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発達性協調運動障害とは?出典 : 協調運動とは、手と手、手と目、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをする時、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをする時、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2ndversion)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントテストによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動障害かどうかを判断します。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では以下のような診断基準になっています。A.協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習及び使用の機会に応じて期待されるよりも明らかに劣っている、その困難さは、不器用(例、物を落とす、またはぶつかる)、運動技能(例、物を掴む、はさみや刃物をつかう、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。B.診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例、自己管理、自己保全)を著明及び持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前及び就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。C.この症状の始まりは発達障害早期である。D.この運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や視力障害によってうまく説明されず、運動に影響を与える神経疾患(例、脳性麻痺、筋ジストロフィー、変性疾患)によるものではない。発達性協調運動障害と運動能力出典 : 人間の運動には大きく分けて、粗大運動と微細運動があります。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける。字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。発達性協調運動障害のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。発達性協調運動障害のある子どもの年齢別の困りごと出典 : 発達性協調運動障害かどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動障害であるということではありません。子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。ですが、発達性協調運動障害と診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。例:母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動障害と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動障害のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、平坦な場所でも転ぶ(転んだ時に手がでない)、トイレで上手にお尻をふく小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で繊細な動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動障害が顕著に表れます。発達性協調運動障害のある子どもは以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:パズルを組み立てる、模型を作る、ボール遊びをする、活字をますの中に入れて書く、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもが結べない、お箸をうまく使う、文房具作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規をおさえられずにずれるなど)発達性協調運動障害の原因出典 : 発達性協調運動障害のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。まず妊娠中、母親のアルコールを摂取、またはそれによる早産、低体重で生まれた場合、発達性協調運動障害を発症する確率が高いという研究があります。次に、ADHD、学習障害、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症との併発が非常に多いため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動障害を発症する可能性が高いと言われています。5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症します。また、女児より男児のほうが発症率が高いことが分かっています。『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)発達性協調運動障害の診断と発達障害の関係は?出典 : 現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準があります。現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と発達性協調運動障害を併発することは少なくありません。『ICD-10』の診断基準では、両方の診断基準を満たしている場合、両方の診断が下ります。対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。『ICD-10』の診断基準では、子どもが知的能力障害を持っている場合、その知的能力障害のため運動能力が損なわれているとの見なされる場合もあります。しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動障害によってなのかを注意深く観察する必要があります。子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。発達性協調運動障害について相談できる機関出典 : 子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、まず以下の3つのどれかに相談に行きましょう。市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。都道府県ごとに設置されており、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると、24時間365日いつでも児童福祉に関する相談を受けてくれます。発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。発達障害情報・支援センター相談窓口情報ここでは、相談支援と発達支援を行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動障害への支援を受けられる機関出典 : 上記の相談先で紹介してもらった医療機関を受診しましょう。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で紹介してもらった療育機関で療育を受けましょう。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用は様々です。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動障害の支援・治療方法出典 : 作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動障害のある子どもは、一つ一つの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。東京小児療育病院みどり愛育園広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動障害の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。日本理学療法士協会家庭でもできること出典 : 家庭でもできることは多くあります。家庭で様々なサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない。・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない。・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い。上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭で出来ることとしては、以下のような取り組みが考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えれれるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろんな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶ。ここで紹介した方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法があります。また、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。 コラム粘土遊びは子どもの脳が活性化する!?楽しく創造力を伸ばす、3つの魅力とは?乳幼児期の感覚統合遊び発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1まとめ発達性協調運動障害は、一つ一つの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、ただの「不器用な子」ですまされる場合も少なくありません。しかし、発達性協調運動障害のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。たとえば、運動能力を中心とした遊びは、子どもたちの社会で周囲との関係を構築するために重要な役割を果たします。また授業での運動課題に取り組む場面では、その子ども自身の評価を著しく下げることがあるかもしれません。子どもが発達性協調運動障害かどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。お子さんが楽しめるペースや方法で、出来ることを少しずつ増やしていけば、自信にもつながり、学校生活へも良い影響が出ることでしょう。
2016年07月27日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。今回は、私が質問されて答えに困った「発達障害の診断」について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■診断はレッテルを貼るのではなく、対処法を知るため私は息子を支援学級に通わせていたので、ママ友から子育ての相談を受けることがある。そのときに、よく聞かれることは、「発達障害の診断を受ける必要ってあるの?」ということだ。発達障害は病気ではなく、「脳の発達のかたより」。そうだとすれば、「診断は本当に必要なのか?」と思ったり、「わが子に、発達障害のレッテルなんて貼りたくない」と思ったりするのは当然のことだと思う。「診断は子どもにレッテルを貼るためのものではなく、それによってどんなことで困っているのかを教えてくれるものです」(司馬先生)診断は、いわば大きな方向つけ。「これから何をするのか?」「どんな対処方法があるのか?」を考え始めるスタート地点の指標のようなものだ。もちろん、わが子を育てる作戦(司馬先生は、よく“作戦”という言葉を使われる)を立てるのに、診断を受けるだけでは充分ではない。 ただ、ADHDといってもどんなタイプなのか、その子の能力のどんなところにどう影響しているのか、それらがわかればわかるほど作戦(対策)は立てやすくなる。また診断することによって、子どもが専門家から的確なアドバイスを受けられるほか、親が本や勉強会などから、ピンポイントで情報を得ることもできるようにもなる。■診断を受けるための一般的な経路「発達障害かどうかが気になるのだけれど、誰にどんなふうに相談すればよいかわからない」これも、よく相談される内容だ。一般的には、まずは学校の担任の先生に相談するのが良いだろう。学校には、週に1~2回ほど来て、子どもや保護者の相談に乗ってくれるスクールカウンセラーという職種の人もいる。また、自治体の教育相談所や教育センターなどで、相談業務を行なっていることもある。最近では、発達障害の診断や治療の経験がある小児科の先生も増えているので、かかりつけの医院の先生に相談してみてもよいだろう。■大切なのは、早く気づいて二次障害を防ぐこと私が相談を受けたときに必ず言っていることは、「発達障害の子を育てるのは、すごく大変だし、一緒に生活するのはしんどいよね。でも、発達障害の子を育てる上で、一番大切なのは、二次障害を防ぐことだと私は思っている。診断を受けることで、子どもの特徴に早く気づければ、必要とする支援がわかり、より二次障害を防ぎやすくなると思うよ」ということ。二次障害とは、発達障害に対する対応が十分に行われないために、二次的に起こる問題のことだ。たとえば、学校に行くのをイヤがったり、学校に行けなくなったり、うつ状態になって元気がなくなったり、親にひどく反抗したりというのが二次障害だ。発達障害の子は何かにつけて叱られることが多く、「ぼく(私)はダメなんだ…」というように自尊心が低下しがち。いったん二次障害が起きると、もともとの発達障害そのものへの対応以上に、扱いが難しいこともよくあると言われている。次回は、最終回。「発達障害の子育ては疲れます」です。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●ひとことで「発達障害」と言っても、その状態はさまざま。基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。今回はさまざまな発達障害について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。「 発達障害って、何? 」で、発達障害には、おもに以下の3つがあるとお伝えした。今回はその内容を、もう少し詳しく見ていこう 1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) ■ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?不注意・多動性・衝動性を特徴とする。たとえば、忘れっぽくて集中力が乏しく、宿題などをしているときに気が散りやすい。落ち着きがなく、いつもそわそわしていて、順番を待てずなんでも我先にとやりたい。こんなふうに、年齢に応じた「注意力や行動・衝動などのコントロール」がうまくできない。そのため、毎日の生活習慣や学校での活動を行うのに苦労をする。■「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」とは?「アスペルガー症候群」を含む「自閉症スペクトラム障害」の特徴はおもに「人との関わりの困難さ」にある。言葉やしぐさなどコミュニケーションをする力にかたよりがあり、興味を持つ範囲が狭く、興味のない活動には取り組めない。こうしたこだわりの強さがあるため、毎日の生活がスムーズに進まないこともある。「広汎性発達障害」や「自閉症」も「自閉症スペクトラム障害」に含まれ、なかでも言葉の遅れが見られないものは「アスペルガー症候群」と呼ばれている。 ■LD(学習障害)とは?LDでは特定の学習能力の困難さが見られる。全体的な知的発達に遅れがないのに、特定の学習能力での遅れが、小学校の低学年では1年程度、高学年では2年程度見られる場合に診断される。文章を読むことが困難な状態を「読字(どくじ)障害」、鏡文字が多く見られ、漢字や作文などを書くことに関する遅れを「書字(しょじ)障害」、計算または文章問題など算数の学力がほかの科目に比べて低い場合「算数障害」と言いわれる発達障害は決してまれなものではなく、多くの子どもにみられる。ADHDは5%、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害の子どもは1~2%、LD(学習障害)は10%程度いると言われている。わが子に、こういった傾向を感じるとしたら、まずは本などから子どもへの対応の仕方を学んでみるのも一手だ。たとえば、『「発達障害のわが子」と向き合う本』(司馬理英子/大和出版)は、「ADHDの子どもの特徴」「ADHDの子育てのヒント」「アスペルガー症候群の子どもの特徴」「アスペルガー症候群の子どもの子育てのヒント」と、こどもの傾向別に説明と対処法の項目が分かれており、とても読みやすい。本などから得た情報で、少しでも子育てが楽になったら、ハッピーなことだと思う。また、本を読むことが、子どもへの支援を次の段階に深めるキッカケになるかもしれない。<次回は、「発達障害の診断を受けることは必要?」です。>
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで、「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は「しつけ」や「育て方」が悪いわけではないほかの子に比べ、手のかかるわが子。「やっぱり、私の育て方が悪いのかしら?」と思ってしまうママもいるだろう。「夫に『子どもを甘やかすからだ』と言われる」「忙しくて充分にかまってあげられないからかな?」など、子育てがうまくいかないと、ママは自分を責めがちだ。けれども、「発達障害は、しつけの問題ではありません。多くの場合、生まれつきのものです」と、司馬先生は言う。生まれつきといっても、もちろん、生まれてすぐわかるわけではない。たとえばADHDなら幼稚園や保育園くらいまでは「活発で元気な子」という印象で、小学校に入り、生活の中心が勉強になってくると特徴が目立つ。また、アスペルガー症候群の場合は、赤ちゃんの頃から手がかかる子もいるが、「ちょっと違和感があるな」くらいの子も多い。だからこそ、難しいのだと思う。なぜなら、早い段階から障害に気づければ、親の側も「そういうものだ」と思い、ある意味、納得して育てられる。けれども、「ちょっと変わっているかな?」くらいだと、子どもの問題なのか、親側(しつけ)の問題なのか? というあたりで、ママがひとりで問題を抱え込み、グルグルと悩んでいることも多いからだ。■発達障害は病気ではない 前回 でも話したとおり、「発達障害とは、脳の発達のかたより」だ。発達障害の子どもは、すべての能力に問題があるわけではなく、“特定のある部分の発達だけ”がほかの子どもに比べて遅れている。「発達障害は、病気というわけではありません。脳の発達にかたよりがあったとしても一生がそれで決まってしまうというものでもありません」(司馬先生) ■わが子の特徴に気づいて、必要なサポートをする一般的な発達をとげている子ども(定型発達の子ども)に比べて、ある能力の発達のかたよりが目立っていて、そのために子どもが「生きづらさ」を抱えている場合、学校や家庭での状況、発育歴などのさまざまな情報を元に、発達障害かどうか?を見てみよう。たとえば、「忘れ物」。ADHDの子によく見られる忘れ物は、どの子も多少あるものだが、毎日いくつも忘れものをしていれば、そのために困ることがたくさん出てくる。個性といって片付けてしまうには困難さが際立っている場合、発達障害の診断がつけられる。「発達のかたよりに気づき、早く対処することによって、日常において困ることをずいぶんと減らすことができます」(司馬先生)発達のかたよりは、裏を返せば長所となる場合も少なくない。かたよりに早く気がつけば、子どものいい部分を生かしたり、得意な分野をしっかり伸ばしたりすることに、親子でエネルギーを使うことができる。「だからこそ、早めにわが子の特徴に気づいて、必要としているサポートをしていくことが大切なのです」(司馬先生)次回は、「発達障害のさまざまな種類」を少し詳しくみていこう。
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害専門クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は、いわば「発達のかたより」育てにくいわが子。私の気にし過ぎかもしれないけれど、ちょっと心配。ママ友に相談すると「うちもそうよ。大丈夫」なんて言われて、「そうかな?」と安堵する。けれども、また別の日には、「これって、やっぱり普通じゃないよな」と思う。「でも、これはこの子の個性で、私の我慢が足りないのかもしれない」。そんな無限のループを、頭の血管が擦り切れるほど何年もグルグルと考え続けていた私。そうした状況にあった私に、司馬先生の発達障害の説明は、非常に腑に落ちるものだった。まず、発達障害の定義だが、「発達障害とは、いわば“発達のかたより”です。最近の考え方としては、全体的な知能の発達には問題がなく、以下のような特徴がある子どもを発達障害としています」(司馬先生)1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) 発達「障害」と書くと、「障害」という言葉から重々しい感じがするが、症状の度合いは重いものから、「診断名をつけるほどではないけれど、特徴が見られる」という軽いものまで幅がある。 ■「発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるママたちがいちばん気になるのは「うちの子が発達障害なのかどうか?」ということかもしれない。けれども、発達障害であったとしても、なかったとしても、子育てがうまくいかないのであれば、子どもの特徴を把握し、ちょっとした工夫をすることで、日々の生活は随分と楽になる。つまり、「もしかしたら発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるのだ。■子どもの特徴に合わせた丁寧な関わり方司馬先生が教えてくださった「発達障害の子育て法」は、子どもの気持ちを尊重し、子どもの特徴に合わせた、子どもへの、より丁寧な関わり方だ。発達障害のない子どもは、さほど手をかけなくても自力で成長していけるが、それでも関わり方を丁寧にしてやることに越したことはない。つまり、子どもが発達障害でなくても、ちょっと似た部分はあるけれど診断されるほどではないというレベルでも、発達障害であっても、同じように使っていける子育て法なのだ。「発達障害かもしれないと怖がってばかりいないで、その子の特徴を見極め、その子に合わせたオーダーメイドの子育てしてみては?」というのが、司馬先生からの提案なのである。<次回は、「発達障害は、“しつけ”の問題なの!?」です。>
2016年07月16日女優の知英が7月2日(土)、都内で行われた出演作『全員、片想い』の初日舞台挨拶に出席。性同一性障害の留学生を演じ、役作りの難しさを明かし、共演した男性シンガーから「僕よりも男前」と絶賛された。“片想い”をテーマに小説投稿サイト「E★エブリスタ」の投稿イベントで選ばれた電子小説を原案にした4作品、映画オリジナルストーリーの4作品で構成された合計8つの短編作品を集めた恋愛オムニバス。幼なじみ同士、キャリアウーマンと年下新入社員、女子高生と美容師、いとこ同士など思わず胸がキュンとする切ないエピソードが目白押しになっている。役柄に合わせて、メンズの浴衣で凛々しく登壇し“イケメン”ぶりを発揮した知英さん。劇中では好きになった女性のルームメイトのために、心とは裏腹に男友達との仲を取り持とうとする難役に挑み、「座り方や声、握手の手の出し方などどうすれば男性ぽく見えるか努力した」と役作りを話していた。舞台挨拶には知英さんをはじめ、伊藤沙莉、中川大志、森絵梨佳、桜田通、広瀬アリス、斎藤工、知英さんと共演した「CROSS GENE」のTAKUYA、新川優愛、志尊淳、千葉雄大、橋本マナミ、横浜流星、加藤雅也、主題歌を担当する黒木渚、永田琴監督、原桂之介監督、藤井道人監督、山岸聖太監督、伊藤秀裕監督が登壇した。総勢20名の“センター”に立った斎藤さんは「今日の問題は、立ち位置ですよね」と思わず苦笑い。「これは政治的な問題じゃなくて、本当にたまたまなんです…」と恐縮しきりだった。『全員、片想い』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年07月02日2016年4月1日から、障害者差別解消法という法律が施行されたことをご存知でしょうか?この法律では、行政や事業者へ障害者に対して不当な差別を禁止し、社会のなかのバリアを取り除くべく「合理的配慮」に努めるよう定めています。障害者が必要としている「合理的配慮」とは、いったいなんなのでしょうか?また、この法律ができたことで、障害者の人たちは暮らしやすくなるのでしょうか?そんな問いに答えてくださったのは、「きこえないママ×まちプロジェクト」代表で、自身も聴覚障害があるまつもとまつりさん。耳のきこえないママたちと、地域の人たちをつなぐ活動をしていらっしゃいます。以前、お子さんが夜中に熱性けいれんを起こしたときに自力で救急車を呼べず、近所の人に助けてもらったため、日ごろから地域の人たちとつながっている必要性を感じたのだとか。今回はまつもとさんに、「聴覚障害者」の視点に立ったお話をお伺いしました。■聴覚障害者は想像以上に不便に感じているまつもとさんは以前クレジットカードを落としてしまったとき、母親にカード会社に電話をかけてもらったことがあったのだそうです。ところがカード会社の人に、「本人でないとダメ」といわれてしまったというのです。「だから、わざわざ会社を休んでカード会社に行って手続きをしなければならなかったんですよ。普通の人だったら休憩時間にちょっと電話すれば済むことなのに」(まつもとさん)また、銀行のATMに不具合があっても備えつけの電話が使えないため、窓口に行って事情を話してもう一度列に並びなおさなければならなかったこともあるといいます。それだけならまだしも、障害者割引のある駐車場に入っても出るときにモニターに障害者手帳をかざさないといけないことがわからず、結局は正規料金を払わざるを得なかった……などと不便に感じていることは多々あるそうです。健常者にとっては当たり前にできることだからこそ、聴覚障害者が不便に感じていてもなかなか気づきにくいものなのかもしれません。■行政にはその人に合った配慮をしてほしい「きこえる」人たちは、「耳がきこえない」といわれると、「じゃあ手話で通訳できる人がいればいいのね」と思いがちではないでしょうか。「でも、聴覚障害者のなかには手話を知らない人もいるんです。だから『耳がきこえない=手話通訳の用意』と考えるのではなく、筆談で対応する、ゆっくり話す、流れの決まっている手続きであればフローチャートを用意して指差ししながら説明するなど、その人に合った配慮をしてほしいと思います」(まつもとさん)まず、「聴覚障害者はみんな手話を知っている」という思い込みをなくすことが必要なのですね。■私たちにもできるちょっとした配慮とは?聴覚障害のある人だって、スキルアップのための学びの場や職場の会議、町内会の話し合いに参加する機会を望んでいるもの。しかし、話の流れがわからない、資料を読んでいると知らないうちに話が進んでいる……など、ハードルが高くてなかなか参加しづらいのだとか。そんなとき、「きこえる」人たちが「きこえない」人たちのためにできることはなんでしょうか?たとえば講座に参加するときであれば、前もって資料をもらう、隣に座った人にはいま話しているところを指差ししてもらう、資料を読むのに夢中になっているとき、講師が話しはじめたら肩を叩いて教えてもらう。そういう、ちょっとした「配慮」をしてもらえたらだいぶ助かるとまつもとさんはいいます。「手話通訳になにからなにまで依頼することはできません。でも、『ちょっと配慮がほしい』という場面は日常的にたくさんあります。ちょっとしたことでも協力してもらえたら、とてもありがたいです」(まつもとさん)■障害者差別解消法だけで社会は変わるのか最後に、障害者差別解消法ができたことで障害者が生活しやすくなっていくかどうかについて意見をきいてみたところ、「5分5分」という答えが返ってきました。法律ができたことで、いままで「予算がない」という理由でやらなかったことに対して「やらなきゃいけない」という意識が芽生えることはあるかもしれない。しかし、だからといって具体的になにをすればよいか行政や事業者の人たちにはわからないだろうから、聴覚障害者自身がもっと「こうしてほしい」と声をあげなければいけないといいます。「行政などに直接声を伝えるのはなかなか難しい。だから、まずまわりの人たちに『こういう不便がある』ということを伝えたいと考えています。その話を聞いた人からアイデアを出てくるなど、なにかいい方向につながっていくと思うから」(まつもとさん)現在、聴覚障害で障害者手帳が交付されている人は全国で45万人。でも、手帳交付に至らない軽度の方も含めると、聴覚障害者は1,000万人以上いるといわれています。障害の程度に関係なく、不便に感じる人たちへの配慮が自然にできる社会になれば、障害者もそうでない人もお互いにもっと気持ちよく暮らせるのではないでしょうか。(取材・文/あさき みえ) 【取材協力】※まつもとまつり・・・「きこえないママ×まちプロジェクト」代表。3人の男児の母。横浜市戸塚区にある親子カフェ「こまちカフェ」を拠点に、「きこえないママ」と地域の人たちとの交流会を月1回(第2火曜日10:00~12:00)おこなっている。コミュニティFMラジオ「エフエム戸塚」の番組にゲスト出演経験もあり。 【参考】※ココロもカラダもぽっかぽか※こまちカフェ※障害を理由とする差別の解消の推進-内閣府※厚生統計要覧(平成27年度)-厚生労働省※難聴者の数は、どれくらい?という事で調べてみた-L.S.B.information
2016年06月25日起きたときに身に覚えのない傷が体にできていたという経験のある人はいませんか? それはもしかしたら睡眠障害かもしれません。睡眠障害は不眠だけでなく、さまざまな症状、タイプがあることで知られています。今回は海外で大きな話題を呼んだニュースから、どのような睡眠障害があるのかを探っていきたいと思います!睡眠障害の4つのタイプ睡眠障害にはいろいろな症状があります。大別すると、以下4つのタイプがあると言われています。不眠寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまう、予定時刻よりも早く目が覚める、浅い眠りが続くなど。過眠夜にしっかり睡眠時間をとっているのに日中に眠くなる。抗えないほどの強烈な睡魔に襲われることも。リズム異常寝る時間と起きる時間が毎日バラバラになる。寝ようと思った時間に眠れず、起きようと思った時間に起きられない。違和感寝ようとしてベッドに入ると足がむず痒くなる、睡眠中に呼吸が苦しくて目が覚めることがある。一言で「睡眠障害」といっても、このようにタイプがあるということを覚えておいてくださいね。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談するようにしましょう。変わった症状もある上記に挙げたものは睡眠障害の一般的な症状ですが、なかには変わった症状が出る人もいるようです。今回はいくつかピックアップして、紹介します。自分の手を齧った!?中国で話題を呼んだのは、「睡眠中に自分の手を齧ってケガを負い、病院に担ぎ込まれた人がいる」というもの。ケガをするほど齧るとは相当の力だったんでしょうね……。このような症状の場合、考えられる睡眠障害は、睡眠中に歩きまわったりする夢遊病や異常行動をとるレム睡眠行動障害などですが、実際のところ、これだけではどの睡眠障害かは確定できないようです。きっと、この人も目が覚めたらシーツが血だらけになっていて、さぞビックリしたことでしょうね……。夢遊病とは上記症状の原因の可能性がある「夢遊病」と「レム睡眠行動障害」について詳しく説明しましょう。まずは、夢遊病から。正式名称は「睡眠時遊行症」で、本人には自覚がない状態で睡眠中に歩き出す症状がみられます。起きたときも、本人には歩きまわっていたという記憶はないそうです。この睡眠障害の怖いところは無意識で歩きまわるので、ケガをする可能性があるところです。家の中ならまだしも、着替えて外に出ていってしまうこともあるというので家族の人は心配ですよね。周囲にこの症状がみられる人がいたら、早めに病院でみてもらうようにしましょう。レム睡眠行動障害とは続いて「レム睡眠行動障害」です。この睡眠障害は浅い眠りであるレム睡眠中に、大声で話をはじめる、手足をバタバタさせる、歩きまわるなどの異常行動をとるものです。物を投げてしまうこともあるので、室内の家具が壊れてしまう場合もあると言われています。このレム睡眠行動障害も、夢遊病と同様に本人に自覚症状はありません。そのため、治療には家族の理解と協力が不可欠です。睡眠中の異常行動がみられた場合は、「いつか収まる」と安易に考えず、ケガをしたり、事故に巻き込まれたりする前に医師に相談しましょう。睡眠障害の検査は?睡眠障害の疑いで病院へ行った場合、症状のタイプによってさまざまな検査が行われます。代表的なものを紹介します。睡眠ポリグラフ検査病院に1泊して、体にセンサーをつけた状態で睡眠をとる。呼吸数や心拍数、夜間の睡眠状態を確認することで、原因を診断するために行うもの。CPAP圧設定検査睡眠中に何度か呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると診断された場合に行う検査。病院に1泊して、マスクを装着して眠ることで呼吸の状態を調べる。脳波検査頭に電極をつけて、脳波を検査する。これによって、てんかんなどの疾患があるかどうかを検査する。検査は他にもたくさんあります。どれも実施する前には医師からきちんと説明があるものなので、睡眠で悩みを抱えている方は一度病院へ行ってみましょう。photo by acworks
2016年06月24日●体型に縛られて生きるのはもったいない摂食障害に苦しむ人やその家族をサポートすることなどを目的とした「日本摂食障害協会」の設立発表会がこのほど、東京都内で開催された。同会では有識者による講演のほか、摂食障害の体験者によるスピーチや、パネルディスカッションなどが行われた。当日の様子をレポートする。○摂食障害の現状一般にはあまり知られていないかもしれないが、摂食障害は下記のように分類できる。■拒食症……食事を拒み続けて体重が異常に減る■過食症……満腹感が得られずに暴飲暴食をしては、嘔吐(おうと)や下剤の乱用などを繰り返す■過食性障害……いわゆる「むちゃ食い」をするが、自己誘発性の嘔吐(おうと)をしたり下剤を服用したりすることはない摂食障害は極度の栄養失調が原因で「患者の7~10%が死に至る」とも言われており、潜在患者を含めると国内には20万人を超える患者がいるとみられている。だが、治療できる医療機関が少なく診察可能な患者も限定されるため、保育園の待機児童問題と同じく、一刻も早い「待機患者ゼロ」の実現が求められている。このような現状がある中で、摂食障害患者が自身の不安や葛藤を、なかなか周囲に打ち明けられないことも早期介入を難しくさせている。実際に摂食障害に悩む女性たちを代表し、モデル・Naoさんが自身の経験談を語ってくれた。○20kgの減量後に30kgの増量を経験Naoさんは、今でこそ2013年に創刊したぽっちゃり系女子向けファッション誌「la farfa」で明るい笑顔を見せているが、17歳の頃に摂食障害を患い、独りで悩み、もがいていた過去を持つ。断食ダイエットをした結果、食事がほとんど摂(と)れなくなり、体重が半年で20kgも減ったが、無気力になり日常生活にも支障をきたすようになった。仕事に行けなくなったり、友達との約束を守れなくなったりし、精神的に不安定な状態が続く中、今度は猛烈な食欲に襲われた。体重は30kg増え、その後は拒食と過食を繰り返した。正常な食生活に戻れなくなり、治療してくれる病院や相談先もわからず、ずっと独り。摂食障害は10年間続き、その間もNaoさんの心は閉ざされたままだった。ところが、アルバイト先の出版社で、膨大な量の芸能人たちの写真を見たことが、Naoさんの考えにある"変化"をもたらした。「すごくやせてる人もいれば、ぽっちゃりな人もいて。私はずっと体型を気にしてきたけど、ずっとそれに縛られてこれからも生きていくのはもったいないんじゃないかと。それより、自分のぽっちゃり体型を受け入れて生きていくほうがいいかなと思えたんです」。自分らしく生きる道を選び、体型を生かして、ぽっちゃり系ファッション誌のモデルの仕事も始めた。オシャレを楽しむ気持ちを大切にし、自分を肯定することで、気持ちが前向きになり、拒食や過食を繰り返すこともなくなっていったという。「私は相談先もわからず、治療を受けていなかったので、完治するまで10年という長く孤独な日々を過ごしました。今、苦しんでいる人は、できるだけ早く治療を受けてほしい。私は自らの体験を語ることで、人に安心感を与えたい。『自分を責めなくていいんだよ。どんな体型でも、誰もあなたのこと嫌いにならないよ』って、そう伝えたいですね」。●ダイエットで幸せになれるかもしれないという幻想ダイエット志向が特に若い日本人女性に浸透している一方で、「その考えが果たして本当に自身の幸せに結びつくのか」と疑問を呈したのは、女性向けのトピックを数多く執筆しているライター・三浦天紗子さんだ。「先日、おもしろい調査結果を目にしました。若い女性は『今は着られないけど、やせたら着る服』の平均保有数が5.4着だそうです。それだけ、多くの女性が常日頃、慢性的に『やせなくちゃ』という意識を抱えているんですね」。現代は「やせたい」と思ったときに、運動ではなく「食」でダイエットをしようと思う女性が圧倒的に多い。しかも、日本人はメディアが発信する情報を素直に受け取る傾向が強い。「バナナダイエット」や「糖質オフ」「炭水化物抜き」などの偏ったダイエット情報に感化された結果、「●●をいっぱい食べればやせられる」、あるいは「●●を食べなければやせられる」といった極端な発想にたどり着いてしまうと指摘する。○自分にとっての幸せとは何かではなぜ、日本人女性はそれほどまでしてダイエットをしようとするのか。三浦さんは、華やかな世界で活躍するやせた女性たちの姿が、多くの一般女性に「やせてきれいになれば、自分にもいいことが起こるかもしれない」「もっと愛されて、ちやほやされて注目されて、幸せになれるかもしれない」といった期待を抱かせ、あおってしまっているのではないかとみる。「女性は単に『やせてきれいになりたい』のではなく、つまるところ、それによって『幸せになりたい』わけです。でも現実には、やせたからといって必ず幸せになれるわけではなく、『やせていても幸せじゃない』『やせても幸せになれない』女性は大勢います。けれど現実に今、生きづらさを感じて苦しんでいる人は、『やせることにすがるしかない』状況に陥ってしまうんですね」。現代は「何かを成し遂げなければ」といった意識を持つ若者が多いという。そのため、資格取得に励んだり、趣味に熱中したりするが、そういった「打ち込むもの」がない女性ほど、ダイエットにのめりこむ傾向があるとされている。体重や体脂肪率、スリーサイズなどの数値が"成果"として明確に出るため、達成感を得やすいからである。そして、メディアも「やせ志向」をあおっている部分があるのではないかと三浦さんは話す。「女性誌において見た目中心の価値観を否定することは難しく、『見た目よりも中身』などと書いたところで、『きれいごと言わないでよ』と一蹴されてしまうため、その勇気をメディア側が持てないのが現状です。結果、非常にやせているモデルや女優の画像ばかり発信され、読者を洗脳状態に追いこんでいます」。与えられ続ける膨大な「やせ=幸せ」という概念に屈服されることなく、いかにして「自身の幸せ」を見いだせるか。いつの時代もダイエットは女性にとって「永遠のテーマ」と言えるだけに、一人ひとりがしっかりと考えておきたい問題だろう。●医療、美容、メディアの立場から見る摂食障害後半のパネルディスカッションでは、女性パネリストが「医師」「脱毛サロンスタッフ」「女性誌ライター」というそれぞれの職業の視点から摂食障害について意見を述べあった。美容脱毛専用サロン・ミュゼプラチナムの鎌田真理子営業部長は、サロンの利用者の中に摂食障害とおぼしき女性がいて、スタッフが不安を抱くケースがあると話す。「ただ、非常にデリケートな問題ですので、お客さまにストレートに伺い、即介入することは難しいですし、触れてほしくない方もいらっしゃいます。でも、私どもはお客さまの裸に近い状態を拝見し、しかも『毛』というホルモンの影響が強く、摂食障害の症状が出る部分のケアに携わっているので、早期発見・早期介入の手助けになりうる立場だと思っています」。今後はスタッフがもっと摂食障害に関する知識を身につけ、正しいアドバイスの方法なども学び、脱毛(美容)面だけでなく、利用者の健康面もサポートしていきたいとした。○雑誌と実物の「1割強の差」が物語るやせ志向ライター・三浦さんは、ファッション業界について言及。米国を本拠地とする世界的ファッション誌「Vogue」が2012年、ファッション業界の「やせ=美しい」という偏った美意識が摂食障害に陥るモデルの増加などにつながっているとの考えから、「やせすぎのモデルは使わない」方針を発表したことは国内でも大々的に報道された。その一方で、日本のファッション業界はまだまだ「やせ志向」が根強く、掲載されている女性芸能人の写真のほとんどは、デジタル加工によってより細く修正されている現状を三浦さんは危惧している。「女性誌の編集部は、タレントさんの所属事務所に掲載予定写真をチェックしてもらうのですが、ほとんどの場合、事務所側から『もっとウエストラインを細くしてほしい』とか『おなかを平らにしてほしい』とかあれこれ注文が入ります。編集部もノーとは言えない立場なので、よほど極端な修正でない限り、指示通り修正せざるをえないのが現状です」。雑誌やポスターなどでみかけるタレントの写真と実際の体型は「1割強」ほどの違いがあるという。また、特に女性誌やファッション関係者の間では、あいさつ代わりに「やせたね~」といった体型に関する話題を口にする傾向もあるため、そういった風潮も改めないといけないと語った。○学校教育の一環として摂食障害を学ぶイギリス精神科医の西園マーハ文医師は、摂食障害先進国・イギリスの取り組みを紹介。イギリスでは、英国摂食障害協会「Beat」が10代の若者向けに製作した摂食障害についてのDVDを小中学校が授業中に上映。学校教育の中で、啓発や予防活動が普及している。「育ちざかりの少女たちがファッション誌のモデルと自分自身の見た目を比較して、自己肯定感や自己評価を得られず悲しんだり、無理なダイエットを実践したりするのを防ぐために、女性誌の写真は大勢のプロによる最新技術が結集してつくられた非現実であること、現実のモデルの容姿は写真とはまったく異なることを、撮影現場の写真などを掲載した教材を使って説明するなど、メディアリテラシーが学校教育のなかで実践されています。こうした取り組みが今後、日本の学校教育においても実践されるようになってほしいですね」。同協会は会の最後に、当事者と治療者をはじめ、摂食障害に関わるあらゆる人々や組織がつながり、それぞれの力を結集させてこの障害に立ち向かってゆくため、今後も全力を尽くしていくことを宣言した。
2016年06月15日睡眠障害と聞くと、つい大人がなるものと思いがちですが、実は子どもも大人と同様に、睡眠障害になると言われています。 今回はその代表格でもある「夜驚症(やきょうしょう)」に着目し、それを抑える最新デバイスなども含めて紹介していきます。子どもの睡眠障害「夜驚症」とは?子どもに見られる睡眠障害のひとつに、「夜驚症」があります。これは睡眠中に突然目を覚まして泣きわめく、立ち上がって大声を発するなどの症状が見られるもの。夜驚症の発作が見られる前には、発汗や呼吸の乱れなど、自律神経関連の症状が現れることが一般的です。3~7歳ごろに最も多く発症するといわれています。夜驚症の特徴は、翌朝になると子どもは覚えていないことが多いという点。それは、深い睡眠であるノンレム睡眠のときに発作が起きているためと考えられています。発症から半年以内には発作が消えることがほとんどですが、心配な場合には早めに医師に相談するようにしましょう。夜驚症を防ぐデバイスがある?最近アップデートされた子どもの夜驚症を防ぐデバイスに「Sleep Guardian」があります。仕組みは子どもの布団の下に置き、発作兆候があった場合にのみ振動が起こって、不健康な睡眠サイクルを中断するというもの。それによって、夜驚症を未然に防ぐことができるといわれています。つまり、このデバイスは子どもの睡眠パターンを長時間追跡し、睡眠の状態を見守ってくれるというわけです。このデバイスを使ったことで、夜驚症の発作が2割程度にまで抑えられた子どももいるそうです。アメリカの製品なので、現在は英語版しか出ていないようですが、気になる方は「Sleep Guardian」で検索してみてくださいね。原因は精神的ストレス?病院での夜驚症の診察は、大半の場合は保護者である両親から発作時の症状や普段の生活などについて問診することで済むそうです。ただ、てんかんが疑われる場合は脳波測定を実施する病院もあります。夜驚症の原因はまだ明らかにされていませんが、日中に怖いテレビを見た、幼稚園で友達から嫌なことをされたなどがあると、それが刺激となって夜驚症を引き起こすことがあるそうです。保護者の方は心配になると思いますが、冒頭でも書いた通り、時間がたてば治ることがほとんどなので、過度な心配をせずに温かく見守ってあげるとよいかもしれませんね。photo by acworks
2016年03月07日睡眠障害にはさまざまなものがあり、症状や治療法も複雑なので、素人が自己判断でどうにかできるものではありません。今回紹介するレム睡眠行動障害もそのひとつ。本文のような症状が現れたら、早めに病院へ行きましょう。レム睡眠行動障害ってどんな睡眠障害?睡眠障害のひとつに「レム睡眠行動障害」というものがあります。私たちは夜間、レム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)を交互に繰り返していますが、この睡眠障害ではレム睡眠時に無意識のうちに体が動いたり、声をあげてしまうといった症状が現れます。通常、レム睡眠の最中は筋肉が緩んでいる状態なので、体を動かせないものと考えられていますが、レム睡眠行動障害の患者は悪夢などが原因で、大声で叫ぶ、手足をバタつかせてしまうなどの行動をとってしまいます。一般的に、高齢の男性に多くみられる睡眠障害で、薬物治療によって改善されることがほとんどだと言われています。周囲はどう対処すべきかレム睡眠行動障害の場合、当人は自分が睡眠中に声をあげたり、暴れているという自覚がないと言われています。そうなると、重要な役割を担うのは当人の周囲にいる人間です。もしも、あなたの家族や同居している人が寝ている最中に突然暴れはじめたら、どうしますか?推奨されている方法は、自然に目覚めるように誘導することだそう。たとえば、部屋の電気をつける、アラームを鳴らす、テレビをつけるなどで、朝目覚めるときと同じような環境をつくるとよいのだとか。強引にゆすって起こしたりすると、現実と夢の区別がつかず、より暴れてしまうことがあるそうなので、注意しましょう。早めに病院へ!レム睡眠行動障害は、加齢による脳内伝達物質の減少と不安定な心理状態が組み合わさったときに起こりやすいと言われています。高齢の方で強いストレスを感じていたり、トラウマを抱えていたり、生活習慣が乱れているときには注意が必要かもしれませんね。もしも、ご自身または周囲の方に上記のような症状が現れたら、早急に専門の病院を受診しましょう。先述した通り、レム睡眠行動障害の治療は薬物治療によるもので、今のところ生活習慣を見直すなどの行動療法では治らないと言われています。ただ、専門医の指導を受ければ、深刻になる病気ではないのだとか。気になる方は早めに病院へ行ってみましょう。photo by Didgeman
2015年12月13日京都大学(京大)は11月10日、重度の先天的障害のある野生チンパンジーを観察し、母親が過去の子育てとは異なる方法で障害児のケアを行っていた点、他個体が障害児に対して恐れや攻撃といった特異な反応を示さなかった点などを明らかにしたと発表した。同成果は、同大学理学研究科博士後期課程 日本学術振興会特別研究員の松本卓也氏、野生動物研究センター 中村美知夫 准教授、伊藤詞子 研究員、鎌倉女子大学学術研究所 井上紗奈 研究員らの研究グループによるもので、近日中に国際学術誌「Primates」にてオンライン公開される予定。今回の研究では、タンザニアのマハレ山塊国立公園に生息するチンパンジー集団において、2011年に重度の障害のある赤ん坊が生まれたことを発見し、その後赤ん坊が消失するまでの約2年間の行動を記録した。この結果、今回観察された障害児の特徴が、過去に報告されたダウン症様の個体の症例に酷似していることがわかった。野生下でダウン症様の赤ん坊が発見され、2年近く生き残った事例が報告されるのは今回が初めてだという。また、他個体からのケアとして、他個体がその赤ん坊に対して恐れや攻撃といった特異な反応を示さなかったこと、母親が腹に掴まった赤ん坊に片手を添えつつ移動するなど、過去の子育てとは異なる方法で障害児を育てていたこと、障害児の姉が母親の代わりによく世話をしており、その姉が自身の子を出産した約1カ月後に障害児が消失したことがわかった。重度の障害のある赤ん坊が野生下で2年近く生き残ることができた要因として、母親による柔軟な子育てや姉の世話といった他個体からのケアが影響を与えていた可能性がある。中村准教授は同成果について「マハレでのチンパンジー研究は今年で50年になりますが、障害のある赤ん坊が観察されたのは今回が初めてです。障害者などの弱者をケアできる人類社会の進化基盤を考察する上でも重要な観察事例だと考えています」とコメントしている。
2015年11月11日睡眠時無呼吸症候群を調べる方法に「睡眠ポリグラフ検査」というものがあります。日本睡眠学会は睡眠ポリグラフ検査を行うことの重要性を説く声明を発表しました。なぜ、そのような声明を発表する必要があったのでしょうか? その真相に迫ります。睡眠障害の評価方法日本睡眠学会は今年5月に「睡眠ポリグラフ検査の重要性について」という声明を発表しました。睡眠ポリグラフ検査とは、脳波や心電図、呼吸運動などを夜間の睡眠中に計測して、睡眠を評価するというもの。睡眠ポリグラフ検査を行うことで、睡眠時無呼吸症候群や睡眠行動障害、周期性四肢運動障害などの睡眠障害、睡眠中の不整脈などを調べることができると言われています。そして、もう少し簡単に睡眠を評価する方法としてOCST(out-of-center sleep testing)というものがあります。ですが、日本睡学会はOCSTでは睡眠の評価が十分にできないと述べています。それはなぜなのでしょうか?OCSTとは?日本睡眠学会によると、OCSTは脳波計測の機能がないため、睡眠を評価する装置ではなく、呼吸に伴ういくつかの指標を記録する「携帯型呼吸モニター」に過ぎないそうです。ところが、アメリカ睡眠医学会は睡眠障害国際分類(International Classification of Sleep Disorders 3rd version:IICSD-3)のなかで「睡眠時無呼吸症候群の診断にOCSTの使用を認める」と公表したと言われています。日本睡眠学会は、このIICSD-3の内容を受けて、日本の医療界が睡眠ポリグラフ検査よりも簡単に行えるOCSTを頻繁に取り入れる可能性が高まることに対して警鐘を鳴らしているというわけです。社会の安全を守ることに繋がるOCSTでは、呼吸の指標を中心に検査するため、睡眠時無呼吸症候群の病態の半分程度しか評価できないと日本睡眠学会は考えています。しかし、睡眠時無呼吸症候群を正しく評価するためには、呼吸だけでなく、脳波を計測し、覚醒反応や睡眠の質と量を調べることが欠かせないのだそう。発表された声明によると、睡眠時無呼吸症候群を正しく評価することは「社会の安全を守ること」にもつながるとされています。というのは、睡眠時無呼吸症候群の患者は深い睡眠を得られないため、日中に眠気を覚えることが多く、交通事故などを起こす確率が増えると言われているからです。検査方法は医療界だけのことではなく、私たちに深く関係した社会問題として捉えるべきかもしれませんね。photo by pixabay
2015年09月21日子どもは悩みごともストレスもなく、スヤスヤ眠るもの……というのは大人の思い込みかもしれません。なぜなら子どもだって睡眠障害になる可能性があるからです。さらに、幼児期の睡眠状態がその後の行動にも影響を及ぼすことが研究で明らかになりました。1歳半のときの睡眠状態ノルウェーの研究者の報告によると、1歳半のときの睡眠時間と夜間覚醒のトラブルが、5歳になったときの行動に影響するということが明らかになったそうです。これまでも成長期の子どもの睡眠障害は、健康に害をもたらすものと考えられていましたが、実際にどのような関係があるのかを調べた研究はほとんどありませんでした。今回研究では、3万人以上の子どもと妊婦を対象に、睡眠時間と夜間覚醒の有無、さらにチェックリストを使って問題行動がないのかを調べ、調査が行われました。睡眠不足の子どもたち調査の結果、1歳半の時点で1.7%の500人強の子どもが1日の睡眠時間は10時間以内という睡眠不足状態であり、1,000人強が一晩で3回以上の覚醒がある(夜間覚醒)ということがわかりました。また、1歳半の時点で睡眠不足の状態で、夜間覚醒が頻繁な子どもは、5歳になったときに情動面や行動面での問題を抱えていることが多いということも判明しました。この調査を行った研究者は、幼児の頃から睡眠障害を治療し、早期発見・早期改善をすることが重要だと言い、これからもっと研究を進めていく必要があると話しているそうです。子どもも睡眠障害になるの!?日本でも子どもの生活が大人と同じように夜型化して、子どもたちが睡眠不足の状態に陥いりがちだと言われています。子どもが睡眠不足になると、成長が遅れる可能性があるだけでなく、イライラしたり、多動になったりする可能性があると考えられています。また、肥満になる可能性も増えるそうです。子どもは、自分の睡眠時間が正しいのかどうかを判断する基準を持ち合わせていません。そのため、学校や社会が教育・啓発活動を行う必要があると厚生労働省は説いています。子どもは睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害になることもあるので、まわりが協力して、子どもの成長を見守ってあげたいところです。photo by pixabay
2015年06月13日大阪市立大学の研究グループが、睡眠障害と糖尿病の関係性に関する新たな事実を発表しました。それによると、不眠の治療が心筋梗塞や脳梗塞の予防につながるかもしれません。この研究は、米オンライン科学誌プロスワンに発表されたもの。その研究内容についてご紹介します。睡眠障害と糖尿病今年4月に大阪市立大学医学研究科のグループは、「糖尿病によって血糖値をコントロールできなくなると、睡眠障害が起こることを脳波計による実験で立証した」と発表しました。以前から、睡眠障害を患っている人は糖尿病を抱えていたり、将来的に高確率で糖尿病を発症するということはわかっていたそうです。糖尿病患者には、健常者に比べて約2倍の不眠が見られると言われています。これは肥満による睡眠時無呼吸症候群を除いた数字で、これまでいろいろな原因が指摘されてきました。過去の研究では、睡眠障害と糖尿病の関連が示唆されていたものの、糖尿病による血糖コントロールと睡眠障害の直接の関与は明らかにされていませんでした。血糖コントロールとは?大阪市立大学の研究グループが、糖尿病の血糖コントロール指標のHbA1cが睡眠第1相の時間、および深睡眠である徐波睡眠の時間と関連があるかどうかを調べたそうです。この研究は、63人の糖尿病患者に脳波計をつけて、睡眠の質を測定し、血糖コントロール指標との関連を調べるというもの。その結果、血糖コントロール増悪により深睡眠の徐波睡眠相が減少すること、および深睡眠指標であるレム睡眠潜時の短縮をもたらすことが明らかになりました。この研究によって、深睡眠の障害(時間短縮)は動脈硬化の進展につながる可能性がある、ということが示唆されました。糖尿病の重要な治療方法になる可能性がある!睡眠障害の治療によって交感神経系疾患の改善がもたらされることや、それに伴い、血糖の改善が期待できるという結果も得られたそうです。ただ、今回の研究では、血糖コントロールについてのみの少数の症例による結果しか得られていないそうなので、現在は血圧や血管障害指標の改善の有無についても検討しているそうです。今後、研究が進展していき、睡眠障害の治療によって血糖コントロールの改善、高血圧の改善、血管障害の緩和を期待できる結果が得られた場合、睡眠障害治療が糖尿病の重要な治療方法になる可能性があると言われています。この研究が睡眠障害の治療目的を新たに位置づけるうえで、重要な研究になるかもしれないそうですよ。photo by Nuclear Refulatory Comm
2015年06月12日更年期障害と聞いて、みなさんはどんなことを想像しますか?アラサーのみなさんにとっては、まだまだ遠い先のことと感じる人が多いでしょう。でも実は30代で更年期障害のような症状があらわれる、「若年性更年期障害」の人が増えていることをご存知でしょうか?すぐに疲れてしまう、イライラして寝つきが悪いなど、病気とは言えない体の不調を感じたことはありませんか?これらは更年期障害の症状のひとつ。アラサーのうちから気をつけたい、若年性更年期障害について紹介します。そもそも更年期障害って何?更年期障害とは、閉経をはさんだ前後10年の間に起こりやすい心身の不調のことです。女性が閉経する年齢は平均で50歳前後といわれているので、一般的には45~55歳くらいの期間を更年期と呼びます。この期間は閉経に向けて、女性の体が大きく変化する時期。卵巣機能が低下するために女性ホルモンの分泌が少なくなる一方で、脳からは女性ホルモンを出し続けるように指令が送られ、このアンバランスが様々な症状を引き起こすのだとか。代表的なのは次のような症状です。【体調面】・月経不順・頭痛やめまい・のぼせ・寝つきが悪くなる・動悸や息切れ・手足の冷えやむくみ・汗が急に出る・食欲不振・肌のくすみやシミ、たるみ・便秘【心理面】・イライラして怒りっぽくなる・不安感が強く、落ち込みやすい・物忘れがひどくなる病気のようにはっきりした症状はないものの、こうした症状が重なるために、ひどいときは生活や仕事に支障をきたすこともあります。では、なぜ30代で更年期症状があらわれてしまうのでしょうか?生活環境とストレスが、アラサーに更年期障害を引き起こす30代の女性に更年期のような症状が現れる原因として、生活環境やストレスなどが関係していると言われています。不規則な生活や過剰なストレスがかかると、自律神経の働きが狂ってホルモン分泌にも影響を及ぼすことがあります。これが更年期障害のような症状を引き起こす原因になります。実際には30代で閉経する人は、ほとんどいません。そのため、生活習慣を改善してホルモン分泌が正常に戻れば、症状は改善します。無理なダイエットを繰り返して、一時的に生理が止まってしまう人がいますが、これも若年性更年期障害の原因になります。美しくなるためのダイエットが、更年期障害を招いてしまっては意味がありませんよね。「心地よい睡眠」で、若年性更年期を撃退できる!まずは快眠をしっかり確保することが大切。睡眠不足は疲労やストレスを増幅させて、症状を悪化させてしまいます。できれば10時までにベッドに入りたいところですが、難しい人も多いと思うので、次の点を心がけてみてください。「就寝前に湯船につかる」湯船にゆっくり浸かって、心身ともにリラックスしましょう。また体温が下がるときにに眠気を感じやすくなることから、入浴時に体温を上げておくと入眠しやすくなります。「就寝の2時間前までにスマホやパソコンの使用をやめる」スマホやパソコン、タブレットなどのブルーライトは、刺激がとても強いため睡眠の妨げになります。また睡眠の1時間前には、部屋の照明を落として暗くすることで、眠りに入りやすくなります。「起床時間を固定する」就寝時間の固定が難しい場合も、起床時間だけは固定するように心がけましょう。朝起きる時間をそろえるだけでも、生活が規則正しく整いやすくなります。早起きして朝食を食べると、便秘解消効果も期待できるのでおすすめです。休日も同じ時間に起きることで、週明けも睡眠リズムが狂いにくくなります。心地よい睡眠を得るためのヒントは、ピーリング麻里子さんのこちらの記事にも詳しく書かれています。こちらも、ぜひ参考にしてみてください。やっぱり女はデリケート・・・女性でも、バリバリ仕事をしている姿はカッコいいですよね。でもどんなに仕事のポジションが上がっても、体まで変化するわけではありません。女性らしさを極端に主張する必要はありませんが、女性としての心と体を丁寧に扱うことは、やはり大切なこと。「女はデリケート」それは昔も今も変わりません。忙しさにかまけて、あなたは女であることを忘れていませんか?
2015年02月11日乳酸菌がストレス性の睡眠障害を改善する効果があるというレポートをご存知でしょうか? これはマウスを用いた研究で明らかになったことで、今後は人間への応用が期待されています。その興味深い内容を見ていきましょう。ストレスは睡眠障害の一因になる実際に、どのような実験が行われたかをご紹介します。まず乳酸菌をエサに混ぜて4週間与え続け、その後、睡眠障害を誘発するストレス負荷を2週間加えます。その状態で、マウスの活動量を測定する、というものでした。乳酸菌を与えずにストレス負荷だけを加えたマウスは寝つきが悪くなり、活動量も低下するのに対し、乳酸菌を与えたマウスは活動量があまり落ちなかったそうです。乳酸菌は「未完の大器」!?さらに遺伝子レベルでも睡眠障害を改善する効果が判明したと言われています。「睡眠障害マーカー遺伝子」と呼ばれる、睡眠障害によって発現が増大する遺伝子があるのですが、乳酸菌を与えたマウスでは、発現が抑えられたと報告されています。この実験で使われた乳酸菌は「SBL88乳酸菌」というものなので、全ての乳酸菌に同じ効果があるかどうかはわかりません。今後は、この乳酸菌を使って人間の睡眠障害改善の研究が行われていく予定だそうです。今後にますます期待!乳酸菌は他にも多くの可能性を秘めている菌のようで、睡眠障害の改善だけでなく、ストレス緩和や病気の予防などにも用いられる日がやってくるかもしれません。これまでは乳酸菌と言えば、「腸内環境を整える」ということに注目が集められていましたが、最近ではそれにとどまらず、生体機能を整える、リラックス効果などを謳った飲料なども出てきています。乳酸菌であれば、ヨーグルトなどで手軽に摂取することができるので、睡眠に悩みをもつ人にとってもこの実験がうまくいけば朗報ですよね。Photo by Jonathan Bliss
2015年02月11日テレビや雑誌などで「睡眠障害」という言葉を目にしたり、聞いたりしたことはないでしょうか?睡眠障害とは、その名称の通り、睡眠に関する何らかの障害のことで、日中に眠たくて仕方がなかったり(過眠症)、眠っているときに無意識に体が活動してしまったり(睡眠時随伴症)、呼吸が止まってしまう(睡眠時無呼吸症候群)などの総称として用いられます。なかでも、眠ることができなったり、睡眠の途中で目をさましてしまったりする「不眠症」は、日本国民の5人に1人がかかっているといわれており、よく知られています。国民病といわれている睡眠障害「不眠症」の4つのタイプ眠ろうと思ってもなかなか寝つくことができない「不眠症」には、大きく分けて「入眠障害」「熟眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」の4タイプに分類することができます。入眠障害不眠症の中で、もっとも多いといわれているのが「入眠障害」です。ベッドや布団などに入ったものの、なかなか寝つくことができない状態が続く症状のことをいい、個人差はありますが、睡眠にはいるまでに30分から1時間近くかかる人もいます。「日常的にストレスを抱えている」「直前までテレビやパソコンなどの光を見ていた」「体内時計が乱れている」などの原因があると考えられています。熟眠障害入眠障害とは対照的に、十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、満足感を得ることができない症状を「熟眠障害」です。睡眠には、体が休眠していながら脳は活発に動いている「レム睡眠」、脳も体の機能も深く休眠している「ノンレム睡眠」の2つの種類があるといわれています。「熟眠障害」は、この「ノンレム睡眠」の量が少なくなってしまうことをいい、長期化すると、体調不良の原因になったり、自動車を運転している時に無意識に寝てしまったりといった、重大な事態に陥ってしまうことも考えられます。中途覚醒心理的理由、環境的理由などが原因で、睡眠の途中で目が覚めてしまう症状のこと。この状態が数日間続くと「一過性不眠」、1~3週間ほど持続すると「短期不眠」、1か月以上継続すると「長期不眠」といいます。とくに「長期不眠」の場合には、喘息、心不全、神経症などの重大な病気が背後に隠れている場合があるので、長期化している場合には、少しでも早く専門医師に相談することをオススメします。早朝覚醒会社や約束ごとで起床しようと目覚ましをセットしていても、いつもその時間よりも早く目覚めてしまう症状。日本人の8%は、この「早朝覚醒」を体験しているといわれています。とくに高齢者に多く見られる症状だと思われていますが、近年では、比較的若い世代においても目立ってきている症状です。日頃の生活で可能な対処法とは?日常生活でできる対処法としては、生活習慣を改めることです。夜更かしや寝坊、昼寝のしすぎを控えて「就寝や起床時間を一定にする」ように心がけたり、体内時計を調整するために「太陽光を積極的に浴びる」ようにつとめたりするだけでも効果的です。その他にもさまざまな日常生活の改善点があるので、簡単に紹介しておきましょう。・睡眠時間にこだわらない・自己流のストレス解消法をみつける・就寝前にはリラックスできる時間をつくる・寝酒を控える・眠りやすい環境づくりを心がける自分で「不眠症かな?」と実感できたら以上のことを実践してみるといいでしょう。ですが「不眠症」の裏には複数の原因が隠れている場合があるので、それぞれの原因に合わせた対処法が必要になってきます。他の睡眠障害でもある「睡眠時無呼吸症候群」「睡眠時随伴症」などが原因で、何らかの不眠症を併発している場合もあります。医師の診断や治療、専門施設での検査や診断が必要になってきます。自分ですべてを解決しようとは考えず、医師の判断を仰ぐようにしてください。参考:厚生労働省e-ヘルスネット
2015年01月08日子供の頃、よく悪夢にうなされたという経験はありませんか?今回は、子供の睡眠障害を紹介したいと思います。子供と大人の睡眠の違い子供の睡眠障害を紹介する前に、まずは子供と大人の睡眠の違いについて簡単に解説したいと思います。子供は生後3カ月ぐらいまでに5時間ぐらいの睡眠をまとめてとるようになりますが、1歳ぐらいまでは夜中に目が覚める時期があります。成長するにつれてレム睡眠(急速眼球運動睡眠/浅い睡眠)が増えていき、だんだんと大人と同じ睡眠へと近づいていきます。子供の睡眠障害は、ほとんどが一時的なもの、または周期的なものなので、その多くは治療の必要がないと言われています。子供の睡眠障害今回、紹介するのは「睡眠時随伴症」という睡眠障害です。これは4~12歳ぐらいの子供に起こりやすい睡眠障害で、無意識のうちに記憶に残らない行動をしてしまうというものです。具体的な行動としては、おそらく誰もが経験したことのある、就寝の際に体や脚がビクッと動いたり、短時間の映像が見えたり、歯ぎしりをしたり、歩き出したり、ということがあげられます。悪夢を見てうなされることもあります。これはレム睡眠時に起こるもので、熱があるときや疲れているときに頻度が高くなると言われています。特に子供は悪夢の内容を細部までよく覚えていて、怖がって眠れなくなることがあるそうです。悪夢の原因はなに?子供が悪夢によくうなされるという場合は、保護者の方にチェックしていただきたい点があります。それは子供が日中に「見ているもの」「体験していること」です。子供は素直で、正直なので、日中に怖いテレビ・映画やストレスを感じるような体験をすると悪夢を見やすくなると言われています。悪夢はかなり頻繁ではない限り、あまり心配をすることはないと考えられていますが、気になる保護者の方は子供の行動を日記につけるなどしてよく注意してみましょう。それでも原因を特定できない場合は病院へ行って、お医者さんに相談することも考慮する必要があります。Photo by Luciano Dinamarco
2014年12月11日元ディズニー・アイドルで歌手のデミ・ロヴァートは摂食障害や双極性障害、自傷癖といった様々な問題を抱えて2010年にリハビリ入りし、その明るく自信あふれるイメージとのギャップから世間を大いに驚かせた。休息期間を終えた後、彼女は以前よりさらに精力的に活動を行い、若者や同じ病気に苦しむ人々のための素晴らしいお手本であり続けている。そんなデミがTwitterにて摂食障害や精神障害についてのよくある誤解を語り、人々を啓蒙する力強いメッセージを発信した。彼女は以下のように語っている。「摂食障害であることが“強さ”を示すわけではないわ。強さとは、長いこと戦ってきた自分の中の怪物を乗り越えられるということよ」。「飢えることはダイエットではないし、吐くことは極端に痩せている人のみがすることではないわ。摂食障害は人を選ばないの。そのほかの精神病も同じ。それらは致死性の病気で、日常的に人の命を奪っている。だから、どうか摂食障害や精神病について語る時の言葉には慎重になって」。「拒食症や過食症は単なる選択の問題だと広く誤解されているわ。人々はよく“とにかく食べればいいじゃないか”“吐くのをやめればいいじゃないか”と言うけれど、その精神障害への無知・無学が精神のケアを後回しにさせている原因よ。この病気の流行はこの国を風靡し、毎日のように悲劇を生んでいるというのに」。壮絶な苦しみを乗り越え現在も病気と闘い続けているデミの言葉には大変な重みがある。実際に心の病気は目に見えない分、体の病気よりも軽視されることも多いだろう。ネガティブなイメージを恐れて公表しないという選択もあっただろうが、デミは自分の問題を共有しメッセージを発信し続けている。デミのように影響力あるセレブが問題に向き合い続けている事実は、世界中の同じ病気に苦しむ人々を勇気づけていることだろう。(text:cinemacafe.net)
2014年11月14日睡眠障害にはさまざまなタイプがあるため、それだけ多種多様な悩みが存在すると言えます。認知症との併発もまさにその1つかもしれません。今回は、認知症と睡眠障害の関係、またその対応について考えてみたいと思います。認知症と睡眠障害の関係認知症と睡眠障害には深い関連性があると言われています。それはデータにも表れていて、じつに認知症患者の約7割が何らかの睡眠障害に悩んでいるというものです。認知症患者の睡眠障害(夜間頻尿や昼夜逆転)は介護をする側の負担を激増させるので、介護破綻につながる可能性があると考えられています。今後、日本は高齢化社会へ突入していき、在宅介護がますます増えていくことが予想されるので、これは他人事ではない深刻な問題と言えるかもしれません。とは言っても、なかなか専門知識のない一般人には睡眠障害の対処法はわからないものです。何か良い方法はないのでしょうか?自宅でできるケア独立行政法人国立長寿医療研究センターは、すぐにできるケアとして次のような項目をあげています。・楽しめる活動やレクリエーションを活用する・つねに規則正しい就寝・起床時刻を保つ・有酸素運動を取り入れる(16時前が理想)・ベッド上で読書やテレビを見るなどの生活をしない・就寝3時間前は、食事・カフェイン摂取・喫煙をやめる・眠れない場合は一度起きて、眠くなってから再度ベッドに入る・温めた牛乳やバナナなどの軽食を摂る・日中は、なるべく日光を浴びるようにする・昼寝を制限する(寝すぎない)どれもやろうと思えば、すぐにできそうなものばかりですよね。カフェインの効果的な使い方上記の項目にあるカフェインは摂取の方法によっては、昼寝後の覚醒レベルを高めるなどの効果があります。具体的には、お茶やコーヒーなどカフェインの入ったものを飲むと30分後ぐらいを目安にカフェインの血中濃度が上がるため、覚醒しやすくなるのだそうです。つまり、夜眠る前にカフェイン入りの飲料を摂取してしまうと目が覚めてしまって逆効果ですが、昼寝などパッと短時間寝て、パッと起きるようなときには効果的に活用できる、ということですね。まずは、いろいろと上の項目を試してみて、自分に合った方法を探ってみるというのがよいかもしれません。ただし、それでも改善されない場合は、お医者さんに相談するようにしましょう。Photo by vic xia
2014年11月13日睡眠障害と一言でいっても、その症状や悩みはさまざまです。今回は、症状ごとにどのような病気の可能性が考えられるのかチェックリストをつくってみました。ぜひ、まずはご自身で確認してみてください!眠気に悩まされる症状とは?日中の眠気に悩まされているなど、「もしかしたら自分は睡眠障害かもしれない!?」とお悩みの方はいませんか。心配な方のために、今回は簡単にできるチェックリストを用意しました。ぜひ一度、ご自身でチェックしてみてください!(1)いつも日中に眠くなる睡眠不足症候群の可能性があります。適正睡眠時間は人それぞれですが、まずは睡眠時間を少し増やしてみましょう。それでも改善が見られない場合は、クリニックで適正時間を調べることもできます。このほかにも、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害、ナルコレプシーなどの可能性も考えられます。心配な方はすぐに病院で先生に診てもらうようにしましょう。寝つけない人は要注意!(2)夜になかなか寝つくことができない不眠症の可能性があります。これは睡眠障害の代表的な疾患で、眠ろうと思えば思うほど、眠れなくなったり、朝早く目覚めてしまうなどの症状があります。この場合は、ご自身の睡眠日誌をつけてみましょう。何時に寝て、何時に起きたのか、といった自分の睡眠パターンをまずは知ることから改善策を考えることが有効です。睡眠日誌をつけても改善がみられない場合は、日誌(貴重なデータになります)を持参してお医者さんに相談してみましょう。寝ているのに大声をだす?(3)就寝中に大声で叫ぶ、身体が動くレム睡眠行動障害の可能性があります。これは高齢の男性に多いと言われています。レム睡眠時は通常、身体から力が抜けてリラックスしているものですが、何かのきっかけで筋肉に力が入ってしまうようになり、夢と同じ内容の動きをしたり、声を発してしまうという症状がみられます。検査では、睡眠ポリグラフというものを行い、センサーを使って筋肉の動きを確認します。病院に1泊することが必要です。こちらも飲酒をすると症状が出やすくなるので、就寝前のアルコールは控えるようにしましょう。Photo by bryce_andrew
2014年11月01日オムロン ヘルスケアは8月18日、神経障害の診断機器、治療用機器の開発を行う米ニューロメトリックス(NM)と、日本市場におけるNM製「神経伝導検査装置DPNチェック」の独占販売契約を締結。同契約に基づき、8月25日より、「糖尿病性末梢神経障害(DPN)」のスクリーニング検査が可能な「神経伝導検査装置DPNチェック HDN-1000」の発売を開始すると発表した。国内の糖尿病患者は、その可能性が強く疑われる人も含めると約950万人おり、さらにその予備軍が1100万人いると言われている。糖尿病の3大合併症は網膜症・腎症・神経障害といわれているが、中でも初期から進行する神経障害は、糖尿病患者の4割が発症することがわかっており、そのうち、両手両足の末端の神経より障害が進行する糖尿病性末梢神経障害(DPN)は、自覚症状を伴わない場合も多く、足の潰瘍や壊疽など重篤な事態にもつながることが懸念されている。DPNの検査法としては、アキレス腱反射やタッチテストなどの簡便な方法があるが、いずれも客観性に欠けることが課題で、より詳細な検査であり、有効な筋電計などを用いた神経伝導検査もあるが、検査装置が高価であるほか、正確な検査には熟練の技術も必要であることから、神経伝導検査を行える施設は限定的であり、糖尿病治療の現場での制限となっていた。同製品は、末梢の感覚神経の1つである腓腹神経に電気刺激を与え、神経に興奮が伝わる速度(神経伝導速度)と大きさ(活動電位振幅)を測定し、DPNの程度を簡便に検査する検査装置で、くるぶしの付近に本体を当てて、操作ボタンを押し、10~15秒待つことで、測定結果を知ることができるようになっている。また、本体とパソコンをUSBケーブルで接続し、付属の「コミュニケーターソフトウェア」を使うことで、より詳細な検査結果を見ることも可能だ。なお、同製品の販売は、医療機器販売会社であるオムロン コーリンが担当し、メーカー希望小売価格は68万8000円(税別)、初年度で350台の販売を目指すとしている。
2014年08月18日「更年期障害」とは生理が終わる40代後半~50代くらいの女性にみられる「だるさ」、「のぼせ」「ほてり」「多汗」「手足の冷え」「腰痛」「肩こり」などの症状のこと。20代、30代のうちは、まだまだ関係ないと思っていませんか?最近、20代、30代の更年期より若い年代でも、「更年期障害」のような症状が起こることがあり、「若年性更年期障害」と呼ばれています。そのような不調を訴える女性が増えてきているというから、気をつけたいものですね。女性の身体の仕組みを考え、高齢期の諸症状をはじめ、女性ホルモンと自律神経のアンバランスから起こる、さまざまな体の不調を改善する「命の母 A」は、今年、発売開始111周年を迎えるのだとか。111周年ですから、発売開始は何と明治36年。その時代から、大正~昭和~平成と、女性をとりまく環境は大きく変わってきています。明治から大正にかけての女性は、大家族のなかで家事労働に明け暮れ、過酷な生活を送っていたといわれます。体の弱い母親のために笹岡省三が「病に悩む女性を助けたい」という想いで研究を重ね、完成させたのが「命の母」。その後、戦時体制下には「子宝薬」として女性たちの話題となり、高度成長期には女性の体に必要なビタミンを配合した「命の母 A」が誕生、女性の社会進出にともない、仕事に家庭に忙しく活動し始めた女性の薬として受け入れられたそう。そして平成の今、「命の母 A」は更年期障害を治すお薬としてリニューアル。女性の活躍の場がますます広がり、複雑で多忙な環境で心身の不調を訴える女性も増えています。そんな女性に贈られるのが新生「命の母 A」。明治から111年の歳月を経ても、創業者笹岡省三の女性を想う心は受け継がれているのですね。現在、命の母111周年を記念して、「しあわせ笑顔」をテーマに、母と娘の素敵な笑顔のお写真と一言コメントを募集中(受付は8月31日まで。応募は こちら から)。 応募した人の中から111人には豪華プレゼントもあるから、ぜひ応募しては?大賞2名には母娘の旅行にも使えるJTB旅行券20万円分が、入賞8人には同旅行券10万円分が、そして命の母 A賞101人には111点から選べるギフトカタログがプレゼントされます。大人になると、母親と写真を撮る機会もなかなかないもの。これをきっかけに久しぶりにふたりで写真を撮ってみては? JTB旅行券がゲットできたら、ふたりで旅行するのもいいですね。いい親孝行になりそうです。・命の母 A 公式サイト コンテストへの応募は こちら から
2014年07月14日九州大学(九大)は2月19日、「神経障害性疼痛」の慢性化に「二次リンパ組織」である脾臓における免疫細胞の1種「樹状細胞」のリソソーム酵素「カテプシンS」の働きによる抗原特異的なリンパ球の1種である「CD4+T細胞」の活性化が重要であることをマウスによる研究で明らかにし、活性化したCD4+T細胞は「脊髄後角」へ浸潤し、「インターフェロン-γ(IFN-γ)」を産生分泌することで「ミクログリア」の活性化をさらに深化させることが疼痛の慢性状態への移行に極めて重要であることを突き止めたと発表した。成果は、九大大学院 歯学研究院の中西博教授らの研究チームによるもの。研究は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として行われ、詳細な内容は米国東部時間2月19日付けで米神経科学会誌「Journal of Neuroscience」に掲載された。神経系における損傷または機能障害によって持続的な痛みが発生する神経障害性疼痛は、モルヒネも奏効しない難治性疼痛として知られている。近年、神経障害性疼痛の慢性化において、リンパ球の1種であるT細胞が関与することが示唆されていた。しかし、その詳細なメカニズムについては不明な点が多く残っている。「単核食細胞」に特異的に発現するリソソーム性システインプロテアーゼの1種カテプシンSは「抗原提示細胞」の1種である樹状細胞において、抗原提示を行う「MHCクラスII分子」に結合している「インバリアント鎖」(MHCクラスII分子が抗原以外のペプチドとの結合するのを防ぐために結合したペプチド)の最終段階の分解に関与し、抗原提示機能の発現に重要な役割を担っている。なお抗原提示細胞とは、抗原をT細胞に提示することで、T細胞を活性化させる役割を持つ。またMHCクラスII分子とは、抗原提示細胞の「エンドソーム」(細胞小器官の1種で、細胞内に存在する細胞外物質を取り込む小胞)内に存在するタンパク分子で、抗原を結合すると細胞膜表面に移行しCD4+T細胞に抗原を提示することで活性化させる働きを持つ。中西教授らの研究チームは、これまでカテプシンS欠損あるいは脳移行性のないカテプシンS特異的阻害剤「Z-Phe-Leu-COCHO(Z-FL)」が、神経障害性疼痛の発症にはほとんど影響することなく慢性化を有意に抑制することを見出していた。そこで研究チームは今回、カテプシンSが二次リンパ組織(リンパ球の抗原提示による活性化に関与する脾臓やリンパ節などの組織)での抗原提示によるT細胞の活性化に関与し、神経障害性疼痛の維持・慢性化において重要な役割を担っている可能性を検討することにしたのである。神経障害性疼痛モデルマウスは、脊髄神経を腰神経レベルで切断することで作成された。野性型マウス(DBA/2系統)では神経障害に伴い、二次リンパ組織である脾臓の肥大化が認められ、T細胞などが産生分泌するサイトカインの1種であるIFN-γを発現したCD4+T細胞(Th1細胞)の増大が確認された。また、脾臓に分布する樹状細胞においてカテプシンSが増大することも明らかとなったのである。一方、カテプシンS欠損マウス(DBA/2系統)ではこれらの変化やインバリアント鎖の最終段階の分解は生じず、神経障害性疼痛の維持・慢性期における疼痛の有意な緩和が認められた(画像1)。また、野生型マウスにおける脾臓摘出によっても神経障害性疼痛の維持・慢性化が有意に抑制されることが確かめられたのである。画像1のグラフでは、カテプシンS欠損マウスにおける神経障害性疼痛の有意な緩和が確認可能だ。グラフの見方は、PWT(g)は機械刺激に対する疼痛閾値で、「+/+」は野生型マウス、「CatS-/-」はカテプシンS欠損マウス。ipsiは神経障害側後肢への機械的刺激を表す。そして、contraは反対側後肢への機械的刺激だ。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001は野生型マウスの疼痛しきい値との比較である。そこで次に神経障害性疼痛を発症した野性型マウスの脾臓よりCD4+T細胞を単離し、神経障害5日目のカテプシンS欠損マウスあるいは脾臓を摘出した野生型マウスに腹腔内投与が行われた。その結果、投与直後から3日間に渡ってこれらのマウスにおいて疼痛の有意な増強が認められたのである。さらに免疫組織化学的解析の結果、IFN-γを発現したT細胞の神経障害側の脊髄後角(末梢知覚神経から送られてくる痛覚情報を上位中枢へ中継する脊髄の部位)への浸潤が確認された(画像2)。これは末梢神経障害に伴って「血液脊髄関門」(血液から脊髄への物質の移行を制限する機構)の透過性が一過性に増大するという報告と一致するという。(画像2)さらに、脊髄後角に浸潤したTh1細胞がIFN-γの産生分泌により脊髄ミクログリア(脳脊髄に存在し免疫機能を担う中枢神経中のグリア細胞の1種)を刺激し、ミクログリアの活性化をさらに深化させている可能性が検討された。IFN-γ受容体の下流シグナルである「STAT1」のリン酸化が調べられたところ、リン酸化STAT1はミクログリアの核に局在することが認められ、転写因子としての活性化が確認されたのである(画像3)。なおSTAT1とは、IFN-γ受容体の活性化によりリン酸化され、核内に移行して転写因子として働くタンパク分子のことだ。以上の結果より、二次リンパ組織である脾臓における樹状細胞のカテプシンSの働きにより、抗原特異的に活性化したTh1細胞の脊髄後角への浸潤、ならびにIFN-γ を介した脊髄後角ミクログリアの活性化のさらなる深化が、疼痛の慢性状態への移行に極めて重要であることが明らかとなった(画像4)。今回の成果により、神経障害により脾臓などの二次リンパ組織の樹状細胞におけるカテプシンSに依存したIFN-γ陽性CD4+T細胞(Th1細胞)の活性化が引き起こされ、活性化したTh1細胞の脊髄後角への浸潤によりIFN-γを介した脊髄後角ミクログリアの活性化状態のさらなる深化が引き起こされることが明らかになった。このことからカテプシンSの二次リンパ組織での働きが神経障害に伴う疼痛の慢性状態への移行に極めて重要であることが示唆されるという。また今回の研究により、カテプシンSが神経障害性疼痛に対する治療薬開発における新たな標的分子となることが提示された形だ。一方で、神経障害に伴う二次リンパ組織における免疫応答にはマウス系統間での差異が認められ、C57BL/6系統マウスでは神経障害に伴うTh1細胞の活性化が認められていない。このように末梢神経障害に伴って脾臓のような二次リンパ組織において分化した成熟T細胞は末梢血中に移出し、脊髄を含む体組織に浸潤すると考えられる。そこで今後は、神経障害性疼痛を発症した患者の末梢血におけるT細胞サブセットの詳細な解析を行うと共に、カテプシンS特異的阻害剤ならびに免疫抑制剤の神経障害性疼痛に対する治療薬としての有効性について検討を行う予定とした。
2014年02月20日4月25日、都内にて、ヤンセンファーマ株式会社によるメディアセミナーが開催された。セミナーテーマは、「AD/HD(注意欠陥/多動性障害)とResilience(レジリエンス)」である。AD/HDとは、日常生活に支障をきたす原因となる認知機能障害、また、そうした認知機能障害と関連する不注意・多動性・衝動性といった中核症状を特徴とする生物心理社会的疾患のことだ。昨今、日本でもAD/HDに対する理解が進んでいるものの、いまだ適切な治療をうけることができていない人が多数いるといわれている。同セミナーは、さらに多くの人にこの病気についての正しい理解を得てもらうことで、そうした状況を改善することを目的として開催されている。また、Resilience(レジリエンス)とは、「強いストレスからしなやかに回復する力」という意味だ。これは、トラウマなどのPTSD(心的外傷後ストレス障害)を乗り越えた人々の行動特性から導き出された概念で、昨今、心理学会や小児学会からも注目を集めている。今回のセミナー講師は、ジョージメイソン大学心理学客員教授、ユタ大学医学部臨床学准教授を務めるサム・ゴールドスタイン博士。AD/HDの世界的権威である心理学者である。博士は、どうすればResilienceを高めることができるのかという疑問について、解説にあたった。Resilienceを高めるためにはまず、親や教師が、AD/HDを持つ子どもへの理解を深めることが不可欠だという。AD/HDの子どもが、ほかの子どもと比べて長時間落ち着いてひとつのことをやり遂げることが困難であることを十分に理解した上で、「その子が興味をもてる話題を選び、会話に飽きさせない」などの工夫をしながら、子どもと上手に向き合っていくことが必要だと説明した。とはいえ、Resilienceを数週間~数か月で身につけることは難しい。そのため、患者本人よりも、それを身につけるための手助けをする立場にある親や教師のほうが、忍耐力を強いられることが多いそうだ。このストレスを克服するためには、「患者と接するにあたって、水泳学習のマインドセットを応用することが有効」と解説した。例えば、“ 同世代の子どもが瞬時に習得することなのに、なぜ同じことができないのか?”と考えてしまうと、子どもに対していら立ちを覚えやすい。しかし、人によって習得スピードにばらつきがある水泳学習のようなものだととらえれば、習得に時間がかかることにストレスを感じづらくなるという。さらに博士は、AD/HDの改善には、薬物療法が大変有効であると説明。その立証ともなる実験結果について話した。実験は、AD/HDを持つひとりの子どもとほかの子どもたちを一緒に教室で授業を受けさせ、同世代の子どもにどの子がAD/HDかを当ててもらい、さらにその後、AD/HDを持つ子どもに薬を投与し、回答者を入れ替えた上で、同様にどの子がAD/HDかを見極めさせるというもの。結果は、薬を投与する前後で、正答率が100%から30%に減退した。今回のセミナーのために初めて来日したという博士は、AD/HDのさらなる支援実現のために、日本にも正しい知識を広めたいとの考えだ。質疑応答の時間になると、「AD/HDを持つ子どもは、同じような症状を持つ子どもたちが通う学校に通わせたほうがいいのか?」という質問が挙がった。それに対して博士は、「そうした学校に通わせることが間違っているとはいわないが、子どもにとっては、大人に成長する前に実生活での生活を学ぶ機会を失うことにもなる」と指摘する。親が「かかわる人を限定しなければならない」という意識を持たないためにも、AD/HDを早期に発見して、正しい医師の診断を受けながら、長期的視野で子どもとかかわっていくことの大切さを訴えた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月03日これまで、女性だけの症状と思われていた「更年期障害」。実は男性にもあるってご存じでしたか?更年期障害とは、加齢によりホルモンバランスが崩れることで、さまざまな不調が現れること。体だけでなく、心にも影響を与えます。閉経を迎える40代~50代の女性特有のものと考えられていましたが、近年、男性にも更年期障害が起こることがわかってきました。しかも中には、30代で更年期障害の症状を示す男性も!詳しい説明を、私のクリニック目白の平田雅子院長にお聞きしました。(以下、平田雅子先生)女性の更年期障害の場合、閉経前後に卵巣の機能が低下し女性ホルモンの分泌量が減少することで起こります。それと同じく男性の場合も、加齢による男性ホルモンの分泌が低下が原因と考えられています。まず、男性の場合、脳の視床下部から出されるホルモンの刺激で、性腺刺激ホルモンが分泌されます。性腺刺激ホルモンが分泌されると、男性ホルモンである「テストステロン」が睾丸(こうがん)から分泌されるのですが、テストステロンは、45歳くらいから緩やかに減少していきます。ですから、一般的に男性に更年期障害の症状が見られるのは、40代半ばからといえますが、若くても無縁ではないのです。それは、ストレスなどが原因で、30代でもテストステロンの分泌が減少してしまい、更年期障害の症状が現れる場合があるんです。症状は人それぞれで多岐にわたりますが、代表的なものはこちら。・ほてり、のぼせ・手足の冷え・頭痛・めまい、耳鳴り・肩こり・筋肉痛・便秘・腹痛・頻尿or残尿感・動悸(どうき)・不眠・倦怠(けんたい)感・不安・性欲低下・勃起(ぼっき)不全このように、身体面、精神面の両方にさまざまな症状があるにも関わらず、男性には女性の閉経のような分かりやすい変化がない上に、どれもすぐに病気につながるような症状でないため、見過ごされがち。また男性の場合も、更年期障害による身体的な変化により精神的に落ち込み、うつ状態になることが多いんです。もし症状に心当たりがあるのなら、男性の更年期障害について扱っている病院を受診してみましょう。(ビューティ&ダイエット編集部)
2012年03月18日