんはご自分を花にたとえたら、芍薬、牡丹、百合、どの花でしょう?今日はこれら3つの花になぞらえて、女性の美と恋愛についてお話ししたいと思います。七十二候とは?季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「霜止んで苗出ずる」「牡丹華さく」「蛙始めて鳴く」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声があります。牡丹(ぼたん)は深まっていく恋ごころと、恋の嘆き牡丹は、中国原産の花。歴代の皇帝や上流階級の人々に愛されてきました。「富貴草」「家神」「花王」「忘れ草」「天香国色」すべて牡丹の異称というから驚きですね。大きな花弁が低い位置で、まるで女性が座っているかのように咲くことから、「座れば牡丹」といわれるのだとか。しっとりして落ち着いており、一度見たら忘れることができないあでやかな女性、といったイメージでしょうか。牡丹の花のいのちは、二十日ばかり。牡丹は「深見草(ふかみぐさ)」とも呼ばれます。日一日と深まる恋心、恋の嘆きを、いにしえの人は深見草に託し、和歌を詠みました。限られた時間、輝くばかりに大輪の花を咲かせる牡丹は、人の心の深い場所にある情熱をかきたてる花でしょう。毎日にときめきを感じられないという皆さん。ぜひ牡丹の花に情熱の火を灯してもらいましょうね。部屋にたった一輪飾るだけでも、牡丹は空気をがらっと変えてしまいますよ。世界三大美女・小野小町と芍薬(しゃくやく)古来中国では牡丹を「百花の王」と呼び、芍薬をそれに次ぐ「花の宰相(さいしょう)」と呼びました。芍薬はボタン科の多年草。あの絶世の美女、小野小町(おののこまち)に愛された花が芍薬だったそうですよ。芍薬は牡丹より控えめで、やさしい雰囲気をたたえていますね。ゴージャスというよりは優雅な花。いってみれば、牡丹が叶姉妹の恭子さんであるのに対して、芍薬は美香さんのような存在でしょうか(笑)。茎がすらりと伸びた芍薬のたたずまいは、美しい人の立ち姿にたとえらます。牡丹のお話をするついでに、ここで小野小町と芍薬にまつわる悲恋の物語をご紹介しましょう。小野小町と深草少将(ふかくさのしょうしょう)小町は36歳のとき、都を離れ、故郷へと戻ってきました。そんな小町を追いかけて出羽の国へやってきたのが深草少将。「私が都に旅立つ前に植えた芍薬が、ずいぶんと少なくなってしまいました。あなたさまが芍薬を1株づつ植えて下さるなら、100株になったとき、ぜひお会いしたいです」と小町にいわれ、少将は野山へ通い、1株づつ芍薬を植えたのです。ですが最後の1本を植える前に、なんと不慮の事故で命を落としてしまいました。小町は少尉の死を嘆き、「法実経の花」という和歌を詠んだそうです。時には女性から男性へ、「誠実な愛情」をこめて、芍薬の花をあしらった初夏の花束を贈ってみるのもいいかもしれませんね。揺れるココロには、百合(ゆり)の花がきく私が執筆いたしましたお家で楽しめるデイリーおみくじ「福を呼ぶ四季みくじ」には、「百合の花」というカードがあります。憧れの吉と書いて「憧吉(しょうきち)」。百合の花は、風にゆらゆらと大きく揺れるさまが印象的な花。百合の語源は「揺り」です。ゆらゆら揺れる心には、百合の花が癒しのお薬になります。初夏のある日、神社の長い階段を上っていたときのことでした。どこからともなく甘い香りが漂ってきて、思わず深く息を吸い込んだ経験があります。その香りの主は百合。姿は見えなくても、そのかぐわしい香りで存在を伝える百合は、霊力の高い花といわれています。どことなく百合をイメージさせる女性は、どこか神秘的なムードをたたえている気がしませんか。風水の世界において、百合は恋愛運にかかわる花といわれています。寝室に百合を飾ると愛情運をアップさせるとか!ただし百合の香りは好き嫌いが分かれるので注意が必要。百合の香りは元気なときはすてきに感じられ、調子が悪いときは重く感じられるともいわれています。花屋さんでそっと百合の花の香りをかいでみましょう。今の心の状態がわかるかもしれません。5月は花の香りで願いを叶えようPhoto by Atsunori Kikuchi金蛇水神社「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」という言葉は江戸時代からつかわれているとか。和服姿の美しい女性が目に浮かびますね。私が暮らす仙台には、ありとあらゆる豊かさを求めて全国から参拝客が訪れる「金蛇水(かなへびすい)神社」という美しい神社があります。ちょうど5月10日から25日までは花まつりの季節。1,300株、100余種の牡丹やつつじの花が咲き誇ります。入園料はすべて、東日本大震災被災地支援の一環としてあしなが育英会に寄付されます。Photo by Atsunori Kikuchi 金蛇水神社弁天堂昨年の花まつりの季節、かけた願いも気がついたら叶っていました。神さまへのお供え物である牡丹の花のお力でしょうか。みなさんの願いもきっと、花の香りとともに神さまへ届けられるはずです。今年の夏は、芍薬、牡丹、百合。どんな女性でいきましょう?【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂、お家で楽しむデイリーおみくじ 「福を呼ぶ 四季みくじ」三浦 奈々依、 『Kappo仙台闊歩vol 81』観瀾斎/プレスアート
2016年04月29日色とりどりの花が咲き誇る春爛漫の4月は、すでに晩春です。「春だな~」と心華やいだ時間もあっという間に過ぎて、気がついたら水辺では葦(あし)の葉がちょこんと芽を出し、稲の苗もすくすくと元気に育っていますね。4月20日から24日は七十二候「葭始めて生ず(あしはじめてしょうず)」、4月25日から29日は「霜止んで苗出ずる(しもやんでなえいずる)」の季節。大地が鮮やかな緑に染まり、エネルギーもよりいっそう高まるときですよ。七十二候とは?季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「霜止んで苗出ずる」「牡丹華さく」「蛙始めて鳴く」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声があります。店頭にならぶ春の山菜や野菜には、からだに溜まった毒素を排出するとともに「困難を乗り越える力」があるといわれています。今年こそ勝負をかけたい、ブルーな気持ちを吹き飛ばしたい、すっきりしたい、気力を高めたい!という方は、春の山菜と野菜が強い味方になるでしょう。毎日の料理もほんのちょっと意識を変えるだけで、こころとからだ、いのちを磨く立派な修行になります。今週は「食」で開運!今すぐエネルギーを高めませんか?料理で学ぶ「仏さまのこころ」空豆、春キャベツ、アスパラガス、ふき、たけのこ、わらび、こごみ、うるい。春から初夏にかけて楽しめる山菜や野菜たち。以前、高野山で美味しい精進料理が楽しめると評判の「一乗院」に宿泊したことがあります。精進料理とは思えないほど目にも麗しい料理をいただき、朝のおつとめに参加。お坊様と一緒に祈り、豊かな自然の息吹に抱かれるひとときは、心安らぐ贅沢な時間でした。精進料理は本来、修行の一つとされ、いのちとこころ、からだを整える大切な仕事。「私たちは料理をつくる時間で、仏さまの心を学んでいるのですよ」と伺いハッとしました。無駄を出さずに調理する、やさしい心で野菜に包丁をいれる、食べる人の幸せを祈って料理をつくる。すべての食材に宿るいのちを生かすという、感謝の思いで料理をすることで、こころとからだが整い、いただいたいのちが私たちのいのちをよりいっそう輝かせてくれるのです。【開運レシピ】春のしあわせをいただこう!春夏秋冬、わたしは「しあわせのエネルギーをチャージしよう」と題して、旬の食材をつかって、友人たちと精進料理パーティーを楽しんでいます。そこで今日は、一乗院さんの料理本『高野山一乗院のこころとからだをととのえる精進料理』から「春の膳・お浸し」をご紹介しましょう。ポイントは浸し汁!これはまさにプロの味。「こころもからだもよみがえる~」と友人たちをうならせる一品です。山菜、野菜の組み合わせは自由に。「アスパラとうるい」「レタスとこごみ」「わらびとタケノコ」そのほか、お豆のおひたしもおすすめです。面倒くさがらず、浸し汁にひと手間かけましょう。「春の膳・お浸し」作り方浸し汁(2人分)材料・昆布だし:1と1/4(水1リットルに5cm角に切った昆布50gを入れ、冷蔵庫で18時間漬け込む)・シイタケだし:1/4(水1リットルに、軽く流水で洗った干しシイタケ10枚を入れ、冷蔵庫で18時間漬け込む)・昆布茶:小さじ1・薄口しょうゆ:大さじ1・みりん:大さじ1と1/3・塩:小さじ1/2・酒:大さじ1と1/3・油揚げ:1/3枚(長さを半分に切り、5mm幅の細切り。熱湯をかけて油抜き)山菜や野菜は食べやすい大きさに切っておきます。浸し汁を鍋でひと煮立ちさせ、火からおろして鍋ごと氷水につけて冷まします。沸騰した湯4カップに塩小さじ1(分量外)を入れ、野菜を1分茹でたら、直接、氷水にとって冷まし、ザルで水けを切ります。あとは浸し汁に野菜を入れてつけるだけ!浸し汁はほかにもお味噌汁や、つくだにに使っても美味しくいただけますよ。精進料理を楽しみながらビューティーアップ春や初夏の野菜は、緑あざやか。窓を開け放ち、春の風を感じながら、お浸しに合わせて、きりっと冷やした辛口の白ワインで乾杯するのもいいですね。日本酒をワイングラスでいただくのも通です。その他、冷たいごま豆腐をあたたかい鍋でいただいたり、蒸したお豆腐にしょうがを添えて頂くと、女性に嬉しいビューティーアップのメニューになります。旬を大切にする精進で、四季のしあわせをいただきましょう。今の食生活が「未来」をつくる!お恥ずかしい話ですが、ハードな仕事と不摂生がたたり、二度にわたり入院という経験がある私。一週間の絶飲食は、かなりきびしいものがありました。二度目の入院時、天海祐希似のドクタ―から「おかえりなさい」と言葉をかけられ、「もっと自分のからだをいたわって」と食の徹底指導を受けました。特に女性の場合、30代の生き方が40代の病気を左右するといっても過言ではないそうです。20代、30代は、若さの力で無理がきいても、疲れは確実に蓄積されていきます。それこそが負の貯金。皆さんは、きちんと自分のからだをいたわっていますか?食べ過ぎた翌日は軽めの食事を心がける、週に一度はプチ断食、お肉好きな方は野菜も意識していただく、醤油や塩といった調味料は素材にこだわり良いものをつかう、旬を知り料理をする。そんなささやかなことを心がけるだけで、からだは大きく変わります。まずは寒い冬を耐え抜いた春の山菜と野菜で、からだとこころにたまった毒素をデトックス。困難を乗り越える力をチャージして、「すこやか」という美しさを手に入れましょう。今の食生活が、あなたの未来をつくります。【参考】『高野山一乗院のこころとからだをととのえる精進料理』株式会社ワニブックス、『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年04月19日