「心筋梗塞」について知りたいことや今話題の「心筋梗塞」についての記事をチェック! (1/2)
(写真:metamorworks/PIXTA)《冬の月曜日の朝は死亡率が2~3倍上昇する》こんなショッキングな報告をするのは、『時間治療病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間』(ブルーバックス)の著者であり、東京女子医大名誉教授で戸塚ロイヤルクリニック医師の大塚邦明先生だ。「『冬』『月曜日』『朝』というのは、いずれも心臓、脳血管の重篤な疾患が現れやすいタイミングです。時間医学の生みの親と呼ばれているミネソタ大学のフランツ・ハルバーグ教授は、心筋梗塞や脳梗塞、心臓性急死の発症頻度は冬に多く、そのリスクはそれ以外の季節に比べて1.5~1.7倍、月曜日に発生するリスクはそれ以外の曜日に比べて1.3~1.5倍、朝に発症するリスクはそれ以外の時間帯に比べて2~3倍であると報告しています」「冬」「月曜日」「朝」が重なると心筋梗塞のリスクは実に、7.65倍にもなるわけだ。こうしたリスクは、私たちの体にある“リズム”が起因しているという。そのリズムとは「サーカディアンリズム」あるいは「体内時計」と呼ばれている。「『体内時計』は、私たちの細胞の中に存在する遺伝子が、太陽の動きと連動することで働きます。このリズムは1日(24時間)、1週間(7日)、1カ月(約30日)、季節(約3カ月)といった一定の周期があることがわかっています」(大塚先生、以下同)ふだんの生活の中で自分の「体内時計」を意識している人は多くはないだろう。しかし実は、「体内時計」はしっかりと私たちの遺伝子に組み込まれているもので、私たちの健康と大いに関係している。それゆえ、その周期の乱れによる悪影響が明確に現れるのが、「冬」の「月曜日」の「朝」で、このタイミングで心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な血管疾患が急増するというのだ。■週末にズレた生活リズムを戻すために無理が生じる冬に血管疾患が増える原因にはヒートショックが挙げられる。空気の暖かいところから、寒い場所に移動して血管が急に収縮することで、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率が上がる。月曜日は週末の間にズレた生活のリズムを戻すために無理が生じて狭心症が発生しやすい。朝は、副交感神経から交感神経への入れ替わりが行われるため、急速に血液が流れ始めて心筋梗塞や脳梗塞、くも膜下出血、不整脈などが発症しやすくなる。直接の原因は、血管壁の弾力低下や血流の悪化などにあるが、環境によるショックに体が対応しきれない状態になりやすいのが、これらの時間帯というわけだ。また、体内時計のアンバランスは、メタボ、高血圧、糖尿病、うつ病、骨粗しょう症などの生活習慣病を招くこともわかっている。「最近ではがん、老化現象、アルツハイマー型認知症も体内時計と関係があることも明らかになってきました。たとえば、夜勤を含む不規則な勤務体系の女性の場合、乳がんのリスクはそうでない人に比べて2倍になることがわかっています。体内時計が狂うと、細胞内の遺伝子も不調になり、免疫、自律神経、ホルモンのバランスやリズムなどが乱れてしまうのです」こうしたリスクには男女差や年齢差もあると大塚先生は加える。「女性は男性よりも不安感や感情調節障害を訴える頻度が高いことからもわかるように、ストレスに弱い傾向があり、突然死のリスクも高くなりがちです。さらに、更年期でエストロゲンの分泌が減ると、体はストレスに対して一層弱くなります」こうしたリスクに対する予防法は、なにより太陽の動きに合わせた生活リズムを送ること。それによって遺伝子の役割を最大限に働かせることができるのだ。■適切な1日のルーティンを日々の生活に習慣づける「太陽は私たちの体内時計のセンサーです。脳の視床下部は、私たちの健康を維持するために体の働きを調整している自律神経やホルモンなどを取り仕切る働きをしています。これが太陽の光を受けることで、私たちの生体リズムをつかさどり、全身の細胞内にある遺伝子と連絡をとりあって健康を維持しようとしていることが、近年の研究でわかってきました」たとえば、食事の時間や運動の時間などにも、遺伝子が力を発揮しやすい時間帯がある。朝は6~7時に起床し、起床後1時間以内に十分なタンパク質と糖質の朝食をとろう。そして午前中に30分程度日光浴。昼食は正午あたりにとり、15~18時に有酸素運動をすることで、細胞に酸素がいきわたるようになり、体が疲れて夜ぐっすり眠ることができる。夕食は18~19時くらい、就寝時間もできるだけ“規則正しく”を心がけて、ぐっすり眠れるよう部屋を真っ暗にすることが大切だ。「私たちの体は常に新しい細胞が生まれ続けているため、生活習慣を正しくすることで、傷ついた細胞が修復され、体調が整いやすくなっていきます。細胞の修復は、いくつになっても可能です」寒さが続く今の時季は特に、太陽を意識した生活習慣を持ちたい。
2025年02月17日4月に入り、西日本から北日本までの広範囲で黄砂が飛来し、都心でも空がかすむ日が続いた。「中国大陸内陸部のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠の黄砂が、偏西風に乗って日本にやってきたためです。冬場は雪のために黄砂が飛びませんが、雪が溶け始める3月くらいから日本に飛来し始め、4月、5月にピークを迎えます。黄砂そのものは以前よりありましたが、近年、問題となっているのは砂ばかりでなく、砂に付着した、PM2.5といわれる非常に小さな粒子の有害物質で、さまざまな健康被害を引き起こすといわれています」こう警鐘を鳴らすのは、上本町わたなべクリニック院長の渡邊章範さん。まず、黄砂やPM2.5による代表的な症状といえば、アレルギー反応だ。「花粉症と同じように、くしゃみや鼻水、目のかゆみや痛みなどのアレルギー反応が出たりします。皮膚や顔にくっつき、湿疹が出るなど皮膚反応も起こすことも」(渡邊さん)だが、黄砂で怖いのは、命に関わる病気を引き起こすリスクがあるところだ。熊本大学客員教授で、桜十字八代リハビリテーション病院副院長の小島淳さんが語る。「世界の疾病負荷研究によると、死亡に寄与するリスク要因の中で、喫煙や高血圧に続き、男女ともに4番目に多いのが大気汚染です。その大気汚染による死因には、肺気腫などの慢性呼吸器疾患、肺炎などの呼吸器感染症がありますが、もっとも多く、半数近くを占めたのが心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患でした」国立環境研究所が20033年から2007年にかけて行った調査では、黄砂濃度の高い日は、通常の日に比べて救急搬送が12%増え、心臓病と脳卒中に限ると21%増になった。2017年に論文「黄砂飛来の翌日に急性心筋梗塞が増える可能性」を発表した、前出の小島さんが研究の経緯を語る。「通常、心筋梗塞は冬場に多く、夏場に少ない傾向があります。しかし暖かくなった4月、5月に、突如、患者が増える日があることから、黄砂との関係を調べてみました」(小島さん、以下同)気象庁が定めた黄砂観測日(肉眼で目視できる距離が10キロ未満の日)をもとに、熊本県内の21の医療機関の心筋梗塞全患者の状況を分析した。「すると、黄砂が観測された翌日は、観測されなかった日に比べ、急性心筋梗塞の患者が1.45倍も増えました。とくに、75歳以上の高齢者・高血圧・糖尿病・非喫煙者・男性・慢性腎臓病といった因子を複数持っている人ほど、黄砂によって急性心筋梗塞を発症しやすいという結果でした」また、九州大学の研究者らが2014年に発表した「黄砂の脳梗塞発症に及ぼす影響に関する研究」では、1999年6月から2010年3月にかけて、発症24時間以内の脳梗塞患者約7500人を調査。それによると、動脈硬化によって血管が狭くなる、あるいは詰まっていることなどにより生じるアテローム血栓性脳梗塞という種類の脳梗塞が、黄砂のばく露によって有意に増加すると報告されている。これらの疾患と黄砂の因果関係は判明していないが、小島さんは以下のように推察する。「黄砂や、ともに飛散してくるPM2.5といわれるごく微小な有害物質は、鼻や口から取り込まれると、肺の最深部である肺胞にまで行き着くと考えられています。また、あまりの小ささから血管にも入り込む可能性が指摘されています。肺や血管から有害物質が全身に回ると、各臓器が酸化ストレス(細胞のダメージ)や炎症を起こします。また自律神経が乱れることも示唆されています」結果、高血圧や心拍の異常、動脈硬化、急性心筋梗塞を引き起こすとされる。■認知症や自殺などのリスクが上がる指摘もさらに脳で言えば、認知症と黄砂の関連も指摘されている。「アルツハイマー型の認知症は、脳に付着したアミロイドβというタンパク質が関与しています。PM2.5の濃度が高い環境になるほど、脳に蓄積されるアミロイドβの量が増えるという論文もあります」(渡邊さん)「昨年発表された論文では、PM2.5濃度が上昇すると、被験者によって8?12%ほど認知症罹患率が高いという結果でした」(小島さん)呼吸器系の疾患はどうか。「ぜんそくなどのリスクが高まることになるでしょう。またPM2.5には、発がん性があるといわれる窒素酸化物や硫黄酸化物も含まれています。長期的にさらされて異物が混入し続けると、肺の組織もダメージを受ける。肺がんリスクが高まる可能性も否定できません」(渡邊さん、以下同)病気とは別に、自殺者の増加とPM2.5との関連を調査した論文もあるという。「2015年に発表されたアメリカのレポートでは、過去10年間の自殺患者数を調べたところ、2~3日前にPM2.5にさらされると5%自殺者が増えるという結果でした」時には死に直結する黄砂や、黄砂に付着するPM2.5。気象庁では3日先までの黄砂の飛散予測を、地域ごとに5段階評価で発表している。「状況を把握して、黄砂が多い日は不織布マスクをするなど、花粉症と同じ対策をしましょう。帰宅時には玄関先で上着や頭に付着した黄砂を払い落とし家の中に持ち込まないように。また、口うがい、鼻うがい、顔を洗うことも有効だと考えます」これからピークを迎える黄砂、しっかり対策しておこう。
2024年04月25日一つ屋根の下で義母と同居しているまる子さん。嫁姑問題や介護の話をメインに自身の体験をマンガにしています。ある日の夜中、義母から呼び出しの電話がかかってきて目覚めたまる子さん。夫に様子を見に行ってもらったところ、なんと「お化けが出た」らしく、背中をさすってほしいと言われたそうです。話を聞いて、リモコンの誤操作によってテレビや電気がついたり消えたりしただけだと思いながらも、まる子さんはいろいろと仮説を立てながら妄想や空想を楽しんでいました。ケアマネジャーさんの定期訪問の日。まる子さんが義母の近況を報告しながらいろいろと相談したところ、訪問入浴や訪問リハビリの利用を提案されました。義母にはケアマネさんから改めて話してもらったのですが、肝心の利用するかどうかはハッキリと答えてくれず……。結論は先送りになりました。 いつにも増して呼び出しが多い… 朝から呼び出しコール。 部屋に行くと、心筋梗塞を起こしていると訴え始めました。 とりあえず、心筋梗塞ではなさそうだと告げます。 ※王子:まる子さんの長男 部屋を後にすると、すぐにまた呼び出し……。 いたって通常運転かと思いますが……。 冷静に対応しておきます。 すると、また呼び出しコール……。 部屋に向かうと、女王から女玉へと人格がチェンジしていました。 ※女玉:通常の義母(女王)よりもブラックな状態な義母のこと それでも、極力冷静に対応します。が、義母が安心するならと思い、かかりつけの内科に連れて行くことに。 ……えええ!? どうでもいい話を持ち出しました。先生、ごめんなさい……! まったくその通りです。はい。 朝、義母の部屋に行く準備をしていると、呼び出しの電話……。様子を見に行ったところ、義母は「心筋梗塞を起こしている」と言い、延々と状況説明をしています。それだけ話せていれば問題ないので、安心してくださいと伝えて部屋を出ました。……が、またすぐに呼び出し。 今度はお茶を飲ませてほしいと言いだし、不安でたまらない様子。とりあえず、お茶を飲ませて落ち着かせてから息子を学校へ送り出す準備をしていましたが、またも呼び出し……。今度は人格が変わっていて、だいぶお怒りになっていました。義母が安心するならと思い、かかりつけの内科に連れて行くことに。 すると、診察が始まった途端「どこも悪くない」とトンデモ発言……。慌てて先生に状況を説明していたところ、義母がどうでもいい話を持ち出して、延々と話し始めました。先生は嫌な顔をせず淡々と聞いていて、手厚く構ってほしい義母がこの病院をかかりつけにしている理由も納得です。 --------------ちょっとした体調の変化に不安を抱くのはわからなくもないですが、突然の心筋梗塞を起こしているという訴えには驚いてしまいますね。元気にお医者さんとも話せているようですし、大事にいたらずよかったです。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。 シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように! 著者:マンガ家・イラストレーター まる子
2024年04月07日長くメタボ診断の目安だった腹囲90cmを77cmと短くするべし、という仰天ニュースが入った。痩せていても、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中になるリスクがあるという。“魔の13cm”に迫る。「女性のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、以下メタボ)の腹囲の基準値は77cmが適切」。昨年11月、新潟大学の研究チームによる研究結果から、このような新提案が示されたと、3月9日に朝日新聞が報道。この研究は、新潟大学の血液・内分泌・代謝内科の藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授らによって行われたもので、’08年から’16年にかけて健診を受けた18~74歳の男女約56万5千人(内女性は約23万5千人)のその後を追跡したもの。心血管疾患の発症リスクを見極めるため、適切な腹囲を調べたところ、女性の場合、腹囲77cmが基準値として適切だと浮かび上がったのだ。これは、現在のメタボの診断基準である腹囲90cmから13cmも少ない数値となる。“腹囲77センチ案”について、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生はこう話す。「今回、約8年間の追跡調査から、新たな数値が出たということで、早めの警告が病気の予防につながるのではないかと期待されます」現在のメタボの基準は、腹囲かつ、収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧値が85mmHg以上や、空腹時血糖値が110mg/dl以上、中性脂肪が150mg/dl以上など、3つの危険因子の中で2つ以上が該当するとメタボと診断される。「メタボ=内臓脂肪がたまる」ことの危険性は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まるほか、動脈硬化、脳卒中や心疾患など重篤な疾患のリスクにまで発展することだ。危険因子が0の人に対し、1~2個ある人は心血管疾患の発症率が3.5倍に、3~4個ある人は8倍にも跳ね上がることが、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版』でも明示されている。それにしても、今回の90cm→77cm、その差13センチという厳しめの基準値の提案には驚く。「医療費は年々上がり続けていて、2021年時点の国民医療費は、前年度比4.8%増の45兆359億円にも膨れ上がっており、その多くが高血圧や脂質異常症、糖尿病など生活習慣病関連に使われています。医療費の負担を軽減するためにも、おなか回りに脂肪がつき始めた早い段階で警告をすることで、一人一人が健康状態を見直してもらえれば、医療費を抑えるきっかけになるかもしれません」(石原先生、以下同)石原先生がこう言うのは、日本人特有の理由があるからだそう。「日本人には、欧米人とは異なり、いわゆる“痩せメタボ”の人が多くいます。痩せメタボとは、一見肥満には見えないけれども、内臓脂肪がしっかりある体形で、痩せメタボの人はメタボでない人に比べて糖尿病の発症リスクが2倍にもなるという研究結果があります」ところが、糖尿病予備群の時点では血糖値が高くても、自覚症状が現れないため、検査をしない限り、認識されず、実際に発見されたときにはすでに状態が進行している場合が多い。■血管がボロボロになり心筋梗塞や脳卒中も腹囲などの見た目でわかる体形だと注意を促しやすいのだが、痩せメタボだと見落とされることもある。それゆえ、重篤な心血管疾患のリスクがあっても気づきにくいというわけだ。「腹囲77cm基準」は、こうした疾患のリスクの見逃しが45%程度まで下がると報告されている。「痩せメタボの人に共通するのは、運動不足で栄養が偏っていることです。若い女性でも痩せメタボの人は案外多く、彼らに食事の内容を聞くと、甘い菓子パンや甘い飲み物が食事代わりになっているなどで、糖分、脂質の摂取過多が気になります」中高年以上の主婦でも、夫や子供たちの好みに合わせて、揚げ物などの脂っこいものや、甘いものを一緒に食べるといった糖分・脂質過多の食事を取っている人が多くいるのだそう。「こうした食事を取り続けていると、栄養のバランスの悪さから筋肉量が落ちます。糖や脂肪を代謝してくれる筋肉の量が少ない人は、内臓脂肪がたまりやすくなり、“痩せメタボ”になっていくのです」メタボの人の血管の中をイメージしたものが上の図だ。イガイガしたツノのある血中の脂肪が、細い血管の中を流れながら、血管壁を傷つけてボロボロにしていく。「これが網膜の血管を傷つけると失明し、腎臓の血管が傷つくと透析をすることになり、神経に栄養を与える血管が傷つけられると足の神経障害となって足の切断につながります」そして血管壁にたまったコレステロールにより動脈硬化、さらには心筋梗塞や脳卒中をも招く。だからこそ、早い段階で気づいて予防に努めることが推奨されているわけだが、今回の新基準「腹囲77cm」により、該当者が増えると、これまで油断をしていた人も、これからは注意が必要になると予想される。「今回の新基準値の提案により、多くの人が該当することになり驚かれるかもしれませんが、逆に早期に気づいて改善できる機会なのだと捉えられると、今後、心血管疾患のリスクが減少するきっかけとなるのではないかと思います」改めて、栄養バランスのとれた食事と有酸素運動などの生活習慣を見直して、メタボを予防、改善しよう。
2024年03月22日「寒さが増すと、こたつが活躍する家庭も多いことでしょう。しかし、こたつも注意しないと場合によってはヒートショックの原因となり、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈解離といった、重篤な血管疾患につながるリスクがあります」こう警鐘を鳴らすのは、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和先生だ。ヒートショックは、暖かい場所から脱衣所やトイレなどの寒い場所へ移動して、血圧を急上昇させてしまうことで起こることが知られているが、こたつからも起こりうるというのだから驚きだ。「ヒートショックは血管の収縮や拡張が頻繁に起こることでそのリスクが増すとされ、10度以上の温度差で発生しやすくなると言われています。たとえば、暖かい部屋から寒いお風呂や脱衣所に行くと、血管が急に収縮されて血圧が上がり、その後、温かいお風呂に浸かったりすると血管が拡張して血圧が低下します。これが、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのです。寒いところから室内の温かいこたつに入ることもこれと同様の血圧の変動を起こすことがあります」(菊池先生、以下同)気温の低い外からこたつにはいることで、血管が拡張して血圧が低下し、そこから寒い場所に移動したりすれば、さらに血圧の乱高下が起こり、ヒートショックを引き起こすリスクが高まるのだという。「こたつでうたた寝した後にお風呂に入ろうとすることがありますが、こういう時もヒートショックのリスクが上がります」多くの場合は、吐き気や頭痛といった状態が起こっても、少しの間、横になって安静にすることで血圧が安定して、症状が改善するという。ところが、重篤になると、意識を失ったり、強い痛みを訴えたり、冷や汗が出るなど、命の危険に及ぶことがあるのだ。■血圧の乱高下は、高齢になるほどそのリスクが上がる「若い時は血圧をコントロールする自律神経が働きますが、高齢になるほどその働きが弱まります。日本の高血圧人口は増加の一途をたどっていて、今や2人に1人が高血圧というほどです」特に女性は、更年期以降、血管がもろくなり、高血圧のリスクが上がる。他にも、糖尿病、不整脈、動脈硬化などの既往歴がある人もヒートショックの注意が必要だ。そもそも、こたつでうたた寝をすることは、さまざまなリスクがある。「のどが乾燥して免疫力が落ち、風邪をひきやすくなりますし、脱水状態になりやすい、低温やけどになるなどが考えられます」菊池先生は、こたつを使うとき、設定温度を高すぎないようにし、室内に合わせた温度にして使うことをすすめる。こたつを布団替わりにするのは禁物だ。入るのは足だけにして、肩まで入らない。そして、うたた寝をしない。たとえうたた寝したとしても5~10分程度にとどめておく。年末年始はテレビを見ながら、こたつで家族団らんという人も多いことだろう。上手にこたつを活用して、楽しいひとときを過ごそう。
2023年12月30日全国的に寒さが一気に訪れ、秋が色濃くなり始めた。寒くなると、血圧のコントロールが難しくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった血管の疾患が起こりやすくなる。こうした疾患の予防につながる優秀な食材があると、都立駒込病院、前脳神経外科部長の篠浦伸禎先生は言う。「脳疾患は、血管が急激に収縮し、脳の血管が破れたり詰まったりして起こりやすくなるのですが、それを防ぐために私が患者さんにおすすめしているのは、にんにく油なんです」“にんにく油”とは、その名のとおり、にんにくをオリーブオイルに漬け込んだもので、脳をはじめとしたさまざまな疾患や症状に効果を表してくれるのだという。免疫力が低下しがちなこれからの季節にぴったりなものだ。「にんにくは5000年以上の歴史のあるスーパーフードで、昔から疲労回復、滋養強壮、抗酸化作用、抗菌作用など、薬レベルの高い効果を発揮しています。オリーブオイルも抗酸化作用が強く、血管を強くする働きがあり、この二つを組み合わせることで、相乗効果でさまざまな健康へのメリットがあるので、手術を行う患者さんにもにんにく油をおすすめしているんですよ」(篠浦先生、以下同)にんにくにはアリシンという特有のニオイのもとにもなる化合物が含まれており、血管の健康を向上させるなど、さまざまな働きをしてくれる。ところが、アリシンは変化しやすい成分のため、調理するたびに新たにすりおろす必要がある。「このアリシン、実はすりおろして油に漬けることでアホエンという安定した成分に変わります。アホエンには、血小板凝集抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用のほか、あらゆる生活習慣病にも効果があります。さらに、認知症や物忘れの改善、脳卒中予防、高血圧改善、コレステロール値改善、がん予防、免疫システムの強化、自律神経の調整、関節炎改善など、さまざまな健康効果があるのです」特に、脳に対する働きが顕著で、脳外科医の篠浦先生が患者さんにもおすすめするほど。にんにく油が脳の血流を促進して脳神経の活動が活発になり、記憶力アップにもつながる。「アホエンにはアルツハイマー型認知症の原因となるアセチルコリンエステラーゼやアミロイドβという物質の働きを阻害することがわかっています」ほかにもアホエンには、発がんの原因となる細胞の突然変異を抑える、がん抑制効果や、カビや細菌に対する殺菌作用が高いため、ウイルス抑制作用や、抗体を作る免疫力アップの働きもあることがわかっている。実際に篠浦先生も、15年前に患者さんからにんにく油を教えてもらって以来、取り続けているのだそう。「もらったにんにく油をスプーン1杯分飲んでみたところ、すぐに体がぽかぽかと熱くなって、これはいいと感じました。それ以来、自分で作って飲んだりして、私自身、その効果を実感しています」にんにく油は誰でも簡単に作れるところもポイントです。にんにく3かけをすりおろして室温に2時間ほど置き、オリーブオイルに漬け込んで1週間程度置く。その後、茶こしでにんにくを濾して、密閉容器に入れるだけ。すりおろして2時間放置することで、アホエンがより多く産生される。さらに室温のオイルに5〜7日間にんにくを漬け込んだ後が、もっとも多くアホエンが抽出できるそうだ。濾して不純物を取り除き、冷暗所で保存すれば1カ月程度は持つという。ちなみに、にんにくのニオイの成分が必要不可欠なため、無臭にんにくでは効果がみられない。にんにく油を取る目安量は、1日大さじ1杯程度。直接飲んでもよいが、にんにくのニオイが強く感じられる場合は、みそ汁やスープに入れたり、サラダ、麺類にかけるなど、料理のアレンジに使うことで、味の変化を楽しみながらにんにく油の恩恵が受けられる。「にんにく油のよいところは、おいしく健康効果もあるうえ、コストパフォーマンスに優れている点です。誰でも手軽に入手できて、簡単に作れる最高の健康食材です」こんなに優れもののにんにく油だが、やはり大切なのは、継続して取り続けることだそう。「どんなによいものでも、効果を感じるには、継続が必要。1週間は続けてみてください」手軽に手作りできるにんにく油で、健康な体と脳を保とう。【にんにく油の作り方】(1)エキストラバージンオリーブオイル150mlとにんにく3かけを用意する。(2)にんにくをすりおろし、室温に2時間ほど置く。(3)オリーブオイルを容器に入れ(2)を入れる。室温で5〜7日間置く。(4)茶こしでにんにくを濾せばできあがり。
2023年11月01日「この5年で世界の平均気温が観測史上最も高くなる確率が98%」世界気象機関(WMO)が5月17日にこう発表したように、今年も暑い夏になりそうだ。猛暑が続くとなると、夜になっても気温が25度を下回らない熱帯夜も多くなる。「世界的な気候変動で日本でも熱帯夜の日数が増えており、これまで無縁だった地域でも記録されるようになっています」こう語るのは、熱帯夜によって死亡リスクが上昇することを明らかにした、筑波大学のキム・セッビョル・エステラ助教。キム助教ら研究チームは、47都道府県における43年間(’73〜’15年)の約2千470万例の死亡例と熱帯夜のデータを解析。その結果、熱帯夜の後には、ほぼ全国的に死亡リスクが上昇していることが明らかになった。さらに、熱帯夜によるリスクの大きさは都道府県ごとに異なるという。「熱帯夜でない日に比べて死亡リスクは、北海道で5.9倍、青森県で2.8倍、山形県で1.8倍、長野県で1.5倍に上がります。これらの地域は、一般的には寒いイメージのある地域で年間の熱帯夜の日数も少ないのですが……」(キム助教)そもそも北国では寝苦しい夜はないかと思いきや、気象庁によると、北海道札幌市でも’19年に3日、’21年に4日とここ数年は熱帯夜が増加しているという。■初夏でも暑さへの油断は大敵!しかしいったいなぜ、涼しい地域ほど熱帯夜の影響を受けてしまうのか?キム助教が解説する。「暑さに慣れていないこと、体力が落ちている高齢者が多いことなどが影響していそうです。さらに北海道や東北はエアコンの、普及率が低く、関東や西日本では90%以上なのに対して、北海道は40%程度、東北地方でも普及率は8割を切っています。暑さに不慣れなうえ、エアコンがなければ、熱帯夜のダメージが直撃してしまうのです」さらに、夏真っ盛りよりも初夏の熱帯夜のほうが、死亡リスクが高いという。近年は6月に熱帯夜が発生することも。この6〜7月は要注意の季節なのだ。「初夏の死亡率の高さも、暑さに体が慣れていないことが影響しているのでしょうまた、本格的な夏ではないからと、無理をしてエアコンをつけなかったり、水分補給をしなかったりすることも。ちょっとした油断が命を落とすことにつながってしまうのです」(キム助教)今回の研究報告で興味深いのは、熱帯夜と関連する死因があることを突き止めていることだ。「熱帯夜と関係する死因では心血管疾患、虚血性心疾患、脳血管疾患、脳出血、脳梗塞など血管トラブルによる病気が目立ちます。暑さによって心臓の機能低下が起きているのでしょう。また、脳梗塞や心筋梗塞などは血管が詰まって起こる病気も少なくありません。気温の上昇により汗をかくことで、血液が濃くなりドロドロに。血栓ができやすくなり、脳や心臓で詰まって発症してしまうのです」(キム助教)とりわけ血管が狭くなる動脈硬化がある場合は、熱帯夜が「引き金」となって、突然死を招く可能性が高いという。■持病のない人でも突然死のリスクがさらに、動脈硬化のような持病がない人でも、“熱ストレス”の影響に注意が必要だと指摘するのは、救急医療に約20年携わってきた「すぎおかクリニック」院長の杉岡充爾先生。「血管は収縮と拡張を繰り返して全身にくまなく血液を送っています。ところが過剰なストレスがかかると血管は突然けいれんを起こして強く収縮。血流が止まり、脳梗塞や心筋梗塞など、重篤な血管の病気を招きます。熱帯夜の熱ストレスでは、血管自体に動脈硬化のような障害が起きていなくても、血管のけいれんが発生して血管を詰まらせてしまうことも。働き盛りの人でも突然死することがあるのです」熱帯夜に限らず、人はストレスを感じると、血管へのダメージを最小限にとどめるため、副腎で作られる抗ストレスホルモン(コルチゾール)を分泌し、血管の緊張状態を和らげようとするという。「ストレスが多い生活を過ごしていると、副腎の機能が追いつかず疲弊してしまい、抗ストレスホルモンが作られにくくなります。 そんな状態で熱帯夜のような過度なストレスがかかると、血管がけいれんを起こしてしまうのです」(杉岡先生)熱帯夜が予想されるときは、就寝までにストレスをリセットしておく習慣が重要だという。「日ごろからイライラしないような生活をすればいいのですが、生きていればストレスがたまるのは当たり前です。夕方以降は、入浴やアロマテラピーなどリラックスできる時間を過ごして、自律神経のなかでも休息モードの副交感神経の働きを高めておくことで、抗ストレスホルモンが分泌されやすい状態を作っておきましょう。そうすれば、熱帯夜による血管へのストレスも軽減されるのです」(杉岡先生)また、血管の病気以外にも、呼吸器疾患、肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、ぜんそく、腎臓病などによる死亡も熱帯夜と深く関係する。「寝苦しさからくる睡眠の質の低下により、免疫力が下がっていることが考えられます。感染症にかかりやすくなったり、持病が悪化することで死亡率が上がるのです」(キム助教)動脈硬化の心配がある人、持病がある人は、熱帯夜が寿命を縮めるリスクであることは心にとどめておくべきだ。電気代の値上がりで、エアコンをつけるのを渋りたくなるところだが、熱帯夜には家計よりも、命を守る選択をしよう!
2023年06月08日脳梗塞、心筋梗塞……。血管が詰まることで引き起こされる疾患には深刻なものが多い。発作を起こして、運よく一命をとりとめても、後遺症が残ったり、介護が必要な状態になるなどの可能性があるため、十分すぎる注意が必要だ。血管が詰まることを予防するには、まず食生活の改善から始めたい。肉料理中心の食事を控え、塩分の摂取量を見直すのはもちろんだが、血液をサラサラにして、血管が詰まる大きな原因である高血圧を防ぐ効果のある食品を取ることが重要なポイントになってくる。「そこでご紹介したいのが干しシイタケです。これに生姜をプラスすれば、血管の詰まりと高血圧予防の強い味方になります」と言うのは、栄養士・食のアドバイザーの成田和子さんだ。干しシイタケの健康効果は生シイタケの約10倍ともいわれる。「骨粗しょう症にもよいとされるシイタケですが、特筆すべきは、シイタケの『エリタデニン』という成分には血圧の上昇を抑える効果、血管の詰まりやコレステロールの増加を防ぐ効果があるのです。これは、きのこ類のなかでもシイタケとマッシュルーム特有の栄養成分で、特にシイタケに多く含まれています」(成田さん・以下同)■干しシイタケの戻し汁には栄養成分が豊富に含まれるさらに、シイタケは干すと水分が減り、栄養成分が濃縮される。そのため干しシイタケは、このエリタデニンの含有率もいちだんと高くなるのだ。この干しシイタケのゴールデンコンビとなるのが生姜だ。生姜には多くの効能があるが、ここでは血管を健康にする成分に注目したい。「生姜の辛味成分であるジンゲロール、ショウガオール(ジンゲロールを加熱するとショウガオールになる)には、血管を広げて血行を促進する働きがあります」干しシイタケと生姜を使ったレシピとして、今回は作りやすい煮物を紹介。エリタデニンは水に溶けやすいので、干しシイタケの戻し汁も残さず活用することが肝心だ。「干しシイタケは1日2枚分程度を毎日取るのがおすすめです」干しシイタケ&生姜で今すぐ血管詰まりの予防を始めよう!■シイタケに含まれるエリタデニンは水に溶けやすいので戻し汁も活用【干しシイタケの生姜煮】<材料>干しシイタケ25g生姜15~20g水250ml砂糖大さじ1と1/2醬油大さじ1塩少々サラダ油適量ねぎ適量<作り方>干しシイタケを250mlの水で戻す(1時間半以上)。シイタケはそれぞれ3等分に切る。シイタケを油でさっと炒め、千切りにした生姜と戻し汁を加えて5分ほど煮てから、砂糖、醬油、塩を加えて汁けが半分の量になるくらいまで煮る。好みでねぎを添える。
2023年04月19日《筋力トレーニングをしすぎると、がんや心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞など)の発症、総死亡(死因を問わない死亡)リスクが高くなる》こんな研究データが大きな注目を集めている。東北大学と早稲田大学、そして九州大学の共同研究グループが、これまで世界で発表された18歳以上の成人を対象とした筋トレの研究論文1252件を精査し、分析。筋トレの実施時間と、病気の発症と死亡リスクの関連について統合的に調査を行った。「研究の結果、筋トレを週に30~60分やる習慣のある人は、総死亡、がんや心血管疾患、そして2型糖尿病の発症リスクが10~17%低下するということがわかりました。いっぽう、筋トレの実施時間が週130~140分を超えると、糖尿病以外の疾病リスクが上昇し、死亡リスクも高まるという結果となりました。つまり、筋トレを長時間やりすぎると、かえって健康を脅かす可能性があるということです」こう解説してくれたのは、同グループのメンバーで、東北大学大学院医学系研究科運動学分野講師の門間陽樹さん。日々の鍛錬や、健康寿命を延ばす目的で習慣にしている人も多い筋力トレーニング。笹川スポーツ財団の調査によると、筋トレを週1回以上やる推定人口は、’02年で523万人だったが、’18年には約2倍の1千68万人まで増加している。また近年では、パーソナルジムや中高年層をターゲットとしたジムが数多くオープンするなど、老若男女問わず、筋トレブームが続いている状況だ。そんななか、筋トレのやりすぎによって病気や死亡リスクが高まることが判明したことは、衝撃的といえるだろう。今回の研究結果は、スポーツ科学・医学分野で最も権威のある英国の専門誌に掲載され、海外でも大きな話題に。日本と少し異なる点で注目を浴びているという。「海外では、“筋トレを週に30~60分やると寿命を延ばせるのだから、やらない理由はない”と紹介されています。適度な筋トレによって、総死亡、がん、心血管疾患などを発症するリスクを減らせることを、数値によって明確に裏付けることができたのです」(門間さん)今回の研究は、あくまでも時間だけのデータで分析したもので、具体的なトレーニング内容や負荷の強度などのデータが盛り込まれているわけではない。「今回の発表によって、数字が一人歩きする可能性がありますが、筋トレを60分に抑えるためにはどうしようか?やりすぎないためにはどういうアプローチがあるのか?みなさんがそういったことを考えるきっかけになればいいと思っています。さらに筋トレをやると病気の予防になるならやってみようかなと、行動に移す人が増えてくれれば、なおうれしいですね」(門間さん)すでに筋トレに励んでいる人も、これから筋トレを始めようという人も、“やりすぎのリスク”には注意しよう。
2022年09月14日4月初旬、時季外れの“猛暑”に包まれた日本列島。強い日差しや高温多湿の環境が体調に与える影響には、十分な警戒が必要だ――。急激な気温上昇が私たちの体にもたらすトラブルで忘れてはいけないのが、熱中症のリスク。「体が気温に慣れるまでに3日はかかるといわれていますが、春は寒暖差が激しく、どうしても温度変化に追いつきません。そのため、気温が上がってもうまく発汗することができず、体に熱がこもって熱中症になりやすいのです」そう話すのは、さがみ生協病院の医師・牛山元美先生。この季節、突如高温になる日があるかと思えば、前日より10度近く気温が下がり、肌寒さを覚えるようなことも。こうした“寒暖差がもたらす熱中症”で多く見られるのが、ガーデニングや家庭菜園をしている最中に起こるケースだと牛山先生は話す。「午前中はそれほど暑くなくても、午後になると気温がぐんぐん上がる日があります。『今日はそれほど暑くない』と油断して、水分を十分に取らずに屋外で作業をしていると、たちまち熱中症になってしまいます」さらに、コロナ禍でのマスク生活も熱中症リスクを高める要因だという。「マスクを着けていると、熱が顔のまわりにこもりやすい。また、のどの渇きにも気づきにくくなるうえ、いちいちマスクを外して飲むのも面倒だからと、水分補給の機会が減りがちになります」気温のほかに、熱中症の大きな要因の一つであるのが“湿度”だ。「じつは、気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと熱中症のリスクが高まります。体温は汗が乾くときに下がるのですが、湿度が高いと汗が乾きにくいため、熱がこもりやすくなってしまうためです」春の雨が降ったあと、急に湿度が上がって蒸し蒸しするときなどは、いっそうの警戒が必要になる。では、どんな症状が出たら熱中症を疑うべきなのか。「体に熱がこもると、脳への血流が悪くなってしまうので、立ちくらみやめまい、頭痛などが起こりやすいです。こうした症状が出た場合は涼しい場所で体を休め、しっかり水分を取りながら首のまわりを冷やすなどしましょう。ひどい頭痛や吐き気、嘔吐、意識がもうろうとする、などの症状が表れた場合は、救急車を呼ぶことが大切です」熱中症の怖いところは、そこから心筋梗塞を引き起こすこともある点だ。「心筋梗塞は冬場に発症することが多いのですが、熱中症が増える時季にも起きやすくなります。それは、脱水状態が心筋梗塞や脳梗塞の一因となる“血栓”をできやすくするからです。脱水症状によって引き起こされる心筋梗塞は、冬場と異なり、比較的若い30~40代の人もなりやすいので、油断は禁物です」また、次のような人は熱中症になりやすいので特に気をつけたい。「暑さやのどの渇きを感じにくい高齢者や、皮下脂肪が厚く体内の熱を外に排出しにくい肥満気味の人。二日酔いで体内の水分量が少ない人。冷え性や運動習慣がないせいで発汗しにくい人。ほかに、寝不足や更年期世代の方は、体温をコントロールする自律神経が乱れやすいので熱中症になりやすい傾向があります」【こんな人は特に注意】・高齢者(暑さやのどの渇きを感じにくい)・肥満気味の人(皮下脂肪が厚く体内の熱を外に排出しにくい)・二日酔いの人(体内の水分量が少ない)・冷え性や運動習慣がない人(発汗しにくい)・寝不足や更年期世代の人(自律神経が乱れやすい)■入浴や運動の習慣で“汗をかく練習”を対策としては、まずはこまめな水分補給が不可欠だ。「水筒のドリンクを手元に置いて、のどが渇いていなくても1日に1~1.5リットルは水分を取るよう心がけてください。緑茶やコーヒーなどカフェインを含む飲料は利尿作用があるので、よけいに水分が排出されてしまいます。麦茶など、ノンカフェインのものがおすすめ。スポーツドリンクは糖分が多いので、運動時以外は控えたほうがいいでしょう」次に、体温を調節するために次のような心がけも忘れずに。「暑いと感じたら、我慢せずエアコンをつけましょう。外出する際は直射日光を避け、吸水性のよい下着をつけると汗が引くときに体温を下げてくれます。人のいない場所では、マスクを外して風通しをよくすることも大事です。加えて、湯船につかったり、テレビを見ている数分間だけ軽く足踏みをして体を動かすなど、汗をかく練習をするのも効果的です」4月14日に気象庁が発表した1か月予報によれば、5月15日ごろまでは全国的に高温傾向が続くという。大型連休を控え、外出の機会も増えるなか、日ごろの対策にぬかりのないようにしたい。
2022年05月03日「交通事故などの重大事故のとき、O型の人はほかの血液型より3倍近く死ぬ確率が高いというデータがあるのをご存じでしょうか」こう話すのは『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)の監修などで活躍するファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。東京医科歯科大ほかが重症のケガで緊急搬送された901人の患者の死亡率を血液型別に分析した結果、O型はA型に比べ、2.7倍も高いという報告がされている。もともと血液型によって血液凝固因子が異なり、とくにO型は血が止まりにくい傾向があることが、その原因とされる。このほかにも、近年、世界各国で医学的エビデンスに基づき血液型別になりやすい病気、重大事故での死亡率などの調査が行われ、血液型別にさまざまなリスクの差異が報告されている。このデータをもとに、長尾さんにA型、B型の人のリスクに合わせた保険をあげてもらった。「本来なっては困るけれど、もし万一なったときのために備えるのが保険の原則。血液型によるリスクの差異にはごくわずかなものもありますが、気に留めておいて損のないレベルでしょう。それをもとに私の基準で最新の保険商品のなかから選びました」(長尾さん・以下同)■「A型」なりやすいのは心筋梗塞心筋梗塞のほか、胃がんのリスクも高いというデータがある。「がん・心疾患・脳血管疾患の3大疾病をカバーする医療保険が最適かと思います。保険料が安くて保障のバランスがよいのが『新メディフィットA』、保障の手厚さを重視して『終身医療保険プレミアムDX』を選びました。いずれもコスパが高い商品です」【医療保険】メディケア生命「新メディフィットA」保険料が比較的安くて、バランスのいい保障を得られる医療保険。特約も充実していて、がん、心疾患(心筋梗塞を含む)、脳血管疾患の特定疾病の保障も「薬剤特定疾病特約」など3種類の用意がある。特徴は、「先進医療・患者申出療法」の特約があること。【医療保険】チューリッヒ生命「終身医療保険プレミアムDX」入院・手術・放射線治療給付金が基本の保障になっていて、必要な保障を自由に選ぶことができる。「7大疾病入院延長特約」を付けると、入院日数が無制限になる。特徴は、「収入サポート特約」を付けると、働けなくなったときの収入減を保障してくれる点だ。■「B型」なりやすいのはすい臓がん理由はまだわかっていないが、すい臓がんのリスクが高いことで知られる。「がんのなかでも難治度が高いとされるすい臓がん。がん保険は近年のがん治療の進歩に合わせ、自由診療やがんと診断されたときに支払われる一時金に重きを置くなど進化しています。『あんしんがん治療保険』は自由診療に対応、『健康をサポートするがん保険勇気のお守り』は安く保障が得られるところが魅力です」【がん保険】東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」2022年2月に新発売の保険。がん治療の3大治療の保障が充実している。特徴は、「がん特定治療保障特約」を付けることによって、患者申出療法、自由診療の費用が、通算1億円まで保障される。すい臓がんのように早期発見の難しいがんには、自由診療に対応というのは安心できる。【がん保険】SOMPOひまわり生命「健康をサポートするがん保険勇気のお守り」治療給付金を重視する「がん治療給付型」と一時金を重視する「がん診断給付型」の2種類から選ぶことができる。特徴は、がん保険を申し込んでからの待ち期間の3カ月分の保険料が必要ないこと。また保険料も比較的安いのがいいところである。保険は転ばぬ先のつえ。自分の血液型の病気や事故のリスクも考えて加入しても損はないはずだ。
2022年03月30日「これまで、うちの病院のICU(集中治療室)では心筋梗塞や脳疾患の患者さんを受け入れてきました。しかし、それも現在はすべてストップ。病床は、新型コロナウイルスに感染した重症患者さんで埋まっています。私たち医療従事者も夜勤明けでそのまま日勤のシフトが続くこともあったりして、かなり厳しい状況です。そのため、3月末には看護師が10人以上も辞めてしまいました……」そう打ち明けるのは、大阪府内で新型コロナウイルス重症患者の受入れ先になっている病院の看護師だ。変異株が猛威を振るい、広がり続けている“第4波”。4月21日には大阪府での1日当たりの新規感染者が、史上最多の1千242人を記録した。また23日まで4日連続で感染者が1千人を上回っているなど、逼迫した状態が続いている。そんななか、22日には大阪府がついに“新型コロナウイルス重症患者向けの病床使用率が100%になった”と発表した。その結果、現場ではすでに“命の選択”ともいえる決断が下され始めたという。■「うちに入れることはもう諦めてください」前出の看護師は、本誌で次のように明かす。「最近は患者さんが多すぎて、ICUとコロナ病棟は常に満床の状態です。一般病棟だったところもすべて重症病床になりましたが、それでもとても追いつきません。毎日1~2床のベッドが空いたとしても、すぐに埋まってしまう。その繰り返しなんです。そしていよいよ、“80歳以上の患者さんは受け入れない”という決定が下されました。高齢者施設でクラスターが起こったとしても、『うちに入れることはもう諦めてください』とお断りしているんです……」“80歳以上の患者は受入れ拒否”という非情な決断を下さなければならないほど、追い詰められている医療現場。そこには、変異株の特徴も大きく関係しているようだ。「現在、入院患者の8割が変異株の感染者。一般病棟にいる患者さん全員が、少し前ならICU行きといわれていたレベルです。また、これまでは新型コロナの重症患者といえば高齢者ばかりでした。しかし、最近はかなり若い患者さんも増えています。メーンとなるのはやはり40~60代ですが、20?30代でも人工呼吸器をつけるケースは少なくありません。そして今回の変異株については、悪化するまでの“スピード”も問題です。以前は2~3日かけて少しずつ進行していくケースが多かったのですが、変異株に感染している患者さんだと数時間で急激に悪化することもあります。そのため、たとえ若い患者であっても目が離せないのです」(前出・看護師)医療崩壊は大阪に限らず、全国でも起こりうるはず。最前線で戦う医療従事者たちの悲痛な叫びは、行政に届くのだろうか。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年04月29日「白米や砂糖など白い食品は万病のもと。認知症や糖尿病、心筋梗塞、がんなどの病気になりやすく、ボケや老化につながります」そう警鐘を鳴らすのは、40年以上にわたって、のべ20万人以上の患者を診てきた刑部恒男医師だ。「病気を防ぐには、色着き食品が効果的です。緑はがん、黄色は動脈硬化、赤は骨粗しょう症、茶色はうつ、黒は老化を防ぎます。白い食品を減らして、色着き食品をしっかりとる。これを2週間続ければ、感動的に元気になりますよ」(刑部さん・以下同)病気知らずでいつまでも若々しくあるためには、体内で起こる「糖化・酸化・炎症」が大敵だという。なかでも厄介なのは酸化だ。空気中の酸素が体内で「活性酸素」となり、酸化と炎症を起こす。「炎症は、免疫細胞が夜の間に修復してくれます。ですが十分な睡眠を取らないと、修復が不完全なまま朝を迎えて、炎症が慢性化する原因になります。また、炎症の大本である酸化は、酸素がある限り避けて通れませんが、『抗酸化物質』である色素が抑えてくれます。色素を含む色着き食品を食べることで、老化や病気を予防できるのです」特に重要な色素は緑、黄、赤、茶、黒の5色。なかでも大病を防ぐ効果の大きい無敵食材を、刑部先生に選んでもらった。これらを意識して食べれば、病気予防はもちろん、アンチエイジング効果も期待できるという。【緑】ブロッコリーブロッコリーに多い「スルフォラファン」には、強い抗がん作用がある。ブロッコリースプラウトは、スルフォラファンがブロッコリーの30倍なので特におススメ。胃潰瘍に効く「ビタミンU」や、肌の老化や動脈硬化を防ぐ「葉酸」、「ビタミンC」も多い。【黄】油(オメガ3)オメガ3は、青魚に多い「EPA」と「DHA」、えごま油やアマニ油に多い「α-リノレン酸」の3つ。血液をサラサラにし、動脈硬化や認知症などを予防する。「揚げ物には酸化しない米油、炒め物にはオリーブオイル・ごま油、サラダにはえごま油・アマニ油が最適です」。【赤】紅ザケ紅ザケに多い「アスタキサンチン」はビタミンCの6,000倍の抗酸化力があり、血流改善や疲労回復、美肌効果などに◎。また、紅ザケ1切れで1週間分の「ビタミンD」がとれ、骨粗しょう症も防ぐ。神経痛や胃炎、貧血を改善する「ビタミンB12」も豊富。【茶】胚芽米「玄米はうつ病改善など効果がある半面、胃腸を壊す人もいるので、胚芽米がおススメです」。胚芽米の「ガンマオリザノール」は自律神経失調症の薬として利用され、更年期障害の症状緩和にも効果的。リラックス物質「ギャバ」も多いので「1日2杯の胚芽米を」。【黒】チョコレートチョコレートの「カカオポリフェノール」には美肌効果のほか、動脈硬化、高血圧、老化を防ぐ。また、インフルエンザやピロリ菌などの感染予防としても有効。アーモンドも美肌効果があるので、アーモンドチョコは美肌・アンチエイジングにダブル効果あり。「無敵食材の効果は、医学的に実証されたものばかりです。ちょっとした不調は薬に頼らず、自然の色の力で、元気になりましょう」「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載
2021年01月10日作詞家で作家のなかにし礼さんが23日に心筋梗塞で亡くなったことを受け、歌手の氷川きよしが25日、所属事務所を通じてコメントを発表した。氷川はなかにしさんが作詞を手掛けた「櫻」「出発」などを歌っており、今年2月にリリースした「母」は、なかにしさんの作詞家としての遺作となった。突然の訃報に「まだ、信じられない気持ちです」と沈痛な思いをつづり、「なかにし先生は、すごい偉い先生なのに、私のような若い人間の話を真剣に聞いてくださり、心を汲んで、『母』という詩を書いてくださいました」と思い出を語る。さらに「今年、こんな大変な世の中で、価値観や人生観が大きく変わっていくときに、この『母』を歌わせていただくというのは、自分の根幹、原点を見つめ直すためにも、本当に意味のあることだと思いながら、今年一年、歌ってきました」と続け、「本当に偉大な先生でした。なかにし先生からいただいた『櫻』『出発』『母』は、先生からの人生のメッセージです」とコメント。最後に「なかにし先生の魂の作品をこれからも大切に歌わせていただきます。先生、どうぞ安らかに。そして、いつまでも見守っていてください」となかにしさんへメッセージを送った。なかにしさんは、大学在学中よりシャンソンの訳詩を手掛け、「知りたくないの」(64年)のヒットを機に作詞家となる。その後もヒットメーカーとして活躍を続け「今日でお別れ」(67年)、「心のこり」(75年)、「石狩挽歌」(75年)、「時には娼婦のように」(78年)、「北酒場」(82年)など、約4000曲の作品を生み出した。日本レコード大賞を3回、同作詩賞を2回、ゴールデンアロー賞など、多数の受賞歴を誇る。
2020年12月25日作詞家で作家・なかにし礼さんが23日に心筋梗塞で亡くなったことを受け、歌手の細川たかしが25日、所属事務所を通じてコメントを発表した。細川は、デビュー曲の「心のこり」や、『第24回日本レコード大賞』を受賞した大ヒット曲「北酒場」など、なかにしさんの手掛けた曲を多数歌ってきた。細川は訃報を聞き「また1人昭和の偉人が亡くなってしまい残念でありません。長い間闘病されていたと聞いていたので今は天国でゆっくりとお休み下さいと祈るばかりです」とコメント。また「心のこり」について「『私バカよね おバカさんよね』冒頭の歌詞が余りにインパクトが強く、よくキャンペーンなどで子供に『あっおバカさんが歩いてる』などと言われる程でした。元々タイトルが『私バカよね』でしたがデビュー曲でこのタイトルは可哀想だと先生が『心のこり』と付けてくれたんです」と秘話を明かす。最後に再び「先生本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りしております」と感謝を告げた。なかにしさんは、大学在学中よりシャンソンの訳詩を手掛け、「知りたくないの」(64年)のヒットを機に作詞家となる。その後もヒットメーカーとして活躍を続け「今日でお別れ」(67年)、「心のこり」(75年)、「石狩挽歌」(75年)、「時には娼婦のように」(78年)、「北酒場」(82年)など、約4000曲の作品を生み出した。日本レコード大賞を3回、同作詩賞を2回、ゴールデンアロー賞など、多数の受賞歴を誇る。近年も、氷川きよし「母」(20年)の作詞などを手掛けていた。
2020年12月25日2020年12月23日、作詞家で作家の、なかにし礼さんが心筋梗塞のため東京都内の病院で亡くなりました。82歳でした。産経ニュースによると、なかにしさんは『北酒場』『石狩挽歌』などのヒット曲を生み出し、作家としても活動。2000年には直木賞も受賞するなど幅広い分野で活躍したといいます。昭和13年、中国黒龍江省牡丹江市生まれ。立教大学文学部仏文科在学中からシャンソンの訳詞を手がけ、菅原洋一さんが歌った「知りたくないの」のヒットを機に作詞家となる。代表作に「今日でお別れ」「石狩挽歌」「天使の誘惑」「北酒場」など。作詞を手掛けた作品は約4000曲に上り、日本の歌謡界を代表する作詞家。その後、作家活動を開始し、平成12年に「長崎ぶらぶら節」で第122回直木賞を受賞した。代表作に、旧満州からの引き揚げ体験を描いた「赤い月」「世界は俺が回してる」など。産経ニュースーより引用なかにしさんの訃報にネット上でもお悔みの声が上がっていました。・昭和の歌を楽しませてくれてありがとうございます。ご冥福をお祈りします。・向こうの世界でも、素晴らしい作品をつくれますように。・なかにしさんの歌も小説も大好きでした。よい作品をありがとうございました。・大好きな作詞家だったから、さびしいです。『そして夜があける』が一番好きだけど『石狩挽歌』も素晴らしかった。昭和を代表する数々の名曲を生み出した、なかにしさん。その功績は多くの人の心に残り続けるでしょう。ご冥福をお祈り申し上げます。[文・構成/grape編集部]
2020年12月25日寒い時季は、水分補給を忘れがち。でも、そんな冬こそこまめに水分補給する習慣をつけないと「脳梗塞」や「心筋梗塞」など、命に関わる疾病を引き起こす危険もーー!「今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、オフィス内や家の中でも常時マスクをつけている人がたくさんいます。ただでさえ水分補給の回数が減るこれからの時季に、暖房の効いた乾燥した室内で長時間マスクをしていると、“冬の熱中症”ともいわれる『かくれ脱水』になる危険性があるのです」こう警鐘を鳴らすのは、堺市立総合医療センター救命救急科の医師で、熱中症予防啓発ネットワーク代表の犬飼公一さん。記録的な猛暑となった今夏、マスク着用による熱中症の危険性がたびたび指摘された。いまだに続く“マスク生活”だが、今年の冬は「かくれ脱水」に注意しなければならないという。「マスクをすると口の中の湿度は保たれるため、口やのどの渇きを感じにくい。そのため、水分補給をする回数が減りやすい傾向にあるのです。しかし、たとえばオフィスなど空気が乾燥している環境にいると、『不感蒸泄』(口や皮膚からの、目に見えない水分の蒸発)が盛んになります。蒸発する水分量は通常で、1キログラムあたり約1日15ミリリットル。体重60キログラムの人の場合、約900ミリリットルの水分が、知らず知らずのうちに失われているのです」夏であれば、汗で水分が失われたぶん、水分補給をしようという意識が生まれる。しかし、冬場は暖房が効いていても汗をかかない場合が多いので、水分補給の意識づけがないことも脱水が起こる要因だと犬飼さんは続ける。「冬場に『かくれ脱水』で病院に搬送される人は非常に多いです。『かくれ脱水』になると、血液の巡りが悪くなり、脳梗塞、心筋梗塞が起きやすくなるといわれています」では、冬のマスク生活で、「かくれ脱水」にならないためにはどうすべきか。犬飼さんにアドバイスしてもらった。■水分補給はいつもより多く「理想の水分摂取量は、常温のミネラルウオーター1日1リットルです。春や秋の気候のよいとき、平常時にふだん飲んでいる量に追加して飲んでいただくのがいいと思います。いちばんいいのは白湯ですが、お茶でもいいです。ただし、お茶は利尿作用が働くので、飲みすぎには注意してください。ふだんオフィスで、500ミリリットルのペットボトルを1本飲む人なら、冬場は追加でもう1本飲む感覚で」■室内温度は24~26度に「明確なエビデンスはないものの、当ネットワークは、冬場の室温設定について24~26度程度が理想と考えております。その理由は、体表の温度が32度を超えてくると不感蒸泄が増えてくるのですが、上記の温度であれば、手足の温度などは32度を超えることが少ないと推測されるためです。室内が乾燥しないように、加湿器をじょうずに使うことも心がけてください」■できるだけ厚着をしない「体温が上がると不感蒸泄の量が増えます。室内では軽めの服装で過ごすようにしましょう」■筋肉量を落とさない「今年は外出自粛の生活が長く続いたことから、筋肉量が落ちている人も多いと思われます。筋肉には多くの水分が保持されているので、今年は例年よりも体の水分量が減っていると考えたほうがいいでしょう。つまり、そのぶん『かくれ脱水』になりやすいのです。筋肉量を落とさないためには、ストレッチやウオーキングなど、無理のない範囲での運動を習慣的に行うことが重要です」また、寒い脱衣所で着替えた後、温かい湯船につかったりするなど、気温の急激な変化によって起こる「ヒートショック」も、熱中症の病態の一部だそう。「冬場でいちばん危険なのが、お風呂やサウナに入るとき。42度のお湯に全身がつかると、10分間で1度体温が上昇するといわれています。仮に30分つかると、体温は40度に達し、熱中症の危険ラインを越えます」80~90度のサウナの場合、20分で体温が40度を超えるそうだ。「日中、暖房が効いている室内で、水分を補給せずにマスクをしていると、脱水は進行します。その状態のままで長く風呂に入ると、脱水が急激に進行するため、熱中症になりやすい。湯船で体を温めたい冬だからこそ、くれぐれも水分補給は怠らないようにしてください」冬でも熱中症になるーー。その事実と対策を常に頭に入れて、コロナ禍の冬を過ごそう。「女性自身」2020年11月24日号 掲載
2020年11月12日「新型コロナウイルスの影響でコロナうつが増加しています。うつ病はまじめで責任感が強い人ほどなりやすいといわれるとおり、性格や物事の捉え方が、病気のリスクに関わることもあるのです。しかし、性格が病気の発症に影響するのは、何もメンタル系の病気に限りません。実は心筋梗塞や認知症といった病気も、性格が関係しているのです」そう語るのは、東北大学医学部の辻一郎教授。現代病ともいえるこれらの病気が、性格とどう関わっているのだろう?■嫉妬深い女性は心筋梗塞になりやすいがんに続く日本人の死因第2位は「心疾患」。そのなかで、もっとも多いのが急性心筋梗塞だが、性格との関わりを一言でいえば「ムカつきやすい人」は、発症リスクが高いといえそうだ。「アメリカの心臓内科医フリードマンによると『競争心が強い』『せっかち』『敵意を燃やしやすい』といった人は心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患になりやすい傾向があるといいます。これらは英語で表現した頭文字をとって『タイプA』と呼ばれていますが、自律神経のなかでも車のアクセルにたとえられる『交感神経』の働きが強いと血圧が上がりやすく、心拍数も速くなるため、これが血管にストレスをかけて動脈硬化のリスクを高める鍵になると考えられます」日本でいえば昔はやった「モーレツ社員」タイプだが、会社員だけが「タイプA」になりうるかといえば、もちろんそうではない。「『人の悪口をよく言う人』も冠動脈疾患のリスクが高いといわれています。専業主婦でも、嫉妬深い場合は気をつけましょう」なお、同じモーレツ社員でも、チームワークで働いている人の方が心筋梗塞の発症リスクが少ない。これはチームワークで働くことにより、自然と周囲とのコミュニケーションが密になり、メンタルも安定するからだという。言い換えれば、人間関係が希薄だと気持ちがささくれやすいのだ。「このコロナ禍で人と会う機会も減っていますが、人間は元来、褒められたい、認められたい生き物です。長引く自粛で孤独が深まりやすいときだからこそ、いつも以上に外の社会とつながって『褒め合う』ようにしてください」■がんこな人は認知症になりやすい世界に先駆け超高齢化社会に突入した日本。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれているが、この新たな国民病にも性格が関係している。「認知症は、脳の海馬という“新しいことを記憶する”部分が加齢によって萎縮することから始まります。お年寄りが昔のことは覚えているのに、昨日食べたものを思い出せないというのはその典型例です。海馬の萎縮を防ぐためには、脳に新しい刺激を与え続けることが重要です。また、海馬は感情とも関係が深く、うつ状態になると萎縮しやすい傾向にあります。そのため、神経症的な傾向(うつ状態になりやすい)があり、がんこで内向的な人は認知症になりやすいといわれています」問題は社会に出なくなってしまうこと。脳が新しい刺激を受ける機会が減るだけでなく、孤独はうつ症状、ひいては認知症になりやすい。無理に社交的になる必要はないが、脳のために外に出ることは諦めないようにしたい。■肥満への風当たりが強くなっている最後に、それ自体は病気ではないものの、放置すればさまざまな病気のもとになる肥満と性格について。「痩せ型の人が多い日本では、従来、肥満に対して“恰幅がいい”“貫禄がある”など好意的な受け止め方をしてきました。そのため、肥満の人は一言でいえば“陽気な太っちょ”キャラクターでした。しかし、欧米では肥満は貧困や自己管理能力のなさの象徴として捉えられており、差別の対象にもなっています。むしろ抑うつ的、神経症的な性格が多いのです。最近は日本でも肥満に対する風当たりが厳しくなっていますので、いずれは抑うつ的な人に肥満が多くなると推測できます」「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月04日食事や睡眠などの悪い生活習慣が病気のもとになる、とは知っていても、「性格」が病気と関係するのは初耳な人が多いのでは?今日から少し意識して、健康な人生を手に入れようーー!「新型コロナウイルスの影響でコロナうつが増加しています。うつ病はまじめで責任感が強い人ほどなりやすいといわれるとおり、性格や物事の捉え方が、病気のリスクに関わることもあるのです。しかし、性格が病気の発症に影響するのは、何もメンタル系の病気に限りません。実は心筋梗塞や認知症といった病気も、性格が関係しているのです」そう語るのは、東北大学医学部の辻一郎教授。現代病ともいえるこれらの病気が、性格とどう関わっているのだろう?「アメリカの心臓内科医フリードマンによると『競争心が強い』『せっかち』『敵意を燃やしやすい』といった人は心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患になりやすい傾向があるといいます。これらは英語で表現した頭文字をとって『タイプA』と呼ばれていますが、自律神経のなかでも車のアクセルにたとえられる『交感神経』の働きが強いと血圧が上がりやすく、心拍数も速くなるため、これが血管にストレスをかけて動脈硬化のリスクを高める鍵になると考えられます」世界に先駆け超高齢化社会に突入した日本。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれているが、この新たな国民病にも性格が関係している。「認知症は、脳の海馬という“新しいことを記憶する”部分が加齢によって萎縮することから始まります。お年寄りが昔のことは覚えているのに、昨日食べたものを思い出せないというのはその典型例です。海馬の萎縮を防ぐためには、脳に新しい刺激を与え続けることが重要です。また、海馬は感情とも関係が深く、うつ状態になると萎縮しやすい傾向にあります。そのため、神経症的な傾向(うつ状態になりやすい)があり、がんこで内向的な人は認知症になりやすいといわれています」これらの病気を遠ざけるためには「ポジティブなイメージを持つこと」だと辻先生は言う。「楽観的な考え方は、交感神経の暴走を防ぐほか、海馬の萎縮も予防するので、心筋梗塞と認知症、両方の予防につながります。さらに免疫力のメインとなるNK細胞を活性化させて、感染症やがんの予防にも役立つのです。人はいつも無意識のうちに自分自身に暗示をかけて生きているものですが、物事に失敗するときはたいていネガティブイメージを反すうしすぎて、それが暗示になってしまっているからです。よい自分になるのも悪い自分になるのも、暗示次第なのです」性格を変えることは難しいが、暗示をかけることは「人生観を変えること。これなら誰にでもできるはずです」と辻先生は続ける。「ちなみに、一緒に暮らす人との仲も重要です。アメリカの調査では、結婚に不満がある女性は、結婚に満足している女性に比べて動脈硬化の発生率が高いことが明らかになりました。原因はいうまでもなくストレスですが、もし夫が自分を褒めてくれないという不満があるのなら、あなたから夫を褒めてみてください。もしかしたらうまくいく……かもしれません(笑)」日常のささやかな積み重ねが病気を招きも防ぎもする。とりあえず、家庭のストレスを解消するべく夫をねぎらうところから始めてみては?「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月04日韓国のガールズグループ・少女時代のリーダー、テヨン(31)の父が3月9日、急性心筋梗塞により死去したことが分かった。同日、所属事務所のSMエンターテインメントが発表した。SMエンターテインメントは公式SNSを通して「9日、少女時代テヨンの父親が亡くなるという残念な知らせを聞きました。ご冥福をお祈りするとともに、テヨンには温かい慰めの言葉をお願い申し上げます」と発表。葬儀については家族だけで静かに執り行うという。この日はテヨンの31歳の誕生日。ソロ曲『Happy』のリリースが予定されていたが、「音源とミュージックビデオの公開はやむを得ず延期することになりました」とし、「音源発売の日程については、改めてお知らせします」と伝えた。テヨンは少女時代のなかでも“年収1位“であることが知られており、芸能人に関する独自ランキングを発表する韓国のバラエティ番組『名簿公開』では、“親思いのスター”として紹介された。番組によると、テヨンの父親は韓国南部の全州(チョンジュ)で3代にわたり眼鏡店を運営。テヨンは両親のために、全州地域で最高級のマンションをプレゼントし、その価値は日本円で約8,700万円に相当するという。眼鏡店はファンの間で聖地巡礼のスポットとなっていて、テヨンは訪問記録のノートに訪れたファンに向けて直筆メッセージを残したこともあった。ファンからは《眼鏡屋さんいったけど、本当にテヨンちゃんへの愛が溢れてて素敵な空間だった》《いつまでも待つのでテヨンのケアをお願いします》《テヨンの気持ちを考えるとつらい》《無理せずゆっくり休んで》といったメッセージが送られている。
2020年03月10日「超悪玉コレステロール」がたまると、動脈硬化だけでなく、がんや認知症、脳梗塞、心筋梗塞のリスクも高まるという。菓子パン、スナック菓子、インスタント食品など、危険食品は身の回りにあるものばかり。取りすぎないようご用心ーー。「コレステロールは、私たちの体の細胞壁やホルモンの材料となるなど、生きるうえで必要不可欠なものです。ところが、誤った食生活によって悪影響をうけると、血管壁に蓄積して動脈硬化の原因となり、逆に体に悪影響を与えてしまうこともあるのです」こう話すのは内科医で動脈硬化に詳しい池谷敏郎先生。偏った食生活はコレステロールの“暴走”を起こすという。「コレステロールは体内でLDLコレステロールとして血管壁に運ばれます。このLDLコレステロールが酸化されて変性するとマクロファージという免疫細胞に取り込まれて処理され、血管壁にたまり、プラークというコブになってしまいます。これが動脈硬化です。LDLコレステロールが悪玉コレステロールと呼ばれるゆえんです。ちなみに、LDLコレステロールには大型、小型サイズとあるのですが、小型のものほど血管壁に取り込まれやすく、活性酸素による酸化もされやすいため、小型のLDLコレステロールは超悪玉コレステロールとよばれています」(池谷先生・以下同)LDLコレステロールが酸化すると次のような問題も。「LDLコレステロールが酸化した途端、体内で“異物”として認識されます。すると、私たちの健康のバランスをとろうとしてくれるマクロファージが“異物”を食べて処理してくれるのですが、このときに起こる現象が“炎症”です。炎症は、血管の老化や動脈硬化だけでなく、肌荒れやアレルギー疾患の悪化にもつながります。さらに、がん認知症、脳梗塞、心筋梗塞などの疾患のリスクも上げます」体内での炎症を起こりやすくする一因が、オメガ6系脂肪酸(リノール酸)を多く含む食品だ。オメガ6系脂肪酸の過剰摂取によって、炎症が引き起こされやすくなるというのだ。逆に、オメガ3系脂肪酸を多く取ることによって炎症にブレーキがかかるという。つまり、過剰な炎症をふせぐためにはオメガ6系と3系の脂肪酸のバランスが重要だ。オメガ6系脂肪酸は、サラダ油、キャノーラ油、ベニバナ油など、揚げ物に使われる油に多く含まれる。オメガ3系脂肪酸は、魚油やえごま油、アマニ油などが該当する。「体内の炎症を抑えるためには、オメガ6系脂肪酸を減らし、オメガ3系脂肪酸の摂取量を多くすることです。しかし、現代の食生活では、オメガ6系脂肪酸を過剰に摂取する傾向があります。脂質の摂取は必要なのですが、摂取する脂肪酸の種類については、もっと注意をしてほしいものです」揚げ物や天ぷら、炒め物、ドレッシング、豚肉や鶏肉の脂肪部分など、オメガ6系脂肪酸の油を使った食品は、私たちの周りにあふれている。「家庭で調理して食べる分には極端な量にはならないと思うのですが、外食や弁当、スーパーやコンビニで売られているお総菜などにはオメガ6系脂肪酸を多く含む油が使われていることが多いため、外食やコンビニ弁当が多いという人は要注意です」「女性自身」2020年3月17日号 掲載
2020年03月08日「高血圧は、動脈硬化のほか、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病のリスクも高めてしまいます。しかし、高血圧には自覚症状がほとんどありません。静かに病気を進行させ、ある日突然に心筋梗塞や脳出血といった深刻な病気を引き起こすため、“サイレントキラー”とも呼ばれています」こう話すのは、循環器疾患が専門で「ミスター血圧」の異名をとる渡辺尚彦先生だ。’17年に厚生労働省が行った健康調査によると、日本で高血圧と診断を受けている人は約994万人。しかし、実際は約4,300万人が高血圧だという推測もされている。渡辺先生は常に血圧計を腕につけ、自身の血圧をじつに24時間32年以上にわたって測り続けている。患者さんに対しても、エビデンスとなるデータをとりながら、薬に頼らないさまざまな降圧方法を模索している。高血圧の原因には、加齢、塩分の取りすぎ、肥満、喫煙、ホルモンの変化、などが挙げられる。「日本人の場合、高血圧の最大の要因は塩分の取りすぎだといわれています。そのため塩分コントロールは極めて大切です」(渡辺先生・以下同)また、女性は更年期を迎えるころから、血圧の変化に気をつけるべきだと渡辺先生は指摘する。「更年期の女性は、女性ホルモンが減少すると同時に血圧が上がり始める傾向にあります。女性ホルモンは血管を拡張させる働きをしてくれるため、『若いころは低血圧気味だった』という人も少なくありません。しかし、そういう人でも、更年期を経ていつの間にか血圧が上がっていたということがよくあります。自覚症状がありませんから、血圧を測定するしか変化に気づく方法はありません。家庭用血圧計で構いませんので、40代以降は日常的に血圧を測ることをおすすめします」家庭で血圧を計測する際には、いくつか気を付けることがある。日本高血圧学会では正常域血圧を140mmHg/90mmHg未満としている。上の血圧が140以上、あるいは下の血圧が90以上だと高血圧を診断される。「できれば一日の中でも、起床後、睡眠前など複数回計測すると変化がわかるようになりますし、自分の血圧の傾向も把握できるようになるでしょう」早朝だけ数値が高い「早朝高血圧」や、寝ているときだけ高い「夜間高血圧」などがあるように、血圧は一日の中でも常に変化していて、精神的・身体的な活動状況によっても数値が変わりやすい。朝の目覚めとともに血圧は上昇し、日中は比較的高く、夜になると下がり、睡眠時はさらに降下する。ほかに、室内と室外の気温差や、ストレスを受けることでも数値が上下する。また、ふだんは正常値なのに、病院で血圧を測ると数値が高く出るという人は、白衣高血圧の疑いが。逆に、病院では正常値なのに、家庭では高血圧だという人は、仮面高血圧が疑われる。これは薬を飲んで血圧がコントロールされている間に診察を受ける人に多い。ほかに、血圧をあげてしまう生活習慣には次のものがある。□喫煙□入浴時の極端な寒暖差□硬いものを食べる□締めつけのある下着をつける□イライラする□肥満体形である「煙草を1本吸うと、収縮期血圧(上の血圧)が4mmHg上がるとされています。ところが、2本立て続けに吸うと収縮期血圧に10mmHg以上の上昇が見られるのです。そして、上がった血圧はなかなか戻りません。つまり、ヘビースモーカーは血圧の高い状態が長時間続いてしまうことになります」急に冷たいものを飲んだり、冬場のトイレや脱衣所など、室温の低い所で着衣を脱ぐこともリスクを上げる。そのほか、女性が着用するガードルやボディスーツなど、強く体を締めつける下着なども血圧を上げるという報告があるという。「きつい締めつけは、血圧だけでなく、内臓を圧迫して呼吸器官や消化器官に負担をかけることにもなります。過度の使用は避けるべきでしょう」一般的に、高血圧の治療には、減塩、運動、節酒、禁煙といった生活習慣の指導を行いながら、降圧剤を服用する。治療薬は、大きく4つのタイプに分けられる。(1)血管を広げるカルシウム拮抗薬、(2)血管を収縮する体内の物質をブロックするARB、ACE阻害薬、(3)血中の食塩と水分を減らす働きをする利尿薬、(4)心臓の過剰な働きを抑えるβ遮断薬だ。とはいえ、薬を一生服用し続けなければならないわけでもないと渡辺先生は言う。「減塩の食生活を中心に、日常的に運動したり、降圧する生活習慣を心がけることで、血圧のコントロールは可能です」「女性自身」2020年2月11日号 掲載
2020年02月02日「おなか周りに内臓脂肪のついている人が、生活習慣の改善を試みなければ、やがて心筋梗塞など、重篤な心疾患につながる“エイリアン脂肪”に襲われます」内臓脂肪に詳しい池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。“エイリアン脂肪”とは、心臓の周りにつく脂肪のことで、密かに動脈硬化を進めて、心筋梗塞や心不全を発症させる恐ろしい脂肪だ。「心臓に寄生するかのごとく付着して、命を奪うことから“エイリアン”脂肪と呼ばれています」(池谷先生・以下同)エイリアン脂肪は、専門的には異所性脂肪と呼ばれ、皮下脂肪、内臓脂肪に続く、「第三の脂肪」といわれている。「エイリアン脂肪は、心臓の周囲を覆うようにして蓄積し、心臓を養う冠動脈などの組織へと細い血管を伸ばします。そして、その血管から、細胞にダメージを与える毒素が送り込まれるのです」この毒素とは、本来は心臓周囲に溜まった異所性脂肪を溶かし、吸収されやすくするために分泌されるものだ。しかし、この毒素が、本来守りたい血管や心臓の細胞まで傷つけてしまい、動脈硬化や心臓の機能障害の原因となってしまうのだ。怖さはそれだけではない。「エイリアン脂肪が出す毒は、心臓の筋肉にも影響を及ぼし、筋肉の収縮力や拡張能力を低下させます。こうして心臓のポンプ機能が低下すると、心不全が起こりやすくなります」エイリアン脂肪を持つ人の特徴をみると、肥満体形で、運動ぎらい、糖質過多の人に多いようだ。「“糖化は老化”といわれるように、高血糖は細胞を刺激して炎症を引き起こし、肌荒れや見た目の老化を進めます」特に、注意してほしいのが、若いころは痩せた体形だった人が中年になって太ったという場合だ。「もともと痩せていた人は、内臓脂肪を溜め込む容量が少なく、急に太ると肝臓、心臓に脂肪がつきやすいのです」また、女性は閉経を迎えたあたりから体形が変わりやすくなる。「女性ホルモンのエストロゲンは、いわゆる“痩せホルモン”です。ですから、若いころは、エストロゲンのサポートが効いて、わりと体形のコントロールがしやすいのですが、閉経を迎えてエストロゲンが枯渇しても以前と同じような生活習慣でいれば、もはや若いころのように体形のコントロールはできず、太りやすくなるのです」いったん動き出すと恐ろしいエイリアン脂肪だが、対策もある。「脂肪の中でいちばん落としやすいのがエイリアン脂肪で、食習慣を改善することで、早ければ2~3日で落ち始めます。多くの場合、肥満の原因は、糖質過多、脂肪分過多の食事です。私は、まず糖質ないしは炭水化物を半分に減らすことをすすめています。でも、それでは全体の量は足りないと思いますので、食物繊維を多く含んだ緑黄色野菜や大豆、きのこ類の量を増やし、パンやごはん、麺などの炭水化物の量を半分に減らすようにしましょう」きちんと実践すると、心臓周囲とともに、内臓脂肪が減り始める。「私の患者さんでこの“ゆる糖質制限”をきちんと実践している人は、ほぼ全員成功しています」食事を改善することで、体の酸化が抑えられるため、肌や髪にツヤやハリが出たり、疲れにくくなるなど、そのほかの嬉しい変化も期待できるそうだ。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』の製作発表が16日に都内で行われ、薮宏太(Hey! Say! JUMP)、すみれ、シルビア・グラブ、小西遼生、小浦一優(芋洗坂係長)、元木湧(少年忍者/ジャニーズJr.)、村井國夫、松竹 取締役 演劇副本部長 西村幸記、シーエイティープロデュース 代表取締役 江口剛史が登場した。同作は『キャッツ』や『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキン グ』などの作詞を手掛けたティム・ライスが、まだ学生時代だった頃に初めてタッグを組んで生み出した、両巨匠の原点ともいえる作品。旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、全編楽曲で綴られ、ロック、バラード、シャンソン、 カントリー、ロカビリーと多彩な音楽で彩られる。2019年12月に、軽度の心筋梗塞のため主演舞台『獣唄』、出演舞台『黄昏』の降板を発表していた村井。会見には元気な姿で現れ、12人の子供を持つジェイコブ役を演じることから「精力を持ってやっていきたいと思います」とジョークも飛ばす。主演で息子役の薮に対しては「かわいいですよね。僕、同じミュージカルをやったことあるんですよ。『シー・ラヴズ・ミー』の日本初演。密かに、いっしょの作品をやったことがあったなと思ってたんです」と嬉しそうにしたものの、初耳といった様子の薮に「知らないだろ? そういうの調べておかないと」とツッコミ。薮は「勉強不足で……」と恐縮する。また、今回小浦が2役やることについて、村井は「僕が見た時には、おやじ(ジェイコブ)が2つやってたんですよ。まわってくるかなと思ったんですけど、病み上がりなものですからひとつ」と苦笑。改めて心筋梗塞について聞かれると、「生きてます。自分でもびっくりしましたが、なんとか大丈夫だと思います。毎日ウォーキングを4~5kmくらいして、元気な日々を送ってます。2つ芝居を降りちゃいましたから、これは確実にやっていきたいと思っています」と気合い十分。「歌声には自信ないんですけどね……芝居はなんとかやっていけるんですけど、歌はちょっと不安です」と少し弱気な面も見えた。村井との共演について感想を聞かれた薮は「嬉しい限りです」と語ったものの、先ほどの件を引きずっていた村井は「知りもしないんですよ!」と手を伸ばして薮の手をぺしぺしと叩く。薮は「この期間を経て、千秋楽には一緒にお酒を……」と弁解するも、村井の「僕、一滴もお酒を飲まないんですよ」という言葉に、「ああ、申し訳ない……」と天を仰いでいた。
2020年01月16日「おなか周りに内臓脂肪のついている人が、生活習慣の改善を試みなければ、やがて心筋梗塞など、重篤な心疾患につながる“エイリアン脂肪”に襲われます」内臓脂肪に詳しい池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。“エイリアン脂肪”とは、心臓の周りにつく脂肪のことで、密かに動脈硬化を進めて、心筋梗塞や心不全を発症させる恐ろしい脂肪だ。「心臓に寄生するかのごとく付着して、命を奪うことから“エイリアン”脂肪と呼ばれています」(池谷先生・以下同)エイリアン脂肪は、専門的には異所性脂肪と呼ばれ、皮下脂肪、内臓脂肪に続く、「第三の脂肪」といわれている。「エイリアン脂肪は、心臓の周囲を覆うようにして蓄積し、心臓を養う冠動脈などの組織へと細い血管を伸ばします。そして、その血管から、細胞にダメージを与える毒素が送り込まれるのです」この毒素とは、本来は心臓周囲に溜まった異所性脂肪を溶かし、吸収されやすくするために分泌されるものだ。しかし、この毒素が、本来守りたい血管や心臓の細胞まで傷つけてしまい、動脈硬化や心臓の機能障害の原因となってしまうのだ。「通常、動脈硬化は、脂質異常や高血糖など、血管内を流れる血液の状態によって進行します。しかし、エイリアン脂肪の場合は、心臓の外側からの攻撃で急速に動脈硬化を進行させるのです。その勢いは凄まじく、エイリアン脂肪の存在によって、動脈硬化の進むスピードが約10倍になるといわれています。たとえば、動脈硬化が10年かけて悪化するのに対し、エイリアン脂肪は、1年で心臓を壊してしまうのです」静かに近づき、突然症状が出たかと思うと、心臓を壊しているというから恐ろしい!今話題の内臓脂肪が、エイリアン級に悪化しているのだから、警戒レベルはマックスだ!「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日「ある日突然発症するイメージがある心筋梗塞ですが、この疾患は、毎日の生活習慣と関係しています」そう話すのは、医学博士で(一社)日本ダイエットスペシャリスト協会理事長の永田孝行先生。心筋梗塞は、心臓への血流が不足した結果、心臓の細胞が壊死してしまった状態で、食生活の乱れや喫煙・飲酒習慣の積み重ねによる動脈硬化の進行で発症する例が多い。特に寒くなるこの時期は、室内と外気との急激な温度の変化に血管の収縮と弛緩が対応しきれなくなってしまうリスクがあるので注意が必要だ。そこで白澤先生が、心筋梗塞になりにくい生活習慣を2択クイズで出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】心筋梗塞の注意すべき前兆は?就寝前に体の痛みやだるさを感じる or ひと息つくとき、肩などに違和感がある正解は、ひと息つくとき、肩などに違和感がある。「心筋梗塞で前兆があるのは、全体の3分の2とされています。日中に肩や胸、あご、のどなどに違和感があるときは、心筋に関わる血流の悪化が影響している可能性も。ちなみに、前兆があるほうが体の防御作用が働き、発症後の重症化を避けられます」(永田先生・以下同)【Q2】血管を強化するために効果的なのは?こまめに早歩き or ゆっくり時間をかけて歩く正解は、こまめに早歩き。「長距離をゆっくり歩くより、短時間でもさっさと早歩きをしたほうが姿勢もよくなりますし、下腿に力が入りやすくなります。さらに、ふくらはぎの筋肉が鍛えられ、ポンプ作用が促され、血行も促進されるといったメリットもあります」【Q3】冬場の外出前。血管にやさしいのは?外出10分前に暖房を切って出かける or 外出時まで暖房は強のままで出かける正解は、外出10分前に暖房を切って出かける。「室内と外気との温度差を少なくする策です。暖房が効いている室内から外出する際、コートを着てすぐに外出すると外気との温度差によって急激に冷えてしまいます。室内でコートを着た状態で、体が保温されてから外出するのが正解です」【Q4】血管のために好ましい室内外の温度差は?5度 or 10度正解は、5度。「血圧の急上昇を防ぐためにも、外出前には室温を外気温に近づけて急激な温度変化を防ぎます。気温差が5度以内なら自律神経の調節に支障はありませんが、それ以上に差が開くと、体が適応しにくくなり、心筋梗塞、大動脈解離などのリスクが上昇します」【Q5】入浴時、血管に負担をかけないのは?軽く体を動かして温めてから入る or あらかじめ浴室の温度を上げてから入る正解は、あらかじめ浴室の温度を上げてから入る。「入浴時の温度差によるヒートショックで血圧の急変動が起こり、失神、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす事例が多々あります。脱衣場の温度にも気をつけたいですが、浴室の温度も思いのほか低くなりがちですので、浴室の温度も上げてから入浴してください」心筋梗塞の予防で最も大切なのは身体活動だそう。「運動とは言えないレベルでも日々意識的に体を動かすことで血流を促進し、丈夫な血管をつくるよう心がけましょう」胸やあごなど、心臓以外の部位に起こる痛みは心筋梗塞の前兆であることも。「日々体調を観察し、小さな違和感を見逃さないことも重要です」「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日動脈硬化、心筋梗塞など、私たちが恐れる重大な疾患を引き起こす「内臓脂肪」。それを落とすには「食べ方が9割」。苦労せず続けられる画期的なメソッドがあった!「内臓脂肪が体に有害であることは、医療者の間では長年知られていることです。そもそも、内臓脂肪を改善してもらうために、2008年から『メタボ健診(特定健康診査)』を導入したのに、人々の間で危機感がなく、なかなか本気で痩せようとしていません。これが、内臓脂肪の注意喚起を訴えようと思ったきっかけです」池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。今年4月に出版した『内臓脂肪を落とす最強のメソッド』(東洋経済新報社)は注目を浴び、ベストセラー本となったが、いまだにその人気は衰えていない。「内臓脂肪は、腸の周りにつく脂肪ですが、特に怖いのは、肝臓や心臓の周りにつく脂肪です。メタボによる脂肪肝は肝硬変や肝臓がんのリスクとなりやすく、心臓周囲の脂肪は、毛細血管を伸ばして炎症の原因となる物質を送り込み、動脈硬化を急速に進め、心不全や心筋梗塞を引き起こすのです」(池谷先生・以下同)通常の動脈硬化は、血中コレステロール値や血糖値、血圧が高いなど、血管の内側の異常が原因となって進行する。ところが、内臓脂肪による動脈硬化は、血管の外壁側から心臓表面を走る冠動脈に悪影響を及ぼして、動脈硬化を急速に進めるのだ。さらに、心臓の機能をも低下させ、心不全の要因ともなるというから恐ろしい。ちなみに、脂肪肝を診断される人はほぼ、心臓周りにも内臓脂肪がついている可能性が高いという。内臓脂肪は、動脈硬化の原因となる糖尿病や脂質異常症、高血圧などに悪影響を及ぼす。ではどうすれば内臓脂肪を減らせるのだろうか。そこで、自身もダイエットに成功した経験を持ち、独自のダイエット理論を持つ工藤内科の工藤孝文先生、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚先生に、無理なくできる「内臓脂肪の落とし方」を聞いた。「内臓脂肪を減らすには『ミートファースト』を提案します」というのは工藤孝文先生。「ミートファーストは、肉を食べることによって分泌されるインクレチンというホルモンが、血糖値を穏やかに上昇させます。肉は胃の中での停滞期間が長いので、腹持ちがいいし、赤身肉には脂肪を燃焼する働きのあるL-カルニチンが多く含まれています。こうしたさまざまな観点から、内臓脂肪を減らすのにミートファーストは最適なのです」この方法の唯一のルールは食べる順番を守るだけ。肉→野菜→炭水化物の順番で、肉を最初に食べることと、炭水化物を最後に食べるということさえ守れば、食べる量を変える必要はない。しかし、「ミートファースト」にすることで、自然と食べる量が減るという。さらに、ベジファーストよりミートファーストのほうが、ダイエット効果が高いという結果もある。「ミートファーストにすることで、高タンパク、低糖質で栄養が吸収されるようになり、その結果、脂肪が減少し、筋肉がしっかりつくようになったのです」ほかにも、タンパク質には血管年齢を若く保つ働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防につながり、肌のハリを出してくれる若返り効果も期待できる。1日に摂取したいタンパク質の量は女性で1日50g。実際に50gが吸収されるためには、赤身肉を100〜150g程度食べること。目安としては1食の量が片手のたなごころくらいだ。食べる量を変えなくてもいいし、食べるものも気にしなくていい、食べない時間をつくる「12時間断食」を提案するのは青木厚先生。「1日3食が当たり前のように提唱されていますが、それでは食べすぎです。摂取カロリーが消費カロリーを上回っているから、肥満になるのですから」食べすぎは血糖値の乱高下を起こすだけでなく、内臓脂肪の蓄積にもなる。食べない時間をつくることで、内臓を休ませることができるうえ、脂肪燃焼もできるのだ。「空腹の時間は、肝臓や筋肉に蓄積されたグリコーゲンを分解することで体脂肪を燃焼させてエネルギーを作ります。だいたい食後12時間くらいで肝臓や筋肉に蓄えられていたグリコーゲンは枯渇して、その後、内臓脂肪をブドウ糖に変換します。この仕組みは『糖新生』と呼ばれる代謝状態で、私たちの体が“飢餓状態”に耐えられるように作動するものです。糖新生の時は、細胞の掃除も行われます。理想は16時間の断食ですが、まずは12時間から始めるとよいでしょう」(青木先生・以下同)糖新生が始まると、内臓脂肪が燃焼するだけでなく、細胞が活発に生まれ変わる、血糖値が下がる、免疫力が上がる、記憶力・認知力がアップするなど、私たちの体を若返らせてくれるさまざまなうれしい効果も期待できる。「12時間断食」の基本は、1日のうち連続した12時間を「食べない時間」として守ることだ。1日8時間の睡眠をとっているとすれば、睡眠の前後数時間を「食べない時間」に設定すればいい。一方、「食べてOK」の12時間は何をどれだけ食べてもかまわない。「こう考えると『食べてOK』の時間にドカ食いをすると思われるかもしれませんが、意外とそんなに食べられないものです。結果として、1日に食べる量が減ることになります。際限なくいつでも食べられる状態から『食べない時間』をつくることで内臓を休める時間を持つと、体のリセットにも」「空腹の時間」は、水、お茶、コーヒー(ブラック無糖)以外は口にしないこと。どうしてもおなかがすいたらナッツ類、無糖ヨーグルトなら食べてもいい。最初のうちは慣れるまでおなかがすくかもしれないが、数日で体が慣れてくるという。「ただし、糖尿病で投薬治療を受けている人は、低血糖のリスクがありますので、専門医の指示に従って行ってください」内臓脂肪を減らすためのダイエット法は、各先生によって異なるものの、共通しているのは「いかにして食べる量を減らすか」だ。それぞれ1〜2週間もすれば、体重が減少し始めたり、腰回りが細くなるなど何らかの結果が見えてくると、先生たちは声をそろえる。早速試してみよう!
2019年11月06日動脈硬化、心筋梗塞など、私たちが恐れる重大な疾患を引き起こす「内臓脂肪」。それを落とすには「食べ方が9割」。苦労せず続けられる画期的なメソッドがあった!「内臓脂肪が体に有害であることは、医療者の間では長年知られていることです。そもそも、内臓脂肪を改善してもらうために、2008年から『メタボ健診(特定健康診査)』を導入したのに、人々の間で危機感がなく、なかなか本気で痩せようとしていません。これが、内臓脂肪の注意喚起を訴えようと思ったきっかけです」池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。今年4月に出版した『内臓脂肪を落とす最強のメソッド』(東洋経済新報社)は注目を浴び、ベストセラー本となったが、いまだにその人気は衰えていない。「内臓脂肪は、腸の周りにつく脂肪ですが、特に怖いのは、肝臓や心臓の周りにつく脂肪です。メタボによる脂肪肝は肝硬変や肝臓がんのリスクとなりやすく、心臓周囲の脂肪は、毛細血管を伸ばして炎症の原因となる物質を送り込み、動脈硬化を急速に進め、心不全や心筋梗塞を引き起こすのです」(池谷先生・以下同)通常の動脈硬化は、血中コレステロール値や血糖値、血圧が高いなど、血管の内側の異常が原因となって進行する。ところが、内臓脂肪による動脈硬化は、血管の外壁側から心臓表面を走る冠動脈に悪影響を及ぼして、動脈硬化を急速に進めるのだ。さらに、心臓の機能をも低下させ、心不全の要因ともなるというから恐ろしい。ちなみに、脂肪肝を診断される人はほぼ、心臓周りにも内臓脂肪がついている可能性が高いという。内臓脂肪は、動脈硬化の原因となる糖尿病や脂質異常症、高血圧などに悪影響を及ぼす。ではどうすれば内臓脂肪を減らせるのだろうか。そこで池谷先生に無理なくできる「内臓脂肪の落とし方」を聞いた。「9割は食べ方で改善できます。内臓脂肪が原因で通院されている患者さんを見ていてもわかりますが、とにかくみなさん、食べすぎです。なのに、ほとんどの人は自分が食べすぎていることを自覚していません」特に女性の更年期世代は、エストロゲンの分泌が急激に減少する。エストロゲンには体重をコントロールしてくれる働きがあるので、若いころはちょっとダイエットをすれば痩せていたが、エストロゲンという“助け船”がなくなると、以前のような方法では痩せない。「中年期からは、ある意味、チャンスともいえます。痩せて内臓脂肪のないすっきりした体形になれば疲れにくくなりますし、スタイルを維持していれば、人目を気にすることもなく、いろいろなストレスから解放されます」そして提案するのは、「プチ糖質制限」。血糖値を上げる直接の原因となる炭水化物(ご飯、パン、麺類、いも類、フルーツ、スイーツ)を半分の量にするのだ。「糖質は体内に入ると内臓脂肪のもととなる中性脂肪に変わります。ですから、体内に糖分が残らないように糖質を半分にしていると、内臓脂肪が減っておなか回りがスッキリしてきます」ただ単純に食べる量を減らすとそれまで食べていた量が減るので、おなかがすぐに減って、かえって間食が増えかねない。そこで、おかずに野菜やきのこ類、蒸し大豆などを加えてたっぷり食べる。たとえば、焼きそばを2人分作るときは、麺1人前に野菜と肉を3人前加える。ボリュームがあって、おいしいが低糖質という1品になる。さらに池谷先生がオススメするのが大豆食品から食べる「ソイファースト」。大豆食品を最初に食べることで大豆タンパク質、食物繊維、ミネラルなどが効率よく吸収できる。大豆には、更年期以降の女性にうれしいイソフラボンの働きもある。最近は、スーパーにパックや缶入りの蒸し大豆が販売されている。納豆でもOK。食べるとおなかにたまりやすく、血糖値の上昇を抑える働きもある。早速試してみよう!
2019年11月06日《まさかまさかの、突然死ぬかも知れなかった、、、。》9月24日、自身のフェイスブックにこうつづったのは、故・松田優作さんの妻で女優の松田美由紀(57)。心筋梗塞を発症して救急搬送されていたことを、この日、所属事務所が発表したのだ。緊急手術には、長男の松田龍平(36)、次男の松田翔太(34)ら、家族総出によるサポートがあったという。《家族の愛が助けてくれました。龍くんは、夜中の手術にずっと手を握って付き合ってくれ、翔は、家族写真を持ってきて、ずっと話してくれ、ゆう姫は泣き出すし、姉の真実ちゃんは、舞台の稽古なのに、何回も来てくれて励ましてくれて》長女で歌手の松田ゆう姫(30)、そして姉の熊谷真実(59)まで病院に駆けつけ、懸命に看病してくれたという。「実は美由紀さんは、ご自身や龍平さん、翔太さんが所属する芸能事務所の社長も務めています。翔太さんはもともと別の事務所でデビューしたのですが、5年前に移籍しました。そのころ美由紀さんは『私が生きているうちに、この子たちがしたい仕事で食べていけるように土台を作ってあげたい』と語っていました。2人の息子の活躍の陰には、母である美由紀さんの尽力があるのです」(芸能プロ関係者)幸い命に別状はなく、無事に手術を終えた美由紀は、27日に退院。本人は《普段から身体は気をつけている》とつづっていたが、それでも57歳で心筋梗塞を発症してしまったのはなぜなのだろうか。ツカザキ病院循環器内科主任部長の楠山貴教さんに聞いた。「女性の心筋梗塞は、50代後半から増え始める印象です。女性ホルモンのエストロゲンが、閉経を境に減少することが一因だといわれています。抗動脈硬化作用があるエストロゲンが減少し、それによって心筋梗塞のリスクも高まるのです」美由紀は《突然、自宅で倒れて、、救急車も早く到着し、緊急でカテーテル手術になり助かりました!!》とつづっていたが、楠山さんによると、発症から数分間の処置が生死を左右するという。「症状としては、冷や汗や吐き気を伴う胸の痛みが特徴的です。倒れるほどの胸の痛みがあれば、すぐに救急車を呼んでください。意識を失った場合、救急車到着までの7~8分間、そばにいる人に胸骨圧迫(心臓マッサージ)をしてもらえれば、脳や心臓を保護できる可能性が格段に高まります」家族のため、これからの人生のため――。更年期の女性は、突然の心筋梗塞に気をつけて!
2019年10月03日「血管の老化は心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる重篤な疾患を招きますが、実は最近、高齢者とともに、血管年齢が高い若い人が増えているのです。30~40代で心臓の病気になり、手術を受ける人の血管年齢はだいたい60~70代で、実年齢よりも30歳ぐらい年をとっていました。運動不足で、偏食がちで食生活が乱れている、肥満傾向で、若いうちから生活習慣病にかかっている、といった共通点があります。特に、女性は閉経後に血管の機能が衰えてくるので、40代後半ぐらいから血管年齢を気にしたほうがいいでしょう」そう警鐘を鳴らすのは、年間300超もの手術を手がける、東京女子医科大学病院心臓血管外科の新浪博士主任教授。心臓から押し出されて、動脈を流れる血液は酸素や栄養素を細胞へと運び、静脈を通り老廃物を回収する役割を果たしている。健康な動脈は内側にある血管内皮細胞がなめらかで血液が滞りなく流れるが、生活習慣病などで血管が傷つき、しなやかさが失われると、血液の流れが悪くなり、高血圧や動脈硬化を招く。こうして血管年齢は年をとっていく。自分の血管がどのくらい年をとっているのか目安になるのが、8つの項目からなる次の「血管年齢チェックリスト」。4つ以上のチェックがつくと、血管年齢が高い可能性大という。□おなかいっぱいになるまで食べてしまう□味の濃い料理が好き□就寝前2時間以内に食事をしたりお酒を飲んだりする□以前と比べかなり太った□休日は家でゴロゴロして運動はあまりしない□せっかちでイライラしやすい□親やきょうだいに心臓病や脳卒中になった人がいる□喫煙者である「もうひとつチェックしておきたいのは、ふだんの血圧です。血圧を測り、最高血圧の値から最低血圧の値を引き、60以上の差が開くと血管が硬くなっているということになります。弾力を失った血管は柔軟性がないため、血管にむりやり血液を押し込まなければならず、負荷がかかります。そのため、収縮期血圧(最高血圧)と、拡張期血圧(最低血圧)の幅に差が生じてくるのです」(新浪教授)
2019年10月02日