都内のホテルで開かれたぐるなびの2019年「今年の一皿」記者発表会に、世界的建築家の隈研吾さんが登場! 今年最も話題となった食べ物が紹介されました!「今年の一皿」にノミネートされたのは…?「今年の一皿」とは、日本の食文化を遺産として記録し後世に残すために2014年にはじまったもので、今回で6回目となります。飲食店情報サイト「ぐるなび」のビッグデータから抽出されたデータをもとに、ぐるなび会員アンケート、メディア関係者が審査してノミネートされた4点のなかから「今年の一皿」が決まります。今回ノミネートされたのは、「スパイスカレー」、「タピオカ」、「チーズグルメ」、「発酵食メニュー」の4点。どれも今年話題になったものばかりですね。このなかから、特に日本の世相を反映し象徴する食が「今年の一皿 」として選出されます。まずは準大賞の発表です。それは……発酵食メニューです!2019年は発酵食材を使った飲食店やカフェなどが増え、さらに健康志向から、納豆やみそなど日本の伝統的な食文化が再評価されたことなどが選定理由となっています。「今年の一皿」は…?そして、2019年「今年の一皿」は……タピオカです!選ばれた理由として、ブームを越えて社会現象になったこと、お店が増えて自分好みにカスタマイズするなど多様性に富んだ楽しみ方ができること、などが挙げられました。隈さんも大好き…発表会の会場には、スペシャルプレゼンターとして建築家の隈研吾さんが登場! 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとなる新国立競技場の設計を手がけたことでも知られる隈さんが、メッセージを述べました。隈さんタピオカさん、おめでとうございます(笑)。私もタピオカは大好きです。やわらかいものが好きで、建築も都市も、今はやわらかい方に向かっていると思いますので、今年の一皿として、やわらかい、ふわふわのタピオカは最高だと思います。700店舗を制覇!ステージ上には「たぴりすと。」の奈緒さんと華恋さんも登場。現在大学4年生のお二人は、これまでに700店舗で1,500杯以上のタピオカを飲んだという筋金入りのタピオカ愛好家です。SNSでタピオカについて発信するだけでなく、ドリンク容器のポイ捨てをなくすためのゴミ拾い活動を呼び掛けて実践するなど、社会問題にも積極的に取り組んでいるとのこと。お二人ともスタイルがよく、お肌もつやつや! タピオカは美容にもよさそうですね~。明治期から食べていた…!続いて、タピオカに詳しいフリーライター・同志社女子大学非常勤講師の長友麻希子さんと、WEBマガジン『メガブラジル』編集長の麻生雅人さんも加わり、トークセッションが行われました。大学院在学中に、論文『日本におけるタピオカ』を発表されたこともある長友さんによると、日本でタピオカを食べはじめたのは明治期とのこと。西洋料理の食材として紹介されたのが最初で、スープの浮き実や、デザートのタピオカプディングとして入ってきたそうです。意外にも長い歴史があったのですね。また、ブラジルの食文化に詳しい麻生さんによると、現在ブラジルではタピオカがグルテンフリーのダイエット食として人気があり、都会のおしゃれな市場で売られていたり、タピオカのファストフード店ができたりしているそうです。麻生さんはタピオカ粉でつくるクレープや、パン、揚げ物など、さまざまな料理も紹介してくれました。ブームはまだまだ続く…?今年ブレイクしたタピオカですが、まだブームは続くのでしょうか?タピオカの原料キャッサバ芋例えば、タピオカの原料であるキャッサバ芋は、グルテンフリー食材として注目されているので、この先さまざまな形で日本の食文化に取り入れられていく可能性があるそうです。2020年にタピオカがどう進化していくのか、引き続き注目していきたいですね。以上、2019年「今年の一皿」発表会レポートでした!料理写真:画像提供「ぐるなび総研」
2019年12月10日モダニズム建築の宝庫として知られるインディアナ州コロンバスを舞台に、2人の対照的な男女の出逢いと心象風景、そして建築物の声に耳をすませ新たな人生に向かって歩き出す姿を描いた『コロンバス』の公開が決定。併せて、ポスタービジュアルと場面写真が解禁となった。■ストーリー韓国系アメリカ人のジンは、講演ツアー中に倒れた高名な建築学者の父を見舞うため、モダニズム建築の街として知られるコロンバスを訪れる。父の容態が変わらないためこの街に滞在することになったジンは、地元の図書館で働くこの街の建築に詳しいケイシーという女性と出会う。ジンは父親との確執から建築に対しても複雑な思いを抱え、コロンバスに留まることを嫌がり、ケイシーは薬物依存症の母親の看病を理由に、コロンバスに留まり続ける。どこまでも対照的な2人の運命が交錯し、互いの共通項である建築を巡り、語ることで、それぞれの新しい人生に向かって歩き出す…。■小津安二郎へオマージュを捧げたコゴナダ監督初長編作1920年代に機能主義の建築として成立し、ル・コルビュジエをはじめ現在も建築デザインに多大な影響を与え続けているモダニズム建築。本作の舞台は、エーロ・サーリネンによるミラー邸(アレキサンダー・ジラルドの内装)やノース・クリスチャン教会をはじめ、I.M.ペイ、リチャード・マイヤー、ジェームス・ポルシェックなどの代表作が建ち並ぶモダニズム建築の宝庫インディアナ州コロンバス。建築を巡る2人の心象風景を美しく描き出した珠玉の物語は、全てのカットが巨匠たちによる建築へのラブレターとも言うべき映像美に彩られ、サンダンスをはじめ23の映画祭にノミネートされ8冠を獲得。是枝裕和監督が2度監督賞を受賞しているクロトゥルーディス賞では、『君の名前で僕を呼んで』を抑えて撮影賞を受賞。11月25日(月)現在、全米映画批評No.1サイト・ロッテントマトでは満足度97%を記録している。本作は、これまでロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックについてのドキュメンタリーを撮り、小津映画に欠かせない脚本家の野田高悟に因んでコゴナダと名乗る新進監督による長編デビュー作。奥行きを生かした画面の構図や間の取り方など小津安二郎監督の芸術性を研究し、全てのシーンで「映画の教科書」のような巧みな構図を実現した彼は、小津監督と同じような感覚を現代につなぐことに成功した本作で一躍注目を集めた。主人公のジンを演じるのは『スター・トレック』『search/サーチ』のジョン・チョー。ピープル誌の「最も魅力的な男性50人」にランクインするほど人気上昇中の彼は、『THE JUON/呪怨』のリブート作品『The Grudge』(原題)への出演が決まっている。ケイシー役には『スプリット』『スウィート17モンスター』の若手注目女優ヘイリー・ルー・リチャードソン。さらに、“インディーズ映画の女王”と称されるパーカー・ポージーや、マコーレー・カルキンの実弟ロリー・カルキン、ミシェル・フォーブスなど実力派のバイプレーヤーが競演。一方で“建築のもつ人を癒す効果”が鍵となる本作では、第2の主人公として街中にあふれる建築物たちが、ポストロック・バンドの「ハンモック」による美しい音楽とともに、効果的に演出されている。今回解禁されたポスタービジュアルには、遠くの建築物を望むジンとケイシーの姿が。「美しいこの街で二人は出逢い、そしてまた歩き出す…」のコピーが添えられ、建築物巡りを通して2人の関係性がどのように発展していくのかにも期待が膨らむ1枚に仕上がっている。『コロンバス』は2020年3月よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年11月27日毎年秋に開催されるイベント『生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪(イケフェス大阪)』が10月26日(土)から始まるが、ひと足早く連携企画『大阪〈生きた建築〉映画祭2019』がシネ・ヌーヴォで開幕する。大阪は長い歴史の中で巨大建築や有名建築家が設計した価値のあるビルが建ち並び、庶民の親しみやすさやエネルギーが活気ある街並みを生み出してきた。また、天王寺の再開発や、大阪駅周辺の新ビル建設ラッシュなど、大阪は現在も新陳代謝を繰り返しており、歴史ある建築の価値はよりいっそう高まっているといって良いだろう。そこで魅力ある建築を公開して、大阪の生きた建築を楽しめるのが“イケフェス大阪”だ。映画祭はその関連企画で、現在ではもう見ることのできない大阪の“かつての街並み”が登場する映画作品を上映する。今年は4作品を上映。昭和初期が舞台で法善寺横丁や戦前の路地、生國魂神社の参道が登場する『夫婦善哉』をはじめ、旧松坂屋大阪店屋上、かつての心斎橋筋歩道橋が記録されている『黒薔薇昇天』、味園ビル地下のダンスホール・スタジオ80、梅田地下街が映し出される『ガキ帝国』、2000年代の阿倍野歩道橋、法円坂住宅団地などが描かれる『ナショナルアンセム』が揃った。両方に参加することで、セットやデジタル合成では決して描くことのできない“かつて”生きていた建築と街の風景をスクリーンで堪能し、現在も大阪で生きている建築をイベントで楽しむことができる。なお“イケフェス大阪”はこの他にも関連イベントが多数予定されており、詳細は公式サイトに掲載されている。大阪〈生きた建築〉映画祭201910月19日(土)から25日(金)までシネ・ヌーヴォで開催上映作品『夫婦善哉』『黒薔薇昇天』『ガキ帝国』『ナショナルアンセム』生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪10月26日(土)、27日(日)に開催
2019年10月19日ちひろ美術館・東京では、企画展『「ちひろさんの子どもたち」谷川俊太郎×トラフ建築設計事務所』を開催中。詩人の谷川俊太郎による“子どもの詩”や、トラフ建築設計事務所による“子どものへや”が登場し、いわさちひろの絵の中の子どもたちに新たな息吹を吹き込む。生涯にわたり子どもをテーマに描いた絵本画家、いわさきちひろ(1918~1974)。水彩絵の具を駆使したやわらかな色合いで、のびやかに描かれる子どもや花の作品は、今なお高い人気を得ている。同展は、そんなちひろが描いた子どもたちをテーマに谷川俊太郎が書き下ろした詩、“ちひろさんの子どもたち”をテーマに、谷川とトラフがコラボレートする企画展だ。詩人として第一線で活躍している谷川俊太郎。その幅広い詩作の中で、子どもに向けた詩や、子どもの目線で描いた詩を、ちひろの絵とともに展示。ちひろの絵に谷川が言葉を寄せた絵本『なまえをつけて』の作品も紹介され、詩と絵の組み合わせによる豊かな世界が立ち上がる。また、鈴野浩一と禿真哉からなるトラフ建築設計事務所は、ちひろの絵の中で多くの子どもが帽子をかぶっていることに着目し、そこから大きな麦わら帽子の形をした“子どものへや”を設計。さらに、トラフの代表的なプロダクトで、形を自由に変えられる紙の器「空気の器」のインスタレーションも館内に広がる。会期中は、アーティストトークやワークショップ、コンサートなど、さまざまな関連イベントも開催。ちひろの絵を見て、言葉に触れ、その空間に入り込む。個性あふれる谷川とトラフの感性を感じ取りながら、いわさきちひろの世界をより深く味わいたい。【関連リンク】 ちひろ美術館・東京()
2019年08月06日目の前の借景を活かして都心の人気の住宅街。緑豊かな公園の目の前という立地に、夫の父親の代から一戸建てを構えていた渡辺さんご家族。「前の家に10年程住んで、建て替えることを決めました。父から譲り受けるにあたっては、“明るい家にする”ということが条件でした」と、夫の耕治さん。とはいえ、単に明るいだけではなく、陰影がしっかり表現された落ち着きのある家が、夫婦揃っての希望だった。「ふたりともアメリカに暮らしたことがあり、映画の『グリーンカード』に出てくるような家がいいね、と言っていたんです」。特に映画に出てくるサンルームに憧れたそう。妻のあきとさんは、「キッチンに立つと、広々としたリビングの向こうにフラットにサンルームがつながる、そんな空間を希望しました」。おふたりの考えを具現化したのはssideの杉山純一さん。公園とつながるかのような広々としたLDKを2階に、コンパクトな寝室を1階に。斜線制限のある17坪の5角形の角地を最大限に活用して、プランニングを行った。天井高も確保した開放感のあるLDK。キッチンから全体が見渡せる。外壁にはフレキシブルボードを使用。ワイルドで荒々しい雰囲気を出した。バルコニーを部屋の一部に「プランの打ち合わせのほとんどは、サンルームのデザインに費やされました」。色々なやりとりの中で、憧れのサンルームは“インナーバルコニー”というカタチになった。「サンルームを部屋っぽく使いたい、というご希望で、それなら家の中にバルコニーがあるようにしてしまおうと。共に相談を重ねる中で生まれたアイデアです」と杉山さん。5角形の先端を舟の舳先に見立て、インナーバルコニーの中央に。そこを軸に左右対称にLDKにつながっていく。バルコニーは室内側にペアガラスの引き戸、道路側に型板ガラスの大きな開口を設け、天候によって自由に開け閉めできるようにした。「夏はほとんど開けっ放しにしていますね。バルコニーには防水をかけているのでビニールプールを出したり、秋にはお月見をしたり。ここがあるだけで生活が全く変わりました」。東南の角地だが、道路を挟んで隣家が建つ南側にはあえて開口を設けなかった。そのため、トップライトから降りる光や、東の公園側から西側の開口に抜ける光が強調され、陰影のある空間となった。無垢のオークの床が心地いいリビングダイニング。照明はあまりつけず、自然光で暮らすのが好きだとか。インナーバルコニーにはレッドシダーのデッキを。「緑は公園に委託し、サンルーム的には使っていないんです(笑)」。窓を閉めれば、バルコニーがリビングの一部に。アンティークな型板ガラスが、レトロな雰囲気も添える。公園の緑をフレームのように切り取る。リビング側の引き戸を閉めれば寒暖の調整も。家族の気配を感じるLDKリビングダイニングを見渡すことができるアイランドキッチンは、ステンレスでオーダー。「私たちの身長に合わせて造ってもらったので、使いやすいですね。家具はあまり置きたくなかったので、収納の棚も造作してもらいました。作業台としても便利なので、建て替えてからお料理を作ることも多くなりました」。色ムラのあるダイニングテーブルは、ssideがこの家のイメージに合わせて見つけてきたものだそう。「ピカピカの新品ではなく、荒々しさ、素材感がこの家の特徴だと思っています。外観もダーク色で“固まり”を感じさせるので、ロフトへの階段はあえて強い色を選びました」(杉山さん)。リビング中央の存在感のある階段を上がると、耕治さんの趣味のレコードなどを収めたロフトがある。仕切りのないひとつの空間が、家族それぞれの大事な時間をつないでいる。中央に階段を。キッチンからはリビングで遊ぶ長女はるねちゃんを見守ることもできる。キッチンは掃除のしやすいステンレスで造作。高さを揃えて収納棚も造り付けに。奥にはパントリーを設けた。キッチンからつながった収納棚のダイニング側には、アルバムなどを収めている。木と鉄骨の脚の組み合わせが、武骨な雰囲気のダイニングテーブル。ロフトへ上がる階段は木製。アイアンの手すりが荒々しさを添える。たくさんのレコードを所蔵するロフトは、秘密基地の雰囲気。機能性を追求した1階広々とした2階と対照的に、1階はベッドルーム、ウォークインクローゼット、バスルームと、必要なスペースを機能的にまとめた。「前の家の住みにくさを検証し、動線を考えました。仕事で夜遅く帰った日は、2階にあがらず1階だけで済んでしまうこともありますよ」。アメリカ生活の影響がいちばん反映されたというバスルームは、お風呂、洗面、トイレを一体に。洗濯からアイロンかけまで同じスペースでできるなど、ランドリールームとしても活躍する。冬は冷え込みがちな1階だが、蓄熱暖房機を玄関に置いたことで、1階はもちろん家全体が暖かいのだそう。「寒いのが嫌いで、アメリカのセントラルヒーティングに憧れていたんです(笑)。蓄熱暖房機はssideさんの提案なのですが、おかげで冬も半袖で過ごすことができ、1年中快適に暮らせています。設計前はこんな狭い土地で何ができるの?と思いましたが、時間をかけて考えただけのことはあったなと思っていますね」。ベッドルームと子ども部屋の間は、いずれカーテンで仕切れるようレールを設置。リフォームで壁をつくることもできるレイアウトに。ベッドルームは横すべり出し窓に。明るくなりすぎずゆっくり眠れる。夜中に蓄熱する蓄熱暖房機を、玄関に設置。これ1台で冬も家中暖かい。ランドリールームとしても有効な、広々したバスルーム。洗濯ものはアイロンをかけて隣のWICへ、と動線がよい。3畳の広さのあるウォークインクローゼット。家族3人の衣類をここに収納。インナーバルコニーは家族の団欒の場に。毎日、緑に癒される。渡辺邸設計sside建築設計事務所狭小住宅プロジェクトCOHACO所在地東京都世田谷区構造木造規模地上2階+ロフト延床面積78.78㎡
2019年08月05日縁側のすぐ先には裏山の緑「天気のいい日は縁側に子どもたちが集まってきて遊んでいます」と話すのは老子邸の奥さん。お子さんは「東京のマンションに住んでいるときよりも格段に元気に家の中を走り回ったりするようになった」という。奥さんの話に出た縁側は、アプローチから玄関へと至る前に現れる。中庭を囲むコの字形をしたその縁側のすぐ先には裏山の緑が間近に見える。老子邸はとても戸外感覚が溢れるつくりなのだ。老子邸のエントランス。玄関はいったん靴を脱いでウッドデッキの上に上がると左手に現れる。家づくりの考え方が変わっていった子育てを考えて逗子に越そうと考えた夫妻がこの土地を選んだのは、敷地のすぐ裏にまで迫る山に加え、前方にも緑が豊かに見えるというのがポイントだったという。しかし、現在のような家のつくりはまったく想像もしていなかったものだった。最初は「単純にちょっとおしゃれな家がいい」「無垢の木を使いたい」と漠然と考えていたという。その夫妻の考え方が「“住んでいて面白い家がいい”とうふうに変わっていった」という。そのきっかけになったのが建築家の岸本さんとのやり取りだった。「子どもには隠れる場所が必要」「子どもが外から自由に出入りするぐらいがちょうどいい」等々、子どもに対する目線の重要性などの話も聞きながら徐々に夫妻の家づくりの考え方がシフトしていったという。エントランスからウッドデッキにまで至ると視線は中庭越しにそのまま裏山へと抜ける。家にいるのに外にいるような「岸本さんと話をしていてもはじめはどんな家ができるのか想像がつかなかったんですが、お任せしてお願いをしたら楽しめる家になるんじゃないかなと思いました」と老子さん。設計に際しては岸本さんが「東京からわざわざ逗子に越してきて家を建てるというわけですから、お2人の要望を聞く前からこちらで何をするべきかはすでに半分ぐらいは決まっていた」と話す。それほど家づくりにおいては敷地環境の比重が大きかったが、夫妻の思いが大きく反映したものがひとつあった。それは「家にいるのに外にいるような感じで暮らしたい」というものだった。「どういう家がいいかというよりも、どういう生活がしたいかを箇条書きでもいいのでくださいと岸本さんに言われて」(奥さん)出したリクエストが戸外感覚溢れるつくりへとつながったのだ。中庭側からエントランス方向を見る。真ん中のドアが開いた部分が玄関。その右手に水回り関係が並ぶ。1階のこちらのサイドには奥から寝室、納戸、将来の子ども部屋が並ぶ。外にある居間第1案からほとんど変わっていないという設計案は「面白いというのが第一印象」だったが、奥さんは「びっくりして、もちろん抵抗もありました」と話す。そこで岸本さんにたくさんの質問を投げかけた。「玄関はどこ?」に始まり、いろんな「?」が奥さんの頭の中で渦巻いたという。「でも何回も何回も話をして、岸本さんが具体的な情景を例に出しながら説明してくれて。それで模型を見ながら、ああこういうことなのかなあとだんだんがわかるようになって納得していきました」(奥さん)「ふつうは玄関で内と外がはっきりと区切られていますが、そこを少しぼかしてだんだん内側に入っていくようにする。そうした中間ゾーンをできるだけ豊かにしようとしました。コの字の両端の部分は縁側の風情ですが、真ん中の部分も縁側であり玄関であり、また外にある居間でもあるというように」(岸本さん)水回り前の縁側でくつろぐ老子さん一家。老子さんは「自然の移り変わりをとても身近に感じ取れるようになった」という。「お風呂に入りながら外を見たいというのはリクエストしました」(老子さん)。下見板張りは陰をつくって壁の表情を出すためと家の内側だが外部という「ひっくり返った世界」をつくるため。多様な場所をつくる子どもたちが走り回るのには開放的で自然との距離が近く感じられる空気感も大きく作用しているが、老子邸ではそれに加えて多様な場所がつくられているというのも見逃せない。「場の差異をどうやってつくっていくかが重要だ」という岸本さんは、この家では凝縮された延床面積の中に小さな空間をつくってバリエーションを多様化させているという。階段途中に机の置かれたスペースや2階のロフトがそれで、ともに入口にアーチを設け壁を濃紺で仕上げている。さらに2階に畳の空間をつくったのも「空間が変わる体験を無意識のうちに感じてもらうため」の建築的仕掛けである。子どもに対する目線も意識してつくられたこの家では、実際に子どもたちが楽しそうに走り回るだけでなくいろんな場所で遊ぶという。「畳の間で遊んだり、友だちが来るとベンチ伝いに歩いたりロフトに大集合して遊だりしています。大きくなったらさらに遊ぶ場所が増えていくんだろうなと」(奥さん)玄関を入ったところから見る。階段途中に作業のできる小スペースが設けられている。ダイニングのほうとは対照的に「ちょっとふわっとしたウエットな感じ」(岸本さん)の空間。家の中心に位置するキッチン。食事をつくる際にも裏山の緑が眼に入る。左右の空間とは天井の仕上げを変えている。このキッチンで家族間のコミュニケ―ションが以前よりも活発になったという。キッチンの奥にロフトが設けられている。キッチン前から見る。ダイニングの奥に畳のスペースがつくられている。キッチンからも豊かな緑を眺めることができる。エントランスの上部、キッチンの外側につくられたベランダ。この場所でバーベキューをすることも。ダイニングからベンチがぐるりとめぐりベランダ近くまで続く。壁・天井には土佐和紙が貼られている。逗子という土地を選んで東京から越してきた老子一家。8月にこの家での暮らしが1年を迎えるという。「もともと外が好きでよく外に出るんですが、越してきてからさらにすぐに外に出るようになりました」という老子さん。夜はエントランスの上部につくられたベランダに出てコーヒーをよく飲むという。「ほんとうに想像以上の家に住めて楽しいし、楽しんでいます」との言葉からは、「この地での家づくりは大成功だった」との思いがにじみ出ているように感じられた。縁側であり、また“外にある居間”でもあるような空間。正面ファサード。白壁の部分にはガルバリウム鋼板が張られている。老子(おいご)邸設計acaa所在地神奈川県逗子市構造木造規模地上2階延床面積180.99㎡
2019年07月10日自然と人が集まるアイランドカウンター築年数不明のトタン貼りの建物が残る再建築不可の旗竿地。ここに住むためにはこの古家を生かさなければならない。それでも購入に踏み切ったのは、小学2年生のお嬢さんの学区を変えることなく、中目黒という便利な街に住み続けられることが理由だったそう。「『フィールドガレージ』の原 直樹さんに建物を見てもらったところ、大丈夫というお墨付きをいただいたので思い切ることができました。基礎から作り直さなければならないほど建物が傷んでいたので、実際の工事は想像以上に大変だったそうです」元々の家がとても暗かったので、リノベーションはなにより明るい家にするのが目標だったそう。開口部を大きく確保し、吹き抜けを作り、光を1階まで届けた。2階のリビングの中心は大きなアイランドカウンター。「料理好きな夫の身長が高いこともあり、アイランドカウンターを思い切った高さまで上げました。天板に肘をつきながら立ち話をするのにちょうどいい高さです。来客はなぜかソファに座らず、カウンターの周りに集まって話をします(笑)」キッチンは2階に。三角屋根がかわいい。アイランドカウンターの腰板の面材はヴィンテージオーク。古い柱を残しながら、新しい梁を入れて耐震補強している。山本貴緒さんは、ここでイギリス人の夫イアン・ギビンスさんと、小学2年生のあおちゃん、ダックスフントのマカロンと、シーズーのココと暮らす。キッチンの戸袋には古い家の建具をリメイクして使っている。調理道具や食器は、料理上手なイアンさんがセレクトしたものが多いそう。「不思議と植物がよく育ちます。前に住んでた家から持ってきた植物がすぐにボーボーになりました(笑)」右はあおちゃんが描いたアクリル画。「元気が出る色合いの花に、ミツバチがとまっています。とても気に入ってます」。左側はお母さまにもらったフジコ・ヘミングの作品。吹き抜けから明るい光が注ぐ1階玄関旗竿地の細い通路を通って玄関ドアの引き戸を開けると、広々とした土間が現れる。細い通路と広がりのある玄関。そのメリハリのある対比が、山本・ギビンス邸をより魅力的に見せている。以前の家はとても暗かったという一階の玄関は、吹き抜けから光が降り注ぐ、明るく広いスペースへと変わった。住まいのあちこちで使われている古い建具や板や箱などは、もとの家で使われていたものを救出し、新しくデザインし直して生き返らせたもの。年月を経たものならでの深みが、綺麗にリノベーションした住まいに温もりを与えている。広々とした玄関の土間。吹き抜けから明るい光が射し込む。左側の棚は、以前の家にあった木箱を積み上げて壁に固定して制作。L字の廊下の先に寝室がある。古い建具を生かし、温かさの感じられる明るい廊下。リノベーションする前はこの辺りが特に暗かったのだそう。2階のリビングと書斎の間の室内窓には、対で古いガラスを入れた。書斎の窓は、吹き抜けをはさんで眺めの良い通路側に面している。断熱材をしっかり入れて快適な住まいに古い戸建て住宅にありがちな悩みが、寒さ。その問題を解決すべく、断熱工事やペアガラスなどを積極的に採用し、とても暖かで快適な住まいに仕上がった。平屋の家を増改築した建物は構造的にも不安定だったが、しっかりと耐震補強も施した。「元のオーナーはここでクリーニング店を営んでいたようです。作業場があった形跡が残る土間をリノベーションして、1階奥の寝室にしました。きちんと床を張り、床下にはしっかり断熱材を入れていただいたので、気持ちよく過ごせます。再建築不可でなければ取り壊していただろう建物を、考えていた以上に快適で素敵な住まいにリノベーションしていただき、『フィールドガレージ』さんには感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです」寝室の奥はウォーキングクローゼットに。引き戸には古いガラス戸を。天井の古い梁がとてもよい雰囲気。高窓から洗面所に明るい光が射し込む。ブルーのタイルをアクセントに。タオルもブルーでコーディネイト。旗竿地の築年数不明な建物をリノベーション。玄関は引き戸に。曇りガラスから光が室内に取り込まれる。通路脇に植えた植物がぐんぐん成長中。山本・ギビンス邸原 直樹(フィールドガレージ)所在地東京都目黒区構造木造規模地上2階延床面積111.37㎡
2019年06月26日企画展「構造展 -構造家のデザインと思考-」が、東京・品川の建築倉庫ミュージアムにて、2019年7月20日(土)から10月14日(月・祝)までの期間で開催される。“構造家”とは、建築家のイメージする空間を実現すべく構造システムを検討し、技術を応用しながら、思想を持って構造をデザインする人物のこと。日本の有名建築は必ず“構造家”と建築家の協業によって竣工し、その存在は大きい。本展では、坪井善勝、佐々木睦朗らをはじめとする50名の“構造家”の思考とデザインに焦点を当て、60作品70点以上の構造システム、構造デザインにまつわる模型や図面、プロセスや思考が分かるスケッチや映像などを展示。1950年代から現代まで、日本の構造家が築いてきた多様な美学や感性を体感できる今までにない展示構成となる。「国立代々木競技場」をはじめ、大阪万博「お祭り広場」「富士グループ・パビリオン」、長野冬季オリンピックスピードスケート競技場「エムウェーブ」といった日本を代表する名建築の構造模型は必見。また、構造解析映像、構造システムやディテールが分かる現物モックアップなどの様々な展示物で、建築の“構造”について知見を深めることが出来る。さらに会期中は、出展者によるギャラリートーク、“構造家×建築家”をテーマにした様々なイベントも開催予定。是非この機会に会場に足を運んでみてはいかがだろうか。【詳細】企画展「構造展 -構造家のデザインと思考-」会期:2019年7月20日(土)~10月14日(日)開館時間:11:00~19:00(最終入館18:00)会場:建築倉庫ミュージアム 展示室A住所:東京都品川区東品川2-6-10入場料:一般 3,000円、大学/専門学生 2,000円、高校生以下 1,000円※月曜休館、祝日の場合翌火曜休館<出展構造家例>坪井善勝、斎藤公男、中田捷夫、梅沢良三、佐々木睦朗、山辺 豊彦、金箱温春、徐光、稲山正弘、多田脩二、金田充弘、小西泰孝、名和研二、満田衛資、山田憲明、大野博文、森部康司、萩生田秀之、金田泰裕など
2019年06月24日運河沿いの物件を求めて東京の下町、門前仲町の運河沿いにひっそりと建つ5階建ての小さなビル。このビルを自宅兼事務所として住んでいるのが、アトリエハコ建築設計事務所を営む七島幸之さんと佐野友美さんご夫婦。二人で事務所を構えておよそ15年目。世田谷から門前仲町に自宅と事務所を移して2軒目の住処だ。「このあたりを散歩していて貸しに出ているのを見つけたんです。良かったのは、賃貸だけど改装してもいいという物件だったことです。ここはそもそも舟屋さんだったみたいです。その後いくつかの会社が入ったりしていたみたいですが。それまで住んでいたマンションが事務所を兼用するには使いにくかったこともあり、これはおもしろそうだね、と借りることにしました」。1階の入り口と、七島さんの仕事場。右側の天井高は2mほどと低い。左側は吹き抜け。吹き抜けからの見下ろし。2人分の仕事スペース建物は、1フロア20㎡に満たない広さの空間が5層になっている。入り口を入ると吹き抜けのある七島さんの仕事机と吹き抜けに目いっぱいの高さで備え付けられた本棚に圧倒される。「狭いけれど、この吹き抜けの高さがあるのが気に入って借りました。本棚は大工さんにつくってもらって。天井が全体的に少し低いのですが、吹き抜けもあるし窓も多くて光が入ってくるので圧迫感は少ないです」と佐野さん。2階は佐野さんの仕事場。ちょうど目線の高さに桜の木の葉と運河がみえる。「ここにいると気持ちよくて仕事がはかどらないんです」と笑う佐野さん。吹き抜けの開口で階下の七島さんの仕事場とゆるやかにつながる。「このぐらいの距離感がお互いにちょうどいいんです」。入り口から奥を見る。左側の天井高が低いため、高低差をさほど感じない。階段周りは白く塗装して明るく。フロアごとに使い方を決めて3階から上はプライベートのフロアになる。こちらも桜の木と運河が目の前に臨めるリビングダイニングスペース。舟底天井の和室だったこのスペースは天井をはがした。というのも、キッチンを窓側から奥に移動するのに配水管を通し一部床上げしたため。一段床が下がっているキッチンカウンター奥の作業スペースに立つと、自然とカウンター向かいに居る人や景色とちょうどよい高さ関係になる。「水が近くにあるので少し涼しいんですよね。桜もここだけ咲くのが遅いんです」。ベランダには景色を楽しめるようテーブルを置いている。「ここでごはんを食べたり、友人を呼んでお花見をするときに使ったりしています。お花見の時期、窓も開けて楽しんでいると、通りかかった人が飲食店と間違えて来ることもあるんです」。4階は寝室と浴室。大工に合板で洗面台をつくってもらい、自分たちでタイルを張った。障子は元々あったものを残して、やわらかく光を取り入れている。5階は納戸として使っているが、見晴らしのいいテラスで思い切り洗濯物を干せる。元は和室だった3階のリビング。ベランダにはテーブルを。キッチンカウンターのガスレンジは作業スペースをとるために設置方向を工夫した。もともと台所があった場所の壁のタイルはそのままに。4階寝室のトイレは古い建具をそのまま利用。布団の下を収納に。左はOSB合板で仕切ったウォークインクロゼット。障子を開ければ見晴らしのいい景色が広がる。自分たちでタイルを張った洗面台。4階で洗濯し、5階のテラスで干す。この建物に新たに設置した風呂場。コンパクトだが、浴槽は普通サイズを縦方向に入れているので、湯船にはゆったり浸かれる。数字にこだわらず、工夫する仕事でも狭小住宅を手がけることが多いという二人。「東京で家づくりを考えると、その後の暮らしが不安になるぐらい高い土地を買わなければいけないですよね。でも、何LDKだとか、何平米だとかっていう数字にこだわらなければ、いくらでもやりようはあると考えています。この家はその実験台。自分たちで日々の生活を工夫しながら実践しているんです。打ち合わせで施主の方がここに来られると、みなさん安心した表情で帰っていかれますね」。階段の上り下りの不便さや、断熱ができずに少し寒かったりするこの家と、バランスを取り合う二人。家の中を探検するような、発見する楽しみのある暮らしぶりが伺えた。運河と桜の木を見下ろせる、気持ちのいいテラス。外観。木々の緑がカーテン代わり。
2019年06月10日スイス発の時計ブランド「ラドー(RADO)」より、建築家ル・コルビュジエの功績を称える新作ウォッチコレクション「トゥルー シンライン レ・クルールTM ル・コルビュジエ(True Thinline Les CouleursTM Le Corbusier)」が登場。発売は2019年9月の予定。ル・コルビュジエは、建築家以外にもデザイナー、画家、都市計画家、著述家として活躍した人物。スイスに生まれた彼の作品は、バウハウス運動や国際的な家具のスタイルにインスピレーションを与え、世界的にも近代建築家の中で最も重要な建築家の一人であるとされている。そんなル・コルビュジエを称えるウォッチコレクション「トゥルー シンライン レ・クルールTM ル・コルビュジエ」では、彼の発表した“建築的ポリクロミー”と呼ばれるカラーパレットを採用して制作。「ラド―」が誇るハイテクセラミックスを用いて、鮮やかな色彩を表現した。カラーは、クリーム ホワイト、アイアン グレー、スペクタキュラー ウルトラマリン、サンシャイン イエローなど9色がラインナップ。いずれもベルベットのような光沢を纏った、豊かで明るい表情に仕上がっている。また、全てのカラーモデルのケースバッグは、サファイアクリスタルで構成。さらに、モノブロックケース構造による高い耐久性と耐傷性、軽量で快適な着用感もポイントだ。【詳細】トゥルー シンライン レ・クルールTM ル・コルビュジエ ※各カラー999本限定発売予定時期:2019年9月予定価格:210,000円+税カラー:クリーム ホワイト、アイアン グレー、スペクタキュラー ウルトラマリン、サンシャイン イエロー、ルミナス ピンク、パワフル オレンジ、スライトリーグレイド イングリッシュグリーン、ペール シエナ、グレー ブラウン ナチュラル アンバー<仕様>クォーツ、13石、2針、マット仕上げ ハイテクセラミックス ケース、モノブロック構造、マット仕上げ ハイテクセラミックス クラウン、カーブサファイアクリスタル、防水 30m、チタニウムケースバック、サファイアクリスタルにデジタルプリント、インデックスとRadoロゴのプリント、チタニウム3つ折れ式バックル【問い合わせ先】ラドー/スウォッチ グループ ジャパンTEL:03-6254-7330
2019年05月30日東京・品川の建築倉庫ミュージアムでは、企画展「Wandering Wonder -ここが学ぶ場-」を、2019年5月22日(水)から9月1日(日)までの期間で開催する。“学び・育ちの場”に焦点本企画展は、戦後の⺠主化とともに大きく発展を遂げてきた、日本の教育施設と生涯学習施設に焦点を当てたもの。学びの場・育ちの場と聞いて連想される場所は様々だが、幼稚園から大学までの教育施設、図書館や美術館といった生涯学習施設の枠にとどまらず、福祉施設、体験型学習施設、アフタースクール、オルタナティブアートスペースなども含め、学びや育ちの場として計画された建築作品を、全14組の建築家による計18作品21点の建築模型と、写真などの関連資料を通じて紹介する。横河健、隈研吾、シーラカンスアンドアソシエイツら出展出展建築家・作品は、横河健/横河設計工房「六町ミュージアム フローラ」、隈研吾建築都市設計事務所「愛徳幼稚園」、⻑坂大 東畑建築事務所 Méga「KYOTO Design Lab」、シーラカンスアンドアソシエイツ「流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館」など、幼稚園から美術館まで様々。少子高齢化や都市部への人口集中、グローバル社会、ワークライフバランス推進、あるいは学校教育における授業時間数の変更といった社会的な要素が及ぼす影響と共に多様化している、様々な建築空間を知ることが出来る。また、内部が一般公開されていない建築物についても、一部の作品は内部の画像をディスプレイで展示。展示室内には椅子も配置されているので、模型と画像をじっくりと見ながら、その設計意図に思いを馳せることが出来るのも、本企画展ならではの魅力の一つだろう。開催概要「Wandering Wonder -ここが学ぶ場-」会期:2019年5月22日(水)〜9月1日(日)※7月1日(月)〜7月19日(金)の期間は休館※同時開催:展示室A「ガウディをはかる-GAUDIQUEST-」〜2019年6月30日(日)会場:建築倉庫ミュージアム展示室B(東京都品川区東品川2-6-10)開館時間:火〜日 11:00〜19:00(最終入館18:00)、月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)※障害者手帳の所持者とその付添者1名は無料。入場料:一般 3,000円、大学生/専門学校生 2,000円、高校生以下 1,000円※展示室Aの観覧料含む。※オンラインチケット制。詳細は公式ウェブサイトより。<出展建築家>山本理顕設計工場横河健 | 横河設計工房隈研吾建築都市設計事務所坂茂シーラカンスアンドアソシエイツ⻑坂大東畑建築事務所 Méga梓設計川原田康子+比嘉武彦 | kw+hg アーキテクツ佐藤慎也+古澤大輔+馬場兼伸+黑川泰孝ブルースタジオ吉村靖孝建築設計事務所原田真宏+原田麻魚|MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO⻄田司+一色ヒロタカ+勝邦義+岩崎修 | オンデザイン山﨑健太郎デザインワークショップ
2019年05月10日猫が9匹もいる生活……。想像してみると家の中は汚れそうだし脱走も心配。しかし、心から猫を愛する飼い主と建築家は、人も猫も安全で快適な住まいを実現しました。そんな猫と飼い主が安心して暮らす家、神奈川・川崎市のHさん邸をご紹介いたします。■ 格子戸で猫の”動き”が自由になるもともとは犬を飼っていたというHさんとお母様。あるとき、散歩中に犬が茂みの中で鳴いている猫の赤ちゃんを見つけ、それが現在10歳になったつかさ(オス)とつくし(メス)。手前が最年長のつかさ。奥は黒猫のるい(7歳・オス)その後も捨て猫や弱っている野良猫などを見過ごせず、保護しているうちに9匹に。さすがに以前に住んでいた家は手狭になり、戸建てを購入するに至ったそう。新居は3階建てなので、猫たちに上下運動を楽しんでもらえると思っていましたが、”ドア開閉時に万一脱走したら”と思うと玄関も開けられないと思い、不便さを感じていました。そこでHさんは、猫を通じて知り合いになった「猫と建築社」の中村裕実子さんに相談し、”玄関からの脱走防止”と”キッチンへの侵入防止対策”を施すことになりました。さずがは、猫の習性を熟知している中村さん。1階廊下とキッチンに開閉時に猫がすり抜けにくく、なおかつスペースを取らない引き戸を設置。風も視線も抜ける格子戸は最適で、既存のインテリアに違和感なく溶け込むようデザインされているのもポイントです。さらにこの格子戸、両側から開閉でき、鍵も取り付けられているから安心。玄関からの暖かな光が差し込み、ホールが柔らかな雰囲気に包まれます。縦格子は軽やかで、猫がよじ登る心配もなく、猫がなめても安全な塗料を使用しています。キッチンにも格子戸を設置したことで、「安心して料理ができるようになった」とHさん。この他に、洗面所や納戸など猫の立ち入りNGの部屋は、ドアノブを縦向きに付け替えました。「危険な場所に立ち入る心配がなく、1階から3階まで自由に行き来できて、お互いにストレスがなくなったと思います」とHさん。実はお互いが知らず知らずのうちに気を遣っている、”動物との生活”。Hさん邸は、格子戸によってストレスをなくすだけでなく、猫たちが快適にそして健康に生きていけるポイントがたくさん!そんなHさん邸の猫にとっての快適な生活の工夫を見ていきましょう。キャットタワーは”突っ張り棒”タイプ!猫のいる生活と言えば、”キャットタワー”。Hさん邸のキャットタワーは、なんと天井で突っ張るタイプのもの。景色に上手に溶け込んでいるキャットタワーを紹介してくれるのは、そうじろう(9歳)です。安定感抜群のこちらは、Hさんがネットで見つけて購入されたんだとか。ポールに麻紐が巻いてあるので、好きなだけ爪とぎでき、広々ステップでくつろぎ度は満点。お部屋に溶け込むシンプルな色味で圧迫感も感じません。ついつい時間を忘れて、猫たちが軽快に動き回る姿を眺めてしまいそうです。■ 健康管理、衛生管理も万全の専用ゲージお留守番のときでも、猫たちが安全に快適に過ごせる工夫が施されています。誤って何かを口にしたり、ケガをしないように、不在時には基本的にケージで過ごてもらいます。他の猫のごはんを盗み食いしたり、不要な争いを避けるためにもなるんだそう。さらに、ケージに慣れておくと震災など、いざというときにもストレスなく過ごせるというもしもの時の備えにもなるんです。ゲージの数はなんと1匹に1個。ゲージが9つ並ぶリビングの眺めは何とも壮観です!ゲージの中はメゾネット式で、トイレとベッド、ごはん台を装備し、猫たちは自分の”部屋”をきちんと覚えているんだとか。とってもかわいいいベッドはIKEAの人形用のもので、通気用のすのこはなんとHさんの手作り。ベッドにも愛情いっぱいです。人見知りのとら(4歳・オス)はトイレに避難。猫だって自分だけのスペースは欲しいのです!「これだけ猫がいると毎日の掃除は欠かせませんが、ケージはキャスター付きなので簡単に動かせて便利です」とお母様。「うんち管理表」を作成し、9匹の体調管理をしているというHさん。2人に助けられた9匹の猫たちは、清潔な住まいで愛情に包まれて暮らしています。トップライトから光が入るダイニングで、猫たちとまったり。キャットタワーを眺めながらお茶するなんて、贅沢でうらやましい!たまにもめごとが起こる猫たちですが、お互いが適度な距離感を保って上手に生活しているそう。甘えん坊だったり、一匹狼だったり……自分のスペースをもつことで猫の“個”が尊重され、それぞれの猫がのびのびと幸せに過ごしている、Hさん邸。動物と暮らすうえで、真似したくなるポイントにあふれていました!いかがでしたか?H邸は、”動物を迎い入れるのだから…”というプレッシャーではなく、”猫も人間も主役”という思いが伝わってくるあたたかな住まい。9匹の猫たちが何とも伸びやかに過ごしている姿をみると、猫になってこのお家に住みたい……と思ってしまうほど。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2019年2月号」を参考にしてみてくださいね。リノベーション設計/猫と建築社(by design office neno1365)撮影/水谷綾子住まいの設計2019年2月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「猫だってハッピーにしてほしい!猫と一緒に暮らすための家」 【第二特集】「自分らしいインテリアと暮らしています」
2019年05月03日中村邸は、陶芸家の妻のアトリエと建築家の夫のアトリエを兼ねた職住一体の住まい。こうした機能をもたせながら、敷地面積は約16坪、さらに間口の狭い細長い敷地という厳しい条件でした。設計をした夫の高淑さんはどのように、これら条件をクリアしたのでしょうか。あらゆる面で興味深い中村邸をご紹介しましょう。■ キッチンに隣接する陶芸アトリエ中村さん夫妻の家は、間口わずか2.77m。南北に長い建物は、3階建て。その2階に妻、直子さんの陶芸アトリエがあります。まずは気になる陶芸アトリエをご案内しましょう。妻の陶芸アトリエは、2階のダイニングキッチンと同じフロアにあります。写真奥がダイニングキッチン、手前がアトリエスペースになっています。ダイニングキッチンとアトリエを仕切っているのは、視線の通るガラス。その部分に棚をしつらえてギャラリーとして活用しています。こちらが陶芸アトリエです。西側の大きな窓から光が注ぐ明るい空間。閉じこもって没頭するよりも、暮らしと創作が緩やかにつながる直子さんのスタイルが伝わってきますね。音や光、人の気配が伝わり、家事と創作の切り替えもスムーズだそうです。ここでこだわりのものといえば?無垢ブラックウォールナットの作業テーブルだそうです。塗装した天板で粘土を練るとくっついてしまうため、無塗装の板を探し、銘木の店で見つけ出しました。「陶芸は孤独な作業ですが、私の場合ひとりだと寂しくなってしまうんです。案外、人が近くにいたほうが集中できる気がしますね」「陶器は、生活で使うものがつくれるのが楽しい」と器や陶壁、アクセサリー、花器なども広く制作。ペンダントライトは高淑さんのオーダーで、高淑さんが設計した住宅に納品したもの。ドットからこぼれ出る光が楽しめます。ギャラリーとして使用する棚は、近づくとこんなふう。ガラスなので、ダイニングキッチン側からも作品を見ることができます。ちなみに直子さんは東京・自由が丘で陶芸教室を主宰しているそうですよ。■ 細長い敷地を最大限に使う間口の狭い地上3階建ての外観は、ショップのようなたたずまい。「時代や用途に合わせて住宅以外にも転用できる設計で、長く生きる建築を目指しました」と高淑さん。右隣の建物も高淑さんが設計しただけあり、2棟の建物はぴったり調和が取れています。木とコンクリート、ガラスのミックスが共通していますね。さて、どのように難しい土地の形状を克服したのでしょうか。間口は2.77mで、縦に長く、奥行きがあります。特徴としては、ガラス面が多いことが分かりますね。やはり構造がポイントでした。細長い敷地を有効に使うため「薄肉ラーメン構造」を採用しています。左右に見える偏平な木製壁柱がフレームになって支えるため、室内に柱型や梁型、耐力壁が現れず、広く使えるのです。構造体である壁柱以外の壁はすべてガラスを使い、間仕切り壁も最小限に。どこにいても視線が抜け、広がりを感じさせてくれます。では、他の部屋はどのようになっているのでしょう。3階はプライベートなフロア。主寝室にも、窓からたっぷり光が注ぎます。寝室側から北側を見たところ。ガラス窓とまっすぐな廊下により視線が抜けます。廊下の右手にゲストルーム、奥の扉の先にバスルームとトイレがあります。バスルームと洗面室、トイレは壁や廊下を設けずワンルームに収め、狭さを感じさせない設計に。洗面室は2面をガラスにして光を取り入れ、広がりも演出。カウンター下に洗濯機をビルトインし、背面に室内干しスペースを設けて家事動線に配慮しました。日当たりがよくて、愛猫もウトウト。「お気に入りはベッドの上。窓から光が入ってポカポカするの」■ ギャラリーも兼ねる多目的ガレージ1階はガレージとガレージ奥に高淑さんのアトリエ、という構成。1階はRC造です。柱型が現れないため、間口が狭いながらも愛車のポルシェが収まるガレージを実現しました。ガレージはギャラリーやイベントスペースも兼ね、夫妻で2人展を開催したりガレージセールを開いたこともあるそうです。黒い螺旋階段が、より空間をシャープでおしゃれな印象に。右手の壁は、直子さん手焼きの陶壁で、微妙に色の違う陶板が繊細なグラデーションを描きます。ポルシェの赤が映える空間ですね。こちらは1階奥の高淑さんのアトリエ。コンパクトながら収納するものを徹底的に採寸し、ぴったり合う家具を造作しているため必要十分な空間。打ち合わせには2階のダイニングを使うこともあります。設計から引っ越しまで2年を要したという高淑さん。間口の狭い敷地をいかに有効に使うか、何度も模型をつくって検討を重ねたそうです。敷地を存分に有効活用したお宅ですが、ガレージがイベントスペースになったり、ダイニングが打ち合わせ場所になったりと使用目的を定めないことでも、実際の面積以上の広がりを感じさせるんですね。練りに練った設計によって、仕事も暮らしも快適かつスムーズな中村邸でした。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年7-8月号」を参考にしてみてくださいね。設計/中村高淑(unit-H 中村高淑建築設計事務所)撮影/桑田瑞穂住まいの設計2017年7-8月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「安心!安全!高品質! 信頼で選んだハウスメーカーの家」 【第二特集】「毎日元気になれる『趣味の家』」
2019年03月21日今回訪れたのは、神楽坂にお住いのKさんご夫婦のおうち。これから先のライフスタイルを考え、こだわりを詰め込めるフルリノベーションを決意。〔ブルースタジオ〕に依頼し、資産価値を考慮しながらも、愛犬のチルちゃんと一緒にゆっくり過ごせるお家を作りました。2人がフルリノベーションでこだわった事とは?すてきなお部屋の様子とともにご紹介していきます。コンセプト決めからしっかりと。将来的な価値も考えた、愛犬のためのこだわりの家玄関には壁一面の黒板ボードが。奥様が描いた愛犬のチルちゃんのイラストがお出迎え。東京・神楽坂にある、「chillvill」と名付けられたKさんご夫婦のおうち。その名の通り、愛犬のパグ・チルちゃんとともに、家族みんながくつろぐために作られました。K邸 リビング、キッチン、ダイニングご夫婦は理想の住まいを実現するために、〔ブルースタジオ〕でフルオーダーのリノベーションをすることにしました。「家を買っても、ずっと住み続けるとは言い切れません。将来的に家を売る可能性も考慮に入れてオリジナルな家にしていかないと、住宅の価値は下がってしまうだけ。資産価値が下がらないようにするというのも、フルリノベーションに決めた理由のひとつでした」とご主人はいいます。そんなご夫婦の意向を踏まえ、〔ブルースタジオ〕では手放す場合も視野に入れて、購入するエリアや、デザインについてもアドバイスをしてくれたそうです。〔ブルースタジオ〕の賃貸物件で育まれた、暮らしに対する考え方Kご夫婦が以前住んでいた《青豆ハウス》。全8世帯が入居できる共同住宅は2棟の建物が共同のテラスで繋がる。住民同士の交流が生まれることで、自然とコミュニティが育まれる。画像提供:ブルースタジオもともと〔ブルースタジオ〕が設計した新築賃貸物件、《青豆ハウス》に4年間住んでいたというご夫婦。隣近所との付き合いも密な暮らしをしていくなかで、今までになかった“暮らしの価値観”が生まれたといいます。「以前は駅からの距離や広さなど、住むのに十分なスペックがあればいいと思っていましたが、《青豆ハウス》に住んでからは、暮らしを大切にしたいという思いも生まれるようになりました」とご主人。自分たちにとっていいライフスタイルは何か?を考えるきっかけになった《青豆ハウス》での暮らしのエッセンスは、お部屋の随所に取り入れられています。「スキップフロアに繋がる階段は、段差があることで日常にさまざまなシーンが生まれた《青豆ハウス》を意識して設計してもらいました。今でも《青豆ハウス》の住人たちとは交流があって、家に遊びに来てくれたときに、こういった部分から“青豆っぽい”って感じてもらえるのは嬉しいですね」と、ご主人。一方で玄関にあるシューズクロークの壁は、濃いピンク色に塗り空間のアクセントに。「青豆ハウスでは入居したときに、住人たちで力を合わせて壁に色を塗ったんです。そういった経験もすごく思い出深くて。その経験を思い出させてくれるように色を取り入れました」青豆ハウスでは、入居時に入居者の手によって壁が塗られた。画像提供:Kさん住まいをより楽しむきっかけになった《青豆ハウス》の思い出は、ご夫婦にとってかけがえのないもの。そんな思いも大切にしながら、家づくりを進めていったと言います。ひとつづきの空間に、家族のお気に入りスペースを床は犬が汚しても交換しやすいタイルカーペットを使用。コーディネートが難しい色や素材選びは、インテリアにも詳しい担当者がいたから安心して進められたそう。もともと「チルが自由に走り回れるように、広いLDKがあるといいな」と考えていたご夫婦。仕切りのない広々とした空間の中に、家族と愛犬それぞれにとってのお気に入りスペースを作りました。ご主人のお気に入りはスキップフロアのホビースペース。以前はリビングでゲームをしていたそうですが、テレビを見たい奥様と取り合いになることも。そこで、ご主人専用の趣味のスペースを作ってもらったといいます。「趣味に没頭できる上に、完全に分離させる形ではないから、お互いの存在を感じられるのもいいですね」通常のマンションは平面的な空間ですが、スキップフロアなどをつくることで立体的な空間に。ひと続きのリビングも、高さを変えることで暮らしの中に多様なシーンが生まれます。そんな秘密基地のようなスキップフロアは、男性たちの憧れ。来訪した友人からも羨ましがられることが多いそうです。K邸 ダイニング、キッチン一方で、料理が好きだという奥様のお気に入りが「キッチン」。「本当は広々としたオープンキッチンにしたかったけれど、配管の問題で柱が残ってしまったんです。キッチンの収納も、背が低いので高いところに取り付けたくなくて。どうしたらいいか担当の方といろいろ考えた結果、柱周りを収納として活用できるようにしました」と、全てが予想通りに行くわけではないリノベーションの問題をクリアしながら、理想へと近づけていきました。そして「できてみると意外と使い勝手が良くて、ホームパーティーをするときも便利」という納得の仕上がりに。床は黄色く、配管の通った柱は温かみのある木材を使用。海外のおうちのようなオシャレなキッチンに仕上がっています。スキップフロアの下は愛犬の部屋に。そして3つ目のお気に入りが、愛犬の「チルちゃんのお部屋」。スキップフロアの下のスペースを有効活用し、チルちゃんが落ち着ける空間に仕上げています。壁は爪でガリガリしても目立たないように、OSB材を使用。汚れても拭き取りやすいという機能性もありながら、インテリアのアクセントにもなっています。小型犬のグルーミングも楽にできる洗面所。洗面所には、チルちゃんのグルーミングがしやすいように、深い洗面台を設置。フルオーダーのリノベーションだからこそ、細かな要望を反映させられたのだとか。お気に入りの街で暮らしを楽しむ。家族にとって大切な拠点にK邸 スキップフロアから見たリビング。「フルリノベーションのいいところは、幅広い選択肢の中から自分たちにとって一番ベストな方法を選べるところ。見た目は個性的に仕上がっていますが、ベーシックな住みやすさは大切にしました」と、住まいと暮らしの最適なバランスを探っていったKさんご夫婦。そんなすてきな拠点を得た上に、お部屋を出ればご夫婦が大好きな街に繰り出せるのも、お気に入りポイントなのだとか。おうちの中だけでなく、周辺の環境も含めて暮らしを大切にしていくという視点を持つことも、幸せな住まいづくりの秘訣かもしれません。〔ブルースタジオ〕公式ウェブサイトはこちら●取材協力株式会社ブルースタジオ●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2019年03月20日3月15日発売の「住まいの設計2019年4月号」では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する4回目の連載が掲載されています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は、四方を建物に囲まれた旗竿敷地で快適に暮らす、浜崎一伸さんのお宅を取材しました。■ 2つの中庭にはさまれ借景の緑も楽しめる開放感あふれる空間周囲を住宅に囲まれた旗竿敷地にRC造の平屋を建てた浜崎一伸さん。「最初にここに来たとき、『本当に囲まれているな』と思いました。真ん中だけポツンと残った状態で、どう建てても周りは迷惑だろうな、と。それで平屋にしました」と語ってくれました。「旗」の部分に配された平屋には、2つの中庭が。1つは屋上への階段がある中庭で、もう1つには大きなシマトネリコが植えられています。その2つにはさまれるようにあるのが、リビングダイニング。「中庭から光が入るので、室内は明るくて気持ちがいいですね」と田中さん。ダイニングの横長の窓からは、隣の庭の緑を借景として取り込んでいます。「あっちの緑も、光が差して影がカッコいい!」と、田中さんはリビング側のコンクリート壁に設けられた窓を指していました。■ いろいろな楽しみ方できる!高低差のある屋上次は、中庭の階段を上って屋上へ。「気軽に屋上に行けるのって、大事なポイントだと思います」と、上りながら語る田中さん。部屋ごとに異なる天井高を反映して高低差が生まれたルーフテラスは、芝生スペースに菜園、ウッドデッキの物干し場と、変化に富んでいます。「寝室のロフトからも屋上に出られるので、子どもが小さい頃はよく友達と鬼ごっこをしていました。階段を下りて、またロフトから出てきて。今は、ロフトの窓からそれぞれ部屋に乾いた洗濯物を投げ入れています(笑)」と浜崎さん。浜崎さん自身も、芝刈りや菜園の水やりなどで、頻繁に屋上に上がるそう。「いろんなところから気軽に屋上に行けるのもいいし、ご近所との関係性もちょうどいい感じですね」(田中さん)。こちらは、中庭を見下ろす田中さん。中庭の両サイドのサッシはフルオープンになっていて、室内に光と風を行き渡らせています。各部屋から眺められるシンボルツリーのシマトネリコは、ルーフテラスの上にも大きく枝を伸ばして成長中!■ 階段のある中庭で仕切られた仕事スペース階段のある中庭の南側は、浜崎さんの仕事場。玄関脇の仕事場も中庭によって明るい空間になっています。中庭で分けつつ、居住空間との回遊性も確保。■ ゲートの道路側のフェンスには半透明のガラスを採用田中さんが立っているガラスフェンスの手前は“ミニ生産緑地”の予定地で、実現したらガラスのフィルムをはがして緑を見せる予定だそう。「この半透明のガラスも、圧迫感がなくていいと思います。」と田中さん。家を見終わった田中さんは「庭や中庭、屋上も広々していて、大変魅力的だった」と満足気でした。もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2019年4月号」をご覧ください!【取材協力】株式会社And Associates東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 FLAT4代表の浜崎一伸さんは、1969年香川県生まれ。’93年東京大学工学部建築学科卒業、’95年同大学大学院修士課程修了。竹中工務店、谷口建築設計研究所(出向)などを経て、2010年よりAnd Associatesを主宰。撮影/水谷綾子住まいの設計2019年4月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「家族のシアワセのときが流れるキッチン&バスルームあります」 【第二特集】「HOUSE with SMALL SHOP小さなお店のある暮らし」
2019年03月15日前の家のものを残して使うNさんのお母様が暮らしていた築50数年の家を取り壊したのが3年前。設計を依頼した若原さんに、解体作業の前にその古い家を見てもらったことがN邸のあり方を決めるうえで大きなポイントとなった。「若原さんが“まずは見に行きます”って言ってくださったんですね」と話すのは奥さん。N夫妻は建て替えに際して、前の家のものを何か残して新しい家で使うとは思ってもみなかった。また、前の家のイメージをどこか引き継ぐような家にしてほしいという要望もなかったという。若原さんによるとそれは、「残す残さないは別として、前の家がどういうものだったのか設計をする前に見ておきたかったし、ただ更地にして新しい家を建てるのはもったいないかなと思って発した言葉だった」と話す。1階道路側の窓。解体された家の窓をそのまま使っていて、昭和中期頃のレトロな雰囲気が漂う。周りの壁などの木はこのサッシの色味に合わせて塗装が施されている。家を実際に見た結果、応接間に使われていた窓の一部を残すことに。「前の家でいちばん印象的だった」と奥さんが言うその窓は、現在は国内生産されていないガラスが木のサッシにはめ込まれている。1階道路側の窓で使われることになったこの窓は、柔らかな凹凸がつくり出すラインが水平に並んだガラスと、焦げ茶色の木のサッシとのコンビネーションで、昭和のレトロな雰囲気を醸し出している。竣工する少し前、はじめてこの家を訪れた息子さんが一目見て思わず、「あ、おばあちゃんちだ!」と言ったそう。これはこの窓を見ての発言だったという。応接間をぐるりと囲んでいたこの窓は、N家の人たちにとって前の家のイメージを代表するものだったのだ。書をマグネットで留められるように壁の最上部にフラットバーが取り付けられている。焦げ茶色の壁は書道紙を留めたときにコントラストがついて書がより映えて見える。リビングの天井に開けられたトップライトが手前の北側のスペースにまで光を注ぐ。家を開くこの窓が設置されたスペースは焦げ茶色の木の壁面が特徴的だが、これは奥さんが書道をされる関係でまずは計画されたもの。「書道教室を必ずしようとまでは決心が固まっていなかったんですが、個人で書くための場所はほしいと話をしている中で、それであればリビングとつなげることで書道教室をすることもできるし、別の用途にも使えるといったご提案をいただいたんです」若原さんの提案は、Nさんが定年になってずっと家にいるようになることも見越してのものだったと話す。「“家を開く”というか、書道教室をやるためだけのスペースではなくて、たとえばご主人が趣味のサークルに入ったらその会合に使ってもいいし、展示スペースとして貸すこともできるような、外へと開かれたスペースとして計画しました」パブリックな用途にも使用することが想定されている手前のスペースとリビングは低い壁でゆるやかに分節されている。白い壁には漆喰が塗られているが、Nさんはこの漆喰壁に当たる光の感じが素敵で気に入っているという。住宅にしては大きな気積をもつ空間。これはNさんのお母様が描かれた「秋の日」という日本画作品をかけるために大きな壁面が必要だったためだが、同時に多人数の人が来ても対応可能な空間となった。日本画とピアノと松ぼっくり残したのはガラス窓だけではなかった。Nさんのお母様が自身で描いた日本画のうちの1枚がリビングの壁にかけられているのだ。若原さんも加わって大量に遺された絵を片づけているうちに、やはり何枚かは取っておこうと決まった。また打ち合わせ時にお母様にまつわる思い出話が盛り上がる中で、厨子を置くコーナーをつくること、そして1962年頃にイギリスで購入されたという古いピアノを絵と厨子の近くに置くことも決まっていった。厨子には木彫作家のクロヌマタカトシさんに彫ってもらった松ぼっくりがおさめられている。これは葬儀の際には棺の中に入れてほしいというくらい松ぼっくりが好きで、海外滞在時も含めて膨大な数の松ぼっくりを収集していた故人を偲ぶものだ。「結局、窓と絵とピアノと松ぼっくりとが集合することになって、日常の生活の中でもお母さんの影というのか存在を感じられるスペースになったのではないか」と若原さん。テーブルはこの家のために製作されたオリジナル。リストアされて新品同様に見えるピアノの右隣には厨子の置かれたコーナーがつくられている。奥さんがとても好きだという庭。大きな窓を通して庭を体感することができる。窓の上部が壁から突き出て段状になっているがこれは「リビングのある空間の断面のプロポーションが最後までしっくりこなくてスタディを重ねた結果」できたもの。1962年頃、Nさんのご両親がイギリス滞在時にハロッズデパートで買い求めたドイツ製のピアノ。リビングの開口近くから見る。左手にキッチンがある。厨子の中にはお母様が大好きだった松ぼっくりを象った彫刻がおさめられている。最初から懐かしい家この家に越してきてから4カ月ほどだが、奥さんは新築であるにもかかわらずどこか懐かしい感じがするという。「不思議な感覚ですが、それがすごく楽しい。あと、素人にはこのような家になるとは想像もつかなかったんですが、メリハリがあって広いところとこもることのできる空間の両方があるのもすごく楽しいですね」Nさんはリビングの空間がとても落ち着けて好きだという。さらに「この裏庭に向けて開いた窓の上の段になった部分が一見無駄なように見えながらすごく味があってとてもいいです。夜、光が当たるとまたこれがいいんですよ」と話す。新築の家はなじむまで時間がかかるものだが、N邸は越してきた当初から「落ち着けて」また「懐かしい」。これはN邸が前の家とお母様の記憶をしっかりと継承しているからこそなのだろう。1階のダイニング・キッチン。コンパクトにデザインされたテーブルのスケール感も良く落ち着く空間となっている。ダイニング・キッチンからリビングスペースを見る。リビングからダイニング・キッチンを見る。キッチンはリビングからでも火元が見える位置に配置してもらった。書道教室などで左の空間が使われているときのために、プライベート空間にダイレクトに行ける動線を用意した。2階に上って左手にある空間。手前左側が奥さんの部屋で奥がNさんの部屋。Nさんの部屋にはハイサイドライトから光が入る。奥さんの部屋を仕切った状態。奥に見えるのが息子さんの部屋。家族全員が「小さなスペースで十分」ということから、2階の個室はコンパクトに納め、その分、1階のリビングを広くした。N夫妻は「漆喰や木などを使って自然な感じにしてほしい」という希望は持っていたが、このような空間になるとはまったく予想をしていなかったという。左側とのバランスを考え右の部分を思い切って高くデザインした。ご近所では「塔のある家」と言われているという。手前の窓ガラスは強度が不足していて割れやすいため、内窓として使用している。N邸設計若原アトリエ所在地神奈川県藤沢市構造木造規模地上2階延床面積101.92㎡
2019年03月13日20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ。彼の建築作品で世界文化遺産でもある国立西洋美術館(本館)で、ル・コルビュジエの絵画とそのルーツに迫る展覧会『ル・コルビュジエ絵画から建築へ—ピュリスムの時代』が開催されている。『ル・コルビュジエ絵画から建築へ—ピュリスムの時代』()
2019年02月26日展覧会「インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢」が、2020年1月7日(火)から3月15日(日)まで、大阪の国立国際美術館にて開催される。「インポッシブル・アーキテクチャー」展では、完成に至らなかった建築の構想や、あえて提案に留めた刺激的な建築のアイディアに着目。一口に“未完”=“アンビルト”といっても、実現しないまま残された建築案の数々は、必ずしも無理難題な構想であったわけではない。未来に向けて夢想した建築をはじめ、技術的には実現可能であっても社会的条件や制度により作られなかった建築、実現よりも既存の制度に対して批評精神を打ち出す点に主眼を置いた提案など、豊かな発想で練り上げられた多彩なアイディアを紹介。結果的に“未完”に終わり、不可能と認識されたアイディアに目を向けることで、逆接的に建築における極限の可能性や、ポテンシャルを浮き彫りにしていく。会場では、安藤忠雄やザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV、広島市現代美術館の設計者でもある黒川紀章、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、岡本太郎、ダニエル・リべスキンドといった約40人の建築家・美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」を紹介。図面、模型、関連資料などを通して、未だ見ぬ新たな建築の可能性を模索する。【詳細】インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢会期:2020年1月7日(火)~3月15日(日)※会期中に一部展示替えあり。前期 1月7日(火)~2月9日(日)/後期 2月11日(火・祝)~3月15日(日)休館日:月曜日(ただし、1月13日(月・祝)、2月24日(月・休)は開館し、翌日休館)場所:国立国際美術館住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55開館時間:10:00~17:00 金曜・土曜は20:00まで ※入場は閉館30分前まで観覧料:一般 900円(600円)、大学生 500円(250円)※( )内は20名以上の団体料金※高校生以下・18歳未満無料(要証明)※心身障がい者とその付添者1名無料(要証明)※本料金でコレクション展も観覧可能。※夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00~20:00)は一般 700円、大学生 400円。■主な出品作家(アルファベット順)会田誠、安藤忠雄、荒川修作+マドリン・ギンズ、アーキグラム、ヤーコフ・チェルニホフ、ヨナ・フリードマン、藤本壮介、マーク・フォスター・ゲージ、ピエール=ジャン・ジルー、ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV、ジョン・ヘイダック、ハンス・ホライン、石上純也、磯崎新、川喜田煉七郎、菊竹清訓、レム・コールハース/OMA、黒川紀章、ダニエル・リベスキンド、前川國男、カジミール・マレーヴィチ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、村田豊、長倉威彦、コンスタン(コンスタン・ニーヴェンホイス)、岡本太郎、セドリック・プライス、エットレ・ソットサス、スーパースタジオ、瀧澤眞弓、ウラジーミル・タトリン、ブルーノ・タウト、ジュゼッペ・テラーニ、山口晃、山口文象(岡村蚊象)■関連イベント例磯崎新(建築家)×浅田彰(批評家) 対談開催日時:2020年2月15日(土) 14:00~会場:国立国際美術館 地下1階講堂※参加無料、定員130名※要事前申込。往復はがきに「郵便番号・住所/⽒名(1枚につき1名)/電話番号」を記入、返信面に必ず住所・名前を記載の上、下記宛先に応募。抽選となった場合、結果は1月24日(金)頃に復信はがきで通知。応募宛先:〒530-0005 ⼤阪市北区中之島4-2-55 国⽴国際美術館「2⽉15⽇対談」係 ※1月17日(金)締切※消しゴムで消えるボールペン・鉛筆の使用は不可。※その他詳細・イベント情報は国立国際美術館公式ホームページに記載。【問い合わせ先】国立国際美術館TEL: 06-6447-4680(代表)
2019年02月22日スペインの南部、アンダルシアにはパティオ(中庭)のある家が一般的です。パティオという中庭は、スペイン建築でよく見られます。なぜ、パティオ(中庭)のある家が多いのかを考えてみました。■ アンダルシアの古い町並みは、細い道が特徴アンダルシアの夏は暑いことで有名です。午後3時くらいが最高気温で、45度になるなんてしょっちゅう。2018年の夏、メスキータがあるコルドバは52度を記録しました。そのように暑いアンダルシアでどうやって生活しているの?と思う人も多いのではないでしょうか。実は意外に家の中は涼しいのです。その秘密は、細い道。細い道だから、家と家があまり離れていません。そのためお互いに影を作り合うのです。おまけに古い家は、分厚い壁で覆われています。壁の厚さがなんと60cmもあるため、外の温度に左右されません。外壁が白いのは、細い道で影を作りあっても光を反射して、暗くならないようにしているのです。■ 家と家が近くにあっても中庭を作れば影ができる!いくら道を細くしても家が庭で囲まれていては当然、家と家の間隔が広くなってお互いに影を作れません。家と家をくっつけて建造し、真ん中に庭を作ること、これがパティオ(中庭)の始まりなのでしょう。数件がパティオを共有しているところもあります。古い学校や病院、市場にもパティオがあり、くつろぎ空間を作っています。■ パティオを飾るのがアンダルシアの楽しさパティオは建物に囲まれているため、車道とは切断されています。それは、干して貯蔵する食材を作るためにも有利です。昔は特に舗装されていない道を馬車が走ると埃が舞い上がったことでしょう。そのため、アンダルシアでは赤ピーマンなど野菜類を干して貯蔵する習慣が多いのです。例えば、私の住んでいるハエン県では赤ピーマンだけではなく、豚肉のロース肉にお塩をしっかりまぶして干します。これはもちろん冬だけです。アンダルシアというと年中温暖だと思う人も多いのですが、冬は0度を切るほど寒くなります。壁の鉢植えに水やりをする方法(コルドバの街にある彫刻)パティオの長所は、ほかにもあります。外側に庭ですと外からの視線が気になりますが、パティオならパジャマのまま水やりをしていても問題ありません。外にテーブルを置いて食事をしても外から見えるわけではないというのもメリットです。そして暑い時期になるとギラギラ太陽で枯れてしまう花たちが元気に花を咲かせ、冬の間太陽不足で花を咲かせない植物も白い壁の反射で太陽の光がたくさんあり1月でもゼラニウムの花が咲いています。その土地にある家の形にはやはり理由があるのですね。伝統的なことには意味があるようです。確か京都にも中庭文化がありました。京都には京都の理由があるのでしょう。長所がたくさんあるパティオ。新しく家を考えるときに取り入れてみてはいかがでしょう。きっと素敵な空間が作れますよ。
2019年02月19日今回は、女性一級建築士である筆者が、失敗しない間取りにするために注意すべき3つのポイントについてお話いたします。家を建てる際に間取りを決められないという人は意外と多いようです。1年近くも打合せしても、なぜか堂々巡り……。どのようにすれば、理想の間取りにすることができるのでしょうか?■ 1.インターネットの情報だけに踊らされない!Mills / PIXTA(ピクスタ)インターネットの利用によって、多くの人が、家に関しての情報を得ることも、発信することもできるようになりました。リビングにサンルームを造ったら、室内物干しができて便利だった!玄関に、キッチンからも出入りできる収納をつくったら、家事が楽になった!上記のような「便利だった!」「よかった!」という情報を、我が家にも取り入れたいと思うことは、決して間違ってはいません。しかし、家の設計は、敷地や道路、方位、法令などの条件から作成していくため、まったく同じ条件の家はありません。そのため、取り入れたい間取りが、自分の家で可能であるとは限りませんし、無理に取り入れたことで、別の場所が使いにくい間取りになることもあるのです。インターネットの情報は、参考程度にして、設計者や施工者など、専門家の意見を大切にしましょう。マハロ / PIXTA(ピクスタ)■ 2.間取りへの要望は「引き算」で考える!プラナ / PIXTA(ピクスタ)「明るくて広いリビングダイニングがほしい」「庭でバーベキューがしたい」「書斎がほしい」「家事コーナーでよいから、私専用のスペースがほしい」。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)このように、家族それぞれの希望はたくさんあると思います。しかし実際には、敷地や予算の制限から、ご家族すべての希望をかなえるのは難しいのが現状です。間取りの要望をまとめて設計者に伝えるには、以下のようにするのが最適です。まず初めに、家族それぞれが自由に、家への要望を紙に書きだす家族で重なった要望は、「家に求めるもの」として残す要望が重ならない、または意見が拮抗するものは、引き算をして要望から消していく残った要望を紙にまとめ、設計者に渡すRina / PIXTA(ピクスタ)こうすることで、家族の思いもまとまりやすく、また設計者にも「家に求めるもの」のイメージが伝わりやすくなります。また、同時に「家に求めないもの」も補足として伝えてみてください。余計なところにお金をかけない配慮が可能になり、具体的な家へのイメージが設計者に伝わります。■ 3.専門家のセカンドオピニオンを聞く要望を整理し、設計者に伝えたけれども……、なかなか希望通りの間取りにならない、間取りにピンと来ない場合も多いと思います。そんなときは思い切って、専門家のセカンドオピニオンを聞く方法もあります。IYO / PIXTA(ピクスタ)病院と並び、建築の世界も、専門家によるセカンドオピニオンを聞くことが普通になってきています。そして設計事務所や不動産コンサルタント事務所では「間取り相談」や「間取り診断」を実施しています。「間取り相談」のメリットとしては、建築士が変われば、まったく違う間取りができることが多いデメリットとしては、今の設計者との空気感が、若干、悪くなる場合があるなどです。こちらの図面は「間取り相談」を行う前のものです。セカンドオピニオンの意見を参考に建物の大きさや配置は一切変えずに、間取りだけ変えると以下のようになりました。ここまで間取りを変えることができます。いかがでしたか?マイホームへの夢は、十人十色、さまざまです。間取りづくりのポイントをおさえ、後悔や失敗のないマイホームづくりを進めてくださいね。(しかまのりこ)
2019年02月18日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。ほぼ諦めていた「建築条件外し」がとんとん拍子に実現してしまい、愛する新宿の土地を手に入れられることになり、喜びと戸惑いが冷めやらぬ鳥夫婦です。■ 営業Sさんは最後までやり手さて、晴れて新宿くんと結婚できることになった鳥夫婦。Sさんから電話を受けた一週間後にはY社へと伺い、「建築条件外し合意書」に判を押しに行きました。Sさん「保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)には何か話されました?」鳥夫婦「いいえ、まだ何も。近々謝罪の電話でもしようかと思っていたのですが……」Sさん「あ、それは、ちょっと、待っていてもらえますかね?」Sさんの指示通り、その後はR社に何もアクションしないようにしていました。そして次にR社の人と接することになったのは、土地決済日。銀行の来客室にて、R社の設計部長さんと久しぶりにお会いしました。設計部長さんさんは鳥夫婦の顔を見るなり立ち上がり、「このたびは、大変申し訳ございませんでした!」と謝罪されました。ビックリしてしまい、「いえいえ、とんでもありません!こちらこそ……」と慌てて鳥夫婦も頭を下げました。この状況から、Sさんが、すべて、うまくやってくれたのだと察しました。きっと「R社の方が良くなかった」という流れに持って行ってくれたのでしょう。だから建築条件外しの土地代も請求されなかったのかもしれません。本当にSさんには良くしていただきました。竣工の暁には、Sさんに写真と御礼メールを送らせていただこうと思いました。(しかし竣工後にメール送ったところ、宛先不明で返ってきてしまいました。残念ながら転職されていたみたい)また、保奈美さんには会わないまま「保奈美さんにも、申し訳なかったとよろしくお伝えください」と設計部長さんに伝える形で終わりました。■ なぜ土地代アップなしで建築条件外しができたか?個人的な状況なのでお役に立たないと思いますが、一応、今回のありがたい結末を迎えた要因について、まとめておきます。以下がSさんからお聞きしたもの。今回の分譲地は、諸事情あり、手続きの結果によっては分譲の話自体がなくなるリスクがあったので、そもそもR社が弱腰だった(当初の契約書にも、もし分譲不可能になっても了承するよう記載されていた)最初から「建築条件を外せ」と要求していたら、おそらく土地代アップを求められていただろうが、鳥夫婦も検討した上での要求であったY社は老舗、R社は新しい会社であり、つながりで成り立っているこの業界でY社の立場は強かった(R社はいつも非公開で仲介業者に売ってもらっている)R社社長とマブダチの反町(隆史似の)支店長が、ちょうど2か月前にSさんの支店に配属されてきたのもラッキーだった以下は鳥の思う、その他要因。複数棟を同時設計&施工することによるコストダウンが得られず、1棟分だけまた新たに客を探して設計し直し&施工するのは、R社としてもやりたくなかったのではないかR社がちょうど今後の経営方針に「個人住宅の注文住宅設計に力を入れていく」と打ち出していたので、社内的に「設計力を高めよう」「設計力がないといけない」という自省の雰囲気があったのではないか老舗のY社、やり手のSさんに担当してもらえた地縁があったということで、ほとんど運によるところが大きいですかね……。でもね、ジタバタ努力すると、運が(同情して)向いてくれると思うんですよ!(鳥)
2019年01月18日1月15日発売の「住まいの設計2月号」では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する3回目の連載が掲載されています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は、緑に囲まれた落ち着いた住宅街に溶け込むように建つ、建築家・佐藤重徳さんのお宅を取材しました。■ 大開口により感じつつ薪ストーブの温もりに包まれる佐藤重徳さんは12年前、長女が小学校に入学したのを機に土地を購入し、RC造3階建ての家を建てました。「緑が多い住宅地ですけど、ちょっと面白い立地ですよね」と田中さんが言うように、北と南の2つの道路に挟まれている敷地。「せっかく道が2つあるから、トンネルのような家にして両方の道とつなげようと思いました。近くの公園とも緑を通してリンクすれば、大きな居住地になると。街並みに楽しく緑を提供。環境をつくることも建築家の仕事ですから」(佐藤さん)。「薪ストーブはどうですか?」と田中さんが尋ねると、「南の大きなガラス面から冷気が下りてくるので、薪ストーブの暖かさで空気のバリアをつくっています。最新の薪ストーブはとても性能がよくて、快適」と佐藤さん。剪定した庭木も薪に使うと聞いた田中さんは、「無駄がなくて、めちゃくちゃいいじゃないですか!」と大絶賛。「ヨーロッパやアメリカでは、車と同じように薪ストーブの性能検査があるんです」(佐藤さん)との話に興味津々の田中さんでした。■ 吹き抜けに浮かぶ「ブリッジ」が空間のダイナミックさを強調!ブリッジからLDKを見下ろし、「これだけ大きな“抜け” があると、かなり開放的ですね」と、田中さんがその眺めに圧倒されていると、「うちの両親は、『ここに部屋が2つはつくれる』って言うんです(笑)」と、2階から奥さんの声。「たしかに2部屋つくりたくなる気持ちも分かりますけど(笑)、あえて思い切って“抜く” ことで余裕が生まれて、こんなに気持ちいいっていうことを、みんなにぜひ分かってほしい!」と田中さんは力説していました。「南側の隣家は幸い2階建てですが、将来3階建てが建つ可能性もあるので、そうなっても採光できるように吹き抜けを設けています」(佐藤さん)。3階北側には子ども室が配されており、吹き抜けに面した通路には本棚とデスクを設置した家族共用のライブラリーを配置しています。また上部には、トップライトが設けられています。「この家は自然の光をたくさん取り入れていますね」と田中さんが言うと、「本が日焼けしちゃうので、トップライトにすだれを掛けたほうがいいかなと思っています」と佐藤さん。トップライトには屋根に出られるようハッチが設けられており、佐藤さんは自分でガラスや煙突の掃除をしているそうです。こちらはブリッジからLDKを眺めた写真。南面の大開口が開放感をもたらすリビングダイニングは、窓を開けると外にいるようです。さらに、佐藤さんがデザインした円形のダイニングテーブルが、四角い空間にやさしい表情を与えています。■ 鳥のさえずりと植栽の緑にホッとひと息するバルコニーこちらは南の庭に植えられた2本のシマトネリコの緑が美しい、リビングからの眺め。バルコニー越しに見える緑がとてもきれいです。バルコニーの庇は2階が深く、3階は浅めにすることで、夏の日差しをカットし冬は奥まで光を取り入れている。「鳥の巣箱にシジュウカラが来るんですって」と田中さん。3階にも2階と同様にバルコニーが設けられており、窓拭きが可能。田中さんはちょっと怖そうでしたが、街を見渡すこともできます!もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2019年2月号」をご覧ください!【取材協力】佐藤重徳建築設計事務所東京都府中市府中町1-30-2-101年生まれの佐藤重徳さんは、レミングハウス(建築家・中村好文氏)勤務を経て、’97年に佐藤重徳建築設計事務所を設立。住宅のほか、保育園の設計、家具デザイン、薪ストーブの開発などを手掛けている。撮影難波雄史住まいの設計2018年12月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「猫だってハッピーにしてほしい!猫と一緒に暮らすための家」 【第二特集】「自分らしいインテリアと暮らしています」
2019年01月15日フランスを拠点に世界で活躍する建築家・田根剛の西日本での初個展「田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the FutureーImage & Imagination」が、2019年1月19日から3月10日まで、福岡・三菱地所アルティアムにて開催される。フランスを拠点に世界各地でプロジェクトを進め、現在幅広い注目を集める気鋭の建築家・田根 剛。20代の若さでドレル・ゴットメ・田根(DGT.)として〈エストニア国立博物館〉の国際設計競技に勝利し、選出から約10年の歳月を経た2016年秋に同プロジェクトが竣工を迎えるなど、国内外の注目がさらに高まっている。また、2012年に行われた新国立競技場基本構想国際デザイン競技(ザハ・ハディド案選出時)に参加し、11人のファイナリストに選ばれた〈古墳スタジアム〉は幅広い層に知られるきっかけとなった。2017年のDGT.解散後はAtelier Tsuyoshi Tane Architectsをパリに設立し、活動の場をさらに広げている。場所の記憶から未来を発想する「Archaeological Research(考古学的リサーチ)」の手法で進められる田根のプロジェクト。そのリサーチは、個人や歴史上の事実にとどまらず、時間や場所に蓄積する記憶、それらの断片が結びつき生まれる記憶を対象としている。「Image & Imagination」と題した本展では、眼に見えるイメージを手がかりにリサーチを行いながら、まだ見ぬ建築へのイマジネーションへと飛躍させる田根の思考と考察のプロセスを、数々の資料や模型、映像を通して紹介する。「記憶は現在を動かし、未来をつくる」という信念にもとづいた田根の創造は、都市の担い手である私たち一人一人にとって建築のもつ力や使命、未来への可能性を考えるきっかけとなるだろう。初日の1月19日には、田根が登壇するトークイベント「Archaeology of the Future 未来の記憶 Image & Imagination」を、九州大学大学院芸術工学研究院 准教授・池田美奈子を聞き手に迎え、福岡アジア美術館内のあじびホールにて開催。要予約、先着120名、料金は500円。申し込みは、電話(092-733-2050)にて受け付けている。【イベント情報】田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the FutureーImage & Imagination会期:2019年1月19日~3月10日会場:三菱地所アルティアム住所:福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8階時間:10:00~20:00休館日:2月19日、20日料金:一般400円(300円)、学生300円(200円)、高校生以下無料、再入場可※()内は前売料金、チケットぴあ・10名以上の団体料金。アルティアムカード会員・三菱地所グループCARD(イムズカード)会員は無料
2018年12月28日建築事務所が手がける新キオスク建築家が手がける千代田区一番町のキオスク「BIRD BATH&KIOSK(バードバスアンドキオスク)」では、「Biople by CosmeKitchen(ビープル バイ コスメキッチン)」が厳選したオーガニック商品の取り扱いを開始しました。いつでも気軽にオーガニックアイテムを「BIRD BATH&KIOSK」は、建築家谷尻誠氏らの手によって企画設計された、キオスク型のコーヒースタンド。“水飲み場”という意味の同店は、小鳥が羽を休める止まり木のような、ほっとできる空間作りがされています。そんなコーヒースタンドで取り扱われているのは、ナチュラル&オーガニックショップ「Biople by CosmeKitchen」がセレクトした、自慢のオーガニック商品の数々。通勤途中や休憩中に気軽に立ち寄り手に取ることができます。オーガニック食品や自然派コスメが、より身近な物になることでしょう。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社マッシュホールディングスのプレスリリース
2018年12月26日寺⽥倉庫が運営する建築倉庫ミュージアムでは、企画展「- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展」を2019年2月6日から5月6日まで開催する。Eleena Jamil「Bamboo Playhouse」2015年 © Eleena Jamil Architect同企画展は、東南アジア諸国で注目を集める新世代の建築家やデザイナーによる木質デザインおよび建築空間の新潮流に焦点を当て、建築や家具デザイン、さらには調査研究を通して俯瞰するもの。紫檀、黒檀、チーク、マホガニーといった高品質の木材だけでなく、竹や籐などの植物材料も揃う東南アジア圏。古くから地元住民の間で共有されてきたノウハウの蓄積によって、多種多様な木質建築に富んでいる。同展では、伝統的あるいは慣習的に展開されてきたスローテクノロジーとも分類されるような建築群を紹介すると共に、「科学的に再現できない素材と技術」に注目し、隠されたシステムを明らかにしていく。坂茂「Paper Temporary Shelter - Philippines」2014年 ©Voluntary Architects Network素材は、時間と環境の流れの中でそれ自体が少しずつ変化していく。本来、自然由来の生の素材は、加工されて“地域の土着材料”による製品として日々の生活に取り入れられていく。また、たとえ製品として完成されたものでも“再生材料”として再構築され活かされ続ける可能性を持ち、そして予期せぬ災害が発生した場合、人々は従来の材料や技術による“緊急対応”によって、自身の知恵を活かそうとする。会場では、東南アジア圏におけるこれらの素材活用方法に関する3つのテーマセクション「<Vernacular / Conventional>地域性と土着材料」、「<Recycled Materials>再生材料の可能性」、「<Emergency Response>緊急対応の建築」に加え、同地域で実施されてきた調査研究やフィールドサーベイの成果、未来を見据えたレジリエントな建築技術の展望が紹介される。Adi Purnomo「Tanah Teduh #4」2013年 ©Adi Purnomo,Riichi Miyake参加作家は、建築家のAhmad Djuhara、Adi Purnomo、Andry Widyowijatnoko、Eleena Jamil、Ling Hao、Eriksson Furunes&Leandro V. Locsin Partners+Boase、坂茂、芦澤竜一、柄沢祐輔、デザイナーのAlvin Tjitrowirjo、Kenneth Cobonpue、研究者の岡部明子、畑聰一+清水郁郎、Joseph Yumi Espina+サンカルロス大学など。2019年2月23日の14時からは、Eleena Jamilを始めとしたゲストによる記念対談も開催。参加費は無料、事前申し込みが必要となる。【展覧会情報】- Green, Green and Tropical – 木質時代の東南アジア建築展会期:2019年2月6日〜5月6日会場:建築倉庫ミュージアム 展示室B住所:東京都品川区東品川2-6-10時間:11:00〜19:00(最終入館18:00)入場料:一般3,000円、大学生・専門学校生2,000円、高校生以下1,000円(展示室Aの企画展示「新素材研究所」の観覧料含む)※障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名無料休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜休館)、2019年3月4日~3月26日の期間
2018年12月21日ロエベ(LOEWE)は、建築家・デザイナーのチャールズ・レニー・ マッキントッシュから着想を得た、クリスマスシーズンに向けた限定アイテムを2018年11月15日(木)から12月にかけて順次、ロエベ各店舗にて発売する。ポスターや装飾品のデザインから、オリジナリティ溢れる建築、家具、テキスタイルに至るまで、幅広い作品を残したマッキントッシュ。スコットランドの伝統的な建築の形状や素材をベースとした、独自の表現で、グラスゴー美術大学やブラッキー邸等を手掛けた。今回登場する限定アイテムは、マッキントッシュを称えるメンズ・ウィメンズのレディ・トゥ・ウェアやアクセサリーを展開。マッキントッシュの芸術性や世界観をデザインに落とし込んだアイテムを揃える。象徴的なのは、ステンドグラスの窓に着想を得たモダンな薔薇柄の「パズルバッグ」や、マッキントッシュのフラワーモチーフを参考にした「ハンモック バッグ」。グラフィカルなマッキントッシュの世界観を、ロエベならではの細やかなレザークラフトや、クリエーションの高度な技術で表現している。また、マッキントッシュの格子デザインを彷彿させる「グリッド」仕様となった「ゲート」バッグも登場する。その他、ウェアはカシミアやシルク、モヘアを採用した、アーシーでナチュラルな色彩のドレス、ニット、シャツ、ジャケット、パンツ等を展開。コートやブランケットには、マッキントッシュが描いた植物の絵が施されている。【詳細】ロエベ ホリデー限定アイテム発売日:2018年11月15日(木)より順次取扱場所:ロエベ各店アイテム例:・パズルバッグ・ハンモック バッグ・「ゲート」バッグ・メンズ・ウィメンズウェア(コート、ドレス、ニット、シャツ、ジャケット、パンツ、ブランケットなど)【問い合わせ先】ロエベ ジャパン カスタマーサービスTEL:03-6215-6116
2018年11月22日先日もご紹介した建築業で働いているカルロスさんの生活のアイディアを紹介します。どこの国でもそうなのかもしれませんが、家を建て直すときは古いものが邪魔になります。全部のものを大切にしまい込むということは少ないようです。特に親の家を譲り受けて建て直すときなどは、いろいろと古いものが出て来たりしますよね。しかし、カルロスさんはそのような古いものを無料か、かなり低価格で受け取り、自宅で使っています。今回は超レトロなアイテムの再生法をご紹介いたします。■ 「古いドア」大邸宅の大きすぎるドアを小さくして使う!まず玄関のドアです。このドアはだいたい400年前のドアだそうです。そのため、高さが3m以上あり大きすぎるので、家を壊すときに払い下げになりました。ちなみにドアは比較的売りやすいもののひとつです。というのは、古いドアは乾燥しているので良いギターが作れるからです。ギターを作る人は、街を歩いて取り壊すことが決まった古い家などを訪ねて譲ってもらいます。古いドアから何百万円もするギターが作られこともあるのです。しかし、このドアはカルロスさんのおかげで、ドアとして生き続けることが決まりました。実は大きすぎるドアの真ん中部分を切ってもう一度繋げ、現状に合った大きさのドアに作り変えたのです。古いドアの問題は鍵のセキュリティですが、このように古いドアに鍵を付け替えています。古いドアの鍵は開けにくいというデメリットもありますがこれなら大丈夫です。■ 「古い照明器具」温かい光が溢れる家に!ランプを使ったことがない人には、これがびっくりするものだとは感じないかもしれません。こういうデザインの照明器具だと思った人も多いと思います。でも、これはオイルランプをリメイクしているのです。元々は電球のところに本当の「火」が付いていたのです。昔のものはデザインが素敵ですよね。私はろうそくも好きですし、普段、火を見る生活を好んでしていますが、やはり現実的に考えると電気を使った照明の方が安全です。カルロスは、しばらくはオイルを使って利用していたそうですが、とても気に入っていたので電化することにしたのだそうです。こちらはアンティークな照明器具。スペインなら病院などに使われていたようなタイプのデザインです。こちらは書斎の机に置くタイプの照明器具を絵画の照明に。ピラミッド型の照明をあえて逆さにつけました。モロッコ製のエスニックなデザインが素敵です。これは、屋根瓦です。スペインの屋根瓦はこんな形。屋根瓦にペイントして、壁に取り付け、内部に電球を設置して照明器具として使っています。■ 「テラスの洗面所」台は昔、おばあちゃんが使っていた(と思われる)ミシン台これはテラスの洗面所。テラスの掃除やちょっとした手洗いなどに使います。洗面の下の台は、なんとなく見たことがあるもの?若い方は見たことがないかもしれません。昭和博物館にあったような……。これは足踏みミシンの台です。足踏みミシンは、簡単に電気ミシンにできるんです。電気ミシンに作り変えてもらうと、台が不必要になるのですが、カルロスはデザインがとても気に入り、ミシンの台に大きな陶器の深鉢を置いて洗面所にしたのです。■ 「洗面台」寝室にあったサイドベッドテーブルを使用!バスルームにもいろいろな工夫が見られます。こちらの洗面所は、寝室にあるサイドテーブルに昔のホウロウの白いタライを乗せています。こちらの角度の方がわかりやすいですか?奥に見えるのは、トイレットペーパー。植木鉢を置くアイアンの三脚の上に陶器の深鉢を置いてトイレットペーパー置きに。アイアンの三脚は結構色々使えますよ。こちらは別のトイレにあったペーパーホルダー。モルテロというスペイン版すり鉢を置くための台なんです。下の部分はスパイスを入れる引き出し。本来はキッチンにあるものですが……。■ 建築家ならでは!レトロアイテムを取り入れた暮らし捨てる前にこれは何かに使えないかなと考えて、まったく別の使い方をしていく暮らし。素敵なものが次々生まれて、楽しくなりますね。改めて、古いものをもっと大切にしたいと思いました。
2018年11月17日11月15日発売の『住まいの設計12月号』では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する連載の2回目が掲載しています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は東京・北区で築18年、470.00平米(142坪)、鉄骨造5階建てのビルをリノベーションしたSTARの佐竹永太郎さん宅を取材しました。■ だ円形の「吹き抜け」と有機的な「螺旋階段」が美しい空間JR東十条駅から徒歩2分の場所にある5階建てのビルが、佐竹永太郎さんが代表を務める「STAR」の事務所兼自宅。ビルの入り口には明治16(1883)年製という趣のあるくぐり戸が設置されており、独特の世界観があります。この入り口には田中さんも驚いた様子でした。このビルは18年前にオーナーの依頼により佐竹さんが設計し、15年後に自身が買い取りリノベーション。1階はラウンジ、2階はオフィス、3階は倉庫、4・5階が自邸という構成になっています。さっそくエレベーターで4階に向かうと、中心に螺旋階段が設置されたLDKが。ソファに座って吹き抜けを見上げ、「螺旋階段って、もっと単調なイメージだったけど、こんな変わった形もできるんですね。計算は難しそうだけど」「はい、難しく計算すればできます(笑)」と、田中さん。建築談義に花を咲かせるふたりでした。■ 最上階のガーデンと寝室はまるでリゾートホテル!螺旋階段を上っていくと、寝室の外に広がる屋上ガーデン。「朝はまぶしくて自動的に目が覚めます」(佐竹さん)という寝室は、庭に面したホテルライクな空間になっていました。4・5階とも床暖を採用しているため、冬も快適に過ごせるそうだ。5階ホールの床にはアズサ、寝室には杉を採用している。「いろんな素材を使っているけど、ちゃんと調和している。個性派集団をうまくまとめる名監督みたいだな」(田中さん)。寝室からデッキテラスにそのまま出られるのも佐竹さんのこだわり。「駅前だけど、ここなら外からの視線を気にせずに過ごせますね。土があって、外の空気も感じられて…都会ではなかなかこういう空間を持てないですもんね」(田中さん)と、屋上ガーデンの開放感を満喫していました。■ 1階のラウンジは、能舞台の襖を設置したこだわりのおもてなし空間1階のラウンジは、バーカウンターのあるラグジュアリーなおもてなし空間だ。カウンターは大谷石、カウンターの天板にはアフリカンチークを使用。奥のミーティングスペースには、旧家の能舞台の襖が扉になっている豪華版です。「すごいな。設計事務所とは思えないですね。何でもやってくれそう(笑)」と、圧倒される田中さん。「“正しく古いものは、常に新しい” というのが僕の信念です。正しく時を重ねてきたものは、時を経ても古びない。そういうものの力を借りながら、オーダーメイドのスーツのように、住む人の体に馴染む空間をつくっていきたい」と佐竹さん。まるで、おしゃれカフェみたい!まさに、建築家の美意識を体現した住まいとなっていた佐竹さん邸。もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2018年12月号」をご覧ください!【取材協力】STAR(エスティエイアール)「クライアントの課題を美しいデザインで解決する」をミッションにデザインチームという独特の設計スタイルで活動。個性的なホテルや商業施設など企画より幅広く手掛ける。撮影山田耕司住まいの設計2018年12月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「だから選びました!ハウスメーカーで建てたこだわりの詰まった家」 【第二特集】「毎日緑に触れられる幸せ…ガーデンハウスで暮らそう!」
2018年11月15日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。300万円値引きをしてもらえるなら建築条件付きの家の契約をしようと決断し、土地仲介の営業Sさんに交渉しに来た鳥夫婦です。■ やり手の営業Sさんに会う久しぶりに仲介Y社の営業Sさんにお会いする。あの、コロコロ笑いながら、ソフトな語り口で、相手の心を開かせながら、キチッと落としどころに落とさせるSさんに……。3か月前のあの日……。Sさんの運転する車に乗せられ、設計R社に連れて行かれた日……。道中の会話で、Sさんには奥さんとお子さんがいらっしゃって、数年前に東京の外れの建売住宅を購入されたと聞きました。「不動産業のプロは、建売を選んだんだ」と印象に残ったのと同時に、ご家庭でのSさんを垣間見てしまいました。こんなに紳士で礼儀正しいSさんも、腹を出したままブーと寝屁したりするのだろうか?風呂前に裸になると、腰振りダンスしながら家人に近づいたりするのだろうか?(え?鳥夫だけ?)仕事でやり手なSさんそのままに、夜もキッチリ落とすのだろうか?あの日、そんなことを考えながら車に揺られていたなあ……。やだねえ、下世話な男性雑誌の表紙を見ては「ったく、しょうもないな」と苦笑しているくせに、自分も同類じゃん。などとつらつら思いながら、Y社の最寄駅で、鳥夫を待っていました。■ 鳥夫婦で最後の戦略会議さて、腰振りながら……ではなく普通に現れた鳥夫と、しばらく二人で周囲を散歩しながら、最後のすり合わせをしました。「いいか、鳥は女だから、感情的な役をやってくれ。いかにもR社のプランニングに残念な気持ちでいるか、土地は気に入っているのに、R社の家を買わないといけないことが悲しいか、訴えるんだ。でも鳥は空気を読めず、余計なことを口走る癖があるからな。基本的にはしゃべるな。俺がしゃべるから」「わかった!!」万が一、建築条件付きを外してもらえる可能性も考え、いきなり上物の値引き話にいくのはやめました。「土地はとても気に入っている」ということを強くアピールし、「もし条件を外してくれるとしたら、いくら土地代をアップされるか」を聞き出すシナリオに微修正。Sさんのご尽力で土地代80万円値引きをしてもらったとはいえ、すでに当初の予算より400万円オーバー。建築条件外しにより土地代1割アップしたとして、さらに340万追加。これで当初の予算より740万円オーバー。こうなると、もう諦めざるを得ないのですが……。■ Sさんとの交渉スタート!!そしてY社のビルの前に着きました。階段を上り、念のため携帯の録音アプリをONにして、Y社のドアを開けました。「ああー、どうもどうも、お久しぶりですねえ」Sさんは、相変わらずコロコロとした笑顔にソフトな語り口で迎えてくれました。コミュニケーションがそれほど得意ではない上に緊張MAXの鳥夫。人見知りで狂女予備軍の鳥。二人とも気の利いた挨拶や世間話のひとつもできず、Sさんのそつないアイスブレイクの会話に、ニヤニヤ相槌を打つばかり。ましてや緊張に耐え切れず上の空状態である今は、世間話をする余裕などありません。顔を紅潮させた鳥夫が、メモを片手に、すぐに本題を切り出しました。Sさんに新宿くん(※土地のこと)をご紹介いただいた頃は、家造りの知識のまったくないド素人だった鳥夫。あれから約3か月。鳥夫は、コンサルさんにに教わった知識のおかげで、Sさん相手に説得力のある話を展開していきました!(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年11月15日建築家・隈研吾とデザイナー大村真有美のデザインユニットがコラボレーションした「ケンゴ クマ + マユ by ヴァンドーム青山」から、2018年秋冬の新作ジュエリーが登場。2018年10月30日(火)まで開催される、日本橋三越本店期間限定ショップにて先行発売される。その他、バーニーズ ニューヨーク銀座本店、西武渋谷店、阪急うめだ本店他、全国11店舗にて展開する。新国立競技場「杜のスタジアム」をはじめ、世界的な有名建築物を手がける隈研吾。そんな人気建築家が、プロダクト、アクセサリー、インテリアのデザインユニットとして活動するデザイナー大村真有美によるMA,YUとタッグ。「ケンゴ クマ + マユ by ヴァンドーム青山」の新作ジュエリーは、建築物をモチーフにしたコンセプチュアルなデザインが特徴だ。白い森人々が集まる樹と人々が流れる道を持つ、白く輝く森をコンセプトにした「白い森」」シリーズ。ホワイトゴールドをベースに、折り紙のように織り込み、地金をプリーツ状にアレンジして光を反射する華やかなデザインを完成させた。ピアスやイヤリングは、アクセサリーがまるでレフ版のように力を発揮し、顔周りを明るく見せてくれる効果も。クリーンなデザインなので、洋服を選ばず、様々なシーンで活躍してくれそうだ。ロータス隈研吾の代表的建築「ロータス・ハウス」を着想源にした「ロータス」。同建築で印象的な規則的なチェッカーパターンは、ウォッチのベルトに落とし込まれた。表面にヘアラインのテクスチャを加え、ステンレス素材の光沢を軽減。半分透けたベルトは、肌なじみがよくすっと溶け込むように腕にフィットする。同デザインのリングとの相性は抜群。同じモチーフになっているので、重ねづけしてもうるさくならず品よく決まる。【詳細】「ケンゴ クマ + マユ by ヴァンドーム青山」2018年秋冬ジュエリー取り扱い店舗:全国11店舗(仙台三越、高崎髙島屋、西武渋谷店、横浜ランドマークプラザ、新潟三越、阪急うめだ本店、バーニーズ ニューヨーク神戸店、鶴屋百貨店、バーニーズ ニューヨーク福岡店、バーニーズ ニューヨーク銀座本店、バーニーズ ニューヨーク横浜店)、日本橋三越本店期間限定ショップ・日本橋三越本店期間限定ショップ期間:2018年10月24日(水)~10月30日(火)住所:東京都中央区日本橋室町1丁目4-1 本館1F<アイテム例>・白い森ネックレス 36,000円+税~、ピアス 44,000円+税、ブローチ 30,000円+税、2wayピアス 40,000円+税・ロータス時計 53,000円+税、リング 46,000円+税/12,000円+税/14,000円+税【問い合わせ先】ヴァンドームヤマダTEL:03-3470-4061
2018年10月29日